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1983-02-22 第98回国会 衆議院 商工委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年二月二十二日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 登坂重次郎君    理事 野田  毅君 理事 原田昇左右君    理事 森   清君 理事 渡部 恒三君    理事 後藤  茂君 理事 水田  稔君    理事 長田 武士君 理事 中野 寛成君       天野 公義君    植竹 繁雄君       浦野 烋興君    越智 通雄君       奥田 幹生君    梶山 静六君       亀井 静香君    木部 佳昭君       島村 宜伸君    田原  隆君       泰道 三八君    中島源太郎君       野中 英二君    鳩山 邦夫君       宮下 創平君    上田  哲君       上坂  昇君    清水  勇君       城地 豊司君    渡辺 三郎君       岡本 富夫君    北側 義一君       横手 文雄君    小林 政子君       渡辺  貢君    石原健太郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  山中 貞則君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      塩崎  潤君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     高橋  元君         経済企画政務次         官       辻  英雄君         経済企画庁調整         局長      田中誠一郎君         経済企画庁調整         局審議官    横溝 雅夫君         経済企画庁物価         局長      赤羽 隆夫君         経済企画庁総合         計画局長    谷村 昭一君         経済企画庁調査         局長      廣江 運弘君         通商産業政務次         官       渡辺 秀央君         通商産業省通商         政策局長    中澤 忠義君         通商産業省通商         政策局次長   山田 勝久君         通商産業省貿易         局長      福川 伸次君         通商産業省産業         政策局長    小長 啓一君         通商産業省立地         公害局長    福原 元一君         通商産業省機械         情報産業局長  志賀  学君         工業技術院長  石坂 誠一君         資源エネルギー         庁長官     豊島  格君         中小企業庁長官 神谷 和男君         中小企業庁次長 篠島 義明君         中小企業庁計画         部長      本郷 英一君         中小企業庁指導         部長      宇田川治宣君         中小企業庁小規         模企業部長   赤川 邦雄君  委員外出席者         大蔵省銀行局特         別金融課長   松田 篤之君         労働省職業安定         局業務指導課長 鹿野  茂君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ───────────── 委員の異動 二月十日  辞任         補欠選任   城地 豊司君     岩垂寿喜男君 同日  辞任         補欠選任   岩垂寿喜男君     城地 豊司君 同月十四日  辞任         補欠選任   上坂  昇君     野坂 浩賢君 同日  辞任         補欠選任   野坂 浩賢君     上坂  昇君     ───────────── 二月十六日  旅館業の経営安定のため大企業ホテル等について中小企業分野調整法による規制の適正化等に関する請願(竹中修一君紹介)(第五七五号) は本委員会に付託された。     ───────────── 二月十七日  電気工事災害防止に関する陳情書(第六四号)  基礎素材産業対策に関する陳情書(第六五号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ────◇─────
  2. 登坂重次郎

    登坂委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。亀井静香君。
  3. 亀井静香

    亀井(静)委員 先日の所信表明演説で両大臣が非常に力強い所信を表明されましたので、私どもも、景気が低迷している現在、非常に力強く思っておるわけでありますが、きょうは基本的な問題を含めまして、若干の御質問をいたしたいと思います。  残念ながら、いま両大臣いらっしゃいませんが、それ以上の実力次官がそろっておられますので、それじゃ次官の方から御答弁をいただければありがたいと思います。  第一点は、まず経済企画庁にお願いしたいと思いますが、当面の世界経済並びに日本経済見通しにつきまして、簡潔に、国民にわかりやすくお答えをいただきたいと思うわけであります。  私、経済企画庁の従来の経済見通しを特別に批判するわけではございませんが、残念ながら、気象庁の見通し経済企画庁見通しが一番当たらぬというような悪口まで言われてきておるわけであります。これについては、経済企画庁には優秀なエコノミストがたくさんいるわけでありますし、一概にこれは役人の責任というよりも、むしろ政策的なあるいは政治的判断からそういう成長率等見通しを含めて経済見通しが出されてきたという経緯もございますし、またそれが全く妥当でないと言うわけにもいかぬ面もあろうと私は思います。  そういう過去の経緯はございますが、余り当たりませんと、これはオオカミ少年になってしまいますので、ぜひひとつ率直に、現在国民が将来の経済動向について不安を持っておるときでございますので、簡潔に、明確にひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
  4. 辻英雄

    辻政府委員 ただいま御質問のありました、初めに世界経済の一九八三年の見通しにつきまして簡潔に申し上げますと、アメリカでは景気に底入れの兆しが見られておりまするが、西ヨーロッパにおきましては依然として停滞が続いております。総じてインフレ鎮静化には成果を上げつつありますが、雇用情勢は依然として悪い状態が続いております。アメリカ経済は、在庫調整進展実質個人消費住宅投資増加によりまして、緩やかな回復に向かっております。一方、西欧では、在庫調整進展、外需の回復も期待できますものの、内需の回復がおくれておりますために、八三年はきわめて緩やかな回復にとどまるものと見ております。アメリカ経済成長率につきましては、アメリカ政府によりますと一・四%程度OECD委員会によりますと二%程度というふうに見られておりますが、ヨーロッパにつきましては、OECDによりますと〇・二五%の成長程度にとどまるであろうという見方をいたしておるところであります。  わが国経済見通しにつきましては、五十八年度のわが国経済は、米国の高金利是正を背景として、多くの先進諸国では景気が次第に立ち直りの方向に向かうことが予想されまするので、国内経済につきましても物価安定傾向は続き、在庫調整も五十七年度中にほぼ完了するものと見られておりますので、総じて景気回復に向かうものであるというように考えております。
  5. 亀井静香

    亀井(静)委員 いま、総じて回復方向だというような御判断があったわけでありますが、依然としてわが国経済不況感を脱しておらぬわけでありまして、きょうの新聞でも、一月から三月にかけて、電力、鉄鋼の設備投資意欲が非常に減退をしておるというようなことが出ておるわけであります。当面、わが国経済不況から脱却するための具体的なてこ入れが必要だろうと思いますが、その観点からちょっと通産省次官の方にお伺いいたします。  その一つ対策として新特安法の一部改正がいま問題になっておりますが、これにつきましては、当面の対策として非常に有効であるということは私も十分理解をし、やはりこれはやっていただきたいと思うわけであります。しかし、一方、この方向がエスカレートいたしますと、市場競争原理を阻害してしまうという危険性もございます。従来のわが国における政府支出インフレに結びつかなかったのは、御承知のように、市場が競争的であるということが一つの要因にもなっておるというように言われておるわけでありまして、そういう点から、今後これがエスカレートしないという一定の歯どめも私は必要であろうかと思います。  それとまた、対外経済摩擦の解消という重大な問題を抱えておる現在、その関係で問題はないのかどうか、そのあたり、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
  6. 渡辺秀央

    渡辺(秀)政府委員 ただいま亀井委員から御指摘がございましたいろいろ懸念される問題もございますが、新特安法の立案に当たりましては、いわゆる山中六原則ということで重要項目として挙げてございますように、競争政策をむしろ重視したいということで考えてきたわけであります。  具体的には、共同生産あるいは販売などの事業提携について、業界全体のカルテルを行わせるのではなくてグループ化を通じよう、むしろグループ化の中で合理化を達成していこうとするところにあるわけでありまして、事業提携計画承認に際しましても、独禁法趣旨を尊重しながら適正なグループ間競争が確保されることを承認基準に取り組むとともに、公正取引委員会との関係では、主務大臣との調整規定を置くことにとどめておりまして、独禁法適用除外とはしていないということで、ひとつ御賢察を賜りたいと思うわけであります。  さらに、合併などについても、公正取引委員会独禁法適用ガイドラインの公表をお願いするなど、むしろ市場競争原理を尊重した考え方に立ってやっていこうというわけでございます。  新法で講ずる対策は、衰退産業現状を保存するものでなくて、第二次石油危機により構造的問題に直面した産業について、自由貿易体制前提として、非経済的な部分の縮小と経済的合理性回復する可能性のある部分活性化を目指す、いわゆる積極的産業調整を行うものでありまして、輸入制限的効果は一切持っていないということで考えて対処いたしておるわけであります。  このような対策方向は、昨年のOECD閣僚理事会で示されたPAPのガイドラインに合致したものでありまして、各国の理解が得られるものだと確信をいたしております。  なお、一部の国に、こうした趣旨理解しないで懸念を表明している国もありますが、今後十分に説明をすることによりまして誤解を解消してまいりたい。輸入制限カルテルではないということで対処したいと思っておりますので、どうぞよろしく御了承賜りたいと思います。
  7. 亀井静香

    亀井(静)委員 自由貿易拡大ということが、日本産業にとっても生命線だと思います。そういう点から申しますと、やはり自由貿易拡大は、ある面では思い切った国際分業推進ということを抜きにしては不可能なことでありますから、わが国における衰退産業といいますか、そういうものに対してどういう手を打っていくかという問題は、いまの御説明で私は趣旨は了解いたしましたが、そういう点も気をつけて、ぜひひとつ今後の政策推進していただきたい、このように思います。  また、さらに不況対策関係で、中小企業は御承知のように現在大変に苦しんでおるわけであります。これに対して通産省として、特定不況地域中小企業対策臨時措置法に基づいての業種指定あるいは地域指定の追加とか、あるいは中小公庫、国民金融公庫の貸し付け限度額の引き上げというような、そういう具体的な救済策も適時とっておられますけれども、これで現在まだ十分ではない、私はこのように思っておるわけでありますが、今後具体的にどう積極的な対策を講じられるかということをひとつお聞きしたいということであります。  それとあわせて、現在、親企業から中小零細下請企業に対する単価の切り下げとか、あるいは手形のサイトの長期化というような、取引条件が非常に悪化をさせられてきておるという深刻な問題がございます。こういう問題について、従来通産省として地方通産局を督励しての取り締まりはどういう手を打たれたか、また、その結果はどうであるか、今後これについての監視、また取り締まり体制をどうされるかということをぜひお聞かせを願いたいと思います。
  8. 渡辺秀央

    渡辺(秀)政府委員 前段の御質問に対しましては、御案内中小企業不況対策として、城下町法改正による今後の施策を講じようといたしておりまして、これは今後当委員会におきましていろいろ議論をしていただき、速やかな改正を図っていただくための御理解を得たい、こう思っておりますので、詳しいことはいずれこの委員会審議されることでございますので、その節にお願いを申し上げたいと思うのでありますが、いずれにいたしましても、この特定不況地域中小企業対策臨時措置法、いわゆる城下町法は五十三年十一月に施行されたものでありますが、特定不況業種としていままでの間に同法に基づいて合板製造業など九業種特定不況地域としては函館市などを含めまして四十七地域、五十一市町村関連市町村としては九十六市町村が指定されまして、認定中小企業者は実は五千六十件に達しておるわけでございまして、助成実績としては、五十六年度までに関連中小企業対策として、特定不況地域中小企業対策緊急融資約四百三十億円、信用補完措置特例が約百九十億円などを実施してまいりまして、いわゆる過去二カ年間の実績を見ていただけばおわかりいただけると思うのでありますが、ある種の実効は上がっているというふうに思っておるわけでございます。  最近の構造不況業種の業況はさらに厳しい、御指摘のとおりでございます。地域中小企業に深刻な影響を与えていますので、これらの現状を放置することは地域経済の安定に多大の支障を来すところでありますので、先ほど申し上げましたとおり、この城下町法改正をひとつ御審議をお願い申し上げたいと思っておるところでございます。  なお、この改正案に関しましては、従来の経営安定対策及び企業誘致対策を引き続き講ずるとともに、これまでの同法及び中小企業振興対策を講じている産地法などのこれまでの運用経験を踏まえて、新たに地域中小企業者事業の新分野を開拓するための振興対策を織り込んでいこうというところの施策の充実を考えていきたいと思っておるわけであります。  具体的に、中身はいずれ鮮明になるところでありますが、つけ加えますと、新商品、新技術開発市場開拓人材養成などの新分野開拓事業推進するために、組合などによる補助金を初め、融資措置信用保険特例措置、税制上の特例措置などを実施したいと考えておるところであります。  下請の問題に関しまして、御指摘をされているとおり、いろいろ懸念されるところはございます。下請取引に関する取り締まりについては、下請代金支払遅延等防止法に基づいて公正取引委員会とも協力して、親事業者などに対する書面調査法違反容疑事業所に対する立入検査などを実施して逐次改善指導を行うとともに、特に悪質なものにつきましては、公正取引委員会に対する処置請求などの方法でこれに対処してまいりたいというふうに思っております。  また、この運用状況につきましては、年々、調査対象事業所増加立入検査件数増加担当職員の増員などを行うとともに、五十七年度におきまして、下請取引適正化対策の親事業者への周知徹底を図るための下請取引改善講習制度などを創設実施することによりまして、その運用強化を図っているところでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  9. 亀井静香

    亀井(静)委員 今後の方針は非常によくわかったのですが、従来どの程度そういう改善命令等を具体的に出されたか、その実績をちょっと数で教えていただけませんか。簡単で結構です。
  10. 本郷英一

    本郷政府委員 それではお尋ねの点、簡潔にお答えを申し上げます。  下請代金支払遅延等防止法に基づきます調査事業所は、五十六年度で四万四千事業所でございます。この六、七割が親事業所でございまして、その親事業所調査と並行いたしまして、その下請事業所にも調査をしておるわけでございます。この中で違反の疑いのある事業所というのは、五十六年度実績で申し上げますと約六千七百事業所ございまして、これらに対して立入検査、その他書面調査等をさらに行いました数が、全体で約四千二百件ございます。これをベースにしまして改善指導等を行いまして、即時改善等を行ったものが約二千件でございます。  以上でございます。
  11. 亀井静香

    亀井(静)委員 相当努力をしていられるという状況はよく理解できたわけでありますが、いま事態はますます深刻の度合いを強めております。特に軽量経営というような形で大企業がぜい肉を落としてきておるわけでありますが、大企業自体がいま非常に苦しくなっておる状況でもありますので、さらにぜひ通産省にお願いしたいのは、特別通達でもひとつ出していただきたいと思うのですが、この点についてどうでございますか。
  12. 渡辺秀央

    渡辺(秀)政府委員 そのように十分に考慮いたしまして、徹底を図ってまいりたいと思います。
  13. 亀井静香

    亀井(静)委員 それでは次に、例の大店舗の進出に伴っていろいろな問題が惹起されておりますが、これについては、通産省が一昨年来大変な苦労をされまして、業界に対する行政指導等を含めて努力をされておるという状況、それに伴ってトラブルが相当鎮静化しておるということは非常に結構なことだと思うのであります。  しかし、今後、スーパーの攻勢に対してきちっと歯どめをかけると同時に、商店街近代化また商店経営近代化というような問題について、やはり通産省としては思い切っててこ入れをしていく必要があると思うのであります。これにつきまして、本年度予算案を見ましても、余り思い切ったそういう方面での措置がなされておらぬのじゃないかなという感じも受けるわけでございますが、これについての今後の御方針をひとつ聞きたいと思います。これについては、通産だけではなくて、場合によっては建設省あたりと共同して都市開発をやっていく中でそういう問題を解決していくというようなことを、ぜひひとつお願いしたいと思います。簡単で結構ですから、お願いします。
  14. 渡辺秀央

    渡辺(秀)政府委員 亀井委員の御指摘のとおり、この大型店問題でいろいろ地域商店街活動小売業活動が一時混乱をし、あるいはまた不安を招いたということは事実でございまして、そのために強力な行政指導が要請されたことと、あるいは業者側の自主的な自粛態勢ということで、いまお話がございましたように、結果としてきわめて実効の上がる措置が講ぜられたというふうに思っているわけであります。  大店舗の問題は、中小小売業者との共存共栄ということがあくまでも前提として考えられていかなければならないわけでありまして、そのために、いまお話のございました中小小売業振興策というのを、従来よりも商店街の改造、店舗共同化、ボランタリーチェーンなどの高度化事業積極的推進を図っていこうということで考えて、努力をいたしておるところでございます。  予算の面におきましては、御案内のように非常に厳しい査定状況の中にあり、あるいは編成作業の中にありましたが、商店街活性化対策を中心に、これは前年度比二七・三%増の大幅な、商店街あるいは小売業振興策を図ろうということで努力をいたし、いま予算委員会審議をちょうだいし、また各商工委員の諸先生方からもこれからいろいろ御指導を賜るというところでございますので、中小企業対策の中におきましては、ある意味においては突出した振興策を打ち出そうといたしておりますことを御理解賜りたいと思うのでございます。  いわゆる市街化開発との関連性でありますが、おっしゃられるとおり、中小企業庁におきまして、建設省あるいは都市開発市街化開発等関連性もこれあり、十分連携をとりながら、町づくり、そして小売業商圏確保のために何が大切かということを考えながら、ぜひ施策を講じてまいりたい。いろいろまた御指導をちょうだいしたいところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  15. 亀井静香

    亀井(静)委員 時間がございませんので、この問題をもうちょっと聞きたいところがあるのですが、先に進みたいと思います。  エネルギー政策についてちょっとお伺いいたします。  現在、日本における核燃料の再処理体制というのは、御承知のようにできておらぬわけでありまして、いわばトイレをつくらぬで、どんどこどんどこ腹いっぱい飯を食っているような状態だと思うのですが、この問題はそう先まで延ばすわけにはいかない。現在フランス委託をしておるわけでありますけれども、これについて通産省としてはどういう見通しを持っておられるのか、またどういう形でこの問題を解決されるのか、これをちょっと聞かせていただきたいと思います。
  16. 豊島格

    豊島政府委員 核燃料処理につきましては、先生指摘のように、現在、使用済み燃料処理動燃事業団の東海再処理工場でごくわずかやっておりまして、大部分は英国とフランスの海外再処理委託をしている、こういうのが実態でございます。  しかし、われわれとしましても、発生する使用済み燃料はすべてわが国で再処理するということが将来の基本方針でございまして、核燃料サイクルのかなめとなる再処理外国依存を脱却するためにも、国内における再処理体制を確立するということが緊急の課題で、使用済み燃料は全部再処理をする、その中で外国依存から脱却するということはどうしても早く進めなくちゃいけない、こういうことでございます。  それで、昭和六十五年度ごろの運転開始をめどとしまして大型の再処理工場を建設するということで、現在、その工場の建設、運転主体となる日本原燃サービス株式会社というところが立地地点選定作業を行っているところでございます。これに対しまして通産省としては、その重要性にかんがみまして、この日本原燃サービス株式会社に対して、技術面資金面における支援措置を講じておるところでございまして、また立地円滑化のためにも今後ともいろいろな施策を講じていきたい、このように考えております。
  17. 亀井静香

    亀井(静)委員 ぜひひとつ、この問題は通産自体が相当本腰を入れていきませんと、日本には核アレルギーという妙な体質もございますので、この問題は通産省として当面の重大課題だということでお取り組みをお願いいたしたいと思います。  大臣になかなか来てもらえませんので、次から次へと細かく、あっちへ飛びこっちへ飛びになりますが、ちょっとお聞きをいたしたいと思います。  一つ景気対策といいますか、現在、設備投資が非常に冷え込んでおる状況の中で、民間の設備投資意欲を刺激し、誘導するという点からも、私は、当面重要なことは、工場のスクラップ・アンド・ビルドといいますか、そういうことを含めた日本列島への適正な工場の再配置ということが、やはり非常に重要なことではなかろうかなというふうに思うわけであります。  これについて最近、例の工場制限法を、五百平米以内については工場の新築、増築を認めるというようなことを今度国土庁が政令改正でやるようでございますが、これはある面では、従来のそういう工場配置をしていくという精神に逆行する面もなきにしもあらずだというように思うわけであります。まさか通産省が圧力をかけたわけじゃないというように私は理解をするわけでありますが、やはり今後この工場の再配置という問題について、建設省あるいは国土庁等と十分な協議をしながら、ある面ではドラスチックに進めていただくということが将来の日本経済活性化していく、また当面の景気浮揚という面でも非常に役立つのじゃないかと思いますので、この点について基本方針を御説明いただきたいと思います。
  18. 渡辺秀央

    渡辺(秀)政府委員 工場配置の問題は、非常に各分野の総合的な考え方の中で検討していかないといけない問題だと思うのであります。言うならば、商工政策だけでもまいりませんし、あるいは、ある意味においては都市政策だけともまた言い切れない面もございます。何といいましても、要は地域経済活性化を図るために均衡のある、言うならば拡大均衡を図りつつ、経済の活性をより一層増進させるための措置でなければならないというふうにも思います。  そういう観点から、先般のいわゆる工場制限法の一部手直し問題は、ある意味においては中小企業者の設備投資意欲等に水を差すようなものであってもなりませんし、あるいはまた特定の中小企業者の立地条件、親企業との関連性等も考えて、そう余りむげなこともできないというような観点から、きわめて制限的なものを加えつつ、これはいまの段階においてこの点はやむを得ないだろうということで閣議了解を、実はきょうだったと思うのでありますが大体行われているということでございます。  工場配置の問題は、日本産業構造の中で欠くことのできない基本的な課題だと思いますし、通産省としましては、立地公害局を中心にいたしまして、今後の日本経済活性化の中でどうこれを位置づけてやっていくかということを真剣に取り組んでまいりたいと思っております。  どうぞ、そんなことで御理解と御認識をちょうだいできればと思います。
  19. 亀井静香

    亀井(静)委員 三十分たってもまだ大臣がおいでになりません。与党の代表質問でございますので、若干与党軽視じゃないかという感じも私、するわけでございますが、しかし、委員会の運営にも協力をしなければいけませんし、非常に残念であります。  さらにちょっとお聞きしたいのは、現在の貿易摩擦等いろいろな貿易上の課題があるわけでございますが、その中で、私、この前東南アジアを回ってきましたときに、東南アジア諸国から相当強い声で聞きましたことは、日本からのいろいろなプラント輸出等、民間が現地での経済活動をやる、進出をする、これ自体は低開発国としては非常に歓迎をしておるわけでありますけれども、しかし、その仕方が、現地のいわば華僑資本とすぐ結びついてしまうというような批判が非常に強いわけであります。やはり現地資本と協力をしながらそういう経済活動をやるということが、私は、将来の低開発国と日本との友好的な共存共栄の協力関係経済面でつくり上げる上においても、非常に重要なことではないかと思うわけであります。  今後通産省として、これは行政指導ということになるわけでありますが、ぜひひとつそういう面につきましても業界を御指導賜りたい、これはお願いになるわけでございますが、一言ちょっとそれについてのお考えを伺いたいと思います。
  20. 小長啓一

    ○小長政府委員 亀井先生のおっしゃるとおりでございまして、通産省といたしましても、海外投資条件の調査なんかにつきましても、年二回、三回ぐらいのペースで入念にやっておりまして、地元資本との提携の関係、その提携の過程におきます摩擦の防止という点につきまして、大変慎重な配慮をしておるわけでございます。したがいまして、そういう点につきましては、これからも先生の御趣旨を体しまして慎重な対応をしていきたいと思いますし、同時に、第一次石油ショックの前後でございましたか、東南アジア地域に暴動が起こるような事態が起こったときに、日本産業人が海外活動をやる場合に、慎重な対応、そして現地との融和を図っていくことをモットーとすべきであるというようなコード・オブ・ビヘービアというのをつくっておりまして、その精神は現在もそのまま脈々と生きておるわけでございます。そのコード・オブ・ビヘービアも、今後の指針といたしまして尊重してまいりたいというふうに考えております。
  21. 亀井静香

    亀井(静)委員 それでは、時間が半までしかございませんので、非常に基本的な問題でございますから、私、大臣からお答えをちょうだいしたいというふうに思っておったわけでありますが、待てど暮らせど、いつになるかわかりませんので、実力次官にお聞きいたしますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  これは、先ほど経済企画庁にはお答えをいただいたわけでございますが、通産省が経企庁とは別な見方をしておるとは私は思いませんけれども、通産省として産業政策推進していく上において、いまの世界の経済日本経済をどういうように見ておられるのかということを、ちょっとまずもって、簡単で結構でございますからお聞かせ願いたいと思います。
  22. 渡辺秀央

    渡辺(秀)政府委員 大臣が参りませんで、大変基本的な問題でございますので、大臣からお答えをしていただいて御理解をいただくことが本当だと思うのでありますが、お許しをいただきまして、あらましのことを申し上げさせていただいて、後ほど大臣が見えましたらまたどうぞお願いを申し上げたいと思うのです。  世界経済は、御案内のとおり、第二次石油危機というものを契機にいたしまして、これまで三年こうやって停滞してきているわけであります。――せっかく大臣見えましたので、申しわけありませんけれども、これは基本的なことですから……。
  23. 亀井静香

    亀井(静)委員 いいえ、いいです。実力者だからぜひやってください。
  24. 渡辺秀央

    渡辺(秀)政府委員 そうですか。  では、そういうことで、先進国の雇用情勢の悪化あるいは発展途上国における債務累積、世界的な保護貿易主義の高まりなんというような問題が非常に深刻化いたしてきております。特に雇用問題は、ECだけでも約千二百万人あるいはアメリカでも千二百万人に達するというほどの状態であることは、御案内のとおりであります。  今後につきまして、世界的な高金利が物価安定に伴い是正傾向にありますので、米国経済も下げどまりの兆しが見られる、さらに原油価格も低下傾向にあることから、世界経済は今後緩やかな回復に向かうことが期待されるという判断においては、企画庁と大体同じような見方をさせていただいているということであります。  ただし、先進国における雇用情勢の改善、発展途上国における債務累積の解消が実現するには、なおまだ時間を要することではなかろうか、そう短兵急に回復はしないのではないかというふうに、残念ながら分析をせざるを得ないということだと思うのであります。  こんな中にありまして、自由貿易体制を維持強化しつつ世界経済の安定的発展を図るため、各国が協調して経済運営を進めることが重要でありまして、わが国としても、内需中心の経済成長を図り、引き続き市場開放の実施に努めてまいりたい。言うならば、いわゆる各国の協調経済という形をどうしてもとらざるを得ないということだと思います。産業協力や先端技術協力、経済協力などを積極的に推進いたしてまいりまして、世界経済活性化に向けて日本としての責任を真剣に果たしてまいりたいというのが、いま大方の通産行政の底辺ではないかというふうに御理解いただければありがたいと思います。
  25. 亀井静香

    亀井(静)委員 大体経企庁と同じような見通しをしておられると思いますが、明るい兆しがほのかに見えてきたということであろうと思います。  それにいたしましても、それが本当の光になるかどうかということは、今後のわが国の財政金融あるいは産業政策、これが適切に行われるかどうかということが非常に大きなポイントであろうと思います。  そういうことで、日本のいまの経済に関する基本的な御認識についてお伺いするということになると思いますが、ちょうどことしは大臣、御承知のようにマルクスが死んで百年、ケインズ、シュンペーターが生まれて百年、例の「雇用・利子及び貨幣の一般理論」ですか、これが世に出て大体半世紀というような節目でもあるわけです。ケインズの経済学が登場しましたのは、御承知のように、当時の一九三〇年代のイギリスの不況、これに対する処方せんというような形で登場したわけでありますが、これが戦後も一九七〇年代まで、御承知のようにフィリップス曲線が大体定型化しているというような状況もあって、ケインズ経済学というのが一つの財政運営の手法というような役割りをアメリカでも果たしてきましたし、また日本でも、御承知のようにオイルショック以来の財政手法というのは、どちらかと言うとそういうものを基本にしたものであろうと思うのです。  ところが、現在、御承知のようにフィリップス曲線もアメリカで、何というか、曲がりというかゆがみが出てきたという状況で、ケインズ手法というのはもう余り有効じゃないのじゃないかということが相当言われてきて、フリードマン等に代表される反ケインジアンが力を持ってきたというようなことで、その中でいまのレーガン政権の経済政策も、そういう面で相当方向転換といいますか、基本的な指針というものをほかのものに求めつつあるという状況もあると思うのです。  しかし、日本の場合、大蔵省がケインズとは訣別したというようなことを、新聞とか週刊誌で最近言われていることも御承知と思いますけれども、第一次オイルショックの前まではずっと、民間貯蓄を民間の設備投資が大体吸収しておった。それが、それ以降はそれを吸収できなくなって、その分財政赤字という形になってきておるわけです。いままではこれをケインズ的な手法で、その財政赤字を増大させて政府支出をふやして、それによって均衡させていくという方法をとっておったわけです。ところが、御承知のように、百兆円を超える累積赤字というようなことになってきた。そうすると、従来のようなそういう手法が使えなくなったということが、大蔵省あたりの見解にも出てきておるのじゃないか。大蔵省というよりか個々の職員でしょうと思うのですが、最近の、政府が公共事業費を非常に抑制するということでことしも予算を組んでおるということは、いわば巷間言われております、そういう手法から財政当局が訣別を始めたのじゃないかという見方が出ても不思議じゃないと思うのですね。  しかし、考えようによりますと、日本の場合は貯蓄率が非常に高いという、高水準をいまずっと保っておるわけですから、アメリカあたりと相当事情が違うわけですので、やはりこの際思い切って公共事業はふやしていくという手法を継続していかぬと、現時点の民間の設備投資意欲が冷え切っておるという状況においては、これはどうにもならぬじゃないか。これはある面では毒薬かもしれぬけれども、やはりそういう手法もやるべきじゃないかという論も御承知のようにあるわけであります。その場合に、政府支出が、また国債の発行が即民間の設備投資を増大する、あるいは意欲を刺激するというようにこれが働かぬとすれば、これは財政的にも大変な問題になってくるわけですから、設備投資意欲を刺激して、それによって民間の貯蓄を吸収させていく、また税収の上がりを確保していくという一つのメカニズムがうまく作動を始めるかどうかという、いまの時点というのは非常に重要なときだと私は思うのです。  これについて通産として、そういうケインズ的手法といいましても、御承知のように日本も高橋是淸財政というのは、そういう理論的な装備なくして同じようなことをやってしまったわけでありますけれども、そういう一つ経済学上の理論が全部の政策をやる場合の基本的な指針にはならぬとは思いますけれども、そのあたりをどうお考えになっておられるのか。従来のような、第一次ショック以降を乗り切ってきたそういう手法でいくべきなのか、その上に立った産業政策を考えておられるのか。これは基本的な問題でございますので、そのあたり大臣からお聞かせいただければ非常にありがたい、かように思います。
  26. 山中貞則

