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1983-05-13 第98回国会 衆議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年五月十三日(金曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長 田村 良平君    理事 工藤  巖君 理事 中山 利生君    理事 宮下 創平君 理事 佐藤 敬治君    理事 石田幸四郎君 理事 青山  丘君       青木 正久君    池田  淳君       臼井日出男君    小澤  潔君       片岡 清一君    北川 石松君       塩谷 一夫君    染谷  誠君       竹中 修一君    谷  洋一君       中村 弘海君    堀内 光雄君       小川 省吾君    加藤 万吉君       上坂  昇君    福岡 義登君       細谷 治嘉君    山口 鶴男君       湯山  勇君    草野  威君       部谷 孝之君    岩佐 恵美君       三谷 秀治君    田島  衞君  出席国務大臣         自 治 大 臣 山本 幸雄君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       太田 壽郎君         自治省行政局公         務員部長    坂  弘二君         自治省財政局長 石原 信雄君  委員外出席者         大蔵省主計局共         済課長     野尻 栄典君         文部省管理局福         利課長     宮園 三善君         厚生省保険局保         険課長     伊藤 卓雄君         厚生省年金局年         金課長     山口 剛彦君         自治省行政局公         務員部福利課長 秋本 敏文君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ───────────── 委員の移動 五月十三日  辞任         補欠選任   地崎宇三郎君     堀内 光雄君   中村 弘海君     青木 正久君   五十嵐広三君     湯山  勇君   小川 省吾君     福岡 義登君   加藤 万吉君     上坂  昇君 同日  辞任         補欠選任   青木 正久君     中村 弘海君   堀内 光雄君     地崎宇三郎君   上坂  昇君     加藤 万吉君   福岡 義登君     小川 省吾君   湯山  勇君     五十嵐広三君     ───────────── 五月十日  地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案内閣提出第四七号) 四月二十八日  留置施設法案の廃案に関する請願高沢寅男紹介)(第二九六二号)  同(長谷川正三紹介)(第二九六三号)  道路交通法に基づく指導取り締まり等に関する請願小川省吾紹介)(第三一一一号)  同(山口鶴男紹介)(第三一一二号) 五月十二日  道路交通法に基づく指導取り締まり等に関する請願上原康助紹介)(第三一三九号)  同(村山喜一紹介)(第三一四〇号)  同(伊賀定盛紹介)(第三一六七号)  重度障害者に対する地方行政改善に関する請願吉田之久君紹介)(第三一六三号)  同(米沢隆紹介)(第三一六四号)  同(石井一紹介)(第三二四九号)  同(奥田敬和紹介)(第三二五〇号)  同(矢山有作紹介)(第三二五一号)  同(山下元利紹介)(第三二五二号)  同(綿貫民輔紹介)(第三二五三号)  同(渡辺省一紹介)(第三二五四号)  同(渡辺美智雄紹介)(第三二五五号)  身体障害者自動車運転免許証に付される重量制限廃止等に関する請願吉田之久君紹介)(第三一六五号)  同(米沢隆紹介)(第三一六六号)  同(石井一紹介)(第三二五六号)  同(奥田敬和紹介)(第三二五七号)  同(矢山有作紹介)(第三二五八号)  同(山下元利紹介)(第三二五九号)  同(綿貫民輔紹介)(第三二六〇号)  同(渡辺省一紹介)(第三二六一号)  同(渡辺美智雄紹介)(第三二六二号) は本委員会に付託された。     ───────────── 四月二十八日  留置施設法案等反対に関する陳情書(第一八六号)  社会保険関係事務移譲及び職員身分地方移管に関する陳情書外一件(第一八七号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案内閣提出第四七号)      ────◇─────
  2. 田村良平

    田村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案議題とし、趣旨説明を聴取いたします。山本自治大臣。     ─────────────  地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  3. 山本幸雄

    山本国務大臣 ただいま議題となりました地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  この法律案は、地方公務員共済組合長期給付に係る業務の適正かつ円滑な運営を図るため、新たに地方公務員共済組合連合会を設けることとするとともに、市町村職員共済組合連合会及び都市職員共済組合連合会を廃止して、新たに全国市町村職員共済組合連合会を設けることとするほか、地方公務員定年制度実施に伴い、定年等による退職をした者のうち、何らの年金を受ける権利を有しない者で一定要件に該当するものに対して長期給付に係る特例等措置を講じようとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一は、地方公務員共済組合連合会設立等に関する事項についてであります。  その一は、地方公務員共済組合長期給付に係る業務の適正かつ円滑な運営を図るため、新たにすべての地方公務員共済組合をもって組織する地方公務員共済組合連合会を設けることとしております。  地方公務員共済組合連合会は、その組織する地方公務員共済組合長期給付に係る組合員給料と掛金との割合を決定するほか、地方公務員共済組合から払い込まれる一定の金額を長期給付積立金として管理し、長期給付に要する資金が不足する地方公務員共済組合に対して長期給付積立金から必要な資金を交付する等の事業を行うこととしております。  なお、地方公務員共済組合連合会は、当分の間、公立学校共済組合及び警察共済組合を除く八十九の地方公務員共済組合で組織することとしております。  その二は、地方公務員共済組合連合会設立に伴い、市町村職員共済組合連合会及び都市職員共済組合連合会を廃止し、新たに全国市町村職員共済組合連合会を設けることとしております。  全国市町村職員共済組合連合会は、市町村職員共済組合または都市職員共済組合給付事務等指導災害給付積立金管理等事業を行うこととしております。  第二は、定年等による退職をした者に係る長期給付特例等に関する事項についてであります。  その一は、地方公務員定年制度実施に伴い、定年等による退職をした者のうち、退職年金または通算退職年金を受ける権利を有しない者で定年等による退職前の組合員期間が十年以上であること等一定要件に該当するものについては、その者の申し出により、退職後も引き続き地方公務員等共済組合法長期給付に関する規定の適用を受ける特例継続組合員となることができることとする措置を講ずることとしております。  その二は、定年等による退職をした者のうち、退職年金または通算退職年金を受ける権利を有しない者で定年等による退職前の組合員期間のうち四十歳以上の組合員期間が十五年以上であること等一定要件に該当するものまたはその遺族に対して、特例退職年金を支給する等の措置を講ずることとしております。  以上が、地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案提案理由及び内容であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  4. 田村良平

    田村委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  5. 田村良平

    田村委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。小川省吾君。
  6. 小川省吾

    小川(省)委員 厚生省においでをいただいておりますので、まず厚生省にお伺いをいたしたいと思います。  高齢者層が増加をしてまいるわけでありますが、二十一世紀に向かって、年金あり方等について厚生省はそれなりに研究検討を進めておられるだろうと思いますけれども、どんなふうに現在の段階では研究検討段階は進んでいるのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  7. 山口剛彦

    山口説明員 わが国公的年金制度、ただいまいろいろの問題点指摘をされております。私ども所管をしております厚生年金国民年金につきましても、わが国のこれからの高齢化社会を控えまして、老後所得保障の中核として大変重要な意味を持っているという認識のもとに、私どもも二十一世紀高齢化社会になりましても安定した年金制度運営ができるようにという基本姿勢のもとに、いまからそのための改革をしておく必要があるという基本方針のもとに、現在、厚生年金国民年金についての改革に取り組んでおります。  私どもの心づもりといたしましては、この次の通常国会にはぜひ国民年金厚生年金改革案提出をしたいということで、現在関係審議会等におきましても御審議をいただいておるところでございます。
  8. 小川省吾

    小川(省)委員 よくわかりました。そこで、恐らく八公的年金一元化等検討もその中に出てくるんだろうと思いますが、厚生省所管になっている厚生年金国民年金お話もいまございましたけれども、まず自分の省の所管二つをどうするかということを先にすべきだというふうに思っておるわけでありますが、いまお答えをいただきましたように、厚生年金国民年金二つをどうするかという点をぜひまず最初に導き出していくべきであろうというふうに思っておりますので、その点を念を押しておきたいと思います。  さて、今回、国家公務員共済公共企業体共済統合スケジュールにのってきたようでございます。これは厚生省指導指示によるものなのかどうか、まずお伺いをしておきたいと思います。
  9. 山口剛彦

    山口説明員 私ども所管をしております厚生年金国民年金あるいは船員保険のほかに、公的年金全体にわたりまして先ほど申し上げましたような趣旨改革を図っていく必要があるということで、政府といたしましては、昨年九月のいわゆる行革大綱におきまして、今後の公的年金改革についての基本的な方針というものを決めております。  簡単に申し上げますと、将来の公的年金制度の長期的な安定を図るために、一元化を展望しながら、給付負担関係等制度全般あり方について見直しを行って、五十八年度末までに改革具体的内容手順等について成案を得るものとするということでございます。それを、厚生大臣が任命されておりますけれども年金問題担当大臣のもとで計画的にやっていこうということでございます。  その方針に従いまして、公的年金制度調整連絡会議あるいは公的年金制度に関する関係閣僚懇談会という場で、将来の公的年金制度改革を計画的にやっていこうということで、すでに関係各省とも協議をさせていただいている段階でございます。今回御審議をいただいております地方公務員共済組合関係法案につきましても、その全体の改革の中で位置づけられているというふうに私どもは理解をいたしております。
  10. 小川省吾

    小川(省)委員 さて次に、年金給付水準の問題についてお伺いをいたします。  年金とは最低生活費を保障すべきものであるとかの説がございます。また、年金とは現役者生活水準の七割程度を保障するものが妥当であるというような説もございます。一体、年金給付水準というものはどのくらいが妥当であると考えておられるのかという点についてお伺いをいたしたいわけでありますが、年金給付水準の問題についてどのような論議がなされておりますか。
  11. 山口剛彦

    山口説明員 年金給付水準をどの程度のものにしていくかということにつきましては、大変むずかしい問題でございますけれども、従来の考え方を申し上げますと、厚生年金を例にとって申し上げますと、厚生年金の場合、通常典型的にはサラリーマンの方の老後を保障していくという制度でございます。サラリーマン老後保障水準としてどの程度のところが望ましいだろうかということにつきましては、審議会等でもたびたび御議論をいただいているところでございますけれども、従来厚生年金関係では、従前の標準報酬、具体的に申し上げますと、サラリーの中に諸手当等も含めたものでボーナス等は除いておりますけれども、その標準報酬の大体六割程度が望ましい水準ではないかということを一応念頭に置きまして、制度改革が図られてきているということでございます。  それじゃ将来、そういう年金水準というものを望ましい水準ということで念頭に置いてやっていっていいのかどうかということにつきましては、いろいろ御議論のあるところでございますけれども、先ほども申し上げましたような今後の年金制度改革に向けて、私どももどの辺のところが目指すべき水準かということについてはいまいろいろ検討もし、審議会等でも御審議をいただいているわけでございます。  参考までに申し上げますと、次の制度改革のためにできるだけ幅広い方々から御意見をお伺いしたいということで、私ども有識者調査というものをこのほどやらせていただいたんですが、その中でも、サラリーマン年金水準についてどれくらいのところを目指すべきだろうかという御質問をいたしましたところ、先ほど申し上げましたような平均標準報酬との関係で言えば、六〇%程度が適当ではないだろうかという方が四割、六五%程度という方が二割、七〇%と言われる方が二割弱ということでございますので、六、七割というところが大方の人が望ましい水準と考えているんじゃないかというふうに一応受けとめておりますけれども、今後御議論をいただかなければならないところだと思います。  また、いま申し上げましたのはサラリーマンを典型的に申し上げましたけれども、それじゃ農民、自営業の方の水準はいかにあるべきかということについては、また別途の観点から望ましい水準というものを御議論いただかなければならないというふうに考えております。
  12. 小川省吾

    小川(省)委員 今後の議論にまつということでございますけれども、欧米と違って、日本はいわゆる一時金というかボーナスを含めた給与の総量が私どもの具体的な給与総額になっておるわけでありますから、そういう点を十分に意にとめて今後検討をしていっていただきたい、このようにお願いをいたしておきたいと思います。厚生省、結構でございます。  次に、大蔵省お尋ねをいたします。  まず、今回の国公共済公共企業体共済統合を出されておるようでございますけれども、その発意者はだれかということでございます。厚生省指導なり指示があったのか、あるいは臨調指示によるものなのか、あるいは大蔵省独自の判断によってこのような統合法案を出してきたのかどうか、その発意はどこにあるのか、まずお伺いをいたしておきたいと思います。
  13. 野尻栄典

    野尻説明員 お答え申し上げます。  今回私どもが御提案申し上げております国家公務員公共企業体職員共済組合制度統合法案、これの発意はどこかというお尋ねのようでございますが、実は私ども昭和五十五年六月から大蔵大臣私的諮問機関として共済年金制度基本問題研究会というものを発足させまして、それの御意見取りまとめを昨年の七月にいただいたわけであります。  この御意見の中で述べられている大きな柱は二つございまして、一つは、わが国年金制度全体が給付負担バランスが崩れるというおそれがある、つまり、年金支払いの非常に困難な時期がやがて来るという問題の指摘、そのためには抜本的に給付負担の両面から制度全体を見直さなければならぬだろうという御指摘、これが一つの柱でございます。  もう一つの柱は、とりあえず昭和六十年度以降一千億円を超える単年度赤字に陥る国鉄共済組合財政対策を早急に図っていく必要がある。この対策としてはいろいろな検討がなされたわけでございますが、その意見で述べられておりますのは、今日に至る沿革が非常に類似している、いわば一種の昔同根であった国家公務員と三公社共済制度統合する、合併するという言葉で述べられておりますが、そういう方法で当面の急場をとにかくしのいでいくより仕方があるまい、こういう御意見を昨年の七月にいただいておるわけでございます。  それとまた非常に似通った御意見臨調の第三次答申からも出てまいりまして、国鉄共済組合については類似共済制度との統合を図るというようなことで答申にも述べられております。  こういった御意見答申を踏まえまして、それらの御意見に基づいたかっこうで、以後、大蔵省国家公務員共済制度を主管しているということでこの法案取りまとめに当たった、こういう経緯でございます。
  14. 小川省吾

    小川(省)委員 大蔵省独自の判断取りまとめたということでございますが、大蔵の部内でこの共済統合の話が上ったときに、国鉄共済危機的状況を迎えているのは政府責任であるという見地から、政府責任でやるべきだという意見は皆無であったのかどうかという点についてお尋ねをしておきたいと思います。
  15. 野尻栄典

    野尻説明員 ただいま申し上げました共済研検討過程といたしましては、こうした年金支払い不能に陥るような状況にまで来た責任論というのが、議論は確かにされました。されましたけれども、この御意見の中では、その政府責任というものについて、いわば財政的な後始末政府責任を持ってやるということについては否定的な御意見が出ております。つまり、国の負担でこの後始末をするのは適当でないと、はっきりそこでは述べられております。  この国鉄共済が今日のような事態を迎えました原因といたしまして考えられますのは、輸送構造そのもの変化に伴って国鉄職員数が減少してきているというようなこととか、あるいは国鉄自身が持っている職員年齢構成が非常にゆがんでいるというようなことから、そこの独特の問題もあることはもちろん否定できませんけれども、より基本的な問題は、やはり給付負担とのバランスが崩れてしまっているというようなこと、あるいは一企業あるいは一産業という小さな単位で年金財政を仕組んできたことが産業構造変化等に適切に対応し得なくなってきた、こういうところにむしろ真の原因があるわけでございますので、そういったことを解消していくためにも、制度の再編、統合という方向に沿った形で今後の検討を進めなければならないというふうに考えているところでございます。
  16. 小川省吾

    小川(省)委員 そこで、今回統合をされようとしておるわけですが、統合をやって国家公務員等共済組合は今後何年ぐらいもつのか、いわゆる健全な状態を維持できるのかどうか、伺います。
  17. 野尻栄典

    野尻説明員 今回の私ども統合法案考え方でございますが、三公社共済組合もすべて国家公務員共済組合連合会に加入して、国家公務員と三公社約二百万人になりますが、全体でプールするというのが財政的には一番望ましい形でございますけれども、そういたしますと、国鉄以外の共済組合組合員負担が急激にふえるというような激変があるわけでございます。また、年金積立金を一挙にある一カ所に集中して運用するというようなことになりますと、それまで持っていた各共済組合自主性の喪失というのも急激に起こってくる。そういった激変を当面緩和するという意味で、三公社だけは連合会に入らない。入らないで独立運営を当分の間していく。そのために国鉄共済支払い不能という状況はまた残ってしまうわけです。そこで、国鉄以外の共済組合から国鉄共済組合に対して何がしかの拠出金の交付を行うことによって、いわば財政調整事業と呼んでおりますが、そういうことによって国鉄共済年金支払い財源を確保していこう、こういうのが今回の私どもの案になっております。  この案によってどのくらいもつのか、こういうお話でございますけれども、基本的にいま考えておりますのは五カ年計画でございますので、昭和六十四年までのとりあえずの財政対策を考える。先ほど厚生省の方から御説明がございましたように、年金制度全体を通じて給付負担関係見直していくという作業が別途並行して行われることになりますので、そういう形で、その次の段階はさらに全年金制度を通ずる抜本的な見直しというふうなスケジュールにのっていく、その中でさらに新たな展開を図っていく、こういうことを考えているわけでございます。
  18. 小川省吾

    小川(省)委員 いろいろ意見はありますけれども国家公務員等共済組合法審議しているわけではないのですから、いいでしょう。  それで現在、国家公務員共済退職前一年間の平均給与ということになっておるわけですが、公共企業体共済退職給与になっておって差があると思うのですが、これをどう調整しようとしておるわけですか。
  19. 野尻栄典

    野尻説明員 おっしゃるとおり、三公社の方は最終給料年金が算定されます。公務員系統は一年間の平均給与で算定される。今回の法案では、その国家公務員あるいは地方公務員年金制度水準に三公社の方を合わせる、つまり三公社の方方の年金も一年平均給与に直す、こういうことを考えております。
  20. 小川省吾

    小川(省)委員 衆参両院附帯決議でしばしば上っているわけでありますが、「懲戒処分者に対する年金給付制限については、他の公的年金との均衡を考慮して、今後とも引き続き検討すること。」と、附帯決議でずっと何回も上がってきておるわけですが、この附帯決議が初めて上がってからの検討努力状況と今後の検討考え方について若干お伺いをしたいと思います。
  21. 野尻栄典

    野尻説明員 懲戒処分者に対する給付制限につきましては、当地方行政委員会でもあるいは私ども国家公務員共済組合法を御審議いただいている大蔵委員会でも、その点について「他の公的年金との均衡も考慮して再検討する」ようにという附帯決議をいただいていたわけでございますが、この点につきましては、昭和五十六年の四月に実は政令改正をいたしまして、給付制限は従来、処分を受けた後お亡くなりになるまでいわば無期的な制限だったわけでありますけれども制限を受け始めてから五年間の有期制限に改めるということで、緩和措置をすでに五十六年四月に図っているところでございます。  これにつきまして、なお完全な撤廃をすべきではないかという御議論検討過程ではあったわけでございますけれども、まだ現在の共済年金職域年金として公務員制度の一環という位置づけもあるわけでございますから、全く完全に撤廃するというのは不適当、しかしながら五カ年たったらそれは全部戻すというくらいの有期制限にすればいいのではないか、こういう審議会の御意見に基づいてそのように改めております。
  22. 小川省吾

    小川(省)委員 他の公的年金との関連もあるわけでありますから、ぜひまた引き続き研究検討の対象にしていっていただきたいことをお願いをいたしておきたいと思います。  それから、行革関連法案のときに、国庫負担分を実は四分の一地方公務員共済等もカットをされてきているわけでありますが、共済組合財政運営とも関連があるわけでありますが、これはいつごろ返還をしていただけるのか、伺っておきたいと思います。
  23. 野尻栄典

    野尻説明員 厚生年金、それから国家公務員地方公務員共済年金公的負担については、四分の一カットしたかっこうで払い込みを受けておりますが、これは昭和五十九年までの三カ年間の臨時措置でございまして、その時期が経過した後、年金財政に支障を生じないようその後始末をするというようになっております。いつからそれの返還が始まるのか、どういう形で返還が行われるのかは、厚生年金に対するその扱い等とのバランスを見ながら検討してまいりたいというように考えております。
  24. 小川省吾

    小川(省)委員 なるべく早く返還をしてもらわないと、組合の財政運営にも関係があるわけでありますから、お約束でカットしたわけでありますから、ぜひひとつ検討をしていただくようにお願いをしておきたいと思います。野尻さん、ありがとうございました。  さて、本題の地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案について自治省にお伺いをいたしたいと思います。  私は共済の専門家のように言われておりますが、実は素人なんであります。ただ毎年質問をさせられておりますので、共済組合法にかかわる機会が少し多いというだけでございます。素人にもわかるように、明確に要領よく簡潔にお答えをいただきたいと思います。  まず、今回の法改正に至った動機といいますか、改正に踏み切った理由についてお尋ねをいたしておきたいと思います。
  25. 坂弘二

    ○坂政府委員 今回の改正に踏み切りました一番大きな理由は、現在地方公務員共済年金は九十一の組合によって行われておりますが、これは財政的な単位で言いますと十六の単位に分かれておるわけでございます。その中には非常に弱小と申しますか小規模の財政単位もあり、そのために、成熟度の相違等から、同じ給付内容でありながら負担が違うとかいろいろ問題点がございますので、地方公務員共済年金財政の安定化を図るためにこの財政単位を大きくしようというのが最大の理由でございます。
  26. 小川省吾

