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1983-03-24 第98回国会 衆議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月二十四日(木曜日)     午後四時二分開議  出席委員    委員長 田村 良平君    理事 工藤  巖君 理事 中山 利生君    理事 宮下 創平君 理事 安田 貴六君    理事 佐藤 敬治君 理事 石田幸四郎君       池田  淳君    臼井日出男君       小澤  潔君    片岡 清一君       北川 石松君    桜井  新君       染谷  誠君    竹中 修一君       谷  洋一君    地崎宇三郎君       中村 弘海君    羽田  孜君       小川 省吾君    加藤 万吉君       中村  茂君    細谷 治嘉君       山口 鶴男君    草野  威君       部谷 孝之君    岩佐 恵美君       三谷 秀治君    田島  衛君  出席国務大臣         自 治 大 臣 山本 幸雄君  出席政府委員         警察庁刑事局保         安部長     大堀太千男君         警察庁警備局長 山田 英雄君         自治大臣官房審         議官      田中  暁君         自治大臣官房審         議官      吉住 俊彦君         自治省行政局選         挙部長     岩田  脩君         自治省財政局長 石原 信雄君         自治省税務局長 関根 則之君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第二課長   森廣 英一君         大蔵省主計局主         計官      中平 幸典君         厚生省保険局国         民健康保険課長 阿部 正俊君         建設省道路局地         方道課長    沢井 広之君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ───────────── 委員の異動 三月二十四日  辞任         補欠選任   江崎 真澄君     羽田  孜君   塩谷 一夫君     桜井  新君   山口 鶴男君     中村  茂君   田島  衞君     阿部 昭吾君 同日  辞任         補欠選任   桜井  新君     塩谷 一夫君   羽田  孜君     江崎 真澄君   中村  茂君     山口 鶴男君   阿部 昭吾君     田島  衞君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出第一八号)      ────◇─────
  2. 田村良平

    田村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩佐恵美君。
  3. 岩佐恵美

    岩佐委員 まず私は、生野署警官による選挙自由妨害問題について伺いたいと思います。  三月二十日午後五時三十分ごろ、大阪生野勝山北二丁目の通称勝山通りにおいて、明るい革新大阪府政をつくる会の政談演説会告示立て看板、これは大阪府選管が一政談演説会について五枚を限度として認めたいわゆる証紙を貼付した政治活動用として公認されているものですが、この立て看板電柱に立てかけ、次の掲示場所に移動しようとしていたところ、私服警官五名が車の前後に立ちふさがって、車の発進を妨害しました。その後、現場制服警官三十名、私服十名が一時間半にわたって不当な選挙自由妨害を繰り返したあげく、弁護士が到着をすると、制服警官が二名の運動員を無理やりにパトカーに押し込み、生野署に連行しました。  知事選挙確認団体である略称明るい会は、この事件公選法に基づく政治活動に対する警察の悪質きわまりない選挙自由妨害罪並びに警察官職権乱用罪だとして、現場及び生野署において抗議を行いましたが、生野署側は逆に解散せよという高圧的態度を続けるばかりであったわけです。さらに、逮捕した二名の運動員に対しては、その夜の十一時まで接見を許さず、逮捕から四十九時間後の二十二日の夜にようやく釈放するという不当なことを繰り返し行いました。さらに許せないのは、これが軽犯罪法違反だということで、証紙つきポスターを張りつけた立て看板警察側証拠物件として押収をしたことです。  自治省に伺いますが、こういった府選管が発行した証紙を貼付した看板掲示する政治活動妨害は許されるのかどうかということであります。この看板は、公選法二百一条の十一第八項に規定する「政談演説会の開催につきその告知のために使用する立札及び看板の類」に該当すると思いますけれども、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  4. 大堀太千男

    大堀政府委員 まず、事案概要等について御説明をしたいと思います。  三月二十日午後五時五十分ごろ、御指摘大阪市の生野勝山二丁目十六の二十五先路上において、同所に建設されております関西電力所有電柱に、高さ三・九九メートル、幅九十二センチメートルから成る明るい革新大阪府政をつくる会の政談演説会告知立て看板一枚、これを針金三本で結びつけている男性三人を警察官が現認をしたものでございます。警察官は、軽犯罪法第一条第三十三号前段違反の疑いがあるということとして、直ちに職務質問を行ったわけでございますが、正当な行為をしているのになぜ悪いというようなことを述べただけで、住所氏名黙秘をしておりました。そのうち一人の男性は逃走をしたというような事情にございまして、残る二人の男性軽犯罪法第一条第三十三号前段違反現行犯人として逮捕したものでございます。  なお、現場に多数の警察官云々というようなことでございますが、当初違法な立て看板を撤去するよう警告をしていたわけであります。また、現場にも共産党の府会議員の方もおいでになっておったようですので、被疑者に身分を明らかにするように説得してほしいというようなことの要請もしたわけでございますけれども府会議員を初め約二十人の方が現場に集まってこられましたものですから、しかも逮捕した警察官を取り囲んで選挙妨害をするなというようなことの抗議もございましたために、不測事態を避けるために制服警察官が駆けつけた、こういうような事情でございます。
  5. 岩佐恵美

    岩佐委員 いまの、ちょっと後段が抜けていますが、ちゃんと答えていただけますか。
  6. 大堀太千男

    大堀政府委員 なお、証紙を張りましたものでありましても、軽犯罪法証拠物件として押収をいたしております。これにつきましては、還付をすべく受け取り方を要請しておりますけれども、まだ取りにおいでになっていない、こういう状態かというふうに聞いております。
  7. 岩佐恵美

    岩佐委員 この公選法二百一条の十一第八項の見解について、自治省に伺いたいと思います。
  8. 岩田脩

    岩田(脩)政府委員 公職選挙法上の確認団体が行います政談演説会周知用立て札看板でございましても、どこへでも立てていいという筋のものではございません。それぞれの規定に従ってお立ていただかなければならないことは当然でございます。
  9. 岩佐恵美

    岩佐委員 このポスターを張りつけた看板を、電柱針金で縛りつけたことが軽犯罪法違反とされているわけですが、このポスターの場合、ポスター掲示個所等規定した公選法第百四十五条一項では、橋梁電柱掲示することは認められているというふうに思いますけれども、どうでしょうか。
  10. 岩田脩

    岩田(脩)政府委員 御指摘の百四十五条の第一項というのは、国、地方公共団体など、この中に電電公社が入っているわけでございますけれども、それらが所有しまたは管理をしているものには立て札看板ですか、を掲示してはならない。ただ電柱橋梁などは除く、この限りでない、こう書いてありますが、これは何も電柱橋梁になら幾ら出してもいいと決めたわけではなくて、以上の禁止をかけないということでございます。御承知のとおり、その後の第二項には、無断で出してはいかぬぞということもありますし、またそういったような掲示をする場合にも、それは他の法律、たとえばいまの御説明では軽犯罪法が絡んでいるようでございましたけれども、そういう規定に従ってやっていただかなければならないのは当然のことと思っております。
  11. 岩佐恵美

    岩佐委員 この看板証拠物件として押収されたわけですけれども警察といえども正当な活動として認められている看板、この押収はできないというふうに思うのです。先ほどのその百四十五条一項というのは、公的な橋梁電柱というものに掲示をしてはいけないということで、いま説明があったようにその他のものというのは一応除外をされているわけですから、そういう押収をするということはできないというふうに思うんですね。  こういう形でやられた場合に、公選法第二百二十五条二号、こうした選挙自由妨害罪に当たるのではないかと思うのですが、その点、いかがでしょうか。
  12. 森廣英一

    森廣説明員 お答えします。  事案内容を詳細に検討しないと、個別具体事件の正否ということはお答えしにくいわけでございますが、一般論で申し上げますと、正当行為として職務行為として検挙のために職務質問なり逮捕なりをしまして、その結果選挙の自由が侵害されたという場合でありましても、これはその職務行為が正当なものと評価を受けた場合には、自由妨害罪は成立しないものであろうというふうに考えております。
  13. 岩佐恵美

    岩佐委員 いまの件について、自治省考えをちょっと伺いたいと思います。
  14. 岩田脩

    岩田(脩)政府委員 ただいま捜査二課長からお答えしたとおりと考えております。
  15. 岩佐恵美

    岩佐委員 次に、警察庁に伺いますけれども事件当初、明るい会側生野署抗議電話をしたところ、署の選挙違反取り締まり本部警官は、うちはそんなことをさせていない、本当に警察の者かと、警官選挙妨害している事実を信じられない口ぶりであったということであります。ところが、明るい会の確認によりますと、四十名の警官の中には生野署の入鹿警備課長ほか三名の警官が特定されており、明るい会としても、翌二十一日に、大阪地検警察官による選挙自由妨害事件として告発をしております。  警察庁に対しては前もってこの事件確認を求めておいたわけですけれども運動に対する活動妨害あるいはその逮捕、そして証紙を貼付したポスター押収、これはできないというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  16. 大堀太千男

    大堀政府委員 証紙を張りましたポスターでありましても、いかなる場合であってもそれが押収できないというものでもないと思いますし、やはり法令に従ってない場合には、証拠物件として押収できるというふうに考えております。本件の場合におきましても、当然証拠物件として押収できるもので、なお先ほども申し上げましたが、本件ポスターにつきましては、還付するために電話及び内容証明つき郵便で取りに来るよう連絡をしておるところでありますが、まだ取りに来ていないという状況報告を受けております。  それからなお、当時署の方に問い合わせをされたというようなことでありますが、もちろん選挙妨害であるというようなことの事実があったというふうに警察側では認知をしておりませんから、そのような事柄はないと答えたであろうというふうに考えます。  なお、当日は、たまたま成田闘争をめぐるゲリラ警戒のために生野警察署管内警戒中に本件を現認をしたということの報告を受けておるところであります。
  17. 岩佐恵美

    岩佐委員 現地警察は、このポスターを張りつけた看板を運んだ業者運転手をすでに二回にわたって出頭命令をかける、それから関西電力従業員現場に呼びつけて写真を撮る、そういう証拠物件の収集に当たったということですけれども軽犯罪法によって弾圧しようとしていることは、このことから明らかだと言えると思います。先ほど、たまたま警戒中にそのことが起こったのだということを言っておられるわけですけれども現場私服警官五名が、次の掲示場所に移ろうとするその車の前後に立ちふさがる。そしてたちまちにして制服警官三十名、私服十名という警官現場に押し寄せてくる。そういうようなことというのは非常に異常な事態であるというふうに思うわけです。  何か警告をしたということを言っているわけですけれども先ほどからいろいろ言っているように、別に公選法電柱掲示をするということ自体が軽犯罪法違反であるというようなことではないわけで、完全に無断でやっているのだということであるならばそのことを指摘をすればいいので、何も五名の警察官が車をとめて物々しくしたり、あるいは四十名の警察官現地に来たりということは絶対に必要ないというふうに考えるわけです。明らかにこれは選挙活動弾圧する、選挙活動の自由を奪うものだということなわけで、こうした行為は直ちにやめさせるべきだというふうに思いますけれども、その辺、いかがでしょうか。
  18. 大堀太千男

    大堀政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおり、現場に多数の警察官云々という御指摘でございますが、この電柱に張りつけている行為を現認をいたしまして警告をし、氏名住所も問うたわけでございますけれども氏名住所黙秘をしておるというような状況でありますし、さらに現場には二十人ほどの方が押しかけてきて、逮捕警察官を取り囲んで、選挙妨害をするなというようなことで口々に抗議をされるというような状況もありましたために、不測事態に備えて現場制服警察官が出動したわけであります。  私ども違法行為取り締まりに当たって、何かねらい撃ちをしているとか、そういうようなことをやっているわけでは決してございませんで、不偏不党、厳正公平な立場を堅持して取り締まりをするという方針でございます。
  19. 岩佐恵美

    岩佐委員 明るい会では、先ほど押収した看板を返すから取りに来いと内容証明で送っているということを答弁しておられますけれども、この件について原状復帰要求している。つまり警察の手で現場に戻すべきであるというふうに言っているわけで、これは勝手に持っていったわけですから、やはりその場に持ってくるべきである、こういうふうに言っていることについて、そうすべきだというふうに思いますけれども、どうでしょうか。
  20. 大堀太千男

    大堀政府委員 違法行為証拠物件として押収したものでございますので、私どもの手で現場復帰をするということはいたしかねます。
  21. 岩佐恵美

    岩佐委員 大臣に、ちょっと最後に申し上げたいわけですけれども、今回の事件というのは、いままで申し上げたように、証紙を張った立て看板、それを別に公選法違反をするようなそういう場所にやっていたわけではない、そういうことに対して警察が最初五名の私服警察官を動員して弾圧をする、さらには、先ほどいろいろ言っているように多数の警察官現場に急行させて、そしてかなり大きな事件にするということは、現在選挙各地で行われているわけですけれども、自由な政治活動警察が意図的に妨害するということとしてとらえられ、こういう弾圧というのは絶対にあってはならないというふうに私ども考えるわけであります。  こういう弾圧というのは直ちにやめさせるべきだし、そういう指導をすべきであるというふうに思いますけれども大臣のお考えを伺いたいと思います。
  22. 山本幸雄

    山本国務大臣 弾圧をするとかあるいは選挙妨害をするとかという意図では決してなくて、やはり警察警察として、違法な事態があればそれにはそれなりに対処をしていくという態度でやっているものだと思います。したがって、そういう選挙妨害をするのだという意図的なものは少なくとも警察は持っていない、私はこう思っております。
  23. 岩佐恵美

    岩佐委員 大臣、今回の事件について、こういうことが各地で起こるということは決していいことではないと思うわけですけれども、こういう問題について起こらないように大臣としてもきちっとしていっていただくということを要望したいと思うわけですが、その点はいかがでしょうか。
  24. 山本幸雄

