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1983-03-22 第98回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月二十二日(火曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 田村 良平君    理事 工藤  巖君 理事 中山 利生君    理事 宮下 創平君 理事 安田 貴六君    理事 佐藤 敬治君 理事 石田幸四郎君    理事 青山  丘君       池田  淳君    臼井日出男君       小澤  潔君    片岡 清一君       北川 石松君    塩谷 一夫君       竹中 修一君    谷  洋一君       小川 省吾君    加藤 万吉君       細谷 治嘉君    草野  威君       岩佐 恵美君    三谷 秀治君       田島  衛君  出席国務大臣         自 治 大 臣 山本 幸雄君  出席政府委員         自治大臣官房審         議官      田中  暁君         自治大臣官房審         議官      吉住 俊彦君         自治省行政局長 大林 勝臣君         自治省行政局公         務員部長    坂  弘二君         自治省行政局選         挙部長     岩田  脩君         自治省財政局長 石原 信雄君         自治省税務局長 関根 則之君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第三課長   真鍋 光広君         国税庁直税部法         人税課長    谷川 英夫君         厚生省社会局保         護課長     土井  豊君         厚生省保険局国         民健康保険課長 阿部 正俊君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ───────────── 本日の会議に付した案件  地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出第一八号)      ────◇─────
  2. 田村良平

    田村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤万吉君。
  3. 加藤万吉

    加藤(万)委員 最初に、今回の税法改正について、自治大臣に二、三点基本的な考え方について御質問をしておきたいというふうに思います。  今回の地方税法改正は、国税と同様に、税制改正の基本的な課題は後に見直しをするということにいたしまして、とりあえず税負担公平化適正化を一層推進する観点から税制見直しを行い、同時にそれは小幅な改正にとどまる、こういう大臣提案理由説明でございました。  いま臨調でも大変増税なき財政再建という言葉が言われているわけでありますが、どうでしょうか大臣公平適正化増税、つまり不公平税制是正のための増税ということは、租税負担率の上昇をもたらすものであっても、増税なき財政再建という臨調の述べている基本的な構想には相反しない、こういうように見てよろしいのでしょうか。大臣所見をまずお聞きしたいと思います。
  4. 山本幸雄

    山本国務大臣 ただいまのお尋ねは、全く先生の御所見のとおりでありまして、私どもは、今回の地方税法改正につきましては、税率として定額で決まっているものだけについて改正を行ったのでありまして、これは経済情勢あるいは物価、そういうことを考えまして、五十二年あるいは五十三年以降まだ実態に合わない状態に今日なっている、こういう考えのもとに今回の改正を小幅に行ったものでございまして、臨調の申しておりまするとおり、増税なき財政再建という基本的理念には相反してはいない、こういう考え方でございます。
  5. 加藤万吉

    加藤(万)委員 今度の税制改正案は、地方税で五百六十億ですね。私は五百六十億という額は決して小さな額ではないと思うのです。それは何千億、何兆という予算規模を持つ地方財政計画ですから、その中から見れば、五百六十億というお金は全体の中に占める比率は少ないにしても、しかし、五百六十億円というお金は決して小さな額ではない。しかも、今度の税法改正の中に法人税均等割、すなわち地方団体における財政規模是正といいましょうか、あるいは法人税割が今日の企業収益の落ち込みで大変落ち込んでおりますから、それを補うという意味でも法人税均等割の額を拡大をした、いわば地方自治団体財政に対する一種のてこ入れ的要素を持っているというふうに思うのです。  そこで、いま一つ大臣に基本的にお聞きをしておきますが、今回の改正国税では三百三十億円、いま申し上げましたように地方税は五百六十億円、地方税国税を上回ったのは今度が初めて、近年にない改正ではありますが、どうでしょう、臨調では、地方に対する国の権限移譲という課題を提起をしているわけです。国の権限地方移譲して、できる限り地方自主性独自性を損なわないように、臨調基本的答申をしているわけでありますが、これに伴って私は、地方への国の権限移譲という課題財政的な措置が一番重要な課題を占めるのだろう、行政上の権限、それを執行するための財政的な裏づけ、したがって財源措置をどのように適切なものにするのか、これが、臨調基本答申である地方に対する国の権限移譲という問題についてはきわめて大きな比重を占めると思うのです。  今度の場合、このような地方への財源の付与の面を含めた地方税法改正という問題は、先ほど答弁をいただきました増税なき財政再建とも関連がありますが、地方移譲したことによって起きる税制改正、これは増税なき財政再建とはどういう関係を持つでしょうか。いわゆる国の権限地方への移譲、同時にそれは財源移譲ということになりますれば、地方税法改正ということになってこれは増税になってまいります。これは大臣の目から見て、臨調が言っている増税なき財政再建という課題には触れるのでしょうか、触れないのでしょうか。
  6. 山本幸雄

    山本国務大臣 地方自治の本旨に沿って地方分権推進する、あるいは国、地方を通ずる行財政見直しをするというのが臨調基本理念でもあり、また、私は、この考え方は今後の地方自治推進の上においては大きな方向づけであろうと思うのです。その場合、いまお尋ねのように、地方行政についていろいろな改革を目指していかなければならぬわけでございますが、もちろん地方行政改革と相並んで、これに伴ういろいろな財源措置、つまり地方税財政改革ということも伴っていかなければならぬものだと思います。  そこで、今回の臨調答申の中には、地方行政についてのいろいろな方向づけが確かにございます。その中で、財源問題もまた当然に今後について考えていかなければならぬ問題であろうと私は思うのです。臨調答申は、そう一年や二年でできないであろう、相当長くかからなければできない問題も私はあると思います。そういうことの推進の中で、中央と地方との財源あるいは税源配分という大きな基本的な問題も考えていかなければならぬ段階が当然に私は来るであろうと思うのです。  臨調の目指しておりますのは、増税なき財政再建ということであり、それについては、いわゆる国民租税負担率をふやすということのないようにという精神であると注釈がついているわけでありまして、これは今後の国と地方との税源配分という問題とも関連しますが、いま租税負担率は、御存じのように、国と地方と分けて考えてみますと、ある程度はっきりした数字があるわけでございます。その辺のことも今後の大きな検討課題であろう。租税負担率国民全体としてふやすことのない考え方のもとに、どういう国と地方との税源財源配分をするかという課題と取り組まなければならぬものであろう、こう考えておりまして、その限りにおいては今日の臨調答申と相反するものではなかろう、こう思っておるわけでございます。
  7. 加藤万吉

    加藤(万)委員 前段の、今度の五百六十億、いま大臣がいみじくもおっしゃいましたが、租税負担率が変わっていると私は思うのですね。租税負担率は上がっていますよ。最終的な指数は五十八年度終わってみなければわからないと思いますが、租税負担率が上がるけれども、しかし、税の不公平を解消し、そういう面での増税は、額は金額的には少ないけれども増税なき財政再建とはかかわり合いがない、それは許容される範疇である。それからいま一つ、いわゆる租税負担率の総体の枠を変えずに行政上の権限、同時に、それは地方団体への財源配分を含めてそういう措置というものは、臨調答申を受けて、長い目では改正あるいは改革をせざるを得ないだろう、こう大臣は御答弁になったわけです。  私は、これは非常に重要なことだろうと思うのです。確かに今度の地方税法改正部分はきわめて少ない部分でありますけれども、しかし、その二つの焦点が、いまこの地方行政委員会あるいは地方団体と国との関係で、そこは臨調答申を受けても、あるいは今後の地方自治団体との関係を見ても許される、許容される範囲だということになれば、われわれが求めている、たとえば地方における税配分の抜本的な改革を含めて、そういう要素が十分この中に残されている、こういうように私は判断をするわけであります。したがって、これはこれ以上確認する必要はないと思いますけれども、そういう態度はぜひ大臣としてもとり続けて、これからの地方財政に対するさまざまな検討課題に対応していただきたい、こう私は思います。  次に、今度の地方税法改正の中で、減税問題が触れてないわけであります。  これは大臣、御案内のように、今回の国会運営の中を通しまして野党各党から提出をされ、また要請もされて、要求されておりました減税に対する与野党間の話し合い、そして議長見解、さらには官房長官答弁、こういうことが一連のものとして今国会表明をされ、結論を得つつあるわけであります。  私は、この際に聞きますが、まず所得税減税についていま大蔵省ではどのような作業といいましょうか準備、与野党間の実務者会議をこれから持とうということも国会の中では論議をされているようでありますが、官房長官予算委員会理事会での表明、すなわち「所得税及び住民税減税についての法律案を、五十八年中に国会提出する」というこの答弁を受けてどのような作業手順が行われているのか、まず御説明いただきたいと思います。
  8. 真鍋光広

    真鍋説明員 与野党合意に対します政府としての受けとめ方につきましては、先生ただいま御指摘ございましたように、三月二日の衆議院予算委員会におきます官房長官発言に示されておるところでございます。そこで、財政事情困難な時期ではございますが、政府といたしましては、与野党合意を尊重いたしまして、財政改革基本的考え方を踏まえつつ減税実施のため真剣に検討を進めてまいる所存でございます。  どのような作業が行われておるか、進められておるか、こういう御質問でございます。その点に関しましては、与野党合意財源の確保も含めてなされておるわけでございまして、今後財源問題について税収動向を見きわめ、また、国会におきますこのような御論議を踏まえまして、税制調査会にも御検討願うなど精力的に努力してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  9. 加藤万吉

    加藤(万)委員 自治大臣所得税関係大蔵省——住民税が当然含まれているわけですね、官房長官のこの表明には。どうでしょう、所管大臣としてこの官房長官予算委員会における言明をどのようにいまお受けとめになっていらっしゃるのでしょうか。
  10. 山本幸雄

    山本国務大臣 この与野党合意の線、その趣旨、あるいは議長見解、さらにそれに続きまして、与野党代表者会議における自民党二階堂幹事長の御発言趣旨、それに対しまして官房長官がこれを尊重すると予算委員会で御答弁申し上げたいきさつ、それらはすべて私ども承知をいたしておりまして、その線に沿って今後も措置をするように努力をしたい、こういう考え方でおるわけでございますが、ただいま大蔵省の方から国税所得税についての今後の進め方についてお答えがございましたように、地方税につきましても同じような考え方でございます。  ただ、一つ申し上げておきたいと思いますことは、国税の場合と地方税の場合とはやはり若干違う点がございます。地方税地方税のあり方がございまして、それは、まず一つは、地方税住民税というものは前年度所得を対象にしているという点がございまして、これは国税地方税の大きな違いであろうと思うのです。そういう地方税特殊性につきましては、これは国会の方でもひとつ御認識をいただいて、わが方もそういう御趣旨の線に沿うべく努力しておりますということでございますだけに、その辺の御認識はひとつ得ておきたい、こう思っておるところでございます。
  11. 加藤万吉

    加藤(万)委員 確かに国税地方税とは、これは違いますから、自治省として地方税法改正ということになりますれば、具体的な取り組みの仕方あるいは法案提出の仕方その他についても、当然違った見解といいますか、ベースは同じにしても法律案としては違った方向が出るのはあたりまえだ。  いま所得税に関しては、大蔵省答弁で、税制調査会にかけるというのですが、地方税改正も五十八年度中に行う努力をする、そういうことを官房長官言明をされておるわけです。となりますと、五十八年度中に地方税法改正案国会提出するためにどのような自治省としての手順といいますか、これからの作業計画というものは進められていくものでしょうか。
  12. 関根則之

    関根政府委員 国税の方につきましてお話がありましたように、所得税法改正案につきまして政府税制調査会に御諮問を申し上げるということになりますと、従来から住民税につきましても、税制改正があります場合には、国税と同じような取り扱いをいたしておりますので、私どもの方の住民税減税案をどうしたらよろしいのかといった問題につきましても、税制調査会の御審議を煩わすことになるものというふうに考えております。  いずれにいたしましても、大蔵省と平仄を合わせまして、連絡をとり合いながら、同時並行的に検討を進めていきたいというふうに考えております。
  13. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大臣がおっしゃいましたように、地方税にかかわる減税を行うとすれば、五十七年度所得に対してどのような減税措置を五十八年度行うかということになるわけですね。いま仮説の話をしますが、五十八年度中に住民税国会提出があって、しかも五十八年度中に減税措置地方税に関して、住民税に関して行うことになりますと、これは方法論は、私は戻し税以外はないのではないか、こう思うのですが、仮説の上に立っての説明ではちょっと恐縮かと思いますけれども、五十八年度国会法律改正して五十八年度中に住民税減税するということになれば、どういう方法論がありますか。
  14. 関根則之

    関根政府委員 五十八年度中に住民税減税実施するということになりますと、年度当初からの減税というのは、これは実際問題として、これから減税問題について所得税地方税を通じて具体的な内容を詰めていくという段階であるわけでございますので、これはとても間に合わないわけでございます。  ということになりますと、年度途中から実施をするということにならざるを得ないわけですけれども年度途中からの減税実施いたしますと、住民税の場合には大変な手間がかかってしまう。これは、単に課税する側、県なり市町村の事務がふえるだけではなくて、納税者サイド、すなわち賃金支払い者の方の事務も大変なことになってしまいますので、従来からも、余り効率のよくない、経費ばかりかかるそういうやり方についてはできるだけやめておいた方がよかろうということで、やめてきた経緯もあるわけでございます。  なかなかそういうむずかしい問題があろうかとは思いますが、ただいま先生お話しいただきました戻し税というのも、これは同じように大変な手間がかかるものですから、従来も住民税については実施をいたしておりません。国税実施をいたしました場合にも、住民税だけはその年度はやっていないというようなことでございますので、御質問仮定の問題としてということですので、仮定の問題としてお答えを申し上げればよろしいと思いますが、どうもたとえばこうなりますというようなことを申し上げますと、何かいかにもそれが実施されるようなふうに受け取られる心配もございますので、そういう事情を御説明申し上げまして、答弁にかえさせていただきたいと思います。
  15. 加藤万吉

    加藤(万)委員 仮説の上で恐縮だということはお断りしての話ですが、そうしますと、五十八年度住民税に関する減税というものは大変むずかしい、したがって、五十八年度減税を行うというこの官房長官見解は、五十九年度にたとえば還付制度で五十八年度も行う、こういうような形になるのですか、どうでしょうか。
  16. 関根則之

    関根政府委員 官房長官がそれを尊重いたしますと発言をなさいましたもとになります自民党幹事長発言は、あくまでも五十八年中に法案提出いたします、所得税及び住民税減税についての法律案を五十八年中に国会提出する、そういう確約があったということでございまして、それを私どもといたしましては、官房長官発言のとおり、その実現のために最善努力を尽くすということではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。  具体的にその提出をいたしますという確約をした法律案が、これから内容的にどういうものになっていくのか、それはこれから詰めていかなければいけない。先ほど申し上げましたように、場合によりますと税制調査会審議等も煩わさなければならないという必要性もあろうかと思いますので、そういう形でこれから内容審議し、詰めていくという段階でございますので、五十八年中に法律案提出すると申しましたことそのことが、直ちに五十九年度において還付の形で五十八年度分の住民税減税をやるかどうかということまで決めているものというふうには考えておりません。したがって、現時点において、五十九年度になって五十八年度分の還付をするということも申し上げられないような状況でございます。
  17. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私は、法律案が五十八年度提出されるのはここに書いてあるとおりですから、それを言っているのじゃないのです。あなたが先ほど答弁された、仮説の上に立って五十八年度中に住民税減税をするとするならば、どんな方法があるでしょうか。それはなかなかむずかしいのです。五十七年度所得もありますし、住民税に関しては確定申告もございませんから、となれば、五十八年度住民税減税する方法論としては、五十九年度還付制度しかないのじゃないですか。あるいはほかに方法がありますかということを聞いているのです。したがって、法律案がどういう形でできるか、それは今後の問題ですから、これは内容はそっちに置きます。仮説の上に立ったそういう方法論としてやる場合には、還付方法しかないじゃございませんか、あるいはほかに方法があるのですか、やるとすれば。その辺を聞きたいのです。
  18. 関根則之

    関根政府委員 あくまでも仮説の問題といたしまして、前年度すでに行いました住民税課税につきまして、それを還付するという方法はできないことはない。どんな犠牲を払ってといいますか、どんなに手間をかけてでもやれというのであればできないことはないと思いますけれども住民税の場合には、課税団体の中に住所を有する人にのみ課税権が及び、かつ還付をする場合にもその人に還付していく、その人が住所を移転した場合には別の団体がどうするのか、団体間の移動というものが非常に数が多くなってまいりますので、なかなか大変な手間がかかってくる。そこに所得税とは違った住民税の悩みがあるわけでございまして、そういう意味から、税の還付というやり方での減税というのは、実際問題として大変むずかしい。理論的に絶対ないかと言われれば、それは理論的にはないことはないとお答えせざるを得ない。先生が特に仮定の上に立ってというお話でございますので、そういうことになろうかと思いますが、実際論といたしましては、住民税について還付制度で処理をしていくということは非常にむずかしい問題だというふうに考えております。
  19. 加藤万吉

    加藤(万)委員 還付がむずかしい、五十八年度中に住民税減税方法論もむずかしいということになると、五十八年度中に住民税に関する減税を行うという法律案がつくれないということになりますか。先ほどおっしゃいましたように、確かに五十八年度中に法律案提出しますよね。しかし、減税を行う年月あるいは方法論についてはその法律案の中に盛り込まれてくるわけですから、これからの問題ですけれども、いまのお話をずっと集約していきますと、結局住民税に関する減税は五十八年度中にはむずかしいということになるのですか。そういう法律案をつくるのはむずかしいということになるのですか。
  20. 関根則之

    関根政府委員 住民税年度途中においての減税というのは、事務的にいろいろむずかしいということを先ほどから申し上げているわけでございますが、いま先生の御質問のお言葉にありましたように、五十八年中に住民税減税実施することがやれないことだということは、いまの時点でわれわれの方から申し上げることは、やはり非常に問題があろうと考えております。  あくまでも与野党合意趣旨に沿って、できるだけ早く減税実施することについてこれから最善努力を尽くしますと官房長官も言っておるわけでございますから、われわれはいろいろむずかしい条件があるということは申し上げます。しかし、そういう条件の中でも何か解決策がないかということを私ども自身が考えていかなければならない立場に置かれているものと考えておりますので、五十八年中の住民税減税一切もう無理ですということを申し上げるべきではない。非常にむずかしい問題ではありますが、何らかの解決策がないかということをなお引き続き私どもとしては研究をし、検討を続けていかなければならない問題ではなかろうかと考えております。
  21. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大臣、いまのやりとりでおわかりのように、従来減税措置を行った場合に、御説明ありましたように住民税に触れなかったのです。それほどむずかしいのです。ただ、官房長官は前自治大臣ですから、官房長官予算委員会理事会表明された所得税法地方税法改正について努力をするということは、この字句は当然経験の上に立って挿入されたと思うのですね。むずかしいことは百も承知なのです。したがって、五十八年度にその法律案提出をする際には、いま御答弁がありましたそのむずかしい条件を踏まえた上でなお地方税法改正を入れたわけですから、大臣、ここはひとつぜひ踏ん張っていただきたいと思うのです。  恐らくいずれ税調でも出ましょうし、あるいは閣議でも法律案提出段階でこの問題は出てくる課題だと思いますので、ぜひその点、いま御答弁がありましたことを十分留意しながら、なお五十八年度住民税減税が行われるように、本来ならばわが党が提出しておりますようにここで税法改正をすべきだと私は思うのです。でなければいま事務当局からおっしゃっているようになかなかむずかしいことがあるわけですから、ひとつしっかりと肝に銘じていただいて、むずかしい条件を踏まえながらもなお減税問題に対する地方税法改正について御奮闘いただきたいと思います。
  22. 山本幸雄

    山本国務大臣 ちょっと私から御答弁しておきます。  いま税務局長から御答弁を申し上げたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、今回の減税趣旨については私どももしかと受けとめておるわけでございまして、前向きにひとつ検討をさせていただく。しかし、予算委員会における大蔵大臣答弁もたびたびございましたが、私ども地方税でも、たとえば財源をどうするかという問題、これは考えていかなければならぬ問題だ。それに地方税としましてはもう一つ、国の方で所得税減税をいたしますと必ず交付税に三二%がはね返ってくるという問題があるわけでございます。  加えて、いま地方税法住民税減税について五十八当該年度実施をするということについて所得税とは違った事情があること、これは官房長官もよく知っているはずだとおっしゃいますが、加藤先生もこうやって長年地方行政をやっていただいておるわけでございますから、その辺の事情は先生もよく御存じであろうと私は思うわけでございます。いままでに住民税減税を当該年度にやったことはなかったのじゃないかと思うので、それだけに初めての事柄になりそうだ。ただいま税務局長という立場から申せば事務的になかなか問題がありますということを申し上げたわけでございます。  私どもとしましては、今回の減税与野党間の合意の趣旨にのっとりまして、今後むずかしい問題はたくさんありますが、極力勉強していかなければなるまいとは思っております。ただ、事務的に一体どういうことになるのか、まだそこまでの深い検討はいたしておりませんので、もう少し勉強の時間を与えていただきたいと思っておるところであります。
  23. 加藤万吉

    加藤(万)委員 次に、法人税均等割先ほど申し上げました増税問題について御質問をします。  私は、実は今度の税法改正、二つの側面があるのではなかろうかと思ったわけです。その一つは、欠損法人の割合が大変拡大をいたしました。その結果として法人税収入が大変少なくなる。地方団体の場合には、御案内のように、法人税割で大変多くの財源をそこに求めているわけですから、それを補うという側面が一面にあって法人税均等割の拡大をされたのではないか、これが一つの見方ですね。いま一つの面は、法人税全体が少ない、その法人税全体の少ないものを、地方団体を含めて国全体の財政上の穴埋めといいましょうか、あるいはある意味での均衡をとる側面をもって今度の均等割改正がなされたのではないか、こう見ているわけです。ただ、それにしては金額的にも数字的にも余りにも合わないと実は思っているわけです。  どうでしょうか、今度の法人税均等割増税について、基本的にはどういう観点からこの法律案改正を提起されたのでしょうか。
  24. 関根則之

    関根政府委員 法人住民税均等割の税額の調整を御提案申し上げているわけでございますけれども、その考え方につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、これは定額で課税をいたしておるわけでございますので、政府税制調査会におきましても、前々から、定額課税につきましては、物価水準の上昇なりあるいは国民所得の上昇並びに経済社会情勢の変化、そういうものをにらみ合わせまして適時適切にその見直しを行うべきであるという御答申をいただいております。そういった基本的な考え方に立ちまして、五十三年度に引き上げまして以来据え置きになっておりまして五十八年度で五年目になるわけですか、そういう時期に参りましたので、この際見直しをさせていただくということにしたわけでございます。  あくまでも基本的には物価、所得等の上昇に見合った税額の調整というふうに考えております。しかし、先生御指摘がありましたように、一方で赤字法人の数が非常にふえてまいりまして、全法人中約半分が赤字であるというような最近のデータも出ておる状況の中で、赤字法人が、たとえば資本金一千万以下の小さな企業では住民税一万円払えばそれで終わりということになっている、これはおかしいではないかというような意見が各方面から出ております。そういったことに対しての配慮も私どもとしてはしたつもりでございますけれども、しかし、赤字欠損法人に対する課税のあり方を変えてしまうほどの改正をこの均等割の税率調整で行うということは、もともと無理なわけでございます。  法人関係税収につきましては、地方税として昭和五十六年度に五兆円入っておりますけれども、法人均等割はそのうち五百億程度でございまして、わずか一%にしかすぎないわけでございます。この一%の部分を多少引き上げてみましても、全体の法人関係税の法人の税負担のあり方を変えていくというものにはほとんど役に立たないといいますか、改善をしたというほどの実績を上げるわけにはいかないものであるわけでございます。そういう意味におきまして、最近の法人税収というのは確かに落ち込んでおりますけれども、この落ち込みを全体として引き上げていくとかそれを補強していくとか、そこまでの役には残念ながらとうてい立ち得るものとは考えていないわけでございます。
  25. 加藤万吉

    加藤(万)委員 御説明のとおりだと思うのです。ただ、地方団体は、企業はいずれにしても活動しているわけですから、企業活動に対する社会的な行政的なサービスというのは当然あるわけなんで、仮に赤字企業であろうと、これらに対する行政上の需要、それにはこたえなくてはならぬわけですね。したがって、私は、一面ではその側面を持ちながら均等割を上げられた、実はこう見ているわけです。これは恐らく正しいと思うのです。  ただ、それにしては余りにも額が少な過ぎるのではないか。したがって、おっしゃるように企業全体が持つ社会的な制約というものはありますから、均等割だけで、たとえば一%五百億の額をいかに上げてもいま言ったようなものには追いつかない、その点もわかりますよ。したがって、やはりこの際は外形課税という課題をいま一遍検討すべきではないか、私はこう思うのです。わが党はかねがねから、企業の行政的需要にこたえるものはやはり外形課税、そういう形のものでなければ安定した財源として地方団体はその需要にこたえることができない、こう考えているわけです。  そこでお聞きをしますが、どうでしょう、本年度法人税の見通しですが、これはまず大蔵省の方にお聞きをしますが、五十六年度、五十七年度それぞれ大変な見通しの誤り、結果的には地方財政に対する大変な負担あるいはこの見込み誤りからくる行政上の問題を惹起したわけです。法人税の見通しについては、大蔵省、五十八年度どうお考えでしょうか。
  26. 真鍋光広

    真鍋説明員 法人税の五十八年度の見通しにつきましては、五十七年度補正後の予算九兆五百六十億円に対しまして四・九%の伸びの九兆四千九百七十億円ということを見込んでおるわけでございます。  この見込みの仕方につきましては長い伝統があるわけでございますけれども政府経済見通しの諸指標や課税の実績等基礎といたしまして、個別に積み上げて見積もっておるわけでございまして、五十八年度につきましても、現時点で見込み得る最も適正な見積もりであるというふうに考えておるわけでございます。
  27. 加藤万吉

    加藤(万)委員 法人税が四・九%、法人税割地方の税収の伸びはどのくらいに見ています。
  28. 関根則之

    関根政府委員 地方税につきましては、法人税割が三・一%、法人事業税が三・二%の伸びで見込んでおります。ただ、これは改正増減を含めた数字でございますので、改正増減前の数字におきましては、法人税割が三・二%の伸び、法人事業税が三・三%の伸びということでございます。
  29. 加藤万吉

    加藤(万)委員 各地方団体が、三月議会を通しまして、予算がそれぞれ提起をされています。私は神奈川県ですから、神奈川県の例を申し上げますと、一〇〇を切っているわけです。たしか九六ぐらいではなかったかと思うのです。神奈川県といえば、御承知のように大変な工業県です。しかも、法人税では比較的産業規模で落ち込みが少ない電機とか自動車があるわけです。ここで九五か六ですよ。そうしますと、いまの法人税割大蔵省からいけば、法人税割四・九%ないしは法人事業税でいけば三・二、一〇三ですね。大丈夫ですか。これはどうでしょう。  私は、実は調査室の方からもいろいろな資料をいただいて、勉強さしていただいたわけです。その結果、超過課税について、実はGNPとの比較弾性値をも勉強させていただいたわけですが、超過課税について含まれてないということで、後で政府委員の方から修正はいただきましたけれども、いま言ったこの税収の見込みが一体大き過ぎるのか、それとも当初にいただいたこの調査室の資料でいきますと、どう見ても税の収入見込みが少な過ぎるという感じを実は持ったのです。ただ、超過課税その他を含めてまいりますと、弾性値の数字はプラス、たとえば法人税割で〇・三〇四、法人事業税で〇・三三九、こうなっていますから、なるほどそうなるのかなと実は思ってもみたんですが、どうなんでしょうか。  法人税関係は、五十六、五十七年度と大変手痛い目に遭っていますから、相当慎重に、しかも積算の基礎をきちっとしませんと、地方財政は再びこの五十六、五十七年度の過ちを犯すような気がするのです。見込みが過大なんでしょうか、過小なんでしょうか、どうでしょう。
  30. 関根則之

    関根政府委員 神奈川県の例についてお話があったわけでございますが、これは前年度の当初見積もりに対しての五十八年度の当初見積もり、当初、当初の対比でございますから、五十七年度年度途中での落ち込みをカウントしてない数字ではなかろうかというふうに考えております。私が先ほど申し上げました地方団体全体としての法人事業税等の見込みの伸び率は、五十七年度の総額で一兆二千九十二億円の減収を前提として、それを下へ下げまして、下げたベースからのアップ率を申し上げたわけでございまして、この見積もりが過大見積もりなのか、それとも逆に過小見積もりなのかというお尋ねでございます。  私ども地方の法人関係税の見積もりをいたしますときには、もちろん経企庁で出しております経済見通し等参考にいたしますが、やはり直接的には法人関係税のもとになっております法人税の見積もりを具体的にどう組むかという大蔵省の資料というのが非常に大きな要素になるわけでございます。全体的に眺めますと、先ほど大蔵から答弁がありましたように、法人税の伸びが実質で四・九%、いわゆる落ち込み後の発射台から比較して四・九%、それに対してわが方が事業税で三・二%でございますので、国税よりも相当低目に見積もっているわけでございます。  これはこれでまた必要があれば詳しい説明も申し上げますが、二月、三月期の決算の入る年度国税地方税で違うというような要因がございまして、これはこれで理由があって下げているわけでございます。国の昭和五十八年度の経済成長率が名目で五・六%組んでいるわけでございますので、私どもの三・三%をストレートに国のGNPの伸び率と比較いたしますと、弾性値では〇・五八という数字が出るわけでございまして、その程度の数字でございますので、どちらかと言われれば、私どもとしては現時点で見込み得る最善の見積もりをしたというふうに考えております。高過ぎも低過ぎもしない、堅実でかつ適切な見積もりではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  31. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私は、実はいろいろ学者先生方の御意見を聞いていましても、下半期景気の回復、しかも今度の石油の価格の変動等があって景気の回復が見込まれるのではないか、こう観測をされているようであります。最近の国際的な市場というものは、まさに流動的で為替レートを初めわかりませんから、いま即断をすることはできないと思いますが、私の勉強をした範囲で観察をすれば、税収見積もりは少し低目に見ているというふうに私は見ているわけです。これは決算のときに出てこなければわかりませんから、いずれどちらが正しいかという判断ができると思いますが、仮に税収見積もりを少なく見ているということになりますと、税が入ってこないのだ入ってこないのだということで、一方で減税を抑え込んだという政府の政策主導型の、抑制型の予算案ないしは地方財政計画のように見えて実はならなかったのでございます。  いずれにしても、財政歳入欠陥が起きることによって大変な困難が起きるわけですから、そういう意味では、これはぜひ大蔵省の方にも自治省の方にも、地方団体がそれによってにっちもさっちもいかない、そういう条件がつくられないようにひとつ十分な配慮をしていただきたいと思います。  次に、日銀の地方税へのはね返りの問題についてお聞きをしておきたいと思うのです。  日銀の納付金ですが、今年度は予算の中で日銀の納付金は一兆一千二百八十七億円。過去日銀の納付金は、五十二年度から五十六年度は、年度ごとにどのくらい金額的にあったものでしょうか。私は、前年度の比較だけをしてみましたが、約二千億以上の納付金の拡大でありますね。その結果として地方団体に対する事業税、住民税、これがどういう形に今年度はなってくるのか、大変不安でございます。日銀の納付金の増額に伴って地方団体への事業税、住民税が、たとえば五十二年、五十四年にあったように、その再現ではないかと思われるほどの納付金額でありますから、これは財政局長にお聞きしたらよろしいのでしょうか、日銀の納付金から来る地方団体への事業税、住民税のはね返りがどういう形に五十八年度はなるか、お聞きしたいと思います。
  32. 関根則之

