運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1983-05-18 第98回国会 衆議院 文教委員会 第9号 公式Web版

share
  1. 会議録情報

    昭和五十八年五月十八日(水曜日)     午前十時四分開議  出席委員    委員長 葉梨 信行君    理事 石橋 一弥君 理事 狩野 明男君    理事 中村  靖君 理事 船田  元君    理事 佐藤  誼君 理事 馬場  昇君    理事 鍛冶  清君 理事 三浦  隆君       青木 正久君    奥田 敬和君       久保田円次君    高村 正彦君       坂田 道太君    坂本三十次君       西岡 武夫君    三塚  博君       渡辺 栄一君    伊賀 定盛君       木島喜兵衞君    中西 績介君       湯山  勇君    有島 重武君       栗田  翠君    山原健二郎君  出席国務大臣         文 部 大 臣 瀬戸山三男君  出席政府委員         人事院事務総局         給与局長    斧 誠之助君         文部大臣官房長 高石 邦男君         文部省初等中等         教育局長    鈴木  勲君         文部省大学局長 宮地 貫一君         文部省体育局長 西崎 清久君         文部省管理局長 阿部 充夫君  委員外出席者         議     員 中西 績介君         議     員 馬場  昇君         文教委員会調査         室長      中嶋 米夫君     ───────────── 委員の異動 五月十八日  辞任         補欠選任   長谷川正三君     木島喜兵衞君 同日  辞任         補欠選任   木島喜兵衞君     長谷川正三君     ───────────── 五月十六日  子供のための文化予算増額に関する請願五十嵐広三紹介)(第三六八九号)  同(井岡大治紹介)(第三六九〇号)  同(井上普方紹介)(第三六九一号)  同(伊賀定盛紹介)(第三六九二号)  同(上田卓三紹介)(第三六九三号)  同(岡田利春紹介)(第三六九四号)  同(勝間田清一紹介)(第三六九五号)  同(串原義直紹介)(第三六九六号)  同(小林進紹介)(第三六九七号)  同(後藤茂紹介)(第三六九八号)  同(島田琢郎紹介)(第三六九九号)  同(新村勝雄紹介)(第三七〇〇号)  同(関晴正紹介)(第三七〇一号)  同(田邊誠紹介)(第三七〇二号)  同(高沢寅男紹介)(第三七〇三号)  同(武部文紹介)(第三七〇四号)  同(塚田庄平紹介)(第三七〇五号)  同(中村重光紹介)(第三七〇六号)  同(野口幸一紹介)(第三七〇七号)  同(野坂浩賢紹介)(第三七〇八号)  同(細谷治嘉紹介)(第三七〇九号)  同外二件(堀昌雄紹介)(第三七一〇号)  同(前川旦紹介)(第三七一一号)  同(水田稔紹介)(第三七一二号)  同(八木昇紹介)(第三七一三号)  同(矢山有作紹介)(第三七一四号)  同(山口鶴男紹介)(第三七一五号)  同(山田耻目君紹介)(第三七一六号)  同(山花貞夫紹介)(第三七一七号)  同(山本幸一紹介)(第三七一八号)  同(山本政弘紹介)(第三七一九号)  同(横山利秋紹介)(第三七二〇号)  同(米田東吾紹介)(第三七二一号)  同(渡辺三郎紹介)(第三七二二号)  同(渡部行雄紹介)(第三七二三号)  同(上田卓三紹介)(第三七五四号)  同(西村章三紹介)(第三七五五号)  同(長谷川正三紹介)(第三七五六号)  同(安井吉典紹介)(第三七五七号)  同(小川省吾紹介)(第三七八二号)  同(小林恒人紹介)(第三七八三号)  同(佐藤誼紹介)(第三七八四号)  同(城地豊司紹介)(第三七八五号)  同(楯兼次郎君紹介)(第三七八六号)  同外一件(中西績介紹介)(第三七八七号)  同(福岡義登紹介)(第三七八八号)  同(安藤巖紹介)(第三八六〇号)  同(池端清一紹介)(第三八六一号)  同(稲葉誠一紹介)(第三八六二号)  同(枝村要作紹介)(第三八六三号)  同(加藤万吉紹介)(第三八六四号)  同外一件(河上民雄紹介)(第三八六五号)  同(北側義一紹介)(第三八六六号)  同(草野威紹介)(第三八六七号)  同(斎藤実紹介)(第三八六八号)  同(西中清紹介)(第三八六九号)  同(藤田スミ紹介)(第三八七〇号)  育英奨学金制度改悪反対等に関する請願伊賀定盛紹介)(第三七七九号)  同(佐藤誼紹介)(第三七八〇号)  同(湯山勇紹介)(第三七八一号)  同(嶋崎譲紹介)(第三八五九号)  大分医科大学における口唇裂口蓋裂児医療体制の確立に関する請願木下敬之助紹介)(第三八五七号)  身体障害児者に対する学校教育改善に関する請願高橋辰夫紹介)(第三八五八号) 同月十七日  子供のための文化予算増額に関する請願阿部昭吾紹介)(第三九六〇号)  同(甘利正紹介)(第三九六一号)  同(玉置一弥紹介)(第三九六二号)  同(土井たか子紹介)(第三九六三号)  同(森井忠良紹介)(第三九六四号)  同(小野信一紹介)(第三九八二号)  同(小渕正義紹介)(第三九八三号)  同(阿部未喜男君紹介)(第三九九四号)  同(井上泉紹介)(第三九九五号)  同(金子みつ紹介)(第三九九六号)  同(矢山有作紹介)(第三九九七号)  育英奨学金制度改悪反対等に関する請願馬場昇紹介)(第三九六五号) 同月十八日  中学校英語授業時数上限週三時間の強制反対に関する請願浦井洋君外一名紹介)(第四〇六八号)  同(小沢和秋君外一名紹介)(第四〇六九号)  同(栗田翠紹介)(第四〇七〇号)  同(瀬崎博義君外一名紹介)(第四〇七一号)  同(瀬長亀次郎君外一名紹介)(第四〇七二号)  同(辻第一君外一名紹介)(第四〇七三号)  同(寺前巖君外一名紹介)(第四〇七四号)  同(中路雅弘君外一名紹介)(第四〇七五号)  同(中島武敏君外一名紹介)(第四〇七六号)  同(不破哲三君外一名紹介)(第四〇七七号)  同(藤原ひろ子君外一名紹介)(第四〇七八号)  同(三浦久君外二名紹介)(第四〇七九号)  同(三谷秀治君外一名紹介)(第四〇八〇号)  同(山原健二郎紹介)(第四〇八一号)  同(四ッ谷光子君外一名紹介)(第四〇八二号)  同(池端清一紹介)(第四二六八号)  同(大原亨紹介)(第四二六九号)  同(金子みつ紹介)(第四二七〇号)  同外十四件(河野洋平紹介)(第四二七一号)  同(高沢寅男紹介)(第四二七二号)  同(中西績介紹介)(第四二七三号)  同(長谷川正三紹介)(第四二七四号)  同(松沢俊昭紹介)(第四二七五号)  同(山口鶴男紹介)(第四二七六号)  同(山花貞夫紹介)(第四二七七号)  同(湯山勇紹介)(第四二七八号)  同(吉原米治紹介)(第四二七九号)  子供のための文化予算増額に関する請願大出俊紹介)(第四〇八三号)  同(下平正一紹介)(第四〇八四号)  同(東中光雄紹介)(第四〇八五号)  同(上原康助紹介)(第四二五八号)  同(鈴木強紹介)(第四二五九号)  同(田川誠一紹介)(第四二六〇号)  同(玉城栄一紹介)(第四二六一号)  同(中野寛成紹介)(第四二六二号)  同(平石磨作太郎紹介)(第四二六三号)  同(村上弘紹介)(第四二六四号)  同(山田太郎紹介)(第四二六五号)  同(横手文雄紹介)(第四二六六号)  育英奨学金制度改悪反対等に関する請願栗田翠紹介)(第四〇八六号)  同(山原健二郎紹介)(第四〇八七号)  同(中西績介紹介)(第四二六七号)  身体障害児者に対する学校教育改善に関する請願愛知和男紹介)(第四一一二号)  同(田邊誠紹介)(第四一一三号)  同(中西績介紹介)(第四一一四号)  同(中野寛成紹介)(第四一一五号)  同(橋本龍太郎紹介)(第四一一六号)  国立大学学費値上げ反対等に関する請願渡辺貢紹介)(第四二五七号) は本委員会に付託された。     ───────────── 三月三十日  日本学術会議の改革に関する陳情書(第一〇〇号) 五月十七日  日本学術会議法改正案反対に関する陳情書外一件(第二三八号)  体育・スポーツ施設整備充実に関する陳情書(第二四九号)  国立宇都宮大学における人文社会科学部設置に関する陳情書(第二五〇号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  学校教育法等の一部を改正する法律案中西績介君外四名提出、第九十四回国会衆法第二号)  学校教育法の一部を改正する法律案中西績介君外四名提出、第九十四回国会衆法第七号)  公立の障害児教育学校学級編制及び教職員定数標準等に関する法律案馬場昇君外四名提出、第九十四回国会衆法第一一号)      ────◇─────
  2. 葉梨委員長(葉梨信行)

    葉梨委員長 これより会議を開きます。  第九十四回国会中西績介君外四名提出学校教育法等の一部を改正する法律案及び中西績介君外四名提出学校教育法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  ただいま議題といたしました両案につきましては、第九十四回国会においてすでに提案理由の説明は聴取しておりますので、これを省略したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 葉梨委員長(葉梨信行)

    葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────  学校教育法等の一部を改正する法律案  学校教育法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  4. 葉梨委員長(葉梨信行)

    葉梨委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤誼君。
  5. 佐藤(誼)委員(佐藤誼)

    佐藤(誼)委員 ただいま審議されようとしている学校教育法等の一部を改正する法律案並びに学校教育法の一部を改正する法律案、これはただいま委員長が言われたような経過によって本日質疑が開始されるわけでありますが、私はこの一括審議されます二つの法律案のうち学校教育法等の一部を改正する法律案内容的には実習助手に関する法律案とでも言いましょうか、この法律案中心法案提出者質問をいたしたいと思います。  そこで、まず第一点は、実習助手身分職務内容学校教育法第五十条に定められているわけでありますけれども、教育現場における実習助手勤務及び教育指導実態はどうなっているか、この辺について提案者質問申し上げます。
  6. 中西(績)議員(中西績介)

    中西(績)議員 お答えいたしたいと存じます。  現行制度のもとにおける実習助手職務につきましては、学校教育法の第五十条三項にあるように、「実験又は実習について、教諭職務を助ける。」となっています。この条文に基づき、一般的な実習助手職務内容といたしましては、実験実習準備、後片づけ並びに器材の維持管理や備品の整備などを挙げることができます。  しかし、学校現場における実態は、以上挙げたような実習助手の一般的に言われる職務内容にとどまっているかというと、そうはなっておりません。もちろん、実験実習準備あるいは後片づけ、教材の維持管理職務についても、最近の科学技術の急速な進歩のもとでは実習助手も常に学習し、実験実習についての高度な理解知識が要求されると同時に、理論の学習、いわゆる座学との関連などについても十分把握しておく必要があるわけであります。  現在学校に配置されている実習助手は、これらの職務を十分に果たしつつ、さらに子供たちのいわゆる非行や低学力克服のため教諭とともに十分協議し、協力態勢をつくる中で教育全体に大きくかかわっておるわけであります。  直接関連する実験実習については、教諭協力、分担しながら、たとえば一つの班を受け持って指導書作成実験実習指導、そうしてその評価まで、実験実習指導に直接かかわっています。この状況は、工業農業高校では一層顕著になっています。  逆に、実習助手が、学校教育法に言う「教諭職務を助ける。」にこだわって、実験実習指導をやらないという状況になれば、工業農業高校ではまさに実験実習教育が成立しないと言っても過言ではない状況にまで立ち至っています。実験内容によっては、たとえば鋳物実習旋盤実習などの工業実習の一部や農業実習などでは、むしろ実習助手の方が教諭よりも高い技術とそれに裏打ちされた指導ができる場合もたくさんあるわけであります。  また、実験実習と直接関係しない分野においても非行克服のための生徒指導校務分掌の分担、部活動指導など学校教育全般にわたって教諭など全教職員とともに全努力を傾けておるわけであります。  にもかかわらず、現行制度を狭義に解釈し、実習助手教育に対する積極的な姿勢に水を差すようなことがあれば、まさに教育的大損失と言わなくてはなりません。  そうした意味で、私はこの法案提案をする理由をそこに置いておるということを御理解、御認識をいただければと思っています。  以上です。
  7. 佐藤(誼)委員(佐藤誼)

    佐藤(誼)委員 ただいまの答弁で明らかなように、いまのお話の中にありますように、教育現場における実習助手勤務及び教育指導実態は、学校教育法第五十条に規定はあるものの、その職務内容等をずっと見ますと、教諭とほぼ同等仕事をなし、実験実習分野にとどまらず、学校教育活動全体の分野にわたって重要な任務を果たしているということが改めて認識されました。  そこで私は、それでは実習助手はそれにふさわしい身分処遇の扱いがされているのかどうか、その辺のところをお尋ねしたいと思いますが、具体的にはこの給与の面はどうなっているのか、それから二番目には、学校の中で教諭とほぼ同じような仕事をなしながら冷遇されていることはないか、とりわけ教諭への任用の状態はどうなっているのか、その辺をひとつお聞かせいただきたいと思います。  加えて参考にちょっとお尋ねしたいのですが、実習助手人数はどのくらいか、それから実習助手のうち、いわゆる実習教諭免許状を所有している人はどのくらいいるのか、これをあわせてお尋ねしたいと思います。  それで、私が最後質問いたしました人数及び免許状所有者は、学校教員統計調査報告昭和五十五年度によりますと、その人数は一万三千八百八十名、その中でいわゆる実習教諭免許状を持っている者は九千三百八十九名と私はその報告の中から読み取ることができますけれども、こういう数字で間違いないかどうか、そのことも確認をしながら御答弁をいただきたいと思います。
  8. 中西(績)議員(中西績介)

    中西(績)議員 現行実習助手制度のもとにおきましては、実習助手終身的専門職として位置づけられておることは周知の事実であります。そして実習助手学校教育法第五十条三項によって、その職務内容が「実験又は実習について、教諭職務を助ける。」と規定されています。しかし実態は、さきの審議の際にも私答弁をいたしておりましたけれども、その職務規定を越えて実験実習指導評価指導書作成など、実験実習教育に深くかかわっているということは事実であります。また実験によっては、先ほども申し上げましたように鋳物実習あるいは旋盤実習などにおける実態、あるいは農業実習の一部における教諭より以上の知識を要求されておることも事実であります。そして実験実習指導以外におきましても、生徒指導の上で重要な役割りをいたしています。  それで、そういう皆さんに対する状況がどうなっておるかということになるわけでありますが、実習助手はこういう重要な教育的責任を果たすためにみずから研修に励みまして、多くの場合には、該当する実習についての高等学校二級普通免許状所有者になっています。昭和五十二年度学校教員統計調査によりますと、工業農業などの実習についての高等学校二級普通免許状所有者の数はいま指摘がありましたようにいろいろ言われておりますけれども、この中におきまして私たちまだまだ十分でないということを確認せざるを得ないわけであります。と申しますのは、教育職俸給表(二)の三等級適用職員になっておるからであります。それでこの三等級俸給表高等学校卒業基準で二号俸に位置づけられ、最高号俸が三十五号となっています。これは一年一号昇給としても五十一歳で頭打ち給料表になります。給与水準の面から見ると、公務員賃金基準である行政職俸給表の(一)表との比較におきましては、三等級は行(一)の八ないし六等級対応となっております。一方、人事院調査によれば、この行政職俸給表(一)表適用者年齢階層別等級構成比によると、五十歳以上で六等級以下の在給者はわずか四%であります。他は全部五等級以上になっておるわけであります。したがって、給与水準グラフにすると、きわめて明確になっておりますが、四等級まで標準的に昇進した場合の行(一)適用職員実習助手の教(二)三等級との比較では、三十七歳で逆転が起き、四十歳で八千五百円、四十五歳で二万五千八百円、五十歳で四万二千円と加速度的に格差が大きくなっています。また、行政職俸給表(二)表適用職員比較しても高齢層逆転が生じています。  なお、本年三月二十六日、参議院の予算委員会におきます文部省鈴木初中局長答弁によりましても、五十六年におきまして、各地方における学校事務職員などにおきましては、四十七道府県全部が四等級格づけになっておるわけであります。  こういう点から、本来、教育職俸給表(二)の三等級は助教諭など臨時的職員適用し、やがては二等級に移行していくその間の短い期間に適用する給料表としては存在しても、終身的専門職としての実習助手などの賃金表としては不適当であると言えます。その観点から、また、現在実習助手及び寮母以外に教育職俸給表(二)の三等級適用者実態としてはない状況を踏まえ、三等級俸給表を廃止するか、または二等級に包含統一すべきそうした中身でなくてはならぬと考えております。  次に人数についてでありますが、先ほどもちょっと触れましたけれども、現在のところ五十五年の調査でしか明らかになっておりません。五十七年の基本調査はございますけれども、それぞれの職種にわたっての明細な数字が出ておりませんので、いま言われました五十五年、一万三千八百八十名中九千三百八十九名というのは当たっておると思います。  さらに免許取得の問題でありますけれども、すでに前回も明らかにいたしましたけれども、六年十単位取得することによって、各県で主催しておる単位取得のための研修会などにおきましてそうしたものが満たされ、それによって各県の実態に応じた中でそれそれ試験が行われたり、あるいはそのまま直接任用されたりというような状況のもとにこの免許取得は行われておるわけであります。  ただ、その場合には工業実習あるいは農業実習というものにそうした道が開かれておりまして、一般の化学、物理など理科を中心とする教科を担当しておる助手におきましてはそういうわけにはまいらないわけでありまして、こういう面については省令を改正して、同等免許取得ができる方策をつくり上げなくてはならぬと思っています。  以上です。
  9. 佐藤(誼)委員(佐藤誼)

    佐藤(誼)委員 そうしますと、実習助手学校勤務並びに教育指導分野では教諭とほぼ同等仕事をなしている。具体的には、実験実習分野においてはもちろんのこと、校務分掌並びにクラブ活動全般分野について教諭とほぼ同等仕事をなしているけれども、給与面では、言うなればそれにふさわしい処遇が与えられていないというふうに私は聞き取ったわけでございます。それは具体的には、いまの教育職(二)表三等級適用ということが実習助手にはなされているわけでありますけれども、この点について、まず文部省給与担当の方に私の方から、あるいは局長だと思いますけれどもお尋ねしたいのですが、ここに文部省から出ている公立高等学校実習助手教諭との俸給比較というのがございます。これはございますか、同じ資料でちょっとお尋ねしたいので。よろしいですか、ちょっと確認してください。
  10. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 これは佐藤先生にお出しをした資料でございますから、私も持っております。
  11. 佐藤(誼)委員(佐藤誼)

    佐藤(誼)委員 それでは、昭和五十八年四月一日現在で、教諭実習助手教育職(二)表二等級と、教育職(二)表三等級、この比較を見ますと、この資料でおわかりのとおり、実習助手上位等級、つまり三十八歳以降年齢が多くなるに従って教諭実習助手格差がかなり開いていくという、これが歴然としておりますけれども、これは初中局としてはどう見ておりますか。
  12. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 実習助手につきましては、教育職俸給表(二)が適用されるわけでございますが、この三等級に格づけをされているわけでございます。三等級は二号俸から三十五号俸までございまして、仮に、高校卒十八歳の者が実習助手に採用されました場合には三等級号俸に格づけをされるわけでございまして、これが毎年定期昇給を受けるといたしますと、五十一歳で最高号俸に到達するわけでございます。したがいまして、佐藤先生に差し上げました資料についても、五十一歳というあたりが頭打ちになっているグラフになっているわけでございますけれども、こういう俸給表を見ますと、教育職俸給表(二)の三等級については、定年退職時を想定いたしました終身俸給表といたしましては問題があるという指摘をいただいておるわけでございまして、私どもとしてもこの辺のところは何らかの改善が必要だというふうに思っているわけでございます。
  13. 佐藤(誼)委員(佐藤誼)

    佐藤(誼)委員 いまの話の最後にありましたが、何らかの改善が必要だということが言われましたが、それはそのとおりであると私も思います。とりわけ、先ほど提案者である中西さんからの答弁にもありましたように、実習助手学校においては教諭とほぼ同等仕事をし、しかも先ほど統計数字で明らかなように、一万三千八百八十名のうち九千三百八十九名も教諭免許状を持っているわけです。任用の道が開ければ、これは当然教諭になり、いまお話のありました教育職(二)表の二等級、つまり教諭給与処遇を受けるわけなんです。ところが、そういう任用の道が狭いために、いまも話がありました教育職(二)表三等級処遇を受けている、こういう実態にあるわけですね。それ自体が一つ問題なんですが、いま話もありましたように、この三等級俸給表そのものがきわめて劣悪な状況にあり、しかも高位等級になればなるほど教諭との格差が開いてきている。これは、いま局長も言われましたように、実習助手の場合には高位等級になっていきますと、大体年齢五十一歳で三十五号俸ですか、そこで頭打ちなものですから、そういうところの格差が非常に開いてきているという、このことについて、後ほどまた全体の質問をいたしますけれども、改善方文部省としてぜひ努力をしてほしいというふうに思うわけであります。  それからもう一つは、同じような意味人事院に対して質問いたします。  まず第一点、昭和五十七年度の人事院勧告の中で実習助手に関する給与勧告が行われたわけでありますけれども、まだ実施はされてないわけでありますが、この勧告の特徴をひとつ御答弁いただきたいと思います。
  14. 斧政府委員(斧誠之助)

    斧政府委員 昨年の人事院勧告におきまして俸給表改善幅最高は四・八が大部分で、一部四・九があるという改善状況でございます。その中で教育職(二)の三等級改善につきましては、主として公立学校関係職員在職状況、そういうものをよくにらみまして、一番職員が集中しているところを四・八ないし四・九の改善ということで行っております。この改善の幅と申しますか、改善がされております号俸の数は十二号俸、九号俸から二十一号俸までということでございまして、他の俸給表と比べますと、研究職に次ぐ改善の号数であるということで、相当の考慮をしたつもりでございます。
  15. 佐藤(誼)委員(佐藤誼)

    佐藤(誼)委員 いま最後にありましたように、改善に当たっては相当の考慮をしたと言われましたけれども、これはいままでの実習助手給与における処遇が非常に恵まれてなかった、他に比較して格差があるということのために改善をしたのだと思いますが、ただ、残念ながら、昭和五十七年度の勧告はまだ実施されてないわけです。したがって、これは恐らくことしの勧告の中で実質的にはいわゆる上積みの形で勧告されてくると思いますが、いま局長が言われたように、勧告にかなりの改善のウエートを置いたということは、それ自体が現在までかなり劣悪な条件に置かれてきたということを物語るものだと思うのです。  そこで、私は引き続いてお尋ねをしていきたいと思いますが、先ほど教諭との俸給表比較を申し上げましたが、行政職との比較で考えてみますと、まず第一点は、何といっても実習助手俸給表が、先ほど答弁ありましたが、三十五号頭打ち、しかも年齢で言いますと、ほぼ五十一歳で頭打ちになってしまうという、これがやはり俸給表が持っている独自の問題点だと思うのです。  そのことと絡んで行(一)の俸給表と比べてみますと、これは先ほどありましたように、大体教育職(二)表三等級の対応するのが行(一)の大体八から六ぐらい、あるいは五ぐらいと言われておりますけれども、中には四等級までいくのもおるわけですね。こういうふうに比較をしてみますと、たとえば年齢五十歳以上で見ていきますと、行(一)の四等級に該当している方が約四八・九%いるのです。人数にして二万二千百六十七名、五十歳以上の等級別で見ますと四八・九%いるという、こういう状況なわけですね。これは俸給表比較を見るとほぼわかるように、実習助手教育職等級の場合には、行政職(一)の四等級に当たる人は事実上いないわけですから、行(一)の四等級教育職(二)表三等級との間にはかなりの差があるということは、こういう数字の中でおわかりだと思うのです。局長は専門家ですから、くどいことを申し上げなくてもわかると思うのですが、そういう教育職(二)表三等級、つまり実習助手給与表それ自体が持っている問題点、と同時に、いまの対応する行政職(一)表との比較を見ても、年齢の高い部分を比較してみてもかなりの差が出てくるということは、こういうデータを見ても明らかだと思うのです。  したがって特に上位等級、つまり勤続年数の長い、あるいは年齢の多い、そういう実習助手については今回勧告の中で一応考慮はしたというものの、基本的に改善の方途で考えていかなければならぬのじゃないかと思うのです。したがって、その点、局長はどのようにお考えであるか、お答えいただきたいというふうに思うのです。
  16. 斧政府委員(斧誠之助)

