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1983-04-05 第98回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月五日(火曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 土井たか子君    理事 青木 正久君 理事 狩野 明男君    理事 岸田 文武君 理事 中島源太郎君    理事 城地 豊司君 理事 武部  文君       植竹 繁雄君    梶山 静六君       長野 祐也君    長田 武士君       塩田  晋君    岩佐 恵美君       依田  実君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      塩崎  潤君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局取引部長 奥村 栄一君         公正取引委員会         事務局審査部長 伊従  寛君         経済企画庁調整         局長      田中誠一郎君         経済企画庁調整         局審議官    横溝 雅夫君         経済企画庁国民         生活局長    大竹 宏繁君         経済企画庁物価         局長      赤羽 隆夫君         経済企画庁調査         局長      廣江 運弘君         資源エネルギー         庁石油部長   松尾 邦彦君  委員外出席者         資源エネルギー         庁石油部計画課         長       高橋 達直君         資源エネルギー         庁石油部流通課         長       落田  実君         参  考  人        (石油連盟会長) 永山 時雄君         参  考  人         (全国石油商業         組合連合会会         長)      笹野 好男君         参  考  人         (全国消費者団         体連絡会代表幹         事)      工藤 芳郎君         特別委員会第二         調査室長    秋山陽一郎君     ───────────── 委員の異動 四月五日  辞任         補欠選任   今枝 敬雄君     梶山 静六君   吹田  愰君     植竹 繁雄君 同日  辞任         補欠選任   植竹 繁雄君     吹田  愰君   梶山 静六君     今枝 敬雄君     ───────────── 三月二十九日  公共料金値上げ反対等に関する請願(岩佐恵美紹介)(第一八六〇号)  同(中路雅弘紹介)(第一八六一号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件(原油価格値下がりによる国内石油製品価格動向)      ────◇─────
  2. 土井たか子

    土井委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件、特に原油価格値下がりによる国内石油製品価格動向について調査を進めます。  本日、参考人として石油連盟会長永山時雄君、全国石油商業組合連合会会長笹野好男君、全国消費者団体連絡会代表幹事工藤芳郎君、以上の方々に御出席をいただいております。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。  今回の原油価格値下がりについては、国民生活消費者生活にも影響がございますことにかんがみ、それがどのような形で消費者に還元されることになるのか、今後の動向とその取り扱いに多大の関心期待が寄せられているところでございます。つきましては、何とぞ本問題に関して、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べくださるようお願い申し上げます。  次に、議事の進め方でございますが、まず各参考人からお一人十分程度意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑に対しましてお答えを願いたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、参考人委員長の許可を得て御発言を願い、また、委員に対しては質疑ができないことになっておりますので、さよう御了承願います。  それでは、まず永山参考人にお願いいたします。
  3. 永山時雄

    永山参考人 私は、石油連盟会長永山時雄でございます。  本委員会からの御依頼に応じまして、参考人として、特に原油価格引き下げ問題を中心に、当面の諸問題について御説明をするつもりでございます。  本論に入るに先立ちまして、この際、石油製品価格問題等に関し、石油連盟会長という立場がいかなるものであるかを御理解いただくために、石油連盟事業内容等について若干の御説明をさせていただきたいと存じます。  石油連盟とは、わが国石油精製元売り業者のほとんどすべてを網羅した合計三十社による産業団体でございまして、その定款等により、石油業に関する意見の発表、建議、石油及び石油業に関する調査研究等をその目的とするものでございます。  石油製品のいわゆる価格問題等につきましては、特に独占禁止法との関係から、石油連盟としては取り扱い得る問題ではございませんし、現に全く取り扱っておりません。  したがいまして、石油連盟会長といたしましては、石油製品価格問題等について、これを具体的に御説明をする立場にないということをあらかじめ御了承おき願いたいと思うのでございます。  次に、わが国石油産業現状でございますが、これについて若干申し述べたいと存じます。  まず、経理状況でございますが、わが国石油産業は、昭和四十八年秋の第一次石油危機以降、途中五十三年末からの第二次危機を挟んで、OPEC値上げ等による未曾有の原油価格高騰、これによる取引金額の急膨張と、それに伴う巨額為替差損益発生、さらには最近の石油製品需要大幅減退等によって、一貫してきわめて厳しくかつ不安定な企業経営を余儀なくされて今日に至っておるのでございます。  とりわけ期近の五十六、五十七、両年度の決算について見ますると、五十六年度は全三十四社で約三千四百億円の経常損失を計上し、また五十七年度については、まだ三月期決算が取りまとめられておりませんので、とりあえず上期だけで見ましても、約千二百億円の経常損失を計上する等、巨額赤字を抱えている次第でございます。実質的には、さらにこれをはるかに上回る赤字発生をしているものと考えます。  こうした事情にありますため、各社とも資産処分をするなどしておりますが、一部では、債務超過またはその寸前の状態にまで立ち至っていることなど、わが国石油産業はまさに危機的状況にあると申しても過言ではないのでございます。  これらの結果、企業体質は従来にも増して著しく脆弱化し、自己資本比率で見ますと、石油産業は五十六年度に四・二二%、それからこの年の製造業平均を見ますと二五%でございますが、これと比べて約六分の一という低位に落ち込んでおります。五十七年度上期では、十社の中間決算の数字でありますが、これがさらに三・〇七%にまで下がっており、実に惨たんたる状況となっております。五十七年度の下期につきましては、五十七年末からの円安修正により若干の改善期待できるものの、他方、最近の製品価格下落状況もございまして、まだ確たる見通しは申し上げられないというのが実情でございます。  次に、内需、それから在庫動向について申し述べます。  最近の石油製品需要動向は、産業活動の一般的な停滞、産業における燃料転換、さらには省エネルギーの一層の進展等によりまして、対前年度比、五十五年度が一〇・三%減、五十六年度が七%減、五十七年は暦年で同じく七%減と、三年連続して大幅な減少を示しております。つい先ごろ取りまとめられた五十八年度上期石油供給計画運用指針によりましても、五十八年度上期は五・二%のマイナスが見込まれているなど、今後とも需要低迷が続くものと考えられます。  また、これを油種別に見ますと、油種によって需要の増減に著しく差が出ているなど、いわゆる需要跛行性が際立った特色となっており、こうした事態が今後とも続くならば、連産品という特性を持つ石油製品全体の安定供給にも重大な支障が生ずるおそれがあるという事態にも直面をいたしておるのでございます。  こうした状況下で、現在わが国石油産業全体の在庫量は、石油備蓄法でその保有が義務づけられておりまする九十日分民間備蓄、これを含めますと、わが国への輸送途上のものを除いて約五千六百万キロリットルという巨大な水準に達しており、これを維持するための巨額コスト負担が、また石油産業に過重な負担を与えておる実情でございます。  こうした実情にあるにかかわらず、石油産業わが国エネルギー供給の大宗として、産業活動国民生活石油エネルギー安定供給するという重大な責務を負う立場にございます。  先ほど申し上げましたとおり、最近内需低迷しておりますが、昨年四月に総合エネルギー調査会が取りまとめた長期エネルギー需給見通しによりましても、六十五年度において、石油は依然として一次エネルギー供給の約五割を占めるものと見込まれるなど、今後ともエネルギー供給中核たる地位にあるものと考えられます。したがいまして、私ども石油産業は、最も安定的かつ経済的な方法で石油製品を供給するという観点から、今後とも消費地精製方式を柱として、石油安定供給という国民経済的使命にこたえていく所存でございます。  次に、当面の国際石油情勢原油価格引き下げ問題に入らせていただきます。  先月のOPEC総会の概要につきましては、すでに皆様方御高承のとおりでございますので、改めて多言を要しませんが、原油価格につきましては、基準原油であるアラビアン・ライト価格を三十四ドル・パーバレルから二十九ドル・パーバレルへ、バレル当たり五ドルの引き下げを行うことがその柱とされております。  その後OPEC諸国のみならず、非OPEC諸国も含めて、続々と値下げ通告がなされておりますが、その大勢を見ますると、OPEC主要国公式販売価格ベースでの値下げ幅で、バレル当たり五ドルを若干下回る程度、二月または三月から適用というのが大方のところでございます。  今後さらに二段目、三段目の価格引き下げが行われるか否かの問題を含めて、原油価格の先行きについては、結局のところ、国際石油需給動向いかんにかかってくるわけでございましょうが、当面、低迷を続けている国際石油需要の成り行き、今回千七百五十万バレルパー・デーとされた生産上限実効性、さらには、スイングプロデューサーとされていますサウジアラビアの生産動向、こういうものに大きく影響を受けるものと思われます。  また、先月末再引き下げを通告してまいりました北海原油に対するOPEC諸国の出方、さらには今回の価格引き下げ決定に態度を保留したイラン対応ども、今後の原油価格の帰趨を定める大きな要因となるものと思われます。  そこで、こうした原油価格引き下げ等に対するわが国石油産業の対処問題について申し述べたいと思いますが、その前に、今次引き下げわが国経済への影響について一べつをしたいと存じます。  今回の引き下げについては、一部国際金融面における悪影響を心配する向きがあるものの、わが国経済のみならず世界経済に対しても国際収支改善物価の安定、さらには経済成長率上昇等の局面において、総じて好影響をもたらすものとして受け取られており、私自身もそのように判断をしているものでございます。  また、わが国エネルギー情勢との関連で一言申し上げれば、仮にバレル当たり五ドルを若干下回る程度価格引き下げであれば、コスト面の比較において、現在進行中のわが国石油開発阻害要因となるとか、石油代替エネルギーとの競合面における逆転現象を招来するとかいうような事態はまず生じないと考えます。  以上、申し述べましたわが国石油産業現状並びにこれを取り巻く国際情勢を踏んまえて、石油産業は今次の価格引き下げに対処していくわけでございますが、これに関連して、とりわけ国民各位の御理解、御協力を得たいと思いますのは次の諸点でございます。  まず第一は、製品価格現状でございます。私見ではございますが、国内市場はすでに昨年末からの軟化傾向に、今次の原油価格引き下げを先取りするという要因も加わった形で、ガソリン等製品価格が急激に下落をしており、この傾向が依然として進行をしておるという点でございます。  第二は在庫の問題でございますが、先ほど触れましたとおり、現在わが国石油産業は約五千六百万キロリットルの備蓄在庫を保有しているわけでございますが、その多くが今次価格引き下げ以前の高価格で購入をした油であるという点でございます。こうした高価格在庫が、今日石油産業に過重な負担を強いているわけでございます。  第三は石油産業企業体質改善、その強化の緊要性についてでございます。これまたさきに述べましたとおり、石油産業は今後ともわが国エネルギー供給中核として、石油エネルギー安定供給責務を負う立場にありながら、その企業経営惨たんたる状況にあり、石油安定供給基盤は著しく損なわれているのが現在の状況でございます。国際石油情勢の若干の緩和傾向を機として、石油安定供給の担い手たる石油産業企業体質安定供給使命を果たすに足りる強靭なものにすることこそ、石油エネルギー安定確保上喫緊の要件ではなかろうかという点でございます。  以上が原油価格引き下げに関連して特に国民各位の御理解、御協力を得たい点でございますが、いずれにせよ、製品価格市場メカニズムを通じて形成されることが基本でございまして、コストの変動は需給事情等を背景として製品価格に反映されるものでございますから、私ども石油産業といたしましても、今後とも原油価格動向等を十分に見きわめながら、国民各位から納得をしていただける価格水準が実現されることを期待をいたしておる次第でございます。  なお、今次の原油価格引き下げに関連して、一部に石油税増税を云々される向きがございますが、以上るる申し述べました点及び石油諸税が年間約三兆円にも達し、石油に課されたこの過重負担が、ただでさえこれまでのOPECによる原油価格の引き上げにより高騰をしている石油製品コストをさらに一層引き上げ、わが国産業経済国民生活に甚大な悪影響を及ぼしている点を勘案するならば、製品価格引き下げ効果を人為的に減殺するかのごと石油税を初めとする石油諸税増税については反対であり、むしろこの際、これら諸税の撤廃、軽減を図るなど、その見直しが必要である、かように考えております。  最後に、石油産業構造改善の問題について一言いたしたいと思います。  現下の石油産業を取り巻く厳しい環境を勘案するならば、過剰設備の処理、元売り集約化生産物流面における合理化等をその内容とする構造改善は、石油産業が避けることのできない課題であることについては十分承知をいたしておるものでございます。  すでに石油審議会等の場においていろいろ御指摘をいただいているわけでございますが、私ども石油産業関係者といたしましては、もとよりこれらの指摘を待つまでもなく、各社ごと自主的判断に基づいてこれに真剣に取り組んでいく必要があり、また、現に各社それぞれに工夫をこらして懸命な自助努力を重ねておる実情でございます。  私ども石油産業といたしましては、一日も早く一昨年来の危機的状況を克服をして、今後とも石油安定供給に万全を期したい所存でございますので、わが国石油産業に対する国民各位の心からなる御理解、御支援を深く切望して、私の陳述を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。
  4. 土井たか子

    土井委員長 ありがとうございました。  次に、笹野参考人にお願いいたします。
  5. 笹野好男

    笹野参考人 全国石油商業組合連合会会長笹野好男でございます。  私ども連合会は、中小企業団体組織に関する法律に基づき、昭和三十八年に設立されました石油販売業者全国組織でございます。今日、傘下組合員数は約三万五千業者組織率で申し上げますと九〇%強となっております。さらに、組織の構成におきましては、従業員数五人以下の企業が六一%、一店舗しか持たない企業が七六%と、大半経営基盤の脆弱な中小零細業者でございます。  改めて申し上げるまでもなく、私ども石油販売業者は、ガソリンを初め灯油、軽油、重油など、国民生活並びに産業活動上欠くことのできない石油製品元売り会社より仕入れて、全国五万九千に及ぶ給油所、つまりガソリンスタンドを拠点に、消費者皆様一人一人にくまなく配分する末端供給者としての機能を果たしております。  こうした私どもに課せられた社会的責務を確実に遂行していくためには、何よりもまず個々販売業者経営が適正な姿で営まれ、販売業総体として健全な発達を遂げていくことが必要不可欠の条件であります。したがいまして、私ども連合会事業活動の眼目もこの点にございます。  さて、本日、当委員会でお取り上げになりました原油価格値下がりによる国内石油製品価格動向についてでございますが、何分にも事業者団体の長としての立場から申し上げかねる面もございますので、よろしく御了承賜りたいと存じます。  今般の原油価格引き下げの恩恵は、広く国民経済の各方面に公平に行き渡らせるべきとの声が高まっております。私どもといたしましても、国民生活並びにわが国経済に与えるプラス効果を考えますと、原油価格引き下げによるコストダウンは、消費者皆様一人一人にひとしく還元されるべきものと考えております。  しかしながら、最近の石油製品末端市場を見ますと、昨年末から軟化傾向にあり、さらに本年一月後半以降は、原油価格値下がりを先取りするといった形での価格下落が顕著となっております。  とりわけ、ガソリンにつきましては、折からの円相場の持ち直しに加え、OPEC結成後初の原油値下げ情報がいち早くもたらされたことなどによりまして、先を争うかのように思惑のみが先行した大幅かつ急激な価格引き下げが行われました。すでにいろいろと報道されておりますように、一日ごとに値段が書きかえられるなどの、一部には、はなはだしい混乱状態が見られるところも生ずるに至っております。  私といたしましては、無定見な値下げ競争業界自身経営基盤を著しく損なうものであるとともに、ひいては業界に対する消費者の不信をいたずらに招くこととなると存じます。したがいまして、一日も早く適正な販売活動に戻ることを願うものであります。  こうした石油製品価格先取り的値下げないしは値崩れ傾向に対し、販売業者の側にその責任があるとお考えになる向きもあろうかと存じます。しかしながら、私といたしましては、その主たる要因は、石油審議会の場においても御議論いただいておりますように、精製元売り会社から末端販売店に至るまでの石油産業全体を通じての過当競争体質にこそ求められるべきと考えております。  昨年の通産省調べによりますと、五十六年度は赤字経営給油所が約四〇%にも達しております。さらに値崩れ現象に見舞われた今日では、マージンの一層の圧縮により、全国給油所の大多数が実質的に赤字になっているものと推察されるところでございます。ちなみに、中小企業庁調べによりますと、五十六年度の売上高に対する粗利益率は、小売業平均が二九・八%であるのに対しまして、石油製品小売業は一六・三%となっております。なお、給油所主力商品でありますガソリン灯油については、この水準をさらに下回っております。  したがいまして、経営基盤の脆弱な中小零細業者大半を占める石油販売業者といたしましては、消費者皆様方の御理解、御納得を得ながら、早急に経営改善を図り、なりわいとしての安定を達成していく必要に迫られております。  もとより、私どもといたしましても、個々企業努力を今後ともより一層続けてまいるつもりであり、さらに、連合会活動を基軸に、販売業全体の近代化合理化をより一層推進し、経費の節減、消費者ニーズへの的確な対応を図っていく所存でございます。  当委員会におかれましては、以上るる申し上げました私ども石油販売業の実態を十分御勘案の上、よろしく御審議賜りますようお願い申し上げる次第でございます。  ありがとうございました。
  6. 土井たか子

    土井委員長 ありがとうございました。  次に、工藤参考人にお願いいたします。
  7. 工藤芳郎

    工藤参考人 全国消費者団体連絡会代表幹事工藤でございます。  当委員会におきまして、原油価格値下げによる国内石油製品価格動向についてというテーマで参考人としての発言を求められましたので、以下のとおり述べたいと思います。  原油価格値下げ動向につきましては、去る三月十四日、OPEC第六十七回臨時総会におきまして、基準原油アラビアン・ライト価格を一バレル当たり三十四ドルから二十九ドルへと五ドル値下げをすると発表されましたし、その後、保留しておりましたイランも、イラニアン・ライトを十五日にさかのぼってバレル当たり二十八ドルに値下げすると発表する、こういうことで、全体としてOPEC並びにその他の諸国値下げ動向を示しておるわけでございます。  こうした値下げ動向につきましては、政府産業界も、また消費者一般国民も異口同音に歓迎の意を表明しているとともに、今後の国民生活への影響などについて重大な関心を持って見守っているところでございます。  すでに経済企画庁が発表されましたわが国経済への影響について見ましても、原油価格低下により原油輸入代金は約六十五億ドル減少する、これは五十八年度の名目GNPの〇・六%に相当するとされております。  また、物価の面でも、輸入物価卸売物価から順次消費者物価低下に寄与するとされておりまして、産業連関表による物価への影響は、総合卸売物価指数で二・一%程度消費者物価指数で一・一%だ、こういうように指摘をされておるわけであります。  私たち消費者は、原油価格値下げが具体的に国民生活にどのように影響するかについては、詳細な資料が発表されておりませんし、入手できないこともありまして、必ずしも十分な掌握をしているわけではございませんけれども、基本的に原油価格値下げ国民生活の向上に資するものでなければならないという観点から、その実現を期待をしておるわけであります。  したがいまして、第一に、私は、消費者団体として政府業界等のあり方についての基本的な考え方を述べたいと思います。  一バレル当たり五ドルの原油値下げというものの効果は、少なく見ましても石油業界で約一兆六千億、電力業界で五千億、ガス業界では五百億円のコスト軽減効果を持っているということは今日明らかであります。  従来、エネルギー価格は、原油価格上昇に従ってその上昇分末端消費者価格に転嫁してきましたし、特に一般消費者国民はこの価格転嫁を強いられてきたわけでございます。したがいまして、原油価格値下がりによるコスト軽減分は当然製品価格公共料金の場合におきましては原価の見直しという形で、値下げに結びつけるべきであると考えております。  コスト軽減分法人税等の税で吸収して財政支出の形で還元すべしという御議論がありますけれども反対であります。すなわち、原油価格の値上がりによるコスト増加分負担してまいりましたのは消費者でございまして、コスト上昇のときのみその負担受益者負担の名において価格転嫁におき、コスト軽減分についてはコスト負担者以外にも還元するというのは筋が通らない議論であります。差益分は当然コスト負担者のものでありますし、まさに受益者負担の逆でありますが、負担者受益考え方に立って還元されなければならない、このように考えております。  本件について、次に、政府に対する要求でありますが、通産省は、原油価格下落効果がプライスメカニズムを通じて国民経済に十分反映されることが期待されるということで、市場実勢にゆだねる方針のようでありますけれども石油業界に対しては、原油価格値下がりの利益を明確な形で、国民生活に資するよう具体的な施策を講ずるとともに、業界を指導すべきであるというふうに考えておりますし、かつ要求するものであります。  次に、石油業界に対する御要求でありますが、石油業界については、特に消費者にとっては経営実態、各種石油製品の原価内容等がきわめて不透明であります。たとえば、価格の変更に当たりましても、その基準、根拠が不明確でありますし、結論だけが示される。こういった事態は、公共料金ではありませんが、一定の公益性、公共性を持つ価格としてはあってはならないことである、このように考えております。また、値上げのときなども、きわめて一方的に、即時的に、事前の通告もなくやるといった事例が今日まで見られたわけでございまして、この点、石油業界に対する消費者のあるいは一般国民の信頼関係は、第一次石油ショック以来依然として回復されていない、残念ながら、かように思うわけでございます。  また、原油価格下落効果を先取りしておるというお話でございますけれども、それならば、消費者納得が得られるよう、その内容説明すべきである、このように考えております。  また、三月二十九日、日本石油が一万二千円キロリットル当たり値下げを発表したわけでございますが、この内容は、昨年キロリットル当たり一万円、一昨年は一万三千円と、消費者反対を押し切って計二万三千円もの不当な製品値上げを通告した建て値を基準にしたものでございまして、二年前の元売り販売価格に比べて一万一千円もの高値に据え置くというものであります。原油価格は二年前の水準以下に戻る以上、実勢価格を二年前の水準以下に大幅値下げをしても当然ではないか、このように考えております。  最後に、石油業界のあり方でございますけれども、公益事業そのものではありませんが、たとえば電気事業審議会の中間報告が五十四年の三月に出されておりますけれども、そのときは円高差益の問題に関しての審議会でございましたが、やはりわかりやすい資料を作成して国民に広く理解を求めろ、こういうふうな趣旨がございましたが、石油業界においても、ぜひともそういうふうな対応をすべきではないか、このように考えております。  以上、基本的な考え方を冒頭述べさせていただきました。
  8. 土井たか子

