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1983-03-04 第98回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月四日(金曜日)     午前十時二十三分開議  出席委員    委員長 松永  光君    理事 鴨田利太郎君 理事 住  栄作君    理事 竹中 修一君 理事 村岡 兼造君    理事 小野 信一君 理事 木間  章君    理事 薮仲 義彦君 理事 小沢 貞孝君       足立 篤郎君    池田 行彦君       唐沢俊二郎君    川崎 二郎君       木村 守男君    桜井  新君       東家 嘉幸君    野上  徹君       羽田野忠文君    久保  等君       中村  茂君    瀬崎 博義君       甘利  正君  出席国務大臣         建 設 大 臣 内海 英男君  出席政府委員         国土政務次官  玉生 孝久君         建設大臣官房長 豊蔵  一君         建設大臣官房総         務審議官    吉田 公二君         建設大臣官房会         計課長     牧野  徹君         建設省計画局長 永田 良雄君         建設省都市局長 加瀬 正蔵君         建設省河川局長 川本 正知君         建設省道路局長 沓掛 哲男君         建設省住宅局長 松谷蒼一郎君  委員外出席者         参  考  人         (地域振興整備         公団理事)   村山 幸雄君         参  考  人         (住宅都市整備         公団総裁)   志村 清一君         参  考  人         (住宅都市整備         公団理事)   武田 晋治君         建設委員会調査         室長      升本 達夫君     ───────────── 委員の異動 三月四日  辞任         補欠選任   井上 普方君     川俣健二郎君   関  晴正君     沢田  広君 同日  辞任         補欠選任   川俣健二郎君     井上 普方君   沢田  広君     関  晴正君     ───────────── 三月三日  公共賃貸住宅大量建設等に関する請願(井岡大治紹介)(第一一九四号)  同(中村茂紹介)(第一一九五号)  同(細谷治嘉紹介)(第一一九六号)  同(清水勇紹介)(第一三一一号)  同(鈴木強紹介)(第一三一二号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出第一六号)  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 松永光

    松永委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として地域振興整備公団理事村山幸雄君、住宅都市整備公団総裁志村清一君、理事武田晋治君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松永光

    松永委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  4. 松永光

    松永委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。久保等君。
  5. 久保等

    久保委員 私、最初にちょっとお尋ねしたいと思うのですが、明年度予算案の中に、来年アメリカニューオリンズ市におきまして国際河川博覧会が開催せられることになり、これに参加するように予定をしておられるようであります。これに要する予算も十二億二千五百万円を計上しておられるようでありますが、この種の博覧会、恐らく明年行われますのが初めてかとも思うのですが、その概要について簡単にひとつ御説明をいただきたいと思うのですが、所管の局長で結構です。
  6. 川本正知

    川本政府委員 お答えいたします。  国際河川博覧会、これは、正式な名称は一九八四年ニューオリンズ国際河川博覧会というものでございまして、「川の世界……水は命の源」という言葉をメーンテーマにしておりまして、サブテーマといたしまして「母なる川、水と生活、水と産業、水と交通、水の政策」、この五項目を取り上げておりまして、河川にかかわりますいろいろな課題を、全世界が協力して人類の英知で解決していく、そういうことを目的として行われるものでございまして、会場がアメリカ合衆国ルイジアナニューオリンズ市のミシシッピ川のほとりでございます。昭和五十九年、来年の五月十二日から十一月十一日にかけて開催されることになっております。
  7. 久保等

    久保委員 これに対して、参加する日本としてどういう準備をされておりますのか。国際河川博覧会協会といったようなものをつくって準備をされるようにも聞いておるわけなんですが、当然現地施設建設をしなければならぬという問題もあるわけですししますから、そういった施設なんかもどういう予定建設をせられるのか。また、先ほどちょっと申し上げましたように、総額十二億二千五百万円という予算が五十八年度の予算に計上せられております。その予算の大まかな項目等についても御説明願いたいと思うのです。
  8. 川本正知

    川本政府委員 この国際河川博覧会に参加いたします、そういった実行をいたします主体といたしましては、ただいま先生おっしゃいましたような国際河川博覧会協会といったものをこれからつくることにしておりまして、そういった国際河川博覧会協会によりまして、財団法人という性格として設立したいと思っておりますが、この三月末を目途にそういう設立準備をただいま進めておるところでございます。  現地での施設をどうするのかということでございますが、この国際河川博覧会におきましては、外国館建物自体、いわゆる現地での施設は、アメリカ側主催者の方で準備することになっておりまして、日本を初めといたします参加いたします各国は、その内部の一部を借りまして、自分の国の展示を行うということになっております。  それから、予算内容でございますけれども、これはいま申し上げたような外国館におきます展示物製作あるいはそれの輸送、それからそれの構想をつくりますための費用、それから配付いたします資料費用、そういったもの全体を企画、設計、管理するための費用、そういったものが主なものでございます。
  9. 久保等

    久保委員 そうすると、建物の中に展示するというような物の製作は、日本の国内で製作をして向こうへ輸送するようなお話なんですが、先ほどテーマお話もありましたが、日本の場合にはどういったものについて、またいろいろ展示物の中にも中心的な展示物もあるだろうし、あるいは附属的といいますか、そういったものもあるでしょうし、どういったところに主眼を置いてやられようとしているのか、もうちょっとわかりやすく御説明願いたいと思うのです。
  10. 川本正知

    川本政府委員 わが国といたしましては、厳しい地形や地質あるいは気象条件、そういった中で多年にわたりまして治水面あるいは利水面、多大な努力を払いまして、今日の目覚ましい社会経済の発展を見たというふうに考えておりますが、この博覧会では、外国人から見ますと、日本の川というものは滝のような川だというふうにも言われておりまして、日本河川の特徴と、それから長い歴史の中で培われました文化あるいは技術、そういったものの紹介を通じまして、わが国への理解を深めてもらう、そういったことを基本的な方針と考えていきたいと思っております。  この場合には、この博覧会に全世界から来られます多数の人々に対しまして、河川を通じて日本をわかりやすく紹介して、親しみの持てる日本館にしたい、そういうふうに考えておりますが、その出展内容そのものにつきましては、実は現在まだ検討中でございます。といいますのは、出展構想委員会、これは委員長にはNHKの川越昭さんになっていただいておりますが、そのほか大学の先生方あるいはジャーナリストの方、作家その他の文化人の方、そういった方々に委員になっていただきまして、いま構想委員会をつくって、その中で議論をしていただいているところでございます。
  11. 久保等

    久保委員 来年の五月からちょうど半年間にわたって開催せられるようですが、予算としては、五十八年度に先ほど申し上げたように十二億余の予算を計上しているのですが、また明年度明年度で五十九年度も予算の必要が当然生じてくるんだと思われるのですが、明年度あたり見通しはどんな見通しを持っておられるのですか、予算面から考えて。
  12. 川本正知

    川本政府委員 先生ただいまおっしゃいましたように、五十八年度は出展物製作とかあるいは運搬、そういったことになるわけでございますが、来年実際に現地博覧会が開催されますと、それに伴いまして向こうでの運営ということになります。そういった経費が五十九年度の予算としては必要になってくるわけでございますが、これはまたこの五十八年の概算要求の時点でさらに詰めていきたいとは思っておりますけれども、私ども現在頭の中ではまあまあ五億ないし六億ぐらいかかるのではないか、そう思っております。
  13. 久保等

    久保委員 最後に、参加国がどういった顔ぶれになっておるのか。博覧会ですから、当然全世界的な規模で考えておられると思うし、またそのところに非常に大きな意味もあるし、そういった点については、主要国はほとんど参加しておるのかどうか、お尋ねしたいと思うのです。
  14. 川本正知

    川本政府委員 参加国につきましては、まだ全部が決定はしておらないようでございますが、アメリカルイジアナ国際博覧会協会というのができておりまして、その方から得た情報では、現時点までではオーストラリア、フィリピン、バチカン、イタリア、カナダ、ハンガリー、トルコ、韓国、こういった八カ国と、それから欧州共同体、いわゆるECが参加するというふうに聞いております。またこれから後さらに十カ国程度ぐらいは当然参加するという見当をしておるというような情報を聞いておりまして、できるだけ多くの国が参加するように、先ほど申し上げたルイジアナ博覧会協会が大いに運動しておるところでございます。
  15. 久保等

    久保委員 それでは国際河川博覧会の問題については以上で終わりたいと思いますが、これも要するに治水関係の問題の一環として考えられると思うのですが、この治水関係予算をちょっと拝見してみますると、五十八年度の予算概要の印刷物がありますが、この中に流域貯留浸透事業の創設ということで、五十八年度で初めて始められる事業じゃないかと思うのですが、この事業の中身はどういうことをおやりになるのか、これもひとつ簡単に御説明願いたいと思うのです。
  16. 川本正知

    川本政府委員 現在、既成市街地の中を流れております都市河川、これにおきまして都市水害というのが非常に顕著になってきております。当然のことながら、その都市河川そのものの改修、これはたとえば川幅を広げたり底を下げたりあるいは遊水地をつくったり、そういった事業をやっておるわけであります。現在すでにいろいろ多彩な事業をやっておりますけれども、その流域全体で、やはり雨を何とか一時的にためたりあるいは地中へ浸透させたり、そういうことも考えなければ、一挙に河川の方にしわ寄せが来るというような現状ではなかなか河川だけの対応ではむずかしいという現実がございます。  そういったことから、河川外流域におきまして、たとえば学校の校庭あるいは公園、そういった公共施設の敷地を利用いたしまして、そこに一時的に雨をためる。したがって川へ入っていく量を一時的に抑制する。あるいはまた公団の団地の中とかそういうやはり公共施設の中で地中へ一時的に浸透させまして、そしてできるだけ川への負担を少なくする。そういうような事業をすでに東京都あるいは大阪、そういうところでもやっておられますし、またこれから大いに普及しようということを考えてもおられます。そういったことに対してわれわれといたしまして助成をしたい、そういう事業でございます。
  17. 久保等

    久保委員 明年度予算案では、鶴見川など六カ所となっておるのですが、経費としてはきわめて微々たるもので、一億円を少し上回る程度なんですが、果たして期待のされるような成果を上げ得るのですか。何かきわめて軽便なようなことを考えておるようですが、鶴見川等六カ所になっているのですが、この六カ所というのはどことどこですか。
  18. 川本正知

    川本政府委員 ただいまお話ございました六カ所につきましては、鶴見川とか新河岸川とか寝屋川とかあるいは名古屋市内河川、そういった東京大阪名古屋、こういった地域河川でございます。  おっしゃいますように、河川洪水防御にどのくらいウエートがあるかということが問題ではございますけれども、確かに川の中の川幅を広げたりあるいは貯水池をつくったり、そういったものに比べましたら、やはり効果は大きくはないとは思いますけれども、しかし流域全体として、そういった都市河川水害をなくすための方途ということで努力をした結果の産物であるというふうに私ども考えておりまして、やはりこれから既成市街地の中ではこういったものがさらに普及されていくはずでございますし、またしていかなければならない、そう思っておるところでございます。
  19. 久保等

    久保委員 それでは次にお尋ねしますが、次は、私かねがね痛感しておるのですが、道路上に全国いろいろと電話あるいは電力線等電柱がずいぶん立っておるわけなんですが、この問題については非常にむずかしい問題があります。したがって、十分な成果を期待することはむずかしいかと思うのですが、特に街路等に立てられておりまする電柱、これはいろいろな意味において問題があるわけでして、よく言われまするように、交通安全の立場から申しましても、あるいはまた美観から考えましても、あるいはまた災害時等における事故防止観点からいっても、実は街路あたりに立っておりまする電柱、また非常にたくさんどこもここも、いわば日本の土地で人が住んでおるところには、電柱があるといったようなことで、今日大変な状況にあると思うのですが、大臣の御所信の表明の中でも、特に道路交通安全の確保であるとか、あるいは生活環境の改善であるとかいろいろ言われておるのですが、そういう観点からしますると、この問題についてきわめて長期的に、またなかなか効率的というわけにはいきませんけれども、少なくとも一つ方向性をきちっと立てて、こういった問題に取り組んでいきませんと、永遠にむしろこういった状況がさらに多くなってまいるんじゃないかと実は思うのですが、これに対してどういうふうに今後取り組んでいかれようとしておるのか、大臣の方からひとつ簡単に御説明願いたいと思います。
  20. 内海英男

    内海国務大臣 御指摘の点はまことにごもっともだと思います。  建設省といたしましては、共同溝というような形で作業をやって、でき上がったところも東京都内の中にはございます。したがいまして、そういう形でできるなら都市美観上あるいは災害時等に対しましても電柱が倒れてくるというようなことのないためにも大変結構なことだと思っておりますが、何にいたしましても大変な予算といいますか、経費のかかる問題でございます。したがいまして、なかなか思うように進められないというのが現状でございます。  けさのサンケイ新聞等にも出ておりましたが、今回は石油が幾らか下がるというようなことで、その下がった分を地域住民のために電柱を地下化したらどうだろうというような意味の記事が載っておりました。まことにもっともなことだと思いますが、一面、電柱関係だけをやるといってもこれは大変な経費だと思います。できれば、電気、電話水道ガス、こういったものが建設省が考えておるような共同溝というような形でやるならば、たとえば事故が出ましても修理が可能だ、電線だけを埋めてしまいましても、今度は故障が出たときに修理が大変むずかしいんじゃないか。こういった点を考えますと、総合的に、また予算面からいきましても多額の経費を要するということで、先生の御提言まことにごもっともだと思いますが、関係方面とよく相談をしてやるならば、恒久的なもので何が起きても修理が可能であるというようなことにもなるから、ぜひそういうことを将来やっていかなければならぬということを考えておるわけでございます。
  21. 久保等

