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1983-04-27 第98回国会 衆議院 商工委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月二十七日(水曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 登坂重次郎君    理事 野田  毅君 理事 原田昇左右君    理事 森   清君 理事 渡部 恒三君    理事 後藤  茂君 理事 水田  稔君    理事 長田 武士君       天野 公義君    浦野 烋興君       越智 通雄君    梶山 静六君       島村 宣伸君    泰道 三八君       宮下 創平君    粟山  明君       上田  哲君    川本 敏美君       上坂  昇君    清水  勇君       城地 豊司君    中村 重光君       渡辺 三郎君    岡本 富夫君       北側 義一君    横手 文雄君       浦井  洋君    小林 政子君       渡辺  貢君    石原健太郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      塩崎  潤君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議室長     禿河 徹映君         経済企画庁調整         局長      田中誠一郎君         経済企画庁調整         局審議官         兼内閣審議官  横溝 雅夫君         厚生大臣官房審         議官      新田 進治君         厚生省公衆衛生         局長      三浦 大助君         厚生省薬務局長 持永 和見君         農林水産大臣官         房審議官    古谷  裕君         農林水産大臣官         房審議官    船曳 哲郎君         農林水産省食品         流通局長    渡邉 文雄君         通商産業政務次         官       渡辺 秀央君         通商産業大臣官         房審議官    野々内 隆君         通商産業大臣官         房審議官    斎藤 成雄君         通商産業省貿易         局長      福川 伸次君         運輸省自動車局         長       角田 達郎君         運輸省自動車局         整備部長    丹羽 一夫君         労働省労働基準         局長      松井 達郎君  委員外出席者         法務省民事局参         事官      大森 政輔君         法務省刑事局青         少年課長    米澤 慶治君         外務省経済局国         際機関第一課長 沼田 貞昭君         厚生省環境衛生         局食品化学課長 藤井 正美君         厚生省保険局医         療課長     寺松  尚君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ───────────── 委員の異動 四月二十七日  辞任         補欠選任   渡辺 三郎君     川本 敏美君   渡辺  貢君     浦井  洋君 同日  辞任         補欠選任   川本 敏美君     渡辺 三郎君   浦井  洋君     渡辺  貢君     ───────────── 本日の会議に付した案件  外国事業者による型式承認等取得円滑化のための関係法律の一部を改正する法律案内閣提出第五六号)      ────◇─────
  2. 登坂重次郎

    登坂委員長 これより会議を開きます。  内閣提出外国事業者による型式承認等取得円滑化のための関係法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。城地豊司君。
  3. 城地豊司

    城地委員 私は、最初経済企画庁長官に総論、さらには全体としてのこの法律についての考え方等についてお伺いをし、そして次に、各条項に従って御質問を申し上げたいと存じます。  まず最初に、今回、この法律案が非常に多岐にわたっているわけでありますが、これらの十六本の法律一緒提案されているわけでございます。本来であれば、ばらばらにして十六本の法律にすべきでありますが、非常に合理的、そしていまで言う行政改革、そういう意味合いが含まれているのかもしれませんが、十六本がまとめて提出された理由について大臣にお伺いをしたいと思います。
  4. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 昨日も私から提案理由で御説明申し上げたところでございますけれども、この法案一つ基本理念は、外国製造業者にも国内製造業者と同じように型式取得についての法的地位を与える、これが趣旨でございます。  すでに十六本の法律の中に、内国の製造業者につきましては登録等についての法的な地位規定がございますが、今回はこの十六本法を通じていま申しましたような基本原理を貫くために一本の法律にした、こういうことでございます。
  5. 城地豊司

    城地委員 では、重ねて伺いますが、わが国の議会の運営というものについては、たとえば十八の常任委員会に分かれている。これは専門の分野分野があるので、そういう意味では当商工委員会通商産業政策、中小企業問題、さらに公正取引の問題等々を管掌することになっているわけでございます。今回この十六本の法律の中には、たとえば農林水産委員会にかかわるものであるとか、それから薬事法のように福祉の関係法律であるとか、そういうものが入っているわけでございます。言うなれば、専門化されているこの議会常任委員会制度というものの中にそういうものを全部一緒に入れて審議をするということは、合理的な法案審議ということにはならないというように考えるのですが、その辺についてはどのようにお考えですか。
  6. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 お尋ねのとおり、私どもは、国会におきまして常任委員会という専門的な制度を尊重すべきものだと考えるものでございます。したがいまして、本来ならば十六の法律について、改正の必要がございますれば常任委員会検討されることは、また当然のことでございます。  しかしながら、今回の改正趣旨は、先ほど申し上げましたように、十六の法律各省に共通するところの基本的な原理厚生省関係製造業者についても、あるいは農水省関係製造業者についても、国内製造業者外国製造業者と同じような法的な地位を与えようとするものでございます。そういった基本原理はいわば通商基本政策に関するものである、こういうふうな考え方も私はできると思うのでございます。  そういった観点から、通商基本政策はやはり商工委員会で御審議を願うのが当然のことではなかろうか。しかも、通商基本政策こそ商工委員会が最も審議をお願いするに適した分野であり、ぜひとも商工委員会の御判断を仰ぎたい、仰ぐべきである、こういう考え方をとったものでございます。
  7. 城地豊司

    城地委員 そういうことであるとすれば、各種の資料の中で述べられておりますけれども、当初三十幾つかの法律をいろいろ精査した。最後に十七本になった。そのうちの一本である家畜改良増殖法というような法律については別途切り離す、十七のうち一つだけは切り離して十六にしたということがあるのですが、なぜ一つだけ切り離したのですか。
  8. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 これは、いろいろの立法の仕方があろうかと思います。私の趣旨を貫きますれば、家畜改良増殖法製造業者に関する部分は、十六の法律を十七にしてでもここにお出しすることが適当ということも言えるかと思うのでございます。  しかしながら、たまたま今国会におきましていまの法律改正が行われる。そういたしますれば、やはりこの基本的な製造業者に関する法的地位の問題を含めて、農林水産委員会において御審議を願う方が適当であるという、若干私の原則から見ますれば便宜的な方法を採用した。本来ならば、この部分だけは少なくともここで通商政策の基本的な部面として御審議を願うべきものでございますが、そこは便宜の原則、あるいはまたこれまでの常任委員会の仕組みから考えまして、たまたま改正の機会があるのだからということでそのようにしたものでございます。
  9. 城地豊司

    城地委員 では、別な観点から伺いますが、この法律国会提案するということの時間的な経過をたどってみますと、一月十三日に経済対策閣僚会議で、これらの経済の問題についての方向を確認しました。三月二十六日にさらに具体的になり、四月五日を経て、四月十九日の閣議決定されてこの法律案として提案されるということになったわけでありますが、私ども承知しているところでは、この法案は非常に重要である。重要な点はわれわれは十分認めているわけでありますが、重要な法案であるから非常に早期に審議をしてほしいという要望が強いというように伺っておりましたが、この法案を今日こういう形で提起するようなスケジュールを一月十三日時点で立てられたのかどうか、伺いたいと思います。
  10. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 このような法案を早急に提案し、重要であると言いながら早く成立さしてくれということは、大変問題ではないかというような御指摘だと思うわけでございます。  いま貿易摩擦問題、そして保護主義の台頭、その反面の自由貿易主義を守っていくこと、これぐらい、いま日本にとって重要な問題はないと思うのでございます。一月十三日の市場開放対策を含めて何回か、もう私ども市場開放政策をとってきたところでございます。しかし、問題は、御案内のように、関税障壁の問題から非関税障壁の問題がより重要な問題として昨今は取り上げられてきた。このようなことを考えてみますと、最も自由貿易主義を堅持し、それを守っていかなければならない、その恩恵を最も受けておるのは日本だと言われております今日だけに重要である。しかしながら、一方同時に、早く成立させていただいて、世界に対して日本の立場を宣明するようにしていただきたい、これがこの法案を、いま申しましたように早急に成立をお願いしたいという趣旨でございます。
  11. 城地豊司

    城地委員 一月十三日の閣僚会議で、このような認証制度の問題はおおむね三月中に方向を決めるということになっております。それだけ重要な問題であるにかかわらず、四月十九日の閣議決定になったということについてはどのようにお考えでございますか。
  12. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 法案成文過程は別といたしまして、私ども基準認証制度の問題を大変重視をいたしまして、今国会中にぜひとも提案するような方向をとりたいということを考えておりまして、一月十三日の経済対策閣僚会議では、遅くとも三月中に方針を決定する、そしてそれから技術的な検討を経て国会法律案を提出する、これが私どものねらいでございました。三月末までは予算審議もございますので、国会においてなかなか御審議も願えないという点があったかと思うのでございますが、これらの点を加味いたしまして調整本部をつくりまして、三月中にはもう検討段階に入りまして大体の方向は出したつもりでございますが、技術的な検討、それから法文作成過程に時間がかかりまして今日までおくれましたことを大変遺憾に思うところでございます。
  13. 城地豊司

    城地委員 いま釈明がございましたが、どうも私どもとしてはすっきりしないわけであります。  非常に重要な課題である市場開放対策でいろいろなことを過去やってきましたけれども、今回問題になるのは、いま長官が言われた非関税障壁の問題、これが当然問題になる。一月十三日時点であれだけの考え方を出しておきながら、三月二十六日に基準認証制度等連絡調整本部というようなものを設けられました。設けられたことについては十分承知をしておりますが、何といってもこれだけ膨大な法案であります。この厚味で見ても、それは事務的な改定と言ってしまえばそれまでかもしれませんが、かなりそうでない部分もある、問題点もたくさんある。にもかかわらず、四月十九日過ぎに提起するというのは、私が先輩にいろいろ聞きましたところでは、四月になってからこれらの重要な法案を提起するというのはちょっといままで例がないのじゃないかということもございますし、私どもの具体的な認識からすれば——私はいつも申し上げておりますが、私は民間の出身でありますから、たとえば製品注文をとったときに、われわれは、注文を受けてから七カ月で製品を完成させるという場合には、すぐに頭の中で、注文をとったら設計に一カ月、原料の手配に一カ月、さらに機械加工に二カ月、組み立て一カ月、そして最後の試験を一カ月やってお客さんに納めるという手順を決めるわけであります。そして、その納期というようなものは一日たりともゆるがせにできない問題であるし、それくらいシビアにやるのがいわゆる一般的な物の考え方ではないかと思うのです。そういう意味では、今回のこの提案については私は非常に納得をしておりません。  それだけでなくて、四月十九日に閣議で通って、きょう四月二十七日、さらに具体的な審議に入っているということについても、私自身が不勉強であるのかもしれませんが、時間的に非常に少ない。一週間あれば十分法案検討もできるじゃないかという議論もあるかと思いますけれども、この一週間は従来の一週間とは違う。われわれ国会議員国会審議をサボるということは許されないわけでありますが、サボっているのではなくて、物理的に不可能な事情がたくさんあるにもかかわらずそういうようなことで、しかも審議の方は促進するというようなことになったのでは、実際上問題が多いのではないか。しかも、先ほど言われましたように、十六の法律案一緒にした。そして、私は商工委員会の所属でありますから、特に新米でありますので余りよくわかりません。いろいろなことをいま勉強している最中でありますが、この法律の中には、たとえば輸入関係でも薬の関係なんかもありますね。薬事法関係だというので、これは本があるのですが、これを見てみましても、ある意味では要領を得ないわけであります。これからやれば、やはり一週間や十日は十分かかるという状況であるし、その法律改定もこの中に含まれていること等々を考えていきますと、そういう意味ではどうしても納得をしない。しかし、納得をしないといいましても、そんなことを言っていたのでは子供がいやいやをするようなものでありますから、十分審議はしたいと思いますし、このことが日本の国のために非常に必要な認証制度外国製品型式等々の関係提案されている内容については、重要性については十分知っているつもりでありますが、そういう意味で物理的な関係では非常にむちゃをしている、無理をしているというふうに考えるわけであります。  そういう意味で、無理が通れば道理が引っ込むということもあります。今回の場合には無理を通そうというお考え提案しておられるのですが、その辺について前段最後として、私は非常にそういう考え方を持つのですが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  14. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 おっしゃるように、いまこの期に及んで法案を提出して早急にということは、確かに申しわけないような考えが私もいたすわけでございます。御案内のように十六の法律、また、その前に一つ基準と申しますか、認証制度についての各省間の合意、さらにまた十六の法律の共通するところの法文の統一的な表現、これらに時間がかかったことが大変申しわけなく思うところでございまして、それでも私は各省の方々に大変御無理をお願いして、約一週間ばかり早目法文の成案を終わらしていただいて閣議決定、そして国会提案させていただいたようなわけでございます。  大変申しわけないところでございますが、お許しをいただいて、ともかくも予算案に忙殺されておりました政府、それが急遽このような勉強をいたしまして提案いたしたものでございますので、ぜひとも早急に御審議をお願いし、また早急に成立させていただいて、私ども自由貿易主義を守らすための一つの大きなよりどころにさせていただきたいと思うところでございます。
  15. 城地豊司

    城地委員 前段の総括的な関係につきましては以上で終わりまして、各条項別に、各省庁ごと質問をしてまいりたいと思います。前段で申し上げましたように、いろいろ範囲が広いものですから、そういう意味では初歩的な質問をすることもあろうと思いますが、それらについては御了解をいただきたいと思います。  最初に、農林水産省関係で、肥料取締法の一部改正、第八条の関係ですが、「外国において本邦に輸出される普通肥料指定配合肥料を除く。)を業として生産する者は、」云々ということで書いてあります。「普通肥料指定配合肥料を除く。)」という表現になっておりますが、これについての説明をお願い申し上げたいと思います。
  16. 古谷裕

    古谷政府委員 肥料取締法におきましては肥料を二種類に分けておりまして、一つ普通肥料、もう一つ特殊肥料ということになっております。  現在、国会肥料取締法の一部改正をお願いしておるわけでございますが、その際、普通肥料のうち単に登録した肥料を配合しただけのもの、これは行政簡素化の見地から、登録制から届け出制にするということにしておりますので、その条文を引きまして、今回、登録制度から届け出制に移行するものについては指定肥料というふうな表現を使っておるわけでございます。
  17. 城地豊司

    城地委員 第八条の肥料取締法の問題だけでなくて、その後のいろいろな条文に関連いたしますが、これらの中に「国内管理人」という言葉がございます。要するに、外国から品物を輸入する場合に、いままでは輸入業者がタッチしていたのが直接今度できるということにするわけですが、その中で、国内管理人として選任するという「国内管理人」の概念について御説明をいただきたい。
  18. 古谷裕

    古谷政府委員 いまお話しございましたように、いままで輸入されました肥料につきましては輸入業者登録を取るということになっておったわけでございますが、今回、外国製造業者も直接登録を取れる、そういう道を開いたわけでございます。  そういたしますと、外国製造業者につきまして、この法律ではいわゆる帳簿備えつけ義務その他を課しておるわけでございますが、国内実効を上げるためには、日本国内住所を有するだれか、まあ代理人的な人でございますが、そういう人がいないと、いままで内外無差別というようなことでございましたが、逆に国内製造業者の方に義務が重くなるというふうな懸念もございますので、今後の肥料取り締まりの適切ということを期するためには、外国製造業者にいわば日本国内での仕事を任せる人、そういう人を置いてもらいたいというふうな趣旨で設けておるわけでございます。
  19. 城地豊司

    城地委員 さらに国内管理人について伺いますが、そうすると、国内管理人というのは外国のそういう製造業者代理人ということでございますか。それと責任の所在、さらには、それはどういいうふうに明確化されるのか、伺いたいと思います。
  20. 古谷裕

    古谷政府委員 厳密に申しまして、いわゆる民法上の代理人ということではございませんが、国内管理人として選任されますと、それ自体としましての義務が課せられるという性質のものでございまして、具体的に申しますと、いわゆる肥料につきましては、虚偽の宣伝等の禁止、報告の徴収なり立入検査受忍義務、さらには帳簿備えつけというふうな義務が課せられております。
  21. 城地豊司

    城地委員 これは相手の会社がやるから、要するに法律的にどうだということだけでは困るのですが、具体的にどういう形になるのですか。
  22. 古谷裕

    古谷政府委員 非常にわかりやすいケースとして申し上げますと、たとえば農薬につきましては、現在、輸入農薬を輸出するだけの国際的な競争力のある会社、これはかなり限られておるわけでございますが、それは現在すでに日本現地法人を持っておるというケースが多いわけでございます。いままでは現地法人がいわゆる輸入業者として登録を取っておった。今後、外国製造業者がそういう方法によらずに直接登録を取りたいというふうな場合になりますれば、恐らく親会社、子会社関係でございますから、現地法人国内管理人にするというケースが自然ではないかというふうに思います。そういう意味で、農薬につきましてかなりの経験と知識がある人が選任されるというふうに考えております。
  23. 城地豊司

    城地委員 いまの御説明でいきますと、何か、現状輸入業者がやっている、その輸入業者とか、それからそれに関連する人が肩がわりをするような印象を受けるのですが、そういうことでいけば、法律的にはそういう認証制度大分門戸を開放したというようなことになっても、現実は余り変わらないというようなことになるような気がするのですが、その辺はどうですか。
  24. 古谷裕

    古谷政府委員 いま農薬の例を申し上げたわけでございますけれども農薬につきまして門戸開放云々の問題というのは従来もなかったわけでございます。つまり、輸入業者がみずから取れるというふうな形になっておりまして、その際に、先ほど申しましたように、農薬の場合には現地法人という形で外国人日本への進出ということが行われておりましたので、そういう点での問題はなかった。ただ、いわゆる国内との均衡の上で、国内製造業者に認められておる登録取得と申しますか、その分だけ認めたということになりますので、恐らく今後の扱いとしましては、従来の形で輸入業者としての登録が行われることが多いのではないかというふうに思いますが、直接登録申請をする道も開かれたというふうに御理解いただきたいと思います。
  25. 城地豊司

    城地委員 そのことはわかりました。  第九条関係で、農業機械化促進法の一部改正、これらの項目の中に「事後検査に関する規定整備」ということがありまして、それについては、「農林水産大臣は、事後検査をする場合において、必要があると認めるときは、農機具検査合格証票を付することができる者で本邦内に住所又は居所を有しない者に対し、その事業場等において検査を受けること等を請求することができる。」という条項があるのですが、この意味はどういう意味でございましょうか。
  26. 古谷裕

    古谷政府委員 現在、農業機械化促進法におきましては、農機具検査につきましていわゆる型式検査というのをやっております。これは強制検査でございませんで任意検査でございますが、これにつきましては、外国事業者農機具型式検査を直接依頼できるというふうにしたわけでございます。  その場合に、現在の法文におきましては、事後検査という規定がございまして、つまり型式検査に合格しますと合格証票を付することができるわけでございますが、その際、外国事業者が今後直接型式検査を依頼しまして合格し、合格証票を付した場合はどうかというケースがあるわけでございますので、その場合には、国内事業者と同じように、事後検査をする場合に特に必要があると認めるときはその外国事業者に直接検査請求ができるという規定を置いておこうということでございまして、実態としましては、やはり事後検査なるものは型式検査実効性を担保するものでございますので、国内にある輸入機械、これを十分チェックしておれば足りると思いますが、念のためそういう規定を置いているということでございます。
  27. 城地豊司

    城地委員 次に、第十条関係で、農薬取締法の一部改正について伺いたいと思いますが、この中に「外国において本邦に輸出される農薬製造し、又は加工してこれを販売する事業を営む者は、当該農薬について農林水産大臣登録を受けることができる。」そして、この「登録を受けた農薬については、輸入業者登録を受けないでこれを販売することができる。」ということになっておるわけでありますが、輸入業者は、要するにそういう意味での営業といいますか、製造または加工ということで登録さえ受ければ、もうどんなものでもどんどん登録しないで入ってくるということに解釈していいわけですか。
  28. 古谷裕

    古谷政府委員 先ほど御答弁申し上げたときに農薬の例を引かせていただいたのでございますが、いままでは輸入農薬につきましては輸入業者登録を受けなければならないということになっておった。これに対しまして、今後、製造業者が直接登録を申請する道を開いたわけでございますので、仮にそういうケースがございまして、いわゆる合格した農薬があるという場合に、もう一回その合格農薬輸入業者登録申請をせよと言うことは、手続としては二重になるわけでございますので、その分の整理をした条文でございます。
  29. 城地豊司

    城地委員 その場合に内容がいろいろ問題になるわけであって、たとえば製品名とか農薬の名前においても、内容はほとんど変わっていないが名称を変えるというようなことがあるのですが、そういう場合でも、要するに製造業者として認められていれば一切チェックはないということに理解していいわけですか。
  30. 古谷裕

    古谷政府委員 農薬自体の検査でございますので、その農薬が同一性を持っていれば問題はないわけでございますが、ただ問題は、日本国内において流通段階に入ったときに、その農薬を追跡する道を開いておく必要があるだろうということで、別途、外国製造農薬輸入業者につきましては、農林水産大臣輸入する農薬登録番号を届けろというふうな規定を設けて、その辺の万全を期しております。
  31. 城地豊司

    城地委員 次に、十一条の関係と十二条の関係伺いたいと思いますが、第十一条の関係では、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律の一部改正、第十二条では、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律の一部改正ということの中で、「外国製造業者に係る規格適合表示等」の第十一条関係では「農林水産省の機関又は指定検定機関」という言葉がございます。第十二条関係では「農林水産省の機関又は登録格付機関」という言葉があるのですが、この「指定検定機関」、「登録格付機関」というものはどういうものなのか、説明を願いたいと思います。
  32. 船曳哲郎

    船曳政府委員 最初に、飼料関係の指定検定機関から申し上げますが、これは六つの民間の検定機関を指定しておるわけでございます。飼料につきまして、その品質につきまして権威を持って検定することができる能力なり設備なり等を備えておる六つの機関を、申請に基づきまして指定しておる次第でございます。
  33. 渡邉文雄

    ○渡邉(文)政府委員 御案内のように、JAS法におきましては「登録格付機関」というのが現在でもあるわけでございます。これは、決められた規格に合致しておるかどうかというのを検査するのに農林省の機関、たとえば食糧事務所が直接やるということも制度的にはございますが、行政の簡素化といいますか、そういった観点で公益法人で三十ばかりのいわば検査機関がすでに設けられておりまして、そのことを「登録格付機関」というふうに言っておるわけでございます。
  34. 城地豊司

    城地委員 それでは次に、第十四条の薬事法関係質問を申し上げたいと思いますが、薬事法というのは私ども素人にとっては非常にわかりにくい法律であります。それだけに若干ピントが外れるかもしれませんが、この薬事法改正の中で、先ほど農林水産関係でも御質問申し上げましたが、薬事法関係の「厚生省令で定める基準に該当する国内管理人」、これはどういうようなことで理解したらいいのでしょうか。
  35. 持永和見

    ○持永政府委員 薬事法関係におきましても、今回、外国製造業者からの直接の申請を認めるに当たりまして、薬事法におきましてはいろいろと副作用の問題あるいは国民の健康保護の問題、そういったものから恒常的あるいは緊急な報告徴収だとか回収とかといった措置が必要でございますので、その実効性を担保するために国内に管理人を置くというような制度を仕組んでおるわけでございます。  この国内の管理人の資格要件については省令で定めるということにいたしておりますが、現在薬事法の中で、たとえば薬局開設者でございますとか輸入販売業者でございますとか製造業者でございますとか、そういったものについて人的、物的要件を課しております。人的な要件といたしまして、たとえば薬事法違反がないとか麻薬中毒でないとか一定の知識経験を有するというような人的要件を課しておりますし、物的には、構造設備その他の問題について一定の基準以上の構造設備を有していなければならないといったような物的要件を課しております。それと同じように、この国内管理人におきましても、薬事法に基づきいろいろな義務を履行してもらうあるいは必要な措置をとってもらうというようなことでございますので、それと並ぶような資格要件を省令で決めたいというふうに考えておるものでございます。
  36. 城地豊司

    城地委員 素人なものですからもう少しわかりやすく説明していただきたいのですが、薬の問題はいろいろと社会的に大きな問題を投げかけています。われわれの生活にとって食べ物とか薬とかいうような問題は、普通の問題より以上に神経を使わなければならないのですが、いまの説明ですと、どういうクラスの人が今度国内管理人になるのか、もう少し具体的に、想定を含めてでも結構ですから、説明をいただきたいと思うのです。
  37. 持永和見

    ○持永政府委員 大変一般的な問題として抽象的にお答えいたしましたけれども国内管理人として私どもで予想しているものは、たとえば外国製造業者の子会社でございますとか、そういったところで薬剤師さんがおられるとか、そういった知識経験を持っておられる方がおられるとか、そういった要件を備えた子会社でございますとか支店、あるいは現在輸入販売業者が外国の医薬品の取り扱いをやっておりますけれども、現在の輸入販売業者を外国製造業者国内管理人として選任することもあろうかというふうに考えております。
  38. 城地豊司

    城地委員 この薬の関係については、ちょっと素人の考えかもしれませんが、たとえば具体的に輸入された薬がとんでもないものであったということがわかった場合に、国内であればすぐにそれらの不良品といいますか、そういうものは回収するという手続がとられるわけだと思います。  今回の場合に、仮に輸入していた薬が問題だということがわかった場合には、この国内管理人というのはどういう資格でどういうような手続をとることになりますか。
  39. 持永和見

    ○持永政府委員 御指摘のように、医薬品については事故が起こった場合の万全の措置をしておかなければならないことは当然でございます。  今回の法律改正によりましては、先ほど申し上げました国内管理人、こういった人たちに副作用の報告義務がございます。  もう一つは緊急命令と申しまして、不良の疑いのある医薬品などについて販売の一時停止とか緊急の情報伝達、たとえばお医者さんでございますとか一般の公衆でございますとか、そういった者に対して緊急の情報伝達をする必要があるかと思いますけれども、そういった場合についてのそういった情報伝達の義務国内管理人に課しております。これは法律改正で、国内製造業者に対しましてあるいは国内の販売業者に対しまして課しております緊急命令の規定改正いたしまして、国内管理人にもそういった規定がかかるようにいたしております。  また、物によりましては廃棄をいたしましたり販売の一時停止をいたしましたり回収をしたりというような措置が必要でございます。これも法律の七十条でございますが、この七十条につきましても、国内管理人は当然その義務を負うというような仕組みをとっておるところでございまして、国内の医薬品と同様に、事故がありました場合のそういった緊急命令あるいは廃棄、回収あるいは副作用の報告といったような義務国内管理人にも課しておるところでございます。  また、当然のことではございますけれども、従来、輸人医薬品についての販売は輸入販売業者が行っておったわけでございます。この輸入販売業者に対しては、従来からの法律によりまして、いま申し上げましたような副作用報告とか緊急命令とか廃棄、回収等の措置は法律上課せられておりますが、今回の薬事法改正輸入販売につきましては従来どおり輸入販売業者が行う、こういうことにいたしておりますので、今回の措置によりまして輸入販売業者にも当然そういう義務が課されておりますが、あわせて国内管理人、いわゆる外国製造業者と一体となって申請を行うような国内管理人についてもそういった義務を課すように法律改正をいたしたということでございます。
  40. 城地豊司

    城地委員 立入検査の問題について伺いたいのですが、この中に、輸入の医薬品その他で問題があったときには立入検査をさせるということがありますが、これらについては万遺漏ないような法律の措置がとられているのかどうか、伺いたいと思います。
  41. 持永和見

    ○持永政府委員 立入検査の問題でございますが、現在の国内法では、薬局でございますとか製造業者輸入販売業者、そういった者に立入検査規定がございます。法律の六十九条でございますが、これにあわせまして国内管理人をその中に入れまして、国内管理人にも立入検査ができるようにいたしております。  なお、外国製造業者でございますが、外国製造業者につきましては、ほかの法律も同様でございますけれども、主権が国外に及ばないという問題がございますので、法律上の規定といたしましては七十五条の二を新設いたしまして、立入検査などを請求することができるというような規定にいたしまして、その請求を拒んだ場合には承認の全部または一部の取り消しをすることができるということの担保措置を置いておるところでございます。
  42. 城地豊司

    城地委員 では、続いて第十五条関係の道路運送車両法の一部改正について伺いたいと思います。  この中に、「本邦に輸出される自動車について、外国において当該自動車を製作することを業とする者又はその者から当該自動車を購入する契約を締結している者であって当該自動車を本邦に輸出することを業とするものも」自動車の型式指定の申請を行うことができるということになっておるわけでありますが、これによって型式指定の申請が簡単にできるように門戸を開放したということなのか、それともこの型式指定の申請の場合の何か基準があるのか。たとえば五百台以上売れたものについてはそういうものを許可するとか、一千台でなければ許可しないとか、そういう台数とか何かの目安がこの型式指定の基準としてあるのかどうか、伺いたいと思います。
  43. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 現在の道路運送車両法では型式指定を申請する者を特に限定しておりませんので、私どもは、従来、現行法におきましても外国事業者による型式指定ができるというふうに解釈しておったわけでございますが、自動車に関しては輸出入の不均衡の拡大とか、そういうようなことに伴いまして市場開放措置についての欧米諸国からの要請が非常に高まっております。そういうことで、認証手続が内外無差別であるということをはっきりさせる、明確にさせるという必要がありますので、他の関係の十五の法律一緒に今回はっきりとそういう規定を盛り込んだわけでございます。  それから二番目の、先生御質問型式指定の要件でございますが、型式指定というのは、一台ごとに車を車検場に持っていきまして国の車検場でチェックを受ける、こういうのが車検の原則でございますけれども、ある車の型式につきまして大量に生産されるというような場合に、一台ごとの検査を省略する一つ方法といたしまして、型式指定制度というものを法律上設けているわけでございます。それで、型式指定の取得のための要件、これは法律では車の保安基準、これは安全それから公害関係基準、これに合っていること、それから均一性を有するものであること、そういうような観点からのチェックを行った上、それに合格した場合には型式指定を差し上げる。型式指定を受けた車は、メーカーが発行します完成検査終了証をもって現車の呈示にかえる、こういうような仕組みでございます。  それで、今回の法律改正と直接関係ございませんけれども、三月二十六日の政府決定によりまして、その型式指定の要件、手続というものを大幅に簡素化したわけでございます。これは、具体的には型式指定規則という省令の改正で措置するわけでございますが、法律の方は、先ほど申し上げましたように、内外無差別であるということを明らかにするということと、それからもう一つは、立入検査あるいは報告徴収を外国のメーカー等に求めた場合に、それに応じなかった場合には、国内業者につきましては罰則の担保というものがあるわけでございますが、外国事業者に刑事制裁を加えるというのは事実上不可能でございますので、それにかわる措置といたしまして立入検査、あるいは報告徴収に応じなかったような場合には取り消しをする、取り消しの要件とするということで代替措置を、法律上の手当てをした、こういうことでございます。
  44. 城地豊司

    城地委員 直接この認証制度の問題と関連ないかもしれませんが、いろいろな人の意見を聞きますと、車なんかの関係で門戸を開放しても、どうも車の値段そのものが別な要素があって、外国から輸入するものはそう安くならない。今度こういうようなことで認証手続を簡素化したりしても、三%程度しか原価が安くならないので、門戸を開放したといっても外国から日本へ入ってくる車は少ないんじゃないか、従来と同じじゃないかという意見があるのですが、それについては担当者としてはどのような見通しを持っておられるか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  45. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 自動車の検査あるいは認証制度につきましては、従来からアメリカなりあるいはヨーロッパ等といろいろな打ち合わせをいたしまして、それで当方としても、そういった車の検査なり認証制度というものが貿易上支障にならないようにいろいろ配慮してきたわけですが、今回、先ほど御説明しましたような型式指定を取るための要件を大幅に簡素化したわけでございます。  その内容は、簡単に申し上げますと、現車の呈示につきましては新しい車一台を出してくださればよろしい。従来は耐久走行車二台を呈示させておったわけでございます。それで、その二台というのは、一台は安全関係について運輸省が定めました走行方法によって三万キロ走行した車を一台、それからもう一台は公害関係でやはり運輸省が要求した走行方法によって三万キロ走行した車を一台、それで新車と耐久走行車合わせて二台の呈示を求めておりまして、そのほかいろいろな、品質が均一に担保できるというような生産の工程を証明するようないろいろな書類等を求めまして、それで型式の審査をし、型式の指定を与えておったわけでございますが、今回はその車の呈示につきましては、耐久走行車、安全、公害関係、それぞれの二台をもう省略するということが一つ、それから外国のメーカー等に対しましては、外国のメーカー等で行われた試験データでわが方と同等の基準あるいは試験方法でやったものであれば、そのデータで、もう特別に日本向けの試験などをしないでよろしい、そういうデータを出さなくてよろしいというようなことにしたわけです。そのほか提出書類の削減等につきましても、大幅に簡素化をした。  いまのは型式指定制度の簡素化でございますが、それからもう一つは安全基準の問題でございます。安全基準は、日本とアメリカ、ヨーロッパ、それぞれ国の事情によって異なっているわけでございまして、この異なっている安全基準の国際的な調和という動きがございますが、いずれにしましても、現在の技術水準等から見まして調和できるものはもうできるだけ調和をしよう。ただし、わが国の国民の生命、身体あるいは環境の保護、そういった現在の水準を落とすことなしに、ヨーロッパあるいはアメリカと調和できる基準については調和しましょう、こういう決定をしたわけでございます。それで、それによりまして相当程度、検査等にかかるメーカー等の負担は、経費的に見ましてもあるいは時間的に見ましても、削減されると思います。  しかし、ただいま先生おっしゃいましたように、この認証手続に要するコストというのは、アメリカからあるいはヨーロッパから車を裸で、車をつくってそれを船積みし、いろいろな取引の過程を経てユーザーの手に渡るまでに、相当いろいろな経費がかかります。その中で認証手続に要する経費というのは、私どもでアメリカ車について計算したところでは五・二%程度、こういうものでございますから、ただいま御説明申し上げたように、相当な簡素化をいたしましたとしましても、車の販売価格に占めるウエートというのは低いわけです。したがって、私どもは、少なくともこの認証制度というものが貿易上の障害にはならない程度までやるという方針を決めたつもりでございますけれども、果たしてどの程度これによって外国車が具体的に実際に入ってくるか、その辺のところは、具体的な見通しというものは持っていない。  ただし、私ども考えとしては、そういうふうに大幅に簡素化したわけでございますから、簡素化した型式指定制度というものを外国メーカーなどももっと御活用いただきたいし、そういうようなことで貿易摩擦の解消に役立てていきたい、こういう考え方でおる次第でございます。
  46. 城地豊司

