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1983-03-25 第98回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月二十五日(金曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 松永  光君    理事 鴨田利太郎君 理事 住  栄作君    理事 竹中 修一君 理事 村岡 兼造君    理事 小野 信一君 理事 木間  章君    理事 薮仲 義彦君       池田 行彦君    金丸  信君       唐沢俊二郎君    木村 守男君       桜井  新君    東家 嘉幸君       野上  徹君    羽田野忠文君       中村  茂君    山花 貞夫君       部谷 孝之君    瀬崎 博義君       中島 武敏君    甘利  正君       菅  直人君  出席国務大臣         建 設 大 臣 内海 英男君  出席政府委員         建設大臣官房長 豊蔵  一君         建設省住宅局長 松谷蒼一郎君         建設省住宅局参         事官      吉沢 奎介君  委員外出席者         参  考  人         (東京工業大学         工学部教授)  石原 舜介君         参  考  人         (読売新聞論説         委員)     本吉 庸浩君         参  考  人         (全国公団住宅         自治会協議会代         表幹事)    工藤 芳郎君         参  考  人         (住宅都市整         備公団総裁)  志村 清一君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  救仁郷 斉君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  武田 晋治君         建設委員会調査         室長      升本 達夫君     ───────────── 委員の異動 三月二十三日  辞任         補欠選任   桜井  新君     渡辺 栄一君  羽田野忠文君     稻村佐四郎君   中村  茂君     武藤 山治君 同日  辞任         補欠選任  稻村佐四郎君     羽田野忠文君   渡辺 栄一君     桜井  新君   武藤 山治君     中村  茂君 同月二十四日  辞任         補欠選任   中村  茂君     山口 鶴男君 同日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     中村  茂君 同月二十五日  辞任         補欠選任   井上 普方君     山花 貞夫君   近藤  豊君     部谷 孝之君   甘利  正君     菅  直人君 同日  辞任         補欠選任   山花 貞夫君     井上 普方君   部谷 孝之君     近藤  豊君   菅  直人君     甘利  正君     ───────────── 本日の会議に付した案件  建築士法及び建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出第四一号)  住宅に関する件(住宅都市整備公団家賃変更申請に関する問題)      ────◇─────
  2. 松永光

    松永委員長 これより会議を開きます。  住宅に関する件について調査を進めます。  去る十八日、建設大臣に提出されました住宅都市整備公団家賃変更申請内容等につきまして、建設大臣の説明を求めます。内海建設大臣
  3. 内海英男

    内海国務大臣 昭和五十八年三月十八日付で住宅都市整備公団から提出されました賃貸住宅家賃等変更についての承認申請概要は、次のとおりであります。  第一に、家賃変更する理由としまして、昭和五十三年度の家賃変更からすでに相当期間を経過し、また昭和五十三年度の家賃変更に当たっては、激変緩和に配慮したこともあって、変更後の家賃はいまだに低い水準にあり、賃貸住宅相互間における家賃に不均衡が生じているため、この不均衡を是正することとしております。  第二に、家賃変更対象とする住宅は、原則として、昭和三十一年度から昭和四十七年度までに管理開始された住宅、すなわち、前回昭和五十三年度の家賃変更対象となった住宅とし、家賃変更の実施時期は昭和五十八年九月一日としております。  第三に、変更家賃算定に当たっては、公営限度額方式に準じて算定した額と基準家賃との差額の二分の一を加えた額を基準とし、引き上げの限度額を、一居住室住宅にあっては八千円、二居住室住宅にあっては九千円、三居住室以上の住宅にあっては一万円としております。  この結果、平均約五千円、約二六%の家賃変更となります。  第四に、家賃変更に当たっては、生活保護世帯及び老人母子等生活困窮世帯については、昭和五十三年度の家賃変更の際に実施したと同様に家賃低減特別措置を講ずることとしております。  第五に、家賃変更による増収額は、維持管理経費及び家賃抑制に要する要用に充てるものとしております。  第六に、家賃変更に伴い、敷金変更家賃の三カ月分に相当する額に変更することとしております。  以上が、今回の申請概要であります。  建設省としては、本申請を受けて慎重に検討を行ってまいりたいと存じますが、本日の建設委員会におきましても、本件について十分御意見を拝聴させていただきたいと考えております。
  4. 松永光

    松永委員長 本日は、本件調査のため、参考人として石原舜介君、本吉庸浩君、工藤芳郎君に御出席を願っております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただくようお願い申し上げます。  まず、議事の順序といたしまして、初めに参考人各位から御意見をそれぞれ十分程度お願いすることとし、その後、委員からの質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  御意見の開陳は、石原参考人本吉参考人及び工藤参考人順序でお願いいたします。  それでは石原参考人にお願いをいたします。
  5. 石原舜介

    石原参考人 ただいま御紹介いただきました東京工業大学石原舜介でございます。私は、住宅都市整備公団基本問題懇談会家賃部会部会長をいたしております。  まず初めに、懇談会性格及び家賃部会運営について若干の報告をさせていただきます。続きまして、部会での討議の主要な意見について触れさせていただきたいと思っております。その後、今回提出されました家賃改定につきまして、私見を述べさせていただきたいと思います。  それでは懇談会性格でございますが、御承知のように、この懇談会総裁私的諮問機関でございまして、公団の抱えています基本問題につきまして、委員がそれぞれ私見を申し述べるもので、審議会のように委員意見を取りまとめて答申するような性格のものではなく、懇談会の席上で発言された委員意見公団参考にするというものであると理解しております。家賃部会運営におきましても、この性格の延長線上にありまして、公団で準備されました素案に対しまして、委員各位から意見を聞くという形で部会運営いたしました。  家賃改定は詳細な資料をもと検討をする必要がございますので、専門的分野の少数の方々十分意見を述べていただく必要があると考えまして、小委員会を設置いたしました。小委員長東京大学教授下総薫氏が担当されました。そこの小委員会で十分な意見交換し、原案をこれに基づいて公団側で修正されまして、その素案部会報告されたわけでございますが、部会ではこの原案に関しまして、個条的にそれぞれの項目について意見交換を行ったわけでございます。  一応の意見交換が終わりました後、これを懇談会に提出いたしまして、総括的な意見を聞くことになりました。本日参考人として出席しておられます全国公団住宅自治会協議会代表の方にも部会に参加していただくよう公団努力されたようですが、不幸にも参加がいただけませんでしたので、わずかな時間ではありましたが、代表幹事工藤芳郎さん、事務局長岡田隆郎さんのお二人に家賃改定についての御意見を申し述べていただいたわけでございますが、本当にわずかな時間でございましたので、十分とは言いませんが、一応そういう運びをしたということを申し添えておきます。  次に、部会におきまして出されました主な意見について、順不同でございますが、個条的に申し述べたいと思います。  第一に、基本的な家賃体系づくりをまず行うべきである。  第二に、公団住宅公的役割りはいかにあるべきか。  第三に、物価上昇が鎮静化している今日、再度家賃値上げを行うのはなぜか。  第四に、公団に対する利子補給も限界に来ているのではないか。そのため、新規家賃抑制に、いままで恩恵を受けていた居住者に若干の負担をしてもらうのは当然ではないか。  第五に、激変緩和は必要ではあるが、これが一定額であると、さき改定の際に、四DKと二DKとの家賃格差が縮小し、住民の反発があったことに注意してもらいたい。  第六に、内容が余りにも官僚的で、条文によってきめつけるような表現になっているが、居住者に理解しやすいトーンにすべきではないか。  そのほか多くの意見が出されましたが、省略させていただきます。  次に、今回提出されました家賃改定につきまして、私見を述べさせていただきます。  まず、今回の家賃改定に関しましては、私は賛成でございます。  その理由としては、第一に、公営限度額方式適用は現段階では最善の方策であると思います。第二に、物価等は鎮静化していますが、修繕費等考えますと、まだ不足が生じておりますので、どうしても家賃値上げが必要だと思います。第三に、激変緩和措置が適切であるということでございます。第四に、敷金の増額は家賃の一部未払いに対する補完機能でありますし、退出の際の補修一時負担金緩和措置として必要であると考えます。  それでは、以上四点につきまして若干詳細に意見を述べさせていただきます。  第一に、公営限度額方式適用でございますが、これは御承知のとおり、公営住宅法施行令並び施行規則で定められている方式であります。これは算定方式そのもの公団ばかりではなくて公営公社住宅にも適用されておりますし、この算定方式を根本的に見直すには、住宅政策基本からの検討が必要であり、早急に結論は得られないものと思います。ただ、この方式で問題になりますのは、償却費及び地代相当額であると思います。  償却費は、当初の金額を償還するものであるから、再評価とはなじまないという意見もあります。しかし、使用対価の面から見ますと、そのようにいたしますと、インフレによって得られます相対的利益居住者に全額享受させることになります。限度額方式は、再評価による使用対価上昇分の三分の一を負担してもらい、三分の二は居住者に還元する方式がとられております。住宅のように、償却期間の非常に長期を要する物件につきましては、一般に考えられております機械等の短期に償却いたします償却とは基本的に違いがあると私は思います。社会、経済的な変動がこの期間に起こることがどうしても避けられませんので、使用対価という視点を取り入れざるを得ないと思います。その意味で、私は再評価は避けられない問題であると思います。それをどの程度織り込むかということは、多少政治的判断にゆだねざるを得ないと思います。基本的には再評価方式を採用すべきであると考えます。  次に、地代相当額でありますが、これは土地の固定資産税評価額によって算定されております。交通や公共施設整備等によりまして地価が上昇し、またインフレその他によって上昇していることは御承知のとおりでございます。この利益を全面的に居住者に享受さすべきか否かについて意見の分かれるところであると思います。公営限度額方式は、時価の約四分の一程度固定資産税評価額基礎として算定しております。公的資金の援助によって建設されている公団住宅につきましては、評価額上昇利益は一部社会に還元してもよいのではないかと思います。これを新規住宅家賃低減に活用することによって、居住者社会的恩恵の一部を還元することで内部的に自助努力が行われ、社会的な理解が得られるのではないかと思います。  第二に、修繕費に対する問題でございます。昭和五十三年度の改正時に激変緩和措置がとられましたので、その適用を受けました多くの住宅は、推定再建築費と当初の平均工事費との間の乖離を十分に埋めることができませんので、修繕のおくれを取り戻すことが困難になっております。今回の改定でも同じように激変緩和措置適用になりますが、いまよりは乖離を埋めることができてもまだ不十分です。そのため今後ともこの乖離を埋めていく努力が必要と思います。また日本不動産鑑定協会東京支部東京における共同住宅修繕費に関する調査では、年間建築費の三・五%程度費用がかかるという報告がありますが、現在の一・二%は余りにも小さな値であると思います。公的資産である公団住宅を健全な姿で維持することは、国民にとって望ましいことでありますので、将来は修繕費率の十分な検討を加える必要があると思います。このようなことを勘案しますと、公団家賃は、今回の改定でも健全な維持を行っていくにはまだまだ不十分な額ではないかと考えます。  第三に、激変緩和措置でございますが、さきに述べた部会意見の中にもありましたように、これが受け入れられまして、先ほど建設大臣の方から御報告がありましたように、一居住室の場合には八千円、二居住室の場合には九千円、三居住室以上の住宅は一万円となっております。私はこの居住室単位ではなく面積に基づく差を設けるべきであると思います。なぜかと申しますと、住宅公団の初期に建設されたものは、いわゆる団地サイズと申しまして若干寸詰まりになっております。今日の二DKと当時の二DKとを面積で比較いたしますと、約十平米程度の差がございます。今日住宅価値は、室数もありますが、一部屋のゆとりも大切でございます。そこで住宅評価価値は、同一居住室数であっても、面積の多い方が価値が高いと思いますので、面積もとにした緩和措置を行うべきであると考えます。  第四に、敷金でございますが、前回改定の際は見送られましたが、これは何らかの理由により家賃納入がおくれた場合に、迷惑をかけないことになる担保でありますので、この敷金改定が必要だと思います。特に最近、新聞紙上で報ぜられていますように、種々の理由によると思いますが、納入率が低下しているということでございますが、これは一時的に新学期等によりまして思わぬ支出が生じた場合に若干未納もあろうかと思いますので、家主の立場である公団としては、当然とるべき措置であると思います。またさきに述べましたように、修繕費につきまして触れましたように、退去時の補修費用がかさんでおりますので、支払いが困難になると思いますので、その不安の軽減措置からも敷金改正が必要であると思います。  最後に、今後家賃体系基本的見直しがどうしても必要であると思います。たとえば、先ほどから申し上げておりますように、耐用年数が非常に長く、現実的には公団の七十年ではなくて、使用価値からいうと五十年程度ではないかというふうに思います。またこの期間中のインフレ影響への対応及び公団自体財投資金からの繰り入れ等の問題に関しまして、いろいろ見直していかなければいけない問題があろうかと思います。今後部会でこのような問題の検討を加えていくように公団に要望しておるところでございます。  以上をもちまして、私の陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手
  6. 松永光

    松永委員長 次に、本吉参考人にお願いいたします。
  7. 本吉庸浩

    本吉参考人 本吉でございます。  結論から先に申しますと、私は現在公団賃貸住宅に住んでおりますが、だれでも家賃は安いにこしたことはないと思いますけれども、職業柄住宅問題にタッチしておりますと、どうしても今回の家賃改定はやむを得ない措置だと思います。  第一の理由は、私は今後大都市では居住環境向上のためにもっと公共賃貸住宅の供給を促進していくべきだという立場をとっております。しかし、公共賃貸住宅は、御承知のように、現状では高家賃が大きな壁となって思うように進んでいないと思います。高家賃抑制していくためには、どうしても国からの大幅な利子補給が必要でございますが、現在のような苦しい財政事情の中でこれを行うためには、どうしても国民合意が必要ではないかと思います。しかし、公団が説明しますように、現在一万円台の家賃住宅が二十二万戸もございますし、現在私が住んでおります公団住宅家賃は、同じ規模で駅からやや遠いところの都営住宅の方が高い、こういう結果になっております。こうした現状の中で、高い家賃を薄めるために大幅な利子補給を進めようとしても、結局は税金を使うことでございますから、これでは団地に入っていない国民合意をなかなか得られないと思います。まず隗より始めよではございませんが、古い公団住宅に入っている方々が、まず相互扶助立場から、高家賃引き下げのために応分の努力をしていくということは、住んでいる立場からかなり必要なのではないかと思います。今回の家賃改定で、公団増収分の約三割を家賃引き下げに回すという方向をとっておりますけれども、私はこの方向には基本的に賛成でございます。  第二の理由は、家賃が低額のまま抑制されていますと、修繕費の捻出ができず、公団賃貸住宅はスラム化して、居住環境が悪化することにつながっていくと思います。ただ、修繕費値上げにつきましては、大方の異論はございませんので、ここで詳しいことを述べるのは避けたいと思います。ただ、今回の家賃改定に当たって、特に留意していただきたいのは、老人家庭母子家庭などについて適切な緩和措置をとることを、ここで切に要望しておきたいと思います。  次に申し述べたいのは、先ほど石原先生からも御指摘がございましたが、現在の公団家賃体系基本的見直しが必要ではないかと思います。つまり新しい家賃ルール策定でございます。現在の公団家賃体系基礎は、昭和三十年の公団設立のときに決まったものでございまして、当時はまだ鉄筋コンクリートの住宅に住む習慣、また維持管理経験がございませんので、たとえば、先ほど石原先生が挙げましたように、建設費償却を七十年でするのがいいのか、また修繕費をどのぐらいにするのがいいかというようなことは、余り学問的な根拠ではなく、勘または政治的な配慮から決定されてきた。このことが現在の家賃問題の混乱に大きな尾を引いていると思うのです。そういう意味で、ぜひともこの機会に、家賃問題の新しいルールを新しい時代に合ったように見直していくことが必要ではないかという気がいたします。  もう一つ、それまでのつなぎといたしまして大切なことは、今後家賃改定に当たっては、公団建設大臣承認を得てこれを値上げするという方式ではなく、できますれば、きょう御出席石原先生工藤さんなど学識経験者関係権利者第三者による公正な機関をつくりまして、そこで家賃を定期的に、合理的に検討していくようなシステムを導入していくことがこれから大切なのではないかという気がします。つまりここで三年なり五年なりに家賃についてこれらの先生方が定期的に検討し、経済状況が変化がなければ、別にその家賃を上げる必要はございませんし、経済変動が著しい場合は、それに応じて家賃を引き上げていく方式をとることが望ましいのではないかと思います。  もう一つその利点は、今回の値上げをめぐって、入居者の間から、一方的家賃値上げの通告はけしからないという声がかなり強うございますけれども、このように第三者機関公団自治協のメンバーの方々が加わって、そこで冷静な議論をなさって、合理的な家賃を決定すれば、こういうトラブルはなくなってくるのではないかと思います。大体家賃問題と申しますものは、理論的に値上げ幅幾らにするかということより、かなりメンタルな、感情的な要因があると思うのです。そういう意味で、できる限り関係者が同じ土俵について十分お話を進めていくことが望ましい。そういう意味で、新しい家賃ルール策定ができるまでは、可能な限りその第三者機関で、多くの方が加わって家賃決定をしていく制度をぜひとも導入していただきたいと思います。  それから、きょうの委員会の趣旨からややそれるかもしれませんけれども、私が公団家賃問題を考えます場合、一番大切なのは、どちらかというと、現在問題になっています古い家賃値上げ幅幾らにするかということではなくて、現在の高家賃をいかに抑制していくかということが一番の重要な課題であり、緊急の解決が迫られている問題だと考えております。現在のように、こういう高家賃になっておりますれば、幾ら公共賃貸住宅を都心につくろうとしてもできない。先ほど申したような原因につながっておるのです。今回の家賃改定も、そうした高家賃をいかに引き下げるかということの一環としてぜひとも考えていっていただきたいと思うのです。  そうした意味で、今回社会党から家賃引き下げのための家賃抑制協力債券の発行といった具体的な提案がなされていることは非常に意義があることだと思います。私も前々から新聞紙上で、同じような発想から、年々上昇する公団家賃を引き下げるため、入居者財投金利以下で一定額公団に積み立てて、金利分だけ家賃を薄めるようにし、公団はこの積立金建設費に回せば、生保とか財投資金よりはるかに安い資金コストで運用することが可能になりますので、結果的には建設費低減につながるのではないかという意見を再三新聞にも書いてまいりましたけれども、ぜひともこうしたことをこの際検討していただきたい。  一番お願いしたいのは、中古住宅家賃をいかにという問題より、何といっても大事なことは、これから入居する方の高家賃をいかに引き下げていくかということがこれからの日本住宅政策を向上させ、また多くの大都市市民が安心してそういう公共賃貸住宅に入居できるような道を開くことにつながるのではないかという気がします。  そういう意味で、私は今回の問題につきまして、私はその専門家でございませんので、細かい技術論はわかりませんけれども、そういう公共賃貸住宅建設を促進していくという立場から、今回の家賃改定はやむを得ないという立場賛成したいと思います。  これで私の意見を終わりたいと思います。(拍手
  8. 松永光

    松永委員長 どうもありがとうございました。  次に、工藤参考人にお願いいたします。
  9. 工藤芳郎

    工藤参考人 冒頭に、本委員会公団家賃値上げ問題が集中審議運びとなり、特に前回改定時の審議にもございませんでした参考人発言機会が与えられましたことにつきまして、委員長初め各党理事委員の諸先生方の各段の御尽力のたまものと存じております。改めて深い敬意を表するものでございます。  私は、全国公団住宅自治会協議会、約三十五万世帯、三百五十団地が加盟しておりますが、並びに全国団地居住者の意向を体しまして、今回の公団家賃値上げに反対する立場から意見を述べさせていただきたいと思います。  第一は、公団家賃値上げについての不当性、つまり居住者から見て納得できない点について、一つ基本的な問題、さらに具体的な問題というふうに分けて申し述べさせていただきます。  基本的な問題点でありますが、三点御指摘を申し上げたいと思います。  第一に、今日の国民生活を取り巻く情勢は非常に厳しく、戦後最大、長期にわたる不況下にあり、その中で百四十万人にも及ぶ完全失業者、続出する企業倒産、公務員の賃上げの凍結とその民間への連鎖的影響所得税減税の六年連続見送り、こういった問題、中でも教育費の値上げ社会保障費の切り下げなどによって受益者負担が非常に強化されておるのでございまして、この点は前回改定時を上回る社会情勢の厳しさと受け取っております。  こうした中での公共的な料金である公団家賃の大幅な値上げというのは、ほかに例を見ないわけでございまして、団地居住者の暮らしを非常に厳しくするものであります。現に家賃滞納者が前回改定以降急激にふえて、五十六年度には九万六千二百件、全世帯の一五・三%に上っているというようなことをあわせ考えましても非常に大変である。わけても、大幅値上げになりますと、高齢化しておる世帯、年金生活世帯にとっては耐えがたいものでございます。  二つ目には、前回改定時に衆参両院の建設委員会で御審議をいただき、大臣あての要望事項が出されたのでございますが、この要望事項が十分守られていないのではないか、こういう点でございます。わけてもこの中で、後に、五十六年八月六日に住宅宅地審議会が「現行家賃制度の改善について」という御答申を出されましたが、その中でこのルールづくりの問題が言われておるのでございますけれども、これが実現できていない。  三つ目には、前回改定時において不幸にしてこの問題が十分な解決を見ませんで、現在なお裁判係属中でございます。こうした中で値上げをするというのはいかがなものだろうか。民間借家事件などでも余り例を見ないということを伺っておりますし、こういうことを強行されますと、必要以上に団地居住者が不信感を増さなければならぬ、こういうことでございます。  次に、具体的な問題点でございますが、一つは、先ほども申し上げましたように、入居者の生活実態について公団の認識が本当に正しいのだろうかと思っております。昨年十二月に発表されました行政管理庁の調査では、公団の方は、団地居住者というのは、所得分位の第三分位の中位の方にお入りいただいているというふうに位置づけておりますが、現実には第一分位、第二分位、つまり低所得の方が四六・五%を占めておるというのが実態のようでございます。  この点、私たち協議会で調べたものによりましても、年収三百五十万円以下の人が四〇・一%、特に古い住宅では高齢化、年金生活者が四五・三%もいる。これは三十年代の建設団地が中心でございますが、こういうことで団地にお入りになっている方は、公団が今回の値上げで言っておりますように、値上げ後の平均家賃は二万四千円で、古い団地の住民の家賃負担率は三%程度だというふうに言われておりますことは、机上の数字ではないだろうか。実態はそういうものよりももっとひどい状況にある。高齢化した年金生活者の場合、仮に年金が月額十二万円だといたしますと、家賃負担率は二〇%に達するわけでございますから、この点は現状をよく御理解いただきたい、このように思っております。  次に、この値上げ理由の問題でございますが、今回は不均衡是正をするということでございます。不均衡是正という言葉は非常に耳ざわりのよい言葉でございまして、私たちも基本的にこれに反対するものではございません。  しかし、第一は、現在とられております家賃決定原則、つまり建設年度による団地ごとの個別原価主義というものがとられております以上、これは古い団地と新しい団地の間に不均衡が生ずるのは理の当然であると言わなければなりません。  また、不均衡を言うのなら、勤労者が応募もできないような新設団地の高家賃こそ下げるべきである。これは本吉先生もおっしゃったとおりであります。  不均衡が発生した原因は多々ありますが、第一には、いま申し上げました決定原則からくる問題。第二には、政策問題としての土地価格の野放し策や道路、学校、鉄道建設費、通勤バス購入費まで含めた関連公共施設費の家賃への算入、こういったものがある限りは高家賃は続く。あるいはまた今日長期未利用地あるいは空き家の問題がありますが、こういったもののつけ回しがもしやられるとするならば、これも高家賃の原因になるだろう。総じて言うならば、公共賃貸住宅軽視の住宅政策にこそ問題があると御指摘を申し上げたいと思います。三つ目には、公団が人為的につくり出しておりますのが空き家割り増し家賃制度でございます。これをつくっておりますと不均衡はどんどんつくられていくわけでございまして、これらの点を直さなければ、不均衡の是正には値上げを繰り返してもならないということを強く指摘したいと思います。  また、不均衡是正をと言うならば、住宅の質の問題を抜きにした不均衡是正は合理性がありません。住宅の質的な不均衡是正ということをぜひともお考えをいただきたいと思っております。  また、今後の住宅の一層の高家賃化に歯どめをかけなければ不均衡はますます出てくる。そうして値上げをしても不均衡は直らない。際限のない繰り返し値上げが続くだろう、このように思います。  また、不均衡是正論の背景には、全体として民間家賃との比較論もあるように思います。法文上から言いますと、公団住宅賃貸住宅の相互の不均衡ということに限定されておるわけでありますから、この点はいたずらに拡大解釈をしていきますと、公団住宅の存在意義そのものが失われてくるのではないか、このように思います。  次に、値上げ時期、内容の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、現下の情勢は非常に国民生活が厳しい状況にあるわけでありますから、政府は国民にがまんということをおっしゃっておりますが、ぜひ公団にも一定のがまんはなさっていただくようにお願いをしたいわけでございます。  また、値上げ金額は、上限については一万円あるいは九千円、八千円と面積ごとに違ってはおりますが、こういう大幅なものは、いまの情勢の中では公共的な料金に例がないわけであります。また前回五十三年時の値上げが、上限が七千円でございましたから、前回七千円やられて、また今回一万円ということになりますと、居住者によっては一挙に四倍近く、つまり民間家賃でも五年間に四倍になるというような例は余り聞かないわけでございまして、いかがなものかと思っております。これまた前回の国会要望事項でございます激変緩和措置という精神にも反するのではないか、このように考えております。  また、値上げ算定方式でございますが、公営限度額方式に準ずるとされております。しかし、これは本来福祉政策とセットのものでございまして、しかも、これは団地居住者代表意見や地方議会の議決を経て本来成り立つものでございまして、これをそのまま性質の違う公団家賃算定方式に準用とはいえ持ってくるのはいかがなものかと思っております。  それから、敷金の追加徴収でございますが、これは民間家賃の常識にもございませんし、前回の国会要望事項でも、これはやめてくれるようになっておるわけでございまして、今回上限の一万円というのを計算してみますと、前回の七千円掛ける三カ月分、また今回の一万円掛ける三カ月ということで、合わせて一挙に五万一千円も居住者負担がふえるわけでありますから大変であります。  次に、四番目に増収分の使途でございますが、二つ申し上げます。  一つは、修繕費内容があいまいであります。団地ごとの住民要望に基づく話し合いがなければ納得できないという点であります。  二つ目には、高家賃抑制の財源に回すということにつきましては、さきに言いましたように、不均衡論という点から見ますと不当性があるわけであります。しかも、具体的な引き下げ団地、その内訳と効果が明示されていないという点で、これはサンケイ新聞等の主張にもございますが、非常に納得できないわけでございます。  最後に、以上申し上げましたような点から御要望申し上げたいと思います。  一つは、こういう情勢のもとでの、しかも公団家賃改定の民主的なルールなしの再値上げについては反対していただきたいわけであります。また住民代表参加による民主的なルールの早期策定の実現をお願いいたしたいと思います。  また、万一再値上げが実施されるという場合には、次の点をお願いを申し上げたいと思います。  一つは、値上げ幅の縮小。二つ、値上げ実施時期の延期。三番目、前例のない敷金の追加徴収をやめていただきたい。四つ、低収入者などへの家賃減額措置の拡充をしていただきたいし、できれば制度化を図っていただきたい。五つ目は、値上げ増収分の使途の明示と、お使いになる場合には、修繕、環境整備など、団地居住者の居住性の向上のために使っていただきたい。また今後の修繕や環境整備計画を明らかにしていただきたい。六つ目は、住宅の狭さや老朽化の改善など、住宅の質、水準の向上を図っていただき、また前回実績をいただきました特別団地環境整備の実現などもぜひともお願いをいたしたい。七つ目は、値上げ理由、根拠などの団地居住者への十分な説明。建設大臣がお約束いただきました、居住者公団との間の納得のいく話し合いの実現。こういう点をぜひお願いいたしたいと思っております。  また、長期未利用地や未入居住宅など、公団経営を国民立場に立って早期に解決していただきますとともに、これらから発生する金利などが現在の団地居住者へはね返らないよう適切な措置をお願いしたいわけであります。  次は、公団の管理の円滑化を図るという問題は大切でございまして、私どもも公団住宅国民共有の財産として保全しなければならない。そのためには、各団地自治会、公団自治協というのが公団との間で日常的に共同協力の関係をつくらなければならないというふうに考えております。  最後に、私たち全国の公団居住者は、住宅を人権、福祉の課題としてとらえております。政府に国民本位の住宅家賃政策の確立、開かれた公団の経営を要求しております。また公団住宅社会資産として大切にし、その大量建設と住みよい団地づくり、公団居住者との信頼関係に立った家賃問題を含む日常的な協議、話し合いによる団地の円滑な管理運営が進むことを切望して自治会活動を続けているわけでございます。  以上の点、諸先生方の賢明な御判断の上、十分な御審議を重ねてお願い申し上げまして、発言を終わります。(拍手
  10. 松永光

    松永委員長 ありがとうございました。  これにて各参考人の御意見の開陳は終わりました。     ─────────────
  11. 松永光

    松永委員長 これより質疑に入ります。  なお、建設大臣並びに住宅都市整備公団総裁に対する質疑は、午後の委員会において行いますので、御承知おきください。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野信一君。
  12. 小野信一

    ○小野委員 お忙しいところ私どもの審議に御協力くださいました三人の先生の皆さんに心からの御礼を申し上げます。  最初に石原先生にお伺いをいたします。  公団基本問題懇談会は、名前が示すように公団基本問題について審議する場だと私は考えますり五十三年の値上げのときも、公団基本問題である長期未利用地、空き家の解消に非常に注文がつきました。毎年、行政管理庁あるいは会計検査院から是正の勧告が出されておることも事実であります。懇談会では、値上げの議論をする前に、こうした長年批判を受けてまいりました問題を議論すべきだと思いますけれども、今回、それらの基本問題に十分議論がなされたのでありましょうか。どうも直ちに当面の値上げに議論が集中したように私には考えられます。値上げのための懇談会という感も否めません。これらの経過あるいは値上げの議論をされた経過を少し詳細に説明願いたいと思います。
  13. 石原舜介

    石原参考人 お答えいたします。  ただいま御質問がございました公団基本問題懇談会でございますが、これは私がさき意見を述べる際にも若干触れましたように、総裁私的諮問機関という性格でございまして、それだけに懇談会の方から積極的に公団の抱えている問題というようなことを指摘していくという立場ではございませんで、総裁の方から提示されましたものに期しましていろいろ意見を申し述べるというのが懇談会性格でございます。  そこで、御質問の要旨でございますが、おっしゃるように、公団の経営悪化を招いております長期の未利用地の問題あるいは建設されても利用されない空き家の問題、こういう種々の問題は委員の中からもいろいろ意見が出されました。  それで懇談会の第一回目は、総裁の方からそういう懇談会設置の趣旨を説明いただきまして、そして初めでございますので、こういうような問題はどうなっているのか、こうなっているのかということで、質問という形でいろいろ総裁の方に資料その他をいただきながら理解をするというようなことが第一回目であったと思います。  第二回目のときに緊急を要するというようなことが若干あったと思いますが、家賃部会の設置を考えているのだがというようなことでお話がございまして、それでいろいろ討議がございまして、こういういろいろな問題がある中でも一つずつ解決していかなければいけないものの中に家賃の問題もあるということが理解できましたので、私自身も家賃部会部会長を引き受けてくれないかという御相談を受けましたので、私もこれは公団の抱える非常に重要な課題であるというふうに考えましてお引き受けした次第でございます。  この部会におきまして、いま御質問の中にもいみじくもございましたけれども、こういうことばかりやっていると何か値上げのための懇談会というそしりを受けるのじゃないかということで、委員の中から大分このことに関しまして意見が出されました。もっと基本的なところをいろいろ議論しなければいけないんじゃないか、ただ単に家賃値土げ、それだけを受けてこういうことをやっていたのでは、どうもこの懇談会値上げのために利用されているというようなことになりはしないかということで、大分その辺の意見を述べられる委員も多くございました。  そういうことはございましたが、やはり現在修繕その他早く手を打たなければ老朽化は刻々進行してまいりますので、できるだけ早い時期にこういうことに結論を出して、手が打てなくなるようなひどい状態にならないうちに手を打たなければいけないということも、また公団にとって重要だということで、この家賃の問題もできるだけ早くいろいろ検討していくことはやむを得ないのじゃないかというふうに私は理解しまして、小委員会あるいは部会、こういうものを数多く重ねまして、第三回目の懇談会内容その他を公団側から報告できるような形になったと思います。  懇談会の方は、その後も引き続きいろいろ基本的な問題に関しまして、諮問事項についていろいろ意見を述べさせていただいておりますし、御指摘の点などに関しまして、たとえばかつては空き家も四万戸近い数字でございましたものが、努力によって現在一万九千戸ぐらいに減少してきているというようなことなども御報告を受けましたし、それから未利用地の問題も逐次解消が進み、数団地につきましては一応見通しがついてきたというような経緯等もいろいろ報告を受けております。  そういうことで、こういうような問題に関しましても、決してこの懇談会で議論をしないというわけではございませんで、十分議論をしておりますし、今後もこういう問題は議論を続けていくことになろうかというふうに思います。たまたま今回提出されております家賃改定、こういうものが先に来たということだけで、順序の問題かと私は思います。
  14. 小野信一

