○山中国務
大臣 私は、
大阪経済界との会合の際に、公開ですか非公開ですかということをまずお聞きしまして、報道関係の了解も得て、この会合は非公開でございます、漏れる
心配はございませんので本音を聞かせてくださいということでしゃべったわけでありますが、まああなた地元だし、入っていた人の直接の話も聞ける立場にありますから、これは漏らしたとか漏らさなかったとかいう次元を超えての話でございますから……。そのような話を財界の方々に、ことに
大阪は、東京を政治の首都とするならば、
経済の首都、しかも
中小企業ががっちりとした底辺を形づくっている象徴的な町という
意味で、少し気を緩めて話をしたとがめがいま来たわけでありますが、国会の
委員会はそれ以上に、言ったことについてどうかということについては責任を負わなければなりません。
そこで、まず
塩崎長官の援護射撃、ちょっと皮肉も入るかもしれませんが、どうも
政府全体が
国民大衆、一般
国民の行き先どうなるといまあなたがおっしゃいました、私は
大阪弁はよくできませんが、ことしはどうなりますねんという
——表現が間違っていたらごめんなさい。そういうような確かに庶民の切実な声に対してこたえるのに、
政府の
景気見通し、
経済見通しというのはやはり指標になりますから、裏では相当いろいろな議論があったことも事実ですが、私がその議論をずっと聞きながら考えたことは、
政府全体がどうも、大平さんがよく使っていらっしゃったシャイになってしまっているのじゃないか。無理もないことですが、大蔵省の立場から言えばこう歳入、ことに
税収の
見通しが狂いっ放しでは、今度の
見通しまで狂うかもしれないことを前提に
見通しを立てるわけにはいかぬという、これは切実な声がありましょうが、しかし若干そこに腰を引いた感じがあったように思います。公共事業でもいろいろありますが、住宅建設で、建設省としては百三十万戸と言っていながら何だ、あるいは百十五万戸と言っていたがこのざまは何だ、百十万戸も達成できないじゃないかとかという声に、若干また及び腰になって、余りそう住宅着工率といいますかそういうものをよけい見られても当省としてはどうもという感じがしているような気がしてならなかったのです。一方、
経企庁自体にすれば、これは援護射撃にならぬのですが、どうも過去
見通しを何回も
下方修正するようなことでは
経企庁のこけんにかかわるといいますか、だから今回はそういうことのないようにという慎重な受けとめ方をしていたことも事実であります。
このようなことを考えてみますと、私
どもは、
国民にせめて明るい未来を少しでも示したいという
気持ちになること、ことに産業界というのは、
最初おっしゃいました最終消費支出に関係のある
国民の所得、ふところぐあいの問題ですね。これが末端では消費というものに直接
影響いたしますから、統計上出てくる百貨店売り上げ等の
状況を見ても、どうも
国民心理もそのような同じような心理がある。だから、買いたいと思っているものもまあ
先行きどうも
心配だから延ばすかとか、買いかえの時期に来たなと思っているものも買いかえをもう少ししんぼうして使おうかという心理に次第になっていってしまうのですね。
これは、
政府も民間も下うつむいてとぼとぼと歩いていく一年であってはならぬ。したがって通産省としては、せめて産業
経済の面では前途に一点の光明を見つつ、やはり自分たちが
世界に先駆けた技術の開発、あるいはまた一方においては新しい産業の登場というようなものに意欲を持つようにというようなことで、税制で無理に財源のない大蔵省にお願いをしまして、
中小企業投資促進税制とか、直接
景気には関係ありませんが、精神的に、心理的に
影響のあるであろう代がわりの
時代に来た承継税制とか、あるいは地方にも活力を与える糸口になるならばということでテクノポリス構想とか、あるいは
企業は小規模でないにしても、
世界の情勢から、このままほっておくといまに民間
企業としての存立が危うくなるというようなことで
基礎素材産業に対する配慮とか、あるいは地域城下町の法案も、このまま切れたのでは、
基礎素材産業とも関連のある町も多うございますし、やはりこれも延長をしてさらに未来を、ことに関連する
中小企業が
展望できるようにしたい、いろんな配慮はいたしました。
しかしながら、果たしてこのままの出発点の
見通しだけでいいのかといいますと、いま申し上げましたように、そのときもまだ口にはできない立場にありましたけれ
ども、本当は公定歩合をそろそろ引き上げてもらいたいという
