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1983-04-26 第98回国会 衆議院 法務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月二十六日(火曜日)     午前九時三十五分開議  出席委員    委員長 綿貫 民輔君    理事 太田 誠一君 理事 熊川 次男君    理事 中川 秀直君 理事 羽田野忠文君    理事 稲葉 誠一君 理事 横山 利秋君    理事 沖本 泰幸君 理事 岡田 正勝君       井出一太郎君    今枝 敬雄君       臼井日出男君    大西 正男君       木村武千代君    高村 正彦君       森   清君    山崎武三郎君       栂野 泰二君    中村  茂君       鍛冶  清君    安藤  巖君       中島 武敏君    林  百郎君       田中伊三次君  出席国務大臣         法 務 大 臣 秦野  章君  出席政府委員         法務大臣官房長 根岸 重治君         法務省民事局長 中島 一郎君         建設省住宅局参         事官      吉沢 奎介君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第一課長   滝島 義光君         建設省計画局参         事官      広瀬  優君         建設省住宅局民         間住宅課長   鹿島 尚武君         法務委員会調査         室長      藤岡  晋君     ───────────── 委員の異動 四月十九日  辞任         補欠選任   今枝 敬雄君     渡辺 省一君   栂野 泰二君     串原 義直君 同日  辞任         補欠選任   渡辺 省一君     今枝 敬雄君   串原 義直君     栂野 泰二君 同月二十六日  辞任         補欠選任   大西 正男君     臼井日出男君   大島  弘君     中村  茂君   林  百郎君     中島 武敏君 同日  辞任         補欠選任   臼井日出男君     大西 正男君   中村  茂君     大島  弘君   中島 武敏君     林  百郎君     ───────────── 四月十五日  刑事施設法案の廃案に関する請願武藤山治紹介)(第二三六〇号)  同(山本幸一紹介)(第二三六一号) 同月二十二日  法務局、更生保護官署及び入国管理官署職員の増員に関する請願田中伊三次君紹介)(第二六二二号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  建物区分所有等に関する法律及び不動産登記法の一部を改正する法律案内閣提出第四四号)      ────◇─────
  2. 綿貫民輔

    綿貫委員長 これより会議を開きます。  内閣提出建物区分所有等に関する法律及び不動産登記法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安藤巖君。
  3. 安藤巖

    安藤委員 改正案の第二十二条の一項のただし書きの問題で、建物とその敷地利用権とを登記簿上も処分上も一体として処分するようにするというのが本法改正案のねらいだということをお聞きしておるのですが、二十二条の一項のただし書きによると、「規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。」というのがあるところから見ると、規約で別段の定めがあれば、そういう一体処理登記簿上に載せる、建物敷地一体にするという趣旨例外規定をここに設けているような気がするのですね。だから、その辺のところ乱れが生じるのじゃないか、せっかくの趣旨、どうして別段の定めをしたらいいのかということを疑問に思っておったのですが、先回のこの委員会での質疑に対する法務省の方の御答弁で、結局小規模建物であれば一体にしなくても、現実にそれを見て、あるいは登記簿の確認もしてやるから不都合はないのだというお話があったのですね。  だから、それとの関連お尋ねをしたいと思うのですが、この改正案、これはもともと改正前から一体となっている部分もたくさんあるのですが、いまのようなお考えがあるというのであれば、いわゆる大規模マンション、それとたとえば一棟九個以下というような小規模なものを同じように団体法理論をこれにぶち込んで、何とか処理を簡単にしていこう、スムーズにしていこうということがねらいのようにもお見受けするのですが、そういう小規模のところはやはり規約をつくって代表者がこうでどうのこうのということをやらなくても、しょっちゅう顔を合わせておる仲だと思うし、話し合いというようなことでもって一事が万事を処理していくというようなことの方がかえってスムーズではないのかというふうに思うのですね。だから、たとえば九個以下の棟割り長屋風マンションマンションと言っていいのかどうかわかりませんが、そういうところは本法適用を厳格にするということではなくて、相当自主的に話し合いによってやっていくというような方向でいろいろ行政指導していただくというようなことも考えていただいてもいいのじゃないかと思うのですが、その辺はどうですか。
  4. 中島一郎

    中島政府委員 今回の改正事項を見ていただきますと、確かにかなり規模の大きいマンションにとって非常に改正の必要が強い、小規模なものについてそれほど改正の必要がないのじゃないかという御指摘はごもっともであろうかと思うわけであります。でありますから、私どもも、マンション規模によって、建物規模その他によって改正法適用する建物適用しない建物とを区別することはどうであろうかというようなことも検討いたしたわけでございます。  しかし、これをたとえば専有部分の数によって区別をする、あるいは区分所有者の数によって区別をするというようなことはいずれも若干無理がありまして、立法技術的にはむずかしいのじゃないか、マンションの構造その他によってだけ区別するということもこれもどうも適当でないということから、それからもう一つ、そういう適用のある建物適用のない建物と二つ設けるということは法律関係が非常に複雑になって国民の理解を得にくいのじゃないかというようなことも考えまして、結局この法律一本でいくということにしたわけでありますが、その場合に小規模建物については非常に不便な法律になってはいけないということは確かにただいま御指摘のとおりでありますので、その点にも十分に配慮をいたしたわけでございます。  たとえば専有部分敷地利用権一体化規約で外すことができるという先ほど指摘があった点もその一つのあらわれでございますけれども、そのほかに、たとえば集会とか管理者あるいは規約というようなものもこれは任意的なものといたしまして、必要的なものとはしておりませんので、ケースバイケースで、こういうものを必ず開かなければならぬ、管理者を必ず置かなければならぬ、規約を必ず定めなければならぬというわけのものではないわけであります。それから小規模建物等につきましては、必ずしも集会を開かなくても全員の書面による合意によって集会決議にかえることができる、あるいは招集手続を省略して集会を開くことができるというような道も開いておるわけでございます。
  5. 安藤巖

    安藤委員 そういうような議論もあったということを踏まえて、できるだけ運用に弾力性を持たしていただいた方がいいんじゃないかと思うわけです。というのは、いま思い出したのですが、前にこの場で商法の会計の関係についての議論を、計算の関係ですかやりましたときに、小規模会社と大規模会社と、中身はちょっと忘れましたが、いろいろ区別するというようなこともあったでしょう。だから、やはりああいうような配慮をしていただいた方がかえってスムーズにいくんじゃないかというふうに思うわけですから、お尋ねをしてお願いをしておくわけです。  そこで、この点について建設省お尋ねをしたいのです。  いまの小規模の方、恐らくこれは規約モデルみたいなものを、あるいは標準的なものをおつくりになるんじゃないかというふうに思うのですが、そういう場合に、画一的な一つモデルというのをつくって、小規模も大規模もみんな同じようにこういうものをつくりなさいというようなことでは、かえってスムーズにいかなくなるんではないかという気がするのですね。だから、大規模マンションあるいは小さな棟割り長屋のそれとは、モデル規約で指導する上についても相当きめの細かい配慮をしていただく必要があるんではないかと思うのですが、そういうようなことは考えておっていただけるのかどうか、これは建設省お尋ねしたいと思います。
  6. 鹿島尚武

    鹿島説明員 昭和五十七年一月でございますが、住宅宅地審議会から答申がなされました中高層共同住宅標準管理規約につきましては、五十五年度、私どもマンションの実態を調査いたしたわけでございますが、その調査の結果、一棟当たりの平均戸数規模が七十戸程度であったということを前提として御検討いただいたわけでございます。その中で、一応住居専用の五十戸から百戸程度各戸均質マンションというものを対象として考えたらいいじゃないかというようなお考えでおまとめをいただきまして、関係方面モデルとしてこれを指示いたしてきたところでございます。  したがいまして、たとえば特定の人が多数の住戸を所有する場合とか、店舗を兼用するようなマンションである場合とか、あるいはまた戸数が大幅に多かったり少なかったりするような場合等々につきましては、この標準管理規約もとにそれぞれ必要な考慮を払ってお決めいただくようにお願いをしてまいったわけでございます。そういうことで、標準管理規約に盛り込んだ事項は、各区分所有者の関心の深いところをとらえまして、そういう事項についてあらかじめトラブルを予防するというようなことも考慮いたしまして、有効と認められるところを盛り込み、整理をいたしたというような種類のものでございます。
  7. 安藤巖

    安藤委員 いや、ですから、私が先ほどから申し上げておりますようなきめの細かい行政指導——行政指導というのもどこまでがいいのか悪いのかいろいろ議論がありますけれども、やはりそういう配慮をしていただく必要もあるんではないかということですので、配慮をしていただきたいと思うのです。  それから次の問題に移ります。  改正案の二十六条の四項ですか、「管理者は、規約又は集会決議により、その職務に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。」ということになっておるのですが、民事訴訟法の方では、いわゆる権利能力なき社団ということで、代表者あるいは管理者を置く場合はできる、当事者適格を持つというようなことになっておるのです。そしてこれは改正案の三条によりましても、区分所有者全員団体を構成し云々ということになっておるわけですね。この第三条の言う団体、それから民事訴訟法の四十六条のいわゆる法人でない社団との関係ですね、これは一体どういうような、結局同じということになるのか、いやそうではないのかというようなことをお聞かせいただきたいと思います。
  8. 中島一郎

    中島政府委員 改正法案の三条に言う団体のうちで、いわゆる社団性の強いものにつきましては、これは四十六条の社団というふうに認められることになろうと思います。したがいまして、管理者定めてあるし、あるいは管理規約もあるというようないわゆる管理組合につきましては、社団ということに認められることになるのではないかと思います。そうでないもの、区分所有者の数も少数でありますし管理者もない、規約もないというような団体につきましては、これは社団とは認められませんで、いわゆる組合というようなことになるのではないかというふうに考えております。
  9. 安藤巖

    安藤委員 それでは次に第九条の関係お尋ねをしたいのですが、これは建物設置または保存瑕疵があるときの推定規定があるわけです。もともと建物設置または保存瑕疵があることによって第三者損害をこうむったという場合は、その損害をこうむった被害者の方がその旨の主張立証責任があるというのが原則なんですが、それとの関連で、「その瑕疵(かし)は、共用部分設置又は保存にあるものと推定する。」という推定規定、これとの関係一体どうなるのか。この推定趣旨というのはどういうところにあるのだろうかなと思うのですが、その点、説明をしていただけますか。
  10. 中島一郎

    中島政府委員 建物設置保存瑕疵がある場合の損害賠償請求におきまして、被害者側でその瑕疵主張立証責任があるということの前提はそのままにいたしまして、その瑕疵が、区分建物でありますから、区分建物のうちの専有部分にあるのか共用部分にあるのかということが必ずしもはっきりしない場合があるわけであります。たとえば水道の配水管が漏水をして被害を与えたという場合に、その配管が専有部分にあります場合には専有部分瑕疵ということになりましょうし、それがもう少し大もとの方の共用部分にあります場合には共用部分瑕疵ということになるわけでありますが、壁を外してあるいは床をはぐって調べるわけにもまいりませんので、その間の主張立証が困難になる場合があろうかと思います。そういう場合に、推定規定を置きまして、共用部分設置または保存瑕疵があるものという推定をするわけであります。でありますから、原告としては区分建物瑕疵があるということを主張立証すればそれは共用部分瑕疵というふうに推定されるということであります。
  11. 安藤巖

    安藤委員 なるほど、そういう点では原則原則としてやはりあるわけですね。共用部分設置または保存にあるというなかなか主張立証困難なところの関係についてはこの推定でいく、こういうことなんですね。わかりました。  それから十七条の関係ですが、共用部分変更関係ですね。ここに「共用部分変更改良目的とし、かつ、著しく多額費用を要しないものを除く。)」とある。だから、著しいか著しくないかというのがこれは一つ争いになってくると思うのですね。この著しいか著しくないかというのは、結局だれがこれを決めることになるのかという問題なんですが、これは集会で決めることになるようなんですね、四分の三以上の多数決ということなんですが。そうなった場合に、果たしてそれが著しいのか著しくないのかという問題について争いがある場合、訴訟しか考えられないのかなという気がするのですが、これは一つ価値判断ですから、何かこれは基準みたいなものを考えていくことができるのかどうか、その辺はどういうふうにこれを考えてこういうような条文になってきておるのか、お尋ねしたいと思います。
  12. 中島一郎

