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山中国務大臣 叙勲伝達のためにおくれたことを、まずおわびいたします。
それから、衆参両院商工
委員会、与野党の御協力によりまして、当省提案の法律が私の出発の日に参議院で成立いたしましたために、一連の国際
会議四つを
日本欠席ということなしに全部終了できましたこと、これは大きな成果があったものと
考えて、改めて皆様方に御礼の言葉を申し上げます。
ただいまの発展途上国の問題は、その
会議においても、債務累積国あるいは非産油途上国等のいろいろな分類はありますが、やはり各主要国の共通のテーマともなっておりました。したがって、いま
お話しのように、サミットにおいても取り上げられることになると私も想像いたしますが、しかし大変むずかしい問題を内蔵いたしておりまして、いわば総論賛成、各論反対と俗に言うような実態が裏面にあります。
というのは、全部、先進
各国が口をそろえて、保護
貿易主義の排除、自由
貿易主義の堅持ということを言って、そして途上国に対しては門戸を開放させる。自由
貿易の
方向に持っていく。このままで行くと保護
貿易主義に陥るであろう。したがって、それを回避せしめ、また先進国もみずからの市場をそれらの国々に対して開放体制へ切りかえていくべきであるということでは、いわゆる総論として皆賛成しておるわけです。
私は、
余りきれいごとを並べるものですから、少し皮肉ってやりました。わが
日本は
世界じゅうから袋だたきに遭って、いまやこわいものはない。はっきり申し上げるが、皆さん方の言っておるのは、プラネタリウムに輝く星を論じておるようなものであって、自分の手でそれをつかむことができないことを知っておるはずだ。というのは、
日本に対して自主規制という名の、結局は諸君の保護主義というものを自発的にやらせる交渉をいままで持って、事実、ビデオテープあるいは自動車、オートバイ、限りないほどの自主規制をわれわれは余儀なくせしめられておる。そういう国々が発する言葉としては
余りにきれいごと過ぎるではないかということを私は申したのです。
顧みて、わが
日本を見ても、発展途上国の市場開放、それに備えての
日本の体制づくりは、口で言うべくして簡単ではありません。それは与野党、
御存じのとおりであります。発展途上国の
輸出したいものはほとんどが一次産品である。一次産品の
輸出に対して、受け入れはどの国においても、農業政策に見られるごとく、
国内的に基本的な問題点を大変抱えているわけでありますから、そう容易なことではない。したがって、そのような角度からの途上国に対する配慮というものは、具体的に
一つずつ片づけていって積み上げがないと、お経のような美しい言葉ではなかなか済まないはずである、そう私は思っております。
まず、わが
日本がこれからの発展途上国に対する態勢は、
中曽根総理の東南アジア訪問において示されたごとく、いろいろの形で
各国の御要請に応ずる形ですでにこたえてまいってはおりますが、しかし、サミットで論ぜられるのは地球
規模の
議論でございます。したがって、私
どもも大きなマクロの立場からの
議論に参加をして、積極的に
日本の果たし得る役割り、それからまた、
日本が
各国に呼びかけるべき言葉、あるいは行動というものは大変むずかしい選択を要するかと思いますが、基本的には、私
どもは無資源国でありながら、そして、武力を背景にした国際
紛争とか恫喝とか、あるいは乗り出していって手でつかむとかいった資源獲得の手段を持っていない国として、全くの平和裏の資源獲得の交渉をしながらそれを確保して
日本に持ってきて、そして高い付加価値をつけて国際マーケットに豊富にして低廉、そしてまた優秀な製品を出すことによってのみわが国は今日まで存在してきましたし、これからもその道しかないということを
考えますと、われわれのとるべき道は
世界の先進国とはまた違った道であって当然かもしれませんし、われわれの仕事は、
日本という立場において、それだけにまた
各国の範とすべきものを持っているのかもしれません。
そこらのところをよく
考えながら、私
どもは、できもしないようなことを言ってみたり、あるいはまた自分たちのひとりよがりを言ってみたりする立場ではない姿勢で終始すべきだと思いますが、総理とはまだ具体的に中身の打ち合わせを済ましておりません。近くすり合わせをいたしますが、恐らく総理も、自分が歩いてきた東南アジアの実感を胸に秘めてそのようなことを言われたことだと想像いたしますので、国際
会議から得た感触とそれから今後
日本がサミットに向けて持っていく感触とをすり合わせながら、
日本のスタンスというものを決めてまいりたいと思います。