    山本国務大臣 選挙はひとつ公正にやっていただきたい、こう思っております。
  25. 岩佐恵美

    岩佐委員 再度、大臣選挙は公正にということで言われたわけで、私どももそこのところを強調しているわけであります。一体、物々しく多数の警官を動員してやらなければならないような今回の事態だったのであろうか。たとえば関電が所有している電柱に張ったからといって、三十五名の警察官が出てこなければならない、そういうものではない。やはり言えばわかるわけですから、その点、今後厳重にそういうことがないように強く要求をして、この問題については終わりたいというふうに思います。  次に、国民健康保険税のことで伺いたいと思います。  国保税財源の一部とする国民健康保険は、国民保険の主要な柱として一九六一年に全国的に確立をされ、八一年度で三千二百七十二市町村、一千四百七十一万二千世帯、四千百三十六万七千人、人口の約四割が加入をしています。この国民健康保険事業に要する費用は、原則として四割が国の負担、三割が給付を受けた被保険者負担、残り三割を国民健康保険税または保険料で被保険者負担することになっています。  まずお伺いをしますけれども国保保険者、つまり市町村及び特別区、国民健康保険組合がその財源の一部を税として徴収しているところは幾つあるでしょうか、また料として徴収しているところは幾つあるか、言ってみていただきたいと思います。
  26. 吉住俊彦

    吉住政府委員 保険料保険税との採用団体の数でございますが、国保事業を実施しております市町村数は、これは五十七年三月三十一日現在の数字でございますが、全体で三千二百七十五団体ございまして、そのうち税を採用しておりますのが二千九百七十三団体、九〇・八%、料を採用しておりますのが三百二団体、九・二%でございまして、ごく最近の状況では、税を徴収している市町村は微減の傾向、料を徴収している市町村は微増の傾向にございます。
  27. 岩佐恵美

    岩佐委員 国保税として徴収しているところが九割以上になっているわけですが、なぜ税として徴収するところが多いのか、その理由を言っていただきたいと思います。
  28. 吉住俊彦

    吉住政府委員 保険税を採用している理由と思われますのは、一つには、率直に申し上げまして、人間の心理といたしまして、税金という名前がついていた方が、ともかく納税しなければならないという義務観念がかなり強いので、それで税という形で賦課徴収した方が徴収成績が向上するというふうに考えている市町村が多いということが挙げられようかと思います。  もう一つ考えられますことは、保険料ないし保険税が仮に滞納されました場合に、実は御承知のように、地方税の場合ですと国税と同順位優先権が強いわけでございまして、料の方は国税地方税に次ぐ、こういうことになっておりまして、そういう優先順位が高いということをもちまして税を採用している市町村の方が多いのではなかろうかと考えております。
  29. 岩佐恵美

    岩佐委員 税で取れるようになったのは昭和二十六年の法改正以降だということでありますけれども、これ以前、税で取っていないときに徴収率が非常に落ちたということなども、税に移行したかなり大きな要因ではないかと言われているようですけれども、その点はいかがですか。
  30. 吉住俊彦

    吉住政府委員 国保税として成立する以前は厚生省所管の問題でございまして、私からお答えするのはあるいは不適切かと思いますが、現在の状況でも、実は若干ながら税の徴収率の方が料の徴収率を上回っているということで、あるいはお答えにならないかもわかりませんが、以上申し上げました。
  31. 岩佐恵美

    岩佐委員 国民健康保険医療費の高騰や高齢化社会を迎えて財源的に大きな問題を抱えている、このことは周知のことであります。臨調答申を受けて政府国庫補助の一部を地方に肩がわりさせようとしたのも、地方自治体の犠牲でこの問題を処理しようとした一つの動きであると言えます。こうした財源問題もありますけれども国民健康保険加入者にとっては、自分の所得に比べて国保税なり保険料が高過ぎる、営業不振で払えないといった過度の負担を強いられる状況になっているということがあります。不況が続く中で、その状況はますます悪化をしてきています。  そこで伺いたいと思いますけれども、今回の改正では、課税限度額が一万円引き上げられて二十八万円になります。これで五十一年度以降八年連続の引き上げとなるのですが、なぜこう例年の引き上げが行われるのか、その理由をお伺いしたいと思います。
  32. 阿部正俊

    阿部説明員 お答え申し上げます。  国民健康保険の、税でも料でも同じでございますけれども、やはり一定割合保険料あるいは保険税で賄っていく、かなり多額の国庫負担が入っておるわけでございますけれども一定部分保険料なり保険税で賄っていく、こういうことになっておるわけでございます。そうしますと、その場合の課税の分布といいましょうか、これがどういうふうにバランスをとるべきかというのが一つの問題になるわけでございますけれども健康保険の受給の利益といいましょうか、これがどの程度なのかということも配慮した上で、全体のバランスを決めていくということになるのだろうと思うのです。低所得者なりあるいは高所得者なりがどの程度出すべきかというのは、受益の程度も加味した上でやはり考えていくべきではないか、一般の税とは若干その点が違うというふうに考えるわけでございます。  御存じのように、サラリーマン等が入っております健康保険におきましても標準報酬の上限というのが決めてございますけれども、これもやはり全体の所得水準アップ等に応じまして一定限度で毎年上げていくというのを原則としておりますので、同じような意味で、全体の所得水準が上がれば、あるいは全体の財政状況に応じまして、保険料で賄うべき部分の額が多くなれば、その限度額等もおのずと改定されていくと考えるべきものだろうというふうに考えております。
  33. 岩佐恵美

    岩佐委員 聞くところによれば、課税限度額を払う世帯割合国保世帯数の五ないし六%に当たる、そういう割合になるように課税限度額を決めているということですが、厚生省が決めた限度額を超えた世帯数、それは五十一年度以降どういう割合になっているのか、言ってみていただきたいと思います。
  34. 阿部正俊

    阿部説明員 お答え申し上げます。  限度額引き上げにつきまして、毎年私ども引き上げる際の一つ試算というものをしているわけでございますけれども、これの割合を五十一年度以降ちょっと申し上げたいと思います。  昭和五十一年度が、限度額が十五万円でございますけれども、そのときの限度額該当世帯割合といいますのは五・七%、五十二年が同じように六・六%、五十三年が六・〇%、五十四年が五・五%、五十五年が五・九%、五十六年度が六・〇、五十七年度が五・七、五十八年度が五・六というふうになっておりまして、以上のような試算をした上で限度額の額を決めておるというふうになっておるわけでございます。
  35. 岩佐恵美

    岩佐委員 限度額が二十七万円の枠があるということによってかなり低所得者にしわ寄せがいっている、こういうことが言えるというふうに思います。  一つの事例として、京都の例で概算をしてみたわけですが、中小業者四人世帯の場合の限度額二十七万円というのは、年間所得二百万円以上のところなわけです。年間所得二百万円の中小業者の場合、国保料二十七万のほかに住民税六万八千円、それから所得税八万九千円、合わせて四十二万七千円の税負担となります。これらを合わせますと所得の二一・三%に当たるわけです。同じ限度額二十七万を払っている年間所得二百七十万の中小業者、四人世帯ということで年間税負担を見てみますと、六十一万円になります。これを所得の何割になるかということを計算してみると、二二・五%になるわけです。つまり、中小業者で四人家族の場合で、所得二百万の人も二百七十万の人も税負担割合で言えばほとんど変わらないということになるわけで、これはおかしいのではないかというような気がするわけですけれども、その点、いかがでしょうか。
  36. 阿部正俊

    阿部説明員 お答え申し上げます。  個々のケースにつきましてどのような実際の金額になるかということは、国保税の全体の仕組みの中で決められていくべき問題でございますので、あと税全体としてどういうふうに所得というものを評価するのか、あるいは中小企業の場合と、そういったような事業所得の場合と勤労所得の場合とどういうふうに評価するかという面での評価の違いもあろうかと思いますので、具体的な絶対的な額が違うからというだけで、不公平だということには必ずしもならないというふうに考えております。
  37. 岩佐恵美

    岩佐委員 国保原則として料として被保険者負担をしてもらうということになっているわけですけれども、九割以上が税として徴収をされているわけです。そして国保税の場合、法第七百三条の四第三項で、標準課税総額を所得割、資産割、均等割、平等割それぞれ案分して課税するようになっていて、応能割と言われる所得割総額と資産割総額の合計、これが応能割というふうに言われているわけですが、それから応益割と言われる均等割総額と平等割総領この応能割と応益割の合計が一対一になるようにというふうになっているわけです。しかし、実際の実績はそうはなっていないのではないかということだと思いますが、国保税についてこの数字を言ってみていただきたいと思います。
  38. 吉住俊彦

    吉住政府委員 お話の標準課税総額における応益割対応能割の比率が一対一以上に応能割に偏っている団体、これは二千五百二十五団体でございまして、先ほど申し上げました約三千幾つの全市町村に占める割合は七七%ということに相なります。
  39. 岩佐恵美

    岩佐委員 原則としては応能割と応益割が一対一の割合になるということですけれども、実態はそれがすでに破綻をしてきていて、各自治体では能力に応じて国保税負担してもらうというようになっているということです。これは税だけではなくて、国保料でも同様であると思います。  ところで、国保料として徴収している自治体で、税で言えば限度額以上の国保料を徴収している自治体がありますけれども、どのくらいの数になるでしょうか。
  40. 阿部正俊

    阿部説明員 国保料の賦課限度額が五十七年度において二十七万円を超えている市町村は幾つあるか、こういうお尋ねでございますが、私どもの調査では、十六市町村ということになっております。
  41. 岩佐恵美

    岩佐委員 その内訳も細かくちょっと言ってみていただきたいと思います。
  42. 阿部正俊

    阿部説明員 内訳といいますとあれですけれども限度額ごとの市町村数を申し上げてみたいと思います。二十八万円を限度額にしておりますのが十市町村、二十九万円を限度額にしておりますのが四市町村、それから三十万円を限度額にしているのが二市ございます。
  43. 岩佐恵美

    岩佐委員 国民健康保険が、同じ財源でありながら、税で取れば限度額がある、料ならばそれがないというこの相違は、一体どういうところがら来るのでしょうか。
  44. 吉住俊彦

    吉住政府委員 国保税の場合におきましては、やはりそれが地方税という形で法律的に構成されております関係上、納税者が保険事業から受ける受益の限度、限界といったようなものを直接法律規定する方がより適当であるということで、税につきましては直接法定をしているところでございます。  なお、保険料につきましては、法律上の規定はございませんが、条例準則により同様の指導を厚生省においてしていらっしゃるように承知いたしております。
  45. 岩佐恵美

    岩佐委員 大半が税で取っている。税と言うからには能力のある人から負担をしてもらう、これが原則であります。自治体もそういう要望をしているというふうな実態があるわけですけれども、ここで国保税に減額措置がとられているわけですが、この減額措置について説明をしていただきたいと思います。
  46. 吉住俊彦

    吉住政府委員 国保税の減額制度のまず趣旨でございますが、先ほどまでお尋ねにございましたように、いわゆる応能割と応益割、二つの種類のものがあるわけでございますが、低所得者負担という点から見まして、所得の高い低いにかかわらず応益割は課されるわけでございますので、そういう応益割について一定の要件に該当するものは減額しよう、これが趣旨でございます。  減額の対象となる税額でございますが、いま申しましたように、応益割でございますので、被保険者の均等割と世帯別平等割、これが減額の対象になるわけでございます。  次に、減額の方法でございますが、平たく言えば二つのグループに分かれるわけでございまして、まず第一のグループは、年間所得が二十四万円以下の人、これはいま申しました応益割の六割を減額する、こういうことでございます。これに対しまして、第二のグループは、いまの二十四万円にさらに十八万掛ける家族数、これをプラスいたします。なお世帯主は除きます。そういう額によりまして算出しました数値、それ以下の所得の方につきましては応益割の四割を減額する、平たく言えばそういう仕組みになっております。
  47. 岩佐恵美

    岩佐委員 国保税の減額特例基準、これが五十四年度以降ずっと引き上げられてきたわけですけれども、来年度はこれが見送られました。わずかに政令で決める金額について、先ほど説明があった十八万円掛ける被保険者の数というところですが、そこのところが十八万から五千円上げて十八万五千円になっただけであります。なぜ、いままでずっと引き上げてきて来年はそれを引き上げないのか、この点について伺いたいと思います。
  48. 阿部正俊

    阿部説明員 お答え申し上げます。  国保料あるいは税の六割軽減の基準につきましては、本来市町村民税の基礎控除の対象になるかどうかということの水準と同額であるというふうにあるべきものだと考えております。ここしばらく基礎控除額が二十二万円に据え置かれておるということがございますので、せめて国保税につきましてということでしょうか、五十六年度以降は毎年特例の措置を講じまして、一定限度の上積み額を決めて軽減しておるというふうな考え方に立っているわけでございます。したがいまして、国保税といいますのは、基礎控除額の水準に合わせて軽減措置を考えるというのが本来なんでございますけれども、税全体のあり方あるいはその動向等もありまして、基礎控除額が据え置かれているというふうなことで、毎年特例的に引き上げているということでございます。  来年六割軽減の方の基準額は据え置きまして、四割軽減の方だけ政令で手当ていたしまして、若干の引き上げを図ったわけでございますけれども、いわば私の方としては、対象世帯数割合といいますのが、両方を含めますと前年と同じ割合の対象世帯が軽減を受けると見込まれますので、大体この程度の水準が妥当なところではないかと考えて、そういったふうな四割軽減についてだけ手当てをするということを決めたということでございます。
  49. 岩佐恵美

    岩佐委員 つまり、軽減世帯割合を大体実績から二一%台にするということで、五十八年度についても逆算をして基準を決めていくということになっているということだと思いますけれども、その点、二一%台目標ということをはっきりと掲げておられるのかどうか、伺いたいと思います。
  50. 阿部正俊

    阿部説明員 必ずしも明確に二一%というふうな固定的な数字で考えておるわけではございません。各年度の推計をいたしまして、二一、二%を一つの目安にしておるというふうにお考えいただきたいと思っております。
  51. 岩佐恵美

