○正森
委員 私的な諮問機関ですけれども、
関税局の首脳も入っているのですが、その報告書を見ますと、こういうことが書いてございますね。
私が読んだのでは、百四十七ページには「例えば先日の米リーガン財務長官の「
日本人は、人なつっこいが興奮しやすく反応の鈍い牧羊犬のようなもので、新聞紙をまるめて頭を強く打たないと行動しない」というような感情的な発言や、一方的で不合理ないたずらに強圧的姿勢のみが目立つ要求がみられる」云々というように、あなた方が入った報告書の中でも書いているのですね。あるいは六十六ページには、こういうぐあいに書いているのですね。「ある名古屋の財界人がフランスを訪れた際、「
日本とソ連がこの地球上から消えてなくなれば、我々は幸せな生活ができる」と発言したと伝えられるフランスのジョベール貿易相の、共存を図るために自らも努力しようとおよそしない傲岸(ごうがん)としか言いようのない尊大な態度となって現われている。彼らは、世界中の人が洋服を着て靴を履いて英語かフランス語を話すのは当り前だと思い込んでいる。だから、
日本人も洋服を着て靴を履いているのは結構だが、
日本語を使っているのは気にいらない、というのが彼らの発想である。これは私が言っているのじゃないのですよ。ここで言っている。この間、大来佐武郎さんがイギリスに行っていろんな話をされたとき、先方が「
日本のマーケットは非常にクローズだ。とくに流通段階がひどい。流通段階における契約書ぐらい英語にしたらどうか」と言うので、大来さんが笑いながら「では、ロンドンでは契約書を
日本語にしますか」と言ったら、ハッと気がついて、これは失礼したと謝ったという。」こういうあれですね。
私は、去年の質問で、外務省の中で、米側の言う最後の非
関税障壁は恐らく
日本語の使用であろうというジョークがまかり通っておるとか、もう読みませんが、垣水さんの時代の「貿易と
関税」という本に、もう理性を失っておるとか、しばしば
日本語が非
関税障壁だというようなことを言うということがありましたが、大体そういう
考えで、
関税の問題にしろ貿易摩擦でも
考えているんじゃないか。そういうようなことをわれわれが問題にしなければ、何ぼでも、何やらを丸めて頭をガチンとたたいてやれとかいうようなことを言う。だから、私はあえて
国会の議事録に、
日本国内にもそういうことは、余りにも米側やECが思い上がっているんじゃないか、
日本には
日本の民族性があり、文化があり、長年培ってきた
日本語があり、そういうことを忘れてやっているというようなことでは話にならないということを記録にとどめなければならぬというように思って、あえて質問をしているのです。
だから、皆さん方も、こういう点についてはやはりよほどしっかり
考えて、安易に西側の友好の基軸であるとか運命共同体であるとかいうようなことで
関税権の自主性を失うということは絶対にないようにしていただきたいですね。われわれの先輩は、
関税権の自主性を回復するために苦闘して、やっとそれを取り戻したのがたしか明治四十四年でしょう。ところが今度は、われわれの方から自主的に、東京ラウンドを超えてどんどん下げていく。下げてもまだ満足しないで、頭をぶん殴ってやれとか、
日本語が非
関税障壁であるとか、そういうことを一方的に言うということは、国権の最高機関である
国会としても黙っておることはできないですね。そういうことはやはり
指摘をしておかなければならぬと思いますが、いかがです。