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横山委員 次に、
裁判官のことにつきまして、寺田長官が不祥事続出と二回にわたっておっしゃったことをどんなことかと一遍整理をしてみました。私、一応新聞を整理してみたのでありますけれ
ども、実に多いことに驚いた。その
内容はどうであったかということについてそちらにも言い分があるでしょうけれ
ども、いま個々の事案について一々よしあしを言うつもりはございませんが、一応列挙をしてみます。
新聞どおりでいきますと、五十七年六月には大分
地裁の千葉隆一
判事補、これは家出女高生を二晩アパートに泊め、二カ月間交際して十万円のバイクをやった。結論として辞表提出、最高裁が依願免。坂本武志
地裁所長はもみ消し指示をしたとかしなかったとかという問題、進退伺いを提出したというのですね。
二番目は、大阪
地裁の後藤邦春
判事補、五十八年一月ゴルフの練習中マイカーから訴訟記録三件のかばんを盗まれた。これは宅調日であった。結審済みで
裁判の進行には別に問題はなかったけれ
ども、
地裁は捜査結果を待って
判事補の処分を決めるという報道です。
三番目は、熊本
地裁の大石一宣
判事、五十七年十二月
民事の現場検証の際に女性被告に酒酔い暴言を吐いた。これについては福岡高裁に分限
裁判の申し立て、戒告になった。
四番目は、岐阜
地裁の長良川水害訴訟。これは一審判決のミスで損害認容額が請求額の四倍であった。判決後、計算間違いの誤りに気がついた。名前のミスも二カ所あった。
民事訴訟の規定で
地裁で更正決定されたのは名前ミスのみであって、その後わかった認容額は百八十六条で控訴期間も切れているから高裁に任せるよりしようがないということになった。
五番目は、岸和田
簡裁の二人の
裁判官。法定よりも多い罰金の略式命令を出した。そこで最高裁第二法廷は十月二十九日検事総長の非常上告を受け、法定どおり訂正判決をした。
六番目は、東京
地裁で丹野益男
裁判長、五十七年六月。無罪
裁判で判決言い渡しまで拘置を認めた違法性、検察官と
裁判官の過失である。これは目撃者証言があいまいで科学的裏づけもなく起訴したのは違法である。拘置についての
裁判官のあり方を
指摘された。
七番目は、岡山
地裁勝山支部蔦昭
判事、五十七年五月。求刑五年、宣告一年六カ月、これより重いはずであった。判決文には三年六カ月とあったはずである。副検事の問いただしでミスがわかった。蔦
判事は自分のミスだから控訴を望むと地検に言っておる。
八番目は、東京地検から東京
家裁に、また地検、また
家裁とぐるぐる回っておる。五十七年の九月。これは、東京地検から東京
家裁へ行ったけれ
ども、証拠に疑点があるから
刑事裁判で明らかにせよということでまた地検へ行った等々で二カ月も身柄拘束をしてかずけ合いをしておる。技術的にはいろいろ議論はあるだろうけれ
ども、もう少しうまくやれぬかという
指摘があった。
九番目は、東京八王子公判、五十八年一月。起訴状が二カ月以内に被告に届かない場合起訴無効となるが、起訴状が
書記官の帳簿に挟まっておった。法廷内であわてて起訴状を渡した。
十番目は、横浜
地裁執行官。酒酔い運転事故を現金渡しでもみ消ししようとした。近く最高裁で処分すると伝えられておる。
十一番目は、宇都宮
地裁の
書記官、支部の中で泥棒をやった。
十二番目は、大阪の池田
簡裁書記官、庁舎内でわいせつ行為。
十三番目は、武蔵野
簡裁八王子支部の
裁判官だまし。アパートの所有者から盗んだ実印で所有者に五千万円貸した借用証書偽造、これによって
裁判官をだまして支払い命令や競売開始決定を出さした。警察も相手にせぬので、本人は全く腹が立つけれ
ども、判決が出た以上は
裁判で訴えなければだめだと言われて、もう本当にどうなっておるという問題。
十四番目は、福岡高裁の宮崎支部。これは夫婦殺害
事件、ホステス殺人
事件、国鉄暴行
事件、三件とも最高裁で逆転判決になった。三件ともそういうことになって、宮崎支部は偶然にしてはちょっとえらいのじゃないかという問題。
等々、まことに最近、寺田長官が不祥事があると――これが全部事実だと言っているわけじゃないですよ。新聞の披露ですけれ
ども、それにしても多過ぎる。こういう
裁判官の不祥事が長官の訓示の中に二回にわたって出てくるというのはまことに残念至極で、もう少し何とかならないのかということが言いたいところなんですが、いかがですか。