    ○小野委員 ありがとうございます。  次に、本吉先生にお伺いいたします。  三月二十日付の数社の新聞を見ますと、社説で入居者との十分な話し合いまたはルールづくりについて触れられております。懇談会では、このルールづくり、または話し合いについてどのような議論がなされたのでありましょうか。また国会において公団総裁は、ルールづくりのために懇談会を設問し、その場において十分議論されたとし、さらに今回の値上げについては懇談会で大部分の賛成が得られたと述べておりますが、事実そのようなのかどうかをお伺いします。
  15. 本吉庸浩

    本吉参考人 お答えいたします。  私がこの基本問題懇談会のメンバーの委員を引き受けた条件は、決して家賃値上げじゃなくて、公団総裁に自由に公団の抱える問題についてお話し願いたいという形で、私たちは、そのことはこの委員会懇談会でたびたび指摘してまいりました。  まず最初に、さっき石原先生もお触れになりましたけれども、どうも当面の緊急の課題ということで、ルールづくりというより家賃改定の問題が先行したことは事実だと思うのです。それでこの懇談会、また家賃部会に私が参加していて非常に奇妙に思ったことは、各先生方家賃値上げについては皆さんかなり同意した意見がございますけれども、その値上げの根拠について、先ほど私が申したみたいな意見石原先生のような御意見、それからまた工藤先生がおっしゃったように、修繕費はやむを得ないけれども、その内容が違う、少し問題があるんじゃないかということ。普通だったらそういう根拠がおかしいから家賃値上げは反対という意見が出てくるのが当然なんですけれども、私の感じでは、家賃値上げはやむを得ないけれども、その値上げの根拠がそれぞれ違ったというきわめて特典な印象を受けたということが率直な実感でごいざます。  それから、おっしゃったルールづくりについては、私たちもそういう指摘をしましたけれども、私の印象では、そう詰めて――このルールづくりというのは時間もかかりますし、家賃とは何かというような問題もございますので、公団側の説明によりますと、当面はこの緊急を要する中古住宅家賃値上げについて論じていただいて、引き続きこの懇談会検討するということで、私たちはこれを了承してきたと思うのです。  ただ、私もその際公団に申し上げましたのは、よくこういうことをやりますと、こういう懇談会でさまざまな基本の問題を検討していただきたい。そして必ず出てくるのが、当面こういう問題がございますから、これを論議していただきたい。その論議が終わりますと、大抵それっきりお開きにならないというのが、こういう会のいままでの性格なので、この点は私たちは非常に強調をしてまいったつもりでございます。  それで、一応この家賃部会が終わりました後も、三回日を、基本問題について、私はちょっと所用があって欠席いたしましたけれども、違う角度から論議が進められ、公団では今後この検討委員会を引き続きやっていくので、私たちは、その場でこの家賃ルール策定、それから高家賃抑制という問題をさらに公団とお話ししていきたいと思うのです。  ただ、今回の家賃部会、一部の新聞には二回しか基本問題懇談会が開かれないで家賃値上げが決定したと出ておりましたけれども、家賃部会が四回、小委員会が四回開かれまして、私が非常に感心したのは、今回の家賃値上げが、前回は最高七千円ですか、値上げしましたのを、たしか公団じゃなくてどこかの自治会の、お名前は忘れましたけれども、代表の方がメンバーに参加なさっていて、その方が前回経験から、二DK、三DKの規模別を無視した値上げは非常な混乱を起こしたので、今度は二DKでは最高九千円、三DKでは一万円というようなランキングをつけるべきだという御意見がありまして、今度の公団家賃改定では、そういう面が採用されたという側面もございます。これは全然、初め公団がそういう意見を述べたのじゃなくて、この基本問題懇談会の席上でそういう御発言があって、それが生かされた一つの例だと思うのです。けれども、新しいルールづくりについては、私はまだ十分論議が進んだとも思いませんし、今後公団も引き続きこの基本問題懇談会をやるので、その席上でさらに協議していきたいと思います。お答えを終わりたいと思います。
  16. 小野信一

    ○小野委員 ありがとうございます。  続いて、工藤さんにお伺いいたします。  先ほど公団自治協基本的見解は伺いました。具体的な問題について質問いたします。簡潔に答弁をお願いいたします。  九月に、敷金を加えますと、最高六万一千円、平均三万五千九百円を新たに公団に支払う、こういうことは入居者としてどういう考えを、あるいは感慨をお持ちになりますか。
  17. 工藤芳郎

    工藤参考人 お答えいたします。  私ども公団自治協公団住宅入居者「住まいの実態と要求」調査というものをやりました。三月二十五日でまとめてみましたが、その中で今回の値上げの問題について、公団居住者にとって、いまの家賃でも「家計を圧迫して苦しい」世帯が三〇・二%います。値上げになると、「住めなくなる心配」、「苦しい」世帯を合わせますと八五・一%に達するわけでございます。内訳は、「家計が苦しく団地に住めなくなる」とお答えになった方が二七・一%、「苦しくなり、食費、教育費を切り詰める」とお答えになった方が五八%でございます。また「賃上げや年金凍結のさなか、家賃の大幅値上げは耐えがたい」というふうに答えた方が全体の七〇・二七%に上っております。
  18. 小野信一

    ○小野委員 今月の二十三日の参議院建設委員会において、公団あるいは建設省は、五十六年六月以降、建設省の仲介で公団自治協公団は関係正常化のために四十六回話し合いを続けた、こう言っております。しかし、いまだにはっきりした成果が上がっていない、こう答弁いたしております。一方の当事者である自治協は、これに対してどのような感じをお持ちですか。
  19. 工藤芳郎

    工藤参考人 前回改定時以降、五十六年の夏でございましたか、時の社会党の宮之原委員長、参議院の建設委員長でございましたが、ごあっせんもございましたし、その後、住宅局長を含めまして、公団と自治協との話し合いの場をつくっていこうという話し合いが行われました。いま官房長をされておる当時の豊蔵局長でございますが、いろいろな方の御尽力をいただいたわけでございまして、その後お話し合いを、公式という形でありませんで、事務折衝という形で何回か続けていることは事実であります。私ども、宮之原委員長あるいは当時の建設大臣、関係の皆さん方の御尽力があって、そういう機会をつくっていただいたことは大変感謝を申し上げておるわけでございますが、実態は、前回改定時における紛争といいますか、現在家賃裁判を続けておりますので、この問題をどうするかということが大体主論になりまして、日常的な問題については思うように成果が上がっていないということで、家賃裁判の問題がどうしても議題になりまして、取り下げてくれないか、私どもとしては、現状から言うと、そういうわけには急転直下いかないというふうなことを申し上げて、並行線をたどっておるというのが現状であります。したがいまして、そういう舞台をつくっていただいたことについては成果であると思っていますが、中身については思うようにはかばかしく進捗していないというのが現状でございます。
  20. 小野信一

    ○小野委員 再度工藤さんにお伺いいたします。  さき日本社会党が「公団住宅家賃制度の改善に関する提案」を発表し、その内容につきましては、すでに御承知のことと思います。その中でルールの確立を提案いたしております。工藤さんは、このルールの確立についてどのように解釈し、またわが党の提案についていかなる所見をお持ちになりますか、お伺いいたします。
  21. 工藤芳郎

    工藤参考人 ルールの問題につきましては、前回家賃改定時の中でもいろいろ御議論がされたところでございます。前回、五十三年一月二十四日の衆議院建設委員会では、民社党の西村委員が御質問をされまして、当時の住宅局長である救仁郷政府委員から、引用さしていただきますと、「御指摘のように次回のもし必要があるころまでには何らかの基本的なそういった家賃体系というものの政策を確立したいというのが、私どもの願いでございます。」というお答えもございます。また五十六年十一月十二日の衆議院建設委員会では、きょうお見えでございます当時の豊蔵住宅局長が、やはりルール問題について小野先生の御質問に対しまして、「私ども、このルールにつきましては、一般的に言いますれば、家賃変更の判断基準であるとか、あるいはまた、その家賃変更額についての算定方式であるとか、あるいはまた、実施に際しての入居者方々に対する周知方法、そういったようなこと等が考えられるというふうに思っております。」こういうお答えをいただいております。  つまり、ルールの中身というのは、言いかえますれば、一つは判断基準、そして二番目には算定基準、三つ目には運用基準といったようなことが必要であろうと思っております。現状では、この算定基準というのが、実は住宅宅地審議会の答申でも御指摘のように、現存しないというわけであります。したがいまして、判断基準はあるけれども、算定基準がない。したがって、実効性がないということであります。  問題は、この運用基準でありますが、俗に私たちが、団地居住者への説明をしてほしいとか、話し合いをしてほしいというのは、いわばこの運用基準相当する部分でありまして、こういう点は、きちんと制度化をしなくても、現実の問題としてお互いのスタンスさえ確立すれば可能であると思っております。そういう点で、先生御指摘日本社会党の政策審議会建設部会等の方々がおつくりいただきました提案の中では、読ましていただきましたが、やはりその問題について「機関等の設置」という部分で触れられております。どういうふうな形でおつくりになるか、だれがつくるかというようなことが御指摘ありまして、非常に貴重な御意見であると思っております。わけても、前回改定絡みの問題でありますが、この問題について「機関ではないが、公団及び入居者団体との定期連絡協議を開催する。公団及び公団自治協間の家賃裁判についてもこの会議の中で包括的和解の方向を模索する。」という御提言がなされておりまして、私どもにとってまことに御配慮をいただきまして恐縮に存じておるわけでございますが、この方針については、私たちは全面的にありがたい御方針であるというふうに考えております。
  22. 小野信一

    ○小野委員 公団自治協値上げそのものについては絶対に反対するものではない、現在行われている家賃裁判については和解の道を模索したい、こういうのが基本立場だと私は聞いておりますけれども、これは間違いございませんか。
  23. 工藤芳郎

    工藤参考人 この点は、家賃裁判というのがなぜやられなければならなかったかということに起因するわけでございます。  一つは、いま申し上げましたようなルールの問題。判断基準はあるけれども算定基準がない。この点については個別原価主義。いわば諸法令に基づいて家賃の決定原則があり、また改定ルールもそこにあるだろうというふうに、われわれは従来からの国会議事録や公団の発行した文献等を見て学んで、そういうふうに考えておったわけでございますが、算定基準がそこでないというものですから、その点でどういう算定ルールをつくるかということが前回にも問題になりまして、これがないままで来ておる。公団側は、今回の改定にもありますように、公営住宅家賃改定方式に準じた方式をとる。そこでなかなか意見がかみ合わないで来ているわけであります。  もう一つは、運用基準の問題でありますが、公団の方がいわば大家さんらしい対応をしてほしいというのが平たく言えば私たちの主張でございます。一方的に不均衡を是正するのだから値上げに応じるというような言い方でなく、もっと公団側には本当の値上げをせなければならない理由があるのではないかというようにわれわれは実は考えておるわけです。そういう点を私たち団地居住者だけではなく、国民にもわかりやすく値上げ理由等が言われ、また私たちに対して説明をするという誠実な態度があれば、現在家賃裁判を係属することの大方の意義は失われてくるわけでございます。  そういう意味で、今回の改定が進行する中で、前回争われた争点が発展的に解消するということを切に望んでおります。したがいまして、運動論から言えば、過去の裁判と現在の再改定とはセパレートして、裁判は裁判、裁判をしながらでも話し合いをしてもいいではないかというのがわれわれの本来の趣旨でございますけれども、どうしても話し合いができない。今回の改定問題の中で私たちのお願いしていること、要求していることが、話し合いを中心として実現していかなければなりませんから、それができないというようなことであれば、過去の裁判の問題と今回の改定の問題を総合的にかつ長期的にとらえて、いわば包括的という表現になるかと思いますが、そういう形で解決をすることもやぶさかではない。われわれも、機関としては早期の解決を望むところであるということでございますから、裁判をしておってもしなくても、いつでも公団と真摯な話し合いをする用意があるということは間違いがございません。
  24. 小野信一

    ○小野委員 最後に工藤さんに、この場で最も強調して皆さんに理解していただきたいことが話の中に残っておりましたら、お聞かせ願いたいと思います。
  25. 工藤芳郎

    工藤参考人 せっかくの機会でございますから、申し述べさせていただきたいと思います。  私たち団地居住者は、とかく世間から見られておりますのは、何か安い家賃で優雅な生活でもしておるのではないかという向きがあるかと思います。これは、先ほど申し上げましたように、団地住民の生活実態が、一つには、高齢化社会の進行とともに年金生活者や高齢者がふえておる。所得の第三分位の中位の方もいらっしゃることは間違いないが、第二分位以下、第三分位以下という方が結構いらっしゃるという実態で、ぜひひとつ認識を改めていただきたいと思うのであります。この点、本当に調べようとすれば、公団と私たち自治協とが共同協力の関係でアンケートなどを実施すれば、本当に貴重なデータが出るのではないかと思っておるのであります。この点であります。この現状認識が異なりますと、何か不均衡是正、家賃負担率が三%だというような数字が飛び出してくるわけでありますが、確かにそういう方もいらっしゃるかもしれませんが、大方はそういう方向ではないということでございます。  もう一つは、自治協の姿勢としては、公団と共同協力というような言葉を最近使わせせていただいているのでありますが、大家さんとたな子でありますから、経営の問題はともかくといたしましても、管理の問題については共同協力の関係をつくり出すことが大事だと思うのです。前回家賃改定におけるような紛争というのは、今後引き起こしてはいけないと思います。したがいまして、公団が大家さんなのですから、団地居住者はばらばらでありますが、しかし、ぜひ率直な庶民の感情というものも決して軽視をなさらないで、団地住民の言うことによく耳を傾けてほしいのであります。家賃改定についても、説明をすると言えば、別に話し合いをしても取って食うわけじゃありませんから、きょうも傍聴の方がたくさんいらっしゃいますけれども、りっぱな方ばかりでありますから、よく筋を通して、理を尽くしていただくということが私は何よりも大切なことではないかと思うのです。  ルール問題等については、必ずしも私たちに処分権がございません。したがいまして、話し合いをするとは言っても、話し合いによって解決のできる部分と、処分権を越えた部分とがあると思いますから、その点は、やはり行政の方でしっかりと建設省などで受けとめていただいて、ルールづくりなどは公平な立場で、総合的に大所高所に立った形でおつくりをいただきたいと思うのであります。  その他の団地の管理については、やはり団地居住者公団との共同協力の関係が今日ほど必要なときはないと思います。公団住宅国民共有の財産として、私たちは保全をしていかなければならない。そのためには公団に協力することはやぶさかではありません。そういう形で臨んでおるわけでございまして、今回の改定につきましてもどうか理を尽くした上で、また居住者に対しては誠実な対応を心からお願いをするわけでございます。  今日、各種の公益事業などが料金の改定などについては、きめ細かに消費者に対して説明をなさっているのが現状でございますから、また時代の趨勢でもあろうと思いますから、困難はあろうと思いますが、私たちは自治会をつくり、公団自治協を結成しておりますので、そういう形でお役に立てばというような気持ちでおるわけでございます。諸先生方、どうぞ公団自治協基本的なスタンスを十分御理解くださいまして、審議を十分なさっていただきたい、かように思っております。
  26. 小野信一

    ○小野委員 ありがとうございます。  本吉先生にお伺いいたします。  先生もたな子だそうで、いまたな子の代表である工藤さんが誠意をもって意見を述べましたけれども、その意見を聞いた御感想をお聞かせ願いたいと思います。
  27. 本吉庸浩

    本吉参考人 私もたな子でございまして、約二十年住んでおります。ただ、私が非常に感じますのは、こういう問題というのは年齢層によって、たとえば家賃負担の問題とか、そういう問題は感じ方がかなり違うと思うのです。  私、先ほど申しましたのは、いま私の息子が大学を出て三年目でございますけれども、たとえば結婚をした場合に、私も賃貸に住んでおりますので、息子もやむを得ず賃貸に入れなければならない。そういう場合に、やはり公共賃貸ができなくちゃいけない。そういう中でいまの家賃体系をどうやっていくか。もう少し広い範囲で、住宅政策全般の中で公団家賃という問題を考えていかないと、ただ自分の住んでいる立場だけで問題を提起しますと、わりあいに混乱が起きるんだと思うのです。私は数年前、コペンハーゲンのカウンセルハウス、向こうの公共住宅に参りまして、通訳に入居者の感想を聞いてくれと言いましたら、通訳のお嬢さんが憤然としてなかなか聞かないわけですね。それで、はっきり言って住んでいる方のしゃべった印象は忘れましたが、大事なことだと思うのですけれども、その通訳嬢に、何であなたは先ほど聞くのを嫌がったのだと言ったら、あたりまえじゃないですか、私たちの収入の半分が税金で、おかげであんな安い家に住んでいられるのじゃないか。それが日本に北欧の家賃制度の話が入ってくると、北欧では家賃負担率は一〇%であるという形でしか入ってこない。ここに私は、入居者である一方新聞記者という両方の立場から考えますと、家賃というのは、先ほども申しましたように、住んでいる立場からは安いにこしたことはありませんけれども、いろいろな立場から考えて、そういう意味で住民もぜひ幅の広い視点から家賃というものを考えていくべきだというのが基本的な感想でございます。  それから、先ほど工藤さんがおっしゃったように、可能な限り公団と自治協、工藤さんたちが代表になって円満なお話し合いを進めていくことが一番望ましい。私たちなかなか工藤さんみたいに、傍聴の方々意見を聞いたりごめんどうを見ることができないのですが、入居者として、工藤さんのような方が一生懸命にやって、可能な限り、余り対立ではなく、お互いの理解のもとにこれからの家賃というのはいかにあるべきかということをぜひ進めていっていただきたい。ただ、私は入居者といっても、こういう職業をやっていますと、どっちがどっちだか半分半分、わからなくなるのが実態でございまして、私なんかの感想は、女房にこういう問題をどう思うかというのを大体聞くことにしておりますけれども、さっき申しましたように、自分の息子をそろそろ結婚させてどこか住宅をというようなことを考えますと、やはりもっとつくってほしい。そういう意味で、ある程度はやむを得ないというのが女房の実感で、女房と私と、また工藤さんとここに傍聴なさっている方と、やはりそれぞれの持っている所得なり立場なりに違いがあると思うのです。  ただ、もう少し、長くなるかもしれませんがつけ加えますと、いまの公団住宅の問題は、さっき工藤さんが三分位とかおっしゃったのですけれども、やはりもっと大きな問題を考えなくてはいけないというのは、本来公営住宅があればもう少し、住むべき階層ですね、家賃補助の高いところの、住めるべきなのに、公営住宅がほとんど建たない。それからまた、そのもう一つ上の段階に公社住宅がございますけれども、たしか都の住宅供給公社の年間の賃貸住宅建設戸数が百何戸だと思います。そうしますと、東京、大阪みたいな大都市住宅に困っている方がかなりあるのに、本来公団対象としない階層の方がやむを得ず高い家賃公団に入居なさっているというような問題も生じていると思うのです。そういう意味で、単に公団住宅家賃というのじゃなくて、公共政策の賃貸住宅公共賃貸住宅をいかに供給し、その家賃体系をどうしていくかという、その整合性の中でこの家賃問題というのを考えていかないと、何か解決がなかなかむずかしいんじゃないかというのが、入居者新聞記者としての私の感想でございます。
  28. 小野信一

    ○小野委員 貴重な意見をお聞かせくださいまして、ありがとうございます。御礼を申し上げて、質問を終わります。
  29. 松永光

    松永委員長 薮仲義彦君。
  30. 薮仲義彦

    薮仲委員 本日は参考人の諸先生におかれましては、大変お忙しい中、当委員会におきまして貴重な御意見をお聞かせいただく機会をつくっていただきましたこと、厚く御礼を申し上げます。ありがとうございます。限られた時間に諸先生の貴重な御意見を数多くお伺いさせていただきたい、こう思っておりますので、大変ぶしつけなお願いでございますが、お答えは要点を簡潔にお返事いただければと、大変失礼な言い方で申しわけないのですが、お願いをする次第でございます。  最初に、先生方のいわゆる御意見というものは、先ほど石原先生は、これは意見を取りまとめるような問題ではないというお話がございました。また総裁の私的な諮問機関であるというお話も伺いました。でも、社会的に及ぼす影響というものは非常に大きいものがございますので、先生方のその置かれたスタンスというのを正確に御理解させていただくために、まず石原先生本吉先生にお伺いしたいのでございます。  石原先生は、この公団家賃部会長ということでございますので、公団の皆さんの実態というものを少なくとも正確に御認識いただくお立場にあろうかと思います。たとえば三十年管理開始の公団、四十年管理開始の公団、五十年管理開始の公団では大分趣が異なってまいりますが、石原先生はこの部会長をお引き受けになる際に、現場の団地を、たとえば三十年代はどこ、四十年代はどこ、五十年代はどこの公団をごらんになった経緯がおありになるか。  また、本吉先生はたな子だそうでございますが、先生は何年管理開始の、たとえばお部室で言えば二DKなのか、三Kなのか、御家族は何名なのか、お家賃幾らなのか、簡単で結構ですので、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  31. 石原舜介

    石原参考人 今回の家賃部会長を引き受けるに当たりまして、各団地を回ったかという御質問でございますが、回っておりません。過去にはそういうところを見たことはございます。
  32. 本吉庸浩

    本吉参考人 私のいま住んでいる住宅は、東京都北区赤羽台団地でございまして、たしか昭和三十七年だったと思います。それで規模は二DK、家族は三人でございます。それから当初家賃がたしか九千円だったのが、いまたしか一万六千、端数はちょっとわかりませんけれども、そういうコストだと思います。
  33. 薮仲義彦

    薮仲委員 ありがとうございました。  それでは石原先生にお伺いしたいのでございますが、先ほど来先生は、家賃値上げのための懇談会ではないというお話もございました。これからのこういう公的資金を投入した、特に公団家賃というものは非常に重要な社会的な意味もございますので、先生として、部会としてでも結構でございますが、各年度別の公団の実態といいますか、入居なさっておる方の実態等について実際視察なさるという、われわれ政治家では視察ということがありますが、そういうのを現場に行ってお調べいただくようなお考えはございますか。
  34. 石原舜介

    石原参考人 懇談会性格は、先ほども申し上げておりますので再度繰り返しませんが、これはわれわれいろいろ提出されております資料その他をもと意見を申し上げているわけでございます。  いまお話しのように、実態を見た上でどうこうというようなことでございますが、実はこのために特別に見ているわけではございませんけれども、過去には調査はいろいろ数多くいたしております。たとえば簡単なことを申し上げますと、四十年当初に、それまで三十年から約十年間つくられた団地全部のどういう実態かという調査を私ども引き受けてやりましたし、それからその後も、そういう住宅地につきましていろいろ居住者の行動調査とかあるいは生活調査等実態調査を繰り返し行っております。
  35. 薮仲義彦

    薮仲委員 先ほど先生は、家賃改定について公営限度額方式は最善の方策であるというお話がございました。この点、私一部先生の御意見賛成ですが、ある意味では相当な部分で反対の立場におるわけでございまして、意見が違うわけでございます。  そこで、先生にちょっと、私も幾つかの団地の現場を見させていただいて、理論的には公営限度額方式は確かに納得できる、あるいは鑑定評価によってそれを調整するというやり方は理論的には納得できたのです。しかし、私現場へ参りましてちょっと考えを変えなければならない、自分の考え方に必要な幾つかの係数が欠落しているのじゃないかという点を私はいま反省しておるわけでございます。これは簡単に先生のお考えを、いまお答えできる問題はお答えいただき、できなければ結構でございますが、それではまず公団の建物について耐用年数をどうお考えになるか、簡単にお答えください。
  36. 石原舜介

    石原参考人 公団耐用年数は、法的には七十年になっておりますが、私は現実的にはまあ五十年いいところじゃないかというふうに思っております。
  37. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは石原先生にまた重ねてお伺いしたいのです。  いわゆる家賃を構成する部分において、世間では、たとえばわれわれが民間のおうちを借りるとき、新築のおうちを借りる場合の判断の仕方と、もう三十年、五十年――五十年たちますと、ほとんど廃屋に近いおうちもございますけれども、相当傷んでおり、老朽化しております。こういうところはおのずと家賃は安くてもいいから入っていただけますかということが業界の、あるいは家主さんの考えでございます。こういう公的な建物にあっても、建物本体の老朽化は家賃の中に考える必要がないのかどうか、この点簡単にお答えください。
  38. 石原舜介

    石原参考人 本来、家賃の中にはそういう老朽の度合いというものを加味して考えるべきだと思います。しかし、この家賃体系という中で均等に七十年間償還という形になっておりますので、実はそこが非常に問題でございます。本来は早い時期に償還できれば、古くなれば安く貸せるわけでございます。ところが、それが七十年たっても同じ家賃を取ろう、こういう家賃体系に現在なっておりますので、それが改定されない限り、これはやむを得ないことだろうというふうに思います。
  39. 薮仲義彦

    薮仲委員 それから、世間にございますように、団地サイズという言葉もございます。三十年当時管理開始した建物というのは、たとえば一畳でも寸法が大分狭くなっております。先ほど先生は、居住室の数でやるのはいけない、平米でおやりなさい、私は先生の御意見に全く賛成なのです。まずその実態が、狭いという問題ですね。それから次に家賃の中で検討していかなければならないのは、古いときに供用開始したものが安いからいけない、もっと高くするのだ、格差是正ということを本吉先生もおっしゃいましたけれども、後ほど本吉先生にはその点で御意見を伺いたいのですが、たとえば本吉先生は奥様の御意見を伺ったという話でございました。私も団地へ行って御婦人の方の御意見を聞いた中で一番あったのは、洗濯機の問題です。二DKのいまの公団のおうちに洗濯機を置くスペースがないのです。時間がございませんからこちらで申し上げますと、防水施設を施してありますのはおふろ場とトイレ部分だけです。あとキッチン部分は防水がございません。そこにお集まりになった三分の一以上の方がほとんど二階から何らかの理由で雨が降ってきた。防水がございませんから、洗濯機なんか大変なものです。オイルをこぼされたともう悲鳴を上げておりました。いわゆる狭い。それからいろんな面で不便を感じているという居住の問題もあります。これを先生のおっしゃった論理の公営限度額方式の中のどこに入れるかというと入っていないのです。いわゆる不便である。物置もないのです。物置のスペースがないのです。  こういうことを考えますと、その辺は家賃の構成部分として、単なる数値だけで計算をなさるのではなくて、そういう現場の実態に即して緩和しなければならないのじゃないかと私は思うのですが、部会長の御意見はいかがでしょうか。
  40. 石原舜介

    石原参考人 お答えします。  確かに三十年代の建物というのは、何としても当時の住宅事情から早急に多くの住宅をつくらなければいけないという、その多くというために、若干いまのような問題が犠牲にされたということがあろうかと思います。特に、その当時の洗濯機の普及率等を考えますと、当時はほとんど洗濯機などは使わずに、ふろ場でたらいで洗濯するというような事態がまだ続いている時期でございました。その後、こういうものが入ってまいりますと、確かにそういうものを前提としない設計というのは不便でございます。それで私どもも、公団ではございませんが、公営住宅に住んでおりましたが、同じように不便を感じまして、ベランダに一部そういうふうなものを設けたりいろいろ工夫したことを覚えております。  それで、いまおっしゃるように、こういうようないろいろな条件が限度額の中に入っていないのではないかというお話でございますが、私は先ほど申しましたように、これは使用対価の面に関しまして減額しているというところに加味されている問題だというふうに理解しております。
  41. 薮仲義彦

    薮仲委員 本吉先生にお伺いしたいのですが、私もおっしゃるように、公営、公社、公団というように所得によって入るべきだ、これは先生の御意見と同じなんです。ただ私は、公団の実態の中で、たとえばこれはいかがかなと思うことを含めて先生の御意見を伺いたいのですが、私は、確かに公団というのは、公営、公社よりも大体高い家賃でいい、逆転しているのはおかしい、その御意見には賛成ですけれども、ただしがつくのです。いまたとえば、私も静岡でございますけれども、県営住宅、市営住宅がございますが、大体おうちの前に物置がきちんとある。物置のスペースがあるのです。それからどうしても遠いところに公営住宅が建ちますので、自転車置場がきちんとしているのです。どこの公営住宅でも、これは附帯物件としてついているはずです。しかし、現在の公団の中で、古いときに管理開始なさったものについては自転車の置場がないのです。全国的にはわかりませんけれども、私が肌で感じたのでは、五割から六割の台数しか入れられないのかなという感じを持っております。また物置もないのです。ですから、入口がもう――私はわざと突然入っていったのです。いつ幾日行くよということは言っていましたけれども、そのうちを見るということを言わずにすぽんと入っていったのです。物置がないという実態がわかったのです。物置を置くとなると、一坪につき三千数百円いただきますよというのが公団の実態なんです。そうしますと、それで家賃としては物すごく高いものになります。  こういうことを考えてまいりますと、確かに先生のおっしゃるように、理論的には公団が安いのはおかしいよということは成り立ちますが、しかし、実態が県営、市営あるいは公社の住宅よりも居住環境が悪い、条件が悪い、非常に住みにくいというようなおうちであるならば、そこにある程度の政治的な配慮があっても世間は納得する、私はこう思うのですけれども、いかがでしょう。
  42. 本吉庸浩

    本吉参考人 お答えします。  まあ現実に私の住んでいる住宅は、自転車置場を最近公団は、家賃値上げのせいかよくわかりませんけれども、設置いたしました。  それから、物置については、何遍もアンケートをとって、先生がおっしゃったような三千円か幾らで何かつくる計画のようでございます。  ただ、私は公団住宅とか公営住宅の問題を考えます場合、やはり絶対値の金額が余り低いと、先ほど申しましたみたいに、入ってない方の理解が得にくいのではないか。ですから、その絶対値の金額が五万円なのか、三万円なのか、一万円なのかというところが大きな論点の分かれ道になると思うのです。その点を抜きにしてしまいますと、今度の問題が逆に言えばわりあいに抽象論に終わるのじゃないか。ですから、いまの八万円の住宅でどうなのか、一万円の住宅でどうなのか。ということは、私なんか考えますのに、いまなぜ狭いところに住んでいるかというと、駅から三分、国電の駅の近くという立地条件を職業柄非常に高く評価して、そういうところを仮に選ぶとすれば十数万円になるということがいまだにとどまっている最大の要因です。ですから、いろいろな指標がございますけれども、その人の主観でどの指標を買うかということは、家賃算定の非常に大きな基準になると思います。
  43. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは石原先生に重ねてお伺いいたしますけれども、いわゆる普通ですと家主さんは、どこまでは家主さんの責任ですよということがあろうかと思うのです。たとえば畳とか、公団にはいまバランスふろがまというのが入っておりますが、大体耐用年数が七年ということになっております。そういう耐用年数が決まっている物件、いろいろなケースがございますが、これは一つの例ですけれども、一つ問題点は、先生方の御意見として、いわゆるどこまでが公団側負担すべきところなのか。専用部分は全部入居者負担しなさいという意見もございます。しかし、私が先ほど申し上げましたように、建物自体がどんどん老朽化してまいります。そういうことを考えますと、どの部分まで専用部分だからといってたな子さんが持たなければならないのか。しかし、この部分は公団側負担してもいいのかなという先生の御判断の基準、これをひとつお伺いしたい。  それからもう一つは、先生がさっき、これは本吉先生も同じでございますが、公的な資金を使っているのだから当然だという御意見。その中にいろいろ含みもございますが、ただ、たとえば土地を持っている人は、家を建てるのに住宅金融公庫からの融資がございます。賃貸に入っている方に対してはどうなのかという点を考えますと、ある意味では、ではどちらが公平なんだ。金持ち優遇か。土地を持っている人には、自分の家を建てるのには公的な資金で、段階金利になりましたけれども、当初は五・五%で貸すじゃないか。家を建てられない場合もございます。いろいろな事情で家を建てられない方もいらっしゃるが、そういう方に対しての公的資金と、個人に対するそういう住宅金融公庫の制度のあり方との公平さ、先生はどういう御判断をなさるのか。もっといろいろございますけれども、この二点だけ石原先生に、簡単で結構でございます。いま私ここで先生の参考意見をと急に申し上げて大変失礼かと思ってじくじたるものがあるわけでございますけれども、お答えいただければ、いただけなくても結構でございますので、この辺のところ、どの程度のお考えを持っていらっしゃるか、お聞かせいただきたいのですが。
  44. 石原舜介

