○藤原
委員 いま集金の外務員さんに
受信料を支払っているという人が全国に千四百二十八万人、全体の五〇・六%いるというふうなことをよくよくお
考えいただいた上で
NHKも決めていただきたいというふうに思うのです。
効率化ということは大変大切だ。しかし、効率化が必要だということで、それだけで
考えると、経験豊かな方とかいろいろ言われましたけれ
ども、経験豊かであってもいままでもうまくいってない
部分もあるのですね。教育もぜひしなければいかぬというような
部分もあった。そういう状態でこういうことをやった場合にどうなるのかという心配が
一つあるので、よく御
検討いただきたいというのが
一つです。
それから同時に、幾ら効率化されたからといっても、そのために文化性豊かな
番組が放映されないというふうなことになれば、事は大変だというふうに思います。
私はここに重たい本を持ってまいりましたが、これは
NHKが昭和四十年一月十五日に発行された「
日本放送史」なんです。ここにはこういうふうに書いてございます。
このように、戦争下の芸能
番組の基調は、八月十五日の終戦に至るまで、終始、国民の戦意高揚と戦力増強に資することに置かれた。そのため慰安
放送の本来的な意義はゆがめられ、軍需品の製造と同じような規格と統制のもとに追いこまれてしまって、人びとに感動を与え、文化的に貢献するような作品を
放送に
期待することはほとんどできなかったのである。
というふうにあるのですね。私は、決して
むだ遣いを奨励しているわけでも、不要経費を使えなどと言っているのでは絶対にないわけです。しかし、文化水準の向上ということとの
関係で、
番組制作の下請化ということは好ましいのかどうかという点なんです。
昨年四月十六日でした、当
委員会の
電波・
放送小
委員会に
参考人として
出席された女優の藤村志保さんがこう言われました。この議事録を読み上げてみますと、
NHKの場合は下請ということはございませんけれ
ども、民放の場合にはいまほとんどが民放じきじきのドラマの
制作というものはなくなっておりまして、下請会社さらにその下請会社に行っているというのが現実だと思います。そういたしますと、一番経済的にも時間的にも厳しい条件に置かれますのはその
制作現場でございまして、幾らゆとりを持った良心的なテレビ
番組をつくりたいと思っても、時間もない、お金もないというような現場で、流れ
作業にならざるを得ない。
こう言っていられるわけなんですね。
こういうことが形を変えて、いま行政改革、効率化ということが最優先で、よい
番組がなかなかつくれないというふうなことにならないだろうかということを私は大変危惧しているわけです。よい
番組といいますのは当然お金もかかるわけですね。しかし、文化というものはそういうものではないのかなというふうにも思いますし、よい文化はやはり人間生活になくてはならないものだ、こう思いますと、この殺伐としたような状態というふうなことが起こり得るという条件も感じられ、私自身もあの戦時中に軍艦マーチをラジオで流されるという現実を何度か経験しております。いま下請化に足を踏み出すというようなことがあれば、良心的な
番組をつくろうと思ってもそれはできないというふうな方向に走るのではないか。私はもちろん民放の中にもよい
番組はあるというふうに思っております。しかし、下請化されている結果、どうしても雑にならざるを得ないのだというふうに藤村さんもその日言っておられたわけなんですね。私もそれはそうであろうなというふうに思うわけです。
最後に、
会長さんそれから郵政大臣に、よい
番組を国民に提供するというのがやはり
NHKの使命ではないのか、こういう点と、それと今度の
放送法改正によって下請に回すか回さぬかはお決めになるのですが、そのときの判断ですね。まあいま
検討中ということかもわかりませんが、そういう私が主張している点をよくよく御
論議の上この決定をしていただけるのかどうか、こういう点についてお答えをいただきたいと思うのですね。
それから大臣には、技術革新とか
ニューメディア、これを真に国民の利益のために役立つようにしなければならないんじゃないか、
NHKもこの技術革新という問題を
日本文化の向上と社会進歩のために役立たさなければならない。そういう観点を大臣としてもお持ちになっているのかどうか、こういう点と、その後の
NHKに対する御所信、これをお述べいただいて終わりたいと思います。