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1983-02-23 第98回国会 衆議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年二月二十三日(水曜日)     午前十時二十四分開議  出席委員    委員長 左藤  恵君    理事 加藤常太郎君 理事 畑 英次郎君    理事 吹田  愰君 理事 水平 豊彦君    理事 鈴木  強君 理事 竹内 勝彦君    理事 西村 章三君       秋田 大助君    亀岡 高夫君       近藤 鉄雄君    佐藤 守良君       丹羽 雄哉君    長谷川四郎君       福永 健司君    山下 徳夫君       武部  文君    楯 兼次郎君       大橋 敏雄君    中井  洽君       藤原ひろ子君    依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 桧垣徳太郎君  出席政府委員         郵政政務次官  戸井田三郎君         郵政大臣官房長 澤田 茂生君         郵政省郵務局長 永岡 茂治君         郵政省貯金局長 鴨 光一郎君         郵政省電気通信         政策局長    小山 森也君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君         郵政省人事局長 奥田 量三君  委員外出席者         臨時行政調査会         事務局主任調査         員       新野  博君         厚生省援護局業         務第一課長   森山喜久雄君         会計検査院事務         総局第二局審議         官       大本 昭夫君         日本電信電話公         社総裁     真藤  恒君         日本電信電話公         社総務理事   山口 開生君         日本電信電話公         社総務理事   西井  昭君         日本電信電話公         社技術局長   村上  治君         日本電信電話公         社職員局長   児島  仁君         日本電信電話公         社厚生局長   中原 道朗君         日本電信電話公         社営業局長   信澤 健夫君         日本電信電話公         社計画局長   池沢 英夫君         日本電信電話公         社施設局長   岩崎 昇三君         日本電信電話公         社経理局長   岩下  健君         参  考  人         (日本放送協会         放送総局総局         長)      渡辺 一男君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ───────────── 委員の異動 二月十八日  辞任         補欠選任   鴨田利太郎君     正示啓次郎君   丹羽 雄哉君     村山 達雄君 同日  辞任         補欠選任   正示啓次郎君     鴨田利太郎君   村山 達雄君     丹羽 雄哉君 同月二十二日  辞任         補欠選任   大橋 敏雄君     矢野 絢也君 同月二十三日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     大橋 敏雄君     ───────────── 二月十六日  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出承認第一号) 同月九日  簡易生命保険保険金限度額引き上げ等反対に関する請願日野市朗紹介)(第三八二号)  同外一件(前川旦紹介)(第三八三号)  同(伊賀定盛紹介)(第四一〇号)  同(石橋政嗣君紹介)(第四一一号)  同外二件(永井孝信紹介)(第四一二号)  同(細谷治嘉紹介)(第四一三号)  同(堀昌雄紹介)(第四一四号)  同外二件(村山喜一紹介)(第四一五号)  同外一件(八木昇紹介)(第四一六号)  同(井上一成紹介)(第四四〇号)  同(中村重光紹介)(第四四一号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第四六三号)  同(小川省吾紹介)(第四六四号)  同外一件(岡田利春紹介)(第四六五号)  同外一件(戸田菊雄紹介)(第四六六号)  同(山花貞夫紹介)(第四六七号)  同(小川省吾紹介)(第五〇三号)  同(島田琢郎紹介)(第五〇四号)  同(山田耻目君紹介)(第五〇五号)  同(山本政弘紹介)(第五〇六号)  同(五十嵐広三紹介)(第五二四号)  同(前川旦紹介)(第五二五号)  同(森中守義紹介)(第五二六号) 同月十六日  簡易生命保険保険金限度額引き上げ等反対に関する請願飛鳥田一雄紹介)(第五三八号)  同(木島喜兵衞紹介)(第五三九号)  同(山花貞夫紹介)(第五四〇号)  同(山本政弘紹介)(第五四一号)  同(阿部助哉君紹介)(第五七九号)  同外一件(飛鳥田一雄紹介)(第五八〇号)  同(飛鳥田一雄紹介)(第六四七号) 同月十八日  簡易生命保険保険金限度額引き上げ等反対に関する請願外一件(伊藤茂紹介)(第八四五号) 同月二十一日  簡易生命保険保険金限度額引き上げ等反対に関する請願井上一成紹介)(第八九二号)  同(串原義直紹介)(第八九三号)  同(串原義直紹介)(第九二三号)  同(福岡義登紹介)(第九二四号)  同(伊藤茂紹介)(第九五八号)  同(福岡義登紹介)(第九五九号)  同(枝村要作紹介)(第九七六号)  同外二件(矢山有作紹介)(第九七七号)  同(中西績介紹介)(第九九九号)  同外三件(矢山有作紹介)(第一〇〇〇号)  同外一件(山本幸一紹介)(第一〇〇一号) は本委員会に付託された。     ───────────── 二月十七日  電電公社の分割、民営化反対に関する陳情書外三十六件(第七六号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  逓信行政に関する件      ────◇─────
  2. 左藤恵

    左藤委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木強君。
  3. 鈴木強

    鈴木(強)委員 大臣に最初ちょっと要請をしておきたいのでございますが、というのは、人勧の問題ですけれども、凍結の方針政府は崩しておりません。いま国会の中で検討を続けていくというような状態にあるわけですが、あなたの所管しております電波監理局、これは一般会計に属しまして人勧の適用を受けているわけですよね。したがって、ことしの賃上げ闘争、もう始まっているわけですけれども、まだ昨年の問題が解決しておらないという現状があるわけでございまして、ぜひひとつ所管大臣として鋭意努力をしていただいて、何とか実現できるようなために努力をしていただきたい、こう私は思うのです。もうほかのことは言いません。ストライキ権にかわるべきことでありますし、全体の職員の士気にも影響するわけでありますから、ぜひひとつ、大事な時期に来ておるだけに、大臣についても格段の努力をいただきたい、こうお願いするわけです。  同時に、三公社五現業の方につきましては、大臣も御努力をいただいて、一応仲裁は、本俸は上がったわけでございます。ただ、手当等の問題については、旧ベースでもらっておるものですから、その差額が支給されておらない、これが現状でございます。これは労使間の団交の件でありますから、私もそれに介入しようとかなんとかということではなくて、やはりそれぞれ予算措置も必要でありましょうし、予算総則上の手続もあるでございましょうから、大臣は立法の方の責任を持っておりますけれども、いまは大臣でございますから、行政府の長として、ひとつ従来のような形でできるだけ実現ができますように、そういう御高配をお願いしたいと思います。これは答弁は要りませんから、私の強い熱願としてあなたにお願いをしておきますので、しかと胸にとめて御協力をいただきたい、こう思います。  それから、FM構想のことでございますが、何度も私は質問をして恐縮ですが、電監局長、大変御努力をいただいて、昨年の十月二十七日に、残されておりました県域、十九カ所でしたか、これに対して免許を与えるという方針を決められたようでございます。したがって、通算しますと三十四局が開局の運びになっておるわけですが、そのうち、完全に開局したのが十局、それから調整中が六局、未調整が十八と聞いております。この数字は間違いがあるかどうか、もしあったら指摘をしていただきたいと思いますが、特に昨年免許を許可するという方針を決めました県域につきましては、民放各社からもいろいろと要請があるでしょうし、さらに独自の立場に立って免許申請をしている局がかなりあると思います。したがって、その申請者が各県別にどのくらいあるのか、これはひとつ後で資料として出していただきたいのでございます。  たとえば、私の選挙区は山梨ですが、山梨現状をちょっとここで説明していただきたいのでありますが、何局が申請をしておられるでしょうか。そして、この申請をしておられる皆さんが協議をして、だれに免許を与えるかということをこれから決めるわけでございますが、そういった手続、作業はいまどういうふうになっておりますか、またどうしようとしておられるのでしょうか、その点をひとつお伺いしたい。
  4. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど先生おっしゃいましたように、現時点、全国四十七都道府県のうち三十四の都道府県で実施が可能となるように、昨年の十月措置したところでございますが、非常に多数の申請が出ておるという実情にございます。  山梨県の場合でございますが、三十六件の申請が出ております。現在のところでございますけれども、各申請者の御意見をお聞きして、なるべく早くまとまるように努力中でございますが、もう少し話が進んだ段階で、中心となる方等をお願いする段階に早く到達すればありがたいというふうに考えておる次第でございます。
  5. 鈴木強

    鈴木(強)委員 電監局長大変御苦労されて、ここまで持ってきていただいたことについては、重ねて感謝をいたします。  それで、チャンネルプランが決まった以上は、一日も早く開局をして目的を達成することが大事でございますから、そのための努力はみんなでやらなくちゃならないと思いますが、いままで未調整の六局等の実情を勘案して、最悪の場合、たとえば県知事調停を委託してやるような場合もあったと思うのでございますが、そういった過去の例を踏まえて、なかなかこれ、三十六局あるわけですから、これは山梨県の場合ですが、これを一本化するということは大変なことだと思います。郵政省として当面はいま局長のおっしゃったような態度で臨まれると思いますが、その先を聞くのはちょっといまの段階で早いかもしれませんが、いずれにしても調整は困難を来すのではないか、こう思いますものですから、過去の例から推して、今後最悪の場合どういうふうな手続をとられるのか、その点をちょっとお伺いしたい。
  6. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  FMにつきましては、十数年前に四局が東名阪福で行われまして、その後割り当てた分につきまして、先生承知のように、昨年度におきまして松山、北海道等六局がまとまった。もう電波を発射しておるという状況にございます。それからもう一つ、今度ことしのごく近くに静岡地区から電波を出すという状況にございまして、いま残っておりますのは、昨年の十月に割り当てました二十三地区二十二件のほか、それ以前に割り当てましたのが一件残っておるわけでございます。現在二十三地区話し合い——進捗状況はそれぞれ違いますけれども、二十三地区でございますが、そのうち、大臣の方から、大体話し合いが進んでいるようだ、これで地区的に中心になる方をお願いしたらどうかということで、その二十三地区のうち六地区につきましては中心となる方を決めまして、県知事さんが主でございますけれども大臣の方から一本化調整を精力的に進めていただくようにというお話が進んでおります。それで、残りの十八地区につきましては、まだ多少まとまりぐあいと申しますか、申請者の中での話し合い、あるいは多少中心になる方の二、三の動き等々を見まして、もう少しまとまりの中心らしいものができるのを見きわめまして、できるだけ早く残りの十八地区についても大臣の方からお願いできるようにというようなことで、いろいろ申請者の方から御相談も受けておりますので、郵政省としてはその辺の考え方というものをお話しして、ともかく割り当てましたので、できるだけ早くまとめるようにお願いします、このような実情でございます。
  7. 鈴木強

    鈴木(強)委員 大臣、ちょっとこの件について最後お願いしておきたいのですが、かつてUHFのテレビ免許の際に、やっぱり申請者が多くて調整に難航しまして、ある国会議員が中に入ったことがあるのですよ。これは私はまずいと思うのですよ。ですから、やっぱり客観的に判断できるような、できるだけ利害から遠ざかった人が調停役にならないとうまくないですよ。私はそのときも、小林郵政大臣のときでしたけれども、地元でもかなり問題になりまして、その意見を述べたことがあるのですよ。ですからひとつ、一応私は、公平に見ていけるのは知事あたりがいいんじゃないかというような気もするわけです、最終的な調整役は。そういうような点を十分配慮しながら、余り利害関係のないような遠いところからひとつそういう人を選んでいただいて、その人の調停によって最終的な判断をしてもらうというようなことをぜひやってもらいたいと思うのですよ。その点どうですか。
  8. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 お答えいたします。  御承知のように、いま電波監理局長からのお話にございましたように、FM免許につきまして大変多くの申請が出ておりまして、なるべく早く開局できるようにしたいという私の希望から言いますと、大変困っておるわけでございます。これはどうしても調整を要するわけでございますが、調整に当たりましては、調整が成功しやすい方にお願いをしなければいけないわけでございますから、私としては利害関係に中立的な方にお願いをしたいというつもりでいままでもやってきたつもりでございます。今後もその方針でやりたいと思っております。
  9. 鈴木強

    鈴木(強)委員 大体私の申し上げている線と同じですから、そういう線でよろしくお願いしたいと思います。  それから次に、わが国初実用通信衛星CS2aが種子島宇宙センターからみごとに打ち上げられました。非常に快哉を叫んでいいと私は思います。その後所定トランスファー軌道に入りまして、順調に軌道を周回しているというふうに聞いておりますが、その後どんな状態か。それから静止状態に入るのはいつか。それから実験開始はいつごろやるのか。それから利用計画は、これは新しいサービスとしていろいろ企業、大学、新聞放送関係からも需要があると思うのでございますが、そういったものをいつごろから利用できるような形になるのか。  それからもう一つ、今度打ち上げたロケット、これは、ロケットはいつもアメリカに頼っておって情けない状態だったのですが、今回打ち上げに成功したわけですが、新聞によりましてNIIロケット三号機というふうに書いているのもあるし、Nロケット十号機というふうに書いているのもある。一体これはどっちが正しいのですか。それからもう一つは、打ち上げのための総経費は幾らかかって、このうち国と公社分担たしか国が四、公社が六というふうになっていると思いますが、どうなりますか、それをちょっと答えてください。
  10. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 いろいろお聞きいただいたようでございますけれども、漏れのないように御返事いたしたいと思います。  まず、打ち上げ後の現状でございますけれども、二月四日に宇宙開発事業団によりまして種子島宇宙センターから打ち上げられたわけでございます。二月六日にいわゆるドリフト軌道というものに移りまして、その後二月七日から、七、八、九というような形で三回姿勢制御操作というものを行いながら所定位置に進んでおるわけでございまして、所定位置は東経百三十二度ということに国際的な話し合いで決まったわけでございますけれども、この軌道に静止するのは明二十四日のことでございます。それで今後、あす静止いたしましてから宇宙開発事業団機能チェック衛星のミッションをチェックするわけでございます。これにかなり時間がかかりまして、利用に移りますのは五月初旬ごろ、その段階におきまして通信放送衛星機構に引き渡される。その後実利用と申しますか、先生指摘のパイロット的な実験も含めまして実利用段階に入るということでございます。  それから次は、衛星経費がどの程度かかったか、この点についてはあるいは電電公社の方からも補足していただきたいと思いますけれどもCS2の開発経費といたしまして、総額約五百六十億という予定で進んでおります。その内訳は、衛星関係費が二百五十二億、ロケット関係費が百八十一億、その他といたしまして百二十七億、こういうことになりまして、経費分担といたしましては、電電公社等が六割、国が四割を負担する、こういうことになっております。
  11. 鈴木強

    鈴木(強)委員 局長ロケットの打ち上げがNIIロケット三号というのと、あれはどっちですか。
  12. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  NIIと申しますのは、NIIで申しますと三号でございまして、ただ何号機と言う場合には、NIの方から通して申しますと十号になるということで、両方とも正しいわけでこざいます。
  13. 岩崎昇三

    岩崎説明員 お答え申し上げます。  ただいま電監局長からほとんどお答えがあったと思いますけれども先生の御質問の中で抜けておるといいますかお答えしておりませんのは、利用計画について必ずしも十分でないのかと思いまして、その点について補足させていただきたいと思います。  これまで衛星通信につきまして電電公社は、利用については災害対策用離島通信用臨時通信、そういうふうな三つの目的のために使うということでずっと申し上げてきておりますけれども、近ごろ衛星通信というものの利用の、非常に高度な通信利用し得るというような一つ方向が出てまいりまして、そのほか、後で申し上げますけれども新規サービス等利用できるのではないかということで現在検討中でございます。  災害対策用通信といたしましては、固定局相互間で、電話で言いまして約二千回線回線容量がこれによって準備されます。そのほか移動局を使った場合には一車載局当たり百三十二回線という非常に小さなものになりますけれども、そういうような非常災害用回線が準備されます。  それから、離島通信といたしまして、いろいろ今後出てくるかとも思いますけれども、さしむき具体的には小笠原諸島の父島、母島というところが現在まだ手動通話になっておりますので、それを自動通話できるような設備を衛星通信回線によって準備したいと思っております。  それから、臨時通信でございますけれども、これは臨時通信ということで車載局を主として使ってやるわけでございますが、催し物等がございまして御要望があればその車載局を持っていってやりたいということで、具体的にはまだそういう事例は出てないわけでございます。  それで、先ほど最後に申し上げました新しいサービスということでございますが、衛星通信そのものが、単に地上回線といいますか電話回線を使うということであれば、地上回線と比較をいたしまして特に日本衛星通信の場合には割り高でございまして、経済的にすぐ引き合うものではないのでございますけれども衛星の持っております特徴、要するに日本の中からどこでもいつでも見えるというような特徴がございます。その特徴を生かしたサービスをいたしまして、一つは非常にわかりやすいのは同報通信サービスでございまして、たとえば新聞の紙面というようなものを一斉に全国に流すというようなことには非常に適しておりますし、そのほか私ども統合ディジタル通信サービスというふうに仮称しておりますけれども、高速度の回線をたとえば東京の本社と地方の支店というようなものの中で衛星を使いまして作成いたしまして、それを利用してテレビ会議とか高速ファクシミリとか高速データというようなものが統合して通信できるというような、そういうネットワークに利用できるんではないかということで、もしそれらについて、料金等関係もございますが御要望がございますれば、五十九年の年度内には何とかそういうものもサービスできるようにしたい。もちろんこれは郵政省の御指導、御認可が要るわけでございますけれども公社としてはそのように考えている次第でございます。  以上でございます。
  14. 鈴木強

    鈴木(強)委員 公社分担したのは幾ら……。
  15. 岩崎昇三

    岩崎説明員 分担金は約三百二十億円でございます。
  16. 鈴木強

    鈴木(強)委員 八月ごろには2bを打ち上げるような計画もあるようですけれども分担金を今度は六、四から七、三にするというような話をちょっと聞いているのですけれども、これは正式に決まったんですか、八月までは現状で、その次からですか、そこらをはっきりしておいてください。
  17. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 このCSにつきましては予備機を必要とするということで、今度二月に上げましたのを2aと申しており、この八月に予定しておりますのを2bと申しておりますが、経費等は、この予備機を含めた額を全部含んでおりますので、いわゆる六、四にかわっての七、三の話と申しますのは、その次のCS3を、かなり早いわけでございますけれども、五十八年度予算に組み込まなければいかぬ、CS3と申しますか現在上がっておりますものの後継機の話でございます。
  18. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それはそう決まったわけね、七、三に。
  19. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 予算要求段階でそのような予算が出される予定でございます。
  20. 鈴木強

    鈴木(強)委員 大臣、これはちょっとおかしいと私は思うのですよ。当然放送衛星の方にもこれは関連してくるんですね。いずれNHK予算審議の際にも聞きたいと思っておりますが、六、四でも問題があると私は思っていたんです。それは、国家財政が大変だからということだろうと思いますけれどもね。NHKあたりが、これ三、七になりましたらまた負担が多くなりますわね。ですから、もう少しこういうものは国家的視野に立って考えるべきものであって、六、四でも私は多いと思っておったんですから、少なくとも六、四程度で当分いくような方法をとってもらわぬと、ちょっと放送界通信界実情に合わないんじゃないですか。もう一つ検討してくださいよ。予算との関連があるようですけれどもね。政府はもっと責任を持ってやるべきだよ。
  21. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先生がおっしゃるのと同じような心配を私どももいたしまして、予算折衝段階での協議におきましては強く主張したわけでございますけれども国家財政等々の話し合いもございまして、CS通信衛星については、従来の六、四にかえて七、三ということで現在予算案として提出されておるわけでございますが、その話し合いの中でBSの話もその翌年度には出てまいりますので、それにつきましてはこのCSの話とは全然別の問題であるという了解のもとに話を進めておるという段階でございます。
  22. 鈴木強

    鈴木(強)委員 大臣、これは科学技術の振興という意味もかなりあるわけですね。ロケットなんかの開発については、日本科学技術については世界に誇る、こう言っておきながら、残念ながらいままでNASAのロケットを借りて打ち上げざるを得なかった。これはでかいやつになると、五百キロとかいうことになるとまた問題があるのでしょうけれども、少なくともそういう方向に近寄っていくためで、国費の点からいってもこれは非常に大事なことだと思うのですよ。ですから、そういう意味で特に国の方でも奮発して、これに対する予算は本当はみんな持ったっていいと思うのだが、しかしそうもいかぬでしょうから、少なくとも六、四くらいの線は堅持してもらわぬとこれはまずいと思うのですよ。ですから、大臣もそういう意味で、いま局長からもお話がございましたけれども、問題は大蔵省あたりの意見がかなり強く出てくると思うのですが、あなたは国務大臣でございますし、そういう問題について、電監局長と一緒にやってくれたと思いますけれども、これからなおひとつ努力をして、現状六、四くらいが少なくとも確保できるような努力をぜひ積極的にやっていただきたいと思うのですよ。ちょっと所信を聞かせてください。
  23. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 実は私も、大蔵との折衝といいますか接触をしたわけでございます。元来、形式的な予算の担当は科学技術庁の予算でございますので、いわゆる大臣折衝というような形にはならなかったわけでございますが、事実上は七、三——大蔵省は最初八、二と言った。それはとてもいかぬということで、いろいろ科学技術庁とも接触をしながらやったわけですが、CS3については七、三でやむを得ないということでいまの予算が出ておるわけであります。BS3になりますと事情が非常に変わってくる。NHKの負担の問題も頭に置かなければいかぬわけでございますので、このことが、CS3が自後の問題の前例になるものではないということだけははっきりさせておきたいということにいたしておりました。したがいまして、明年度以降の予算で問題となりますBS3の際には、いま鈴木委員お話しになりましたような方向で私ども科学技術庁とともにがんばってまいりたいと思います。
  24. 鈴木強

    鈴木(強)委員 よくわかりました。どうぞよろしくお願いします。  それから、提出予算との関連になるのですが、例のデータ通信回線利用制度の整備について昨年公衆法の一部改正がなされました。ほとんどの回線が自由に利用できるような形になっておるわけでありますが、その際問題になりました新しい付加価値通信サービスいわゆるVAN、この法案について通産、郵政の間でかなり激論があったようでございますが、結果的には出さぬことになりました。今度の国会に提出をしようとする法案の中にこれは入っていない、こう見てよろしいですか。
  25. 小山森也

    ○小山政府委員 先生指摘の付加価値データ伝送業務法いわゆるVAN法でございますが、これにつきましては民間企業からの非常に強い本格的制度の創設というのがあります。この早期実現を図りたいと考えているところでございますけれども、しかしながら、通信秩序維持の観点とか、通信の秘密、信頼性の確保、電信電話業務との調整問題というようなことは、やはりいろいろ関係するところが多くございまして、今国会に提出したいという強い意向は持っておりますが、なかなか調整は進んでいないというのが現状でございます。
  26. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それは幸いです。これは非常に重大な内容を持っているわけでありますから、私どもは前回も郵政省の立場を大いに支持してやってきたつもりであります。したがって、いま局長のおっしゃったような点を十分に検討をされ、そして理解と納得のいく線でやってもらわないといけないと思います。それでなくても公衆電気通信役務というのが一体何なのか、自由化された回線の中でやられても、果たしてそれをだれがチェックするのか、通信の秘密はどうなっていくのか、これはあなたのおっしゃるとおりですから、十分に配意して、そう簡単に出されちゃ困るということを申し添えておきます。  それから、大臣、私はきのう帰って毎日新聞の夕刊を見ましたら、電電、専売、国家公務員、国鉄の四つの共済組合の統合化問題についての記事が出ておりました。その中に、自民党と政府の初めてのトップ会談が二十二日午前開かれた、そして国家公務員等共済組合法案を今国会に提出する方針を確認した、この会談には齋藤行管庁長官、竹下蔵相、林厚相、後藤田官房長官、党側からは田中政調会長が出席した、こう書いてあるのですね。一番大事な郵政大臣がこの中に入っていない。大蔵大臣は、専売公社の方は大蔵でしょうが、国鉄の関係の方とか出ておらないし、これは電電公社の方にもちょっと関連してお伺いをしたいのですけれども、私は、国鉄の共済組合が今日成熟度がかなり上がりまして四苦八苦していることはよく知っております。しかし、よって来る原因がある、歴史的な経過もある、そういう中で何か専売や郵政を含めた国家公務員と一挙に統合してしまうということについては、これは非常に問題ですよ。ですから、こういう記事を見まして、しかも桧垣郵政相は全然出ておらないし、関係する運輸省関係の人も出ておらないし、そういうところで決めてしまったということについては、非常に非民主的だと感じたわけですよ。  そこで、こういうトップ会談をするまでに、少なくとも郵政大臣に対して、電電、郵政の場合にはどうかというような話はあったのでしょうか。あなたはどういう態度で返事をしたのですか、もしあったとしたら。なければないというふうに、これは明確にしておいていただきたいと思うのです。
  27. 小山森也

    ○小山政府委員 本件につきましては、いろいろ共済年金財政全体の問題から何らかの解決をしたいということで、公務員四共済でございますので、大蔵省の方からひとつ国家公務員共済組合審議会の方に電電労使等も入って検討していただけないか、また、できたら四共済統合について御協力をいただきたいという話は来ております。ただ、しかしながら、公的年金制度というものは国民全体によって支えられるものであると存じます。特に、高齢化社会が進行する折から、基本的に国民全体で助け合う方向でこの問題を考えていくのがまず第一の基本的な問題だろうと思います。しかしながら、現在の各年金制度はそれぞれ歴史的に沿革があります。また、財政状況等も異なっております。保険料率、給付水準も区々でございます。統合のために解決すべき数多くの問題があるということを私ども認識しておりますので、これにつきましては、大蔵省当局にも強くこの辺のことの調整をしなければなかなかむずかしい問題であるということを述べております。  また、それではこれをただ問題としてのみ置いておくか。いずれは解決しなければいけないということになろうかと思いますけれども、こういった共済組合の統合につきましても、いろいろな事情にある各共済の保険者、電電公社でありますれば公社の管理者、受給者である保険の組合員、こういった方たちが相互扶助に対して心から理解をするというような次元にまでいくことが必要であろう、そういった相談を十分しながら調整を進めていくことが望ましいということを私どもとしては強く要望している次第でございます。
  28. 中原道朗

    ○中原説明員 お答えいたします。  公的年金制度が全体的な統合に向かっていくということにつきましては、年金財政の安定化を図るという意味からきわめて重要な国民的課題であるということにつきましては、私どもも十分理解をいたしておりますし、それゆえに協力していきたいという趣旨で考えておるところでございます。したがいまして、公的年金制度全体統合、一元化ということに向けて、説得力ある具体的なスケジュールを政府において方針として明確に示していただくということが早急に確定されていくことを私どもとしては切望しておるところでございます。  しかしながら、現在提起されておる国家公務員と三公社の共済組合の統合がこの形で行われるということになりましても、これによって共済年金の財政全体が長期安定できるということは必ずしも期待できるものでないと理解をしております。さらに、公社職員公社共済組合員と申しましょうか、これにとりまして、実質中身を考えてみますときに、直接かかわりのない理由によりまして負担なら負担が増加いたしますし、想定されます給付水準につきましても見直しをしなければならないという事態が招来されると予想されます。こういうことのみで行われるということになりますと、職員、共済組合員の納得を得る上で非常に多くの困難があると考えられますので、職員、共済組合員の理解を得るための諸条件が種々整備されていくことが、私どもがこの場に入っていきまして論議をさせていただくにつきまして必要な条件ではなかろうかと考えておりますので、何らの条件もなしににわかにこの問題には賛成しがたいとは思っておりますけれども、全体統合の方向性について特に異論を持つものではない、このように考えておるところでございます。
  29. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それで、きのうの朝のたしか八時半のNHKのニュースだと思いましたけれども、この統合問題について、五十九年度はやらない、六十年度以降にして、その間何か六百億くらいの金を出して国鉄の赤字を救済するというような話も政府の中でやられたというように放送があったと思うのですけれども、私ちょっと見ただけですから正確ではないのですけれども、そういうような内容だったと思うのです。そのやさきにきのうの新聞に出ましたものですから、ははあ、これはいよいよ今国会に提出する方針を確認したのだな、こう思いましたが、その前に、国共審というのがあるわけですね。そこで十分に論議をされて意見が一致するというのが前提だと私は思うのですよ。ですから、その場所がどうなっているのかよくわからないのですけれども、小山電政局長もそれぞれ審議会の委員になっているわけでございましょう。委員が出ているわけでしょう。それはどういうようになっているのですか。電電、郵政省から出ていないのですか。
  30. 奥田量三

