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1983-03-25 第98回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月二十五日(金曜日)     午後一時三十分開議  出席委員    委員長 武藤 山治君    理事 愛野興一郎君 理事 野田  毅君    理事 岡田 利春君 理事 斎藤  実君    理事 小渕 正義君       北口  博君    北村 義和君       倉成  正君    古賀  誠君       細谷 治嘉君    小沢 和秋君       石原健太郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  山中 貞則君  出席政府委員         資源エネルギー         庁長官     豊島  格君         資源エネルギー         庁次長     川崎  弘君         資源エネルギー         庁石炭部長   弓削田英一君         資源エネルギー         庁公益事業部長 小川 邦夫君         労働政務次官  愛知 和男君         労働大臣官房審         議官      小粥 義朗君         労働省職業安定         局高齢者対策部         長       増田 雅一君  委員外出席者         運輸省海運局内         航課長     土井 勝二君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ───────────── 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件      ────◇─────
  2. 武藤山治

    武藤委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北村義和君。
  3. 北村義和

    北村委員 石特委員になりまして最初質問でございます。大臣に畜産、畑作の問題で胸をかりるのなら本当はいいわけでありまして、どうも場違いのような気がいたすわけでございますけれども、きょうは思い切り勉強させていただくつもりで質問をさせていただきたいと思います。  わが国にとりましては本当に喜ばしいことでありますけれどもOPECを初め油の価格が下がった。けさの新聞によりますと、ソ連邦も相当な輸出余力をつけてきた。こういうような状況で、今後の趨勢、どこに落ちつくのかなという心配はあるにしても非常に結構なことだ、こんなふうに思うわけでありますけれども、これらの原油価格値下げわが国エネルギーの事情にどう影響していくのか。そして、その中で石炭産業に対してどの程度影響を与えるのか。それからもう一つは、わが国経済全般に対してどういうような形に現在分析されるのか。これをひとつお聞かせいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
  4. 山中貞則

    山中国務大臣 まず、この値下げの合意の発表がありましたときに、北炭夕張振興を念じつつ待っておられる人たちの間に、しまったという言葉が吐かれたということを聞きました。恐らくこれだけの値下がりがあれば採算見通しその他も違ってくるだろうし、果たして自分たちの身はどうなるのだろうという直感的なものだと思うのですね。私はその気持ちは十分わかるような気がいたします。したがって、まず基本的には、代替エネルギーとしての対外も含めた問題として見直されている日本国内のわずかな貴重な残存資源として、石炭政策は内需というものを掘り起こしながら、きょうも一名事故で亡くなりましたけれども、保安にことさら最大の注意を、注意のし過ぎということはありませんから、それを払いながら、なるべく国内希少原料といいましょうか、かつては黒ダイヤと言われた時代が流体エネルギーに変わったことによっての今日の状態でありますけれども代替エネ原料としての石炭を考えるとき、国内で持てるものはやはり最大限自力で持つ努力をすべきである、そういうことを基本的に考えております。石特だから、最初石炭問題のことを申し上げたわけであります。  そこで、全体としての今回の値下げについては、OPECの占める世界石油供給の力が、過半数といいますか、シェアとして半分以上あったものが現在は四〇%台に落ちている。そのことの裏には、いま申しました代替エネとか省エネとか新エネとか、新はなかなかそう見つからぬでしょうが、いずれにしても、そういう個々の家庭の瞬間テレビ映像のための終夜ぽつんとついている赤いものを消すということに至るまでのいろいろな努力で、各国ともそれぞれ節約して需給がだぶついてきている。そして、自分たちがそれを調整する能力がなくなって、結果的にはブーメラン現象値下げに追い込まれたし、また輸出カルテルそのもの崩壊に瀕して、かろうじて二十九ドルの線でまとめることによって崩壊を免れているものの、それの前途について、一体いつまでカルテルの維持ができるのか、価格はまた標準で二十九ドルというものが維持できるのか、北海原油の動きはどうなのか、あるいはそれに対してアルジェリアがどう動くのか、いろいろなことを考えますと、一応変化が予想されても値下げ方向への変化ではあろう。  アメリカなどの見方としては、今回の石油値下げ恩典を一番受ける国は日本であると言っております。これはまさに九九・八%輸入に依存する無資源石油消費国といっていい日本に対して石油値下がりが一番貢献するであろうというアメリカの言い方は私たちは正しいと思いますし、また私たちこそそう受けとめて、私たち自身の力とか私たちの国の影響によって値下がりをかち得たものではない、何の努力も私たちはする余地はないのだ、対抗する余地もないのだ。ただ産油国人たちが、これだけ下げるから、これだけの値で売ってやろうと言われた場合には、ありがとうございますと言って、それをいただく立場にありますから、現在の世界的な規模の不況の中で、第二次ショックを打ち破れないままに、日本経済もともすれば輸入輸出等も縮減の方向に向かって、これが言葉では自由貿易の堅持を言いますけれども、それぞれが保護貿易主義に陥った結果、囲い込みを始めて、世界経済そのものが縮小してしまう。日本という国は資源のない国ですから、武力をもって威嚇することもあるいは武力をもって資源を確保することもできない国である。そのためには平和の話し合いで原料をいただいて持って帰ってきて、働きバチと言われようと何と言われようと一生懸命付加価値をつける努力をして、そして外国にすぐれたものを売って、それで日本の国というのは一直線の自転車道を走るしか道がない。それをやめれば日本は倒れる以外にない。経済は倒れる、国民生活は後戻りをする。そういうことを避けるためには、私たちもこの五ドル値下げを天与の恵みとして、周囲真っ暗やみのような感じの中で一条の光を見出し得た。日本は、これを最大限に利用し得た国としての評価を得なければならないし、また得る努力をすべきであると考えております。私たち努力次第によって、現時点では五ドルでありますが、石油がずっと上がり続けてきたことから考えれば、このチャンスをとらえない手はない。輸出国人たち立場は大変つらいのだろうと思うのです。戦略戦略として使えなくなった。しかしまた世界各国が安易に、かつての無限にあるものとしての使い方のような状態に戻れば、また需給がタイトになって今度はカルテル引き上げ要素に戻っていくわけでありますから、したがって、われわれは代替エネその他の省エネ努力は続けながら、そして三十四ドルから二十九ドルに下がったという現象だけで意識を持たないで、かつては二ドルないし二ドル五十セントであったものが三十四ドルまではね上がって非常な苦しみを国家経済国民経済が受けている中で五ドルだけ戻ったという形でとらえて、このチャンスをすべてのこれからの政策の上に生かしていかなければならぬ、そう思っております。  わが国においてどのような方向でこれをうまく生かすかについては、ただそろばんではじくだけのプラス面ばかりでなくて、やはり日本産業活性化あるいはまたこれによる中小企業の新しい前進、そして値下げ恩典というものは最終的に国民の可処分所得に至るまで均てんされた恵みとして受けとめなければならない、ここに国家としての躍動が再び始まる、そのように受けとめておりますので、いま通産省で一生懸命その分析をいたしておりますが、対策をやります場合は通産省だけでは、これがすぐ通産省財源として入るわけではありませんので通産省だけではできないものがありますので、総理を座長として数名の閣僚によって、今週はどうやら予定していたのですがどうもまだ言うてきませんから、補正予算等の議論になると予算審議中に何事かというおしかりもありますし、なるべく早く四月に入ったならば、この石油値下げ一つの大きな要素として取り上げた新しい日本経済政策展開というものを打ち出していきたいと考えておる次第でございます。
  5. 北村義和

    北村委員 大臣が積極的なリーダーシップをとっていただいて、その影響対応策についてそれぞれ的確な御指示をされておることを、もろもろの資料、報道によって知っておるわけでございまして、今後とも、特にこの時点こそ大事な節目だと思いますので、より一層ひとつリーダーシップを発揮していただきたいと思うわけでございます。  それにつけても、冒頭、石炭関係につきましてお話がございましたように、従来積極的に進めてまいりました省エネ対策あるいは代替エネルギー開発導入、こういった推進策については不退転の決意で今後も進めるという受けとめ方をさせていただいたわけでございますが、この点についてはよろしゅうございますか。
  6. 山中貞則

    山中国務大臣 政府の方では、たとえば石油税がそれだけ従価税だから減るだろう、それをどうするかという問題もありますが、これは来年度予算編成の問題として取り組めればいいわけでありますけれども、そういうことも含めて政府自身もきちんとした既定の方針を堅持するだけの対策をしていかなければなりません。  政府はそれでできると思いますが、一部民間自力もしくは官民共同に近い形でやっていますもので見通しの非常に長いもの、当然計画としても採算性をとるのには相当かかるもの、こういうようなもの等も存在しますので、民間の方がそれで一転して引け腰になるということはぜひ――いろいろな立場においてこの道だけは一緒に歩かないと、有限で、いずれはなくなる物質に対する対策ですから、日本はどの国よりもこの方面の代替エネ、新エネについては前進していなければならない。それがあながち現在そうとも言えません。したがって、われわれは財源対策は二の次としてやらなければなりませんが、民間の方がいち早く手を引くとか中止するとかいうことの出てこないように、いま慎重に指導しておるところであります。  基本は、わが国は一時の小康状態になったとしても、この代替エネの問題については小康を得ておらない。ただ、わずかな息をつく期間を与えただけである。ただし問題は、原油価格が二十五ドルも割るようなことになりますと、ことに輸入炭等において影響が出るし、石炭液化等にも関係がありますが、これでは何のためにやっているのか。いわゆるコスト高が逆転する、デッドクロスするときが来ると思うのですね。ですから私の方では、二十五ドルになった場合はどうするかという問題まで一応は検討しておりますけれども、やはりこの代替エネ開発についてはわれわれは怠ってはならないというのが結論であります。
  7. 北村義和

    北村委員 いずれにしても、エネルギー供給体制については弱い国でございますので、お互い真剣に取り組んでいかなきゃならぬと思います。  それにつけても、国内資源有効活用という観点に立ちますと、現在の炭鉱の安定的な生産、さらにまた将来にわたって新規の炭鉱開発、こういった問題も考えなきゃならないと思うのでありますが、これらの資源状況を的確に把握するための調査、これは予算づけがされておりますけれども、これらの施策、方針についても積極的に取り組まれていただくことは、これはもう間違いないのでしょうね。
  8. 弓削田英一

    弓削田政府委員 ただいま国内資源有効活用という観点からの御質問があったわけでございますが、御案内のとおり、今後の石炭政策基本につきましては、五十六年八月の石炭鉱業審議会の七次答申に示されているとおりでございまして、当面国内炭につきましては現在程度生産水準を維持していくことを基本としながら、今後におきまして石炭企業経営内容が好転をしたりあるいはまた需給の環境が好転するというような事態になった場合には、当然のことながら生産水準の拡大を目指す、こういうのが政策基本になっているわけでございまして、これを踏まえまして通産省といたしましては、現存炭鉱におきます安定的な生産の確保という観点から、坑道掘進等補助金等につきまして助成を行いますと同時に、既存炭鉱に隣接をいたします消滅鉱区活用を図っていく、こういうような観点から炭層の賦存状況調査等実施をしているところでございます。さらにまた、将来新たな開発が期待される地域でございましてまだ十分調査実施されてない地域につきましては、その資源状況のより的確な把握をするために、実は昭和五十七年度から新たに新エネルギー総合開発機構によりまして石炭資源開発基礎調査実施をしているところでございます。  政府といたしましては、今後ともこういった制度活用しまして第七次答申に沿った国内炭対策展開をしてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  9. 北村義和