    関根政府委員 お話がございましたように、日銀の納付金の金額のあり方等との関連で法人関係税が地方団体へ入ってこないということがございまして、大変な影響を地方財政に与えて大問題になったことがあるわけでございます。その後、私どもといたしましては、年度によってあるいは納付金のそのときの納めぐあいによって地方の税収に激変を来すというようなことは困りますので、関係当局にも強くその辺の事情を訴えまして、できるだけ安定的に地方税収入が入るように御配慮をお願い申し上げているところでございます。したがって、五十五年度以降につきましては、まあまあ大体ゼロというようなことにはなりませんので、ほどほどの税額を納付をいたしていただいておるところでございます。  昭和五十八年度につきましては、御指摘がございましたように、予算額で一兆一千二百八十七億円の納付金の予算が計上されているわけでございますが、私どもとしては半年のずれがあるわけでございまして、五十七月度の下期の日銀の決算額が五十八年度地方団体への上期の収入として入ってくるということでございます。  日銀の五十七年度、今年度の国庫納付金の予算の残額は四千百九十二億円あるわけでございます。昨年の下期は日銀納付金が三千八百七十二億円だったと思いますので、それに比べますとわずか三百億程度の増加であるわけでございますので、日銀の銀行券の発行平残もこのところわりかしコンスタントに伸びておりますししますので、そういったことから考えますと、まあまあいまの時点では、この程度の納付金を五十七年度の下期に納付をした場合には、もちろん日銀の経営状況にもよりますけれども、何か特別な経済変動等がない限りは、ある程度の地方税収が得られるものというふうに考えておる次第でございます。  また、昭和五十八年度地方税の方に影響する下期の問題でございますけれども、日銀の納付金の予算額も確かにふえていることはふえておりますけれども、たとえばかつての昭和四十九年から五十年にかけてのふえ方、これは九百九十億が四千四百六億円にふえた、こういう四倍以上、五倍近くふえた、そういうときに比べますと、五十七年度の補正後の納付金の予算額が九千八百五十五億に対しまして一兆一千二百八十七億でございますので、伸び率にいたしましてもそう大きなものではない、二〇%そこそこというようなことでございますので、日銀の今後の経営状況といいますか、そういうものがほぼ順調に推移すれば、ほどほどの地方税収というものは得られるもの、かつてのようにいきなりゼロになってしまう、そういうことはないものというふうに見込んでいるところでございます。
  33. 加藤万吉

    加藤(万)委員 五十五年度に一〇%ルールというのをつくりましたですね。いわゆる日銀の剰余金に当たるべき金を全部納付金で納めてしまいますと、損金ですから、その結果として剰余金財源がない、地方財源へのはね返りがない、したがって内部留保として一〇%、日銀の剰余金というのでしょうか、いわゆる留保を取る、こういう制度があったとお聞きをしているのですが、五十八年度についてもそういうルールがお互い確認といいましょうか、あるいは地方財政計画をつくる際に、地方税法人税割等についてはそういうことが話し合いの結果としてまとまっているのでしょうか。
  34. 関根則之

    関根政府委員 一〇%ルールというものが制度としてあるわけではございません。ただ私どもが、これは私から直接答弁するのは果たしてその資格があるのかどうか、ちょっと疑問なんですけれども、私どもが日銀なりあるいは大蔵省といろいろ折衝してまいりまして、日銀の決算のやり方あるいは内部留保の積み方等を勉強してまいりました際に知り得たところから申し上げますと、地方税がゼロになってしまうという昭和五十二年のその仕掛けは、結局内部留保を取り崩しまして、それで納付金を納めてしまった、そこに基本的な原因があるんではなかろうかと考えます。当期の剰余金はそれほどない、利益はそれほど上がっているわけでもないのに内部留保を取り崩しまして、一たん利益に繰り戻しましてそれで納付金を出してしまっている、そこに原因があったのではなかろうか。  日銀券の発行平残が年々コンスタントに上がってくるわけですから、それに見合って日銀の内部留保を順々に増加させていけば、地方税に回る分がそれだけ出てくるわけでございますので、そういうやり方をしていただきたい、内部留保を吐き出してまで納付金を納めるから地方税がゼロになってしまうので、そういうやり方はやめていただきたいということを非常に強く折衝してきたつもりでございます。  その結果、先生お話しいただきましたように、内部留保につきましては、日銀平残の少なくも一〇%くらいを常に内部留保として持っていけば、そういうルールをつくれば、地方税が一挙に急減するということはなくなるから、そういうふうにしていただきたいということをわが方がお願いしたわけです。まあお願いというか、相当強い要請をしたわけでございまして、それに対して明確な文書なりなんなりで、それではそうしますということを、きちっとした取り決めはないのでございますけれども、われわれが口頭で話をしている段階におきましては、大蔵省もわが方の意図というものは十分御理解をいただいておりまして、ここ数年間、すなわち五十四年の下期の決算以降は、それを最後といたしまして、五十五年の上期の決算以降はそういうやり方はしていない、大体内部留保を一〇%程度取っておる処理をしていただいているものと考えておりますし、われわれもこのやり方を今後とも続けていただけるものと期待をいたしておるところでございます。
  35. 加藤万吉

    加藤(万)委員 日銀の納付金に関しては地方団体からもそれぞれ大変御意見のあるところ、いま言ったようなルール、いわば一種の財源の安定性といいましょうか、それをきちっと求められるようにこれからもひとつ最善努力をしていただきたいと思うし、いま言ったような、内部留保を一〇%当初から確保するということになりますれば、まさにそれは安定的な地方財源へのはね返りになるわけですから、ぜひそういういわばやや制度化といいましょうか、お互いの間での取り決めというのはちょっと言葉が過ぎるかもしれませんが、そういう角度での両省間の申し合わせといいましょうか、していただきたい、こう私は強く要請をしておきます。  それから次に、利子配当所得にかかわる地方税課税問題についてお聞きをしたいと思うのです。  利子配当所得、どういう形でその所得を捕捉するか、大変いろいろな形で問題になって、最終的にはグリーンカード制を導入することによって所得の捕捉をし、同時にそれに対する税の公平化を期そう、こういう観点でグリーンカード制の導入、すなわち法律案が提起をされたわけです。国会では御案内のような審議を経ているわけですが、現在グリーンカード制に対してどういう状況になっているのでしょうか。これは大蔵省から聞きましよう。
  36. 真鍋光広

    真鍋説明員 先生御指摘がございましたように、グリーンカード制度につきましては、五十五年の第九十一回国会政府提案をして成立させていただいたものでございます。そこで、成立後約三年間の準備期間をちょうだいいたしまして、ことしの一月一日からグリーンカードの交付申請、交付を開始する、五十九年一月一日から利子配当課税の総合課税に移行する、こういうことで考えておったわけでございます。  その後、現在までの事態の推移を見ますと、この制度国民の間に定着してきました従来の利子配当課税制度に大きな変革をもたらすものでありますだけに、本制度をめぐりましてさまざまな議論が行われたわけでございます。また、現象的にも、たとえば郵貯シフトでございますとか、金、ゼロクーポン債へのシフト、こういった問題が出てまいったわけでございます。もちろん、これらの現象は、グリーンカードの責めに帰してしまうということは必ずしも適当でないのでございますけれども、いずれにしましても、グリーンカード制度と関連づけて議論された事象が見受けられたわけでございます。  このような状況の中で、昨年八月、多数の議員の賛同のもとに、グリーンカード制度の五年延期法案が議員提案された次第でございます。この法案は昨年秋の臨時国会に引き継がれましたが、結局十二月二十五日に廃案となった。これが経緯でございます。  しかしながら、グリーンーカード制度はほとんどすべての国民関係する制度でございます。関係者による御理解と協力、また制度への信頼があってこそ円滑に運営されるものでございますだけに、現状におきましては、法的安定性等の観点からこの制度を一定期間凍結せざるを得ないと考える状況にあると判断いたした次第でございます。そこで政府といたしましては、税制調査会にお諮りしました上で、この際政府提案によりましてグリーンカード制度自体を三年間凍結することといたしました。まことに異例なことではございますが、以上申し述べた状況から御理解願いたいと思います。  なお、所得税本法ではすでにグリーンカードが法制として入っております。今回お願いいたしておりますのは、租税特別措置法を三年間、これまでの分離課税等を更新するということで措置するというふうにいたしておる次第でございます。
  37. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大変遺憾なことだろうと私は思うのです。国会で一遍議了したものが、状況変化と言えばそれまでですが、さらに三年間の延長をするなどというのは、国会審議軽視ではないかと私は思います。  そこで、どうでしょうか、この利子配当所得に関する地方税への非課税措置、これについて自治省側では今後どういう検討をされていく予定でしょうか。租税特別措置によって排除されていますから、いずれにしてもこれを捕捉することはなかなか困難ですけれども、たとえば自治省から大蔵省なり税調なりに対して、この利子配当所得に関する何らかの意見の提言があってしかるべきではないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  38. 関根則之

    関根政府委員 利子配当所得につきまして、現在源泉分離課税の選択が認められておる、そのために、本来であれば徴収でき得べき地方税が取れない、こういう状況になっていることに対して、これを改善すべく自治省は前々から大蔵省にも話を申し上げ、また税制調査会等におきましてもそれの改善措置をお願いしてきたわけでございます。その基本的な解決策として、グリーンカード制度の問題、総合課税への移行というものが法律になったわけでございますけれども、その法律実施を延期されるということになったわけでございます、正確には凍結という言葉が使われておるわけでございますが。したがって、その凍結期間中にも、私どもとしては従来からの主張をしてまいりました考え方をさらに強く各方面に申し上げ、自治省なり地方団体サイドの要請が組み入れられたような形で今後制度検討がなされるべきものと考えているわけでございます。  今後、税制調査会におきまして具体的に総合課税制度をどうしていくのか、あるいはグリーンカード非課税の限度額の把握をどういう形でやっていくのか、そういうことが議論されると思います。いろいろな変化もまた考えられると思いますけれども地方税の立場といたしましては、従来から申し上げてまいりました、基本的に本来課税すべきものが課税できないでいるそういう状態をなくすために最善努力をしてまいりたいと考えております。
  39. 加藤万吉

    加藤(万)委員 これについては言う言葉もございませんけれども、非課税分に対するいわゆる租税特別措置、今度地方税法改正案によって租税特別措置からはね返ってくる税収入はたしか二億円ですね。本会議で私も質問をいたしました。租税特別措置の特に利子あるいは配当に対する不公平感というのは、国民感情としても私はぬぐい切れないものを持っていると思うのですね。これは大蔵省の方にもぜひともお願いをしますし、自治省からも、そういう税の不公平感を持つようなことは、結果的に今日の政治に対する信頼を失墜するということにもつながっていくわけですから、ぜひ強力に進めていただきたい、こう思います。  最後に、全体の日本の財政計画の中に占める所得税にいたしましても、法人税関係にしても、相当税の負担が重くなったという実感、これはぬぐい切れないものがあろうと私は思うのですね。私は、五十二年のときにこの席で、実は所得税関係、源泉にしろ申告にしろ、大変きつい税率になってきた、税金を納める側にとってみては大変きつくなってきた、この際法人税率を何らかの形で引き上げて、実効税率をいま少し上げてみてはどうか、諸外国の例もとりながら当時お願いをしたことがある。二%前後上げてみてはどうか。  当時私が聞いたときは、法人税の実効税率が四九・四七%でございました。今度資料をいただきましたら五一・五五%、いわば二%ぐらい上がったわけですね。私どものそういう意見が反映されたと言えば反映されたわけです。ところが、私がその際に申し上げたのは、その二%拡大するものはできる限り地方の自主財源に回すべきではないか。いわば法人税全般にかかわる税法の中で、先ほど均等割を上げたのもそうですね。そういう意味では、地方団体財源を強化する側にいまの二%分を引き当てていくようにしてはどうか、当時はこう要請をしたわけです。  ところが、今回同じ資料を見ますと、その法人税地方への配分割合は、依然として五十二年当時と同じなんです。それは二%上がったけれども法人税の各市町村あるいは府県段階に割り振る割合は、これは今度いただいた資料が、国が六七・五%、都道府県が二四・二%、市町村が八・三%で合計が一〇〇、個人所得でいきますれば、国が七〇・七%、都道府県が九・五%、市町村が一九・八%、こういう比率になっているわけですね。  これは五十二年、私が聞きました当時の法人税関係地方への配分と大体同じなんです。ということは、法人税関係全体では二%上がりましたけれども、その配分は依然として同じだった。地方団体へその分が多くなって、結果的に国の配分率が少なくなったということになっていない。そういう数字なんですね。私はそこがきわめて不満なんです。  当時は、地方の時代という時代で、特に地方で新産都市計画があるとか産業分散が行われるとかいう時代も踏まえて、地方団体が自主財源としてそういう財源の確保をすべきではないか。今日でも私は同じニーズを地方団体は持っていると思うのです。  そこで、私がいまこの配分方法を変えろと言っても、これはできないでしょう。問題は、いま実効税率を含めて五一・何%というと、法人としては、勤労所得者が持っていると同じような税に対する負担率がやや重くなったという感じを持ちつつあるのではないか。特に勤労者の場合には、御承知のように五年間減税がないわけですから、大変なことになっているわけですけれども、法人関係でも五一・五五%までに実効税率がなってきますと、ややきつい。もちろんこの中には、法人税は御案内のように所得方式ですから、四九%までは税を納めていないところもあるわけですけれども、そういう実感じゃないかと思うのです。  さあそこで問題は、臨調が言っている増税なき財政再建と、これから起きるであろう地方団体あるいは国民の側のニーズ、その財源をどこに求めていくかという課題をこの二つの中から引き出していかなければならぬわけです。所得税はもう減税せよという国民的要求です。一方、法人税の実効税率も五一・五五%というと相当諸外国並みですね。西ドイツが五六%ぐらい取っていますから、西ドイツまでいくのにはまだ四%ほど上げる余地はありますけれども、しかし、アメリカやイギリス等に比べると大体この辺だ、こうなってくるわけです。  さあそこで、これから起きる国の財政再建というものに関連して一体どこから税を取っていくかというふうになってくると、直接税はもう無理だ、税調はそこから出ているのですね。したがって、税調はもう直接税から取ることは、源泉の方ではもう目いっぱい。片っ方の方では五一・五五%という実効税率になってきた。したがって、直接税は無理だから、今度は間接税で云々、こうなっているわけです。  いまここで、ちょっと資料がなくて困っているのですが、今度の税調が出したもの、あるいは自治省が出した資料にもどこかに載っておったのですが、財源の視野を広くする、いわゆる国の財源の視野を広くする、そういう文章が書かれているわけですね。これは税調の答申かもしれません。そうなってくると、これは直接税から間接税を導入して直間比率を変えると同時に、間接税によってこれからの住民ニーズ、そういうものを高めよ、こういう発想になってくるのじゃないかと思うのです。  そこで問題になりますのは、前回一般消費税、大型消費税の導入の際に、地方財源に対して地方消費税というものをひとつ考えてみてはどうかという提言がありまして、当委員会でも大変問題になったのですが、どうなんでしょうか。これからの国の財政全体の需要の中から見て、いま税調が言っていること、すなわち直間比率の見直し、同時に視野を広く見た中から財源を求めていくというこの考え方と、一方では、これ以上はもうあきまへん、臨調増税なき財政再建と言っている。この二つのことを政府としては一つの政策にまとめていかなければいかぬわけです。自治省としてはこの辺はどう見られますか。  なかなかむずかしい政治論議ではありますけれども、これから地方におけるニーズ、たとえば先ほど言いましたように減税一つやる。所得税減税からくる歳入欠陥が一方に起きます。同時に、先ほど大臣がおっしゃったように、地方税の減収分もそこから起きてくる。それを今度は地方団体としては財源措置を講じなければなりません。講ずる場合に、たとえばいままでやっているように、借り入れでやるのかどうかわかりませんけれども、この減税を賄う場合に間接税の導入ということは当然一つの話題として出てくるわけです。  いま言ったような施策を行うという場合に、これは減税だけに限りませんよ。他の市民的なニーズ、国民的なニーズが起きた場合に、全体の財源として確保できない場合に、直間比率の見直しないしは間接税、大型消費税の導入ということに対してどういうお考えをお持ちなのか、それと同時に、一方では増税なき財政再建ということで臨調答申をしている。それとの接点をどういう形でお求めになって、政府側に、たとえば閣議があれば、あるいは税調があれば、自治省側としてどういう態度をおとりになるのか、ひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  40. 関根則之

    関根政府委員 まず、税制の視野を広げろというお話でございますが、一般消費税が実現困難となりました段階で、五十五年の十一月だったと思いますが、税制調査会課税ベースの広い間接税という考え方を御答申いただいたことがございます。個別の間接税ではなしに、比較的ベースの広い間接税という仕組みを今後検討すべきではないかという形で、現在検討課題となっているわけでございます。  私ども、これから地方税源の拡充強化ということを図ってまいります場合に、国税地方税の間の税源配分見直しの問題があるわけでございまして、全体として直接税がもうすでに限界に近いところまで来ているということはよくわかるわけでございますが、しかしなお、間接税と直接税の比較をいたしておりますと、国の場合には間接税が約三〇%ですが、地方の場合には間接税のウエートは一五・一%しかないわけでございます。国の半分しか間接税のウエートがないという状況であるわけですから、依然として直接税というもののウエートというのは非常に高いわけでございます。多少なりとも間接税のウエートを高めるという税制改正がなされるにいたしましても、直接税のウエートというのは、私はなお相当大きな主体的な部分を占めていくのではないかというふうに考えます。そうなりますと、その直接税についても、地方税としては、これから国の直接税との兼ね合いの問題で、どういうふうに配分していったらいいのかという検討課題というものはなお残るものと考えております。  と同時に、間接税につきましても、いろいろな方面からの議論がなされておりますけれども、私どもといたしましても、税制全般の体系の中で余りにも間接税が低い、特に地方の場合一五%程度というのは余りにも低過ぎるのではないかというような考え方を持っておりますので、今後の検討のときには、そういった問題についての改善ができないものかということを真剣に取り組んでいきたいと思います。  ただ、具体的に、財政非常に厳しい状況の中で、減税財源すらなかなか見つけられないというときに、さらに積極的に新しい税源をいまここですぐに答えの用意があるかと言われましても、なかなかこれむずかしい問題であるわけでございまして、まことに遺憾ながら、私どもとしていますぐに用意できるような答えを持っていないわけでございます。今後、税制調査会はもとより、地方制度調査会等でも、この議論、前々からやっていただいておりますので、そういった場面で各方面の御意見を聞きながら、われわれとしても真剣に検討を続けていきたいと考えております。
  41. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大臣、いまの話のやりとり、何かこう聞いていると、間接税を導入せいというふうに聞かれてもらっては困るのです。というのは、私は、税の不公平感というものをいま一遍洗い直しをしませんと間接税導入はできない、こう言いたいのです。  私は、先ほど租税特別措置について、利子配当課税について言いましたけれども、租税特別措置の面、あるいは医師優遇税と言われる面、たくさんありますね。これの総見直しをしませんと、これから起きてくる財政の需要に対する財源確保ができない。それからいま一つは、わが党としては当然のことですが、税全体の仕組みを変えることをしませんとこれはできない。いわゆる地方財源移譲とか、私、当初御説明しましたけれども、それはおっしゃっているように、総体の枠を百なら百に置いておいて地方財源移譲していれば、いま国民が求めているニーズに見合った財源措置ができるかもしれませんね。これは方法論がいろいろあるでしょう。それから、現在政府が持っているこの予算の組み立ての方式ですね。とりわけ軍事費なんかそうですけれども、そういう制度をそのままにしておきますと、先ほど言ったように、私が逆説的に質問したような形になったのですが、減税財源も何もできてきませんよ。  問題は、いまの財政のあり方というものをそういう意味では根本から検討してみる。この地方税法に限って言えば、地方財源移譲という問題や特別措置の問題を含めて、あるいは不公平税制の問題を含めて検討し直してみる、そういう態度を常に持ち続けませんと、地方財政の需要に対して増税方法しか出てきません。間接税の導入そして拡大、あるいは直間比率の見直しという中からくる国民大衆への負担増大、これしか出てこない、こういうことを実は申し上げたかったわけであります。  最後に、大臣のこういう問題に対する所見をお聞きをして、私の質問を終わりたいと思います。
  42. 山本幸雄

    山本国務大臣 先ほど来の先生の御質問は、まことに国、地方とも、歳入全般にわたる根本問題に触れたお話だと思うのです。  国の問題につきましては、これは私がここでかれこれ意見を申すのもいかがかと思うのでございますが、しかし、それにしてもやはり地方税源というものは国との関連が非常に大きい、国と連動しておるものがほとんどであると言ってもいいかもしれない。だから、国の税制がどう動くかによって地方税制も動きますし、ことに地方財政の立場からいっても、国税である三税の三二%というものを交付税として地方財源としておるという点も含めまして、地方税財政としては非常に大きな課題を抱えることになります。  そこで、先ほど来のお話で、国税の場合に、直間比率の見直しというお話も出ましたが、これも一体そういうことを果たしてやるのかやらぬのか、私の聞いている限り、やるとまでもまだいっていない。しかし、これからの全体の問題を考えていく場合に、国の方ではやはり税制調査会がございますから、税制調査会の御意見も伺い、国民全般の声も聞きながらこれから考えていこう、こういうことだろうと思います。それを受けまして、私の方は地方税財源の問題を考えていかなければならないのであろう。しかし、これは両々相まって、地方と国とが歳入の面で適切な配分をしていく、そういうことを考えてまいりますと、私は、地方税財源の問題は、国の方も大きな課題を抱えたと思いますけれども地方としまして非常に重大な時期をいま迎えておるのではないか。これについては、私ども自治省としても、いろいろな場合を考えながら対応を考えていかなければならない事態にいまなっておるということで、先生のいまのお話も貴重な御意見として拝聴したわけでございますが、地方税財政の対応の仕方をしっかりとひとつこれからの検討課題としてやらせていただこう、こういうつもりでおるところでございます。
  43. 加藤万吉

    加藤(万)委員 終わります。
  44. 田村良平

    田村委員長 小川省吾君。
  45. 小川省吾

    ○小川(省)委員 新聞の報ずるところによりますると、大蔵省所得減税実施を明年一月として、減税実施と同時に大型間接税の導入を実施していくとか伝えられております。この報道にほぼ誤りはありませんか。
  46. 真鍋光広

    真鍋説明員 現在大蔵省の立場、ポジションといたしましては、ただいま新聞報道を引かれました先生お話のような、そこまで話はいっておらない、具体的な話までいっていないということでございまして、いずれにしましても、先ほど与野党合意を尊重いたしまして、財政改革の基本的な考えを踏まえつつ、減税実施のために真剣に検討を進めてまいる所存である、こういうところにあるとお考えいただきたいと思います。
  47. 小川省吾

    ○小川(省)委員 また、一説によれば、EC型の付加価値税の導入も企図をしておるようであります。いまも御答弁がありましたように、こんなことが伝えられておりますのは、まだ導入をすべき税種や税目が決まっていないからだというふうに理解をしてよろしいわけですか。
  48. 真鍋光広

    真鍋説明員 まず、EC型の付加価値税を前提にいたしての御質問お答えいたしますれば、いずれにしましても、私どもとしてはそのようなことをいま考える段階ではない。政府税制調査会で、今後いろんな財政改革を進める上での税制改正のあり方といったものを御議論する中で、広くいろんな話題の中の一つとしてあるいは取り上げられるかもしれませんけれども、いずれにしましても、現在何の予断も私どもは持っていない、こういうことでございます。
  49. 小川省吾

    ○小川(省)委員 わかりました。いずれにしても、減税をしろという要請は大変強いわけでありますから、ぜひひとつ早急に検討をして、私どもが考えているような結果を出していただくようにお願いをいたしておきたいと思います。  そこで大臣、臨時行政調査会の言うところの増税なき財政再建というのは訓辞規定みたいなものであって、とらわれる必要はないとも言われておりますけれども増税なきということは、増税をしてもよいということとほとんど同じ意味を持っているというふうに理解をしてもよろしいわけですか。
  50. 山本幸雄

    山本国務大臣 増税なきというのは、文字どおりに読んでいただきたいわけでありまして、臨調のおっしゃっているのは、それにつけ加えまして、増税なき財政再建ということについて注釈がありまして、つまりGNPに対する租税負担率を動かさないように、こういう趣旨である、こういうふうに私ども臨調答申を受けとめておるわけでございまして、先生のおっしゃることは少し事情は違っておるのじゃないかと思います。
  51. 小川省吾

    ○小川(省)委員 租税負担率を動かさないようにということですが、政府としては若干の増税ならばしてもよいというふうに考えておるからこそ、そういうような考え方大蔵省の方から随時出てくるのじゃないかと思いますが、その点いかがですか。
  52. 山本幸雄

    山本国務大臣 全体としてどういうことになるかということになれば、全体としては増税なき財政再建であるということだと思うのであります。そこでどういうふうなことになるのか、私も実はわかりませんが、しかし、先生のおっしゃるように、増税なきということは増税をやるということだとは受けとめておらぬわけでございまして、これはやはり政府としては厳しく受けとめていかなければならぬことであろう、こう思っております。
  53. 小川省吾

    ○小川(省)委員 わかりました。土光さんが増税なきと言うのは執念にも近いようなもので、こういうことは中曽根さんにもよく伝えてあるんだというふうに言われておるわけでありますが、ひとつそういうことでよく検討をして、税収も確保できる、しかも増税をしないというようなうまい方法を見つけてください。  そこで、大蔵省に伺うのですが、一月でも結構だと思うのですが、減税の規模を一体どのくらいにしようというふうに思っておられるのですか。
  54. 真鍋光広

    真鍋説明員 その減税の規模であるとか方法であるとか時期、これは国民全体の大変な関心事であるということは間違いないことでございますけれども、いずれにしましても、税収動向の見きわめであるとか税制調査会審議等、そういった今後やっていかなければいかぬことがございますので、具体的にどういった規模を考えておるとかなんとかということは、現段階では申し上げるものは持っていない、こういうことでございます。
  55. 小川省吾

    ○小川(省)委員 いまの段階では申し上げられないということなんですが、私どもとしては、二、三千億の減税では困るわけなんでして、特に六年間所得減税実施をしておらないわけでありますから、大幅な減税実施をしなければ景気浮揚に資するような結果も得られないわけでありますが、私どもはただ漠然として一兆五、六千億くらいは減税をするのではないかというふうに思っておるわけなんであります。全然見当もつかない、いまの段階では言えないということではちょっと困るのでありまして、大体どの程度やりたいというふうに思っておるわけですか。
  56. 真鍋光広

    真鍋説明員 私が御答弁するのが果たして適切かどうか、ちょっと問題があろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、この問題は、たとえば必要な財源を確保するという面もございますし、やり方もあるし、景気浮揚と申しましてもどういった経済情勢のもとで行うかということとも関連いたしますので、今後詰めるべき問題が非常に多い、関心が深い問題でありますけれども、詰めるべき問題が多い、こういうのが現状であるということでございます。
  57. 小川省吾

    ○小川(省)委員 まあいいでしょう。いずれにしても詰めるべき問題が多いという話でありますが、何としても景気を浮揚できるような状態、減税をしてもらったというか、減税があったというような実感が出るような形での大幅な減税を、ぜひ実施をするように検討をしていただきたいというふうに思っています。  そこで大臣地方財政が現状こんなような状態で、全く憂慮にたえないところなのであります。五十七年度でつかの間の均衡があったわけなのですが、本年ももうこういうような状態で、地方財政がこういう現状だとすれば、地方税が果たすべき役割りといいますか、地方税の収入を確保をするという、ある意味では増税になるかもわかりませんが、そういう必要があるのではないかと私は思うのです。そういう意味で、地方財政の現状と地方税ということでの御意見を聞かせていただきたいと思います。
  58. 山本幸雄

    山本国務大臣 地方財政の現状というのは、もう先生よく御存じのように非常に厳しい状態になっております。地方財政の運営上、やはり地方公共団体もそれを考えていわゆる効率化を図る、あるいは減量化を図るという方向に行かなければならぬ、また地方公共団体もそれはしかと受けとめていただいておって、そういう方向はお考えになっていただいておる、私はこう思っておるところでございます。  そこで、将来の地方財政というものは、いますでに五十八兆円という借金を抱えておるということでございますだけに、一方においてできるだけ減量的な運営をしていただくということはどうしても考えていただかなければならぬ事態にある、一方、どうしてもこれだけはというだけの歳入の確保を図らなければならぬと思うのです。  その辺は、先ほども申しましたように、地方税の問題もございますし、それから地方交付税という問題もございます。それらを考えてみますと、やはり国との関連というものが非常にあるわけでございます。シャウプ勧告の後、やや地方税制というものが一本立ちから国との関連というものが非常に出てきたと思うのでございますが、そういう制度の中で一体どういうふうにやっていくべきであろうかという問題について、国の方も国家の財政の現状から見てやはり考え直していかなければならぬ、あるいは根本的に考えてみなければならぬ点もあると思いますが、それに対応いたしまして、地方税財政についても、そういう根本的に考えていかなければならないいろいろな問題が出てきたのではないだろうかと思います。  では何があるんだとおっしゃられて、どうするんだとおっしゃられても、いまここで直ちに私が妙薬を出すということは、これは非常に困難なことでございますので、私どもは、今後のひとつ重要な課題といま受けとめているだけに、これからの検討をしっかりやっていきたいと思っておるところでございます。
  59. 小川省吾

    ○小川(省)委員 大分苦しい御答弁のようでありますが、何はともあれ、臨調の訓示を破っても、ある程度の増収を考えながらでも、税収の確保はしていかなければ、地方財政の現状としては何ともならないだろうというふうに思っています。そういう意味で、大蔵が間接税であろうとEC型の付加価値税であろうと何であろうと、何らかの形で増税実施をしてくるんだろうと思いますが、実施をしてきた場合に、地方財政がこういう状況であるだけに、交付税対象の税目に当然繰り入れていかなければならぬというふうに思っておるのでありますが、その辺の決意のほどはいかがですか。
  60. 石原信雄

    ○石原政府委員 根本的な税制改正がどういう形でどうなっていくのか、現段階では何ともはっきりしないのでありますが、いずれにいたしましても、全体として税負担をふやさない範囲で税体系の見直しということが国、地方を通じて論議されるであろうということは予想されるわけですが、その場合に現在の税体系、特に国税の場合には所得税法人税、酒税というものが税の中心をなしているわけですが、こういった税体系に変更が加えられて他の税制が入ってくるということになれば、当然それとの関連で地方交付税の対象税目をどうするかというふうなことが問題になってくると思います。  これらについては、今後、そもそもその大きな税体系の変更の中で地方税制がどうなるのか、あるいはその時点における国と地方財政状況がどうなっているのか、いろいろな要素によって結論は異なってくると思いますが、いずれにしても、現在の交付税の対象税目の所得税法人税、酒税、この国税の基本になる税制に大きな変革が加えられるということになれば、交付税の対象税目の問題についても当然検討されなければならないと思います。これについては、たとえば昭和五十四年の九月の地方制度調査会の答申においてもそれらしき答申がなされております。いずれにしても、これらの問題についてはそのときの国、地方を通ずる財政状況の中で判断していくべきものではないか、このように考えております。
  61. 小川省吾

    ○小川(省)委員 いま苦干消極的な表現でありますが、自治省としては、大蔵が何らかの形で増税をするという、だったら交付税の対象税目にするということを大いに言挙げをしていただいて、本当に交付税の対象税目にしていくような決意のほどをぜひひとつしっかり固めておいていただきたいというふうに思っています。  それから、大蔵が減税実施をした場合、地方税も当然減税実施をされるようになるべきだというふうに思っていますが、先ほど加藤委員減税の中で大分論議をされましたので、この点は省略をいたします。  そこで、交付税が三二%ということで、われわれは四〇%の要求をしていますが、なかなかパーセントの引き上げというものは無理なようでございますから、地方税も、そういう意味では何としても税収の確保ということが本当に緊急不可欠な課題になっていくことは当然だろうと思うのです。大臣でも税務局長でも、税収を確保をしていくために、いかなる税目で税収の確保といいますか、増収を図っていく考え方をお持ちでしょうか。  先ほど、いま私がこの段階で言うことはできないというふうなことを言われたわけでございますけれども税務局長、いかがでございますか。大蔵が仮に間接税を増税をしていくという場合に、地方税をその中に取り組んでいくような形、そういう地方税を間接税の中に起こしていくというふうな方法を考えるおつもりはありますか。
  62. 関根則之