    中島政府委員 第一次的にはその決議をしようとする集会判断をする、そして最終的には訴訟によって解決を見るという点は、ただいま御指摘のとおりでございます。  それで、「著しく多額費用を要しない」という点については、現行法の十二条にもほぼ同様の規定があるわけでありまして、変更といっても、すべてがこの四分の三で決めなければならないということは硬直に過ぎるじゃないか、であるから、そのうちの一部のものについては、もっと決議要件を緩和することが考えられるじゃないかということで、それではどういうものを外せるかということになりますと、「改良目的とし、かつ、著しく多額費用を要しないもの」ということになるわけでありまして、もう少し個々具体的な場合に基準をはっきりさせるような表現はないのかという点についても、確かに御指摘のおっしゃることはわかるわけでありますけれども、やはりケースバイケースという問題でありますので、規定としてはこういったやや一般的な表現にならざるを得なかったということでございます。
  13. 安藤巖

    安藤委員 そこで、きのう建設省の方にその点お話しするのをちょっと抜かしたのですが、鹿島さん、答えられたら答えていただきたいと思うのですが、やはり今後の法律の運営の問題にこれは係ってくると思うのですね。だから、先ほど標準規約というのですか、モデル規約というのですか、何か中高層のそういうものをつくったというお話ですが、この「著しく」という問題についても、何か今後の行政指導の上で、モデル規約をつくっていく上で、たとえばこういうものが「著しく多額費用を要しないもの」と考えられるとか、この程度ならそれを超えるのだとか、何かそういうようなものをつくって一つの参考にしようというようなお考えはあるのかどうか、お尋ねしたいと思うのです。
  14. 鹿島尚武

    鹿島説明員 先生御指摘のとおり、マンション共用部分維持管理と申しますのは、建物の保全の上で非常に重要な事項であるということを私ども深く認識しておるわけでございます。それで、先ほど指摘のございました標準管理規約においても、修繕積立金を計画的に積み立ててきちっと維持修繕をやるようにというようなことで私ども関係方面に通達もいたしたところでございます。そういう方向で今後も指導してまいりたいというふうに考えております。
  15. 安藤巖

    安藤委員 それから管理者、第四節以降にずっとあるのですが、この管理者というのが区分所有者でなくてもいいようですね。私は、区分所有者の人もそこに生活をしていて、いろいろ職業もあるし、管理者ということになってもなかなか忙しくて大変だということもあるかとも思いますけれども、やはり区分所有者から出すべきじゃないのかという気がするのですね。それで先ほども申し上げたのですが、小規模の場合なんか特に区分所有者の中から選んだ方が一番いいのじゃないかなという気がするのですが、これは特に区分所有者に限定しないということを考え趣旨、理由はどういうところにありますか。
  16. 中島一郎

    中島政府委員 常識的に考えまして、やはり自分たち区分所有建物並びに敷地を共同管理するわけでありますから、その管理者区分所有者の中から選任するということが一応考えられるわけであります。特に、ただいまおっしゃいましたような小規模区分建物におきましては、管理者の仕事もそれほど多くありませんし、区分所有者以外の、特に業者などを管理者に頼みますと費用もかかるわけでありますから、実際問題として区分所有者の中から選ばれるということが多かろうかというふうに思います。  しかし、区分所有者の中から適任者が得られない場合あるいは第三者から特に適任者が得られるというような事情もあるわけであります。そういう専門家知識を活用したいというような場合もあるわけでありますから、そういった場合を法律で排除する必要はないのじゃないか。要は、区分所有者の自治に任せておいていい問題だということで、こういった規定になったわけでございます。
  17. 安藤巖

    安藤委員 次に、二十六条の関係お尋ねしますが、その管理者訴訟行権関係なんですが、四項に「区分所有者のために、原告又は被告となることができる。」というふうになっておりますね。これは日弁連なども、一番大きなポイントだとかいろいろ意見が出てきて、厳しい反対の意見を出しておられる点なんですが、これはやはり民事訴訟法の七十九条、弁護士以外はだめだというその脱法行為簡易裁判所云々という例外はもちろんありますけれども、ではないのか。それから、訴訟追行のためだけの管理者ということになると、これはやはり弁護士法七十二条の非弁活動というようなことになって、それに対する違反ではないのかという意見があるのですが、この点はどういうふうに考えておられますか。
  18. 中島一郎

    中島政府委員 管理者に、規約または集会決議によるとはいえ、訴訟行権を与えますと、管理業者管理者になって業として区分所有者のために訴訟を追行するという事態があり得る、それは弁護士法七十二条の見地から問題じゃないかという御意見は確かにあったわけでありまして、であるから、こういった訴訟行権区分所有者から選任された管理者に対してのみ認めるべきである、あるいはあらかじめ規約によって包括的に与えることができないことにして、個別的な集会決議によって授権するという方法のみに限るべきであるという御意見は確かにあったわけであります。この点も十分に法制審議会において検討されたわけでありますけれども、このような制度を認めたからといって、ただいま申しましたような管理業者管理者になって業として弁護士法七十二条の趣旨違反するようなそういう事態というものは現実問題として考えられないということが一つであります。  それからもう一つは、管理費の取り立てなどの訴訟考えれば、その都度、集会を開いて授権をもらわなければ管理者訴訟追行できないということでは余りに煩にたえないということから、こういう規約または集会決議による管理者訴訟行権という制度が非常に必要性が高いということになりまして、そういった答申をいただいたわけであります。ただ、そのうちで五十七条の違反行為の差しとめ訴訟については答申を若干修正いたしまして、管理者が提起するには必ず個別的な集会決議を経なければならないことにしたということは以前にも申し上げたかと思っております。
  19. 安藤巖

    安藤委員 私も、実際問題としては、訴訟ということになってくれば、その管理者の方が弁護士を依頼されるということになるのじゃないかとは思うのですが、しかし現実にこういう法律があれば、だんだんなれてくればもう弁護士さんなんか要らぬということになってくることも大いにあり得るのじゃないかと思うんですね。そしてやはり管理者というのは、いまもいろいろおっしゃったように、建物維持管理、それから一つ団体ですから、団体まとめ役とか、何かそういうようなことに相当程度堪能な人ということになろうかと思うので、そうなると訴訟活動に専門的な知識を持っておる人というのが要請されるのではなくて、前に申し上げた、前者の方がいろいろな資格要件能力要件としては要請されるのじゃないかと思うんですね。  そうなると、やはりそういう点から言っても、ここまで、訴訟当事者ですね、「原告又は被告となることができる。」というところまでいくのは行き過ぎじゃないかという気がするんですね。しかし、これは今後実際にどういうようなこととなってあらわれてくるのか、これを見て考えなければいかぬ問題じゃないかと思いますが、そのときにはまたいろいろ考えていただけるのではないかと思うのです。  次の問題にいきますが、それでは管理者当事者原告となって同じマンションの中の一人の区分所有者被告として訴訟を起こすというようなことになった場合、原告が勝ったといたしますと、その勝訴の既判力というのはすべての区分所有者に及ぶはずだと思うのですが、じゃ、被告になった人、同じマンションの中の同じ区分所有者ですよ、そちらにも及ぶということに理論的になるわけなんですね。これは、管理者決議により「区分所有者のために、原告又は被告となることができる。」全体の区分所有者のためにやるわけですからね。そうすると、その中に被告になっている相手方の区分所有者がいるということになった場合は、これは具体的にはどういうふうにして調整ができるのかなという疑問があるのですが、どうですか。
  20. 中島一郎

    中島政府委員 管理者区分所有者のために当事者になるという場合にもいろいろあろうかと思いますが、まず、第三者に対して訴訟を起こす場合というのが考えられようかと思います。たとえば、修繕契約を締結したところが、修繕業者が十分な履行をしてくれないという場合に、その履行を求めて訴訟を起こすという場合には、これは区分所有者全員のために訴訟を起こすことになろうかと思います。この場合は、ただいまおっしゃいましたように、区分所有者全員のために既判力が及ぶということになろうと思います。  それから、いまおっしゃったのは、そうではなくて、区分所有者の一人に対してたとえば管理費請求をするというような場合には、これは管理者がそのために訴訟を起こす区分所有者というのは、当該管理費を未払いである区分所有者を除くその他の区分所有者のためにということになろうかと思います。この点は、たとえば五十七条の差しとめ請求も同様でありまして、違反行為をしておる区分所有者に対して訴訟を起こすということは、その区分所有者を除くその他の区分所有者全員のために訴訟を起こすことになろうかと思うわけでありまして、したがいまして、そういった場合には全員のために共通の既判力が及ぶということは考えられないわけであります。区分所有者の中に対立関係があるわけでありますから、その対立関係に応じて勝訴なり敗訴なりの既判力が及ぶ、当然その判決の効力を受ける、グループごとに別の効力を受けるということになろうかと思います。
  21. 安藤巖

    安藤委員 いや、その議論を余り長いことやっておるわけにはいかぬのですけれども、やはり何かこの規定でいけば、「区分所有者のために、原告又は被告」でしょう。それで、おっしゃることもよくわかるのです。そんなことはあたりまえじゃないかと言えばそのとおりだと思うんですね。まさに同じマンションの中の一区分所有者被告になっているわけですからね。そんなものはあたりまえじゃないか、あたぼうだみたいな話になるとは思うのですが、しかし、それでは、その既判力をおれのためにもやってもらっているのだということを言い得る余地はやはり理論的にはあるのじゃないかと思うんですね、被告になった区分所有者にとってみれば。これはそういう管理者なんだ、規約あるいは決議でそうなっているのだというようなのが出てきたときに、これはどうやるんかいなと私も思ってね。  だから、それはあたりまえだと言えばそうかもしらぬですが、何かその辺のところをきちっとしておく必要があるのじゃないかなという気がするんですね。これは後日そういう問題が出てくるのじゃないかと思うのです。だからお尋ねしたのですが、いまの局長さんの答弁もどうも余りはっきりしていないので、これは今後どうなるか、問題だと思うんですがね。  そこで次の問題ですが、二十九条の「管理者がその職務の範囲内において第三者との間にした行為」について、これは区分所有者がその責めに任ずる、それでその割合が書いてあるのですが、たとえばちょっとした修理工事を管理者がほかの修理工事屋さんと締結した、あるいはちょっとした備品を買ってきた。そのときに、たとえば、いや、あの工事屋さんでなくてほかの工事屋さんに頼んだらもっと安くいけたはずだ、その値段は高い、よそへ行けばもう少し安いのが買えたはずだ、そういうような意見もいろいろ出てくるのじゃないかと思うんですね。そういうときに、第三者は、売った方は、そんな内部の話のごちゃごちゃなんかわしは知らぬということになると思うのですが、やはり区分所有者としては、工事に手抜きがあってはいけませんが、安くできるものならできるだけ安く、同じ品物なら安い方がいいということになろうかと思うのです。  だから、その辺のところをどこでチェックすることができるのか。それは管理者、あなたは不適任だからやめてもらいたいと言えば最後のあれですよ。ですが、その前に何かチェックする方法はあるのですか、ないのですか。これを見ておってちょっと心配になってきたものですからお尋ねするのですが、どうでしょうか。
  22. 中島一郎