    ○奥田政府委員 ただいま御指摘の国家公務員共済組合審議会につきましては、その名前のとおり国家公務員の共済組合に関する審議会ということでございます。したがいまして、郵政省関係では郵政省共済組合に関係する立場で国家公務員共済組合審議会のメンバーになっております。  そして、ただいま御指摘のこの共済年金制度の統合あるいは国鉄の財政調整の問題等につきましては、昨年の年末からこの国家公務員共済組合審議会、国共審と略称しておりますが、懇談会が数回開かれまして、いわば予備的な意見交換等を行ってまいりました。しかしながら、今回の問題は、単に国家公務員の共済組合だけではございませんで、公共企業体の共済組合にも関係するということから、最近、関係の公共企業体のメンバーもこの国共審の場に参加して一緒にこの問題を検討するという段階に至っているわけでございます。  具体的に、今回の公務員と公共企業体の共済制度の統合また国鉄共済組合に対する財政調整の問題についての法律案の要綱は、先週この国共審の場に示され、諮問をされて、先ほど申し上げましたように、今週から公共企業体もその場に加わって検討を開始したという状況でございます。そういう状況でございますので、恐らくこれから頻繁に会合が開かれると思いますが、そういういわば公企体も参加した形での国共審の場においてこの問題の取り扱いが詰めていかれる、こういうことになろうと思っております。
  31. 鈴木強

    鈴木(強)委員 そして、国共審で一応結論が出ますね。そうしますと、もう一つ、社会保障制度審議会かな、そういうものがありますけれども、そこには関連なくやれるわけなんですね。その点はどうなんですか。
  32. 奥田量三

    ○奥田政府委員 御指摘の社会保障制度審議会との関係については、私確信を持ったお答えをいたしかねるわけでございますが、関係の向きから聞いておりますところでは、そちらの方の審議会とも関連があるのではないかと聞いております。
  33. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それは社会保障制度全体のことですから、当然そちらの方でも話になり、意見も出て論議されると私は思っているのです。  そこで、大臣、いろいろの情報が流れているのですけれども、この毎日新聞のきのうの記事については間違いないと私は思うのです。そうなりますと、国共審ではまだ論議をしている最中だという中でこういうことを強引にやろうというその姿勢が問題ですよ。中曽根さん大分はしゃぎ過ぎて批判を受けております。あなたの党内からもかなり批判が出ておる。政治というものはやはり国民のためにある。ですから、自分がこう思っておっても、言っていいことと悪いこととある。国民のコンセンサスを得られる問題については、私は政治家として堂々と言っていいと思う。しかし、コンセンサスを得られない問題については慎むべきですよ。そういうことを私は、中曽根さんが就任以来強く感じているんですよ。地方に回ってごらんなさい、評判が悪いこと。民主主義というのは一体何かということを問い直さなければならぬだろうということですよ。これはそこらの都内のタクシーに乗っても、タクシーの運転手さえ言っているんですよ、中曽根さんというのはどういう人ですかと。そういうことがやはりこういうところにも出ているんじゃないかと私は思うのです。少なくとも郵政大臣電電公社を監督しているわけだ。それから郵政省を管理して監督している最高責任者ですよ。いま聞いてみると、郵政省も反対だ、歴史的な経過、いろいろな問題があって、いまにわかにやることはおかしい、公的年金全体として見直すことについてはいい、私もそうだ、そう思う。国民年金ができ厚生年金ができ、いろいろの農業年金ができ、たくさんの年金ができておるわけですから、その格差の問題は、いまや国民の重大な関心事であります。  だけれども、悪い方へしわ寄せするということはおかしいのであって、制度自体をいい方にいい方にとしわ寄せしていくのが政治なんですよ。どうかするといい方の足を引っ張っちゃうんだ。あっちがいいからこっちもやれ、そういう筋違いの論が横行しておる。この公的年金制度全体について、そのときに三公社もあるいは国家公務員も総体的に洗い直すということであれば、これは筋が通っているわけですね。昔から役人というのは給料が安い、しかし年とってやめたときに年金がある、それを楽しみにしてやったものだ、安い給料に耐えて。そういう歴史的な経過の中で恩給制度ができ年金制度ができているんですよ。それを、その一事業が赤字になっちゃってどうにもならぬからそれをほかのところで見るなんというのはとんでもない、これは見当違いだ。国鉄が赤字だったら政府がみずからその手当てをすべきであって、それを三公社や国家公務員の方に転嫁していこうなんということはとんでもない誤りですよ。しかも、そういうことを民主的な手段を選ばないで強引にやるというのは一体どういうことか。ことは総画もいませんし、大蔵大臣もいませんから、これは恐らく大蔵ペースでやられているのではないかと思うのですが、大臣もひとつこの際、所管大臣として、郵政当局もいまお話しのとおり、電電公社お話しのとおり、筋の立った反対論を言っているわけですね。それを踏まえて、こういうやり方に対してひとつ閣議でも文句を言ってもらいたい。そのくらいの勇気を持ってもらわなければ郵政大臣としての真価を問われると私は思うのですよ。どうですか。
  34. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 昨日の朝、国公共済それから三公社共済の統合の問題について調整に当たっておられる方々の会合があったということは、これは関係大臣も入っておられるようですが、承知をいたしております。その際、郵政大臣もまた運輸大臣も入っていない。呼ばれておりませんです。どうも呼ばれていないところへしゃしゃり出るわけにもまいりませんので、出席はいたさなかったわけでございますが、お話のように、共済問題につきましては歴史的な沿革でありますとか、あるいはまた財政事情、共済の成熟度の相違等がございますし、したがって、保険料率でありますとか給付の水準でありますとか、それぞれ違いがあるわけでございますから、長い目で見て、公的年金の統合化というのは、私は政治の課題であろうと思うわけでございますが、統合いたしますについては、それぞれの保険者あるいは組合員の意向、そういうものを十分聴取をし、また調整を行って、そして結論を得るようにすべきであると私も思っておるわけでございます。  ただ、臨調の答申を受けて政府・与党でいろいろ御苦心を願っておりますのは、共済制度全体の存立のためにある程度の痛みを分かち合うといいますか、そういうことを避けがたいのではないかという立場から、高度の見地で協力を願うという努力をしておるのだろうと私は思っておるわけでございますが、御案内のように国共審の審議もこれからの問題でございますので、昨日の決定があったから、それが最終の決定であるというふうには私は理解をいたしておりません。私も、申し述べるべき機会には私の所信を中し述べるつもりでございます。
  35. 鈴木強

    鈴木(強)委員 あなたもお役人をされていた方ですから、国家公務員の年金なり恩給の制度はよく御存じでございまして、身にしみておられると思いますから、謙譲の美徳を発揮することも事と次第なんですよ、大いに謙譲の美徳を発揮しなければならぬこともありますが、この場合は理不尽だよ。しかも多くの職員がみんな掛金をしてやっているんだよ。その多くの国民、加入者、組合員の意見をまるっきり聞かないで、政府が頭から決めるなんということは、これは専制政治だ。それはいけませんよ。だから、くどいようですけれども大臣、あなたの意見を聞かないでやるなんということになったら、ひとつしりをまくってくださいよ。やはりそのぐらいの決断を持ってやってほしい。  ただわれわれも、確かにいまになりますと過去のことだけ言っておられぬのですから、要するに大局的な立場に立って物を判断し、大局的立場に立って協力しようということは考えているんですよ。それは日本国民全体の年金制度というものを考えながら、その中で、じゃ三公社、国家公務員もどうするかというときには協力しましょうと言っているのだから、これが大義名分なんですよね。ですから、余り理不尽な、つじつまが合わないようなことに対して、大局的見地からなんという話をされては困るわけだから、この際、頑として大臣はがんばってくださいよ。国家公務員の皆さんもこれは反対ですよ。ですから、大臣だって、それぞれの大臣はその意見を体してやるはずなのです。そうすれば、こんなのはできるはずはない。できるとすれば、強引に政府・自民党が一緒になってやろうとするような、そういうような強権政治だけはひとつなくしてもらいたい、こう思いますから、また重ねて要望しておきます。そして、ぜひこの国会などにそんなものがちょろちょろ顔を出さないように最大限の努力をして抑えてくださいよ。お願いします。  それでは、次に電電公社の経営形態についてのお尋ねをいたします。  第二臨調が昨年七月三十日に、電電公社の経営形態を「五年以内に、基幹回線部分を運営する会社と地方の電話サービス等を運営する複数の会社とに再編成することとし、当面、政府が株式を保有する特殊会社に移行させる。」等のいわゆる分離・分割・民営化、さらに新規参入というのを中心に据えた答申を政府に提出しております。  私は、大変失礼でございますが、臨調の委員の皆さんの中に、電電事業に直接携わってみずから汗を流し、明治二年以来の百十年の長い歴史の中で、この事業が孜々営々として、公共性を強く主張され国有国営として今日に至っておる、途中で昭和二十七年に公企体になった、そういう本当の意味において電気通信事業を理解なさっておられる方が何人いらっしゃるかということについては、私は知りたいのでありますが、今度の答申を見ますと、何か公社事業というものを民営化するという前提に立って理論構成をしているように思うのでございます。また、これは後で申し上げますが、電電公社が昭和二十七年十月に発足しましたね。公社法が制定される当時、私は労働組合の側におりましたものですから、国会に入りましていろいろと野党の先生方にもお願いをしてきたことを思い出しておるのです。あの当時、あの公社法というのはどうもヘビの生殺しみたいなものであって、非常に不備欠陥が多い。ただ一つ、給与総額というものが設けられて、電電公社の総裁が基準内と基準外の移流用というものはやれる、ここらに一つの妙味があったんではないでしょうか。本来的に、もっと公社に自主性と予算の弾力を与える、公社総裁以下の諸君に自由濶達に責任を持ってやってもらう、もしだめなら経営者をかえればいいのです。私たちはそういう公社にしたかったのですが、できませんでした。その後、公社発足の後昭和二十九年十一月四日に臨時公共企業体合理化審議会会長原安三郎先生、それから昭和三十二生の十二月二十五日に公共企業体審議会会長石坂泰三先生、こういう先生からも現行公社制度はよくない、もっと公社に自主性と予算的な弾力を与えなさい、こういう答申が出ておるのですが、その後三十九年九月二十九日に公共企業体制度審議会というのが持たれまして、そこでも同様な答申をしておる。私は参議院におりました当時から、毎年予算委員会で総理に対してこれを早くやってほしいということを強く要請したのですけれども、とうとう政府検討しますと言って、棚ざらしにされて今日に至っちゃった。その間昭和三十一年には、せっかく公社総裁に与えた給与総額の中の基準内外の移流用をすら禁止したじゃないですか。一たん与えた自主性すら侵害したんだ。そういう中で、電電労使が一生懸命がんばって、とにかく今日の電気通信事業をりっぱになし遂げております。その苦労というのはどれだけあったか、私はよく知っています。組合も、ありがとうございます、電報を打ってやるとか電話をつけてやるという考え方から変えて、電報を打たしてもらいます、電話をつけさせてもらいます、利用者の皆さんのためにまんまを食わしてもらっているのです、そういうふうに労働組合自体が頭の切りかえをして、利用者の方々にサービスをモットーにやってきたはずです、高能率、高賃金制。私はそういった歴史を述べれば尽きません。  しかし、きょうはそういうことも言っておられませんが、私がきょうここで聞いておきたいのは、昨年の七月三十日に答申が出ますまでの間、郵政省は一体臨調との間に、電電公社経営問題についてどういう話をされたのですか。臨調から言われた場合もあったかもしれませんし、それから能動的に郵政省から話をした場合があるかもしれません。そして、電電公社との間でこれらの問題については答申前にどういう話をしてやられたか、これをひとつ郵政省にお伺いをし、その後電電公社総裁に同様に、臨調との間はどういうふうなコンタクトをされたのか、お伺いします。
  36. 小山森也

    ○小山政府委員 臨時行政調査会に対しましては、いろいろな方面からの私どもの考え方を述べております。  これを幾つかに分けて申し上げますと、一つは、公衆電気通信事業の特性、いわゆる公衆電気通信事業というものは国民の基本的な通信、情報伝達の手段であるということ、したがってその公共的要請に十分こたえられていかなければならないということと、その反面非常に独占性も強いということから、まず公衆電気通信事業というものの本質をよく見きわめていただきたいということを、総論として言っております。  なお、各論としましては、公共性の確保の観点ということから、あまねくかつ公平に低廉で安定したサービスが確保されなければならない、これが公衆電気通信事業の公共性の側面であるということを申し上げております。  また、第三点といたしましては、公衆電気通信事業は、その本質からしまして自然独占性というものがどうしても伴うわけでございます。当然その中には技術的統一性が重要であるというような、技術の側面もあるわけでございます。したがいまして、他の公益事業に比べまして比較的強い独占傾向を有する。したがって、この独占に対する弊害というようなものも常に考えておかなければいけないということを申しております。  また、第四点といたしましては、効率性の発揮、事業でございますので効率性を発揮しなければならない。それと同時に、公共性という点からいきますと、やはり料金というものにはぬ返ってまいりますので、効率性を追求する結果は公共性にもつながってくるわけでございます。こういった点からも、十分現在の公社制度というものについて理解をいただきたいということを言っております。  なお、当然こういった大組織でございますので、内部的に長年の慣行というものがありますので、こういったものに対しては、やはり自己自身での浄化というものが必要である。同時に、経営の効率化についても、公社自体において十分な努力をすべきであろうということも申しておる。  概要、大体こういったような区分で、臨調に対して意見を申し上げてございます。
  37. 鈴木強

    鈴木(強)委員 小山電政局長、五点についてはわかりました。結論としては、公社制度でいいということですね。それで、この結論、五つの問題点については、電電公社とも連絡をとって文書化して出したのですか。
  38. 小山森也

    ○小山政府委員 これにつきましては、郵政省としての考えを申し上げているわけでございまして、電電公社との細部にわたるすり合わせはしておりません。
  39. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それがおかしいんだよ。郵政省に電気通信政策局というのができて、わが国の電気通信政策についてはあなたのところでおやりになるというように、これは設置法の精神からそうなっているわけだな。これだけのものを臨調に出すのに対して、電電公社と何も話をしないで郵政省が独自のものを出すなんということはおかしいじゃないか。あなたの方から何かつくった文書を私は見せてもらったことがあるけれども、現行公社制度でも自主性があるとかというようなことまで書いてあった。私はあきれて物が言えなかった。あなた方は監督官庁として何十年間電電公社を監督してきた。そういう私は非常にあのときに疑問を持ったのですがね。何かあるんじゃないかなというような気もしたんだ。だから、公社とこれだけのものをやるのに全然公社の——これは監督権はあなたの方にあるかもしらぬ、政策の決定について負うところはあるかもしらぬが、少なくとも三十三万人の組織を持ってわが国の独占事業として電電公社公社制度として存立している以上、そこの当事者の意見を十分徴して、すり合わせをして、それを郵政省電電公社意見としてお出しになるというのが筋じゃないですか、本質的に。そういうことをなぜやらなかったのですか。
  40. 小山森也

    ○小山政府委員 この場合のヒヤリングは、いわゆる監督をしている立場の郵政省としてざっくばらんな御意見をということでございました。また、同様なことは、公社に対しましても公社という立場からのざっくばらんな御意見をということで、そういうような形での意見を求められているという経緯がございます。
  41. 鈴木強

    鈴木(強)委員 じゃ、一応、納得できない、こんなのは。できないが、電電公社の方からちょっと発言を積極的に求めているから、西井さん、ひとつ答弁して……。
  42. 西井昭

    ○西井説明員 お答え申し上げます。  お答えの前に、ちょっと事前の経緯を申しますと、御存じのとおり、第二次臨時行政調査会関係のところのヒヤリングがございまして、電電公社に対しまして昭和五十七年の二月二十六日にヒヤリングがございまして、そこでいわゆる三方式というものについての勉強結果を報告をいたしたわけです。この方式を臨調に説明いたします前に、これは私ども郵政省との間で行き違いのないようにお互いに資料を出しまして、郵政省からも建設的な御意見を賜りまして、この三方式の勉強結果を報告をいたしたところでございます。  ただ、そのときに、ただいま電政局長からお話のございましたとおり、物の考え方のベースになるようないろんな問題については、いろんな打ち合わせもいたしまして意識を合わせましたけれども、具体的な個々の問題については、臨調の御意向がそういうことで、おのおののところからざっくばらんな御意見を承りたい、こういうことでございましたので、その具体的な個々の内容につきましては、まあ公社公社郵政省郵政省の立場でざっくばらんなお話をしよう、こういう経緯で臨調に臨んだところでございます。
  43. 鈴木強

    鈴木(強)委員 そういうばらばらな対応をするからこれからが大変なんですよ。またこれから伺いますけれどもね。  ですから、やはりもう少し郵政省電電公社というものが緊密な連係プレーの中で臨調に対応していくというのがこれは筋ですよ、何といっても。そういうことが、いま聞く範囲においてはどうもうまくいっていない。郵政省郵政省で、勝手と言うと語弊がありますけれども、自分が考えていることを出す、電電も余り郵政省の方と接触しないんだな。電電公社電電公社として考えていることを述べたように私はとれるのですよ。  それで、真藤総裁、総裁が御就任になられて間もない昭和五十六年四月八日に、私はこの逓信委員会で真藤総裁に対して、あなたが総裁に御就任になられて現行の公社制度のもとで大変御苦労があるでしょう。民間からいらして「事業は人なり」と。私はこのことを聞いたときに、あありっぱな民間からの方を迎えた、こういうふうに直観をしたわけです。なかなか事業は人なりということを言ってくれる人はない。大いに期待をしておりました。そういうやさきで、まだ就任間もなかったのですが、大変失礼でしたけれども、あなたが総裁になられて、実際にいまの公社形態の中でこういう点はまずい、こういう点はいい点だ。要するに、公社というのは官業のいいところと民業のいいところを取り入れてミックスしたものが公企体なんだ。ですから、本来であれば、さっき私が申し上げましたように、もっと自主性を、弾力性を予算的にも公社に与えるべきが筋だ。それが与えられておらない。しかも、さっき言ったようなせっかくのただ一つの移流用すら禁止されてしまった。こんなものは法律でも何でもないです。大蔵省が出すときに予算総側でひょっと書き直して出してきちゃった。そういう中で、労使間において大変な苦労をされてことまできたことはあなたも御承知のとおり。そこで、私はあなたに、そういう御意見がありましたら、就任後間もないのですけれども、気がついたところがありましたら教えてください、こういうふうに申し上げたのですが、こういうふうに答えていますね、私の質問に答えて。   いまの大きな問題でございますが、経常形態についてのことでございますが、何とはなしに民間にああいうふうに民営にしたらというふうな空気がずっと前からあることは知っておりました。この議論がこの後どういうふうに展開していきますか、私にはよくわかりませんけれども、当事者のわれわれといたしましては、民営にするとかどうとかということは国が決めることであって、当事者自体が現段階においてそういうことに対して意見なり希望を言う、組織として意見なり希望を言うということは厳重に慎むべき問題だというふうに考えます。   ただし、方針が決まりまして、決まった方針のもとに具体的に実行案としていろんな論議が行われる場合には、当事者として責任を持って具体的に実行可能な案を申し上げるという義務はあると心得ておりますが、当事者が組織として経営形態のあり方に対して現段階で希望なり何なりを申し述べるということは慎みたいと思っております。 これが第一回のお答え。  そこで私が、歴代、梶井総裁、大橋総裁、当時の公社改正にかける熱意、院内を飛び回って一生懸命、総裁、副総裁以下公社一体になって公社法の改正のために大変な努力をしたということもこの後に私はあなたに申し上げて、まあ就任後間もないわけですから、それ以上私が言うのも大変失礼と思いましたから、私はそこでとめてはおきましたけれども、そういう経緯がございます。  もう一つは、五十六年八月二十六日の、休会中の逓信委員会でやはり同様な話をいたしました。そのとき総裁は、その後公社制度についていい点はどこか、悪い点はどこか、そういうことの勉強をやっております。プロジェクトをつくってやっております。そして、五十六年の八月ですから、秋ごろには何らかの結論が出せると思います、こういうふうにお答えになっておりまして、四月八日のお答えよりも一歩前進しておったと私は率直に承りました。少しわかってくれたんだな、こういうふうに思っておりました。  しかし、その後、八日二十六日以降、正式にこの問題が国会で論議をされたこともありませんし、そういう中で臨調が作業をどんどんと進めていくというような状態になったと思うのです。  そこで、総裁がおっしゃった、「方針が決まりまして、決まった方針のもとに具体的に実行案としていろんな論議が行われる場合には、」というのでありますから、方針が決まります前にはそういう意見は厳に慎むべきだ、こういうふうにおっしゃっておったわけですね。ですから、いまの総務理事の西井さんのお話については、ちょっとこの点にひっかかりがございます。しかし、私はその点をここでさらに指摘をして、どうかというようなことは申し上げません。申し上げませんが、言いたいことは、やはり郵政省との間に十分な連携をとって、郵政省とともに臨調に向かって行動をすべきではなかったか、こういう点が欠けておったのではないかということを非常に残念に思うのです。事実そうでなかったらそうでないとはっきりここで言ってください。臨調に対して具体的に公社はどういうことをおっしゃったのですか。それについては郵政省とも十全にその連絡をとってやられたかどうか。その線さえはっきりすれば、私はそれ以上は申しません。
  44. 西井昭

    ○西井説明員 お答えいたします。  第二次臨調のヒヤリングに臨みますときの公社郵政省との連絡は、先ほど申しましたとおりでございまして、そういう意味ではわれわれとしては郵政省とともにその連絡をとって臨調に臨んだと理解をいたしておるわけでございますが、その後、臨調のいわゆる基本答申というものが出されまして、それを受けまして八月十日に基本答申の尊重の閣議の決定がございまして、八月十二日に次官・総裁会議というのがございまして、これは電電公社から総裁、それから各省次官が出られまして、答申実現についての協力要請が総理からあったわけでございます。これを受けまして、翌八月十三日に郵政省の方から、いよいよ、ただいま先生のおっしゃいましたような具体的な細部の中身についていろいろ議論を進めていきたいということで、郵政省の方から電電公社の経営形態問題連絡会というのを設置をしたい、こういうお話がございまして、公社としても非常に結構なことだ、こういうことですぐにその連絡会が設置をされまして、以降、その問題につきまして数回、私どもとそれから郵政省との間で具体的ないろいろな問題について現在打ち合わせ、議論中というのか実態でございます。
  45. 鈴木強

    鈴木(強)委員 西井さん、僕がいま質問しているのは、七月三十日に答申が出る前のことを言っているのだよ。あとは、総裁もここに述べているように、いよいよ具体的な問題について聞かれれば当然ですよ、そんなことは。郵政省だって、公社意見を無視してそんなものはできっこないのだ。だから、臨調の答申が出る前に郵政省との連絡はどうかということを私は聞いているのです。郵政省はとんでもないような、公企体は自主性がある、これでいいのだというようなものを出しているのじゃないですか。そういうようなプリントを見ているのです。小山さん、それはいま電電が言っているけれども、本当に郵政省の方と答申が出る前密接に連絡をしておったとすれば、少なくとも郵政省公社案としてこうしてほしいというようなものが出てしかるべきなのだ。ところが、郵政省はあえて五つの論点を挙げて現行公社制度でいいということで文書を出しているでしょう。公社の方の志向はそうじゃなかったと私は思うのだ。ですから、その点をはっきりしてくれということを言っているのです。
  46. 西井昭

    ○西井説明員 お答えいたします。  少し答弁が先生の御意図と違いまして失礼いたしました。  先ほど申しました五十七年二月二十六日にいわゆる臨調のヒヤリングがございまして、三方式ということを公社から提出いたしましたわけですが、そのときに、電電公社から郵政省と基本的な考え方についてお打ち合わせをさしていただいたということを申しましたけれども、内容的にそれをもうちょっと詰めて申しますと、基本的な考え方といたしまして、公衆電気通信事業といいますのは、今後、技術革新に伴いまして質的充実の時代に移行していく、加入電話をつける時代からINS等によって電気通信が変わっていくのだ、そういうことも踏まえて一層合理的、能率的な運営をする必要があるということが一つでございます。  それから二番目に、これは通信の秘密の確保でございますとか、迅速かつ確実な公衆電気通信役務を合理的な料金であまねくかつ公平に提供するという原則は、これは郵政省との打ち合わせの結果堅持をされるべきであるということで、これも臨調のヒヤリングのときに申しましたとおりであります。  それから三番目に、技術的、社会的変遷に適切に対処するための一環といたしまして、公衆電気通信事業者、現在のところ電電公社でございますが、これは原則として宅内機器を財産として独占せず、またデータバンク等は保有せず、さらにデータ通信については公社が提供するのにふさわしいサービスに限定する方向で対処するのが妥当だということも打ち合わせをさせていただきました。  それからその次に、第四番目といたしまして、公衆電気通信事業はよりよいサービスを合理的な料金で提供いたしまして、一般自由競争企業におけると同様な活力ある経営を行うという観点に立ちまして、基本的には利用者と事業との関係にかかわる事項につきましては、独占性の弊害から利用者を保護するために、これは厳しく公的規制を受けるということについて、これも郵政省と打ち合わせの結果、公社もそういうふうに考えておる。それとともに、一方、事業組織内の経営執行にかかわります事項につきましては、国民、利用者の声を吸収して、国民的合意を得るための自律的規制の強化を図る。それとともに、所要の公的規制を受けつつも、原則として事業当事者の責任ある決定にゆだねられるべきもの、端的に言いますと、対利用者に関しては公的規制を受け、事業組織内の執行にかかわる面については原則的に執行者にゆだねられるべきものである。  それから最後に、全国的な基幹回線網の建設、保守、運用、研究開発等については、一元的に行うのが必要ではないか。  大体こういう問題につきましては、郵政省と基本的にお打ち合わせをさせていただきまして、両者納得の上で公社のヒヤリングの資料をつくりましたわけでございます。  それを具体的に、先ほど申しました三方式、この具体的な内容についてはその後いろいろな臨調の話が出るだろうけれども、これは先ほど申しましたように、臨調の方がそれぞれの立場でざっくばらんに意見を聞きたい、こういうこともございましたので、そういう細部の点までの詰めに至らずに臨調に臨んだ、こういうのが実態でございます。
  47. 鈴木強

    鈴木(強)委員 電政局長が守住さんから小山さんにかわっておりますね。あれは、かわったのは七月でしたか。——そうですね。だから、臨調の答申が出てからかな。出る前かな。いずれにしても、経過についてはよく守住さんと打ち合わせして引き継いであると思うのですけれども、あのとき、いま電電公社が言うように細部にわたって打ち合わせをしたとするならば、あえて郵政省があの現行公社制度でよろしい、ただし幾つかのあれがございますけれども、そういうふうに踏み切って臨調の方に出した意図は何なんですか。公社の方とすり合わせたとするならば、もう少し何か知恵があったはずでしょう。何か、公社でいいんだ、おまえら何を言ったって——公社の方は何か三つか何かのいろいろなものを出したようだね。そういう中で、もしすり合わせをしたとすれば、形態についてももう少し弾力的な何かあってしかるべきだと思うのだが、あえて、いまの公社制度は自主性があっていいんだ、週休二日制もやっているとかどうとかいうようなことまで書いてあれは出したんだ。どうしてそんなものを出したのか。
  48. 小山森也

    ○小山政府委員 ただいま西井総務からもお答え申し上げましたように、いわゆる問題点とするならばどういう点であろうかという問題点の指摘の点につきましては、両者によりまして、基本的に今後ともこういった問題点がある、それは今後の問題として解決する点はそれぞれあるであろうという意識はすり合わせているわけです。ただ、その問題点をどのような形で解決すべきかということにつきましては、それぞれの立場から、今回はざっくばらんに立場立場から言おうということで、細部についてのこの解決策についてのすり合わせはしていないということでございます。したがいまして、問題点であろうこういった点は、ひとつそれぞれに意見を言おうということについての意識は一致しているということでございます。  それから、ただいま先生の御指摘がありました、あえて週休二日制のことを申し上げるのもどうかと思いますけれども、この点につきましては、やはり現在の五現業に比べますと弾力的な——ただ、この法律の運用そのものについては、今後ともこの法律の、本来の公社法の精神にのっとって、いろいろな現実に即して運用していくべきであろうということの意見は述べたつもりでございます。
  49. 鈴木強

