○
安藤委員 建物の
区分所有等に関する
法律及び
不動産登記法の一部を
改正する
法律案に対する日本共産党の修正案について、提案理由の
説明を申し上げます。
本法案は、
区分所有建物の建てかえ、義務
違反行為者の追い出しについて、これまで
全員一致が
原則であったものを、建てかえについては「五分の四」、追い出しについては「四分の三」の
決議で実施できるものとしています。
建てかえについては、どの
建物もいずれ必要なときがやってくるのは確かであります。これは住民の
話し合いを十分にすることにより着手することが望ましいものであり、機械的な多数決で決めることはできるだけ避けるべきであります。特に五分の四の賛成でできることには疑問があります。たとえば五十戸の
マンションで十戸が建てかえに反対したとしたら、その計画にはどこか無理があると言わざるを得ません。
しかも、
本法案には多数決によって区分所有権を失うことになる建てかえに賛成できない人の転居先の確保その他についての保障は何ら講じられておらないという重大な不備があります。したがって、この多数決についてはできるだけの厳しい枠を設けるべきであります。さらに大きな不動産
業者、建設
業者などが区分所有権を買い占めることにより多数を確保して建てかえを容易にするということも十分
考えられるわけであり、この点からも全体の合意に近いところまで条件を厳しくする必要があるのであります。
事実、法制審の民事部会が
まとめた
改正試案には、十分の九以上の賛成というものもあり、入居者保護のために住民同士の
話し合いを
前提とした上で「十分の九」以上に修正することを提案するものであります。
また、共同生活を乱す人の強制追い出しの運用についても慎重な
配慮が必要であります。
確かに暴力団員が入居し、暴れたりして他の住民に著しい迷惑をかけるという例もあり、共同生活の秩序を守る
規定は必要だと思います。けれ
ども、気に食わない隣人を村八分的に追い出す手段として利用されるおそれがないわけではなく、一度追い出しの
決議がなされると、事実上引き続きとどまって居住することは著しく困難であることは容易に想像できます。
この
規定についても共同住宅の生活のルールの確立が望ましく、住民の
話し合いによる解決を
前提とした上で、入居者保護のために賛成
決議要件を「十分の九」以上に修正することを提案するものであります。
建てかえ、追い出し
決議は結果的には憲法で保障された所有権を奪うものであり、
決議については厳しくすることが求められるものであります。
また、
本法案は
管理組合の法人化は「三十人」以上の
区分所有者のあるところに限ってできるとしています。しかし、
法務省の資料を見ても、一棟当たりの個数の現状を見ますと、三十個以上よりも十個から三十個未満の方が多いのであり、たとえば法人化を二十個のところについては認めないという合理的理由はないのであります。したがって、わが党は「十人」以上という修正案を提出するものであります。
慎重審議の上、御賛同くださいますよう
お願いいたしまして、提案理由の
説明を終わります。(拍手)