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1983-03-02 第98回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月二日(水曜日)     午前十時十三分開議  出席委員    委員長 松永  光君    理事 鴨田利太郎君 理事 住  栄作君    理事 竹中 修一君 理事 村岡 兼造君    理事 小野 信一君 理事 薮仲 義彦君    理事 小沢 貞孝君       足立 篤郎君    池田 行彦君       唐沢俊二郎君    川崎 二郎君       木村 守男君    桜井  新君       東家 嘉幸君    野上  徹君       井上 普方君    久保  等君       関  晴正君    中村  茂君       瀬崎 博義君    甘利  正君  出席国務大臣         建 設 大 臣 内海 英男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 加藤 六月君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       宮繁  護君         国土庁長官官房         審議官     荒井 紀雄君         国土庁長官官房         会計課長    金湖 恒隆君         国土庁計画・調         整局長     白井 和徳君         国土庁土地局長 小笠原正男君         国土庁地方振興         局長      川俣 芳郎君         建設政務次官  中村喜四郎君         建設大臣官房長 豊蔵  一君         建設大臣官房総         務審議官    吉田 公二君         建設大臣官房会         計課長     牧野  徹君         建設省計画局長 永田 良雄君         建設省都市局長 加瀬 正蔵君         建設省河川局長 川本 正知君         建設省道路局長 沓掛 哲男君         建設省住宅局長 松谷蒼一郎君  委員外出席者         行政管理庁行政         監察局監察官  塩路 耕次君         行政管理庁行政         監察局監察官  上谷 勝徳君         厚生省環境衛生         局水道環境部計         画課長     田中 富也君         資源エネルギー         庁石油部備蓄課         長       香田 忠維君         北海道東北開発         公庫理事    阿多 忠明君         参  考  人         (住宅都市整         備公団総裁)  志村 清一君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  名本 公洲君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  救仁郷 斉君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  武田 晋治君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  田辺 昇学君         建設委員会調査         室長      升本 達夫君     ───────────── 二月二十八日  公共賃貸住宅大量建設等に関する請願木間章紹介(第一〇二四号)  同(渡部行雄紹介)(第一〇二五号)  同(渡辺三郎紹介)(第一〇二六号)  同(嶋崎譲紹介)(第一〇六六号)  同(山本政弘紹介)(第一一四〇号)  同(永井孝信紹介)(第一一七〇号)  都市計画法に基づく線引き等の改廃に関する請願愛知和男紹介)(第一〇五五号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第一〇五六号)  同(片岡清一紹介)(第一〇五七号)  同(菊池福治郎紹介)(第一〇五八号)  同(住栄作紹介)(第一〇五九号)  同(二階堂進紹介)(第一〇六〇号)  同(野上徹紹介)(第一〇六一号)  同(三塚博紹介)(第一〇六二号)  同(保岡興治紹介)(第一〇六三号)  同(山崎武三郎紹介)(第一〇六四号)  同(綿貫民輔紹介)(第一〇六五号)  同(楢橋進紹介)(第一一三九号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出第一六号)  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 松永光

    松永委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上普方君。
  3. 井上普方

    井上(普)委員 お伺いいたしたいのですが、一昨年来、臨時行政調査会というのができまして、どうも臨時行政調査会というのがあたかも枢密院のごとき存在になっている。そしてここの言うことは何でも聞かなければいかぬというような世論になってきている。まことに嘆かわしいことです。これであれば、臨調さえあれば政党もあるいは議会も要らぬのじゃないかという感すら私はいたしておるのであります。しかも、その臨調答申を金科玉条のごとく守るというのが中曽根内閣のようであります。私どもにいたしましたら、自民党もなくてもよろしい、もちろん社会党、ほかもなくてもいいんだというような感すらいたすのであります。  そこで、臨調一体建設省に対して何を要求しておるのか、この点明らかにしていただきたい。
  4. 吉田公二

    吉田(公)政府委員 具体の細かいことでございますので、私から申し上げます。  臨調行政調査会御存じのとおり一昨年発足いたしまして、第一次、第二次、第三次答申までいたしたわけでございますが、第三次の基本答申を受けまして、その後、昨年の夏から最終答申に向けて作業をいろいろやっております。その結果、昨年の暮れからことしの正月にかけまして八つ部会報告が出ております。  その八つ部会報告の中で、建設省が対象となっておりますものを順次申し上げますと、まず行政組織の問題でございますが、行政組織の問題につきましては、一つ中央の問題でございますが、これにつきましては官庁営繕の一元化という問題についての御指摘一つございます。  それから第二に、本省官房計画局の所掌について、その整序を図るべきだということが指摘されております。  そのほかの問題については、あとは出先機関でございます。建設省組織は、本省それからブロック機関地建、それから出先になるわけでございますが、出先機関につきまして、九十五の事務所、出張所について五年を目途として整理を図れということが具体に挙げてございます。  そのほか建設省の関連いたします特殊法人につきまして、道路公団及び住宅公団業務の仕方につきまして御指摘が出ているわけでございます。その道路公団につきましては、高速自動車国道についての料金の問題、それから住宅公団につきましては、住宅建設に関する地域の問題についての御指摘でございます。  そのほか、特に建設省のということではございませんが、補助金問題等につきまして、たとえば今後当分の間については、公共事業についても総額について抑制に努めろというようなことなんかが御指摘になっておるところでございます。
  5. 井上普方

    井上(普)委員 いま承りますと、臨調というのもいかにもお粗末だなという感じがいたすのであります。行政簡素化というのは、日本の明治以来の歴史を見ますと、十年ごとに戦争があった。その戦争があったたびに行政簡素化が行われてきた。行政改革が行われてきた。戦後三十八年たちますと、国民のニーズに従った行政がかなり行われてまいりました、そのときそのときに。しかしながら、不要になったところはそのままに置いておく、それで膨張していく。この傾向がなきにしもあらずで、私は、行政改革というのは、そういう意味合いにおいて、必要がなくなってきた行政それ自体あるいは法律自体、それを削っていく面が行政改革であろうと思うのであります。しかし、御存じのとおり、法律にいたしましても三百幾つかの不要な法律、全然動いていない法律、これを削ることすらできてない。まして、いわんや建設省の中においても、整理するところがなければならない。しかし考えてみますと、役人というのは、パーキンソンの法則ではありませんけれども、一たん権力を握り仕事をやろうとすると、どんどんと人数をふやしていく、機構をふやしていく、これはもう明らかなところであります。  そこで大臣に、大臣はこれは知らぬだろうからちょっとお伺いするのだが、私が代議士に出ましたのが昭和四十二年だ。四十二年から今日まで建設省は、あるいは局あるいは課、それが一体どれくらいふえているのか、その点お伺いしたいのです。――わからなければいいや。直ちに御答弁できないかもしらぬ。後で結構です。しかしながら、やはりふえてきている。その後、私らが見ましても不要なものがたくさん出てきた。それと同時に、行政改革というのは、あくまでも地方に対して権限を付与し、中央の行財政の配分を行わなければならない、こういうことが中心でなければならないと思うのです。しかしながら、地方政治に対する、地方自治に対する中央不信感というのは、ここらの役人どもの頭の中にはぬぐいがたいものがある。でございますから、ともかく地方補助金を渡して、一面、これは政党の勢力の伸長のためにも使ったのでございましょう。補助金ぼんぼん量において数においてふくらんできたことも御承知のとおりであります。  でございますので、私は一例として申し上げるのだが、市町村道補助というのは昭和四十三年に始まった。生活道路必要性というようなことをやかましく言いました。しかし、この市町村道補助金なんかは、地元に還元さして、中央がつばをつけ、あるいはこれを指導するということではなくて、自治体が自由自在に使えるようにする必要があるのではないかと思うのですが、いかがでございます、大臣
  6. 内海英男