    中島政府委員 一般的な集団とその理事者との関係と同じであろうかというふうに考えておりますが、やはりチェックするのは、大もと規約であり、集会決議であろうかというふうに思います。でありますから、小さな部品を購入するというようなことであれば、これは管理者判断にゆだねられる場合が多かろうと思うわけでありまして、基本的には委任の規定の準用によって処理されることになろうかと思います。ただ、大修繕というようなことで、発注する業者によっては見積もり価格も非常に差が出てくるというような場合には、必要があれば集会決議等によりまして業者を決める、見積もりをとった上で業者を決めるというようなことも実際問題としては行われることになろうかというふうに思います。
  23. 安藤巖

    安藤委員 そうですかね。うまくいくのかなあと思うんですがね。  それから、時間がないから、管理組合法人の関係です。これは「三十人以上」というふうになっておりますね。これは私の方も修正案を提案しまして、後で趣旨説明もいたしますけれども、このいただいた資料によりましても、「区分建物専有部分の個数別棟数調べ」昭和五十七年十月一日現在のこれによりましても、二個から九個までが八八・七%、そしてその次に高いのは十個から十九個までが三・二%、こういう数字があるのです。だから、せっかく法人格を与えるというようなことにするのであれば、十人から二十九人のいまの割合の高さからすると、やはり管理組合法人として十人以上あれば認めるという方向考えていただいてもいいのじゃないかと思うのですが、どうして三十人以上ということになってしまったのかお尋ねしたいと思います。
  24. 中島一郎

    中島政府委員 これはすでに別の機会に申し上げたかと思いますけれども管理組合に法人格を取得させる道を開くということのメリットは、第三者との取引関係における法律関係を明確化するというためのものでありますから、区分所有者の数が多いほどメリットが大きい、数が少なければ余りメリットがない、あるいはメリットが全くないということになるわけであります。余りメリットのない、したがって区分所有者の数の少ない管理組合にまで法人格取得の道を開きますと、登記申請が出てまいりますので、登記を取り扱う登記所の事務処理上の問題もあるわけであります。  数字のことでありますから、二十人以上から五十人以上までさまざまな御意見があったことは確かでありますけれども、そこで、試案の段階でこの点について各界の御意見を聞いたわけでありますが、大部分の御意見は三十名以上を支持するということであったわけであります。そこで、今回は全く新しい制度を新設するというわけでありますから、三十人以上というところで線を引いてスタートしてみよう、こういうことになったわけでございます。
  25. 安藤巖

    安藤委員 これもやはり実態と運用を踏まえていろいろ再検討していただく問題ではないかと思うのです。  そこで、五十七条、五十八条、五十九条関係の「義務違反者に対する措置」の問題についてお尋ねをしたいと思うのですが、五十七条の差しとめですね、行為の停止要求ですか、これは管理者がやる場合は別ですが、個人でやる場合もあると思うのですね。それは占有者も独自でやることができると考えてもいいわけですか。
  26. 中島一郎

    中島政府委員 五十七条の請求としては、占有者が提起する道はないというふうに考えております。ただ、占有者として被害を受けておる立場から、生活ニューサンスによるその被害を予防するため、あるいは排除するために訴訟を起こすということは、これは一般の民事上の法理によって許されるということは申し上げるまでもないかと思っております。
  27. 安藤巖

    安藤委員 念のためにお尋ねをするのですが、これは訴訟を起こす場合は、訴訟物価額算定不可能の場合ということで、九十万円を超えるとみなして地方裁判所の管轄になるわけですね。
  28. 中島一郎

    中島政府委員 実は十分考えておりませんけれども、訴額は訴えをもって主張する利益によって算定するということになっておりまして、これがたとえば所有権による妨害排除などでありますと、あるいはその利益を算定する方法も考えられないではありませんけれども、五十七条というのは非常に特殊な訴訟でありますから、算定不能として、ただいまおっしゃるように九十五万円ですか、と見るのも一つ考え方であろうかと思いますが、将来具体的な事件において裁判所で判断してもらいたいというふうに考えております。
  29. 安藤巖

    安藤委員 それは具体的に訴訟を起こしたときに、いや、うちじゃない、あっちへ持っていけということになれば、それだけ余分に手数がかかるのですから、これは何か見解を明らかにしておいていただかぬと困るのじゃないかと思うのですね。  それから、もう一遍五十七条の関係。第六条第一項に規定するいわゆる共同生活を妨害する行為をした場合またはその行為をするおそれがある場合というのが一つ入っているのですね。だから、私はこれが非常に気になって、たとえば隣の人がピアノを買い込んだ、これは夜、早朝からあるいは日曜日ののんびりしたいときにでもやかましいことになるぞということになって、それもおそれがある場合で、そういう行為を停止してほしいということになるのかならぬのか、これは結局裁判所の判断ということになってしまうのですかね。  だから、そういうものもなかなかむずかしいことで、それというのは、これは使いようによってはとんでもない規定になるという気がするのです。それは裁判所の判断ということになろうかと思うのですが、ピアノを買っただけでも裁判所に訴えられてはかなわぬというようなものも出てくると思うのですね。だから、これもちょっと考えていただく必要があるのじゃないかと思うのですが、これはいいのです。  だから、たとえばその行為の差しとめ、実際にピアノを買った、それでうるさくてしょうがないという場合の行為の停止ということになると、弾いてくれるなというのが一番ストレートな言い方だと思うのですが、せっかく買ったのに弾くこともできぬというようなことになってきてもまた問題だと思うのですね。しかし、これは買っても弾かずにおくというのもあれだしということも考えられるのですが、結局、返してしまえというようなことまで要求することになるのでしょうか。
  30. 中島一郎

    中島政府委員 やはり共同生活を行う上における一つの通念のようなものがあるわけでありまして、それはピアノを所有しておる人の立場とそれ以外の人の立場とやはり比較考量して出てくる線であろうかと思いますから、一般的にピアノを弾いてはならないというような請求は不穏当であろうかと思うのです。時間を切って、あるいは防音装置をした上で弾けというような、いろいろなそういった条件のもと請求が許されるのではないかと考えております。
  31. 安藤巖

    安藤委員 五分前の予告がなかったので私の方もうっかりしておりましたが、あと二、三問お尋ねしたいと思うのです。  結局、この「義務違反者に対する措置」五十七条、五十八条、五十九条、最終的にはこれは競売の請求ということになるのですか、競売の請求は読んでそのとおりなんですが、五十七条、五十八条の関係は間接強制にならざるを得ぬという御答弁もありましたね。それで、実際にその行為の差しとめが間接強制でもってできれば、僕はそれで大体本来の片がつく——片がつくと言ってはおかしいのですが、そういう訴えも起こされる、請求もされるということになってくれば問題はほとんど解決がつくのじゃないかと思うのですが、その関係で五十八条、五十九条なんというところまでいかなくたっていいのじゃないかという気がするのです。それは三段構えでチェックしておりますというお話を伺いましたが、何も三段構えにしなくたって第一段の五十七条の行為の差しとめ、停止ですか、これだけで僕はいいのじゃないのかなという気がするのですが、これは時間がありませんから特に質問をいたしません。  それから、建設省お尋ねしたいのですが、建てかえの問題のとき、それから六十一条の復旧の問題、そういうときに賛成をするにしても、ちょっとしたマンションでも外の壁の塗装工事をやるにしても、規模にもよりますけれども、四、五十万の金がかかる。賛成をしたいのだけれども金がいまないという場合、あるいは建てかえに賛成したいのだけれどもお金がないという場合、やはりそういうような工事がスムーズにいくようにお決めになった方がいいと思うのですね。だから、そういう点で金融上の手当てというのを——賛成するについてはお金を貸してくれるのか、融資してくれるのかどうか、これは一つの問題だと思うのですよ。だから、その辺の手当てを考えておいていただけるのかどうか。  それから、もう一つ建設省お尋ねしたいのは、建てかえに反対して、結局これは買い取り請求権ですか売り渡し請求権ですね、これを行使されて出ていくことになると、法案では少しの間余裕というのが認められておりますけれども、結局は出ていかなければならぬ。しかし、行き先が見つからぬという場合があると思うのですね。だから、そういう賛成をする場合での金融上の問題、出ていく場合の行き先の確保の問題、そういう点がこの法案には完全に欠落しておるのですね。法務省の方はこれは私の方の仕事ではないとおっしゃるかもしれませんので、建設省お尋ねしたいのですが、その辺の手当てをこれから建設省として何とか考えていただけるのか、そんなことは自分たちで解決してもらいたいというお考えなのか、それをまずお尋ねしたいと思います。
  32. 鹿島尚武

    鹿島説明員 先生からただいま二つ御質問をちょうだいいたしました。  まず最初に、いわゆるマンション修繕、建てかえが円滑に行われるように金融上の措置をどのように講ずるかということでございます。いわゆるマンションと申しますのは、昭和四十年代後半から大都市圏を中心にいたしまして飛躍的に増大をしてまいって、現在では百十万戸を超えるというふうに推計をされるわけでございます。これらのマンション修繕、建てかえは今後の課題でございますけれども、住宅政策推進の立場から重要な課題の一つというふうに私ども認識をいたしております。  そこで、建設省といたしましても金融上の措置といたしまして、たとえば修繕の際、修繕積立金を積み立てるように奨励をいたしておるわけでございますけれども、それが不足しておってうまく仕事が進まないというような場合には、住宅金融公庫の住宅改良融資制度というものが現在ございますので、これを活用していただくということを考えております。  それから、二つ目は建てかえの場合でございますけれども、同じく住宅金融公庫におきまして個人共同住宅建設資金貸し付けという制度がございますので、これを活用していただこうというふうに考えておるわけでございます。今後とも必要な措置につきましてはさらに検討してまいる所存でございます。  それから第二番目の、建てかえに当たりましてやむを得ず退去せざるを得ないというような方々にどのような援助策を講ずるかということでございます。建てかえに当たりましては、ただいま申し上げましたとおり現行の制度もとにおきましても住宅金融公庫の個人共同住宅建設資金の貸し付けという制度がございます。さらにまた、御本人が高齢等の事情で借りられないというものにつきましても、子供さんが債務を承継するというようなことでございますれば、これはまた金融の措置が講ぜられるようになっておるわけでございますが、このような金融の措置を講じましてもなおどうしても資金の調達ができないというような、たとえば老人あるいは貧困世帯等の方々につきましては、公営住宅等への優先入居等の措置を講じまして建てかえが円滑に行われますように指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  33. 安藤巖

    安藤委員 時間が来ましたので、あと大臣にひとつお尋ねをしまして終わりたいと思うのですが、大臣、これは法務省の仕事じゃないということはおっしゃらないでお答えいただきたいのですが、いまお尋ねしましたように、この復旧工事あるいは建てかえというようなときに、その資金の手当ての問題、それから建てかえに賛成できなくて反対をして出ていくことになるという場合の行き先の問題、あるいは建てかえに賛成したにしても建てかえておる間の行き場所の問題、それは個人個人が解決すればいいじゃないかということにならぬと思うのですよ。  こういう法案をお出しになった以上は、やはりその点についても後始末はきっちりやっていただかないといかぬと思うのですね。だから、そういう点で大臣としても建設省あるいは大蔵省等にも関係があるかとも思いますが、やはりいろいろな対応の措置というものを考えていただくように配慮していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  34. 秦野章

    ○秦野国務大臣 いまのお話は当然のことなんで、私もすでに非公式には建設大臣にも申し上げておるし、それからいま建設省の政府委員お話しのように、やはり法務省プロパーの問題ではない領域において、どちらかと言えば弱い立場にある者ですね、そういうものがこの法律の施行によってできるだけ犠牲をこうむらないような配意というものを十分にしてまいりたい、こう考えております。
  35. 安藤巖

    安藤委員 終わります。ありがとうございました。
  36. 綿貫民輔

  37. 中島武敏

    中島(武)委員 幾つかのことをお尋ねしたいのですが、最初に本改正案の六十二条「建替え決議」、これについてなんですが、「老朽、損傷、一部の滅失その他の事由により」というのがありますが、この「その他」というのはどういうことを意味しておられますか。
  38. 中島一郎