    山中国務大臣 ケインズというものを訣別するかとかなんとかという問題は別にして、既存の経済理論で割り切れない現象が次々と起こってきて、それに対処する手段がいままでのいわゆる定石といいましょうか、そういうような定石では解決できないところに来た。建設公債とかそういう問題は、大蔵省、建設省の問題でもありますが、私は――そうですね、それなんかやはり触れない方がいいですね、所管外のことは触れないことにして、こういうところにあると私は思っております。  要するに、石炭、黒ダイヤといった固体エネルギー、これによって日本基幹産業というものは戦後の大きな飛躍を遂げたのですが、それが流体エネルギーへの大変革があって、国内対策としても、石炭対策に対して大変な立法なり予算なり対策を講じました。なおかつ、現在も国内炭に対しては、保安を考えながら、やはり確保できるものは確保する努力をしております。しかし、世界の大勢は流体エネルギーへ急速に変わっていった。ところが、当初は、幾らでも安く手に入るエネルギーということが無意識のうちに輸入国にあったし、産油国も気がつかなかった。しかし、ある日突然、その物資は有限であり、しかもその有限な中で、産油国は、どっちかというと先進工業国に属しない国が多いですから、そういう国になるためには量を減らして値段を高くするという考え方を採用してきましたから、これは産油国からすれば当然の戦略だったと私は思うのですね。  しかし、それを、ただ安くて幾らでもと思っていたエネルギー政策に依存していた国々は、わが国を頂点にして、いわゆる第一次石油ショックという受けとめ方をせざるを得なかった。したがって、現在の石油が、OPECの機構がいまのところ少したがが締められなくて緩んで、五ドルとか三ドルとかの値下げが伝えられておりますが、ここのところで、単に下がった現象に対してすぐに対応的に何かを急いでやるということを、今度は少しクールに物を見たらどうか。  ということは、二ドル五十セントであったバレル当たりの価格が三十四ドル五十セントに上がったこと、それによって組み立てられた財政、金融、あるいはまた産業、エネルギーその他の体制、国際的にも相当あります。その体制が若干変わってくるのであって、根っこ二ドル五十セントであったものが三十四ドル五十セントになったうちの四ドルか五ドルの下げである。ならば、これにすぐに対応してばたばたしないで、通産省としては各局に、今回のOPECの会合がうまくいかなかったことに伴う対策について、それぞれの分野でのいま研究を命じてあります。近く、私を中心に事務当局、省議メンバー全部そろえまして、石油の今回の値下がりに伴うわが国産業政策がいかにあるべきかということを国民にも示すことができるように、あるいは閣議報告事項にでもできるようにしてやらないと、みんな余りにもどうしていいかわからない。したがって、世間は一般的に暗い感じである。ですから、せめて産業政策でも、前途に一点のともしびを照らす努力をしなければならぬ。そしてまた、過ちなきを期さなければいかぬ。もしここでばたばたして、石油が下がったからそれに対応して、すべての体制をそれに合わせておきますと、ある日突然OPECが修復されて、また三十五ドルとかなんとかいう価格に戻ったときに、その体制は根底からすぐに変えられるかというと、大変むずかしいことになってしまう。そこで、ゆっくりと急いで、そしてクールにこれを受けとめていま研究をしております。  いまおっしゃったように、大変解きにくい、理論的にあるいは学説的に解きにくい体制にあっても、わが日本は、常識上考えられない無資源国でこれだけの発展をした国ですから、われわれの英知、われわれの創意、われわれの努力によっては、私らの手で世界各国に対して保護貿易主義を打開させ、自由貿易主義の原則を維持させ、そして相互にお互いの先端技術その他で協力し合いながら進むことによって新しい未来を切り開く。これは学説によってどこをやったのじゃなくて、ここまで追い詰められて、適用してみても全部学説が合わなくなる。円安になったら輸出がふえるかといったらふえないという、その一事をとっても……。そこで、私たちは、実際の経済政策で、後に、あれは日本で生み出された、名前はどうつけるかわかりませんが、そういう経済の対処の手法であったというふうに結果見られるようなものをつくってみようと、意欲満々で取り組んでおるわけでございます。
  27. 亀井静香

    亀井(静)委員 山中大臣は勘のいいことでは政界一と言われているわけでございますが、勘だけでやられても困るわけでございますけれども、経済論よりもさらに実態の動きの中から当面どうあるべきか、そういう問題をぜひひとつ思い切って解決をしていただきたいと思います。  私見を申し上げれば、通産の本年度予算につきましても、設備投資に対する刺激につながるような施策通産としても思い切ってやっていくべきじゃないかなという考え方を私は持っておるわけであります。  ここで先ほど、おいでにならないときもいろいろ聞いておったのですが、思い切った都市から農村への工場の再配置とか、あるいは例の大店法でがたがたやっておりますが、問題は商店街近代化ということですから、建設省あたりとプロジェクトをつくって、都市の再開発という中でそのことを思い切ってやっていく、そういうことに政府がどんどん投資をしていくということをやっていくことが当面重要なんじゃないかという考えを私は持っておりますので、頭の隅にでもちょっと置いておいていただければと思います。  次に、いま大臣もおっしゃいましたように、自由貿易体制を堅持し、これを拡大していくことがわが国生命線であろうと思うのです。それで、最近、残念ながら経済摩擦という問題が大きく起きているわけでございますが、これに関してちょっとお尋ねをしたいと思うのです。  一つは、現在の為替レートの問題、これが乱高下をしておるわけであります。現在、変動相場制に移行して多分十年ぐらいじゃないかと思いますけれども、変動相場制に移行したときのメリットとしては、御承知のように、インフレの輸入を遮断できるとか貿易摩擦が自動的に解消される、理屈の上ではそういう理屈があったわけでありますが、いざ実施してみますと、インフレにいたしましても、第一次石油ショックで石油が値上がりしたときも、原油は五〇%しか上がっていないのに為替レートの変動によって事実八〇%というような上がり方をして、インフレの輸入が遮断できていないわけですね。また貿易のギャップにいたしましても、御承知のように、日本アメリカにしても全然解消されない、日本は黒字がどんどんふえて困るというような状況になっておるわけであります。また企業経営の面から言うと、電力とか化学工業、これを経営している人は、円高のときは、極端に言いますと草津の温泉につかっておっても膨大な利益を出してくる、逆になると、どんなに血の出るような経営努力をやってもだめだ、そういうこともありますし、また資本、貿易取引についても、為替レートの乱高下が大変大きな問題になっているのは御承知の点だと思うのです。  だから、日本がいま急に固定相場制に移行するのかどうかという問題はありますが、国際経済が相当変質をしてきておりますし、いま申し上げましたようないろいろな問題がありますので、日本としてそういう問題を検討していく姿勢は持つべきじゃないか。通産としても、産業政策を今後思い切ってやっていく上においては、そういう問題を検討されぬと、避けて通れぬ問題じゃないかなという感じがしますので、この問題について大臣、御意見をいただければと思います。
  28. 山中貞則

    山中国務大臣 避けて通る通らないというよりも、産業界がこのことによって受けている影響は一番大きいのだ。いわゆる商売というものは、その契約の当初あるいはLCを組むときとか、長期契約ならば何年を見通してとか、いろいろやるわけですね。それは商売ですから相互に納得する条件でやるのですが、相互に納得した条件の一番大切な対価の問題について、変動相場制であるがためにそれがきわめて不利な取引になったり、あるいはまた当方にとって有利な取引になったりするのでは、私は、産業政策をいろいろとやって、その結果得られた高い付加価値の製品が世界の市場に出ていって、あるいは原材料をいただく条件でもそうですが、その基礎条件がレートによって大きなゆさぶりをかけられる、このことは本来決して好ましいことではないと思っております。  たとえばヨーロッパが、いま独仏の奇跡的な仲直りで、ECということで域内共通の通貨まではいっておりません、これは困難なようですが、域内のいわゆるスネークフロートというような形で中心点を定めて、若干のフロート幅をやっておりますが、絶えず突き破るのです。そこで、切り下げたり切り上げたりする。  これじゃ耐えられないものであって、こういう席で公表していいかどうかわかりませんが、シュルツ国務長官と会いましたときに、私の私見ですよ、これは大蔵省が主管ですから、山中の私見として、どうだ、アメリカ、固定レートの一歩手前、要するにアメリカ日本、できればEC、できないとすればドイツマルク、この三つを適宜為替の変動に対して、いい意味の介入をするという合意はできないものかと言ったら、非常に興味を持ちまして、私の発言を、さらにどのようにしたらいいかについて三回質問しました。しかし、私はわかっておるわけです。帰ってレーガン大統領にそう言ったら、一喝で、ほっておけ、自然に任しておけと言われるのに決まっているのです。しかし、さて、このままでいっていいかは、アメリカ自身もそろそろ考え直したらどうなんだろうと私は率直に思っております。これは日本の大蔵省を中心とした問題でございますが、日本の政府としても、このままでいいのかどうか。  私は、とりあえず三極による共同介入、それによって安定させ、安定させ切れなかったら、固定相場に若干の上下のアローアンスのフロートを伴うようなところで、どこかでがちっと一遍はめておかないと、この三極、アメリカ日本ヨーロッパというものが金融の面における三極でもあるとすれば、これは発展途上国の人たちもあるいは、いまや石油の輸出国ですから発展途上国とは言えないでしょうが、社会資本とか近代化とかはおくれておる、そういう人たちも、一方的な恣意的なものでない、そこに為替レートというものを念頭に置きながら議論してもらうような会合に変わるのではないか。これはあくまでも私の願望でございまして、通産省の役人諸君が私にそういう進言をしたわけでも分析したわけでもありませんが、私と同じ政治家としていまの国際的な大変動を見ておって、そういう感じがするということでは共通の感じを持っております。
  29. 亀井静香

    亀井(静)委員 ありがとうございました。これは通産だけでどうこうなる問題じゃございませんが、ひとつ今後政府として長期検討課題としてぜひお願いしたいと思います。  もう時間がなくなりましたが、ぜひお聞きしたいことが二つございますので、簡潔で結構ですからお願いしたいと思います。  一つは、農産物の自由化要求が御承知のように依然として強いわけでありますが、これの原因というのが、一つは、アメリカに対する防衛協力きちっとやらぬということで、江戸のかたきを長崎で討たれているという面がありますし、もう一つは、集中豪雨的な日本の工業製品の輸出という問題が背景にあると思うのであります。  農産物の自由化要求が、そのどちらにウエートがあるかは別といたしまして、私は、日本産業政策を遂行する上においても、いわば日本の場合は農村あっての工業であります。農村における低賃金労働、それに乗っかった、農村地帯にちらばっている孫請が非常に低廉な部品等をつくって、それを親会社が組み立てているというような形で輸出競争力があるという面もあるわけでありますから、この農村地帯を崩壊させてしまうような政策は、私は国としてとるべきじゃないし、通産省としても当然おとりになるお考えはないと思うのです。それに大臣は、畜産議員連盟の会長もしておられたのですから別に御答弁を聞く必要もないし、これはお願いにもなるのです。  ところが、各経済団体が勝手なことを言って、自由化要求を認めるべきだというようなことをぼんぼんぶち上げているのは、大臣、御承知と思うのであります。これは通産省行政指導には限界はあると思うのですけれども、しかし、アメリカの要求に対して、国内でそれに呼応するというのは通敵行為であります、はっきり言いますと。そういうことをもしやるのであれば、逆に日本の農民も、じゃ輸出の自主規制をもっとやれというような形で声を上げるのは明らかでありますから、そういうきょうだいげんかといいますか、同じ国民同士でけんかをするということは、結局はアメリカヨーロッパを利する以外にないわけであります。共存共栄関係でありますから、やはり国内の問題については国内で十分これを論議して、その上で声明を出すのなら出すということを経済団体にやっていただきませんと、私は、これはおかしいと思うのです。これはまた通産省は、そういうところまで行政指導はできぬとおっしゃるかもしれませんけれども、私は、それはやはり責任放棄だと思います。このいまの深刻な貿易摩擦を解消するためには、そこらの経済団体の発言も指導して、抑えるべき点を抑え込むということをやりませんと、アメリカとだけ交渉していればいいというものではなかろうと私は思いますので、この点ひとつ、簡単で結構でございますから……。
  30. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、まず国会としては、衆参両院の農林水産委員会における決議がございますね。したがって、全国民の代表の集まっておられる国会における委員会決議でありますから、政府は厳粛に受けとめなければなりません。そして、担当の農林省もそのことを約束申し上げて答弁しておるはずです。  したがって、現実には中曽根総理がアメリカに行かれて、ノーと言うものははっきり言います、それは、牛肉、オレンジは自由化できません、枠とかその他の問題は実務者でいずれ、まだ約束の年限も来ていないことだし、先の話だからということで、毅然としてやったと私は思うのですね。ですから、これは日本の国是でありますから、国是というか国の方針アメリカに対して示しているわけですから、豪州、ニュージーランドも、それをそのとおり素直に受けとめておりますね、ただ、中の分捕り争いはありますけれども。  ですから、経団連あたりがもし、総理がアメリカで言われた後もそういうことを言っておられるとしたら、私は、それは身のほどをわきまえざる総理の対米公約に対する反論ということで、非常に穏やかならざる言動だと思います。そのことが総理訪米後にあったとするならば、私自身がそれに対してはしかるべき発言を、相当オブラートに包まないで物を言う決意はございます。
  31. 亀井静香

    亀井(静)委員 委員長、最後です。
  32. 登坂重次郎

    登坂委員長 それでは、最後にしてください。
  33. 亀井静香

    亀井(静)委員 最後にしますけれども、これは私だけの責任じゃないのだから言うてもらっては困る。  最後に一つお尋ね申し上げますが、これは、本日、訪ソ経済使節団が大挙出発をされたようでありますが、これに関してであります。  現在、御承知のように、対米経済調整について通産も大蔵も大変に苦労しておられるときであります。これがまだ片がつかぬときに、民間とはいいながら、こういう形で訪ソをするということが果たして適当であろうかどうかという、国民も大変疑問を持っておるわけであります。  御承知のように、ソ連は日本の政財界、官界等において大変な謀略活動をやっておるわけであります。例のレフチェンコの証言にも見られますが、この委員会にはおられませんからいいですけれども、いわばそういう謀略に経済界が乗っかっておると言われても仕方のない今度のせっかちな行動だというように私は思うわけであります。  これについて通産として、事前にやめろと言うのもなかなかむずかしい点があるかもしれませんが、やはり私は、通産というのはもっと権威を持ってもらいたい、民間貿易だからお互い自由にやっていいというだけの問題ではないということを思うわけであります。これについての大臣の、今後こういうことをどんどんアナーキーに、民間だから構わぬということで認めていかれるのか、国際的な一つの信用もあるわけでありますから、そういうものを勝手に踏みにじらせていいものかということを、ぜひひとつお聞かせ願いたいと思います。
  34. 山中貞則

    山中国務大臣 まず、これは最初にアメリカがやってしまったのですよ。しかも、アメリカは国会議員まで入って行ってきたのです。そこで永野さんの方も、私たちも出かけて悪くはないだろうというところがそもそもの発端だったと思うのです。永野さんは第二パナマ運河のことばかり言っていたのですが、しかし、アメリカの大型訪ソ・ミッションというものが行ったために、したがって日本も行こうということがその発端であったようであります。  私どもとしては、外務省とは違った意味で――国全体としては一緒ですけれどもね、ソ連という国を相手にするときの注意、私どもはエネルギーをソ連に、パイプのバルブを完全に握られて思うようにコントロールされるようなことがあってはいけませんなあという話はしておきましたけれども、永野さんたちの訪ソをとめるとか、あるいはそれに条件を厳しくつけるとかいうことはいたしませんでした。いずれお帰りになったら、またパナマに行かれるわけでしょうから、その前に御報告、あるいは御報告が行き過ぎならば御連絡等があると思いますので、国益を踏まえて対応してまいります。
  35. 亀井静香

    亀井(静)委員 どうもありがとうございました。
  36. 登坂重次郎

    登坂委員長 次に、後藤茂君。
  37. 後藤茂

    ○後藤委員 最初に、企画庁長官が三十分より私に時間がいただけないという連絡があったものですから、せっかく通産大臣がいらっしゃるので、実際はもう少し時間があれば、通産大臣と企画庁長官とをあわせてお伺いをしたいと思っておったわけです。ところが、企画庁長官が三十分よりないということだと、最初に長官だけに質問をしていかないと質問の順序がうまくかみ合っていかないように思いますので、企画庁長官がおいでになりましたら、中途になりますけれども、通産大臣への質問を残して、せっかくおいでになっておりますので長官の方に質問することになるかと思いますが、まだお見えでないようでございますので、それでは、通産大臣の方から最初にお伺いをしてみたいと思います。  先般、大臣から所信表明を聞かせていただきました。その後私は、この大臣所信表明を二、三度読ませていただいたわけでありますけれども、どうもその中身が、いわゆる予算の重要な項目に対する一応の通産省としての考え方、あるいは今国会に提案される法案に関する趣旨の重要な諸点、このことについては触れられているように思うわけでありますけれども、通産省が一体これから、いわゆるゼロサムの社会、国際的に同時不況の影響を強く受けている日本経済をどう持っていこうとするのかという通産行政の基本的な考え方というものが、実は私はこの中に読み取れないように思えてならないわけです。  長官が見えたら、私はすぐにまたそちらの方に切りかえたいと思うのですけれども、後ででも結構でございますが、私は、これまでの通産行政をずっと見ておりまして、戦前の商工省なりあるいは軍需産業省的性格を持った通産省が、戦後、何としても平和経済に徹して、無資源国であるから、世界各国と仲よくしていきながら資源をちょうだいをし、それで付加価値の高い品物をつくって世界各国に輸出していく、いわゆる貿易立国でやっていくのだという基本理念を、先輩の各大臣にいたしましても、あるいは通産省の各官僚の皆さんにいたしましても、踏襲をされてきておったかと思うのです。ところが、最近はどうもその姿勢が、私は消えているとは思いません、けれども、せっかく山中通産大臣、重量級の経済閣僚になられておりながら、この所信表明の中においては、その基本的な理念というものが読み取れないのです。  この点についてまず大臣から冒頭、これからの低経済の中で一体どういうように日本経済を持っていこうとするのか。中小企業サミットをやった、あるいは三極会議もやった、あるいはいろいろな貿易摩擦なり対外経済協力なりの要望に対しても、それなりの対応はされておるようでありますけれども、これからの日本経済をどういうように通商産業政策の中から持っていくのかという基本的な理念というものを、ぜひまず、この所信表明から読み取れないので、大臣からお伺いをしておきたいと思います。
  38. 山中貞則

    山中国務大臣 裏話を申しますと、その所信表明は、大体でき上がったものを私のところに持ってきまして、それで少し私が加筆、訂正――訂正はありませんが、加筆、修正等をしたものを読んだというのが裏話の正直なところであります。ですから、いまおっしゃったように、通産政策、いわゆる国の産業外交を含めた将来への展望に欠ける点があったと御指摘を受ければ、それは私の責任でございます。  そこで、それはそれとして、今後どうするつもりかと言われれば、私どもは、やはりなぜ日本の繁栄があって、なぜ日本は苦しくてもなお世界で諸指標は客観的に見て一番いいのか、それはやはりガットというものにその根拠があると思います。  ガットとは何ぞや。それは自由貿易の堅持でありますから、したがって、最近のガットの理事会等の合意に達せられなかったような、破局を回避したようなガットというものの機能は速やかに回復させなければいかぬ。  そして、やはり私どもは、原料をいただくのにも、もう武力で石油とか鉄鉱石をとりに行くことはできない、憲法でそういう国際紛争の手段としての力を持つことを禁止された国として、あくまでも平和裏に話し合いで、理にかなった原材料を入れてきて、そして、おっしゃいましたように、付加価値の高い商品というものを勤勉さによってつくり出して、そして、このごろは頭脳というものがいかにすぐれておるかという日本のレベルを世界に示しているようでありますが、そういうものを世界市場に高い付加価値をつけて、よその国が競争できないくらいのりっぱなものをつくろう、この原則は間違いないのですが、最近起こっている現象は、よその国がまねできない。あるいは自分たちもつくっているのだけれども、何としても日本の商品の方がいい。  たとえば、典型的なものはアメリカの自動車とのトラブルでありますが、これは直接の引き金になったものは燃油高騰ですよね。それで、大型車から小型車志向へということになると、燃費効率が高くて非常にいいのが日本の車だというアメリカのユーザーの志向が、向こうから見れば日本車の輸入急増につながったのでしょうが、私たちから言わせれば、アメリカの自動車を使う人たちに、日本車に乗れ、あるいは乗らないと承知しないぞというようなことをこれっぽっちも言ったことはありません。お客様が買われた結果が、アメリカの車社会、車哲学と言われたまでの先進国アメリカに重大な脅威をもたらしたのだというならば、そこのところは、やはり一、二年目の輸出自主規制を合意したときの相手方の立場というものを理解して、本来日本の一方的な措置として行ったことが示すように、ヨーロッパではVTRとかいろいろな問題が、私たちはその道しかない、無資源国日本は、働きバチと言われようと、あるいは国土が狭いのですからウサギ小屋に住んでいると言われようと、その道しかない、その日本国家、民族でありますから、私たちは自転車に乗って走っているようなものであります。スピードの速い遅いの別はあるかもしれませんが、そのペダルを踏むのをやめたら倒れちゃう国なんですね。そうすると、その基本は自由貿易の堅持である。保護貿易主義の排除である。しかし、相手の国が、日本が余りにも製品輸出にすぐれているためその市場を制圧している、そのために失業者がアメリカで一千二百万、ECでもくしくも一千二百万ということになれば、それを日本に当てはめてみれば、それは失業者六百万という恐るべき事態が現実にあるわけですから、そこで、やっぱり日本も相手方の立場に立って、譲るという意味ではなくて、向こうの人たちの納得される線に日本もある程度協力をするという、基本方針と若干次元的には矛盾しておりますけれども、そういうやむを得ない道を、いまのところ日本もとらざるを得ないところまで来ちゃった。  したがって、これでまた先進各国なり何なりが新しい体制をつくっていかれますと、私は、日本もまた自由貿易主義の堅持というものは障害なく、保護貿易主義が通らないで、円安になれば輸出がうんと伸びるというような正常の状態に戻ってくるように一日も早くしたい、そう思って、関係各国四極との貿易摩擦はほとんど全部解決したと思っております。十カ国で構成されているECは、交渉では妥結いたしました、ダンピングもポワチエ税関通過も。しかし、ECの外相会議で、きょうたしか決めると思うのですが、その手続が残っているようでございますが、いわゆる日本と外国との貿易摩擦というものは全部今回で解決した。したがって、これからは、その約束したことに従って忠実に経済外交をやっておれば、いままでのような、日本を袋だたきにすればそれで世界の景気がよくなるような、一説によれば、この地球上にソ連と日本がいなかったらいかに平和で、いかに豊かであろうかということを言った国があるやに聞きますが、そのような存在ではないようにしていきたい。  日本だけをたたけばいい、そういう経済外交がようやくこれでまあまあ一段落をして、正常な状態に戻ったというふうに私は考えている次第でございます。
  39. 後藤茂

    ○後藤委員 いまの答弁に対しましては、もう少しお聞きをしたいことがあるわけですが、先ほど申し上げましたように、企画庁長官が三十分よりいただけないようでありますので、両方お伺いをすることを省いて、最初に長官の方に御質問をしてみたいと思うわけです。  先ほどは通産大臣、裏話をしていただきまして、これはもうすでにでき上がっておったということで、なお大臣としての基本的な考え方が十分に反映をさせることができなかったというお話でありましたが、恐らく塩崎長官の所信表明も同じではないかと思うのです。  私は、実はこれをお聞かせをいただき、また読ませていただいて、大変がっかりしているのです。少なくとも経済企画庁というのは、常に国民に対して、あるいは行政、内閣、国会に対しましても、これからの経済のあり方というものに対して、やはり確たる指針を提起してくれる企画調整のための官庁ではないだろうか。ところが、最近はどうも判断停止をし始めてきているのではないか、企画庁としての地盤沈下が起こっているのではないだろうかというように思えて実はならないわけであります。  今度の長官のこの所信表明の中におきましても、「中長期の経済運営の方向」というところが出されてきておる。この「中長期の経済運営の方向」の中で「経済社会の展望、経済運営の指針が求められております。」つまり評論家的に、そういうものが求められている。そこでどうするか。「このため、新たに経済審議会に御検討をお願いしたところであり、今後、この検討の結果をよりどころとして長期的な経済運営を行ってまいる所存であります。」こういうように指摘をされているわけですね。  予算委員会におきましても、新経済社会七カ年計画がもう現実と乖離してしまっておる、早く新しい経済計画を出せということを言われて、前大臣のときですか、新経済五カ年計画を提起する、こう言っておる。それが先般、何か中間報告をされたようであります。また、中曽根総理からは、いや、それは白紙に戻して、さらに新しい五カ年計画をつくれというように言い、またこの夏ぐらいにはそれができるとか、作業が進んでいるようであります。そういたしますと、新経済社会七カ年計画は現実と乖離をしてお蔵に入ってしまった。新しい五カ年計画というのは、中間報告はされたが、それはそれとして、それを一応基礎には置かれるのでしょうけれども、新しい計画をつくり上げていく、羅針盤なり海図というのは一体どこにあるのだろうか。少なくとも、この長官の所信表明を読みまして、それがないのです。これまでの安本時代から経済企画庁になって果たしてきた業績というものが、経済白書をつくるだけに終わってしまったのでは、臨調の答申の中になくしていく官庁として載りはしないかという心配を実は私はするわけであります。長官、どのようにお考えになっていらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。
  40. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 まず最初に、予算委員会の藤田委員の御質問が十分ばかり長引きましたので、この商工委員会に到着することがおくれましたことをおわび申し上げたいと思います。  さて、いま後藤委員から御発言がございましたのは、経済企画庁が大変重視いたしておりますところのいわゆる経済計画経済運営の指針といったものがどのように評価され、どのようになっていくかという問題であろうかと思います。  私どもは、計画経済社会ではございません。したがって、そこでつくられました数字にやみくもに引っ張られていくような経済運営ができないことはもちろんでございます。しかしながら、経済が将来に持つところの目標と申しますか、一つの夢と申しますか理想的な姿、こういったことは何としても示して、そして、それを目標に希望を抱き、努力していくことは必要だと思うのでございます。     〔委員長退席、野田委員長代理着席〕 特に、諸外国と比べまして日本経済社会というものは、もう過去からの伝統でございまするけれども、官庁と申しますか、政策によるところの誘導部面が大変多い社会だ、こんなふうに私は考えているところでございます。  その意味で、経済の現実に即しながら一つの理想を持った、目標を持った経済運営の指針、いままでで言えば、経済計画といったようなものを適実につくっていきたいと私は思うのでございます。  さて、そこで七カ年計画がどうなったかという御質問が出るわけでございます。まさしく第二次石油ショックの大きな影響を日本は比較的うまくこなしたわけでございますが、諸外国がこなし得なかった。その後遺症があっていま世界が同時不況に陥って、やっとこれから回復過程に乗ろう、こんなようなことでございましたので、七カ年計画は当初から、その目標と申しますか理想、運営の指針がそごしたことは御案内のとおりでございます。そんなようなことで、昨年の七月には、五カ年計画でもう一遍見直していただきたいということを、鈴木内閣のもとで答申を求めたところでございます。  しかしながら、その後のまた大きな経済の変動がありまして、御案内のように成長率が五・二%から三・四%に大幅に下がっていく、税収も六兆円ほどの大きな減収が生ずるような状況がございましたので、これらのことをあわせまして、ひとつ新しい観点からもう少しより長期に、もう少しより弾力的に将来の運営の目安というものを示してもらえないかということで、ことしの一月十三日に経済審議会に諮問したところでございます。  私どもの考え方といたしましては、やはりこのような指針は絶対に必要である、いま経済低迷の原因が、たとえば財政再建がどうなるかといったような不透明なところにあるとするならば、あるとよく言われておるわけでございます、果たして公共投資がどうなるのか、かつてのように公共投資で経済の成長を図っていくことはいつからできるか、こんなような見通しを早く持ってくれという経済あるいは企業の要請は強いようでございます。  私は、このような観点から見まして、できる限り早く新しい経済運営の指針がつくられることを期待し、また、そのようなことを強く経済審議会に要望しているところでございます。
  41. 後藤茂

    ○後藤委員 そうすると、長官、いまは指針があるのですか、ないのですか。
  42. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 七カ年計画は、御案内のように、昨年の鈴木内閣の再諮問と申しますか、新しい答申によりまして、いわばこれは、何と申しますか、死に体と申しますか、現在活用するには不適当なような状況でございます。しかし、その後のフォローアップと、さらにまたその後の検討の結果を示しました、ことしの一月十三日に審議会からいただきました経過報告は、私はこれまでの一つの指針に近いものだ、こういうふうに思っているところでございます。その計画はきわめて大ざっぱでございまするけれども、それはそれなりに一つの指針を示している、こんなふうに考えております。
  43. 後藤茂