    土井委員長 ありがとうございました。  以上で参考人各位の御意見の開陳は終わりました。     ─────────────
  9. 土井たか子

    土井委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。狩野明男君。
  10. 狩野明男

    ○狩野委員 ただいまは三人の参考人の方々から大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。自民党を代表いたしまして、二、三質問をさせていただきます。  先ほど、永山参考人それから笹野参考人より、石油業界非常に大変だというようなお話を聞きました。石油エネルギー安定確保という意味において非常に重要な役割りを果たされている石油連盟の方々、会社でありますけれども、先ほどのお話によりますと、かなり厳しい内容になっている、そして惨たんたる状況であるというようなお話があり、さらにまた笹野参考人からは、流通業界においても過当競争による乱売で大変苦しんでいるというようなお話を承りました。  実際問題として、わが国のエネルギーの供給の任に当たる石油業界においてはそういうような状況であるわけでありますけれども、その指導監督をしている通産省といたしまして、これからどのような行政指導をしようとしているのか。そしてまた、先ほどちょっと参考人より触れられました、石油諸税の撤廃などをお願いしたいという問題がありましたけれども、そういう問題も含めて、通産省としてこれからどのような行政指導をしていくか。  それから、原油価格の今後の動向についても、通産省としてどのように考えておられるのか、お答えをいただきたい。
  11. 松尾邦彦

    ○松尾(邦)政府委員 ただいま先生の御指摘の第一点は、石油産業における過当競争体質の問題にお触れになられたのじゃないかと存じますけれども、この点につきましては、かねがね石油審議会におきまして、石油精製元売り業界に対する構造改善の推進についていろいろ御意見をちょうだいいたしております。それによりますと、過剰設備の処理をいたすとか、需要の中軽質化に対応した設備の高度化を行うとか、あるいは元売り企業を中心にした集約化を行う等によりまして、強靱で信頼される石油産業像を目指していくべきである、かような御方針をいただいておりまして、それに向かいまして、現在具体的な構造改善の進め方を鋭意審議会のもとで御検討いただいておるところでございます。  また、小売業界におきましては、このような元売り業界過当競争体質の是正、構造改善とあわせまして、今後、特に中小企業近代化促進法に基づきます構造改善を推進することにいたしたいと存じ、さような手はずを整えているところでございます。  それから、税金の問題につきましてお触れになられたと存じますけれども、税の問題につきましては、確かに道路財源として多額の税を課されておりますほか、エネルギー対策推進のために石油税が課されておるわけでございます。それぞれの税はそれぞれの税の徴収の目的に照らして必要なものとして課されておるわけではございますけれども、私どもとしては、かような課税が石油産業の体質をゆがめることのないように、適正な負担力が確保されるように、先ほどのような構造改善を通じあるいは石油業法に基づきます石油供給計画によりまして、需給の適正化を図る等を通じまして確保してまいりたいと考えておるところでございます。  なお、もう一つお触れになられました今後の国際的な原油価格動向の点でございます。この点につきましては、先生もお述べになられましたように、先般のOPEC臨時総会におきまして一応五ドルの基準原油価格引き下げが決定、合意されたわけでございます。とりあえず、先行きを占う一つの材料でございました北海原油価格、それからナイジェリアの対応という点が注目されておったところでございますけれども、御高承のように、先月三十日、英国の石油公社の方で、先般の二月の三ドル引き下げに続きまして五十ないし七十五セントの再引き下げ石油会社に提示いたしまして、これに対してナイジェリアは翌日、追随値下げは行わないという声明を出しておるわけでございます。  そういう意味で、一つの注目すべき点はかような状態で推移いたしたわけでございますけれども、今度のOPECの総会で決まりました生産上限が今後とも遵守されていくことになりますれば、原油価格の安定に資するものじゃないかと考えられますけれども、ただ幾つか、私どもとしてもその流動的な面として注目しておかなければならない点があろうかと思います。  それは、ただいまの北海原油の再値下げにいたしましても、これはまだ石油会社に提示したところでございまして、石油会社の回答は四月八日になされるということになっております。それから、生産上限の中でも需給の調節弁になるということで、サウジアラビアがスイングプロデューサーになるということになっております。具体的にそれがどのような対応をしていくのか、あるいはまたイランもどのような動きをしていくのか、かような流動的な要素も多々ございますので、私どもといたしまして、いま確たる見通しを申し上げるのはなかなか困難でございますけれども、今後とも引き続きこれらの動向を精いっぱい注視してまいるようにいたしたいと存じております。
  12. 狩野明男

    ○狩野委員 ただいまの話で、先般のOPEC臨時総会で五ドルの値下げが行われた。それで新聞等によりますと、一バレル一ドル値下げが行われると電力会社は千億円もうかるというような話。もうかるというのか原料価格がそれだけダウンするというか、そういうことでありまして、電力会社ばかりでなくて、今般の原油価格引き下げによって、わが国の経済それからまた世界経済にかなりの影響を及ぼすのではないかと思うわけでありますけれども、これについてお答えいただきたいと思います。
  13. 廣江運弘

    廣江政府委員 原油価格引き下げに伴います影響でございますが、まず世界経済に及ぼします影響といたしましては、OECDが推計をいたしましたものを基準に申し上げさせていただきますと、先進国、これはOECDを指しますが、GNPを一年目で〇・四五%程度、二年目で〇・六%程度それぞれ引き上げる効果があるのではないかと考えられているところでございます。  次に、わが国経済に及ぼします影響といたしますと、これは経済企画庁経済研究所でつくりましたモデルをもとにしました試算でございます。ただ、お断りをいたしておきますが、モデルの推計は一九七四年から七八年までのデータによるわけでございまして、そういう制約があることはお断りをいたしておきますが、それによりますと、一年目、わが国経済実質GNPを〇・三五%、二年目〇・九三%それぞれ引き上げる方向に働くのではないか、かように考えております。
  14. 狩野明男

    ○狩野委員 経済関係閣僚会議等でも大きな問題になりました景気対策の問題でありますけれども、この原油価格引き下げを一つの景気対策として活用をすべきであろうかとも思いますが、大臣のお考えはいかがですか。
  15. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 けさほど経済対策閣僚会議を開いていただきまして、総合経済対策等についてというタイトルで、今後の景気対策を含みますところの一つの経済政策の指針を決めたばかりでございます。引き続きまして閣議でも決定されたわけでございますが、その中で最も特徴的なことは、狩野委員が御指摘になりました原油値下がりの活用でございます。これを前文に書きまして、原油値下げの活用を大いに進め、国民経済の中に浸透することによって各種の政策をやっていきたい。たとえば公共投資の前倒しあるいは金融政策の機動的運営、このような項目を八つばかり当面の対策として並べ、三つばかり経済協力を含めて今後の宿題、課題をその中に盛り込んだところでございます。  私がいま申しましたように、原油値下がりの活用はやはり経済政策の基本となる、前提となるべきものだと考えております。これまで、御案内のように経済政策と申しますか、一つの政策の限界がある。それは一つは物価であり、もう一つは国際収支であり、三番目は資源、特に石油の有限性であるというようなことが言われたわけでございますが、私は、いまこの三つとも心配がなくなったような気がするわけでございます。このいわゆる天井が、原油についても取り払われた、残りますところは、財政の大変な困難というところが経済政策の最大の限界になっていると考えるところでございます。  私は、原油値下がりを各方面において活用したい。その活用という意味は非常に広い意味でございます。いま六十五億ドルの輸入代金の節約ということが言われましたが、それが一つ国際収支に大きな影響を与える。言うならば、一兆六千億円ばかりの所得の移転が日本に福音としてもたらされるわけでございますから、ただいま消費者団体連絡会の工藤さんが言われましたようにこれを活用して、国民経済の中に大きな影響を与えていきたい。その方法は何かといいますと、それはもう多分に、日本では市場原理と申しますか、プライスメカニズムを通じていくことが大部分でございます。しかしながら、市場原理だけに任せない、たとえば省エネ、代替エネルギーの開発というような問題も考えていかなければならない。政府が決定しなければならない面も残されているわけでございますが、この原油値下がり影響は多分に市場原理によってこれを推進していく、これは私どもがその効果を十分に見守っていくことから始まると思うのでございます。
  16. 狩野明男

    ○狩野委員 ただいま大臣から石油の有限性というお話がありましたけれども、ちょっと永山参考人にお聞きしたいのです。  現在は石油等が世界でもかなりだぶついておるということでありますけれども、第一次石油ショックが七三年十月にありました。そして第二次石油ショックが七九年にございました。第三次石油ショックはあると思いますか。
  17. 永山時雄

    永山参考人 ただいまの狩野先生の御質問ですが、これはなかなか予測のできないことで、そこがショックのショックたるゆえんだと思うのです。戦争だとか特別の事変というものを予想すれば、一時的にそういう事態は免れないと思いますが、そういう異常事態がない限りにおきまして、石油資源と石油需要との関連から問題を考えてみますると、ちょうど時計の振り子のように、いま行き過ぎた過程がだんだんと正常な状態に戻りつつあるように私は思います。  要するに、価格でいけば、一時は御承知の、バレル当たり四十ドルを超えるような値段が出たわけでございますが、それがだんだんと鎮静化していまのような現象が出てきているということは、やはり行き過ぎの是正が行われておりまして、この価格は、総じて申しますれば、将来の安定性というか、不安定性といいますか、そういうことも見込みを入れながら、また同時に、代替エネルギーその他の開発の進行というものを見ながら物の価格が決まってまいるわけでございます。  私は一時、同じようなショックがまた次に反動的に出てくるのじゃないかということをかなり心配をし、そして脱石油政策というものが相当有力に唱えられて、いまもってまだその幻が消えないように思いますけれども、やはりこれがちょっと行き過ぎになっておるので、どの程度にいったらばいいかという問題は、ちょっと私にはいま予測はできませんが、急激な、急進的な脱石油政策というものについては、もう一度反省をし、見直してしかるべき事態である。要するに、将来、一時感じていたような石油についての不安というものは、若干割り引いて判断をしていいのではないか、こういうような感じを持っております。
  18. 狩野明男

    ○狩野委員 通産省にお聞きしたいのですが、先ほど永山参考人から民間備蓄として九十日分あるというお話でしたが、政府備蓄も含めて現在どのくらいありますか。
  19. 松尾邦彦

    ○松尾(邦)政府委員 現在政府備蓄は千二百五十万キロリットルで、約二十日分でございます。これに、民間の備蓄日数が現在約九十四日分でございますので、合計いたしまして百十四日分程度というふうになっております。
  20. 狩野明男

    ○狩野委員 実は、わが国のエネルギー問題でやはり中長期的な問題を考える必要があるのではないかということで、第三次石油ショックが起こるだろうかという予想でありますけれども、WEC、世界エネルギー会議ですが、その石油需要予測というのがありまして、それによると、石油需要成長曲線の大小で幅はあるが、世界の石油生産需要を満たせない時期は、一九八五年から二〇二〇年に出現する、こう言っているわけであります。そうすると、一九八五年といいますと、そんなに遠い時期ではないような感じがするわけであります。  それで、わが国は第二次石油ショック以来、国民的倹約と、それから石炭だとか原子力等に燃料転換をしてまいりまして、現在は石油需給は緩んでおりますけれども、そしてかつての一時期のような状況にはありませんけれども、このWECの予想どおりとすると、一九九〇年代には第三の石油ショックが起こる可能性があるだろうということが予想されるわけであります。  それまでに代替エネルギーが開発されて、それが進んでいればよろしいわけでありますけれども、私の地元の茨城県でいま進められている核融合施設等については、これはみずからエネルギーをとるわけでありますが、これなどは二十一世紀にならないとできないというようなことも言われておりますし、原子力利用もそう進んではいないということになりますと、一九九〇年代になっても、石油とか石炭とかガス、こういった三大エネルギーの中での石油の消費量は、先ほど永山参考人からお話がありましたように五割程度だと思います。そうしますと、原子力エネルギーは、石油とか石炭とかガスとか、こういった三大エネルギーを補う程度のものにしかならないだろう、こういうことが考えられるわけであります。  わが国といたしましては、政府の政策で、石油供給国を中近東ばかりでなくてメキシコとかいろいろ各国に分散したり、いまお話をお聞きしましたように備蓄を政策的にやっておりまして、原油危機予防は図っているようでありますけれども、世界的に、生産される石油の絶対量が不足するという予想があるわけでありまして、いまは安定推移をしておりますけれども、将来、価格の値上がり、極端に言えば暴騰もあり得るかもしれないというようなことであります。  そして世界エネルギー会議の予測では、この予測はこれから発見されるであろう石油埋蔵量も含んでの、織り込み済みのものでありますから、石油の依存率を五割から三、四割程度にもう少し低下させなければ、日本経済の根幹にもかかわる問題にもなってくるのではないかというようなことも考えられるわけであります。原油の値上がりは世界の原材料の高騰にもなるし、そしてまた、卸売物価消費者物価にまで影響をしていくわけでございますので、国民生活の安定という面においては、これは政治の重要課題でありますので、中長期的な展望に立って、いまからそういった問題も予想して十分な対策をとられるように関係各位にお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  21. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 ただいまの狩野委員の御指摘、私も全く同感でございますし、私どもは十分これを心に銘じて政策を遂行しなければならないと思います。  私が、経済政策の三つの天井の中で石油の有限性ということが取り払われたという、これは少し誇張といいますか、言い過ぎたと思うのでございます。これまで石油の有限性が伝えられ、したがって、価格が十年間のうちに十四倍にも上がった、この面の制約は緩和されてきたという意味で御理解を願いたいと思います。もう石油について何をしてもいいんだ、こんなことを言ったつもりではございません。一応私どもの省エネ、代替エネルギー開発の努力が実ってきた、節約の努力が実って、産油国も世界の不況に気がついて値段を下げてきた、これを国民経済の中に生かしたい、こういう意味でございます。  いまWECのお話が出ました。この点もかつてから伝えられたところでございますし、そのような経済的な観点からの需給の見通しも大事でございますが、だれしも指摘いたしますことは中東の政治情勢の大変な不安定性でございます。これを考えてくると、またいずれどのようになるか大変な不安があるというようなことは、これは私が言うだけではありません、世界の有数の政治家がすべて指摘しているところでございまして、やはりこういった観点から、石油に対する政策あるいは代替エネルギー開発、省エネ政策の推進を政府自身が決定していかなければならない、こういうことを申しておりますので、私どもも、いま狩野委員の御指摘の方向につきましては十分に考えていきたいと思います。
  22. 狩野明男

    ○狩野委員 質問を終わります。
  23. 土井たか子

    土井委員長 次に、武部文君。
  24. 武部文

    ○武部委員 参考人の皆さんには、大変お忙しいところをありがとうございました。  最初に永山参考人にお願いをしておきたいと思いますが、先ほどお述べになりました中の冒頭に、石油連盟としては石油製品価格関係をしていない、こういうお話がございました。当委員会では、過去に何回か石連の会長の御出席をいただきまして、価格の問題あるいは為替相場の問題、いろんなことをここでお聞きをしたわけでございますし、前回も永山参考人においでをいただきましていろんな点をお聞きしたわけでありますが、石油連盟石油製品価格に表面的に関係をしていない――表面的という言葉は悪いのですけれども、カルテルのことを御心配になってそういうことをおっしゃっておるだろうと思うのですが、ここでカルテルのことをこれから取り上げようと思っておるわけじゃございません。永山参考人昭和石油の社長さんでもございますし、私どもは、原油値下がりがいまどういう形で末端価格につながっておるのか、これに対して消費者が一体どう思っておるのか、これが物価にどう影響するのか、そういう点をお聞きしたいと思っておいでをいただいたわけでございますので、その点、ぜひひとつ遠慮なしにお答えをいただきたいと思います。  さて、第一の問題は、先ほど工藤参考人から石油業界の体質について発言がありました。私どもも、ここで為替差益の問題等をやったときに、何回かこのことを発言し、御意見を申し上げたわけでありますが、少なくとも、わが国に欠くことのできないエネルギーの最も重要な石油でございまして、おっしゃるように安定供給をしてもらわなければ困るわけであります。しかし、いまの石油業界は、永山参考人のお言葉ですと惨たんたる状況だ、こういうお話でございました。これは大変なことでありまして、一体それはどういうことだろうか、少なくとも石連の会長がみずからの業界をそういうふうにお述べになる以上は、そういう現状だということは認識しなければなりませんが、先ほどの工藤参考人の御意見の中に、経営の実態が消費者から見ると非常に不透明だ、あるいは原価の内容も不正確だ、あるいは、値上げがおととしは一年間に十一遍も行われましたが、値上げが一方的である、したがって、石油業界消費者に信頼されていないという発言がございました。  これはちょっと聞き捨てならぬことでございまして、そういう状況ならば、一体このまま放置していいだろうか、この点は非常に重要なことでございますので、先ほどお述べになりました石油業界現状、まあそれは設備の過剰の問題もございましたし、それから元売り集約化等の御意見もございましたが、いまの工藤参考人発言に対して、永山参考人はどのようにお考えでございましょうか、最初にこれをお伺いしておきたいのです。
  25. 永山時雄

    永山参考人 ただいまの武部先生からの御質問にお答えをいたしますが、最初の、石油連盟会長として価格問題に関連するその姿勢でございますが、これは冒頭陳述で申し上げましたように、石油連盟の定款といいますかルールでは、扱わないということになっております。また現に、御承知のとおり、独禁法、公取の裁判の被告に石油会社それぞれ立っておるわけでございます。したがって、その意味で、石油連盟会長としての私は、価格問題について立ち入った話をすることはできないわけでございます。  ただ、価格問題を抜きにして経済問題を話をするといいましても、これもまた事実上なかなかできないことでございますから、ある程度一般論としては触れますが、限界があるということをひとつ御承知おき願いたいと思うのです。  それから、先ほどの工藤さんからのお話についておまえはどう思うか、こういう御質問のようでございますが、石油業界は、工藤さんのお話を待つまでもなく、私自体も、ある意味において業界構造改善をする必要があるということは十分認めておるのでございます。まあ何にしましても、高度成長以来、押せ押せムードで設備の拡張に次ぐ拡張をもってぐんぐん伸びてきた業界が、第一次石油ショックでぱたっととまってしまい、なおとまったばかりでなく、さらに沈下をしているという状態でございますから、したがって、そこに過剰設備の問題も、それから過剰人員の問題も、いろいろの問題が出てまいっておるわけでございます。  何としましても、石油産業というのは基礎産業でございますから、これを安定した基盤に置いて再建をするということの必要は、十分その理由はあるところでございますから、何とかそういう方向に持っていきたいと私は私なりに考えておるのでございます。これには、先ほどの石油部長さんのお話にもございましたけれども石油審議会等構造改善の問題を取り上げておりますので、その方面と話し合いをしながら、何とかいい結果を得たいものだ、かように存じておるのでございます。
  26. 武部文

    ○武部委員 それでは、具体的な問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  先ほど狩野委員から、十年ぶりの原油値下がりが起きて、これから一体どうなるか、見通しはどうだろうかという質問がございまして、お答えをちょっと聞いておったわけでありますが、一説によると二十五ドルないしは二十ドル、そこまでさらに下がるのではないか。おっしゃるように、北海原油の問題、メキシコもイランもそうですが、ナイジェリアの話もございましたけれども、今後の見通しについてはなかなかむずかしいだろうと思うのですが、ちょうど発売されたばかりの四月五日号のエコノミスト、この中に「円と原油価格のゆくえ」「主要企業アンケート調査」ということで、主要企業が今後の原油価格見通しを出しておるのであります。  これを見ますと、大多数が二十五ドルという想定をしておるようであります。特に大洋漁業、それから大きいところでは昭和電工、丸紅、三菱銀行、こういうところは大体二十五ドルから二十六ドルぐらい。それが非常に数が多いわけですね。こういうことを予測しておるようでございます。  時間の関係で、もう一つ関連をして為替相場の動きのことをちょっとお尋ねしたいわけですが、この為替相場の動きは、原油値下がりは円高に連動するだろう、いい影響をもたらすだろう、これはだれもが考えておることでございます。これも同じ調査が行われておりまして、これから先為替相場はどう動くだろうかということに対する回答が大企業から出ておるわけです。これを見ますと、二百二十五円というのが非常に多うございます。銀行筋は二百二十五円。住友商事に至っては二百二十円、丸紅二百二十五円、東京電力二百三十円、こういうふうになっております。  いま二つのことをお聞きいたしますが、この原油値下がりは、ここに出ておるような二十五ドル、そういうことが予測されておりますが、永山参考人としてはその点についてどんなお考えをお持ちでしょうか。それと、為替相場は、これから円高に変わって二百二十五円ないし二百二十円、そういう円高の傾向にこれから急速に進むというふうに予測が出ておりますが、これについてはどういうお考えをお持ちでございましょうか。
  27. 永山時雄

    永山参考人 原油価格の今後の下落見通しでございますが、これもどうも事の性質上、私もはっきりした見通しは持っておりません。ただ、私ども業界におって若干石油の問題を承知をしておる、そういうやや専門的な常識から考えますと、通説といいますか、多く言われている大体二十五ドル辺のところじゃなかろうかという感じはやはりしております。ただこれも、要は、需要と供給との関係が一番大きく響くと思いますので、もう少し日にちをかりませんとその関係が、見通しが余りはっきりいたしませんので、いまのところはそういう漠とした感じでございます。  それから、為替相場の方もなお一層わからぬ問題でございまして、私どもは、為替相場の変動によって大変大きく企業の損益が支配をされますので、これは真剣に各方面の専門家に常に接触をいたしておりますが、残念ながらいままで余り当たったことはないので、したがって、今後の見通しを私から申し上げることは適当ではないと思います。ただ、一般的な状況からしますと、もうちょっと円が強くなるのじゃなかろうか、しかし、そんなに大きくは強くならぬだろうという程度の感じでございます。
  28. 武部文

    ○武部委員 通産省考え方を聞きたかったわけですが、これは先ほどの狩野委員のときにお答えがあったようですから省略いたします。  そこで、もう一つお聞きをしておきたいのは、これは通産省にちょっと答えていただきたいのですが、いま省エネが進んでおりますし、代替エネルギー化が非常に進んでおるわけでありますが、石油の供給計画と今後の需要の予測、これをどのように見ておるのか、ひとつ答えていただきますか。
  29. 松尾邦彦

    ○松尾(邦)政府委員 石油の供給計画は、石油業法に基づきまして毎年度先行き五年間にわたる計画をつくることになっているわけでございますけれども、御案内のような昨今の流動的な内外の石油情勢、エネルギー情勢にかんがみまして、私どもといたしましては、とりあえず、当面五十八年度上期の運用指針というのを先般策定いたしたところでございまして、これは前年同期比で、需要面では五・二%減程度と見ておるわけでございます。その先につきましては、流動的な諸情勢の見きわめをもう少しいたしました上で五カ年間の計画を作成してまいりたいと存じております。  さらに、もっと長期のことも含めて考えますと、長期のエネルギー需給見通しは昨年作成して間がないわけではございますけれども、情勢の変化も著しいものですから、今後どのような内容になっていくべきであろうか、新しい情勢を踏まえて近々その見直しの作業を始めることにいたしたいと存じております。
  30. 武部文

    ○武部委員 具体的にひとつお三人にお尋ねをいたしますが、ガソリン灯油の現在の末端価格は、バレル当たり五ドル下がった、その現実というものを忠実に反映しておる価格だというふうに思っておられるでしょうか。それをちょっとお伺いしたい。
  31. 永山時雄