    関根政府委員 国の税収もなかなか伸び悩んでおるわけですが、それ以上に、地方の税収というのは昭和三十年以来大体三四、五%程度しか歳入中に占める割合がないわけでございます。そういう意味におきまして、国以上に地方税の増強についてこれから努力をしていかなければいかぬ。欲しくて欲しくてかなわぬということでございますから、国におきまして間接税等の見直しがもし仮に行われるということであれば、当然ながら地方の場合にも、そういった間接税の中に地方税目としてふさわしいものがあれば、そういうものを地方税として仕組んでいくということも考えていかなければいけない問題であろうと思います。  特に、先ほども申し上げましたが、地方税中に占める間接税の割合というものは、国の半分、わずか一五%程度にしかすぎないわけでございます。地方税というのが、やはり地域的な団体が小さな組織の中で、小さな広がりの中で取る仕組みになっておりますので、間接税へのなじみぐあいが国に比べると小さいのかなという感じはいたします。もともと税の性格からそういうものではないかなという感じはいたしますけれども、それにしても余りにも低いウエートしか占めていないわけでございますから、いろいろとこれからの税制改正に当たりまして、間接税部門において当然何か地方税にふさわしいものがあって国民のコンセンサスを得ながらそういうものが仕組めないかということは、われわれとしても真剣に考えていきたいというふうに考えます。
  63. 小川省吾

    ○小川(省)委員 いまの御答弁のように、国が実施をする場合には、うまく巧妙にもぐり込ませて、取り入れていくようにしていただきたいというふうにお願いをいたしておきたいと思います。  そこで、電話がいま一世帯一台ぐらいに普及をしております。地方税として電話利用税等をお考えになったことがございますか。
  64. 関根則之

    関根政府委員 電話利用税と申しますか、電話の使用に対しまして地方税を賦課したらどうかという議論は、相当前からこれは議論の対象になっております。しかし、電話が大変普及をいたしてしまった現在におきましては、やはり大衆課税になるんではないかというような一方での議論もございますし、また、事業用の電話と個人のいわば家庭生活における消費面での電話とを区別するのかしないのかといった問題もございまして、なかなかうまく仕組めないというのが現状でございます。昭和五十七年度における減税問題を議論いたしました減税委員会におきましても、実は電話の税をどうしたらいいかということが話題になったわけでございますが、結果的にははっきりした方向が打ち出せなかったというふうに聞いておる次第でございます。  電話がいわばぜいたくな施設であったという時代ならば、一種のぜいたく税といいますか、そういう形で、一部の国民だけが利用しているんだから、それに対して、利用している人と利用していない人の差に着目いたしまして課税をするということがわりかしやりやすかったかなという気がいたしますけれども、現状においてはストレートに一般大衆に対する課税ということになってしまうという非常にむずかしい問題を含んでいるのではないかと思います。検討したことはございますが、なかなかむずかしい問題であるというふうに理解をいたしております。
  65. 小川省吾

    ○小川(省)委員 大衆課税になるかどうかというのは、額の問題もあるんだろうと思いますが、官公庁等の電話なども課税にするなんということをしないで、ひとつ検討をしてみていただきたいと思います。  それから、最近コンピューターの普及は目覚ましいものがあるわけでありますが、コンピューターを利用している企業はほとんどしっかりした企業でございますけれども、コンピューターを課税対象にしていくということを考えたことがございますか。
  66. 関根則之

    関根政府委員 コンピューターにストレートに、たとえばコンピューター税というような形で課税することを検討したことはないと思いますが、現在コンピューターにつきましては、事業用の償却資産であります場合には、固定資産税としての償却資産税が課税されることになっているわけでございます。  事業用に使っておるという場合の事業の生産要素としてのコンピューターに対しまして課税をするというのは、実際問題としてなかなかむずかしい問題があろうかと思いますが、せっかくの御提言がございましたので、われわれとしてもちょっと考えてみたいと思います。
  67. 小川省吾

    ○小川(省)委員 ひとつ独立をした税目として検討をしてみてください。  そこで、若干の税目について少しく伺いたいと思います。  まず、娯楽施設利用税でございますが、標準税率をおおむね一〇%程度引き上げるような改正案が出ているわけであります。ゴルフ場に係るものについては、最近OLまでがゴルフをやるというゴルフブームでございますから、まあ妥当だろうというふうに思っています。しかし、パチンコやマージャンや玉突きにかけていくのはどうかと若干疑問になるわけでございますけれども、最近のパチンコ場などは、駐車ができないところではもうはやらないという状態がございますし、郊外の大変大きな敷地を擁するようなところに進出をしたり、最近若干の新設もあるようでございまして、ほとんど飽和状態だというふうに思っております。余りもうかってはおりません。これを一〇%引き上げていくというのはどうかと思うのですが、どのようにパチンコ場について把握をされておりますか。     〔委員長退席、工藤委員長代理着席〕
  68. 関根則之

    関根政府委員 パチンコ場は、たとえば一台の一月当たりの売上額の推移を見てまいりますと、昭和四十九年度に六万二千円程度でありましたものが、五十六年度では十二万九千円ほど、二倍以上になっているわけでございます。その間に、昭和五十二年にパチンコの税率改正がございまして、一台当たり百五十円を二百五十円に上げたわけでございます。今回標準となるべき率を二百八十円にしたわけですが、そうなりますと、四十九年当時は百五十円であったものが今度五十八年度に二百八十円になるわけですから、アップ率にして八七%のアップ、収入は一〇六%上がっているわけです。そういうことを考えてみましても、定額課税といたしまして六年ぶりの改正ということでございますから、われわれとしては、物価水準なり所得なり、そういうものと大体見合った改定がなされるのではないかというふうに考えております。  パチンコ屋さんにつきましてはいろいろな見方があろうかと思いますけれども、入場人員等についても相当ふえておるようでございますし、郊外パチンコなどはわりかし盛んにやっておるような状況でございますので、パチンコについては、われわれとしては今回の税率の調整についてそれほど心配をしていない。もちろん大変なことではあろうと思いますが、御負担を願えるのではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
  69. 小川省吾

    ○小川(省)委員 税務局長が把握をされているパチンコ場の実態は、若干違うのではないかと思うのです。引き上げの提案をしているわけでありますが、大分苦しいのが実態のようでございますから、それはそれとして、将来の問題としてさらに検討をしていただきたいと思います。  さて、マージャンなんですけれども、大変な時間を浪費してやる競技でございます。本場の中国でも、マージャンなんかやる者は現在一人もおりません。そういう状態ですが、大体ほとんどがかけマージャンをやっているわけですね。このかけマージャンに課税をする方法はないのですか。捕捉が大変だろうと思いますが、いけないことをやるのですから、課税をしていくぐらいは当然だろうと思うのです。課税をしたからといってかけマージャンが免罪になるということはないと思うのですが、何とかかけマージャンに対して課税できる方法はありませんか。
  70. 関根則之

    関根政府委員 先生、十分御承知のことではございますが、税を課税いたしますときには課税標準というものを明確にいたしまして、それに対して一定の税率をもって税額を算定して課税する、これが税の基本であるわけです。かけマージャンの場合には、余り表で堂々とやっているわけでもないのでございましょうから、この課税標準の把握というのが実際問題としてきわめてむずかしくなってしまって、税として構成することが困難ではなかろうかというふうに考えます。
  71. 小川省吾

    ○小川(省)委員 確かに捕捉や把握が困難だと思います。私も学生のころは、学校をサボってマージャンをやった方なんです。中国人と一緒にやったわけでありますが、しかし、あんな時間を浪費するのは、本場の中国でも、現在は本当に家庭内でわずかにやるぐらいは残っているかもしれませんが、ほとんどやられていないのが実態でありますから、ああいう亡国遊技はやめた方がいいと思うのですね。ひとつかけマージャンには課税するような方法をぜひ考えてもらいたいと思います。  そこで、娯楽施設利用税のゴルフ場については、市町村に交付金として渡されておるわけですね。私が常々主張している温泉所在市町村の料飲税がなぜ市町村に交付することができないかという点なのでありますが、御説明を承っておっても、ゴルフ場のものは市町村に交付できるけれども、温泉所在市町村に対して料飲税が交付できないという論旨が大変あいまいだというふうに思っています。そういう温泉があるがゆえの地元の市町村の支出は大変なものでございます。料飲税の何割かを市町村に交付できるような温泉所在市町村に対する交付金がなぜつけられないのか、その辺を伺いたいと思います。
  72. 関根則之

    関根政府委員 料理飲食等消費税の温泉所在市町村への交付金の交付につきましての先生の御提言、お話はたびたび承っているところでございます。確かに、さらっとした論理できわめて明快に、ゴルフ場については交付ができるけれども、こちらについてはできない理由というのは実は非常にむずかしいわけでございます。  どうしても一般論になってしまうわけでございまして、一つは、典型的に料飲税が相当大きくなる熱海でありますとか伊東でありますとか、そういう都市をとってみますと、確かにまとまりのある税収が入ってくるわけですが、温泉の所在都市だけについて料飲税の交付金制度を設けるわけにはいかない。料飲税について交付制度を設けるということになりますれば、どんなところの料飲税につきましてもやはり交付制度にのせていかなければいかぬだろうという感じがするわけでございます。その際、田舎の山村等に参りますと、細々とした一軒屋の旅館等がある、そこでわずかながらではありましょうが料飲税が上がっている、そういうものについてまで一律といいますか交付金を出していくことになりますと、交付金の額も勢い小さなものになってしまうということになります。そんなものはやめてしまって大きなところだけやれというお話もあろうかと思いますけれども、やはり税というのはある程度全国画一的な基準によってやっていかなければいかぬという性格もあるものですから、その辺のところがネックになっているといいますか、その辺がゴルフ場とは違うよという問題があるのではなかろうかと思います。  確かにゴルフ場も税源が偏在いたしておりますし、料飲税も税源がきわめて大きく偏在をいたしております。ただ、ゴルフ場の場合には、一つのゴルフ場でもある特定の市なり町村なりにありますと、そこでまとまった税収がぽんと入ってまいりますから交付になじむ、事務的な経費と実際に入ってくる財源とを比較いたしましても、ほどほどの経費である程度の税収が得られる、そういったような問題もあろうかと思います。その辺のところがゴルフ場と料飲税とちょっと違うところではなかろうかという感じがいたします。  いずれにしろ、税というのは、私どもは県と市町村の間ではそれぞれ別な税目の独立税というものを与えておって、県はこれこれこういう税金を取る、市町村はこれこれこういう税金を取る、全体として調和のある、県及び市町村にまんべんなく必要な財源が付与されるというような、いわば複数の税目によるタックスミックスというのですか、そういうものをうまくこしらえることによってやっていったらいいんだ、ある特定の税目だけを取り出して、これは地元の市町村に相当関係があるにもかかわらずそこからの税収が入っていないじゃないかと、そういう議論を余り各税目ごとにおやりいただくということになると、なかなか税体系の構成というのがむずかしくなってしまうというような感じがするわけでございます。  しかし、これは先生の持論でもあるように承っておりますので、さらに私どもとしても引き続き検討をさせていただきたいと思います。
  73. 小川省吾

    ○小川(省)委員 いまの御説明を聞いてもよくわからないのですよ。だから、そういう意味では検討をしてくださるということでありますから、ぜひひとつ検討をしてみてください。  そこで、その意見の中に、温泉場には入湯税があるじゃないかというお話もございます。しかし、入湯税は大体利用者課税になっているわけですね、温泉のレシートをもらっても、入湯税幾らというふうにつけられてきますから。ところが、百五十円に何年か前に上がったきり、据え置かれたままですね。何で入湯税を今回上げなかったのですか。
  74. 関根則之

    関根政府委員 入湯税につきましては、現在の税率が百五十円になっておるわけでございますが、入湯税の実効税率といいますか、実際に各市町村で徴税をいたしております税額が百三十五円であるわけでございます。標準税率までいっていないというのが実情です。必ずしも標準税率と実際の当てはめ税率とが一致しなければならぬというものではないと思いますけれども、しかし、実情を調査をいたしてまいりますと、やはり入湯税というのは、山のたとえば国民温泉というようなところで、いわゆる湯治場みたいなところで細々と経営をしている、お客さんたちもそれほど担税力のある人ばかりとは限らない、農閑期に農家の方々が体を休めに湯治にいらっしゃる、そういうようなところもあるわけでございます。そういうところでは、わずか百五十円とはいえ、まるまるいただくというわけにはいかぬのだということで、多分実効税率が標準税率を割り込んでしまっているのではなかろうかと思います。  そういう実情を見ますと、ほかのマージャンとかパチンコとか、あるいはゴルフ場といったようなものと、これはなかなか一律には論ぜられないんではないかということで、定額課税ではございますが、今回は見直しの対象から外させていただいたということでございます。  それからもう一つは、やはり入湯税につきましては目的税でございまして、その目的税の使途、実際の使われ方がどうなっているのか、その辺との兼ね合いもございまして、今回は見送りをさせていただいたわけでございます。
  75. 小川省吾

    ○小川(省)委員 百五十円の入湯税で、湯泉所在市町村の需要が賄えるというふうにお考えですか。
  76. 関根則之

    関根政府委員 これは団体によってでございますけれども、現在のところ、たとえばこれは環境衛生なりあるいは消防施設等について使途が限定をされているわけでございますが、団体によりましては、もうそういった特定された使途については十分財源が回っておって、さらに、たとえば人件費を含めての消防の運営費でありますとか、そういったものにまでこれを使いたいというようなところも出てきている、そういう事情もあるわけでございます。もちろん、団体によってはなお不足するというようなところが多いわけでございますが、すでにやや余裕があるというところまであるわけでございますので、得られました財源を使う使途の面から、どうしてもこの標準税率を直ちに上げなければならぬということが一律的に申し上げられないという状況であろうと思います。
  77. 小川省吾

    ○小川(省)委員 次に、法人事業税の外形標準課税の問題なんですけれども、従来の地方税法審議の中でいろいろ質問をいたしますと、すぐにも出してくるような御返事をずっと年々いただいてきたのですが、さっぱり出てきませんけれども、一体どうしたのですか。
  78. 関根則之

    関根政府委員 事業税の外形標準課税につきましては非常に大きな問題であるわけでございまして、かつて一般消費税が議論をされましたその前の段階におきましては、条例ででもこれを実施に移そうかというような切迫した、現実的な議論まで行われたことがあるわけでございます。しかし、その後、税調におきます一般消費税の論議、それが実現不可能になりましてから後の税調答申におきまして、課税ベースの広い間接税というものを将来検討すべきであるという議論で現在落ちついているわけでございますが、その答申の中におきまして、事業税の外形標準課税については、課税ベースの広い間接税を国税地方税を通じて構想するときに、この懸案の外形標準課税の問題も一緒に片をつけるべきである、こういうことで答申がまとまっているわけでございます。  したがって、私どもとしては、非常に大きな問題でございますから、これを単発で片をつけるということはなかなかむずかしい問題であると思いますし、将来の大きな税制の基本的な見直しの中ででないと、実際問題としてこの問題の決着をつけることはむずかしいと思いますし、また、まさにいま申し上げましたように、税制調査会のそういう答申もございますので、そういった大きな流れの中でこの問題を片づけてまいりたいと考えておるところでございます。
  79. 小川省吾

    ○小川(省)委員 これは、大企業が赤字だということで本当にわずかな税金しか納めていないという事例を苦々しく思っているわけでありますから、ぜひひとつ早急に導入できるように検討してもらいたい、こう思います。  次に、事業所税の問題であります。これまた、私の年来の主張なんでありますが、これは施行の翌年ですか、たしか人口要件を五十万から三十万に下げたきりになっておるわけであります。私の年来の主張としては、県庁所在地に事業所税をぜひかけるようにしてもらいたいということなんでありますが、人口三十万以下の県庁所在地というのは、たしか十七とか二十とか言われておりますけれども、そのとおりですか。
  80. 関根則之

    関根政府委員 人口三十万未満の県庁所在都市は、十七市でございます。
  81. 小川省吾

    ○小川(省)委員 本年の税調では、人口三十万に、県庁所在地というのをぜひひとつ加えていただきたいと思っていますが、そのように御検討いただけますか。
  82. 関根則之

    関根政府委員 事業所税の課税団体の範囲の拡大につきましては、長い間、私どももそれを実施する方向で検討もし、努力も続けてまいったわけでございます。特に昭和五十八年度地方税制を論議いたします税調の場におきましては、地方団体の要望も背景といたしまして、私どもぎりぎりのところまで要請をし、説明をし、議論をしてきたつもりでございますが、残念ながら、政府税制調査会におきましても、一方で、そろそろ拡大をしてもいいではないか、こういったような意見もあったわけでございますけれども、片一方で、必ずしもそれに賛同をしてもらえない方々もございまして、結果といたしましては、五十七年の十二月の答申では、「引き続き検討すべきものと考える。」ということで、引き続き検討になっているわけでございます。  拡大をすべきではないかという議論につきまして、いまさら私の方から一つ一つの議論と反論を申し上げる必要はなかろうかと思います。先生十分御承知のことだと思いますが、五十八年度の状況といたしましては、やはり全般的に税制の基本的な見直しはやらないということ、しかもその背景として増税なき財政再建ということで、新しい税をつくっていく、あるいはいままで課税されていなかった人に対して新たに根っこから課税をしていくということがなかなかやりにくい状況、背景があったということであろうかと思います。拡大をするということは、何も新税の創設ではないではないかという説明もわれわれいたしたわけでございますけれども、いままで課税権のなかった都市に課税権を与えるということになりますと、そこの中に所在しております事務所とか事業所につきましては、全く根っこからの新しい課税を受けるということになるわけでございます。そういった問題がやはり実際問題としてございまして、五十八年度税制改正におきましては結論を得るに至らなかった、こういうことでございます。  今後どうするのかということでございますが、われわれとしては、基本的にはさらにこれを拡大をすべきである、しかも、県庁所在の都市程度のものについては課税権を与えていいのではなかろうかという考え方はなお持っておりますので、今後ともいろいろな機会をつかまえて、これの実現のための努力を続けていきたいと思います。ただ、実際問題として、状況はなかなかむずかしい状況があるということだけを申し上げておきます。
  83. 小川省吾

    ○小川(省)委員 臨調の言う増税なきというもとで政府は間接税や何か増税をしておるということなんですから、県庁所在地を加えるぐらいは何ということはないので、ぜひひとつ、口八丁の関根税務局長がいるときに実現をしていただきたいと思います。特に、三十万以下の市であっても県庁所在地というのは、この税の課税客体はかなり多いはずでございます。そういう意味で市長会の要望等もかなり強いわけでございますから、いいかげんに踏み切ってもよいだろうと思っておりますので、ぜひお願いをいたしたいと思います。  大臣大臣の選挙区の津市も恐らく三十万以下なんだろうと思うのでありますが、大臣がこれを踏み切ることは、そういう意味では県庁所在地に対する善政だとも思いますが、いかがですか。
  84. 山本幸雄

    山本国務大臣 いまお話がございましたこの問題は、税制調査会でもたびたび議論のあったところでございまして、それには、先ほど税務局長が御答弁申し上げましたように、なかなか賛否両論ございまして、いわば簡単にはいかない税目でございます。ただ、いまお話がございましたので、来年度また税制調査会のときにも問題になるだろうと存じておりますので、先生のいまの御意見を承っておきたいと思います。
  85. 小川省吾

    ○小川(省)委員 引き続き検討項目にするということが税調でも決まっておるようでございますから、大臣、ひとつ腹を据えて、ぜひがんばっていただきたいと思っております。  次に、国保税の問題であります。  今度もまた上限を上げたわけですね、二十七万から二十八万ですか。私は、このように上げていくと、何だか国保が崩壊をするのじゃないかという危惧さえ持つわけでありますが、いま上限に来ている層というのは全体の何%ぐらいになっておって、そして国保税の平均はどのくらいなのか、まずお伺いをいたします。
  86. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 お尋ね課税限度額については、いま先生御指摘のように、二十七万円から二十八万円に引き上げをお願いしているところでございますが、五十八年度の見込みでまいりますと、実はこれは厚生省調べでございますが、五十八年度二十七万円でいった場合には、限度額に該当する世帯のウエートは六・一%になるのではないか、お願いしております二十八万円でまいりました場合には、五・六%にまで下がるのではないかというふうに見込まれております。  次に、一世帯当たりの保険税の額でございますが、これは自治省調べで五十五年度でございますが、八万四千八百二十一円ということになっております。
  87. 小川省吾

    ○小川(省)委員 六・一%から五・六%ということでは、上限にいる層がそう多くもないだろうと思っております。確かに上限を引き上げないと下に多くかかるわけでございますから、ある程度上限を引き上げる必要はありますが、いま言われたような数字ならば、余り上限につっかえている層が多くはないと思いますけれども、引き上げる案が出ているわけですから、結構でしょう。  そこで、厚生省の国保課長においでを願っておるのですが、老人保健法が発足をいたしました。老人保健法がひとり歩きをすると国保の財政は少し楽になるのではないかと思いますけれども、老人保健法が発足をした場合に国保が財政的には若干楽になるのかどうか、その辺を伺います。
  88. 阿部正俊

    ○阿部説明員 お答えします。  国民健康保険の財政状況といいましても、三千数百の市町村がそれぞれございますので、老人保健の加入者の割合とか非常にまちまちではございますけれども、全般的に一言で申し上げますと、最近の経済情勢の中で、医療費がまだ相当の伸びを見ているという医療保険全体の財政状況の苦しさというのは、国保においても同じでございます。  ただ、先生御指摘のように、老人保健法が二月から施行されているわけでございますけれども、そうしますと、高齢者の加入者については一定程度の財政的な好影響をもたらすということでございます。しかし、では総体的にいってどれくらいの財政的な効果があるかということでございますが、全体として約一割の財政効果というふうに見ていいのではないかと思います。たとえば、それを財源構成で言いますと、保険料あるいは保険税ということで言うと、一千数百億の効果が一応期待できるのではないかというふうに考えられます。
  89. 小川省吾

    ○小川(省)委員 いま医療費は十四兆を超すとも言われているわけであります。そしてその四〇%が薬代だと言われておるわけでありますが、何としても医療費の膨張を抑えていかなければならぬと思っています。薬づけ医療とか検査づけ医療とか言われておるわけですが、医療費の膨張というのは、老人保健法が発足したことによって少しはとまる兆しがあるわけですか、国保課長に伺います。
  90. 阿部正俊

    ○阿部説明員 医療費のこれからの動向についてどういった見通しを持つかというのは、かなりむずかしいものでございます。ただ、むしろ私どもの心構えといいましょうか、行政の方向としましてどうすべきかという意味お答え申し上げたいと思うのでございますけれども、現下の財政経済状況の中での医療費ということを考えますと、医療費の適正化というのは最も大事な課題であると思っておりますので、適正化については、いわば厚生行政、全省挙げて取り組んでおるというのが現在の状況でございます。  そういう中で、老人保健法というふうなものができまして、先ほど申し上げましたように、財政的な意味での国民健康保険といわば被用者保険との間の財政の均衡ということにもつながるわけでございますれども、それにも増して大事な一つ考え方といたしまして、医療というものを、予防活動から医療からリハビリテーションというふうな一貫した流れでとらえまして、いわば治療よりも予防というふうなことを掲げまして、そのためのいろいろな取り組みをしていこうというのが基本的な考え方でございます。  そういう考え方に立ちますと、これからの国民健康保険の財政運営のあり方というものも、ただ単に医療機関からの請求があった医療費を調達していくのだというふうな、いわば消極的な考え方ではなくて、予防活動なりあるいは被保険者教育なりというふうなところにより重点を移した運営をしていくべきではないかというふうに考えておりまして、そういったふうな努力の積み重ねによりまして、高齢化社会における医療費の国民負担のいわば重圧というものを、何とか乗り切っていくようにしていきたいというふうな考え方で、いまやっているところでございます。
  91. 小川省吾

    ○小川(省)委員 老人の間でいまゲートボールというのが大変ブームになっているわけですね。老人の医療費がゲートボールの流行によって減ったというふうに言われておるわけでありますが、老人に生きがいというか、何らかの楽しみを与えることは何としても必要だというふうに思っておりますが、大臣、いかがですか。
  92. 山本幸雄

    山本国務大臣 老人対策というのは、なかなかむずかしことがたくさんあると思うのですが、その中で老人が生きがいを感じていくという、そういう気持ちの上の問題、精神的な問題というのが非常に大切なことであろう。いろいろな経済的な面の問題もありますけれども、しかし、むしろそういう生きがいを感じ、楽しくこの世を過ごしていく、そういうことは非常な大切なことであろう。先生と同意見でございます。
  93. 小川省吾

    ○小川(省)委員 ぜひお願いをいたします。  それから、日本銀行の国庫納付金問題でありますが、先ほど加藤委員質問の中で出ておりましたので省略をいたしたいと思いますが、日本銀行法で、所得計算上納付金を損金に算入をしている特例措置がとられているというふうに聞いておるのですが、なぜこれは損金にする特例措置になっているのでしょうか。
  94. 関根則之

    関根政府委員 私どもも、その辺が税をちょうだいするサイドとしてはまことにぐあいの悪い制度なものですから、ここのところを何とかならないかということを、大蔵省にも申し上げたり、相談を持ちかけたことがあるわけでございます。ただ、この制度につきましては、まずそっちの制度が先にできたのであるというようなこと、それから、国の税収を国の設立している法人から先に確保していく、こういう制度が大切なのだということ、そういった程度の説明以上の説明は受けていないわけでございます。余り私が有権解釈をする立場にございませんけれども大蔵省と私どもが折衝してきた過程では、そういうことでございました。
  95. 小川省吾

    ○小川(省)委員 恐らく、日本銀行が大独占企業だから、そんなばかな不可解なことがとられているのだろうと思いますが、ぜひひとつ声を上げて、こんなばかな措置を日本銀行法から取り去っていただくように、自治省としてもぜひひとつ言挙げをしていただきたい、こうお願いをしておきたいと思います。  それから、地方道路譲与税というのがありますね。この譲与税が現状どうなっているかという点と、特に市町村に対する譲与率を引き上げてくれという要望が強いようでございますけれども、譲与率を引き上げるというようなことができないのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  96. 関根則之

    関根政府委員 地方道路譲与税につきましては、都道府県に対しまして六四%、市町村に対しまして三六%が譲与されております。五十八年度の収入見込みといたしましては、県が千七百四十八億円、指定都市が二百五十六億円、市町村が九百六十九億円、合計二千九百七十三億円の譲与があるものと見込んでいるところでございます。  市町村への譲与税の配分割合を増強する問題でございますが、五十四年度税制改正におきまして、先生の御発言趣旨と同じ趣旨で、市町村に対する譲与率の引き上げを図ったところでございます。     〔工藤委員長代理退席、委員長着席〕  ただ、そういう改善はしてまいりましたけれども、依然として市町村におきます道路目的財源の比率というのは低くなってきております。特に九次の道路整備五カ年計画がいま策定中でございまして、先日閣議了解で事業の規模等についての大体のめどをつけていただいたところでございますが、この計画を実施するということになりますと、さらに財源問題という問題が起こってまいります。地方の道路特定財源は、地方道路譲与税だけではございません。ほかにもいろいろあるわけでございますから、ほかの税目をも含めて、今後地方の道路特定財源の強化拡充のために努力をしてまいりたいと考えております。
  97. 小川省吾

    ○小川(省)委員 この辺はちょっと税法以外の問題なんですが、二、三日前の新聞で、品川の区役所で退職をした部長が区長の選挙事務を役所の中でやっておったというような記事を拝見いたしました。私は、現役の長の場合にはこのようなケースが間々あるのではないかというふうに思っております。私は、十年以上前になるかと思うのでありますが、埼玉県のある市の市長さんを訪問いたしました。選挙の直前だったのですが、そこの市議会の議長さんがその市長の選挙対策責任者をやっておったのでありますが、秘書課で堂々と選挙はがきの配分をやっておったのを見て、非常に異様な感に打たれたことを覚えております。大なり小なり現役の長のところにはあるのでしょうけれども、このような点をすっきりさせないと、私は綱紀の乱れが出てくるのではないかというふうに考えます。  統一地方選挙を前にして、役所を利用しての選挙活動の規制についてどのような措置をとられておるのでしょうか、また、とられるおつもりでしょうか。
  98. 岩田脩

    ○岩田(脩)政府委員 御指摘がございましたので、品川の選挙管理委員会に少し事情を聞いてみたのでございますけれども、新聞の報道にございましたように、品川区の総合福祉センターという財団法人がございまして、この総合福祉センターそのものが、まだ建設を終わっておりません関係上、その財団法人の事務所が品川区役所の中に同居しておった、そこの事務局に区役所のOBの方が奉職をしておったということでございます。そして、そのOBの方が個人として——その団体の職員としてというのではなくて、個人として一般区民の有志の方の組織される選挙絡みの、選挙に関係のある団体の連絡文書をお出しになっているというか、その連絡文書にその方の名前と電話番号が書いてあったというケースでございます。  お話のように、これは、現職の公務員は地位利用による選挙運動が厳しく禁止されておるわけでございますけれども、の行為ではございませんけれども……(「勤務中にやっていると新聞に出ているよ」と呼ぶ者あり)そういったことではございませんけれども、ましてや個人としての行動ではありましたけれども、そういうことがございましたので、区の選挙管理委員会といたしましては、疑惑を招くことがないようにということを区長側に申し入れをいたしまして、区長の方では直ちに——直ちにと申しますか、事務所を閉鎖して、その方はもう区役所の中にはいらっしゃらないというように聞いております。  事実関係はほぼ以上のように承知しておりますけれども、ただいまお話がございましたように、公務員——この場合は現職の公務員ではございませんが、公務員がその地位を利用しての選挙運動というものは厳しく禁止されておるところでもありますし、こういった疑惑を生むようなことがないように今後とも注意してまいりたいと考えております。
  99. 小川省吾

    ○小川(省)委員 福岡の亀井知事のところの福陽会であるとか、あるいは、いまも不規則発言がありましたように、道庁マシンと言われるような北海道庁の例もあるわけであります。ですから、そういう点は、何といってもこれは綱紀が乱れるところのもとでありますから、そういう意味では、綱紀を粛正する意味で、現職の方の選挙の活動等に対して公務員が走り回るようなことのないように、ぜひひとつ注意をしていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
  100. 山本幸雄

    山本国務大臣 選挙は公正に行われなければなりませんし、地方公務員としては、地方公務員の本質にかんがみて、その本分にもとらないような行動をとっていただくことを、私としては強く望んでおるところでございます。
  101. 小川省吾

    ○小川(省)委員 終わります。
  102. 田村良平

    田村委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ────◇─────     午後三時三十五分開議
  103. 田村良平

    田村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。草野威君。
  104. 草野威

    ○草野委員 まず初めに、住民税減税問題についてお伺いをしたいと思います。  この住民税減税問題につきまして、過日以来与野党の合意、また議長見解、さらに官房長官政府見解と、こういうことで減税に関する見解があったわけでございまして、いずれにいたしましても最大限の努力をする、こういうことでございます。それを受けまして、大臣の御答弁を伺っておりましても、これまた減税に対しては尊重いたします、こういう御答弁があったわけでございますが、この減税、特に住民税減税の問題で一つだけ確認をさしていただきたいと思うのです。  それは、先ほど来の御答弁の中にも、この減税に当たりまして最大限の尊重をいたしますけれども、けれどもがつきまして、例の財源問題、国税の減収による交付税の問題、さらにまた国税地方税事務的な処理の問題、こういういろいろの問題がございますと、こういう御答弁でございました。  そこで、私は一つ御確認をさせていただきたいのは、その中で特に財源問題で、こういうことが理由で五十八年中に減税法案国会提出ができなくなる、このような事態はもうないもの、このように了解してよろしいでしょうか。
  105. 山本幸雄

    山本国務大臣 いま地方税減税をやろうとする場合の問題点を三つほどお挙げになりましたが、その中で、交付税による減額がございますし、それから地方税でどのくらい減税をするかということなど考えてきますと、国と地方で実質的にどれくらい財源を考えなければならないかという問題になりますと、地方財政の負担はなかなか重くなる、こう私は思っております。したがいまして、財源問題には真剣に取り組まなければならないことでございまして、どういう財源減税財源とするかということになってきますと、私はなかなかむずかしい問題があると思います。あると思いますが、しかし、財源がなかなかないからということだけでただいまお話のようなことにするというようなことは、私どもは毛頭考えていない。何とかこういう与野党一致の合意があるわけでございますから、その線に沿ってひとつ最大限の努力をしていきたい、こう思っておるのでございます。
  106. 草野威