    城地委員 自動車の話が出たついでと言ってはなんですが、貿易摩擦問題でわが国の自動車の輸出問題が大きく問題になっておりました。いまは余り問題ないようですが、この貿易摩擦問題と自動車の関係で非常に経済問題で造詣の深い大臣にお伺いをしたいのですが、よろしいでしょうか。  日本とアメリカの自動車摩擦の問題があったのですが、いろいろな説がありますけれども、私は、一言で言って、日米の自動車戦争というようなものは、やはりアメリカが中、小型車については開発が非常におくれていた、そのことがすべてじゃないか。言うなれば自分たちでたかをくくって、日本の自動車はそんなにいろいろな意味でよくなってこない、またアメリカを脅かすほどにはならないと思っていたのが、結局はああいう形になったのだというふうに理解をしたいわけであります。それについて大臣はどのようにお考えになっておられるか、この際ひとつお聞かせいただきたい。
  47. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 日米間の自動車に関するいわゆる摩擦の問題は、私もまた城地委員御指摘のように、日本の小型車の優秀さ、これが大きな原因をなしていることは認めざるを得ないと思っているところでございます。しかもまた、二回にわたりますところの石油ショックによって油の値段が上がってきた、したがってアメリカの需要としても小型車に向かっていった、このことがまた摩擦の大きな拍車要因になったことも御案内のとおりでございます。  このような問題は十分認識できるところでございますけれども、それ以外にアメリカにもいろいろの理由がある。自動車というものは大体アメリカが開発したものでございます。それが日本によって凌駕されるような状態になったことに対する不満、いろいろの原因があろうかと私は思うのでございます。  このような点につきまして、日本は自主規制をやっているところでございます。しかし、私は、それは本来の自由貿易の原理に反するような気がするわけでございますけれども、現在の状態ではこれもまたやむを得ない措置だと思うのでございます。このような問題について、私どもはやはりお互いに認識を深めていく。かつて大型車について物品税の高いことが指摘されて、これもまた非関税障壁だということが言われたこともございましたが、あらゆる問題を通じまして十分に両者が納得するような方向での努力が一層必要だと思うわけでございます。そのことは、自動車の輸出のウエートが日本において非常に高いこと、このことを考えますればそのような努力は私どもとしてもやっていく、その方向一つとしてこの法案もまた大きな役割りを果たす、こんなふうに考えております。
  48. 城地豊司

    城地委員 次に、わが国の基準認証制度とガット・スタンダード協定との関係でひとつ伺いたいのです。  昭和五十五年に第九十一国会で工業標準化法を改正してJIS表示制度、これまでは国内製造業者加工業者のみが利用していたのを改めて、外国製造業者加工業者も主務大臣の承認を受けた場合にはその対象とするように措置したという経過があるわけですが、この経過の概要について教えていただきたいと思います。
  49. 福川伸次

    ○福川政府委員 御指摘のとおり、昭和五十五年に工業標準化法の一部を改正いたしたわけでございますが、これはガット・スタンダード・コードを受諾するに当たりまして、その当時、工業標準化法は完全に外に門戸を閉ざしていたわけでございます。御高承のとおり、工業標準化法はJIS工場指定制度というのがございましたが、これにつきましては海外には完全に門戸を閉ざしていた形になっておったわけでございます。  したがいまして、ガット・スタンダード協定の締約国からいろいろな形で、協議あるいは紛争ということになる前に、この協定の趣旨に即して改正をいたしたわけでございます。しかしながら、それ以外の法律につきましては、これがガット・スタンダードコード上いろいろと議論があるところではありますけれども、たとえば私どもで申しますと、消費生活用製品安全法等の場合には、これは検定というようなかっこうで外国には一応門戸を開いたかっこうにとりあえずなっておったわけでございます。したがいまして、本協定の厳密な意味での趣旨に抵触するものではない、こういう考え方もございまして、ガット・スタンダード協定を受諾するに当たりまして直ちに法改正を行うということはいたさなかったわけでございますが、最近の日本基準認証制度等の考え方からガット・スタンダードコードをさらに十分検討の上、今回のような措置をとることにいたした次第でございます。
  50. 城地豊司

    城地委員 次に、基準認証制度をめぐる象徴的な事例として、金属バットの問題があるのです。時間の関係がありますから、金属バット問題について公式的にどういう見解をお持ちか、まとめて五分以内で。
  51. 福川伸次

    ○福川政府委員 金属バット問題は、アメリカとの間で懸案となっていた事項でございますが、これは当時、消費生活用製品安全法の指定対象品目になっていたわけでございまして、それが、外国事業者がこの消費生活用製品安全法の認証制度、特に型式承認を受けることに関しまして不当に差別されておるということで問題になったわけでございます。そのために外国事業者日本に輸出するに当たりまして、そういった型式承認制度がない、個別の検定でなければ日本に入らない、こういうことから経済的な負担が大きいということでございまして、ガット・スタンダードコード上この点が問題だということで、ガットに持ち出された次第でございます。それを並行して検討いたしております際に、この消費生活用製品安全法、これは最近におきます事故の発生状況あるいは検査の不合格率といったことから十分その安全性の見きわめがつく、こういうことでございましたので、ことしの一月六日にこれの規制を解除する、対象品目から外すということの政令改正をいたしたわけでございます。  しかしながら、この消費生活用製品安全法におきましては、金属バット以外になお八品目が指定されておるわけでございまして、先ほど申しましたように、金属バットを例にいたしまして日本登録型式承認制度というのが外国事業者について差別的であるということが米国から提訴をされ、ガットでいろいろ論ぜられたわけでございまして、それ以外の品目についても同様の問題が残っておるということから、今回、手続上の問題の根本的な解決を図るために法律改正提案いたした次第でございます。
  52. 城地豊司

    城地委員 次に、外国検査データの受け入れ促進に関する関係伺いたいのですが、いろいろな意味でかなり具体的に今後は外国検査データの受け入れ促進をするということになっております。私ども専門家でないのですけれども、さらっとそれを見ただけでも、どうもたくさんの問題点があるような感じがするわけであります。その二、三点に限って質問いたします。  厚生省の関係では、「医薬品の前臨床試験データについては、従来受け入れていなかった安定性試験データ及び規格試験方法に関するデータを昭和五十八年十月より受け入れる。また、臨床試験データの受入れについては、人種差等の問題に関する諸外国との協議を含め、専門的学術的見地から検討を行うとともに受入れを図る。」これも薬事法関係で、私は詳しくないので余りわかりませんが、臨床試験そのものについても、素人で考えてもかなりいろいろな問題点があると考えておりますが、五十八年十月からそれらについて受け入れる。さらにその後、「医療用具については、外国企業による実測値データを昭和五十八年十月より受け入れることとする。」さらに「輸入食品等について、検査結果受入れを認め得る外国の公的検査機関の追加指定を行っていく。」農林水産省の関係でも、「農薬の毒性試験について、外国企業の毒性試験データ受入れを可能にすべく、諸外国検討状況を勘案しつつ早期に適正試験施設規範制度の導入を図る。」というように、ちょっと見ただけでも、素人考えでも、外国検査データの受け入れ促進はいろいろ問題が起こってくるなという感じがするのです。  だから、閉鎖的にもう外国検査データは受け入れないというほど偏狭に考える必要はないと思いますけれども、これらの外国検査データの受け入れというようなことについては非常に慎重にやらなければならない、しかも、専門的に十分検討しなければならないというような感じがするわけでありますけれども、この外国検査データの受け入れ促進に関してどのような御見解をお持ちか、お伺いをしたいと思います。
  53. 持永和見

    ○持永政府委員 御指摘の医薬品関係検査データの問題について、まずお答えを申し上げます。  先生御指摘のとおり、科学的な試験につきましては、従来、外国でやりました試験データはわが国として受け入れをしておりませんでしたが、この中の規格試験方法に関するデータあるいは安定性試験に関するデータについては、準備期間もございますので、ことしの十月から受け入れることにいたしております。これは物の安定性あるいは規格試験のデータでございまして、先進諸国ほとんど外国のデータを受け入れておりますし、また私どもの方も、薬事審議会その他専門の先生方の意見をお伺いした上で、さらに外国へ、日本の試験基準はこういうものでございますよというような通知の期間も含めて、十月から周知徹底をした上で受け入れを図りたいというふうに考えております。  なお、こういった前臨床、いわゆる人に対する臨床試験以外の試験については、従来からもできるだけ外国とのハーモナイゼーションを確保するために受け入れを漸進的に図ってきておったところでございます。  なお、臨床試験データでございますが、臨床試験データは人種差の問題がございます。食生活の習慣その他の問題がございます。したがいまして、現在の段階で私ども、この臨床試験データを直ちに受け入れるという判断はいたしておりません。  ただ、こういった臨床試験データにつきましても、たとえば体外診断薬のように、人種差なり食生活の違いに全く関係のない薬もあるのではないかというようなWHOの専門家会議などの意見もございますが、そういった点については私ども、学術的専門的に十分検討した上でないと受け入れを図ることはむずかしい、こういう判断でございまして、現在のところ、まだそういった専門的学術的な検討が行われてない段階でございますから、現在の段階では臨床試験データについては、すべて日本人を対象としたものでしか認めないということでございます。  なお、いま申し上げました前臨床試験データについても、日本でいろいろ試験の基準をつくっております。また、医薬品を審査する場合には審査の基準をつくっております。その審査基準なり試験基準は、わが国で適用しておるものをそのまま外国のデータにも適用するということでございまして、外国のものを何でもいいから受け入れるというようなことではございません。そういった審査基準に適合した外国のデータであれば受け入れる、こういうことでございます。
  54. 城地豊司

    城地委員 最後一つ伺いますが、昭和五十七年一月に政府部内に設置されました市場開放問題苦情処理推進本部、OTOと略称で呼んでおりますが、それに対する苦情の申し立てが非常に多いと聞いているわけであります。その苦情が輸入に関するものが非常に多い。概況で結構ですから、どういう状況なのか、また輸出に関する苦情がそれとの比較においてどういう状況になっておるのか、伺いたいと思います。
  55. 田中誠一郎

    ○田中(誠)政府委員 ただいま御指摘の苦情処理推進本部、OTOの苦情処理の状況でございますが、四月二十六日、昨日現在で累計が百十件でございます。昨年の一月から発足をいたしましたので、月に平均いたしますと七、八件ということになります。  その内容を見ますと、国内からの申し立てが三十九件、外国が七十一件でございます。それを輸入先別に見ますとアメリカが圧倒的に多く、五十一件でございます。他方、EC関係が三十三件、その他を加えまして百十件でございます。  問題はその苦情処理の状況でございますが、百十件受け付けましたうち、現在までのところ百四件処理をしてございます。  その内容は、改善措置を講じたものが二十八件でございます。それから事実関係等の誤解に基づいたものがございまして、それが五十三件ございます。それから、現行どおり処理をいたしますものが二十三件でございます。ただいま申し上げた事実関係等の誤解に基づくもので、その誤解を解き、輸入促進的効果を生じたものが三十一件でございます。改善措置を講じたものと輸入促進的効果を生じたものが、合計いたしますと五十九件になりまして、したがいまして、半分以上は前向きに対応しているということになるかと思います。
  56. 城地豊司

    城地委員 最後に、大臣に要請を申し上げたいと思います。  最初に申し上げましたように、私ども商工委員会というのは、そういう意味では通商産業の関係でそれぞれ非常に自負を持っているわけでありますが、今回の法律は、薬事法関係であるとか、そういう意味では厚生省、農林水産省等々の関係があって、非常に幅広く十六の法律をまとめて提案されました。たくさんの法律を出されるのは結構ですが、最初に要請申し上げたように、十分検討の期間をいただくように今後は十分な配慮をお願いしたい。われわれも前向きでそれらの問題に取り組むことはわれわれの職分でありますから、そのことを忌避しているわけでありませんが、物理的な要因なども十分考慮していただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  57. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 ただいま城地委員の御指摘の御忠告の件は、十分注意してまいりたいと思います。
  58. 登坂重次郎

    登坂委員長 次に、長田武士君。
  59. 長田武士

    ○長田委員 まず初めに、塩崎国務大臣にお尋ねをいたします。  この三月以来、わが国の産業政策に対するアメリカの批判が非常に高まっているように思います。私は、いろいろな機会をとらえまして、この問題については何回となく質問をいたしてまいりました。その都度政府は、政府レベルの交渉ではアメリカはそのようなことは言っていない、そういうことで、このことに対しては特に避けていたような感じを私は持ちます。  ところが四月十八日、通産大臣は談話の形で、産業政策は呼び方や形は変わってもどこの国でもやっていることで、日本競争力の強さを産業政策のせいにするのは保護主義者にかっこうの口実を与えかねないという趣旨の発表をいたしております。  この産業政策をめぐる問題は、従来の貿易摩擦で問題となった自動車、カラーテレビ、牛肉、オレンジ、こういう個別の商品問題と次元が違うというふうに私は考えておりまして、重要な問題だろうと考えております。これ以上欧米で対日批判が高まれば、だんだん日本が孤立することになりかねないと私は非常に心配をいたしておる一人でございます。  また、公正取引委員会も四月十九日、外国製品の流通の面からこれを解明して、わが国の流通機構としては輸入阻害の事実などの市場閉鎖性はないということを発表しました。  また、外務省も四月二十二日には、日本市場は閉鎖的ではないということを発表したわけですね。  こうなりますと、まことに異例なんですね。外務省が発表する、通産省が発表する、さらに公取が発表する。いままでアメリカではそういうことは全然言ってないと言っていながら、次々とこのような談話、見解を発表する。私は、これは異例じゃないかという感じがするのですね。いままで国会で、そんなことはありませんという答弁を私は何回も聞いております。こうアメリカで三月ごろから急にやってきますと、もうあらゆる省で、そんなことはない、そんなことはないということを言い出す。私はこういう点、異例だと思いますが、大臣、どうですか。
  60. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 日本の産業政策のあり方等について、アメリカでいろいろ批判があることも存じておりますし、私は、この問題は通産大臣あるいは公正取引委員長が若干触れた点もあるかと思いますけれども日本独自のやり方がなかなか外国の方々には理解できない面がある。何と申しますか、認識の差異、これが根本だと思うのでございますが、これを打破する方法としてキャンペーンをしておる、これがあのような形で、通産大臣あるいは公取委員長、そしてまた外務大臣というような形であらわれた。ともかく、日本人の考え方、理解しにくい面があると盛んに言っております点を理解させる、このことが必要だと私は考えております。
  61. 長田武士

    ○長田委員 私が言いたいのは、大臣、私は国会でこういうことを問題にしたわけですよ。産業政策そのものが企業保護であり、そういう点では輸出にドライブがよけいかかるということをアメリカは言いたいらしいのですね。それに対して政府間のレベルでは、そんなことは絶対にないのだということを言い張っておりました。三月になって急に外務省が言う、公取も通産省もというふうなことは異常じゃありませんかと聞いておるのです。理解を求めるのはわかっておるのですよ。
  62. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 キャンペーンの仕方が集中したということで考えていきたいと思います。
  63. 長田武士

    ○長田委員 今回のわが国の産業政策なり市場の閉鎖性に関する論議が非常に重要な意味合いを持つのは、外務省の調査にもありますように、「日本人は信頼できる」というのが一年前に比べて九%ダウンをしております。それで四四%になったのですね。それで、「日本人は信頼できない」というのが、一年前に比べまして一〇%アップいたしまして三三%、このように悪化いたしております。しかも、この理由には、日本的経営の特殊性だというように欧米人の人たちから思われていることにこれは根差しているのじゃないかなという感じが私はいたすわけであります。  ですから、政府が一生懸命市場開放政策を進めているにもかかわらず、四月二十一日の米下院におけるところのオルマー商務次官の証言によりますと、八二年一月の第一弾対策は米国の利益にかなうものとしては何ら新しいものはなかった、五月の第二弾も、モニターを四回訪日させたが日本の実施行動はほとんどなかった、このように証言しているのですね。今回のこの法案についても、このオルマー氏は相当不満を述べているようであります。  私は、こうした批判は、確かに日本の対応のおくれといいますか、日本は口先でなかなかやらない、一発かまさないといかぬというような声も聞こえてくるのだね。そういう点では、日本に対する不信、なかなか行動をとらない、実施しないというところに相当不満があるというような感じを私は持つわけであります。そういう意味で、サミットも近いわけでありますから、これをしっかりやっておきませんと、また袋だたきに遭う、私もそういう感じがするわけでありますけれども大臣の御所見をひとつ。
  64. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 私も、いまのようなアメリカ人の日本人に対する理解の仕方、大変心配するものでございますが、そのような意味でキャンペーンを常に行っていくこと、これこそ大事だと思います。そしてまた、貿易摩擦についての特効薬というものはないと思うのでございます。あらゆる努力を積み重ねていく、しかもまた粘り強くやっていく、このことが必要だと思います。そしてまた、経済実体的には、御案内のように、十年前にはわずか六億ドルの日本の輸出超過が、いま二百億ドル近いというようなことをアメリカに言われている状況でございます。このような経済実体面の変化、このようなこともあわせてやっていく必要があろうかと私は思っております。
  65. 長田武士

    ○長田委員 さて、法律案にちょっと触れたいと思いますけれども、今回の法律案はわが国の市場開放の第三弾ですね。これはことしの一月十三日に決定された中の一つの柱でありまして、これは昭和五十六年十二月の経済対策閣僚会議で、市場開放対策の一環としてすでに決定をしているものであります。  本来、この基準認証制度など非関税障壁の問題につきましては、一九七三年から一九七九年まで五年七カ月もかかった東京ラウンドの結果、ガット規約に盛り込まれたものでありますから、私は、もっと早く国内法の整備に取りかかるべきであった、そういう感じを強く持っております。それがなぜ今日まで提出がおくれたのか。そこらの理由がちょっとわからぬのですよ。  それから、もう一つ伺いしたいのは、この法律案の提出についてはずいぶん唐突なんですよ。十九日の閣議決定し、各委員会で審査をやろうとかいう話もありましたけれども、しかし、政府がきちっと各部会長にも説明をするとか、そういう誠意がなくてはいかぬ。それもやらない。そういうことで、しかも今国会の冒頭での提出検討法案にランクされておるのもこれがトップなんですよね。それで終盤国会にどどっと出てくる。これは一体どういうことなんですか。
  66. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 二つお尋ねがございました。  一つは、なぜこの基準認証制度、スタンダードに関する法案の提出がここまでおくれたかということでございます。  御案内のように、一九七〇年ぐらいから、六〇年からもうすでにそうでございましたが、自由貿易の体制をさらに進めていくためにまず最初に取り上げられましたのは、関税障壁の問題でございました。ケネディ・ラウンドから始まりまして東京ラウンドに至るまでの関税障壁の問題。何といっても古典的な貿易の、と申しますか、保護貿易主義の政策は関税障壁でございましたし、これが自由貿易主義の大きな障害になっていたことはもう御案内のとおりでございます。これに忙殺されてきて、東京ラウンドに至るまで世界各国が努力してきたことが、非関税障壁一つでありますところのこのスタンダードに関する法案をことしになってから提案するに至った理由だ、こういうふうに私は考えておるわけでございます。関税障壁も一応方向を打ち立てているところでございます。これから自由貿易主義をさらに守るために非関税障壁の問題を取り上げていこう。その一つの中で基準認証制度を取り上げる、こういうことになったのが昨今でございます。一九八〇年にガット・スタンダード協定ができたような事情を考えていただきますれば、今年この法案をお出ししましたことは、日本がこの問題についてそんなにおくれをとっている、こういうふうには私は考えないところでございます。  それから第二は、唐突として出したじゃないか。いや、唐突ではございません。もうとにかく閣議決定を一月十三日にやりまして、三月二十六日に基準・認証対策本部で大きな方向を決めまして、それから技術的な、さらにまた複雑な法文の成案を得て今日まで、むしろ私ども努力して早目に出したつもりでおるわけでございますが、委員から見ますれば、唐突として終盤国会にと言われましたが、私はまだ時間はあるような気がするわけでございまして、この問題の重要性、世界からの期待を考えますれば、ぜひとも早急な御審議、そしてまた成立をお願い申し上げたいと思います。
  67. 長田武士

    ○長田委員 大臣、これは四月十九日に閣議決定しているのですよ。それで委員会へ付託されたのはきのうですよ。じゃゆっくり審議して、終盤国会で二十六日までに上げればいいのですか。
  68. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 いや、私はそういった意味で申し上げたのではございません。とにかく、この問題はもう御案内のように、法律としては、製造業者国内、国外を問わず型式取得について同じような法的地位を与えようというきわめて単純と申しますか、明快な原理で貫かれたものでございます。実態の基準・認証をどうするかという問題は、これは法律の問題でございません。そのような意味におきまして、十六の法律の中の製造業者に関する地位を取り上げたものでありますだけに、もうここで御審議をいただきますれば、明快な長田先生でございますからもうすぐ御理解を得られるものだ、私はこういうふうに信じております。
  69. 長田武士

    ○長田委員 本年一月の経済対策閣僚会議決定に基づきまして、基準認証制度等連絡調整本部が発足をいたしましたね。この法案の取りまとめの経緯から見まして、本来官房長官が担当大臣になるべきだと私は考えております。そこで、官房長官をなぜ担当大臣にしなかったか、そこらの理由はどうなんでしょうか。
  70. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 担当大臣というのはなかなかむずかしい概念のようでございまして、私も内閣審議室長などから法制的な説明を聞きましたが、まだまだ法制上の概念にはなっていないようでございます。総理大臣から、この問題について担当をしてくれ、国会においてこの問題の責任ある答弁をしてくれということで決められたのが担当大臣だ、こういうふうに思っているところでございます。  それで一方、官房長官基準・認証推進本部におきまして本部長になりましたのは、多分に事柄の重要性を示す意味においての政治的な配慮であったのでございます。本来、官房副長官が本部長の予定でございましたが、自由民主党内、政府・与党との間の話し合いにおいて、この問題はより大きく打ち出す必要がある、取りまとめに当たってはひとつ官房長官みずからが本部長となって取りまとめるぐらいの気魄が必要であるということで、取りまとめまでは官房長官が本部長をいたしたわけでございます。もちろん私どもの方も関係をいたしておりまして、私どもの次官が副本部長でございますが、私は随時その問題に参画しておりまして、私は担当大臣として適切な答弁はできるぐらいの考え方は持っておりますので、そういった意味で、担当大臣という概念にこだわられないで御審議をお願いしたいと思います。
  71. 長田武士

    ○長田委員 それでは、今回の法律案についてお尋ねをしたいと思います。  当初、外務省が独自にまとめました段階では、基準認証制度手続の改善に関する法律は三十七本程度あったと聞いております。それが最終的には十七本になったわけでありますが、この十七本のうち家畜改良増殖法は別途提出されるということで十六本ですね、その十六本になった理由。聞くところによりますと、第一の理由といたしましては、詳細に調べた結果、認証制度に該当しないとか、第二番目には、法律改正は必要なく政省令で十分対応できるということのようであります。では、第一の認証制度に該当しないという法律はどれとどれか。また第二の法律改正の必要がないものは何と何か。この点具体的に説明していただきたい。
  72. 禿河徹映

    禿河政府委員 私ども、この基準認証制度の改善につきまして具体的作業に入りましたのは、この一月十三日の経済対策閣僚会議決定に基づいて作業を開始したわけでございます。作業を開始いたしましたときに、基準・認証に関連する法律あるいは規則というものを幅広く全面的に拾い上げましたけれども、それによりますと二十九の法律と二つの規則、合計三十一法令が一応検討の対象として浮かび上がりました。いま先生がお話しございました三十七というのは寡聞にして私、よく存じておりません。私ども検討の対象といたしましたのは、二十九の法律と二つの規則でございました。  それにつきましてしさいに検討をいたしたわけでございますが、その中で十六、それから家畜改良増殖法を加えまして十七の法律がやはり改正すべきであるという結論になりまして、残りの十二の法律と二つの規則は、外国製造業者のわが国の認証手続への参加が可能となっておりますことが確認をされまして、すでに法体系の上におきましては内外無差別の原則が実現されておるということが認められましたので、最終的には改正法案の対象から外したわけでございます。  その法律を申し上げますと、たとえば厚生省関係法律でまいりますと薬事法と栄養改善法と食品衛生法、この三本を検討いたしましたが食品衛生法は外して差し支えないということになりました。それから農林省の関係では蚕糸業法、植物防疫法、農産物検査法、家畜伝染病予防法の法律が外れました。それから通産省の関係ではJIS法、工業標準化法でございますが、一応検討いたしましたが、これが外れました。それから運輸省におきましては船舶安全法と航空法が外れ、道路運送車両法の一部改正をお願いしておる。それから郵政省の関係は電波法と公衆電気通信法、それから有線テレビジョン放送法、この三つを検討いたしましたが、いずれも法改正の必要なしということで外れました。それから消防法も外れました。それから規則におきましては、大蔵省関係の貴金属製品品位証明規則、それから貴金属地金精製及品位証明規則というのがございましたが、これも内外の差別はないということが明らかになりましたので外したわけでございます。
  73. 長田武士

    ○長田委員 いまの法律改正の必要のない部分、これは政省令の改正をするわけですね。その改正はいつごろやるのですか。
  74. 禿河徹映

    禿河政府委員 今回の法律改正をお願いいたしておりますのは、企画庁長官からもたびたびお答えいたしておりますとおりに、外国事業者というものにわが国の認証手続におきまして国内事業者と同じように法的な地位を与える、そういう取り扱いをしようというものでございまして、いまその法改正の対象として外れましたものはそういう観点から実は外れたわけでございますが、実は基準認証制度等連絡調整本部でいろいろ検討いたしまして三月二十六日に出しました事柄の中には、それ以外に、規格・基準等の制定過程の透明性の確保だとか、わが国基準の国際的な確立した基準への整合性の確保だとか、その他外国におきますところの各種データの受け入れの促進とか、認証手続の簡素化とか、そういう法律外の事項もできるだけやろうという決定を見ているわけでございます。したがいまして、外れた法律の中でも省令以下あるいは運用等の面におきまして改善を図るべきものがあるならば、それは改善を図っていこうということでやるものがございます。それは、可能な限り早くそれに各省取り組んでその実現を図っていただく、こういう体制になっておるわけでございます。
  75. 長田武士

    ○長田委員 今回のこの基準認証制度改正につきましては、ECあたりでは、どうも法律が施行されても余り輸出がふえるわけではないというような、余り期待してないような発言も流れてきております。あるいはアメリカのオルマー商務次官の二十一日の米下院におけるところの証言では、この法律案による自動車の安全基準がアメリカの安全基準に合致してない、そういう点で非常に不満があるというような発言もしておりますね。そういう意味で対外経済摩擦を緩和できる、この効果をどうするか、政府の運用いかん、ここいらがポイントでなかろうかと私は考えております。改善策を当然日本側が示すわけでありますから、確実に実行するということが私は一番大事だろうと思います。  そこで、法律の運用面での内外無差別が完全に履行されると理解していいのか、その点はどうなんでしょうか。
  76. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 長田委員御指摘のように、日本の貿易摩擦に対する対処の仕方、いわゆる市場開放対策についていろいろの評価があることも私は十分知っておりますし、各国とも実態が実態、つまりまだまだ日本の方が貿易上輸出超過の国が多いものでございますから、なかなか理解されていないことを大変残念に思うところでございますけれども、先ほども申し上げましたように特効薬がないわけでございますから、私どもは一生懸命各種の施策を積み重ねて貿易摩擦解消のために、自由貿易維持のために努力しておるところでございます。  そして、今度の法律は、先ほど来御説明申し上げておりますように、改正事項として、製造者について国内、国外同じ法的な地位を与えて、つまり直接申請ができるような、登録も受けられるような仕組みにしようとすることが改正の眼目でございます。いま御指摘のオルマー商務次官が言われましたような自動車の安全基準等につきまして、この法律改正しようとするところではございません。これは各省各省の持っております法律の目的に照らしまして、運用において各方面の意見を聞きながら検討していく問題であろうと思います。その中に、スタンダードの問題としてガット協定などの方向が十分しんしゃくされることは言うまでもないところでございますが、この問題についてもできる限り内外無差別ということは当然しんしゃくされる、こういうふうに私は考えております。いまの製造者についての内外無差別は当然この法律の中で確保されているところでございまして、この点につきましては申し上げる必要もないかと思うところでございます。
  77. 長田武士

    ○長田委員 外国から要求されなければ取り組まない、また欧米からの不満が高まらなければ改善に着手しない、そういうことでは、わが国の主体性維持ということに非常に欠けておると私は言わざるを得ないと思うのです。  理解不足の点もたしかありますわね。USTRのそういう幹部に私たちも会いましたけれども、車一つ取り上げましても、アメリカの車を買え買えと、ただそれだけ言う。しかし、日本の道路事情とか燃費の問題でどうも対応できない。そういう小型車をどんどん開発して日本にもどんどん輸出したらどうかという提案をしても、五十年間おくれているなんと言っていまして、なかなか腰が重い。そういう点では、日本のニーズに合ったものを向こうも調査し、そして真剣に取り組もうという点が欠けているのではないかという話も私たちはやりました。しかし、日本はどちらかといいますと貿易立国ですから——アメリカの基本的な考え方というのは、百ドル買ってくれたら百ドル買いましょうということのようなんですね。ところが、百ドル買わせておいて日本は十ドルしか買わない、ここいらがどうも不満の大きな原因ではなかろうかというような感じがするのですね。そういう意味で、本来この改善策、内外無差別の原則にもっと早く取り組んだ方がよかったなあという感じが私はするのです。ガット理事会では、農産物の問題も日程に上るのではないかというような感じもしているわけです。牛肉やオレンジにいたしましても、例外とは言えなくなってきておるというような状況であります。  そういう意味で、政府は当然経済摩擦解消のために先手を打つ。向こうから言われたからようやくやろうというような姿勢がどうも不満の根底にあるのじゃないかという感じがするのであります。この点について通産省の姿勢はどうですか。
  78. 福川伸次

    ○福川政府委員 貿易摩擦の点に関しましては、私どもも、やはり経済の拡大均衡という方向でこれを解消、吸収していくべきではないだろうかというふうに思っているわけでございます。  いま御指摘のように、基準認証制度も、本来ガットの考え方からいきますと、個別に一つ一つ問題になったごとに解決していこうということがガットのスタンダード協定ができました際の一応の考え方になっておりましたが、この際一挙に内外無差別を実現するという法律で対応しよう、こういうことをいたしましたのも、そういった外国からの不満をできる限り前向きに取り組んで吸収していこうということの一つの努力であったわけであります。  また、いま貿易摩擦の一番の大きな原因は失業率が高いということでございまして、これはやはり経済を活性化しなければならぬということが重要でございまして、そういうことから私どもも、産業協力というようなことから海外投資あるいは技術移転といったようなものの努力もし、諸外国政府とも話をし、また民間にも働きかけを行う。さらにまた、世界経済のフロンティアの拡大ということからいきますと、技術開発ということに積極的に取り組むということで、新しい分野の研究開発、国内はもとより国際的な研究も進めていく、こういうことで対応してまいっているところでございます。  いろいろと世界の経済が長期に、しかも同時的な不況になっておるということが、こういった摩擦の大きな原因になっておるわけでございますが、日本経済運営もできる限り内需中心の運営をするということとあわせまして、いま申し上げましたような、世界経済全体を活性化していくというその大きな流れの中で貿易摩擦を解消し、また輸出に関しましても、いまるる御指摘ございましたように、先進国経済が回復の軌道に乗るまでの間には、ある程度短期的な措置として輸出のモデレーションということに協力をしていくというようなことをあわせしながら、世界の貿易が保護主義化しないように、拡大均衡の方向ということで、私どもも鋭意努力をしてまいる考えでございます。
  79. 長田武士