    斧政府委員 最初に、号俸最高号俸が三十五号俸になっているというお話でございますが、現在国の高等学校実習助手の方で枠外に出ておる方は一人もおりません。それで従来からこの号俸を何号俸に設定するかということは、実は職員の在職実態、これをにらみながら、必要があるものは号俸を延ばしていくという手段で改善措置を講じてきておったわけでございますが、実は六十年から六十歳の定年制が発足するということになりますというと、それを想定した号俸数ということを考えなければなりませんので、現在教育職俸給表(二)だけでなくて、全俸給表について職員の在職実態及び現在の給与制度のもとで昇給、昇進をしていく、そういう過程を想定いたしまして号俸を設定いたしたい、かように考えておりまして、鋭意検討中でございます。多分、六十年の給与制度の見直しをやっておりますが、発足時には枠外者は一人もいない、そういう状況をつくりたいということで鋭意検討しておるところでございます。  それから、教育職(二)の三等級、この職務をどう見るかということでございます。先ほど実習助手の方々が教育活動の中でどういう役割りを担っておるかということの御議論がございましたが、私たちは、制度的に与えられた職務人事院職務を設定するのじゃなくて、これは各省でそれぞれ職務内容を設定しておったわけですが、それを見まして、評価をして格づけを行う、こういう作業でございます。いま実習助手につきましてどういう観点でやっておるかと申しますと、一つは教職部内における均衡関係、それから職名等級でございまして、先ほど来先生言われておりますように、一生その仕事を続けていくという関係、そういうものを見ながら、しかも行政職との均衡ということも考えながらやっておるわけでございますが、先ほど先生がおっしゃいました五十歳以上の四等級の在職率というのは実は三八%くらいでして、四割近い方は四等級になるということです。教育実習に当たっている実習助手の方は教職調整額がついております。これは諸俸給表といいますか、俸給としてみなされる給与でございます。それを合わして見ていただきたいということが一つあるわけでございます。  いまこういうふうに御議論になっております結果として、今後実習助手の方が身分的に、あるいは職務内容としてどういう考え方に立つのかといいうようなことも見ながら、ひとつ十分そういう点を検討させていただきたい、こういうふうに考えております。
  17. 佐藤(誼)委員(佐藤誼)

    佐藤(誼)委員 いろいろいま局長述べられましたけれども、それは人事院としては、実習助手教諭免許状を持っているから教諭に採用されたら二等級適用、こういう問題は文部省との話ですからね。それは現に実習助手給料表、つまり教育職(二)表三等級適用を受けているわけですから、そのものずばり焦点を当てて議論されるという、これは人事院の性格としては私はそうだと思うのです。ただ、それはさておきましても、いま議論になっているところの教育職(二)表三等級、これが先ほど中西さんの答弁にもありましたように、本来で言うと、私たちのとらえ方では臨時的職員に対応するもので、終身専門職として勤める者の給料表としてはどうなのか、こういう問題が基本に一つあります。それは議論のあるところですから、ひとつおきます。  ただ問題は、給料表自体としての問題点、それから他との比較としての問題点、それで給料表自体としての問題点は先ほど申し上げましたから、つまり三十五号俸頭打ち、実質的には五十歳で頭打ちという、これはカーブで言えば、かなり高位等級になってくると横に寝てしまう、こういうことに具体的に問題点としてあらわれていることはあなたの方でもわかると思うのです。  それからもう一つは、行政職との関係で言いますと、いまいろいろ教育職調整給の話がありまして、それとの比較で言うと、行(一)の四等級はどうなのかということを言われましたけれども、あなたの方で出した資料でもこれは明確に違うんですよ。かなり差があるのです、あなた認められると思うけれども。そこで、いま申し上げたところの実習助手の方、この方はこの行政職(一)の四等級に行かないわけですから、しかもここには、私の方の調査では、五十歳以上の方は約四〇%以上いるわけですから、ここは画然と差がついているわけです。したがって、この部分は何とかこれからの改善の中で、先ほどの三十五号頭打ちと合わせ、それから相対的な比較の問題点と合わせ、やはり改善の方向でひとつ検討していく必要があるのじゃないか。特に昭和六十年、六十歳の定年制に合わせて給与全体の改善が見直されるという状況であればあるほど、この給料表がある限り、私は改善の方向で鋭意検討すべきだというふうに思うのですが、局長の基本的な考え方、この点について御答弁いただきたいと思います。
  18. 斧政府委員(斧誠之助)

    斧政府委員 たとえば公安職俸給表ですと、これも階級制度になっておりまして、職名によって等級が決まっております。教育職俸給表も同じでございます。今度の見直しの場合に、そういう職名によって等級が格づけされてしまうという俸給表については、これはかなり見直していく必要があるということを実は考えておるわけでして、いまどの程度の改善になるかということのお約束はとてもできませんけれども、先生のおっしゃいましたような認識でもって検討させていただきたいと思います。
  19. 佐藤(誼)委員(佐藤誼)

    佐藤(誼)委員 人事院の方は、私の質問としてはこれで終わりますので、どうもありがとうございました。  それで、引き続いて提案者である中西さんの方に質問していきたいと思いますが、先ほど実習助手人数が一万三千八百八十名、そして教諭免許所有者が九千三百八十九名、こうなっているわけです。これはかなり免許状所有者が多いわけですね。私は、いまの現行制度の中でこれだけの免許所有者がおりながら、果たしてどのぐらいの人が任用の道として開けているのかどうか、この辺、私は疑問に思うのでありまして、この辺の任用について、再度でありますが、中西さんの御見解を承っておきたいと思います。なお、このことの具体的な点については、後ほど文部省に私がお尋ねしますので、いま私がお尋ねするのは、この法案提案者としてどのような考え方を持っているか、この点だけをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  20. 中西(績)議員(中西績介)

    中西(績)議員 任用の問題でありますけれども、もともと昭和三十六年に免許法を改正いたしまして、実習助手学校現場で働きながら教諭免許状が取得できるようにすることといたしまして、当時、文部省答弁にもありますけれども、免許を取得した者を積極的に教諭任用していくことを明らかにいたしております。この基本姿勢からいたしまして、各県を指導していくと国会で言っておりますけれども、現在実習助手の半数以上が、いま指摘ありましたように免許を取得しているにもかかわらず教諭任用してくれないというのが現実の問題であります。その一番の原因が、定数法上の保障が何らなされておらないということが一つであります。したがって、教諭任用がしやすくなるようにするためには、この部分をどのように変えていくかが問題になってくるわけであります。  しかし無条件に教諭にするということはできませんので、実習助手の皆さんに勉強していただきまして、免許法に定めてある条件を満たして教諭免許を取得してもらうということは、まず第一の条件であります。そして現行免許法で不十分な理科あるいは障害児学校関係の実習助手教諭免許取得の方途につきましては、諸教科の実習助手と差別を生じないように、同様同程度の条件で免許取得ができるようにいたさなくてはならぬと思っております。このような制度改善が実現をいたしますと、当然のこととして実習助手はみずから研修に励んで、一層実験実習内容等についても深い知識あるいは技術を修得をいたしまして、そのことを直接子供にはね返していくわけでありますから、まさに私はこうしたことをすることが大変教育的にプラスになるものと確信をするものであります。  したがって、何としてもいま問題になっておるこの教諭によって定数を縛っておる、この点をどう緩和するかということになれば、私たち提案をしておりますように、教諭の定員枠の中に全部これを包含するという方策を求めれば、大体具体的な対策として一つのめどは立つわけであります。いま最後に申し上げました理科の実験実習等の助手については、職業課程におけるそれぞれのいままで行っておる方策と全く同じ方式でもってやりさえすれば、これは実現できると考えております。  以上です。
  21. 佐藤(誼)委員(佐藤誼)

    佐藤(誼)委員 そこで、いまの答弁に重ねての質問になるかと思いますが、実習助手先ほど答弁ありましたように、学校教育法五十条の中で「実験又は実習について、教諭職務を助ける。」という定めがあるわけですが、実際は一つの特色として、免許状所有者が非常に多い。これは先ほどありましたけれども、一万三千八百八十名の実習助手のうち九千三百八十九、パーセンテージにして六七・六四%の方が教諭免許状を持っているという、これは非常に特異な現象なんですね。本来から言えば、この方々はそういう制度上の道が開け、しかもしかるべく機関、省庁が努力をすれば、本来は教諭に採用されてしかるべき人がこれだけいるという実態一つあるわけであります。したがって、実習助手職務を担当はしているけれども、内実的には教諭相当の資格を持ち、それだけの教育効果を上げているというこの実態を私は忘れてならないと思うのですね。こういう特色が一つある。かつ、いまのことと関連して、教育現場実態でも、教諭とほぼ同等仕事をなしている、そしてまたそれだけの教育効果を上げているというこの実態は、まぎれもない状況だと私は思うのですね。それに比べて、いま提案者答弁されましたように、それでは給与の面や学校での実際の扱いやあるいは教諭任用の道、これら等々考えてみると、必ずしもそういう資格を持っている、教諭と同じ仕事をしているにふさわしい身分や待遇が与えられているかというと、そうじゃない。むしろ率直に言えば、冷遇されていると言うのがふさわしいような状況になっているというふうに私は思うし、ただいま提案者答弁されているわけであります。  そこで、重ねてでありますが、このような実習助手の置かれた状況を踏まえた場合に、このたび提案されている学校教育法等の一部を改正する法律案内容のポイント、特色はどこにあるのか、またそれは、いまの答弁と関連をいたしますけれども何をねらっているのか、この辺を端的にひとつ御答弁をいただきたいというふうに思います。
  22. 中西(績)議員(中西績介)

    中西(績)議員 簡単に申し上げますと、先ほどから申し上げておりますように、高等学校における実験実習指導はもちろん、教育全体にかかわって重要な任務を持っているということはすでに申し上げました。このような重要な実験実習あるいは教育全体にかかわっておるにもかかわらず教職員身分の確立、このことがいま一番欠けておる点ではないかと思います。したがって、これを補うということが前提になるわけでありますけれども、その場合に、いままでの論議の過程の中におきましても、あるいはこの制度がつくられた段階におきましてもそうでありましたけれども、そのように検討するとかあるいは十分な改善を行うということが言われておったし、さらに九十四国会におきましてもそうしたものに対する要請はありましたけれども、反対の意見は全然ないわけであります。  したがって、いま私が提案を申し上げるこの具体的な中身というのは、まず第一に、現行学校教育法にある実習助手を削除いたしまして、実習助手職務規定を削除をする。端的に言いますと、教諭と一元化するということが第一であります。  そして第二に、教諭と一元化した場合の定数の問題は、先ほども申し上げましたように、基本的には現行定数法の教諭の定数を実習助手の定数と合算いたしまして、新たな教諭全体の定数にするということであります。  そして第三に、教育職員免許法の一部を改正をいたしまして、高等学校における看護実習、家庭実習農業実習工業実習及び商業実習などを担当する教諭免許状取得資格に新たに高等専門学校を卒業した者及び看護婦免許状を有する者を加えるとともに、現に実習助手である者のうち、文部省令によって理科実験及び障害児学校特殊教科や養護訓練担当の教諭免許状が取得できるようにするということであります。  こういうことをいたしまして、経過措置十二年間をつけてこれの実現を図っていく、こういうことを考えておるわけであります。
  23. 佐藤(誼)委員(佐藤誼)

    佐藤(誼)委員 大変適切な答弁で、よくわかりました。  学校教育法等の一部を改正する法律案、つまり「等」と言っていることは、学校教育法、高校教職員定数法、教職員免許法というこの三つの法の改正に関連しているので「等」と言っているのだと思いますが、その中でいまの答弁に関連をして定数法との関係で私なりにとらえてみると、いまの改正のねらいとすることに関連をして、高校教職員定数法を改正して実習助手の定数を削除し、その数字教諭の定数に加えるということは、もっと具体的に言えば、いわゆる実習教諭の定数の枠がふえたことになり、実習助手でいわゆる実習教諭免許の所有者教諭任用する場合に従来よりも任用しやすくなるという、具体的にはこういうことになるのではないか。このことがいまの改正案の、特に定数法とのかかわりでのポイントになるというふうに私は理解しているわけであります。このことは、十二年の経過措置はありますが、やがて実習助手制度がなくなることにより、実習助手でやってきた実験実習教育をすべて実習教諭の免許を所有している教諭が担当することになる。そうなりますと、当然、教諭の免許を持っている人がすべて教育実習教育指導を行うわけでありますから、教育指導の質が向上するということになると私は思うのです。そのことは、まさに今日日進月歩の技術革新、とりわけ科学技術教育の重要性、その中軸になる実験実習の重要性を考えてみた場合に、教育的にもきわめて望ましい内容を持っている法律案ではないかと私は思うのです。そのことはまた、実習教諭免許を所有する実習助手教諭任用されるということについて、従来に比べて任用されやすくなるという、つまりその道が大きく開けていくということは、免許取得を目指して実習助手研修意欲が大きく引き立ってくる。また、言うなれば実習助手研修し、そして免許状を取得していくということに大きな励みになると私は思うわけであります。  私は、いろいろ内容的に多い内容を持っているわけでありますけれども、私なりにその重要なポイントをとらえますと、以上二点などが先ほど指摘されているような実習助手実態に比して非常に大きく改善される点ではないかと思いますので、その点、感想等もありましたら御答弁いただきたいと思います。
  24. 中西(績)議員(中西績介)

    中西(績)議員 今度の法改正を求めるわれわれの主要なねらいというのは、いま佐藤委員が言われましたような中身であることを、私も同様であるということを申し上げたいと存じます。  と同時に、ただ一つつけ加えさせていただきますならば、いままでこうした措置がなされなかった、そのことが文部省の行政的な怠慢であったし、そしてそのことがまた、ただ単に免許法改正だとか、あるいはいろいろな時期に、その都度その都度のその時期を乗り切るための手だてはいたしましたけれども、将来展望にわたる、教育全般に大きな影響があるという、こうした問題についての施策が欠落をしておったと私は思うのです。したがって、そういう面を今度の場合には補い、そして全部が教諭任用になることによって起こってくる教育面における充実そして効果、これを私たちはこの際に本当に生かしていかなくてはならぬと思っています。  以上です。
  25. 佐藤(誼)委員(佐藤誼)

    佐藤(誼)委員 そこで、改正案のポイント、ねらいはわかったのですが、ただ私は、この改正案が通って施行されていった場合に、きわめて素朴というか一般的な疑問があると思うんですね。その中の特徴的な疑問は、十二年間の経過措置で実習助手制度はなくなるとはいっても、それじゃ、いままで実習助手が担当してきた教育指導における実験実習準備あるいは後始末の分担などをだれがどのように担当するのか。つまり実験実習の学習をスムーズに進めるための新しい教育指導全体の秩序がどう保たれていくのか。この辺あたりは非常に疑問が持たれる点だと私は思いますので、提案者からその点をひとつお尋ねしたいと思います。
  26. 中西(績)議員(中西績介)

    中西(績)議員 実験あるいは実習教材の維持管理あるいは準備そして後片づけ、こういうものがいま指摘されたわけでありますけれども、制度を改正した場合、こうしたものは実験実習担当の教諭となることはあたりまえでありますから、実験実習をするに当たってその準備、後片づけ、維持管理などは、当然のこととしてその実験実習を担当する者が最良の条件で指導できるようにしておくべきものでありまして、実習あるいは実験に付随した当然の職務と考えておるわけであります。産業教育手当支給規則の精神からも、そのことは明確になっております。高等学校における実験実習教育、今日の科学技術の進展に基づいて自然事象観察、基礎的な技術、技能の修得によりまして理論を一層深めるものであり、ますます重要となっておるわけであります。したがって、実験実習教育は常に理論の学習と有機的に結合、関連づけて進めなければならないわけであります。  この見地から、実験実習教育は本来理論と実験実習両方を指導し得る教諭指導に当たるべきものと言えるわけでありますから、現状では教員養成機関などの不備や教職員の定数の不足などもあって、実習指導教諭にかわり実習助手が行っている現状が一部にあることは否定できない事実でありますけれども、実習助手研修を積み、実験実習指導についての高度の知識技術を修得することとともに、教職員免許法に基づく免許状を取得するなど、教諭としての資質を備える努力をいままでしてきたわけであります。  今後ますます重要となってくるこうした問題については、教員養成制度改善、現職教育の充実、教諭定数の増、実習助手制度改革などを含めまして、早急にこうしたものを充実させていくということを考えさえすれば、いま言われたような点につきましては各学校現場におきましてそれぞれ、たとえ教諭になったからといっても、たとえば工業などで言いますと班編成で指導しておりますから、事前事後における十分な討論、民主的な討論によって、その分をどう補完し補強をしていくかということを重ねていきさえすれば、問題は全く起こらないわけであります。  したがって、そうした点を十分注意しまして、むしろ私はそれを補完する教育機関なりあり方なり、そうしたものをさらに充実することの方がより重要ではないかと思っております。  以上です。
  27. 佐藤(誼)委員(佐藤誼)

    佐藤(誼)委員 提案者のただいままでの答弁によりまして、学校教育法等の一部を改正する法律案、この法律案の通過によって現行実習助手制度が発展的に改善されていって、そして実習実験を担当する教員の資質が向上し、科学技術の進展に合わせた科学教育技術教育、とりわけ実験実習に対する教育効果が大変向上していくであろうということが私にもよくわかったわけでございます。  そこで私は、この法案が通った場合に、所管する文部省の方に関連して私の方から質問を続けていきます。  まず最初に数字的なことを質問いたしますが、実習助手の数、それから実習助手でいわゆる実習教諭免許状を取得している者がどのぐらいいるか。これは、新しい資料としては昭和五十五年学校教員統計調査実習助手の数一万三千八百八十名、その中で免許状所有者九千三百八十九名、私はこういうふうに押さえているのですが、これでいいのかどうか、それがまず第一点。  それから第二点は、昭和三十六年以降実習助手から実習教諭任用された者はどのぐらいいるか、できれば年度ごとに答弁をしていただきたい。  以上です。
  28. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 高等学校実習助手の数でございますが、これは昭和五十六年五月一日現在の学校基本調査の統計がまとまっておりますので、それでお答えいたしますが、その数字は一万四千四百三十二人でございます。先生のお挙げになりましたのは五十五年度の数字でございますけれども、最近まとまりましたので五十六年五月一日現在の数字を申し上げたわけでございます。それから、実習助手のうち高等学校免許状を持っている者の数でございますが、これは数字といたしましては五十五年十月一日現在の数字でございまして、一年違うわけでございますけれども、一級の高等学校教員の免許状を持っている者は五十三名、二級の高等学校教員の免許状を持っている者が九千三百三十六名でございますので、合わせますと九千三百八十九名となっておりまして、先ほど中西先生がお挙げになりました数字に合致をいたしております。  それから、免許状の所有の中身は、詳しいことはわからないわけでございますけれども、大部分は実習教諭としての資格に必要な免許状だと思いますけれども、それ以外のものもあろうかと思います。それから、いま申し上げましたように実習教諭としての免許状を持っている者の数というのはこの中に入っているわけでございますが、内訳がはっきりいたしませんので申し上げられないわけでございます。一般に免許状を持っておりまして、実習助手がさらに実習教諭なり、あるいは普通の教諭ということもあろうかと思いますが、そういうことに採用されますことは望ましいわけでございますけれども、いまこの免許状所有者の中には認定講習等で免許状を取得された方もございますし、もともと採用のときに免許状を持っておった方が実習助手という形で採用されているという者もございますので、その内訳がはっきりいたさないわけでございます。  この中から教員に採用された数につきましては、文部省としては調査をいたしておりませんので数字を持っていないわけでございますが、三十六年に法改正が行われましてから免許状についての認定講習等が奨励されまして、それ以降毎年二百人ないし百五十人くらいの数が採用されていたという数字は過去には把握しておりますけれども、現在のところ調査はしておりませんので数字は申し上げかねるわけでございます。
  29. 佐藤(誼)委員(佐藤誼)

    佐藤(誼)委員 私の方から要望しておきますが、これからずっと文部省答弁あると思いますから、時間がありませんから答弁は端的にお願いしたいと思います。いまのは数字を言えばわかることですから。  それから、関連していきますけれども、実習助手でいわゆる実習教諭免許所有者教諭任用について文部省はどのように努力し、積極的な指導をしてきたのか、またその対策を講じてきたのか、その辺について、特に昭和三十六年以降で結構ですから御答弁いただきたいと思います。
  30. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 免許状を所有する実習助手が教員に採用されることは望ましいわけでありますが、具体的な採用になりますと、各都道府県等におきます任命権者が採用計画を立てまして勤務実績なり指導力等を勘案してやるわけでございまして、それは各県の任用の方針とかによりまして異なるわけでございますので、一律な指導はなかなかできがたいわけでございます。私どもとしては認定講習等の奨励をいたしまして、免許状を取得いたしました方が欠員等がある場合には採用計画に従いまして採用されることが望ましいというふうなことで一般的な指導はしているわけでございますが、特別に何年にどうこうしたということはしていないわけでございます。
  31. 佐藤(誼)委員(佐藤誼)

    佐藤(誼)委員 最後の結論のところで、特別にどうこうしたことはないと言われておりますが、私から言えば大変けしからぬことであります。昭和三十六年四月二十六日、例の免許法の改正のときに、政府委員として次の答弁をしているのです。これは内藤政府委員、恐らく後の文部大臣だと思いますが、議事録を見ますと、「そこでせっかく免許状をとった者が教諭に採用されないという事態になりますと、これは非常に本人に失望させますので、そういうことのないようにいたしたい。」以下ずっとありまして、「免許状をとった者が教諭に現実になれるように積極的に指導して参りたいと思います。」、はっきりこういう答弁をしているのです。ところが、先ほどありましたように、この答弁に基づいて積極的に指導してきたとするならば、昭和三十六年以降免許状所有者がどのくらい採用されたか数字もないなどということは全然努力をしていないということですよ。しかも、先ほど答弁の中では、具体的採用については各県の方針なり計画があるからだ、欠員があればするのじゃないか、こういうことでは、とらせることはとらせても、さっぱり答弁しているような任用の道は開けてこないということです。これは制度的に明確だと思うのです。そこで、いま欠員があればと言われたわけですけれども、なぜそれじゃそんなに実習教諭の免許をとりながら任用の道が開けてこないのか、その辺の隘路はどこにあると思いますか。
  32. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 これは実習教諭任用される場合の実習教諭の定数の問題があろうと思いますし、各県の新陳代謝の問題があると思います。一般的に職業教科につきましては、最近高校増設がございましても、どちらかといいますと普通高校が増設されておりまして、職業高校の教員配置は必ずしもふえていない、そういう中で、一定の定数の中で実習教諭にどう任命していくかということは各都道府県がいろいろ苦労してやっておるわけでございまして、その定数の空きをたとえば実習教諭の資格を持っている実習助手から埋めるか、あるいは新規採用のフレッシュな方で埋めるかというような方針につきましては、少ない中でございますだけに各県が採用方針を決めましてその中で運用しているということがございまして、私どもとして一律に実習助手の資格を持っている者の中から採用すべきであるとは言いがたい点がございますので御指摘のような結果になっているのかと思うわけでございます。
  33. 佐藤(誼)委員(佐藤誼)