    鈴木(強)委員 労働問題についてはこれはもう労使間でやることですし、公社の労使でいろいろ工夫してやっているし、この企業をここまで持ってくるためには、あなた方が考えている以上の苦労があったのですよ。そういう中でなし遂げたのだということを念頭に置いてもらいたい。  ですから、それはそれとして、問題点なりは話し合いをしたけれども最後公社でいいよというのを出したのがあなた方なのだな。そこいらが僕らには絶対納得できないのだよ、公社の方と郵政省としての。それで、結果的には分離・分割・民営というのが出てきたわけですよ。そこらは私にはどうもよくわからぬ。これは私は本当はもう少し露骨にやりたいのですよ、将来のために。だけれども、また機会があるでしょうから、きょうはこのくらいにしておきます。  そこで、答申前までは大体わかりました。ただし、非常に郵政、電電の中の接触が悪かったということだけははっきりした。ですから、これはそういう意味じゃ臨調になめられちゃった。臨調になめられちゃってああいうのが出てきたと思う。分離・分割・民営案が出てまいりました。私も率直に労働組合運動の中で、さっきも申し上げたように、みずから院内に入って先生方にお願いをして、余った黒字は電電公社の拡充、建設費に回してもらうというように制度も変えてもらったのですよ。ところが、今度はまた、黒字ができたと言って四千八百億円巻き上げている。従業員の待遇はさっぱりよくならない。これじゃ何のために仕事をしているかわからないというのが本音ですね。私たちも国会の中で三十年間近く一生懸命、二十九年、三十二年に出された答申の線に沿って、電電公社法を本当のものにして、本当にもっともっと経営を担っている人たちも誇りと自信を持ってやってもらうというような体制にしたかったのですが、何としても政治勢力がなかった。私は、みずから立法をしまして国会に提案したこともございます。しかし、ついにそれは廃案になってしまいまして、目的を達成せず、無念の涙をのんだこともありますが、そういう経過がございますために、今度の臨調の際に、本当に二十九年、三十二年にやれなかったあの問題を臨調の中に持ち込んで、今度は臨調の答申として出してもらえば、鈴木善幸総理大臣も命をかける、中曽根総理大臣も命をかける、こういう所信を表明しておったのですから、三十年間のもやもやしたものが、この際、臨調の答申で、現行公社制度というものをちゃんと改正して、もっと公社に自主性と弾力性を持たせて、労働者も高賃金、高能率ということでスタートした、その精神が生かせるような公社制度にしてもらいたいと私は強く願っておったのですよ。ところが、なかなかそれが三十年やってみて遅々として進まない。むしろ後退してきておる。臨調にそういう答申を出してもらえなかった。ですから、そういう方向に郵政、電電が一体になって取っ組んでいく、われわれもそれに対して協力する、それで臨調がちゃんとした公社制度をつくってやるということになれば、今度は政府の方もこれはやらなければならぬわけです。国会もそれに従っていくということになるわけです。そのことを願っておりましたが、遂にそれが出なかった。逆に民営移管が出てきたわけですね。非常に残念です。出た以上は、これはこれからどうするかということを検討しなければならないのですが、実は私もそういう歴史的な経過の中で一つはジレンマになりました。公社公社はと言っておったって、なかなか公社制度の改革はできないし、じり貧になっちゃう。したがって、何か一歩を踏み出していく道はないかということは、率直に言って私も胸の中にありますし、考えました。問題はそのやり方ですね。ですからこれは、私たちは私たちの党としていま具体的に法制局とも連絡をとって、国民の目指す、また、日本にはいままでないかもしれませんけれども、新しい制度をつくっていいのです。そういうものを踏まえていま努力をしております。ですから、われわれの意見も十分に聞いていただくことになると思います。  そこで、大臣に最初にお伺いしますが、箕輪郵政大臣からこういうことについて引き継ぎがございましたか。箕輪郵政大臣は、臨調の答申が出ました後、閣議がこれを尊重するということで決められているのですね。そのときに箕輪郵政大臣は立ちまして、閣議が臨調の答申を尊重するということは、臨調の答申をそのままやることかどうか、こう聞いたそうです。そうしたらば、そうではない、これからいろんな意見を聞いて政府として法案の立案にかかっていく、こうおっしゃったそうです。そうか、それでわかったということを言われたということを私は聞いているのですね。正式に聞いている。非常に勇断を持って箕輪大臣が発言をされたということを私は承知しておるわけでございますが、大臣は、それについて前大臣から引き継ぎをなされましたでしょうか。聞きましたでしょうか。
  50. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 御案内のように、臨調の第三次答申が出ました後、昨年の九月の二十四日でございましたか、閣議で行革大綱が決定をされたわけでありますが、その行革大綱の専売及び電電の機構改革にかかわる部分については、臨調の答申に沿って次期国会中に提案を進めるべく準備をするというくだりがありまして、それについて、趣旨に沿ってというのは答申どおりやれということであるのかということを箕輪大臣質問をしましたところ、一〇〇%文字どおりということでは必ずしもない。答申の趣旨を最大限に尊重して実行するという意味であるということを、当時の中曽根行管長官が答弁をしましたので了承をしたという経緯であるということを、私は大臣引き継ぎで承知をいたしております。
  51. 鈴木強

    鈴木(強)委員 表現は別といたしまして、精神は私の言ったことだと思うのですね。たまたまそこに政務次官おりますから間違いがないと思うのです。  それで、その後そういう閣議の決定を受けて、具体的には国鉄の監理委員会の設置法案というものが昨年臨時国会に出されました。しかし、これは廃案になって今日に至っておる。また出してくる、こういうふうな形でございます。これも大変なことだと思うのでございますが、最近になりまして臨調が、三月半ばころに委員の任期が切れるのですか、非常に新聞をにぎわしている。朝日新聞に出る、語売新聞に出る、毎日新聞に出る、サンケィ新聞に出る。次から次へと公社経営形態の問題について記事が出てまいります。  たとえば、二月三日の読売新聞の朝刊を見ますと、「「電電」特殊会社化が浮上」「政府が全株保有 毎年五千億円を売却」二月十九日になりますと、日経が「中央は日銀型の特殊法人」「電電改革 政府・自民党案固まる」「地方は三—五に分割 株式の半分民間に売却」二月十五日の読売では「電電公社が九万人削減案」「株式会社化前提に 現行料金で十五年かけて技術革新に対応」する。十五年間料金を上げない、こういうふうな記事が出てまいりまして、一体どうなっているのかさっぱりわからぬ。私は自民党の先生方にも伺ったのだが、自民党と政府でこんな案が固まったなんということは聞いたこともないという話も聞きましたが、そうですか。——そうらしいですね。ですからこれはさっぱりわからない、実際。  大臣、読んでいるでしょう。政府がこれから臨調の答申を受けて法案をつくって国会へ出すわけですよ。その際、もちろんこれは電電公社は郵政大臣所管事項についてはあなたが提案の責任者になると思うんですね、所管になるわけですから。そこで、きょうはひとつ大臣に、こういうふうなことがいろいろ言われておるのだけれども一体どうなのかということを、真相をひとつ聞かせてもらっておかなければ困るわけだ。  それから、電電公社の方も、何か知らぬが九万人を首切るなんということがでかく出るのだけれども、そんなことを考えているのですか。これは総裁からもひとつ伺っておきたいですね。大臣と総裁です。
  52. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 御指摘のとおり、新聞紙上等では各種の案が百花繚乱のごとくあらわれてきておるわけでございますが、私が承知をいたしております限りでは、政府内部におきましてはもとより、自由民主党の中におきましても目下検討中でございまして、対外的に示されるような成案というものはないというふうに承知をいたしております。また、電電公社には電電公社としての御希望が、恐らく願望というのはあるだろうと思うわけでございますが、それにつきましても後ほどお答えがあろうかと思います。私も実は総裁にも数度ただしたことがございますが、現在電電公社内で検討は進めている、勉強はしておるが、まとまって大臣要望を申し上げるような案にはなっておりませんということでございました。  実情はそのとおりでございまして、私ども検討、立案の態勢は整えておるわけでございまして、勉強中でありまして、少なくとも郵政省からの案というのは、これは出ようがないわけでございますから、新聞にも報道されたことはないと私は思っておるわけであります。結局まだあらゆる段階検討が進められておるということであると私は思っております。
  53. 真藤恒

    ○真藤説明員 いまの御質問に対してお答えいたします。  少し話を昔にさかのぼらせますが、臨調からヒヤリングがありましたときに、さっき西井総務から説明がありました、また小山局長から説明がありました基本概念を生かして、現在の世の中でどういう形の形態をとり得るか、また形のいかんによっては特に考えなければならぬのはどういうことかということを盛り込みまして、臨調の方から、いろいろな経営形態が考え得るだろうからできればそういうものも盛り込んでという御注文もございましたので、私どもは、公社を残していく場合どうあるべきか、政府が全額永久に持ち続ける特殊会社でいくならどうあるべきか、あるいはアメリカ式の将来の電気通信事業のあり方を考えればどうあるべきかという三案を臨調に参考資料として出したわけでございます。その後いろいろ世間の世論を反映した論評が盛んに出たわけでございますが、そのために少し誤解を生むようなこともいろいろあったと思っております。その点については、さっき鈴木先生から御指摘がありましたように、私も電電の総裁としてまずかったなと遺憾に思っております。  現状でございますが、現状はいま大臣からお話がありましたとおりでございまして、しかし、当事者としてまだ政府・与党からこの方向で行きなさいということをはっきり指示いただいておりませんので、あらゆる可能性のものを勉強を続けておることは事実でございます。臨調の答申は明らかにああいうふうに明示されておりますので、それをどういうふうに政府・与党で御選択なさるかということはまだわかりませんけれども、御選択なさる可能性のあることについて勉強しておく義務があるということで、いろいろな社内での勉強会はやっております。したがいまして、その他強のアイテムは、こういう方面から見たらどう、こっちの方面から見ればどう、こういう立場に立ってみればどうというふうな勉強をやっておりますので、それが平面的に並べられますと、まるで矛盾したもの、一体何を考えておるかわからぬというものが積み上げられつつあるわけでございます。そういう状態で、当事者の責任としていろんな具体的なことをいま勉強しておるというのが実情でございまして、なかなか、はっきり政府の方から御指示いただく時期が、もうそう長い将来ではないと思いますが、いま本気になって勉強が進んでおるというのが実情でございます。
  54. 鈴木強

    鈴木(強)委員 総裁、率直にやはりまずかったところはまずかったとおっしゃる、それはりっまですね。役人というのはそう言わぬがね。大体間違ったことをやってもへ理屈をつけて正当化しようという悪いくせがあるけれども、その辺はさすが民間から来た総裁だと思いますね。  ただ、ここにもちょっと持ってきたのですけれども新聞なんかのこれを見ると、こういうふうに二月三日あるいは二月十五日、二月十九日と、まだ朝日と毎日にもありますけれども、こういう大見出しで一面に出ますと、たとえば「電電公社が九万人削減案」「株式会社化前提に 現行料金で十五年かけて」というようなことになってくると、これはもう大変な内容ですよ、問題は。労働組合が九万人も削減されるような案に賛成するはずはないし、何か全電通が了解しているようなことがちょっと文字になっているところもありましたけれども、そんなばかなことはないですよ。だから、総裁、PRはあなたが来たときに言ったように、いままで確かに電電公社のPRというものが古くさいようなことであったことについてあなたは反省して積極的にやってくれていますよ。これは私は評価していいと思うのですよ。後から最近のものについて、ほめるところはほめるし悪いところは悪いと言って、言いたいこともあるのですけれども、かなり金をかけて宣伝をやっている。だけれども、こういうものを宣伝されちゃ困るんだよ。どこから出たのか私よくわかりませんけれども、いずれにしてもこういうものはきっと公社のどこからか出ているんだよ。新聞社は新聞社で仕事だからいろいろと自主的に取材活動をやっておられるわけですから、私は何も新聞社に文句言おうなんということはないけれども公社の方が総裁がおっしゃるようなことであるとすれば、こういうものがなぜ出てくるかということだ。見方によると、何かこれは、会社にすれば九万人も人が減らせるそうだ、いまの公社は人がうんと余っていてむだがあるんだというような、会社化の方向に世論を誘導するようなものにもとれますよ。こんなものは、まだ決まってないならばちゃんと腹の中に入れておいて、厳重にやってもらわないとこれは困りますよ。どうですか、総裁。
  55. 真藤恒

    ○真藤説明員 最近の一連の新聞記事につきましては、決して公社の方から材料を提供したものではございません。これだけははっきり申し上げます。実は私どもも非常に困っておるのでございまして、決してそういうことを能動的に云々ということはないことだけははっきり申し上げておきます。
  56. 鈴木強

    鈴木(強)委員 ですから、これから自民党通信部会、基本問題調査会、そして総務会と、いろんな意見があるでしょう。また、その間ぜひ私たち野党の意見も聞いてください。そして、最終的にどうするかという上に立って結論が出てくるわけですから、その際に電電公社が、総裁のおっしゃるように、公社としてはこういうふうにしてほしいとかこういう点はこうだとかいうようなことを出すこと、これは私はいいと思うのですよ。いいけれども、そういうものが途中でもうすでに成文化しちゃって要綱その他決定したようにして、これは内容を見ると詳しいですよ、簡単なものじゃないですよ。これだけのものができ上がっているのかな、あるならばわれわれも見せてもらいたいな、こう思う。そのくらいかなり詳しい内容でございますから、そこらにあるメモとは違うと私は思うのですね。ですから、もう少し、決まらない段階でこういう記事が出ないような配慮をしないと非常に混乱を起こすわけですから、その点これからもっと注意してくれますか。どうですか、またやりますか。
  57. 真藤恒

    ○真藤説明員 いま申し上げましたように、決してまたやりません。
  58. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それはぜひやらないようにしてください。混乱を起こして困るのです。平地に波乱を起こすのです。そういうことはとるべきじゃないです。  そこで、大臣、あなたの所信表明の中に、「なお、日本電信電話公社の改革につきましては、臨時行政調査会第三次答申を受けて閣議決定された「今後における行政改革の具体化方策について」の方針に沿って、各方面の御意見を聴取しつつ検討を進めてまいる」、こういうふうに述べております。  それで、きょうも野党各党来ているのですけれども、それぞれの党がこうすべきだという案を持っているわけですよ。ですから、これは大臣が最終的に取りまとめする場合に、われわれの野党の意見も十分に聞いてくれますか。
  59. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 成案を得ますための手順としては、行革大綱にも示されておりますように、政府・自由民主党行政改革推進本部常任幹事会において各方面の意見を聴取しつつ調整を行うということが大筋になっておるわけでありますので、私どもも、各方面と言っております限り、鈴木委員の御意見がございますればお伺いをいたしますし、また社会党のお考えがあれば拝聴することにやぶさかではございません。
  60. 鈴木強

    鈴木(強)委員 わかりました。  そこで、今国会に提案を予定しておるものは検討中のものを含めて五件、こういうふうに伺っておりますが、VANについては検討中だがちょっとむずかしいということですから、その点もわかりました。  それから、いまの電電公社の経営形態に関しては、その取り扱いについてまだ党の方針も決まっておらぬ。したがって郵政省としてもいまのところは手がつかぬ。したがって、今度の通常国会に法案を出すとすれば、三月の半ばかな、そのくらいでないと出せぬと思うのですけれども、そう拙速主義にやることも大変問題でございますが、この点はどうですか。この国会への提案についてはどう考えていますか。
  61. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 お話にもございましたように、政府・与党間の調整もまだ具体的に成案を得るという段階までいっていないわけでございます。しかも、私ども行政の立場にある者としては、組織論だけではなくて、公衆電気通信法、実体法の検討もあわせてやらなければ法案にならないわけでございますので、したがいまして、この段階で、閣議決定にございますので、今国会に梶出すべく準備を進めておる、また進めたいという気持ちには変わりはございませんが、今国会に必ず出すとかあるいは出さないとかいうことが申し上げられる段階ではございません。
  62. 鈴木強

    鈴木(強)委員 長年の経験で大臣の答弁で大体わかりました。拙速主義はやめまして、各方面の意見を十分聞いた上でりっぱな、将来にわたって情報化社会に向かう今日いかにしたら国民のためになる電気通信事業というものがどういう形態でやれるか、そこのところを基本に据えて、財界がどう言うとかなんとかいうことじゃないのです、国民のためのものだから。ですから、国民の利便をどうするかということを基本に据えて、ぜひりっぱなものをつくっていただくようにお願いを申し上げておきます。  また同時に、大臣から、われわれの意見も聞いてくれるにやぶさかでないと、ありがたい御発言もございましたので、われわれとしても積極的にまた意見を出して、よりよい政府案ができますように最大の御協力をしたい、こういうふうに思っております。  まだいろいろ経営問題ではありますけれども、きょうは時間の関係でこの程度にしておきまして、次に若干伺いたいのです。  総裁、先般、電電公社定期の大異動をなされました。例年のことでございまして別に驚くことはないわけでありますが、民間から来られた真藤総裁としては三年目を迎えたわけでございまして、もうおれは幼稚園だというようなことは許されないわけでございまして、総裁の御決意によってやられた人事でございますから、私たちはそのことに対して個々にどうとかなんとかいうことを言おうとすることは毛頭考えておりません。ただ、この事業経営につきましては、あなたもおっしゃっているように事業は人である、その人が企業に働くことに心から誇りと自信を持って全力を尽くしてやっていくという体制が労務管理の基本でなければならないと私は思うのです。そういう意味におきまして、この三十三万人の職員がいずれか人事異動の立場に立たされるわけでございますが、二年がいいのか、三年がいいのか、率直に言って私はよくわかりませんけれども、いずれにしても、総裁、副総裁を軸にしまして、技術系であろうと事務系であろうと、電電公社で働く職員が本当に融和をもってそれぞれの最高のポスト、ポストの能力を発揮して、そしてお客様にも親切に、そして仕事も能率的に経済的にやれるような人事管理というものが私は一番必要だと思うのでございます。総裁は、雑談の折にも、私は学閥とか学歴とかそういうものには一切こだわらない、力ある者は大いに伸ばしていくんだ、こういうことも私は伺ったことがございます。ですから、そういう信念でおやりになっていると思いますけれども、業界紙等の記事を見ますと、いろいろと批評も出ておるようでございます。したがって、この際私は、改めて人事の考え方、要するに人事管理の基本、こういうものについて総裁の御所見を承りたい、こう思います。
  63. 真藤恒

    ○真藤説明員 これは非常にむずかしい御質問でございますが、いまの御質問の御趣旨で、二つの問題があると思っております。  一つは、個人個人の人事の登用についての考え方という御質問があると思っております。いまお話がございましたように、私どもは現在いわゆるキャリアという昔からの思想には全然こだわっておりません。現在、私どもの幹部の人員構成をいわゆる過去の個人の学歴なり学閥なりというふうな世間一般の概念でチェックしていただきますと、そうなっていないということは歴然と出ておると私は自信を持っております。もともと幹部、管理職の登用というのは、その日現在のその人の能力及びこれから先のその人の能力の伸びの可能性というものを考えて適材適所に持っていくべき性質のものでございまして、どこの大学を出たとか、あるいは大学を出ているとか出ていないとかなんとかかんとかという、過去の経歴にこだわって人物評定は絶対にすべきものではないというふうに私は考えております。  それからもう一つは、経営の面から見た人間の集団の扱い方についての御質問があると思いますが、私は民間で育ってまいりましたために、人間というものがやはり自分の仕事の働きがい、働いた成果というものをちゃんと世間から認めてもらって、それ相応の社会的なお返しがあるということを自覚させることができない限り、いかなる組織の中に入れても、いかなる美辞麗句を並べてみてもこれはだめだということは、もう骨の髄までしみ込んだ教育を受けてまいっております。そういうことで、できるだけそういうことがはっきり示せるような形に持っていきたいものだというふうに考えておりまして、大組織、大企業というものは、民間の場合でもえてしてこの点が十分じゃございません。最近いわゆる国際的にはやる言葉が一つ出てまいりましたが、スモール・イズ・ビューティフルという言葉がございます。スモール・イズ・ビューティフルというのは、小さな組織できちっと自分たちの業績の成果が見える、自分にも見える、世間にも見えるという形に持っていくべきだというふうな思想でございますけれども、こういうことが将来の電電で実用化できるなら、応用できるならということを念願している気持ちもございます。
  64. 鈴木強

    鈴木(強)委員 私はこういう席で余り言いたくなかったのですけれども、かつて公社の中でわれわれが非常に心配するような事件が人事の問題をめぐりましてございまして、二度と再びそういうことのないようにと私は心から願っておる者の一人でございます。いつか、いまだから語れるというふうに私は後世の人に残すために文書を書いておこうと思っておるのでありますが、過去の公社発足後における人事をめぐるいろいろな問題がございまして、再び公社の中でそういうことが起きませんようにと願っておるわけであります。幸い総裁就任されまして、民間経営者としての哲学をいい点はどんどん入れられていかれること、とかくすると役人さんは温床的な中で育っておりますから、確かに事を処すに際して甘い点があると思います。そういうところへ活を入れていくということは、私は非常に大事なことだと思うのです。民間の会社へ行けば、私はトヨタの社長さんのところに、参議院交通安全対策特別委員長をした当時に見学に行ったことがありますけれども、社長は七時には来ています。向こう鉢巻きですね。そして役所とは違って、私の一挙手一投足が経営にかかわるのだ、こう言っておられました。頭が下がりました。しかし、だからといってそれを官庁に持ってきて、七時に出てきて、さあ来いと言ったって、これは無理なんです。ですから、そこらの使い分けはちゃんとやっておられると思うのですけれども、そういう弊害と言うとおかしいのですが、老弊といいますか、そういう点を民間人として大いに活を入れて刷新してもらうことは結構なんですが、やはり官業には官業としての長い歴史と伝統の中に一つの慣習もあり、しきたりもあるわけですから、その辺を十分に頭の中に入れておきながら、全体を逐次いい方向に持っていくというようなスローリー・バット・ステディだな、急速にやってもこれはだめですから、そういうようなやはり忍耐深いところもお持ちになってぜひやっていただきたいな、こう思うのです。  先般も予算の説明を私ども受ける際に、総裁、副総裁が並んでおられまして、お互いに向かい合ってほほ笑ましい顔で会話を交わしているところを私は見ました。ああいいな、実はこんなふうに率直に言って感じたのです。ですから、お互いに長所もあり短所もある。その点は、自分が絶対で人はだめだというのでは、それは非民主的な意見でありまして、やはり多数決に従うというのが民主的な原理でありますから、いろいろ問題はあるでしょうけれども、そういう点はひとつ度量をもってやっていただくようにお願いしたいと思うのです。日本電電公社というのが二本の電電公社が今度一本になったというのは、新聞記事で私ちょっと見たのですけれども、それはちょっとどうかと思いますが、ほほ笑ましい姿を見まして、私はああいう姿こそ本当の姿だな、こう思いました。ですから、そういう意味で、今後総裁としてひとつ大いに全職員の士気を鼓舞し、一体になってやれるような人事管理をさらに積極的に進めていただきたい、こういうふうにお願いをしておきます。  それから、時間がないのですけれども、INSというのについてちょっと私は聞いておきたいのですけれども、INSとは何か。今後どのように形成していくのか。具体的な将来展望というものと、いま考えている年度計画的なものは、まだつくっておらないようですけれども、いつごろまでにそういうものができるのでございましょうか。
  65. 真藤恒

    ○真藤説明員 いまの御質問の前段についてお答えいたしまして、後段については担当者から御説明させたいと思います。  INSというのは、強いて日本語で言えば高度情報通信網ということでございます。端的に申しまして、いままで電話ではアナログ系の電気信号で電気通信というものが行われておりました。それが電話でもディジタル系の交換機でやれるように技術の進歩でできました。ディジタル系でやれるということになりますと、いまある鉄塔の電線でありましても、線の中を通っていく信号の量が従来のアナログ系よりもずっとふえるということになりますが、幸いそこへもってきて電気のディジタル信号を光のディジタル信号に変え、光のディジタル信号をまた電気の信号に変えるということができる非常にりっぱなものがこれまた技術開発で生まれてまいりまして、したがいまして、電気信号のディジタルを光に変えて、光ファイバーを使って信号を遠くに持っていって、それからまた電気信号に変えて、光ファイバーで加入者の方へ入っていくということになりますと、膨大な信号量が同時に送れる。電話に換算いたしますと五千何百の電話を同時に使ったくらいのものを受けるだけの能力のある線が各家庭に入ってくることができるようになったわけでございます。  こうなってまいりますと、いままで電話、電報というのが電気通信でございましたけれども、とんでもない変わったものになってまいりまして、もちろんいまもコンピューターをかなり通しておりますけれども、コンピューター、ファックス、電話、それにテレビというふうなものが自由自在に電気通信網の中を走り回ることができるようになったわけでございます。  ところがこうなりますと、電気通信設備の使い方というものが従来とまるで違った使い方に漸次なってまいります。現にこういう傾向は、アメリカが一番進んでおりますけれども、各国その方向へ着々と動きつつあるわけでございまして、われわれ日本の立場で考えますと、幸いにしてそういうことを実行する技術は皆私どもの技術の中に確保できておりますが、これを実用化する方法が先進国の仲間でおくれますと、ほかの先進国の社会活動の様態と私ども日本の社会活動の様態がすっかり変わってまいりまして、おくれた方がさらにどんどんおくれていくという形になりまして、いわゆる国家間の国際競争、いい意味の国際競争という面で劣後者にならざるを得ないということが目に見えてまいりましたので、私どもこういうことを国の負託を受けてやっておりますので、できるだけ早くこれを物にしなければならないというふうに考えておるわけでございますが、これをやるにつけて、まず人の問題で大変革を必要とするのでございまして、現在私どもの日常使っておりますアナログ系の技術が全然役に立たなくなってしまいます。全部ディジタル系の技術に変えなければなりません。人間の持っておる技術を入れかえるということは、ほとんど全員に近い人数に再教育、再訓練をしなければならないということでございまして、五十八年度からその訓練設備、訓練スケジュールというものを実行すべく予算の中にお願いしておるわけでございます。  と同時に、長距離基幹回線から早く光ファイバーに変えて、必要の需要の起こってくる地域からそれをさらに加入者の方までできるだけ御不自由をかけずに張りめぐらしていくということをできるだけ急がなければならぬわけでございますが、具体的などういう地方からどういうふうな順序でどういう投資計画でどう持っていくかということに、いま鋭意まとめの勉強をやっておるところでございますが、そういうふうなことをできるだけ早くやらなければいかぬということでございます。  ただ、ここで一つ問題がございますのは、そういうふうな通信網ができ上がりますと、一人の加入者が通信網をお使いになる時間が必然的に長くなってまいります。たとえばテレビをお使いになる、あるいはキャプテンシステムをお使いになるというふうなことになりますと、光通信のよさを十分使おうとすると、使う時間が長くなる。使う時間が長くなっても料金が可処分所得の中に入らぬことには役に立つものにはなりませんので、できることと役に立つこと、これは別問題でございます。  それともう一つ問題は、そういうふうなものになりますと、いわゆるデータバンクというものが中心になりまして、そのデータバンクを皆さんがお使いになることになるわけですが、社会構造上データバンクというのは具体的には東京にほとんど大部分が集結するだろうと思います。そういたしますと、それをお使いになって子供の勉強なり成人教育なりということをなさっていく場合に、北海道におる人、九州におる人と東京におる人と、いまの電話料の遠近格差というものがあったのではこれもまた全然使い物にならない。ですから、条件が二つございまして、遠近格差が非常に小さい、ゼロでなくても非常に小さいということと、トータルで、全体で毎月データバンク業者に支払うお金と通信業者に支払うお金が可処分所得の中に入っておらなければいかぬ。この二つの条件を満たしませんと、そういうことができるということは何も社会的に——何もというのは極端ですが、社会的に本当に国民生活に密着したものにはなり得ないのでございまして、この二つの条件を満たすにはどういうこれから先の経営の姿があるべきかというのが、非常にこれから先々、いろいろ御議論がありました臨調に対応する対応の仕方について基本問題でございまして、この辺のところも、じゃ、といって一方、よくこういう国営事業ではやり言葉の合理化、合理化という言葉がございますが、あの合理化という言葉の中に含まれていることを従来の考え方で実行しようといったって、これはできるものじゃないし、またやるべきものでもないと私は思います。だから、みんなが失業せずにそういうふうな関連の仕事あるいはわれわれの持っております技術を利用して、新しい、さっき申しましたスモール・イズ・ビューティフルのような形でやりがいのある組織をつくりながら、いま申し上げました二つの条件を満たすように変革していくのにはどうあるべきかというのが、現在現職におる私どもの本気に考えなければならぬ問題だというふうに考えております。  INSというのを、いままでの私どもの説明が少し技術面だけの説明を申し上げて、ああいうことができる、こういうことができるという説明がちょっと先走りましたので、社会的影響とそれからわれわれが経営の立場でどう対処すべきかという問題は、これから本気に考えなければならぬ問題でございまして、これはちょっとなまやさしい考え方の変換ではなかなか実行できない問題を実行する義務がある。もしそれができないと、日本の社会活動というのはほかの先進国に比べてぐっとおくれてしまって、あわてたときにはもう取り返しがつかなくなっているという危険が出てくるのじゃないかというふうにいま考えております。  根本的な御質問がございましたので、そこまでをお答えしておきます。
  66. 鈴木強

