運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1983-05-18 第98回国会 衆議院 農林水産委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年五月十八日(水曜日)     午前十時六分開議  出席委員    委員長 山崎平八郎君    理事 加藤 紘一君 理事 亀井 善之君    理事 北口  博君 理事 玉沢徳一郎君    理事 小川 国彦君 理事 日野 市朗君    理事 武田 一夫君 理事 稲富 稜人君       上草 義輝君    小里 貞利君       太田 誠一君    志賀  節君       田名部匡省君    保利 耕輔君      三池  信君    三ツ林弥太郎君       串原 義直君    新盛 辰雄君       田中 恒利君    竹内  猛君       前川  旦君    松沢 俊昭君       安井 吉典君    草川 昭三君       神田  厚君    寺前  巖君       藤田 スミ君    阿部 昭吾君  出席国務大臣         農林水産大臣  金子 岩三君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      角道 謙一君         農林水産省経済         局長      佐野 宏哉君         農林水産省構造         改善局長    森実 孝郎君         農林水産省農蚕         園芸局長    小島 和義君         農林水産省畜産         局長      石川  弘君         農林水産省食品         流通局長    渡邉 文雄君         農林水産技術会         議事務局長   岸  國平君         食糧庁長官   渡邊 五郎君         林野庁長官   秋山 智英君         水産庁長官   松浦  昭君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局審査部審         査統括官第一審         査長事務取扱  樋口 嘉重君         大蔵省主計局主         計官      千野 忠男君         文部省体育局学         校給食課長   玉木 正男君         厚生省児童家庭         局企画課長   斎藤 治美君         通商産業大臣官         房調査統計部商         業統計課長   千綿 道人君         会計検査院事務         総局第四局上席         調査官     杉本 紫朗君         参  考  人         (畜産振興事業         団理事長)   森  整治君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君     ───────────── 委員の異動 五月十八日  辞任         補欠選任   吉浦 忠治君     草川 昭三君 同日  辞任         補欠選任   草川 昭三君     吉浦 忠治君     ───────────── 五月十六日  農産物の自給の促進及び備蓄の確保のための農業生産振興に関する法律案安井吉典君外八名提出衆法第一二号)  総合食糧管理法案安井吉典君外八名提出衆法第一三号)  農民組合法案安井吉典君外八名提出衆法第一四号) 同月十二日  食管制度拡充に関する請願上田哲紹介)(第三一五五号)  同(岡田利春紹介)(第三二三五号)  同(井上普方君外一名紹介)(第三二三六号)  同(阿部未喜男君紹介)(第三四四七号)  同(伊藤茂紹介)(第三四四八号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第三四四九号)  同(上田哲紹介)(第三四五〇号)  同(串原義直紹介)(第三四五一号)  同(嶋崎譲紹介)(第三四五二号) 同月十三日  食管制度拡充に関する請願伊藤茂紹介)(第三五一八号)  同外七件(新村勝雄紹介)(第三五一九号) 同月十六日  食管制度拡充に関する請願外一件(上田卓三紹介)(第三七七六号)  同外八件(清水勇紹介)(第三七七七号)  同(石橋政嗣君紹介)(第三九四四号) 同月十七日  食管制度拡充に関する請願外二件(日野市朗紹介)(第四〇〇九号) 同月十八日  食管制度拡充に関する請願大出俊紹介)(第四〇九一号)  標準価格米制度廃止反対等に関する請願藤田スミ紹介)(第四二八四号) は本委員会に付託された。     ───────────── 五月十七日  農産物輸入自由化枠拡大阻止に関する陳情書(第二五八号)  畜産酪農経営の安定に関する陳情書外四件(第二五九号)  昭和五十八年度産サトウキビ最低生産者価格等に関する陳情書(第二六〇号)  マツクイムシ防除対策拡充強化に関する陳情書(第二六一号) は本委員会参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  農林水産業振興に関する件      ────◇─────
  2. 山崎平八郎

    山崎委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産業振興に関する件について、本日、畜産振興事業団理事長森整治君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山崎平八郎

    山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  4. 山崎平八郎

    山崎委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉沢徳一郎君。
  5. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 先般、食糧庁長官私的諮問機関であります精米流通研究会報告書が出されまして、それをめぐりまして種々論議を呼んでおるところでございますが、この際、正確を期すために、長官はこの研究会にどのような諮問を行い、それに対してどのような報告がなされたか、その要点についてまず述べていただきたいと思います。
  6. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 お答えいたします。  精米流通研究会につきましては、改正食管法制度のもとで毎年基本計画を定めまして品質別需給管理を進めていく、このために需要動向に即応いたしました供給体制の整備を図ることが必要となりますので、新しい枠組みで有効に機能していくための精米段階流通あり方について研究してみるということと同時に、一昨年、五十六年の十二月の消費者米価に関します米価審議会におきましても、標準価格米の存廃を含めまして精米流通検討をすることが課題とされておりまして、昨年四月から一年間にわたりまして、研究会を私ども私的諮問機関として開いたわけでございます。  研究会要点は、消費者良質精米に対します志向が年々非常に高まってきている。一方、優良銘柄米生産につきまして、自然的条件等によります制約もある。こうした中で、消費者需要にこたえるおいしい精米を大量に供給する方途についてお諮りしたわけでございます。  四点の御提言がございました。  第一点は、表示を簡素化して消費者にわかりやすくしてはいかがかという点でございます。  第二点は、ブレンド機能混米でございますが、この機能をもっと活用することによりまして、各都道府県の判断によりまして多数の消費者に受け入れられるような品質の、標準ブレンド米と仮称いたしておりますが、こうしたものを考えてはどうかという御提案でございます。  第三点は、この標準ブレンド米と関連しまして、標準価格米についていろいろ問題がございまして、基本的方向として、この標準ブレンド米に移行してはいかがかという点でございます。  第四点は、優良銘柄米精米段階での単体流通の問題でございます。いわゆる三点セット表示と称されるもので、産年、産地、品種、銘柄につきまして一〇〇%の単体流通につきましては、これは廃止してはどうかという考え方があったことは事実でございます。ただ、それに対しまして、いま直ちに廃止することは現実的でないという考え方もありまして、この点は意見一致を見ていなかったわけでございます。  こうした報告をいただきまして、食糧庁としては報告をよく吟味、検討の上、できるものから実施したいという意向を表明したわけでございます。
  7. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 この報告書の中の第四点目の報告の中におきまして、いわゆる単体流通の三点セットの禁止ないしは廃止という問題提起がなされておるわけでございますが、ただ、これは自主流通米制度全体との関連において大きな論議を呼んでおるわけでございます。  そこで、自主流通米が始まりましたのは昭和四十四年度でございますが、当時二十六万七千トンであったものが、五十七米穀年度におきましては二百八十五万トンまで来ておる。十倍以上の流通がなされておる。全体の供給量からいいましても四〇%を占めておるわけでございますね。現在までこの良質米奨励路線というものを非常に推進をしてこのような状況になってきた。  ところが、このいわゆる三点セットというものを禁止する、こういうことになってまいりますと、非常に大きな問題が生ずるのじゃないか。これは生産者もそうでありますし、消費者もそうである。したがいまして、いままでの良質米奨励路線というものを進めてまいりました政策と非常に逆行するものじゃないか、こういう印象を非常に大きく与えておるわけでございます。これに関して、食糧庁はどのような見解を持って進もうとしているのか、この点をもう少し明快にお答えをいただきたいと思います。
  8. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 今回の精米流通研究会報告におきまして、この研究会自体におきましても御指摘のような優良銘柄玄米自体優秀性良質米生産奨励という基本的考え方自体を全く否定はしておりません。  報告書の中で触れられている今後の具体的な対応といたしましても、優良銘柄米生産が、特に特定優良銘柄米と称されるものの生産自然的条件によりまして制約されてきているのではないか、最近の伸びも鈍化傾向にある、こうした限られた特定優良銘柄玄米をできるだけ精米段階で有効に利用したらどうかという考え方から、一つは、三点セット表示廃止してこれを広くブレンドしておいしい米をつくるという考え方をとってはどうかという考え方があったことは事実でございます。それに対しまして、いま直ちにこれを認めないとすることは現実的でないという強い御意見もあったわけで、先ほど申しましたように意見一致は見なかったわけでございます。  いずれにいたしましても、この問題は、私どもといたしましても、優良銘柄米なりの生産自体をどうこうするというようなつもりは毛頭ございませんし、従来の良質米路線なりあるいは銘柄米制度を一部廃止とか伝えられたことは非常に残念に思いますが、そうしたことは毛頭考えておりません。
  9. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 報告書指摘するところ、それからまた現状国民消費動向というものがもう一つの問題だと思うのですね。つまり、現在、自主流通米、それから政府が直接生産者から買い入れて管理しておる政府米流通については大体二つの流れがあるわけでございますが、自主流通米消費は非常に伸びておりますけれども、いわゆる政府米消費が伸びない、これはなかなかお米の味がよくないという指摘もあるわけでございます。  問題は、政府米の販売が伸びないと全体として消費が減退をする、そうすれば減反あるいは転作というようなものにも影響を及ぼすことは事実でございます。やはり政府米をおいしくブレンドする、これは小売段階ではいろいろな工夫がなされておるわけでございますけれども、この政府米をいかにおいしく消費者に提供していくか、この努力を怠ってはならないと私は思うのですよ。  それから同時に、今後標準価格米をどうするか。大消費地におきましては標準価格米は一〇%ぐらいしか占めてないということもあるわけでございますね。それから銘柄米。いま御説明がありましたけれども、この報告書におけるところの消費拡大をしていくために政府米扱いをどうしていくか。これのブレンドその他をどうしていくか。これを含めまして、この報告書扱いを今後食糧庁ではどういうふうに受けとめて進めていくか、その点をひとつ御質問させていただきます。
  10. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 まず、報告書で先ほど申し上げましたように具体的な提言といたしまして四点ございまして、それぞれに即して私の方から申し上げたいと思います。  先ほど申しました第一点の表示の簡素化なり、第二点として申し上げました標準ブレンド米供給というのは、すでに一部の地域によりましては具体的な動きもありますし、現に萌芽もあるわけでございます。今後関係都道府県とその取り扱いにつきましてさらに協議を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。  第三点といたしまして、標準価格米の問題がございます。先ほど第二点で申しました標準ブレンド米扱いとも関係いたしますが、今後消費者団体等とその扱いにつきましても協議を進め、理解を深めていきたい、このように考えております。  第四点の優良銘柄米単体流通のいわゆる三点セット表示取り扱いにつきましては、その影響するところが広く、しかも今後におきます米の需給なり管理等全体の問題と密接に絡む点もありますので、全体の問題の中で慎重に検討を進める必要があると存じますので、この点については結論を急ぐことなく慎重に対処したい、このように考えております。  御指摘政府米自体の質の問題ですが、確かに自主流通との品質的な差があることは事実でございます。そうした意味で、提言にありました標準ブレンド米なりにおきましては、各県の試みとしまして、一部の自主流通政府米との混米によります標準ブレンド米なりの工夫もされて、それぞれの県でもそうした萌芽的なものも出ております。こうした点については、よく話し合いを進めながら具体的に消費者需要に合うような妥当な混米なりは進めていきたい、こういうふうにいたしたいと考えております。
  11. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 国民消費動向というものを十二分に煮詰めて、それにどのように対処していくかということが今後の食糧政策を進める上で非常に大きな問題点になってくると思うわけでございます。それについて十分慎重に対処していただくと同時に、来年度から第三期水田再編対策を進めていくわけでございますが、その際に米の備蓄の概念というものについて深い議論をしておく必要があるのではないかと思うわけでございます。  そこで、米につきまして国家安全保障という立場から考えてまいりますと、本来ならば一千万トンぐらい、一年分ぐらいの備蓄を持つということが、どんな事態にも対処でき得る国家安全保障という問題点から考えますと妥当なものであると思うのです。しかしながら、一つ国民消費動向がどうしても新米を食べたい、こうなってまいりますと、古米はどんどん取り残されてまいりまして、そして、いままでもありましたように大きな財政負担となって問題を生ずる、それをどのように調整するかということが大きな問題になってくると思うのですよ。そこで、食糧庁は、回転備蓄としまして理想的には百万トンくらい、あるいは棚上げ備蓄としましてあと百万トンくらいは可能性があるというようなことを示唆してまいりましたね。私もこれは妥当な線だとは思うわけでございますけれども異常気象というものに対処するという考え方に立たなければいかぬと思うのですよ。たとえば去年食糧庁では、当初五十七米穀年度で一千八十万トンの生産見込みをしておられた。ところが実際に生産がなされたものを見ますと、千二十七万トンで、その差が五十三万トンなわけですよ。ですから、回転備蓄として百万トンという考え方に固執をしてまいりますと、豊作、凶作の際におきましては、五十万トンというものは常に上下をするわけでございますから、百万トンの回転備蓄という考え方だけでは十分対応できないんじゃないか、こう考えるわけでございます。  そこで、減反面積がいままで六十三万一千ヘクタールでありましたのを六十万ヘクタールに緩和をしましてことしはつくっておるわけですね。ですから、この第三期再編対策というものにいく場合におきましては、やはり米をつくる上におきまして余裕を持った体制をとることが私は大事だと思うのです。食糧庁考え方からいいますと、米が余って財政負担が非常に大きくなるので心配だということを言われておりますが、本来ならば一年分くらいの、一千万トンくらいを貯蔵するのが国家安全保障という立場から必要だという私は考えでございますけれども国民的なコンセンサスというものが十分に得られない段階においてはそれはなかなか達成できない。しかしながら、やはり五十万トンから百万トンの余裕を持ってある程度生産をして、その分の財政的な負担というのは国民的なコンセンサスを得て確保しなければならない。そうでなければ、回転備蓄の百万トンということだけでございますと、極度の不作が来たり、あるいは国際情勢の急変というものによって日本食糧が入ってこないという場合に、やはりそれに対応できるというものは余裕のある食糧生産を確保していくということが大事ではないか、こういう考えに立つわけでございます。  したがいまして、この第三期再編成対策におきましても、六十万ヘクタールに緩和しておるわけでございますが、もう少し緩和をするという程度考え方によりまして、一つ余裕のある生産をする。そして備蓄につきましても余裕のある体制をとっていく。同時に、したがって、一つ加工用原料米をどうするかという問題がまだ未解決のまま残っておるわけでございます。それから同時に、やはりわが国は諸外国から非常に食糧緊急援助というものを求められておる。日本が国際的な社会におきまして今後とも国際協力国際友好というものを通じまして、世界の国々の中に孤立しない外交政策というものを進めていく上におきましては、日本食糧というものは非常に大きな役割りを果たしてきておると私は思うわけでございます。したがいまして、そういう負担というものは財政的な負担で、多少それは経済原則に合わないところもありますけれども、やはりそういうものが政治の場において生かされていくという考えに立たなければならぬのじゃないかと私は思うわけでございます。  そういう点も含めまして、米の備蓄に関する食糧庁考え方をひとつここで伺っておきたいと存じます。
  12. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 私ども、御指摘のように、かつて二百万トン備蓄というようなことが決められたことも経過的にはございますけれども、その後これを非常に上回る過剰を生じまして、過剰米処理に入りました。最近の不作、連年の不作で前年産米在庫水準は例年になく低下していることも事実でございます。こうした点から、今後の備蓄あり方につきまして私どもも現在第三期水田利用再編対策と絡めて検討しておるわけでございます。まだ結論を得ておりませんが、御意見の点は十分参考にさせていただきたいと思います。  百万トン程度まででございますならば、確かに通常の回転備蓄の範囲で可能だろうと思いますが、それ以上の備蓄という問題になりますと、これらのさらに保管、処分という先々のことを考え、これの負担関係、あるいはどういう処理方法をとっていくか、御指摘のように、やはり国民的なコンセンサスを持った方式をとらなければならないと思います。米につきまして、御指摘のように、単なる経済論理だけではないということも十分わかるつもりでございますが、備蓄自体につきましては、その年に仮に備蓄いたしますとやはり翌年はその分が必要なくなる、全体に過剰基調の中ではまたそれが減反強化にもつながるというような関係もございます。他用途なりの処理とかいろいろな問題がございます点を十分考えながら、国の安全保障という意味では米の備蓄も必要でございましょうし、水田機能を持った耕地をどこまで保持するかというような幅広い観点からも私ども検討させていただきたいと思います。特に第三期の均衡化対策に当たりましては、この問題は重要な課題として、御指摘の御意見参考にさせていただいて取りまとめていきたいと思います。
  13. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 次は、災害の問題について質問いたします。  去る四月二十七日、強風、異常乾燥下において東北地方で大規模な山林火災が発生し、広範囲にわたりまして壊滅的な被害を与えました。被災した森林をこのまま放置した場合は、国土の保全、水資源の涵養、自然環境の維持など、森林の有する公益的機能が大きく損なわれることが憂慮されております。このため早急に被災森林復旧して、緑をよみがえらせることが必要であります。しかし、地元の森林所有者は、今回の火災により長年にわたって育て上げてまいりました森林が一夜にして灰じんに帰して、茫然自失して、復旧の意欲を失っているのが現状であります。このために、国としましてぜひ温かい援助の手を差し伸べ、被災者を勇気づけ、早期かつ的確なる復旧を行う必要があります。  林野庁としてはどのような対策を講じようとしているかをお伺いしたいと思います。
  14. 秋山智英

    秋山政府委員 お答えします。  山火事被災跡地早期かつ的確な復旧ということはきわめて大事でございます。そのためには、何と申しましても、現地被害状況はどうなっているか、あるいは具体的に個所別にどういうふうな復旧面積があるかということをまずつかまなければならぬわけでございます。そこで、私ども林野庁としましては、災害の起きました直後直ちに現地にそれぞれの担当官を派遣いたしまして、被害状況把握現地での指導をさせてきたところでございます。現在も引き続きまして関係の県の協力を得まして、被害状況の的確な把握をしておるわけでございますが、今後この被害状況に応じまして造林補助事業とか、あるいは林業改善資金等の融資の問題、さらには森林災害復旧事業によりますところの復旧造林をどうするかというようなこと、また、被害木の搬出、復旧造林に必要な林道の開設、いろいろな方法を講じまして、被災森林復旧には万全を期してまいりたいと考えております。  なお、この被害に伴いまして今度はエロージョンの問題が出てまいりますので、私ども、山地の荒廃を防止するという見地から、特に今後の雨によりまして地域の人家あるいは公共施設被害が与えられると大変重大問題でございますので、そういう個所につきましては、緊急治山事業によりまして早急に復旧いたしまして、二次被害が起きないようにしてまいりたいと考えております。  なお、それ以外の地域につきましても、必要な個所は計画的に治山事業を進めてまいりたい、かように考えております。
  15. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 激甚災害法に定める激甚災害に該当する場合は、被害木の整理あるいは作業路開設も含めて高率な助成が行われることとなりますが、今回の災害激甚災害指定基準に該当するかどうか、ここが非常に大きなあれだと思います。この点についてはいかがですか。
  16. 秋山智英

    秋山政府委員 現在、現地におきまして、この激甚災害法指定基準に該当するかどうか、鋭意被害状況把握しておりますので、把握した結果を待ちまして検討してまいりたい、かように考えております。
  17. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 森林災害復旧事業については早急にやっていただかなければならぬわけでありますが、検討をし、いつごろまでにこれが明らかにされるのかですね。
  18. 秋山智英

    秋山政府委員 大体被害の発生しましたのを終息を見定めましてから約一カ月以内に提出していただくように県を指導しております。したがいまして、今回の災害ですと、五月末にはこれを何とか把握したいということで、現在鋭意努力しているところでございます。
  19. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 今回の火災を教訓として、林野火災予防あるいは防災にどのように対処するのか、この点について御質問します。
  20. 秋山智英

    秋山政府委員 林野火災対策につきましては、予防対策消火対策が有機的に連携をとりながら一体的に進めるようにこれまでも努力してまいったところでありまして、林野庁といたしましては、消防庁その他関係機関と十分連携をとって、国有林、民有林を含めました森林全体の火災予防対策をしてまいったところでございます。  特に、具体的に考えてみますと、最近の出火原因は大半がたき火の不始末であるとかあるいはたばこの不始末であるとか、そういう人為的なものが多いわけでございます。特に、森林内での火の取り扱い方というのを知らない方々が最近山菜取りその他で入ってくる関係もございますので、私どもとしましては防火思想をさらに啓蒙、普及、徹底するということがまず第一であると思います。  それから、そういう観点からいきますと、せっかく営々として植えてまいりました緑が一瞬にして消え去るわけでございますので、山火事のこわさを十分知らせるポスターであるとかあるいはバス・ステッカー、その他いろいろなPRの方法をもちろん進めるわけでございますが、さらに森林レクリエーションその他で、あるいは山菜取りで多く山へ入ってくる地域、あるいは火災が発生するおそれのある地域につきましては、これまでも森林保全の巡視員を配置しまして巡視させておりますが、これら巡視を通じまして現地での指導徹底を図ってまいりたい。  さらに、火災の発生の多い地域につきましては、空中防除も含めまして予防の資器材の配備あるいは防火管理施設の整備ということもやってまいらなければならぬと思います。さらに、山火事の発生を見てまいりますと、大体四月から五月の初めという時期でございますので、こういう時期には消防庁と林野庁と一緒になりまして、全国の山火予防の運動をさらに徹底してまいりたいと考えております。  今回、私ども、東北の大規模な林野火災を見てまいりますと、ほとんどが時期的にはお昼前後一斉に発生しているというようなことがございます。したがいまして、これらの経験を今後生かしまして、特にそういう乾燥している時期のお昼前後の火の取り扱いというものをどうするべきか、そういうことも含めまして十分消防庁と連携をとりながら、この予防対策には一層努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  21. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 このたび岩手県久慈市の山林から発生した林野火災により、水産業に関しても、久慈市漁業協同組合管内で、漁船、漁具、組合共同利用施設を焼失する被害が発生しております。盛漁期を迎えまして非常に困難な事態に直面しておりますこの漁民の皆さんでありますが、農林水産省としてこれに対してどのような対策を講じようとしているのか。これは早急にやる必要があると思いますが、いかがでしょう。
  22. 松浦昭

    ○松浦政府委員 去る四月二十七日の岩手県久慈市の山林から発生いたしました林野火災によりまして、久慈市漁業協同組合管内の二子、大尻地区の漁船、漁具、共同利用施設等が焼失をいたしたわけでございます。水産業関係被害が総額約七億円ということで、被災者の方々にまことにお気の毒な被害が生じたわけでございます。  私どもとしましては、この災害に対する対策として、まず漁船についてでございますが、漁船保険の支払いについては、全損した漁船五十九隻に対して、すでに五月四日、保険金二千六百万円を支払ったところでございまして、分損の漁船につきましても、損害額が確定次第保険金を支払う所存でございます。漁船、漁具、漁具倉庫等の取得のために農林漁業金融公庫資金あるいは漁業近代化資金等の災害関連資金が円滑に融通されるようにすでに関係機関に指導をいたしております。  また、本地区は昭和五十六年度より新沿岸漁業構造改善事業の対象地区に指定されておりますので、冷蔵庫、倉庫等の共同利用施設の整備につきましては本事業の対象とし得るわけでございます。現在、岩手県の方で五十八年度予算の事業費目を見直しまして緊急度の高いものから整備できるように事業計画の変更を検討しているというふうに聞いておりますので、この検討を踏まえて私どもとしては対処してまいりたいと考えております。  なお、被災地区におきましては現在御指摘のようにコウナゴ漁の漁期でございます。引き続きカレイ、ウニ等の漁期に入るわけでございまして、これら被災漁民の方々の漁業操業に支障があってはならないと考えられます。そこで、代船の一括購入について指導いたしまして、すでに漁船四十隻の一括購入について手当てがなされたというふうに聞いております。操業には一応支障がないようになっているということでございます。  また、被災に伴う減収等につきましては、苦しい状況にある漁民に対しては沿岸漁業経営安定資金の融通等が図られるように指導してまいりたいと思っております。
  23. 玉沢徳一郎

    玉沢委員 災害につきましては万全を期して復旧に努力をしていただきたい、このことをお願い申し上げまして、終わります。
  24. 山崎平八郎

  25. 日野市朗

    日野委員 ここ数日、いわゆる銘柄米取り扱いが新聞紙上をにぎわしておりまして、関係者の非常に強い関心がこの問題について集まっているところであります。その震源になったのは精米流通研究会報告でございます。そこで、私も、これだけ世上を騒がせているわけでありますから、この点についてはしっかりした御見解を食糧庁の方から伺っておきたいと思います。  そこで、精米流通研究会でございますが、これはどのような性格づけを与えるものなのかということについてまず伺いたいのであります。これは食糧庁長官の私的な諮問機関である、こういうふうに理解をしておりますが、大体この私的諮問機関というものがどのような拘束力を食糧庁政策に対して持つものであろうか、そこいらについてはどのように理解をしたらよろしいのか、ひとつ御見解を伺っておきたいと思います。
  26. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 精米流通研究会が発足しました契機といたしまして、先ほどもお答えいたしましたが、改正食管法のもとにおきまして、需要に即応した供給体制の整備をいかに図るか、特に品質別需給管理精米段階でどう図っていくかという点が一つございましたのと、五十六年の消費者米価の御審議の際、米価審議会から標準価格米の存廃を含めて精米流通あり方について検討するようにという御指摘があったわけでございます。  そこで、昨年の四月から一年にわたってこの研究会を開いたわけでございますが、これは食糧庁長官私的諮問機関といたしまして、流通におきます実務、専門家の方を中心にいたしまして、新しい流通体制についての実務的、専門的な立場での全体のコンセンサスを得たい、また、御意見を忌憚なく出していただいて、そうした新しいあり方について御審議をいただいて、私どもはその報告をいただいた上で新しい流通あり方について順次進めるべきものは進めていく、こういうふうに考えてスタートしたものでございます。
  27. 日野市朗

    日野委員 私的な諮問機関からこういう報告を上げていただくということになりますと、やはりかなりの拘束力を持つ報告であろうというふうに考えざるを得ないのであります。この流通研究会検討の経過を見ますと、研究会のメンバーのお忙しい方々にお集まりをいただいて、九回にわたって検討を進めておられるわけで、これはかなりの拘束力を事実上持ってこざるを得ないというふうに私感じているのであります。私は、このような流通研究をなさる、こういう仕事をするからには、やはり単なる流通だけではなくて、流通の周辺の部分、つまり生産から消費からそういった部分までかなり手広く本来は検討が加えられてしかるべきものであろうというふうに思うわけでありますが、私がこの研究会の名簿を拝見いたしますと、ここでは、少し極端な言い方をすれば、流通消費関係者一色である。もっと生産関係についての配慮をなさってしかるべきではなかったか。生産者の側からのいろいろな立言をもっと求めてしかるべきではなかったかというような感想を持っております。  一体どういう基準でこういう人を集められたのか、また、生産関係ということについての配慮がなされていたのかどうか、そこら辺についていかがでございますか。私がいま申し上げた感想は間違っておりましょうか。
  28. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 今回の精米流通研究会は、いわば産地から卸までは御存じのように玄米段階で参りまして、卸以降の消費段階に参ります際に精米され、かつ消費者の方へ渡っていく。いわばこの供給されましたものが消費される段階として、精米段階の問題が中心であるという観点から、精米に直接かかわる専門の方々を中心に委員を選んだことは事実でございます。  ただ、御指摘のような意味生産関係にも携わっている方も若干この中には含めまして精米の研究をいたしたわけでございます。私どもとしては、そうした意味でも生産者側の意向も十分反映はされたと思いますし、私ども、その際に、先ほども申し上げましたが、特に現行のこれまでの銘柄米制度あるいは良質米路線なりは、変更するということは研究会も一切考えませんで、そうした形であらわれてまいります供給の条件のもとにおきまして、精米流通あり方検討したわけでございます。
  29. 日野市朗

    日野委員 生産者側の意見も聞いたとおっしゃる。しかし、この研究会の名簿を眺めた範囲では、残念ながら私にはそうは思えないのであります。いま私はここで名簿の一人一人、だれがどういう立場でというようなことを言おうとは、これは時間の関係もありまして思いません。しかし、こういう研究会報告が出されたけれども、これが具体的に実施されていくという点で、これからも生産者立場に立つ人の意見は十分耳を傾ける準備はおありかどうか。いかがでございましょう。
  30. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 私どもこの報告を受けまして、報告を直ちに実施するという考えではございません。先ほども申しましたが、できるものから実施する。やはり毎日の主食にかかわる問題でございます。消費者についても非常に関心も強いと思いますし、それを供給する生産者側の方も、当然重大な関心をお持ちの点でございます。実施に当たっては、そうした各般の皆さんの御意向を十分見きわめながら進めていくべきことだと考えております。
  31. 日野市朗

    日野委員 私もどっちかといえば生産者側みたいなものでございますが、これから私なんかも、それからいろいろな生産者立場に立つ人たちの意見も、どしどし物を申してまいります。聞いていただけますな。
  32. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 私ども聞くことはやぶさかでございませんし、重要なこと、必要なことにつきましては、私どもその御意見に耳を傾けるつもりでございます。
  33. 日野市朗