    ○草野委員 ぜひともそういう方向で努力をしていただきたいと思います。  さらに重要なことは、せっかくのこの減税でございますが、時期を失ってしまうとこれまた大変なことになろうかと思います。「景気浮揚に役立つ相当規模の減税」、こういうことであるならば、これはもうできるだけ速やかに実施をしなければならないと思います。いま原油価格の値下がりの問題が出ておりますけれども、これは非常に明るい材料ではございますけれども、しかし、その効果があらわれてくるのはまだ先のことであろうと思います。したがって、現在国民の大多数が心から要望しております減税問題、特にこの五十八年度におきます住民税減税につきまして、その時期の問題、またその方法、規模の問題等につきまして、非常にむずかしい点があるのは十分承知しておりますけれども、そういう中で、自治大臣としてどのようなお考えをお持ちになっているか、承りたいと存じます。
  107. 山本幸雄

    山本国務大臣 これは国の方の所得税減税とももちろん連動するわけでございまして、では国の方で一体どういう規模で、またどういう時期におやりになるのかということもまだはっきりしていない、こう私ども思っております。これは予算委員会などで大蔵大臣答弁によりましても、ただいまお話しの財源問題もこれあり、税収の動向も見きわめなければならない、したがって、時期的にはまだ少し先のことになります、しかし、税制調査会などにはひとつ御検討願う意味で早目にお願いをしていこう、こういうのが大体大蔵大臣の御方針かなと私、思っておるのでございます。  私どもの方も、それに合わせて検討をさせていただかなければならぬと思っております。ただ、先ほどお話がございましたように、国税地方税の場合の違いというものも先生よく御理解いただいておることと思いますので、その辺のこともひとつ私ども考慮に入れながら、この問題の対応をしていきたいと思っております。
  108. 草野威

    ○草野委員 では、大臣の御努力を期待いたしまして、次の問題に移ります。  これも先ほどからお話ございました増税なき財政再建地方税増税という問題でございますが、臨調答申では、この増税なき財政再建ということにつきまして、「全体としての租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にはとらない」ということを言っておりますし、総理も、この原則については堅持することを再三言明しているわけでございます。  こういう中で、五十八年度税制改正におきまして自治省は、税負担公平化適正化を図るということで、初年度三百七億円、平年度に直しまして五百六十億円、これは国税を若干上回る増収措置を講じているわけでございます。こういうことになりますと、これは明らかに租税負担率の上昇をもたらすことになると思うわけでございまして、したがって、総理の増税なき財政再建趣旨には反することになるのではないか。いかがでしょうか。
  109. 山本幸雄

    山本国務大臣 増税なき財政再建というこの原則を政府としてはかたく守っていくということは、総理初め大蔵大臣もたびたび言明しておるところでございまして、私どももこの趣旨には政府として同じ立場で対応をしてきたし、また、今後もそういう態度でやっていかなければならぬと思っております。  お尋ねのことしの税制改正は、御存じのように、税率の中で定額であるものについてのみ改正をするということでありまして、これは五十二年、五十三年以降改正をしなかったものばかりであります。それは経済の進展あるいは物価の動向、そういうものから考えて納税者の相互間でやや不均衡が起こっておるという考え方で、不均衡を是正するという意味での最小限の税制改正を行ったということにとどまるものでありまして、不公平是正というのは税制の常に志さなければならない目標でございますから、私はそういう目標のもとでやったということでございますし、最小限の小幅にとどまっておりますので、私ども増税なき財政再建という基本理念に反するものではないと考えておるところであります。
  110. 草野威

    ○草野委員 いまの大臣の御答弁によりますと、不均衡、不公平を是正するという観点から行ったものであるから増税なき財政再建には反しないということでございます。今後、税負担公平化適正化ということで、そういうお考えで進めるということであれば、これも先ほど話に出ました直間比率の是正という問題でございますが、この直間比率の是正のための大型消費税の導入ということも臨調の原則には反しない、このように考えてもよろしいわけですか。
  111. 山本幸雄

    山本国務大臣 そういう大問題になってきますと、特に国税のことでございますから、私がここでかれこれ意見を申し上げるのは適当でないと思っております。ただ、全体として対GNP比国民租税負担率を上げない、こういう方向であると私は観念をいたしておるわけでございまして、税というのは常に不均衡のないように、公平ということをめどにして、その限りにおいて、全体としては租税負担率を上げないという枠の中で税の見直しは私はやむを得ないであろう、こう思っておるのでございます。国税のことでございますから、私がここで直間比率のことをかれこれ意見を申すのは適当でなかろうと思っております。
  112. 草野威

    ○草野委員 もう一問伺っておきたいのですが、そういたしますと、税負担公平化適正化ということによります増税の歯どめということについては、大臣はどのように考えておられますか。
  113. 山本幸雄

    山本国務大臣 具体的にどうするこうするということをいま申し上げることはできないわけでございますけれども、全体としていま申し上げるような租税負担率というものの観点から見て、制度的に新しい税目を起こすとかあるいは著しく税率を変更するということのために結果として全体の租税負担率が上がってくるということだけでは、これは増税なき財政再建趣旨に沿わない場合が起こるのではないかと思うのでございます。
  114. 草野威

    ○草野委員 次に、税源配分の問題について若干お尋ねをしたいと思います。  五十六年度の国、地方税源配分では、国が六四に対して地方が三六、このように言われていますね。実質的配分では、国が二三に対して地方が七七、これは国が財源を握って地方をコントロールするいわゆる中央集権的な財政構造を意味しているわけでございますが、地方団体が住民の意向を受けて主体的に住民本位の行政推進するためには、こういう国重点の税財政構造を改革して、そして国税の大幅な地方移譲を断行すべきであるということは当然のことであろうと思います。  私ども公明党といたしましては、国、地方税源配分についてはフィフティー・フィフティーになるようにならなければならない、このように考えておりますが、まず初めに、自治省は、この問題につきまして当面どのような比率が適当と考えておられるか、また、そのためにはどのような方策を考えていらっしゃいますか、伺いたいと思います。
  115. 関根則之

    関根政府委員 御指摘がございましたように、五十八年度地方財政計画におきましても、地方税収の見積もりをもとにいたしますと、国と地方税源配分は、国税が六三・六、地方税が三六・四というような形を想定しているわけでございます。この税源の国、地方配分は、近年ほとんど変わっていないというのが現状でございます。  私どもといたしましては、これもお話がございましたように、地方の自主的な財政運営を進めていく、地方の自律性を高め、地方自治の発展を図っていきますためには、地方税の拡充強化が必要であるという考え方のもとに、そのための努力をしてきたわけでございますけれども、このウエートが必ずしも上昇していないというのが現状でございます。  当面目標となる税源配分の数値といいますか、目標の割合があるかというお話でございますが、税源配分の目標値を設定するということはなかなかむずかしい問題でございまして、こういうくらいがよろしいと思いますといったような数字は、私どもとしては持ち合わせていないわけでございます。  御承知のとおり、地方には地域的な税源の偏在という問題があるものですから、なかなか一概に地方税をふやせばよろしいというわけにもまいらない面があるわけでございます。いまお話がありました国税地方税税源配分の割合をフィフティー・フィフティーで持っていくということになりますと、六兆六千億ほどの税源を国から地方へ移さなければいけない。これは五十八年度の国の予算なり地方財政計画をもとにして計算いたしましてそういうことが言えるわけでございますけれども、それだけの税目を直ちにどれとどれにするかというようなことも、これまたなかなかむずかしい問題でございます。特に国の財政地方と同様に非常に苦しい状況の中で、具体的に相当大きな税目を地方に移すということが簡単にできないという状況であるというふうに認識をいたしております。  いずれにいたしましても、しかし、基本的に私どもとしては、地方税源の充実強化が必要であるというふうに考えておりますので、今後地方制度調査会なりあるいは税制調査会の御審議も煩わしながら、私どもとして考え方をまとめ、そのための努力をしていきたいというふうに考えております。
  116. 草野威

    ○草野委員 私は横浜市に住んでおりますけれども、この横浜市域内の税収入の状況を調べてみますと、県税と市税合わしたものと国税の割合でございますけれども、四〇%を超えているわけでございます。四二・一%、こういう状態になっているわけでございますが、比較的財源が豊かと言われるこの横浜市の場合でこの程度でございます。もしこれを先ほどのフィフティー・フィフティーにする場合にはあと六兆六千億ほどの財源が必要だ、こういうようなお話でございますけれども、全国的に見た場合には、この割合というものが一〇対九〇程度のところもあるのではないかと思います。もしこれをフィフティー・フィフティーにする場合、たとえばこの横浜市の場合などを考えてみますと、六〇対四〇だとか六五対三五だとか、恐らくそのくらいまでなるのではないかと思います。したがって、現在のこの四二%程度というものは、他と比較した場合いいというだけであって、かなりこれも問題があろうかと思います。  そういう中で、今回の臨調答申は、国と地方の間の機能配分のあり方を示しております。また財政問題についても若干の是正策、こういうものを提示しているわけでございますけれども、非常に奇妙なことに、この一番根本になる税源配分については全く触れられていないように思うのです。こういう点について自治省はどのようにお考えになっているか、また、このような答申が出される前に、自治省はこの是正方について何か申し入れを行ったようなことがあるわけですか、いかがですか。
  117. 関根則之

    関根政府委員 臨調審議の過程におきまして、私どももたびたび説明に参上いたしましたり、あるいは臨調サイドからいろいろと意見も聞かれたことがあるわけでございますけれども、そのたびに、税源の問題につきましては、私どもは、地方分権を本当に進めていくんならば、その一番基本になる税源の拡充強化というものが必要でございますよ、そういうことをひとつ十分御検討いただきたいということは何遍も申し上げてきたところでございます。  しかし、残念ながら、地方分権考え方そのものははっきりと臨調答申に述べられているわけでございますけれども、それの裏打ちとなる地方税源の拡充強化という問題が、全然ないというわけではございませんが、ストレートに真っ正面からそういう形でとらえられていないということについては、私ども説明不足があったのかもしれませんが、残念に感じているところでございます。  ただ、実際の運用等につきましては、地方課税自主権と申しますか、自主的な税の運用ができやすいように、超過課税でありますとかあるいは法定外普通税等についてできるだけ弾力的な運用なり活用なりを図っていくべきだといったようなくだりもあるわけでございまして、そういう問題について多少とも御理解はいただけているのではないかというふうに受け取っております。そういう御指摘をいただきました事項については、今後の制度なり運用面におきまして、できるだけ趣旨に沿った取り扱いなり運営をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  118. 草野威

    ○草野委員 では次に、非課税等特別措置の整理合理化の問題について若干伺いたいと思います。  昭和五十八年度税制改正におきまして、先ほど来言われておりますように、税負担公平適正化、こういうところが主眼につくられたわけでございますが、これによる整理合理化の件数はどのくらいになっておりますか、また増収額はどのくらいになっておりますか、この二点について伺いたいと思います。
  119. 関根則之

    関根政府委員 五十八年度税制改正に当たりまして地方税法上の非課税等特別措置の整理合理化件数でございますが、廃止いたしましたものが一件、縮減合理化を図りましたものが二十件でございます。そのほかに、いつも問題になります電気税の産業用の非課税品目というのがございますが、それのうち一件を廃止をいたしております。  なお、これらの措置に伴う増収額は、わずかでございますが、約二億円ということで推計をいたしております。
  120. 草野威

    ○草野委員 もう一点伺います。  五十八年度税制改正で、特別措置の整理合理化がいまおっしゃられたように進められている一方、逆に新しく特別措置が講じられたり、また既存の特別措置が拡充されたもの、そういうものもあるようでございますけれども、その件数、同じく減収額はどうなっておりますか。
  121. 関根則之

    関根政府委員 新設をいたしましたものは五件でございます。それから、拡充をいたしましたものが同じく五件ございます。これはいままでありました非課税措置等の対象となる施設を広げていくとか、そういった形で非課税等特別措置が拡充をされております。それから、従来ございましたものを自動的に延長いたしたものが十二件ございます。  これに伴う減収額でございますが、新設によりまして減収額が生じましたものが十億六百万円、それから拡充によりまして減収になりますものが二十五億四千百万円でございます。単純延長につきましては、これは前と変わらないという認識のもとに、特に増減収額を立てておりません。
  122. 草野威

    ○草野委員 いまお伺いしたところによりますと、整理合理化が二十件プラス二件で合計で二十二件、増収額にしますと約二億円。それから逆に、新しく特別措置が講じられたとかまた既存の特別措置が拡充された、こういうものが合わせて十件で三十五億円、こういうふうにいまの御説明ではなるわけでございます。いまの数字を伺いますと、先ほど大臣から税負担公平化、また適正化、こういうふうに言われているわけでございますけれども、どうも何かこういう数字だけを伺いますと、ぴんと来ないような感じがするわけですね。  いまいろいろ御説明をいただきましたけれども、その中にはたしか国鉄分なども入っているんではないかと思いますが、いまも本会議場で国鉄の再建問題につきましてはいろいろと議論があったわけでございますが、たとえば国鉄に対して、今回の上越・東北新幹線、たしか非常にトンネル等多いわけでございますけれども、こういう国鉄に対するたとえば固定資産税につきましては二分の一ということになっておるわけですね。それ以外に私鉄並みの措置がとられているわけでございまして、その上に今回また特別な措置がされる、こういうことになるわけですね。こういうことをあれやこれや考えてみますと、国鉄は、たしか赤字はわかっておりますけれども、少し優遇をされ過ぎるんではないか、こんなような感じがしてならないわけですね。  それからまた、恐らく先ほどの十件の中には自衛隊に対する軽油引取税、こういう問題も入っているんじゃないかと思うのですね。  そういうことをずっと総合して考えてみますと、いろいろと理由はあると思いますけれども、こういうふうにして財政が非常に厳しい中で一体これでいいのかな、こういうふうに思われてならないのです。したがって、この非課税等の特別措置の整理というものについては、もっとひとつ積極的に進めていかなければならない。少なくとも増収額が減収額を上回るようにすべきじゃないかな、このように考えるわけでございますが、いかがでしょうか。
  123. 関根則之

    関根政府委員 先ほど答弁に整理上の誤りがございましたので、訂正させていただきたいと思いますが、新設五件と申し上げましたが、その後精査の結果、整理のやり方を新設を一件減らしまして四件とし、拡充を六件というふうに数えた方がより適当であろうということでございますので、そういう形になっておりますので、訂正をさせていただきたいと思います。したがって、それに伴う減収額につきましては、新設四件分が七億六百万円、それから拡充分が二十五億四千百万円と申し上げましたが、二十八億四千百万円ということで御理解をいただきたいと思います。  御質問の、たとえば国鉄納付金に係る新線構築物の納付金算定標準額の特例措置をさらに強化するという問題について御指摘があったわけでございますが、これは新しく東北新幹線と上越新幹線が営業を始めましたので、それに基づきまして固定資産の対象範囲が広がることに伴いまして、納付金の額が相当額ふえてまいります。百億を超す金額がふえてまいりまして、なかなかそうでなくても東北新幹線、上越新幹線につきましては大きな赤字経営にならざるを得ないというような状況がございまして、地元といいますか、通過の関係地方団体からの要望まであったような状況の中で、これにつきましてはさらに特例を設けるというような形にいたしたわけでございます。なお、この減収額につきましては、五十九年度から実際に影響が出てくる。五十八年度には影響がないわけでございます。  そういうことで、しかし、いずれにしても減収額がよりよけい立っているではないかという御指摘でございます。私どもも基本的には、租税特別措置なりあるいは非課税等特別措置を整理合理化を進めて、それによって増収になる金額をよりよけいふやそうということで努力をいたしておるわけでございますが、たとえば先ほど申し上げました新設四件の中の大部分六億五千万は、同居特別障害者に係る配偶者控除なり扶養控除なりの特例措置を例の三万円上乗せいたしまして認めるという制度を、現在法改正でお願いいたしておりますが、そういうものであるわけでございまして、これなどは国税と平仄を合わせまして、自宅でお年寄りなり特別障害者を介抱していらっしゃる方々に対する税制上のわずかではございますが協力と申しますか、そういう考え方で設けているわけでございまして、それぞれ理由があって設けざるを得ないというのが実情でございます。  決して安易に新しい租税特別措置なり非課税措置を設けているというものではないわけでございます。基本的な方向といたしましては、しかし御指摘をいただきましたように、できるだけ整理合理化を進めていくということで努力をしてまいりたいと考えております。
  124. 草野威

    ○草野委員 私も全然内容がわからないで言っているわけではなくて、そういうことも承知の上で言っているわけなんですけれども、ともかくそれにいたしましても、公平適正ということを言われる以上は、少なくともこの整理合理化が、増収額が減収額を上回らなければ意味がないんじゃないか、こういうふうに思うから指摘したわけでございますので、一層ひとつ努力をしていただきたいと思います。  次に移りますが、次は、電気ガス税の問題でございますが、初めに電気ガス税の非課税措置の基準、この基準はどのようになっておりますか。また、それはいつ設けられたものですか。
  125. 関根則之

    関根政府委員 電気ガス税の非課税の基本的な基準といたしましては、製品コスト中に占める電気料金の割合がおおむね五%以上となる産業でありまして、しかもその産業のうち重要基幹産業なり新規重要産業、こういうものを対象にしてやるべきだという考え方に基づいて実施をいたしております。これは、税制調査会の昭和三十六年十二月の答申に基づきまして、そういう基本的な方針を設定をいたしまして運用をしてきているわけでございます。
  126. 草野威

    ○草野委員 二十年前ということでございますが、その後の企業のいろいろな体質の強化とか国際競争力、こういうものが非常に強化されてきまして、現在ではどちらかというと、貿易摩擦を起こすような、こういうような現状になっているわけですね。そのようにして二十年前とは一変しているわけでございますので、やはり現在の社会経済の変化に即応してこの基準を見直すべきではないか、こういうような声もあるわけでございます。当時の税率は一〇%、現在は五%、半分になっているわけでございますので、この面からもこの基準の見直しは必要じゃないか、このように思いますが、いかがでしょうか。
  127. 関根則之

    関根政府委員 基準の見直しを行うべきではないかという議論は各方面からあるわけでございます。ただしかし、現在の非課税措置がどうして産業用電気について設けられているのかという基本のことを考えてみますと、これは先生、十分御承知のこととは思いますけれども、要は、産業用電気というのは、その産業にとりましての原料であるわけでございます。原料の電気料金が上がる、あるいは電気料金に対する税金が電気料金と一緒に重なってくるということになりますと、原料の価格が上がってくるということになるわけでございまして、その原料の価格は当然のことながら製品の価格に転嫁をいたしまして、市場へ出る製品価格が上昇してくる、こういうことになる。その原料課税というものをできるだけ避けていって価格の安定を図る。ひいては、国民経済にとってきわめて重要な基幹産業等においては、国際競争力を強めるというような配慮も多分あったというふうに考えられるわけでございます。  そういう基本のところの問題があるわけでございまして、特に最近、そういった基礎素材産業系統が不況になってきております。そういう影響もございまして、五%以上一〇%未満のところに、たとえば石油化学系統の製品等が相当入っておるというような問題もございまして、この五%基準というものを一挙に、たとえば一〇%に上げるとか、そういうことが非常にむずかしい状況が出てきているわけでございます。そんなことから、これはいろいろな御意見はいただいておりますけれども、この基準の率だけで一挙に変えていくということがなかなかむずかしいという問題がありまして、現在まで実際の改定が行い得ない状況になってきているわけでございます。  税制調査会等において常にこの問題については御審議をいただいているわけでございますが、一方では、早くさらに積極的に整理合理化を進めるべきであるという意見があります反面に、物価に与える影響等について十分配慮すべきであるという反対側からの御意見もありまして、この問題についてさらに基準を基本的に改めるというようなことについてまとまった御意見がいただけてないというのが現状でございます。  私ども、産業用電気の非課税品目につきましては、できるだけ整理を進めていく、実態に合ったような形で進めていくということについてはそのとおりでございますし、そのとおり努力をいたしますが、この基準をわりかし短い期間に、近い将来に変えてまいりますということを申し上げるところまではまいらないというのが実情でございます。
  128. 草野威

    ○草野委員 先ほどお話ございましたけれども、今回は一品目が非課税対象から外された、燐が外されたわけですね。燐がこの対象から外されたということはどういう理由でしょうか。
  129. 関根則之

    関根政府委員 燐につきましては、通産省と協議の結果、少しでも非課税品目の整理を進めていきたいという自治省の意向も酌んでいただきまして、通産省の方で選定をいただいた産業品目であるわけでございます。したがって、通産省が総体的に考えまして最終的な判断をしていただきましたので、必ずしも私ども答弁申し上げるのが適当であるかどうか心配でございますけれども、お聞きをいたしますところでは、最近燐の生産量がだんだんと減ってまいりまして、産業といたしましても、いわば国民生活に重要な基幹産業であるというところから、だんだんそういう産業でなくなってきた、性格を少し異にしてきたというようなことが、その選定の理由ではなかろうかというように考えております。
  130. 草野威

    ○草野委員 国民生活にとって燐の占める割合というものは非常に影響が少なくなってきた、こういうことでございますが、そうしますと、この燐の場合、製品コスト中に占める電気料金の割合というのは、何%になっているわけですか。それと、いまのお話でございますけれども、燐については非課税対象から外しても物価等に対する影響はない、こういうことからでございますか。
  131. 関根則之

    関根政府委員 燐の場合には、製品コスト中に占める電気料金の割合は、昭和五十六年度で四六・八%になっております。したがって、製品コスト中に占める比率だけから申し上げますと非常に高いわけでございます。ただ、先ほど申し上げました非課税基準というのは、おおむね五%というもの——パーセントは五%でございますけれども、あくまで重要基幹産業または新規重要産業というものの中で五%以上という形に設定をいたしておりますので、どんな産業でも五%以上あればすべて非課税、そういう基準ではないわけでございます。そういう意味におきまして、燐がまあまあ最近輸入等に依存する分野が非常に多くなって、必ずしも、民生用といいますか、すぐに価格に反映をすることによって直ちに国民生活に影響を及ぼす、そういう産業でなくなったということのために、今回、整理対象になったというふうに考えております。
  132. 草野威

    ○草野委員 燐の場合、私の認識では、たしか製造しているメーカーが一社ではないかと思うのですね。そういうことから考えてまいりますと、国民生活に与える影響という点から見ましても、メーカーの数が一社とか二社とか、こういうようなところはやはり外しても、国民生活の影響というものはそんなにないんじゃないかと思うのですね。これは全部で八十品目、今度除いて七十九品目ございますけれども、一社とか二社しかやっていない場合は外しても、物価に対する影響なんかないのじゃないかと思うのですけれども、そこら辺のところはどうですか。
  133. 関根則之

    関根政府委員 燐の場合には、御指摘がございましたように製造会社は一社というふうに私ども承っております。したがって、こういう産業については産業用電気の非課税を外しまして課税対象にするということにいたしましても、多少コストが上がってくるということになるわけでございますが、それをやりましてもそう大きな国民生活への影響は出てこない、こういう判断のもとに今度課税対象に加えたわけでございます。
  134. 草野威

    ○草野委員 いまの御説明ありましたけれども、この八十品目の中で、五%から一〇%までのところが、私の調べによりますと四社あります。それから、一〇%から二〇%のところは三社、二〇%以上のところが八社、合計十五社あるわけですね。私はいまの局長の答弁を伺いまして、燐のメーカー、ここら辺のところを対象から外したということであれば、もうほかの七十九品目全部を外してもいいのじゃないかというような気がしてならないわけですね。  それから、もう一つ伺っておきたいのですが、いまの一つとか二つとかいう数の少ないメーカーでございますけれども、やはり地方団体課税権を与える、こういう観点からも外してもいいんじゃないか、このように思いますけれども、こういう意見に対してはいかがですか。
  135. 関根則之

    関根政府委員 地方団体課税をするかしないかを任せてしまうといいますか、自主的な決定にゆだねるというやり方についてどうかということでございますけれども、やはり産業というのは特定の地方団体の中だけで運営をしていくものではないわけでございまして、国民経済の中で広く経済的な関連を持ちながら生存していくものであろうと思います。日本の経済の中でいろいろな産業が動いているわけでございますから、もちろんあるいは日本の経済を離れて世界経済の中と言ってもいいのかもしれませんが、いずれにしろ地方団体で、ある団体では課税をし、ある団体では課税をしないというようなことになりますと、物の流通なりあるいは産業活動に大きな影響を与える場合もあるわけでございます。  そういうような観点から、電気税等についての非課税品目については国の法律で一応一律に定めさせていただいておる、こういうことではなかろうかと思います。したがって、もちろん超過課税でありますとか法定外普通税でありますとか、こういったものにつきましては、できるだけ自主的な判断に基づいてこれを設定していただくというような仕組みをとっておりますけれども、この問題についてはちょっとそういう方式になじまないのではなかろうかと考えます。
  136. 草野威

    ○草野委員 私は、八十品目全部について地方課税権を与えよと言っているのではなくて、一社とか二社とか、そういうきわめて限られたメーカーの場合、こういう場合には検討できるかどうか、こういう意味お尋ねしたわけです。  それから、五十八年度の電気税の収入見込み額、これはたしか四千四百三十六億円というように伺っております。また、この非課税導入措置による減収見込み額は約千二百億円ということも伺っているわけでございます。そういたしますと、電気税では税法上徴収できる額が約二割非課税等で徴収できないわけでございますが、このように徴収権が大幅に制約されている税目、こういうものはほかにございますか。
  137. 関根則之

    関根政府委員 計数的にちょっとデータをいま持ち合わせておりませんけれども、二割も特定の税目で非課税等特別措置によって除外されておるというものはないものと考えます。
  138. 草野威

    ○草野委員 私もたしかないというふうに聞いております。したがって、この電気税の問題については十分にひとつ御検討を今後もお願いしたいと思います。  次に、グリーンカードの問題についてちょっと簡単に伺いたいと思います。  このグリーンカードの問題につきまして、先ほど大蔵省の方からも説明がございまして、私も了承しておりますけれども、もしグリーンカード法が予定どおり施行された場合、現在地方税では非課税となっている利子配当、こういうものについても課税できるようになるということは事実でございますか。
  139. 関根則之

    関根政府委員 グリーンカードそのものは、実は少額非課税貯蓄の限度管理をきちんとやろうというのが主な目的であるというふうに聞いております。しかし、それとは別に、いわゆる利子配当課税につきまして総合課税に移行するという考え方が別途あったわけでございます。その総合課税に移行するときに、少額非課税預金の限度管理がきちんとしてありませんと総合課税の方がしり抜けになってしまう、こういう問題もありまして、五十九年度から国税においてはスタートする、こういうふうな仕組みになっていたわけでございます。  したがって、論理的には、グリーンカードがやめになったからといって総合課税が絶対できないというものではないわけでございますけれども、従来の考え方に従いますと、グリーンカードと総合課税とを同時に進める、そういうことでございますので、総合課税になりさえすれば私どもはその金額がつかめるわけでございますから、住民税の対象として、住民税を県も市町村もいただけるようになる、課税できるようになる、そういうふうに理解をいたしております。
  140. 草野威

    ○草野委員 もし総合課税になった場合、利子配当の額というのは大体どのくらいになりますか、地方税で。
  141. 関根則之

    関根政府委員 これは推計方式がなかなかむずかしくて、必ずしも的確な数字がつかめないわけでございます。いろんな推計をいたして数字を内々出しておりますが、私どもといたしましては、ほぼ一千億円程度というふうに見ております。
  142. 草野威

    ○草野委員 この問題につきましていわゆるアングラマネー、こういうものがいろいろと言われております。このアングラマネーの問題でございますが、いかがでしょうか、そのアングラマネーということに対する定義だとか、その規模だとか、これは言われる人によってなかなか一定していないわけでございますけれども、こういうものについてはどのようにお考えになっていますか。
  143. 関根則之

    関根政府委員 アングラマネーというのは、多分アンダーグラウンドマネーの要約語であろうと思います。しかし、アンダーグラウンドといいますと、まさに地の底にひそんでいるような資金であるわけでございますし、その源泉は多分所得を隠蔽をしたような、いわゆる脱税にかかわるような資金というものと関連をしてくることだろうと思います。いずれにしろ、公表されたり表面上明確になった金ではないわけでございますので、私どもが責任のある場において責任のある答弁として、金額なりあるいはその輪郭等について明確なことを申し上げることができない性格のものであると認識しております。
  144. 草野威

    ○草野委員 確かにそのとおりだと思います。しかし、もしこれが表面に出てきた場合にはかなりの増収が見込まれるであろう、このように言われているわけでございますし、私もある程度は真実だと思っております。  そこで、これは一つの調査でございますけれども、総理府の貯蓄動向調査によりますと、これは五十六年度末でございますけれども、一世帯平均の金融資産が六百五十万円となっております。これに世帯数を掛けてみますと二百三十六兆円になるわけでございます。また、日本銀行の調査によります五十六年度末の個人の貯蓄残高が三百二十八兆円、このように言われております。いま三つの計数を挙げましたけれども、日銀調査の個人貯蓄残高から全世帯の金融資産を引いてみますと、百二兆円という数字が出てまいります。私は、この百二兆円のすべてがアングラマネー、こういうふうに申し上げるわけでは決してございませんけれども、この金額につきましてある専門の学者の調査によりますと、この百二兆円につきまして、このうち六十八兆円がアングラマネーである、こういうような意見もあるわけでございます。  そういう中で、先ほどからこのアングラマネーに対する局長さんの見解もいただいたわけでございますけれども、もしこれが、こういう金額に対しまして適正な課税がされたら一体どういうことになるだろうか。たとえば先ほどの百二兆円という金額でございますけれども、この百二兆円につきまして仮にこういう計算も考えてみました。これは、このアングラマネーが外国に逃避するとか、それから不動産の方に変わっていくとか、そういうことは一応抜きにしましてこの百兆円というものを考えた場合、国税の総合課税で税率は五〇%、また国税地方税の比率七対三、こんなことをして計算をしてみますと一兆五千億円、百兆円のアングラマネーに対しまして一兆五千億円という金額がはじき出されるわけなんですね。これは、百兆円に対して利子七%として、またその税率を国税を五〇%として、そして国と地方税の割合が七、三とした場合、一兆五千億になる計算でございます。これは大した額になるわけですね。こういう額が全部地下に埋もれているわけですから、こういうこともやはり自治省としても大いに今後の研究課題としてひとつやっていただきたいと思うのです。  たとえばアメリカにおきまして、やはり日本同様にアングラマネーの問題が話題になっております。そういう中でレーガン大統領が、昨年このことにつきまして演説をぶっているわけです。もしアメリカで九百五十億ドルの課税で増収ということになれば、約一千億ドルの赤字は直ちに解消できるのだ、こういうようなことをレーガン大統領も演説で話されているわけなんですね。  私は、今回のこのグリーンカード法の延期という問題につきまして、非常に残念に思っているわけです。一たんわれわれが決めた法律を延期するということ、しかも先ほど大蔵省の方の御答弁によりますと、法的安定性という言葉を使われておりましたけれども、そういうことで延期をされた。非常に残念でならないわけでございます。いまのこのアングラマネーの問題につきましても、こんなようなたとえの計算をしたわけでございますけれども、こんな数字がすぐはじき出されるわけですね。こういうことを含めて、この問題に対する自治省のお考え方、こういうものを伺いたいと思うのです。
  145. 関根則之

    関根政府委員 アングラマネーにつきましては、その規模なりが相当大きなものになるという新聞記事なり雑誌、その他いろいろな書物などにも紹介をされているのは、私ども勉強はいたしております。先生の御指摘、引用されましたような計算方式も十分成り立ち得るものというふうに考えますが、いずれにせよ、実態について私どもが知り得る立場にないものですから、必ずしも明確なことが申し上げられないわけでございます。  しかし、いずれにしろ、そういったえたいの知れない資金がどこから出てくるかということになりますと、基本的な問題は、税におきまする所得の源泉の把握というものが必ずしも十分ではないという面があずかっているのではなかろうかというふうに考える次第でございます。また、その所得の把握差という問題が、世間に言われておりますようなクロヨンというような問題を起こしているもとであるわけでございますから、この所得の把握につきましては、私どもも税務行政を執行する上で十分配慮をしながら進めていかなければいかぬというふうに考えます。  これは何も地方税だけの問題ではございませんで、国税地方税を通じての問題でございまして、私ども国税当局も同じような認識を持っているわけです。そういう問題に対処いたしますために、税制調査会におきましても申告納税制度特別部会というものを、昨年の秋だったかと思いますが、設置をしていただきまして、現在、そういった実態に即した申告制度の運用が円滑に行われ、かつ的確な所得の把握、収入の把握が行い得るような方策について、制度なり運用面なりについての問題点を御検討いただいているわけでございます。  私どもとしてもその審議の結論が待たれるところでございますが、単に審議の結論を待っているというばかりではなくて、私どももその審議に対しましていろいろな資料の提出その他検討に参加をいたしまして、今後の検討課題として十分取り組んでいきたいというふうに考えておる次第でございます。
  146. 草野威

