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1983-04-15 第98回国会 衆議院 商工委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月十五日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 登坂重次郎君    理事 野田  毅君 理事 原田昇左右君    理事 森   清君 理事 渡部 恒三君    理事 後藤  茂君 理事 水田  稔君    理事 長田 武士君 理事 中野 寛成君      稻村佐近四郎君    植竹 繁雄君       浦野 烋興君    奥田 幹生君       梶山 静六君    亀井 静香君       木部 佳昭君    島村 宜伸君       田原  隆君    泰道 三八君       野中 英二君    鳩山 邦夫君       宮下 創平君    粟山  明君       清水  勇君    城地 豊司君       中村 重光君    渡辺 三郎君       北側 義一君    横手 文雄君       四ッ谷光子君    渡辺  貢君       石原健太郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  山中 貞則君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       加藤 陸美君         環境庁水質保全         局長      小野 重和君         国土庁地方振興         局長      川俣 芳郎君         農林水産省構造         改善局長    森実 孝郎君         通商産業政務次         官       渡辺 秀央君         通商産業大臣官         房長      柴田 益男君         通商産業大臣官         房審議官    野々内 隆君         通商産業大臣官         房審議官    村田 文男君         通商産業省立地         公害局長    福原 元一君         建設省計画局長 永田 良雄君  委員外出席者         国土庁長官官房         審議官     有岡 恭助君         自治省財政局調         整室長     前川 尚美君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ───────────── 委員の異動 四月十五日  辞任         補欠選任   小林 政子君     四ッ谷光子君 同日  辞任         補欠選任   四ッ谷光子君     小林 政子君     ───────────── 本日の会議に付した案件  高度技術工業集積地域開発促進法案内閣提出第五四号)      ────◇─────
  2. 登坂重次郎

    登坂委員長 これより会議を開きます。  内閣提出高度技術工業集積地域開発促進法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。水田稔君。
  3. 水田稔

    水田委員 このテクノポリス法案というのは、一昨日の大臣答弁の中でも、気持ちの上ではシリコンバレーに匹敵するような大変高邁な理想を掲げたというような御答弁があったわけです。まさにこれは気持ちの上では、新産都・工特と似たようなお気持ちがあるのだろうと思うのですが、私は、日本産業構造農業から工業へと変わっていった、そして基礎素材が大変大きなウエートを占めてきた、それがいま原料、燃料関係一つの曲がり角へ来ておる、そういう中で日本産業構造先端産業へ持っていくというのは当然な方向だろうと思うのです。  しかし、それをやるとすればある程度計画は、これから出してもらうのですからわかりませんけれども一つは、こういう法律を出してこういう施策をやることによって先端産業工業製品出荷額ではどういうぐあいになるのであろうか、あるいは、そこでは新しい雇用というのがどの程度のものが起こってくるか、そういうようなものの目安というのは大体持っておられるのではないかと思うのです。一つはその点をお伺いしたい。  それからもう一つは、これも計画ができてみないと全体的にはわからぬということですが、財政が大変厳しい中で限定されたことにはなるだろうと思うのです。十九カ所全部になるのかどうかわかりませんが、少なくともそれぞれがすでにある程度計画を持っているわけですから、そこでの全体的な投資は、これは細かい点は無理だというのはわかりますが、大体どういう投資になるし、国の負担がどういうぐあいになって、地方負担がどういうぐあいになるかというようなことのアウトラインでも、検討の中でおわかりならひとつ聞かせていただきたいと思うわけです。
  4. 山中貞則

    山中国務大臣 まず、工業出荷額あるいは雇用貢献とかということについては、将来へ向かって進むであろう方向というものはわかります。あるいはその方向を持っていくわけでありますが、現時点でそれをどのような条件でとらえるのか、それは候補地区一つ一つをとってみても、それの出荷額への貢献というのは大変むずかしいような気がいたします。その出荷額も、地方へ技術拡散なり、あるいはその拡散に伴ってその地域が全体として新技術産業を興し、あるいはそれに従事しというような形をとっていきますと、全体としての雇用貢献度には幅広く、しかも助成を含む雇用その他のものが先端産業等で必要なようでありますし、きわめていい方向浮揚力を持っていくであろう。  しかしながら、現法案を御提案申し上げているこの時点でどれぐらいふえるかという問題については、ちょっと私もわからない。また、そちらの方向に行くためにそれはやるのだけれども、しかし、それがどれだけの貢献をするかというはっきりした物差しといいますか計算方法というものは、いまなかなかとりにくいのじゃないかと思います。  それから、地方負担の分については、確かに不均一課税等の問題もございます。しかし、それは現在ある収入を減らすのではない。これからやっていったり、あるいは現在あるものが設備を拡大したり、あるいは研究施設をつくったりする場合に、租税特別措置損金算入とかと一緒に市町村固定資産税の不均一課税をした場合の手当てを国がしてくれるということでございますから、計算上は、いまからできたものについて、それの得べかりしものを、市町村当局から言えばちょっとがまんしてあげるということでございまして、そのがまん料中央でめんどう見よう、こういうことでありますから、現在ある収入を減らすわけではない。しかし、これをやるためには地域の盛り上がり、地域連携協力、そして地方自治体中心でやるわけでありますから、やはり目に見えぬいろいろなものが、たとえば建設省道路をつくってやろうと言い、農林省がそちらに向かって圃場整備事業調整指導で加勢をしてあげようと言い、そういう場合にあるものについては地元負担等は伴うのだと思うのです。その場合の地方債、そういうもの等はいずれ償還することになりますから明らかに地方財政負担要因でありますけれども、それぐらいの負担でもって、恐らく現在は測定できないにしても、計画を立案されるのは地方ですから、その地方計算の上で将来への大きな飛躍というものが見返りとしてきた場合には、そういう先行した配慮というものは十分に取り戻せるし、それより飛躍への道を進むというためにこの法案をお願いしたということでございます。  少し漠然とし過ぎましたか、済みません。
  5. 水田稔

    水田委員 本当に漠然としておるわけで、少なくとも一昨日お伺いしたシリコンバレーというのは、一つの象徴的な新しい集積された高度先端産業地帯になっているわけです。日本のシリコンアイランドというのは九州ということで、すでに国際的にも有名であるわけです。ですから、そういう点とは若干私は違うのじゃないかと思うのです。  心配するのは、たとえば新産工特、それはもうそれぞれの地域挙げてのフィーバーになっていたのですね。そして、いまそこを見るとどうなのかというと、たとえば苫東むつ小川原鉄鋼石油石油化学のいわゆるコンビナートというのをみんな考えたわけですね。むつ小川原は、恐らく石油備蓄以外はいまちょっと手がつかぬのじゃないか。苫東はコールセンターなり、あるいは「いすゞ」が一部出ていくというようなことになっていく。あるいは鹿島でも、全体計画の中からいえばまだたくさんのあれが残っている。水島も、いま考えてみればまさに虫食いのような状態で、成熟段階に入ったのかどうかという見方もあります。莫大な投資がされていく。どこもがそういうことをやったわけですね。国家的に考えたら莫大な投資道路、港湾その他にやってきて、競争をして、いまは幾らかつぶそうか、こういうこと。  今度の十九カ所を見ますと、ほとんどがメカトロニクス、バイオテクノロジー、エレクトロニクス、ファインケミカル。若干違いがあっても、特徴があるところは一部はあるにしても、ほとんどが同じものをそこでやるわけですね。将来、最終的にはいわゆる先端産業工業生産出荷額がこの程度になるから、このくらいのところが適正かというのは、いまの大臣答弁には全くないわけですね。それを誘導しようというだけの話ですから、そうなれば新産工特でやったと同じようなことにまたなるのではないかという気がするわけですが、そういう点はいかがなものですか。計画が出た段階で、どう認めるかという段階での調整というのは非常に重要な作業になってくると思うのですが、その点いかがですか。
  6. 山中貞則