    ○長田委員 今回の一連の改正作業で改善策がとられると、どれだけ対外経済摩擦というものが解消できるか、こういう点が問われておるわけでありますけれども、この点効果的にはどうでしょうかね。
  80. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、一つの措置でこれがもう絶対的な効果を上げるというようなものは、恐らく貿易摩擦の問題についてはないかと思います。特に関税障壁のように目に見える、率を引き下げれば明確であるというようなものと違いまして、非関税障壁の問題がいま俎上に上がって、各国からいろいろ言われているからでございます。  御案内のように、非関税障壁と言えば単に輸入手続だけの問題というよりも、いま御指摘のように、産業政策まであるいは経済構造まで、たとえば金融機関と企業との結びつきまで言われて、日本の市場にはなかなかアクセスできないというようなことが非関税障壁の中に数えられているといたしますれば、これはよほど努力していかなければならないかと思うのでございます。  しかし、この法案で率先して法律改正までして、製造者について内外無差別の原則を貫いていくんだというようなことをいたしますれば、日本の積極的なこの姿勢は世界の各国にも理解されていくのではないか、私はこんなふうに見ております。
  81. 長田武士

    ○長田委員 まあ大臣、見通しが甘いんじゃないでしょうかね。  EC委員会は、日本市場の閉鎖性がガットに違反するといたしまして、ガット規約二十三条二項に基づく多国間協議を提訴いたしましたけれども、この問題は一応ガット理事会では凍結となりました。しかし、いずれにいたしましても、日本、EC間における経済摩擦が一段と先鋭化してきたことは、もう事実ではなかろうかと思うのですね。アメリカにおいても、工作機械メーカーのフーダイル社がわが国の業界を相手取りまして、米通商代表部に提訴いたしました。これも却下されたわけでありますけれども、この工作機械の問題では通産大臣がブロック通商代表に書簡を送った。もし輸入規制をするようなことがあれば日米間に重大な影響があると言われたと伝えられておるわけであります。これでは、わが国の市場開放政策を欧米が評価していると言いましても、何でこういうような不満がどんどん出てくるのであろうかということなんであります。  すなわち、貿易摩擦問題に対する政府の基本的な考え方、この取り組みについて問題があるんじゃないか。小出しにするとか、約束はしてもなかなかやらないとか、どうもそういう問題があるような感じがいたしてなりません。そういう点で、適切な初期消火を行うためにも、情報の収集というのはぜひやってほしいという点を私は指摘をしておきたいと思うのです。あるいは外務省とかジェトロというのがありますね。そういうところに情報収集をがっちりやらして、そういう状況を即刻判断して先手、先手を打つということが要求されておるんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  82. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 長田委員御指摘の、EC側がガット二十三条の適用の問題を取り上げていることは、私も十分存じているところでございます。そのことにあらわれておりますように、非関税障壁の中には、大変幅の広い考え方の相違と申しますか、いわゆるパーセプションギャップ、この問題が含まれておりますだけに、なかなか評価も直ちに得られないという欠陥があって、私ども隔靴掻痒の感がすることはもう言うまでもないところでございます。  しかしながら、これはもう努力、向こうが言ったらやるということではなくて、やはりお互いの間の話し合い、そういったことでお互いの認識の間に相違から一致が見られる、このようなことがあることでございます。  いま長田委員が御指摘の点は大変重要な事柄でございまして、情報はもうできる限り、ジェトロあるいは外務省の出先、これから得ることはもちろんでございますが、いま言われましたような広範な範囲から情報を収集して、日本の態度がどのように理解されているか、そして日本の施策がどのように理解されているか、これらについての情報を集め、今後の対策についての資料を収集いたしまして、率先してやっていくことはぜひとも考えていかなければならないと考えております。
  83. 長田武士

    ○長田委員 私が申し上げましたのは、アメリカの言い分を聞けなんて言っているんじゃないのですよ。やはり言うことは言わなくちゃいかぬという意味も含めて、情報の収集というものは必要であろうということなんですね。そのかわり約束したことは実行するということが、やはり国際間で最も信頼関係のきずなですから、その点はしっかりやってもらいたいということなんです。  次は、本法案が成立をいたしまして、外国登録製造業者型式承認を与える場合、この審査は具体的にどのように行うのか、この点をまずお伺いしたいと思います。たとえば日本の側の係官が、係員ですか、現地に出向いて行うのか、あるいは在外公館の職員が行うのか、さらにその際の費用はどうするのか、申請があった場合の対処のあり方、これについてはどうなんでしょうか。
  84. 禿河徹映

    禿河政府委員 国内製造業者に対します型式承認等を行う際、現地審査を行うというふうになっております法律の適用につきましては、原則として内外を問わず同じようなことで各省対応されることと思います。したがいまして、原則としては、やはり外国製造業者に対しましても現地の審査を行うというのが各省の運用の姿勢と考えております。  なお、在外の公館というふうなお話もございましたが、やはり専門的な審査を必要とする事項でございますので、やはりこちらから出かけていくのが原則であろう、かように考えております。
  85. 長田武士

    ○長田委員 今回特に肥料取締法、それから農薬取締法薬事法のそれぞれ三本の改正案の中で、日本国内における迅速かつ恒常的な対応を必要とする事項が法律に要請されている場合には、当該事項を実施する者を国内に置くことができるとして、国内管理人義務づけているわけであります。  そこでお尋ねしたいのでありますけれども、この国内管理人の資格の要件は一体どういうふうになるのか。また、他の改正案には国内管理人は置いていないわけでありますけれども、その理由はどうなのか。さらに、それぞれ三本の法律案の中で国内管理人に対して何を求めようとしておるのか、これらについてお尋ねをいたします。
  86. 古谷裕

    古谷政府委員 私どもの所管しております法律で、肥料取締法農薬取締法につきまして国内管理人を置くということにいたしておりますが、これは今度の法律によりまして、外国で生産された肥料または農薬、これについては従来は輸入業者登録を申請しろということになっておりましたのを、直接登録申請する道を開いたということが特徴でございまして、それでこの場合に外国製造事業者でございますので、やはりこういう登録を受ける地位を与えたのに伴いまして、国内の生産業者と同じような義務を背負っていただく、これがやはり内外無差別の原則であろうということで、たとえば登録証の備えつけなりあるいは保証票の貼付、虚偽宣伝の禁止ないしは帳簿備えつけというふうな義務を課すことにしたわけでございます。  ただ、いずれにしても外国事業者でございますので、これが日本国内においてちゃんとワークするかどうかということはかなり問題点がございます。したがいまして、この場合には国内管理人というものを設けまして、具体的な報告徴収なりあるいは立入検査というものをこの国内管理人が受けるというふうな道を開いておいた方が、肥料ないし農薬の品質の安全等を図る見地から適当であるというふうに考えたわけでございます。  そこで、その国内管理人としてだれがなるかということは、現在の法律では「本邦内に住所を有する者」ということになっておるわけでございますが、具体的な実例から申しますと、農薬の場合には、現在いわゆる農薬外国事業者日本現地法人をほとんど持っております。現在はその現地法人輸入登録の申請をするというような形になっておりますので、もし外国事業者が直接登録申請をするというふうなことになる場合には、当然現地法人を使うということが想定されるわけでございますし、さらに、そういう現地法人がない場合には、いままでも関係しておりました国内輸入業者、こういう人が代理人になる、当然帳簿備えつけ、報告徴収等に応ずるわけでございますので、当該肥料なり農薬についての知識経験を持った人が選任されるというふうに考えておるわけでございます。
  87. 長田武士

    ○長田委員 基準認証制度等連絡調整本部は、去る三月二十六日付で法改正以外の問題、すなわち「規格・基準作成過程における透明性の確保、規格・基準の国際化の推進、外国検査データの受入れ、」などの処置を決めておるわけであります。これは各省庁別の事例で明らかでありますが、こうした事例以外についても今後具体的にどのような処置を講ずるつもりなのか。  さらに、四月五日の経済対策閣僚会議におきまして「今後の経済対策」を決めておるわけでありますが、この決定に従って三月二十六日の事例についても当然対応していくのだろうと私は思いますけれども、これらの点についてももう一度確認をしたいと思います。
  88. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 まず第一点の、三月二十六日に決定いたしました具体的項目以外の部分についての問題でございます。具体的な項目につきましても、何分経済は生き物でございます。そしてまた、国際貿易は絶えず伸展しているものでございますから、この決定の精神に基づきまして決定以外の部分につきましても処理していくつもりでございます。  第二の、四月五日の経済対策の中にうたわれましたところの基準認証制度の推進でございますが、この推進の中に大きく含まれておりますのがこの法案提案でございますし、それからいま、三月二十六日に決定されましたものをさらに推進していくことを含んだつもりで四月五日の決定をしたところでございます。
  89. 長田武士

    ○長田委員 言うまでもなく、このわが国の基準認証制度は、本来健康の維持、それから安全の確認等を目的として、それぞれ産品について設けられたものなのですね。したがいまして、今回の法律改正に当たりましても、この制度の本来の趣旨、目的、これは悪い影響を及ぼすようなことのないように当然留意しなければいけないというふうに私は考えております。  この点を踏まえ、まず自動車検査の手続なんですけれども、道路運送車両法についてまずお尋ねをいたします。  同法に定められた輸入自動車の取り扱いにつきましては、今回の改正認証制度が大きく変わるのですね。すなわち、従来は新しい車種の自動車を購入し販売するには、輸入業者が新車一台、中古車二台を申請書とともにサンプルとして提供し、安全性などについての検査を受ける必要があったわけであります。今回の処置によってサンプル車は新車一台に減らしまして、提出書類も簡素化することになっております。さらに、自動車のヘッドライトや速度計器についての細かな指定基準も大幅に緩和をされておるわけであります。つまり、内外無差別の原則を貫く余り安全基準を緩和することは、法律趣旨、目的にちょっと反するかなという感じが私はするのですけれども、こういう点はどうなのですか。
  90. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 具体的な自動車の手続の問題の前に考え方を申し上げなければならないと思います。  いま長田委員の御案内のように、各法律、それは十六の法律でありましても、その法律独自の政策目標を持っていることは明瞭でございまして、生命の安全あるいは道路交通の安全といったことが各法律の目的に上がっているわけでございますから、これを阻害してまで外国製造業者にだけ新しい基準を認める、こういったことは私はあり得ないと考えているところでございます。  この法律案は、言うまでもなく、外国製造者が国内業者と同じような法的な地位、しかもそれは申請についての法的な地位登録制度あるいは検査等についての同じような地位取得するというものでございますから、具体的な基準の問題は各省法律の精神に照らしまして決定していかれる。しかし、どの程度のものが生命の安全に貢献するか、これらについてはいろいろの考え方があろうかと思いますが、そこは法の目的と常識的な線で決定されますし、また国際的な規格も大きな参考になるのではないか、こんなふうに私ども考えているところでございます。  具体的な自動車の問題につきましては、運輸省の方から御説明があると思います。
  91. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 自動車の問題につきまして御説明いたします。  まず、先ほど来御説明がございましたように、今回の法律自体は、外国製造事業者ども型式指定を取得できるということをはっきりさせたことが第一点。それからもう一点は、立入検査あるいは報告徴収といった求めに応じなかった場合に、国内事業者ですと刑事制裁、十万円の罰金がかかりますけれども外国事業者などにはそういう刑事制裁をかけることが事実上不可能でございますので、それにかわる措置として、そういうような事態の場合には型式指定の取り消しの要因とする、こういうのが法律自体の改正の骨子でございます。  ただいま先生がおっしゃいました型式指定の内容の簡素化の問題が一つと、安全基準の緩和の問題が一つと、二つお話を賜ったわけでございますが、最初型式指定の簡素化の問題は、型式指定規則という省令で定めております。今回の三月二十六日の政府決定によりまして、その型式指定の要件、手続を大幅に簡素化する方針を決めたわけでございますが、先生がおっしゃいましたように、従来は耐久走行車、安全について三万キロ走らせたものを一台、それから公害について三万キロ走らせたものを一台、合計二台を呈示させておりまして、そのほかの書類もあわせて保安基準に適合しているか、あるいは均一性を担保できるかというようなこととあわせて検討をしておったわけでございますが、今回は新車の一台だけで、耐久走行車二台の呈示は、耐久性を証明するほかのデータがあればそれでもうよろしいというふうにしたわけでございます。  なぜそういうようなことをしたかということでございますが、先ほど来大臣の御答弁にもございますように、私どもとしては、国民の生命の安全あるいは環境の確保を損なわない範囲でどの程度要件、手続の簡素化ができるか、相当にいろいろと検討を加えたわけでございます。その結果、最近の自動車の計測技術、いろいろな計測器を用いてはかる技術でございますが、そういう技術とかあるいは試験をやる技術、こういうような技術の進歩に伴いまして、自動車メーカーがそれぞれおやりになっておる各種の耐久試験のデータでそれを分析すれば、一々三万キロ走らせた車の呈示がなくても十分技術的な判断ができる、こういうことで、耐久走行車二台の呈示をそれにかわるデータがあれば省略してもよろしい、こういう方針を決めたわけでございます。  それから、もう一つの安全基準の緩和の問題ですが、これは緩和という表現をとっておりますが、事実上は調和といいますか、欧米並みの安全基準にできるだけ調和させられるものは調和させていこうということでございまして、ヘッドライトの最高光度であるとか、リアバンパーのすき間の問題であるとか、それからリアスボイラーの突起物の問題であるとか、こういうような安全基準の問題につきましては、日本それからアメリカ、ヨーロッパ、それぞれの国情等によりまして異なっております。異なっておりますが、できるだけ調和できるものは調和していこうということで、国際的な会議もECEで持たれておる状況でございます。したがいまして、今回はそういうことで、技術の発展というものを踏まえて、国民の生命あるいは環境の保護に欠けることのない範囲内での改善措置というものを決めた次第でございます。
  92. 長田武士

    ○長田委員 次に、薬品検査基準についてお尋ねをいたします。  厚生大臣の諮問機関でありますところの食品衛生調査会は、食品添加物十三品目の安全性について審議した結果、そのうち九品目については問題なしという結論を出したわけであります。こうしたところから、外国のビールやワインなどのろ過剤を初め、粉末食品の固結防止剤として使用されておりますところの二酸化珪素などが使用認可されることは当然なんですね。したがいまして、これまで規制されておりました食品添加物を大量に認可する方針を固めた厚生省に対しまして、経済優先の見方もある中で、事人体、生命にかかわることだけに安全性には万全の配慮をするべきではないか、そういう声が非常に強いわけであります。そこで、食品添加物の認可基準の緩和については厚生省はどう考えていますか。
  93. 藤井正美

    ○藤井説明員 今回、市場開放の一環といたしまして、食品添加物九品目について追加をする予定であることは先生御指摘のとおりでございます。しかし、これらの品目につきまして、安全性の審査という関係につきましては従来と全く方針を変えず、食品衛生調査会におきまして十分な資料に基づいてそれを評価した結果の意見具申に従っている次第でございます。
  94. 長田武士

    ○長田委員 厚生省は、外国輸入製造医薬品については製造承認を緩和する方針を決めていますね。これまで外国製の新薬につきましては、外国日本でダブルチェックを受ける形となっていたわけであります。つまり、外国の薬品メーカーが開発した新薬を日本国内で販売する場合、まず輸入販売業者が都道府県知事を経由いたしまして厚生大臣の承認を受ける、こういう仕組みにいままでなっておりました。その際、外国での実験データで安全性などが確認されていても、輸入販売業者は日本国内で独自に動物実験とか臨床試験などを行いまして、そのデータを承認申請につけることが義務づけられてきたわけであります。  ところが、今回の緩和措置によりますと、外国での実験データを全面的に認めまして、外国のメーカーが直接承認申請できるようになっておりますね。そこで厚生省は、こうした緩和措置のかわりに薬事法改正いたしまして、許可の段階で実験データなどをチェックすることを決めたわけですね。すなわち、改正案によりますと、動物実験の生データについては検査請求できるというふうになっておるのでありますけれども、実際問題といたしまして、厚生省の係官を外国に派遣して医薬品の製造過程を審査することは可能なのかどうか、この点はどうなんでしょうか。
  95. 持永和見

    ○持永政府委員 今回の法律によりまして、いわゆる基準認証制度改正の一環として、外国製造業者からの直接の医薬品の承認申請制度の道を開いたわけでございます。私ども国内の業者の場合においては、医薬品の承認申請が出されますと、生データのチェックをするとかあるいはGLP、いわゆる動物実験などについて基準を示しております安全性試験の実施に関する基準、そういったものをきちんとやっているかどうか、そういうことを見まして審査をすることになっております。  問題は外国製造業者でございますが、私どもとしては、外国製造業者から承認申請が出されたといたしましても、承認に伴う事務の一環として外国からいろいろ生データその他をもちろんとりますが、そのデータの中身その他について問題があった場合には、外国の研究所なり何なりについて検査するという体制を今回もとれるということになっておりますし、また現実にそういった疑わしい問題がある場合には、そういった形で外国のGLP、研究所の視察その他を行いたいと思っております。  ただ、現在アメリカとの間では二国間の協定を結ぶことにいたしておりまして、アメリカでもすでにGLPを実施いたしておりますので、去る十五日でございますが、アメリカとの間で具体的な協定を結びまして、お互いに政府間できちんとGLPの証明をし合おうじゃないかというようなことの覚書を交わしておりますので、アメリカとの間では、それを今度どういうふうに実行するかというような細則の取り決めをなおこれから続けていきたいと思っておりますけれども、そういった意味で、原則といたしましては、外国のデータといえども必要があれば外国の研究所に出かけていって検査をするというような体制は堅持してまいりたいと思っております。
  96. 長田武士

    ○長田委員 では、直接乗り込んでできるという意味ですね。  続いてお尋ねしたいのでありますが、実は経団連から、非関税障壁是正のために関税法や道路運送車両法など四十一の通商関連法令の改正を求める意見書が、政府のOTOに提出をされておるわけであります。塩崎大臣は、この経団連の意見書についてどのように見ていらっしゃるか。それから、なぜこの意見書に盛られた内容が作業過程に入っていないのか。全然入っていませんね。そこらの点をひとつお聞かせ願いたいことと、この意見については近く改正する意図があるのかどうか、お尋ねをします。
  97. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 経団連の意見は、大変広範な輸出及び輸入に関する問題を取り上げて提言しているものでございまして、貴重な意見と心得ております。そして、輸入に関する手続につきましては、三月二十六日の決定の内容におきまして相当取り上げたところでございます。  今回の法律は、御案内のように製造者に対して国内、国外同じような待遇、法的地位を与えるという問題でございますから、経団連の考え方が入っていると申しますか、取り入れられていることはもう当然だと思うわけでございますが、具体的な法令の改正の伴わない、必要がないものについても、たくさんの提言が行われているところでございます。これらの問題は、今回の法律とは別にまた十分に検討していくべきものだと考えております。
  98. 長田武士

    ○長田委員 去る一月十三日の対外経済対策第三弾の中に、OTOの機能強化等が列挙されておりますね。  ところで、このOTOの昨年二月から本年一月二十八日までに持ち込まれました苦情の処理状況が、予算委員会の資料として経企庁から提出をされております。この資料によりますと、この一年間に受けた苦情は九十三件、このうち処理済みが八十件となっております。この処理済みの八十件のうち改善措置を講ずるものが十九件、誤解に基づくものが四十一件、このうち誤解が解消して輸入が促進したものが二十二件、現行どおりとするものが二十件となっておるわけであります。  そこで、この処理状況で、改善措置が講じられたものはそれでよいとして、誤解に基づくもので、誤解がどうしても解消しない、あるいは解消しても輸入が促進されない、そういうものがあるようなんですけれども、四十一例中十九例は結局相手が納得しなかったのかどうか、この点はどうなんでしょうか。  それから、苦情の内容を検討した結果、現行どおりとするというのが二十例あるわけでありますけれども、これも相手方が納得しているのかどうか、あわせて御答弁をいただきたいと思います。
  99. 田中誠一郎

    ○田中(誠)政府委員 先生御指摘のとおり、OTOが発足いたしましてことしの一月までの措置状況は、受け付け件数九十三件のうち八十件を処理いたしまして、御指摘のとおりの内容でございます。  そのうち、いま御指摘もございましたように、改善措置を講じたものが十九件、誤解に基づくもののうち輸入促進的な処理が行われたものが二十二件でございますので、合計いたしますと四十一件、半分以上が輸入促進的な効果を生じたということになろうかと思います。  苦情の案件処理につきましては、私ども市場開放観点から、できる限り国際規格・基準への合致を図る、あるいは輸入検査手続等の簡素化に努めるといった基本方針で、非常に迅速明確あるいは親切丁寧ということを旨として行っているところでございます。したがいまして、この処理結果につきましては、最終的な通知についても理由を明らかにいたしまして、それぞれ苦情申し立て者に伝達しているということでございまして、誤解に基づくものについては、多くの部分が法令ないし手続についての誤解が多いわけでございまして、それについての事実関係を明らかにした上、申し立て者がそれを了解しているというものが大部分でございます。  また、現行どおりのものにつきましては、ただいま申し上げましたような基本方針で処理はしてございますけれども、何分にも現行の体制のもとでは認められないというものでございまして、その点についても私ども、粘り強く理解を求めているところでございます。  なお、一月十三日の決定の中で、OTO諮問会議というのを設けまして、重要な案件等については再度審議をしていただくという体制をとっているところでございます。
  100. 長田武士

    ○長田委員 OTOについては、いま話がありましたとおり、諮問会議が開催されまして、また、代理による申し立て制度が導入されるなど、改善措置が講じられているわけでありますが、オルマー商務次官の四月二十一日の米下院での証言では、権限がなく単なるメッセンジャー機関でしかない、こういうふうに酷評していますね。  そこで、経企庁長官にお伺いしたいのでありますが、この三弾実施後はこの非難は当たっていないとお考えでしょうか。または外国の期待どおり十分機能するとお考えなのでしょうか。どちらでしょうか。
  101. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 企画庁長官としては、私どものOTOの諮問会議でございますし、先般決定がありましたとおり、八人の委員を委嘱いたしまして、熱心な御協議をいただき、また御意見を賜っているところでございます。  したがいまして、私は機能は強化されたと考えておるわけでございますし、御案内のように、法的な権限というよりも、日本ではこのような諮問会議は大変力強い影響力を持つものでございます。その点、恐らくアメリカにはまだまだ十分キャンペーンが足りなかったので、オルマー商務次官のような発言が出たのではないかと考えられますので、私は、諮問会議のメンバーの方々に、いつもアメリカに行っておられる方が多いようでございますから、これらの点についても十分にキャンペーンをしてもらうつもりでおります。
  102. 長田武士

    ○長田委員 さきに出されました臨調最終答申の中にも、許認可行政の中には実情に合わなくなったものが少なくない、そして、規制監督行政全般にわたる簡素化の必要性を訴えておるわけであります。この中で、検査行政は民間検査移行を図り、民間の自己責任をもっと重視してはどうかという提言がなされておるわけですね。この点については大臣はどうお考えですか。
  103. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 臨調の答申は、私は、これは尊重して、できる限りその方向で措置すべきものと考えております。
  104. 長田武士

    ○長田委員 それでは、続いて大臣にお尋ねをいたします。  貿易をめぐる摩擦の問題、戦後の初めはわが国にこういう状況というのはなかったのですね。戦後わが国は、国際収支赤字の体質から脱却するために基幹産業の培養にこれ努めたわけであります。そしてわが国は、パックスアメリカーナという圧倒的な経済力と軍事力を背景として、国際経済の自由、無差別を掲げるIMF・ガット体制を柱といたしまして、財政による需要の創出と福祉社会化を目指したケインズ主義的経済運営によって今日の繁栄を築いてきたと言っても決して言い過ぎではないと私は思っております。  ところが、いまやアメリカはかつてのアメリカではなくなりまして、日本はGNP世界第二位まで成長いたしております。日本は物すごく経済力をつけてまいりました。かつてはひたすら輸出の道を歩んでいればよかったわけでありますけれども、いまやサミットに加わる有力な経済大国に発展をしてまいりました。その大国が、いまもって外国から閉鎖的であると言われて非難されることは、非常に恥ずかしい状況と言わざるを得ないのですね。GNP第二位、経済大国としての日本が各国から非難を受ける、そういう状況ではまことによくないということなんですね。わが国は、むしろアメリカと並んで世界経済を引っ張っていく役割りを当然していかなければならないのじゃないか。そのためには、まず何よりも、当面、国内需要をふやすことが根本であろう。アメリカの景気も非常に上向きである。そういう点においてはやはり内需の拡大、さらには輸入の拡大、こういう点に物すごく力を入れておるということでございますから、日本もがまんの哲学ばかりやってないで、そういう点ではやはり内需拡大の思い切った対策を練るということが私は大事だろうと考えております。  私は、このままでは、今年度わが国の経常収支は二百億ドルにいくのじゃないかという感じがいたしております。一方、アメリカはマイナス二百億ドルが予想されております。その乖離、差は四百億ドルです。そうしますと、経済摩擦はもっともっと激化してくるということはもう当然だろうと私は思います。過去の経済摩擦は、経常収支の日米間の乖離が大きくなったときには必ず経済摩擦という形で、いろいろな形でがたがたしていますね。これは経常収支の乖離が開けば開くほどそういう問題が惹起されると言っても私は過言じゃないと思います。こうなってまいりますと、アメリカは当然日本に対しまして、アメリカは輸入をふやして世界経済に活力を与えておる、経済大国の日本は、財政赤字を理由にして外貨ばかり稼いで外国へ失業を輸出しているだけじゃないか、こういうような言い分が向こうの言い分なんであります。財政赤字のために内需を抑制して経常収支を大幅黒字にすることは、外国に対する窮乏化政策と言われてもこれは仕方がないだろうという感じがいたしております。したがいまして、公共投資など内需の振興を思い切って図る、そして世界経済への貢献をする、どうしても世界経済を引っ張るという牽引的な役割りを日本がすべきじゃないか、私はそういう感じがするのですが、大臣、どうでしょうか。
  105. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 一般的に、また大筋といたしまして、いま長田委員御指摘の経済のこれまでの経過、さらにまた、わが国がとるべき経済政策の方向につきましては、全く同感でございます。  私どもは、やはりここまでまいりました経済力で世界経済に貢献すべきだと思います。したがいまして、消費を抑え、輸入を抑え、輸出だけを奨励していく、こんな態度は、現在の日本がとるべきではないことはもう当然でございますので、いま申されましたように、私どもは、ここ当面は内需拡大で日本経済を維持していく、また成長させていくんだ、こういうことを考えているところでございます。  そこで、大変時代おくれになったと言われておりますところのケインズ的政策をいまこそやるべきではないかというお話がございました。私どもも、ケインズ的政策は、日本のような貯蓄の多いところでは、まだまだアメリカと違いまして活用と申しますか、妥当性の余地はあると考えるところでございます。しかしながら、財政が大変苦しいだけに、現在、御案内のように財政赤字のために、そのような公共政策ができないわけでございます。また一方、金利を下げることによって、財政政策がむずかしければ低金利という、かつて行いましたような金融政策でやるべきである。これもまた御案内のように、円高の維持の方向から見て、円安をもたらしてはいかぬというような心配があるためになかなかできない。  大変むずかしい局面でございますが、その中で、本当にラクダが針の穴を通るような気持ちで、いま申されました内需拡大の方策をとっていくべきであろう。それを率先してやっていくのは何か。現在のところでは貯蓄が余っているわけでございます。そういった観点から見ますと、やはり金融政策ではないか、こんなふうに思っているわけでございます。しかし一方、財政政策におきましても、公共投資の前倒しが示しておりますような方向から見て、何らかの形で財源を求めてでも財政政策を活用するような方向をとって、内需拡大の方向をとれという長田委員の御指摘をぜひとも実現するのが日本の進むべき道だ、私はこういうふうに考えております。
  106. 長田武士

    ○長田委員 それでは最後に、塩崎企画庁長官、二月に私はあなたに公定歩合の問題を質問しました。時期も来ているし、金利の弾力的な措置は当然考えるべきであると前向きに発言されたのですが、もう二カ月たちまして、まだ公定歩合が下がらないのですよ。そういう点で、どうでしょう、もう円高基調も定着してきたかなあという感じを私は持ちますし、もうここいらで金融の弾力的な措置という意味で、金利が下がればもっともっと経済に活力が出てくるという感じがするのですが、もう時期も来ておるんじゃないでしょうか。所轄大臣じゃありませんけれども経済担当の有力閣僚といたしまして、どうお考えになっていますか。
  107. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 有力閣僚は公定歩合について権限がございませんので、私は企画庁長官として考え方を申し上げているところでございます。  たびたび申し上げておりますように、円安も大変弊害の多い面がございます。しかしながら、いまのように貯蓄が余って投資と結びつかない。国債で維持されておるような貯蓄、さらにまた消費者金融の方へばかり回るというふうに心配されておるところの貯蓄、あるいは外国の高金利を求めて外国に流出していくような貯蓄、こういったことは長らく続くはずがない。そして、長期金利の利子率が名目成長率よりも高いということはやはり弊害、つまり、冒険投資よりも資本報酬は確定利付的な、安全な貯蓄の方が利率が高いということは、経済の成長のために、発展のために長続きをしないことだろうと私は思いますので、これはいずれまた日本銀行の方で賢明なる判断が下される、こういうように思っております。
  108. 長田武士

    ○長田委員 もう公定歩合も時期が来ておると思いますが、どうでしょう。来ておるんじゃないですか、公定歩合引き下げも。はっきり言ってください。
  109. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 いま申し上げましたように、利子率の高いことが大変心配されておる状況でございます。
  110. 長田武士

    ○長田委員 終わります。
  111. 登坂重次郎

    登坂委員長 午後一時三十分に再開することといたし、この際、休憩いたします。     午後零時三十五分休憩      ────◇─────     午後一時三十四分開議
  112. 登坂重次郎

    登坂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。横手文雄君。
  113. 横手文雄

    ○横手委員 貿易によって成り立っているわが国にとって国際的自由貿易を守ることは当然のことであり、むしろ積極的に推進の役割りを果たすことが必要であります。近年、世界同時不況の影響もこれあり、わが国と米欧との間の貿易摩擦問題が頻繁に起こっていることは、まことに残念なことであります。相手国から貿易障害の指摘を受けた点について、ガットの精神にのっとりこれを改むべきは、けだし当然のことでありましょう。このような観点に立って、政府は、わが国の基準認証制度についてガット・スタンダード協定上の要請及び米欧からの対日要求を踏まえて、市場開放をさらに進める見地から本法律案を提出されたものと認識をいたしております。この認識の上に立ち、以下質問を申し上げます。  五十六年十二月十六日の経済対策閣僚会議決定により、「国内検査・審査手続等の見直しを実施し、」「法改正を要するものについては、次期通常国会に所要の改正案の提案を行う。」こととしていたのであります。この決定の内容に、基準認証制度の改善も含まれると理解するのは常識であります。ところが政府は、みずからが決定してきたことを一年余りもおくらせておきながら、会期あと一カ月しかない、しかも与党の中から起こった解散風が吹き騒ぐこのときに提出をしてくるというのは、余りにも身勝手であり、国会軽視ではありませんか。そして、大臣提案理由最後の方には、慎重審議の上速やかに可決せよ、このように要請をしておられるのでありますが、大臣、まず本法案の提出がおくれた理由、提出に至った経過について明らかにしていただきたいと存じます。
  114. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 予算が上がりました今日、このような法案の御審議をお願いすることは、いささか私どもといたしましても申しわけなく思うところでございます。  しかしながら、何と申しましても現在の日本にとって、自由貿易主義体制を守ることは最も重要な経済政策の一つだと思うのでございます。それにかかわらずなぜこの法案がこのようにおくれてきたかと申し上げますと、これは言うまでもなく、私どもはいろいろと何回も市場開放対策をとってまいりました。しかし、その重点は、一九六〇年代から始まりましたガット体制に基づいたところの例のケネディ・ラウンド、そして東京ラウンドに至りました関税障壁の排除でございます。関税障壁をできる限り少なくすることによって自由貿易主義体制をさらに促進していこう、こういう体制をとったことは御案内のとおりでございます。こんなようなことに忙殺されまして、そしてこの法案が今日に至ったわけでございます。  それと、非関税障壁とは何か、なかなかむずかしい概念でございますので、各国ともこれらの問題について話し合いの中にどのような輪郭を描くか、こんな点についてもいろいろと研究をしなければならなかった点があったことが今日に至りました理由でございます。  さらに、この非関税障壁の問題は、ガットでスタンダードについての協定が出来上がりましたのも一九八〇年、つまり、いまから三年前のことでございます。  こんなような関係でこの法案が今日に至りましたことは大変申しわけないことでございますけれども、このような事情によるものだ、このように御理解を願いたいと思います。
  115. 横手文雄