    内海国務大臣 井上先生建設行政に対する博識を承りまして、私も大変敬意を表しておるものでございますが、私といたしましては、地方市町村道、これもいずれ国道県道といった道路とつながっていって初めて一貫性をなすものでございますから、市町村道だけを切り離して考えるという考え方も成り立つこともあるかと思いますが、全体的な道路計画として、国全体として考えていかなければならぬというたてまえで現在のような制度がとられておるもの、こう思っておるわけでございます。
  7. 井上普方

    井上(普)委員 市町村道というのは生活道路なんです。県道とか国道というのは、都市間の連絡であるとか他県との連絡というようなことになっているはずです。市町村道というのは市町村の中にだけあるはずなんです。町村町村とをつなぐのは県道なんです。それを、生活道路であるこういうような市町村道中央がともかくひもをつけることは、一例を挙げれば、これは中央集権と言わざるを得ないと思うのです。あなたのおっしゃるのはまさに中央集権の集まりであると思うのです。ここらあたり考え方を素直に考える必要があるんじゃないか。地方分権ということがいま叫ばれ、民主政治を推進する上からいきますと、地方分権をしなければならない。それには余りにも中央権限が集中し過ぎておる。だから、予算配分のころになりましたら、無論大臣御存じのとおり、金魚のふんのごとく陳情団東京に押しかけてくる。それがまた集票につながっていくのかもしれません。そういうような組織をつくっておることも事実でありますが、それは別にいたしまして、日本がこういうような経済情勢になってまいりますと、不要なところは削っていく。そしてあなたの今度の所信表明を見まして、私はいいことを言うておると思う。ここ四、五年の間は、所信表明を見ましても効率的な予算運用ということがなかった。あなたの今度のを見ていますと、効率的な運用ということが盛んに出てくるから、違うてきたんだなと思っておるのです。それはともかくといたしまして、そういうような面からいたしますと、臨調補助金抑制ということではなくて、補助金整理ということをひとつ十分に考えていただきたいと思うのであります。  いずれにいたしましても、行政官庁が、臨調から言われなければともかく整理することができない、改革をすることができないというのでは、私は話にならないと思う。みずからこれをやっていくという必要があると思います。この点を申し上げておきたいと存ずるのであります。  それから、時間が一時間しかないので、こんなことをしゃべっておりますと二、三時間すぐにたってしまいますので、ひとつお伺いいたしたいのですが、私は大臣所信表明を持って、これで質問をしているのですから、二ページ目をあけていただきたいのです。この真ん中ごろに「社会資本整備に当たっては、事業の重点的、効率的な執行等所管行政合理化効率化を図りつつ、」とあるのでございますが、「事業の重点的、効率的な執行等」ここまではよろしゅうございます。そこで「所管行政合理化効率化」というのは、具体的に何を示すのですか、お伺いしたいのです。
  8. 内海英男

    内海国務大臣 所管行政合理化というのは、合理的にいままでのむだを省いた形で、むだがあったとすれば、そういうものを省いて能率的にやろう。効率的というのは、予算の限られた非常に厳しい財政状況にありますので、それを有効に、効率の上がるような方法で執行していきたい、こういうような意味でございます。
  9. 井上普方

    井上(普)委員 いや、いまのは効率化と同じじゃないですか、あなたの合理化という言葉は。「所管行政合理化効率化を図りつつ、」とあるのだから、具体的に一体何を示すのだ、この点をお伺いしたいのです。具体的に官房長
  10. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 所管行政合理化効率化につきましては、たとえば住宅行政等におきまして、建築指導行政等につきましては、その中身につきまして、たとえば臨調部会報告にも出ておりますが、建築確認業務をもう少し合理化する方法がないか。あるいはまた臨調答申で出しておられますが、道路行政等におきます許認可業務等につきまして、その簡素化を図るといったようなこと等の検討を進め、合理化できるものを積極的に合理化を進めていくという趣旨でございます。
  11. 井上普方

    井上(普)委員 そうすると、これはすべておたくの方も臨調の言うままになっておる。自主性が全然ない。一例を挙げれば住宅確認、あのようなくだらないものは、ともかく書類ばかりつくって合理的でない、あるいは効率的でないというのはだれの目にも明らか、国民はこれで困っているのです。  大体建築確認などというのは、昭和二十二、三年ぐらいに、進駐軍が来ておって、そして新しい家を建てるのにチェックしていった。そのためにつくったのがあの建築確認制度なんです。当時でございましたならば、柱の太さ一本一本にまで進駐軍が来てチェックしていった。そして材木がやみに流れていないかどうかを調べるためにつくったのが確認制度なんです。それが今日まで来ると、もう確認制度というのはなくてもいいはずなんです。ところが、これがまだ厳然として残り、しかも住民を苦しめている。もちろん違法建築についてのチェックの機能はあることは私も認めます。しかしながら、こういうようなことを考えてまいりますと、みずからがやらなければならない仕事合理化、こういうのをともかく臨調に言われなければできないいまの役人体質役所体質、これを改める必要があるのじゃないですか。どうです、大臣。みずから直そうとする努力が足りないのじゃないか。あるいはまた法律はたくさんつくってきた。法律はつくってきたけれども効率のない法律がたくさんある。たとえて言えば、いままでも宅地造成のためにたくさんの法律をつくってきた。しかし、一体何件その法律の適用を受けておるかと言いましたら、全然受けてない法律もあるはずだ。こういうようなむだはひとつ省こうじゃありませんか。みずから考えて、この法律はもう必要になったのだということについては、チェックしながらこれを捨てていく。まあスクラップ・アンド・ビルドですか、これを法律の上においてもやる必要があるし、行政組織の上においてもやっていく必要がある、私はこう思うのだが、大臣、どうです。
  12. 内海英男