    山中国務大臣 新産工特は、現時点から見れば多くの反省と教訓を政府に要求していると思います。しかしそれは、もし石油が一バレル二ドルの時代のままでずっと今日まで来ていたならばという前提を置いてその法案をつくり、地方が立ち上がったときの状態の環境がそのままであったと仮定すれば、いまでも日本はそういう基礎素材を含めた原燃料の高騰にあえぐことなく、産業国家としての大きな歩みを続けていたのではなかろうかと私は思います。  しかし、客観的に見ると、それが戦略物資として産油国から使われ始めて以来、日本平和裏に原材料をいただきながらそれに高付加価値をつけて世界のマーケットに買っていただくという、その循環を途中で、むしろ出ばなをくじかれたという感じがしまして、工場地方へ行く気持ちそのものが、存立の問題はあっても地方へ分散していこうという気持ちそのものがなくなってきてしまった、そういう推移がございます。これは私たち政府反省すべき点でもありますが、いかんともしがたい要件の巨大なる変化であったろう、そう思うわけであります。  しかし、今回は私どもはその轍を踏むことのないように、要するに、私たちのいま考えている先端高度技術産業集積する地帯とかあるいは目指す地帯というのは、人間の英知が次から次と新しいものを生み出していって、やがては恐らく私たち時代のうちに、生活が想像もできなかったような変化を遂げる時代が来るかもしれない、子供たち時代には間違いなく来るだろう、そのはしりでございますから、どこまで人間頭脳頭脳産業としてあるいは技術産業の極点としていけるものか、限度はいまのところ無限大のものがあろうかと思います。  そこらのところが今回の問題の場所集積をされつつある。それをさらに集積をさせ、地方に浸透させて浮揚させていこうというわけでありますから、おっしゃったように、出そろってきた何カ所かの計画を見てみると、ほぼ似たようなことをみんなが全国各地でばらばらにやっているというんじゃ、これはやはりまずいんで、その地域の特性が十分に生かされて、中央から見ると全国の何カ所かに同じ色のランプがつくのではなくして、そこの県ごと特色のあるというもの、場合によっては県境を越える、たとえば福岡と熊本との県境を越えたものもありますから、そういうようなものはそれなり特色というものが、ランプで言うと全部色が違っていることが望ましい、しかし方向は同じ方向を向いてほしい、そういう気持ちでおります。  これは、これから作成される知事の計画をわれわれが、審査と申すれば大げさでございますが、それを拝見をいたします際に十分にそのようなことが配慮され、しかもそれが的確な未来を描けるというものに厳しく厳選をしながら、試行錯誤をしていきますけれども、しかし錯誤はないように着実な選定をしていきたいと考える次第でございます。
  7. 福原元一

    福原政府委員 新産工特と今度のテクノポリス法とどこが違うかというお尋ねかと思いますが……
  8. 水田稔

    水田委員 いや、それは違います。それはまだ質問していませんから。いまの大臣答弁の補足でされるのかと思いましたが、後で質問しますから結構です。  大臣、原油が一バレル二ドルとか二ドル五十セントということであのままいっておったら、もっともっと経済摩擦で、日本がいま以上の輸出ドライブをかけていったら本当に国際的に袋だたきに遭うだろう。そういう点では一つ反省のチャンスであった。ただ、いま大臣から答弁があったように、あのときも新産工特ということでみんなが、わが県のいわゆる県民所得を上げるため農業より工業へという、これは投資効果からいえば一番いいわけですから、そういう形で猫もしゃくしも行った。本当にそれだけ金をかけたけれどもどうしようかというのはたくさんあるわけですね。今度も、たとえば宇都宮なんていうのはそれでやったけれども企業誘致したって来ないところを今度の計画にのせようとかいうようなことになってきたわけですから、いま大臣が言われたように、審査の中でやるというところはやらしたらいいじゃないかということでは同じ轍を踏むんではないかという、これは石油が幾らになったというような問題ではないということで申し上げたわけですから、ひとつ慎重に、同じ失敗を繰り返さないようにしてほしいと思うのです。  そこで、国の計画を見ますと、たとえば新産都・工特あり、あるいは定住圏構想あり、田園都市構想あり、そうして今度のテクノポリス、こうなるわけです。さっきもちょっと言いましたように、たとえば新産工特地域であれだけの金をかけてどうにもならなくなっておるのがたくさんあるわけですね。それはどうするのか。莫大な国、地方の金をかけてやったけれども、それはもうそこでは基礎素材は少し下り坂になっておる、仕方がないということで、本当に中途半端な形になっておる工業地帯というのは大分ある。それはそのままにしておいて今度はこっち、先端産業だということだけで、国家全体で考えた場合の資金の使い方としてはそこには大変むだも出てくるんじゃないか。そういう関係、いろいろな構想の中においてこのテクノポリスという構想は一体どういうぐあいな場所に位置づけるのか。  それから、いままでやってきたところの、これは今度新特安法で廃棄という問題が出てくる。それが新産工特のところに相当あるわけですね。そういう点では、まさに石油鉄鋼コンビナートというのはバランスが崩れてきた。それを補って、これは先端産業でなくても、そこにどういうぐあいに張りつけていくのか。  もう一つは、地場産業というのは、これは雇用の問題を考えれば、中高年とか婦人の労働というものを考えていけば、むしろその地場産業というものを少し活性化していくことの方も一つ大事なんです。そういう絡みで一体どういうぐあいにお考えになっておるのか。これだけ新産工特はやった、結果は、あと反省はするにしても、現に存在しておるわけですから、そこをどう活性化していくのか。あるいはこのテクノポリスでは、二十一世紀へ向かってこれをやっていく、現に中小企業を含めて大変な状態にある、それに対してどういう柱を立てていくのか。そういう関連。それから、定住圏構想田園都市構想等るる出ておるわけですね。そういう全体の絡みというのは一体どういうように理解したらいいのか。余りにもあり過ぎてちょっとわかりにくいものですから、御説明いただけたらありがたいと思うのです。
  9. 山中貞則

    山中国務大臣 工特については、確かに造成された土地面積売却された面積、あるいはそこに実際に企業が進出した面積、そのパーセント、そういうもの等を振り返ってみますと、時代背景が変わったことを反映して、百点に近い成績を上げているところは少ない。ならば、時代の反映が違ったように、もう一遍私たちも、その計画が間違いであったという意味ではなくて、謙虚にそれを振り返ってみるということで、いま作業に入りました。  これをどうするかは、そこに新たなる何らかの、いままであの法律をつくりますときに考えていた背景とは違った背景があるわけですから、そこで、その地域というのは、あるいは臨海型の場合はそれを今回の臨空型といいますか、空港に近い、内陸型でもけっこうですが、それと結びつけることは、雇用関係ではダイレクトにはむずかしい。しかし、その臨海工業地域に近い形を持ってきたそういうものが、たとえば、この間御審議をお願いしました不況構造業種、そういうもの等が示すような、もうどうにもならない状態という場合の失業地域雇用、そういうものに対してどう活力を与え、雇用をさらにどういう方向に持っていくかというのは、これは私どもを含めて地域ぐるみ、あの法律を施行しながら考えていくことにして、今回の場合は、今度は場所は恐らく相当離れると思うのですね。内陸部の方が中心であって、そして二地点を結ぶ場合に距離でなくて、それを時間で考える。要するに、空港周辺ということを考えると——あるいは高速道路等もありますが、しかし、自動車で普通の平野部を一時間半運転をして工場から荷物を運搬した場合の頭に描く距離、そうすると、もうそこら立地条件としてはふさわしくない。しかし、空の一時間半というものを考えると、思いも寄らぬ遠方に展開をできる。というのは、すでに現状で、国が何もしてあげていないのに出ているという、これが端的に示していると思うのですね。  ですから、今回の場合は、国が何もしなかったが結果的にそれが出ている。それをそのままに捨てておかないで、その工場から飛行場飛行場から輸出なり本社なりという形を地域にくださいよ。それで地域の方は市町村長さんを中心にして、そして県知事が責任を持って、そこでわが県においてはこのような進出産業なり誘致産業協力を得て、わが地域特色をこういうふうにつくっていく、しかもそれは無限大未来を持つものへの挑戦になり、あるいはその意味では県民所得にも貢献していくものである。  そういうふうに二つに割って考えて、過去の反省に対する対策、そして未来に対する備え、いみじくも今国会に二つ出ることになりましたけれども、これをうまく平仄を合わせていけば、私たちも、苦しい場所を芽を枯らしてしまうことなしに何とか再びよみがえらせようとすることができるかもしれないし、それで一方においては、未来への新しい芽を育てることができるかもしれない。しかし、それは場所産業とが同一ではない。その問題は、確かに政治、行政上の非常に注意しなければならない留意事項であると考えております。
  10. 水田稔