    佐藤(誼)委員 いま冒頭に答弁されましたけれども、免許状を持っており、しかも教諭任用制度的に可能であって、欠員があれば採用されていくので、それは県の方針なり状況で違う、簡単に言うとそういうように答えてきたのですが、その中で実習教諭の定数ということを言われました。つまり枠のこと、これがポイントなんです。ここのところを改善しない限り、制度的に可能だなんて言ったって採用の道は開けてこないのです。  たとえば、これは山形県のある工業高校の例なんですけれども、もちろん校長、教頭は一名ずつおりますが、養教その他を除きますと、いわゆる教諭五十五名のうち、普通科教諭が二十四名、職業科つまり工業課程ですね、この教諭は二十六名、それに実習助手が十五名ついているわけですね、簡単に言いますと。この職業課程、つまりこれは電気とか機械とかいろいろあります。これは工業の免許を持っている方と工業実習の免許を持っている方があります。ところが、工業の免許を持っている方は座学実習と両方できるのです。ところが工業実習の方は免許の性格から実験実習しかできないのです。そうなりますと、おのずとこの二十六名の中には工業の免許を持った人が両方にきくものですからこれがほとんどを占めてしまう。そうしますと、実習助手の十五名のうち実習教諭、つまり工業実習の免許を持っていても、その中には入れないのです。意味がわかりますか。そこに問題があるのです。  だから、幾らそういう免許を持っておって制度的に可能であっても、いまのような実態、つまり工業の免許を持った人は工業座学実習と両方できる、したがって、この人を優先的に採用するということになるものですから、入れないということになる。それがいまいみじくもあなたが言われた実習教諭の定数の枠が足りない、これに関連してくるわけです。ここのところを改善しない限り幾ら免許状を取らして制度上は可能だ、欠員が出ればと言ったって、なりっこないことになっているのです。いいですか。だから、ここのところを主として改善しようとするのが、いま提案されている学校教育法等の一部を改正する法律案の中の教職員定数法の改正がこの部分をポイントにしているわけです。  簡単に言うならば、時間がありませんから申し上げますと、いまの例で言えば、二十六名の工業あるいは工業実習、つまり教諭の免許を持って教諭になっている方二十六名、それに実習助手十五名でしょう。その実習助手十五名を教職員定数の中に入れてしまうということなのです。そうすれば、教諭の数が二十六プラス十五ですから、したがってその枠の中で実習助手の十五名が工業実習の免許を持っているいわゆる実習教諭として採用されていく、こういうことが可能になってくるのじゃないかということを言っているわけです。それは当然この人たち実習助手のまま、免許のないままに採用しようとしているのじゃないですから、現に先ほど申し上げたように約七〇%近い人が免許を持っているし、これから取らせれば一〇〇%免許を取るわけですから、取った人をその枠の中に入れていけば幾らでも教諭に採用できるのじゃないか、しかもそれは先ほど言われたように、そのこと自体は実験実習生徒にとって指導の質が向上することにつながるのじゃないかというふうに私は思うのです。その辺を法の改正を通して制度を改正し、そういう任用の道を開きながら教育効果を上げようとするのがこのたびの改正案だと私は思っているのです。  この辺、文部省のあるいは局長先ほど提案されました改正案についての見解を私は承りたいと思います。
  34. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 御提案法案実習助手という制度を廃止いたしまして、それを計画的に実習教諭に切りかえるということでございますが、現在高等学校教育におきます職業科を中心とする学習は、やはり教諭実習助手が一体となりまして実習に必要な設備を整えましたり、施設を整えましたり、そういう形で準備をしながら一体となってやっているというところに効果的な教育が期待できるわけでございまして、この実習助手制度を廃止いたしましていま実習助手が行っております職務をだれが担当するかということにつきましては、教諭が担当するあるいは生徒に手伝わせるというふうなこともございましたけれども、厳然としてそのような職務があり、それに必要なこれだけの方々がいるわけでございますから、これを一挙に廃止をしてだれかに代替させるということは制度上として問題があろうというふうに思うわけでございまして、待遇の問題でございますれば、先ほどから御指摘がございましたように、教育職(二)の三等級号俸をどうするかということにつきましては、先ほど申し上げましたようにこの号俸の増設につきまして改善人事院に私ども要望しておりますし、そういう待遇の問題とそれから制度として必要な職制であるということとはやはり切り離して考えていかなければならないというふうに考えるわけでございます。
  35. 佐藤(誼)委員(佐藤誼)

    佐藤(誼)委員 私から言えば答弁になっていないのであります。現状は教諭助手が厳然として制度としてあって、それが一体になって教育効果を上げているのだ、したがってそういう制度があるのだから、それはその制度のままでいくことが望ましいのだ、そういうことを言われているわけですが、その制度をよりよいものに改善しようとするのがこの改正案なんですよ。  というのは、なぜか。つまり先ほどの私の具体例で言うならば、教諭が二十六名おって実習助手が十五名おって、そして実験実習を見れば、実験実習の主たるところの役割りはこの教諭二十六名が座学とあわせてやっているわけだ。これは、それを助ける形になっているわけです。これが現状です。ところが、先ほど言ったように、この助手の方が免許状を取ったって、そういう可能な制度とは言うけれども、私が先ほど言ったように実際は採用されないでしょう。枠が決まっているし、どうしても工業免許優先の形になりますから。幾らあなたがそういうふうに言ったって、現実に採用される道はないのですよ。だとするならば、そういう任用の道も与えながら、制度任用の道を可能にしながら、しかもいまの実験実習教育効果を下げないでいまの教育現場改善していく道は何かということです。これがいまの改正案に出ているわけです。ですから、具体的に言うならば、いまの工業の二十六名の教諭実習助手が十五名、この実習助手十五名を切ってしまうというのじゃないのです。これを教諭の枠の中に入れて、簡単に言えばこの十五名を十二年間の中で教諭にしていくということを言っているわけです。  とすれば、当然その教諭になった方々が協力して実験実習をやっていくのですから、まず枠の中で教諭に採用されていきますから、この人たちがよりその間において研修して免許を取るわけですから、従来は実習助手が補助的にやっておった者が正面の教諭として実験実習をやるわけですから、教育効果が上がるのはあたりまえなんです。しかもその人たちは、そういう枠を広げることによって任用の道が出てくるのです。これは何も隘路になるものがないじゃないか。やればやれるのじゃないか。実態がそうなっているのだからそのままいくのが望ましいなんて、そんなことを言ったら発展はないのですよ。いま問題の問題点は改善できないですよ。  だから、そういう点から言えば、いま出ている法案というのは非常に現場に持っている問題点を適切に解決をし、しかも教員の質を高め、教育効果を上げることができるのじゃないかということを主張しているわけです。私もそう思う。  ただ問題は、私が法案提案者最後質問したように、実習助手制度がなくなったときに何が問題が起こるだろうか。その場合に、いままでの、昭和五十六年ですか、あの議事録なんかを見ても、一番中心になったのは、それでは実習助手がいま担当している仕事をだれがやるのかということです。つまりいまの補助的な仕事。器材の整備、後始末、これは実習助手でなければできない仕事じゃないのです。教諭の免許を持ちながら実験実習教諭として指導する中で準備や後始末ができるのです。またそのことは、教諭の資格を持ち、質の高い人がその方をやった方が教育効果は上がるのです。これは助手がすとんとなくなれば別だけれども、その中に繰り入れていくならば、くどいようでありますけれども、十分にそういう隘路は打開できると私は思う。  重ねてこのことについては文部大臣の説明、答弁を私はいただきたいと思います。
  36. 瀬戸山国務大臣(瀬戸山三男)

    ○瀬戸山国務大臣 きわめて技術的なといいますか、細部にわたっての御議論でありますから、私はただいまここであの措置はいいでしょうという判断をする認識をまだ持っておりません。ただ、何でも制度というものは、やはり各方面で意見を聞いて、改善の余地があれば改善すべきものだという考えを私は持っておりますが、先ほど来の御議論を承っておりまして、一体ある数種の学科について実習助手というものが要るのか要らないのかというところに議論が詰まってくるような気がいたします。  現行制度があるわけでありますが、実習助手が要るということで制度があるわけでありますが、こういう方々がいろいろな研究をし、ある資格を取ってだんだん向上していく道を開くことは大いに望ましい。三十六年でございますか、そのときに、だんだんそういう採用の方に指導したいということが実現されておらぬという意見もありましたが、そういうことは、できるだけそういう機会があれば、また余地があれば、そういう方面にどんどん向上していくということはきわめていいことでございます。  ただ、その際、そういう余地が、枠があるかないかという、これも全体の問題にかかってきますから一概には言えないわけでありますが、現在ありますものを、実習教諭といいますか、その中に含ませてしまえばいいじゃないかということがいいのかどうかということは、私はいま判断ができないわけでございまして、これはもう少し検討しなければそこまで踏み切っていいのかどうか、局長答弁いたしておりますように、こう言っては失礼でありますけれども、雑務的な仕事学校の先生方が全部やれるのかどうかというところにかかってきているのではないかと思います。教諭の人が全部それまでやれば教育効果が上がるのじゃないかという佐藤さんの御意見、それもそうかもしらぬという気もいたしますが、そういうことにならないから実習助手というものが必要で今日まであるのじゃないかという点もまた頭に浮かでくるわけでございまして、これはもう少し検討させていただきたい、かように私は考えます。
  37. 佐藤(誼)委員(佐藤誼)

    佐藤(誼)委員 文部大臣は、文部大臣になってから非常に日が浅いのですけれども、さすがにいまの討論の中からポイントの部分を、輪郭をきちんと押さえているようですが、ただ私は、専門的な部分ですので大臣にもっと勉強していただきたいというふうに僭越ながら思います。同時に、足踏みだけしておったのじゃ現場はよくなりませんので、この足踏みを一歩でも二歩でも前へ進めていくという方向でひとつ検討を続けてもらいたいと思うのです。  ただ、文部大臣に明確に認識の点で私は問題にしておきたいと思うのですが、いまあなたも言われましたけれども、実習助手研修されていくのは大変結構なことだ、免許を取られることも結構なことだ、しかもそういう制度がちゃんとあります、これはどなたも言っている。あなたもいま言った。そして、欠員という言葉を言われましたけれども、たまたまそういう条件が整えば採用も可能だし努力もしていきたい、これも言われた。ところが、昭和三十六年から、五十八年ですから二十二年間たっている。二十二年間たったのですが、そういうことで免許を取った人が、先ほど九千何ぼと言った、約七〇%の人は免許を取っているのだけれども、反対に言えば、採用されなくて詰まっているわけだ。そんな可能だと言ったって、何とかしなければこれはどうしようもないのじゃないか。しかも、その人に道を開くことが教育効果の点からいって、教員の質を高める点からいってもマイナスであるならば、私は問題だと思うのです。私は先ほど言ったように、実習助手教諭の枠に入れることによって任用の道を開きながら、しかも教諭免許を取る意欲を高め、質を高め、そして教育現場の重要な実験実習にこたえていくということは、何らマイナスではないのではないかというふうに私は思うわけです。そして、いまいみじくも言われましたけれども、実験実習準備であるとか後始末であるとか、これは何も実習助手でなくたって実習を担当する教諭がやれることなんです。私もかっておったのですからそんなことはわかるのです。何も教諭だからそこにちゃんと準備できたものをやらなければならぬということはないのです。自分がちゃんと子供にしようとするものを自分にふさわしい形で準備をしておく、次の子供のためにちゃんと後始末をしておく、これが一番望ましいことなんです。私はこのことをよく考えてもらいたいのです。  そういう点から言うならば、このたびの改正案というのは、いま教育現場が持っている実習助手をめぐる問題を非常に有効適切に改善する方向であり、しかもそれを解決するだけでなくてむしろ積極的に教育効果が上がる点で改善していくことだと思うのです。したがって、きょう文部大臣は十分に中身を御理解いただけない点もあると思いますが、私はそういうふうに思いますので、ぜひ文部大臣からも、そういう方向で前向きに研究し、取り組んでまいりたいというような形でひとつ締めくくっていただけるかどうか、重ねて私は答弁を求めておきたいと思います。
  38. 瀬戸山国務大臣(瀬戸山三男)

    ○瀬戸山国務大臣 前向きとか後ろ向きとかいうことでなしに、そういう問題があるということはよくわかりましたから、どちらがいいのかということは研究をしてみたい、かように考えます。
  39. 佐藤(誼)委員(佐藤誼)

    佐藤(誼)委員 それでは、次の質問者も控えておりますので、私は重ねて文部大臣に、研究する場合に私の申し述べたことも十分検討しながら一歩でも二歩でも踏み出すという方向で御検討いただきたい、このことを申し述べながら、私の質問を終わります。
  40. 葉梨委員長(葉梨信行)

  41. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 学校教育法の一部改正について中西さんに最初に質問したいのです。  みんなの努力でだんだんと養護教諭も事務職員も充実してきたと思っておるのです。それにもかかわらずあえてなおこの法律をいま出さねばならないということを、端的に言ったらどういうことですか。
  42. 中西(績)議員(中西績介)

    中西(績)議員 第九十四国会におきましてもこの法律を提案する理由の中にも明らかにしておるわけでありますけれども、学校におきましては校長、教頭、教諭、養護教諭のほか、学校事務職員学校栄養職員、司書、給食調理員、用務員、警備員など、各種の職員が配置されております。これらの職員が一体となって活動しなければ学校教育の目的を十分に達成することはできません。これらの職種のうち、特に養護教諭及び事務職員につきましては、その職務の重要性にかんがみて、小中学校及び盲・聾・養護学校には原則として置かなければならないことを学校教育法において定めておることは御承知のとおりです。  ところが、学校教育法制定以来三分の一世紀を経過した今日におきましても、法制定時の事情から未設置の根拠となっている経過規定、言いかえますと附則百三条、養護教諭の問題でありますけれども、あるいは例外規定、二十八条の一項、事務職員にかかわる問題でありますが、いまだに撤廃されておらずに、養護教諭及び事務職員の全校配置は実現を見ておらないわけであります。  したがって、養護教諭と事務職員の重要性、必要性については私はここでるる申し上げる必要はないわけでありますが、すでにこの文教委員会でも何回となく論議されてきたところでありますが、私に一言で言わせるならば、行政の理解が不十分ということと努力不足がこうした結果を招いておる、このことは大変私は遺憾であると思うわけであります。  したがって、こうしたことを勘案いたしまして、養護教諭、事務職員両者の重要性と全校配置の必要性を強調するためにこうした提案をいたしておるわけであります。  以上です。
  43. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 鈴木局長、いま提案者が、事務職員については二十八条の第一項の「特別の事情のあるとき」は事務職員を置かないことができる、それから養教では百三条の「当分の間、」置かないこととする、これは昭和二十二年ですね。二十八条で事務職員も養護教諭もありながら、附則でもって養護教諭の場合は「当分の間、」があり、本則で事務職員の場合は二十八条の中に「特別の事情」があるときはと言っておるが、この理由は何ですか。
  44. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 学校教育法制定当時の解説等を読みましても、その辺のところを明確に書いたものはないわけでございますが、やはり事務職員職務と養護教諭職務の性格の違いと申しますか、そういうところからこのような法制上の定めになっているのかというふうに考えるわけでございます。
  45. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 二十八条には、その当時「教頭」がなかったのだが、校長、教頭、教諭、事務職員等とずっと並んでいますね。置かないでいいという中の事務職員は二十八条そのものに「特別の事情」があるときは置かないでよろしいとある、そして附則の中で養護教諭の場合は「当分の間、」、その違いは何だ、その原因がわからぬとこれは解決しないのです。
  46. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 規定の仕方は、二十八条の事務職員につきましては、これは「置かなければならない。」と書いておきまして、ただし書きで「特別の事情」があるときにはと書いてますので、一応そういうことにしておきながらただし書きにしております趣旨は、特別な事情で説明がございますのは、小規模学校とかそういうような場合にまで事務職員を必ず置かなければならぬとするほどのことは、例外として許容するということであろうかと思いますし、また養護教諭につきましては、これは事務職員職務の性格とは異なりますけれども、その養成の問題でございますとか需給の問題等も含めまして当分の間というふうなことで、法形式としては異なった定めをしているのかというふうに思うわけでございます。
  47. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 事務職員の場合は小規模校に置かないということがあり得るからということは全校必置を否定することになりますね、いま局長答弁によりますと。  それから養護教諭の場合は、おっしゃるとおり、あの当時はまさに養成の問題であったはずであります。昭和十六年から養護訓導になったけれども、それまでは学校看護婦でしょう。教諭ではなかったのです。ですからその必置制を、二十八条は「置かなければならない。」のですね。だけれども、養成ができないから「当分の間、」なんです。当分の間とは養成される間という意味であります。そうではありませんか。そこだけ先に聞きましょう。
  48. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 この百三条の規定の趣旨は、養成の問題とかあるいは財政の事情とか、そういう諸種の事情が入っておるというふうに思います。
  49. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 確かに財政もあるのです。ただし財政だけだったならば、これは二十八条の第一項の「特別の事情」があるときに置かないでよろしいという事務職員、それが実は財政なんですよ。すなわち、いまあなたがおっしゃったように「置かなければならない。」必置制なんだけれども、あの二十二年当時の財政事情からして、小規模校まで手が回らないときには置かなくてよろしい。もし財政事情だけだったならば、養護教諭の場合にも二十八条の第一項に入れるべきことなんです。そこのところが鈴木さん、明確にならぬと、この法案の趣旨というものが、二十二年に学校教育法ができたときのその二十八条の第一項の「特別の事情」と百三条の「当分の間」があるから、それがあるばかりにまだ全校に配置されておらない。だからこの法案が出たんですよ。いま中西君が提案している法案が出ているわけです。  だからその原因は一体何か。もしもいまおっしゃったように財政事情と養成という二面であるならば、もはや養護教諭の場合は、養成は、当時はなかったけれどもいまは余っているでしょう。いま余っているならば、「当分の間、」というものは養成の必要上当分の間であるなら、それが今日養成が十分にできておるならばこれはもはや削るべきである。もし削らないとするならば、全校に配置されないならば、まさに行政の怠慢であると先ほど中西さんが言ったことになる。  財政事情、昭和二十二年当時の財政事情と、今日財政が苦しいとは言えども、およそ財政の事情は違う。法律は原則として「置かなければならない。」必置制であります。ただ、財政の事情というならば、二十二年といまは違う。この間における努力が果たして十分だったか否か。だからこそこの法案が提起されているのだろうと思うのですが、いかがでございましょうか。
  50. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 事務職員を例外規定として認められておりますのは、必ずしもその財政事情のみではなくて、やはり学校という組織を考えまして校長、教員というどうしても置かなければならない、教育が成り立たない部分と事務、そういうものを一応切り離しまして、それは小規模等の場合は許容したわけでございまして、その例外のただし書きの規定の趣旨はそういうことであろうかと思います。  それから、養護教諭の養成につきましては、確かに順次改善されまして、需給の関係から申しますと充足ができるようになっていったわけでございますが、これは文部省がこれまで配置率等の改善につきまして第一次、第二次、第三次、第四次と、いろいろと需給計画を勘案して配置率の改善を図ってきたということをごらんいただければ、行政の怠慢ということではなくて、時代の変化に即応しながら努力をしてきたということが御理解いただけるのではないかというふうに思うわけでございます。
  51. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 今次、いま進行中の第五次の標準法が完成したときにおける養護教諭及び事務職員の配置率、到達率といいましょうか、それと、現実の現在の配置率、これは配置率の中にはたとえば県費とか市町村費とかあるいはPTAだとか、そういうものもあるわけでありますから、できればそういうものを区別してちょっと数字を挙げてください。
  52. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 ただいま第五次の定数改善計画を実施しているわけでございますが、これが完成いたしました暁の配置率は、養護教諭、事務職員とも九六・〇%というふうになります。  それから、いまもう一つ質問がございました趣旨、ちょっと聞き違えておりましたので、もう一度お確かめいたしましてお答えしたいと思いますが、市町村費とか、そういういわゆる県単のものを入れた場合というようなものでございましょうか、もう一度、恐縮でございますが……。
  53. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 これは第五次の完成時ですね、九六%は。それはこれから十何年後だな、十二年計画のうちの。ちょっと延びていますからね。だから、現在一体何%か。九六%は完成時でしょう、第五次の完成時。では、現在幾らなのか。同時に、現在の中にはPTAとか県費とか市町村費とかがあるわけでしょう。それを二つに分けなければ現在が出ないわけね。
  54. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 現在の数字は、これは五十七年五月一日現在の配置率でございますが、養護教諭につきましては小学校が八一・五%、中学校が八〇・〇%、合計いたしまして八一・一%でございます。事務職員は小学校が七七・九%、中学校が七四・七%で、合計いたしますと七六・九%が五十七年五月一日現在の配置率というふうになっておりますが、県単の数字につきましてはもう少し検討させてからお答えさせていただきたいと思います。
  55. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 これで、いままでの努力によって十分だと言えるかどうかは、さっき言った、この法律ができたときの「当分の間、」とか、その当分の間に養成されたか否かというような数を考えれば、やはりさっき中西さんが言った努力不足ということが言えるのじゃないかという気がいたします。  そこで、時間がありませんから先を急ぎますが、事務職員校務分掌の中で部活動をさせられたり生活指導をさせられたりしているのが相当あるんだね。これをどう思いますか。
  56. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 それはあくまでも教諭が担当すべきであって、たまたま教諭に適任者がいないとか、あるいは事務職員の中でそういう特技を持っているというふうな方があるいは顧問という形で委嘱をされているということもあろうかと思いますけれども、本筋の職務ではないというふうに思います。
  57. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 まさに二十八条は「事務職員は、事務に従事する。」でありますから、「教諭は、児童の教育をつかさどる。」でありますから、いまおっしゃったことだろうと思うのであります。  そういう観点に立つならば、校長は授業をできますか。
  58. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 「教諭は、児童の教育をつかさどる。」ということでございますし、校長の職務は「校務をつかさどり、所属職員を監督する。」ということでございますから、直接児童の教育をつかさどるということではございませんで、授業はしないわけでございますが、校務をつかさどるという形の中で児童生徒教育に関係をしているということであろうかと思います。     〔委員長退席、中村(靖)委員長代理着席〕
  59. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 児童生徒、中学では生徒ですね、その教育をつかさどるという中には、何も授業だけではありませんね。ところが、教頭は「必要に応じ児童の教育をつかさどる。」とあるのです。だから、教頭は必要によって教育をつかさどるのです。校長の方にはそれはないのです。だから、必要があっても教育をつかさどれないのです。教育というのは授業だけではありません。そうなりませんか。
  60. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 校長の職務が校務をつかさどるということでございまして、学校の事務全般、その中には教育も当然入っているわけでございますが、教育の実際の授業を含む生徒指導等は、免許法上のこともございますから教諭教育をつかさどるという形でやるわけでございますけれども、そういう児童生徒の全体の教育活動の統括でございますとか、あるいは教諭に対する監督ということを通じまして、やはり校長は児童生徒教育に関係しているというふうに思うわけでございます。
  61. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 関係しているなら、では、教育委員会文部省もみんな教育に関係しているな。そうすると、みんな、文部省教育職員だ。そうなりませんか。
  62. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 木島先生のお尋ねはその次がございますので、いろいろ思案しながら言っておるわけでございますが、学校という一つの組織の中において、やはり校長がその学校という教育機関の中で校務をつかさどるということでございますから、一般の教育委員会教育長なり指導主事が児童生徒教育に携わるのとは違いまして、学校の中で全体の教育活動を統括する中でやはり児童生徒教育に直接関連する仕事をしておるというふうに私は評価をしておるわけでございます。
  63. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 いいのですが、ただ、率直に言いますと、これは教頭法ができたときに教頭の条項が入ったわけですね。そのときに、必要によって教育をつかさどると入れたものであります。そして校長の方をそのまま放置しておいたものです。だから、文理解釈をすれば、校長は教育をつかさどらぬことになる。教育をつかさどらぬとなれば、これは教育職員ではない。管理職手当はやってもいいけれども、教育職俸給表適用は誤りということになる。しかし、教育全体に関係しているというならば、文部省教育委員会職員もみんな教育職員として教育職給与表を適用して月給を上げたらよろしいということになるわけです。これは一度条文を整理する必要はありませんか。
  64. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 教育職員という範疇をどこに限定するかということのお尋ねかと思いますけれども……
  65. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 いや、条文の校長の中に「必要に応じ児童の教育をつかさどる。」という一項を入れないでいいのか。
  66. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 校長は、校務をつかさどるという形の中で全体の学校教育活動をやっているという意味では差し支えないというふうに思います。
  67. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 そうならぬのだ。「教頭は、校長を助け、」だから校務が入っているのですよ。そうでしょう。「教頭は、校長を助け、校務を整理し、」だから校務が入っているのです。その上になお「必要に応じ児童の教育をつかさどる。」とあるのだから、教頭では校務と教育とは別になっているのですよ。だから、校長の場合もそれを整理しないといけません。きょうここで結論を出さなくていいから、検討しなさい。
  68. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 教育職員じゃないというお話がありましたので、それはやはり教育職員という概念から校長を外すということではなくて、中心教育をつかさどる教諭かもしれませんが、しかし教頭であれ校長であれ、教育活動を営んでいる学校の最も重要な統括の機関でありますから、それが教育職員から外れるということではなくて、やはり校務をつかさどるという形の中で学校全体の教育活動を総括しながら、児童生徒教育にも深い関連を持って当たっているという意味教育職員という範疇に入るのだと思います。(木島委員「条文は」と呼ぶ)条文の整理はいまのところ必要がないのではないかというふうに思っております。
  69. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 そう言われると私はまた言わなければならぬ。これは検討すべきことですよ。校務の中に教育が入ると言うのなら、教頭の方も「校務」と書いてあるのですよ。そして「必要に応じ児童の教育をつかさどる。」とあるのです。校長には「校務」はあるけれども、「教育をつかさどる。」ということはないのですよ。だったら「校務」でもってすべてやっていくということにはならぬじゃないですか。教育というのは授業だけではございませんね。きょう結論を出さなくていいが、検討の要はありませんか。
  70. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 校務の中に教育が入らないということではございませんで……
  71. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 そうは言っていません。教頭の方には「校務」と「教育」と二つが入っているのだよ。
  72. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 失礼いたしました。これは教頭法の成立の際にいろいろ議論がございまして、もともと教頭は充て職であって、教諭一つ職務を充てるという形であったものを教頭という職制にいたしまして、その際に、実際に教諭として従来やっておりました教育活動を法文上に明定するかどうかということで、管理職の一面と児童の教育をつかさどるというところをあわせ持つような教頭の性格として規定したわけでございます。校長につきましてはもともとそういうことではなくて、全体の校務をつかさどる職種として従来からあったわけでございますから、それを教頭に準じて改める必要はないというふうに思っています。
  73. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 これはむしろ教頭にこれを入れたときの教頭の条文の誤りかもしれません。いずれにしても、きょうはこれがテーマでないからこれに余り深入りしている時間はないのですけれども、この二十八条というのは大変大事な条文ですから、私はなお今後も取り上げますよ。  しかし、大きく言いますと、条文の表現はどうあれ、いま局長おっしゃいますように、学校という一つの独立した社会の中でもって、校長も教頭もあるいは養護教諭も事務職員もみんな一緒に子供の成長のために、幸せのために力を合わせているという意味において教育職員だと私も思っておるのです。  そこで、先ほどの事務職員部活動、これは原則的にはやはり教諭がすべきことであります。しかし、たとえば非行暴力なら非行暴力という問題が起こったときに、事務職員職員会議にも出なければいけませんね。事務職員として非行暴力なら非行暴力の関係をその学校子供たちを扱っておる一員としてやらねばならぬということもあるでしょうし、そういう委員会に顔を出さなければならぬこともあるでしょう。あるいは臨海学校があるというときに、事務をやるために行く以外に子供と一緒になって、先生と一緒になってやらなければならぬということもあるでしょう。運動会なら運動会を先生も子供もみんな運動場でやっているときに、私は事務職員だからといって事務室にだけいていいかどうか。小学校、中学校ならやはり一緒にいるでしょう。  そういう意味で言えば、この条文では校長が教育をつかさどるということはないけれども、また「事務職員は、事務に従事する。」というけれども、やはりここには教育的独立性がある、専門性がある。だからそういう意味で、事務職員を一般の行政の事務職員と同じくしておいていいのかどうか。学校教育法二十八条に列記しておる事務職員であります。別に用務員はこの二十八条にはないのです。とすると一般行政職と区別をして、たとえば教育事務職員というような、その表現がいいかどうかは別として、そうすることが法の体系からいって素直な考え方ではないかと思うのですが、いかがですか。
  74. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 学校という教育機関の中に教育職員、事務職員、そのほか必要な職員を置くことは、学校全体がその目的を達成するために必要な配置という意味ではその中に含まれるとは思いますけれども、しかしこれは、たとえばいまお挙げになりました事務職員が運動会の際に世話をするとか臨海学校で世話をするとかいうことは、教諭教育をつかさどることを主たる仕事としながら、学校の事務でございますとかそういうものを付随して行うということがあるのと同じように、事務だけではなくて、学校の活動に関連いたしましてそういったことを付随してやるということがあろうかと思いますけれども、それを用いまして特別に学校事務職員という職種が成立するということではございませんで、やはり事務を中心とした仕事をする職種、その中で付随して、関連してそういうことが行われるということはあろうかと思います。
  75. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 そこにこだわるのじゃなしに、二十八条に列記されておるこの職種、これは教育職じゃないのか。だから用務員だとか栄養士だとかなんとかというのは入っていないわけで、法の体系からいって、二十八条に並べられておる職種は教育職員と考えるべきではないかということをお聞きしておるのです。
  76. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 やはり学校という一つの経営体を成り立たせるために必要な教育職員と事務職員である、それが必要だという一つ学校という経営体の組織から来た規定でございまして、これが全部教育職員だというふうにはならないと思います。
  77. 中西(績)議員(中西績介)