    内海国務大臣 御指摘の点はごもっともだと思います。したがいまして、政府としては、御指摘のように、自分の方の役所の中で合理的なことが従来なかなか図りにくかったということから、行政改革というものが現在国民的な重要課題である、こういうものを受けて臨調という機関でいろいろ御審議をいただいて、いままでみずからの役所でやれなかった問題についても御指摘をいただいて、国民的課題の中で対応して、役所合理化効率化を図っていくという点に今回の行政改革の大きな目途があるのではないか、こう思うわけであります。
  13. 井上普方

    井上(普)委員 そうすると、逆説的に言えば、役人というのは国民的課題に背を向けた存在であったということになりますよ。そうなるのだよ。ともかくみずから直していこうという努力をやらなかったというところ、しかもそれに対して反抗の姿勢が見えるようだ。まあ無理もない。大体考えてごらんなさい。臨調の十人の委員なんというのはみんな素人なんだ。素人が一年勉強したところでそんなに十分なものができると私は思っていない。ここらあたりをみずからともかく直していく。それをやるのが政党政治であると私は思うのです。政党が官僚と癒着してしまえば、これはもういままでの姿がそうなっておるから、私どもはこういうことを申すのであります。ここのところをひとつ十分にお考え願いたい。  まだまだ言いたいところがあるのですが、大黒さんのようににこやかな内海大臣でございますので、これ以上申し上げるのは一応はばかりますけれども、しかしながら、やはり大臣大臣としての指導性を発揮していただきたい。ただ座ってにこにこしておるのが大臣仕事ではないことを申し上げておきたいと思うのであります。  それから、次の文章、社会資本充実整備に当たって、「地域特性に応じ地域住民の要請に的確にこたえるとともに、環境にも十分配慮してまいる所存であります。」これはどういう具体的な考え方をお持ちなのですか。
  14. 内海英男

    内海国務大臣 これは言葉のとおりでございまして、地域特性を生かしという点は、井上先生の場合でしたら、四国というものを考えて、その四国特殊性を十分生かすような社会資本充実を図っていかなければならぬ、それを地域住民皆さん方の御要望にこたえる形でやっていきたい、こういう意味でございます。
  15. 井上普方

    井上(普)委員 果たして地域特性が生かされておるか。私は生かされていないと思うのです。この点は特に、これは国土庁長官、あなたもおられるので、ひとつあなたの質問と関連しながら申し上げます。  あなたの第三次の全国総合開発計画、内容を見て、モデル定住圏計画が実施の段階に入っておる、こう申されます。そのとおりです。しかし、この第三次総合計画というものを私は私なりに解釈しております。これは地域特性というものを中心にして、地域特性といいますよりは、むしろ水利を中心にして定住圏というものを想定している。そうすると、ちょうど徳川時代の三百ぐらい、二百五、六十の藩と同じ形になるのですよ。そこへもってきて道路と鉄道、高速道路を敷いて東京に集中させようというのが第三次総合計画だと私は思っているのです。東京に参勤交代をやらす、三百諸侯を引っ張ってくるために、ともかく高速道路と新幹線をつくっていくのだというのがあの第三次計画であると私は理解しておるのであります。  しかし、このモデル定住圏計画というのを個々に見ていきますと、ほとんど差がない。四国には四国特性があるはずだ。東北には東北特性があるはずだ。しかし計画それ自体はともかく何ら特性がないように思われてならないのでありますが、どうでございます。
  16. 加藤六月

    加藤国務大臣 三全総そのものは、過密過疎を解消し、大都市に極端な人口産業の集中を排除しよう、そしてそれぞれの地域特性あるものをやって、国土の均衡ある発展を図ろうというのがねらいでございます。そういうねらいを踏まえまして、定住圏構想というのを三全総の一つの大きな政策推進目標として設定したわけです。そしてそのうちのモデル定住圏を指定しまして、そこはそこ独自の、地域に密着した、その地域にふさわしい定住圏構想を立てていただき、それを推進いたしていくということでありますが、それが大都市志向型であったり何かしては大変困るわけでございます。その地域地域にふさわしい定住圏構想でないといけない、こう思い、またそういう精神に従って、ある面では指導をいたしておる次第でございます。
  17. 井上普方

    井上(普)委員 指導はそうかもしらぬが、現実に東北定住圏構想計画中身、それと四国定住圏計画中身、同じじゃないですか。老人施設をつくってみたり、計画一つ一つを見れば大体どこに差があるのです。ほとんど差がないじゃないですか。ありますか。
  18. 加藤六月

    加藤国務大臣 井上先生に対する詳しいお答え局長をもってお答えさせていきたいと思いますが、先生がいみじくもお触れになりました老人という問題、これは三全総を確定した後に急激な人口高齢化社会というものが進展していきますから、モデル定住圏の中においても高齢化対策という問題は、やはりわが国全体の問題としても、それぞれの地域においても一つの大きな柱として考えざるを得ないんではないかと思いますが、詳しいことは局長に答弁をいたさせたいと思います。
  19. 白井和徳

    白井政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大臣からのお答えがありましたように、モデル定住圏につきましては、これは地方公共団体みずからが計画を樹立し、その計画に基づくところの特別事業というものを一つ戦略的な事業として掲げまして、その事業について国が支援していく。こういう形で地方自主性独自性を生かした計画づくりになっているわけでございまして、たとえば青森県の津軽圏域におきましては、雪を克服し、あるいはそれを活用するというようなところを重要な問題にしておりますし、あるいは津軽文化の伝承、創造と人材の育成ということを開発戦略にしております。それに対しまして、岐阜県の大垣圏域におきましては、先ほど先生の御質問にありましたように、水と調和した南北交流を促進するということを開発戦略としておりまして、それぞれの地域地域特性を生かした地域づくりモデル定住圏では考えている、かように思っております。
  20. 井上普方