    水田委員 大臣の言われるテクノポリス考え方というのは、私はよくわかるわけです。わかるのですが、さっき言いましたように、新産工特について言えば、大きな計画を立ててやったけれども、それは虫食い状態で、それなり成熟度を持ってきたけれども、残ったところが多いわけですね。それをまだそのまま計画を持っていくというのは、投資した金の点からいうと大変なむだになっておるわけですね。撤収するなら撤収する、それでしかも、その新特安法で言うそれぞれの産業というのは、コンビナートバランスというのとは関係なしに撤収するわけですね。たとえばエチレンがそこで一つ地域をつぶしてしまえば、それの関連というのはつぶれるわけですね。だから、それはどうするのかという問題。たとえば五百ヘクタール持っておるところがいま三百で、しかも中は虫食いになっておるというような問題等は一体どうするのかというようなことも、片一方で二十一世紀を考えるなら、これは日本のいまの基幹産業ですからね、そこらへたとえば二次加工をどう張りつけるかというような計画もあり、そして将来展望もあるということでなければならぬと思うのです。  ちょっと端的に申し上げますと、三カ月ぐらい前に私ども県知事から、県選出国会議員を、これは自民党から私ども全部集めて、テクノポリスの指定についての要望があったのです。私はこう言ったのです。やはり二十一世紀へ向かって産業構造を変えていくという点ではわれわれは賛成する。協力しよう。ただし、いま基礎素材が、私のところは水島ですから、これはもう中途半端になって、どれもが悪いということになっておる。そして関連する中小企業地場産業というのは全部もう灯が消えたような状態になってきておる。それを国会議員が、県が言ったからといって、いま人口恐らく百八十何万の中に二万もおらぬでしょうね。それで、私が言うと怒られるのですが、キツネやタヌキの方が多い地域へ全部が目を向けて、そして百八十万からおるところが大変な苦境にあるときに、こればかり言われても困ります。だから、いわゆる地場産業中小企業あるいは基礎素材産業のところを、いま撤収するあるいは縮小するところはあっても、それにかわるものはどうするんだという一つ商工行政の柱を立ててほしい。柱を立てて、そして将来展望岡山県の産業構造先端産業にこういうぐあいに転換していくんだということでないと、われわれは協力できませんよ。こういうことを申し上げたら、自民党議員の皆さんも、水田君の言うとおりだ、こういうように言われたのです。  ですから、私が申し上げたのは、そのことを、全国的な規模でいろいろな計画がある。定住圏構想もあれば、いわゆる田園都市構想もある。新産工特もある。それはいま私が申し上げたような状態にある。そして、このテクノポリスという新しい先端産業をやろうという意欲は私はもう十分わかりますし、賛成なんですが、そこら関連をもう少し通産省として、この法律を通すということだけではなくて、これはこういう考え方を持っておるんだということを、ちゃんと関連したものを御説明いただきたい、こういうことで申し上げておるのですから、ちょっとどなたか、大臣のお気持ちはよくわかりましたから、実際にそれぞれ基礎素材から担当している人がおられるでしょう、そういう方にひとつ御答弁いただきたいと思うのです。
  11. 有岡恭助

    有岡説明員 ただいま先生指摘のとおり、新産工特地区におきましては、二十年の歴史を持ちましてかなり巨額の投資が行われたわけでございます。ただいままでのところ、地方自治体等公的造成主体新産工特地区に造成いたしました工業団地面積は約二万四千ヘクタールでございますが、私どもの各都道府県から徴しました資料によりますと、この九〇%がすでに売却済みでございます。しかも、売却いたしました土地の中で八二%に工場が実際張りついております。そういうことでございまして、特に先生指摘のございました新産岡山南地区について見ますと、売却率が九九・五%でございます。九九・五%につきましては立地率一〇〇%ということになっておりまして、売却立地率とも非常に高い率になっております。  それで、現在造成しました団地の中で売れ残っておりますところが確かに二千ヘクタールぐらいあるのでございますが、これは毎年の売却の数字から考えますと、大体三年程度売却が可能ではないか、かように考えられますので、私どもとしては、それほど過大な残面積があるのではない、こういうふうに考えているわけでございます。  それから、最近の工業立地の傾向を見ますと、新産工特地区への立地のシェアがだんだん高まってまいっておりまして、最近三年間、全国工業立地いたしましたものの四分の一が新産工特地区立地しております。これは十年ほど前には大体一割合でございましたので、非常に率が高くなってきているということでございます。  しかしながら、こういうことでございますが、先生指摘のように、確かに地域の中にあってはまだ売却のおくれているところ、あるいは工場立地のおくれているところがございますので、その点につきましては今後どういうふうにするかということで、先ほど通産大臣も御答弁ございましたように、国土審議会の中の地方産業開発特別委員会というところで関係各省庁と御相談しながら、今後の新産工特のあり方について検討をお願いしている次第でございます。
  12. 水田稔

    水田委員 通産省はそういう数字だけお持ちでお考えなら、間違いだと思うのですよ。たとえば、土地は売ったけれども全く立地してないのはたくさんありますね。  それから、民有地で残っておるけれども、いわゆる工場地帯ということで百メーター道路で仕切って、百メーター道路の莫大な投資をまだいまやっておるわけですね。あるいは、工業用水は莫大な投資をやったけれども、それが売れなくて困っている。それはまさに基礎素材が大変な状態だからですね。そういう中で、それはほうっておいていいのかということですね。いままでの国や地方自治体投資というものが集積されているわけです。ですから、基礎素材でやるというのは無理なんだ。無理だから、いわゆる新特安法をつくってある程度廃棄していこうというのですから、それにかわるものが張りつくか、中途半端な町づくりになっていますね。そういうことを申し上げているのですが、実態をもっと見た上で、これは将来展望の二十一世紀を見てやることもいいでしょう。しかし、それだけかけたものに対して、それが有効に雇用が伴っているかということも含めて、そういう産業構造基礎素材だけ集中した臨海工業地帯というものに対して、もう少し目を向けた見方をすれば、そこでは大変な雇用も起こってくるだろうし、いままでの投資が生きてくる、そういうものがたくさんあるということを申し上げているのです。いますぐということにはいきませんでしょうが、新しい展望を目指す法律を出すのだったら、その点もぜひ十分な検討を願いたいということで、その点についてのお答えをいただいて、先へ進みたいと思います。
  13. 山中貞則

    山中国務大臣 ただいま国土庁がその実態についての御説明をいたしましたが、それはいわゆるパーセンテージ、数字、これは間違いないでしょう。しかし問題は、私ども通産行政から見ると、背景が大きく変わっている。その中で施設もつくったが、それは「荒城の月」の歌を聞くような、たとえ話としては変ですが、そういうようなことにしちゃいけないので、やはりその産業自体は活性化を図るために、この間お願いしましたけれども、しかし、それとても往年の出たもの全部が、業種が全部隆々たる繁栄をして地区に貢献していくという状態ではなくなっているところに問題があるだろうと思うのですね。ですから、そこに変化に対応する何があるのか洗い直しを、通産行政、すなわち産業行政として、地域雇用も含めた問題として、いま私どもは国土庁の計画にどのようなものを対応できるのか、そういうことを検討しているということでありまして、御指摘の問題は私、わかっております。  それは数字ではない。問題は産業構造であり、その質の問題であり、業種によっては地域に重大な雇用問題を惹起しているじゃないかという御指摘は、産業の実態としてあり得るし、そうだ、だからこの間、私どもとしては構造不況業種のお願いもした、そういうことでございまして、そちらはそちらで地域の重大問題としてとらえながら、反省とともに未来をさらに与えることはできないのか、前進を開始させることはできないのかという今後の政策努力をしたい、そういうことでございますので、おっしゃることは私、よく承知できます。わかります。
  14. 水田稔