    北村委員 先ほど大臣も触れられたわけでありますけれども北炭夕張関係でございます。  これは安倍大臣大沢管財人の方からの要請もありまして、平安十尺層の検討委員会が設けられて検討を重ねられておると聞いております。この検討中身については、技術的、経済的な側面と開発主体、こういうことをテーマにしてそれぞれ石炭協会の方々が御心配をいただいておるようであります。検討をいただいているわけでありますから、報告がない前にどうだと言うのもどうかと思いますけれども、知り得る範囲でひとつこれの御報告をいただきたいのと、その見通しについてどうか。  これは地域にとりましては非常に大変な問題でもございます。しかし、この山のいままでの経過を踏まえてまいりますと、何といってもある意味では国民的なコンセンサスも必要だ、こういうことも私どもは理解はするわけでありますけれども、しかし、何としても再建ができていけるような指導といいますかリードをお願いしたいという気持ちがやまやまあるものですから、いまそういった形で検討状況をお聞きしたいと思うわけでございます。
  10. 弓削田英一

    弓削田政府委員 昨年、安倍通産大臣並びに大沢管財人からの要請を受けまして、日本石炭協会内に、ただいまお尋ねのように夕張新区域の十尺層の開発に関する詳細な技術的並びに経済的な検討を行うために、石炭協会の会長でございます有吉さんを委員長とする夕張新区域十尺層開発検討委員会が設置をされまして、現在まで鋭意検討が行われているところでございます。検討委員会には各項目にわたって検討すべき事項も多々ございますものですから、検討委員会のもとに技術、経理、総務、労務といった四つの小委員会が設けられておりまして、ここを中心にして検討を進めていく、ある程度成案を得れば検討委員会に上げる、こういう形で検討が進められているわけでございます。それぞれ検討すべき項目というのが各小委員会でお互いに関連をするものでございますから、ある小委員会で一定の考え方が出た場合には、その関連の小委員会にまた付議をして、その意見に基づいてまた修正するというようなことで、意見をまとめるに当たりまして何といいますか試行錯誤的なやり方をやって、いま検討が進んでいる段階でございます。いまの段階一つ考え方がないというわけでもないのですが、これはまたほかの委員会で修正されるというような性格を持ったものでございますから、そういう検討状況の中で一つのことをお話し申し上げるのは非常に誤解を受けるんじゃないかということで、具体的な検討中身につきましては現段階においては遠慮さしていただきたい、かように実は思っているわけでございます。  いずれにいたしましても、通産省といたしましては、当委員会におきまして今後とも引き続き鋭意検討が行われまして、本年四月を目途に結論が出る、こういうことを期待をしている次第でございます。
  11. 山中貞則

    山中国務大臣 いま部長がいろんなことを申し上げていることの背景は、大変厳しいということを言っていると思うのですよ。それにかわる表現としていろんなことを言っていると思います。私自身もその答申を拝見いたしましてから決断をいたしますが、過去のことに思いをいたしますと、これはともすれば政治絡みでどうだこうだとか言われた過去は確かにあった経緯のある系統の炭鉱だと思います。しかし、越冬しながら、雪の中でわずかな諸手当を頼りにしながら越年をした人たち、新鉱をただ一つの望みにして山を去らない人たち、人情で石炭を掘るわけにはいきません、しかし、委員長さんも会うたびにげっそりとやせ衰えられた感じですね。そういうのを考えますと、新しい考え方というもので対応できないだろうか。  たとえば事務局長さんが、わりと若い人が来ておられましたので、あなたはどうですか、炭鉱に依存した生活者勤労者としてあなたは三代目じゃないですか、おじいさんから山に生きてきたんじゃないかということを聞いてみましたら、確かに私は三代目でございますとおっしゃいました。山に生き山に死に、その子がまた山に生きていて、さてこれから先どうするかという、そういう立場にも私たちは目を向けてやらなければならない、このことをしみじみと思っております。  確かに採算のめどのないものをやるとかなんとかというそんな乱暴なことはできないにしても、いままでは悪い意味で過去の政治的ないきさつから若干のちゅうちょするところが通産省にはあったんだろう、私はそこまで見きわめているものではありませんが、そういう空気があるのじゃないかと思うのです。しかし、そうじゃなくて、過去は過去、現実現実未来への道は未来への道、そこで踏み切れるものがあるならば、場合によっては過去のことは切り捨てて、そして新しい未来への道をあけてあげることができるならばと私はいま念じておりますが、四月中旬ということでありますけれども、なるべく早く私どもの手元にそれを渡してほしい、そしてそれによって私の判断を加えた結論を出したいということを考えております。
  12. 北村義和

    北村委員 大変配慮された答弁、お気持ちをお伺いいたしまして、私どもも胸にしみるものがございます。何としても知恵をしぼって力を合わせて再建の道を探っていくような手だてを考えていきたいな、こんなふうに思うわけでございます。  次は、ちょっと形が変わるわけでありますけれども地域振興整備公団といいますか、工業団地の造成を一生懸命おやりいただいて、ほかのこの種のあれからいたしますと、分譲その他の成果はなかなか上がっておるわけであります。しかし、御案内のように、最近の経済動向その他、特に北海道は余り成績がよくない方でございます。これらを考えてまいりますと、今後ほかのところもやはり鈍化傾向は否めない事実でございますので、これについて今後何らかの別な対応策を考えておられるかどうか、これをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  13. 弓削田英一

    弓削田政府委員 産炭地振興対策でございますけれども昭和三十七年から私ども地域振興整備公団によりまして団地を造成し、そこへ企業誘致しまして地域振興を図ってまいったわけでございます。  ただいま先生からお話ございましたように、これまで百十四団地が完成をしております。面積は二千三百七十五ヘクタールでございます。これは全国トータル数字でございます。そのうち譲渡率が、全国的には八六%、こういう数字になっているわけでございますが、北海道につきましては、先生いま御指摘もございましたように立地条件の悪さ等もございまして、実は六八%というような低水準にあるというのはもうわれわれも十分承知しているところでございます。特にまた最近、御指摘のとおり景気が低迷をいたしまして、さらに今後企業進出が落ち込むんじゃないかというような心配が実はあるわけでございます。  私、率直に申しまして、この企業進出に今後新しい方策といいますか、これは率直なところを言って、ないというのが正直なことかもわかりませんが、いずれにしましても、これまで私どもといたしましては、企業進出を促進するために地方税、国税におきまして税制面優遇措置をとってきたところでございますし、また地域振興整備公団によります長期の低利融資等を通じます企業誘致促進のための制度を今後とも十分活用していく、さらに工業団地説明会でございますとか現地視察会等広報活動をいま以上に積極化していくということで、何とか今後落ち込みを予想されます企業誘致につきまして誘致を推進してまいりたい、実はかように考えている次第でございます。
  14. 北村義和

    北村委員 時間でございますので終わるわけでありますけれども、最後に一つ、本当は申し上げたかったのですが、基準炭価の設定について、これはいろいろ厳しい中ですけれども、ひとつ適切な御指導をいただきたい、こういうことを申し上げて質問を終わります。
  15. 武藤山治

  16. 岡田利春

    岡田(利)委員 初めに国際石油動向予測についてお尋ねしたい、こう思っておりましたけれども、いま大臣から一応の見解を述べられたわけであります。  そこで、日本の権威あるエネルギー機関が実は今後の動向について予測をいたしておるわけです。これによりますと、大体ここ一、二年は原油価格の乱高下が続くのではないか、したがって基準原油であるアラビアンライトは二十六ドルないし二十七ドルに下がるのではないのか、スポット物は一時的に二十ドルに近づくこともあり得るであろう。八三年の七月から九月後半あるいは十月から十二月にかけて、今年の下期でありますけれども加盟国から価格生産量の協定が守られない、こういう状況が出て、結果的に再値下げ動向が強まる可能性がある、こういう一応の予測がなされておるわけです。大体五ドル下がりますと、産油国経常収支ではほぼ五百億ドル収入減になる、こういうことになるのではないかと私は思うのです。これは実は日本エネルギー経済研究所の三月十一日の予測であるわけです。いま政府が具体的に述べることは非常にむずかしいと思いますので、一応このクイックレポートという形で発表された「原油値下げと今後の国際石油市場について」というレポートについて、まず初めに御感想をお聞きいたしておきたいと思います。
  17. 山中貞則

    山中国務大臣 いまは推測レポートの花盛りでございまして、アメリカなどは、どこに根拠があるのか二十ドルの場合についても公的な見解シュルツ国務長官が発表したりなどしております。日本よりも情報収集能力はつとにたけておるわけでありますし、あるいはまた武器援助とかいろいろな問題等影響力も行使し得るアメリカですから、何らかの根拠があるのかもしれないとは思いますが、さっき申しましたように、代替エネルギーとの関係でデッドクロスするおそれがある価格は二十五ドルであろう、そういうことで一応日本としての対策を考えておりますけれども、しかしこれが果たしていつまで続くのか、あるいは値下げはこれでやむのか、これも不確定要因がございますし、サウジアラビアは量の規定に服していない、調節者であるというような立場は何の意味かよくわかりませんが、あるいはイランは戦争しておりますためにカーグ島に入ってくるタンカーの保険、これが非常に高いので、その保険石油の分でめんどう見ないと引き取らないというような裏があるそうでして、したがって値下げになかなか同調しなかった、それにまた裏があるというような複雑な込み入った情勢がありまして、何か一、二回とわれわれは数えるわけですが、非常なスピードで価格アップがなされてきたその背景には、いずれも戦争とかあるいは革命とか、そういうものが引き金になっています。  そうすると、ここで予測をするときに、そのいままでの過去の一、二回の場合の状態があり得るのかないのかについて、これは大変想定しにくいでしょうね。ホメイニさんが死んだら後はどうなるのかとか、そういうようなことになるわけですから、イラン・イラク戦争の前途も問題になりますし、そこいらのところでいつまで続くのかがまずわからない。しかし、さしあたり今回は五ドル引き下げの線で、アラビアンライトとおっしゃったとおりでありますが、それぞれありますけれども、私は日本の方にまずカルテル崩壊しかかっているときに申しましたことは、これをチャンスとして日本の業界がスポット物の買い付けに狂奔することはやめなさい。このことは、いずれこのカルテルは復活する日が来る。また復活するだけの国際経済の繁栄がなければならぬわけですが、復活した場合にみんながまた白いふろしきを頭に輪をはめて集まって、そしてあのときはお互いにつらかったな、われわれが一番困ったときに一番ずるく立ち回つた国はどこだと思う、おれのところはどうも日本にスポットを買い付けられて困ったとか、スポットを買い散らされて困ったとかということが全部日本だということになった場合に、おい少し日本に対して、しっぺ返しとまではいかぬが、そう簡単にはこれからいかぬぞという意味で一発かまそうじゃないかという合意でも成立したら、第一次のときなどはそういうリアクションをつけたわけですから、オランダとアメリカはやっつけてやるぞとか、日本は中間的な立場だったから少し緩めてやろうとか、そういうことが過去にあったことを考えると、まずその原因となるような、人の困ったときにつけ込んでスポット物を買いあさることだけは厳重に禁止しなさいということで、いまのところそのような日本関係企業が人の弱みにつけ込んだ意味のスポット買いに狂奔している姿は見られないで、むしろ高値の油をなるべく処分しながら早く低くなった油を日本で使えるようにしたいという方向で備蓄の現時点の取り崩しということにかかっていることは、私は国家国家に対する姿勢、消費国家産油国家に対する姿勢と申しますか、そういう意味ではいまのところクールに冷静にそして賢明に動いているのではなかろうか、そういうふうに見ているわけでありますが、この予測は一週間後に違ってしまうかもしれないおそれもありますし、目下のところ、現在の決まったといわれておるものが維持されることをわれわれとしては願い、そしてこれのなるべく長続きすることを願うということにとどめておきたいと思います。
  18. 岡田利春