    小川(省)委員 また、附則十四条の六によれば、地方公務員共済組合連合会公立学校共済組合警察共済組合を除くことにしている理由について伺いたいわけでありますが、都道府県には、警察の定年が若干一般の公務員より早いものでありますから、警察をやめた職員が交通関係や消防、防災関係の職場に大分入ってきております。また、市町村等では教員の退職者が教育長になっている例等が間々あるわけであります。今回の改正ではなぜ二つ共済組合を除外をされたのか、お伺いをしたいと思うのです。また、今後加入させるための方策や加入させようとする時期はいつなのか、そのお考え方についてお伺いをしたいというふうに思っています。  また、いま私が申し上げたような場合、年金は都道府県や市町村の方で支出をしているケースが多いわけでありますが、これらの積立金の移換を図っていかなければ、成熟の度合いとは別に地方公務員共済組合が苦しくなっていくわけであると思いますが、この積立金の移換についてはどうなのか、お伺いをしたいと思います。
  27. 坂弘二

    ○坂政府委員 お答え申し上げます。  まず第一番目に、今回の改正におきまして、本則におきましては地方公務員共済組合全部の連合会をつくることにいたしておりますが、附則におきまして学校と警察関係を除いたのはどういうことかというわけでありますが、いろいろ理由ございますが、大きな理由といたしましては、公立学校共済組合警察共済組合というものは、ほかの地方公務員に比べますと特定の職域の職員のみでもって組織されておるものでございますし、また公立学校は特に大きゅうございます。警察共済組合もかなりの程度の規模の組合員を持っておるものでございます。それに比べまして、他の一般の地方公務員共済組合の場合には、先ほども申し上げましたように非常に小規模なものもございまして、これが非常に問題であるわけでございますので、さしあたり当面緊急の課題といたしましては、これらの警察、公立学校を除いたその他の八十九の組合の財政単位の統合を図るということが、まず第一番目必要であるということでいたしたわけでございます。これはもちろん、先ほど申し上げましたように、警察も公立学校も皆一緒のグループにすることが望ましいことでございますので、これらの二つの組合につきましては、できるだけ早期に加入することができるよう、今後さらに関係者等と十分協議を進めてまいりたいと思っております。  また、先ほどの組合を移った結果の問題でございますが、これは責任準備金の移換の問題になると思いますが、この点につきましては非常に技術的にむずかしい問題がございますので、さらに何か簡便な方法とかいろいろ現在検討を進めておるところでございます。
  28. 小川省吾

    小川(省)委員 組合の成熟の問題とは別に財政的な問題もあるわけでありますから、移換の問題についてはぜひ検討をしていただきたいと思っています。  それから、地方公務員共済組合連合会に対する払込金についてでありますが、法第三十八条の八によれば政令で定めることになっておるようでございます。しかし、聞くところによれば来年度から三〇%、既往の積立金から一五%とされておるようでございます。私は、どのようなことで三〇%と決めたのかわかりませんけれども、これでは福祉事業に支障が生ずるおそれがなきにしもあらずと考えられますが、三〇%と決めた理由は何なのか、及び福祉事業や地方債を単位共済組合が引き受けをしておるわけでありますが、そういう引き受け等の面から支障を生ずるおそれはないのかどうか、お尋ねいたしたいわけであります。また、拠出金をふやす場合には当然国庫負担金を引き上げていくべきだと思いますが、どうでしょうか。また、この三〇%も軽々に引き上げるのはどうかと思いますが、当面、当分この線で続けていくつもりであるのかどうか、お尋ねをいたしておきたいと思います。
  29. 坂弘二

    ○坂政府委員 お答え申し上げます。  まず第一番目に、連合会に拠出する額でございますが、政令で定めることにはいたしております。その考えておりますのは、毎年度の責任準備金の増加見込み額の三〇%相当額、もう一つは五十八年度末におきます責任準備金の現実の積立額の三〇%相当額でございますが、これにつきましては、とりあえず五十九年度においては積立金の一五%相当額ということで考えております。  第二番目に、なぜそのような額にしたのか、それからそれが福祉事業等に影響を及ぼすのではなかろうかというお話でございますが、これは二つ関係があるわけでございまして、御案内のように、現在のところ積立金の三〇%に相当するものは公営企業公庫債とか地方債を引き受けるということになっておるわけでございます。したがいまして、その分を連合会に拠出するかわりに、その公営企業公庫債なり地方債の引き受け義務も、それに見合うものは連合会が負うということにいたしますれば、拠出いたします共済組合の方は、その他の福祉事業等に運用いたしております事業に影響を及ぼさないだろうということでございます。それから、地方債の引き受けに当たりましては縁故資金として充当されるわけでございますが、これももちろん従来どおり、こういうことによって不利な扱いになるとかいうことのないように配意してまいりたいと思うわけでございます。  また、その三〇%を今後軽々に引き上げるべきでないという御質問でございますが、この点につきましては、もちろん今後の連合会運営あるいは各共済年金財政状況等によって将来また変わることはあり得ると思いますが、いずれにいたしましても、関係者とそのような場合は十分協議いたしまして対処いたしたいと思います。
  30. 小川省吾

    小川(省)委員 連合会で地方債を引き受けて、単位共済では福祉事業にやってもらいたいということなんですが、いずれにしても、そういう支障のないようにぜひ配慮をいただきたいと思っています。  それから、地方公務員共済組合連合会運営は、運営審議会方式をとることが第三十八条の四で定められているようでありますが、関係団体の意見を十分に聞いて民主的に運営してもらいたいと思います。政令指定の十市などでも、運営審議会委員をどうしても出したいなどという意見もあるようでございますけれども、政令都市等の意見を十分に反映させるために、運審の中に部会的な要素を持たせる運営を配慮していくことが民主的な意見の反映や運営につながると思うわけでありますが、そのような方法をとっていただけるかどうか、伺いたいと思います。
  31. 坂弘二

    ○坂政府委員 指定都市の問題でございますが、指定都市につきましても、新しくできます連合会運営審議会を通じて連合会運営に参加することができるようにいたしたいと考えておりますが、指定都市の場合は、お話のございましたようにほかの場合とはちょっと異なりまして、ほかの市町村でございますと別に連合組織、あるいは県の職員でございますと全国一本の組織を持っておるわけでございますが、指定都市につきましてはそのような組織がございませんので、そのような点も勘案いたしまして、地方公務員共済組合連合会の具体的な組織や運営方法に関する今後の検討の際に、御指摘のあった点につきましても十分配慮してまいりたいと考えております。
  32. 小川省吾

    小川(省)委員 また、これら運営審議会の役員の選出についてでございますが、大臣任命になっているようであります。従来の既存共済組織やあるいは地公労関係組合等の役員を入れるなどをして、従来のように十分にその意見を酌んで運営に当たっていただきたいと思っておるわけでありますが、そのようにやっていただけますでしょうか。
  33. 坂弘二

    ○坂政府委員 新しく設けます連合会の役員の任命につきましては、役員として最も適任者を得るように、広く共済組合関係者等の御意見も聞きながら十分対処してまいりたいと思っております。
  34. 小川省吾

    小川(省)委員 また、連合会の通常についてもお尋ねをしておきたいと思いますが、従来もそうだったわけでありますが、地公労関係職員団体との話し合いがあってこそ十分にスムーズに運営をされてまいったと思うわけでありますが、スムーズな運営を確保していくためにはどうしても地公労関係団体の参加を保障していくことが必要だろうと思っておるわけでありますが、そのようにお考えになっていただけるかどうか、お伺いをしたいと思います。
  35. 坂弘二

    ○坂政府委員 連合会運営に当たりましては、従来からの地方職員共済組合などの例なども勘案いたしまして、十分関係者の意見を聞きながら配慮してまいりたいと思います。
  36. 小川省吾

    小川(省)委員 それから、現行の国庫負担が地方交付税に組み込まれて、自治体負担とされておるわけであります。このため、東京都などの不交付団体やあるいは公営企業については財源保障が行われていないのではないかと思っておりますが、地方公務員共済年金公的負担分については実額保障を行っていくべきであると思っていますが、いかがですか。
  37. 坂弘二

    ○坂政府委員 共済年金公的年金一つでございますが、公的年金制度におきましては、国、地方公共団体、公共企業体等が一定割合の公的負担をしているわけでございます。地方公共団体の負担につきましては、地方財政計画上必要な財政需要として計上されておりますので、全体としては地方公共団体に必要な財源は確保されている仕組みになっているわけでございます。なお、個々の地方公共団体につきましては、御案内のとおり、地方交付税の算定を通じまして、財源の不足しているものに対しては交付税の交付、あるいは超過しているものにつきましては不交付ということになっておるわけでございます。  それから、地方公営企業におきましても、地方公共団体あるいは公共企業体と同じく公経済の主体といたしまして同様に公的負担を行っているわけでございますが、地方公営企業は経費の種類、いわゆる負担区分によりまして一般財源の繰り出しもございますが、原則として独立採算制をとっておりますので、その中において処理されていると理解しております。
  38. 小川省吾

    小川(省)委員 また、連合会の行っていく事業についてでございますけれども、法第三十八条の二に定められておりますが、財政単位の一元化が重要な目的のようになっておるわけであります。そういう意味では、各単位組合を連合会が束縛したり統制したりするようなことはないと思っておりますが、いかがでございますか。単位組合の自主性を保障していただけるのかどうか。むしろ単位組合を援助をしていただくような方法をとるべきではないかと思いますが、どうなのか。連合会事業についてどのように考え、また単位組合との関係をどのように考えておられるのか、伺いたいと思います。
  39. 坂弘二

    ○坂政府委員 連合会の主要な任務は、掛金の率を共通して計算をするということ、それから財政調整を行うということでございまして、今回のこの連合会設立に伴いまして単位共済組合運営が、もちろん連合会の行う事業となった分についてはその分仕事がなくなるわけでございますが、今回の改正によりまして単位共済組合運営に特段の変化を受けるということはございません。  なお、連合会の仕事といたしまして、「長期給付に係る業務に関する技術的及び専門的な知識、資料等を組合に提供すること。」ということも法律で規定させていただいておりますから、むしろ単位共済組合についてのこのような面における援助ということは行われると思います。
  40. 小川省吾

    小川(省)委員 共済組合の特性は、短期、長期、福祉事業の三本の柱になっておると思います。短期給付を健康保険で行っている組合もあるわけでありますが、これについては今後どのような指導方針で臨んでいくつもりなのか、伺いたいと思うのであります。  また、短期で老人保健法の施行以降いろいろ影響が出ておるわけでありますが、将来展望としてはだんだん苦しくなっていくと思われます。窮迫組合について十分な配慮が必要だと思いますが、配慮をしていただけるのかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
  41. 坂弘二

    ○坂政府委員 共済組合の中には、短期給付を行いませんで、健保によってやっておるところがございますが、われわれといたしましては、本来共済組合による短期給付で医療給付を行うべきであろうと原則的には考えております。いずれも過去の経緯その他によりまして来ている問題でございますので、早急にこれを改革するということは実際的に非常にむずかしいと思いますが、基本的には共済組合の短期給付制度でいくべきであろうと考えております。  それから、老人保健法の施行等に伴う問題でございますが、短期給付の場合、特に組合規模が小さく、組合員負担の格差が大きいのは、市町村職員共済組合に多いわけでございます。そのような点を考慮いたしまして、昨年八月から、市町村職員共済組合連合会におきまして組合間の財政調整事業実施いたしまして、短期給付に係る組合間の負担均衡財政の安定化を図っておるところでございます。  なお、この市町村職員共済組合連合会は、今回の法律をお認めいただきますと別の新しい組織に衣がえいたすわけでございますが、この事業は、新しい組織におきましてなお引き続いていたすつもりでございます。
  42. 小川省吾

    小川(省)委員 地方職員共済組合連合会の事務局組織の問題でございますけれども、どのような構想を考えているのかという点をまずお尋ねをいたしたいと思うのですが、改正法では附則四条で、解散する現在の市町村や都市の両連合会職員については、新しい市町村連合会職員として採用、就職のあっせんをするようになっているわけでございます。共済関係団体のプロパーの職員の就職の保障は、連合会の発足によって完全に保障されると考えてよいのかどうか、伺いたいと思います。
  43. 坂弘二

    ○坂政府委員 連合会の事務組織につきましては、これから関係者の、ことに共済組合関係者の間におきまして十分検討を進めていくべきだと思いますが、基本方針といたしましては、なるべく簡素な組織にすべきであろうということは考えております。  また、この連合会設立に伴いまして、市町村職員共済組合連合会都市職員共済組合連合会二つ連合会が廃止になりまして、新たに一つ全国市町村職員共済組合連合会設立されることになるわけでございますが、御指摘のございましたように、改正法におきまして、その場合「職員としての採用、就職のあつせんその他の適切な措置を講じなければならない。」旨の規定を設けさせていただいておりまして、自治省といたしましても、この点につきましては特に配慮をいたしまして、遺漏のないようにしてまいりたいと思っております。
  44. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひひとつ過去の共済組合職員が路頭に迷うことのないように完全に就職を保障してもらいたい、このことを強く要請しておきたいと思っております。  また、公費負担の問題なのでありますが、現在の公費負担は一五・八五%になっております。私どもは前々から、厚生年金と同様に、公費負担は二〇%にすべきであると主張してまいりました。国家公務員等共済組合法の改正案によりますと給付負担となっておりますが、地方公務員等共済組合法改正案では何ら触れておりません。地方公務員等共済組合法では将来どのように考えておるのですか。給付負担とするとするならば、厚生年金と同様に、公費負担は二〇%にすべきではないかと思いますが、いかがですか。
  45. 坂弘二

    ○坂政府委員 公費負担の問題でございますが、この点につきましては、委員会附帯決議等においても再々いただいておるところでございます。社会保険におきます公費負担あり方といたしましていろいろ議論はございますが、考え方といたしましては、保険料のみでは適当な給付水準を確保することができない場合とか、あるいは被保険者の範囲が低所得者層に及ぶ場合、あるいはその保険事故の性質上被保険者及び事業主だけに費用を負担させることが必ずしも適当でないというような場合に、これらの公的負担の必要性の緊急度等に応じまして、また、社会保障制度全体の均衡を考慮しながら検討すべきものであるというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、地方公務員共済年金公的負担の割合を厚生年金と同様の二〇%にすることにつきましては、各公的年金制度間のバランスとか、あるいは老齢化社会を迎えての将来の年金財政の健全化等の問題を含めまして、国家公務員等の取り扱いも見ながら、今後総合的に検討していくものと考えております。  また、給付負担、拠出時負担の問題でございますが、これは長い目で見れば、給付負担であっても拠出時負担であっても公費負担の割合は変わらぬと思いますが、さしあたってのところで考えますと、一概にどちらがいいのか悪いのか、得か損か、いろいろ問題のあるところだと思います。いずれにいたしましても、国家公務員共済組合の方で拠出時負担の方を切りかえられるのでありますれば、地方公務員共済組合につきましても、その是非について十分検討しなければならぬと思っております。
  46. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひひとつ公費負担厚生年金並みの二〇%にするように、特段の御努力をいただきたいと思います。  それから、無年金者救済のゆえをもって十五年特例年金や任意継続組合員というような条項を定めておるわけでございます。これらに該当してくるのはまさにレアケースだと思いますが、場合によっては二、三年定年延長しなければ救えないというようなケースが出てこないとも限らないと思われますが、これらの場合、救済するためのあらゆる手だてをとると確約をしてくれるかどうか、念のためお尋ねをいたしたいと思います。
  47. 坂弘二

    ○坂政府委員 昭和六十年三月三十一日から実施されます定年制の施行に伴いまして、通算退職年金も含めて年金の受給資格の生じない者があるのではないかということでございまして、そのために、特例継続組合員制度特例退職年金制度二つ制度を今回の法律でお願いしているところでございます。したがいまして、これらの二つ制度を活用いたしますれば、まず救済されるものというふうにわれわれは考えております。
  48. 小川省吾

    小川(省)委員 ひとつぜひ救済できるように特段の手だてを講じていただきたいと思っております。  また、厚生年金では特例年金を廃止するのではないかというような動きがあると仄聞しておるわけであります。このような状況の中で、地方公務員共済だけの十五年特例年金の発足が保障されるのかどうかという問題なのでありますが、大丈夫なんでしょうね。
  49. 坂弘二

    ○坂政府委員 ただいま御質問のございましたようなこともあるのかということは、われわれも承知いたしておりますが、いずれにいたしましても、今回御提出申し上げました法律は、関係各省の合意を得て提出したものでございますので、もし成立いたしますれば、当然それは実施されるものと思います。
  50. 小川省吾

    小川(省)委員 安心をしました。ぜひそういう形で無年金者を救済できるような措置お願いいたしておきたいと思います。  それから、現行のままでいきますと、五十九年に財源率の再計算の年を迎えるようでございます。この新法運営その他もろもろについて大事なことは、関係団体との十分な協議であると思っています。そういう点では、地公労関係職員団体と十分な協議を継続していっていただけると思いますが、お約束をしていただけますか。
  51. 坂弘二

    ○坂政府委員 次回の財源率の再計算は昭和五十九年十二月までとなっておりまして、現時点におきましてはどの程度の財源率となるか明確ではございませんが、いずれにしてもある程度の引き上げは必要になるものと考えております。  そこで、財源率の決定につきましては、将来にわたる年金制度の安定的な運営にも十分配慮する必要がございますが、御指摘の点も念頭に置き、また国家公務員共済組合における再計算の状況等も見ながら、今後検討してまいりたいと思っております。
  52. 小川省吾

    小川(省)委員 最後に、大臣に二、三ただしておきたいと思います。  ただいままでの私と公務員部長とのやりとりを聞いておっていただいたと思うわけでありますが、お約束をしていただきたいことが二、三点ございます。  まず第一点は、地方公務員共済組合制度を完全に堅持して、この管理運営を維持していっていただきたいと思っておりますが、いかがでございますか。
  53. 山本幸雄

    山本国務大臣 先ほど来、非常に具体的な問題について御論議をいただきましたが、御案内のように、わが国高齢化社会を迎えておる、それから公務員につきましては定年制を実施することになっておりまして、年金の問題は非常に重要なものでございます。そこで、政府としては、年金問題を重要な課題としてとらえ、特に行政改革の中の重要な課題、そういう把握の仕方をしておるわけでございます。  そのきっかけになったのが国鉄共済年金の問題であったかと思いますが、これによりまして、将来国民に公平に基礎的年金を保障するという大きな目標に向かってスタートを切ったものだと私は思います。それが何年ごろになるか、スケジュール一つ一つ踏んでいかなければならぬ。その一環として今回地方公務員共済の問題をお願いすることになった。先ほどのお尋ねのように、国鉄公共企業体共済組合との統合という問題とあわせて地方公務員共済のこういう財政単位の統合を図ることになったわけでございまして、将来を展望しながらそのステップとして今回こういうことをする。  しかし、地方公務員は何せ三百二十万というたくさんの方がおられます。今回警察と公立学校共済は一応除いてございますけれども、これもいろいろな政府審議会からもそういうお答えをいただいておりまして、なるべく早くそういう体制に持っていきたい。地方公務員共済全体としまして、この三百二十万の組合員の皆様方のお気持ちに沿えるような制度をつくり上げていくという大きな将来の目的に向かって今後とも努力をしていきたい、こう思っておるところであります。
  54. 小川省吾

    小川(省)委員 政府全体の大きな動きがあって仮に統合などというようなことが出てくれば別でありますが、その以前には、いま大臣も言われたように三百何十万の地方公務員がいるわけでありますから、ぜひこの制度の管理運営を維持していっていただきたい、このことを第一点として強く要請しておきたいと思います。  第二点として、共済組合は現在まで比較的民主的、自主的に運営されてまいったと思うわけでございます。この地方公務員共済組合の民主的、自主的な運営をぜひ維持していっていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  55. 山本幸雄

    山本国務大臣 地方公務員共済組合は、組合数からしますと九十一もあるということであり、財政単位としてもいま十六を数えるということでございます。これの各組合につきましては、先ほど来のお話のように組合員の福祉事業もおやりになっておるわけでございまして、それぞれ特色のある運営も確かにおありだと思います。そういう点は、先ほど公務員部長も御答弁申し上げたように、決して統制がましいことを考えておるわけでもありません。それぞれの自主性に基づいた運営もしていただきながら、全体としての一体化を図っていく、その一体化の限度内では公務員共済組合それぞれの御意見伺いながらそういう運びをしていきたい、こう思っております。したがいまして、原則的には、おっしゃるように、組合はそれぞれの特色を持ちながら一体化を図っていく、こういう考え方でやっていきたいと思います。
  56. 小川省吾

    小川(省)委員 第三点、これが重要なのでありますが、私が再三強調してまいりましたように、この共済組合制度の維持運営といいますか管理運営は、関係団体、特に地公労関係職員団体の協力があったればこそスムーズな維持、管理、運営ができてまいったと思うわけでございます。この地公労関係職員団体の協力がなければスムーズな維持はできないだろうと思うわけでございます。この関係を今後とも十分協議対象として、共済制度を維持し、さらに発展させていくことをお約束していただけるかどうか、重ねてお伺いいたしたいと思います。
  57. 山本幸雄

    山本国務大臣 確かに皆さん方の意見をお伺いしながらこれを運営していかなければならぬ、皆さんの組合でございますから、当然にそういうことだと思います。先ほど来御答弁申し上げたように、それぞれの共済組合については運営審議会その他の御意見をりっぱに反映できる組織にしていき、その運営もきわめて民主的に運営していくという態度でやっていきたいと思っております。
  58. 小川省吾

    小川(省)委員 わかります。ぜひそういう態度で各共済組合連合会運営審議会意見あるいは地公労関係団体等の意見を十分にくみ上げていただいて、従来のように民主的、自主的に本当にしっかりした運営ができるように御配慮を要望して、私の質問を終わります。
  59. 田村良平

    田村委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十分休憩      ────◇─────     午後一時二分開議
  60. 田村良平