気持ちはありました。しかし、これはレートの変動その他が大変激しかった背景がありまして、日銀の慎重な前川総裁の運営というものをしばらくは願望を込めながらも見守って今日に至っているということがございます。
中小企業投資促進税制なんというものは、もう小さい規模になってしまって役に立つのかということでありますが、それでも
成長率への寄与度は〇・〇四以下であることはないということを、
経企庁からもはっきりと公的な場で説明も受けておりまして、貢献度がゼロではないということを考えておるわけでありますが、このように石油の情勢が急変いたしまして、OPECの輸出カルテルの崩壊が近い現状がどういうことになるのか、これは連日報道されておりますが。
アメリカの
シュルツ国務長官は大変大胆な前提を置いて、バレル二十ドルになったときということを議会で説明しておられまして、そのときに一番恩恵を受けるのはわが
アメリカと
日本であろうということを、わざわざ名指ししてくれております。
私はきのうまで、二十五ドルということが最も望ましい
限界になるであろうということは、
最初出発したときの石油価格に対する
国民の
考え方は、安くて無尽蔵に手に入るという
考え方の
時代から一転して、産油国の戦略、
政策によって一次、二次と、現在は三十四・五ドルという前提の中で
経済が何とか二次ショックを切り抜けようとしている、そのときの値下がりでありますから、したがって単純に、もともと三十四・五ドルであったものが五ドル下がるとか六ドル下がるとかという、万歳、万歳というような受けとめ方は、ここらでひとつ慎重に構えて分析をしようと言っておりました。
しかし、シュルツ
長官の二十ドルという前提はどこから来たのか、私まだわかりませんが、
アメリカにおいてはすでにそのような大胆な予測をしているところを見ると、何らかの国際的な情報その他によって根拠があるかもしれません。しかし、そのシュルツ
長官でも、同じ産油国であってもメキシコとかベネズエラについては債権の累増ということでそう簡単に喜ぶことではないということも言っておるようでありますが、わが
日本も大なり小なりそれと同じだと思います。
しかしながら、わが国の石油の輸入エネルギーへの依存度、それからその石油のうちの中東、ことに湾岸諸国の
会議はまだ結論を出していないようですが、そちらに対する依存度のきわめて大きいことを考えますと、これは恐らく値下げの発表になると思っています、いますが、その際にわれわれはずいぶん多くの配慮をしなければならぬ。考える
要素がいっぱいある。
長期的に見て、
日本にとってこれが長続きをするならば、私たちは
経済政策全体も組みかえるほどの大きな、現時点における場合とは違った利潤、現時点よりか違ったいい点をたくさん与えられることになる。その
意味では、燃料コストのうちの大宗を占める石油の値下がりが及ぼす
影響はずいぶん大きいものがあると思います。これは根っこの値下がりでありますから、レートの変動によって幾らというものよりか、もっと大きな推定値も出るわけでありますから、これらをもとにして、それらをエネルギーにしている諸産業についての配慮、こういうものをまずどのように対処すべきであるか。まだ幾分、一両日かかると思いますが、私たちは省を挙げてこれについて
日本の産業界に
指針を示す。この石油価格の
状態が当分の間続くとすれば、どのような
産業政策をどのような未来を
展望しつつ現時点において新たに躍動していくべきかという問題を提起したい、あるいは
国民に御説明をしたりするようなことをやってみたい、またそれが産業の実務を負担している主務省の通産省の責任である、そのように考えておるわけであります。
あと細かくは、連日のように申し上げておりますから申し上げませんが、わが国においてプラスの面と、それから一説に伝えられておる、事実そうであると言われておるオイルダラーの
日本市場との関連ですが、これで金融界はどうなるか、証券業界はどうなるのか、あるいはまた、わが国も債権国家となっている、先ほど挙げましたような国々やブラジル等に対して、
日本は金融機関が
対応できるのかという問題、これらの
状態を全部点検して並べてみて、そして為替レートの現状はさらにこのことによって、円に関する限り、
日本の産業の諸構成
要素、よく言われているファンダメンタルズでありますか、そういうものは急速に改善されるわけでありますから、円もまだもっともっと戻していくであろう。そういうことを考えますと、それらの点を静かに踏まえながら、
日本の
産業政策の
現実と未来への
展望とその
方向というものを早く示したい、そのように考えております。