    永山参考人 石油会社の財務内容というものは、会社によって大変違いがあると私は思うのです。特に典型的なものは、御承知かと思いますが、アラムコ系統の会社、それから非アラムコ系統の会社、これによって非常に財務内容に違いがございます。要するに、コストの差というものがかなりあるわけですね。したがって、その値段を自分の会社の立場から見ていいか悪いかという判断になると、これは非常にまちまちになると思いますので、いまの末端ガソリン価格というものについては、全国的にいって非常にばらばらで、かなり安く落ち込んじゃっているところもございますし、比較的モデレートなところもございますし、一概に申すことはできませんが、やはり原油価格の落ち込みを相当前取りをしているという感じの値段ではなかろうか、こういうふうに判断しております。
  32. 笹野好男

    笹野参考人 お答えいたします。  流通段階におきましては、先ほど冒頭陳述に申し上げましたように、先取りをいたしまして、もう惨たんたる状況になっておるのでございます。
  33. 工藤芳郎

    工藤参考人 一つの考え方の基準といたしまして、原油価格がCIFでキロリッター当たり四万三千六百円ということになりますと、これは大体二年前の水準になるわけです、八〇年の十一月から八一年の初頭にかけてというぐらいになりますから。これで見た場合には、そのときの灯油ガソリンが幾らであったかというふうに見るのが一つの見方だろうと思うのです。そういう基準で見てみますと、灯油の場合は、現状が七万六千円、これは市況でありますが、当時は六万五千円相当でありますから、一万一千円程度なお下げてもいいのではないか。ガソリンについては、同様に現状が十四万七千円ぐらいでありますが、当時は十三万二千円ですから、なおキロリットル当たり一万五千円程度高いのではないか、もう少し下げられるのではないか。これは、企業経営実態等の面は省いて考えて、単純に比較をした場合にはそういうことが言えるのではないかと思います。
  34. 武部文

    ○武部委員 それならば、今度は値上げ幅についてちょっとお尋ねをいたしたいのでありますが、五十七年の石油製品の値上げというのは、キロリットル当たり四月に三千円、八月に七千円、これは円安が理由であります。円安を理由に合計一万円上がったわけであります。円レートは、いま申し上げたようにこれから円高に推移するということが確実であります。こういうことを考えますと、五十七年三月のときの価格に戻す必要がある、こういうふうに思うわけです。  四月一日から日石がキロリットル当たり一万二千円の値下げを発表しましたし、他社もこれに追随して、キロリットル当たり大体一万二千円下がるということになるわけですが、今回のバレル当たり五ドル値下げ影響としては、国内の製品価格値下げ幅というのは五ドルで約七千五百円、こういうふうな計算が出てくるわけですから、先ほど申し上げた一万円と七千五百円とでキロリットル当たり一万七千五百円値下げすべきではないか。したがって、これはリットル当たりにすると十七円五十銭ということになるわけですが、私がいま申し上げたこういう考え方について、永山参考人はどのようにお考えでございましょうか。  もう一つ、経企庁は、いま日石が発表した一万二千円、こういう点についてどういうふうにお考えか。私が申し上げた一万七千五百円と一万二千円についてちょっと見解を述べていただきたいと思います。
  35. 永山時雄

    永山参考人 ただいまの御質問でございますが、私は、日石の内容というものはよく承知をいたしておりません。おりませんが、新聞で見ますと、いまのお話の七千五百円ばかりの原油価格下落、それから為替の円レートの差というもので大体一万二千円が出たというように伝えられております。  いまの石油会社の実態は、先ほど私が冒頭陳述で申し上げましたように、非アラムコ系が日本の供給量の大体三分の二を支配しておるのですが、その三分の二を占める石油会社の財務内容というものは、大変膨大な赤字を抱えておるのです。石油会社を健全な形に直す意味においてその赤字の解消、これは一遍にとは申しませんが、できるだけ早期に解消していくということの配慮もしなければならない。それから、先ほどの冒頭陳述にも、あるいはいろいろな話にも出ていましたように、高値在庫というものも相当抱えている。それから同時に、石油の国内需要石油製品需要というものは年々歳々かなり急激に落ち込んで、稼働率も非常に低下しておるという諸般の事情を考えますと、なかなかそう簡単に石油会社が石油の値段を下げ得る状況にはないように思うのです。  ただ、諸般の状況を考えてみますと、先ほどの原油価格、それから為替相場、そういうところを理由にした日石の発表の程度値下げは、総合した状況からするとまあまあやむを得ないというか、適当なところじゃなかろうか、こういうふうに判断します。
  36. 武部文

    ○武部委員 一万二千円が妥当な線だというふうにお考えのようですが、私はそう思わないのでありまして、先ほど申し上げたような円安を理由にした五十七年の二回の値上げ、これは当然還元していかなければいかぬ、戻すべきだ。したがって、七千五百円と合計すれば一万七千五百円、こういうことにもなるわけです。ちょっと後で経企庁にも聞きますが……。  そこで、工藤参考人にお尋ねしますが、あなたの方は、五十六年までさかのぼって、二回の値上げがあったのを還元すべきだ、こういう御意見であるようでして、そうなると、合計してみますと、リットル当たり二十四円くらいになりますね。ということは、キロリットル当たり二万四千円ですから、ちょうどいま永山参考人のお話の二倍になるのです。金額が倍も違うのです。消費者の皆さんから見れば、円安で上げたものは当然この問題で解決する、さらにバレル五ドルの問題でこれだけ出てくるのだから、そういうことでリットル当たり二十四円、二万四千円値下げが可能である、こういう主張だし、業界の方は、その全く半分の一万二千円ということをおっしゃっているわけです。これは大変違うのでありまして、この点を工藤参考人はどのようにお考えなのか、お聞きをし、経企庁はこの両者の意見についてどういうふうにお考えなのか、これをお答えいただきたいと思います。
  37. 工藤芳郎

    工藤参考人 先生おっしゃいましたように、私たちは、円安等の理由によって値上げをした分は当然還元されるべきであるという基本的な考え方に立っておりまして、先ほど申し上げましたような数字になるわけでございます。  なお、より厳密に言いますと、今回の原油値下げを還元するという立場に立った場合の原資については、もう一つ円高の差益が昨年からあるように思っておるわけであります。八二年の換算レートは一ドル当たり二百四十七円二十八銭でありますから、これを二百三十五円というふうに見ますと、差し引きますと十二円二十八銭あるわけです。いま一般に経企庁の試算等では、日本円で一兆六千億程度と言っておりますが、私どもは、さらに四千七百八十億程度の円高差益もこれに原資として加えていただきたいと実は思っているわけで、そうしますと、二兆一千億程度の原資に立って考えてもおかしくないのではないか、このように考えているわけであります。つけ加えさせていただきます。
  38. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 お答え申し上げます。  私どもといたしましては、当委員会で常時お答え申しておりますように、石油製品価格というのは市場メカニズムによって決まるべきである、こういうふうな基本原則を持っております。市場メカニズムに任せておきますと、これは当然コストを反映した適正な価格というのに落ちつくだろう、こういうふうに考えております。  その場合のコストでございますけれどもコストという場合に、それには必ずしも原油コストだけではなくて、それ以外のいろいろなコストがあると承知をしております。石油製品の場合には、原油コストの割合が多いということは事実でありますけれども、しかしながら、そのほかに人件費もあろうと思いますし、それ以外、もろもろの費用というのがある、こういうことを思っております。したがいまして、原油の値段が下がっただけでそのものをフルに価格に反映できるものかどうか、この点が一つ問題点ではないか、こう承知をしているわけでございます。さらにもう一つは、やはり昨年の三月の価格というものが果たして適正なものであったかどうか、こういったような点の検討もしなければいけない、こういうふうに考えます。したがいまして、幾らの値下げがあればそれが適正であるのか、私どもとしていまそれを申し上げる用意がない、こういうふうにお答え申し上げます。
  39. 武部文

    ○武部委員 どうも意見が違うようでございまして、ここで結論を出すことはなかなかむずかしいと思いますが、いずれにしても、消費者の方は二万四千円、私は一万七千五百円、永山参考人は一万二千円、いろいろ金額が違うわけであります。しかしいずれにしても、計算上から見ると、一万二千円などという金額で、円安が円高に転じた問題や五ドルの問題というものが消費者に正確に還元された金額になるとは私は思わないのであります。  そこで、途中になりますが、笹野参考人にちょっとお尋ねいたしますが、ガソリンがいま地域的に大変な乱売合戦が行われておる。大変差があるわけでありますね。きのう、おととい、私のところはガソリンは百六十五円でございました。一覧表が載っておりましたから。灯油は配達で千六百七十四円でございました。こういうことですが、埼玉県あたりになるとガソリンは百四十円台、そういうようなところもあるようですね。いまお述べになっておるような一万二千円の値下げガソリンは大体どのくらいになるというふうにお思いでしょうか。  それからもう一つ、この機会にお尋ねをいたしますが、冒頭に、値引き競争で一日一日値が変わるということをおっしゃったわけですが、スタンドの利ざやですね、利ざやというのはリットル当たり一体何円ぐらいと見ておられるのか、ちょっとこれをお尋ねしたい。
  40. 笹野好男

    笹野参考人 お答え申し上げます。  具体的にどうこうということはちょっと試算しておりませんのですが、昭和四十八年の第一次石油ショックのとき、政府が市場上限価格として決定いたしましたのが、ガソリンの小売り価格において一リットル当たり二十一円七十銭が認められた経緯がございます。したがって、経営者の立場からすれば、この間十年もたっておりますので、諸物価上昇を考慮いたしましても、中小企業調査による小売総平均に近い粗利益率は、約二〇%程度は必要と考えております。  また、地域によりまして大変乱売がされているという先生の御指摘でございますが、そのとおりでございまして、これはもう特異な状態で、経営危機を感じておる次第でございます。適正なものではございませんので、御判断いただきたいと思います。
  41. 武部文

    ○武部委員 もう一つ、灯油のことをお聞きしたいのですが、通産省のモニターで出てきた数字ですが、二月の平均は十八リットル千七百五十二円。それで、五ドル下がるということになりますと、これを計算すると、五十年の標準価格を基準にしてはじいてみますと、二十九ドルに下がれば灯油は千五百七十四円という数字になるのであります。したがって、モニターは千七百五十二円ですから、二十九ドルで計算すると千五百七十四円、百七十八円下がってもいいことになる。ところが、現実にはそう下がっていない。これは一体どういうことなんだろうか。これをちょっとお聞きしたい。
  42. 笹野好男

    笹野参考人 お答え申し上げます。  灯油の問題でございますが、これも今回、四月一日からの値下げになりますので、先行はいたしておりますが、ガソリンほど急激な下落はいたしておりません。したがいまして、先生の御指摘のような形は今後考えられるべきことだと思います。
  43. 武部文

    ○武部委員 いまのお答えを聞いておりますと、ガソリン灯油も、五ドル下がったけれども、どうも乱売合戦で先取りしてどんどん値下がりが先行しておる、こんなことになっておるわけですが、現実に、いま申し上げたように、千五百七十四円程度のものがはじき出せば出てくるわけですね。それが現実に下がっていないということでございますが、小売りの皆さんは大変苦労をして、元売りは下げてくれぬのに、買ってくれぬものだからどんどん先走りして下げなければ売れぬ、あそこが下げればうちも下げる、こういうことで、競争で、極端なのは、一番ひどいのは埼玉県ですね。これぐらい過当競争が多いところはないと言われて、百四十円台。私のところは百六十五円ですからね。こんな大きな差がある。これは業界にとっても大変なことだと思うのですが、こういうものの対策についてはあなたの方では何かお考えになっているのですか。
  44. 笹野好男

    笹野参考人 お答え申し上げます。  価格の問題はわれわれなかなかタッチできません。公取の問題がございますので、適正な経営指導という形から見ますと、先ほど申し上げましたように、いわゆるわれわれの経費というものでございますので、十年前が二一%ございましたくらいでございますが、いま一体幾らになっているかということで言いますと、仕切りから考えてみますと一割あるかなしかで、あるいはそれ以下というようなかっこうでは経営が成り立っていかないことは当然でございます。したがって、こういう指導につきましては、自力でそれなりに計算していくということを進める以外ほかにございません。  いまの乱売の状態は、先ほど申し上げましたように、構造的にもいろいろ今後の問題を残しているのではなかろうか、こういうように感じております。
  45. 武部文

    ○武部委員 時間の関係で話題をちょっと変えまして、通産省にお尋ねしたいと思います。  五十七年上期、去年の上期の石油供給計画のうちで、第二・四半期の七月と八月について、通産省は運用指針に基づいて月別に原油処理目標量を設定して、七月、八月の初めに公表したわけですが、いままでにこういうふうに月別に原油の処理目標量を設定したことはなかったわけです。これは初めてのことでありますが、石油業界石油製品価格を円安を理由に一キロリットル当たり三千円上げたわけです。それにもかかわらず石油製品が市場にだぶついて、市況に反映しない。せっかく三千円上げたけれども反映しない。そこで通産省が意図的に減産指導をやった。側面から値上げを支援した、こういうふうにとれるわけです。事実この七月の減産率は前年同月比四・七%、こういう数字が出ました。八月は同じように前年同月比〇・七%マイナスであります。九月は一・四%マイナス。  公取はこの点について文句をつけた。月別の原油処理目標量の設定は業者間にカルテルを誘発するおそれがあり好ましくない、もし必要があるとするならば、石油供給計画自体を変更すべきではないか、こういうことを公取が通産省に申し入れをした。そこで通産省は、それではということで、いまの月別をやめて、九月から供給計画の改定をやったわけですね。  通産省は一体どうしてこういうことをやるのでしょうか。値上げのときには量の調整をやって、業界寄りの姿勢を示して、今度は値下がりで、値下げをする必要があるというときには、通産省価格には介入をせぬことになっておりますと言って知らぬ顔をしておる。これは一体どういうことでしょうか。値上げが浸透しないときには減産指導をして、業界寄りに減産をやらしておる。今度は値下げが来ると、私ども価格には介入いたしませんと知らぬ顔して、全然やらぬじゃありませんか。そういう姿勢は通産省としておかしいじゃないですか。ちょっとここで答えていただけませんか。
  46. 松尾邦彦

    ○松尾(邦)政府委員 ただいま御指摘の昨年の七―九月期における生産計画に対する私どもの指導のことでございますけれども、ちょうど昨年の四―六月ごろから、石油製品需要は予想を上回る大幅な落ち込みを見せております。私どもとしては、かねがね、石油製品安定供給を図るためには、需要動向に的確に対応した供給量を確保していくことが大切だという基本的な観点に立ちまして、大幅な予想以上の落ち込みを見せたことに機動的な対応をする必要があろうかと考えまして、そのきめ細かな対応の一環として、七月、八月における供給計画につきましては、七月から九月の四半期の数字をもとにいたしまして、それの月別の運用指針を策定いたしまして、これに沿って所要の指導を行ったわけでございますけれども、七、八月に続く九月以降につきましては、流動的な需給の情勢についても見定めをいたして供給計画の改定を行いまして、以後、改定後の計画に沿って対応してまいっているところでございます。  御案内のような、昨今を含めまして需給の動向というのが大変流動的であるということに対応してとられたものでございまして、特別それ以上の意味を持ったものではございませんということを申し上げさせていただきたいと思います。
  47. 武部文

    ○武部委員 その答弁はちょっと納得できませんね。公取から文句をつけられて、またもとへ戻したのですよ、現実には。たった二カ月やって、そして現実に二カ月で効果があらわれて、いま申し上げたような数字で減産は進んだのですよ。そうなれば当然三千円の値上げというのは浸透しますよ、それはだれが見たってそうでしょう。三千円の値上げを決めたものの浸透しないものだから、そこで減産をやって、具体的に値上げが浸透できるように側面からあなた方の方が協力しておるのじゃないですか。  それはそれとして、それならば値下げのときだってあなたの方が指導すべきでしょう。今度の値下げについてはあなたの方はどういう考え方を持っておられましょうか。価格には介入しませんなんということを言っておるわけにはいきませんよ。その点どうでしょうか。
  48. 松尾邦彦

    ○松尾(邦)政府委員 先ほど申し上げましたように、昨年のことにつきましては供給計画の四半期の数字を内数として月別に展開をして、所要の指導を七、八月行い、九月に供給の改定をいたしてまいったわけでございます。  これからの対応でございますけれども、私どもといたしましては、先ほど御説明申し上げましたように、五十八年度の上期について、流動的な情勢でございますが、運用指針というのをとりあえず策定いたしまして、もう少し事態を見きわめまして供給計画を作成してまいるつもりでございます。昨今のような御指摘原油の国際的な値下がり傾向を踏まえて、国内の市場におきましてプライスメカニズムが十分に機能することを私どもとしては期待をいたしているわけでございまして、供給計画の運用指針は実勢を踏まえて策定いたしてございますけれども個々企業はこの指針を一つのガイドラインとして自主的な対応をすることを期待しているわけでございます。さような中で、マーケットの市場メカニズムが十分に機能することを期待しており、所期の目的を達成したいと考えております。
  49. 武部文

    ○武部委員 片手落ちのないようにしてもらいたいということを最後に申し上げておきます。  永山参考人にお尋ねいたします。今回のキロリットル当たり一万二千円の値下げについて、新聞報道によりますと、ナフサとC重油は除くというようなことが書いてありますが、値下げによって油種別には価格体系というのは一体どういうふうになるのでしょうか。ちょっとお知らせいただけませんでしょうか。
  50. 永山時雄

    永山参考人 ナフサ、C重油は、従来からガソリン灯油、軽油、そういういわゆるマスマーケット主体の商品と違ったルールで価格の是正をすることになっております。したがいまして、今後四―六月のナフサ、C重油については、需要家と折衝をいたしまして、従来のルールによって決まってくることだと思います。今後の問題でございますので、まだ私としてははっきりしたことは申し上げかねます。
  51. 武部文

    ○武部委員 C重油、ナフサは値下げについて抵抗が強い、したがって、そのしわ寄せが灯油ガソリンに来るというふうに、ぱっと見てもわかるのですよ。われわれ素人目に見ても、ナフサやC重油はなかなかむずかしい、うまく話がつかぬ、そのしわ寄せはみんな灯油ガソリンに来ている、こういうふうに思われるのですが、そういうことのないように、少なくとも元売り会社としては、一万二千円の値下げというものが現実に製品価格に反映するように努力をしてもらわなければ困る。この点を特に要望しておきたいのです。  時間の関係で、経企庁長官に、ちょっと先ほどお話のございました石油税のことです。石油税の値上げにつきましては、長官はかねがね大変強く主張されておったことを私は聞いておりますが、いまでも同じ考えでございましょうか。ちょっとこれを聞いておきたい。
  52. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 きょうわざわざおいでくださった参考人のお三方いずれも、石油税増税と申しますか、石油税だけではございませんで、石油関係諸税増税反対というような御意見がございました。その前で、おまえはどう考えるかという大変過酷な質問で、憲法上、三十六条には「自己に不利益な供述を強要されない。」ということで、政治家でございますから、私はそんなことを申すつもりはございませんが、いま大変困ってきておる石油業界、そしてまた長らく石油価格上昇で苦しんでこられた消費者、これを考えてみますと、私も本当に仁徳天皇のように、税金も民のかまどの煙が見えるまでというようなことも言いたいのです。  しかし、この問題は私だけじゃありません。先般も通産大臣が述べられましたように、これから代替エネルギー開発、省エネ政策をどのように持っていくか。石油関連諸税全般の問題よりも、石油税が目的税となって、省エネ、代替エネルギー、そしてまた備蓄等に使われるところの目的税でございますが、この財政状態がどうなるか、また最終的に政策がどういうふうに考えられるか。いま永山参考人のお話では、心配はほとんど要らぬのではないかというお話がございました。省エネ、代替エネルギーも、これぐらいの引き下がりなら影響はしないというお話でございます。私は、こんなような御意見も参考にしながら決定すべきだと思うわけでございます。とにかく財政需要は一方あるということを考えますと、慎重に決定ということがきょうの御答弁であろうか、私はこう考えております。
  53. 武部文

    ○武部委員 大分慎重になられたようですが、きょうここでは発言をすることはやめて、また改めて論議をすることにいたしましょう。  そこで、永山参考人工藤参考人通産省にお伺いをしたいのですが、家庭用のプロパンガスの問題であります。プロパンガスの量の問題と値上げの問題についてお尋ねをするわけであります。  いま家庭用のプロパンガスは、千八百万世帯がこれを使用しておると言われておりますが、家庭の必需品になっておるわけであります。ところが、国際価格は去年の暮れから三回上がりました。国内では、トン当たり三千円を十二月に上げまして、それから、三月に入ってから四千円から六千円、いま再値上げをしようというふうに話し合いが進んでおるようであります。原油の方はどんどん値下がりするのに、なぜ一体プロパンガスだけはこうしてむしろ逆に値上がりするのか。その背景は、すでにマスコミ等で報道されておるように、サウジの減産が一番大きい問題だというふうに理解はできます。それから国内での石油のだぶつき、そのために連産品のプロパンガスが減少しておる、これも事実でありましょう。これが値上げの理由になっているようであります。  通産省は、プロパンガスの量の確保についてどのように対処しようと考えておるのか。もしこれ以上逼迫してくるならば、備蓄が現在十五日ですか、この備蓄を取り崩す必要があるのじゃないかと思うのですが、これについての通産省の見解を聞きたいし、工藤参考人は、プロパンガスの値上がりについてどういうふうにお考えなのか。  永山参考人にお聞きしたいのは、石油で五ドル値下げで皆さんの方はすぐ利益が上がってくる。利益はこっちの方で上がってくる。LPガスの方は、量が減って国際価格が上がったから直ちに値上げだ。こっちの方は知らぬ顔をしておいて、こっちの方はぽんぽこぽんぽこ上げる。本来かまどは一つ、この全体の中で考えるべきではないでしょうか。そういう点、片一方の方は知らぬ顔をしておいて、こっちの方はぽんぽん上げていく、そういう体質が、工藤参考人の話の中にあったように、値上げは一方的で、そして原価は不明確で、こういう不信感がこういう中から生まれてきておるのではないだろうかというふうに思うのですが、この点について通産省工藤参考人永山参考人の御意見をひとつ聞かせてください。
  54. 落田実