    岡田(利)委員 去る二十三日、通産省では石油審議会の石油部会が開かれて、そして石油の供給計画の運用指針がこの部会で了承されているわけです。  これによりますと、上期内の需要は、前年同期に対してはマイナス五・二%、七千九百六十八万九千キロリットル、これは四年間連続前年を下回るという傾向になっておるわけです。しかしながら、上期の場合にはこれをさらにマイナスをして、マイナス八・八%、いわば過剰在庫を圧縮するということが含まれているようであります。  そこで、当然下期の予測も出てまいると思うのでございますけれども石油業法の場合には五年を毎年ローリングをする、こういうことが義務づけられておるわけですから、当然五十八年から六十二年の五カ年の見通し石油計画を作成しなければならないと思うのです。したがって、この石油計画の作成はいつごろ今年度、五十八年度は作成される見通しか、この点が第一点であります。  第二点は、四年間連続とにかく前年を下回っておるわけですが、なぜ一体石油の消費が下回っておるのか。もちろん不況があるでしょう、あるいはまた省エネルギーもあるでしょう、代替エネルギーもあるでしょう、いろいろあるわけでありますけれども通産省としてはこの傾向を、どのようなウエートに従って、いわば石油消費が少なくなってきていると判断されておるのか、この点御説明願いたいと思います。
  19. 豊島格

    ○豊島政府委員 まず最初の御質問に対してでございますが、御承知のように石油業法に基づきまして、普通でしたら年度の始まるまでに、その年の生産計画、それから五年間のものをやるわけでございますが、御承知のように非常に不安定といいますか見通しがわからない状況でございますので、それは間に合わない。しかし、いずれにいたしましても石油製品の需要の動向に的確に対応して安定供給する何らかの指針が要るということで、二十三日に上期の指針を出したということでございます。  いつ下期といいますかあるいは五年間をやるかということでございますが、これは大体私どものいまの計画では五月中旬から下旬にかけて決めるということで作業を進めておるところでございます。  それから第二の、石油が毎年減っておるということでございまして、それがどういう原因によるものかということでございますが、大きく分けまして省エネと代エネということになろうかと思います。手元にございます数字で申し上げますと、石油の供給量は五十四年から五十五年にかけて三千二百万キロリッターぐらい減っておりますが、そのうちエネルギーの需要の減少によるものが千四百万キロリッター、代替エネルギーの供給増加によるものが千八百万キロリッターということで、五六%が代エネの供給増加、それから四四%が省エネということでございます。  これを五十五年から五十六にかけてで見ますと七四%が省エネ、それから代エネが二六%ということでございまして、若干ウエートが違っておりますが、この辺の感じを申しますと、五十四年から五十五年にかけていわゆる鉄鋼とかセメント等の石炭への転換というのが非常に大きく出てきたと思います。それから五十五年から六年にかけましては、どちらかというとそういうのが若干一般産業で一服しまして、むしろ基礎素材産業の不況というようなことからの落ち込みが相当多いんじゃないか、こういうことでございまして、一応簡単でございますが御報告します。
  20. 岡田利春

    岡田(利)委員 大体私も専門家に聞いても二通りの意見がありまして、いわば不況によるものがほぼ五〇%、あと省エネルギー、代替、産業構造の転換も含まれておると思うのですが、そういう説と、いやそうではなくして、不況による影響というものは二〇%であって、あとは他の要因によるものだ、こういう二つの説をいろいろ専門家の筋から聞いておるわけです。長官の答弁でいきますと私の認識とほぼ同じではないか。ということは、もし国際経済活性化して経済成長が伸びてまいりますと、石油の需要というものはいまの消費減の約半分近いものは戻っていく可能性がある、こういう認識をわれわれはしておかなければならぬのではないのか、こう私自身は思っておるわけであります。  そこで、三年前に大幅な電気料金の値上げを実施したわけですね。このときの前提になったものは、円レートが二百四十二円であります。原油価格は三十二ドルであります。これを前提にして新しい電気料金が決まって、とにかく今日まで維持されてきているわけです。これは一年間という前提で新料金が決まったわけであります。電気料金というものは不思議なものだなという感じがするわけですね。たとえば原油はこれから下がりますけれども、いままでは三十四ドルでむしろ予測よりも上がっている。あるいはまた円レートの場合も、いま二百三十七円ぐらいでありますけれども、かつては二百四十円、二百五十円と予測よりも非常に円レートは安かった。その後なおかつ三年にわたって電気料金が維持をされた。非常に不思議だと思うわけです、認可料金でありますから。現行料金が今日まで前提と相反するウエートが出ておるのに維持されたという理由は一体どういうところにあるのでしょうか。
  21. 豊島格

    ○豊島政府委員 五十五年度に電気料金を改定して五〇%ぐらい上がったわけですが、そのときは一年間という原価をもとにしていたしました。したがいまして、その後、修繕費とか資本費とかあるいは人件費というものが当然上がっておるわけでございます。これが維持された最大の理由は、いろいろな合理化もございましょうけれども、いずれにいたしましても燃料費というのが予想したより非常に少なくなったということだと思います。その理由はいろいろと分析しないとわからないのですが、それからそれをどういう割合でやっているかなかなか計算がむずかしいのですが、項目で申しますと、原子力発電所が新規にいろいろできたということと、その稼働率が非常に向上したということでございまして、当時稼働率五五%ぐらいだったのが、その後いろいろ鋭意努力をいたしまして五十六年には六二%ぐらいまで上がるということで、一%上がると相当な収益になるということでございます。それからそのほかに非常に豊水であった、二年間豊水であったということでございまして、たとえば出水率でございますと五十五年は一〇七・六%、計画は当然一〇〇で織り込みますけれども、実績は五十五年は一〇七・六%、五十六年は一〇五・三%、出水率もよかったということでございます。さらに円高差益というのがございまして、四十二年に対して五十五年の実績は二百十八円、五十六年の実績も二百二十九円という、かなりよかったわけでございます。そういうことで、いわば燃料価格が円高の問題あるいは先ほど申しましたような理由で落ちた。このほかに若干細かいことですが、夏が冷夏であると、そのピーク時には相当高い燃料をたかなければいけないわけです。こういうものがわりと節約されたということもあったと思います。ただ、この問題につきましては、五十七年度におきましてはたしか年間二百五十二円、上期も五十円を超えておった。そういうことで相当節約をし、修繕費なんか毎年相当ふえるのですけれども、相当ぶった切ったということをいたしましても、五十七年の上期においてはいわゆる中間配当をやる所要利益を十分出し得なかった。したがって、いわばある程度自主的には従来の積立金を取り崩すというようなかっこうでの中間配当をしたということでございまして、その後若干円も高くなったので五十七年は何とか切り抜けるということが実情でございます。
  22. 岡田利春

    岡田(利)委員 石油価格が一ドル下がれば電力業界は一千億円プラスになるわけです。五ドル下がったわけですから五千億円ですね。これがプラス要因として出てまいるわけであります。このことだけは、今年一年間大体この傾向で推移をするということだけは明確になったと思うわけです。もちろんいま長官が言われた中でも、修繕費をできるだけかけないとか、いろいろな要素も私は電力会社の内容を見れば確かにあろうと思います。しかし、前に円高差益還元したのは二千七百億円程度ですね。電力会社がプラスになったというときに行ったわけです。そういたしますと、今年度電力料金が上がらぬことは確かでありますけれども、これを一体どうするかということであります。五千億円を一体どうするのか、このことはやはり国民は非常に注視をしておるわけであります。これをどのようにするかということはまた通産省としても今後さらに検討を重ねるようでありますけれども、やはりわかりやすいことが一番いいと私は思うのであります。そういう意味現実に五千億入ることだけは明らかになった。この五千億に対してどういう方向検討されようとしておるのか承っておきたいと思います。
  23. 山中貞則

    山中国務大臣 電力だけ取り上げての数字はそのとおりであります。しかし、冒頭私が申し上げましたように、すべての国民に思わざる天恵を均てんせしめたいという願いでございますから、その中に電力料金も入っていることは間違いないですね。しかし、単純計算で戻した場合に、果たして前のときに円高でその差益を房せということで各家庭にそれぞれ返しましたが、一年半後には五〇%の値上げをしなければならなかったということは政治としては余り感心しない。あるいは政治だからできたのだと言えるかもしれませんが、電力料金とはどうあるべきものであるかということを考えれば、安い方にしくはなし、そしてそれは長期安定したものであるべきであるということが原則だと思うのです。ですから、前回のように、また油がカルテルが復活して半年か一年後にまた三十四ドルに戻ったというようなことは、ないかもしれませんが、あるかもしれない。そういうときにその金額をそっくり計算してということは、先ほど豊島長官が申しましたようなことも過去背景にありまして、そのままでほっておくと、去年は恐らく電気料値上げ申請をするような状態になっていたと思うのです。  そこで、もちろん今回は申請はしてこないでありましょうが、どうも九電力の社長に対しインタビューがあるせいでもありましょうが、口をそろえて、電力料金を下げるような状態にないと言う。自由の発言でしょうけれども、しかし高度の公的団体であって、認可料金を政府に仰がなければならない公的な立場の社長たちの発言としては、当初私は大変苦々しく思っておるということを申しましたが、それでもなおまだ鳴きやまないところがありましたので、参議院の方で、電気料金を値上げしてほしいときだけ通産省に駆け込んで、通産省値下げ命令権も持つわけですから、そのことをやろうとまでは言っていませんけれども、その前に、いや下げないのだ下げないのだとまだ言うならば、今度は値上げを持ってきたときには受け付けない権利をおれは保留するということを申しましたら大分静かになりました。そこで、電事連の会長を呼びまして、各九電力の社長に伝えてください、いずれ私の大臣室に全員そろって来てもらうつもりですが、公的な事業における、あるいは国家的な大きな立場にある公益事業というものが、私企業と同じように恣意的な発言をしてもらっては困る、ここで電事連の会長として通産省にすべてをお任せいたしますということを申しなさい、それならば通産省政策判断で、国民的に見て最も納得のできる姿で電力料金も取り組むということですから、任せるということを言いなさいと言ったら、全面的にお任せいたします、これからは聞かれても通産省にお任せしてございますと答えますということでございましたから、よく考えて、国会の御議論等もいただきながら、今度はなるほどという納得できる線を表に出していきたいと考えます。
  24. 岡田利春

    岡田(利)委員 われわれは、残念ながら日本は、先進国家の中でも電力料金は世界一割り高だ、こう言ってもいいのだと思うのです。日本は構造的には電灯料金高の電力費安という国際比較もあるわけです。そしてまた一方においては、いま素材産業は泣いているわけですね。こういう状況を踏んまえてどう対応するかということが重要であろう、私はこう思いますので、ひとつせっかくの御検討を願っておきたい、かように思います。  次に、石炭の問題に入りたいと思いますけれども、まず第一に、石炭石油特別会計のうち石炭勘定会計がどんどんウエートが下がってきておるわけであります。特に今年度予算は一千三百四十二億九千四百万円の石炭勘定予算でありますけれども、このうちの科目ですね、石炭鉱業合理化安定は一応前向き、こう言っています。あるいはまた鉱害、産炭地振興あるいは労働省関係のウエートは今日どうなっているのか、この機会に政府から明確に答弁願いたいと思います。
  25. 弓削田英一