    井上(普)委員 私もその計画はずっと見ました。見まして、特性があるというのはほとんど少ないのです。しかも、いま大臣おっしゃいましたけれども、第三次総合計画ができた後に高齢化社会が急速に進んだのじゃないのですよ。もうずっと前からなんです。それをともかく予想できなかった役所が悪い。  それはともかくといたしまして、高齢化が進んでいっている。しかも、あなたもおっしゃっていますが、計画全国的に、都市人口が大体人口の七割を二十一世紀には占めてくる。これをいかにして分散さすか。過疎過密の問題じゃないのです。均衡のある国土発展を図るためにつくられたものだと私は思っております。途中で総理大臣がかわるというと、田園都市構想なんというくだらんことを言ってみたり、あるいは田園都市構想は北斗七星のようなもので、それを目標にしていくんだ、こう言ったこともあります。しかし、この定住圏構想だの全国第三次構想は、田園都市構想ということが中心でなければならないのに、どこを見てもありはせぬのだ。大平さんが亡くなったら雲散霧消だ。役所というのはうまいことそのときの権力にともかくくっついていきながら、自分らの思った官僚独自の思い上がりの計画をいかに政治的に利用していくかの私はあらわれだろうと思うのです。田園都市構想はどこにありますか。ここには書いてないですよ。一ところですよ。一ところしかないのです。しかし、これが中心だったはずなんです。  まあそれはともかくといたしまして、いずれにいたしましても、画一的な行政がこのモデル定住圏構想においても行われておるのじゃないだろうか。そこにはいま私が建設大臣にお尋ねいたしました地域特性というものが生かされてきてない。全国の小学校あるいは高等学校の建物を見てごらんなさいよ。全部画一的じゃないですか。建物一つにしてもそうですよ。大体、日本みたいに高温多湿、雨の多いところで屋根のない建物というのはあってはならないのです。屋根のない建物、上が平らなもの、水がたまる建物、幾ら日本の建築技術が進歩したといいましても、十年すれば雨漏りするのは当然なんです。ところが、建物を全部見てごらんなさいよ。屋根はみんな升になっているじゃないですか。水はたまりほうだい。やがてこれは雨漏りがする。どこでもそうでしょう。雪が降るから雪かきをするような小学校、中学校がありますか。こういうようなところをひとつ考えていただきたいのです。これが特性あるものでしょう。  だから、ここに「後世代に残る良好な都市資産としての市街地の整備を積極的に図ってまいる」とございますが、いまの計画からいくと、建物それ自体もパリだとかロンドンだとかああいうようなところと比べますと、建築物それ自体が後世代に残るような資産じゃないじゃないですか。あるいはまた下水道にいたしましても、私はしょっちゅう言っているのですけれども、パリの下水道にいたしましても、ジャン・バルジャンの時代からずっと残っているのですよ。ところが、日本の下水道のあのヒュームは一体何年耐用年数がありますか。あれから比べると非常に短い。恐らく七、八十年でしょう。こういうような点からすると、もうこういう安定的な時代に入ったのだから、あなたらのおっしゃるように、「後世代に残る良好な都市資産」としての考え方に切りかえていってもいいのじゃないだろうか、私はこう思うのです。  住宅一つとりましても、これはしょっちゅう私は言っておるのでございますが、いまの住宅でございましたら、耐用年数はせいぜい一世代でございましょう。しかし、西欧諸国のは、石造というような関係もございましょうけれども、大体四世代、五世代は使えるはずなんです。日本の近時の建物でありましたならば、まあ一世代、二十五年でしょう。しかし昔の建物は、少なくとも戦前までの建物でございましたならば、田舎の建物であれば、百年、百四、五十年残る建物であったはずなんです。それがこうなってくると、ここに日本の資産というか社会的資産、個人的資産というものが欧米から劣るゆえんもあろうかと私は思う。ここらに長期的な視野に立って物事を考える必要があるのではなかろうか。コンクリートの建物にいたしましても、昨夜でございましたか一昨夜でしたか、テレビを見ておりますと、青山通りでしたかの建って十五年の建物をぶっ壊しておる。それは都市開発のためだと言っておりましたから結構なことではありますけれども、これをぶっ壊しつつある。これはともかく日本行政に長期的な視野がなかったゆえんではなかろうかと私は思います。  また、スクラップ・アンド・ビルドによって今日までの高度成長政策は持ちこたえてきたけれども、これからはそういうような時代ではなくなってきているのだから、民族の将来ということを考え、民族の資産ということを考えるならば、建設行政の重みは大きいものがあろうと私は思います。そういう観点に立って建設行政を進めていただきたいと存ずるのでありますが、両大臣の御所見をお伺いしたいのです。
  21. 内海英男

    内海国務大臣 ただいま御指摘をいただきましたそのとおりだと思います。戦後、荒廃した国土を立て直すといった観点から、資材のないところで粗漏な建物ができたりいろいろな欠陥もあったと思います。今後の町づくり、都市づくり、あるいは住宅建設、こういったものには、先生の御指摘のようなことを十分配慮に入れて、りっぱなものをつくっていきたい、これが私の念願でございます。したがいまして、所信表明にもそういったことをうたったわけでございます。
  22. 加藤六月

    加藤国務大臣 人間というものと土地と水と緑というものの調和、均衡のとれた住環境、職環境、そういうものを総合的に企画調整しながら、今日の国民、後世の国民に喜んでもらえるような行政を推進していかなければならないと考えております。
  23. 井上普方

    井上(普)委員 いや、私が申し上げておるのは、そういうような観点に立って具体的に一体どうするのだということがなければ、これは行政とは言いがたいのです。私はそう思います。  そこで、こういうことをお伺いしておるのです。大臣のおっしゃる気持ちはわかるけれども、気持ちだけ先走ったところで何とかの話なんだ。これはやはり実行しなければもう意味がございません。その実行する責任というのが行政の長にあると私は思うのです。それを一体どうしていくか。いまここでにわかに私が申しても、具体的な考え方は出てまいりますまい。でございますので、そういうことをお考え合わせながら、ひとつ国土行政並びに建設行政に取り組んでいただきたいと存ずるのであります。  それからもう一つは、大臣、何ページ目ですか、しまいから次のページに、「国民経済上大きな地位を占め、建設行政の推進に重要な役割を担っております建設産業については、元請、下請関係の改善、中小建設業者の健全な育成等その健全な発展を図るための施策をより強力に展開することにより、」こうあるのですが、これは具体的にどんなことを示しているのですか。具体的に、アウトラインだけで結構です。
  24. 永田良雄

    ○永田政府委員 御承知のように、建設業という業は大変数が多うございます。いろいろな複雑な問題を抱えております。その一つが、たとえば元請、下請という関係でございます。まだ近代化がいまだしという面があろうかと思います。一昨年来いろいろマスコミの批判を受けたのも事実でございます。そういう点を踏まえまして、できる限り建設業を合理化、近代化し、健全な産業として育てていきたい。そのために、たとえば中央建設審議会で建設業の将来のあるべき方向はどうなんだろうかということをいま鋭意検討していただいておるところでございます。
  25. 井上普方

    井上(普)委員 役人というのは審議会というのを隠れみのにしている、このことはもう世間の常識なんです。  そこで、その近代化いまだしという建設業界において合理化、近代化をいたしたいんだ、それで審議会にいま答申を求めているんだ、こう申される。私は審議会というのはあなたの隠れみのだと思っておるのだ。だから、合理化、近代化というのはどういう意味合いを持っておるのだ。たとえばどういうようなことを考えておるんだということをひとつお示し願いたいのです。
  26. 永田良雄

