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塩崎国務大臣 いま塩田委員から特に
アメリカ経済についての御見解がございまして、レーガン
経済政策のような思い切った
政策を
わが国に取り入れたらどうか、こういう
お話でございます。
確かに、レーガン
政策、大変大胆な思い切った案でございます。しかし、その
評価はまちまちでございまして、むしろいまのところはまだその効果が定かではないといったことが当たるかと思うのでございます。私は、
アメリカの事情と
日本の事情とはその基盤において相当な異なりがありますものですから、よほどこれは
考えてやっていく必要がある。つまり四つの
政策、大変おのおの特徴がありますけれ
ども、大幅減税、これをとりましても、
日本なら大幅減税についていつも言われますことは
消費奨励である、
消費を刺激するといったような
考え方で、
皆さん方は
所得税の減税を推奨される。ところが
アメリカでは、貯蓄奨励という見地から
所得税の減税を三分の一減税する、これを三
年間にやるという大胆な
政策をとったわけでございます。
そうしてそのバックにありますのは、御案内のサプライサイド・エコノミックスという
経済理論である。つまりインフレの際に需要を追加しても、
アメリカでは
物価が上がるだけである、それは貯蓄が少ない、投資がない、したがって、最新の
生産設備がないから、有効需要を追加するとすぐインフレになるのだ、こういう
考え方で、民間貯蓄を
日本のように推奨していこう、その手段が減税だ、こういう大胆な発想に立っているわけでございます。
まだまだ効果があらわれておりませんし、あらわれておりますのは赤字財政だけの効果、これでもしかし、何年かたてば産出効果が生じて、ケンプ・ロス・ルールとか言っておりますけれ
ども、税収が生ずる、増収が生じてきて、結局は減税による減収をオフセットするであろう、こんなふうな
考え方をとっておるようでございます。それから設備の更新の近代化の方法として、減価償却を大胆に、十二年、十年、五年、三年とか、想像もつかない短い耐用年数に、四つの資産の種類ごとにしておるようなことは、とうてい
日本ではついていけないぐらいの大胆な
政策でございます。
しかし
日本は、御案内のようにむしろ貯蓄過剰、
アメリカは六%ありました貯蓄率が三%までに減ってきておる。
日本は依然として二〇%の個人貯蓄率を誇っておるようなところでございまして、しかも
生産設備はどの国にも負けない最新鋭の
生産設備、そして投資をしてきているような状況でございますので、私は、いまの
日本の
経済困難と
アメリカの当面しております
経済困難とは違う、こういうふうに思うのでございます。
ただ、私も、ケインジアンではありませんけれ
ども、おっしゃるように財源は苦しくても、財政赤字であるのですけれ
ども、とにかく財源を探してでも、公共投資によるところの
経済に対する刺激はやはり必要ではないか。
アメリカですら、四セントのガソリン税を九セントに上げて道路の普及を始めるように、久しぶりのケインズ方式を採用しているわけでございます。
日本は六兆六千五百五十四億円の公共投資がずっと横ばいで四
年間続いているわけでございますが、その一方、自然増収は三兆一千億円から一兆五千億円にだんだん減るような
傾向を示しますと、またもう一遍公共投資によるところの
経済効果というようなものを
考えてみる必要がありはしないか、こんなことを私は
考えているのでございますが、財政がこんなような状態でございます。
しかも、財政も御案内のように、きょうの新聞にありますように、三月債は事業債よりも高目の利子を払わなければ信用がないというふうに言われるぐらいの国債の発行状況だといたしますと、やはり国債が過剰で金利の
引き下げを阻害している。やはり財政再建も早くすることが、あるいはそこまではできないにしても、赤字公債の金額を減らすことが
景気にも大きな
影響があるような根拠を持つ、こんなふうに
考えているところでございます。
〔中島(源)
委員長代理退席、
委員長着席〕
私は、いま
考えてみますと、今度の公共投資が横ばいみたいなところで、
企画庁長官また無能のようにときどき言われるのでございますが、そういう
考え方に立ってこれから
考えていかなければならない。私が
長官に就任したときには、もうゼロシーリングが決まった後でございましたが、今後石油
価格の
引き下げ、それから
アメリカの金利低下に伴うような
日本の金利の低下の
傾向、それから
円レートの安定、この三つくらいの条件を
政策の上に生かして、
経済政策の天井を気にしなくても済むくらいの条件だといたしますれば、財政赤字が唯一の天井と
考えて、ここをうまく縫いながら
経済の成長を図っていかなければならぬと思っております。そうしなければ財政再建もできない。
自然増収が六・六%くらいの計算で、八%ふえていきますところの国債費を減らすことができない。要
調整額が六兆円、七兆円というようなことを増税でやりますれば、これは
経済が萎縮するに決まっている。いま塩田委員がおっしゃいましたように、
経済の回復のみならず、やはり
経済の大きな成長が財政再建に最も役立つという
考え方が必要だと思っております。