    弓削田政府委員 ただいま石炭勘定におきます安定対策費のウエートのお尋ねがあったわけでございますが、本年度、五十七年度の予算で申し上げますと、三五・三%。五十八年度、来年度の予算案でございますが、これでは三三%ということになっております。かつてはもっと比率が高かったわけでありますが、最近は比率としては低下傾向にある、こういうことが言えるかと思います。
  26. 岡田利春

    岡田(利)委員 石炭予算というと、一千三百四十二億が全部炭鉱に入っているという錯覚を起こすわけです。しかし、実際第一次、第二次のあの時代の肩がわり分を含めても四百五十五億の予算だ。三三・八七%でしょう。二年前までは四〇%でしょう。どんどん下がる一方なんです。鉱害のウエートが四三・七五%、産炭地が六・五三%、労働省関係が一三・七%、そして今日、炭鉱の現状ではいろいろ問題を惹起している。こういう意味では石炭関係予算というものについて、第七次政策の初年度目でありますけれども、来年度を展望しながらもう少し内容を検討してみる必要があるのではないか。量が減るわけですから、従量税ですから、財源もふえないわけですから。そうすると、内容的にどう対応するかということが非常に重要な問題だと私は思うのです。この点、特にこの意識を念頭に置いて今後の政策を考えてほしいということをまず指摘しておきたいと思います。  同時に、わが国石炭政策は西ドイツの政策と非常に相互に影響し合っておる歴史的経過があるわけです。産炭構造から見るとフランスと日本石炭産業の産炭規模は歴史的にほぼ同じで二十年来推移をしておるわけです。したがって、今日時点における西ドイツ及びフランスの石炭政策にわれわれは非常に関心を持たなければならぬと思うのです。わかりやすく言えば、西ドイツであれば州政府がトン当たりどの程度の支えをしておるのか、フランス、これは公社でありますけれども、フランスの公社の場合でもトン当たりどの程度の支えをして、今日ドイツ及びフランスの石炭政策が成り立っておるのか、この点について説明願いたいと思います。
  27. 弓削田英一

    弓削田政府委員 最初に、安定対策費のウエートが下がっておるという御指摘があったわけでございますが、これはお答えいたしましたとおり、数値はそのとおりでございます。  これの原因でございますが、御案内のとおり長期的には炭鉱閉山の減少、こういうようなことがございまして、炭鉱整理促進費補助金の減少等の当然減的な要因がございましてこういう次第になっているわけでございます。むしろ前向きの予算と申しますか、石炭生産に直結する予算、こういうことに限って申し上げますと、政府といたしましては従来からその自立強化ということに努めてきたわけでございまして、昭和五十八年度予算案におきましても、厳しい財政状況の中で、坑内骨格構造整備拡充事業費補助金につきましても、また鉱山保安確保事業費補助金あるいは設備近代化等融資事業規模につきましてもそれぞれ拡大を図っているということでございますので、この点は御理解を賜りたい、かように思う次第でございます。  それから、西独並びにフランスにおきます石炭政策はどうなっておるか、こういうお尋ねでございますが、西ドイツにつきましては、先生案内のとおり三百億トンを超える埋蔵量を持っておるわけでございまして、これまでも国内炭を有効に活用していくというのが政府石炭政策基本方針になっているというふうに理解をしているわけでございます。そのために、ルール・コーレ等の石炭企業に対する助成その他の財政措置、あるいは関税割り当て法によります内外炭の調整の実施でございますとか、それから電力の最終需要家の負担のもとでの調整税によります価格差補給というような政策実施しているということを私ども承知しておるわけでございます。  また、フランスに関しましては、石炭の埋蔵という点で言いますとどちらかというと日本に似ておりまして、埋蔵量は十億トンとわれわれ承知をしているわけでございますが、石炭政策に関しましては最近若干基調が変化したというふうに理解しておりまして、以前と異なりまして、やはり貴重な国内資源は今後とも有効に活用していこうじゃないかということが基本方針だというふうに私承っておるわけでございます。政策といたしましては、フランス石炭公社に対します財政援助、それから石炭輸入協同組合の海外炭の一手輸入ということを通じました内外炭の調整等の措置を実施しているわけでございます。  それから予算の額でございますが、手元に古い資料しかございませんのでまことに恐縮でございますが、西独につきましては一九七九年度の予算額で約二十一億マルク、こういうことになっておりまして、為替レートその他の関係もございまして日本と正確な比較をするということは非常にむずかしいわけでございますが、出炭トン当たりの助成額で算出をいたしますと、西ドイツがトン当たり約二千七百円に対しまして、わが国の同じ年度におきます石炭鉱業合理化安定対策費はトン当たり約三千二百円、こういうふうに相なっている次第でございます。
  28. 岡田利春

    岡田(利)委員 わが国石炭政策がドイツやフランスに比較して決して高いわけではないわけですね。トン当たりで計算しますとずっと下回って政策展開されておる。ただし炭鉱の条件はドイツに比べて非常に劣悪な条件である。能率はドイツ並み、大体ヨーロッパ並みですよ。そして条件が非常に悪い。その中で政府の助成そのものも決してドイツやフランスより上回ってないというのが現状なわけですね。この認識を頭の中に入れておかなければならぬと思うのです。特にわが国の産炭構造は、言うまでもなく西部の方は全部海底炭鉱です。そしてあとは北の北海道であります。従来の産炭地は、たとえば筑豊であれば石炭を掘ると鉱害がある。だから鉱害復旧に大変なウエートをかけているわけですね。これからの場合には三池を除いて鉱害というものはないわけです、北海道は鉱害適用除外でありますから。こう考えてまいりますと、条件的に最もいい条件のところに炭鉱が存在している。これは産炭構造が大きく変わっているのだという意味でこれからの政策展開を考えないと過ちを犯すのではないか、私はこのことを特に強く指摘をしておきたいと思うのです。  同時に、いままでは、油の動向から考えて代替エネルギー国内炭の優先引き取りということで需給関係はきわめて安定しておったと思うわけであります。恐らくことしは期末において百二十万トン程度の貯炭になるのではないでしょうか。そうしますと、八三年度の需給計画というのはもう大体見当がついておるのではなかろうかと思うのです。私の資料では来年度は鉄鋼は大体四百三十万トン程度、ただし、これはガス、コークスも合む四百三十万トンであります。かつて鉄鋼向けでは一一、二%のウエートが、もう七%ぐらいに落ちてきているわけですね。そういう現状から考えますと、国内炭需給関係というものはやはり装置をぴちっと締め直しておかなければならない。たとえば原料炭の場合には優先引き取り、それから電力の優先引き取り及び一般産業向けについては二〇%以内、二〇%の国内炭の引き取りをしなければ外割りをしませんよ、これが需給の装置であるわけです。この装置を緩めると大変なことになると思うのですけれども、この装置については今日時点でもその政策は変わらないかどうか、確かめておきたいと思うのです。
  29. 弓削田英一

    弓削田政府委員 ただいま国内炭の引き取りに関する御質問があったわけでございますが、先生案内のとおり国内炭に関しましては、従来から国内炭を優先して使用していくという原則に立ちまして、輸入割り当て制度の運用によりまして国内炭の引き取りの確保を図ってきたわけでございます。昭和五十七年度の国内炭の引き取り状況を見てみますと、御案内のとおり景気の停滞というようなことがございまして、鉄鋼業界、セメント業界の需要業界は非常に厳しい環境の中に置かれているわけでございますが、そういう中におきまして、国内炭につきましては需要業界の協力を得ましておおむね順調に引き取りがなされておりまして、国内炭の在庫につきましてもほぼ適正な水準で推移している、かように実は考えているわけでございます。  政府といたしましては、一昨年八月の石炭鉱業審議会の第七次答申の御指摘も踏まえまして、今後とも国内炭の安定的な引き取りを確保していく、このために国内炭優先使用の原則に立った輸入割り当て制度の運用に今後とも努めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  30. 岡田利春

    岡田(利)委員 運輸省も来ておりますからこの機会に承っておきますけれども、産炭構造が南北に偏在をしているということから流通経費をできるだけ削減をする、そういう意味石炭輸送の近代化を図るということで近代化資金を充当して俗に言うマル近船が建造されておるわけです。私の資料では、五十八年現在、専用的に石炭を運搬している専用船がまだ十六隻残っておるはずであります。しかしこの船齢は大体十七年から二十年の間にあるわけです。もうすでに老齢船でありまして、そういう状況にあって全体的に大体リプレースの状況に入っているのですね。  ところが、最近わが国国内海運の関係も過剰船舶ということで一割ぐらいスクラップをするという方針で、いま日本内航海運組合の方でいろいろ検討されて、保有船舶調整規程の中でこれをどう位置づけするか、これはいずれ運輸大臣が認可する仕組みに実はなっているわけであります。いま進められておる現状を聞きますと、老朽船であっても大体一対一のものを一対一・五にする。もちろんその〇・四は買い上げるということになるでしょうけれども現実に買い上げる価格と連合会が出す単価とは開きがあることはきわめて過去の常識であります。そうしますと、せっかく近代化資金を入れたけれども、今度リプレースする場合には普通一般の船と同じような扱いになるということでは政策の貫徹がないではないか、こう私は言わざるを得ないわけであります。私は近代化資金を出せとは言いませんけれども、そういう意味では、少なくとも今後十年なら十年、石炭の積み荷を保証するマル近船については一対一でリプレースができる、こういう方向にいかなければ政策の一貫性がここで断絶されるのではないか、こう私は思うのですけれども、この点の事情について運輸省と通産省見解を求めたいと思います。
  31. 土井勝二

    ○土井説明員 お答え申します。  ただいま先生指摘のように、現在、日本内航海運組合総連合会、内航総連合と申しておりますが、ここで貨物船の不況対策について検討中でございます。検討はまだ続いておりますけれども、その中で、ただいま御指摘のようなたくさんの過剰船腹について処理する、削減する方策を考えてございます。それにつきましては、解徹比率を上げるとか共同解撤をするとか、いろいろな方策を考えてございますけれども、老齢船につきまして一般船に比べましたら優遇する、老齢船の合理化、近代化が進むようにするということでございます。  それで、この石炭近代化専用船、いわゆるマル近船につきましても、御指摘のように大変老齢でございまして代替の時期が来ているものでございますから、老齢船の優遇措置といった観点からは同じような措置をすると内航総連合から聞いているところでございます。
  32. 弓削田英一

    弓削田政府委員 いわゆる近代化専用船のお話でございますが、御案内のとおりリプレースの時期に入っているわけでございまして、石炭業界でも、この問題につきましていまいろいろ検討をやっている段階でございます。ただ、船舶の建造費が非常に上昇いたしておりまして、今後近代化専用船を代替建造した場合に、既存のマル近船に比べましてかなり運賃が割り高になる、こういうような問題があります。また、内航船舶自体が非常に過剰だというような現状にございまして、こういうことから、競争条件上でのデメリット、問題点がいろいろあると私ども理解しているわけでございます。  いずれにいたしましても、業界におきます検討結果も踏まえまして、問題点も明確にしつつ、なお今後、お話しの船腹調整等につきましては運輸省からも説明を受け、所要の検討をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  33. 岡田利春