    水田委員 ぜひ、そういうぐあいな御検討をいただきたいと思います。  それでは、今度の法律で、先ほど御答弁になろうとしたその質問に入りたいと思います。  これは大臣も、法律を出そうかあるいは出さなくてやれるか、そういう迷いもあったと言うのですが、その最たるものが、八条がなければまさに、これはなくてもやれるというようなものなんですが、これは償却資産の不均一課税というのが柱なわけですね。新産なんかに比べると、制度としては大分薄いわけですね。その新産工特とそれからこの法律案のいわゆる援助といいますか、法律上の若干の違い——私も、これは出されてすぐ審議して通せと言うものですから十分な検討をしてないのですが、そういう点、新産とこのテクノポリス法案との違いが少しあると思うのですが、そこらを説明していただきたいのです。
  15. 山中貞則

    山中国務大臣 確かに、八条がなければというような感じもしないでもございません。しかしながら、これはたびたび申し上げておりますように、国が、このように国、地方ともに挙げて環境づくりをするから、したがってそこに行きなさいという政策と違いまして、今回は、すでに拠点となるべき産業工場等が立地している。それに対して地域が、ただその状態を、その工場に何人雇用がふえたというだけのもので見ていてはもったいないじゃないか。それを一つのアイデアをもって、地域浮揚あるいは地域ローカルの法であっても、高度先端産業等を含む高いレベルの未来へ向かって、地域の構造変化というものがなし得るのではないか。  これは、企業には何もしてあげていませんから、企業協力はぜひとも必要であります。しかし企業そのものは、自分の企業の論理で出ていっている状態がすでに存在しているわけでありますので、いまさら企業に対するインセンティブを国が与えるというのは大変むずかしい。そのために、民法法人等をつくる場合の負担金についてはこれを損金算入に見てあげますよということで、地域への広がりがあったとき、あるいは新設、増設、あるいは地域のために何ができるかの研究機関をさらにつくるとかという場合には、それは特別にめんどうを見ましょう、地方税も含めてめんどうを見ましょうということになるわけでありますから、そこらの国のめんどうの見方が、この法律はいままでとは確かに違うのです。  したがって、国の方が最初にやらなければできない問題は、国から先に出てこなければいけないと思うんですね。しかしこれは、出ている状態を、地域で、ローカルの方の活力を新しい未来に向けて展開していこうというわけでありますから、国はこれに対して、まず最初から国がこうするからこうしなさいということではなくて、国はこのような配慮はいたしました、地方公共団体もいたしましたが、さて知事さん、あるいは予定されている地域市町村長さん、住民の皆さん、これをどう受けとめて、どのような計画をつくっておやりになりますかという、いわば一種の問いかけみたいなものでもあると思うのです。しかし、それは消極的であるとは言えないと思うのです。そのような既存の工場なりあるいは会社が地域へ技術を拡散することを、企業の判断でいやだということを押しつけることはできませんが、そういうことで地域で新しいものがどのような形で興るのか。これは私ども、実は玉手箱のふたを開けてみたいという誘惑に駆られる未来を、それぞれの都道府県知事段階で考えてみてくださいという意味法律だとお受け取り願いたいと思うのです。
  16. 水田稔

    水田委員 実際にはこういうことですね。新産の場合は、不動産取得税であるとか事業税であるとか、固定資産でも土地、家屋等も対象になるわけですが、この法律ではいわゆる償却資産ということになるということですから、相当な違いがあることは事実なわけですね。それはいまの大臣の御答弁で結構です、その点はこれ以上言っても変わるわけじゃありませんから。  次は、一つちょっと心配なわけですが、電算機等でも国際的にやかましく言われたわけですが、先端技術ということで、内容的には国が十分莫大な金をかけて先端技術産業地帯をつくろうということではないわけですね。本当にささやかなということなのですが、国際的に見れば、日本はまた先端産業法律をつくって援助する。恐らくここで皆さんが見て、この援助は、いま大臣が言われたように新産とも違うようなささやかな呼び水だということですが、外国から見れば、何と日本という国はまたまた先端産業について国が援助をして国際的に打って出るのかという印象を与えかねない心配があるわけです。きのうの新聞にもちょっとそういう点が出ておったと思うのですが、私は、そういう懸念を外国に与えることはよくないことだと思うのです。大臣としては非常に外国との折衝もやられるわけですが、そういう中で心配はないのかどうか。そういう非難を受けないような配慮というのは大事じゃないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  17. 山中貞則

    山中国務大臣 この点は外国がどう受け取るかの問題で、やり方いかんによっては、国が主導権を持って今度は地域活性化の名のもとに、さらに全国的に展開した企業にプラス行政権力の助成によって、新しくまた世界の市場の攪乱要因をつくろうとしているという見方をされるおそれが絶無とは言えないと私も思うのです。  というのは、現にここで皆さんと議論いたしまして、内容について各党、そんなに意思の相違はなかった構造不況業種の対策についても、アメリカはその法律そのものを取り上げて、それが一つの例である、そういう衰退産業は、たとえばアルミならアルミは日本はもう電力で及びません、お手上げだと言いなさいよ、そうしたら私たちが二分の一の地金を供給してやるから、というようなことを裏では言っているだろうと思うのです。私どもは反論もしておりますが、その法律だけでも問題にする。しかし、いつか申しましたように、じゃ日本じゅうにアルミ産業がゼロとなった場合に、アメリカ、カナダもありますが、それは水力で安いからと言っていまは売り込んできていますけれども、完全な売り手市場になった場合には、アルミのOPEC化というようなことをされた場合には、日本はもうお手上げになるわけです。だから最低、総合安全保障の一環としてそこは支えようというのは各党合意していただいたわけですが、それすらもアメリカは文句をつけている。  あるいはまた、日本のその他の先端産業について、これも国の助成があって、そしてある日突如としてアメリカのレベルを追い越したものをもって殴り込んでくる。万事そうだということを——たとえばモトローラ社はアメリカの民間会社ですが、それがニューヨーク・タイムズあるいはワシントン・ポストに、恐るべき金を使って意見広告を十五回も掲載しているのです。そうすると、アメリカ側の国民の常識から言えば、少なくとも意見広告がある者を指さし、ある会社を指さして掲載をされたら、当然その会社なり人は反論を意見広告でやるのが常識。ところが日本は、十五回も相当どぎつい言葉でやられているのに、新聞に関する限り、その掲載された新聞に一行も何の反論もしていない。ということは、やっている証拠じゃないかと言われても黙っているほか手がないのだろうというふうに、いまなりつつあるということでございます。  これは民間産業のやっていることでありますから、公的な立場の政府としては大変やりにくい。ですから、経団連等にお願いして、そこに、日本はかく主張するとか、日本は非難に対して反論する、あるいは日本の主張、そういうものを同じ新聞の同じスペースでやってもらったらどうか、いま相談いたしております。国と国との問題は、経済摩擦の一環としてすでにECも、日本産業政策も含めてガット提訴を決めました。したがって、ECにはダビニヨン副委員長に私は昨日イニシアルを、サインをして抗議の手紙を送りました。  対応は個々にやってまいりますが、アメリカの方からもヨーロッパ大陸からも、日本がそういう国際的に不公正な、国の助力でもって、最後は民間産業のやることだから知らぬというような顔をして失業を輸出するという、そういう短絡的なことにならないように、私自身も役所を挙げて、外務省と歩調をそろえて、懸命の努力をする必要がある。ましてやこの法律がそのような誤解を招かないような配慮は、審査中の質疑応答においても、いい質問をしてくださったと思うのですが、明らかにしておく必要がある。言われない前から言われたときのことを言う必要はありませんが、言われないようにする必要があるという御注意はまさに適切なものであると受けとめております。
  18. 水田稔