    ○落田説明員 お答え申し上げます。  LPGの需給につきましては、いま先生から御指摘ございましたように、日本のLPG輸入の五割程度を占めますサウジアラビアの原油の減産、それから最近のいわゆる原油価格引き下げに伴います影響、そういったものの影響で、国内関係の需給も若干タイト化をしております。その間、何回かのサウジからの供給についての通告がございましたが、輸入企業各社がスポット手当て等に懸命に努力をいたしておりますし、それから大口需要家に対しましてナフサ等への一時的な転換をお願いをしたりしておるわけでございまして、この結果、現在までのところ、二月、三月といったところは若干タイトぎみではございますけれども、需給関係については支障なく推移をしておるということでございます。  それから、今後につきましては、なかなかむずかしゅうございますが、四月以降はLPGがだんだん不需要期に入ってくるという時期でございます。それから、OPECの総会で原油値下げが決まったわけでございますので、その後生産が回復しますれば、これが正常化してくるのではないかということでございますが、まだ原油生産動向も不確実でございますので、今後まだ注目をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから価格の問題でございますが、先ほど御指摘ございましたように、サウジアラビアによりますLPGのFOB価格が、昨年の十一月、それからことしに入りまして一月、それから二月と、三回引き上げられております。そのほか、こういうふうにタイトぎみに推移している結果、いろいろな諸費用がかさんできておることは事実でございます。そのために元売り仕切り価格の引き上げが打ち出されておりますが、プロパン価格の場合には、灯油や何かとは若干違いまして、流通段階の経費が非常に高いというようなこともございます。  それから、今後どういうふうに末端価格に響いていくかというような点につきましては、需給動向あるいは特に競合燃料との関係などが非常に重要な問題でございまして、種々の要因があるわけでございまして、一概に論じることは困難でございますけれども、たとえばプロパン価格につきましては、現在までのところ、ずっとおおむね横ばいというふうに推移をしてきているわけでございまして、今後とも私どももこの価格動向を注目していきたいと思っておる次第でございます。(武部委員「量について」と呼ぶ)忘れました。恐縮です。  備蓄の問題につきまして、これ以上悪化したらどうなるのかという点でございます。備蓄日数につきましては、三月末で大体輸入の二十日分ということになっております。いま申し上げましたように、現在の段階は、備蓄を取り崩すとかといったことを云々する段階ではございませんで、備蓄取り崩しというのはいわば最後の手段とでも申しますか、そういう段階でございます。ただ、五十日を目標にしまして現在二十日分まで来ておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、需給関係について少し前から私どもいろいろ対応しておりまして、現在の在庫水準備蓄の二十日分よりもかなり高い水準に置いておりますので、当面のところ、備蓄の取り崩しといったことを考える状態ではないというふうに考えております。
  55. 工藤芳郎

    工藤参考人 御指摘いただきましたように、従来、民生用のLPG価格につきましては、消費者納得のいく議論が全く行われないままに価格改定が再三行われてきているわけでございまして、非常に残念に思っております。この問題についてはどこに問題があるのか、特にいま通産省の御答弁にもありましたように、流通段階においてこうした値上げ分の吸収が行われるのではないかというような議論もあるところでありますから、もう少し議論をしてみる必要があると思います。  原油価格引き下げ議論の陰に隠れてという表現はいかがかと思いますけれども、そういう状況の中でLPGの末端価格が不用意に改定されるということはまことに容認できないことでありまして、今後とも消費者団体としては十分な監視を強めていきたいわけでありますが、業界の体質としては、石油業界に対して申し上げたくない批判も申し上げましたけれども、これにまさるような形で、全く取りつく島がないというようなのが現状でございまして、消費者団体としては非常に困っているところでございます。
  56. 永山時雄

    永山参考人 お答えをいたします。  お話しのとおり、いまLPGはサウジの減産によりまして大変需給が逼迫をいたしておりますが、私どもとしましては、まず量の確保優先ということで、スポット物その他若干高いものもやむを得ず買って、量の確保の責任をまず優先的に果たすという立場をとっておりますので、輸入価格の高くなった分につきましてはやむを得ず仕切り価格を上げざるを得ない、こういうように考えております。  石油製品との関連についてお話がございましたが、これまた先生とちょっと判断の基準が違うのじゃないかと思いますが、石油会社は大変な赤字をしょっておる状態でございまして、高値在庫もある、いろいろの対応をしなければならないところも踏み切って、私どもはあえて価格引き下げをいたしておるわけでございまして、その点もひとつ御了承願いたいと思います。
  57. 武部文

    ○武部委員 時間が来ましたので、私はこれで終わります。大変どうもありがとうございました。
  58. 土井たか子

    土井委員長 次に、城地豊司君。
  59. 城地豊司

    城地委員 時間が限られておりますし、それから私自身この石油問題は素人でありますので、非常に単刀直入に質問いたしますので、お答えもできるだけ簡潔にしていただきたいと思います。  石油の基準原油価格が一バレル当たり五ドル下がった。そしてこれからの関心は、何といってもこのままで安定するのだろうか、それとももっと下がるのだろうか、また逆にもう一度上がる方向に行くのじゃないだろうかというのはだれもが心配するところでございます。そういう意味で私考えますに、ことしの一月、二月の段階で、世界におけるオイルエコノミストたちのいろいろな予測というようなものがたくさん出されております。ある人は三十一ドルで落ちつくのじゃないか、ある人は第一段階は二十八ドルから三十ドルの間だ、第二段階では二十ドルに落ちつくだろう、ある人は二十五ドルから三十ドル、また極端に十ドルから十八ドルぐらいになるというような予測も立てられているわけでございます。全体的に物を判断する場合には、将来どうなるだろうかということも非常に重要な要素だろうと思うのです。  この問題について先ほど永山参考人は、専門屋でありますから非常に慎重なお答えをされておりまして、二段目、三段目の価格引き下げ国際石油情勢による、そして石油部長は当面の予測は非常に困難であるというような言い方をされているわけであります。専門屋さんの人たちが困難だとか先行きわからないと言っていたのでは見通しが立たないわけであって、非常にむずかしい要素がいろいろあるにしても、一つの見通しをばっちり立てていく。それの上下の少しくらいの幅はあったにしても、趨勢がそういうことだとすればいろいろな対策が立てやすいのじゃないかと思うのです。  私は、そういう意味合いで、素人の判断でございますが、先ほど同僚議員も言われましたように、近い将来に二十四ドルないし二十五ドルに再引き下げがある、経済の専門屋でもないし、そういう意味では素人の私でありますが、そういうふうに判断して、そしていろいろな対策を立てていくのが至当じゃないかというふうに考えておるのですが、その考え方について永山参考人並びにもう一度通産省、そしてできれば経済企画庁長官の御見解も伺いたいと思います。
  60. 永山時雄

    永山参考人 その問題は先ほどお答えをいたしたとおりでございまして、いまの御説の二十四ドルあるいは二十五ドルというようなところは、いまのいろいろの予測の中では比較的多いものではなかろうかというように聞いております。
  61. 松尾邦彦

    ○松尾(邦)政府委員 先ほども申し上げたことになるのでございますけれども、先般のOPECの決定が今後どのように維持されていくのか、この辺はなかなか定かな予測のむずかしい世界でございます。それからまた、先ほどもお話に出ましたけれども、長期の石油の需給見通しを考えてみますと、いずれはまたタイト化するであろうという長期的な展望も一方にあるわけでございます。  そのような中で各国の経済活動が今後どのようになっていくのか、それにつれて石油需要が世界でどういうふうにふえてくるのか、他方供給サイドでは、先ほど申し上げたようなOPEC生産のシーリングでございますとか価格水準でございますとかをどのようにOPEC各国が維持していくことになるのか、かような大きな流動的な要素もございますので、私どもとしてはなかなか今後の見通しを定かに申し上げる立場にはないのでございますが、いずれにいたしましても、今後の動きというものが非常に大事なことはお説のとおりでございますので、私どもとしても注意深く今後とも見守ってまいりたいと考えております。
  62. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 いま御指摘のような石油値下げ、いま以上の値下がりがあるのではないかということは、私どももうわさとしてよりも一つの予測としていろいろ伺っております。しかしながら、政府の責任のある私ども、特に閣僚が不確実な予測を政策の基礎にするとかこれを宣伝するとかいうようなことはやはり避けるべきである、現在見通されるところの確実な予測で政策の立案をすべきだ、こういうふうに考えております。
  63. 城地豊司

    城地委員 長官は非常に慎重に言われまして、立場上そう言わざるを得ないのかなと思いますが、やはり政治とか物事に対する対策という場合には、過去と現在と未来を考えながら手を打つのが一番確実だというのは、これは物の道理でございます。そういう意味では、やはり何としても次の時代が必ずこの一年以内には来る、私なりのいろいろな資料を集めた関係でそういうふうに考えておりますので、そのことは申し上げておきたいと思います。  次に、備蓄の問題について伺いたいのですが、今度のOPECの基準価格引き下げに関連して各消費国が備蓄を取り崩した。そこに石油があるわけですから、その備蓄を取り崩せば買わないでもいいということでありますが、そういう備蓄を取り崩して、一面では産油国が油が売れないということによる値下がりというようなこともあったと聞いておりますが、日本の場合には全体的に備蓄を取り崩したという状況はないのかどうか、伺いたいと思います。これは通産省
  64. 松尾邦彦

    ○松尾(邦)政府委員 わが国の場合には、国家備蓄は一方において積み増しを図っておりましたけれども、ごく少量でございますが、民間の備蓄の数量は、法律の定めの範囲内ではございますけれども若干減少いたしましたが、特に申し上げるほど大きな減少を見たということにはなっておりません。
  65. 城地豊司

    城地委員 じゃ備蓄の問願で永山参考人に伺いたいのですが、先ほどの御意見の中で、非常に経営を圧迫しているいろいろな要素の中に備蓄の問題も取り上げられていたと思います。私も民間の出身でありますから、経営とか財務とかいうようなことについては、ほんのささやかでありますが知っているつもりであります。しかし、この備蓄問題でそれがそれだけ経営を圧迫するのであれば、きわめてこれは単純な、きわめて素人っぽい発想でありますけれども、九十日分の備蓄を、高いときに買ったものを備蓄しておくからそれが経営を圧迫するのだとしたら、この際思い切って九十日分安いものと入れかえたらどうだろう。今度新しく安くなったものと全部入れかえて、九十日分は、高い分は高い分で自分たちの責任じゃないのですから、国内で消費をしてもらうということが可能なんじゃないかという素人の考え方なんですが、そういう考え方について永山参考人はどのようにお考えになりますか。
  66. 永山時雄

    永山参考人 お答えをいたします。  御説もごもっともですが、いま実際に扱っております義務備蓄は、一般の備蓄、われわれの手持ちの貯蔵、それと込みで運用をいたしておりますので、特に高値のものだけが残るというようなことにはならないと思っております。
  67. 城地豊司

    城地委員 込みでやっておられても、それは経営上いろいろな方策があると思うのです。だから、それは国家の要請で備蓄している、それが企業経営を圧迫する、左右するのだとしたら、またもとへ戻して、国家の力で備蓄分については早く取りかえる。要するに、形としては、同じ中に九十日分のものと、それからさらに何日分のものが一緒に混在しているとしても、経理上の操作とかその他の考え方ではそういうことができるのじゃないかというように思うのですが、それについてはどのようにお考えですか。
  68. 永山時雄

    永山参考人 高い備蓄分を早く解消するということは、われわれとしてはきわめて望ましいところでございます。それはしかし、結局製品価格値下げの問題と関連をするわけでございまして、早期に高値備蓄を解消するということになれば値下げの時期がおくれるというようなことになりますので、その辺はあんばいをしながら価格の問題に対応しているというのが現状だと思います。
  69. 城地豊司

    城地委員 概況わかりましたが、時間がないので、備蓄のあり方とか、それからそれらの価格の問題とか、やはり価格というのは上がり下がりがあるわけでありますから、そういうものとの関連でどういうふうに対処すべきかというもう少し突っ込んだ問題は、また機会を改めて行いたいと思いますので、今回は備蓄問題はこのくらいにして、次に移らせていただきます。  原油価格が下がったということによって非常にいい影響が出るということは、先ほどからいろいろな人が言われているとおりでございます。しかし、原油価格低下がもたらす問題点の中でマイナスの要因というようなものは余り騒がれないできていると思うのです。プラスもあればマイナスもある、しかし、トータル的にはこれこれでプラスだというようなことで考えていかないと、原油の基準価格値下がりで日本経済が潤う、潤うことは確かでしょう。プラスの面は私もそのとおりだと思いますけれども、マイナスの面というようなことについてもそれ相応の分析を加える必要があるんじゃないか。  そういう意味で通産省にお伺いをいたしますが、たとえば中東向けの輸出が減少するのじゃないかとか、国際金融不安がいろいろ懸念されるのじゃないかというようなことでのマイナスの面が、われわれが考えてもあるわけでありますけれども、トータル的にどういう面のマイナスがあるか、プラスの面は結構ですから、そしてそれらは問題がないのかどうか。そういうことがさらに第三次オイルショック等との関連で近い将来、長期じゃなくて中期的な問題として問題がないのかどうか、それらの考え方があれば、お聞かせいただきたいと思います。
  70. 松尾邦彦

    ○松尾(邦)政府委員 先生御指摘のとおり、今回の原油価格低下によりまして、日本経済にとりましてもいろいろな懸念すべき点が幾つかあろうかと思います。この点につきましては、省内でもいろいろな部局で相談をしているところでございますが、先生御指摘のように、早速起こっております問題は、産油諸国に対する輸出プラント代金の支払いを繰り延べてほしい、あるいは輸出商談をしばらく待ってほしいというようなお話、あるいは産油諸国の資金繰りが非常に苦しくなりまして、資金協力をしてほしいというような要請が出てきているようでございます。  そのほか、国内経済全般にわたりましてどのような問題点があり、どのような対応をしたらいいかということにつきましては、今日のような事態を受けまして省内関係部局で勉強いたしているところでございまして、機を逸することなく対応してまいりたいと存じております。
  71. 城地豊司

    城地委員 十分な検討を加えて、なおプラスとマイナス、そして総体的に見てプラスだ、であるからこういう政策を実行するということにしていただきたいということを要請を申し上げておきたいと思います。  次に、永山参考人に伺いたいのですが、石油製品価格問題について云々というように言われましたが、先日、日本石油の仕切り価格が一キロリットル一万二千円引き下げられました。そして専門家の情報によりますと、この一万二千円の引き下げは三分の一が企業体質改善に使う、そして三分の二が利用者への還元であるということを聞いたわけであります。であるから、一万二千円一キロリットル当たり引き下げるのだということでありますが、このことの真偽について、要するに石連の会長としてでなくて、昭和石油の責任者として承知しておられるとすれば、お答えをいただきたいと思います。
  72. 永山時雄

    永山参考人 ただいまのお話のような話は私は聞いておりません。私ども判断としては、当面は、先ほども武部先生にお答えしたように、いろいろな要請といいますか事情があるわけでございまして、したがって、原油価格値下がり、それから為替相場の変動、そういうところをとらえた一万二千円という新聞発表のその価格是正がまあまあ適当なところじゃなかろうかという判断でございます。
  73. 城地豊司

    城地委員 いまのようなお答えでは不十分なんです。たとえば、先ほどるる石油業界現状について述べられました。ということになりますと、一バレル当たり五ドル値下げになるということはまさに救世主とまではいかないのですが、大変な恵みになってきているのじゃないかと思うのです。しかし、恵みになっているが、先ほど消費者団体の代表の方も言われましたが、それだけの恵みをどういうふうに配分するか、どういうふうにその恵みを及ぼしていくかということが必要になってくるのじゃないかと思うのです。  ですから、いまのお答えのように、ただ一万二千円はこういうことで計算し、円高によってこうした、そうしたら七千五百円プラス四千五百円で一万二千円になった、そんな単純なものではない。経営に携わる人が少なくとも値下げを決断するのには、そんな単純な、外から見てそんなつじつまだけが合ったようなことではないというふうに私は感ずるのですが、その辺についてはいかがですか。
  74. 永山時雄

    永山参考人 私は、この問題については石油連盟会長としてではなく、昭和石油の社長としてお答えをするということに御理解をいただきたいと思うのですが、その立場からしますと、石油製品というのは多くはマスマーケットの商品でございますから、したがって、シェアの大きいところがまずプライスリーダーとなって価格の是正なり対応を打ち出すということがありますと、それが自然に一つの傾向をつくり出して、マーケットの水準なり何なりを決めていくようなことになるわけでございます。自余の石油会社は、大体自分のところのコストの問題を離れて、いやおうなくそのマスマーケットの価格に追随せざるを得ないという状況下に置かれておるのでございまして、今回の問題も、日本石油がああいうような方針を打ち出したわけでございますから、われわれの方としてはそれに追随せざるを得ないということで順応いたしておるのでございます。
  75. 城地豊司

    城地委員 一番大きなところが決めればそれに追随するということでありますが、お互いに談合するわけではないでしょうけれども、その一万二千円というものについての分析なり、さらに先ほど言われているように経営状態が非常に悪くなってきている、いわゆる第一次、第二次オイルショックによる影響をもろにかぶって大変だ、しかも設備も過剰であるということになると、経営的には非常に大変だと思うのですね。ですから、経営者の立場で考えれば、むしろ今回、そういうようなプラスになるものがあるとすれば、気持ちとしては全部ひとり占めにしたい、しかし、そういうわけにいかない、消費者立場もある、さらに石油の小売をしているスタンドの人たちの立場もあるということで、どこかで割り切って、それらが成り立つような値下げをやられるのが経営に携わる人としては当然じゃないかと私は思うのです。  そういう意味では、ただ単に日本石油がそういうようにしたからそれに追随するということだけではいかないような感じがするのですが、これ以上やっていても、そういう立場でございますと言われれば何とも仕方がありませんので、この問題についてはこの辺で打ち切らせていただきまして、またしかるべき時期にお伺いしたい。それらの問題は私はどうも納得がいかないのです。それにはもう少し大義名分が立つようにしていかなければいけない。  それにもう一歩突っ込んでいきますと、いろいろなエネルギー関連の会社の経理、経営というものが、何も一般に全部が全部わかってしまっていいということではないと思います、経営の機密に属することがあってもいいのですが、概括的にこういう状況だからこうしなくちゃならない――ままでは悪い方へ悪い方へ行きましたから、これで苦労したこれで苦労したということがあってきたわけです。いいことがあったとしたらやはり胸を張って、これだけ自分のところが落ち込んでいるからこれだけ分はいただきますよ、しかし、これだけ分は還元しますよ、これだけ分は小売の人のいままでの分に補てんしますよという態度でいかなければ、経営、さらに日本経済全体を考えてもいかないのじゃないか。多少理想論的になりますが、そういうように考えているということを申し上げておきたいと思います。  そういう意味で、経済企画庁長官、きょう通産大臣がおられないのでお伺いいたしますが、先ほどの永山参考人の御意見ですと、石油産業としては大変厳しい状況になってきている、そして笹野参考人からのお話ですと、全国石油商業組合の連合会は非常に苦労している、どんどん利幅が減っている、そしてそれにもかかわらずいろいろな事情があって乱売もやっている、乱売はやるべきじゃないとわれわれ思いますが、生きていくために背に腹はかえられないでやっているという状況、現在そういう意味では大変な状況になっているというお話がありました。そして工藤参考人からは、消費者立場として、値上げするときにはこうであったのだから、当然それは返すべきだという御意見がありました。  ですから、この意見全体を見ますと、それぞれの立場における意見として、私はどの意見にもそうだというふうに言いたいわけでありますけれども、それぞれ立場によって食い違っています。一方を立てれば他方が立たない、二方を立てれば一方が立たない、一方を立てればさらに他の二方が立たないということになるような感じがするのです。しかし、政治の場では、大岡越前守じゃありませんが、三方一両損なんというのがありますが、むしろ三方一両得のような政策がないのかどうか。いままでは値上げ値上げできた油が、今回の場合値下がりになるという日本経済にとって非常に好ましい状況があったわけでありますから、そういう意味では、三方一両得になるような妙手があればやってみた方がいいのじゃないかと私は思いますが、私の考え方ではなかなか妙手が浮かびません。  企画庁長官、何かそういう妙手で、ここにこの手を入れてやればこうなるじゃないか、ここに入れれば半年後にはここにこういうプラスが出てくるじゃないか、こういうことがあれば、お聞かせをいただきたいと思います。
  76. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 大岡越前守がいまいたならば確かに三方一両損的ないい政策が浮かぶかもしれませんが、私はなかなかそのような知恵はございません。しかしながら、とにかく業界は過当競争の体質を持っていることも私は十分知っているところでございます。しかし、また考えてみますと、知らないうちに変な形で競争が制限されているところがあるかもしれない、これもまた私どもも頭に置いて研究しなければならないところだと思います。そんなような観点から、私はやはり適正な競争が促進されるように進めていくことが必要かと思います。  一方、不当廉売のようなことは考えてみなければいけませんし、さらにまた、いつも申し上げて、私もここで御論議を招いたことだと思うのでございますが、独占禁止法の運用について大変問題があることも事実でございます。こんなような点を考えて、やはり市場原理によって業界消費者も喜ぶような価格を自然につくり上げるような方法しかない、これくらいの知恵しかないわけでございます。
  77. 城地豊司

    城地委員 もう間もなく時間が参りますので、この問題は非常に基本的な重要な問題でありますので、また日を改めてこれらの問題にもう少しメスを入れて、本当にいままで余りなかった経験でありますから、こういうような状態になったときに、石油産業をそういうどしゃ降りの中からどういうふうにして救っていくのか。そして末端消費者と非常に密接につながっている石油販売業者の現在の状況をどう改善していくのか。さらには消費者立場をどうしていくのかというようなことで、そういう三方がおさまるような施策がやはり私はあるのではないかと思うのです。現に五ドル下げで日本経済が一兆六千億潤うのだとすれば、それらの中で考えていくのが政治の要諦じゃないかというふうに考えておりますが、きょうは時間がありませんので質問にとどめて、以上で私の質問を終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。
  78. 土井たか子

    土井委員長 この際、暫時休憩いたします。午後一時三十分から再開いたします。     午後零時三十一分休憩      ────◇─────     午後一時三十分開議
  79. 土井たか子

    土井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。長田武士君。
  80. 長田武士

    ○長田委員 本日は、多忙な中を当委員会参考人として御出席をいただきまして、貴重な御意見をお述べいただきまして、心から御礼を申し上げます。まず初めに、石油連盟永山参考人にお尋ねをいたします。  御承知のとおり、OPEC臨時総会は去る三月十四日、新基準原油価格を一バレル当たり二十九ドルということで合意をいたしております。国際石油市場におきますところのいまのムードから考えてまいりますと、先安観がかなり残っておる、そして底値観も出てこないために、もう一段下げて二番底が来るのではないかという意見も出ておるようでございます。  野村総研がアメリカやアラビアの現地等で調査をした結果、夏ごろまでには二十五ドル程度まで下がるだろうという意見が大体六〇%ぐらい占めておる、こういうことでございます。十ドルという意見も一〇%ぐらいあったようであります。そういう点、先行き不透明ではありますけれども、不需要期に入りますし、見通しとしては下がる傾向が強いと私は見ておりますけれども、先行き見通しはどういう考えでしょうか。     〔委員長退席、武部委員長代理着席〕
  81. 永山時雄