    中島政府委員 建てかえの決議のできる場合は、「建物がその効用を維持し、又は回復するのに過分の費用を要するに至つたとき」ということでありまして、どういうことでそういう効用を維持したり回復するのに過分の費用を要するに至ったかと言いますと、それはいまおっしゃいました「老朽、損傷、一部の滅失その他の事由」によるのだ、こういうことになるわけであります。したがいまして、「その他の事由」と申しますのは、「老朽、損傷、一部の滅失」に準ずるような、たとえばその建物に最初から構造上の基本的な欠陥があった、そのために「効用を維持し、又は回復するのに過分の費用を要する」に至っている、こういう場合が当たろうかと思います。
  39. 中島武敏

    中島(武)委員 昨年の七月に区分所有法改正要綱試案が発表されて、そのときには建物の「建替え及び復旧等」の場合、その要件として「建物の価格に比較して過分の修繕、復旧若しくは管理の費用を要するに至ったとき」と、「建物の建替えをすればこれに要する費用に比較して著しくその効用を増すこととなるに至ったとき」の二つを挙げておられたわけですが、今度の改正案では「老朽、損傷、一部の滅失その他の事由により、」「建物がその効用を維持し、又は回復するのに過分の費用を要するに至つたときは」として、要綱試案では二つの理由を挙げておりましたが、前者だけに変えておられる。これはどういう理由があって変えられたものか、お尋ねしたいのです。
  40. 中島一郎

    中島政府委員 試案の段階では二つの要件を掲げておりまして、法案では一つになっておるということは、ただいまご指摘のとおりであります。  実は一つになりましたのは、法制審議会答申の段階で一つになったわけでございます。試案の段階におきましては、土地の有効利用のための多数決による建てかえ決議というものも掲げまして、それについての各界の御意見を伺ったわけであります。この点につきましては、賛否両論あったわけでございまして、賛否相半ばしたというふうに申し上げていいかと思うわけでありますが、土地の効用を増すための建てかえということになると、これは反対者の所有権を失わせてしまう、しかも、それは対価を伴うとはいいながら、土地の有効利用といういわば経済的な利益を求めるために失わしめるということは、これは多数決で決めることはいかがであろうかというような消極的な御意見もかなり有力であったわけであります。  そこで、その後この御意見を参酌して、小委員会で見直しの審議をされました際に、今回全く新しい制度を導入するわけでありますから、慎重を期して、建物が効用を失ってしまった場合に限るべきで、土地の有効利用のための建てかえは多数決では許さないということがいいのじゃないかという答申になったわけであります。今回の法案ではその答申の線に沿って立案をしたという次第でございます。
  41. 中島武敏

    中島(武)委員 そうすると、念のためちょっと伺っておきますが、四月十二日の法務委員会で秦野法務大臣が「現実的には住宅政策という観点があるから、この方も建設省がしっかり関心を持っておらなければ困るし、それからいままで五階建てのマンションが古くなったから建てかえるときに七階にする、十階にするという問題が、土地有効利用の関係で当然あるわけです。むしろそっちの方にメリットが大きい。」と述べておられる。それから不動産協会ですが、これも区分所有法改正要綱試案に対する意見の中で「建物の建替えの要件について」というところで「建替えの決議は、老朽化・き損・一部滅失等の事情による場合および効用増による場合の両方についてできるものとするとともに」云々という意見を述べておりますが、これはいまの答弁から言えば、この観点は法案段階においては否定をされた、ないしはこの法案の趣旨ではないというふうに理解してよろしいわけですね。
  42. 中島一郎

    中島政府委員 土地の効用増のための建てかえに多数決原理を導入するということは法制審議会答申でも採用されませんでしたし、したがってこの法案も採用していないというわけでございます。大臣の御答弁、私も聞いておりましたけれども、御趣旨は、建てかえの要件は六十二条所定のとおりでありまして、たまたまこの要件があって建てかえをするという場合に、現在の建物はいずれも古い時代のものが多うございますから、建てかえの際には三階建てのものは五階建てにし、五階建てのものは十階建てにする場合が多かろう、したがって付随的な効果としてそういう土地の有効利用も図られるのじゃないか、こういう趣旨でおっしゃったというように理解しております。
  43. 中島武敏

    中島(武)委員 そういうことが実際起きてくる、そういう趣旨であればわかるのです。そうでないと、何か、法案に至るまでの過程でいろいろ議論がありましたから、ただしておかないと大臣の答弁でもあるしと思ってお尋ねしたのですが、いま局長からお話がありましたから法務大臣から聞くまでもないですね。それじゃその点はそういうものとして理解をして、次の問題です。  区分所有法を今度改正するわけです。しかし、法律改正するというだけではマンションの老朽化防止を目的にした定期的な外壁などの大規模修繕あるいは建てかえは実際には非常に絵にかいたもちになりかねないという点があります。  それで、これはちょっと建設省お尋ねしたいのですけれども、現在、修繕積立金制度を多くのところでとっていると思うのですが、一体、積立額というのは外壁修繕などに必要なだけが積み立てられているというふうに思いますか。
  44. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 建設省としましては、ただいまの修繕積立金を積み立てるように指導、指示しておるところでございますけれども、具体的にどの程度積み立てているかということの詳細については明らかにしておりません。
  45. 中島武敏

    中島(武)委員 たしかあなたのところが出したものじゃないかと思うのだけれども、それによりますと、全体で八五%くらいのマンション修繕積立金制度を持っている。それで積立額が平均月千七百円程度だ。だから、計画修繕に必要な積立額の三分の一程度ということですね。  だから、このままでは当然マンションが将来スラム化してしまうというおそれがあるわけで、それで区分所有法の改正というだけではなくて、そういう点をちゃんと計画修繕ができるようにするというために、これは新聞紙上ですけれども建設省の方は中高層住宅管理法を制定しようとして、そのことの検討に入っているという報道があるのですけれども、これはどうなんですか。
  46. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、この法律だけでマンションの管理がすべて行われるというふうには考えておりません。この法律は、御存じのように区分所有法ということで、区分所有権の保全と申しますか、そういう点に主として着目してできている法律でございます。したがいまして、実態的にはその他管理問題、いろいろございますので、御指摘のような管理法というようなものにつきましてもいろいろ検討すべき余地はあろうかと存じます。しかしながら、管理法の中身にどういうものを盛り込むべきかということにつきましては、私ども現在標準管理規約というものを住宅宅地審議会の御答申をいただきまして普及を図っておるところでございますが、その範囲を出ており法定しなければならない種類のものがちょっとなかなか考えられないということで、まだその管理法というものをつくるべきかどうかということについては積極的に考えておる段階ではございません。
  47. 中島武敏

    中島(武)委員 私たちは相当検討して、区分所有法を改正したから、それじゃすべてそれらがうまく実行されていくのかということになると、そうでもないのです。実際の手当てというのがいろいろ必要な問題が多いわけですね。だから、建設省関係の方で相当やらなければならぬ問題というのはずいぶんあると思うのです。  たとえば、私どもが思うには、欠陥マンションを防ぐためには建築規制がどうなければならないかというような問題もあると思いますし、それから修繕や建てかえに対する積立金制度というのも言われておりますけれども、こういうことも検討する必要がないのかどうか。それから、あるいはその場合の公的な融資であるとか税制の優遇措置だとか、こういうこともいろいろ検討しなければならないと思うし、それから、これは私、建設委員会でも言ったのですが、瑕疵担保期間の大幅な延長というようなものも必要になってくると思いますし、その他等々、幾つも検討しなければならないような問題が出てくると思うのです。だから、これらについてはぜひひとつ建設省の方でも検討をしてもらいたいということを要望しておきたいと思うのです。  それで、関係がありますから重ねて建設省お尋ねしたいのですけれども、建てかえの際に、個人共同住宅建設資金ですね、これは住宅金融公庫の融資の道が開かれていると先ほども答弁をしておられましたけれども、しかし、これは実際には要件が非常に厳しくてなかなか借りられないという場合が出てくるのじゃないかと思うのです。といいますのは、敷地は千平米でしょう。それから最終償還年限が七十歳というふうになっているんじゃないですか。そうなってくると、働き盛りのときは給与もある程度いいけれども、しかし働けなくなったという人の場合には非常に問題も出てくるわけだ。それから、いま言ったようにこれを借りられる土地は千平米ということになりますと、それ以下のマンションということになったらこれは適用されないということになるんじゃないのかな。そういう問題も含めて、もっと希望する者が借りられるように要件を緩和するというようなことをやらないと、形だけあっても実際にはなかなか借りられないという問題が出てきやしませんか。
  48. 鹿島尚武

    鹿島説明員 公庫の個人共同住宅建設資金のことでございますので、私の方からいまの状況を先生に申し上げますが、一応原則といたしまして延べ千平米以上の団地の規模を要するというふうにいたしたわけでございます。これは連続建てとか重ね建てということで、大きなものを、ある程度規模のものをつくるということを前提に置いたわけでございます。  そこで、原則としてでございますので、別途私ども、公庫の方で基準を持っておりまして、共同建ての、たとえば住宅の敷地につきましては、できるだけ四百平方メートル以上になるようにというような指導も行っておるわけでございますので、その辺のところをちょっと事実関係を申し上げまして御理解をちょうだいしたいと思っております。
  49. 中島武敏

    中島(武)委員 原則としてと言うけれども、あなたが見ておった、私もここへ持っておるが、こういうのを見てみんなやっているものだから、千平米と四百平米じゃずいぶん違うのですよ。もう少しPRしないと、千平米、こういうふうに書いてあると、いや、これはうちはちょっと適用されないな、こういうふうに思う。もう少し親切にやってもらいたいと思うし、それから七十歳で年限を切っているという問題もなかなかむずかしい問題ですよ。こういう点もぜひ検討してもらいたいというふうに思うのです。  それからもう一つ、似た問題なんですけれども、外壁の大規模修繕ですね。これは公庫の住宅改良融資を借りることができる、これは私が建設委員会で質問したときにそういう答弁があるのです。そういうふうに答弁をもらっているのですけれども、ところが、融資の申込案内を見ますと、「集会の議事録又は全員の合意書の写し」これが必要だ、こういうふうになっているのです。それで実際に借りに行ったマンションの人たちがいるのです。ところが、この条件を示されて、一人か二人何か反対しておる人がいて結局借りられなかったというわけですね。この点はいまはどんなふうに扱っておられるのかということですね。
  50. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 お答えいたします。  先生お話のございました総会の議事録または全員の同意ということで、またはということでございまして、総会の議事録があれば全員の同意は要らないということになるわけでございます。そういう意味で、全員の同意は必ずしも要件としておらないということで申込案内にも帯いてあるわけでございますけれども、確かにおっしゃるように、ちょっと見づらいといいますか読みづらい面もございます。この貸し付けは五十六年度から発足した制度でございまして、今後とも機会をとらえて誤解の生じないようにいたしたいと考えております。
  51. 中島武敏

    中島(武)委員 集会の議事録という場合に、しかし全員一致でなければ共用部分の融資についてはオーケーを出してくれないということになっているところがきわめて多いんじゃないですか。だから、集会の議事録といっても、事実上全員が一致しなければこの問題について——しなくてもいいんですか、現在。
  52. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 お答えいたします。  現在四分の三、これは規約定め方によりますが、私ども標準規約によれば四分の三の決議ということにいたしております。それによってその建物において修繕をやるかどうかということが決まるわけでございまして、それと融資とは別問題でございますが、そういう条件があるかないかを判断させていただく、こういう意味でございます。
  53. 中島武敏

    中島(武)委員 四分の三は、それは建設省、あなたの方では管理規約も出しておられるし、四分の三という答えはそうだと思うのですけれども現実は四分の三なんというところはほとんどないですね。実際にはほとんどない。だから、今度法の改正も必要になってきたわけですね。ですから、理屈としては合っているんだけれども、実態はそういうふうにはなっていない。今度法律改正になる。改正になったら、これは聞くまでもないことなんだけれども、四分の三で集会決議がされるということの証明があれば文句なしにオーケー、こうなるわけですね。
  54. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  55. 中島武敏

