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山中国務大臣 まず、この
値下げの合意の発表がありましたときに、
北炭夕張の
振興を念じつつ待っておられる
人たちの間に、しまったという
言葉が吐かれたということを聞きました。恐らくこれだけの
値下がりがあれば
採算の
見通しその他も違ってくるだろうし、果たして
自分たちの身はどうなるのだろうという直感的なものだと思うのですね。私はその
気持ちは十分わかるような気がいたします。したがって、まず
基本的には、
代替エネルギーとしての対外も含めた問題として見直されている
日本の
国内のわずかな貴重な
残存資源として、
石炭政策は内需というものを掘り起こしながら、きょうも一名事故で亡くなりましたけれ
ども、保安にことさら最大の
注意を、
注意のし過ぎということはありませんから、それを払いながら、なるべく
国内希少原料といいましょうか、かつては黒ダイヤと言われた時代が
流体エネルギーに変わったことによっての今日の
状態でありますけれ
ども、
代替エネの
原料としての
石炭を考えるとき、
国内で持てるものはやはり
最大限に
自力で持つ
努力をすべきである、そういうことを
基本的に考えております。
石特だから、
最初に
石炭問題のことを申し上げたわけであります。
そこで、全体としての今回の
値下げについては、
OPECの占める
世界の
石油供給の力が、過半数といいますか、シェアとして半分以上あったものが現在は四〇%台に落ちている。そのことの裏には、いま申しました
代替エネとか
省エネとか新
エネとか、新はなかなかそう見つからぬでしょうが、いずれにしても、そういう個々の家庭の瞬間
テレビ映像のための終夜ぽつんとついている赤いものを消すということに至るまでのいろいろな
努力で、
各国ともそれぞれ節約して
需給がだぶついてきている。そして、
自分たちがそれを調整する
能力がなくなって、結果的には
ブーメラン現象で
値下げに追い込まれたし、また
輸出カルテルそのものも
崩壊に瀕して、かろうじて二十九ドルの線でまとめることによって
崩壊を免れているものの、それの前途について、一体いつまで
カルテルの維持ができるのか、
価格はまた標準で二十九ドルというものが維持できるのか、
北海原油の動きはどうなのか、あるいはそれに対してアルジェリアがどう動くのか、いろいろなことを考えますと、一応
変化が予想されても
値下げの
方向への
変化ではあろう。
アメリカなどの見方としては、今回の
石油値下げの
恩典を一番受ける国は
日本であると言っております。これはまさに九九・八%
輸入に依存する無
資源の
石油消費国といっていい
日本に対して
石油の
値下がりが一番貢献するであろうという
アメリカの言い方は私
たちは正しいと思いますし、また私
たちこそそう受けとめて、私
たち自身の力とか私
たちの国の
影響によって
値下がりをかち得たものではない、何の
努力も私
たちはする
余地はないのだ、対抗する
余地もないのだ。ただ
産油国の
人たちが、これだけ下げるから、これだけの値で売ってやろうと言われた場合には、ありがとうございますと言って、それをいただく
立場にありますから、現在の
世界的な規模の不況の中で、第二次ショックを打ち破れないままに、
日本経済もともすれば
輸入輸出等も縮減の
方向に向かって、これが
言葉では
自由貿易の堅持を言いますけれ
ども、それぞれが
保護貿易主義に陥った結果、囲い込みを始めて、
世界経済そのものが縮小してしまう。
日本という国は
資源のない国ですから、
武力をもって威嚇することもあるいは
武力をもって
資源を確保することもできない国である。そのためには平和の話し合いで
原料をいただいて持って帰ってきて、働きバチと言われようと何と言われようと一生懸命
付加価値をつける
努力をして、そして外国にすぐれたものを売って、それで
日本の国というのは一直線の
自転車道を走るしか道がない。それをやめれば
日本は倒れる以外にない。
経済は倒れる、
国民生活は後戻りをする。そういうことを避けるためには、私
たちもこの五ドル
値下げを天与の
恵みとして、周囲真っ暗やみのような
感じの中で一条の光を見出し得た。
日本は、これを
最大限に利用し得た国としての評価を得なければならないし、また得る
努力をすべきであると考えております。私
たちの
努力次第によって、現時点では五ドルでありますが、
石油がずっと上がり続けてきたことから考えれば、この
チャンスをとらえない手はない。
輸出国の
人たちの
立場は大変つらいのだろうと思うのです。
戦略が
戦略として使えなくなった。しかしまた
世界各国が安易に、かつての無限にあるものとしての使い方のような
状態に戻れば、また
需給がタイトになって今度は
カルテルの
引き上げ要素に戻っていくわけでありますから、したがって、われわれは
代替エネその他の
省エネの
努力は続けながら、そして三十四ドルから二十九ドルに下がったという
現象だけで意識を持たないで、かつては二ドルないし二ドル五十セントであったものが三十四ドルまではね上がって非常な苦しみを
国家経済、
国民経済が受けている中で五ドルだけ戻ったという形でとらえて、この
チャンスをすべてのこれからの
政策の上に生かしていかなければならぬ、そう思っております。
わが国においてどのような
方向でこれをうまく生かすかについては、ただそろばんではじくだけの
プラス面ばかりでなくて、やはり
日本の
産業の
活性化あるいはまたこれによる
中小企業の新しい前進、そして
値下げの
恩典というものは最終的に
国民の可
処分所得に至るまで均てんされた
恵みとして受けとめなければならない、ここに
国家としての躍動が再び始まる、そのように受けとめておりますので、いま
通産省で一生懸命その分析をいたしておりますが、
対策をやります場合は
通産省だけでは、これがすぐ
通産省に
財源として入るわけではありませんので
通産省だけではできないものがありますので、総理を座長として数名の閣僚によって、今週はどうやら予定していたのですがどうもまだ言うてきませんから、
補正予算等の議論になると
予算審議中に何事かというおしかりもありますし、なるべく早く四月に入ったならば、この
石油値下げも
一つの大きな
要素として取り上げた新しい
日本の
経済政策の
展開というものを打ち出していきたいと考えておる次第でございます。