    田村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。草野威君。
  61. 草野威

    ○草野委員 まず、質問の第一番目といたしまして、地方公務員共済の財政単位の一元化につきまして何点かお尋ねをしたいと思います。  今回の改正で、公立学校共済と警察共済が当分の間除外、こういうふうになっているわけですが、全地方公務員の共済の財政単位を一元化して財政調整をするというその趣旨からすれば、この二つの組合が全体の約四二%を占めるわけでございますけれども、この両組合を除外するというのではその効果が半減するのではないかと思うのですけれども、除外されたその理由はどういうことでございますか。文部省、警察庁並びに自治省にお答えを願いたいと思います。
  62. 宮園三善

    ○宮園説明員 お答え申し上げます。  今回の地方公務員共済組合連合会の設置につきましては、将来における公的年金一元化の方向という中で、地方公務員共済の年金財政基盤の安定化を図るという認識から、基本的にはその設立について賛成を申し上げた次第でございます。  ただ、先生のおっしゃいますように当分の間公立共済組合は除くとされておりますが、その一つ理由は、公立共済組合は再十万人を超える組合員を擁しまして、現在も安定した規模で、一般行政職員とは異なる職域によって、すでに全国を一本化した長期給付事業を行っているというのがございます。もう一つは、今回の連合会設立のねらいの一つは、一部の小規模共済組合年金財政の救済にございますが、当面においては、この救済は一般地方行政職員の共済グループ、八十九共済組合ございますが、これで財政調整が十分可能であるということでございます。三つ目は、仮に五十九年度から公立共済が連合会に加入すると考えました場合に、一兆円を超える相当巨額の拠出金を拠出するということになるわけでございまして、それが組合の事業にどのような影響を及ぼすかということにつきまして、組合員の方に若干の懸念を持たれる方があるということでございます。  この三つが、当分の間除かれた理由でございますが、公立共済といたしましては、先ほど申し上げましたように百十万人の組合員を抱えているという大世帯でもございますので、今後において連合会運営状況を考えながらコンセンサスの形成に努めていくということでございますが、さらにできるだけ早期にこの連合会に加入するように努めてまいるべきものというふうに考えております。
  63. 太田壽郎

    ○太田政府委員 ただいまの問題につきまして、警察共済組合の特性及び従来からの経緯等にかんがみまして、当面は自治省傘下の組合を加入させることにされたものと理解いたしております。  なお、警察共済組合もできるだけ早期にこれに加入できるよう、連合会及び警察共済組合状況を十分に勘案いたしまして今後協議をしてまいりたいと考えております。
  64. 坂弘二

    ○坂政府委員 連合会設立するに当たりまして、当面公立学校、警察共済を除外いたしました理由といたしましては、先ほどから御説明ございましたが、特定の職域の職員をもって組織されたものである、両方の組合はそういう性格のものであるということ、それから、規模そのものもかなりの規模の職員組合員を持っているということ、それから、さしあたって緊急に必要があるものは小規模の財政単位でございますので、それらはその他の一般の地方行政関係職員共済組合の方に多いので、まず出発点に当たりましてはこの一般の職員財政単位の安定化を図ってまいりたいということでございます。  ただいま四二%が抜けてしまったのでは効果が半減するのではないかという御質問でございましたが、もちろんそういう見方もございますけれども、この本来のねらいが、非常に小規模のグループであれば保険が成り立たないというところにあるわけでございますので、むしろそのグループの数あるいは共済組合の数という方から見ますと、九十一の地方公務員共済組合のうち八十九の組合が今回最初から参加するということでございますので、効果はそれなりにあると思いますが、いずれにしても全部が一つになることが理想でございますし、目的でございますので、なお今後とも両共済組合についてはできるだけ早期に加入するように関係者との間で十分協議を詰めてまいりたいと思っております。
  65. 草野威

    ○草野委員 大臣にお尋ねしたいと思いますが、いまのお話によりますといろいろと理由があるようでございますけれども、いずれにしても早期に加入をしたい、こういうようなお話でございました。  なお、この問題につきましては、社会保障制度審議会は、遺憾である、こういうような態度をとっているようでございますけれども、いつごろまでに新連合会に加入をさせるかという問題と、もう一つは、加入がおくれることによって現在以上に年金財政が悪化して、各組合の有利また不利というような問題が増大してくるのではないか、このようにも思われるわけでございますが、この点、大臣はどのようにお考えになっていますか。
  66. 山本幸雄

    山本国務大臣 今回、警察、公立学校を統合から除いたということについて、大変決定的な理由も余りないようにも私は思うのです。一つは、やはり組合員の数の問題もあります。それから、仕事の内容が府県、市町村とは警察とか学校とかと少し違うというぐらいの認識で、先ほど警察庁の方からは自治省傘下のものだけ統一したのかという話もあったわけでございますが、早晩やはりこれは一本化していただこうというつもりではやっておるわけです。  ただいまお話しのように、社会保障制度審議会、それからもう一つ地方公務員共済組合審議会というのがございますが、社会保障制度審議会の方は、二組合が加入していないのは遺憾である、こういうことであり、それから地方公務員共済組合審議会の方は「両組合の特性や従来の経緯にかんがみ、当面やむを得ない」、こういうようなことでございますが、いずれも今後加入に当たっては、いまの両組合等組合の特性もございましょうから、よくお話し合いをして合意の上でひとつ一本化に努力したい。  これは簡単のようでなかなかそう簡単ではありませんので、いつまでにやるか、こうお尋ねいただいても、すぐにいつまでとここでお答えするだけの用意を持たぬわけでございますが、しかし、大体いま具体的にこれからの公的年金の一本化のスケジュール、あるいは国民全体の年金を将来一本化するのには一体いつごろまでにやるか、こういうことなどいろいろタイムスケジュールがあると思いますが、ここでいまお話しの二つの組合について、ではいつごろまでにということまで申し上げる用意はまだ持たぬ、こういうところでございますが、いずれにしろなるべく早い機会にひとつ、いま文部省なり警察からもやるということについては全く同意だというふうに伺いますので、なるべく早くやりたいということでございます。
  67. 草野威

    ○草野委員 いま大臣から年金の再編成にわたるお話まで触れられたわけでございますけれども、今回この二つの組合が加入していないという問題について非常にむずかしい問題もある。しかし、早期に加入について努力したい、こういうようなお話でございますけれども、そういう問題を抱えて今回このような法改正に踏み切る必要はなかったのではないか、全組合がすべて合意に至ってから一元化、こういうふうにしてもよかったのじゃないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  68. 坂弘二

    ○坂政府委員 財源率の再計算を法律上五年ごとにいたさなければならないわけでございまして、次回は五十九年の十二月でいたさなければならないわけでございます。そこで、先ほど来申し上げておりますように、九十一組合のうち八十九組合までは出発できるようになった。それで、残りの二つの組合が入るまで待ちますと、五十九年十二月の財源率の再計算の時期に間に合わなくなってまいりますし、そうしますと、今度の再計算におきまして、現在の十六の単位に分かれて、しかもその中に小さいものがたくさんあるという矛盾がますます拡大されまして、そして不公平が生ずるわけでございます。  したがいまして、先ほど来申し上げましたように、少なくとも現在の八十九の方で出発すればそれなりのと言うとなんでございますが、効果はもちろんあるわけでございますし、またそういうことで連合会をつくることが、さらにあとの二つの組合が加入するのにも道を開くということにもプラスになるというふうに判断いたしまして、こうしたわけでございます。
  69. 草野威

    ○草野委員 先ほど文部省のお答えの中に、一部の組合の救済につながる云々というお話がございましたけれども、現在すでに単年度収支が赤字の組合があるようでございますけれども、その原因は一体どういうところにあるのでしょうか。また、その組合の運用に問題があるのではないかとも思いますし、また現職の公務員の給与運営にも問題があるのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、この点はいかがでしょうか。
  70. 坂弘二

    ○坂政府委員 単年度収支で赤字を生じている組合があるわけでございますが、その主なものは何かというまず第一番の御質問でございます。  年金財政を左右します非常に大きな原因は、やはり成熟度と申しますか、何人の現職者が何人のOBを養うと申しますか年金負担するかという、その比率が最大の影響を与える要因であろうと思います。具体的に名前を申し上げますとなんでございますが、呉市の職員共済組合は非常に赤字が多いわけでございますが、この場合を見ますと、たとえば昭和四十年には組合員数が三千二百七十九人であった。そして、それに対して退職年金の受給者数が百三十九人でございました。これが昭和五十六年で見ますと、組合員数は二千九百四十五人、それに対して年金の受給者が一千百七十五人、この間、昭和四十年から五十六年にかけまして組合員数、年金負担している方の職員は〇・八九八でございますから八九%、九〇%に一〇%減っているわけでございます。しかるに、それに支えられております年金の受給者は、百三十九人から一千百七十五人と申しますと、八・四五倍、八・五倍。すると、負担する方が一〇%減で、負担される方が八倍強という、これは極端でございますが、そこで、こういうようなことによって年金財政が悪化するというのが大きな原因であろうと思います。  なお、給与の問題につきましては、給与が高ければそれなりの年金財政に影響を及ぼすのは事実でございますけれども、この点につきましては、年金云々の問題よりも先に、給与自体の是正の適正化の問題がございますので、これは別途給与是正の問題として従来からも取り組んでおりますし、今後とも真剣に取り組んでまいりたいと思います。
  71. 草野威

    ○草野委員 今回の改正によって各組合が積立金を長期給付積立金として三〇%払い込む、こういうことになるわけでございますが、財政単位を一元化しながら、積立金を完全に統合しないで一部の集中にとどめているのはどういうわけかという問題、それから、いずれは全額を集中することになると思うのですが、この点はどうなっておりますか。
  72. 坂弘二

    ○坂政府委員 年金財政一元化すると申しますか、統一します場合にいろいろ考え方があると思います。そして一つ考え方は、ただいまお話のございましたように、一〇〇%全部積立金も一緒にしてしまうというのも一つであろうと思いますし、また、その積立金はそれぞれ各共済組合が過去から使用者、職員両方が積み立ててきて、またそれをいろいろな事業にも運用しているわけでございますので、そういう点を配慮して、なるべくそういうものには影響を及ぼさない、しかし、経済的には統一化、一元化したのと同じ効果を生む、そのためには一部の拠出金を求めて、それによって財政を調整するという方法もあるわけでございまして、われわれといたしましては、地方公務員共済組合の過去のいろいろな経緯、それから現在の状況等を考えまして、後者の方が適当であると判断いたしまして、そうしたわけでございます。
  73. 草野威

    ○草野委員 スタート時においては五十八年度末の積立金の一五%の払い込み、残りの一五%については六十年度以降、このように聞いておりますけれども、この一五%で足りるというのなら、初めから一五%でもいいのではないか、このように思いますが、いかがですか。
  74. 坂弘二

    ○坂政府委員 原則といたしましては三〇%を考えているわけでございます。三〇%を考えております理由と申しましては、先ほど申し上げましたように、過去各組合が労使双方と申しますか、職員と使用者の間で資金をためてきたわけでございますが、それをいろいろな福利事業などに使っておる。ただ、そのうちの三〇%につきましては、公営企業金融公庫の債券であるとかあるいは地方債を引き受けるということになっておりますので、その分だけは連合会に拠出をいただきましても、連合会がその債券の引受義務を一緒に引き受けるならば、各組合における福祉事業等に影響を及ぼさないだろうということで、まずその三〇%は決めたわけでございます。  しかし、その三〇%で財政調整をいたすわけでございますから、その元本を食ってしまえば困りますので、やはりある程度の余裕を持った資金を積んで、そしてそれの運用益によってもしも財政調整が必要であるときには財政調整をするというようなことが必要である。ただ、その三〇%につきましても、今後の積立金の三〇%はよろしゅうございますが、過去の積立金の三〇%につきましては、特にやはりいろいろな事業に運用しているとか問題がございますので、さしあたり一五%だけの拠出をいただくというふうに考えたわけでございます。
  75. 草野威

    ○草野委員 従来、各組合においては、積立金増加見込み額の三〇%を、いまお話がございましたように、地方債やまた地方公営企業金融公庫債の取得に充てる、こういうふうになったわけでございますけれども、今後は、その三〇%を新連合会に払い込むことによって各組合は今度は余裕金出てくるわけですが、その余裕金を地方債等の取得に充てる必要はなくなってくるわけでございますので、当然これは自主運用ができることになる、そのようになるのではないかと思いますけれども、この点はいかがですか。
  76. 坂弘二

    ○坂政府委員 われわれの申しております義務的引き受けと申しますか、その分は拠出することによりまして連合会の方が引き受けるわけでございますので、その余裕金の運用は組合において考えるということになります。
  77. 草野威

    ○草野委員 引き続きこの問題でございますけれども、各組合は年金給付資金に不足が生じたとき、この場合は連合会の方から長期給付積立金の交付を求めることができる、このようになっているわけでございますが、各組合での余裕金の運用の仕方がうまいか、または下手と言うとおかしいですけれども、まずいところもあるかもしれませんけれども、そういうことによりまして資金不足が出てきたり、またその反対の現象が出てくると思うのですが、結果的に運用のまずい組合ほど得をする、こういうような結果になりかねないと思うのですけれども、やはりそういうような事態にならないように何らかの仕組みを講ずるべきではないかと思いますが、いかがですか。
  78. 坂弘二

    ○坂政府委員 確かに資金の運用の巧拙によりましてそれぞれの年金財政が影響を受けますので、御質問のようなこともあるわけでございますが、ただ年金のための積立金でございますので、これを必ずしも最高有利にだけ回すのかと申しますと、やはりそれを積み立てた職員の福利厚生事業にも、利殖の意味からはたとえ不利であっても回すというようなこともございますと思います。  そこで、今回の財政調整を仕組みました最大の目的は、この小グループに分かれておるために成熟度等に差がある。また、たとえば職員の整理をすると途端に成熟度が高くなるとか、いろいろな問題がございます。そういう大きな年金財政の影響を均等化して、そして公平にしたいという趣旨でございますし、それが主体になろうと思います。
  79. 草野威

    ○草野委員 いまのお話は理解できないことはないのですけれども国家公務員共済組合、それから地方公務員の組合と比較しますと、やはり資金の運用状況につきましてはどうも地方の方がなまぬるいというか、そういうような感じがするわけですね。これは資料によりますと、昭和五十五年度末の表でございますけれども、「公的年金制度の積立金の運用状況比較表」を見ますと、有利運用というところで国家公務員の場合には三一・一%、それから地方公務員の場合は二三・二%、これは主として貸付信託等に運用されているわけでございますけれども、三一%と二三%というこの数字の開きが八%ほどあるわけでございますが、こういうところ一つ見てもなまぬるいのではないか。この点はいかがでしょうか。
  80. 坂弘二

    ○坂政府委員 仰せのとおり有利運用、福祉運用に分けてみますと、国家公務員共済組合と地方公務員共済組合では御指摘のような差があるわけでございます。ですから、年金支払いのための積立金の運用という点から見ますとそのとおりでございますが、先ほどから申し上げましたように、しかしこれはやはり職員のあるいは事業主の拠出によってたまってきたのでございます。その運用に当たってはやはり職員の福祉事業にも運用すべきであるという面もございますので、この点は政策判断と申しますか、一種の方針と申しますか、そういう結果こういうことになったのだろうと思います。
  81. 草野威

    ○草野委員 今後もそういうような方針でよろしいのでしょうか。
  82. 坂弘二

    ○坂政府委員 多少詳細にわたりますので、福利課長の方から御説明いたします。
  83. 秋本敏文

    ○秋本説明員 共済組合の長期経理の資産の運用の問題についてお答えをいたします。  長期経理の資産はもともとが年金給付のための資金でございますから、それに合わせて有利な運用をしていくということも当然必要であろう。また反面、その資金組合員負担にもよって造成されておるものでございますから、組合員の福祉にも役に立つように運用をされなければならないという面も片やある。そこで、その資金の運用につきましては、一定の比率というものを設けながら、福祉事業等への運用については何%といったようなことで原則を定め、またそれぞれの共済組合の特殊な事情に応じて、その比率については特例的な運用の承認を認めるといったような形でやっております。  それで、長期経理の資産の運用の利回りでございますけれども、そのようないろいろな運用の仕方をした結果、トータルとして運用利回りがどういうことになっているかと申しますと、五十六年度の決算におきましては、全体としては六・六七%という運用の利回りが出ております。これはそれぞれの共済組合の事情が違いますので、組合によって相当大きな差がございまして、高いところは七%を超えるといったところもあるわけでございます。そういうそれぞれの事情によって、結果としてはいろいろな差が出るということはございます。ちなみに、国家公務員の場合につきましては、五十六年度決算を見ますと、六・八一%といったような数字になっているわけでございます。  今後の問題につきましては、年金資金を確保するという意味で、できるだけの有利な運用を心がけると同時に、また反面、職員に対する福祉事業のための運用ということについても、適切なものの範囲内で配慮をしていくということで対処したいというふうに考えております。
  84. 草野威

    ○草野委員 個々の組合の例を取り上げればいろいろな差が出てくると思いますけれども、この両共済組合を比較すると、結果的に先ほど申し上げたような数字になるわけですね。現在の地方公務員共済の現状から考えて、将来果たして一体どういうふうになってくるか、非常に心配な点がたくさんあるわけです。  そこで、もう一点お尋ねしますけれども、自治省では、現在の給付状態を前提にしていった場合、近い将来地共済の姿というものがどんなふうになっていくか、簡単に数字を出してお答えいただきたいと思います。
  85. 坂弘二

    ○坂政府委員 年金財政が将来どうなるかと申しますのは、これは財源率をどのぐらいにするかとかあるいは給付水準がどうなるか、いろいろの事情によって異なりますので、現状のままで推移したらどうかということでごく大ざっぱに推計いたしますと、全体といたしましては、昭和六十九年ごろに単年度では赤字になってくる、そして昭和七十八年度ごろには積立金も、現在のままで移行すればなくなるだろうという見通しでございます。
  86. 草野威

    ○草野委員 ただいまお話のございましたように、財源率を現在の千分の百二十五、こういうままではいま部長がおっしゃったような姿になるわけでございますね。そういうことをあわせて私も申し上げておるつもりでございますけれども、今回の財政単位の一元化、これは危険分散とかまた各組合の人員構成等からくる年金財政の時期的変動、こういうものを調整するという点ではいろいろと大きな意味があると思うのですが、それはそれで、将来の年金財政の悪化と赤字、こういうものの発生がなくなるわけでは決してないと思うんです。マイナス・プラス・マイナス・イコール・プラスには決してならないわけでございます。したがって、自治省は今後こういう問題につきまして具体的にどのような措置を講ずる考えですか、お考えをひとつ聞かしていただきたいと思います。
  87. 坂弘二

    ○坂政府委員 御質問のありましたように、たとえ財政単位を一つにいたしましても、それによって年金財政が今後いい方に向くというわけではございません。そこで、年金財政そのものといたしましては、財源率をどうするかとかあるいは給付水準をどうするかという非常に基本的な問題があろうと思います。ただ、この問題につきましては、政府におきまして、ひとり共済年金のみならず、厚生年金等その他公的年金制度全体として今後検討してまいり、またそれは将来の一元化というものを展望しつつ、その制度内容検討してまいることになりますので、われわれとしても、地方公務員共済年金内容につきましては、これらの公的年金制度全体の問題の一環として、その中で検討すべきものであると考えております。
  88. 草野威

    ○草野委員 では次に、第二番目の問題としまして、公的年金制度一元化について何点かお尋ねをいたします。  初めに厚生省にお伺いいたしますが、五十八年四月一日の公的年金制度に関する関係閣僚懇談会の決定におきましては、「昭和七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させる」、このようにあるわけでございますが、その一元化とはどのような形態のものを想定していらっしゃいますか。
  89. 山口剛彦

    山口説明員 ただいま御指摘がございましたように、現在の公的年金制度、八つに分立しておりますので、制度間の格差あるいは財政基盤が非常に不安定になってくるというようないろいろな問題が指摘されております。政府といたしましては、究極的には一元化をいたしまして公的年金制度全体の長期的な安定を図るということがどうしても必要だというふうに考えておりまして、今後の検討をするための一つの素材として、四月一日に進め方というものを決めさせていただいたわけでございます。  そこで、年金制度を将来一元化するという方向で検討していこうということについては一致をいたしておりますけれども制度一元化という言葉の意味につきましては非常に広い概念で考えております。具体的に申し上げますと、現在八つに分立している公的年金制度を完全に一本にしてしまうという考え方もございますし、また、分立については一応そのままの形にして、財政調整をしていくという考え方もございます。それから、各制度に共通する何らかの基礎的な年金あるいは基本年金というものを導入して一元化していこうという考え方もございます。現在のところ、一元化という意味をそういう広い意味でとらえまして、今後具体的にどうするかという方向を五十八年度末までに政府として決めていこうという状況でございます。
  90. 草野威

    ○草野委員 ただいま一元化の形態について三つ、四つのお話がございましたけれども、われわれとしてはこの制度についてそれぞれ利害得失があることは考えておりますけれども、公明党は公明党としての考え方もすでに発表しておるわけでございます。この問題に関連いたしまして、自治省は今回地方公務員共済の改正をされたわけでございますが、これを公的年金制度一元化の第一歩である、そのように考えていらっしゃるわけですか。
  91. 坂弘二