    中島(武)委員 これは法務省に伺いたいのですけれども、今度改正案によって三十人以上の区分所有者がいるマンション管理組合が法人格を持った場合、管理組合が公的団体や民間金融機関から融資が受けられるというふうになったんだと思うのですが、そうですね。
  56. 中島一郎

    中島政府委員 現在でも区分所有者団体、すなわち管理組合が融資を受けるという方法はあり得るわけであります。ただ、管理組合法人としての法人格を取得した方が権利義務の主体としての存在がはっきりいたしますので、その面からだけ言えば、法人格がないよりは法人格がある方が金を貸す方も金を貸しやすくなるということはあろうかと思います。
  57. 中島武敏

    中島(武)委員 その場合に、先ほどもちょっと質問があったんですけれども、三十人というところで線を引いていますね。ところが、実際には三十人以下のところもずいぶんあるんですよ。実際に多いんですね。  さっきもお話あったけれども、この「区分建物専有部分の個数別棟数調べ」これによりますと、二個から九個というところが八八・七%、それから十個から二十九個までが五・八%、それから三十個以上が五・五%ということになって、圧倒的な多数は二個から九個の中に入っている。しかし、二個から九個というのは個数も少ないから話し合いで十分みんなの意思が統一してやりやすいという面もあろうかと思うのですけれども、しかし、十個から二十九個などというのも法人格の問題ではちょっと救済しておく必要があるのじゃないかという気がするのですけれども、この辺はどういうものでしょうか。
  58. 中島一郎

    中島政府委員 法人格を取得いたしますと、確かに対第三者関係で権利義務の帰属主体といいましょうか帰属点が明らかになるというメリットはあるわけでありますけれども、その他は、組合としてどういう範囲のことをやっていくかとか、あるいはそれに対する構成員のチェックはどうするんだとか、管理者とか規約とか集会とか運営、共同管理の仕組みというものは変わりがないわけであります。  でありますから、ごく少数のと申しましょうか、それを二十人にするか三十人にするかというようなことは、これは若干いろいろな御意見があろうかと思いますけれども、それによって法人格を取得することのできない管理組合に対して不当な不利益を強いるというようなことではないというふうに考えておるわけでございます。
  59. 中島武敏

    中島(武)委員 不当な不利益をそれは強いてはいかぬですよね。強いてはいかぬですけれども、法人格が取得されておればその心配はないわけですね。ですから、実際、改正案を見てかなりのマンション住民の人たちが、うちはちょっと小さいからこれにも当たらないんだよね、法人格はちょっと取得できないんだと大分嘆いておられる。これは多くの声でありますよ。ですから、すでに法案は提出していらっしゃるんだけれども、こういう点は考慮に入れるべきではないかということを意見としては申し上げておきたいと思うのです。  それから、関係があるからもう一つお尋ねする。これは建設省の方ですけれども、古くなって建てかえを行った場合に、出ていかなければならないという人たちが現実問題として出てくるわけですね。そのときには、収入も年金で生活していかなければならないとか、いろいろなことがある。これに対してはやはり、先ほどもちょっと答弁があったんですけれども、きちんとした助成措置というものについていまからやっておく必要があるのじゃないかという気がするのです。そうでないと、だれだってマンションに入るとき将来のずっと先の、二十年、三十年あるいはもっと先を考えるわけですから、行政の側としてはそこのところが心配がないというふうにしておかなければいかぬ。その点で、現在ある制度だけじゃなくていろいろ検討をしなければならぬと思うんだが、その点についてはどんなことを検討しておられるかあるいは検討をしようとしていらっしゃるかということについてお尋ねします。
  60. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 お答えします。  修繕積立金というものは、おっしゃるように余り十分ではないという状態で、建てかえのための積立金というものが十分に積み立てられるかどうかということに非常に問題がございますけれども、しかし、おっしゃるようにマンションに入って将来マンションが老朽化する、場合によっては出ていかなければならないというようなことも考える場合に、やはりマンションの建てかえに対する積立金というものを奨励していくということも一つの策ではなかろうかというふうに考えております。また金融公庫につきまして、たとえば承継償還という親子二代リレーみたいな償還制度というものもございますので、こういったものの活用も図ってまいりたいというふうに考えております。  それから、しかし子供もいない、なにもいない、資金調達もできない、こういう人たちにつきましては、これは金融というような方法で救済することは実際問題できない。そういう場合どうするかといったときに、先ほどもちょっと御答弁申し上げたのですが、たとえば公営住宅等の優先入居をあっせんするとかいうような別の方策を考えなければならぬじゃなかろうかというふうに考えております。
  61. 中島武敏

    中島(武)委員 公営住宅というだけじゃなくてもっと検討してもらいたい、そこにずっと定住してきているのですからね。それに対して、はい、今度はあんたは都営住宅をあっせんしますということだけでは、何かちょっとさびしいのじゃないかね。よく検討してもらいたいと思います。  それから、税制上の優遇措置の問題についてお尋ねをしておきたいと思うのですが、現在、管理組合が預金している修繕積立金に付加される利子所得に二〇%が課税されております。しかし、これは非課税とするべきではないかという私は見解なのです。  建設省の方に先にお尋ねしますが、といいますのは、普通の住居とはやっぱり違うのですよ。マンションだから普通の住居、そうでもない。普通の住居は共用部分を持っているかということになりますと、共用部分というのはないのですね。全部自分の私有財産ということになるわけでしょう。ところが、マンションはそういう点では普通の住居とはやっぱり違うわけです。そういう点を考えると、課税が二〇%、一律に同じ考えに基づいてやられるというのは改めるべきではないかというふうに思うのです。建設省としてはどうですか。
  62. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 お答えします。  御指摘の点につきまして、一つの御意見でございますので、十分検討させていただきたいと思いますが、いま先生おっしゃいました、他の住宅とは若干違う。確かに若干違う点もございますけれども、やはり税金という立場から見た場合に、他の住宅の修繕積立金というものとの公平性というものがどうなるか、これはやはり問題点ではあろうかと思います。それから、修繕積立金が実際ちゃんと修繕に使われるかどうかという使途の問題点もございます。そういう問題もございますが、御指摘の点につきまして十分検討してまいりたいと考えております。
  63. 中島武敏

    中島(武)委員 いまのことについて、大蔵省としてはどう考えるかをお尋ねしたいのです。
  64. 滝島義光

    ○滝島説明員 お答えいたします。  住宅の修繕に要するお金を積み立てるという必要性は、マンションにお住まいになっておられる方に限らず、個人住宅、一戸建ての住宅にお入りになっておられる方についても同じようにあるわけでございます。一戸建ての住宅にお入りになっている方等につきましても、その積立金から生ずる利子については基本的に課税を行っております。マンションにつきましては、一人で積み立てをするのではなくて共同で積み立てをする、そこに違いを認めて積立金から生ずる利子については非課税にしろというのが中島委員の御指摘かと思いますが、現在、所得税、法人税を通じまして、いわゆる人格のない社団というものが持ちます預金から生ずる利子につきましては一律に二〇%の源泉徴収を行っております。これは公益法人といった法人格を持つに至らない、そういった人格のない人々の集まり、こういった人たちの持ちます預金の利子については二〇%程度の源泉徴収を行ってしかるべきだという基本的な考え方があるわけであるからです。  マンション組合に法人格を与えるというお話法務省からありましたときに、法人格を持たないものと法人格を持つものとに分けまして、法人格を持つものについては少なくとも非課税にしたらどうかという問題が提起されました。この点について私ども検討を行ったわけでありますけれども、このマンション組合の性質を考えてみますと、一般の公益法人が公の利益を目的としている、公の利益を追求しているのに対しまして、マンション区分所有者の方たちが公の利益ではなくて自分たちの共同の利益を追求する、そういった目的団体でありまして、公益法人と様子が違います。そこで、法人格がある場合でもやはりその積立金から生ずる利子について非課税にするわけにはいかないという考えで、人格の有無にかかわりなく利子について源泉徴収の対象にすることにしたわけであります。  ただし、これは利子ではありませんが、積立金というものを組合が区分所有権者から受け入れます。こういったことにつきましては収益事業に当たらないということで、課税関係を生じないように手当てをさせていただいたということでございます。
  65. 中島武敏

    中島(武)委員 時間も過ぎておりますので終わらなければいかぬかと思うのですが、マンションというのは新しい住居の形態なんですね。そして、さっきもちょっと言ったのですが、個人の普通の住居だったら専有部分共用部分なんてそんなややこしいことは何もないわけです。ところがマンション共用部分専有部分という問題がありまして、従来の住居の形態とは違っているんです。だから、そういう点は何らか考えに入れなければいけないのではないかということを私はいまの答弁を聞いても依然として思うのです。  そういうことから言うと、やはりこれも検討してもらわなければならない問題ではないかということを重ねて申し上げまして、時間が来ておりますので、終わります。
  66. 綿貫民輔

    綿貫委員長 中村茂君。
  67. 中村茂

    中村(茂)委員 まず建物区分所有等に関する法律及び不動産登記法の一部を改正する法律案の今回の改正目的について、概要で結構ですけれどもお尋ねしたいと思います。
  68. 中島一郎

    中島政府委員 昭和三十年代後半におきまして、区分建物のうちでも特に中高層マンションの数が飛躍的に増加をいたしまして、したがってマンションをめぐるいろいろな問題が出てまいりました。  一つは、私どもの方の所管で申しますと、不動産の管理に関する問題であります。共同管理の形態、仕組みをもっと充実強化すべきではないかということであります。たとえば規約の設定、変更等においても、現在の法律では原則として全員一致ということになっておりますけれども、これでは非常に硬直ではないか、共用部分変更についても同様であります。それから、たとえば義務違反者、マンションの共同生活の秩序を乱す者があります場合に、それに対して差しとめ請求をすることはできますけれども、その差しとめ請求の裁判があっても従わない者あるいは繰り返し繰り返し違反行為をする者に対してもっと強力な措置はとれないかというような問題。あるいはマンションが老朽化いたしまして大多数の者が建てかえを望んでおるのに一部の者がそれに反対しておるという場合に、建てかえの手続が一歩も進まないというのは大変不都合なので、この点は何とかしてもらいたいという各種の御意見が分譲業者その他の管理業者からも出ましたし、居住者の方からも出てまいったわけであります。  それからもう一つは、主として登記の関係でありますけれども、特に大規模区分建物敷地の登記が非常に膨大、複雑になりまして、一覧性を欠くようになりまして、公示の機能を果たしていないというような実態が出てまいりました。これも何とかしなければならないということで、そういった点を対象に今回法案を準備して御審議をいただいておるわけでございます。
  69. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで、この義務違反行為者についての区分所有関係からの排除、特に重大な義務違反行為をした者ということですが、その具体的な事例を挙げていただきたいというふうに思います。
  70. 中島一郎

    中島政府委員 まず改正法の六条一項という規定が問題になるわけでありますが、この規定には「建物保存に有害な行為」、それからもう一つ「その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。」こういうふうに規定しておるわけでございます。この点は現行法の五条一項にも全く同様の規定があるわけであります。  それをもう少し具体的に申し上げますと、たとえば「建物保存に有害な行為」でありますから、共用部分の一部を取り壊して建物の安全を害する行為でありますとか、あるいは専有部分に危険物とかあるいは重量物を持ち込むというようなことになりますと、これは「建物保存に有害な行為」であるということになろうかと思います。それから「共同の利益に反する行為」ということになりますと、たとえば著しい騒音を発したり悪臭を発散させたりして他の区分所有者の生活を著しく妨害する行為というようなものがこれに当たるわけであります。  そういった場合には、その行為の差しとめ等の請求をすることができるわけでありますけれども、その差しとめ等の請求によっては十分共同生活の破壊を防止することができない場合には、さらに進んで一時の使用禁止あるいは競売ということまで進むことができるわけであります。
  71. 中村茂