    岩佐委員 この軽減世帯割合を、歴年ずっと過去さかのぼって見てみますと、昭和四十年には軽減世帯割合が二八%であったこともあるわけです。その年は、国保税だけで見れば、三二%が軽減世帯であったということであります。最近でも、たとえば四十五年から四十七年、二四%から二五%ということで、いま言われた二一%台というのは、四十八年、九年以降くらいが大体二一、二%ということになっていて、この二一%あるいは二二%というのは最近の傾向であって、むしろ逆に言えば、軽減の世帯数を抑えてきた、そういう結果発生したことではないかと思うわけです。  この軽減の財源補てんとして、五%の国からの財政調整交付金が優先的に充てられることになっていますけれども、こうした財政調整交付金などの国民健康保険助成費について、臨調の基本答申は、国庫補助制度の改善合理化を検討する、そういう名目でその削減を要求してきているわけです。この減額世帯を二一%に抑えようとしているということは、この要求にこたえたものではないかと思えるわけですけれども、その点、真意を聞かせていただきたいと思います。
  52. 阿部正俊

    阿部説明員 先生御指摘のような臨調答申が行われたわけでございますけれども、ただ、そういったふうな臨調答申の基本に流れるものは、国民健康保険全体に対する補助水準を現在の時点ですぐ削れというふうなことではなくて、今後高齢化社会に対応していくためにはいわば医療費の節約を大いにしていかなければいかぬ、それを合理的に有効に使うための手法を考えなさいというのが基本に流れる考え方だと理解しております。  したがいまして、国民健康保険に対する国庫補助金を現在の制度のままで生に削減しろというふうなことではございませんで、むしろ現在の国庫補助の配分方法、たとえば医療費につきまして定率的に配る割合が非常に高くなっているわけでございますけれども、そういったふうな医療費を節約するという考え方に立ちますと、どんどん医療費がかかればそれだけ国庫補助も自動的にふくらむというふうなあり方ではいかがなものか、その辺につきまして、もう少し医療費を効率よく使うための手法につきまして国庫補助の面におきましても工夫をしなさいというふうな趣旨だと受けとめておりますので、いま先生の御指摘のような、軽減交付金につきまして直接にもっと削減しろというふうな内容は、臨調答申には含まれておらないと考えております。  ただ、これから先国庫補助金の全体的な合理化ということを考えなければいかぬわけでございますので、その際にはこういったふうな軽減費の補助金、これは市町村が減額したらその一〇〇%分国庫で補てんするというふうな仕掛けでございますので、いわば保険料で基本的にはある部分は賄うべき国民健康保険の中で、こういったふうな減額すればその分全部一〇〇%国庫でめんどうを見るんだというふうなことが、これから先保険料負担なり国庫負担なりが、全体の医療費負担というのが高くなっていくときにそういうようなあり方でいいのかどうかというのは、全体の流れの中では検討は必要であろうというふうには考えておりますけれども、ダイレクトに来年度の軽減の基準額につきまして、臨調答申に沿って限度額引き上げを小幅にとどめたというふうな考え方に立つものではございません。
  53. 岩佐恵美

    岩佐委員 しかし、結果的には二一%台で抑えるという思想になっていて、これは財政調整交付金、つまり国庫負担を低めるということに厚生省が積極的に協力をするということにほかならないわけで、もしそうでないとするならば、二一%にこだわらず、この減額基準というのをもっと下に思いやりのある形で見直していくべきであるというふうに思うわけです。  ちょっとここで伺っておきたいと思うのですけれども、この法定減額基準は申請に基づくものではありません。ところが、自治体によっては申請待ちあるいは申請に基づく方法をとっている、そういうところもあって、対象者であっても減額されていない人がたくさんいるところがあるというふうに聞いているわけですけれども、こういうことは本来あってはならないというふうに思いますけれども、その点、いかがでしょうか。
  54. 阿部正俊

    阿部説明員 一律減額の方につきましては、そういうふうな事例というのは、実は私ども聞いていないのでございます。多分、保険料のその他の事由とする減免の話ではないのかなというふうに思いますが、一定所得により当然のこととして減額するということにつきまして、余分に被保険者負担をかけて、強制的に、申請が出なければ全然やらぬぞというふうなところがもしあるとすれば、指導してまいりたいというふうに思っております。
  55. 岩佐恵美

    岩佐委員 国保税というのは、低所得者層にとっては言うまでもなく非常に重いものになっています。  そこで、自治省に伺いたいのですが、先ほどもちょっと伺った資料ですけれども、「国民健康保険税に関する調」というのがありますが、それによれば、前年所得のない人で国保税を払っている世帯割合は、この十年間でどう変わったでしょうか。
  56. 吉住俊彦

    吉住政府委員 最近の数字が昭和五十五年度でございますので、四十五年度と比較いたしますと、四十五年度におきまして所得のない世帯割合は四・三%、昭和五十五年度におきましては一四%となっておりますが、ここで若干補足させていただきたいわけでございますが、御承知のように、所得税におきまして昭和四十八年に老年者年金特別控除という制度が設けられまして、これによりますと、その控除額は現在七十八万円ということになっておりまして、ここに給与所得控除の五十万をプラスしまして百二十八万円までの人は、これは所得のない者という中に区分されるという統計上の問題もございますので、数字的にはただいま申し上げたとおりでございますが、そういう部分を割り引いて考えなければならないというふうに思っております。
  57. 岩佐恵美

    岩佐委員 所得のない世帯が計算上、数字上この十年間で約三倍になっております。さらに、国保税は被保険者すべてにかかるわけですから、住民税課税世帯あるいは生活保護基準以下の世帯にも課税されます。  そこで伺いたいと思いますけれども昭和五十五年度の場合、一世帯当たりの国保加入者は何人になるのでしょうか。
  58. 吉住俊彦

    吉住政府委員 一世帯当たりの国保の平均加入人員でございますが、これは保険税保険料両方合わせまして一世帯平均二・八三人、約三名ということでございます。
  59. 岩佐恵美

    岩佐委員 同じ五十五年の調査では、国保加入者がどんな所得の人かという区分調査をしているわけですが、給与所得者が一番多い三五・六%、次に営業所得者が一九・二%、農業所得者が一八・四%、その他の事業所得者六・九%、その他の所得者同じく六・九%となっています。  一番多い給与所得者の例をとってみれば、一世帯三人の加入者ですから、三人家族の場合、住民税所得割の課税最低限は一体幾らになるでしょうか。それを所得に直すと幾らになるでしょうか。
  60. 吉住俊彦

    吉住政府委員 夫婦子一人の三名の世帯におきましては、住民税課税最低限は百二十二万一千円でございますので、そこからいわゆる給与所得控除を差し引いた所得ベースで置きかえますと、七十二万一千円と相なります。
  61. 岩佐恵美

    岩佐委員 さらに伺いたいと思いますが、所得が約七十万以下の世帯は、国保加入世帯の一体どのぐらいの割合になるでしょうか。
  62. 吉住俊彦

    吉住政府委員 所得が七十万以下の世帯につきましては、五十五年度の数字でございますが、約三百四十万世帯ございまして、全体に占めるウェートは三九・四%ということでございます。
  63. 岩佐恵美

    岩佐委員 家族構成も違ったり業種も違ったりするわけですけれども、およその見当として約四割の世帯住民税所得割がかからない低所得者層の世帯であるということが言えると思います。しかもこの住民税所得割の課税最低限も五十五年に据え置かれたままで、すでに生活保護基準以下となっております。この逆転現象をつくろうために非課税限度額制度を一年一年続けているわけですが、五十八年度はその非課税限度額が据え置かれたために、もはや生活保護基準ととんとんの水準であります。自治省は、生活保護基準額の水準以下の所得者住民税を課することは好ましくないとこの委員会で何度も答弁しているわけですが、国保加入世帯で言えば、約四割近い世帯がそうした世帯であるわけです。このように全く所得のない世帯が全体の一四%、そして住民税所得割が課税されない世帯が全体の約四〇%というのが国保税の実態であるわけです。  こうした事態を、大臣、いままで聞いていただいておられると思いますが、受益を受けているからといっても、所得の低い方に負担がかかり過ぎているのではないか。そういうふうに思われないでしょうか。減額の基準を引き上げる必要があるのではないか。そういう点についていかがでしょうか。
  64. 山本幸雄

    山本国務大臣 国民健康保険というのは、構成員は他の保険経済と違って、非常に高年齢層の方が多いわけでございまして、したがって、やはり所得が低いという方の多いのも、実態としては確かにおっしゃるようにあると考えております。したがいまして、国民健康保険というものにつきましては、そういう低所得者層の負担を軽減するという意味で、健康保険税独自の減額制度というものも、先ほど来のお話のようにあるわけでございますが、そのほかにも他の社会保険以上の財政措置が講じられておるところでございます。今後とも、まだまだ国民健康保険の財政あるいは国民健康保険経済というものの中身を改善をしていく。それにはいろいろな手があると思いますが、いま言われておりますような退職者医療制度の検討などを初めといたしまして、いろいろ改善策を考えて、国民健康保険に入っていらっしゃる低所得者層の医療のために努力をしなければなるまい、こう思っております。
  65. 岩佐恵美

    岩佐委員 こうした、下の方に負担を強いる仕組みをそのままにしているためにいろいろな問題が起こってきているわけです。国保税の収納率は最近非常に落ちてきていると思いますけれども昭和五十年度以降全国平均がどうなっているか、言ってみていただきたいと思います。
  66. 吉住俊彦

    吉住政府委員 国保税の収納率でございますが、五十一年九三・二%、五十二年九二・八%、五十三年九一・五%、五十四年九〇・九%、五十五年八九・九%、このように推移をいたしております。
  67. 岩佐恵美

    岩佐委員 この原因はどういうところにあるとお考えでしょうか。
  68. 吉住俊彦

    吉住政府委員 それぞれ個別の事情がありまして、詳細承知しているわけではございませんけれども、やはり国民健康保険税、それはその他の医療保険に比べてどうこうというのではなくして、やはりそれは絶対額としてかなり大きな負担であることは間違いないところでございまして、その場合にどちらかと言えば平均的に、まさに平均的にでございますけれども、それほど裕福でない方々を多く納税者として抱えているというような事情がまず根底にあるのであろうというふうに推測いたしております。
  69. 岩佐恵美

    岩佐委員 私は、東京の三多摩関係を調べてみたわけです。現年分の収納率、五十四年が九三・〇八、五十五年が九二・五八、五十六年が九一・九六、滞納繰越分になると五十四年四三・三五、五十五年が三七・九〇、五十六年が三五・二六と、同じような状況になっているわけです。どうしてこういう状況になっているのかという原因を聞いてみたわけですが、一つは八王子に聞いてみました。八王子は職業別滞納者のトップに土木建築関係が挙がっています。理由別でも、倒産も含む事業不振がトップになっているわけです。それから、町田市の例も聞いてみたんですが、やはり国民健康保険税滞納の主な理由、この一番は生活困窮ですが、二番目に経営不振、倒産というのが挙がっているわけです。  京都の例を見ても、五十六年度は一万九千九百六十七世帯が滞納世帯です。この数字は、一期分でも未納があれば一世帯として計算しているため、ダブって計算されているので実際の世帯数はもっと少ないわけですが、その一万九千九百六十七世帯理由の内訳を見ると、納付拒否等で滞納しているのは一千七百二十世帯で、全体の一割にも満たないわけです。ほとんどが納付がおくれたとか、あるいは納めたいけれどもそれができない納付困難とか、あるいは不在である、そういう理由のもので、納めないのではなくて、納められないというのがその理由の大半であります。  こういう世帯に対しては、滞納処分というかなり強権的な手段を用いているところもあるようですけれども、税務相談などを通じて納税者の実態に合った税務行政が要求されると思いますけれども自治省市町村に対してこの点についてどういう指導を行っておられるのでしょうか。
  70. 吉住俊彦

    吉住政府委員 私どもは、地方税の徴収関係の事務の運営につきましては、ごく一般的な指導はしていますものの、特定の税目、たとえば国保税についてかくかくのやり方でおやりなさいという指導は実はやっておりませんし、実情もそれほど詳しいわけではございませんが、先ほど申し上げましたように、国保税徴収率が他の市町村税に比べまして低いということは、これは先生も御指摘のとおり事実でございますし、各団体とも、もちろんその一方におきまして税務当局としての毅然たる態度はとらなくてはいけないものの、やはりそこは納税者の事情を個別に参酌しながら徴収率の確保に努めているものというふうに理解をしているわけでございます。
  71. 岩佐恵美

    岩佐委員 国保税の滞納世帯がふえる中で、各市町村国保税の取り立てが大変厳しくなっているわけです。ここにコピーがありますけれども、こういう警告書というのを送りつけているわけですね。それから、窓口に呼んで誓約書を書かせたり、納付の約束をしなかった人には保険証の交付を取りやめたりすることが、最近しばしば起こっている。  これは青森県の弘前の方の直接の訴えですけれども電話を差し押さえられたという人がいるとか、あるいは五十七年度十二月末までの滞納者のうち四百三十二件が差し押さえという形で言われ、このうちの六割が差し押さえの物件なしという、そういう数字も出ているわけです。  それから、これも青森の例ですけれども、「妻と中学一年生の三人暮らしです。今年の九月に仕事中、自動車事故をおこし、会社の上司も同行していたのに責任をおしつけられたうえ解雇されました。その後勤めた会社は賃金不払いで現在交渉中です。冬をむかえて仕事はほとんどありません。そこへ国民健康保険税七万四千円の滞納による「差押え通知」がきました。役所に相談にいっても「税金だから払いなさい」というばかりです。私は身体も悪いのですが頑張るだけ頑張ってきたつもりです。仕事をしたくとも仕事がなく本当に困っています。」という、四十五歳の男性の訴えがあるわけであります。  国民の生命と健康を守るという制度が、低所得者の最低生活費を保険料や税として取り上げていったり、あるいは農家や中小零細業者の営業資産までも差し押さえて持っていく、そういうようなことがあってはならないというふうに思うわけです。  そこで、厚生省に伺いたいと思いますけれども国保税あるいは国保料の滞納があるからといって保険証を交付しないということは、法に照らして許されるのかどうか、お答えを願いたいと思います。
  72. 阿部正俊

