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安倍国務大臣 いまソ連に対する
経済制裁措置に対する批判をされたわけでありますが、その前に、やはり問題はソ連のアフガニスタンに対する侵略だと私は思うのです。とにかくソ連が全く違う国家
体制の国に対してあえて軍事的に介入をする、侵入をするということは、今日の
世界の情勢の中にあって、あるいは国際的なルールから見て許されないことだと私は思うのです。ですから、
経済制裁措置を非難する前に、まずやはりソ連のアフガニスタン侵略というものに対して
世界が厳重に抗議をし、そして歯どめをそれなりにかけていくということが大前提だと思うわけでございます。そういう意味で、
アメリカを初め西側諸国はソ連の反省を求めてアフガニスタンからの撤兵を何とか
実現をさせるための努力をいましておるわけでございますから、私はやはり、アフガニスタンの侵略が続いている以上はソ連に対する厳重な抗議とそれなりの対応措置というものは行っていかなければならない。そうしなければ、またそうした方向が、既成事実というものがアフガニスタンだけでなくてその他の国にまで及んでいくおそれがある、
世界の平和な秩序が完全に崩壊をする、こういうふうに私は恐れるものであります。
それから北方四島の問題については、
渡部さんと私の見解も違うわけですが、私たちはいま現実的に不可能だとか可能であるとかという前に、やはり北方四島というのは歴史的に
わが国の固有の領土である。固有の領土である原点の中で私たちはソ連に対してこれを強く返還を主張しておるわけでありまして、これはやはり
日本の悲願といいますか、
日本の主張というものはどういう情勢になっても曲げることはできない。何といいましても固有の領土ですから、これが回復のためには、今後とも、時間はかかってもソ連に対して粘り強く要求をしていかなければならない問題であろう、こういうふうに思うわけであります。
同時にまた、
日本が
アメリカとソ連の谷間であるというふうなお話もありましたが、
日本のいまの
外交の立場というのは、西側陣営の一員、そして
アメリカとの間においては日米安保条約を結んでおる、いわば同盟の
関係にあるわけでございます。そうした意味で、われわれはやはり日米を基軸とした
外交を進めておる。それがまた今日の
日本の平和をもたらした大きなゆえんである、私はこういうふうにかたく信じております。この路線は変えるべきでないという信念を持っておるわけでございますが、同時にまた、先ほどから言いましたように、
日本としてはああした敗戦、そうして新しい憲法、そういう中で
日本で生まれたこの平和
外交というものを積極的に進めていくことは当然のことでありまして、日米
外交基軸であるとは言っても、ソ連に対してもただ対立を好むだけではなくて、ソ連との間でも何とか対話を進めていきたい、
体制の国といえ
ども積極的につき合っていかなければならぬというのがこれまた
日本の
方針でございますから、そういう
日本の
外交の
方針の中で
日本が
世界の平和に貢献できる、あるいはまた
世界の軍縮に寄与できるという面も私は大いにあると思っております。
日本も
経済的には
世界の中で非常に大きな力を持ってまいりましたので、そうした力も背景にして、私はむしろそれを軍縮であるとか
世界の平和のための貢献であるとかいうものに積極的に生かしていかなければならないし、その道は大きく開かれておる、私はそういうふうに考えて、今後とも努力をしてまいりたい、こういうふうに存ずるわけであります。