    ○後藤委員 指針に近いものである、その指針に近い中間報告は中曽根総理の要請で白紙に戻して、新たに長期的な視野に立つわが国経済社会の展望と経済運営の指針をつくれ、こういうように言っている。ということは、つまり、よりどころになるべきものではないのではないか、自己否定されているのではないだろうかと思うのです。  長官だけにお聞きいたしますので、通産大臣の方には後でお聞きしますが、たとえば通産大臣所信表明の中においても「内需中心の安定成長の実現と中長期的展望を踏まえた産業活性化」、そうすると「中長期的展望を踏まえた」という言葉はここにあるわけですけれども、中長期の展望大したりあるいは縮小したりするような手段が大変制約されてきたことは、もう御案内のとおりでございます。しかし、財政再建ということも、私は経済再建として大変大事なことだと思うのです。巨大な財政赤字はやはり利子の引き下げを阻害する、あるいは民間金融に悪影響を来す、こんなことを考えますれば、私は、企画庁長官としても、財政赤字をできる限り早くなくすることによって、そして金利の引き下げ、さらにまた公共投資のかつてのような活用ができるようなことが望ましい、こんなようなことで、経済の運営の指針の第一として行政改革、財政改革、これをひとつ五つの項目の大きな一つに取り上げているところでございます。しかし、こんなようなことが往々にいたしますと、何もしていないじゃないかというふうに見られがちでございます。  私は、先般シュルツ国務長官の「市場への信頼」という本を読みまして大変感銘したのでございます。その中に、何にもしないこと、このことの方がとうといんだ、つまり自由主義社会では、下手な政府介入をすればするほどまずい結果が来るんだ、政権を持つ者にとって何らの対策を講じないことが、また無能のように見えることも、そのこと自体が経済を発展させるんだというような表現がございまして、これは私は日本に当てはまると思いません、思いませんけれども、私どもは、やはり財政がこう縛られてきたならば、こんなような制約があるならば、ひとつ金融面、金融政策の面に、そしてまた、その背後にありますところの、八割の国民経済のシェアを占めておりますところの民間の自律回復力というようなものを促進していくようなこと、これはやはり財政政策だけではない、各方面の政策をきめ細かく、かつてのようなはでさはないかもしれません、あるいはケインズ流の考え方が間違いだというような考え方があるかもしれません、しかし、私どもはそのような考え方で、構造問題も含めて、やはり経済こそいまの最大の政治問題になる焦点であるという考え方で進んでいるつもりでございます。
  44. 山中貞則

    山中国務大臣 いまの御意見は、一面をついていると私は思います。というのは、先ほど申しましたように、わが国の発展の原点はガット、自由貿易主義体制にある、それゆえにこそ今日の繁栄があった、しかし、いまやそれが危機に瀕している。ということは何が原因でそうなったかといいますと、世界的な石油危機の一次、二次に対応するための対処の仕方というものと、一方、技術革新というものの各国のスピードの差ですね、そういうもの等が貿易摩擦という形で起こってきたものですから、そこで、まず日本政府としては、自由貿易の前途を妨げているつい立てであるこの摩擦を取り除くということに、一生懸命当面の努力をせざるを得なかった。でありませんと、アメリカの議会でローカルコンテント法案を可決するとか、あるいは感情的になって、きょうは日本が真珠湾を攻撃した記念の日である、この法案は日本に対する報復法であるというような、そういう、議員は自由に言いますから、大統領制度のアメリカの政府に抗議は言えませんが、私は間接的にはちょっと、議員でも言動を注意しろということは言ってあります。言っていいこと、悪いこと、テレビのインタビューなんかに出る人の中には、ジャップという言葉を使う一般市民もちらっと出てきたりいたしますが、国会議員はそれを使わないにしても、上院の議論等においても、日本と交渉する方法は絶えずブラフをかけ続け、おどし続ければ日本は譲歩する国であるとか、あるいは、日本に物を売るには戦車を先頭にして上陸をしなければならぬとか、そういうような、ちょっと問題にならない発言なんですけれども、それが議会の行動になって法案の提出までなってくるとなりますと、正否のことは別にして、そのこと自体は早く取り除かなければならない問題だ。  ヨーロッパに目を転ずれば、ポアチエという、サラセンの大軍を迎え撃った古戦場であったにしても、たった四人の税関吏がそこにおって、内陸部でその通関を実際上おくらせる措置をとっておるとか……一時アメリカが自動車を実際上、保税倉庫から出すのを、通関をおくらせてそれを規制したとか、いろんな現象がいっぱい起こってきました。  したがって、日本側は、あくまでも日本経済というものは自由主義経済でやりたいんだからと言っても、向こうの方がそれに対して摩擦という形の障壁をつくっているんじゃ、貿易は相互主義ですから、どうしてもそれをまず解消しなければならないということに、これは御指摘の現象なんですが、中曽根内閣としてはまずそれに全力を挙げなければなりませんでした。  しかし、そのことが曲がりなりにも一応の解決を見た以後においては、その了解のもとに、私たちは相互にガットの精神を尊重していこう、あるいはまた保護貿易主義は断固排撃していこう、そしてお互いの先端技術については、お互いの国の発展のために協力し合おうというようなことで四極で合意もしておりますから、これからその合意がいろんな形で日本のあるべき経済全体の姿、いわゆる国際経済社会の中で日本のひとり歩きは許されなくなってしまったということを一応はハンディとしながらも、堂々たる日本の資源小国、輸出大国という、この道でなければ国家民族が生活していけない。そのことを世界の人々に理解をしてもらいながら、日本人自体も、産業人もあるいは政治家も、より国際的な交流、国際的な視野、国際的なお互いの理解というものを深めながら、日本のあるべき経済政策はこれからが展開されていくべきときに来ているのではないか。  しかし、おっしゃるような、何をしてたんだということについては、とにかくそういう自由主義経済の壁を取り除くのに懸命であって、その先のことに、確かにおっしゃるように政策として目立ったものがはっきり理念としてないという点は、これからつくり上げていく決意でおります。
  45. 後藤茂

    ○後藤委員 長官の方は時間がどうもなさそうなものですから、もう一点お聞きしておきたいのですけれども、私がいま五カ年計画の問題なり基本的な理念等の問題についてお聞きしている、にもかかわらず、所信表明の中にはそれがほとんど欠落しているし、あるいはまた中曽根内閣の閣議が何回も開かれていると思うのですけれども、その閣僚、経済閣僚の中で、少し目を三角にしてでも、これからの日本経済運営、中長期にわたってどうあるべきかということに対して、やはりもっと激しい論議があってしかるべきだろうと思う。いま通産大臣の御答弁をお聞きいたしておりますと、火の粉をかぶっているのが多いものですから、それに対して大わらわで、火の粉を消す方にとられてしまっておったというような答弁にお聞きをしておる。これから腰を落ちつけておやりになるのでしょうけれども、そういった毅然とした、日本経済は世界各国から資源を得て、そして平和な世界経済の中でこれからの日本の国を運営していくのだというしっかりした足元がないものだから、だから、先ほど言われましたような、圧力をかけていかなきゃならぬ、戦車を先頭にしてやっていかなければならぬみたいなことを、政治家自身が言うような事態になっているのだと思うのです。  私も、いま委員長席におられる野田先生と一緒に、昨年の三月にワシントンに飛びまして、貿易摩擦の問題について上下両院の議員の皆さん方と意見を交換してまいりました。私がそのときに感じたのは、私たちが考えるほど、先ほど自由貿易主義を言われましたけれども、私たちが考えるほど開放経済になってない。また、ECやアメリカが考えるほど日本は閉鎖的じゃないと思う。謙虚にそのことに触れていかなきゃならないが、ただ、日本の進むべき道というものに毅然たるところがないと、たとえばVTRの問題等についても理不尽になってくるわけなんですね。そこが私は、所信表明の中におきましても、あるいは中曽根内閣の経済運営の中におきましても、明確でないように思う。  たとえば、企画庁長官、昨年の末に発表されました世界経済白書の中で、大変いいことを言っていると私は思うのですよ。発展途上国の軍備拡大が大変著しくなっている、そして世界の軍事費支出に占める途上国の割合というものも、五五年の三・三から七〇年には七・二になっている、八〇年には十六・一%へ拡大していく。また、途上国の武器輸入も、先進国からの政府開発援助の五割近い規模に達しているとかというような分析がずっとされていきながら、一体こういうものをなぜこういうように使っていくのだろうか、大きな浪費をしていくのだろうかというような指摘がなされていって、「こうした軍事目的にあてられている各種資源が軍縮の結果利用可能となる場合には、これを各国とも自国経済の再活性化に利用するとともに、途上国の開発のためにも活用することが、世界平和はもとより、世界経済の発展と安定のためにも強く望まれる。」こう世界経済白書の中で指摘している。  私は、所信表明にこういう言葉が実は欲しいのですよね。こういう言葉がないから、中曽根内閣はまれに見るタカ派内閣という指摘をされて、支持率で支持しないというのが大変大きな率を世論調査で示し始めてきている。国民も、軍事大国になっていくんじゃないかという心配をしている。  こういう議論がなされてないのじゃないですか。私は、せっかくこうした白書等できちっといい指摘をされておりますのに、内閣の中におきましても、あるいは国会における答弁等におきましても、その悩み、矛盾というもの、あるいはどうしていくべきかということに対する本音が出ていないのではないだろうかというように考えるのですが、長官、いかがでしょうか。
  46. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 いま御指摘の、世界経済の中におきます、特に発展途上国における軍事費の問題は、企画庁が指摘しているとおりでございますし、私は、軍縮の問題は中曽根総理も大変御熱心に主張されていることも皆様とともに存じているところでございます。  私どもは、経済運営の一つの柱として、日本世界経済への貢献、これは貿易摩擦の解消を含むことはもちろんでございますが、世界経済への貢献ということを大きくうたっておりますし、御案内のように、経済協力費は防衛費の六・五%増よりも高い七%という増を予算の中で、財政再建の重要な折から示したことで、このような、いま御指摘の考え方については、もうすでに大きく取り入れたつもりでおるところでございます。
  47. 後藤茂

    ○後藤委員 長官は、また予算委員会の方に出席をしなければならぬようでありますが、いま最後に言われた点を本当はお聞きしたいのです。いま七%なんて胸を張られましたけれども、五カ年で倍増していくということはできますか。これは今度通産大臣の方にお聞きしなきゃならなくなってしまって残念なんですけれども、海外経済協力なんというのはみじめじゃないですか、その実態は。その点、これから後、五十八年度はもう決められたわけでしょうが、五十九年、六十年度で達成できますか、GNP比におきましても。
  48. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 大変厳しい面はございますが、努力していきたいと思っております。
  49. 後藤茂

    ○後藤委員 これはできないですよ、実際問題として。今度の場合だったってそうなんですよ。私が軍事費の突出というのを言うのは、そこにあるわけです。――もう長官、出られるようですから結構でございます。  通産大臣に申し上げたいと思うわけですけれども、いまの経済企画庁長官がお答えになっておられた海外経済協力について、通産大臣としてのサイドから今度の予算を見まして、ODAの動き、予算を見ても、これは大変なことになっていくんじゃないだろうかという気がしてならないわけです。防衛費よりも率として上がったというようなことは、ちっとも胸を張ることにはなりませんよ。大臣、いかがでしょうか。
  50. 山中貞則

    山中国務大臣 問題は、政府の直接援助の費用だと思うのですね。それが、私は塩崎長官と論争する気はないのですが、客観的に見て、ことしの予算のつき方では諸外国との約束を果たす年次はあと二カ年になりますかね、大変厳しい内容であるなというふうに受けとめております。したがって、長官は、何とか努力してあと二年でやりたいという決意なようですから、どのようにしてそれを実現させるために、私たちもまた実務官庁として、外務省もありますし、協力をしたらいいかということを考えておりますが、ことしの予算の姿では、約束を諸外国にした年限までにその目標達成はきわめて困難であるという気がしております。これは私の所感です。
  51. 後藤茂

    ○後藤委員 率直にお答えいただいて大変感謝を申し上げるわけですけれども、私はそうだと思うのですね。  ですから、すぐれた製品であることは世界各国が認めているわけです。そのすぐれた製品をどんどん売りまくる。片一方、国際的公約をしておる経済協力に対しましては、それを怠っている。それならば、国際的な安全保障の役割りをなぜ果たしていかないのだということで、軍事費の増強に走っていく。ソビエトの脅威をつくってみたり、シーレーンをつくってみたり、あるいは三海峡、意識的に四海峡封鎖と言ってみたり、これはもう通産大臣の方がよくおわかりだと思うのです。こういうことで封鎖をして、ソビエト艦隊を仮にそこへ閉じ込めておって、日本国民の生活が変わりなく行われるというようなことは絶対にないわけでありますから、こういったことについての中曽根内閣における経済閣僚の立場からの議論というものを、もっと進めていっていただきたいと思うのです。  たとえば、軍事力の増強をすることによって、アメリカあるいはヨーロッパとの経済摩擦というものは基本的に解消しますか。そんなことはもう全くないわけでありましょう。あるいは、軍事力を仮に増強した、そのことはペンタゴンの方の聞こえはよろしいかわかりません。あるいはNATOで熱心にやっている人々は結構と言うかわかりません。しかし、対日批判というものは、そのことによってちっとも解消しませんよ。いわゆる経済と軍事というものは、そこにおいては別なんですよね。それを、もう仕方がないから、その風圧を変えていくために軍事力増強へ何とか糊塗していこうとする限りにおいては、やっぱり戦車を先頭にして貿易摩擦の解消という方向に持っていきながら、敵は本能寺、軍事力増強を果たしていかせよう。そして、アメリカ経済の苦境というものの、いわゆる安全保障の役割りを日本に負担させていこうということが、執拗にこれからだって続いていくわけです。そのことは結局、経済協力の費用というものが削減をされていくということになるんだと思いますが、いかがでしょうか。
  52. 山中貞則

    山中国務大臣 中曽根内閣の閣僚でありますから、中曽根総理が本会議予算委員会において終始述べてこられました線に対して私は批判する立場にございませんし、また、そのことに不服ならばやめなければなりませんが、しかし、私はやめるほど不服ではありません。総理にはホットラインもしくは耳打ち等で、私のかつて防衛庁長官であったことも踏まえてお話は申し上げております。したがって、その問題は総理、いわゆる政府の姿勢を代表する総理と各党との間でさらに論争が続いていくことでありましょう。しかし、そのことによって貿易摩擦がやむのかと言われたら、おっしゃるとおり、やまないと思います。  たとえば、まだヨーロッパでは一台も発売されていない、あの小さいディジタル・オーディオ・ディスク、こんなものでベートーベンのシンフォニー第五番なんというのが全部、すばらしい音ですね、あれが聞ける。そうすると、ヨーロッパの人々は非常にクラシックを中心に音楽好きですね。恐らく将来相当売れる市場だろうと思うわけです。それは自由貿易なんだから、買いたい人がいっぱいいるから、ヨーロッパの人の需要にこたえる日本の輸出は当然あるべきだと思うのに、もうECの方ではそれを察知して、関税を一八%引き上げるとかというようなことを、事前に入ってこないようにという、そういうことをやっている。これはまだ貿易摩擦として取り上げるところまでいきませんし、二国間協議で来るんだろうと思うのですが、新しい物ができたらそれはうちの大したりあるいは縮小したりするような手段が大変制約されてきたことは、もう御案内のとおりでございます。しかし、財政再建ということも、私は経済再建として大変大事なことだと思うのです。巨大な財政赤字はやはり利子の引き下げを阻害する、あるいは民間金融に悪影響を来す、こんなことを考えますれば、私は、企画庁長官としても、財政赤字をできる限り早くなくすることによって、そして金利の引き下げ、さらにまた公共投資のかつてのような活用ができるようなことが望ましい、こんなようなことで、経済の運営の指針の第一として行政改革、財政改革、これをひとつ五つの項目の大きな一つに取り上げているところでございます。しかし、こんなようなことが往々にいたしますと、何もしていないじゃないかというふうに見られがちでございます。  私は、先般シュルツ国務長官の「市場への信頼」という本を読みまして大変感銘したのでございます。その中に、何にもしないこと、このことの方がとうといんだ、つまり自由主義社会では、下手な政府介入をすればするほどまずい結果が来るんだ、政権を持つ者にとって何らの対策を講じないことが、また無能のように見えることも、そのこと自体が経済を発展させるんだというような表現がございまして、これは私は日本に当てはまると思いません、思いませんけれども、私どもは、やはり財政がこう縛られてきたならば、こんなような制約があるならば、ひとつ金融面、金融政策の面に、そしてまた、その背後にありますところの、八割の国民経済のシェアを占めておりますところの民間の自律回復力というようなものを促進していくようなこと、これはやはり財政政策だけではない、各方面の政策をきめ細かく、かつてのようなはでさはないかもしれません、あるいはケインズ流の考え方が間違いだというような考え方があるかもしれません、しかし、私どもはそのような考え方で、構造問題も含めて、やはり経済こそいまの最大の政治問題になる焦点であるという考え方で進んでいるつもりでございます。
  53. 山中貞則

    山中国務大臣 いまの御意見は、一面をついていると私は思います。というのは、先ほど申しましたように、わが国の発展の原点はガット、自由貿易主義体制にある、それゆえにこそ今日の繁栄があった、しかし、いまやそれが危機に瀕している。ということは何が原因でそうなったかといいますと、世界的な石油危機の一次、二次に対応するための対処の仕方というものと、一方、技術革新というものの各国のスピードの差ですね、そういうもの等が貿易摩擦という形で起こってきたものですから、そこで、まず日本政府としては、自由貿易の前途を妨げているつい立てであるこの摩擦を取り除くということに、一生懸命当面の努力をせざるを得なかった。でありませんと、アメリカの議会でローカルコンテント法案を可決するとか、あるいは感情的になって、きょうは日本が真珠湾を攻撃した記念の日である、この法案は日本に対する報復法であるというような、そういう、議員は自由に言いますから、大統領制度のアメリカの政府に抗議は言えませんが、私は間接的にはちょっと、議員でも言動を注意しろということは言ってあります。言っていいこと、悪いこと、テレビのインタビューなんかに出る人の中には、ジャップという言葉を使う一般市民もちらっと出てきたりいたしますが、国会議員はそれを使わないにしても、上院の議論等においても、日本と交渉する方法は絶えずブラフをかけ続け、おどし続ければ日本は譲歩する国であるとか、あるいは、日本に物を売るには戦車を先頭にして上陸をしなければならぬとか、そういうような、ちょっと問題にならない発言なんですけれども、それが議会の行動になって法案の提出までなってくるとなりますと、正否のことは別にして、そのこと自体は早く取り除かなければならない問題だ。  ヨーロッパに目を転ずれば、ポアチエという、サラセンの大軍を迎え撃った古戦場であったにしても、たった四人の税関吏がそこにおって、内陸部でその通関を実際上おくらせる措置をとっておるとか……一時アメリカが自動車を実際上、保税倉庫から出すのを、通関をおくらせてそれを規制したとか、いろんな現象がいっぱい起こってきました。  したがって、日本側は、あくまでも日本経済というものは自由主義経済でやりたいんだからと言っても、向こうの方がそれに対して摩擦という形の障壁をつくっているんじゃ、貿易は相互主義ですから、どうしてもそれをまず解消しなければならないということに、これは御指摘の現象なんですが、中曽根内閣としてはまずそれに全力を挙げなければなりませんでした。  しかし、そのことが曲がりなりにも一応の解決を見た以後においては、その了解のもとに、私たちは相互にガットの精神を尊重していこう、あるいはまた保護貿易主義は断固排撃していこう、そしてお互いの先端技術については、お互いの国の発展のために協力し合おうというようなことで四極で合意もしておりますから、これからその合意がいろんな形で日本のあるべき経済全体の姿、いわゆる国際経済社会の中で日本のひとり歩きは許されなくなってしまったということを一応はハンディとしながらも、堂々たる日本の資源小国、輸出大国という、この道でなければ国家民族が生活していけない。そのことを世界の人々に理解をしてもらいながら、日本人自体も、産業人もあるいは政治家も、より国際的な交流、国際的な視野、国際的なお互いの理解というものを深めながら、日本のあるべき経済政策はこれからが展開されていくべきときに来ているのではないか。  しかし、おっしゃるような、何をしてたんだということについては、とにかくそういう自由主義経済の壁を取り除くのに懸命であって、その先のことに、確かにおっしゃるように政策として目立ったものがはっきり理念としてないという点は、これからつくり上げていく決意でおります。
  54. 後藤茂

    ○後藤委員 長官の方は時間がどうもなさそうなものですから、もう一点お聞きしておきたいのですけれども、私がいま五カ年計画の問題なり基本的な理念等の問題についてお聞きしている、にもかかわらず、所信表明の中にはそれがほとんど欠落しているし、あるいはまた中曽根内閣の閣議が何回も開かれていると思うのですけれども、その閣僚、経済閣僚の中で、少し目を三角にしてでも、これからの日本経済運営、中長期にわたってどうあるべきかということに対して、やはりもっと激しい論議があってしかるべきだろうと思う。いま通産大臣の御答弁をお聞きいたしておりますと、火の粉をかぶっているのが多いものですから、それに対して大わらわで、火の粉を消す方にとられてしまっておったというような答弁にお聞きをしておる。これから腰を落ちつけておやりになるのでしょうけれども、そういった毅然とした、日本経済は世界各国から資源を得て、そして平和な世界経済の中でこれからの日本の国を運営していくのだというしっかりした足元がないものだから、だから、先ほど言われましたような、圧力をかけていかなきゃならぬ、戦車を先頭にしてやっていかなければならぬみたいなことを、政治家自身が言うような事態になっているのだと思うのです。  私も、いま委員長席におられる野田先生と一緒に、昨年の三月にワシントンに飛びまして、貿易摩擦の問題について上下両院の議員の皆さん方と意見を交換してまいりました。私がそのときに感じたのは、私たちが考えるほど、先ほど自由貿易主義を言われましたけれども、私たちが考えるほど開放経済になってない。また、ECやアメリカが考えるほど日本は閉鎖的じゃないと思う。謙虚にそのことに触れていかなきゃならないが、ただ、日本の進むべき道というものに毅然たるところがないと、たとえばVTRの問題等についても理不尽になってくるわけなんですね。そこが私は、所信表明の中におきましても、あるいは中曽根内閣の経済運営の中におきましても、明確でないように思う。  たとえば、企画庁長官、昨年の末に発表されました世界経済白書の中で、大変いいことを言っていると私は思うのですよ。発展途上国の軍備拡大市場には入れぬぞ、いつまでだ、うちの市場市場内の国民のニーズにこたえる製品ができるまでは日本製品は入れさせてやらぬのだという、そういうことの始まりであるとするならば、私はゆゆしいことだと思うのです。  ヨーロッパを挙げましたが、アメリカにおいても、主として議会の上下両院のサイドにおいて、選挙区の問題を中心にこれからも、はっきりと中曽根総理が断られた問題についても、執拗に、これは米政府の要求である、議会の圧倒的な声であるというようなことで迫ってくると思います。したがって、今回は各国の経済担当大臣を私の手元に、日本に集めたという形の四極をやりましたし、この次どこでやるかわかりませんが、私自身も、何も一応は片づいたなと思うときに、答礼の意味を兼ねてそれらの国々を一遍訪ねて、そして、単に政府の当事者ばかりでなくて、一番トップからあるいは議会から、上下両院の諸君から、そして、できればいろんなアメリカの市民の人たちとも接触し、あるいはテレビの討論などにも応じて出ながら、やっぱり今度は私が行動していく番かなというようなことを考えております。いまの何とかオーディオ・ディスクですか、それがいまのような形で真意は那辺にあるのかということを考えますと、日本が思うさま、日本人の特徴を発揮してつくり上げた物、そうすると、それをいち早く察知したらもうそれは入れさせないぞという宣言を、先に具体的な行動をとっちゃうというようなのは、まさにこれはガットの精神の違反であり、よその国のことでよけいなことですけれども、それを使いたいと思う、聞きたいと思う人々の願望は、そういう国家意思によって踏みつぶされてしまうというようなことになりますから、両方にとってプラスじゃないということで、これからのやり方というものは大変むずかしいと思いますが、いままで私は就任してから、トラブルになっている問題の解決に精いっぱいでございましたので、これから少しは行動する通産大臣として、国家の発展とそして未来の開拓のために献身したいと考えます。
  55. 後藤茂

    ○後藤委員 歴代大臣にこうした問題を質問いたしますと、大変積極的に御答弁になるわけです。やっと働く内閣として行動する通産大臣になったと思ったら、一年たつとおやめになるわけです。たとえば石油関係でもそうでしょう。ヤマニ石油相なんというのは、私たちがもう耳にたこができるほど聞くわけです。あるいはソビエトのイシコフ漁業相等にしてもそうですね。重要な経済問題に対しては、やはりそこでより多く友人をつくっておくということが大切でしょうし、すぐに話ができるような大臣を重要な閣僚の中には置いておかなければならないというように私は考えるわけです。江崎さんのときにちょうど石油ショックの問題がありましたが、私は江崎さんに言ったのです。親書を持ってサウジに飛んでいってみたって、そこで名刺を交換して、まあよろしくと言って帰ってきて、さあ話をしようと思ったら大臣がかわっておったんでは、相手だってだれと話をしていっていいかわからない。四極外交で赤いユニホームを着ておやりになるのも私は結構だと思う。それをさらにこれから続けるのか続けないのか、私はそのこともお聞きをしたいわけでありますし、山中大臣に残れとかいうことは別として、少なくとも重要な課題を、特に貿易摩擦の問題等については抱えているわけだし、先ほどのお話では、これで大体一段落がついた、しかし、ということが残っているわけです。私は必ずしも一段落はついてないと思いますだけに、賢明な通産大臣、わしがひとつ残って、国のために、日本経済を誤りなく進めていくために残せと言うくらい胸を張ってやる意思がおありかどうか、この辺を聞かせておいていただきたい。そうでないと、答弁を聞いたって、おかわりになったらまた改めて一からしなければならぬということになるわけですから。
  56. 山中貞則

    山中国務大臣 確かにソ連のグロムイコ外相の任期の長さ、あるいはいまは交代しましたが、日本に来ているソ連の前の漁業相イシコフの息の長さ、こういうのに対して、毎年わが国の農林大臣は名刺を出して、向こうはその人のためにファイルをつくって経歴書から何からというような交渉がいいか悪いかは、確かによくない、はっきりしていますね。それは防衛庁長官だって、立場は違いますが、しょっちゅう日本はかわっているというようなことであっては困る問題もあるわけですね。  しかし、反面、現実を見ますと、わが内閣は派閥連立内閣である、正直な話ですよ。そうすると派閥の中で、また山中が入閣したのか、自分に来るかと思っていたのに、一年たったら自分に譲ってくれるだろう、自分を推薦してくれるだろうと言うのですね。また、私たちから見れば、もうそろそろおじんになりかけていますから、政界粗大ごみになっちゃってはいけないのですけれども、やはり活力は持っていなければなりませんが、私たちの次の時代のバトンを渡す人たちを養成して、その人たちを次々と内閣に入れさせなければならないという微妙な問題がございまして、自分の希望は皆さん、総理を初めとして、それは長きをよしとするでしょうが、そうもまいらない。しかし、おっしゃっているところは、外国から見て日本は変じゃないか、やるたびに、会うたびに相手が違っている。だから、今度の四極をやりましたときも、カナダのリーガンと私とが新規参入者なんです。あとの二人は、もう去年もやった、二回もやったという間柄で、もう会ってからすぐ肩抱き合って、元気だったかいと言うような……。やはりそうなると、新参者でございましてと、リーガンと私は一遍仲間入りのあいさつをしなければならぬのです。  この次いつやるか決めてないというのは、「おどま勧進勧進、あん人たちゃよか衆」という肥後の歌がありますが、そういう感じで、あん人たちばかり集まりなすってという――鹿児島弁ではないですよ。そういう世界各国、ガット加盟国、国連加盟国、そういう人たちの中で、日本とECとカナダとアメリカだけしょっちゅう集まって何かやっているという、しかもあれは表に出しませんので、そういうことがあってひがみを生んじゃいけないから、したがって、次はいつ、どこでということは決めないでおこうというような裏がございまして、そこのところはお察し願うことにいたしますが、ただいまの御進言は、私を通産大臣として一応合格したという御発言と承りまして、その信頼を裏切らぬように、任期と思われる日が来るまで懸命の努力をいたします。     〔野田委員長代理退席、委員長着席〕
  57. 後藤茂

    ○後藤委員 派閥連立内閣の悪弊というものを正直にお話しをしていただいて、私は、だから通産大臣をどうこうと特定を言うのじゃなしに、もっと、いま何が一番重要な政治、外交課題であるかという点は十分に重視をして、これからは進めていくべきじゃないだろうかという気がしてならないものですから、その点を強く申し上げたわけであります。  そこで、先ほどのお話を聞いておりますと、四極会議はこれからまた続けていくのかどうかということは、必ずしも明確になってないのですか。いかがでしょう。
  58. 山中貞則

    山中国務大臣 実は、ある国が挙手して、次は私の国で開催させてほしいと言う者はありましたが、四極でそれぞれ意見を述べ合った結果、やはりいま言ったように、定期的にこの会合が開かれる、四カ国、あるいは三カ国一圏ですけれども、そういうもので開かれることに対する反発、疑惑、そういうものを招くから、この際は時期も場所も決めないでおこうという申し合わせをしたという裏話を御披露するにとどめたいと思います。
  59. 後藤茂

    ○後藤委員 その三極、まあ四極会議の中でも幾つか出ておりながら、なおいろいろな点で積み残しがたくさんあっただろうと私は思うのです。  たとえば自動車の問題にいたしましても、アメリカの閣僚会議でブロック代表が、百六十八万台をさらに二五%カットして八四年、八五年の二年間延長を提案したというようなことも聞くわけであります。この辺の真相が一体どういうようになっているのか。あるいはまた対米輸出の二輪車の課徴金問題等につきましても、これまたどういうようになっているのか、その経緯等は四極会議の中でもある程度仄聞されたのかどうか。さらには、日本の半導体産業育成に対する批判がアメリカの半導体工業界から出ているようですね、この日本政府の半導体産業育成策がガット違反だという批判。どうも日本はその半導体の育成について大変な育成策をとっているために半導体が成長してきたのだ、そして世界の市場を荒らしているのだというような意味の半導体工業界の批判が出ているようであります。こういった点がどのように論議をされておったのか。  それから、もう時間がございませんので全部やっておきたいと思いますが、アメリカの鉄鋼業界も、通商代表部に出していた対日提訴を取り下げたことに伴いまして、今後はこれが日米の政府間交渉になっていくんじゃないだろうか、日本側もまた何らかの措置をとらなければならない、そうしなければ二月末にまた再度提訴するというような声もちらほら聞くわけでありますけれども、これに対してどういうように考えておられるのか。  それから、ローカルコンテント法案とダンフォース法案の見通しにつきましても、恐らくこの四極会議の中、あるいは最近相次いで来日されておるアメリカの要人の中から話が出てきていると思います。この点につきましても一通りお聞かせをいただきたい。
  60. 山中貞則