    久保委員 日本経済大国であり先進国と言われておるのですが、事この問題になりますと、残念ながら私は非常に後進国じゃないかと実は思っております。早い話が、先進国、他国を考えてみた場合に、日本のように空を眺めてみても電線と、それからまたそれを取り巻くいろいろな、たとえば変圧器であるとか、線も整然と張られているのではなくて、もう全く縦横無尽といったような形で張りめぐらされている。そういう状況は何としても、やはり近代都市という観点からしましても、市街地におけるそういった電柱等は何とか地下埋設に持っていく必要があると思うのです。いま大臣がおっしゃられたように、何もかも一つ共同溝に入れるという話になりますると、場所によってはそういうことも可能でしょうけれども、ほとんどの部分は電力線電話線、これが主体になるわけですから、そう大きな共同溝といったようなものまで考えなくても、地下埋設が比較的簡単に管路みたいなものでできるのじゃないかと私は思うのです。  こういった問題について、各国、特に先進国外国あたり状況等を把握しておられると思うのですが、どうも日本のようなところは、実は余り見当たらないのでして、確かに金が非常にかかる。経費が非常にかかるし、工事も、すでに立っておるものを地下埋設にしてまいるということになりますと、その工事期間中における交通上の問題もあったりなかなか大変なんですけれども、しかし、ほうっておいて解決する問題ではございませんので、そういったことについて非常にむずかしい問題だとは思いますし、関係官庁も非常に多くて、単に建設省だけで単独にやれる問題ではもちろんございません。そこで何かこういったことについて研究機関というか調査機関というかあるいは審議機関というか、何かそういったようなものを設置して、関係各省が集まって十分に相談をする、あるいはまた研究もするというようなことをおやりになるに値する非常に大きな問題じゃないかと私は実は思っておるのですが、いかがでしょうか。
  22. 内海英男

    内海国務大臣 先生の御提言まことにごもっともでございますから、今後とも関係省庁とよく連絡をとりまして、また民間の電力会社ガス会社、そういったところとも連携をとって、将来どういう形でやっていったらいいか。あるいは負担区分の問題もあるかと思います。具体的になってまいりますと、なかなかむずかしい問題も出てくるかと思います。私ども町を歩いておりましても、きのうまで水道工事をやったと思うと、翌日ガス工事でせっかく舗装し直したところをまたひっくり返しておるという例が大変ありますので、そういった点は大変むだもあるのではないか。できれば一元化すれば、そういったむだも大変省けるし、修理の場合にもやりやすいのではないかというようなことで、どなたも認識を同じくしておると思いますので、できるだけそういう連絡機関を設けて総合的に判断をして実施を推進していきたいと思っておるわけでございます。
  23. 久保等

    久保委員 この五十八年度の「道路関係予算説明資料」、これを見てみますと、その中に「重点事項」として幾つか挙げておられます。その中の十番目に「親しみとうるおいのある道路整備の推進」という一項がございます。この中に「電線電話線地中化」そういったことをやられるようなことを書いておられるのです。これはコミュニティー道路だとか歩行者専用道路、そういったようなところで取り入れてやろうということでしょうが、これをちょっと御説明願えませんか。ここに挙がっております具体的な項目。それから同時に、来年度の予算金額等もここに計上されておるのですが、この予算の中では、電線電話線地中化という問題について、具体的な構想があって、計画があるのかないのか。この字面ではそういう表現があるのですが、この中にはそういった問題が考えられておらぬのかどうか、ちょっと御説明願いたいと思います。
  24. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 都市の景観、また都市安全性向上等のために、電線地中化ということは非常に重要なことであると考えております。いま大臣からお話しのありましたように、恒久的な対策として共同溝等は非常に重要なものでございますので、大都市においては積極的に進めておるところでございます。  なお、新しい道路をつくる場合、たとえばバイパスが新設されるとかあるいは都市開発あるいは区画整理等で新しい道路がつくられていくような場合において、そこに新しく電柱等占用許可がある場合には、電力会社等と話し合って、これの地中化を図るように最大の努力をいたしておるところでございます。ここにありますように、コミュニティー道路整備とかあるいは歩道整備、こういうものを実施する際に、電線などの移設等が必要になる場合において、その事業主体地中化についていろいろ話し合って、地中化方向努力していくということを実施しておるわけでございまして、ここに掲げております金額等は、その地中化の直接の費用ではございませんで、それのもととなるようなコミュニティー道路建設とかあるいは歩道建設とかいうような費用を掲げてあるものでございます。
  25. 久保等

    久保委員 今日までの中で、地中化しておるパーセンテージというものは一体どの程度と把握しておられますか。わかりませんか。ほんのわずかではあっても、多少はやっておると思うのですが、一体どの程度パーセンテージになりますか。
  26. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 最初共同溝を申し上げますと、東京圏では約百キロくらいの共同溝ができておりますので、そのうち九〇%ほどがすでに利用されております。それが共同溝でございます。  そのほか、いま先生おっしゃいました配電線地中化については、新しい道路等ができた場合にはできるだけ地中化をするよう促進しておるわけでございますが、現在の資料によりますと、一九七八年でわが国電線地中化率は一・九%という数字になっております。
  27. 久保等

    久保委員 わかりました。  それで、新しい町づくりが、これまた別の観点からというか、いろいろ進められておるのですが、私はいま具体的な例として一つ、私の地元のことになるのですけれども、香川県に宇多津町という小さな町があります。今度瀬戸大橋が完成をいたしますると、ちょうど坂出のすぐ隣、といってももう坂出がどこで宇多津がどこかわからないほど密着してしまった。ちょうど橋のつきます根元になるわけなんですが、したがって、交通要衝として将来非常に重要な地点になるのではないかと思っております。現在のところは人口わずか一万程度のところではありますが、将来きわめてそういった要衝になる関係もございまして、すでに地域振興整備公団でこの地域整備を急ピッチで進めておられます。もう数年になりまして、ちょうど約半分くらいのところまで工事が進められておるようでありますが、このことに関連してまたお尋ねしたいと思うのですが、全国的にもこれに似たようなことが新しい町づくりという観点からも進められておると思うのです。この宇多津の場合、現在施工が始まって四、五年になるようですが、ここの状況を、きょうせっかく公団の方から御出席を願っておりますので、ひとつ簡単に——ちょっと話が横へそれるようですが、新しい都市づくりという問題がどういう形で進められておるかということをちょっと明らかにしていただいて、なおまた、電線地下埋設といったようなことのお尋ねをしたいと思うのでして、その前提として、この地域振興整備公団でやっておられる宇多津工事状況について、簡単に一言御説明願いたいと思うのです。
  28. 村山幸雄

    村山参考人 新宇多津開発事業につきましては、昭和五十三年から着手いたしまして、先ほど先生も申されておりましたとおり、工事半ばというところになっております。宇多津町の塩田の跡地は百九十ヘクタールあるわけでございますが、本四架橋に伴って設置されます本四備讃線、それから高松の方から参ります予讃線、これらが新宇多津駅ということで統合されるわけでございますが、これらの駅と町との密接なる結びつき、それから坂出市、丸亀市等周辺の都市とのつながり、こういうものを持ちました各種の都市機能を網羅するということで開発整備を行っておるわけでございます。公団といたしましては、塩田の跡地を一部買収いたしまして、区画整理自体は町が施工いたしておるわけでございますけれども、それと協力一致いたしまして、私たちの方も一般の宅地造成事業を行うものでございます。そういう意味におきまして、相当な宅地が造成されるというように考えられるわけでございます。  ちなみに、くどいようですが申し上げますと、計画人口は八千七百人、土地利用は百九十ヘクタールのうちで住宅地が一六%、商業地が一二%、準工業地が二四%、流通業務地が八%、公益用地が九%、その他三一%の道路、公園、緑地等の用地があるということでございまして、一つの区画整理をやる中では非常にバラエティーに富んだ計画になっておるわけでございます。  それから、何か全国的なことを少しおっしゃって……。
  29. 久保等

    久保委員 それは後ほどお伺いします。  これは地域振興整備公団で出されたプリントをちょっと拝見すると、要するに、この宇多津町、現在は町なんですが、「新宇多津都市は、瀬戸大橋などの広域的な交通機能を受けて、商業地・流通基地・緑豊かな住宅地など瀬戸内海の風光ともマッチした美しい市街地づくりを目ざします。」というようなことで、いまいろいろ工事を進めておられるのですが、要するに、全く新しい土地、もともと塩田であったわけですが、その塩田が廃田になりました関係で、この土地を大規模に造成をして、全く一物も何も建っておらないわけですが、今度新しくその上に、いまお話があったように、商業地域になったり、住宅地域になったり、その他公共的な建物もできたり、また新しい駅もできるという構想工事が進められております。したがって、全く新しい町づくりが行われるわけなんですが、これはひとり宇多津だけの問題ではなくて、いまちょっとお話が出かかっておりましたが、全国的にどの程度こういったものが行われておるのか私わかりませんので、その点ひとつ御説明願いたいと思うのですが、そういった地域には相変わらず旧態依然としてまた、一番最初に立つものは電柱がぼんぼんと立っていくというようなことでは余りにも少し知恵がないのじゃないかという感じがいたします。  ところで、こういった新しい町づくり的なものがほかにもやられておると思うのですが、なお全国的な概況について簡単にひとつ御説明願います。
  30. 村山幸雄

    村山参考人 当地域公団は、都市部門といたしましては、現在認可をもらいまして事務所等をつくっておるのが七カ所ございますし、それから工業再配置部門では、十五の個所で工業団地づくりをやっております。  私、担当いたしておりますのは都市部門でございますので、特に都市部門のことについて申し上げますと、たとえば広島とか宮崎という個所につきましては、現在町の中にあります大学を郊外に移して、まあアメリカのキャンパスでございますが、そういう形の大学移転を大々的に行っておるわけでございます。  それからまた、岡山の吉備高原でございますが、これは身体障害者だとか精薄者だとか体の悪い方のためのいろいろな授産施設並びに体の悪い方のための工場公園とかゼミナーハウス、青少年いこいの森とか勤労者の家、いろいろな福祉関係のバラエティーのあるものを非常に数多くその中に入れまして、一言で言いますと福祉都市というようなものをやっております。これも非常にバラエティーがあるのじゃなかろうかと思います。  一般的にあらゆるものを網羅いたしておりますのは、住宅地を十分に持ち、工場地も持ち、それから流通センターも持ち、そういうものを全部完備いたしました長岡でございますが、これにつきましても、相当な規模でもってそういうものが順次行われておりまして、特に新産センターにつきましては、相当の業者がもう中に入ってきておるというようなことでございます。  その他いろいろございます。東北の八戸というのがございますが、この方は区画整理事業を用いまして、もっぱら東北地方の方の八戸への居住を促進するというようなことがねらいになっておりまして、鳥取でもそれと同じようなことが行われております。  まあそういうようなことで、いろいろあるわけでございますが、最後にこの宇多津でございますけれども、これは何と申しましても、本四の四国上陸地点の顔でございまして、この顔の中には、先ほども申し上げましたとおりに、単に住宅だけてはなくて、商業地もずいぶんとっておりますし、駅の周りの商業地、それから工業地、さらに流通センター、それからいろいろ文化施設的なもの、あらゆるものをそこに網羅していこうという、これはいままでから考えますと、非常に画期的な土地利用転換になるのではないか。もともと塩田であったわけでございますので、それがそういうような形で転換されていくということは、この宇多津及びその周辺の都市に与える影響あるいは香川県全体に及ぼす影響は非常に大きいというように感じて仕事を進めておるわけでございます。
  31. 久保等

    久保委員 地域振興整備公団でやっておられるという簡単な御説明がいまございましたが、いろいろなケースが考えられると思うのです。いずれにしても、その地域の振興整備を図っておられるのですから、そういう機会にこそ、従来なかなか手がつけられなかった面も、それと相並行してやっていくのには、一つのチャンスというか、一つのいい機会だと思うのですね。だから、そういう意味で、この問題については、やはり建設省自体が一つ構想をお立てになる。またきわめて長い計画になるかもしらぬですから、長期的な計画をお立てになる必要があるのではないか。それがためには、諸外国の例等も、これはどの程度研究しておられるか知りませんが、研究調査を十分におやりになって、日本もひとつ工夫をこらしてこういった問題の解決に当たったらどうか。そういう点では調査研究が進められておりますかどうかよく存じませんが、もしそういったことについて具体的に余り手がついておらないとすれば、ぜひそういったことにひとつ手をつけてもらいたい。これは強く要望を申し上げたいと思うのです。  同時に、従来の施設をそういう形で切りかえてまいることと同時に、いまお話があったように、地域振興整備公団でやっておりまするような地域については、何とかひとつ現実問題として、私がいま申し上げたような方向で御努力を願えないか。率直に言って、電力会社としては経費のかかることですから、余り協力的でないといいますか、積極的ではありません。宇多津の場合、これも現実に実は余り協力的な気持ちじゃないようです。ところが、電話関係の方は、何だったらこういう機会にやったらいいじゃないかという気持ちもあるようでして、電電公社ではそういったことを言っておるようです。限られた地域ですし、それからまだ何もないところですから、少し建設省あたりが乗り出して十分にお話し合いを願って、そういったところにはぜひひとつモデル的に地下埋設方向に持っていくようなことをおやりになることが必要じゃないかと私は思うのです。しかも、やろうと思えば、こういったところについては何も電柱が立っておるわけでも何でもないのでして、ほうっておけば、これから道をつけ、それからさらに電柱を建てるということになっていくと思うのですが、ぜひひとつこの宇多津の問題は、そういう意味では一つのモデル的なケースとして取り組んでいったらいかがと私は思うのですが、その点、大臣いかようにお考えになりますか。
  32. 内海英男