    石原参考人 お答えします。  第一点の、利用者の責任において行う補修の範囲ということでございますが、私どもは、建具、畳等、こういう範囲は使用者がある程度責任をもって補修をすべきじゃないかというふうに思っております。ただし、水回りだとかあるいは外装、手すりの塗装、こういうものは家主である公団が行うべきであるというふうに思います。ただし、一部重大な破損があるような個所が発生した場合には、当然家主の方で負担すべきだというふうに思います。たとえば簡単なことを言いますと、床が若干破損してしまった、こういうような場合には、内装部分でありましても、床の補修は当然すべきだというふうに思います。  それから、二番目の御質問でございますが、これはどちら側がどうなのかということは、住宅政策全体の問題でございまして、持ち家に対します政策も必要でございますし、それから公団ばかりじゃなくて、公営、公社等賃貸住宅に対します施策もまた非常に重要でございます。どちらにより恩恵があるかということになりますと、これはまたいろいろ解釈の違いがございますけれども、使用する金額及びその返済に充てます利子、利子率、こういうもので比較いたしますと、やはり公団の方が有利だというふうに私は思っております。
  45. 薮仲義彦

    薮仲委員 先生方に大変貴重な御意見を、またぶしつけな質問をいたしまして、申しわけなく思っておりますが、どうもありがとうございました。  最後に、工藤参考人に、いま私、ある意味では格差是正という問題の中での何点かほかの先生方の御意見を伺ったわけでございますが、公団の自治協のお立場では、いま私が申し上げたことをお聞きになっておって、何か御意見がございましたらお聞きかせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  46. 工藤芳郎

    工藤参考人 今回の家賃改定理由との絡みで申し上げますと、家賃の不均衡を是正するということが主たる理由でありますが、私どもは、この不均衡という場合には、薮仲先生が具体的に御指摘をなさいましたように、住宅の質的条件といいますか、居住性といいますか、そういうものを抜きにした格差是正はあり得ないというように考えているわけでございます。住宅というのは人間が住むということでありますから、当然住む人の側に立ったきめ細かい施策が何よりも大事なわけで、大げさに言えば、住宅は人権であるというのはそういうところからくる言葉だと思いますが、往々にして住宅を景気浮揚策の道具にしたりあるいは経済政策の中に取り入れたりしておりますが、そういう面があっておかしくはありませんけれども、何よりも住む人の立場に立ってお考えいただきたいと思っておるわけでございます。  きょうは具体的に御説明申し上げたいのでございますが、時間がございませんので、各先生方に「新旧団地設備の比較」という資料を封筒で差し上げてございますので、ぜひごらんいただきたいと思うのですが、二、三点だけ御説明をさせていただきたいと思います。  「新旧」というのは、主として三十年代に建った団地を旧と呼んでおりますが、最近建った、五十年代のを新というふうに位置づけていただいて結構だと思うのですが、最初のページは台所の設備。これは御婦人の役員の方におつくりいただきましたので、こういう写真を撮っていただいたわけでございますけれども、台所を見ても、収納のスペースが新しい団地は多いけれども、古い団地は少ない。換気扇そのものも、当時は予定されておりませんでしたので、ないところもありますし、やるとしても自己負担になるということでございます。それから給湯設備でも、最近のは完備されておるようでございますが、古いのは全くございません。またガスこんろの台も、この写真では見づらいかもしれませんが、こういうぐあいになっておりまして、スペースが狭い上に、重ねてこういうようなものを置かなければならぬというような状況がここにはございます。それから流し台なども大きさが非常に違うわけでございます。  それから、おふろの問題でありますが、古いところはこういう状況でございまして、木製のところもございましたし、流し場もコンクリートがむき出しでございます。新しいところはタイル張りというふうな状況になっておるわけでございます。それから洗面のぐあいもこのように非常に違っております。  それから、洗濯機置き場は、薮仲先生御指摘のとおりでございまして、スペースそのものもない団地があり、ベランダに置いている、あるいは廊下に置いている。そこで水漏れ事故が起きてトラブルになる、こういう事例は数多くあるわけでございます。  また、トイレの問題も非常にあります。古い団地はこういう和式が多いのでございますけれども、私も古い団地を見てみましたけれども、非常に耐えがたいような状況、臭気抜けもないような状況でございます。コンクリートもむき出しでございまして、古い学校のトイレというような感じで、住宅のトイレなどとは言えないような状況があるわけであります。  また、窓なども、御存じのように、木製サッシのところが多うございまして、台風時には風と雨とが吹き込むというような状況でございます。  また、外壁といいますか、外装も非常に汚くなりております。非常にスラム化をしているわけでございます。  狭さの問題は、ここであえて言っておりませんが、これはもうデータに出ておるとおりでございまして、人間らしい生活はできません。これは教育の面でもあるいはまた文化の面でも、夫婦生活の面でも、人間としてふさわしい、現代社会にふさわしい状況とは決して言えないような劣悪な状況であるということを申し上げたいと思いますし、家賃改定をやる場合に、やはりそういうものを抜きにして考えられないとともに、空き家割り増し家賃というのがありますが、その場合は新品同様に改装等を公団の側でされるのでありますが、一斉改定の場合は全くそういうことがなされない。ここに非常に不満があるわけでございます。  大体以上でございます。
  47. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうも大変ありがとうございました。
  48. 松永光

  49. 部谷孝之

    部谷委員 御多忙のところを、公団家賃改定に関しまして貴重な御意見をお聞かせいただきますために、わざわざ御出席をいただきました参考人の皆様方に対しまして、質疑をいたします一人といたしまして厚くお礼を申し上げます。  まず、工藤参考人にお尋ねしたいと思うのですが、公営住宅とか公社住宅等いわゆる公共住宅はいろいろあるわけでありますが、それらの中では公団住宅は比較的管理がよろしい方ではないか、一般的にはそういうふうな感じがいたします。しかしながら、それでもなお古い公団住宅では、いま写真でもいろいろお示しをいただきましたように、十分でないところがいろいろあります。したがいまして、やはり古い住宅におきましては、家賃算定基礎になる修繕費だけではなかなか賄えないのではないか、そういうふうな気がするわけでございます。前回の五十三年の一斉値上げのときに、七〇%を修繕費に使うというふうに言われておるわけでありますけれども、入居者立場から、こうした値上げ分によって行われた修繕費が十分機能しておるのかどうか、どういう評価をしていらっしゃるか、そのことをまずお聞かせをいただきたいと思います。同時にまた、今後の修繕のあり方につきまして御意見があればお聞かせをいただきたいと思います。
  50. 工藤芳郎

    工藤参考人 まず、前回改定時における値上げ増収分の使途についての私たちなりの問題点を申し上げたいと思いますが、今国会の建設委員会一般質問でもそういう御議論があったのかと思いますけれども、また予算委員会の分科会でも伊藤公介議員が御質問をなさっておりますが、前回値上げをした増収分でどこの団地にどのようにそれをお使いになったかというデータを具体的にお示しいただけないかというお願いをわれわれはしておるわけでございまして、この点は現在のところ、まだそういうことをお示しいただけない状況でございます。したがいまして、そういうことも関連いたしまして、特に四十年代に建設をされました団地方々に、値上げはしたけれども、それが修繕等にどのように使われたのか、実感としては持っていないという御不満が多いようでございます。したがいまして、今回の場合も、ぜひとも増収された分をどのようにお使いいただけるのか、この点を具体的にお示しをいただきたいし、お示しをいただけば、前提といたしまして、団地居住者方々はいろいろな要求を持っております。したがいまして、それは十分耳を傾けていただいて、その中でも財源の問題も限られておりましょうから、できることとできないこととがございましょうし、またできないとすれば、将来どのような御計画をなさるのか、そういう点もお示しいただければと、このように考えております。
  51. 部谷孝之

    部谷委員 それから、引き続き工藤さんにお尋ねしたいのですが、先ほど石原先生のお話の中で、基本問題懇談会でいろいろ家賃改定についての検討がされたけれども、その審議については自治協の方は参加していらっしゃらない、工藤さんを初めとしてごく限られた方の御意見は聞かせていただいた、こういうふうな御説明があったのでありますけれども、そういたしますと、自治協がこの基本問題懇談会あるいはその部会に参加されない理由というのは一体何なのか。同時にまた、ということに相なりますと、今度の改定に対しまして自治協の意見が反映されたとお考えか、あるいはされていないとお考えなのか、その点いかがでしょうか。
  52. 工藤芳郎

    工藤参考人 私どもが申し上げましたのは、前回改定のときのいきさつ、経緯というものを踏まえて、基本的な問題として家賃改定のあり方ということを申し述べる機会が与えられたわけでございます。  これはどういうことかといいますと、公団施行規則、省令でございますが、これにのっとった個別原価主義、それが当初家賃で決められているので、変更に当たっても、その当初の家賃決定原則に基づいて家賃改定が行われるものだというふうにわれわれは前から公団の文献や国会議事録等によって承知しておりますので、そういう形で述べたわけであります。これはつまり実態面であります。それから運用面では、自治協と公団とがよく話し合って問題の解決に当たるべきだ、おおむねそういうふうな趣旨の発言をさせていただいたわけでございます。  したがいまして、今回の改定は、まだいま御審議中でありますので、申し上げますと、実態面については、個別原価主義による家賃改定ではなくて、公営限度額方式に準ずるという形でございますから、これはかみ合っていないということが言えると思います。問題は、先ほど申し上げました表現で言いますと、改定ルールの中の運用基準といいますか、居住者への対応のあり方については、今後の国会御審議とそれに基づく大臣の御指導、あるいは公団の対応にまつところ、期待するところ大でございまして、これはぜひともかみ合わしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  53. 部谷孝之

    部谷委員 次いで、石原本吉参考人にお尋ねしたいと思うのでありますが、公団住宅家賃というものは、ある意味では、他のいわゆる公共料金と同じような意義も一面では持っておると私は思います。したがいまして、以前から議論になってまいりましたし、またいまだ確立されていないわけでありますけれども、家賃値上げについて適切な手続のルールを行うべきであるということが、住宅宅地審議会でも、また前回の一斉値上げの国会での審議の中でも議論されたわけでありますが、このルールづくりのあり方につきまして、両参考人の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  54. 石原舜介

    石原参考人 お答えします。  まず、この公団家賃が公共料金と同一だというような趣旨でお話がございましたが、私は認識を若干異にしておりまして、公共料金の場合には不特定多数でございますけれども、公団の場合には特定の人が専有してしまう、ほかの人がそれを利用できないという面では、基本的に違いがあるというように思っております。それだけに、この家賃の扱いというものに関しましては、一般的公共料金とはその手続上若干違いが生じてくるのもやむを得ないというふうに思います。  この手続のルールでございますが、これはわれわれは懇談会でいろいろ意見を申し上げていることでございまして、できるだけ住民の方々に御理解をいただくよう努力しなさいということを出ることはわれわれの立場としてはできませんので、そのような要望はいたしております。
  55. 本吉庸浩

    本吉参考人 私も石原先生と同じで、公共料金と公共住宅家賃は若干違うと思います。  それからもう一つルールの問題でございますけれども、私は、根底において、公団家賃の決め方が何か実情に合わなくなっているところからすべて問題が起きているんだと思う。ですから、公団がいままで家賃を説明する場合は、私たちが十数年前のときは原価家賃と申しておりましたのが、いつの間にか政策家賃になったり、最近は使用対価という言葉を使いますし、また自治協サイドでも、最近は原価家賃修繕賞はある程度許容するという形で、同じ家賃体系が大きくその認識が違っているところに問題がある。現在の、さっき石原先生も御指摘になったように、七十年で均等して家賃を定めていくというところに大きな現実に合わなくなった部分があると思う。  ですから、ぜひこちらから逆にお願いしたいのは、先生方がこれから公団家賃というものはこうあるべきだということを決めていただいて、それを今度は逆に言えばルールにして、それで自治協、学識経験者などが参加して、それに基づいて適正な見直しをやっていくということが、これからの家賃を決めていく上に、こういういろいろな問題を生じない大きな要因になるのじゃないか。だから、これはたとえば基本問題懇談会幾ら答申しても、家賃基本にわたる部分は、とても実効を得ることは困難だと思いますので、逆に国会の先生方が、今後現代にマッチした公団家賃のあり方を、もっと言えば公共賃貸住宅のあり方はいかにあるべきかということを御審議いただいて、家賃基本についてのコンセンサスを得ていただいて、そこから新しいルールづくりがスタートするのじゃないかという気がいたします。
  56. 部谷孝之

    部谷委員 工藤参考人先ほどこの点につきまして、いま判断基準はあるけれども算定基準がない、そういうことだからいろいろとその実効性がないんだ、こういうふうな御意見の御開陳があったわけでございますが、工藤さんの方からルールづくりの点につきまして御意見をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  57. 工藤芳郎

    工藤参考人 私は、算定基準といいますのは、やはり公共料金ではないにしても、公共的な性格を持っているということは、公団家賃としては免れないと思うのです。そういうところに民間家賃と違う特性を持っているということであります。したがいまして、何かそこには一定の改定に当たっての基準がなくてはいけないということでございまして、現在ございますのは、判断基準としては、不均衡が出たときとか、物価、経済事情が変動したときというのがあるのですが、しからば、そういう事情が出たときに、どういう物差しではかるのかということがないわけであります。  一般に、公共料金の問題を御参考までに申し上げますと、電力料金でありますと、総括原価主義というのをとっておりまして、また国鉄運賃や私鉄運賃などにもそういう原価主義がございます。法令の根拠についてはそれぞれまちまちでありますが、大まかに言いますと、やはり原価の構成要素が明示されまして、どの構成要素がどれだけ変動したから値上げをするとか値下げをするとかいうふうになっていくわけでありますが、公団家賃の場合は、公共料金でないにいたしましても、当初家賃で原価構成要素が定められているわけでありますから、なぜそれに基づいて変動があるから値上げをするというふうにおっしゃらないのか。どうもその辺が合点がいかないところでありまして、そういうルール算定方式をつくった方が客観的であり、納得がいくのではないかと思っております。これは私の申し上げる算定方式でのルールであります。したがいまして、公共料金そのものではありませんが、十分そうしたものを参考にした算定方式という実態面でのルールづくりが必要だ、このように考えておるわけでございます。
  58. 部谷孝之

    部谷委員 それではお三方にそれぞれひとつ御意見をお伺いしたいと思うのですが、公団住宅が勤労者のための住宅であるということは規定されておるわけであります。したがいまして、あらゆる負担をすべて勤労者である入居者に課していくということについては、これはやはり問題があると思います。特に、ここ数年来非常に問題として取り上げられておりますのが、未入居住宅の問題と、それから長期保有土地の問題があるわけでありますが、いまだにこの問題は抜本的な解決がされていない、こういう現状にあるわけであります。当然これらがまた家賃なり分譲価格に反映してくるわけでありますけれども、原価主義、格差是正、そういう名のもとに、こうした問題が勤労者に転嫁されていくということは問題がある、私はこういうふうに考えるわけでありますけれども、先生方からそれぞれこの点についての御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  59. 石原舜介

    石原参考人 いま御指摘の未利用の空き家並びに長期保有の土地等の問題は非常に重要な問題でございまして、これが今回の家賃値上げ等にはね返るというお話でございますが、私の聞き及ぶ範囲では、長期保有土地に関しましては、これは別途会計になっておりまして、この方に繰り入れるというふうには考えておりません。ただ、未利用の空き家の分に関しましては、当然若干あろうかと思います。その点、こういうものの解消を早急にしていかなければならない。特に未利用の空き家の問題は、これはやはり住宅都市整備公団社会的なニーズを十分把握できなかった、ある程度事業上の失敗というふうに理解しております。その点で、この失敗を転嫁するということについては、私は非常にまずいのではないかというふうに思います。しかし、財源がございませんので、その点は別途政治的に判断していただきまして、この補てんを考えるようにすべきではないかというふうに思います。
  60. 本吉庸浩

    本吉参考人 私も、今度の家賃値上げの問題につきまして、未利用地の問題、空き家の問題がかなり入居者の不信を買っていることは否めない事実だと思います。ただ、この家賃問題の値上げが出ましたのは、私の記憶するところ、四十六年ころでございますか、そのときも再燃したことはございまして、今度の未利用地、空き家の問題と直接は関連がなく、そもそも公団家賃の抱えている問題から発生しているのだと思います。ただ、こういう不信感かあると、こういう家賃のいろんな合理的なことをおっしゃっても、また公団幾らこういう御説明をなさってもなかなか――家賃というのは、先ほど申しましたみたいに、単に学問的なものじゃなくて、かなりメンタルな、感情的な要因というものがございますので、どうしてもこれは公団が一生懸命に合理的な解決を図って、少なくとも家賃に転嫁するようなことはないようにしていくべきであると思う。  ただ、この問題が発生しましたのは、確かに公団の経営の間違いもございますけれども、当時のただつくればいいという住宅政策全般のひずみが公団にも影響しているということは、これは単に公団の責任だけじゃなくて、僕はかなり政府もその責任の一端を負わなければいけないのじゃないかという気がいたします。
  61. 工藤芳郎

    工藤参考人 今国会でも建設委員会の一般質問等においてこういう問題が御質疑がありました。瀬崎議員の質問に対して行政管理庁の上谷監察官が回答されました部分から言いますと、この問題が一定の因果関係があるということは、われわれとしても国会の質疑をお聞きする限りにおいては認めざるを得ない現状にあります。具体的にどういう形の因果関係があるのか、それが再値上げとの絡みでどうなっておるのかということについては、なお承知をするところではありませんが、各新聞の社説等を見ますと、今回の改定に関しては、朝日新聞の社説、読売の社説、読売の解説記事、日経の社説等々やはり世論がこの点について心配していることも事実でありますし、私たちはこういうことがあってはならぬと思いますが、第一には、この問題を国民立場に立って早期に解決をしてもらいたいということ。それからまた、そういう因果関係があるといたしますならば、それは団地居住者へはね返らないような適切な措置をとっていただきたいということを今回の要望でも申し上げておるわけでございまして、団地居住者は、やはり世論と同様にそういう不安を持っていることだけは事実である。以上でございます。
  62. 部谷孝之

    部谷委員 いろいろと貴重な御意見ありがとうございました。終わります。
  63. 松永光

    松永委員長 中島武敏君。
  64. 中島武敏

    ○中島(武)委員 きょうは、三人の参考人の皆さん、大変お忙しいところをわざわざこの委員会に御出席をいただいて大変ありがとうございます。  早速お尋ねしたいのですけれども、石原参考人に最初にお伺いをしたいと思います。  今度の値上げ問題に関して、基本問題懇談会では主にどんな意見が出されたのか。そしてまた公団の方ではどんな意見を取り上げたのか。この点を最初にお伺いしたいと思います。
  65. 石原舜介

    石原参考人 まず、主な意見と申しますのは、先ほど私が報告させていただいたときに六項目ほど申し上げました。その中での基本的な家賃体系づくりというものに関しましては、現在こういう問題をしていこうということで、引き続き家賃部会検討を進めることになっておりまして、今回の中には、そういう意味では組み入れられておりません。今回の中で組み入れられましたのは、先ほど本吉さんの方からお話しございましたように、激変緩和措置に関しまして、規模別に格差をつけるというのは、初期には公団では一律の金額を提示しておりましたけれども、これは部会での意見参考になったというふうに理解しております。それから利子補給は限界にあるので、これからは利子補給では対応できないというようなことに対しましていろいろ意見が出ましたことに対しましては、これは賛成意見でございますので、大体がそのほかの対策を講ずるようにというようなことで、今回の家賃体系の中に、そういう意味でいろいろな問題が各所に入っているというふうに思っております。  そういうことで、基本的な問題あるいは物価上昇というものをどう考えるかとかいろいろと多く出されましたけれども、こういう問題は残念ながら反映されていないというふうに思います。
  66. 中島武敏

    ○中島(武)委員 本吉参考人にお伺いしたいと思うのです。先ほどからの御発言の中にもあったかと思いますが、値上げのことが最初にやられましたために、基本問題懇談会値上げのための懇談会じゃないか、こういうそしりを受けるおそれがあるということが委員の中で問題になったというお話でございましたね。私も、値上げ問題というのは、やはり世論の納得を得るものでなければならないというように思うのです。そういう点では、一言で言えば、公団のずさん経営とかあるいはまた公団家賃はどうあるべきかとか、値上げルールはどうなければならないかとか、いろいろ解決されなければならない問題があるわけですね。それで、こういう問題がそのままにされて、引き続きやるそうですけれども、値上げの方が優先して出てしまったということについて、本吉さんはどんなふうにお考えでございますか。
  67. 本吉庸浩

    本吉参考人 お答えいたします。  この基本問題懇談会のお話があったのは、初めは昨年の四月ごろございまして、そのころから本当は始まると思いましたら、たしか始まったのが昨年の十月でございました。いま先生御指摘になったように、公団基本問題を論ずるなら家賃がきわめて重要な要因になるだろう。その場合、私が先ほど申しましたみたいに、当面一番大切なのは、高家賃をいかに抑制していくか、その中で中古家賃をいかに、これは私の年来の主張でございまして、そういう意見を申しましたけれども、当面緊急の中古家賃をいかにするかということを審議していただきたい。それで中古家賃だけで打ち切るのではなくて、必ず将来もその家賃部会公団家賃の抜本的な問題は検討していくからというお話なので、私はオーケーした。私と同じような見解の方はかなり多うございました。  ただ私は、基本問題懇談会以外に、石原先生なんかと家賃部会に出まして、その家賃部会の皆様の御意見は、四回ばかり開かれましたけれども、これも先ほど申しましたように、要するに、家賃値上げについてはいろいろな立場から各先生方はやはり賛成で、ただ値上げの根拠、理由については意見さまざまであったということであります。先ほど申しましたみたいに、家賃を上げてはいけないというのが出てくるのが普通なんですけれども、これは何も公団を応援したわけじゃなくて、軌を一にして、家賃はある程度引き上げざるを得ないという点については合意を見ていたと私は思う。ただ、その値上げ理由については、意見が必ずしも合致したと私は思わない。ですから、これから家賃問題については公団でも将来ずっと検討していくということを確約しておりますので、今回の問題だけじゃなくて、やはり家賃体系そのものについて引き続き問題提起していくことが私たちの役割りじゃないかという気がいたします。
  68. 中島武敏

    ○中島(武)委員 本吉さんにもう一つだけ重ねてお尋ねしたいと思うのですが、いま大変な経済状態、生活も大変でございますね。これは六年連続所得税減税も行われない、実質増税になるとか、あるいは人事院勧告も凍結されて公務員の給料が上がらないとか、またこのことを理由にして民間の方でも給与を引き上げない、なかなか大変な時期だと思うのですね。先ほどからのいろいろな方の御発言にもありましたけれども、今度値上げされたら本当に考えてしまう、出ていかなければならないのじゃないかというようなことさえ考えられる団地居住者の方がおられるというのですね。この問題について、現在値上げをするということが、一体時期としては適切であるとお考えであるか。値上げ賛成という態度を表明していらっしゃるのですけれども、この点についてはどうでございますか。
  69. 本吉庸浩

    本吉参考人 私は、時期としては、いま先生がおっしゃったように、だれが考えても決して望ましい時期ではないと思います。ただ、いつもこういう問題というのが出ますとき、何も家賃だけではございませんけれども、皆さんさまざまな形でいつも問題を引き延ばして、おくらせて、たいてい両方が解決がむずかしくなってやりくりがつかなくなった段階で大体こういうものが出てくるというのが、家賃に限らず、交通費でもしかり、いろいろな問題の傾向があると思うのです。ですから、本来こういうものを着実に平常から論議をしていかないと、たいていの場合、一番悪い時期にその値上げという形で、家賃を初め交通費の問題、いろいろな問題が出てくるという傾向があるように思います。ですから、時期としては決して望ましい時期ではないということは、だれか考えても――ただ、だから値上げはけしからないと言うかどうかというと、かなり皆様のニュアンスが違いますけれども、時期としては、これはだれが考えても、常識で考えても、結構だという方はいないのじゃないかという気がいたします。
  70. 中島武敏

    ○中島(武)委員 工藤参考人に伺いたいのですが、今度の値上げは、新旧家賃格差の是正ということを理由にして値上げが出されたわけですね。しかし、新旧家賃格差の是正ということを理由にしている限りは、いつまでたっても結局値上げの繰り返しということになってしまうと思うのですね。  私は工藤さんがどんなふうにお考えになっているかという点について改めて伺いたいのです。この値上げをやるという場合に、ルールが必要だと思うのですが、このルールについて基本的な考え方といいましょうか、その点については一体どういうふうにお考えになっておられるか、改めてちょっと伺いたいのです。
  71. 工藤芳郎

    工藤参考人 御指摘のように、不均衡を是正するという理由値上げをするということでありますと、まず、今後発生するであろう不均衡をとめるということが大事なわけです。その点の施策が十分でありませんと、不均衡がどんどん年度年度で繰り返されていくわけですから、これを是正するという理由でありますと、繰り返し値上げをするということになるわけで、この点を私たちは、値上げをする側からとってみればしやすい理由かもしれませんが、不均衡是正によって不均衡は是正されないというふうに見ているわけです。  そこで、そういう理由ではなくて、先ほども申し上げました算定基準ということにもう一遍立ち返って考えなければならないと思うわけであります。簡潔に申し上げますと、そのためには、公団家賃性格をきちんと規定しなければいけないと思います。これは公団がかつて出されました「いえなみ」という雑誌の論文の中でもありますが、「家賃自体は、非経済的家賃性格をもつている。」「公団住宅家賃は、家の持つ使用価値の売手と買手とが、自由に交渉し合いながら、その値段を定めていくといういわゆる需要と供給との関係から形成される市場価格を基とする家賃ではなく、公団住宅建設に要する資本、機材、労力といつた生産成分に相当する生産費用に基づく、生産価格をもって公団住宅の供給家賃としている。」というふうに、市場家賃とはやはり違うということは、公団自身もお認めになっているわけです。  そこで、公団家賃性格を公的なものとして規定をする。そうなりますと、やはり一定に依拠しなければならぬと思うのは原価主義だろうと思うのです。ですから、原価主義が悪いのではなくて、原価主義の構成要素にいろいろ問題があるとするならば、それは御検討いただかなければならぬと思いますけれども、つまりいま論点になっておりますのは、地代相当額、これは実質私は金利だと思っておりますが、この分について再評価ができるのかできないのかというような議論があるわけです。あるいはまた変動費として認められるかどうかということで、私たちはこの家賃の原価構成要素の中で、変動費については、物価、経済事情の変動があれば、そこはランニングコストでありますから一定部分の変動がある。その部分についてやはり団地居住者負担をせなければならないだろう、こういうように考えておるわけです、どう考えてみましても、原価主義に基づいて理論構成をしてみると。  その場合に、公団ともいろいろな事務折衝なんかで出てくる話は、実際に変動した部分を御負担いただくといたしますと、現在家賃改定をしている公営限度額方式に準じた方式、これよりも実費は高くなりますよという御説明も実は受けております。しかし、それは原価の構成要素の中の変動のすべてを居住者負担するのがいいのかどうか、こういう論議になるわけで、原価主義そのものを否定する根拠にはならないのではないだろうかと思っておるわけで、その点はやはり公団家賃性格論、法令の根拠、そういったことを総合的に考えてルールづくりを進めなければならない、こういうように考えております。
  72. 中島武敏

    ○中島(武)委員 もう一つ工藤さんに伺いたいのですけれども、いま裁判をやっておられますけれども、前回値上げのときに、何が一番不満で裁判を提起しなければならないというふうになったのか、この点をちょっと伺いたいのです。
  73. 工藤芳郎

    工藤参考人 一つは、理論的な面では、いま申し上げました値上げ理由が、私たちは原価主義というふうに理解をしておりましたし、それに基づいて原価の構成要素が変動したからかくかくの値上げをする、こういう御説明に相なるであろうと思ったところが、そうでなかったという点でかみ合いませんでした。  問題は、そういうことが起因いたしまして、値上げ理由算定根拠等説明をいただきたいということだったのですが、いまにして思えば、ルールがなかったものですから、値上げ理由、根拠についての考え方がもともとそごをしておる。したがいまして、説明が困難であったのだろうとは思いますが、いずれにせよ、それはそれとして、居住者に対してよく説明をしていただくという対応が、きわめて残念ながら実現できなかったという点がございます。  そういう点で、私たちは裁判をその当初からしようという意図は持っておりませんでしたけれども、説明をしてください、協議、話し合いを実現したいということで、一定期間家賃の暫定払い、増額分についての支払いを拒否するということをやりました。それは協議、話し合いを実現せんがためにやったわけでございまして、それを進めている中で公団の方から、そういうことであれば、やはり裁判で法律的な決着をせなければなるまいという趣旨の御発言も国会等で総裁からございまして、まあ売り言葉に買い言葉といいますか、そういう形でわれわれの方も、裁判を公団がやるならわれわれの方からやった方が有利ではないかということでやった、こういうことでございます。
  74. 中島武敏

    ○中島(武)委員 重ねて工藤さんに伺います。  現在裁判が進行中ですね。この点について、いまのようなお気持ちでおやりになった。これからどういうふうにされようとお考えになるかという問題ですね。この点と、それからちょっと時間がないようでございますので、あわせてなんですが、今度裁判が進行中にこの値上げが出てきた、そして公団自治協の皆さんと公団の方とは、いわば断絶しているのですね。これは余り好ましい話ではないと私は思うのです。この点についても一体どうされようとお考えになっていらっしゃるかということについてお尋ねします。
  75. 工藤芳郎

    工藤参考人 結論から申し上げますと、家賃裁判は早期に解決をいたしたい、このように自治協側では考えております。早期解決の方法、手順、それに至る経緯と隘路をどう切り開くかということが問題になると思います。現在、家賃裁判は全国八つの裁判所で原告団三百名、弁護団約五十七、八名によって構成されておるわけでありまして、代表訴訟的な性格を持っておりますので、原告団等ともよく打ち合わせをいたしまして、今回の再改定の中で、前回争われた争点の解決が見出せるように最大の努力をお願いしたい。国会筋にもぜひその点をお願いしたいわけでありますが、私たちもそういう方向に向けて努力をしてまいらなければいけない。御指摘のように、好ましいことではないということは重々承知しております。したがいまして、早期ということの時期を一審の判決前に置くのか控訴審まで延ばすのか、そういう御議論は専門家のお立場からいろいろあろうと思いますが、いずれにしても、総合的な観点から解決をすることが望ましいと考えておりますし、公団居住者との間にはもっともっと大切な問題があるわけであります。日常的な管理をよくし、そして団地居住者の居住性の向上を図るとか地域コミュニティーを本当にモデル的に発展をさせるとか、大きな課題も持っておりますので、できることならば、そういうふうな解決を望みたいわけでありますが、この辺は相互に関連する問題でありますから、いずれにしても、今回の改定内容、また今後の御審議と間会におけるおまとめの内容等を実現する過程の中で、自治協として実施時期等に合わせて結論づけなければならないと思っております。  繰り返して申し上げますと、そういう形で統合的な長期的な観点から、社会党の御指摘にございましたように、包括的な和解というような表現も当たると思いますが、そういう方向努力をする必要があるし、その点は、何よりも大家さんが大家さんらしい対応をしていただかないことには、団地居住者の方としてはなかなか申し上げにくいという点がございますので、鋭意いまひとつ大所高所から国会という場でまた御判断をいただきますよう期待をするところでございます。
  76. 中島武敏