    ○永田政府委員 具体的な改善の方法は何だ、こういうお話でございます。一つは、入札制度についてのあり方が一体どうあるべきかということを検討していただいております。それからもう一点は、先ほど言いましたように、建設業者は五十万業者でございます。しかも毎年毎年ふえていっている。ところが一方、工事の方は、高度成長から一転しまして余り事業がふえない。その中でみんながどうやって生活し、生産していくかということが大変大事でございますので、建設業の許可をどうしたらいいんだといったことも一つの問題となっておりまして、検討していただいております。  おっしゃるとおり、審議会というのは役人の隠れみのだ、こうおしかりでございますが、私ども審議会の提言をいただいたことはできるだけ実行すべく最善の努力をするつもりでございますので、御理解賜りたいと思います。
  27. 井上普方

    井上(普)委員 入札制度の改善と、それからもう一つは、数の多いのをどうやってみんなを食わしていくかということだ、こうおっしゃる。入札制度の不合理さというのは昔からわかっておることなんです。たとえて言うならば、建設省あたりが、ともかく本四公団の橋につきましては、この工法についてはわれわれよりもあなた方の方が専門家なんだから研究開発してくれと言って発注しておる。研究開発をお願いしておるのです。そしてもうこの橋については、あるいはこういう工法については、この業者が専門だということはわかり切っておる。ところが、それについてそうでない業者まで七つ八つ入れて入札をさせて、そして前から研究させておる業者に落札させる。これはもう常識になっておるのですよ。それではそういうような方法、入札を特命制度でやればいいじゃないかと言えば、会計検査院がうるさいとか、あるいは国会がうるさいとかいうことで、いままでともかく特命制度をほとんど利用していない。役人の責任逃れのための入札制度がいままで横行しておったことは、これまた否めない事実であります。その業者しかできない仕事をほかの業者を加えて入札さすのですから、当然その業者が本命になって落札する。こういうことが横行しておったじゃないか。こういうことがいまでも横行しておるじゃありませんか。これを私は特命制度にしろというのです。こういうようなものは責任を持って、役所が堂々と不正を私らはやってないのだという自信を持ってやりさえすれば、こういうようなことについての非難というものはなくなるでありましょう。あるいはまた入札制度それ自体が、これはマスコミの批判だけではなくて、私は当選してから談合制度につきましてはずっと言ってきたし、これを防ぐためには公取のやり方もあるじゃないかということも指摘してまいりましたが、公取が最近になりまして、五十二、三年ぐらいからともかくそろそろと手を入れ始めた。マスコミと一緒に大問題になってきた。しかし、こういうことを予測できないということ自体に問題があった。ここにいままでの官庁の惰性に陥ったやり方があったのではないか。人から言われなければ改革をやらない姿勢というものがあったのではないか、私はそのように思うのであります。  しかしながら、高度成長政策時代には、皆さん御存じのように、昭和五十一年ぐらいは景気浮揚のために公共事業をやるのだということで、公共事業にぼんぼんと三割、四割の予算をつけていった。そしてその後になると安定成長になって、金額は変わらぬけれども、実質的に仕事の量は減ってきておる。そうすると、建設業に登録した方々はどうやってともかく飯を食うかということで非常に四苦八苦しておる。公共事業が景気対策に重要なこともわかります。わかりますけれども、しかし、それによって膨張した建設業者をいかに今後は――公共事業が五十二年、三年は一年間に三割、四割ふえたのですからね。ともかくいいや、不要な道路を引っ張り回して、また同じところを掘って埋めてもいいじゃないかというようなやり方が実は行われたことは御存じのとおりです。  そこで、五十万に上る業者を、五十万と言うても少な過ぎるのじゃないかな、もっと多いんじゃないかなという感じが私はしているのですが、この人たちを、ともかく景気浮揚あるいは経済対策に公共事業を使う。それはいかにもヒトラー時代あるいはルーズベルト時代のああいう経済政策の時代ともう時代が違ってきているんじゃないだろうか。そしてやり方それ自体日本のような入札制度じゃないんじゃないだろうかという感じがしてならないのであります。このやり方をやってまいりますと、幾ら近代化いまだしと言われる業界もなかなか合理化、近代化できないんじゃないだろうか。ここらあたりでいまの制度のままの建設業者、これを使っての景気浮揚には一考を要するときが来ておるんではないかと私は思うのでございますが、大臣どうでございますか。
  28. 内海英男

    内海国務大臣 御指摘のように、四年間公共事業伸び率ゼロというような厳しい財政状況のもとで、この数多い五十万を超えておる業者の人たちにいかに仕事を分かち与えてあげなければならぬか、行政側におきましても大変厳しい対応を迫られておることも事実でございます。しかしながら、できるだけ乏しきを分かち合うといった気持ちで、地元中小業者に受注の機会が与えられるように出先機関等にも指示をいたしてやっておるわけでございます。また大手の業者の方々に対しましては、海外経済協力といった趣旨からも、海外方面にもシェアを高めていただきまして大いに活躍をいただこう、こういう方面でいろいろと御協力を願うような方策をとっておるわけでございます。
  29. 井上普方

    井上(普)委員 そこで大手の業者の方々に海外に行っていただく、結構なことです、私はそう思う。しかし、もう一つ考えていただきたいのは、大手の業者といいますよりは、コンサルタントみたいになっているんですね。そして地方にある出張所というのは独立機関になっている。そして本社会計に納入しなければといって、仕事を受けたら五%ないし一〇%ぐらいは本社に納入するというようなやり方をやって独立会計になっているんです。ここらあたりにもメスを入れる必要があるんじゃないですか。そういうような感がいたしてならないのであります。この点は研究課題として計画局長御研究になっていただきたい。  もう時間が参りましたので、建設大臣の最初の文章に「最近のわが国経済の課題は、物価の安定を基礎としつつ、国内需要を中心とした景気の着実な回復を図り、」こうあるんですね。あなたのお話では、物価の安定を図るということが中心になっている。ところが、聞いてみると公団家賃がまた値上げをするという話なんですね。物価の安定と公団家賃との相関関係はどないなるのです。
  30. 内海英男

    内海国務大臣 前段の「物価の安定を基礎としつつ、」というのは、政府の全体的な政策として物価の安定を基調として経済政策をとっておるわけでございます。それと公団の家賃の値上げの問題、これはまだ公団の段階でいま検討して、申請があれば、私ども先生方の御意見等も十分伺った上で適正な判断を下さなきゃならぬとは思っておりますけれども、聞くところによりますと、現在の物価と比べて大変安過ぎるのではないかというような御意見も一方にあって、余りに不均衡があり過ぎるということで検討されておるような話でございます。まだ具体的に出ておりませんので、はっきりは申し上げかねますけれども、十分御意見を踏まえまして適正な判断をいたしたいと思っております。
  31. 井上普方