    日野委員 まあ、了といたしておきましょう。  それで、この内容について若干気になる点がございます。この研究会報告がお手元におありでしたら、二十一ページ、一番最後のところ、(4)の〔30〕の部分をごらんいただきたい。ここで朗読は避けておきましょう。この部分は一体どういうことを意味するのでしょうか。
  34. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 御指摘の点は前段と後段に分かれておりますが、前段におきましては、優良銘柄米の単体での流通、これにつきましては、現行いわゆる三点セットと言われております。この表示廃止し、こうした表示は「原則として禁止すべきと考えられる。」という否定的意見でございます。  後段は、「他方、今日の状況の下で、今直ちにこれを認めないこととするのは現実的でないという考え方もあるが、」ということで、こういう考え方の場合には、精米流通あり方全体への影響なり表示検定上の問題等を慎重に見きわめる必要があるということで、否定的な立場からの御意見であったと解釈いたしております。
  35. 日野市朗

    日野委員 多くの人々はここの部分の記載を読んで、これはいわゆる三点セット廃止する方向を示したのだとお読みになった方がかなりの数おいでになるようであります。しかし、いまの長官の御説明であると、この点はそういう結論を言ったのではなくて、両論を併記したものというふうにいまの御答弁からは聞こえるわけでありますが、そのとおりの理解でよろしゅうございますか。
  36. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 私は、この御意見意見一致を見なかった部分、このように理解いたしております。
  37. 日野市朗

    日野委員 そうすると、この点の記載は一つ結論を指し示してはいない、こういう考え方があったという二つの考え方が記載されているものとして、食糧庁長官としては両論併記として受けとめておられる。よろしいな。
  38. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 さようでございます。
  39. 日野市朗

    日野委員 この問題が新聞紙上等に報ぜられましてから、非常に多くの論議を巻き起こしました。私は、そういう論議が巻き起こってくるのは必然的なことであったろうというふうに考えるのであります。特にマスコミ等の取り扱いを見ておりますと、この三点セットを禁止していくというような方向を示したものであるというふうに理解をしているのが大部分でありまして、私、そういう報道のされ方を見れば、これはいままでの政府優良銘柄米についての政策というのが大きな変更を加えられたのか、大転換をいま遂げたのかというような印象で世上受けとめられてやむを得なかろうというふうに思っていたのであります。  しかし、いまの長官のおっしゃるのは、それは両論併記にすぎないという解釈で、これは、解釈を伺いましてほっと安心するやら、まだ若干の疑問を残すやら、いろいろしているわけでありますが、どうなんですか、この優良銘柄米については、いままで国の政策、農水省の政策といたしまして、主食についての政策として、この優良銘柄米を推進していく、そしてそれの増産を図っていく、こういう方向は厳然としてあったように思います。  そうして、これはもう消費する側も、優良銘柄米がきちんと三点セット表示をされているということについての安心感から、それに対して消費が集中していったというような傾向も見られるところでありまして、消費者の側も、三点セット廃止ということになりますと、これは非常に強い衝撃を受ける。一体何を根拠にこれからいい米と悪い米を見きわめたらいいのか。買って食ってみたらうまかった、買って食ってみたらまずかったでは、これはぐあいが悪いわけでありまして、うまいものを食べていこうという消費者の志向、これについてもやはり大きな混乱を与えたのではないかというふうに思います。  また一方、生産者の側からいえば、減反政策が推進されて、そして米の絶対量が抑えられてくる、生産の絶対量が抑えられざるを得ない、そういうところから、その活路を食味のよさに求めていった。優良銘柄米の方向に生産が傾斜していくわけでございまして、そしてそれにかけていったというところもあるかと思います。優良銘柄米というのは多収穫品種でもありませんし、そんなに丈夫な品種でもありません。しかし、そういう方向で自分たちの活路を開こうとした、こういう努力を営々として積み重ねてきた、こういう傾向があって、ここで簡単に方向転換をされた、ハンドルを切られたのではこれはたまったものではない、こういうふうに思います。これは私は非常によくわかるのでありますね。  ずばり伺いますが、どうでしょうか、こういう優良銘柄米についてのいままでの農水省の方針、これは変更をされるのか。それともいままでの方針は維持されるのか、厳然としていままでのように優良銘柄米を推進していくという農水省の姿勢は変わらないのか。いかがでございますか。ここは重大な点でありますから、長官にもひとつお答えいただきますが、あと、大臣からもここは所信を伺いたいというふうに思っていますが……。
  40. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 非常にいい機会でございますので、私の方からもお断り申し上げたいと思います。  と申しますのは、この研究会報告自体も、御指摘のような優良銘柄米の今日までの推進自体を否定したりしているものでは決してございません。この議論になりましたのは、優良銘柄米が、産地からそれぞれ明確な形でそれぞれの規格なりを持って玄米として流通してまいったものを、消費段階精米として流通させる段階におきまして、これを単体の一〇〇%という形で、いわゆる三点セットでございますが、そういう形で消費していくか。あるいは、こうしたものが限りがあるとするならば、そうしたものだけをいわば早食いみたいな形で、早く食べて途中からなくなる。質的な安定と、そうしたものを有効に利用して広くおいしい精米をつくった方がいいかという、精米段階の御判断として両論あったということがこの研究会報告でございます。研究会でもそういうことでございまして、決して御指摘のようなことを生産段階にわたってまでこの研究会が論及したものではございません。  それから、私どもも基本的に今日まで優良銘柄米が育ち、米質の向上等に果たしてこられた御努力なりも買っております。また、そうしたこれからの生産の方向について、私どもは決してこれを変更するとか、極端に伝えられたような銘柄米制度廃止するなんということは毛頭考えておるものではございません。この点についてははっきり申し上げておきます。
  41. 金子岩三

    ○金子国務大臣 優良銘柄米扱いについていろいろ物議を醸して大変申しわけないと思います。  私は、大臣がこれは知らなかったということは言えないことですが、新聞にいろいろ書いてありますから、ありのまま申し上げますと、いろいろ関係生産者団体の代表の方々から話がありまして初めて知ったような事情でございます。  ただ、いま日野先生がお尋ねになっておるポイントは、この際これは残すのか、やがては何らか手を加えようと考えておるのかという突き詰めた御質問でございます。それに私の立場でお答えするとするならば、やはりこれはそれなりに意義があって、この優良銘柄米が、今日まで生産意欲を持って、これがおのずから米のいわゆる消費にも大変貢献しておるじゃないかというようなことも私は考えたりしまして、やはりこれを廃止するということは容易ならぬことである、このように考えております。その裏を返せば、当分はこのまま残すべきではないかというような考え方でおります。
  42. 日野市朗

    日野委員 この優良銘柄米を推進をしていくという方向は従来と毫も変わらぬ。よろしゅうございますね。
  43. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 私ども優良銘柄米生産し、これを供給していくようなこれまでの基本的な態度におきましては、何ら変更を持つものではございません。
  44. 日野市朗

    日野委員 この三点セットは、生産地、それから銘柄生産年、この三点にわたるわけであります。これは、たまたま先ほど玉沢委員の方から備蓄の問題が出たのでちょっと触れておきたいというふうに思うのでありますが、備蓄をするときは新米ばかり食っていったら備蓄にはならぬではないかという考え方は、これはございます。しかし、備蓄という問題は非常に奥の深い問題でもございまして、新しい米をどんどん食っていったら備蓄にならぬだろうということで問題が解決するものではないというふうに私は思います。これは、備蓄の手段、方法備蓄の技術、こういった面についても現在鋭意研究が行われているというふうに承知をいたしております。  備蓄の必要性ということは、これは言うまでもなく、だれしもが認めるところであります。備蓄するに当たっても、新米はどんどん備蓄に回してしまうなどという単純な考え方に立った備蓄考えておられるものでもないというふうに私はいままで農水省の備蓄あり方について理解をしてきたのでありますが、その点も間違いございませんでしょうね。
  45. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 備蓄につきましての考え方の御指摘でございますが、御指摘のように備蓄の形といたしまして、年々の新米を古米と置きかえていくという形での回転していく備蓄と、さらにある種のものを長年保管していくという形と、二つあろうかと思います。私ども、年々の回転していく備蓄といたしましては百万トン程度までが限度だろうというふうに、新米志向との関係では考えます。安全保障なりを考えて積み増しておくのが必要なものをどういう処理なり保管をするか、また、それらにつきましての財政的な問題等、こうしたものは国民的なコンセンサスを持った形で考えなくてはならない部分だろうと考えております。
  46. 日野市朗

    日野委員 私は、優良な米をどんどん進めるということは非常に大事なことなのであろうと思います。差し迫った問題としては消費拡大しなければならないという非常に重大なポイントにもなっておりますが、それと同時に、やはり日本人の食文化ということも考えなければならないと思うのでございますね。いままでの栄養学なんかでありますと、ややもすればカロリー計算であるとかそんなことにとらわれてきましたけれども日本には日本に適した食味のよさ、米の食味のよさということが一つの食文化としてきちんと大事にされていかなければならないと思いますので、私はこれからもこの優良銘柄米はどんどん推進をしていかなければならないであろうと思います。食糧庁の取り組みとしてもぜひともそのように、先ほどからおっしゃっておられるようにこの優良銘柄米を推進するという方向で進んでいただきたい、このように思うわけでございます。現在米作の技術者たちができるだけいい品種をということで努力をしながらやっている姿は本当にりっぱな姿でありますし、いままでのこういう方針を踏襲していただく、このことを強く要請をしておきたいものだと思います。  そこで、私、特に強い関心を持たざるを得ないのは、こういった良質米をつくっていくという上でのいろいろな国の側からのバックする姿勢というものが非常に必要なので、これについてはこれからも十分な注意を払っていただかなければならないと思うわけであります。  そこで、私、ここで農水省側に特に強く要請をしておきたいのは、いわゆる良質米奨励金であります。これをきちんと確保していくという方向は非常に大事な一つの柱として評価してもらわなければならないと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  47. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 私ども良質米路線なり質的な向上につきまして進めていくことは大いに必要なことと考えておるわけでございます。ところで、具体的な問題として良質米奨励措置の問題が出ましたが、まずお断りしなければならぬのは、今回の精米流通とこの問題とは全く関係ないものでございます。良質米奨励金は、奨励金の問題といたしまして今日まで作付の拡大なりに寄与してきたところはございますが、他方、御存じのように行財政の改革というような問題から、第二次臨調におきましてもその廃止ないしは縮減というようなことを求められておるわけでございます。  ことしの具体的なあり方はどうするか。ここ二年ばかり、昨年も、改善すべきところは改善してまいりましたが、ことしの具体的なあり方につきましては、生産者米価の決定とも関係するところが大きい問題でございますので、その際あわせて私どもとしては検討してまいりたい、このように考えております。
  48. 日野市朗

    日野委員 財政当局との関係ということをしょっちゅう言われるわけでございますが、いずれにしてもこの問題は生産者の側から見るならば非常に大事な問題でございます。先ほどから良質米、優良銘柄米といったものについては方針に全然変更はない、これを推進していくというお答えが何回もありましたけれども、良質米奨励金が減額されるとか、場合によってはなくされていくというようなことになると、現実には国の政策優良銘柄米に対して冷たいのではないかという印象を与えかねないと思うのですが、そうすればゆゆしいことになってまいります。これについて、良質米奨励金をきちんと確保するために十分の努力をなさるということをお約束いただけませんか。
  49. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 先ほども申したとおり、今後の検討課題になっておりますが、ただ、私どもの方から申し上げますならば、政府米におきます財政負担とこのような自主流通米に対します財政負担という相互の相対的な関係もございます。私どもとしては、いろいろな問題を含めて考えていかなければならない点であろうかと思います。生産面におけるそうした方向自体を助長することを私ども何ら否定するものではございませんが、奨励措置としての今後のあり方については、米価とあわせて検討させていただきたいと存じます。
  50. 日野市朗

    日野委員 この点についてはなかなか歯切れのいいお答えが得られないで、私としてはまことに残念なわけでありますが、私の方から強い要望として、ぜひ良質米奨励金を確保するという方向でがんばっていただきたい。農水省というのは第一義的には生産者を非常に大事にしなければならないわけでありますから、それが農水省の責務であろうかと私考えますので、その点、強く私の方から要請をしておきたいと思います。  研究会報告に戻りますが、この十ページの記載にいささか問題があろうかと思いますので、十ページを見ていただきたいのであります。  そこの六行目から、このような記載がございます。「このような事情を考慮し、産地・品種・産年の表示については、一般的には、これを禁止し、特定の産地・品種・産年の原料玄米が過半数を占めている場合に限り、」云々これを「認めている。」と書いてあるわけでございます。私、これを見て、この記載の仕方、「これを禁止し、」というのがいささか気になってしようがないのであります。一般的にはこれはだめなのよと言っているわけでございますね。禁止というのはそういう記載です。この記載で問題はないのですか。禁止しているとすれば、一体何を根拠にしているのか、禁止というのはどの程度強力なものなのか、罰則でもおありなのか。いかがでございますか。
  51. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 これは、私どもの方の食管法に基づきます結論から言いますと、農林水産大臣が定めております販売業者の業務運営基準におきまして、販売業者が販売する袋詰めの精米につきましては食糧庁長官が定める基準に従って行われるようにしているということで、一般的にはそういうのを認めておらないわけでございます。三点セット表示の具体的なやり方については、食糧庁長官通達でこれを定めております。その後段に、④の下の方に書いてございますようなこうした考え方から、大型精米工場を対象にしまして第三者機関なりによる表示検定によりまして認められる分は認めていくというふうに考え処理しているところでございます。
  52. 日野市朗

    日野委員 言うなれば通達でこれをやっているということでございますね。そうすれば、これは通達ではこうなっていると書くべきなんで、あたかもこれは法律上の根拠に基づくような記載で、これは禁止という記載になりますと、非常に強い印象を与えるわけですね、一般に。そうじゃありませんか。本当は通達でやるとか行政指導によってやっているんですよというようなことで、これを禁止するという非常に強い印象で受けとめられるということは避けるべきではなかったか、こういうふうに私思うのですが、どうでしょうか。
  53. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 ずっと論述の考え方につきましてちょっとお断りいたしますが、原則的に禁止しておる例外と申しますか、認められるのは、大型精米工場におきます袋詰め、かつ、それの検定を受けたもの。したがいまして、一般的に店頭精米等で行われるようなものは禁止されているんだとかなり強く指導している観点から、これは差しとめているんだという趣旨でこう書いたと思います。研究会報告でございますので、表現として適当であるかどうかという点は、私ども十分御意見を参酌して解釈してまいりたいと思っております。
  54. 日野市朗

    日野委員 そうしますと、ここの報告書の中ではこういう「禁止し、」という文言を使ってあるけれども、実際はこれは通達に基づくものでございますというふうな理解でよろしゅうございますね。
  55. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 これは一般的にはそういうことはやらないように私どもの方は禁止しているという意味で書いたことでございまして、措置は通達なりでやっております。
  56. 日野市朗

    日野委員 私どもこの報告書を読みまして、懸念が何点かございます。これは何度も何度も私繰り返してしつこく伺って、しつこく答えを求めたわけでありまして、そしてその答えとしては、優良銘柄米推進の方向は、これは変わらぬということでございますが、それでもなおかついろんな疑念を持つ人たちはおります。  たとえば小売に出る米の価格についての誘導の問題であります。いま確かにササニシキであるとかコシヒカリであるとか、これは非常に高い価格を形成をいたしております。憶測すれば、標準価格米がさっぱり需要が伸びないということから、ササ、コシを少し抑えろというような考え方からこういう報告書に書いてあるような考え方が導き出されてきたんだというような勘ぐりも出てくるわけでありますが、価格の誘導についてもこの報告書に記載のしてあるところがございますね。一応概括的な基準を定めて、それによって価格の誘導を図りたいとするような考え方が記載してある部分があるわけでありますが、この価格を形成をしていくということについて、これは自主流通米制度が取り入れられてしまうと、現実に取り入れられてしまったわけでありますが、そういうことになりますと、自主流通米の価格の形成というものは、かなり市場原理によって価格が形成されていくということは避けられないことではないか、そういうふうに思うのであります。これを行政の力で統制してしまおうという考え方がこの研究会報告の中にある、または食糧庁考え方の中にあるというふうに見る見方もあるわけでございますね。その点はいかがでございましょう。
  57. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 価格の問題につきまして、特に販売段階におきます価格につきまして、政府米については政府が少なくとも卸の段階までは統制しておるわけでございまして、それ以降は、小売の段階になるまでは直接の統制はしておりません。自主流通米の値決めにつきましては、買い手である需要者と売り手である指定法人の間で当事者間の自主的な協議を尊重するように図っておりまして、私どもできるだけ価格の介入は避けたいとは考えております。  ただ、御承知のように改正食管法におきまして、政府米自主流通米ともに政府の管理のもとに需要に即応いたしました供給をするという大枠の中で動かしていく問題でございます。したがって、そうした中でまた非常に問題が出るおそれもありますので、業務運営基準なりにおきまして、これについては個別の指導なりはし得るようになっておるわけでございます。  ただ、自主流通米といえども、それ自体市場の評価を受け、また生産者として手取りもいいということでは、私どもも利点を認めるわけでございますが、全くの自由であるということ自体はいかがか。全体の大枠の中で、一つの認可を受けて流通していくという大枠の中で、やはりリーズナブルな関係がないといかぬのではないか、こういう考え方は持っておるわけでございます。
  58. 日野市朗

    日野委員 食管における大枠ということは当然の前提であります。それを前提としてお話をするわけでございますが、やっぱり価格が上昇をする、そしていいものについては価格が上がるということについては、ある程度合理性があってこれは上がるのだと思います。また、それが上がり過ぎれば、逆に値段を引き下げる要因が働いてくるという市場原理、これもまた合理的なことだろうと思うのですね。  そういったところは、これを過度に権力で統制してしまう、そして一定の価格の枠に抑え込んでしまうというようなことは、自主流通米制度ができて、そして優良銘柄米をいろいろな生産地から消費に向けていろいろ努力をしている流通関係の人たちをも含めて、それぞれの努力をしている、たとえばササニシキを流通させている私の方の県なんかの経済連を見ますと、これはここ三年来ずっと不作で量が少ないわけでありますけれども、それでもできるだけ需要に見合った供給をしようということで本当に努力を続けているわけでございますね。こういった努力というのも、やっぱり価格がある程度維持されているというところから、こういう努力もしがいがあるというわけでこれは努力をするわけでございます。こういった制度のメリットというものも十分に勘案した価格を考えなければならないというふうに私思っております。これを自主流通米については過度に、政府一つの価格の指針を立ててそれに無理やり合わせるというようなことだけはなさらないでいただきたいというふうに思うのですが、どのようなお考えですか。
  59. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 御指摘の最後の、指針とかそういうふうにおっしゃられた件は、標準ブレンド米の今回の提案についてこうした御指摘があったということでございまして、自主流通米自体にそういうことは本報告では触れてないように存じますけれども、ただ、自主流通米であればこれは全く自由な価格形成でいいのだということかどうかという点は、私どもはやはり注意して見なければならない。政府米自主流通米流通全体が、私どもとしてはやはりある程度の管理下になければなりませんし、特定銘柄米が非常に評判のよろしいことも結構なのでございますが、やはり国としましても、そうした枠組みと、一方では先ほど御指摘のありました奨励措置なりもとっているという関係もございます。やはり自由であれば自由なりのやり方というふうに移っていくということにもなろうかと思います。全体の時期を見ながら、私どもは適正にこうしたことは考えていくべきではないか、こう存じております。
  60. 日野市朗

    日野委員 おっしゃるとおり、標準ブレンド米について価格の指導についての記載があるわけであります。私が言うのは、標準ブレンド米の価格を抑え込むことによってササニシキとかコシヒカリというような優良米の価格を引き下げていこうというような力が働いてくる、そのような行政指導をされるというようなことについての危惧を私はいま表明しているわけでございます。いかがでございますか。
  61. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 御指摘の点で、二つの点があろうかと思います。標準ブレンド米を設定する場合の目安、これは政府米のほかにマル自と申しますか、自主流通米混米するわけでございますので、その際の自主流通の価格というものを規制するようなものではないかという御懸念であれば、私どもそういうつもりはございません。先ほど申しましたように、私どもはあくまで生産地から供給されます産地銘柄等については、むしろはっきりしておりませんと、こうした標準ブレンドのようなブレンド自体がとれないということでございますので、これはこれとしてはっきりしていかなければならないもので、これを抑えてブレンドを成立させるというような趣旨はございません。  もう一つ標準ブレンド米なりが全体のさらに上の方の上米クラス、自主流通を中心にしました上米の価格を引き下げる作用があるかどうかという御懸念とすれば、これは全体の需給関係で生ずることだろうと思います。その年々の需給状況によっては、自主流通といえども五十三年、五十四年産のように非常に需要以上に良質米が生産されました際に市場が軟化するということはございます。そうした需給事情によって出るものと考えますが、標準ブレンド米は特にそういう御指摘のようなことを意図してやるものではございません。少なくとも今日の市場の状況からいたしますならば、むしろ上米が比較的リードしているような市場の価格形成ではなかろうか、こういうふうに見ております。
  62. 日野市朗

    日野委員 時間が参りましたのでこれで終わりにいたしますが、この問題を軽率に扱うことは決して得策ではございません。そして、この問題の持っている根の深さというものを十分に理解した上で、この問題についての取り扱いはやっていただきたいと思います。もし銘柄米についての冷たい取り扱いが行われれば、そこから出てくるものは何かといえば、これは不正規流通の増大ということでございましょう。そういった観点から、食管の根幹を守るという観点からも、ぜひこの点については慎重な取り扱いをお願いしたいということを最後に一言申し述べさせていただいて、質問を終わります。
  63. 山崎平八郎

    山崎委員長 午後零時十五分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時二十五分休憩      ────◇─────     午後零時十九分開議
  64. 山崎平八郎

    山崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松沢俊昭君。
  65. 松沢俊昭

    ○松沢委員 午前中、お二人の方々から精米流通研究会の御質問がございました。いろいろ聞いておりましたけれども、まだ合点がいかないところがございますので、若干質問を申し上げたいと思います。  大体、研究会というものを発足させなければならなくなった理由は一体どこにあるのかというところから、ひとつ長官にお伺いしたいと思うのです。
  66. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 研究会発足の理由でございますが、一つは、改正食管法のもとで需要に見合いました供給体制ということで、特に精米段階におきます供給体制を新しい枠組みで有効に機能させるにはどうあったらいいかというのが第一点でございます。  第二点といたしまして、一昨年十二月の米価審議会におきまして消費者米価の御議論の際、標準価格米の問題が特に論議されまして、標準価格米の存廃を含めて精米流通あり方について特に研究するようにという御指摘がありました。  こうした二点を踏まえまして、昨年四月からこの精米研究会を発足させたところでございます。
  67. 松沢俊昭

    ○松沢委員 この精米研究会の発足の背景といいますか、動機といいますか、それはその二つにある、こう言われるわけでございますが、この流通研究会報告を見ますと、標準価格米についていろいろ書かれております。つまり、標準価格米というのは最近はほとんど売れない、それから徳用米もほとんど売れない、こういう状態になってきているということがここに出ているわけであります。  それで、標準価格米というのは、これは物統令から米を外すという、そのときの経過措置として標準価格米というのができたという経過があるわけでありますが、どうして物統令から米が外れるとき標準価格米というものを経過措置としてつくらなければならなかったのか、そのことを改めてもう一度長官にお伺いしたいのです。
  68. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 物統令の廃止に伴いまして、従来小売段階まで統制しました価格統制につきまして、これを外したわけでございますので、その激変緩和の経過的な措置として標準価格米という、中心的な、一般的に食べられるようなお米については、その原料、マージン等、適正なものを設定して暫定的に設けるべきではないかという強い御意見もありまして、これが今日まで続いてきている、このように理解いたしております。
  69. 松沢俊昭

    ○松沢委員 私もそういうふうにして理解しておりました。つまり、消費の基準となるべきところの米というのはやはり中心に据え置いて、要するにその上下はあってもよいけれども、その基準となるべきものはいまでもなければならないのじゃないか、こう思っているわけなんです。ところが、最近それが作用しなくなってきた、こう書かれているわけでありますが、なぜ作用しなくなったのかということなんですね。これは、私たちは次から次へと食糧管理の制度というものを空洞化してきたんじゃないかという指摘を何回も何回も繰り返しながらしてまいりました。それで、結局、標準価格米というのがあれば、価格の面におきまして一定の歯どめというものをかけながら進むことができるのだから、だから心配ないんだということでこれができたわけでありますが、それがいつともなしに作用しなくなってきた。作用しなくなってきたから、これはだめなんだから廃止をして、そしてまた別なものを考えていく、こういうことでありますが、今度は別なものを考えるとなると、これはもう明らかに間接統制の方向に進もうという、そういうステップとして精米流通研究会というものが発足してきているんじゃないか、こんなぐあいに実は考えられるわけなんです。これは、このままほったらかしておくと、直接管理というところの食管の原則というものが崩れてしまうのじゃないか、こう思いますが、その点は一体どうお考えになっているのですか。
  70. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 食管法の制度の世界といたしましては、政府米を買い入れる際の価格のあれは当然決定しております。毎年度適正な価格を決定してまいりました。流通面、供給の側といたしましては、卸売業者まで販売いたします価格は国が統制している。  それから先は、物統令の廃止後、これは食管法の世界では、制度としては自由なものになっておることになっております。これは先般の改正食管法の御審議の際も当局からそのように申し上げた点でございまして、標準価格米は、物統令という、物価統制の別途の観点からの制度に基づきまして小売段階まで統制したのを廃止したわけでございますが、その経過的措置として標準価格米が今日まで来たことでございまして、この存廃が食管法上の食糧の管理に直接つながるようには思わないのでございますが、問題点として、これは機能しなくなった。これはこの報告の中でも触れておりますように、標準価格米につきまして、まだ機能している地域と非常に機能が薄らいでいる地域、こういう二つの際立った傾向が出てきております。一般的に言いますならば、生産県につきましては、まだ標準価格米なりのウエートは比較的多いのでございますが、大都市の府県におきましては一〇%を割るようなことになってきまして、これが十分な機能を果たしていないのではないか、こういうことが特にこの研究会でも指摘された点でございます。
  71. 松沢俊昭

    ○松沢委員 食糧というか、米の管理の問題でありますけれども、基本的にはやはり政府が米の管理をやっていくというのは、需給の面において心配のない一つの保証、それから要するに価格の面において心配のないところの保証、基本になるべきものはこの二つだと私は思っているわけですね。だから、私たちは、そのうち自由販売とか間接統制になると、そういう二つの面の保証がなくなると大変なことになるということで、実は直接管理の方がいいじゃないかということを主張して今日まで来ているわけなのであります。  そこで、その価格の面の保証として、物統令というものから米が外れたとしても、これは標準価格米を、制度というものをつくるわけだから心配はないのだ、こう言って経過措置というものは考えられたわけですね。そうですね。ところが、その標準米が最初は四〇%も消費があった。ところが、だんだんなくなったというわけでしょう。結局、これはきちっとここにも書かれておりまするように、三類から五類の一、二等米を原料とするところの精米ですか、そういうことなんでしょう。この量というものは不足になったわけでもないわけでしょう。この量は依然としてあるわけでしょう、三から五類の一、二等というものは。そうすると、要するにやはり米の販売、卸の業者の段階におきましてだんだんと標準価格米の内容を落としてきたということですね。そして、標準価格米の材料になる分を普通の良質米のところに材料として入れる、こういう傾向というものが出てきたから、こっちの方がまずくなって買い手がなくなった。言いかえるならば、消費者立場からするならば米の値段は上がった、こうなると思うのですよ。それをまた、だから採用しないということでこれを切ってここのところに焦点を当てながらこれをどうするかといって決めていくということになりますと、だんだんと消費者立場からするならば高い米を食わされるということになる。もっと極端に言うならば、業界の利益のためにこの研究というものが行われるのではないかという勘ぐりすら出てくるということになるわけなのでありますが、その点はどういうことなんですか。
  72. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 これは一つは、標準価格米が設定されたときに経過的というのは、物統令廃止後の緩和措置としてこれを導入いたしまして、いずれはこれも廃止さるべきもので、暫定的に設定するということで設けられた、このように了解しております。  もう一つ、内容の問題でございますが、先生も御指摘になられたように、最近のように良質米志向が需要者に多い場合には、どうしても良質米が出ていく。したがいまして、比較的品位の低いものをもって標準価格米を設定せざるを得ない。また、それに対する需要もそう強くないというのが大都市の姿になっております。したがいまして、このような形ではなくて、この研究会はむしろ標準ブレンド米のようなものを新たに別途考えたらいいのではないかというのが一点と、もう一つ、特に価格的にも最低といいますか、安くてそれなりのものといたしましては、いまの徳用米なりを廃止して新徳用米というようなものを新たに設定することによってそうした低廉なものに対応し得るようなものをきちんと設けるべきではないか、こういう御意見として承っておるわけでございます。
  73. 松沢俊昭

