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井上(普)
委員 私もその
計画はずっと見ました。見まして、
特性があるというのはほとんど少ないのです。しかも、いま
大臣おっしゃいましたけれ
ども、第三次
総合計画ができた後に
高齢化社会が急速に進んだのじゃないのですよ。もうずっと前からなんです。それをともかく予想できなかった
役所が悪い。
それはともかくといたしまして、
高齢化が進んでいっている。しかも、あなたもおっしゃっていますが、
計画は
全国的に、
都市人口が大体
人口の七割を二十一世紀には占めてくる。これをいかにして分散さすか。
過疎過密の問題じゃないのです。均衡のある
国土の
発展を図るためにつくられたものだと私は思っております。途中で
総理大臣がかわるというと、
田園都市構想なんというくだらんことを言ってみたり、あるいは
田園都市構想は北斗七星のようなもので、それを
目標にしていくんだ、こう言ったこともあります。しかし、この
定住圏構想だの
全国第三次
構想は、
田園都市構想ということが
中心でなければならないのに、どこを見てもありはせぬのだ。大平さんが亡くなったら雲散霧消だ。
役所というのはうまいことそのときの
権力にともかくくっついていきながら、
自分らの思った官僚独自の思い上がりの
計画をいかに政治的に利用していくかの私はあらわれだろうと思うのです。
田園都市構想はどこにありますか。ここには書いてないですよ。一ところですよ。一ところしかないのです。しかし、これが
中心だったはずなんです。
まあそれはともかくといたしまして、いずれにいたしましても、画一的な
行政がこの
モデル定住圏構想においても行われておるのじゃないだろうか。そこにはいま私が
建設大臣にお尋ねいたしました
地域の
特性というものが生かされてきてない。
全国の小学校あるいは高等学校の建物を見てごらんなさいよ。全部画一的じゃないですか。建物
一つにしてもそうですよ。大体、
日本みたいに高温多湿、雨の多いところで屋根のない建物というのはあってはならないのです。屋根のない建物、上が平らなもの、水がたまる建物、幾ら
日本の建築技術が進歩したといいましても、十年すれば雨漏りするのは当然なんです。ところが、建物を全部見てごらんなさいよ。屋根はみんな升になっているじゃないですか。水はたまりほうだい。やがてこれは雨漏りがする。どこでもそうでしょう。雪が降るから雪かきをするような小学校、中学校がありますか。こういうようなところをひとつ考えていただきたいのです。これが
特性あるものでしょう。
だから、ここに「後世代に残る良好な
都市資産としての市街地の
整備を積極的に図ってまいる」とございますが、いまの
計画からいくと、建物それ
自体もパリだとかロンドンだとかああいうようなところと比べますと、建築物それ
自体が後世代に残るような資産じゃないじゃないですか。あるいはまた下水道にいたしましても、私はしょっちゅう言っているのですけれ
ども、パリの下水道にいたしましても、ジャン・バルジャンの時代からずっと残っているのですよ。ところが、
日本の下水道のあのヒュームは
一体何年耐用年数がありますか。あれから比べると非常に短い。恐らく七、八十年でしょう。こういうような点からすると、もうこういう安定的な時代に入ったのだから、あなたらのおっしゃるように、「後世代に残る良好な
都市資産」としての
考え方に切りかえていってもいいのじゃないだろうか、私はこう思うのです。
住宅一つとりましても、これはしょっちゅう私は言っておるのでございますが、いまの
住宅でございましたら、耐用年数はせいぜい一世代でございましょう。しかし、西欧諸国のは、石造というような関係もございましょうけれ
ども、大体四世代、五世代は使えるはずなんです。
日本の近時の建物でありましたならば、まあ一世代、二十五年でしょう。しかし昔の建物は、少なくとも戦前までの建物でございましたならば、田舎の建物であれば、百年、百四、五十年残る建物であったはずなんです。それがこうなってくると、ここに
日本の資産というか社会的資産、個人的資産というものが欧米から劣るゆえんもあろうかと私は思う。ここらに長期的な視野に立って物事を考える必要があるのではなかろうか。コンクリートの建物にいたしましても、昨夜でございましたか一昨夜でしたか、テレビを見ておりますと、青山通りでしたかの建って十五年の建物をぶっ壊しておる。それは
都市再
開発のためだと言っておりましたから結構なことではありますけれ
ども、これをぶっ壊しつつある。これはともかく
日本の
行政に長期的な視野がなかったゆえんではなかろうかと私は思います。
また、スクラップ・アンド・ビルドによって今日までの高度成長政策は持ちこたえてきたけれ
ども、これからはそういうような時代ではなくなってきているのだから、民族の将来ということを考え、民族の資産ということを考えるならば、
建設行政の重みは大きいものがあろうと私は思います。そういう観点に立って
建設行政を進めていただきたいと存ずるのでありますが、両
大臣の御所見をお伺いしたいのです。