    鈴木(強)委員 総裁、いまの御答弁の中で、INSに関連をしまして公社経営形態の問題まで踏み込んだようなお話でしたね。それはそうなんですか。いまINSを長期展望に立っておやりになっているのですけれども、本来的に経営形態の問題とは別にこれは取り上げておられるものと私は承知しておったのですが、何か臨調の問題に絡めていま言及されましたけれども、それはどうなんですか。
  67. 真藤恒

    ○真藤説明員 もちろんいま先生がおっしゃいますように、高度情報通信網にわれわれの設備が変わっていかなければならぬのは、経営形態問題と理論的には関係ございません。しかし、さっき申しましたような社会的責任を満足するのに、果たして今日の公社制度の歴史を参考にして考えて対応できるかどうかということに多分の疑問があるというふうに私個人として考えております。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕
  68. 鈴木強

    鈴木(強)委員 正直言って、個人的見解はこういうところで私は聞きたくないですよ。ですから、公社の意思として決まったことだけ言ってください。いまの前段、総裁の御意見と承っておきます。  それから、具体的な将来展望と計画については、総裁のお話を聞いていますとまだここで明らかにする時期ではない、こういうふうに理解をいたします。  そこで、それは高度情報化社会に向かってVAN法の問題等も片面においては検討されているわけでありますから、INS体制に移行するためのこれからの長期展望と計画をつくっていただくわけですが、その際われわれ心配になるのは財務関係です。建設費というものがそれによって一体どうなっていくのか、三割ぐらい安くなるというようなお話も聞いておるのですけれども。そうしますと、今度の公衆法によって三百二十キロ以上の料金については安くするという法案も片方には出ております。それから、一般会計に二千四百億、五十九年度分まで前倒しをして繰り入れる。そんな金があったら、もっと早く電話料金を下げてやったら喜ぶですよ。加入者がつくった電電事業ですからね。百八十八億だけの金が政府から出ているのですよ。いま十兆円という正味資産はほとんど四千五百万人の加入者の諸君がつくった財産だからね。ですから、そういう点を考えると、何か二千四百億も分捕ろうとする政府の方もあくどいが、それをまたオーケーする方もちょっとおかしいなという気も私はするのです。ですからして、これから専用線なんかの料金だって必ずこれは下げてくれという意見も出てくるでしょうし、こういうINS体制に移行する場合に、どういう長期展望を持ってどれだけの建設財源が必要なのか。負担金制度はなくなる、借入金に依存しなければならない、そういうようなことになるのか。十五年間料金を値上げしなくても済むように、ちょっと新聞には出ているのですけれども、そういう財務会計の状態にあるのか。五兆円近い借金もある、それを返済しながら、一体これから公社の財務会計はどうなっていくのか、そういう点を非常に心配するわけですね。千五百億の資金を融資してもらっても、これはやはり借金をしたわけですから利息をつけて返きなきゃならない。そういうふうな状態の中で、一方では職員の待遇についても依然としてよくならない。これではだれが全力を尽くして仕事ができますか。仲裁裁定でも、管理者の諸君のうち等級のE以上は昇給ができない。かすみを食っているわけじゃないですよ。別に経営責任を負って自分が資本家でもってやっているわけじゃないでしょう、みんな。一サラリーマンですよ。奥さんや子供さんのことを考えると胸が痛みますよ。これで、さあやれ、さあやれと言ってみたって、私は無理だと思いますね。  それはそれとして、展望をはっきり、第六次計画、第七次計画、そして五十七、八、九ですか、三カ年間の計画をまた別につくられましてやっておられる。その先一体どうなるのか。INSというのは一体年次的にどうなって、いつごろ全国的にこれが普及していくのか。五年後に県庁所在地まではやれるというようなことを聞きますと、みんなそうかと思っているとそうじゃない。一部がなるのであって、これから非電話系の施設をつけてどれだけの人がこのINSによって需要があるのか、そういう調査はできているのですか。早くそれをつくって、そして長期展望の中における建設資金制度というものをどうして調達していくかということを考えながらいかないとだめじゃないでしょうか。二年、三年、五年、少なくとも十年ぐらい先まではどうなるか、このINSについても展望を示してもらいたいと私は思うのです。しかし、ここでなかなかそれもできないでしょうから、ひとつぜひ、もう十分しか時間がありませんのでまた質問をいたしますが、できましたら別途そういうことについて早急にこの計画を立て、われわれにも示していただいて、将来電電の電話料金というものはどこまで持ちこたえるのか。収支ペイできればいいでしょう、もうけることはないですよ。黒字があったらみんな加入者に返してやればいいですよ。従業員の待遇に回すべきだ。それを一般会計に取られてしまって、公社法に違背して、今度だってまた新しい法律をつくって、そうして取り上げるじゃないですか。昭和五十八年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案、一月二十二日に提案されておりますが、これは従来やってきた一年に千二百億というものを五十九年度まで二千四百億取ろうという法案だ。国家財政に協力することも結構ですけれども、もっと料金を下げて加入者の方にサービスをすべきだ。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕  あなたがおっしゃるように、遠距離だって確かに問題があるでしょう。ですから、われわれは早くからグループ料金制というものを志向することを願っておった。あの距離別時間差制ができるときにも、われわれは、グループ料金制をぜひ採用してもらいたいとずいぶん言った。しかし、間に合わぬからとりあえず距離別時間差法でいくと言って何年たったのですか。その体系自体に対してまだ手がついていない。これから通信衛星も使える時代になってきているわけですから、回線はより多く利用できるでしょう。さっきもお話がありましたが、放送、新聞までいろいろの利用ができるわけですから、そういうときにこそ、専用線なんかについてもやがてもう少し安くしてくれという意見が出てくるのはあたりまえですね。そういうものを全部負担がなくなって、これだけの金が二千五百億減る。減るけれども、その次にはこういうので大丈夫だ、料金はここまでは上げなくても済むというような一つの展望を描いてくださいよ。そして、われわれ委員にも示してくれませんか。だから、そういう一つのプリンシプルを持っておりませんとだめなんです。日本調査なんかでもそうですよ。われわれが内閣調査室に頼みましても、二年も三年も前の資料しかないんだよ。そんなものは通用しないですよ。いまはコンピューターの時代だから、金がかかってもいいから、もうことしの一月の資料はどうだというようなのがどんどんと出せるような仕組みにしなければだめなんですよ。行政改革というのは、何もどこでも構わぬから簡素化して金を少なくすればいいというのじゃないですよ。必要なところはどんどん人をふやして、余っているところは人を減らせばいい、そういうのが行革じゃないですか。ですから、三十三万のうち、三万人が管理者と言われている方ですよ。英知をしぼって、今度も何か企画室ですか、つくられたわけですから、そういうところとか、あるいは計画局とか施設局とかいろいろあるでしょう、そういうところで英知を集めて、早くINSに対する将来展望と計画をつくって、われわれに示してもらいたい。そして、料金問題についても、資金的にもちゃんと安心できるような体制、それをひとつ示してもらいたいと思うのですがどうですか。
  69. 真藤恒

    ○真藤説明員 いまの将来計画につきましては、さしあたり三年計画をつくっておりますが、まだそれも完成した形にはなっておりません。もうしばらくお待ち願いまして、長期計画がきちっと考え得るような状態になってつくりませんと、考え方の前提条件がいま非常に不安定な条件になっております。もうしばらくお待ち願いたいと思いますけれども、これは必ずやらなければならぬことでございますから、もちろんきちっとしたものを出します。
  70. 鈴木強

    鈴木(強)委員 もう一つ、総裁にひとつ念を押しておきたいのですが、今度二千四百億円国庫に納付いたしますね。あれは毎年千二百億ずつ四年間で四千八百億、こうなっておったわけですね。これを前倒ししたんですけれども、もうこれで真っ平御免、あとそういう金があったら加入者のために料金を下げるように料金体系についてもっとやるとか、あるいは従業員の方にもできるだけ待遇を改善してやるとか、そういうような方法に使うべきであって、もうこれ以上取り上げられてはかなわぬと思うのですが、今度前倒しするときに、まだ六十年度も取るぞという話があったのですか。くさびは打ってあるのですか。
  71. 真藤恒

    ○真藤説明員 五十九年度から先どうするということは、何もお話を承っておりません。私どもは五十九年度の分を繰り上げて払いましたから、これで終わりというふうに考えております。
  72. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それから、総裁になってから非常に宣伝をやっておられますね。私はせんだって週刊朝日を見ましたら、一ページが全部電電公社の宣伝になっておって、上の半分以上がクモが引っ越しをするところでして、これは漫画風にかいておりまして、右の上の半分にクモの巣、糸を引いたクモが電話機を抱えて他の木に引っ越しをしようとする。要するに、引っ越しをするときにやるわけだ。ところが、その下の半分のところに活字で宣伝文章があるのですが、字の大きさもやや小さ目だけれども、女とか子供向きのものだ、こう私は思うのですけれども、その引っ越す電話機がはっきり見えないのですね。あれは、やはりもう少し色を変えてやるようなことを考えたらどうだろうかな。
  73. 西井昭

    ○西井説明員 お答えいたします。  公社は、御存じのように電気通信が質的に変わってまいりますので、そういう問題についていろいろな点でいろいろなPRをさせていただいておりますし、また電気通信そのものの質的変化というものを国民に理解をしていただきたいということで、いろいろなことをやっておりまして、ただいま先生指摘のように、中身について、どうも本来の目的を達するのに不適当ではないかという御指摘かと思いますが、なお今後そういうことのないように十分注意をして、PRをさしていただきたいと思っております。
  74. 鈴木強

    鈴木(強)委員 週刊朝日の方はややいい、婦女子向きで。もう一つの国電のホームにあるポスター、あれが勧進帳なんで、女子の弁慶が出ているわけだな。そして、勧進帳に「引越し」というふうに書いてある。七つ道具を背負い、アイデアはよろしいけれども、左手に持つ電話機の色がピンクのために、目に入る度が弱い。これは一般向きですけれども、私はそういうような評判を聞きました。  ですから、せっかく金を使うのだから、こういうような意見もあったら、率直に一回よく見てもらって、よりいいものを出すようにしてもらいたいのですよ。  総裁、あれは一年でどれくらい宣伝費を使っているのですか。
  75. 岩下健

    ○岩下説明員 お答えいたします。  ただいま手元に資料がございませんので、正確な数字はちょっとお答えしかねるのでございますけれども先生指摘のような週刊誌あるいは新聞といった、いわゆるマスメディアを使うものにつきましては、本社でやっておるものがかなりございます、これはテレビもございますが。この辺、マスメディアのものを合計いたしますと、恐らく年間二十億から三十億程度ではなかろうかという、これは推計でございますが、数字が違っておりましたら、また訂正させていただきます。
  76. 鈴木強

    鈴木(強)委員 かなりの金を使うわけだから、ひとつ効果的に、むだにならぬようにやってください。  では、時間が来ましたから終わります。     ─────────────
  77. 左藤恵

    左藤委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  逓信行政に関する件について調査のため、本日の委員会に参考人として日本放送協会当局の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 左藤恵

    左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十九分休憩      ────◇─────     午後二時三分開議
  79. 左藤恵

    左藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  逓信行政に関する件について質疑を続行いたします。竹内勝彦君。
  80. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 最初に、電電公社総裁にお伺いしておきますが、公社として利用者が求めるサービスの向上、料金の合理化、効率的事業運営を目指すために、その意味で所有と経営が分離され、機動的、弾力的事業運営ができるようにという趣旨を踏まえて、この経営形態の問題に関しての報道等もございますし、先ほどからも論議が行われております。サービスの安定供給、安全性あるいは信頼性の確保、それから良質なサービス、国民生活向上への努力、そういったものも踏まえて、公社としてのお考えがあるわけでございますから、いままでの検討してきた状況、それから公社としてのはっきりとしたお考え方、これはもちろん公社が決めるものでも何でもございませんが、率直に当事者としての考え方というものを述べていただきたいと思います。
  81. 西井昭

    ○西井説明員 お答えいたします。  先生御存じのとおり、電電公社の経営形態問題に関しましては、昭和五十六年七月十日に臨時行政調査会の第一次答申がございまして、そこで「現行公社制度の在り方、民営化等を含め、経営形態について、当調査会において今後抜本的な見直しを行う」という一次答申が出ました。その後、二次答申というのがございましたが、これは経営形態に直接関係ございませんでして、三次答申、俗称基本答申と言っておりますのが七月三十日に出たところでございます。  その間、臨調から電電公社意見なり考え方を聞きたいという御要望がございまして、具体的には五十七年二月二十六日に電電公社のヒヤリングが臨時行政調査会において行われました。このときには、御存じのとおりでございまして、公社としては、基本的には利用者と事業の関係にかかわる事項につきましては、利用者を保護するために厳しく公共的規制を受けるとともに、事業組織内の経営執行にかかわる事項につきましては、国民、利用者の声を吸収して国民的合意を得るための自律的規制の強化を図るということを前提にしまして、所要の公的規制を受けつつも、原則的には事業当事者の責任ある決定にゆだねていただきたい、そういう考え方で具体的な考え方を述べまして、そして現行公社制度のままとするとどういう点を改善していただきたいか、あるいは特殊会社方式にするとどういうふうにしていただきたいか、あるいは純粋民営にいたしますとどうしていただきたいか、こういう勉強結果をそこで御報告をしたわけでございます。それを受けまして、先ほど申しました基本答申というのが出されたわけでございます。臨調の基本答申は七月三十日に出ておりますが、それを受けまして八月十日にこの臨調の基本答申を尊重するという閣議決定がなされまして、一日置きまして八月十二日に次官・総裁会議というのがございまして、そこで臨調の基本答申実現につきまして総理から協力要請があったわけでございます。これを受けまして、郵政省の方から電電公社の経営形態問題連絡会というのを設置をして両者連絡を密にして行いたいというお話がございまして、公社としても非常に結構なことだ、こういうことで連絡会が八月十三日に設けられました。そして、その後数回この具体的な内容につきまして郵政省との間で意見交換なり議論をしておる、こういうのが現在の状態でございます。
  82. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 新聞報道等によれば、かなり総裁のお考えなりあるいは公社としてのいろいろな考え方もある程度ございましょうけれども公社を代表しておる総裁としてのお考え等もいろいろと報道されておる。そういった面も含めて、総裁、現在の考え方、いままでの経緯を総務理事からいま説明をいただきましたけれども公社としての考え方はこうなんだということを御答弁ください。
  83. 真藤恒

    ○真藤説明員 お答え申し上げます。  現在私どものおる政治的な立場を申しますと、いま西井総務から説明申し上げましたように、行革大綱の線に沿って勉強しておる状態でございますが、強いていまの御質問にお答えすると、すんなりと事が運ぶようにお願いしたいというふうに考えております。
  84. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 次の問題でお伺いしておきたいのですが、五十八年度予算で、公社の建設計画が昨年に比較してダウンしている面がいろいろとございます。その中でもさらに拡充・改良、こういったものでは、たとえば基礎設備の問題、市外通話サービスの維持改善、電気通信網の信頼性向上等のための光ファイバーケーブル八十七区間、マイクロウエーブ百四十三区間等の増設工事、あるいはまたINSの基盤形成のための光ファイバーケーブル等ディジタル伝送路のほか、ディジタル交換機三十一ユニットを計画するなど意欲的な面も数多くございます。  そういう中で、特に五十八年度の建設工事の計画と今後の見通しについて、いま全国的に厳しい不況の中で、それに関連した業者、各地域においての地元の業者あるいは全国の業者、いろいろなバランスの問題もございますが、そういう面も含めて御答弁いただきたいと思います。
  85. 池沢英夫

    ○池沢説明員 お答え申し上げます。  現在、五十八年度の予算お願いしております建設投資額、これは一兆六千百億円でございまして、先生御案内のとおり、五十七年度の一兆七千二百億円に対しまして一千百億円の減となっております。これは加入電話利用が一段落いたしまして、五十七年度より十万加入少ない百十万加入というふうな予測をしております。それから、加入区域の拡大ということで七キロメートルの拡大、地集の一般加入電話への変更、一般化と申しておりますが、こういったものが五十七年度に終わる、そういった見通しでございまして、過疎地対策の投資そのものが一応一段落したということがございます。それから、いま先生がおっしゃいましたとおり、非電話サービス、これは工程が伸びておりますが、こういったものについても効率的な投資を図ってまいりたいと考えております。また、それとあわせまして既設設備の有効利用あるいは整備取りかえ、そういったものも投資の効率化を図りながら進めていこうということでございまして、ディジタルということである意味では中身が濃くなっているということが言えるかとも思います。  これからの投資の考え方ということでございますが、公社といたしましては、より安く、より便利で、より豊富な、多彩な電気通信サービス利用していただく上で高度情報通信システムを実現していきたいと考えている次第でございます。このINSをつくり上げていくということは長期の経営目標でございまして、二十年ぐらい、かなり長い時間をかけて実現を図っていきたいということでございます。具体的な非電話系のサービス、ファクシミリとかデータ通信、あるいは画像もございますが、そういったものは現在緒についておりますが、需要が本格化するのはこれからでございまして、御承知のとおり武蔵野・三鷹でINSのモデルシステムを実施したいということでいまいろいろと工事に着手し、進捗を図っておりますけれども、御利用いただく方の意向調査とか需要の動向、あるいは技術開発もこれからまだまだ進むと思いますので、そういったものの動向、それから一番大きな公社の財務基盤というものを壊さないでやっていくという財務状況等を総合的に勘案して、これから先の投資の考え方としてはそういったものを基本に進めていきたいと考えている次第でございます。
  86. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 いまも話があったとおり、光ファイバー、それからまたこの前打ち上げられました通信衛星といったものの導入で、今後技術革新がどんどん進んでまいります。  そういう中で、かねてから本委員会でもいろいろと論議を行っておった電話の通話料金、特に遠距離通話の値下げ。諸外国と比較しても遠近格差は世界一厳しい状況になっておる、そういう意味から、今後本委員会でまた検討していくわけでございますけれども電話料金の値下げという問題に関して、公社としてどういう形になっておるのか。それと、いままでのこの収支差額、今後どこまで黒字基調が続いていく見通しなのか。あるいはこの値下げによってそういったもののバランスが崩れていくというような形になっては、また経営そのものに影響が出てくるといったことも考えられます。同時に、遠距離通話の値下げ、これは国民の要望でございます。しかし、遠近格差是正という意味から、中距離と近距離、市内の料金に関して、これを値上げしてこの格差を縮めていこうというような考え方、この前副総裁が記者会見した中でそういった表現も行われておりますし、その辺の具体的な状況を御説明いただきたいと思います。
  87. 信澤健夫

    信澤説明員 お答えいたします。  ただいま先生指摘のように、わが国の通話料金の体系は、諸外国に比べて市内は大変に安うございまして、二分の一から三分の一ぐらい安くなっておりますけれども、遠距離料金につきましては先進諸国と比べますと二倍から三倍以上高くなっております。したがって、遠近格差が大変大きくなっております。ことに、遠距離通話料金の値下げを求める国民の声も大変多かったわけでございまして、それを受けて、まず五十五年には夜間割引の拡大あるいは深夜割引制度の実施、五十六年八月からは五百キロを超える遠距離料金についての値下げを一部実施したところでございます。  今回さらに法案提出をお願いして料金値下げを御審議いただくことにしておりますのは、それに続く施策でございまして、諸外国に比べて一番高くなっております三百二十キロ以遠の料金を、現在三百二十キロから五百キロ、五百キロから七百五十キロ、七百五十キロ以上ということになっておりますが、この三段階一つに統合いたしまして、大体一一%から三三%値下げをするという案でまとめてございます。それによって遠近格差は一対六十から一対四十ということで、遠距離部分につきましても大体アメリカ並みの料金水準になるということで整理をしてございます。  それから、先生の御指摘の市内料金でございますけれども、これは最初にも申しましたように、諸外国に比べて大変安くなっておるわけでございますが、水準が安いということでなく、近距離同士といいますか、道路を一つ隔てた隣でも、境目あたりですと、こちら側は三分十円で、向こうになりますと三分三十円になるというようなことで大変に格差が大きくなっております。最低通話料三分十円でかけられる加入者がどのくらいいるかということにつきましても、その最低通話料でかけられる範囲、加入区域でございますけれども、これも最大は、東京は四百万の人たちとかけられるわけでありますが、最低は千加入ぐらいしかないというようなところもございます。したがって、最低通話料金でかけられる地域の範囲ということについても問題があろうかと思われますので、これは将来の問題として、市内料金制度につきましては、今後の検討課題としてさらに郵政省に御指導いただきながら検討を深めていかなければいけない問題と考えております。
  88. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 もう二点お伺いしておきます。  三区域を一括して四百円までに値下げした、こういうことでございます。その辺の根拠ですね。たとえば東京からの例でいきますと、大阪、盛岡などが四百五十円から五十円だけ値下げという形になりますね。それから五百キロ以上に当たる広島や青森などになりますと、五百二十円から四百円になるのですから百二十円値下げ、それから東京から福岡、札幌などになりますと、六百円が四百円になるということで二百円。いままで差が相当あったわけですから、これを一括して同じものに見たというところはどうなんでしょうか。私どもも、たとえば通信衛星などが上がっていく、あるいは光ファイバー、もう何しろ距離というものを感じるものでなくなってきますよね。そういう意味からも、じゃ、その中でそこの三段階を一括した根拠というのは一体何にあるのか。  それともう一点は、いま、一つ道路を隔てたら十円が三十円になってしまうんだ、これは非常に不公平だ。これは私もかねてよりこれをグループ料金制、要するに、いろいろなグループをつくって、その区域の中にある間というものは、たとえば道路を隔てても区外になるというのではなくして、そのグループ、グループをお互いにダブらせてつくっていけばそれは解消するわけでございますから、グループ料金制というものを考えておるのかどうか。この二点、御答弁ください。
  89. 信澤健夫

    信澤説明員 お答えいたします。  料金段階の根拠といいますと、これはもう古い昔からのことでございますけれども、諸外国、日本、いずこの国でも、最初のうちは、技術も発達しておらない時代には、距離とコストが正比例するというような関係もございまして、遠くになるほど料金も高くするということで、階段の数が大変多うございました。それが、だんだん技術が進歩するに従って距離段階というのを減らしてきておるというのが大体現在までの姿でございます。遠距離ほど技術革新の成果が取り入れやすいということもございまして、諸外国でもこの二十年ぐらいの間に、当初は十段階、二十段階あった階段を、遠距離の方から大体統合しながら、あるいは近距離の方も場合によっては統合していくというような形で整理を行ってきております。わが国の場合にも、現在十四段階あったわけでございますけれども、当面、この階段の中の三百二十キロを超える、諸外国に比べて一番割り高になっておると考えられる遠距離部分についての階段を一つにまとめたということでございまして、この距離段階を新たに設定をするとか、新しく中二階みたいなものをつくるということをするよりかは、この階段の数を少しづつ整理をしていくということが将来の姿としては望ましいのではないかと考えておるところでございます。  それから、グループ料金制の問題につきましては、先生指摘のとおり、グループ料金方式という制度を取り入れるということも一つの方策でございます。  それから、いま三分十円の隣が八十秒十円、百八十秒十円の隣が八十秒十円ということになっておるわけですけれども、この格差を縮めるという方法もあるいは過渡措置としてあるのかもしれません。したがって、近距離通話の料金体系をどのように手直しをしていくことが一番世の中の方々にも御納得を得られる改定の仕方、改善の仕方なのかということについて、これからさらに検討を詰めてまいりたいと思います。グループ料金制も当然その場合大事な検討の対象になろうかと思います。
  90. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 郵政省にお伺いします。  広域U局について、一般的に免許申請許可についてどういう立場をとっておりますか、説明してください。
  91. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  関東、中京あるいは近畿等のいわゆる各広域圏についてでございますが、複数の都府県を対象としたテレビジョン放送が最初出てきたわけでございますけれども、その後、県域に密着した放送に対する住民の要望にこたえるというようなことで、経営基盤等を考慮した上で、四十年代以降でございますけれども、こうした複数以上の県を対象にいたしました、広域圏内の各府県を対象にした割り当てを行いました。これは周波数の関係上UHFを使わざるを得なかったわけでございますけれども、そうした広域圏の中にもその県独自のテレビ局を免許したということでございまして、考え方といたしましては、やはりマスメディアの集中排除あるいは地域密着性の確保というようなことで、テレビ局の免許割り当てに当たりましての考え方は、他の広域圏でない県のテレビ局と同じというふうに考えております。
  92. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 新たなU局の免許を与えるに当たって、既存のU局がございますね、それとの兼ね合い、健全に相互の経営というものが成り立っていかなければなりませんし、その点で電波行政としてどのような点に特に配慮しておるか。やはりいろいろと各地域によって問題が出てきておりますね。その点特にどういう配慮を入れておるか、もう一度説明してください。
  93. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 新たなテレビジョン放送局のために新しい周波数割り当てを行う場合には、その対象地域の人口あるいは経済力等経営基盤を調査いたしまして、既存局に与えます影響あるいは新局の経営の可能性等を見きわめて行っておるわけでございまして、そうした地域における関係者の意見等も聴取いたしておるわけでございます。そうしてそのような結果に基づきまして周波数割り当てをするわけですけれども、その結果新局が誕生いたしました場合には、その新しく生まれた新局と既存局は競争の関係になるわけですけれども、先ほどのような結果に基づいて地域の住民の要望にこたえるというようなことでございますので、共存共栄と申しますか、お互いにいい意味での競争意識を発揮しながら経営努力はいたしてもらいたい。そういうことで、その上でその地域住民といいますか、文化の向上あるいはその地域に密着した新設局として成長してもらいたい、このような者え方でございます。
  94. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ぜひ新たにU局ができる場合には、既存のU局に親しんできた受信者にとっては、これは受信権益というものがございます。しかし、そのまま新たにU局ができる、一チャンネル増加というのが普通でございます。そのまま受信すればいいのですけれども、そうはいかない地域があるんですね。御承知のとおりで、たとえば共聴アンテナで見ておる、あるいは大きな団地等いろいろなところでは共聴アンテナで見ておったのが、その団地の中でお互いに決めて、では今度はこっちの方を受信しましょうとそっちの方へ向けたら、いままでの方のは結局見たくても見れない、こういう形になって、お互いに努力してどうのというよりも、見たくても見れないというような事態になるということを、これはまあ御承知の上だと思いますけれども、ぜひ今後競合する場合、調整を慎重に行った上でその許可というものが必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  95. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先生のただいまのお話は、既設の局を受ける受信者の立場と送信局の出てくる位置というようなことで、非常に複雑な問題を御指摘かと思いますけれども利用者といたしますと、新しいU局が出てきた場合、既設の施設と申しますかもともとのアンテナあるいは共同施設で受信できることが望ましいわけでございます。したがいまして、一般的には新局の免許に当たりましては、極力その送信圏を既存局と同じにするというようなことが当然必要だと考えております。しかしながら、新しくできます局といままで共同アンテナ等で見ておりました既存局の放送対象区域が異なる場合にも、なお受信者としては見たいという場合がございます。そうした場合に、対象地域が異なるとなりますと、両者の送信圏を一致させるということは困難でございまして、仮にいろんな既設のテレビのできぐあい、歴史というようなものによりまして、既存局の放送対象区域外で受信している者がおる、その者が既存の施設、すでに持っておる施設で新しくできる局の放送も受信できるように新局の設置条件を考える、工夫するということは、一般的には残念ながら非常にむずかしい場合がございます。したがいまして、郵政省としましては、一応受信者にはまずその位置しております地域の放送というものを受信してもらいたい、そのように想定と申しますか希望しておるわけでございますけれども、なおいろんな番組をたくさん見たいということで他地域の放送をも受信したいという場合には、かなりの場合、受信者の側においてもう一本アンテナを立てる等々の受信者側の負担を期待せざるを得ないものというふうに考えておる次第でございます。
  96. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それは言っておることはわかるのですけれども一つのアンテナをまた受信者の側が共同で立てようというと、これは大変なことになるのですよ。そう簡単じゃないです。だから、いままでちゃんと受信できていたのを、お互いにある程度でこっち側へ向けちゃおうということを多数決か何かで決めてしまいますと、それは結局もうそっちの方にいってしまうということをよく理解した上で、それはまたもう一本立てればいいじゃないか、それは簡単なことです。ところが受信者側としては、それが簡単にできないからいまトラブルがいろいろと出ているということを知ってください。  そこで次の問題を質問させていただきます。  郵政あるいは建設両省が中心となって、都市受信障害解消基金の構想というものがございました。建築主あるいは放送事業者、それにこの問題は東京都ですが、国及び都が費用負担して原因者の特定し得ない障害を解消していく、こういうことで合意を見ました。その財団法人が設立される、こういう流れになっておりましたけれども、その後の経過はどうなりましたか。
  97. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先生御高承のとおり、建造物等による受信障害のために、非常にむずかしい問題、特に単純に原因者責任主義というようなことで原因を特定するということもできない大きな障害が発生しているという現状になっております。特に大都市の場合さようでございます。したがいまして、原因者が特定できないわけですから、また、原因者負担の原則だけでは解決が困難だということで、やはり建築事業者のほか放送事業者あるいは東京都あるいは国等が協力いたしまして解決を図ることも必要だということで、昨年の六月に、いま申しましたような関係者を構成員といたします受信障害対策基金設立検討委員会というものを設立いたしまして、現在具体的な解決方策について検討を急いでおるという現状でございます。
  98. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 これはみんなが合意しているのですか。どこかが何か反対しているというようなこともちょっと聞いておるのですけれども、その辺はどうですか。
  99. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 いま申しましたように精力的に検討いたしておるわけでございますけれども、最終的な合意にはまだ至っていない。それは、この都市受信障害に至ります度合いのかかわりぐあいというようなものをどういう話にするかというようなことの原案、たたき台をつくっておるという段階で、その案をつくるに当たりましてのかかわりぐあいの点においてまだ合意ができていないというか、いろいろむずかしい問題があるということでございます。
  100. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 一方、多摩地区にいわゆる地形難視解消のための第二東京タワーというべきものが、中継局としての設置が計画されておりました。私もこの委員会で伺ったわけでございますけれども、それはどうなりましたか。
  101. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 多摩丘陵でございますけれども、ここは地形的な関係で、地形難視で現在のところ九千六百世帯、またニュータウンが完成いたしました場合には、いわゆる地形難視による難視世帯数が三万二千程度になるだろうというふうな予測がされておるわけでございます。何分にも東京タワーに非常に近いというようなこともございましていままで解消しないできたわけでございますけれども、住民の要望がますます強くなってきたということでございますが、この多摩地区の場合には、先ほど話の出ました、いわゆる都市難視、つまり新宿ビル等による障害の西の端と多摩地区とが地形的につながっているという実情がございます。  それで、地形難視の場合、中継局放送の電波と申しますかUHFになり——VHFはもうとっくにございませんけれども、そうしたもので解消するわけでございますけれども、UHFという波が非常に払底しておりまして、多摩地区の地形難視のために中継局を使う、この際に地続きであるといいますか地形的につながっておる新宿の都市難視も解消できないだろうかというようなところで検討いたしましたところ、ある程度の規模でやれば東京の都市難視は、ちょっと横道にそれますけれども、二十万世帯あるというふうな計算になっておりますが、そのうちの十万世帯程度はあわせ解消できるというような検討もございまして、現在放送事業者、多摩ニュータウン開発主体あるいは建築業界など関係者と具体的な問題につきまして、いま申し上げましたような構想につきまして協議を重ねている次第でございます。
  102. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 局長、前もそのことは聞いておるのですし、ぜひこの辺で中継局の第二東京タワーの規模、出力あるいは高さ等、それも含めてどういうふうにやるのか、そしていつごろをめどにするか。それといまの都市受信障害解消基金、やってますよ、やってますよといつも答えているのだから、これもいつどろをめどにするのか、それも含めて答えてください。
  103. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 まず、多摩地区のめどでございますが、一応できる限り早急に片づけたいといいますか道を開きたいということで、私どもきわめて精力的にやったつもりでございますけれども、残念ながら先ほどもちょっと申しましたように、いわゆる地形難視に対する考え方と、人為的な建造物等原因者が通常あるものに対する解消の考え方ということで、最後的な詰めがまだできてないということで、いまは時期を明確にすることはできませんけれども、私どもといたしましては、昨年十二月の新年度に対する予算要求時期におきまして最終的に読めを精力的にやったつもりでございますけれども、残念ながらいま少しく話の詰まらない面があるということでございます。  多摩タワーの規模でございますけれども、送信規模一キロワット、鉄塔高百七十メートル程度であれば、地形の灘視の解消のほかに、東京都の二十万世帯のうちの十万世帯程度の都市難視もあわせ解消できるというふうに計算いたしております。
  104. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 厚生省来ていただいていると思います。厚生省、それから郵政大臣にお伺いいたします。  前郵政大臣からも積極的な御意見がありまして、中国残留孤児の第三回目の肉親捜しを、今月二十五日から来月の十二日にかけていよいよ再開する、こういうことになっておりますけれども、どういう方法で行われるのか、その内容をまず最初に厚生省述べてください。
  105. 森山喜久雄