    ○松沢委員 私は、検討してもらうということになれば、標準米が売れなくなったということになれば、標準米をどのようにしてもっと内容のいいものにするかというところの改善を諮問されてしかるべきであったのじゃないかと思うのですね。それを廃止の方向に行って、ここに四つの具体的な対応の方向ということで、提案というか、答申がなされているわけですね。それには、精米規格の充実だとかあるいはブレンド米の供給だとか標準価格米などの取り扱い、それから産地、品種の表示というようなことで、つまりいままでの標準価格米というのは一度もう廃止してしまって、そして、新たにブレンド米を中心にしたところの市場に変えていかなければならない、こういう提案ということになるわけなんですね。  そうなりますと、消費者立場からするならば、安くておいしいところの米が欲しいわけなんですよ。その消費者の要求にこたえない、そういう結果になるのではないかと私は思うのです。だから、いままでの標準米をもっと内容のいいものにすればいいわけでしょう。だから、あべこべなんじゃないかと言うのですよ。それはどういうことなんでしょうか。
  74. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 私どもおっしゃる御趣旨は十分わかるつもりでございますが、最近のように、先ほども御議論のあった点でございますが、良質なものは一つ自主流通として流通して、それなりの価格なり需要と見合っておるわけでございます。そうしますと、政府米を中心に考えていきますと、やはり値段と品質というものはそれなりの関係において設定しなければならない。これを、私どもとしても安くておいしいというのは理想でございますけれども、やはり高いものは高いなり、安いものは安いなりという価格と品質関係は、どうしても存在せざるを得ない。特に最近のように良質米志向が強くて、お話に出ましたような三点セットというような形でそうした需要が非常に強いような形のときに、政府米を中心にこうしたものを構成すれば、どうしても現在の消費の実態との間のずれが出る。  標準ブレンド米というものは、政府米だけの場合もありますけれども自主流通なりも加えながら、中間的に一般的に多くの人が食べられるようなものを考えた方が適切ではないかというのがこの御提案でありますし、現にそうした実験的なものが数県において行われております。そうしたことも参考として、私どもはこれを廃止するというよりも、そういうものは準備と並行して移行していくような形が考えられないかどうか、この点について消費者団体とも今後よく協議をして理解を深めていきたい、このように考えておる点でございまして、いまこれを直ちに廃止するとかいう性格に理解しておらないわけでございます。標準価格米については、これまでの歴史も当然ございますけれども、全体需給の中でどう位置づけていくかというのが重要な問題だと考えております。
  75. 松沢俊昭

    ○松沢委員 私の方からも提案したいのですけれども、さっき日野さんの方からも話がございましたように、優良品種、銘柄を栽培するには大変な苦労があるわけなのでありまして、ササニシキの生産の困難な面というものを午前中話しておられましたけれども、コシヒカリにしても同じことでありまして、普通、新潟県はコシヒカリ以外のものは雑種になって出ますから、そういうものをつくると単収がずっと上回るわけなんです。だから、コシヒカリをつくるということは病気だとか天候に非常に弱い、つくりにくいところの米なのでありますけれども、それはしかし、消費者の皆さんからなかなか喜ばれるということでそれを栽培しているということであるわけでしょう。それがさっきの一番最後に両方併記しているのだ、こういうあなたの解釈なのでありますから、それはそれで結構でありますけれども、三点セットというものをむしろ標準価格米のところに、ササニシキならササニシキが何%入っていますよということで入れて、そして何年の米で宮城県なら宮城県というのをぴしっと入れて、ここは何%入っている、栃木県のは何%入っているというふうにしてブレンドしたところの内容の三点を明確にして出していって、だから心配ないですよ、こういう宣伝をしていった方がいいのではないかと私は思っているのだが、こういうことはできないのですか。
  76. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 ただいまのお話、これは標準価格米にそうしたものを入れるということは、ある意味で言いますと、やはりいま御議論のありました一方、単体流通が相当の値段で流通しておるわけでございます。そちらの方に、良質米志向の需要者に回っていく。そうすると、そういうものを一面では制約して制限を与えていかないと、標準価格米の方になかなか回りにくいという実情もあるわけでございまして、今回の報告の四点目の産地、品種の表示の問題も、標準ブレンド米にいたしましてもそうした比較的下のクラスの方へ回そうとすれば、やはり上の方で単体流通ですべていったのではこれはまずいのではないか。先生のような御意見研究会ではございまして、むしろそうした意味では三点セット自体、現行の流通しているものを制約していかなくてはならないのではないか、そういう御意見もあったと思います。
  77. 松沢俊昭

    ○松沢委員 いろいろお話を聞きますと、答申は受けたものの、要するにこれをやるには慎重を期してやっていくのだからいますぐどうというわけではないのだ、こういうお話でございますが、私たちの意見というものもひとつ参考にしながらやっていってもらいたい、こう思うわけなのであります。  それで、私は、要するにここのところにも出ておりますが、良質米を消費者需要にこたえて供給するには一定の限界があるのだ、こういうお話でありますが、そのとおりだと思います。ですけれども、これは減反政策から来るところの矛盾もあるのではないかと思うのですね。まだ良質米はつくれと言われれば幾らでもできる、限界のところまで来てはいないのでありまして、やはり減反政策の矛盾、これもここに出ていると私は思うのですよ。  六十七万七千ヘクタールですか、一次減反の目標というのは。それがことしは、今度は六十万ヘクタールですね。だから、結局実績はずっと上がっていますから、今度米が足りなくなったから少し減反を緩めて米づくりをやってもらいたいといっても、町や村の方ではなかなかそれにこたえるというわけにいかないという状態のところもあるのですよ、長官。本当に私の選挙区の村でコシヒカリ団地をつくってくれ、こう言って村の方で要請がありましたけれども、種もみもないですし、苗もありません。したがって、それはできません。こういうふうにして、これはいまごろ言われてもどうにもならぬということで拒否というか、断る以外になかったというようなところもあるわけなのでありまして、やはり減反というのが良質米の量を制約している、こういうことが言えると思うのです。だから、本当にこういう消費者のニーズにこたえていくということであるならば、減反なんというものはやめてうまいところの米というのをつくらせたらどうですか。
  78. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 転作の目標面積の配分に当たりましては、地域間の公平という問題があるわけでございます。もちろん各都道府県一律ということが必ずしも公平なわけではございませんで、それぞれの地域の転作のしやすさ、しにくさ、さらには米の持っております、良質米であるかどうかというふうな属性、それから場所によりましては市街化区域内農地であるのかどうかとか、さまざまな要素を織り込みまして、ただいまでも都道府県別に眺めますとかなりな傾斜のついた配分になっておるわけでございます。いわゆる良質米地帯というのは、総体的に眺めますならば、目標の率においては軽くなっておる、こういう状況で運営いたしておるわけでございまして、良質米地帯であるから目標配分を全く行わないということは現実の行政としてはなかなかむずかしい、かような事情なわけでございます。
  79. 松沢俊昭

    ○松沢委員 では、減反の方に移りたいと思いますが、小島局長、御答弁ございましたけれども、私、これを試算してみましたが、この減反というのは大変国の金をむだ遣いしているのではないかというふうな感じがするのですよ、減反奨励金。ことしも三千四百億ぐらいは減反奨励金がございますね。大豆は、要するに最高の奨励金をもらいますと一トン八十万円ぐらいになるのではないですか。それから小麦で一トンに換算しますと四十二万円ぐらいになるのではないですか。それでいて、自給率というものはぐっと上がったかとなりますと、それほど上がっていないということじゃないですか。だから、今度は行革でいろいろ臨調がああだ、こうだと言っていますけれども、その中には、転作奨励金は切り落とした方がいいじゃないか。切り落とされたら、大豆は消えてなくなってしまうのです。米が余る。米が余ると米退治をやって、そして要するに、米はそれでもまだ国際価格と比較すると高い高いと言われますけれども、転作の大豆だとか転作の小麦だとかとの値段の比較からいたしますと、うんと安いということになるのじゃないですか。二十九万ぐらいですか。  だから、私はこういう農業生産政策といいますか、農業政策といいますか、矛盾を皆さん感じられないのかどうかということなんですね。その点はどうお考えになりますか。
  80. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 水田利用再編対策は、米の需給を均衡させるという目標とあわせまして、わが国農業にとりまして需要は相当に大きいものがございますが、生産量がきわめて低い、したがって自給率も低い、こういうものにつきましてできるだけその国内の生産を行い、かつ、生産性を高めましてわが国農業の一角に確たる地歩を占める、こういう農業の生産体制に持っていこうという意図によって行っておるわけでございます。したがいまして、経過的に眺めてみましたならば、確かに米に比べますれば、麦や大豆は生産の単収も低いわけでございますから、特にトン当たりあるいは一俵当たりということで眺めてみますと、なかなかばかにならない財政負担をいたしておるというのも事実でございます。  しかし、また反面に米がどんどん過剰になりまして古米の山を築くということになりまして、これの処理のためにまた莫大な財政負担をするということになりますと、これは前向きな要素は全然ございませんで、いわば後ろ向きの処理費に莫大な金を使う、こういうことになるわけでございますから、私どもといたしましては大変むずかしい課題ではございますが、この転作を何とか定着させるように持っていきたいということを悲願として、この対策を進めておるわけでございます。
  81. 松沢俊昭

    ○松沢委員 そこで、農林省の方でもいろいろ手伝いをされまして「稲と米の話」という出版物が最近出始めましたが、これは小学校の五年生程度の副読本として非常にいいじゃないかということで私も見せてもらいましたけれども、大変いい本だと思っているわけですね。あそこにも書かれておりますように、日本の国は瑞穂の国だ、こう言うんだね。だから、水田というものをつくったというのは、気象条件からして先人のやはり英知ででき上がったものだと思うのですね。畑という農地から比較しますと、連作はできるわけでありますから、これはやはり非常に優秀な農地であるわけですね。要するに優秀なその農地のところに植えるべきものは何であるか、こうなりますと、やはり米が一番いい。穀類の中でも米というものは要するにやはり一番優秀な食品ということになるわけなんですね。そういうものが日本にでき上がるということは、日本の農業が世界的に誇るべきところの農業なんじゃないかと私は思うのですよ。それを何で米を切り捨てて、そんな高い奨励金をくれて、小麦だとか大豆だとかというものをつくらなければならぬのか、そういうむだなことをしなければならぬのかという疑問がわいてくるわけなんです。  そこで、どうしても米が余るということになれば、いままでわれわれは米というものはそれほどに大変貴重なものでありましたから、したがってそれを動物に食わせるなんという考えは持っていなかったけれども、しかし、要するに日本畜産考えた場合に、相当大量のえさ、穀類というものは外国に依存しなければならぬという状態になっている。だとするならば、やはり米の多様化開発というものを図っていく。水田は水田で米をつくらせ、それをやはり主食に回すものもあれば工業用に回すものもあれば、あるいはえさに回すものもある、その他いろいろなところへ回していく、こういうために三千四百億円の転作奨励金に匹敵するところの金を使うということは、これは日本の将来の農業の発展のためになると私は思いますけれども、いまのような使い方はならぬと思います。これは税金のむだ遣いだ、こう思うのですよ。  そこで、転作の話になったわけでありますが、青刈りというのをいまやっておりますが、私の県でもまだ三千から四千ヘクタールぐらい青刈りなんですよ。これははっきり申し上げますと刈り捨てなんですよ。だから、ホールクロップサイレージで、青刈りをするんだったら、どうせやるんだったら、それを実がついたときにわらと一緒にサイロの中にぶっ込んで、そして栄養価の高いえさとしてこれを畜産供給していくということは結構なことじゃないか。なるほど採算という面からして合うか合わぬかは別でありますけれども、しかし減反奨励金を使うということになれば、それぐらいのことは認めていいのじゃないか、こう思うのです。いままではそれは認められなかったわけでありまするけれども、いよいよ来年から第三期減反ということになるわけでありますが、その場合、こういう青刈り稲の対応の仕方も考えてみるという気にはなっているのですか、どうですか。
  82. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 昭和四十六年に米の生産調整が始まりまして以来、えさ用の青刈り稲というのは一つの転作物としての扱いをいたしておるわけでございますが、どこからどこまでが飼料用の稲であり、あとは米になるのかという境目が非常にむずかしゅうございまして、従来は出穂から大体二十五日前後のいわゆる糊熟期までを青刈りとして認めておりまして、その時期を過ぎて、黄熟期というのだそうでございますが、になりますと、品質的にはともかく、米としての利用が可能であるということになりますので、糊熟期までに刈り取るということが転作扱い一つの条件になっておったわけでございます。  もちろんえさとして利用いたします場合に、糊熟期を過ぎまして黄熟期に入りました方がさらに栄養価値が高いということはよくわかっておるわけでございます。反面におきまして、このようなえさとしての利用をいたします場合に、それがまた穀粒として食用に流れるということの防止ということも当然私ども考えなければならぬわけでございまして、そのぎりぎりの境目ということで、いままで大体出穂から二十五日ぐらいまでということにいたしてまいったわけでございます。しかしながら、地域によりましては、えさ用として使う以上、もう少し栄養価値を高めて使うということが認められないか、こういう御要望が現にあることも事実でございまして、ただいま省内で進めております第三期対策検討会をやっておりますが、その中の一つの部門といたしましてホールクロップサイレージということで検討をいたしておる段階でございます。第三期において採用できるという見通しはまだはっきり立っておりませんが、一生懸命詰めておるところでございます。
  83. 松沢俊昭

    ○松沢委員 このことにつきまして、大臣おいでなんでありますが、来年からの減反の問題でありますが、いままで青刈り稲というのは本当に刈り捨てですよ。実にもったいないと思うのです。要するに、どうせそれはえさになっているのだということなんですな。だけれども、なっているのだというところの形式だけは酪農家から判こをもらったり何かしてやっていますけれども、実際は酪農家は使っていないわけなんです。こういうむだなことはやめて、三千四百億も減反奨励金を出すわけなんですから、これはもう国民の税金なんでありますから、その税金がむだにならないためにも、要するに、いまの実とわらというものを一緒にしてサイロの中にぶっ込んで、そうして栄養価の高いところのえさとしてこれを使わせるということは、やはり青刈り稲よりはずっと効率的だと思うのですが、大臣、どうお考えになりますか。――いやいや、大臣に。局長、あなたのはもう聞きました。今度は大臣の話なんです。
  84. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 大臣のお許しをちょうだいいたしましたので……。  せいぜい検討させていただきたいと存じます。
  85. 松沢俊昭

    ○松沢委員 時間がだんだん過ぎてきましたが、ことしの米の需給関係につきましては、この前この委員会でも聞いておりますので同じようなことはいたしませんけれども、しかし、需給は大変逼迫していると私は見ております。また、政府の方としても逼迫しているというお考えがあるからこそ、たとえば減反の面積というものを六十万ヘクタールに減らすとか、あるいはまた十二月の二十日には、農協の方ではとにかく半俵でも、白米でもいいから出してくれという農家に対するところの要請も出てきているわけなんでありますから、これは逼迫しているということは間違いないと思うのです。それで、このままでいくとことしまた不作だということになると、来年はいよいよもって大変な事態に入ると思います。そこで、第三期の減反面積というのはどのくらいにお考えになっているのか、お答えを願いたいと思います。それが一つ。  時間が来ておりますので、それからもう一つの問題は、いよいよ米価の時期にも入ってきておりますが、ことしの米価審議会の時期、要するにいつごろ開催されるつもりなのか。  それから、ここ過去四年間、ほとんど米価の引き上げは行われておらなかったわけであります。物価、それから賃金、昭和四十二年にワンシグマがあったときの算定方式、あれから改悪をされまして、その後ジグザグな経過をたどりながら今日まで来ておるわけでありますが、仮に昭和四十二年を一〇〇とした場合、物価、賃金はどのくらいになっているか。それから、それと合わせたところの米価の引き上げをやるということになればどのくらいになるのか。これはいま答えを出してくれと言っても無理だということになれば、いずれ資料として出してもらいたいと思います。私は、去年の段階におきましては一俵四万七、八千円くらいにならなければ昭和四十二年の水準を保っていくわけにはいかないということに実はなっていたと思います。それが去年は一万八千円を下回ったところの値段で決められてきているわけなのでありまして、こういうことでまたことしも米価を決定していくということについては大変問題があると私は思います。そういう点で、米価の算定の考え方、まだ具体的なことはどうせ答えられないと思いますが、農家も国民の一人なのであります。農業を通じまして国に貢献しているわけでありまして、よその労働者と変わりないわけでありますから、それが人並みな暮らしができるためにはやはり米価の引き上げをやる以外にないと思います。そういう意味では、一体基本的にどうお考えになっているか、ことしの米価決定を前にしましてひとつお答えを願いたい、こう思うのであります。  これは、大臣からも最後に御答弁願いたいと思います。
  86. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 私の方から一括お答えいたしますが、まず第三期水田利用再編対策の問題でございます。  これは、具体的に申しますと五十九年度予算編成にかかわります。それまでに固めなくてはならない。全体の需給動向からいたしますと、やはり需給のギャップは拡大する方向にございます。六十五年見通しとそう大きく変わるような動向ではございません。そうした非常にむずかしい条件がございますと同時に、転作についてもかなり限界的であるという御意見も拝聴していることも事実でございます。備蓄あるいは他用途米というような問題の御指摘も聞いておるところでございますが、米のそうした需給動向から、他方では国内で自給率を高めなければならないという他作物の問題もあるわけでございます。これらを総合的に、現在、官房を中心に食糧庁、農蚕園芸局一体になって検討作業を進めているところでございます。まだ具体的な点は申し上げられませんが、そういう方向で予算編成までにはこの結論を出したいと考えておるところでございます。  ところで、米価審議会の日程についての御指摘でございますが、本年の米価審議会の日程につきましてはまだ決めてはおりませんが、例年の開催日等を参考にして適切な日程をこれから決めるようにいたしたい。まだちょっと時日がございますので、そんな段階になっております。  米価自体は、概括的に申し上げますならば、私どもまだ米価算定に関するいろいろ資料の収集なりをしている段階でございまして、本年産米価についてどのようなということは全く決めておりません。いずれにいたしましても、食管法の規定に従いまして米価審議会意見を聞いて適正な価格決定をしたい、こういう基本的な姿勢におきましては変わりないということでございます。いろいろな状況等の資料収集を目下しておるという段階でございます。
  87. 金子岩三

    ○金子国務大臣 第三期水田利用再編の問題も、米価の問題につきましても、ひとつ慎重にこれから検討を続けてまいりたいと思います。
  88. 松沢俊昭

    ○松沢委員 さっき長官に、ここですぐ回答ができなかったら、資料として四十二年を一〇〇にした場合の物価、賃金のパーセントと、米価も同じようにした場合どのくらいになるかという資料をひとつ出してもらいたいということですが……。
  89. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 いま手元に資料がございませんので、後ほど計数を算定いたしましてお届けするようにいたしたいと思います。
  90. 松沢俊昭

    ○松沢委員 森実局長に来てもらって恐縮でございますけれども、時間がございませんので、いずれの機会かに質問したいと思います。  これで終わります。
  91. 山崎平八郎

    山崎委員長 田中恒利君。
  92. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 私は、不振漁協の問題についてきょうは主として質問をいたしたいと思います。  その前に、先般の日米農産物貿易交渉に佐野局長が行ってこられたわけですが、この委員会でも自由化に臨むわが方の考え方、要求点などについて大変活発な論議がなされて、大臣の御所信のほどを篤と私どもも承っておるわけです。この専門家会議の内容は余り公表しにくい面がたくさんあるようでありますが、当委員会としてはきわめて重大な関心を持っておることでありますので、この際、その状況、アメリカ側の意向などについて受けとめられた事項を改めてお聞かせをいただきたい、こういうふうに思います。
  93. 佐野宏哉

    ○佐野(宏)政府委員 お答えいたします。  協議の中身自体につきましては、先生ただいま御指摘のように、公表して差し支えないことということにつきましては日米間の合意がございまして、協議の性格が非公式かつ予備的な意見交換であった、それからその対象になった商品が牛肉、柑橘及びいわゆる五品目と言われるものであったということ、それから協議の席上、双方から具体的な提案は提示されなかったということ、及び米側から牛肉、柑橘以外の輸入制限品目、これは五品目にプラスアルファが何かつく可能性があるというほどの意味でございますが、それについて米側は近い将来日米間の協議をガット二十三条一項の規定に基づくものにするということを検討している旨日本側に伝えたということ、及び日米双方とも今回の協議がきわめて有益であり、可及的速やかに次の協議を行おうということで意見一致した、以上のこと以外は協議の中身は言わないことにしようという合意がございます。  それで、この約束の反則にならないように、かつ、いまの先生の御質問に同時にお答えもできるようにというお話の仕方はそう容易ではないわけでございますが、こういうふうにお考えいただいたらよろしいのではないかと思います。  米側の基本的な考え方は、まずIQ撤廃ということでございます。それで、昨年の十月のホノルル協議のときとは違いまして、即刻ということではございませんが、IQの撤廃ということがまず基本であるということは変わっておらないわけであります。時期の問題について、昨年の十月に比べれば弾力的であるという点の違いがあるということにとどまっております。したがいまして、IQの大きさの問題につきましても、まずIQを撤廃するということを決めて、しかる後撤廃の時期に至るまでの経過措置としてその間のIQを幾らにするかということについて日本側と合意をするということにしたいというのが先方の考え方の枠組みでございまして、そういう意味では、日本側としてまず米側の考え方の基本的枠組み自体が全く受諾不可能なものでございますので、そういう事態のために双方とも具体的な提案を提起するに至らなかったということであるというふうに御理解をいただきたいと思っております。  ただ、私どもといたしましては、そういう基本的な考え方の食い違いがあるわけでございますが、にもかかわらず、日米双方とも、これだけ見解が隔たっておるのであるから問答無用であるというようなことは言っておらないわけでありまして、そういう基本的な立場の違いにかかわらず粘り強く議論が継続されておるということ自体が肯定的に評価されるべきことであるというふうに私ども考えておりますし、先方も考えておるようであります。でございますから、そういう基本的な考え方の隔たり方というのは大変大きいのでございますが、そのために協議がデッドロックに乗り上げておるとか決裂しておるとかということでは毛頭ございませんので、その点は一言つけ加えさせておいていただきたいと思います。
  94. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 いま御報告を受けた内容をそのままきょうはお聞きをしたということにいたしますが、大臣、巷間中曽根総理の方から提案をしてこういう専門家協議というのが、第一回の協議が行われ、引き続いて継続協議をしていく、こういう一定の合意がなされているわけですが、また一方では、近く行われるサミットなどでの中曽根・レーガン政治会談で一つの区切りをつけるのじゃないか、こういう心配も出てきております。大臣としては、専門家会議というものについてどうお考えになっておるのか。客観的に、冷静に、日米間で隔たりはあるけれども、粘り強く双方が理解し合うところは理解し合っていく、こういう形で貫くことが当面必要ではないか、こういうふうに私なども思っておりますが、この際、大臣のこれからの交渉、特に専門家協議についてのお考えをお聞きをしておきたいと思うわけです。
  95. 金子岩三

    ○金子国務大臣 私のこの農産物の市場開放の問題についての考え方は、今日もいささかも変わっておりません。これは、わが国の食糧をいかにして自給率を高めるか。また、足りないものはやはり輸入によって安定した供給を続けていきたい。ただ、牛肉と柑橘のようなこういうものは、日本の農業を犠牲にするようなことがあってはならない。これは、昨年四月この委員会でも決議をされております。十二月に申し入れもあっております。こういう趣旨に沿って慎重にこの問題と取り組んでいきたい、私はこのように考えております。
  96. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 大臣、私が質問したのは、専門家会議について、政治的な今度の中曽根・レーガン会談はいずれにせよ行われるのでしょうが、そういう中で一つの区切りをつけるというようなことではなくて、専門家協議といったようなもので粘り強く、いま大臣の言葉をかりれば慎重に進められる、こういうふうにお考えになっていらっしゃるのかどうか、この辺の問題であります。いままでの交渉の経過に立ってですね。このことなんですよ、大臣。
  97. 佐野宏哉

    ○佐野(宏)政府委員 実は総理訪米の準備につきましては、私が外務省と総理訪米のおぜん立ての相談を担当しておりますので、総理訪米に当たって総理がどうなさるかという点につきましては、まだ実は大臣にもどういう相談が進んでおるか御報告しておりませんから、私からお答えをさせていただきたいのですが、これは外務省も私どもも、この問題は現在私どものレベルで先方と友好に協議中でありますので、総理と大統領というレベルで議論をしていただくべきテーマではないという認識で全く意見一致しておりますから、そういうことで総理訪米の準備を進めております。
  98. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 大臣の自由化に対する御決意はもう何度もお聞きをいたしまして、ひとつそのとおりぴしっと、後でああ言ったのだけれどもこうなりましたということのないように私どもはやってもらいたいと思っております。  それで、いまお話がありましたような形で、相当差はあるようですが、見解の相違はあるようですが、ひとつ粘り強く交渉を継続して、わが国の国益に沿うようなまとめ方をしていただかなければ、こう思っておるところであります。  いろいろ問題はありますが、あと、この貿易関係で一、二お尋ねをしておきます。  一つは、豪州との牛肉の交渉がどうも日程に上がったようでありますが、これに対するわが方の考え方。それから、先般ASEANを中曽根総理が訪問せられまして、バナナの関税の問題についてフィリピンから、これはフィリピンは何年も前から言ってきたわけでありますが、また非常に強く要請をせられて、何か一定の話があったようなないような、そういう報道がなされておるわけですので、このバナナの関税の問題についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。この二つだけちょっとお聞きをしておきたいと思うわけです。
  99. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 豪州とわが国の間におきましては、牛肉の輸入に関しまして毎年定期的に情報交換会議というのとそれから高級事務レベル会議というものを開催をいたしております。これは大体春先にやるわけでございますが、この会合につきまして、豪州の方から、今月の十九日、二十日ぐらいの日取りで会議を持ちたいという申し入れがございました。これは定期的なことでございますので、私どももその十九、二十日に会議を持つことに同意をしているわけでございます。  この情報交換会議、高級事務レベル会議、いずれもルーチンの会議でございますが、両国間の牛肉の需給問題とかあるいは輸入につきましても、品質がどうだとかあるいは規格がどうだとかいったような、そういうことをいままでも話し合ってまいったわけでございます。当然豪州からは八三年度以降の問題についても話を出してくるとは思います。しかし、私ども、この会議の性質がこういうことでございますので、豪州の事情も十分聞かしていただくと同時に、国内のわが国の状況なり、われわれが牛肉の輸入問題につきましてかねがね持っております基本的な考え方といった問題を説明いたしまして、いわばそういう事務的段階での両方の考え方の差異がないように調整をしながら会議を進めるつもりでございます。何かを直ちに決めるという性質ではございません。
  100. 佐野宏哉

    ○佐野(宏)政府委員 私、総理のASEAN訪問のお供をいたしましたが、フィリピンで、先方からバナナの関税の引き下げについて強い要求がございまして、総理は、これは元来十二月の関税率審議会の時期に決めるべきことなのであるが、自分としてもマルコス大統領からのせっかくのお話であるので、できるだけ努力はしてみたいという趣旨のことをおっしゃったというふうに伺っております。
  101. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 いずれこのバナナの問題、牛肉の問題はまた別途に機会をいただきまして、いろいろとたくさん御質疑を申し上げたいと思っておりますので、きょうは御報告状況をお聞かせをいただいたということにとどめておきます。  先般の委員会でも問題提起がなされておったようですが、これは私の県でありますが、愛媛県の北灘という漁協が、ちょうど私どもが沿岸漁業振興の法律の審議をしておるさなかに、二度にわたる不渡り手形を出しまして、現在一切の金融機関の取引は停止をされておりまして、事実上の倒産をいたしております。漁協の倒産というのは全国的にも非常に珍しいわけでありますが、この状態について、その後水産庁としてどのような現状把握をしていらっしゃるか、まずその点から……。
  102. 松浦昭