    内海国務大臣 先生の御提言まことにごもっともだと思っております。したがいまして、今後新しい町づくり等を行います場合には、できるだけ関係市町村にも密接な連絡をとり、関係の会社その他もろもろの機関と調整をとって、一たんでき上がってからまたやり直しということのないように、できるだけ指導してまいりたい、こう思います。
  33. 久保等

    久保委員 直接権限とかなんとかという問題はありませんけれども、しかし、実際の仕事をおやりになっているわけですから、進言といいますか、あるいはまた参考意見と申しますか、そういったようなことを現実にやっておられる地域振興整備公団の立場からも、私がいま申し上げているようなことについて御留意を願って、ぜひひとつ御協力を願ったらどうかと思うのですが、いかがですか。
  34. 村山幸雄

    村山参考人 新しい市街地整備を進めるに当たりましては、当公団といたしましても、電柱のない整然とした市街地が望ましいということは、もう本当に心から思っておるところでございます。特に防災上また景観上にも非常に望ましいものでございます。ただ、いままでそういうように進んでこなかったということに関しましては、もう先刻御承知のとおり、工事費が、普通の電柱を立てるのに比べますと、下へ入れると、これは正確な数字ははっきりいたしませんけれども、約十倍高いとかいろいろなことが巷間で言われているわけです。そういうように工事費が高いとか、それから維持管理がどうだこうだというようなことが言われておりますので、いま直ちにこれを採用するというような状況には至ってないことは事実でございます。しかし、私たちニュータウンをつくるものといたしましても、同じつくるなら後世まで残るいいものをつくりたいという気持ちも非常にあるわけでございまして、今後は、地方公共団体あるいは電力会社その他関係機関とよく調整をいたしまして、そういうことがちょっとでもできるようにというような方向で今後の折衝、検討を進めてまいりたいと思っております。
  35. 久保等

    久保委員 公団の方結構です。いまの問題については以上で打ち切ります。  次にお尋ねしたいことも、実は私かねがね痛感をしておる問題の一つなんですが、鉄道の沿線等を眺めて、非常に小さなミニ住宅と申しますか、これが非常に大規模に密集して建っておる状態。新しいうちは、入居される方も新しいということで、従来住んでおった点から見るとよくなったというようなことで喜ばれるのだろうと思うのです。しかし、長い目で見れば、そのミニ住宅、しかも大変な大密集団地みたいな場合には、これまた災害等の場合を考えると慄然たる気持ちがわれわれ眺めておってもするわけです。加えて、長期間になりますと、当然いわゆるスラム化していくことも考えられますし、さらには、余りにも小さい住宅が建ち並んでおりますと、お互いの家庭のプライバシーというような問題にも関係してくると私は思うのです。そういった点を考えますと、いろいろ問題があると思うのですが、建築基準法から照らして、一体そういったものが許されておるのかどうかということも私は気になるわけです。しかも、もし建築基準法に合っておるとするなら、しかし、一体その程度の建築基準法でいいのかどうかという問題もあるし、あるいはまた建築基準法に違反をしておるとすれば、そういったようなことのないようにしていかなければならぬと思うのです。いずれにしても、現実にはそういうミニ住宅の密集団地があるわけですが、最近はだんだんと農村といいますか地方にまでそういった傾向が出てまいりつつあります。農村あたりですから、そう大密集団地ではございませんけれども、数十軒程度のものができ上がるのですが、田舎の農村あたりであるにもかかわらず、大都会で土地が非常に高いところでは、一面やむを得ないからそういった小さいものが建つのだということにもなるのでしょうが、そういった傾向がまた農村にもだんだんと波及をしてまいっておるような現状を考えますと——もちろん土地が高い、建物自体の建築費も高いということでミニ化していくことは、事情としてはわかるわけなんです。しかし、だからといって、そういう状態でいきますと、農村あたりの場合でも、率直に言って、従来住んでおる方々とそういった形で住まわれる方々、その地域における一つの融和なり共同生活という意味で、やはり何か違和感をお互いに持っている。またそこで育った子供、それから伸び伸び農家で育っておる子供というのは、同じ田舎に住んでおりながら、生活環境が違うといったようなことで、今後これまたいろいろな問題にも発展していく可能性があると思うのですが、こういう要するにミニ住宅の大密集団地のようなものに対して、ある程度の適正規模の敷地、住宅、これは一戸建ての話をしているのですが、やはり考えていく必要があるのじゃないか。もちろん建設省としては、市街地について高層住宅といったようなものでできるだけそういう方向に持っていこうというようなお話も、前々からこの委員会での御説明も承っておりますが、しかし、木造建築でしかも一戸建て、大体二階建てですが、この大変な団地を眺めて、建築基準法も問題があるのじゃないかと思っておりますが、建設省ではこういった問題を一体どんなふうに考えておられるのか、局長の方からでも御答弁願いたいと思います。
  36. 永田良雄

    ○永田政府委員 お答えいたします。  ミニ開発の問題でございます。ミニ開発はいろいろ形態があります。御指摘のように、土地と建物の合わせた値段が高いか安いか、こういう点もありまして、一概に全部が悪いというふうに律するわけにはまいりませんが、御指摘のように、開発規模が非常に小さいわけでして、それから一つの区画も大変小そうございます。あるいは公共の空地も十分にとってない、こういうものが多いわけでございます。これらは御指摘のように、当然防災上も問題がございますし、それから居住環境としても大変よろしくないということで、私どもはできるだけこれを抑制するという方針で対処してきております。  具体的にはどういうことで抑制してきているのか、こういうことでございますが、一つは、都市計画法という法律で、開発許可を必要とする面積がございます。通常の場合は、法律では千平米でございます。それを条例で三百平米まで引き下げる。そういったものについても、行政の手でチェックできるようなかっこうにするということでの規制を一つやっております。それからもう一つは、余り小さな宅地については、それを抑制する意味から住宅金融公庫の融資等はやらない、こういう面での規制のやり方をやっております。  しかし、そうは申しましても、御指摘のように、現実はまだミニ開発が後を絶たないというのが現状でございます。この理由は、一つ計画的な大規模な開発が、いろいろな意味で非常に負担や規制が厳しゅうございますので、大変割り高なものになります。割り高なものになりますと、余り購買者がいない。したがって、商売にはなりませんから、そういうものはなかなか業者がつくらない。むしろ小さいもの、規制のないものをやっていくという話になるわけでございます。したがいまして、先ほど言いましたように、規制というだけでこれに対処するのは必ずしも適当でないので、良好な居住地を供給するような宅造がうまく円滑にいくような誘導方策を考えていかなければいかぬのじゃないか。それは何かと申しますと、いろいろな意味で指導要綱という名前でいろいろやられております規制のうち、もちろん、その指導要綱では大変理由のある規制も十分ありますが、過度な負担を業者に課するというようなものが多々見受けられます。これは結果としては、宅地の値段を上げるわけでございますから、そうするとだれも買う者がいない、したがってそういう開発は行われない、こういうことになるわけでございますので、そういう面にも十分配慮してやっていかなければいかぬ、かように考えております。
  37. 久保等

    久保委員 なかなかむずかしい問題でしょうが、しかし、こういった問題については、関係業者の団体等に対する建設省としてのいろいろな指導、そういったことが必要だろうと思いますが、とにかく私が取り上げて、特に建設省の方にお考え願いたいと思っておるのは、特に大きな団地、こういったものに対しては、全国的に十分に実態を調査すること自体もそんなにむずかしい問題ではないと思うのです。それだけに現状把握もどの程度しておられるのか知りませんが、これは全体像を把握するのはなかなかむずかしい問題でして、言うべくしてなかなか不可能だと思うのですが、せめてある程度の基準を設けて、ある程度の規模以上のもの等については、やはり十分に実態も把握をせられて、これに対する今後の対策をぜひひとつお考えいただく、そういうことで御努力を願いたいと思います。  それで、余り時間がありませんから、最後に、私高速自動車道を新設する場合についてちょっとお尋ねしたいと思うのですが、高速自動車道を建設する場合には、何といっても普通の一般の道路と違って高架になるわけです。したがって、高速道路建設に当たってはいろいろ問題があるわけです。特にその道路の通ります周辺あたりからすれば、まことにどうもプラス面よりもマイナス面が多い、メリットよりもデメリットが多いということで、非常に問題が出るわけですが、それだけにこの土地の選定、路線の決定等に当たってはよほど慎重な調査とまた対応が必要だと思うのです。  路線を現実に決定して着工するまでの間、いろいろと大変な手数と御苦労が多いと思うのですけれども、一体どういう順序でそういったところにまで持っていかれるのか。特に地域住民の公害あるいはまた環境保全という立場からも考えて、建設省としても最大限そういったことについては地域住民の納得の得られる、協力の得られるようなことが必要だと思うのです。いま環境影響評価法案が国会にやっと出ておりますが、しかし、これも私どもからすると非常に不満足なものであり、したがって、審議も余り進んでおらないようですが、長い間の懸案です。だから、その法案の方は別として、今日現実に取り組んでおられる態度といいますか方針、そういうものを余り時間もありませんから簡単に御説明願いたいと思います。
  38. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 高速道路の路線決定に至るまでの手順について御説明させていただきます。  高速自動車国道として、政令で路線名、起終点、重要な経過地を定めた路線が指定され、次にこの路線につきまして、建設省整備計画策定に必要な諸調査を実施し、高速道路につきましては、幅二百五十メートルの帯状の路線を選定し、その帯状の路線につきまして、「建設省所管事業に係る環境影響評価に関する当面の措置方針について」に基づき環境影響評価を実施し、その路線、この場合の路線と申しますのは、幅二百五十メートルの帯状のものでございますが、その路線及び環境影響評価の結果を関係都道府県知事に送付し、その意見を聞いた上で、国土開発幹線自動車道建設審議会の議を経て、運輸大臣及び建設大臣整備計画を定めております。  整備計画策定後、日本道路公団調査を指示し、日本道路公団において、この帯状の路線、高速道路については幅二百五十メートルの帯状の路線でございますが、この帯状の路線について事業実施のために必要な詳細な調査を行い、工事実施計画書を策定して、これを建設大臣が審査し、認可した後、日本道路公団が高速道路の路線を発表し、事業を進めることといたしております。最後の、日本道路公団が高速道路の路線を発表するこの路線と申しますのは、実際に物理的な道路をつくるための路線でございます。そういうことによって事業を進めておるわけでございます。
  39. 久保等

    久保委員 その路線決定の議論がされて、ある程度オープンといいますか、地域住民そのものが知り得る時期というものは、いまのお話の過程の中でいつごろになりますか。
  40. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 まず環境影響評価を実施いたしまして、それについて、その路線とその環境影響評価の結果を都道府県知事に送付いたしまして、まず知事さんの意見を聞くことになりますので、この段階で都道府県として知ることができることになります。  一般の方々が実際にその路線を知ると申しますのは、いま御説明いたしました一番最後の、日本道路公団が高速道路の路線を発表して事業を進めるその段階になるわけでございます。
  41. 久保等

    久保委員 そこらあたりが非常にはっきりしないのですが、一般の地域住民が知らされるときというものは、ほとんど固まってしまったような状態だと思うのですね。だから、それでは実際その路線問題に対して最も利害関係のある地域住民がほとんど知らされないままにどんどんと事態が進行してしまうという結果になると思うのですね。具体的には、その建設審議会でもって整備計画というものをもちろん策定するのですが、その前における状態の中では、地方自治団体としては、知事があり市町村があるわけなんですが、これがどの程度関係することになりますか。どういう形で知事に諮問といいますか、建設省としては県の意見というものを聴取することになりますか。ちょっとそこらあたりを少し詳しく説明を願いたいと思います。
  42. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 御説明いたします。  高速自動車国道の整備計画策定に当たりましては、それに先立ちまして、いま申し上げました「建設省所管事業に係る環境影響評価に関する当面の措置方針について」により環境影響評価を、これは建設省側でございますが、実施いたします。  その結果について、先ほど申しましたように、都道府県知事に意見を聞きますのは、路線とそれから環境影響評価の結果でございますが、これを送付いたしまして関係都道府県知事の意見を聞いた上で、国土開発幹線自動車道建設審議会の議を経て、運輸大臣及び建設大臣整備計画を定めておるものでございまして、高速道路の路線は、この一連の段階で幅二百五十メートルの帯状の範囲内で実質的に定められていくことになるものと考えております。  実際、道路をつくる場合には、それに面する土地利用その他のいろいろなことで、ある程度用地幅というのは変わってまいりますので、その変わるごとに環境影響評価を実施し、一連の手続をするということは、いろいろな面でロスが多うございますので、一応道路がその範囲内で建設されるということの前提で幅二百五十メートルの帯状の路線を想定いたしまして、その範囲内で道路建設されるということを前提とした環境影響評価を実施して、いま申し上げましたような一連の手続をとるわけでございますので、この段階で、いま申しましたように、幅二百五十メートルの帯状の範囲内で実質的に路線が定められることになろうかと思います。  さらに、整備計画策定後、日本道路公団事業実施のための詳細な調査を行い、工事実施計画書を作成し、これを建設大臣が審査し、認可いたしますが、工事実施計画書には設計図面が添付されておりまして、この段階で物理的につくられる道路の路線が決められることになり、この工事実施計画認可後、日本道路公団が路線発表を行って事業を進めることになるわけでございます。
  43. 久保等