    岡田(利)委員 ともすれば忘れがちの問題でありますので、この点も、運輸省の方は大体まとめに入っているようでありますから、通産省としても十分情勢を把握してぜひ対応していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  先ほど、五十八年度の炭価の問題が出たわけですけれども、時間がありませんから私から申し上げますと、北海道の内陸の五千カロリー、これは江別渡しで言いますと、基準炭価から輸送賃の千五百円がマイナスになる。関東では磯子でとれば三千七百円マイナスになる。関西では九州からの運賃で二千七百円マイナスになる。大村発電所では五千カロリーで八百円マイナスになる。これを一カロリー当たりの炭価に直してまいりますと、北海道の内陸は二円四十九銭、磯子は二円七十三銭、関西は二円六十六銭、大村は二円六十六銭という数字になるだろうと思うのです。大体間違いがないと思うのですね。  こう考えてまいりますと、北海道の場合には石炭火力が北海道の電気料金を下げることに大きな役割りを歴史的に果たしてきたということは事実であります。しかし、原発にも着手する、油の火力も出てきたということで電源構造が変わってきておるわけであります。しかし、政策上の一番の問題は何かというと、空知四山対策ということをよく言うのですね。赤平、砂川、芦別、空知、この対策が非常に問題で、しかも急傾斜で、安定補給金を傾斜配分した炭鉱であるわけです。ところが、そこで産出する炭価はカロリー当たりで見ると一番安い、そして一番上乗せして政策展開をしなければならぬ、これが実態なわけです。いまの炭価の状況は西高東低型の炭価形成。歴史的にそうなのですよ。それが基準価格を採用して今日まで来たわけです。そして集約したところが、空知四山対策というものが重要な問題だ、こういうわけです。そうしますと、五十八年度炭価は少なくともこの点を是正するというところから出発しなければならない、私はそう思うのです。そして、一体どの程度基準炭価にできるかという問題がその次に出てこなければならない。政策上からいってもそうだと私は思うのですけれども、この点の見解はいかがでしょうか。
  34. 弓削田英一

    弓削田政府委員 ただいま御指摘のございましたように、現在電力用炭の基準炭価は消費地によってカロリー当たりの炭価が異なっておりまして、北海道や九州の産炭地から遠くなるほど炭価が高くなっているという実情にあるわけでございまして、これはいろいろ過去の経緯等もございましてこういう姿になっているわけでございます。  一つには、以前に産炭地域におきます国内炭の安定的な引き取りを確保するために産炭地域とその他地域とで国内炭の値上げの幅に差をつけたということ、もう一つは、昭和四十九年以降の基準炭価の決定に当たりまして各炭鉱の山元手取りにおきます均等の値上げ効果、こういうものを実現するといいますか保証するために、全国一律のカロリー等価の基本の値上げ、それから消費地ごとに異なります流通経費の実質上昇分の見合い額の値上げを行ってきた、こういうのが原因になっているわけでございます。今後とも基準炭価の決定に当たりましては、各山元におきます山元手取りにおける均等の効果を保証するためには、ただいま申し上げましたように流通経費実質上昇分の差異を考慮することが望ましいことでございますし、また炭価の引き上げに当たりましては、国内炭の安定的な需要の確保を図る、こういうことに十分配慮する必要があるわけでございますので、ただいま先生指摘のございました点については、今後慎重に対応していく必要があろうか、かように考えておるわけでございます。
  35. 岡田利春

    岡田(利)委員 三時から本会議でありますので、あと労働省と通産省に一問ずつ質問しますが、いまの問題は、苫東ができて、来年度は苫東二号ができて、今度は北海道でも外炭をたくわけであります。ですから、時代が変わってきておるわけですから、時代の趨勢の中で対応しなければならぬ問題だろう、こう私は申し上げておるのであります。  次に、夕張の問題でお聞きしておきたいと思うのですが、夕張の今日の離職者の状況についてどういう変化になっておるのかということが一つ。同時に、雇用保険は大体四月ないし六月に終わる人が圧倒的に多い、こう私ども調査ではなっておるわけです。しかし、夕張は炭鉱町でありますから大変な打撃を受けて、産炭地経済そのものも陥没しているのであります。答申は協会からは四月中旬といいますけれども、まだめどが明らかでないわけであります。それを待っておる人がおるわけです。雇用保険は切れるわけです。黒い手帳というのは、これはあるわけでありますけれども、今回衆議院を通過した労働省提案の法律案、特定不況業種と地域ですね、この弾力的な適用を考える必要があるのではないのか、この二点について労働省からお聞きいたしたいわけです。  同時に通産省にお聞きいたしたいのは、夕張の答申というか検討委員会結論がいつ出るかということが先ほども明らかじゃないわけです。労使の間では中間報告をする、その後、四月初めが延びて四月十三日には石炭協会は中間的な説明をするということが回答されておるのであります。労使で労働組合の方にそういう回答があって、通産省の方に一体どうなっておるのか。そうしますと、これが中間的な説明だとすれば、四月いっぱいぐらいかかるというのが常識であります。したがって、まとめの段階ということが非常に問題が出てくるのだと思うのです。一定の前提を置いて、いろいろ経済性も計算するでしょう、また技術的な問題もあるでしょう。ですから、その前提の置き方によって、また答申の内容も変わってくる、こう私は言わざるを得ないわけであります。そうしますと、先般、通産大臣にもお願いをしておったのでありますけれども、この炭鉱の再開発の問題については、もちろん現行制度、現行制度の中でも政令のここを変えれば適用できるとかできないとかいろいろあるわけでありますけれども、従来の政策の流れの中で対応できる最大限のことで対応するという前提がなければ、この再開発の問題はむずかしいのではないか、こう私は思っておるのであります。したがって、通産省はその間の検討委員会状況をどう把握しておるのか、そしてまた、この対応について通産省側としても検討しておるのかどうか、この点を承って終わりたいと思います。
  36. 増田雅一

    ○増田政府委員 私からは北炭夕張新鉱の離職者の状況について申し上げます。  北炭夕張炭鉱の事業の縮小に伴い解雇されまして夕張公共職業安定所に求職申し込みをした者は二千九十三人でございますが、このうち、一昨三月二十三日までに就職をした者は七百十三人でございます。また、夕張に残っております求職者は千二百四十八人でございますが、このうち近いうちに就職をしたいというふうに希望されている方は八十二人で、このうち現在委託訓練を受講中の方が三十人となっております。なお、このほか今後職業訓練を受講したいという方が百五人ございます。これら以外の求職者の多くは、新会社の動向待ちという状態でございます。私どもは四月が重要な時期であるということで、再就職のあっせんに努力しているところでございます。
  37. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 夕張地区を特定不況業種あるいは特定不況地域の指定の対象として考えられないかという点でございますが、現在提案いたしております法案は、その業種に属する大方の企業が事業活動の縮小を余儀なくされるというような、いわゆる経済的事情によってそういう事情にある業種あるいはそれが集積している地域というものを指定してまいる考え方でございますので、夕張の場合はちょっとなじまないかと思うのですが、問題は、先生指摘の雇用保険が切れるのをどうするかという問題だろうと存じます。これにつきましては、現実とり得る対応としては、いまの雇用保険の個別延長給付というのは、各種求職者の態様に応じていろいろございます、たとえば訓練を受ける場合の延長であるとか、広域紹介を待つ間の延長であるとか。したがって、そういうものを求職者の個々の事情に応じましてできるだけ活用していくという形で対応できないかということで検討を進めたいと思っております。
  38. 弓削田英一

    弓削田政府委員 夕張の再開発の問題でございますが、先ほどもお答えをいたしましたように、当省としては、石炭協会におきます検討委員会において今後とも引き続き鋭意検討が行われまして、四月中をめどに結論が出されることを実は期待をいたしておるわけであります。ただいま先生から、四月半ばには組合へは協会から中間報告があるというようなお話があったわけでございますが、私どもまだ公式にその話を聞いておりませんで、もしそれが事実とするならば、当然のことながらわれわれにもその前後に中間報告がある、こういうふうに期待をしているわけでございます。その答えをもとに、今後とも必要な検討をしてまいる、こういうことになろうかと思います。
  39. 岡田利春

    岡田(利)委員 終わります。
  40. 武藤山治

    武藤委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後二時五十七分休憩      ────◇─────     午後三時四十三分開議
  41. 武藤山治

    武藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。斎藤実君。
  42. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 通産省が昨年五月に策定いたしました長期エネルギー需給見通しを、先ほどから論議されております最近の石油事情あるいは経済状況、そうしたいろいろな観点から見直しの意向であるというふうに伺っておるわけでございますが、この長期エネルギー見通しに対する基本的な考え、それから見直しの具体的な方向についてどういうふうに対処されるのか、伺いたい。
  43. 山中貞則

    山中国務大臣 これは今回の五ドル引き下げで作業を始めたものではございません。と申しますのは、日本石油需給、ことにエネルギーの中の石油の変遷と申しますか、その減り方が大変予測以上のスピードで落ちてきている。たとえば一番最近の輸入数量で申しますと、大体昭和四十五年、十三年前の水準ですかの輸入量になってきておる。これは私どもが想像していなかったほどの減り方であります。  もちろん理由はいろいろありますが、この傾向は一体どうなるのかということを考えただけでも、私はとんでもない話をするようですが、国民の英知の結集というものはやはりみんなが大切にしていくものだという意味で申し上げますと、さきおととし福岡で大干ばつがございましたね。それで、みんな二日断水とかなんとかを耐えながら、翌日は非常に豊富な雨に恵まれて全面解除の日を迎えたのですが、何と悲鳴を上げたのは水道局だった。ということは、一たん水の大切なことを知った県民たちの節約というものが、どうぞお使いくださいというほどたくさんあっても使わなくなったということです。  そういうことを考えますと、先ほどちょっと触れましたように、国民が日常生活の小さい分野にまでそういう省資源ということに努力した。いまでも官公署でも全部――私の部屋も一カ所だけ天井灯が壊れているのかと思ったら、それは省エネのために消してあるということでございまして、そういう行き届いたものが、石油の利用、これは代替エネその他の関連ももちろん考えられますが、石油そのものに対する節約というものに対しては相当行き届いておる。  そうなりますと、その意味でも長期計画は見直しをしなければならないのではないかという考えでいて、作業も始めろということを言っておったのですが、今回の五ドル値下げというものが長期展望としてはややまだ不透明と申しますか、見通しが困難な状態にありますけれども、これもまた織り込まざるを得ない現実になってきつつある。現在、向こうで五ドル下げようと決めたものが日本に着いていま売られているわけじゃないわけでして、したがって、そこにタイムラグというものがありましょうが、その間にエネルギー供給計画というものはそれを改定、見直しをする必要があるし、それに例年と違いますように、先ほどお聞き願っていたかと思いますが、年間の石油供給計画も今回は半年の上期見通しということで、そこの上期の見通しを踏まえながら、不確定な部分が確定化してきたときにこれを長期見通しの中に置きかえて、その中に上期を含むというような計算の仕方をさせておりますのも、実はじっくりと見きわめて、そしてなるべく過ちのない未来の展望をもとにした行政展開をしたい、そう願うからでございます。
  44. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣、長期エネルギー見通しについては大臣の御答弁のとおりだと私は思います。特にいろいろなばらつきはありますけれどもエネルギーの中で特に私が指摘をしなければならぬのは原油の値下がりです。それからまた油と石炭の差が縮小してきたということ。それからまた電力業界向けの需要が減ってきたということ。これもまた事実でございますが、石炭で例を見ますと、五十七年度は実績で千七百六十万トン、千八百万トン以下の低水準になってきた。それから北炭夕張以外でも閉山が予想されるのではないかと懸念する向きもずいぶんあるわけでございます。二千万トン体制の生産目標の下方修正をねらいとした政策の再検討意見がずいぶんあるわけでございますが、この点についていかがでしょうか。
  45. 山中貞則