    ○松浦政府委員 今回、北灘漁協の問題が大きく取り上げられる状況になったわけでございますが、その契機は、本年三月三十日の第一回の手形の不渡り事故、これが約一億五千万円ございました。それに続きまして、本年五月十日に第二回目の手形の不渡り事故、四千八百万円余が発生いたしまして、同漁協が銀行取引の停止となったという事態でございます。  もとよりこの北灘漁協は単協でございますので、その監督責任は第一義的には当然愛媛県にございますから、私どもとしましては、お話を承りまして直ちに愛媛県に照会をいたしまして、その状況がどうであるかということを照会いたしたわけでございます。  その原因等につきましてもいろいろと話を承ったわけでございますが、愛媛県としては当面次のような方針で臨みたいということを言ってまいっております。その第一は、この北灘漁協は指導事業と非経済事業のみにまず事業を限定したい。それからまた、経済事業は県漁連が直扱いにする。それに、信漁連がやはり信用事業を直扱いにする。こういう方針でまず当面臨みまして、一方、経営不振になっております同漁協につきましては、県として再建方針を打ち立てまして、この再建計画が関係者の手ででき上がりまして、その結果再建が軌道に乗った場合に、同漁協に業務を再移管するということを考えたいということを言ってきたわけでございます。  そのような事態になりました原因と申しますか、経過と申しますか、これにつきましても私ども照会をいたしたわけでございますが、このような二度の手形の不渡りといった事態が顕在化いたしました根本的な原因は、組合員の事業におきますところの、一つはハマチ等の過密養殖の問題、それから第二は、系統資金に全面的に依存した過剰な設備投資の問題、それから第三に赤潮等の大被害があったという、これらの諸要因が累積しまして、昭和五十年代の初めごろからすでに潜在的にこのような経営の不振の状況が発生していた。この間におきまして、県、信漁連、漁連等の関係者による数次にわたる再建指導が試みられたわけでございますが、事態が回復せずに今回の事件になったというふうに聞いておるわけでございます。特に第二回目の手形の不渡りを出しました直前におきましても、この北灘漁協の中で再建の計画が立てられて、組合の中で審議をされたわけでございますが、残念ながらこれが組合員の意見一致せずに再建計画が立てられないままになってしまった。そこで、この第二回目の不渡りが起きたというふうに聞いております。
  103. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 いまこの地区では金融機関の手形決済ストップですし、系統漁連の経済事業、信用事業、全部一切現金払いということになっておりまして、したがって、組合員は金がないと何も動かない。御承知のように、漁業というのは毎日金が出たり入ったりする仕事でありますから、そういうことで非常に困惑というか、大変なことになっておりますし、漁協のこの問題をめぐって、実はこの北灘というところは小さな湾の中に真珠母貝があり、ハマチがあり、タイがあり、さらに零細な釣り業者があり、網があり、非常に多様な業種が介在しておりまして、その中で特にハマチとタイの養殖と真珠業者との対立というのは、従来から深かったわけですが、今度のこの騒動で組合員というか、漁民同士間の対立感情は非常に激化をしておりますし、特にこの事態を招いた漁協の経営者というか、役員と組合員との対立、こういうものが非常に重なり合いまして、言えば大混乱をしておる。  すでに御承知と思いますが、これは二名の自殺でありますが、一名の方は直接あったのかどうか、まだはっきりしておりませんが、この間亡くなられた方は、実は完全にこの問題の債務者でありまして、ある程度漁協からもお金を借りておるということを苦にして自殺をせられております。第三、第四の関係者が出るのではないかという憂慮も、現地ではうわさとして流されておるというふうな状況にあるわけであります。  これをどうするかということで、これはもう相当前から県なり漁連なり当該漁協の三者で再建案をつくってこれを出したわけですが、これが御承知と思いますが、五回にわたって流会、延会でとうとう否決をされておる。そしていま各業種からの代表者で今月中に再建のめどを立てる委員会を自主的につくる、こういうことになっておるわけですけれども、しかし、なかなか自主的にやれるような状況にはなっていないわけでありまして、どうしてもここまでまいりますと、いわゆる監督行政というか、行政指導というか、そういうものが相当強くいまの時点では求められておると私は思うわけであります。  そういう意味で、これは確かに単協でありますから愛媛県が直接監督の立場に立っておるわけでありますが、これは水産庁も含めて県を指導して、早急に、これは系統の漁連なり信漁連というものがあるわけですが、これも最大の債権者になっておるわけでありまして、二十数億の焦げつき債権というものを直接かぶっておるわけでありますから、一方では取り立てをしなければいけないという立場もあるわけであります。そういう意味では、やはり行政の指導というものが当面非常に重要な段階になってきておるのじゃないか、私はこういうふうに考えておるわけです。  そういう意味で、重ねて、いま県の対応をちょっと聞きましたが、これはたしか組合の再建計画で出されたものではないかと思うのですね。いまの段階でこういう考え方でいく、こういうことでございましょうか。それをちょっと……。
  104. 松浦昭

    ○松浦政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたような事態になっているということは、私ども県からの報告で十分に聞いている次第でございます。特にこの債権の回収が非常にむずかしい状況になってきておりまして、そしてまた、組合の経営の財務内容が非常に悪くなっているという状況でこのような不渡りが出たわけでございますが、ここに至るまでに県漁連あるいは信漁連が相当何回か再建計画を立てて組合とも話をしたわけでございますけれども、なかなかこれに乗ってきてもらえないということから、この系統の団体の内部だけではなかなかこの問題に対処し切れないという事態まで来ているということを私ども聞いているわけであります。  さような意味で、ただいま先生御指摘のように、行政が相当乗り出しまして、これに対して再建計画を行政が指導権をとってつくらなければなかなかむずかしい事態になっているということも伺っておるわけでございまして、もとよりこれは第一義的には愛媛県の監督責任がございますので、愛媛県を中心にやってもらいたいというふうに考えておりますが、私ども水産庁といたしまして、県の指導が十分にいきますように県を指導していきたいというふうに考えます。  最後にお尋ねがございました、この再建計画につきまして、県がどのような考えを持っているかということを先ほど御披露申したわけでございますが、これは現時点における県の考え方でございます。
  105. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 それじゃ、この考え方でいくと、いわゆる経済事業、金融事業については県連が直営というか、そういう形で乗り込んでやっていく、こういう形で処理をしたいというのが愛媛県の恐らく数日前の考えだと思います。そういうことで取り組むということのようですが、この問題は北灘の問題ということにとどまらずに、私どもも先般来水協法なり沿整法なり、こういう法律の審議をやってきたわけでありまして、そういうものと絡んで――実はこの北灘の問題はいま始まったことではないので、不振漁協というのは急にぽっと出てくるものじゃない。相当前からそういう傾向もあったし、北灘などの場合はすでに五十一年と五十五年に、これはたしか三回ほど再建計画というものを立てておるわけですね。その再建計画に基づいていろんな処置がなされておったならばこれほどの事態にはならなかったのではないかという声が非常に強いわけです。それがなされていなかったところに、一体何が原因なのかということについてはなお問題があると私は思うのです。  たとえば県の、あるいは漁連の監査といったようなことを、この間水協法のときに私も強く申し上げたわけですが、そういうものはなされておったのかどうか。周辺の漁協の関係者は北灘の漁協の実態についてはもう何年も前から一定の大口債権があって動かないと承知をしておったわけでありますが、そういうところについての監査事業というのはどれだけ行われておったのか、そういう点でも非常に不徹底な感じがしてならないわけであります。そういう点も含めて、相当行政としても考えておかなければいけない問題があったんじゃないか、こういうふうに考えておるものでありますが、そこらは何か報告はありましたか。
  106. 松浦昭

    ○松浦政府委員 まず、お答え申し上げます前に一言申し上げておきたいことは、先ほど申し上げました愛媛県の再建計画の骨子と申しますか、方針と申しますか、これはまだ愛媛県の考え方でございまして、信漁連あるいは漁連等が同意した状態ではないというふうに聞いておりますので、その点は誤解のないように一言申し添えておきます。  それから、ただいまお尋ねの愛媛県の検査の状況でございますが、この点についても私ども報告を求めました。その結果、愛媛県の常例検査をいたしております状況でございますが、昭和五十一年度に、これは正確には五十二年の二月でございますが、常例検査をいたしておりまして、その後に次の段階でやりましたのが五十七年の一月、五十六年度の常例検査をやっている。つまり、五十二年から五十五年の四年間は常例検査が行われていないということを私ども知ったわけでございます。この点については、確かに問題があったというふうに考えるわけでございます。  それから、県漁連の監査士による監査でございますが、これは五十二年度にやっておりまして、それから五十六年度、五十七年度と三回最近においては監査が行われております。  ただ、このように常例検査そのものは五十二年から五十五年までやられておらないわけでございますけれども、愛媛県としましては常例検査以外にいろいろな指導をやっておりまして、たとえば五十一年度は漁連、信漁連と合同で再建計画をまとめております。それから五十三年度には、漁連等を合同で調査をいたしておりますし、五十五年度は、同じく合同調査をしましてやはり再建整備計画の作成の指導に当たっております。それから五十七年度は、同じく合同で経営実態調査、再建計画の作成等をいたしております。それから五十八年度は、先ほど申しましたようないわゆる再建計画の骨子というものを策定いたしまして組合に提示し、組合の審議を求めたわけでございますが、残念ながら先ほどのような経過でこの組合の中で再建計画が合意されなかったという事態になっているという状況でございます。
  107. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 それで、これは負債総額約五十八億程度で、二十六億四千万の焦げつきですね。再建不能のものが約十億六千万ほどある、こう言われておるのですが、この資金、これはいろいろな漁業制度資金というものが借りられておるわけでありますが、この資金には例の信用保証の債務保証の仕組みがあるわけで、一定の枠だけはその保証が裏づけになっていると思うのです。こういう行き詰まった漁協の建て直しの場合にいろいろな条件があるのだろうと思うのですけれども、北灘などの場合に債務保証の機能といったようなものが動いてくるのかどうか。この辺、まず検討せられておればお教えをいただきたいと思うのです。
  108. 松浦昭

    ○松浦政府委員 北灘漁協の借入金のうちで、愛媛県の漁業信用基金協会の保証に係るものはすでに調べがついておりまして、五十八年三月末保証残高で約十三億一千九百三十五万円でございます。これを資金種類別に見ますと、漁業近代化資金五億二千三百十五万円、漁業経営維持安定資金一億五千四百二十万円、一般資金六億四千二百万円でございます。また、金融機関別には愛媛県の信漁連が十億一千九百三十五万円、伊豫銀行が三億円ということで調べがついております。  これらのうちで、被保証人でございます北灘漁協が、当該債務の弁済期限が到来しても債務を履行しない場合、または同漁協が期限の利益を喪失した場合には、水産庁の指導によりまして各都道府県共通に、その日から原則として六カ月間を経過した後に金融機関が請求し得るということになっております。  この適用でございますが、現実の代位弁済が生ずる金額というのは、現段階で見込み額といたしまして七千六百万円ぐらい、現に代位弁済をしなければならないという状態ですね。したがいまして、この程度の弁済でありますればすぐに問題が起こるといったようなことではないと私ども思いまして、代位弁済ができるというふうに考えております。
  109. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 それから、先ほど申し上げましたように漁業者が現実に毎日取引、特にえさ代でありますが、相当大規模なハマチ養殖をやっておりますから、実は毎日これの現金の入れかえができなくて、いわゆる稚魚、それから成魚になってない部分と、物々交換のようなものですね、そういう状態が激化をする可能性が非常に強まっている。部分的には行われておるわけですね。えさ業者が来て、これだけのえさをやるからこれだけの稚魚を持って帰る、こういうことになる状況が出ておるわけでありまして、早急に漁業者に対する経営安定資金というか、そういう処置が必要な事態ではないか、こういうふうに思うわけですが、これについては何らかの制度的なものを、北灘の状況を相当把握されておるようですが、対応できるもっと効果的なものがありましたら、これまたお示しをいただきたい、こう思っておるわけです。
  110. 松浦昭

    ○松浦政府委員 お尋ねは漁協に対する貸し付けではなくて、その組合員の方々が毎日のえさの購入代にもお困りになっているという状況に対してどう対応するかというお話だろうと思いますが、これにつきましては、私ども今後の組合員の経営を考えてまいりますと、どうしようもない方もおられるということは聞いておるわけでございます。そういう方々につきましては、果たして今後経営を続けていっていただくことがいいのかどうかという問題がございますので、これはもちろん県なりあるいは系統の団体なりで御判断をいただきたいと思うわけでございます。  しかしながら、なお債務は相当持っておられても、今後の経営努力によりまして立ち直れる組合員の方々もまたおられると思います。こういう方々に対しましては、本来経営維持安定資金で再建計画を立てていただきまして、都道府県知事に認定を求める。都道府県知事が認めた場合には経安資金を貸していけるという制度がございますから、さような面で救済の措置をとり得るというふうに考えておりますので、よく県の方をさような観点から指導してまいりたいというふうに思います。
  111. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 そこで、これはいますぐどうこうというわけにはいかないと思いますが、つくる漁業、育てる漁業、こういうものがキャッチフレーズになって沿岸漁業振興というものが進められてきたわけでありますが、最近の魚価の低迷、油、資材の高騰、これは遠洋、沿海、沿岸を問わず非常に厳しい漁業経済の実態にあることは御承知のとおりであります。これに対応する施策として、いろいろな負債整理資金など、特定不振漁協の再建整備の資金などつくられておるわけでありますが、全体的に見ましてカツオ・マグロ、イカとか、国際規制、二百海里規制というものが一つの前提になって、これに伴う減船などが条件になっておるものですから、先般もいろいろ議論があったようなことで、沿岸の漁業者についてはなかなかこれが適用されないというか、なじめないというか、そういう問題が非常に多いということで、改めて検討してほしい、こういう声が漁業界にも相当出てきておるようであります。また、私どもこういう事件にぶつかってまいりますと、これはもちろん同地区における組合経営の非常な放漫さ、あるいはこの組合員自体もきわめて無計画に規模拡大、業種の選定を非常にたくさんやってきた。みずからが海を汚染してみずからの首を絞める、こういう状態になってきたことも十分これはあると思います。思いますが、やはりこの形は必ずしも北灘地区にとどまるのじゃなくて、全体的な傾向として今日やはり問題としてつかんでいかなきゃいけないと思うのです。  そういう意味で、不振漁協対策といったようなものについて、制度的にも現行制度の中で多少手を入れればできることは、特定不振漁協の再建整備事業などについてもひとつ緩和できればこういう場合に適用できないのか。あるいは五十七年度に制度化された、この間うち問題になった新負債整理資金ですね、こういうものについても、沿岸の赤潮であるとか、魚価の暴落であるとか、大量魚のわけのわからぬ死滅、こういうような状況の場合に適用できるような内容の改定というか、取り扱いというのではないのか。できないとすれば、何らかの沿岸漁業者に対応できる負債対策といったようなものを考えてはどうか。こういう意見が非常に強いわけでありますが、この点については水産庁はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  112. 松浦昭

    ○松浦政府委員 まず組合員に対する対策でございますが、先生御案内のように昭和五十五年から特定不振漁協等再建整備事業というものをやっておりまして、組合の欠損金見合いの借入金の金利の軽減といったような措置はとっておるわけでございますが、これは、御案内のように国際規制の強化によりまして経営が不振になったというような事態、あるいは今回五十七年からこの制度をさらに少し条件の緩和をいたしまして、漁業経営負債整理資金制度の創設に伴いまして、この漁協協力資金の融通を受けて漁業生産構造の再編整備をする、そういったところに協力した漁協に対しましては、ただいま申しましたような特定不振漁協等再建整備事業を適用しようということで、かなり範囲も広めてきているわけでございます。  ただ、この北灘漁協の場合には、ただいま先生もおっしゃいましたように、基本的にはやはり組合員の経営というものをもう一度しっかりしていただかなければならぬような状況のもとに発生したものでございまして、先ほど申しましたような不振漁協の再建対策にはちょっと乗れないという問題があろうかと思います。特にこういった漁協につきましては、従来からも自主的な再建計画というものを立てていただきまして、自主的な努力、たとえば不要な経費をできるだけ節減するとか、あるいは債権をできるだけ回収するとか、あるいは組合員の協力によりまして共販の率をアップするとか、あるいは増資をしていくとか、あるいは系統の関連の団体の協力を仰いでいくといったようなことで再建計画を立ててもらって、それを着実に執行していくというのが漁連あるいは単協についての再建計画でございますので、やはりこのような自主的な努力でやっていただきたいというふうに考えるわけでございます。  それから組合員の方の問題といたしまして、ただいま先生おっしゃられました今回の負債整理資金の対象にならないかという問題でございます。これは、先ほど私ども経安資金の方でめんどうを見たいということを申し上げたわけでございますが、負債整理資金の方は経営の悪化した漁業者の単なる負債の借りかえということではなくて、減船とかあるいは施設の合理化といったような漁業生産構造の再編整備をやっていくということを前提にして、それに見合って負債整理資金を使うということでございますので、こういう場合にはちょっと適用がむずかしいと思います。ただ、先生おっしゃられました非常に重要な点は、このようなケースではなくて、一般的に申しまして負債整理資金の制度というものが沿岸の漁業の対応策として余り適当ではない、いまの制度ではその活用を図れないじゃないか、それは沿岸に対する片手落ちじゃないかという御議論は私もよくわかるわけでありまして、さような点につきましては、従来までもいろいろ考えてまいりましたが、今後ひとつこれをどんな形でそういうことの資金にできるか、工夫をしてみたいと思っておるところでございます。
  113. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 私も、この資金面の問題はいますぐは、いろいろきちんとした制度があるわけですし、一定の枠があるわけですからあれだと思いますが、沿岸の最近の養殖の状態を見てみると、非常に過密養殖化をしなければまたやっていけない。同時に、規模を拡大していくし、次から次と新しい業種に群がっていくというか、手を出していくというようなことで、一つは指導機関が非常にきちんとしてないとこれは大変なことになるという心配がありますし、それから、こういう形のものが全国の各地で次から次と起きてくるような可能性を秘めておる、そういうふうに思います。それから、漁業協同組合全体がやはりまだ組織的にも内容的にも多くの欠陥というか、改善すべき事項を持っておるようであります。  そういう意味では、一つは、やはり漁協の指導体制というものに力を入れていくようなそういう政策というか、そういう指導を行政的に強めていただきたい。さらに、負債整理の問題については、私どもから見ると、大きなところは負債額も大きいでしょうが、そういうところには相当手厚く行くけれども、零細な沿岸の漁業者などは、どちらにせよこれは大変なものをかぶってこれから十年なり十五年なり苦闘しなければいけない。そういうところについてもできるだけ適用できるようなものを何らかの形で生み出していただきたい。そんなことを今度のこの事件を通して私なども感じておるところでありますので、ぜひ検討課題として十分考えていただきたいと思うのです。  当面、北灘の漁協の対策につきましては、一応いまの段階での水産庁のお考えを承りましたが、まだ現地では実ははっきりまとまっていないわけでありまして、一つは、北灘漁協そのものがどういうふうに経営体制、業務体制を切りかえて再建について足を踏み出していくかということの組合員の意識統一がまだ完全にできていない、こういう状況であります。さらに系統漁協の間でも、巨大な債権を持つし、関係金融機関との関係どもありますので、しかもその問題が関係地区のみにとどまらず、全県的な漁業者にまたはね返る問題でありますだけに、実は非常に苦慮いたしております。そういう意味では、やはり行政がむしろリーダーを振っていただいて、現地の動きに対応するということから、一歩進んで、いまお示しになったような案も大胆に振りかざしてよく話し合っていただかないと、いろいろな意味で漁民や漁協の間で多少信頼感が薄れている嫌いがありますから、そういう意味で大胆に、しかも漁民や現地漁協と腹を割って話し合っていく、そういう形での指導を水産庁の方からも特に強く要請をしておいていただきたいと思うのです。  そういう意味も込めて、場合によれば水産庁自体が、これは不始末でありますが、沿岸漁業のこういうものがどういう背景でどういう問題を含んでおるかということもあわせて現地調査をしていただいて、その調査に基づいてこれからの水産政策に役立つような方向づけをしていただければなお結構だ、こういうことなどを考えておるわけです。  時間が参りましたが、長官の方から最後に御所見を承っておきたいと思うわけです。
  114. 松浦昭

    ○松浦政府委員 まず、前段でお話しになりました沿岸漁業に対する資金の問題につきましては、先ほど御答弁申し上げたとおりでありまして、また、系統の団体の中でさらに指導の事業を強化していくことについては先生おっしゃるとおりだと思います。先般水協法の改正をいたしまして、監査士制度強化いたしましたのもそういう観点からでございまして、今後ともこういう事件が起こらないように、系統の内部でしっかりとした指導事業というものを確立していくということを水協法の改正を機会にぜひ実現をしていきたいと考えている次第でございます。  なお、当面の問題として、これから県を中心に北灘漁協につきましては再建策を練っていくわけでございますが、私どもとしましては、ぜひこの段階においては県という行政が主体になって再建計画をつくらなければならぬという時期に来ていると思いますので、県と十分に連絡をとりながら再建計画がスムーズに動き出すようにぜひ努力をしてまいりたいと思います。その過程におきまして、もしも必要とありますれば、県との連絡もいたしました上で、水産庁から人員を派遣することも考えています。
  115. 山崎平八郎

    山崎委員長 小川国彦君。
  116. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私は、農村における問題としてかねてから強い関心を持っていることでございますけれども、農家にお嫁さんがいない、農家にいないというよりは農業後継者にお嫁さんがいないという問題が、日本全国を見まして、どこへ参りましても非常に深刻な問題としてある。農林水産省の中でいろいろ農業政策を立てておりまして、農業構造改善事業とか農業基盤整備事業とか、いろいろな事業の計画を立てておられるのですが、農業は土地と機械だけで成り立つものではございませんで、やはりそこに業を営む人間が存在しなければ成り立っていかないのではないか。その意味では、土地と機械と人間という面で見ると、農村に土地があり機械があっても人間がいなくてはならない。人間が存在するためには、男と女がいて、結婚して、子供が生まれて、そうして農業の後継者が育っていく、そういう状況がなければならないと思うのですが、いまの農村の状況を見ると独身の男性ばかりで、結婚適齢期をはるかに過ぎてもお嫁さんが見つからないという農業生産者がたくさんいるわけです。これは単に当事者の問題とか自治体、県段階の問題でもなくて、国として取り組むべき問題となりつつあるのではないか、こういう感じを強く持っているわけです。  大臣も長崎県、農村、漁村を持ち、そういうところを基盤にして県会議長さんも二期おやりになっていらっしゃいましたし、あるいはまた離島振興対策協議会の会長さんもやってきた。そういう過疎に悩む地域の青年たちのお嫁さんの問題というのはそれなりに関心を払ってこられたと思うのですが、農村のいわゆる農業後継者のお嫁さんの問題について、大臣、どういうお考えを日ごろ持っていらっしゃるか、まずお伺いしたい。
  117. 金子岩三

    ○金子国務大臣 御指摘の点は、特に北海道など大変ないわゆる嫁さん不足のようでございますが、これは全国共通の農村の実態でございます。したがって、私は農村に男女後継者ができるような社会環境をつくることが先決じゃなかろうかと思います。したがって、これまでも農村の社会環境の改善にいろいろな費目で補助を出しております。それをうまく活用して、都会に出ることもさることながら、やはり農村に定着して、そして農村に魅力を持ち、生きがいを感じ、農業に大いに関心を持っていただくような環境づくりがまず先決ではなかろうかと思います。今日までいろいろやっていますけれども、やはりこういった点の財政、予算面の強化を図るべきだ、このように考えています。  次に、あと考えられることは、御承知のとおりいま一般の鉱工業が落ち込んでおりますので、この時期に一番農村を強化すること、後継者を定着させることに力を入れるべきではないか、私はこのように考えております。
  118. 小川国彦

    ○小川(国)委員 昭和五十七年度の農業白書の中でも、農家及び農村、農業経営、こういった問題についてはいろいろ調査をなすったり表が出ているわけなんですが、農家戸数も大変減ってきているという状況があるのです。  いま、五十七年一月現在で四百五十六万戸ですか。昭和三十五年ころには六百万戸の農家が、この二十二年間に百五十万戸減っていま四百五十六万戸、こういう農家の状態であるわけですが、その農家で農業後継者というのは大体どのくらいいて、そしてその後継者の中で配偶者のいない農業後継者がどのくらいの数になっているか、そういう実態については把握なさっておりましょうか。
  119. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 農業後継者がいるかいないかという問題については、先年調査いたしたものがございまして、農家の中でも相当程度の規模と所得を上げておる農家層においては、現に農業後継者がおろか、ないしは将来において農業に従事する後継者が得られる、そういう見通しを持っている者が大変多いわけでございます。  配偶者の有無という問題につきましては、本人の意思ともかかわる問題でございまして、強制的に調査いたしたものはございませんが、各県などで結婚適齢期の人でどのくらい独身の人がいるかというものは、事例的に調べたものはあるわけでございます。  数字につきましては、ただいま手持ちのものがございませんので、御必要があれば後日お知らせ申し上げたいと思います。
  120. 小川国彦

    ○小川(国)委員 大まかな数字でよろしいのですが、たとえば農業白書で見ますと、後継ぎの就業状態というのがあって、五十歳以上の世帯が二百九十三万戸ある。そのうち後継ぎのいない農家が百七万戸あるということがこの数字で挙げられて、これは大体全農家の四〇%も後継ぎがいないという問題がある。これはさておくとしても、四百五十六万戸のうち専業農家というのが五十九万戸で、男子生産年齢人口のいる家というのが四十万戸。そうすると、農家が四百五十万戸とすれば、そのうち生産年齢人口の方が四十万戸、一割しかいないのですね。それでまた、その中に配偶者のいない人がいるということになってまいりますと、現状の四百五十万戸の農家を維持していくということはさらに困難になってくるのではなかろうかと考えるわけなんです。  いろいろ資料を見ますと、確かにいま御答弁があったように、総理府の統計局では未婚の人、既婚の人それぞれ年代別に統計があるのでございます。あるのですが、それはあくまで総理府統計局の統計なんです。それからもう一つ、農林省には統計情報部という機関があるわけなんでございますが、この統計情報部などではこういった実態調査もやっております。総理府統計局では、たとえば二十から二十五歳、二十五歳から三十歳と五年置きぐらいに、日本全国で二十歳から二十五歳の中で既婚の人は何百万人いるか、未婚は何百万人いるか、男子の既婚者何人、未婚の者何人、女子の既婚者何人、未婚の者何人、こういう統計数字があるのです。たしかに農林省の統計情報部でもそういうものは出しているのです。しかし、私は、総理府統計局の調査と農水省統計情報部の調査が、全くとは言いませんが、ほとんど同じでは意味がないのではないか。やはりもう一歩掘り下げて、農家の構成の中で配偶者のいない人、いる人はどうなのかという調査が、この対策が非常に重要だという観点から見れば、当然あってしかるべきじゃないのかなという感じが実態把握の面からするわけなんですが、この点はいかがでございましょうか。
  121. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 後継ぎの有無の問題でございますが、先ほどちょっと手持ちの資料がないと申し上げましたが、五十六年の農業調査で調べたものがございまして、これによりますと、約五〇%の農家が一応後継ぎはいるということに相なっております。その中で世帯主の年齢が特に問題になるわけでございまして、世帯主が四十九歳末満ということで、比較的若い層では後継ぎは二八・九%しかいない、五十ないし五十九歳になりますと六三・七%、六十歳以上になりますと六四・二%ということで、子供が学卒程度の比較的若い時代におきましては親の年齢も比較的若いわけでございますので、他産業に就業するなどして、農業の後継ぎにはなっていない。親の年齢層に従って後を継ぐ者が出てくる、こういう傾向が一般的には見てとれるわけでございます。  そこで、お話のございました配偶者の有無の問題でございますが、確かに適当な年齢になりまして配偶者がいないというのは何らかの事情があるように見受けられるのでございますが、本人の希望の有無という問題と配偶者のあるなしという問題をうまく組み合わせた調査というものは、プライバシーの問題に立ち入るわけでございまして、なかなか調査しにくいテーマであるわけでございます。その意味で、このような後継者の有無の問題と配偶者の有無の問題をうまくかみ合わせました調査というのは、私どもの方の統計情報部では行ったケースはないはずでございます。。
  122. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私は、この実態調査はどうしても必要ではないかというふうに思うわけなんです。たとえば、五十七年一月現在、北海道の未婚の農業後継者を北海道農業会議調査をしたところが、約九千七百人。このうち、嫁探しが深刻になる三十歳以上というのが千六百四十人で、三十歳以上が全体の一六・九%を超えているということで、北海道だけで約一万人に達するお嫁さんを探している農業青年がいる、こういう数字があるわけです。  そこでその対策の面に入るのですが、では一体お嫁探しのために農林省はいまどういう指導をしているのかという問題になるのでございます。それでは、農林省としてどういうような農業後継者の配偶者の対策を進められているか、その点を伺います。
  123. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 配偶者問題が農村居住の農業後継者にとって大変深刻な問題であるということは私どもも重々承知をいたしておるわけでございまして、特に兼業農家よりは専業的な農家の方、それから都市近郊よりは過疎地帯というところにおいて深刻な様相が出ておるようでございます。しかしながら、こういう結婚問題となりますと、きわめて個人的な問題になりますので、なかなか行政が直接関与するということになじみにくい問題でもあるわけでございます。また、私どもの方でいろいろな農業青年の集まりをいたしておりますが、そういう際に若い人たちの声を聞いてみますと、花嫁対策というふうなことで行政が直接取り上げるというのは、いかにも農村の生活がみじめであるような印象を与えるので、そういう形ではやめてくれという意見の向きもあるわけでございます。したがいまして、私ども対策といたしましては、現実にそういう需要が非常に強い地域において、市町村あるいは農業団体などがその発意に基づいて、たとえば情報交換をする、ないしは農村の青少年男女がいろいろな形で交流をするという機会をつくる、ないしは農村居住者と都市の青少年と交流をする、そういう機会をつくることについて行政がお手伝いをするということについては、さまざまな形で財政的な援助をするルートはつくっておるわけでございます。  具体的に申し上げますならば、農業就業改善推進事業、これは農業委員会が中心になって行っている事業でございますが、そういう事業でございますとか、あるいは農業後継者地域実践活動推進事業ということで、これは市町村が中心になって後継者のいろいろな実践活動を援助する事業がございます。そういったもののメニューの中におきまして、できるだけ点在しております農村の青年男女が交流する機会をつくる、こういうことで側面的に支援をしておるような状況でございます。花嫁対策という直接的な予算という形では展開をしておらない、こういう状況でございます。
  124. 小川国彦