    ○森山説明員 お答えいたします。  先生いまおっしゃいましたように、第三回目の孤児の訪日による肉親捜しが今月の二十五日から始まるわけでございます。この調査でございますけれども、この調査の依頼と申しますのは、孤児本人から直接、あるいは中国にあります日本大使館を通じまして、厚生省の方に上がってくるわけでございます。それでこの調査というものはもう一年じゅう私の方でやっておるわけでございますけれども、そういう手がかりになる資料が少ないために、なかなか実効が上がってないというのが現状でございます。  それで、今回、孤児を日本にお招きしまして直接調査を実施するということでございますが、その第一は、孤児からすでに寄せられておりますところのいろいろな手がかりとなる資料がございますけれども、その資料を再確認いたしまして、そのほかに新たな手がかりがないかどうかというようなことを孤児本人から私ども調査官がいろいろ事情聴取を行うということが一つございます。それから、今回参ります四十五人の方につきましては、すでに十一人の孤児につきまして、これは肉親ではないかというような関係者の申し出がございます。この関係者のお話をわが方で聞きまして、それで孤児と面接をしていただくというのが一つございます。それから、関係者はまだ申し出てきておりませんけれども新聞、テレビその他マスコミにお願いいたしましていろいろ報道していただくわけでございます。その結果、そういう関係者が新たに出てくることを期待いたしまして、出てきた場合には該当する孤児と面接をしていただくというようなことで調査をするわけでございます。それで、過去二回、昭和五十六年の三月と五十七年の二月でございますが、こういう調査をやりました。この二回で百七人の孤児につきましてやったわけでございますけれども、七十二人判明したということで、この方法は非常に実効が上がるということで、今回第三回目を実施するということにしたわけでございます。
  106. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 大臣、これは前郵政大臣も、この前の経緯も踏まえて、ひとつこれは本当に肉親を捜していく、終戦後もう三十七年、いま三十八年目に入って、本当にいまだに別れ別れになっている、もう人間的に何としてもそれをお手伝いして一日も早く肉親がわかるように、こういうことで非常に積極的な発言をされておりました。特に、場合によってはVTRを中国に持ち込んでそれを振ってきて、それでまた日本でそれを放映してやるくらいに、何しろすごい数ですから、今回四十五人とかこの前何十人とかいうのではまだまだ追いつきません。そういう意味で、郵政大臣として、今後の問題もそうでございますけれども、それを含めてどういう御決意を持っておるかお述べいただきたいと思います。
  107. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 仰せのとおり、中国残留孤児の肉親捜しの問題は、人道的な立場から考えましても、また戦後処理の課題といたしましても、大変重要な問題であると心得ております。前大臣も大変熱心にテレビ等の活用について御尽力を願ったわけでございますが、NHKを初め民放各社におきましても、その重要性についてはよく認識をいたしておるところでございまして、今回も協力を惜しまないという立場をとっておるわけでございます。私も放送事業の所管大臣といたしまして、今後、お話にもございましたように、さらに関係方面との連絡もとりつつ、できる限りテレビ放送というものを活用した肉親捜しのために協力をしてまいりたいというふうに考えております。
  108. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 厚生省にお伺いしておきますが、この前、養父母の保障問題でかなり中国側と日本側との折衝の中で難航があった、こういうように伺っておりますが、それはどんな状況だったのか、解決したのか、それを述べていただくのと、それから、現在まで一応厚生省としてつかんでおる中国残留孤児というものは一体どれくらいあるのか。それからまた、届け出のない、申請のないものも含めてとなればこの辺になるのじゃないかとか、いろいろな数を持っておると思いますので、その数字も含めて御答弁いただきたいと思います。
  109. 森山喜久雄

    ○森山説明員 扶養費の問題でございますが、これは昨年の五月に中国側から提案があった話でございますが、要するに、孤児が身元がわかりまして日本に引き揚げてくるというときに、中国の養父母それから場合によりましてはその配偶者とか子供を残してくる場合があるわけでございまして、そういう方々の扶養の問題というのが新しい問題として起きたわけでございます。  それで、中国側といたしましては、とにかく家族が分離するということが一番困る問題である。したがいまして、養父母込みで全部日本に帰ってくれば、それはそれで解決がつくわけでございますけれども、いろいろな事情で向こうに残られるという方も多いわけでございます。それで、日本側といたしましては、この扶養の問題というのはやはり個人間の権利義務の問題でございまして、個人間で解決するというのが筋であろうとは思いますけれども、孤児の立場を考えまして、孤児に対しましては、日本に帰ってきた場合に長期低利の公的資金を貸し付けようということでどうでしょうかというお話をしたわけでございますが、中国側の御意向といたしましては、そういう一種の借金になるわけでございますので、そういうものは孤児にとりまして精神的にも経済的にも非常に苦痛になるのではないか、したがって、もう少し何かいい方法を考えてくれというお話でございました。それで、ことしの一月に中国側から担当官が日本に来られまして、日本側と事務レベルの協議を行ったわけでございますが、その際に、日本側といたしましては、では、そういう扶養費の要る孤児につきましては、とにかくその扶養費の半額は政府が援助します、残りの半額については、これは一般民間からの寄付金で賄い、孤児に負担がなるべくかからないように措置したいということを申し上げまして、中国側も了承をされたわけでございます。  それで、この問題につきましては、たとえば具体的にどういうを金額どういう方法で送るのかといった細かい事務的な詰めはまだできておりませんけれども、原則的にはそういうことで合意をしたわけでございます。この合意によりまして今回の訪日調査というのも実現をした、こういうことになったわけでございます。  それから第二点の、数でございますが、実はこの中国残留孤児が一体全体的は何人いるのかという問題は、常々私どもも心配をしておりまして、中国側とお話し合いがあった際に、実はこれは中国側の協力がなければわからないわけでございますので、何かわかるような方法はないのでしょうかというお話を申し上げましたところ、中国側としましては、日本政府がそういう孤児について肉親捜しをやっているということは、もう恐らくすべての孤児が知っているというふうに中国側は理解しておる、したがって、特別これから調査をするというようなことは必要はないんじゃないかというお話がございました。それで、現在厚生省の方に調査の依頼がございましたのが千四百五十名でございます。そのうちすでに身元がわかったという方が六百五名ございます。したがいまして、現在調査中のものが八百四十五名でございます。それで、この八百四十五名を今後調査対象としていくわけでございますが、若干ふえたり減ったりはするわけでございますけれども、この訪日調査というものが一番効果があるわけでございますので、来年度は一応百八十人呼びたいということで中国側にお話をしてございます。できればここ数年のうちにこの肉親捜しというのは終わらせたいというのが厚生省の考えでございまして、逐次この数をふやしていくとかいうことで、数年後には何とか全部調査を終わりたいというふうに一応考えております。
  110. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 NHKにお伺いしておきます。  前回もNHKあるいは民放その他報道機関にいろいろと協力をしていただいて、感動的なめぐり会いが幾つも行われました。これはみんなが知っておることでございます。そこで、いままでの成果、それも踏まえて、今回は特にどんなやり方に持っていくのか、それから今後どうするのか。それともう一つは、前郵政大臣の発言もございましたが、場合によっては中国まで行って、それでVTRにおさめてきて、そうしてまたこっちで報道しようというような考え方まで含めて、そのお考えというものはあるのかどうか。今後の状況というものを説明していただきたいと思います。
  111. 渡辺一男

    ○渡辺参考人 御質問にお答えいたします。  いままでNHKでは、過去二回これに積極的に取り組んできたわけでございますけれども、この二回の間に、特別番組あるいは定時番組、ニュースその他を挙げまして報道いたしました結果、先ほど仰せのありましたような幾つかの解決を見たわけでございますけれども、これに対しての反響というのは、前回二回合わせまして約二千件ございました。この二千件というのは、番組に対する反響のほかに、新しい情報が寄せられて、そのことによって解決を見たというものも数々ございます。本年は二月十六日に来日される方の氏名をラジオとテレビですでに発表いたしました。それから、間もなく来日される方につきましては、この二月二十八日から三月の上旬にかけまして、ラジオ、テレビ合わせまして、特別番組として約十本ほどいま予定しております。そのほかに「ニュースワイド」とかあるいは「ニュースセンター九時」とかいう個々の個別の番組で、関連のものを積極的に取り上げていきたいというふうに考えております。  それから、次の点につきましては、われわれもこのための特別プロジェクトというのを総局内につくりまして、これに取り組んでおります。前郵政大臣お話にございましたようなこちらからの取材につきましては、われわれもそういう方向で実施ができるかどうかということについてもあわせて検討しておりますが、当面、政府政府との間の話し合いがつきますれば、われわれとしては積極的にこれに協力することはやぶさかでございません。事務的なこと、その他につきましては、現在でも内部で検討しております。とにかくこの問題については、NHKとしては全面的に積極的に取り組みたいという覚悟でございます。  以上でございます。
  112. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 では、時間ですので、大臣、いまNHKも国と国との話し合いがうまくいくならば向こうへ取材陣まで送り込んでやりましょうという非常に積極的な御発言がございました。現大臣として、そういう考え方でいいのか、いままでの郵政大臣の積極的なお考え方をそのまま受け継いで今後も一生懸命やっていくのかどうか、あるいはもうちょっとトーンダウンしてしまうのか、その辺の決意をもう一度述べていただいて終わりたいと思います。
  113. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 申すまでもないことでございますが、前大臣の積極的な姿勢を承継をいたしまして、私もできる限りの支持をいたしてまいりたいと思います。
  114. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 どうもありがとうございました。終わります。
  115. 左藤恵

    左藤委員長 次に、西村章三君。
  116. 西村章三

    ○西村委員 桧垣大臣が就任をされまして、初めての委員会の質疑でございます。まず最初に、若干基本的なことをお尋ねをいたしておきたいと思うのであります。  これは申すまでもございませんが、中曽根内閣は行政改革を最重要課題としてとらえておりまして、この推進に全力を挙げたいという公約をなすっておられます。当然のことながら、大臣は中曽根内閣の一員でございますので、行政改革に取り組む姿勢も総理と同じだろうと考えておりますが、まず、大臣としての行革に取り組む基本的な姿勢を聞かしていただきたいと思います。
  117. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 現下の社会的なまたあるいは政治的な情勢から申し上げまして、行財政の改革は喫緊の課題であると心得ておるのでございます。行革というのは、一口に言えば、簡素で効率的な行政に再編或をするということであると思っておるわけであります。私もその重要性については人後に落ちない認識を持っておるつもりでございます。政府方針に歩調を合わせまして、真剣にこの問題と取り組んでまいりたい、かように考えております。
  118. 西村章三

    ○西村委員 大臣から非常に力強い言葉をちょうだいしたわけでございますが、まさしく行財政改革の必要性というものは、わが国の喫緊事でございます。そこで、行革を推進するための第二臨調、これが設立されまして、もうすでに基本答申を初め、多くの答申が出ておるわけでございます。  この臨調の設立趣旨につきましては、一口で言いますと、いわば政府の減量といいますか、あるいは歳出の削減といいますか、これを土台として、いわゆる効率的な行政府を実現をしていくことだというふうに理解をするわけでございます。大臣も所信表明の中でこの点に触れておられまして、いまお答えになりましたような言葉で、力強く表現をされております。臨調の答申につきましては、あと三週間もいたしますと最終答申が出る見込みでございますが、行革推進という立場からいたしまして、当然この臨調の答申そのものを尊重されていくという態度に間違いはございませんか、大臣の見解を聞かせていただきたいのです。
  119. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 前内閣のとき、昨年の九月二十四日に行革の大綱が決められたわけでございますが、その中で、臨調の答申の趣旨に沿って、改革のための諸準備を進めていくということを言っておりました。私は、現内閣になっても変わるはずはない、そしてその意味は、先ほど確認をいたしましたように、臨調の答申の趣旨を最大限に尊重する、そういう姿勢、スタンスで臨調の答申を受けとめてまいりたいというふうに思っております。
  120. 西村章三

    ○西村委員 臨調答申は必ずしもオールマイティーではないと私は思います。もちろん、郵政の事業あるいは郵政省の所管事業の中でも、受け入れられるものと受け入れられないものと両方があるように、これはオールマイティーではないと思います。臨調答申についての各界のいろんな反応を見ておりますと、全般的には総論賛成、各論反対、こういう傾向が非常に強いわけでございますが、この臨調答申を実施をし、行革を推進していくためには、やはり国民全体が痛みを分け合う、この心構えがなければなかなか前へ進んでまいりません。そういう意味で、多少の出血はあっても、あるいは多くの犠牲を払ってでも協力をしていく、これが基本的な態度ではないかと思うのであります。  そこで、この答申の中で、郵政事業並びに郵政省所管業務にも多岐にわたって報告が触れられておるわけでございます。特にその中で、臨調の第四部会の、ことしの一月十七日付の印刷物でございますが、この中で、郵政事業の全般にわたっての「現状と問題点」が指摘をされております。それぞれ「改革の基本的考え方」あるいは「改革意見」これが明確にされておりまして、最後に、この郵政の三事業を通じての事業ごとの中長期の事業改善計画あるいは経営改善計画を立ててその進捗を図れ、このように提言をいたしておるわけでございます。  郵政省として、これら三事業を通じての経営改善計画、事業改善計画をどういう形で受けとめておられるのか、あるいはもうその対応に入っておられるのか、それについて若干お聞かせをいただきたいと思います。
  121. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 先生指摘の臨調第四部会での郵政事業に関する取りまとめの中で、いろいろ郵政事業のあり方、三事業それぞれについての提言がいろいろ出されているわけであります。事業全般を効率的、合理的に運営していくということは、私ども事業を担当いたしております者といたしましてもかねてから努力をしてきているつもりでございまして、いろいろな全体的な計画と銘を打つものがあった時代もございますし、場合によってはそういうものを立てる必要もあろうかと思いますけれども、個々具体的な事例に即して今日も計画的に努力をしているところでございますし、また、多くの効率化、合理化的な御指摘についてはすでに私どもで取り組んでいるものもございます。しかし、臨調がせっかく御指摘をいただいたものにつきましては、その趣旨を踏まえまして十分今後とも努力をしてまいりたい、こういうように考えているところでございます。
  122. 西村章三

    ○西村委員 適切な対応をしていただく、そしてそれを推進していただくということは、これはまさに郵政省の義務であろうと思うわけでありますけれども、その中で私がちょっと気になりますのは、いわゆる第四部会報告の中における一点であります。最近の郵便物数の動向、年間約百五十億通だ。ところが、この郵便物が急速な電気通信メディアの普及あるいは発展に伴いまして需要の伸びがさほど期待できない。しかも、全郵便物数の八〇%までが企業等の業務用である。したがって、今後、料金あるいはサービスの質いかんによっては郵便離れがさらに進むであろうということが懸念をされると指摘をされておるのであります。郵便業務に対する指摘がこれほど的確にといいますか、私ら考えたら、なるほどそのとおりだというぐあいに理解をするわけですが、郵政省はこの郵便離れというものについてどういう受けとめ方をしているのか、今後の動向をどういうふうに見ておるのか、この辺を明らかにしていただきたいと思います。
  123. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 お答え申し上げます。  近年、先生指摘のように、ファクシミリとかデータ通信等新しい電気通信手段が急速に普及、発展をしてまいりまして、企業等が利用し得る通信手段は多様化してまいっております。したがいまして、郵便の料金水準とかサービスの質いかんによっては郵便離れを引き起こす可能性が大きいことは私どもも否定できないというふうに考えております。  しかしながら、郵便は電話等他の電気通信手段と異なりまして郵便独自の特性がございます。たとえば、現物性であるとか、そのものが送られるとか、それから記録が残るとか、それから大量処理になじむとか、そういった郵便としての固有の特性もございますし、また全国的な配達のネットワークというものも持っておりまして、そういった特性を生かしていくならば、しかも適正な料金と良質なサービスというものを維持していくならば、私どもは、GNPの伸びに比例して郵便は今後とも伸びていく、いけるというふうに考えております。  臨調の諸先生また西村先生指摘の、電話等に取ってかわられるのではないかという点につきましては、私どもは、電話にかわり得るものはかなりの部分すでにかわってきているというふうに思っております。ただ、電話料金につきましても、遠距離の場合まだ非常に高いわけですから、そういったものが今後安くなれば、郵便から電話に移るというものはまだ相当残っているということは否定できませんが、電話に移るものはかなり移ってきているのじゃないか。結論的に申せば、私どもは、必ずしも臨調の先生方の御心配のように郵便事業の将来を悲観してはいない、適正な料金と良質なサービスというものを維持していくならば、今後まだ郵便事業は社会の発展とともに伸び得るというふうに考えております。
  124. 西村章三

    ○西村委員 郵務局長、郵便事業が将来悲観的な見通しだとかなんとかいうことではなしに、これはいま完全な独占事業ですから、生き延びていくのはあたりまえの話でございましょう。しかし、郵便事業の中でも小包に見られますように、最近、民間との競争のある部分は非常に落ち込んでおるわけですね。極端に落ち込んでいますね。しかも、官側いわゆる国側の対応というものは非常に遅い。そのために、いわば小荷物離れをしてからいろいろ対応策がとられてきたということも事実だと思うのです。いま局長は、GNPの伸びに応じて郵便物は伸びるだろうとおっしゃいますけれども、私は必ずしもそうは思わない。いろいろな通信メディアが多様に出てまいりますと、なお今後落ち込む可能性がある、そういうことを私は心配をし、いま警告をしておるわけです。  そこで、国は若干違いますけれども、私はここに一つ新聞の切り抜きを持っておるのです。ちょっとこれを大臣に。委員長、よろしゅうございますか。——たまたまことしの正月の新聞でございますけれども、アメリカの話でございます。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕  ちょっと読み上げてまいります。「減税と歳出カットを主柱にしたレーガン行革のもうひとつのターゲットは公務員削減と機構改革である。」「役人や外郭団体の強い抵抗にあって思うようにはかどっていない」「そんななかで唯一目立った成果をあげているのが郵政事業である。行革の一環で小包や速達などを民間企業にも”開放”し、競争するようになってから生産性がグーンと向上。昨年はついに黒字に転じ、毎年、政府から受けていた九億二千万ドルの補助金を今年から返上するところまでになった。」「郵政事業の改革はかなり大胆な発想の転換からきている。」  これは国が違いますからすぐにイコールわが国に当てはまるということは考えておりませんけれども、今後の郵便事業のあり方を考えましたときに、あるいは他の新しいメディアとの競合というものを考えましたときに、発想の転換をしていかなければやがて郵便も小包並みに落ち込んでいくことが予想される、私はこのことを申し上げておるわけでございます。非常にユニークな発想で、しかもそれが成功しておるという事実がございますので、ひとつアメリカから資料等も十分お取り寄せになって検討していただければありがたいと思います。  そこで、関連をしてお尋ねをしたいのですけれども、現在、郵便業務の遂行上、いわゆる運送部門を中心に集配作業の一部を民間企業に業務委託を行っておるのですね。臨調の第四部会の報告の指摘によりますと、この運送部門だけではなしに、局内作業あるいは集配業務につきましても大幅な委託を行ってはどうか、民間開放についても検討すべきだということも提案をされています。これらの提案につきまして、もう一度郵務局の考え方を聞かせてください。
  125. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 今回の臨調の第四部会の報告は、現在、調査会において審議が行われておりますので、最終的にはその審議を見守ってまいりたいと思っておりますが、ただ審議の過程で、ただいま先生指摘のような問題が論議されておるということは私ども承知しております。  業務の民間委託の問題ですが、これまでも運送、集配部門につきましては郵便物運送委託法により、また機械の保守等につきましてはそれぞれの契約によって民間に委託している部門もたくさんございます。しかしながら、内務の作業——内務の作業にはただいま申しました機械の保守等の仕事もございますが、郵便の区分け作業等そういった基本的な業務につきましては、通信の秘密保持といった重大な問題もございますので、十分慎重に配慮しながら検討をしていく必要があるのではないかというふうに現時点では考えております。
  126. 西村章三

    ○西村委員 臨調答申の中身を引用するのが多過ぎるわけですけれども、ちょっとごしんぼういただいて、さらにもう一点、ここでも指摘をされておりますが、関連をして郵便事業の中の「改革意見」として指摘をされておりますのは、こういう書き方でございます。「多角的業務委託の推進」という見出しをつけまして、郵便物の「委託道路運送会社は現在八十六社に及んでいるが、特定の一社で全体の七〇%のシェアを全国的な規模で持ち、しかも同社は最近多額の経常欠損を生じており、郵便事業本体に悪影響を与えるおそれを生じている。業務の委託に当たっては、委託先を多角化し、委託先事業の活性化を図るべきであり、現行の特定一社中心の委託の在り方は、これを抜本的に改める。」こういう改革意見が載せられておるわけでございます。  この会社はどこでございますか。
  127. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 日本郵便逓送株式会社であると思います。
  128. 西村章三

    ○西村委員 ここに指摘をされておりますように、委託比率は七〇%を超えておるんですか。
  129. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 現在、七〇・四%というふうになっております。
  130. 西村章三

    ○西村委員 この日本郵便逓送株式会社は、最近多額の経常欠損を生じておると指摘をされておりますが、最近五年間の決算状況を把握しておられますか。
  131. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 五十二年度から五十六年度までの過去五年間の決算状況でございますが、五十二年度から五十四年度までは経常利益を出しておりましたが、五十五年度は六億五千七百万円の経営損失、五十六年度は十三億五千六百万円の経常損失となっておるというふうに承知しております。
  132. 西村章三

    ○西村委員 これは各部政局が中心でそれぞれ契約を結んでおるようでございますけれども、この会社に対しまして過去五年間郵政省から支払った支出額、運送委託料といいますか、この金額を示してください。
  133. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 申し上げます。  五十二年度から五十六年度まで、五十二年度が三百三十二億六千三百万円、五十三年度三百五十三億九千二百万円、五十四年度三百七十二億三千四百万円、五十五年度三百八十三億七千万円、五十六年度四百十三億一千六百万円でございます。
  134. 西村章三

    ○西村委員 およそ三百五十億から四百億、非常に膨大な金額を払っておるわけでございますね。  料金改定というのはいつおやりになるのですか。
  135. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 過去、大体二年に一回料金改定を実施してきております。  最近における料金改定の料率について申し上げますと、五十三年十月一日から九・九%のアップ、五十五年十二月二十一日から一三・五%のアップ、それから、ごく最近では昨年の五十七年十月十三日から一〇・五%アップしております。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕
  136. 西村章三

    ○西村委員 これは何を基準にアップをしておられるのですか。
  137. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 これは運輸省の認可にかかわる料金でございまして、決定については運輸省所管に相なるわけでございます。
  138. 西村章三

    ○西村委員 支払いの方は郵政省がちゃんとやっておるのでしょう。料金計算のアップをするその基準くらいはわかってなければだめじゃないですか。こんなものは運輸省の所管だということで通りますか。ちゃんと法律があるのでしょう。
  139. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 運賃自体につきましては先ほど申しましたように運輸省の認可料金になっておりますが、その運輸省が認可をする過程におきまして荷主としての意見を求められる場合もございます。運輸省は、やはりかかった経費に適正な利潤を見てその上に、そのかかるべき経費というのは主として人件費が大部分を占めるわけでございますが、必要な経費に適正な利潤を見て最終的に決められているというふうに承知しております。
  140. 西村章三

