○
米沢委員 われわれも、何も最初から赤字国債をやれとは言っておりません。規模との関係で赤字国債の発行もせざるを得ない
可能性もあるかもしれない、そういうときには頼みますと言うておるのでございまして、赤字国債を最初からという
議論をしておるつもりはありません。
そこで、もう
一つ大蔵当局に御理解いただいておきたいことは、最終的に増税との絡みで
所得減税がなされるということがもしあるとすれば、これは
景気等についても決していい影響ではないということをぜひ御理解いただいておきたいと思うのでございます。
ちょうど昨年の十月十八日、
政府が総合経済対策を打ち出されましたが、その前に民社党として、どういう手を打ったら
景気回復になるのかといういろいろな勉強をしました。そのときに、日経NEEDSを使いましてマクロ経済モデルによる
景気波及効果の試算をやったわけです。そのときに組み立てたのが、何も対策を打たない場合に一体どうなるのか。あるいは公共投資を五十七
年度下期で二兆円追加して、五十八
年度は五十七
年度当初比一兆円増額した場合一体どうなるのか。それからもう
一つは、先ほどの公共投資プラス
所得減税を間接税の増税とセットでやる、
所得税減税を二兆円、そのかわり間接税の増税を二兆円同時に行った場合にどうなるのかというケース。それから公共投資プラス
所得税減税だけをやる。これは赤字国債を予定して、五十八
年度に約二兆円やる。こういうケースをつくりましてシミュレーションをやりますと、おもしろいデータが出てきておるのです。ここで申し上げるのは時期も違いますし、前提もいろいろあるとは思いますが、出てきた数字の比較を聞いてもらったらいいと思うのです。
たとえば、何もしないときには、実質国民総生産は八三
年度、五十八
年度には二・五%
伸びるだろう。公共投資だけを追加した場合には二・八%
伸びるだろう。公共投資プラス
所得減税を間接税増税とかみ合わせて同時並行的にやった場合には一・九%しか
伸びない。公共投資プラス五十八
年度に二兆円の
所得減税を赤字国債でやったらどうなるかというと、三・一%も
伸びるわけですね。したがって、公共投資と増税と
所得減税をセットしてやる場合が一・九%の
伸びで、公共投資と二兆円の
減税を赤字国債でやった場合には三・一%も
伸びるということでございまして、少なくとも
所得減税の原資を増税に求めたならば、
景気に対する波及効果は全然ないということになるわけですね。
消費者
物価に対する影響も、公共投資プラス
所得税減税と間接税増税をセットしたケースでは、六・九%消費者
物価は
伸びる、そのかわり公共投資プラス二兆円の
所得減税だけという場合には三・八%しか
伸びない、こういう数字が出ております。
それからコールレート、短期金利がどうなるか。公共投資プラス
減税と増税のセットの場合には八三年がマイナス〇・八%、赤字国債で
減税だけやった場合にはマイナス一・二%、これはそう変わりませんね。少々数字の差異はあるかもしれませんが、ほとんど変わらない。
こういう数字が出ておりまして、数字
そのものに意義があるとは申しませんが、少なくとも赤字国債を発行して
減税したのに比べると、その
減税の原資を増税に求めると
景気への波及効果は断然落ちるという、そのことだけは傾向的に御理解いただけるのじゃないか、こう思うのです。そういう意味で、
所得税減税の原資というものをやはり増税に求めるべきではないと思うのですが、大蔵
大臣いかがでしょうか。