    ○中島(武)委員 ありがとうございました。
  77. 松永光

    松永委員長 菅直人君。
  78. 菅直人

    ○菅委員 きょうは三名の参考人の皆さんには本当に御苦労さまです。  私は、東京では一番公団団地の多い地域に、選挙区を含めて、三多摩に住んでおりますので、いろいろな方からこの問題では御指摘をいただいたり要請をいただいたりということで、かなりこの間いろいろな形で勉強させていただいているのですが、なかなか納得できない部分がいろいろとあって、その点について、私の場合時間が十分間に限られていますので、論点をしぼって参考人の皆さんにお尋ねをしたいと思います。  特に、石原先生にいろいろお聞かせいただきたいのですが、今回の値上げ理由とか根拠の中で、先ほど来のいわゆる新旧家賃格差という不均衡論というのがいろいろあるわけですけれども、確かに古いといいましょうか、三十年代、四十年代の家賃は、周辺の民間なんかに比べればかなり安いということも指摘されていますけれども、逆に最近供給されている住宅を見ると、たとえば平米当たり千円近い額になっているものもどんどん出てきているのですね。そうすると、近所の民間のマンションと比べても大差がないというのが出ている。まさに先ほどからの議論の中にもありますけれども、公団の場合は利子補給を年間一千億程度受けている。しかも七十年償還で、しかも借りかえ借りかえのようなことをやって、それ自体非常に問題があると思うのですけれども、ある意味では大変恵まれた条件の中で建設をし、賃貸という形での新規供給をしながら、かなり高いものが現在では出てきている。その一方、その高いものと比較をされたのではたまらないじゃないかという住民の率直な気持ちもあると思うのですね。どうもこの中には公団の政策のミスもたくさん入っているのじゃないだろうかということもありますし、またもともとの約束とちょっと違うのじゃないかとか、そういったいろいろな率直な気持ちもあると思うわけです。  そういう点で石原先生に、このいまの公団が新規に供給しているものの値段が非常に高く、私なんかの感じで言えば、民間マンションと大差かないというのはどうもちょっと政策上のミスもあるのじゃないかというようにも思えるのですが、御見解を伺いたいと思います。
  79. 石原舜介

    石原参考人 時間がないということでございますので、簡単に申し上げます。  第一の格差の問題でございますが、意見を述べさせていただいたように、これを格差として受けとめるか、それともそのものが持っている対価として受けとめるかということでございまして、今回の家賃値上げは、先ほどから申し上げておりますように、たとえば地代相当額あるいは償還額、こういうようなものは、その建物の持っている対価をもとにして決めているので、格差だけが一つ理由にはなっておりません。ですから、あくまでもその建物の使用対価ということが私は基本にあるというふうに思っておりますので、その枠を超えたものではなくて、格差だけが理由になっておらないと私は理解しております。それがまず第一点でございます。  それで第二点は、最近の住宅公団の供給する住宅は非常に家賃が高い、こういうお話でございますが、これはやはり御承知のような地価問題とかいろいろな物価の上昇その他で高くなっているのはやむを得ない。一つ社会的条件だろうと思いますが、大体月額六万円近い補助で家賃の引き下げを公団は行っております。そのために、それでもなお高いというような御批判というものがあるということは、私も重々承知しておりますし、それから民間のマンションとの格差というふうなお話がございますが、民間のマンションとは、立地条件その他比較しないとわかりませんけれども、私はやはり公団の方が有利だというふうに思っております。  それで、今回の家賃値上げの一部をこういうものの抑制に使って、公団の使命でございます第三分位程度方々に一六%ないし一七%程度家賃負担で居住できるというのが一つ家賃の目安だというふうに理解しておりますが、公団もそのように努力しているのではないかというふうに推測します。そういう観点からいたしますと、社会的に見た場合の家賃に比較しますと、安く供給されているというふうに私は思っております。
  80. 菅直人

    ○菅委員 これは午後の質問でも言おうと思っているのですが、たとえば私の近くの昭島というところに最近つつじが丘団地というのができておるのですが、それなどは距離的に見ても、近くのそういった民間的なものと比べて大差がないというのが、私も実際に歩いてみた実感ではあるのですけれども、このことはまたのあれにして、もう一つだけお伺いします。  先ほど本吉参考人の方から、公団にはもっともっと新規供給をしてほしいという御意見があったわけですが、本来住宅政策全般で言えば、たとえば新婚の二人家族のときは二DK、子供がふえたら三DKとかもうちょっと広いところ、また二DKという形で賃貸で動いていくというのが、ある意味で理想というか社会的な一つの適切な形ではないかとは思うのですけれども、しかし、いまの公団制度の中で公団がやるべき仕事で考えると、いま申し上げたように、かなり高いものを新規供給するという問題もありますし、一方で七十年の年度でやって果たして――補修費の問題、維持管理の問題でスラム化していくのじゃないだろうか。そうなったときには公団の、財政上の問題はきょうの午後の議論になると思いますけれども、財政上から見ても、これは大変なことになってしまうのじゃないか。  そういう意味で、私見ですけれども、住宅戸数が戸数としては非常に満足してきた現在の中で、あとは広さとか管理運営とかということで考えれば、公団の役割りとして、新規供給というもの以上に維持管理というものにウエートを置くという方向が考えられるのじゃないだろうか。  それとあわせてですけれども、高家賃抑制ということは、もちろん私たちも大賛成ではあるのですけれども、高家賃抑制のために値上げをした費用を使うということになると、本来の公団の考え方そのものが一体何が基準で何が結果なのかわからないという、これは公団にも伺わなければいけないことなのですが、そんなことも含めて一言だけ本吉参考人公団の役割りということを、特に維持管理と供給についてどんなふうにお考えか、簡単にお聞かせをいただきたいと思います。
  81. 本吉庸浩

    本吉参考人 私は、先ほど申しましたみたいに、大都市では公共賃貸をもっと供給促進する。ただ、その場合考えますのに、たとえばいま一戸建てる場合にどんな場合でも最低二千万かかると思うのです。それを七・三の融資を使いますと、利子だけで年間百四十万、割り算しますと十二万ですね。ですから、修繕とか公租公課とか何にも入れないで、本来は金利だけで十二万という家賃。これは公団がつくろうがどこがつくろうが僕は本来同じだと思うのです。やはりそれを四%、三%ぐらい引き下げるためには、膨大な資金投資が要るのじゃないか。そうしますと、いままで三十年代の、どっちかといったらインフレによって得た利益を、やはり古い方が応分の負担をするということが公団に住んでいる者の相互扶助立場から必要なのじゃないか。そうしないと、先ほど申しましたように、利子補給もなかなかむずかしくなってくるのじゃないかという意味から、やはり住んでいる方の相互扶助ということが、私はこういう公の住宅に住んでいる方の一種の義務じゃないかという気がいたします。  それから、おっしゃるように、これからメンテナンスをよくして修繕というのをりっぱにしていくということが公団の大きな役割りだと思うのです。ですから、公団側もこれからは住宅供給戸数をいたずらにふやすことじゃなくて、かなり公団が、たとえば建設だけじゃなくて管理を別にした、もっと入居者のニーズに沿うようなサービスをするようなシステムというものもこれから検討していかなければいけないのじゃないか。もう約六十万戸の大家さんでございますから、たとえば管理公団みたいな、そういう建てるのと管理するのとは別個にするような時期もそろそろ来ているのじゃないかという気がいたします。
  82. 菅直人

    ○菅委員 それではもう一点、最後に工藤参考人にお伺いしたいのですが、先ほどルールづくりということが一番議論されてきておりますし、まさにそのルールの中で、相互に納得した形である程度負担をそれぞれが分かち合っていくということだと思うのですが、現在の方式というのが個別原価積算方式で、いわゆる原価主義ということなのか、それともいわゆる公営の上限方式と言われる方式なのか、議論が相当裁判でも争われておるようですけれども、今回のこの家賃値上げの中に、推定再建築費率という形の、簡単に言えば、いまの値段でつくればどのくらいになるのかということを一つの目安にして、それの三分の一程度の引き上げ率とか等々いろいろな詳しい計算のことが出ておるようですけれども、このルールづくりの考え方として、先ほどの御質問というか、先ほどの中にもおっしゃっておりましたけれども、工藤参考人としてはどういうルールが望ましいと考えておられるのか。基本的には原価主義をとるべきだと考えた上での修正なのか。それとも先ほど本吉参考人の御発言のように、ある程度住民相互の相互扶助的というか、バランスも当然加味すべきだというお考えなのか。そのあたりについての御意見を伺わせていただきたいと思います。
  83. 工藤芳郎

    工藤参考人 これは非常にむずかしい問題で、私たちの団地の協議会として、まだ正規に討議はしておりませんが、基本的には、やはり原価主義は、これはせっかく当初家賃の決定原則でございますから、これを全然無視するというのはまずいと思います。だからといって原価主義だけでいけるかどうかということについては、かなり検討してみる必要があるわけで、私は原価主義プラス政策家賃といいますか、そういったものを加味していかなければ、今後の家賃運営はできないのではないかというふうに基本的に考えておるわけであります。公共的な性格を持っておる住宅家賃でありますから、やはり何か一定の原則がなければいけない。それで公営限度額方式については、発想そのものが市場家賃論から発想しているというところに、あとは足したり引いたりしていろいろ計算をしておりますが、その点は問題があるのではないかと思います。  なお、前の家賃改定のときに、国会ではそういうこともあるので、住宅基本法の制定とあわせて整合性ある家賃制度の確立を図るべきであり、それまでは現行家賃制度を逸脱しないようにということだったものですから、私たちも正直に受けとめております。今回のものは、そういうルールが新しいものができた上でおやりになるならまだしも、それができないままでやるというのは、前回の国会要望を軽視しておるのではないか、こういう観点からわれわれは異論を唱えておるわけであります。したがいまして、今後そういう新しいルールができれば、それはそれで私どもなりに動いていかなければならぬ、このように考えておるわけであります。
  84. 菅直人

    ○菅委員 どうもありがとうございました。
  85. 松永光

    松永委員長 これにて各参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、御多用中のところ、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本件調査のため大変参考になりました。委員会代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)  午後一時三十分より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十八分休憩      ────◇─────     午後一時三十八分開議
  86. 松永光

    松永委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山花貞夫君。
  87. 山花貞夫

    山花委員 午前中の参考人の議論をお伺いいたしまして、これを踏まえて公団家賃値上げ問題にかかわる質疑をさせていただきます。  今回の値上げについて、まず第一に感ずる問題点は、これまで前回値上げ以来裁判が係属中でありまして、そこでのさまざまな議論について未解決のまま再度の値上げである。この点が一般の賃貸借関係には見られない公団の大変一方的なやり方ではなかろうか。公団居住者の多くがそう考えておりますし、われわれも当然の指摘ではなかろうかと思っております。  実は、十八日以降、二十日の日に、午前中の質疑でも話題となりましたマスコミの各社の議論が社説に掲載されました。それぞれ問題点指摘しているわけでありますけれども、特に朝日の社説は「公団家賃値上げの前提条件」ということで、二つの問題点指摘しております。  一つは、「新しく建つ賃貸住宅家賃をできるだけ引き下げることだ。公団賃貸住宅入居者でつくっている全国公団住宅自治会協議会は、土地・住宅政策の失敗の結果といえるいまの高家賃に合わせて古い住宅値上げするのはおかしい、と反対している。もっともな主張だ。」こう言っております。  第二番目に「なぜ値上げが必要か、値上げ算定の根拠はどうなっているか、などについて入居者にくわしく説明し、了解を求めることだ。」さらに付言いたしまして、「多くの空き家と売れない土地を抱え、運営のずさんさを指摘されている住宅都市整備公団だけに、値上げ分が赤字の穴埋めに使われるのではないかという不安を抱いている人も少なくない。経営改善のため、一層の努力を望みたい。」こうした前提条件が満たされていないことを問題としております。  読売新聞の社説でも、改善点として幾つか指摘をしておりますけれども、ここでも、住民側の反対理由としての、一方的な値上げ通告は納得できないという声に対して「これを回避していくためには、」「経済、社会状況の変動に応じて、合理的な家賃を決定するような制度を導入していくべきである。」こういう指摘をしております。  いろいろ問題点もありますけれども、そうした公団の従来の経営とのかかわりでの住民の疑問、家賃改定の根拠、基準ルールについて、まだ決定をされていないということについての住民の不満、この点についての社説について、まず冒頭、大臣から所見をお伺いいたしたいと思います。
  88. 内海英男

    内海国務大臣 朝日新聞、読売新聞の社説として先生御指摘になりました御意見等を拝見いたしますと、今回の家賃改定につきましては、一応やむを得ないという前提に立っていろいろな問題を提起されておると思うのでございます。ただ、公団家賃改定の方法、公団の経営改善、こういったものについてある程度具体的な提言をされておられます。私どもといたしましても、これらの御意見を十分拝聴した上で、慎重に検討して対処してまいりたいと思っておるわけでございます。午前中の参考人方々の御意見等も私ども十分参考にいたしまして、今後の実際の具体的な作業に当たりましては、慎重に検討していきたい、こう思っておるわけでございます。
  89. 山花貞夫

    山花委員 大臣のいまのお話、これからの議論で十分詰めていただければというように考えます。  次いで、公団に伺いたいと思いますが、いまの論調にもかかわる部分ですけれども、従来から公団の経営の内容について問題とされた部分がありました。午前中の議論におきましても、長期未利用地や空き家の問題等々を指摘されたところでありますが、実は、従来の議論には余りあらわれていなかったように思うのですけれども、最近また公団は新しい問題を抱えているのではないだろうか。五十六年度の会計検査院の決算検査報告に関しまして、五十七年十一月十九日付で住宅都市整備公団あてに意見を表し、処置を要求した事項について私は関心を持ちました。五十六年度中におきまして、民営賃貸用特定分譲住宅は、公団建設戸数からいたしますと、三六・八%に達して、住宅都市整備公団住宅建設事業において賃貸住宅及び分譲住宅と並ぶものとなっているとされております。三分の一の仕事が新しい仕事になっておる。新しい仕事でも、経営内容がまずいのではないかという指摘を会計検査院からされているのではないでしょうか。新しい問題が次々と発生しているということになれば、なおさら住民の理解を得られないと思いますが、どういう問題が生じて、どの点に欠陥があったのか、先ほど新聞の論調をも踏まえて、住民の納得いくような説明をしていただければと思いますけれども、公団の御意見を伺います。
  90. 志村清一

    ○志村参考人 ただいま先生から御指摘のありました朝日、読売、日経等の主要新聞における記事につきましては、私どももこれを読んでおります。大臣からお答えがございましたように、公団家賃見直しに対しましては、ある程度の御理解をいただいたものと思っておりますが、御指摘のように、現在供給する新しい住宅家賃が非常に高いじゃないか、それとあわせて古い住宅家賃値上げするのはおかしいとか、なぜ値上げが必要か、値上げ算定の根拠はどうなっているかというふうな問題、さらには未入居、未利用地等の経営改善の問題等の御指摘が朝日にございましたし、読売からは、第三者機関による、経済社会状況の変動に応ずる合理的な家賃決定の制度を考えたらどうかというような御指摘のあったことは承知いたしております。  公団としては、実は、ただいま供給する新規家賃に単純に比較して古い住宅家賃改定するということではございませんで、その古さとか大きさとか機能とかいうふうなことを十分考慮した上で家賃改定額を考えておりますし、さらにそれに激変緩和措置を配慮して是正をしているわけでございまして、高い家賃に合わせて古い住宅家賃値上げするという考え方ではございません。  次に、家賃改定の必要な理由等の趣旨の徹底でございますが、居住者方々の御理解、協力を得ることはぜひとも必要だと考えておりますので、われわれといたしましても、文書等によりできるだけPRに努めて御理解を得るように努力いたしたいと思っております。  また、未利用地、未入居等の問題につきましては、先生御指摘のように、いろいろ問題があったことは事実でございます。昭和五十二年一番多いときに、未入居保守管理住宅で四万戸を超えておりましたが、五十七年三月には一万九千戸程度に減らしております。また五十五年度に長期空き家が九千戸あるという御指摘がございましたが、これも五十七年三月には七千戸に減じております。これらにつきましては、決してこれで私ども満足しているわけではございません。もっともっとこの解消に努めるということで、ただいまも実は春季のキャンペーンを展開いたしまして、ぜひこれを早期になくすような努力をいたしております。  また、先ほど指摘のございましたように、民賃の滞納問題も実は御指摘を受けておりまして、これらにつきましても、特別な組織をつくりまして、かようなことの起こらないように、これからの問題も、それから現在滞納のある部分についての処置につきましても、一生懸命努めておるところでございます。  かような問題につきましては、実は今回の家賃改定とは直接関係ございませんので、私どもの家賃の見直しは、アンバランスを是正していこうということでございまして、未入居とか未利用地、民賃の滞納といったようなことの赤字を穴埋めするためのものではございません。この点につきましても、居住者方々に御理解を賜りたいと思っております。  最後に、第三者機関の設置についての読売の御提案でございますが、今回の承認申請に当たりましても、公団といたしましても、総裁私的諮問機関として基本問題懇談会を開きました。ここにおきまして、居住者も含めました各界各層の方々の御意見を伺い、それを踏まえて申請に及んでおるものでございまして、それなりに私どもとして努力した手続を経て進めておる次第でございます。
  91. 山花貞夫

    山花委員 いま民賃についてお話がありました。すでに会計検査院が指摘いたしました段階で、公団の三分の一の新しい事業となっている民賃につき、収納未済額が当時で六十七億円余あり、またその滞納額にかかわる遅延利息相当額は、五十六年度末現在で八億円を超える。原因につきましても、公団の事務処理の不徹底、その他指導監督事項が指摘されているわけです。いま直接家賃値上げの算出基準とはかかわりないというお話がありましたけれども、こうした問題は、直接的なかかわりを離れて、公団の経営の現状に対する住民の疑問という点では、問題点は同じでありまして、そうした意味では、家賃値上げと関係ないということでは済まされないものと私は思います。  根本の問題として伺っておきたいのですけれども、こうした問題につきまして、前回値上げにかかわる国会の議論の際に、衆参両委員会におきまして要望事項が大臣に提出されました。衆議院におきましては、「住宅家賃については、その体系と内容が複雑であり、住宅基本法の制定と合わせて、検討すべきである。したがって、それまでは、日本住宅公団の現家賃制度を逸脱しないように努めるべきである。」ほか合計六項目の要望です。参議院におきましては、「日本住宅公団は、入居者の意向をきくなど民主的な配慮をすべきである。」を含め七項目の要望であります。  公団は、こうした両委員会建設大臣に対する要望をどのように受けとめておられたのでしょうか。こうした要望等について尊重する、そして具体的措置をとるという姿勢であったのでしょうか。それともこれら要望事項について、この点は無理だから返上したい、とてもできない相談であるというものがあったのでしょうか。この点についてお返事をいただきたいと思います。
  92. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  昭和五十三年二月九日付の衆参建設委員長要望事項というような意味での措置でございますが、確かに先生のおっしゃいますように、その当時におきましてそういう要望事項をちょうだいしておるわけでございます。  まず第一の問題といたしまして、未入居住宅長期未利用地の問題についてでございますが、先ほど総裁が答えておりましたように、現在公団内部に設置しておりますところの経営改善推進本部を中心といたしまして、全社を挙げてその解消に取り組んでいるところでございます。成果につきましては、先ほど総裁からお答え申し上げたとおりでございます。(山花委員「詳しくは結構ですから、尊重できるのかできないのかということだけ」と呼ぶ)  家賃値上げに際しましての激変緩和措置の問題でございますが、引き上げ額を二分の一にいたしました。それからその額につきましても、七千円を超える場合には七千円としたというようなことでございます。  なお、激変緩和措置に兼ね加えまして、老人、母子、心身障害者世帯のうちの生活にお困りの世帯につきましては、生活保護世帯方々と同様に特別の減額措置を講ずることも実施したわけでございます。  それからまた、実施期日につきましても、二カ月延長いたしまして九月一日といたしました。  それから、敷金の追加徴収につきましても行わないことにいたしたわけでございます。  それから、入居者に対しますところの周知徹底の問題でございますが、パンフレットの配付等を数多くいたしましたり、あるいはまたいろいろな形で公団にお見えになりました自治会等の皆さん方と百四十回にわたるお話し合いをいたしております。それから各支社に特別の窓口などを設けまして、家賃改定の趣旨等の周知徹底には努めたところでございます。  そのほかの増収額の使途の問題とか、あるいはまた現行家賃制度を遵守しての家賃改定につきましても、その趣旨に沿いまして対処してまいったものでございます。
  93. 山花貞夫

    山花委員 要するに、こうした要望等については、公団としては尊重する立場である、こう伺ってよろしいですか。
  94. 志村清一

    ○志村参考人 当然でございます。
  95. 山花貞夫

    山花委員 同じく五十六年の九十四回国会、住宅都市整備公団法ができました際の附帯決議でありますけれども、これも問題となりました。「政府、住宅都市整備公団は、住宅に困窮する勤労者のために、良質低廉な公的賃貸住宅等を計画的に供給するよう努めること。」以下十項目の附帯決議が付されましたけれども、この附帯決議についても、公団としては尊重する立場である、このように伺ってよろしいですか。
  96. 志村清一

    ○志村参考人 委員会の附帯決議でございますから、当然尊重いたします。  また、低額の家賃賃貸住宅云々という項目を先生がお読み上げいただきましたが、昭和五十七年度におきまして、賃貸住宅の原価計算における金利でありますが、従来五分ないし四分五厘であったのを、一分下げまして四分ないし三分五厘にするというふうな努力もいたしておる次第でございます。
  97. 山花貞夫

    山花委員 附帯決議を尊重するという御発言を伺って安心したわけでございますけれども、その附帯決議にいう「住宅に困窮する勤労者のために、」という法文上はさておきまして、附帯決議の冒頭に強調されました、いわば公団の公的な使命、制度の精神ということについては、実はこれが今回の家賃変更につきましても大変大事な要素とされなければならないのではないか、こういうように私は考えるところであります。  いろいろ議論はありますけれども、若干しぼって家賃問題について伺いますが、今回の値上げに際しまして、公団側からのさまざまな説明文書を私ども拝見しておりますけれども、家賃値上げに際しましての直接的な法律的な根拠といいますか、根拠規定というのは一体どこに求められておられるのでしょうか。
  98. 武田晋治

    ○武田参考人 私たちが今回の家賃改定につきまして根拠といたしております条文といたしましては、まず省令、施行規則の五条の規定がございます。それからまたいわゆる居住者の皆さん方との間におきましては、賃貸借契約書がございまして、その契約書の条文等に基づいております。なお、根源をたどりますと、いわゆる民法、借家法に基づきますところのそういう根拠規定に基づいて実施いたしております。
  99. 山花貞夫

    山花委員 「公団住宅家賃改定について」と題する五十八年二月の公団が作成されましたパンフレットがありますけれども、いま御説明になったのとはちょっとニュアンスが違っておりまして、規則の第五条と契約の第五条を引用されております。ここには借家法の七条は引用されておらないわけでありますけれども、直接的な説明としては、このパンフレットにありますとおり、規則五条と契約五条である。背景としては、使用関係、利用関係について借家法の適用もある、こういう御説明と受け取ってよろしいでしょうか。
  100. 武田晋治

    ○武田参考人 お答えします。  そのとおりでございます。
  101. 山花貞夫

    山花委員 そういたしますと、まず検討すべきは規則の五条、契約の五条ということになると思うのですけれども、規則五条は四条、五条のかかわりで伺わなければならないと思いますが、四条の方は家賃の決定である、五条の方はその変更の手続である、このように理解してよろしいですか。
  102. 武田晋治

    ○武田参考人 お答えいたします。  四条につきましては、公団が賃貸いたします住宅家賃につきまして、供給いたします場合の建設原価をまず基準にいたしまして、それに基づきますところの償却費等をつけ加えた形で出てまいります額を、月割り額の基準といたしまして、公団が定めるということになっております。そういうように定めました家賃の額に対しまして、五条では一号あるいは二号、三号、四号にいろいろな条件が規定されておるわけでございますが、物価その他経済事情の変動等に伴いまして必要があると認められるような場合につきましては、建設大臣承認を得て家賃変更をすることができるという規定になっております。なお、「前条の規定にかかわらず、」ということでございます。     〔委員長退席、鴨田委員長代理着席〕
  103. 山花貞夫

    山花委員 そういたしますと、まず四条の関係で確認をしておきたいと思うのですけれども、建設委員会における議論を振り返ってみますと、五十三年一月二十四日の建設委員会におきまして、有賀参考人から「「現在の家賃につきまして、第九条によりまして原価をもとにしていたしておりますので、通称個別原価主義と申しております」こういう御説明がありました。また同年二月九日の参議院建設委員会で、当時の澤田総裁から、「今度の家賃値上げは、公団法の施行規則にのっとって申し上げますと、九条、十条のその一体となった規定の範囲内において今度の案のような引き上げをしようと、こういうわけでございまして、原価家賃主義の基本を変えるというようなものでは毛頭ないわけです。」こう説明をされております。若干四条、五条、九条、十条が説明がダブっている部分がありますけれども、四条に関しては、新しい家賃決定は個別原価主義の基本は変わっていない、こう伺ってよろしゅうございますか。
  104. 武田晋治

    ○武田参考人 四条の規定の趣旨でございますが、先ほども申し上げましたように、公団が賃貸いたします住宅家賃につきましては、賃貸住宅建設に要する費用、それを一定の償却期間を設けまして、利率を年五%以下で毎年元利均等で償却するものとして算出いたしました額に、修繕費あるいは管理事務費、地代相当額、損害保険料等等のものをつけ加えまして、月割り額を基準といたしまして、公団が定めることになっております。その限りにおきましては、実は原価主義、こういうようなことも言えるのかと思いますが、もっと詳細に考えてまいりますと、家賃算定してまいりますのに、そういう形で額が出てくるわけでございますが、御承知のように、相当多額の家賃額になってまいるわけでございます。それにつきましては、利子補給枠、あるいはまたそれで低くならないような場合には、傾斜家賃等の制度をつけ加えまして、相当低い、私たちが申し上げておりますところのいわゆる中堅勤労者の一六%前後というような形の家賃にしてまいります関係で、そういう意味では、厳密な意味での個別原価主義ではないというように理解をいたしております。
  105. 山花貞夫

    山花委員 利子補給その他については、当時も現在も基本は変わっておりません。そういたしますと、かつての澤田総裁答弁などといまのお答えがもし意味が違うとするならば、いつからそのように考え方をお変えになったのか、この時期を明確にしていただきたいと思います。
  106. 志村清一

    ○志村参考人 澤田前総裁の御意見も、ただいま武田理事が御答弁した中身も、実質的には同じかと私は考えております。
  107. 山花貞夫

    山花委員 そういたしますと、四条について、基本的には個別原価主義がある。ただし、御説明になったような関連した政策的配慮がある。四条に関してだけ伺いますけれども、そのように受けとめてよろしいですか。
  108. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  そのとおりでございます。
  109. 山花貞夫

    山花委員 その点が一般の民間の家賃とは違っている公的使命を持った公団家賃の決定方法ではなかろうかというように考えるわけです。  加えて、公団家賃値上げ問題を含めてということで伺いますけれども、公団の場合には利潤、もうけを計算に入れるということはありますか、ありませんか。
  110. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  いま先生のおっしゃられました利潤の問題にもいろいろな意味があろうかと思いますけれども、いわゆる通常一般に言われております利潤というものは考えておりません。
  111. 山花貞夫

    山花委員 その点が一般の家賃とは違う点だと思うのですが、とりわけ公的性格を持った家賃の決定と変更につきまして、大臣の承認の手続、これが最大の特徴の一つではないかと思っております。この大臣の承認の手続でありますけれども、公団としては、大臣の承認の手続なしで値上げ決定をすることができる、こういう場合があるとお考えでしょうか、それともこれは必ず必要であるとお考えですか。     〔鴨田委員長代理退席、委員長着席〕
  112. 志村清一

    ○志村参考人 大臣の御承認は、国の監督手段といたしまして、公団の恣意に流れることなく、大臣が高度の行政判断で、その実施により客観性を持たせるという御趣旨だと存じております。そのために高い存在価値があるわけでございますが、これは国の監督手段としての行政組織内の一種の内部行為である、かように考えております。
  113. 山花貞夫

    山花委員 実は、公団の皆さんがしておる裁判の中で、大臣承認なしでもやることができるのではなかろうかといったような議論があったことを聞いております。総裁以下首切り覚悟でやればできるんだ、できないんだという議論まであったものですから、そこで確認をしておきたいと思うのですが、大臣承認の制度の趣旨については、いまお話の中にも触れておりましたけれども、手続的には値上げその他をする場合には必ず必要なものである、こう伺ってよろしいですね。
  114. 志村清一

    ○志村参考人 これは先ほども申し上げましたように、公団に対する行政監督にかかわる行政命令でございまして、居住者をも律するような法規命令ではない。ですから、極端な場合には、民法上のあるいは賃貸借契約上の問題で可能ではございましょうけれども、私どもとしては、そのようなことをするつもりは全くございません。
  115. 山花貞夫

    山花委員 可能であるということになりますと、この問題についての解釈が大変違ってくると思うわけですけれども、建設省にお伺いしたいと思いますが、大臣の承認家賃変更に当たっては必要な手続である、こうお考えになっていらっしゃいますでしょうか、いかがでしょうか。
  116. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 ただいま住宅公団総裁から説明がありましたように、行政的な監督権限の中において、家賃の決定及びその変更につきましては、大臣の承認を必要とするというように考えております。
  117. 山花貞夫

    山花委員 いまのお話を伺いましても、われわれはこれはいわば必要な要件であるというように理解をいたします。  問題は、公団が拘束されるということにつきましては、いま公団の方からのお話にもあったと思うのですけれども、こういう場合はどうなんでしょうか。たとえば大臣承認があって、一定の家賃が決定されたけれども、たとえば人によりましては、私は経済的に余裕があるから決まった家賃の二倍を払いたい、こういう場合には二倍の家賃を取ることができるのでしょうか。公団に伺います。
  118. 武田晋治

    ○武田参考人 お答えいたします。  いただかないことにいたしたいと思っております。
  119. 山花貞夫

    山花委員 いただかないことにするというのは、それはやはり大臣の承認によって決定された家賃居住者の側も拘束されているということではないでしょうか。そうでなければ大臣承認意味がないということだと思います。そこに公的性格というものがあらわれていると思うのですけれども、この点につきまして、大臣承認があった場合には、大臣承認には公団も拘束されるし、居住者もそれ以上のものを払うことはできないという限りでは、そうした意味では効力を受けると思いますが、建設省はこの点についてどのようにお考えですか。
  120. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 お答え申し上げます。  ただいま武田理事から説明申し上げたとおりでございます。
  121. 山花貞夫

    山花委員 同じということですと、いまの問題につきましては、時間がありませんので、またさらに議論さしていただきたいと思いますけれども、議論は若干横に置くといたしましても、四条、五条の趣旨、そしてこれまで議論に出てまいりました大臣承認の役割りを考えると、その点では明らかに民間の家賃決定とは違っている公的な面があるというように考えざるを得ない。当然の結構ではないかというように考えます。  そうしたことを踏まえて、従来居住者の皆さんが問題とされてきました家賃値上げの根拠、基準、積算方式、その他裁判で全面的に議論となっておるところですけれども、そうした問題について、公団として裁判の場を離れての議論で綿油ですから、もっともっと中身を明らかにしていくという姿勢が大変大事なのではなかろうか、私はこの点を強調しておきたいと思うのです。  実は、私の方できょうの議論に入るに当たりまして、そういった点を検討していきたいと思いまして、公団に資料の要求をいたしました。公団は、かつての規定に基づいたものでありますけれども、収入分析表とか公租公課の収支表、そういった資料をつくることを法律によって義務づけられておるわけであります。そういう内容を分析したいということで、私は見せてもらいたい、こういうことを申し上げたわけですけれども、見せていただけないわけであります。こうしたところに問題があるんじゃなかろうか、私はこういうように思っています。国会の議論の場は議論の場といたしまして、そうした資料についても、質問をしようとする国会議員に対しては、立法府に対する公団一つの責務として見せるべきではないか、こういうように考えますけれども、なぜ見せていただけないのか、この点について明らかにしていただきたいと思います。
  122. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  先生のおっしゃっておられるのは恐らく会計事務細則の百四十九条第二号に基づきますところの「収入分析表」あるいはまた第七号「その他」の公租公課収支表につきましての書類だろうと思います。それにつきましては、先生も恐らく御承知のことかと思いますが、現在法廷において係争中のものでございます。そういうものにつきましては、この際、国会の場所ではございますが、いろいろな学説、判例等もございまして、提出は差し控えさせていただきたいというように考えるわけでございます。
  123. 山花貞夫

