○阿部(昭)
委員 一方では米をやめてくれと言っておるわけです。片一方の方はお示しをする。これはやはり
バランスがとれていないと思うのですね、国家的な政治、ポリシーという
立場から考えて。片一方はかわれ、かわってくれ。
わが国で足らぬのはこれとこれだ、ここへこのようにかわれと。したがって、私は、どの県にもどの市町村にも大いに議論をさせて、国で考えておるのはこれとこれとこれだよ、そして、これとこれとにかわったものについては、当面、政治はこのように責任を持つよと。だから、六十万の将来の転換した青写真はこれなんだというものがなければいかぬだろうと思うのです。お示しする
程度では、十年たっても二十年たっても転換は定まらない。定まりませんよ。
局長が農林省にいる間は定まらない。もう十年、二十年農林省におられるかどうかわかりません。そんなにもおられないでしょう。その間には絶対に転換は定まらない。やはりもっときちっとしたものがないといけない。これ以上申し上げません。
それから、
農業共済の制度。三年間冷害でした。この冷害というのは大変な冷害で、私の地方などは山間地がほとんど決定的にやられております。私は、いま、この山間地へ出かけてまいりまして、こんな山間地の毎年毎年冷害の起こるようなところで米づくりはやめなさい、肉牛にかわれと言って盛んにハッパをかけております。ところが、
農業共済ですけれ
ども、私のところだけではなくて、方々である現象のようですけれ
ども、五十五年の冷害のときは損害評価員の
皆さんや何か、第一線で非常に苦労をして、御案内のように
農業共済には立毛主義と申告主義という原則があります。その中で、きちっと損害
調査をやって申告されたものがほぼ全部給付の対象として認められました。二年目は、お盆の過ぎころまで二年連続の冷害じゃなかろうと思っておったら、刈り取り時期に入ったらひどい減収であるということが明らかになった。したがって、この立毛主義と
調査申告というのが制度的にはかみ合わなかった。したがって、地域的に集中されておるのですけれ
ども、初年度の五十五年の冷害よりももっとひどかったにかかわらず、共済給付はほとんど三分の一。去年はまた非常にひどかったんです。これは、今度は第一年目の五十五年に比べるとほぼ十分の一。なぜかというと、連合会段階でびりびり抑えましたね、この第一線の評価員の評価額を。
私は、この共済制度の運用というのは、やはり保険制度ですから、組合員と組織との間のしっかりした信頼
関係がなければいかぬだろうと思うのです。いま農水省の
関係の方にお伺いすると、私の方は組合の方の申告のとおり扱ったと言っておるのですが、現地の方は、いや、農水省の方は認めなかった、こういう議論なんですけれ
ども、私は、やはり保険制度でありますから、制度の運営についてはきわめて客観的でなければ、相互信頼というのが保険制度の
基本にある以上、成り立たないんじゃないかと思うのです。この点については、ぜひひとつ今後の運営のために
基本的な留意をしていただかなければならぬというふうに思います。
時間の
関係で、次も申し上げます。
これは私の持論でありますが、国有林のお話はいろいろありますけれ
ども、私は民有林の
関係です。
いま、山というのは五十年しなければ金にならぬのですよ。特に林業というのは、植えつけを始めてから二十年間くらい物すごく金がかかるわけです。そして、五十年先でなければ収益は還元されてこないのです。いま、農山村は大変経済的には厳しい局面にある。したがって、この五十年先のために投資をやるよりは、現金収入になる出稼ぎとかあるいはどこかへ働きに出るという
関係の方がいまの山村の姿なのです。そこで、毎年毎年山が崩れた、川が荒れたといって、災害復旧費は莫大な予算ですね。これは、山を本当に植えつけてきちっと整備をしていけば災害復旧費は相当減るだろう、理屈の上では減っていいはずである。それから、水資源というのも大変な問題ですね。空気の浄化というのも、これもまた大変な今日的課題だと思う。
そうすると、林野行政にちょこちょこと補助金とかなんとかということじゃなくて、この山がいま植え込んで五十年後にはたとえば一億円の山になるという場合には、金がかかるのは二十年間くらいですから、五十年後に皆伐をやったときに収益をするであろうものをあらかじめ二十年の間に五〇%なら五〇%、四〇%なら四〇%をうんと低利の金で融資をする、そうすれば
皆さん出稼ぎや何かみんなやめて、山に力を入れようということになってくると思うのだ。私は、何かどこかで山村に対する、たとえば林業にしても、いまのような、あるいは一時期高い山をみんな開田をやらせました。これがいま全部冷害でがたがたやられていますね。こういうところは本格的に畜産に転換をさせていく。この三年続きの冷害の中でも、たとえば一人の
農業者が三十頭とか五十頭ぐらいの肥育牛をやっておる、あるいは酪農をやっておる、こういう
皆さんは冷害で余りびくびくしなかったのですよ。やはりそういう根本的なやり方というものがいま必要になってきているのじゃないかと思うのですが、林野庁の御見解をお聞きしたいわけであります。