    永山参考人 原油価格の先行きの見込みの問題でございます。  これは午前中にもお話を申し上げましたように大変むずかしい問題でございますが、何にしても、原油の供給過剰といいますか需要が小さ過ぎるといいますか、需給の不均衡ということが今度の値下がりの一番大きな原因のようでございます。OPECは、御承知のとおり千七百五十万バレルという上限を決めましたが、果たしてこれで需給の調整がつくかどうかという点は、もう少ししてみないと何ともわからないので、世界の景気の回復にもよりますが、この方もどういうことになりますやら、私どもも、いまの価格で下げどめになるかどうかということについては多分に疑問を持っております。  ただ、石油業界としましては、価格が安くなることは無論歓迎するところでございますけれども、やはり程度問題と、それから余り急激に安くなることはむしろ混乱の原因になりますので、安定した状態というものが望ましい、こういうように判断しております。
  82. 長田武士

    ○長田委員 永山参考人に引き続いてお伺いするのでありますが、議事録を持ってまいりましたけれども、あなたが五十五年十一月二十七日の当委員会参考人として出席をされました。そのとき意見陳述の中で、「石油製品のいわゆる価格問題等につきましては、特に独占禁止法との関係から、石油連盟としては取り扱い得る問題ではございません」きょうもそのような意見を述べられておるわけであります。  ところが、新聞によりますと、去年の十二月九日とことしの一月十三日の記者会見では、財務体質の改善が先で、円高でも当面値下げをするつもりはないというような趣旨の発言をされておるわけであります。またあなたは、三月十日にも、OPEC値下げが四、五ドルならば当面値下げはしないという趣旨の発言をされておるわけであります。ところが、あなたがこのような趣旨を発表された後すぐに、一月二十四日になりますけれども、日石は調整値下げを発表し、また三月二十九日、一万二千円の値下げを発表いたしておるわけであります。  まことに皮肉な話であろうと私は考えるわけでありますけれども、連盟会長値下げはしないと言っていながら、もう翌日あるいは一週間以内に日石が値下げをすると発表する。私は、価格に関与しないと言うならば、記者会見で余りに業界に示唆を与えるような発言をなされない方がいいんじゃないかという感じを強く持っております。この点についてはどういうお考えでしょうか。
  83. 永山時雄

    永山参考人 石油連盟としましては、価格問題にあずからないということは冒頭陳述でも申し上げたとおりでございます。ただ、記者会見、定例的にやっておりますが、その際には、当然、石油の問題というものは価格の問題を離れて話が交わされることはないので、どうしても価格問題が絡むわけでございます。それで私は、記者会見ではその都度、価格の問題については、これからは連盟会長意見ではないですよ、もっとも先方もそういう聞き方をするわけです、私が拒否するものですから昭和石油の社長としての意見を聞きたい、こういうようなことを言うものですから、つき合いでそういうような答弁をそういう立場でときどきするということが御指摘の点の問題でございます。  それから、原油価格引き下げのときの連盟会長としてのコメントの問題は、価格問題には相違ないのですが、価格問題よりもむしろ価格が乱高下をすることが石油業界としては困るので、その意味でわれわれは安定供給を志さなければいかぬのだ、こういう趣旨でああしたコメントをしたのでございます。したがって、石油業界あるいは石油連盟としては価格問題についての横の話し合いというものは厳重に避けておりますので、さっきお話をしました、私が言ったその翌日あたりに違った発表がされるというようなことになっておるわけでございます。
  84. 長田武士

    ○長田委員 さて、石油企業の体質といたしまして指摘されておりますのは、多分に他律的で、外的要因に非常に左右されやすい、そういう傾向が非常に強いわけです。特に円高期待体質であるということは紛れもない事実であろうと私は思います。いつも指摘されておるとおり、先ほども連盟の会長がおっしゃいましたけれども石油業界の自己資本率、製造業全体では自己資本率は約二五%ありますけれども石油業界のそれは五十六年度ではわずか四・二二%にすぎません。ですから、輸入代金や外貨債務残高が増加いたしまして、為替リスクの規模も当然拡大するわけであります。こうしたことから、為替レートのわずかな変動にも常に一喜一憂しなければならないというような体質でございます。そういう点、今日まで改善が非常におくれておるということを私は指摘せざるを得ないと思っております。  昭和五十六年十二月の石油審議会の答申でも、輸入代金の三割は為替予約をするようにとの指摘がございます。五十六年度の決算ではいまだに達成されていないというのが現状のようであります。五十六年度で大体二〇%前後と私は見ておるわけでありますが、これは国民経済にとりましてもまことに不幸なことでございまして、こうした点について、石油連盟会長といたしましてどういうお考えでございましょうか。
  85. 永山時雄

    永山参考人 為替の問題というのは大変むずかしい問題で、為替のリスクを本当に避けようとするならば、外貨債務が発生した途端に予約に全部切りかえてしまえば、それで一応その面の目的は達するように思うのですけれども、しかし、どうもこれは、特に為替問題が発生をしたときから、すでに石油業界は大変大きな赤字、為替の損失をしょってからの問題でございますので、円安になった現状においては、必ずやいつかは円高になるに相違ない、そのときに利益の回復の機会を失うことになりますので、なかなか業界もそういう意味の話し合いというものは成り立たない。その中間策として、三分の一くらいの予約をやるとかいうようなことが、石油審議会の小委員会からの勧告もありまして、現在はおおむねその線に沿ったものが行われていると思います。  ただし、これはそれぞれの会社の判断でございますから、企業によってはもう少し率の高い為替予約をやっているところもありますし、あるいは率の低い会社もありますけれども、大体三分の一の線ぐらいのところがおおむねの線になっておるのではなかろうか、こう考えます。
  86. 長田武士

    ○長田委員 続きまして、通産省と、同じく永山参考人にお尋ねをいたします。  石油業界における乱売、過当競争、この問題でありますが、この体質が一向に改まっていないことは従来から指摘されておるところでございます。業界では莫大な赤字を抱えておるにもかかわらず、一時的に円高になりますと、各元売りは、シェア争いといいますか、そういう挙に出ます。そして当然現場では販売競争が繰り返されるわけでありますが、私は、こうしたことが産業界からいつまでも基幹産業として認められない理由だろうという考え方を持っております。  では、なぜ過当競争をするのかというと、いろいろ調べてみますと、第一に、元売り会社がちょっと数が多いのかなという感じも私は持つのです。第二番目には、各社の製品に品質格差というのは、ガソリンなんかの場合はほとんどありません。それによりますところの価格による販売競争、品質が余り異なっておりませんからどうしても価格しか勝負できないというところが、やはり販売競争に走りがちな原因かなという感じがいたしております。  しかし、いまガソリンの小売市場が混乱しておる背景には、私は、ガソリン生産過剰ということも要因の一つにあるのではないかという感じが強くいたしております。五十七年度は各油種とも需要が落ち込んだにもかかわらず、ガソリンだけは生産が非常に伸びておるのですね。この二月には流通も含めて在庫が二百四十四万キロリットル、これだけ抱えておるのです。私は、こうしたことが元売りの仕切り値崩れのもとになっているのではないか、あるいは乱売競争のもとになっているのではないか、こういうふうに感ずるのですが、通産省及び永山会長、どうでしょう。
  87. 松尾邦彦

    ○松尾(邦)政府委員 ただいま先生御指摘石油産業過当競争体質につきましては、私どももかねがね、政策的にこの是正を図るべく、石油審議会の場におきまして、その過当競争是正のための方向について御審議をいただいてまいっているところでございます。基本的には、先ほど先生もお話の中で御指摘されましたところでございますけれども精製元売り産業につきましての構造改善を積極的に進めていかなければならない。構造改善の中身といたしましては、過剰設備の処理でございますとか、国内の需要が中軽質化してくるのに対応しました設備の高度化を図ることとあわせまして、先生御指摘元売り段階におけるたくさんの企業があるということに対しまして、これを集約化してリーディングカンパニーをつくっていく、そのようなことを通じて、強靭で信頼される石油産業を目指していかなければならない、かような御指摘をいただいておりまして、私どもも、その方向に沿って、現在その具体化を図るべく努力いたしているところでございます。  流通段階におきましても、元売り精製段階の過当競争とは次元は違いますけれども、同様に過当競争性を持っておりますので、この辺につきましては、中小企業近代化促進法に基づく構造改善の推進等を通じて体質の改善を図るようにいたしたいと思っているところでございます。  もう一つ、先生の御指摘くださいました需給の関係でございますけれども、かねがね、石油につきましては、国民経済全体に大変重要な影響を持っている物資であることにもかんがみまして、石油業法に基づく供給計画を策定してまいっているわけでございます。  内外の流動的な石油情勢を踏まえまして、五カ年間の計画を策定するだけの見きわめがむずかしいものですから、今般、とりあえず五十八年度の上期の運用指針というものを策定いたしまして、もう少し情勢の推移を見て五カ年間の計画をつくってまいるようにいたしているところでございますけれども、この運用指針の策定に当たりましては、先生の御指摘にございましたように、ガソリンを初めとする過剰在庫というものを十分念頭に置きまして、今後の需要の実勢とともに、過剰在庫がなだらかながら解消に向かっていくような方向で生産が行われるようなガイドラインとして、運用指針を策定したような次第でございます。
  88. 永山時雄

    永山参考人 ただいまいろいろお話しのございました点、一々肯綮に当たっていると思います。  過剰競争体質が石油業界の抱えている一番大きな問題点だと思います。それは確かに、元売りを含めて、石油会社の数は多過ぎることも事実だと思います。それから、特にガソリンの過剰の問題も、供給計画そのものについても問題がありますけれども、やはり元売り末端の特約店、ガソリンスタンド、そういうところもすべてが過剰体質を持っておりますので、その辺の問題もあろうかと思います。また、品質格差がないというような点も一因だろうと思います。  結局、これらの問題を一つ一つ片づけていかなければならぬわけですけれども、やはり一番根本は、集約化といいますか、企業、特に元売りを中心にした競争過剰体質というものを直すことが一番必要なことではなかろうか、これは個人的な見解でございますが、私はそういう見解を持っております。
  89. 長田武士

    ○長田委員 では通産省に。  いまの五十八年度上期における石油供給計画の運用指針、これを三月二十三日に発表しましたね。これを見ますと、五十八年度上期の燃料油の生産計画は前年同期比で八九・九%なんですね。間違いないでしょう。そうしますと、昨年の同期より一〇%以上も少ない生産を指示しておるわけですね。この供給体制で大丈夫かどうか。原油が下がっていながらこのような減産体制をとる。  いま私は、現状においては非常に在庫が多いということを申し上げた。しかし、この運用指針を見る限りでは、ガソリン需要は一〇〇・七%、前年同期比で伸びておるのですね。そういう点を考えますと、揮発油については九七・九%ですから、ガソリンも当然ちょっと逼迫してくるなあという感じがいたしております。  こうなりますと、原油は下がったけれどもガソリンはまた値上げの方向に行ってしまうという結果になりませんか。私は、確かに現状在庫が多いということを申し上げた。しかし、この指針を見る限りでは、将来の展望としてこれではしんどいなという感じがいたしております。これは値上げにつながっちゃうという感じがするのですが、この指針についての見解を言ってください。
  90. 高橋達直

    ○高橋説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生からお話のございました五十八年度の上期の供給計画の指針の数字でございますが、私どものつくりました前年同期比におきましては、原油処理量につきましては前年同期比九一・二%ということでございまして、マイナスで申し上げますと八・八%のダウンということに相なっております。また、内需の方でございますが、燃料油計ということで見てまいりますと、前年同期比で九四・八%でございまして、五・二%のダウンという形になっておりまして、御指摘の八九・九という数字は、ちょっと私どものつくった数字とは違うようでございますが……。
  91. 長田武士

    ○長田委員 そうじゃなくて、燃料油計八九・九%じゃないですか、処理量は九一・二%ですけれども
  92. 高橋達直

    ○高橋説明員 さようでございます。
  93. 長田武士

    ○長田委員 燃料油計は八九・九%でしょう。
  94. 高橋達直

    ○高橋説明員 燃料油計の前年同期比は九四・八%でございます。したがいまして、ダウンでまいりますと前年度の五・二%ということでございまして……
  95. 長田武士

    ○長田委員 それは内需でしょう。
  96. 高橋達直

    ○高橋説明員 内需でございます。
  97. 長田武士

    ○長田委員 私の言っているのは生産だよ。どこを見ているのだ。
  98. 高橋達直

    ○高橋説明員 生産でございますか。原油処理量は九一・二%ということでございます。
  99. 長田武士

    ○長田委員 私の言っているのは燃料油計の方を話しているのです。八九・九じゃないですか。
  100. 高橋達直

    ○高橋説明員 燃料油計は九一・六%でございます、前年同期比で見ましてですね。
  101. 長田武士

    ○長田委員 生産が。
  102. 高橋達直

    ○高橋説明員 ただいまのは生産でございます。
  103. 長田武士

    ○長田委員 多少違うけれども、これからしますと内需は一〇〇・七%だね。
  104. 高橋達直

    ○高橋説明員 内需の前年同期比でございますか。
  105. 長田武士

    ○長田委員 上期を比べると。
  106. 高橋達直

    ○高橋説明員 内需の前年同期比は先ほど申し上げましたように九四・八%でございます。
  107. 長田武士

    ○長田委員 揮発油の方はどうなの。
  108. 高橋達直

    ○高橋説明員 五十八年度の供給計画指針における上期の揮発油の前年同期比は一〇〇・七%でございます。
  109. 長田武士

    ○長田委員 そうなりますと、揮発油で申し上げますと九七・九%、ところが内需の方は一〇〇・七%、こういうことになりますと、生産という点ではちょっと不足するのじゃないかという感じがするのですが、どうですか。
  110. 高橋達直

    ○高橋説明員 先ほど先生からも御指摘がございましたように、ガソリンにつきましては、五十八年三月における製品在庫が、私どもが当初考えておりました供給計画上の数字よりもかなり積み上がっている感じでございますので、五十八年度上期におけるガソリン生産につきましては、私どもが想定しているもので需給については適当にバランスする、かように考えております。
  111. 長田武士

    ○長田委員 私は、せっかく原油値下がりしたのに逼迫して値上げの傾向に走っては大変だという意味で申し上げたのです。今後を私は見守っていますので、どうかひとつ監視しておいてください。  次に、笹野参考人にお尋ねをいたします。  総理府統計局の小売価格調査によりますと、二月のガソリン価格は前月比で四円から十円下落いたしております。それでも東京都区部では百七十二円、府中では百六十六円、関東地方全体で見てまいりますと、高いところで百七十八円、これは横須賀でありますけれども、安いところでは百六十六円というところがずいぶんあります。  こうした中で、ガソリン小売価格のプライスリーダーと言われておりますところの高速自動車道のガソリンスタンドが、全国一律で同じ価格で販売いたしておりますが、二月十日にそれまで百七十一円で販売しておったものを八円引き下げまして百六十三円で販売をいたしておるわけであります。町のガソリンスタンドの業界の人の話によりますと、道路公団のスタンドは、百六十三円で売るためには、公団手数料やマージン等を差っ引きますと、百三十六円から百三十七円で仕入れないとやっていけないのではないかというふうに言われておるわけであります。町のスタンドが百五十二円から百五十三円程度で仕入れまして百六十六円から百六十七円で売っているときに、プライスリーダーの道路公団が百六十三円で売り始めたわけであります。しかもその仕入れ価格は百三十円台ということになりますと、これは町の業者にとっては死活問題であります。そこで激しい乱売競争がこのころから始まって、小売市場はもう大混乱をしておるわけであります。  安売りというのは、従来、公取の報告書にもありますが、ノーマークの業者、無印の業者がやっておったのが実情でありますけれども、今回一般業者がやっておるような傾向が出ております。これはやはり元売りの仕切り価格に問題があるのじゃないかという感じを私は強く持ちます。消費者といたしましては、ガソリンが何が何でも安くなればいいというものではありません。やはり価格は適正な値段で消費者に供給されるということが、国民経済上私は重要な要素であろうと考えております。この道路公団の百六十三円売りを契機といたしまして、元売りの仕切り価格は一体幾らが本当の価格なのか、町のスタンドの業者は、最近は仕切り値段というのが非常にわからないというふうに苦情を訴えております。  日石を初め元売り各社が四月一日から仕切り価格を一万二千円引き下げました。この引き下げは、昨年八月の値上げ後の建て値を一万二千円引き下げるということでありますから、値下げ後の仕切り価格はリットル当たり百四十三円から百四十五円程度になるものと思われるわけであります。こうなっても、現在、安いところでは百四十円台で売っているところも実はあります。東京都内では百五十三円から百五十七円でありますから、業者の適正マージンを考えてまいりますと、これで小売市場が正常化するかどうか、私ははなはだ疑問に思っております。  五十五年四月の公取の調査によりますと、マージンはリットル当たり十八円から二十一円、マージン率は一二%から一四%というふうに報告をされております。ですから、市場正常化のためには、現在のガソリンの小売価格の大勢が百五十円台であることからしますと、仕入れが百三十円でなければ無理ではないかと私は考えるわけであります。こういう実情に対して笹野参考人の御意見を拝聴したいわけであります。
  112. 笹野好男

    笹野参考人 お答えいたします。  先生の御指摘のとおりでございまして、高速道路の問題は、これは元売りの直接の契約でございまして、したがって、それがわれわれの市況に大きく影響しますことも事実でございます。  仕入れ価格につきましては、それぞれございますが、先生御指摘のようなこの一万二千円の値下げ前は先生のおっしゃったような価格ではなかろうか、こういうように考えております。したがいまして、われわれといたしましては、先ほど申し上げましたのですが、二十一円七十銭ぐらいが十年前のわれわれのいわゆる流通経費でございまして、その後の問題は適正価格であればもう少し上ではなかろうか、こういう感じがいたしておりますが、たまたまそういうような状況になりますと、やはり安い方に流れてしまって、混乱して、恐らく業界全体が大半赤字であるというような現状はそういうことから起きているのでございますので、ここいらは十分よく考えなければならないことではなかろうかと考えております。
  113. 長田武士

    ○長田委員 今回の原油価格値下げという事態の中で、これまでの販売店政策の再検討をする時代に入ったなという感じが私はいたしております。と申しますのは、元売り各社は現在もなお救済を重点に置いて、局部的な対症療法で臨んでおりまして、安売り地域には安い仕切りの価格で売る、正常な地区にはそれなりの高い仕切りで価格を仕切る。結果的には、強引な安売り業者に市場全体が引っ張られておるということではないかと私は思うのです。  道路公団の仕入れ価格は百三十円台ということを私はいま申し上げましたけれども、ところで、各省庁では先ごろ、三月に五十八年度に使用するガソリンなどの入札会が行われました。これによりますと、キロリットル当たり十三万円台、つまりリットル当たり百三十円台の落札が多いわけであります。ここの衆議院事務局でありますけれども、その落札価格は十三万四千七百円。この入札会は三月二十九日でありましたけれども、日石社長の一万二千円の値下げの発表の実は一日前というか、夜発表しましたから、その昼間なんです。各省庁の落札価格を調べましたのでちょっと紹介しますと、法務省が十四万円、建設省が十三万六千円、運輸省が十三万六千円、科学技術庁が十四万円、自治省が十三万六千円というぐあいであります。  このことは、リットル当たり百三十円台の仕切り価格が存在するという事実ですね、これはもう確かでしょう。そういう点を考えてまいりますと、道路公団が百三十円台の仕入れをしておるという町の業者発言というのは裏づけがきちっとあるのじゃないかと考えます。  次に、流通問題について質問するわけでありますが、第一次石油ショック後、経済の停滞とともに需要は鈍化してまいりました。しかし一方、ガソリンスタンドは増加の一途をたどっております。このままでは、スタンド業界経営の安定が危惧されておるという非常に重大なピンチを迎えているのもまた事実であります。さらに過当競争が起こりまして、粗悪なガソリンが販売される、あるいは消費者の利益にもならないということから、五十二年五月二十三日から揮発油販売業法が施行されたわけであります。  しかし、この法律施行後、どうも系列化が一層進行したのではないかと私は思うのです。公取の流通実態調査でも、大多数の販売業者は特定の一社から仕入れを行っており、特にガソリンの場合、この系列化は顕著であると言っても決して言い過ぎではありません。すなわち、販売業者の八三%が特定一社の製品しか扱っていないと報告をされておるわけであります。揮発油販売業法は、その成立のときにこのようなことがないようにと特に気を使っております。  つまり、同法においては、ガソリンスタンドの登録制をとったわけでありますが、その登録申請に供給証明の添付がないと通産大臣の受け付けはしてくれない。その供給証明の発給を通じまして元売り会社は系列化を図っていくのではないかという危惧があったので、わざわざ法案成立の際に、「系列化が促進されないよう配慮するとともに、新規参入業者、特にノーマーク業者が不当に排除されることのないよう十分留意すること。」という附帯決議を私たち商工委員会でつけました。通産省はこの点に関しましてどのように配慮し、処置しておるのか、この点をまずお答えいただきたいと思います。
  114. 落田実

    ○落田説明員 ただいま先生から御指摘がありましたように、ガソリン需要が伸び悩んでおるということに対しまして、スタンドがどんどんふえていくのでは経営が苦しくなるというのは当然でございますので、そういう趣旨から揮発油販売業法が施行されるとともに、スタンド建設に対しての行政指導も行いまして、その後スタンドの絶対数は、五十三年ごろからは全体的にはほぼ横ばいの傾向をたどっておるというふうになっております。  なお、揮発油販売業法の登録の要件の中に、供給証明云々の話がございましたが、この点につきましては、先生御指摘のように、ノーマーク業者を不当に排除するとかそういうことにならないようにということでございます。ただ、実際消費者が買う場合に、常に不安になってはいかぬという点もありますので、供給証明をそのままとるということではなくて、もう少し緩めた観点から、安定的な供給ができるような形で証明がなされればそれは構わないというふうに緩い運用をしておりまして、その点に配慮をしておるところでございます。
  115. 長田武士

    ○長田委員 永山参考人にお尋ねをいたします。  石油会社はもともとカルテル体質が強くて、いろいろな問題がありました。しかし一方では、外資系であるとか民族系と言われるもの、あるいはアラムコ系とか非アラムコ系、いろいろ言われるものがありまして、競争も非常に激しいこともまた事実であります。需給が逼迫しているときもそうでありますが、需給が緩和してくると、特にシェア争いというのが熾烈をきわめておるようであります。公取の調査でも言っておりますとおり、従来、複数の仕入れ先と取引を行っていたものに対しまして系列に入るように働きかけてきて、複数社と取引することが困難になりつつあるというのが現状のようであります。  また、元売り各社は他の元売り系列下にある販売店に対しまして、一定期間の仕切り価格の割引とか資金の融通とか、あるいは転籍料を支払うとかそういう方法が進められておりまして、系列を強化しておるという実情があるようであります。この公取の報告に全部そういうことが出ております。こういうやり方は外資系元売りに多いと言われて、こう指摘されております。転籍料は一給油所当たり六百万円から千八百万円だと公取の報告書にも実は述べております。永山会長はこうした事実を御存じでございましょうか。あるいは公取のこうした指摘についてどのような感想を持っていらっしゃるか。ひとつ率直な御意見を賜りたいと思っております。
  116. 永山時雄