    山花委員 この問題につきましては、裁判の場におきましても、横浜の裁判所におきまして文書提出の命令が出ております。こうした文書については、施行規則九条の運用を明確ならしめ、公団家賃の決定、収受の適正化のための目的を持って作成されているものと解するのが相当である。裁判で判断する場合でも、見せてもらわなければ裁判所が判断できないじゃないか。こうして文書提出の命令が出されております。公団の側はこうした裁判所の命令にも従わないでいま争っておられる。裁判の場でも見せない。立法の場でも見せない。そうした秘密主義的な、内部の関係は一切人の目に触れさせない、こういうところが実は居住者に対して説明不足になっている問題点一つだと考えております。この点につきましては、また理事と御相談いたしまして、こうした文書についてぜひ見せていただけるような手続をとるなど私の方で対策を講じさせていただきたいと思いますけれども、こうした問題の中では、やはり居住者の理解を得るということはなかなかむずかしいのではないか、こういう点について努力をしていただきたいということが私の要望の一つであります。  居住者の皆さんが裁判をやっておるわけでありますけれども、この裁判はいずれ結論が出ると思います。きょう詳細に経過についても伺おうとしましたけれども、時間的余裕がありません。午前中工藤参考人指摘しましたとおり、八つの裁判所で三百一人の原告、弁護士が三十七、八人つきまして、いま問題といたしましたような点について全面的に争われている現状でありまして、いわば公団側の立証がほとんど終わって、これからは居住者側の立証があって判決である、こういう段階になっていると思うのですが、結論が出た場合、居住者側の要求が全面的に認められる場合と認められない場合があると思います。公団側の主張が一部認められて一部認められないという場合があると思いますけれども、たとえばの話といたしまして、判決によって家賃が全面的に認められるということではなくて、一部しか認められなかったという場合につきまして、公団としては居住者に対してどうした措置をとるのでしょうか。差額については返還するということになるのでしょうか。この点についてお話をいただきたいと思います。     〔委員長退席、鴨田委員長代理着席〕
  124. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  家賃裁判の現状につきまして、ある面を先生がいまおっしゃられたわけでございますが、実は自治協の御指導になっておりますところの三百一名のいわゆる旧家賃を超える債務不存在の確認訴訟のあることも確かでございます。そしてまた現在立証段階にございまして、相当進んでいることも事実でございます。  また一方、公団といたしましては、改定家賃の不払いをされている方に対しまして、順次一定期間を設けまして支払い催告をいたしまして、それでもお支払いいただけない方に対しましては、家賃額の確認あるいはまた不足等の支払いを求めます訴えを提起いたしておりまして、現在までに二十三次にわたりまして約三千二百余名の方に実は提訴をしているわけでございます。この提訴いたしたものにつききまして、すでに判決の言い渡しのありましたものが七百九十四名ございます。いずれも公団側の請求を認めていただいたものになっております。このうち十名につきましては、すでに控訴審におきまして公団勝訴の判決もいただいているということでございまして、この裁判におきまして、先生が先ほど御質問いただきましたような結果は出てこないというような形で考えておりますので、御了解いただきたいと思います。
  125. 山花貞夫

    山花委員 いまお話しになったほかの問題につきましては、私も判決書をずっと拝見しておりますけれども、全く弁護士がつかなかった、いわば欠席裁判と同様なものがたくさんあるわけでして、公団の自治協がやっているものは、六十二万の管理住宅中自治協傘下の三十五万世帯がこれを組織している、その代表者として三百一名が裁判をやっているわけでありますから、全体としてはだれが見てもこれが代表的な訴訟でありまして、これによって全体の流れが決まることになると思います。もし裁判の結果、全部、一部が認められなかった場合には、差額は返すのか返さないのか。この点について、これは普通の問題だって答えられますよ。答えてください。
  126. 志村清一

    ○志村参考人 私の方で提起している裁判につきましても、まだ係属中のものもございますし、自治協側の御提起された裁判もいま審理中でございますので、その結論につきましていろいろ先生からお話がございますが、仮定の問題でございますので、答弁を差し控えさせていただきます。
  127. 山花貞夫

    山花委員 重ねて伺いますけれども、結論が出た場合には、一定の方針を決めなければならないはずであります。公団としては、裁判をやっているわけなんですから、そのことについてすでに、こうなった場合にはこうするという方針が決まっているはずであります。決まらないで裁判闘争をやるということはあり得ないわけでありまして、もし一部認められないという場合には、住民に返すのか、それとも返さないということなのか。この点について重ねてお伺いします。
  128. 志村清一

    ○志村参考人 せっかくのお尋ねでございますが、仮定の問題でございますので、差し控えさせていただきます。
  129. 山花貞夫

    山花委員 幾度聞いても同じ回答なので、時間のむだになりますからやめますけれども、こうした問題についても回答しないということは、私は大変不満であります。  実は、裁判で全面的に当事者が争っているこういう問題について、冒頭申し上げましたとおり、全くすべて棚上げにして再度の値上げというのはおかしいのではないかというのがわれわれの主張であります。従来、各方面からの指摘といたしましても、せめて家賃決定ルールについては早く考えるべきであるということだったわけですが、恐らく午前中の議論にもありましたとおり、これまで懇談会その他の機関におきまして、家賃改定ルールについて主要なテーマにもしてこなかったということではないかと思うのですけれども、これまでそういう家賃改定問題について懇談会その他のことをやったことがあるのかどうか。ないとするならば、ルール問題について一体どういう考えを持っておるのか。この点について公団に伺いたいと思います。
  130. 志村清一

    ○志村参考人 家賃改定ルールでございますが、午前中参考人の御出席を得ていろいろ御議論がございましたが、私どもといたしましては、何がルールかというふうなことにつきましては、現在の段階では公営限度額方式改定の額を算定するというのが一つルールであろう。そしてまた激変緩和をするために、そのようにして算定された差額を二分の一にする。その上さらに最高限度額を設ける。そして生活保護世帯あるいは母子世帯等々につきましては、特別の措置をするというふうなことが一つルールかと考えております。
  131. 山花貞夫

    山花委員 いまの総裁のお返事ですと、たとえば五十六年八月六日の住宅宅地審議会の答申にありますけれども、「それぞれの公共賃貸住宅性格に応じた適切な手続きに基づく必要なルール作りを行い、家賃変更が公正かつ円滑に行われるよう配慮する必要がある。」こういう指摘がなされているわけですけれども、そういうルールづくりはもうすでに終わった、こういうことですか。それとも、いまのは公団の考え方であって、こうした意見に沿ってのルールづくりはまたこれから手をつけるということですか。どっちですか。
  132. 志村清一

    ○志村参考人 懇談会等におきましても、私が先ほど申し上げたようなことについていろいろ御議論を賜りまして、ただいまのところかようなものが公団ルールである、こういうふうに考えております。  ただ、家賃問題というのは、非常に微妙ないろいろ大きな問題も含んでおりますので、これからさらに懇談会における家賃部会を継続して審議を賜りたい、かようにお願いしている次第であります。
  133. 山花貞夫

    山花委員 公団ルールとしてこういうことを考えてくるということは、従来から公団はそこに固執しておったわけですから、われわれもそれは知っておりますけれども、しかし、長いさまざまな議論の中で、たとえば国会における要望事項その他も含めて、公正な、円満な、民主的な家賃改定ルールを考えよ、この問題に対してはまだ答え切られていないんじゃないでしょうか。その点について伺いたいと思います。
  134. 志村清一

    ○志村参考人 公営限度額方式と申しますのは、先生も御承知のとおり、公団住宅よりも、より公的色彩の強い公営住宅に関する家賃の見直しの規定でございます。二分の一ないし三分二の国の補助をいただき、かつ公共団体がいろいろ手当てをして、低所得者のためにつくっている公営住宅方式でございます。しかも、公営限度額方式で算出した家賃の見直し額は、大臣の御承認も要らないというふうなたてまえになっておるわけでございまして、これを採用するかどうかというふうなことにつきましても、懇談会でいろいろ御議論いただきまして、いろいろな御議論がございましたが、ただいまのところは、かようなところでいくのが一つルールであろう、かように全体の意見はなった、かように私は考えております。  基本問題懇談会につきましては、午前中参考人方々からお話がございましたように、各界、各方面の方に御参加をいただきまして、ただ自治協からは御参加をいただけなかったのですが、自治協に所属していない入居者の方は御参加をいただくというようなこともありまして、私は適切な手続であろうか、かように考えております。
  135. 山花貞夫

    山花委員 午前中の参考人の皆さんの議論と全然違うわけでありまして、これは後でどちらが本当なのか、また確かめさせていただきたいと思いますけれども、午前中の参考人意見といたしましては、本吉さんが詳しくルールについてお話しになりまして、家賃改定が先行して値上げの根拠に議論が集まった、家賃改定ルールにつきましては引き続き議論をするということになった、十分その点についての議論は進んでいない、これが参考人意見であります。いまのお話ですと、その点について十分議論したということなんですけれども、議論したのですか、しないのですか。参考人の午前中の意見は間違っているのですか、どうなんですか。していないのじゃないですか。
  136. 志村清一

    ○志村参考人 いろいろ公営限度額方式について、もう少し別なことを考えたらどうかというふうな御議論等々もございました。しかし、当面はこんなことであろうというのが大方の意見であったと私は承知しております。ただ、本吉参考人もおっしゃいましたように、家賃問題というのは非常にいろいろな問題を含んでいるから、さらに基本的な問題について十分家賃部会において今後とも検討していこう、こういうことになっている次第でございます。
  137. 山花貞夫

    山花委員 本吉さんの議論は、引き続きの議論である、そして十分議論は進んでいないとおっしゃっていたので、いまの総裁の前段のお話とは全く矛盾しております。私は、そういう意味では、総裁がそういう姿勢で、議論が十分進んでいないという問題について、公営限度額方式ということで全体の委員が賛同したのだという趣旨の説明をしておる、こういう姿勢では、今後のルールづくりだってうまくいきっこはないというふうに考えます。ぜひ参考人の皆さんのおっしゃった問題点というものを公団も踏まえて、改めて各方面から要求されております、円満なルールをつくるための努力をしていただきたい。答弁の矛盾につきましては、この次の機会にさせていただくといたしまして、ルールづくりについて真剣に取り組んでいただきたい、このことについて強く要望して、質問を終わりたいと思います。
  138. 鴨田利太郎

    ○鴨田委員長代理 山花君の質問は終わりました。  午後三時三十分より委員会を再開することとし、休憩いたします。     午後二時二十五分休憩      ────◇─────     午後三時四十四分開議
  139. 松永光

    松永委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村茂君。
  140. 中村茂

    中村(茂)委員 本会議前に私どもの同僚の山花委員がいろいろ質疑をやりましたが、その中で一、二点不明確な点がございましたので、私の方から念を押して確認しておきたいというふうは思います。  それは公団家賃の決定について、住宅都市整備公団施行規則の四条によって公団家賃は決められる。この四条は、その年の個別原価に基づいて家賃が決定されるという仕組みになっておるというふうに私は思うのです。それをいわゆる個別原価主義、こういうふうに言っているわけでありますけれども、すなわち公団家賃決定は個別原価主義に基づいて決定されるというふうに理解していいのかどうか。その点を建設省、続いて公団にお聞きいたします。
  141. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 お答え申し上げます。  住都公団住宅家賃の決定につきましては、住宅都市整備公団施行規則の四条によりまして、公団が賃貸する住宅家賃の決定方式を定めております。この方式は、原価を基準として家賃算定する方式でありますが、なおこれにつきましては、それを基準として定めることでありまして、種々の家賃減額等のことは、この基準の中で策定できるというように考えておりますし、また第五条で「家賃及び敷金変更等」についての規定がございまして、この場合には、「物価その他経済事情の変動に伴い必要があると認めるとき。」であるとかあるいは「賃貸住宅相互の間における家賃均衡上必要があると認めるとき。」等におきまして家賃変更ができると考えております。したがいまして、基本的には建設原価を基準として算定する方式でございます。
  142. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  建設省住宅局長の方からお答えがございましたとおりでございますが、先ほどもお答え申し上げましたように、新規に供給する住宅家賃は、建設原価をベースにいたしまして算出される額を基準といたしまして、公団が定めることを原則としておりますが、現実の家賃につきましては、平均といたしまして、その供給対象階層でございます中堅勤労者の所得に対しまして、おおむね一五%から一六%程度となるように利子補給とか傾斜家賃制度の採用等が行われてきておりますので、そのときどきの勤労者の所得水準等に即応した適正な家賃となっておりまして、厳密な意味におきましては、個別原価主義ということには、やはりちょっと問題があるのじゃないかというように考えております。
  143. 中村茂

    中村(茂)委員 こちらで質問した内容について明確にお答え願いたいというふうに思うのです。  ですから、公団家賃の決定を決めております四条は、個別原価を基本にして家賃を決めるようになっているのですね。それならそうです、そうでなければそうじゃありません、こういうふうに答えてもらえばいいのです。もう一度建設省側と公団側からお答え願いたいと思います。
  144. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、基本的には原価を算定いたしまして当初家賃を定める。ただし、これを基準とするわけでございますから、いろいろの配慮をさらにこれに加えることはできると思います。変更方式につきましては、第五条に定めているとおりでございます。
  145. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  第四条におきましては、原価を基準として定めているわけでございます。先ほど申し上げましたように、政策的に利子補給とか傾斜家賃制度を採用いたしまして、厳密な意味におきましては、個別原価主義ということにはならないというように考えております。
  146. 中村茂

    中村(茂)委員 ですから、言っているのは、その年の個別原価を基準にして家賃が決められるようになっている。その後の方のっけ加えは、基準ですからいろいろなものがついてくるでしょう。しかし、この四条で言っているのは、その年の個別のそれぞれの原価に基づいて家賃は決定される制度になっていますね、こういうふうに質問しているのです。余分なことをいろいろ言ってもらう必要はない。もう一度やってください、公団
  147. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  先生のいまおっしゃられたとおりでございます。
  148. 中村茂

    中村(茂)委員 それから次に、今回の家賃変更は五条だというお話がありましたが、五条の何項ですか。
  149. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  五条の一号及び二号でございます。
  150. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで、二号の不均衡是正ということについて少しお聞きいたしますが、この二号では「賃貸住宅相互の間における家賃均衡上必要があると認めるとき。」こうなっているわけですね。この不均衡というものについての基準、どういう不均衡というものの基準をもって不均衡というふうに言っているのか、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  151. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  不均衡という考え方でございますが、五条の規定にもございますように、物価その他経済事情の変動に伴いまして家賃が是正されませんと、総体的に家賃は実は低額となり、あるいはまた不相当になってくるわけでございます。一方また新規に供給されますところの住宅家賃は、いろいろ政策的な配慮がなされるといたしましても、やはり物価その他経済事情の変動等に即しまして上昇していくわけでございます。このように、物価その他経済事情に即応した家賃と現実の家賃との格差の度合いが建設年度の古いものほど大きくなりますし、建設年度の新しいものほど小さくなるという関係があるわけでございますが、この格差を是正いたしまして、それぞれ物価その他経済事情の変動に即した適正なものに近づけていくというようなことが、家賃の不均衡を是正するということでございまして、私たちはこの物差しを公営限度額方式に準じた方式で考えたわけでございます。
  152. 中村茂

    中村(茂)委員 不均衡というものについて考えてみると、新しい家賃は、物価も上がったり、土地も上がったり、建設資材も上がったりで当然高くなってくるのだ、高くなってきたのを、ただ前につくった安いのとの差だけで、これは直さなければいけない、不均衡だ、こういう考え方では、私は大変問題があるのではないかというふうに言っている。  まず一点、考えてみなければならないと思いますのは、いわゆる建設省でも政府でもいいですけれども、住宅政策というものを考えてみた場合に、最近特に、持ち家制度を普及させようということで、賃貸についてはおろそかな政策になってきているのではないかと思う。特に公共賃貸については、年々減ってきております。そういう政策の重点をどこに求めていくかということによっても、相当私はあり方が違ってくるのではないか。ですから、公共賃貸というものについて、日本住宅事情を考え、これからの政策というものを考えてみた場合に、特に三大都市圏における住宅事情の解決というのは、私は、環境のよい、しかも低廉な公共住宅を提供していかなければ解決できないのではないか、こういうふうに思うのです。  そういう立場で考えてみた場合に、それでは公共住宅について、土地がどんどん上がってきたから、建築資材が上がってきたから、それで野放図にしていいかと言えば、公共賃貸でありますから、私はそこのところにもろもろの政策手段が加えられて、できるだけ環境のいい、低廉なものをいかに提供していくかという政策が打ち込まれてこなければならないというふうに思う。  では、その限度はどういうところに置くか、こういうことが問題になります。恐らく公団としても、その点について利子の補給を行ったり、さまざまな努力をしていると思う。ですから、その基準というものをどこに置いているのか、明らかにしていただきたいというふうに思います。
  153. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 先生がただいま御指摘になりましたように、住宅政策につきましては、持ち家住宅の供給とあわせて公的な賃貸住宅の供給を行う必要があると思います。特に大都市圏におきまして住宅事情が十分に回復できていない現状にかんがみますと、いよいよさらに大都市圏における公的賃貸住宅の供給の促進を図る必要があると考えております。このため、公営住宅、公社賃貸住宅、それから公団賃貸住宅等の政策を推進をしております。また市街地住宅の中に賃貸住宅を供給していくために種々の新しい制度の創設も図っているところでございます。  ただ、賃貸住宅の供給につきましては、その性格上、立地がやはり限定されます。どうしても既成市街地ないしはそれに近いところに賃貸住宅を供給しなければならない性格がございます。そうなりますと、用地の取得が非常にむずかしいとかあるいは周辺住民との調整が困難であるとかいうようなことで、公的賃貸住宅の供給がはかばかしくいっていないということは事実でございます。このため、私どもといたしましては、種々の政策を準備をしているわけでございます。  たとえば、公団賃貸住宅につきましては、今年度よりその資金コストを一%引き下げる。当初三・五%の回収コストで供給をするとか、あるいは公営住宅につきましても、市街地住宅供給とあわせて促進を図るとかいうような種々の政策を準備してその促進を図っているところでございますが、なお一層努力をしていきたいと考えております。
  154. 武田晋治

    ○武田参考人 お答えいたします。  公団が目標といたしております考え方でございますが、供給対象階層でございますところの中堅勤労者の所得に対しまして、おおむね一五%から一六%程度になるように考えております。
  155. 中村茂

    中村(茂)委員 皆さんのところで発行した「公団住宅家賃改定について 昭和五十八年二月」という冊子をいただいているわけでありますけれども、そこの一ページの後段の方のところに「たとえば、昭和五十六年度に供給した住宅についてみると、国の利子補給により四万六千円、傾斜家賃制度等によりさらに三万一千五百円か軽減され、その当初家賃平均は五万七千七百円となっております。これは、同年度における勤労者世帯平均的な所得に対して一五・八%となっています。」こういうふうに出ていますね。私はこれはごまかしがあると思うのですよ。どういうごまかしがあるかというと、確かに「当初家賃平均」というふうに言っておりますから、書いてある限りではごまかしはないのです。二十三ページのところに図になっているわけですけれども、当初家賃というふうになっているし、ここのところで書いてありますように、「傾斜家賃制度」というふうに言っているわけですね。傾斜家賃制度というのは、初年度は確かに低くしたのです。ところが年年五%ずつ上げているのです。ですから全体の償却費は全体とすれば変わりないわけです。それを初年度だけ安くしたからといって、これを安く見て、これだけ下がったという皆さんのこの言い方は、初年度というふうに言っているから、その限りにおいては確かにそうだけれども、全体から見ると、決して低くなっていないわけであります。なお、その間におけるいろいろ利子とかを払うのがおくれるわけですから、全体的には金はかかるわけです。初年度だけ安くしたからといって、ここのところでも言っておりますように、三万一千五百円安くしたから、こういうことで初年度で切ってしまって、それでその切ったので一五八%になったから一五%から一六%の家賃設定していますよという、これは私、新聞も見てつくづく感じたのですけれども、新聞なんかもこれを引用して、いや利子の補給でこれだけ安くした、傾斜家賃でこれだけ安くした、こういうふうに出ているわけですよ。しかし、これは実は私に言わせればまやかしですよ。初年度は確かにそうですけれども、全体から見ては決して安くなっていないわけです。しかも五%で上げているということは、ことしなどは人事院勧告も凍結され、ここ数年間可処分所得が目減りしている中で五%高くしていって、初年度安くしたから、これは家賃の一六%だの一五%って言われても、これはたまらないです。その点を強く指摘しておきます。言えば決してそういうふうになっていないということです。  それから、次に質問いたしますが、この五条の一、先ほど一と二というふうに言いましたから、「物価その他経済事情の変動に伴い必要があると認めるとき。」――「物価」はわかりますね。「その他経済事情の変動」というのはどういうことを意味しているのですか。
  156. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  「物価その他経済事情の変動に伴い」とここにあるわけでございますが、もっぱら物価等を中心にしてお考えいただいてよろしいかと思います。
  157. 中村茂

    中村(茂)委員 これは国会の審議の中で、昭和四十一年五月六日にその当時の建設省住宅局長が答えているわけでありますけれども、「「物価その他経済事情の変動に伴い必要がある」ということは、これは国民の所得と物価、」――所得を先に言っているのですよ。「国民の所得と物価、そういった経済事情に著しい変動が起きたときということを考えているわけでございまして、これはたとえば公団の場合に、修繕に要する経費等がきわめて高くつくようになってきて、とうてい経営ができなくなるというようなことがきわめて顕著になったようなときに行なうということでございます。」こう言っておる。ということは、経済事情やいろいろな変動の中住宅を使ってきた。したがって、修繕に要する経費とかそういうものがまた高くなってきたりして、とうていいままでの家賃では経営ができないという場合にやるんだ。しかも、その他の経済事情というのは、国民の所得がどういうふうになってきたか、物価がどういうふうになってきたか、そういうかかわり合いの中で考えていくんだよというふうに一応解釈しているというわけですね。いまの解釈とは、物価だけ中心に考えているということですけれども、えらく違うのです。いま私が指摘した考え方でいいですか。
  158. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  私の説明が不十分でまことに申しわけございませんが、一つの例示的なことで申し上げたわけでございまして、先生のおっしゃるとおりでございます。
  159. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、先ほどお答えがありました公営限度額方式、この方法を取り入れたというふうな話でありました。私は五十三年の前回、第一回のときもこの点を申し上げたわけでありますけれども、言えば、不均衡是正なり物価、経済の変動に伴って家賃値上げというか変更を行おう、そういうものと、この公営限度額方式を取り入れるということ。それともう一つは、四条にいうその年の個別原価方式でまず土台を決める。そうして確かにこの五条の方では、「前条の規定にかかわらず、」というふうに言っておりますけれども、これは仕組みなりそういうものではなくて、決まった家賃について、決めているけれども、それにかかわらず変更してもいいという規定であって、何も考え方を否定して五条に発展しているわけではありません。  それともう一つは、先ほども、前の国会における皆さんの答弁、そのとおりだ、こういうふうにお答えになったわけですけれども、ここのところでも、特に「修繕に要する経費等」こういうふうにその点だけこの一号のところで強調しているわけであります。ところが、もっと違う方式家賃を決めようという公営のこの限度額方式を持ってきたということは、まず一つどうしても納得できないということです。  それと次は、ここに皆さんの方からいただいた参考資料の中に、五十六年八月六日の住宅宅地審議会の答申の抜粋があるわけですけれども、この二十八ページのロの項の後段のところに、「既存家賃変更は、このような基準額を基に、①家賃の相互均衡、②住宅維持管理に必要な経費の確保等を勘案しつつ実施する必要がある。」こういうふうに言っているわけです。その前段では「合理的な基準額の算定を行うようにすべきである。」と言っている。ということは、合理的な基準額の算定を行って、その基準額に基づいて家賃変更を行いなさい。それは家賃の相互均衡維持管理経費の確保だ。ところが、不均衡是正だということを先に言って、それを算定する基準を後から持ってきて、よその公営限度額方式を持ってくるというのは、本末転倒じゃないかということです。このことが前回のときも問題になりまして、したがって、国会における決議の中では、まず国の公共賃貸なりそのほかの家賃体系というものをはっきりさせなさい、土台をなす住宅基本法も制定しなさい、そういうことを国会で皆さんと相談して、要望事項として決議してやったわけなんです。ところが、五年間たって今度出てきたのは、こういうものがまた出てきてしまう。ですから、幾つかの点でこれをまた採用している。しかも、中身を見て、なお私は幾つかの疑問点を持つわけでありますけれども、当初、家賃の決定は個別原価主義ですね。しかしそれは基準です、そのほかいろいろなものを取っつけてもいいです、しかし基準基準だ、こういうことで落ちついたわけであります。  そういうことを考えながら、それではこの限度額方式というものが、そういういろいろな流れと経過から見て、なお今回採用したことが正しいかどうかということを考えてみると、この方式では償却費がまず入っています。地代相当額が入っています。維持管理費は必要なら上げていく必要はあるけれども、償却費地代相当額は個別原価で決まって、それで毎月家賃を取っていけば、それを上げなくてもやっていかれるシステムになっているわけです。私はこれを絶対入れてはいけないというふうには言いません。確かに物価が上がったり、その家の価値が出てくるわけですから、絶対にいけないとは言えないけれども、しかし、こういうものを基本的に土台にしたものかきちっとできている、そのものを持ってくる。しかし、先ほどから言っておりますように、四条でも五条でも個別原価というものが基本になって、それが基準で流れてきている。それで家賃変更する場合に、もうやれるものを、家賃を高くする算定基準の中にこういうものが入っている。しかも皆さんの言い分は、この算定の二分の一にしたから激変緩和になっていますよと言う。おかしいのですよ、よそのものを持ってきて二分の一にしたって。どうしてその二分の一にする差が出てくるかというと、この方式は地方自治体の補助金なりまたはそこのところへ出した公的資金が加わって、それで算定する基準になっているわけです。ですから、そういうものを入れないで基準にした場合にはずっと安くなる仕組みなんです。それだから、それを二分の一にしてとんとんになっていく仕組みなんです。ですから、こういうものを持ってきて、先ほど山花君へのお答えの中では、これは一つルールになってもう定着したものだというふうに言っていますけれども、前の経過からして、その言い方は撤回してください。皆さんのところで基準をつくれと、しかも先ほど言いました住宅審の中でも、合理的な基準をつくりなさい、それに基づいて家賃変更を考えていきなさい、こうなっている。逆なんです、それは。
  160. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  先ほど公団施行規則四条の考え方と、それからその規定にかかわらず五条で、条件のありました場合に変更することができるという規定があることは、先ほどお答えさしていただいたとおりでございます。実はそこの考え方におきまして、公団住宅家賃といいましても、その住宅と敷地についての使用対価だというような考え方がございます。したがいまして、修繕費等の維持管理費だけに限らないで、地価及び工事費の変動を考慮いたしました使用対価として適正な評価をする必要があるのだという考え方が一つございます。  そこで実は、公団としてどういう評価方式をとっていくかということが大きな問題として出てくるわけでございます。そこで、お話にも絶えず出ているわけでございますが、基本問題懇談会におきまして、その算定方法についていろいろと御意見をいただいたわけでございます。そこで御議論いたださまして、まあその懇談会の中で、たとえば消費者物価指数の家賃指数等を掛けることによりましての一つ評価方法とか、あるいは不動産鑑定評価等を援用してまいりまして再評価する方式とか、実はいろいろ再評価する方式があるのだろうと思いますが、ここで、私たちが懇談会意見をいただいて、公団の責任におきまして採用いたしておりますいわゆる公営限度額方式といいますものは、御承知のように、公営住宅法という公的住宅において採用されておるところの再評価方式でございます。そこで、私たちはその方式を実は採用さしていただいているということでございます。この考え方につきましても、総裁も申し上げておりますように、今後とも基本的な問題等については、なお検討を進めていくという姿勢は持っておりますが、現段階におきましては、この方式を採用さしていただくことが公的な公団住宅といたしまして比較的低価格でもちまして妥当な再評価ができるのだというような考え方に立ちまして、この方式をとらせていただいたわけでございます。
  161. 中村茂

    中村(茂)委員 私は、家賃変更の中に償却費とか地代相当額を全然入れてはいけないというふうは突っ張るつもりはないのです。しかし、家賃決定の流れからして、これはそう大幅に入れられる性格のものじゃないのです。維持管理費が必要だというのなら、それは別問題ですよ。それを、ここのところでは大幅に入っているし、しかも地代相当額というのは、土地の固定資産税評価額なんですね。税金を払わない公団が固定資産税の評価額を持ってきているわけですけれども、それは別問題にしても、これは流れとしてはできるだけ少なくすべきなんです。それと、これを持ってきているということは、全然理解できないわけじゃないけれども、もっと検討をして、住宅審でも言っておりますように、まず、基準というものを、皆さん同じなら同じで、それでは同じものをつくればいいじゃないですか。まず、研究してつくりなさい。先ほども言いましたように、そういう体系をきちっとする試算のものがないから、住宅基本法をつくりなさい、公的家賃のそういう体系というものを明確にしなさいということを五年前のときに国会で決議したのですよ。それを、のほほんと、またこういうものを出してくるということについては、私どもは全く納得できませんから、いまもろもろのことを言ってきたわけです。  時間がありませんから、次に進みます。  次に、今度行われて、増収額はどのぐらいになるわけですか。その使途の計画、それを明らかにしていただきたいと思います。
  162. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  今回の改定で増収になります予定額は、平年度に直しましておおむね二百億でございます。  その使途につきましては、おおむね七〇%程度維持管理費等に使用いたします。それから残りの三〇%につきましては、家賃抑制額に使わせていただきたいというように思っております。
  163. 中村茂