    ○小川(国)委員 ところが、いまおっしゃられた事業がどこでも深刻な壁に突き当たっております。いまおっしゃるように、確かに農業後継者の花嫁対策は、市町村の産業課であるとか農業委員会であるとかいうところがやっているわけです。ところが、完全にこれはお手上げの状態になっている。中には、仲人をやった人に一組まとめたら二千円とか、あるいは過疎のもっと進んだところでは、農家の後継者にお嫁さんを世話したら三万円、それから、農家じゃなくても過疎の地域にお嫁さんを連れてきたら一万円とかそういう奨励金を出したり、あるいは結婚相談所を設けてみたりやっているわけです。それから、いまおっしゃるように男女の交際の機会をつくろうというので、至るところの市町村がスキー大会をやるとか親睦旅行会をやるとかテニス教室をやるとか、皆その市町村で、あるいはその地域で、二十代、三十代の青年男女に呼びかけてそういういろいろな親睦の機会をつくっているわけです。ところが、それは年に一回か二回形式的に行われる集会であって、それが実って結婚の機会に発展していくということはまずないわけなんです。  限られた過疎の中でどんなにそういう行事をやっても、圧倒的に男女の数が違うのですね。いる割合が、たとえば男子三百に対して女子百しかいない。三対一とか五対一とか、そういう限られたところで幾ら市町村の産業課や農業委員会が呼びかけてやってももう限界だ、少し広域に幅を広げようということで、広域に広げてまたそういう会を企画しているのですが、それでもなかなか思うようにいかない。中には、四国の方ではミカン農家が大阪の娘さんたちにミカン農業を見に来ないか、あるいは北海道の酪農地帯に酪農業を見に来ないか、交通費は飛行機代も全部持ちます、そういう企画にまでいっているわけなんですが、それでもなかなかうまくいかないという状況なんですね。これは全国の市町村段階でもう行き詰まって、各県段階までそういう対策会議をそれぞれ持っているわけです。  しかし、残念ながら私は、国段階でそういう問題の、農業後継者の配偶者対策に取り組んでいるという国の強力な施策としては見るべきものがないというふうに感じているわけです。いまそういう市町村や自治体の行き詰まっている壁を、あるいは農業委員会の行き詰まっている壁をどういうふうに打ち破って農業後継者の配偶者をつくっていくのか、そこのところをやはり農水省ももう少し真剣に考え直さなければならないのじゃないか、こういうふうに思うのですが、いかがでございますか。
  125. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 国の段階で支援申し上げることができることがございますれば、私どもとしても労を惜しむつもりはないのでございますが、先ほど申し上げましたように、農業青年の中にも、農村のための花嫁対策ということを国政レベルで取り上げるということについては、逆に拒否的な反応を持っているという向きもあるわけでございます。つまり、国の御厄介にならなければ嫁さんが得られないというほど農業というものが落ちぶれているという印象を与えてもらいたくない、自分たちは自分たちの力で農業経営をやり、配偶者を見つける、こういう意欲盛んな方の意見としては、余り国政レベルでこういう問題を取り上げてもらいたくないという意見もあるわけでございます。したがいまして、私どもとしても、先ほども申し上げましたように、花嫁対策という形で直接的な取り上げ方をするよりは、農村青年対策あるいは就業改善対策という事業の中で、その地域の実情によって配偶者対策的な運用が可能なものがあればそれは国の補助の対象とする、こういう間接的な手法でこの問題を取り上げておるわけでございます。  国の段階で何かいい知恵がございますれば、もちろん今後新しい展開をするということについてやぶさかではないのでございますが、いま申し上げましたように、大変むずかしい問題を内在しておりますので、さらによく検討いたしてみたいと考えております。
  126. 小川国彦

    ○小川(国)委員 事態はもっと深刻でありまして、農家の青年がわれわれをそういう存在に見られたくないという意見もわかるわけですが、しかし、問題はそれよりももっともっと深刻になって、たとえば、私、一昨年、冷害の現地調査で東北六県を回りましたけれども、秋田県の方の地区へ行きましたら、三十代、四十代過ぎの農業後継者が、百人単位の男子が配偶者が得られないでいるという状況があるわけですね。特に酪農をしたりあるいは蔬菜園芸、果樹をやって忙しい農家であればあるほど、男女の交流の機会も得られないし、そして経営を離れられないという状況があるわけですね。それだけに非常に深刻な問題を抱えている。  そういう点では、私、この問題で永六輔さんと話をしたことがあるのです。あの人は「過疎を逆手にとる会」というのをやっておりまして、週に一日しか東京には泊まっていなくて、全国の農村とか山村、漁村、そういうところを歩いている。永さんに、あなたは本当に地方、過疎の地域を一生懸命歩いていらっしゃる、そういう中でこの農業後継者の花嫁の問題をどう考えるか。永さんいわく、大臣の郷里は漁村ですが、漁村の若い衆というのは遊び方が非常にうまいのだそうです。大臣も経験があるかどうか……。ちょっと金を稼いではぱっと威勢よく金を使って気分転換をする。嫁さんなんかいなくてもいいというような威勢のいいところが漁村の青年にはあるのだそうです。ところが、農業をやっている青年というのはどこかじみ過ぎて、じめじめしていてぱっとしない。いま局長さんが答弁するように、おらのことをそんな取り上げてくれると、よくよくみじめなふうに見られるので嫌だからそんなことやらないでくれという意見で、これは、農産物をつくっている考え方というのは、まじめでなければ農産物は育たないと思うので、おれたちまじめにやっているのだから、そういうことをはたでそんなふうにべっ視されるような見方はやめてくれという言い方も出てくると思うのです。しかし、農村でも漁村でも離島でも、配偶者を持たない青年の存在というのは非常に大きな存在になっているわけなんですよ。  ですから、これは農水省も、いま局長さん言うように大臣もちょっと知恵をしぼってもらって、押しつけがましい嫁さん探しではなくて、もう少しスマートな嫁さん探しを考えてやるということがなければならないのじゃないかと私は思うのですね。大臣はどんなことで御結婚をなされたか、参考にひとつ……。これは私事にわたって恐縮ですが、この問題を結婚観も含めてちょっと聞かせていただければと思います。
  127. 金子岩三

    ○金子国務大臣 いろいろ男女関係のことばかり小川さんは言っておられますが、私の村などは半農半漁です。人口も減りません。青年も皆模範青年でございます。それだけに施設もよくできて、所得水準も一般の鉱工業の従事者よりも高いです。まずやはり生活を豊かにすることが先決である。生活が豊かということは、その地域社会が発展することです。その発展は農業ばかり期待せぬで、やはり半農半漁、その地域に適応した仕事をつくり出すことがまず先決であろうかと私は思います。  したがって、以前はよく半農半工と申しまして農村に工場を導入して、そしていわゆる農外収入で農村の所得水準を引き上げようということで政策的にもいろいろやった時代がございます。これは余り成果は上がっていないかもしれませんけれども、何といっても農村を今後どうして魅力ある社会につくり上げるか、それはやはり生産を上げ、所得水準を高めるということなんでございます。あるいは適応性があるならばどんどん工場も導入しまして、農家人口がみんな田や畑にばかり入らぬで、農閑期には工場に出かけていって副収入もあるような、そういういろいろな工夫をして、結局目的は、農村といえども都市と変わらないような社会環境をつくり上げる、それはやはり所得水準がまず先決でございます。これをひとつ目標として農村の社会環境づくりを行うべきである、このように考えております。
  128. 小川国彦

    ○小川(国)委員 局長さんの方からもひとつ御答弁を。
  129. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 ただいま大臣からお話がございましたように、私どもも、農村地域あるいは農業そのものの活力というものが、全体として眺めてみますならば、いまの配偶者問題などを解決する一番基本的な問題だろうというふうに考えておるわけでございます。それに加えまして、結婚問題というのはきわめて個人の好みにかかわる問題でございますので、なかなか官製の運動その他でうまくいくとは思いにくいわけでございます。これは公共団体も含めまして、お役人がいろいろお世話するというふうなシステムの中でうまくいくという感じも余りいたさないわけでございまして、役所のできることというのはそういういろいろな機会をつくり出すような環境を造成していくというふうなことに尽きるのではないかと考えておりまして、これまでもそういう意味での施策を行ってきておるわけでございます。また何か具体的ないい知恵がございますれば、重ねて取り上げていきたいというふうな気持ちを持っておるわけでございます。
  130. 小川国彦

    ○小川(国)委員 大臣にもうちょっといいところを期待したのですが、模範答弁のような模範答弁にならないような答えで、私が男女関係のことばかり言っているというふうにおっしゃられたのですが、この世の中はやはり男性と女性で成り立っているわけですね。特に農村社会においていまの農業後継者、私は千葉ですが、身近な私の町村などで見ましても、農家が五千戸あったのが二千戸に減り、そして専業農家が百五十戸ぐらいある中で、七十人ぐらいの未婚の農村青年がいるのですよ。私のところなんか東京に一時間半で来られるような、そして若い男女が接する機会もたくさんあるようなところで、専業で残っている農家の半数の農業青年に配偶者がいないという状況がある。  だから、これは私は、全国のもっと都市を離れた農村部、山村、そういうところへ行ったらもっともっと深刻な問題ではないかと思っているのです。大臣がおっしゃったような形で工業の誘致なり――あるいは大臣の地元も、徹底調査をしたら恐らくかなり配偶者がない方が出てくるのではないかと思うのです。大臣の認識は私はまだ浅いというふうに思うのです。ですから、私は農水省がまずこの実態さえ把握していないということが問題ではないかというふうに思うのです。農水省ではいままでに、農水省の統計情報部なりあるいはどういう機関でもいいのですが、たとえば北海道で二十代から三十代の農業後継者で配偶者がいないという人が約一万人いる、こういう数字は出ているのですが、こういうものをもとにして、全国の農業後継者で端的に二十代、三十代の配偶者のいない人がどのくらいいるかという実態の把握はされておりますか。
  131. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 各都道府県あるいは農業会議その他の農業団体あるいは普及所の組織などを活用いたしまして、年代別の未婚率を調べたものはあるわけでございますが、全国一斉に同じ手法で同じ年に調査を行ったというものはないわけでございます。今後、機会を見ましてそういうことも考えていきたいと思っております。
  132. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私は独自に、最初はこういう問題に関心を持っている市町村を選んで手紙を出してみたのですが、要領を得ないので、自費で全国の都道府県に手紙を出してこういう実態調査をされているかというのをやってみたのです。  全国から、四十七都道府県全部回答をいただいたのですが、農業後継者で、たとえば奈良県では、二十代で男性が三百二十名おりますのに、女性は二十七名しかいない。それから岡山県では、二十代で男性が三百五十三人に対して女性は十二人しかいない。それから三十代は、六十三人男性がいるのに女性はゼロ。広島県では、二十代の男性が四百六人いるのに女性は十八人しかいない。三十代では、百五十九人の男性がいるのに女性はゼロである。県全体の統計では、広島県は五百六十五人の男性に十八名しか女性がいない。高知県へ参りますと、二十代の男性が二千三百八十九人に対して女性は六百三十五人しかいない。三十代になりますと、六百六十七名の男性に百二十三人の女性しかいない。こういう状態で、中には鹿児島県のように、二十代で男女を問わず配偶者のいない人が千六百人いるというような報告をくれたところがありますが、私個人の調査でも、約十県近い数字の把握はできているのです。しかし、回答は全都道府県もらったのですが、いろいろ文章的には報告をもらったけれども、数字的な把握はされていないという状況にあるのですが、このいま私が申し上げた数字の府県を見ても、これは大変な深刻な農村後継者の中の男女のアンバランスが生じているという実態がありまして、これはとてもさっき大臣が言ったような百年河清を待つような、農村環境の改善を図ってからなんと言っている問題ではないと思うのです。  やはりこの問題そのものに、農業後継者の配偶者対策というものに政府がもう一歩踏み込んで対策を立てなければならない深刻な事態に立ち至っているというふうに思うわけなんです。それだけに、農水省としてさらに一歩前進した、まず実態把握とそれに対する対策を早急に考える必要があるのじゃないか、こういうふうに私は思うのですが、いかがでございましょうか。
  133. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 先ほどお答えいたしましたように、実態把握につきましては、機会を見まして、全国的に同じ手法で調べることは可能かどうか、努力いたしたいと存じます。  それからその対策の問題でございますが、先ほど来お答えいたしておりますように、行政施策として直接的に結婚を取り持つということは、事柄の性格上なかなかなじみにくい問題でございますし、また、むしろそういうことをやらぬでくれというふうな声もあるわけでございます。したがいまして、どういう手法でこの問題を解決するのかということにつきまして、私どもまだ名案があるわけではございません。先ほど申し上げましたような間接的な青年男女の交流の機会をふやしていくということ以上に出ないわけでございますが、さらに知恵をしぼってみまして、いい方法がございますれば取り上げるにやぶさかでございません。
  134. 小川国彦

    ○小川(国)委員 これは私ども一緒に考えたいと思うのです。それこそ農水省としてはこういうことにお得意の、審議会ではございませんけれども、懇談会でも何でも、こういう農村、漁村、山村の実態をいろいろ研究なさっている学者や文化人やいろいろな方々がいらっしゃると思うのです。そういう方々の知恵を集めて、いま局長さんのおっしゃるように、官製ではない形での対策、しかもそういう対策も押しつけではなく、やはりそういう対策の中から自然と配偶者が得られるような施策というものを考え出してほしい、こういうふうに要望しておきたいと思います。  次に、先般農業白書の問題で質問した中で答弁漏れになっておりましたところがございますので、若干質問させていただきたいというふうに思います。  その中で、まず備蓄の問題でございますけれども、五月十二日の本会議で、農業白書につきまして、総理と農林大臣に、私は先進諸国にならって日本もいろいろな凶作とか大災害とか国際紛争という事態に備えて一定の数量の備蓄をすべきだ、その中で、昭和五十年の八月に政府が「総合食糧政策の展開」という中で打ち出した二百万トンの備蓄考えというのはそのまま踏襲されているのかどうかということをお聞きしたのですが、これに対する総理の答弁は「米の備蓄につきましては、その需給についていささかも不安を国民に与えることがないように適切な備蓄水準の確保に努力してまいります。わが国は瑞穂の国と言われるぐらいでございまして、当然国内で自給自足するということは政策の基本でございます。」こういう総理の答弁があったのですが、「適切な備蓄水準の確保」ということで、具体的な数字については総理から答弁がなかったわけでありますが、この点、農水省としてはどういうお考えを持っておるのか。
  135. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 御質問のございました点で補足させていただきます。  かつて昭和五十年でございますが、農林水産省として二百万トン備蓄という考え方を打ち出したことは事実でございますが、その後過剰が続く中で、実際にはこれを上回る六百五十万トンという現在の第二次過剰の処理を招来したわけでございます。しかし、最近この両三年不作が続いておりまして、現実の前年産の米在庫の水準は低下しております。これに対します新たな備蓄あり方ということが問題になりますが、先般、五十五年の農政審議会からも、二百万トン備蓄時代は二百万トンをもって回転備蓄として処理するという考え方でございましたが、これでは現実に合わないということからこの見直しを指摘されておるところでございます。五十九年度から第三期の水田利用再編対策をスタートいたしますので、その水田利用再編対策の一環といたしまして適切な備蓄水準を設定すべく、農林水産省として官房を中心にしまして現在検討をいたしております。まだ適切な水準という段階まで入っておりません。  付言いたしますならば、回転備蓄といたしましては、通常は七、八十万トンが適正でございます。限度としては百万トン程度までが年間の回転備蓄として、通常の操作としては結構なのでございますが、これを上回った備蓄水準を持つにつきましては、その規模なり仕組み、負担問題等各種の問題がございます。転作の検討とあわせてこれをどの水準に設定するかを現在検討、研究中でございます。
  136. 小川国彦

    ○小川(国)委員 結論は大体いつごろを目途になさっておりますか。
  137. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 第三期対策は五十九年度予算編成に間に合うようにいたさなくてはなりません。それまでにはそうした考え方を明らかにするようにいたしたいと考えております。
  138. 小川国彦

    ○小川(国)委員 次に、米の消費拡大の問題でございますが、これは先日も文部大臣が、学校給食週五日のうち、米飯給食を昭和六十年初期においては週三日実施したいと、かなり前進的な考え方を示されました。消費拡大、それから子供たちに米になじんでもらうこととか、二千年来の民族の主食は米以外にない、こういう考え方からいきますと、文部大臣が答えたような拡大の施策に当然農水省も歩調を合わせて進んでいく。ただ、食管会計の負担がふえていくという現実があるわけですが、農水省としても拡大に対する考え方は当然持っておられるというふうに私は考えるのですが、いかがでございますか。
  139. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 学校給食につきましては五十一年度以降計画的にこれを進めてまいりまして、週二回を目標に五十六年度まで進めてまいりましたが、現実には平均週一・七回というような状況でございました。昨年の五月現在で週二回以上の学校の普及率は七一%にまで達してまいっております。文部省と協議しまして、文部省の方におきましても五十七年を起点としまして新たな計画をするということで、六十年代の初期には週三回になるよう、当面五十七年度から六十年度までには平均週二・五回に達するよう強力に推進していくことにいたしております。農林水産省としてもそれに対応した強力な推進をしてまいりたい、そのための必要な予算なりはぜひ講じてまいりたい、このように考えております。
  140. 小川国彦

    ○小川(国)委員 大蔵省がお見えになっておると思いますが、この点についての見解をひとつ承っておきたいと思います。
  141. 千野忠男

    ○千野説明員 財政当局としましても、学給用の米の値引きの措置は非常に意義のあることであると考えております。これは当面の米の消費拡大ということのみならず、すでに言われておりますように、学童期の食習慣が将来のわが国の食生活に大きな影響を及ぼすということで意味のある事業である、こう考えてこれまでもいろいろ施策を講じてきておるところでございます。  今後さらに米飯給食の普及率が高まってまいりますと、御指摘のように米の値引きに係る財政負担の問題もあるわけでございまして、これが増大してくるという問題が生じます。そこで、米飯給食の普及状況などを見きわめながら、財政負担の軽減とか受益者負担の適正化、こういった観点から値引き率の段階的な縮小を含めまして制度の見直しを行ってまいりたいと考えております。
  142. 小川国彦

    ○小川(国)委員 時間がございませんのであれですが、私どもは学校給食制度の意義その他から、もちろんある程度はやむを得ないにしましても、受益者負担をふやさない。いま前段におっしゃられた趣旨を生かしながら、米飯給食の中でたしか二、三万トンであった米の消費量が十五万トンにまで伸びてきているということで、先ほどの総理大臣の瑞穂の国の米の自給自足という考え方から見てもぜひ拡大のための御措置をお願いしたい、こういうことを要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  143. 山崎平八郎

  144. 草川昭三

    草川委員 公明党・国民会議草川昭三でございます。  まず最初に、私は牛乳の問題を取り上げさせていただきたいと思うのでございます。  実はこの問題については、昭和五十五年十月の当委員会において同様の問題提起をしたわけでございますが、残念ながらただいままでのところ事態は解決をしていない。何が解決していないかといいますと、特に牛乳を販売する小売店の現状が目を覆わしむ惨状にあるということでございます。これをまず取り上げていきたいと思うのでございます。  最初に、通産省の商業統計についてお伺いをいたしますが、全国の牛乳小売業商店数が昭和五十一年に二万一千八軒ございました。これが五十四年になりますと一万九千四百十軒に減り、さらに五十七年には一万七千八百三十八軒に減ってきておるわけであります。対前年度でも千五百七十二という数字で店が減少しておるわけでありまして、八%ダウンであります。五十一年に比べますと、三千百七十軒が商売をやめた、こういうことになりますが、この点につきましては、実はそこに働く労働者の方々、勤労者の方々も含めますと大変なことになるわけでございますが、この数字が正確かどうかだけ、まず通産省にお伺いします。
  145. 千綿道人

    ○千綿説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のとおり、通産省で調査をいたしております商業統計によりますと、昭和五十七年のデーターは、速報値ではございますが、牛乳小売業の商店数は、昭和五十一年、二万一千八店、五十四年、一万九千四百十店、五十七年、一万七千八百三十八店となっております。
  146. 草川昭三

    草川委員 いまおっしゃったとおりに、これは私は容易ならぬ状況ではないだろうか、こう思うわけであります。従業員数も同様に、同じ率以上に実は減少しておるわけであります。このことは昭和五十五年のときにも問題提起をしたわけでございますが、その後、たとえば森永、雪印、明治といったような大手マークの協会長が廃業したというような例もあるわけでございます。あるいは牛乳小売店の商業組合の副理事長が廃業して辞職をしたというような例もあるわけであります。これはかなり地域的にも深刻な状況になっておりまして、関東あるいは私どもの中部の愛知ばかりではなくて、大阪のような商都におきましても、四軒に一軒、小売店が減少しているというのが商業組合等のデータにもあるわけであります。  この原因というのはさまざまな原因があるわけでございますけれども、最大の問題というのは、大手スーパーにおける牛乳の安売りという問題が一つあるわけであります。これはちなみに農水省にお伺いをしてもいいわけでございますが、全国の動きでございますから必ずしも数字が一定をいたしておりませんけれども、いわゆる生産者の方から牛乳というものが加工をされて、その加工をされるのは農協プラントであり、あるいはメーカーによって加工されるわけでございますが、普通の場合は、一リッターというのですか、千ccというのですか、百八十六円四十銭前後で販売店に納入をされまして、これが個人のうちに二百五十円前後で宅配をされるわけでございますが、スーパーでは大変な安売りで、百円とか百二、三十円というような例が山ほどあるわけでございます。これでは牛乳の小売店がつぶれることは当然であります。  そこで、ちょっと公正取引委員会にお伺いをいたしますけれども、不当廉売という言葉がございます。原価より安く売る場合は不当廉売ということになるわけでございますが、いま、私、たまたま地元のチラシを持ってまいりましたけれども、スーパーで百四十円とか百五十円というのが多くて、ときどき百円を割って、これなんかは幾らになっておるのですか、九十八円なんというのが一つございます。これでは、スーパーの入り口で牛乳を買って宅配をした方がもうかるわけでございますが、公正取引委員会の方に、このような不当廉売の訴えが全国でどの程度出ておるのか、あるいは公取としてどのような処置をしておるのか、簡単にお伺いをしたいと思います。
  147. 樋口嘉重

    ○樋口説明員 お答えいたします。  量販店による牛乳の安売りが不当廉売であるということで、全国各地からきわめて多くの申告が寄せられております。この申告は主として牛乳商業組合等の団体によって積極的に行われているわけでございます。一番多い年で十万件を超えるようなこともございまして、最近でも月に千件を超えたようなこともございます。  この問題につきましては、先生御指摘のとおり、牛乳専売店に対する影響が非常に大きいということがございますので、私どもも事態を重視して、できるだけ問題点を早く解決するように努力しているところでございます。
  148. 草川昭三

    草川委員 牛乳というのは、この前、私、厚生省にお伺いをしたわけでございますけれども、牛乳の中身が水で薄めてそれで安ければこれは仕方がないのですが、乳等省令というのできちっと中身は非常に厳格な基準があるわけでありますから、中身には違いがないわけであります。しかし、値段が二百五十円とか二百六十円というものから、このチラシにありますように九十八円まで、同じ条件であるわけでありますと、一物一価の原則というのはどこかに飛んでしまうわけであります。  農林省に伺いますが、牛乳の原価というものは、単位は一リットルなら一リットルでいいのでございますけれども、実際、牛乳原価は幾らか。あるいは紙容器、加工費、いわゆる処理費というものは幾らか。あるいは運賃というものも遠近さまざまございますけれども、平均的に中間的な運賃は幾らか。そして、いわゆる牛乳製造原価というものはどの程度になるのか、お伺いしたいと思います。
  149. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 いろいろ差があることでございますので、一般論としてお聞きいただきたいと思います。  これはたとえば稼働率等が変わりますといろいろ変わりますので、ごく一般論として御説明いたしますが、現在市乳に当てられます原乳、よく百十八円という原乳価格がございますけれども、これを脂肪率三・六と考え、それからリッター換算をいたしますと、原乳費は百二十五円前後になろうかと思います。  処理費といたしましては、これはいろいろと効率によって違いますが、一般的に申しまして容器代が十二円から十五円、それからその他のいろいろな労務賃その他の経費が十八円から二十五円と考えられておりますので、安い場合で三十円、少し経費がかかっているものは四十円前後かと思います。運賃は、これは遠近差が大変大きゅうございますので、一応県内、おおむね一県の中で動かすぐらいの平均的経費を見ますと、十円から十五円程度考えられます。  したがいまして、総計いたしまして百六十五円ないし百八十円程度のものがごく一般論として言われる経費でございます。
  150. 草川昭三

    草川委員 ですから、少なくとも九十八円とか百二、三十円あるいは百五十円程度で売られているものは、常識的に原価を割って売られているわけですが、どうして原価を割ってまで売ることになるのか。ここに現在のいわゆる生産者あるいはメーカー、あるいは生産者とメーカーとの間で農協のプラントがあるわけでございますが、メーカーと農協プラントの激しいシェア争いというのがある。そこで、乳業メーカーというものがいわゆる牛乳から受ける採算というものを放棄をして、とりあえず農協とのシェア争いに全力を注いでいる。あるいはまた、生産者の方からの若干の余乳というものが出てまいりますが、加工乳製品以外に出る余乳というものが特定のメーカーの方からスーパーの方に流れ、それが百円前後の、あるいはまた百二、三十円前後の超安値のものになっていくのではないか、こう思うのです。  こういう状況を認めておる間は、メーカー系列によって非常に縛られている小売販売店は、安い牛乳というのは買うことができませんから、結局百六十円とか高い仕入れのものしかないということになってまいりまして、結局つぶれていく。だから、農水省は小売店をつぶすのかということを私は昭和五十五年に聞いたわけですよ、この委員会で。つぶすのですか。つぶすならつぶすようないわゆる職業転換の助成をするとか、あるいはまた繊維産業のような買い上げをするとか、いろいろな処置をすべきではないかと私は指摘したわけです。  そうしたら、そのときに畜産局長は、いや農水省はつぶすという気持ちはございません、今日小売店の宅配というものは非常に大きな供給のパイプ役の役割りを持っている、だから今後ともその役割りを期待したいと答弁したわけです。その後、具体的にどのような小売店対策を農水省はやったのか、お伺いします。
  151. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 まず、この数年間行われてまいりました問題の流通の混乱でございますが、これは御指摘のとおり、まず全体の需給緩和がございまして、消費の伸びは大体二・五%前後ぐらいでございますが、生産の伸びがそれを上回っておりましたために、生産者協力を得ながら全体の需給を調整する自主的な努力をお願いして、この需給の条件につきましては昨年あたりから漸次改良をされております。したがいまして、いわばいままでの乱売の一番のもとでありました需給の緩みというものは漸次解消されつつございます。  それから、そういう場合に生産者が産地間競争、特に牛乳の場合は北海道対内地というのが非常に目立つわけでございますが、産地間市乳化競争というような問題がやはり安い原乳が出てくるもとであったわけでございますが、これらにつきましても秩序を保つための生産者の話し合いということも順次行われてきております。  さらにもう一つ、プラント自身が過剰でございますので、プラントがどうやっても自分の能力としてはフル稼働したいということから生産が抑え切れないということがございます。さらに、いま先生も御指摘のように、生産者が商業系でも大手、中小がございますし、特に農協系という専売店を持っていない参入したグループが相当な力を持っているということもございまして、この間の過当競争が行われたということが大変な問題でございます。  この点につきましては、私どももまずプラントの新造抑制あるいは相互不信の解消のための系統間の話し合いといったようなことをいたしておりまして、そういう過当競争の素地をなくするようにしていく。これはかつては生産も相当伸びましたので、競争下において利益も上げられたわけでございますが、現在われわれの調べておるところでは、白物の牛乳というものをつくりまして利益を上げるということがいまの状況ではほとんど困難な状況でございますから、そういう過当競争を排除するための話し合いをさせる。これは、もちろん過度のことをやりますと公正取引委員会の問題になりますので、お互いの損をさせない、しない。少なくとも白物を売って、利益でマイナスを出すというようなことがないようにということは、業者として当然自主的に守るべきものとして話し合いをさせているわけでございます。  それから量販店との取引関係が、御承知のとおりいろいろと問題がございました。これらにつきましては一種のガイドラインというものを設けまして、量販店がこの取引関係を是正するような措置について協力を求めているわけでございます。  以上のようなことをほぼ一年かけまして関係者と話し合いをしながらやってきたわけでございますが、現在一部にまだそういう混乱が残っておりますが、全体としましては改善の方向に向かいつつあると思います。  そこで、御指摘の専売店の対策でございますが、専売店を通じます宅配は、現在牛乳の全体の供給量の一五%程度でございます。一五%ではございますが、専売店を経由する流通につきましては、どうしても牛乳のボリュームというものを安定的に流すために必要でありますほか、宅配を通ずる、たとえば老人の家庭へ必ず届けていただくとか、そういうメリットも大変あるわけでございます。私どもいままで専売店対策としていろいろなことをやっておりますが、一つは、やはり何と申しましても流通量をふやしますための御努力、これは労働費との関係もございますので、隔日配達とかそういうことをしながら全体の配達量をふやすとか、あるいは自動販売機等のような手法を通ずる販売の改善、それからやはり集配につきまして共同的にやっていただくことが望ましいということから、共同的な施設の整備等もいたしております。  それから、いろいろと協業化を進めます中で、たとえば何と申しましても牛乳だけで生計を得るということが困難な条件もございますので、一種のコンビニエンスストアといったような形への誘導といったようなものもございまして、私どものわずかな予算ではございますが、予算等もつけながらそういう方向に今後も誘導していくつもりでございます。
  152. 草川昭三