    中西(績)議員 いま御指摘教育職としての学校事務、このことを考えますと、実態としてある状況がどうなっておるかということを一つ例証としてとらえておく必要があるのではないか。幾つかありますけれども、たとえば福祉の確保の問題、就学困難な児童生徒教育条件をどう保障するかという問題等から、いろいろ多くの問題があります。さらに、児童生徒の安全な学校生活を保障するための安全確保の問題、あるいは地域社会、父母あるいは学校との関係の中における窓口としての役割りの問題、さらに教育効果を高める予算執行の問題等を含みまして相当多くの問題があるわけであります。これがすべて教育とのかかわりの中で考えられていかなくてはならぬ。と同時に、文部省が従来から言っておる内容である文書、統計、給与、福利厚生、いわゆる学校事務、こういうものを全体的に考慮した場合には、教育とかかわりを持つ事務職としての特殊性を考えるべきではないか、こういうことを考えます。
  78. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 いま中西さんがおっしゃいましたようなことを前提として、この委員会あるいは内閣委員会その他、事務職員給与改善等は給与法その他の場合においても附帯決議等ずいぶんと以前から何回も繰り返されております。国会の意思は、附帯決議を通しながら何とか改善をしたい。しかし、なかなかできないから同じ附帯決議が繰り返されておる。なぜできないのか、それは一般行政職だからであります。だから、たとえばこれを教育事務職員という式のものにすれば国会の意思が実現するではないか、そのことがまた法体系の上でもすきっとしているのではないかと思うのですが、いかがですか。
  79. 中西(績)議員(中西績介)

    中西(績)議員 いま指摘がありましたように、昭和三十年における決議、さらにまた四十九年の参議院文教委員会における決議、さらに人事院勧告の中身等々、ずっと挙げてまいりますとそうした問題がたくさんあるわけであります。そうした意味におきまして、文部省は、この実態内容を十分勘案しておらない。極端な言葉で言いますとサボタージュしているわけですから、この点を十分勘案して取り組みさえすれば、立法府の側としてはこうして決議をしておるわけでありますから、、一定の方向性というものはたちどころに出てくるのではないかと思っております。
  80. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 次の問題に移ります。  先ほどの話で、事務職員でいうと七〇%台でありますが、配置されないのは小規模校でありますが、小規模校だからといっても一定の事務量はある。事務量と児童生徒数との相関関係というようなものの研究は何かありますか。
  81. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 そういう研究はいまのところ見当たりません。
  82. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 小さい学校だからゼロということはないわけですね。しかし、大きい学校は多いだろうと思います。必置制であるから一人ずつはどんな学校にもいるだろう。けれども、大きい学校は一人でいいかというと、そうもならぬだろう。  小中高おのおのの学校、同じ児童生徒数における事務量の計算というのは何かありますか、ありませんか。
  83. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 学校事務のようなものはかなり定量的に把握できる面がございますから、大数的な観察といたしましては、小規模校には、必要な事務はございますけれども、その部分は分量としては少ない、ある一定の規模になりますと非常に事務がふえてくるというふうなことはあろうと思いますが、小中高等学校によってどの程度事務の内容が違うかというようなところまではいまのところやっておりませんけれども、高等学校の事務職員の定数でございますとか中学校の場合の事務職員の定数、そういうものはある程度経験に照らしながら修正してやってきたというようなことであろうかと思います。
  84. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 そこで、いまおっしゃったこととかかわるのですが、たとえば高校の場合は——よけいだと言うのじゃないですよ。事務長があり、事務室を持って数人いらっしゃいますね。小中高において同じ人数で、たとえば中学校は一名である。もう少し小さい学校だと小中は事務職員がいない、あるいは養護教員がいない。このあたり、ちょっと変に思いませんか。
  85. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 これは高等学校の場合でございますと、授業料の徴収事務とか、小中学校とは異なった性格の事務がございまして、そういう授業料の徴収事務を都道府県の教育委員会から任命されてつかさどるというふうなこともございまして、高等学校ではかなり性格の違った事務を処理しているということもございまして、高等学校の事務職員の配置が異なっていると思います。
  86. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 小中学校は、会計事務を教諭みずからやっていることが多いですね。言いたいことは、必置制であるということであるが、一人ずつ配置すればいいのだということではないということであります。最小限一人だろう。しかし、大規模校には大規模校としての事務が多いのでありますからそれはそれなりの人数を——それは高等学校とイコールにせいと言うのじゃありません。  最初に戻りますけれども、まだ必置制になっておらないということは怠慢だという言葉——怠慢という言葉は私が使ったので中西さんは努力不足とおっしゃったわけでありますが、ということは、一名ずつということすらできておらないということでそういう言葉が使われたのだろうという気がいたします。  そこで、次に行きます。  大規模校と小規模校というけれども、本来その差がなくなることが教育上好ましいという立場から標準学級というものがあるのだろうと思います。教育の効果を上げる、そのために十二ないし十八という標準学級があるのだろうと思います。十二と十八というのは、これも経験則でしょうな。何か研究の結果出てきたのですか。
  87. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 標準規模が望ましいというのは、これは教育を行う上のほかに学校全体としての効率的、経済的あるいは財政的な運用を含んでのお話ではないかと思いますが、学校統合を進めました当時におきましては、そのようなデータをとりまして、ある一定の学級からは事務職員の配置でございますとか、いろいろな人的配置を含めまして学校経営上の効率化という接点がそこにあるというふうな研究に基づいてと承っておりますが、私どもとしては、小学校、中学校は、市町村が設置義務を負いまして適正規模だけでは設置し切れないということがありまして、小規模学校は望ましくないということでございますが、小規模学校もどうしても設置せざるを得ないという義務教育から申しますと存在理由があるわけでございます。
  88. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 少し図式的な言い方になりますけれども、仮に十二ないし十八の標準学級に全部がなったら全体的にわりあいやりやすいということ。いまちょっとあなたおっしゃったが、統合によってという、そこで阿部管理局長さん、施設費負担法の四条か五条か統合の場合はというのがありますね。だから統合することによって教育効果を上げるためにということがある。ところが、たとえば三十六学級だと十二学級の三倍、十八学級の二倍。分離をして標準学級にするという言葉がないわけですね。標準学級というものを法定しておいて、そしてそこへ向かうことが、いま局長おっしゃるように総合的教育の面ではいいのだということだと、分離の方をむしろ促進することが今日の非行暴力問題を通しても必要なんだけれども、それがどうしてないのかというのがよくわからないのだ。ちょっと教えてください。
  89. 阿部政府委員(阿部充夫)

    阿部政府委員 昭和五十三年の委員会でも先生からそういう御質疑、御議論があったというふうに承っておりまして、私も議事録等で拝見をいたしておるわけでございます。分離、統合という二つの面があるわけでございますけれども、現在の義務教育学校施設費負担法の書き方によりますと、不足する校舎がある場合の補助の制度というのが基本にございまして、それと、そのほかに統合の場合の規定が置かれておるわけでございまして、統合の場合には校舎の不足という前提でなくて行われるというために、統合についてだけは特別に規定をしたということのようでございます。しかしながら、この法律の規定、いろいろ見てみますと、これはいろいろ御議論のあり得るところだという感じもいたしておりまして、前回の御質疑の中身を私どもも今後検討すべき課題であるというふうに受け取って検討しておるというところでございます。
  90. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 私も前の質問はちょっと忘れましたけれども、御検討くださるならいいのです。というのは、そのことによって標準学級に促進されるということであるならば、これは片手落ちだと思うのですよ。一方で標準学級という十二ないし十八というものを決めて統合の方だけ進める。だからとかく悪口を言われまして、安上がりの教育をするのだろうなんて、私がそう言っているのじゃありませんよ、世間が言っている、こういう意味でございます。そういうようになってしまうわけですね。だから、御検討くださるなら結構です。これは非行暴力等を含めて大規模校に多いということを含めますと、やはり十分に検討せねばならぬことだと私は思いますので、御検討いただけるそうでありますから、わかりました、よろしくお願いします。どうもありがとうございました。  そこで、ついでだから体育局長に聞こうか。これから養護教諭に入るつもりなんでありますが、養護教諭の前に、一つは、健康会の仕事がありますね。障害、死亡等の千五百万、千二百万が決まったのがもう六年前かな。あれは六年間、今日まで上がってないです。これは私、ちょっと照れ臭いのでありますけれども、私が小委員長をやりまして決めたわけでありますけれども、あのことによって訴訟がうんと減ったはずですよ。訴訟がなくなるということが目的ではありませんけれども、しかし、少なくとも教育界において教師と子供の親が法廷で敵対せねばならぬということは、これはもう非教育的行為です。そのことがなくなったというにかかわらず六年間も放置されておるとやはりまたぶり返すことになってくるならば、あのときの国会の意思というものが生きないではないかと思うのです。私、これについていまあえてここで言うのは、来年の予算要求もありますから、こういう財政の厳しい中ではあるけれども、しかし金額はそう多くないですね、多少上げても。何割上げるかはわかりませんが。そういうことも含めて局長のご見解を。
  91. 西崎政府委員(西崎清久)

    ○西崎政府委員 ただいま木島先生のお話にありました災害共済給付でございますが、お話のとおり五十三年度から死亡の場合四百万円を千二百万円に増額をいたしております。障害の一番重い場合には四百万円を千五百万円というふうになっておるわけでございます。当時この金額にいたしました経緯は、先生もお話しになりましたように、文教委員会で大変いろいろな御検討が行われた後に法改正が行われたということでございますが、この算定の基礎として考えられておりましたのは、当時の予防接種法で千百七十万円という数字が一応の目安としてありまして、そしてその千百七十万円を上回る千二百万円という金額が設定された経緯でございます。この予防接種法は実は五十七年度に初めて千二百万円になって、児童生徒に追随して一線に並んできたという経緯があるわけでございます。他の災害共済給付等いろいろな関連でこの問題については取り組まなければならないわけでございますが、現時点で直ちにこの千二百万円、千五百万円を増額するということについて検討に入るということは、いろいろな財政事情その他、他の災害給付との関連でなかなかむずかしい問題があろうかと思います。ただ、附帯決議にもございましたように将来の課題としてこれらについていろいろと検討してまいらねばならないということは私どもも十分認識しておりますので、将来の課題としてはお預かりをいたさねばならないというふうに考えるわけでございます。  以上でございます。
  92. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 本来あのときには金額を上げるのじゃなくて、むしろ無過失賠償責任というものを前提にしたところの新しい制度をつくろうということで実は小委員会を出発したわけね。そういうこととの絡みも含めてなんでありますから、ひとつ十分なる御検討をいただきたいと思います。余りこだわってはおりませんからね。局長さん、どうもありがとうございました。  そこで初中局長、先ほど言いました百三条は、養教の場合、「当分の間、」というのは主に養成機関との関係でありますが、養護教諭の場合、今日養成機関というのはどんなものがあるの。
  93. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 養護教諭養成機関は養護教諭養成所という形でやっておりましたわけでございますが、それを学部教育の中に入れまして、大学の中で養護教諭を養成するというふうに改まっておるかと思います。
  94. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 養護助教諭、これはどういうところで養成されますか。
  95. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 養護助教諭は養護教諭が置かれないような場合に置かれるわけでございまして、格別そのための特別な養成機関というものはないかと思います。
  96. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 その養護助教諭がこのごろふえているということをちょっと聞いたのですが、どうですか。
  97. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 公立の小中学校の養護助教諭の数でございますが、五十七年度で千四百三十六人、五十六年度が千四百六十三人でございますから、むしろ減っているわけでございますが、五十三年度の数字を見ますと千五百五人でございますので、この五年間のざっとした数を見ますと、幾らか減っているというふうに数字はなっております。
  98. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 高校がなぜ必置制にならないのでしょうか。高校は任意ですね。ないのは何でないのか、何で必置制でないのでしょうかね。そして、ないのを、一体その業務はだれがやっているのでしょう。必置制でないのだけれども必置されているのですか。されているなら必置制にしたらよろしいですね。この辺どうなんですか。
  99. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 これはやはり小中学校高等学校との児童生徒の心身の発達の状況等によりまして、小中学校の場合には養護という観点から必要がある、高等学校生徒につきましては、必要があれば医者に行くとか、あるいはみずからいろいろと処置をするということもございますので、その辺の児童生徒の発達の状況から区別をした措置がとられているかと思います。実際上は、高等学校につきましてはかなりの生徒の規模がまとまっておりますので、結果としては九八%程度の充足率、配置率になっているというふうに考えております。
  100. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 ちょっと時計ばかり見て申しわけないのですが、時間がないので少しすっ飛ばしてしまったのですが、やはりさっきの二十八条に返りますけれども、「養護教諭は、児童の養護をつかさどる。」「教諭は、児童の教育をつかさどる。」、しかし、これは養護教諭なんですから、教育をつかさどるべきですね。そうすると、この場合の養護というのはどういうように理解したらいいのですか。
  101. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 養護というのは、児童生徒の心身の健康あるいは障害があった場合の看護と申しますか、そういうような面の仕事を指しているわけでございまして、児童生徒の知・徳・体と一体となった教育活動とは区別をしているものというふうに思います。
  102. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 別ですね。  学校看護婦からなぜ養護教諭になったのでしょうか、いまの御答弁と絡んで。
  103. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 学校看護婦は、小学校等の疾病でございますとか、けがでございますとか、そういうものの世話をするというふうなことであったかと思いますが、それを養護教諭にいたしましたのは、それだけではなくて、やはり養護の全体計画をつくりましたり、応急の処置はもちろんでございますけれども、そういう全体計画をつくって児童の心身の発達の状況を見ながら必要な養護を行うという意味で、学校看護婦とは違ったようにはなっていると思います。
  104. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 免許法で、細かく言いませんが、ただ中学校の場合だと保健体育、保健、高等学校の場合の免許では保健体育、保健、看護、看護実習等の免許状がある。だから、単独教科かどうかは別としまして、これらが養護教諭に与えられるわけでしょう。そのことは保健体育の中の保健の授業もするわけでしょう。それがもしそうだとするならば、だからこそ養護教諭ということになるのであり、かつ、そうすると教育をつかさどることもその中に入るということになる、という感じがするのですがね。いかがなものでしょうか。
  105. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 保健の授業は、これは教諭でなければできないわけでございますが、養護教諭の場合には「児童の教育をつかどさる。」という職務ではございませんで、保健指導でございますとか、あるいは健康診断の計画とか、直接児童生徒に接するわけでございますけれども、教育活動とは異なった養護の職務を行うというふうになっているわけでございまして、授業はやはり教諭でなければ行えないわけでございます。
  106. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 養護教諭なんだよ。養護教諭と、なぜ教諭がついたかということからいってそうではないのかと言っているのですよ。私の言っていることわかる。
  107. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 養護教諭というその養護とついているところがやはり教諭と違うわけでございまして、それは免許状の与え方も違っているわけでございまして、したがって、養護教諭とはなっておりますけれども、養護という職務に限定されて、保健の授業を行うということは教諭がつかさどるというふうにきちんと整理をされているわけでございます。
  108. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 時間がありませんから、ちょっと別のことで一つだけ最後に、これは大臣でもいいのです。  最近、非行暴力の問題に絡んで、たとえば点検だとかあるいは要望だとか、文部省からいろいろと指示、通達、調査等が行われているようでありますが、ただ一つ文部省が今日までとってきたところの教育指導なりあり方について反省というのはあったのか知らぬけれども、私はまだ聞いた記憶がないのだ。文部省は完璧なることをやっておったのだけれども、教育委員会学校現場が悪いから、だから非行暴力が起こったので、そこで、ああしなさい、こうしなさい、こういうのを点検する、こういうのを調査するという態度ではもちろんないだろうと思うのであります。  非行暴力という問題について文部省はそういう観点からいかなるものが欠けておったのか、いかなるところに誤りがあったと反省をしているとか、そういうものがないのでありましょうか、そのことをお聞きいたします。
  109. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 非行の問題につきましては、大臣が非常に心配されましていろいろと私どもに指示があったわけでございますが、その際、必ずしも家庭とかあるいは学校とか社会とかそういうものに一概に責任を転嫁するということではなくて、文部省も含めてでございますけれども、それぞれの責任に応じ、重要な責任を感じながらこの問題に取り組まなければならないという謙虚な気持ちで対応しているわけでございまして、文部省だけがよくて、学校現場なり家庭なり教育委員会が至らなかったというふうなことでは毛頭ございませんで、全体としてこの問題には虚心になって取り組むべきだというような考え方で対応しているわけでございます。
  110. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 具体的には反省があるのですか、ないのですか。具体的にこういうことは悪かったからこう直すべきであるという式のものはまだ出ないのですか。
  111. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 たとえば教育課程の改定にいたしましても、趣旨とするところは、ゆとりのある充実した学校教育ということをねらったわけでございますけれども、それが現場におきましてそのとおりにうまく運営されているかというふうなことになりますと、そのねらいと実際の効果という点についての問題点でございますとか、あるいは入試のあり方につきましても、文部省といたしましては原則的な指導はしておりますけれども、これが不適応を生むような児童に対する十分な配慮のもとに、たとえば偏差値を利用した進路指導が行われているというようなことにつきましてたびたび指摘をされていたわけでございますけれども、入試の改善については都道府県の自主的な運営に任せるというふうなことでやってまいりまして、行政としてのいろいろな対応について問題がなかったかというような点につきましては、いろいろと反省をいたしながら対応をしているわけでございます。
  112. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 たとえばゆとりならゆとりと言うけれども、現場では対応が正しくなかったといまおっしゃったね、入試について十分なる適応をしておらない。文部省はいいのだけれども現場が悪いのだということを前提にして反省するというのじゃ、いまの非行暴力に対する対応として文部省は十分だろうか。大臣、どう思いますか。
  113. 瀬戸山国務大臣(瀬戸山三男)