    ○西村委員 郵務局長に私のほうから言うのはおかしいのですが、これは私、運輸省から取り寄せた資料ですけれども、郵便物の運送に係る運賃料金という算定基準が明確にあるわけですよ。これは車両の大きさ、走行距離、それから残業した時間、それから都市部とその他の地域、こういう分類の中で基礎額が決まっており、しかもいま申し上げたようなものを加味したもので、算定基準というのがあるわけですよ。私はそのことじゃなしに、お聞きをしているのは、二年に一遍ずつ料金を上げているわけでしょう、その上げている根拠というのは一体何を基準にして上げておられるのだ、これを聞いておるのですよ。
  141. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 最も大きな要素はベースアップの中身でございます。
  142. 西村章三

    ○西村委員 余り詳しく御存じないようですから、もう少し勉強しておいてください。お願いをいたしておきます。  それから、日本郵便逓送に委託をいたしております業務範囲といいますか、具体的にどういう仕事を委託しておるのですか。
  143. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 最も主要な部分は、郵便局から郵便局まで郵便物を運送する業務であります。それから、その次に主要な業務はポスト等を取集する業務、その二点かと思います。
  144. 西村章三

    ○西村委員 ポストの取集業務もこの会社がやっておるのですか。
  145. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 やっております。
  146. 西村章三

    ○西村委員 郵政省の正規の職員さんは一体何をしておるのですか。
  147. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 ポストは全国で約十一万本くらいあるわけですが、山間僻地と申しますか、地方のポストについては、職員が配達の傍ら取り集めている部分もございます。しかしながら、東京、大阪等の大都市のポストの取集については、専用自動車を使った業者に委託しておりまして、必ずしも日本郵便逓送株式会社だけが委託先ではございませんが、日本郵便逓送株式会社もそういった業務を行っております。
  148. 西村章三

    ○西村委員 郵便集配業務のシェアから言うと、どれくらいをその委託会社がやっているのですか。これは八十六社あるのでしょう。全体のどれくらいをやっているのですか。
  149. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 郵便の運送の、最初申しました郵便局から郵便局までの逓送の問題、それはほとんど委託でございます。先ほど申しました十一万本のポストの取集について、何割が委託であるか、何割が職員による取集であるか、ただいまちょっと資料を持っておりませんので、後ほどお答えさせていただきたいと思います。
  150. 西村章三

    ○西村委員 それでは次に進めますけれども、この会社の役員構成と、私どもの手元に資料を持っておりますが、郵政省の出身者の数をちょっと教えてください。
  151. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 役員構成と郵政省からの出身者数でございますが、取締役十一名中、四名が郵政省からの出身者でございます。それから監査役は二名で、二名が省からの出身者になっております。
  152. 西村章三

    ○西村委員 これは監査役を入れまして十三人の役員中、七人が郵政省関係者と承っておりますが、違いますか。
  153. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 私の資料によりますと、十三名中、六名というふうになっております。
  154. 西村章三

    ○西村委員 そんな数字をころころ変えられると困るのですが、それでは私から申し上げますが、社長が広瀬さんで、これは事務次官の御出身の方ですね。常務さんでお二人、取締役で二人、監査役で二人、十三人の役員中七人郵政省関係者で占められておる、これは明らかにいたしておきたいと思います。  その上に立って私がお尋ねいたしたいのは、いわゆる契約の形態であります。本来、この郵便物運送委託法によりますと、第三条において競争契約、いわゆる競争による契約によらなければならないということが一応明記をされ、例外規定もあるわけでございますが、この場合は競争入礼ですか。
  155. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 随意契約でございます。  それから、先ほどの役員構成ですが、六名と七名の数え方ですが、かつて若いときに郵政省にいた人で日逓にかわられて、長く日逓の職員として勤務され取締役になっておられる方が一名おります。それは先ほどのカウントの中に入れておりませんので、その関係かと思います。
  156. 西村章三

    ○西村委員 私は細かいことを申し上げておるわけじゃないのですが、これは随契ですね。——そうすると、随契の場合、やはり選択の基準といいますか、これがあるはずでございます。この契約基準、これは何ですか。
  157. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 随意契約でございますので、新しい路線の運送委託契約というものを結ぶ場合には、どこと契約するかということを慎重に検討し、幅広く契約対象者を選定しているわけでございますが、一たん結びました路線についての契約は、従来、特段の事故とか業務履行についての問題がない限り契約を更新してまいっております。
  158. 西村章三

    ○西村委員 一たん契約をいたしますと、いわゆる永久に継続していくというような御答弁ですけれども、そんなばかなことはあり得ないわけですよ。当然、会社の安定性だとかあるいはコストだとか、そういうものを勘案して契約を結ばなければならぬわけでしょう。どうでございますか。
  159. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 先生指摘のように、契約上も一応年度を一年ごとに契約することになっておりますし、四年たちますと契約書につきましても再契約するということになっておりまして、その限りにおいては選択の幅があるわけでございます。しかしながら、郵便物の運送という非常に重要な業務をやっておる業者でございますので、郵便事業の運送の安定性、それから、やはり事業者の立場等も考慮し、特段の支障がない場合には、これまでは契約を更新してまいっておるという実情でこぎいます。
  160. 西村章三

    ○西村委員 この臨調答申の中にも指摘をされておりますように、この会社、必ずしも安定性がいいということではございません。先ほど報告をされました決算書類を見てもそうでございまして、五十五年度に六億五千七百万、五十六年度に十三億五千六百万、しかもこの穴埋めは遊休資産を売り払って何とか利益を上げているというかっこうにしかなっておらぬわけですよ。いわば売り食いをして会社の安定性を保っておるような装いをしておる、こういうことでございまして、必ずしも安定性はない。しかし、いまここでそれを申し上げてもしようがないわけでありますから、前に進めますけれども、そういう面では、会社の安定性というものは保たれておらないということだけは、ひとつ明確にしておきたいと思うのです。  そこで、コストの計算につきましてもいろいろと問題があるのですが、会計検査院、見えていますか。——会計検査院は、過去において郵政事業特別会計の中でこの郵便物の運送委託費を取り上げたことはございますか。
  161. 大本昭夫

    ○大本会計検査院説明員 最近の十数年につきましては特に取り上げた事例はございませんけれども、昭和二十年代、三十年代におきまして数件の例がございます。
  162. 西村章三

    ○西村委員 最近は全然検査をなすっておられないようでございますが——何かまだありますか。  それで、会計検査院に引き続いてお尋ねをしたいのですが、日逓に対する支出額は、数字が述べられましたように、二年に一遍ずつ見直されて、五十六年度では四百十三億、非常に膨大な金が支払われ、しかもそれが年々上昇しておる、こういうことでございますね。ところが郵便物数は、五十五年度が約百五十八億通、これで最高です。史上最高の引受数。その年度の支払い額はおよそ三百八十三億ですね。ところが、翌五十六年度は物数が百四十九億通で、前年より八億通減っておる。五・三%減っておる。にもかかわらず、支払い金額は四百十三億、ぐんとふえておるわけですね。これはおかしいと思いませんか。これは検査院にも聞きたい。
  163. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 先生承知のことと思いますが、五十六年に郵便法の改正をしていただきまして料金の値上げをしていただきました。それで、料金値上げによる物数減というものが先生指摘のように五・数%あったわけですが、収入全体としましては約二〇%強郵便事業収入は増加したかというふうに思っております。
  164. 大本昭夫

    ○大本会計検査院説明員 先ほど私がちょっと手を挙げましたのは、検査をしていないようだと先生がおっしゃいましたのは、私は指摘をした事例がないと申し上げましたので、検査は引き続き行っております。(西村委員「それはわかっております」と呼ぶ)  それから、ただいまの郵便物の数量と収入との関係でございますけれども、これは郵便逓送、最近は運送と申しておりますが、この運送の問題は非常に技術的な細かい検査がございまして、これは引き続きやっておりますが、ただいま郵政省から御答弁ありましたような料金値上げの関係ではないかと思いますけれども、そういう全体の数量についての分析ということは特段にやっておりません。
  165. 西村章三

    ○西村委員 検査院、こういう指摘がもう明確になっておるわけですね。今後調査をされる御意思がありますか。その辺だけ明確にしてください。
  166. 大本昭夫

    ○大本会計検査院説明員 先ほども申し上げましたように、引き続き検査は続行しておりますけれども、これを機会に、先生のいろいろ伺いました御趣旨を体しまして、経済性、効率性について今後とも十分検査してまいりたいと存じております。
  167. 西村章三

    ○西村委員 鋭意調査をしていただくようにお願いをいたしまして、次に移ります。  ところで、いまのこの問題に関連をいたしまして、日本郵便逓送の従業員が加盟をいたしております全逓信労働組合、この全逓がことしの一月から経営改善委員会なるものを設置をいたしまして、改善計画を作成して発表いたしております。この日本郵便逓送株式会社の合理化案を提案をしているのですが、郵政省、この労組みずからの合理化案というのをごらんになりましたか。承知をしておられますか。
  168. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 先般新聞に出ました先生いま御指摘の記事は承知しております。ただ、実は日逓の経営改善につきましては、当然会社側が主体性を持ってやるべき事柄でございまして、会社も鋭意努力しておるところでございます。  実は、昨年の十二月十三日に会社側から日逓労組に対して合理化案というものをぶつけております。内容は、約二千人に上る人員を五十七年度から六十一年度までに合理化するという内容でございます。  先生指摘の労組の改革案というものは、その会社の提案を受けて労組内として検討した結果、主として助手でございますが、助手の整理につきましては約千二百人合理化するということを提案してきたという経緯でございます。
  169. 西村章三

    ○西村委員 それは会社の方も検討をしていたのでしょうけれども、むしろ提案をしたのは、労働組合の方が逆に提案をしておるわけですよね。「全逓では、さる一月、経営改善委員会を設け、組合自ら企業体質を再検討。その結果、中、小型輸送車の二人乗務制を原則として廃止し、一人で取り集め業務を行うことなどを骨子とした経営改善計画を作成した。全逓では、これにより、約千二百人の合理化ができると試算する。」ということなんですよね。  本来、合理化だとかあるいは雇用の不安につながる問題を最も忌み嫌うのは労働組合なんです。それが、みずから自分たちの会社の危機感を感じて逆に提案をしておるわけですね。ところが一方、会社の方、いわゆる雇用主の方ですね、あるいはその業務を委託しております郵政省の方は、これに対して何ら反応も示しておられなかった。会社の方は考えてはおったんでしょう。考えておったんでしょうけれども、具体的に提案をしてない。これはまさに本末転倒じゃないですか。
  170. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 会社側も、ただいま申しましたように二千人に上る合理化案を作成し、それを昨年の十二月十三日に組合に提示しておるというように承知しております。それに対する対案として、千二百人の合理化案を組合が再提案してきた、こういうふうに承知しております。
  171. 西村章三

    ○西村委員 これは組合が再提案するなんということはあり得ないんですよね。だから、先に取り組んだのは組合の方が取り組んでおる。指摘をされてやっと会社の方も重い腰を上げた。しかも、郵政省の方は何らこれに対してしてないじゃないですか。管理監督の責任はないんですか、全く。放置をしておったということですか。
  172. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 ただいま申し上げました会社側が提案した二千人に上る合理化案につきましては、荷主である郵政省も経営者を督励してそういった厳しい合理化案を作成させた経緯がございまして、荷主である郵政省が全く関与していなかったということはございません。
  173. 西村章三

    ○西村委員 これは時間の問題がありますから、押し問答になってもいけませんのでこれ以上申し上げませんが、仮にこのことが事実とすれば、いわゆる運送委託業務費そのものもコストダウンが可能になってくるということが言い得るわけですね。契約金額も低減することが可能だということになります。したがって、いままで結んできましたいわゆる随意契約の基準が甘かったのか、あるいは基準は甘くなかったけれども、その認定が甘かったのか、この辺にも私は一つ問題があるように思うのです。この点について何か思い当たることございませんか。
  174. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 赤字の主たる原因がやはり人件費でありまして、この人件費が他に比べて非常に高いというのは、ただいまも先生からも御指摘がありましたように、中小型車においても二人で乗務しておる、そういった事実があったわけです。もちろん交通ふくそうの都市部において、一人乗務よりも二人乗務の方が安全面等においてまさるという点は否めませんが、しかし経営の実態からしますと、当然そういった安全性には十分注意を払いながら一人乗務にしていくというようなことをもっと早期に実行すべきではなかったかという点は、深く反省しておるところでございます。
  175. 西村章三

    ○西村委員 郵務局長から反省をしておるというお話もございましたので、これ以上追及いたしませんが、いずれにいたしましても行政努力というものが不足をしておったという事実は否めないと思います。  郵政大臣予算委員会においでになりましたので、いまいろいろと申し上げてまいりました点につきまして、戸井田政務次官の方から御感想と、今後この問題について郵政省として調査をし見直すということをやるのかやらないのか、このことについて御答弁をいただきたいと思います。
  176. 戸井田三郎

    ○戸井田政府委員 いま西村委員御提案の質疑の中で、大変基本的な幾つかの問題が含まれていると思います。その一つは、民間の企業であれば、すべての問題で欠点があればそれは収支に誤りが出て経営そのものが脅かされる。しかし国の事業として経営しておりますこの郵政事業というものは、そういったものがないかわりに、非常に強い責任と厳しい姿勢で見ていかなければならないことは御指摘のとおりだと思います。その観点に立って、この事業はやはり国民の信頼の上に立たなければなりません。当然そういう観点に立って厳しく見ていかなければならないことは御指摘のとおりだと思います。私どもいまそのお話、やりとりを聞いておりまして、真剣にこういった問題についても考えていかなければならないと考えております。
  177. 西村章三

    ○西村委員 終わります。
  178. 左藤恵

    左藤委員長 次に、藤原ひろ子君。
  179. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 郵政大臣が去る二月の九日に郵政事業に対する所信表明を行われたわけでございますが、その中で郵便事業の問題に触れて、こういうふうにおっしゃいました。「今後とも、事業運営の効率化、合理化の推進に努めますとともに、多様化する国民のニーズに即応したサービスを提供して、郵便事業に寄せられる国民の皆様の信頼にこたえてまいる所存であります。」こういうふうに述べられたわけなんです。  そこで、私は、郵政省が効率化の一つとして、一昨年の三月から始めておられます配達一度化の実験、この問題についてお尋ねをしたいと思います。  この配達一度化の実験を行っている局は現在幾らになっているのか、また今年度の計画としては幾らふやす予定なのか、また五十八年度はふやすのかどうか、ふやすのであればどのような地域でどれだけふやす予定なのか、御報告いただきたいと思います。
  180. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 配達一度化の計画でございますが、現在全国で百九局で実験を実施いたしております。なお、五十七年度、本年度につきましては、さらに単独定員配置局で百五十局、総合定員配置局で七百五十局程度を目途に、ことしの八月の末までに実施をいたすべく準備を進めておる段階でございます。なお、来年度、五十八年度の実施につきましては、現在関係の労働組合に提案中でございますが、計画としては単独定員配置局四百局、総合定員配置局千六百局程度まで拡大実施する計画でございます。
  181. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、この問題につきましては、昨年の二月にも当委員会質問をしたことがございますが、この配達の一度化が実験的に始められましたのが一昨年の三月からですから、早く始めた局はもう二年近くになるわけですね。郵務局はこの実験について、中間的にでもまとめられたことがあるのかどうか、もしまとめていらっしゃるのでしたら、どのようなメリットがあるのか、また改善しなければならないという点はどういう点なのか、御報告をいただきたいと思います。
  182. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 実験の結果取りまとめたものにつきまして総括的なものは持ち合わせておりませんが、配達一度化の考え方は、諸外国の例にも見られますように、住宅地におきましては郵便の配達は一度で十分ではないか、むしろ二度行うことは必ずしもサービスの基準からいって適切ではないのではないかという観点からと、さらに職員の週休二日制の実施のための労働余力を生み出すという観点から実施してまいっておるところでございます。  なお、実験当初は若干の問題があったことは承知しておりますが、実施して時日の経過とともにそういった問題も解消し、現在は特段の問題もなく実施しているというように承知しております。
  183. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 あなた方は二年近くもこの実験をやりながら、中間総括もやらない。中間総括もやらないで実験局だけはふやそうとしていらっしゃる。特段の問題もないというふうな御答弁ですけれども、そういう中で、五十八年度には普通局の半分以上にも当たる局でこれを実施しようとしておられるわけですから、こうなったら実験とは言えないわけですね。もう本格的な実施の段階に入るというふうに思う方が常識だと思うのですね。それにもかかわらず、いままでの実験の結果をまとめようともされないというようなことは一体どういうことなのか、私には非常に理解しにくい状況があるわけですね。  私は、ここでもう一度具体的な問題を指摘をしておきたいと思いますので、ぜひ御調査をいただきたいということを、まず最初にお願いをしておきたいと思います。  具体的な問題と申しますのは、集配労働者の健康の問題です。東京の中野の郵便局のことですけれども、ここは昨年の五月から一度化を実施をしたわけです。この中野郵便局の場合は、昨年の五月から十二月までの期間に病気で休んだ集配課の職員は、前の年の同じ期間と比べますと、約三〇%もふえているという実態があります。また、非番の買い上げということが非常に大幅にふえているわけですね。すなわち、勤務がきつくなって病気で休む人がふえているわけです。その休んだ人の分を非番の人が出勤をしてその穴埋めをしているわけです。それでは何のために四週七休にしたのかわからないというふうな声すら出ているわけですね。いかに効率化のためとはいえ、国民にはサービスダウンをして労働者は健康が冒されている。これでは郵便の将来は全く展望がなくなるんじゃないか。配達が一度化を実施している局の職員の健康状態について全面的に調査をする必要があるというふうに思いますが、調査をしていただけますでしょうか、いかがでしょうか。
  184. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 私どもは、配達一度化によって職員の健康状態が悪くなるというふうには考えておりません。  と申しますのは、配達一度化の実施によって、先生指摘の点は、これまでは一日の労働時間が七時間十八分であったものを、配達一度化を実施する際には一日の労働時間を八時間にすることにして、そのかわり、実施前は四週間に五日の休みであるものを、四週間に七日の休みにする、二日休みをふやす、そういった面での労働条件の改善を行っているわけでございます。  したがいまして、男子の職員、若い人もおりますし、若干年配の人もおるわけでございますが、郵便の配達業務に従事する男子の職員が、一日の勤務時間が七時間十八分から八時間にふえたということによって生じる健康上の問題というものはほとんどないというふうに思っておりますので、恐らく中野局の先生指摘の例は、他の原因による病気の休暇の増加ではないかというふうに考えるわけでございます。
  185. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 実験されて、その総括もされないで断定が起こるということはやはり問題があるのではないか。ですから調査をしていただきたい。一度化によって健康が悪くなっているのかどうか、よく現場の労働者にも直接声を聞いてもらいたい。一度配達というのは、二度配達のときと比べてどう変わったのか。  具体的に申しますと、まず一人当たりの配達郵便物はふえているわけですね。これが第一です。それから第こに、配達時間は長くなっているわけですね。郵便物がふえて地域が広がるのですから、これはあたりまえのことです。集配作業といいますのは、屋内の作業と違いまして屋外の作業ですね。自転車かバイクに乗って走り回る仕事ですから、冬は体が冷え込みます。夏は炎天下の中で走るわけですから、これまた大変です。涼しくなってから配りましょう、こういうわけにはいかないわけなんですね。ですから、一度化を実施して一日の配達時間を長くするという場合に、まず労働者の健康のことを考えてもらう必要があるというふうに私は判断をいたします。それと同時に、病欠者が出るということは、非番の人を呼び出して勤務をさせるということになっているわけなんですから、実験局の郵便課と集配課の管理職と職員からの非番の買い上げ状況は、実験以前と比較してどのようになっているのか調査をしてもらいたい、こう申し上げているのですから、断定をしないで、きちっとやっていただきたいと要望しますが、いかがでしょうか。
  186. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 先ほど申しましたように、一度化による健康状態が目に見えて悪くなるというふうにはちょっと常識的には考えられないわけですが、ただ、先生が御指摘になりました非番日の買い上げ状況、まあ非番日が従前は四週に、四週五休ですから、一日あったわけですが、配達一度化の実施とあわせてそれを三回にしているわけです。その四週に三日ある非番日を、勤務の状況によって超過勤務として勤務していただくという場合があるわけですが、その具体的な状況については後日調査させていただきたいと思います。
  187. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 先ほど同僚議員の日逓問題に対する質議を聞かしていただいておりましたが、同僚議員も言われたように、よく勉強してくださいというお言葉がございましたね。そういうことで、細かいところまで郵務局長さんが御存じないんでしょうが、調べて指摘をしたならば、それでは一度調べてみましょうということで、非常に頑固な態度をとらずに、きちんとやっていただきたい。一度化によってそういうふうになっているんではないかということを私は主張しているのですから、それはそうなのか違うのか、調べてみなければわからない、ここで机上の空論を言われてもわからないと思いますので、強く要望しておきたい、こう思います。  次に、この一度配達に移行した局の場合は書留のとめ置きがふえているのですけれども、これはなぜふえるのでしょうか。
  188. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 ただいま先生の御指摘でございますが、私ども調査した範囲におきましては、一度化実施前と後と書留の不在配達の状況はほとんど変わっておらないというふうに承知しております。
  189. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 これも私ども調査と違うわけですから、一度調べていただきたいと思いますが、私の聞いておりますところによりますと、書留は、一度目は不在配達通知書は入れない。二度目に不在であった場合に初めて不在配達通知書を入れて、局にとりに来てください、こういうことになっているというふうに思うのですが、これについて間違いないのかどうかという点ですね。一度目に不在であったからといってすぐ不在配達通知書をほうり込んでくる、こんなことになっていないはずだと思うのですが、これは間違いございませんか。
  190. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 第一回目の配達のときに不在であった場合に、第二回目の配達を想定するわけですが、その日に二度の配達を実施できない場合もありますし、先生おっしゃいますように、一回目の配達の際、不在の場合に不在配達通知書を置かないというような指導ではなくて、むしろ一回目の配達のときに不在である場合に、二度の配達を試みた場合にも不在であると予測される場合には不在配達通知書を置くというふうに指導しております。
  191. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、そういう予測をしないとき、そんな予測は勝手にできないはずですね。郵便屋さんがここの家は一度配達したけれども不在だった、次も来たってどうせ不在だというふうな判断はできないわけですね。ですから、とにかく私が聞いておりますのは、一遍行ったら不在だった、そこでもうぽいっと入れてくるのか、それとも二回目また行くのか、その上に立って不在通知書を入れるのかどうかということを聞いているわけです。
  192. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 現実には、先ほど御説明申し上げましたように、一回目のとき不在の場合に不在配達通知書を置くという例が多うございます。ただ、論理的には、先生指摘のように、二回目に配達を試みた場合に在宅の可能性は当然あるわけでございますので、論理的には先生がおっしゃった矛盾があるというふうに思います。
  193. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 論理的に矛盾があるとかないとかではなくて、実態はどうしているのかということを聞いたのですが、一度目に入れてもいいというふうな指導がいっているのかなとも思いますが、実際には聞いてみますと一遍目に入れてくるという状態があるわけですね。なぜかといいますと——私はそれを聞いたのです。一度行って入れてきたからけしからぬと言うたのではなくて、書留の配達というのは案外と時間がかかるわけですね。「こんにちは、書留です。」こう言って声をかけます。そうすると、家の人がおったとしても、玄関に出てこられるまでにはしばらく時間がかかる。そして、書留ですから判こが要る。「印鑑ください。」こう言ったら、また入っていって判こを持って出てこられる間に時間がかかる。労働者が一日のうちに配達をしなければならない郵便物は前よりも一度配達によってふえているわけですね。しかも、早く配ってしまわなければならない。ですから、その合い間に書留が入ってくると、まあ言ったら労働者は大変迷惑なんですね。書留が多い日は大変だ、こういうふうに実際おっしゃっているわけです。そこでどうするのかというと、労働者の知恵かもわかりませんが、不在配達通知書を一遍で入れてしまうのだ、しようがないのだ、そうしないと処理できない、こういうふうに労働者は正直に言っておられるわけですね。論理的に先生がおっしゃるとおりでございましょうがどうのこうのというへ理屈は労働者は言わないわけですね。その結果どうなるのかといいますと、国民が局まで受け取りに出向く件数がふえているわけですね。それで、私は、配達区画をもっと実情に見合ったものにしないと、郵便はますます使いにくく不便なものになってしまって、国民から見放されてしまうのではないかというふうに思うわけです。  先ほど同僚議員の質問に郵務局長は答えて、サービスの質のいかんによっては郵便離れは否定できないとおっしゃり、しかし固有の特性を発揮すれば郵便事業は伸びるのだというふうに発言をされたわけですね。そういう上に立って郵務局長は、このとめ置き郵便物がふえていくという問題について何か解決案を持っていらっしゃるのかどうか。私は決して労働者を責めているわけではありません。やむにやまれずそういう事態が起こっている。そうすれば、その労働者をしかるという解決策ではなくて、そういう中で健康も冒されているという実態があれば、これは解決策を持たなければだめだと思うのですね。おありかどうか、お答えいただきたいと思います。
  194. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、配達一度化によって私ども調査結果では必ずしも不在配達通知書を置く件数がふえているとは認識しておりませんが、いずれにしましても、不在の場合に不在配達通知書を入れて帰局するわけです。したがいまして、利用者は局まで出向かれて書留郵便物を受け取るか、または配達日時指定という制度がございますので、何月何日に配達してもらいたいという指示をされますればその日に配達するという仕組みになっておりますので、そういった制度を利用者の選択によって活用していただきたいというふうに思っております。
  195. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは御答弁になっていないわけです。私が聞いておりますのは、とめ置き郵便物がふえていくという問題について、何か解決案をお持ちですかということを聞いたわけです。それは後ほどで結構ですから、労働者の健康問題も含めて調査をされた上解決策を出していただきたい。それでいいでしょうか。
  196. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 先生の強い御要望でございますので、不在配達通知書の交付状況、持ち戻り郵便物の配達状況等を含めまして、もっとしっかりした調査をして、御報告申し上げたいと思います。
  197. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それではよろしくお願いをいたします。  私は、この配達一度化の問題には、いまも御指摘申し上げましたが、いろいろ問題があるというふうに思っているわけです。こういうことを具体的に解決しないまま、次々にふやしていくというふうなことは、郵便事業の正しい発展のためによくないし、このままでは発展しないというふうに思うのです。ですから、実験であるならもっと実験らしくいろいろな調査をして、それこそ国民のニーズにこたえてもらいたい、このことを指摘をしておきたいと思うのです。  次に、去る二月の十四日から実施しております郵便窓口取扱時間の短縮の問題、これについてお尋ねをいたします。  皆さん方はこの取扱時間の短縮は郵便事業の効率的な運営のために行うのだというふうに説明をしていらっしゃいますが、これによるメリットは何か、またデメリットは何なのか、御説明をいただきたいと思います。
  198. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 先生指摘のように、この二月十四日から郵便局の窓口取扱時間の短縮を行ったわけでございます。従来の窓口取扱時間は昭和二十四年に定められたものでございまして、自来ずっとそれを踏襲しておったわけでございますが、社会情勢の著しい変化等に即して考えますときに、若干短縮することの方が全体として整合性がとれるのではないかということで、サービス水準の見直しを行ったところでございます。従来、普通局では朝八時から夜の八時まで十二時間体制をとっておりましたものを、今回の改正によりまして朝の九時から夜の七時までというふうに短縮したわけでございますし、無集配特定局では従来の十時間体制から八時間体制ということで二時間短縮しました。なお、日曜日における取り扱いにつきましては、原則としてやらない。例外的に全国で六十数局日曜日の午前中取り扱う局を残しておりますが、原則として日曜日の取り扱いをやめるということにいたしたわけでございます。
  199. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、少し具体的なことをお聞きしたいと思いますが、これは従来もあった制度ですけれども、集配をやっている普通局の場合、速達などの特殊郵便物の受け付けをやっておりました。これはどのようなことになるのでしょうか。その改正の中で終日受け付けるというふうになるのでしょうか。
  200. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 速達の取り扱いに関してのみ言えば、従来と同様でございまして、窓口時間を短縮した局につきましても、夜間窓口等で職員が待機する限り受け付けるということにいたしております。
  201. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 終日受け付けを行う局は減るということになるわけですね。  では、とめ置き郵便物の交付時間、これはどうなるのでしょうか。これは窓口取扱時間の短縮と同時に交付時間も短くなるのでしょうか。また、従来日曜・祭日などは午前中窓口を開いておりましたね。今回の措置で日曜・祭日は窓口を閉めるということになった局の場合は、書留などのとめ置き郵便物の交付も行わないということになっているのでしょうか。
  202. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 窓口取扱時間は、先ほど申しましたように原則として二時間ほど短縮をしたわけでございますが、不在配達のとめ置き郵便物の交付につきましては、従来どおりの時間の範囲内で行うというように指導しております。
  203. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 従来どおりということをいま明確におっしゃったわけです。実は、私はこのことが大変心配でしたので、一体どうなるのかなと思いましてある人に書留を出してみたわけです。先方は留守でしたので、当然不在配達通知書をポストに入れたわけですね。その不在配達通知書をここに持っているわけですが、これは都内の普通局です。ここに記入されております取扱時間は、先ほど説明された普通どおりですというのとは違って、「平日は九時から十九時まで、土曜日は九時から十五時まで、日曜日、祝日は窓口業務はいたしません」こういうふうになっております。これはそれじゃどういうことでしょうか。書留の場合、以前とは変わっておりませんと先ほど明確におっしゃった局長さんの説明が正しいのか、それともこの通知書の方が正しいのか、いかがでしょうか。
  204. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 今回の改正に伴いまして、先ほど申しましたように、窓口取扱時間外でも従来の時間の範囲内において不在配達の郵便物については交付するように指導をしておりますが、できるだけ新しい時間内に受け取っていただきたいという趣旨から、不在配達通知書には時間外交付についての表示は行わないようにしております。ただ、郵便局の窓口掲示板等につきましては、従来どおり時間外に取り扱うという旨を掲出して周知をしていくという状況でございます。
  205. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 そこで、一つだけではだめだと思って二つ出してみたのです。そうしましたら、この不在配達通知書に記入されている時間は全く一緒なんですね。これでは、これを受け取った一般の国民は従来どおりの時間に郵便局へ行けば書留や小包が受け取られる、いただくことができるということはだれも思わないわけですね。局長さんはここで、従来どおりというふうに指導している、まあまあしかしできるだけ新しい時間内に受け取ってほしいという気持ちはある、しかし従来どおりやるんだとおっしゃるけれども、これを見たらだれもそんなことは思いませんね。「平日は九時から十九時まで、土曜日は九時から十五時まで、日曜日、祝日は窓口業務はいたしません」と書いてあるのですから、ただしとか、なおとか、そういうただし書きは一切ないわけですね。二つともそうなんですよ。これはあなた方本省が、不在配達通知書には改正された窓口時間だけを書きなさいというふうに指導されたのでしょうか。それとも、この現場の郵便局長が勝手にやっておられるのか。いまの局長さんの答弁では、従来どおりと指導している、できるだけ皆さんには窓口を狭めた、時間短縮したそれに協力はしてほしい、これは願いでしょう。どうなんでしょうか。本省としてこういう指導をされてやっておられるのか、それとも勝手にこれは行き過ぎですか。
  206. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 不在配達通知書の取扱時間は、従来も窓口取扱時間を明示しておりましたので、今回も改正された窓口取扱時間を明示しておるということでございまして、気持ちの上では新しい勤務時間、窓口取扱時間の中で受け取っていただきたいという強い気持ちがあるわけでございます。しかし、経過的にも利用者の利便を考えますときに従来どおりの時間内での取り扱いはするように指導しておるという状況でございます。
  207. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 その気持ちとこの文章表現、これには何も気持ちというのは出てこないわけでしょう。  私は、ここに近畿郵政局の郵務部業務課長名で集配局長あてに出された郵業丙第百号、昭和五十八年一月二十八日付の文書の写しを持っているわけです。これを読みますと、次のように書いてあるのです。「一、不在配達通知書は、別記の例を参考に、なるべく窓口取扱時間内に取りに来ていただけるよう」、次が大事ですよ、「窓口取扱時間のみを記入し、時間外については触れないという方法で訂正してください。」こういうものが出ているのですね。触れないようにせよ。気持ちどころじゃないのですね。これはもう書いたらいかん、こう書いてあるわけでしょう。そしてまた、御丁寧に「別記」があるわけですね。はがき大のこういうものをつくって、そしてこれには、こうこうしかじか書きなさい。「土曜日の窓口取扱時間は十七時まで、日曜日と休日は十二時三十分までです。」これは集配普通局郵告第四十三号の別表に掲げる局。それからまた、集配普通局郵告第四十三号の別表に掲げた以外の局は、「土曜日の窓口取扱時間は十五時までです。」それから、集配特定局の場合「土曜日の窓口取扱時間は十二時半までです。」と、こういうふうに例まで出して近畿郵政局からおりているわけです。  つまり、私が出してこの人が受け取ったこの内容と全く同じものが郵業丙第百号という業務課長名の通達で出ているわけですね。そうしたら、気持ちも何もないじゃありませんか。これは指示文書が出ているわけですね。これは本省が指導してこのような文書を出させているんじゃないか。国会では気持ち、気持ちなどと情感的発言がありますけれども、おなかの中と口とは違うのですね。私は、これでは全く国民を愚弄しておる、国会答弁、国民に対する答弁も全く愚弄だというふうに断ぜざるを得ない。表向きは、時間外であってもお渡しします、こう言っておきながら、直接受け取る本人には、窓口時間に来ないとお渡しできませんという連絡をする、これは全くの詐欺だというふうに思うのです。  このようなでたらめな不在配達通知書は即刻つくり直すべきだというふうに私は思うのですが、この論議を聞いていただいて大臣にお聞きしたかったのですけれども、答弁はいかがでしょうか。
  208. 戸井田三郎