    草川委員 いま局長の方から御答弁がございましたけれども、いま言われましたようなことは、現実的に成果が上がっておるならば小売店はやめなくて済むわけですよ。そうでしょう。現実に小売店がやめておるという事実を私は一番最初に問題提起をしておるわけですから、実効性が非常に薄いわけです。だから、何らかいまの御答弁の、小売店が生活できるような施策というものを打ち出すべきではないか。いま白物とおっしゃいましたけれども、生の牛乳でもうからないというのはいま局長も認められたと思うのですね。  しかし、これは重要なことなんです。生の牛乳でもうからないというならばどこでもうけておるのか。これは、いわゆるデザート類というところでもうけておるわけでしょう。アイスクリームでしょう。付加価値の高いものでメーカーはもうけておるわけです。だから、農協ブランドというのはそれがないから農協ブランドの方はつぶれるわけでしょう。そして雪印、明治、森永という三つのでかいメーカーが生き残るわけです。そうでしょう。それが証拠に、ことしのこの三社の決算見込みというのは史上最高なんです。  生の牛乳で猛烈な赤字の、原価を割る戦いをやりながら、なぜ一方で史上最高の収益を上げるのか、ここに問題があるわけです。共同仕入れをしましょう――共同仕入れができるわけがないじゃないですか、いまの小売店で。メーカー・系列になっているから浮気ができないわけでしょう。ほかのメーカーから牛乳を買おうと思ったら、付加価値の高いいわゆるデザート類というアイスクリームが供給されないわけでしょう。頭のいい人がスーパーへ行って、スーパーで買ってきて宅配をやろうと思ったわけです。そうしたらメーカーは直ちに出荷停止でしょう。これは公取に聞けばわかるのですが、そういう例があるわけです。こういう実情を承知をしてやっていただかなければならぬということを声を大にして申し上げておきたいと思うのです。  そしてもう一つ、この問題について追加しての御質問は、LL牛乳の問題です。これはいま新聞紙上でもいろいろ報告されておりますが、時間がありませんので私が申し上げますけれども、いまの状況では常温流通ということに踏み切る、いわゆる要冷凍という基準を外すというようなことが言われておりますが、もし要冷凍の基準が外されてロングライフミルクがだあっと市中に出回ったとするならば、非常にむずかしい中で冷凍庫を備え、そして厚生省の基準を守って販売しておる牛乳小売店はあすの命はない、こう私は思うのです。だから、要冷凍を外すということは、食品衛生上の問題もあるでしょうし、それから流通という面からもよほど慎重な配慮をしてもらいたい、これを私は厚生省と農水省に要求したい。同時に、農水省として、要冷凍を外すために厚生省と十分相談をするのかどうか、その一言だけお伺いしたいと思うのです。どうでしょう。
  153. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 LL問題につきましては、要冷蔵要件の問題のほかに、御指摘のように流通全体、これは生産から流通消費に及ぼす大きな影響があるわけでございます。したがいまして、現在のLLにつきましても、生産者、メーカー等が相寄りまして、LLに関する一つの原則、三原則と言っておりますけれども、そういうものの話し合いの中でLLの生産流通を行っております。私どもこの要冷蔵要件問題につきましては、食品衛生法上の問題ではございますが、やはり現状でLLの問題を解決いたしますためには、生産流通消費のいろいろな方々がこのLL問題について大方の御意見一致を見た上で行われることが必要だと考えておりまして、現にそういう話し合いも始めておるわけでございます。そういう全体が納得する中で、LLにはやはりメリットの面もございます。したがいまして、そういう合意の上で事柄が進むようにやりたいと思います。
  154. 草川昭三

    草川委員 では、今度は少し話題を変えまして、私、この問題を調べておりましたらやはり乳価の問題にぶつかりまして、メーカーがどういう行動をしておるのかということにも興味を持つようになりました。そこで、いまから申し上げる問題提起が出てくるわけでございます。  学校給食のパンなどに使われている脱脂粉乳の問題になるわけですが、これに関連をいたしまして、国産の脱脂粉乳の値下がりがあった場合には畜産振興事業団が買い支えをするわけでありますけれども、この買い支えが結局できなくて、そのしわというものを、子供あるいは保育園というのですか、学校の場合は学校の給食会が肩がわりをさせられてしまっておるのではないか。この学校給食会だとかあるいは保育園の方のいろいろな団体に供給をする組織の方は別枠で輸入の割り当ての許可をとっておるわけでございまして、非常に安い輸入品を買えるのだが、農水省の働きかけによって輸入価格の倍近い原料を購入せざるを得ないという問題にぶつかってきたわけであります。そして、畜産振興事業団のあり方という問題にも関連するのできょうは局長においで願ったわけでございますけれども昭和五十四年のころでございますが、日本学校給食会に脱脂粉乳を農水省はあっせんをしたことがあるのかないのか。しかも、そのあっせんというのは、たとえば民間の雪印なら雪印とかあるいは北海道の農協なら農協とかというように具体的に指示をしてあっせんしたのか、お伺いをしたいと思います。これはまず農水省からお伺いをしましょう。
  155. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 そういう事実はございますが、周辺事情を申し上げますと、御承知のように五十三年、五十四年に大変過剰の状態になってまいりまして、国内生産者にも大変強い自主的な生産調整をお願いしている。そういう中で、当時の御議論もいろいろありますけれども、やはりいまおっしゃったように外国から入れておりますものは確かに安いものではございますが、そういう状況の中でできるだけ国内産のものを有効に使っていただきたいという趣旨からお願いをしたわけでございます。乳製品協会にそういうお願いをしておりまして、個々の会社のどこをどうということではございません。
  156. 草川昭三

    草川委員 では、ここで文部省の学校給食課長にお伺いをいたしますが、当時文部省の管轄でございますところの学校給食会でございますか、いまの健康会という組織になるのでしょうか、ここへいま農水省の方からは働きかけがあったというお話でございますけれども、どのような条件であったのか。最初は、最初の割り当てどおりに学校給食会の方は購入をしたのか、あるいは話し合いによってそれ以下で購入をしたのか、お伺いをしたいと思うのです。
  157. 玉木正男

    ○玉木説明員 お答えいたします。  学校給食用の物資の購入につきましては、良質の物資を適正な価格で安定的に供給するということを旨として行っているわけでございます。御指摘の脱脂粉乳の購入についても、外国産のものを安価な価格で輸入して給食費の父母負担の軽減に配慮をしているところでございます。昭和五十四年度、五十五年度の国内産の脱脂粉乳の購入につきましては、国産余剰脱脂粉乳に対する緊急の特別措置として農林水産省から強い要請がございました。それを受けまして、やむを得ない措置として日本学校給食会にこれを購入するように指導したものであります。  御指摘の量、価格の問題でございますけれども、当初千トン程度の購入をという計画でございましたが、調整をいたしまして、五十四年度は六百トンということで購入をする。それから価格につきましても、市況価格の八割程度で購入できるようにいろいろお願いをしたところであります。
  158. 草川昭三

    草川委員 いまお話がありましたように、文部省は買うのを嫌がったわけですよ。さらにその翌年も、農水省の方からの働きかけでまた千六百七十二トン購入をしておるのですが、さすがにこのときには、文部省は輸入価格でなければ嫌だと言ったのですね。それで、その翌年は輸入価格で、大体倍の値段で買わされたわけですが、輸入価格に戻った、こういうことが証明をされておるわけであります。  同じようなことが厚生省所管の児童福祉給食会にあるわけでございます。これも二百六十トンほど押しつけで買っておるわけですが、当時のトン当たりで幾らぐらい高いものを買ったか、お伺いをいたします。
  159. 斎藤治美

    ○斎藤説明員 お答え申し上げます。  先生がおっしゃったような事情によりまして、五十五年度に二百六十トンの国内産脱脂粉乳を購入いたしました。その価格は、当時の輸入品の価格トン当たり三十四万四千百六十五円よりも約十万円高い値段で購入いたしました。
  160. 草川昭三

    草川委員 トン当たり十万円近く高いものを買ったわけですね。それで買った先は、協会を通じたと言いますけれども、やはり雪印を初めとする大手メーカーです。あるいは一部、農協等もあるわけでありますけれども。私は、いまからまだほかのことでも申し上げるのですけれども、片一方で生の牛乳を価格より安く売って小売店をつぶしておき、そしてシェアの拡大に狂奔するメーカーに少し甘いのじゃないか、こう思うのですね。いまもお話がありましたように、当時の輸入価格に比べれば倍近いものを結局押しつけで買うということは、文部省からも御答弁がありましたように、父兄負担の軽減からは逆行することになるわけです。特に児童生徒の負担増ということになるのですけれども、この高値買いということは、他の省庁の系列に及ぼすべきこととは筋が違う。農水なら農水の一つの縦の系列の中でいろいろな助成なり対応を立てるべきであって、他の、特に学校給食だとか児童福祉の保育園の給食会にしわを寄せるべきではない、こう思うわけでございますが、一体どう考えられるのか。私は、基本的な農水省の考え方というものを批判しなければいかぬと思うのです。  同じような事例でございますけれども、いよいよ今度は畜産振興事業団のことについてお伺いをするわけであります。  畜産振興事業団は、高いときに放出をする、安いときに買う、こういう機能があるわけでありますけれども、五十一年のときに非常に高値だったので輸入を一万二千八百六十三トンしたわけですね。輸入をしたことから下がったのか、ここが問題なのですけれども、その後加工用の粉乳がじりじりと下がっていった。下がっていったわけでございますが、ちょっと説明を申し上げますと、長い間倉庫に品物を入れておきますと傷むわけですから、古いものを順次町に放出をして、そしてまたメーカーにお願いをして新しいものを入れて新陳代謝をしていく義務があるわけです。倉庫に積んでいる間に品質が悪くなれば、その差額をつけてメーカーにそれぞれ処理させるということになるわけでございますけれども、五十一年に輸入した一万二千八百六十三トンのうち、五十一年に五千八百十四トン、五十三年に百四十七トン、五十二年に二トンですか、このように放出をしておるわけでありますが、依然として倉庫の中には、五十二年には二万一千トン、五十三年には国内のものを入れますから四万四千九百トンというようにいっぱいになってしまう、こういう背景があるわけであります。  そこで、私はここで会計検査院にも質問したいと思うのでありますけれども、五十一年に買い入れをいたしました外国からの品物を五十一年には五千八百トン売ったのですが、五十二年には二トンしか売っていないわけです。五十三年にようやく百四十七トン売ったのですが、それきりになっておるわけです。私が指摘したいのは、大変品物が悪くなったために、七億五千百六十万円という交換の差金と言うのですか、差額というものを畜産振興事業団が払っておるわけでありますけれども需給動向をうまく見きわめて早期に交換をしたとするならば、少なくとも本件の交換金を節減することができたのではないかと考えるのですが、その点、事業団にお伺いする前に会計検査院の方からまず御答弁願いたい、こう思います。
  161. 杉本紫朗

    ○杉本会計検査院説明員 お答えいたします。  畜産振興事業団では、昭和五十一年度に指定乳製品であります脱脂粉乳を一万二千八百六十三トン輸入しておりますが、このうち売り渡しましたものは五千九百六十三トンでありまして、残りの六千九百トンは五十三年度へ繰り越して保管しておったものであります。ところが、在庫として保管しておりましたこれらのものが品質の低下を生じるという現象が生じてまいりましたために、同年の五月から七月にかけましてこれを乳業者と交換することとしまして、市場価格と売り渡し価格との差額、これは一キログラム当たり約百九円になるわけですが、これを補足金として七億五千百六十万円支払っておりますのは先生御指摘のとおりであります。  この御指摘の事態につきましては、需給見通しの困難性はあるところでありますけれども、五十二年度には市場価格が下落の傾向にありまして、同年後半からは安定指標価格をも下回る状況になっておりますことから見まして、五十三年度まで保管を継続して品質低下を招かないよう、つまり五十二年度の適期に適量を交換するなどの配慮が必要ではなかったかとも考えられるところから、このような措置を講じたとすれば本件の交換差金を幾分なりとも節減できる余地があったのではないかと思う次第であります。  今後は、今回の先生の御指摘も踏まえまして、当局の需給計画等についても十分留意してまいる所存でございます。
  162. 草川昭三

    草川委員 いま検査院からそういう御指摘があったわけですが、この七億を超す費用、これは配ったところは雪印が多いのですか。これも含めて畜産事業団にお伺いします。  いまの御答弁を聞いて、事業団としてどういうような御見解でございますか。
  163. 森整治

    ○森参考人 御承知のように、事業団は不足の場合に輸入し、国産と合わせて保管しまして常に在庫を持っておりますが、五十年を除いて、創設以来期末在庫としましては脱脂粉乳につきましてもずっと持っております。  その中で、ただいま御指摘の問題につきましては、先生御承知のことと思いますが、五十二年から、安定指標価格対比で言いますと一〇〇を割った、九九が始まったわけです。それで、九〇%になるおそれがあるときに買うのですが、その事態といいますか、九二・五、五十三年末にその事態に入った。九〇を割っていませんけれども。そういうことで、大体事業団といたしましては、年度末にその年度まとめて国内製品を買うことになる。したがいまして、その時点まで輸入いたしました七千トンを放出できるという考え方で事業団としては保有をいたしておったということでございまして、そのときに結局国産を買わざるを得ないという事態になってきた。また、事実買ったわけでございますが、その時点で交換をすべきものと判断をいたしたと思います。そこで、現実にはその五月から七月にかけまして交換をいたしたということでございまして、私ども需給操作をしております立場から申しますとやむを得なかったことではなかろうかと思うわけでございます。  いま御指摘の七億に関しましては、法律上十九条に品質が下がる場合に交換しなければいけない、交換する場合に交換差金を払えということが書いてございまして、交換差金というのは、現物をもって高値に対応するわけでございますから、それは常に持っていなければいかぬ保管に要する経費、コストだとわれわれは考えておるわけでございます。  あと、評価の問題につきましては、国産に対しまして七七%の評価をいたしていまの交換差金を払ったわけでございますが、この七七%というのも、四十五年度、五十年度、そういう輸入品に対しまして、輸入品を国産と交換する場合にもちろん品質差がございまして、その例にならいまして七七%の評価をしておるということで、評価額についても適切なものではあったと私ども考えておるわけでございます。
  164. 草川昭三

    草川委員 事業団としては全然反省してないわけです。たとえば検査院が交換差金を幾分なりとも節減できるのではないか、こう言っているのですが、全然そういう気持ちはないわけでありまして、やり方によっては国費のむだ遣いだと私は思うのですよ。  時間があと五分でございますので、最後に、畜産事業団の倉庫がいっぱいですから、今度はメーカーの倉庫にあるものに対して俗に言う金倉助成ですか、金利と倉敷料の在庫調整の経費を特別に援助するわけであります。こういう行政というのはいろいろとあると思うのです。ほかの産業にもございますが、乳製品の場合は雪印が圧倒的に多いわけです。五十五年、五十六年に行われたこの特別助成事業も、社団法人日本乳製品協会というところに五十五年に十一億三千七百五十万出しておるわけですけれども、その中身は、雪印が十億六千七百万という圧倒的なんです。明治が六千九百万、森永百万。日本乳製品協会をストレートで通ってメーカーに入っていく。これは実質的にはメーカー救済なんです。メーカー救済をしておるのだけれども、メーカーというのは史上最高の利益を上げておるわけです。片一方では小売店をつぶしておるわけです。農協ブランドも壊そうとしておるわけです。こういう行政がいつまでも続けられることについて私はいかがなものか、こう思うのですが、不平等過ぎるのではないか。  農水省としては、農水省に関係のある生産者流通機構も小売店も全員に平等の行政をするのが農水省の行政だと私は思うのですが、その点どうでしょう。この問題だけ聞いて終わりたい、こう思います。
  165. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 御指摘の保管のための金倉といいますのは、本来がりがり活動を強要されますと事業団が買って持っておれということでございますが、御指摘のように、かなり大きなものを持ちながら、しかもなおかつ安定指標価格を割っているという事態でございます。安定指標価格を割っているというのは、一つは、御承知のように生産者にとっても交易条件を大変悪くしますし、メーカーにとっても安定指標価格の中でようやく採算が合うという前提で不足払い制度が成っているわけでございますから、そういう状態をつくっていることは、メーカーはもうけているわけではございませんで、メーカー側とすれば損をしている状態でございます。  いずれにしましても、金倉は事業団が持ちましてもかかりますし、それから外部のメーカーに持たせましてもかかるわけでございますが、私どもとすれば、直接的に持つことなく、かつ、といいますのは、企業努力も加味しながらやれるということで金倉の方が財政負担が少ないという前提でやった措置でございます。  それからもう一点、御指摘の大メーカー中心ではないかというお話でございますが、私どもは酪農なりあるいは乳業というものにつきましてあらゆる施策につきまして、生産者、メーカー、メーカーの場合にも大手、中小、農協系すべて、あるいは流通関係者につきましても必要な措置を平等にやっておるつもりでございますし、今後もそういう努力をしたいと思います。
  166. 草川昭三

    草川委員 以上で終わります。
  167. 山崎平八郎

    山崎委員長 武田一夫君。
  168. 武田一夫

    ○武田委員 時間がございませんから、二点お尋ねをいたします。  精米流通研究会報告の問題、いわゆる銘柄表示を禁止する、三点セット禁止あるいはブレンド構想というものが出まして、良質米の生産県を初め消費者などでも大変な反発といいますか、反応がございまして、いろいろと私の地元などでも大変な心配をされました。五月十三日、食糧庁は、これは慎重に対処するということを言ったのでありますけれども、憤重に対処するというのはまたくせ者ではないかということでありまして、まず最初に、この研究会の内容に沿った銘柄米表示禁止についてはことしのいわゆる五十八年産米だけに限るのか、今後この問題は取り上げていくのか、この点をはっきりひとつお答えいただきたい。  それからもう一つは、この問題で関係あるのは、どうも臨調絡みで良質米奨励金に手をかけようとするのではないかという大変な心配がございますが、この点、非常な苦労の中で消費拡大という面からも大変な貢献をしている良質米を、消費拡大の面でも水を差すようなことはけしからぬと私は思うのでありますが、この点に踏み込む考えがあってのこうした報告食糧庁はさせたものかどうか。その点、食糧庁長官にお尋ねします。
  169. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 第一点目の精米研究会優良銘柄米単体流通の問題でございます。  いわゆる三点セット表示と言われている点でございますが、この点は、精米流通研究会報告においても意見一致を見なかった点でございます。食糧庁といたしましては、この問題の影響するところが広く、かつ、しかも今後におきます米の需給なり管理等の全体の問題と密接に絡む点もございます。こうした全体の問題の中で慎重に対処して、結論は急がないということでしばらく時間をかけたいと考えております。  第二点の、このことが良質米奨励金との関係いかんということでございますが、その前にお断り申し上げますが、良質米生産奨励という基本的な考え方は全くこの研究会においても否定しているものではございません。いわばそのような形で生産されたものを、流通段階におきましてこれを活用した形でいくか、あるいは単体流通でいくかという精米流通の問題として取り上げておるわけでございまして、これまでの銘柄米なり産地から供給される体制について何ら変更するというような意味合いは含んでおりませんし、私どももそういう考え方は持っておりません。  良質米奨励金自体の問題は、これは、御指摘になりました第二次臨調なりでこの自主流通助成についての縮減ないし廃止というような意見も出ておりますが、この経過といたしましては、良質米奨励金の果たしてきた役割り自体は評価しつつ、それ自体が相当程度役割りを果たし得たのではないかというような見解からそういうふうに言っておるのではないかと思います。  この問題は、毎年生産者米価に絡んで私どもも対処してきておりまして、ここ一、二年流促と言われます奨励金の単価の是正等は図ってきておりますが、今年の取り扱いにつきましては生産者米価決定の際にあわせて検討すべき問題として考えておりますので、いまこれをどうするというようなことをこの精米研究会と関連して私ども考えておりません。
  170. 武田一夫

    ○武田委員 政府は四十四年以降自主流通米路線を進めてきたわけですが、今後はいわゆるこの路線も変更することなく進んでいくというふうに理解してよろしゅうございますか。
  171. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 自主流通米につきましては、先生御案内のように、先般改正食管法の際にも、政府米自主流通米とを一体的に管理するということで位置づけましてこれを進めてまいりました。現在四割程度までこの自主流通米も増加してきております。やはり政府のそうした管理のもとにおきまして適切に需要に即応した供給体制がとれる限り、現体制は維持していくつもりでございます。
  172. 武田一夫

    ○武田委員 大臣にちょっとお尋ねします。  新聞でも連日この問題を取り上げて大変な反響があったときに、大臣が閣議でそのことは寝耳に水だとぼやいたそうでありますが、それは事実でございますか。――大臣に聞きたい。
  173. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 その前に、私ども関係する点でございます。  本件につきまして、私ども、これは先ほど申しましたように、良質米の路線なり銘柄米制度廃止とか、そういうような考え方でとらえてなかった。かつ、報告につきましては、できるものから実施するという基本的なことで考えておりまして、あのように伝えられるということにつきましては、私ども大臣にもお伝えしていなかった点でございまして、この点は私ども手違いと存じておりまして、遺憾なことだと存じております。
  174. 武田一夫

    ○武田委員 遺憾なことだと言うけれども、大臣にとっても遺憾なことだ。これは重大な問題として連日新聞でも取り上げられまして大変な反響があったわけですが、それを全然知らぬというようなことが新聞に出てくると、大臣というのは一体何の存在だ、米に関しては関係ないのか、こういうように農家の方々が大変心配しているだけにお尋ねをするわけでありまして、やはりこういう重要な、重大な問題が、食糧庁のひとり歩きと私は言いたくないのですが、独走でいったということは、これは反省をしていかなければ混乱を起こす。あのブレンド米あるいはまた三点セット禁止の話があってもう半月たたないうちに、東京の米市場では良質米が値段が上がったとかというような、消費者がそれで大変迷惑しているというようなことも話を聞くわけです。事実、私は調べたわけではありませんが、かなりの混乱と迷惑を与えているわけでありますから、慎重に対処するということは、文字どおりそういういろいろな消費者生産者に心配をかけないようにするということが大事だと私は思うのです。その点、ひとつ御注意を申し上げたいと思うのです。  それからもう一点は、私は精米流通の問題がやはり今後大事な一つ課題になってくると思うわけです。ササ、コシというものが大都会に出てきて、店頭でブレンドされて、それが本当の銘柄米として出ているというケースがたくさんある。特に大都会になればなるほどいま良質米、いわゆるおいしい米を志向する方々が非常に多いというような傾向があるわけでありますから、そういうときに銘柄米にいろいろな操作をするということをチェックをする機能をしっかりやるべきだと私は前に食管の制度の問題が出たときも話したのであります。そういう流通の問題をしっかりと見きわめて、消費者が安心して食べられるような体制がまずこの話が出てくる前に重要な課題でなかったかな、そういうことに食糧庁はもっと気を配って、そういう流通あり方にメスを入れるというようなことをしっかりやってもらいたい、私はこういうふうに思うのでありますが、この点についてどうお考えでございますか。
  175. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 御指摘のように、流通の問題は特に重要な問題でございまして、改正食管法によりまして基本計画、さらに品質別供給計画なりを立てまして、需要に即応した体制もとりまして、販売業者についての許可制もしいたわけでございます。同時に、私どもはこの販売業者に対します業務運営基準を定めまして、流通の適正化を図るということで、特に今回の精米流通研究会におきましても、そうした点から御指摘のいわゆる三点セットだけではなくて表示あり方――県によっては非常に複雑化して消費者の実態に合ってないという表示の簡素化の問題、あるいは標準ブレンド米の設定の問題、各県でかなり独自に動き出している問題もあるわけでございます。それぞれの県に応じました標準的なブレンド米の創設とか、標準価格米の適否とか、ただいまお話がありました三点セットの問題とか、流通全般について改めて広く検討したところでございます。  これはある意味では最初の検討でございますので、今後とも御指摘のような問題については私ども重要な課題としてとらえ、業務運営基準なりに照らしまして適切な指導をしてまいりたい、こう考えております。
  176. 武田一夫

    ○武田委員 いま米の消費拡大がなかなか進まない、どちらかというとまた一層後退しているような状況の中で、私はこの銘柄米、良質米の果たす消費拡大の貢献度というものは大変なものだと思うわけです。だから、われわれに言わせれば、そういう地域減反などはやめて、もうどんどんつくらせると言いたいくらいでありまして、それをこういうようなことが出てくるとなると、いままでの苦労をなさってきた方々にとってはこれはやりきれない問題でもありますし、その流通の問題とあわせて、しっかりと今後、食糧庁は無定見な米政策だなどと言われないように慎重に対応して、生産者にも消費者にも納得できるような米政策をとってほしい、私はこういうふうに思うのです。  大臣からそのことについて最後に、ひとつ御決意のほどと、聞いたことがないというようなことのないようにしっかりとそういう問題には耳を傾け、新聞も見ながらよく関心を持っていただきたいというお願いを込めまして決意を聞かせていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  177. 金子岩三

    ○金子国務大臣 この問題は大変反響が大きくて私ども驚いておるのでございますが、先ほど閣議云々がありましたが、あれは閣議の後に長谷川運輸大臣から話があって初めてこれを知った、こういう経過でございます。閣議の話題ではないのでございます。  いろいろこれは手落ちでありました。長官も大変反省をしておるようでございますから、二度とこういう軽率なことがないように慎重に取り組んでまいりたいと思います。
  178. 武田一夫

    ○武田委員 では、終わります。
  179. 山崎平八郎

    山崎委員長 神田厚君。
  180. 神田厚

    ○神田委員 きょうは養鶏問題一本にしぼって御質問を申し上げたいと思います。  まず、ことし一月の卵価は十年ぶりの低卵価ということで、その後もやや回復はしましたが、現在低卵価が続いているわけであります。この低卵価の原因につきましては、農林省としてどういうふうに考えておられますか。
  181. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 御承知のように、卵につきましてはすでにほぼ需要の極限と申しますか、相当な需要があるわけでございます。もちろん需要拡大ということも必要ではございましょうが、やはり需要に合った生産をやるということが基本でございまして、そういう意味では、私どもかねがね計画生産ということにつきましてかなり生産者の御努力もお願いしていたわけでございます。一昨年、それから一昨々年が非常に高卵価でございまして、三百円を超えまして、特に五十七年は三百四十円くらいの平均価格ということで、これは採算上かなり有利だ、その後に大きな増羽があるのではないかということでいろいろと指導いたしておりましたが、やはり結果的には全国的に増羽がございました。  したがいまして、昨年暮れあたりから特にもう一度増羽を抑えるようにという指導をしたわけでございますが、御承知のように一月に下がりました際に、さらに一層いろいろと計画生産を推進するための努力を関係団体に期待をいたしまして、二月、三月、価格が戻ったわけでございますが、御承知のように五月に入りましてから、連休明けから暴落をいたしております。やはり基本的には供給過剰であろうかと思っております。
  182. 神田厚

    ○神田委員 供給過剰、つまり増羽の問題が非常に大きな原因をなしておるわけでありますが、特に私がここで問題にしたいと思いますのは、やみ増羽に対します農林省の指導のあり方あるいはやみ増羽者の羽数の調査方法の問題等につきまして、具体的に事例を挙げながら御質問を申し上げたいと思うのであります。     〔委員長退席、亀井(善)委員長代理着席〕  私どもが問題にしますのは、大規模なやみ増羽の問題でありまして、やみ増羽者が現在放置をされている具体的な例といたしまして、秋田県の場合には、能代の養鶏組合、これは十三万六千羽の羽数のところを四十万から五十万羽はいることが確実視されている。飼料基金に九千トン加入をしているわけでありますが、こういう問題が一つあります。さらには、八竜養鶏組合、これはひなの育成場と称しておりますけれども、実際は成鶏が三十万羽以上いる。これらの二つの農場が県の立入調査を拒否をしているという現実があるわけであります。したがって、羽数の確認ができないでいる、こういうふうな状況が現在まで続いております。  まず、この秋田県の例につきまして農林省としてはどういうふうに把握をしておりますか。
  183. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 やみ増羽問題につきましては、御承知のようにいろいろと調査をします段階で数の把握をいたしておりまして、昨年十一月の調査では四十一戸、百八十八万羽程度のものがやみ増羽があるという確認をいたしておりますが、その後、いま先生も御指摘のありましたような個別なお話をいろいろと聞いております。これは都道府県需給調整協議会等を通じていろいろと努力をお願いするわけでございますが、行政的にはえさの安定基金だとか卵価安定基金とか、そういうものから締め出すというような、かなり強引とも思われる手法を使うわけでございますが、それでもなおかつ協力を願えないということになりますと、いわば法律制度でどうこうするというわけにはこれはまいらない性質のものでございます。  私ども、そうは申しましても、同じ養鶏業なら養鶏を営む者の一つの共通の、何と申しますか、最終的にはモラルになるかと思いますが、そういうことがあるわけでございますので、これは何度も何度も回を重ねまして、関係の県なりあるいは市町村なり、そういう方々の行政指導をお願いし、かつ、そういうものを組織している組合の方々からの御努力もお願いする、そういうことを重ねてやっていきたいと思っております。
  184. 神田厚