    ○瀬戸山国務大臣 いま初中局長からお答えしたのは、いまおとりになったようなことで気持ちとしてはお答えしたのではないと思うのですけれども、いま私を初め文部省は、それがどういう的確な手段、方法——結論を早く出せと言われてもそう簡単なものじゃございませんから、それはしばらくお待ちをいただきたいわけでございますけれども、いずれにいたしましても、各学校にしてもあるいは文部省にいたしましても、地方教育委員会等においても、よかれかしといろいろ今日までやってきたことであろうと思います。私が文部省に飛び込みまして、しかし事態はいまに始まったことではなくて、だんだん悪化している。でありますから、過去にやったことが一体それでよかったのかと総反省をしなければならない。たとえば教科書が、私から言うと非常に複雑怪奇とまでは言いませんけれども、詳細をきわめておる。一体これで適当であるのかどうか。専門家から見れば大したことはないのですけれども、あたりまえのことが書いてあるのですけれども、いたいけな子供から見れば大変な負担になっているのじゃなかろうか。あるいは試験のあり方が一体これでいいのかどうか。受験地獄と言われてもうずっと長くなっている。まだ十歳から十四、五歳の子供にそういう負担をかけて、本当に心豊かないわゆるゆとりある教育の場ができておるのかどうか。あるいは偏差値云々と言う、これは統計学上すばらしいことだと言われるけれども、一体こんなことで教育というものが、人生というものが左右されるようなかっこうでいいのかどうか、いろんな面がある。こういう点を総ざらいして、これは専門家でなければわかりませんけれども、ただ専門家だけの頭では本当はいかぬのじゃないか、失礼でありますけれども。こういう総反省をして、いろいろなしたがって調査もし、実態をもう少し詳しくつかんで、どこに原因があるのだ、どういうところを改める必要があるか、こういうところを現在進めておるというのが偽らざる現状でございます。
  114. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 総反省し総点検をする——しかし複合汚染であるからそう単純にいくものでもないし、おっしゃるとおり時間をかけて結構であります。けれども、総点検をし総反省をすると言うなら、さっきの大臣の言葉で言うならば、よかれかしと思ったことであるけれどもよかれかしと思ったとおりにならなかったということですから、だから総点検をしたならば、文部省文部省教育行政全体に対する総合的なる総反省の上に立っての今後の対策が示されなければいかぬですね。示されると期待してよろしいのですか。たとえばそれには、いまおっしゃった教科書なら教科書は大変むずかしい、確かに難解です。もっとやさしくて、もっと楽しいものにできれば一番いいわけです。しかし、それじゃなぜあのようにむずかしくなったのかという、そういうことも含めた反省の上に立っての総反省ができ上がるということを、時間はもちろんかかりましょうけれども、しかしそう長い時間をかけたって困るのですが、出るということを期待してよろしいのですか。
  115. 瀬戸山国務大臣(瀬戸山三男)

    ○瀬戸山国務大臣 私はやはり時間がかかる問題だと思います。これは非常に複雑でございますし、しかもいろんな専門家、機関もありますから、そういう各方面の意見も聞かなければ、これは思いつきでやったらまた大変な間違いを起こす問題であると思います。しかしこれは放置できない問題であり、まさに総力を挙げて知恵をしぼって結論を出すべき時期に来ておる、かように考えております。
  116. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 ですから、文部省の反省というものがいつか示されるのですね。
  117. 瀬戸山国務大臣(瀬戸山三男)

    ○瀬戸山国務大臣 総反省であります。
  118. 木島委員(木島喜兵衞)

    ○木島委員 終わります。
  119. 中村(靖)委員長代理(中村靖)

    中村(靖)委員長代理 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十六分休憩      ────◇─────     午後一時三十一分開議
  120. 葉梨委員長(葉梨信行)

    葉梨委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  第九十四回国会馬場昇君外四名提出公立障害児教育学校学級編制及び教職員定数標準等に関する法律案議題といたします。  本案につきましては、第九十四回国会においてすでに提案理由の説明は聴取しておりますので、これを省略したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 葉梨委員長(葉梨信行)

    葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ───────────── 公立障害児教育学校学級編制及び教職員定数標準等に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  122. 葉梨委員長(葉梨信行)

    葉梨委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。湯山勇君。
  123. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 私は、ただいま議題となりました件につきまして、主として文部省にお尋ねをいたしたいと思います。  国際障害者年が発足いたしまして、ここでそれを受けまして、衆参両院におきまして、完全参加と平等の実現を図る決議が行われました。そして、政府にも国際障害者年推進本部が設置されまして、当時、本部長に鈴木善行内閣総理大臣が御就任になり、その後、昭和五十七年三月に、「障害者対策に関する長期計画」というものが発表になったこと、これは初中局長もよく御存知だと思いますが、いかがでしょうか。
  124. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 ただいま湯川先生のお述べになったとおりでございます。
  125. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 その国際障害者年のスローガンは、社会生活と社会発展における「完全参加と平等」ということになっておりまして、通常、ただいまの国会決議でもありましたように、「完全参加と平等」というのがそのスローガンになっていたこと、これも御存じと思いますが、いかがでしょうか。
  126. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 そのとおりでございます。
  127. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 そこで、当然文部省としても、教育の面からこれと取り組まなければならない。その長期計画の中にも「啓発広報活動」、次が「保健医療」、続いて「教育・育成」、それから「雇用・就業」、「福祉・生活環境」という五項目を挙げておられます。障害者対策の中で教育というものが非常に重要な役割りを演じているということはこのことからも明瞭だと思いますが、これも初中局長も同じような御意見でしょうか。
  128. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 そのとおりでございます。
  129. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 続いて同じようなことを確かめたいのですが、教育の中では、国際障害者年ということでございますから、その中心はといいますか、文部省としてあるいは教育としてやらなければなないのは障害児教育であるというように理解をいたしますが、その点はいかがでしょう。
  130. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 文部省が所管しております特殊教育分野におきます施策の充実ということが重要な課題であろうかと思います。
  131. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 いまの御答弁は非常に問題を残す御答弁でございまして、文部省がやっておる特殊教育がそれだということでございましたが、このことを、特殊教育ということについて実はお尋ねしたいためにいままでの質問をしてきたわけです。  国際障害者年の長期計画、その理念のようなものが、いま申し上げました第一の「啓発広報活動」というところに出ておりますが、その中にこういうことが指摘されております。障害者に対しての理念、それから障害者観の是正が提起されております。その中にこういう言葉があります。「まだまだ障害者に対する認識は、歴史的・伝統的偏見や医学的無知に基づくものが根強く残存しており、」誤った障害者観を是正しなければならないということがありまして、その後に「一般に差別問題は、その社会の歴史、思想、習慣等と深いかかわりをもっており、一朝一夕に根本的に変革することは困難であって、」そしてさらに、したがって「長期にわたりたゆみない努力が必要である。」、こういうことが書かれてありますが、この点について局長はどう御理解になっておられるか。そのとおりか、それは違うというお考えなのか、伺いたいと思います。
  132. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 ただいま湯山先生がお述べになりました事柄でございまして、そのとおりでございますが、私が申し上げましたのは、教育分野の御指摘がございまして、そこで「教育・育成」の中で「特殊教育振興のための諸施策」ということがこの「障害者対策に関する長期計画」の中でもうたわれておりますので、そのこと申し上げたわけでございまして、いまお述べになりましたこととは矛盾をしないつもりで申し上げたわけでございます。
  133. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 それでは、念を押すようで大変恐縮でございますが、障害者に対する認識は、あるいは無知とかそれからいろんな偏見その他で誤った認識がたくさんあること、そしてまた障害者に対する差別、そういう点もなお残っているということもお認めになるわけですね。
  134. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 私どもが特殊教育を施策として振興いたします場合にも、この施策を進めるに当たりまして一般の理解でございますとかあるいは関係者の理解でございますとか、いろいろ問題と感ずる点がございまして、やはりそういう点を理解を得ながら進めなければならないということは常日ごろ感じているところでございまして、そういう点におきましては、このような指摘はまさにそのとおりだというふうに考えております。
  135. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 そこで次にお尋ねいたしたいのは、「障害者対策に関する長期計画」のただいまの「教育・育成」に関する部分は、文部省の方でおつくりになったという言い方がいいのか、お書きになったというのか、とにかくこれは文部省の意見でつくられたもの、こう理解してよろしゅうございますか。
  136. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 これは、先ほど湯山先生が御指摘になりましたように、推進本部を置きまして政府が全体として取り組んだ結果でございまして、その過程におきまして行政機関がそれぞれ協力をしてこの長期計画を策定したわけでございますが、文部省が書いたということではございませんで、政府としてこういうふうになっておるというふうに思うわけでございます。
  137. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 一般的に政府がやったということの中には、政府のいろいろな業務というものは各省庁に分担が分かれております。この中で、この部分については文部省が責任を持ってやったのだいうことなのか、あるいは、この部分については文部省が責任を持ってやらなければならないことだというのか、どちらかでなければならないと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  138. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 計画を策定するとかあるいこういう文章を作成する場合には、それぞれの主管の官庁が意見を申し出たりしてやるわけでございますけれども、最終的にはやはり統合された形におきまして政府全体としてこういう形にしたいうことになっているかと思いますが、その過程における問題につきましては私も詳しくは承知しておりませんので、全体のいままでの経緯からそのことを申し上げたわけでございます。
  139. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 それじゃ、ここに書かれてあることについて文部省は、それは間違っておるとか、それはできないとか、御異議がおありになるのでしょうか。
  140. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 これは政府の一員といたしまして文部省が参加をいたしましてつくったものでございまして、この事柄について異存があるとか、そういうものではないと存じます。
  141. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 そこでお尋ねいたしたいのは、この「教育・育成」の最初に「心身障害児に係る教育施策の充実」というところがありまして、そこではその理念について触れております。その理念の基礎は「障害者が他の市民と平等な生活ができるようにしようとする考え方にあるといえよう。」と、こうあります。これは御異議ございませんですね
  142. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 これもそのとおりでございまして、私どもの所管しております特殊教育の目標も、障害を持っておられる方々がこのような形で市民と平等な生活、いわゆる社会的な自立ができましてそういう生活ができることが目標になっておるわけでございます。
  143. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 「心身障害児に係る教育施策の充実」という総論的な部分では特殊教育という言葉は一切使われていないと思うのですが、その点はいかがでしょう。
  144. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 いまの、三の「教育・育成」の(1)の総論と申しますか、前文と申しますか、そこには特殊教育という表現は使われていないと思います。
  145. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 そこでは確かに、「心身障害児の教育」という言葉が使われておりまして、特殊教育という言葉は使われておりません。これは局長がいま御答弁になったとおりです。  そこでお尋ねしたいのですが、この特殊教育という言葉はふさわしくないから特殊教育という名前を変えたらという意見は出されたことがあると思いますし、これは公の場でもあったと思いますが、そうでない場合にもあったと思いますけれども、お聞きになったことはございませんか。
  146. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 特殊教育という用語をめぐりまして、過去、国会におきまして何度か質疑が行われていることは承知をいたしております。
  147. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 その質問の趣旨はどのようにお受け取りになっていらっしゃるか、伺いたいと思います。
  148. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 過去何度かございますけれども、その提案された方によりましてニュアンスは若干違うかと思いますが、特殊教育という用語の与えるニュアンスと申しますか、その語感なり、あるいは差別を与えるような面もあるとか、いろいろな側面からこの語が問題にされているということでございまして、文部省におきましてもお答えを申し上げておりますが、これに必ずしも固執しているわけではないということは政府委員なり大臣なりがたびたびお答えしているとおりでございます。
  149. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 それが今日まで改まっていないのはどういう理由でしょう。
  150. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 これも国会質疑の過程におきまして、他に適当な用語があって国民的なコンセンサスが得られるものがあれば検討させていただくということであったわけでございますけれども、これまでのところ、特殊教育という戦後三十年余にわたりまして使われてまいりました言葉にかわりまして一括してこの分野教育を総称するに適当な語というものが、いろいろ出されるわけでございますけれども、これでよろしいというところまでのコンセンサスが得られていないというふうに私どもとしては理解をいたしているわけでございます。
  151. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 それは文部省のお考えではないのでしょうか。
  152. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 文部省ということだけではございませんで、関係団体等の意見等に徴しましても、格別これを変えなければならないというふうな、また、これを変える場合にこれがよろしいというふうな最も適切な用語と申しますか、そういうものがまだ提示をされておりませんので、私どもとしては、現在用いております特殊教育というこの用語なり範疇なり、そういうものを使いまして施策を進めるのが適当だというふうに考えているわけでございます。
  153. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 この問題提起のときに、この特殊教育という言葉は偏見を持っていると見られる、あるいは差別的なニュアンスを持っているというような指摘があったということでしたが、それについては肯定的ですか、否定的ですか。
  154. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 これは受け取る方の状況とかそういうものによって変わってくるわけでございまして、この特殊教育というのは心身に障害を持つ児童生徒を主として対象といたしまして、特別に手厚い教育をしているという意味で使っているわけでございますから、そういうものが正しく理解されるならば、そういう語感から得られるところの理解と申しますか、そういうものも理解を得られていく面があるのではなかろうかというふうにも私どもとしては考えているわけでございます。
  155. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 文部省としてもいまのような指摘に対して否定はしていないということでしたが、否定していないということは認めるということとは通じないのでしょうか。
  156. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 そういう差別というふうにおとりになる向きも確かにあろうかと思います。
  157. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 そこで、身体障害者年の重要なテーマが、いま申し上げましたように「完全参加と平等」ということなのです。そうすると、いまのように偏見あるいは差別と受け取る人もあるということは肯定されておりますが、一般的に言って、特殊というのは平等なのかどうなのか。特殊と平等という概念は、私は相反する概念だというように理解しております。それが特別によくするという場合もあるでしょうけれども、特別に悪くするという場合もあると思います。  これは大臣にお尋ねしたいのですけれども、一般論から言って特殊というのは平等ではなくて、それだけが別な存在であるという場合に特殊という言葉が使われるので、特殊は場合によればいまのように差別ともとれる。したがって、いろいろな場合に特殊教育とか、あるいはたとえば特殊部落とか、そういう言葉を使わないようにしておるのが平等の原則、そういう点からいって常識だと思います。平等という概念とそれから特殊というのとは相入れないと私は思いますが、大臣、常識的にどうお考えでしょうか。
  158. 瀬戸山国務大臣(瀬戸山三男)

    ○瀬戸山国務大臣 言葉の使い方といたしまして、この問題とは離れて、平等ということをよく言われるのですけれども、私が世間を見る場合に、いろいろな場合に平等という言葉を同一という概念と同じような考え方で使っていらっしゃるのではないかということに突き当たることが非常に多いのですけれども、平等と同一とは全然違うのであって、これはよけいなことでございますけれども、平等というのは、抽象的に資格として、人間なら人間として平等の人間という概念である。ただしかし、その人間が全部同じだというわけにはいかない、これは千差万別である。それがおおよそ同一のように使われておる場合があって、非常に物事の混乱する場合があると思うのです。  それはそれといたしまして、先ほど来御議論のいわゆる特殊教育、これもそれにやや似ておるのではないか。現に心身に障害がある人があるわけであります。故知を見習うといいますか、宇宙の中にはそういう森羅万象いろいろ違いがある。でありますから、平等の原則から言いますと、平等にはならないけれども何とかそれに近づくような、したがって、心身に障害のある方はそれを補う意味において特殊なといいますか、特別な教育なりあるいは保育なりしなければならない。それによって、同じにはいかないけれどもだんだん平等の線に近づいてくる、私はこういうものではないかというふうに常に考えておるわけでございます。  そこで、特殊教育ということが過去から問題になっておるようでありますが、先ほど局長から率直に言って苦しいお答えをしておると思っておるのですけれども、特殊と言うと何か普通と違うのじゃないか、これは概念としてはまさにそう受け取られます。しかし半面、一般的に言って、通常の心身でないから、これを通常の心身の状態の人にできるだけ近づけるためには特別な手段、方法を講じなければならない。特に念を入れて、あるいは普通はやらないことも手数をかけて、こういう意味でこの特殊教育というのが、また学校教育法も御承知のように三十年ぐらい前からずっとあるわけでございまして、国際障害者年の宣言等、これは以前からの概念でございまして、これをいま湯山さんがおっしゃるように特殊という言葉だけで言うと、何か変わったことをするのではないかという印象を与えるという意味でやや頭にひっかかります。しかし、さればといってそれではどういう言葉があるか、どういう表現があるか。いま御提案になっておりますように障害者教育というのも、たとえば学校の看板が障害者教育学校ということになると、ここは全く違った人がおるのだという印象を与える。これも率直に言ってどうかなという気が私どもするわけでございます。  過去にこういう提案がいろいろあるものですから、文部省としては、これは皆さんの方がよけい詳しいわけで御承知だと思いますけれども、過去に教育モニターでいろいろ調査したりいたしましたときにも、この特殊教育という言葉にそれほど反発は出ていない、むしろ障害者教育という言葉には余り賛成者がなかったという調査の結果も私はいろいろ聞いております。そういう意味において、皆さんがなるほど、いいなあという表現があればそれにこしたことはないと思うのですけれども、なかなかそういうものが発見できないというところに率直に言って悩みがある。これが最良であるとは思いません。しかし、それかといってそれ以上にうまい表現の名称があるかというとさらにない、あるいは養護学校であるとか保育学校であるとかというのが世間から言葉として出てくる、こういうのが現状だと思います。
  159. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 大臣も私のお聞きしておる気持ちをよく御理解になっての御答弁だと思いますが、しかし、みんな同じだということはどの小学校でもどの中学校でも、どの高校であろうとどの大学であろうと、身体障害者でなくたってそれぞれ一人一人違っておることはもう申し上げるまでもございません。  そこで、理念としてとらえておること、先ほど局長に申し上げたのはその点であって、その理念は、教育の場合の理念も、障害者が他の市民と平等な生活ができるようにしようとするところにあるのであって、なぜそういうことを考えるかというと、最初申し上げましたように、特殊教育あるいは身体障害者に対する一般国民の認識の中には伝統的な偏見がある、それから医学的な無知に基づく誤った障害者観、そういうものがある。しかもそれが一種の差別をつくり出している。これをなくしようというのが障害者年ですから、大臣の言われる同じだということとは全く違うのであって、これは目の見えない人は盲学校と言うし、あるいは耳の聞こえない人ですか聾学校と言うこととそんなに違ってはいないと思います。しかも学校の名前になれば、たとえばあゆみ学園という名前を使ってもいいし、さくら学園という名前を使ってもいいし、それは別に、身体障害者の学校だからといって身体障害者小学校などと書かなくてもいいわけでございます。私がいま本当に申し上げたい点は、国際障害者年で参加と平等という大きなスローガンが打ち出され、そのために、とにかく教育は重要である、教育の面からもそれと真剣に取り組んでいこうというときには、その辺で決断を下して、いまのような偏見もあるし、差別的な響きも持っているということ、これもいま局長お認めになったとおりです、そう解釈されるというならばひとつここで思い切って、いままで三十何年間踏ん切りがつかなかったのですけれども、この障害者年、それこそがそれに決断をする絶好の機会ではないかということを考えますために、いまの点を申し上げたわけでございます。そういうことになると大臣、どうお考えでしょうか。
  160. 瀬戸山国務大臣(瀬戸山三男)

    ○瀬戸山国務大臣 いま湯山さんがお話しのように障害者年というものを前提に置いて考えて私は先ほど来、さればといって、じゃどういう表現がよろしいかということが、これは文部省だけで考えることではございませんで、その趣旨を生かすために国民のコンセンサスといいましょうか、受け取り方がどういうものがいいかということの判断がまだつきかねておるというのが偽らざるところでございます。
  161. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 私は大臣のお気持ちもそれから文部省の気持ちも幾らかは理解しないことはないのであって、と申しますのは、この長期計画の中でも、学校のことについては特殊学校というふうにありますけれども、その他の点では極力そういう言葉を使うのを避けています。というのは、最初に確認申し上げましたように、その総論とも言うべき書き出しの部分、そこには特殊教育という言葉は一切使われておりません。これは局長がいまお認めになったとおり。それからその後の文章の中を見ましても、たとえば特殊教育の指定校、特殊教育の推進校の指定、そういうものも特殊教育という言葉を使わないで「心身障害児理解推進校」という、まあ耳なれない名前ですけれどもあえてそういう表現で、従来ならば特殊教育研究指定校とか推進指定校とか当然こういうことですが、ここではそういう言葉を使うことを意図的にか無意識的にか存じませんけれども避けている。それから高等教育についても同様でございまして、高等教育では特殊教育という言葉を使わないで、「障害者に対する高等教育」あるいは「障害者の社会教育」といったような用法をしております。これは私はさっき局長が御答弁になったようなことが意識のどこかにあったのかとも善意に理解をしておるのですが、どうなんでしょうね、ここいらあたりで、この時に当たって特殊教育という言葉とはとにかくいまのような響きを持っているのだからひとつお別れするという御決断はいただけないか。その検討をこの際するという御意思はございませんか。局長答弁では従来検討はしてきたけれども結論が出ないということですが、大臣いかがでしょうか。
  162. 瀬戸山国務大臣(瀬戸山三男)

    ○瀬戸山国務大臣 いわゆる学校教育法の特殊教育という言葉に固執しておるわけじゃ全然ございません。こういうことが非常に問題にされておるということで研究はすることにやぶさかではございません。
  163. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 御参考までに申し上げますが、昨年まではいまの差別に関係する法律で同和対策事業特別措置法というのがございました。ところがこれは名称を変えるということで、昨年地域改善対策特別措置法というように名称が変更になったこと、これは局長も御存じと思いますが、いかがですか。
  164. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 存じております。
  165. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 それに伴いまして、同和対策室という機構は地域改善対策室というのに変わりました。それから文部省の事務次官もメンバーになっておる同和対策協議会というのは地域改善対策協議会というのに名称変えになったこと、これも御存じと思います。ただ、文部省が進めておる教育面では、地域改善教育というように変わりましたか、同和教育のままですか。
  166. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 この点につきましては、政府におきまして同和教育ということでいくことを確認しておるわけでございます。
  167. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 その理由はどこにあるのでしょう。
  168. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 これは、同和教育という言葉がこれまで長年にわたりまして定着しているということから、国会等の場におきましてそれを使うということが確認をされておるというふうに聞いております。
  169. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 私は直接その審議に当たりましたので、いまのような簡単な理由ではありません。定着といっても十三年くらいなものです。ですが、それほど単純ではないということだけ申し上げておきます。そんなふうに、事態に合わせて名称が変わるということはそんなにむずかしいことではないと思います。ただ、私ども聞いた中にこういうことがありました。法律もそうだし、いろいろなことで特殊教育という言葉が使われている、これを直すとなると、法律も直さなきゃならない、いろいろなものを訂正したりいろいろしなきゃならない、その手数や費用が大変だということも言われたことがありますが、そういうことも理由一つに入っておりますか。
  170. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 そういう関連のことは私どもとして聞いておりません。
  171. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 おりませんか、おりますか。
  172. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 手数がかかるからこの問題は取り組まないとか、特殊教育という用語につきまして消極的であるとかそういうことではなくて、やはりあくまでもこの特殊教育という言葉をこれにかわる適切な、国民の一般的なコンセンサスを得られるような表現があるかないかという観点からの検討でございまして、手続的にそれが非常に煩瑣であるというようなことではないわけでございます。
  173. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 地域改善対策の場合に、地域改善対策というのでは何をやるかわからない、僻地というものもやはり改善しなければならない地域であるし、急傾斜地帯もそうでございましょうし、あるいは台風常襲地帯というのも改善しなければならない要素を持った地域である。どんなことかわからないということも一つ同和というのを残した理由です。特殊教育という言葉は何をやっているのだかわからない。そこで、今度出しておる、いま議題になっておる法律では、障害児教育という言葉が使われています。もう対象が明確に示されている。特殊教育というのは、さっき大臣もちょっとおっしゃいましたが、特別によくするのも特殊かもしれないし、悪くするのも特殊、そういう誤解もあるし、しかもまして、今日までそういうことで偏見やそういう差別がなくなってきたかと言うとなくなっていないということから考えれば、障害児教育という方が端的にいいという理解を私はしておりますが、これはせっかく答弁席にいらっしゃるのですから、馬場議員はどうお考えでしょうか。
  174. 馬場議員(馬場昇)