    井上(普)委員 あなたのお話で、内閣の方針と言うが、あなたは内閣の閣僚なんです。物価の安定を図ると言うが、これが第一目標なんでしょう。それは中曽根さんはあるいは調整インフレ論者であるかもしれません。かつて、昭和四十八、九年ごろか、調整インフレをやるべきだとぶち上げたことがある。あの人は風見鶏と言われる人だから、その後変わったのかもしれませんけれども、私はあの人は調整インフレ論者だと思っている。しかし、いまの中曽根さんは、少なくとも現在は物価の安定を基礎として経済政策を行うのだということが基本になっている。その中で公共料金にも匹敵する公団家賃の値上げというのはどうも私はいただけない。これも風見鶏の一つかもしらぬ。委員長は苦い顔をされるけれども。これはやはりお考え直しをいただかなきゃならない。しかも公団家賃というものは原価主義のはずです。修繕費等々がふえてきたというのでありましたならば、あるいは管理費がふえてきたというのでありましたならば考えなければなりません。しかし、不均衡だからとか何とかいうのは、原価主義の立場からいいますと、私には納得できない。いかがでございますか。
  32. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 ただいま先生のお話のございました住宅都市整備公団の家賃の問題でございますが、これにつきましては、大臣からお話がございましたように、新旧の家賃格差の是正を図るために申請を行うべく準備を進めているということを伺っております。申請がありましたら十分慎重に配慮して適正な措置を考えたいというように考えております。
  33. 井上普方

    井上(普)委員 申請がありましたらと言うときには、どうせ国会がないときに申請するのでしょう。それくらいのところだ。そうじゃないと言えますか。
  34. 内海英男

    内海国務大臣 恐らく近々申請があるのではないか、こう思っております。国会のないときになんというひきょうなことはやらせるつもりはございません。
  35. 井上普方

    井上(普)委員 しからば、これは家賃の申請がありましたら早速に御報告いただいて、ともかく当委員会において十分な論議がされるよう機会を委員長においてつくられるよう希望いたします。  しかしながら、住宅公団発足当時から全部建設費の原価主義ということで実はまいったわけなんであります。中に入っておる人たちもそういう考え方できておるはずなんです。またそういう宣伝もしたはずなんです。したがって、たとえて言いますと、げたばき住宅、麻布十番のあれなんかも、土地所有者に対して十年で大体返却するときにも、これはやはり原価主義で渡しておるはずです、払い下げをしておるはずです。そういうことから考えますというと、あるいはこの間だれか言っておりましたが、ある有力な政治家がともかく十年で払い下げを受けた。契約だからしようがない。そうすると今度は、全部前の住民を追い出して、ここを新しい事務所にしてしまった。膨大な利益を得たという話も私は承っておる。それはまたいずれ改めてやりますけれども。  いずれにしましても、原価主義ということで通してきたはずなんです。それを崩すというようなことになりますれば、これはやはり住民に対して、賃貸者に対して約束違反ということにも相なるんだから、ここらあたりはともかく十分な納得をさせる、あるいはまたそれの機会をつくる、そしてまた合理的な方法をとる必要がある、私はこのように思います。したがいまして、十分なる時間をかけて当委員会においてもお取り上げ願いますことを最終的に委員長にお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  36. 松永光

    松永委員長 関晴正君。
  37. 関晴正

    ○関委員 建設大臣国土庁長官、どちらにも関連することがありますので、おしまいまでお聞きいただきたいし、お答えいただきたい、こう思います。  まず第一に、建設大臣にお伺いしたいことは、東北地方の縦貫高速自動車道路の件なんですが、いつになったら貫通するのか。ことしの予算でも貫通の方向にはないし、御承知のように、新幹線は盛岡でとまっておるし、本当に国民の交通のための便を図るということになれば、何をおいてもせめてこの高速自動車道路だけは速やかに完成すべきものではないのか。計画によりますと、六十二年とか六十三年とかと言われているようですが、実際にこれをもっと早める方法がないのか、そういうことについてのお考えはどの程度のものなのか、ひとつ伺っておきたいと思います。
  38. 内海英男

    内海国務大臣 東北縦貫自動車道につきましては、首都圏と東北地方を結ぶ重要な路線として、鋭意整備を促進しているところであります。現在までに整備計画区間七百四十八キロメートルのうち浦和―安代間及び碇ケ関―青森間、合計六百九キロメートルの供用を開始いたしております。残る川口―浦和間、安代―碇ケ関間及び安代―八戸間につきましては、用地買収、工事等を現在進めておりまして、昭和六十年代、昭和六十二年を目標に川口―青森間の全通をやりたい、こう考えておるわけでございます。また一戸―八戸間の供用も図っていきたい、こう考えておるわけでございます。基本計画にあります練馬と川口の間につきましては、整備計画策定に必要な調整を進めているところでございます。これが現在までの状況でございます。
  39. 関晴正

    ○関委員 八戸線の場合には、南郷におけるインターチェンジの要望が非常に強かったと思っておるのですが、それは計画の中に策定されているでしょうか、どうですか。
  40. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 お答えいたします。  東北縦貫自動車道八戸線の青森県南郷村において設置が予定されております南郷インターチェンジは、昭和五十七年一月の国土開発幹線自動車道建設審議会において定められたいわゆる追加インターチェンジであります。当インターチェンジ建設につきましては、昭和五十七年十二月に日本道路公団に対し施行命令を出したところであり、今後同公団において地元協議、用地買収、工事等を進めていく予定であります。
  41. 関晴正

    ○関委員 大方の計画内容についてはわかりましたけれども、ただいま大臣は六十二年度まで完成、こう言っておるのですけれども、それまでに要する経費はどのくらい見ていますか。
  42. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 実は、全残事業費についての資料を持ち合わせていませんので、調べまして早速御報告させていただきたいと思います。
  43. 関晴正

    ○関委員 これは六十二年までに完成する、こう言っているわけですから、完成するということになれば、具体的なものを持っているはずですので、ひとつ早くお答えしてください。  そこで大臣、私は先ほども申し上げたのですが、国土を縦貫する高速自動車道路、特に本土の中においてまだ未完のものがある。さきには青函トンネルができて大いに喜んでおるのだけれども、貫通を喜んでいるけれども、これを利用する段になりますというとまたいろいろな問題がありまして、でき上がったことが心底から喜べるような状態には至っておりません。多額の投資をされていながら一つ残念なことがあるわけです。しかし、高速自動車道路が貫通されて困る人もないし、またできて隘路もあるわけじゃない。しかも東北の重大な開発関係からいきますというと、新幹線は盛岡でとまって、次々とあらわれてくる大臣も何とか青森まではやりたい、こう言いながら言葉で終わっているわけです。またこの見込みもなかなか早急に方向づけられるものにはなっておりません。そういうことを考えますというと、同じ国民でありながら国政において特別差別されているのが青森県民ではないのか、こう言っていいのではないかと思うのです。それだけにこの東北高速自動車道路の完成というものは急ぐべきものではないのか。どれだけの金がかかるのかということもまだ出ておらぬようだけれども、実際はこれは出ているはずです。そういう意味大臣、特に大臣東北の出身の大臣でもありますし、このことについてもよけいに御関心を持って取り組んでいいじゃないだろうか、こう思いますから、六十二年ということを、これよりおくれることはないとしても、早める方向、もっと早目に完成させる、そういう方向をとるようにできないものでございましょうか。大臣の決意をひとつ伺っておきたい。
  44. 内海英男