    山中国務大臣 まず、これは四極の間では出なかったということです。  ということは、四極といいましても、アメリカとカナダも自動車の問題ではトラブルがあるわけですね。そして今度は農産物では、アメリカとECと物すごいけんかをしているわけですよ。ですから、一つ一つ品目を出しますと、四極がハチの巣をつついたようになるわけです。ですから、四極は高度な、世界経済のあり方をどうリードしていくかという、協力できる部面、共通部面を、先ほど申しました三点ほど合意して分かれたわけです。個別会談になりますと、相当生臭いのが出てまいります。  しかし、実際には、ブロック代表と私との間で、自動車の三年目について希望がありました。四年目について言っているのだろうなと思う、大統領選挙の年の厳しい、向こうの言う第四年目ですね。そういうようなことが一応は聞こえました。聞こえましたけれども、前の、アメリカの小型車生産が軌道に乗るまでの二年間日本が自粛してくれ、そして三年目はその継続の可否も含めて検討する、四年目はどんな情勢の変化があってもやらない、こういうきちんとしたメモが残っているわけでありますから、私の方は四年目については全く触れませんでした。三年目の継続の可否については可である、継続する、その台数は百六十八万台であると、一方的に通告いたしました。これは、日本は通告する権利がありあるいは拒否する権利があり、アメリカはそれに対して文句をつける権利を持っていない。いろいろ行動には出るにしても、そのことについては、私の通告に感謝するということで、アメリカに帰っても、日本の三年目の規制を続行してくれたことについて、アメリカの自動車産業の発展に一息つかせることを許してくれたということで、非常に高く評価するということを言っているようであります。  次に、具体的な個別の会談において、オートバイの問題と半導体の問題は出ておりません。  それから、鉄鋼業界が急遽、期限の最終日でもあったのですが、一月三十一日に取り下げた。そして、それに対して、ブロック通商代表の日本に行ったときの交渉を見て再提訴するというような話が確かにありました。しかしながら、これは客観的に見て、米国の鉄鋼業界のきわめて大きな誤解、すなわち、日本とECとの間に鉄鋼の数量と価格についての申し合わせがあって、ちょっとトラブりかかったのですけれども、それをドル換算十ドル上げるということにおいて、価格の面で話がついた。ところが、それを見てアメリカの鉄鋼業界は、日本とECは共同謀議で、スエズ以東はだれが持つとか、そういうような市場分割までやろうとしているのではないかというようなことまで言って、提訴したようであります。しかし、日本側の業界は、どの業界も悪いとは言いませんが、鉄鋼業界はことに、トリガー価格でごたごたした後の約束は非常にきちんと守っておりまして、その意味では、約束をした業界の模範生だということで、ブロックにも申しまして、そのことは私たちも認める、だから帰って業界によく話をするからと、また、必要なときには協議もしようということで、この問題はもう大体再び提訴を起こさないのではないか、起こしても政府はそれには応じないなということを私は感じました。  それから、ローカルコンテント法案については、これはもう議会でブロック代表は、日本に来る前に、直前に堂々と、このような法律はアメリカにとって何のプラスももたらさない、しかも保護貿易主義の最たるもので、自分は反対するということを言っておりました。私どもは、通産省の方で、ローカルコンテント法案が通ったら大変だ、大変だ、あれを通らぬように、取り下げるようにという空気が支配的なんで、逆発想をやってみようじゃないか。ローカルコンテント法案が仮に通って大統領が署名したとする。そうすると、自動車の生産あるいはアメリカの部品業界、関連業界、全部のファクターをほうり込んでみると、アメリカ側が得するところは一つもなくて、失業なども逆にふえるという計算が出た。そうしたら、向こうでも計算をしたらしく、これはアメリカの方にプラスにならぬ、むしろマイナスが出るということをはっきり言っているようであります。ですから、ローカルコンテント法案は議会の空気ですから、私はそう楽観はできないと思うのですが、少なくとも上下両院を通って大統領がそれに署名をして、アメリカが国として、日本の自動車産業アメリカ市場において壊滅させるという手段、しかし、それは自分の国にどういう結果をもたらすかということも当然検討するでしょう。たとえばGMは反対であるとか、いろいろなことがありますので、これは議会のことですから見通しはわかりません、選挙民が拍手することは法案にしてしまうわけですから。しかし、それがアメリカの国の全体の意思になるかということについては、私はいまのところ、楽観、悲観という言葉ではなくて、そんなむちゃなことはしないであろう、そう見ております。  それからダンフォース提案ですけれども、これもある意味では確かに相互主義ということを言っておりますから、日本ねらい撃ち法案であるとわれわれが受けとめても間違いではないと思います。しかし、りっぱな上院議員の提案でもありますし、かといって、それに対して、みんながダンフォース議員の提案だから異議なしかというと、政府もあれば与野党の差もありますし、やはり微妙な問題がそこにあるようですから、ローカルコンテント法案よりもこのダンフォース提案の方が通りにくいのではなかろうか、私はそういう観測をいたしております。すべておまえのは楽観論だと言われると、あるいはそうかもしれませんが、私の見通しでございます。
  61. 後藤茂

    ○後藤委員 四極会議でもう一つお聞きをしておきたいのですが、いわゆる対日差別輸入規制品目の撤廃の問題であります。  大臣承知のように、ECにおける対日差別輸入制限品目が、西ドイツあるいはデンマーク、アイルランド、ベネルックス等はそうでもないのですけれども、フランスが私の資料では二十七品目、それからイタリアでは三十八品目というように、特に日本だけを相手にしての対日差別問題が依然として解決をしていないのではないか。このことに対して、四極会議というのは、先ほど大臣も言われておりましたように、何か個別的な問題があるとハチの巣をつつくような事態にもなるかわかりませんけれども、特に日本を特定しての対日差別の問題に対しましてはどのように解決の努力をされているか、現状はどうなのか、言い分はどうなのか、この点をお聞きしたい。
  62. 山中貞則

    山中国務大臣 これはECのハフェルカンプ、ダビニョン両副委員長と私との間の交渉で取り上げました。  まず、今回のVTRあるいはシャシーキットあるいはテレビのブラウン管、そういう問題については合意に達しました。しかし、私たちは、その合意は、フランスのポワチエ通関と、オランダとドイツの電機会社の提訴しているアンチダンピング、ダンピング提訴、この二つを取り下げることが条件であるということで、そのことはEC側ものんで帰っております。したがって、その二つは条件でありましたが、しかし、その次の項に延々と続けられておるイタリアの、たとえば二千三百台しか日本車を入れぬとか、フランスが三%しか入れさせないとか、そういうことを理由もなく、権限もなく、一方的に行使するというようなことがほかにもある。だから、そういう品目については、やはり今回の合意を契機にして、対日のみの差別については、まず交渉事じゃなくて、向こうの方で自発的にやめる努力をしてもらいたいということで、きちんと文書で入っております。
  63. 後藤茂

    ○後藤委員 大臣経済協力の問題でのODAのことにつきましては、一応先ほどちょっと触れただけでありますけれども、一言お聞きしておきたいのは、これは予算委員会の論議の中でも指摘をされておりますが、つまり対韓援助がやはり大変突出して、四十億ドルというものが渡されてきた。これまでの実績から見ましても、大変な巨額になっているわけですね。そのことの論議は予算委員会の方でされておりますが、ただ、この韓国が突出をしていくということが、他の東南アジア諸国に対しての経済協力なりその供与バランスが崩れるというのか、あるいは同等にという要求が当然出てくるだろう。たとえばマレーシア等も先般行われましたですけれども、これに右へならえという形が出てくると思うわけであります。中曽根総理は、今度東南アジアの方にも出かけたいということを言っておる。大盤振る舞いをしてきたいという気持ちなのか、それともその辺は渋くするのかよくわかりませんけれども、限られた財政の中で私は経済協力というのは進めていくべきだと思います。ただ、最近は政治的色合いが非常に濃くなってきているという一つの心配がありますし、それは韓国への経済協力のあり方についても私は同じだと思うのです。あの韓国に対する経済協力。それから、中国がいま要求をしてきておりますけれども、こういった特に東南アジア、中国、韓国の経済協力に対しましての考え方をお伺いしておきたいと思います。
  64. 山中貞則

    山中国務大臣 韓国に対する援助については、総理もたびたび本会議委員会等で答弁しておられますとおり、最も日本に隣接する自由主義圏内にある国と仲よくできないということは何としてもよくないことである、できれば仲よくしなければならないのだということで自分は決断したとおっしゃっています。しかし、その内容で、韓国の国民所得から見て商品借款というものを最後まで主張されたやに聞いておりますが、それは日本政府としては断固として商品借款をお与えすることはできません、韓国の国民所得は御存じでしょうということで、崩してはならない一線、たとえば安保の代償としての四十億ドルという言い方も、これは早く消えたのですけれども、それも断じてのめないということで、譲ってならないところは譲っていらっしゃらないように私は思います。  マレーシアのマハティール首相が来られたときにも商品借款の話がありましたけれども、韓国でごらんのとおり、あなたのお国の国民所得というのはさらに高いではないかということで、金額百億をどうするかの議論はありましたけれども、しかしルックイーストという政策をとって、私たちの言う、西洋よ、さようなら、いわゆる白人よ、さようなら、そして日本よ、こんにちは、という政策のマハティール首相は、国内において必ずしも完全にあの長い歴史から見て合意を受けていない。閣僚の中にも、日本に行ってきてみろ、ルックイーストは片思いじゃないか、何も目的を達成できなかったじゃないかということで待っている、手ぐすねを引いている政治勢力などがあるという背景等も考慮されたようでありまして、最終的に一応、バンクローンになりましたけれども、金額はマハティール首相は五百億を持ってお帰りになった、こういうことでございます。今度東南アジアに参ることは前から決めておられました総理ですから、その点は踏まえて、その中のマレーシアに対する対策としての金額を決められたわけでありましょう。したがって、今後フィリピンからASEANを回られるわけでしょうが、そのことはちゃんと踏まえて、まずその一国としてのマレーシアを片づけられたなあというふうに私は見ておりました。  しかし、これは別な話ですが、シーレーンの話がアメリカから強要されたような形になっていると東南アジアの人たちは受け取って、日本がそれに応じたら、日本の軍事大国化によってまた私たちは脅威にさらされるのではないかということを、インドネシアあるいはフィリピン、マレーシアのマハティール首相その他も言っておられましたが、今度マレーシアのマハティール首相が来られて、日本はそういうあれではないのだ、日本近海の一千ノーチカルマイルの航路帯と、さらに狭い、近い範囲の沿岸防備的なものであるということで非常に安心して、そういうことならばよくわかった、自分も帰ってASEANのほかの国々に自分からも申しておきましょうと言われたようであります。  そこらは、やはり私たち日本は太平洋の北東に位置していても、同じ太平洋圏の、しかも同じアジア人同士の間の国のことは絶えず念頭に置かなければならないし、私は総理と御存じのような立場でございますから、表に出ない話もしておりますが、総理もそこらはきちっと心得ておられるものと私は信じております。
  65. 後藤茂

    ○後藤委員 時間が大分経過をいたしましたので、いまの経済協力の問題につきましては、なおまた一般質問のときに質問をさせていただきたいと思うのです。  最後に一つお聞きしておきたいのは、先ほどの亀井議員の質問に対する答弁では、これから検討するということであったわけですが、いわゆるOPECの石油価格の三十四ドルというものが崩れていこうとしている。ナイジェリアも今度明らかにした。そういたしますと、北海油田等も連動するのではないか。少なくともことし一年もしくは来年の前半くらいは、四ドル前後はオイル価格が下がると見ていいのではないだろうかという気がいたします。もちろん、そのことですぐにまた政策をばたばた変えていくということはいかがかと思いますけれども、ただ、仮に四ドル下がったとした場合の影響が一体どうなっていくのかということは、ある程度はじき出せるだろうと思うのですね。たとえば、これは新聞等でも出ておりましたけれども、仮に電力の場合、一ドル下がれば年間で千百億円、四ドル下がれば四千四百億円収支が改善されていく、こういった数字も出てくるわけです。  そこで、通産大臣にお伺いをしたいわけでありますけれども、仮にバレル四ドル原油価格が値下げになった場合、世界経済にどういう影響を与えていくのか。あるいは日本経済に、さらには産油国にあるいは非産油国に、あるいはまた国際金融機関に大変大きく影響するわけでありますけれども、どのように見ながらその対応策の作業を指示なさっておられるのか、この点いかがでございましょうか。
  66. 山中貞則

    山中国務大臣 先ほども、いま通産省では担当局の中で縦に、それぞれのセクションにおける問題点というのを詰めさせております、それを今度は私のテーブルの上で省議メンバー、事務次官、官房長まで全部集めて、この事態に対して日本経済はどのように運営されなければならないか、また運営すべきかという意見を近くまとめるということを答弁いたしましたが、たとえばすぐに関税収入の減と、それから特別会計の財源としての石油税、これは価格からまいりますので、これの価格低下は直ちに財源の不足ということになるでしょうし、それと今度は代替エネルギー開発の意欲、二十五ドルまでこれが低下しますと代替エネルギー開発費のコストにほぼ等しくなる。そうすると代替エネへの意欲なり努力というものは、まあ一息ついておこうかとかいうことになりがちであるが、日本ではそうしていいのか悪いのか。私の感じでは、それはあったって、長期的に見てやはりやっておかなければならないことであって、それを怠ると、またあるとき突然に来るぞということを、一応は私の指示も少しはしますから、それは後でやるつもりですが、そういうようなことに響く。  さらに、石炭へどんどん転化していっていました代替燃料も、石炭の工場に着いたときの値段と、バレル二十五ドルで――私、いま二十五ドルの試算もひとつさしているのですが、ということで日本に入ってきた場合、これは限界点、臨界と申しますか、代替エネとのその関係で。そのときのいわゆる代替エネルギーへの、石炭その他新エネルギー開発への意欲その他が日本の場合にはどうあるべきか。さらに、日本の場合に石油総量が、石油ショックの起こりました四十八年、九年よりも四年さかのぼった昭和四十五年の輸入数量に落ち込んでいるわけですね、需要そのもの、輸入そのものが。それだけでも巨大な変化と言わなければなりませんが、これはさらにまだ進めていけるものなのかどうなのかということ、これは国内問題だけでいまから討議するいろいろなテーマで、まあ落ちこぼれもあったと思いますが、そういうことを柱に考えております。  国際的に見ますと、産油国であって債務国であるメキシコとかベネズエラとか、そういうところに対して、こちらは債権国ですから、そこらが大変苦しい、国際価格についていけないという、しかも石油収入しか外貨収入が得られないという国を、どう債権国としてするのか、これは日本国だけでない問題でありますが。あるいは今度は非産油国であって、ブラジルを頂点とするようなそういう債務国というものの債務は累増する一方である、そういうものに対して、レートはどういうふうになるだろうか、あるいはそれに対してどう対応すべきであろうか。そうすると今度は、発展途上国というものとOPECそのもの、これは両極端ですけれども、そこにもまた戻って、OPECはこれからどうなるか、じゃOPECの国々の購入する諸資材は、これは当然ながらOPECの保有している外貨といいますか、金が少なくなるわけですから、そうするとその輸出、消費の面は少なくなっていくだろう、あるいは金融市場に広範に転移されていると言われるオイルダラー、こういうものは日本の証券あるいはその他の世界じゅうのオイルダラーの移転ということが始まると――移動といいましょうか、移転されているオイルダラーの移動が始まった場合にどのような現象が起こるであろうかというようなこと等は、外国に対してどうなるであろうか、そのときにまた戻って、日本はだからどうしなければならないか、こういう問題が主なるテーマでいまやっております。  なるべく急いで、しかしクールに分析をしたいと考えております。
  67. 後藤茂

    ○後藤委員 大体、通産行政というのは、高度成長期とかあるいは石油ショックで非常に高騰しているのに対する対応策というのは、結果論ですけれども、比較的うまく対応し得ていく能力を持っておったのではないか。ところが、低成長に入ってくる場合の通産政策、それから、こういうように価格が大きく下がってくる場合の対応策、案外処方せんをお持ちでないように思うわけであります。そういう意味で、クールにということを言われておりましたけれども、早急にそうした分析と提言をしてほしい。  ただ、要望でありますけれども、にもかかわらず、いま大臣も触れておられましたが、石油代替エネルギーだとか新エネルギー開発というのは、これはコスト計算に――もちろん、むちゃくちゃにコストを無視してよろしいということを申し上げるわけじゃないわけですけれども、今日の日本産業構造なりエネルギー構造を考えていきますと、代替エネルギーあるいは新エネルギーの開発に対しましては、これはぜひひとつ、大臣政策に変化は来さない態度を貫き通していきたいという決意をお聞かせをいただいておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  68. 山中貞則

    山中国務大臣 いまの答弁の中でも、私の方でもあらかじめ指示していることもあるし、これから指示もいたしますということの一つとしてすでに指示してあることは、代替エネルギー、新エネルギー等の開発費用を、これによって直ちに意欲を失うとかやめるとかということはあってはならないのだということは答弁しておりますが、改めて御質問でございましたから、御質問趣旨に沿ってやるつもりでございます。
  69. 後藤茂

    ○後藤委員 きょうは所信表明に対する質問でありますので、ここに羅列されておりました諸点と若干の緊急の課題等について質問さしていただいたわけでありますが、これからの要望でありますけれども、やはりもう少し基本的な通商産業政策の理念というものを踏まえていきながら、先ほどの塩崎長官に対しての質問の中でも、どうももう一つ羅針盤なり海図をはっきりさしていないということが、結局は技術的な現象説明に終わってしまったんだろうと思うのです。これでは大臣所信にはならないだろうと私は思う、どなたが大臣をおやりになっても、これを読み上げれば結構だということになるわけでありますから。やはり大臣のお持ちになっております哲学をもっと生かしていくような提起をしていただいて、そして本音の御議論のできるような体制をつくっていただきたい、これは要望を申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
  70. 登坂重次郎

    登坂委員長 午後三時三十分に再開することといたしまして、この際、休憩いたします。     午後一時六分休憩      ────◇─────     午後三時三十二分開議
  71. 登坂重次郎

    登坂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。清水勇君。
  72. 清水勇

    ○清水委員 まだ通産大臣は見えていないようでありますが、先日両大臣所信を承りました。共通していることは、五十八年度の経済運営を考える場合に、現下のきわめて深刻なわが国経済不況という状況、これをどう打開をするか、潜在的なわが国経済の成長力を引き出しながらどう安定成長の方へ引きずっていくか、こういうふうな所信が披瀝をされておるわけでありますから、その限りにおいては結構なことだと思います。  そこで、まず経企庁長官にお伺いをしたいことは、五十五年以来今日の不況が長期にわたって持続をしている。去年政府は総合経済対策を立て、不況の打開を図ろうとされたわけでありますが、残念ながら昨年の十月ごろから、むしろわが国経済の成長はゼロというような状況に陥っているのではないか。しかも、ことしに入ってからもどうもなかなか雲が切れない、全国的に景況は悪化を続けている、こういうふうに見られるわけでありまして、政府が期待をされた不況の打開というめどがどうも立たない状況にいまあるんじゃないか。  そこで、まず最初に、今日の景況というものをどのようにごらんになっているか、簡潔で結構ですが、お聞かせいただきたい。
  73. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 確かに御指摘のように、五十五年から始まりました経済の低迷は、本当に長雨のようにいまだに続いているような感じでございます。しかしながら、どんな長い雨でもやみますように、昨今の日本経済物価が非常に安定してきている。その中で、在庫調整も恐らく五十七年度末までには円滑に進んでいく。一方、御案内のように、今回の経済の低迷の原因になりましたアメリカを初めEC諸国その他、同時不況と言われますところの世界の経済の低迷も、インフレ対策の成功からだんだんと回復方向に向かいつつある。  このような傾向に応じまして、私は、日本経済はこれから、大変緩やかかもしれません、緩やかな面もございましょうけれども、着実に回復してくるんではないか。したがって、私どもはこの際、三・四%という成長率程度はどうしても実現させなければなりませんし、またでき得る、こんなふうに見ているところでございます。
  74. 清水勇

    ○清水委員 いま長官から、まあ私から言わせると、少し楽観的な見通しが述べられたやに伺ったわけであります。たとえば、なるほど長期にわたる不況が続いているけれども、アメリカ経済インフレ鎮静化し、景気回復に向かいつつある。それやこれやを通じて、わが国経済も何とか雨が降りやむような状況を迎えるのではないか、こう言われるわけであります。  しかし、率直に最近の、たとえば御指摘にあったアメリカ経済動向というものを見た場合、どうも景気回復といいましょうか、余りはかばかしい状況とは言えない事態にまた陥っているんじゃないか。一時、高金利の是正というような動きがうかがえたわけでありますが、これも金利下げがややとまった状態にある。そこで、たとえば三・四%の実質経済成長、これは私も単なる願望じゃなくて達成をする、実現を図るという目標でなければならぬという立場に立っておるわけですが、その場合にアメリカ経済、とりわけアメリカ景気回復なり高金利の是正なりという海外要因に過大な期待、依存をしたのでは、これはどうも五十七年度の経済運営と同じように、また過ちを繰り返すというようなことになりはしないかと実は考えざるを得ないのです。  ですから、私は、たとえばことしに入ってもなお、危険ラインと言われる倒産件数は一千五百件前後、有効求人倍率もだんだん〇・五倍というような大変悪い数字に接近をしつつある。完全失業者も百四十万前後というようなところまで来て、まさに、経企庁長官のこの間の所信をまつまでもなく、戦後最高の悪い状況を呈している。ですから、私は、わが国経済が少なくとも今年後半には明るい展望のもとに切り開かれていくことを期待するというシナリオを書かれることは結構だけれども、これはやはり外需依存というような形ではなしに、内需を中心にどう景気の打開を図るかということでなければならないのじゃないか、こう思うわけですが、その辺はどうでしょう。
  75. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 御指摘のように、私どもも、外需というよりも内需によって経済回復を図らなければならないと思っているところでございます。したがいまして、三・四%の内訳も、外需部分はわずか〇・六、内需部分が二・八というふうな寄与率を示していることから御推察ができようかと思います。  確かに、アメリカ経済にまだまだ不安な要素があることは言うまでもございません。第八次の利下げも行われていない、そしてまた財政赤字も大きいということが心配されているところでございますが、先ほども本会議で申し上げましたように、一般教書で見ましても、これまでマイナスであったアメリカ成長率も一九八二年には一・四%になる、それ以降は四%台になるであろう、こういう見通しがあるのでございます。利子率こそ下がっておりませんけれども、ボルガー議長は、通貨の供給量を緩和していく、そしてまた、財政赤字さえうまくいけば利下げの可能性は十分あるようなにおいと申しますか、暗示を与えたように見えるわけでございます。  私は、もう外需依存というよりも、このようなアメリカ回復、そしてアメリカの利下げの傾向が日本の円高傾向にいい影響をもたらしている。したがって、円高から輸入面を通じての企業の収益の回復、あるいは物価の低下等を通じて消費支出、家計の安定、こういった内需面の回復と申しますか利点が出てまいるということから、いま申しましたような内需振興につながる。輸出がアメリカ経済回復によって直ちに伸びるというようなことは、自動車の輸出についてまだ自主規制があるような状況は十分知っているところでございますので、それよりもむしろ円高あるいは日本の金利政策等に対する影響からこのようなことを申し上げているところでございます。
  76. 清水勇

    ○清水委員 通産大臣もお見えでありますからあわせて承ってまいりますが、率直に言って、五十五年春以来の不況、そういう状況の中で民間の各企業は平均的に減量経営という方策を持って、ここ二、三年来ずっと臨んできております。しかし、現在のような状況のもとで、さらに重ねて減量経営に依存をしながら不況を乗り切っていくなどということは、ちょっと望みがたい事態になっているのじゃないか。  釈迦に説法で大変恐縮でありますが、財政再建を大きな課題とし、そのために行革等を推進するという立場をとっておられるわけでありますが、わが国経済の再活性化を図るということなしに財政再建というものも期しがたいのではないか。たとえば、財政再建あるいは行革というものを強調するの余りに、そこからデフレ効果が生じて、全体として再活性化への意欲がそがれて、ある意味で生産活動が今日と同じような停滞の状況を重ねていくというようなことになれば、政府が期待をしているような税収の側面一つをとってみても、これはとても財政再建を促すようなメリットが期待できない。  ですから、確かに経企庁長官所信によると、「財政上の困難など、政策手段の選択の幅はきわめて狭い」というような言い方がされております。なるほど一ころの、不況打開のためにケインズ型の財政を動かして景気を引っ張っていくというようなことは、あるいは困難な事情にあるかもしれませんが、しかし一面では、そういう財政事情であっても、やはり全体として内需を活発にする、拡大をする。内需を喚起し景気の浮揚を図るためには、一定程度の財政を動かすあるいは有効な金融政策を進めるといったことが並行していかないと、俗に行革デフレなどと言われるようなことになったのでは、ますますもって来年度以降、財政の縮小均衡策をとらざるを得ない。それこそじり貧という状況にならざるを得ない、こういうようなことを感じますので、僕は通産大臣に期待をしたいのは、たとえば各企業を、こういう時勢ですから、減量経営、縮小再生産という方向に動かざるを得ない状況ではあるけれども、何とか拡大再生産の方向へ動かしていくような、つまりそういう経済の再活性化への展望というものを打ち出していかなければならないときに今日来てはしないか、こういう感じを持つので、ちょっと理屈っぽいことを申し上げて恐縮なんですけれども、所信をお聞かせいただきたい。
  77. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 お答え申し上げます。  山中大臣の前座の意味でお答え申し上げてもいいと思いますが、確かに財政再建も大事な目標でございまするけれども、ケインズ流の財政を有効需要拡大の手段として使うべきではないか、したがって減量経営というようなやり方よりも、そういった内需拡大によって経営を維持拡大していくべきではないか、こんなような御質問でございました。  私も、大体大筋といたしまして同感でございます。とにかく日本では、まだまだケインズ流の有効需要と申しますか、デマンド側からの政策が有効に働く経済社会だと私は思っております。アメリカのように投資が少なくて、古い生産設備で物をつくるような社会と違って、近代的な設備のある社会では、やはりデマンドと申しますか、供給側よりも需要側に問題があると思いますので、いま申された方向は、財政再建のさなかでも考えていかなければならないと思うところでございます。  しかしながら、財政再建が重要な目標でございますし、私は、財政再建自体が財政赤字を減らすことによって金利の低下傾向を促進する、さらにまた、設備投資に回るところの資金を豊富にする、このような財政再建の効果も、景気対策の上でも認めなければならないと思いますので、そういった大変むずかしいところはございまするけれども、財政再建をしながら同時に財政金融政策を使っていく、こういう方向で進めるべきことはもう当然だ、こういうふうに考えているところでございます。
  78. 清水勇

    ○清水委員 いま経企庁長官が当然だと言われる割りには、五十八年度の予算案を見てみると、必ずしもそういう政策といいましょうか、理念が予算面には生かされていないということを、後で触れますけれども、ちょっと指摘せざるを得ない気持ちがするのです。  経済の最大の表現は政治であるという言葉を昔からよく使うのですけれども、今日のような事態の中で景気回復をどう図っていくか、すぐれてこれは政治の問題でもあると思うのですね。ですから、そういう意味では、中曽根内閣ができて、予算委員会でいま毎日論議が行われておりますが、中曽根総理の御発言を聞いていると、外交あるいは防衛、とりわけ防衛の問題などについて言うとまことに歯切れがいい。にもかかわらず、どうも経済だとかあるいは当面する内政というような問題に入ると、いささかトーンダウンをして勢いがないということを率直に感ぜざるを得ないわけなんです。  今日のような状況のもとで、政治が動くことによってわが国経済をどのような方向に引きずっていくのかという、そういうものが積極的に働かなければならないときではないのか、こういうことを実は考えております。経企庁長官が言われるように、たとえば内需を中心にして不況打開をし、景気を引っ張っていく、こういう考え方に立つのだとすれば、与党きっての税制通と言われる通産大臣、まあ大蔵大臣を兼ねてもらってもいいと思うくらいなんでありますが、たとえばあなたが昨年減税問題小委員長、その審議の過程、それからあなたが通産大臣になったときの第一声で、大規模な、具体的には一兆円程度の所得減税が必要だ、そういうことを通しながら内需の拡大景気の打開を図ることが望ましいと言われたことが、私はいまでも記憶に鮮烈に残っているのです。だから、そういう観点で言うと、どうも予算委員会で問題になって、あした政府は回答されるそうですけれども、たとえば減税の問題であるとかあるいは今度の人勧の凍結というのは、単に公務員賃金だけではないわけですね。御承知のとおり年金等にも連動する、リンクされている。ですから、そういうような点でも積極的な姿勢というものを示してもらう。少なくとも経済大臣という立場で、通産大臣などが内閣の中で、まあ中曽根さんは通産大臣を右大臣と見ているか左大臣と見ているか知りませんが、そのぐらいの方なんだから、そういう具体的なことを注文をつけてもらわなければならないときに来ているのではないか。まさに経済の最大の表現は政治だということですから、政治的な決断というものが必要なときに来ているのではないか。こんなことを総論的に感じているわけですけれども、いかがでしょう。
  79. 山中貞則

