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山中国務
大臣 まず初めに、ちょっと質疑の途中経過がわからずにしゃしゃり出るのはいけないと思ったので、塩崎長官にかわってもらいましたが、いま私たち念頭に置いて
日本国
経済の青写真を描かなければならないのは、
世界経済が世界的な規模において縮小をしている。そのために自分たちの国の足元に目を向けがちになって、保護主義的な傾向があっちこっちで高まりつつある。これは何としても打破しませんと、保護主義に走った場合にガットの原点が見失われていきます。
わが国の発展の基礎はガットにあり、
自由貿易主義
経済にある。したがって、それに相反するものには敢然と立ち向かおうということが、この間の四極
会議でも私が提唱をして賛同を得た基本的なスタンスでございます。しかし、総論は賛成でも、各論になると、
日本・
アメリカ、
日本・ECだけでなくて、
アメリカとカナダ、
アメリカとECという間にも激しい葛藤があります。しかし、それらのものは基本の原点たるガット精神を見失わない、そういうようなことで、セーフガードでこの間あんなに混乱して、危なくガット崩壊かと思わせたようなことは、みんなでもとへ戻そうではないかということでは一致しております。
そうすると、それが
日本にはね返ってくる影響というのは、世界の
市場が冷えているわけでありますから、いかに優秀な
日本の製品といえども、たとえばいままでの定石でいけば、円安になれば輸出がどっと振興するという形が、そのとおりにならない。しかも最近は輸出、輸入ともに縮小している。
日本自身が縮小
経済の中に入り込むおそれにいま立ち至っているわけですね。これは何としてもまず世界的にオープン体制というものをしかなければならない。しかし、いまの産油国、産油国の中でも債務国になっているメキシコとかベネズエラ、あるいは産油国ではないが債務国の巨大なブラジルとか、いろいろな問題がありますけれども、それらの問題は国際協調でやりながら、
日本経済は少なくとも世界の開放
市場体制の先頭に立って、いまおっしゃるような
政策も勇敢にやりながら、
日本の
国民あるいは
日本の
産業に携わるすべての人々が前途に光明を持って、まゆを上げて、胸を張って前進するという
政策は
通産省は絶対とらなければいけない、そう思っているわけであります。
私が
通産相に就任して、二つだけ言いたくて言わなかったことがあります。
それは、いまおっしゃった一兆円
程度の減税が必要であるということ、これは正式には言っておりません。それから、ここまで出かかっていたのですけれども、公定歩合ということについても触れませんでした。ということは、非常に流動的な要素があって、本当は公定歩合はあるときに引き下げてもらいたかった時期もありました、それは当然ながら
景気に貢献するわけでありますから。その二つは発言を慎んで今日まで来ております。しかし、望ましいことは、おっしゃるまでもなくはっきりしていると思うのです。
これは経企
庁長官の立場なら言えるのでしょうが、去年の下期における公共
事業の後年度負担という形の繰り上げ、これがことしの公共
事業予算の中でめり込んでしまって前年同額であるという事実は、これは財政当局一緒におってくれるといいのですが、政府全体で考えませんと、実質は大きな金額でも減があり、そしてそれは工事費の値上がりその他から考えると、工事量としてはものすごい小さなものになってしまっているのだという事実、このことは、もうどうせ年度半ば過ぎるころには議論になると思いますし、私たちもその議論は中でしなければならぬと思いますが、総合的なそういうものは経企庁の方でいろいろな試算をお出しになっていただいて、各省庁がそれに対応することになりましょう。
しかし、
通産省は少なくとも
日本経済の責任を持つ省でありますから、
国民に明るいものを与えなければならないということで、一応ことしの税制
改正というのはごくわずかでありましたけれども、評価も少ないかもしれませんが、大蔵省の財源ということから考えれば、途中で断念をしようかとさえ思った
中小企業投資促進税制、これも大蔵省のふところぐあいからすれば、それだけの減収を覚悟したものでなければできなかったわけであります。したがって、当初二千六百億を要するような大きな
計画であったものも、三百五、六十億ぐらいの大蔵省としては歳入の減につながる負担をしんぼうしてもらう。それでもやはり
中小企業の中にはそういうものを、特償、特別償却を利用してやろうとする意欲は非常に大きく出てきているように思います。
方式について
一つだけ御
説明しておきたいのですが、過去五年間の投資
実績を上回った分についてという、いままでになかった
前提があります。これは、実は昨年、御
承知のように、エネルギー関連に対する五%の税額控除か三〇%の特償かの選択が発足いたしました。その結果の一年間をフォローにしてみますと、確かに効果がございます。強いて分けると、大
企業が税額控除を採用し、
中小企業は特償を採用しているという特色がくっきりと出てまいりましたし、過去五年間、ずっと並べてきたものに対して、その効果が相当な角度を持って上乗せしております。そこのところを振り返ってみて、
中小企業投資促進についてもやはり過去五年間の
実績がありますから、それに対して、今回のわずかであるといえども与えられたインセンティブでどれぐらいの上昇効果があるかということは、やはり一千億ぐらいのものはあるだろう、少なくとも九百億はあるというようなことで、少しでも一番苦しい
中小企業に明るさを与えたい。大
企業ではありましても、電力需要その他によって、とてもじゃないがこのままでは全滅してしまう。しかし、全滅をしたのでは
日本の独立国としての基礎素材については困るという
業種を拾い上げて、これから御
審議を願う基礎素材
産業の
活性化というものに取り組んでおります。
また、
中小企業の代がわり、おやじさんが戦後築き上げて、ふっと気がつくときれいな
商店街になっているけれども、もう息子に譲らなければならぬ年になったな。そこで、この四、五年急激に承継税制の議論が起こってきた。これはやはり切実な問題ですから、片づけなければならない。これもまた相続税の税収というようなものを考えている大蔵省からすれば、当然税収減につながることではありますが、しかし、やはりここのところは
中小企業の実態に合わせて、後継者はなかなか、何だ、おやじみたいに客に頭をぺこぺこ下げて、おれはやめたというものもあるでしょうし、そんなに税がかかるのなら、もうやめちゃおうじゃないかという、そういうことになったらいけませんので、これも精いっぱいの
努力をして、個人
事業の
事業の用に供する部門と居住用の土地とについて変えました。
事業用資産について特別の配慮をする、いわゆる
事業継承であります。そういう細かなところを考えながらやっております。
ですから、このようなことも
通産省としては、せめて、どこを向いても行く先は真っ暗だという感じのところに一点の光明をともしたいという願いを持って、大蔵省の
予算編成権に対して最大限の配慮を願った。しかし、基本的には
先生のおっしゃるような姿勢を、スタンスを持ちながら、その都度その都度きちっと時宜に適した対処の仕方をして、
日本経済のこの過去のすばらしい発展をとんざさしてはならぬ、私はかたく決意いたしておる次第でございます。