    馬場議員 一昨年、一九八一年がさっきから先生おっしゃっておりますように国際障害者年でございまして、この年に先ほどおっしゃっておられますように、衆議院、参議院両院ともに「国際障害者年に当たり、障害者の「完全参加と平等」の実現を図る決議案」というのを出して、これは満場一致で衆参両院本会議を通っているわけでございます。その理念は、先ほどから言っておられますような完全参加と平等であるわけでして、その決議の中にもやはり「障害者の社会参加を阻む幾多の障害」もあるということも指摘しておるわけでございますし、そしてその対策として多くの項目を決議しておるわけですが、その第一項目に、障害者対策の抜本的改善を図るために中央、地方を通じて長期行動計画をつくれ、そうしてその後段に、特に障害者に関する現行法制及び諸制度の現状を点検してその改善努力せよ、こういう決議もしておるわけでございまして、私どもはこれを踏まえまして実は現行の法制を改善したいということでいま提案いたしております公立障害児教育学校学級編制及び教職員定数標準等に関する法律案というのをその年に提案したわけでございます。  その理念につきましては、私どもは特殊教育という言葉を使っておりませんで、すべて障害児教育という言葉を使っておるわけでございますが、それは、先ほど指摘されました障害者対策に関する長期計画、国際障害者年の推進本部でつくりましたこの計画の中にも、先ほど指摘されましたように、「「障害」という概念そのものについても、単に障害者の個人的問題としてとらえるのではなく、個人とその環境との関係において生じている社会全般にかかる基本問題として」とらえていかなければならない、こういうこともございますし、先ほどから議論なさっております「障害者観の是正」、「差別問題」というのも触れられておるわけでございまして、「国際障害者年においては、このような根強く残存しておる誤った障害者観の是正を目的」としなければならぬ、そしてこの「差別問題は、その社会の歴史、思想、習慣等」にも深いかかわりを持っておる、しかしこういうことにつきましては改善する「努力が必要である。」、こう指摘もされておるわけでございまして、そういう意味から私どもは、特殊教育学校という言葉を使わなくて、きちんと国際的にも国連の人権宣言に基づく国際障害者年というのができて、この言葉そのものが国際的にも定着しておるわけでございますし、やはりこういう機会に私どもも障害児教育学校、こういうぐあいに名前を改めて、その障害者観といいますか、差別観念を除去しようという一つの方法として名称もそう考えたわけでございます。  以上です。
  175. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 大臣、ひとつお願いといいますか、私の思いつきかもしれないのですが、せっかく障害者年ではありますし、それから文部省もこの名前にこだわる気持ちはないということでございます。そこで、瀬戸山文部大臣のときにひとつぜひ名前を変えていただいて、いままで障害者については特殊教育という名前で、何かこう差別的なにおいのする名前がついていたけれども、瀬戸山文部大臣のときにその名前がこう変わったのだということになれば、これは私は非常に意義のあることだ、こんなに考えます。しかもそれは、どうしてもこれでなければならないということを文部省は考えているのではございません。しかも国際障害者年ではあるし、しかも養護学校は義務制になりました。義務教育というのはやはり平等です。体の不自由な子供であれ、そうでなかれ、とにかく義務教育という枠に入れたというのは一つの平等のあらわれだということも考えられますので、お願いでもあるし、大臣への強い御要望とも言えるのですが、ひとつこの際この特殊教育、特殊学校という名称を変えていただくということを大臣にお願いしたいのですが、お聞き届けいただけぬでしょうか。
  176. 瀬戸山国務大臣(瀬戸山三男)

    ○瀬戸山国務大臣 非常に貴重な意見、真剣な御意見と私承っておりますから、それでは変えましょうと言うわけにいきませんけれども、真剣に研究いたしたいと思います。
  177. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 それでは、とにかく瀬戸山文部大臣の手で変わったということが後世に残るようにぜひしていただきたいということを重ねてお願いいたします。  なお、私はきょうはもうちょっと立ち入ってお聞きしたいのは、まだそういう特殊教育ということが頭の中にあるためにこの長期計画は、私から言わせれば非常に不満な点が多いということです。特にいま提案になっている定数との関係、それで見ますと、これは(ウ)という項目、特殊学校の「教職員定数及び学級編制改善」というところにどういうことが書いてあるかというと、ここは「一人一人に応じた指導や配慮が必要であるので、これに対応した学級編成基準及び教職員定数の改定を改善計画に従って実施する。」、こうあります。この改善計画というのはできておるのですか、できていないのですか。
  178. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 これは、公立義務教育学校学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に基づきまして第五次の改善計画を現在実施中でございますけれども、そういう意味作成をいたしまして、鋭意その目的に向かって進んでいるということでございます。
  179. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 第五次の改善計画というのはいつできたのですか。
  180. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 第五次の改善計画は五十五年度から実施をすることになっておりまして、十二年計画で行うということで、御高承のとおりでございます。
  181. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 国際障害者年のこの計画は五十七年でしょう。この改善計画というものは二年前にできたものをここへ出しておるのですか。このためにつくったものじゃないのですね。
  182. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 特殊教育に関します政府の計画と申しますと、ただいま御説明いたしました第五次の教職員定数改善計画でございますので、具体的にはそれを指しているというふうに理解をいたしております。
  183. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 この長期計画ができたのは五十七年ですね。これは間違いありませんね。五十七年に長期計画を出して、改善計画に従って実施する、こうなっておるのでしょう。これは何も書くことないですね。五十五年にもうできて、このとおり実施しておるのですから、ここへ書くのならばやはり障害者年に合うような計画だと私どもは理解します。これはもう二年前にできたものでそのとおりにするのです、これは何もないことですよ。障害者年だから特別なことは何もしませんということですね。それでいいのですか。
  184. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 障害者年だから格別に何かプラスアルファするという考えもあろうかと思いますけれども、政府において、文部省におきまして策定いたしておりますところの教職員定数改善計画がこの趣旨に合うというふうな判断から、この「定数の改定を改善計画に従って」というふうに書いておりますのは、私どもがいま申し上げました第五次改善計画に従ってやるということをここに表現されたものというふうに聞いております。
  185. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 これは大事な問題ですから大臣にお尋ねします。  障害者年で教職員定数及び学級編制改善するいうのを、五十七年に政府で長期計画は決めたですね。ところがそれへもっていってここに書いてあるのは、五十五年に決めたものをそのままやります、それが改善になるのでしょうか。改めて何もやりません、前からやっておることをやります、これで一体国際障害者年の教育に対する施策の——しかも「改善」とちゃんと(ウ)の項目に書いてあるのですよ。いままでやってきたことを改善するというのに、この改善計画というのは五十五年、二年前の改善計画を実施しますということで通るのですか。大臣、それでいいとお思いになりますか。二年前のカビが生えておる——カビは生えてないけれども、もうできてちゃんといま実施中のもの、私のところはこれだけです、こういうことなんです。何も改めてやるということじゃないのです。——いやいや、初中局長はもうそれを認めたのだから、黙っておりなさい。大臣、それでいいですか。
  186. 瀬戸山国務大臣(瀬戸山三男)

    ○瀬戸山国務大臣 率直に言って、私はいまの養護学校学級編制がどの程度になっておるか承知しておりません、適切であるのかどうか。これに言っておりますのは、これは五十七年の三月でございます。でありますから、定員はいまの改善計画でいいだろう、したがってそれで進める、こういうふうな趣旨でこれを書いてあると私聞いておるのですが、それが適切でないかどうかという判断はちょっといま私具体的な事例を知りませんから、局長からお答えさせますけれども、この趣旨はそういうふうな趣旨で書いてある、こう解するよりかしようがないですね。現在、改善計画が五十五年から立っておりますから、これは五十七年です。(湯山委員「ちょっと違うのです」と呼ぶ)いや、改善計画を立てて、この趣旨をその改善計画に従って実施するという趣旨でここに書いてある、こういうことだと思います。
  187. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 大臣ちょっと違うのは、五十五年に立てた計画は計画であって、まだ実施されてない、そこで五十七年にいこうというのじゃないんですよ。五十五年からすでに実施されておるのです。ほっといたって実施されるのです、こんな書かなくたって。それを改めて五十七年に改善という項目の中へ入れて出しておるのです。だから、内容を御存じなくても結構です。そういうやり方が一体身体障害者年に対する態度でいいのかどうかということです。
  188. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 国際障害者年ということを契機にいたしまして障害者に対する施策を充実するという観点から申しますと、湯山先生のおっしゃるように、いままでやっておるものを見直してさらに考えろというような御意見も確かにあろうと思います。しかし、私どもが立てました定数改善計画は十二年間でございますけれども、特殊教育分野におきましては大変な教員定数の改善を伴う計画でございまして、これを実現することが最も重要な特殊教育の政策の課題でございますので、それを二年前ではございますけれども、障害者計画の中で検討いたしまして、大変重要な計画であるということから、これを受けて、これに従って実施をするというふうに書かれているものと思うわけでございまして、それはその次の、たとえば介助職員の問題もそれはやっておるものでございますけれども、それを認めて、よくその方向に沿って計画されているということから、これを認めて、さらに着実に実施しろとかあるいは体制の整備に努めろというふうな表現になって、いまのやっておるものがそれはすでにやっておるものだから意味がないということではなくて、その意味の重要性を認めてここに書かれたものというふうに私どもは理解しておるわけでございます。
  189. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 明晰な局長答弁にしてはいただけないです。それなら、五十五年の計画というのをちゃんと書いておけばいい。ないでしょう。しかも「推進する。」と、こうなっている。もしこれを書かなかったら、じゃ文部省は怠けて——実際怠けたことになりますけれども、あの計画、法律の実施をやらぬつもりですか。そうじゃないでしょう。誠意をもってやります、努力して予算折衝等も一生懸命苦労しておるのはよく知っています。ただ、ここでこれだけの前書きをして、これだけきちっと「教職員定数及び学級編制改善等」と、改善すると受けとれませんか。改善の意思がないのです。ただ進める、進めないだけの問題で、進んでおるものをスピード上げるというのでもなければ——私にはそうとれません。そこで改善計画というのがあるかとお聞きしておるのはそれなので、それがどこに書いてありますか、五十五年の計画だというのは。現在進行中のものだというのはどこに書いてあるのですか。
  190. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 この改定を「学級編制基準及び教職員定数の改定」と書いてございますのは、これは法律用語といたしまして公立義務教育学校学級編制及び教職員定数改善についての計画そのものを指していなければこういう表現はないわけでございまして、それを具体的に第五次とかそういうことではございませんで、いま策定されている改善計画を認定をいたしまして、長期計画におきましてもその重要性を認めてこれを促進する、そういう形でこの中に入ったもの、私どもといたしましては、改善計画に沿ってやることはそのとおりでございますけれども、この長期計画に書かれました趣旨も踏まえて、誠意をもって実施をしていくというふうにこの中に書かれました趣旨を理解しているわけでございます。
  191. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 大臣、おわかりでしょうか、いまの答弁で。私にはどうしてもわからない。というのは、前文もついておるのですよ。「心身障害児は、その障害の状態、能力、適性等が極めて多様であり、一人一人に応じた指導や配慮が必要であるので、」とちゃんと理由まで書いてあるので、何も前につくった計画、進行中のものがどうだとか何だとか全然ありません。だから、これについて異議はありませんかと言ったら、異議はない。最初確認したのはそれです。いまのようにはとれませんよ。
  192. 瀬戸山国務大臣(瀬戸山三男)

    ○瀬戸山国務大臣 この文章をきわめて平板に見ますと、おっしゃるとおりです。「心身障害児は、その障害の状態、能力、適性等が極めて多様であり、一人一人に応じた指導や配慮が必要であるので、これに対応した学級編制基準及び教職員定数の改定を改善計画に従って実施する。」、言葉はそのとおり読むと、いま湯山さんが言われたように、だから五十七年三月にこの計画を立てたときに改善計画を改善するのが論理的ではないか、こういうふうにもおっしゃっておる。おっしゃることはわからないことはないのです。しかし、私どもいまこれを見ますと、この趣旨は、くどいようでありますけれども、五十五年に決めておる一つのいわゆる十二年計画がありますから、それにいまのような考え方を対応させるとまずまずよろしい、こういう考え方でこの計画は書かれておる、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
  193. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 答弁でそういうことがわかったので、私もいささか憤慨しておるので、弟が入学するのに兄貴のお古を着せて、もうこれでいいといったような感じを持ちます。そこで、この文章は非常に誤解を招きます。局長が言われたように、常識と言うけれども、常識じゃないのですよ。法律の名前を書くなら何々法にしたいとか書けばいいのに、そういうことも何にもありません。年数もありません。ですから、大臣が素直にお読みになってそうとれるだろうけれども、実情はこうだという説明をしなければならない状態にある。  そこで、次の質問です。本当にこの計画はその後忠実に、着実に進んでおりますか。当初の五十五年の計画どおりきちっと進んでおりますか。
  194. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 公立の特殊教育学校学級編制教職員定数改善計画につきましては、ただいま申し上げた第五次の計画の中で推進をしているわけでございますけれども、小中学部にございましては第五次、高等部にございましては第四次というふうにその計画が分かれておるわけでございますけれども、第四次は五十五年度からやっておるわけでございます。この改善計画につきましては、一昨年にいわゆる行革関連特例法が制定されまして、財政再建期間中はその実施を抑制するということとなっているわけでございますけれども、特殊教育分野につきましては、教職員定数についてその重要性を考慮いたしまして、抑制を行わないで計画どおり改善を行ってきているということでございまして、ただ、養護訓練の場合に若干の抑制がございますけれども、特殊学級でございますとか特殊教育分野につきましては抑制を行わないでやってきているということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  195. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 では、寄宿舎定数、それから寮母の定数、それから特殊教育学校研修代替定数、それから学級の定員数、これらはきちっと全部できておりますか。
  196. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 ちょっと私が取り違えて御答弁申し上げまして失礼いたしました。  この特殊教育学校改善内容につきましては、学級編制改善というのがございまして、これは一般学級八人から七人、重複学級五人から三人、それから小中学校の教員の定数でございますが、これが教頭代替、専科教員、それから免許外教科というふうな改善があるわけでございますし、第三に養護訓練定数というのがございまして、これは一校一人増と、学級規模の増大に応じ一人から五人程度を増加する。これが全体といたしまして一千六百六十三人でございますけれども、私はちょっと取り違えまして、ここのところは抑制しないでやっているということでございまして、第四に、寄宿舎定数一校一人増、寮母定数が最低八人から十人保証、肢体不自由児は四人に一人を三人に一人とする。それから研修代替定数が小中学校に準ずるという形で、全体といたしまして五千百二十四人の改善計画があるわけでございますけれども、この財政再建期間中は一般の定数改善が抑制されました中で、特殊教育につきましては、養護訓練定数については抑制をしないでやっているということでございますので、御訂正を申し上げます。
  197. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 いまの行革法は何年にできたのでしょう。
  198. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 五十六年の十一月でございます。
  199. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 大臣、またお尋ねせねばならぬことができました。いまのように計画どおり進んでおるということで言ったのが五十七年です。しかし、五十七年度からはもうすでに抑制されて、確かに養護訓練のは百五十名ですか、配置になって、あとはこの計画は守られてないのです。それで五十七年にいまのようにこの計画どおりやります、できておるのならまだしものこと、できていないでこうやって、それで一体本気で障害者対策と取り組んでいると言えるかどうか。大臣、いかがでしょう。
  200. 瀬戸山国務大臣(瀬戸山三男)

    ○瀬戸山国務大臣 非常な無理な御質問でございまして、五十七年の三月にこの計画は策定されておるようでございます。いまの臨調の問題でいろいろ統一した法律を国会で制定されまして抑制措置を講じられた、その後でございますから、内容については、この特殊教育についてはある程度、抑えておりませんけれども、そういう時間的な誤差が出ておるわけでございますから、論理的にはちょっと無理な御質問じゃないかという気がするのです。
  201. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 五十七年にできた計画では、いま、これは政府がやったので文部省ということじゃない、政府全体だ、しかも閣議決定です。そこで初めに、文部省がやったのかというのを念を押したのはそうなんですが、そうじゃないということでした。そうすると、それがもしいまのように閣議決定、政府全体の意思であれば、このことといま指摘申し上げた点とは間違っておるわけです。だから書いてある内容先ほど申し上げたように問題があるし、実施状況にも問題がある。もし本当にこれならば、行革でああなったけれども、この分だけは、障害児のだけは一〇〇%いくというのなら、それはまた恕すべき点があります。  そういうことですから、もう時間がなくなりました。大変真剣に大臣もお答えいただいたのですが、単に言葉の問題じゃなくて、やはり教育姿勢の中に特殊教育というのがまだ頭にある。かすが残っている。幾ら否定しても残っている。したがって、とにかく計画だから出せばいい、実態はその計画さえも実施されていない、それが今日の教育と育成における障害者対策の実態であるというところに問題があります。そういう体制をここで打ち破る、転換していくことが障害者年の大きな課題でございます。そこで、名称もそうですし計画においても内容においても決してこれで十分とは言えない、これをこの機会に転換していただくことが障害者年の参加と平等の重大な課題であるということを大臣に御理解願って、それらを総合して緊急に、大臣をしておられる間にひとつ実現していただきたいというのが質問の趣旨でございます。  総括的な大臣の御答弁をいただきますし、なお馬場議員からもそのことに関しての御所見を伺って、終わりたいと思います。
  202. 瀬戸山国務大臣(瀬戸山三男)

    ○瀬戸山国務大臣 湯山さんの御質疑の趣旨は先ほど来よく拝聴しておりますので、真剣に検討を進めたい、かように考えます。
  203. 馬場議員(馬場昇)

    馬場議員 国連が人権宣言に基づきまして国際障害者年を設定したのがおととしだったわけです。それから、先ほども言ったのですけれども、国会が衆参満場一致で決議をしたわけですね。その中にはっきり出ておるわけですよ。「障害者対策の抜本的改善を図るため、中央、地方を通じ「長期行動計画」の策定に努めるとともに、特に障害者に関する現行法制及び諸制度の現状を点検し、その改善努力すること。」、こうなっておるわけでございまして、五十五年の改善計画というのがその当時あって進んでいたわけですが、障害者年に、しかも国会で決議をして、長期計画ができたわけでございます。いま湯山委員がおっしゃいますとおりに、現行進んでおったもの以外にこの決議に基づいて現行制度改善しなければならぬという決議ですから、そういう意味から言いますと私どもの出しておりますこの法律が国際障害者年、国会の決議に最も沿うものであって、これをやるのがあたりまえだということです。いま文部大臣並びに局長答弁を聞いておりますと、この国会の決議がほとんど生かされていないということを私は感じますので、私どもが出しておりますこの法律をなるべく早くこの委員会で、国会で議決していただきますように心から願っておるところでございます。  以上です。
  204. 湯山委員(湯山勇)

    湯山委員 質問ではありませんが、つけ加えて申し上げます。初中局長にはかなり厳しい質問をいたしまして恐縮でしたが、それは決して怠慢だとかなんとかを追及するという意味ではありません。障害者教育を本気で進めていかなければならないということで申し上げたことが予算の要求なり今後の障害児教育にお役に立つ面もあるのではないか。閣議決定でもあるし、それから両院の決議は国策に準ずるものだということも言われております。そういうことの背景を申し上げて一層御尽力を願いたいという気持ちで申し上げましたので、ひとつそのように御理解願って御尽力をお願いいたしたいと思います。  以上です。
  205. 葉梨委員長(葉梨信行)

  206. 栗田委員(栗田翠)

    栗田委員 最初に提案者である馬場先生に伺います。  障害児教育、障害児学校の定数法の改正案といいますのは、第八十四国会で共産党も社会党と共同で一度提案したことがございます。いま審議されていますのは社会党単独提案のものでございますけれども、これはその当時のものとどこがどう違っているのでしょうか。
  207. 馬場議員(馬場昇)

    馬場議員 いまおっしゃいましたように、昭和五十四年の第八十四国会に社会党と共産党が、公立障害児教育学校学級編制及び教職員定数標準等に関する法律案というのを共同で出しました。基本的な性格や内容は実はほとんど変わっていないということでございますが、特に最近の盲・聾学校の児童生徒が減少傾向にあるわけですし、さらに一方では、盲・聾・養護学校に入学するところの重度あるいは重複度の急増しておる状況もございますし、そういう中で教職員の健康破壊というものも進んでおるわけでございまして、状況がさらに深刻になってきておる。そういう点を加味いたしまして、たとえば教職員定数をもう少し改善するとか、さらに寄宿舎等につきまして、重度・重複度の人が多いものですから、そういうところの寄宿舎の問題を追加するとか、養護訓練担当の教諭を増加するとか、さらに養護教諭の配置を改めるとか、基本的には同じですけれども、現在の状況に合わせてそういう点に少し変更をしておる、こういう点が変わっております。
  208. 栗田委員(栗田翠)

    栗田委員 それでは次に訪問教育について伺います。私は、五十五年の九十一国会で、同じ衆議院の文教委員会でございましたけれども、訪問教育の充実の問題を取り上げて質問したことがあります。そのとき幾つかの問題を実際に調べた中で指摘をいたしましたけれども、たとえば一週二回、二時間の訪問授業というのは時間数が少な過ぎるのではないか、これは実態をいろいろと述べて、もっとふやすべきだということを申し上げたと思います。次は、訪問指導に当たる教師の四割近くが非常勤で、正規の方ではないということ、それから障害児教育の経験と盲・聾・養護学校教諭免許状を持っていらっしゃる方が非常に少なくて、いわゆる無免許運転の形になっていて、これはよろしくないのではないかということ、それから四番目には、中学部になりますと各教科を教えていかなければなりませんので、各教科の指導訪問が必要になっているのじゃないかということ、それから専門の養護訓練担当教諭の派遣が必要だということ、こんなことをいろいろ申し上げたと思います。  ところで、いま三年たっておりますけれども、現在もほとんどその実態が変わっていないということが調査の中でわかりました。たとえば昨年五月一日現在の静岡県の実態を見ますと、訪問教育の対象児童生徒は四百五十二名ございます。ところが教員が百三名なのですけれども、その中で正規の方が六十二名、非常勤講師が四十一名、まさに当時の非常勤四割近くいらしたという状態のままいまもまたその数がずっと続いているという実態ですし、静岡市にある中心的な養護学校の中央養護学校のごときになりますと、専任の方が三名、非常勤四名ですから、非常勤の方が多いという実態になっているわけです。また、ことし一月の全国調査でも、正規の方に対して常勤、非常勤講師、正規でない方が四割近いということも発表されているようでございますし、それからいろいろな実情を見ましても、在宅訪問教育の場合、四十キロから五十キロメートルぐらいの長距離を訪問して歩いていらっしゃるわけでございます。途中で食事の時間もなく場所もないという中で先生たちは一生懸命に訪問指導をしておられますが、ガソリン代の支給もないといったような実態など、いろいろ改めて浮かび上がってまいりました。つまり、いま私がるる申し上げたことは、三年前に指摘したことがほとんど改善されていないのではないかという問題でございます。  さて、最初に馬場先生に伺いますが、文部省がやっていらっしゃる改善実態はこんなふうなんですけれども、今度の社会党提案法案ではその点どういうふうに配慮していらっしゃるのか、具体的な改善内容について伺わせていただきたいと思います。
  209. 馬場議員(馬場昇)

