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藤井(貞)
政府委員 お答えいたします。
第一点の、この
人事院勧告制度というのは、
公務員につきましては、その従事する
仕事の性質上、公正しかも能率的に、中立というようなことで
仕事をしていかなければならぬという
一つの
要請がございます。そういう
特殊性にかんがみまして、
公務に従事する
公務員というものについては
最小限度のいろいろな
制約があるわけでございます。服務を中心として、その他
労働基本権の
制約までに至る一連の
制約というものが
一般の
民間の
労働者と違って特別に課せられているわけでございます。といたしますと、それに対応いたしまして、特に
労働基本権制約の代償的な
措置というものは当然講じなければならない。
一般労働者と比較して非常に不
均衡にもなりますし、また、
公務の場にそれ相当の優秀な人を誘致しなければならぬ、そういう
要請にこたえるわけにもまいりません。そういう
意味で、
代償機能の一番大事なものとして
人事院勧告制度というものが設けられておるというふうに私は理解をいたしておりまして、この
制度は、現在のいろいろなことを検討いたしました結果でも、私は一番妥当な、しかも正しい
制度であると
確信をいたしております。
事実、そういう
考え方が
一般にございました結果、いろいろ
国会でも御協力をいただきました末、四十五
年度から、
勧告の
実施時期を含めて
完全実施ということで実は最近まできておったのでありまして、これは
制度として確立をした安定したものであり、私は正しい
制度であるというふうに
確信をいたしております。
それから第二の点といたしましては、
臨調の
答申が最終的に出されました。この中でいろんな点が
論議をされたわけでございますが、その中でも
公務員制度の
あり方というものが大変重要な問題として位置づけられました結果、
種々の
角度から
論議がございました。その中の一環といたしまして、当然
公務員の
給与の
あり方というものについても熱心な
論議が展開されたわけでございますが、その結果、
答申といたしましては
先生御
承知のように四つの
原則が明示をされたわけであります。
その
一つは、
公務員給与の
あり方について、やはり
現行の
人事院勧告制度というものは
維持し尊重されるべきであるというのが一点。第二の点としては、
給与を
勧告するに当たって何を基準にするかといえば、やはり
官民比較という
原則に立って、
較差があればその
較差を埋めるように
勧告をするという
原則が正しい
原則であるということが第二点でございます。第三点は、
勧告は
内閣のみならず
国会に対しても行われるわけでございますが、最終的には
公務員の
給与というものは
法律でもって定められるものでございますので、
国会及び
内閣において諸般の情勢を考慮し、なかんずく
財政事情も考慮して、その責任において
内閣と
国会が最終的には決断を下すべきであるという点が第三点でございます。第四点は、総
人件費の
立場から全体として、やはり
給与というものは
国民の税金で賄われるものであるから、
公務の部内においてはいろいろな
角度であらゆる
努力を傾むけて、総
人件費自体はこれを抑制する方途をいろいろな
角度から工夫をしてもらいたい。この四点が明示されておるのでありまして、この
方向自体は
人事院の
立場としてもおおむね妥当な線ではないかというふうに私は解釈をいたしております。特に、
人事院勧告制度自体は
維持し尊重されるべきであり、またその場合に
官民較差というものを
原則としてやるべきであるというふうに言っておりますことは、非常に正しい
方向を示しておるものであるというふうに
考えております。
そこで、五十七
年度の点についてはいろいろ熱心に御議論をいただきましたが、最終的には五十七
年度はすでに経過をしたというかっこうに相なっております。五十七
年度の
勧告がその
年度間において最終的な
決定を見なかったということは大変残念に思っておるということは繰り返し申し上げてまいりました。ただ、参議院の
予算委員長の報告にもございましたように、なおこの問題の
取り扱いについては今後もさらに
誠意をもって
努力をしていくのだというふうに言っておられますので、われわれといたしましては、その最終的な
取り扱いがどうなるかということについてなお若干の期待を持って、関心を持って見守っておるというところでございますが、
年度も経過いたしましたので、大変苦しい環境になってきたということは覆い隠すことのできない事態でございます。
となりますと、五十八
年度はどうするのだということに相なりましょうが、この点は、われわれとしては五十八
年度の
官民比較の
調査について作業をすでに開始をいたしております。これが従来のペース、大体の手順に従ってやっていきたいということでいま鋭意準備をやり、すでに実行に移している部面も出てきているわけであります。その結果、四月時点でもって
調査をいたしました結果が出てまいりますので、この結果が出ますれば、これを
調査、検討、分析の上精密な結果を出しまして、その結果に基づいて、要すれば当然本年、五十八
年度についても
勧告を出すということを目途にして、目下精力的に作業を進める段階に入っておるというところでございます。