○
松浦政府委員 まず
日韓の
関係でございますが、先ほど
お話がございましたように、私、三月の十日から十二日まで訪韓をいたしまして、
韓国の
水産庁の金
庁長と当面の
日韓問題について話し合ってきたわけでございます。特にこの問題につきましては、昨年の年末からことしの一月にかけましての
韓国漁船の襟裳沖の
操業が非常にひどい
違反でございまして、この点につきまして遺憾の意を表明しますと同時に、また、北海道の
漁民の
方々が二百海里を引いてほしいという要望を強く持っておられるという点も先方に十分に話をいたしまして善処方を依頼したわけでございます。この点につきましては、先方も
違反を再発させたくないということでございまして、直ちに先方の監視船を
わが国の北海道沖に派遣してきたといったことがございます。
そこで、問題は十月の末をもちまして期限切れとなりますところの北海道沖及び済州道沖の
漁業の合意、これをどうするかということにかかってくるわけでございますが、この点につきましては、私参りましたときに、実は
実務者会議を開いて十分に話し合いをしようということで先方も合意をして別れてきたところでございます。
そこで、五月五日から八日まで、実は私
どもの
水産庁の次長でございます尾島次長をソウルに派遣いたしまして、先方の崔次長との間で実務者会談をいたしました。これは、十月末の最終的な期限までの予備的な交渉でございまして、まだ結論は出ていないわけでございますが、わが方といたしましては、北海道
周辺のスケソーダラ及びマダラ等の
資源が非常に厳しい状態になっているということを指摘いたしました。また、武蔵堆
周辺水域のタラ刺し網
漁業等の
漁獲量が著しく減少し、大きな問題が生じているということを具体的に先方に
資源の評価を含めまして話したわけでございます。それからまた同時に、
取り締まりの面につきましては北海道
周辺水域への
韓国指導船の派遣、それから監督官の出
漁船への乗船等につきまして
韓国側に対しまして検討をするようにということを話をいたしました。これに対しまして、
韓国側は前向きに具体案を検討しましょうということを言ってきているわけでございます。
もう一点は、北海道
周辺水域におきましてすでに起きました漁具被害でございますが、この処理促進をいたしますために民間団体に対します両国
水産庁の
指導内容を具体的に
協議し、これはひとつできるだけ早くまとめようということで確認をした次第でございます。
なお、済州道
周辺水域における
資源につきましては、昨年秋の
日韓漁業共同
委員会における見解を変える必要はないということで両国の
意見はこの会談では一致を見た次第でございます。
このようなことで、実はまだ予備的な会談でございますが、特に
資源の評価、北海道
周辺水域における
資源状態を中心にいたしまして今後どのような規制措置を行っていくか、それといま
一つは、
効果的な
取り締まりを担保するのにどういう方法があるか、これを十分に詰めまして今後実効ある措置をとっていくことが必要であるというふうに
考えまして、この次の会談といたしましては、七月ごろにまた会いまして向こうと話し合いをしたいということで先方と約束をしているという
状況でございます。これが
韓国の
関係でございます。
なお、
韓国関係で、二百海里の問題につきましては先ほど御答弁申し上げましたが、やはり
韓国水域へ出漁しているわが方の
漁船に対する
影響なりあるいは竹島問題を含んだ
日韓関係というものも十分に配慮しなければなりません。さような
意味で、私
どもとしては慎重な態度でこれを検討しなければならぬというふうに
考えているわけでございます。このようなことで、現在問題になっている点につきましては十月末の期限切れを控えまして十分に先方と話をいたしまして実質的な
効果ある措置がとれるように交渉してまいりたいというように
考えております。
それから第二の日ソの交渉でございますが、日ソにつきましては先般サケ・マスの交渉がございまして、私、向こうに参りましてクドリャフツェフ次官との間で話し合いをしたわけでございます。その際大きな問題になりましたのは、
一つはクォータの問題、それから漁獲尾数の問題がございました。それからまた、規制
水域の強化の問題もございました。それから、第二点は何と申しましても
協力費の問題、第三点が監視体制の強化という問題でございます。
結局、最終的にはほぼ一九八一年並みのクォータと、それから漁獲尾数の規制ということで話が落ちつきまして、ただ大きく違いましたのは四十億の
協力費が四十二億五千万円になったということと、それからオブザーバーを乗せる監視船を一隻ふやすということだったわけでございます。
特に
お尋ねの
漁業協力費の問題でございますが、先方は、
日本の
漁業者も利益を受けているソ連系のサケ・マスが回帰してまいります河川の改修あるいは産卵場の
保護のために相当程度の金を使っているということで、それは
日本側も利益をしているじゃないかということから、先方の計算によりますと、そのままこれを適用いたしますと
日本の
協力費が約四十九億という
状況になる、そういう数字を示してきたわけでございます。私
どもといたしましても、一応われわれがメリットを受けているということは認めざるを得ませんが、何分にも
漁業者がこのような燃油価格の高騰のもとにおいて、また同時に魚価もそれほど上がらないという
状況のもとにおいては、支払いの能力がないということを先方に十分に話をいたしまして、結果、四十二億五千万円ということで先方との話をつけたわけでございます。この
協力費につきましては、モスクワにおられました
漁業の代表の
方々、顧問さん方とも十分に御相談をいたしました上でこれを決めた次第でございますので、さようなことで御了承をいただきたいというふうに
考えるわけでございます。
最後に
アメリカの
関係でございますが、これも非常に厳しい状態になっておりまして、御案内のように四月の割り当てにつきましては二五%の割り当てがあるはずでございましたのを、九%削って約十万トン削られてきております。実はその背後にある事情といたしまして、環境
保護主義者の
方々が非常に
政府を突き上げまして、捕鯨問題の解決が前進がない限りこういった割り当てをフルに割り当てるわけにいかないということから、このような割り当ての削減と申しますか、留保が行われてきたわけでございます。
私
どもとしましては、この点についてはあくまでも捕鯨問題というのは割り当てとは違うではないかということを主張いたしてまいりましたし、また、このような科学的な根拠に基づく合理的な
資源の利用ということについては、われわれは捕鯨問題についての
考え方は変えていないのだということを先方に十分に申しているわけでございまして、日米間の現在の友好的な
関係あるいは伝統的な
漁業実績ということから
考えましても、四月の割り当てを戻してほしいということを先方に話しているわけでございます。七月の割り当てがどうなるかということはこれからの交渉にかかってまいるわけでございますけれ
ども、私
どもとしましては、七月の割り当てが行われます前に十分に先方にまた粘り強い交渉を持ちかけまして、この問題についての解決を図り、四月の割り当て分を戻してもらいたいということで交渉したいと
考えておる次第であります。
なお、先生がお触れになりましたスチーブンス法でございますが、これはいわゆるフェーズアウトを規定した条項が入っておりまして、いろいろと先方の事情等も
実態をいま
報告を徴している
状況でございますけれ
ども、やはりこの背後にはいろいろと
アメリカの
漁民の不満があるようでございます。特に
漁民だけではなくて、加工
業者が余り利益を受けていない、その交渉のてことしてこのスチーブンス法案の問題が出ておるというふうに
考えておりますので、これは業界も含めました先方との話し合いを進めまして、このような法案が実現しないように最大限の
努力を払ってまいるという
方針でございます。