    中村(茂)委員 先ほどから言っている趣旨でおわかりだと思いますけれども、個別原価というふうになってきている。五条の一項でも、値上げについては、維持管理ができなくなった場合というふうになってくる。ですから、全体的な流れというのは、必要なら維持管理費は結構でしょう。しかし、これだけ余ったからということはないと思うのです。  先ほど自治協から配られた写真を見ましても、新旧の開きというものは、中で使う施設の面からしても相当な開きが出てきているわけです。だから、そういうものを改善していくということは必要でしょう。必要ならそのために全額使ってもいいと思うのです。しかも、割り増し家賃も、新しく今度入る人については空き屋割り増しで取るわけですけれども、その方式公営限度額方式を使ってやっているわけなんですよ。そしてそれは新しく入るのだから、古いところをいっぱい直して、これだけ上げますよと言ってやっているわけですね。何もそのときのを少し割いて新しい家賃抑制に使いますというふうに言っていないわけです。それだから、新しく入ってくる者は、高くはなったけれども、りっぱなところに入ってこられる。ですから、このやり方については私は納得できません。これから皆さんと相談して、そういう配分の仕方については考え直していただきたいというふうに思っております。  それから、先ほど申し上げましたように、五年前の国会の要望決議の中においても、その点はこういうふうに決めたわけです。「今回の家賃値上げ増収分は、五十四年度以降の新規の供給住宅家賃抑制の財源として使用すべきではない。」これは五十三年に決まったのですから、五十三年の分については、そのときの中身のいろいろな話をすれば、上がって、予算上もう決まってしまった。これはどうにもなりませんよ。それならその翌年の五十四年からの分については使わないようにしよう、こういうふうにしたわけなんです。これは、これからこんなところでそれは取り消しますなんという回答を別に求めようとはしません。この点については、またそれぞれ皆さんと相談して、前回のような方法でもひとつとっていただきたい。三〇%使うということについては納得できない、こういうことだけ申し上げておきたいと思います。  それから次に、管理維持と、こういうふうに言うのですけれども、それから修繕もあるでしょうね。ところが今度、年平均約二百億というものが入ってくる。それをどういうふうに使っていくか、私どもにはやはりわからないですよ、維持管理、修理と、こういうふうに言われるけれども。それで、今度値上げになった場合に、修繕ならどういうところをどういうふうにするという修繕計画をきちっと立てて、しかも居住している皆さんの意見を十分聞いて、そういう計画を立てていくということをひとつ考えていただきたいというふうに私は思うのです。その点はいかがですか。
  164. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  増収額の出てまいります主な部分は、実は維持修繕費に使わしていただいているわけでございます。御承知のように、私たち、維持修繕費を執行してまいります際に、従来からの家賃から出てまいりますところのいわゆるその分に見合う修繕費もございます。それからまた、たとえばこの前の五十三年の際に改定させていただきまして、その分から出てまいります増収額を七〇%という形で修繕費等に充当させていただいているわけでございますが、そういうようなものも全部プールをいたしまして、実は使わしていただいております。  それから、修繕の考え方でございますが、まず、偶発的に生じます破損、たとえばRCの建物でございますので、数々あるわけではございませんけれども、屋根の雨漏り等におきましては、直ちに修繕をするというようなこと等の偶発的な破損等の修繕をまずいたします。それからまた古い建物が増加してまいるわけでございますので、そういうものの経常的に使う修繕というようなこともやっていくわけでございます。また手すり等の塗りかえ等につきましての計画的な修繕というものもございます。また五十三年の改定の際に、居住者の皆さん方に、計画を立てて特別修繕、たとえば外壁塗装とかあるいは給排水管の取りかえあるいは雑排水管の修繕でございますか、そういうようなものを計画的に修繕をしていくというようなことも立てまして、実は今日まで実施をいたしてきております。  今後の問題でございますが、そういう考え方をずっと引き継いでまいりまして、特に今後は、新旧団地の居住水準の格差是正とか、あるいは室内環境や設備水準の状況、あるいはまた居住者の皆さん方の御要望等を踏まえまして、修繕費の予算の範囲内で、修繕度の緊急度の高いところからそういう修繕をやっていきたいというように考えております。
  165. 中村茂

    中村(茂)委員 そういうお考えはあるでしょう。そういう修繕計画というものをきちっとさせて計画的にやってもらいたい。こういうふうに要望しているわけなんです。しかし、いまその中身を一つ一つ私は聞こうとしているわけではありません。みんなが納得できるような計画をきちっと立ててもらいたいということを強く要求しておきます。  それから、もう時間がありませんから、これからこういうふうにしてもらいたいという点について一括ずっと申し上げます。  まず一つは、激変緩和ですけれども、これは住宅審の中でも、値上げの場合には十分激変緩和について考えなさい、こういうふうに出ておりますし、それから先ほど公団住宅家賃改定の冊子の中でも、七ページのところに「家賃改定に伴う激変緩和措置」ということで出ているわけでありますけれども、項目的に申し上げておきたいというふうに思いますが、まず一つは、敷金について、前回のときには、敷金は一応据え置くということでみんなで決まったわけでありますけれども、今度はその点についてあわせて追徴する、こういうふうになってきております。これは前回のやっと合わさっておりますし、相当高額になるわけであります。最高は五万一千円、平均三方九百円、この激変緩和のところで、分けていただきますよと皆さんの方で言っているけれども、分けたといったって、分けただけで総額には変わりはない。だから、そのときの激変緩和にはなっていないというふうに私は思う。入ったときに敷金ということでもらって契約したわけでありますから、契約をやり直さなければならないわけであります。確かに規定の中では四条でも敷金のことは言っておりますけれども、今回のこういう高額のもの、しかも九月ということになれば、皆さんが一番ふところぐあいがさびしくなった時期に、まとめて取りますよ、分割して取りますよ。これについては、前回と同じように据え置いていただきたいということを強く要求しておきたいというふうに思います。  次は、実施時期でございますけれども、前回の場合には、この問題が国会で取り上げられたのはいまよりも一月早かった。そして実施予定よりも少し延ばしてもらったわけですが、これが審議され、なお私どもの要望が国会決議ということでどういうふうにまとまるか。そういうことがまとまる、今度は大臣がそれを認可する、考え方を通達するということになると、何月ごろになるかわかりませんけれども、いずれにしても、私は、大臣からそういうものが出て、準備期間というものは最低半年ぐらいは必要だろう、こういうふうに思うのです。ですから、九月の実施についても若干延ばすことについて要求しておきたいというふうに思います。  それから、値上げ幅でありますけれども、これはなかなか納得できません。前回のときには三七%、今回は二六%、こういうふうに言われておりますが、今回の二六%は前回値上げ後のそれについての二六%ですけれども、前回値上げ前の当初のやつに引き伸ばしてみますと、七三%の値上げということになるわけですね。五年で七三%の値上げというものは、私は激変緩和にはなっていないというふうに思うわけです。これは一年に直しても一四、五%になりますね。前回上げて、また今回上げるというのですから。五年でこれだけですよね。ですから、これだけ大きな値上げ、しかも今回の値上げの場合には三DKが一万、その下は九千、八千、こうなっているのですけれども、前回の場合には上限七千円ということで一括的にやったわけですよ。そして五百円以下は切るというのですから、今度の値上げ幅というのは五百円から一万円の間で値上げするということですね。そういうことを考えていくと、この一万円の値上げというのは非常に大幅です。ですから、この点の激変緩和ということについて真剣に考えていただきたいというふうに思います。  次は、老人、母子、身体障害者世帯、低所得者、前回措置をしていただいたわけでありますけれども、今回もより積極的にやる必要があるのではないか、こういうふうに思うわけであります。  いずれにいたしましても、もろもろの問題があるわけでありますが、そこで最後に大臣に答弁していただきたいと思いますが、その一点は、先ほども申し上げましたように、五年前にはあれだけの要望決議を行って、特に一つは、先ほども言っておりますように、何にも方針かない、よそから方針を持ってきて、政策を持ってきて、それを当てはめるということではなしに、やはり住宅基本法、そして家賃体系、こういう政策的なものを責任を持ってやるべきじゃないか。いまだに全然なされていない。それから未利用地なり空き家家賃、前々から指摘されているわけでありますし、先ほど総裁も言いましたけれども、私どもも若干は改善したことは認めます。しかし、いまだに十年前のものが残っているところもあるわけです。改善の跡は見ることができますけれども、まだまだ努力は足らないのではないか、こういうふうに思うのです。そういう問題は解決できないで、そして値上げの方だけ楽だからやる。これは特に、この公団性格というものは、同じ建設省にいたお役人が天下りで行く。そして後輩がいろいろ課長になったり局長になっている。私はそういう監督が甘いと思うのですよ。ですから、私ども国会議員なりまたは大臣、そういう人が相当厳しい姿勢でこういう問題については対処していただきたいと思うのです。一点は、その点についての大臣のお考えをお聞きいたしたいというふうに思います。  それから二点目には、いまさまざまなことを申し上げましたけれども、また私ども議員の仲間できょうこれからそれぞれ意見が出るわけでありますから、それをどういう決議をするかということを話し合うと思いますが、話し合うにつけても、これはいずれ建設大臣のところへ来るわけですから、それで大臣は、その下に部下がいるわけですから、建設省の大臣を含めた皆さんの考え方が、ああごもっともだ、そのくらいの意見はひとつ取り入れて決議してくれや、こういう気持ちにならなければ、私どもが議員間で話し合ってもなかなか解決できないことなんです。ですから、それぞれ主張があると思いますけれども、私どもの意見も決議の中で十分生かされる理解ある御答弁をお願いいたしたいというふうに思います。
  166. 内海英男

    内海国務大臣 中村先生から大変貴重な御意見を賜りまして、大いに私も勉強をさしていただきました。  ただいま御指摘をいただきました五年前の委員長要望、この御趣旨も私どももよく承知いたしております。できるだけその線で建設省公団側努力はしてきたと思っておるわけでございます。一部まだ御満足をいただけないというような問題も残っておるかと思います。したがいまして、今回の家賃値上げ申請に当たりましては、私はできるだけ慎重に、先生方の御意見を承りまして、また先ほど参考人先生方の御意見もずっと拝聴いたしておりまして、この問題はあくまでも庶民の方々の生活に結びつく大変重要な問題、そういう観点から、先生の御指摘のような問題を踏まえまして、衆議院の当委員会はおいても、また参議院の委員会においても、先生方の御意見を十二分に承りまして、慎重の上にも慎重に検討をいたしまして、適正に対処していきたい、こういう考えでおるわけでございます。先生方で御議論の中でいろいろ御協議をいただいて、前回のようなまとまった御要望というものでも出していただけるような状態になりましたら、それも踏まえまして、十二分に検討して対処いたしたい、こう考えておるわけでございます。
  167. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  168. 松永光

    松永委員長 薮仲義彦君。
  169. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、午前中の参考人先生方意見聴取に引き続いて、今度は政府側に重ねて御質問をさせていただきますけれども、午前中の私の問題提起、これは今回の値上げに対しての私の基本的な考えの一部をたださせていただいたわけでございますが、大臣、十分その点はお聞き及びのことと思いますので、そういうことを含めてお答えをいただければと思うわけでございます。  私もこの問題に対処するために、実際に公団の入居をしていらっしゃる方々の御意見はいかがかと思いまして、早急なことでもございましたので、私の地元の静岡市内にあります下川原の団地と松富の団地、現地を視察させていただきました。それに基づいての具体的な問題は、また個々にこれから御質問させていただきます。  まず冒頭に、建設省並びに公団基本的な考え方をお伺いしたいのですが、住宅都市整備公団から、今度の「公団住宅家賃改定について」というパンフをいただきました。この冒頭に、なぜ家賃改定しなければならないかという思想性が説かれているわけでございます。一つには財政事情、二つ目には格差是正ということが大きな課題になっておるわけでございまして、この点からまずお伺いしたいわけでございます。  これには行政管理庁の指摘もなされておるわけでございますが、これは五十七年十二月の行管の指摘、これは五十五年ごろの当時のことがよく出ておりますが、そこで、まず数だけ簡単にお伺いしたいのは、未入居住宅の現時点、一番近い時点で掌握していらっしゃる数、それから保守管理住宅の数、それから長期空き家の戸数を言っていただきたい。それから長期保有地、何へクタールあるのか、一番近い数字を言ってください。
  170. 救仁郷斉

    ○救仁郷参考人 五十六年度末でございますが、未入居住宅が六千五百四十一戸、保守管理住宅が一万二千五百六十八戸、長期空き家が七千十五戸ということになっております。それから会計検査院で御指摘を受けました長期保有地につきましては、御指摘を受けた時点で千三百二十八ヘクタールございましたが、これにつきましては、現在相当進捗しております。ですから、現在その進捗状況につきましては御報告できますが、これが未利用土地として幾ら残っているかということには、ちょっとデータがございませんので、差し控えたいと思います。
  171. 薮仲義彦

    薮仲委員 五十五年当時の行政管理庁の監察結果よりは、幾分是正されている向きはあるわけでございますけれども、ここの中で行管庁が指摘している金額をちょっと挙げてみますと、すごいなと思いますのは、当時の数ですが、いまよりちょっと多くなっていますね。一万八千四百四十四戸の支払い利息を含む建設費の合計額は二千三百六十億円、五十五年度末の保守管理住宅に係る累積利息相当額は百九十一億、保有土地のうち利用計画見直し等が必要であると指摘した十九地区の支払い利息を含む用地費は一千八百二億円、また空き家による収入減も五十九億というようなことがここに指摘されておりまして、総計で約四千二百億余の不良債務といいますか、今後改善を指摘されておる点があるわけでございます。  まず、この値上げの一番の中で、財政事情が非常に困難だ、いま申し上げた未入居住宅、保守管理住宅長期空き家というものに係る債務は、公団の経営内容財政事情を非常に悪化させる一つの原因だと思います。では、こういうものが即いま入居していらっしゃる方に責任があるのか。これについてはいかがでしょうか。
  172. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  今回の家賃改定につきましては、不均衡を是正するという目的でもって実は実施いたしておりまして、ただいま先生からお話のございました未入居住宅あるいは長期空き家あるいは長期保有地等の問題のツケ回しというような意味でのあれは持っておりません。
  173. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは二点目の格差是正ということがここで出ております。このまま放置しますと、「家賃の格差はますます拡大し、居住者間の不公平の増大を招く」と公団のパンフに出ているわけですね。  それでは、私はこれも責任論でお伺いしますけれども、格差是正、格差の原因は、現在まで入居していらっしゃる入居者に責任があるのですか。
  174. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  今回の家賃改定の目的といたしまして、物価その他の経済事情の変動というようなことを理由に挙げてございますが、先生のただいまおっしゃられました入居者の方に直接責任があるという問題ではございません。
  175. 薮仲義彦

    薮仲委員 この次は大臣に聞くので、大臣がいないと、私はちょっと質問しにくいのですが、いまのことも大臣にお答えいただきたかったのですけれども、ちょっと時間をとめておいてください。  いま大臣がちょっとお席を外されている間に、公団住宅家賃改定について公団が出されたパンフから二点伺ったのです。  それは未入居住宅とか保守管理住宅長期空き家が、行管の指摘の中では非常に財政事情を悪化させる要因になっておりますよということですね。それからもう一点は、この中で格差是正ということが指摘されております。その責任をいま公団にただしたのです。未入居住宅であるとか、保守管理住宅であるとか、長期空き家、この責任は、現在入居していらっしゃる方にあるのですか、公団は、ありませんとおっしゃった。またここで、家賃の格差がますます拡大するから、居住者間の不公平を増大するから格差是正をしなければならない。それでは現在入っていらっしゃる方に、その格差が生じた責任があるのですかと御質問した。そうしたら公団は、責任はないとおっしゃった。大臣も同じお考えでよろしいと思うのですが、いかがですか。
  176. 内海英男

    内海国務大臣 おっしゃるとおり、入居者には責任はないと思います。
  177. 薮仲義彦

    薮仲委員 この点を明確にして、それでは私は質問を進めさせていただきますけれども、これがまず政府並びに公団の姿勢の中に、いま入居していらっしゃる方に責任はないのだ。それではそれをどういう形で入居していらっしゃる方に納得していただくか。この点を明確にしないと、私はこの論理は進まないと思うのです。そこで、午前の段階で私は参考人先生方に伺いました。本来、公団の持っている家賃の決定は原価主義です。原価主義というその基本的な考えを貫くならば、古く建てた建物がその入居者によって、七十年間なら七十年間という償還によってその債務が完済されたということであるならば、古い人は安い家賃で七十年の間に完済されるということは当然であって、何らそこに不公平でもなければ不均衡でもない。本来原価主義という精神を貫くならば、古い人は安くていい。この点はどうなんですか。原価主義の精神、単純に言ったならば、この点公団どう思われますか。
  178. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  公団住宅家賃を定めます場合に、施行規則の四条で、建設原価を基準といたしまして定めるということを実は申し上げているわけでございます。それからまた施行規則の五条につきましては、四条の規定にかかわらず、物価その他経済事情等の変更のある場合には、建設大臣承認を得て変更することができるという規定になっているわけでございます。そこで、厳密な意味といたしましては、いろいろ議論に出ておりますように、個別原価主義ではないのだろうというように実は私は考えております。  それからまた、住宅につきまして、家賃の考え方でございますけれども、それは住宅と敷地の使用対価だろうと思います。その使用対価そのものが経済事情の変動等によりまして再評価されるような形になりましたときには、それに見合う評価がなされなければならないのだろうというように考えているわけでございます。その評価のあり方につきましては、いろいろな形があるわけでございまして、公的住宅にふさわしい評価手法をとっていかなければならないというように考えております。
  179. 薮仲義彦

    薮仲委員 申しわけないのですが、私の質問に正確に答えていただきたい。私は、原価主義という精神で単純に言ったならば、最初に建てたものが減価償却する間に、きちんと七十年の間で償却されればいいのでしょうと。公団家賃のことを聞いたのではないんだ、私は。原価主義という精神は、原価が償却されればいいのでしょう。この考え方に対して公団さんは違うとおっしゃるかどうか。公団家賃云々じゃないんですよ。原価主義を貫くというのならば、当初建てた家賃の中で、七十年なら七十年の中で償還されるということが原価主義でしょうと。その理論を聞いているのです。どうなんですか。はっきり結論だけ言えばいいですよ、わかり切っていることだから。
  180. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  会計原則的な考え方におきましては、いま先生のおっしゃられるような考え方で結構かと思います。
  181. 薮仲義彦

    薮仲委員 そこで私は、あなたが私が質問しないことについてお答えいただいた。いわゆる使用する対価によって家賃というものが決定されるということをおっしゃられたので、それでは私はお伺いします。  家賃を決定すべきその中身の中で、世間では、これは午前の参考人の先生にも意見として伺いましたが、耐用年数によって家賃というのは逆に傾斜してくるものです。三十年たった家、五十年たった家と新築の家では、三十年、五十年たったときに、新築当時は取れたお家賃も、ある一定年度耐用年数を、特に家屋の場合は、十年過ぎますと急激に傷んでまいります。これは総裁初め公団の皆さんも御承知だと思う、管理していらっしゃるから。十年までの修理費と十年たってからの維持管理費は物すごく幾何級数的にぐうっとふえてくる。ということは、どんな建物でも、いまのような格差是正でどこまでも上げられるか。耐用年数が来れば絶対上げられないのだ。先ほどの先生は、七十年は無理で五十年とおっしゃった。私は五十年もどうかとは思っておりますが、仮に五十年とすると、五十年から先はもうピークを過ぎて無理だ。そうすると、その前にどこかから耐用年数については限界が来る。いわゆる木造部分はもうぼろぼろになってくる。あるいはコンクリートの擁壁も用をなさない。階段部分はもうだめだ。建物それ自体が建築基準法上、危険物になってくるというようなことも考えられるかもしれない。そうなってまいりますと、それは私、物をわかりやすくするために申し上げたことであって、家賃改定基本的な考えの中に、管理開始して何年たったものについてはそこまでは上げられるけれども、そこから先はむしろ上げられなくなるときが来るのじゃないかと私は思う。  そういう意味で、先を見越して言うならば、耐用年数、いわゆる管理開始して何年たったかという考え方を家賃の中に入れる必要がある。だから、私は先ほども申し上げた。いわゆる公社家賃限度額方式ということについては、私は一応の理論としては納得する。考え方は納得する。でも、私は下川原の団地やあの松富の団地に行ってみて、理論だけではだめだと私はわかったから考えを変えているのです。やはり耐用年数であるとか設備がいわゆる居住環境として好ましいか好ましくないか。格差とおっしゃるけれども、現在管理開始されている五十年代の公団住宅と、三十年代、四十年代に公団の管理開始されているところでは、たとえば先ほども申し上げた団地サイズという狭さ、いろいろな形で設備は格差があってあたりまえだと私は思う。ないことがかえって不公平です。いまの公団家賃が高くて、ある意味であたりまえ、古い人は安くてあたりまえという感じはどうしても私は持たざるを得なかった。  そこで申し上げたい。家賃改定の考え方は、単なる公営限度額方式という単純なこと、あるいは鑑定評価によって是正しますということもわかりますが、もう一つ加えていただきたいのは、極端な話を申し上げたけれども、耐用年数というか、入居してから何年たったものとか、あるいは設備の不十分なものについては、十分居住環境によって考慮しなければならないと私は思うのですが、この点いかがですか。
  182. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生のおっしゃられました、いわゆる耐用年数あるいは住宅の古さあるいはまた規模の問題あるいは程度差の問題、そういう事柄は、再評価いたします場合に、当然に考慮の中に入れなければならない重要な要素だろうと実は思っております。そういう事柄を考えまして、私たち採用させていただいておりますのは、いわゆる公営限度額方式でございまして、それに準ずる方式を実は採用させていただいているわけでございます。  実は、もう少し中身を申し上げさせていただきますと、たとえば土地につきましては、固定資産税評価額に置きかえさせていただきまして、これは時価よりも相当低い形で評価される形になっております。それからまた住宅の立地、規模、古さ、程度差等も、実はその計算の中に反映された合理的な評価方法だろうというように考えているわけでございます。そしてそういう考え方と申しますのは、申すまでもないことだと思いますけれども、公共団体におきましては、公聴会の開催も必要でないし、あるいはまた建設大臣承認も必要ないというようなことで認められている方式であるということでございます。ということでございますので、新しい団地とかあるいは古い団地というようなところにおきまして、確かに質的な差のあることも事実でございます。こういうようなものは、公営限度額方式によりますと、家賃評価に当たりましては、計算の中におきまして十分反映されているものだというように考えております。
  183. 薮仲義彦

    薮仲委員 その説明は聞かなくてもわかっているから、むだな説明はやめた方がいい。いわゆる公営限度額方式の中で、簡単に言えば、現在同じところに同じものを建てたらどうなりますか。そこからスタートしているんだ、論理の根底にあるのは。そういうことは、ここで私に言う必要はないのだ。それを知った上で私は言っているんだから。その意味で私は納得できない。なぜ納得できないか。ではそういうことをおっしゃるのなら、私はっきりさせましょう。いいですか。  私はあの松富の団地も行った。下川原の団地も行った。こういう現場を見てくださいと言われた。こういう状態ですよと言われた。なぜ私が納得できないかといえば、たとえば現在私たちがそこへ行って拝見させていただくまでに、私が聞いた問題は解決されていなければおかしいと思う。そこで私にいろんな不満や問題点が出てくる。管理していらっしゃるのなら、その問題をきちっと解決しておくべきだ。簡単なことです。たとえば建物があるんです。一番こっち側のお宅、PCタイルというのですか、コンクリートの目地の部分が悪いものですから、押し入れに雨漏りしているんですよ。何回も修理伝票を出しました。直してくれません。押し入れに布団を入れるのに、二十センチぐらい引かなきゃなりません。これはどうなんですか。直すのはあたりまえじゃないですか。こういう雨漏り、直しますか、直しませんか。
  184. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  私、残念なことに現地を見る機会がなくて、まことに申しわけないと実は思っております。先生がいまおっしゃられますような形でのいわゆる住宅の本体部分の破損等によりまして、そのような現象が起きておりましたならば、修繕をいたすべきだというように考えておりますので、ひとつぜひとも御要望を出していただきたいというように思っております。
  185. 薮仲義彦

    薮仲委員 そのほかにもあるのですよ。よろしいですか。トイレに入ってくださいと言うのです。一階のトイレに入ってくださいと言う。トイレへ入ったのです。公団の説明ですと、結露とおっしゃる。トイレにずっと浄化槽の鉄管が通っている。そこに結露が発生して、一番下のおうちでは敷物を敷けないのですよ。こまげたをはいて入っている。ただ、私はいま理事が、私は松富の団地を存じ上げない。これは当然で、結構だと思います。ただ、私はお願いしておきたい。松富の団地の方、下川原の団地の方に――そこは県が委託管理しているところなのです。それはそれでいいと思うのです。私は今後の要望として申し上げますが、少なくとも公団の方は自信を持って、家主さんなんですから、たな子さんの意見をずばり聞いた方がいいのです。何もむちゃなことは言いません。何かみんなにひどいことを言われたり、人民裁判があったりとか、ひどいことを言われるからいやだとか、そんなことは何にも私はないと思う。入っていらしゃる方は、私たちと同じ、あなたと同じ、同じ人間として生活していらっしゃるりっぱな方です。堂々とそこへ行って、どこが悪いんでしょう、それは公団が持つべき責任です、これは入居していらしゃるあなたが、ここは専用部分ですから直してくださいと、納得いくように御説明すれば、何らそこでトラブルも発生しないし、快適な生活ができると思う。  これは総裁、お願いしておきます。私は近日中にもう一度、公団の皆さんと一緒に皆さんの意見は聞きましょうと申し上げた。私は責任持ってその場に行きたいと思うのです。そのとき指摘されたこと、ここは公団が責任持たなきゃならないな、これは入居している方が持たなきゃならないなと、自分でもわかりました。でも一度は、ここは十数年公団の方とお話し合いをしたことがないとおっしゃっておる。今後、私はやはり団地の中でのいろいろな問題は、公団の方と入居してらっしゃる方と気持ちよくお話しになればいい。それがとにかく、私はこういう値上げのときや何かあるいはいろんな問題解決に当たって、これから公団が本当に気持ちよく管理運営されるように、私はコミュニケーションが絶対必要だと思うのです。そこで私は、いつ行けるかわかりませんけれども、そういう機会に、私が行くときにどなたでも結構です。責任ある答弁をしにくい人が行くのがいやだったら来なくてもいい。私は、私と一緒に現地を見に行ってくれる公団の職員の方がいるのだったら、私と一緒に行って、私も感じたことを一緒に感じてもらいたい。それで公団側がとるべきことをそこで判断していただければ結構だと思います。私が近々行きますから、どなたか派遣してくださいますか。
  186. 志村清一

    ○志村参考人 私ども住宅の管理というのは非常に大事な仕事だと思っております。六十二万戸という耐火構造の共同住宅を持っている家主は世界じゅうにいないわけでございまして、何とかこの管理をうまくやっていく必要があろう、かように考えておりまして、実は私どもが直接管理しているところは、管理主任を置きまして常時見回りをするとか、あるいは点検班を派遣しまして、どの辺が傷んでいるかどうかというようなことを週に一回、二回というふうなことで回らせるとか、地元の居住者の中から連絡の方をお願いするとかというふうなことでいろいろやっておりますが、それでもまだまだ不十分なところがあろうかと思います。特に、私ども直接にやれない個所がございまして、県にお願いしたり協会にお願いしたりする点もございますので、これらにつきましては、私どもも先生の御意図を拝しまして十分に配慮してまいりたい、かように思っております。
  187. 薮仲義彦

    薮仲委員 それで、私はマル適マークという問題を大臣にお願いしましたけれども、いわゆる旅館のマル適マークですが、ああいうマル適マークに対していろいろな地方自治体が減点をしております。実際に行って見たらおかしいからといって減点するあれがあるのですが、公団の中でもいろいろな公団があると私は思うのです。たとえば二DKにしましてもあるいは三Kにしましてもいろいろなスタイル、いろいろな年次に管理開始されておりますので、いろいろ条件が違うと思うのです。ですから、そこで私は、先ほどのいわゆる公営限度額方式ということで算定なさるのは結構ですけれども、その中で設備の問題を一度点数表みたいなものをつけていっていただけないかと思います。たとえば、ここは洗濯置き場のスペースがあるかどうか、あるいは物置があるかどうか。いま県営や市営住宅には物置がございます。公団住宅の中の多くは物置がございません。スペースもございません。二DKの部屋に入りますと、物置がないというお話がございました。三Kのおうちはございましたけれども、非常に狭いということでございました。こういう物置がない。  それから、遮音については、横は一応遮音ができておるようであります。しかし上下の遮音については、これは非常に問題だと私は思いました。薮仲さん、ちょっとここに座っていてくださいとおっしゃって、一階上の方がドアをガチャンとあけてカラコロカラコロと入っていく音を聞いてください。上と下の音は筒抜けに聞こえてくるのですね。こういう遮音性については、今後の建造物はそうなっているでしょうけれども、従来のものの遮音をどうするか。やはり一戸の家庭でございます。その遮音ということは、私は家庭生活を平和にするために必要な部分であろうと思っております。この遮音はどうであろうか。  それから、さっき申し上げましたけれども、洗濯機の置き場でございますが、このスペースかない。しかも防水してありますのは浴槽部分とトイレだけです。それで洗濯機をキッチン部分に置くわけです。ところが、ホースが外れて水がジャーと出るのです。数十人の御婦人が私の前に集まった。男性もいました。この中で、二階から雨漏りがあった経験のある方というのは、三分の一強の人が上からかけられた。ではかけた人がいるかというと、かけている。かけるかかけられるか。だれかがキッチン部分に水をジャーと流して下に御迷惑をかけている。いわゆる防水性が全然キッチン部分にない。これは私はやはり減点対象だと思うのです。非常に住みにくい。生活しにくい。洗濯機というのは、御婦人にとっては必要な家庭の避けられない大事な置き物なのです。その置き場所がないということは、住宅としては非常に申しわけないという言い方はよくないのですけれども、さっきどなたか洗濯機の普及率が云々という話もあったけれども、それはそれとして、これはやはり改善をしていただかなければならない。さっきはベランダへ出せばというお話もあったけれども、ベランダへ出すこともだめだと静岡の団地は言われておるのです。だから非常に困っていらっしゃるのです。  それからおふろのかま。これはバランスふろがまが入っているのです。こういうかまも七年で耐用年数が過ぎるのです。これをちょっと問題を言いますと、その前に壊れると入居者が全部負担しなければならない。直営の公団団地ですと、いわゆるリース方式で八百二十円でずっと払えばいいわけです。ところが、静岡の場合は、三回払いにしなさい、七万数千円、定価は九万五千円です。これが非常な負担になるのです。しかも、ああいうところは意外と転勤が多いのです。入れた途端に転勤になりますと、そのふろがまをさてどうするか。こういう具体的な問題を考えて、私はやはりいろいろな意味で減点制度を設けて、家賃の中身を、もう少し入居していらっしゃる方の御納得いただけるような説得力のあるお話を、単なる数式を言わないで、公営限度額方式は理論的にどうでございますなんて言わないで、もう少し庶民の生活実感の中からわかるように、一応こういう点は考慮しますという配慮が今後なされたらいいのじゃないかと思いますが、一つは、減点方式みたいな居住環境の悪い部分を考慮してもらいたい。もう一点は、いま言ったふろがまなんか、これはリース方式なんていうのを全国的に取り入れたらどうか。まだたくさん問題があるので、この二点をまず簡単にお答えいただけますか。
  188. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 ただいま先生から大変詳しい具体的なお話を伺いまして、私ども大変参考になっております。実は住宅の性能といいますか、効用につきまして、たとえばいまお話のありましたような設備でありますとか、あるいは老朽の度合いでありますとか、あるいは防災性でありますとか、そういうようなことにつきまして評価をしていくという方式があります。これはたとえば住宅地区改良事業等でポイントシステムと申しまして、現実の行政でも採用しております。ただいま先生がお話しのように、今後公的住宅の中でいろいろな効用について検討をしていく必要もあろうかと思います。こういうことにつきましては、公団と公的賃貸住宅の事業主体と連絡をとりながら、今後さらに検討していきたいと考えております。
  189. 武田晋治

    ○武田参考人 ではお答え申し上げます。  バランスふろがまの浴槽の問題でございますが、確かに先生がいまお話しになっておられます団地につきましては、居住者負担の方でということが非常に多いことが事実でございます。年度が過ぎてまいりますと、公団負担でという仕組みになっておりますが、御指摘の個所はおっしゃられたとおりだと思います。  それで、五十年の十二月以降は、私たちといたしましても、いまの取りかえにつきましては、リース制度を採用するということで実はやっております。ただ、問題になりますのは、直接管理がしづらい。静岡を決して遠隔地とは思いませんけれども、公団の管理体制の中では、直接そういう管理ができない形になっておりまして、そういう場所につきましてどういう形で導入してくるかということにつきまして、目下一生懸命検討している状況でございまして、できるだけ早い機会に実現の方向努力したいと思っております。
  190. 薮仲義彦

    薮仲委員 これも具体的に聞きましょう。  本当に、言うなればこんなことがと思うことが非常に大事なんですけれども、松富団地の真ん中に市道が通っているのですよ。そこに公団も樹木を植え、市も樹木を植えているのです。あるシーズンになると虫が発生するのです。公団の方から電話するわけです。どっちと言いません、これは差しさわりがありますから。そうすると、どっち側に植わった木ですか、こういうぐあいに答えが返ってくるのです。もっとあからさまに言うと、ここからこっちは市です、ここからこっちは公団です。ところが、市の防虫の駆除するのと公団とタイミングが違うのですよ。仮に市が先にやって後で公団でやると、公団に残っている虫がわあっと行って何にもならない。表現は悪く言うといろいろあれになってしまうのですが、こういうことはおやめになった方がよろしいのじゃないですか。公団に言えば、市の方と連携をとって、同じ時期にどっちに生えていようと虫はどっちも行くのですから、さあっとおやりになったらいかがでしょう。これは簡単に。ことしからやってくれますか。
  191. 志村清一