    水田委員 それでは、雇用問題でちょっとお伺いしておきたいのですが、いわゆる基幹産業も、新産都・工特もそうなんですが、いま雇用問題で深刻なのは中高年ということなんです。若年労働者も最近はちょっと買い手市場になりましてことしは大変困難だったわけですが、こういう新しい先端産業というのは、その地域に張りついても、いわば中心となるのは若年労働者だろうと思うのです。ですから、こういう政策的な配慮をした中で、たとえば農水省が兼業農家ができるようなという言われ方もおとといはされたのですが、どうも私はその点は、個々の地域に張りつく労働者というのは、若年、青年労働者が中核になるだろうと思うのですね。そういう点では、一番問題の中高年なり婦人労働というのは余り興ってこないのじゃないかという心配があるわけですね。ですから、そこらは一体どういうぐあいに——同じ雇用を考えるのは、さっきの答弁の単なる数字だけの問題ではない。その地域貢献するという点では、その地域に存在する各年代層を含めた雇用というものをやはり考えるべきではないだろうか。それが一つ。  もう一つは、これは通産省だけでできる問題じゃないのですが、新特安法を含めて、この五年間で基礎素材から四十万人からの労働者がはみ出していった。これは質としては、これまでの基幹産業のいわば訓練された労働者ですから、その一つ産業については相当な経験と技術を持った労働者。それがどこへ行っておるかというと、再訓練されていわゆる高度な技術を持った先端産業なんかにはほとんど行かないわけですね。給料が三割ぐらいダウンして、技術水準としてはいままでの技術は生かされない、技術が余り要らないところ、中小零細で働いておる、あるいは三次産業に流れていくということになっておる。  ですから、こういう中でいますぐということにはならぬにしても、物の考え方としては、新特安法できたばかりですから、まだ参議院でやっているわけですけれども、そういう基幹産業の中で働いてきたある程度の中年、高年まではいかないにしても、そこらあたりがこういうところへ移動できるのが、産業構造の転換の中で雇用の問題が一番スムーズにいく方法だと思うのです。そういう点について、これはいま具体的に政策でということにはならぬと思いますが、これは大臣の物の考え方だけです。一つは、その地域の各年代、男女問わず雇用が創出できるという物の考え方。もう一つは、基礎素材産業等の基幹産業の労働者のいまの転換の方向というのは好ましい方向ではないわけですね。それらがこういう形で新しい産業に移動できるような方向というのをぜひ考えていただきたいと思うのですが、お考えを伺いたいと思います。
  19. 山中貞則

    山中国務大臣 ある分野において特殊な能力を備えた人が転業する場所として、なかなかその適性を発揮できる場所がないじゃないか。地方においてはまさにそうだと思います。したがって、今回のテクノポリスについても、これが二年や三年で完成されるものではないと思うので、やはり二十一世紀への展望の足がかりということでございますから、当面、その技術の分野とかそういうところは、いわゆる中央の本社とかあるいはその関係の技術者とか学者とかいう人たちがいろいろと考えてつくったものが商業化されて点在をしていっている、しかしそれが地域へ展開する場合になりますと、単純な労働については肉体労働をほとんど伴わない形になると思いますから、最初の段階では中高年に比較的貢献する。しかし、それが本当に地域の受け皿として自分たちの手にしっかりと、それを自分たちのつくる未来図として受けとめるためには、対応がいまなされていない。  そのために今回の法律に、国公私立を問わず工科系の大学が存在することを一つの要件としておりますのはまさにそこでございまして、その地域の分野における工科系の高度の技術を地元でどう受けとめ消化するかという人材は、息が長いように見えますが、大学を卒業すればその資格をもう持っているわけでありますから、それらの人たちが受け皿の中心になる。いわゆる未来づくりについては大学でもって連結しながら、地域の高度産業に推進者の一人として入っていく。そして従事者は一応肉体労働を余り伴わないもの、造成工事とかその他は当然でしょうが、そこらは別にして、まあ基礎産業の不況業種の失業者が即そこらに移れるかという問題は、既存のそこの地域の住民の人の問題もありましょうが、理屈で言いますと、大体の県で今日の自動車道の普及改良、舗装を考え、自動車を皆が持っている時代ということを考えますと、大体県下一円がその通勤圏に入るということは理屈の上では言えると思いますが、さて、そこらのところは大変知事さんも頭を悩まされるでありましょうし、私たちも指導をするときにそう的確な決め手を持って指導できると断言できるものではない。  しかし、都道府県も、国家全体と同じようにバランスのとれた府県にしたいと願っていらっしゃることは変わりはないと思いますので、そこのところは国も地方もよく留意しながら、できれば失業を単に労働省所管に追いやるということでなくて、何とかそこで失業者の中に入っていった者もまた求人の対象としていけるというようなことになれば、少なくとも大きな救いであるというふうに考えておりますが、これから計画をつくりますときにはそういう労働面の配慮というのは十分に、不況業種の場合と同じように考えていきたいと思います。
  20. 水田稔

    水田委員 ぜひそういう御配慮をいただきたいと思うのです。  あと、環境庁おいでになっていますか。
  21. 登坂重次郎

    登坂委員長 来ています。
  22. 水田稔

    水田委員 この法律では、環境問題については四条の「開発指針」の二項四号の「環境の保全についての配慮に関する事項」だけなんですが、この十九カ所の地域というのはいわゆる内陸が多いわけです。内陸というのは、一つは、地下水というのが下流全体に大変な影響を及ぼす。これは高度技術ですから大気汚染というのはそれほどないと思いますが、排出する場所の問題で地下水の存在というのをどういうぐあいに見るか、大変重要な問題です。もう一つは、いわゆる生態系の問題等があると思うのですね。  それで、環境庁は一体これにどういうかかわりを——法律を見る限りは、主務官庁が指針をつくるときにこういうことだということだけやれば、環境庁は全く事実上は関与しない。しかも、これは五ヘクタールとか十ヘクタールじゃなくて、場所によっては何百ヘクタールというような地域にやはりなっていくわけですね。そういう中で、一体環境庁はその程度のことでいいとお考えになっているのか、どういうぐあいに関与されるのか、まずお伺いしたいと思います。
  23. 山中貞則

    山中国務大臣 環境庁にもちろん答弁させますが、この機会に、私がおとといの委員会で、環境庁長官は今国会に湖沼法提出を断念したと言ったことがいま議運で問題になっておるそうでありまして、正確にけさ閣議前に聞きましたところ、大変困難でありますけれどもなお努力しますと言いましたという環境庁長官の発言がありましたので、そうか、それならば僕も機会を見て、断念したとは言わなかったと言っておこうと言っておきましたので、ついでにこの場をかりて申し上げます。(水田委員「それは私の質問じゃないですけれども」と呼ぶ)もちろん。この場をかりて答弁させていただきます。  たとえば地下水の問題等はやはり相当考えておきませんと——筑波学園都市を私たちはつくりました。しかしながら、その条件一つに水の豊富であるという条件であそこを選んだわけでありますけれども、その水の豊富な条件というのが実は、徐々に地下水の水質汚濁が印旛沼の汚濁につながりつつある。そして印旛沼からまた取水をするものもあるし、そういうことを考えると、あれだけ考え抜いて、環境行政も考えながら筑波学園都市は選んだはずである。ところが、あれだけ多くの建物ができ、そこに研究活動とはいえ多くの者が居住し、住宅がたくさん建ったということから、生活用水等も含めてだんだん問題が起こるのではないかという心配があるようであります。  ですから、今回のこのテクノポリスの場合には、環境庁にも十分、このような場所立地する場合、環境庁の行政上どういうところを注意したらいいのかというようなことで、たとえば今度筑波でまた国際科学博覧会というものを一応やるわけですが、あそこらはレイアウトの仕方によって、自然の美しいアカマツ林等がございますが、そういうものをなるべく残すということを優先的に配慮しなさいとか、あるいは今回の国際博をやる場合に大分平たくするところもありますから、そこらを余り平たくしないで自然の地形を残しなさいとか、あるいは大雨が降った場合なんかの遊水地的なものがやはり要るでしょうから、そういうものも設計の中に入れなさいとか、いまやっておりますが、これは学園都市の反省の上に立ってのことでありますけれども、今後こういうものをやります場合は、環境庁のその地域に対する御意見を十分に拝聴してレイアウトにかかるということでなければ、もう航海し始めたら取り返しがつかないわけでありますから、環境庁の答弁の前に、私の方では十分にそれを尊重するということを申し上げておきたいと思います。
  24. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 通産大臣からもうりっぱな御答弁をいただいておりますので蛇足になるかと存じますが、環境庁といたしましても、関係行政機関としてこの法律の円滑かつ有効な施行に全面的に協力してまいりたいと思っております。したがいまして、環境の保全につきましては大丈夫と存じております。
  25. 水田稔