    山中国務大臣 まず初めに、ちょっと質疑の途中経過がわからずにしゃしゃり出るのはいけないと思ったので、塩崎長官にかわってもらいましたが、いま私たち念頭に置いて日本経済の青写真を描かなければならないのは、世界経済が世界的な規模において縮小をしている。そのために自分たちの国の足元に目を向けがちになって、保護主義的な傾向があっちこっちで高まりつつある。これは何としても打破しませんと、保護主義に走った場合にガットの原点が見失われていきます。わが国の発展の基礎はガットにあり、自由貿易主義経済にある。したがって、それに相反するものには敢然と立ち向かおうということが、この間の四極会議でも私が提唱をして賛同を得た基本的なスタンスでございます。しかし、総論は賛成でも、各論になると、日本アメリカ日本・ECだけでなくて、アメリカとカナダ、アメリカとECという間にも激しい葛藤があります。しかし、それらのものは基本の原点たるガット精神を見失わない、そういうようなことで、セーフガードでこの間あんなに混乱して、危なくガット崩壊かと思わせたようなことは、みんなでもとへ戻そうではないかということでは一致しております。  そうすると、それが日本にはね返ってくる影響というのは、世界の市場が冷えているわけでありますから、いかに優秀な日本の製品といえども、たとえばいままでの定石でいけば、円安になれば輸出がどっと振興するという形が、そのとおりにならない。しかも最近は輸出、輸入ともに縮小している。日本自身が縮小経済の中に入り込むおそれにいま立ち至っているわけですね。これは何としてもまず世界的にオープン体制というものをしかなければならない。しかし、いまの産油国、産油国の中でも債務国になっているメキシコとかベネズエラ、あるいは産油国ではないが債務国の巨大なブラジルとか、いろいろな問題がありますけれども、それらの問題は国際協調でやりながら、日本経済は少なくとも世界の開放市場体制の先頭に立って、いまおっしゃるような政策も勇敢にやりながら、日本国民あるいは日本産業に携わるすべての人々が前途に光明を持って、まゆを上げて、胸を張って前進するという政策通産省は絶対とらなければいけない、そう思っているわけであります。  私が通産相に就任して、二つだけ言いたくて言わなかったことがあります。  それは、いまおっしゃった一兆円程度の減税が必要であるということ、これは正式には言っておりません。それから、ここまで出かかっていたのですけれども、公定歩合ということについても触れませんでした。ということは、非常に流動的な要素があって、本当は公定歩合はあるときに引き下げてもらいたかった時期もありました、それは当然ながら景気に貢献するわけでありますから。その二つは発言を慎んで今日まで来ております。しかし、望ましいことは、おっしゃるまでもなくはっきりしていると思うのです。  これは経企庁長官の立場なら言えるのでしょうが、去年の下期における公共事業の後年度負担という形の繰り上げ、これがことしの公共事業予算の中でめり込んでしまって前年同額であるという事実は、これは財政当局一緒におってくれるといいのですが、政府全体で考えませんと、実質は大きな金額でも減があり、そしてそれは工事費の値上がりその他から考えると、工事量としてはものすごい小さなものになってしまっているのだという事実、このことは、もうどうせ年度半ば過ぎるころには議論になると思いますし、私たちもその議論は中でしなければならぬと思いますが、総合的なそういうものは経企庁の方でいろいろな試算をお出しになっていただいて、各省庁がそれに対応することになりましょう。  しかし、通産省は少なくとも日本経済の責任を持つ省でありますから、国民に明るいものを与えなければならないということで、一応ことしの税制改正というのはごくわずかでありましたけれども、評価も少ないかもしれませんが、大蔵省の財源ということから考えれば、途中で断念をしようかとさえ思った中小企業投資促進税制、これも大蔵省のふところぐあいからすれば、それだけの減収を覚悟したものでなければできなかったわけであります。したがって、当初二千六百億を要するような大きな計画であったものも、三百五、六十億ぐらいの大蔵省としては歳入の減につながる負担をしんぼうしてもらう。それでもやはり中小企業の中にはそういうものを、特償、特別償却を利用してやろうとする意欲は非常に大きく出てきているように思います。  方式について一つだけ御説明しておきたいのですが、過去五年間の投資実績を上回った分についてという、いままでになかった前提があります。これは、実は昨年、御承知のように、エネルギー関連に対する五%の税額控除か三〇%の特償かの選択が発足いたしました。その結果の一年間をフォローにしてみますと、確かに効果がございます。強いて分けると、大企業が税額控除を採用し、中小企業は特償を採用しているという特色がくっきりと出てまいりましたし、過去五年間、ずっと並べてきたものに対して、その効果が相当な角度を持って上乗せしております。そこのところを振り返ってみて、中小企業投資促進についてもやはり過去五年間の実績がありますから、それに対して、今回のわずかであるといえども与えられたインセンティブでどれぐらいの上昇効果があるかということは、やはり一千億ぐらいのものはあるだろう、少なくとも九百億はあるというようなことで、少しでも一番苦しい中小企業に明るさを与えたい。大企業ではありましても、電力需要その他によって、とてもじゃないがこのままでは全滅してしまう。しかし、全滅をしたのでは日本の独立国としての基礎素材については困るという業種を拾い上げて、これから御審議を願う基礎素材産業活性化というものに取り組んでおります。  また、中小企業の代がわり、おやじさんが戦後築き上げて、ふっと気がつくときれいな商店街になっているけれども、もう息子に譲らなければならぬ年になったな。そこで、この四、五年急激に承継税制の議論が起こってきた。これはやはり切実な問題ですから、片づけなければならない。これもまた相続税の税収というようなものを考えている大蔵省からすれば、当然税収減につながることではありますが、しかし、やはりここのところは中小企業の実態に合わせて、後継者はなかなか、何だ、おやじみたいに客に頭をぺこぺこ下げて、おれはやめたというものもあるでしょうし、そんなに税がかかるのなら、もうやめちゃおうじゃないかという、そういうことになったらいけませんので、これも精いっぱいの努力をして、個人事業事業の用に供する部門と居住用の土地とについて変えました。事業用資産について特別の配慮をする、いわゆる事業継承であります。そういう細かなところを考えながらやっております。  ですから、このようなことも通産省としては、せめて、どこを向いても行く先は真っ暗だという感じのところに一点の光明をともしたいという願いを持って、大蔵省の予算編成権に対して最大限の配慮を願った。しかし、基本的には先生のおっしゃるような姿勢を、スタンスを持ちながら、その都度その都度きちっと時宜に適した対処の仕方をして、日本経済のこの過去のすばらしい発展をとんざさしてはならぬ、私はかたく決意いたしておる次第でございます。
  80. 清水勇

    ○清水委員 いま通産大臣から、たとえば設備投資に触れたり公共事業に触れて、いろいろと所見が述べられたわけですけれども、たとえば公共事業について政府部内にも、余りこれは景気対策にならないのではないかという意見のあることを仄聞しておりますが、私は、これは間違いだと思うのです。  従来とかく、大型プロジェクトというものを対象に見てみますと、たとえば予算の五〇%、六〇%が土地代に食われる。したがって、地域経済活性化に果たしてどれだけ寄与するかという議論になると、余り効果がないのじゃないかという意見にもなりましょう。が、しかし、きめ細かくそうした地域経済への貢献といったようなことを配慮しながら、たとえば積極的に地方公共団体等の進める公共事業等にもプッシュをしてやるといったような配慮のもとで公共事業費というものを見詰めていく場合には、景気対策上もこれは大きな効果があるんじゃないか。  ところが、いま大臣指摘のとおり、四千億円というものは先食いをしてしまっている。したがって、工事ベースで見れば、これは五十八年度分はかなり縮減を余儀なくされる。これは景気の足を引っ張りますよ。経企庁長官所信によれば、公共事業費等も適正に配置をしなどと書かれているけれども、僕はそうは見ていない。ですから、これはいずれにしても補てんをしてもらわなければいけない。カバーをする性質のものではないか。ですから、そういう意味では、いま山中大臣が、いずれ近いうちにその穴埋めをどうするかという御発言をされたことは、これは前向きなものとして私は受けとめながら、ぜひ閣議でも進めてもらわなければならないことではないのか。  あるいは住宅建設などもそうなんです。五十五年に百二十万戸台に落ち込んで以来、後ずっと百十万戸、百二十万戸台で推移している。これは私はあえて申し上げませんけれども、住宅が一軒建てば十八業種に需要の波及効果があると言われるくらいなんですから、これはたとえば通産行政という面から見ても、単に建設省の仕事だから建設省に任しておけばいいという程度のものではないと思うのです。また、経企庁で言えば、それだけわが国経済の再活性化のために非常に大きな要素になるだろうと思うので、そういう折に、たとえば昨年十月から、御承知のとおり十年超の部分は住宅金融公庫の金利を一%引き上げる、あるいは来年度の予算を見ますと、たとえば住宅金融公庫の融資枠も三万戸減らせる、あるいは公共住宅というか公営住宅も一千戸減らせる、都合それやこれやで約一千百億円前後のこれはギャップを生んでいるんじゃないか。ですから、住宅建設というのは内需の大宗とも言うべき一つの柱なんですから、そういう点で言うと、冒頭に私が決して皮肉に申し上げたのではなくて、言っていることと予算面にあらわれていることとの間に大きな乖離がある。これはやはり埋めてもらわなければ困るということをあえて申し上げたわけなんです。  ついでにあえて申し上げると、設備投資意欲をかき立てるために、いわゆる投資促進税制をというお話がいまございました。これは、やはり税制の面での配慮も必要ですけれども、わが国景気の先行きの見通しがどうなるかということが一面はっきりしてこないと、税制の面だけで少々カバーした程度では、意欲というものをかき立てることにはつながらないのじゃないか。事実、たとえば昨日の朝でしたか、日経を見ると、製造業等の場合には、前年比で投資計画が一二%落ち込んでいるというような、そういう状況が伝えられている。  ですから私は、冒頭に申し上げたように、三・四%の実質成長は実現をしてもらわなければ困る。わが党もしばしば議論をしているわけでありますが、わが国経済の持つ潜在成長力というものは、三ないし四%あると見ていいのではないか。問題は、この潜在能力というものをどう引き出していくか。それには、必要な場合にはあえて財政もつぎ込む、こういった手法もやはり考えられなければいけないのではないか、実はそんなふうに提起をしておるわけでして、いまの景気対策に関連をして二、三申し上げましたけれども、どちらの大臣からでも結構ですが、もう一回お聞かせをいただきたい。
  81. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 いま大変貴重な、項目を挙げての景気対策についての御意見を賜りまして、私も大変ありがたく思ったところでございます。  まず第一、何としても、日本の潜在成長力というものがある、これをひとつ完全に、フルに引き出して、そして成長を図っていくべきであるということでございます。五%ぐらいはあるという評論家の方が多いようでございます、ゼロという方もおられるようでございまするけれども。とにかく実績から見て、アメリカヨーロッパの諸国よりも高目の成長を遂げてきた。その原因は、やはり日本経済の持つ社会的な基盤だと思うのでございますが、そのために、たとえば公共事業をさらにさらに活用したらどうかというお話がございました。私も、公共事業の効果について、先ほどもちょっと触れましたが、いろいろの議論があるのも知っております。かつてのような乗数効果と申しますか、投資は投資を呼ぶ、公共事業に一兆円つぎこめばまた一兆円の民間設備投資が起こるのだというようなことがなくなったではないか。したがって、公共投資に対しても資源を回すことがなかなかむずかしいのだというようなことがよく言われるわけでございます。確かに乗数効果の点についてこれから検討しなければならぬ点もございますけれども、いま先生が申されましたところの社会開発効果、そしてまた日本のおくれた社会資本、このような観点から考えてみても、私は、公共事業費についてはやはりケインズ流に重視していかなければならないものだと思っておるのでございます。  さらにまた、私は、いまの財政再建の中でも公共事業費というものは、特殊な財源上の性格を持っておる。まず第一に、その財源は建設公債あるいは目的税的なものでございます。このようなものは、赤字財政をまず減らす場合に比べて財政再建に及ぼす影響というのは比較的少ない。建設費は翌年度から国債費の形で影響するにしても、その投資効果から生ずるところの自然増収を考えるならば、やはりここに違いがあるというふうに考えられるかどうか、このあたりはやはり研究していかなければいかぬ、こんなふうに思っているわけでございます。  私は、そういった意味で公共事業関連費は前年同額、ほかの予算は減るのにかかわりませず、これは確保したと申したのは公共事業関連費でございました。ただ、公共事業の関連費以外の、たとえば文教予算においての学校とかあるいは国鉄等に非常な難点がございまして、四千億減った点が残念でございますけれども、やはりそのあたりの減りぐあいは公共投資の効率的な運用、よくお話が出ます、土地に固定しないような事業費を中心とする投資をやっていけというお話がございます。この際こそ、このような形で生産性の向上に役立つような公共投資をやるべき時期が来た、こういった観点から引っ張ってまいっていきたいと思いますし、さらにまた住宅、これは公的資金によるどころの住宅は去年は増加したのでございますが、純粋の民間部分が減った、相殺して若干のマイナスが出たということでございますから、今回の住宅金融公庫の貸し付け条件の緩和、あるいはせっかく財源の乏しいときにつくり上げたところの住宅貯蓄控除の引き上げ、これらをフルに活用する。それから、幸いに地価も安定いたしましたので、土地税制、山中会長のときに大変努力していただいて根本的な改正ができて、しかも安定しかかった今日でございますので、これらもひとつ十分に使っていく。どうしても税務署は減税の方の宣伝が少ないようでございますから、これらの減税の、あるいは税制改正の効果を周知徹底するようなやり方で、政策的に生かすような形で、いま申された公共投資、住宅あるいは設備投資、これらのデマンド側の政策効果を発揮していきたい、こんなふうに考えておるところでございます。
  82. 清水勇

    ○清水委員 時間の関係もありますので、もうちょっといまの問題でと思っておりますが、この機会に中小企業対策に移らせてもらいたいと思います。  私が改めて申し上げるまでもなく、中小企業を取り巻く環境というのは非常に悪くなっているわけですね。一ころ倒産をした中小企業を見ますと、かなりの部分、放漫経営などというパターンがございました。だがしかし、最近の傾向は、たとえば受注難あるいは売れ行き不振、そして累積赤字が増大をして倒産というふうな、典型的な不況型の倒産がふえてきているわけですね。  かたがた、最近ちょうだいをした中小企業庁の資料によりますと、中小企業事業所数は昨年までの統計に示されていた五百八十一万事業所からふえて六百二十三万事業所に達している。これに雇用される従業者数も三千四百万から三千七百万人の台に達している。全体としてわが国の一億一千万の人口で見ると、中小企業に何らかの形で関係をしている人口は実に七千八百万人、その比率は六七%だと述べているわけですね。まさにわが国経済を支える中小企業のすそ野は広がるばかりなんですね。ですから、どんなに中小企業対策を強化をしても、どこからも怒られる筋合いはない。当然のことなんです。  ところが、私はどうしても理解ができないのは、なるほど財政事情のあることは百も承知です。承知ですけれども、中小企業の環境が悪くなり、かたがた中小企業事業所数も雇用数も増大の一途をたどっている。しかも、その中小企業の活路が失われれば、わが国産業活動やあるいは経済が衰退を余儀なくされるということが、たとえば通産大臣所信の中でも強調をされているにもかかわらず、前年度予算と比較をいたしますと、五十八年度の中小企業予算というものは、二千四百九十八億から二千四百二十四億といった程度に実は落ち込んでいるわけですね。そんなことを言ったって政府系三金融機関の貸付枠が拡大したからそれでカバーできる、こういう御議論があるかもしれませんが、それとこれとは別の問題なんです。  ですから、私はそういう点で静かに顧みると、かつて中小企業予算は全予算の中で〇・六%を占めておりました。これがここ二、三年〇・五%台に落ちた。五十八年度はついに〇・五%台を割って〇・四六%になっている。ですから、質的に見ても量的に見ても、やはりこの点はいささか問題があるんではないか。そこで、なぜこういう状況にならざるを得なかったかという大臣の苦心のほどをお聞かせをいただきたい。
  83. 山中貞則

    山中国務大臣 いまの予算要求と政府の話でありますが、組閣の時期のずれ、これは大変問題があると私は思っておるのです。  ということは、八月に概算要求を大蔵省に出して、それでずっと十二月まで水面下の交渉が続けられながら、表向き十日か一週間ぐらいで別な大臣大臣折衝して決めるのですね。昔はそうじゃなかったので、池田総理が突然オリンピックの後引退されたことに伴って、年末政変ということで……。絶えず前の大臣のときに出したものを別な大臣大臣折衝で決めるというのは、私はずっとおかしいと思っていましたし、それで責任を持ったと言えるかどうか、そのことにも疑問を持っておりました。かといって、現実はそうなっております。とすると、私が十一月末に通産省に行って、もうすでに細目の詰めを終わったような予算編成の過程で、たとえば先ほどちょっと申しましたが、中小企業投資減税というものを果たして現在の大蔵省の財政事情の中で原形のままで要求していいかどうかという議論も、私としては根本的に、またみんなと一緒に議論し直さなければならなかったわけですね。  先ほどの中小企業投資減税でも、税額控除の方は去年のエネルギーの関係のものを見て、中小企業に限定すれば特償の方を選ぶ方がいいだろう、選択制も一時考えたくらいですけれども、せいぜいそこらが手直しし得る限度である。その前に八月要求のときに決まっているものは何かというと、対前年度予算よりもマイナスシーリングの予算要求をしろということなんですね。そうすると、通産省全体では恐らく、想像するしかありませんが、省内の各庁、局みんな集まりまして、そしてお互いのところで、どこはどれぐらいがまんしてもらえる、どこはちょっとよけいよその局からもらわなければやっていけないとか、いろいろな相談の結果そういう総枠になったんだろうと思うのです。  しかし、それならば中小企業行政というものは、政策というものは後退したのかといいますと、先ほどは税の問題だけ言いましたけれども、一体この中小企業対策費というのは通産省の中でいかなる意義があるかというと、あくまでもこれは行政経費なんですね。中小企業個々にその金額が補助金とか何とかで渡るものではない。末端の指導員の給与その他はそれはかかわりがありますけれども、営業そのものではない。中小企業があるいは倒産したりあるいは新しく興ったりしながら企業総数はふえていくとおっしゃいましたが、そのたくましいバイタリティーに対して、じゃ国がしてあげられることは突き詰めて言えば何かというと、税と金融、要するに税のインセンティブと金融の条件のハンディをよくしてあげれば、自分たちが考えて、自分たちがそれを選択して自分たちが伸びていく。あるいは再び立ち上がるというその活力というものに対して、われわれが政府の行政上手当てできることはしてあげる。  ですから、ことし大蔵大臣が閣議に報告しました税制調査会の六本の柱のうち、三本は通産省の柱でございます。二本は中小企業関連、一本は先ほどちょっと触れました基礎素材産業の問題ですね。六点のうちの三点が通産省と言えば通産省。六つのうちの二本の柱、それが中小企業予算の税であるということをお考えいただきますと、これは中小企業というものは、どのような政策をとってどのような活力を引き出すか、そしてそれに立ち上がる力をかしてあげるか、そこのところにやはり中小企業政策の本当の問題点があるのだろうと私は思うのです。ですから、いまおっしゃったのは、前年度よりか減ったではないかということで、その点は通産省の中のいろいろな庁とか局との間のやりくりで、マイナスシーリングを精いっぱい食いとめる努力をした結果そうなったんだろうと思って、強いて私は、どうしてこうなったんだということは言いませんでした。  しかしながら、これは行政経費であって、本当は中小企業個々に立ち上がる活力を与えるものは政策である。そのためには、金額に換算して申し上げれば、先ほど言ったように、大蔵省に入るべかりし税を税制改正によって入らないことにした金額も三百数十億、その結果は一千億の大台に乗るというようなものがあったとすれば、それは目に見えないものでありますけれども、行政経費のわずかの減をカバーして余りあるものである。  あるいは精神的に言うと、代がわりの承継税制について国が配慮した。個人事業者にはことに配慮がしてある。非上場会社にも株の評価では配慮がしてある。こういうことは実務、事業をやっておられる人々はすぐに自分の会社に当てはめてそろばんをはじいてみられると、よし、これならいける、これなら息子に喜んで譲れるとか、息子も安心して、じゃおやじ、家業を継ぐからと言って、老後の孝養を尽くしてくれる。効果は事業者の方がよく御存じだと私は思っております。
  84. 清水勇

    ○清水委員 私があえて予算のことで申し上げたのは、一つの象徴的なものとして申し上げたわけで、中小企業庁が長官以下、日ごろ大変な努力をされている、この点は高く評価をしております。だがしかし、一面では、えてして、国民サイドで見ると、何だ、中小企業予算が減ったじゃないか、そこからいわゆる政治に対する不信感というものが生ずるようなことがあってはならない、こういう角度も一面では申し上げたかったわけです。  もう一つ象徴的なことを申し上げざるを得ないのは、実は臨調であれこれと行革について議論をされている中で、一時、中小企業庁を内局にする、こういう動きが出てまいりました。われわれはかねてから、この際中小企業省に昇格をさせたらどうだとか、もしくは中小企業専任大臣を置くことがよりベターなのではないかという主張を持っているのです。ただ、なかなか政府も与党もその気になってくれないものですから、これは進みません。しかし、事もあろうに、この時期に内局へなどというようなことがまじめに議論をされているということだけでも、これは私はやはり問題とせざるを得ないという感じがあり、かたがた予算の動きなどがあるものですからちょっと触れたわけです。  さて、そこで、時間がありませんからあれこれ申し上げませんが、いずれにしても、中小企業をめぐって仕事不足が大きなネックになっている。もうちょっと受注が確保されないかという期待感が非常に大きい。中小企業庁を中心に、中小企業の受注機会をどう確保するか。官公需法もあります。だから、そういうものを生かすような手法もとられております。  われわれもこの委員会で議論をいたしまして、できるだけ、国のみならず公社公団あるいは地方公共団体の協力も煩わして受注枠を拡大する。五十七年度の場合は、中小企業への発注比率というものは多分三七・二%、金額で約四兆円近かったかと思います。僕らは、少なくとも当面これは四〇%くらいのところまで引き上げてしかるべきじゃないのか。まあジョイントだとかいろいろな問題もありますけれども、こういうことを考えておるわけです。  そこで、発注比率を引き上げるということと、同時にまた、できるだけ受注機会を確保するために、発注計画などについての情報を積極的に中小企業者へ流してやる。あるいは中小企業の力関係からいって、やや大きな仕事になると分割受注あるいは共同受注というような形ならばその機会を確保できるけれども、そうでないとなかなか受注ができないという事情もあるものですから、たとえばそういう分割とか共同だとかという発注形態をさらに拡大していくというようなことなどを通じながら受注機会を拡大する、こういう必要があるのだろうと思うのです。  そこで、事務的な話と言えばそうかもしれませんから長官に聞きたいのですけれども、五十八年度の官公需の中小企業への発注計画はどういうふうなことをいま考えておられるか、伺いたい。
  85. 神谷和男

    ○神谷政府委員 予算成立を見ました暁には、こういう時期でございますので、できるだけ早く中小企業向けの発注分を確定すべきだ、このように考えておりますので、早々関係各省にお願いをいたしまして、関連の出先機関あるいは御指摘がございました公社公団等の分も十分指導していただいた上で、先般行政管理庁よりも勧告がございましたので、この面についての留意を十分していただいた上で、できるだけ高い比率のものを実現したいというふうに考えております。  ただ、具体的に、御承知のようにこういう状況でございますので、行政経費が全般的にかなりしぼられておりまして、予算の中身を見ましても、必ずしも中小企業が扱いやすいようなものばかりで構成されているというふうにはなかなか考えられないような状況でございますので、先ほど御指摘の比率を気持ちの上ではできるだけ引き上げたいと思っておりますけれども、現在、軽々に幾ら幾らと申し上げられるような状況にはございません。率直に申し上げますれば、恐らくことしの予算では、この比率そのままで放置いたしますと余りいい数字は出てこないだろうと思っておりますので、先般の行管の御指摘あるいはいま先生から御指摘がございました分割発注であるとか銘柄指定の廃止であるとか、そういったような問題に関して、きめ細かく各省庁にも指導していただき、われわれの方からも各省庁にお願いをし、通産省自身もできるだけの努力をして、その積み上げの結果として、後退はせずに少なくも前進をさせていきたい、このように考えております。
  86. 清水勇

    ○清水委員 この点は余りいい数字が期待できないというような話があって、いささか残念なのでありますが、できるだけ大臣も督励をしていただいて、これは各省庁にまたがる話ですから、閣議でもできるだけこれを伸ばすように努力をしていただきたい。また中小企業庁としては、たとえば少額の契約等の場合には随契が認められているわけですから、こういう制度を生かしてできるだけ優先的に中小企業者へ発注をする、こういう指導徹底を図っていただきたい、こういうことを希望しておきます。  次に、午前中から出ているので私も余り時間をかけて触れませんが、エネルギーにかかわる二、三のことを聞きたいと思います。  最近、スポット市場では、もうすでにバレル当たり二十ドル台での取引が行われているわけですね。そういう時期にナイジェリアが五ドル五十セント引き下げる。油種間格差の関係もあるから、サウジなどはひょっとするとそれ以上の引き下げをすることになりはせぬか。どのみち早晩バレル当たり二十ドル台で、どの程度の時期まで続くかわかりませんが、一定の時期は動いていくのじゃないか。見方としては二十三ドル前後という見方の人もあるし、二十五ドル前後だろうという見方の人もございます。これは幾らになるかわからない。しかし、いずれにしても、いままでの三十三、四ドルという数字から比較をすると、それこそ一五、六%から三〇%以上の大幅な値下がりになることは事実なんです。  一面、基礎素材産業等を考えてみると、これはエネルギーコストが一つのネックになっていた。そういう点では、かなり緩和の条件になることは事実だろうと思います。だから、新特安法をめぐって構造不況業種をどうするかというような議論は改めていたしますが、少なくともそういうメリットも一面では出てくる。いま一つは、何といっても石油製品あるいは電力などというものは、かなり大幅なコストダウンになる。為替レート二百四十二円くらいで組んでいたはずでありますから、そういうレートの面でもメリットが確保される。  私は、よくこういう委員会でも議論をするのですけれども、たとえば産油国が値上げをする、あるいは円安になるというようなことになると、早速値動きというような話が起こってくるわけですね。あるいは通産も、一定の行政指導というようなことを言われるケースもある。ところが、今日のような場合には、従来はほっておくと余りそういうことが言われないというような状況がありますが、いずれにしても、私は、この際、かなり大幅な値下がりが予見をされるというような場合には、かつて電力料金、一年間という期間ではありましたけれども、円高差益の還元ということで料金を動かしたことがありますね。(「あれは失敗だった」と呼ぶ者あり)いま失敗という声がささやかに聞こえたようでありますが、非常に評価されたところもあるわけですから、たとえば製品価格等へのはね返り等、どう見、どう適切に運用をしていくのか、こういう点について少しばかり聞かしていただきたい、こう思います。
  87. 山中貞則

    山中国務大臣 いま、少しばかりとおっしゃったのですが、ずいぶんたくさんのものを内蔵しておる問題でありまして、まず、いまのOPECのカルテルの崩壊と見ていいのでしょうが、それを立て直せるか立て直せないかも、これまた見きわめなければ物が言えない。しかし、たとえば代替エネルギーのコストの関係で言うと、二十五ドルぐらいまで下がったときにはどうするかという一つの想定もしておかなければならぬと思います。  そういうようなことで、日本としては、しかしほとんどが輸入に依存し、その中で中東へ依存するウエートがさらに高いということでありますから、ここで私は、先ほどもお答えしたのですが、じっくりと見きわめて、しかし適確な対応策はやろう、そのために、私の役所の中の縦割りの行政ごとに、それぞれエネルギーとか通商政策とかやっていますから、各局各庁、そういうところの方から見た問題点というものを私の手元に全部上げて、そして事務次官も官房長も全部入れた、通産省の頭脳を結集して、この事態に対してわれわれは日本産業をこのような方向に誘導し、このような未来を展望するというようなものをぜひつくらないといけない。経企庁はいち早くつくってもらえたのですが、これは計数的に出てくるものをやっていただいただけで、私たちはそれも参考にしますが、動く経済をそのまま伸ばしていく、つぶしてはいけないという方向にいかなければなりません。  たとえば代替エネルギーは、では二十五ドルにしたら石炭は二十六ドル相当のコストだからやめちゃうのかというと、そういうことはやめられませんし、あるいはまた新エネルギー等の研究への意欲もそいではならない。要するに余りばたばたしないこと、第一次の石油ショックのときには、確かに産油国が石油を戦略物資に使うということを日本が、思わなかった方がおかしいのでありますけれども、思わなかったためにびっくりして、買いだめその他の騒ぎが起こったのですが、二次のときは、上げ幅が高くてもそういう国内のパニック状態というものは起こらなかった。日本人全体が余り短兵急に物事を見ないということについては、いやおうなしに経験をさせられたと思うのです。  そのせっかくのいい体験でございますから、私は、今回は全体の状態、たとえば湾岸諸国がきょう集まっておりますが、まだ私の耳には幾ら値下げという結論は入ってきておりませんけれども、すべてのところが出そろったところで、まず国内策として、たとえば私たちが予算の面で、まず関税が減る、あるいは石油税が減るとか、そういう問題に直面するわけでしょうし、一方においては、代替エネルギーの問題等を申しましたけれども、石油の値段あるいは製品の値段あるいは電力料金、いろいろな問題について対処していかなければなりませんが、為替差益が出たからすぐに電力料金を還元しなさいという、それも一つのやり方だったと思いますが、その一年後には五〇%値上げをしたということを考えると、石油も電力も同じような影響を受けるわけですが、円安が相当続いたこと、それによる円安差損が累積していることですね。それは若干戻してきましたから崩しつつあるでしょう。しかし、今度は根っこから価格の面が落っこちてくるわけですから、これに対しては当然日本は長い目で見て、余り大きな声では言えませんが、大歓迎であることは間違いありませんね。そのためにその仕組みをどうするかは、これはじっくりと、たとえばいまスポット買いをどんどんせよということで仮にやったとしますと、また頭にふろしきと論をかぶった人たちが仲よくなって集まって、そして、この間おれたちが困ったときに泥棒猫みたいにスポットをわあっと買っていった国はどこだ、日本だ、今度は少し日本を痛めつけてやれというようなことにならないとは限りません。あわてる何とかにもらいが少ないとかというようなこともありますから、これはクールにじっくりと行方を見定めて、電力料金の問題も議論がありましょうが、そこらも全体をひっくるめて、通産省の責任の持てる現状分析と対策見通しというものをつくっていく責任があると考えて、いまそのことを役所に命じておるわけでございます。
  88. 清水勇