    ○志村参考人 緑というのは大変大事でございまして、私どもの団地についても、緑の団地と言われるようにしたいということで、植栽等についてもずいぶん気を使っておりますが、実はその反面、先生の御指摘のあるように、虫害などが出るわけでございますが、ただいまお話にございましたように、今後は十分連絡をとるようにいたしたい、かように考えております。
  192. 薮仲義彦

    薮仲委員 これはぜひとも御検討いただきたいのは、私は下川原の団地の集会所、松富の集会所で会合をやったのです。私も忙しいものですから、電話をかけようと思ったら、集会所に電話がないのですよ。下川原は目の前にある。松富は離れているのです。出るときに左へ行こうか右へ行こうか、どっちにしましょうかと聞いて、雨の中を傘を差して行ってきた恨みつらみがあるわけですけれども、それはそれとして、電電公社は冷たいのかと思って、電話局長や公社の方、本省へ、何だ、すぐつけてやったらどうだと言ったら、その辺の事情はよくわかりました。赤電話、ピンク電話、ブルー、黄色とあるわけですが、これは時間がございませんから結論だけ言いますと、現地ではピンクを置いてくださいという意見もある。あるいはブルーを入れてくださいという意見もある。これはコレクトコールをやられたときに、だれかがかけて料金がわからなくなったときに、たとえばピンクの場合なんかコレクトコールをやられて、そのピンクの電話にかかったときにお金はどなたが払うか明確でないので、どなたかはっきりした管理者がいないと危険ですというのが電話局の見解でした。赤電話等ならば、公団の方でいいですよと言えばすぐ設置ができますということになっているのです。これは公団に入っていらっしゃる方が自主的にどの電話がいいかお決めになると思いますが、いずれにしても、電話はつけてほしいという要望がございました。これはやはり集会所の目の前にあるじゃないかでなくて、私は自分の体験からいって、集会所の中に赤電話があっても利用回数は多いのじゃないか。電話局も置いていただいて結構ですという見解でございますので、これは早急に実現していただきたい。検討していただいて何とかしていただきたいと思うのですが、簡単にお答えできますか。
  193. 武田晋治

    ○武田参考人 居住者の方からの御要望がございましたならば、早急にその方向検討したいと思っております。
  194. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは、きょう御答弁をと言っても無理かもしれませんけれども、問題提起として、午前中も言いました。自転車置き場が入居していらっしゃる方の五割から六割程度しかスペースがないのじゃないか。これはたとえば自転車置き場をつくろうとすれば、さっき総裁のおっしゃった緑の団地にしたい。私もいいと思うのです。すると、いまのスペースからいくと、緑を削らなければならぬ部分があるかもしれない。私はこれは個個のケースでいろいろあると思いますので、これはやはり民族自決じゃございませんけれども、公団入居者が自転車置き場をつくる、緑は多少――という意見もあるかもしれません。あるいはその反対もあるかもしれません。いずれにしましても、自転車置き場については要望が強いので、この辺は御考慮いただきたい。  それから、最近お年をとられた方が公団に入居なさっている方に非常に多いのですね。公団の集会室に和室がないということについて、お年をとられた方が和室へみんなで集まりたいという御要望をお持ちのようでございます。そういう意味で、和室の部屋を増築するということについて、今回の値上げの際でもありますので、これは十分検討いただけないかという御意見がございます。これは検討していただくということにしておきます。  最後に、今後大事なことは、家賃値上げなんかもお一人お一人の意見を聞いてみる。いろいろなことで納得できる部分が必ず出てくると私は思います。そういうような体制をつくっていただきたいと思います。  もう一つは、公団を出るときに全部原状復帰しなさいということがあるのです。どこまで直せばいいのか。上からこぼれた油や水のしみまで責任を持つのですかということがはっきりしておりません。そういう意味で、原状復帰についてだれが責任を持たなければならないか。どこまで責任を持たなければならないかという点。  それから修繕についても、もう一度入居していらっしゃる方と、公団はこの部分は責任を持ちましょう、この部分は皆さんが持ってくださいというのをよくお話し合いなさって――それは入居していらっしゃる方は、全部公団がやっていただくのが一番いいかもしれません。しかし、ある意味では無理であるということは皆さんもわかっていらっしゃいますので、その辺のバランスを御検討いただくことが、これからの管理の中で非常に大切ではないか。しかも、特に県の管理なんかの場合に、県へ出してから時間が数カ月かかっています。これも何らかの早い形で御返事が来るようなシステムに改めていただくことが、入居者の感情的な部分でまた非常にいい結果をもたらす、早ければ早いほど。  そういういろいろな問題等がございますので、きょうは具体的に何点か指摘させていただきましたけれども、先ほど中村先生お話しのように、今回の値上げについては、ここで指摘されたこと、また各政党からいろいろな要望等もございますので、それを踏まえて、最も好ましい形での結論を大臣には出していただきたいし、総裁もその点を十分踏まえて結果を得ていただきたいと思いますので、最後に大臣と総裁からお話を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  195. 内海英男

    内海国務大臣 国会におきます先生方の御議論を十分踏まえまして、適正に判断を下したいと思っておるわけでございます。
  196. 志村清一

    ○志村参考人 先生から大変有益な御示唆をいただきましたので、十分検討させていただきたいと存じます。
  197. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  198. 松永光

  199. 部谷孝之

    部谷委員 公団住宅家賃改定に関しまして、若干の質問をしてまいりたいと思います。  公団は、このたびの家賃改定が必要な理由といたしまして、五十三年のあの一斉改定によってもなお低い水準にあるので、賃貸住宅相互間における家賃に不均衡が生じておる、これを是正するんだというふうに述べておられるわけでありますが、ここで言うところの住宅相互間とは、住宅公団住宅相互間を指しておるのか、また公団住宅以外の住宅との不均衡を指しておるのか、この点をお答えいただきたい。  なおまた、公団住宅公営住宅あるいは公社住宅さらにはまた民間住宅、こういうものと比較した場合に、大体類型的な程度で、それらとの間の不均衡はどのようになっておるのか、あわせて御答弁をいただきたいと思います。
  200. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 このたび住宅都市整備公団家賃改定理由としております家賃の不均衡といいますものは、住宅都市整備公団施行規則第五条第二号において「賃貸住宅相互の間における家賃均衡上必要があると認めるとき。」ということを指しておりまして、この場合の家賃は、公団賃貸住宅家賃であります。     〔委員長退席、鴨田委員長代理着席〕 したがいまして、家賃改定理由としている不均衡は、公団住宅相互間の家賃の不均衡でございます。
  201. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  住宅相互間の考え方でございますが、公団住宅相互間という考え方に立っているわけでございます。  それから、公団住宅相互間におきますところの家賃の比較の問題でございますが、住宅の古さとかあるいは立地の問題とか設備水準の差の問題とか、そういうようなものを単純に絶対額だけで比較するといいますことは適当なことではないと思っているわけでございます。  ちなみに、昭和三十一年度に供給しました住宅前回の一斉改定後の平均家賃を申し上げますと、一万一千二百円でございまして、専用床面積一平方当たり三百二円となります。それが五十六年度に供給いたしました住宅の五十七年度家賃平均は五万九千七百円でございます。この専用床面積一平方メートル当たりは九百九十二円となっておりまして、その格差はいまだに大きいものがあるという状況でございます。  これは、さらにたとえて申しまして、関東地区におきますところの二DK住宅について見てみますと、三十一年度に供給をいたしました牟礼団地前回一斉改定後の家賃は一万一千九百円でございまして、専用床面積一平方メートル当たり三百十七円でございます。五十六年度に供給いたしました金沢シーサイドタウン並木二丁目団地昭和五十七年度家賃は五万四千三百円でございまして、専用床面積一平方メートル当たり九百七十四円となります。それが傾斜終了後の家賃になってまいりますと、六万八千五百円となりまして、専用床面積一平方メートル当たり千二百二十八円といったように、住宅の古さ等の差はあるにいたしましても、均衡が図られているという状況にはないわけでございます。  なお、昭和三十年代に供給いたしました住宅の現在の家賃について見ますと、中堅勤労者の世帯収入に対します家賃負担率は三%台がほとんどということでございまして、昭和四十七年度以前に供給いたしました住宅について見てみましても、大部分が一〇%未満の負担率となっているということでございます。また一万円台の家賃住宅が二十二万戸にも及んでいるという実情でございます。  それから、公団住宅と近くにございます民間住宅との比較の問題でございますが、これも直ちに比較できる問題ではございませんが、ちなみに東京都の北区にございます赤羽台団地の二DK対象にとりまして見てまいりますと、公団住宅家賃は一万六千円でございます。近傍の民間住宅家賃につきましては、五万八千円から七万円という家賃でございます。これにつきましては、大体三カ所ばかりのマンションがございまして、その家賃調査の結果でございます。そうなってまいりますと、公団住宅のその住宅に対します家賃の割合は二三%から二七%程度の状況にあるということでございます。規模の問題あるいは程度差の問題、それから建築の時期等によりまして、単純な比較はしてはなりませんけれども、一つの例でございます。
  202. 部谷孝之

    部谷委員 いまお示しになりました数字は、先般いただいた参考資料の中にもそのことが示してあるわけでありまして、民間住宅との格差を見ますと、三十一年が大体一五%程度、それから漸次上がってまいりまして、四十七年ごろで四〇%程度というふうにテーブルが出ておるようであります。だから、そういう意味では、両者の間の格差がかなりあるということは、数的には示されておるわけであります。  それでは今回の改定によって、この住宅相互間における家賃の不均衡はどの程度解消されるのでありましょうか。つまり先ほど三十一年で平米当たり三百二円、それから四十七年で五百七十一円、あるいは五十六年度の入居者の方は九百五十八円、こういうふうな数字になっておるようでありますが、これが今回の改定によって一体どれぐらいになっていくのか。その点をお示し願いたいと思います。
  203. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  仮に、昭和三十一年度に供給いたしました住宅について見てみますと、前回一斉改定後の平均家賃が一万一千二百円でございまして、その専用床面積一平方メートル当たり三百二円でございますが、今回これを激変緩和に配慮いたしまして改定してまいりますと、概算一万八千四百円、専用床面積一平方メートル当たり四百九十六円になるだろうというように考えているわけでございます。住宅の古さとかあるいは立地とか設備水準等の差等により単純には比較できないわけでございますけれども。ちなみに、これを五十六年度に供給いたしました住宅の五十七年度の平均家賃五万九千七百円、専用床面積一平方メートル当たり九百九十二円と比較してまいりますと、一平方メートル当たりで約三倍の格差が約二倍の格差に是正されるという状況でございます。
  204. 部谷孝之

    部谷委員 今年度までの家賃改定された対象戸数はおおむね四十万戸と言われておるわけでありますが、これによる五十三年から五十七年までの五カ年間の全体の増収額は一体幾らぐらいになるのか。またその増収額の使い道は、書かれておるように、維持管理費と家賃抑制に使うというふうに言われておるわけですが、そのとおりになっておるのでしょうか。
  205. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  五十六年度につきまして増収額を見てまいりますと、二百四十三億円となりまして、その使途内訳でございますが、修繕費維持管理経費につきまして百七十七億、七三%でございます。それから家賃抑制につきましては六十六億円ということで、二七%ということでございます。
  206. 部谷孝之

    部谷委員 前回の一斉値上げに際しまして、衆議院の建設委員長の発言の第四項で、五十三年度の「家賃値上げ増収分は、五十四年度以降の新規の供給住宅家賃抑制の財源として使用すべきではない。」というふうに意見が述べられておるわけでありますが、この趣旨というものは遵守されたのかどうか。
  207. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  おっしゃられる趣旨に沿って遵守いたしております。
  208. 部谷孝之

    部谷委員 五十三年度の一斉値上げ分につきましては、当然家賃抑制維持管理に使われたはずでありますが、年間それぞれ幾らぐらいになっておりますか。
  209. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  五十三年度につきまして、増収額につきましては二百二十億円であります。うち、家賃抑制に使われておりますのが二七%に当たります六〇億円でございまして、そのほかにつきましては維持修繕費等に使用いたしております。     〔鴨田委員長代理退席、委員長着席〕
  210. 部谷孝之

    部谷委員 それで今度、維持管理費でありますが、この維持管理費というのは、修繕費と管理事務費に分かれると思うのですけれども、これはそれぞれどういうふうに使われておるか、お示しをください。
  211. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  修繕費につきましては、偶発的に生じますところの破損等の経常的な修繕のほかに、給排水管の取りかえや外壁塗装などの経年に伴います大規模な修繕に充てているわけでございます。  管理事務費につきましては、これら修繕の実施等におきまして必要となる印刷費、旅費等の物件費や人件費に充てているわけでございまして、ほぼ五%程度を使用さしていただいております。
  212. 部谷孝之

    部谷委員 もう一度お尋ねしますが、それでは修繕費が大体九五%で、管理事務費が五%、こういうことですか。
  213. 武田晋治

    ○武田参考人 増収額につきまして、七割程度につきましては維持修繕費に使ってまいるわけでございますが、その管理事務費につきましては、増収額のおおむね五%、こういうことでございます。
  214. 部谷孝之

    部谷委員 そこでさらに、維持修繕費についていま大ざっぱなお話があったのですけれども、もう少し具体的な内容と、それから大体どれくらいの対象戸数にそうした金を使っていったのか。さらに今後の何か長期的な計画があるのかどうか。あるならば、その計画をお示し願いたいと思います。
  215. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  前回家賃一斉改定によりまして出てまいりました修繕費増収額につきましては、主といたしまして、古い建物の増加等に伴い累増いたします経常的な修繕を行っております。それからまた、その出てまいりました額で計画的に、たとえば外壁の塗装、それから給水管の取りかえ、これは屋外の方の給水管の取りかえ、それからまた給水管の取りかえで、今度は屋内の方をやります。それからまた雑排水管の取りかえというようなことをやっております。それからまた外回り木製建具の修繕とか、あるいは流し台の取りかえの問題とか、つり戸棚の取りかえの問題とか、木造床張りかえとか、浴室木製敷居の取りかえ、金網、手すりの取りかえとかはやっておりまして、後で申しました外回り木製建具以下のどちらかと申しますと、室内部分の修繕等につきましては、すでに計画を達成いたしている状況でございます。したがいまして、外壁塗装とか給水管の取りかえ、あるいはまた雑排水管等につきましては、今後より一層修繕を進めていくということになるかと思います。  それからまた、今後の修繕の実施のあり方でございますが、偶発的に生じてまいりますところの破損工事等につきましては、居住者の皆さん方に御迷惑をかけないように、なお綿密に修繕を進めていきたいと思っております。それから、先ほど申し上げました外壁塗装とか給水管あるいは排水管の取りかえにつきましても、今後とも計画的に実施を進めていきたいというように考えております。  それから、今回また家賃改定をお願いしているわけでございますが、それに伴います新旧団地等におきますところの居住水準の格差等があることも、ある意味におきましては承知いたしておりまして、そういう面におきますところの修繕における格差の是正等につきましても、なお進めていきたいと思っております。あるいはまた室内の環境や設備水準の状況や必要性の問題等々につきまして、居住者の皆様方の御要望等も踏まえまして、修繕費の予算の範囲内で、緊急度の高いところから着手したいというようなことで、現在検討を進めているところでございます。
  216. 部谷孝之

    部谷委員 五十三年の値上げの際に、その増収の一部が維持管理費に回される、その使途を明示するようにということが質疑応答の中で要求され、そのことを明示するというふうに方向を示しておられますので、私はいま詳しくお尋ねしたわけであります。  そこで、五十三年に三十五万戸、それから五十四年に三万戸、五十五年に一万四千戸、五十六年に二千戸、五十七年に四千戸で、計約四十万戸が値上げをされてきたわけでありますが、今回の改定による一斉値上げ対象戸数は幾らになるのか。その対象としたところの値上げによって増収額はどの程度になるのか。そしてさらに、これらの使途について御答弁を願いたいと思います。
  217. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  今回の家賃改定につきましては、昭和四十七年度までに供給いたしました住宅約四十二万戸を対象とするわけでございますが、このうち、空き家に入居されたり、最近の空き家改定家賃適用される住宅等につきましては、改定にならない見込みも出てまいりますので、現在のところ約三十四万戸がその対象になろうかと考えております。  それから、この三十四万戸の改定に伴いましての増収額でございますが、平年度ベースにいたしまして二百億円と見込んでおります。使途につきましては、前回同様に、おおむねその七割を維持管理経費に、三割を家賃抑制に充てたいと考えております。
  218. 部谷孝之

    部谷委員 そこで、今回の値上げ家賃抑制にも使う、こういうことでありますが、未入居住宅長期保有土地、こうした状態が起こったことについては公団の責任だと私は思うわけであります。そうした問題が家賃の高騰の要因にもなっておる。このことはけさほどの参考人の方の意見も実はばらばらであったのでありますけれども、私はその要因になっておると思う。だから、この抑制分に家賃値上げ分を全部使っていくということには問題がある、こういうふうに思うのです。  また、維持管理費につきましては、修繕費と管理事務費があるわけであります。先ほどの御答弁では、管理事務費の方にも五%ぐらいを回す、こういうふうに言われたわけでありますが、そうしたものを総合いたしまして、この値上げ分というものをどういうふうな区分でやるか、もう少し細かくお示しをいただきたい、私はこういうふうに思います。  家賃抑制や管理事務費に回す分については、これは先ほど申しましたように、政策的な面がありますので、これはある程度の歯どめが必要ではないかと思うわけです。先ほどからこの管理事務費のことをお尋ねしたのは、実はそこに問題があると私は思うからであります。こうした問題が、たとえば公団職員の給与の引き上げのときに回されたり、あるいは期末手当に回されたりというようなことになると、これはすべて根本から瓦解してくるというふうに思いますので、特にその歯どめが必要だ、こういうふうに思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  219. 内海英男

    内海国務大臣 家賃改定によります増収分につきましては、先ほど公団理事の方から御答弁申し上げておりますように、七〇%程度維持修繕費、五%が管理費、二五%が家賃抑制、私は、先ほどの話をわきで聞いておりまして、こういうふうになるかと思います。  したがいまして、その歯どめというのも、そういった数字から推してみますと、まあまあそんなところでやるのかなと私は考えておったわけであります。維持修繕費を目的とした増収分は、できるだけ維持修繕費に充てるのを本来の主目的にしなければいかぬ、こういうふうに判断をいたしておるのですけれども、先ほど来の答弁のやりとりで、いま申し上げたようなかっこうに私は判断をいたしておりますけれども、これらの論議を通じまして、私もさらに考えてみたいと思っております。
  220. 志村清一

    ○志村参考人 ただいま歯どめの問題がございましたが、私どもといたしましても、公団の給与をどんどん増したりするというようなことに家賃改定額を使おうというような意向は全くございません。私どもにつきましては、われわれの給与に関しましても、大臣の御承認をいただきまして給与の定めをいたしております。さような意味において、公団みずからが勝手に給与を定めるということにはなっておりません。私どもも職員と十分交渉をして、よく意見を聞きながらやっておりますけれども、たてまえとしてそういうことになっておりますので、御心配の向きはなかろうか、かように考えております。
  221. 部谷孝之

    部谷委員 ですから、私は大臣にしっかりと歯どめをかけていただきたいということを申し上げておいたわけであります。  そこで、大臣、この値上げ申請を要求どおりお認めになる御方針か。そうであるとするならば、承認はいつごろお出しになるおつもりか。念を押してお尋ねしておきたいと思うのです。
  222. 内海英男

    内海国務大臣 そのためにいま皆さん方に御議論をいただきまして、いろいろお知恵を拝借して、私の適正な判断の材料にさせていただきたい、こう考えておるわけでございまして、その時期とか、認めるとか認めないとかいうことは、こうやって御議論をいただいておるさなかに、私はこの方針でいきますというようなことでは御議論にならぬかと思いますので、大いに議論をしていただきまして、承らしていただきたい、こう思っておるわけでございます。
  223. 部谷孝之

    部谷委員 総裁、大変頼りない御答弁でありますが、大臣としてそうした慎重な措置が必要であることはよく理解をいたします。  まだ少し時間があるようでありますから、二、三お尋ねを伸ばしていきたいと思います。  今回の家賃改定に伴い敷金改定するということになっておるのですが、このことは、五十三年度のときはやらなかったものを、今回は執行するということになったわけなんです。その必然性はどういうところにあるのか。そしてその増収分というものはどれくらい見込んでおられるのか。いかがでしょうか。
  224. 志村清一

    ○志村参考人 敷金改定についてでございますが、お入りになっている方の賃貸借契約上の債務履行を担保することを目的といたしまして公団が受け取っているものでございまして、物価等変動してもなお据え置くということになりますと、その担保価値がだんだん減ってまいります。またお入りになった方が退去するときの修繕費負担を考慮いたしますと、敷金家賃改定に伴って定期的に変更しないといたしますと、退去の際の負担がますます大きくなって、かえって支払いが困難になり、御迷惑をかけるというようなこともあろうかと存じまして、今回は、敷金改定家賃の三カ月分に相当する額に変更し、すでに受領している敷金との差額を追加請求するというふうに考えたものでございます。  なお、先ほど大臣から七〇、三〇の話が出ましたが、大臣ちょっと思い違いされたようでございまして、修繕等の維持管理費が七〇、家賃抑制が三〇でございます。
  225. 部谷孝之

    部谷委員 公団住宅家賃値上げ方式でありますが、これはなぜ公営限度額方式を準用しなければならないのか。公団には公団の独自の改定方式があってしかるべきだと思います。しかも、住宅宅地審議会の答申では、「公共賃貸住宅の管理主体は、定期的に既存家賃の見直しを行うこととし、それぞれの公共賃貸住宅性格に応じた適切な手続きに基づく必要なルール作りを行い、家賃変更が公正かつ円滑に行われるよう配慮する必要がある。」こういうふうに指摘をしておるわけでありますが、建設省といたしましては、この点はどのようにお考えでしょうか。
  226. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 お答え申し上げます。  公営住宅で採用いたしております家賃変更の際のいわゆる公営限度額方式は、住宅宅地審議会で十分審議されまして、その変更のあり方が現時点では妥当であるということで認められた方式でございます。公的住宅家賃変更の際の一つの標準的な姿ではないか、私どもはかように存じておりますし、また公営住宅の場合も、物価その他経済事情の変動のある場合に、家賃変更ができると定めておりまして、そのときの基準となっておるわけでございまして、このたびの公団住宅家賃変更の際にも、一つ参考となるべきものではないかというように考えております。
  227. 部谷孝之

    部谷委員 公営住宅家賃というのは、公共施設の使用料というふうに解釈されるのではないか。つまり借地借家法で言うところの家賃ではないと判断されるのです、これは判例にもあるということでありますが。公団家賃は、借地借家法の家賃であって、民間のアパートと同じ性格を持っておるわけであります。にもかかわらず、公団住宅家賃改定公営住宅方式を採用することそのことに不合理があるのではないか、私はこういうふうに感ずるわけでありまして、したがって、公団独自の方式をつくるべきである。先ほどから私が申し上げておる理由はそこにあるわけであります。五年前にも、ルールづくりをやれと言われた。そのことの中に、こうした独自の方式をつくれということが含まれておるというふうに私は考えておるのでありますが、その御見解を伺いたいと思います。  そうして同時に、公団に対する改定に際しての措置、これはどのような指示をされたのか、重ねてお尋ねします。
  228. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 公営住宅家賃が公共物の使用料に当たるかどうかということにつきましては、従来からいろいろ議論がございまして、やはり基本的には借地借家法の適用を受けるものである。したがいまして、この点につきましては、公団住宅家賃基本的には異ならないものではないかと私どもは考えております。ただ、公営住宅の方がより公益性、公共性が強いことは、これは当然のことでございます。条例等で家賃を定める、限度額を定めるわけでございますが、そういう意味では公共的な性格が強いわけでございますが、いずれも、やはり借地借家法の適用を一般的には受けるのであるという意味で、このたびの家賃変更につきましても、公営限度額方式住宅公団が採用することは妥当でないということはないというように考えております。
  229. 部谷孝之

    部谷委員 いろいろ説があるんでしょうから、それはまたいろいろ勉強してみたいと思います。  最後に、公団にお尋ねしたいのですが、いま公団住宅賃貸住宅家賃の最高額は一体幾らでしょうか。
  230. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  月島一丁目団地にございます三LDKで七十七・二二平米の住宅がございますが、これが十万二千八百円でございます。
  231. 部谷孝之

    部谷委員 公団設置の大きな目的は、都市におる勤労者に対して住宅を供給するという目的を持っておるわけでありますが、十万円という家賃はいかにも高過ぎるという印象を受けるわけであります。その目的に反しておるのではないか、こういう気がするわけでありますが、その点に対する御見解を伺いまして、私の質問を終わります。
  232. 志村清一

    ○志村参考人 十万何がしという家賃は決して安いものではないと思います。私もそう思いますが、率直に申し上げまして、私どもの公団といたしましては、賃貸住宅に関しましては、財投の政府の長期低利資金を借りております。これが七分三厘でございます。それでやりますと、午前中本吉さんが言いましたように、二千万円でも大変な家賃になる、金利だけでもというお話がございましたが、町の中で建てますと用地費が高い。そして建築もわりあい高層のものを建てるということで、相当多額になるということで、どうしても家賃が高くなります。再開発事業を行いましてもなかなかそれがうまくいかない。そういう意味で、私どもといたしましては、何とか安くする方法はないかということで、いわゆるげた履きと称する下に店舗を置いて上に住宅を建てる。民間の方だけでなくて、公共団体にも、区役所の上を貸してください、あるいは公民館の上を貸してくださいというふうなことで、いわゆる空中権的なものを取得いたしまして市街地住宅というのも建てておりますし、また地主さんが土地を持っていて使い道がない。どうやって使っていいかわからぬという方には、ノーハウの提供をいたしまして、そこに公団賃貸住宅を建てて、その賃貸住宅を地主さんが安く貸していただけるという民貸方式というものも考えたり、あるいは借地方式ということで、地主さんから土地を借りる方式なども考えてやっております。しかし、町の中に建てますと、どうしても地価が高い。建築費も高くなるということで相当の巨額になります。これは私どもの悩みでございますが、幸い先ほど理事から御説明しましたような個所も、共稼ぎの方とかいうふうなことで応募率は非常に高いわけでございます。それでいいとは思っておりませんが、これからも、先ほど申し上げましたような土地の高度利用等々に関しまして十分配慮しながら進めていきたい。来年度からは特別借地方式賃貸住宅ができないだろうかということで、いま検討をいたしておる次第でございます。
  233. 部谷孝之

    部谷委員 ありがとうございました。終わります。
  234. 松永光

    松永委員長 中島武敏君。
  235. 中島武敏

    ○中島(武)委員 住宅都市整備公団が今度家賃の一斉値上げ申請を行ったことにつきましては、私どもは大変遺憾だというように思っております。昨年の十二月に、そしてまた今月に入りましてからも、値上げ申請をしないようにということを住宅都市整備公団総裁あてに申し入れてまいりました。しかし、残念ながら今回値上げ申請というふうになったわけであります。  私は率直に申し上げますけれども、値上げ申請する前に、住宅都市整備公団の方でやらなければならないことが多々あるのじゃないかというように考えるわけであります。先ほどからの議論の中にもずいぶん出ていましたが、公団の方でもずいぶん努力していることは、私も認めないわけではありません。ありませんけれども、しかし、なおかつ今日膨大な長期未利用地を抱えているとかあるいはまた保守管理住宅、さらには未入居住宅長期空き家住宅を抱えているわけであります。世間で言う言葉で言えば、公団のずさん経営という言葉で言われているのですけれども、居住者の人たちは、今度の値上げは、こういうもののツケが回されるのじゃないかと考えている人さえいると私は思うのです。ですから、こういう諸問題、努力してないというのじゃないのですけれども、やはりこういうことはちゃんとやって初めて値上げ問題も納得がいくということになるのだと思うのです。そういう点で、これは非常に残念な話だなというふうに思うのです。その辺の問題については、総裁はどんなふうに今度の値上げ申請に当たって考えられたのかということを最初に伺いたいと思うのです。
  236. 志村清一

    ○志村参考人 先生が公団に対して値上げの問題に関してお申し入れのあったことは、私も承知いたしております。たしか副総裁がお会いしたと存じております。しかし、本日るる申し上げましたような事情で値上げ申請をさせていただいたような次第でございます。  先生御指摘の空き家の問題あるいは未利用地の問題、これはいずれもわれわれ早急に解決しなければならぬ課題であることは、先生からお話のあるとおりだと思います。先生から一部お褒めの言葉をいただいたわけでございますが、私どもも一生懸命やっております。おおむねめどがつき始めております。さらに努力をいたしまして、早急にこの解決を図りたい、そのつもりで公団の職員、役員一堂、一丸になって努力をいたしておる段階でございます。その問題と家賃の見直しの問題とは、実は別の問題でございまして、先ほど来御説明申し上げているように、家賃のアンバランスを見直していこうということでございまして、片方は片方で一生懸命やりますが、この方もよろしく御配慮を賜りたい、かように存じております。
  237. 中島武敏

    ○中島(武)委員 居住者の方はなかなか納得しにくいだろうなという感じを依然として私は持つのです。  それから、もう一つの点ですけれども、やはりこれも値上げ申請の前にやるべきじゃないかと思う問題なんですが、住宅宅地審議会、それから建設省の方からも家賃改定ルールをつくるべきであるという指摘がありましたね。しかし、実はこれも先ほど来議論になっているところですが、やはりやってない。それで一方的に値上げをやる。どうも世の中これじゃ通らないという感じかするのです。これも率直に申し上げるのですけれども、こういう家賃改定ルール、これの方が値上げ申請よりも先決じゃないのかというふうに私は思うのです。この点も総裁はどう考えておられるのかということについて、改めてここで伺いたいと思うのです。
  238. 志村清一

    ○志村参考人 家賃改定ルールでございますが、どういうふうに再評価したらいいかとか、どういうふうに見直しの幅を決めるかというふうなことが一つ問題点であろうと思います。それと同時に、大きく変化するということは、従来からお入りになっている方にとって相当問題がある。だからどうやって激変を緩和していくかという問題も次にあろうと思います。また中には生活保護をお受けになる方もいらっしゃいますが、そういう方々に対して何か特別措置を考えねばいかぬのじゃないか、こういったことをひっくるめてのルールであろう、かように私は考えております。  これらにつきましては、私どもといたしましては、基本問題懇談会等におけるいろいろな御議論を踏まえまして、家賃の見直しの計算の基準といたしましては、公営限度額方式を考え、激変緩和措置といたしましては、それによって生じた、それによって計算される差額を半分にし、かつ最高限度額を決める。また生活保護世帯等の方々に対しては、特別な措置を行うというふうなことを考えまして、こういったものをルールにして大臣に申請を申し上げた、こういうことでございます。
  239. 中島武敏

    ○中島(武)委員 総裁のいまの発言によりますと、家賃改定ルールは確立をしているんだという見解に聞こえました。そうなんでしょうかね。建設省が通達を出された、あるいは住宅宅地審議会が答申をした。この中で言われていることというのは、先ほどから何度も言われておりますから繰り返すまでもないのですけれども、しかし言えば、「公共賃貸住宅の管理主体は、それぞれの公共賃貸住宅性格に応じた適切な手続きに基づく必要なルール作りを行い、家賃変更が公正かつ円滑に行われるよう配慮する必要がある。」という中身ですね。そして建設省の方でも同様趣旨の通達を出しておられる。それから前回の国会の決議もありますね。これも先ほどから問題になったとおりでありますけれども、「住宅家賃については、その体系と内容が複雑であり、住宅基本法の制定と合わせて、検討すべきである。したがって、それまでは、日本住宅公団の現家賃制度を逸脱しないように努めるべきである。」こういうふうに国会は決めているのですね。公営住宅方式、これだけではなくて、激変緩和措置もあわせて言われましたけれども、これが公団家賃改定ルールなんでしょうか。どうも先ほどのお話を聞くと、そういうふうに聞こえてならない。むしろ私は、国会がここでも言っておりますように、ルールが確立するまでは、現行の家賃制度を逸脱しないようにしなければならぬのだ。これは逸脱をしているんじゃないかというふうに私は思うのです。もう一回重ねて聞きます。
  240. 志村清一

