○
松浦政府委員 確かに今回の負債整理
資金は、従来の
資金と異なりまして、自主的な減船
計画というものを前提にいたしまして、
漁業者の方々が
生産構造の再編成をするという意欲をお持ちになって、そこで構造改善の指定ということを前提にした
事業を行っていただくということの反面、その
事業を推進するために必要な共補償を行う際にどうしても従来の負債が非常に重荷になって、そのために処理しなければならない負債を流動化しようということからこの負債整理
資金をお貸ししようということになっておるわけでございます。
かようなたてまえから申しまして、幾つかのことが申せるわけでございますが、何と申しましても、自主的な減船
計画を立てていただくということはやはりその
業界にとってはなかなか大変なことでございます。当該
業界のコンセンサスを得ながら減船までこぎつけるという過程は、カツオ・マグロ
業界も本当に
業界挙げて涙ぐましい
努力をなさってようやく二割減船というところまでこぎつけたわけでございますが、このような進んだカツオ・マグロ
業界のところまで至らないで、いまだにまだ
業界の中でいろいろと御議論なさっておる段階のところがございます。さような
意味で、カツオ・マグロ
業界以外の
業界が減船
計画を立ててこの負債整理
資金をお借りになられるところまでなかなか至らなかったという問題が
一つございました。
それからいま
一つ、この負債整理
資金につきましていまだに十分な
資金が出ていないという
状況は、確かにこのような負債整理
資金というものは、共補償をなさっていかれる方々の足かせになる、つまり、共補償をやりたいと思っても負債が非常にかさんでどうしようもないといったような方々の負債の流動化、あるいは減船をなさってそれで去って行ってしまわれる方々の持っている巨大な負債を漁協が肩がわりしていくといったような、そういう多面にわたる負債をどうやって一体処理していくかという、従来の
燃油資金なりあるいは経安
資金とは違った側面のむずかしさというものを持っていたわけでございます。さような
意味から、施行につきましての通達も、まだ未経験でもございましたし、かなりおくれまして、その
資金の
供給がまだおくれているという
事態がございます。
それから第三点といたしまして、実は前
長官の時代に行われました、いわゆる二年間の償還延期という
事態がございました。これによりまして、特に制度
資金の面につきましてはあの償還延期がまだ非常にきいているものでございますから、特に緊急
融資の分につきましてはまだ弁済期が到来していないというものがかなりございます。したがいまして、まだ弁済期が到来いたしておらないものにつきましてはお貸しする必要がございませんので、そのような
意味で
資金供給が、三百五十億の枠がございましてもまだ十分に行われてなかったという点がございます。
しかし、特に最近、
業界の方々がおっしゃっておられまして、この問題について、
資金量が十分
供給できないのじゃないかという、
一つの非常に大きな問題がございました。これは何かと申しますと、緊急
融資の
資金につきましては、償還期限到来後三カ月以上未返済の債務の場合には、これをある
意味では自動的に負債整理
資金に切りかえてあげますということを申しておるわけでございます。これは要綱どおりでございまして、別に貸付要件が厳しいというわけではないわけでございますが、問題は緊急
融資資金以外の
資金、いわゆる民間のプロパー
資金でございます。
緊急
融資の場合には、これは制度
融資でございますから、お貸しする際にも各団体あるいは県、国が十分にチェックをいたしまして適切な貸し
付けを行っておりますので問題はないわけでございますが、この民間のプロパー
資金というのは、場合によっては何のために借りているかということが非常に問題になってしまう
資金でございます。そのために、あるいは駆け込みで金をお借りになるというような心配もございまして、財政当局はこの点につきまして非常に厳しいことを言ってまいっておりまして、特にこの
資金が広範な使途にわたるという点から、その要件が非常に厳しかったわけでございます。これは、御
案内のように基準年次を五十六年三月末ということを言っておりまして、その時点において六カ月間未済になっている債務に特定して、これについて見ますということを言ったわけでございます。そこで、このような債務を特定することができるかどうかという非常にむずかしい問題が起こりまして、このために、先ほどちょっと
先生がお触れになりました、十億ぐらいしか貸さないのではないかといったような問題が実は起こってまいったわけでございます。
そこで、団体の方も非常に心配でございましたし、私
どもも、三百五十億の枠があるのにこのような問題のために実際に
資金が
供給できないということではこれは大変なことになりますので、このような時間的なギャップによってチェックできないということから所定の条件になかなか該当できないということによって貸し
付けができないという問題を回避いたしますために、実は二月二十五日に通達を出しました。この通達によりますと、プロパー
資金の分、民間の
供給する
資金の分につきましては、五十六年三月末における自己資本不足額から現在の緊急
融資資金借入残高を控除した額の範囲内の債務は実施要領で定める要件に該当する債務とみなすという扱いを実はいたしたわけでございます。これは自動的に自己資本不足額が決まってまいりますし、それから緊急
融資額も自動的に決まってまいりますので、これによりまして非常に簡便な方法で固定債務額を確定できるという方法をとりまして、実は先日通達したばかりでございます。さようなことによりまして、かなりの
資金量は今回出ていけるものと
考えているわけでございます。
それから、いま
一つ基本的な問題といたしまして、先ほど私ちょっと触れましたように、
業界によりましては減船という措置もなかなかむずかしいという
業界もございます。たとえばイカ釣り
業界などはなかなかこれに乗りがたいという問題もございますので、さような
業界につきましては、実は対象業種といたしまして
生産性を上げるためにいろいろな
合理化の
施設をする。そういったものもあわせまして、減船と
合理化をあわせまして二〇%
程度の
経営の効率化が達成できるものについては、それも負債整理
資金の対象にいたしましょうということも実は要綱の中に入れたわけでございます。さようなことから、イカ釣りの
業界もいま一生懸命検討しておられますが、これはちょっと今年度には間に合わないかもしれませんけれ
ども、このような業種につきましてもこれに乗れるというような
状況が出てまいると
考えておるわけでございます。
それから、明年度以降につきましては、当然、先ほど第三点として触れましたいわゆる二カ年間の償還期限の延長がきかなくなってまいって、緊急
資金につきましても弁済期が来るという債務が
相当出てまいると思います。したがいまして、私
どもとしましては、現時点では確かに
先生御心配のようになかなか出ない、
資金の枠が消化できないという問題があるわけでございますが、ただいま申しましたような緊急の手当てと、それから将来の展望を持っておりますので、これにつきましては有効な活用が徐々に出てまいるというふうに
考えている次第でございます。