    久保委員 もう時間が来たようですから最後にいたしますが、とにかく建設省でもって知事に環境影響評価の結果について一応意見を求めるときから、建設省の決定した二百五十メートルの幅の範囲内で何か意見があればという形で、もうすでに二百五十メートルをはみ出した路線というものは考えられない、そういうような取り運びになっておるのですから、いろいろそこらに問題があると私は思うのですが、しかし、ここで余りそういった問題で議論をしても、時間的な関係がありますから私やめますが、いま出ております環境影響評価法案、あの法案については、先ほどちょっと申し上げたように、われわれ自体決して賛成できるものではないのですけれども、しかし、あの法案の立場から見れば、いままでやっておられる建設省の態度というのは非常に大きく変わりますか、それともあれと余り変わらないようなことを現実にやっておられますか。それをちょっと簡単にお答え願って、私の質問を終わります。
  44. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 私、法案そのものの直接建設省の窓口として担当いたしておりませんが、住民の意向を聞くという面で、建設省はその代表としての都道府県知事の意見を聞いておりますので、考え方において大きな差があるというふうには考えておりません。
  45. 久保等

    久保委員 終わります。
  46. 松永光

    松永委員長 小野信一君。
  47. 小野信一

    ○小野委員 一般質問のしんがりを承りまして、建設大臣の所信表明に若干の質問をいたします。  最初に、公団自治協の皆さんもおいでになっておりますので、短い時間ではありますけれども公団家賃問題について質問と現在までの経過に対する確認をしておきたい、こう考えます。  公団家賃の値上げ申請は、本委員会の議論の状況から見ましても、近々行われる気配が濃厚に感ぜられます。この申請自体、きわめて私どもは遺憾なことだと考えておりますし、わが党の申し入れに対する建設省の回答を見ましても、あるいは先日わが党の山花議員の質問に対する大臣の答弁でも、過去の経緯、経過を踏まえて対処する、こういう立場が説明されております。  過去の経緯ということを考えてみますと、第一は、住宅基本法とともに家賃体系の整備確立を図ることでした。これは今日の時点でもまだ実現されておりません。残念なことだと思います。  第二は、住宅宅地審議会で答申された、今後の家賃の改定に際しては、適切な手続に基づく必要なルールをつくった上で対処する、こういうことでありました。これは個別の管理主体に任された形となっております。しかし、これらに対する政府の指導あるいは助言は不可欠なものであります。ところが公団の場合は一切議論されておりません。  第三は、入居者との話し合いを十分に行わなければならないということでありましたが、入居者や公団から話を聞く限りとうていこのことが十分行われているという感触を私は持っておりません。  第四は、五十三年の委員会の要望ですけれども、これも十分行われているとは考えられません。  そこで、質問と確認を順次していきたいと思います。  最初に、住宅局長にお伺いいたします。  住宅基本法の成立について、大臣あるいは局長は、家賃問題等が煮詰まっておらない問題でもあり、諸般の情勢から成案をつくるに至っていない、こういう趣旨の答弁をしております。基本法及び家賃体系の成案、いろいろな人々のコンセンサスが求められない状況のもとで、住宅審や臨調の言う家賃改定のみが先行する、推進されるというのでは、私は片手落ちだという感触を持つのですけれども、いかがお考えになりますか。
  48. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 お答え申し上げます。  公共賃貸住宅の家賃につきましては、昭和五十六年八月に住宅宅地審議会から現行家賃制度の改善についての答申を受けております。建設省といたしましては、この答申の線に沿いまして、公団の賃貸住宅あるいは公営住宅等の事業主体に対しまして、家賃について定期的な見直しを行うとともに、施策対象層の家計収入と支払い能力に配慮をしながら、家賃の相互の均衡を勘案して家賃の変更を行うよう指導しているところでございます。  なお、冒頭お話がございました住宅基本法につきましては、住宅政策の目標を初め、居住水準の問題その他各般の住宅政策との総合的な調整等々基本的な事項について、さらに広範な検討を行う必要がございまして、その上でまた諸方面との調整を行う必要がございますので、今後とも検討をしてまいりたいと考えます。
  49. 小野信一

    ○小野委員 次に、公団総裁にお伺いいたします。  私ども公団基本問題懇談会の委員に聞きましたところ、適切な手続に基づく必要なルールづくりをまず行うべきであるとの委員の要求に対して、懇談会は委員の意見を聞くのみであり、審議会とは異なり、公団の案を直したり答申したりする性格のものではないとし、当面の家賃改定案を部会、懇談会に提示したということでございますが、そのとおりでございますか。  また、当面の家賃改定について、懇談会の名称を一切利用、活用するなという強い要求が懇談会から出され、公団もこれを了解したということは本当でしょうか。明確な答弁を経過を含めましてお願いいたします。
  50. 志村清一

    志村参考人 お答えいたします。  先ほど住宅局長からお答えがございましたように、五十六年の住宅宅地審議会の御答申に基づきまして住宅局長から通達がございました。家賃の定期的な見直しを行うということと、適正な手続に基づくルールづくりを考えろ、かようなことがございました。  それを受けまして、私どもとしては、総裁の私的な懇談会ではございますが、基本問題懇談会というものを組織いたしまして、各界各層の方々に自由な忌憚のない御意見を聞かせていただきたい、かように考えた次第でございます。家賃問題につきましては、やや専門的分野もございますので、鑑定士の方とかあるいは弁護士の方等も交えました家賃部会を懇談会の御了承のもとにつくりまして、さらに専門委員会等もつくりまして累次御議論を賜ったわけでございます。私どもといたしましては、十分御議論を賜ったと考えておりますが、審議会等と違いまして懇談会でございますので、御結論をいただく、その答申に従って云々ということでなく、自由闊達な御議論を賜りたい。家賃の見直しにつきましては、そういう御議論を踏まえまして、公団の責任において考えてまいりたい、かように存じた次第でございます。  その御議論の中で、適正な家賃とは一体何かとか激変の緩和の措置はどうするかとかあるいは生活に困難を来しておられるような方があった場合、それにどう対応するかというようなことも御議論の対象になりまして、一種のルールづくりの基礎としてわれわれはとらえておりまして、これらを踏まえて、先ほど申し上げましたような見直しの問題についてただいま検討しておるところでございます。  ただ問題といたしましては、懇談会の中で、家賃とはそもそも何であるかとかいうふうな基本的課題についてもこれからもひとつ議論をしたい、こういう御意見がございまして、われわれといたしましても、その御議論は今後続けていただきたい、かように考えている次第でございます。
  51. 小野信一

    ○小野委員 再度住宅局長にお伺いいたします。  いま総裁も言っておりましたけれども局長名で五十六年九月二十五日に「公共賃貸住宅の家賃の適正化について」、こういう通達が発せられております。この「二」に既存家賃の変更に当たっては「各公共賃貸住宅の性格に応じた適切な手続きに基づく必要なルール作りを行い、家賃の変更が公正かつ円滑に行われるよう配慮すること。」と記されております。これを公団に対してどのように徹底指導しているのか。同時に、今日まで公団はこの「適切な手続きに基づく必要なルール作り」を行わず、家賃値上げが円滑に行われるような配慮を払っておりません。この通達に違反した場合にどのような処置、処理を局長はお考えになっておりますか。
  52. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のように、五十六年の九月二十五日付で住宅局長名で「公共賃貸住宅の家賃の適正化について」という通達を住宅公団及び公営住宅事業主体等に出したわけでございます。住宅公団に対しましても、局長通達の趣旨の徹底が図られるように種々指導をしているところでございます。  住宅公団といたしましては、この通達を受けて、ただいま公団総裁からお話がございましたように、公団基本問題懇談会を設置いたしまして、さらにその下に家賃部会を設けまして、学識経験者あるいは入居者の代表等の参加を得まして、その意見を伺いながら、改定額の算定方式等、家賃改定案の作成を行っているという報告を受けております。こういうようなことで、家賃値上げにつきましては、種々配慮を行いながらその作成を行っているものではないかというように考えております。
  53. 小野信一

    ○小野委員 松永委員長にお願いしておきます。  いままでの質問、答弁の経過をお聞きになっておわかりのことと思いますけれども住宅局長通達に対して、適正な家賃値上げのルールが公団の方でまだ作業が進展いたしておりません。したがって、過去の委員会における議論及び五十三年の委員会の要望を初めとする附帯決議あるいは審議会答申や政府答弁、さらには公団基本問題懇談会における議論に基づき、私は、委員長に次のような処理の仕方をお願いしたい、こう考えます。  第一は、仮に公団が値上げを申請した場合、十分に時間をかけて委員会の合意を形成するように集中審議を行うように取り計らっていただきたい。  第二は、公団の答弁を聞いておりまして、公団が懇談会や入居者との話し合いの場で述べていることと内容に違いがあるように私は感じられます。委員会に出頭して、あるいは質問者の時間内において、懇談会委員、入居者代表その他を参考人として集中審議の場に呼んでいただくような手続をとっていただきたい。  第三に、審議の結論に基づき、公団の申請にとらわれず、委員会の意思を五十三年の経緯を踏まえて明らかにしていただきたい。  以上、委員長に取り扱いをお願いしたいと思うのですけれども委員長の考えを述べていただきたいと思います。
  54. 松永光

    松永委員長 御要望の点につきましては、理事会でよく協議いたしたいと思います。
  55. 小野信一

    ○小野委員 最後に、建設大臣に質問いたします。質問というより要望です。  大臣の毎回の答弁のように、過去の経緯を踏まえて、ただいま私が委員長にお願いしたことに基づき、委員会の議論と意思の表明があるまで、建設大臣として公団家賃改定における権限を行使しないことをこの場で明らかにしてほしいと思うのですが、いかがですか。
  56. 内海英男

    内海国務大臣 前回の家賃の改定の経緯もございますし、委員長の要望事項等ももちろん私よく承知いたしております。したがいまして、委員会におきまして十分な御議論をいただいた上で判断をいたしたいと思っております。
  57. 小野信一

    ○小野委員 以上で、住宅都市整備公団問題については質問は終わります。ありがとうございました。  続いて、大臣の所信表明について若干質問いたします。  所信表明の中で、大臣は、わが国の経済の課題として、第一に物価の安定、第二に国内需要の喚起による景気の回復、第三に雇用の安定、第四に行財政改革を挙げております。同時に、五十八年度の予算編成方針は、歳出規模の抑制、公債発行額の抑制、この二つを挙げております。  私は、わが国の経済の課題の四項目と五十八年度の予算編成方針とは非常にトレードオフの関係になっておる。一方を立てれば他方が立たず、他方を立てれば一方が立たずという関係になっております。したがって、わが国の経済課題あるいは予算編成をあわせてみますと、トレードオフの関係にないもの、行財政改革が第一の方針であって、他の項目はすべて行財政改革が支障のない範囲で目的遂行されるという立場にしかなっていないんじゃないだろうか、こういう感じを持つのですけれども大臣はこの整合性についてどのような判断をお持ちになっておるか、お聞きいたします。
  58. 内海英男

    内海国務大臣 御指摘のような点も多分にあるかと私自身も思っております。しかし、最近のわが国の経済の課題は、私も所信表明に述べましたとおり、物価の安定を基礎としつつ国内の需要を中心とした景気の着実な回復とそれから持続的な安定成長を図っていく。財政の非常に厳しい中で、そういうことができるかというような疑問が当然出てくるかと思います。私もそういう疑問なしとはいたしておりません。     〔委員長退席、竹中委員長代理着席〕  しかしながら、国の財政の非常に厳しい中で、行政改革と財政再建という両面から行政を推進し、内需の拡大あるいは雇用の安定、景気の回復、こういった多方面に気を配りながら有効適切な施策によってこれを推進しようということですから、非常にむずかしい問題だと思います。しかしながら、これはやらなければならない当面したわが国の重要課題でございますので、その国策の線に沿うて最大限の努力をして、その中で景気の回復あるいは雇用の安定を図っていくという施策を推進していく以外にない、こう考えておるわけでございます。  整合性の問題につきましては御議論のあることだと思います。私自身も先生の御意見に相当敬意を表して承っておるわけでございます。
  59. 小野信一