    ○坂政府委員 先ほど厚生省の方で御説明のありました四月一日の政府のおおよその目安の中に、まず第一番目に、国家公務員共済組合と公企体の組合の問題と、地方公務員共済のただいま御審議いただいております問題、この二つが挙がっているわけでございますからそういう位置づけになっておりますが、われわれの理解しておりますところは、現在お願いしております地方公務員の十六の財政単位を一元化していくということは、公的年金制度内容を将来の安定化等を展望して改める、そういういろいろなものに着手する前に、地方公務員共済組合の過去の経緯、いきさつとか現状から見まして、地方公務員共済組合独得の問題点でありますとか、まず最初に、仮に一元化とかあるいは公的年金制度の改正等があってもなくても、いずれにしても地方公務員共済組合としては財政基盤を大きくしなければ、しょせん社会保険方式にはなじまないであろう、そういうような感覚でとらえてお願いしているものであります。
  92. 草野威

    ○草野委員 いまの御答弁を伺っておりまして、私もはっきりああそうですがと言えないのですけれども、大臣にもう一回この問題についてはっきりお答えいただきたいのですが、今回の法改正は将来の公的年金制度一元化の第一歩、このように考えていらっしゃるのですか、それともそうじゃないのですか、この点をはっきりお答えいただきたいと思います。
  93. 山本幸雄

    山本国務大臣 わが国年金制度全体の問題、将来いつか基礎的な国民的な年金を考えなければならぬ日が来る、いまいろいろの年金があるわけですが、それは将来はいま申し上げるようなそういう理想に向かっていくべきものであろう。そこで、先ほど厚生省の方からお答えありましたが、公的年金は七十年度をめどに一元化を図る、こういうことになっております。それは私は一つの目標であろうと思うのです。  そこで、地方公務員共済は何せ三百二十万人というたくさんの地方公務員のための制度でございますから、そういう特性もございます。その特性もあるいは自主性も確保しながら全体の公務員共済の中に参加をしていく、そういうことのいろいろな段階が出てくると思うのですが、将来をにらみながら考えていく問題であるという認識でおります。
  94. 草野威

    ○草野委員 私は頭が悪いせいか、どうもちょっとはっきりしませんけれども、要するに一元化の第一歩と考えてよろしいですか。
  95. 山本幸雄

    山本国務大臣 将来は一元化ということでございますから、それは確かに一つのステップを踏むことには間違いないということだと思います。
  96. 草野威

    ○草野委員 大臣は関係閣僚懇談会のメンバーでございますね。その決定の第三項ですか、「以上の措置を踏まえ、」「昭和七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させる」、このようになっているわけですね。この「以上の措置」という中に今回の法改正が含まれているのだという認識にわれわれは立っているわけなんですけれども、これは違いますか。そのとおりでよろしいですか。
  97. 山本幸雄

    山本国務大臣 いまお話しのことしの四月一日の閣僚懇談会の決定、五十八年度でこの二つのことをやる、これはいま今国会に御審議を願うという段階になっておるわけです。続いて今度は五十九年から六十一年にかけてのスケジュールがそこに書いてあります。それから今度は、仰せのような「以上の措置を踏まえ、」「昭和七十年を目途に」云々ということになっておりますから、先ほど来申し上げておるように、段階を踏んでいく過程一つであることには間違いないと思っております。
  98. 草野威

    ○草野委員 地方公務員共済組合審議会というのがございますね。これはどういう審議会ですか。
  99. 坂弘二

    ○坂政府委員 自治大臣の諮問機関でございまして、地方公務員共済組合制度の主要な事項について審議いたすところでございます。
  100. 草野威

    ○草野委員 自治省は当然この審議会意見を尊重されると思いますが、よろしいですね。
  101. 坂弘二

    ○坂政府委員 審議会の御意見は、審議会の御意見として当然尊重いたします。
  102. 草野威

    ○草野委員 この審議会は、今回の公的年金制度統合という問題に対して反対をしているのではないかと思いますが、いかがですか。
  103. 坂弘二

    ○坂政府委員 この審議会答申のうち先生のおっしゃいますような懸念を抱かれたとしますと、それは「国家公務員共済組合及び公共企業体職員共済組合統合検討されているほか、公的年金制度全体の将来の統合問題が検討されているが、地方公務員共済組合の特色、沿革等の諸事情に充分配慮し、これを維持することを基本とすべきである。」この点であろうと思います。これは、今後地方共済の年金あるいは公的年金制度についていろいろ検討が加えられていくであろうが、その際には、地方公務員共済組合の特色、沿革等諸事情を十分配慮しろという御趣旨であろうと思います。
  104. 草野威

    ○草野委員 次は厚生省お尋ねしますけれども厚生省厚生年金国民年金一元化のために、昭和五十八年度末までにどんな成案をまとめるつもりでいらっしゃるのか。また、将来の高負担を避けるために、現在の給付水準を二〇%程度引き下げるということも一部伝えられておりますけれども、これは事実でしょうか。
  105. 山口剛彦

    山口説明員 厚生年金国民年金につきましては、昭和五十九年度に制度改正をしたい、次の通常国会には提出をしたいということでいま準備を進めております。関係審議会にも御審議お願いしているところでございます。また、できるだけ広い層から御意見をいただきたいということで、有識者調査等も実施をさせていただいております。私どもといたしましては、この審議会の御意見あるいは有識者調査等の御意見を踏まえまして、できますればこの秋までには、厚生年金国民年金を将来どうするのだという厚生省案をお示しをして、御議論をいただきたいと考えております。  その際には、ただいま御指摘がありましたように、給付負担との関係年金制度のポイントとも言うべき重要な問題でございますし、将来年金制度を安定的に維持していくためには、私どもといたしましては、年金水準とこれを支えていただいている若い人たちの生活水準、所得水準バランスのとれたものでなければ長期的な安定は図れないという認識を持っておりますので、現行制度のまま高齢化のピークとなる二十一世紀を迎えることについては問題があるという認識を持っております。したがいまして、将来に向けて年金給付水準負担していただく方とのバランスをとりながら軌道修正していくということは、この次の改正の非常に大きなテーマであるという認識のもとに、いま作業を進めているところでございます。
  106. 草野威

    ○草野委員 公的年金一元化という問題は、非常に大きな問題をはらんでいると思うのですけれども、私ども公明党としましても、昭和五十一年に国民基本年金構想を発表させていただきまして、この一元化に早急に取り組むようにかねてから強く主張してきたわけでございますが、自治省は今後この公的年金一元化という問題についてどのような方針スケジュールで取り組まれようとしておられるのか、その方針についてお伺いをしたいと思います。
  107. 坂弘二

    ○坂政府委員 地方公務員共済年金につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、その沿革から財政単位が十六の多数に分かれておりますので、高齢化社会への移行に伴い、遠からず悪化することが見込まれる。そこで今回の改正をお願いしたわけでございまして、できるだけ年金制度の安定的な運営を図りたいと思っているわけでございます。  そこで、今後の問題でございますが、公的年金制度改革につきましては、昨年の九月の閣議決定におきまして、「将来の一元化を展望しつつ、給付負担関係等制度全般の在り方について見直しを行い、」ということで、現在検討中でございます。地方公務員共済年金も将来の一元化を展望しつつ検討をされるわけでございますので、この検討の中において、国家公務員共済年金あるいはほかの公的年金制度との整合性も考えつつ検討してまいるつもりでございます。
  108. 草野威

    ○草野委員 この問題につきまして最後に大臣にお尋ねしますが、この年金制度の再編成に当たって官民格差の問題が大きく議論されております。公務員制度の一環として行われる点につきまして一定の配慮は必要と思われますが、非合理的な面はどうしても是正されなければならないと思います。この官民格差の問題につきまして大臣はどのようにお考えになっておりますか。
  109. 山本幸雄

    山本国務大臣 年金問題は、二十一世紀に向けて高齢化社会を迎えるわが国の大変な課題だと私は思うのです。それだけに、国民全体が基礎的なそういう年金を受けるという仕組みは、どうしても最後の目標になると私は思います。そこで、そうなってきますと、ただいま公的年金という問題がございますけれども、将来ずっと先を見通せば、やはり国民的な年金になってくる、こう思われます。したがって、官民格差という問題もその場合にあるいは解決されなければならない問題ではないかと思います。ただ、公務員には公務員の特性がございますし、また今日までの共済組合、それぞれ制度内容あるいは沿革というものもあるわけでございますから、そういうものも尊重していただきながら、そういう最後の目的、目標に向かって、ある程度年数をかけなければできないと思いますが、進んでいかなければならぬことであろう。これは先ほどもお話が出たように、老齢化社会になってきたときに、年金を受ける方とそれを負担する人、こういうものとの関係づけは一体どうするのかということは大変な問題であろうと私は思いますので、そういうことも考えていけば、うんと長い目で見ればそういう官民格差の問題はどうしても重要な課題になるだろう、こう思います。
  110. 草野威

    ○草野委員 では次に、第三番目の問題といたしまして国鉄の問題でございますが、国鉄共済の救済と地方公務員共済との関係について二、三お尋ねをしたいと思います。  御承知のように、国鉄年金財政は非常に危機的な状況に陥っておりまして、すでに相当以前からこの問題については問題とされてきたわけでございます。国鉄共済の救済のために、国鉄共済を含む三公社共済と国家公務員共済統合法案が現在提出されているわけでございますが、これによって遅きに失したと言われている国鉄共済の救済が完全になされるのかどうか、こういう点につきまして、これは大蔵省の方からお答えをいただきたいと思います。
  111. 野尻栄典

    野尻説明員 ただいま先生からお話のございましたような国家公務員と三公社の公企体職員共済組合制度統合を図るための法案をこの国会に御提出させていただいているわけでございます。国鉄共済組合は、昭和六十年度になりますと一千億を超える単年度収支の赤字が出る、六十一年になると積立金がなくなって支払いができなくなるということは、ほぼ歴然とした事実だと思います。したがって、この対策は早急に図られなければならないわけでございます。当面、この対策といたしまして、私どもが御提案しております法案の中身では、単独でその財政が維持できなくなった国鉄共済組合に対しまして、制度を同じくする電電、専売及び国家公務員の三つの保険者から応分の拠出金を拠出することによって、国鉄共済年金支払い不能という事態だけは避けたいということで御提案しているわけでございます。  これで完全に救済されるのかということでございますけれども、いま申し上げましたように、当面の応急措置というふうに考えておるわけでございまして、基本的には、先ほど厚生省からもあるいは自治省からも御説明がございましたように、給付負担関係を抜本的に見直していくということに手をつけない限り、なかなか安定した制度にならないという認識は私どもも同じでございます。したがいまして、今回の統合法案を契機といたしまして、すぐ第二段階改革に入っていく、先ほど厚生省の方から御説明がありました昭和五十九年から六十一年にかけての第二段階改革に入っていく、そして給付負担の面における制度間の各種のアンバラを是正しつつ、さらにその先には負担面における制度間調整にも進み、やがて昭和七十年度をめどに一元化を完了させる、そのスケジュールの中でこの国鉄問題も全体として解消させていくということを考えているわけでございます。
  112. 草野威

    ○草野委員 もう一点、大蔵省お尋ねいたしますが、今回のこの三公社国家公務員共済統合によっても、国鉄共済の救済というものは不十分じゃないか、その救済のために早晩公的年金一元化の名目のもとに地方公務員共済との統合が図られることになる、こういうふうにも伝えられているわけでございますけれども、これは事実でしょうか。
  113. 野尻栄典

    野尻説明員 国鉄共済救済のために、三公社統合した国家公務員等の共済と地方公務員の共済が統合されるということは事実かというお尋ねと思いますが、私どもの方は、いま御説明申し上げましたように、昭和五十九年から六十一年にかけての国民年金厚生年金等の大きな改革を踏まえて、それにならった形で共済年金制度自体も改革していかなければならないというふうに考えているわけでございますが、そういう改革を経た上で、これは一制度でなく、全公的年金制度の中での負担の調整というふうに進んでいかなければならないのではないかと考えております。そういう意味で、地方公務員の共済だけは将来に向かって全くらち外ということではないと思いますけれども、国と地方だけでこれをまた解決していこうという考え方も、いまのところ持っておりません。
  114. 草野威

    ○草野委員 では、自治省にお尋ねしますけれども、先ほどの地方公務員共済組合審議会は、こういう問題については反対というようなお話でございますけれども、自治省は、実質的に国鉄共済を救済するために、地方公務員共済を含めた全共済の一元化、こういうものが行われることになった場合、どのように対処なされますか。
  115. 坂弘二

    ○坂政府委員 仮定の上に立っての御質問でございますので、ちょっと直接お答え申し上げるのはなんでございますが、われわれの考えといたしましては、やはり共済組合というものはそれぞれ固有の沿革を有するものでありますので、いろいろな共済問題のそういう基本的な問題に当たる場合には、地方公務員共済組合というものは制度発足以来約二十年間地方団体及び地方公務員負担により運営されてきた、そういういきさつもよく踏まえまして、また国と地方との関係あり方、そういうことも念頭に置きまして、考え方といたしましては、公的年金制度全体の問題の中で解決をしていくようにすべきであろうと考えております。
  116. 草野威

    ○草野委員 この問題は、いろいろな意味で私は非常に重大な問題だと思うのです。大臣にもう一度この問題についてできればお答えをいただきたいと思うのですが、いま仮定の問題だというふうにしてお答えをいただいたわけです。これは決まった問題じゃないから、仮定と言えば仮定かもしれませんけれども、これは将来十分に起こり得る重大な問題だと思うのです。そのときのことに備えて、いまからこうやってお尋ねしているわけでございますが、大臣はこの問題についてどのようにお考えになりますか、率直にひとつお考えを承りたいと思います。
  117. 山本幸雄

    山本国務大臣 先ほど来、地方公務員共済組合審議会答申についてのお話がございます。第三項で「地方公務員共済組合の特色、沿革等の諸事情に充分配慮し、これを維持することを基本とすべきである。」こういうことが書いてあり、それから次に、「単に国鉄共済組合の救済を目的とする共済組合統合地方公務員共済組合を参加させる構想があるとすれば、それには反対である。」こういうことなんですね。  それは、ここに書いてある答申の中身はそれなりに意味がある。しかし、いまお尋ねのように、ずっと将来の問題として地方公務員共済がより大きな公的年金制度の組織の中に入っていくということについては、地方公務員共済組合審議会の御意見を伺わなければなりませんけれども、私どもは、この三項に書いてある内容と将来の大きな公的年金制度の中に入っていくということとは矛盾はしていない、考え方として決して相反するものではない、この第三項は当面の問題をいま掲げている、特に後段はそういう問題に限られておる、こういう理解をしております。
  118. 草野威

    ○草野委員 時間が参りましたのでこれで終わらなければならないわけでございますが、本日は、今回の法改正と公的年金一元化の今後のスケジュール方針、また将来の姿、こういうものにつきましてもう少し明確な御答弁を期待していたわけでございますけれども、そういう御答弁がなくて非常に残念な気がいたします。また、いまの大臣の答弁にもございましたけれども、これは将来の問題というよりも、もうすぐ目の前に差しかかった問題なんですね。こういう具体的な問題に対しまして、もう少し本気になって取り組んでもらわないと大変な状態になりかねないわけでございます。この問題につきましては、これからまた機会を見て質問さしていただきたいと思います。  以上で終わります。
  119. 田村良平

    田村委員長 部谷孝之君。
  120. 部谷孝之

    部谷委員 私は、去る第九十六国会の地方行政委員会におきまして、公的年金制度の諸問題についていろいろと見解を申し上げるとともに、地方公務員共済組合の将来と公的年金制度全般とのかかわりについて早急に結論とその具体化を図っていただくように、そういうことを求めてきたところであります。今回の地方公務員共済組合法の一部を改正する法律案審議に当たりまして、この改正案が単なる給付水準の改定等の内容でなくて、公的年金制度全般との絡みと申しますか、そのかかわり合いの中での改正案である、こういうふうに認識をしておるわけであります。したがって、そういう視点に立ちまして、政府の御見解と今後の御方針、これを伺ってまいりたいと思うのであります。  まず、九十六国会における私の質問に対しまして、「共済年金の場合、共済年金制度研究会の諸先生方が非常に慎重に検討していただいておりますので、その研究結果を見ましてわれわれとしては対処しなければならない、こう考えております。」こういうお答えを去年いただいたのでありますが、その後、昭和五十七年七月には共済年金制度基本問題研究会意見や社会保障長期展望懇談会の提言、そうしたものが出されました。また、臨調の基本答申も出されたわけであります。  民社党といたしましては、従来から基礎年金構想を提示いたしまして、各種年金一元化を強く主張してまいったところでありまして、今回、公的年金制度に関する関係閣僚懇談会決定で、ようやく昭和七十年を目途として公的年金制度全般の一元化を完了させるという旨のスケジュールが決定されたということになっております。九十六国会では、公的年金制度一元化について明確なお答えができないと、先ほど申しましたように言われたわけでありますが、このような各種の意見が出そろいました現在、地方公務員共済年金の将来のあり方につきまして自治大臣としての御所見をひとつまず聞かしていただきたい、こういうふうに思うわけであります。
  121. 山本幸雄

    山本国務大臣 先ほど来申し上げてきたところでございますが、地方公務員共済もやはり公的年金の中の一部門としましてだんだんにいまお話しのように一元化の方向に行くものであろう、また行かなければならない、こう思っております。したがいまして、今回のこの改正は本当にまだ入り口でありまして、これからたちまちに警察と教職員統合の中に入ってもらうということが引き続きやらなければならぬ仕事であり、またさらに、政府全体として一つのタイムスケジュールに従って公的年金の統一に向かって進んでいくわけでございますから、それに積極的に参加をしていく、そういう姿勢でありたい、こう思っております。
  122. 部谷孝之

    部谷委員 昭和五十七年の七月二十三日付で、厚生大臣の諮問機関であります社会保障長期展望懇談会が提言をいたしております「社会保障の将来展望について」、これには今後のわが国の社会保障政策のあり方にとっては重要な指摘があり、示唆に富んだ内容だと思うわけでありますが、この中で「共済年金の場合、公的年金部分と企業年金部分とを分離し、公的年金としての給付水準厚生年金とそろえるべきである。」というふうに述べておるわけであります。この点についてはどのようにお考えでありましょうか。
  123. 坂弘二

    ○坂政府委員 御指摘のございました社会保障長期展望懇談会の御提言の中にそのようにあるわけでございますが、地方公務員共済年金には、事実上厚生年金を代行いたしております公的年金制度部分とか、それからその目的、沿革等から恩給等の期間に対応する部分とか、あるいは職域年金に相当するというものがいろいろ含まれているわけでございます。したがいまして、その中の、考え方といたしましては公的年金と申しますか厚生年金を事実上代行しているというような部分につきましては、当然これは厚生年金との対比の問題と思いますが、共済年金そのものはそれらが渾然一体となって一つになっておるわけでございますので、その他の部分などは公務員制度との関係等もございますので、これは国家公務員共済年金制度その他関係のものと十分調整のとれるよう協議しながら検討してまいりたいと思っております。
  124. 部谷孝之

    部谷委員 研究会の意見の中には、企業年金的なものが「長い伝統に由来するものではあっても、いつまでも過去の考え方にこだわっている必要はあるまいし、特にその財政に問題がある今日一層そうであるから、共済年金をより公的年金らしく切り替えていくのは必然的な方向というべきであろう。」と指摘をされております。この指摘は、年金の将来を考えますときに私も同感でありますけれども、この点について自治省のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  125. 坂弘二

    ○坂政府委員 ただいま御紹介のございました御意見は、確かにそのような御意見もあるということで評価いたしておるわけでございますが、しかし、やはり地方公務員の共済年金制度地方公務員法にその基礎があるわけでございまして、地方公務員制度の一環としておるものでございますから、その他の部分についてもいろいろと配慮をしてまいらなければならないとは存じております。
  126. 部谷孝之

    部谷委員 私は、いろいろ年金制度の将来についてお伺いをしてきたわけでありますが、共済制度の沿革に大きな差異があり、中でも地方公務員共済組合におきましては、いろいろと歴史的な差異が大きいことも十分理解をしております。また、年金制度が基本的には期待権の尊重、既得権の保障、そういうものがなければ成り立たないものでありまして、また現職組合員年金受給者の連帯的な理解がなければならないものだと思っておるものでありますが、わが国平均余命の延びがきわめて大きい昨今では、このままでは財政が逼迫いたしまして、現行給付条件あるいは水準、こういうものを維持していく場合に、近い将来現職組合員としては財政的に負担が不可能な時代が来ることは、これは何人も否定できないところでありますから、従来の考え方では対応できなくなると思われるわけであります。  こうした事実からいたしまして、共済制度についての改善方策というものを早急に実施に移す必要があると思うわけであります。しかし、この場合、一部に全面的な期待権侵害に対する反対論があるわけでありますが、こうした問題に対してどのような対策をとられるのか、自治省としての御方針を伺わせていただきたいと思います。
  127. 坂弘二

    ○坂政府委員 年金制度改革いたしますと、常にその既得権の問題あるいは期待権の問題というのが起こるわけでありまして、これはある意味におきましては、事柄の性質上尊重しなければならない点もあると思いますが、過度にこれが尊重されますと、また御指摘のありましたように非常な財政負担を伴うという問題もございます。ただ、この問題につきましては、具体的な問題が起こりませんとその判断もいたしかねますし、全般的に申しますと、さらに公的年金一元化ということを展望して今後の改正が行われますので、単にひとり地方公務員共済年金だけをこの際その内容を改めるとかどうこうというのも、これもいかがかと思います。やはり全体の検討の中で調整を図りつつ考えていかなければならない。ただ、基本的には過度の尊重は問題があると考えております。
  128. 部谷孝之

    部谷委員 研究意見では、給付の算定方式につきまして、現行共済年金給与比例方式と通年方式とのいずれか有利な算定方式を選定し得る、こういうふうになっておるのを改めまして、新たに定額プラス給与比例という一方式に統一する、こういうふうに提言しておるわけでありますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
  129. 坂弘二