    ○横手委員 御指摘を申し上げました昭和五十六年十二月十六日の経済対策閣僚会議決定のときに、このようなことが決められているわけでございます。  先ほども申し上げましたように、「国内検査・審査手続等の見直しを実施し、」「法改正を要するものについては、次期通常国会に所要の改正案の提案を行う。」こういう決定がなされているわけでございますが、それから一年有余、しかもこの中には法改正を含むということが明記されているわけでございますから、今回の基準認証制度の改善も当然含む、こういうことが理解されるのは当然の常識的なことではないかというぐあいに思っておるわけでございます。そしてまた、本件については、昭和五十七年十二月三日と四日に開催をされた日米の貿易小委員会等においても、アメリカから強く要請をされておる。こういった事情にかんがみ、これが今日までおくれてしまったということについてちょっと納得がいかない点がありますが、いかがですか。
  116. 田中誠一郎

    ○田中(誠)政府委員 御指摘の点でございますが、確かに五十六年十二月十六日の経済対策閣僚会議におきまして、「市場開放対策」としまして、「輸入検査手続等の改善」の中で、「原則として国際基準に準拠して、国内検査・審査手続等の見直しを実施し、明年一月末までに具体的な改善措置を取りまとめる。なお、法改正を要するものについては、」ただいま先生の御指摘のとおり「次期通常国会に所要の改正案の提案を行う。」というふうに決めたわけでございまして、輸入検査手続につきましては一月に「輸入検査手続等の改善」という形で、経済対策閣僚会議におきまして、諸外国等から改善すべき旨指摘を受けている輸入検査手続等九十九事例につきまして改善措置を決めたところでございます。  ただ、法律改正につきましては、その後検討を進めておりまして、今般その成案を得たということでございます。
  117. 横手文雄

    ○横手委員 じゃ、質問を続けてまいります。  本法案政府内部でまとめる際に、内閣官房長官を本部長とする基準認証制度等連絡調整本部を設置し、同制度の見直し作業が行われました。本法案の担当大臣を官房長官でなく経済企画庁長官とされたというこのいきさつ、当初から経済企画庁長官を本部長として置くべきではなかったか、それが国会に対する責任であり、しかも一貫性がある、継続的責任が明らかであり、内外に対して真剣味もさらに増してくるというぐあいに思うのでございますが、その辺のいきさつはいかがでございますか。
  118. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 まず、基準認証制度等連絡調整本部の本部長が官房長官であったことでございますが、このこと自体が実は異例と申しておいた方が適当かと思うのでございます。本来、官房副長官がこのような各省にまたがりますところの法律案の取りまとめをすることが慣習でございました。しかし、事柄が大変大事でございますので官房長官が、これは政治的と申しますか対外的な宣伝的な意味においても重要性を持ちますので、本部長になられたわけでございますが、御案内のように官房長官の仕事は政務が中心でございまして、法律案などはやはり官房副長官がその技術的な取りまとめをやることが本来の役務でございます。しかし一方、経済的に申し上げますれば、私が経済企画庁長官といたしまして経済対策閣僚会議の座長でもございますし、対外経済政策の取りまとめに当たっている者でございます。そしてまた、私どもの次官が副本部長をいたしております関係もありまして、法律案説明等についての国会との関係はこの私が最も適当である、こういうことで私が担当大臣になったということでございます。
  119. 横手文雄

    ○横手委員 申し上げておりますように、この種の問題は大臣おっしゃいますようにきわめて重要な問題であり、国内的な問題でないわけです。そして、外国からも大きく注目をされているところであります。一体日本の国はこの問題についてどこへ行こうとするのであろうか、どの程度真剣に取り組むのであろうか、こういうことで注目をしておられる。そういうときに一貫性を持たせてやる、その中に責任の所在が明らかになってくる、そして外国からの信頼度も高まってくる。こういうことを考えてみますと、国内的ないろいろな手続はあろうと思いますけれども国会においてこの法律案に責任を持つということであるとするならば、経企長官最初から本部長として就任をされる、こういうことがやはり外国に対する日本の信頼度を高めていく、本当に真剣に取り組んでいるという姿を映し出すことにやはりつながってくると思うのであります。国内的になかなかまとまらないからまさに政治的にやったということで、そして国会では別な大臣が担当しておるという、一貫性について、対外的に大変小手先でやっておるというような印象を持たしてしまうのではないか。私はそれでは大変残念なことだと思うのですけれども、いかがですか。
  120. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 横手委員の御指摘のように、二つに分かれて担当し合うということが外国に対して迫力の欠けることであるというような印象を与えますと大変残念なことでございますし、このような問題についてはなお注意しなければならないかと思うのでございます。しかし、このことは、先ほども申し上げておりますように、普通ならば官房副長官が取りまとめに当たっているのが普通でございまして、官房長官は御案内のように法律案などの説明に当たるような役職ではないというのが内閣の慣行でもございます。  そこで私は、横手委員にひとつぜひとも御理解をいただきたいのは、分業の原則と申しますか、このような形で私が担当大臣になって国会との関係は責任を持つということも一つの行き方として御理解を願い、このようなことで外国にもひとつキャンペーンをしてまいりたい、こんなふうに思うところでございます。しかし、なるべく一致する方が望ましいということはもちろんでございますので、このような問題が将来起こりますれば、当然もう一遍横手委員の御質問を十分にかみしめながら検討してまいりたいと思います。
  121. 横手文雄

    ○横手委員 この問題については、後ほどこの後のフォローの問題のときにもちょっと触れさせてもらいたいというぐあいに思います。  そこで、認証手続を要する法律は当初三十七とも言われ、調整本部検討過程では三十一とも言われたと聞いております。最終的に国会提案に至って十七法律にしぼられたわけでございますけれども、その理由と、また一方、家畜改良増殖法を別途に提出をした理由、さらにまた肥料取締法はすでに今国会に提出をされ、衆議院を通過しておるわけでございますが、またそれに伴う一部の法律改正もこの中には入ってきておる、こういうことでございますが、これらの関連性は一体どうなっておるのか。どうもあっちこっちという印象がぬぐえませんけれども、いかがですか。
  122. 禿河徹映

    禿河政府委員 まず、私からは全般的な問題につきましてお答えをさせていただきたいと存じます。  わが国の認証手続に、外国事業者国内事業者と同じように参加し得る道を法制度的に確保するためにという目的で、この一月から基準認証制度等連絡調整本部におきましていろいろ検討を重ねてきたわけでございます。  その時点におきまして、当初私ども、こういう認証手続制度というものが規定されております法律を総ざらいしてみましたところ、二十九の法律と二つの規則がその対象として浮かび上がってまいりました。これにつきましてしさいにその内容を検討してまいりましたところ、十二の法律と二つの規則につきましては、すでに現行の法律上も認証手続への外国製造業者の参加というものが十分可能となっていて、そこでもう内外無差別の考え方が十分織り込まれておるということが明らかになってまいりました。したがいまして、その分を外しまして残りの十七について法律改正をお願いいたすというふうにいたしたわけでございます。  その中で一つ、御指摘ございましたとおり、家畜改良増殖法につきましてはまた別途の改正検討されておりましたものですから、今回ここに御提案申し上げましたのは、十六の法律につきましてその改正を行う一括法ということでお願いいたしたような次第でございます。
  123. 横手文雄

    ○横手委員 いろいろ理由はあったことだろうと思いますけれども家畜改良増殖法は、本体もなぶらなければならない点もある、そして今回の法律にかかわる問題もあるから、これをセットでよそへ出す。一方、肥料取締法は、本体をなぶらなければならないものもある、しかし、これはもう先に出してしまったから、今回の法律にかかわるものだけまた追加をして出した。しかも、この肥料取締法は、前国会で決まったとかそういうことではなくて、今国会にかかって、ついこの間衆議院を上がったところですね。どうもあっちこっちという印象を受けるのでございますが、そんなことはありませんか。
  124. 船曳哲郎

    船曳政府委員 いまお話しのございました家畜改良増殖法改正関係について、若干御説明をさせていただきたく存じます。  家畜改良増殖法の一部改正につきましては、今国会で御審議をお願いしておるところでございますが、その内容は、大きく分けまして三つあるわけでございます。  一つは、家畜の受精卵、精液ではなくて、受精した後の家畜の受精卵の移植に関する規制の制度を新しくつくるということでございます。最近の家畜改良技術の進展に対応する制度の創設でございます。  それから二つは、かねて海外からも言われておりましたし、国内でも畜産振興の観点からいろいろ議論されておりました、輸入された家畜の人工授精用の精液の利用に関する措置を講ずることでございます。これは受精卵ではなくて、精液の方でございます。  それから三つ目は、家畜人工授精師制度の改善でございます。  この三つを盛り込みまして、いま御審議をお願いしておるわけでございます。  ところで、この家畜改良増殖法の一部改正案を本委員会で御審議いただいております一括法案の中に盛り込まなかったのは、このような考えでございます。  輸入精液につきましては、内外の無差別を図るという観点からの改正をするわけでございますが、その改正のほかに、いま申し上げました家畜受精卵移植に関する規制の制度を新たに設けるための改正、それから家畜人工授精師制度の改善を図るための改正をあわせまして、いずれも畜産振興という観点から一体的に行う必要がございますので、私どもといたしましては、いろいろ考えた結果、この一括法案の中で措置しないで、家畜改良増殖法一本の改正の中で措置することにさせていただきたい、このように考えた次第でございます。
  125. 古谷裕

    古谷政府委員 肥料取締法関係をちょっと御説明させていただきます。  先般、衆議院を通過いたしました肥料取締法改正は二つ柱がございまして、一つは、肥料の取り締まり行政の行政事務簡素化といいますか、そういう観点から、登録制度を中心としている制度につきまして、届け出制を広範に取り入れるというふうなことが一点。それから、最近の肥料の生産状況にかんがみまして、いわゆる工場の副産物等が使われる肥料がある、その辺の品質保全措置の強化。この二点を内容としてずっと検討してきたわけでございますが、成案を得ましたので、なるべく早く国会審議をお願いしたいということで、三月十二日に閣議決定して提出したということでございます。  その時点では、いわゆる基準認証制度に係る部分というのはまだ検討中でございましたので、まずその内容が固まりました部分につきまして審議をお願いするということで提出したものでございます。
  126. 横手文雄

    ○横手委員 説明を聞けばそういうことなんでしょうけれども、印象として、どうもあっちこっちというような感じがするわけであります。だから、どう見てもこの法律は、あわてふためいてつくって、そしてあげくの果てにまとめてどさっという感じを免れないわけでございますけれども、この法律案を今国会で成立させなければならない理由、いろいろあると思いますけれども、最大のポイントはどんなところでありましょうか。ちまたに、サミットへ出席される総理大臣の手みやげだというような話もあるわけでございますが、もしそういうことだとすれば、今日まで、日本はたたけば何か出てくるというような印象、あるいは泥縄式なというようなそしりを免れない、せっかくの努力がそういうことになってしまうというぐあいに思うのでございます。したがって、今国会でどうしても成立させなければならない理由、あるいはまた、仮に今国会で成立しなかった場合どのような影響をわが国に及ぼすのであろうか、この点について大臣、いかがですか。
  127. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 保護貿易主義の台頭を防止し、自由貿易体制をさらに促進するには、何としてもこのような措置を早く成立させることが最も必要だと考えるのでございます。いろいろ、みやげとかなんとかいう、何と申しますか、世間体のいいような評価があるようでございますが、私どもは、そのような趣旨よりも、本当にいま一番重要な経済政策は、いま申しました自由貿易主義体制の促進、それを日本が率先してやることだ、こういうふうに思いますので、これはぜひとも今国会で成立させていただきたいとお願いしているわけでございます。  しかもまた、この内容は、法案でもう御案内のとおり、製造業者であるならば、国内、国外を問わず同じような認証手続の直接申請ができるような法的地位を与えるという、きわめて簡明な、直截なものでございます。これはもう当然外国経済界も希望するところであろうと思いますので、今国会で成立することは、私どもも皆様方の御善意を信じて疑わない。この内容から見て御反対はないというふうに考えるものでございますので、どうかひとつ早期に成立させていただきますことをお願い申し上げたいと思います。
  128. 横手文雄

    ○横手委員 先ほど来聞いておりまして、大臣の御答弁の中にちょっと矛盾するような点があるわけですよ。先ほどの質問の中で、大臣、なぜあなたがその本部長をおやりにならなかったのですかと。これはもう大変大事な問題でございます、普通なら官房副長官で済むことでございますけれども、官房長官がリードをとってやったことでございます、こういうような話。いまの話を聞きますと、外国に対する一部の法改正でございまして、そう至ってむずかしい問題じゃないのだから通してもらわなければいかぬ、こういうぐあいに聞こえてまいりました。  いろいろお伺いをしておりまして、こういうことじゃないかと思うのですね。この法律案整備が進まなかった。官房長官が乗り出して強引な政治力を発揮しなければならなかった。その理由一つに、官僚の強い抵抗があったということをお聞きしておるのであります。立案作業は必ずしも円満に進まなかった。そこヘアメリカ側の強い要請。つまり、先ほど申し上げましたように、昨年の十二月三日、四日に開催をされた日米貿易小委員会等の圧力がかかってきた。どうしようもないということで、政治主導を行ってようやくまとめ上げた。つまり外圧がかかってくる、そして政治主導を余儀なくされ、そして改善策の策定といったパターンでなければ市場開放対策は進まない、こういうことが今日まで言われてきたわけでございますけれども、こういうことがまた露呈をされてきたような感じがするわけであります。日本の市場の閉鎖性、非関税障壁は官僚障壁だと言われてしまうゆえんであろうと思うのでございますが、大臣、いかがでございますか。
  129. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 なかなかユニークな見方もなされるようでございますけれども、私は、いま申しました経済政策的な自由貿易主義を推進するための純粋な気持ちから出たのがこの法案だと考えております。  確かに、官僚と申しますか、各省間の長い伝統、それからまた仕事熱心な官僚の方々の考え方、これらからいたしまして、どんな問題でも各省間の意見をまとめることは容易ではないことは間違いございません。そういった意味で官房長官を本部長とすることも一つの行き方であったと思うのでございますけれども、私は、この問題に関して各省が抵抗したとか、そしてまたこれはもう反対するとか、そんなことは聞いたこともございません。いまの状況において各省は、貿易摩擦をなくすることが最も重要な政策であることを認識されております。  ただ、この法案とは直接の関係はないようなものだと思うのでございますが、各省が持っておりますところのスタンダードと申しますか、基準について、これをどの程度のものに各国との話し合い等によってやっていくか、これについてはいろいろな意見がございます。しかし、これはこの法案には直接の関係がない。各省が持っておる法律、その法律の目標に従って行うものでございます。それも、多分にガットにおきますスタンダード協定等を参考としながらやっていく問題でございまして、本法案をつくるに当たっての問題とは直ちに関係している問題ではない。そういった意味で、この提出さしていただいております法案において、製造者を国内、国外、区別しないという点については、各省間の反対は少なくともなかった、すべて合意を見られた非常に簡明な問題だと考えております。
  130. 横手文雄

    ○横手委員 ただ、申し上げてまいりましたように、前からやらなければならないことであったけれどもなかなか進まなかった。そこで官房長官、先ほど大臣が言われたように、本来なら官房副長官がまとめるべきところだけれども官房長官が乗り出していかなければまとまらなかったというような経緯から見て、いま御質問申し上げたようなことを感じたわけでございます。大臣に、そのとおりでございますという答弁をもう求めるつもりはございません。ただ、こういうことが言われておりますよ、いま否定をなさいましたけれども、しかし一方では根強いものがありますよということだけはきちっと申し上げておきたいと思います。  続いてもう一点、役所に対する関係方面の苦情について申し上げたいと思います。  わが国の行政指導や許認可行政の中には、余りにも役人的である、かつ恣意的な判断が入る等々、民間の活力を阻害している面が多いという意見が多々あります。かつてある新聞が、「現代の鎖国 非関税障壁を衝く」、こういうことで連載をされました。私は、新聞の報道が極端な例を取り上げたり、あるいは誇張が入ったりすることがあるということはよく承知いたしておりますけれども、しかしよく聞く話の中で、たとえば担当者がかわると許認可基準の判断が変わったり、明らかに不要と思われる書類を要求したり、法規が求めていない点については口頭による行政指導がなされたり、民間側から改善意見を出しても省令事項であるからだめだとして取り上げてくれなかったり、極端なのは、臨調が業界から行政のあり方に対する意見を求めようとすると、監督官庁からよけいなことを言うなというような圧力がかかったり等々の話を聞いたのであります。この中には、いま申し上げましたように、誇張された面もあるかもわかりませんし、あるいは国民の皆さん方の役所に対する過剰反応もあるのでございましょうけれども、しかし、問題が多過ぎるような気がいたします。  わが国が今日直面している内外の諸問題を考えてみるとき、民間は生き残るために必死になって働いているのであります。今日、さらに行政改革の見地からも大胆な見直しが必要だと思いますけれども大臣の決意はいかがでございますか。
  131. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 不幸にいたしまして私が官僚でございましたので、答弁に迫力がないかもわかりません。  確かに、日本政府の介入というものは非常に念入りである、こんなところが外国と違うということがよく言われまして、それが貿易摩擦、非関税障壁一つだというふうに言われることがございます。これはしかし、いまおっしゃったように官僚の罪というよりも、日本の社会全体の体質がこのような面をもたらしておる。一つの何らかの事件が取り上げられますと、マスコミから始めまして国会まで、これでいいのかというようなことが、往々にいたしまして非常に詳細な政府の介入になるようなことがあるということも、私は考えられないでもないと思うのでございます。こんなような点は、私どもは心していかなければならないかと思うのでございます。  そしてまた、一たんでき上がりました制度が時代の進展に合わなくなれば、これも十分検討し直す、こういったことが必要かと思うのでございますが、いまおっしゃったような、これによって反射的に、利益を受けている者があってこれが抵抗するような場合がないわけでもないと思います。これらの点は、ひとつ今度の行政改革、臨調の答申を最大限に尊重して、硬直化するような行政、そしてまた過剰な介入、このような問題は解決しなければならない、こういうふうに思います。
  132. 横手文雄

    ○横手委員 私は、日本の官僚の皆さん方は大変優秀であるというぐあいに思っておりますし、先ほど申し上げましたように、民間の役所に対するアレルギーというのでしょうか、過敏反応みたいなものが依然として強いというようなことも否定するわけではないのです。しかし、わが党の塚本書記長が予算委員会等でいろいろと御指摘を申し上げておりましたようなこと、これがちまたにあるということも事実。そういったことが全く何もないところに、こういったキャンペーンがあるはずはないという気もするわけであります。  そうしますと、申し上げてまいりましたように、民間の皆さん方については、生き残るためにどうするか、こういうことで一生懸命に働いておられる。そうして、何かの許認可の問題で行ったときに、余りにも繁雑なことを言われる、とてもじゃないが私らでは手に負えぬ、こういうようなことになってくると、むしろそれが反発になって返ってくるようなこともあるわけでございます。役所の方は、国民の全体の調和をとりながらと言うことはよくわかります。しかし、民間のそういった人たちの気持ちというものも十分酌み上げてあげながら、今回の行政改革の問題等も含めながら、この種の問題についてさらに大臣の指導力を発揮していただきたいということを御期待申し上げる次第でございます。  次に、本法案が成立をし、かつ法改正以外の改善措置が講ぜられた場合、今後の貿易摩擦問題、いま外国からいろいろなことが言われておりますけれども、その問題についてどの程度の寄与をなし得るという判断をしておられますか。
  133. 福川伸次

    ○福川政府委員 この基準認証制度の改善、これは従来、諸外国から日本の市場の閉鎖性の象徴ということで指摘を受けてきたポイントでございます。  もちろん、この制度を改善いたしましたとき、いまございますような日米あるいは日・ECの貿易の不均衡、これが改善する、すぐ輸入がふえる、そういう即効的なものではございませんけれども日本の市場が閉鎖的である、こういうイメージ、パーセプションを払拭するには、私どもとしては十分効果のある措置だと思っておるわけであります。  日本の市場というのは、こういった検査認証制度のほかに、さらに流通機構でありますとか、あるいは商慣行でありますとか、それが特殊だというような指摘もございますが、諸外国の実業家が、日本の市場が閉鎖的であるというイメージを捨てて、日本の市場もアクセスできるんだというイメージを持つ、さらにまたそういう認識の上に立って日本への市場開拓努力をしていく、こういうことの十分な引き金になるのではないだろうか、かように思うわけであります。  また、もちろん日本の商社等も、いま輸入促進の努力というものをいろいろ続けておるところでございまして、新しい商品の発掘といったような努力もいたしておりますし、さらにまた、そのほか輸入促進のためのミッションの派遣でありますとか、展示とか、いろいろな事業を行っておるわけでありますが、諸外国のサプライヤーが、日本の市場はそんな閉鎖的ではないんだ、少なくとも閉鎖性の象徴である検査認証制度改正されたんだということになりますれば、十分日本の市場へのアクセスというものの意欲をかき立てる、こういうことの効果は十分ある。  そういう意味では、貿易のアンバランスをすぐに縮小するほどの即効的なものではございませんけれども、ほかの幾つかの施策とあわせまして、日本の市場へのアクセスが進む、日本への輸入がふえていく、そういうことには十分効果がある、かように認識しておるところでございます。
  134. 横手文雄

    ○横手委員 いまの御答弁の中では、この法律による効果あるいはこれ以外のもろもろの措置によって多くの効果があるだろうということを期待しておるということでございます。  そこで、大臣、いま御答弁の中にもございましたように、この法改正がなされれば当然のこと、これに基づいて行われなければならないのでございますが、法改正以外の改善措置についても、安全の確保等に十分留意しながらも積極的にやはり行っていくべきだというぐあいに私は考えておりますし、先ほど来申し上げてまいりましたように、各関係省庁も十分に連絡を取り合いながら、しかも積極的に協力をする姿勢、改善方針を出しながら進めていかなければならないというぐあいに思っておりますが、これに対する大臣の決意と、関係省庁に対する改善方針の指導等々についてお聞かせください。
  135. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 横手委員御指摘のとおり、私もまた、各省が持っております多くの法律の中の目標はもちろん尊重すべきでございます。  しかし、それに基づきますところの具体的な基準、スタンダードをどの程度にするかという問題は、多分に程度の問題でございます。そして、その程度の問題というものは、いま御指摘の自由貿易主義体制を堅持していくんだ、それを促進していくんだ、そしてまた、貿易摩擦あるいは日本の市場が閉鎖されているんだということがないという観点を強く出して、いま申されました方向で私は基準認証制度の問題を進めていきたい、そしてまた各省に対してこのことを強く要請していきたい、内閣においてもこれを重要な政策とするということを申し上げたいと思います。
  136. 横手文雄

    ○横手委員 ぜひがんばっていただきたいと思います。これが仮に成立した場合、運用をされる場合に、それなりの期待をしておる。それなりにといいますか、大きな期待があるし、これで外国の皆さん方の日本に対する閉鎖的であるという見方も、かなり大きく変わるであろうという期待が込められているわけでありますね。  ただ問題は、私は、そういうことを期待しながら、相手国に対してどうPRをしていくかということも大変大事なことだと思うのであります。外国政府関係機関、業界等に十分周知徹底せしめることが重要であります。  私は、昨年四月、日米議員交流団の一員として訪米をさせていただきました。自民党の野田先生も一緒に行かれたわけでございますが、その中で、ちょうどああいった時期でございましたから、会う人会う人、とにかく日米の貿易摩擦の問題が議論の中心でございました。そのときに、わが国に対して、日本の国は閉鎖的だということを強く言われる。必ずしもそうじゃないということで、われわれは日本の立場に立って、向こうの皆さん方に御説明を申し上げてまいりました。  その中でたとえば、日本人はアメリカのたばこをもっと買ってくれ。買うようにしておる、店屋にもいっぱい並んでおる、こういう話をしましたら、しかしそういうことを言うけれども、いわゆる非関税障壁がある、たとえばアメリカのたばこのテレビの宣伝は英語以外やってはいかぬ、日本語を使ってはいかぬ、こういう規制があるそうだ、それでは幾ら開放してもアメリカのたばこを売りようがないじゃないか、こういうような指摘を受けて、私らの方がびっくりしたわけでございます。私もアメリカのたばこをたまに買うときがありますけれども英語は余り知りません、だけれどもたまに買うときがあります、これはとんでもないことですというようなことを申し上げた一幕もあったのであります。私どもがお会いをいたしましたので、何省のどなたかは忘れてしまいましたけれども、かなりの人だろうと思うのです。そこからそんな話が出てくるということは、これはとんでもないことだ、それこそ偏見もはなはだしいという感じを持ったわけでございます。  私ども、せっかくこのようにいたしまして一生懸命になってこの法律審議し、そしてこの法律に期待をしておるわけでございますから、これが生かされるということのためには、たばこのPRのために日本はテレビの放送を英語以外を使ってはいかぬという規制をしておる、汚いじゃないか、こういった誤解を解いていく、このことが大変大事なことだと思うのです。したがって、これらに対する周知徹底のPRの構想はいかなるものをお持ちでございましょうか。それが一つ。  同時に、私は、相手国の不当な処置に対しても、こういった際に述べていく必要があるというぐあいに思うのであります。たとえば、いま問題になっております長繊維の薄物織物の問題、これは日本からアメリカに輸出をされておるわけでございますけれども、アメリカではほとんどそういった製品をつくっていないにもかかわらず、自分の物差しではじいて、これは二一〇%のダンピング率である、このようなことを言って締め出そうとしておられる。あるいはオートバイの問題、あるいはフランスにおけるビデオテレビの問題、こういったこともたくさんあるわけでございますから、日本の国はここまで開きましたということを徹底していくということと同時に、皆さんの方も考えてもらわなければならないことがある、こういうことはやはり同時に進めていく必要があると思いますが、いかがでございましょう。
  137. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 全く同感でございまして、御指摘の方向で全力を挙げてキャンペーンをしていきたいと思います。日本語という障壁、さらにまた習慣の相違という大きな差異、これらからなかなかキャンペーンということが徹底しないのが、私は、貿易摩擦、市場開放問題の大きな原因であるような気がしてならないわけでございます。  御指摘のように、これから大使館はもちろん、ジェトロあるいは各企業が持っておりますところの海外支店、あるいはまた私どものOTOの諮問会議のメンバー、さらにまた在日商工会議所のメンバーとかいう、あらゆる方面を内外を通じて利用させていただいてキャンペーンに努めていきたい、こういうふうに思うところでございます。
  138. 横手文雄

    ○横手委員 そういうことだろうと思いますが、かなり画期的なことだという自信を持っておられるわけですから、向こうから日本の非関税障壁が高いと言われるその大きな理由を、この際これによって壊していこうというねらいだろうと思います。また、いままでもそういったいろいろな機関に対してのPRはしてこられたことでございましょうが、ここ一番というようなユニークな宣伝方法だとか、あるいはそういった構想を特別に何か考えておられるようなことはございませんか。どこかの役所、ございませんか。
  139. 禿河徹映

    禿河政府委員 私どもにおきましては、三月二十六日に決定いたしました基準認証制度の改善策、その法改正方向でいくということのほかに、各種の改善を図ったわけでございますが、それにつきましては現在まで、たとえば在京の主要国の大使館とか外人記者等に対しましてもその背景説明を行うとか、あるいは欧米等の在外公館におきまして相手国の政府議会あるいは民間団体等々、さらにはプレス関係等につきましても、この決定をいたしました内容等の通報をいたしますと同時に、資料の送付というふうなことも行っております。それからさらに、在京の欧米の商工会議所に対しましても、その目的、内容等を十分説明をいたしましたし、さらに運輸省それから厚生省におかれましては担当者を欧米に派遣いたしまして、関係方面に対しまして詳細な説明を行う、こういう措置もとったわけでございます。  御指摘がございましたとおり、私どもとしては鋭意そういうPRと申しますか、内容の説明に努めてまいったわけでございますけれども、これからもこういう措置につきまして、諸外国におきまして正しい認識と評価が得られますように努めてまいりたい、かように考えております。
  140. 横手文雄

    ○横手委員 そういったことについていろいろな機関を通じてということでございますが、先ほど申し上げましたような、日本人がびっくりするようなことを向こうから言われるわけですね。さっきのたばこの宣伝じゃありませんけれども、英語以外は使うなというような宣伝の仕方でアメリカのたばこが売れるわけないじゃないか、こういう抗議を受けて私どもがびっくりしたような、そういった誤解もあるという事実の上に立って、いままででもやってこられたのでございましょうけれども、今回これによって、高い障壁があるという指摘に対してその根底を崩そうというねらいを持ってのことでございましたら、いままで以上に、金も要ることでございましょうけれども、金も使って大胆なPRというようなものもぜひ展開をしていただきたい。そして、その事実があるとするならば、これはお互いに話せばいいわけでございますけれども、事実もないのに、観念的に、しかもちょっとむちゃな、私らから見ると、自分の想像で言っておるんじゃないかというようなこういった関係というものを、この法改正を契機にしてもっと大胆に、それこそ殴り込みをかけていくぐらいのつもりでやる必要があるというぐあいに考えておりますので、どうかひとつ努力をお願い申し上げたいと思うのであります。  また、今回とろうとしておられる一連の改善措置が完全に履行されるということは当然のことでございますけれども、しかしその後で、ああいうことをしたけれども、やはりこういうものが残っておったというようなことがよくあるわけですね。  たとえば市場開放問題苦情処理推進本部、OTOがその開放措置の一環として設置をされた。どんどん苦情を言ってきてください、これでかなり門戸を開きましたというようなことでございましたけれども、しばらくたつと、あの苦情処理機関に行くと、住所氏名を明らかにせよ、そうでないと取り上げてくれぬ、こういうことで、どうもあれは苦情処理機関としての役割りがない、だから、苦情処理機関に対する苦情、というような漫画みたいな話も出たと聞いております。今日ではかなり改善をされたと聞いておりますけれども、そのようにいたしましてせっかく努力をしてやってみても、そのことがかえって不信感を招くような、彼らはまだベールをかぶっておる、彼らはまだよろいを着ておる、その証拠がこれだと言われるようなことのないようにしていくことが、またきわめて重要なことだろうというぐあいに思っております。  そこで、政府内部の監視機関あるいは担当大臣、こういった問題について、この法律の通過後どこがそのような機関を持たれるのか、そして担当大臣はだれなのか、行管庁なのかあるいは調整本部なのか、これらの問題についていかがでございますか。
  141. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 大変貴重な御意見、さらにまた御鞭撻を賜りまして、感謝申し上げたいと思います。  この法律ができましたらだれが責任者になるかという問題でございますが、御案内のように、この一括法によりまして十六の法律が修正されるわけでございます。日本の法制上は、御案内のように各省大臣がその所管の法律の責任者でございます。したがいまして、製造者を内外を問わず同じような待遇にするということの責任は、薬事法に基づくところの制度は厚生大臣であり、肥料取締法に基づくものでございますれば農林水産大臣、こういうことになるわけでございます。そのスタンダード、基準につきましても所管大臣が責任を持つということは、これはもう法制上明らかでございます。  そこで、これを通じてどうするかという問題は、これはもう内閣が責任を持ってこの問題を統一的に推進していく、こういうことになろうかと思います。さらにまた、経済対策閣僚会議等もございまして、常時このような問題についての論議が行われる、そしてまたその推進が図られる、こういうふうに御理解を願いたいと思います。
  142. 横手文雄

    ○横手委員 そうしますと、経済対策閣僚会議が、この推進がうまくいっておるのか、たとえば先ほど申し上げましたように、OTOをせっかくつくった中で、これも大変いいことだし、私は大きな成果を持っておると思います。しかし一部の人たちから、せっかく苦情を持っていった、後々のこともあるものだからその所在は明らかにしない、ただ事実としてこんなことがあるからどうぞ取り上げてくださいということを言ったら、きちっと言わぬとそれはしてやらぬというようなことだった、あれでは持っていきようがない、こういうようなことで批判が出てきた、そしてそれが今日ではかなり改善されたということを聞いておるわけでございますが、各省庁にまたがるということになると、各省庁によって受けとめ方、細かい基準等についてまたそこに乱れがあって、せっかくやったけれども違うじゃないかというような苦情が出てくるようなことが断じてあってはならない。こんなことがあれば、やはり日本は常にたたいておらぬとやらぬ国だ、こういう印象をいよいよ強くしてしまうと思うのですね。私は、そういったことはこの際お互いにきれいに払拭をして、事実と事実を突き合わせるようなことで交渉が進められていく、これがやはり国際的な正常なルートだと思うのです。  そこで、そういうことではなくて、もう少ししぼってどこかに責任を持たせるというようなことも必要ではないかと思いますけれども、必要ありませんか。
  143. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 御指摘の点は、大変ごもっともでございます。そしてまた、御指摘のような弊害が起こりまして、外国から日本法律をつくっただけではないかとか、あるいはまたのど元を過ぐれば熱さを忘れるというような印象を与えますれば、これはもう貿易摩擦の問題が解消できないどころか、激化することは当然でございます。  私どもは、この問題が一番重要な政策であると考えておりますので、万一そのような問題が起こりますれば、これはいろいろの機構と申しますか、監視機関とか、そういったものを考える必要が出てくるということも考えられるかもしれません。しかし、いまのところは私は、実施本部によって決定されました内容、さらにまたそれから出てまいりましたところのこの法案の実施、それはもう担当大臣によって十分に行われる、もしもそれによってまだまだ十分に施行されないためにいろいろの弊害が出ますれば、これはまた別途に考えなければならない、こんなような支障が起こらないことをむしろ望みたい気持ちでございます。
  144. 横手文雄