    ○草野委員 この問題につきまして、大臣に最後に伺っておきたいと思いますけれども、やはり地方税の増強という観点から、大臣大蔵省に対してこのグリーンカード法の施行延期の中止を申し入れるべきではないか、このように思いますが、いかがですか。
  147. 山本幸雄

    山本国務大臣 先ほどからいろいろ御意見を伺ったのでございますが、グリーンカード制度は、マル優制度のきわめて円滑なる運営を図ろう、こういう趣旨からで、そして利子配当の総合課税をやろうということから始まったものでございます。その後諸般の事情、いろいろ経済事象が起こりまして、それらに対する対応というものから考えて、グリーンカード制度をしばらく延期する、こういう措置になったものと考えているわけでございます。  全体としまして、私は、先ほど来のグリーンカードの問題、あるいは地下経済の問題にしろ、ともかく税の対象となる所得というものを捕捉するということがまず先決だと思います。これは非常にむずかしい問題で、それさえ捕捉すれば当然に課税はできるわけでございますが、それらを捕捉するということについて非常にむずかしい問題が技術的にあると私は思うのです。現在の税務担当者は、そういう点では非常な努力をしておるものと私は思うけれども、しかし、そういう点についての目がなかなか届かないというところに問題があるわけでございます。何とかそういう捕捉の方法にいい方法がないか。いい方法があれば、私は当然に、先ほど来おっしゃるような課税の公平という点からいっても非常に必要なことでございますから、やれるものだと思うのでございますが、何せそういう点がまず知恵比べみたいなもので、そこのところの税務当局の捕捉に対する技術的な諸問題を解決しなければ、なかなかその問題に踏み込めないのではないだろうか。私どものいま地方税の立場からいいましても国税とその点は全く同じでございまして、国税当局と地方税の担当者が一体になってそういう問題をやらなければならないということは当然のことだと思っております。そういう点では先生の御意見、私も全く同感でございます。
  148. 草野威

    ○草野委員 同感ということで、申し入れをやってくださるのかどうかまでは聞かなかったわけでございますけれども、ともかく大臣が常々おっしゃっております税負担公平適正化、こういうことに向かいまして、正直者がばかを見るようなそういうことだけは絶対にないように、ひとつ今後も研究し、御努力をお願いしたいと思います。  次に、三公社の納付金の問題でございますが、五十八年度の三公社の納付金の納付額はどのようになっておりますか。また、納付金の算定基準特例の廃止、五十八年度も見送られているわけでございますが、どのような理由によるものですか。
  149. 関根則之

    関根政府委員 三公社の納付金の金額でございますが、昭和五十七年度は、電電公社が五百四十八億円、専売公社が二十六億円、国鉄が二百八十二億円、合計八百五十六億円が収入される見込みでございます。  この特例の廃止問題につきましては、私どもも前々から廃止できないものか、こういう考え方を持ちまして、各方面に働きかけをし、要請もしてまいりました。また、地方団体からも廃止すべき旨の要請が非常に強いところでございます。そういうものを背景にいたしまして、ことしの五十八年度税制改正論議いたします国の税制調査会におきましても議論をいただいたわけでございます。  五十八年度税制改正審議におきましては、例年になく真剣な議論がなされたものというふうに私どもは受けとめております。しかし、結論といたしましては、いわば両論併記のような形でございまして、一方で廃止すべきであるという意見がありまして、その反対側に、なおしばらく公社の公共性等について配慮をすべきである、こういう意見もございまして、まとまった結論を得るに至らなかったわけでございます。  私どもとしては非常に残念である。特に、国の納付金制度が五十六年度から始まっている最中でございますので、地方団体からの要望もその分だけよけいに強かったわけでございます。こういう時期にこの問題に片をつけたいと思ったわけでございますけれども一つには、臨調におきまして三公社の経営形態のあり方について議論がなされておりまして、先日最終答申もあったわけでございますが、経営形態の変更等を間近に控えた時点において、必ずしもいまここでこの問題を片づける必要があるのかといった疑問も提起されたわけでございます。しかし、先ほども申し上げましたように、基本的にはこの問題が一挙に片づかなかったのは、やはり引き続き公社という国の公共企業体というものの性格及びその持っている公共性というものが一つの壁になっているものというふうに考えております。
  150. 草野威

    ○草野委員 いまの局長の御答弁を伺いましても、非常に残念なことなんですね。たとえば電電の場合には、五十八年度の特別納付金二千四百億、専売公社では九百億、昨年よりかなりふえているわけですね。例年と異なってこのように多額の納付金を国に対して行っているのに、地方団体に対する納付金については全然制度是正を認めない、これはまことに不合理なことだと思いますね。  そこで、この納付金の特別措置是正という問題につきまして、一挙にこれを全廃するのではなくて、激変緩和、こういう措置を講ずるという方法も考えられるのではないかと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  151. 山本幸雄

    山本国務大臣 この問題は、地方税という立場からいいますと、懸案の問題でございます。その中で、三公社の中で、やはり国鉄は少しいま赤字で困っているという状況もございます。しかし、電電公社につきましては、国の方の税外収入の方にも相当貢献をしておるわけでございます。また、電電公社の経営の状況から見ますと、国鉄とは趣を異にしている。そこで電電公社は、先ごろ遠距離の通話料も安くするという措置もしております。そこで、電電公社の経営内容というものから考えて、私どもは、国の方も税外収入としてはぜひ電電公社の協力を求めたい、しかし、私どもの方もぜひひとつこれは固定資産税の本則に戻してもらいたい、こういう強い要求を持っておるわけでございまして、来年度もひとつぜひこの問題は電電公社と折衝して、本則に戻れるように努力をしてみたい、こう考えております。
  152. 草野威

    ○草野委員 では次に、事業所税の問題についてお尋ねをしたいと思います。  事業所税の課税団体の拡大につきましては、数年来国会でも論議がなされております。また、地方団体も強く要望しているわけでございますが、五十八年度もその改正は見送られております。政府税調は、「事業所税の性格等を踏まえつつ引き続き検討」する、このようにしておりますが、一体どういう点についてまだ検討の不足な点があるのか。これは一体どういうことなんですか。「事業所税の性格等を踏まえつつ引き続き検討」する、これはずいぶんやっているわけですね。検討不足の事項はまだ残っているのでしょうか。
  153. 関根則之

    関根政府委員 議論というのは、やはり賛成論と反対論とがいろいろと相闘うような形になるわけでございまして、実は、何とか拡大をできないかという私どもから申し上げますと、もう議論の余地は残されていないんではないかというふうに考えるわけでございますけれども、なおしかし、税のたとえば基本的な性格といたしまして、固定資産税があり、都市計画税がある。都市計画事業の財源に充てるためには都市計画税というものがあって、その税率も先年引き上げたばかりである、そういうことで充実をしてきているではないか、その上になおかつ事業所税というものを取るのはやはり問題があるのではないかといったような、いま取っている事業所税そのものにまで踏み込んだ議論をなさる方も実はあるわけでございます。そういう意味におきまして、議論の種というのはまだ尽きていないものというふうに現状がなっておるということでございます。  しかし、先ほども実は申し上げたわけでございますが、そういう税の性格なり税のあり方の純粋な理論の問題ばかりでは実はございませんで、五十八年度税制論議の中で事業所税が拡大ができなかった直接的な原因は、私はやはり増税なき財政再建という考え方が大きな大枠として背景にあったというふうに考えております。  と申しますのは、やはり人口二十万台の都市に所在する事業所にありましてはいままで全然課税をされていなかったわけでございますが、その事業所が一挙に根っこから課税対象になってくるという問題があります。事業所税そのものは別に新設のものではございません。従来からありましたものを適用対象範囲を拡大していくという性格のものではございますけれども、拡大された都市においては新規に課税がなされるという形になりますので、そういうものに対する増税なき財政再建が言われているときにどうしてそんな税の新設とも思われるような措置をとるのかというような議論、これが一番直接的な障害となりまして五十八年度税制改正ではできなかったもの、先生御指摘いただきました政府の税調答申では、まさに「引き続き検討すべきもの」という形で、そこまでのことは言っておりませんけれども、私は、実態論としては、いま申し上げましたようなことがあったものというふうに理解をいたしております。
  154. 草野威

    ○草野委員 局長の御答弁はそれなりに理解できますが、たとえば人口二十万都市がこれを法定外税として、この同じ内容の税を起こして自治省に申請した場合、自治大臣はこれを許可をするかしないか、端的にお答えをいただきたい。  それからもう一つは、参考までに、すべての県庁所在都市まで拡大した場合、どの程度の増収になりますか。
  155. 関根則之

    関根政府委員 法定外普通税としての許可申請が出てきた場合は、残念ながら、これを許可することはできないだろうと考えます。これは基本的な問題といたしまして、既定税制がありまして、その税制の中に入る税でありながら、それを法定外で設けるということにつきましては、従来からそういうことは法律趣旨からしてもできませんという考え方をとっておりますので、むずかしい問題であろうと思います。  なお、現在県庁の所在都市で事業所税の課税団体になっていないところが十七都市あるわけでございますが、これらに課税権を与えました場合には、増収額は約六十億円と推計をいたしております。
  156. 草野威

    ○草野委員 最後に、簡単に地方事務官の問題について大臣のお考えを伺いたいと思います。  先日の臨調答申によりますと、その大半を国家公務員にする、こういうことで決着がつけられたわけでございます。戦後十回目の統一地方選挙を迎えまして、戦後四十年にわたる長年の懸案がこういうような形で決着を見たということは、地方自治体の現在のあり方を考える上できわめて象徴的な出来事のように思えてならないわけでございますが、この問題に対する大臣の御見解というものを承りまして、終わりにしたいと思います。
  157. 山本幸雄

    山本国務大臣 御承知のように、この問題は三十数年来の問題でございます。地方自治法の施行の際に暫定的な制度として設けられたのでございましたが、大変長い間、その暫定措置が根をおろしてしまったということでございます。  今回の臨調答申では、この問題についての一応決着をつける、こういうことでございました。ただ、いま仰せのごとく、その方向は従来から私どもの主張してきたところとは趣を異にしておるわけでございまして、これについては、臨調臨調のお考えがあるのであろうと思うしか考えようが実はないわけでございます。そういうおつもりなどもしかと承りまして、私ども今後の、いろいろまだそれに伴う問題点がございますから、対応をひとつやっていきたい。それには、地方制度調査会という会もあるわけでございますので、あるいは各方面の御意見も伺いながら、対応を決めていきたいと思っております。
  158. 草野威

    ○草野委員 終わります。
  159. 田村良平

    田村委員長 青山丘君。
  160. 青山丘

    ○青山委員 片っ方では目の覚めるような質問をやれという要求と、簡単にやれよという要求とありますので、しかし、お疲れのところですから、できるだけ簡潔にやりたいと思っております。  まず最初に、大臣お尋ねをいたしたいと思いますが、権限財源をもっと地方へ分権の方向へ持っていくべきではないかというふうに考えます。住民がみずから住んでいる町を誇り得るような、地域の特性に根差した個性豊かな地域社会をつくり上げることは、現在の地方団体に課せられた重要な責務となっておりますこと、すでに御承知のとおりであります。  しかしながら、現在は、地方団体事務の大部分を国の機関委任事務が占めております。国庫補助負担金や許認可権あるいは各種の法令や通達による国の関与が、地方団体行政の隅々にまで及んでいるという状況下にあります。そのため、住民や地方団体がみずからの責任と負担でみずからの地域社会を築くという地方自治本来の姿が十分発揮されておらないのが実情であります。  このような実情に対しては、従来より本委員会でも指摘され、その改善を求めてきましたし、また、各種の調査会や審議会から多くの提言や答申が出されてきているにもかかわらず、その実行は全くと言っていいほどなされておりません。このような現状を打開するためには、極度に中央に集中してきている権限財源地方へ分散させていく、そういう必要があるということは繰り返し申し上げてきておるところでありますが、まず大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
  161. 山本幸雄

    山本国務大臣 ただいまのお説は、地方自治の原理としては全くそのとおりであると思います。その精神に沿って今日まで進んできておるはずであります。また、憲法の上におきましても地方自治の本旨に従ってと、こういうことであるわけであります。仰せのように、権限地方に移す、それと同時に財源地方に与える、こういうのが根本原則であるわけでございますが、今日の現状は必ずしも、全く逆の方向に行っているとは思いませんけれども、そうは思いませんけれども、しかし、それじゃ十分にそういう趣旨が貫かれているのかとお尋ねがあれば、それに対して一〇〇%そういうふうに貫かれておりますとも申し上げかねる状態であることは、ただいまのお話のとおりだと私も思うのです。  ただ、方向としては、そういう方向をやはり努力目標としてやっていかなければならぬわけでございまして、今回の臨調のお考えも、総論的には確かに地方分権あるいは国、地方を通ずる仕事の配分という柱のもとにいろいろお考えを願ったと、こう思うのでございます。  具体的には、ただいまお挙げになりましたような機関委任事務の問題あるいは補助金の問題あるいは地方出先機関の問題あるいは地方へのいろんな国からの必置規制の問題、そういうような諸問題についても、臨調の方からも今回御提言をいただいたようなことでございます。私ども地方自治の発展のために今後とも一層の努力をしていかなければならぬところであろう、こう思っておるところでございます。  なお、今後ともそういう具体的な問題の処理が出てくると、こう思っておるのでありまして、私どもはそれらを一つ一つひとつ地方自治の進展の方向で努力をしていきたいと思っております。
  162. 青山丘

    ○青山委員 大臣の決意やよし。しかし、なかなか実態はむずかしい状況です。  だんだんと各論に入っていきたいのですが、少し触れさせていただきたいのは、現行の国と地方関係を抜本的に見直しを行って、国と地方を通ずる行財政改革を断行し、行財政の両面にわたって地方団体の主体性を確立していくことについては、政府もあらゆる機会で述べておられます。しかし、一向になかなか実現されない。実現されない理由が一体どこにあるのでしょうか。  まさに今日こそ、地方分権推進して行財政の効率化を図るという観点に立って、行政事務の再配分のための具体策、具体的な方策を打ち出すことが必要ではないかと思います。自治省みずからの具体的な方策を樹立すべき時期にあると私は思うのです。その方策について検討しておられるのかどうか、お尋ねをいたしたい。
  163. 大林勝臣

    ○大林政府委員 国と地方権限事務配分につきましては、地方自治を向上するために、先ほど先生のおっしゃられるとおりだと私どもも思いますし、またその努力を続けてまいらぬといかぬと思います。  ただ、今後臨調地方分権あるいは住民の身近な問題は身近な地方団体でという総論に沿って具体的にどのように進めるかという問題が控えておるわけでありますが、お話のような許認可の問題、補助金の問題、機関委任事務の問題、このあたりが一番大きな問題になろうかと思います。  臨調も十六項目ほどの許認可の知事への移譲というものを具体的に打ち出しておりますし、あるいは機関委任事務につきましては、当面は一割削減という作業を進めるべし、さらに今後新たな審議会をつくって機関委任事務のあり方について基本的に論議をすべし、こういう方向も出しております。あるいは補助金につきましても、総合補助金あるいは補助金のメニュー化と地方団体の自主的な選択を奨励するような提言もされております。  今後、機関委任事務の整理合理化、そのあたりのことを中心として私ども作業を行っていくつもりでありますけれども、同時に、各省におきましてそういった補助金の問題あるいは許認可の問題、こういった問題を臨調答申に沿って早急に具体化していただくようにお願いをしてまいるというのが当面の手順かと心得ております。
  164. 青山丘

    ○青山委員 地方団体の経費は、その地方団体の住民が納めていく地方税で賄っていくというのが最も望ましい、これは税務局長お尋ねするのですが、地方自治の本旨であります。ところが、最近における国税地方税の収入額の割合は、先ほど来いろいろ論議されておりますけれども、おおむね二対一、国と地方団体の支出の大きさという観点から見ていきますと、逆に国が一で地方が二、地方の支出規模が大きくなってきております。  たとえば昭和五十八年度の国と地方との租税総額とその配分を見てみますと、租税全体の六三・六%が国税であります。残りの三六・四%が地方税ですが、その最終的な支出という点で見ますと、国が二七・七%、地方は七二・三%となっております。すなわち、国税として収入されたものの約二分の一以上が地方に再配分され、地方団体行政活動を通じて支出されているということであります。また、税源ごとの配分においても、個人所得課税では国が七〇・一%、地方が二九・九%です。ちょうど七対三です。法人所得課税では国が六六・二%、地方が三三・八%となっております。  このような国と地方間の税源配分の不均衡を反映して、地方の歳入総額に占める地方税収入の割合は、五十八年度の計画では四〇・二%です。五十六年度までの決算で見てみますと三〇%台にしかすぎない。これを昭和三十五年度から見てみますと、三十五年度三七%、四十年度三五%、四十五年度三七%、五十年度三一%、五十五年度三四%、五十六年度の見込み額で三五%と、その比率はむしろ減少傾向にあります。歳入総額に占める地方税収入の割合というのがだんだんと減少傾向にある。昭和三十五年以降三七%を上回ったことがないという状況について、自治省地方自治の確立という観点からどのように評価しておられるのか、伺いたい。
  165. 関根則之

    関根政府委員 税収の国、地方配分等につきまして、先生御指摘の数字等につきましては、事実関係はそのとおり間違いないと私どもも考えております。  昭和三十年ごろに戦後の地方財政制度というものは大体骨組みができ上がったというふうに私どもは理解をいたしておりますが、そのころ県、市町村を通じまして歳入総額に占める地方税の割合が三四%程度であった。年度によって多少の増減はありますけれども、昭和五十六年度先ほど出ました決算におきまして、その数字が三五%である。ほとんど変わっておりません。その間におきまして、都道府県については、最初三十年当時が二五%程度しかなかったものが比較的上がってまいりました。逆に市町村は、三十年に四五%でありましたものが下がってきてしまっておる、こういう状況であるわけです。  全体を通じてほとんど変わらないということでございまして、まあ一時三割自治という言葉が言われたことがございます。私どもとしては、税収、自前の金で賄える部分が三割しかないような自治制度を皮肉ったといいますか、そういうことを念頭に置いた表現ではないかというふうに考えております。  地方自治の発展を図り、自主的な行財政運営を進めてまいりますためには、どうしても御指摘になりましたように自前の金がありませんと、本当の意味の自治行政というのはできないのではないかというふうに私どもは考えております。したがって、この税収をさらに拡充強化していく必要がある、そのための努力を私どもは従来からもしてきたつもりでございますし、今後ともそのための努力を続けていきたいというふうに考えております。  ただ問題は、先ほども申し上げましたように、税源には地域的な偏在というものが大変多いわけでございまして、先ほどもちょっと申し上げましたように、仮に国と地方税源配分を五〇対五〇にするということを想定いたしました場合に、昭和五十八年度財政計画上では六兆六千億の税源を国から地方に移さなければならない、総額を同じに置いておきまして。そういうことになるわけですが、それを税収の多い上位三団体についてどの程度の入り方をするかということを、先生の御質問もあるということで試算をしてみましたら、東京、大阪、愛知の都府県並びにその県内の市町村を含めまして全体の三三%、二兆一千八百億円がこの三県に入ってしまいます。逆に税収額の少ない鳥取、高知、島根の三県には、三県合わせてわずか八百五十三億円しか行かないというようなことになるわけでございます。この三県を合わせて全体の一・三%しか行かない、一県当たり〇・四%ぐらいしか行かないということになるわけでございます。  こういうことがあるものですから、どうしても、地方税の増強そのこと自身は大変結構なことでございますけれども、常に自主税源の増強というものを考えますときには、それによって生じます財源超過団体の超過額が非常に大きなものになっていくよということが一つ。それからもう一つは、国の税源地方に移す場合には、交付税の原資となっております国税三税にどういう影響が出てくるのか、そこのところを考えていかなければならない。もし地方に移す税源国税三税、交付税の原資で食われてまいりますと、その分だけ交付税の額が減ってしまう。ということになりますと、いま申し上げましたように財源の貧弱な団体は、税源を移しましても大した金額は入ってこないわけですから、交付税は前とほとんど同じようにいただきたいわけでございます。その財源が調達できないということになるわけでございますので、そういったいろいろな問題が出てくるわけでございます。  したがって、私どもは常に、地方税源の拡充強化は、同時に財源調整制度も一方で併用しながら、両々相まって地方行政運営に必要な財源を、財源の豊富な団体も、逆に貧弱な団体も、両方とも何とか充足し得るような方法で考えていかなければいけないということを念頭に置いて、地方税源の充実の問題に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  166. 青山丘

    ○青山委員 先ほど質疑の中で、私もちょっとよく理解できなかったのは、フィフティー・フィフティーにしますと六兆六千億が新たな財源として必要であるかのような印象を受けまして、しかしよく考えてみればそうではなくて、新たな財源ではなくて、権限を移行することによってトータルは変わらないということですね。そうなってくると、やはり地域の自主的な財政運営というのがだんだんとできてくる財源の豊かな地方団体と、そうでない地方団体とが格差が出てくるというような問題がありますが、基本的には歳入総額に占める地方税収の割合を高めていくということでは、私はだんだんとそういう方向に持っていく必要があると思います。そういう意味で、ひとつぜひ前向きに取り組んでいただきたいということであります。  これは先ほどもちょっと触れられたのですが、私どもの党では、国の権限をもっと地方移譲して、それに見合う形で地方税源配分を強化していくべきだと主張してきたところでありますが、自治省としては、地方財政の歳入構造の望ましい姿を一体どういうものだ、先ほどは問題をいろいろと羅列されました。だけれども、こうあるべきだという望ましい姿、ひとつ聞かしていただきたい。  地方税収の比率は、その歳入総額に占める割合としては全然伸びていない、むしろ減少傾向である、地方交付税の比率が横ばいになっておる、そうすると、地方税比率の減少を地方債でカバーしてきた、私はこういうふうに理解しておるわけです。地方債の比率を見てみますと、昭和三十五年五%、四十年七%、四十五年六%、五十年一二%、五十五年一〇%と、約倍になってきております。こういう現状を踏まえて、歳入構造の望ましい姿をどういうふうに見ておられるのか、お聞かせいただけませんか。
  167. 石原信雄

    ○石原政府委員 自治省といたしまして、地方歳入の構成が具体的に数字的にこうあるべきだ、こうあってほしいという数字を示したことはございません。が、かねがね、地方財政自主性を強化する、かつまた地方財政の健全性を高める、こういった意味から、歳入構成においては、地方税収入及び地方交付税地方譲与税を含めた地方一般財源の歳入構成が現在よりもっと高くあってほしい、そして地方債の構成比はなるべく少なくあってほしい、このように願っております。  そういった意味で、ただいま先生御指摘のように、昭和三十年代、四十年代に比べまして、五十年代に入りましてから地方債の構成比が非常に高くなってきている、そして一方、地方税あるいは交付税、譲与税を含めた地方一般財源の構成比が余り上がっていない、こういった現状については、地方財政の望ましい姿からすると決して望ましくないといいましょうか、こういう現状は変えてほしい、こういう気持ちを強く持っている次第であります。  ただ、こういった状況がなぜ起こったのかという点については、御案内のように、国、地方を通ずる経済情勢の変化、財政環境の悪化、こういったものが背後にありますので、その改善についてもなかなかこれといった方法が見出せないで苦慮しているというのが現状でございます。
  168. 青山丘

    ○青山委員 私どもは、やはり五〇%以上は歳入総額に占める地方税収の比率を確保していく方向に持っていかなければいけないのではないかというふうに考えて、これまでいろいろと取り組みをいたしてきたところです。そこで、もう一回財政局長の次にお答えいただきたいと思うのですが、税務局長、いろいろむずかしい問題がありますので、一気に実現するというわけにはなかなかいまの問題いかないと思うのですが、望ましい姿に向かって少しでも基本的な仕組みを変えていく努力をすることが必要です。  そこで、それ以外に、少し制度の手直しを行うことによって、地方税の充実強化によって地方財政自主性を確立することができる、そういう部分が、少し制度の手直しをすることによってできるという部分があるように思えるのですが、この点はいかがでしょうか。また、もしあるとするならば、五十八年度地方税改正においてどのような措置を講じてこられたのか、お伺いをいたしたいと思います。
  169. 関根則之

    関根政府委員 先ほど答弁でむずかしいむずかしいとばかり言っているではないかというおしかりをいただいたわけでございますが、私どもは、何としてでも地方自主税源の拡充強化をやっていきたいという念願を持っており、そのための努力をしているわけでございます。しかし、そのことがそう簡単にはできないのですという意味で申し上げたわけでございまして、拡充強化をあきらめたわけでも、そういう意欲がないわけでも決してない、われわれとしてはそれに本当に真剣に取り組んで、時間はかかろうとも、何とか自主財源比率というものを高めていく努力を続けていかなければいかぬ。これは地方団体も一緒になって、力を合わせてやっていかなければいかない問題だというふうに考えております。  そこで、そういう方向に向けて少しでも手直しをしながらやっていくべきではないかということでございますが、仮に地方歳入中に占める税収を一%引き上げるということになりますと、四千七百億の税を国から持ってくるなりあるいは新しく仕組む、そういうことを考えていかなければいかぬわけでございますので、この歳入中に占める税収の割合を高めるというのは、一口に言いましても、なかなかそう簡単にはいかない。  ことしの地方財政計画約四十七兆あるわけですから、財政計画レベルで申し上げましても、その半分を税収で賄うということになりますと、二十四兆円の税収が必要になる。御承知のように、ことしの五十八年度の税収見積もりは十九兆六百八十九億でございますから、細かいことは別にいたしまして、約五兆円の地方税の増強が必要であるということでございまして、目標はわかりますけれども、実際の手段、方法ということになりますと、大変な作業になるということでございます。  しかし、細かいことにつきましては、われわれとしては細かいから捨ててしまうということではなしに、多少でも地方税の増強の役に立つものについては、拾うような形をしてでも集めていきたいというふうに考えております。そのために、先ほどから実は逆なお話もあるいはいただいたのかもしれませんが、来年度増税なき財政再建という大枠の中ではございましたが、税率の調整というような形で、税負担の適正合理化という範囲内で地方税源の拡充に寄与し得るものについては、私どもはできるだけのことはやったというふうに考えております。  法人均等割の税率の調整でありますとかあるいは娯楽施設利用税の定額課税見直しでありますとか、金額はわずかでございますが、しかし、件数にして二十一件、電気税まで入れますと二十二件になりますが、これはもう本当に金額は小さいのですけれども、各省との折衝その他につきましては、実は大変な苦労があるわけでございます。そういう中でできるだけがんばってそういう措置をとらしていただきまして、結果的に平年度で五百六十億の増収を確保することができた。多少なりとも地方税源の充実につながる方策であるというふうに考えている次第でございます。  今後におきましても、決して金額の多寡を議論するだけではなしに、たとえ小さなものでも地方税源の充実につながるものがありますれば、われわれとしては検討し、実現のために努力をしてまいりたいと考えております。
  170. 青山丘

    ○青山委員 現実にはいろいろの問題があることは、お互いに承知しておるのです。ところが、やはり自治省には、地方団体に対する少し不信が根底にはあるのじゃないかと思うのですよ。だから、どうも意欲に欠けるんじゃないか。たてまえはおっしゃるとおり、よくわかる。ところが、どうも自治省は意欲に欠けるんじゃないかという部分があるように私は思っているんです。  地方財源の充実強化に努めておるということですが、五十八年度地方財政計画を見てみますと、一般財源比率が、前年度の六一・四%から五九・九%へと、一・五%下がっておる。自主財源比率を見てみますと、四八・〇%から四七・九%、これはやや横ばいですが、〇・一%下がっておる。こうした点から見ると、まだ本来の地方自治の確立というたてまえ、立場から見ますと、かなり現実には差がある。これは財政局長、どうですか。本当に自主財源の充実強化をやるんだという決意があるのか、やる気はどうですか。
  171. 石原信雄

    ○石原政府委員 五十八年度地方財政計画上の歳入構成比率におきまして、一般財源の割合が前年度、五十七年度の当初に比べますと一・五%ほど下がっている、構成比としては悪くなっている、これは御指摘のとおりでございます。自主財源比率もごくわずかずつでも下がっている。実は、御案内のように、五十八年度地方財政対策を決めるに当たりましては、現行制度を前提にして五十八年度の経済の見通しの上に立って計算いたしますと、従前の制度のままで三兆円近い財源不足になってしまう、これをどういう形で補てんしていくかということをめぐりまして、国庫当局との間に大変長い、激しい論議を重ねた結果といたしまして、現在御審議をお願いしております地方交付税法の改正法案にありますような形で全体の地方財政対策を決めたわけでありますが、私ども決してこの最終決着を見た姿が望ましいとは考えておりません。  特に、地方債への依存度が、前年度当初八・一%であったものが一〇・五と、一〇%ラインを超えたということについては大変深刻に受けとめております。しかし、この地方債依存度を下げるためには、地方税源を強化するかあるいは交付税を増強するか、その他の歳入といいましても余り大きなものはありませんから、この二つに限定されてくると思います。  地方税につきましては、税務局長がるる御答弁申し上げておりますように、なかなか大幅に構成割合を引き上げるような改正は、現実問題としてむずかしい。問題は交付税でありますけれども交付税につきましては、何といいましても国の財政がまさに危機的な状況に陥っている、そうした中で、私どもとしてはできる限りの力を振りしぼって交付税財源の確保に努めたつもりでございますけれども、現状はいかんともしがたく、地方債への依存度を高めざるを得なかったという点で、この点については私どもも、先ほど先生が言われる望ましい姿からすると、非常に遠い状況に陥っているという認識を持っております。  やはりこのような状況を改善するためには、国、地方を通ずる経済環境、財政環境から考え直していかざるを得ないのではないか、しかし、そうした中でもわれわれはさらに今後とも努力をしていかなければいけない、そういった意味で、現状については決してこれに満足してない、現状はなるべく早く改められるべきである、こういう認識を持っております。
  172. 青山丘

    ○青山委員 何しろ国の財政事情が大変な状態ですから、自治省努力も私は大変よくわかります。百兆円の借金というと、国民一人当たり約百万円の借金をしている国なんですよ。そのときに、国の財政の中で何とか切って、削って、いや私は総額は余り変わらないのだからやってできないことはないのではないかと思うのですけれども、しかし、国にしてみれば非常に抵抗感の強いときに、地方財政のこういう苦しい状態、私は自治省の御苦労もわかります。だからこそ、地方税法地方税制度を全般的に見直していく努力をこれからしなければいけないのじゃないかと思っておるのです。  私が自治省努力が足りないと言ったのは、何も数値の上からだけではなくて、今回地方税の問題を初めて取り上げて勉強したのですが、大変わかりにくい。道府県税と市町村税合わせて三十一種類。イギリスだと一種類だそうですね。よその国はこんなにはない。日本の場合は、実質千百条にも及ぶ条文のもとに特例があったりなかったり、非課税措置があったりなかったり、とにかく複雑です。物すごくむずかしい。  確かに地方が自主的に税目を定めたりあるいは上げたり下げたりできるような制度にはなってはいますが、そこにはいろいろな制約がある。これでは地方自治の立場の強化あるいは地方団体自主性の強化など図れるはずがない。したがって、既存の地方税制度をこの際全般的に見直しをしていく必要があるのではないか。もっと一般にもわかりやすくしていく必要が私はあると思う。こうした点で、自治省の態度、方針、どういう御見解なのか、ひとつこの機会に聞かせていただきたいと思います。
  173. 山本幸雄