    阿部説明員 お答え申し上げます。  滞納があるという理由をもちまして国民健康保険の被保険者証の交付を拒否するということは、法律上はできないというふうに思います。
  73. 岩佐恵美

    岩佐委員 厚生省に、最近未交付の実態というのが非常にふえているという訴えが続々寄せられているわけで、この未交付の実態というのを調査をしてもらいたいというふうに思うわけです。そして、そういう自治体があった場合に、交付をさせるようにきちんと指導していただきたいというふうに思いますが、その点、いかがでしょうか。
  74. 阿部正俊

    阿部説明員 お答え申し上げます。  被保険者証の交付といいますのは、先ほど申し上げましたように、法律上の取り扱いとして、滞納があるという理由でこれを拒否するということは、法律上はできないというふうにお答え申し上げたわけでございますけれども、ただ、被保険者証といいますのは、それをもちまして医療機関で受給できるという一つの資格証明書でございますので、健康保険保険給付を受ける際に非常に重要な証書でございます。いわば被保険者である証明でございますので、その被保険者証の確認によりまして医療機関からの医療給付、お金の支払いというのが行われるということでございますので、きわめて大事なものでございます。  一方、滞納といいますのは、いろんな理由があろうかと思いますけれども、実際の取り扱いといたしまして、滞納しておる方に、何というのでしょうか、滞納といいましても実際にそこに居住してないケースというのがかなり実はあるわけでございます。被保険者証の交付の場合には、毎年住民台帳で確認いたしまして、被保険者証の更新のときに大半の方々は自動的に交付しているわけでございますけれども、滞納をしておられる方、あるいは保険料が納付されていない名前の方、これには住所地にいなかったとか、あるいはほかの保険にすでに入っておって届け出を怠りまして、被保険者証の交付が必要ないので国民健康保険保険料も納めなかったというふうなケースもかなりあるわけでございます。  やはり法の執行といいますのは厳正に行わなければいかぬということでございますので、住所も登録されておるからといいまして被保険者証をみだりに——みだりにといいましょうか、完全に自動的にただ出しておけばいいものではないというふうに思うわけでございます。住所地を確認し、かつその資格関係につきまして、他の被用者保険等との関係などにつきましても確認をした上で被保険者証を交付するというのは、窓口業務としての当然のあるべき姿だというふうに考えております。  そういう意味で、保険料が納められていない方につきまして、さらにもう一度通知を出しまして来庁を願いまして、そこで資格確認をした上で被保険者証を交付するというのは、私は当然のことだというふうに思っております。その際に保険料の納付方につきましても要請をし、協力を依頼するということも、これまた保険料という財源をもちまして全体の皆さんで出し合っている保険料ですので、そういったふうな保険料、ほかの人方で同じ所得でも保険料を納めておる方もおられるわけですので、全体の拠出により成り立っている保険制度を維持する上からも、保険料の納付方を要請するということは当然のあり方ではないかというふうに考えております。
  75. 岩佐恵美

    岩佐委員 それは、払える人は当然払うでしょうし、いまみたいな本人がそこの住所に住んでいないとか、そういうことによる未納付のことを私は言っているのではなくて、生活が一時的に困難に陥って、そして払えないというふうな事態になった場合に、本人を呼びつけて、あなたは払っていないから、だからこの保険証は交付できないというような形でかなりおどかされて、それで病院にかかりたくてもかかれないというような事例が最近ふえてきているためにそう言っているわけで、厚生省に未交付の実態をきちんと把握をしてもらいたいというふうに先ほど言いましたけれども、その点、再度確認をしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  76. 阿部正俊

    阿部説明員 具体的なデータ等手持ちにございませんけれども、かなり長期的に資格があるのに被保険者証を交付していないというふうなケースはないというふうに思っております。ただ、若干のおくれといいましょうか、あるいはいま先生の御指摘のように、保険料を納められていない方について資格確認の期間だけ若干のおくれを見るというふうなケースはあろうかと思いますけれども、長期的に滞納があるから被保険者証を交付しないということで、被保険者資格があるのに交付しないというふうなケースはないものと考えておりますが、個々具体的に、何かの機会がございましたら、これは全国調査はなかなかむずかしいと思いますけれども、そういったふうなケースがございましたら、よく調べてみたいというふうに思っております。
  77. 岩佐恵美

    岩佐委員 滞納世帯が多くなったからといって、ただ納めよ納めよというやり方では、国民は納得がいかないと思います。多くは納めたくても納められない、それが実情であります。倒産などの理由による納付不可能な者については、法第七百十七条にも減免規定があるわけですから、こうした減免制度の活用によって対応すべきであるというふうに思いますけれども、そのような指導はやっておられるのでしょうか。
  78. 阿部正俊

    阿部説明員 お答え申し上げます。  保険料の軽減措置と違いまして一律的に対処できる性格のものではございませんので、私どもの方で個々のケースの例示をいたしまして、こういう場合には減免した方がいい、あるいはしなさいというふうな意味での指導はしておりません。ただ、極端に、先ほど例示されたような、交通事故に遭いまして職も失い、一家が本当に貧窮のどん底に落ちたというふうなケースのようなことにつきましては、全体の拠出により成り立っておる保険料でございますので、個々のケースに応じまして許される範囲で減免のことも考えられ、あるいは分納等も考慮するということは、私は十分できるのではないかと思いますし、そういったふうな趣旨での都道府県、市町村に対する理解を求めておる、注意を喚起するということはやっていきたいというふうに考えております。
  79. 岩佐恵美

    岩佐委員 ところで、地方税法第七百十七条の規定、これでは第三百二十三条の市町村民税の減免規定と全く同じものであるわけですが、これはそういうことで理解をしてよろしいのかどうか、伺いたいと思います。
  80. 吉住俊彦

    吉住政府委員 地方税法第七百十七条の減免条項でございますが、これはいま先生が御指摘いただきましたたとえば市町村民税の減免の規定と比べまして、どちらも一定の要件を満たす場合には、条例の定めるところにより減免することができるというふうに書いてございますので、他の税目と共通しているとは思いますが、ただ具体的には、それは条例をもって規定するということでございますので、特に国保税のような特殊な税の性格の場合には、通常の場合にはほかの税目のようには必ずしもある程度広く減免するというわけにはいかない性格のものであることを御理解いただきたいと存じます。
  81. 岩佐恵美

    岩佐委員 市町村民税の減免規定では、生活保護法に規定する各種の扶助、それから就学奨励金、就学援助金など、これは公の扶助として考えられるんだということを、わが党の三谷議員の質問に対して石原税務局長が答えておられるわけですけれども国民健康保険税の減免、こういう場合にも当然同じような解釈がされるというふうに思うわけですが、その点、いかがでしょうか。
  82. 吉住俊彦

    吉住政府委員 ただいまお答え申し上げましたように、具体的にはその条例で書かれるところに従って減免が行われるわけでございまして、もしもそのように書かれた場合には、それはそれなりに効果を発揮するわけでございますが、通常の場合、ほかの税目と異なりまして特殊な性格の税でありますので、その範囲は限定的に限るべきではないか、限るべきであるというふうに一般的には私ども考えているところでございます。
  83. 岩佐恵美

    岩佐委員 条例準則が、七百十七条の場合ないわけですね。そこのところが非常に混乱を招くところであるわけですが、一般的に生活保護法に規定する各種の扶助、これは公の扶助ということであたりまえだし、それから就学援助金や就学奨励金、これらも公の扶助ということで、地方住民税ではきちんとしているわけですから、そこのところは同じような解釈で成り立つということで一般的に運用されているというふうに思うわけですけれども、その点について、もしそういうことがそうじゃないとか、そうであるとかということであるならば、考え方を明らかにしていただきたいと思いますし、それから、住民税のように七百十七条も条例準則できちんと決めるべきではないかというふうにも思うわけですが、その点、いかがでしょうか。
  84. 吉住俊彦

    吉住政府委員 ただいま申し上げておりますように、国民健康保険税の特殊な性格にかんがみまして、通常の場合には減免をいたさないのが通常のベースであるというふうに考えておりますので、条例準則では外している次第でございます。ただ、先ほどから御指摘の中で、たとえば大きな災害に遭いまして、その場合に条例で減免をするという場合には、それはそれで大変結構なことであろうと思いますが、そういう限られた場合を除きましては、残念ながらそれは減免すべきものではないというふうに考えておる次第でございます。
  85. 岩佐恵美

    岩佐委員 大臣に最後にお伺いをしたいわけですが、先ほどから議論をしていますように、国保税は大変高くて負担し切れない、そういう状況になってきているわけですね。ですから、徴収率も非常に下がってきている。そういう中で、国の減免だけじゃなくて、地方の減免についても住民の方々からの要望が非常に強いわけで、そういう点についてよく実態を調べて、そして研究をしていっていただくということが必要だと思うんですね。いまの答弁のようにしゃくし定規でいったら、本当に一家心中だとかあるいは一家離散だとかいうことも起こりかねないという非常に深刻な実態であると思いますので、大臣に最後にそのお考えを伺いたいと思います。
  86. 山本幸雄

    山本国務大臣 国民健康保険税は、先ほど来の仰せのように比較的低所得者層の方にお願いする税でございますから、そういう意味でも非常に特殊性があるわけですけれども、同時に、先ほど来審議官が御答弁申しておるように、ほかの税とこの国民健康保険税とは少し性質が違うという特質も持っておるように思うのでございまして、それらをひとつよく考えあわせまして、先生のいろいろ御指摘になりました点を今後の参考にさせていただこう、こう思っております。
  87. 岩佐恵美

    岩佐委員 終わります。
  88. 田村良平

    田村委員長 細谷治嘉君。
  89. 細谷治嘉

    ○細谷委員 最初にお尋ねいたしますが、いまここで審議しておる地方税法以外の他の法律で、地方税の増減にかかわる法律案があるはずでありますけれども、どういうものがあるのか、まずお答えいただきたいと思います。
  90. 関根則之

    ○関根政府委員 現在、法案としてまとまったものといたしましては、水産業協同組合法の一部を改正する法律案、それから森林法及び分収造林特別措置法の一部を改正する法律案、特定不況産業安定臨時措置法の一部を改正する法律案、特定不況地域中小企業対策臨時措置法の一部を改正する法律案、建物の区分所有等に関する法律及び不動産登記法の一部を改正する法律案地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案、国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案、以上でございます。
  91. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いま大体七本の他の法律があるようでありますが、それによる地方税の増減収はどういう状況になっていますか。
  92. 関根則之

    ○関根政府委員 減収額の試算がきわめて困難なものばかりでございまして、大きな減収にはならぬと思いますが、現在の時点では、私どもは数字をつかんでいないわけでございます。
  93. 細谷治嘉

    ○細谷委員 少し疑問に思うのです。従来からの続きで措置しているものもあるでしょうけれども、他法で地方税をいじくっておる、その増減収がどうなるかわからぬという形で自治省の責任者が他法を出す際にオーケーしているわけですから、大したことないというだけでやることはいささか問題があるのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  94. 関根則之

    ○関根政府委員 以上七本の法律案でございますけれども、このうちの五本はほとんど組織改正等によりまして名称変更をやるだけのようなもの、いわゆる形式的な変更、改正、そういうものでございまして、実質的にふえますのは二本でございます。例の特定不況産業安定臨時措置法の一部を改正する法律案におきまして不動産取得税の減額措置の規定、それからいわゆる城下町法の改正に伴います事業所税、特別土地保有税の非課税措置でございますけれども、これは今後この法律に基づいて進められる新しい対策に乗って具体的にどの程度対象が出てくるかつかんでおりませんけれども、ほとんど実質的な金額にはならないものと考えております。
  95. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いま挙げられた法律案の中には、きょうの衆議院本会議で可決されたものもあると思うのです。いずれにいたしましても、私は前にもこの問題をこの委員会で取り上げて、地方税に関する他法がある場合には、その名称と、それがどれほど地方税の収入に関係を持っておるか、この資料は地方税法の審議に当たっては出していただきたいということを要望しておりましたけれども、いまだに実現しておりません。今後そうやっていただけるかどうか、自治省の責任者の腹を聞きたい。
  96. 関根則之

    ○関根政府委員 地方税法の改正になるわけでございますので、私どもといたしましては、地方税法の一部改正法案が審議になります段階でわかっておりますものについては、そういう形で御審議の参考のためにできる限りわかる範囲内で提出をしていきたいと考えます。
  97. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いま挙げられましたほかに、地方税に関係するような問題で他の省と折衝中のものがございますか、ございませんか。
  98. 関根則之

    ○関根政府委員 直接、地方税法上の非課税等特別措置を動かすような形での改正は、現在のところ聞いておりません。  ただ、いわゆるテクノ法につきまして、特定の税目について地方税法六条の規定によって不均一課税なり何なりをした場合に、それを交付税で補てんするといったような内容の法案を、いま折衝中のものが一つございます。
  99. 細谷治嘉

    ○細谷委員 けさの朝日新聞に、「五省庁が「一口乗せろ」テクノポリス法案難航」、こういうふうにかなり詳しい記事が出ております。その前に、私の手元にありますので、日本経済新聞にかなり詳しく、三月十二日号でありますけれども、「出資金は損金扱い」、土壇場で難航テクノ法案、通産案に大蔵、自治が難色、こういうことであります。きょうは、五つの省が乗ろうとして競争している、こういって書いてある。大蔵、自治は難色、こう言っておりますが、どこに難色をつけておるのですか。
  100. 田中暁

