○小島(和)
政府委員 まず、農業機械が大変大型化してまいりまして、使用効率の面におきまして大変ロスがあるのではないか、また、そのことが農業経営費を増高させておるのではないか、こういうお尋ねでございますが、私
どももその点は全く同様に
考えておるわけでございます。ただ、農業機械そのものがだんだん大型化の傾向に向かってまいりますのは、農家の側にも
一つの理屈がございまして、傾向として兼業化が進んでおる、その中で農作業をできるだけ短期間に済ましたい、こういう農家側の
需要がございますし、また、同じ作業をいたしますにも、小型のものよりは大型の機械の方が機械の運転上労働が楽である、こういった事情もございますので、一概に機械の大型化というのは非難できない性格がございます。
そこで、お尋ねのように、私
どもも農業機械化促進法に基づきまして大型機械の導入基本方針というのを定めておりまして、その中におきましてどれくらいの利用面積に対してこの種の機械を使えば合理的であるかというガイドラインを示しておるわけでございます。
一例を挙げて申し上げますならば、大型のトラクター、そのうちの大体三十馬力なら三十馬力というトラクターにつきましては十ヘクタールというのを下限面積というふうに設定をいたしております。この
考え方は、機械
自体の能力という点から言いますと、十六ヘクタールくらいのものを通常の作業適期にこなし得るだけの能力があるわけでございます。反面また、その機械を使う方の側の要請から申しますと、先ほど申し上げましたように、ある適期の幅でできるだけ早く作業を終わらしたい、こういう
需要もあるわけでございますので、仮にその仕事を、ただいま行われております作業委託というふうな形で外注した場合の費用に比べて、自分が機械を持った場合にその方が得であるという下限値は幾らであろうかということになりますと、三十馬力のトラクターの場合には、大体六ヘクタールくらいあれば自分で機械を持った方が外に作業を頼むよりは得だ、こういう計算もあるわけでございますので、両者の中間をとりまして、十ヘクタール
程度がまずまず望ましい下限値であろう、こういうふうなことを機械の規模別に、コンバインはコンバイン、田植え機は田植え機なりに定めて指導いたしておるわけでございます。
ただ、そういう指導がございましても、個別の経営においてそれだけの作業の規模を
確保するということは、ただいまの日本の農業の経営規模から言いますとこれとても容易ではないわけでございますので、機械を使うためのその受け皿づくりということを並行して行っておるわけでございまして、きわめてソフトな
組織で申しますと、さまざまな農業の生産
組織がございます。簡単なものは機械の共同利用
組織というふうなものから、
組織の中において作業者の分担を決めて行うというふうな
組織のもの、さらには農協あたりが
中心になりまして、機械銀行というふうな、機械を持っている人と機械に作業をやってもらう人の仲介をするというふうな、そういう
組織づくりも進めておるわけでございます。
それから、後段お尋ねの土づくりの問題でございますが、俗に言われております有機農業が、農薬や化学肥料を全く使わないというふうなものが有機農業ということで言われておるケースがございますが、私
どもは今日の農業の実態からいたしますと、農薬なり化学肥料なりの効用を全く無視するということは適切でないと
考えております。農薬につきましても、かつてかなり危険なものが使われた時期もございますが、今日使われております農薬は、非常に毒性の低い、残留性の低いものが圧倒的でございまして、使われました後の
作物に対する残留値な
ども厚生省などとともに非常に厳しく規制をいたしておりますので、農薬を使った
作物が人間の健康に有害であるというふうなものは全くないという
状況に相なってきておるわけでございます。
しかしながら、そのような化学物質だけに依存をして農業を営むということは、それ
自体、
一つの脆弱性があるわけでございまして、農業の本質がやはり土の持っている生産力にあるという点については御
指摘のとおりでございます。近年、東北を
中心といたしまして三年続きの冷害というふうなことを
反省のきっかけといたしまして、やはり農業は土をよくしなければならぬ、こういう機運が次第次第に見直されてきているような感じもいたしております。私
どもといたしましても、
関係団体あるいは地方公共団体と提携をいたしまして、また普及の
組織も動員をいたしまして、この土づくり運動に取り組んでおる次第でございます。