    山本国務大臣 いまいろいろ御意見がありましたが、地方税というものは、国税と違って非常にむずかしいという点が多々あると思うのです。  一つは、何といっても、東京都みたいに大きいものもありますけれども、しかし、とにかく三千三百に上り、国と比べたら非常に単位が小さいということがある。したがって、地方税で独立の税源を用意しても、先ほど税務局長説明しましたように税源が大都会に集中をしてしまう。そうすると、今度は小さな僻村では大変な赤字になる。非常に千差万別のものを相手にして同じような対応をしたのでは、なかなかむずかしい。いま、たくさんの税源があるとおっしゃいましたが、それもひとえに、数少なくやっておれば、大きい税源のあるところはいいけれども税源のないところは税収がさっぱり入らない。したがって、できるだけ数を多くして、ここにはこれがいい、あるいはここはこれでいけ、こういう考え方が私はあると思うのです。だから非常に数がたくさんになっているのではないだろうか。  それからもう一つは、やはり国税との関連をどう考えるかということなんですよ。いまの地方税は全く国税との関連でできておる。だから、国税から独立した税源が一体どうしたら考えられるかということを、ひとつ根本的に考えてみなければいかぬのじゃないか。  それから今度は、独立していきますと、安定性がないと困るのですよ。不安定で、去年はよかったけれども、今度はこういうことが起こってことしはとても大変なことになってきた、どこからも救いの手を伸ばせる制度にはなっていない、おまえらはおまえらでやれよという仕組みになってしまっておれば、いまは交付税とかいろいろな調整機能が働いておりますから、調整でやはり大変だと言えばそこへそれだけの手を差し伸べるという仕組みになっておるわけですね。安定しないと困る。市町村税がわりあい安定しているのは、固定資産税があるからだと思うのです。そういう外形課税でやれば非常に安定すると思いますね。ところがなかなか安定しない。たとえば所得に従ってかけるということになれば、景気の動きとかあるいは経済の動向によってやはり安定性を欠く、こういうことなんです。  そういうことをいろいろ、特に国との関係で考え合わせてみますと、地方税というのは非常に問題点が多いなという感じがいたしますだけに、根本的な問題の研究は仰せのとおりやっていかなければならぬと思うのです。  そこで、先ほど国税地方税との歳入構造のお話が出ましたが、それは確かにおっしゃるように地方税で、あるいは交付税を含めまして、そういう自主的な財源で賄っていくという方向は間違いのないところだと思いますが、それでは、それだけでいけるかといったら、やはり調整機能というのがある程度働いていないと、これは弱小といいますか、小さなところが非常に困ったことに相なる。そこのところは、やはり地方自治全体の進展の上では考えていかなければならない問題はある、こう思うのでございまして、その辺のむずかしい点が多々あるということを申し上げたわけでございますが、そういうことも頭の中に置きながら、今後ともひとつおっしゃるように、地方自治のためにはやはり何といっても財源を確保しなければならぬわけでございますから、勉強をしていきたい、こう思っております。
  174. 青山丘

    ○青山委員 いろいろな団体がありますし、それぞれすべての団体に調和のとれた財源を確保させていく、これはなかなかむずかしいことで、この問題は交付税のときに、本当は交付税率の問題でまた触れさせてもらいたいと思ってはおるのです。本来なら交付税、きょうは交付税質疑のあれじゃありませんけれども、三二%がずっとこれまで続いてきておって、このように財政事情が赤字がずっと続いてくるということ自体が、交付税法の本来の趣旨からするとやはり逸脱してきておりますので、これは改めて交付税のときに、一部改正法案が出て審議に入ったときに触れていきたいと思いますが、地方税の立場ででも、やはり私はできるだけ自主財源比率を高めていくという基本的な姿勢は常に持っていって取り組んでいただきたい、こう思います。  そこで、新聞報道によりますと、最近各地方自治体がいろいろな法定外普通税の導入を検討しているようであります。これは地方団体が徴税や増税のむずかしさを知っていく、行財政改革をみずから進んでやらなくてはならないという意識づけについては効果があると思うのですが、しかし、取られる側から見てきますと、とにかく何かわけのわからぬような税金を取られていくような気がする、そういう不満がありますし、既存の税と何となく二重課税になっていくおそれがあるのではないかという心配があるようです。この法定外普通税導入の活発な動きに対して、自治省はどのような見解を持っておられるのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  175. 関根則之

    関根政府委員 法定外普通税につきましては、地方団体の自主的な課税というものをできるだけ尊重していこうという趣旨から、制度として設けられているものというふうに理解をいたしております。法定外普通税は一応許可制度にはなっておりますけれども、法定の要件を満たしておりますときには、自治大臣はこれを許可しなければならないという仕組みになっておるわけでございまして、そういう法律制度そのものが、地方自主性というものをできるだけ尊重をしていこうという考え方に基づいてできているというふうに私どもは理解をいたしております。  しかし、そうはいいましても、先ほどから御指摘をいただいておりますように、国税があり、かつ相当税目数の多い地方税がある中で、さらに法定外でそんなにいい税目があるかといいますと、そう簡単には見つからないわけでございます。したがって、県、市町村を合わせましても、その税目の数はわずか十内外といったようなところではなかろうかと思います。金額にしましても、都道府県や市町村全部合わせまして、昭和五十七年度で百三十八億程度しか見込まれないというのが実情でございます。  臨調答申におきましても、法定外普通税の活用をできるだけ弾力的に図っていく、こういう御指摘もいただいておりますので、私どもは従来からそうでございましたが、今後ともできるだけ地方のそういう創意工夫なり自主性というものは尊重をしていきたい。法定要件に合った税が出てきた場合には、原則としてこれを積極的に許可をしていく、そういう考え方で臨んでいきたいと思っております。
  176. 青山丘

    ○青山委員 私は、法律地方団体課税権がきわめて制限されている現行の地方税制の姿は、望ましいものだとは見ておりません。課税自主権の問題に関して、私は現行の地方税法を全面改正する必要があると考えておるのです。たとえば、現行の地方税法で画一的に非課税の範囲を定めていることは、地方団体間の住民の負担を均衡化するというプラスの面がありますが、一方では地方団体課税権を国の意思で制限しておるということで、地方の自主的判断の余地をも侵してしまっておるのではないかというマイナスの面も見ておるわけです。しかしながら、地方税課税するか否かは本来地方団体みずからの判断、地方団体みずからの意思、こういうものに基づいて行われるべきものであると思うのです。  したがって、現行税法はいわば標準地方税法として全面改正して、課税に当たっての具体的事項については全面的に条例にゆだねるようにした方が望ましいと考えております。そういう意味で、現行の地方税法制度見直しについての御見解をいま一度お聞かせいただきたいと思います。
  177. 関根則之

    関根政府委員 地方団体課税自主性というものを大幅に認めていく方向については私どもも賛成でございますが、税金というのはいろんな原則があるわけでございますけれども、その重要なものの一つに、経済的な中立性という問題がございます。また、経済の発展を阻害するような税制を設けてはならない、物の流通をゆがめたり阻害したりするような税制も困るというような問題もあるわけでございます。ある特定の地方団体で、一方は課税する、一方は課税しないというような場合に、たとえば物品税等についてそういう制度をとったといたしますと、課税していない団体でお客がいっぱい来てしまう、物がどんどん売れてしまう、課税する団体では物が売れないというような問題も生じるわけでございます。そういった経済的な立場からのいろいろな配慮もございますし、経済全体を発展させていくために障害にならないようなそういう配慮も必要になってくると思います。そういったような全国的な立場から全般的な判断に立って税制の大枠を定めている、そういう必要性から現在地方税制というのはできているんだろうというふうに考えております。  しかし、そうはいいましても、すべて画一的にこれを規定しているのではございませんで、通常の場合には標準税率というものを設定をいたしまして、地方団体にそれに対して一定の幅での超過課税も行うことができるというような、地方自主性といいますか、実情に合った運用もできるような余地も残しているわけでございます。税目によっては制限税率を設けていないというような税目もあるわけでございます。  したがって私どもは、一方においてある程度国民経済の立場から整合性といいますか、画一性を要請するという問題が一つございますし、片方において地方団体自主性というものを尊重する、両面の要請を満たしていかなければならないと思いますので、現在の地方税制の体系というものを根本的に改めてしまう必要があるのかどうかということについては、いささか疑問なしとしないわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、できるだけその運用なりあるいは超過課税あるいは法定外普通税等の運用を通じまして地方自主性も尊重をしていく基本的な考え方で運用に当たっていきたいと考えております。
  178. 青山丘

    ○青山委員 事業所税について少し質問させていただきたいと思います。朝から小川さん、それから先ほどの草野さんの質問と若干重複すると思いますが、私の立場から少し質問させていただきたいと思います。  事業所税は、指定都市が都市環境の整備及び改善に関する事業に要する費用に充てるため課税しているものであります。現在、課税団体の対象を人口三十万以上の都市と定められておりますが、課税団体の適用の範囲の拡大、これについて制度見直しをするお考えがおありかどうか、お尋ねしたいと思います。
  179. 関根則之

    関根政府委員 事業所税の課税団体の範囲の拡大の問題につきましては、事業所税が創設されましたのが昭和五十年でございまして、そのときは原則として人口五十万以上の都市だけに課税権を与える、こういう仕組みになっていたわけです。それを、その制度が創設されました翌年の昭和五十一年に、人口三十万以上の都市にも課税権を与えるということで拡大をいたしました。その措置をとりますときの税制調査会答申におきましては、もう今後はこれ以上の拡大はすべきではないといった趣旨答申がなされております。今後は慎重にしなさいという意味答申があったわけでございます。  しかし、そうはいいましても、人口三十万には満たない都市におきましても、やはり人口三十万以上の都市と同じように都市整備の必要性が高まってまいりましたし、また実際に都市整備のために要する財源も、ほかの中小といいますか、小さな都市に比べましてかかり増しをしているという実情もございますので、私どもとしては、地方団体からの要望もございますために、ぜひこれを拡大していきたいということで、その後もあらゆる機会を通じまして、政府税制調査会その他関係方面にも、何とか拡大できないかということでお話を申し上げていたわけでございます。しかし、昭和五十八年度税制改正に関します税調の審議におきましても、結果的には両論併記のような形になりまして、これは直ちに拡大するという結論が得られなかったような次第でございます。  私どもといたしましては、従来からの基本的な考え方に基づきまして、今後ともこれをさらに、一定規模以上の集積のある都市、たとえば人口二十万以上の都市でありますとか、あるいは県庁所在都市程度の政治なり行政なり経済等の集中しておるような都市について、できるものなら拡大をしていきたい、その実現のために努力を続けていきたいというふうに考えておるところでございます。
  180. 青山丘

    ○青山委員 非常にいい御答弁ですので、ぜひひとつそういう姿勢でお取り組みをいただきたいと思います。  よくおわかりのところだからどうかと思うが、いまお話にあったとおり、地域によっては指定都市にあった工場や事業所が周辺市町村に移っています。そのために、指定都市の税収が減少の方向にあるところもある。周辺市町村の地価がそのために高騰してくる、交通の混雑が拡大してきたというような問題がありまして、都市環境の整備及び都市機能の維持向上、そういう問題が出てきておる。ぜひひとつ事業所税の見直しについて、いまおっしゃっていただいたみたいな前向きな取り組みがいただきたいと思います。  課税対象の拡大の話はこれぐらいにしておきまして、事業所税の納付が非常に困難になってきている、そういう企業がふえてきておるようです。これは現在の長期かつ深刻な不況を反映しているものと思われますが、今回、事業所税の申告納付の期限の延長についてはその措置がなされているようです。これは率直に、私どももお願いをしてきた問題ですし、評価をしております。ただ、まだ分割納付制度——また今度か、そうおっしゃらないで、分割納付制度はいまのところない。事業所税の見直しの際には分割納付制度の導入もぜひ考えていただかなければならぬと思うのですが、いかがでしょうか。
  181. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 事業所税の分割納付の件でございますけれども先生御案内のように、事業所税の課税標準というのは、床面積でございますとかあるいは従業者の給与総額でありますとか、ほかの税目と比べて、たとえば決算を締めてみないと幾ら収益が出るかわからない、だから幾ら納税の引当金、準備金を用意したらいいかわからないというような税目とは少し異なりまして、事前に予測がしやすい、そういったような事業所税の性格から、制度上は分割納付を認めていない、こういうことになっております。  ただ、いま御指摘がございましたように、納税者の資力あるいは経営の状況、それが非常に大変だというような場合で一定の場合につきましては、これは地方税法総則の問題でございますけれども、徴収猶予という制度がございまして、一定の要件を満たします場合には課税当局である市町村に御相談をいただきまして、その一定の要件に該当することが明らかである場合には、一年間を限りまして、一年以内でございますけれども、徴収を猶予するとともに、分割して納付していただく相談に乗ることになっておりますし、私どももさように指導してきておりますので、そういう制度を御活用いただければ大変幸いだ、こういうふうに考えております。
  182. 青山丘

    ○青山委員 公社有資産の所在市町村納付金の特例について若干質問させてくだざい。  日本国有鉄道、日本専売公社、日本電信電話公社の市町村納付金は、固定資産税に相当するものであります。その算定標準額は固定資産の価格の二分の一とされているのでありますが、制度創設から相当な年月がたっていますし、社会経済情勢が大分変わってきております。とりわけ地方財政が非常に厳しい状況であります。それだけに、この際、五十八年度の見込みでも専売公社が二十七億円、電電公社が五百八十一億円、国鉄が三百一億円、合計九百九億円にも上っておりまして、この特例制度見直していってはどうかと思うのですが、いかがでしょうか。
  183. 関根則之

    関根政府委員 お話がございましたように、三公社の納付金につきましては、二分の一特例が昭和三十一年度にできたわけでございますが、それ以来相当長年月そのままになっているわけでございます。納付金の性格につきましては、これも御指摘がございましたように、固定資産税のかわりという性格を持っているものというふうに私どもは理解をいたしておるわけでございます。  三つあるわけでございますけれども、そういう中で国鉄は大変な赤字を抱えまして、法律に基づいて財政再建実施中というようなことでございますから、実際問題としてなかなか特例廃止をするということは困難であろうと思います。しかし、電電公社、専売公社につきましては、それぞれ最近の年度における決算状況も比較的いいわけでございますから、私どもはまず、市町村のいろいろな公共サービスを受けている、それの見合いとしての固定資産税相当額ぐらいは、ほかの民間企業と同じようにまるまる納めていただいていいのではないか。そういう基本的な考え方に基づきまして、実は特例の廃止につきまして、もう長い間各方面と折衝を続けてきたわけでございます。  五十八年度税制改正に当たりましても、私どもとしては税制調査会の場で積極的にそういう要請をし、御議論をいただいたわけでございますけれども、これにつきましても、残念ながら明確な結論を得るまでに至らなかったわけでございます。しかし、私どもとしては、この問題はこれで片がついたというふうには考えておりません。できるだけ早く本来の姿に戻していくための努力を続けていきたいと考えております。
  184. 青山丘

    ○青山委員 電電公社は、臨時納付金として、五十六年度、五十七年度はいずれも一千二百億円納付しております。五十八年度は倍額にして二千四百億円を国庫に納付することになっております。専売公社は、今国会提出されている日本専売公社法の一部改正案、これによりますと、たばこの値上げのみではなくて、五十八、五十九事業年度に限って、特別納付金を国庫に納付することとなっております。五十八年度の特別納付金は約九百億円。  これらの措置は、国家財政を救済するための措置と考えられますが、地方財政も国と同様に破綻寸前の状況にありますので、電電公社や専売公社がこのような国庫納付金を納付するという余裕があるなら、ひとつこの市町村納付金の二分の一特例を廃止すべきだと思うのです。この点が第一点。まあ、いま前向きに御答弁いただきました。  そこで、市町村納付金の特例については今後ぜひ検討していただきたい。この見直しがなかなか困難だというようなことならば、人の上前をはねるようなやり方は嫌だけれども、国庫納付金の一部を地方財源として確保すべきだと私は思います。大臣、電電公社も専売公社もこれだけ国庫納付金を出してくれますので、その一部を地方財源として確保していく方向でぜひひとつ取り組んでいただきたかった。大臣の意向が非常に重要だと思うのです。御見解、いかがでしょうか。
  185. 山本幸雄

    山本国務大臣 この問題は、ただいま局長から答弁いたしたわけでございますが、国の方は、全体として四千八百億を税外収入として国庫に納める、ことしは財政が大変苦しいから前倒しだ、それで二年分だ、こういうお話でございます。一応五十八年、ことしで四千八百億は終わるということになっております。来年度になりますと、また国家財政も苦しいからと言い出す可能性もないではないと思いますが、少なくとも地方財政の方は、電電公社については経営内容も国鉄なんかとは違うわけですから、ぜひひとつそういうことにしていただきたい。先ほども多少、一遍にやられぬなら段階的にやったらどうかというお考えも、私はそれも一つやり方かな、こう思っておるわけです。  いずれにしろ、これは税制調査会の場で毎年議論のあるところでございますので、五十九年度税制改正の場合に税制調査会にもひとつお願いをし、電電公社にもお願いして、地方財政の非常に苦しいということについて御理解を得ていきたいと思っております。
  186. 青山丘

    ○青山委員 地方税の繰り戻し還付制度の導入についてちょっとお尋ねしたいのですが、国税には欠損金の繰り戻し還付制度があります。事業税とか住民税地方税にはこのような制度がない。私は、事業税とか住民税地方税に欠損金の繰り戻し還付制度があってもいいではないかということを考えております。どのような御見解なのか。  国税が欠損金の繰り戻し還付制度を設けている趣旨は、企業に対する実質的な救済手段、いわゆる政策機能を期待しているものと考えておりますが、これは地方税についても同様の趣旨が当てはまると思うのです。しかも事業税や住民税課税標準は国税を基準としておりますので、私は、地方税にも国税と同様の欠損金の繰り戻し還付制度が創設されるべきであると思うのです。仮に地方税が前年所得課税であっても、検討に値することであろうと思うのですが、いかがでしょうか。
  187. 関根則之

    関根政府委員 まず、前年所得課税の点からの国税地方税の問題の違いは、法人関係の税金についてはないわけでございます。  この還付制度につきましては、法人住民税なり法人事業税が仕組まれた当初から、国と同じように還付制度を設けるかどうかという議論は当然のことながらあったわけでございますが、御承知のように地方団体は、地方財政といいますと四十七兆円という規模で財政計画が組まれておりますから非常に全体としては大きいのでございますけれども、三千三百で分かれてしまうわけでございますから、個々の地方団体財政規模というのはそれほど大きなものではありません。ところが、企業なり産業というものは、ある一定の小さな地域に集中して産業が集まっている場合があるわけでございまして、ある特定の企業で景気が悪くなりまして益金が出ない、損金が出てくるということになりますと、その年度の法人事業税も法人住民税も入ってまいりません。と同時に、還付制度がありますと、前の年に払った税金まで返してやらなければいかぬ。入ってくる方がゼロである上にさらに持ち出して、去年もらった分を返してやるということになりますと、小さな地方団体では財政運営に激変を来してしまって、どうにもならないという問題が発生する心配があったわけでございます。  そういう観点から、国の場合にはふところの広い大きな財布の中でのやりくりでございますので、一定の政策目的を持って還付してやるという制度が成り立ち得る。しかし、地方財政の場合には、還付はなかなかできないからこれは勘弁していただきたい、もっぱら繰り延べ方式によってこれに対処する、そういう方法で御勘弁いただきたいということで制度が成り立っているわけでございます。  お話はよくわかるわけでございますけれども、実際のそういった財政運営に与える影響等非常に大きなものがございますので、地方税の場合には還付制度までは御勘弁をいただきたいというふうに考えております。
  188. 青山丘

    ○青山委員 この問題は、引き続きまた触れさしていただきたいと思います。  最後に、減税問題ですが、最近の地域経済の実情、個人消費の動向、いろいろ御見解はおありであろうと思いますが、時間がありませんから各論だけ……。  大臣、衆議院議長見解が出されまして、それから官房長官発言の中に「景気浮揚に役立つ相当規模の減税実施する」云々と述べておられますが、この「景気浮揚に役立つ相当規模の減税」はどれぐらいの規模だと受けとめたらよろしいのでしょうか。どうですか。
  189. 山本幸雄

    山本国務大臣 これは私の意見とかというよりは、総理がどうお考えになっておるのか、あるいは大蔵大臣がどうお考えになっておるかということが問題なわけでございます。衆参両院の予算委員会では、どこまでやればそういうのに当てはまることになるのか、その辺についてはまだはっきりとした意見を申し上げる段階ではない、こういうことでございまして、それは多ければ多いほどいいに違いないけれども、そうばかりもなかなかいかぬこともあるだろう。そこで、私がここでどれくらいになればその言葉に当てはまる、あるいは当てはまらないということを申し上げるのは、総理もまだそこのところの検討はこれからでございます、こう言っておるところでございますので、私もこの席でこれはどれくらいであるとかいうことは申し上げる用意を持たない、また、私が個人的に仮に意見を持っておっても、ここで申し上げるのは適当でない、こう思っております。
  190. 青山丘

    ○青山委員 減税実施の時期、けさほどからもちょっと触れておられたのであれですけれども減税実施の時期的なめどが、新聞報道では七月であるとか八月であるとかなされているのですが、これについてはどうでしょう。  それから、住民税減税法案については、政府が責任を持って提出をされるというふうにけさからの質疑では受けとめられたのですが、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。  それから、これはまだとおっしゃるかもしれませんが、減税は戻し税方式なのか、課税最低限の引き上げによって実施されるのか、どういうふうに理解したらよろしいのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  191. 山本幸雄

    山本国務大臣 まず、時期の問題でございますが、これはまだこれから、まず財源の問題がございますから、財源をどうするかという検討をやらなければならないということだと思うのです。したがって、私の方は国税と相並行してやるということになりますから、国税の方はどうかと言えば、国税の方は税収の動向等も見て財源的なことを考えたい。それには、大蔵大臣は大体七月以降でないとはっきりしないだろう、こう言って答弁をされておると私は記憶しております。なお、税制調査会には御検討を願うようにお願いをする、こういうことでございまして、時期がいつになるかということについては、これも私がここで申し上げられない、こういうことで御理解をいただきたいと思います。  それから、御案内のように、この問題は与野党の合意のもとに衆議院議長の見解が出されており、さらに、与野党の代表者会議の席上で自民党の幹事長が言われた内容、それについて官房長官予算委員会で、それを承っております、こういうことを述べておりまして、それらの一連の動きといいますか、発言といいますか、それらを私ども承知をいたしておりますので、その線でひとつやっていきたいと思っておるわけでございます。  それから、戻し税につきましては、あるいは税務局長から答弁してもらいますが、戻し税というのは地方税ではいまだやったことがない、こういうことだそうでございます。それから、なおつけ加えて御理解を得ておきたいのは、国税の場合と地方税の場合とは、地方税という特殊性がありますということだけはひとつ御理解を賜っておきたい、こう思っております。
  192. 関根則之

    関根政府委員 戻し税方式を住民税減税をやりますときにとれないか……(青山委員「いや、そういう意味じゃないのです」と呼ぶ)失礼をいたしました。  そういう戻し税でやるようになるのかどうかというお話がございましたが、戻し税につきましては、従来からも、いま大臣答弁を申し上げましたように、国税実施をされましても地方税ではやらなかったわけです。これはやりたくなくてやらなかったんではなくて、大変な手数がかかってまいります。単に地方団体のサイド、すなわち課税権者の方で手間がかかるというだけではございませんで、住民税につきましては、年間税額をあらかじめ課税権者の方で決定をいたしまして、それを各企業給与支払い者に通知をいたしまして、各月ごとに取る税額まで割り振って通知をいたしておきまして、給与支払い者はその通知に基づいて自動的に引き落としをする、こういうシステムをとっておるわけでございますから、そういうシステムを基本的に変えていかないとうまく戻し税が機能しないという問題もあるわけです。  それからもう一つは、戻し税ということになりますと、当該年度の税を戻すという場合もあるでしょうけれども、前年度の税を戻すという場合が普通でございます。住民は住所を移転する場合が非常に多うございまして、個人ではそうないんですけれども、全体が集まりますと何千件、何万件というようなケースが出てまいります。そういった者の住所をさかのぼってたどっていかなければいけないというような問題なども出てまいりまして、事務的にいろいろな問題が出てまいりますので、私は、実際問題としては、戻し税の方式というのは住民税減税方式としてはなじまないのではないかというふうに考えております。
  193. 青山丘

    ○青山委員 したがって、課税限度額の引き上げによって実施されていくというふうに受けとめてよろしいか、これが一つ。  住民税減税法案については政府が責任を持って提出すると理解してよろしいか、この二点、最後にお尋ねします。
  194. 関根則之

    関根政府委員 従来、住民税につきまして正規の減税実施をいたしましたときには、お話のように課税最低限の引き上げ、すなわち所得控除を引き上げることによって実施をしてきたという経緯があるわけでございます。しかし、具体の今回問題になっております減税についてどういう形でやるかというのは、実はこれからいろいろと審議を詰めて、場合によりますと税制調査会の御審議も煩わさなければいかぬということでございますので、いまここでこういう形でやりますということが申し上げられないことを御理解をいただきたいと思います。  それから、政府提案でするのかどうかということでございますが、いずれにしろ、予算委員会におきます官房長官発言には、幹事長の五十八年中に所得税及び住民税についての減税案を提出いたしますということを言っておることを確認し、これを尊重すると言っておるわけでございます。必ず政府提案でやりますということがまだいま言える段階ではございませんけれども、そういう趣旨にのっとってわれわれとしては最善努力を尽くしていきたいと考えております。
  195. 青山丘

    ○青山委員 質問を終わります。
  196. 田村良平

    田村委員長 三谷秀治君。
  197. 三谷秀治

    ○三谷委員 所得税の六年連続減税見送りに加えまして住民税の三年連続の減税見送りで、勤労国民は、とりわけ給与所得者の重税感は非常に増幅しております。五十六年、五十七年、五十八年度にかけまして個人住民税の増加額は、三年累計で一兆七千五百億円となっております。これは同じ期間の地方税全体の増加額の約四四%を占めております。また、この間に地方税全体に占める個人住民税収入の比重は、二六・八%から三〇・三%へと、三・五%も上昇しております。個人住民税の負担額を納税者単位で見ますと、一人当たり三年間で四万三千円の増加を来しております。これは自治省の資料によりまして私どもが計算をした数字でありますが、これは確認できますでしょうか。
  198. 関根則之

    関根政府委員 数字が、先生お話しいただいたようにきれいに整理がしてありませんので、逐一そのとおりですということがちょっと申し上げられないわけでございますが、たとえば地方税収に対する個人住民税の割合等につきまましては、昭和五十三年が二六・九%でありましたものが、五十八年の計画では三〇・四%になっておりまして、大体先生のおっしゃるとおりでございます。ほかの数字につきましても、大体そのとおりではなかろうかと理解をいたしております。
  199. 三谷秀治

    ○三谷委員 個人の住民税がはなはだしく増加してきたということがこの数字に歴然と示されております。  もう一つは、本年度において特に注目されますことは、個人住民税の収入が法人関係税を上回ってきたことであります。従来、法人関係税は景気の影響を敏感に受けまして、その税収はかなり大きく変動してきましたが、これまでは常に個人住民税収入を上回ってきたのであります。しかるに、昭和五十八年度におきましてはこの関係が逆転をしまして、個人住民税が法人関係税を上回ることになってまいりました。これは戦後初めての現象だと思いますが、この事態について自治省はどのようにお考えになっておりますでしょうか。
  200. 関根則之

    関根政府委員 御指摘をいただきましたように、最近におきます法人関係税と個人住民税の額は、昭和五十年度以降ずっと法人関係税の方が多かったわけでございますが、昭和五十八年度財政計画上の数字によりますと、個人住民税の方が多くなっておるわけでございます。いわば逆転現象を起こしております。戦後初めてであるかどうかにつきましては、ちょっと私、手元に前の方の数字がございませんので、必ずしも明確に申し上げることができないわけでございます。  こういう事態になったことについてでございますが、最近におきます景気回復の過程がはかばかしく進まなかったということによって企業の業績が上がらない、企業の業績をもとにしております法人関係税の伸びが少なかったあるいは逆に減少をしておるというようなことから、こういう現象が起こったものと理解をいたしております。
  201. 三谷秀治

    ○三谷委員 大臣、この不況で非常な苦痛をなめておるのは、企業だけには限らぬわけであって、個人個人の国民が、すべてそういう困難な状況に置かれております。そうして、このようにしまして個人住民税が上回ってきたのは、減税をやっていない、いわゆる所得減税というか物価調整減税が行われてこなかった、そこに原因があるわけでありますから、どうしても個人住民税減税を急がなければならない、そういう条件が明確にこの数字の中に示されておると思うのです。これについてはどのようにお考えでしょうか。
  202. 山本幸雄

    山本国務大臣 景気の状況が悪くなれば、やはり法人税は減収になる、しかし、景気がよくなれば、今度は法人税はまた伸びてくるということであろうと思うのです。そこで、税制制度そのものは動かさないでそのままにしておいた場合、そういう経済の動向等によってやはり個人と法人の場合の税収が動いてくるであろう。もし景気が回復してくれば、また法人税の税収は個人の方を上回ってくるというケースも考えられないでもない、こう思うのでございまして、その辺はそのときの景気の動向が大きく左右しておることであろうと私は思うのでございます。  ことしの景気の動向がどういうことになりますか、まだ不透明なところがたくさんあるわけでございますが、国際経済の状況が日本の経済にとってやや有利に展開してきておりますから、また法人税収が伸びてくるという可能性はある、私はこう思うのでございます。しかし、いま仰せのように個人の住民税が今日の状況にあるということについては、今回の与野党合意の線というものが出たのも、そういうところにお考えが行ったことから今回のこういう減税に対する考え方が出てきたものであろう、私もこう思うのでございます。
  203. 三谷秀治

    ○三谷委員 大変該博な知識を駆使されてお話しになりますから、問題の焦点が絶えずぼけてしまう。私がいまお尋ねしましたのは、個人にしましてもこの不況の中で非常な困難な状況に落ち込んでいる、たとえば失業者もふえてくる、あるいは全体の生活の水準というものも低下してくる、そこで一方においてはこれが購買力の減退につながってまいりまして商品が動かなくなってくる、そこでいわゆる消費不況が起きてくる、これが企業にも反映してくる、総合的な関係を持ってくるのであって、企業だけが不況の影響を受けておるわけではない、個人も不況の影響を受けておる、しかしながら個人税収はどんどんふえてくる、そうして企業の税はどんどん減ってくる、こういう不合理なことであっていいだろうかということをお尋ねしているわけであって、そのためには、個人の住民税減税というものが急がれなければ、税の公正が保てないという状況になっているのではありませんかということをお尋ねしたわけでございます。それについてはどうお考えでしょうか。
  204. 関根則之

    関根政府委員 個人の住民税の税収額が法人関係税の税収額を全体として、トータルとして上回る状況になったということを申し上げたわけでございますが、個人の住民税が増強といいますか、増加してきましたのは、これはやはりその課税標準となる個人の収入がふえたからであるわけでございます。ただ、インフレを考慮すれば実質可処分所得が減っているではないかというようなお話もよく聞くわけでございますけれども、給与の所得段階の低い段階では、物価上昇を考えましても、実質可処分所得といいますか、税引き後の可処分所得というのは、私どもの数字によりますと何ほどかずつ増加をしておるというのが最近の傾向でございます。  一方、企業関係税が伸び悩んでおるというのは、これは企業の収益そのものが落ち込んでしまっておりますために、収益が入ってこないから税収が上がらないという関係でございまして、個人所得のように収入そのものがどんどん上がってくるというのであれば、当然企業関係税というのは上がって増加してくるわけでございまして、その辺のところがちょっと基本において比較対照をストレートにできないのではなかろうかと私どもは考えております。
  205. 三谷秀治