    ○坂政府委員 現在ある二つの算定方式のうち、定額プラス給与比例方式の方に統一すべきであるということは、そのほかにもいろいろな方面からも意見が述べられておるところでございます。非常に貴重な御意見と思いますが、これも何度も繰り返すようでありますが、ほかの共済年金との関係もございますし、それらとの関係の中で今後検討していかなければならない問題だと思います。
  130. 部谷孝之

    部谷委員 厚生省お尋ねをいたしますが、公的年金制度のおのおのの将来展望を見ますと、どれ一つとりましても、遅いか早いかの違いはあるけれども、近い将来に財政困難となってしまうことは確実な状況になっておるわけであります。また、種々の提言を検討いたしますと、そのいずれもが一元化を急ぐべきである、こういうふうにしておるところであります。国鉄の例を見ましても明らかなように、財政破綻寸前では、これは手おくれとなって、どうしようもなくなるわけであります。  そこで、早急に一元化に向けて取り組んだ場合には、長い経過措置の期間がとられ、条件整備あるいは整合に不可欠な激変緩和、これをすることができるということになるわけでありますから、したがって、五十七年九月の閣議決定もあり、また臨調も五十八年末までに成案を得てというふうにされておるわけでありますから、速やかに作業日程を明示して、そして具体的な提案がなされるべきだ、こういうふうに思うわけでありますが、その点、いかがですか。
  131. 山口剛彦

    山口説明員 御指摘をいただきましたように、年金制度を長期的に安定したものにしていくためにはできるだけ早く手をつけなければいけないということは、私どもも同様の認識を持っております。特にわが国が高齢化のピークを迎えます二十一世紀、これを乗り切っていくためには、現行制度についてできるだけ早くそういう事態を見通した対策を立てておく必要があるという点では、御指摘のとおりだと思います。  ただいま御指摘をいただきましたように、政府といたしましても、将来の一元化を目指しまして、五十八年度末までに改革の具体的な内容手順等を明らかにするということでいま取り組んでおりますし、また、その中間段階で、四月一日に改革の進め方というものを決めさせていただきましたけれども、その中で、五十九年から六十一年にかけて厚生年金国民年金等につきましても整理をするようにという方針を決めておりますが、私どもといたしましては、その方針に従いまして、少なくとも厚生年金国民年金関係につきましては五十九年にはぜひ制度改正をしたい、次の通常国会には法律案提出したいということで準備を進めております。  公的年金は八つの制度に分かれておりますけれども厚生年金国民年金で被保険者も九割、受給者も九割を占めておりますので、厚生年金国民年金を将来どういう方向に持っていくのかということを決めませんと、なかなか全体像も明らかにならないという面もあろうかと思いますので、私どもといたしましてもできるだけ作業を急ぎまして、できますればことしの秋には、厚生省としては厚生年金国民年金というものを将来こういう方向へ持っていきたいという案を示しまして御議論をいただければというふうに考えまして、いま作業を進めておるところでございます。
  132. 部谷孝之

    部谷委員 それでは、自治省の方にお尋ねするのですが、五十七年九月の「今後における行政改革の具体化方策について」という閣議決定と、それから五十八年四月一日付の「公的年金制度改革の進め方について」という公的年金制度に関する関係閣僚懇談会の決定、これを見ますと、地方公務員関係では、制度内の財政単位の一元化のみが明文化されておるわけであります。しかし同時に、いまお話がありましたように、五十九年から六十一年にかけて国民年金厚生年金船員保険関係整理とともに、共済年金もそれらの改革趣旨に沿って関係整理を図ることとされておりまして、昭和七十年を目途として公的年金制度一元化を完了させる、こういうことになっておるようであります。  このことからいたしまして、地方共済が今次の改正でもちろん済むものではないと考えるわけでありますが、これらに関しまして次の改革、これはまたどのような手順で進めようとされるのか、御答弁を願いたいと思います。
  133. 坂弘二

    ○坂政府委員 四月一日の「公的年金制度改革の進め方について」の中で地方公務員共済年金制度と特に銘打って出ておりますものは、御指摘になりました財政単位の一元化だけでございます。これは、財政単位の一元化が必要であるという地方公務員共済年金の現状の特殊性と申しますか、それからして、この点は地方公務員共済組合として制度として改めなければならないということで特に出ているわけでございますが、それ以外でも、ここにございます、要するに「共済年金」と書いてある中にはみんな地方公務員共済年金も入っておるわけでありますから、最終的には公的年金一元化を展望して長期的に安定した年金制度公的年金制度をつくるというその諸作業の中に、地方公務員共済年金も当然加わってくるものでございます。
  134. 部谷孝之

    部谷委員 それで、その手順はどういうふうにお考えなのですか。
  135. 坂弘二

    ○坂政府委員 手順と申しますと、スケジュールというか、日程の意味かと存じますが、それは、先ほどの関係閣僚懇談会の決定がおおよその政府全体としての手順の目安を示したものでございますので、これより先走ることもできませんし、おくれることもできませんので、この中においてしかるべき位置づけは行われて進められていくということだと思います。
  136. 部谷孝之

    部谷委員 そうすると、国家公務員共済との一元化の問題、そういうものはどういうふうな時期にされるのでしょうか。
  137. 坂弘二

    ○坂政府委員 ただいま国家公務員共済組合との一元化のタイミングと申しますか、そういう趣旨お尋ねであったと思いますが、先ほどから御指摘のありました昨年の閣議決定いたしました行革大綱、それから今回の関係閣僚懇談会方針、それに従ってやるわけでございまして、われわれといたしましては、国、地方の共済年金制度につきましては、この両者の関係をどうするかとかいうことではなくて、このような公的年金制度全体のあり方の中においてこれらがどういうふうになってくるかという方向で検討していくというふうに考えております。
  138. 部谷孝之

    部谷委員 では、厚生省の方に重ねてお尋ねしたいのですが、厚年と国民年金とのかかわりについては、先ほど五十九年から手をつけたいというふうな御答弁であったと思うのですが、さらに共済相互の一元化、そうしたものはどういうふうにお考えですか。
  139. 山口剛彦

    山口説明員 先ほど御答弁いたしましたように、私ども、五十九年にそういう国民年金厚生年金について改革をしたいと考えておりますが、政府全体としては、四月一日にも決めさせていただいた文書によって厚生年金国民年金がどういう改革をするかということを見て、共済組合についてもそれと同様の趣旨に立った改革を六十一年までにするということを、一応政府部内では現時点で意思決定をいたしておるわけでございます。したがいまして、私どもの期待といたしましては、厚生年金国民年金を将来どうするのだという方向が出れば、その基本方針は尊重していただいて、共済組合制度についても同様の趣旨に基づいた関係整理をしていただけるものと私どもは考えております。
  140. 部谷孝之

    部谷委員 すべての年金について言えることでありますが、現状から見まして、年金財政の健全化には段階的な保険料の引き上げを進めなければならないことになります。それも、当代世代と後代世代との負担均衡を維持するようにしなければなりません。このことなくして年金財政の健全化は望み得ないと思われるわけでありますが、その権衡を維持する方策の一つに、支給開始年齢の引き上げということが考えられるわけであります。しかし、それは退職後の無年金期間を生じないように就労年限の延長を図る、いわゆる定年の延長とセットで考えなければ、そうした問題はいろいろな問題を起こす、こういうふうに思うわけであります。そのことによって、平均寿命の延びによって生じておる年金受給期間の延び、すなわち年金財政悪化の一因を解消することにもなるわけであります。  ところで、厚生省の「二十一世紀年金」アンケート、これを見ますと、老後の生活設計について、六十歳から六十四歳の人々で就労による収入を求めておる、そういう人が八〇・三%ときわめて高い数字を示しておるわけでありますが、こうした要求にも合致することになると思うわけであります。そしてまた、年金給付水準の引き下げも避けられるということに相なりまして、一石二鳥あるいは三鳥、こういうことになろうかと思うわけであります。長期的に段階的に定年延長を図ることは考えられないのかどうか、この点はどのようにお考えでしょうか。
  141. 坂弘二

    ○坂政府委員 定年の定め方いかんによりまして、その結果が年金財政に影響を及ぼすということは事実であろうと思います。また、御指摘のとおり、年金支給開始年齢と定年年齢との間にギャップがあってはいろいろ支障が生ずるということも、そのとおりとは思います。しかし、定年制度は、もともと本質的には職員の新陳代謝の促進とかあるいは計画的な人事管理の遂行等公務員制度あり方としての面から生じてきたものでございますので、定年制度年金財政のために動かすということは、いろいろと慎重でなければならないと思っております。
  142. 部谷孝之

    部谷委員 この問題はいつも繰り返される問題でありますから、また将来の問題としてさらに残してまいりたいと思います。  年金の一本化を行う場合に、近い将来に財政困難が予測される、そういうところでは、いずれ一本化されるのであれば、どちらかと言えば自助努力がおろそかにされて他人任せになる、そういうことも容易に予想されるところであります。このことは、相当前から指摘されていながらなかなか的確な対策がとられないで今日の破綻を招いておる国鉄共済にも見られるところであります。  そこで、今次の地方共済の改善案では、公立学校と警察の二つの組合が除外されておるわけであります。しかし、学校と警察共済に積立不足が生じてから救済のために合併する、こういうことに相なりますと、これは他の組合の納得がなかなか得られないのではないか、そういうふうに思うわけであります。そこで、この二つの組合の加入は急いだ方がよい、このように思うわけであります。すべての地方公務員が同一の財源率で保険し合うというのが現時点では一番望ましいのではないかと思うのですが、この点に対する御見解を伺いたいと思います。
  143. 坂弘二

    ○坂政府委員 御質問のとおり、あるべき姿といたしましては、公立学校共済組合警察共済組合ともに、すべて三百二十万余りの地方公務員一つ財政単位で年金を維持するというのが望ましいと思いますので、御提案申し上げております法律におきましても、本則におきましてはそのように定めておりますが、いろいろな事情から、出発点に当たっては公立学校と警察共済は除いたあとの八十九組合をもって出発するということにいたしておるわけでございます。したがいまして、今後、この二つ共済組合の加入につきましては、できるだけ早い時期に加入することができるように、関係者との間の協議を十分詰めてまいりたいと思っております。
  144. 部谷孝之

    部谷委員 地方自治体におきまして、一部で、退職前における特別昇給が退職手当の増大を招くということで批判されております。事実については私もよくわかりませんけれども、かつて六号俸も一挙に昇給させているのがあるということを何か新聞で見たことがありますが、退職前一年以内にこのような特別昇給を行えば、当然地方共済年金の算定の基礎となるわけでありまして、俸給にストレートに結びつきまして、年金支出を増加させておることは否定することができないと思います。そして、それは年金財政の積立不足分となって財政悪化の一つにもなるわけでありますが、このことにつきまして自治省としてはどのようにお考えか、あるいはどのような対策をお考えか、その点、御答弁を願いたいと思います。
  145. 坂弘二

    ○坂政府委員 給与退職間際に引き上げて特別昇給させて、退職手当もふえるけれども年金財政にも影響があるというお話でございます。全くそのとおりでございまして、年金財政に対しても影響を及ぼすことでございます。しかし、この問題は、年金財政に対する影響ももちろん重要でございますが、それ以前に、そういう不適正な退職手当を支給するための給与運営というようなものが大問題であるわけでございますので、これらの点につきましては、そのような不適正なことがなくなるよう、是正するよう従来からも強く指導いたしておるところでございます。
  146. 部谷孝之

    部谷委員 今回の改正案は、年金財政単位の一元化が主たる内容であります。ところで、新たに設置される市町村連合会には、構成組合の短期給付と短期給付に要する財源の計算及び資産の管理、これが適切に行われるように事務の指導を行うこと、そして当分の間、市町村職員共済組合が現在実施しておる短期給付に係る財政調整事業を継続すること、こういうふうにしております。  この当分の間とは過渡的なものだというふうな理解をするわけでありますが、臨調基本答申でも指摘されておりますところの乱診乱療と医療費の増大による保険料の増大問題、こういうことがあるわけであります。一部の自治体や単位組合では、健康管理を強化することによって医療費の縮減を図っておるところであります。また一方では、野放しというか、おざなりな健康管理と医療対策、こういうもので赤字を発生させておる自治体や単位組合があるというふうに言われておるわけでありますが、このような異なった対応の結果、平たく言えば財政調整に損得を生ずる、そういうことであるとこれはやはり問題だと思うわけでありまして、総もたれ合いをいたしまして、そして赤字増大の問題になる、そういうおそれがあると思うわけでありますが、こうした点についての対策は何か考えておられるのでしょうか。
  147. 坂弘二

    ○坂政府委員 ただいま御指摘のありました市町村共済の短期給付財政調整の問題は、昭和五十七年八月から始めたわけでございますが、確かに見方を悪くいたしますと、ルーズな運営をしておるものをお互いが助けてしまうということで、全体的に悪くなるのではないかという御心配もありますけれども、しかし、そうではなくて、本当に医療費の増高等の自主的な努力を払ってもなおかつ所与の条件のために経営が悪くなるというものは、やはり相互扶助の精神を発揮して財政調整をすべきではないかということでございます。  もちろん、われわれはこの財政調整だけでよろしいと言っておるのではございませんで、組合に対しましては、たとえば附加給付の足切りの額をどのようにするかとか、医療費通知をしたらいいのではないか、あるいはレセプトの内容審査をもっと徹底すべきであろう、そういうような適正な医療費、医療給付の管理を前提にいたしまして、そういうことは別途やるように適切に指導してまいっておるわけでございます。
  148. 部谷孝之

    部谷委員 同じように、長期給付におきましても財政調整が行われることになったわけでありますから、給与水準の高い自治体の退職者は高い給付年金を支給され、その組合は財源が不足すると財政調整の利益を受ける。先ほどの短期給付と同じような結果が生じ、考え方によってはこれが不公正につながる、そういうことにもなろうかと思うのですが、その点についてはいかがですか。
  149. 坂弘二

    ○坂政府委員 これも制度の悪用の面から、極端に見ますとそういうことも申し上げられるわけでございますけれども、しかし、やはり相互扶助の精神にのっとって制度上のお互いの欠陥を補おうというものでございますので、これも先ほどの退職手当の問題と同様でございますが、給与そのものにつきまして、年金財政云々の前に給与水準あるいは給与運営の適正化ということが問題でございますので、従来ともそのような点を指導してまいるわけでございますし、今後ともさらに適正化が進むようにいたしておるわけでございます。
  150. 部谷孝之

    部谷委員 連合会に対する長期給付の積立金については三〇%というふうに定められ、当初の五十八年度末の積立金については一五%ということになっておりますけれども、その根拠はどういうものか、お伺いをします。また、その運用についてもひとつ御説明をいただきたいと思います。
  151. 坂弘二

    ○坂政府委員 長期給付積立金の三〇%の根拠でございますが、財政単位を一元化すると申しますか、統合するためには、全額拠出するという方法もあると思いますし、それから、財政調整に必要な最小限のものを拠出するという考えもあると思います。今回の法案お願いいたしておりましたのは、原則三〇%、ただしすでに過去に積み立てたものにつきましては、経過措置といたしまして最初は一五%、残りの一五%は後ほどということにしたわけでございます。  その主な理由は、年金の将来の支払いのための積立金でございますので、これをいろいろと、もちろん安全、有利なふうに運用もいたしますが、それと同時に、その積み立てを拠出しております職員の福利厚生についてもやはり活用いたしたいというのもございます。そういうものに対する貸し付けがかなりあるわけでございます。現在三〇%は、その地方公務員の積み立てでございますので、地方公務員行政関係のものに役立たせたいということで、地方債とかあるいは公営企業債の引き受けに充てるようにしているわけでございます。したがいまして、今回連合会をつくりましてその三〇%相当分の拠出をしていただき、そのかわり地方債なり公営企業債の引受義務を連合会が肩がわりするということにすれば、積立金の一部を拠出いたしましても、職員に対する住宅の貸し付けとかいろいろございますが、そういうものについての事業の圧迫は受けないということであり、また、その程度拠出金を集めれば、これを地方債等に運用いたしまして、その運用利益から将来財政調整が必要になったところに充てることもできるというような点で、大体そういうような関係者の合意も得ましたので、そうさせていただきたいと思っておるわけでございます。
  152. 部谷孝之

    部谷委員 この三〇%の拠出では、いずれ不足する時期が来ると思います。たとえば呉とか大牟田とかあるいは鹿児島、こういうところの共済では単年度の赤字が出ておるわけであります。したがって、遠からず長期給付積立金の交付が始まり、そして三〇%の引き上げが必要な時期が来る、こう思うのですが、その時期はいつごろというふうにお考えですか。
  153. 坂弘二

    ○坂政府委員 個々の組合の年金財政の将来につきましては、いろいろな所与の条件がございますので、たとえば財源率の再計算によって財源率がどうなるかとか、いろいろの問題がございます。それから、職員の増加の問題、減少の問題、さまざまな問題がございますので、的確な予測をすることは困難でございますが、最近の状況によって見ますと、連合会設立した後も、約一兆円と見込まれております積立金はその後も当分の間は増加するものと考えられますので、楽観的に見るわけではございませんが、そう差し迫って急に連合会財政調整のために多額の金を支出しなければならぬという状況は参らないと思いますが、これはあくまでも現在の状況判断するわけでございます。今後、職員の異動状況あるいは掛金の割合、あるいは公的年金全体の改革の問題として検討されます年金内容改革、そういうものによっていろいろ変わると思いますので、現在、ちょっと的確にはわかりかねますが、そう早急に大問題が起こるとは考えられません。
  154. 部谷孝之

    部谷委員 今後連合会で各自治体の起債に対する融資を行うことになるということでありますが、個々の自治体の財政事情というものが、そういった間接的な融資に相なりますと、財政需要というものを的確に把握をして、そして十分そういう配慮ができるのかどうか、そういう意味の懸念が実は生まれてくるわけなんですが、その点、そういう懸念はないものですか。
  155. 坂弘二

    ○坂政府委員 従来その地方債を受け入れておりました部分を今度連合会の方に拠出するわけでございますが、もともと、起債の必要性があるかないか、あるいはどのような資金をそれに充当するかということにつきましては、自治大臣あるいは都道府県知事が起債の許可の審査をいたしているわけでございますので、御心配になるようなことは万々生じないようにいたしていると思います。
  156. 部谷孝之

    部谷委員 大蔵省お尋ねします。  私は先日、地方交付税の一部改正に係る本委員会におきまして、大蔵大臣に対しまして、財政再建期間の延長に伴う行革関連特例法の延長の有無についてお尋ねをいたしました。年金財政公的負担部分の一部を、いま四分の一カットしておるわけでありますが、そうすれば当然、組合員の掛金率の引き上げ、こういうことを実質的には意味しておるわけでありまして、年金財政に対して悪影響を及ぼしておるわけであります。そして、その対象期間を五十九年度までとされておるわけでありますが、財政再建の目標年次もどうも延期されるようになるわけでありますが、それとの関連につきまして、この負担カット分は今後どのように扱われることになるのか、ひとつ見通しを明らかにしていただきたいと思います。
  157. 野尻栄典

    野尻説明員 行革関連特例法は、いま先生おっしゃいましたように、五十七年度から五十九年度までの三カ年間における補助金や負担金の国の歳出の縮減措置を図るための特例ということで定められているわけでございます。その一環といたしまして、厚生年金や各種共済年金の国庫負担相当分についても四分の一のカットを現在行っているわけでございますが、この特例期間は、いま申し上げましたように五十九年度までということになっておりますので、この経過期間が終了いたしました後は、その減額分につきましても、繰り入れその他適切な措置を講じてまいるということになると考えております。
  158. 部谷孝之

    部谷委員 繰り入れを図ると言い切られますか。
  159. 野尻栄典

    野尻説明員 将来にわたる年金財政の安定が損なわれないように、かつまた特例期間経過後の国の財政状況等も勘案しながら減額分の繰り入れを適切に講じていくということは、この法案提案したときにもお答え申し上げておりますので、その事情は変わっていないというふうに考えております。
  160. 部谷孝之

    部谷委員 いわゆる大連合の事業範囲につきましては、これを拡大すべきではないかというふうに考えます。その場合に市町村連合会事業範囲が当然相関してくるわけでありますが、両者の業務あり方につきまして、今後の考え方なりあるいは取り組み方についてお尋ねをしておきたいと思います。
  161. 坂弘二

    ○坂政府委員 今回、御提案しております地方公務員共済組合連合会でございますが、そこにおいてどのような事業実施するかということにつきましては、いろいろな御意見がございまして、いままで二年余りこの問題で関係者の間で検討してまいったわけでございますが、その関係者の多くのコンセンサスといたしまして、当面、連合会において実施する必要のあるものは、長期給付に係る財源率の決定、長期給付積立金の管理ということでございますので、そのように法案を御提案したわけでございます。  したがいまして、これからの連合会と市町村の連合会との機能は、基本的に申しますと、長期給付に係るものは大連合会と申しますか、その方と、それから、短期給付に関する方は市町村の連合会というような、多少の入れ繰りはございますが、大まかにそのような感じで、当分その事業を着実に実施してまいりたい。今後、それでは連合会事業はどうなるかということは、その連合会の成り行きを見まして、関係者の御意見も十分聞いて、そして今後の課題であろうと思います。
  162. 部谷孝之

    部谷委員 どうも小連合をつくる積極的な理由が乏しいような気がしてなりません。行政改革の観点からまいりますと、二重構造になって、こうした行政改革に逆行してくるような気がしてならないわけですが、そうした議論はなかったのですか。
  163. 坂弘二