    中村(茂)委員 枠の話で少し具体性が欠けているのですけれども、たとえて言えば、暴力団等がそこに住みついて身の危険まで感ずるという状態が起きているとか、または例は余りよくないと思いますが、精神薄弱者なり、そういう精神的な病を持っていてさまざまな問題を起こしているとか、そういう事例も、態様によって違うと思いますけれども、入るのかどうか、もう少し具体性を持って御説明いただきたいと思います。
  72. 中島一郎

    中島政府委員 共同目的、共同の利益に反する行為という事例は大変個別的なものでありますから、網羅的に申し上げるわけにはいかないわけでありますけれども、たとえば、私どもが今回の改正作業の際にいろいろと集めました報告の事例には次のようなものもございます。  暴力団関係者が事務所として使用し、団員が出入りして居住者に恐怖感を与えるばかりでなく、駐車場を無断で使用する。それをとがめる居住者をおどす。そこでやむなく駐車場の一区画を提供したが、その使用料も支払わず管理費も支払わないというような例が報告されております。それから、マンションの二戸分を購入いたしまして、うち一戸で犬猫数匹を飼い、ベランダに金網を張って犬などが遊べるようにしている。そのために悪臭、鳴き声に悩まされる。中止を申し入れても無視しておるし、また暴力団員のために強い抗議もできない。このために他の区分所有者の中には管理費の支払いを拒否する者も出てきたというような例もございます。  それから、駐車場の使用方法について自己の主張が入れられないことを根に持ち、次のような行為を繰り返すということで、駐車中の車に接着剤で張り紙をしたり、タイヤの空気を抜く。あるいは廊下、階段などに油をまいたり塗ったりする。敷地内の植木に薬剤をまいて枯らす。あるいは理事会の掲示物を破り捨てる。これがいずれも必ずしも六条一項の共同の利益に反する行為に当たり、かつ五十八条、五十九条の手段をとり得る要件に当たるという意味で申し上げたわけではございませんが、こういった実例が報告されているということを御披露申し上げたわけであります。
  73. 中村茂

    中村(茂)委員 そういう問題があって義務違反行為というふうに問題になってきた。その最終的な判断は、排除するための裁判を求めることができるわけですから、裁判で最終的に判断をすることになると思いますが、その裁判で排除された人が今度その裁判に対して異議の申し立てというか、そういう道は開かれているわけですか。
  74. 中島一郎

    中島政府委員 一般の裁判手続によって処理されることになるわけでありますから、一審、二審、場合によれば三審の段階を経て裁判が確定した上で原則としてそれが裁判としての強制力を持つということになろうかと思います。
  75. 中村茂

    中村(茂)委員 普通の裁判になると思いますけれども、私のお聞きしているのは、結局重大な義務違反行為ということで四分の三で排除されますわね。その行為をめぐって裁判にかかっている。したがって排除された人がその裁判に対して、自分は排除されているわけですから、その立場で裁判に意見を反映したりその裁判の不当性を申し立てるというような道は、やはりまた別に裁判を起こさなければだめですか。それとも、その中で自分の意見を十分に反映していく道は開かれているわけですか。
  76. 中島一郎

    中島政府委員 御質問の趣旨を十分理解しているかどうかわかりませんけれども、まず四分の三以上の決議というのは、裁判を提起するための要件であります。義務違反行為があり、かつ使用禁止を求める場合には、それにプラスいたしまして区分所有者の共同生活上の障害が著しいという要件が一つ必要であります。それから、差しとめ請求等の方法によっては、その障害を除去して共用部分の利用の確保その他区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるという要件がまた一つ必要であります。で、こういう実体法上の要件があり、かつ集会における四分の三以上の決議という手続上の要件があれば訴訟を提起することができるわけであります。  違反者はその訴訟において被告になるわけであります。でありますから、裁判所は十分に被告の弁解と申しましょうかを聞いた上で、必要があれば証拠を調べて、この六条一項に違反する行為があったかどうか、共同生活上の障害が著しいかどうか、差しとめ請求等によっては目的を達することができないかどうかというような要件を十分に審査いたしまして判決をするということになります。
  77. 中村茂

    中村(茂)委員 そして排除された場合に、競売命令、いわゆる競売に付されるということですが、建てかえの場合には出ていく人は時価ということになっているわけですね。同じ建物、それが片方は競売に付される、片方は時価で買い取る、こういうことですが、そうすると値段は、競売というのは公平だというふうに言われているわけですけれども、しかし、出ていく人のところの値段をつける場合に、今度かわって入ってくるということですから、私は、相当低い値段に競売が落ちていくのじゃないか、こういうふうに思うのです。それから、建てかえの場合には買い取るわけですから、どういうふうにするにしても、ここのところでは時価ということになっている。そういうのが都市計画法、再開発法の中でも時価とかいろいろ出てくるわけですけれども、どうしてここのところで差をつけたのかという点についてお聞きしたいというふうに思います。
  78. 中島一郎

    中島政府委員 建てかえの場合には、確かに売り渡し請求ということで賛成者が時価で買い取るということになるわけであります。これは賛成者が買い取るということが建てかえのために必要でありまして、第三者がその部分を取得したのでは建てかえができないわけであります。ところが、この排除の場合には、現在の区分所有者の使用方法あるいはその区分所有者が所有しておることが困るわけでありまして、それを他の何人かが買い取ってくれれば、それで排除の目的は達成できるわけであります。それを他の区分所有者が買い取ってもいいわけでありますけれども、他の区分所有者としては、自分は必ずしも必要ではございませんので、一たん買い取っても他に転売しなければならない。あるいは一たん買い取るためには資金も要るということでありますから、一番いい方法は競売によって処分してしまうということであろうかと思います。  その場合に、これは最も適正な価格が形成される方法として競売手続というものが認められておるわけでありまして、特に最近における民事執行法の改正によってもそれを目指しておるということでありまして、競売によって処分させられるがために区分所有者が非常に不利益を受けるというようなことはないわけでありますし、あるいは競売によるよりも任意に処分したいということであれば、競売を命ずる裁判に先立って任意売却するという方法も認められておるわけでございます。
  79. 中村茂

    中村(茂)委員 競売命令等、これは競売命令というのじゃなくて、違うことも裁判の結果求めることができるわけですか。いわゆる区分所有権の競売命令等と書いてある。この等は何を指しているわけですか。
  80. 中島一郎

    中島政府委員 排除の方法といたしまして、一つ「使用禁止の請求」というものが認められておるわけであります。五十八条でございます。と申しますのは、共同の利益に反する行為が行われます場合には、その区分所有者がその専有部分を所有しておるということに起因するのではなくて、その区分所有者がそこに住んでおるということが原因になって共同の利益に反する行為が行われるという場合が多いわけであります。でありますから、最後には競売ということで所有権まで奪ってしまいますけれども、できることならば、そこまでいかないで所有権はそのまま残しておいて本人に使わせない、使用禁止という請求が認められておるわけであります。「使用禁止の請求」あるいは「競売の請求」、こういうことになるわけであります。
  81. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで、まず「規約の設定、変更又は廃止」「共用部分変更」こういう点について四分の三以上の多数による議決、それから、いまいろいろお聞きしましたいわゆる義務違反行為に対しての排除、これも四分の三、それから建てかえ部分については五分の四以上、こういうふうになっているわけですが、それぞれ四分の三とか、また四分の三、五分の四の基準というか、この定め考え方をお聞きしたいというふうに思うのです。
  82. 中島一郎

    中島政府委員 割合の問題でございますので、数字のことでありますから、決め手になるものは何かとお尋ねであれば、それは的確なものはないということになるわけでありますが、多数決によって決める場合に、通常の場合は過半数という考え方が一つありまして、それから一番厳しいものとしては、これは全員一致ということになるわけでありますが、その間に三分の二があり、四分の三があり、五分の四がありということになろうかと思います。  そこで、それぞれ規約の設定、変更の重要性の問題、あるいは五十八条等の訴訟を提起することの重要性の問題、それからただいまおっしゃいました建てかえ決議をするための重要性の問題というようなことを考えまして、規約の設定、変更あるいは共用部分変更等については、区分所有者及び議決権の四分の三以上というところが妥当ではあるまいか、建てかえの決議については、この六十二条所定の要件などをも勘案して五分の四以上というところが妥当ではあるまいかというふうに考えるわけでありまして、それについては法制審議会の審議の段階でもいろいろな方の御意見を伺いましたし、試案に基づいて各界の御意見も伺って、そして一番妥当と思われる線を選んだ、こういうことでございます。
  83. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、建設省にお聞きしますが、先般住宅宅地審議会でいま論議されているマンション問題について答申がなされて「中高層共同住宅標準管理規約」というのができて、その中の第四十五条三項、ここでは「次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の四分の三以上及び議決権総数の四分の三以上で決する。」というふうになっていまして、一が「規約変更」、二が「敷地及び共用部分等の変更又は処分」、こういうふうになっているのです。いまこの法案を審議しているわけですが、ここでは現行法として、原則として全会一致、全員合意、原則というふうに入っているわけですけれども、この法律が四分の三というふうに変わる前に、もうこの例では四分の三というふうに明確にしているわけですけれども、この経過は、四分の三というのが、原則にもかかわらずどうして出てきているのか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  84. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 お答えします。  御指摘標準管理規約でございますが、これは住居専用で五十戸から百戸程度各戸均質マンションというものを一応前提としてつくっている規約でございます。それで、いまお話がございました現行区分所有法では、規約変更は二十四条一項で「区分所有者全員の書面による合意」ということになっておりますし、また、共用部分変更は十二条一項で「共有者全員の合意」、ただし書きがございまして、「改良目的とし、かつ、著しく多額の曲用を要しないものは、」「持分の四分の三以上の多数」ということになっておるわけでございますが、によって原則としてすることとされているわけでございます。  しかし、この原則というのは、区分所有者の数が少ない場合には特に問題はございませんけれども、この管理規約が一応対象としているような五十戸から百戸というように数が多くなりますと、全員の合意を取りつけることは実際問題として非常に困難ではないかということでございまして、したがいまして、この程度マンションを対象としたこの管理規約におきましては、現行法の第八条であるとかあるいは現行法の第二十四条三項というものを活用いたしまして要件を緩和いたしまして、四分の三以上で決するというふうにしたわけでございます。
  85. 中村茂

    中村(茂)委員 この実情は私はわかりますけれども、大体全会一致ということを原則として、そういうのがあって、今度それに基づくもので皆さんの方で管理規約というようなものをひな形に示す場合に、やはり数字として出てきたり、そういうものは全会一致ということになっていて、内面指導で大体原則だから運営上こうだ、四分の三程度ぐらいはということなら話はわかるけれども、法体系と、それを行政の面で実施していく場合に、この改正になる前に四分の三というふうに明確にして指導するということが果たしていいものかどうかという疑義を私は持っているわけなのです。だから、その点について法務省の方から。
  86. 中島一郎

    中島政府委員 現行法の二十四条でございますけれども、「規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者全員の書面による合意によつてする。」こうなっておりますが、その第三項におきまして、第一項の規定は、「規約で別段の定めをすることを妨げない。」ということになっておるわけであります。でありますから、実はこの法律といたしましては、それぞれのマンション規模とか区分所有者の数に応じてそれにふさわしい規約定めをしてもらいたい、その道は三項によって認められておりますというのが現行法の立場でございます。  これを前提にしまして、先ほど建設省の方からおっしゃいました、五十名から百名程度マンションにあっては四分の三以上の決議によって規約の設定、変更または廃止をすることができるという規約モデル規約としてお示しになった、こういうことでありまして、私どもは今回この四分の三という数字を選ぶにつきましても、モデル規約もそうであるし、そのモデル規約に依拠してかなり多くのマンションにおいてこの四分の三以上による決議という規約が設けられておる、また事柄の性質から考えても四分の三以上の決議ということが妥当ではあるまいかというようなことが考えられたわけでございます。
  87. 中村茂