    ○戸井田政府委員 当然、国民に対するサービスという面から見れば、国の事業でありますからできるだけ最善の努力をしなければなりません。しかしながら、一方、事業としての経営でありますから、その経営の採算性というものも考えなければなりません。そして、いろいろな社会的な情勢の変化にも対応していかなければならない。そういういろいろなことを考えた一つの形として窓口の問題やあるいは配達一回の問題などが出てきたんだと思いますが、それが、サービスが二回あったものが一回になることによって、二が一になったんだから後退じゃないかという一つの見方もあると思います。しかしながら、いままでよりも合理化することによって非常に進展してきたから、そういう面でその面がカバーできたということもあるいはあるかもしれません。いずれにしても、国民へのサービスというものを基準にして物を考えていかなければならないという点に立っていろいろな御指摘の点についても検討していきたい、かように思う次第であります。
  209. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いまの御答弁は郵政大臣のかわりに御答弁いただいたのですが、私は、二度を一度ということだけでなくて、いまの簡単に言ったら詐欺行為をどう思われますか、こういうことを言っているわけですね。詐欺行為と言えば言い過ぎかもわかりませんが、国民には、本当はそうではありませんよと言いながら、この通知が行けば、これはうそをついているのと一緒でしょう。それの御答弁を求めたわけですね。  それで、改正をされた窓口時間の間に取りに来いということになれば、詐欺行為であるのかどうか——詐欺がけしからぬと言っているのではなくて、それもけしからぬわけですけれども、首都圏の周辺の住宅街に住んでいる共働きの世帯の場合、書留や小包は受け取れないという人が実際出てきているわけですね。だから、心配してそう言っているわけです。現にそういう人にお会いして聞いたわけですよ。ですから、郵政大臣がいま帰ってこられましたので、政務次官でもどちらでもお願いしたいわけですが、私は、これでは郵便はもう使えませんということを郵政省みずからが言っているということになるではありませんかと言いたいわけですね。  これと同時に、いま申しましたように、言うこととすることが違う、言行不一致、こういうでたらめな郵便事業が全体の一部か知りませんけれどもあれば、全体でたらめだとは言いませんが、こういうことが事実あるということでどうして事業の発展が得られるだろうかと心配するわけですね。だから、そういうことは一部であっても改めなければいけない、このことを主張しているわけです。郵政省は郵便物が減るということを決して喜んでおられるのではないと思うのです。減らすための対策をとっているのだということでもないと思うのですね。ですから、もっと国民が使いやすい郵便局にしてもらいたいということを心から願って、大臣の所見をお伺いしたい、こう言っているわけです。もう時間がありませんから、どうぞ政務次官。
  210. 戸井田三郎

    ○戸井田政府委員 御指摘の点は、やはり一つの制度が改善されるということに対しては、いろいろな意味でわれわれの方も努力をしなければいけないし、それからその制度の運用の中で、生活していく方にもなじみのない場合にはいろいろな誤解を招くから、そういうことがないような努力はしていかなければならない、かように思っております。
  211. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 先生お話でございますが、私ども利用者に対してそのような気持ちは全く持っておりません。しかし、よく考えてみますと、窓口時間を短縮したときに、不在配達の郵便物の交付についてむしろそれに合わせるべきなのか、それとも合わせないのであれば、従来どおりでやるとすれば従来の窓口取扱時間を示すというふうに、はっきり割り切らなかったためにそういった誤解が生じていると思うわけです。したがいまして、気持ちとしては、新しい窓口取扱時間に合わせて割り切ってやった方がよかったのかという反省をいたしておりますが、さらに慎重に検討して善処してまいりたいというふうに思います。
  212. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いまのはちょっと、割り切ってやればよかったと言ったって、もうすでに割り切ってやっているところはあるわけですよ。そういう指示のもとでこういうはがきが行っている。それを国会答弁では、いや、従来のままです、こういうことを言っておられる。それは、現場に対する認識がないのか、それともここでごまかしを言っておられるのかということははっきりしているわけです。窓口にはあります、国民が窓口に来たら、そうじゃなかったんだな、はがきに書いてあるような厳しいことで飛んできたけれども、いや、そうじゃなかったんだな、もうちょっと幅があったんだな。そこで知ったらよろしいという態度でしょう。それは、気持ちどころか相手に対して大変失礼でもあるし、国民を不信に陥らせる。そこのところを、郵政事業を発展させるもとになるのかどうか、本当に信頼して、われわれの郵便事業だ、国民のための郵便事業だということを国民が思わなければ郵政事業も発展しないという点で私は申し上げているわけですね。答弁とこの近畿郵政局の課長名で出されているものとは違うということを指摘したわけですから、もしも気持ちが大切ですということですと、改めてもらわねばならぬ。近々、こういうことで本当は幅があるんですということはこれに明記をしてもらわないと困るわけです。ぜひ改めていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
  213. 永岡茂治

    ○永岡政府委員 先ほど申しましたように、そういったあいまいさが残っておることが国民の不信を生む原因であるという御指摘でございますので、そういったことがないように、やはりどちらかにはっきり割り切って処理していくべきじゃないかというふうに思います。  なお、その割り切り方につきましては、よく現状調査の上対処してまいりたいというふうに思います。
  214. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 もう一遍確認しておきますけれども、気持ちもあります。それから、気持ちだけと違って現実に、先ほどおっしゃったとおり、従来どおりと指導しておられるわけでしょう。だからそれじゃ割り切って、従来どおりと指導してきたのもやめてしまって共働きも取りに行けないような方に割り切ってしまうということを私は奨励しているわけじゃないのです。郵務局長にまずこういった場合はどうなんですかとお聞きした。そうしたら、従来どおりと指導している、しかしできるだけ新しい時間内に受け取ってほしいという気持ちはあるということですから、そこのところ正直に、従来どおりです、しかし効率的にもこうこうこうやりたいので御協力いただきたいと国民に訴えることが割り切ることだ、このようにすぱっと切ってしまうことが割り切ることではないということを、私はもう一度念を押しておきたいと思います。  次に、昨年の十二月二十八日に発表されました臨調の第二、第三部会の合同報告、この中で述べられております信越、北陸両電波監理局の隣接電波監理局への統合問題、これについてお尋ねをしたいと思います。  まず最初に臨調の事務局にお聞きしますが、なぜ信越と北陸の電波監理局は必要がないというふうに御判断になるのか、理由を説明してください。
  215. 新野博

    ○新野説明員 昨年の十二月二十八日に臨調の第二部会及び第三部会の合同報告というのが調査会に提出されております。  それのブロックについての考え方を御説明申し上げますと、まず、行政改革の観点ということで、機関数なり定員の多い地方支分部局の減量化ということに最大のポイントを置きまして、ブロック機関については管轄区域の適正化及び設置数の整序という問題と複数系統の統合というような問題を中心検討いたしております。  それで、先生お尋ねのブロック機関の設置数を八ブロックにするという問題でございますが、これは昨年の第三次答申におきまして、原則としてブロック数を八を目標として整序するという基準が示されております。この基準は、行政改革に関する従来の行政監理委員会等既往の改革意見でも、標準的な八ブロックということがいろいろ提言されておりますし、また、ブロック機関の配置の実態から見ても妥当なものであるというのがその基準が示されたときの考え方でございまして、合同部会においてもそれを共通認識として作業に当たったわけでございます。  それで、ブロック機関の管轄区域の適正化、設置数の整序という場合のねらいは、大きく分けて三点ございまして、設置数の削減により行政組織を減量化するということが第一点でございます。第二は、事務の集中化等によりまして、事務運営なり人員の簡素化、効率化を図っていく。それから第三点は、各ブロックの管轄区域や各ブロック機関の所在都市をできる限り共通化するという形で事務処理の円滑化を図っていく。こういう三点をねらいとしたものでございます。  このためブロック機関につきまして、現在の設置数を削減するという場合にどういう形で持っていくかということで、国民なり公共団体との関連が深い一般のブロック機関というものにつきましては、第一、第二の観点とともに第三の観点も重視する必要があるということで、これらにつきましては原則として八ブロックの基準を適用する、こういう考え方をとっております。  しかしながら、現業であるとかあるいは非現業でありましてもきわめて現業性の強い事業等の、いわば現業なり公共事業等を実施するブロック機関というものにつきましては、事業的性格が強いということと国土なり自然条件等との関連が深いということで、これらにつきましては事務事業の実態に応じて設置数を削減する、そういう基本方針にのっとりまして、電波監理局につきましては、郵便貯金、保険等の現業とは異なる一般の行政をやるブロック機関であるということで、ブロック数を八を目標として整序するということになったわけでございます。  その場合に、標準的な八ブロック制ということと組織の規模なり主要業務量等を勘案いたしまして再編成するものとして、提言のような内容になっておるものでございます。
  216. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いまるる述べていただきましたが、要は、この電波監理局全国に十局ある、これを二つ減らして八つにしたい、全国を八ブロックにするという臨調の基本答申があるから、それに沿って決めたまでだということだというふうに思うのですね。  私は、行政改革という場合に、これは単に役所の数を減らせばよいというものではないというふうに思うわけです。それだけが判断基準であれば、それはもう行政改革とは縁もゆかりもない。なぜなれば国民に対するサービスダウン以外の何物でもないと思うからですね。  そこで、郵政省にお尋ねをしたいわけですが、もし仮に信越と北陸の地方電波監理局が廃止された場合、電波や電気通信利用するその地域の人たちにとってはどんな障害が出てくるのでしょうか。余り大した障害はないのでしょうか。
  217. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 地方電波監理局は、電波それから電気通信行政におきまして国民と直接接触をする窓口機関でございます。また、その所掌する行政事務というものがきわめて現地的性格が強いというふうに私どもは認識をいたしておりまして、また、そういった事務が近年、電波、電気通信利用の増大に伴いまして、利用自体が増大をする、また多様化をしてくるということでございまして、行政事務もそれに伴いまして増加をしているという状況でございまして、こういった地方電波監理局のその地域における役割りというのはきわめて大きいものがある、こういうふうに私どもは認識をしているところでございます。
  218. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 そうすると、昨年の九月三十日にこの問題については検討すべき問題が多いというふうに述べておられましたね。こういうことがいまも変わっていないわけですか。もう一度お願いします。
  219. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 いま申し上げたようないろいろな問題というものは、現地処理機関として、ブロック機関としての両機関というものを廃止すれば、これはいろいろ出てくるであろうということは私ども認識をいたしております。
  220. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 実は私もそう思っているわけです。それで、どのような影響が出てくるのかということを現地の方にもいろいろ話を聞いてみたわけです。そうしますと、町長さん、村長さん、消防署長さん、農協、漁協はもちろんのこと、長野県ではめがぬ屋さんまで、廃止されたら困る、こう言っておられるわけですね。  ここに信越、北陸の反対を——反対というか、困るとおっしゃっている方がずっとこうあるわけですけれども、私はなぜめがね屋さんが反対されるのかなと思ったのですけれども、よく聞いてみますと、めがねの洗浄器ですね。洗浄するときに高周波電波を使う。私もそう言えば、めがね屋さんに行ったときに、こんな丸い筒のようなものに水が入れてあって、めがねをつけると高周波で水の振動によってすぐにきれいになるということを、ははあ、なるほどやってもらったなというふうに思ったのですが、こういうふうにめがね屋さん、おふろ屋さんもそう言えば使っておりますね。それから病院などではほとんどのところが高周波を使う器具を使用している。それらはすべて地方電波監理局の仕事に関係している、こういうわけですね。だから廃止されたら困るんだということを切々とおっしゃっているわけです。  そこでお尋ねしたいわけですが、北陸と信越の電波監理局の廃止はやめてもらいたい、こういう要請政府にも来ているのかどうか、郵政省にも来ているのかどうか、幾らぐらい届いているのか。この地方の電波に関する苦情件数ですね、これは幾らぐらいあるのか。それを昭和四十六年と五十六年、十年前と比較をしてお答えをいただきたいと思います。
  221. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 両地方電波監理局の存置についてのいろいろな陳情、要請等をトータルいたしますと、約六千件ほど私どもの方に届いてはございます。  なお、もう一つのお尋ねの苦情申告等についての件数、ただいま手持ちの数字がございませんので、また別途調査をいたしたいと思っております。
  222. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私どもが調べたのでは、苦情の申告件数というのは十生前に比べますと約三・四倍になっております。いまお答えがなかったので、これが合っているのかどうか。いまの六千件ということで、これはもっとふえているかもわからないと思うのですね。後ほどまた教えていただきたいというふうに思います。  ということは、電波利用する人が非常にふえているということだと思うのですね。だから、廃止してもらったら困る、こういう方が相当な数だ。その廃止してもらったら困るという方の御意見政府側はつかんでいらっしゃるでしょうか。一、二あれば。
  223. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 一、二例を申し上げますと、北陸は産業、文化、経済はもとより地理的にも結合された独自の圏域を形成していることや、当地方が積雪寒冷地帯としての特殊性から太平洋側との格差を背負っていることを考えればというような趣旨から、廃止をいたしますと北陸の地盤の沈下を招きかねないというような御趣旨等のもの、あるいは行政サービスの低下に結びつくというような趣旨、こういったものが主なものであろうと考えております。
  224. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 当該地方の経済の地盤沈下になるという認識をこの地方の方が持っておられるということは大変なことだと私は思うのですね。これは地方局を減らすかどうかという数の問題じゃない、その地域の産業まで姿が変わってしまうというふうな状況が起こることに心をいたさねばならないと思うのです。ですから、この地方の住民すべての問題にいまなっているわけなのです。  同時に、苦情の内容を私は調べてみたわけですけれども、こういう事例がございます。読んでみたいと思います。「防災無線の混信」の場合、「五十七年六月十日に、防災無線に混信があるとの申告。その内容は、毎日混信するというのでなく、時々というものであった。したがって、調査に行けばすぐわかるというものでなく、結局、六回の調査の後、プラスチック加工のための工業用加熱設備が出す高周波が原因と判明した。これは、長野市内であったため、約一カ月で解決したが、東京から出かけるとなれば、非常にむつかしくなるし、経費もかかる。」それから「タクシー無線の混信」ですが、「五十七年五月に申告。これも、時々というもの。十回の調査の後、テレビアンテナについているブースターが原因と判明。周波数を変換するとき、時々、タクシー無線の周波数とかみあってしまい、混信していた。これは、長野市内であるが、解決までに七カ月かかった。」次に、「不法無線局の摘発」ですが、「長野飯田地区で五十六年九月に申告があった。これは、前の二例と異なり、市内でないため、現在でも予算・要員が少ないこともあって、現地での調査は五十七年一月になった。この調査は、四日間かかり、証拠がためをした後、告発したのが五十七年三月、現地警察署が摘発したのが五十七年十二月になった。」三十二名検挙されているという事態があるわけですね。  こういう事例があるわけですから、この地方の電波監理行政は、十を八にするというふうな機械的なことでうまくいくのかどうかはなはだ疑問がある、むしろこれじゃうまくいかないと断定できるのじゃないかと私は思うわけです。こういう中で、単純に全国八ブロック制にするという理由だけで信越、北陸の地方電波監理局を廃止してはならない、私はそう思いますけれども、臨調さんもよくよく聞いてくださったと思いますから、ぜひこの現場の声を反映していただきたいのと同時に、いまの件につきまして郵政大臣はどのようにお考えになっているのか、お答えをいただきたいと思います。
  225. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 部会の報告は私も承知をいたしておりますが、現在臨調で最終の答申に向けて審議中でございますので、私からとやかくのことを言うべき時期ではないと思っておるわけでございます。ただ、郵政省としては、電波監理の重要性また事務量の増大等については、相当詳しく臨調の方へも説明をしてまいったつもりでございます。  私は、一般論で申し上げますならば、行政改革、行政の簡素化と効率化を願うということになってまいりますと、役所側におきましても、また国民の側におきましても、ある種の苦痛を伴うということはどうしても起こることであると思うわけでございまして、その苦痛の程度を臨調においてどのように御判断願えるかということであろうと思っておるわけでございまして、臨調の十分な御審議を願いたいというのが私のいまの気持ちでございます。
  226. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ある種の苦痛ぐらいでは済まないのではないか、当該地方の経済の地盤沈下になるおそれがあるということをよく御認識いただいて、一般論だけおっしゃっていたのでは地元住民が大変だということを私は指摘しておきたいと思います。  次に、電電公社の改革問題についてお尋ねをしたいと思います。  昨年七月の臨調の基本答申で、電電公社の民営分割案が打ち出されました。そして、政府はこの行革大綱を決めたわけですが、その当時真藤総裁は、経営形態の変更は政府と国民が決めることだ、こういうふうにおっしゃり、公社意見を公にすることはなさらなかったと思うのです。ところが、最近の新聞報道を見ますと、電電公社が今後の経営形態を株式会社にすることが望ましいというような考えをまとめて関係者に配付したと言われているわけです。午前中の論議で、いや、そういうことはないはずだ、報道されることに迷惑しているのだという御答弁もあったわけですけれども、ここまで書かれていたら——関係者に配付したことは事実なのかどうか、関係者というふうな人は何を指すのか。私どもはいただいておりませんから、国会の逓信委員会委員というのはこの関係者の中には入らないのかどうか。こういう記事の内容が正確なのかどうかもございますから、真藤総裁の御説明をまずお願いしたいと思います。
  227. 真藤恒

    ○真藤説明員 いま御質問の中にございましたように、政府国会でお決めになる、われわれはそれに従うべきものだと申し上げたことは、そのとおりでございます。ところが、最近臨調の正式答申が出まして内閣がそれを受けて行革大綱が決まりまして、私どもは臨調の答申に沿って勉強をしろということになっております。したがいまして、その後郵政当局と御連絡をいただきながらいろいろな勉強をいたしております。こっちの方から見たらこうだ、こっちの立場から見ればこうだというような勉強の資料がずいぶん積み重なっておるわけでございます。したがいまして、御存じのように新聞にいろいろ出ましたが、大蔵省筋によればとか、郵政筋によればとか、電電筋によればとか、いろいろなニュースソースで出たのが事実でございまして、私どもが、この前の鈴木先生の御質問にもお答えしましたように、能動的にどうこうしたということではございませんので、勉強の資料がスリップアウトしたとしか考えられないと私思っております。したがいまして、御存じのように報道記事は皆同じものがぽっとそろって出ているわけではございませんので、多分にそういうことだろうというふうに想像いたしておる次第でございます。
  228. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、いまの御答弁を聞きながらこう思うんですね。ひょっとすると知らぬのは総裁ばかりなりということがあるんじゃないかな。私どもが、公社はどんなことをまとめたのか教えてください、こういうふうに言いましても、内部の検討資料だからということでおっしゃらないわけですね。ところが、この種の資料はどんどん流れていっている。新聞だけじゃなくて、私はここに持ってきたわけですが、電気通信情報協会というのが出している「電気通信管理情報」、中を見ますと、電電公社の管理者向けに出されているというふうな雑誌が出ているわけですね。雑誌を出されることに異議があるわけじゃございません。これは出版、表現の自由ですから、出されることについてはいいわけなんですが、この中に「電電民営化を探る」というテーマの特集がありまして、昨年の十一月二十四日に行われた全国電気通信部長会議で配付された公社の改革案が掲載をされているわけです。内容は、朝日新聞で言われているのと大体同じ内容ではないかというふうな感じがするわけですけれども、とにかくこういうふうに部外の雑誌や一般の新聞には資料が渡っている。そんな状態になっているにもかかわらず、能動的にはやっておりませんと幾ら総裁が国会答弁されても、私はどうも不思議だなという点を払拭することはできないわけです。  そこで、私は、公社の改革に絡む問題について少しお尋ねをしたいと思うわけですが、電電公社が株式会社になれば国民にはどんなメリットがあるのか、総裁のお考えを述べていただけませんでしょうか。
  229. 西井昭

    ○西井説明員 お答えいたします。  先生御存じのとおり、従来は、電電公社の主たる仕事は、たくさんございます電話の積滞を解消することと、全国を自動即時化するということが中心でございまして、仕事の圧倒的なウエートがそういうものでございましたわけですが、御存じのように、電気通信といいますのは特に技術的に日進月歩でございまして、電信電話というものはもうすでに産業としては頭打ちに近づいておるわけでございまして、これから先はいわゆる非電話系と申しますファクシミリでございますとかデータ通信でございますとか、そういったいろいろな新しいメディアが発達をしてまいるというのが予測をされております。公社は、こういうものに対応するためにINSという計画を立てておりまして、公社の一応の予測でございますと、二十一世紀、これから十五年ほど先でございますが、二十一世紀初頭には、電話系のトラフィックに対しまして、非電話系のトラフィックは倍ぐらいになるだろう、こういうふうに予測をしておるわけでございます。  そういう事態に対応するために、御存じのとおり、さきの国会に、いわゆるデータ通信に関します第二次回線開放と言われております回線の自由化をいたしまして、そういう事態に沿えるように、データ通信に関しては完全に回線の使用を自由化をする、こういう法案をお願いをして、いま実施に移っておるところでございます。  また、国民にとりましてはそういうものに対して積極的に対応していくということが一番必要なことだろうと思いますが、現在の公社法なりあるいは公衆電気通信法なりというものは、かつての電信電話独占ということを前提にした全体の法体系になっておりまして、そういう新しいメディア、また電気通信の質的な変化、こういったものを想定をしてない法律でございまして、ただいま申しました回線開放につきましても、先ほどもお話のございましたように、付加価置通信というものを全面的に認めるということは、現行の法体系の中でかなり無理だということで、別法を制定しない限りなかなか実施困難ではないか、こういう事態になっております。  そういう事態に積極的に対応できるように、われわれといたしましては、国民のための電信電話から国民のための電気通信というものに積極的に対応するようにしていかなければならない。そのためには、いま申しましたように、技術の進歩によりましてどういうものがこれから出てくるか、きわめて予測の困難な面がございますので、必要な国家統制を受けることは当然のことでございますが、基本的には、新しい電気通信メディアというものに対して自由にかつ積極的に対応できるように、こういうことを臨調にお願いをしたわけでございます。また、そういうことをやりますために、われわれといたしましては、基本的には十分な当事者能力を持って、また徹底的に合理化された経営形態であらねばならない、こういうことを申し上げまして、臨調の基本答申においてもその点については基本的には賛同していただいている、こういうふうに理解をしておるところでございます。  そういうことも踏まえて、われわれとしましては経営形態というのは、ただいま申しましたような今後の先を見通した、そういう意味での十分な当事者能力を持ち、そういう電気通信の変化に対応できるように、また内部的には徹底した合理化された経営形態になり、また、そういう非電話系といいますのは現在でも競争分野でございまして、民間と完全に競争態勢になっておりますので、そういう民間とのいわゆる公正競争、こういうものに適当な経営形態にお願いをいたしたい、こういうふうに考えているところでございます。
  230. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、経営形態を考える上で大事な点は二つあると思う。簡単に言って、その一つは、先ほども触れたわけですが、国民にとってどんなメリットがあるのか、いまの御答弁はよくわからないのですが、そこの点だと思うのですね。それは使いやすくて料金が安いということだと朝の間に真藤総裁がおっしゃったのを私は理解をしているのです。そして最も基本的なことは、憲法で保障されております通信の秘密が守られなければならないというふうに思うのですね。営利を目的としない公社形態よりも、企業利益を目的とする株式会社の方が国民にとってメリットがあるというのはどうにもわからない話だというふうに私は思っております。  なぜかといいますと、たとえば昭和五十三年の夏だったと思うのですけれども、電力会社が為替差益で大きな利益を上げた。ところが、電力会社は、この利益は設備投資に使うので料金は下げられない、こう言ってがんばられたことがございました。そのときは、国民の大きな運動と国会の働きかけ、こういうものが相まって料金をついに下げさせました。いまも原油の値下げに絡んで同じような話が出ております。しかし今度は、経団連が値下げすべきではない、こういうふうに言っておられます。電電公社の場合、株式会社になればこの電力会社の場合と同じようになるのではないでしょうか。当初の予定よりも利益が上がる、そういうことになっても値下げはしないで設備投資に回す、こういうことになるのではないか。それとも、私どもも要求し、公社もいまやろうとしている料金の値下げ、こんなことを株式会社になっても同じようにするようなことはできるのかどうか、こういう点ぜひ真藤総裁にお聞きしたいのですが、ちょっと時間もありませんので……。そこの点が非常に重要だと私は考えているわけです。  で、営利を目的とする企業ともなりますと、国民の利益というよりも企業の利益ということが優先する、こんなことになってしまうわけですね。電力料金の値上げの問題が出てくるたびに国民の方はいつも心配をしているわけです。これは国会審議をしてその内容を国民の前に明らかにするということも別に決められていないわけです。だから、決められる料金が本当に適切なのかどうか国民はわからないわけですね。株式会社になればそういう問題が必ず出てくるのじゃないかということがありますので、この点はっきり申し上げておきたいというふうに思うわけです。  ところで、電電公社も、そして真藤総裁御自身も、INSの形成をすることは社会的な責務であるというふうに先ほどもおっしゃったわけですが、INSを形成するための総費用、総投資額、これはどれぐらい必要だとお考えになっているのでしょうか、これを御説明していただけませんでしょうか。簡単にお願いしたいのです。先ほどのように長いとちょっと時間がかかりますので。
  231. 池沢英夫