    ○坂政府委員 行政改革の時代でございますので、なるべく組織の重複なり複雑なものは避けるべきであるということは当然でございまして、それをまた念頭に置きまして、地方公務員共済年金財政の安定化を図る最初のなすべきこととして大連合会をとにかくつくるということでございますので、現在ございます市町村職員共済組合連合会都市職員共済組合連合会二つを廃止いたしまして、そして新たに、そのかわりに全国市町村職員連合会を置く、そこで組織は減らしているわけでございまして、行革にのっとっているつもりでございます。  なお、この市町村職員共済組合につきまして連合会を設けましたのは、たとえば県の職員であれば、これは全国一本の地方職員共済組合でございます。それから警察も一本でございますし、公立学校も一本でございます。しかるに、市町村の方の共済組合は非常に分かれておりまして、もちろん、この組合自体を統合する、しないという別の観点から申せば別でございますが、地方公務員のいろいろな過去のいきさつ、現状からしまして、これらの組合があるわけでございますので、これらをやはり全国的に統一した何らかの組織が必要であるということで、この市町村連合会を新たに設けるのでございまして、二つ一つにするということでお願いしているわけでございます。
  164. 部谷孝之

    部谷委員 では最後に、大蔵省お尋ねしたいと思います。  去年の給与改定が見送られたことによりまして、既裁定年金者の年金額と新規年金裁定者のバランスが崩れたと思われます。また、この給与改定の見送りに関する与野党の協議におきまして、年金関係の是正について合意がなされておるわけでありますが、今次改正案にはこの是正策が入っておりません。今後、こうした問題について、その合意の具体化についてどのように取り組まれるか、御答弁願いたいと思います。
  165. 野尻栄典

    野尻説明員 五十七年度の人事院勧告が見送られたことによりまして、五十七年度に退職した年金受給者と、それ以外の者との間にアンバランスが生じているのではないかというお尋ねでございますけれども、実は、これは特にアンバランスは生じているとは考えておりません。つまり、五十七年度に退職された方々の基礎となっている給与ベースは、五十六年度のベースのままでございまして、五十六年度以前に退職されている方々のいま受給している年金の基礎ベースも、五十六年度給与ベースまできているわけでございまして、その限りにおいては全く同じベースの年金を受給していることになるわけでございます。  ただ、五十八年度以降、現職の公務員が仮にベースアップが行われるといたしますと、その五十八年度以降の退職者の年金受給の基礎ベースと、五十七年度以前に退職した人たちの基礎ベースとの違いが出てまいりますので、そういう点につきましては、五十八年度の公務員のベースがどうなるかを見きわめた上で、五十九年度以降、他の年度の退職者とのバランスが失しないように、五十七年度退職者についても何らかの措置を講じていかなければならない、そういうことは考えておるわけでございます。具体的には、そういった諸事情を考慮しながら今後検討されるものと考えております。
  166. 部谷孝之

    部谷委員 終わります。
  167. 田村良平

    田村委員長 岩佐恵美君。
  168. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 自治省は、今回の地方公務員等共済組合法の改正が必要であるという理由一つに、地方公務員共済年金財政が悪化をしている、このことを挙げています。そして、地方公務員共済組合全体では昭和六十九年に単年度収支が赤字になる、そういう試算をしていますが、今回連合会を構成することになる十四の財政単位ごとの年金財政の将来見通し、つまり試算はあるのでしょうか。そして、それぞれどのような試算になっているのか、お示しをいただきたいと思います。
  169. 坂弘二

    ○坂政府委員 十四の財政単位ごとの年金財政の将来見通し、試算のお話でございますが、これは非常にむずかしゅうございまして、保険数理的に妥当と認められる将来推計を長期的に行うために必要な基礎資料が得られる保険集団といたしましては、全国的規模の共済組合がございますので、その将来の見通しを申し上げますと、これもいろいろな条件がございますので、一応条件といたしましては、前回の昭和五十四年十二月の財源率再計算時の基礎資料により、それから組合員数は昭和五十三年度末で一定とし、給与改定率及び年金改定率は年五%、運用利回りは年六%、いろいろそういうような一定の前提条件を設けましていたしますと、地方職員共済組合につきましては、財源率を据え置いた場合には昭和六十六年度に単年度収支がマイナスになり、昭和七十五年度に積立金がマイナスになるであろうと見込まれます。それから公立学校共済組合は、やはり同じく昭和六十六年度には単年度収支がマイナスになって、積立金がマイナスになるのは昭和七十六年度ではなかろうか。それから警察につきましては、単年度収支は昭和七十六年度ごろにマイナスになりますが、積立金はその後当分続いて底をつくことはない。それから市町村職員共済組合につきましては、全体といたしまして昭和七十一年度には単年度収支がマイナスになりますが、積立金はその後も当分は続くというような感じでございます。
  170. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そうすると、他の地方公務員共済組合の将来見通し、これは自治省として把握をしておられないということなのでしょうか。
  171. 坂弘二

    ○坂政府委員 これは、試算いたしますにつきましても、非常に信憑性のある資料とかいろいろデータが必要なわけでございまして、われわれといたしましては事務的には試算したものはあるようでございますが、公の席で申し上げるにたえるような基礎数値のしっかりしたものはなかなかできないということであります。
  172. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 公の席でたえられないような資料しかないということになると、なぜ地方公務員共済年金全体の試算が行われたのか、それが可能なのか、しかもそれが一体信頼性があるものなのかどうか、そういう議論になってくるわけでありますけれども、一体、六十九年度に単年度収支が赤字になるという試算、これは本当に信憑性があるものということが言えるのでしょうか。
  173. 坂弘二

    ○坂政府委員 もともと、年金財政の将来推計につきましては、その前提条件の置き方とか膨大な基礎資料の整理等非常にむずかしい問題があるわけでございまして、特に地方公務員共済組合の中には保険集団として規模のきわめて小さいものがございまして、そういうところにおきます職員退職状況などが年金財政の動向に大きな変動をもたらすことにもなりますので、確実な見通しを持つことは特に困難でございまして、いままでわれわれが申し上げておりますのも、その一定の条件を置きましておよその見通しということで常に申し上げているわけでございます。
  174. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そういうやり方は非常にずさんである、無責任であるというふうに言わなければならないと思います。  では、財源率を据え置けば単年度収支が六十九年度から全体に赤字になるということですけれども、これは全体であって、十四の組合になった場合にどういうことになるのか、そういう計算はあるのですか。
  175. 坂弘二

    ○坂政府委員 先ほど一番最初に御答弁申し上げましたように、これらの中の全国的な組織を持っておりまして基礎資料が個別にはっきりわかる、比較的つかまえやすい地方職員共済組合、公立学校、警察、市町村の連合会というものにつきましての個別の事情は、最初申し上げたわけでございます。
  176. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 いまの答弁はどういうことなんですか、よくわからないのですが。
  177. 坂弘二

    ○坂政府委員 地方公務員の全体のおよその推計が一つございまして、それからただいま御質問がございました、それでは十四の財政単位ごとにどうなるかわかるかという御質問でございますので、その財政単位ごとの積み上げ計算をいたすことができますのは、ただいま申し上げました四つの組合が比較的そういう基礎資料が整っておりますので、それはいたしましたということでございます。
  178. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 要するに、十四の組合を数えた場合に、それを計算した場合には正確な計算ができないということであるわけですね。つまり、アバウトの、わかっているところだけで類推をしているということであるわけですね。
  179. 坂弘二

    ○坂政府委員 再々繰り返して申しわけございませんが、いわゆる積み上げ計算ではこれは大変な、なかなか計算できないわけでございますから、そこで全体の、一定の前提条件を置きました推計をいたしますのが一つと、それから財政単位と申しますか、グループで比較的資料が整って計算しやすいものは、それの個別の計算ができる、そういう事情でございます。
  180. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そうすると、今回連合会をつくることによっていわゆる単年度の収支が赤字になることを回避をする、そういう確たる見通しを、現在十四の組合、積み上げもきちっとやっていない、アバウトな数字でもってやることが一体できるというふうに考えておられるのかどうかですね。
  181. 坂弘二

    ○坂政府委員 今回の連合会をつくります趣旨は、再々御説明申し上げましたように、計算単位を個別に、グループが小さいと、同じ給付内容でありながら成熟度の相違などによって掛金率に相違を来す、そういう不公平がある、そういうものを是正するという、保険グループを大きくして、そういう小さいものが不安定なのをなくすというのが主眼でございますから、全体をまとめたものは連合会をつくっても全く同じでございますから、その財政見通し、もしもわれわれの申し上げます粗い見通しが仮にそれであるとするなら、連合会をつくってもそういう意味の見通しは同じでございます。
  182. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そうすると、大臣に伺いたいのですが、結局、連合会をつくっても、国の負担率をふやすなどの抜本的な対策をとらなければ、この財政問題についてはいずれは同じ問題が繰り返し出されてくるわけですから、解決がされないということになるのではないでしょうか。
  183. 山本幸雄

    山本国務大臣 十四の組合はそれぞれ成熟度も違うし、やはりそれぞれ事情が違う沿革があるということだと思うのです。そこで、先ほど来大変ずさんな計算ではないかというお尋ねがあります。これは計算自体、私も詳しいことはわかりませんけれども、しかし、そういう計算をするのは一つの数理計算で、やはり見込みであることは間違いないのですが、しかし、それにしましても、自治省だけが大変ずさんな計算でやっているのじゃなくて、こういうのはやはり一つのやり方があるので、そのやり方にのっとって計算をしたものだと思います。そこで、じゃぴしゃり間違いないかとおっしゃられると、どこまで自信があるのか、こういうことでございますけれども、しかし、一応そういう計算をしまして、これは自治省としては当面自信のある数字になっておる、こういうことでございましょう。  そこで、申し上げたように、将来、六十九年度ごろには単年度収支でマイナスになる、こういうことでございますから、そういう見通しの上に立って、そういうことにならないようにするのにはどうしたらいいかといういろいろな方策を考えなければならないと思うのです。それはまだ時間的ゆとりがあることでございますから、そういう事態にならないような方策をひとつ考えていかなければならない、こう思っておるわけであります。
  184. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 大臣、いま私が伺ったのは、結局連合会にしても、その財政問題、単年度収支の赤字が先延ばしになるとかそういうことではないという答弁が自治省からあったので、それでは連合会にしたとしても、結局国の負担率をふやすなどの抜本的な対策をとらなければ同じようなことが繰り返されていくのではないでしょうか、その問題について伺っているわけです。
  185. 山本幸雄

    山本国務大臣 連合会で調整をする限度はやはりあるだろう、しかし、連合会はそういう財源調整をしながら、そして赤字になる、マイナスになる組合にはそれだけの援助をしていくという形で全体が保険をされていくものであろう、私はこう思うので、それは連合会連合会なりの役割りはちゃんとあり、その任務を果たしていけるもの、こういうふうに思うのであります。
  186. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 私、最初に申し上げたように、今度の法案提案理由の主な柱として単年度収支が赤字になるということがうたわれているわけですから、それじゃ連合会になったらこの問題が解決をされるのかということについて伺っているわけで、結局個々の組合の実情も公の席に出せないような数字でしかつかんでいない。そこで、連合させたとしてもこの財政問題が解決をされるということではないということになると、一体何のための法案なのかという問題になるわけですね。そこのところを大臣に伺っているわけです。
  187. 坂弘二

    ○坂政府委員 将来推計をいたしますのが非常に技術的にむずかしい問題でございまして、現に赤字を出しておる経理、そういうものはみんなはっきりしておるわけでございます。そこで、現に赤字を出している共済組合もあるわけでございますが、なぜ赤字を出しているかということについて、その非常に大きな原因がその計算の単位が小さいということであれば、これは問題でございますし、そういう意味で、細かいグループに分かれた保険ではなくて、一つの大きなグループの保険の方が保険制度としてより安定的であるということは事実でございますので、そういうふうにいたしたいというのが今回の法律の改正の趣旨でございます。  ただ、それだけでそれじゃ未来永劫に健全化するか、そういうことではございません。これは公的年金制度すべてに通ずる問題でございますから、先ほど来御討議のありましたように、公的年金制度全般の問題を今後検討されるわけでございますので、その一環として地方公務員共済年金についても当然検討していかなければならないということでございます。
  188. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 ですから大臣、言っているのは、国の負担率をふやすなどの抜本的な対策をとらなければ、これはもう片手落ちである。つまり、連合会にすればそれで財政問題は解決されるのだということは非常に見通しがむずかしいわけですね。いまの話でも自信がないわけですね。だから、そこのところを伺っているわけですね。
  189. 山本幸雄

    山本国務大臣 保険単位が何せ十四ある、まだしかし、警察も教職員も一緒になっていないという段階で、保険単位といいますか、財政単位を大きくしていくということは、やはりそれだけの意味がある。ですから、連合会連合会として、十四あるいは十六の組合が一つの単位になったときには、やはり連合会はそれだけの機能は十分発揮するもの、こう思うのであります。
  190. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 幾ら伺っても、どうも大きければいいんだ、しかし大きければどういうふうにいいんだというのがさっぱりわからない。そこにこの法案の筋を通していない欠陥があるのじゃないかというふうに私は思うわけですが、余り時間もたってしまいますので次に伺いたいと思います。  先ほどから議論になっておりますが、ことしの四月一日に公的年金制度に関する関係閣僚懇談会決定というのがされているわけであります。当然、この懇談会には大臣も御参加をされておられることだというふうに思いますけれども、その点、まず最初に確認をさせていただきたいと思います。
  191. 坂弘二

    ○坂政府委員 公的年金制度に関する関係閣僚懇談会の構成員に自治大臣は入っております。
  192. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 この中で、地方公務員共済制度の長期的な展望について、まず「地方公務員共済年金制度内の財政単位の一元化を図る。」このことを五十八年度に実施をする。それが提案をされている。これは、先ほど来再度議論をされてきている中で明らかになっているところであります。そして、最終的に「昭和七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させる」、こうなっているわけですけれども、将来は地方公務員共済制度と他の年金制度統合する、そうした方向を自治大臣が了承された、そういうふうに理解をしていいことなのでしょうか、大臣に伺いたいと思います。
  193. 山本幸雄

    山本国務大臣 これは関係閣僚懇談会で決定したものでありまして、その一員として私もこの決定には参加をしたものであります。したがいまして、いまここに書いてあることについて、五十八年度までにやる措置、五十九年から六十一年までにやる措置、それから七十年の最終目標、こう三段階に書いてあるこの内容について、その決定に私も参加した、こういうことでございます。
  194. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そうすると、将来は統合するけれども、当面は地方共済だけでやっていくということなのか、あるいは地方公務員共済は将来とも一本でいくということなのか。これも先ほどからいろいろ議論があったところでありますけれども、三月十日に地方公務員共済組合審議会答申を出しているわけであります。この答申の中で「地方公務員共済組合の特色、沿革等の諸事情に充分配慮し、これを維持することを基本とすべきである。」こういう指摘があるわけでありますけれども、この答申と「公的年金制度改革の進め方について」という関係閣僚懇談会の決定、これは矛盾をするものであるというふうに思うわけでありますが、自治大臣は答申を尊重されるのか、それとも、この一、二、三に分かれていて、七十年をめどに公的年金制度全体の一元化を完了させる、そういう決定の立場に立たれるのか、そのことを伺いたいと思います。
  195. 山本幸雄

    山本国務大臣 まず、地方公務員共済組合審議会の御答申は、諮問内容が、地方公務員共済の今回の法律案内容について審議会お尋ねをした、それに対する御答申であります。ここに一、二、三項と三つございますが、先ほども申し上げましたように、三項は確かに「地方公務員共済組合の特色、沿革等の諸事情に充分配慮し、」云々と書いてあります。ですから、私どもも、第三項のこの内容は将来にわたっても考慮していかなければならない問題であると思うのです。  そこで、関係閣僚懇談会の決定でございますが、これは昭和七十年までに公的年金を全体一元化する。そこで、地方公務員共済は将来は地方公務員共済として一つになる、それが今度は、いま共済あるいは年金はたしか八つぐらいあったと思いますが、それが公的年金として七十年に一本化をしていこう、そういう最後の目標に向かってこれから進んでいくものだと思うのです。その中に地方公務員共済は参加をしていくという形になるものだ、私はこう思っております。
  196. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そうすると、全体将来一元化を完了させるという立場に自治大臣は立っておられるということの理解でいいわけですね。
  197. 山本幸雄

    山本国務大臣 私は、二十一世紀に向けての国民的な年金というものにしていくという考え方で、やはりそういう一本化は望ましいものだ、こう考えております。
  198. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 しかし、そうしますと、三月十日の答申の三のところの「地方公務員共済組合の特色、沿革等の諸事情に充分配慮し、これを維持することを基本とすべきである。」つまり、地方公務員統合の問題はいいけれども、ほかの年金との統合については問題がある、反対だ、どうもそういうふうにしか読めないわけでありまして、矛盾するのではないかというふうに思うわけですけれども、この点はどうももう一つわからない。答申は、地方公務員共済についての独自性、自主性というものを将来とも堅持すべきであるというふうに強調していると思いますが、その点、いかがでしょうか。
  199. 山本幸雄

    山本国務大臣 これは将来にわたって地方公務員共済組合の特色、沿革等の諸事情を十分配慮しということでございますが、各共済組合にはそれぞれ沿革もあり、それぞれの制度の中身があるわけです。ですから、統合一本化のときもそれは尊重しながら、そして皆さんの各単位組合の合意を得ながらやらなければ一本化はできない問題だ、その際にこういう趣旨のこと、地方公務員共済としてはこういう沿革、事情がございますよということを主張することは、一本化の段階で言って当然のことである。しかし、それが一本化に全く反対であって、全くこれが矛盾しておるということにはならない、私はこう思うのです。
  200. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 今回、公立学校共済と警察共済を除いた理由について、職種が違うということで除いたということが先ほど来強調されてきているわけですけれども、結局、そういうことで除くということは、統合という場合に非常に無理があるということを示している一面である、そういうふうな気がするわけでありますけれども、この公立学校共済と警察共済の二つについて、先ほど大臣は、この問題については早晩統合するんだということを言っておられるわけですが、その時期は、早晩と言われても、一体一年なのか二年なのか五年なのか、これはよくわからないわけで、それはどういう時期を考えておられるのか、もう少し具体的にお答えを伺いたいと思います。
  201. 山本幸雄

    山本国務大臣 これは先ほど来もお話が出ましたが、私は、公立学校も警察もなるべく早く一本化してほしい、今回は十四の共済組合統合いたしますが、なるべく早い時期に公立学校も警察も一本化をしてほしい、またそうするのが将来への段取りとしては適当である、こう考えております。  ただ、いまお話しのように、あと一年でやるのか五年でやるのか、もちろん五年というようなゆっくりしたことではありませんが、では一年内にやるかと言われれば、そこまでは私も確たる自信は申し上げられない。しかし、なるべく早い時期に一本にしてほしい、一本にすべきだ、こう思っておりまして、これは所管の文部省あるいは警察庁あるいはそれぞれの組合の御理解を得て、合意を得て実施すべきもの、こう考えております。
  202. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 次に、今回の改正では、連合会業務長期給付に限定をしているわけですが、将来の問題として短期給付事業あるいは福祉事業についても連合会で行うことを考えておられるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  203. 坂弘二

    ○坂政府委員 今回設けます連合会における事業をいかなるものにするかということにつきましては、関係共済組合共済組合関係者その他関係者の間で鋭意検討を続けてきたわけでございますが、結論といたしまして、長期給付に係る財源率の決定と長期給付積立金の管理を主体とすることが一番望ましいというコンセンサスを得ましたので、そのようにいたしたわけでございます。  今後における連合会事業につきましては、連合会運営状況、各共済組合事業実施状況等いろいろ見ながら、関係者の御意見を十分に聞いて検討してまいりたいと思っております。
  204. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 将来的に短期給付事業あるいは福祉事業についても連合会で行う方向であるということなんですね。そこら辺はどうなんですか。
  205. 坂弘二

    ○坂政府委員 いえ、そういうことではございませんで、そういうものが必要である、ないといろいろな御意見もあると思います。そういう御意見があれば、そういう御意見関係者の間で十分煮詰めて、いろいろ検討してまいることが必要であろうと考えております。
  206. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そうすると、これについては結論として、いまのところ別に将来の問題としてこういう方向があるということではない、今後関係者の間のいろいろな話し合いによって決まっていく、つまり、それは連合会に入れないかもしれない、そういう方向もあり得るということであるわけですね。
  207. 坂弘二

    ○坂政府委員 現在はっきりしておりますのは、御提案申し上げておりますように長期給付に関するものでございまして、その他の事業について必要か必要でないかということは白紙状態でございますが、この連合会の性格上、関係者の間でいろいろな議論があれば、その議論をそのときにおいて検討すべきであると考えております。
  208. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 長期給付にかかわる財源率のことについて伺いますが、現行財源率はどのようにして決められているのでしょうか。
  209. 坂弘二

    ○坂政府委員 現行財源率の決め方でございますが、少なくとも五年ごとに自治大臣の定める方法により財源率の再計算を行いまして、その結果、保険数理に基づいてやられました財源率は、各組合あるいは連合会運営審議会または組合会総会等における手続を経まして定款によって定められる、そしてその定款の内容につきましては主務大臣の認可を受ける、そして効力を生ずるという、手続はそういうことでございます。
  210. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そうすると、少なくとも現状は、各組合が年金財政状況に応じて、あるいは職員の構成状況に応じて自主的に決めているということになっているわけですね。  各組合の現在の財源率はどうなっているか。地方職員、公立学校、警察、東京都、それから指定都市の内訳、市町村、都市、これについてちょっとお答えいただけますでしょうか。
  211. 坂弘二

