○正森
委員 いまの
主税局長の答弁には、私も当然であると思われる
幾つかの点と、それから、とんでもないことを言うなという点と、二種類あるんですね。
一つの、フランスなどでは、一定の使途不明のものに対して、その出した先を言わなければならない義務をまず課して、それでその上で罰則的な税を課しているというのは、これは当然のことであって、私
どもは
法案をつくりまして、衆議院の法制局にお願いをして、そうして所得税の最高額である七五%まで一定額以上の使途不明金が出ている場合には課税できるというのをつくりましたけれ
ども、そのときにも、当然のこととして提出義務を課しておるわけですね。それに違反している場合には、通常の
法人税のほかに課税を行うという構成をとっているわけで、それは当然のことで、そうしなければ四二%を超えて、さらに七五%とか一〇〇%とかいうような課徴金的な税金を取れないというのは非常に明らかなのです。
その点と、もう
一つ、質問検査権というのは、わが国の風土、慣習があるから、余りに行き過ぎてぴしぴしとやるというのはいかがなものであろうかというようにとれる発言があった点についても、私は大きく反対するものじゃないのです。質問検査権があるからといって、糾問的に何でもかんでも言えというようにやられては、一般の所得税法でも行き過ぎで困るという向きもあるでしょうからね。
しかし、あなたがいま答弁された中で、私がどうしてもそれを
納得することができないのは、わが党が
法案として出した、四二%以外に税金を取るというような税
制度ができなければ、そもそも質問検査権違反という事件にはならないのではないか、そういう構成要件的にも充足しないのではないかという
意味の発言をされましたね、一番最初の部分で。それは、そんなことはないのじゃないですか。質問検査権違反というのは、あなた方が
法人税を取る、その関係の事実を調べるということで、当然質問してもいいということを聞いたときに、それを答えないということで成立するのであって、その上にさらに出た先の分まで取るという新しい税法をつくらなければ、質問検査権違反は起こらないというようなことは、それは構成要件的から言っても全く成立しないことだと思うんですよ。
これが、税務署員が出ていって、おたく、きれいな娘さんがおりますな、縁談決まっているでしょう、相手の男の名前を言いなさいというようなことを聞いて、答えないから質問検査権違反だなんて言ったら、これは徳川時代の、お上の言うことは何でも聞けという
考え方であって、そんなことはできないというのは当然かもしれないけれ
ども、第一、
法人税にしたって何にしたって、経理というものはきちんとやらなければならない。出した額だけでなしに、出した先もちゃんとわからなければならない。それが実行されていないときには青色申告を取り消されるのでしょう。ただ条文上は、一遍そんなことがあったから取り消すというのじゃなしに、そのことによってその帳簿自体の信頼性が疑われるというような程度に達した場合にはというような条件がたしかついているようですけれ
ども、この使途不明金にしたって、一定の限度を超せばその帳簿自体の信用性がなくなるということにまで立ち至るわけですから、そういうことのないように、質問検査権を行使して、出所並びに出先を明らかにしろ、こういうことになっているのです。そうでしょう。
そうだとすれば、
主税局長が、私がいま三つの点を挙げて、うち二つについては同意できる点もあるし、そう言えないけれ
ども、
一つの点については全く同意できないと言ったのはそういう
意味なのです。
私は、こんなことを言ったらいけませんが、弁護士でもございますから、
法律の構成要件なんというのは、恐らく税の点では
梅澤さんはよく知っているでしょうけれ
ども、刑事法の構成要件なんというのは私の方がよく知っていると思うけれ
ども、
梅澤局長のいまの答弁は、その点に関する限りは、これは全く了承することはできないということで、だから新しい税法でそういう、もらった方がもらい得をするというのを何らかの形で阻止するような
法案をつくるか、そうでなければ、質問検査権についてもう少し厳正な質問検査権の行使を行う。それを検察庁に通報して起訴するなり刑事事件にするということは別問題としても、もっと厳格に質問検査権を行使しなければ、一万九千社のうち四分の一ぐらいを調べたら、その約四分の一にこういう事実があらわれてくる、その額は一社当たり四千万円を超えておるというようなことでは、みんながクロヨンや何やと言っているようなものよりも、ずっと大きいかもしれませんよ。それについて、国税当局なりあるいは大蔵
大臣の御答弁をお願いします。