    永山参考人 御質疑の点は系列の強化をしていないか、こういうお話のように承りますが、格別元売りとしては系列強化というような措置をとっているとは思えません。これは一般に、私は、他の元売りがどういうことになっておるか、その状況は正確には知りませんけれども、私のところもやっておりませんし、多くのところも別段とりたててそういうような措置をとっているとは思えません。  ただ、競争過剰、要するにシェア争いというような意味の競争過剰というものがあることは、これはある程度事実だと思います。私としては、シェア争い、競争過剰によって適正な価格というものが乱され、それから先ほどから話の出ているような、だれが見ても不当に安いガソリンの販売が行われて、そこの市況が乱されるというようなことは、大局的に言って余り好ましいことでない、かように考えておりますので、過剰競争の問題というものは、石油業界としては何らか今後改善策を講じなければならぬ、こういうように考えております。
  117. 長田武士

    ○長田委員 実は永山会長、私はこういうことを伺ったのですよ。これは埼玉県のあるスタンドでございますけれども経営が成り立たなくなってつぶれました。それは系列に入っているいわゆる外資系のスタンドでありますけれども、入札が行われましたところが、一千二百万円ぐらい上乗せされて落札された。それは何のことはなく、もとの元売りなんですね。元売りが入札をして落札させた。そうしてまたそのマークを守って、そのスタンドが今度使用人を使い、そしてスタンドの経営をやっておる。ということになりますと、大手元売りの全部とは私は言いませんけれども、そういう非常に行き過ぎた、自分のマークを守るために金を幾らつぎ込んでもいいというような傾向があるのじゃないかという感じを私は持つのですが、おたくはそんなことはないですか。
  118. 永山時雄

    永山参考人 私の知る限りにおいては、私のところはそういうことはないはずです。また、私はそういうことをやってはいかぬ、こういうことを言っておりますからないはずですが、ただ、実際問題として、ガソリンの販売量というものは、少し大ざっぱに言うとガソリンスタンドの数に比例するような面もございますので、ガソリンスタンドをふやそうというような行為が時たま見受けられることもこれまた事実であります。かつてはマーク変えの競争というようなものが元売り間において行われたことはありますが、現在ではその点についてはかなり自粛の空気が広がっておりまして、かつてのようなひどい状態ではありませんけれども、ただ若干のマーク変えといいますか、そういうようなことは行われている面はある程度あることは確かだと思います。
  119. 長田武士

    ○長田委員 同じ問題につきまして公取にお尋ねをいたします。  先ほど私ちょっと申し上げましたけれども、公取の報告書では「流通における問題点」といたしまして、先ほど私が指摘したとおりの問題が提起されております。これは私は独占禁止法の不公正な取引方法に該当しないかと思いますが、その点どうでしょうか。あるいは過去にメーターセールス、小売店でメーターが掲示をされるそのときが初めて販売というメーターセールスですね、そういう制度がありまして、有力な系列化の手段とされたわけでありますけれども、現在ではこれはもうやめてしまったようであります。私は、系列化の手段といたしましては以上述べましたとおりいろいろあると思いますけれども、公取でいろいろ調べておるということでありますが、わかっているだけで結構ですから、簡単にひとつ答えてください。
  120. 奥村栄一

    ○奥村政府委員 御説明いたします。  公正取引委員会におきましては、ただいま先生お話しございましたように、独占禁止政策の観点から、流通分野におきます実態を把握解明するために各種の流通実態調査を実施しておりまして、石油製品の流通につきましてもその実態を調査いたしまして、昭和五十六年の六月に調査結果を公表いたしております。  この調査結果によりますと、御指摘のございました流通系列化の手段といたしまして、たとえば契約におきまして他社製品の取り扱いを禁止するとか、あるいはテリトリーの条項を設ける、あるいはメーターセールス制などが挙げられるわけでございますが、これの実際につきまして調査いたしましたところでは、他社製品の取り扱い禁止の条項につきましては、現実の実効性には欠けているという結論でございます。あるいはまたテリトリーの条項につきましても、販売区域が指定されている場合でございましても、当該の石油販売業者が現実に営業活動を行っている地域を示しておる、それの段階にとどまっておりまして、さらにメーターセールス制は、先ほど先生御指摘ございましたように、すでにもう廃止されておるというふうな状況でございました。  そこで、公正取引委員会といたしましては、実情はそういうことでございましたので、この調査から具体的に特に指導するというところまではいかなかったわけでございますが、これまで各種の流通実態調査を実施いたしておりますし、流通問題全般につきまして非常に関心を払ってまいっておりますので、流通系列化の問題につきましては、独占禁止法観点から、弊害が起こらないように今後とも十分留意して監視してまいりたい、このように考えております。
  121. 長田武士

    ○長田委員 続きまして、もう一問笹野参考人にお尋ねをいたします。  石油揮発油販売業の健全な発展のために、揮発油の合理的な使用、節約を図る目的、この二つの目的で揮発油販売業法の改正案を五十六年に商工委員会でわれわれやりました。この中で、日曜日などの営業日の制限をうたったわけでありますけれども、この点についてどうお考えになっていらっしゃるか。いまは選挙のために日曜日ほとんどのスタンドがあいていますけれども、ふだんの日は閉まっております。実態はどうもこれを守らないというところで、やり得みたいなスタンドがずいぶんあるみたいなんですね。一日やっていますと一カ月分の売り上げがあるらしいですね。そういう点では、この法律が踏みにじられておるという感じを私は非常に強く持つのです。そういう点についてどうお考えになっていらっしゃるか。  あるいは法に罰則というのがありまして、取り消しであるとか罰金であるとか、そういうことがありますけれども、そういう事実はいままであるのでしょうかないのでしょうか。
  122. 笹野好男

    笹野参考人 お答え申し上げます。  先生のおっしゃられましたとおりに、日曜休業という形は、国民運動の一環としまして行政指導から行われまして、その後法制化したわけでございます。したがいまして、日曜は当然休んでいただくということが前提でございます。したがって、それに違反した方に対しては厳重に警告を発していただきたいということは私たちの希望でございますし、そういたしませんと、不公平性が依然として是正されない。もともと行政指導で日曜休業いたしまして、それを無視してやる方に対して何らの罰則的な方法がないということから法制化をお願いしたわけでございます。また一方には、消費者の方の利便を考えまして輪番制というものを設けまして、ある程度消費者の方の利便を図っております。したがって、それ以外の方がやられるような場合は、ぜひ何らかの法の適用をしていただきたいというのがわれわれの願いでございます。
  123. 長田武士

    ○長田委員 それでは、時間が参りましたので最後に経企庁長官、お忙しい中をきょうはおいでいただきまして、ありがとうございます。私は、前回当委員会石油税の引き上げ問題について長官にお尋ねをいたしました。先ほど同僚議員からも発言がありましたけれども、長官から、石油備蓄やエネルギー転換のために石油税の確保がぜひ必要である、貴重な御意見をいただいたわけであります。  ところで、先ごろ自民党政調では石油税の引き上げについては反対の決議をされたと聞いております。また、OECDにおきましても、原油値下げ世界経済の回復にどのように役立つかをいろいろな角度から検討いたしまして報告をしております。その中で、原油のせっかくの値下がり石油税によって吸い上げることは最も劣悪な政策であると報じております。七つありましたね。その七番目なんです。そこで、長官はいまでも石油税引き上げの論者でいらっしゃるのかどうか。ここにおられる永山会長も先ほど大反対と聞いておるわけでありますが、もう一度長官の御意見を承りたいと考えております。
  124. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 先ほど武部委員に私がお答え申し上げましたと同じ答弁を申し上げた方がいいかと思いますが、ともかくもこの貴重な時間を割いて来ていただいた参考人の御三方、いずれも――石油税はいろいろいい面もございましょうけれども、どういう意味の石油税を言っておられるか知りませんけれども石油関連、ガソリン税まで含めて反対というお話がございました。私も当然そういう言い分、理由はわかるところでございます。  しかし、その前で私が答弁を申し上げること、憲法三十八条の例を申し上げましたが、あのときは三十六条と言いまして、三十八条の間違いであることをこの際訂正させていただいて、自己の不利益になる供述は強要されないということを引用したいのですけれども、私は引用しないで御答弁申し上げると言ったのが先ほどの答弁でございます。  つまり、現行の石油税というものは、石油値下がりを全部、一兆六千億を吸い上げるような仕組みになっておりません。ですから、OECDの言われることと比較することは全く私は違うことと思います。それを違えてやることも可能でございますけれども、私がかつて申し上げたのはそういうことではございません。それは、現在三・五%かかっておりますところの石油税をこのまま放置するならば、価格と円高のせいで減収ばかりじゃないか、そうすると、エネルギー財源はどうなるか、この点を慎重に考えてこの問題に対処しなければなるまいということを私は申し上げただけでございまして、わずか何百億くらいの問題かもしれません。まだその点はよく詰めておりませんが、原油値下がりを全部石油税で吸収していく、そしてそれを所得税の減税に充てるということは、とうてい非常識で、考えられないと私は思っておるところでございます。  先ほども申し上げましたように私も人の子でございます。仁徳天皇のように――いま皆さん過当競争でへとへとでございます。そしていま先生がおっしゃるように、むしろ不公正取引が多くて、私と全く同意見であることを独禁法について気がついたわけでございますが、不公正取引の取り締まり方が足らぬじゃないかというぐらいの御激励があったこの社会において、増税ということは大変問題があるということは常識的にわかるところでございます。こんなような点を考えて、慎重に対処するということを御答弁いたしましたが、長田委員にもそのように御答弁申し上げたいと思います。
  125. 長田武士

    ○長田委員 経企庁長官は、物価の安定であるとか景気の浮揚であるとか、さらに国民生活の安定というところに視点を置いていただく立場でございますので、大蔵大臣になられてからそういう発言をされるのは結構でありますけれども、経企庁長官のときはどうか仁徳天皇の姿でいって、悪代官にはならないように要望いたしまして、私の質問を終わります。  参考人の皆さんありごとうございました。
  126. 武部文

    ○武部委員長代理 塩田晋君。
  127. 塩田晋

    ○塩田委員 民社党の塩田晋でございます。  各参考人から貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。私は、まず永山参考人にお伺いしたいと思います。  先ほどの御意見の中に、石油産業危機的状況にあるというお話がございました。これに業界全体としてどういう対策をお持ちか、企業経営惨たんたる状況にあるということも言われましたが、このことについてお伺いいたします。
  128. 永山時雄

    永山参考人 石油会社は昨年、一昨年と大変な大赤字を出しまして、一昨年五十六年が三千三百億ですか経常段階で赤字を出し、それから昨年は上半期で千二百億ばかりの赤字を出したのですが、私は、実際の赤字はもっと多いと思います。表面に出た経常段階での損失が、そこだけでそれだけに達するので、これは石油業界としては大変な、恐らく日本の近代産業始まって以来の大きな赤字だと思います。現に、そのために、先ほどから話の出ておりますような石油産業の財務体質が非常に悪くなってしまって、いま三ポイント何がしという自己資本比率になって、かなりの数の企業債務超過寸前の状態にあるというまことに経営危機状態にあるわけでございまして、この問題は、結局何といっても販売価格の面と合理化の面、この両面で事に対応していくよりだれが考えても手はないわけでございます。  従来から製品値上げあるいは価格是正についていろいろな御批判を各方面から承っておりますが、私ども立場からすると、コストが的確に製品価格に反映されてない。結局これはさっきからの過剰競争体質などが原因になって、十分コスト転嫁が行われていないということが一番大きな原因だと思います。しかしまた、企業の方面としても、そのコスト転嫁が十分にできないところに企業自体の解決すべき問題を抱えているわけでございまして、そちらの方面はいわゆる構造改善の問題ということで、この面にも石油業界としては今後取り組んでいかなければならぬ問題だ、かように考えているわけです。
  129. 塩田晋

    ○塩田委員 先ほどの意見陳述の中におきまして、巨大な負担を強いられておるというお話がございました。これは民間備蓄のことを言われた中でございましたが、これについてどうお考えになっていますか。
  130. 永山時雄

    永山参考人 いま五千四百万キロリットルくらい民間備蓄を抱えていると思いますが、これの毎年毎年の石油業界、要するに民間の負担が二千何百億だと思います。これは備蓄原油キロ当たり八千円内外のコストがかかりますが、その中で政府の援助は一割何分かございますが、大部分は民間の負担になっているということで、こういう大きな負担をしょっておるわけです。なかなかこれのコスト転嫁もできない。一方においては、一昨年、昨年と御承知のように棒状に円安が進行いたしまして、それの転嫁が、後追いでやってまいりましても、追いかけたと思ったら途端にもうそのときには円安がもっと上に進行しているという状況で、そういった負担が積もり積もってさっき申し上げた大きな損失になってきておるわけでございます。
  131. 塩田晋

    ○塩田委員 通産省にお伺いします。  このような膨大な負担、特に備蓄の圧力、これについてどのような対策を考えておられるか。そしてなお、政府と民間備蓄の割合を今後どのように持っていこうとしておられるか、お伺いいたします。
  132. 松尾邦彦

    ○松尾(邦)政府委員 民間の備蓄につきましては、法律の定めに従いまして九十日を保持するように義務づけているわけでございますけれども、これに伴いまして必要となります施設あるいは中に入れておきます原油の金利負担を中心に、政府でその助成をいたしているところでございますけれども、その内容は、先ほど永山参考人が申されたように、約一割程度を結果的に政府の方で支援しているという形になっているわけでございます。  今後の備蓄政策全般につきましては、民間にこれ以上の備蓄義務を課することは企業の体質上なかなか無理があろうということで、あわせて国家備蓄の推進を図っているところでございまして、当面三千万キロリットル程度の国家備蓄を確保するべく、ただいま年々その積み増しを図っているところでございまして、五十七年度末におきましては千二百五十万キロリットル、大体二十日分程度を現在保持しているところでございまして、今後、先ほど申し上げました三千万キロリットルに向かいまして年々積み増しを図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  133. 塩田晋

    ○塩田委員 民間備蓄による負担、それからくる経営の悪化、こういったものをよく考えて政府として対処していただきたいと思います。  次に、同じく永山参考人に対してお伺いいたします。  増税には反対であるという御意見はお聞きしました。その中で石油諸税見直しが必要であるということも言われました。どのように見直すべきだとお考えでございますか。
  134. 永山時雄

    永山参考人 石油につきましてはいまいろいろ税金がございます。関税もありますし、石油税もありますし、あるいはガソリン税もありますし、いろいろな種類の税金があるのですが、それがどうも一貫した思想で石油に課せられているわけではありません。  たとえば石油の関税ですが、これは石油が一ドルか二ドルか非常に安い時代に出発をした税金であります。当時、石炭を日本の産業あるいは日本の国内でかなり消費をしておったわけですが、安い石油のために石炭山が成り立っていかなくなった。そしてその後始末のために、石油が安いわけだからそれに税金をかけて、石炭山の方の処置に回そうというようなことから出発したのが石油関税であります。これは釈迦に説法のようなことですが、元来石油はほとんど全部、一〇〇%が輸入であります。国産というものはほとんどないのです。したがって、そういうものに関税を課すること自体が関税の理屈から言うと間違っていると思うのですけれども、いまお話ししたような事情石油関税というものがかけられた。しかし、今日になってみると、石炭よりもむしろ石油の方が高くなっているわけですね。そうすると、石油関税をかける本来の趣旨というものが全然違ってきておりますので、そういう意味で、石油が今日高くなり過ぎたその状況から、古いそうした制度というものはもう一度見直すべきではないか、私はこういう感じを持っているのです。  それから石油税につきましては、先ほどのお話の備蓄その他に使われている面もありますけれども、同時に代替エネルギーその他に石油税を使っているのであります。ところが、代替エネルギーの中で、それでなくても高い石油に税金をかけて、それからしぼり取った税金を代替エネルギーに回すという、それほどまでに補助する必要のないものがあると私は思うのですね。先ほど申し上げた石炭のごときは、いまは石油よりも競争力が強いのです。海外から石炭を入れましても、石炭の方が燃料としては安くつく。にもかかわらず、石油税を石炭の増強の方に使っているというようなこともいささか理屈に合わない、かように考えるのです。  元来、日本のエネルギーというものは多くの部分が輸入でございます。したがって、それでなくても国内エネルギー資源を持っている国に比較すると構造的に高くなるような国柄でありますから、エネルギーをできるだけ安くするということが日本のエネルギー政策の根幹であるべきだ、こう思いますので、そういう意味で、ひとつ石油税というものも含めて石油諸税全体の見直しをすべきではなかろうか、こういうふうに考えているわけです。
  135. 塩田晋

    ○塩田委員 次に、笹野参考人にお伺いいたします。  石油価格下落によるコストダウン、これは国民一人一人に還元されるべきものであるということを言われました。片や業界といたしましては非常な赤字経営である、四〇%の企業赤字経営である、そしてそれは過当競争によるものが非常に多いのだということでございますが、この二つはどういうふうに結びつけていかれるお考えでございますか。
  136. 笹野好男

    笹野参考人 お答え申し上げます。  本来、原油値下げによる価格値下げでございますが、これが先取りをした形によって先行いたしておりますし、過当競争体質がわれわれの業界は大変過多でございます。したがって、適正な価格から皆様にお返しをするという形はわかるのでございますが、従来、不当な競争の結果先取りしてしまっているという形で、なおかつお返しをしなければならないという――先取りの思惑がここにございまして、それ以上の過当競争がわれわれの経営内容、財務内容を悪化させておるということでございます。
  137. 塩田晋

    ○塩田委員 そこで、国民に還元するということと業界経営をよくするという問題をどう結びつけていかれるかということなんです。
  138. 笹野好男

    笹野参考人 お答え申し上げます。  これは、値下げによる効果は当然消費者皆様にお返ししなければならない。しかし、いまお返しできる状態でないように激化しているというのが現状事態でございます。
  139. 塩田晋

    ○塩田委員 過当競争が経営を非常に圧迫しているということでございますが、それに対する対策はどのように努力をしておられますか。
  140. 笹野好男

    笹野参考人 お答え申し上げます。  これは多分に在庫の圧迫がございまして、それによって流動性のある玉が浮動いたします。したがいまして、そういう面も是正していただきたい。需給のバランスを十分とっていただければ、そういうような過当競争の連続がここである程度改善されるのではなかろうかという感じもいたしております。
  141. 塩田晋

    ○塩田委員 次に、主なOPEC産油国から値下がり原油が日本に到着するのはいつごろになるのか、またその時点での運賃、保険料等を加えた額はどれぐらいになるか。これは永山参考人にお伺いいたします。
  142. 永山時雄

    永山参考人 値下げの時期は産油国によって若干まちまちでございます。総じて平均的に言いますと、大体二月の未あたり、三月一日の少し前あたりから値下げされた油が入っているのじゃなかろうか、こういうふうに想像しております。それから、運賃は格別直接の影響はないと思います。保険料は、やはり品物の価格に応じてある程度のセーブは出てくると思いますけれども、その額はちょっといま申し上げるだけの材料がございません。
  143. 塩田晋

    ○塩田委員 二十九ドル、これが到着した時点でそういったものを含めて大体どれくらいになるか。さらにわかれば、それにいまの備蓄負担を加えましてどれくらいのものになるかということについてお伺いいたします。
  144. 永山時雄

    永山参考人 今回の値下げがまだ全部が全部確定をいたしておりません。したがって、一部想像を入れて、推定を入れて算定をしますと、いわゆる五ドル値下げというものは実際には四ドル五十から五ドルまでの間、その中間ぐらいになりやせぬか、こう思います。そしてそれがCIFで大体バレル当たり三十ドルくらいになるのじゃなかろうか、こう判断しております。
  145. 塩田晋

    ○塩田委員 そういった原油基準価格値下がりが市場の石油製品価格に反映されるのは大体いつごろからでございましょうか。これは笹野参考人にお伺いします。
  146. 笹野好男

    笹野参考人 これは大変むずかしゅうございまして、私どもは仕切りによってそれに口銭をかけて販売いたしておりますので、いつごろ値下げになるかということは予想になってしまいますので、これは元売りさんの方が的確にお答えできるのじゃないかと思います。
  147. 塩田晋

    ○塩田委員 それでは永山参考人
  148. 永山時雄

    永山参考人 いまは御承知のように自由経済でございますから、余り的確なことはお答えができないかと思うのですが、この一月以来、ことしになりましてから製品の値下がりが特に急ピッチでございまして、これはやはりいまの原油価格値下がりの先取りをした市況の現象だ、こういうふうに私ども判断をしているので、すでにある程度それが反映をしつつあるというのが現状だと思います。  そして御承知のように、日本石油が一万二千円ほど値下げをする、こういうふうなことを先般公表しましたが、これがまさにお話しの原油値下がりを反映した、それに対応した措置だと思いますので、これは四月一日から実行するということになっておるわけでございます。
  149. 塩田晋

    ○塩田委員 これは、先ほども業界としては言えないというお話でございましたが、元売り価格値下げ見通し、これは昭石の社長さんとしてお聞かせ願いたいと思います。
  150. 永山時雄

    永山参考人 日本石油が四月一日から値下げをするということでございますので、それに応じて、いまその他の元売り会社もいずれもほぼ同様な措置をとるように伝えられております。私ども昭和石油としても、すでにその方針はそれぞれ支店長その他に通達をしておりまして、いまその実行の段階に入っておるというのが現状でございます。
  151. 塩田晋

    ○塩田委員 先ほど経済企画庁から、原油価格値下がりによりましてわが国石油輸入代金の減少額は六十五億ドルという御答弁がございましたが、それの根拠をお聞かせいただきたいと思います。
  152. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 お答えいたします。  昨年の原油の輸入量が、これが一五%値下がりをすれば六十五億ドルに相当する、こういう計算でございます。
  153. 塩田晋

    ○塩田委員 この一バレル五ドルの値下がりというものは各方面にいい経済的効果を及ぼすということでございますが、たとえば九電力でどれくらい収益がふえるのでございましょうか、電力全体で。
  154. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 石油価格バレル一ドル当たりで燃料費の節約は約一千億円、こういうふうに計算されますので、燃料費の節約という分では約五千億円、こういうことだと思います。
  155. 塩田晋

    ○塩田委員 それでは、税金は法人税を通じて国家に納められると思うのですが、その分は幾らくらいになりますか。
  156. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 税金でございますけれども、これは利益が出た分について払われる、こういうことだと承知しております。この五千億円がまるまる利益のっけ加わり、増分ということになりますと、それに対してたしか四二%ぐらいでしょうか、それから地方税の付加税を合わせまして五〇%強、五二%ぐらいだと承知をしております。ただし、これは調べてまいったわけでございませんので、五二%というのはあるいは違っているかもしれません。その場合には、後ほど訂正させていただきます。
  157. 塩田晋