    ○横手委員 そういった問題について、貿易摩擦問題が激化している状況下にある今日、この問題はこれからもわが国にとって大変重要な問題である。  今回は輸入の手続に関することでありますけれども、一方、逆に相手国の方からも、日本の産業だとかそういったものを無視して、あれ買えこれ買えというようなこともよくあるわけですね。  たとえば牛肉だとかオレンジの問題なんかがそういうことだろうというぐあいに思うわけでございますが、そういう自由貿易を守っていくということは、わが国の産業があるということが前提でございますので、これをまるっきり壊すようなことはとてもわが国としてはのめないわけでございます。これらの問題のために、問題が提起されるたびに外務省あるいは通産省、農林省、それぞれの立場でいろいろな意見が述べられて、それがマスコミに報道される。そうすると印象として、各省庁がばらばらに対応しているという印象はまことにまずい、日本の国の一元的対応が必要であろうというぐあいに思うのであります。  このことについては第二臨調の答申の中にも触れているのでありますが、かつて福田内閣のときに、対外経済問題担当国務大臣ということで牛場さんが大変がんばってくださった一時期があった。そこへ、これらの問題について窓口を一つにしぼってきたというようなことがあったのでありますが、こういったことを踏まえて、一元的対応の強化というようなことを総理に進言すべきだという気がいたしますが、これは外務省になるのでございましょうか、いかがですか。
  145. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 横手委員の御提言として、私は総理にお伝え申し上げたいと思います。
  146. 田中誠一郎

    ○田中(誠)政府委員 担当大臣の一元化の問題は別にいたしまして、従来どういう形で対外、特に市場開放対策問題を扱ってきたかというような点について若干触れておきたいと思います。  御存じのとおり、自由貿易体制の維持強化、それによります貿易の拡大均衡、それがわが国の対外経済対策の基本でございますが、一昨年の末以来、数次にわたりまして対外対策をとってまいったわけでございます。今回の法律改正もその一環をなしているわけでございます。対外対策につきましては、その都度、内外の経済情勢に対処いたしまして、機動的、集約的、効果的に対処していくということをねらってまいったわけでございまして、御存じのとおり経済対策閣僚会議でございまして、経済企画庁長官が座長になりまして対外経済対策については一元的な対応をしてまいったわけでございます。その意味で、今後とも貿易摩擦問題をめぐります対外経済対策問題については、政府全体として一元的かつ機動的な対応を行ってまいりたい、かように考えております。
  147. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 外務省としての立場からお答えいたします。  いま先生の御指摘がございましたように、わが国の国際社会における責務の増大、諸外国との相互依存関係がますます深まっているというような状況におきまして、適切な対外政策を政府全体として一体的、機動的に処理することが非常に重要であると考えております。  先生御指摘のように、かつて対外経済相に牛場元大臣が就任されて、東京ラウンド交渉等の任に当たったことがあるわけでございますけれども、このような対外担当大臣というような問題につきましては、目前の交渉事項の有無とか関係各省間の協力のあり方というような点をも踏まえて、今後検討してまいりたいと考えております。
  148. 横手文雄

    ○横手委員 いろいろな役所の答弁を聞いて、それで大臣、と言おうと思ったら、大臣先にお答えになったわけでございますが、私はこういうことが大変必要ではないかという気がつくづくとするわけです。  マスコミ等に、外務省はかくのごとく対応した、通産省はこうであった、農林省はこうであった、それはそっくり他の国にも行くわけでありますから、どこかにしぼって、たとえばと申し上げたのはかつての牛場大臣のようなことでございましたけれども、こういうことも必要じゃありませんか、大臣はどう考えておられますかということを最後にもう一遍お聞きしたかったのですが、最初に御答弁がございましたが、もう一遍お願いしたいと思います。
  149. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 大変重要な御提言でございまして、一貫性を持った、また統一性を持った対外問題の処理は、いま最も重要な問題でございます。  いま私の方の調整局長から申されましたように、実は私が経済対策閣僚会議の対外経済政策問題の座長でございます。私がまずその責任を果たさなければならぬかと思うのでございますが、しかし、まだまだいまの各省の官制と申しますか各省のあり方の中で、なかなかむずかしい問題がございますので、横手委員はそのようなことをおっしゃられるのではないかと思いますので、ひとつこの問題は慎重に検討し、また中曽根総理大臣にも横手委員の御提言としてお伝え申し上げたい、このように思います。
  150. 横手文雄

    ○横手委員 私は、別に屋上屋をつくれというようなことを言っておるのじゃなくて、かつてこんな例もあったじゃありませんかということでありますし、いま座長の席にあられる大臣に大きく期待をしながら申し上げていることでございます。どうぞ真剣に一遍検討をしていただきたいということをお願い申し上げます。  次に、法案の中身の問題について少しお伺いをいたします。  本法案により、認証手続に関し内外無差別の確保が図られるが、改正対象法律はそれぞれ、この法律ができたその制度趣旨は安全基準を重視しているのでありますが、その安全基準の緩和が図られることはないというぐあいに理解をしておりますが、この点はいかがですか。  また、法改正以外の改善措置の内容もまた安全基準の緩和がされるということを含まないと理解しておりますが、この点についていかがでございましょうか。
  151. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 この法律は、御案内のように、製造者に内外を問わず同じような法的地位を与えるということにした法律でございまして、問題は、基準、スタンダードが今後どのようになっていくか、これは三月二十六日の推進本部において決定されたところからおわかりのように、いろいろの観点から検討する。御案内のように、安全性の基準は依然といたしまして法律に書かれた明白な基準でございますから、これが弱められることは全くないと私は思います。しかし、どの程度のものを安全と考えるかということにつきましては、いろいろ国際的な観点等がございましょうから、これらの問題については安全性の基準の中で考えられる問題だ、こんなふうに考えております。
  152. 横手文雄

    ○横手委員 余り時間がございませんので、たとえば食品添加物の問題、医療の問題、これらは国民の生命にとって大変大事な問題なのであります。いまの大臣の答弁で、そういうことは絶対にありませんということであるとするならば、われわれはそのとおり理解する以外にないわけでございます。  ただ、そういうことの話の中で、一部運輸省から出されておるこの資料の中に、タイトルの最後の方に「安全基準の緩和の方針を決定」、こういうことがございますし、本文の中にも「安全基準の緩和等の方針を決定した」、こういう資料が出ているのでございまして、大臣のお言葉を信用はいたしますけれども、このような資料があります。あるいは、薬事法その他食品衛生法等についてもそんなことは絶対にないと言われるけれども、ここに書いてあることはどういうことなんでしょうかということなんです。
  153. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 ただいま先生御指摘のように、私どもの資料に「緩和」という言葉が使ってございますが、これは私どもの気持ちとしては、相手国から見たときの条件の緩和でございまして、安全水準あるいは公害の水準、レベル、こういうものを落とすつもりでそういうことを決めたわけではございません。  たとえば、お手元の資料にもあるかと思いますが、今回、安全基準につきましての改善措置を自動車につきましては十一項目ばかり決めております。これは、基準がそれぞれ国によって違います。日本とアメリカ、ヨーロッパで基準が違います。それで、それぞれの国の基準でやっておりますと、それがまた自動車の輸出入にとっての障害になるということで、わが国の基準とヨーロッパ、アメリカの基準との調和を図るという観点で安全上問題がない、技術が進歩をしましたからそこに十一項目書かれているようなものにつきましては安全上問題がないということで決めたわけでございます。したがいまして、安全の水準を低下させるとかあるいは公害の確保の水準を低下させるとかということではございませんので、そのように御理解を賜りたいと思います。
  154. 横手文雄

    ○横手委員 それでは、時間もなくなりましたので、法律の中身についてまとめて御質問を申し上げますので、ひとつそれぞれお答えをいただきたいと思います。  まず最初に、先ほども議論になっておりましたが、この法律によれば、肥料取締法農薬取締法薬事法の三法律では国内管理人を置かなければならないということになっております。この国内管理人の適格要件と、どういうことをされるのか、その任務についてまず一点。  それから、この法案作成過程の中でこの国内管理人を置くというときに、消費生活用製品安全法あるいは液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律についても必要ではないかという議論があったやに聞いておりますが、最終的にこれは消えたということであります。このようにいたしまして国内管理人のある法律とない法律とあるわけでございますが、ない法律の場合に、もし不良品が出たり危険品が出たりという場合、回収責任者と回収方法、回収費の負担、これは一体どうなるのでございますかというのが第二点。  それから、最後になりますが、先ほど来お聞きをいたしておりますように、大臣の答弁の中では、これは安全の基準の緩和が図られるようなことではないということをおっしゃっているわけでございまして、そのとおりであろうと思いますが、ただ薬事法改正によりまして外国製造医薬品等の製造の承認が行われることに相なりますが、これに対する国民の不安も強いということであります。たとえば国内メーカーであっても、かつてマスコミをにぎわしました、国民がぞっとしましたように、その研究の資料が捏造であったりあるいは実験をしていないものがされたというような結果として出された、それは薬事審議会等も見抜けなかった。国内の中にあってもこういった事故があって国民の皆さんはぞっとしたわけでございますが、外国からということになってまいりますと、たとえばキノホルム等についても、日本人は過敏に反応するけれども外国人はそう反応しないというような話もあります。よって立つ食料の問題あるいは体格の問題といったいろいろな差があるにもかかわらず、外国製造されたその実験結果に基づいてどっと入ってくるということに対して大変不安感があるわけでございますが、これらに対する政府の見解をお聞きいたしたいと思います。
  155. 古谷裕

    古谷政府委員 肥料取締法農薬取締法国内管理人について申し上げますと、これは今度の法律改正によりまして、外国の生産業者に登録申請を直接行う道を開いております。ということになりますと、現行法で国内の生産業者は登録取得したことに伴ういろいろな義務があるわけでございますので、それについて同様な義務規定を設けたわけでございます。  たとえば登録した場合の帳簿備えつけというふうなことでございますが、ただ、やはりあくまでも外国の生産業者でございますので、国内での農薬なり肥料の品質確保ということを図りますためには、外国に一々照会するというのもなかなか大変でございます。そういう観点から国内管理人という制度を設けまして、いまの帳簿備えつけあるいはその報告徴収なり立入検査があった場合にこれを受けるというふうな規定を置いたわけでございます。  具体的には、この法律に書いてございますが、品質の不良な肥料または農薬の流通の防止に必要な措置をとらせるためのものということで、本邦内に住所を有する者のうちから選任するということが法律規定されてございますが、具体的に申しますと、たとえば農薬の場合、現在は農薬の国際的な大手メーカーというのは大体現地法人日本にあるわけでございますが、そういう現地法人が恐らく登録申請を直接取得した場合には国内管理人に選任されることになるであろう、あるいはそういう者がない場合には輸入業者というふうなことになるだろうと思うわけでございます。いずれにしましても、肥料または農薬の品質に関しまして十分な知識経験を持っている者が選任されるというふうに考えております。
  156. 持永和見

    ○持永政府委員 薬事法におきましても国内管理人を置くことに規定いたしておりますが、これにつきましては、先ほど農林省から御説明がありましたのとほぼ同様でございますけれども、特に医薬品の場合には、副作用の恒常的な報告義務でございますとか収集の義務でございますとか、また一たん事故が起きました場合に廃棄、回収命令に従うとか、あるいはいろいろな緊急措置がございますから、こういったものについてやはり迅速にかつ恒常的に国内で対応する、薬事法の措置を責任を持ってやってもらう人が必要だということで国内管理人を置くことにしているものでございます。  以上のような状況でございますので、国内管理人につきましては、やはり薬事法に関します相当の知識経験を有する人ということが前提でございます。そういった中で、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、現在は外国製造業者の支店でございますとか子会社でございますとか、そういったものがございますので、そういった人たちが恐らく管理人に選任されるのじゃないかというふうに考えられます。  それから、次の御質問のデータの問題でございますが、一応今回の薬事法改正そのものではございませんけれども、いわゆる市場開放制度の一環といたしまして、外国のデータについていろいろと改善措置を講じております。しかしながら、わが国の薬事法におきます審査の問題につきましては、先生も御指摘ございましたように、昨今いろいろと不祥の事態が発生いたしておりまして、そういう意味合いで、私どもといたしましても審査体制の強化充実ということを図ってきております。  具体的に申し上げますと、ことしの二月からすべての医療用薬品について生データのチェックをするとか、あるいは四月からは、試験を行った人につきましては申請データに試験者自身の署名押印をさせるというようなことをいたしますとか、あるいはことしの四月から、動物などの安全性試験につきましてはGLPという基準を定めまして、それへの適合を義務づけるというようなことにいたしておるわけでございまして、これは国内外を問わず外国製造業者にも厳正に運用をいたすつもりでございます。  また、仮に外国のメーカーによります不正な申請データの提出などといった薬事法違反行為がございました場合には、今回の法律によりまして、外国メーカーへの立入検査を請求するとか、それを拒んだりあるいは法令違反がありましたときには、承認の全部または一部を取り消すというような厳正な措置をとることにいたしておるわけでございまして、安全性の確保につきましては万全の配意をしたつもりでございます。
  157. 福川伸次

    ○福川政府委員 消費生活用製品安全法等の管理人の件でございますが、薬事法等におきましては、ただいま厚生省からお話がございましたように、副作用などの検査データの収集を恒常的に行わなければならない、そういった場合に管理人を置くことにいたしておるわけでございます。  消費生活用製品安全法等につきまして、この法律に基づきます請求等の通知を受領する権限を持つ者を置く必要があるかどうかというところが実は問題になったわけでございますけれども、この点につきましては、国内に特に受領権限を持つ者を置かないでも、相手国政府の同意がございますれば直接海外の製造事業者にその請求等を送達することも可能でございますし、そういった恒常的な義務を課して情報提供を求めるというような必要性のないものでございますので、この送達を受領する権限だけのために管理人を設置する必要はないのではないか、直接外国へ送達する方法があるのではないかということで置かないことにしたわけでございます。  その場合、いま横手委員お尋ねのように、しからば危険物が出回った場合にどういうふうな措置が講じ得るか、こういうことでございますが、今回の改正法におきまして、外国登録製造事業者製品に係ります危険品の回収というようなことが必要になりました場合には、その当該外国事業者に対して回収を請求することができるという条文が設けられておるわけでございます。請求に応じない場合には当然登録の取り消し事由ということになっておりまして、その場合、取り消されれば以後二年間は登録を受けることができない、こういったことで十分実効性、強制力があるわけであります。  もし請求に応じない場合どうするかということが、もう一つ次の段階で問題になるわけでありますが、その場合には行政代執行法による代執行によって市場から危険品を回収する、こういうことにするというのが今回の考えでございます。その場合、行政代執行で要しましたその費用につきましては外国登録製造事業者に対して請求を行う、こういう立て方でございまして、危険品の回収ということにつきましては遺漏のない措置を講ぜられるようになっておる、また、そのような措置を講ずるというふうにいたす考えでございます。
  158. 横手文雄

    ○横手委員 終わります。ありがとうございました。
  159. 登坂重次郎

    登坂委員長 次に、小林政子君。
  160. 小林政子

    ○小林(政)委員 外国事業者による型式承認等取得円滑化のための関係法律の一部改正、いわゆる基準認証制度、これが今国会に上程をされているわけでございますが、大臣の御説明によりますと、これは一つ理由は、自由貿易、市場開放といった問題を通して内外無差別の制度を打ち立てていくのだということでございます。わが国に対する欧米諸国の市場開放要求が非常に風当たりが強いことも事実でございますけれども、わが国は、関税率あるいはまた残存輸入制限品目といった点などは他の欧米諸国に比べて進んでいる方ではないか、私はこのように思っておりますけれども、この点について、まず基本的なお考えをお伺いいたしたいと思います。
  161. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 小林委員御指摘のように、私どもは、まず関税障壁の排除について非常に努力してまいりました。  戦前は、御案内のように関税同盟というような形で各ブロック経済ができ上がりまして、そのせいでございましょう、戦前の貿易の伸び率というものは年にわずか〇・八%あるいは〇・九%程度であったと言われるわけでありますが、戦後はやはり自由貿易主義体制でなければならない、そしてまた関税障壁というものもなくさなければならないという新しい体制が進められまして、戦後の貿易の伸び率は年間八%ぐらいで進んできたわけでございます。約十倍ぐらいのスピードで進んでまいりましたのは、これまで戦前と違って関税障壁がだんだん取り除かれてきた。結果といたしまして、現在ケネディ・ラウンドから東京ラウンドへ進められてまいりました率から見ますと、東京ラウンド終了後の日本の関税率はまた低目でございます。アメリカに比べヨーロッパに比べて、全く遜色のない低さだろうと私は思うわけでございます。さらにまた、形式的な品目のきらいはございますけれども、残存輸入制限品目もフランス等に比べれば確かに少ない国でございます。特に、農産物についてもそのことは言えるかと思うのでございます。  しかし問題は、残存輸入制限品目は非関税障壁のうちに入るかと思うのでございますが、日本の市場というのは関税障壁よりも非関税障壁が大変厚い壁になっておるという批判がなかなか強いことは、いま小林委員御指摘のとおりだと思うのでございます。そのことは、たびたびここで申し上げておりますように、輸入手続あるいは検査手続等の問題のみならず、産業政策、政治と経済のあり方、あるいは習慣まで含めての非常に広範な観点から非関税障壁というものの中に数えられて、これが日本に対する批判の一つとなっていることは御案内のとおりでございます。しかし、根本は、やはり日本のアメリカやEC諸国に対する大幅な出超、貿易黒字がその背後にある、それがまたこのような問題をもたらしているということも否定できない事実だと考えております。
  162. 小林政子

    ○小林(政)委員 いろいろとお述べになりましたけれども、わが国の工業製品の関税率は、アメリカ、ECよりも低くなっているわけです。これは推定ではございますけれども日本が三%、アメリカが四%、欧州の場合には五%となっております。これは日本は八七年度までに引き下げを行うということになっておりますし、実際問題として二年間前倒しで日本は早めているというような事実もございます。  残存輸入制限品目も二十七品目と言われてまいりました。これは農業が二十二品目で、工業五品目を含めて二十七品目です。フランスの四十六品目というようなことから見れば、日本の二十七品目というのは残存輸入制限品目としても非常に少ないと言えると思いますし、アメリカではウエーバー条項によって、ミルクだとかチーズだとかバターだとか、こういったようなものが十三品目も残存輸入制限品目ということになっておりますし、また、バイアメリカン法というものを見ますと、国内製品を最優先で買うというようなことが言われておりますし、市場開放の問題については、他国に比べて日本の場合は遜色がないと言っても過言ではないのではないか、このように私は思いますけれども、こういう点についてどのような見解をお持ちなのか、再度お伺いをいたしたいと思います。
  163. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 先般、大河原駐米大使が講演をいたしまして、日本の市場は開かれていないと言われるけれども、アメリカの市場もそのような意味では開かれていないというような——それほど開かれていないという意味でございましょう、そのような講演をしたということが新聞で報道されたことは、御案内のとおりでございます。  市場の開かれ方についていろいろな見方はございましょうけれども、私は、最近の努力から見て、日本の市場というものは開かれている、どの程度開かれているかなかなか程度はむずかしいのでございますけれども、開かれていると考えて間違いないと断言できると思うのでございます。しかし、それが多分に私どもの見方であってはいけない。やはりヨーロッパやアメリカの人が見ても、そのような印象を持ってもらわなければならないと思うのでございます。  現在のところ、関税率について確かに大きな引き下げがあって、いま小林委員も申されましたような姿になっているわけでございます。しかしながら、この問題は、やはり自由貿易体制推進のために、そしてまた、自由貿易体制の一番の恩恵を受けていると言われる日本が率先してやる必要があるであろうということも、私は掬すべき意見だと思います。このような観点、さらにまた、非関税障壁というものはなかなか定義のむずかしい、関税のように法文に書いて税率等が目に見えるものと違いまして、いま申しました言語から社会的な習慣に至るようなものでございます。この点を含めての検討が必要だと言われますのも、また現在の日本の貿易状態から見て一つ考えなければならない点であるということも私は事実だと思います。  これらの点を考えて、いま言われておりますのが市場開放の問題であり、そしてこの法案を提出した理由だと思うところでございます。
  164. 小林政子

    ○小林(政)委員 今回のこの法案は、日本とアメリカあるいは日本と欧州の間の貿易摩擦と一般に言われております問題に対応して市場開放を図るのだということが大義名分になっておりますけれども、一体どのような経過で今回十六本の法律がこの国会に提出をされることになったのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  165. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 この点につきましては、政府委員からも説明がございました。五十六年の十二月に経済対策閣僚会議決定されました市場開放問題の中に、法律の形での検討を含めての基準認証制度の問題等がもうすでに出ていたのでございます。しかし、その後行われましたのは検査手続であり、関税の問題であったわけでございまして、今回、昨年の日米会談その他の会談を契機にいろいろ話し合う過程におきまして、私どもがやはり考える必要があると思って研究したのが、この法案であったのでございます。  この問題、製造者の内外無差別待遇というきわめて簡明な法案でございます。スタンダードというような内容の問題は、法案の問題よりも各十六法律の具体的な実施の問題でございますので、直接の関連ではございません。製造者の内外無差別という制度がアメリカでも行われているというようなことも十分考えましてとったのがこの法案でございます。
  166. 小林政子

    ○小林(政)委員 要するに、市場開放を進めていくというような立場から出されたものだというふうに私は思っておりますけれども、間違いないかどうか。  それからまた、今回の法案は、欧米諸国から、わが国の認証手続、先ほど来言われております非関税障壁ですね、こうした点も指摘をされていると伝えられておりますけれども、この問題は一体政府として、非関税障壁というのはどういうものが非関税障壁であるとお考えになっていらっしゃるのでしょうか。この二点についてお伺いをいたしたいと思います。
  167. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 第一点は、当然市場開放措置といいますか、内外無差別という内容を直接申し上げた方がいいかと思うのでございますけれども、しかし、広い意味において市場開放政策一つであることは間違いございません。  それから第二に、非関税障壁とは何か。先ほど来私がもうるる申し上げておりますように、大変むずかしい概念でございます。法律上のあるいは経済学上の正確な定義も私は余り見たことがございませんけれども、とにかく目に見える、関税定率法の中に書いてあるような税率等で明示されました関税障壁以外の貿易の障害になるようなもの一切を含めて言っておるのだと思うのでございます。それは多分に検査基準が違うとか、あるいは割り当て制度まで入っているようでございます。さらにまた政治と経済の結びつき、産業政策のあり方、さらにまた金融機関と企業との関係とか、流通市場のあり方とか、それまで含めて言われておりますのみならず、言葉の相違まで含めて言われることがあるようでございまして、私どもは、一義的な定義はまだ見当たらないと思っております。
  168. 小林政子

    ○小林(政)委員 非常に広い定義をいま述べられましたけれども、今後いろいろと出てくると思われるような流通市場の問題も含まれているというふうに受けとめておきたいと思いますし、認証制度の問題とも関係があるのではないか、私はこのようにも思いますけれども、いかがでしょう。
  169. 福川伸次

    ○福川政府委員 いま経済企画庁長官から御答弁がございましたように、非関税障壁、いわゆる関税でない障壁をまず概括して言うわけでございますけれども、いまございましたように割り当て制もございますし、それから政府調達のものをも含めて考える方もいらっしゃいますし、また、いまお話しのように流通機構等まで含めて考える意見もございます。  しかし、その中で最近非常に主要な問題になっておりますのは検査・認証の手続でございまして、これは特に国内の諸法令に基づきまして輸入検査手続、こういったもので不当に輸入を阻害しているものを主として非関税障壁のうちでの検査認証制度の問題として取り上げられているわけでございまして、諸外国からも、そういった日本検査・認証手続というのは内外で差別しているのではないだろうか、あるいは国際的なレベルから見て厳し過ぎるのではないかとか、いろいろな問題があるわけでございまして、そういった中で今回の内外の無差別を実現するということで、ガット・スタンダードコードに合わせました体制を実現していこうということでございまして、いま先生の御指摘のように、検査認証制度というのも諸外国から非難を浴びている非関税障壁の主要な問題の一つでございます。
  170. 小林政子

    ○小林(政)委員 大臣の御答弁の前にそういうお話を伺いたいと思っておりましたけれども、結局、認証制度の問題も当局としては考えているんだというふうに受けとめたい、このように思っております。  次に、ガットのスタンダード協定の前文で、認証制度の要件についてこのように述べられております。認証制度の要件を利用して「恣意的若しくは不当な差別の手段となるような態様で又は国際貿易に対する偽装した制限となるような態様で適用しないことを条件として、」と明記しているわけでございます。ですから、わが国が認証制度を利用して外国事業者に不当な差別をしているために今回の法律改正が必要となったのかどうなのか、こういった点もこの際ですから私は聞いておきたい、このように思います。
  171. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 お答えいたします。  ただいまの御質問趣旨は、わが国の認証制度をガット・スタンダード協定との関係でどういうふうに考えるべきかということかと思います。  この点につきまして、まず、ガットの協定と個々の国のとっている措置との整合性というものにつきましての判断はどこで下すかという点から申しますと、ガット規定の最終的解釈は、実際に生じてまいりました締約国間の紛争等に即して、ガットの締約国全体の意思決定を行いますガット締約国団がその判断を行うこととなっております。スタンダードの問題につきましては、スタンダード協定というものに締約国のうちかなりの国が加盟しているわけでございますけれども、このスタンダード協定に加盟している国から構成しているガットのスタンダート委員会が、いま申し上げましたような判断を行うことになっております。  いままでのところ、わが国の認証制度につきましてスタンダード委員会がガットとしての判断を下したことはございません。また、外国認証制度について、この点につきましてわが国との関連でどうかというような参考となる判例もございません。  私ども考えておりますところでは、わが国の認証制度自体がスタンダード協定に反していると考えているわけではございませんけれども、他方、先ほど来話題に上がっておりますように、わが国の認証制度が非関税障壁となっているのではないかという認識が、諸外国において広く持たれてきていることは事実でございます。その観点から、わが国の認証制度について、スタンダード協定に照らして問題があり得るのではないかという指摘も諸外国から行われてきている次第でございます。  この点は、若干技術的になりますけれども、いま先生の言われました前文との関係について申し上げますれば、前文に「恣意的若しくは不当な差別の手段となるような態様で又は国際貿易に対する偽装した制限となるような態様で適用しないことを条件として、」というふうになっておりますけれども、ここの、何をもって「恣意的若しくは不当な差別の手段」とするか、あるいは、何をもって「国際貿易に対する偽装した制限」となるかというような点につきましては、まさに冒頭に申し上げましたように、個々の紛争事例等に即して、スタンダードにつきましてはガット締約国団、スタンダード委員会において判断が下されることとなるということでございまして、その点につきましては、冒頭に申し上げましたように、まだ確たる判例のごときもの、あるいは、その判例を通じてのぴしっとした解釈というものは出ていないのが実情でございます。
  172. 小林政子

    ○小林(政)委員 そうすると、これは判例が出ていないからどうだか、態度がよくまだ決まっていないということなんですか。それとも、いままで述べられていたようなこういう事実は、実際には日本の場合には行っていないというふうに皆さんは考えていらっしゃるか、この点をまずはっきりさせてください。
  173. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 ただいま申し上げましたように、判例のごときものはないわけでございますけれども、ガット・スタンダード協定の規定とわが国の認証制度との関係考えていきますに当たりまして、スタンダード協定の第七条におきまして、締約国の認証制度外国の供給者に対して国内の供給者と差別せずに開放するという規定がございます。それから、スタンダード協定の第五条におきまして、認証制度の一部であります検査という点に着目いたしまして、この点についても内外で差別してはならないということをはっきりと決めております。  この五条、七条とわが国の法改正前の認証制度の各法律の立て方と照らして考えてみますと、まず形式的に見まして、五条及び七条の要件を満たしていないというものはあるわけでございまして、そこから先は、先ほど申し上げましたように、それが恣意的もしくは不当な制限となっているか否かということの問題になるわけでございます。そこの点の論議につきましては、ガットのスタンダード委員会等における紛争処理等を通じての判断を待つということでございます。
  174. 小林政子

    ○小林(政)委員 じゃ、この五条、七条というのはどういう中身ですか、ちょっとお知らせください。
  175. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 それでは、五条、七条の要点を申し上げます。  第五条は検査に関する規定でございまして、その趣旨は、第一に、規格との適合性に関する検査の条件、手続等は、輸入産品について、同種の国内産品または他の同種の外国産品に与えられる条件より不利であってはならないということ。いまのが基本的な規定でございまして、そのほかに、これは内外無差別という観点とは別でございますけれども、適合性の判定を容易にするため、可能なときは外国の機関による検査結果の受け入れ等々ということを決めております。  それから、内外無差別との観点から、認証制度全体につきまして規定しておりますのが第七条でございます。  この第七条の基本的なポイントは、第一に、各国の認証制度を貿易障害とならないように作成し、適用すること。それから第二に、外国産品の供給者に対して、国内のまたは他の外国の同種産品の供給者に与えられる条件よりも不利でない条件で当該認証制度を開放すること、ということを定めております。この点が先ほど来申し上げております内外無差別という点でございます。
  176. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、いままで御答弁を聞きまして、そして、わが国が認証制度を利用して外国事業者に不当な差別をしていたためにこういう法律案が今回提出されたのだということではないんじゃないか、このように思います。  たとえば関税率についても、これはよそのアメリカやあるいはEC諸国に比べても関税率は低いということが言われておりますし、それからまた、残存輸入制限品目も、これは最も低いとは言わないけれども、諸外国に比べて適切な状態にあるのではないだろうか、こういうことが言えると思いますし、いまのスタンダードコードについても、早急に改善すべき問題はどこにあるのかなと思う。たとえば恣意的に何かやってきたとか、そういうことがあってはならないということが前文に書いてありましたが、こういうことがやられていたとは思いたくないですね。あるいはまたそういうことは思われないと思うのですね。     〔委員長退席、森(清)委員長代理着席〕 こういう点から見て、自主的な態度で国民の基準だとか安全だとか環境保全だとか、こういったようなものには十分これからも配慮をしてやっていかなければならないことは当然のことだというふうに私は思いますけれども、こういったことというのは、判例がないからわからないと言われるような性格のことを何かやってきたのですか。その点について、まずはっきりさせていただきたいと思います。
  177. 禿河徹映

    禿河政府委員 ガット・スタンダード協定との関係におきましては、前にも関係省庁から御説明したと思いますが、昭和五十五年にこの協定をわが国が受諾するに当たりまして、実は工業標準化法、いわゆるJIS法というものがどう見てもこの協定に反する。と申しますのは、完全に海外に門戸を閉じておる法体系になっておりました。工場登録制というものをとったり、個別検定制度がない、しかもまた輸入業者の申請の規定も欠いてあったというふうなことで、外国産品に対しましてはこのJISマークというものが付与できない、こういう体系になっておるということが明らかでございましたので、昭和五十五年にこの工業標準化法の改正を行ったわけでございます。  他の法律につきましては、必ずしも全面的に完全に門戸を開放してないということではございませんで、たとえば各法律におきまして、個別検定の道も設けられておるとか、あるいは輸入業者が認証手続に参加し得るという規定があったりいたしまして、このガット・スタンダード協定の趣旨に明らかに抵触するというものではございませんでしたものですから、その当時におきます法律改正は、JIS法だけで一応済ませたわけでございます。  しかし、しからばほかの法律すべて、完全に外国におきますところの製造業者がわが国の認証手続に参加し得るかどうかということに相なりますと、法律いろいろ見てまいりましても、どうも余り外国の業者というものを意識せずにつくられたようでございまして、輸入業者の申請の道とかいうものはございますけれども、明文の規定で、外国製造業者日本の認証手続に参加し得るという規定は設けられてない、こういうふうなことがございまして、いろいろ法律の解釈の問題はあろうかと思いますけれども、明確に、それから一概に、外国事業者日本の業者と同様の条件で直接この認証手続に参加し得ると断言もなかなかしにくい、こういうことがいろいろ検討しているうちに明らかになってきたわけでございます。  そういうことで、必ずしもガット協定違反とは考えておりませんけれども、たとえば検討いたしました法律の中には、工場等に対します行政庁の立入検査とかいうものを規定しておるものがございます。こういう規定考えてまいりますと、この立入検査等の規定は、外国においては当然には適用されると言えないわけでございます。外国政府の承認がなければ立入検査というものは行い得ない国際法上のあれもございます。  あるいはまた、その他の手続におきましても、細かい点で申しまして恐縮ですけれども、ある法律におきましては、この認証手続に参加するためには所在地の都道府県知事を経由して関係省庁にその申請をする、こういう規定が設けられている点もございまして、外国事業者というものを余り念頭に置いてない、そういう規定もあるわけでございます。そういう手続につきましても、外国におりますところの事業者というものを念頭に置きますと、やはり不都合が生ずるではないかということがわかってきたわけでございます。  そういうふうなことがございましたものですから、外国におります者からの直接申請を認めるためには、やはりその旨を明示いたしますとともに、それらの点について支障が生じないような立法措置というものを講ずることが必要であろうということで、今回の法改正案を取りまとめたような次第でございます。
  178. 小林政子