    ○三谷委員 個人収入がふえたのが住民税の増加した原因である、こうおっしゃっておる。個人収入というものが額面では確かにふえておりますでしょう。これは間違いがない。しかし、これは実質所得がふえたわけではないんだ。額面がふえておりますのは、いわゆる物価調整減税というのが三年間もやられていない、あるいは所得減税は六年間にわたって行われていない、そういうことによりまして、要するに、額面所得におきましては確かに増高があったに違いない、しかし、実際におきまして国民生活というものが非常な行き詰まりになっておる、そしてこの可処分所得の減退というものが購買力の減退につながってきておる、それがいわゆる消費不況になってきて、いわゆる企業の不況が今日示されてきておる、そういう構造になっておるわけでありますから、その点から考えてみますと、企業の税はどんどん減るけれども個人の税はどんどんふえていく、そういう状況というものがそのままストレートに認め得るものではないわけであって、まああなたがおっしゃいますように、幾らか可処分所得もふえた階層があるかわかりません。それはあるとしましても、たてまえとしましては、当然従来と同じように、物価の変動分についてはこれは調整減税を行って、そして税の公平について配慮する、これが当然の処置であって、それをせずにおいて、額面上の所得がふえたとかあるいは可処分所得が若干増加した、そういう議論では決して国民は納得するものではないわけであります。  これはあれこれと強弁なさることは、私はこれ以上必要としませんが、実際の状態を見れば当然減税をしなくちゃいけないという状況にあるわけであって、そこでさっき大臣が、わが党を除く与野党の合意について触れられた。  そこで、この減税問題でありますけれども議長見解が示されまして、政府は「景気浮揚に役立つ相当規模の減税実施するための財源を確保し、所得税及び住民税減税についての法律案を、五十八年中に国会提出する」、こういう確約があったとしておる。そしてその実現に努力するとの見解を示された。これは私も予算委員会で聞きましたが、政府提案で行います、こういうことを官房長官が答えました。  そこで、自治大臣に伺いますけれども、こういう世論というものを背景にして、そして今日まで六年間ないし三年間という減税のストップ、こういう状況というものを勘案しましていよいよ減税をなさるというわけでありますが、この減税は規模も明らかでないとおっしゃっている。時期も明らかでないとおっしゃっている。五十八年度中に法律案を出す、こういうことは予算委員会で聞きました。一方、官庁速報によりますと、地方税につきましては年度途中は課税事務混乱で不可能である、住民税減税は五十九年度実施が適当という方向で自治省が基本的態度を固めたと報道されております。そうしますと、五十九年度実施住民税減税案を五十八年度中に提案するということになるわけでしょうか。つまり、五十八年度においては五十九年度からの減税案を出すのであって、五十八年度には地方税減税はあり得ない、こういうことになってくるわけでしょうか。この点はいかがでしょう。
  206. 関根則之

    関根政府委員 減税案を五十八年中に国会に提案をする、所得税及び住民税についてでございますが、そういうことを幹事長が発言をしたということを確認をし、これを尊重する旨の官房長官発言があったことを私ども承知をいたしております。そして、そういう経緯を踏まえましてそこで発言をされました内容につきまして、その実現のために最善を尽くすのがわれわれの勤めであるというふうに考えております。  しかし、具体的にどういう内容法律案減税をまとめていくのか、実施時期なりあるいは規模なり方法なり、それはこれから詰めていくべき問題であるというふうに考えております。したがって、内容的には五十九年度住民税についての実施になるのかというお話でございますけれども、そこのところがまだ詰まっていない、これから検討をし明確にしていく作業をいまやっているところ、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。  もちろん、年度内の減税につきましては、住民税の場合には事務的にもいろいろ問題がございまして非常にむずかしい条件下にある、また、住民税減税内容を詰めるに当たりましては、所得税とは違ったいろいろな性格につきましてそれなりの検討をしなければいけないという問題があるということは申し上げておるわけでございますけれども、しかし、そういういろいろな問題があるけれども、その結果五十八年中の減税は一切やらないのですよということを最終的にわれわれが言っているわけではないわけでございます。実施時期、内容につきましては、あくまでもこれから検討をして内容を詰めていく問題であるわけでございます。
  207. 三谷秀治

    ○三谷委員 五十八年度中の減税実施しないというわけではない、しかし、五十八年度中の減税は確実にやりますということでもない、要するに不確定なものだ、そういうことでしょうか。
  208. 関根則之

    関根政府委員 所得税住民税減税問題の実施時期でありますとか内容でありますとかその方法につきましては、まだ決まっておりません。これからそれを決めるべく検討を続けていく、そういう段階にあるわけでございます。
  209. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、五十八年度地方税減税はあり得ないということも考えられる、そういうことなんでしょう。それがリアルなところなんでしょう。どうですか。
  210. 山本幸雄

    山本国務大臣 先ほど来の、与野党の合意というものを踏まえまして自民党幹事長が言われた五十八年——暦年ですね。五十八年中に所得税地方税減税案を国会提出する、こういうことに合意の内容、幹事長発言内容はもちろんなっておると思うのです。それを官房長官は尊重する、こう言ったわけでございます。  そこで、時期あるいは規模についてはまだこれからの検討課題でございます、これから努力をいたしていきます、こういうことでいま政府側は考えているわけでして、私どももその考え方にのっとっておるわけでございます。  そこで、三谷委員もよく御存じのように、所得税地方税との場合に、やはり税の徴収のやり方が少し違う。その一番大きいのは、何といっても地方税は前年度所得を対象にしているというところが違うわけでございまして、そこのところの違いを、国税所得税と時期的にどう合わせていくかというのがわれわれの検討課題であるわけです。ですから、いまおっしゃるように、いわばイエスかノーか、こっちかあるいはこちらかというおっしゃり方をせられますと、それは私どものところでいまはっきりとしたことをなかなか申せない、こういうことになるわけでございますが、しかし、方向としては、やはり五十八年中に所得税地方税減税をやるという方向で極力私どもも勉強する、そういうことには間違いないということでございまして、やらぬのかとおっしゃられては、やらないというわけでは絶対ない、こういうことでございまして、何かこんにゃく問答のような話ですけれども、その辺で何せまだはっきりしないところがあるわけでございますから、その辺でひとつ今日のところは御理解をいただきたいと思うのです。
  211. 三谷秀治

    ○三谷委員 この問題にはあいまいさが絶えずついて回っている。いまの官庁速報によりますと、五十九年度実施が適当という基本的態度を自治省は固めた、こういう報道もなされております。いまの局長や大臣の答えを聞いておりますと、大体ここら辺が伏線になっているということはわれわれはわかっている。だから、五十八年度中に法律は出すけれども実施は五十九年という線が非常に強いという印象を私はいま受け取っておりますが、これは昨年度減税問題につきましても、そういう国民がまんまといっぱいはめられるというような状況もあったわけですから、今回もそういう状況が非常に強まっているということを、私はあなた方のお答えから感じておるわけであります。  大体そこら辺がいまの皆さん方がおっしゃっているいろいろなお答えの総和的なもののような感じがしますけれども、これ以上はお答えは要りませんが……
  212. 山本幸雄

    山本国務大臣 いま何の情報か、私はわかりませんが、そういうふうに自治省が方針を固めた、そんな事実はありません。固めたことはありません。そういう相談も具体的にまだやっておりませんから、固めたというのは全く言い過ぎだと私は思っております。
  213. 三谷秀治

    ○三谷委員 これはさっき申しましたように、役所関係のニュースの専門誌の報道ですから、そのことはあらかじめ指摘して申し上げたところでございます。まだ幾らか脈はあるということですか。
  214. 関根則之

    関根政府委員 御指摘の報道がなされたということは、私ども承知をいたしておりますけれども大臣答弁申し上げましたように、内部的にいろいろな検討はしておりますけれども自治省としての態度を決めたとか、そういうものは全くないわけでございます。
  215. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまの答弁を聞いておりますと、すべてが未確定である、確定的なものは何もない、必ず減税しますともおっしゃらない、しないとも言えない、こういう状況です。これがいま私が聞きました自治省の態度でございます。  住民税課税最低限の引き上げを見送ったために、今回も五十八年度限りの措置として非課税限度額が設けられましたが、この非課税限度額というのはどういう意味のものでしょうか。
  216. 関根則之

    関根政府委員 住民税減税実施いたしまして所得のある方々に対して税負担の軽減を図ってまいりますためには、所得控除を引き上げるのが最も望ましいわけでございますけれども、現在の地方財政は大変厳しい状況にございますので、減税財源が生み出せないというような状況のもとで、減税を見送らざるを得なくなったわけでございます。そういう中で、やはり低所得者層に対する配慮を必要な限りにおいてとっていく必要があるというような観点から、特に所得の低い方々に対して一種の免税点のような制度として設けられておりますのが非課税措置でございます。
  217. 三谷秀治

    ○三谷委員 安孫子大臣がおととしの地方行政委員会お答えになっておりますが、生活保護家庭との関係において矛盾が出てくるので、その矛盾を解消するためにこのような臨機の措置をとった、こうおっしゃっておりますが、そういうふうな性質のものですか。
  218. 関根則之

    関根政府委員 矛盾という言葉の理解でございますけれども、この法律なりあるいは論理的に何が何でもそこのところが食い違っておりますと相ならぬというような性格のものというふうには、実は私ども受けとめていないわけでございます。ただ問題は、仕事がないかあるいは病気の場合もあるでしょう、生活保護を受けておりますと、一定金額までの生活保護が受けられる。しかし、そういう条件になくて、働いている人で生活保護基準程度の収入しかない人が住民税の負担をしなければならぬというのは、実際問題としてやはり問題があるのではないか、いかがなものかというふうに私どもは受けとめておる。したがって、その辺のところについて税負担をかけるのはおかしい、それを排除するために設けているのが非課税措置であるというふうに考えております。
  219. 三谷秀治

    ○三谷委員 答えを少し簡略にしてください。非常に微に入り細をうがって懇切丁寧でございますが、われわれは時間との闘いをしておるのであって、それを考慮してほしいと思います。  そこで、非課税限度額に対する生活保護基準額は、標準世帯一級地で計算して幾らになっておりますか。五十五年、五十六年、五十七年についてお答えをいただきたいと思うのです。——これは時間をとるようですから、先ほどちょうだいしました資料によりますと、生活保護基準額は五十五年は百六十二万三千円、五十六年が百七十五万三千円、五十七年が百八十六万四千円ですが、これで間違いないですか。
  220. 関根則之

    関根政府委員 そのとおりでございます。
  221. 三谷秀治

    ○三谷委員 それに対して非課税限度額といいますのが、五十六年度におきましては百七十五万七千円、五十七年度におきまして百八十八万五千円、これは前年度課税でございますから、生活保護基準額と合致するわけであります。五十八年度におきまして百八十八万五千円になっております。そこで、五十五年度、五十六年度におきましては、生活保護基準額と非課税限度額の差が十三万四千円ないし十三万二千円あります。ところが本年度になりますと、これが非課税限度額が非常に額が下がりまして、生活保護基準額との差が二万一千円という低額になってきたのでございます。  そこで、これは昨年までは否定されておりました生活保護基準すれすれのところまで課税するということになったことを示しておるわけでありますが、なぜこのような変化が起きましたのでしょうか。
  222. 関根則之

    関根政府委員 先ほども申し上げましたように、生活保護基準程度の所得しかない方々に住民税負担を課するということは、これはそのまま放置することは望ましくないという考え方のもとに非課税限度額を設けているわけでございまして、五十七年度に設定をいたしました百八十八万五千円というのが、五十八年度におきましてもなおかつそれに対応する生活保護基準程度の方々には課税がなされない、そういう効果を持ち得るものでございますから、今回は特にそれを動かさなかったわけでございます。
  223. 三谷秀治

    ○三谷委員 非課税限度額は本年度は据え置きになっておるわけでございます。そこで、昨年度と同じように、生活保護基準額にスライドして非課税限度額も同額に引き上げた場合の減収額は幾らになりますか、その場合の対象納税義務者は何人になるのでしょうか。
  224. 関根則之

    関根政府委員 金額にいたしまして、おおむね三十三億円程度の減収でございます。対象となる人員は、五十八万人程度と見込んでおります。
  225. 三谷秀治

    ○三谷委員 そこで、生活保護基準の算定額についてお尋ねしたいと思います。  生活保護基準の算定額というものが示されておりますが、全部これに言及しますとはなはだしく時間を食ってしまいますから、一例だけお尋ねしますが、住宅の扶助費は月九千円で計算されております。住宅扶助基準を定めました厚生省告示別表第三の中では、一級地及び二級地の家賃、間代、地代等の額として月額九千円以内となっております。しかし、今日九千円で親子四人が住める住宅などというものはほとんど存在しない。厚生省の告示でも、九千円を上回ることを想定して、二項において別に定める額を示しております。九千円もしくは五千円、これは三級地の場合でありますが、この基準額を上回って特別の額を定めております都道府県や指定都市は幾つありますでしょうか。
  226. 土井豊

    ○土井説明員 全都道府県と全部の指定都市で特別の基準を定めております。
  227. 三谷秀治

    ○三谷委員 すべての都道府県及び指定都市で住宅扶助基準額を上回った特別の額が定められておるということは、いまの生活保護基準額というものが実態に合ったものではないということを証明しておるわけです。  そこで、もう一つお尋ねしますが、厚生省の告示に基づきまして厚生大臣の承認を得て知事が定めた額は、東京都の場合は幾らになっておりますでしょうか。
  228. 土井豊

    ○土井説明員 単身世帯の場合は月額二万八千九百円、その他の場合は三万七千六百円という額になっております。
  229. 三谷秀治

    ○三谷委員 東京都の場合、保護世帯は約五万四千世帯でありますが、その中で九千円以下でおさまっておるところは、何世帯ぐらいありますでしょうか。
  230. 土井豊

    ○土井説明員 ちょっといまデータを持っておりませんので、調べてみます。
  231. 三谷秀治

    ○三谷委員 私が調べてきましたのでは、五万四千世帯中八千三百世帯、約一八%ですか、これが九千円以下で辛うじて済んでいる。だから、八二%というものはこの基準額では生活ができない、こういう状況になっている。  そこで、住宅扶助基準額と知事基準額との差は、東京では月二万八千六百円あります。単身者を除く場合です。年間では三十四万三千二百円になります。そうしますと、いま生活保護基準額は百八十六万四千円と言っておりますが、東京の場合には、この住宅の扶助の差額を加えましたならば、二百二十万七千二百円が生活保護基準額として実際には認められておる、こういうことになっている。これが実態であります。  しかるに、今般の非課税限度額の改正に当たりましては、はるかにそれを下回る百八十八万五千円、つまり生活保護世帯をはるかに下回る非課税限度額しか定められていない、こういうことになってくるわけであります。しかもこれは前年度と据え置きになってしまっている。これでは余りにも低所得者に対する配慮、考慮が足りないのではないかということはだれしもが考えざるを得ませんけれども、この点はいかがでしょう。
  232. 関根則之

    関根政府委員 税制というのは、ある程度全国画一的に定める必要があるわけでございます。そこで、非課税措置をどの程度の基準で設定するかという問題につきましても、やはり生活保護基準等との兼ね合いというものを考えます場合に、生活保護基準の中心的なものは何かということで比較対照をさせていただいておるわけでございます。  この住宅の扶助を受ける特別基準が定められております。そのこともまた事実でございますが、通常この特別基準の対象となりますのは、借家に入っている方々であろうと思いますけれども、そういう借家に居住している生活保護世帯は、全国でおおむね四割程度と聞いているわけでございます。私どもといたしましては、確かにそういう方々もおることは承知をいたしておりますけれども制度を仕組むときに、基本となる額に基づいて定めているわけでございます。したがって、もともと生活保護基準と非課税措置というのが、先ほども申し上げましたように論理的に、そこである特定の例を持ち出して一銭でも上回っていればおかしいのだ、そういうふうな考え方を私どもとしてはとっておりませんで、一つの重要な参考事項としてそれらを勘案しながら非課税措置を考えておるということでございます。
  233. 三谷秀治

    ○三谷委員 生活保護世帯の六割が自己所有の家屋に住んでいるということをいまおっしゃいました。その真偽につきましては、私はいま調査資料を持っておりません。しかし、いま一般に、生活保護世帯が相対的に多いと見られております大都市において、その生活費の一番重要な比重を占めるのは住まいの問題である。衣食住と言いますけれども、住の問題こそは最大の今日のネックになってきている。非課税の限度額を考えます場合に、これを考えていかないということでは少し筋が通らぬのではないか。これは比重も高いし、額面も多い。生活を圧迫する度合いの最も高いものが住宅費になっている。その住宅費というものをもっと尊重して、実態に合った措置をとるのがあたりまえではないか。  そして、いまいろいろ税と生活保護とは違うのだとおっしゃっている。違うのだと言いながらも、実態としてはそれを無視できないから、このような非課税限度額というふうな怪しげな措置ができ上がってきておる。だから、一面ではそのことを認めながら、その弱点を指摘されるとそれはまた税とは別だ、そういう遁辞めいたことを言わずに、足りない点があれば足りない点は補強する。欠陥があれば、欠陥はやはり反省をしてそれは強化をするという措置をとらなければ、国会の議論なんというものが全くの空論に終わってしまうのではないかと私は思いますが、大臣、そこはどうでしょうか。  そこで、この実態を見ますと、住宅扶助額の差のみをもってしましても、自治省の定める非課税限度額は全国的に生活保護額を下回るケースが続出するだろうということが想像されます。実際には生活保護基準額以下の収入しかない、担税力のない人に課税するという事態が生じるのではないか、これはだれしも持つ懸念であります。その懸念はないでしょうか。これが一点。  それから、必要な場合は市町村で条例を制定して、住民税の減免ができることになっておる。あるいはそれを活用せいとおっしゃるのか。そこら辺についてお聞きしたいと思うのです。
  234. 関根則之

    関根政府委員 私の先ほど答弁で、先生お話しいただいて、誤解があるといけませんので申し上げておきますが、私は、特別基準の対象となる借家に居住している生活保護世帯は全国で約四割程度となっておりますということを言ったわけで、残り六割が自宅に住んでおるということを言ったわけではございませんので、よろしく御理解をいただきたいと思います。  そこで、新しい質問でございますが、生活保護基準程度の、それ以下の収入しかない人々に課税される場合が出てくるであろうということでございますが、それは例外的には出てまいると私は思います。ただ、もちろん実際に生活保護を受けている方々は非課税でございますので、生活保護を受けている人に税金がかかっていく、住民税がかかっていくということはあり得ないことでございます。  それから、そういう場合に減免によって対処をするということができないかというお話でございますが、やはり制度といたしまして、課税最低限なり非課税措置というのは一定の金額で自動的に計算をいたしてまいります。それから外れた人を自動的に減免措置によって救っていく、いわゆる減税の一手段として減免措置をとるということは実際できないだろう、減税の手段として減免措置を採用するということは本来なじまないことであろうというふうに考えております。ただ、もちろん実際問題といたしまして、個々人の場合でケース、ケースをとりまして、地方団体の長が災害その他の事由によりましていろいろ個別に減免をしていくということは、これは大いにあり得ることだろうと思います。
  235. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、さっきの借家の件ですが、四割が借家であって、あとは同居者とかあるいはその他借家以上に居住条件が悪いという人たちの多いことを恐らく示されたのだろうと思いますが、その場合の家賃の扱いがどうなるかということですね。あるいは家賃に類する負担がどうなるかということは別としまして、いまの家賃の水準から見ますと、そういう間借りといいますか——間借りも借家になるのでしょうね。そういうふうに法律上なっているようでありますが、ですから、同居というふうなことにしましても一定の負担は要るものだ。そしていまの水準から見ますと、やはりこれは九千円とか五千円とかいうふうなことでは済む状態にはなかろうというのが、常識上判断されることであります。  そうしますと、そういう点を考えてみましても、本年度課税限度額を前年度並みに据え置いたということは全く了解に苦しむ点であり、当然これは——昨年度、一昨年度におきましては生活保護基準額より十三万程度のゆとりのある非課税限度額というものが設けられておりましたけれども、ことしはほとんどそれがなくなってしまった。ラチチュードがなくなってしまった。そして一方におきましては生活保護基準額の算定というものが非常に不十分な状態にある。  私は、きょうは家の問題しか指摘しておりませんけれども、細かくやればいろいろありますけれども、一番わかりやすいから住宅の問題を指摘したわけであって、その中にもこのような非常な矛盾がある。ですから、当然非課税限度額の引き上げをすべきだ。それがなぜできないのかということですね。そこのところに私どもは大きな問題を見出しておるわけですが、大臣、どうですか。あれこれとへ理屈めいたことを言わずに、これは当然、やるのがあたりまえであって、やらぬというのがおかしいのであって、前年が百八十八万五千円であったものが今年度においても百八十八万五千円だというのでは、これは物価の変動もある、あるいはその他の条件などを考えてみまして首肯できるものではありません。これは改善をしてほしいと思う。
  236. 関根則之

    関根政府委員 もともと生活保護基準という制度と非課税措置というのは、法体系が全然違いますし、そもそも生活保護基準というのは、生活保護を受けますときには、フローの問題だけではなくて、ストックまで全部洗いざらい、どんな財産を持っているのかというところまで、実は審査基準になりまして判定をするという制度でございます。所得課税住民税の場合には、それは毎年の入ってくる収入というものに着目して課税をするということでございますから、これを常にぴちっと相対応させて連動させてしなければいけないものというふうに私どもは理解をしていないところでございます。  ただ、お話がございましたように、そうはいいましても、やはり低所得者層に対する税負担というものについて配慮する必要がございますので、一つの参考資料として、しかも重要な参考資料として生活保護基準というものをわれわれは勘案をしているにすぎないわけでございます。したがって、例外的といいますか、時により人によってはそこのところが逆転現象が起こっておるということがあり得るかもしれませんけれども、それはそういうものがあるからといって、非課税措置の定め方が絶対だめなんだということにはならないというふうに私どもは理解をして、制度を運用しているわけでございます。  そういう意味におきまして、一応の比較対象になります五十七年度の生活保護基準の一般的な基準が標準世帯におきまして百八十六万四千円でございますので、それをわずかながらではございますが、クリアしている百八十八万五千円の非課税措置がすでに設定されておりますので、これを動かす必要はないといいますか、動かさなくても済むものというふうに考えたわけでございます。
  237. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなたの答えは矛盾に満ちているんだ。一方におきましてはそう言いながらも、やはり生活保護基準というものは重要な資料であり、これは非課税限度額を決める重要な要素になっている。しかし、そうであるけれども、これは税と生活保護基準とは別のものだ。別のものなのは初めからわかっている。別のものを決めるについて何を参考にしているのか、何を基準にしているのか、その基準にしているものと今度の非課税限度額の差が余りにもこれは論理に合わぬのではないか、そういうことを言っておるわけだ。  去年非課税限度額が百八十八万五千円であって、そして前年は百七十五万七千円、大体生活保護基準額にスライドして従来これは変動してきたものだ。そのスライドをなぜことしはやめなくちゃならぬかということなんだ。なぜことしは従来とってきた論理というものを放棄してしまって、そして事新しく税と生活保護基準は別だ、そんなことを言わなければいかぬのか。いままでこれを連関したものとしてスライドしてきておったんだ。それをことしになって開き直って、それは別のものだから非課税限度額を改善する必要はない、こんなことを言い出してきておる。そこは少しあなた、筋道が通らぬじゃないですか。
  238. 関根則之

    関根政府委員 ことしになって急に別に態度を改めたわけではございませんで、私どもとしては、制度といいますか、これを始めました五十六年度からそういう考え方に基づいてやっているわけです。  それから、従来からずっと連関をしているというお話でございますが、非課税措置をこしらえましたのは実は昭和五十六年度でございまして、六年度に設定をし、五十七年度に一回それを金額を上げたということでございまして、まだそう長い間ずっと歴史的に連関をしてきた、そういうような性格のものではないというふうに理解をしているわけでございます。
  239. 三谷秀治

    ○三谷委員 五十六年度におきまして、生活保護基準額と非課税限度額の差は十三万四千円、五十七年度におきましてそれが十三万二千円と幾らか低下した。しかし、ことしのようにそれが二万一千円になってしまうなんて、とんでもない飛躍が考えられるわけはないんです。これは生活保護基準に合わせて、その程度の一定の許容量を入れた非課税限度額を設けるべきであって、そのことによって生活保護基準額の算定におけるいろんな不十分さ、あいまいさ、そういうものをそこで埋め合わせていく、そういう意味を持つものとしてわれわれは今日までこれを見てきたんだ。ところが、ことしになって一挙に十万近くも差を削ってしまうということがなされる。こうなってきますと、さっき言いましたように、生活保護者よりも低所得者の方が大変な税負担を強いられるということになってくる。これは改善してもらいたい。  大臣、こういう筋の通らぬことにつきましては、やはりきっぱりと変えていかなくてはいけません。こういうものを無理押ししておやりになりますと、これは決して国民は納得するものじゃない。——まあこれはよろしい、役人ではよろしい。大臣の政治的な判断を私は求めたい。
  240. 関根則之

    関根政府委員 委員長、ちょっと……
  241. 三谷秀治

    ○三谷委員 もうよろしい。大臣答弁を聞いている。私は時間を制限されているのだ。堪忍してください。
  242. 関根則之

    関根政府委員 一言だけ申し上げさせていただきたいと思いますが……(三谷委員「一言だぞ」と呼ぶ)実は、確かに昨年までは十三万二千円の差があったわけでございますが、先生御議論をいただきますように、住宅の特別基準を当てはめて最高をいただきますと、生活保護基準を年間で三十万以上上回ってしまうわけです。そういう人を具体的に当てはめますと、実は五十六年でも五十七年でも飛び出してしまう、そういう事態があったわけでございます。
  243. 山本幸雄

    山本国務大臣 ことしの地方税改正はなかなかむずかしい問題がいっぱいあったのです。だから、減税という措置はなかなかことしはとれなかったのですね。だから、根底にはそういう考えがやはりあった。しかし、いまいろいろ内容の具体的なことについては、申しわけないのだけれども、私もよく理解していないわけなので、私がここでどうこうするということも申し上げにくいわけでございますが、しかし、事は生活保護家庭のことでございますので、先生がよく御納得いただけるようにひとつ説明をまたよくさせていただきます……(三谷委員説明はもう結構だ」と呼ぶ)ということで御理解をいただきたいと思います。
  244. 三谷秀治

    ○三谷委員 こういう不合理がまかり通ったらあきません。やはりだれしもが納得できる制度にしてもらわぬといきません。この分だけが去年のままの据え置きというようなことでは、これは全く私どもは納得できませんから、まあ、いますぐどうこうということはないけれども検討していただきたい。よろしいか。
  245. 山本幸雄

    山本国務大臣 検討してどうこうするということはまずその前提に置かないで、ひとつ勉強させていただきますよ。
  246. 三谷秀治

    ○三谷委員 来年のこともありますから……。  これとはまた別になりますが、これまで法人の道府県民税の均等割の税率改正は、昭和二十九年に税率六百円で創設されまして以後四十二年、五十一年、五十二年、五十三年と四回の改正が行われております。そうして、今回の改正はこれまでの改正内容とは全く逆のものになってきた。これは、大きな資本金ほど今度の改正によりまして負担額が安くなってくる、小さい法人が今度の改正によりましては税額が非常に強化されている、こういう内容になっている。これが従来の改正とは全然違う点であります。  そこで、資本金五十億円以下にランクされました企業は二倍の均等割の負担になってくる。五十億以下のいろんなランクがありますが、これは二倍の均等割の負担になります。ところが、五十億を超える巨大企業は一・五倍の均等割しか負担しなくたってよろしい、こういう根拠がどこにあるのでしょうか。
  247. 関根則之

    関根政府委員 資本金五十億以上の法人につきましては、五十一年、五十二年、五十三年の改正のときに相当の引き上げ率で引き上げを行いました。相当程度均等割の額も高くなってきておりまして、一事業所当たり百万円という金額になっておったわけでございます。そういう絶対額が相当大きなものになってきているということを考慮いたしまして、今回の税率改正に当たりましては、一・五倍の百五十万円ということに設定をしたわけでございますが、五十一年改正前の税額から比べますと、それでも五十八年改正後は三百倍になるわけでございます。それに引きかえ、一番下の段階の一千万円以下の法人は、五十一年前に比べましても六・七倍ということでございますので、全体を眺めていただきましたバランスというのは、それなりにとれているものというふうに私どもでは理解をいたしております。
  248. 三谷秀治

    ○三谷委員 その負担額、税率を決定します場合、当時の税調が答申をしておりますね。この税調の答申によりますと、「税率水準等からみて資本の金額又は出資金額が十億円を超える法人にはなお負担の増加を求める余地がある」、こういう答申をなされております。要するに、十億円以上の企業というのは、そのもうけから見てもあるいは出資金額から見ても、もっと増額を求めるべきだという答申がなされて、そういう答申等に基づいて改正がなされてきたわけだ。つまり、税調といえども税負担能力が十分にあるということを指摘して、それによってやってきたのでしょう。それを何でいま逆に戻してしまうのだ。それまではいろいろなランクづけをしまして、それなりに、大きい企業ほど額が高いという措置がとられてきた。それを今度なぜ小さい方を非常に大きく、高くして、大きな方を安くしたのですか。大きな方だけが不況で困っておる、こういうことなんでしょうか。そこも論理が通っていない。
  249. 関根則之

    関根政府委員 御承知のこととは存じますが、五十億以上の法人につきましても、税率を下げたわけではございませんで、五十万アップいたしまして、百万円を百五十万円に引き上げているわけです。ただ、その率が、下の方が二倍になっているのに、上の五十億以上が一・五倍というのはおかしいではないか、こういう御趣旨だろうと理解をいたすわけでございますが、大きい法人になりますと、事業所を各市町村に数多く持っているというケースもございます。そういうことで、今回、各事業所ごとの、一億円以上の企業についての職員数の区分の限界を五十人ということで引き下げました。それが大法人については響いてまいります。そんな影響もありまして、実際に私ども、五十億以上の大企業、かつ支店の多いところをずっと拾って試算などもいたしておりますけれども、おおむね二倍ないしは二倍を超えるようなところも出ておりますけれども、その程度の実質税負担の増になる。そういったことも考え、先ほども申し上げましたように、すでに百万円という相当程度の負担額になっておる状況の中で、さらにそれを五十万円上げるということでございます。単に率だけでこういう問題を議論するのはいかがかというふうに考えておるわけでございます。
  250. 三谷秀治

    ○三谷委員 税の問題などは、率や額で議論せんかったら、何で議論するんや。それが一番基本になる問題じゃないのか。  昭和五十五年度の実績の法人住民税均等割の納税義務者数に税率を乗じて資本金クラス別の均等割負担額を計算してみますと、道府県分の場合、五十億円を超える法人は一万五百三十四社ありますが、これの全部の均等割税収が二十一億円で、全企業の二三・一%であります。これが今回の改正で一八・四%へ低下する。全般的な税負担が強化される中で、なぜこのようにして大企業の税負担が軽課されるのか、これは私は大変疑問に思っておる。さっきの低所得者に対する重課の問題と全く対比的に、こういう大企業に対しては税の減額を進める。減額といいますのは、全体の上昇率から見て減額と言っているんであって、去年より安くなるという意味ではありませんよ。比率が低下したということを言っているわけであります。そうして現在の均等割の負担が決して大企業にとって重いものではないのです。企業の活動状況を反映しておると見られます営業収入との比較で見ても、そのことははっきりとわかる。  国税庁にお尋ねしますが、一体いまの日本の全企業の営業収入は幾らになっておりますでしょうか。それから、資本金五十億円を超える大企業の営業収入、それから資本金一千万円未満の企業の営業収入、この収入と構成比についてちょっとお尋ねしたい。
  251. 谷川英夫

    ○谷川説明員 営業収入で見ますと、合計で七百六十二兆円でございます。このうち、資本金が一千万未満の法人全体で、営業収入金額百四十五兆円でございまして、全体に対する比率が一九・一%でございます。次に、五十億円以上の法人でございますけれども、全体で二百十八兆円、その全体に占める比率が二八・六%ということでございます。
  252. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、営業収入で見ますと、資本金一千万円未満の企業は全企業の常業収入の一九・一%、この企業に対応する一千万円以下の企業は、道府県分の均等割で見ますと、現行税率でも三二・五%を負担しております。これが改正後では三四・五%に上昇するわけであります。また、資本金五十億以上の企業は、全企業の営業収入の二八・六%を占めております。これらの企業にほぼ対応する五十億円を超える企業は、道府県分の均等割で現行で二三・一%を負担しておるにすぎませんが、これが改正後ではさらに低下して、一八・四%に縮小されるのであります。  営業収入との比較を見ましても、大企業の負担が重いとは決して言えません。改正後ではこの格差が一層に拡大することになりますが、そういういわゆる大企業奉仕、いろいろ非課税措置など手をつけて、幾らかずつ改善をしながら、一方におきましては、こういう措置によりまして、大企業の税をさらに軽減する。相対的な軽減でありますよ。それを一貫しておやりになっている。これはさっきのあの低所得者に対する非情な措置、非課税限度額を去年と同等に据え置いて、実際には生活保護者以下の状況にある者に対して課税をするということをやりながら、一方におきましては、こういう大企業に対しては非常な優遇措置をとろうとしている。これは一体どういうわけですか。
  253. 関根則之