    ○田中(暁)政府委員 いわゆるテクノポリス法案についてでございますが、難色という言葉は、われわれとしてはいささか不適当ではないかという気が実はしておるわけでございます。といいますのも、自治省といたしましても、このいわゆる先端技術産業が果たす今後の役割りについては非常に高く評価しておるわけでございまして、その育成は急務であるというように考えておりますし、また、その戦略といたしまして、適地に幾つかの拠点をつくっていこうという考え方も、まあこれが唯一のものであるか最善のものであるかは別といたしまして、それなりの効果のある手法であろうと考えておるわけでございます。  ただ、その法案で予定しております具体的な方法につきましては、新聞等に載っておりますような地方税の減免、これに伴います交付税による補てん措置等につきましては、やはり通産省の考え方を十分聞いて、これはいままでの各種の地域開発立法のそういった優遇措置とのバランスの問題もございますし、また国の措置と地方側と申しますか、そちらの措置とのバランスの問題等もございますので、こういった問題につきましては十分通産省の考え方を聞きまして調整を図っていきたい、こういうように考えているところでございます。
  101. 細谷治嘉

    ○細谷委員 きょうの新聞にはこう書いてあるのです。「自治省も、税制上の優遇による地方税の減収」、起こるんですね。かつてありましたような産炭地域振興法、陥没した産炭地域、そこに企業が入ってきたその場合に、たとえば固定資産税なり事業税というものを軽減した、減免した場合には、雇用等に着目しながら、一定の条件があった場合には、その減免した税に対して交付税を配っている、こういう法律が通産省の法律にございます。これによりますと、「自治省も、税制上の優遇による地方税の減収を地方交付税の増額で穴埋めするとの通産省のもくろみに、すんなりとOKを出す空気ではない。」こう書いてあります。  私の手元にあります新聞には、その法律案の要旨というのが出ております。この第六条に、「地方税の減免」として、「テクノポリス内企業に対する事業税、研究開発用の機械設備、建物などに対する不動産取得税、固定資産税を減免する。」と書いてあります。ですから、あなた、地方税法に関係ないと言うけれども、関係ありますね。地方税法に関係あります。そうして、すぐれてその裏づけを財政局長の手元でやるというのですから、そうしますと、これは財政局に関係ある、地方交付税にも関係ある、そうなりますが、私の見方は誤りでしょうか。
  102. 関根則之

    ○関根政府委員 先ほど申し上げましたのは、非課税等特別措置として来ているものではありません、六条の例の総則にあります規定を動かしまして、課税免除なり不均一課税をする場合、こういうサイドからの法律案をいまつくりまして相談に来ておる、こういう意味でございます。  もちろん、そういう限りにおいては、六条に関係する限りにおいては、地方税法と関係があるわけでございます。
  103. 細谷治嘉

    ○細谷委員 財政局長、御存じですか。
  104. 石原信雄

    ○石原政府委員 この法案について通産省の方から相談に来ておりまして、私も財政に関する部分については相談を受けております。特にいまの地方税法第六条の規定によるいわゆる公益減免、不均一課税または課税免除の規定を動かして云々というところが、この法案の非常に大きなポイントになろうかと思います。  本件につきましては、官房なりあるいは税務当局において、その必要性の有無あるいはその対象範囲の適否、こういったものについて現在議論をしておられます。その結論を待ってでありますけれども、そこで結論が出れば、当然それをさらに交付税で減収補てんするかどうかを論議しなければならない。従来の地域開発立法においてこの種の措置が講じられておりますが、それとのバランスの問題あるいはこの措置によってどの程度の補てん措置が必要になってくるのか、現在の交付税総額の中で対応できる程度のものなのかどうか、こういった点もさらに税その他の結論を待って検討しなければならないと思っております。
  105. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は、他法でどういう地方税に関係するものがあるかということで洗っておったら、たまたまこのテクノポリス法が出ておる。私はきょうの質問で取り上げようと思ったら、取り上げてもらっては困るという意味の、ちょっと圧力じゃありませんけれども、話は私にあっているのですよ。  そこで大臣、お尋ねいたしますが、結構な話ですよ、このテクノポリスというのは。大変結構ですが、今日の交付税の総額が大きく減って借金でいっているそういう時期に、しかも過去にやっておる地域開発、新産・工特、こういうものに対する地域開発のいわゆるかさ上げ補助、こういうものについても行革の一次答申によってカットされているのですよ。そういう時期に新たにこういうものを、しかも産炭地のように陥没しちゃったんじゃないのですね。これから上っていこう、陥没をしていない、これから現状から上っていこうというところに対して、多くは県庁所在地かかなり有力な上昇気流に乗っておる都市が、いま十九地域が対象になっているわけであります。今日の地方財政の実態の中で、そういうことをすることが公平の原則を貫くゆえんかどうかということについては、私もちょっと頭をひねっている。大臣、どう思いますか。私はこれに反対するとかなんとかじゃないですよ。問題点がありますからそう申し上げておる。
  106. 山本幸雄

    山本国務大臣 先ほど議官お答えしましたように、新しい先端技術というものの発達、それによる産業の振興というのは、私はこれからの日本にとっては大事な問題だと思います。そこで、日本の地域振興あるいは国土の均衡ある発展という観点から言えば、この新しい先端技術産業というものが育成をされなければならない。特に細谷先生の九州なんかは相当全国的にも進んでおる、私はこう思っておるわけです。  そこで、いまのお話の点になるわけですが、これはまだ実は私も法律の中身を詳しく聞いているわけでもありません。ただ、いまお話しのように、二十年前の新産・工特のときを思い出すわけですが、あのときは指定をしてくれという大変な運動が行われまして、それには先ほどのお話のように、やはり補助金のかさ上げというものが一つの魅力であった。しかし、今回のこのテクノポリス構想というものと新産・工特とは違うと私は思っているのです。それはそういう補助のかさ上げをするとかそういうことでやるのではなくて、やはり地方にこういう先端産業のいわば拠点みたいなものを、人口もそれほど多くはない、そこへ産学住というものの調和のとれた一つの地域をつくっていこうという発想と聞いておりますから、そういう意味では、私は日本の将来を考えたら推進していくのが適切ではないかと思います。  そこで、先ほどのお話で、地方税で進出する業界に何らかの特典といいますか、あるいは一つのアドバンテージを与えるということになってきますと、これは私どももひとつしっかりお話を伺って考えてみたい、こういうふうにいま私は考えておるのでございます。まだ目下事務的に折衝中でございますから、まだまだこれから各方面のお話も承りながら対処をしていきたいと思っております。
  107. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大蔵省のこの問題の担当の方、いらっしゃいますか。——大蔵省は、新聞によりますと、自治省と同様に難色を示しておる、こう言われておるのですが、難色を示しておるのか、おらぬのか。おるとすれば、その根拠は何か。
  108. 中平幸典

    ○中平説明員 お答え申し上げます。  テクノポリスにつきましては、すでに調査費も計上されておりまして、先ほど先生の御指摘にもございましたように、これまで十九地域についての調査もやってきておるわけでございまして、テクノポリスを推進するということ自体につきまして、私ども難色を示しているわけではございません。さらに、来年度の予算編成の過程におきまして、すでにございます工業再配置の補助金等を、テクノポリスの推進に役立つ場合にはそれを使うということも、私ども予算折衝の結果、結構であるということも申し上げておるわけでございますから、テクノポリス自身について難色を示しているというようなことはございません。  法案につきましては、ただいま通産省の方から原案を持ってこられまして、事務的にその法案の内容、それから先ほどの先生のお話にもございましたけれども、他の立法なりあるいは法律なりあるいは工業再配置政策等他の地域振興政策との関係につきまして、私ども通産省の意向も聞き、鋭意協議をして詰めを行っている、そういう段階でございます。難色を示しているということではございません。
  109. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私も、難色があるから質問しているわけではないのです。私の選挙区にも十九の中の有力な候補地があるわけです。名前を挙げぬでもわかっておるのです。しかしこの問題は、今度の行政改革で国と地方との問題というのが非常に問われておる、そしてテクノポリスというのは推進することについて異議はありませんけれども、どんどん減って、借金に借金を重ねて、やがて十兆円の特別会計の借金を持とうとする交付税で減免したら裏づけしてやりますということが、総合的に見て妥当かどうかということになりますと、残念ながら、私の選挙区にもあります、十九の地域の人たちが推進しております。これを取り上げないでくれと言う同僚もおりましたけれども、やはり筋だけはきちんとしなければならぬのではないか。  決して真っ向から反対しているわけではないのです。ある意味では推進してもいいと思っているのです。ただし、なけなしの交付税までよこせということになりますと、新聞にこう書いてあります。「五十八年度政府予算案に盛り込まれた関連予算はわずか約十五億円で、あとは他省庁が権限を持つ「他人の座敷」に上がり込むという、まさに○○省らしい法案だからだ。」こう書いてありますよ。  ですから、やはりやるのならば、工業再配置の問題もあるわけですから、そこに拠点をつくっていくわけですから、そういう点において真っ向から交付税に期待するのではなくて、国の補助金を——財政が悪いというから交付税。交付税だって十兆円は借金があるのだから。私はそう思うのですよ。その意味において、財政で苦労しておる大蔵省と財政で苦労しておる自治省の気持ちがわかるものですから、難色ということではなくて、やはり筋を通してこの問題について推進していただくということが大切ではないか、こう思って申し上げているわけです。大臣、どうですか。
  110. 山本幸雄

    山本国務大臣 先生のおっしゃるとおりだと思います。
  111. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この問題に入ってしまいましたから、大変恐縮でありますけれども、非課税規定の問題を若干質問しておきたいと思うのです。  地方制度調査会が十二月に答申を出しました。それから、自治大臣の管轄下にある木村元一一橋大学名誉教授を会長とする地方財政審議会の答申も十二月に出されました。それを拝見しますと、どういうことを書いてあるかというと、「地方税の非課税等特別措置については、新たな減収の要因となる新設及び拡充を行うことは厳に抑制すべきであり、またその一層の整理合理化を図るべきである。」これはせんだって質問で——ちょっと逆説的に質問して恐縮でありますが、税務局長、整理合理化というのはふやすこともあるのですか。どういうことですか。
  112. 関根則之

    ○関根政府委員 やはり整理という日本語からして、ふやすという概念は含んでいないと思います。
  113. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それはそうですけれども、この間質問に対してお答えがあったように、整理合理化は件数にして一、縮減合理化が二十、電気税産業用非課税廃止品目が一、計二十二、こういうことですね。そして廃止は一でありますが、新設は四です。拡充が六です。単純延長十二です。整理合理化というのは常識的には減らすことだと言っておりますけれども、件数がふえていっておる。国の方も同じなんですね、今度の予算で。整理合理化をするという行管のあれによって、やはり一つふやしておるのですよ。それは特定不況地域についての税の問題でふやしている。整理合理化と臨調は言っているにかかわらず、ふやしておる。私はふやしてはいかぬと言っているのではない。しかし、そういう中においてならば既存のものについてはやはり洗って、整理合理化というのが減らすことが常識ならば、それが日本語の意味ならば、やはりそういうことに努力すべきではないか。  加えて、これも大したことはないと言うけれども、拡充によって二十八億、新設によって七億、地方税の減収が起こるわけでしょう。そうしますと、これは整理合理化というのはやはり拡大の場合もある、国、地方を通じて。こういうことになりますが、大臣、そういうことなんでしょう。この間数字を直されておったのですが、私はあなたが直した数字に基づいてやっているのですよ。
  114. 関根則之

    ○関根政府委員 御指摘をいただきましたように、地方制度調査会を初めといたしまして、非課税等特別措置の整理合理化を積極的に進めろという考え方を示されておりまして、私どもといたしましても、まさにその言葉の意味のとおり、既存の非課税等特別措置につきまして極力その廃止、縮小を図るべく最善の努力をしたつもりでございますが、すでにもう五十一年度以来相当切り込んできておりますので、残っておりますものにつきましてはそれぞれ政策目的等がございまして、これを一挙に大幅に削っていくということが実際問題としてできなかったわけでございます。  ただ、件数の比較から申しますと、確かに先生おっしゃいますように、従来どおり単純に延長したものがございますから、それを合わせますと整理合理化したものと件数がちょうど合ってしまうわけでございますけれども、これは前の規定をそのまま据え置いたということでございます。拡充と新設を合わせますと十件でございまして、一方、整理縮小したものが二十二件ありますので、私どもの努力の跡は、不十分ではあろうかとも思いますけれども、われわれなりにそういう縮小の方向で努力したというふうに考えております。  もちろん金額的には、確かに御指摘がありましたような金額になっておりますけれども、これは特別障害者を同居して扶養いたしましたり配偶者としております場合の特別控除の問題とか、こういったものがわりかし金額が張ってまいりますし、中古住宅の取得の場合の適用要件の改善などをやりましたので、そういったものが金額的にふえてきてしまっている、まことに残念ではございますが、そういう結果になっているわけでございます。
  115. 細谷治嘉

    ○細谷委員 まことに残念。ですから、今後は整理合理化などという言葉はお使いにならない方がいいのじゃないですか。あえて勧告をしておきたいと思います。  ところで、これはこの程度にしまして、あなたの方から出た資料の「地方税及び地方譲与税収入見込説明」というものによりますと、電気税、使用量料金が十二兆三千三億円、うち非課税分が三兆六千百六十三億円、そして差し引き課税標準見込み額が八兆六千八百四十一億円と、こうなっております。この割合を見ますと、この前あなたは非課税分が二〇%ぐらいと言っておりましたね。これは、ちょっとはじきますと三〇%になります。これは二〇じゃありませんよ。正確に言うと二九・四%です。この前二〇と答えましたね。三〇ですから、あなたの方の資料でそうなっているんですよ。訂正なさったらいかがですか。
  116. 関根則之

    ○関根政府委員 非課税総額は、免税点以下になるために非課税になってしまいますものまで全部入れますと、いま御指摘がありましたように電気税におきましては二九%でございます。先日答弁を申し上げましたのは、産業用電気の非課税に基づく減収額について申し上げたつもりでございまして、これは一九%でございますので、多分そのときに、あるいはラウンドいたしまして二〇%ということを申し上げたと思います。もし誤解がありますれば、私の説明が舌足らずであったということでございますが、さように御理解をいただけるとありがたいと思います。
  117. 細谷治嘉