    ○神田委員 秋田県の具体的な例につきましてお答えがないようでありますが、続いて二、三、その具体的な例を申し上げておきます。  青森県の場合におきまして、日本鶏業。これが八戸の郊外の階上村、持ち羽数、記載羽数は十三万羽でありますが、実際は三十万から四十万羽多い。現在も増羽中で、話によりますと百万羽を目指している、こういうことであります。この問題につきましては、地元の需給調整協議会は十三万羽の枠内におさまっているという報告を県に出しておりますが、しかしながら現実は三十万から四十万羽になっている、こういうふうな実情であります。  さらに、岩手県の例といたしまして、後ほど御質問を申し上げますが、八戸の飼料コンビナート、ここに隣接をしますところの久慈市とか大野村とかあるいは種市町、こういうところを中心にしまして何カ所かで大規模なやみ増羽が出現をしている。しかしながら、いずれも立入調査による羽数の確認ができない状況であるというふうに言われております。たとえば、青森県の八戸に本社を持っております宮崎養鶏場は、育成舎と称しまして種市町に第三農場、第四農場を建設しましたが、第四農場には成鶏が約二十万羽いるということは公然の事実として認められております。しかしながら、いまだに無断増羽者としての認定を受けていない、こういうことであります。  こういう具体的な事例につきましてもすでにこれだけのことが明らかになっておりながら、そういう問題についての農林省からのいわゆる指導というものは一体どの程度なされているのか。県の機関やその他を通じましてこれらの問題についてはどういうふうに指導をしていますか。
  185. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 最初に申し上げましたように、鶏卵の需給のための計画生産につきましては、これはいわば行政指導という事柄の枠を出て法律的に何か禁止措置をするとかなんとかできるしろものではございません。しかし、私どもやはり鶏卵の場合、特にこの需給ということが生産者に与える影響が多うございますので、若干行政の介入といたしましては異例と思われますような、先ほど言いました台帳制度をとって届け出をさせて、しかもこれは年に四回いろいろな調査をいたしまして、そういう結果を持ち寄ってお互いに計画生産に励むように、しかも、そのことだけでは実効が上がらない場合もあるということでございますので、われわれが財政的に応援をしています卵価とかあるいはえさの基金とかいったもののメリットはそういう無断増羽者に使わせないといったような、行政指導とすればかなり限度に近いようなことをやっているわけでございます。  しかしながら、残念ながらいま先生が御指摘の何件かも含めまして、現在十数万の養鶏農家の中で、比較的規模が大きいもので言いますと、四十戸前後のものがそういう無断増羽を繰り返している。これはやはりわれわれのいままでの手法からしますと若干物足らぬという御指摘もあろうかと思いますが、何度も何度も繰り返しながら指導していく。これは、供給いたしておりますいろいろな飼料も農協系統からもあります、それから商業系統からもございますし、ひな等につきましてもいろいろな供給源があるわけでございますが、そういうところも巻き込みながら極力計画的な増羽の中におさまるように、御承知のように計画生産に移行しました際も事実としてある程度ふえておりましたものも認めた上で計画生産に入れるようにということをさした経緯もございますので、これは関係者を督励しながら指導していくということであろうかと思います。
  186. 神田厚

    ○神田委員 これらの業者の中には、飼料や卵価安定基金に入って恩典を受けている者もいる。さらには、そういうことによりまして、つまりやみ増羽をしながらいまだに無断増羽者と認定されてない者があるわけですね。ですから、それについての取り組みといいますか、指導といいますか、それを今後国はどういうふうにやっていくのか。つまり、すでに無断増羽者としてそういうものの基金を当てにしないで生産している人もおりますが、そうでなくて、現実にまだここにこういうような形で飼料や卵価の安定基金に入って恩典を受けているという者もあるわけでありますから、その点のことをまずはっきりしてもらいたいということ。  さらには、国がこれらのやみ増羽者と見られる者の羽数確認のために立入調査などをするように地元の需給調整協議会を指導すべきであるというふうに考えておりますが、この地元の需給調整協議会が弱体でその任にたえられない場合もあるわけであります。その場合には県や農政局が代行してこれを調査をして、きちんとしたやみ増羽の実態を把握をすべきであるというふうに考えますが、その点はいかがですか。
  187. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 一応は出先の県というようなものを中心に使うわけでございますが、いま先生も御指摘のように必ずしもそれでは十分でないというところがございますれば、私どもの出先等もこれに協力するように指導したいと思っております。  それから、先生さっき御指摘のように、無断増羽をどうもやっているけれども、まだ基金加入をあるいはしているような者がいるというお話でございますが、無断でやっておりまして是正をしないということがはっきりしますものは、私どもの方で県から通知を受けましたものを各基金に通報いたしております。それから、そういうことがありますけれども、近いうちに是正をするというようなもので是正措置を見守っているものもございます。いずれにしましても、そういう基金加入等につきましては無断増羽ということが行われているものを排除するという基本的方向で指導してまいるつもりでございます。
  188. 神田厚

    ○神田委員 この立入調査の問題は、局長からそういうふうな形で明確に御答弁をいただきましたから、私はこの立入調査を拒否されて実態がつかめないという問題が非常に大きな問題でありますから、ひとつそのことは強力にお願いをしたいと思っております。  次に、関連をいたしまして、八戸飼料コンビナート建設の問題でありますが、この飼料メーカーに対します指導の問題で、八戸の飼料コンビナートをつくるその条件といたしまして、その分に合わせてほかの工場の生産を落とすということが農林省との間で約束になっていたわけでありますが、この辺のところでちょっといろいろ問題があるというふうに考えております。具体的には、いまどういうふうな状況で八戸の飼料コンビナートは建設をされているのでありましょうか。
  189. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 八戸のコンビナートにつきましては、御承知のように畜産立地といたしまして北東北が最近大変著しく発展をしてまいりまして、結局、北東北の地域では、えさのいわば伸び率というのも大変高うございます。全国の倍ぐらい伸びているとか、それから、北東北と申しますか、その自分の地域内でつくられる、いわば地域内の自給が約四割程度でございましたために、やはり今後の畜産立地のことも考えまして、八戸に飼料コンビナートをつくるということでいろいろ計画を認めてきたわけでございますが、その中で、現在工場をすでに完成をいたしまして操業いたしておりますのは一工場でございます。他の四工場につきましては、ことしのつい今月ぐらいから来年の秋ぐらいにかけまして逐次操業を開始する予定でございますけれども、先生も御指摘のように、えさの供給の絶対量をふやすということではいろいろ問題もございますので、ここに立地をいたします際に、それに見合う既存の工場の生産を縮小するというお約束をいただいて立地をさせているわけでございます。  この場合に、やはりどちらかと申しますと関東中心の、関東から相当のものを東北へ運んでおりますが、関東中心あたりの工場の規模を縮小して八戸に移って、そこで操業をしていくということになろうかと思っております。
  190. 神田厚

    ○神田委員 操業しておりますのは中部飼料だと思うのでありますが、中部飼料は八戸で昨年の七月から稼働しておりまして、現在月産八千トン程度生産しているということのようであります。その増産に見合う分として横浜工場をスクラップするということになっておりましたが、これは現在実行されておりますか。
  191. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 横浜工場の能力を落とすということになっておりまして、私どもが聞いておりますのでは、たしか七千トンぐらいの操業能力を落とすという計画になっているかと思います。一万七千トンぐらいの供給能力を一万トンぐらいまで落とすということを聞いております。
  192. 神田厚

    ○神田委員 そういう計画で話し合いがあったわけですが、すでに八戸の方では生産をしている。横浜工場の方では現在その七千トン程度の操業を落としておりますか。
  193. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 十月から生産を落としておると聞いております。
  194. 神田厚

    ○神田委員 私どもの方の調査では、それが農林省との約束のとおりに落とされていないというふうに聞いております。再度、農林省の方といたしましてもこの問題の指摘について調査をしていただきたい、こういうふうに思います。
  195. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 調査をいたします。
  196. 神田厚

    ○神田委員 私がこの八戸の飼料コンビナートの問題を取り上げるということは、北東北のこの地域が大変養鶏に合っているというふうなことで、しかも、そこで生産をされたものを、その近くのところで、北東北で消費をするというふうな傾向が非常に強いようなんですね。ですから、現在でも問題になっておりますが、そういうふうな形になりますれば、全国的に決めました需給計画が崩れてくるわけでありますから、そこで私は、この北東北におけるやみ増羽の問題を徹底してここで農林省は調査をしていただかなければならないというふうに考えているわけであります。  先ほど、立入調査等の問題につきまして、県や需給調整機関でできない場合には農林省が指導してそれを行うということで御答弁をいただきましたが、具体的にどういう日にちに、いつごろまでにそういうふうな処置をとっていただけるのか。その点はいかがでありますか。
  197. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 八戸のコンビナートと無断増羽の関係でございますが、そういうような御指摘もございましたので、今回の増羽、これは無断増羽だけではございませんで、増羽そのものの傾向を見たわけでございますが、実は、今回の増羽というのは大変一般的でございまして、北東北に限らず、これは西の方にもあるいは中部地区みたいなところも含めまして、どうも羽数がふえていたようでございます。特にそういうような御意見がいろいろございましたので、私どもの方は鶏卵の生産増加量なりあるいはひなのえつけの増加量なり、いろいろなものも調べてみたわけでございますが、この傾向はかなり一般的でございました。  それからもう一点の、いつごろまでにやるかということでございますが、私どももちょっといま事務的に担当者ともいろいろ相談してみますが、特にそういう調査もできなくて、無断増羽をしているかどうかもわからぬというような疑惑のあるところについては、極力早急にやるつもりでございます。
  198. 神田厚

    ○神田委員 全国的な傾向だといいますのは、農林省の方でそういうふうな考え方を持っているということは私ども承知しているのですが、しかし、全国的な問題というよりも、特にこの北東北にそういう大規模の養鶏場がかなり、百万羽を目指すとか、そういう形の上で大胆に無断増羽をしているという現実がありますから、その辺のところをひとつ注目をしていただきたいのだ、こういうことで私は申し上げているわけであります。
  199. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 そういう大規模で、かつ行政的になかなか手が入らぬというのがございますれば、重点的に調べるつもりでございます。
  200. 神田厚

    ○神田委員 入り口にバリケードを張ったり、いろんなそういう装置によって立ち入りを拒んだりしているということも聞いております。ひとつそういうことでここのところの調査をまずして、農林省に責任を持ってしていただくということが、私はこれから先のこの無断増羽の問題、それを抑制する大変大きな力になるというふうに考えておりますので、その点についてよろしくお願いしたいと思います。  それから、養鶏国会と言われた以前の国会で、私どもは国会決議をいたしまして、そして農家養鶏の育成について、これを、養鶏は農業の一部門とするということで位置づけまして、農家養鶏の育成問題をその国会で論議をしたことがございました。国会決議もそこでやられたわけでございます。この国会決議にのっとって自立養鶏農家の育成を図るべきであったのでありますが、その辺のところがちょっと手抜きがされているというふうな考え方を持つのですが、その辺はどういうふうにお考えでありますか。
  201. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 御承知のように、養鶏は特にいわば資本集約的な形での効率を上げやすい部門でございまして、戦後のそういういろんな流れの中で、いち早く、いわば企業的な部門と申しますか、あるいはインテグレーションといったような形でのものが入ったわけでございますが、やはりそれはそれだけですべてがなされているわけでございませんで、養鶏農家は十三万数千戸ございますけれども、そういう戸数の方々がかなりの地域地域での安定供結も担っていらっしゃるわけでございます。私ども、決して大きいことがいいとか、あるいはいわばどちらかというと資本の支配みたいなものが望ましいと考えているわけでございませんで、したがいまして、こういう計画生産といったような制度を設けております趣旨も、地域地域に応じて自立するような農家がやり得るような条件を整備するということでございます。特にいろんな基金制度だとか、あるいは卵価安定基金だとかあるいは御承知の飼料のための安定基金というようなことをやっておりますのも、これはやはり端的に申しまして、そういう農家群に対する助成の一助と考えているわけでございまして、われわれは今後ともそういう方針で貫いてまいるつもりでございます。
  202. 神田厚

    ○神田委員 現在下限羽数が一万羽ということで抑えられているわけでございますが、後継者を育成をして自立養鶏農家としてやっていこうとする場合には、とても一万羽で抑えられていたのではなかなかできないという希望もあるわけですね。そういうふうに自立養鶏農家が大変がまんをしながらやっている反面で、大規模な企業の方が無断増羽でどんどんと実績をつくっていってしまっている。こういう正直者がばかをみるようなあり方、傾向というのは、ぜひとも是正していかなければいけないんじゃないかと思っておりまして、むしろ、私は、自立養鶏農家が下限羽数を一万から二万ぐらいにふやして、そして本当に国会決議に沿った形で自立養鶏農家というものが育成をされていく方向に農林省は具体的な指導をしていくべきだというふうに考えておるわけでありますが、その辺は当局のお考えはいかがでございますか。
  203. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 養鶏に携わっております二つの大きな組織がございますが、そういう組織の主要構成員は、いま御指摘のような事業と申しますか、農家として養鶏をなさっている方が主力でございます。実際は供給力の非常に大きいものが大規模経営でございますけれども、私どもは常々そういう組織の方々ともお話をしながら、あるいは卵価の安定の制度の運用につきましても、あるいはえさの安定制度の運用につきましても、そういう方々の御意見を聞きながらやっているわけでございますし、先年やりました肉関係のいろいろな資金的な手当てにつきましても、そういう農家中心にやったわけでございますので、そういう方々の生産意欲を盛り上げるような方向でやっていきたいと思っております。
  204. 神田厚

    ○神田委員 なかなか現実に、いまの日本のようなやり方ですと、無断増羽を抑えていくというのがむずかしい。たとえば西ドイツあたりでは、ふ化の段階からこれを抑える法律的な根拠もあるようでありますが、私もやはりこれを徹底させるためには、どうしてもふ化の段階からそれを規制をしていくという方向を、これは時間もかかりましょうし、いろいろ問題もあるかと思うのですが、やっていかなければならないし、そういう方向でなければ、現実起こっております無断増羽のこういう大規模な問題というのは解決していかないのではないかというふうに考えております。当局といたしまして、ふ化の段階からこれを規制をしていくようなことについて、法律的にこれを考えていくことについての方針はお持ちでしょうか、いかがでしょうか。
  205. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 実はそういうふ化の段階から協力を願うということが不可欠でございまして、私どもも計画生産の通達を出します際にも、そういう種鶏なりふ化の業務をなさっている団体に対しましても、計画生産に積極的に協力していただくよう、私の名前でお願いの通知を出しているところでございます。  いま御指摘のように、法律までつくっていわば調整をとるかということでございますが、現在の養鶏業の現状からいたしまして、これを法制化してまでやることには、いろいろ別の角度からの問題もあろうかと思います。極力いまやっておりますこの協力体制を整備するように今後も努力をいたしますし、また、問題があればさらに検討を進めたいと思います。
  206. 神田厚

    ○神田委員 最後に、大臣に、時間も来ましたので御質問申し上げますが、現在、私が述べましたように、養鶏の低卵価の一つ問題点としまして、企業養鶏の無断増羽が非常に問題になっております。さらには、さきの国会におきまして、養鶏を農業の一部門として正式に位置づけて自立養鶏農家を育成しようという国会決議もあったわけでありますが、そういう点で、生産農業者の皆さんは、これからの農林省の指導のあり方について大変大きな関心を持って、あるいはこの国会決議の履行を願っているわけでありますが、大臣のお考えをお述べいただきたいと思います。
  207. 金子岩三

    ○金子国務大臣 養鶏の問題も大変複雑で、需給のバランスの問題で価格等の変動も非常に大きい。したがって、鶏卵に及ぼしておる影響も大変甚大でございます。ひとつ大きな変動を起こさないように慎重に取り組んでまいります。
  208. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  209. 亀井善之

    ○亀井(善)委員長代理 次に、藤田スミ君。
  210. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 けさから精米流通研究会報告をめぐりましていろいろ論議されておりますけれども、私もまず最初にこの問題からお尋ねをしていきたいと思います。  この出された報告書を見まして、私、最初に印象を受けましたのは、この方向で進んでいけばますます食管制度消費者のサイドから崩されていくんじゃないか、これが私のまず最初にこの報告書を見せてもらったときの印象でございます。きょうは、その中でも特に標準価格米に重点を置いて質問をしていきたいと思うのです。  国民食糧への責任、それは何よりも政府の重要な責務だと考えますが、食管法の目的は、国民食糧の確保と国民経済の安定を図るということになっているわけなんです。政府国民の主食に対する責任が、しかしこの方向では一層薄められていくのではないか。と私が言いますのは、消費者米価、末端の価格まで政府が責任を持っているというのは、この標準価格米よりほかいまはないわけですから、そういう点で、これを廃止するということについて、そういう危惧を抱かざるを得ないわけであります。  前回の食管法改正論議の中でも、政府米自主流通米の占める割合というのが大きな議論になりました。わが党の寺前委員らも、自主流通米拡大が実質的な部分管理をさらに進めることになるというふうに指摘をしておりましたが、当時の松本食糧庁長官は、今後の自主流通米あり方としても、この関係、つまりその当時は政府米七、自主流通米三、その関係が大きく変化することは望ましくないと考えているわけでございます、こういうふうに答弁をしておられます。ところが、当時、五十五年は自主流通米は三二%という割合でしたけれども、五十七年には四〇%、五十八年見込みは四三%というふうに、いまや政府米自主流通米関係はだんだん逆転する方向で変わっていっているわけであります。政府の資料を見ますと、上米と並み米との価格差が五〇%から六〇%も開いてきているというふうに言っているのですが、この点については、私は、政府食糧経費の削減のために自主流通米拡大してきたことに大きな原因があるのではなかろうかというふうに考えるわけです。  政府は、一体自主流通米はどれぐらいまで広げていくことが適正な規模だというふうに考えておられるのか、まずそこからお答えをいただきたいわけです。
  211. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 自主流通米につきましては、改正食管法のもとで基本計画供給計画等に織り込みまして、政府米と一体となって適正かつ円滑な供給が図られるよう政府としてこれを管理していくということになっておるわけでございます。ただ、自主流通米の数量がどの程度が適正かというのは、その年々の需給事情等を反映して動くので、固定的にこれをとらえるわけにはまいりません。御指摘のように自主流通米が無秩序に拡大して市場の規制力なりを弱めるようなことになりますと、需給なり価格の安定が阻害されるおそれがあります。こういう点には十分注意をしながら政府米自主流通米の適切な関係を維持してまいりたい。  現在の数字は先生御指摘のとおりでございますが、消費者需要の面からいいますと、やはり良質米の志向はなお強うございます。かつ、生産の方からいいますと、そうしたものに対します品種的な改良の努力が報われるという両方のメリットもあるわけでございます。そうしたメリットを生かしながら円滑、適切な管理の中でこれを流通させていきたい、このように考えております。
  212. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 上米と並み米との価格差の問題なんですが、いま現在私なんかはお米屋さんの店頭価格を見ておりますと、五〇%から六〇%の開きというよりもまださらに大きくなっている傾向があるのじゃないか、そういうふうに思うわけですね。最近、六千円ラインのお米が出ておりますよ。こうなりますと、七〇%から七五%ぐらいの価格差ということになってくるのですが、たとえば政府の資料では、新潟コシヒカリが、これは六十キロ単位ですが、二万二千五百七十五円となっております。しかし、五月十三日の日経新聞に自由米、つまりやみ米の相場が出ておりますが、これが高値で二万六千五百円、こういうふうになっているわけです。こういうのが六千円ラインの米も出回るもとになっているのかなというふうにも考えたりしますし、また、こういうのが引き金になって自主流通米の価格も上がっていくのではなかろうかというふうにも思ったりしております。  大阪での実態を見ますと、従前は第一食糧から秋田のキヨニシキの政府米をとっていた小売店が、これが当時一万八千五百十円であったのが、政府米が入らなくなって自主流通米にかわっていって二万一千円に値上がりをしたと言うのですね。これは、東京の卸売価格一万九千六百九十五円という食糧庁企画課の調べの価格に比べましたら、大阪への輸送料を加えましても幾らか高いのじゃないかと思いますが、こういう実態です。  さらに、小売店に聞いてみますと、銘柄米を注文すると、卸屋さんの方は仕入れを希望していない四類、五類の米を抱き合わせて持ってくる、こう言うわけです。それを受け取らないと銘柄米がもらえないので、結局消費者に売るときにはそういうもののロスというのでしょうか、そういうものもマージンに加えていくか、あるいは小売店がみすみす損をするということになるか、どちらかしかしようがないのだ。こういうことからも価格差がいやおうもなく広がっていっているのだなというふうに考えます。  しかし、よく考えたら、政府米価審議会生産者米価や消費者米価を決めておいて、そして生産者に対しては食管の大きな枠組みの中で、自主流通米にしても一定の決められた枠の中で価格が動いていっているわけですね。ところが、それに比べて消費者の方はかなり高い米を買わされる傾向が出てきている。こういう問題について一体どういうふうに考えておられるのか、私はこの際お尋ねをしておきたいわけです。
  213. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 精米流通研究会報告でも、戦前に比べまして上米、並み米なりの上下の価格差はかなり大きな開きになっているということは指摘しておるところでございまして、先生がおっしゃるように六〇%ぐらいの開きが現在ある。そこでこの研究会で大きな問題になりましたのは、まさにそうした形で上米、特に優良銘柄米に対する需要がきわめて強く、これが単体で流通することが価格を大きくゆがめているのではないかという一つ意見が、これは意見でございますが、ございまして、いわゆる三点セット問題について、これを有効に生かして混米にするなりしてリーズナブルな上米価格を形成すべきではないかという御意見がありました。一方、消費のサイドとして最近は相当の購買力のある方も多いわけでございまして、良質米志向に乗りまして、やはり単品、単体一〇〇%のものをぜひ購入したいという需要も無視できないわけでございます。そうした兼ね合いについて検討した結果、精米流通研究会でもこの点についての意見一致を見なかった点でございます。やはり価格自体についてはそういう問題があるということがまさに流通研究会での課題であったわけでございます。  私ども、価格の適正な形成ができるように年間を通じまして量、質、価格ができるだけ振れないように安定的に供給していきたい、こういうことを考えております。  なお、こうした問題は影響するところも大きいのでさらに検討することにいたしまして、結論は急がないというふうにしたところでございます。今後の課題として私ども考えていかなくてはならない問題だとは存じております。
  214. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私は、こういうふうな状況の中でも標準価格米が果たしてきた役割りは非常に大きいものがあった、いまもあるというふうに思うわけです。それは、一つは、標準価格米があるために他の品質のお米も、たとえばおミカンなんかでしたら、同じミカンと名前がついていてもずいぶん価格差がありますね。そういうのに比べると価格差が二倍も三倍も違ってくるというような状況にお米の場合はならないというのは、やはり標準価格米の今日まで果たしている役割りが非常に大きいからだ。消費者も、販売店に行きまして、標準価格米を買うとか買わぬとかいうことにかかわらず、小売店頭価格の一つの目安としてこれを見ている、こういうのは無視できない姿だというふうに思うわけです。  私は、その点で、一体政府標準価格米が果たしてきた役割りというものをどういうふうに評価しておられるのか、お伺いをしたいわけです。
  215. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 標準価格米自体は四十七年四月の物統令廃止後の経過措置として設けられたものでございまして、これ自体、その後、品質はやや劣っても価格が安いものという需要にこたえまして、現行の三―五類相当の原料玄米を充当して今日に至っておるわけでございます。地域的にかなり差はございますが、大都市におきましては売れ行きは非常に低下してまいりまして、東京のように一〇%を割るようなことになっております。ただ、価格の目安として置かれているということでは、商品として流通しなければならないわけでございまして、やはり商品として流通する場合のことを考えなければならない。研究会報告は、そうした観点から標準ブレンド米というものを別途考える、これへの移行を考えるという点と、もう一つは、新徳用米というような形で新しく標準価格米にかわる低廉なものを指導価格を設けて設定していく、こういう考えをとったらどうかというふうに提言されておるわけでございます。  私ども、やはりこの問題につきましては、先ほどの標準ブレンド米の問題にも関連しますが、同時に消費者団体とよく理解を深めていくように今後とも話し合ってまいりたい、このように考えておるわけで、いま直ちにこれをどうするというふうには決断をしているものではございません。
  216. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 商品として流通させなければならないというのはあたりまえのことでして、先ほども良質米の志向が非常に強まっている、そういう消費者の声を無視することはできないと言われましたね。私は標準価格米を求めている人の存在も無視することはできないのじゃないか、こういうふうに思うわけです。全国で標準価格米を利用している人は一六%、こういう数字がいただいた資料の中でも出ております。しかし、あの一覧表を見ますと、各県の数字を見ますと、秋田県は四八・四%ですか、約半数が標準価格米をいま今日も食べているわけでしょう。それから、四〇%以上標準価格米を利用しているという県が六県ございます。二〇%以上ということになりますと、四〇%以上も含めまして十五県がこれを活用しているというような実態があるわけです。これは無視できないでしょう。片方で良質米志向の家庭を無視できないように、標準価格米に依拠して生活している人たちも無視できないでしょう。  それから、先ほど言われました標準ブレンド米というのも、これはどうなんですか。実際に実行されたら、これは価格面だけで聞きますが、価格面では標準価格米よりも上がっていくということははっきりしているのじゃないですか。
  217. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 標準価格米の点について申しますと、生産地におきまして標準価格米が果たしている機能は私どもも評価いたしておるわけでございます。問題として申し上げておるのは、大都市におきます自主流通米のウエートが非常に高まって、かつ標準価格米がきわめて低い率に低下してきておる。この問題について特に私ども問題意識を持っておるわけでございます。  それから、標準ブレンド米というのは、やはり政府米を中心にする場合もありますけれども自主流通等も活用して混米されるものでございますから、価格としても、現在二、三の県でもそうした意味での標準的なものを試みとして出している例からいたしますと、十キロ当たりにいたしまして精米で四千円台のものではないかと思います。したがって、標準価格米よりはブレンド米の方が高くなろうかと思います。  また、精米研究会提言は、それと同時に新徳用米、大ざっぱに言いますと、現在特例標準価格米として設定しているのと似たようなものでございますが、そうしたものを一つのかわる問題として考えてはどうかということもあるわけでございます。
  218. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 ちょっと私おかしいと思うのですよ。標準価格米という制度をなくしてしまうということは、大都市の消費者の目の前からそれが消えるということだけじゃなしに、生産県の消費者、つまり半数近く利用している地域からも標準価格米は消えるのじゃないですか。この問題が一点です。  それから、価格は確かにその標準ブレンド米になったら値上がりするということは認められたのですが、新徳用米という方は品質が一層落ちるという点では、どうなんでしょうか。
  219. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 私の方はまだこれを実施するというふうに申し上げたわけじゃございません。標準価格米からそういうものに移行するのにどういうふうに行ったらいいか。また、現在の大都市内におきます標準価格米が非常にその機能を失いつつある問題にどう対処したらいいかという問題と、これに対する検討を加えておるわけでございます。当然先生の御指摘のようなことはあるわけでございます。  それから新徳用米というのは、私が申しましたのは、そうした意味では、現行の特例標準米に似たような構成で考えておるというふうに申したものでございます。
  220. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 いまそちらの方から出された特例標準米というのがありますね。これはどういうものなのか、ちょっと説明してもらえますか。
  221. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 申し上げます。  ここ二、三年需給がタイトになっておりまして、標準価格米がこれまで三―五類、一、二等ということで設定されてきておりますが、こうした組み合わせにおきます標準価格米の設定が困難になる事情もございます。そこで、特例標準価格米といたしまして、三―五類の一、二等にさらに三等を合わせましたものを特例標準価格米といたしまして、それぞれ各県におきまして標準価格米にかわるものとして設定しておるものでございます。     〔亀井(善)委員長代理退席、北口委員長代理着席〕
  222. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 それは品質の上では、したがって質が落ちるわけですね。標準価格米よりも特例標準米の方が質は落ちていますね。そうでしょう、三等の米が入るわけですから。そういうことになりますね。
  223. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 質的に言いますと、三等が入るから、それだけに質はなりますが、同時に、価格はそれだけ安くなるという関係に当然なるわけです。
  224. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 ところで、お伺いしますが、この特例標準米しか置いていない県というのもありますね。あるかないかだけで結構です。
  225. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 特例標準価格米しか置いてない県もございます。
  226. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 その県が二十都府県あるというふうに私は聞いております。違いますか。
  227. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 特例標準価格米だけを設置しておる県は、十一県でございます。
  228. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 確かに特例標準価格米だけ設置している県はそれだけですが、標準価格米と一緒に置いている県を寄せると二十都府県。それで、特例標準価格米しか置いていない県というのもそれだけあるわけです。私は、特に大阪とか東京とか大都市で標準価格米を活用しなくなっていると言うけれども、実際にそういうふうに評判の悪い米しか東京も大阪も置いていないでしょう。だんだん標準価格米が新しい特例標準価格米しか置かれなくなる中で、質もそれだけ落ちて、結局よけいに標準価格米消費者離れするというか、そういう状態になっている。これは、私は政府がそういうふうに誘導している、そういうふうに持っていったことになるのではないかと考えるわけなんです。違いますか。
  229. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 私どもの方の見方からしますならば、むしろ大都市におきます自主流通米なりに対する良質米志向がきわめて強くて、こうしたものに対する需要が弱くなる、そういう傾向がございます。近年の政府米との間におきましては、相対的に見ますと品質政府米の方が低下する。したがいまして、良質米に対する需要が強くなりまして、東京のように自主流通米が六割近くなるという状況もございます。こうした動向からいたしますと、相対的に見ればその地位が低下してきている、こういうふうに考えております。
  230. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私は、おいしいお米を志向する消費者があることを何も否定しているのではないのです。しかし、標準価格米が特例標準価格米ということで三等米も混入された質の低下した米にかえられて、東京、大阪ではかつての標準価格米よりもまだ質の落ちた特例標準価格米しか店頭に置いてないという状態になれば、標準価格米が価格の方で家計上から合ってくるので標準価格米を求めていた人たちも、これでは余りひど過ぎるということで離れていくという傾向がますます助長されるだけではないか。そういう状態をつくっておいて、このごろ大都会ではもう標準価格米が利用されなくなったのでこれを廃止しますなんという言い方は余りにも政府として無責任ではないか。  第一、これは先ほども言いましたように、消費者立場から見たら政府の手がかかって末端価格まで責任を持ってくれている唯一の商品なんですね。だから、その質を少しでもよくして消費者がそれを求めるような条件をつくっていく努力をしたけれども消費者は買いに来なかった、もう活用されないというのなら話はわかるわけです。しかし、おいしい標準価格米が欲しいという要求を、逆にその質を落として、しかも選択できない、特例標準価格米しか東京にも大阪にもないという状態をつくっておいて、それでますます消費者が離れたからこれを廃止するというような話はちょっと納得ができないわけです。
  231. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 私が申し上げておるのは、精米流通研なりにおきます論議状況について申し上げておるので、私どもこれを廃止するというふうにはまだ決めておらないわけでございまして、今後の課題として消費者団体ともよく話し合っていきたいということを本日申し上げておるわけでございます。これを取りやめてこうするんだという方針を食糧庁として決めたわけではございません。各方面の意見を聞きながら、いま標準価格米制度なりが持っている問題点、それからそれぞれの需要に合った適切な供給の仕方はどうあるかということについて検討しておる段階でございますから、廃止すると決めたわけではございません。
  232. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 それでは聞きますが、政府が唯一末端価格まで責任を持っている標準価格米が、こういうふうに質の低下があって、そうして消費者が離れていったことに対して政府は責任を感じておられますか、おられませんか。
  233. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 標準価格米制度自体は、先ほども申しましたように、制度発足以来、経過的な措置ということで設定されたものでございます。私ども、食管法に基づきまして、流通についての十分な規制なりは、それぞれの段階に応じて価格の統制はいたしますけれども、またかつ、改正食管法におきまして価格につきましても業務運営基準等による指導もできるわけでございます。適正な一般的な指導はするわけでございます。  ただ、標準価格米自体の現在持っている問題につきましては、それはそれなりに私ども立場から評価し、今後どういう形態が最も妥当なものかというのは私どもとして考えていかなければならない、こう考えております。
  234. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 もう一つ標準価格米の問題として、積極的に販売業者が売ろうという意欲をそいでいるマージンの問題があると思うのですね。大体店頭に常置義務を課しているわけですから、適正なマージンというのは当然なことだと思うのです。ところが、マージンどころか、大阪のお米屋さんなんかでは、標準価格米を卸屋さんから仕入れる場合に、この標準価格米に限っては、即、金を払え、こういうやり方なんですね。もしその月に仕入れる標準価格米を支払う能力がなければ年間金利で九%の利子がつく、こういうようなことになっているというわけです。  こうなりますと、標準価格米のマージンも大阪ではわずか九%程度ということですが、それに仕入れた先に利子を払わなければならぬということになりますとこれはたまらぬわけで、なるべくこういう標準価格米というのは活用してもらわぬようにしようかということで、一番標準価格米を扱う表の小売店が非常に扱いにくい条件ができてきているという問題があるわけです。こういう問題、御存じですか。
  235. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 まさにそうした問題もあろうと思います。  標準価格米自体、先ほど申しましたように物統令後の経過措置として、食味はそれほどでなくてもほどほどで安い米をという御要望にこたえるということで、政府も相当の財政負担もいたしますし、同時に、販売業者の方にも極力低廉な経費で御協力いただきたい、おおよそ一二%程度かと存じますけれども、そういうようなことで販売業者の方にも特に御協力願って低廉な供給をすべきだ。理屈はそういうことになるわけでございますが、逆にそのことがこの種の商品を非常に扱いにくくしているという御指摘もあって、そうした疑問からも流通研究会で取り上げて御検討されたわけでございます。  その際にあった御議論として御紹介いたしますならば、むしろそういうふうにマージンを固定的に決めること自体がかえってこの種のものの扱いをゆがめるのではないか、そうした意味で、標準ブレンド米なり新徳用米なりに移行した方が適切ではないかという御意見があったわけでございます。  私ども、まだ決めているわけではございませんが、まさにマージンについてはそういう御指摘のような問題が出ていることも十分承知しているつもりであります。
  236. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 大臣にお伺いしますが、標準価格米というのは、先ほどからやりとりを聞いていただいたらおわかりのように、消費者にとっては非常に重要な位置になっている。私は全国平均の数字だけで言うのじゃなしに、各県の実態からしてみればかけがえのない存在になっている。しかも、それがまさに政府消費者に対する側の責任としては、これが唯一のとりでになっているわけです。にもかかわらず、この問題については先ほどからも大変気になる発言は、経過的な措置という言い方です。しかし、もうここが外れてしまえば、消費者などというのはまるで食管制度というのは目に見えなくなるわけです。だから、私はこういう点では非常に大事な問題だというふうに考えるわけですね。  なるほど臨調は、消費者価格について指導価格などによる行政介入を緩和するというようなことを言ったり、市場原理を導入し、財政負担の縮減合理化を行い、現行の食糧管理方式の見直しを行う、こういうふうに言っていますが、しかし一方では、食管法の目的は国民食糧の確保と国民経済の安定を図るということをうたっているわけで、政府としてはまさにその責任を消費者にまでちゃんと果たしていかなければいかぬ。そういう点で、この問題は逆に標準価格米の質をよくして、そして本当に小売店も適正なマージンによって販売がもう少し積極的に行えるような条件整備をやる、そういうところにもう一度この話を戻して、それから検討していくというならともかく、条件を悪い方へ悪い方へ向けておきながら、廃止の話が出てきて、政府の方が経過的措置と言われることに対して非常に危惧の念を抱かざるを得ないわけです。  そういう点で、私はもう一度大臣から、この標準価格米をどう扱っていくのか、政府の責任という点を明確にしてもらいたいと思います。
  237. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 私ども、当然改正食管法にのっとりまして、年間を通じまして量、質、価格ともに安定的に供給していくという責務がございますし、法に基づいて実施するわけでございます。  ただ、標準価格米について言いますならば、流通関係については、私ども、許可制をしいた販売業者に対する業務運営基準に基づいた価格の指導等を一般的にすることでございます。ただ、標準価格米について今回研究会で取り上げられた問題については、こうした問題があるという指摘段階になっておりまして、政府としてこれをどうするというふうにいま決めたわけじゃございません。今後標準ブレンドの問題と関係いたしますけれども消費者団体ともよく理解を深め合ってこの問題について対処してまいりたい、こういう考えでおりますので、御意見も十分拝聴させていただきましたので、参考にさせていただきたいと存じます。
  238. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 食糧庁長官にもう一点聞いておきたいわけです。  私は、昨年の七月十三日の当委員会で、杉並区内での丸正食品チェーン店のやみ米の販売問題を取り上げました。そのときに、あれは中山次長でしたかが、五月三十一日に知事名の警告書の発出をした、これで警告に従わないというようなことでございますれば、今後さらに強い措置をとりたいというふうに思って、関係の都なりあるいは食糧事務所を指導いたしております、こういうふうに答弁されているのです。武蔵種穀の問題に対しても、事実を確認いたしました上で厳正なる処置をいたします、こういうふうに答えていただいているのですが、その後調べてみましたら、確かに一遍はその丸正食品チェーン店の店頭から米は姿を隠したのです。しかし、それは実際には隠しただけであって、売っていた。そして三月が過ぎますと、丸正チェーン店はまた公然と店頭に置いて目玉商品などにしながら売り始めているということです。一体いつ強い措置をとっていかれるおつもりなのか。  こんなことをやっておりましたら、まじめに商売をしておられる米の販売店、小売店の皆さんは本当にばからしい話だということになりますね。それから、こういうふうな売り方をしてはならないのだということで、一たんはやみ米を売っていたけれども引き下がって、そういうのをやめにした人たちも、何だ、ああいうふうな形でやれるのだったらまたやろうかというようなことで、これは本当に悪の根が広がるばかりなんですよ。一体どういうふうに措置されたのか。この問題については私ははっきりしてもらいたいと思うのです。
  239. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 個別案件のお話はただいま私お聞きした件でございますので、よく調べたいと存じますが、私ども改正食管法に基づきまして守られる食管制度にしなくてはならないということで、不正規流通につきましては、五十六年の秋以降都道府県食糧庁が一体となって防止の指導に当たってまいりました。今日まで無許可販売業者として、小売店段階でございますけれども、リストアップしたものが約一万五千店を超したかと思いますが、これらにつきましての指導の結果、中止または中止の意向を示したものが全体で九五%、いま残りましたのは全国で約八百店程度が無許可販売業者としてあろうかと存じます。こうしたものは私どもとしては今後引き続き指導を行いますし、この中でも行政の指導にさらに重ねても従わないもの、悪質なものに対しましては、警察への告発等も行うという毅然たる態度で私どもは臨みたいと思います。  個々の案件は、それぞれの都道府県食糧事務所とが協議して進めてまいってきているかと存じます。具体的な案件については、私ちょっと事情をまだ聞いておりません。
  240. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 普通の、いきなりここで具体的な案件ということで出した話と違うのです。これは去年の国会で取り上げまして、そのときにちゃんと厳正な措置をしていくというふうに答えられたのです。それで、ごちゃごちゃ言うている間にもう一年でしょう。何でこれはできないのですか。しかも、一たん引っ込めたような顔をしながら、また公然と売られているというような事実が、これは知らないはずはありませんよ。食糧事務所の方も東京都も、そういうことは小売店の人たちからもう情報が入って知らないはずはないのです。  きのうも実はそういうことで食糧庁の方へお訪ねをして、お米屋さんと御一緒に話し合いをしたわけなんです。私は、そういう話し合いを聞いておりましても、やはり食糧庁は、食糧事務所任せだとかあるいは東京都と相談してとかいうことじゃなしに、これだけ公然と不正をしている業者に対しては、それこそ告発なりあるいは氏名の公表なり、そういうところに踏み切っていく姿勢というのを、そういうところをもう少し毅然とした態度で臨んでいただきたい。  私はきょうはもう時間がありませんのでこれ以上この問題を言いませんけれども、しかし、この件ではこれで二遍目国会で取り上げますので、毅然とした態度で早急にやっていただくということだけは、それだけのお約束はお願いしたいわけです。
  241. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 私は、本日その点について先生からの御質問を受けて知ったわけでございますので、この状況については早速調べてみます。
  242. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 それでは次に、都市農業の振興策についてお伺いをしたいと思います。  先日、つまり五月十日に都市計画中央審議会が市街化区域の中での町づくりをどう進めたらよいかということについて中間報告をまとめております。その中で、市街化区域内の農地について将来もかなりの農地が残存することを指摘した上で、宅地としての土地利用と農地の共存を認めていこう、非常に積極的な、調和を図っていこうという方向が打ち出されてきたわけであります。  これは、昭和四十三年の新都市計画法の成立以来、都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に線引きをして、市街化区域内においてはおおむね十年以内に都市化をするのだといって農業の存在は認めない、宅地化を進めるために宅地並み課税を課すといったような、私どもから言わせれば大変ひどいやり方がやられてきたわけですが、結局それがうまくいかないで、いま部分的な手直しが出されてきたのじゃないか、こういうふうに思うわけです。また、実際農業を生業として営んでいる人たちを市街化区域内だからということで追い出すようなやり方というのは成功するはずがないわけでありまして、市街化区域を市街地一色で塗りつぶすというような都市政策は本来誤りだと私は考えております。  せんだってもここで取り上げましたが、東京都の調査を見ましても、多くの都市住民が、緑の環境を求め、空間を求め、生活の潤いを求め、農地に教育というようなものも求め、あるいはレクリエーションの場としてもそういうものを求めている。市街化区域の農地というのはいま都市に不可欠な機能を果たすようになってきている、そういうことが住民の側からも非常に求められてきていると思います。それから、生鮮食料品の供給という点でも無視できない存在であるということは言うまでもありませんが、私は農水省に、市街化区域内の農業、農地をどういうふうに位置づけられるのか、どんどんつぶされていっても構わないと見ておられるのか、あるいは都計審の中間報告が出た今日この時点で諸般の環境も考えてどういうふうな見解を持っておられるのか、まずお伺いしたいわけです。
  243. 森実孝郎