    関根政府委員 先生がお示しになりましたウエートにつきまして、手元に私どもは詳しいデータを持っておりませんので何とも申し上げられないわけでございますが、単に都道府県の均等割だけで議論をするということではなしに、市町村分まで含めて計数に当たる必要があるものというふうに理解をしているところでございます。  今度の税率調整に当たりまして、大法人の税率設定を市町村分まで含めて百五十万円といたしましたのは、税調等の議論も踏まえながら、全体として法人均等割を約二倍程度に税収段階で引き上げる、二倍程度の負担をお願いする、そういう考え方で税率表を組み上げたわけでございます。そういう中におきまして、大法人におきます実際の支店数その他等の調査もいたしまして、おおむね二倍程度の数字が出てまいりました。特に百人から五十人に従業員数の区分を変えたということが響いていると思いますが、そういう仕組みによりまして設定をいたしたものでございます。決して大企業優遇という観点から今回の税率設定をしたものではないわけでございます。
  254. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなた方の主観の中にそれがあるかないか、私はわからぬけれども、問題は、物理的な実態というのがはっきり示している。あなたはいま、府県だけでなしに市町村を含めて計算しなくちゃいかぬと言ったけれども、市町村を含めて計算するとこれは変わってくるのか、どこがどう変わるのか、説明してください。
  255. 関根則之

    関根政府委員 大企業の場合には、同一都道府県の中で一つの事業所を持っておりましても二つの事業所を持っておりましても、都道府県税額は全く変わらないわけでございます。ただ、市町村は市町村ごとに、三つの市町村に事業所を持っていれば、三市町村分いただくという形になっております。大企業の場合には、支店数が比較的多いのが一般的な傾向でございますので、そういうことを考え合わせますと、市町村分を加えた場合には多少その辺のウエートが変わってくるであろうというふうに私どもは考えます。
  256. 三谷秀治

    ○三谷委員 それはあなたの推定にすぎないでしょう。  私は、今回の税率改正で実際の企業の均等割負担がどのようになっておるかを、資本金クラスごとに標準税率で二、三の企業をモデルにして計算してみました。これは府県分も市町村分も加えて試算をしてみたのであります。これはかなりな企業の数でありますから、まことに残念でありますが、これをいまここで申し上げる時間はありません。ありませんが、資本金一千万円当たりの税負担額で見ますと、資本金二千万円以下の企業で十万円を超える負担になる、そういうところが少なくありませんが、資本金が二百億円を超える、たとえばユニチカだとか新日鉄などは、それぞれ六千九百円だとか、新日鉄に至っては八百九十二円にすぎないのであります。資本金一千万円当たりの税負担額であります。これについて何か御異議がありますでしょうか。これは私は数字をはじいて出したんです。  そして、こういう結果になる原因は、いま申しましたように、今度は大企業の税率が非常に抑えられてきたこと、そして中小規模の企業の税率が非常にふえてきたこと、それからもう一つは計算の仕方にあるわけであって、資本金クラス分類が、資本金五十億円で頭打ちになっております。ですから、五十億円以上は、百億であろうと一千億であろうと三千億であろうと同じ扱いになっている。市町村分の従業員区分が百人で分けられておった、こういうところに一つの原因がある。たとえば、資本金百十二億円の日本冷蔵という会社がありますが、高槻に工場があって従業員が百十七名であります。この法人市民税均等割は八十万円であります。また、資本金三千二百七十三億円の新日鉄の八幡製鉄所は、従業員一万六千名を超えますが、その均等割も同じ八十万円であります。今回の改正で従業員区分が従来の百人から五十人に引き下げられました。これはこのような矛盾を一層拡大する結果になりはしないかということを懸念するものでありますが、その点はいかがでしょう。
  257. 関根則之

    関根政府委員 個々の企業について私ども悉皆当てはめをして比較をする作業はいたしておりませんので、個別に拾ってまいりますといろいろなバランスの問題は出てくるであろうと思います。というのは、法人均等割だけですべての所得課税なり企業課税というものを済ましておるわけではございません。税の体系、いろいろな税目なり、住民税の場合には法人の場合、法人税割もあるわけでございますし、事業税もあるわけでございます。そういったタックスミックスによって全体の税負担のバランスというものを考えているわけでございます。その点を御理解をいただきたいと思います。  それから、私どもは悉皆やっているわけではございませんけれども、代表的な企業につきましてはそれぞれ当てはめを実施いたしまして、先ほど申し上げましたようにおおむね実質の税負担額において、均等割でございますが、二倍程度になるということを目途として税率設定をいたしたわけでございます。  また、従業員区分百人から五十人に変えましたのは、特に小規模企業等につきまして、五十人ほどの従業員を持っておればこれはまあまあほどほどの企業と言えるではないかというようなことで、一番下の一千万円以下の資本段階のところが一万円が二万円になるだけだ、従業員五十人以上も持っておりながら、年間赤字の場合には二万円だけで済むということについての世間いろいろな方面からの御意見等を参考にいたしまして、そういうものについては二万円じゃなくて、多少それを上へ上げていくというような、一ランク上の税負担をお願いする、そういう趣旨から五十人区分に変えたわけでございます。
  258. 三谷秀治

    ○三谷委員 時間が来ましたから終わらなければいけませんが、あなたは、お答えを聞いていますと、そのときどきにいわゆる鞘晦的な言辞を弄されるのだ。たとえば、いまここで議論しておりますのは住民税でありますが、税金は住民税だけではないんだ、事業税もあればその他の税目もあるんだ、こんなことをおっしゃる。いま私ども住民税の合理性について議論しているのであって、それをほかの税目を引用してきて、それに仮託してこの問題の責任を回避するというような態度はとるべきじゃないよ、君。絶えずそういう態度をとり続けている。そういう答弁を繰り返してきているんだ。いま私たちが論議しているのは、住民税が妥当かどうか、そこに合理性や公正性の面から見てどうかという議論をしているわけであって、その場合に事業税がどうだとか所得税がどうだ、それは別の議論だ。また、事業税や所得税の問題を議論すると、一方におきましては住民税もあるんだ、そういうその場その場の責任を回避するような答弁はやめてもらいたいんだ。  そこで、申し上げておきますが、もしも従業員の区分を変更するというのであれば、通産省が統計で用いておりますような区分もあります。二十九人以下、三十人から二百九十九人、三百人以上というふうな区分の仕方もあるんだ。これも企業の統計としては、通産省が採用しておりますからきわめてこの問題との連関性が把握しやすい分け方になっておる。あるいは五十億以上をさらにランクをふやすということもある。いまあなたは、とにかく二倍にするんだ、今度は二倍にするのが目途である、こうおっしゃっていますが、二倍になるのは小さい企業じゃないですか。大きな企業は二倍にならない。一・五倍にとまっている。そこがけしからぬと言っているんだ。  そういう点から申しますと、この区分の仕方につきましても工夫する必要がある、そしてまた公正な負担を課す、もちろんこれは均等割でありますけれども、悪平等という性質のものではありませんから、担税能力に応じた公平性をしっかりと守っていく。その点から申しますと、さっき引用しました営業所得などは重要な参考になるものであります。それについては税調もそのことを答申をしてきている。そういう点から見ますと、あなたは言葉の上では、大企業を擁護するのではないとおっしゃいますけれども、実際の物理的な条件は明らかに大企業に奉仕するものであって、一方におきましては零細生活者に対しては大変な限度額の据え置きなどをしまして冷遇をする、いかにも中曽根内閣的な本質に貫かれた今度の地方税改正案になってきている。私どもはこれには絶対に賛成できるものではありません。  時間が来ましたからこれで終わっておきますが、大臣、私どもが指摘します場合に、その主張に論拠があると認めた場合には、立場が違い、あるいはいままでとってきた考え方が違っておりましても、それは十分に組み入れて今後の措置に生かすという態度がなければ、国会の議論などというものは全くの空理空論、おしゃべりに終わってしまう。そういう点から申しますと、かつて江崎という自治大臣がいらっしゃって、この方に対しては私はかなり実現困難なことについて質問しましたが、これは生命保険会社の課税問題でありましたけれども、それは合理性があるというので大胆に是正をされたことがありますが、山本自治大臣もそういう観点に立って、要するに伴食大臣ではなしに、しっかりと権限を生かしていただきたい。そのことを特に希望しますが、大臣、一言お答えをいただきたいと思います。
  259. 山本幸雄

    山本国務大臣 先ほど来いろいろな資料、統計数字をお示しをいただきまして、そういうのはまたよく勉強をさせていただく資料にさせていただこうと思っております。
  260. 三谷秀治

    ○三谷委員 終わります。
  261. 田村良平

    田村委員長 田島衞君。
  262. 田島衞

    ○田島委員 私は、許された時間の範囲内で質問をしたいと思いますけれども、その結論が私にとって満足できるようなものであろうとあるまいと、賛成できるようなものであろうとあるまいと、それにはかかわらず、聞いた意義があったなというものがつかめれば途中でやめますから、ひとつそのつもりで明快な答弁をお願いしたいと思います。  まず、最初に聞いてみたいことは、今度の地方税法等の一部を改正するその改正のねらいといいますか意義、目的、どういう言い方でもいいのですけれども、それに関連して聞いてみたいと思うのです。  この改正の素地として、「地方税負担の現状及び地方財政の実情にかんがみ、」と、こう言われる。一体そのかんがみるもとになっている地方税負担の現状、地方財政の実情とは、どのように把握されて、それにかんがみて改正を考えたのか、それをまず説明していただきたい。
  263. 関根則之

    関根政府委員 まず、地方税負担の状況でございますけれども所得税国税と合わせまして地方税負担は国民所得に対しまして二三・七%でございます。地方税だけでは八%そこそこというような状況にあるわけでございまして、その数値が高いか低いかということを一概に議論するわけにはまいりません。しかし、本来、税というのは何のために取るかと申しますと、国なり地方公共団体の公共的な財政需要を満たすためにちょうだいをするものであるわけでございます。その税がいま必ずしも十分公共需要を満たすだけの額が入ってこないというのが実情でございます。一方、いま申し上げました国民の租税の負担の状況というのは、諸外国と比較をいたしますと必ずしもそれほど高い水準にはなっていないわけでございます。その辺のところを考えまして今後十分検討していかなければいけないわけで、そういう課題をわれわれとしては負わされておりますけれども、しかし、この問題については基本的な税制のあり方に関連する問題でございます。したがって、税制調査会におきましても、今回の五十八年度税制改正に当たりましては税制の基本的な見直しは後日に譲るという基本的な考え方をとっているわけでございます。  したがって、私どもといたしましては、税負担の具体的な状況等につきまして、理論の上から申しましても実際におきましても、負担の不公平なりあるいはバランスが崩れている問題なりあるいはやや合理的な理由に欠けるものがありました場合にいろいろと手直しをしていく、いわば負担の適正公平化といった観点からの税制改正をもくろんだわけでございます。  そのあらわれが、一つには、減税サイドでは料理飲食等消費税におきます旅館等の宿泊、飲食の場合におきます基礎控除の引き上げに出ておりますし、また、同居特別障害者の扶養控除でありますとか配偶者控除でありますとか、それの上乗せの問題、こういった問題にも配慮をしたわけでございます。もう一方、公平化の観点からは、定額課税見直し等にも手をつけたわけでございます。  そういう点につきまして改善を図りますほか、租税特別措置につきましては、これも公平の観点から、現状におきまして不況産業その他いろいろございますし、そもそも租税特別措置の設けられている理由に照らしまして、政策目的との兼ね合いで一挙にこれを廃止するわけにはまいりません。しかし、そういう中で臨調なり税調の答申等の考え方に即しまして、できる限りの整理合理化を図ったつもりでございます。  もう一つの観点でございます財政の状況でございますけれども、これは財政局長からお答えいただくのが適当かもしれませんが、私どもといたしましては、五十八年度末で地方のいろいろな借入金の残高が全体で五十七兆というふうに考えることもできる状況の中で、ことしも財源不足額が相当額出ておることを勘案して税制を考えたわけでございます。
  264. 田島衞

    ○田島委員 地方税負担の現状について不公平な面がある、不適正な面がある。その後の具体的な趣旨の中の一つに、「負担の公平適正化を図るため、」云々とあるから、その点では趣旨は一貫しているのかもしれません。  大変意地の悪い質問かもしれないけれども、いままで旧法の制度によってやってきた。今度はそれを改正しようとするのですけれども、もしその理由が不公平であり不適正であるから改正しようというならば、ではいつの時点、どのような状態までは公平であり、適正であったと考えているのか。いつの時点、どのような状態から不公平、不適正だと考えるようになったのか。それを説明できるかできないか。できなければできないでもいいですよ。私は別に責めようと思っているのじゃない。正直に言ってください。
  265. 関根則之

    関根政府委員 よく歴史の原点に立ち返れというようなことが言われることがございますけれども、不公平についての原点というようなものがあるかということであれば、そういうものを見つけ出して、ここが原点でこれに返ればすべて正しくなるというところはなかなか見つけがたいのではないかという感じがいたします。そういうふうに認識をいたしております。ただ、公平であるとか不公平であるとか、適正であるとか適正でないとか、現状の税制に基づいて判断をいたしますときに、それぞれの置かれている時点に立って、そのときの社会経済情勢あるいは国民考え方、意向を土台に置いて判断をすべき問題ではなかろうかと思います。  租税特別措置にいたしましても、地方税法上の非課税措置にいたしましても、それぞれが設定をされました時点におきましてはいろいろな理由があったと思います。貯蓄奨励の問題もあったでございましょうし、かつて日本が立っていくためにどうしてもやらなければならないという観点から、輸出振興のための優遇税制といいますか、租税特別措置が設定されたことも多々あったわけでございます。それが現在のような貿易摩擦が云々される時点におきましては、むしろおかしくなってしまっておるという判断を受ける場合もあるわけでございまして、制度が創設されまして時間を経過するに従いまして、社会経済情勢なり人の物の考え方の変化に応じてだんだんとおかしくなるものもあるし、あるいは長く余命を保つものもある、いつまでたっても容認されるようなものもあるのではなかろうかと考えます。
  266. 田島衞

    ○田島委員 私の聞くこともなかなかむずかしいかもしれませんけれども、「公平適正化を図るため、」と言う以上は、その対象になるものは不公平であり不適正であるということが説明できなければ、そういう理由は成り立たない。とすれば、ではどういう状態を公平と言い、どういう状態から不公平と言うのか。適正、不適正についてもどこが限界なのかということを、本当はすぱっとわかるように説明できなかったら、そう簡単にそんな言葉を使うものじゃないと思いますけれども、どうですか。
  267. 関根則之

    関根政府委員 確かにある特定のものをつかまえて、これが不公平であるあるいは不適正であるということを決めつけるためには、相当の立証を要することであろうというふうに思います。しかし、税調の答申なり臨調あたりでもそういう言葉を使っているわけでございますが、その設定の時点におきましてはそれぞれ有用な政策目的を持って設定されたものが、時点の経過に伴いまして慢性化している、あるいは実際にはほとんど効果のないものとなっている、そういうものについて既得権化をいつまでも認めていってしまっては、公平の観点から問題がありますよ、こういう形で臨調や税調の答申は述べられているものというふうに私どもは理解をいたしております。それぞれ個別にその判断する時点に立って検討して決めていかなければならない問題であるというふうに考えております。
  268. 田島衞

    ○田島委員 別にいままでのあり方をいつまで続けていい悪いとか、そういう議論は枝っ葉の問題で、私が言うのは、公平とか適正とかということを言う以上は、やはり尺度がなければいかぬはずなのです。税の公平とはこういうものなのだ、税の適正とはこういう動かしがたい原則があるのだ、これがあって初めて適正であるとかないとか、公平だとか公平でないとか言える。ところが、そんなものは憲法以下地方自治法だろうとどこだろうと、どこにも書いてない。書いてないのに何人がそれを判断するのか、それを私は率直に聞きたいわけですよ。  たとえば、私も地方自治についてよく言うことですけれども地方自治の本旨と称するもの、本旨本旨とあちこちに書いてある。憲法にも書いてあれば、地方自治法にも書いてあれば、地方自治関係のあらゆる法律の中に出てくる。出てくるけれども、では地方自治の本旨とは何ぞやということについては、どこにも明文をもって規定していない。規定していないけれども地方自治関係する一切の法律、規則を全部引っ張り出してそこから共通する項目を全部網羅する、網羅してだんだん縮めていった結果、私なりに結論するところは、地方自治とは住民の意思をよく尊重しなければいけないということが一つ。  ただ、意思を尊重するだけじゃない、住民の福祉の増進のために一生懸命努力しなければいけない。住民はその意思が尊重され、その福祉が増進されることを手放しで待っていてはいけない、応分の負担をしなければいけないと思うのです。これが税金だとか使用料、手数料。そういう公共料金とかいうもののもとになっているのは、応分の負担というそれだけです。しかし、その応分のというのがむずかしい。なぜむずかしいかというと、その応分というには二つの大きな意味があると思うのです。たとえば力に応じたという意味もあるだろうし、受ける利益、受益ですな、自分の受益度に応じたということも応分ですね。この二つの意味は見逃すわけにはいかないと思う。  この二つの意味を税金の公正であるか公平であるかあるいは適正であるかということの基準にもし考えたとすれば、それがいまのところないのだから、いままで議論になっているあなたの言うこにしても、まさに公平であるとかないとか適正だとかどうだとかということは、本当にいいかげんだと私は思う。後でまた少しそれに具体的に触れますけれども……。  それからもう一つ地方自治の本旨らしきものの一番最後の結論に、最少の経費で最大の効果を上げなければいかぬ。これは明文で地方自治法の中に書いてある。しかし、それがまた問題だ。本当に最少の経費でやっているかどうか。先ほどあなたの説明の中に、財政需要を満たしていない云々という話もありましたけれども、じゃその財政需要というのは本当に正しい需要なのか、それとも甘ったれた需要なのか、むだな需要なのか、これがはっきりしなければ出てこない。満たすための税金を本当に必要なのか、それだけの税金を取る必要はないのか、払う必要はないのか、これははっきり決まってこない。  それを決めるためには、じゃその行政が本当に効果を上げているかどうかということが問題になる。ところが、いまだかつて、行政効果について、こういう測定の方法でやれば文句なしぴしゃっと握れるという測定の基準なんてできたためしがない、また現実に、本当に行政効果なんというのを厳密に測定したこともない。したこともなしに、財政需要がどうだとか行政需要がどうだとか言うこともまた大変軽率。だからこそ、税負担の問題というのは非常にむずかしいと思うのです。  先ほど、前質問者の質問の中にも、今度の改正案の中にあるところの要するに低所得者に対する救済策の一つとしての非課税限度額、下手まごついたら、生活保護を受けている人よりも所得の少ない人に課税するようになりやせぬかというようなお話もあった。まさにそういう可能性、十分にある。これが、ある一定の所得より少ない人は、文句なしに黙っていて自動的に生活保護を受けるようになっていればいい。ところが、甘ったれて生活保護を受ける者もいれば、実際には生活保護を受ける立場よりももっときつくても、意地を張ってがんばっている人もいる。ところが、その意地を張っている方は税金を取られる、生活保護を受けている者は取られないといったら、まことに不可思議、そういう現象だって出てきてしまう。  だから、それだけに税の負担が適正であるかとか公平であるか否かということは、非常にむずかしい問題だと改めて思うわけですけれども、今度の改正案、本当に公平に適正にできると確信を持っていますか。
  269. 関根則之

    関根政府委員 税の公平適正という問題がきわめてむずかしい問題であるというお話につきましては、私もそのとおりだと思います。  今度の税制改正におきましていろいろなことをやっておりますけれども、これだけで税における公平性なり適正性というものがすべて満足の状態になったか、正されたかといいますと、まだまだいろいろな問題が残っており、これからも引き続き検討していかなければならない問題が数多くあろうというふうに考えます。
  270. 山本幸雄

    山本国務大臣 ちょっと一言だけ。  先ほど、今回の税制改正で税の公平をねらったのだということでございますが、いま答弁申し上げたように、税制改正をやるときは不公平税制を直すというのが根本でありまして、その趣旨に基づいて税制改正は行われる。税の中で、定額といいまして金額で決まっている税があるわけです。税率、率で決まっている方は、もとの金額が動けばそれだけふえてくる、こういうことになるのですが、定額の場合は一定しておりまして動かない。しかし、五十二年、五十三年から今日までの間に経済は動いてきておりますし、やはり物価も動いておる。そういうことを考えると、定額の場合とそれから定率の場合との間のバランスがややとれていない。そこで今回は定額の方を税制改正の上で直した、こういうことがあるものですから、その辺のバランスを、いわゆる不公平税制を直すのです、こういう意味で私は申し上げたのだと思っております。
  271. 田島衞

    ○田島委員 大臣、一生懸命答弁していただいたようですけれども、本当のところはよくわかっていないようであります。  そこで、あるいはほかの方からおしかりを受けるようなことになるかもしれませんけれども、理解を深めるためにもう一歩踏み込んでみたいと思います。  たとえば、改正案の中の一つである法人の道府県民税と市町村民税均等割改正について、改正案説明の中には、「物価水準等の推移、地域社会との受益関係等を勘案して」とある。だけれども、前半の理由には公平化適正化、こういうことになっているのです。  もちろん、物価水準の推移や地域社会との受益関係を考えてみて、これは不公平だあるいは不適正だと考えたからということにはなるのかもしれませんけれども、本来公平という立場で考えれば、物価水準の推移、地域社会との受益関係が変化しているのは法人ばかりじゃない。個人も同じですよ。法人だけが物価と関係あり、地域社会と関係あるわけじゃない。だからといって、私は個人の方も上げろと言っているわけではありませんよ。ただ、公平とか適正とかということを口にする以上は、物価の水準に関係あり、地域社会との受益関係関係あるのは法人ばかりじゃない、個人もしかりである。なのに何で法人だけを取り上げたか。これは不公平と言わざるを得ない。別に私は個人も取り上げろと言っているのではないことは重ねて強調しておきますけれども、もし公平とか適正とかと言うならば、それからまた、理由の中に物価水準の推移や地域社会との受益関係ということをうたう以上は、法人だけを取り上げることは不公平。  それから、道府県民税にしても市町村民税にしても、均等割所得割があることは私が言うまでもない。余りにもわかり過ぎていることですけれども、何で均等割というのがある。本来均等割というもののあるべき姿を考えれば、今度の改正案ばかりではなくて、従来も、資本金幾らについてだとか、それぞれに別な標準税率があったこと自体がおかしい。均等割といっても、これは均等じゃないのではないですか。均等というのは全部同じ額でやるものだ。それが均等というものだ。だから、今度の改正案だけが悪いというわけではない。その前からそうなんだけれども、それもまた公平だとか適正だとかという言葉の上で考えれば、本来均等割とは資本金の額によったりなんだりで変わるものじゃない。同じ額でいいわけです。だけれども、それが果たして税制上いいか悪いかという問題は、また別ですよ。  だけれども所得割でちゃんと区別しているのですから、個人の場合はちゃんと所得割で、その所得に応じてやる。均等割はちゃんと均等にいくわけです。だから、法人だって所得割でやったら、均等割均等でもいいわけだ。ところが、均等割まで資本金の額によって区分しているけれども、この区分の仕方だって、それからまたそれに応じての現行の年率から改正案の年率、たとえば五十億円超の資本金に対しては二十万から三十万。何でその二十万から三十万になるのが公平なのか。  一番対照的な一千万円以下の人は、二千円から四千円、二倍になっておる。これも先ほど議論になったようですけれども、一千万円以下の資本金の場合は二倍になり、五十億円超の場合だけ二倍になっていない。あとはみんな大体二倍でしょう。それだって、なぜそうすることが公平なのか、なぜそうすることが適正なのか、局長、説明できますか。それからまた、資本金をこういうふうな額で割ることが、区分することがなぜ適正なのか、なぜ公平なのか、説明できますか。できるか、できないか。
  272. 関根則之

    関根政府委員 非常に高次元からのお話でございますので、なかなか答弁が追いつかないことを残念に感じているところでございますが、確かにおっしゃいますように、個人均等割の問題もあるときに法人均等割だけ上げるのはおかしいではないかというお話もございます。また、法人均等割の中で資本金段階に応じて差を設けるのはおかしいというお話もあったわけでございますけれども、これも十分先生承知だと思いますが、税を取り扱う学問では、公平というのは縦横の公平というふうに考えております。水平的な公平と垂直的な公平という議論があるわけでございまして、同じ所得の人については同じような税額を課税する。これが水平的な公平。縦の公平、垂直的な公平につきましては、所得の多い人はそれなりに税率の高い累進税率で課税してもいいではないか、こういった議論も実はあるわけでございます。しかし、最近米国等におきましてはフラットレートというような考え方も大分強く学者の間で議論をされ、かつ、レーガン政権の中でも現実問題として議論がなされておるというようなことでございます。  しかほどさように、同じ公平と言いましても、単に一律の議論だけではいけない。また、その制度ができるときにどういう状況にあったのか。また、その制度がけみしてまいりました歴史的な状況、変遷、そういったようなもの、また、そういう制度を見まして、国民なりもちろん議会の考え方政府サイドの考え方、税金を取られる納税者サイドの物の考え方、そういうものがそれこそ縦横十文字に入り組んで、全体としての最終的な公平感というものが出てくるのではなかろうか、そういう感じを受けているところでございます。  応分の負担という問題につきましても、応能原則あり、応益原則ありでございます。一方の応能の面だけからまいりますと、国からも地方団体からもほとんど恩恵を受けてない、世話になっていないにもかかわらず、税金だけは高いではないかというような議論も出てまいりますでしょう。また、応益原則だけを強く出しますと、ほとんど収入のない人から、利益を受けるからといってそんなに税金をよけい取るのはおかしいではないかという議論が出てしまう。いずれに偏ってもできないわけでございます。両方ともバランスといいますか、それぞれの立場からの議論を経てコンセンサスを得られるようなバランスの中で決まっていく問題ではなかろうかと思います。  そういう意味におきまして、まことに答弁にならないかもしれませんけれども、一律的に公平なり適正なりというものについてこれこれこういう基準でこうやるのだということが、もちろん私に答弁能力がございませんし、私だけが能力がないのじゃなくて、この問題はそういう性格のものではなかろうかという感じがいたします。なお、一生懸命勉強してまいりたいと思います。
  273. 田島衞

    ○田島委員 だいぶ素直になってきたようですけれども、たとえば法人の市町村民税にしても、現行法は、たとえば一つの例が、資本金の金額が五十億を超える法人で市町村内の事務所等の従業員数が百人を超えるもの、それに対して標準税率が八十万、制限税率が百万だったものが、今度は、金額はそのとおり同じだけれども、従業員者数は百人が五十人に半分になる。それで、標準税率は百二十万で制限税率が百五十万。これだって、こうなることが何で適正なのか、公平なのかと聞かれたって、恐らくどなたさんも説明できないと思うのです。私だってできないからね。私が局長の立場だって恐らくできない。だからこんなことはやらぬと思うけれども、そのぐらい言うことは簡単に公平適正と言うけれども、現実には一体何がねらいでこういう改正をやったかということについては、うたい文句じゃ理解できない。  それで局長、税というものは反対給付を要求することももちろん十分御承知だと思います。反対給付を約束しない税金というのは悪税、昔の悪代官か何かがやった取り立てみたいなもので、税は必ず反対給付を約束しなければいけない。税金というのは、取られるものじゃなくて、預かられるものだ、預かった税金で皆さんのためにこういう行政サービスで形をかえてお返ししますよという反対給付がなきゃ、いい税金とは言えない。ところが最近では、その反対給付らしいものなんというのは、税金を納める納税者、住民にはほとんど理解できない。何で取られているかわからぬで、とにかくばりばり取られてしまうという観念だけがある。ここいらが一番問題点。だから、本来からすれば喜んで納めていただけるような税金の額、あり方、制度、こういうものでないと本当の善政とは言えない。  そういう状況を考えれば、最近盛んに言われる、いまや増税をする時期じゃなくて減税をする時期だ。そのために必要とあらば行政サービスの面を多少切ったってやむを得ない。行政サービスが足りないのではない、場合によると少しオーバーしている。むしろ行政サービスの面で少しオーバーしているところは切っても、減税を断行すべきだという議論が出てくるのは、税というものの本質をよく考えてすれば当然だと思う。ところが、なかなかそういうわけにいかないので、行政需要の方はがっちり見直すことをしないで、それが当然の需要なんだ、こう考えるから、それを満たすために財源が足らない、足らないから何とかかんとか理屈をつけてもう少し税収をふやそうと考える。  そのふやすために、まさか増税と言ったのでは、増税なき再建をうたっている中曽根政権としても調子が悪い。そこで、増税とは言わずに、公平化だとか適正化だとか、物価の水準の推移あるいは受益度の関係だとかいうことを理由にしているけれども、正直なところは、税負担の状況が適正でないとか不公平だとかいうよりは、やはり地方財政の現状が三兆もの巨額の収支のアンバランスというか財源不足が生まれている状況では、たとえ一気にとは言わぬまでも、ぼちぼちとその穴を埋めなければしょうがない。だからこそ、申しわけないけれどもこの程度のことはやらせてもらいますというのが本音じゃないですか、それとももっときれいな理由がありますか。
  274. 関根則之

    関根政府委員 端的な御質問でございますが、地方財政にあいております穴は非常に大きな穴でございまして、それは今年度どもがやりました税制改正に基づく増収程度でだんだんにでも埋められるような規模のものではないわけでございます。そういう意味におきましても、もちろん小さな増税ではありましても、小さな税制改正でそのための税収が得られるにしても、われわれは非常にとうとい税だと思いますし、わずかながらでも地方団体のためになるということは結構なことだと思いますが、税制をもくろむ動機と申しますか、モチベーションとして、何とか財源を見つけてやろうとかあるいは穴埋めをしてやろうとか、そういうことに重点を置いて考えた税ではないわけでございます。もちろん、いただける税収というものは、まことにありがたいものというふうには理解をいたしております。
  275. 田島衞

    ○田島委員 まさか、私が言ったとおりでございますとは言えないでしょう。だけれども、この改正案の理由なり何なりとしてうたっているところの公平だとか適正だとかいうことについて、じゃどういう基準で公平不公平、適正不適正を区別するんだということについて、どなたにも理解できるような明快な答えができない限りは、それじゃなくて別のことなんだと言う以外にはないはずなんですよ。  だから、単に穴埋めじゃないのだというんだったら、堂々とこういう点で不公平、こういう点で不適正、こういう状態を公平でないと言うのです、こういう状態を適正でないとわれわれは考えている、その基準は、原因はここ、根拠の原則はここにあるのです、それにのっとって、その原則どおり不公平を公平に、不適正を適正にするのですという説明ができるなら、それはわかりますよ。だけれども、どなたといえども恐らくできないと思う。それはなぜかと言えば、本当はそれがそんなに確信持った公平不公平、適正不適正の検討の中から生まれたものでないからだと言わなければならぬ。言わなければならぬというより、思わなければならぬと言った方が受け入れやすいでしょうな。  そこで、確かに地方財政も大変厳しい状況にある。だけれども、その厳しい状況の中で下手な小手先だけのやり方をやることでは、よみがえりはないかもしれない。いっそのこと、土壇場まで追い詰められて背水の陣の中から本当の改善策を出さないと、地方税法もしかりだし、交付税法もそうだし、抜本的な大改革をやらなければ、よみがえりも生き返りも、本当の再建もできないかもしれぬということもまた考えてみてほしいと思うわけです。  大変申しわけないことだけれども、たとえば大臣がこの改正案について提案理由説明をそこでされる。されるといったって、説明じゃなくて、ただ用意された文書を読むだけでしょう。大臣が読まなくたって、どなたが読んだって変わりないのだ。だけれども、やっぱり議員側の要求もあるからでしょうけれども大臣さん忙しい中、一生懸命運んでこられて、そこで印刷された文書を読む。これなんか本当の話はむだなことだよね。それ自体も改善できないで、それでもって、行政需要がどうでございますから税金もう少しいただこうなんというのは、大それた考え方だ。  もう少し行政経費の節約、すぐにだってできること幾らでもある、そこらのところ、せっかく考え直してみていただきたいとお願いをして、質問を終わります。
  276. 田村良平

    田村委員長 次回は、明後二十四日午後三時三十分理事会、午後四時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時九分散会