○
武部委員 わかりました。これはひとつ検討課題にしていきたいと思っております。
そこで、時間が大分たちましたが、
原油の値下がりの
利益をどう還元をするか。これはいま非常に関心の深いところでありまして、値下げによって直接還元をする、
税金で吸い上げる、あるいは据え置き論、据え置きしてしまって下げない、それから今度は、設備投資に回す、あるいは社会福祉へ還元をするというようないろいろな意見が出ておるわけですね。
これはいずれも、
利益がどのくらいかということがはっきりガラス張りになってこそこういうことが出るのであって、あくまでも、この
利益は一体幾らぐらいあるかということがまず
前提にならなければならぬ。その点はまだ結果が出ぬわけですからなかなかむずかしいと思うのですが、将来を見越して通産
大臣のああいう発言があったわけです。
私はエネ庁の長官にお伺いをしたいのですが、あなたといまから五年前にやったわけですね。あなたは当時の、
円高差益の還元のときの責任者でございました。われわれはあなたといろいろやり合って、金額にして月二百七十円、六カ月、そして総額は二千七百億ぐらいでしたね、そういうことをやったわけです。初めてのことでございました。したがって、
円高差益を還元したということは画期的なことだというふうに私
どもは当時評価をしておったわけですが、一年ちょっとたったらぽんと五〇%の値上げが申請されて、上がったわけですね。それは現実のことですから認めるわけです。
ところがいまごろになって、この五ドルの値下げあるいは
円高、そういうことでいろいろと
利益還元論がまた出てきた。これに対して一体
電力業界はどういうふうに見ておるだろうか、私はこのことを
指摘をしたいのです。確かに画期的なことで、金額にして言えば月二百七十円、大したことはなかった。しかし、あのときは
円高差益というものの内容が国民の前に明らかになった。
為替相場の
変動はこういうものである、
円高差益はこうして
電力会社やガス会社にこういうふうに出てくるものだ、逆に言えば
円安になれば差損が出てくるのだ、これが明らかになったと思うのです。そういう面ではプラスだったと思うのです。結果的に、金額が少なくなったし、同時に一年ちょっとたったら五〇%もはね上がった、何にもならなかったじゃないか。これは私は結果論だと思うのです。
大体、
円高差益の還元論が出たときに、一体だれがイラン革命を想定したでしょうか。ああいう中近東の紛争をだれが想定した者があったか。それによって第二次
石油ショックが起きたわけです。これは結果論なんですよ。ところが、今度の五ドルの値下げ、いろいろなことがあったときに、
電力会社の首脳陣が新聞のインタビューに答えておる記事を私は読んで、これはまことにけしからぬことを言っておる。そんな
考え方をいまだに持っておるなら、これは徹底的に追及しなきゃいかぬというふうに読んだのですよ。ここにありますが、こういうことが書いてある。五十三年の
為替差益還元による値下げは結果的に罪深いものだった、こういうことを新聞記者のインタビューに答えているのですよ。これはある大手の
電力会社の社長です。罪深いものと。
あなたも当時責任者だったが、われわれも要求したが、罪深いことをしたとはわれわれは
一つも思っておらないですよ。あのときいいことをしたなと思って、それこそ喜んでもらった。後で申し上げますが、値上げのときにも、福祉
料金を抑えようとあのときも話が出ていたのです。五十五年の値上げのときに、施設の
料金の値上げは六カ月延期、抑えたのです。それで生活保護世帯三十五万世帯もああいうふうに抑えたのじゃありませんか。それは当時のあれが結果的には影響しておったと私は思うのです。だから決して罪深いということは
一つも思っていない。こういうことを今度の五ドルの値下げのときに述べておる。私は新聞記事を見て、これは意外なことをおっしゃる、こんな
考え方をいまだに持っておるなら、これはちょっと問題だなということを
考えました。
それから、経団連の会長というのはいろいろなことをおっしゃる人だが、今度も、これもまた大変なことを言っている。三百円や四百円や五百円はパチンコ代にもならぬじゃないか、そんなものを戻すよりも企業にとっておく方がいい、それが
税金の根源になればいいじゃないか、経済は消費中心に
考えるべきではなくて生産者中心に
考えるべきだ、こういうことを述べておられますね。経団連の会長は、パチンコ代だからそんなものは返すなと必ず言ってくるに違いない。通産
大臣が下げると言ったら、今度は経団連ががんがんがんがん圧力をかけるかもしらぬ。この次は通産
大臣にひとつ叱咤激励してがんばれと言わなきゃいかぬが、こんな物の
考え方が堂々と新聞記事に出ていますが、ちょっとエネ
庁長官、あなた当時の責任者で、われわれと一緒になって
円高差益の還元をやった一人ですが、こういう発言についてどう思われますか。