○佐野(宏)
政府委員 お答えいたします。
農協の各段階別の機能、それから同じ段階でありましても、地域的な格差によって
農協が
対応すべきニーズがそれぞれ地域ごとに違っておるはずではないか、確かに大変ごもっともな御
指摘であると思います。
私
どもといたしましては、やはり
先生御
指摘のように、最末端で
農民と直接接触をする仕事をやってもらうところは、何といっても
農協の
系統事業の基本であるべきものでありますから、そういう
意味で、いやしくも
単協段階で働いている人がその役回りからいって一番損だというようなことがあってはいけないと思っているわけであります。
したがいまして、たとえば
農協の職員の段階別の賃金格差の問題でございますが、これにつきまして、確かに全国連、県連、
単協、まずそれぞれの所在地域によってどうしても、全国連の方がそれ以外の段階よりも、県連、
単協よりも、県連はまた
単協よりも都市的な場所に立地いたしますから、そういう地域的な
事情あるいは職員の学歴構成とか職種の違いとかということもございますので、一概には論じがたいのでございますが、ただ、現状ではだんだん全国連と
単協との間の賃金格差というのも縮小してきております。ちょっと数字を申し上げますと、
昭和四十五年当時は、
単協の給与
水準を一〇〇といたしますと県連が一三二、全国連が一六五という
状態だったのでございますが、一番最近、
昭和五十六年の数字で見ますと、
単協段階一〇〇に対して県連の段階一二一、全国連の段階が一五三ということでかなり縮小してきておるわけでありまして、私
どもも、こういうのは
系統三段階のあり方から見て本来望ましい方向であるというふうに考えております。
それから、段階ごとの人事交流の問題について
先生言及をなさいましたが、これは
系統におきましても、それぞれの段階相互間において、研修を目的とする人事交流などについては、いろいろ出向したり出向者を受け入れたりという形で工夫をしておるようでございまして、一例を挙げますと、たとえば昨年度
全農について見ますと、県連から五十二名の職員を
全農が受け入れて
全農で仕事をしてもらう、全共連の場合は十五名受け入れるというようなことをそれぞれ工夫してやっておるようでございます。これは、該当する職員の身分、
雇用関係に関することでもございますので、なかなか役所が指導するということになじみにくい分野ではございますが、私
どもとしては、
農協が努めてこの種の問題に心を配って取り組んでくれることを
期待してまいりたいというふうに思っております。
それから地域間格差の問題につきましては、なかなか行政をもってうまく
対応しがたい問題でございますが、ただ、私
ども見ておりまして、やはり北海道とか青森とかという地帯の
農協と都市近郊の
農協と、それぞれ置かれた客観情勢の違いに
対応するように
理事役職員が工夫をしながら、それぞれの地域にふさわしい事業展開をやってくれているように思います。むしろ問題は、その都市近郊地帯においてそういう環境に見合った事業展開をしていくことと
農協のあるべき理念というものとの間にとかく乖離が生じがちであるという事態をどうやってこなしていくかということが、いま直面している問題なのではないかというふうに感じておるところでございます。