    ○小林(政)委員 そのために法律案を出されたのだということですね。ですから、私どもも、そういう点についてはやはりある程度きちっと理解もしているつもりでおりますけれども、しかし、ともかくとして、先ほどの例に挙げられているように、都道府県の所在地がどうのこうのというような問題にまで立ち至りますと、これはちょっと、認証制度というものがいままでそうでなければできなかったということをお示しになったんだろうというふうに思いますけれども、そういうことではなくて、私どもは、内外無差別で自由な立場で貿易をやるというようなことについて、別に態度を明らかにしているわけではございません。  時間の関係で、次に私、農水の問題について入りたいというふうに思いますけれども、アメリカの下院の歳入委員会あるいは貿易小委員会での論議では、牛肉と柑橘類あるいはまたオレンジジュース、こういった問題の市場開放、こういったようなことが迫られてきておりますけれども日本が今後、工業製品だとかあるいはまた高度技術といった品目の輸出国であるということを期待する以上、やはり農産物市場の開放ということは避けられないというようなことも言われているやに聞いております、必要があるんだと。その一方で、わが国の中でも経団連などは、昨年一月に「わが国農業・農政の今後のあり方」と題する見解を発表しておりますけれども、海外諸国の批判にこたえる上からも、国内農業の競争力の培養を図りつつ市場開放のスケジュール、その対策を確立することが必要だ、こういうことも言われております。  こうした問題について、今後農産物の市場開放という問題を取り上げても、アメリカの要求を全面的に受け入れるというようなことになれば、わが国の農業は重大な打撃を受けるということが産地でも言われております。農民の人たちからも、そういう意見を十分聞いております。ですから、こうした農産物の市場開放問題に対して日本政府は今後どのような基本姿勢で臨んでいくのか、この決意を明らかにしていただきたいというふうに思います。
  179. 古谷裕

    古谷政府委員 お話しのように、米国ばかりではございませんで、農産物の自由化問題というのは非常に従前から論議の対象になっておるわけでございます。私ども農産物輸入について考えます場合に、基本的には、やはりわが国農産物の需給状況、これを踏まえながら、わが国農業が健全に発展していく方途と調和がとれた形で行っていく必要があるということで、いままでも施策を進めてきたわけでございます。  それで、お尋ねの牛肉、柑橘の輸入問題を含みます自由化問題につきましては、昨年四月に衆議院の農林水産委員会におきまして、農畜水産物の輸入自由化反対に関する決議がございました。この決議におきましては、貿易摩擦の処理に当たっては、わが国の農業、漁業を取り巻く厳しい状況について諸外国の十分な認識を得るよう一層努めるということ、さらに、自由化あるいは輸入枠の拡大等については、農業者等が犠牲とならないように対処すべきであるというふうな決議がございます。あわせまして、食糧自給力強化に関する国会の決議がその前にあったわけでございますが、そのためにはやはりわが国農業の体質強化を図るべきである、こういうふうな決議がございました。私ども、そういう国会の御意思を踏まえまして、今後の交渉に当たりまして慎重に対処していく考えでございます。
  180. 小林政子

    ○小林(政)委員 牛肉あるいは柑橘類の自由化問題というのは大きな問題でもございますし、いま国会の決議もあるというようなお話でございますので、この点をきちっと踏まえてしっかりとした行政を進めてもらいたい、このように私は思っております。  次に、製品輸入の問題について。製品輸入対策会議というところの会長をやっていらっしゃる三井物産の池田さんという方、御存じだと思いますけれども、この方は、非関税障壁の解消につながるのは今回のような法律改正というより、政令や省令や通達、こういったもので定めている安全、保安等の基準を国際基準と整合性を図るべきだと語っていらっしゃいます。  政府は、このような財界の意向に沿って、今回の非関税障壁の解消策というものではなくて、あくまでも安全、保安対策基準はわが国の主権に属する問題だという観点から、この問題について国民生活への影響を十分しっかりと押さえた上で取り組んでもらいたい、このように私は思っておりますけれども、これは長官から御意見を伺わせていただきたいと思います。
  181. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 非関税障壁を排除していくことも大変重要な目標でございますけれども、各法律が持っておりますところの一つの目標を守っていくことも大変重要な基準でございます。その中に、いま申されました安全という問題があることは言うまでもございません。安全という問題は、やはりどんなことがあっても守られなければならない基準でございます。  したがって、先ほども議論がございましたが、安全を弱めるのではなくして安全という基準をどのように考えていくか、その中で国際的な基準をどのように考えていくかというようなことになるんではないか。そういった意味で、もちろん日本政府が決められる、そしてまた国会法律によって定められる問題だと考えております。
  182. 小林政子

    ○小林(政)委員 国民生活優先の立場から、安易に変更したりすることがないよう、その点だけを私は強く要求しておきたいと思います。  時間の関係もございますので、次に排ガス規制。これは法律とは直接関係はございませんけれども基準認証制度等連絡調整本部決定の中に、「その他の基準認証制度の改善」として挙げられておりますけれども、実は、これはこれから大きな問題になっていくのではないだろうか、このように思います。これまで「透明性の確保」だとか、外国人の意見も取り入れて基準をつくる、あるいは「国際化の推進」「外国検査データの受け入れ促進」その他挙げられておりますけれども、ここで自動車排ガス規制についてまずお伺いをしておきたいと思います。  わが国の排ガス規制というのは、諸外国基準との比較では一体どうなっているのか。それから、自動車排ガス規制は、結局日本が世界一厳しい基準を持っているということだと思いますけれども、これは日本のように過密な都市、しかも公害による大きな犠牲の教訓の上からつくられている基準でございますので、こうした基準を、国際化の推進などによって外国の規制の緩い方に合わせるというようなことがあっては断じてならない、このように考えておりますけれども、この点について自動車局からお伺いをいたしたいと思います。
  183. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 諸外国における排ガス規制とわが国との比較でございますが、少し細かい数字を申し上げて恐縮でございますけれども、乗用車について見ますと、米国の連邦規制につきましては、一酸化炭素は一マイル当たり三・四グラム、炭化水素は一マイル当たり〇・四グラム、それから窒素酸化物は一マイル当たり一・〇グラム。それから米国の州でございますが、カリフォルニア州におきましては、一酸化炭素は一マイル当たり七・〇グラム、炭化水素が一マイル当たり〇・四グラム、それから窒素酸化物が一マイル当たり〇・四グラムというふうになっております。それからヨーロッパ、EC諸国でございますが、ちょっとはかり方が異なっておりますけれども、一酸化炭素が一回のテスト当たり五十八から百十グラムの範囲内、それから炭化水素及び窒素酸化物につきましては、両者の合計が一回のテスト当たり十九から二十八グラムの幅、こういう状態になっております。  諸外国、米国とかECにおける排ガスに係る規制のレベルは、試験方法また測定方法が異なっておりますので、一概に正確に比較するということは困難でございますけれども、たとえば米国の規制を例にとってみますと、単純換算した場合に、カリフォルニア州のHC、N〇x、連邦のC〇、HCの規制値は日本と大体同程度というふうに考えられます。それから、その他の米国の規制値、たとえば連邦のNOx、それからカリフォルニア州のCOとか、それからヨーロッパの規制値は、わが国より緩やかではないかというふうに考えております。  それからもう一つ先生御指摘の、今回の市場開放の名のもとにおいて排ガス規制を緩和するつもりはないかという御質問でございますが、先生が御指摘されましたように、わが国は非常に高密度の車社会が形成されておるわけでございまして、国民の身体、それから生命の安全、沿道住民の健康、こういったことが社会的にも強く要請されておるわけでございますので、私どもとしては、こういう日本の国情というものを十分考えて、排ガス規制の緩和は現在考えておりません。
  184. 小林政子

    ○小林(政)委員 時間がございませんので、最後に食品添加物についても私はお伺いしておきたいと思います。  「基準認証制度の改善について」では、食品添加物の基準についても国際化の推進を図るとされております。食品添加物については、一九七二年の食品衛生法の一部を改正する法律案に対する附帯決議で、食品添加物の使用は極力制限する、できればない方がいいんだ、こういう立場の決議がされておりますけれども、今回の改正ではこういった問題などがどうなっているのか、どう了解をされているのか、お伺いをいたしておきたいと思います。
  185. 藤井正美

    ○藤井説明員 先生御指摘の衆議院並びに参議院の決議がございますが、その決議は、食品添加物をふやしてはならないというような趣旨のものではございません。あくまで安全性に立脚して、不必要なものは極力制限していくという方向になっております。この考え方は、FAO、WHOにおきます国際的な考え方とも全く一致いたしております。  したがいまして、今回食品衛生調査会が意見具申をしております添加物につきましては、いずれもFAO、WHOにおいて一番安全度が高いというリストに掲げられているものでございます。さらに、わが国で資料に基づき十分審査をした上において今回の意見具申を見ている次第でございます。したがいまして、安全性というものについては十分に審議をし尽くした結果としてあらわれているものでございます。     〔森(清)委員長代理退席、委員長着席〕
  186. 小林政子

    ○小林(政)委員 最後に、食品添加物の問題について。これもいろいろ論議をすれば長々とあるわけでございますけれども、やはり新鮮な生のものをできるだけ国民が食べさせてもらうということが非常に重要な問題だというふうに考えております。これを政府が勝手に解釈したり、ねじ曲げたりするというようなことは避けるべきである。このことを強く要望いたしまして、私の質問はこれでとどめさせていただきます。
  187. 登坂重次郎

    登坂委員長 次に、関連質疑の申し出がありますので、これを許します。浦井洋君。
  188. 浦井洋

    浦井委員 二十分足らず時間をいただきまして、この法律の中の薬事法改正案の部分について厚生省にお尋ねをしたいと思うのです。  のっけからもう法案の内容に入りますけれども、私は、この法改正をきっかけにいたしまして、薬品の安全性とか有効性というようなものが必要以上にこれから緩和されないかという危惧を持っておるわけであります。  具体的にお尋ねいたしますけれども、まず、臨床試験について三点ほどお尋ねしたいのですが、一つは、臨床試験の第一相、フェーズ1は、外国日本人を使ってやるというふうになっておりますが、ある報道によりますと、第二相、第三相まで外国日本人外を対象にしてやれるようにするんだというようなことが書いてあるし、私もそういう危惧を持つわけであります。そういうふうになれば、やはり人種差があるし、食生活とか医療的な慣行なども全く違うわけでありまして、そういうところでつくられたデータをそのままうのみにすると、有効性、安全性に欠けることにならないかという疑問が出てくるわけです。これが第一点。  それから第二番目は、第一相は外国におる日本人だということになりますと限られてきますので、たとえばモンマルトルなんかに蝟集をしておる比較的所得の低い画家の人たち、こういうところが相手になったりなんかしないか。そうすると、その人たちの安全性や人権がどうなのかという問題があります。  それから第三番目には、そういうことを含めて現在臨床試験というのは届け出制でよいということになって、それが一つの根本になって、いろいろな不祥事件が起こっておる。やはり臨床試験というのは許可制にすべきではないかというふうに私は思うのですが、その三つの点について厚生省薬務局長伺います。
  189. 持永和見

    ○持永政府委員 お尋ねのまず第一点の、臨床試験のフェーズ2、フェーズ3の問題でございますが、臨床試験のデータの受け入れにつきましては、フェーズ1は、先生お話しのように日本人を対象にした外国の臨床試験を受け入れておりますが、それ以外のフェーズ1、それからフェーズ2、フェーズ3は、現在日本では臨床試験を外国のものは受け入れておりません。その方向は現在のところ変わっておりません。ただ、WHOとかそういった世界的な場で、全体として先生御指摘のような人種差の問題あるいは食生活の問題、医療慣行の違い、そういった問題全体を含めまして、たとえば体外診断薬の尿検査薬のようなものにつきましては、これは人種差とか医療慣行とか食生活の違いもないではないかという意見をおっしゃる学者の先生方もおられます。ただしかし、これはあくまでまだそういった意見をお出しになっている段階でございまして、私どもとしてこれを受け入れるというようなことは、現在のところ全く決めておりません。全体としてWHOその他で議論が行われれば、それに対してはわが方としても積極的に参加していくという気持ちは持っておりますが、現在のところはそういう状態でございます。  それから次の、第一相のフェーズ1の外国におられる人たちの問題でございますが、私ども第一相の臨床試験を受け入れるということにいたしておりますけれども、受け入れに際しましては、世界医師会が決めております、先生御承知のヘルシンキ宣言というのがございますが、こういったものにのっとるとか、あるいは日本でいろいろ治験依頼の場合の臨床試験の治験基準が決めてございます。これは私ども薬事法の省令で決めてございますが、そういったものにのっとったものであるということは求めております。したがって、そういう意味で患者さんの安全性あるいは人権、そういったものには配慮をしておるつもりでございます。  それから、第三点の臨床試験についての届け出制の問題でございますが、御指摘のように、現在治験は事前の届け出ということになっております。ただしかし、届け出の内容から見まして、私ども、その治験の中身に保健衛生上の危害の発生が予想される場合には中止の指示を行うことができることになっておりまして、そういった意味で、保健衛生上の危害の発生に対します予防措置は講じておるものと判断いたしております。  このほかに、治験につきましては、先ほども説明申し上げたように、先生御承知のとおり、実施基準を決めておりまして、これに従うことを義務づけております。また、これに違反した場合には罰則の適用などもございますから、現行の制度を十分適切に運用することによりまして、被験者の人権保護に努めてまいりたいというふうに考えております。
  190. 浦井洋

    浦井委員 次に、動物実験についても二点ほどお尋ねしたいのですが、GLPがアメリカとは最近結ばれたそうでありますけれども、国際的にはまだこれが基準が確立されておらない。そうすると、こういう法改正をやると、かなり厳しいと言われておる日本のGLPが、この基準が緩和されるような動きが出てくるのではないか。そうすると安全性に支障を来すということになるわけで、この点が第一点。  それからもう一つは、国内でも例の日本ケミファ、明治製菓、いろいろな不祥事がチェック漏れがあったわけですが、外国の動物実験のデータを日本の側がきちんとチェックできるのかどうか。最近私が調べたところでは、メーレル社というアメリカの製薬会社でありますが、脱コレステロール剤のトリパラノールという薬でアメリカでもデータの偽造があるということが報告されておる。ちなみに申し上げますと、トリパラノールという薬は、日本ではデリトールという名前で発売されたけれども発売中止になっておる、こういうことがあるわけで、果たしてそういう外国の動物実験のデータをきちんとチェックできるのかどうかという危惧があるわけです。だから、そういう点でアメリカではFDAというようなかっこうで、かなり膨大な機構でチェックをするようなことが行われておるわけでありますが、日本でも少なくともFDA、私なんかはむしろ国が一つの機構をつくり上げて、そこで動物実験も臨床実験も責任を持ってやれるということを前から考えておるのです。そういうことをやるべきではないかと思うのですが、どうですか。
  191. 持永和見

    ○持永政府委員 まず、御指摘の動物実験の問題でございますけれども、ことしの四月から日本国内製造業者に対しましてはGLP、いわゆる動物実験の安全性に関する基準、そういったものを施行いたしまして、それへの適合性を求めておるわけでございます。  諸外国の場合には、実は先生も御承知のように、アメリカではすでにGLPを実施しております。また、スイスでもGLPを実施しているやに私ども聞いておりますけれども、そういったGLPを実施している国の実験データにつきましては、GLPへの適合性があるということにつきまして、政府またはこれに準ずるものの証明を求めるということにいたしております。また、現在フランスとかドイツでGLPの検討を行っているやに聞いておりますけれども、そういった国におきましては、私ども日本で示しましたGLPと同等以上のGLPに適合しているのだというようなことにつきまして、政府なりそれに準ずるものの証明を得たデータならば受け入れてもいいだろう、こういう考えでございまして、動物実験につきましてすべて受け入れるとかいうようなものではございません。また、そのGLPというのは、わが国が決めましたいわゆる試験基準を満足するものでなければならないという前提に立っておるわけでございます。  それから二番目の、最近医薬品をめぐります不詳事が起きましていろいろと社会的に問題が投げかけられておりまして、私ども大変遺憾に思う事態が次々と発生しておるわけでございますが、こういったことに対しましては、私どもといたしましてもできるだけ審査の厳正化、適正化を図っていこうという見地から、いろいろと審査体制の強化につなげて手を打っているところでございまして、これも御案内のことと思いますけれども、ことしの二月からは、すべての医療用医薬品について申請データのもととなった生データのチェックを行うこととか、ことしの四月からでございますが、これは臨床も非臨床も含めて申請データにつきまして試験実施者の確認を求めまして、当該データが確かに自分で行いました信頼性のあるものでありますよというような旨の記述なり署名押印を義務づけることにいたしております。また四月からは、先ほど申し上げましたようにGLPを実施しまして、GLPへの適合を義務づけておるというようなことでございまして、全体として審査体制の厳正化、適正化を図ることによりましてこういった不祥事をできるだけなくする、また医薬品につきましての安全性、有効性の確保を図っていこうというふうに努力をしているところでございます。
  192. 浦井洋

    浦井委員 第三点の、国がもっと責任を持ってチェック機構をつくれということについてはお答えがなかったわけですが、これは要望しておきたいと思います。  そこで、薬務局長言われるように不祥事が次々と発生しておるわけですから、これはよほど厳重にやらなければならぬのではないか。この法案でいきますと、今度承認と許可が分離されるわけですよね。そういたしますと、外国企業の場合は、承認をとっておいて輸入販売業者を簡単に変えることができる。そうすると、国内企業もそれとのバランス上同じようなことを要求してくる、現に業界ではその動きがあるわけなのですが、これを認めるのかどうかという問題があります。下手にフリーにすると、外国企業並みにすると安全性、有効性という点で欠ける点が出てくると思うので、これについてひとつ簡単にお答え願いたいと思います。
  193. 持永和見

    ○持永政府委員 御指摘の輸入販売業者についての承認の移譲を認めるということにつきましては、実は省令の段階で検討しておるところでございますが、いずれにいたしましても、今回直接承認ということになりますと、従来のように承認と販売が一緒じゃございませんので、外国製造業者輸入販売業者を自由に選任できる、こういうことになるわけでございまして、そういう意味合いで業者間の製造承認の移譲問題が起こってくるかと思います。  ただしかし、これはあくまで同一の医薬品について、同一の工場で製造されたものにつきまして、たとえば日本におります輸入販売業者を変えるとか、そういうことについての承認をできるだけ簡素化していこう、こういうことでございます。したがって、国内におきましても、同一の医薬品につきまして同じ工場でつくられました場合の名義の書きかえ、そういったものについては外国とのバランスから同様の取り扱いをしなければならないのじゃないかということで、いま検討中でございます。
  194. 浦井洋

    浦井委員 時間がもう来ましたのであれですが、最後に、せっかくですから薬事法周辺の最近の問題について二つほど薬務局長並びに保険局が来ておられると思うので、お尋ねしておきたいと思うのです。  一つは、薬務局長の諮問機関である医薬品産業政策懇談会の大衆薬分科会で、ビタミン剤、健胃消化剤、漢方薬、パップ剤、解熱鎮痛剤、こういうものはもう薬価基準から削除せよ、一般大衆薬品にせよというような議論が出てきておるということであります。現にそれに呼応するように三月二十二日に経団連から、「通商関連法令の改正および運用改善に関する意見」ということで、「日常の健康維持を目的とする一般大衆薬は薬事法の対象外とすること。」というようなかっこうで、過剰規制を緩和するよう要望書が来ておるというふうに聞いておるわけなのですが、これについて薬務局長としてどう考えておられるのか。また、保険局の医療課長が来ておられるので、保険局サイドからはどう考えておられるのかということをお聞きしておきたいと思います。  それから、今度は薬務局の方に、これは薬害の問題の典型例でありますけれども、スモンの次の鑑定人団会議が六月十七日から十八日で行われるわけなのですが、未鑑定の人がまだ二百六十五人残っておる。それで、前々々厚生大臣ぐらいが年内に解決するというふうに約束をしておるわけでありますから、今度は絶対に二百六十五人すべてを和解に持っていくように、これでもうすべて終わりというぐらいの態度で臨んでいただきたいということが一つ。  それから、鑑定は終わったのだけれどもまだ和解に至っておらない、未和解ですね、この方が現在二百三十六人おられる。だから、ス全協などは鑑定が終われば和解まで少なくとも二カ月ぐらいでやれという、これは当然の要求なのですが、そういう点でひとつ指導を徹底していただきたいということ。  それから、ことしは人勧凍結ですべての手当も凍結なのですが、このスモン被害者の介護手当も現行のままということでスモン被害者の方は非常に怒っておられるので、この点についてどう考えるのか。  たくさん並べましたけれども、ひとつよろしくお願いします。
  195. 持永和見

    ○持永政府委員 まず第一点の、医薬品産業政策懇談会の問題でございますが、これは最近、医薬品産業を取り巻く周辺の環境がきわめて変化が激しいわけでございます。また一方、医薬品産業というのはいわゆる知識集約型の先端技術型の産業でございますから、そういった意味合いから、私どもとしては、医薬品産業のあり方についてひとつ長期的な展望についての検討をしていただきたいということで、専門家の方々にお願いしまして、昨年の九月に懇談会を発足したところでございます。この懇談会の中で、実は大衆薬に関する分科会が設けられております。  大衆薬につきましては、もうこれも先生御承知のとおり、いろいろ問題があるわけでございます。そういう意味合いで、大衆薬の分科会を設けて、それについての専門的な検討を進めておるところでございますが、その検討の過程におきまして、大衆薬の担うべき医療の範囲をいかに設定するかという基本的な問題も提起されまして、いろいろ議論がございます。これもいろいろな立場からのいろいろな議論がございまして、その関連の中で、医家向けの医薬品と一般用医薬品のあり方について意見が出されているというのが現実の姿でございます。私どもとしましては、この問題は、先生御指摘のように医療保険のあり方の問題とも絡みます、また医療の場における医薬品の扱いの問題にも絡むといういろいろな問題がございますので、総合的な観点からこの問題については検討を進めていくべき問題だというふうに考えておるわけでございまして、いまのところ私どもとして、この産政懇でいろいろ御議論をいただいているその出方を待っているというところでございます。  それから、次にスモンの問題でございますけれども、ちょっと最近の数字を申し上げてみますと、全体の提訴患者が六千三百八十六人、このうち和解がすでに成りましたのが五千八百八十九人で、九二%の和解ができております。したがいまして未和解者が四百九十七人、このうち鑑定が出ましての未和解者が百五十二人でございます。それから未鑑定の未和解者が三百四十五人。現在のところ、そういうことになっております。  まず、その末鑑定の者につきましては鑑定をできるだけ急いでやってもらうというのが私どもの方の基本的な立場でございますが、鑑定は裁判所の活動の一環として行われるということでございますので、私どもの方も裁判所の方に対しましては、できるだけ鑑定を急ぐようにというお願いはいたしております。  それから、鑑定済み未和解につきましては、すでにスモンという鑑定が出された後の未和解でございますので、これは原告、被告それぞれのいろいろな意見がございますけれども、私どもとしては、やはりこれは社会的な非常に大きな問題だというような立場から、必要な製薬会社の説得その他に努めているところでございまして、そういう意味合いで、基本的にはできるだけ早く多くの患者さんの和解が進むということが望ましいかと思っております。  ただ、この問題はあくまで和解という形で問題を解決するということでございますので、裁判所の指揮に従うというのが基本的な前提かと思いますが、製薬会社その他に対しましては、できるだけ社会的な責任を感じて和解の進展に応じてもらいたいというような説得は、今後ともできるだけ続けてまいりたいというふうに考えております。  それから、最後の介護手当でございますが、介護手当につきましては、御指摘のように、本年度の国の出します介護手当は、人勧の凍結あるいは年金の凍結、それからこれに準じております社会福祉関係のいろいろな諸手当の凍結、そういったものとの見合いで凍結されておるのは事実でございます。ただ、一般の民間の出します重度の障害者あるいは重症の患者に対します介護費用につきましては、実は昨年凍結いたしまして、あれは五%の物価上昇があれば上がるということになっておりますために、五十七年分が凍結になりまして、五十八年分は五十六年、五十七年の両方の物価上昇を合わせて五%以上になったということで引き上げが行われておるものでございます。私どもとしては、こういった介護手当につきましては、そういった物価上昇の見合いというものを十分考え、かつ、ほかの諸手当との関連も十分見きわめつつ、この問題をどうするか、これから対処をしてまいりたいというふうに考えております。
  196. 寺松尚

    寺松説明員 医療課長寺松でございます。  お答えをいたしますが、必要な医療を確保しつつ国民の医療費の負担を適正な範囲にとどめながら、私どもは、薬剤費の問題も含めまして医療費の適正化対策というものにつきまして現在幅広く検討いたしておるような段階でございます。  いま先生から御指摘いただきましたいろいろな御発言とか御意見というようなものにつきましては、恐らく保険給付の、あるいは負担のあり方というものについての問題提起ではないかというふうに考えております。
  197. 浦井洋

    浦井委員 終わります。
  198. 登坂重次郎

    登坂委員長 次に、石原健太郎君。
  199. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 私は、基準認証制度というものはできる限り簡素化されるべきものであり、また今回の法改正もむしろ遅きに失したぐらいではないか、こう感じておるものでありますけれども、いままで大臣にいろいろ御質問がありまして、私が聞きたいことは大体もうすでに質問ありましたので、一問だけお聞きしておきたいのですが、連絡調整本部は当面残される方針だ、こう聞いておりますけれども、今後どういう役割りを果たしていくのかということと、どのような権限を持ってやっていくのかということをお聞かせいただければと思います。
  200. 禿河徹映

    禿河政府委員 基準認証制度等連絡調整本部と申しますのは、この一月に経済対策閣僚会議決定に基づいて内閣に設けられたものでございます。そこにおきまして基準認証制度についての包括的な、抜本的な見直しをできるだけ早く集中的に作業するようにということで設けられたものでございまして、その意味では、言葉は悪うございますけれども、いわば短期決戦型の集中的な作業の場と私どもは認識いたしております。  その結果、三月二十六日に包括的な見直しの方向決定を見まして、今回の法律案改正の御提案もその一環でございますが、一応この法改正が行われますならば、ある意味での任務は終了と言えないこともないという気はいたしておりますけれども、去る四月五日の経済対策閣僚会議におきましても、この法改正と並んで、それ以外の事項についても各省庁は速やかにその実現を図るようにという決定もなされております。  そういうことで、いわば短期集中決戦型のこの本部でございますけれども各省間におきましてなお連絡調整を要する事項があるかもしれないということで、なお当分の間、この本部は存続しようではないかというのが大方の感じでございます。そうかと申しまして、恒常的な機関とも考えておりません。しかるべきときには目的を一応達成したということで解散ということもあり得る、かように考えております。
  201. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 そうしますと、基準認証制度の具体的な改正といいますか改革、そういったことについても今後役割りを果たしていく、そういう面もあると理解してよろしいでしょうか。
  202. 禿河徹映

    禿河政府委員 具体的な基準認証制度改正は、基本的にはそれぞれの省庁がその責任において行われるべきものでございます。その考え方は何も変わっておりませんが、やはり包括的に、総合的にこれを見ていこうということで、見直しをこの本部において行ったものでございます。その実行は、それぞれの省庁で今後早急に取り組んでその作業を進めていくということになろうと思いますが、一応方向が出たからといって直ちにこれを解散するということになりますと、なお連絡調整を要する事項が出た場合に困ることもあるであろうということで、いましばらく、これを当分の間残して、その連絡調整の任に当たりたいということでございます。
  203. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 日本が置かれている立場とか将来のことを考えますときに、国際協調ということはきわめて大切であって、外国の要望とか言い分も聞けるものはできる限り聞いていくという姿勢が大切だと思うのであります。  それで、今回もいろいろ外国の要望等もあったようでありますけれども、この基準認証制度の見直しについては、どのような形で要望がよこされたのかをお聞かせいただきたいと思います。
  204. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 お答えいたします。  ことしの一月十三日の経済対策閣僚会議で、基準認証制度等連絡調整本部の設置が決められまして、その後私ども作業に入ったわけでございますけれども、この一月十三日の決定が行われました段階から、たとえば米国であるとかあるいはEC委員会であるとかが、この作業の進捗ぶりに多大な関心を寄せてきたわけでございます。その後、二月の中旬にアメリカのブロック通商代表、それからEC委員会のハフェルカンプ副委員長がそれぞれ日本を訪問した際に、後藤田官房長官との会談がございまして、その際に、この基準認証制度等連絡調整本部の作業が話題に上ったわけでございます。  その際にブロック代表、それからハフェルカンプ副委員長それぞれから、この日本側で行われておられる作業に対して、アメリカ、ECそれぞれの立場から日本側の御参考となる意見というものを、あるいはアメリカないしECのそれぞれの関心事項というものを提出することとしたいという話がございました。  それを受けまして、アメリカにつきましては、二月の末にUSTRのマクドナルド次席代表から外務省の経済局長あてに、アメリカ側の基本的な考え方というものを述べた手紙が寄せられたわけでございます。その後、それを受けまして三月の二日と三日に、USTRのスタンダード問題の担当課長が米国政府のそのほかの関係機関の担当官と一緒日本へ参りまして、私ども基準認証制度等連絡調整本部のもとで実際の作業に当たっておりました連絡調整室のメンバーに対して、アメリカのいろいろな分野における制度の内容がどうなっているかという点と、先ほど申し上げましたマクドナルド次席代表から経済局長あての書簡の中に述べられているアメリカ側の考え方というものをさらに敷衍する形で、いろいろ意見交換を行ったわけでございます。  ECにつきましては、三月十日に在京のEC代表部のブリンクホルスト大使から外務省に対しまして口上書が出されまして、その口上書に別添いたしました書類の中で、EC委員会としてどのような事項に関心を持っているかということをかなり詳しく私どもに伝達してきたわけでございます。  私どもといたしまして、このようなアメリカ、ECそれぞれから表明されました関心事項というようなものも念頭に入れつつ作業をしたわけでございまして、結果におきまして、このようなアメリカやECの関心事項というものの重要なものは、かなりの部分を三月二十六日の決定の中に織り込んだと考えております。
  205. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 アメリカとEC以外の国々からはなかったのですか。
  206. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 ただいま申し上げましたアメリカ、EC以外にも、たとえば北欧諸国であるとかあるいはオーストラリア、ニュージーランドであるとかあるいはカナダであるとか、私ども日本とわりあい貿易量の大きい国々に対しまして、何か関心事項があれば言ってきてほしいということは申しました。そのうち一部の国、たとえばニュージーランドなどからも希望事項と申しますか、関心事項というものが寄せられております。  その中にはかなり、私どもの作業の骨格がほぼ決まってから寄せられた関心事項もございますので、物によっては今後さらに私どもがこれらの諸国と行ってまいります対話の中において反映すべく努めていくものもございますけれども、私ども関係国の関心を一応聞くという意味では、いま申し上げましたように、かなり広い範囲に聞いたわけでございます。
  207. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 それでは、アメリカとECからいろいろ要望がありましたことについて具体的にお伺いしたいのであります。  アメリカにしてもECにしても、確かに日本外国の企業が同等に扱われるようにといったようなことも要望の一つであったようでありますけれども、共通して強く要望されていることの一つに、自動車の自己認証制度を認めろとか、医薬品の許可手続を簡素化しろといったようなことがあるわけです。  それで、運輸省の方にお尋ねいたしますけれども、自動車の型式審査の試験方法はどのように簡素化されていかれるのか、御説明いただければと思います。
  208. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 型式審査の簡素化の内容につきましては、去る三月二十六日の連絡調整本部決定におきまして決まっておるわけでございますが、まず第一点は、従来、保安基準に適合しているか、それから品質の均一性を有するかというような観点、それから耐久性を有するかというような観点から型式指定のチェックを行っているわけでございますけれども、要求していたものといたしましては、一つは、新車一台とそれから耐久走行車二台、これは安全関係で運輸省が要求する走行方法に基づいて三万キロ走行させたものが一台、それから……
  209. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 ちょっと、御説明の途中ですけれども、いままで説明されたことは聞いておりましたから、いままでのことでしたら結構です。それ以外にもしあればお聞かせいただきたい。
  210. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 いままでの御質問に対しましての御答弁で、型式指定の簡素化の内容、それから安全基準の調和の内容等につきましては、大体御説明をしたと思っております。
  211. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 それでは、具体的にいまの審査では作業量がどのくらいあって、その作業量が何割ぐらい削減されるようになるのか、そういったことをお聞かせいただければと思います。
  212. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 私どもの推定では、型式指定に要する経費、これにつきましては約八割程度、従来の型式指定の取得に要する経費に比べて八割程度削減されるのではないかということが一つ。それから、もう一つは時間でございますが、これは従来平均いたしまして七カ月程度かかっておったわけですが、それがおおむね三分の一程度に短縮されるであろう、こんなところでございます。
  213. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 それから、自己認証制度を認めない理由をお聞かせください。
  214. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 自己認証制度といいますのは、先生もう御案内だと思いますが、米国では排出ガス関係は、これは自己認証制度でございません。それ以外の安全関係につきまして、連邦政府の決めております基準に自動車のメーカーがみずから合致させるように車をつくりまして、自分でこれは基準に合致しています、こういう証明をしてそのまま市場に出す、これが自己認証制度でございます。それで、車が市場に出回ってトラブルがあったときに初めて政府なり州からいろいろな是正措置を命ずる、こういう仕組みが自己認証制度でございますが、私どもの方でとっております認証制度というのは、そういうふうに事後のトラブルがあった場合にチェックするという仕組みではございませんので、事前に十分国でチェックして、それで市場に出回らせる、こういう仕組みでございます。アメリカの自己認証制度というのはアメリカだけがとっておる特異な制度でございまして、ヨーロッパの自動車の主要な生産国ではこういう制度はとっておりません。日本と同じように事前チェックの仕組みをとっておるわけでございます。  私どもの基本的な考え方は、やはり自動車の走行というものは、これほど過密な状態になってきておりますので、国民の生命あるいは環境の保護を図る見地から、事前にやはり十分なチェックをする、これが最善の方法だ、こういうふうに考えておるわけでございまして、アメリカから自己認証制度を採用していただきたいという御要望は確かにありますが、これだけは私どもとしては受け入れるわけにはいかない、こういうことで今回の改善措置を決めたわけでございます。
  215. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 アメリカだけじゃなくて、ECからも自己認証への依拠というような要望が来ていると思うのです。  それから、いまアメリカの自己認証制度について話をされましたけれども日本で、日本に輸出する車はこういう基準でやってほしい、その基準に対する自己認証であれば、日本にその車を持ってきても日本基準に合っていけるんじゃないか、こう思うのですけれども、その辺はどうなんでしょうか。
  216. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 自己認証制度というのは、ただいま申し上げましたように、メーカー自身が自分で証明する制度でございます。アメリカに日本が車を輸出する場合にも、先ほど申し上げましたように、排ガス規制につきましては事前に十分なチェックをアメリカの連邦政府なり州政府から受けるわけでございます。これは日本と全く同じ仕組みでございます。したがいまして、日本からアメリカに輸出する場合の排ガスについては、向こうの基準に十分合致させるようにつくった上で向こうの政府の事前チェックを受ける、こういう仕組みでございます。  それから、今度はアメリカからあるいはヨーロッパから車が入ってくる場合に、やはりこれは日本の公害の基準なり安全の基準に合わせて、こちらに輸出していただく。その際に、私どもとしては、市場に出回る前に事前のチェックをしている、こういう状況でございます。
  217. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 そうしますと、いまの御説明を聞いていますと、何もアメリカもECも自己認証を要求してくる何の理由もないように受け取れますけれども、排出ガスについてはお互いにそれはチェックするのもいいでしょうけれども、それ以外のことについては自己認証でも差し支えないんじゃないですか。
  218. 角田達郎