    ○池沢説明員 ただいま先生もおっしゃいましたとおり、国民の皆様により安く、より便利で、より豊富な電気通信サービス利用していただく、こういうことでございまして、そういった上からも高度情報通信システム、INSを実現していきたいと考えているわけでございます。この高度情報通信システムの形成というものは、長期の経営の目標でございまして、十五年ないし二十年かけて実現を図っていきたいというふうに考えております。いまの電話のネットワーク通信網も老朽劣化してまいりますと、ディジタルの設備によってかえていくというのが、これまた経済的でもございます。また、ファクシミリとかデータ通信といった非電話系のサービス、これはまだ緒についたばかりでございますけれども、これからまた伸びるであろう。このため……(藤原委員「そういうものの総費用と投資額を言ってください」と呼ぶ)そういうことで、INSのモデルシステムというもの、高度情報通信のモデルシステムというものをいま武蔵野・三鷹でやりたい。そういった実施状況を踏まえて、なおかつ技術開発の動向とか利用者の意向の調査とか需要動向、それから一番大事なんですが、公社の財務基盤を壊さずに財政状況等を総合的に勘案しながら進めていきたいということでございます。(藤原委員「投資額、総費用」と呼ぶ)  投資額としては、モデルシステムの実施状況とか、そういったものを踏まえて勘案をして、これからいろいろと検討してまいりたい、こういうことでございます。
  232. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 聞くところによりますと、二十兆から三十兆という費用をかけて十五年間ぐらいでやるんだとも言われているわけですね。数十兆というところも、そういう報道もあるわけですが、もし仮に十五年間に三十兆かけてやるとするならば、一生に平均二兆円の投資をするということになるわけですね。現在の投資規模はすべてを含めましても約一兆七千億円ですから、莫大な投資をするということになるわけですね。当然のことながらこの投資は固定資産となり減価償却費となって経費にはね返ってくるわけですから、電話利用する国民にとっては無関心ではいられないということなんです。大規模な建設投資の計画はその全容をやはり国民の前に明らかにして、国会でも十分論議した上で、審議をした上で実行に移すということが必要だと思うのです。好きなだけ設備投資はします、そのツケは全部料金でかぶってもらいます、こんな形になってしまったのでは国民はたまったものではありません。こういうことにしないようにするということが大変大切だと思いますが、郵政大臣いかがでしょうか。
  233. 小山森也

    ○小山政府委員 まずその前に、先ほどの西井総務の答弁と関係しまして若干補足したいと思います。  西井総務の答弁の内容は、以前そのような株式会社とかいろいろな関係からこれを臨調に言ったということでございまして、いま現在そういうことで進めているということではないと理解しておりますので、一にかかりましてこれは行政、政治の大きな問題でございまして、一事業者としての願望ということとして私どもは受けとめておるということを申し上げておきたいと存じます。  次に、INSの問題でございます。  INSの問題と申しますと、これは非常に技術的であるかのごとく見えますが、きわめて社会的な影響が多い、大きな一つの容量を持った施設でございますので、場合によりましては、いまのあらゆる電気通信がここにのみ込まれてしまうというようなこともございます。  したがいまして、これの扱いにつきましては、一事業体であるとの考えと同時に、あらゆる既存のメディア、放送事業者であるとか新聞とかいろいろな方々の御意見を聞いた上でこれの使い方についてはいろいろ考えなければいけないのじゃないかということで、いま郵政省といたしましては、INS構想に関する研究会というのを開き、さらに電気通信システムの将来像に関する調査研究会というのをやっております。そういったことによって、この位置づけというものをまず考えるべきではないか。ただしかしながら、いま現在世界的に技術が進んでおりますlSDNの公社ブランド版がINSでございますけれども、この公社ブランド版のINSというものは、やはり電気通信の技術の進歩に伴ってどうしても投資に持っていくべきだとは思っております。しかしながら、その設備投資のあり方というのは、やはり利用者の意向というようなものを十分勘案した上で、国民総体としての負担が少なくて済むような効率的な計画というようなものを十分知恵を出し合って考えていくべきものと考えております。
  234. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、その論議もう少しやりたいのですが、時間がありませんので、最後に私は、人の問題ですね。やはり公社の経営を考える上で大事なことは、職員の働く意欲と創造性ということが大変大切だ。これをどう発掘させるかという問題があろうと思うのですね。そのときに、五十三年の十月と十一月に、この委員会で私は職場管理について質問をしたわけです。  京都の宇治の電報電話局と、同じく京都の市外電話局の問題で、管理者が職員を差別扱いしている。宇治の場合はレクリエーションにも参加させない。京都市外の場合は一人だけ受け持ち台をみんなと離して仕事をさせるというふうなことがあり、また職場の訓練なんかも一緒にさせないというふうなことを日常的にやっていた。こういうことがやはり職員の意欲をそぐということになるから、村八分のようなことを管理者がつくっていったのではいけないという問題と、幾ら一緒に一生懸命やっても特定の人を昇給も昇格もしないで差別されるというふうなことをやれば、やはりまじめに仕事するよりも管理職の御機嫌をとっていくというふうな雰囲気になったのでは、このINSの構想も非常に前近代的なもとでやられるということになるわけです。やはり科学技術の進歩ということは、そういう職場管理も民主的に進歩していくということが何より大切だと思うのですね。そして生き生きとした創造力豊かな職員がつくられる。そこで先端技術を駆使する電気通信事業として発展していくというふうに思うわけですね。そういう職場が温存されているならば直ちに改めていかなければならない、そういう意気込みは総裁はお持ちかどうかという点を一点お聞きしておきたい。  それからもう一つ、総裁が来られることになった最もきっかけと申しますか、近畿通信局の不正経理事件、ああいうものがございましたね。そういう発端があったというふうに思い、総裁はそれを正しく解決するということがやはり大きな仕事だと思うのです。それにつきまして、私も申し上げましたし、村上議員も、また山中議員が参議院でも取り上げてきたわけですが、これは調査済み次第報告する、こういうお約束をいただいているわけですね。それで、村上議員に調査し報告する、当委員会でこの答弁がありましてから、もう大方二年たっているわけですね。ぜひとも約束されたことは実行していただきたいということなんです。そういう点で、改めてここに報告を求めるのと同時に、先ほどの民主的な職場の管理運営、もしも非民主的なことがあれば改めるおつもりはあるのかどうか、この二点について御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  235. 児島仁

    ○児島説明員 私からは前段の問題についてお答えをいたします。  勤労意欲ということで先生がおっしゃいましたが、一言で平たく言いますと、一人一人が働きがいを持てる職場をつくるということに尽きると思っております。先生指摘の点は、在来も私ども指摘をされておることがございます。それ以降ずっと職場管理を通じて私どもとしては先生のおっしゃるようなことのないようにきっちりやってきているつもりでございますが、今後ともさらに努力を続けていきたいと思っております。
  236. 西井昭

    ○西井説明員 お答えいたします。  近畿の不正経理事件に関します詳細なるデータということにつきまして、たしか昨年の二月の末でございましたか、それ以前にもございますが、先生から非常に手厳しくいろいろ御指摘なり御質問なりありましたことは、私も身にしみて感じておるところでございます。その際、公社からも御説明をさせていただいたと思いますが、近畿の問題の中で、あの中でいわゆる業務上関係の深いものと業務上の関係の薄いものとどういう割り切りをしたかということの御説明をさせていただいたと思いまして、またそのとき先生から特に、何と申しますか、職員関係中心として労組関係の対策としてどういうふうな使い方をしておるかということの詳細な資料を出せということでございましたが、これにつきましては、何さま直接業務の関係の薄いというものは、そのときにも申しましたとおり、団体交渉が深夜にわたってそのときにたまたま皆と一緒に食事をとったというものは業務上関係があるということで処理をいたしましたが、その後でいわゆる特定の者が二次会に行った、こういったようなものは業務上関係が薄いということで、弁済の対象あるいは処分の対象にいたしましたわけでございます……
  237. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 済みませんが時間が来ていますので、その細かいことは報告をしていただいたらよろしい。資料をいただけますか、どうですかと聞いておるわけです。
  238. 西井昭

    ○西井説明員 そういういろいろのことがございますので、あのときにごく大まかな資料につきましては先生のところに後日御提出をさせていただきたい、こういうふうに申し上げまして、その後、大まかな資料でございますがお届けをさせていただいた、こういうふうにり解しているところでございます。
  239. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは終わります。
  240. 左藤恵

    左藤委員長 次に、依田実君。
  241. 依田実

    ○依田委員 最初に、先ほど話題に出ましたINS構想、こちらの方から伺わせていただきたい、こう思うのであります。  われわれが聞いておるところによりますと、先ほどの答弁にもありましたように、電電公社ではまだ武蔵野地区でこの問題のモデルケースを研究中だということでございますし、また郵政省でもそういう研究会をつくっておる、こういうことであります。しかし一方では、けさの日本経済新聞などを見ておりますと、この構想に備えて日本を縦貫する光ファイバーによる全国通信網、こういう建設計画が出ておる、こういうことなんでございますが、どちらが本当なのか。研究段階なのか、そろそろ実施に移しておるのか、その辺について伺わせていただきたいと思います。
  242. 村上治

    ○村上説明員 お答え申し上げます。  先ほど来の御答弁にもありましたように、この電気通信ネットワークの高度化ということに関しましては、これは単に日本ばかりではございませんで、欧米先進諸国でも情報化の進展に対処いたしまして積極的に取り組んでおるところでございます。したがいまして、このINSというのは世界にまだ類のないものでございまして、こういったものの構築を円滑に進めるためには多くの技術的課題の確認であるとか、あるいは提供するサービスのユーザーから見ての需要性の評価であるとか、あるいは需要動向の把握というふうなことが必要でございます。そういうことで、INSの構築に関しましては、国民の理解と協力を得ながら進めていかなければいけないというふうに考えておるわけでございます。  そういうふうな観点から、公社といたしましては、先生指摘のように武蔵野・三鷹地区実験的なシステムを構築いたしまして、そして技術的な確認とともに、ユーザー側から見ましたときの使い勝手、あるいは将来への発展性というようなことを評価していきたいということでございます。  そこで、昨年の九月からこれの実験システムの構築に着手いたしまして、来年の九月ごろには総合的な運用試験を始めたいというふうに考えておるわけでございます。そして、こういった成果をもとにいたしまして、昭和六十年に行われます科学技術博覧会、こういった中でもこういった成果を盛り込みまして内外の方にお使いいただいて、そういったいろいろな評価なり御意見を承って、そして昭和六十年度以降、その科学技術博覧会の後全国的にだんだん展開していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  243. 依田実

    ○依田委員 そうしますと、たとえばけさの日経に出ておったような、INS構想を前提にした光ファイバーの全国通信網、こういうものを建設するというようなことは机上のプランであってまだ具体的な構想になっていない、こういうことですね。
  244. 池沢英夫

    ○池沢説明員 いわゆる電話でないファクシミリとかデータ通信、そういった非電話系のいろんな御利用いただける端末、これをINSのモデルシステムで実験をいたしたいということでございますが、一方いままで築き上げてまいりました膨大な電話のネットワークがございます。このネットワークも、五十八年度お願いしております予算では百十万加入の加入者の増設もございますし、一方クロスバーあるいは同軸ケーブル等も含めまして老朽化、劣化してきております設備もございます。これはアナログの設蹄でございますけれども、そういったものを老朽劣化で取りかえていくという、耐用年数も参りまして物理的にも使えない、これはやはりディジタルで置きかえていくという方が経済的に電話のネットワークとしてもでき上がっていく、こういう考え方でございまして、五十八年度の予算におきましても光ファイバーのケーブルあるいはディジタルの交換機といったものをお願いをして、市外通話サービスの維持改善といったものに使っていきたい、かように考えておるわけでございます。
  245. 依田実

    ○依田委員 そうしますと、既成のものの補充という程度の建設である、つまりINS構想を前提にした建設計画じゃない、こういうことですか。
  246. 山口開生

    ○山口説明員 お答えいたします。  ただいまの先生の御質問は、では具体的に五十八年度の予算計画はINS構想のスタートであるかないか、こういう御質問のように思うのであります。それはINS構想のスタートでありまして、私どもサービス全体としてINSを完成をするというにはまだ時間がかかると思っておりますけれども、根幹をなします技術につきまして、特に光ファイバーを使うあるいはディジタルの交換機を使うといった世界的にも最も進んだ技術は、この際計画の中に取り入れまして構築していこうと思っております。ただ、端末等につきましても、INS構想ではいかに豊富にいかに便利にいかに安く使っていただくかということが根本でございますので、そういった端末につきましてはまだ今後もいろいろなものが出てくると思います。それからまた、料金制度もINSの完成時には安い料金で全国あまねく便利に使っていただくということが基本でございますから、そういうことも全部含めますとまだ先になりますけれども、少なくとも設備の構築につきましてはすでにスタートしているというふうにお考えいただいた方がいいと思います。
  247. 依田実

    ○依田委員 その初年度、五十八年度のINS構想に関する設備の投資額が幾らになっておるのかということが一つ。  それからまた、民間需要が果たしてどういう形でどの程度出てくるのか。武蔵野・三鷹のケースがまだ中途半端でございますし、これから科学万博ではテストケースとしていろいろとやって、果たしてどういうものに使えるか、あるいはまた、それに対して民間需要がどういう形で出てくるかということをこれからおはかりになるのでございましょう。ですから、まだ果たしてどの程度民間需要が出てくるかということがおわかりにならぬわけでありますから、そういう段階でハードの方だけどんどん建設していくということになりますと、NHKの言葉じゃないけれども第二の青函トンネルになってしまう。回線だけは太いけれども利用価値がなくなるということでは困るのですけれども、その辺はどうお考えになっているのでしょうか。
  248. 山口開生

    ○山口説明員 確かに、先生おっしゃいますようにむやみやたらに需要を想定せずにつくりますとそういうことになると思いますけれども、私どもも、高度成長時代にある程度予測につきまして苦い経験もございまして、いま申しました将来計画の見通しのやり方も変えておりますし、なお投資につきましては、総裁が着任以来言っておられます借り増しをしないという範囲で効率的に投資をしていこうということにつきまして、徹底した意識改革といいますか、そういう方向努力してまいりました。したがいまして、いま先生が御指摘のように、過剰投資をするというようなことにつきましては、もちろんそんなことはございませんし、現在設備をして更改を兼ねながらやっていっておりますのは、ある程度寿命が来たものについて更改を進めるということと、さらに電話中心といたしまして、まだまだ電話の需要も多うございますので、電話のネットワークを一応ディジタルの方式にかえていく、こういうような方向から進めてまいりたい、このように考えておりますので、過剰投資といったような御心配はないと思っております。
  249. 依田実

    ○依田委員 もう一つは、いまいろいろな産業が不況になっておるわけであります。鉄鋼も自動車も、もちろん構造不況産業はいろいろあるわけでありますが、そういう中でINS構想というのは日本の将来の産業需要に非常な明るさをもたらす、またそれだけに、産業界からいろいろな期待を持たれておるわけです。そういう中で電電公社があらゆる部門を全部自分でやってしまうということですと困るのじゃないかと思うのです。きのうたまたまNHKの番組を見ておりましたらば、荒川区役所の問題が出ておりました。つまり電電公社からそこへ三十人ばかり人を送り込んでソフトの指導をしておる。民間会社としては、電電公社がそういうソフトの指導までやられるのでは自分たちの進出分野がない、こういうようなことが放映されておりましたが、つまり民間との調整公社はここを受け持つ、民間にはこういうところをやってもらうのだという官民の分野調整というようなことについてはどういうお考えを持っておるのでしょうか。
  250. 山口開生

    ○山口説明員 お答えします。  先生が御指摘のような、電電公社が何から何まで、ハードからソフトからデータバンクから全部やるのではないかというような御懸念が一部におありということは私どもも存じておりますが、そのようなことは電電公社としては考えておりません。基本的には、高度情報システムというのは、ネットワークは基幹のネットワークでありますので電電公社がやっていくのが一番効率的であり、かつ技術の統一性からいってもいいのではないかと思っておりますけれども、ネットワークにつながる端末の機器につきましては、今後の情報化社会というのは非常に高度化、多様化してまいりますので、電電公社が何でも開発できるものでもございませんし、何でもメンテナンスできるわけでもございませんので、こういった分野については民間の各通信事業体あるいは組織の方々がおやりになって、公社自体は共存の中でやっていくのが一番ユーザーのためにいいのではないか、かように考えております。
  251. 依田実

    ○依田委員 いまちょっとメンテナンスのお話が出ましたけれども、これが完成いたしますと、それこそ家庭で銀行預金もできるし、あるいは家庭でお医者さんにかかることもできる。いろいろ夢は多いわけであります。しかし、逆を言えば、一たび回線故障でも起こせば、これはニョーヨークの停電じゃございませんけれども、それ以上の大混乱が起きる。こういうことで果たしてメンテナンスに自信があるのかどうか、そういう分野の研究はどの程度行われておるのでしょうか。
  252. 山口開生

    ○山口説明員 公社は、従前からも電気通信サービスの途絶の防止あるいは信頼性については最大の努力を払ってまいってきております。今後のINS構想の中でも信頼性を高くすることはもちろんでございまして、そのための技術開発、これは最近のエレクトロニクスの信頼性というのは非常に高くなっておりますので、そういった技術を導入をいたしまして設備を構築したいということと、さらにこういった高度な技術になりますと、保守をする人間の技術を高めなければならないという問題もございまして、今回の武蔵野・三鷹で行いますモデルシステムには、全国から保守者を、これは中心になるグループでございますが、そういった人たちを集めまして、実際にモデルシステムで保守に従事していただく、そういった人を核といたしまして、今後全国に構築されますシステムの中心となってもらう、こんなことも考えておりまして、御指摘のような保全上の問題については十分に配意をしていくつもりでございます。
  253. 依田実

    ○依田委員 それともう一つ大事なのは、御承知のように、最近総理から電電公社のあり方について早急に検討しろ、こういう指示が出されておるわけであります。そういう中で電電公社というものがこれからどういう形態をとっていくのか、これからはそれが一番の課題じゃないかと思うのであります。そういう中で、公社の経営形態というものがわからない中でINS構想というものがどんどん進展しちゃうということがいいのかどうか、やはり公社形態が先に決まって、その上でINS構想がどういうようにあるべきかということを考えるのが筋じゃないか、こう思うのでありますが、この点総裁いかがでしょう。
  254. 真藤恒

    ○真藤説明員 私どもは、INSを国際的な一つの競争的なものだと位置づけしております。したがいまして、経営形態の問題とINSを整備していくということは、関係がありもするが、しかし関係があってもなくてもやらなくてはならない。いわゆる経営形態のいかんにかかわらずこれは全力投球しなければならぬ問題だというふうに考えております。いま技師長が説明申し上げましたように、いま具体的に投資にかかっておりますものは、INSにならなくても普通の電話サービスにも使えるというところから始めておりますし、INSに向かうためにはまず絶対に手をつけなければならぬところから手をつけているという計画で進んでおります。したがって、御心配になっておりますような過剰投資ということが起こらないような方向を考えながら進んでおるわけでございます。  たとえば家庭の電話が入っておりますいわゆる端局、加入者の線が入っておる電話局の交換機が古くなってきましたら、これは当然ディジタルにかえて、従来どおり電話を使っていただけるという形のやり方で進んでまいりまして、そのうちにその局の範囲内でINSのサービスを御要求なさる加入者が出てくれば直ちにそれに応ずることができるという形を現状においてはとっておりますので、もし世の中でINSの加入者が非常にふえてきて早くやれというふうな状態になり、そういう地域が出てきましたら、そこは特別扱いで具体的な需要に基づいて急速に展開していくというやり方をやりたいと思います。私どもの勝手な予想で勝手な投資は絶対にやらないという方針でいま進んでおります。
  255. 依田実

    ○依田委員 それでは、INSの話題はそのぐちいにさせていただきまして、郵貯の方の話題に変えさせていただきたい、こう思うのであります。  郵貯会計が赤字だ、こう言われておるわけでありますが、現状はどうなっておるのでしょうか。
  256. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 お答えいたします。  郵便貯金特別会計の収支でございますが、昭和五十七年度、これは現在進行中の予算でございますが、この予算の上では、単年度で七百三十一億円、それから昭和五十八年度、これはただいま御審議をいただいております予算の中の予定額でございますが、単年度で二千三百二十六億円、それぞれ赤字を見込んでいる状態でございます。  なお、それ以降の収支につきましては、金融、経済等諸情勢流動的でございますが、現状のまま推移するというふうに考えますと、昭和五十九年度にはこれが改善に向かいまして、昭和六十年度には黒字が生じ、なおかつ昭和六十一年度におきましてはこれまた単年度黒字によりまして累積赤字もほぼ解消する、こういう形で収支の改善が図られるもの、このように考えております。
  257. 依田実

    ○依田委員 五十七年、五十八年の赤の最大の原因は何ですか。
  258. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 ただいま御質問のございました点につきましては、郵便貯金の利子などのコストが民間金融機関に比べまして低いにもかかわらず、いま申しましたような一時的な赤字が生じてまいるわけでございます。この理由は、預託利率が政策的に他の長期金利に比して低いということ、それからまた、政策判断によりましては、私ども大変低いコストで賄っておりますこの郵便貯金のコストすら賄えないほど低位に決定されるというふうなことによるものであるというふうに見ております。
  259. 依田実

    ○依田委員 現在個人貯蓄の大体三〇%、七十兆が郵貯だ、こう言われておるわけであります。そのうち約九割は定額貯金だ、こう言われておりまして、またそのうちの二十三兆は例の一番高い利率の八%、これで預けられておるのじゃないか、こういうふうに考えられるわけであります。  そうしますと、いまおっしゃったように預託利率が低い、こういう状態の中で今後推移していくと、八%の利率を償還していかなければならぬ。その黒字になるという根拠がなかなかわからぬのでありますけれども、五十九年度以降どうして黒字になるのですか。
  260. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、定額貯金は御承知のように六カ月間の据え置き期間の後十年間預け入れが可能でいつでも引き出しが可能というものでございますけれども、たとえば昭和五十五年度におきまして御指摘のような張りつきの状態があったことは事実でございますけれども、いま申しましたような商品の特性からいたしまして、お客様方が随時払い戻しをされていくというのもまた事実でございます。同時に、また一面で、毎年度、ただいまのところは先ほど申し上げました預託利率と定額郵便貯金の三年ものの利率との利差が、具体的な数字で申し上げまして一・三%ございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、新しい現在の状況におきますような利差のあります預金というものが現在のような状況で入ってまいります。こういうふうな状態が続きますと、先ほど申し上げましたような、これから先の各年度におきますような状況が出てくるであろうというふうに推測をいたしておるところでございます。
  261. 依田実

    ○依田委員 いま八%の利率を払っておる定額二十三兆と私は申し上げたのですが、この数字は正しいのでしょうか。
  262. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 大体御指摘のとおりだと考えております。
  263. 依田実

    ○依田委員 それは金利は、庶民からすれば高い方がいいにこしたことはないので、私も定額貯金をやらせていただいておるのでありますけれども、しかし、これでもって赤字になってそれを税金で補てんするということでは、結局自分で自分の足を食うというようなことになるわけでありまして、十年間という非常に長い期間同じ利率を続けるというのがいまの金融情勢の中で果たしていいのかどうか。この定額貯金を見直せという声が非常に多いわけでありますが、この見直しというのはおやりになる御意思はありませんか。
  264. 鴨光一郎

    ○鴨政府委員 ただいまの先生の御指摘の中で、税金を食っているのではないかという御指摘がございましたけれども、私どもの郵便貯金特別会計はいわゆる独立採算性をとっております。したがいまして、これまでのところも過去赤字、黒字を何度か単年度繰り返し、なおかつ累積の黒字あるいは累積の赤字を生じてきたことは先ほどもお答え申し上げたとおりでございますけれども、その赤字につきましては私どもの郵便貯金特別会計の負担におきまして借り入れをして賄っている、そういう形で独立採算をいたしております。その赤字と申しますものは、先ほど申しました黒字が生じました場合にそれによって補てんをし、なおかつ累積黒学になりました場合にはこれを積み立てておくというのが現在の私どもの会計の処理でございます。  なお、定額貯金の見直しの点でございますけれども、ただいま臨時行政調査会におきましていろいろ御論議がございます中で、去る一月に提出されました第四部会の報告におきましては、御指摘のように定額貯金の見直しという記述がございますけれども、御承知のように、現在三月の最終答申に向けましての調査会での御審議がなされているという状況でございますので、私ども、その審議状況を重大な関心を持って見守らせていただいているという状態でございます。
  265. 依田実

    ○依田委員 これは前にずいぶん議論されたことで、繰り返すあれじゃないのですが、大臣がかわられましたので、ちょっと一言、大臣の御意見を伺わせていただきたいと思うのです。  去年あたり、いわゆる官業と民業のあり方を見直すという、そしてまた郵貯懇というのが開かれまして答申が出ておるわけであります。この官と民の補てんの仕方、これについて大臣はどういうお考えをお持ちになりますか。
  266. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 私は、個人的には、官と民ということを、一義的に官は余りよろしくない、民が善であるというふうに決めつけたり、あるいは官は間違いがない、民は危険であると決めつける、いずれも適当でないのではないか、それぞれ果たしております役割りに応じて、官を評価しあるいは民を評価するということが適当なことではないか、私はそう思っております。
  267. 依田実

    ○依田委員 確かにそのとおりなのでありますが、郵便貯金に限ってはどういうようにお考えになるのですか。
  268. 桧垣徳太郎

    桧垣国務大臣 郵便貯金は官営の貯金システムであるわけですが、御案内のように、百年を超す歴史の中で、全国の津々浦々に至る国民に親しまれ活用されてきた貯金のシステムであるわけでありまして、これは公平に見て評価されてしかるべきではないか。したがって、官営の郵便貯金というものと民間の金融機関がそれぞれその特色を出しながら、お互いに切磋琢磨していくことが国民のためになるものであるというように私は信じております。(「補完じゃないか」と呼ぶ者あり)補完という考えは持っておりません。
  269. 依田実

    ○依田委員 二分くらい残りましたけれども、結構です。終わります。
  270. 左藤恵

    左藤委員長 次回は、明二十四日午前十時理事会、午前十時二十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十三分散会