    ○塩田委員 五二%ということであれば約二千五百億円ぐらいの税収増になるわけですね。  この収益還元という問題に移りたいと思いますが、先ほど各参考人永山参考人以外の方、そして経済企画庁長官も含めまして、この値下がりによる経済効果、これは有効に使い、国民に還元されるべきである、こういうふうに言われました。  消費者団体連絡会の工藤参考人にお伺いいたしますが、原油値下げ消費者への還元の方法としてどういった方法が最善であると考えておられますか、お伺いいたします。
  158. 工藤芳郎

    工藤参考人 基本的には、午前中申し上げましたように、私たちの考え方は、原油が値上がりした場合にはそのコスト増分を負担させられておる、したがいまして、下がった場合には還元をしろということでありますが、現実には、その原資について不確定要素が多いわけであります。     〔武部委員長代理退席、委員長着席〕 私たち消費者団体としては、この点について討議を重ねておるところであります。一つは、還元という言葉が示しますように、直接に還元をする、石油製品については直接に価格を下げる、公共料金については原価の見直しということになるわけでありますが、その時期、方法等につきましては、なお不確定要素が多いので、各企業に還元を要求しつつ、その実態を明らかにしてもらうという中で、いま具体的に研究をしているという段階にあります。
  159. 塩田晋

    ○塩田委員 もう一つ追加して工藤さんにお伺いいたします。  先ほどの御意見の中で、業界に対して、経営実態が不透明である、経営が非常に悪い悪いと言われるけれども、どのように悪いのか、言われるだけで不透明である、こういうことがありました。また、価格の決定についても不明確だ、こういうお話でございますが、どのようなところをどの程度まで明らかにすべきだとお考えになっておりますか。また、それに対しまして、業界の皆さん方、どこまで明らかにできるか、その辺をお伺いしたいと思います。
  160. 工藤芳郎

    工藤参考人 別に悪い悪いと申し上げたわけじゃないのですが、価格の問題は、結論の部分だけ数字が示されましても、数字というのは、その積算根拠といいますか、何を基準にしてどういう根拠で、あるいはまたその原因、そういったものが示されなければ、当不当を論じにくいというのが、われわれ消費者運動をやる側にとっての考え方であります。そういう点で、今回につきましても、何を基準にして、どういう根拠でこれだけお下げになるのかとかならないのかというようなことをお示しになっていただかないと、なかなか納得できない、こういうように考えておるわけでございます。  公共料金などの場合は、一応原価主義をとっておりますからある程度のものは示されるわけでございますが、石油業界については、公共料金でない、プライスメカニズムに任せるという点がございまして、そういう点はなかなか容易に示されない。しかし、私たちの考え方は、公共性を持った事業であり、かつ価格についても公共料金に準じた、広範な国民に影響を及ぼすものでありますから、そこに何か一定のめどが立てられるべきではないか、こういうように考えておるわけであります。
  161. 塩田晋

    ○塩田委員 笹野さん、工藤参考人から経営が悪い悪いと言われても経営実態が不明確、不透明である、こういう御発言が午前中にあったわけですね。いま工藤参考人にお聞きしたのですけれども、もっと明らかにしてもらいたい、公共料金は原価主義で、ある程度明らかになってわかるけれども石油関係の製品につきましてはわからない、こういうお話ですが、どこまで明らかにできるかということです。
  162. 笹野好男

    笹野参考人 お答え申し上げます。  私たちができますことは、流通経費の問題だけ明らかにすることができるのでございまして、製造から製品に至るまでは元売りさんの方でお決めいただくものですから、そこら辺のどこを明らかにするかという形は元売りさんに御指示いただかないと、私たちは単なる流通経費、人件費その他ごく簡単なものでございます。それが、先ほど来申し上げておりますように、十年前でございますが、百円ガソリンのとき二十一円七十銭、そういうような計算から類推いたしますと、小売では二〇%が最低のわれわれの口銭ではなかろうか、こういうふうに考えております。したがいまして、元売りさんの仕切りに対して、われわれは経費を上積みしていくというふうなことで、まことに簡単なのでございますが、よろしくお願いいたします。
  163. 塩田晋

    ○塩田委員 この問題はこのあたりでおいておきまして、先ほどの電力の関係ですけれども、五十三年度、前のいわゆる円高差益と言われた時期に、還元という意味で電気料金を割り引きしたことがございます。これは電力会社八社平均で、標準家庭一世帯当たりでございますが月約二百七十円、ガスの場合には二百円ぐらい値引きされたわけでございます。これは六カ月間であったわけでございますが、たとえばこういった措置をとるということについて、消費者の代表である消費者団体連絡会の工藤さんは、今回の場合はいかがお考えでございますか。
  164. 工藤芳郎

    工藤参考人 一つは、先ほど申し上げましたように、原資をどう考えるかによって金額が固まってくると思います。直接に消費者に還元するというのは、一つの筋論としてはそのとおりでありますけれども、金額がたとえば五十円とか六十円になるとかいったような場合には、消費者の側でそういうことを熱望しているということには必ずしもならないのではないか。現在討議中でございますが、金額あるいは時期のいかん、あるいは原資をどう見るか、こういったことを総合的に見てみませんと、前回の問題とは単純に比較しにくい問題もあるように思います。  また、その議論をする場合に、たとえば昨年からの円高差益を含めて見るのかあるいは別途積立金などをあわせ見るのか、この原資の問題をどう見るかによってその数値が非常に異なってくると考えておりますので、電力業界などにいろいろ申し入れをして、今後の原油動向あるいは円レートの推移等々から見て、そういうものが固まる状況の中でなお検討してみたい、こういうように考えております。
  165. 塩田晋

    ○塩田委員 いま言われたとおりだと私も思います。中東産油国の状況あるいは南方系の産油国あるいは中国の動き、こういったものを全体的に見まして、非常に流動的でございますし、値下げ幅を含めまして非常に不確定要素が大きいということから、この問題については慎重にならなければならない、結論を出すのは時期尚早であると私も考えております。  前回、ああいった還元をいたしまして、何十%も、五〇%近く上げるような状況がすぐに起こりました。二百七十円というのはどこに返ってきたのかわからない、こういう事態もありましたし、こういったことも考えますと、むしろ発電設備あるいは電源投資あるいは送変電施設、特にいま高架になっている配電線、こういったものを地中に――西欧諸国に行きますと地中に入っていて、電信柱が立っていない状況が多いですが、こういった時期にやるべきではないかとかいろいろな意見が出ております。設備の保全、更新によりまして、電気の長期安定的な確保、供給をぜひとも図ってもらうように私は要望したいのでございますが、これについて政府はいかにお考えでございますか、大臣。
  166. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 いま塩田委員指摘の方向で検討すべきだと考えております。
  167. 塩田晋

    ○塩田委員 最後に、二問お願いします。  原油価格下落によりまして国民経済への好影響が出ておる、これは皆さんお認めになっておるところでございますが、これが、一説によりますと、円安が進行して、値下がりをした分だけ国内の石油価格としては変わらないものになってしまうのではないかと危惧する向きがございます。そこで、一円円高になる場合どれぐらいはね返ってくるものか、これにつきまして、石油関係あるいは電力関係、いかがでございますか。――じゃ、時間ありませんので、円レートが一円円高になりますと、たとえば電力の場合は年間百七十億円、これだけ収益がある。十円なれば千七百億円、こういうことも言われております。いずれにいたしましても、円安は逆ですから、円安になれば原油価格値下がりが相殺されてしまうということになりますね。  この円レートの見通しが非常に問題だと思うのですが、ここでお伺いしても、それはわかりません、一寸先はやみですというお答えしかないわけですけれども経済企画庁としては、日本の現在の経済の状況におきましてもし上がるとすればどういう要因で上がるか、下がるとすればどんな要因で下がるか、このことについて研究されておると思うので、これは調査局長さんにお願いします。
  168. 廣江運弘

    廣江政府委員 レート変動をもたらす要因はどういうものかというのはなかなかむずかしゅうございまして、学説的にもいろいろございます。基本的には、両国の経済パフォーマンスを相殺するような形でレートが設定されるというのが考えられるところかと思います。ただ、現実の問題を見ますと、必ずしもそういうことばかりでも理解できません。いまの御質問にお答えするような形で解きほぐしてまいりますと、たとえば需給によって決まるということから見ますと、一つは経常収支の要因というところがあろうと思います。経常収支の要因というところからは、先ほどの石油価格が下がることによって貿易収支、経常収支がよくなるというのは円高の方向に動くはずでございます。また、現実には資本移動が非常に自由でございますので、国際金利差を追いましての資本移動、資本収支というものも響こうかと思います。現実には、先ほど言いました経常収支の方向というのが円レートを決めると思いますし、そのまたもとには国の経済のあり方といいますか、物価であるとか成長力というものが響いてくると思います。  もう一つは、最近の場合、特に金利が大きく響くと思います。金利が響く場合、ドルで考えますと、特にアメリカの金利の動向いかんというのが目先のレート等にはかなり響いてくると思います。私ども、レートがどうなるということはいささかここで申しかねますけれども、経済のパフォーマンス等を比較いたしますと、何一つ遜色はないわけでございまして、そういう方向にレートも修正されていくべきものではないかというふうに思っております。
  169. 塩田晋

    ○塩田委員 役所が答弁しますと、大体こういうことで模範答弁になるのでございますが、なかなか言いにくい問題だと思います。ずばり、円レートはどう動くかということを、業界のベテランであります永山さんにひとつお願いします。
  170. 永山時雄

    永山参考人 どうも大変むずかしい問題で、これは専門家になればなるほど当たらないので、私もいままで当たったことがありません。非常に見込みが立ちにくい問題だということだけ御答弁申し上げます。
  171. 塩田晋

    ○塩田委員 最後に一問だけ。  この前の物価委員会で質問途中になってしまったのですけれども、御承知のとおりソ連は世界最大の産油国の一つです。現在、生産がかなり停滞をしてきているという問題。この石油の問題を考える際は、メジャーともちろんOPECと、ソ連を考えないといかぬと思うのです。ソ連は穀物を食糧輸入して、その代金は相当な部分、西欧向けだけでも百二十億ドルぐらいは石油で稼いでいる。それと同額ぐらいを東欧諸国に供給して、政治的経済的な関係を緊密にしている、こういう状況があって、ソ連の状況を抜きにしては考えられないと思うのですね。この価格低下というものがソ連経済、東欧諸国経済に及ぼす影響はかなり大きいと思うのです。この問題を、世界経済の三分の一あるいは四分の一と言われる共産圏経済、この中で考えなければならない。特に中東問題、石油につきましては非常に危機的な状況があらわれる、これはソ連抜きにしては考えられないことです。  この問題につきまして、外貨不足に悩んでおるソ連の深刻な状況、また、原油価格値下がりによる影響をどのように見ておられるか、これは経済企画庁御研究だと思いますので、お伺いいたします。
  172. 廣江運弘

    廣江政府委員 せっかくのお尋ねでございますが、ソ連からの公表された統計にかなり制約がございまして、余り的確なお答えができかねるのを恐縮に思う次第でございます。  ただ、ソビエトの経済が農業、工業を通じまして近年かなり厳しい情勢を続けておりまして、その際、御質問にもございましたように、石油をてこといたしましてハードカレンシーの獲得をしておるということは実態だろうと思います。そしてオイル・アンド・ガス・ジャーナル誌等からそんたくをいたしますと、原油生産量は二三%ぐらい、こう言われているわけで、かなりの量になっております。石油及び石油製品の輸出額は、政府発表によりますと、八一年二百九十九億ドル、約三百億ドルということになります。そして若干の資料等によりますと、そのうち約半分強ぐらいのものが西欧向けではないかという資料も出ておることは事実でございます。価格は大体世界の石油市場の動きに応じて動くのであると考えれば、たとえば一五%なら一五%程度影響を受けると考えるべきではないかというふうに推察いたしております。
  173. 塩田晋

    ○塩田委員 これで終わりますが、ソ連経済については資料等の制約もあると思いますけれども、やはり大きな影響がありますので、今後よく実態を把握してこの問題を考えていただきたい。ひとつ要望いたしておきます。  以上で終わります。
  174. 土井たか子

  175. 岩佐恵美

    岩佐委員 きょうは、参考人の皆さんにはお忙しいところ大変御苦労さまでございました。  まず最初に、工藤参考人にお伺いをしたいと思いますけれども消費者の生活、大変苦しくなってきていると思いますが、そういう中での今回の原油値下げでございます。その点、消費者は率直にこの原油値下げについてどう受けとめておられるのか、そして皆さんの要望としてどうしてほしいのか、その点を伺いたいと思います。
  176. 工藤芳郎

    工藤参考人 御存じのように長期にわたる不況のもとで、人事院の勧告が凍結をされる、六年連続の減税の見送りがあるということで、国民生活が非常に窮乏化しておることは事実でございます。また、この原油値下げというものは、かつて事例を見ないばかりか、再三の値上げによって、そのコスト増が消費者負担をかけられてきたということでありますから、先般、私たちの全国ブロック会議も開いたのでありますが、基本的には、これを具体的かつ目に見える形で国民へ還元をすべしという考え方が基調であります。その方法とか時期等々につきましては、先ほど申し上げましたような状況であります。
  177. 岩佐恵美

    岩佐委員 今回の日石発表の石油製品価格キロリットル当たり一万二千円の値下げ幅は、原油値下げの五ドル分がキロリットル当たり七千五百円、為替レートが昨年八月には二百五十五円、現在の直近二カ月の平均が二百三十八円なので、その差十七円の円高になって、それがキロリットル当たり四千三百円、合わせて一万一千八百円、それを丸めて一万二千円ということだというふうに聞いているわけですが、先ほどのお話で、昭石も、値下げ幅考え方について、あるいは値下げの実施について同様な考え方に立っているというふうに伺ってよろしいのでしょうか。
  178. 永山時雄

    永山参考人 私の方とそれから日本石油とはかなり財務内容が違っておりまして、率直に言いまして、日本石油はアラムコ系として従来かなり安い油の入手ができましたので、財務体質が石油業界ではかなりいい方でございます。われわれのところは、やむを得ず高い油で対応してまいりましたので、財務はかなり傷んで赤字を相当抱えておるのでありますが、ただ、先刻も申し上げましたように、マーケットが一つで、したがって、それに対応していかない限りは、私の方の商品を販売することができないわけでございますから、われわれの方はそれに追随をしていくという考えでございます。
  179. 岩佐恵美

    岩佐委員 少し細かい話になりますけれども原油値下がりによって当然石油税も下がると思います。原油が五ドル下がりますと、計算上、キロリットル当たりこの石油税が二百六十二円下がるというふうになると思いますが、その点いかがでしょうか。
  180. 永山時雄

    永山参考人 大体そのくらいのところだと思います。
  181. 岩佐恵美

    岩佐委員 それから、原油の支払い代金総額が下がることによって、ユーザンス金利の負担も当然下がってくるわけです。ユーザンス金利は現在一二%くらいということですので、そういう計算をしていきますと、原油が三十四ドルから二十九ドルに下がったことによって、キロリットル当たり二百九十円の値下げになるというふうに思いますが、これについていかがでしょう。
  182. 永山時雄

    永山参考人 その点も大体お見込みのところだと思います。
  183. 岩佐恵美

    岩佐委員 それから国内のハネ金利、これが五十八年三月現在六%であります。ですから、これも同じような計算で五百二円から四百二十八円、つまり七十四円下がる、そして自家燃料用のものとそれからロス、これが三千五十三円から同じような計算で二千六百四円ということで、四百四十九円下がるということになると思いますが、この数字はいかがでしょうか。
  184. 永山時雄

    永山参考人 正確には計算しておりませんけれども、大体御趣旨は理解できると思います。
  185. 岩佐恵美

    岩佐委員 いま申し上げた、石油税それからユーザンス金利、ハネ金利、自家燃、ロス、これを合計しますと、キロリットル当たり千七十五円になるわけですね。これだけでも年間二千百二十四億円になるわけですけれども、先ほどのお話の一万二千円の計算の中に入っていないわけです。この点について、従来の値上げの際のシーリング価格決定のときには、いま言ったような要素というのはすべて織り込まれているわけですね。ところが、値下げになるとこれがネグレクトされてしまうということは、国民としては納得がいかない事態だと思うわけですけれども、このことについて、永山会長のお考えを伺いたいと思います。
  186. 永山時雄

    永山参考人 まことにくどいようで恐縮でございますけれども、これは石油連盟会長意見でなく、昭和石油の社長として答弁をいたしておりますから、その点ひとつあらかじめ御了承願いたいと思うのです。  日本石油がどういう考えでああいう措置をとられたか、そこは正確には私は知りません。ただ新聞紙上で承知をしているだけのことですが、お話のようなコストがセーブになるような面も確かにあるわけでございますけれども、それ以上に私どもが問題として抱えておりますのは、累積した大きな赤字でございます。一昨年、昨年と続きまして大変な円の棒安でございまして、そしてその間一直線に円安に進みましたから、戻って円高傾向を出すというようなことがほとんどなくて、後追い後追いで、そのための損失というものはどの社も非常に膨大なものになっております。これが、さっき申し上げた業界全体での大きな数字でありますが、実質にはもっと大きいので、私どもからしましても、五十六年一年でほぼ四百億くらいの経常赤字を出しておるような状況でございますから、石油会社としては、この赤字を早く解消して財務体質を強くしなくちゃならぬという面もございます。  それから当面の問題としては、先ほど申し上げた高値在庫を抱えている問題、それから毎年毎年一〇%、あるいは七%、あるいは六・八%というように連続して需要低下しております。そのための稼働率低下によるコストの増加というものも大変大きな金額でございまして、これらの問題も同時にわれわれは対応していかなければならないわけでございますので、その辺をひとつ御理解をいただきたい、かように存じます。
  187. 岩佐恵美

    岩佐委員 先ほどからの議論あるいはいまのお答えを伺っていて、結局、一万二千円というのは別に根拠がある数字ではない、丸めてという言葉も気になるのですけれども、そういうことだという理解をするわけであります。  もう少し細かい議論を進めさせていただきたいと思いますが、今回のキロリットル当たり一万二千円の値下げの際、基準となる価格を去年の八月価格にするとのことで、昨年の三月比では結局二千円の値下げにしかならないということになるわけですが、原油値上げに伴う従来の値上げの際には、コストの積み上げによって値上げを決めてきたわけですね。今回、いまの諸事情によってどうもそうなっていないようでありますけれども、実際に少し数字上の検討をさせていただきたいと思うのです。  CIF二十九ドルで為替レートが二百三十八円であれば、原油のキロリットル当たり輸入価格は、先ほどから出ておりますように四万三千四百十三円になります。その場合、関税は六百四十円、それから石油税は三・五%で千五百十九円、これも先ほどから議論しているところですが、あと自家燃、精製ロスを多目に見積もって六%、二千六百四円、それからユーザンス金利、これが去年は一八%であったのが、ことしの三月は先ほど言いましたように一二%、ですからユーザンス金利で千六百八十四円、それからハネ金利六%で四百二十八円、それをずっと積み上げて計算をしますと、いまのユーザンスとハネ金利で二千百十円になる。そのほかに、これはエネルギー経済研究所の試算で使われている数字ですが、その他経費というのがあります。それがキロリッター当たり、私はちょっと多目だなというふうに思いますけれども、七千九百円から九千円という数字が使われているわけです。  いま申し上げたこれらの数字を積み上げていきますと、キロリッター当たり五万八千百八十八円から五万九千二百八十八円になるわけです。この点について、ちょっと数字上のことですけれども、計算上こうなるかどうか、御確認をいただきたいと思います。
  188. 永山時雄

    永山参考人 ちょっと私も空で計算はできませんので、確認という形においての合意はできませんけれども、お話の筋は計算としてはわかるように思います。
  189. 岩佐恵美

    岩佐委員 これをもとにガソリンの仕切り価格を計算いたしますと、税金込みで十一万一千九百八十八円から十一万三千八十八円になります。ちなみに灯油も計算してみますと、十八リッター当たり千四十七円から千六十七円になるわけであります。  ここで笹野会長にお伺いしたいのですが、ガソリン販売業者のマージンの平均業界紙でリッター当たり大体十五円ぐらいというふうに言われておりますけれども、一般論としてこういう数字が正しいのかどうか。それから灯油の流通マージンも一缶大体四百円ぐらいだと言われておりますけれども、この点についても御意見を伺いたいと思います。
  190. 笹野好男

    笹野参考人 お答えいたします。  ガソリンにつきましてはリッター十五円というところもございますけれども、私ども経営いたしておりますのは、小売で二〇%はないとほとんどやっていかれないのではないか。これは灯油も同じことが言えるのではないだろうかと思います。
  191. 岩佐恵美

    岩佐委員 そうしますと、ガソリン流通マージンをリッター当たり二十円取ったというふうにしまして、いまの計算の積み上げでリッター当たり大体百三十円。それから灯油は、生活協同組合あたりに聞いてみますと、流通マージンとして十八リッター四百円ぐらいだということですので、これで計算をしますと一缶あたり千四百円から千五百円というふうになると思いますけれども、この数字について笹野会長いかがでしょうか。
  192. 笹野好男

    笹野参考人 お答えいたします。  仕切りによりまして、それからわれわれの流通経費を加算いたしますので、ガソリンにおきましてはそういう数字には一応はならないと思います。
  193. 岩佐恵美

    岩佐委員 実態からはそうならないかもしれませんけれども、いまは計算上の話をしているわけで、その点は永山会長の方に伺った方がいいと思いますけれども、いまの計算について、経営者の感覚からいかれて計算上そういうふうになるのではないか、そういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  194. 永山時雄

    永山参考人 はなはだ失礼ですけれども、ちょっと一部聞き漏らしたところもありますが、油種別価格は少し違うのじゃないか、こういうことでございます。
  195. 岩佐恵美

    岩佐委員 結局、全原油コストを積み上げていって製品にかえた場合、全製品が対等である場合そういうふうになるという計算であるわけですけれども、実際はそうなっていない、こういう実態が現状あるわけですね。  それで工藤参考人にお伺いしたいわけですけれども、先ほどもちょっと出ていたかもしれませんが、現在の石油製品価格体系というのが非常に民生用に過酷な価格体系になっているのではないか。C重油は去年の七月から全く上がっていないという実態であるようでありますが、その辺御意見がありましたら伺わせていただきたいと思います。
  196. 工藤芳郎

    工藤参考人 この二年間を見ますと、灯油ガソリンは大体リッター当たり二十三円ぐらい上がっておるのですが、ナフサ、C重油は大体二円ぐらいでしょうか、ほとんど上がってないということで、やはり取りやすいところから取るというような価格体系にしておるのではないかということを従来から推測しているわけです。
  197. 岩佐恵美