    馬場議員 訪問教育実態は、文部省がやっておりますのはいま御指摘なさったとおりにほとんど改善は行われていない、こう私どもは把握しておるわけでございまして、そういうのは一日も早く改善しなければならないわけでございますので、おととし出しましたこの法律の中では改善を加えておるわけでございます。  具体的に言いますと、訪問教育の場合、現行は五人を一学級というような計算をしておるわけでございますが、これはもう全然実績が——全然とは言いませんけれども、実績が上がらないわけでございますので、私どもといたしましては、訪問教育を受ける生徒五人までは三名の教師をそれに配置するというようにして改善をしておるわけでございますし、先ほど指摘いただきましたが、現状は週二回に一回二時間で合計週四時間しか訪問をしないという実態になっておるわけでございますので、私どもの改正案では、週に三回、一回を三時間というぐあいに計算いたしまして、週に計九時間訪問教育が行われるような計画で定数を計算しておるということでございますし、さらに、先ほど指摘ございましたように非常勤の方が非常に多い、これはもう改善しなければならぬし、そうあってはならないという原則。それから、これは訪問教員だけではございませんけれども、障害児学校の免許のない先生というのが実際非常に多いわけですから、そういう無免許は解消するという方向を考えたわけでございます。具体的な訪問教育内容については、そのような改正をいたしております。
  210. 栗田委員(栗田翠)

    栗田委員 それでは、続けて文部省に伺いますけれども、いまのような実態でございますね。三年前に私が質問いたしましたときにも、週の授業時間数と回数、四時間よりもふやすことの意義というのはずいぶんお話ししまして、そのことの意味があるということはおっしゃっていらっしゃったわけです。  それで、具体的に今後どう改善していらっしゃるおつもりかということ、それからもう一つあわせて伺いますと、原則として正規の教諭が授業を担当して非常勤をなくしていく方向をとるべきだということは前にもおっしゃっておりましたが、そのことをこの間どういうふうになさっていらっしゃったのか、いまどういう計画をお持ちなのか、この二つの点をお答えいただきたいと思います。
  211. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 養護学校におきます訪問教育は、養護学校の義務制を契機といたしまして新しい教育形態として推進をしているわけでございますけれども、第四次の標準法に基づきます計画におきましては、先生からお話しいただきましたように、週二回、一回当たりの授業時数二時間、これを原則として実施をする、その場合の対象の児童生徒が五人に一人ということであったわけでございますが、第五次の改善計画におきましては、標準法におきましては、訪問教育につきまして、重複障害児童生徒で学級を編制する場合に準じまして児童生徒の数を三人に一人の教員を配置するというふうにいたしましたのと、授業回数は週三回程度、一回当たり二時間、したがいまして計六時間、これが原則となっておりますので、標準法のレベルにおきましては改善をいたしたわけでございますし、これに従って定数措置をしているということでございます。  それから、非常勤の教員でございますとか、あるいは免許状を持っていない者をどうするかということでございますが、この訪問教育という形態から考えましてなかなかそれに従事する教員が得られないということもございますし、退職教員の活用というような面もございまして非常勤というものもあるわけでございますけれども、それにいたしましても勤務条件の安定という観点からは常勤にすべきだという御意見は理解できるわけでございます。免許状の問題につきましては、これは現在約五割ぐらいかと存じますけれども、特殊教育免許状を持たないにいたしましても、この訪問教育の点から申しますと、児童に対する教育的な愛情と申しますか、あるいは長年の教育的な経験と申しますか、そのようなことの方がむしろ重視をされるということもございますので、一概に特殊教育に関する免許状が一番よろしいということばかりじゃないと思いますけれども、なおそういう資質を持った方が免許状を持っているということが望ましいことは言うまでもないと考えます。     〔委員長退席、狩野委員長代理着席〕
  212. 栗田委員(栗田翠)

    栗田委員 訪問授業の回数の改善をしたというふうにおっしゃっておりますが、実際には全国的にまだまだ週二回二時間のところが相当多いように思います。実態はどうなっているか、調査なさったことございますか。
  213. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 標準法によります原則の積算の基礎と申しますか、それは申し上げたわけでございまして、都道府県によりましてはこの原則に基づきまして具体的な状況によって指導するということでございますが、個々の都道府県におきます実態につきましてはまだ具体的に委細調査をいたしておりません。
  214. 栗田委員(栗田翠)

    栗田委員 もう一つ伺いますが、それでは常勤、非常勤の割合が全国的にどうなっておりますか。
  215. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 これは五十六年五月一日現在の数字でございますが、訪問教育担当教員全体が二千二百二十八人でございます。そのうち常勤の教員が千九百七十八人で八八・八%、非常勤が二百五十人でございまして一一・二%、こういう割合でございます。
  216. 栗田委員(栗田翠)

    栗田委員 先ほど、非常に長距離を教えにいかなければならない問題とかガソリン代のことなども申し上げましたけれども、こういう細かいことについては調査をしていらっしゃいますか。
  217. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 これは全国調査というわけではございませんけれども、自家用車を公用車扱いとして認めている例といたしましては、北海道でございますとか宮城県でございますとか、そういう配慮をしている県が九県ありますほか、たとえば訪問教育用の公用車を特別に配置している県が長野県とか広島県にある、そういうようなことでございますとか、そのような調査は一応しているわけでございます。
  218. 栗田委員(栗田翠)

    栗田委員 大臣に伺いますけれども、大変訪問教師の方々は苦労をして子供たちを教えていらっしゃいます。いま具体的にお話しした、たとえば自分の車で長距離を走ってガソリン代全部負担している例もずいぶんあるわけなんですけれども、こういうものは本来公的な負担で補うのが正しいのではないか。そして心置きなくどこまでも子供たちを教えに行けるようにしていく、そういうことを保障すべきではないかと思いますけれども、いかがでございますか。
  219. 瀬戸山国務大臣(瀬戸山三男)

    ○瀬戸山国務大臣 教育の場の報告でございますから程度によると思いますけれども、それは公に負担する方が適当だろうと思う。これは都道府県その他の関係もあると思いますが、そういう点はよく相談をさせたいと思います。
  220. 栗田委員(栗田翠)

    栗田委員 次の問題に移りますが、三月十八日、文教委員会で私は静岡県の例を出して、旧定数法に沿った教職員の定数がいまだに充足していないという問題を取り上げました。ところで、同じように旧定数法すら満たしていない県がまだ幾つかあるというふうに聞いておりますが、それはどことどこでしょうか。
  221. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 これは五十七年の五月一日現在の数字でございますけれども、国全体といたしますと九八・七%の充足になっているわけでございます。静岡県の場合には七九・六%という数字でございまして、これに類似をいたします一〇%前後未充足というのは、北から申し上げますと宮城、秋田、群馬、福井、山梨のような県でございます。
  222. 栗田委員(栗田翠)

    栗田委員 それぞれ旧法に対して何人不足していますか。どれだけ不足していますか。
  223. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 これは旧法ではございませんで、五十七年度におきましていわゆる新法と申しますか新しい標準法に照らしましてどのような充足率かということでございますが、宮城県が八八%、秋田県が八一%、群馬が八七%、福井が八五%、山梨が八五%、そういう数字でございます。
  224. 栗田委員(栗田翠)

    栗田委員 それでは具体的な資料、たとえば小学部、中学部、それから高等部、どんなふうにどう足りないのかということなど、できましたならばこの不足の県、各県に対して資料を出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  225. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 ただいま手元にございませんので、調製いたしましてお届けしたいと思います。
  226. 栗田委員(栗田翠)

    栗田委員 次に、この前質問いたしました静岡の実態について、この前のときに資料が一致してなかったという点がありますので、ちょっと伺いたいと思います。  まず、後からお出しいただきましたけれども、大変な未充足数でございます。これは出てきた資料では静岡県、県立で十四の障害児学校がありまして、公立で三つあるわけですが、その合計で訪問教師を含めた教員の不足数は何と百九十九名、二百人近く足りない実態になっていますし、職員の場合五十名不足という資料文部省からいただきました。ところで、この不足数というのは定数法のいつの時点と比べての数でしょうか。
  227. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 いまお挙げになりました数字は、それぞれ五十七年度に対しましての不足数でございます。
  228. 栗田委員(栗田翠)

    栗田委員 それでは旧定数法と比べますとどれだけ不足でしょうか、いまの部分でよろしいですが。
  229. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 私どもといたしましては、やはり新しい標準法に照らしてということでやっておりますので、旧定数法に照らしてやるということは、またもう一度各学校に積算を当てはめましてやるということでございますのでやっておりませんが、ほぼ一、二%ぐらいの数が少ないというふうに御理解いただければと思います。
  230. 栗田委員(栗田翠)

    栗田委員 旧定数法に照らしても不足がかなり出ているわけです。それで、いまのお答えの御趣旨のように、現在の段階での不足を一日も早く充実させていかなければならないことから言うならば、何年もかかってまだ旧定数法に満たないということは大変問題だということは、この前も私申し上げました。それで大急ぎで充足していかなければならないわけですが、その後どのような指導をなさいましたか。
  231. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 静岡県の特殊教育諸小学校の定数の未充足につきましては、かねがね御指摘もありまして、文部省といたしましても法定の標準に従って教職員の配置をすべきことを強く指導してきたところでございますが、栗田先生からの質疑後におきましては、静岡県の教育委員会職員の来省を求めまして、さらに高等部等におきます未充足の解消も含めて改善指導したわけでございまして、静岡県といたしましては、来年度以降、この方向で改善を図るように検討を進めたいというふうな回答を得ているわけでございます。
  232. 栗田委員(栗田翠)

    栗田委員 さらに高等部も含めてというお話でございますね。県が出しました未充足を解消する五カ年計画というのを見ますと、高等部が入ってないということ、それから盲・聾が入っておりませんね。高等部は——盲・聾はひょっとしますと子供の数が減って未充足の状態になっていないからかと思いますが、その点をひとつ伺いたいということ、それから非常に五カ年計画というのはゆっくりした計画で、本当だったらことし百九十九名の不足を満たしておかなければならないのが、こんなゆっくりした計画でやられているという点が問題だと思います。それで、あと高等部の充足も五カ年かけてゆっくりやるつもりなのかどうかという点、こういう内容について伺いたいと思います。  もう一度ちょっと整理しますと、五カ年計画というのは余りに遅々としているではないか、これを急ぐということについてどう御指導なさったか、県がどう言っているか、盲・聾が入っていないということ、これはなぜかということ、それから、高等部の充足計画の具体的なものを伺いたいということ、この三つの点でお答えいただきたいと思います。
  233. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 静岡県におきましては、この小中学部を中心改善計画を立てましたのは、特に重度障害児が多いという観点からこれを重点におきまして改善計画を立てたものでございまして、五カ年計画を見ますと、自然の増減等もございますので五十八年度は三十七名というふうにかなり数を充てまして、その後二十九、十五、七というふうな形で充足計画を立てているわけでございますが、私どもとしては一日も早く、一年でも早く未充足を解消するようにという指導をいたしているわけでございます。  それから盲・聾学校につきましては、これは自然減が見込まれますので、この計画の中に入れてなかったというふうに聞いております。  高等部につきましては、ただいまのところ五年計画ということではございませんで、来年度の計画、予算の際にどうするかという観点を含めて私どもとしては指導をしているわけでございます。
  234. 栗田委員(栗田翠)

    栗田委員 そうですか。高等部も重度が少ないから小中だけを先にしたと県が考えているということは大変問題でして、国が決めている定数法に満たない状態にしながら、重くないならばよいなどと考えて抜かしているということ自体が静岡県は大変けしからぬと思います。高等部の先生の不足は四十七名ですからね、これも大変問題だと思います。一層強い御指導をお願いいたします。  時間がありませんので、もっとゆっくりこのことも伺いたいのですが、次の問題に移らさせていただきますけれども、次に幼稚部の充足の問題です。  ことしの四月二十五日参議院の決算委員会で、わが党の安武洋子議員が高等部の充足問題を取り上げて質問いたしました。高等部、幼稚部ともに充足の必要があるということは、政府もすでにいろいろな文書などでも表明しておられます。たとえば、八二年三月に国際障害者年推進本部が発表しました「障害者対策に関する長期計画」この中で十三ページ、十四ページを見ますと「心身障害児に係る早期教育及び後期中等教育の充実」という項目で、特殊教育学校幼稚部等の整備充実や特殊教育学校の高等部の充実を図る云々というふうに書かれておりますし、さっき湯山先生も挙げておられましたけれども「一人一人に応じた指導や配慮が必要であるので、これに対応した学級編制基準及び教職員定員の改定を改善計画に従って実施する。」ということが言われているわけですから、政府自身がそのことをうたっていらっしゃるわけですね。  さて、このことで最初に社会党馬場先生に伺いますけれども、今度の社会党案は幼稚部から高等部まで一貫した定数法になっている点で、七八年に社共が共同提案したものと全く同じで、その意味というのは非常によくわかります。賛意を表しておりますけれども、その定数法の内容は具体的に幼稚部の場合はどうなっておりますか。
  235. 馬場議員(馬場昇)

    馬場議員 障害児教育の中で特にそういう早期教育、幼児教育というのは非常に重要な問題であるわけでございまして、いまおっしゃいましたとおり、私どもの案には幼稚部から小中高校一本にして障害児の定数法をつくったわけでございまして、一貫教育というのも非常に大切でございますのでそういう形にしたわけでございます。  それから、学級編制基準といたしまして、私どもの案では幼稚部は五名を基準といたしました。ちなみに小中は七名ですし、高校は九名でございます。  それから、教職員定数の標準につきましては、物の考え方といたしまして、これは一九七八年共産党と一緒に提案いたしました、これは一緒でしたかどうか、そこのところははっきりと記憶しておりませんけれども、定数法の改正案があるわけですけれども、これで普通の小中学校は授業時数を大体十八時間にする、それから高校は十五時間にする、そういう方針を私ども持っておるわけですが、それと対応させまして、障害児の場合は個人指導というのが非常に多いわけでございますから、一日三十分の個人指導を週六日やるということで大体週三時間の個人指導があるという予定をいたしまして、それを差し引きまして障害児学校では小中学校は週担当時数を十五時間、それから高校は十二時間、そういう立場で実は教職員定数を計算しておるわけでございます。具体的にいいますと、小学校は学級数掛けるの一・八四、中学校は学級数掛けるの二、高校は学級数掛けるの二・八三、こうやっておりますが、幼稚部につきましては一学級三名というようなことで計算をしておるわけでございます。  幼児教育の重要性、先ほど言ったとおりですが、直接、そのほか現業職員の方はたくさんの職種に定数化を実はしておるわけでございますし、われわれの計画では、これは一日も早くやらなければなりませんので、学年進行方式で六カ年でこれをやってしまおう、こういうような計画になっております。
  236. 栗田委員(栗田翠)

    栗田委員 それでは文部省に伺いますけれども、いまの幼稚部の問題ですが、高等部の方は、私非常に不十分だと思いますけれども、一応定数法があるわけですが、幼稚部にはないわけですね。それで、いま進行している十二年計画の中にも、幼稚部は対象外になっていて、充足をさせるようには計画が入っていないと思います。  ところで、学級編制基準でいいますと、幼稚部の場合一学級八人になっていると思いますが、しかし、自治省の地方交付税の積算単価の基礎計算では五人で計算していらっしゃるというふうに私理解をしております。それで、文部省がお出しになりました、特殊教育課が編集している「特殊教育必携」の中を見ますと、「一学級五人を標準として編制することが望ましい」というふうに文部省自身もお書きになっていらっしゃるのですね。  それで、早急に幼稚部の定数法を制定するべきではないかということ、それから特に、八人という基準を五人にして学級編制基準を改めるべきではないかということ、各県でまだ八人になっているところが非常に多いわけですけれども、これも早急に五人で編制できるようにすべきではないかということ、まとめて伺って申しわけありませんが、この三つについてお答えいただきたいと思います。
  237. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 特殊教育におきます幼稚部の必要性につきましては、障害の程度によりましていろいろ考え方があるわけでございますけれども、聾教育の場合には非常に長い間の聾教育の伝統によりまして幼稚部が設置をされまして、それが聾教育に効果があるということから現在で約九割の設置率になっているわけでございますが、たとえば盲学校でございますと六二%、養護学校は、これは養護学校の義務制が発足いたしまして日が浅いという点もございますけれども、三・七%という形でまだ設置率は低いわけでございます。  ただ、幼児教育におきます特殊教育の場合に幼稚部を一律に勧奨したらよろしいかという点につきましては、特殊教育研究調査協力会議等におきましてもいろいろ議論をしていただいておりますが、幼児の心身の発達の状況とかあるいは養護学校等の配置の状況等を考えますと、そこに幼稚部を設置をいたしまして通園をするというような形態が障害の程度によりましては必ずしもそぐわない、困難であるという面もございましょうし、一律にはできないわけでございまして、たとえば病弱の場合には病院に隣接をして設けるとか、いろいろな形態が考えられるわけでございますので、小中学部とは異なりまして、そのような関係機関の配置と勘案しながらやはり進めなければならないというふうに考えているわけでございます。  それから教員の配置の基準でございますが、これは現在学校教育法施行規則によりまして八人となっているのは御指摘のとおりでございますけれども、交付税の積算等におきましては七人というふうになっておりまして、それに従いまして随時、基準として都道府県におきますこの幼児に対する教員の配置が行われておりますが、そういうものの普及の状況とかそういうものを勘案しながらこの基準をどうするかということは検討しなければならないというふうに考えているわけでございます。
  238. 栗田委員(栗田翠)

    栗田委員 時間がなくなってしまったのですけれども、ただ、自治省などは算定の基準を五人にしておりますし、文部省自身が一学級五人を標準として編制することが望ましいと言っておられますので、やはりこれはそういうお考えなんだと思いますので、その方向での最大の努力を一日も早くしていただきたいというふうに思います。  私、大臣に伺おうと思っておりましたが、時間が来てしまいましたので、まとめて後、山原さんから大臣への御質問はさせていただくようにしまして、私の分はこれで終わらせていただきます。      ────◇─────
  239. 狩野委員長代理(狩野明男)

    ○狩野委員長代理 この際、第九十四回国会中西績介君外四名提出学校教育法等の一部を改正する法律案及び中西績介君外四名提出学校教育法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山原健二郎君。
  240. 山原委員(山原健二郎)

    ○山原委員 この委員会で年来の懸案でありました実習助手の問題、事務職員の問題、養護教諭の問題等につきまして三つの法案提出していただきましたことに対しまして、提案者に敬意を表明する次第でございます。  この議員立法というものは非常に重要でありまして、たとえば欧米の国会におきましても議員立法は優先的に審議をされておることは御承知のとおりであります。わが国の場合は政府提案の法律を主として審議をするという形態をとっておりますが、この年来の問題について法律案提出され、それに対する正当な論議が行われることがどれほど必要なことかわかりません。その意味で、われわれも気に入らない政府提案の法律についても審議もします。また、賛成法案についても審議もして、そしてその法律の内容を確かめて採決に入るわけでございますが、自民党の諸君に対しましても、多数を持っているからといって、野党が提出する法案に対して、これを無視するのではなくて、やはり論議をしていただく必要があるのじゃないか。そしてその結果として決着をつける意味において採決もあり得るわけで、多数だからそれを否決する場合もあるでしょうけれども、しかし、これだけの重要な問題について当然論議を深めていく必要があると私は思います。そのことを最初に申し上げておきたいのであります。  次に、実習助手の問題について質問をいたします。  大臣も御承知のように、一万五千名に達する実習助手の方たちがどういうことをされておるか。工業農業、商業あるいは水産、衛生、看護などの各職業科あるいは理科、家庭、理療、理美容科などの実験実習指導、こういう問題に従事をされております。また、実験に必要な準備整備実習指導計画の作成実習成績の評価、さらにクラブ活動、学校行事、特別活動の顧問、指導その他各種の校務分掌、こういったものに従事をしているわけでございまして、実際に教諭の先生方と変わらない仕事をしておるというのが実態であります。ところが、この教育事業に携わっておる方々に対する一つ処遇の問題と身分保全の問題、これが余りにも低劣であるがゆえに今日まで何遍もこの委員会で問題になってまいりました。その意味で、多少重複する点がございますけれども、質問をいたしたいと思います。  まず最初に、人事院に対しまして国立並びに公立高校及び障害児学校勤務している実習助手適用される俸給表についてお伺いをいたしたいのでありますが、この俸給表は何を適用しておるのでしょうか、確認をいたしたいのであります。
  241. 斧政府委員(斧誠之助)

    斧政府委員 高等学校につきましては実習助手の方は教育(二)表を適用されております。障害児の盲・聾学校等におきましては、実は国の場合は実習助手というものが存在しておりませんので、私たちの方は現に国家公務員の官職として存在しておる官職を分析してその俸給表適用を決める、こういうことでございますので、存在していない関係上、そういうところにおられる実習助手の方についての俸給表適用は不明確のままになっております。公立学校にはそういう方が存在するとお聞きしておるわけでございますが、もし国にそういうものがありせばということで考えますと、設置された場合の職務内容をよく見なければならないわけですけれども、仮に専任で実習助手仕事をやっておられるということになりますと、やはり教(二)ではなかろうかというふうに考えております。
  242. 山原委員(山原健二郎)

    ○山原委員 この俸給表について、時間がありませんから少しスピードを上げて質問をしなければなりませんが、先ほど佐藤議員の方からも質問がありましたのでダブるわけでございますけれども、教育職(二)表三等級、この俸給表は、先ほどお話がありましたが、仮に高等学校を卒業した十八歳で出発したとしましても、およそ五十歳前後で頭打ちになり、しかも最高号俸は、教諭俸給表等級はもとより行政職(一)表、(二)表と比べましてもきわめて低いと考えられるのでありますが、この点について人事院はどうお考えでしょうか。
  243. 斧政府委員(斧誠之助)

    斧政府委員 号俸数の設定につきましては、現在までのところ在職職員がどういう号俸在職状況にあるかということを見ながら改善すべきは改善するということでやってまいっております。国の場合で申し上げますと、教育(二)表の三等級には枠外者はまだ出ておりません。全部三十五号俸の中におさまっております。実は昭和六十年から定年制が実施されますと、そういう定年制度を想定した号俸数というものを決めなくちゃなるまいということでいま検討している最中でございます。そのときには定年制に見合った号俸設定ということをいたしたい、改善をいたしたい、かように考えております。
  244. 山原委員(山原健二郎)

    ○山原委員 実習助手制度としては本来終身職でありますから、教育職俸給表(二)の三等級はもともと助教諭あるいは講師というような臨時的職員適用されるためのものであって、終身職の実習助手適用させているところに根本的に問題があると考えるわけでありますが、その点について人事院は矛盾をお感じになっていないのでしょうか。
  245. 斧政府委員(斧誠之助)