    ○坂政府委員 この場合、数字でございますので、福利課長の方から御説明します。
  212. 秋本敏文

    ○秋本説明員 お答えいたします。  長期給付の財源率は、現在十六の財政単位ごとに定められているわけでございますが、千分の百二十一から千分の百二十六までの枠の中にございます。地方職員共済組合、これは道府県の職員共済組合でございますが、この場合千分の百二十四・五、公立学校も同じく千分の百二十四・五、警察につきましては、一般の組合員とそれから年金給付に関して特例措置のございます警察の組合員については区別されておりますが、一般につきましては千分の百二十五・五、特定警察組合員につきましては百三十九・五、東京都の共済組合は千分の百二十一・〇、札幌市千分の百二十二・五、川崎市千分の百二十三・五、横浜市千分の百二十三・五、名古屋市千分の百二十五・五、京都市千分の百二十六、大阪市千分の百二十五・五、神戸市千分の百二十五・〇、広島市千分の百二十四・〇、北九州市千分の百二十六・〇、福岡市千分の百二十五・〇、市町村職員共済組合につきましては、全国四十七の組合でもって一つの連合組織をつくっておりますが、この場合千分の百二十三・〇、都市職員共済組合につきましては、三十の組合でもって一つの連合組織を持っておりますが、この場合千分の百二十四・〇、以上でございます。
  213. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 現状では一番低い東京都が百二十一である。それから一番高いところが京都百二十六、それから北九州が百二十六と、そういう差になっているわけでありますけれども、今度の五年に一回の財源率の再計算、これが来年の五十九年の十二月に行われるということでありますけれども、この再計算によって、百二十一と百二十六の現在の差、これが一体どのくらいの差になるのか、そういう試算はしておられるのでしょうか。
  214. 坂弘二

    ○坂政府委員 五十九年十二月現在において現在の財政単位を前提として再計算をするとどうなるかということでございますが、現時点ではその計算結果の明確な予測は困難でございますけれども、各財政単位における組合員の現況とか退職状況年金受給者の発生、失権等の状況が財源率に大きく影響を与えますことと、それから年金財政判断する目安としての退職年金受給者の成熟度、それから収入支出の割合である収支比率、それから支出と積立金の割合である積立比率等を各財政単位別に見ると、かなりのばらつきが生じておりますので、この財源率の差は相当程度の格差がさらに生ずるものと予測されます。
  215. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 かなりの差というのは、その試算が一体あるのでしょうか。あるのだったら、そのかなりというのはどのくらいの差になるのかということをお示しをいただきたいと思います。
  216. 坂弘二

    ○坂政府委員 この試算は非常に膨大な資料と膨大なあれがかかるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、ですから明確な予測は困難でございますが、財源率を左右するいろいろな要素があるわけでございますね、そういう要素を判断いたしますと差が大きくなってくる、成熟度をとっても大きくなってくる、そういうことでございます。
  217. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そうすると、連合会をつくることになれば、財源率は一体どのぐらいになるというふうに試算をしておられるのでしょうか。
  218. 坂弘二

    ○坂政府委員 連合会設立いたしますと、連合会加入の組合の財政単位は一元化されまして、その財源率は昭和五十九年十二月の再計算の結果に基づき定められることになりますので、その再計算におきましては、最近数年間における組合員の現況、退職状況年金受給者の発生、失権の状況年金額の状況等の実績を基礎にしてこれは計算することになるわけでございます。そこで、これから計算するわけでございますので、現在どういうふうになるだろうかという予測はきわめて困難でございますが、年金受給者の成熟度は年々高まっていることが事実でございますのと、それから平均余命も次第に延びてきております。それから、毎年行われました年金改定に伴う積立金の不足額が相当多額に発生しているということから見まして、これもアバウトな話でまことに申しわけございませんが、財源率の引き上げは必要になるというふうに考えております。
  219. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 現行制度で再計算をするより、連合会をつくった方が組合員にとって利益になるのかどうか、つまり、引き上げ幅は連合会をつくった方が少なくて済むのだという数字が一体あるのかどうかという問題、これは膨大な資料になるということを先ほどからいろんなケースで言われるわけですけれども一元化統合される方にしてみれば、つまり組合員の一人一人の皆さんにとってみれば、一体自分の負担がどうなるのかということは非常に重要な問題であるわけですね。ですから、そこのところはやはりはっきりとさせるのが筋であるというふうに思います。たとえば一番高い北九州市あるいは京都、これは先ほど申し上げたように千分の百二十六ですけれども、この組合の場合には連合会をつくることによって下がる状態になるのかどうか、その辺はいかがでしょうか。
  220. 坂弘二

    ○坂政府委員 具体的に下がるか下がらないかということになりますと、これは正確な計算が必要だと思いますが、考え方といたしましては、全体をプール計算するわけでございますから、そのプール計算した平均値というものが、もしも所与の条件に変化がなければ、プール計算したから下がるとか、そういうことにはならないと思います。つまり、再々申し上げておりますように、一万人足らずの小さな保険グループというものは保険制度としても非常に不安定なものでございますし、そういうようなものをなくなして、そして社会保険方式として安定化を得るということ、それから給付の方は法律で画一的になっているわけでございますが、たまたま所属している保険グループが小さいために成熟度が高くて保険料が高くなるとかあるいは逆に安いということを、相互扶助の精神に基づいてお互いに均等して公平化しようというのが趣旨でございますので、それによって下がるとかいう、そういう性格のものではないと思います。
  221. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 結局、将来のことは数字的に何もわからないということになるわけですね。これはこの場合にもやはりずいぶん無責任な話だというふうに私は思います。いままでは自分たちの組合の実情に合わせて財源率を決めてきたわけですね。これが、今度連合会ができることによって自主的にできなくなる。自主性が損われるわけですね。しかも、運営審議会委員の半分は組合員から出すとしても、当然個々の組合員に対するきめ細かな配慮、これは大変少なくなるというふうに予想されるわけです。また、積立金のプールにしても、その運用利益はいままでは各組合で自主的に利用されてきたわけですね。つまり、自主的に利用できてきたわけですが、今後自主的に利用できなくなるというふうなことになるわけですから、これも組合員の利益を守る上で大変大きなマイナスになるわけです。  たとえば東京都の場合には、最高一千万円、共働きの場合には二千万円を限度として住宅貸し付けを行っている。こうした従来からの福祉厚生に充てていた資金運用に、今後連合会をつくることによって大きな制約がもたらされることになるわけですね。これも地方の皆さんからすれば、大分東京は住宅貸し付けがいいのではないか、そういう話があるかもしれませんけれども、大都市圏に住んでいる住民にとっては、住宅の問題というのは非常に大きな問題であるわけですね。これはまさにその組合が持つ特殊性であるわけです。  こういう問題も結局将来的に連合会になることによって無視をされていってしまうというふうなことになるわけで、将来的に、連合会が設置をされることによって自分たちの財源率が一体どうなるのかもわからない、そして既得権が結局侵害をされるというような状況になるわけですから、これは大変大きな問題であると思います。この点について一体どう考えておられるのか、伺いたいと思います。
  222. 坂弘二

    ○坂政府委員 私の誤解でなければなんでございますが、いままで財源率を組合で自分たちに一番適当なふうに決めた、そういうことはございませんで、これは財源率の計算の仕方、決め方、また社会保険方式に従いまして計算してやるわけでございます。  それから、資金連合会に出すのでその運用が狭められるというようなお話でございますが、そこでいろいろコンセンサスを得ましたのは、資金の拠出に当たりましては、積立金のうち、地方債とか公営企業債に充当する分を拠出していただいて、そのかわりその引受義務も連合会が引き受けるということによって、事実上、いま御心配いただきましたような事業に対する圧迫はないようにいたしたいということでやっているわけでございます。
  223. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 しかし、財源率については、各組合それぞれ規模だとかそれから考え方について、その組合の実情に合わせて決められてきたということは否定することができない事実であるというふうに思いますし、それからいまのお答えの中で、じゃ東京都の住宅のこういう問題は一体どうなるのかというような問題も解決をされているというふうにはとうてい思えないわけで、組合員はここのところに非常に不安を持っているわけですね。ですから、組合員の合意が得られるような形というのは当然とられていかなければいけないというふうに思うわけです。  地公審でも、反対であるとの非常に強い意見が今回の連合会方式についてあったというふうにあるわけで、年金財政の問題について、現行制度のもとで十六の財政単位がありますけれども、もし一本化することで財政基盤が強化をされるということであるならば、これはそうなのかなという一つのメリットがあるかもしれないけれども、しかし、そういうことも先ほどからのお話を伺っているとどうもはっきりしないということがあるわけで、そうすると、結局、十六の財政単位の皆さんはそれなりの歴史的経過があり、そしてそういう自分たちのいわゆる事情というものがあるわけですから、それを主張していくということは当然であって、この点について、なぜこの法案をそういうことを無視して急いでいかなければならないのかということがわからないわけです。いままで十六の財政単位として存在してきた、運営されてきた背景には、それなりの歴史的経過と理由があったからだというふうに思いますけれども、その理由について伺いたいというふうに思うわけです。
  224. 山本幸雄

    山本国務大臣 先ほど来のお話でいろいろ承りましたが、やはり小さな単位ではなくて、それは大きいことはいいことだと単純には言えませんが、やはりお互いに同じような職場で働いておられるという意味で、全体が大きく一つに一本化する、そしてお互いが助け合っていくという、そういう姿勢、そういうやり方は、私はきわめて合理的だと思う。先ほど来申し上げているように、これはやがてだんだんと国民的なレベルで一本化をしていく、そういう段階を踏んでいくわけですから、小さな単位でおればいいということではない。やはり将来のそういう大きな目標に向かって進んでいく一つ過程である。そして、そういう小さなところでおれば、それは小さいなりのメリットはあるかもしれないけれども、しかし、やはり全体としてお互いが危険度の分散といいますか、そういうことのスケールメリットというのは非常にある。これは要するに、全体を統合していこうというのもひとえにそういうところにあるわけでございますから、そういう過程にのっておるいまの連合会というものをひとずまずつくっていこう、こういう考え方でございますから、ぜひそういう考え方を理解をしていただきたい、私はこう思っております。  この問題は、ただ小さいところであれば財源率は自分のところで決められるじゃないかとか、そういうことではなくて、やはり全体がそういう大きな組織にだんだんなっていく、その中でお互いがひとつ助け合いながら福祉を守っていこうということだと思うのです。先ほど来御答弁も申し上げたように、福祉事業についてはそういうものに影響のないようにこの運営連合会としてはやっていく、そういうことも十分に考えておるのでありまして、いま住宅問題を取り上げられましたが、そういう問題については心配のないような運営はできる、私はこう思っておるわけであります。
  225. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 私は、個々の組合の歴史的経過があるというふうに思うわけで、それを統一をするという場合には、それ相応の手続、理解を得るための時間、こういうものが本来必要なのではないか。連合会を構成するすべての組合が合意をしているのかどうかですね。それから労働組合の中でも、反対をしているそういう労働組合もあるのではないかというふうに思うわけですが、この点について具体的にお伺いをしたいというふうに思います。そういう反対がある中で、なぜそういうふうに急いでいく必要があるのか。この点について、もっと合意を得るための努力をする必要があるのではないか、それをやるべきではないかということを再度伺いたいと思います。
  226. 坂弘二

    ○坂政府委員 この問題につきましては、昨今始まったわけではございませんで、二年ぐらい前から関係者の間でいろいろ問題点指摘があり、研究検討を重ねてまいったわけでございます。その間におきまして関係共済組合、もちろんこういう制度でございますから、みんな均一化して公平にしようというのでございますから、表現は悪うございますが、損得という問題はあると思います。したがいまして、すべての人が賛成、反対ということはなかなかむずかしいと思いますが、そこは関係共済組合のものとか、あるいは労働組合、職員団体のグループとか、そういうものでいろいろ検討していただきまして、そして、いろいろの議論はあるけれどもこういう形で出発したらよかろうじゃないかということで皆さんの合意を得て、そして地方公務員共済組合審議会審議を経まして、あの審議会におきましても一元化することが必要であるというふうに認めていただいているわけでございまして、今回御提案申し上げたわけでございます。
  227. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 連合会を構成するすべての組合は合意しているのでしょうか。
  228. 坂弘二

    ○坂政府委員 いままでいろいろな機関と協議してきたと思いますが、その具体的なものにつきましては、福利課長の方から御説明します。
  229. 秋本敏文

    ○秋本説明員 この連合会設立に至るまでの、これまた設立についての法案を御提出申し上げるに至るまでの関係者の方々との相談ですけれども、いまのままの財政単位のあり方では問題があるという問題意識はずっと以前からあったと思いますが、じゃ具体的にどうするかといったことの問題点指摘、さらにはそのための具体的なやり方についての案の提示、そういったものは二年近く前から行われているわけでございます。それ以来、共済組合関係の方々あるいは職員側の関係の方々ともいろいろな機会に何回も御相談をしてまいりまして、その結果、連合会をつくるとすれば、その運営についてはどうするか、連合会事業としてはどういうものをやっていくか、連合会に対する拠出はどうするか、そういったような具体的な問題も含めまして御相談をしてまいっております。先ほど公務員部長からお答えを申し上げましたように、こういった問題につきましては、関係者も非常に多うございますのでなかなかすべての方々が一〇〇%賛成、合意ということにはなりにくいものでございますけれども、大方の方々の御理解は得られたものというふうに考えております。
  230. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 大方と言っても、やはり反対の意見がある場合にはその意見というのは尊重していかなければいけない、これはそれこそ民主主義の原点だというふうに思います。  次に、連合会運営の方法についてちょっと伺いたいと思います。  連合会運営方法として運営審議会方式をとって、委員の数は二十二人、当面十四名としていますが、運営方法としては組合会方式という要望もあったというふうに思いますが、なぜ運営審議会方式をとったのか、委員は二十二名以内としたのはなぜなのか、その点、伺いたいと思います。
  231. 坂弘二

    ○坂政府委員 地方公務員共済組合連合会運営審議会方式を設けることといたした理由は、現在、運営審議会方式は、全国的な組織でございます地方職員共済組合あるいは警察職員とか、そういう共済組合等におきましてとられている方法でございまして、その運営審議会方式によりまして組合の運営につきまして十分その機能は発揮しておりまして、制度としても定着しているということがございます。そして、組合会を仮に置くといたしますと、その議員の選出のために三百二十万人の組合員による何らかの選挙を行わなければならないというような技術上、事実上きわめて困難な問題があるというような点から、いろいろの御議論はございましたが、結論といたしまして、連合会運営については、各組合等の意向を反映させるための機関としては運営審議会方式が適当であると考えられたわけでございます。  それから、運営審議会委員の数でございますが、連合会を組織する組合や組合員の意向が連合会運営に適切に反映されることを基本といたしまして、任命側委員職員委員の別に、地方職員共済組合公立学校共済組合警察共済組合、都職員共済組合、すべての指定都市職員共済組合、すべての市町村職員共済組合、すべての都市職員共済組合、このグループごとに、それぞれのグループの組合員数の規模も勘案しながら相応数の委員を任命できるように配慮したわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、出発に当たりましては警察、公立学校の二つが加入いたしませんので、運営審議会の定数は二十二名でございますが、さしあたっては十四名以内というふうにいたしたわけでございます。
  232. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そうすると、少なくとも現在の財政単位ごとの組合からは、代表が必ず委員として任命されるということになっているわけですか。
  233. 坂弘二

    ○坂政府委員 いや、財政単位の中で非常に問題であるという小さな財政単位でございますね、つまり指定都市でございますが、指定都市は一つずつだと大変でございますから、これは全体で一つでございます。
  234. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 それから、最後に伺いますが、一昨年の行革特例法によって、地方公務員共済法に基づき国が負担すべき金額について五十七年度から五十九年の三年間その四分の一をカットすることになり、現在もそのままですが、四分の一のカット分については、六十年以降国は約束どおり負担するのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  235. 坂弘二

    ○坂政府委員 御質問のございました行革特例法によります四分の一のカットでございますが、これにつきましては、同法におきまして、国及び地方公共団体は、将来にわたる地方公務員共済組合長期給付に関する事業財政の安定が損なわれることのないよう、特例適用期間経過後において、国家公務員共済組合に対して国が講ずる措置に準じて減額分の払い込みその他の適切な措置を講ずるということになっておるわけでございます。また、これを審議いたしました国会におきましても、大蔵大臣の御答弁に、特例適用期間中は年金財政の安定が損なわれないようにする、また、国の財政状況を勘案しながら減額分の繰り入れその他適切な措置を講ずる、この場合、利子相当分はその他の適切な措置の中に含まれると考えておるというような御答弁があったわけでございます。  したがいまして、地方公務員共済組合に対します削減分の取り扱いにつきましては、このような経緯を踏まえるとともに、国家公務員共済組合に対する国の措置状況等を見ながら適切に対処してまいりたいと考えております。
  236. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 支払い方法ですけれども、六十年に一括して払うのか、それとも分括をされるのか、あるいはこの間の利子についても当然組合が運用したであろう利率でもって支払うべきだというふうに思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  237. 坂弘二

    ○坂政府委員 私の方から御答弁申し上げるのはなんでございますが、われわれといたしましては、ただいま申し上げましたような経緯がございますから、国家公務員共済組合に対して国が措置をするはずでございますので、その措置と同じように、それに準じて措置いたしたいと考えております。
  238. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 自治省としては独自に、たとえば利子について当然支払われるべきであるというような立場に立つのかどうかということもあるわけですね、その辺はいかがなんですか。
  239. 坂弘二

    ○坂政府委員 そういう点につきましては、われわれといたしましては国家公務員共済組合に対する措置と同じように、やはり準じて地方公務員共済組合の方も考えられるべきであろうと考えております。
  240. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そうすると、その点は独自性は持たれないということになるわけですね。  時間が来ましたのでこれで終わるわけでありますけれども、先ほど大臣も、今後の問題について十分いろいろな意見を聞いて配慮をされていくということであるわけですけれども、私どもは、この問題については基本的にかなり無理をしてやっていっているということを感じているわけで、臨調路線に基づいたこういう法案というのは、本当に大急ぎで審議をし、そして決定をしていくべきではないというふうに思うわけですけれども、最後に大臣の御意見伺いたいと思います。
  241. 山本幸雄

    山本国務大臣 なかなかこういう問題はそう簡単に進まないものなので、各方面の御意見伺いながらやらなければならぬ。今回のこの問題にいたしましても、少なくとも一年半以上かかっている。ですから、さっき一年以内に警察、公立学校をやるのかというお話がありましたが、そう短兵急にはなかなかやれない問題でございまして、これは私どももそれだけのメリットのあることをやるのでございますから、慎重に考え、各方面の御理解を得ながらやっていきたい、こう思っております。
  242. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 終わります。
  243. 田村良平

    田村委員長 細谷治嘉君。
  244. 細谷治嘉

    ○細谷委員 けさ十一時から、この委員会でいま扱っている法案についての委員と自治省当局とのやりとりをお聞きして、一体この法案は何をねらっているのか、全くわからない。何のために連合会をつくるのか、これもわからない。言ってみますと、財政単位を縮小して大きくする、これだけがどうもねらいだ、こういうふうに思うのですけれども、それだけなんですか。一向わからぬですね、頭が悪いから。聞いていれば聞いているほどわからなくなる。いかがですか。
  245. 坂弘二

    ○坂政府委員 今回御提案申し上げておりますのは、地方公務員共済年金に関しまして、共済年金は社会保険方式をとっておるわけでございますが、その基礎になります財政規模と申しますものが十六に分かれ、しかもその中に非常に小さなものもある。小さいがために成熟度に相違が出たりいたしまして、一方、給付の方は法律をもって地方公務員である限り同一でございますから、同じ給付を受けながら年金財政の単位が小さい、大きい、あるいは所属しているところによって負担が違うというようなことは非常に不公平でございます。そういう不公平さをなくすということ、それから、保険方式をとるのにそのような小さな保険グループでは非常に不安定である、これを安定化するということが現在の地方公務員共済年金の現況から見て必要であるということから、この連合会方式をとらしていただきました。そのほか定年制に伴う特例とかございますが、主眼はそういうことでございます。
  246. 細谷治嘉

    ○細谷委員 余り時間がありませんから、私がポイントと思っているところを申し上げるわけです。  どうも大臣、本当のところの腹を言えないんじゃないですか。連合会というのができる、その連合会というのは長期の財政調整作業をやる、それから短期についての財政調整作業をやるということでしょう。それだけですね。そして、その連合会には公立学校の先生方のもの、警察職員というのは入っていない。これは一年ではできぬだろうけれども、五年以内にはできるだろう、これは大臣が言っているわけです。それだけの仕事なのに、二十何人かの審議会委員を置いた連合会というのを、全国が頭につきますね、そういうものをつくる必要があるのかと私は思うのですよ。当初問題になっておりましたように、それならば、財政調整するだけですから、あえて連合会などつくらぬで、基金構想みたいなのをつくってお互いに融通し合えば、これはできるでしょう。どうですか。連合会なんというのは無用の長物ですよ。あえて連合会をつくるのには何かねらいがあるのではないか、そう思わざるを得ないのですが、いかがですか。
  247. 坂弘二