    ○細谷委員 わかりました。非課税部分がありますから、わかりました。その数字は確認をしておきます。  それでは、産業用電気という言葉が出ましたけれども、産業用電気の非課税につきまして、今回は一品目廃止しましたね。この前議論があったように、燐ですね。燐というのは、リンリンとベルが鳴るぐらい産業の中ではいま小さいです。音が小さい。ですから一つ落として体裁をつくったと思うのですけれども、お尋ねしたいことは、産業用電気で、電気は使ってもらうけれども税金をかけることができない、いわゆる使った電気とかけることができない電気の比率、日本で高い順番からひとつ十ばかり挙げてください。
  118. 関根則之

    ○関根政府委員 全国で一番高いのは大牟田市でございまして、非課税電気の割合が七五・二%になっております。ちょっと手元の資料が順番に並んでいないわけでございますが、その次は茨城県の神栖町が七一%ほどになっております。あとちょっと順不同でございますが、北九州市、倉敷市、堺市、四日市市、川崎市、市原市、波崎町、こういったところでございます。
  119. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私の住んでいる市は、電気は使ってもらいますけれども、七五%は税金をかけることができない。市長が、産業用電気はけしからぬ、違法だ、憲法上疑問があるじゃないか、地方自治を侵害するものじゃないかということで、裁判ざたになったのは当然だと思うのです。そのほかに鹿島臨海工業地帯では七一とか、あるいは倉敷あたりでは五〇とか、最近工業化した市原では五二%、こういうふうに、あなたが言うように全国平均は二〇%だけれども、ところによっては五〇%を超して、七五%も電気に対して使ってもらっても税金を課することができないというのはいかがなものでしょうか。大臣、そういうことでありますから直さなければいかぬと思うのですが、具体的にお答えいただきたいと思う。
  120. 関根則之

    ○関根政府委員 産業用電気の非課税品目につきましては、昭和五十年以来積極的にその整理合理化といいますか、課税対象に持っていくように努力をしてきているわけですが、残念ながらまだ、今年度一品目廃止をいたしまして、残り七十九品目があるわけでございます。その中には、わが国の産業なり国民生活にとりまして大変重要な基幹的な産業も含まれております。電気税を課税いたしますとやはりコストになるわけでございまして、ストレートに物価に影響を及ぼしてくる、こういう性格のものもあるわけでございますので、物価への影響等を考えますと、なかなか一概にこれを廃止するということが困難でございます。  したがいまして、私どもといたしましては、今後とも積極的に各審議会等の答申の趣旨に即しまして整理合理化のための努力をしてまいりたいと考えておりますけれども、一方で物価等に対する影響も十分考えろといったような御意見も強く出ておりますので、そういった意見も踏まえながら、今後検討を続けていきたいというふうに考えます。
  121. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣、この産業用電気の非課税というのは、Aの都市ではBの都市に比べまして電気の使用量は三倍ぐらい使っておって、入ってくる税金は三分の一、こういう問題が起こっておる。そのうちの七五%は交付税でカウントしている、こうおっしゃるかもしらぬけれども、これはやはり税のあり方としては少しおかしいと思うのですよ。  こういう点についていままで努力した。努力する前には大体百二十品目ぐらいあった。これがいま八十を割った。八十を割ったけれども、もうノミに刺される程度のものだけ拾い上げて三十ばかりやっておるのですよ。そして、この間のお答えでも、コストの中で五%以上になるものをめどとしてやっていく、こうおっしゃるように、鉄鋼とかあるいは大きなものが七%とか八%とか、この辺にあるわけですね。この辺に手を加えないと、いまの不合理は直らないですよ。その壁が自治省としては越えることができないのですか。  税制上の公平さ、そしてやはり地方の税源ですから、これはとうといものなんですから、きちんとやれるような対応をするべきだろうと私は思うのです。たとえば、ずばり言うと、千百億ぐらい非課税によって取れないものがあるでしょう。これは恐らく、五%を八%か一〇%にいたしますと、取れない分というのは三分の一ぐらいになってしまうと思うのですよ。そういうことでありますから、大臣、この問題については真剣に取り組むべきだと思いますが、決意のほどを承りたいと思います。
  122. 山本幸雄

    山本国務大臣 非課税措置をやめて自治体の税収をふやすという観点から言えば、確かになるべく早くこういうものは廃止した方がよろしい。そこで、いま税務局長が御答弁しましたように、これはなかなか重要基幹産業の製品が多い。したがって、いわゆる素材産業的な、基礎産業的なものの製品が多いわけなんで、やはり物価にはね返ってくる。そして、結局電気税の負担が最終消費者にかかっていくという事態がやはり起こるであろう。そのときは政策課題としましては、地方税の税収をふやすということも大切である、これはわれわれの立場でもそれをやらなければならないのは当然のことでありますが、しかし一方において、国民経済全体から見たら、税収をふやすということと、それから物価の安定あるいは国民経済がうまくいくというウエートがそれだけあるか、値打ちがあるかということとの兼ね合いといいますか、そういう接点で物を考えるのもやはり一つ考え方ではないか、私はこう思うのです。  もとより、たとえば製品の中に占める電気料の問題でございますから、理論的には、電気料が安くなればやはり製品の中のウエートが下がってくるということもありますから、そういういろいろな観点からの見直しはしょっちゅうやっていくべきであろう。したがいまして、決してほっておくわけではありません。私どもも、いま非常に厳しい財政状態ですから、地方自治体の税収を確保する何か財源はないか、税源はないか、こういう考えは先に立つわけでございますから、そういう観点で今後とも検討をひとつしていきたい、こう思っております。
  123. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いまの大臣の答弁は、私の耳に入った限りにおいては、私も国会にお世話になって二十年ばかりになりますけれども、変わらないですよ。大臣はかわっているけれども、言うことは一つも変わっていない。これでは言葉だけじゃないですか。そらごとじゃないですか。真剣に取り組んでいただきたいのですよ。真剣に取り組むか取り組まぬか、お答えをいただきたい。
  124. 山本幸雄

    山本国務大臣 真剣でないとかあるとかとおっしゃいますけれども、われわれの方としては、やはり税収はとにかく何とか上げていきたい。増税はできないわけでございますから、税収の確保というのはなかなかむずかしい問題だ。ですから、そういう枠の中でできるだけ歳入構造の見直しをしていくというのは私ども当然のことでございますから、おまえもやはり前の大臣と同じことかとおっしゃいますが、情勢が厳しくなってきておるだけに、見直しは自治省としましては厳しくこれからやらなければならない、そうは思っております。
  125. 細谷治嘉

    ○細谷委員 残念なことですが、いまの大臣の言葉、失礼かもしれませんけれども、ブルータス、おまえもか、こういう感じです。そういう問題に関連してここでも議論がありましたけれども、やはりどうも税に対する取り組みはきわめて形式的で、消極的だと言わざるを得ないのです。  別の問題に移りますが、地方財政審議会がこう言っておるのです。「地方道路目的財源については、地方道の整備水準及び地方道に係る特定財源比率の依然として低い現状にかんがみ、第九次道路整備五箇年計画の策定に当たり、その充実強化を図るべきである」、地方財政審議会がそう言っておるのです。地方制度調査会もそう言っております。この問題について具体的にどういう取り組みを持っておるのか、あるいはどういう案をお持ちなのか、お聞かせいただきたい。
  126. 関根則之

    ○関根政府委員 地方道路目的財源が国の場合の特財比率に比べまして非常に低い状態になっておる、これを何としてでも改善したいというのは、私ども地方税に携わる者のいわば悲願のようなものになっているわけでございます。  そこで今回、第九次道路整備五カ年計画が先日閣議了解をなされたわけでございますが、地方の単独事業なども相当伸びているわけでございます。それに対して財源措置をきちんととってまいりませんと特財比率が向上しないということになりかねませんので、私どもとしては特定財源をきちんとしていくために今後努力していきたいというふうに考えております。とりあえずは五十八年度の税制改正に、いまお願いをいたしております法律案の中に、二年間現行の特例税率を引き続き存置する、そういう改正をお願いしているところでございます。今後、閣議了解に基づきまして閣議決定で具体的な財源等が決まってくるわけでございます。財源といいますか、国費、地方費、財投分といったような財源面での計画が決まってくるわけでございますが、その段階に向けまして具体的な財源対策を検討していきたいと考えております。  そういう意味も含めまして、二月四日の閣議了解の段階では、第二項といたしまして「事業の円滑な執行を図るための財源措置について所要の検討を加えるものとする。」こういった条項も、実は私どもの方から特に問題提起をいたしましてつけ加えていただいたような形になっております。この条項に基づきまして今後しかるべく所要の財源を確保するように、私どもとしては最善の努力を続けていきたいと考えます。
  127. 細谷治嘉

    ○細谷委員 建設省にお尋ねいたしますが、その第九次道路整備五カ年計画、これは当初はたしか四十五兆円ぐらいだったと思いますが、最終的には三十八兆二千億、こうなりました。その内訳と、第八次とどこがどう違うのか、これをひとつ御説明いただきたいと思います。
  128. 沢井広之

    ○沢井説明員 お答えいたします。  ただいまお話がありましたように、第九次の道路整備五カ年計画の投資規模は、三十八兆二千億を予定してございます。この各事業の内訳につきましては、現在作業を進めておるところでございますが、このうち、地方単独事業につきましては、十一兆七千億を計上することとしてございます。  御質問の前八次五カ年計画とどう違うかということでございますが、第八次五カ年計画の計画時点におきます地方単独事業の計画全体に占める割合よりも、第九次五カ年計画に占める割合が若干高くなってございます。しかし、私どもといたしましては今回の地方単独事業の規模を決めるに当たりまして、第八次五カ年計画の実績を尊重してございます。ですから、実績という点におきましては、第九次の五カ年計画に占める地方単独の割合というのはニアリーイコールでございます。
  129. 細谷治嘉

    ○細谷委員 きょう衆議院の本会議で道路整備緊急措置法が九次に備えてできたわけで、具体的にいまお答えできないという部分、確定してない部分があると思うのです。あなたからお答えいただいたように、三十八兆二千億のうち地方単独分が十一兆七千億円、一般・有料道路、そのうちの一般というのが十六兆円。前計画、八次と比べますと、一般・有料道路の一般が一・一九倍、地方単独が一・五六倍でありますから、かなり地方道を重点にシフトしておることは認めます。そのとおりだと思うのです。  けさの新聞なりテレビでは、ちょうど北は盛岡から南は熊本県の八代まで、関東の埼玉県のところに一部欠けているけれども、全部縦貫道が通る、広島県と山口県の方は通るということで大々的に書かれてあります。その大々的に書かれてある新聞の社説の中で、ある新聞は、道路問題あるいは高速道問題については、これからは第二期の問題に入っていくだろう、そしてそれが住民を中心としたいわゆる地方道、こういうものにウエートを置くと同時に、いわゆる縦貫道ではなくて、循環道路、輪環道路あるいは横断道路、日本列島を横にぶった切っていく、そういう道路にシフトしていかなければいかぬだろう、こういう意味のことがきょうの新聞の社説等で書かれてあります。  それはそのとおりでありまして、いま御指摘のところに対しては私も異議ございません。問題は、私が憂慮しているのは、やっとこさ二年延長した、これがすべてだ、こういうことであります。財政審議会がそれではだめですよ、もっと何か財源の強化をしなければならぬ、こう指摘しております。  お尋ねしたいことは、まず第一に、国の特定財源の率と都道府県の特定財源の率と市町村の特定財源の率というのは、現状はどうなっておりますか、お答えいただきたい。
  130. 関根則之

    ○関根政府委員 第八次の当初段階におきまして特定財源比率を計算いたしておりますが、国は九〇・二%、それから地方につきましては、道府県が六〇・〇、指定市が四七・二、市町村は三〇・五%、地方全体といたしましては四四・六%の特財比率になっております。
  131. 細谷治嘉

    ○細谷委員 地方全体でなくて、私が聞きたいのは国の段階と都道府県と市町村、これからの道路はやはり市町村道にシフトしていくわけですから、また一番長いのは市町村道ですから、恐らく日本の道路の七割五分か八割というのは市町村道ですよ。そういうところにシフトしていくとすると、府県の特定財源率と市町村の特定財源率はかなり違います。雲泥の差があります。それをお答えください。
  132. 関根則之

    ○関根政府委員 いま申し上げたのはそういう意味で申し上げたと思いますが、都道府県につきましての特定財源比率は六〇%でございます。市町村は三〇・五%でございます。ただ、これは第八次の当初段階の数字でございまして、第九次につきましてはどういうことになるのか、まだ決まっていないわけでございます。
  133. 細谷治嘉

    ○細谷委員 建設省にお尋ねいたしますが、五十八年度のいまの大まかに言った分類というのは、一般・有料道路が五十八年度は四兆二千三百五十五億、地方単独が二兆一千二百八十億、合計いたしまして六兆三千六百三十五億、こうなっておりますが、そのとおりですか。
  134. 沢井広之

    ○沢井説明員 いま先生が読み上げられました数字は、地方財政計画がまとめられます以前に、建設省が独自で地方単独費につきましては推計した数字でございます。当然、地方単独事業につきましては地方財政計画と整合させるわけでございますので、地方財政計画における五十八年度の単独事業、一兆九千何がしというふうに聞いておりますが、当然そういう事業規模に改めることになると思います。
  135. 細谷治嘉

    ○細谷委員 おたくの資料ではありませんけれども、「五十八年度の道路事業」というので、「高速道」という新聞があるのですよ。御存じですか。それはおたくの方の資料とは全く関係ない、「高速道」の新聞社が勝手にでっち上げた数字ですか。おたくの方と関係あるのですかないのですか、お聞かせいただきたい。
  136. 沢井広之

    ○沢井説明員 「高速道路」という新聞は、私どももよく読まさせていただいておりますが、先ほど申し上げましたように、私どもの古い資料に基づいた記事であろうと思います。道路局と高速道路新聞社とは、特に関係はございません。
  137. 細谷治嘉