    ○小野委員 二、三年前までは物価が安定すると実質所得がふえて、実質所得がふえると消費がふえて景気が回復する、こういう説明で、景気回復、経済課題の第一が物価の安定でありました。ところが、去年、ことしを見ましても、物価は安定し過ぎるほど安定しておるのだけれども、景気が回復しない、こういう実態になっております。そこに歳出規模の抑制、公債発行額の抑制という予算編成方針が明らかになりましたから、景気の回復をする意思があるのだろうか。具体的に政府は内需を喚起する意思があるのだろうか。そういうものがないとすれば、四つの経済課題でいま政府が行おうとしているのは行財政改革のみであって、他は放置しておるのじゃないだろうか、そういう危惧を持っておるわけです。  次に、建設省予算は、所信表明の中でゼロシーリングだ、それからそのために財政投融資を活用する、こう言っております。そして建設行政の基本課題として、社会資本の充実、活力ある経済社会の創造、充実した国民生活の実現。建設省の方針、予算はゼロシーリングで、建設省の基本課題は、社会資本の充実、活力ある経済社会、充実した国民生活の実現。これでは予算方針と建設行政の課題は全然相反する。建設省の基本課題がどういう形で予算化されて、それが国民の期待にこたえるのか、私には一向ここに整合性を感ずることができないのですけれども大臣、遠慮なく所感をお伺いいたします。
  60. 内海英男

    内海国務大臣 大変むずかしい御質問で答えにくい面が現在の立場としてございますけれども、与えられた職責を完遂するという意味で、限られた厳しい予算ではあるけれども、重点的、効率的に運営をして、最大限の目標達成に努力をする以外にない、こう申し上げてお答えといたしておきたいと思います。
  61. 小野信一

    ○小野委員 私は戦後三十八年間の予算を見まして、不況期に実質増税、要するに課税最低限を据え置くという実質増税、公共投資という有効需要縮小策、こういう政策がとられたのは今回初めてだろうと思うのです。戦後初めての政策ですから、もう少し建設行政の課題と五十八年度の予算編成方針がどういう関係にあるのだということをわかりやすく説明していただかないと、私たちが国民に説明する場合にまことに困ったことになるし、景気がどんな方法でどんな形で回復していくのかという国民に対するあすの希望、こういうものの説明のしようがないわけだ。私は率直な建設大臣の再度の所見をお伺いします。
  62. 内海英男

    内海国務大臣 いま五十八年度の予算を御審議をいただいておるさなかでございますので、なかなかむずかしい問題で、先を見越して物を申し上げることもいかがかと思いますけれども、昨年度の例から申し上げますと、大幅な前倒し、早期発注というようなことと、補正予算によりまして、災害の繰り上げ施行あるいは債務負担行為、こういうような面を活用することをお認めいただきまして、大幅な公共事業の推進を図るといった施策を五十七年度ではとらせていただいたわけでございます。五十八年度がそうであるかどうかということは私は申し上げかねますけれども先生の強い御要望、国民の強い御要望といったものを受けて、今後の施策の面でそういった検討もなされるのではないか。これは私の推測でございますけれども、いま予算の御審議中でございますから、先のことを申し上げるのはいかがかと思いますけれども、そんなふうなこともあるのではないかな、こういう感じで申し上げる次第でございます。
  63. 小野信一

    ○小野委員 次に、官房長にお伺いしておきます。  公共投資関係予算は、五十五年に六兆六千五百五十四億四千八百万円、五十八年、本年度の予算までゼロシーリングで横ばいになっております。そこで、この公共投資関係予算と景気との関係をお伺いしますけれども、いま不景気の原因は、昭和五十五年から五十六年の前半までは、オイルショックからくる物価の高騰による実質所得の目減りからくる不況だ、こういう説明でありました。五十六年の後半から五十七年度は輸出の減少からくる不況だ、五十八年度は設備投資の落ち込みが非常に大きい、ここからくる不況になるのじゃないだろうか、第三の底になるのではないだろうか、こういう心配をしております。ところが一方で、この公共投資予算のゼロシーリングがこれからデフレ要因として日本の景気に大きく作用してくるのじゃないだろうか、こういう意見がエコノミストや学者の間に非常に強く出てきていることはもう大臣も御存じだろうと思います。  そこで、この公共投資関係予算のゼロシーリングというのは、今回の不景気とどういう関係にあったと分析しており、このゼロシーリングがこれからの景気にどういう影響を及ぼしていくのか、その辺をどう判断するのかお聞かせ願いたいと思います。
  64. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、公共事業関係経費につきましては、四年続きのいわゆるゼロシーリングであったわけでございますが、過去の数年間の公共投資の状況と経済の成長率等を見てまいりますと、たとえば五十五年度におきましては、公共事業についての五十四年度の事業の留保といったようなものによる実質事業量の増大、あるいはまた地方単独事業といったようなものが相当伸びを示した。五十六年度以降について見ますと、これらに比べまして財政投融資の事業、あるいはまた五十七年度は、御案内のように災害復旧事業、さらには財政投融資等を中心といたします事業の追加等々いろいろな年度途中におきますところの経済運営と財政運営の変化等もございましたので、一概には言えませんが、たとえば五十七年の実績の見込みで見ますと、公共事業関係の公的固定資本形成が実質では二・六%のプラスとなっております。そういう意味におきまして、ささやかでありますが、五十七年度のGNPが三・一%と見込まれておりますが、その中における寄与度はプラス〇・二%程度はあるのじゃなかろうかというふうに思っております。しかしながら五十八年度について考えますと、現時点におきましては、昨年の当初と同額になっております関係上、昨年度は補正等による追加等があったことを考えますと、その面で名目的にも若干のマイナスになっておりますので、その関係からは公的固定資本形成の分野ではGNPを押し上げるという力は現在ない。したがいまして、今後世界的な経済の回復過程の中におきます国民の消費支出の増大といったようなものによって、今年度の経済の成長というものが図られるのではないかというふうに考えているところでございます。
  65. 小野信一

    ○小野委員 大臣も官房長も、私は、建設省あるいは建設大臣のいま最大の任務は、公共投資関係予算のゼロシーリングの壁じゃなくて天井を破ることが最大の任務になっておるのじゃないか、こういう趣旨で質問するわけですから、そういうことを基底に置いて答弁していただきたいと思います。  私は、五十七年度の予算編成あるいは五十八年度の予算編成の際に、公共投資のゼロシーリングが日本の経済にどういう影響を及ぼすのだ、こういう議論が十分に行われた、あるいは内部で行われているのかもしれませんけれども、新聞あるいはマスコミ関係からそういう感じを受け取っておらないのです。苦しいときは各省庁歳出はみんな同じだという形で、公共投資もゼロシーリングだ、それを唯々諾々として建設省の皆さんが受け取ったのじゃないかという感じを持っておるわけです。したがって、公共投資が日本の経済にどういう影響を及ぼし、ゼロシーリングにした場合には、こういうマイナスの要素があるのだということを大蔵省に対して強く訴える必要もあるし、そのことを国民にアピールして、国民の力を背景としてゼロシーリングの天井を破る必要があると思うのです。したがって、大蔵省と建設省との、公共投資関係予算のゼロシーリングに対する両者の意見を、私は詳細にお聞きしたい、こう思います。
  66. 内海英男

    内海国務大臣 予算折衝の際に、建設省といたしましては、事務当局そしてわれわれも大臣折衝等を通じて最大限の努力をいたしたわけでございます。しかしながら、一般行政関係費用につきましては、財政再建、行政改革という大きな政治課題の前に、一切聖域は設けない、こういう一つの大きな制約といいますか壁がございまして、私どもの力及ばずといいますか、その壁が突き破れなかったということは否定できない事実だと思います。しかしながら、財投関係では相当御理解ある措置もとっていただいたような感じもいたします。あるいは住宅等に対しましても、取得控除の問題についても相当理解ある政策をとってくれた、こう思うわけであります。しかも、五十七年度の補正におきましては、大幅な災害の繰り上げ施行の問題あるいは債務負担行為の問題、こういった問題を含めて、公共事業を推進することによって何とか景気の回復を図るような政策を打ち出したいという大蔵当局の姿勢もある程度われわれに対する理解ある態度であったのではないか。こういった観点からいきまして、わが方だけがその聖域を破るようなむちゃなこともできかねるといういろいろな事情があったわけで、その点は先生も御理解の上で御質問になっておられるのだと思いますが、景気回復あるいは雇用の安定、そういったいろいろな経済政策の面からいきましても、今後とも大いに努力をして公共事業の推進を図ってまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  67. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいま大臣から基本的なことにつきましてはお答え申し上げたところでございますが、公共投資が日本の経済に重要な役割りを果たすことは当然でございますが、従来から先進欧米諸国に比べましてなおおくれている社会資本を計画的に整備を進めまして、来たるべき二十一世紀に備えておく必要があるということで、この数年来、私どもといたしましては、特段の力を入れまして、この点の御理解を国民各層の方々にも得られるように努力してまいったわけでございます。いろいろな資料等も作成いたしてきておりますが、たとえば、ただいまちょっと手元に持っておりますこういったような、日本経済の再活性化のためにとか、あるいはまた公共事業の乗数効果は低下していないとかいったような各種の資料等も、勉強の成果をまとめましてお配りをいたし、御理解を求めてきておるところでございます。  なお、先ほど先生から御指摘ありました、理論づけはやっておるかということでございますが、そういったような勉強の過程を通じまして、端的に言いますと、いま申しましたような、国際比較から見て非常におくれている。また国民のニーズが非常に強い。高齢化社会に対応しなければいけない。都市化が進む。この都市化の時代にどのように対応するか。また経済面では、内需中心の安定成長のためにはぜひとも必要である。あるいはまた景気浮揚効果につきましては、ほかの政策手段に比べて最も効果が高い。それからまたこれらの財源は一般の経費がいわば赤字国債を発行することによって賄うのに対しまして、制度的に根本的に異なっております建設国債によってこれを賄う等々幾つかの論点を指摘しまして、大蔵財政当局とも折衝してきたところでございますが、御案内のように、一般的な経費につきましてはマイナスシーリング、防衛その他国債費あるいは社会保障関係の義務的経費でどうしても突出するものだけ一定の枠を示しましてプラスでございますが、その他の一般経費はマイナスシーリングという中であったわけですが、公共投資につきましては、こういう事情でございますので、ゼロシーリングということで、いわば中立的な予算ということになったことともに、それだけではまだまだ不十分だということで、何とかして実質的な事業量を確保するために財政投融資を活用するということによって対応いたしておるわけでございます。  特に、建設省関係事業につきましては、道路関係あるいは住宅関係等を中心にいたしまして、財政投融資の総額は五%の増を図っておるというようなところで、厳しい財政事情の中でもいろいろな手だてを講じて、本年度の、今後の経済運営に少しでもお役に立つようにというふうに考えてきておるところでございます。  それからまた、今年度は、いまも申しましたように、公共投資そのものはゼロシーリングでありましたが、たとえば第九次の道路整備五カ年計画であるとか、あるいはまた急傾斜地の崩壊対策事業の五カ年計画であるとか、その他今後の施策を進めてまいります上で、特にこの点だけはどうしても重点を置いてやっていきたいという点につきましては幾つか新しい方向も打ち出されましたので、こういったような仕事をより充実強化していく中で、私たちの目標を少しでも達成に近づけていきたいというふうに考えているところでございます。
  68. 小野信一

    ○小野委員 与えられた公共投資関連予算ゼロシーリングの中で予算を執行するということになりますと、所信表明の中でも書いてありますように、当然、効率的、重点的に行う。私は私なりに、この効率的、重点的というのはどういうことなのかなあと思って考えてみますと、一つはやはり緊急度があるだろう。二つ目には所得格差、低いところに投資を行うという必要があるだろう。それから社会格差解消のための予算。     〔竹中委員長代理退席、委員長着席〕 それから先ほど局長が言っておるように、長期的展望に立って、社会の産業構造なりその他の社会の変化に対応するために先乗りするという形の予算になるだろう。それからGNPへの寄与度がやはり考えられるだろう。もう一つ地域住民に直結しておるのは地方自治体でありますから、地方自治体から予算要求されるその予算との乖離。予算需要度が大きいものほどやはり効率的にあるいは重点的に配分しなければならない一つの大きな項目じゃないだろうか。前に挙げた五つの項目は、多分に主観的なものになっている。予算を配分する建設省の皆さんの主観が大きく左右する問題だ。この地方自治体からの予算要求、予算に対する需要度というものは、それとは違ってある程度客観性を持ち得るのじゃないだろうか。そう考えるのですけれども、その地方自治体からの予算要求、需要度というものは、建設省の中でどういうものに対して最も高かったのか、その辺の資料がもしありましたら、なければ頭の中に残っておる部分でよろしゅうございますから説明願いたいと思います。
  69. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいま先生からいろいろな御指摘がありました効率的、重点的な事業の執行ということにつきまして、緊急度等重点的な選択の優先度というお話があったわけでございますが、そういうような点につきましては、基本的に、緊急度の高いもの、またその高いものの中にいろいろと地域格差の問題もありますし、あるいはまた日常生活の中における安全度の問題といったようなことがあろうかと思いますし、また具体的に事業を実施していきます場合に、その費用効果といいますか、効果がなるべく早期に発揮できるといったようなものもそのときどきの情勢によっては選択していくということがあろうかと思うわけでございます。そしてこれらが国民各層のやはり大きな意見となって出てくる中の一つの取り上げ方といたしましては、その事業を直接地元において実施しております都道府県あるいは市町村等の公共団体の役割りというものもきわめて大きいものがございます。私どもも、やはりそういったようなものを地域住民全体の強いニーズのあらわれとして取り上げるということにもいたしております。ただ、いま御指摘のように、それがどのような選択の方法で具体的にやってきたか、項目によりますところのいろいろな分析をしろということでございますが、これは私ちょっと手元に持ち合わせておりませんので、なお後ほど資料等整えるだけ整えまして提出させていただきたいと思っておるところでございます。
  70. 小野信一