    ○角田(達)政府委員 安全関係につきましては、先ほども申し上げましたように、アメリカは事前のチェックは連邦政府では少なくともやっておりません、日本から車を持っていく場合。ただ、排ガス関係につきましては先ほど申し上げたようなことでございます。しかし、日本に車が入ってきます場合に、アメリカのメーカーがつくった車について安全関係だけでも自己認証でよろしいんではないかという御質問でございますが、これは先ほど申し上げましたように、わが国の認証制度の仕組みというのは事前のチェックの仕組みでございます。事後トラブルが起こってからチェックするというような仕組みではないのでございまして、それはやはりアメリカのような広大な国土と、それからわが国のような非常に過密な車社会という国土の相違から、私どもとしては、アメリカで行われておるような安全関係についての自己認証制度というのは採用できない。  それから、ヨーロッパにつきましても、これは安全関係につきましても、公害関係につきましても、日本が車をヨーロッパに輸出する際には事前のチェックを十分受けておるわけです。ヨーロッパは自己認証制度ではございません。そういうことでございますので、ヨーロッパの方で私どもの方に自己認証制度を要求したということは聞いておりません。ただ、車一台一台のチェックを陸運事務所でやる、こういうことは非常に煩瑣であるので、それは省略してもらいたい、こういう要求は確かに出ております。  私どもの道路運送車両法の仕組みの中で車一台一台のチェックをしないで済むというのは、型式指定制度というのがございまして、これはある型式について現車を呈示してもらったり、書類を審査してもらったりいたしまして、保安基準に適合している、あるいは品質の均一性が担保される、それから耐久性が担保される、こういうようなものについては型式指定を差し上げまして、型式指定を取得した場合には、千台、二千台を持ち込みましても、一台一台のチェックは陸運事務所では要らない。メーカーが発行する完成検査終了証をもって十分である、こういうような仕組みになっておりまして、今回の三月二十六日に決めた改善措置というのは、その型式指定の要件、手続、こういうものを大幅に簡素化いたしまして、これを活用していただくことによって、車一台ごとの国の車検場での検査というのを省略する、そういうことを考え決定したわけでございます。  この制度、確かにヨーロッパ車につきましては日本輸入代理店が型式指定を取得した実績がございます。しかし、アメリカの車についてはまだそういう実績がございませんので、アメリカにおいて、わが国で採用している型式指定制度についての理解というのはまだ非常に乏しいと思います。したがいまして、私どもとしては、この型式指定制度というもの、それから今回の緩和措置、この辺のところをいまアメリカの関係の当事者の専門家に十分説明、理解を求めている段階でございます。
  219. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 自動車の安全性、安全性とおっしゃいますけれども、私は、自動車そのものがもうすでに安全でないというか、危険なものであるというふうにも考えられると思うのですよね。自動車そのものが危険なものであるにかかわらず、安全性をいろいろ強調されるのもどうかと思います。それからまた、今日技術がこれほど進歩している時代でもあるわけですから、そうアメリカの車、ヨーロッパの車が安全性がどうかと細かくせんさくする必要が果たしてあるのかどうか、こんなことも疑問に思って質問したところであります。  時間がありませんから、次に臨床試験のデータの受け入れについてちょっとお聞きしたいのです。  受け入れられない理由として、人種差とか食生活の違いというようなことを挙げられましたけれども、それには科学的な根拠があるのかどうかということが一つと、それから、もしそういうことがあるとすれば、アメリカのように多数の民族が住んでいる国なんかでは一体薬をどういうふうに試験するのか。アメリカだけじゃなくて、ブラジルあたりもたくさんの民族が住んでいる国ですけれども、その辺どうなっているのか、お聞かせいただきたいのと、また、そういう人種差とか食生活の違いのために、いままで日本に申請したくともできなかったというような具体的な例があればお聞かせいただきたいと思います。
  220. 新田進治

    ○新田政府委員 御案内の臨床データにつきましては、外国人日本人との体質など人種的な相違とか生活環境の差等がございまして、基本的には日本人を対象として実施したデータでなければ受け入れないことにしております。  しかしながら、これら人種差等を考慮する必要のない受け入れ可能なものがあり得るのではないか、こういう御意見が学者からもございますし、また外国からも指摘がございます。外国人データの受け入れの可否につきましては、可能な場合には、できるだけ人の臨床実験というのは避けるべきでございますので、そういう点から範囲等については、諸外国との協議も含めまして専門家と意見を調整いたしまして検討してまいりたい、かように考えております。  実際の具体的な人種差による相違でございますが、たとえば遺伝学的な面で白人と黒人、また黄色人種というものでどういうふうに違うかということが文献等に見られますが、その一例といたしまして抗結核薬のイソニアジドというのがございます。これにつきましては白人、黒人は——イソニアジドが体内に摂取されました後小便、尿から排せつされるわけでございますが、そのときにアセチレーション、こういう代謝をいたしまして尿の中に排せつされるわけでございますが、その速さが白人と日本人とでは大分違うわけでございます。そういうことから、体内にそれだけ貯留するわけでございますのでやはり副作用が出てくる、こういうことでございます。  それから、食べ物による相違といたしましては、典型的な例といたしましてアスピリンがございます。アスピリンは神経痛なりリューマチの非常に有効な薬剤でございますが、特に外人、白人の場合は食べ物でたん白質とかそういう肉類を多量にとっておりますので、特にアスピリンの大量投与に対しましても胃腸障害が日本人ほど強くない、したがいまして日本ではアスピリンは欧米ほど使われておらないというのが現状でございます。  こういうふうに白人と日本人とではその生活環境、また医療のあり方、こういう要素によりましてずいぶんその反応のあらわれ方が違っております。したがいまして、いま御案内のように、外国で開発された薬剤につきましては、特にキログラム当たりの投与量、用量と申しましょうか、そういうドーズの設定に非常に人種による差がございます。したがいまして、従来から日本においては、外国で開発された薬剤についても日本でもう一度臨床実験をやってドーズを決めていただく、こういうふうなシステムをとっているわけでございます。
  221. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 それから、食品添加物についてお伺いしたいのですけれども、FAOとかWHOが動物を使った慢性毒性試験を行った上で絶対安全と認めている添加物が三百三十九ですか、そのうち日本では百二十八品目を排除しているそうですけれども、その理由はどういうところにあるのでしょうか。
  222. 藤井正美

    ○藤井説明員 FAO、WHOにおきましてA1リストというところに掲げられております品目が、安全性を評価して国際的に使用するに十分な添加物であるという考え方をいたしておるわけでございます。わが国でその三百三十九品目のうち指定していない品目が百二十九品目ございます。これを指定していない理由といたしましては、指定に対する要請がいままでなかったということが最大の要因でございます。
  223. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 わかりました。  それでは、時間が来ましたので終わります。ひとつ前向きの姿勢でやっていっていただきたいと思います。
  224. 登坂重次郎

    登坂委員長 次に、川本敏美君。
  225. 川本敏美

    川本委員 私は、いまここで審議されております外国事業者による型式承認等取得円滑化のための関係法律の一部を改正する法律案について、まず経企庁長官にお聞きしたいのです。  巷間伝え聞くところによりますと、日米貿易摩擦など外国からの市場開放要求にこたえるためのわが国の市場開放策の一つだ、こう言われておるのです。特に、五月末に開かれるサミットに中曽根総理が出席する際に、手みやげがわりにこれを持参するためにいま国会に提出されたのだ、こういうふうに言われておるわけですが、そのとおりですか。
  226. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 この法案の制定目的は、たびたび申し上げておりますように、保護貿易主義の台頭を抑え自由貿易主義体制を推進するために、製造業者を内外無差別に取り扱うという法的な地位を与えるための法案でございます。したがいまして、巷間いかなる評価があるか、いろいろと出ておるようでございますが、純粋に、現在最もわが国にとって重要な海外経済との交渉、さらにまた貿易関係、このための経済政策の大きな柱でございます。
  227. 川本敏美

    川本委員 そうしますと、この法案の中には通産省関係が七つ、農水省関係が五つ、厚生省関係が二つ、そして運輸省、労働省各一つずつで計十六本の法律が一括して改正されようとしている。  この中で、特に国民の命と健康に重大な関係を持つと思われる医薬品輸入という重大な問題を、野球用のヘルメットとかローラースケートとか登山用ロープなどを初め、ふろがまとかビール瓶、しょうゆ瓶、電気アイロンとかラジオの受信機と同じレベルで考え輸入手続を簡素化しよう、そしてそれを一括して法案化して閣議決定を行った。このことは、私は国民の立場から見ると理解ができないと思う。一方、薬というものは国民の命に関係がある問題です。その問題を野球のヘルメットやしょうゆ瓶と同じレベルで考えておるのかということです。あなたの頭の中では、薬としょうゆ瓶と一つになっておるのじゃないかと思うのですが、その点どうですか。
  228. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 薬としょうゆ瓶とは一緒にならないと私は思っております。  この法案の仕組みは川本委員案内のとおりでございまして、十六の法律の中にあります製造者という立場を抽象的に抜き出しまして、それが国内の業者であれ海外の業者であれ、同じように認証制度で直接申請ができるような法的地位を与えよう、内外無差別の原則を手続上担保しようというものでございます。したがいまして、各法律個々の内容は個々の法律の内容としてそのまま保存されているものでございまして、製造者という立場で見ますと、抽象的に製造者という立場から、外国の業者であっても国内の業者と同じように、登録制度とかあるいはスタンダードの検証をみずから直接受けられる、こういうことにするだけでございまして、その法案一つ一つの目的でございますところの物品との関係は私はないと思っております。
  229. 川本敏美

    川本委員 これは、経企庁長官は薬のことは御専門じゃないですからね、きわめて平然としていま言ってのけられましたが、私はそんなものじゃないと思うのですよ。  そこで、私は薬の問題について若干お聞きをしたいと思うのですけれども、この二年余りの間に国内で新薬の製造承認をめぐって不正事件が続発をしておるわけです。そして国民は今日、薬というものに対する不安におびえているのが現状じゃないでしょうか。厚生省の薬事行政はもちろんのこと、製薬会社、特に命や健康を守るはずの薬が、薬と思って飲んだものが毒であったり、逆に病気を治そうと思って飲んだものが病気を引き起こす原因になったり、これはもうスモン病とかサリドマイドのようなことを見ても、大変恐ろしいものだということを国民は知っておるわけです。そういう原因になるような製薬メーカーのいわゆる不正事件が続発をしておる。ここ二年余りの間にどういう不正事件が続発をしたか、経企庁長官、あなたは知っていますか。答えられますか。
  230. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 新聞紙上等で私は見たことがございます。しかし、これを正確に申し上げることは私よりも厚生省関係政府委員の方が適当かと思いますので、政府委員からお答え申し上げさせていただきたいと思います。
  231. 持永和見

    ○持永政府委員 先生御指摘のここ二年ばかりの間で起きました医薬品の不正事件は、一つは大鵬薬品の問題があろうかと思います。これは動物実験に対しまして発がん性の試験データを提出していなかったのじゃないかという問題でございました。それから、昨年の十一月ごろでございましたか、大きな社会的な問題になりました日本ケミファの事件がございました。これは新薬につきましてのデータの捏造事件でございました。それから、最近起きました事件といたしましては、明治製菓の消化酵素剤のエクセラーゼに関する事件がございますが、これは中身といたしましては、厚生省に申請データの添付資料として——先生御承知と思いますが、エクセラーゼという酵素製剤は後発の医薬品でございまして、動物実験データは必ずしも最低のリクアイヤーはしていないものでございますけれども、それが出てまいりました。その試験データの中身と明治製菓が委託いたしました昭和大学における生のデータとが食い違いをしているというような内容のものでございました。
  232. 川本敏美

    川本委員 いま厚生省の方から薬務局長にお答えをいただきましたが、一昨年十月に大鵬薬品工業、徳島ですよね、抗炎症剤のダニロンという薬に発がん性を示すような動物実験のデータがあったのに、それを隠して新薬の承認申請をしたという事件。それから、いまおっしゃったように日本ケミファ、これは昨年の十一月ですが、これも抗炎症剤ノルベダンというのをデータを捏造した、全く架空のデータを捏造した、そして新薬承認申請を出してそれが承認されておるのですよ。ここのは、このノルベダンだけじゃなしに、同じくシンナミンとかほかにも、その後になってデータの捏造があったとかいうような理由で、承認をもらっておった新薬を六品目にわたってみずから取り下げをしておる。その過程で明らかになったことは、高齢者ですけれども、四人のうち三人までが臨床実験で死亡しておるということが明らかになっておる。薬というのは人の命にかかわる問題ですよね。最近では、明治製菓の消化剤のエクセラーゼ、これは動物実験を行った昭和大学薬学部薬理学教室のデータの捏造があったという事件。これは全部厚生省の薬務局では承認されておるのですよ。  このデータが捏造であったりあるいはにせものであったりあるいは必要なデータを隠しておったということは、その時点では全然わからなかったのでしょう。厚生省はどこに問題があると思っていますか。
  233. 持永和見

    ○持永政府委員 率直に申し上げまして、これらの発覚いたしました不祥なデータの捏造なりあるいはデータの食い違いの事件、これはいずれも内部告発でございますとかあるいは新聞報道でございますとか、そういったもので私ども発見したものでございます。  現在の審査の体制というのは、あくまで製薬メーカーの方の申請データに基づいて私どもとしては審査をしているという実態でございまして、その間に信頼関係が成り立っているというのが前提でございます。残念なことにこういった信頼関係が裏切られたわけでございまして、そういった問題が起きました会社に対しましては、それぞれの時点でそれなりの厳正な措置をとることにいたしておるわけでございます。
  234. 川本敏美

    川本委員 国民の立場から見ますと、多くの国民はデータの捏造とかあるいはデータ隠しというのはもうどこの製薬会社でもやっておるのじゃないか、こう思っておるわけですよ。まあ捏造というのは数少ないかわからないけれども、データ隠しといいますか、データを書きかえたり都合の悪い部分だけ隠したりというようなことは、もう日常茶飯事として行われているのじゃないかと国民は思っておる。また、そうなっておるのが現状だと私たちは疑っておるわけです。国民から見ますと、こんな背筋が寒くなるような恐ろしいことが堂々とまかり通っているのは許されてならないと思っておるわけです。  これら一連の事件は、私は決して偶発的な事件だとは思っていない。スモンとかクロロキンなどの薬害事件とこれは表裏一体の企業犯罪じゃないかと思う。この間も、五十七年十二月二十五日に毎日新聞の「記者の目」という欄で、執筆者の署名入りのレポートが載っておりました。そのレポートを読みますと、「背景に広がる医師と製薬業界のドロ沼のような癒着」、厚生省の高級官僚の製薬業界への天下り、銘柄別薬価基準登載方式で新薬の薬価基準が高くうまみが多い、ちょっと成分を変えただけで名前を変えて新薬として承認申請をする、本来患者のためにあるはずの薬が製薬企業の利益追求の道具にされており、厚生省もこれに同調しておる、こういうところに問題点があるんだと、これは新聞記者が「記者の目」という欄で書いておる。私は全くこのとおり同感だと思う。  私は、いまこそこのような事態を防止して国民の信頼を取り戻す——薬も政治家と同じですよ。国民の信頼を取り戻さなければならぬ時期に来ておる。そのためにはいまこそ薬事法改正して、私がいま指摘したような問題点を根本的にもう一度洗い直すべき時期に来ていると思うのに、それを素知らぬ顔をして口をぬぐうて、そしてまた型式認証方式ということで外国の薬をストレートに国内に持ち込めるような形を考えるというのは、私は、国民を全く無視し、国民の気持ちを逆なですることにつながると思うわけです。その点について厚生省はどう思いますか。
  235. 持永和見

    ○持永政府委員 まず、今回の改正措置でございますけれども、先ほど来いろいろと説明がございますように、今回の改正措置は、外国製造業者が直接医薬品の承認を取得することができるという、いわば医薬品の承認についての国内業者並みの地位を与えるということでございます。  先生御承知のように、現在までの医薬品の輸入は、輸入販売業者が輸入の承認と、それから具体的に市場へ流通いたします場合には輸入販売の許可をとっております。それで今回、私どもといたしましては、医薬品そのものの承認については外国事業者にも直接取得地位を与えるけれども輸入の販売そのものにつきましては、従来どおり輸入販売業者によって品質のチェックをいたしまして、そのものが日本国内の市場に出回るという形をとっておるものでございます。まず、今回の改正はそういうものでございます。  それから、先生御指摘のように、私どもも大変遺憾に思っておるように、ここのところ医薬品に関します企業の不祥事が続発をしているのは事実でございます。これに対しましては、私どもといたしましても、審査体制のあり方といったものについて基本的に反省をしておるわけでございまして、これも御案内のことと思いますけれども、大鵬のダニロン事件あるいは日本ケミファの事件、そういったものを契機といたしまして、五十七年三月から動物実験などにつきましてはいわゆるGLPという安全性試験の実施に関する基準をつくりまして、これをことしの四月より実施いたしまして、試験データの記録の保管あるいは試験の責任体制のあり方、そういったものについてきちんとさせるということにいたしております。  また、生データにつきまして、従来私どもも十分なチェックが行き届かなかったのではないかというような反省もございまして、ことしの二月からは、医療用医薬品についてはすべてのデータについて生データとのチェック体制をしくことにいたしております。また、ことしの四月から、申請のデータについて特に試験実施者自身の、お医者さんがいろいろ試験をされますけれども、試験をされた方の署名押印を求めましてそれの責任を明らかにする、あるいはデータの信頼性を担保するというような措置をいたしております。  また一方、現在の臨床試験のあり方、あるいはわれわれの方の審査体制のあり方、そういったものにもいろいろ問題があるというような御指摘でございまして、私どもの方も、そういう点も踏まえまして、現在臨床試験に関する専門家会議というものを開いております。ことしからこの臨床試験に関する専門家会議を設置いたしておりまして、そこにおいて臨床試験のルールづくりとかあるいは中央薬事審議会における審議のあり方を含めまして、医薬品の承認審査のあり方などについて検討を行ってもらっておるところでございます。その結論を待って、それに向けて必要な措置をとってまいりたいと考えておるところでございます。
  236. 川本敏美

    川本委員 いまの問題については順次触れていきたいと思うのですが、私は、先ほど来指摘した問題の中で一つだけこの際はっきりしておきたいのは、現在、虚偽申請をしてもそれに対する処分ができない、処罰の方法がないわけです。この間の日本ケミファなんかも、全く虚偽のデータを出しておっても、それに対する罰則で罰を加えるということはできないわけです。薬事法改正して、そういう虚偽申請に対しては罰則が加えられるような、何も刑罰が重いのがいいと言うわけではないけれども、いままで、いま局長がおっしゃったように良心に期待をして法律をつくっておった、運用をしておった、ところが続々とこちらの期待に反する不正な書類が出されてくるわけですから、こうなれば一応やむを得ないと私は思うわけです。虚偽申請をした者には虚偽申請罪というようなものをつくって、二度とその会社には新薬の承認は与えないぐらいの、あるいは罰金、あるいは体罰をもって当てるぐらいのそういうきちっとしたことをまずやらなければ、製薬会社の姿勢を正すことはできないのではないか、このように思うわけですが、どうですか。
  237. 持永和見

    ○持永政府委員 御指摘のとおり、先般の日本ケミファの事件に対しまして、私どもの方もいろいろと法律の適用その他について検討をいたしたわけでございますが、薬事法による罰則の適用というのは、承認申請のデータについての捏造ということではできない。法律上どうしてもできないというような実態でございました。私どもとしては、いま薬事法の違反に対しましては、営業の停止あるいは許可の取り消しといった行政運用面で、できる限り企業としてもダメージをこうむるような厳正な措置をとってまいりたいというふうに考えております。  ただ、申請データに関する不正につきまして、先ほどちょっと御説明申し上げましたけれども、今後はデータ論文にデータをつくった人の署名を求めることにいたしております。例の事件のときでも、いわゆる一般的な刑法による私文書偽造罪というようなものに該当するかどうかということについても、われわれいろいろと研究をしてみたのでございますが、残念ながら従来のデータは署名押印もございませんので、そういう意味でなかなか私文書偽造罪というのも適用しにくいというようなことでございました。今回はこういうふうにデータの作成者に署名押印を求めるということにいたしておりますので、この一般的な刑法によります私文書偽造罪の適用については、より明らかになったのではないかというふうに考えられております。  ただ問題は、薬事法の内部で何かそういった措置ができないかという御質問でもあろうかと思いますが、こういった点につきましては、先ほど申し上げましたように、現在専門家会議を開きまして、臨床試験のあり方とかあるいは中央薬事審議会の審議のあり方を含めまして、審査のあり方全体についての検討を専門家にお願いしております。この中には法律の専門家の方もお入りいただいておりますから、そういう意味合いで、そういった問題も含めて検討していただくように、私どもとしては期待をしているところでございます。
  238. 川本敏美

    川本委員 参考までに申し上げますと、一九六二年にアメリカで高血圧用剤のトリパラノールという薬で白内障が起こるという薬害事件があって、これがいわゆる虚偽のデータに基づく事件だったわけですけれども、アメリカではこの事件に対して公文書偽造罪を適用して罰を加えておる。だから、外国では日本よりもっと厳しいのです。日本は、現在の薬事法ではできない。現在の薬事法でできなければ、薬事法改正したらいいのだと私は思う。その点について、ひとついませっかく前向きに検討をして早急に結論を出してもらいたいと思います。  最後に、私はエクセラーゼの問題をもう少しここで、この問題に関連して取り上げておきたいと思うのです。  この薬は、一九七六年、昭和五十一年三月に承認が下されておる。申請は一九七五年、昭和五十年の十二月に申請が出されておると思うのですが、間違いありませんか。
  239. 持永和見

    ○持永政府委員 エクセラーゼにつきましては、エクセラーゼカプセルとエクセラーゼ錠とエクセラーゼ顆粒とございまして、それぞれ、カプセルの申請が五十年の十一月二十六日、承認が五十一年の三月三十一日、錠が、申請が五十一年の二月十二日、承認が五十一年の五月十九日、顆粒が、申請が五十二年の十月二十一日、承認が五十三年の一月二十八日、こういうふうになっております。
  240. 川本敏美

    川本委員 そこで、先ほど来問題のいわゆるデータ隠しの問題あるいは捏造データの問題ですが、これは昭和大学の薬学部薬理学教室に委託をして実験をやっておるわけですよね。その結果を一九七六年の一月だと思いますが、名古屋で開かれた薬理学会で、昭和大学薬学部薬理学教室の丸山郁夫という助手が、犬の頭数を十六頭として実験発表をしておるのですね。ところが、出てきておる申請書類は、犬の実験頭数は二十頭になっておるわけです。これは薬務局が、もし仮にこの名古屋の学会に出ておったか、出ていなくても後でその資料を入手して読めば、申請書類は犬は二十頭で、そして学会で丸山助手は十六頭だと発表しておる、もうその時点でこの問題に気がつかなければいけない。それを今日までわからなかったというのはどういうわけですか。
  241. 持永和見

    ○持永政府委員 先ほども申し上げましたように、特に明治製菓のエクセラーゼというのは、いわゆる後発の医薬品でございます。  実は、新薬の承認あるいはゾロの医薬品の承認というのは、先生も御承知のとおり、年間に何万件という申請件数がございます。しかも、それをめぐります論文その他はまた無数にあるわけでございます。確かに、先生御指摘のように、われわれとして全知全能を結集しまして、すべての専門学会の雑誌なりあるいはすべての学会報告、それをすべて周知できるような体制が理想的な姿だと思いますけれども、現実の姿として、なかなかそこまでいきかねているというのが実態でございます。
  242. 川本敏美

    川本委員 そしてその後さらに、一九七八年ですから五十三年ですね、これは参議院でも問題になっておったと思いますが、五十三年一月の日本薬理学雑誌、これは日本で一番権威のある薬理学の雑誌ですよね。ここに、今度は馬屋原助教授が中心になってまとめた論文が出された。この場合は、また二十頭の犬を使ったことになっておるわけですね。同じ一つの実験で、先のは十六頭で丸山助手が報告をし、後では馬屋原助教授が二十頭ということで報告する。実際は、生データを調べてみると十五頭しかなかったのでしょうが。どうです。生データを検査したら十五頭だったのでしょう。
  243. 持永和見

    ○持永政府委員 昭和大学で調査いたしました生データは、先生も御指摘のとおり十五頭でございます。
  244. 川本敏美

    川本委員 実験に使用できた犬は本当は十五頭だ。それを四群に分けた場合、三頭と五頭のところができたらどうも体裁が悪いから、丸山助手は四頭ずつの十六頭で適当にやったわけです。馬屋原助教授は、五頭ずつの二十頭にしてつじつま合わせをしたわけですよ。そして厚生省への申請書類には、その二十頭のものがつけて出された。これは日本ケミファの、あの日大板橋病院で全然やっていない臨床データをでっち上げたのと質から言えば同じだと僕は思うのです。  ただ、先ほど局長がおっしゃるように、これはゾロゾロの薬品で、後発メーカーで、先発で同じような種類のがたくさんあるから余り注意して見てまへんのやと言うのやったら、これは大変なことだと僕は思うわけです。そういう厚生省の態度が、今日こういう虚偽のデータに基づく捏造事件が続発する土壌になっておることは否めないと思う。  それともう一つは、担当職員の数が少な過ぎますね。五十六年に出されました新薬の製造承認の申請は年間一万三千百七十五品目、それに対して製造承認を与えたのが国内で三千六百七十三、輸入で二百八十四、合計三千九百五十七品目の承認を与えておる。これは大体一日に十品目以上与えておるわけですね。土曜、日曜も仕事してね。三百六十五日で一日十品目ずつ与えたって三千六百五十品目にしかならぬのだから。これは何人の職員で仕事しておるのですか。
  245. 持永和見

    ○持永政府委員 現在、私ども薬務局の方で医薬品の審査に携わっておる人数は三十六人でございます。
  246. 川本敏美

    川本委員 三十六人で一人年間百件ずつ扱ったって三千六百件ですよね。それで一万三千何ぼの品目の申請を処理して、約四千件近い製造承認を与えていくということは、これは神わざでもできない。ここにも私は一つ問題点があると思う。この点については、いま行政改革で職員を減らせ、職員数が多過ぎるとか言うけれども、ここらあたりに一つ問題点があることは否めないと思う。これについて局長はどう思っておりますか。これは職員の数が少ないから、やむを得ぬから、人間の三人や五人間違うて新薬で死んでもしようがないと、あなたはそう思っておるのかい。
  247. 持永和見

    ○持永政府委員 先生から大変好意あふれる御意見をいただきましたけれども、現在われわれとしては少数精鋭で臨んでおるつもりでございます。  ただ、御案内のとおり、医薬品は技術開発が進みますし、あるいは新薬もどんどん出てまいります。医療需要の増大に伴いまして新しい薬も次々と開発されていくのは事実でございますから、そういう意味合いにおきまして、私どもとしては、現在のこの審査体制というのは堅持していくべきだというふうに考えております。  ただ問題は、この審査の中におきまして、できるだけその審査内容の適正化と効率化を図っていくようなことも考えていかなければなりませんし、また、いままでなかった基準、審査に当たります基準その他をできるだけきっちりといたしまして、審査の全体としての適正化、厳正化を図っていかなければならないというふうに考えておるところでございます。
  248. 川本敏美

    川本委員 このエクセラーゼのことでもう一つお聞きしておきたいのですが、「新総合消化酵素製剤エクセラーゼカプセルの消化吸収面よりみた効果」、これは先ほどの申請書類についておる論文ですが、ここの二ページに「エクセラーゼカプセルの成分」というのが入っております。この中に、プロクターゼというのが五十ミリグラムと書いてあるのですが、申請書類の方には百ミリグラムとなっております。これは単純なミスだと思われるということですけれども、見てみると、ほかのところでは三番目にあるのに、ここだけは二番目にある。三番目には百ミリグラムと書いてあるから、メイセラーゼの方の百ミリグラムという数字も間違っておるのだろうと思うのです。こんな単純なミスすらそのまま放置されているというところに、私がいま言うた、人の手が少ないから目が届かない、こういうようなことの原因があると思う。だから、この点については、単にこれは単純ミスだという片づけ方をせずに、この問題に対してももっと深く取り組んでいく姿勢を持ってもらわなければ国民は納得できない。このことだけ一つつけ加えておきたいと思います。  そこで、もう一つ局長にお聞きしたいのですが、大鵬薬品と日本ケミファと両方ともですけれども、労働組合に対して物すごい弾圧をやっておる。このことは新聞でも御承知のとおりだと思う。日本ケミファの場合は、研究室にいた労働組合員は、現在では全く関係のない、植木の虫を取ったり、ごみ掃除をする仕事に使われておる。大鵬薬品のダニロンを告発した研究室の者も同じことですよね。ところが、聞くところによると、大鵬薬品ではダニロンについてもう一度マウス実験か何かを二年間かけてやり直して、新しいデータをつくって提出してきて、そこで新薬の製造承認を得ようとやっておる。私は、国民はこれじゃ納得しないと思いますよ。良心ある研究者を研究室から追い出して、会社の言いなりに虚偽のデータでも捏造するような研究者の手によって新しいものがつくられて、幾らそれが法律的に合致したものであっても、これは先ほど来の問題と同じで国民は全く納得できない。本当に会社に良心ありとするならば、それを告発した研究者の手によってもう一度研究してもらって、真っ当なデータを添えて申請をしてきたものなら許可をする、こういうことが国民の信頼をつないでいくゆえんだと私は思うわけです。そんな密室で、良心ある研究者に植木の虫取りやごみ掃除をさせるようなことをしておいて、研究室から追いやっておいて、そして労働組合を弾圧して、それに対して地労委は日本ケミファの社長に対しても命令を出しておるが、そういう労働組合の弾圧をして、内部の秘密を保つことに必死になっておる会社の新薬を許可すること自体、国民の信頼を裏切る行為だと思うのです。どうですか。こういう研究者をもとの位置に戻して、そして、その研究者の手によるデータがついてこない限り厚生省としては断じてこの申請は受け付けぬ、こういう基本的な態度があって初めて国民は厚生省を信頼すると思うのです。そうでなかったら、厚生省の元高級官僚が会社に天下りしておるから癒着しておるのだなとしか理解しない。その点についてひとつ、どうですか。
  249. 持永和見

