○
石川(弘)
政府委員 私
どもも既耕地の中で極力
飼料作物が入っていくことが必要だと思っておりまして、現在、たとえば五十七年で申しますと、先ほどおっしゃいました水田転作の場合で申しますと約十七万五千ヘクタール、これは転作面積の三〇%弱になりますが、それだけのものに
飼料作物が入っておりますし、また、そのことは
飼料作物の
生産全体の一七%でございますから、かなりのシェアを占めているわけでございます。ただ、残念ながら、御
承知のように特に北海道のように転作が多く、かつ、それが
飼料作物が集中していますところでは、約六五%ぐらいのものが
畜産的な
経営をなさっていない方の圃場で行われているわけでございます。内地ではこれが三二%
程度でございますから、かなり低うございますが、こうなりますと、いま御
指摘のありましたようなつくられた
飼料作物をどうやって的確に
畜産農家のもとに結びつけるかということが絶対の要件となってまいります。
そこで、私
どもといたしましても、この結びつきというものを極力強めるために、まず、こういうものが非常にばらばらにつくられますことが問題があるわけでございますので、そういう転作田等につきましては、極力使います
サイドとしても便利に使わせますための一種の利用の集積を図ることが必要でございますが、そういうことも行っております。さらに、そこに、個人対個人ではなかなか結びつきません場合に、農協等が仲立ちをいたしまして、
計画的に
生産させ、かつ
畜産農家へ結びつけるというような
手法とか、あるいは
畜産農家といろいろな
飼料の
供給契約を結ばせるとか、あるいは農
作業の受委託契約を結ばせるといったような形での、前もってつくられたものが
畜産農家に完全に行われるようにする。それから、北海道の場合のように比較的大規模なものとしてはなかなかむずかしいかもしれませんが、よくありますように、
畜産農家と無畜
農家群の間で、片一方からは
飼料を提供すると同時に、
畜産農家が堆肥等のものをいわば耕種
農家に返すといったような形での
地域の結びつきを強めるといったようなこともやっておりまして、実はこの種のことが円滑にできるような対策を、
畜産総合というような事業の中でも組んでおるわけでございます。
それからもう
一つ御
指摘のありました裏作利用、これは御
承知のように、かつてはわが国の水田裏というのは相当
程度活用されたわけでございますが、水稲の栽培の時期が前へどんどん出てまいりまして、いわば早期栽培ということがどんどん進む中で、昭和五十二年あたりまではむしろ減少の一途でございましたが、その後イタリアンライグラス等を使うような形で漸次裏の
飼料作物の作付面積はふえてまいりまして、五十六年で申しますと六万ヘクタール弱のところまで
拡大をしてきております。
そういう裏利用ということになりますと、表の
生産と裏の
生産とをいかにうまく結びつけるかということでございますが、いま御
指摘がありましたように、やはり表裏完全利用をいたしますためには、圃場
条件の
整備がどうしても必要でございます。そういう
意味で、圃場
条件を
整備しながら、
飼料作物で申しますと、比較的有利なものは、
地域にもよりますが、青刈りとイタリアンの裏表をやっていくというのが単当の収量も一番高いようでございますが、これにはいろいろな事情もございますので、あるいは圃場
条件においても違いますので、極力裏表をうまく組み合わせる。その場合に、たとえば数年前から実験的に、さらに実事業化しておりますホールクロップサイレージといったようなものは、裏表の収穫期間をうまく合わせ得る
一つの
手法でございますので、ぜひこういうものも伸ばしていきたいと思っております。それから、現に私
どもが行っております事業といたしまして、水田裏
飼料作物高位
生産対策事業というものを実施いたしておりますが、この事業におきましては、相当
程度のまとまりを持ちました
地域で水田裏に
飼料作物を導入いたします場合、これは事業主体としては
市町村とか農協あるいは特認団体というものを認めておりますが、そういう場合にいろいろな
生産を
計画し、あるいは期間借地をし、あるいは圃場の簡易な排水をするとか、あるいはつくられました
飼料作物の貯蔵用の資材を入れるといったような事業のために、一事業
当たり一定の定額の助成をするという、いわば非常に使いやすい助成事業も起こしておりまして、これらの事業も周知徹底いたさせまして、極力既存耕地におきまして
飼料作が安定するようにやっていきたいと思います。