    ○小野委員 地方自治体からの予算要求、各項目、大ざっぱでよろしゅうございますから、資料が整ったときに私のところへ届けていただきたいと思います。  私は建設委員ですから、各歳出項目すべてゼロシーリングになった場合に、公共投資関係予算が、緊急度、必要度あるいはその実態において、他の省庁の予算と比較して冷遇されていないだろうかという心配を実感として持つわけです。前年度ゼロシーリングと言われても、向こうの省庁は向こうの省庁なりにそういう感じを持つのでしょうけれども建設委員とすれば、やはり公共投資がゼロシーリングになった場合に、その緊急度あるいは貢献度から言ってもう少し高く評価されてもいいのじゃないか、こういう感じを持つし、もし他の歳出項目と比較して冷遇されておるという感じを持つならば、私はやはり大臣を先頭にして大蔵省にかなり強く要求しなければならないという感じを持っているのですけれども、各主要歳出項目と比較して公共投資関係予算は少なくとも平等に取り扱われるという感じをお持ちになりますか。
  71. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 公共事業関係経費につきましては、先ほどお答え申し上げたところでございますが、特別な突出する項目を除きまして、一般行政経費につきましては、対前年度マイナスとなっており、そういったマイナスシーリングという中で予算編成が行われたわけでございますが、公共事業費につきましては、いわば中間的なゼロシーリングといいますか、前年同額というふうになりましたこと、それからその部分の国費の十分に配慮できなかった面を財政投融資の活用によってカバーしたこと、それからまた道路等の五カ年計画の策定を初めといたしまして、治水対策あるいは住宅対策等につきまして、その施策の充実が図られたこと等々を総合的に勘案いたしますと、やはり公共投資についてはそれなりの配慮がなされており、私どもとしては、現時点におきましては、ほかの経費との関係におきましては、国としてもこれを重視しておるというふうに見ていいのではなかろうかというふうに考えているところでございます。もちろん十分とは言えないわけではございますが。
  72. 小野信一

    ○小野委員 私の心配するのは、公共投資関係予算が五十五年からですか、四年間も据え置かれておる。他の歳出項目は去年からですか。ですから、他の歳出項目の倍の長期にわたって据え置かれているわけですから、当然冷遇されているのじゃないか、こういう感じを持っておる次第です。特に歳出の主要経費別内訳を見ますと、たとえば社会保障関係費は五百四十九億の増で伸び率〇・六。文教、科学振興費はマイナス四百五十一億でマイナス〇・九の伸び。一番減少しているのは地方財政関係費、一兆九千六百三十六億、二〇・四%。ふえておるのが経済協力費の三百三十一億増の七%、エネルギー対策費、六・一%、三百四十五億円の増。こういうふうに予算にかなりアンバランスがあるものですから、ゼロシーリングというのは、特に公共投資関係予算で冷遇されておるのじゃないのか、そういう感じを持って大臣が悶々としているのじゃないかと思いまして質問した次第です。大臣、どうですか。
  73. 内海英男

    内海国務大臣 大変御激励を賜った御発言で、ありがたく受けとめております。
  74. 小野信一

    ○小野委員 これも官房長にお伺いしますけれども、五十五年度から五十八年度までの四年間のゼロシーリングというものが、たとえば各五カ年計画住宅、治水、都市公園、下水道、海岸、交通安全施策、急傾斜地崩壊対策事業、これらの五カ年計画にどんな影響を与えるか。早まるはずはないのですから、必ず遅くなるわけですから、全体として何割ぐらいのおくれとなるか。
  75. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 御指摘のように、この数年間におきますところのゼロシーリングというようなことによりまして、建設省所管の各五カ年計画につきましても、残念ながら若干のおくれを生じていることは事実でございます。  ただ、そうは申しましても、たとえば第八次道路整備五カ年計画を見ますと、これは五十七年度で終わったわけでございますが、これは地方単独事業等の伸びあるいは財政投融資等によりますところの事業量の確保等がありまして、これは事業の進捗度といたしますれば一〇〇%を超えているというような状況にはございます。  しかしながら、都市公園あるいは下水道あるいは海岸、治水等々の各事業について見ますと、たとえば都市公園につきまして、五十八年度の現在お願いしております予算のところまでで見まして、五十八年度末で、予備費等の調整費を抜きまして、進捗率は四四・六%というふうになっております。これがもし仮に計画策定初年度の五十六年度から等率で、一定の率でずっと進んでいくといたしますならば、これは仮の計算ですが、五四%程度になっているべきであります。そう考えますと、その差はやはり一〇%程度ある。これは計画の年数によりまして、ちょうどこの都市公園が五十六年度から六十年度まででありますので、三カ年分の累積の進捗率を見た場合こういうようなことでございますが、他の各種の事業につきましても、ほぼ同程度のおくれというふうになっているのが実情でございます。
  76. 小野信一

    ○小野委員 大臣、公共投資関係予算のゼロシーリングによって各五カ年計画は一〇%以上のおくれを来たすだろう、こういう局長の答弁ですけれども、これに対する対策として、大臣は、各省庁、局長にどういう対策を立てろという指令ですか相談ですか、それに対する対処の仕方はどうお考えになりますか。
  77. 内海英男

    内海国務大臣 国際的な不況の中で、わが国だけ財政立て直しという課題は非常にむずかしい課題だと思いますが、財政再建、行政改革という大きな政治課題と取り組みながらやっておる現在の政府の施策でございます。したがいまして、世界的な景気の回復が兆しを見せ始めておるというような状況も耳にいたしておりますので、そういった動きが軌道に乗ってまいりますれば、また施策の方向も新しい観点から再検討しなければならぬという時期も来るのではないか。それまではがまんするところはがまんして、じっとがまんで、その範囲内で全力を挙げて最大限の努力をしなければならぬ、こう思っておるわけでございます。
  78. 小野信一

    ○小野委員 大蔵の財政運営の中期見通しを見ますと、五十八年度で必要償還額五兆二千四百億、それから年々ふえてきまして、最もふえるのが六十七年の二十兆三千四百億。七十一年に十六兆円になります。したがって、五十五年度の財政と七十一年度の財政を比較してみましても、五十五年度のゼロシーリングにしたときよりも十何年後の七十一年度の財政の方がまだ悪い。そうしますと、ゼロシーリングというのは、今後五年や十年じゃなくて、十五年も二十年も続くのじゃないかという心配を持ちます。したがって、そうなった場合の経済に対する影響というものは非常に大きいのじゃないかということを心配しますし、建設省大臣を先頭にしてゼロシーリングの天井を破るための理論づけといますか、どういう条件ができたときには公共関係予算はゼロシーリングを外すかという、こういうするどい追及を大蔵にしていかなければならないだろうと思うのです。いま官房は、ゼロシーリングが外されるためには、どういう条件に国の財政がなったとき外させる、そういう要求をするという考え方をお持ちになりますか。
  79. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 この点につきましては、国の財政全体の問題にもなりますので、私どもの立場だけで云々するわけにはいかない点も多々ございますが、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、公共投資は将来に資産を残すものである。したがいまして、同じ国債を発行するにつきましても、いわゆる赤字国債とはその根拠を異にしております。したがいまして、一定の範囲内におきましては、建設国債の発行は当然許されるし、また特定財源あるいは一般財源の中で余裕があれば、それも投入して計画的な社会資本の整備を図るということを基本に考えているわけでございます。  したがいまして、財政当局に対しましては、国の財政構造の改善を図る中で赤字国債というものはなるべく早く解消していただきたい。しかしながら、そういう中で若干でもゆとりが出るならば、それを公共投資に回していただくようにすると同時に、いま申しましたような建設国債の計画的な発行とあわせまして、公共投資の確保を図るということでいろいろな理論武装もしておりますが、今後ともなお一層の理論武装をいたしまして、各位に御理解を賜るように努力してまいるつもりでございます。
  80. 小野信一

    ○小野委員 ゼロシーリングの天井を破るためには、少なくともゼロシーリングになった五十五年の財政状況よりはよくならないとゼロシーリングの壁はなかなか破れないのじゃないだろうか。恐らく大蔵のあるいは国の方針の言うままに動かざるを得ないように追い込まれているのじゃないか、私どもはそういう感じがするわけです。  そこで、それを破るためには、やはり公共関係予算の経済に対する影響、国民生活に対する影響をきちっと分析して、それをぶつける以外に方法はないのだろうと思うのです。そうなりますと、国家財政がたとえ七十一年に十六兆円の金を元利償還をしなければならないとしたとしても、それ以上に必要なのだということも理論づけする必要がある。そういうことをきちっと官房長が考えまして、そういう条件に来たならば、私たちは公共投資ゼロシーリングをやめてくださいと言って大蔵に突きつけます。その条件を私ども説明してほしいということなんですが、いかがです。
  81. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 御指摘のように、私どもなお一層の努力をいたしまして、与えられたいろいろ制約条件はございますが、その中で公共事業のあるべき方向といったものも明らかにしてまいりたいと思っております。  経済の運営あるいは年度間におきますところの財政の執行等につきましては、その都度その都度の状況によります変化の対応ということもございますので、確かに五十八年度の予算につきましては、前年度当初と同額になっておりますが、先ほども大臣からお答え申し上げましたが、五十七年度におきましては、総合経済対策の中におきまして総額二兆円強の公共投資といったようなものも追加で実施するといったような国の施策をとったこともございますので、今後ともいろいろな場合に適切に対応できるように努力を怠らずに続けてまいりたいと考えております。
  82. 小野信一

    ○小野委員 たとえば公共投資の前倒しあるいは公共投資の予算を補正するというような形を、私は大蔵省なり経企庁が景気回復のために建設省予算をふやしたということは聞きますけれども、不景気であるから公共関係予算をふやせと言って建設省から大蔵省に要求したという話は余り聞いたことがないのです。したがって、建設省日本の経済を考え景気を考えて、公共関係予算をふやすべきだということを経企庁なり大蔵省よりも早くすべきじゃないだろうか、そういう感じもするのです。逆に景気対策というものは、建設省主体的に取り組む責任範囲にあるのだろうか、ないのだろうか。景気対策は、大蔵なり経企が公共関係予算をこれだけふやせば、これだけ景気が回復するから公共投資を行う、予算をつける、そういう形で行われておる傾向を強く感ずるのですけれども建設省というのは主体的に景気対策に取り組むだけの責任分担はあるのですか、ないのですか、大臣
  83. 内海英男

    内海国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、本年度の予算編成に当たりましては、最初から特定のものを除き一切聖域を設けないというような大原則をかぶせられておりました関係もありまして、建設省としましては、御指摘のように、公共事業を大幅に推進することによって内需の拡大、景気の回復、雇用の安定につながるものであるということは再三にわたって関係方面にも述べておるわけであります。しかしながら、財政状況の厳しい中で財政再建という大きな旗印のもとで、しかも聖域を設けないというふうにぴたっと大前提を決められておりますと、反乱軍みたいなかっこうではなかなかできにくい。最大限の努力をして、言うなれば大蔵当局の方も財政当局の方も、公共事業については、先生御指摘のような御理解もある程度はされておるのではないか。ただ、全般的に公共事業といえども聖域は設けないのだということの前提があるものですから、政策的に道路整備五カ年計画であるとかあるいは急傾斜地崩壊対策事業であるとか、そういう新規の施策につきましては相当理解のあることもやっていただきましたし、住宅建設に当たっての取得控除の問題とか税制面でも考えよう、こういうような理解あることとあわせまして、さらに聖域を突破しろという御激励は大変ありがたいのでございますけれども、諸般の事情を勘案いたしますとまあまあというところで妥協せざるを得ないというのが現状でございます。
  84. 小野信一

    ○小野委員 最後に、建設大臣に与えられた最大の任務は公共投資関係予算のゼロシーリングの天井を破ることだと私は強く大臣にお願いして質問を終わります。      ────◇─────
  85. 松永光

    松永委員長 次に、内閣提出道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますのでこれを許します。東家嘉幸君。
  86. 東家嘉幸

    ○東家委員 昼食も食べずに続いての御質問でお疲れでございましょうけれども、質問をさせていただきます。  第九次の道路整備五カ年計画の基本方針というものがありますが、それについて大臣の所信をお聞かせ願いたいと思います。
  87. 内海英男

    内海国務大臣 第九次道路整備五カ年計画につきましては、二十一世紀初頭を目指す道路整備の長期的計画に基づき、最近のわが国の経済社会情勢の変化と国民の道路に対する新たな要請を踏まえ、三十八兆二千億円の投資規模により緊急に整備すべき事業を推進してまいる考え方でございます。  その際、地震、豪雨、豪雪などの災害に強い道路整備及び歩行者、自転車利用者の安全で快適な通行の確保、地方定住を促進するための効率的な地域道路網の整備、豊かで住みよい環境の形成を目指すバイパス、都市道路整備、国の長期的繁栄を支えるための高規格な幹線道路整備、さらに道路の保全と効率的運用のための維持管理の充実、こういった面で道路整備の緊急課題に特に重点を置いて施策を強力に推進してまいる考え方でございます。
  88. 東家嘉幸