    斧政府委員 教育職俸給表等級適用は、それぞれの職名に応じて各等級適用されることになっております。実習助手の場合に、私たち職務評価して等級を決定していくわけですが、その場合、現在の制度教諭教育活動の補佐的業務であるという制度になっておるわけでして、教諭のもう一つ下の三等級、こういうことになっております。しかし、そういう職名によって等級が決められていくということになりますと、いま先生おっしゃいましたように終身、相当長期間勤務するという体制のもとでの給与のあり方、これは考えていかなくちゃならぬ、こういうふうに考えておるところでございます。これも実は見直しの中で、今度、行政職等では等級の設定なども若干変更したい、こう思っておるわけですが、そういう中でそういう職名等級でもって等級が格づけされる方々の処遇をどうするかということをあわせて検討したい、こういうふうに思っております。
  246. 山原委員(山原健二郎)

    ○山原委員 私は、その矛盾があるということを感じまして御質問をしたわけですが、現在検討中ということでございますから、この際、この問題につきましては、実習助手というものの実態をよく把握をしていただきまして、そしてこれに対するふさわしい処遇が行われるようにぜひ検討を進めていただきたいと思いますが、そういうお考えであることを確認してよろしいですか。
  247. 斧政府委員(斧誠之助)

    斧政府委員 御趣旨のようなことで検討いたしたいと思います。
  248. 山原委員(山原健二郎)

    ○山原委員 人事院の方、質問はそれだけでございますので結構ですから、どうもありがとうございました。  次に、文部省に対しまして、文部省は本年も高等学校の産業教育実習助手講習を実施されようとしておりますが、これは大変結構なことだと私は考えます。  そこで、この講習会の目的は、産業教育に従事する実習助手の資質の向上を図るとともに、教諭の二級普通免許状を取得するに必要な単位を取得させるものと理解するのでありますが、どうでしょうか。
  249. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 この五十七年度の高等学校産業教育実習助手講習の実施要項によりましてお答え申し上げますと、「目的」は「高等学校の産業教育に関する教科・科目を担当する実習助手に対し、職務に必要な知識技術について講習を行い、その資質の向上を図る。」ということでございまして、大学の協力を得て認定講習を行い、所要の免許状等の資格が得られるような講習をするということでございます。
  250. 山原委員(山原健二郎)

    ○山原委員 この実施要項を私もここへ持ってきておりますけれども、これは明らかに「教諭の二級普通免許状を取得するに必要な単位のうち、」ということで内訳が書かれておりまして、「開催大学が開設する免許法認定講習として認定される予定」ということが括弧書きで書かれておるのでございまして、その意味におきましては、当然二級普通免許状を取得するに必要な単位を取得するための講習会であるというふうにいまの御答弁でも理解できます。教育職員免許法附則第十一項による教諭普通免許状取得者の数ですが、これは先ほど質問に対するお答えで、一級免許状五十三人、二級免許状九千三百三十六人、合計九千三百八十九人ですね。これは間違いありませんね。
  251. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 五十五年の十月一日現在の数字で申し上げましたので、そのとおりでございます。
  252. 山原委員(山原健二郎)

    ○山原委員 そこで、先ほど答弁によりますと、さて、その免許状を取得をされ、また過去において取得をされておる方、あるいは認定講習等によって取得された方がこれだけたくさんおいでになるわけですが、その中で三十六年以降については毎年二百人ないし二百五十人の採用であったというふうに聞きますが、その後、現在は調査をしていないからわからない、こういうことですね。だから相当数の、大半の人々と言っていいでしょうか、結局免許状取得をいたしましても採用になっていないということですね。  これは先ほども三十六年のこの法案の論議がされましたときに内藤誉三郎政府委員答弁しておりますように、これは教諭になるための道であって、そして教諭免許状を取得した場合に教諭任用されることを期待するのは当然のことなんですね。それがあっさり言えばほとんどなされていないということはいかなる理由をつけようとも、これは余りにも不当な取り扱いである。これは当時、先ほどもお読みになりましたけれども、内藤さんは「これは非常に本人に失望させますので、そういうことのないようにいたしたい。」、これが立法の趣旨なんですね。この立法の趣旨から申しますと、一体どこに問題があるのか。この問題、この壁というのはどうすればわれわれは突破できるのか。恐らく文部省だって、長年にわたって勤務されておるこの実習助手の皆さんの処遇の問題についてはいろいろお考えになるのは当然だと思いますが、この壁をどうして崩したらいいのかということを考えますと、こういう事態に置かれている理由は一体何なのか、文部省の怠慢なのか、その点を明確にしていただきたいのであります。
  253. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 できるだけ認定講習等によりまして必要な資格を得るような施策は進めるわけでございますけれども、具体的に都道府県がその資格を持った方をどのような方針で採用するかということは、都道府県の実習教諭の定数、またその新陳代謝の割合でございますとかそういうことから決まってくるわけでございまして、その際、実習教諭任用いたします基準といたしましては、たとえば工業におきます一般の教科の教員を採用する場合と実習教諭を採用する場合と、全体の計画の中でどのようなバランスであるかというふうなこともございまして、一律になかなか定めがたい点があるということであろうかと思います。  しかし、いずれにいたしましても、そのように私どもとしても、二級の普通免許状が取れるような措置を講じているわけでございますから、都道府県におきましてもできるだけの範囲内におきまして昇進の道を開いて採用することが望ましいことは言うまでもないわけでございます。     〔狩野委員長代理退席、委員長着席〕
  254. 山原委員(山原健二郎)

    ○山原委員 提案者中西先生に、その点について御見解を尋ねておると思いますので、お伺いしておきたいのですが、私は、最初に実習助手の問題について、初中局長もお聞きくださったように、ずいぶんたくさんの仕事ですよね。それからまた、実態としても、これは前にも私は質問の中で実態を出しておりますけれども、場合によっては本当に熟練した技術を持っておられますし、また、みずから研修もされておりますから、そういう意味では、新しく来た教諭の方よりもむしろ主役的な役割りを果たしておるような実態もあるわけですね。そういったことを考えますと、これは法律の審議をされたときも、政府側の答弁先ほど言った答弁なのです。だから、それをいまになって、いろいろの実態はあるのだが、都道府県の問題だというふうに逃げられますと、これはいつまでたっても解決をしないわけですね。だからその点では、これは文部省としてもこの法律を作成した考え方、その趣旨、これはやはり生かすという積極的な構えがないと、単に教諭を助けるのだということだけで位置づけをしておりますと、何か安上がりのお手伝いさんを使っておるという感じで、それがいつまでも尾を引いていくのじゃないかという心配を私はしているわけですが、この点についても提案者中西議員の御意見を承っておきたいのです。いかがでしょうか。
  255. 中西(績)議員(中西績介)

    中西(績)議員 問題は、三十六年当時論議されましたその中身が、依然としてそのまま放置されておるという、先ほども私、申し上げましたけれども、政府、文部省も怠慢によってこれが放置されておるということを申し上げたわけでありますが、いずれにしましても、先ほどから論議がありましたように、定数枠が外されない限り、枠を設定をしておいて、入る余地がないからだめだと言えば、これはもうとうてい打開できないわけでありますから、私たちがいま提案申し上げておるように、実習助手の数と現在の教職員、この総合計したものの数でもって枠を設定しさえすればこれは自由になるわけでありますから、そうした措置をとるべきではないかと言っておるのが、またわれわれの主張であるわけであります。ここに一つの打開策を見出す以外にないと考えています。  それからもう一つ、大変問題なのは、法律をつくるのは、提案をしてきたのは文部省であるにもかかわらず、それを地方教委に責任があるかのごとく逃げておるということはこれまた大変怠慢だと私は思います。しかも、その実態あるいはそうした問題点については十分認識をしておるはずなんですから、したがって、いままで出てまいりました、賃金が低いとか、あるいは問題があるという具体的な問題については容認をしておるわけですから、それを容認をするという立場に立つならば、具体的な法を変えるという以外には問題解決方策はないわけでありますから、全面的に文部省はそのことを認めて、いち早く法の改正を手がけるべきである、こういうふうに考えます。
  256. 山原委員(山原健二郎)

    ○山原委員 大臣もよくおわかりだと思うのです。大臣も就任されてそう日はありませんけれども、現地の学校をごらんになったり、いろいろ積極的に教育問題に取り組んでおられることを、新聞紙上その他で私もよく知っております。また、大臣もいろいろ研究されて、私どもの質問に対する答弁もよくお考えになって答弁をされておるように思うのです。  そこで、この問題についても、実習助手の置かれている実態というものを御存じであろうと思いますけれども、しかし、私もこの数日来この実習助手実態——何年も前からお聞きしているのですけれども、本当にこれは大変な努力をしているわけですね。その実習成果の評価までしなければならぬ、あるいは部活動などにおきましても、実際に教諭と同じような活動をしておられまして、あるところでは夏休みも二十五日出勤しておる。これはもっと多い人もおいでるそうでありますけれども、そういう実態などもあるわけです。ところが、能力はあっても資格がないという状態に置かれておるのが実態でございまして、これは改善するための積極的な姿勢を文部省としてもとるべきだと私は思うのでございますが、恐らく文部大臣も同じお気持ちではないかと思いますけれども、ここで文部大臣の御意見を伺っておきたいのです。
  257. 瀬戸山国務大臣(瀬戸山三男)

    ○瀬戸山国務大臣 先ほどもどなたかからお尋ねがあった問題でございますが、私も残念ながらつまびらかにはいたしておりません、まだそういう機会がないわけでございますから。しかし、いろいろここでの問答を聞いておりまして、実態はそういうことであろうと思います。  ただ、いわゆる実習助手は、高校のいろいろな教育の中でそういう方々がどうしても必要だということから来ておるわけでございます。その方々がいろいろ研究をされて教諭の免許を取る、こういうことは私はすばらしいことだと思います。さて、その方を全部廃止するというわけにはいかない。この助手制度はやはり必要でありますから、問題は先ほども申し上げたわけでございますが、言いわけではなくて、全体の教諭その他の一つの枠、この枠がいい悪いの問題はあるかもしれませんが、あるわけでございますから、必ずしも教諭の資格を取ったから全部教諭になるという状態にはなっていないのじゃないかという観察を私はしておるわけでございます。いい悪いの問題はまた別でございます。  そこで、これはよけいなことでございますが、先ほど文部省が案を出して後はそういうことを余り世話しないのは無責任だというお話でございますけれども、それを逃げるわけじゃございませんが、これは後のだれをどういう採用をするかは制度上、御承知のように、皆さんの方がお詳しいのですけれども、都道府県教育委員会教育庁、そこで公務員として採用するわけでございますから、制度文部省が一々これを採用してというわけにはまいらない。(「指導はどうするの」と呼ぶ者あり)指導先ほど申し上げましたように、地方教育委員会とよく相談をいたしたいと言っておりますが、それには限度があるわけでございまして、たくさんの人ができておるから全部それを採用するというわけにはなかなかまいらないのではないかということは、私は素直に考えておるわけでございます。
  258. 山原委員(山原健二郎)

    ○山原委員 大臣が不規則発言にもお答えになるので人柄がよくあらわれておると思いますけれども、やはりもうちょっと理解の度合いがまだ不十分なんですね。だから、これは検討していただきたいと思います。  そこで、中西議員にお伺いするわけですが、この前にもこの問題が出ましたときに、実習助手がいなくなったらどうなんだということですね。いまも大臣がおっしゃっているそういう心配を持っておるわけですから、この心配についてはやはり理解できるわけです。それを少し説明していただきたいので、たとえば十二年間の経過措置の中ですべての実習助手教諭になっていく。そうすると、実習助手制度が廃止され、実習助手学校にいなくなる。こういうことが前にも出ました。これには的確にお答えになっておるのですが、もう一回新たな段階でお答えいただきたいと思います。  私は、この点について、いまも大臣の御答弁の中にその不安がちょっと出ておりましたから、これをお互いが合意に達する、理解の度を深めていく必要があると思うのです。実習助手がいなくなる状況実習あるいは実験指導学校運営に支障がないのか、また実験あるいは実習教材の維持管理準備、後片づけはだれがするのか、この心配は、率直に言っていまのように出てくるわけですから、これに対してどうお考えになっておるかお伺いいたしたいのです。
  259. 中西(績)議員(中西績介)

    中西(績)議員 先ほど大臣が、実習助手制度がなくなることを心配されておるようでありますけれども、実習助手の皆さんが六年十単位で試験なりあるいはそうした制度的なものを措置することによって教諭任用される。そうするとこの教諭というのは実習担当の教諭でありますから、その数が教諭の枠の中に入るということだけであって、そこには厳然として実習担当の教諭がいるわけなんですから、その担当者そのものは変わりはないわけです。  そこで、実習教諭といえども今度は格が教諭になるので、そのために皆さんがいろいろお考えになっているのは上下関係ではないかと思うのです。指示し、指導することによって、それを受ける側の実習担当の教諭がそれを業務として遂行しないのではないか、こういうようなことを心配なさっておるのではないかと思いますけれども、そのことはいまの状況の中でもたとえ実習助手であろうと実習教諭であろうと、そうした問題については事前に打ち合わせをするわけです。そして指導計画を立て、どのようにやっていくということを考えていくわけですから、これには全然支障はないわけです。しかもそのことは、具体的に実施するに当たっては、今度は生徒までも一緒にそうした問題については、たとえば実験器具なら実験器具、実習器具なら実習器具をそこに持ち出すなら持ち出す、配置をする、こうしたものはいままでより以上に質の高い教諭によって指導されていくということでありますから、この点については全く心配は要らないわけであります。将来的にこれはまた大学出身者によって占められていった場合でも、そうした風習なり職場における実際の運営の中で、事前にそうした計画が立てられ、実際にそれを担当する者が責任者を決めていけばいいわけなんですから、現在また実際にそうしたことが行われておるわけなんですね。ですから、いま文部省なりあるいはそうした現場の実態等からいたしまして、上下の関係を非常に強く管理をするという感覚を持っておる校長などの意見は違っておるかと思いますけれども、しかし実態としてはそういう方向でなされておりますから、私は心配はないと考えます。
  260. 山原委員(山原健二郎)

    ○山原委員 私も高等学校の教師の経験が多少あるわけでありますから、そのことは教育的観点で物を見るかどうかということともつながってくると思うのですね。いまおっしゃった管理の体制という形で見ていくと、何か下の者がいなくなってさびしくなるという感じになるわけですが、教育を支えていくものは何かと考えますと、いまおっしゃったことは私はよく理解ができますし、その方が教育活動を発展させる上ではまさによりベターな方法だと思っています。この点について、もう時間がありませんので、いまのお答えで先へ進めたいと思います。  時間の関係で、事務職と養護教諭の必置の問題について最初に文部省に伺いたいのですが、五十五年から新定数法ができまして、養護教諭が九百三名、事務職が八百五十五名、これが措置されたと報告をされました。養護は目標が五千百二十二名、ですから残りは四千二百十九名、事務は六千三百九十二名中五千五百三十七名が残るという結果になっておるわけですが、今後これはどういう計画を持っておられるのか、文部省にお伺いをしておきます。そして、事務職については五十七年度はゼロですね。五十八年度もゼロ。養護につきましても五十七年度はゼロ名、五十八年度が四十八名。きわめて問題を持っておりますが、これはいかなる理由でこういう事態が発生をしたのですか。
  261. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 第五次の教職員の定数改善計画におきます養護教員の定数改善の計画は、四学級以上の学校に一人というのと三学級の学校は四分の三で充足していくということでございまして、合計いたしますと五千百二十二人、事務職員につきましては、養護教員の定員の積算と同じでございまして六千三百九十二人になるわけでございます。これまでの措置は、山原先生が挙げられました数字のとおりでございまして、養護につきましては九百三人、事務職員につきましては八百五十五人でございます。それで、五十七年度がゼロ、五十八年度予算におきましては養護教員のみ四十八名となりましたのは、五十七年度から行革関連特例法の規定適用されまして、改善計画につきましても抑制を行うことになっておりますので、その関連におきましてこのような結果になっているわけでございます。しかしながら、大臣もたびたび申し上げておりますように、最終的な目標の計画は変更していないということでございますので、今後の改善努力をいたしたいということでございます。
  262. 山原委員(山原健二郎)

    ○山原委員 中西さんに一言伺いますが、社会党案として到達目標というのは大体どういうふうにつかまえたらいいでしょうか。御計算になっておればお伺いしたいのですが、わかりますか。
  263. 中西(績)議員(中西績介)

    中西(績)議員 社会党といたしましては、いま言われました分については標準定数法の九条の二、三項について言っておるわけでありまから、私たちは一、二学級あるいは三学級については四分の三、こういう問題等を含んでおりますので、今回の提案の目標は小規模校であろうとすべてに必置をするのが目標であるわけであります。したがって、数については文部省の方で明らかにさせたいと思いますけれども、いずれにしてもそうした必置されておらない学校全校にこれを置かせるのが目標でございます。
  264. 山原委員(山原健二郎)

    ○山原委員 四十九年五月十日の定数法の附帯決議で、養護も事務も全校配置と、二人以上配置のための学校教育法の改正を図るとの附帯決議がなされました。引き続いて、五十三年の定数問題小委員会、この委員会に設置されたわけですが、ここでもこの附帯決議が確認されました。こういうふうに何回か論議をしまして与野党一致で確認がなされてきただけに重要な問題なんであります。けれども、それだけの附帯決議をつけてきたのですが、にもかかわらず今日のような事態を醸し出しておるわけでございまして、本委員会の権威にかけましてもこれは軽視することのできない問題でございます。その点、文部省はどういうふうに受け取っておられるのでしょうか。これは与野党含めての国会の決議なんです。それについてこういう事態が続いておることに対して文部省としてどうお考えでありますか。
  265. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 国会の与野党の附帯決議は尊重すべきものと考えるわけでございますが、第五次定数改善計画の全体をできるだけ進める見地で進んでいるわけでございますけれども、たまたま財政再建という事態に際会いたしまして、また国会の意思によりましてこの計画の抑制が図られたということでございますので、私どもといたしましては附帯決議の趣旨も尊重しつつ、また国会によって定律されましたいわゆる行革関連法の趣旨に沿う抑制措置にも従いながら、先ほど申しましたように、全体計画として変更なく最終目標に到達するように努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
  266. 山原委員(山原健二郎)

    ○山原委員 事務、養護の問題は格別校舎を増設する必要のある問題ではありません。したがって、五十三年に社会党と私どもが共同提案をしましたときは、五年で措置すべきものであるということを主張し続けてまいりました。その後財政問題が出てまいりまして、文部省自体が十二年の長期計画になりましたために、私どもは不満でこれに反対をするという事態になったわけでございます。今日の財政再建、赤字国債からの脱却は五十九年を目標に掲げてきておりましたけれども、この事態も怪しくなってくる、こういうふうになりますと、社会党のこの提案は年次計画も持っておられると思いますが、十二年で行うのか、それとも事務、養護の問題については十二年計画の後に行うのか、あるいはもっと手前にとりたいというお考えなのか、そういった点はどうお考えでしょう。
  267. 中西(績)議員(中西績介)

    中西(績)議員 先ほど山原委員の御指摘の件でありますけれども、全校配置あるいは二人以上の複数配置を含めた附帯決議については私たちも大変重要な決議であると思いますし、この点は何としても行政側が、議員立法で文教委員会の決議であるということで、いかなる事態があってもそれに向けての努力がわれわれに見えるようにすべきではないか、こう思います。そこで、われわれ社会党といたしましては、附帯決議については尊重し、今回の場合には何としても二十八条ただし書きの事務職の問題、それから附則百三条、養護の問題について、この壁を取っ払うことが、三分の一世紀近い時間を経過しておりますだけにいち早くさせなくてはならぬし、それを突破口にしながらやっていきたいという大きな期待があるわけであります。  それともう一つは、今回の法律提案に当たりまして私たちが提起申し上げておりますのは、六十一年三月三十一日までを規定して行うことになるわけでありますから、五年計画でやりたいということがこの中に含まれておるわけであります。特にこの場合に、前回の三年経過後に見直しをするという十二年計画に対する附帯決議についても、これは自民党を含めまして約束をしておるわけでありますから、文部省がこれについてどうやっていくのか、私がお答えした後でもこれに付言していただければと思っています。  したがって、私たちとしては、いまこの法案提案いたしましてから継続審議になりすでに三年目を迎えておるわけでありますから、五年間という一定の規定をしておりますので、成立すればそれにおのずから三年経過しておりますので加わっていく、こういう中身になろうと思います。したがって、それによって具体的に計画を立てなくてはならぬと考えています。
  268. 山原委員(山原健二郎)

    ○山原委員 いまのお答えでわかりました。  最後文部省に対しまして、三年凍結の問題ですが、凍結ということは三年たてば解除されていくという中身があったと思います。それはそういう意味で議論がされておりますが、その点ではどうなっているのかということが一つ。  それからもう一つ、これは瀬戸山文部大臣に対しまして、この前にも議論されましたときに、たとえば養護教諭の方々の問題、保健室が実はいまの非行や校内暴力の問題等、いろいろなゆがみや子供たちの悩みを解決する、体の病気を治すだけでなくして心の病を治す、これはNHKでも養護教諭の保健室の実態がテレビでずっと放映されたことがありますけれども、本当に子供たちの救いの場所になっている面があるわけです。しかも、養護の先生方は、学校災害の問題などにおきましても事務が激務になってくる。しかも、複数の学校を走り回っているという兼務の問題もございまして、これらの実態はぜひ文部大臣も知っていただきたいと思います。そして事務職の場合でも、これは単なる事務屋の集まりではないので、学校を形成している職員の皆さんなんです。だから、たとえば子供たちが授業料を払いにくる、それを受け取る、普通の官庁であればそれだけで済むわけですけれども、その中に子供たちの家庭の問題その他が含まれてくる。事務の先生方も子供たちのこういう問題については非常に気を配っている。学校というのはもともとそういうものなんです。官庁や商社とは違うわけですね。その点で、学校を形成し構成する者の結束あるいは心の通い合いがなければ学校教育は発展しないわけです。その意味で事務職や養護の必置の問題が前々から議会においても決議をされてきているわけですから、これにつきましても文部大臣としては積極的な姿勢を示していただきたいと思います。  これにお答えいただきましたら、それで私の質問を終わります。
  269. 瀬戸山国務大臣(瀬戸山三男)

    ○瀬戸山国務大臣 皆さんの御意見は率直に言ってまじめに謹聴しておるわけでございます。ただ、なかなかそう理想的にいかないところに悩みがある。率直なことを申し上げますが、文部省教育を担当する者としてはできるだけそういう状態につくり上げたい、これは当然なことでございます。それを放置しておるわけではございません。しかし、裏には全部国民の負担がかかっておるわけでございますから、そう文部省だけの考え方でそれがずんずん進むということでないことは皆さん十分御存じのとおりでありまして、たまたまいまの十二年計画も、先ほど来十分御存じのとおりに大変財政その他の状態が悪くなりまして、それを遂行していくことはなかなか簡単でない。特に国会でそれを三年間抑制するという法律までできておる事態でありますから、そういうことを頭に入れながら行政は行政で御期待にこたえなければならない、こういうことでございます。これは弁解ではございません。しかし、いまおっしゃったようなことは私も事務職員の方々からいろいろ直接陳情も受けてそういう状況も聞いておるわけでございますが、さればといって、そういたしましょうと文部大臣が一人言えば簡単に済む状態ではないということも御理解いただきたいと思います。
  270. 鈴木(勲)政府委員(鈴木勲)

    鈴木(勲)政府委員 大臣がお答えいたしたわけでございますけれども、いわゆる行革関連特例法におきましては特例適用期間を五十七年度から五十九年度までの間と明定しておりますので、五十九年度までは抑制をされるわけでございますが、この年度が外れました場合にはこの法令の趣旨といたしましてはもとのあれに戻っていくということであろうと思います。
  271. 山原委員(山原健二郎)

    ○山原委員 終わります。
  272. 葉梨委員長(葉梨信行)

    葉梨委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時七分散会