    水田委員 私、大丈夫とか大丈夫でないと聞いたわけじゃないです。環境庁はこの法律でどう関与するのですか、たとえばどの段階で——これを見る限り、これは主務官庁がやるので環境庁がやるわけじゃないのですよ。主務官庁が「環境の保全についての配慮に関する事項」というのを指針で出しなさいというだけなんです。環境庁はお呼びでないわけですね。知事さんも、相当大きな面積をやるのにそれでよろしいのですかということを聞いておるのですよ。どういうぐあいに関与されるのですかということですから、通産大臣が答えて配慮しますとこう言うたら、それで大丈夫ですというのは、それは答弁になっていないです。
  26. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 若干詳しく申し上げるのを申しそびれまして失礼いたしました。  他の立法例等もございまして、同様の趣旨で立法されておるわけでございますが、関係行政機関としてこの法律の円滑、有効な施行に全面的に協力してまいりますという答え方をいたしましたけれども、さらに具体的に申し上げますと、主務大臣は、特定の直接深い関係の多い大臣に限定されて書かれておりまして、その施行、実施に当たりまして、関係行政機関と協議するという問題がございます。その点で御相談申し上げ、よりいい工業地域が実現するという意味合いで、大丈夫でございますと申し上げたわけでございます。
  27. 水田稔

    水田委員 たとえば公有水面の埋め立てに関しては、許可を与える場合には環境庁の意見を聞くとあるのですよ。これはある相当程度地域として都道府県が出してきても、それについては具体的な事業というのはたとえば道路であり、だから、それは一つ一つはないでしょう、協議をするというのはどこにあるのですか。  だから、逆に言えば、もう一つ環境庁に聞きたいのは、これだけの八百ヘクタールとか三百ヘクタールというのは皆出してきておるわけですよ。そこの環境が将来どうなるかということを環境庁として心配する場合、行政上まず何を環境庁としてはされるのが一番環境保全のためにいいのですか、それはどういうぐあいにお考えですか、それをまずお伺いしたいのです。
  28. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 各種の問題事項があり得るかと存じますが、一言で申し上げますと、環境の保全に関する配慮がなされなければならないということに尽きると存じます。  先生指摘の、ではどこにどういう規定になっておるかという点につきまして私から御説明するのが適当かどうかでございますけれども、なお補足していただければ幸いでございますが、条文といたしましては第四条に、基本的に配慮すべき事項というのを主務大臣が定められる際に、環境の保全に関する配慮という事項が明記されておりまして、それに従って基本指針がつくられるわけでございます。  この際の協議という問題がございます。関係行政機関にということになってございます。第四条でございますが、その点をお答え申し上げて、お答えといたします。
  29. 水田稔

    水田委員 それでは、環境庁にはこの指針を定めるときだけでしょう。  具体的に聞きますが、たとえば浜松というのは大変地下水脈の豊富なところですね。これは農林水産省も問題なんですが、いまいみじくも山中通産大臣は、筑波学園都市であれだけのりっぱなものを考えた中でも、地下水というものが後でこうなってきたということを言われた。大変なことなんです。私がいま申し上げましたように、環境行政として環境保全のためにはまず現状の把握、そこから予測、どういうぐあいになるという予測は先日の参考人の御意見でも全部出たわけです。調査もしないで、予測というものもなくて、単に協議があって、浜名湖のあの豊富な地下水脈がどうなるかというようなことがその程度の関与で守れるとお考えなんですか。  新産工特でも、当初は拡散の理論というのを使ってやったらよかったけれども、結果的にはああいうことになったわけでしょう。そしていま反省期にあるわけです。むしろ新しい環境というのをつくり出していくぐらいの意欲を持って——環境庁長官は環境委員会でも言っておるじゃないですか。これから内陸部で一番大事なことは、煙が出るとかいうような問題はそれほど大きな問題ではないにしても、地下水脈なりいわゆる生態系に影響するということについて環境庁としては重大な関心を持ち、これに対して十分な物申すことをしないと大変なことになるだろうと私は心配するのですよ。環境庁の気持ちは、まあ指針の中で協議があれば言いますというぐらいのことで大丈夫ですというような、大変消極的な態度でいいのかどうか疑問に思うわけですが、どうなんです。たとえば浜松地域は大変な地下水脈があって、それがどうなるかということはこの開発計画との間で大変な問題があるということは御存じじゃないですか。
  30. 森実孝郎

    森実政府委員 お答え申し上げます。  御質問は私の方になかったわけでございますが、たまたま浜松の地下水の問題の御指摘なので、農林省として把握しておるところをお答え申し上げます。  地下水……
  31. 水田稔

    水田委員 いや、農林省はいいです、後で聞きますから。環境庁来てくれと言って僕は環境庁を呼んでいるわけですから、担当者を呼んでください。それは農林水産省に聞いてないことだからね。
  32. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 環境庁の水質保全局長でございますが、地下水の問題の御質問がありましたのでお答えいたします。  浜松ということでございますが、全国的にいま地下水の過剰採取による地盤沈下は六十カ所ございます。ただ、浜松地域はまだ地盤沈下地域ではございません。ですが、これはいま沈下していなくても、こういう産業開発に伴う地下水の過剰採取によって地盤沈下が生ずるというおそれはあるわけでございます。  したがいまして、私どもは、地下水あるいは地盤沈下の観測体制を整備する。それから、それに基づいて地下水位あるいは地盤沈下について、予測手法は確立しておりますので、予測をする。そして、それに基づいて必要な対策を講ずる。対策としましては、できる限り地上水を使うのがよろしいわけでございますが、地下水を使う場合でも地下水位の低下を伴わないような範囲での地下水の採取をする、こういうことが基本的な対策であるというふうに考えております。  この法律に基づく指針なりあるいは計画段階で、地下水について申し上げれば、そういうことを十分考慮して指針なり計画が策定されるように私ども十分に関心を持って、必要とあればよく協議してこれに対処したいというふうに考えておるわけでございます。
  33. 水田稔

    水田委員 私は、地盤沈下と限定して申し上げたのではない。浜松だけに限定したわけでもなく、例を申し上げたので、内陸部だからそこの地下水の汚染というのが全部かかわりがあるわけです。それに対して指針だけで協議されて、後は計画段階はもう主務大臣がやればいいわけですよ。環境庁が具体的にこういうことになった場合どうなるのかというのは、事前調査と予測というものがなければそんなことは言えないでしょう。そういうかかわり合いをこの法律では持ってないですよ。それで大丈夫だなんて言えるのですか。大臣がかわるたびに、これからは地球規模におけるとか、あるいはいままでの危機的な様相を防ぐだけではなくて、むしろ積極的に環境をよりよくしていくという高邁な理想を言いながら、この法案では指針のところで、関係官庁との協議で、こういうことは気をつけてくださいと言えば、あと具体的な計画が進めば物を申すところはないわけでしょう。たとえば公有水面埋め立てなら、ちゃんと許可を与えるに当たっては環境庁の意見を聞くという条文があるわけですが、この中には何もないですよ。そういうことでよろしいのですか、こう言っておるのですよ。どうなんですか。通産大臣でさえ、筑波学園都市でそういう配慮をしたけれども、地下水の汚染がさらに印旛沼へ影響してくると。環境庁はそれは専門でしょうが。言わなくていいのですか。
  34. 山中貞則