    ○志村参考人 何遍も同じことを申し上げるようでございますが、施行規則の第五条で改定の条文がございます。これらに基づきまして家賃を見直すということは、現在の家賃体系を乱すものではない、かように思います。  なお、家賃というのはなかなか厄介なものでございまして、さらにいろいろもっと考える必要があるのじゃないかというふうな御意見も、実は基本問題懇談会でもございました。これから基本的に家賃の問題をさらに検討する努力家賃部会等においても続けようではないかということで、お話を進めているような段階でございます。
  241. 中島武敏

    ○中島(武)委員 つまりいまの答弁は、ルールは確立したという見解なのか、それともこれからなお基本問題懇談会検討していく、こういう見解なのか、そのどっちなんですか。
  242. 志村清一

    ○志村参考人 ただいまのところのルールは、先ほど申し上げたとおりだ、こういうことでございます。
  243. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私は、これは現在もうすでに確立しているというふうに言われるのは、なるほど公団総裁はそういうふうな見解に立っていらっしゃるのかもしれませんけれども、これはちょっと正しくないというふうに思います。論を言う前に、建設省、大臣から聞いておきましょう。現在家賃改定についてのルールは、公団として確立をしている段階なんだというふうにお考えなのかどうか。
  244. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 ただいま住宅都市整備公団総裁からお答えがありましたように、現在の時点では、住都公団がやっております基本問題懇談会あるいは家賃部会の開催等、あるいはその中で審議検討されました内容、その中の公営限度額方式ということ等々は、私どもが指示をしております既存家賃変更のあり方の通達に従って行われているのではないかというように考えております。(中島(武)委員「最後のところ、従ってやられているものではないと言われたのですか」と呼ぶ)従って行われていると思います。通達どおりに行われていると思います。
  245. 中島武敏

    ○中島(武)委員 つまり家賃改定ルールは確立している、そういうことですね。
  246. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 現在の時点で、私どもが申請内容、それから種々報告を受けた時点では、おおむねそういった状況にあるというように考えております。
  247. 中島武敏

    ○中島(武)委員 なかなかどうもはっきりしにくいですね。おおむねとかいろいろな言葉が出てくる。それから総裁の話を聞いていても、これからも家賃問題については基本問題懇談会検討してもらうというのがくっつくのですわ。だからルールが確立しているというふうに言い切っているというふうにもちょっと聞こえない。どうもはっきりしないのですけれども、それでは建設省が言いあるいは住宅宅地審議会が言っているものについては、もっとさらに公団検討するべきじゃないのかという意見。それから公営限度額方式は正しくないということを申し上げておきたいと思うのです。いろいろ議論をしていると、これまた時間が相当過ぎていきますから、そのことを指摘して、ちょっと次の点について伺いたいと思うのです。  午前中にも申し上げたのですけれども、いまは戦後最大の不況にある。しかも、公務員の賃上げが凍結されている。またそのことを理由にして、民間においても、ことしは賃上げはゼロ回答だということが公然と言われている。しかも、所得税減税も六年連続見送りになっている。昨年十二月に発表された行管庁の文書「公的住宅建設及び管理に関する行政監察結果報告書」、これによりますと、第一分位、第二分位の人が四六・五%を占めているわけです。それから昭和五十五年に、これは公団が行ったものですけれども、昭和五十五年公団住宅居住者定期調査、これによれば、第一分位が三一%、そして第二分位が二六%、合わせて五七%を占めている。つまり、いま公団に実際に入っておられる人たちというのは、かなり低所得者の人たちが大多数を占め始めているということであり、しかも、これは公団自身が認めているところであります。公団の文書でそうなっている。だからいまここで値上げということになったら、これは暮らしを直撃するということは、もう間違いのないことなんですね。午前中の質疑の中で参考人意見も聞きましたけれども、いま値上げをするというのは、時期としてはどうもそんな適切な時期じゃないと思う、だれでもそう思いますよという答弁が返ってきた。私は、こういう時期という点からいうと、値上げを差し控えるべきじゃないのかというふうに考えるのですが、この点はどうですか。
  248. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  公団入居者調査に基づきましての数字からお話があったかと思いますが、五十五年度に新たに供給しました住宅にお入りいただきました方々の所得につきましては、公団調査によりますと、平均いたしまして三十万四千円ということになっております。これは五十四年一月から十二月までの間の税込み収入の十二分の一を記載していただくというようなことで出てまいった数字でございます。それで、五十四年の貯蓄動向調査によりますと、第三分位、中位の所得は三十一万六千円となっております。確かに平均値は下がってきているわけでございますが、仮に三十万四千円の所得をもちまして五十四年度新規に供給いたしました住宅平均家賃四万七千六百円の負担率を見てまいりますと一五・七%。五十五年度新規供給住宅平均家賃五万五百円の負担率で見てまいりますと二六・六%というようなことで、所得階層の低下という問題はあるかとも思いますけれども、公団が目標といたしておりますところのいわゆる家賃負担率から考えてまいりますと、さほど問題ではないだろうというように考えております。  なおまた、新しく入居をされております世帯方々につきましては、一般的には成長階層にあられる方だと思いますので、漸次その家賃負担率は軽減されていくだろうというように考えております。
  249. 中島武敏

    ○中島(武)委員 だんだん低所得の人たちがふえてきているということは、公団自身もお認めになるところであります。しかも、ことしは給料は値上げしない、税金は減税しない、家賃値上げする、こういうのは俗な言葉で言えばやらずぶったくりと言うのです。せめて人事院勧告の凍結が解除されるという時期ぐらいまでは、値上げは差し控えておこうというような気持ちは持たないものでしょうかね。皆さんの気持ちを聞いているのです。
  250. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  現在、改定前の住宅につきまして、たとえば昭和四十七年度までの住宅につきましての平均家賃は一万九千円ということになっておりまして、現在申請をいたしております内容によります五千円の平均引き上げ額というようなことで考えてまいりますと、平均は二万四千円というようなことに実はなるわけでございます。  それから、申し上げておりますことではございますが、一万円台の家賃が二十二万戸程度あるというようなこと。それからまた家賃負担率を考えてまいりますと、一〇%台の方々がほとんどであるということ。それからまた中には三%台の家賃方々もいらっしゃるというようなことでございまして、確かに家賃は安いにこしたことはないと私は思いますが、やはり公共的な住宅でもございますので、それなりの適正な家賃の額になければならないことだろうと思います。  それからまた、今回お願いをいたしておりますところの改定内容につきましては、まあまあ現在の経済情勢でも御負担をお願いできるものではないだろうかというように考えているわけでございます。
  251. 中島武敏

    ○中島(武)委員 いまの答弁を納得するものではないのですが、ちょっと個別の問題について聞きます。  敷金の問題なんですが、これは最高でいいますと五万一千円になりますね。平均で三万九百円。これはやはり相当負担だと思います。それで皆さんが好きな公営住宅値上げの場合の限度額方式、大分公営住宅お好きなようですけれども、公営住宅値上げをする場合に敷金の追加徴収ということをやりますか。
  252. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 公営住宅家賃変更に伴いまして敷金変更できるかどうかということでございますが、これは公営住宅法に基づいて敷金変更はできるということになっております。  ただ、事業主体が具体的に変更しているかどうかということにつきましては、事業主体の判断にゆだねられているために、その実態については把握しておりません。
  253. 中島武敏

    ○中島(武)委員 東京は追加徴収するということをやっておりませんね。全国的にも聞いたことはないです。これは公団の方でも調べられましたか。全国的な調査をやってみても、恐らく追加徴収をしているというところはないと思うのです。敷金を追加徴収するということは、民間でもまず聞かないですね。そういう点では近加徴収するということはやめるべきではないかというふうに私は思うのです。どうですか。
  254. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  敷金につきましては、居住者方々の賃貸借契約上の債務の履行を担保するという目的で公団が受領するということでございます。物価その他経済事情の変動にもかかわらず据え置くことは、その担保価値が下がるということになりますので、私たちといたしましては、ぜひひとつお願いをしたいというように考えております。  それから、民間の場合の例でございますが、私たちは実は基本問題懇談会の場で不動産鑑定の先生方等にも御参加いただきまして、家賃改定につきましての検討をしてまいってきたわけでございますが、そういう方々からお伺いをした限りにおきましては、例はあるのだというようにお伺いをしております。
  255. 中島武敏

    ○中島(武)委員 例はあるといったって、ごまんとある中で一件ありましたとか二件あったとかというのも例はある中には入るのです。一般的にはないのです。ですから、大臣、これはやはり考えなければいかぬ問題だということを指摘して、特別措置の問題について伺いたい。  これは前回値上げの際にも、生活保護世帯、それから老人世帯、それから母子世帯、それから心身障害者世帯で一定の要件に該当する世帯について、値上げ後の家賃が生活保護の住宅扶助を超える場合は三年間に限って減額する措置をとられた。前回措置対象者は何人でございますか。
  256. 武田晋治

    ○武田参考人 三百四名だと思っております。
  257. 中島武敏

    ○中島(武)委員 せっかくの特別措置が三百四人というのは余りにも少ないですね。  減額措置をとる場合の収入基準は一体どういうふうにして決められるのか、これをお聞きしたい。
  258. 武田晋治

    ○武田参考人 お答えいたします。  厚生省で定められております基準がございます。それから生活保護世帯方々基準にいたしまして、それぞれの地域で決められていることだと思います。それから住宅扶助額につきましても、それぞれの公共団体等において決めてある額を参考にして公団等で決めてまいるということになっております。
  259. 中島武敏

    ○中島(武)委員 ところが、これはたとえばですが、前回の板橋区高島平の生活保護世帯の家庭の例でございますが、これは母子世帯なんです。この場合でいきますと、三十八歳の母親、それから十五歳の男の子、二人の世帯です。生活扶助は第一類、十五歳から十七歳男三万一千二百四十円、それから同じく第一類二十歳から四十歳女性二万二千八百円、それから第二類二人一万九千六百四十円、それから冬季加算、これは千八百三十円なんですが、五カ月ですけれども、これを月にならしますと七百六十二円、それから母子加算が一万五千二百円、それから基礎控除、つまり労働励み料が五千五百四円、合計しますと九万五千百四十六円になるのです。これは五十四年度です。ところが五十四年度における公団の収入基準額は、母子世帯の場合、二人の場合は九万二千円になっています。つまり生活保護基準でいきますと九万五千百四十六円になるのです。ところが公団の発表している収入基準は九万二千円。こっちの方が下回っているのです。これはまことにおかしな話なんですね。ですから、こういうことは何で起きてくるのか、よく調べてもらいたいと思うのです。
  260. 武田晋治

    ○武田参考人 お答えします。  具体的な数字につきまして、いまのところその数字の根拠がどういうものかちょっと不明でございますので、お許しいただければ、また別の機会に御指示いただきまして、検討させていただきたいというふうに思います。
  261. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私、資料を読み上げただけですから、後でよく調べていただけば結構です。しかし、生活保護基準よりも低いところに収入基準を置いておくというようなことをやりますと、先ほど三百四人というふうに言われましたけれども、そういうことになってくると思うのです。ここはもっと考えなければいけない。やはりこの特別措置の収入基準というのは見直しをすべきだというふうに思いますし、それからできれば生活保護基準イコールというのではなくて、それに一・五倍とか――就学援助なんか一・五倍ですね。そういうことを加味するとか、そういう必要があるのではないか。せっかく特別措置をとるといっても、そういうことが必要じゃないかというふうに考えるわけであります。  それから、父子家庭というのは、これを適用されないのでしょう。母子家庭適用になっても、父子家庭は適用にならない。「クレイマー、クレイマー」でずいぶん有名になりましたけれども、これも考えるべきではないかということですね。  それから、続けてこの問題について言うと、敷金の問題についてもそうなんです。先ほど私は敷金は追加徴収をやめるべきであるという見解を述べました。仮に追加徴収がされるという場合でも、この基準に合致すれば、三年間は免除されるということになるのですけれども、三年目にはやはり納めなければならないという問題が起きてくるわけなんですね。ですから、そこはやはり改善する必要があるのじゃないのかということです。  それから、前回は九月一日が基準にされて、今回もそうですかな、九月二日で生活保護を申請しなければならないという人は、実際には一日違いで減免の適用を受けないということになるのですね。これも矛盾なんですよ。この種のことについて、やはりよく再検討をして、より広く多くの人たちが救済されるというようにやるべきではないかというように考えるわけです。
  262. 武田晋治

    ○武田参考人 お答えいたします。  特別措置につきましての考え方でございますが、五十三年度の場合に採用させていただきましたように、生活保護を受けられる方と同じような形での取り扱いにさせていただきたいというように考えております。  基本的な考え方といたしましては、生活保護基準等によりまして国が援助できます限度までは国にカバーをしていただく。それを超えることとなりました場合に公団が対処すれば足りるのではないだろうかというように考えております。国が援助する分まで公団家賃を減額するのは適当ではないのではないかというように実は考えておるわけでございます。  そして敷金との関連でございますが、その取り扱いにつきましては、分割払い等も含めましていろいろと検討してまいりたいというように考えているわけでございます。
  263. 中島武敏

    ○中島(武)委員 重ねてもう一度よく再検討をしてほしいということを申し上げます。  もう一つの問題です。増収分の使い道、使途、この問題についてなんですが、これは維持管理費と同時に、新規家賃抑制というところに使うわけですね。新規家賃抑制の方には三割ぐらいを回すということでございますね。そうですね。違うのですか。――では、もし違っている点があれば正してください。  それから、今度の値上げに際しても、修繕もろくすっぽしてもらわぬで値上げかという声がたくさんあることを私はよく承知しています。それで環境の改善、居住水準の向上ということについて、やはりもっと計画も明らかにして、そして居住者の人たちとも話し合いをして納得のいくようなやり方というものをすべきじゃないかというふうに考えるのです。  それから、新しい団地家賃抑制ということに関して言いますと、これがつまり公営住宅限度額方式というものが何なのかということを端的に示す中身だと私は思うのです。再評価をするというのは、つまり別の言葉で言えば、利潤、もうけを上げるという考え方でもあるのです。そしてそれを新規の家賃抑制する方に回すというのは、これは非常に正しくないと私は思うのです。入居している人はなかなか納得できませんよ。自分が公団住宅に入っているからといって、入っているがゆえに、何でこれからつくられる住宅を下げるために金を出さなければならないのかというのは、これは全くわからぬ話なんです。しかも、これは原理的に言えば、やはり一種の利潤と申し上げて差し支えないと思うのですけれども、これを生み出すという考えですよ。これはやはり改めるべきじゃないかということを申し上げておきたいと思うのです。  それから、先ほどの議論にもありましたが、十万円前後の団地ができてきているのですね。これはいいとは言えないのですよ、いいとは。また皆さんもいいとは認めていらっしゃらない。そういうところについては、やはり値下げを考えるというふうにするべきなのじゃないかと思います。  どうも時間のようですので、以上について見解を述べていただきたいと思います。
  264. 志村清一

    ○志村参考人 いろいろ御意見を承りましたので、私どもも考えさせていただきます。
  265. 中島武敏

    ○中島(武)委員 大臣、いま聞かれたとおりいろいろな問題があります。そういう点では、私は大臣が承認しないことを要望をして、質問を終わりたいと思います。
  266. 松永光

    松永委員長 菅直人君。
  267. 菅直人

    ○菅委員 私の場合、時間も少ないのでずばり本論から入っていきたいと思います。  まず、今回の値上げ申請をされたということは、原価主義を放棄した、そういうふうに受け取っていいのかどうか、お聞きしたいと思います。
  268. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 住宅公団からの申請を受け付けて、ただいま検討をしている段階でございますが、原価主義をすっぱりとあきらめたということではなくて、基本的には原価主義をとりながら、住宅公団施行規則の第五条にいう変更できる場合、すなわち物価その他経済事情の変動が著しい場合、あるいは賃貸住宅相互間の家賃に不均衡がある場合、そういった場合の規定に基づいて申請があったものと考えております。
  269. 菅直人

    ○菅委員 いまの答弁ですと、基本的には原価主義を踏襲するのだというふうにおっしゃったわけですけれども、それならもう一つお尋ねしたいのですが、今回の改定家賃の算出方式、方法の中のいわゆる公営限度額方式という中の償却費というところの中に、いわゆる推定再建築費率の伸び率の三分の一を云々ということが入っているわけですが、推定再建築費というのは、考え方そのものとして原価主義とは真反対の考え方だと思うのですが、いかがですか。     〔委員長退席、鴨田委員長代理着席〕
  270. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 公営限度額方式は、ただいま先生の御指摘のように、推定再建築費の考え方をとっております。これはやはり基本的には原価を主として考えておりまして、現在の時点で住宅を再建をするといった場合に、その原価がどのくらいかかるかというような考え方に基づいているわけでございますから、大きな意味で原価主義であるというように考えております。
  271. 菅直人

    ○菅委員 そんな議論が本当に成り立つのですか。たとえばこれが二十年前に十円だった。現在同じ物を買ったら百円だ。だからこの原価は百円だというのですか。いまの話はそんなことじゃないですか。
  272. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 原価の考え方でございますが、当初家賃を定めますときに、当初の建設費を原価ということでいいますと、推定再建築費の場合の原価はイコールではないわけでございます。しかしながら、それを再建する場合の計算の考え方そのものは、そのうちの三分の一を原価として考えて償却をいたしますので、やはり大きな意味では原価主義ではないかというように考えております。
  273. 菅直人

    ○菅委員 では、もう一つあえて聞きますけれども、償却という概念は、本来たとえばこれがもともと十円だとすると、十年間で償却しようとすると、金利分まで含めて、均等割だったら一円プラスその金利分を、均等の場合はちょっと計算式が違うでしょうけれども、返していく。つまり償却という概念は、買ったときの値段に対して償却をするんですよね、普通税務とかの問題で。そうすると、償却の概念の中で原価というのは、そのもともとの値段ということじゃないですか。
  274. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 償却の概念の場合、一つの考え方としては、やはり当初建てましたものが七十年なら七十年間にその効用を果たしてしまう。それでその七十年間の期間償却期間と考える。当然それに投下した建設費等を償却してしまう、こういう考え方であろうと思います。先ほど来御指摘のございます推定再建築費の考え方は、その時点で再び新しい効用を生むように、生産設備等でよく考えられておりますように、たとえば住宅償却をしてしまいまして、そこでなくなってしまいますということは、住宅政策上きわめて問題のあることでございまして、やはりそこにさらに新しい住宅が再建される仕組みを考えるべきではないか。ただ、それを全部原価で吸収するということは、やはり問題がありますので、公営限度額方式の中では三分の一だけを考慮している、こういうことでございます。
  275. 菅直人

    ○菅委員 この議論ばかりやっても前へ進みませんので、つまり私が申し上げたいのは、きょうの朝以来参考人方々からの意見を含めて、納得できる形のルールをつくって、それに沿ってやるということが必要なんじゃないかということがあったわけですが、現在皆さん方が出されてきているこの公営限度額方式というのが、原価主義は基本的にとっているけれども、現在の価格に見直して、言ってみれば、簿価をどんどんそのときそのときに変えていって、それによって償却費を出すという考え方が、言っておられることとやっておられることがどう見ても論理的に納得できない。だから、結局のところ何かほかの理由を、何か言いくるめている、そういう無理を率直に言って非常に感じるわけです。     〔鴨田委員長代理退席、委員長着席〕  もう一つお聞きしたいのですけれども、修繕費というものを、先ほど修繕費がだんだんかかるんだ。私も集合住宅に十年ばかり住んでおりますので、十年からたつと、外壁、塗装からいろいろな問題が起きるということは、自分自身が経験をしているのですが、その修繕費が高騰するのならば、この改定家賃の算出方法の中で修繕費という項目もあるわけですから、それをちゃんと納得をいただいて上げていくというふうに考えるべきじゃないかと思うのですが、どうですか。
  276. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  修繕費につきまして必要な分は、その都度上げていけばいいという御提案なんだろうと思います。修繕費につきましては、個々の団地の設備の問題とか、あるいは附帯施設等の相違の問題あるいは修繕周期の違いなど、修繕費の必要額が非常にまちまちになってくるわけでございまして、居住者方々は非常に混乱をもたらされるというようなことではないだろうかと考えるわけでございます。  それからまた、計画修繕の周期に居住している方につきましては、それ以外に居住されている方との不均衡の問題が非常に大きく出てくる問題があるんじゃないだろうかという感じもいたします。  それからまた、いわゆる大規模な修繕で給水管等の取りかえ、あるいは外壁の修繕をやります場合に、相当多額のものが必要になってくるわけでございまして、その負担につきましての困難な問題とか、あるいはまた家賃の安定を欠くというような問題が出てくるのではないだろうかというような気がいたします。
  277. 菅直人

    ○菅委員 そのこと自体ちょっと納得できないのですが、まとめてもう一つお聞きしておきますが、今回のこの値上げ申請基準となっている条文なり施行規則の中で、新規供給をしている家賃とのバランスということがあるようです。それからまた、その値上げをしたものを新規家賃抑制のために使うというようなことを、きょう朝来、議論があるわけですが、こういう考え方というのは原価主義というものになるのか。逆に総合原価方式とでも言いましょうか、プール制というふうに考えるべきなのか。どう考えておられるのか。そのことをお聞きしたいと思います。
  278. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  公団家賃の決定の考え方でございますが、先生も御承知のように、施行規則の四条で、初めの場合には、建設原価をベースにして算出される額を基準として公団が定めるということが、実は原則になっているわけでございます。しかしながら、かねてから申し上げておりますように、私たちの目標にしておりますのが、中堅勤労者の方々の所得に対しましておおむね一五、六%になりますように、利子補給等を採用いたしまして実施をいたしておるわけでございます。そういう意味におきましては、厳密な意味の個別原価主義ではないんだというように私は考えているわけでございます。  そこで、公団住宅家賃の問題でございますけれども、住宅とその敷地の使用対価というようなことを考えてまいりますと、修繕費等の維持管理経費だけには限らないで、地価及び工事費の変動等を考慮した使用対価としての適正な評価をする必要があるのだというふうに考えるわけでございます。そしてその評価の手法として、公営限度額方式というのが一つの再評価方式として考えられているのだ。それを公団の場合は、この際採用していただいたというようなことでございます。
  279. 菅直人

    ○菅委員 いまの話からも大臣おわかりだと思うのですが、どうも今回の議論は、ルールの問題が納得できないと住民の方も言われているわけですけれども、相変わらず、ルールがいま言われている中でも明らかに矛盾している。原価主義を基本にとると建設省は言われておりますけれども、現実には、厳密な意味の個別原価主義ではないと、すでにいまの理事の発言にもあって、実際にやっておられることも、新旧のバランスとか家賃抑制ということを考えれば、原価主義の考え方から言うと、明らかに逸脱しておることをやっておるわけですね。しかしながら、原価主義だと言って、私から判断すればごまかしている。このあたりに私は不信を招いている非常に大きな問題があると思うのですね。これはきょうは時間がありませんから、あえて詳しくは言いませんが、現在、裁判の中でも、その原価主義をとるのだと言ったり、実際は必ずしもそうじゃないようなことになったり、そういう議論のすれ違いがあるように思うわけです。  時間も短いので、次の問題に移らしていただきます。  一つだけお聞きしたいのですが、先ほどからいろいろな具体例が出ていましたけれども、そちらに資料があれば、たとえば東京の昭島市のつつじが丘団地の平米あたりの家賃というのが幾らになっているか。もしなければ、先ほどの神奈川県の金沢の例でも結構ですが、わかるのを教えていただきたいと思います。
  280. 武田晋治

    ○武田参考人 お答え申し上げます。  昭島のつつじか丘団地につきまして、一DK住宅につきましては三万七千八百円から三万九千四百円でございます。それから二LDKにつきましては六万九千百円から七万四百円でございます。(菅委員「平米当たり」と呼ぶ)ちょっといま手元にその数字ございませんので、また後で御説明さしていただぎたいと思います。それから三DKにつきましては六万三千五百円から七万八千二百円ということでございます。
  281. 菅直人

    ○菅委員 私が実際に住んでいる人に話を聞きましたら、最終家賃とかいろいろな例があるようですが、八万円台になる。六十平米くらいで八万円になるということは、平米当たり大体千三百円から千四百円になるということなんですね。このいただいている資料の中で、付近の民間住宅家賃というのがあるわけです。どこが一番近いか見たのですが、たとえば東村山とか、東京との距離から言えば川崎の多摩地区とかいうのが昭島で言えばほぼ近い地域じゃないかと思うのですが、この地域を見ると、民間家賃でも平米当たり大体千二百円から千六百円ということなんですね。つまり現在供給されているのは傾斜家賃で、最初の初年度はともかくとして、原価主義をとられている新規の家賃そのものが周辺の民間家賃に比べてほとんど同レベルにきている。本来なら、これも時間があればお聞きしたかったのですが、もし利子補給がなくてつくられた原価を計算すれば、多分いまの原価より一・五倍から、償却の年度によっては二倍近い額になるのじゃないか。つまりこれだけ利子補給を受け、七十年償還という計算上で言うと非常に優遇された制度でありながら、これだけ民間家賃に比べても大差のない家賃になってきているというのは、言ってみれば、住宅供給の当事者としての、簡単に言えば、事業的なミスというか、またはそんなに高いものを出すんだったら、わざわざ国民の税金をどんどん使う必要はないわけですから、そういう点についてどうお考えですか。
  282. 救仁郷斉

    ○救仁郷参考人 確かに住宅家賃というのは非常にむずかしゅうございます。たとえば公団賃貸住宅が非常に要望されております既成市街地、ここに三DK住宅を現在建てようとしますと、どうしても東京の二十三区内あたりになりますと、用地費、工事費で二千万円くらいはかかります。そういたしますと、先ほどお話し申し上げておりますように、財投資金を使わしていただいても、七・三%の財投資金だけで一年に百四十六万円、月にいたしますと十二万円、利子だけでそれだけの金がかかります。したがいまして、利子補給をいただき、先ほどからいろいろ御説明申し上げております傾斜家賃制度というようなことをやりまして、やっと八万、九万の家賃に抑えているというのが実態でございます。  民間家賃との問題でございますが、民間の家賃の水準というのは、結局昔から土地を持っておられる方がその上に建物を建てられる。したがって、その土地については金利をほとんど計算しておられません。当初私どももいわゆる民営賃貸用特定分譲住宅、地主さんの土地の上に建物を建てまして、地主さんに経営していただいているという制度がございます。これにつきまして、私どもも東京あたりで調べてみますと、東京の郊外あたりでございますと、地代が大体一%くらいにしかならないという形で、先生先ほどおっしゃいました千三百円とか千五百円というような家賃水準になっているということであります。そういうことで、私どもとしてもできるだけ家賃水準を安く抑えようということで努力しておりますが、その辺のことを御理解いただきたいというように考えております。
  283. 菅直人

    ○菅委員 いまの点について、特に大臣に認識をお願いしたいのは、確かにまだまだかなり古く供給されたものについての家賃が安いということは現実にあると思いますけれども、それが現在、この一年、二年の間に供給されている家賃と対比されて安いということになると、いわゆる現実に供給されている家賃が民間家賃にどんどん近づいてきている、あるいは超えているとまでは言いませんけれども大差ないところまで来ているとすれば、一体何のための制度なのかということにもなります。またそれを基準に格差が大きくなっているということを、三倍だの四倍だのと言うことは、逆の意味での責任放棄だという感じがするのが一つです。  それからもう一つ、これは言うだけにとどめますが、土地代金に個人なりいわゆる民間でやった場合は金利が計算に入ってないということです。この委員会でも農住構想とかいろいろなことでそういう形をやっておられたようですけれども、それならそれで、たとえばみずからが直接土地所有をしてやるという形で、これだけの財源を使うことばかりを考えないで、ある部分では基準を決めて、誘導的に質のいいものを、そして家賃のある程度低廉なものをつくるという約束の上で、逆にそういう人たちに家をつくってもらうというふうな制度も考えられるのじゃないか。  時間もありませんので、最後に、そういうことを含めて、現在の公団制度、公団の役割りということについて一つだけお尋ねと、できれば大臣の御意見を伺いたいわけですけれども、今日、住宅の戸数がほぼ絶対数としては足りてきている。しかし、質の問題とかでは狭いとかという面があるわけですが、公団の場合も、建設戸数はどんどん減ってきていますし、賃貸の新規の戸数もどんどん減ってきているわけです。他方では、大変に修繕とか管理に手がかかるだけではなくて、朝来の議論でも、七十年間の償還という制度で運用されているわけですけれども、たとえば五十年目で本当に使えなくなっちゃった。そうすると、本来ならあと二十年は家賃が入る計算でやっておられるのが入らなくなった。いまでも大変な金利負担が一般会計から出ているわけですが、そうなったときには一体どうなるのか。そういうふうに考えると、公団の役割りも、建設という方向から修繕とか管理とか再生、そういう方向にウエートを相当移していかなくちゃいけないのじゃないだろうか。そういうことを含めて、いま抱えている公団のいろいろな問題と、いま申し上げた点についての御見解を伺いたいと思います。
  284. 内海英男

    内海国務大臣 大変示唆に富んだ御意見を承らせていただきまして、大いに参考になりました。ただいま御指摘のような問題につきましても、現在公団も一応は一部そういうような考え方で現にやっておる問題もございます。さらに御指摘もございましたことですから、今後そういった面に強く指導してまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  285. 菅直人

    ○菅委員 もう時間が終わりですので、最後に、先ほど来申し上げた住民の皆さんを含めて、どうも一時しのぎで非常に不信感を買うという形が続いてきているような気もしますので、納得ができる形で、長期的に見通せる形でぜひこの問題を見直していただいて、安易な形の値上げにならないように大臣にお願いをして、質問を終わりたいと思います。
  286. 松永光

    松永委員長 これにて本問題についての質疑は終了いたしました。      ────◇─────
  287. 松永光

    松永委員長 次に、建築士法及び建築基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。内海建設大臣。     ─────────────  建築士法及び建築基準法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  288. 内海英男

    内海国務大臣 ただいま議題となりました建築士法及び建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。  建築士法及び建築基準法は、その制定以来、三十余年を経過しており、この間、建築物が多様化し、大規模化するとともに、建築技術が高度化するなど、状況の著しい変化が見られます。  建築士を初めとする建築物の設計及び工事監理に携わる技術者について見ますと、現在、一定の建築物に関しましては、その業務を確実に遂行しております。  また、建築に関する確認及び検査も、建築件数の増加、業務の複雑化等により執行体制の見直しが必要となっております。  このような状況等にかんがみ、建築物の設計及び工事監理の適正化を図るため、小規模木造建築士資格の設定その他建築士制度の改善整備を行うとともに、建築行政に関する事務の簡素合理化を図るため、建築士試験の実施体制の整備並びに特定建築物の確認及び検査に係る対象法令の範囲の限定を行う等の必要があります。  以上が、この法律案を提出する理由でありますが、次に、その要旨を御説明申し上げます。  まず、建築士法の一部改正についてであります。  第一に、一定の木造建築物に係る設計または工事監理を行うことができる者といたしまして、都道府県知事の免許に係る小規模木造建築士資格を設けるとともに、小規模木造建築士事務所に関する規定を整備することといたしております。  第二に、建設大臣または都道府県知事は、その指定する者に、建築士試験の実施に関する事務を行わせることができることとするとともに、指定試験機関に関する規定を整備することといたしております。  第三に、建築士の懲戒事由の拡充等を行い、建築士の適正な業務執行を確保するとともに、建築士事務所の登録の有効期間の延長、建築士事務所を管理する建築士の権限の明確化等建築士事務所に係る制度の改善整備を行うことといたしております。  次に、建築基準法の一部改正についてであります。  第一に、建築確認制度及び建築検査制度を合理化し、いわゆるプレハブ住宅及び小規模な建築物の建築及びその建築の工事につき建築基準法令の単体規定の一部を確認及び検査の対象法令から除外することといたしております。  第二に、建築物の維持保全に関する計画の作成等建築物の適正な維持保全を確保するための規定の整備を行うことといたしております。  第三に、建築確認に関する消防長等の同意制度の合理化を行うことといたしております。  以上が、この法律案の提案の理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  289. 松永光

    松永委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時八分散会