    山中国務大臣 先般、おもしろい報告といいますか興味深い報告を受けました。それは、幌内炭鉱が経営危機を伝えられたりなどいたしましたが、労使の間で、ぜひ自分たちで幌内は守っていきたい、あるいは地域ぐるみ、それに対する市町村とか議会とか商工会議所とか、皆さんの支援を受けて労使間の合意といいますか前進があって、その採炭能力、出炭能力が飛躍的な伸びを示した報告を受けました。  これは、まだわが国内の残存炭、という言い方は悪いのですけれども、最盛期に比べれば……。しかし、それといえどもその働き方の内容によっても、つぶすわけにいかぬという決意で一致してやれば生産性が向上する、しかも相当大きな向上でございます。ですからそういうことを北炭夕張にも前提としては望んでおかなければならない。しかし、山が再開されなければそれは空振りということですから、答申を待って最も好意的な配慮をして差し上げたいと思っておりますが、願わくばそういう各地に残る日本炭鉱において、かつてのいろいろの労使慣行というのがございましたでしょうけれども、しかしここまで追いつめられた立場に立てば、自分たちの山である、自分たち炭鉱だ、そういう決意を持てばまたずいぶん違うものだなという気がしましたので、これはもう私どもが申すべきことではありませんが、労使ともにそういう心意気を持ってもらう。地域、場所によっては炭鉱だけの地域ぐるみの町であって、歌志内などの人口の減少等を聞きますと、私どもがつくりました過疎地域振興特別措置法などによってとても救われる状態ではない。商店街あたり等も全くひっそりかんとしておるという状況を考えれば、これはやはり政治の問題として真剣に考えてあげなければならない問題であると受けとめておる次第でございます。
  46. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣、先ほどの委員への答弁の中で、この北炭夕張の新会社設立構想についての御答弁を伺っておりまして、現在石炭協会で、検討委員会検討を進められておるわけですね。それで保安と生産面での検討、これは技術的な問題だと思いますが、御承知のように石油価格が下がった。それによって石炭価格石炭開発にも必然的に影響が出てくると私は思いますね。この北炭夕張の新鉱再建問題は、現在の経済問題また社会問題と全く無関係ではない、きわめて重要な問題であると私どもは認識しておるわけです。  大臣、先ほどの答弁で、夕張新鉱の再建については非常に厳しい、検討委員会報告を受けて大臣の判断を加えて決断をしたいという答弁がございましたけれども、たとえば保安、生産面での技術的な問題がクリアされれば、多少経済的に問題があったとしても、これはもう行政官庁としての通産大臣が政治的に再建に向かって適切な対策をとるべきではないかと、諸般の状況を判断いたしましてこういうふうに私は考えるのですが、大臣いかがでしょうか。
  47. 山中貞則

    山中国務大臣 これは法律的に見ますと、一遍は新鉱開発のための優遇措置を受けたところを新鉱と同じように扱ってくれというような問題等があります。法律上は大変むずかしいと思いますが、しかし私が先ほど申しましたのは、北炭については過去政治的に、必要以上とは申しませんが、相当な援助を受けたということが一方において言われておる。そのことは、過去のことは過去のことで切り離します。そのかわり私が責任大臣としてこれからやることについて、政治的な決断ではありますが、政治的な圧力もあるいは陳情も受けておりませんからそういうことはなくて、純粋に先ほど来申しております気持ちで、なるべく新鉱再開発の道へ歩んでもらいたいように努力をしたいものである。その際に、山中は北炭に対して再びあり得べからざる条件のもとに政治的な配慮を加えたということをおっしゃってもらっては困るということを申し上げておいたつもりでございます。
  48. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 ぜひひとつ、諸般の状況を判断して前向きな政治的な決断を私はお願いしたいということを申し上げておきたい。  次に幌内問題でございますが、幌内炭鉱昭和五十年にガス爆発を起こして以来、五十二年には生産が再開されたわけでございますが、出炭が計画どおり進んでいないわけでございまして、現在の計画では年間百三十五万トン程度であろうというふうにわれわれは考えておるわけでございますが、計画と出炭の開きがあるとすれば、その原因はどこにあるのか。それから、出炭計画が達成されないために北炭幌内の会社経営に問題が生じているように伺っておるわけですが、通産省としてはどの辺に問題があると考えているのか、伺いたい。
  49. 弓削田英一

    弓削田政府委員 北炭幌内社の経営状況でございますが、幌内社につきましては昭和五十六年度の出炭実績を見ますと、計画は未達ではございますが、減産も年度を通じまして三万トン程度でございますので大した減産でもなかったわけでございますが、昭和五十七年度に入りまして特に七月以降に非常な減産をいたしまして、通常一日四千三百トンぐらいの出炭をするというのが目標でございますが、一番ひどい状態のときには三千トンを切るというような状態が続きました。原因といたしましては、会社側の話によりますと、深部になってまいりまして自然条件が若干悪くなったとか、あるいは機械の故障等によって大幅な減産をやったようでございますが、私どもは必ずしもそれだけが出炭減のすべての原因ではない、こういうふうに見ておりまして、やはり先ほど大臣からもお話がございましたように、労使の対応というのがかなりまずかったのではないか、こういう感じを非常に強く私は持っているわけでございます。こういう状況のもとで、同社としては何とか再建をしたいということで、昨年の十月には社長以下経営陣の人事刷新を行いまして、今日まで新しい体制の中で幌内の再建に取り組んで来たわけでございますが、最近の出炭等を見てみますと、一時は一日出炭が三千トンを切っていた状態であったわけでございますが、二月には一日平均四千二百トンを超える、それから三月以降になってもほぼ四千トンの出炭の水準をキープしている、こういう状況で、どん底から脱しまして、ようやく安定生産体制の基調に戻ったということが言えるのじゃないかと思います。このためにはいろいろな技術面の改善もございますが、何と言いましても労働組合が会社の再建に協力するということで、従来ございましたいろいろな労使慣行の改善をやる等々の改善をいたしました結果が非常に寄与したのじゃないかというように実はわれわれ考えているわけでございます。現在、幌内社は安定出炭確保と収支改善のための合理化対策を鋭意検討中でございまして、現在これを踏まえた経営計画の策定を行っている段階と私、承知しているわけでございます。通産省といたしましては、今後会社の実効性ある再建計画の作成を待ちまして適切に対処をしたい、かように考えている次第でございます。
  50. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 北炭夕張、幌内炭鉱の存続につきましては、先ほど来答弁がございましたが、北海道でもきわめて注目をしております問題でございますので、どうか不安を与えないように通産省の積極的な取り組みを強く要望いたしまして、時間が参りましたので私の質問を終わります。
  51. 武藤山治

    武藤委員長 小渕正義君。
  52. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 先ほど来、原油価格値下げに伴うエネルギー事情の変化についてはいろいろな角度から御質問、御答弁がありましたので、多くをお聞きすることはないと思います。ただ一つ、先ほどからの御説明の中で見通しをいろいろ予測されていますが、一バレル二十五ドル程度までは下がるのじゃないだろうかという一つの見方があるようなことをおっしゃられておりました。現在の段階では軽々にいろいろな物事を考えていくということはむずかしいと思いますが、どの程度まで原油事情が変わり、油が値下がった場合にエネルギー暫定需給見通し等についての見直しといいますか手直しといいますか、そういうものを考えるような状況になるのかどうか。現在の段階では、当面非常に変動的であるので見直したり手直したりする考えは全然ないということのようでありますが、変化の仕方次第ではやはりやむを得ず考え直さなければいかぬような状況もあるのではないかと思うのですが、そこらあたりはいかがでしょうか。
  53. 山中貞則

    山中国務大臣 私が先ほど二十五ドルの線もあわせて検討を命じておると申し上げましたのは、石炭を中心に代替エネルギー等のコストのデッドクロス、要するに、それ以下に下がると代替エネをやってみても代替の方が高くなってしまうという線に来るだろう、だからその線は一応検討しておいて、現在は二十九ドルですから、その線で政策展開をするという意味の代エネとの関係の下限はどこだろう。二十ドルになったらちょっと代エネはストップするだろうと思うのですが、二十五ドルが微妙な線だ。そこのところで研究を一方で念のためにしておこうということでございます。見通しはいまのところ現実の二十九ドルの線の上に立ってやるということでございます。
  54. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 代替エネルギーとの関係では理解できますが、石炭政策という立場から見た場合に、やはりそこらあたりに対する一定の物の考え方を持つものかどうか。価格の面は別として、今日までわが国の貴重なエネルギー源であるということから石炭見直しということで新しい一つ政策がずっとされてきておるわけですけれども、それは原油事情と全然無関係とは言わないにしても、少なくともそういう一度改めて再出発した一つ代替エネルギーみたいな石炭政策という立場から見れば、もちろんこれはコストにおける比較論も全然無視するわけにいかないという経済性もありますけれども基本的には一応そういうものは抜きにして、石炭政策はこれからも維持していくというお考え方になるのかどうか、そこらあたりいかがですか。
  55. 山中貞則

    山中国務大臣 まず国内炭については、無資源日本と言われる中で辛うじて保持し得ている国内資源でございますから、これは最大限保持し守っていくという線が基本の線であることは当然のことでございます。
  56. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 非常に心強い話を聞いておるわけでありますが、それでは次に、先ほどからもお話が出ておりましたが、今回の五ドル原油値下げに伴って、もちろん一番大きな影響を受けるのは電力業界、影響を受けるというのは非常にいい意味でですが、その他石油製品メーカーいろいろありますが、今回の五ドル値下げに伴ってわが国としては大体どれくらいの金額が、これによって支出が少なく済むといいますか、浮くといいますか、全体的にどれくらいなのか、把握をされておればひとつその数値をお示しいただきたいということと、これらの関係筋について通産省としては、先ほど電力料金問題についてはそれなりに一つのお考えを持ちながら検討されていくようなお話のようでありましたが、その他今回の原油値下げに伴って出てくるいろいろな関係、大きく言うと石油業界と電力業界ですけれども、そういうものについては企業の自主的な判断だけにすべて任せるのか、通産省としては何らかの形で行政的に指導を強くしていくのか、そこらあたり基本的な考え方はいかがでしょうか。
  57. 山中貞則

    山中国務大臣 いわゆる官僚統制という意味国家の計画あるいは考え方を押しつける気はありません。むしろ自由濶達な、資源選択にしてもエネルギー選択にしても企業がそれをやることによって企業の発展が支えられているわけであります。しかし、国家に認可料金その他を求めてこなければならないような半公的な立場にあるたとえば電力のような企業等が、下げたくない場合は一方的に、おれは下げぬぞと言う、そして困ったときには政府に上げてくださいと頼みに来る、そういうことはあり得ないのであって、先ほども申しましたように、やはり国家の方に頼みに来なければならないということは、それだけ地域における経済界の、電力会社の社長はあらゆる会合のトップの席にも据えられるような地域的な尊敬、信頼まで得ている、そのような人たちの言動としては――私に一任するということで今後黙っていなさいということをさっき言いましたけれども、押しつけるという気はありませんが、わが通産省日本政府は、国内石油のそのようなものについてこのように考えるという指針的なものは逐次政策の面で出していきたいと思います。ただ、先ほども触れましたが、石油税の減少、これは従価税でございますし、量も先ほど申したように減ってきておりますから、ダブルパンチを食らっておるわけでございまして、代替エネ特別会計の原資としては来年度予算で何らかの合意を得る手だてをしなければなるまい、このような点は役所の中の問題でございます。
  58. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 先ほどの数値、わかりませんか。
  59. 豊島格