    中村(茂)委員 しかし、いずれにしてもいままでは全員の合意ということが原則なんですね。それが前提になって規約でどうというふうになっているわけで、ですから、今度の改正はこのモデル管理規約の追認というような感じを私は受けるわけですが——それでもいいです。  そこで、次のいわゆる義務違反者排除のところもこの四分の三になっているわけですね。規約改正とか前段の方の四分の三はまあまあこの程度かなというふうに思うのですが、ここのところの四分の三というのを考えてみれば、四十人が入っている、その四分の三ということは三十人が賛成すれば排除できるということになるわけですね。四十人入っているところで排除に該当するような人が十人もいるというマンションはそれこそ暴力マンションというような感じを受けるのですけれども、排除をするわけですからね、そこに住めなくなるわけですから、この四分の三というのはちょっと厳しいじゃないか、これは私の感じですけれども。少なくとももっとしぼり込む必要があったのではないか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  88. 中島一郎

    中島政府委員 この排除の場合の四分の三というのは、これは四分の三以上の集会決議によって即排除できるというのではございませんで、あくまで裁判所に請求をする、その訴訟を起こすための要件であるということになるわけであります。でありますから、これはもっと緩和してもいいのじゃないかという御意見もあったくらいであります。ドイツに同種の制度がございますけれども、これは過半数で請求をすることができるということになっておるわけであります。しかし、この請求をされる側にとってみれば、訴訟を起こされることだけでも非常にショックと申しましょうか、これは重大問題であるので、やはり慎重を期した方がよいということで四分の三になったわけでありまして、最終的な判断はあくまでも裁判所の判決によって排除できるかできないかということが決定されるわけでありますから、私どもとしては訴え提起の要件としてはこの程度でよいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  89. 中村茂

    中村(茂)委員 それから次に、建てかえの決議の問題ですけれども、「老朽、損傷、一部の滅失その他の事由により、」こういうふうになっているわけですけれども、この概念がきわめて不明確なんですね。試案の段階では経済的な効用を増すための建てかえというのが入っていたような気がするのですけれども、今回はそれが抜けています。したがって、老朽、損傷というもののもう少し具体的な考え方、それから経済的な効用という面についてどうして今回は除かれたのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  90. 中島一郎

    中島政府委員 マンション区分所有者の方々の御意見をいろいろ開いてみますと、どうしても建てかえが必要だということをおっしゃる具体的な事情はどうなっておるかということを伺いますと、それはもう老朽して維持費がかさむ、雨漏りはするし、建てつけはがたがたするし、修理費がかかってしようがない、そのわりには修理のメリットがないというのが一番ひどいケースであります。さらに進んで、土地の利用を増進するために、利用増のための建てかえも認めてもらいたいという御意見も中にはあるわけであります。  そこで、試案の段階ではその二つを掲げまして御意見を聞いたわけであります。ところが、その各界の御意見におきまして、もちろんこの両方の要件があれば特別多数決議によって建てかえの決議はすることができるという制度に賛成の方も大ぜいおられましたけれども、後の方の要件、すなわち土地の利用増のための建てかえに多数決原理を導入するということについては、消極的な御意見の方もかなりあったということであります。と申しますのは、この制度は、もしこの制度を採用いたしますと、対価を補償するとは言え、土地の利用増という経済的な目的のために区分所有者の所有権を失わせることになるのじゃないか、それに多数決原理を導入するというのは、現段階ではあくまで全員一致でいくべきで、多数決原理を導入することはいかがであろうかという御意見であったわけであります。  それで、法制審議会においても見直しの審議、最終的なまとめの審議をされたわけでありますが、やはりその段階では慎重論というものが強くなりまして、今回全く新しい制度を導入するわけであるから慎重を期そうということになって、土地の利用増のための建てかえに多数決原理を導入することは採用されなかったわけであります。  それから、老朽等の概念が必ずしも明確でないじゃないかという御指摘でありますけれども、これは一般的な民法の問題あるいは借地・借家法等の問題におきましても次第にこの概念を明確化するための事例というものが積み重なりつつございます。問題がケースバイケースの問題でありますから、やはり一つの線を引いて法律の条文でこれを明確にするということは困難でありますけれども、幾つかのそういう事例が積み重なるにつれまして次第に概念がはっきりしてきておるわけでありまして、特に今回の建てかえの要件は、老朽、損傷、一部の滅失ということによって要件が備わったり備わらなくなったりするわけではございませんで、それによって建物がその効用を維持し、または回復するのに過分の費用を要するに至ったときに当たるかどうかということが問題になるわけでありますから、一層その建物の具体的な状況が問題になるわけでありまして、個別的な判断が必要になろうかと思うわけであります。
  91. 中村茂

    中村(茂)委員 建てかえという問題は、マンションが一番建てられたときから十年、二十年というふうにたって、もう二、三十年するとほとんどのマンションが建てかえなり大幅な修理なり、そういう時期が来るわけですね。大体マンションのあるところは、都市開発もある意味では必要な部分もある。都市開発と今度のマンションの建てかえという問題を含めて考えてみると、将来、研究課題としてでもいいですけれども、経済的な効用、土地の利用まで含めて十分都市開発の中で活用できるようにしていかなければいけないのではないかというのが私の考え方なのです。そこで先ほど質問したわけですけれども、恐らくもう二、三十年たったら大変な時期に来ると思うのです。  そこで、そういうことにあわせて、次にマンションの実態についてまず建設省にお聞きしたいというふうに思うのです。私も長い間欠陥マンションという言い方でいろいろ取り扱ってきたわけですが、大体欠陥マンションというふうに言われるのについては、まず一つは、建物そのものについて瑕疵が生じた、したがって欠陥マンション、こういう言い方が一つあります。それから、専用使用権をめぐって、特に自動車の置き場とか、こういうものと共用部分とのかかわり、持ち主とのかかわり、こういうトラブルが相当ございました。それから、マンション全体の運用上のトラブル、こういうふうに考えているのですけれどもマンションの現在の実態について把握している範囲で御説明いただきたいと思います。
  92. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 お答えいたします。  マンションにおけるトラブルみたいなものにつきまして私ども調査したことがございます。それによりますと、最大の問題点というのが騒音でございまして、子供の足音でございますとか、あるいはピアノの音でありますとか、あるいはドアの開閉の音という一種の生活騒音みたいなものが一番多うございます。それから、細かい話になるのですが、二番目に多かったのがごみの出し方が悪いというのでございます。あとは落書きが三番目でございまして、あとペットの無断飼育でございますとか、あるいは廊下に出前のどんぶりが出ているとか、あるいは水漏れ、これが六番目にございます。あと無断駐車でございますとか、こういった種類の問題がトラブルの原因として出ております。
  93. 中村茂

    中村(茂)委員 今回の改正によって、マンションに対しての行政面から、また特に管理組合というものを通じての今度の改正に基づくプラス面というか関連面というか、そういう点についてお考えをお聞きしたいというふうに思います。
  94. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 今回の区分所有法の改正でございますが、これはマンション等の区分所有建物につきまして、たとえば管理団体というものを制度化するというようなことで、その管理の円滑化のための所要の規定が整備されておるというようなことで、区分所有建物の管理を適正に行うということは、建物の居住性の改善という面、あるいは防災の向上でありますとか、あるいは都市のスラム化の防止とかというような観点からきわめて重要ではないかということでございまして、そのように考えております。
  95. 中村茂

    中村(茂)委員 私は、いずれにしても管理組合というのが三十名以上の場合には法人格を得ることができるようになったわけですけれども、三十名というのについてどうして三十名で切ったのかというのが一点、それから法人格になったということはある程度認知されたというふうに理解するわけですけれども、法人格になったことによる利点、その点をひとつ明確にしていただきたいと思います。
  96. 中島一郎

    中島政府委員 法人格を取得することによるメリットということからまず申し上げたいと思いますけれども第三者との取引関係における法律関係を明確にするということが一つあろうかと思います。管理組合であります以上、第三者といろいろ取引をするわけであります。たとえば修繕業者マンション修繕契約を結ぶというようなこともございましょうし、あるいは管理費を取り立てる、修繕積立金を集金しましてそれを保管するために銀行預金をするというようなこともあろうかと思います。そのときに契約の主体である管理組合が法人格を持つことによって権利義務の帰属点としての地位を明確にするということが一つあるわけでございます。でありますから、これは区分所有者の数が多ければ多いほどそのメリットは大きいということになるわけでありまして、区分所有者の数が少なければ少ないほどそのメリットは少ない。区分所有者の数が少なければメリットは全くない場合もあるということになるわけであります。  そういう点をいろいろ勘案をいたしますと、これも数字のことでありますから決め手はないのでありますけれども、二十人以上あるいは五十人以上というような数字が出てくるわけでありますが、そこで私どもとしては最初試案の段階におきまして二十人以上から五十人以上というものを想定しまして各界の御意見を聞いたわけであります。それに対する御意見といたしましては、三十名以上という線を支持するという御意見が大多数であったということでありますので、今回新しい制度を創設するに当たって三十人以上というところで線を引いてスタートをするということにしたわけでございます。  それで法人化ということの意味は、先ほども申しました取引関係における法律関係を明確化するということに尽きるわけでありまして、区分所有者が構成する団体としてどのような範囲のことをすることができるのか、あるいはこの区分所有法の定めるところによって規約及び集会決議に従って共同管理をしていくという点におきましては、法人になるとならないとでは全く変わりがないわけであります。また法人になることによって税法その他の面で有利な取り扱いがあるかと申しますと、それもないということになるわけでございます。
  97. 中村茂

    中村(茂)委員 先ほども大蔵省の方も言われていましたけれども、法人格になっても、言えば公共の利益を追求ということではなしに、共同の利益だ、そこで税制の優遇措置もということを言われていましたけれども、私は当面はこういう状態でもいいと思いますけれども先ほどから言われておりますいわゆる建てかえという問題、それから将来の都市計画に合わせての建てかえ、そういうふうに考えていきますと、いまの管理組合というのは、修理に対しての資金的な問題、積み立て、それから建てかえについての積み立て、こういうところをきちっとやっている管理組合というのは少ないのですよ、実態は。しかし、四十年、五十年の将来のことを考えていくと、そういうことも真剣に考えていかなければいけない段階に入っているというふうに思うのです。  そうなると、資金の取り扱い、そういうものも非常に多くなっていく。ですから、私はこの建てかえという問題について一番隘路になるのは資金じゃないか、こういうふうに思うのです。ですから、みんなで考えていかなくてはいけない。そういうものを考えていくということになると、管理組合の事務というか、そういう資金的な積み立てまで含めて相当重要な役割りを果たしていくようになる。ですから、法人にしていただいてやっていくのは結構、しかしその反面、先ほど申し上げた広い意味の都市再開発、こういうものを全体的に考えて建てかえという問題、資金の問題を考えてみると、先ほどいわゆる経済的効用というものを将来は含めて研究してもらいたいというふうに申し上げたわけですけれども、その資金に対しての経済的なある意味の援助、助成、それから税制上のある程度の優遇措置、こういうものも将来考えていかなければいけない時期が来るのじゃないか、私はこういうふうに思うのですけれども、その点についてまず建設省にお伺いしたいと思います。
  98. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 お答えいたします。  先ほど修繕積立金について私どもあるいは大蔵省から御答弁申し上げました。基本的な考え方はそういうことでございますけれども、先生御指摘のように、さらに建てかえのための積立金とかということで、昭和四十五年ごろからでき始めたマンションが建てかえる時期というのがやがてやってまいるわけでありまして、そのために相当の資金需要が現実に必要になってまいります。そのための助成策が必要になる時期が必ずや来るのじゃないかというふうにも考えます。そういう面につきまして今後大いに検討してまいりたいと考えております。
  99. 中村茂