    ○清水委員 それから、これはあえて御意見は承りませんが、どうしても需給が緩和をしたり、今度のように値下がりが起こると、お互いにほっとするというのが人情の常だと思いますね。しかし、いまほどゆとりのある時期に、たとえば省エネ政策を消極化したり、代替エネルギーの開発導入を一服するというようなことがあると、これから長い将来にわたって先行きどうなるかという不安を常にわれわれは持っているわけですから、ユーザーや消費者に安定供給が確保できない、こういう事態にもなるものですから、私は、国産エネルギーがかなりのウエートを持って安定供給を確保するという一役を担う、こういうことのために、これは何といっても開発までのリードタイムが長いわけですから、こういう時期にせっかく通産省、とりわけエネ庁が腰を据えてひとつがんばってもらいたいということを注文申し上げておきます。  次に、私はちょっと角度を変えて一つだけ、これはエネルギー問題に関連があるから聞いておきたいのですが、電源開発促進特会というのがありますね。いままで剰余金があって何とかカバーしてきたが、剰余金が少なくなったので、今度は促進税を千キロワット当たり三百円から四百四十五円でしたか、約五割くらい上げさせてもらいたいということを国会に政府がお出しになっておる。これはこれでまた別に大蔵委員会を中心に議論をするわけでありますが、たとえばこの電源特会における電源立地勘定の中で、立地をめぐってどこでもトラブルがある。そこで、立地交付金を交付することによって宣撫工作を行う、こういうことがずっと進められておるわけでありますが、たまたまこれはと私は思わざるを得ないことがあるのであります。  この立地交付金を使って、たとえば田中角榮さんの出身地である新潟県西山町で角栄記念館をつくる。立地交付金がトータルで十三億余り出てくる、そのうちの五億円くらいを使って、全部を角栄記念館にするという意味ではなしに、一定の文化施設をつくるのだが、ワンフロアをとって郷土の偉大なる人物のためにということを計画されているということが伝えられておるわけでありますが、そういうことのために貴重な国民の血税が使われるということがあっていいかどうか、ちょっと承りたい。
  89. 豊島格

    豊島政府委員 交付金事業として実施する場合には、先生承知のように、法律に基づきまして整備計画承認手続が必要であるわけでございますが、現在県から出ております申請の中には、先生指摘のような施設に該当するものは入っておらないわけでございまして、私どもとしましては、いま先生おっしゃったいわゆる角栄記念館というものの内容について、現在のところ承知いたしておりません。したがって、そういうものをつくっていいかどうかと言われてもちょっとお答えしにくいわけでございますが、仮にそのような構想があるとしても、それが妥当であるかどうかということは、まず第一に県とか町でその自治団体が判断していただくということで、そこが判断していただかないとどうにもならない。さらに、県からそういう申請があったときに、そういう事業が、いわゆる発電用施設周辺地域整備法という長い名前でございますが、その中の要件として、当然公共の施設に該当し、しかもその整備を通じて当該地域住民の福祉の向上が図られるという要件に該当するかどうかということでございます。しかも、この承認は、主務大臣というものがございまして、通産大臣だけでなくて、この場合、中身は知りませんけれども、いわゆる政令上の教育文化施設に入るものではないかと私思いますが、そういうことであれば文部省にも御判断いただくということで、十分慎重に審査するということになろうかと思いますが、いずれにしてもいま申し上げたのは仮説の議論でございます。
  90. 清水勇

    ○清水委員 仮説じゃ困るのだな。これは、長官も見ていると思うのだけれども、幾つかのマスコミに伝えられているのですよ。すでに西山町の町長以下のところでは、角栄記念館なんという言い方は仮説かもしれぬけれども、いわゆる法律の要件にかなうように、たとえば町民文化会館だとかというしかるべきふさわしい名前を用いてそうした施設をつくる、そのたとえば三階建てなら三階建てのワンフロアを田中先生のために御提供申し上げるなんというような、こういう計画がいろいろ進められている。だから、そういうことが果たして立地交付金というもので許容されるものであるのかどうか、こういうことを私は聞いたのであって、まあ文部省もいろいろ言ってくるだろうし、当該の県庁もチェックするでしょう、こういうお話でありますが、いわゆる町民文化会館といったようなかっこうで出てくればどういうチェックをするのですか。
  91. 豊島格

    豊島政府委員 いずれにいたしましても、新聞で私ども拝見しましたのは去年の十一月でございますが、その後二月になりまして申請が出てきておりまして、これは全部じゃございませんが、その中に入っておらないということでございまして、教育文化会館となるのかどうなのかわかりませんが、一番近いのは、いまおっしゃった全体の構想がそうだということであればそういうことになろうかと思いますが、その中身については、そういうことを本当に名のるのかどうかということもわからないわけでございまして、私どもとしては現状においては判断しかねる問題で、基本的にふさわしいものであるかどうかということにつきましては、具体的なケースに即し、現実に申請があった段階で十分判断すれば足りることではないか、このように考えております。
  92. 清水勇

    ○清水委員 まあ模範答弁というところでしょう。いずれにしても西山町関係はまだ出ていないということですね。そういうことですね。
  93. 豊島格

    豊島政府委員 一部出ておりますが、当該のものは全部申請が終わっておるわけではございませんで、これは年度いろいろ計画がございますが、その中には入っておらないということだけは事実でございます。
  94. 清水勇

    ○清水委員 出ているような出ていないような、ちょっとあやふやな面がありましたが、結果的には出ていないと理解していいのですね。そうですね。――また出てきたら、その際、私の方から気づいたら申し上げることにいたします。  さて、時間も少なくなりましたから、最後に独禁法の関連で少しだけ、公取の委員長にもおいでをいただいておりますので、お聞きをいたしたいと思います。  その前に、実は労働省からおいでになっているのだと思いますが、まことに申しわけないのですが、ちょっと時間がなくなってしまいまして、貴重な時間をせっかく割いていただきながら、済みません、この次の機会に。これは中小企業の雇用問題でちょっと聞こうと思っていたのですけれども、ちょっと話がそれてしまったものだから……。  さて、新特安法は、いずれにしても近くこの委員会で時間をかけてじっくりと審議をすることになるわけでありますから、きょうは一切触れません。ただ、通産が中心となって新特安法案の作成の過程で、素材産業など構造不況業種業界あるいは財界といった中で、率直に言うと、こうした不況下あるいは低成長下というような状況のもとでは、現行独禁法の適用が、たとえば緩和をされるなり、物によっては適用除外の取り扱いが行われないものかといったようないろいろ御意見等が出されて、率直に言えば、独禁法の土手っ腹に風穴をあけるなんと言うと言葉がどぎついけれども、何とかしてもらわないとわが業界は生きていけない、こういうような意向があったやに受けとめているわけでありますが、公取の委員長はそういうような動きがあったことを御存じでしょうか。
  95. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 いまお尋ねのように、財界の一部、言論界の一部、そういうところで、こういう不況下で独禁法の運用を停止すると申すのですか、例外規定を大幅に認めるというのでございますか、そういうことを主張しておられた方がおられることは承知しておりました。  ただ、これは――ちょっとよろしゅうございますでしょうか。一九七五年でございますから昭和五十年、石油ショックが始まりましてから後、たとえば構造不況、スタグフレーションに悩んでいると言われています、イギリスでもそうでございます、フランスでもそうでございます、ドイツでもそうでございます、独禁法の強化改正というのが行われてまいりました。先進国、それから開発途上国を問わず、現在では三十九だったと思いますが、国で競争政策に関する立法が行われてきておるわけであります。  なぜかと申しますと、私どもが把握しております限りでは、これは一つ経済活性化を図る、もう一つ物価対策上の考慮または消費者対策上の考慮、こういうことで反トラスト法制の整備というものが図られてきたわけでございます。そういうことから考えましても、いまお示しのありますような不況ないし低成長のもとで経済の活力を維持して、これはあえて大きな企業のグループと言わず、中小企業を含めたすべての経済の活力を維持していく、不況に耐えるだけの力強い体質というものを養っていく、そのためには、公正で自由な競争と申しましょうか、市場経済の基本というものを培っていく必要があることだけは間違いがないのだろうと思います。  私どもは、いまお話のございました今回のいわゆる新特安法の延長法でございますけれども、それの協議に際しましても、通商産業省との間でそういう立場で競争政策産業政策との調和を図れるようなスキームというものについて御協議をして、案がまとまりまして御審議を願うわけであります。独禁政策不況下における適用ということにつきましては、独禁法の必要性、その内容、これらについて広く御理解を得る必要があるというふうに思っておりますので、一層その点は努力してまいりたいというふうに考えます。
  96. 清水勇

    ○清水委員 実は財界なり関係業界なりの私が申し上げたような動きに連動するような形で、与党の皆さんを前に与党のことについて承るということは失敬千万かもしれませんが、たまたまこれに連動する形で自民党内に、たとえば共販会社をつくるとか合併をするといったような集約化について、もしくはカルテルを組むというようなケース等について、現行独禁法は余りにも厳しい制約要件があり過ぎるのじゃないか、だからこの際、そうした点を改正という形で息抜きをさせるようにする必要があるのではないかといった、こういう動きがいまなお続いていると思います。  いま公取の委員長がいみじくも言われたんだが、不況下には不況下なりに、現に不況カルテルも認めておるわけなんですから、それ相応の対応をとってきている。その上なお、指摘をしたような改正を求めるというようなところまで進んでしまいますと、競争政策というものが産業政策のいわばしもべにされてしまうというような、こういうことにまで突き進みはしないのか。そういう意味で、いま申し上げたような改正を求める動きを公取側としてはどんなふうに受けとめておられるか。
  97. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 不況下でございますから、たとえばカルテルというものを非常に広範に認める、こういう動きは、かつて三〇年代の不況のときにございました。ドイツでも、経済全体がカルテル化するというようなことになったわけでございます。それが統制経済または民主主義の破壊ということにつながった経験がございます。アメリカの場合でも、一たんは一九三三年から五年まで、ルーズベルトは全国にカルテル網を張るという政策をとったことがございます。これは有名な全国産業復興法でございます。それはいずれも経済回復のための施策としては失敗したということだけは明らかでございます。生き生きとした経済を保つために独禁法が、または反トラスト政策というものがなければならぬというのは、世界共通の確立した考え方になりつつあるというふうに私ども思っておりますので、そういういろいろなお考えのある方がおられることは十分承知しておりますけれども、私どもとしては、今後とも独禁法について御理解を得られるように努力するとともに、運用について、たとえばいま問題になっております構造改善等につきましては、十分な主管省との間の調整というものも行って、御理解が得られるように努めてまいりたいと考えます。
  98. 清水勇

    ○清水委員 ところで、これは通産大臣にちょっと所感を承りたいのですが、私が初めてこの商工委員会に所属をした翌年でありますが、五十二年ですから八十四国会であったかと思いますが、独禁法を現行独禁法改正する審議をこの委員会が熱心に進めたことがございます。私もいろいろと質疑をした記憶がございますが、実はその際に、当時与党の調査会長という立場で山中さんもたびたびこの委員会に顔を出されて、われわれにもいろいろと意見を言われたことがございましたが、少なくともオーソドックスな形といいましょうか、非常に前向きに、競争政策をどう推進をするかというような立場で、独禁法改正について恐らく党内に風当たりが強い部分があったのだとは思いますが、そうした中で、さっき申し上げたように、産業政策のしもべであっていいはずはないというような理念で改正を強く推進される、そして独禁法の強化改正が日の目を見る、こういうことがあったと思います。  そこで、たまたま今日は産業政策をつかさどる通産大臣という立場に立たれておるわけでありますから、現行独禁法についてあれこれの意見や非難めいた声を私も聞いておりますけれども、通産大臣という立場でどのように評価をなすっておられるか、参考までにお聞かせいただきたい。
  99. 山中貞則

    山中国務大臣 私が独禁法改正問題調査会長で作業を三年かかってやりましたが、自民党の中で賛成する人は一人もいませんでした。しかし、最後はやむを得ずということになったわけであります。なぜ党でやったかと申しますと、法律に書いてありますから御承知のように、公正取引委員会は国会に法律案を提案する権限を与えられておりません。そこで私が中心になって――戦後の最初につくられた原始独禁法と言われている法律、これは私は、アメリカ占領軍が、何の抵抗もしない日本経済の生体実験をやったきわめて厳しい、しかも戦後公開されていった外交文書の中にも、独禁法は全く本国に報告されないで、この東京にいるアメリカの一部の学者を中心に、日本を生体実験したような原始独禁法であったと思います。  その後二度ほど若干の改正が行われた結果、しかし、そのままで置きますと日本国民の間に、これは物価対策の法律じゃないのですけれども、企業は悪なり、消費者の敵なり、そういう概念が根づいたら大変だ。ということは、自分たちのうちに帰ってみたら、電気がまから洗濯機から冷蔵庫から、全部これは大企業の豊富、低廉、良質というようなものが供給されて、私たちの今日の生活の基盤がもうでき上がっちゃってるんですね。ですから、それは、適正なる競争のもとに適正なる手段で消費者の手元に届かせる方法が当然必要だというようなことなどで、物価対策のためのものではないが、結果それに役立つこともケースとしてはあり得るということで、延々三年やって、みんなもう根負けして、なるようになれというようなことになってなるようになった法律でございます。  そこで、皮肉にも、君が今度は通産相に立ってみてどうじゃとおっしゃるのですが、私は、その法律をつくった過程の長い議論の中でいろいろと体得したものがあります。法律の字面にあらわれないもの、行間に含まれているもの、そういうものをわかっておりますから、したがって、私が担当して、構造不況に対する独禁法との調整については完全に、まあ冗談には、公取委員長と私とさしででも話をして解決すると言いましたけれども、全くそういうことなしに今度の法律はつくりました。  後ほど御審議をいただくわけですが、ごらんになればわかるように、私はたくさんの法律を書きあるいは法律にタッチいたしますが、いままで私としては一遍もそういう性格の法律に会ったことがない、つくったことがない法律、すなわち独禁法の本来の趣旨が生かされて、しかも適用除外というドラスチックな方法でなくて、行政法と監督法とがきちっと組み合わされた理想的な法律形態ができ上がったものだ、私はそういうふうに思っております。  そこらのところはまだ公取側の意見は聞いておりませんが、近経学者の人たちの間では、思いも寄らぬやり方があったんだなという、本当ですよ、ということを一部言われておりまして、これは、やはり私がその独禁法改正のときの責任者であったことと、そして今日産業政策の責任者になったこと、これを対立させないで両立させる努力に成功したということを意味すると思いますので、後ほどこの法律が出ましたならば十分にそこらの点を御審議願って、相なるべくは日本独禁法産業政策、ことに低成長下における独禁法の役割りは何かという問題をフランクな議論の間にしてみたいものだと考えております。
  100. 清水勇

    ○清水委員 終わります。
  101. 登坂重次郎

    登坂委員長 次に、長田武士君。
  102. 長田武士

    ○長田委員 まず、山中通産大臣にお尋ねをいたします。通産大臣は中曽根内閣の有力閣僚でございますから、最近の政治情勢について二、三お尋ねをしたいと思っております。  今国会で大きな議論を呼んでおります一つは、アメリカへの武器技術供与の問題、さらには日本列島不沈空母発言、さらには運命共同体、さらに憲法改正論議と、一連の非常にタカ派的な発言が、オーバーランと申しますか、多くなっております。これに対して国民のひとしく考えておりますのは、何となく日本が危険な方向に一歩踏み出したのではないかというような危惧さえ持っておることも現実であります。こういう政治情勢について、通産大臣、御所見をまずお尋ねしたいと思っております。
  103. 山中貞則

    山中国務大臣 そういう質問を受けるなら、いっそのこと総理だったらなと思うのですけれども、残念ながらアイム・ソーリー、私は総理じゃございませんで……。  ただ、中曽根内閣のあり方について責任は確かに分担しておりますし、旧来の長い歴史から二人の間は、中曽根さんがぽしゃるときには私もともに死ぬ覚悟というつき合いをしてきておりますから、ただいまの御質問に答えたいのでございますが、しかし、総理に私が随行していればある程度答えられたと思うのですが、アメリカに随行していない。安倍外務大臣の随行でございましたので、それらの問題について論評せよと言われましても大変言いにくいし、それにタイミングから言って、予算委員会で政府の最終的統一見解があしたですか、にでも出される時期になっておるようでございますから、私がここで解釈と申しますか、そういうものを申し上げない方が国会運営に役立つのではないかと考えます。もちろん逃げるつもりではございません。
  104. 長田武士

    ○長田委員 じゃ、通産大臣が総理大臣になったとき、また具体的にお尋ねしたいと思っております。  ところが、NHKの世論調査とかあるいは朝日新聞等の世論調査によりますと、武器技術供与に国民の声といたしましては六三%が反対しておるんですね。それから不沈空母発言については国民の六一%が反発を抱いておる、これは朝日新聞でありますけれども。さらに、憲法改正論議を不要とするものが四九%、こういう世論調査が実は出ております。  通産大臣個人として、こういう世論調査に対してどういう御所見を持っていらっしゃるか。
  105. 山中貞則

    山中国務大臣 当然ながら内閣支持率というものは、国民がある時点においてその内閣をどう見るかということの正確な投影であろうと思います。したがって、私の考えとしては、出発時仮に最低支持率であったにしても、右方上がりにずっと支持を高めていく内閣にしたい、補佐したい、そのような願望を持っておりましたが、事志と違ってそのような結果が出た。しかも総理の使われた言葉、言動が中心でそのような数字になったんだという御指摘、総理自身も感ずるところがあると思いますが、ただいまのような御注意が委員会であったということを正確に伝えます。
  106. 長田武士

    ○長田委員 次に、石油問題についてお尋ねをいたします。  英国石油公社が去る十八日、北海原油を一バレル当たり三ドル引き下げました。それに続きまして、翌十九日にはナイジェリアが原油一バレル当たり五・五ドル引き下げたわけであります。さらに、先ほど大臣もおっしゃっておりましたけれども、GCC、湾岸六カ国、きょう会議をやっておるそうでありまして、これも引き下げの問題が討議されるだろう。そうなりますと、勢いOPECの産油国も当然値下げを実施せざるを得ない、そういう状況下に置かれておるのだなと思います。  そうなりますと、原油価格も恐らく二十ドル台に突入する。日本にとっては非常にメリットがたくさんある原油でございますから、いいわけでありますけれども、これに対しまして世界経済は、石油ショック二回にわたりましての世界的不況、さらには消費国が非常に倹約をやりましたし、そういう中で需要が伸びない、そういう点が大きな原因だろうと思います。これは世界各国におきましては、当然物価の下落、さらに国際収支の改善、こういうことを通しまして、世界的な経済も非常に活況を呈す、そういうふうに考えられておるわけであります。中でも日本の場合は一〇〇%近い石油を輸入しておりますから、非常にメリットが大きいと考えられるわけであります。  そこで、この産油国の経済の悪化によりまして、また逆オイルショックということも当然考えられる。日本にはどういう点でメリットが出るのか、あるいは逆オイルショックと言われておりますそういう点でどういうデメリットが出てくるのか、この二点について通産大臣の御所見をいただきたいと思っております。
  107. 山中貞則

    山中国務大臣 日本に関しては、長期的に見て、これは大変うれしいといいますか、ありがたいことであることには変わりはありません。ただ、それが第一次石油ショックを受けたときの周章ろうばいぶりというような形で対応すべきでなく、第二次石油ショックを受けたときには、買い占め等の騒ぎも起らずにそれに対処してきて、なお乗り切ったと言えない状況のときに、ある意味の朗報でございますね。  しかし、なぜ第一次石油ショックが起こったのかと言えば、相手の産油国の側に私たちの考えを置いてみますと、先進国がどんどん買ってくれて、王様に利権料を差し上げて、キャデラック何台という生活ができていたのを、ある日突然に、一体いつまでこれは続くのだろうということに疑問を抱くのは当然だと思うのです。いろいろな探査その他によって、その当時で短いところでは三十年、長くても六十年の埋蔵量しかないことがわかって、そこで当然考えたのは、ではその埋蔵量で期間を長くするためには売る量を少なくする、掘る量を少なくする、そして、そのかわり、減る収入は価格を高くすることによって埋めればいい。産油国側からすれば、単純な、ごく自然に出た戦略だったと私はいまにして思います。いまにしてというより、ずっと前からですけれども。  しかし、今回はそれが逆に、産油国のカルテルの崩壊――崩壊したのかどうかまだはっきり言えませんが、崩壊しかかっている状態でそれが思いがけなく下がってきたことに対して、逆オイルショックと受け取っていいかどうかですね。私たちは、第二次ショックのとき冷静であったように、今回も冷静に、いまたとえば仮に二十五ドルになるとしますと、それはどういうことを意味するのか。それは、一バレル二ドル五十セントぐらいのものであったものが、そのときは安く無限に買えると思っていた国々に対して一次ショックを与えたように、金額的には三十四・五ドルというものがいま値下がりを、四ドル、五ドル、六ドルと伝えられておりますが、しておるのだ。そういう受けとめ方で、すでに三十四ドルで組み込まれた経済あるいは外交、そういうものが日本にとっていかなる具体的な問題を提起するであろうか。  輸入価格の減は、たとえば国だけの収支に関して言いますと、まず関税が、輸入数量がふえれば別ですが、少なくなる、あるいはまた、石油税は従価税ですから、これが減収になるというようなことから、エネルギー特会はどういうふうにしたらいいかというような小さな問題から始まって、日本全体の国内の石油に対する政策、たとえばいま新エネルギー、代替エネルギー等の努力を懸命に傾けておりますが、これが二十五ドルあたりになると、代替エネルギーのコストの面では石炭にもう切りかえる必要はない、あるいはむしろ石油の方が安いというようなことに、仮になる接点だと思いますね。あるいは二十六ドルだという人もおります。アメリカあたりは二十五ドルで国内産油のコストと逆点する。だから、石油に課徴金をかけて、国内の業者がそれでも一生懸命掘って出すように高い価格を設定して、そのよけいな利潤は政府が吸い上げて国民にというようなややこしいこともやっておりますけれども、日本でも短絡して石油税をかけるなんということは、考えてはいけないことだと私は思います。  さらに、日本自体のここまで来ました石油に対する産業構造というものを、われわれはどのようにして受けとめるべきであるか。それは石油価格の値下がりとか、あるいはまた関連する電気料金の問題とか、いろいろあります。ありますが、これらの一切はやはり私たちの英知を傾けて――経企庁の方は一応計算上の数値は出してくれておりますが、私たちは、生きている経済を相手にやっているわけでありますから、通産省の全省の知恵をしぼってこれに対応するために、日本産業の体制はかく対応し、そして、かく前進し、かく展望すべきであるというものをいまつくるために作業を命じてございます。これは私を交えて、政務次官、事務次官、官房長、すべてで知恵を持ち寄って結論を、クールに見きわめながら出していきたいと思うのです。  しかし、一方、産油国はなぜそういうことになったのかと言えば、これは産油国自身も考えていなかったブーメラン効果というものが、産油国自身の経済を苦しくしたわけであります。したがって、背に腹はかえられないという事態になったのだと私たちは見ざるを得ません。そのときに、しかし、OPECに加入している、いないは別として、産油国であるメキシコとかあるいはベネズエラとかいう国のコストの問題で、しかも債務国であるというような問題等は、大きくわが国にも――われわれは債務国である、供与国である、そういう問題も考えなければなりません。それから、非産油国の累積している返済債務に対して日本はどう対応すべきか、あるいはまた、二千億とも言われたオイルダラーが世界市場に、日本の証券市場等にも入ってきておる。それが引き揚げられたのがすでに三百億あるとかないとか言われておりますが、そういうものが日本全体の金融の仕組みにどのような影響を与えていくか、それが世界の金利あるいはレートにどのように響いてくるのか。私たちにはメリットもデメリットもあると考えなければならぬと思うのです。そこのところをいま、それぞれの立場、資源エネルギー庁は資源エネルギー庁で、そのほかのところはそのほかのところで、それぞれ自分のセクションについてやっておりますから、それを集めて、なるべく早くじっくり見きわめた結論を出したい、そのように考えております。
  108. 長田武士

    ○長田委員 いま大臣がおっしゃいましたとおり、金融市場あるいは資本市場にも相当影響が出てくるであろう。特にサウジとかクウェート、UAEですね、日本には国債であるとか、あるいは株式を相当投資しておる、こういうことも聞いておりますので、そこらが金融市場に相当影響を及ぼすであろう、このような感じを私は強く持っております。  そこで、日本は特に一〇〇%近い輸入をしておりまして、過去二回、苦い経験をしております。そういう意味においては、やはりこういうチャンスといいますか、こういう機会をとらえて、百年の大計に立ってやはり遺漏のないようにするということが私は大事だろうと思います。特に、日本の場合は代替エネルギーの開発ですね、たとえば石炭の液化の問題とかあるいは天然ガス、サンシャイン計画とか、現在相当金を使って、資本を投下してやっておるわけでありますから、これが中断されてしまったり、これが何となく間延びするみたいな、こういうような状況であっては絶対ならない。そういう点で、どうかひとつ通産大臣、この点はしっかりやっていただきたい、このように考えております。
  109. 山中貞則

    山中国務大臣 おっしゃることは、私たちがいま最も戒心しなければならない点だと思うのです。一時の客観的な、突然の幸せといいますか恵みにおぼれて、やがて再び来るかもしれない第三次の石油ショック――今度は、来るとすれば相当大きなものが来ると思うのです。そういうときにあわてふためくことのないように、やはり代替、省エネ、新エネ、そういうものに対する――九九・八%流体エネルギーの輸入国である日本はずっと先のことまで見越して、途中の少しくらいのでこぼこはこれに目もくれないで、ひたすら未来に向かって進んでいく。代替エネルギーその他の石油依存度を脱却していく方向、これは絶対に捨ててはならぬ。いま検討をしていると言いましたが、私の基本的な姿勢として、そのことは指示してあることの一つでございます。同感でございます。
  110. 長田武士

    ○長田委員 経企庁長官、きのうの予算委員会で、今回の原油値下がりに関しまして、電気料金の値下げを示唆する発言があったように報道されておるのですけれども、真意はどうなんですか。
  111. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 私は、電気料金を引き下げるなんということは毛頭申したこともございません。予算委員の方から、仮に石油価格がさらにその倍ぐらい下がったような場合には電気料金にどのような影響があるかというような御質問があったわけでございます。私は、まだその下がるということも定かに聞いておりませんし、さらにまた、電力会社は長期契約で石油を買っているものがある、そんなようなことを考えるならば、その効果については軽々に言えないし、慎重に検討しなければならない、こういうふうに申し上げたら、検討ということだけとって、引き下げというふうにとったのでしょうか、ニュースバリューのあるように言われましたので、けさ私は、けさの新聞で、全部ではありません、特定の新聞にそのような誤解を招くような報道がございましたので、真意はこういうことだ、まだ十分な検討も整わないうちにそんなことを言ったつもりはないんだということを答えておきました。
  112. 長田武士

    ○長田委員 この電気料金につきましては、五十五年の四月だったと思いますけれども、私たちは商工委員会で審査をやりました。あのときは、ドル建ては二百四十二円ということで設定をしております。それから、バレル当たり、CIF価格でありますけれども、三十二円強で設定をしておると思います。そうなりますと、二十ドル台に入り、レートも二百三十円台ですから、こうなりますと当然、電気料金の価格の設定の一つの基準と申しますか、こういう点が崩れてきますので、通産大臣、消費者とすれば、ちょっと電気料金を下げるべきではないかという声が上がるような感じが私はするのですけれども、お考えはどうでしょう。
  113. 山中貞則

    山中国務大臣 その前に、塩崎長官の答弁は、私も、信頼する私のかわいい後輩でございますから、じっと聞いておりましたが、そのような発言は確かになかったと私、証明できると思います。塩崎長官の言明を私、補足したわけであります。  さらに、いまの、そういう声が起こってくると思うがどうだということは、確かに庶民感情としてあると思いますが、私が先ほどから、短兵急に物事を決めて、次々と政策を決めるということの心配の一つには、前回に、あの場合には石油の為替差益の還元問題でしたから、そうすると、その翌年に五〇%を値上げしたという現実がやはりありますので、したがって、電気料金だけのことを考えましても、いままでの生じているであろう為替の差損というのがあります。これは若干戻ってきましたから、それは崩されていきつつあるでしょうが、しかし、その他の幾つもの電気料金を構成する要素ですね、そういうものから考えますと、下げることが国民生活に望ましいのですが、それは公共料金ばかりでなくて価格体系全体がバランスのとれたものになるように、そして現実にそれが国民生活に投影するように、また国民も納得するような形でやりませんと、またある日突然、場合によっては半年後また上げなければならぬというような政策を急に決めないようにしたい。  したがって、方向はおっしゃるような方向の声が起こるであろう、それに対処するための準備というものを十分にしておきたいということを先ほど申したつもりでございますが、電気料金についてもその例外ではございません。
  114. 長田武士

    ○長田委員 通産大臣、私は、還元をした、またことし五〇%値上げ、こういうようなことは国民生活を守るためには余り好ましくないことだ、そう考えております。しかし、国民感情とすれば、安い方がいいわけでありましてね、消費者にとっては。そういう意味では、そういう問題については為替差益と同じようにその利益をきちっと留保する。あるいは積立方式でもいいですけれども、そうして何年かたった後にはきちっと消費者に還元するような手だてと申しますか、こういうことをすれば消費者は納得すると私は思うのです。一年とか二年とかとそういう短い期間ではなくて、ある程度先を見通してそういう体制をつくるという方が、消費者に対してよりプラスになるのじゃないかと私は思いますが、どうでしょうか。
  115. 山中貞則