    ○細谷委員 今度は古いとか新しいということになってしまったのですけれども、それによりますと、五十八年度の地方費は三兆百五十九億円となっているのですよ。これは古いのですか。この数字は全く当てにならぬ数字ということですか。そんなことも過去にあった、こういう数字にしかすぎない、こういうわけですか。いかがですか。
  138. 沢井広之

    ○沢井説明員 申しわけございません。私、きょう資料を手持ちしておりませんので、いま先生がおっしゃった数字につきまして、いつの時点の数字かちょっとお答えしかねますが、過年度分の地方費でありますと、それは多分実績であろうと思いますので、正しい数字であろうかと思います。
  139. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これは三月十五日の新聞なんですよ、日付は。だからまだそんな古くないですよ。そしてこれは前年度の実績は二兆七千九百一億円、こういう数字になって、そして五十八年度がいま申し上げた三兆百五十九億円、こうなっているのですよ。これは古いか新しいかということでこれ以上押し問答はしませんけれども、大体私どもの経験では、きょうまだそれは固まっていません固まっていませんと国会で答えていますけれども、二、三日するとずっと固まって、全く同じ数字が出てくるというのが私どもの長い間の経験ですよ。ですから私は、当たらずといえども遠からずじゃなくて、ほぼ正確な数字だと思っております。  では、ほぼもくそもない、正確でもない、ほぼでもない、それは全く架空の数字だというふうに言い切れますか。そうすると、今度できるものはそういう数字じゃないということになりますから、はっきりお答えをいただきたい。
  140. 沢井広之

    ○沢井説明員 きょう手元に資料を持ってきておりませんので、後日御説明させていただきたいと思います。お許し願います。
  141. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いまのお答えは、いずれ地方財政計画が決定した段階で手直しする、こういうことでした。  そこで私は、地方財政計画をちょっと洗って見ました、その部分。これは財政局長がいらっしゃいますから申し上げますけれども、五十七年度の地方財政計画では地方費は二兆七千八百九十四億円。事業費全体は国庫、地方を加えますから四兆五千二百七十六億円であります。さっき言いました地方費三兆百五十九億円とは二千二百億円ぐらい違いがあります。ちなみに五十七年度をちょっと申し上げますと、地方負担が直轄、一般公共、長期計画、特別単独、こういうものを加えまして二兆七千八百三十一億円でございます。これは昨年の実績と挙げてある二兆七千九百一億円とほぼ符合いたします。そうしますと、五十八年度も地方財政計画は建設省がもくろんでおるよりも過小のカウントだ、こう言わざるを得ないのでありますけれども、いかがでしょうか。
  142. 石原信雄

    ○石原政府委員 五十八年度の地方財政計画を策定するに当たりましては、御案内のように、地方単独事業につきましては、その総額を前年度五十七年度同額を確保するという方針で臨んだわけでありまして、道路関係事業費につきましても、前年度と同額を計上している次第であります。  なお、新しい道路整備五カ年計画との関連でございますが、地方財政計画の内容を検討する段階におきましては道路整備五カ年計画の内訳がまだ明らかでなかった、こういう事情もありまして、私どもとしては地方単独事業前年同額を計上するという方針に基づいて計上した次第であります。なお、現段階におきましても、新しい道路整備五カ年計画のうち、地方単独事業費の総額につきましては先ほど答弁があったような数字でございますが、その年次割り額については、まだどういうふうになるのか建設省の話も聞いておりません。ただ、これはいずれ正式に五カ年計画を決定する段階になりますと、事業の種類別の内訳あるいは年次別の金額といったことが詰められると思いますから、その段階になれば当然地方財政計画の積算内容との整合性を考えていかなきゃならないと思います。いずれにいたしましても、五十八年度の地方財政計画の策定の段階では、その内訳がまだ明らかでなかったということもありまして、前年度同額を計上している次第でございます。
  143. 細谷治嘉

    ○細谷委員 地方財政計画の中における道路財源をちょっと洗っておるわけです。ちなみに申し上げますと、五十八年度は直轄事業では地方負担が二千四百四十億、一般公共が六千二百六十六億、合計いたしまして補助、直轄負担で八千七百六億、こうなります。そのほかに単独と長期というのがありまして、これは五十七年度と全く同額で、いずれも長期、特別入れまして一兆九千百八十八億で、これは同じ数字であります。同額組んだというのですからそのとおりであります。  ところが、五十七年度については事業費四兆五千二百六十億でありまして、五十八年度も事業費は四兆五千二百七十六億のほぼ同額であります。同じレベルで組んだというのですからそのとおりであります。ただ、地方費は二兆七千八百九十四億円、五十八年度も五十七年度も同額でありますけれども、さっき言ったように二千二百億円ばかり差があるんですよね。そうしますと、これは組んでいかなければならない。ところが五十七年度は、私は地方財政計画、当初計画で言っておりますから、これは落ちましたよね。しかし、これは計画を通しておりませんけれども財源対策債で穴埋めしている。借金して穴埋めしているわけです。ところが、五十八年度もほぼ同じようにやりますが、乗るとすれば、二千二百億ばかり足らぬわけですよ。まだ数字が決まっておらぬというけれども、三兆百五十九億円という数字が出ているわけですから。この差額はどうなさいますか。税の問題ですよ、税務局長。  一生懸命地方財政審議会にそういう答申をさしているんですよ。そして地方道にシフトするということは当然の帰結だ、こう言っているのですから、その二千二百億円の金をどこかから見つけてきてやらなければいかぬでしょう。去年も借金して穴埋めする。道路をつくる。今度もまた足らぬ分は借金というわけにはいかぬでしょうが。どうですか。これは大臣の答弁かもしれませんけれどもね。
  144. 石原信雄

    ○石原政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、地方財政計画策定の段階におきましては道路整備新五カ年計画の年次割り額というものが決まっておりませんので、地方財政計画においては、単独事業は前年同額計上したわけであります。そこで、今後新しい計画の年次割り額を決めていく段階で、地方財政計画あるいは地方財政計画を前提とする財源措置との整合性を検討していかなきゃならないわけでありますが、現在地方財政計画を前年同額組んでいるのに今後それに対して幾ばくか上積みするのかしないのか、これは、これからの財政状況をも考えながら議論していかなきゃいけないと思います。もし五十八年度不可能であれば、当然後年度でこれを消化していくということになるのではないかと思います。  この点については、恐らく私は、単独事業だけではなくて公共事業の方も、総額と五十八年度の計上額との関連において同様の問題が出てくるのではないかと推察するわけでありますけれども、いずれにいたしましても、これは正式の決定の段階までによく詰めさしていただきたいと思っております。
  145. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この地方財政計画と、それから、これから審議に入ります地方交付税における基準財政需要額にどの程度カウントされるか、こういうことについて問題があるわけですが、私がちょっと調べたところでは、投資的経費について基準財政需要額にカウントされているのは、五十七年度では五九%程度なんですよ。これは時間がありませんからきょうは突き詰めたところを議論できませんけれども、私は大臣に申し上げたいのは、それから建設省に考えていただきたいのは、自治省の交付税というのは無尽蔵にたたけばどんどんわいてくるような金ではありませんよ。十兆円の借金をしてやっているものですよ。  そうでありますから、九次の道路計画を推進するに当たっては、いまはっきりと二千二百億円足らぬわけでありますから、建設省も財源自治省に任すということじゃなくて、手をあわせてこういう問題について解決に当たっていただかなければならぬと思うわけでありますけれども、建設省、いかがですか。
  146. 沢井広之

    ○沢井説明員 先生のおっしゃられるとおりであろうと思います。最終計画の策定並びに各年度における事業の執行に当たりましては、自治省を初めとする関係機関と十分整合をとってまいる所存でございます。
  147. 細谷治嘉

    ○細谷委員 もう時間もありませんから、この問題はいずれまた折を見て、道路財源の問題は大変重要でありますから、財政局長も言っているように、この道路問題、これと同じように建設省関係の下水道問題というのが、言ってみますとこれからの地方財政の大穴になる可能性もありますから、いずれまた洗ってみたいと思います。  最後に一言、これは大蔵にも関係があると思うのですけれども、この間指定都市からこういう資料をいただきました。ごらんになったと思います。指定都市の方からのこの資料に毎年毎年書いてあることはどういうことかというと、三十九年にできた特別とん税、そして地方に来る譲与税、これはもう一向に金額は変わらぬ、こう指摘されております。この問題について、港湾を持っている都市が多いわけですけれども、その身になってもっと考えてやったらどうかということがしきりに私どもの耳に入ってきます。私もそう思います。これについて、大臣、どう対応するのか。三十九年以来ちょっちょっちょっといじってあります。こっちを出すとこっちを引っ込める、こっちを引っ込めるとこっちを出すという形で、こうやって今日まで来ているわけです。これは問題があります。いかがですか。
  148. 関根則之

    ○関根政府委員 御指摘をいただきましたように、特別とん譲与税のもとになります特別とん税につきましては、三十九年に十円から二十円に税率を改定をいたしまして、その見返りというような形で固定資産税の方の特例率を六分の一からゼロ、すなわち非課税に持っていったわけです。その後五十年にもう一回非課税から特例税率十二分の一で課税をするというような形にはなっておりますが、その後は制度として動かしていないわけでございます。  私どもといたしましては、指定都市等から、その他開港場を持っております都市から強い要望が出ておりますので、これの増強につきまして努力を続けていきたいと考えております。ただ、問題は、所管が国税でございますので、直接私どもの方で責任のある答弁ができないわけでございますが、所管省である大蔵省に対しましても、これから税制改正に向かいまして極力この税率改定、財源の充実のために御努力をいただきますように、改善するように要請をしていきたいと思います。
  149. 山本幸雄

    山本国務大臣 これは三十九年来据え置きだということでありますし、また、港湾の整備という観点から見ても、港湾所在の都市は財政的にもなかなか圧力がかかっておりますから、国税でございますから私どもの所管ではないわけでございますけれども、いまの税務局長の話のような線でひとつ今後努力したいと思ます。
  150. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この問題もちょっと舌足らずですが、時間がありませんし、ほかに二点ばかり用意した点がありますけれども、次の機会にして、五分ばかり余っているようでありますけれども、終わります。
  151. 田村良平

    田村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  152. 田村良平

    田村委員長 この際、本案に対し、日本社会党及び日本共産党を代表して佐藤敬治君外一名より修正案が提出されております。  修正案の提出者から趣旨の説明を求めます。佐藤敬治君。     ─────────────  地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  153. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 私は、日本社会党及び日本共産党共同提案に係る地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案について、提案者を代表して、その提案理由内容の大要を御説明いたします。  昭和五十年度以来の地方財政における財源不足額の発生状況を見れば、昭和五十八年度のそれは、従来とは大きく性格の異なるものと言えます。すなわちマイナスシーリングによる景気政策を排した厳しい予算編成下でもなお生じた二兆九千九百億円という膨大な財源不足額は、地方財政の歳入歳出における構造的な不均衡がいまや頂点に達していることを示しています。それなるがゆえに、今後の地方財政対策は、国、自治体間の税源再配分という最も基本的な問題に立ち返るべきであり、またそれなくして今後の対策は存立し得ないと言うべきであります。にもかかわらず本年度改正案においては、こうした課題に立ち向かう姿勢は皆無であるばかりか、逆に住民負担の増大を加速させているのであります。  増税なき財政再建が、大企業優遇の別名であって、住民にとっては画餅であることは、もはやだれの目にも明らかであります。非課税限度額の設定によるごまかしの減税さえ、五十八年度においては据え置かれ、個人住民税の実質増税は、いまや許容しがたい状態となっております。  われわれは、予算審議における野党一致の減税要求を踏まえ、所得税以上に過重な負担となっている個人住民税において、大幅な減税を図ることこそ住民福祉に不可欠であるとの立場から、個人住民税の減税に焦点を当て、本修正案を提案した次第であります。  次に、修正案の概要を御説明申し上げます。  第一は、基礎控除、配偶者控除、扶養控除の三控除についてでありますが、これら三控除を五万円ずつ引き上げ、二十七万円といたしております。これらの控除の引き上げに伴い、老人扶養控除等についても所要の引き上げを行っております。なお、これら三控除の引き上げにより標準世帯における課税最低額は、百八十九万二千円となります。  第二は、障害者控除、老年者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除についてそれぞれ五万円引き上げ、二十六万円とするとともに、特別障害者控除も五万円引き上げ二十八万円とすることといたしております。  以上が、本修正案の提案理由及びその概要でありますが、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
  154. 田村良平

    田村委員長 以上で修正案についての趣旨の説明は終わりました。     ─────────────
  155. 田村良平

    田村委員長 これより討論に入ります。  原案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。宮下創平君。
  156. 宮下創平

    ○宮下委員 私は、自由民主党を代表して、政府提案の地方税法等の一部を改正する法律案に賛成の意を表するものであります。  本法律案は、きわめて厳しい地方財政の状況及び住民の負担の現状に配慮しつつ、その負担の公平適正化を図るため、法人住民税均等割、娯楽施設利用税等の定額課税の税率の調整、非課税等の特別措置の整理合理化等を行うとともに、住民負担の軽減及び合理化を図るため、個人の住民税所得割について低所得者層に係る非課税措置を継続することとし、同居の特別障害者に係る扶養控除等の特例を創設し、並びに料理飲食等消費税についてその基礎控除額を引き上げる等の措置を講じ、あわせて日本国有鉄道の納付する市町村納付金の算定標準額に係る特例措置を改めることを主な内容とするものであります。  地方財政は、昭和五十八年度においても巨額の財源不足が生じるとともに、昭和五十年度以降の累積した借入金総額は五十七兆円にも達するなど引き続ききわめて厳しい状況にありますので、今後、国のみならず地方財政においてもその健全性の回復を早急に図っていく必要があります。  このためには、地方公共団体においても自主的に事務事業の見直しを行い、行財政の簡素効率化と経費の節減合理化を進めることが必要であります。  しかし、何といっても基本的には、新しい社会経済情勢に即応して、地方公共団体の自主性、自律性を高めながら充実した地域社会を形成していくためには、地方自主財源の充実を図っていくことが不可欠であります。  このように考えてまいりますと、政府提出の本法案は、増税なき財政再建の基本理念に沿いつつ、税負担の公平化、適正化を一層推進する観点から所要の見直しを行う一方、住民負担の軽減合理化にも配慮するなど、当面の課題に適応するものであり、現段階におきましては適切妥当なものと考える次第であります。  以上の理由により、私は、政府原案に賛成の意を表するものであり、日本社会党及び日本共産党の共同提案に係る修正案に反対の意を表するものであります。  以上をもって私の政府原案に対する賛成討論といたします。(拍手)
  157. 田村良平

