○堀
委員 以上で
税制の問題を終わりまして、あと三十分しか時間がございませんので、
金融制度調査会で金利自由化問題について中間報告をお出しになっておるのでありますが、これに関連して、実は私、先般当
委員会に前川日銀総裁に御
出席をいただきまして、少し議論をいたしました。
その議論をいたしました基本的な考え方は、
政府がこの四月に経済対策という項目をお出しになって、そこで「
金融政策の機動的運営」ということが非常に重要な柱になっておるわけであります。しかし現実に、この
金融政策の機動的運営ということは、どうやら公定歩合を機動的にやれということだというふうにしか私受け取れなかったものですから、
金融政策というのは単に公定歩合だけではないのではないでしょうかという議論を実はここでやらせていただいたわけです。
それは、いまの中間報告の中でもお触れになっておる部分でありまして、簡単ですから要約の方で申し上げるのでありますけれ
ども、「貸出金利」という大きい項目の中で、短期プライムレートと長期プライムレートについて中間報告がされておるわけであります。
私も前川総裁にお尋ねをしたのは、たとえば
アメリカで見ますと、短期プライムレートも長期プライムレートも、何か
基準があってその
基準にリンクして決まったりしてないわけでありまして、これはもちろん金利が完全に自由化されておるという面もあるかもわかりませんけれ
ども、いまや
日本でやっておりますことは、
制度と現実の間の乖離が大きくなり過ぎているのじゃないだろうか、私はこういう感じがしてならないわけでございます。
ですから、前川総裁にこのことをお尋ねして、要するに、いまの四畳半金利、長期プライムレートの決め方、特に、私はこの
委員会でずっと終始一貫して市場経済論でございますので、市場における価格というのは需給で決まるのだ、もちろんコストを無視することはできませんけれ
ども、しかし今日はコストよりも需給で決まるというのが市場経済の基本だと私は思っておりますので、その限りでは、特に長期金利の場合に、これだけ大量の国債を発行していて、その国債の金利にリンクしてその他のものが決まったりするというようなことでは問題にならない、こう思っています、経済実態から見まして。
そして今度は短期の方でも、お二人とも
日本銀行にいらしたわけでありますから、
日本銀行でコールと手形金利はコントロールがなされるでありましょうが、いまできておりますCDなり現先市場というのは、ともかく
日本銀行の手の出ない短期市場でございますね。ですから私は、そういう
意味では、今日のこの
日本の経済情勢になりましたら、公定歩合の操作というよりも、より大きく働く
金融政策の手段としてはオープン・マーケット・オペレーションをやるべきだ、こういう考えでありまして、オープン・マーケット・オペレーションをやるためには、私は、やはりイギリスや
アメリカのように
政府の短期証券を中心にして短期市場をつくって、それによってもしオープン・マーケット・オペレーションができるとするならば、いまの公定歩合操作のみにひっかかる必要はないのではないか。
公定歩合操作というのは、いまや為替の問題で大変むずかしいところへ来ておりまして、この前は大体三十五円から四十円ぐらいのボックスの中にあった。ちょっとここで、どうやら三十円から三十五円のボックスの中へシフトしてきて、まあよさそうでありますが、そうはいっても、これはなかなか簡単ではない。というのは、私の判断でありますけれ
ども、
アメリカの景気は底入れをして少し上向きに転じつつあるようでございますね。これは後で大蔵省からちょっと答えていただきたい。
しかし、同時に、この八三年度の十月—三月の
財政赤字は、最近の発表では千二百二十九億ドルに達しておる。これは、年間でいえば実は二千六百億ドルに近い
財政赤字が八三年度で出ることを予測をしているわけでありまして、現在レーガン政権が大変苦労しておる八四年度予算は千九百十億ドルだ、こう言っておるのでありますけれ
ども、それがいかに説得力がないかということが、すでにこの十—三月で明らかになっておるようであります。この
アメリカでも大量の
財政赤字があって、金利がそう簡単に下がるのだろうか。これから先は、もし起こるとすれば、クラウディングアウトが起こる可能性の方が高いのではないか、こういう見方をいたしますと、公定歩合の問題というのはまだそう簡単に処理ができにくいのではないだろうか。
そうすると、それは横へ置いておいてでもやれる手段があるのなら、それを新たにつくり出してやるべきではないか。そのためには、いまの長期プライムのあり方とか、いまのオープン・マーケット・オペレーションをどうやってつくっていくかということをもっと真剣に考える方が
日本経済のために役に立つのではないかというのが、この前川総裁に来ていただいたときの私の議論の焦点でございます。
この中で、いろいろとお触れになっている中で、私はここでひとつ基本的な考え方を承りたいのでありますけれ
ども、証券を含めての広義の
金融というものは、主体はだれかという問題の
認識を確立しておく必要があるのじゃないだろうかということであります。広義の
金融というものの主体は
国民と企業である、私はこう考えているのでありまして、要するに、この
国民と企業のニーズにこたえて問題が処理をされていくということでなければならぬ、これが私の基本
認識の
一つでございます。
もう
一つは、要するに今日の資本主義経済というのは、私は自己責任の
原則だと思うのです。自己責任が確立をしていなければこの
制度は成り立たないと思うのであります。そうすると、自己責任というのは何かといえば、それは銀行関係でいえば、要するに預金者、銀行、金を借りる企業、おのおのが自己責任で問題を処理すべきことであって、国がこうしているから安心だからこうしようなんという話をいつまでも続けるべきではないのではないか。前段で私が申しました、要するに公的なコントロール、介入というものを逆向けにこれから減らす方向で、そういう預金者、銀行、
金融機関及び企業が自己責任で金を預けたり金を借りたりするようにすべきだろう。そのことは、私は証券でも同じだと思うのであります。
要するに、投資家の自己責任、証券会社の自己責任、公募やその他で増資する企業側の自己責任、この自己責任を貫徹させるという方向でこれからの
金融政策をやっていくのでなければ、いま世界からこうじっと見ていて、
日本というのは依然として行政指導にたぐいしたようなことで意図的にコントロールをして、海外からの参入に対して非関税障壁を設けているという非難に対抗できないのではないか、これがいまのこういう
金融問題に対する私の基本的な
認識なんでございます。
ちょっと、この点について
佐々木参考人及び
河野参考人からお考えを承りたいと思います。