    ○持永政府委員 大鵬薬品のダニロンの問題については、先生御指摘のとおり、薬事審議会で検討していただきまして、追加試験を会社側に指示し、その追加試験についての検討結果が終わるまでは販売の中止措置をとらしているところでございます。  それで、まず追加試験の中身といたしまして、ラットを用いた強制経口投与剤に発がん性試験、それから二番目として優性致死試験及び小核試験、いわゆる変異原性試験というふうに呼んでおるようでございますが、そういった二つの試験についての追加試験を指示いたしております。  この二つの追加試験につきましては第三者機関でやらせております。具体的に申し上げますと、食品薬品安全センターという財団法人がございますが、ここに委託してやらせておりまして、大鵬薬品工業自体の内部ではやっておりません。この第三者機関による試験の検討を現在待っているところでございまして、その第三者機関による調査によりまして改めて中央薬事審議会で御審議をしていただくという経過をとることになるかと思っております。
  250. 川本敏美

    川本委員 私は、秘密を保つために労働組合を弾圧したり良心的な研究者を追いやるような企業に対して、厚生省が良心的な企業と同じレベルで対応するということは間違いだと思うので、その点については薬務局から厳に会社に申し渡してもらいたい、私はこのことを要求しておきたい。  次に、私は、型式の認証の問題について、スモンを一つの例にとってこれからいろいろお聞きしたいと思っておる。  スモンという病気は、全国で二万四千人という多くの患者が発生した痛ましい史上最大の薬害事件であったことは御承知のとおり。このスモンの原因はキノホルムにあったと言われております。これはスイスのチバ社が製造した薬ですけれども、もともとは抗アメーバー剤。それが日本国内で急性下痢とか慢性下痢とか、整腸剤として効く。最初は、一週間か十日くらいしか連用してはならぬと言っておったのが、長期投与も可能だということで、〇・七五ミリグラムぐらいしか投与してはならぬというのを最終的には二・五ミリグラムぐらいまでは大丈夫だというようなことで、だんだんと拡大解釈をされて、そしてそれがスモン患者を生む原因になったことは御承知のとおり。  このスモン患者のいわゆる薬害事件の和解がどんどん進んできたわけですが、昨年十一月末現在で和解金額は実に千二百七十六億七千三百万円に達しておる。大体三分の一が国で、三分の一が田辺、残りの三分の一がチバ・武田グループ。いわゆるチバガイギーというのはスイスの会社ですが、日本にチバガイギーという会社をつくって、そこが製造承認を取って、そして武田薬品が販売をしておった。キノホルムはそういう薬ですよ。それで、チバと武田グループで三分の一、こうなっておる。チバ・武田グループでいままでに払った和解金は幾らになっていますか。
  251. 持永和見

    ○持永政府委員 日本チバガイギーと武田薬品で連帯してスモンの患者さんに対しまして損害賠償を払っておりますが、その金額は現在までに五百十二億六千九百万円でございます。
  252. 川本敏美

    川本委員 そのうちチバ社の負担分は幾らですか。
  253. 持永和見

    ○持永政府委員 両社の内部的な負担割合でございますけれども、これにつきましては八対二というふうに聞いております。これで単純に計算していきますと、日本チバガイギーの方の負担額は四百十億一千五百万ということになるかと思います。
  254. 川本敏美

    川本委員 この薬害事件では、日本チバガイギーが負担しておる負担分が実に四百十億千五百万という巨大な金額になっている。ここで問題になるのは、いわゆるこの薬はスイスのチバ社が直接日本に対して製造承認を得たものではなくて、日本にある日本チバガイギーが製造承認を得たという点にあると思う。  そこで、いまの型式認証のこの新しい法律に基づいて薬事法改正されて、外国のメーカーが直接日本製造承認を得ることの道を開こうとしておる。もし仮にスモンのような薬害事件が起こった場合、これはどうなるのかということですけれども、法務省にちょっとお聞きしたいのです。  仮にこのような薬害事件で刑事事件が起こって、そして外国の企業を日本国内で告発をした場合、外国の企業のその責任者あるいは関係者を日本に連れてきて逮捕して調べることは、法務省として現行法制のもとでできると思いますか。  もう一つ、民事の問題について、民事訴訟を起こした場合、東京でなら東京で、日本国内で民事訴訟を外国の企業相手に起こすことができるのか。もし仮にチバ社というふうにしたらスイスまで行ってやらなければいかぬのか、その点どうですか。
  255. 米澤慶治

    ○米澤説明員 お答え申し上げます。  私は、刑事局の青少年課長でございますので、まず刑事問題につきましてお答え申し上げた上、民事局の参事官が参っておりますので、民事問題につきましては民事局の参事官からお答え申し上げます。  まず、スモンのような例が、外国の薬品製造会社製造した医薬品で、日本国内で発生した場合には、先生御案内のとおり、わが国刑法の、たとえば業務上過失致死傷罪の適用を観念的には見ることになります。ただ、御承知のように日本の主権が外国にまで及びませんものですから、外国製造業者日本へたまたま入ってきません場合には逮捕したりあるいは裁判へかける、つまり起訴するということはいたしかねるといいますか、主権侵害の問題がございますので、できない状況にございます。
  256. 大森政輔

    ○大森説明員 民事責任の問題に関しましてお答え申し上げます。  外国の企業が製造いたしました薬品を日本輸入し、それを日本人が服用して薬害が生じたというケースについて申しますと、そこで二つの問題が生ずるわけでございます。  まず、それに適用される法律は一体日本法律なのか、その外国法律なのかという問題。もう一つは、御質問日本の裁判所が裁判をする権限があるのかどうか、そういう二つの問題が生ずるわけでございますが、まず前者について申し上げますと、わが国の国際私法規定を含んでおります法例の第十一条というものによりますと、「不法行為ニ因リテ生スル債権ノ成立及ヒ効力ハ其原因タル事実ノ発生シタル地ノ法律ニ依ル」、こういうふうに定められております。したがいまして、日本人がその薬品を服用してそれに起因して薬害が生じたという場合には日本の民法が適用になる、原則的にはそのように考えていいのではなかろうかということになります。したがいまして、日本民法の七百九条によりますれば「故意又ハ過失ニ因リテ他人ノ権利ヲ侵害シタル者ハ之ニ因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責ニ任ス」、こういうことになるわけでございます。  次に、日本の裁判所が裁判権を持つかという問題でございますが、この問題は非常にむずかしい問題でございます。それに関する直接の条約あるいは確立された国際法規というものはまだございません。したがいまして、学説並びに判例の解するところにゆだねられているわけでございますが、参考になりますのは昭和五十六年十月十六日に最高裁判所において、いわゆるマレーシア航空事件というものに関する判決がなされました。その理由としますところは、要するに、外国企業が日本に代表者を持ち営業所を置いている場合には日本の裁判所が裁判管轄を有すると解するべきであるという基本的な考え方をとっているようでございます。したがいまして、当該薬品を製造いたしました外国企業が最高裁判所の判例で示す要件を満たした場合には日本の裁判所において不法行為に関する裁判ができる、このようになろうかと思います。  以上でございます。
  257. 川本敏美

    川本委員 これは経企庁長官、大変なことですよ。どうですか、いまの答弁を聞いていただいてわかるでしょう。もしスモンと同じような大きな薬害事件が起こって、刑事事件で業務上過失致死傷罪というものが成立すると見ても、外国の企業に対しては逮捕をしたり起訴したりすることはできませんと言っておるのじゃないのですか。どうなりますか。このことは閣議でどのように検討されましたか。
  258. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 罰則でございますから、御指摘のように国際法上の限界があることはいま法務省からも御説明があったとおりでございます。  しかし、今回の法案趣旨は、御案内のように、国内製造業者も国外の製造業者も同じ申請ができるような、登録制度がとれるような法的な地位を与えようというものでございまして、しかも罰則の点に関しましては、限度はございまするけれどもできる限りの制裁、たとえば登録の取り消し、またその前提としての工場の検査、こんなようなことができるような仕組みのもとで考えたものでございまして、私は、この点は、薬といえども例外にすべきではないと思うのでございます。  全体として私は、国内に一事件があった、特定の人が不正行為を行った、それがあるから国際的な、何と申しますか標準的な交流行為あるいは同等の地位に扱う、内外無差別に扱うというようなことを犠牲にすべきではない。やはり不正な行為をする者に対しては不正な行為をする者としてそれを抜き出して取り締まりあるいは処罰する、一般の善人の方々がそのために犠牲になることがないような仕組みにすることが現在の国際慣行だ、私はこういうふうに考えております。
  259. 川本敏美

    川本委員 私は、経企庁長官説明では納得できないのです。これは国民の命と健康に関係のある重大問題です。ほかの問題じゃないのです。ローラースケートとか野球のヘルメットとは種類が違う。現にスモンで日本チバガイギーが四百十億一千五百万という負担をするような大きな薬害事件が起こっておるじゃありませんか。  そこで、これは薬務局長に聞きますが、いま法務省の答弁では、五十六年十月十六日のマレーシア航空事件の判決の中で、最高裁は、日本代理人が置いてある場合については日本の裁判所でやれるけれども、そうでない場合は条約とか国際公法上には何も規定がないし、あるいは学説とか判例等の中でも、いま言うた最高裁の判例以外にはないのだ、こういうようなお話です。  ここで、今度の法律の中で国内管理人を置くことになっています。この国内管理人のところで、仮にスモンと同じような大薬害事件が起こっても、その負担にたえられるだけの担保の規定がこの法律の中のどこにあるのか。国内管理人というのは日本人じゃなくてもいいのでしょう。どうですか。
  260. 持永和見

    ○持永政府委員 国内管理人は、外国製造業者にかわって承認取得の申請を行ったり、あるいは薬事法には、先生御指摘のように常に安全を担保するための副作用の報告でございますとか収集でございますとか、そういった恒常的な措置が必要でございますし、また一たん緩急あった場合の回収命令なり一部業務停止といったような措置、あるいは医療関係者、一般公衆への情報の伝達といったような措置が必要でございますから、そういうものを担保するために国内管理人規定を設けたところでございます。  この国内管理人につきましては、仮にいま先生御指摘のような薬害事件が起きまして損害賠償請求ということになりますと、当然のことながら私どもの方の解釈としては、国内管理人に対しても損害賠償請求ができるというふうに解釈をいたしております。  なお、国内管理人の資格要件でございますが、これは先ほど申し上げましたような趣旨でございますので、薬事法に関します相当の知識経験を有する者を国内管理人規定したいということで、省令の段階でそういった規定検討いたしていきたいというふうに考えております。
  261. 川本敏美

    川本委員 国内管理人の資格その他の要件については省令でこれを定めるといういまの答弁ですけれども、仮に国内代理人があるからといって、最高裁の判例じゃないですけれども、そこで判決をもらって四百億も五百億もの差し押さえ令状を持っていったって、そんなビルの一室を借りて机と電話しかないような管理人のところへ行って差し押さえ令状を行使したって、意味がないわけですね。その場合に、国内管理人が受けたそういう判決については、外国企業がこれを負担するのだということの明確な規定はどこにあるのですか。
  262. 持永和見

    ○持永政府委員 先ほど、損害賠償請求が国内管理人にできるということを申し上げましたが、あわせまして私ども考え方といたしましては、先ほども説明しましたように、実際に外国の医薬品を市場に流通する、あるいは卸の段階あるいは医療機関サイドに供給するのは輸入販売業者でございます。したがいまして、そういう輸入販売業者に対しましても損害賠償請求ができるというふうに解釈いたしております。  なお、国内管理人につきましては、これはあくまで法律上の国内管理人ということで外国製造業者が選任をするということになっておりますので、その選任の契約その他があるわけでございますから、国内管理人外国製造業者に対して内部的にその求償権を行使できるというふうに解釈しているところでございます。
  263. 川本敏美

    川本委員 そこでもう一つは、外国の企業に対する立入調査権の問題ですが、これは立ち入りとは書いてないけれども、いわゆる調査に行くのだ、そして帳簿なんかを見せることを要求することができるのだ、そして係員の話を聞くことができるのだ、それに応じなかった場合は製造承認を取り消すのだ、こういうことがあるから恐らく拒否しないだろうということですが、そんな単純なものじゃないと私は思うのですよ。ちょっと立ち入らせてくれませんか、ぐあいが悪いです、帳簿を見せてくれませんか、ぐあいが悪いです、そんな単純なものじゃない。捏造しておるのですから、データ隠しをやっているのですから、それを発見することができるのかどうかということです。そのような調査が果たして可能なのかどうか。国民は皆、そんなものできないだろうと思っているし、厚生省でも自信がないんじゃないですか。真相を知るということはできないんじゃないかと私は思うのですけれども、その点について不安はないですか。
  264. 持永和見

    ○持永政府委員 外国製造業者が医薬品の承認を申請いたしました場合に私どもの方で審査をいたすわけでございますが、この審査に当たりましての審査基準その他については国内業者と全く同じものでございまして、外国製造業者だからというような差別はつけないつもりでございます。また、現実に運用もそういたすつもりでございます。  そこで、先ほどもちょっと御説明申し上げましたように、特に臨床試験データ、試験データその他につきましては、その信頼性を確保するという意味からGLPの基準を策定いたしておりまして、外国製造業者による新薬のデータといえども、そういったGLPに適合するものでないと私どもとしてはデータとして受け入れない、こういうことにいたしております。そのGLPにつきましては、外国での政府の証明その他、政府あるいはこれに準ずるものの証明を必要としているところでございまして、そういった証明を受けたものにつきまして私どもとしてはデータを受け入れるということでございます。  なお、その他のいろいろな前臨床の試験その他がございます。こういったことにつきましては、先ほども申し上げましたように、生データをチェックいたしましてデータの信頼性を確保する。そこで生データのチェックその他におきまして疑問がありました場合には、これは国内でもそうでございますが、外国製造業者につきましても問題があるものについては立ち入りをいたしましてチェックをするということで臨むつもりでございます。仮に外国製造業者において立入検査を拒むということでありますれば、これは制裁的にその承認を与えないということで臨んでいきたいと考えております。
  265. 川本敏美

    川本委員 次に話を進めます。  四月の初めに経企庁が中心になって主催しまして、国際消費者機構セミナーというものが開かれたわけです。経企庁長官もパーティーに行ってあいさつされたのです。このときにスモンの告発者であるスウェーデンのオーレ・ハンソンというお医者さんが八日、会場内で記者会見をして、利尿剤と一緒に用いられる塩化カリウムの錠剤であるスローケーというチバガイギー製の薬は、自覚症状のない胃潰瘍ができる副作用がアメリカでのテストからわかったと発表しているわけです。四月九日の朝日新聞に載っています。  その内容は、アメリカで百二人の全く健康な人に一週間このスローケーを飲ませたところ、十一人の人に胃の下部に出血を伴わない潰瘍が発生した。四十二人の人に胃のびらん症状が見られた。合計すると百二人の中で五十三人、二分の一以上の人に副作用が出ておる。この薬は現在日本でも使われておるわけでありまして、高血圧患者に使われる降圧利尿剤、心臓病のジギタリス製剤などの使用で生ずるカリウム不足を補うために併用されておる。年間日本で大体十億円ほど売られておる。こういうことです。  この薬についてですが、いまアメリカでは新聞が大々的にこの問題を取り上げて報道しておるわけです。チバ社が動物実験のデータを隠しているということです。いまFDA、アメリカの食品医薬品局がひっくり返るような大騒ぎになっている。厚生省はこのことを知っていますか。
  266. 持永和見

    ○持永政府委員 先生御指摘のチバガイギー社のカリウム補給剤のスローケーでございますが、これについてそういった新聞報道がいろいろとあるということで、私どもといたしましては現在日本のチバガイギー社に、事実関係を調査して早急に報告してくれという指示をいたしておるところでございます。
  267. 川本敏美

    川本委員 こういう薬の製造承認についてのいわゆるデータ隠しとかデータの捏造というのは、外国もみんなやっておる。日本だけの問題じゃない。だから先ほど、立入調査ができて真相をつかむことができるのかと私は言ったのです。だから、このような問題が仮にアメリカで起こったときに日本は何も知らない、これじゃおかしいですよね。これは日本で全部わかる、そして、そこで日本がすぐ対応できるということでなければ国民は安心できないと思うのです。  現にこの学会で、これは食品添加物の問題についてですけれども、アメリカで販売禁止になっておる食品添加物が、日本向けとか外国向けの輸出には許可されておると言っておるのです。アメリカは、自分の国内では人体に影響があるからということで許可しないものを、輸出は認めておるのですよ。日本でも、キノホルムが国内でもう製造販売禁止されておるのに東南アジアに輸出されておるということで、東南アジアの国々からいろいろ指摘されていますよね。同じようなことです。自分の国の国民の命、健康は大事だけれども外国はどうなっても構わない、どんどん輸出を認めてきておる、そういう状態にあるということは、これは間違いないと思うわけです。  そこで、もう時間もありませんから、私はひとつ食品添加物の問題で環境衛生局長にちょっとお聞きしたいと思うのですが、今度の型式認証の問題と並行して、新たに食品添加物の規制緩和をやるような方向が出されて、最近九品目ほど新たに承認されるような動きがあるということは本当ですか。
  268. 藤井正美

    ○藤井説明員 四月の十一日に食品衛生調査会に、十三品目の食品添加物の可否について意見を求めております。その結果、八品目について、必要性並びに有用性があると認めて、指定して差し支えないという意見具申がなされている状況でございます。
  269. 川本敏美

    川本委員 現在、食品添加物はWHOで、これは二百二十何品目でしたか、二百二十九品目だったですか、大体これはいいと言われておるのですが、日本国内では現在百十品目ですか、たしか認めておる。そこへ今度、いまおっしゃるように八品目か九品目が追加されるということですけれども、アメリカはこれは残りの百二十八品目を全部日本に指定せよという指定方を要求してきておるのですか。
  270. 藤井正美

    ○藤井説明員 FAO、WHOが、二十六年前から国際的に使用されている食品添加物について安全性の評価を行ってきております。現在、その中において、安全性が十分に評価し得る、資料も十分あるという形で列挙をしております品目が三百三十九品目リストにアップされております。アメリカがわが方に照会してまいりましたのはそのうち百二十九品目。ただし、私、数を申し上げておりますが、化学物質でございますので、化学物質の読み方で数は多少変わってまいります。百二十九品目がわが国において指定されていないという形で照会をしてまいったわけでございます。しかし、百二十九のうち、アメリカが認めておりますのはすべてではございません。九十六品目をアメリカが認めているということも参考として照会してきているわけでございます。このように、食品添加物につきましては国際的に評価が進んでいる一方、それぞれの国の食生活に基づき、それぞれの国によって特徴的な食品添加物の指定あるいは認可というものが行われている現状でございます。  今回の九品目は、いずれもこのA1のリストに挙げられている品目について特に緊急に審査といいますか、審議をお願いしたいという要請がアメリカ側からございまして、わが方としてもその要請を、A1リストのものでございますし、その資料を十分に整えて食品衛生調査会の議に諮った次第でございます。
  271. 川本敏美

    川本委員 いまの中曽根内閣は、先ほど来の薬の問題といい、この型式認証の問題といい、食品添加物といい、全部レーガン大統領の言うことだったら何でも聞くのですよね。アメリカが言うてくれば何でも聞かざるを得ない。先ほど来の薬の問題もいまの食品添加物も同じですが、環境衛生局長おっしゃいましたが、薬とか食品というものは人種によって違うわけです。ある程度は人種によって違うということは、もうはっきり現在の学説の中でも立証されておる。だから、白色人種に有効な薬がそのまま黄色人種に効くとは限らないし、白色人種が食べて何ともないものが日本人が食べて何ともないとは限らない。胃の中の何か酵素も違うようですね。そういうような状態の中で、ストレートに外国のデータに基づいて、あるいはアメリカの要求に従ってそれを科学的に立証して、逐次添加物でもどんどんと使用の規制を緩和していくということに対する国民の不安は広がってきておると思うのです。  特に、昭和四十七年六月十六日に衆議院社会労働委員会におきまして、「食品衛生の重要性にかんがみ、特に次の事項について、その実現に努力すべきである。」ということで決議をしている。その中で、四番目には「食品添加物については、常時その安全性を点検し、極力その使用を制限する方向で措置すること。」五番目に「食品添加物の安全性については、その時点における最高の科学的水準により常時点検を強化するとともに、食品添加物の使用は極力制限する方向で」、極力制限する方向でですよ。「措置することとし、とりわけ諸外国で有害であることが実証された場合には、既に使用を認めたものについても、すみやかに、その使用を禁止する等必要な措置を講ずること。」こういう決議がなされている。この決議がなされたことを知っていますか、環境衛生局長
  272. 藤井正美

    ○藤井説明員 御質問にお答えする前に、私、環境衛生局長ではございません。環境衛生局の食品化学課長でございますので、訂正させていただきたいと思います。  衆議院並びに参議院におきまして昭和四十七年、国会決議が行われていることは十分に承知いたしております。
  273. 川本敏美

    川本委員 それでは、いまの決定は私はこの衆議院の決議に対して逆行しておると思う。だから、もしそのような新たな食品添加物を八品目でも九品目でも認めるということであるならば、少なくとも事前に衆議院の社会労働委員会に説明があってしかるべきだと私は思う。その説明もないままこれをやるというのは、これは国会軽視ですよね。どうですか。
  274. 藤井正美

    ○藤井説明員 衆議院の国会決議は、食品添加物について極力その不必要な使用を制限していくというように私どもは解釈いたしております。したがいまして、決議以降も、必要な食品添加物については追加指定をしてきたところでございます。新しい添加物を一切追加しないというような決議とは受けとめていない次第でございます。  また、今回の九品目はアメリカの要求が幾つか入っているわけでございますが、アメリカにおける食品添加物並びにわが国における食品添加物、いずれも法制度が背景が違っております。アメリカの場合には企業の申請による認可制をとっておりますが、わが国においては厚生大臣が指定する指定制という形をとっております。また、欧米諸国においても、それぞれ食品添加物の定義あるいはその許認可のやり方が異なっております。これはいずれも国々の食生活を反映いたしているものでございまして、わが国におきましても、昭和四十年代、五十年代と国民の食生活は非常に変化をしてきている現状でございます。それぞれに対応した形の適切な食品添加物について可否を常に問うていかなければならないような状況にあるかと考えております。したがいまして、従前といまと食品添加物の規制の緩和という意味は、決して安全性の緩和ではございません。したがいまして、それぞれ従来と全く基本姿勢は変わらずに、食品添加物の一つ一つについてわが国の食生活を反映させながら審査をやっている次第でございます。
  275. 川本敏美

    川本委員 このごろわが国内においては、おふくろの味というのは袋に入っておるインスタント食品のことだそうです。あれをおふくろの味と言うのだそうです。大体インスタント食品が国民の食生活の七八%を占めるところまで今日、食生活が変わってきておる。そういう中で食品添加物が人体にどのような大きなウエートを持つかということは、これはもう昔と比べものにならぬ。昨年二品目についての食品添加物の規制を緩和したときにも、消費者団体を初め国民の中から大きな危惧の念が表明されたのは御承知のとおり。ところが、それを無視して、なお今日、レーガン大統領が言えばまた九品目を追加して規制緩和。これでは日本人の健康はもちませんよ。私は、厚生省の食品添加物行政のあり方についてもう一度再検討を強く要求をしておきたいと思うのです。  それから、薬の問題についてもこれは同じですが、薬については、抗結核剤のアイナーという薬がある、これは大分古い薬だと思いますけれども。この副作用で耳が聞こえなくなる、難聴。これは白人の場合は全然この副作用は出ない。日本人の場合は出るんですよ。あるいはアルコールでも同じです。アルコールでも、同じ量を飲んでも白人は酔っぱらわないけれども日本人は酔っぱらうのです。そういう体質の違いというものがある。この点についてストレートに外国の薬で、いいから日本へ持ってきて、日本人に副作用がないとは言い切れぬと思うわけです。その点についての規制はどのようにできると考えておられるのか。
  276. 持永和見

    ○持永政府委員 外国製造業者の医薬品でありましても、その承認をするのは日本国の政府でございますし、また承認によった医薬品を使って服用するのは日本人でございますから、そういう意味合いで、私ども今回の措置によって外国製造業者の直接承認の道は開いたといたしましても、少なくとも医薬品の審査に当たりましては、日本製造業者のものと全く変わらない、そういった適正な運用をしてまいりたいというふうに考えております。  いま御指摘の臨床試験の問題でございますけれども、御指摘のように日本人と外国人では、人種差、体質の差、食生活の差、そういったものがございますから、そういった点を加味しなければならないものでございます。現在の段階で外国の臨床試験データをそのまま申請データとして認めるということは、いまのところ考えておらないところでございます。
  277. 川本敏美

    川本委員 さきのスモン訴訟のときに日本チバガイギーが言っておるのですけれども、いわゆる副作用情報についてはスイスの本社が全部これを握っておって、日本チバガイギーも副作用情報は全然知らなかった。まして末端のプロパーなんというものは、そんなもの何にも知らなかった。武田薬品の方は、私の方は輸入業者でございます、だから製造元のチバガイギーの言うことを信用しておりましたから私の方には責任はありません、このように裁判の中で述べておるわけであります。  私は、国内管理人を置いて、そこで副作用情報が全部そこへきちっとまとまる——外国の企業の本社が握っておって国内管理人は何にも知らないで行動しておる、このようなことになるおそれが多分にあると思うわけです。この点についてはどうですか。
  278. 持永和見

    ○持永政府委員 今回の法律改正の中にもございますが、七十七条の三という新しい規定を設けまして、外国製造業者がその承認を受けた医薬品などにつきましての必要な情報、それにつきましては必ず輸入販売業者、物の販売をいたします、流通をいたします輸入販売業者に対しても情報を提供しなければならないというような規定を置いております。また、これとうらはらに、厚生大臣が保健衛生上の必要からそういった情報の提供が必要だというときには、国内管理人あるいは外国製造業者に対しまして情報の提供を行うことを請求し、指示するということができることにいたしております。
  279. 川本敏美

    川本委員 それから、もう一つだけお聞きしておきたいのですが、薬害救済制度がありますね。  薬害救済制度では、もし薬害が発生した場合に対処するために拠出金を求めていますよね。その拠出金については、これは製造承認を求めてきた外国の企業に対して拠出金を取ることができるのかどうか、あるいはそれを取らなくても国内輸入業者のところで取ることができるのかどうか、その点はどのように担保されておるか。
  280. 持永和見

    ○持永政府委員 国内業者の拠出金もそうでございますが、国内においても拠出金を拠出するのは承認を受けたという業ではなくて、製造する業につきましての拠出金を納付させております。したがいまして、外国事業者が直接承認取得をいたしました医薬品につきましては、国内でそれを実際に輸入し販売する輸入業者に対しまして拠出金なり付加拠出金を納付するということでやることにいたしております。
  281. 川本敏美

    川本委員 そこで、食品添加物の規制基準の緩和の問題と薬の承認の基準の問題についてですが、これは大体全部政省令にゆだねられておると思うのです。  中曽根総理がサミットに行くでしょう。サミットの席上で外国の首脳から、日本は政省令でそれは書いてあるのだから法律改正しなくてもいいのだから基準を緩和してもらいたいという要請があって、そこで改正しましょうというような口約束をされるおそれが多分にあるといま国内で報道されている。もしそうなって後で政省令を改正するということは断じてないですか。これは薬の方も食品添加物の方もですが、どうですか。
  282. 持永和見

    ○持永政府委員 医薬品の審査につきましては、先ほども申し上げましたとおり、直接申請の場合でありましても、承認に必要なデータの範囲とか内容等につきましては国内申請者の場合と全く同様にいたすつもりでございまして、審査も日本基準にのっとって行われるということを原則にいたしておるわけでございます。したがいまして、そういったことで今回の外国にだけというような、そういった意味での基準改正あるいは審査内容の改正、そういったものは考えておりません。
  283. 藤井正美

    ○藤井説明員 御質問の件については私、承知いたしておりませんが、各国の法体系が食品添加物については非常に複雑に異なっております。そのような現状から考えましても、わが国におきまして、薬務局長が答弁いたしましたとおり、わが国独自の審査体系で今後ともいく方針でございます。
  284. 川本敏美

    川本委員 最後に、これはもう一度念を押しておきたいと思うのですが、先ほど来ずっと述べてまいりました、国内の薬の製造承認をめぐる一連の不祥事件、これで失った国民の信頼を取り戻すためには、先ほど来いろいろいま考えておられる対策を述べられましたが、そのことだけではまだまだ不十分だと私は思うわけです。だから、その点について私たち国民の立場からいえば、いまのような厚生省の、まず薬事審議会のあり方の再検討も含めて、あるいは担当職員の数をもっと強化をしていくということも含めて、そうして薬事法の中で、先ほど私が言いましたような、いわゆる私文書偽造罪といいますか、そういうものも適用されるようにしなければならない、虚偽申請に対しても罰則を強化していく、このようなことがきちっとなされない限り、国民は納得しない。  もう一つは、銘柄別薬価基準登載方式、これはきょうは保険局来ておりませんからなにですけれども、ここでいわゆる銘柄別になっていますから、新薬の場合は価格が高い、だから少しだけ成分を変えてどんどん新薬にしていこう、そして利ざやを生み出そう、こういうことを次から次へと生み出すようなことが、一つは新薬の申請の大きな増加となってあらわれてきておる、このことも否めないことです。これをなくするためには薬価基準の見直しということも必要ではないか、このように思うわけです。  こういう点についてもう一度最終的に、閣僚ですから、きょうは厚生大臣お見えになっていませんけれども、経企庁長官、ここで政府としての、国民の不信をなくすために中曽根内閣は全閣僚が打って一丸となって、見ていてください、すぐにやりますというような決意表明をひとつしてもらいたいと思うのです。
  285. 塩崎潤

    塩崎国務大臣 厚生大臣ではありませんので大変残念でございますけれども、いま専門家の川本先生から大変深遠なお話を長々と聞かしていただきました。  確かに現行法においても私は、不正行為を行う者に対しては厳正に処断すべきだ、そのためのいろいろの罰則規定あるいは取り締まり規定が欠如しているならば、これに対して処置をすべきだ、こういうふうに思いますし、薬価基準の問題は私はよくわかりませんでしたけれども、これもまた別途の検討問題だ、こういうふうに思うところでございますし、この点は厚生大臣川本委員の大変貴重な御忠告を申し伝えて、委員の貴意に添いたい、こんなようなことを申し上げるのでございます。  ただ、この仕組みは、私ども提案いたしておりますところの型式取得等の円滑化法案のねらいとは少し違っているような気がいたします。いま薬務局長も申されましたが、私は、まず第一に、薬の問題あるいは食品添加物等の人間の生命と健康に関する問題は、これはまた仕組みが、外国製造業者も直接申請することができても、審査は、外国にあるだけによほど慎重になるであろう、慎重にすべきだ、しかも他の物品に比べてよけい慎重になるだろう、また慎重にすべきだ、こういう審査という法律上の施行、運用において川本委員の御心配はなくすることができるのであると思っておるわけでございます。  第二には、先ほども申し上げましたように、不正行為をする者があるからといって、一つの進歩をもたらすような仕組み、これを制度として排除することは適当ではない。やはり罰則は罰則、悪いものは悪い、いいものはいいというふうに区別していくべきである。その意味でひとつぜひともこの法案については御賛同をお願いしたいと思います。
  286. 川本敏美

    川本委員 終わります。
  287. 登坂重次郎

    登坂委員長 次回は、来る五月十日午前九時四十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時六分散会