    ○東家委員 わが国道路整備は、昭和二十九年に策定されました第一次道路整備五カ年計画以来、道路の特定財源制度と有料道路制度を二本の柱として推進されてこられました。その整備水準は、当時に比べれば大幅に改善されたということはもう事実でございます。  しかしながら、都市交通渋滞または地方の道路の劣悪さ等に見られるように、道路現状は決してまだ満足に至ってはおりません。特に、諸外国に比較した場合に、まだまだ立ちおくれております。そのためには、今後とも道路特定財源制度等を堅持し、道路整備を推進する必要があると考えますが、第九次道路整備五カ年計画の財源対策についてどのように大臣はお考えでございますか。
  89. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、わが国道路整備は、特定財源制度と有料道路制度を二本の柱として推進され、その整備水準はかなり向上してまいりましたものの、ようやく目標のおおむね二分の一程度、先進諸国に比べてもおおむね二分の一程度でございますが、そういう段階でございます。今後とも両制度を活用し、計画的に道路整備を推進してまいりたいと考えております。  第九次道路整備五カ年計画におきましても、その円滑な遂行のためには、道路財源の確保が重要な課題でございます。このため、同計画実施に必要な財源の相当部分を、従来の方針どおり道路特定財源により確保してまいりたいと考えております。
  90. 東家嘉幸

    ○東家委員 過疎化現象というものは、いまなおなかなか改善できない状況にあるわけでございますが、その過疎化現象を定住化させるための生産基盤整備というものが必要ではないかとかねがね思っておりますが、そのことについてどのようにお考えかということについてお尋ねしたいと思います。
  91. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 地方を振興するとともに、大都市への人口と産業の過度の集中を抑制し、地方定住を進めていくためには、地方における就業機会を創出し、日常の生活行動圏における医療、教育、文化施設等を充実させ、定住を可能にする生活関連施設整備する必要があると考えております。  したがって「地域道路網の整備に当たりましては、文化、教育、医療、娯楽施設等へのアクセスを容易にし、地域の生産活動を支え、雇用の機会を確保するなど、生産、生活の両面における多様なニーズにこたえるために、地先道路から地方中核都市への連絡道路に至る各種の道路が効率的に機能できるよう、体系的なネットワークを形成する必要があると考えております。  このような観点から、第九次道路整備五カ年計画におきましては、第八次五カ年計画に引き続き、生活幹線バス路線を中心とするバス路線整備、公共公益施設へのアクセス道路整備住宅宅地開発関連道路整備、木橋、もぐり橋、老朽橋のかけかえ等を実施し、効率的な地域道路網の形成を図り、地域産業の振興、住民の生活水準の向上を図って、地方定住の推進に資してまいりたいと考えております。
  92. 東家嘉幸

    ○東家委員 まさしく、地方生活基盤としての市町村道の重要性というものを痛感するわけでございます。にもかかわらず、市町村道の整備というものは大変おくれております。地域住民の市町村道整備に対する要望は大変高いのです。その地域生活基盤となる市町村道の整備について、どのように考えておられるかということです。
  93. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 市町村道は、日常生活を支える上できわめて重要な施設でありますが、その整備状況は、昭和五十七年度末見込みで延長約九十五万キロ、その改良率が二九%、舗装率が四五%と立ちおくれております。  このうち幹線市町村道約二十万キロメートルは、国道などの全国的な幹線道路網と一体となって地方の幹線ネットワークを形成し、市町村役場、学校、病院などの公共公益施設と主要な集落などを相互に連絡するものであり、重点的にその整備を推進していく必要があると考えております。  したがって、第九次五カ年計画では、防災、震災対策のための道路整備交通安全対策のための道路整備、バス路線の整備、木橋、老朽橋の解消、住宅やダムに関連する道路整備などに重点を置き、奥地等産業開発道路、山村振興道路、過疎地域振興道路及び特別豪雪対策道路等整備について配慮しつつ、整備を進めてまいりたいと考えております。  また、地域の特性や発展の方向を踏まえ、効率的に市町村道整備を進めるため、新たに、街づくり市町村道整備モデル事業を行うことといたしております。  市町村道は、国庫補助事業と地方単独事業等によって整備を進めておりますが、そのうち国庫補助事業は、幹線市町村道を対象として、市町村にとって単独で整備を進めることが困難な大規模な事業に重点を置いております。昭和五十七年度における市町村道国庫補助事業一カ所当たりの事業費規模は約三千七百万円で、地方単独事業の七百万円に比べ約五倍となっております。  また、地方の幹線ネットワークを形成する幹線市町村道については、全国的な観点に立った整備が必要であり、さらに地域間の整備水準のアンバランスを生じないためにも、今後とも地方公共団体と一体となって国庫補助事業と地方単独事業の整合性を図りながら、市町村道の整備を推進してまいりたいと考えております。
  94. 東家嘉幸

    ○東家委員 地域の特性、発展の方向を踏まえ、効率的に市町村道の整備を進めるべきである。そのためには総合的な道路計画が必要ですが、街づくり市町村道の整備モデル事業ということについて、どのように考えておられるのかということです。
  95. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 市町村は、地域産業の振興、医療の充実、学校の統廃合など多くの地域課題を抱えております。これらの課題を解決し、地方定住を推進するために、市町村道の果たす役割りは大変大きいものでありますが、その整備状況は、先ほど御説明申し上げましたとおり、昭和五十七年度末見込みで改良率が二九%とまだ低い水準にあります。  市町村の道路網の整備は、国庫補助事業、地方単独事業で行う市町村道整備事業によるほか、農道、林道等の各種道路事業等によっても進められていることから、市町村の道路整備を一層効率的にかつ合目的的に推進するため、地域の特性や発展の方向を踏まえつつ、一元的かつ総合的な道路計画を策定し、これに基づいて事業を行う必要があると考えております。  そのため、地域産業の振興等特定の地域課題を抱える市町村をモデルとして選定し、当該市町村は都道府県の指導のもとに地域計画等と整合した市町村の道路計画を策定し、このうち重要な市町村道については、街づくり市町村道整備モデル事業として国庫補助事業により重点的に整備を実施したいと考えております。  これらにより各種道路との協議調整を円滑化するとともに、地方単独事業計画的に誘導することにより、市町村の道路網の効率的な整備を図り、あわせて市町村の行財政の一層の効率化に資することができるものと考えております。
  96. 東家嘉幸

    ○東家委員 地方では、鉄道のないところではどうしてもバスに頼らざるを得ない。そのバス路線についても、いま大変不便を感じておられる地方が多いわけでございますが、そのバス路線対策についてどのように考えておられるか。
  97. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 バスは旅客輸送の効率化に資する公共輸送機関であり、また鉄道のサービスが十分に及ばない地域におきましては、主要なあるいは唯一の公共輸送機関として重要な役割りを担っております。  第九次道路整備五カ年計画におきましても、公共輸送機関としてのバスの重要性にかんがみ、地方部におきましては、主としてバスのすれ違えない区間の解消、落石等危険個所の解消に、また都市部におきましては、主としてバスの定時性の確保、乗客の乗り継ぎの効率化に重点を置いて積極的に事業を推進することといたしております。
  98. 東家嘉幸

    ○東家委員 いまお答えがございましたが、確かにバスの路線の中においては、落石の問題であるとか、またはバスとの乗り継ぎの問題、自転車置き場の問題であるとかというような住民サイドに立って考えてやらなければならない問題がまだまだたくさんあると思います。  特にまた、私は熊本でございますけれども、先般大きい事故等を調べてみますと、奥地の道路網の整備不備のために大事故が起きているということで、大事故はほとんど奥地で起きているというような現状であるわけでございます。そうした事故防止対策においても、バス路線等についてはもう一歩前進した考え方を持っていただきたいと思うわけです。
  99. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 地方部におきましては、バスが唯一の公共輸送機関であることが多く、定住基盤の一環として、バス路線に係る道路整備が強く要請されておりますことはいま先生が御指摘のとおりであると思います。  しかし、地方部のバス路線につきましては、狭隘区間等バスのすれ違いが困難である区間や落石等の危険個所が多く残されており、バスの安全かつ円滑な運行に支障を来している現状にあります。  このため、熊本県芦北地方や球磨地方など、バスが主要な公共輸送機関である地方都市及びその周辺部を対象といたしまして、全国二百十一圏域において実施しております生活幹線バス路線整備事業を中心に強力に事業を推進してまいりたいと考えております。  その事業内容は、狭隘区間の拡幅等の改築事業を推進すること、当面改築に着手できない区間における待避所の設置、視距改良等の応急対策を実施すること、落石等危険個所については重点的にその対策を進めること、バス停車所、自転車駐車場等の整備により結節機能を強化すること、積雪地域におきましては、除雪事業の充実により、通年運行区間の延伸を図ることなどであります。  これらにより、バスの安全かつ円滑な運行の確保やバス利用の利便の増進を図ってまいりたいと考えております。
  100. 東家嘉幸

    ○東家委員 今度は大臣にお尋ねしたいのですが、全国の七割にも及ぶ未開発地があるわけでございます。その未開発地域には豊富な資源が潜在いたしております。その資源を開発し、あわせて関連産業の振興、適地産業立地を促して地域経済の発展を図るためにはどうしても道路整備は不可欠であるわけでございます。特に昭和四十年より五次にわたる奥産道路整備五カ年計画を策定し、これら地域道路整備に努めてまいられましたが、第六次奥産道路整備五カ年計画についての概要について、大臣の考え方をお尋ねしたい。
  101. 内海英男

    内海国務大臣 奥地等産業開発道路整備事業は、交通条件がきわめて悪く、産業開発が十分に行われていない山間、奥地等の地域における産業の総合的な開発の基盤となる道路整備を行うものでございます。  この事業は、昭和三十九年に制定された奥地等産業開発道路整備臨時措置法に基づき昭和四十年度より進められまして、第五次奥地等産業開発道路整備計画まで事業規模を徐々に拡大しつつ実施し、その推進に努めてきたところでございますが、まだ未整備道路も多いため、新たに昭和五十八年度を初年度とする第六次奥地等産業開発道路整備計画を策定し、引き続き整備を進める必要がございます。  この計画の策定に当たりましては、最近の社会及び交通条件の変化に応じ、奥地等の地域及び奥地等産業開発道路の指定を行い、事業の実施に当たりましては、開発効果が著しい路線を中心に整備を進めてまいりたいと思っております。  また、指定地域並びに指定路線等の決定に当たりましては、今後関係省庁との十分な協議を行いまして、建設省といたしましては、指定路線として約三千四百キロメートルを予定いたしておりまして、そのうちからおおむね六百キロメートルの整備計画しております。
  102. 東家嘉幸

    ○東家委員 奥地等の地域については、法令の趣旨に基づき、社会、交通条件の変化に応じて見直す必要があると思うのですが、従来より所要の水準まで整備が進んだ路線を指定解除して、未指定路線のうち産業開発のために総合的効果が著しいものを指定路線に追加しておられるようでございますが、これまでの一次から五次の奥産道路整備五カ年計画の策定に伴い、指定地域及び路線の見直しとともに、第六次奥産道路五カ年計画における地域及び道路の選定方針はどのように考えておられるか。特に林産業地域についてはどのように今後配慮していこうというお考えなのか、お尋ねいたします。
  103. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 第六次奥地等産業開発道路整備計画の策定に当たりましては、最近の社会及び交通条件の変化に応じ、奥地等の地域及び指定路線の見直しを行うことといたしております。  地域につきましては、交通条件がきわめて悪く、産業開発が十分に行われていない山間地、奥地その他のへんぴな地域で政令で定める基準に該当する地域。指定路線につきましては、森林資源、観光等開発の対象となる地域と主要な道路とを連絡する地方的な幹線道路のうち、開発効果が特に著しい路線を選定することにいたしております。  この法律で振興の対象といたしております産業は、林業、農業、水産業、鉱業、観光等でございますが、特に林業は、奥地地域における主要な資源でありますため、選定に当たりましては、森林資源の開発にかかわる路線を優先的に指定することといたしております。  なお、今回の指定予定地域のうち、森林資源を有するものが熊本県の清和村など指定予定市町村の約八〇%を占めております。
  104. 東家嘉幸

    ○東家委員 奥地地域における資源の重要なものとして、いま森林資源がある、それに畜産をまた加えていただきたいと思いますが、森林資源の開発のために道路整備が要請されている今日、奥産道路整備において既存の林道あるいは林道計画との整合、それとともに、特に建設省の方にこれは私の要望として聞いていただきたいことは、いま大規模林道ということで、たとえば九州の場合は、尾根をドーナツ状に大規模林道を進めております。そこにスーパー林道というものをいま振興しているわけでございますが、そうしたスーパー林道と大規模林道と町村道における補助事業ということの関連の位置づけということは大変重要なことだと思うのです。そのためには、やはりどうしても農林省、林野庁等と話し合いの上に、そしてお互いにどのように協調して取り組んでいくかということが最も必要だと思うわけでございます。  これは大臣にお答えできるかどうか知りませんけれども、かねがね私は思っておったのでございますけれども、水資源ということにつきましては、町の人たちは水のありがたさというものの感じが非常に少ないと私は思うわけです。特に福岡みたいにああいう水の大変な事情のところは肌で感じておられますけれども、しかし大都会の皆さん方に、そうした水資源を今日まで営々として森林が涵養してきた。そこらあたりのことについて、もう少し議員の皆さん方も都会の皆さん方もあわせて治山治水ということに力点を置いていただきたい。またそうした水資源を今後涵養していくことについては、どうしても育林事業ということが重要なかなめとなっていくわけでございますけれども、戦後一千万ヘクタールも植林をした。しかし今日道路網の整備ということもあわせ間伐事業が遅々として進まないということになりますと、森林資源というものが、特に病虫害等によって大変な痛手を受けるということにでもなりますと、このダム事業ということ一つを取り上げてみましても、やはり育林事業というものが今後とも推移していきませんと、ダムは埋まってしまうというようなことにもなるわけです。そこらあたりを考えるときに、ではそうした林道網の整備、それと関連する市町村道路、またさらにその国道と結ぶ線、そういう総体的に考えた場合に、特に林道網の整備とあわせてこれから推進するということになるとなれば、財源的に大変——先ほども御質問の中にありましたように、このゼロシーリングの厳しい状況のときでございますから、私は受益者負担の原理からしまして、水に対する少々の税金ぐらいはいただくということをお考えになることが必要じゃないだろうかと思うわけでございます。そこらあたりでどのように——これは大臣、答えられますかな。しかし、そこらあたりを念頭に置いて、今後財源が不足なら不足のようにひとつ整備推進を図っていただきたいとお願いするわけでございます。
  105. 内海英男

