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山中国務大臣 最初の電気料金が
企業によって異なる、たとえばアメリカの水力による発電から得られるアルミというものと同じように、
日本の電気料金もそれと同じ料金としてアルミ製錬に提供せよというようなことになりますと、これは大変むずかしい問題でございます。大体
企業別に料金の設定ということ、そのことが基本的にむずかしい問題でありますので、確かに燃料、素材、そういうもので著しく外国に劣るものであったとしても、そこのところは
日本人の頭脳の所作によって切り抜けてもらわなければならぬと思います。
それから、原料の非課税の問題でございますが、理論上はナフサの問題でとらえれば、輸入ナフサは関税も非課税である、したがって石化業界が自分にも輸入させろという申請をする、
通産省はなかなかそれを認めることができない、
法律上は自由なんですけれ
ども。その結果、電気税に相当する
部分をやりくりによって、実際の
需要者の方には輸入ナフサと同じ
価格になるように配慮をするというやりくりをいたしておりますが、ここらのところは、先ほ
ども申しましたように、
石油をほとんど外国に依存する国の法体系が、入りから出に至るまで大変整備されていないという感じがいたしておりますので、少しこの問題は
検討をしようということで、私、都内で話し合っているところでございます。
それから為替の変動が、まさに労務費を少なくするための、場合によっては人員整理までしなければならないような
環境があっても、そのウエートというものは非常に小さい。しかし、為替レートのこのような変動の中では、極端に言うと、
企業そのものが毎日レートをにらみながら、操業度とかいろいろ未来の計画を考えなければならぬということは、まさに大きな問題だと私も思っております。
本来、為替レートというものは、
日本の
企業が原材料を外国から持ってき、そしてそれに
日本独自の工夫、技術を重ね、付加価値をつけて外に出すときのレートをまた考えるという程度の
要素にすぎなかったのですけれ
ども、いまは、
設備投資をやろうかどうかという相談をするための重役会を開いても、為替レートはそのときにどうなっているだろうか、それだったらこの計画は考え直さなくちゃいかぬとか、レートの問題で
企業の前提が、どうも足腰が定まらない
状態になっている。
レートを見ながら長期サイトの原料入手から販売に至るまでの
日本の特徴的な
産業構造というものでは、これは非常に問題があると思いまして、もうそろそろ時効でしょうから——時効にまだなってないかもしれませんけれ
ども、外には言わなかった話ですが、シュルツ国務長官が私に会いに来ましたときに、どうだ、おい、こんなに為替レートが振れては、ドルひとり強ければそれでよしというので、
世界の国際貿易摩擦も引き起こすような中にあって、ヨーロッパも
日本も非常に不安定な
要素であると思うが、あえて固定相場制に返せとまでは言わないけれ
ども、現在の全くほったらかしのフロートという感じから、もう少し
政府がレートに責任を持つ体制は一体とれないものだろうか。アメリカのドル、
日本の円、できればEC共通通貨というところまでいけばいいのですが、共通変動制でもあれだけの騒ぎをする国々ですから、西ドイツマルクとこの三国通貨を三者が共同で一定の幅を持って介入していくという制度ぐらいはできぬものだろうかという話をしましたところ、私は雑談程度の話だったのですが、シュルツ国務長官は異常な興味を示しまして、彼の方から具体的な問題を二回も質問を繰り返したというようなことで、彼自身は何か非常に感ずるところがあったように言いましたし、また、そう受け取れました。
現在、見てみますと、ECのあのような騒ぎもあり、さらにまた、
石油の五ドル値下げは、いま言われている言葉で言えば、
日本のファンダメンタルズに一番大きく貢献することは諸外国は全部知っている。アメリカでさえも、
日本が一番恩恵を受けるだろうと公的に言っているのですね。ところが、円は下がるという、まあ理由はありましょうが、いままでのレートとちょっと違う
動き方をする。これでは
企業はたまったものではないということが、現実にアメリカ側の方でも、きのうは財務長官でありますか、そういうようなことを取り上げ始めております。
私は、この問題は固定がいいとか、あるいは一定幅の中の上下のあるフロートがいいとか、現在の完全なフロート制度がいいとかいうことを、どちらかに軍配を上げて言うのではなくて、現状をこのままほっておくと、為替の変動の理論が現実にあらわれてこない。当然ながらいまの
日本のレートはもっと上がっていてしかるべきなんですが、それがきのうは二百四十一円を一時つけたというような
状態が、なかなか
説明がつかぬのですね。だから、いま最後におっしゃった点は、これは私
どもだけでできることでもありませんし、国全体あるいは
世界の中の何極かが意見を詰め合わなければならない問題で、しかも相当緊急を要する問題であるというふうに私は思っております。
これは裏話を申し上げて恐縮でありますが、そういうようなことをいまの御質問で、私は
動きが出るのではないかという若干の兆しを見ておりますので、もうここらで言ってしまってよかろうということで裏話をいたしました。