    山中国務大臣 大変具体的で、しかも耳を傾ける価値のある御提言と思います。  ただし、それはやはり税制上の留保制度というものを認めないといけませんし、それは非課税留保にするのか、あるいはそれを三年ごとに取り崩すのか、あるいは課税留保にするのか、社内留保にするのか、いろいろのやり方があります。ことに九つの電力、沖縄電力を含めれば現在十ですけれども、そういうもののそれぞれの水力依存度とか火力依存度、石炭切りかえのパーセンテージの違い、いろんなものがございますから、そこいらを一つのヒントとして、ことしはもう間に合いませんが、これは税制で誘導すればできることでありますから、そういう意味で、国民のことを念頭に置いて、通常の営利会社でない公益会社としての電力会社にそういうインセンティブを与えることによって平準化していく努力をしていくということは、大変貴重な御提言でありますから、これは塩崎長官も私の税制調査会長のもとで幹事としてかなめの仕事をさしておりましたので、よくわかってくれると思いますから、できるかできないかは別にいたしまして、非常に貴重な提言をいただいたというふうに受け取っておきます。
  116. 長田武士

    ○長田委員 次に、本日公取委員長もおいでいただいておりますので、独禁法についてお尋ねをしたいと思っております。  いわゆる構造不況産業問題につきましては、産業調整の方向といたしまして、政府介入やあるいは競争制限的な行為の導入につきまして、当否をめぐって種々論議が出ておるわけであります。そこで、欧米諸国における不況産業救済と独禁法とのかかわり合いの問題、これについて、簡単で結構ですからお答えをいただきたいと思っております。
  117. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 欧米諸国では、第一次石油ショック以来、概して申せば、独禁法制は強化改正または新しく制定をされておるということでございます。そのような各国の独禁法制の内容は必ずしも一様とは申せませんけれども、不況対策として独禁法を緩和したり新たに適用除外を設けるというような国は、私ども調べました限りでないわけでございます。  アメリカでも、しばしば伝えられておりますように、合併なりそれからカルテルなり再販行為なり、規制を緩和したと言われておるわけでございますけれども、実情を見ますと、これは経済諮問委員会の報告書にも出ておることでございますけれども、水平の価格協定とか販路協定、水平の合併というものにつきましては、従来よりも厳しい態度をとっておるわけであります。若干改正された点につきましては、たとえば異種、垂直合併でございますとか再販、そういったものについては緩和されておりますし、合併の基準も、従来の非常に厳しいものが緩められたということはありますけれども、私どもが運用しております日本独禁法上の合併の規制というものよりは、いまでも辛いんだろうというふうに思います。  それから、西ドイツをとってみましても、カルテルは原則禁止でございまして、不況カルテル制度はあるにはあるわけでございますけれども、いままで認可された事例は一件。これは粉をつくる製粉業一件のようであります。  イギリスは、いわゆる弊害規制主義というふうに伝えられておりまして、当然違法ではないというふうに制度的には理解されておるわけですけれども、裁判所が公共の利益に適合すると認めたカルテルというのは、一九五六年からでございますから三十年間に十二件、不況理由によるものはないということが言われております。  そういうことでございますから、不況対策として反トラスト法または競争制限の導入というようなことを考えておる国は、欧米ではないというふうに申し上げてよろしいというふうに考えます。
  118. 長田武士

    ○長田委員 ただいま御答弁を伺いましたけれども、欧米諸国においては政府介入と申しますか、それはほとんど見られないようであります。あったといたしましても、それについては非常に緩和の方向であるということであります。わが国においても経済調査研究会の報告、これは五十七年十一月でありますけれども、産業調整は市場メカニズムにゆだねるべきである、そういう規制緩和の方向を示しておりますね。こうしたことから今回の特安法によりますところの保護策を考えてまいりますと、自由競争あるいは自由貿易にそぐわない点があるのではないかと一部、私は心配をするのです。  通産大臣、先ほどは非常にうまくいったというような感じでありますけれども、その点はどうなんでしょうか。
  119. 山中貞則

    山中国務大臣 日本独禁法というのは、世界で最も整備された独禁法だと私は思っております。アメリカは、どちらかというと判例積み上げによる、先例をもって処理するとかそういうような方の、余り法律で細かく書いてないケースがあります。  したがって、別な話になりますが、今回のGMとトヨタの合同生産会社についても、ちょっとアメリカ独禁法でどうかなという心配等もありまして、せっかく出るんだからよろしく頼むよということをブロックに申したりしておりますが、その意味では、日米の独禁政策当局同士の年次交流も頻繁に行っておるようでありますし、またそうなってほしいと私は思っておりましたが、その点、現在のわが国独禁法の運営においては、特別に日本経済を萎縮させるとか、あるいは経済が停滞したときに邪魔になるという条項がそうたくさんあるようには思いません。  したがって、それの整合性を見出す道は必ずあるということで私の考えを伝えて、そして公取委当局と事務当局とがよく話し合いをいたしまして、先ほどおっしゃいましたように、非常にユニークな感じの法律を提出することができました。私は、これは日本産業政策独禁法とのあり方を示す一つの前例になるのではなかろうかと自負いたしております。
  120. 長田武士

    ○長田委員 この点については、法案審議のときまた具体的にお尋ねをしたいと思っております。  塩崎長官、あなたは就任以来、非常に独禁法を目のかたきにしておりまして、どうも見直しが必要である、こういうことを再三発言しておるわけであります。きょう資料は大体全部持ってきましたけれどもね。そういう意味で、独禁法見直しの理由、どういう点を変えるというふうにあなたはお考えなんでしょうか。
  121. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 目のかたきにということは、私はそんな気持ちを持って言っておりませんので、御理解を願いたいと思います。  私は、先ほども山中通産大臣が申されましたが、この独禁法につきましては山中道場、山中鹿之助でない山中貞則会長のもとで、山中道場でぞうきんがけをして勉強してきた者の一人でございます。私自身は逸材と言っておるのですけれども、会長は認めておられぬかもしれません。  しかし、私はその前、実は昭和二十二年にアンチカルテルの課長のウェルチという方からこの独禁法をもらったとき、そのときの日本側の代表は橋本龍伍先生でございましたが、そのときからまたぞうきんがけをして独禁法の行方を見てきた者として、私は、こういった点はぜひとも直していただきたいという点があるのでございます。  この独禁法の問題は、皆さん御案内のような、人の心は法律で変えられない、この言葉が全く適合する問題だと思うのでございます。ともかくも日本では人と協調していく、仲よくやっていく、相談してやっていく、そして団結していく、このことが美徳である、こういうふうな心を持っている民族でございます。しかし、アメリカでは、人と相談をしてやっていくこと、お互いに共同歩調をとっていくことは、御案内のように独禁法上悪徳といいますか、罪という観念を持っておるわけでございます。そして、アングロサクソン系の中でもアメリカでは、御案内のように共謀自体で罪になる。日本では、共謀自体が罪になることはありません。実行の行為がなければいけません。  こんなような心の違いから、独禁法というものは、いま山中大臣からお話がありましたように、自民党の中で議論がなかなか釈然としない。こんなような思想がずっと残ってきておる。しかし、独占禁止法の効果は、かつては集中排除、財閥解体、農地法そして財産税、このような一連の措置日本経済がこれだけ民主化され、そして多数の企業が興ってきて財閥の支配ということから免れただけに、進歩した点は私は認めておるのです。  しかし、この独禁法上の三つの問題、私的独占、それから不当な取引制限、不公正取引、この三つを見ますと、大企業には独禁法の精神を相当強く言ってもいいんだけれども、過当競争に悩む体質を持っている中小企業には独禁法は見直してもらいたい、私は、こういうことをいまの心の問題から申し上げているわけでございます。  それは、余り時間がありませんから申しませんけれども、私的独占みたいなものがない過当競争の中小企業、しかも多数の人がいて団結なんてなかなかできない。そのために何か一つ、たとえば非常に安売りする。それが独禁法上不当廉売のような形になりましたら、ひとつ一緒になって不当廉売に対抗していこうじゃないか。こういうことがもう正当防衛の形でできていく。しかし、それは五十一年の改正からは課徴金を課すまでの制裁になっている。しかし、不公正取引の方は課徴金も課せられないところの、これまでは安ければ安いほどいいという思想でございましたんでしょう、不公正取引の方はほとんど取り締まられなかった状況でございますので、実は去年二つ事件が起こったのです。  牛乳は、多年廉売の問題で悩んできました。私も、実は零細小売商業の対策委員長を長らくやっておりましたので、その面からこの問題を人の心の問題としても取り上げてきたわけでございます。そこで、去年の一月には、御案内のように不当廉売に対抗するために四国で牛乳のカルテルが公取で御指摘を受けて、課徴金を納めた。しかも、そのときの理事長は実は行為をした理事長じゃなかったんだけれども、勲章までやらないというような事件が起こった。しかし、五月になったら千葉で牛乳の不当廉売の事例……(長田委員「簡単にやって、まだこれから具体的にやるから」と呼ぶ)ですから、そのことを見て、私は逆にしていただいたら、不公正取引の方を先に取り締まるようなことをし、不公正取引の方をやかましくしていただくのなら、不当廉売対抗策のカルテルの問題は生じないであろう。  こんなような問題は、独禁法の根本的な心の問題としてもひとつ考えていただきたい。それから、中小企業の過当競争の体質からも考えるべきではなかろうか、こういうことを言っておるわけでございます。
  122. 長田武士

    ○長田委員 長官の演説を聞きにきたわけじゃないのだから、簡単にやってください。ぞうきんがけと独禁法がどう関係あるか、私は理解できないのですけれども、独禁法についてあなたが言っておりますのは、過当競争を防がなければならない、あるいは過当競争を防止するように独禁法改正せよ、あるいは課徴金は厳し過ぎる、こういう発言をあなたはしていますね。  そこで、長官の言う過当競争というのはどういうことか、私はちょっと理解できない。それから、課徴金は厳し過ぎると言っておりますけれども、課徴金をつくったのは、不法なカルテルを結んで、そしてやり得をなくすために、それを未然に防ごうということでこれはつくったのですよ。あなたの話を聞いてみますと、まるっきりカルテルを奨励するみたいなことを言っているのですけれども、その点はどうですか。
  123. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 私は、中小企業は過当競争の体質を持っているということをまず前提に置き、しかも、先ほどから申し上げましたように、過当競争の中で一番困るのは廉売の問題でございます。それは日本の心の問題かもしれませんけれども、特定の人がおとり商品として物を売っている、それが原価を割っていくような場合がある、それに対抗するために、そういったところには商品を供給しないでいこうじゃないか、こういうことはよくありますし、自分のところだけはこの値段を維持していこうということは、よくあるところでございます。しかし、それが不況カルテルの要件になかなか該当しないというようなことで、いわゆるやみのカルテルになるというようなことで、課徴金まで課せられた事例がある。これはもう皆さん御案内のとおりだと私は思っております。
  124. 長田武士

    ○長田委員 ですから、私は、そういう市場メカニズムをやはり中心として、日本国は自由経済社会ですから、その原則を曲げちゃいけないということを言っているのですよ。ですから、価格カルテルをやってみたり、そういうことが大企業で非常に多いのです。私は、予算委員会でも具体的にやったことが何回もある。公取も、そういうところに手を入れたじゃないですか。そういうのをあなたは認めると言うの。
  125. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 私は、大企業についてのカルテル不況カルテルのように認められることがあることは御案内のとおりでございますが、大企業カルテルの緩和をしろという意味で言っているのじゃありません。私は、アメリカのように、会社の社長同士が会うときには、弁護士を連れて、独占禁止法の話をしなかったということを証明を持つような国と、日本の大企業の数の少ない方々がいろいろの話し合いをするというようなことでの協調というものがある。しかし、中小企業はそれができないのです。そしてまた、過当競争が激しいから、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  126. 長田武士

    ○長田委員 経済原則からいけば、競争の原理というのは当然働いていい。そういう点で、過当競争と言えるかどうかわからぬけれども、そういう競争の制限を与えるみたいなことはよくないと私は思っております。  そこで、公取委員長、いままで経企庁長官は大分かたくなになっておるけれども、独禁法緩和の発言が非常に強く出ておるのです。そこで伺いたいのでありますけれども、不当な廉売に対しまして規制はどのようになっておるのか。また、課徴金が厳しいという点についてはどのようにあなたは考えておりますか。
  127. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 昨年の六月に、いわゆる一般指定、不公正な取引方法を定めました一般指定を改正いたしまして、その中に不当廉売の定義を入れたわけでございます。御承知でもございましょうけれども、一応読み上げさしていただきますと「正当な理由がないのに商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給し、その他不当に商品又は役務を低い対価で供給し、他の事業者事業活動を困難にさせるおそれがあること。」この規定に触れますと、不公正な競争方法として独禁法の規定で排除されるわけであります。  それで、昨年六月の改正は、不当廉売の定義を明らかにするということであったわけでございますけれども、具体的な不当廉売の事例といたしましては、たとえば量販店が牛乳とかしょうゆとか豆腐などに多いようでございますけれども、原価を下回ったと言われておる値段で目玉商品として売り出しまして、それで周辺の小売店から不当廉売じゃないかという苦情が寄せられるわけであります。五十六年一年間をとりましても、十万件近いそういう申し立てがありました。それらにつきましては、事実はあるかないか、それからそういう行為について行政的に警告または注意をしてやめてもらう、調査をした上でそういう措置もとりますし、場合によっては排除するという場合もあるわけであります。  塩崎長官からもお話がありましたように、五十七年五月には、客寄せのために、赤目玉というのでございましょうか、原価割れで牛乳を売っておりますスーパー二軒に、これは排除命令を、勧告審決を行ったわけであります。そういうことで、牛乳、しょうゆなど、値ごろで不当廉売目玉商品になりやすいものにつきましては、十分今後とも公正な競争を阻害するおそれがないように監視をし、適当な措置をとってまいりたいというふうに考えております。
  128. 長田武士

    ○長田委員 長官、あなたの経企庁長官としての役目というものは、やはり物価を安定させることが第一でしょう。そうですね。景気回復させること、そして経済を安定させること。もう一つは、消費者保護を強化していくということが大きな任務ではありませんか。違いますか。
  129. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 私どもの任務は、物価を安定させ、消費者を保護することが任務であることは間違いございません。ただし、不公正取引、これは独禁法違反の行為でございます。
  130. 長田武士

    ○長田委員 そこで、これまでも経企庁としましては、物価対策の重要な柱に独禁法政策の強化を掲げてきたじゃありませんか。新経済社会七カ年計画におきましても、これを物価対策の中心とすると。これ見てませんか。間違いないよ、これは。
  131. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 これはよく見ておりますし、私どもの内部でも議論いたしました。公正な競争による価格の形成、これはもう一番大事なことでございます。
  132. 長田武士

    ○長田委員 そうなると、長官の考えている独禁法改正、こういう問題については、私は、新経済社会七カ年計画、これに反すると思いますが、どうですか。
  133. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 たびたび申し上げておりますように、私は、不公正取引、不当廉売、これらの問題についての対策を申し上げておるつもりでございまして、公正な競争によるところの価格の形成、これはもう大いに推進したいと思っておるところでございます。
  134. 長田武士

    ○長田委員 次に、現在約四百件の独禁法適用除外のうち、その大半が中小企業分野のものであります。これはもう間違いないですね。独禁法では何が何でも競争させるという立場では実はないわけですね、長官。何が何でも競争させよう、過当競争させようという考えじゃないのです。あくまでも公正かつ自由な競争ということでありますし、この公正かつ自由な競争を通して、企業経営、企業経済、社会の発展を促していこうというのがその精神じゃありませんか。もし本当に長官が言われるように、過当競争であるいは中小企業の経営が非常に成り立っていかないというのであるならば、主務大臣中小企業団体法によりまして調整規程を発動すればいいじゃないですか。あるいは、中小企業が困っているというのは独禁法があるからだなんというのは、私はすりかえ論議だと思うよ。どうですか。
  135. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 もう御案内のように、中小企業は数が多い。そしてまた中小企業の構成は、大資本の入ったものも中に入っておったりして、千差万別でございます。利害が相対立し、したがってアウトサイダーが非常に多い、なかなか意思が一つに統一しない。そこがアメリカ式に言えばいいところかもしれませんけれども、日本的な共同歩調の精神から見ると、そう簡単に法律上の要件に合致してこれを適用除外にしてくれというような共同歩調がとれない、これが中小企業の悩みだと私は思っております。
  136. 長田武士

    ○長田委員 そういう意味でいま中小企業が困っておりますのは、後で具体的に申し上げますけれども、そんな問題じゃないのですね。  では次に、中小企業問題に入りたいと思っております。  内需が低迷しておる、こういうことは通産大臣も御案内のとおりでありまして、さらには輸出の鈍化によりまして中小企業は非常に経営が不振に陥っております。ここで中小企業金融政策とかいろいろな手だてはありますけれども、何が一番必要かと申しますと、やはり仕事がないというのがその大きな要因であります。そういう意味で、私はこの委員会等でも何回となく取り上げておるのでありますけれども、官公需の問題、これをもうちょっと拡大できないものだろうか、そういう点を常に考えておるのですけれども、通産大臣、御所見をお尋ねしたいと思っております。
  137. 山中貞則

    山中国務大臣 官公需の増大については、毎年その進捗状況あるいはパーセンテージ等も発表いたしております。したがって、逐年向上しておりますが、やはり官公需の仕事の内容の実態というもの等から考えて、向上はしておりますがその動きはやや鈍い。しかし、三七・一%ぐらいのところに昨年度は来たと思います。一説では、これを五〇%まで中小企業分に官公需の発注をせいという御意見もありますが、一遍にそう飛躍するのには、仕事の内容その他もありますし、中小企業の仕方の分野の問題もありますが、やはりちょっと手に負えないものもあるというようなことから、なるべく分割発注とか、あるいは地場の中小企業を育成しながらの受注工事を行わせるとか、そういうことをいろいろ配慮していかなければならぬと思います。  いずれにしても、先ほど中小企業庁長官が申しましたように、現在の発注のシェアを下げることがあってはならぬ、逐年それを上げる努力をしていくという点においては一致いたしております。
  138. 長田武士

    ○長田委員 その点、どうかひとつ官公需の拡大という意味で御努力をいただきたいと思っております。  次に、投資減税についてお尋ねするのでありますけれども、冷え切った中小企業設備投資を喚起するために、本年度、五十八年度から投資減税が実施されるわけでありますが、その規模は当初よりも大分縮小されたように伺っております。そのため、景気浮揚効果が果たしてあるのかどうかということで疑問視する向きも実はあるのですね。そこで、今回の投資減税について、大臣景気の浮揚効果としてどの程度見込まれていらっしゃるのか、どのぐらい期待されておるのか、お尋ねをいたします。
  139. 山中貞則

    山中国務大臣 結論だけから申しますと、九百億ないし一千億と思っております。
  140. 長田武士

    ○長田委員 このほど通産省は、設備投資問題研究会、仮称のようでありますが、これを設けまして、民間企業の償却年度、法定耐用年数、この制度の見直しに取り組んでいくようでありますけれども、その取り組みの基本的な考え方についてお尋ねをいたします。
  141. 山中貞則

    山中国務大臣 現代の日進月歩する先端技術を中心とした産業の革新、これは機械もありますし、原理もありますし、いろいろなものに取り残されると、日本は五年おくれたとするとそれを取り戻すのには十年かかるかもしれないし、無資源国としては敗北者に終わるかもしれない。そのためには、新しい設備機械等の導入に当たっては、極端なことはできませんが、現在までの減価償却の年次について、それぞれの新しい分野にふさわしい設備に対する償却制度というものを添えてやらないと、背伸びし過ぎてかえってうまくいかない。いわゆる新しい時代の波に乗る、乗った場合にその荷を軽くしてやるということの配慮がないと、波に乗ろうとしない。乗ろうとしないとよその国が乗ってしまって、そして日本が気がついたときには、アメリカの例をとって悪いですが、ちょうど鉄鋼あるいは自動車のごとき状態に陥る可能性がここ四、五年の間には日本にも来るだろう。そういうことを考えますと、来年すぐにできるかどうかはわかりませんが、これからの日本の新しい設備更新に対する投資、それに対する償却制度はどのようにあるべきかは、当然ながら議論しなければならない一つ課題である、そう考えております。
  142. 長田武士

    ○長田委員 次に、来年度の税制改正で、中小企業におきますところの相続税の課税の問題、いわゆる中小企業の承継税制の問題でございますけれども、私はこれを積極的に推進した経緯がございまして、非常にいいことだと思っておるわけであります。  それで、今回の相続税の緩和によりまして中小企業にとってどの程度の効果があるかという点ですが、私も余り効果がないのかなという感じもするのでありますけれども、その点、通産大臣どうですか。
  143. 山中貞則

    山中国務大臣 これは本来は相続の話から来た話でございまして、中小企業者が何人死ぬのかなというような予測が立てにくいと同じように、生前にこのような相続の際の評価というもの等が配慮された、そのことによって後継者に早く代がわりできるかどうか、これは個々の企業主が個々の業種に応じてケース・バイ・ケースで判断していきますので、これをやって効果があったかなかったかは早くて一年後、そして手直しをするに一年後というわけにもいきませんが、その効果があったかなかったかは、やはり三年ぐらい見きわめなければならぬと思うのです。  ただ、その手段として、いままでやっておりました株の評価と事業用資産に重点を置いた減額の特例、これがすべてかということになりますと、現在のところはこれで大体実際の実態はカバーしているというふうに私は見ています。というのは、実際に相続税が高くて困って相続ができないというケースを国税庁が克明に悉皆調査をいたしたのを見ますと、代がわりの心配はあっても、実際上の負担によって承継できなかったという例はきわめて少ないことがわかりました。しかし、それは現時点における調査でありますから、やはり税というものは、後追いもありますが先取りもしなくてはならぬ。この問題は、敗戦後三十八年たってもう余り時間がない問題ということで、今回は踏み切ったわけでございます。この効果を見きわめて、そしてまた新しい日本中小企業の生まれ変わりというようなものにこれでは役に立たないかなと思ったら考えてみてもいいと思っておりますが、いまのところはおおむねカバーし切った、そういうふうに見ております。
  144. 長田武士

    ○長田委員 次は、中小企業の金融問題でありますけれども、緩和の方向で行っておるとは思いますが、現在、依然として金利負担が重くのしかかっていることも事実であります。そういう意味で、ことしの一月の末には公定歩合も下がるなどという話が最近ありましたけれども、海外の金融情勢がどうも金利が下がる方向にはないというようなことで、踏みとどまったという経緯があります。所管が違いますけれども、私は、公定歩合の環境としては下げられる時期に来ているのではないかという感じがしますが、通産大臣どうですか。
  145. 山中貞則

    山中国務大臣 私が通産大臣になって、ここまで出かかっていて言えなかったという一つは公共投資、一つは公定歩合でございました。でありますから、願望としては、当然日本産業の活力は公定歩合の引き下げということが効くことの一つの大きな要素でありますし、あるいはまた実質成長率三・四の内容にもそのことは押し上げ要素を持っておるというようなことを思っておりますが、しかし、この公定歩合の問題だけは、やはり日銀を主とした大蔵当局の判断にまつべきもので、解散の時期と公定歩合の時期は最後までうそをついてもいいという常識が笑い話になっておりますように、産業政策として望ましいのですけれども、しかし、それを私の方から言うことは、やはりその発言を経済閣僚の声として表に出しますと、私のような微力な者が言ったことでも、日銀の正当な判断の資料の中に一つ不純な配慮を要するようなことがもしありましたらいけない。ましてや大蔵当局に近い立場にありました私としては、悩ましてはいけないということで遠慮いたしております。
  146. 長田武士

    ○長田委員 次に、減税問題につきまして、通産大臣は大蔵委員会の小委員長をやっておりましたけれども、最近減税は五十八年後半というような話も新聞紙上をにぎわしております。個人消費を喚起するためには、やはり減税が大きなポイントであろうかという感じが私はいたしております。やはり経済は心理的な効果と申しますか、そういう要素が非常に多いのですね。設備投資も非常に行き詰まっておりますし、どちらかというと先行き見通し経済の先行きという不安がどうしてもつきまといます。そうなりますと、設備投資も控えるということになりまして、やはりそのポイントは個人消費であろうという感じがいたしております。  実質経済成長率三・四%、これを達成するためには個人消費の部分が非常に大きなウエートを占めております。これについて、私はどうしても減税は景気対策の上でも絶対やるべきだというふうに考えておりますが、この点、お差し支えなかったら御答弁をいただきたいと思います。
  147. 山中貞則

    山中国務大臣 百貨店の売り上げ等を見ましても、最近年末から期待を裏切って、どうも思わしくない。その現象は末端における製造業じゃなくて、一般商店街というところに消費不況の波がもろに広がっていっている。立場は若干違いますが、私たちは自由主義経済というものを基礎にしておりますので、自由主義経済の根底は何かと言えば、それは商店街である、中小企業の中のまた商店街でもある。商店街が倒産を始めたときに自由主義経済は倒産の第一歩、いわゆる崩壊の第一歩をたどるのだ、私はそういうことも考えております。  でありますから、消費が末端で、小さな村の役場のそばに商店街の通りが一つあるというようなところも、やはり底辺を構成する貴重な存在の人たちである。その人たちのことを考えますと、やはり消費性向というものを高めるための一番の決め手は、ふところぐあいを少しでも、気分的にでもよくなったな、じゃ買いかえに行くかとか、かねて買いたいと思っていた物を買うかなという、その気になるだけでずっと違ってくる。いまは買い控えた方がいい、あるいは買いかえもがまんしよう、そういう心理にのめり込んで、暗い方面に行っている心理があると思うのですね。  ですから、これは私の願望としてですけれども、あした回答があるのですが、減税についての回答が、与野党の間で妥結するかどうかは別として、ある寸前だそうでありますから、それが妥結してくれることは通産行政として大変ありがたいし、それを望ましく思っているということをお答えにしたいと思います。
  148. 長田武士

    ○長田委員 それでは最後に、経企庁長官物価問題等特別委員会でまたやるつもりでいますけれども、実質成長三・四%、このうち内需を二・九%見ておりますね。そのうち個人消費が二・一%。そういう意味で、このような景気、個人消費が伸びない中で三・四%は達成する自信がございますか。いままで経企庁のこの見通しというのは、去年なんか二回変えたのです。それまでは経企庁長官、絶対やります、絶対やりますと言って、天気予報よりまだ不確実であるということを言われておりますから、しかとひとつ……。
  149. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 いま長田委員指摘のように、成長率三・四%の内訳は、内需が二・八%であり、外需が〇・六%でございます。そのうちの民間最終消費支出は三・九%の伸びを見ているところでございます。  そこで、減税その他の施策なくしてなぜ伸びるかというような御質問でございましたが、まず第一に、これはもう御案内のように、消費者物価が非常に安定してまいりました。三%程度見ておりました消費者物価も、五十七年度は恐らく二・七%程度にとどまるであろう、こんなふうに見ておること。五十八年度は、野菜の暴落がことしほどないと見まして三・三%でございますが、この消費者物価の持続的な安定が実質消費の拡大をもたらすのが第一点でございます。  第二点は、最近の統計を見ておりましても、名目所得はもちろんでございますが、実質消費支出はやはり堅実なる伸びがいまの消費者物価の安定とあわせて見られて、まずまず三・九%の消費支出は可能である。これがGNPのと申しますか、国民総支出の六〇%程度を占めておりますので、いま申しましたように、それが三・九%を前提といたしますれば三・四%の経済成長率は達成可能、こういうふうに見ているのでございます。
  150. 長田武士

    ○長田委員 終わります。
  151. 登坂重次郎

    登坂委員長 渡辺貢君。
  152. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 通産大臣にお尋ねをいたしたいと思うのですけれども、最近の世論調査ではいろいろの特徴的な傾向が出ているわけですが、一番最近のものでは、中曽根内閣に対する支持率が大変低下をしている。その前に、これは注目する世論調査だと思うのですけれども、読売新聞で、これからの国民生活はどうなるだろうか、そういう問いかけ、設問に対して、九〇%の方々は、よくなる見込みはないのではないかというふうに答えておるわけなんですね。ですから、国会における不沈空母であるとか、あるいは日米運命共同体、あるいは五十八年度政府予算原案で軍事費が突出をしている、そういうタカ派的な性格だけではなくて、現実に国民生活にとっても国民の皆さんが大変危機感を持っていると思うのです。九〇%ということですから、これは勤労者だけじゃなくて、主婦だけじゃなくて、個人事業主や中小企業者も含めてだというふうに私たちは考えております。そうなると、これからの経済運営、産業政策の問題でも、その辺をきちっと考えていかなければならないと思うのですね。  八〇年代の通産政策ビジョン、「活識の時代」というふうな見出しもつけられているわけなんですが、しかし、この政策の基本というのは総合安保の中に位置づけられて、一方では軍事安保であり、そしてもう一つ経済安保なんですね。政経不可分ということがありますけれども、むしろ今日の日本経済政策というのは、こうした軍事安保に従属をしているというふうな印象が非常に強いわけであります。それだけに、もろにその影響を受ける中小企業者などの苦境というのが大変深刻だというふうに考えております。  去る予算委員会の総括質問で私どもの不破委員長が、ことしは中小企業基本法施行二十周年だ、そういう立場から、日本経済の一番底辺を担っている中小企業に対してどういう政策が必要なのか。これは通産大臣所信表明の演説の中でも、「民間の活力」という言葉を使っています。どこに行っても、中小企業でも活力であり、大企業に行っても活力だ、やはり活力が出るような施策をしなければならぬ。通産大臣は、その不破委員質問に対して、予算の面における減少、これは表面的なものであって、金融政策あるいは税制というのは大変大きなインセンティブを持つ、こういうような御答弁をされておるわけなのでありますが、そういう角度から、金融政策の問題また民間の活力という点から、七〇年代後半、今日にかけて、さらに九〇年代を展望しながら、いわゆるマイクロエレクトロニクス化が非常に進行しているわけでありますが、その二つの点について質問をしたいと思います。  最初にお尋ねをしたいと思うのですけれども、政府系中小金融機関、中小企業金融公庫、国民金融公庫の目的、第一条はその中でどういう目的を規定しているのですか、御説明いただきたいと思います。
  153. 本郷英一