    田村委員長 加藤万吉君。
  158. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案に対し、日本社会党、日本共産党両党にかかわる提案による地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案に賛成する立場から、政府提案による案に反対の討論を行うものであります。  近年、地方税制のみならず、わが国の税制全体に対する国民の関心は著しく高まっております。企業課税と勤労国民の租税負担の不均衡、勤労国民内部の所得把握の不均衡、行政のサービス水準をはるかに超える勤労国民の租税負担の急増を主たる理由とする租税への勤労国民の関心と不満の増大は、政治への重要なインパクトとなっていることは明らかであります。  加えて地方税制においては、昭和五十年度以降の財源不足額の発生による地方財政の借金の累増と所得税以上に過重となっている個人住民税負担急増を軸に、地方税制改革への要求が高まっております。  こうした関心と不満に対し、政府が講じようとしている措置は、租税体系の見直しを口実とする大型大衆課税の新設であることは明らかであります。これを許すならば、勤労国民にとっては、所得税、個人住民税部分的減税との引きかえによる恒常的租税負担の増大であり、地方税制ひいては地方財政にとって、住民福祉との均衡を逸した変質化にほかならないのであります。とりわけ直間比率の見直しがもたらす地方税財政の性格変化は、地方自治の発展にも大きく影響を及ぼすものであります。また、今国会における政府の一連の答弁から推察される限りにおいては、重大な危惧を表明せざるを得ません。  このような認識に立ちつつ政府改正案を見ますと、大型大衆課税の新設をひたすら待ち望むだけで、昭和五十年度来の地方財政の窮状に対し、何ら積極的に対策を講ずる姿勢は皆無と言わざるを得ません。昭和五十四年度を境とする地方財政の財源不足額の発生は、従来のその性格を異にいたしております。特に本年度においては、従来の財源不足額の発生とは大きく異なっております。マイナスシーリングのもとで、地方財政においては極度に歳出削減が行われたにもかかわらず、二兆九千九百億円もの不足額が発生したことは、それをよく物語っております。  このような変化に地方税制はいかに対応すべきか、それはすでに自明であります。国、自治体間の税財源の再配分に着手することこそ、本年度地方税制の最大の課題というべきであります。これを怠っている政府案が改正案たり得るものでないことは、あえて申し上げるまでもありません。  以下、具体的な問題について若干言及しておきたいと思います。  第一は、法人県・市町村民税の均等割の問題ですが、今回の均等割の引き上げを多としつつも、法人課税にかかわる長年の懸案である法人事業税について外形標準課税への転換を速やかに図るよう要求しておきたいと存じます。  第二は、不公平税制の最たるものとしての産業用電気税に係る非課税措置の問題であります。一体、一品目しか整理されていないことはどうしたことでありましょうか。少なくとも七%を超える品目については整理をすべきであります。  第三は、同様に社会保険診療報酬課税の特例措置についてでありますが、事業税において一〇〇%非課税とされる理由はないのであり、これまた廃止するよう強く要求しておきたいと思います。  以上、地方税改正に係る諸問題について、基本問題等を指摘しつつ、私の討論を終わります。(拍手)
  159. 田村良平

  160. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました内閣提出による地方税法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。  以下、主な反対理由を申し述べます。  まず最初に、住民税減税についてであります。  住民税課税最低限は、標準世帯で百五十八万四千円と三年間据え置かれたままであります。低所得者層の税負担軽減を図るために、五十六年度以降、所得割の非課税措置の制度を設けておりますが、この間の所得、物価の上昇を考えると、実質増税と可処分所得の減少を招き、国民の重税感は強まる一方であります。  一方、今日の経済は著しい停滞を来し、この回復を図ることが、今日の政治に課せられた最大の課題であります。このように冷え切った景気を回復するためには、大幅減税、公共事業の追加、中小企業の投資減税の拡充などを盛り込んだ総合的かつ積極的景気対策を講ずることが急務であります。中でも、五十八年度の経済成長率三・四%のうち、二・一%が個人消費の伸びに置いていることから見ても、減税の役割りは一層重大であります。  この見地から、私どもは、所得税住民税合わせて一兆円以上の減税を行うべきであると主張してまいりましたが、今回の改正案にはこうした措置がとられておりません。  これが反対理由の第一であります。  なお、減税については、本国会の経緯もこれあり、政府に対し五十八年中の早期実施を強く要求するものであります。  次に、国、地方間の税源配分についてであります。  最近の住民の価値観の多様化に伴って、地方公共団体の行政は質量ともに増大しておりますが、これに対し、国、地方間の税源配分は、国が二に対し地方は一となって、国に偏重しております。  このような国に偏重した税配分は、補助金主体の財政構造となって、地方行政の隅々まで国の介入を許す結果となっております。こうした実態は、地方の自主性を喪失させ、民主主義の基盤としての地方自治を形骸化させることになります。  地方自治の本旨を達成するためには、自主財源の拡充は不可欠な課題であります。今回の地方税法の改正に当たっても、こうした改革の方向すら見当たらないのはきわめて残念であります。  これが反対理由の第二であります。  次に、非課税措置等についてであります。  現在、国の経済政策のために地方税は各種の減免措置がとられているとともに、国の租税特別措置等により税の減免を行う場合にも、地方税はその影響を受け、減収する仕組みになっております。  地方税の非課税措置や国の租税特別措置の中には、社会経済情勢の変化から見て当然廃止すべきものも、すでに役割りが終わったものも少なくありません。  このような制度は、税の公平を欠くとともに、地方公共団体課税自主権が損なわれるものであります。したがって、地方税の非課税措置の根本的見直しを行うとともに、国の租税特別措置等による地方税の減収を遮断すべきでありますが、これらの措置がとられておりません。  以上、代表的な理由を述べ、原案に反対をいたします。  なお、社会党、共産党共同提案の修正案についてでありますが、その趣旨については理解をしつつも、その規模については各党個別要求数値からさらに次の詰めが予測される段階であることからも、いま個別の数字を挙げて議論をするのは必ずしも適切とは言えないとの理由で、この修正案にはにわかに賛成しかねるのであります。  以上をもって反対討論といたします。(拍手)
  161. 田村良平

    田村委員長 部谷孝之君。
  162. 部谷孝之

    部谷委員 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま政府より提案されました地方税法等の一部を改正する法律案に対し反対の討論を行うものであります。  現下の日本経済は、第二次石油ショックの後遺症が尾を引いておることや政府の経済運営の失敗により、不況感が一掃されないままに実質経済成長率は年々低下を招き、国及び地方の財政危機をいよいよ深刻化させるという悪循環に陥っております。  民社党は、一昨年来、このような現状の悪循環を断ち切り、勤労者の生活を守るために、大幅な所得税及び住民税の減税を断行し、内需拡大を図るようにと強く要求してまいりました。  また、すでに御承知のとおり、所得税昭和五十二年以降住民税昭和五十五年以降それぞれ課税最低限が据え置かれてまいりました。  このため、政府も昨年十一月の国民生活白書の中で認めておるように、勤労者は税負担の増加により、生活が大きく圧迫されておるのであります。  ところが、政府が出してまいりました本改正案は、このような国民の切実な要求を全く無視したものであり、断じて容認することはできません。  これが反対する第一の理由であります。  反対する第二の理由は、従来よりわが党は、国の権限をもっと地方へ移譲し、それに見合う形で地方の税源配分を強化していくべきであると主張してまいりましたが、この基本的な問題を何ら取り上げられておらないからであります。  反対する第三の理由は、地方財政が破綻寸前の状況にあるにもかかわらず、公社有資産所在市町村納付金の算定標準額の特例を見直していないばかりか、地方財源の充実強化に対する努力が足りないからであります。  幸いにして、与野党代表者会議において、昭和五十八年中に大幅な減税を実施するとの合意がなされてまいりました。そして、昭和五十八年度予算成立を待って減税実施の検討を行うことで決着を見ました。しかしながら、住民税に関しましては依然として減税実施の具体的内容が明確になっておりません。  わが党は、この際、与野党合意の線に沿い、一兆円以上の規模の所得税住民税減税を一刻も早く実施するよう強く政府要求するものであります。そして、そのための税法改正案を早期に提案されることを強く要望いたしまして、政府原案に対する反対の討論といたします。  日本社会党及び日本共産党の共同提案に係る修正案につきましては、政府において減税実施の検討を行うことで合意をしたことでもあり、現段階では賛成いたしかねることを申し述べておきます。  以上であります。(拍手)
  163. 田村良平

  164. 岩佐恵美

    岩佐委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の地方税法等の一部を改正する法律案に反対、日本社会党並びにわが党共同提出の修正案に賛成の立場から討論を行います。  政府案に反対する第一の理由は、個人住民税の減税が三年連続して見送られ、住民負担がますます強化されている点であります。  この減税見送りによる三年間の増税額は、合計一兆七千五百億円にも達し、納税義務者一人当たり四万三千円の負担増となっているのであります。  また、生活保護基準額が十一万一千円引き上げられたにもかかわらず、それに対応して前回までは引き上げられていた非課税限度額が据え置かれたため、非課税限度額と生活保護基準額との差が、昨年までの十三万二千円から二万一千円へと縮小し、生活保護基準すれすれの低所得者まで課税されることになっています。  これらの結果、個人住民税地方税に占めるシェアは三〇%を超え、戦後初めて法人関係税収を上回る事態を引き起こしています。国民の切実な願いにこたえて、一刻も早く個人住民税の減税を実施すべきであります。  政府案反対の第二の理由は、大企業優遇税制に本格的なメスが入れられないばかりか、むしろ強化されていることでございます。  法人住民税の均等割の引き上げでは、五十億円超の企業の引き上げ率が小幅になっており、不公正が一層拡大しております。  また、非課税等の特例措置の廃止及び縮減合理化は、合計二十二件行われましたが、それによる増収額はわずか約二億円であり、地方税における大企業優遇税制による減収額約二千億円に比較すれば、〇・一%にすぎない微々たるものであります。  大企業優遇税制に手をつけないばかりか、逆に東北及び上越新幹線の納付金に特例措置を新設するなど新たな改悪も行われているのであります。  産業用電気に対する非課税措置など大企業優遇税制を抜本的に改めることは、依然として重要な課題であります。  そのほか、軽油引取税の課税免除の対象に自衛隊の一定の軽油を加えたことは、都道府県財政が自衛隊の犠牲にされるものであり、容認できるものではありません。  日本社会党並びにわが党の共同修正案は、国民の切実な要求にこたえて個人住民税所得控除額をそれぞれ五万円引き上げ、四千億円の減税を実施しようとするものであります。これが実現するならば、減税を望む住民の期待にこたえることはもちろんのこと、低迷する景気を回復させる点でも重要な役割りを果たすことになります。  以上、政府案に反対、日本社会党並びにわが党共同修正案に賛成して、討論を終わります。(拍手)
  165. 田村良平

    田村委員長 田島衞君。
  166. 田島衞

    田島委員 私は、新自由クラブ・民主連合を代表して、政府原案並びに日本社会党、日本共産党共同提案による修正案、そのいずれにも反対の立場から討論をいたします。  まず、政府原案に対する率直な見解でありますが、政府改正理由なり目的とするところの税の公平化あるいは適正化ということは歓迎をいたします。それからまた、改正内容は断じて反対というほどの部分がないことも認めます。  にもかかわらず、残念ながら賛成できない理由を申し上げますと、まずその一つは、改正理由、目的と現実の改正内容とはまさに似て非なるものであって、言うならば羊頭狗肉のそしりを免れない内容のものでありまして、すなわちいささかも税の公平化、適正化の実は上がっていないということが一つ。  それから二番目、いまやまさに住民の税負担は軽減されるべき実情にあるにもかかわらず、相変わらず手を変え品を変えての住民負担の増大をもたらすような改正案であるということが第二点目。  それから三つ目は、先ほどもお話の出ましたとおり、国、地方の税源配分等抜本的に取り組むべき地方財政の再建を敬遠して、小手先の小細工でお茶を濁すような措置であること。  このような問題点からして、かかる改正案が軽々に是認される限り、いつまでたっても地方財政の本格的な再建はできないし、それからまた、住民の負担する税の本当の意味の公平化、適正化も確保されないと考えるがゆえに反対する次第であります。  次に、修正案についてでありますが、私ども新自由クラブ・民主連合としても、かねてから国税地方税の思い切った減税を主張してきたところでありますだけに、この修正案の理由、要綱、いずれもそれが可能なことならばまことに結構な内容であると思います。しかし、残念ながら、ないそでは振れないというたとえもあるとおりでありまして、現段階では、この修正案の求めるところが現実のものとなるための背景とも基盤とも言うべき条件が確保されていないと言わなければならない。いわば絵にかいたもちのごときものであって、残念ながら手を伸ばす意欲のわかないものであります。  以上の理由で、政府原案並びに修正案、いずれにも反対の意思を明らかにいたします。(拍手)
  167. 田村良平

    田村委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  168. 田村良平

    田村委員長 これより採決に入ります。  地方税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、佐藤敬治君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  169. 田村良平

    田村委員長 起立少数。よって、佐藤敬治君外一名提出の修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  170. 田村良平

    田村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)  この際、お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 田村良平

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  172. 田村良平

    田村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、参考人の御出席を求め、意見を聴取することとし、出席を求める日時並びに人選につきましては、委員長に御一任願うことといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 田村良平

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時三分散会