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伊藤(茂)
委員 私は、日本社会党と公明党・
国民会議を代表して、ただいま議題となりました
貸金業の
規制等に関する
法律案並びに出資の受入れ、
預り金及び
金利等の取締りに関する
法律の一部を
改正する
法律案に対する修正案につきまして、提案の理由及びその
内容を御
説明申し上げます。
サラ金問題は今日まで長い年月にわたって重大な社会問題となってまいりましたが、特に最近は業者の急激な増大、悲惨な社会問題の激増などを初め、きわめて深刻な
状況となっております。このような新たな現実に対して、実効ある立法
措置をとることは、まさに緊急の課題となっております。
長年にわたって各界から
指摘されてきたことでありますが、借り主の蒸発・自殺・離職・家庭の崩壊などのサラ金被害が深刻化した原因には、業者の経営基盤の脆弱さ、過当競争、行政当局の対応の不十分さ、利用者の安易な態度とそれに便乗した悪質な業者の存在等があります。そこで、このようなサラ金被害から利用者を守り、
貸金業界の健全化を図るために有効、適切な規制法の制定が望まれてきたのであります。
社会党、公明党初め各党とも独自規制
法案を国会に提出する一方で、各党間で
調整を図り、議員立法を制定するため積極的努力を重ねてまいりましたが、その都度不成功に終わり、早期制定を望む
国民の期待にこたえることができなかったのであります。しかし、昨年の第九十六国会の最終
段階に至って、サラ金禍をこれ以上放置すべきでないとの認識で一致し、現在当
委員会で審議している二
法案がまとめられたのであります。私たちはこの二
法案について、不満足なものであるにせよ、数年間にわたる論議の上に当時の時点で現実に可能な具体的対応策として
考えたのでありますが、
法案成立を見込んでの最近の急激な支店の開設、貸し付けノルマの付加の一方で、貸し付け金利の低下さらにサラ金悲劇の頻発など原案が当
委員会を通過した時点と比べますと、きわめて大きな事態の変化が生じているのであります。
特に最近の新たな
状況として、体質の脆弱な中小零細業者の異常な増加、都銀から
政府系金融機関までの融資を受けた大手業者の急激な拡大などサラ金業者が急増し、自殺、行方不明、一家離散など深刻な社会問題が激発しております。これに加えて、原案の上限金利七三%は実勢金利から見ても高過ぎるものであり、しかも、これの改善に三年の長期間を要し、さらに四十三条の
規定により法施行の当初から最高裁判例による救済
措置が停止されることに対して、今日の
状況に対応した一層の改善が強く求められているのであります。
したがいまして、本問題に取り組むに当たっては、第一に、不当な高金利による貸し付けを禁止すること、第二に、利用者の資力・返済能力を無視した貸し付けを防止すること、第三には、利用者等に対する暴力的な取り立て行為を厳禁し、
業務上及び私生活上に不当な
影響の防止に努めること、第四には、行政当局が厳格に対応し、指導監督に努めることの四点を基本的な
考え方とすべきであると思うのであります。
次に、修正案の
内容を御
説明申し上げます。まず、
貸金業の
規制等に関する
法律案に対する修正であります。
第一に、
貸金業の開業に当たって、現行の届け出制から登録制に改善された点は評価いたしますが、いわゆるサラ金問題を解決するために開業規制をいま一歩厳しいものにすることが必要であります。そこで、登録の申請前三年以内に
貸金業に関し不正または著しく不当な行為をした者の登録を拒否するなど拒否事由を追加するとともに、登録の申請を
貸金業協会並びに同連合会を経由することとし、協会等は意見を付して大蔵
大臣並びに都道府県知事に申請することといたしております。かかる手段を通して業者の連合会並びに協会への加入の促進を図り、あわせて健全な
貸金業の運営を図る必要があると
考えるものであります。
第二に、誇大広告の禁止などについて原案はきわめて抽象的であり不十分と言わざるを得ません。誇大かつ不当広告の散乱を防ぎ、利用者を誘発するがごとき広告は厳禁すべきであり、そのために広告の倫理を定め、禁止すべき広告の表現について具体的に列記させることといたしております。また、本人の知らないうちに保証人にしての巧妙な貸し付けを防止するために
貸金業者に債務者または保証人となる者の契約の締結の意思を確認する義務を課すことにいたしております。
第三に、取り立て行為の規制についてであります。業者の強制的暴力的取り立て行為に対する
規定が、原案では抽象的であり、実効性に疑問が残りますので、深夜早朝の取り立ての禁止、電報電話による反復取り立ての禁止、威迫を交えた言動、さらに債務についての流布など禁止すべき行為を具体的に列記することといたしております。
第四に、任意弁済の
取り扱いについてであります。原案は、任意に支払った金利は有効な債務の弁済とみなすことにしておりますが、みなし弁済の定めは、高金利を固定化させる一方で、サラ金被害の法的救済を困難にし、消費者保護をむずかしくするものと
考えます。したがって、現行の利息制限法の本旨と超過利息の元本充当、過払い金の返還を求めた最高裁判例を維持することが最良の策と
考え、みなし弁済の
規定は削除することといたしております。
次に、出資の受入れ、
預り金及び
金利等の取締りに関する
法律の一部を
改正する
法律案に対する修正
内容を申し上げます。
金利規制について、原案では、上限金利を
法律施行後三年間は年率七三%、次いで年五四・七五%に引き下げ、
法律施行五年経過後に検討した上で、最終的に四〇・〇〇四%に移行すると定めております。この
規定は、実勢の金利を反映していないばかりか、かえって金利の高騰と固定化の口実になり、消費者保護に逆行する結果をもたらします。サラ金の高金利による悲劇を解消するため、
法律施行時から三年間は経過
措置として、年率五四・七五%を上限利率とし、三年経過後は四〇・〇〇四%に移行するものとしております。
以上がいわゆるサラ金規制二
法案に対する修正案の
内容であります。
委員各位の御賛同をいただきますようお願い申し上げて、提案理由
説明を終わります。