    内海国務大臣 私も青森の事情をよく承知いたしております。したがいまして、御指摘のように、できるだけ促進をいたしまして御要望に沿うように努力をいたしたい、こう考えております。
  45. 関晴正

    ○関委員 次に、同じく建設大臣の所管のことなんですが、ことしの予算の中で最も必要と思われ、また最も適切な事業というものは、住宅の建築のことだと思うのです。住宅建築のことについてはどんなに力こぶを入れても入れ過ぎることはないだろうというのが全国民の一致している認識ではないだろうかと思う。ところが、ことしの予算中身を見ますというと、前年度より後退をしていますね。これはやはり後退すべきものじゃなくて、もっと拡大すべきものではないだろうか。そういう点からいきますと、この予算大臣の不満足の予算として見ておるのか、まあこれで満足だと思っておられるのか、この点ひとつ伺っておきたいと思います。
  46. 内海英男

    内海国務大臣 満足というわけにはまいりませんけれども、厳しい国の財政事情もこれあり、この与えられた予算の中で最善の努力をする以外にない、こう考えております。
  47. 関晴正

    ○関委員 もっと大臣はこれに力こぶを入れていいんじゃないだろうか。特に、住宅金融公庫において建てられる場合、五十四万戸という昨年の予算の状態に対して、ことしは五十一万でしょう。三万戸も減らすというのは、これはどういうことですか。これは減らしたのか、減らさないのか、あたりまえなのか、あたりまえでないのか、この点についての事情をひとつ知らせてください。
  48. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 いま先生の御指摘のように、住宅金融公庫の融資住宅につきましては、今年度当初予算で五十四万戸でございます。来年度は五十一万戸ということにしております。三万戸減ということでございますが、これにつきましては、無抽せんによる貸し付け方針を堅持をするということにしておりますので、事業の実施が拡大する時点においては、予算総則にございます弾力条項の活用等によって、その事業の実施を図っていきたいというふうに考えております。
  49. 関晴正

    ○関委員 いや、何と言おうと、五十四万戸というものが何で五十一万戸になったのです。五十四万戸要求しても入れられなかったのですか。それともあなた方の要求は五十一万戸で終わったのですか。どっちですか。
  50. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 財政事情が非常に厳しい折から、これからの自助努力中心とした持ち家住宅建設につきましては、政府からの低利融資による、いわゆる公庫融資住宅建設と同時に、民間資金を活用した住宅建設を促進していく必要があろう。その辺のバランスを十分に調整をしながら、今後の住宅建設の促進を図っていきたい。そのため住宅金融公庫融資住宅につきましては、来年度は五十一万戸で計画上適正ではなかろうかというように考えております。しかしながら、民間資金の活用による住宅を今後は十分促進していきたい。そのため住宅取得控除、所得税の減税を大幅にするということで民間資金住宅建設の促進を行い、全体としては住宅建設が促進されるように考えているところでございます。
  51. 関晴正

    ○関委員 どうもいまのお答えでは納得できません。自助努力にまつというか、それらの諸君たちの所得もふえてきているというなら別ですよ。現実には形式的な所得の増はあるとしても、質的な、またいろいろな諸経費の引き去り額、特に所得税法のそのままの据え置きなどが影響して、一般国民の方はよけいに実質的には苦しんでいるわけでしょう。それらの諸君に自助努力を期待するということの考え方はおかしいんじゃありませんか。もっと私が聞きたいのは、なぜ昨年は五十四万戸でことしは五十一万戸にするのか、三万戸もなぜ減らすのか、減らす根拠はどこにあるのかということです。ふやしてくれとあなた方が願っても聞き入れられなかったのか、願いは初めから五十一万戸であったのか、どっちだったのです。ここだけ言ってくれればわかるわけですから。五十四万戸で要求したんだが五十一万戸にされたのか、初めから五十一万戸ということで終わったのか、これだけでよろしゅうございます、答えは。
  52. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 当初要求から五十一万戸で要求をしております。
  53. 関晴正

    ○関委員 大臣、これはどういうことなんです。何を根拠として三万戸減らしたのです、お答えください。
  54. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 先ほどもお話し申し上げましたように、来年度の住宅建設につきましては、公、民あわせまして住宅建設の促進を図っていく。住宅金融公庫の融資につきましては、一応の目標を五十一万戸ということで要求をいたしますが、これにつきましては、弾力条項の活用によって、無抽せん体制を維持をしておれば、その時点で住宅の融資戸数の拡大が実施できますので、そういう意味予算要求の形とあわせ考えまして五十一万戸の要求としたわけでございます。
  55. 関晴正

    ○関委員 くどいようですけれども、そうしますと、いまのようなお答えを聞きますと、五十一万戸だけれども、実際上無抽せんの形で取り扱っていくと、五十四万戸にもなることになるんだ、こういう意味なんですか。
  56. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 住宅金融公庫の融資住宅の応募が非常に多ければ、その時点でその枠を拡大することは可能だと考えております。
  57. 関晴正

    ○関委員 逆に言いますと、五十四万戸予算に組んでみても、現状はそれに達しておらない。ではどのくらいのところに達しておるのですか。
  58. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 今年度の五十四万戸につきましてはほぼ達成できる見通しでございます。
  59. 関晴正

    ○関委員 それではいまの答えは全くなっていないことになると思います。これはあなた方の出してきていることなんですが、とにかくいまの不景気を何とかして幾らかでも縮小しようということになれば、当然住宅対策は何よりもいま優先して扱うべき仕事だ。大臣はまたそのくらいのことは承知だと思うので、とにかく住宅対策が後退するようなことだけはさせない、こういうことで、ひとつ大臣、これからの補正予算でも取り組んで当たる決意があるかどうか、そのことを一点聞いておきたいと思います。
  60. 内海英男

    内海国務大臣 現在の建設行政といたしましては、対住宅政策が最重要な課題であるということを十分認識をいたしております。したがいまして、可能な限り今後とも戸数の増大を図るような方策をとって進めていきたい、検討してまいりたいと思っております。
  61. 関晴正