    ○坂政府委員 長期給付年金財政の調整を行うというのが連合会の大きな仕事でございますが、それと同時に、もう一つ大きなのは、給料との掛金の割合でございますが、これを決定する。それから短期の方は、先ほど御説明いたしましたように、いたしません。それでございますから、単なる金が集まって、それが基金で、何かその利息で調整するというだけの仕事ではございませんで、やはり非常に基本的になる掛金率を決めるというようなものでございます。  それから、連合会そのものは、名称の問題でございますが、いまでも国家公務員連合会あるいは市町村職員の方も連合会と、共済制度にはこの連合会という組織はなじんでいるわけでございますので、連合会を設けさせていただきたいということになっております。
  248. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この問題について、それぞれ生い立ちが違う、だからなかなか一遍にできないのだ、こう言っているのですよ。生い立ちが違うものを、これはねらいとしては国家公務員と公共企業体、しかもそれはねらいは国鉄年金の赤字というのを、パンクするのを何とか防ごうという形で、一方的に犠牲を強要しつつあの法律が出ているでしょう。同時にこれが出てきたのですよ。ですから、一見違うようでありますけれども関係があるのではないですか。どうなんですか。はっきり、ないならないと言ってくださいよ。そういう意味において、将来連合会というものを学校の先生方や警察官も入ってもらう、そういう形で地方公務員の大きな財政単位をつくって対応していくのだということであればわかるわけですけれども、一遍に出てきた。関係ないようで、あるようだ。はっきり、ないと言えますか、今回のものは。どうなんですか。それでは今後どういうふうなタイムスケジュールでやるかということについては、一向明らかにしていないでしょう。多くの時間がありませんから、簡単明瞭に言ってくださいよ。
  249. 山本幸雄

    山本国務大臣 スケジュールは一通り、先ほど五十八年度段階でやるという少し粗っぽいといいますか、おおよその見当かもしれませんけれども、五十八年度ではこういうことをやる、二つのことをやる、二つについては今回法案を出して御審議を願っている、五十九年度から六十一年度にかけてはこういうことをやります、七十年度は公的年金を最終目標として一本化したい、こういう一通りの目標は決めておるわけです。そこで、地方公務員についてはどうする、どういうタイムスケジュールでやるのだ、こういうことはあると思うのです。  そこで、私どもはまず第一段階でこういう連合会組織、大変小さい、特に指定都市なんか小さいのが十ばかりあるのですから、やはりそれらは少し大きな単位に、連合会組織のもとに参加をしてもらうということが必要であろう、そしてなるべく早い機会に警察もあるいは公立学校も参加して、そして地方公務員一体となって、そして今度は国公との関係が私は当然出てくると思うのですね、同じ公務員として。それからまた、そのほかのいろいろな共済組合あるいは年金との関係が出てきて、そして全体として七十年度の公的年金一本化の目標に向かって進んでいく、そういう一つの、余り細かい何年にどうする何年にどうするまでは言っていませんけれども、おおむねのスケジュールは私はそれでのっておるのではないか、こう思っておりまして、地方公務員共済もそれに将来はのっていくべきものであろう、こう思っておるのです。
  250. 細谷治嘉

    ○細谷委員 地方公務員共済もそれにのっていくということになると、先ほど来議論がありましたが、地方公務員共済組合審議会答申の中に「国鉄共済組合の救済を目的とする共済組合統合地方公務員共済組合を参加させる構想があるとすれば、それには反対である。」こう言っています。そういう「構想があるとすれば、」と審議会は心配しておるわけですが、「それには反対」だと言っておるわけであります。そうすると、そういう構想があるわけですか、大臣。いまは具体的に明らかになっていませんけれども地方公務員共済組合を参加させる構想が一元化の中の重要な柱としてある、こういうことを大臣はおっしゃっているのですか、考えておるのですか。
  251. 山本幸雄

    山本国務大臣 その文章のところは一体どういうお考えか、私もわかりませんが、今回の国公と公共企業体との共済組合の一体化という問題に地方公務員が同じように今回参加するということについてはちゅうちょをする、そういうお考えでその文句が出てきた、私はこう理解しておるのです。
  252. 細谷治嘉

    ○細谷委員 本会議のときもいろいろありましたが、それぞれの歴史がある。その歴史に対しては国の責任もある。個々の組合の責任もあるかもしらぬ。そういう問題の解決を前提とせぬで、一つのあれが赤字だった、だからひとつ財政規模を大きくしてやり抜こう、それでできなくなったらひとつこれとこれを合わせてやろう、そういう構想の一環として連合会方式というのが出てきているわけですから、これはやはり問題だ。いまのところはそういう関係はありません、そういうことをはっきり言ってもらわぬと、この法律案の処理はできませんよ。大臣、いかがですか。
  253. 山本幸雄

    山本国務大臣 それはただいまの第三項にも、組合の従来の沿革なり特色あるいは内容というものがあるわけですから、それを尊重しながらやっていくという方針はうたわれておる。そういうことを考えながら地方公務員の全体の一本化というものを考えていく、その間には矛盾はない、私はそう思っております。
  254. 細谷治嘉

    ○細谷委員 時間がありませんから、赤字が出た、その赤字についての究明なしに黒字のところをくっつけて急場をしのぐ、そういうやり方については絶対反対だということを申し上げておきたいと思います。  そこで、いままで質問がありましたうち幾つかの問題点について、ちょっと補足的に質問をしておきたいと思います。  去年も問題になったわけでありますが、共済の基金というのを今度問題の連合会が管理するわけですけれども、この連合会の管理する資金の運用というものを見てみますと、たとえば四十五年、五十年、五十六年、この辺を見てみますと、明らかに組合員の福祉関係、こういうものにウエートを置くべき資金の運用が、運用の利益というものを追求する余り、あるいは来年あたりはかなり資金不足というのが予想されておりますから、そういうことを考えますと、四十五年には五一%組合員の福祉関係資金が流れておったのが、今度は四六%に下がっておりますね。だんだん福祉関係資金のシェアが少なくなっている、追い詰められておる。そうしますと、五十九年あたりは大変な資金不足が生ずるわけでありますから、財政局長来ておりますけれども、交付税の借入金ももう借り入れできないようになってしまうのじゃないかということを心配する人もおるぐらいでありますから、いよいよ心配になりますね。現にだんだんシェアが圧迫されてきている。そこへ持ってきて今度は来年度の厳しさ、そして連合会というのができてきまして、そしてある意味で基金の民主的な管理、地共済の意見組合員意見というものからちょっと遠くなっていく、こういうことになりますと心配になりますが、心配がありませんと言い切れますか。大臣、どうですか。
  255. 坂弘二

    ○坂政府委員 各組合の地共済全体におきます資金の運用状況は先ほど先生の御指摘のとおりの傾向を示しておりますが、今回連合会をつくったために不都合なことが起こるかという御質問でありますれば、先ほど来申し上げておりますように、拠出いたしますものはこの一号資産のうちの地方債、公営企業債取得分に相当するものでございますから、そのような連合会設置が原因となって不都合が生ずるということはないと思います。
  256. 細谷治嘉

    ○細谷委員 シェアを福祉ということに追い詰めるのじゃなくて、やはり拡大する方向に資金運用をする、こういうふうに受け取ってよろしいですね。
  257. 坂弘二

    ○坂政府委員 御質問の趣旨がちょっとあれでございますが、連合会に拠出させますと、その拠出された拠出金連合会が地方債等に運用いたすわけでございます。その地方債等に運用させるために拠出する分は、各組合におきましてもともとそのために充てる部分の中でございますから、それと別に各組合において福祉関係事業にどの程度資金を今後充てるかという問題につきましては、一応一号資産、二号資産、三号資産と分けましてその運用の基準を定めておるわけでございますが、さらに住宅の貸し付け等ございますので、特例の承認制度ども設けてやっておるわけでございます。
  258. 細谷治嘉

    ○細谷委員 やはり福祉というところにウェートを置いた運用をしていただきたい。一般的ないままでの傾向を見ますとそれは漸減する傾向にあるからということで、警告を申し上げているわけです。  そこで、もう時間が迫っておりますから、大臣、今度は市町村共済と都市共済とを一つにして、そして市町村共済連合会というのができるわけですね。そういう連合会をつくろうとしておるやさきに、その短期の事務費についての市町村共済と都市共済に対する財政措置が違うのですよ。違うということはおわかりですか。公務員部長、知っていますか。ちょっと申し上げますと、市町村共済の方は交付税で裏づけしているわけですよ。五十八年度は一人当たり七千四百四十円。ところが、都市共済の方は健康保険組合ですからその半分になっているのですよ。今度は同じ市町村連合会に入るのに区別するというのもおかしな話でしょう。これは差別ですよ。金額が多い、少ないじゃない。いかがですか。
  259. 坂弘二

    ○坂政府委員 都市の中には健康保険事業で医療給付を行っておるところがございますが、その健康保険事業で行われております場合には、その事務費につきましては健康保険制度において措置されているわけでございます。そして、健康保険法第七十条によりまして、事務費につきましては国庫が毎年度予算の範囲内で負担するものと規定しているわけでございます。そこで、健康保険組合を組織しております地方公共団体の職員に係る共済組合につきましては、短期給付に係る事務費は財源措置をする必要がないわけでございますので、そこで交付税の算定上これが一律に措置されることになりますのでその分を調整しているということで、短期給付については短期給付のルール、健康保険組合については健康保険組合のルールにおいてそれぞれ事務費の公費負担と申しますか、負担をするという考えでございます。
  260. 細谷治嘉

    ○細谷委員 厚生省、おいでいただいておりますか。——健康保険、いわゆる健保の方ですね、健保組合を持っておるところにはどのくらい補助金を出しているのですか。
  261. 伊藤卓雄

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。  健保組合につきましては、単一組合というものがございますけれども、これにつきましては五十八年度予算で一人当たり年額二百八十一円の事務費を出しております。
  262. 細谷治嘉

    ○細谷委員 五十八年は三百十二円ではないですか、予定は。違いますか。負担金は三百十二円じゃないですか。
  263. 伊藤卓雄

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。  健保組合の事務費の単価といたしましては、先ほど申し上げましたように二百八十一円出しております。
  264. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そうしますと、そのくらいの金額ですと、短期だということになると一年間に事務費が三千七百円程度なくちゃいかぬわけですけれども、それはないわけですよ。片や交付税で完全に長期も短期も事務費は裏づけられておる、ところが、健保組合をつくっておりますと、長期の方の事務費をもらえるけれども、短期はもらえない。したがって、半分に削減されておる。しかもそれは八月の算定段階ではきちんと区別しないでやって、十二月の特別交付税段階で減額ルールで減額しているわけですね。これはちょっとおかしいと思うのですよ。大体補助金、その補助裏について需要額を見てやる、こういうことになりますと、金額は小さいようですけれども、やはり等しからざるところに問題があるわけですから、あえて私は指摘しているわけですから、財政局長、どうですか。
  265. 石原信雄

    ○石原政府委員 共済組合の事務費につきましては、通常の市町村を標準団体として想定しておりますから、通常の市町村の単価は、先ほど公務員部長から答弁しました五十八年の場合ですと七千四百四十円、これを一律に計算しております。おおむねその半分程度が短期給付に係る事務費であろうと考えておるわけです。  ところで、健康保険組合を組織している団体の場合には、短期給付の事務費は健康保険法の規定によって国庫が負担する、たてまえとしてそのようになっておる。したがって、普通交付税上一律に措置した分が健康保険組合を組織している団体についてはたてまえとして要らないはずである、過大算定になっている、こういう考え方で特別交付税の際に減額しているところであります。このような扱いは、昭和三十八年、現在の共済組合制度がスタートしたときからそういう扱いをしておりまして、考え方として、交付税法十六条の規定で、一律的な基準財政需要額の算定が個々の団体について基準財政需要額の算定過大になっている場合にはこれを減額要素として扱うという規定がありまして、その規定を適用して減額をしているわけであります。その場合に、当時は、法律のたてまえとして、必要な事務費は国庫が負担するというたてまえになっておりますから、要らないはずだということで減額措置を講じてきているわけです。  ただ、いま厚生省の方からも御答弁がございましたように、現実にはその間にかなりギャップがあるようであります。したがって、そのギャップを交付税の方の手当てで埋めるべきなのか、もとの健康保険法の方で改善すべきなのか、この辺の議論が残ると思いますけれども、現在の私どもの扱いは、法のたてまえに沿って本来これらの事務費は国庫の負担に属するものであるということで算定上減額している、こういうことでございます。
  266. 細谷治嘉

    ○細谷委員 必要な額については厚生省が見なければならぬ、こういうことになっておりますね。なっておりますけれども厚生省も医療費の問題についてはかなり厳しい査定を受けて、国民健康保険の事務費を初めとしてこういうところの事務費まで圧迫を受けておる。言ってみますと、自治省が交付税で需要額として見ている分の十分の一程度の補助しかないわけですね。ですから、自治省の方としては、それは厚生省責任だから厚生省に持ってもらえと。そうは言っても、厚生省としてはなかなかそれに対応できない。ところが、片や交付税措置の方では、補助金で見ているはずだから見る必要はないということで交付税はカットした。そのために一人当たり四千円ぐらいの需要額は短期の分は完全にゼロに落とされているということは、やはり問題があると思うのです。  これはまあここですぐ決着はつけないにしても、財政局長もその後の乖離というのが非常に大きくなったということは認めているわけですから、これはやはり何らか対応していただかなければ、法律は連合会はつくったわ、そして都市共済と市町村共済は一緒にしたわ、しかし取り扱いは別だよ、そうするとねらいはまさしくどこかにある、こういうふうに頭を回転せざるを得ないことになると思うのですよ。どうですか大臣、これは厚生大臣とも打ち合わせてこの辺はやはりきちんとしてやらぬと、連合会ができて一つにまとまるわけですから、足並みをそろえさせなければいかぬでしょう。いかがですか。
  267. 伊藤卓雄

    ○伊藤説明員 先ほどのお尋ねは単価のお話でございましたので数字だけ申し上げましたけれども、これはもう先生御案内のとおり、経緯的に申し上げまして、昭和三十七年に地方公務員等の共済組合法ができました際に新たな制度が発足したわけでございますが、この時点ですでに健保組合になっておったところもたくさんあるわけでございますけれども、これをどうするかということで、経過措置といたしまして、当時の健保組合の組合会というものがございまして、そこで存続するかしないかという御判断をされて、健保組合としてもうやめたというふうにお申し出がない限りは存続するという形で、いままで三十九の組合が残ってきておるわけです。  いわば三十九の組合が組合の意思という形で健保組合としてきておるわけでございますが、健保組合全体の問題といたしまして、私ども市町村健保組合だけを特別に扱うということはなかなかむずかしゅうございます。先ほど申し上げました単価は千七百の全組合に適用しているものでございまして、この単価のアップについては漸次改善を図ってきたのですけれども、ここ数年財政事情も非常に厳しいし、特に臨調答申では自助努力をせいというようなことでございまして、補助金のアップというのはなかなかむずかしいという状況でございますので、その辺、御理解を賜りたいと思います。
  268. 細谷治嘉

    ○細谷委員 むずかしいことはわかるのですよ。これはわずかだけれども、国民健康保険の事務費を完全に見ろといったら、あるいはほかのものがありますから、これは莫大な金になりますから。そうしますと、大きさから言えば不平等なものを直すというのは、少なくとも理論上は、補助金は三百円ばかり出ているわけですから四千円との差額を見てやればいいけれども一つ連合会ができたのに、片や交付税と補助金、片や交付税というのもちょっとおかしいと思うのですね。これはやはり何とかきちんと整理していただかなければならぬと思うのですが、いかがですか、大臣。
  269. 坂弘二

    ○坂政府委員 地方の職員につきまして健保組合をつくっておりますが、先ほど厚生省から御説明のありましたように、経過的な、全体としては例外的な措置でございまして、われわれといたしましては、地方公務員の医療給付につきましては一応共済組合の短期給付制度で行うのが本筋であると考えておりますが、各関係組合におきましては、過去のいきさつか、いろいろなことでいまだに健保組合をやっておるような状態でございまして、これはむしろ制度の経過的なものであるというふうに考えております。
  270. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣、議論がありますけれども一つ連合会というのが今度法律でできるわけで、そのための法律でしょう。その中に入っているメンバーに交付税の措置が違うというのもおかしな話ですから、きちんとしていただきたい。いかがです。
  271. 石原信雄

    ○石原政府委員 ただいまの点は私どもも大変扱いに苦慮している点でございます。というのは、先ほど御答弁申し上げましたように、法律上のたてまえとしては、健保組合については健康保険法七十条の規定によって事務費は国庫が負担すると書いてある。そういうたてまえになっている。ところが、現実には実態との間にかなり大きな乖離がある。私どもは、一般的に、国庫の助補金、負担金等についていわゆる超過負担がある場合には、その超過負担の超過分を是認して交付税措置をするのではなくて、もとの方を直してほしいということを繰り返し各省庁にお願いする、そしてもとが直ったことに伴う理論負担は私の方は幾らでもつき合います、こういうふうな姿勢できているものですから、この健保組合の事務費の実態とのギャップの問題について現実の姿をそのまま追認するということが、私どもが日ごろとっている姿勢との間に矛盾がないのかどうか、こういうような悩みも実はあるわけでございます。  また一方、今度新たな制度の改正が行われまして連合会ができる、こういうような事態にもなっておるようでございますから、いずれにしても、私どもの基本的な姿勢とそれから法改正に伴う新しい事態との間でどのように対応をしたらよいのか、関係省庁あるいは部内でも行政局などともよく意見を交換してみたい、検討してみたいと思います。
  272. 細谷治嘉

    ○細谷委員 まあ、両省の間のけんかの問題じゃなくて、論争の問題じゃなくて、受ける自治体はやはり等しいことを受けるというのが制度のたてまえですから、その辺はひとつ大臣、頭に置いて解決してください。  それから、短期の問題にもいろいろありますけれども、もう時間が来ておりますから質問はこれで終わりますが、短期の問題についてもかなり心配する点があるということだけを申し上げまして、私の質問を終わります。
  273. 田村良平

    田村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  274. 田村良平

    田村委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。石田幸四郎君。
  275. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、賛成でありますが、念のため、わが党の考えを申し述べておきます。  わが党は、かねてから年金制度の充実を図り、老後の生活の安定の確保に努めてまいりました。そして、年金の官民・官々格差等の是正を図るとともに、現在ばらばらになっている年金制度一元化するため、国民基本年金構想を提唱するなど年金に対する主張を申し述べてまいりました。  今回の地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案は、こうしたわが党の主張しておる年金一元化の方向にあると思われるものであります。しかし、このように年金統合、充実が叫ばれている今日、政府はいまだに年金制度の将来像も明らかにしていない点は、なお論議のあるところと考えます。  本改正案は、地方公務員共済年金制度の特殊性に基づくものであるとされておりますが、公立学校共済組合警察共済組合の二共済が除かれており、不十分なものとなっております。  なお、わが党は、政府公的年金制度の将来像を早急に明らかにするとともに、年金統合の具体的スケジュールを示し、年金制度充実に努めることを強く要求いたします。  本法案に賛成はいたしますが、さきに述べた点について留意されることを要望しておきます。(拍手)
  276. 田村良平

    田村委員長 岩佐恵美君。
  277. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 私は、日本共産党を代表して、地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案について反対の討論を行います。  今回の法案は、現在審議されております国鉄の経営悪化に伴う国鉄共済年金財政の危機を国家公務員ほか二公社職員の掛金の引き上げ、国鉄労使の負担増で穴埋めする共済年金統合法案と同様、臨調答申に基づいて地方公務員負担を転嫁しようとするものであります。  これは、臨調答申が強調するいわゆる自立・自助の精神に基づき、国民と労働者の社会保障費を大幅に削減するための手段であり、各種年金制度間の財政調整によって年金財政の危機の度合いを平準化しようという財界の要求に沿ったものであります。  そして政府は、この臨調基本答申を受けて、公的年金制度昭和七十年までに一元化するという大方針を決定し、その第一段階として、国鉄共済年金統合地方公務員共済制度財政一元化実施することになったものであります。  第二臨調が発足以来、行政改革の名のもとに、軍事費の拡大、大企業奉仕の税財政制度を容認する一方、福祉、教育など国民生活に密着した分野では徹底した削減を主張してきたことは多くの国民の知るところでありますが、まさに今回の改正案は、こうした臨調答申を忠実に実行するものにほかなりません。  次に、内容の問題でありますが、今回連合会を構成する十四の財政単位の組合は、長期給付にかかわる掛金率あるいは財源率の決定については、組合の構成条件あるいは年金財政状況などに応じて、それぞれの財政単位ごとに自主的な決定を行い、民主的に運営されてきたものであります。こうした運営方針は、職員の構成も違い、成熟度にも相違があり、また組合成立の歴史的経緯も違う地方公務員共済組合制度においてはきわめて当然のことであり、かつまた地方自治の本旨から見ても望ましいことであります。  今回の改正案は、こうした自主性を疎外しようとするもので、組合員の福祉にも二重の影響を与えるものであります。たとえば大都市圏に住む組合員にとっては住宅取得が大きな課題であり、強い要求でもありますが、そうした組合員の要求にこたえて、組合では長期積立金あるいはその運用利益を住宅貸し付け等の福祉厚生事業に充ててきたところであります。積立金の三〇%を連合会へ払い込むことは、その運用利益を各組合が失う結果になることは明らかであり、資金運用の見直しが迫られることも必至であります。  既存の組織や運営に重大な変更を加える場合、その構成員の合意と納得が必要であることは言うまでもありません。とりわけ歴史的経過の中で十六の財政単位に分かれて運営されてきた地方公務員共済制度一元化に当たっては、地方公務員共済制度の将来的展望あるいは連合会設置によって組合員の利益はどう変化するかといったことについて十分な時間をかけて説明し、各組合の合意と納得を得る必要がありますが、今回それがなされているとは言えません。大都市職員共済組合を初め大半の労働組合が反対の意思を表明しておるところから見ても明らかであります。  最後に、定年制導入によって生じる年金受給資格のない人に対する特別措置については必要なことであり、賛成できるものであることを表明して、反対討論を終わります。(拍手)
  278. 田村良平

    田村委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  279. 田村良平

    田村委員長 これより採決に入ります。  地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  280. 田村良平

    田村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  281. 田村良平

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  282. 田村良平

    田村委員長 次回は、来る二十日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十九分散会