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松浦政府委員 漁業協同組合は農業
協同組合と同じ
協同組合組織であるわけでありますが、やはりそこにはある種の差があると申しますか、特色があるという
感じがいたします。
それは何かと申しますと、
一つは、農業の
協同組合、私も経済局長をやっておりましたので、農協課の所管をいたしておりまして、ある程度まで勉強をいたしてきたわけでございますが、農業の
協同組合と比較いたしますと、その組合員の組織の均一性と申しますか、そういったものがかなり違った要素を持っているという
感じがいたします。特に、
協同組合法の中で規定がなされておりますように、この組合員の中にもいろいろな
方々が入っておるわけでございまして、専業的な
漁業の従事者もおられますし、それからまた兼業的な
漁業の従事者もおられます。さらには、ある程度まで企業的な
漁業経営を営んでおられる方、この方も組合員の資格を持っている。もちろん非常に大きな方は除いております。さらには
漁業従事者、いわば雇用
関係にあられる方、こういう
方々も含めましてこの漁協の組織というものが成り立っている。非常な多様性を持っておる組織だという点が
一つの特色であろうかというふうに
考えるわけでございます。
これは、農地改革以降におきますところの均質的な農業者、畜産の経営とかあるいは園芸とかにおきましては大分別の形態が出ておりますけれ
ども、一般的には均質的な農民の
協同組合組織というのとはやや違った要素があるというふうに
考えざるを得ないと思います。
それからいま
一つは、
先生いみじくも御
指摘になりましたように、農業の
協同組合と違っております点は、いわゆる
漁業権の管理主体になるという点でございます。これは明らかに農業
協同組合の場合にはない点でございまして、特に古来からの、いわば農業の場合には入会権にも匹敵すべき共同
漁業権というものの管理主体になっている、こういう点も非常に大きな違いであろうかと思うわけでございます。
そこで、お尋ねの組合員資格の問題でございますが、確かに
先生おっしゃられますように、いわゆる組合員資格の純化論と申しますか、できるだけ専業的な経営の
方々を中心にしてこの組合員資格を与えるべきである、現在この組合員の資格が九十日から百二十日ということで定款で定めるということでございますが、これをもっと引き上げるべきであるという御議論があることも私承知をいたしておるわけでございます。しかし、一方におきまして、このような純化論に立ちますと、今度は
漁業権の現実の行使を行ってまいります場合に、それでは従来から権利を持っていた
方々に対しまして、これを准組合員の資格に落としてしまうということになりますと、民主的な運営と申しますか、表決権を持たないかっこうになってしまいますから、それでこのような
漁業権の行使に当たっての民主的な運営ができるかという問題もございます。このように、純化論につきましては長短いろいろな議論があるというふうに
考えるわけでございます。
このような正組合員資格の問題につきましては、組合員の性格を決めるという非常に重要な問題でございまして、私もまだ
水産庁として一定の
方向を出し得るまでの結論を得ていないという
状況でございます。しかし、一方におきまして、この問題は、今後の
漁業の実態あるいは漁村の実態を
考えますると、決して避けて通れない問題であるということもまた
先生御
指摘のとおりでございます。私
どもとしていま結論を持っていないということを申し上げたわけでございますが、鋭意この問題は研究の課題とさせていただきまして、私
ども十分に詰めてみたい、その上でこの問題につきましても的確な対応策というものを検討していきたいというふうに
考えておる次第でございます。