    内海国務大臣 大変貴重な御体験から来る御意見として承っておきます。その御趣旨に沿うように、今後関係省庁とも連絡をとりまして、十分対応をしてまいりたいと考えておるわけでございます。  ただ、税金を取る問題につきましては、私の方の関係ではございませんので、承っておくことにいたします。
  106. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 林道との調整をとりつつ道路整備を進めてはということについてお答えさせていただきたいと思います。  奥地等産業開発道路は、奥地等における産業の総合的な開発に資するための道路であり、関連施設との整合のとれた整備が必要であります。今回の指定予定地域には森林資源が豊富に存し、かつその開発が十分に行われていない地域が多いため、林業施設、特に林道事業との整合を図りながら指定路線を選定し、森林資源の開発に寄与し得るよう配慮してまいりたいと考えております。この場合、奥産道路事業の実施に当たりましては、林道事業の進捗状況を勘案しつつ林道事業と整合を図りながら進めてまいりたいと考えております。
  107. 東家嘉幸

    ○東家委員 官房長、ちょっとおたくに……。官房長は、住宅局長時代に木造住宅推進については新たな考え方で大変推進していただいたわけでございます。ややもすると、建設省は先般までは耐火性、耐久性というようなことに力点を置いておられたというようなことからしましても、町村あたりについての公営住宅等の補助等は耐久性、耐火性を基準に置いておられた。しかし、今日改めていただいて、木造住宅というものは非常に推進してまいったわけでございます。  先ほども申し上げますように、戦後一千万へクタールを植林をしたということになりまして、大体五十年伐期にいたしますと、一千万ヘクタールですから、二十万ヘクタールの伐採ができるわけでございます。一ヘクタールから約四百立米とれるとするならば、八千万立米の生産になるわけです。これは間伐材を入れないでですよ。国内の需要というものは約六千万立米。そうすると二千万立米は輸出をする時代が来るわけでございます。資源ナショナリズムという今日の世界的な状況からして、世界に木材を依存するということはだんだん厳しくなってくるであろう、これはもう定説でございます。そうしますと、いよいよ国産材時代が来るわけでございます。  そういう勘定からいたしますと、私ゆうべちょっと計算してみますと、一ヘクタールに約二十台のトラックが要るということになりますと、約二十万ヘクタールを伐採するということになると、四百万台のトラックで奥地から運ばれてくる。トラックの数が大変ふえてくるという観点からも、これはやはり特に奥産道の開発というものを早くやっていただかねばならない。私はそういうことを痛切に感じているわけでございます。そういう観点からも、奥産道ということについては、今後国産材時代に移行する、またそれは国民的水資源の確保のためにも、国家的課題だと私は思っているわけでございますから、そこらあたりについても、建設省が奥産道開発にどのような決意で臨んでいるかということについて、ひとつ将来を踏まえての御見解を示していただきたいと思います。
  108. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 奥地等の産業開発、特にその重要な資源である林業の振興のために、奥地等産業開発道路が非常に大きな役割り、また重要視されておるという先生の御指摘は全くそのとおりだと思いますので、私たちもこの奥産道路整備については従前以上に努力してまいりたいと考えますので、よろしくお願いいたします。
  109. 東家嘉幸

    ○東家委員 地域の振興には、地方道の整備とともに、幹線道路網としての高速道路、一般国道整備が不可欠でございます。一般国道は高速自動車道と一体となって幹線道路網を形成する重要な道路であるわけですが、そこで交通混雑により円滑な走行のできない個所がたくさんまだございます。輸送コストの上昇にはね返っている現状、幅員の十分でない区間、未改良区間が依然として多く残っておりますが、特に一般国道等の整備方針というものを聞かしていただきたいと思います。
  110. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 先生御指摘のとおり、一般国道は高速自動車国道等と一体となって国土の幹線道路網を形成するものであります。昭和五十七年度末における一般国道の整備状況は、改良済みであってかつ混雑度が一・〇未満のいわゆる交通渋滞の生じていない整備済みの区間は、全延長の約六二%であります。したがって、残りの三八%の区間につきましては、今後改築事業を必要とする状況にあります。特に幅員五・五メートル未満のいわゆるバスのすれ違えない区間は約五千キロメートルあり、また交通不能区間も約三百八十キロメートルあるといった状況にあります。  このような事情から、交通不能区間の解消、バスのすれ違えない区間の解消、交通渋滞の解消、交通安全の確保や災害に対する安全性向上等のため、一般国道の整備を求める全国からの強い要望にもこたえ、第九次五カ年計画は次のような施策を推進することといたしております。  既成市街地における交通混雑の緩和、交通安全の確保及び沿道環境の改善を図るため、バイパス、環状道路整備を進める。また全国的な国道ネットワークの強化充実を図るため、交通不能区間などの解消を目指す一次改築を推進するとともに、交通需要の大きい区間の四車線整備事業を推進する。災害に強い道づくりを目指しまして、昭和五十五年度防災点検に基づく危険個所約一万一千六百カ所及び昭和五十四年度震災点検に基づき対策を必要とする約四千二百カ所につきまして、その対策事業を進めてまいりたい。その他、交通安全対策のための歩道などの整備及び環境改善のための事業を実施してまいりたい。さらに、道路資産の保全と安全で円滑な道路交通を確保するため、舗装や橋梁の維持補修等を重点に、維持管理水準の向上を図るとともに、道路の掘り返し防止のための共同溝整備等を進めてまいりたいと考えております。
  111. 東家嘉幸

    ○東家委員 バイパスと環状道路整備を望む声が非常に強いわけです。整備現状と新道路五カ年計画整備方針及び計画達成後の整備見込みについてお尋ねしたい。
  112. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 幹線道路のバイパス、環状道路が必要とされる都市は、全国で約六百三十都市ありまして、昭和五十七年度末でおおむね完成しているのが六十カ所、一部供用しているのが二百三十カ所でございます。  都市内における交通渋滞の解消、交通安全の確保、沿道環境の改善及び災害に対する安全性向上等観点から、バイパス、環状道路整備に対する強い要望が全国各地にありまして、第九次五カ年計画ではバイパス、環状道路整備を強力に推進することといたしております。  今後、関係する省庁と調整を必要といたしますが、現在私たちが考えております計画案では、第九次五カ年計画内におきまして、新たにバイパス、環状道路の完成する都市は三十カ所、新たに一部供用を開始するのが四十カ所でございまして、整備できる延長が合計約千百キロメートルという計画になっております。
  113. 東家嘉幸

    ○東家委員 地元のことを余り言うと何だか我田引水みたいになってしまいますが、私が居住するところから熊本市内まで約十二キロなんです。渋滞してないときは十分から十五分で行ってしまうのです。ところが、もう朝の通勤時になりますと一時間かかってしまうのです。そういうことで早くバイパスができないものかなということを肌で感ずるわけです。そういうことからしまして、おたくは余りそこまでは御承知じゃないでしょうけれども、松橋バイパスというものをいま着工してやっておるのです。着工してからすでにもう五年ぐらいかかりますかね。この間建設省に行きましたら、あと十年はかかるでしょうなんという話なんですね。これではもうとてもじゃないが、——住民は、何をやっているんだ政治家は、ということでわれわれにはね返ってくるのですね。私のところの三号線と結ぶインターチェンジができたものですから、なおさら交通が渋滞するというようなことなんですが、そこらあたりもし御承知ならば教えていただけませんか。
  114. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 松橋バイパスは、一般国道三号の宇土市から松橋町間の交通混雑の緩和及び安全確保を図るために計画されたバイパスであります。その延長は、宇土市松原から松橋町豊福に至る六・七キロメートルであります。  当バイパスは、昭和四十七年度から直轄事業として事業に着手し、このうち国道二百十八号から松橋町豊福の区間、延長一・三キロメートルにつきましては、九州縦貫自動車道松橋インターの供用に合わせ、昭和五十三年十二月に暫定二車線で供用済みであります。  昭和五十七年度におきましては、松橋町曲野地区内におきまして、用地買収及び工事の一部を実施いたしておりますが、今後も引き続き事業を促進してまいり、部分供用を図りつつ全線供用に向けて積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  115. 東家嘉幸

    ○東家委員 質問いたしましたよしみで、どうかひとつよろしくこの場をかりてお願い申し上げます。  大臣にお尋ねをするのですが、わが国の高速道路は現在国土の背骨となる路線がほぼでき上がった状況にあるわけでございますが、欧米先進諸国に比べればまだまだ低いわけです。全体を完成させる必要が、まあ完成させたいという希望が大変多いわけです。特にまた、地方においても高速道路に対する期待は非常に大きいということから、第九次道路整備五カ年計画においての重点施策の一つである高速道路と国道の整備についての方針を聞かしていただきたいと思います。
  116. 内海英男

    内海国務大臣 御承知のように、高速自動車国道は、国土の均衡のある発展を図り、わが国産業経済及び国民生活を向上させるために不可欠な社会資本であります。昭和五十七年度末には、供用延長は三千二百三十二キロメートルに達する予定でございます。いわゆる縦貫五道が概成する見込みになっております。  第九次道路整備五カ年計画では、二十一世紀初頭までに法定予定路線七千六百キロメートルを完成させるという長期的な目標に沿って、国土の背骨となる縦貫道の未供用区間、関越、常磐、近畿、山陽などの縦貫道に準ずる各道、国土の肋骨となり地方の生活産業を支えるための基盤となる横断道等の整備計画的、効率的に推進してまいりたいと考えておる次第でございます。
  117. 東家嘉幸

    ○東家委員 また九州のことばかり聞いて恐縮でございますけれども、九州縦貫自動車道の整備が今日進んでおりますが、八代—えびの間はまだ供用していないわけです。九州の南北の軸となり、九州一体化に大きく貢献するこの区間においての整備をぜひ急いでいただきたいと思うわけです。九州縦貫道の八代—えびの間の整備の方針についてお尋ねしたい。
  118. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 九州縦貫自動車道につきましては、九州地方の南北の主軸となる重要な路線として鋭意その整備を促進しているところであります。現在までに総延長四百二十八キロメートルの七七%に相当する三百三十一キロメートルの区間を供用させていただいております。  残る区間のうち、八代—えびの間は昭和四十八年十月に整備計画が決定された区間であり、現在、八代—人吉間三十九キロメートルにつきまして用地買収及び一部工事を、また人吉—えびの間につきましては調査をそれぞれ進めております。  当区間は、地形急峻な山岳部を通過しており、難工事が予想されておりますが、今後とも鋭意その整備を推進し、八代—人吉間につきましては、第九次道路整備五カ年計画期間内に供用を図りたいと考えております。  また、残りの人吉—えびの間につきましては、最近一次改築の完了した一般国道二百二十一号がその代替機能を有しておりますので、この国道の利用状況等を見ながら、これからの整備方針を検討してまいりたいと考えております。
  119. 東家嘉幸

    ○東家委員 ありがとうございます。ひとつよろしく推進のほどをお願い申し上げます。  大臣も食事はまだでしょうし、皆さんも腹も減られたでしょうから、これで質問を最後にさせていただきますが、高速道路建設計画的に推進する必要がもちろんあるわけです。しかし、今後地形の険しい区間の建設がふえてくるでしょうし、したがって、有料道路としての採算性は私は必ずしも楽観は許さないと思うのです。そういうことからしまして、採算性の確保ということについて、どのような検討がなされているかということを最後に質問いたしまして、質問を終わらせていただきます。
  120. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 高速自動車国道につきましては、従来より採算性等に十分配慮しつつその整備を進めているところであります。昭和五十六年七月の道路審議会「高速自動車国道の整備と採算性の確保についての中間答申」の趣旨に沿いまして、一般道路との調整による効率的な事業の実施、暫定施工の採用等による建設費、維持管理費の節減、物価上昇の範囲内で適切な利用者負担を求める観点からの料金改定などの施策を講じ、現在施行命令済みの区間、延長五千四百十五キロメートルでございますが、これについての採算性を確保する見通しが得られております。  なお、五十八年度より横断道等の一部路線につきまして資金コストの引き下げの措置を講ずるなど、今後とも高速自動車国道の整備に当たりましては、採算性の確保に十分配意しつつ事業計画的、効率的に推進いたしてまいりたいと考えております。
  121. 東家嘉幸

    ○東家委員 ありがとうございました。ではこれで終わらせていただきます。
  122. 松永光

    松永委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時十五分散会