    山中国務大臣 環境庁の設置法による権限を御承知でありましょうが、環境庁長官は各行政機関の長に対し、問題がある場合には、それの改善を命ずることができる——勧告をすることができる。その勧告を受けた行政機関がそれに従わない場合には、環境庁長官独自の権限として付与されておる、閣議の議を経た総理の指揮を仰ぐことができるという大変な伝家の宝刀を環境庁自体が持っておるわけであります。したがって、この法律も含めてそういう各省庁が行うことについて、環境庁が独自で判断して問題ありと思った場合には、法律関係なく、環境庁の法律で、それに対して問題を指摘して勧告ができるのです。ほかの省庁の長は、そういう権限はないのです。私もありません。それを総理に対して、総理の命令権限に訴えることができる。それで総理は、環境庁の指摘にこたえなさいという命令をすることができるように法律でつくってあるわけであります。それよりもっと基本的なところで大きな力を環境庁は持っていますから、これらの地域について問題ありと協議を受けたが、とてもそれでは話にならぬという問題があったら、それは閣議の議を経た総理の指揮権を仰ぐということをやれば、通産大臣なんて一発で吹っ飛ぶ法律を持っておるわけでありますから、そこらのところで、環境庁はそんなに弱くないですよ。
  35. 水田稔

    水田委員 大臣は環境庁長官もやられておるから法律にお詳しいのですが、そのとおりです。だけれども、それを言うためには——これは事務当局がみんな知っておるわけですよ。事前の調査がなかったら、悪くなったのか、よくなったのか、わからぬわけですね。少なくともそのくらいの関与は本来すべきじゃないかと私は申し上げたいわけです。  時間がありませんから、二十六日に環境委員会はまた一般質問があるはずですから、これは大臣も含めて、大体環境委員会で言っておることをよその省庁に対して——この間、岡本さんからもここで、この質問が大分出ました。それは、どうもよその省庁に対して、自分の委員会で言うあれは大上段に振りかぶって言うけれども、実際弱いのじゃないかということは歴然とわかったような気がしますから、それは環境委員会でやります。とにかく、そういう点では環境庁は、この法案による開発を進めるに当たっての取り組みの姿勢をもう少しきちっとやってもらいたいということだけ申し上げて、次に進みたいと思います。  農水省、おいでですね。私もよくわからぬですが、農振地域というのがありますね。これはどういうものなんですか。
  36. 森実孝郎

    森実政府委員 農業の振興を図るべき地域といたしまして、農業振興地域の整備に関する法律に基づきまして線引きを行っております。その線引きの効果につきましては、特に集団的な優良農地につきましてはいわゆる農用地区域を設定いたしまして、これについては、農地法の運用とも連係いたしますが、転用を厳格に規制すると同時に、また、農業の生産基盤を確保する意味から、必要な農用地面積を確保するような方針をとっているわけでございます。農水省のいわば土地改良事業その他の生産基盤に対する投資は、主としてこの農用地区域に集中して行われているわけでございます。
  37. 水田稔

    水田委員 そうしますと、また浜松を例に出して悪いのですが、いま確定していないですが、大体予想しておるその地域へこれまでどの程度の金がかけられたのですか。農振地域としてどの程度の金がかけられていますか。
  38. 森実孝郎

    森実政府委員 具体的な地区の御質問でございますので、いままでどのくらい投資が行われたかということは、いまここでちょっとお答えすることはできませんが、浜松の地域につきましては、主として湖北の地域が広範な農用地区域になっておりまして、三方原用水を初めとして各種の土地改良事業が行われております。
  39. 水田稔

    水田委員 そこで、法律案の十条で、「農地法その他の法律の規定による許可その他の処分を求められたときは、」「工業開発が促進されるよう配慮するものとする。」こういうことにこの法案はなっているわけですね。ですから、これで地域が指定されて、ここでやるのだという場合には優先的に考えるということになっているわけですね。そういうことで、農振地域が入った場合、外すことについて配慮するというぐあいに農水省も、私はそう理解しておるのですが、そういう理解でよろしいのですか。
  40. 森実孝郎

    森実政府委員 御指摘のとおりでございます。  具体的に申し上げますと、農振法に基づきます農用地区域の線引きの基準と手続がございます。これにつきましては、農村工業導入等につきましては特例を設けておりまして、今回の法令に基づくものについても特例を設けたいと思っております。  それからなお、農地法の転用許可自体につきましても、優良農地をどう扱うかということについては非常に厳しい基準がございますが、この手続、要件につきましては、私ども同じく、農村工業導入の例に準じて緩和された手続と、それから緩和された要件を適用したいと思っております。これにつきましては十分内容を精査いたしまして、法施行後、具体的な措置を講じたいと思っております。
  41. 水田稔

    水田委員 浜名湖周辺、いわゆる浜松については額はわからぬと言われたのですが、いままでに農水省としては優良な農用地として莫大な、何千億どころじゃない金をかけてきておると思うのですね。そうでしょう。恐らく兆になるんじゃないですか。兆を超すような金をかけたのではないかと思うのですね。農水省というのは大体日本農業、たとえば食糧自給率を各党がとにかく六割以上に上げようということを言っておるわけですね。そういう基本的な柱を立ててやっておる。農家の生活が成り立つような農業を確立しよう、そういうことでやっているわけですね。片一方では、日本産業構造の点で先端技術を発展させていこう。いずれも日本にとっては大事なことなんですね。  この法律を読む限り、「配慮する」ですから、これはこっちに要るんだと言ったら、農水省は、仕方がございませんと、こう聞くような、若干意見の調整はするのでしょうが、そういうように読めるわけですね。農水省はそういう御理解で、これでよろしい、こういうことなんでしょうか。
  42. 森実孝郎

    森実政府委員 経済発展の中で現実に、農業的な土地利用とか水利用を工業とか住宅の水利用に転換していくことは、私ども避けられないところだろうと思っております。  私どもとしては、農業の総生産を維持していくという視点からは、農用地造成とか土地改良事業の実施、さらには、一般的には農地転用の規制、先ほど申し上げました農振法の線引きによる規制等が厳格に行われなければなりませんけれども日本国家社会、経済社会あるいは地域社会全体として積極的に評価すべきものについては、やはり農政上も評価していくべきだろうという視点でございます。 したがって、この問題につきましては、具体的な地区の問題といたしましては、私ども計画の策定に当たって、合理的な団地の確保と、これに関連いたします事業の実施という側面から発言をしてまいりたい。特に、具体的には土地利用と水利用のスプロール化の防止ということに十分重点を置いてこの計画の立案等についても意見を申し上げていきたい、このように思っております。
  43. 水田稔

    水田委員 いま、減反その他で大分変わってきておる。いま農振地域として残しておるところというのは、まさに基本的に日本農業の将来一番中心になるところ、それでさえもその「配慮する」ということでいいのか。農水省が食糧自給なり日本農業の基本的な方向というのを守る立場ならば、私は、それは先端技術との関係ですから調整という言葉ならわかるのですよ。調整をしながら、農水省としてはやはり食糧自給を、あるいは農業の基本的な方向というものをきちっと守る。新しい産業構造への転換の中での調整を図るということなら理解できるわけです。この「配慮する」ということは、まさにこっちの方が優先して、少々のことはしんぼうせいということになれば、農水省の日本農業の基本的な方向というのが崩れてくるわけですよ。そういうことでいいのかどうかという疑問を持つのですが、いいのですか、農民に対して、あるいは農林水産省の基本的な姿勢にかかわると私は思うのです。
  44. 森実孝郎