    本郷政府委員 中小企業金融公庫、国民金融公庫の事業目的でございますが、それぞれの法律に規定されておりますところによりますと、中小企業金融公庫につきましては、中小企業に必要な事業資金であって一般の金融機関からの融通が困難なものを融資するということになっております。国民金融公庫につきましては、同様でございますが、一般大衆に対してその必要とする資金を供給するということになっております。
  154. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 いま答弁がございましたように、一般の民間金融機関とは性格を異にしている。一般の金融機関から借りられない困難さを持っている場合にある意味ではカバーしていく、政策金融の性格を持っているわけなのですが、そういう金融機関の中で、たとえば保全重視扱いあるいは保全最優先に扱っていく、この保全重視扱いとか保全最優先という言葉が使われていると思うのですけれども、どういう意味を持っているのか、お尋ねをしたいと思います。
  155. 神谷和男

    ○神谷政府委員 政府系金融機関で保全最優先という言葉を使っておるということは、私、寡聞にしていままで聞いておりません。  ただ、もちろん中小企業向けの政府系金融機関でございますので、本来の設立趣旨にのっとった政策融資あるいは貸し付けを行うべきではございますけれども、金融機関であり、貸し付けるということでございますから、国民の貴重な資金を運用している以上、計画が妥当であるか、その業界ないし企業状況がどういうふうになっていくか、あるいはまさに企業活動が順調にいけば返済能力があるような貸し付けであるか、そういうものに関しては、責任のある政府金融機関として十分審査をし、十分の納得がいった上で貸し出しが行われるもの、このように考えております。
  156. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 いまの御答弁があったように、たとえば財投資金が充当されているということでありますから、その債権を保全するという意味では適正でなければいけないというのはわれわれも同感であります。ただ、そういう問題がややもするとかなり強調されてしまって、選別融資につながりかねないという危惧があるわけであります。  これは私が最近見たある資料であります。それは政府系金融機関の内部で回されていた資料なのですが、こういうタイトルが書いてあるのです。「自動車部品製造業の現状と融資上の留意事項」、これは内部の指導要綱みたいなものでしょうけれども、この中でたとえば「自動車メーカーによる協力工場の再編」ということで、「十分その再編に照応できるような企業でなければ債権の保全がむずかしいから、その点は留意しなければいけない」とか「今後の部品業界の動向を見きわめなければならない」。そして、たとえばトヨタなどではここ二、三年来、部品のコストを一五%から二〇%ぐらい下げているわけなのです。そうなれば当然企業内の努力でコストダウンを図っていく、できない場合にはどういうふうになるのかという問題が起きてくると思うのですけれども、現実には五十五年ぐらいからそういう傾向が出始めているわけなのです。さらに「個別対応」ということで、「融資の申し込みに際して親会社との関連を明確に把握しなければいけない」あるいは「その下請企業なりが中核企業となり得るのか」、そういう点を「十分勘案して融資をすべきである」、こんなことが書いてあるわけなのです。  いま私が危惧を持ちましたように、ややもするとそのことがオーバーになってしまう。ただでさえきつい中小企業に対して、しかも政策金融がいろいろ制約されるということは大変な事態だと思うわけであります。たとえば大企業が行っていくいまの部品のコストの低下、それがすぐに中小企業の経営にも影響するわけなのですが、人員を減らせ、そして省力化して全体としての企業の効率を高めろ、こういうものに対して、それが十分に行われているか行われていないかということを融資の基準にする、あるいは返済ができるかできないか、そういう前提条件をつけながら返済計画を立てさせるとか、そういうものはないと思うのですけれども、その点について中小企業庁としてどんなふうにお考えなのか、御答弁いただきたいと思うのです。
  157. 神谷和男

    ○神谷政府委員 いまお話のあったような事例が具体的にどのように進んでおったのか、私も承知いたしておりませんけれども、一般的に物を製造し販売する場合には、主として政府系金融機関の場合は設備資金ないし長期的資金でございますから、それらの生産計画並びに販売計画が妥当であり、国民の資金を有効に活用し得るような計画であり、それに基づく、あるいはそれをサポートするための融資であるかどうかというのは、慎重に審査をすることになろうかと思います。  それが、もし下請企業であり親企業との関連があった場合には販路は親企業、こういうことになりますので、親企業からの注文がどのようになっており、それに対して下請企業がどのように対応していこうとするのかという点についてのヒヤリングないしは審査は行うものと思います。ただ、親企業下請企業との関係一つの取引関係でございますから、これに関して、親企業のサイドに立って政府系金融機関が云々する、そのようなスタンドポイントから物を見て云々することはあり得ないことだと私は信じております。むしろ、客観的に全体のその業界の動向がどのようになっており、その業界における親関係、子関係がどのような方向に進みつつあるかという情報は、審査部門にあるものとしては調査部門等から十分聴取し、頭に入れた上で、先ほど申し上げましたような観点に立って客観的に判断し、その上にさらに政策金融であるという判断を踏まえた上で融資の決定、あるいは場合によったらその計画に関しての再考を促す、このようなことになるのではないかと考えております。
  158. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 いま神谷長官から答弁がございましたけれども、ぜひそういう点を十分配慮して進めていただきたいと思うわけであります。  大蔵省来ていらっしゃると思うのですけれども、ちょっと御説明をいただきたいと思うのですが、日本輸出入銀行と開銀それから国民金融公庫、この三行について、設立年度とそれから設立時の資本金、これは政府出資の資本金ですけれども、それから現在の資本金、それから四番目が現在の貸付件数と貸し付けの残高、この点について御説明をいただきたいと思います。
  159. 松田篤之

    ○松田説明員 お答えをいたします。  まず、出資金の現在と設立時でございますが、日本輸出入銀行は昭和二十五年に設立をされておりまして、設立当初、出資金が二十五億でございました。五十七年三月末現在でございますが、出資金は九千五百二十三億円でございます。それから日本開発銀行は昭和二十六年の設立でございますが、設立時におきます資本金が百億円、五十七年三月末におきます資本金が二千三百四十億円でございます。それから国民公庫でございますが、昭和二十四年の設立でございまして、設立当時の資本金が十三億円、五十七年三月末の資本金が二百四十億円でございます。  それから、さらに貸付件数と貸付残高について御質問がありましたのでお答えいたしますが、日本輸出入銀行の貸出件数はおよそ四千九百件でございまして、貸付残高が五兆五千五百億円程度でございます。これは五十七年三月末の数字でございます。それから、同じく日本開発銀行の貸付件数が九千三百件、貸付残高がおよそ五兆九千億円でございます。それから、国民金融公庫でございますが、同じく貸付件数が二百七十一万件でございまして、貸付残高は四兆四千億円程度でございます。  以上でございます。
  160. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 中小企業庁、ちょっと同じようなことで説明をしていただきたいと思うのです。
  161. 神谷和男

    ○神谷政府委員 私どもの方では、中小企業金融公庫、国民金融公庫並びに商工組合中央金庫の数字に関して、これだけが所管ないし関連機関でございますので、御説明をさしていただきます。  設立時昭和二十八年、中小企業金融公庫の資本金百三十億円でスタートをいたしておりまして、五十七年見込みで三百十二億円。貸付残高、五十六年の数字でございますが、四兆九千七百十三億円。国民金融公庫に関しましては、五十七年の見込みで資本金二百六十億円、当初は十三億円からスタートをいたしております。四兆四千百二十六億円の貸付残高。商工組合中央金庫につきましては、政府出資、五十七年の現在までの累計が千六十九億円、民間出資が四百五十八億円、合わせて千五百二十七億円でございます。当初は、政府出資五億、民間出資五億でスタートをいたしております。貸付残高は五兆七千八百九億円。  このような数字になっておると了解しております。
  162. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 いま御説明があったわけなんですけれども、この数字の中で私も感じるわけなんですが、たとえば日本開発銀行と輸銀、設立時の資本金は百二十五億円、現在は約一兆二千億円ぐらいに上っているわけです。当時と比べると百倍になるわけですか。一方、中金はちょっと性格が違うと思うのですけれども、この数字によりますと、国民金融公庫と中小企業金融公庫を見た場合に、設立時は政府出資はほぼ同じぐらいだったと思うのです。ところが、現在約五百五十億円。設立当時は政府の出資はほぼ同じだというのが、現在になりますとほぼ二十対一ぐらいというふうに、開銀、輸銀とそして中小企業金融公庫、国民金融公庫の政府の出資の比率にこんなに大きな差が出てきている。  つまり、このことは、政策金融を行うというわけでありますが、基準金利を見ても、中小企業関係、ほぼ八・二%ですね。特利は一〇%前後というふうに言われているわけなんです。開銀、輸銀は標準金利が八・四%前後、しかし特利の比重というのは非常に高いと聞いております。そういう点からいきまして、果たしてこういう実態から見て中小企業に対する政策金融が十分なのか。  最近の経企庁の発表によりましても、大企業設備投資は比較的まだまだ何とか堅調――堅調でもないでしょうけれども、やられている。その要因の中に、大企業の場合にはほぼ自己資金がある、あるいは金融面でもかなりカバーされている。ところが中小企業の場合には、自己資金がほとんどなくて設備投資をしなければいけない、こういう不況の時期にはそれがなかなか困難だということなんですが、金利問題というのは中小企業にとってある意味では死活問題の一つだと言えると思うわけです。そういう意味で、思い切ってこの政策金融、中小企業に対する政府系金融機関に対して出資をふやして、そして公定歩合は下がらなくても低金利で活力を与えるような方向が必要ではないだろうかと考えるわけですが、その点について山中通産大臣の御見解を承りたいと思います。
  163. 山中貞則

    山中国務大臣 金利の問題は確かにそのとおりでございましょうが、当初予定しておりました一月からの〇・一%の金利の引き下げは、環境が、先行きどうもプライムレートその他の見通しもやや下がる方向にあると見る、したがって予算上引き上げをしないで、そのままでいってほしいという私どもの要請に対して、大蔵省側も、ちょっと例のないことですけれども、一月になればわかることということで据え置いたのがちょうどぴったり当たりまして、これはいい方に当たったのです。  そういうことはありますが、全体としてやはり金利は中小企業の性格上低く、なるべく据え置き、返済も長い方がいい、これは運転資金もあったりしますから全部がそうとは言えませんが。しかし、一方において、大企業等には考えられない無担保無保証というような制度もすでになじんでおりますし、またそれがひどく償還その他が不健全であるということもなく、よく回転しておると申しますか、よく利用されておると申しますか、そういう意味では、中小企業に対する金融上の配慮の一端は御理解をいただけるものと思います。
  164. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 そういう御説もあろうかと思うのですけれども、現実には政府出資の比重というものがどれほど金利の低下の上でも一定の要因になるか。  というのは、たとえば開銀の場合を見ましても、原発に対する特利が大体七・八%ぐらい、先端技術については、通産省も力を入れてかなり機情法に基づく高度化計画を進めておりますけれども、ほぼ特利で七・三%。ですから、表向きの標準金利よりもそういう特利が非常に多いというのが、いただいた資料の中でもはっきりしているわけでありまして、それはマル経資金、約五千億前後でございましょうけれども、ちょっと設備投資などしますと、とてもそれでは間に合わない。ロボット、NC工作機械などを入れても、大体一千五百万から二千万前後でありますから、そういう点から見ましても、実力のある大臣として、この点についてこれから十分ひとつ努力をして、中小企業活性化一つの要因をつくっていただきたいというふうに思いますが、一言。
  165. 山中貞則

    山中国務大臣 御趣旨もよくわかりますし、また中小企業庁通産省の中では一生懸命その点について努力をいたしておりますし、今回の、単に金融面だけとればそういうこともありましょうが、中小企業庁全体としての予算の中身、税も含めての中身は、私から見ても合格点を与えてやってもいいなと思うほど、よくやりました。しかし、今後どういう方向に行くべきかは、それは当然方向はわかっているわけでありますが、金利の仕組みというのは横並びで、非常に微妙な問題がございますので、八月の今度は私自身が予算要求をする予算の中では、どこまでそれに取り組んで結論を出せるか、御趣旨も踏まえて勉強してみます。
  166. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 大臣は退席されるということで、ロボットの問題を少しお聞きをしようと思ったのですが、それでは進めていきたいと思います。  マイクロエレクトロニクス化ということで、七〇年代の半ばぐらいから、ロボットなど先端産業の発展が急角度で進んでいるわけなんですが、最近の三菱銀行の調査などによりましても、一九六八年、十何年前には、ロボットといわれるNC工作機械は約二百台だというふうに言われていたわけでありますが、一九八一年には二万四千台というふうに言われておりまして、その総生産額も千二百億円、さらに一九九〇年代になると一兆円産業だと、こういうふうに言われているわけなんですね。これは電機関係の大企業などでも、半導体、ICも最近では三二から六四、一二八、二五六などという高性能のICがつくられているわけなんですけれども、そういうものとあわせて大変発展をしている産業だというふうに言えると思うのです。しかし、これは民間の努力もあると思うのですが、政府としても、機情法に基づくロボット高度化計画というのが推進をされているというふうに考えるわけなんです。  現在、一番新しいこの機情法に基づく高度化計画について、昭和五十四年か五年だと思うのですけれども、どういう高度化計画、ロボット計画が進められているか、その点について御説明いただきたいと思います。
  167. 志賀学

    ○志賀政府委員 お答え申し上げます。  日本におきましてロボットが生産され始めたのは、大体昭和四十三年ごろからでございます。その後急速に生産が伸びてまいりまして、昭和五十六年の生産規模は大体一千億程度というふうに私どもは承知をいたしております。  それで、先生からお話がございましたように、通産省としても、産業用ロボットの振興のためにいろいろやってきているのではないか、こういうことでございますけれども、御指摘のように、この機情法、特定機械情報産業振興臨時措置法に基づきまして、その振興に努めてまいっているところでございます。  一口にやや大ざっぱに申し上げますと、技術的な成熟度に応じまして、試験研究促進機種、それから工業化促進機種、それから合理化促進機種、この三つのタイプに分けまして産業用ロボットこつきましても高度化計画をつくり、振興を図ってまいっております。現在の高度化計画は、昭和五十三年の十二月に告示をいたしておりまして、目標年度といたしましては五十九年度を目標としているわけでございます。  その試験研究促進機種と申しますのは、まだ生産技術がはっきり確立していない、そういう機種を選びましてそれの試験研究を促進するために高度化計画をつくっているわけでございます。これに該当いたします産業用ロボットと申しますのは、特殊環境用のロボットと高性能の知能ロボット、こういったものが試験研究促進機種として指定されております産業用ロボットでございます。こういった試験研究促進機種に相当いたしますロボットにつきましては試験研究の促進を図るべしということで、五十九年度までに大体このくらいの試験研究費が要るであろう、こういったような金額も挙げまして、試験研究の促進を図っているわけでございます。  それから、その次の工業化促進機種と申しますものに該当いたしますのは、この試験研究促進機種には該当しない知能ロボットと、それからある程度高級な産業用ロボット、知能ロボット以外の産業用ロボット、これを取り上げておりまして、これは工業生産がまだ開始していないか、あるいは十分な工業生産に達していない、そういう機種を取り上げているわけでございまして、この工業化促進機種に該当するものにつきましては、昭和五十九年度までにこの程度の工業生産額に達すべきである、こういう目標を掲げまして、それにはどういう設備が必要かというようなことを掲げて、その促進を図っているわけでございます。  それから三番目のタイプといたしまして、これは相当程度すでに工業化が行われている、ただその合理化をやっていくことが必要だというタイプの機種でございまして、ただいま申し上げました一番目、二番目のタイプに該当しないような産業用ロボットで一定の条件を満たすもの、それを取り上げて、五十九年度までにこれこれの性能を達成すべきである、こういう高度化計画をつくりましてその振興に努めている、こういうことでございます。
  168. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 いま御説明が大分ありましたけれども、いずれにいたしましても、昭和四十六年度以降、通産省としてもさまざまな高度化計画合理化計画を立てながら産業用ロボットの開発あるいは最近の、いま御説明があった特殊環境用ロボットなど、直径百ミリの鉛管の中で作動して、このくらいの小さなロボットなんでしょうけれども、その鉛管の中の瑕疵の部分をすぐキャッチして、そしてそれが直せるという、そういう高度のものまで研究をしているということなんですが、確かにこういう開発や研究、そしてその促進、さらに普及ですね、普及の面では日本ロボットリース株式会社ですか、これが通産省の肝いりで発足を見て、開発普及には相当力が入れられ、日本リースから購入をしているというのが中小企業のほぼ九〇%前後だというふうに聞いているわけなんです。  ところが、せっかくロボットあるいはマイコン機器などを導入した場合に、それが中小企業の中で十分に機能しない、こなせないということが起きてきていると思うのですね。中小企業白書においても、機器の導入競争の結果、かえって中小企業の経営環境を逆に悪化させている。それはもちろん、プラスのメリットの面もあるということでありますけれども、導入した結果、この二つの傾向があらわれてきている。あるいは東京商工会議所の去年の六月くらいの調査結果によりましても、調査対象になった半分くらいの方々が足踏みをする。つまり、受注がこれ以上拡大できるのか、あるいはロボットを入れれば二十四時間の生産体制がとれるのかと思ったならば、逆にユーザーの方からは、ジャスト・イン・タイム方式であるとかあるいはかんばん方式で、単品の緊急な数量を限定された生産だということでロボットの機能が十分に発揮されない。逆に製品単価を抑えられてしまうということで、ロボット貧乏であるとか機械貧乏であるとか、ロボットの先端地域であったと言われている浜松などは大分倒産が多いということでありますし、あるいは神奈川などで大企業下請をやっているそうした中小企業の中でも、そういう傾向が顕著に見られてきているというふうに言われているわけですが、これは中小企業事業団の経済研究所でもほぼ同じようなそうした調査が明らかにされているわけです。東京商工会議所でも共通したような調査の結果があらわれているわけなんですが、この点について、特に中小企業の経営の側面から見てどうなのかという点についての御認識をお尋ねしたいと思います。
  169. 志賀学

    ○志賀政府委員 お答え申し上げます。  中小企業の場合に、熟練労働が不足しがちである、あるいは労働環境が悪いといった傾向がございます。そういったような中小企業の弱点を直していく、補っていくという面から申しますと、産業用ロボットの導入というのは大変効果があるというふうに思っております。いずれにいたしましても、産業用ロボットという新しい技術の成果を、中小企業にも十分その恩恵を与えていくということは私ども大変必要なことだというふうに思っておりまして、そういう観点から中小企業向けの産業用ロボットの導入促進のためにいろいろな対策をやっているわけでございます。  ただ、その場合に、ただいま先生からお話ございましたけれども、中小企業がせっかく導入してもなかなかそのロボットを使いこなせない場合というのがあるのではないか。これは一つ指摘ございましたけれども、そういった問題につきましては、メーカーとしても、産業用ロボットの使い方についてのマニュアル、そういったものを当然十分あれすることが必要であろうと思いますし、また、先生案内のように、中小企業庁の方でいろいろな指導制度がございます。そういったいろいろな指導制度とタイアップしながら、そういうことがないように、中小企業がせっかく導入をした産業用ロボットを十分使いこなしていけるような形に持っていくことが必要ではないかと存じます。  もう一つ先生おっしゃいました、せっかく導入したけれどもその後なかなか思うように仕事が来ないとか、原価の引き下げの要求があるとか云々、こういうお話がございました。これは何もロボットに限ることではなくて、一般的に中小企業合理化投資をやる、それについていろいろと困難な問題が起こってくる、中小企業がよく逢着する問題の一つのケースではないかというふうに存じますが、こういった点につきましては、中小企業庁の方におきましていろいろと必要な対応をとっておられるというふうに私は存じております。
  170. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 ちょっと時間がありませんので、渡辺政務次官、ひとついまのロボットの問題との関連でございますけれども、やはり中小企業にとりましては大変重大な問題で、せっかく努力をしてその努力が十分に報いられないというような結果が出たのでは、通産省が旗振りをし、そして開発や普及に力を入れても、その効果があらわれないということでは困ると思うのです。  そういう点を踏まえながらもう一つ。これは昭和五十年の産業技術審議会のテクノロジーアセスメント推進の中間報告が出ているわけなんですね。これは二つの面が私はあると思うのですけれども、一つは、いま言ったようなことが起きないように十分配慮する必要がある。環境の保全であるとか、あるいはメンテナンス技術の改善であるとか、そういう側面と同時に、こういう点が強調されているのですね。テクノロジーアセスメントの概念という点から、人類の福祉に寄与するものとして技術をとらえる、こういう立場が必要だし、技術を真に人類社会にとって望ましい方向に導くための措置を伴う技術の誘導というふうな点が強調されているわけなんです。つまり、ロボットの導入によって人間が疎外されてしまう、あるいはロボットに従属をするような人間の労働ですね。そして、せっかく知識集約型という高度に発達した技術開発しながら、人間がその技術に従属して、逆に人間の生態を狂わしてしまう、こういうおそれがあるということが昭和五十年の産業技術審議会テクノロジー・アセスメント部会での中間報告なんです。  そういう点からすると、経済問題は御答弁がありましたからいまはおきまして、いま開発だ、普及だ、しかしこういういわゆるアセスメントの立場から、人間とこういう高度に発達した技術との関係などは、十分これから開発指導を進めていく場合に留意しなければならない問題だ。これは、せっかく中間報告が出ているのですけれども、ほとんどその後生かされていないわけなんです。これから九〇年代にはロボットだけでも一兆円、あるいはエレクトロニクス全体の産業分野では単年度で約三十兆円の市場だと言われているし、そのために八〇年代ほぼ五十兆円ぐらいの投資が必要だ。こういう大変大きな産業分野なんですけれども、そういう点を十分配慮する必要があるのではないか。通産省としてもこういうものを受けて、きちっとしたいわゆる技術アセスメントの問題なども今後の開発と並行して進めていく必要があるというふうに考えますので、この点だけひとつ御見解を承りたいと思います。
  171. 渡辺秀央

    渡辺(秀)政府委員 渡辺委員の御指摘のとおり、いわゆるロボットに対する産業技術審議会の中間報告、向坊会長のもとにおいて出されておりますことは、いまの御指摘の点では全く同じように認識をいたしております。ただ、通産省としましては、産業用ロボットが生産性の向上、貢献だけではなくて、やはり労働災害の防止や職業病の発生防止、単純繰り返し作業からの解放など、労働福祉対策に大きく貢献することから導入の促進を図っているというこの基本的な考え方は、これからもぜひ堅持していきたいというふうに思います。  今日では、ロボット産業動向調査委員会というのを機械情報産業局長の私的諮問機関として設置いたしまして、そこで十分に検討いたしまして、いま渡辺委員が御指摘されたような事態にならないように、むしろ産業用に、あるいは労働者の福祉の面においてもきわめて貢献度を高く発揮できるような、そういう体制に指導し、かつ持っていきたい、こんなふうに考えておりますので、御了解をいただきたいと思います。
  172. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 それでは、ひとつそういう点を十分に留意をしていただきたいと思うのです。  時間がなくなって大変申しわけないのですが、経済企画庁長官に二、三御質問いたしたいと思います。  経済見通しで実質成長率三・四%、前年度五十七年度下方修正して三・一%、五十五年度以降ずっと下がってきて、最下限が五十七年度三・一%ですね。これもいろいろ意見があって、いや三%台ではなくて二・七、八%ではないか、こういうふうな意見もありますが、これはさておきまして、五十八年度三・四%、内需の拡大を基調にということでありますが、特にその中で政府がとり得る政策ですね。たとえば民間の賃上げ、五十七年度千人以上の規模の大企業の場合には、ほぼ七%くらいの水準の給与の引き上げがありました。三百人前後ですと六・七、八%前後なんです。ところが、いま日経連など、春闘に入ってくる中で、いやゼロベースであるとかあるいは定昇二%である。これは人勧の凍結に横並びしているのではないかというふうに思うのですが、そういうふうに民間の賃金が抑えられていくということになると、これも大きく消費に影響がある。あるいはこれから人勧の凍結やあるいは恩給、年金の横並びの凍結でありますから、これは政府がとった施策として影響が起きてこざるを得ない。  つまり、五十七年度と五十八年度の政府予算、五十八年の原案でありますけれども、この中で公共事業はゼロですね。中小企業対策費の場合に、これは政策的な行政経費だと言うけれども、これもマイナス二・九%。こういうものがやはり中小企業業者の中にも心理的なマイナス、負のイメージを与えている。あるいは社会保障関係も、五十七年度の伸びは二・八%でありましたけれども、五十八年度は〇・六%。文教関係の場合には、五十七年度が二・六%、五十八年度は逆にマイナス〇・九%なんですね。つまり、政府が内需を拡大していくと言っていながら、実際は政府の予算、最も政策的にぴしっと押し出していかなければならない予算の上でこういう結果になっている。こうなると、全体としては三・四%はきついのではないかという点が一つですね。  それからもう一点は、これは減税の問題でありますけれども、実質可処分所得がマイナスという実態であります。これは昭和五十三年から課税最低限が据え置き、そして税率表に基づくいわゆる累進性の構造から見ますと、これは五十年からずっと税率表はそのままでありますから、そういう点からいっても租税負担、この負担感というのは大変中小業者の中では重いと思うのですが、その二点ですね。  やはり政府がとるべき施策をとらなければならない。もう一つは減税の問題ですね。どうしても三・四%、単に実質成長率を三・四%にしなければいけないという単純なことではなくて、やはり経済の運営や見通しという問題は、国民生活をどういうふうに安定させていくか、ここに政府のとる基本的な姿勢があるんじゃないか、一般的な民間と違うそういう性格を持っているというふうに思いますので、その辺について長官の御見解を承りたいと思います。
  173. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 いま渡辺委員指摘のように、確かに政府がみずからの手で、しかも予算増加という形で成長を促進する手段は大変制約されてきて、いまおっしゃるように、三・四%の成長も渡辺委員お話では危ないではないか、こんなような御質問になったと思うのでございます。  先ほど来たびたび申し上げましたが、これまでの日本経済成長の大きな成功は、言うまでもなくケインズ流の有効需要拡大のための財政政策であり、またそれを補完するものとして金融政策であったと思うのでございます。しかしながら、昭和五十三年、五十四年の例のドイツと並んでの機関車論から日本の財政がだんだんと窮屈になってまいって、むしろいま本当に危機に瀕しておる。そのために、いま申された社会保障にしてしかり、公共事業にしてしかり、さらに文教にしてはマイナスだというようなことになっているわけでございます。  何にもしてないじゃないか、まさしく経済企画庁長官よく無能を言われるような気がして大変残念でございますけれども、私は、この中でやはり日本は三%程度の成長は図っていかなければならないし、また潜在成長力についても確たる数字を持っておるわけではありませんけれども、外国がたとえば一%ぐらいのときにはこちらは三%、あるいは外国が三%のときにはこちらが五%というような過去の実績から見ても、私は、三%ぐらいは確実であると考えているところでございます。いまおっしゃったように、所得税減税、五十三年から減税が行われていないがために、サラリーマンを中心としてフラストレーションと申しますか、いらいらがある、そういった観点からいま大変政治問題になっていると私どもも思うのでございます。しかし一方、鈴木内閣が政治生命をかけるほどの財政再建、赤字公債を減らしていく、なくするということの問題も大きなまた価値のある政治目標でございます。私は、この間の調整を図りながら所得税減税は、景気対策という意味じゃありません、景気対策は財源を増税に持っていけばこれは全く沸騰してしまうわけでございますから、やはり一つの政治問題、サラリーマンのフラストレーション解消の大きな心理の意味からも、財源を探してでもやるべきである、こんなふうに思っているわけでございます。それはいま与野党が話し合っていられるところでございますので、私はそれに対して関心を持っているところでございます。このようなことも含めて、ひとつぜひとも三・四%の成長が達成できますように御鞭撻をお願いしたいと思います。
  174. 渡辺貢

    渡辺(貢)委員 最後にそれでは一言、特に経済見通し経済運営ということになりますと、冒頭にもちょっと触れましたように、ややもすると軍拡路線というのが強くなって、押しつぶされてしまう。しかし、政府の予算を編成していく上でも、そういう経済見通し経済運営というのは基本になると思うのです。そういう意味でもひとつ大いに長官、がんばっていただきたいと思いますし、私ども昨日、昭和五十八年度予算案についての組み替え案を発表いたしておりますが、その中では所得税の一兆円の減税。住民税、地方税ですね、四千億円。合計一兆四千億円の減税。さらに福祉、教育、人勧の問題など、これを実施するとほぼ二兆四千億円になるのではないか。また赤字国債の発行額を七千億円減額するというふうな立場から、財源の問題についても思い切って、二兆七千五百四十二億円という軍事費、正面整備ですね、これは戦車や飛行機やミサイルで景気がよくなるわけがありませんから、これを思い切って一兆一千億円削減する。あるいは不急不要の経費などを一兆一千億円。これは補助金など思い切ってメスを入れて削る。あるいは不公平税制の是正ですね、去年の九月期決算、大企業百二十社見ると、内部留保総計十八兆九千億円というふうにも言われております。法人税本法を含めて租税特別措置法などまだ見直しが可能ではないかということで一兆九千億円の増収が可能だ。こういうふうな組み替えを提起いたしておりますので、ぜひ受けとめていただきまして、積極的なひとつ御努力を、イメージチェンジを図っていただきたいということを要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  175. 登坂重次郎

    登坂委員長 次回は、明二十三日午前十時四十五分理事会、午前十一時委員会を開会することといたし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時散会