    岩佐委員 そういうような一万二千円の計算の根拠も、値下げの根拠もはっきりしない、それから価格体系自体も取りやすいところから取る、そういう中で実際には、石油会社の値下げの発表によれば、ガソリン価格は、五十七年三月の東京都区部の小売価格がリットル当たり百六十七円ですから、それより二円安くなるということだと百六十五円にしかならないわけですね。また灯油も、十八リッター当たり千七百四十六円がリッター二円安くなるということで、十八リッター当たりに直しますと三十六円安くなって千七百十円となる。  つまり、先ほどの油種別のそういう差を考えない計算上の値下げ、それと、石油会社が実際にいま値取りをしている、それに基づいた値下げ希望価格とは、大変大きくかけ離れている、それが実態であるわけです。これは非常におかしい。国民はこの点は納得しないというふうに思うわけですが、永山会長いかがでしょうか。
  198. 永山時雄

    永山参考人 石油製品は公定価格でやっておるわけでもありませんし、統制価格でやっているわけでもありませんので、要するに市場のメカニズムによって決まってくるということで、従来何回か値上げの試みはしましたけれども、非常にその都度未達が多くて、なかなか十分の価格が取れてない。どうも各方面の御批判は、従来の表向きの値上げ幅が満額達成をされたとして、その積み上げから、同時に今度は円が高くなった、あるいは原油が安くなったというようなことで引き算をされて計算をされているように思いますが、実際には値取りが十分できませんで、その間そのための赤字が非常に累積していく。  一方に、先ほどから申し上げました円安がまたそれに加わるというようなことで、その赤字の解消をしない限りにおきましては、石油会社としての満足な経営というものができていかないわけでございます。したがって、その実情から出発して、その都度値上げ幅あるいは値下げ幅を決めていくというのが大体各社のとっているところだと思います。今度の日本石油もそういう措置ではなかろうか、こう考えるわけです。  それで、私が言っているのは、決してうそでも偽りでも何でもないので、各社決算書、年一回かあるいは中間決算を含めますと年二回、決算を公表しておるわけでございますが、これによってごらんをいただけば、いかに石油会社が損が大きいか、もうかっていないか、その実情は一見して明らかでございますので、その辺をひとつよく御理解いただきたい、かように考えるわけでございます。
  199. 岩佐恵美

    岩佐委員 いまの御意見ですけれども石油会社が苦しい、しかし、最初に工藤参考人にも御意見を伺いましたが、消費者の生活も苦しい、赤字であるわけですね。消費者は逃げ隠れもできない、どこにも行くことができない。石油会社も同じだと言われるけれども、原価が明らかにならないし、なぜ値上げされるのか値下げされるのか、その数字的な根拠も明らかになっていない、そこのところで大変不信感が双方にあるわけでありますね。その点はよく御認識をいただいておいてほしいと思います。  先ほどの計算の方に戻りますけれども、実際には、いま永山会長も言われましたように、業界の希望価格というのは値取りができない場合もあるわけですね。現在ガソリンの場合に、特に市況価格がどんどん下がっているという状況だと思います。  笹野会長に伺いたいと思いますが、現在、ガソリンがリッター当たり百五十円そこそこの地域、これは青森、茨城、埼玉、愛知、岡山、山口、高知、福岡、こうした八県だという報道があります。高知の百四十七円を最低に百五十三円までということであります。また百五十五円以下では秋田、栃木、千葉、東京、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、広島など十八県というふうに燃料油脂新聞では報道されているわけですけれども会長の御認識はいかがでしょうか。
  200. 笹野好男

    笹野参考人 お答えいたします。  いろいろございますけれども、先生のおっしゃる地区もございます。これは、値下げを先取りしながら大変混乱しているのがいまの市場ではなかろうかと思っております。
  201. 岩佐恵美

    岩佐委員 先ほどの永山会長の御発言の、石油会社が苦しいというその点でありますけれども、五十七年上期の原油の輸入CIF価格、これは三十四ドル五十六セント、キロリットルに直しますと五万四千二百七十五円、それが五十八年の一月には、三十三ドル九十四セントで四万九千七百十七円というふうになっています。すでに一月段階で、円高の影響もありまして、キロリットル当たり四千五百円安くなっている、そういう状況になっているわけです。それに加えて原油が五ドル下がるということでありますから、昨年の八月の価格から一万二千円の値下げ、しかもこの一万二千円の根拠もはっきりしないという中では、とうてい国民を納得させられないと思うわけです。  新聞の幾つかの主張もありますけれども、確かに去年は石油会社も苦しかったかもしれない、しかし、去年の末から円高になって、大分経営が上向いてきている、だからここのところでちゃんと消費者に還元をすべきであるというような意見はかなり強いわけでありますけれども、再度お考えを伺いたいと思います。
  202. 永山時雄

    永山参考人 ただいま御指摘のとおり、昨年の後半、十一月あたりから為替の関係、それから原油価格関係もかなり有利に展開をしてきておる情勢でございまして、石油会社の昨年の上半期の損益は、午前中にも申し上げたのですが、千二、三百億の赤字を出したのですが、まだ三月期決算は公表されてませんが、恐らく多くの会社はまあ上期の損失を補って、とんとんかあるいはある程度の利益を出すところもあるんじゃなかろうか、こういうように想像をいたします。しかし、今度は一面、ことしに入りまして、これも岩佐先生はよくお調べのことですからもうすでに御承知のことと思いますが、一月、二月、三月と急速に値段が下がっておりますので、これは十月―三月を赤字にするほどのところまでの影響は持たないと思いますが、このままでいけば、四月以降恐らくまた赤字だという状況になると思います。  それで、確かに、原油の値段というものが五ドル下がったということで、これに対する対応の問題も石油会社としては社会的に考えなければならないのですが、しかし同時に、石油会社というものも私は一つの社会的な公器だと思っております。このわれわれが預かっている社会的な公器というものをひ弱なものにして、その責任の遂行ができないような状態で管理をするということは許されない、こう思います。やはり石油会社の体質の強化ということも、これも私どもの持っている一つの公の使命だと私どもは考えておりますので、その辺をにらみ合わせしながら今後の対応をしていくべきだ、かように考えております。
  203. 岩佐恵美

    岩佐委員 大臣に伺いたいと思いますけれども、いつも石油業界の体質の問題が議論になります。ただ今回の問題は、原油が五ドル値下がりをした、しかもこれが二十五ドルまで恐らく下がるであろうというような見通しの中での議論であります。ですから、やはりこの分はこの分としてきちんと国民にわかる形で解決をしていかなければならないと私は思います。先ほど、五ドルの分だけでも石油全体で一兆六千億円、引き下げによってそれだけの分が出てくるわけであります。これは、国会の中で私ども主張しているように、一兆円規模の減税ということから見れば、それを上回る大変大きな効果を持つものであります。ですから、そこのところでやはり大臣が積極的にこの問題を受けとめていただいて、そして監視、指導をされていくということが非常に重要だと思いますけれども、お考えを伺いたいと思います。
  204. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 お答え申し上げます。  一兆六千億というボーナスは本当に天からの恵みでございます。過去に物価が上がり、そして国債の大きな残高を生じたような犠牲を考えてみますと、国民経済のあらゆる部門でこれを生かしていくことが必要だ、市場メカニズムも大事でございますが、私どもは十分にこの行方を見守っていきたいと思っております。
  205. 岩佐恵美

    岩佐委員 今回の石油会社の値下げ発表というのは、むしろ値下げ発表をすることによって市況価格下落を防ぐ、価格維持ないしは価格引き上げのためであるという見方が一般にあります。  そこで、公正取引委員会に伺いたいと思いますけれども、去る二月に福岡で、ガソリン価格をスタンドが表示したことが安売りを誘発するとして、業界価格の看板を外させたということがあって、公正取引委員会調査をしたということですが、こういう事例は、福岡にとどまらずかなり全国各地で起こっているようでありますけれども公正取引委員会として、このようなことが起こらないように監視、指導を強化をしていっていただきたいというふうに思うわけですが、この点いかがでしょうか。
  206. 伊従寛

    伊従政府委員 お答えいたします。  ガソリンスタンドが自分の販売するガソリン価格を自主的に決定してこれを表示することは当然のことでございまして、これについて石油商業組合あるいは取引先の石油元売り会社が看板の撤去をさせる行為を行えば、これは独禁法の八条第一項あるいは第十九条に違反するおそれがございます。  先生御指摘の福岡の問題につきましては、調査いたしましたけれども、昨年春ごろ、組合あるいは石油元売り会社が、安売り看板の掲示を行っていたガソリンスタンドに対して、これを撤去させた事例がございましたので、関係者に口頭で警告を行うと同時に、全国石油商業組合連合会及び石油連盟に対しましても、傘下の組合ないし会社に対してこういうことのないよう十分注意をしております。今後とも、このような行為につきましては厳正に対処していく所存でございます。
  207. 岩佐恵美

    岩佐委員 笹野会長が、去年の四月二十八日に、公取から看板撤去問題について独禁法上の疑義が生じる行為のないよう具体的地区を挙げて再注意を受けたため、法に照らして間違いのない組合運動を進めてほしいと改めて要望したという「ぜんせき」の報道がありますけれども笹野会長この点いかがでしょうか。
  208. 笹野好男

    笹野参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話しございましたように、そういうことにつきましては公取からの指示もございまして、そういう事実がないように厳重に取り締まっておりますので、その点をお答え申し上げます。
  209. 岩佐恵美

    岩佐委員 それから、一部の新聞に、資源エネルギー庁が八三年四月から六月の石油供給計画で、原油処理量、ガソリン生産量、この二点にしぼり、月別にウォッチを実施することになった、こう伝えられているわけですけれども、先ほど同僚委員からも指摘がありました。私も昨年の当委員会で、この月別のウォッチについては生産カルテル、価格カルテルを誘発するということで非常に問題である、やるべきではないという主張をしたわけでありますけれども、一体そういう事実があるのかどうか、その点伺いたいと思います。
  210. 高橋達直

    ○高橋説明員 ただいまの点でございますが、先般策定いたしました五十八年の上期の供給計画の性格でございますけれども、これは運用指針でございまして、石油各社生産活動をする場合のガイドラインとして御提示申し上げたという性格でございます。  この上期の供給計画の指針について、これを踏まえて石油各社が適正な生産計画を作成していくものと私ども期待しておりまして、そのような一部報道があったと御指摘ございましたが、月別に生産をウォッチしていくという考えは有しておりません。
  211. 岩佐恵美

    岩佐委員 終わります。
  212. 土井たか子

    土井委員長 依田実君。
  213. 依田実

    ○依田委員 参考人の皆さん、どうも時間が予定より遅くなって申しわけありません。なるべく簡単にやらせていただきたい、こう思っております。  最初に、企画庁の方へお尋ねをさせていただきたいのであります。  今度の原油値下がり五ドルという価格でございますけれども、われわれOPEC会議の前に非常に心配をいたしました。円相場はドルが上がった日もあるし、あるいはまたニューヨークの株価が上がった日もあるしということで一喜一憂しておったわけですが、専門家が見ておって一番適切であろうと思われる五ドル、こういう額に決まったわけで、そういう意味では、将来の世界経済の成長に非常にプラスじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。そこで経済企画庁、この五ドル原油値下げというものが今後の世界経済の成長率にどの程度影響を及ぼすのか、特に日本の経済成長にどういう影響を与えるのか、その点についてお尋ねをしたい、こう思います。
  214. 田中誠一郎

    ○田中(誠)政府委員 石油価格引き下げ影響でございますが、私ども世界経済モデルによりますと、世界貿易につきましては、一年目〇・六九、二年目一・五六という効果がございます。一方、OECDの推計によりますと、先進国のGNPは、一年目〇・四五%、二年目〇・六%程度拡大するであろうという見通しでございます。  一方、わが国経済に対する影響でございますが、原油価格低下によりまして原油輸入代金約六十五億ドル、レートによりますが、おおむね一兆五千億円程度という国際収支面での改善があるということかと思われます。一方、同じく世界経済モデルによりますと、実質GNPへの影響は一年目〇・三五、二年目〇・九三という効果期待できるかと思われます。  一方、物価面には、これは産業連関表による試算でございますが、卸売物価に対しまして二・一%、消費者物価に一・一%程度価格低下影響が出てくるのではないかという試算結果でございます。
  215. 依田実

    ○依田委員 いま発表になりましたように、物価あるいは経済成長ともに好影響が予想されておるわけであります。  ところで問題は、いわゆる産業の川上から川下、つまり石油精製から電力、ガスあるいはまた素材産業、組み立て産業、この利益が平等に潤うことが大事じゃないか。先ほど長官もそういう点で注意をしていきたい、こういうふうにおっしゃいましたけれども、この五ドルという値下げ幅で試算した場合に、いわゆる企業利益がどの分野でどの程度出てくるのか、そういう試算を行われたことがありますでしょうか。
  216. 田中誠一郎

    ○田中(誠)政府委員 これは五十六年の石油使用量をベースにいたしますと、バレル当たり五ドル低下した場合の影響でございますが、石油精製では約一兆五千億円、電力で約五千億円、素材産業で約三千億円、機械を中心としました組み立て産業で約二百億円ということでございますが、最初に申し上げましたように、これは五十六年の石油使用量をベースにいたしまして、一ドル二百四十円という換算でございます。
  217. 依田実

    ○依田委員 当初、新聞紙上でもいろいろ心配されたいわゆる逆オイルショック、こういうものは現在のところは一応遠のいておるというふうにわれわれ見ておるわけでございます。しかし、原油の値段というのは不確定要素がまだ幾つも残っておるわけでありまして、どういうふうになるかわからない。しかし、ただ大幅に、よく二十ドル以下に下がるとこれは逆オイルショックだ、こう言われるのでありますが、値下げ幅だけじゃなくてその値下げをする期間、これがまた問題であるわけです。徐々に下がっていく分には、これは逆オイルショックというのはないわけでございますけれども、経企庁で考えられる、いわゆる逆オイルショックの条件というものはどういうものか、試算がありましたら教えていただきたいと思います。
  218. 田中誠一郎

    ○田中(誠)政府委員 原油価格値下がりがどの程度悪影響を与えるか、またどのくらいの価格になりますといま御指摘のような逆オイルショックという形になるかというのは、なかなか計算上は計測がむずかしいということかと思います。何分にもいろいろ条件によりましてその効果も違うということでございますので、私ども、どれくらいの価格になればいま先生御指摘の逆オイルショックになるかということは、まだ計算はしておりません。
  219. 依田実

    ○依田委員 それじゃ、抽象的なことはそのくらいにさせていただきまして、きょうは皆さんもいろいろ聞かれて大体お答えになっておるわけでありますが、ガソリン業界の問題についてお尋ねをさせていただきたい、こう思うのであります。  ガソリン業界、いままで皆さんのお話にもありましたように、いま大変深刻な状態に置かれておるわけであります。われわれの地区でももう廃業が幾つか出ておるわけでございます。しかし、末端のいわゆるスタンドの皆さん方にお聞きすると、要約して二つの悪条件が挙げられておるわけであります。それに対してお尋ねをさせていただきたい。  まず笹野さんにお尋ねをさせていただきたいのでありますが、その二つの悪条件というのは、一つは元売りの姿勢であります。つまり系列には高いガソリンで、高いというか標準ガソリン価格で売って、系列外に安いのを回す。本来ならば自分の系列を大事にするのが当然でありますけれども、まあ言ってみれば本妻よりもめかけを大事にするというのがいまの元売りの姿勢ではないか、こういうふうに考えておるわけであります。これが一点であります。末端ガソリンスタンドの不満であります。  二つ目は、外資系の行動パターン、これに対して非常に問題あり、特にエッソとかそういうもののやり方に非常に現在の混乱を起こさせている問題がある、こういうことを挙げておるわけであります。いまのこの二つの点につきまして笹野さん、実情をお話をしていただきたいと思うのであります。
  220. 笹野好男

    笹野参考人 お答えいたします。  先生の御指摘の点は業転玉に多く見られるのではなかろうかと思っております。元売り系列以外に流れるという事実はございます。したがって、そういう安値のものが横行いたしますと市況が大変混乱する、こういうことでございますのと、外資系は特に安売りをいたしておりますので、われわれがそれに追従していきますことがまた競争を激化しているという現状ではなかろうかと思います。
  221. 依田実

    ○依田委員 もう少し日ごろの恨みを晴らしていただきたいのでありますけれども、エッソ、いわゆる外資系というものは、安い油を入れて、それから残念ながら精製施設も非常によろしい、こういうことで安い油が出てくるのでありますが、その上、いわゆるマネプラ商法、いわゆるエッソ商法というのが言われておるわけであります。この辺についてちょっと御説明をしていただきたいのです。どういうやり方をやっておるのですか。
  222. 笹野好男

    笹野参考人 お答えいたします。  元売りさんの批判は私たち販売業者はなかなかできないのでございまして、確かに、そういう事実、安値の看板でお客を誘引する、これは一つの方法でございます。したがって、そこの周りの業者はそれなりに採算ベースが崩れてしまう。感情的にはやはりそれに対抗していくということが次第に渦を巻いてまいります。したがって、これは需給のバランス等もございましょうけれども需要と供給が何とかマッチするような方向も考えられなければならないと思いますが、特に外資系の商法は、そういう形でわれわれ民族系を大いに窮地に陥れていることは事実でございます。
  223. 依田実

    ○依田委員 通産にちょっとお尋ねをさせていただきます。  いまの外資系のあれでございますけれども、外資系と民族系との間の格差があるわけでありまして、これを何とか調整することができないかどうか。それとまた外資系の経営姿勢といいますか販売姿勢といいますか、そういうものについてこれを正す方法があるのかどうかということを通産省にお尋ねいたします。
  224. 高橋達直

    ○高橋説明員 お尋ねの外資系と民族系の格差の問題でございますが、先ほど来、永山参考人あるいは笹野参考人からもるるお話がございましたように、日本の石油企業は一昨年来非常に経営に困難を来しているわけでございます。特に五十五年からのOPECの二重価格制の導入によりまして、いわゆる非アラムコ系、この企業原油調達コストでございますが、これがアラムコ系と非常に格差が生じまして、全民族系の企業が入っております非アラムコ系の企業経営体質が著しく悪化したというような事実もあるわけでございます。  私どもといたしまして、このような厳しい状況の中で石油産業、特に経営体質が悪化しております民族系企業につきまして、この体質を改善するためには、抜本的な構造改善を積極的に推進する必要があり、過当競争体質改善するという必要があると思うわけでございまして、石油審議会などの場でも御議論いただいておりますように、いろいろな面での構造改善の策を検討しているわけでございます。こうした構造改善対策を検討の上、いろいろな対策を講じ、その経営体質の改善を図ってまいりたい、かように考えているわけでございますが、もう一つの点でございます外資系が安売りをしているということにつきましては、私どもは、そういう実態は特に把握をしていないという状況にございます。
  225. 依田実

    ○依田委員 把握していないというのは、これは全く困ったことで、われわれ町を歩いていて、エッソが一番はでに看板を出して、それも毎日毎日すりガラスみたいなものを入れかえて、ほかのところより格段安くやるようにやっておるわけであります。ひとつ町を歩いて調べていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  永山会長の方へちょっとお尋ねをします。先ほど笹野会長から出ましたいわゆる業転物、これが市況を乱す大きな要因になっているわけでありまして、この点について業界としてどういうふうに姿勢を正されていくのか、お尋ねしたいと思います。
  226. 永山時雄

    永山参考人 確かに、いわゆる業転物が市況を乱す一つの有力な原因になっておりますが、要は、需要に応じて生産をすればいいと思うのですけれども、なかなかいまの実情はそうまいりませんで、したがって、それを他のルートへ流すとか、あるいはまた、何といいましても見込み生産でございますから、需要が下がりますと余るものが出てくるわけですが、そういうものを随時わきのルートへ出すというような現象があるわけでございます。しかし、これは長年の現象で、なかなかこれに対応する適当な方策というものが見つからずに現在まで来ております。統制をすればできるのでしょうけれども、どうもそういう世の中でないというふうなことで、これはやはりそれぞれが自粛をしてそういう措置を改めるよりしようがないんだ、こういうふうに考えております。
  227. 依田実

    ○依田委員 需給のバランス、もちろんそこに問題点があるわけでございます。先ほども長田委員の質問で、五十八年度上期の例の供給計画の運用指針というものが出ておるという通産省のお答えがあったわけです。これを見ますと、五十七年の下期の在庫が非常にある。そういうものを参考にしてみると、少しこの指針が甘いのじゃないかという気がするわけであります。先ほど、たしか通産省の方は、五十八年度の上期を出したけれども検討するというようなお答えをなされたように聞こえたのでありますけれども、この需給動向を実際にごらんになって、上期の運用方針は出したけれども、近い将来これを変更するとか、何かそういう具体的なお考えは持っていらっしゃるのでしょうか。
  228. 高橋達直

    ○高橋説明員 上期の供給計画の指針につきましては、先ほど御説明申し上げたわけでございますけれども、この三月末の在庫が、私どもが改定いたしました五十七年度の供給計画で見込んでおりました在庫水準よりかなり高い水準にあるということからして、五十八年度の上期については、その見込んだものより多い在庫をなだらかな形で調整していくということを前提にいたしまして、需要に対して生産の方はかなり下回る形で生産計画を組んでいくことによって適正な需給のバランスができる、こういう見込みでつくったと御説明申し上げたわけでございます。  当面、その考え方を検討するということはございませんが、いずれにいたしましても、これは上期の運用指針ということでございまして、正式の五十八年度版の供給計画につきましては、私どもといたしまして、五月の石油審議会にお諮りして、五十八年度を含む今後の五カ年間の供給計画を組むという段階で、上期の供給計画をつくった後の実績も出てまいりますので、その辺も見ながら正式の供給計画を組んでいく、かように考えております。
  229. 依田実

    ○依田委員 時間がございません。最後の質問をさせていただきます。笹野さんにお尋ねをさせていただきたいのであります。  われわれとしては安いガソリンにこしたことはないのでありますが、大体こういう過当競争になってまいりますと、悪いガソリンスタンドがあって、灯油をまぜたりそういうことをやる。最近またそういうことが見受けられるようになってきたわけであります。あるいはメーターを改造する。つまり、あれは千分の十五ぐらいの誤差までは認められているのを千分の三十ぐらい違ってもいいように、そういうぐらいの改造をしてしまう。そういうようなやり口でいま末端ガソリンスタンドはやり出してきた。これでは困るわけであります。  それからもう一つは、いよいよ危なくなってくると元売りに泣きつく、元売りは、待ってましたとばかりに系列化する、ますますガソリンスタンドの自由な幅がなくなってくる、こういうことで困るわけですが、要は、五万九千二百いま全国にあるスタンド、この数が少し多いのじゃないか、こういうことも言われているわけでありまして、業界としてみずからの対策はどういうふうにお考えになっておりますでしょうか。
  230. 笹野好男

    笹野参考人 お答え申し上げます。  先生の御指摘のとおりでございまして、これは元売りさんの構造改善と並行いたしまして、六万近いスタンドをどう処理していくかということが大きな課題でございまして、近代化促進法等に基づいて、今後これらを十分検討していかなければならないということでございます。
  231. 依田実

    ○依田委員 結構です。
  232. 土井たか子

    土井委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、御多用中長時間にわたり御出席をいただき、また貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。ここに委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時六分散会