    森実政府委員 御指摘の点は基本的には非常にむずかしい問題であり、非常に物を厳格に考えていけば、あっちを立てればこちらが立たずという関係があることは、私も否定いたしません。  ただ問題は、実は農地法の転用基準と農振法の線引きの規制は、まさに先生指摘のような農業生産を確保するという視点から、農用地区域、優良農地についてはきわめて厳しいものになっております。それをそのまま適用するならば、二、三の例外はあるとしても、いまの農振法の線引きのもと、あるいは農地法の転用基準のもとでは、農用地区域を含むテクノポリス地域は具体的な条件整備は恐らくできないだろうと私は思います。  そういう意味で、私どもは、テクノポリス構想が一方においては地域産業の振興なり農業の振興にも役立つ側面を重視いたしまして、具体的に、団地として工業的利用、住宅的利用をすべき部分と農業的利用をする部分をしっかり区分けして、残った農地についてはしっかり生産力が高まるような配慮をしながら、一方においては事業が推進できるようにするし、また、残った農業者にとっては安定した雇用機会をつくり、農業を引き続き維持する方々にとっては条件整備が図られるというふうなことを図っていくことが、現実的な対応ではなかろうかという意味で申し上げているわけでございます。私は、やはりいろいろな政策目的の追求の視点ということはあるわけでございますから、このことで特段の配慮をすることによっても、その配慮が適切に行われるならば、それによって農林省自体の基本的な役割りを否定するものにはならないだろうと思っております。  基本的には、むしろ先ほど申し上げましたような農振制度なり農用地の転用基準が、特に農用地区域、優良農地については厳しい基準になっていて、なかなか動かない実態があるという強い要望が各県からもあり、また各省からもあって、やはりテクノポリスの問題については政府部内における評価に従って、そこだけを考えていこうということでございます。
  45. 水田稔

    水田委員 たとえば起債の問題であるとか道路であるとか、そういう点にほかの省庁が配慮するとかいうのはいいわけですよ。別にどうということはないですよ、若干問題がないわけではないが。しかし、農水省というのは農業を基本的にやっておる省庁ですからね。農振地域というのはそこの基本にかかわる点でしょう。それに対して、そういうような配慮で、一方的な話というのはとるべきじゃない。私は商工委員ですから、農水省はきわめて理解があるという点ではいいと言わなければならぬ立場ですけれども、少なくとも私どもの農林水産部会での論議では、農水省の姿勢はけしからぬ、本来ならば連合審査等できちっと詰めなければいかぬ、こういうあれですよ。ですから、法律は「配慮」ですが、これはいまさら変えろと言ってもなかなか変わらぬでしょう。しかし、少なくとも農林水産省の基本的なあれとしては、農業の基本は守るのだ、その中での調整を図るのだ、そういう気持ちでこの運用をやるということでなければ、私は了承しても、わが党の農林水産部会は了承できぬということになりますので、その点を最後に確認したいと思うのです。
  46. 森実孝郎

    森実政府委員 御指摘のとおりだと思っております。  優先的な配慮という条項は、先ほど申し上げました具体的な制度の調整を図るためには、そうしないとその制度が動かない、こういう意味でございまして、基本的には、土地利用、水利用の調整をしっかりやっていく、行き過ぎにならないように十分監視していくということも私どもの重要な責務だと思っております。
  47. 水田稔

    水田委員 ぜひそのようにお願いしたいと思うのです。地方債について「特別の配慮をするものとする。」こういうあれがあるのです。  それから、もう時間がありませんから一緒にやりますが、これは地方債の一定の枠があって、その中でここへ持っていくのは別枠でやるのか。それによっては他の自治体に対する影響があるわけですね。それが一つ。  それから、埋め戻しをやる場合の交付税というのは、総額というのは四税で決まってくるわけですが、その中で、別枠でこれもどこかの財源で埋め戻しをやるのか。全体の枠の中でやるということになれば、他の自治体のどこかを引き抜くことになりますね。いま地方自治体というのは十一兆円の借金を抱えた大変な状況の中で、そういうようなところへやるのがいいのかどうかという点では、地方財政を考える場合は問題もないとは言えないだろうと思うのですね。いわば過疎地とか離島に対して少し厚くやれということならいいんでしょうけれども、これは母都市があって、そこからの距離が一時間以内ですから、いわば地方自治体の中では、比較の問題ですが、まあまあ財政的にも余り悪くないところが中心なんですね。そういう点で、これは地行の立場から言えば問題がないことはないんじゃないかという疑念があるわけですね。ですから、地方債と埋め戻しの交付税の配分の問題ですね、そういう点について、まとめてお答えいただきたいと思うのです。
  48. 前川尚美

    ○前川説明員 地方債の方の問題からお答え申し上げます。  地方債につきましては、もう御承知いただいておりますとおり、毎年度毎年度、過去の地方団体の事業の実績なり、あるいは当該年度における地方団体の事業計画等を事業ごとに測定をいたしまして、さらには資金事情等いろいろな事情がございますから、そういうことを総合的に勘案いたしまして地方債計画というものを決めておるわけでございます。  今回のテクノポリス構想関連する地方債につきましても、これは特別に、たとえばテクノポリス債といったような別枠の地方債を用意するわけではございません。と申しますのは、事業の内容は一に地域の整備ということになってまいるかと思いますので、それぞれ多岐にわたる事業ということになると存じます。したがいまして、そういう手続で決められております地方債計画の枠の中で、各団体の事業の内容なりあるいは資金の事情なり償還能力なりということを総合的に勘案しまして、適確に対応してまいりたいというふうに考えている次第でございます。  それから、交付税の問題でございますけれども、これは法案にも書いてございますが、不均一課税額を基準財政収入額から控除するという形で対応することになるわけでございますが、これも先生御承知いただいておりますとおり、交付税総額を算定する際に、地方財政計画に基づきましてそれぞれの財政需要を積み上げまして、あと国税三税から交付税特会に繰り入れます金額とも比較をいたしまして不足額を補てんするということで対応してまいっております。今後も交付税につきましては、そういう考え方で対処されていくというふうに御理解を賜りたいと存じます。
  49. 水田稔

    水田委員 時間が参りましたので、建設省せっかく来ていただいたのに申しわけありませんが、以上で質問を終わりたいと思います。
  50. 登坂重次郎

    登坂委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  51. 登坂重次郎

    登坂委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  高度技術工業集積地域開発促進法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  52. 登坂重次郎

    登坂委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  53. 登坂重次郎

    登坂委員長 この際、本案に対し、野田毅君外四名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新自由クラブ・民主連合の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。後藤茂君。
  54. 後藤茂

    ○後藤委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     高度技術工業集積地域開発促進法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、その円滑かつ効率的な運用を図るため、関係行政機関の緊密な連絡協調体制を確立し、開発に伴い土地価格の高騰を生じないようその抑制に努めるとともに、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、開発計画は二十一世紀に向けての長期的プロジェクトであり、その実施には相当の財政負担を要することにかんがみ、地方財政に過重な負担を生ずることがないよう十分配慮すること。  二、国の行う関連施設の整備については、他地域との均衡に留意するとともに、生活関連施設を重視しつつ、効率的執行の促進等によりその充実に努めること。  三、開発指針の策定にあたっては、地域の自主的な発意と主体的な努力が活かされるよう特に配慮するとともに、都道府県の作成する開発計画については、関係市町村の意見が十分尊重されるよう指導すること。  四、開発計画の作成及び開発事業の実施にあたっては、自然環境の保全、産業廃棄物の処理、工業用水の有効利用、用地確保における農業政策上の要請等について適切な配慮を払うよう指導・助言を行うこと。  五、技術先端産業の導入にあたっては、技術交流、取引関係等を通じ地場産業地域中小企業の発展が図られるよう措置するとともに、地域雇用の促進が図られるよう指導・助言を行うこと。  六、各地域に設立される開発事業推進の中核的機構の組織・運営については、民間の活力を積極的に導入し、その創意工夫が最大限活かされるよう指導すること。 以上であります。  附帯決議案の内容につきましては、審議の経過及び案文によって御理解いただけると存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  55. 登坂重次郎

    登坂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  野田毅君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  56. 登坂重次郎

    登坂委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。山中通商産業大臣
  57. 山中貞則

    山中国務大臣 ただいま議決いただいた附帯決議については、その趣旨を尊重して、本法律の適切な実施に努めてまいる所存であります。     ─────────────
  58. 登坂重次郎

    登坂委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 登坂重次郎

    登坂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  60. 登坂重次郎

    登坂委員長 次回は、来る二十六日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五分散会