    ○豊島政府委員 いろいろな数字があるわけですが、去年の実績ぐらいを前提としますと、石油輸入代金というのは大体六十五億ドルぐらい減る、それから石油業界の支払いというのは大体五ドルで一兆五千億ぐらい購入費が減るということになろうかと思います。それから電力の場合は一ドルで千億ですから五千億。ただしこれには大前提がございまして、実際に四月一日からといいますか、一年間フルにそれがあればということでございまして、これはいろいろお答えしておるわけですが、いまから買った石油日本に着く前、あるいは日本にある在庫といいますか備蓄されておる在庫は高い石油を持っておるわけですから、それが実際コストに反映していくというのは、少しずつやっていくわけで、これが三カ月か半年かかるとか、そういうことでございますので、一応フルに一年間そういう状況、五ドルが効くとすると、いま言ったような数字になるということでございます。
  60. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 いま数値的に一年間のあれが出ましたが、これが先ほどの大臣の御所見では、自由主義経済でありますから官僚統制ということを考えないで、それぞれの自由な企業の判断の中でやるのが原則だと言われておるわけでありますが、今回の原油値下げのこういう傾向については、国民は非常に重大な関心を持ってそれぞれ見守っております。もちろん一部石油製品の中の値下げ傾向は出ておりますが、余りこれらに対応したような全体の動きはないような状況にありますので、そこらあたり政策の選択の仕方があるかもしれませんが、実はそういうもので電力業界の場合には、還元は好ましくない、将来の安定的な価格体系のために活用したいという考え方もあるようでありますが、何といいますか、これだけのお金をただ自由的なそれぞれの経済活動の中で放置するのではなしに、行政的な一つ考え方でそのうちの何分の一かをひとつ何らかの公共的な、国民に結果的にまたはね返ってくるような形の政策的な資金として何か徴収――徴収というと言葉は悪いですが、財源として活用するという、そういう考え方もあっていいのではないかという気もするわけであります。この点は、先ほど言われた大臣の所感からいきますと、ちょっとなかなかそういうことはむずかしい、考えられないということになるかと思いますが、この点について一応私なりに、そういうことはいかがかという意味一つの御質問をするわけであります。  それから、あわせてあと一つ、次に、最近ずっと電力業界においても石油より石炭へと燃料を転換していくそれぞれの計画がございまして、たとえば今後の火力発電については石炭専焼火力発電所にしていく、こういうようなそれぞれの計画があっているわけでありますが、このような原油事情の変化に伴いまして、電力業界のそういう設備投資の基本的な考え方はまた変わってくるのではないかという考えもできるわけですけれども、ここらあたりに対しては、そういうことのないような行政上の指導が必要ではないかと思うのでありますが、その点に対する御見解をお示しいただきたいと思います。
  61. 山中貞則

    山中国務大臣 第一点の、今回の国家的に言えば値下がり益ですね、これを何らかの財源として考えるべきではないかということも一つの政治であると思います。しかし、たとえば何に使うか教えませんけれども、いま一番声の高い所得税減税の財源に使えば、その限りにおいては財源にはなり得るわけですね。しかしながら、では今度はまた石油が上がったとき、極端に言うと来年また値戻って値上がりしたというときに、所得税の減税は基礎控除から累進率から最高限度額からまたもとに戻すということが政治的に可能かということになりますと、これはそういう先行きの見通しがきわめてできないもので、しかもひょっとしたらひょっとするかもしれない要素をたくさん持っておる。そういう問題を恒久的な財源にすることは大変むずかしかろう。仮にこれを戻し税の財源ということを考えてみても、戻し税というものはちょっと過去に二回やりまして、委員長なんかも一応かんで、ともに相談したわけですが、ない知恵をしぼってみたのですけれども国民の方から見ると、金額が少なかったせいもありますが、余り戻し税方式というのは喜んでいないように思います。やはり税制の恒久的な仕組みをもっと変えてくれというようなところにあると思いますので、戻し税方式も困難だろう。かといって、それを今度は横から、輸入値下がりした分をそっくり国家財政に吸い上げて、一番必要なことは国債の減額であるとすればそっちに回すといっても、そのようなことは、本来国民にこの恵みは戻っていくべきものと確信している私にとっては、そのような方法も私は賛成しない。やはり今回の五ドルは与えられた天の恵みとして大地に静かにしみ込ませていく、そして不必要な形で不必要なところに流れるような場合には、行政指導その他を発揮して国民全体がやがて活力を持つ均てんする力にしたい、そのように願っております。
  62. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 二番目の質問
  63. 豊島格

    ○豊島政府委員 現在、電源の多様化ということで原子力、LNG、石炭、こういうことで脱石油を心がけて進めておるわけでございまして、少なくとも二十九ドルということでは石炭より石油が有利というようなことには全くならないと思います。しかし、それより下がったときどうするかということでございますけれども、もうこの脱石油ということは、今後一時的に需給が緩和し、値段が安くなっても、将来は必ずまた足らなくなる時期もあるわけでございますから、したがって、一時的に低い石油の方がその瞬間をとって安いということに仮になったとしても、それは将来の見通しも考えて、何十年も使うわけでございますから、そういうことで、いまから石炭から石油へ若干の値下がりぐらいで電源をかえるというようなことには政策的には絶対ならないと私は思っております。
  64. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 私は思っておりますだけでは困るわけで、行政としてどういう考えで指導するかということになるわけですね。それで、確かにいま御説明では、脱石油基本線は変わらない。脱石油方向としては、原子力、LNG、石炭、こういうようにあるわけですが、そういう点からいきますと、これはあと一つ石油という立場から申し上げますが、実は最近はまたこういった石油事情から、このように原油が値下がりすることから、また脱石油に対する電力業界その他のそれぞれの関係のところで、ちょっと一息様子を見ようかという形にならざるを得ない状況がくるのじゃないかという気がするわけです。しかし、これは原油がどの程度下がるかということとの兼ね合いがあるかと思いますが、いまのお話のように脱石油という基本線を今後も貫いていくならば、一つ提言をしたいと思うのです。  実はわが国は計画造船を毎年、三十八次、三十九次とやっているわけです。国内資金を、政府の融資、開発銀行関係のそういったいろいろな助成といいますか便宜を図っていながら、計画的に海運業界の再建をずっとやってきたわけです。そういう関係から考えまして、最近無公害で本当に海も汚さない、空気も汚さないという意味での石炭だきの、船の燃料を油じゃなしに石炭を使おうということで、現在もうそういう船ができ上がって外国にも輸出している実績があるわけです。だからひとつそういう計画造船の中で、脱石油立場から石炭だき専用のタンカーなり貨物船なりそういうふうな船をつくる際には、計画造船の政府資金の中で何らかの便宜措置を図ってやることによって少しでもそういう方向に促進する、こういうこともひとつ考えていいのじゃないかというふうな考えを持つわけであります。脱石油という基本線が変わらないならば、そういった方向をもひとつ考えて、もっともっと積極的に脱石油という立場から促進すべきじゃないかと思うのですが、この点いかがですか。
  65. 弓削田英一

    弓削田政府委員 通産省といたしましては、石油代替エネルギー一つとして、今後石炭の利用拡大が進んでいくということはきわめて好ましいというふうに考えているわけでございます。いま先生お話もありました石炭だき船の建造ということでございますが、基本的にこれは運輸省の所管の問題でございますが、われわれも石炭の利用拡大という意味で非常に関心を持っている問題でございますので、今後とも必要があれば運輸省とも十分相談をしてまいりたい、かように考えております。
  66. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 では時間がまいりましたので、大臣にお願いしておきます。先ほどから夕張新鉱再建についてはきわめて積極的な姿勢で、ある一つの定見を持ちながら強力に推進しようというような心構えで、私どもお伺いしておって非常に心強く感じた次第でありますが、実力者大臣と言われておるわけですから大臣にずっとがんばっていただいて、少なくともその方向づけだけは早目にやっていただきたいということを特にお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  67. 武藤山治

    武藤委員長 小沢和秋君。
  68. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 まず大臣に、夕張新鉱の再建問題でお尋ねをしたいと思います。  大臣は先ほどの答弁の中で今後の見通しについて大変厳しいということを言われたのですが、どういう点が厳しいのかということについてもう少し認識の中身をお示し願いたいのです。そして、それにもかかわらず大臣としては、今後も再建をするという立場最大限努力をなさるというふうに私たちは理解しているのですが、そういうふうにいまの姿勢を理解してよろしいかどうかもあわせてお尋ねしておきます。
  69. 山中貞則

    山中国務大臣 まだ石炭協会でやってもらっている途中の発言ですから慎重にしたいとは思っていますが、いままで漏れ聞くところ、あるいは直接の陳情等を承りながらも、新鉱開発のいろいろなインセンティブがありますが、これをその対象としてもらいたい。これは過去には例がなかった問題だそうでありますが、ここらは政治家の決断に属するところであろう。だから過去に政治的な力が動いたどうのこうのということはすっぱりと忘れて、私のその政治決断は純粋なものであるということをあらかじめ申し上げておきますよと言ったわけでございます。  一方、いま検討中でありますけれども、やはり問題は採算性の問題にあるのではないかと思いますが、その中でやはり労使の協調ということが大切である。先ほどの最近の幌内の四千トンを確保してきた労使の改善の実態をごらんになっても、やはり大切なことは山を支えるものは経営者も働く者も一緒なんだ。ましてやきのう、きょう伝えられておりますような北炭夕張の経営者の責任が場合によっては刑事的に問われるというような状態になる。きょうも十三人か何か、ちらっとしか聞いていませんが、その責任者が刑事処分とまではいっていないようですが調査されているというようなことを聞きますと、やはり労使ともに山を愛し、そして山の所在する町を愛し、その中の中核的な市民であり中核的な存在であるという自覚は、仮に新鉱を掘る場合であってもその大きな要素になる。差し出がましい話ではありますけれども、私はそのように思ったものでありますから、先ほどちょっと触れた次第でございます。
  70. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 この関係大臣にもう一つお尋ねしたいと思うのですが、先ほど労働省の答弁で、千人からの人が山の再建を期待してこの冬を雇用保険だけでがんばったということであります。ところが、この人たちの雇用保険が次々に切れかけておる。その一方では、社宅のいわゆる光熱費や家賃などを会社が負担するというのがこの三月いっぱいで切れるということで、私どもが聞いているのでも、これだけで二、三万円は支出がふえることになるだろうというわけです。そうすると、よほど再建についての動きがどんどん進行しないとこれから大変な生活難の時期を迎えるわけですね。だからそれはそれとして私は急いでいただきたいが、同時に、一方ではさらに収入が落ち込む中でこういう家賃や光熱費の負担までしなければならないという点について、もう少し政治的に、光熱費やら家賃やらを会社が負担する時期を当面新しい事態の展開が図られるまで延ばすといったような指導をぜひ国としてやっていただくことはできないかということを私期待するわけですが、いかがでしょうか。
  71. 弓削田英一