    森実政府委員 お答え申し上げます。  都計審の中間報告は、私どもも拝見いたしました。ただ、問題は、現在の都市計画法で今後十年間に都市化を図るべき区域という制度的な枠組みが法律として決まっている。しからば、今回の都計審の中間報告というものは、過渡的に共存の思想をとられたのか、それとも最終的に制度として都市計画法自体をお考え直しになるのか、そこら辺は、私どもの所管の法律ではございませんので断定できませんけれども、まだはっきりしていない点だろうと思います。  そこで、問題は都市計画区域内、特に市街化区域内の農地をどう考えるか。確かに、御指摘のように、都市農業の一部を担当して、生鮮食料品、特に軟弱蔬菜や花卉等の重要な供給役割りを果たしている事実もございます。これは農業政策としても評価しなければならない点でございますし、片方においては、都市政策としては緑の空間あるいは防災空間としての評価もあることも存じております。  そこで、私どもといたしましては、何と申しましても都市計画法自体が今後どういうふうになっていくかという成り行きを見なければ断定的な判断はできないわけでございますが、当面現実的な課題としては、御案内のように、昨年からいわゆる宅地並み課税の実施に伴いまして、長期にわたり営農継続の意思を有する者で一定の条件を満たす者については、徴収猶予制度ということで実質的に農地課税という形をとっております。現に、実績を見ましても八割なり九割に近い者がこの形で恩恵に浴しているという実態がある。それからもう一つは、生産緑地制度の適用ということも現に法制上準備されているわけで、こういうことも運用の上で活用できるものと思っております。  農業に関する施策につきましては、効用が長期にわたるものについては抑制的に考えておりますが、それらの中でも災害復旧とか湛水防除事業あるいは既存施設の改修等の維持管理事業、それからさらに農用地区域と一体として行います用排水事業等については、市街化区域についても利益を均てんさせることをやっているわけでございます。  なお、生鮮野菜の供給につながる施策あるいは普及事業等に代表されます技術指導等については、その実態を十分頭に置きまして何ら差別なく実施しているところは御案内のとおりでございます。
  244. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 東京都とか私の地元の堺市なんかも、その市街化区域内の農地について、これはきちっとした位置づけで、単独で困難だと思いますが、いろいろな事業をやっているのですね。そして、実際にはたとえば東京都からも繰り返し政府の方に、市街化区域内の農地、農業に対してももっと積極的な援助が欲しいという要求も出していらっしゃるでしょう。せんだっても全国農協中央会がこうした問題について要求を出しておられる。また、都計審の方からもこういうふうな見直しの話が出てくると、四十四年に政府が市街化区域内の農地に対する助成のあり方、そういうものを出されたときとずいぶん環境が変わってきたのじゃないか。農水省はここらあたりでがんばって、市街化区域内の農地についてもその農業を育成していく立場でもっと積極的な方向を打ち出していくことを検討していく時期にいま一つの流れとして来ているのじゃないかということを指摘しておきたいわけです。  時間がありませんから、この問題に関連して。  都市農業の中で大変大きな問題になるのは、おおむね土地改良区の問題なのです。これはきょう詳しく言う時間がなくなりましたけれども、たとえば淀川水系の土地改良区の形を見ておりましても、本当につぶれていくところ、自治体が支えているところ、またいまからつぶれようとしているところ、そういうふうな典型が淀川の京都との境のところだけ見ておりましても出ております。こういうことを考えますと、土地改良区がどこまで都市排水のめんどうを見なければならないのか、その際その都市住民の負担はどこまで求めていくべきなのか、地方自治体とのかかわり方はどうしたらよいのか、そういうことがそれぞれのところに任されておって、本当はその自治体の方もそこでのかかわりでは困っているわけですね。そういう現状は十分御承知のとおりだと思います。そこで、この際国としても何らかの指針を示すべきではないかと私は考えております。  この二点、もう一度お答えをいただいて終わりにしたいと思うのです。
  245. 森実孝郎

    森実政府委員 都市化が進んだ区域、特に市街化区域等における用排水問題、特に排水路の管理なり維持、補修の問題がむずかしいことは、私どももつとに承知しているつもりでございます。基本的には専用の都市排水路をつくっていただくということが都市化の進展に応じた自治体なりそれぞれの部局の仕事だろうと思いますし、また、現にあります灌漑用排水事業についての水質障害等については、原因があるなしによって程度の差はありますが、それぞれ地域の経済の利用実態が変わってきておるわけでございますから、それに応じた地域別の施策を講じていただくことが必要だろうと思います。これをいま直ちに農林省の補助事業として限られた財政制約の中で大々的に実施するのがいいのか。むしろ、農業施策の範疇外でお考えいただかなければならない問題があることは事実だと思います。  ただ、御指摘の第二点の問題でございますが、これは私も受けとめなければならない重要な課題だと思っております。先生御案内のように、現在土地改良法に管理規程を定めることになっております。これは御指摘のような市街化が進んだ区域におきます排水の管理を念頭に置いたものでございます。実は二年ばかり研究会を開きまして、また、別に各自治体の意見を聞いたわけでございますが、なかなか自治体から割り切った意見が出てこないという点で、私どもも自治体の意向を無視して一方的な指導をすることはいかがなものかということでとつおいつ思案をしていたところでございますが、今日の状況を見るとなかなか放置できないということも御指摘のとおりだろうと思うのです。そういう意味で、幾つかの条件を設定いたしまして、モデルとなる管理規程例をできるだけ早くまとめたいと思います。そういう形である程度試行錯誤を重ねることは避けられないと思いますが、検討協力して、関係の市町村に強く働きかけることを努力いたしたいと思っております。
  246. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、市街化区域内の農業の問題につきましては、もう少し積極的にこれから取り組んでいくように、農水省がいまの時点でどこからどういうふうにかかわっていけるかということは種々あると思うのです。しかし、私は、かつてそういう町づくりの中で退いた農水省が、いま逆に呼ばれているときに、なぜ座敷に出ていけへんのかなというような気持ちさえするわけで、もっと積極的に近郊農業の育成、そういう中で果たしていく役割りというようなところを意欲を持って大いにやってもらうことが、これは実際大多数の国民が住んでいる都市の中で農水省の存在も非常にはっきりしていくわけですから、そういう点では、私はもっと意欲を持ってがんばってもらいたいなと思うのです。  きょうは時間がありませんので、これでやめます。
  247. 北口博

    ○北口委員長代理 阿部昭吾君。
  248. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 金子農林水産大臣が就任された直後であったと思いますが、いまの水田再編事業の直面しておる問題点について大臣の所信を伺ったわけであります。  そこで二、三お尋ねしたいのでありますが、前提として、いま第一期、第二期、そして今後の第三期、そして将来の水田再編という仕事をどういうふうに持っていこうとお考えになっておられるのか、いわば一つの枠組みというか、これに対する大臣の所信を最初にぜひお聞かせ願いたいと思います。
  249. 金子岩三

    ○金子国務大臣 将来の枠組みについてのお尋ねでございますが、近く五十九年度の予算編成までに第三期の水田の再編をまずやらなければならないのでありますが、御承知のとおり、米の需要は毎年落ち込んでいっております。生産の方も減反を行いましてバランスをとっておるようなことでございますけれども、むやみやたらと減反をして農家にこれ以上迷惑をかけることは大変なことでございます。したがって、それでは備蓄をして、ひとつもっと生産を農家に伸ばさせよう、こう考えますと財政的に大きな負担が出てきますし、いろいろ考えてみますと、米の今後の取り扱いについては大変な問題だと私は思います。  減反、転作が本当に名実ともに充実した制度であるとするならば、やはり米は必要に応じたものだけを生産していく。したがって、それだけに生産を落としていかなければならない。減反したものは必要であるものに転作をさせなければならない。こういうことでございますが、農家の方から見ますと、その転作農作物で果たして米と均衡のとれた収入を農家が得るかどうかということが大きな問題でございます。したがって、いろいろ考えてみますと、やはり日本のこの米の生産調整、需給動向、こういうものはこれからわが国の農政にとっては大変重要な政策である、慎重にひとつ取り組んでまいらなければならない、このように考えております。
  250. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 第三期の水田再編というのは、いまの第二期の最終年の規模、大体この程度でやっていかなければならぬというふうにお考えになるわけですか。
  251. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 第三期に入るに当たりまして、第三期の期間を通じましての米の需給がどういう姿になるのか、それから、たびたび御議論が出ておりますように、備蓄の問題をどのように組み入れていくのか、いろいろ検討すべき問題があるわけでございまして、需給の規模いかんによりまして転作の目標がはじき出されてくる、こういう仕組みになっておるわけでございます。したがいまして、現時点で第三期の目標はこれぐらいというふうなことを的確に申し上げ得る段階ではないわけでございますが、本年度の転作目標面積を前年に比べまして引き下げました経過がございまして、その際におきまして、第三期への円滑な移行にも配慮するということを本年度目標決定に当たりまして決めております事情もございます。それらのことを勘案いたしまして来年度以降の目標を決定いたしたい、かように考えております。
  252. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 何というのですか、はっきりとしない感じがいたしますが、役所の物の言い方というのはそういうものだろうと思いますよ。思いますが、減反面積をもっとうんと広げるんだという客観情勢にないことは明らかですね。減反面積をいまの第二期最終年よりも、第三期、来年度からもっとうんと広げるんですという客観情勢にないことは、諸般の情勢を考えますと大体明瞭になってきておると思います。  そこで、その議論はその議論として、私は、この前の金子農政発足直後の大臣の所信表明に対して、現段階における水田再編の新しい転換された作目というのがほとんど定着しておらぬ、これは一体将来どういうことにするのだ、たとえばこういう作目でもっと大いに努力するとか、何かしてはっきりさせていかぬといけないのじゃないかということをお尋ねしました。私、実は、国会でただ質問をやっていればいいというのじゃなくて、農林省がその以降、金子農政発足当時お尋ねをしましたことが省内でどのように相談されておるか、協議されておるか、いろいろな意味で注目をいたしております。どうもしかし、ほかのことをたくさん農水省はやらなければならぬ仕事がありますけれども、最大の問題は、六十万ヘクタールの転換面積というのはほとんど他の作目にはっきりした定着をしていない。しかし一方、転作奨励金はどんどん出さなければいかぬ。これが未来永劫出しますというならばいいけれども、そうはいかないでしょう。政策としても、未来永劫転作作物が定着しないのにずっと奨励金を出しますというわけにいきませんね。そうすると、この転作を何にはっきり定着をさすかという努力をせぬわけにいかぬだろう。  したがって、金子農政の期間内に転作を定着させるということは、そう一年や二年で簡単にいくような問題じゃない。それほど甘い問題じゃないのです。しかし、六十万ヘクタールなら六十万ヘクタールの転作面積を、再編面積をここへ持っていくというその土台だけは何とかひとつ立てる。いままで六年間たったわけですけれども、そういう基本的な問題に対する農政としてはまだまだ姿がほとんどはっきりしてきていなかった。だから、金子農政は、その面だけぜひひとつ鮮明にされるということになりますならば、恐らくここ近年における農政の中の画期的な、歴史的な仕事ということになるのではないか、こういうことを申し上げました。  あれ以来数カ月たって、省内でどのような努力、取り組みということがやられておるか。実は、国会議員というのは委員会で何か物を言っておってそれっきりかと思っておったら、私はそこをしさいにじっと見ておるのですよ。動きが何にもないと言っては語弊があるかもしれませんが、おお、なるほど、いろいろいよいよ始まったなという感じのものは何にもない。何か具体的にいろいろやっておるということがあったら、ぜひお聞かせを願いたい。
  253. 小島和義

    ○小島(和)政府委員 転作の定着の定義でございますが、奨励金がなくても水田で米以外の作物をつくっておる、こういう事態が現実に出ておるかということになりますれば、お話ございましたように、全般論としてはまだそういう段階にないというふうに私どもも理解をいたしておりますし、それゆえにこそ第三期を含めまして奨励金を支出するということは継続しなければならないと思っておるわけでございます。  しかしながら、お話ございましたように、こういう奨励金を未来永劫出し続けるのかということになりますと、それは安直に許されない問題でございますし、すでに臨時行政調査会などからも奨励金からの脱却という問題を打ち出されておるような経過もあるわけでございます。そういう意味におきまして、今後第三期対策考えるに当たりましてはできるだけ定着性の強い転作を育てていく、こういう発想に立ちまして転作奨励の仕組みも考えていかざるを得ない、かように考えておりまして、現在鋭意検討いたしておるところでございます。  また、先般御指摘ございました各地域別の転作の姿と申しますか、作物構成の姿というものをさらにブレークダウンして地域地域に示すべきではないかというふうな御意見もあったように記憶をいたしておりますが、非常に作物の種類も多うございまして、それを町村別にということはなかなかむずかしいのでございますが、先般、今月に入ってからでございますが、地方農政局に作業を行わしておりました「地域農業・農村の展望」というものの取りまとめをいたしまして、これは農政局の管内についての見通しでございますから、都道府県別、町村別というわけにはまいっておりませんが、それぞれのブロックの特徴をとらえて、将来の作物の構成なり農業構造の姿なりあるいは農村の姿なりをどのように見通してこれからの農政を進めるか、こういうものの発表をいたしたわけでございます。これも金子大臣になられましてからの一つの行政の成果であると私どもは理解をいたしているわけでございまして、今後この線に沿いましてさらに施策の内容を固めていきたいと考えております。
  254. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 大臣にひとつお願いを、強い希望を申し上げたいのでありますが、いま局長の御答弁では、まだ地域にそれがおりるという段階ではないが、農政局段階で具体的な検討をしてもらっておる、こういうお話でありますけれども、そのことは、私も、一つのうんと明らかになった成案というのはそう簡単に短期間に得られるとは思いません。思いませんが、そういう立場に立った具体的な努力の経過を国会の方にぜひ――率直に言って、二百八十三万という水田の中の六十万を米以外のものに転換してはっきり定着をさしていくというこの仕事は、これはもう大変な大仕事だと思います。そのことは、今後も相当長期にわたって恐らく日本の農業、農政の揺れ動く基本にいつでもその問題を避けて通ることは許されない命題だと思います。したがって、金子大臣のもとでそういう本当の意味の、ある意味で言えば基本にかかわる部分の具体的な問題をどう道を開いていこうとなさるかという、このことをぜひひとつ随時国会の方に、私どもの方にも御報告をいただきたい。  私など地域をぐるぐる回って歩いて、みんな悩んでおるのは、いまのままの姿じゃなくて、転換をやってやはりそこから何らかの打開策をつくりたい、切り開きたいという強い熱意を皆持っておる。だけれども、それが、地域の皆さんが、日本の全体の農業を取り巻いておる、流通関係から加工関係から市場関係からのものを一切含めて一体何をなすかなんということは、なかなかそうしかく簡単にはいかない。したがって、この基本命題というものを解決していくためには、生産者団体なりあるいは市町村なりいろいろなものを総動員して取り組んでやっていただかなければ道は出てこないんだろうと思うのであります。  そういう面でぜひひとつ金子大臣のもとにおける――私は長い間農村を駆け回ってきて、いま農村の悩みの基本はそこにあるという感じがしてならぬわけであります。ですから、省内においていま局長さんおっしゃるようなことを農政局段階でいまいろいろと、ということならば、その状況、経過もぜひひとつ国会の方に御報告を随時いただけるようにしてほしいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  255. 金子岩三

    ○金子国務大臣 大変適切な御指摘をいただきました。近く農政局長会議を開会いたしますので、各地方の実態もまず把握しなければならぬと思います。  それで、その減反を、いまの六十万ヘクタールを永久に定着さしていく。したがって、この耕地を一体永久に何に転作するのかという、これは重大な問題でございます。いまのところはやはり経過措置であってというような安易な考え方で農家もいると私も想像いたします。したがって、これは永久的ないわゆる減反であるということも、少なくともこの第三期に取りかかったならば、これの結論を出すときには一応農家の方々が納得するようないわゆる基本的な、恒久的な方針を打ち立てて、そして御協力を願いたいと思います。  大変重大な御指摘でございます。十分ひとつ真剣に検討して、いま御要望がありましたようなその後の経過等についてもその都度ひとつ御報告を申し上げていきたいと思います。
  256. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 これで終わります。
  257. 北口博

    ○北口委員長代理 次回は、来る二十五日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十九分散会