    中村(茂)委員 いまの点について法務省としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  100. 中島一郎

    中島政府委員 いろいろと問題点があるということは私どもも認識をしておるわけでございまして、そのうちの幾つかについてはこの国会審議の段階でも御指摘があったとおりでございます。各省からもそういった点について検討してみる、こういうような御答弁もあったところでございますので、私どもとしてもそれにできるだけの御協力をしてまいりたいと考えております。
  101. 中村茂

    中村(茂)委員 それから次は、敷地建物の登記上の一体性というものが今度の改正の大きな目的になっているわけですけれども、それに伴うところの契約関係、特に敷地共用部分専有部分、こういうものを合わせての欠陥マンションというふうに言われるトラブルが相当ある。そこで、取引条件、ここのところが非常に不明確な点があるので、これからは権利関係を含めた取引条件というものをより明確にし、指導していく必要があるのではないか、こういうふうに思いますけれども、欠陥マンションと言われる中の、いわゆる今度改正される敷地建物一体性という中で、この取引条件についてどういうふうにお考えでしょうか。
  102. 広瀬優

    ○広瀬説明員 先生御指摘のとおり、今後のマンションのありようを考えますときに、取引条件の明確化ということはきわめて重要な事柄だと存じます。そこで、昭和五十五年の宅地建物取引業法の改正におきましても、宅地建物取引業者は重要事項説明といたしまして、売買契約締結前に、先ほど来先生がおっしゃっておられます専用使用権の内容等含めまして十分によく御説明申し上げる、そうして取引条件を明確にするというふうに指導しておるところでございまして、今後ともこれらの努力をすることによりましてマンションの適正なありようという方向に向けていきたい、こういうふうに存ずる次第でございます。
  103. 中村茂

    中村(茂)委員 それから次に、暴力団絡みなんですけれどもマンションへ入っている、そこのところの立ち退きを強要して立ち退き料というかあっせん料というか、そういうものを取って暴力団の資金源にしているという例が大阪に起きました。私どもも少し調べてみたわけですけれども、底地がえの立ち退きを強要してそのあっせん料を取って暴力団の資金源にする、こういうマンションのトラブルが起きているわけです。この点については、建設省としてどういうふうにお考えですか。
  104. 広瀬優

    ○広瀬説明員 先生いまお話しの大阪の件につきましては、関係者からのお話もまだ届いていないこともございましてつまびらかには承知していないところでございます。  先生いまお話しなされましたいわゆる立ち退かせ屋と申しますか、そういう者は嫌がらせ等によりまして借地人であるとかあるいは借家人に立ち退きを強要する者を意味するものであるようでございます。一般論として申し上げますと、これらの借地人や借家人に立ち退きを求める行為それ自体は、法律的には、多くの場合地主あるいは建物所有者としての行為でございまして、宅地建物取引業の業務に該当いたしませんため、宅地建物取引業法による規制の対象外ということになって、別途刑法等によって取り締まられるべきものと考えているところでございます。しかしながら、具体のケースにおいて宅地建物取引業者が、お話しございましたように、宅地建物取引業の業務に関しまして違法または不当な行為を行ったことが明らかになりますれば、この業法に照らしまして指示処分等適切に処置してまいりたい、こういう考えでございます。
  105. 中村茂

    中村(茂)委員 最後に、私が一番心配しているのは、建てかえの際に経済的な事由によって建てかえということについてはどうも困る、ところが五分の四の議決によって建てかえに進んでいく。長い間住んでいたけれども、みんな年寄りになってしまった、これからの建てかえには多く金がかかる、その返済能力もない、こういう純然たる経済的な事情によって建てかえから排除される、この点が将来一番問題になる点ではないか、私はこういうふうに思うのです。ですから、理由が余りなくてただ反対だというならあれですけれども、本当に自分の生活の中から出てきている経済的な事情で建てかえから排除される、この点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  106. 中島一郎

    中島政府委員 確かに、反対者にとりましては、対価を補償されるとはいいながら所有権を失わせられる、したがってそこに住んでいたいという利益も奪われる、こういうことでありますけれども、また一方、反対者がおりますために他の大多数の者は老朽、狭隘等によって住むに住めない、貸すに貸せないということで、不動産の区分及びその敷地を全く利用できないでいるという実態をどうするかという現実に対しまして、この区分所有法の改正は、まず第一歩建てかえの決議をするという道を開いたわけであります。  それは非常に厳格な実体的要件のもとに、しかも五分の四という非常に厳格な手続的要件のもとにそういう道を開いたわけであります。これによっていままで全然話し合う余地もなかったそういう建てかえ問題について話し合いのきっかけをつくるという意味は少なくともあろうかと思うわけでございまして、こういう制度ができたからといって必ずしも決議をし、買い取り請求、売り渡し請求をし、そして明け渡しの訴訟をしということで建てかえが行われるのではなくて、この法律規定前提にしてそれぞれ具体的な実情に応じた解決をしていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  107. 中村茂

    中村(茂)委員 どうもそこのところは余り納得できないですね。というのは、経済的な事情でどうしてもそこへ参加できない、しかし結果的にはそこを追い出されるわけです。しかし、買い取りしてくれるというから、これだけで買い取ってあげますよ。しかし、居住権というものがあるわけですね。したがって、その基本的な居住権というものも否定される。そして、おまえらはここから出ていけ、こういうふうになる。  ですから、そこのところで、確かに少しの人が反対していても建てかえという道が開けることは開けると思いますけれども、そういう少数意見、特に経済弱者の少数意見、それに対しての救済といえば大げさかもしらぬけれども、何か居住権も否定するわけですから、対応については、法律をつくったというか法律を担当している法務省は概念としてはお持ちでしょうけれども、実際にそういうものを指導しやっていく建設省としてはそういうことだけでは済まされないのではないか。実際に指導していく上でさまざまの問題が出てくる。ですから、その点についての対応というものについても真剣に考えていただきたい、こういうふうに思うのですけれども建設省いかがでしょうか。
  108. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 お答えいたします。  経済的な理由で退去を余儀なくさせられるということにつきまして、これは先ほども御答弁申し上げておったのでございますけれども、金融によってこれをカバーするということができればよろしいのでございますが、返す当てのない者に金融できないということに結果的になるわけでございます。したがいまして、どうしても資金の調達ができないという世帯に対しましては、先ほどお話し申し上げているように、公営住宅等借家住まいをしていただくという方向でいろいろ考えていかなければならないのではないか。公営住宅の優先入居でありますとか、その他何かいろいろ考えてまいりたいというふうに考えております。
  109. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  110. 綿貫民輔

    綿貫委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  111. 綿貫民輔

    綿貫委員長 この際、本案に対し、安藤巖君から修正案が提出されております。  修正案について提出者から趣旨説明を聴取いたします。安藤巖君。     ─────────────  建物区分所有等に関する法律及び不動産登記法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  112. 安藤巖

    安藤委員 建物区分所有等に関する法律及び不動産登記法の一部を改正する法律案に対する日本共産党の修正案について、提案理由の説明を申し上げます。  本法案は、区分所有建物の建てかえ、義務違反行為者の追い出しについて、これまで全員一致が原則であったものを、建てかえについては「五分の四」、追い出しについては「四分の三」の決議で実施できるものとしています。  建てかえについては、どの建物もいずれ必要なときがやってくるのは確かであります。これは住民の話し合いを十分にすることにより着手することが望ましいものであり、機械的な多数決で決めることはできるだけ避けるべきであります。特に五分の四の賛成でできることには疑問があります。たとえば五十戸のマンションで十戸が建てかえに反対したとしたら、その計画にはどこか無理があると言わざるを得ません。  しかも、本法案には多数決によって区分所有権を失うことになる建てかえに賛成できない人の転居先の確保その他についての保障は何ら講じられておらないという重大な不備があります。したがって、この多数決についてはできるだけの厳しい枠を設けるべきであります。さらに大きな不動産業者、建設業者などが区分所有権を買い占めることにより多数を確保して建てかえを容易にするということも十分考えられるわけであり、この点からも全体の合意に近いところまで条件を厳しくする必要があるのであります。  事実、法制審の民事部会がまとめ改正試案には、十分の九以上の賛成というものもあり、入居者保護のために住民同士の話し合い前提とした上で「十分の九」以上に修正することを提案するものであります。  また、共同生活を乱す人の強制追い出しの運用についても慎重な配慮が必要であります。  確かに暴力団員が入居し、暴れたりして他の住民に著しい迷惑をかけるという例もあり、共同生活の秩序を守る規定は必要だと思います。けれども、気に食わない隣人を村八分的に追い出す手段として利用されるおそれがないわけではなく、一度追い出しの決議がなされると、事実上引き続きとどまって居住することは著しく困難であることは容易に想像できます。  この規定についても共同住宅の生活のルールの確立が望ましく、住民の話し合いによる解決を前提とした上で、入居者保護のために賛成決議要件を「十分の九」以上に修正することを提案するものであります。  建てかえ、追い出し決議は結果的には憲法で保障された所有権を奪うものであり、決議については厳しくすることが求められるものであります。  また、本法案は管理組合の法人化は「三十人」以上の区分所有者のあるところに限ってできるとしています。しかし、法務省の資料を見ても、一棟当たりの個数の現状を見ますと、三十個以上よりも十個から三十個未満の方が多いのであり、たとえば法人化を二十個のところについては認めないという合理的理由はないのであります。したがって、わが党は「十人」以上という修正案を提出するものであります。  慎重審議の上、御賛同くださいますようお願いいたしまして、提案理由の説明を終わります。(拍手)
  113. 綿貫民輔

    綿貫委員長 これにて修正案の趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  114. 綿貫民輔

    綿貫委員長 これより原案並びに修正案を一括して討論に付すのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  これより建物区分所有等に関する法律及び不動産登記法の一部を改正する法律案並びにこれに対する修正案について採決に入ります。  まず、安藤巖君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  115. 綿貫民輔

    綿貫委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  建物区分所有等に関する法律及び不動産登記法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  116. 綿貫民輔

    綿貫委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  117. 綿貫民輔

    綿貫委員長 次に、ただいま可決いたしました建物区分所有等に関する法律及び不動産登記法の一部を改正する法律案に対し、熊川次男君外四名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党の五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者から趣旨説明を求めます。横山利秋君。
  118. 横山利秋

    ○横山委員 私は、提出者を代表し、建物区分所有等に関する法律及び不動産登記法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明いたします。  まず、案文を朗読いたします。     建物区分所有等に関する法律及び不動産登記法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について格段の努力をすべきである。  一 法改正が国民一般に与える影響、とりわけ管理組合の運営に与える影響にかんがみ、その趣旨及び内容の周知徹底を図り、適正に相談に応ずることができるよう配慮すること。  二 建替え等に際し、経済上の理由によりこれに参加することができない者に対する援助等の措置について、政策的に配慮すること。  三 法改正に伴い中高層共同住宅標準管理規約の整備充実を図るとともに、管理組合の運営が民主的に行われるよう指導すること。  四 建物瑕疵(かし)に関する紛争の防止に資するため、売買契約に際して取引条件を明確化するよう業者を指導するとともに、紛争を迅速かつ適切に処理する体制の整備、強化を図ること。  五 新法の既存建物への適用に伴う登記事務の適正かつ迅速な処理を図るため、登記所の充実強化について所要の措置を検討すること。  本案の趣旨については、すでに委員会質疑の過程で明らかになっておりますので、省略いたします。  提出者を代表して御説明をいたしました。何とぞ本附帯決議案に御賛同あらんことをお願いいたします。
  119. 綿貫民輔

    綿貫委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  120. 綿貫民輔

    綿貫委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付するに決しました。  この際、秦野法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。秦野法務大臣。
  121. 秦野章

    ○秦野国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして鋭意努力してまいりたいと考えております。     ─────────────
  122. 綿貫民輔

    綿貫委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 綿貫民輔

    綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  124. 綿貫民輔

    綿貫委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十三分散会