    弓削田政府委員 先生案内のとおり、昨年の十月八日に北炭夕張社と日本炭鉱労働組合及び夕張新炭鉱労働組合との間で結ばれました協定によりまして、先生いまお尋ねの福利厚生施設等の利用に関しましては本年四月末まで従来どおり会社が負担する、こういう合意が実はなされているわけでございます。御指摘の点につきましては、事柄の性質上及び従来の経緯から見ましてあくまでも当事者間において処理されるべき問題だろう、こういうふうに考えている次第でございます。
  72. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 あなたがそんなことを言っていると、せっかく大臣再建する方向で何とかがんばりたいというふうに言っておられるけれども、働く人たちがそこでがんばってゴーというサインが出るまで何とか持ちこたえたいと思っても持ちこたえられなくなって散ってしまうということになったら、再建するといっても人がいなければ再建できないのですよ。だから、これは人を残しておく上で非常に重要な点じゃないかというふうに私は考えるから言っているわけです。  大臣、あなた御自身が先ほどから政治家として大変決断をされる姿勢を示しておられるが、労働力を今後確保していくという点からも、あなた御自身、ひとつこの問題に手を打ってみようというふうにお考えになりませんでしょうか。
  73. 山中貞則

    山中国務大臣 私は、それは北炭夕張人たちに対してではなくて、まあ社宅の場合は結構でしょうが、電気、水道料金まで会社に持てというのは、労使協定の間柄の問題でしょうから介入はいたしませんが、一般常識から見るとどうもちょっと甘えの構造じゃないかなという気がしますね。
  74. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私、時間がないからこれ以上言いませんけれども、実際に収入は失業保険からさらに黒い手帳になってまた手当が下がるわけですよね。そして一方で出さなければならないお金が二万から三万ふえるということになったら、これは甘えの構造というようなことで片づけていられないのではないですか。持ちこたえられなくなって、それじゃどこでもいいから仕事を求めて散っていこう、がまんできぬということになってしまうのではないかと私は思うのですよ。その点もう一度考えていただきたい。
  75. 山中貞則

    山中国務大臣 私は北炭夕張のことについて言っているのではありませんという前提を言いました。それは社宅はあるでしょうが、しかし電気、水道とかそういうものを会社が持て、そういうことは労使協定の中身ですから言いませんが、一般の常識から見ればそれは甘えじゃないでしょうかということを言ったので、そうすると夕張を出ていけば電気、水道料というものを持ってくれる会社ばかりがあるのでしょうか。そこらのところは私、夕張炭鉱の例を言っているわけじゃないのです。しかしそのことで言われるのなら、一般論としては――そうであったのならば労使協定の話ですから私は干渉しませんし、お延ばしになるかどうか、それはわかりません。しかし、全体の国民的見方から見てそれが当然であるというふうには受け取れない、私はこう申し上げているわけであります。
  76. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私は一般論としてここで申し上げているのじゃなくて、あくまで北炭夕張というところの話をしているのですから、大臣としてもそこのところはさらに考えていただくということで、別の質問をしたいと思いますので先に進みます。  もう一つお尋ねしたいのは、産炭地の立て直しの問題であります。一昨年から昨年にかけて石炭六法が次々に十年間期限延長されました。これは大変結構なことだったと思うのです。今度こそこの十年間で産炭地の立て直しをというのが私の悲願でありますけれども、この一、二年の実績を見ておりますと、早くも不安を感ぜざるを得ないわけであります。  その一つは炭住の改良のおくれなのです。改良の戸数を、全国でどうなっているかということで資料をいただいたところが、五十四年千百八十二戸、五十五年が千五十四戸、五十六年が七百五十四戸と、期限が延長される中で逆に落ち込みつつあるわけです。炭住で要改良というのが五十六年三月現在三万一千戸残っているわけですから、この数字と、いまのように落ち込んでいっているという事態を考えたら、これは十年たってもとてもできないですね。  私どもが調べてみると、建設省では、いわゆる改良住宅、これは炭住だけじゃありませんけれども、住宅不良地区を改良するための予算が毎年全体で八千戸ぐらい、ところがそのうち五千戸ぐらいしか使い切らないで余らせているというのですね。だったら炭住改良などにもっと積極的に、その戸数が伸びるように努力してもらわなければ大変なことじゃないかということを、この一つでも私感ずるわけですね。この点どういう努力をなされているか、端的なところを一言お尋ねします。
  77. 弓削田英一

    弓削田政府委員 ただいま先生指摘のございましたいわゆる炭住改良でございますが、私どもとしては、これまで産炭地域振興臨時交付金等の措置を通じまして五十六年度までに約九千戸を実施しているところでございます。市町村等の調査によりますと、先生いま御指摘のございましたような数字等もございまして、現実問題としておくれているのは事実でございます。ただ、この種の国の対策としましては、先生案内のとおり住宅改良法に基づく補助でありますとか、炭住改良の場合には、その上に産炭地域振興臨時措置法十一条に基づきますかさ上げがございますし、さらに臨時交付金等による再かき上げというようなことで、国の助成措置としては非常に手厚い助成をやっているところでございまして、私ども通産省といたしましては、建設省とも十分協力しながら、このような諸制度を十分活用して、地元道県が策定しました経済生活圏ごとの発展計画に基づきまして入居者の同意を得て行う市町村の炭住改良事業が有効期間内に実施されるよう、今後とも最善の努力をしてまいりたい、かように考えているわけでございます。
  78. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 しかし、具体的にはそういういろいろの優遇措置があっても、いまのようにむしろ先細りをしてきているのですよ。だからどうするのかということをお尋ねしているのですが、端的な話、公営住宅の建設というのは何も市町村に限られていないわけです。だから県が、私は福岡県が炭住改良をいままで一戸でもやったというふうには聞いていないのですけれども、国などもぜひ県としてもやったらどうだと促すというようなことも重要な努力じゃないかと思うのですが、そういうようなことは考えていませんか。
  79. 弓削田英一

    弓削田政府委員 ただいまもお答えしましたように、あくまで生活圏ごとの発展計画、これはもちろん地元の道県がつくるわけでございますけれども、炭住の改良事業というのは、やりますのはあくまで市町村でございまして、これに対して先ほど申し上げました国の各種の助成措置がやられているわけでございまして、全く県も動かぬ、無関与じゃないわけでございます。あくまで地元がつくる経済生活圏ごとの発展計画に基づきまして市町村がやっているわけでございますが、その限りにおきましては十分道県も介入してその促進に努めている、こういうように私ども理解しているわけでございます。
  80. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 そういうことでは、十年間延長したとしても終わってみたらとんでもない、山ほどの量を残して十年過ぎてしまいますよ。私、時間がないから余りいろいろ言えないけれども、いろいろ優遇措置をすると言ってもかなり起債に頼らないとできないのです。その起債が産炭地の町村の場合には、いわゆる二〇%の起債依存率にもうすぐ達してしまうというので、そっちの面からも行き詰まってきているのですよ。だから、そういう点も含めてもっときめ細かに援助をする、そして県にもやらせるというようなことも含めて考えないと、これは解決しません。  最後にもう一つ、鉱害復旧もいまのままでいって果たして十年間で済むのかということを私、非常に心配しているわけです。いまのように予算が伸びないということになると、予算の効率化、公平な配分ということが非常に重要ではないかと思うのです。その点でも端的にお尋ねしたいと思うのですが、筑豊ではいわゆる鉱害ボスと言われている人たちが何百人もおって、いろいろと画策しておる。これが被害者と土建業者などから工事費の五ないし一〇%ぐらいをピンはねしているというようなことが新聞でも報じられているのですね。そうすると、いま一年間で七百億円ぐらいが復旧工事費でしょう。それの一〇%もピンはねされているとしたら、これはえらいことですよ。こういうようなことについて、あなた方がメスを入れて、鉱害ボスの介入などを排除するために取り組んだことがあるかどうか。この前、福岡県田川郡金田町の長浄寺というお寺、これはなかなか由緒あるお寺らしいのですが、山門と鐘つき堂の復旧費として、こういうボスの口ききで三億円支払われた。ところが、実際には一億円そこそこしか要らなくて、あとの一億五千万円ばかりが暴力団に流れたというような訴えも私どものところに来ている。これは、あなた方のところにもそういう訴えをしていると関係者は言っているのですが、こういうようなことについてずばっとメスを入れたかどうか、これをお尋ねしたいのです。  時間もありませんからもう一つお尋ねしたいのは、この予算の配分という点で非常に不公平だということで、北九州市八幡西区の香月地区大辻炭鉱鉱害被害者組合連合会などから私どもに陳情書が来ているのです。三十年も前に鉱害の復旧を申し出たのに息子の代になってもいまだに復旧ができないという状態の家を何戸も抱えているのに、この組合については、おととしが九億円余りだったのが去年は七億円余りに復旧費を一挙に減らされてしまったというので、これも何とかしてほしい、こんなに切られたらこれまた十年たってもできないぞということで、私どものところにも訴えが来ているのですが、どうしてこんなに減るのか。この点について明確なお答えをお願いして、終わりたいと思います。
  81. 弓削田英一

    弓削田政府委員 お尋ねの第一点でございますが、鉱害の認定等について被害者の方から代理人が委任をとりまして、関係行政機関等との折衝等の事務を代行するというケースがあることは私ども承知しておるところでございます。ただ、こうした委任関係自体は被害者と代理人との私的法律関係でございまして、私どもとしては基本的にこれに異議を挟む立場にはございませんし、先生指摘のように代理人が被害者から報酬を得ているかどうかについては、その詳細については私どもは承知しておりません。  それからまた請負業者との関係についてのお尋ねがあったわけでございますが、石炭鉱害事業団の行います鉱害復旧工事におきましては、業務方法書、復旧工事請負規定等を定めまして、他の一般公共事業と同様、請負業者の選定は指名入札によって行っておりまして、また工事完了後には、工事が予定どおり行われたかどうか検査する等、工事の適正を期しているところでございます。  なお、御指摘の事実の有無については承知はしておりませんが、私どもとしては、復旧工事が請負契約に基づきまして適正に実施されることを今後とも注意していく所存でございます。  それから鉱害の問題でございますが、もう先生指摘のとおり、限られた予算の中でいかに累積鉱害の早期解消を図っていくかというのが大きな課題でございまして、早期解消を図るためには適正かつ効率的な復旧を行っていく、そのために予算の効率的な使用に努めることが当然必要なことでございまして、このために私どもとしてもこれまで努力をしたところでございますが、特に効率的な復旧を実施するという観点から申しますと、まず第一に配慮しなければならないことは、虫食い的な復旧をやはりできるだけ排除していく、地域を広域的にとらまえまして整合性ある復旧計画をつくり、それに基づいて計画的に復旧することが必要なところでございまして、このため特に重鉱害地等につきましては私ども調査のための予算措置も講じまして、マスタープランと申しますか総合復旧計画の作成を逐次行いまして、これに即しまして計画的、効率的な復旧を行うこととしているところでございます。  それから復旧順位や予算配分等につきましては、従来より地域ごとの認定残や残存鉱害量、各物件の被害の程度等を考慮して決定してまいったわけでございますが、今後とも、いやしくも地域間でございますとか被害者間で不公平が生ずることのないよう、十分配慮してやってまいりたい、かように考えている次第でございます。
  82. 武藤山治

    武藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十五分散会