    ○関委員 とにかくこれは筋道からいっても、いまのお答えからいきましても、当然五十四万戸とすべきものを五十一万戸にしておる。そういう点から言っても、いま大臣の答弁もありましたから、早急に対策を強化して当たっていただきたい、これは私は要望しておきます。  その次は、青森市内の問題になっておる、一つの大きなネックとして津軽と青森を結ぶ古川の跨線橋というのがあります。この古川の跨線橋というものが進展する交通事情によってすっかり巨大になっておる。したがって、ここを通らなければ県庁に来れない。ここを通らなければ県都の中心に通勤できない、こういうことで深刻な混雑状況といいましょうか、もう忍びないような状況です。極端な例を言いますと、選挙の届けもこの渋滞によっておくれて、選挙公報に載せることができなくなったというような事態まで生んでるほどの交通渋滞の場所です。この古川跨線橋を何とかして拡幅しろ、こういうことでずいぶんお話が出てきておるのですけれども、そんなに急がなくてもいい同じ道路の堤川の拡幅工事はちゃんと進められているのに、急がるべきものが後回しにされている。私は大変残念なことだと思っている。そういう意味で、これはぜひひとつ古川の跨線橋の拡幅工事というものあるいはかけかえ工事というものに抜本的に取り組んでもらわなければならない、私はこう思っておりますので、この点についてひとつ大臣、機会がありましたらぜひ青森市においでいただいて、この出勤時における混雑状況を承知した上で取り上げていただきたい。今日のわが国の建築技術をもってするならば、この工事のことについても近代的な橋をつくることができるのじゃないだろうか。これをつくることのできないような貧弱なわが国の技術だとは私は思っておりませんので、ただ金がかかるからということだけで投げられてもまた困るわけで、そういう点について古川の跨線橋について抜本的に真剣に取り組んで当たっていただきたい。このことについてのお考えをひとつ私は大臣からいただきたいわけです。
  62. 沓掛哲男

    ○沓掛政府委員 お答えいたします。  青森市内の一般国道七号の古川跨線橋は一日約四万台の交通量がありますが、前後の区間が六車線であるのに対し、この跨線橋の部分が四車線と狭くなっておりまして、朝夕に交通渋滞を引き起こしておる現状でございます。この対策として、現在青森環状道路整備やこの環状道路と都心を連絡する柳町立体交差事業など、古川跨線橋に代替する機能を持つ道路整備を積極的に推進しているところであります。また古川跨線橋につきましては、現在その拡幅の可能性について技術的な調査を行っているところであり、今後本橋の下を通っております鉄道の安全確保、工事中の自動車交通の処理対策等の問題を含め、さらに調査検討を進めてまいりたいと考えております。  なお、先ほど先生質問東北縦貫道の全線開通までに残事業が幾らかという御質問につきまして、早速調べましたので御報告をさせていただきたいと思います。  整備計画の出ております区間、すなわち川口から青森それから八戸全線でございますが、それを開通するために必要な事業費は五十八年度以降約三千億円でございます。五十七年度のこの区間に投資しております事業費が約七百億円でございますので、この第九次五カ年計画期間中に予算的には十分対応できるというふうに考えておりますが、そのためにも地元のなお一層の協力をお願いしたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  63. 内海英男

    内海国務大臣 いま局長からお話のあったような大変隘路のあるということはよくわかりました。したがいまして、機会がありましたら現地へお伺いするようにいたしたいと思っております。
  64. 関晴正

    ○関委員 ぜひひとつ現地を見ていただいて……。  とにかく技術があると私は思うのです。前々からこの話は言われながら、地耐力がどうとかあるいは国鉄の走っている中であるだけに工事がむずかしいとかとも言っておりますが、やはりこれは真剣に取り組んで早急に解決してもらわなければならない。いまいろいろ迂回路の話が出ました。陸橋をつくってもらわなければならないという柳町大橋の話も出ましたが、それによって片づく問題ではない。あるいはまた安方の大橋を完成する、そういう計画で待てと言うけれども、それによってもこれは解決する問題じゃありません。それだけに、たった一本のこれは国道です。国道を走っているところの隘路なんですから、ぜひひとつまともに向かって取り組んでいただきたいということを私は要望申し上げておきます。  次は国土庁長官国土庁長官には、実はせっかく大臣におなりになってこういう質問を先にしなければならないのを私は遺憾としているところなんであります。  国土庁長官は灰色高官だ、こう大分言われているわけです。何で灰色なんだろうなと私どもは思うんだけれども、何か確たるものがあるのか。確たるものを調べてみますと、これは参議院のロッキード問題に関する調査特別委員会調査室の出しておる審議要録というのがある。この審議要録の中に、あなたがいただいた金の話が出ているわけです。別にここを読むまでもなく、あなたもこれは御承知のことだろうし、あなたの弁明もまたあるわけです。私は、いやしくも国土庁長官になられるに当たって、こういうような、ロッキード社から「三十ユニットの領収証に見合う三千万円の一部である現金二百万円を、全日空がL一〇一一型航空機を導入するに際し、事業計画の変更等について種々便宜を取り計らわれたい趣旨のもとに収受し、もって右職務に関し収賄したと認められるものであるが、請託の事実が認められないため、単純収賄罪となり、三年の公訴時効が完成していると認められる。」こう書かれておる。  そこで、私の聞きたいのは、あなたは何にももらっていないと一生懸命言っておるようなんですが、何かここに書いてある日にちのことにおいて、「十一月一日ころ」という「ころ」においてもらっていないということを言っているのか、「ころ」でなければもらっていることもあるが、それは政治資金だとでも言うのか。こういう関係している金について疑われるような金は何もないとこう言うとするならば、こうしたことを言われて対抗措置というようなもの、あるいはまたせっかく社会党がロッキード調査特別委員会の設置を要求しているんだが、率先してその要求を受けて、党内においてあなたが主張されて設置する方向に踏み切ったらどうです。あなたはここでも言っていますよ、このままじゃ救われないって。そういう点からいっても、あなたのこれについての見解、またあなたは潔白を示したいというならば、その方法、どんなことを考えておられるのか、先に伺ってから所管の質問に入ってまいりたいと思います。
  65. 加藤六月

    加藤国務大臣 昭和五十一年十一月二日、安原刑事局長が秘密会でそういうことを言ったようであります。そこで昭和五十一年十一月四日、時間をいただきましてお読みいただいたような趣旨を私ははっきり申し上げております。日付だけではありません。一切関与していないということをはっきり言っておるわけでございまして、よくお読みいただけば十一月四日の私の主張というのははっきりおわかりいただけるだろうと思います。  そしてそれに対する対抗手段をいろいろ勉強し、検討し、現実にはやってきたわけであります。ただ、昨年十一月暮れに閣僚として入閣いたしましたので、いま国会サイドで各政党間で熱心にそういう問題について議論をしていただいておるわけでございますから、私が党におっていろいろ主張しがんばった点等はありますが、閣僚としての発言は、この際は御遠慮させていただいて、国会でお決めいただいた線に従って行動させていただきたい、こう思っておる次第でございます。
  66. 松永光

    松永委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  67. 松永光

    松永委員長 では、速記を始めて。
  68. 関晴正

    ○関委員 私は、何もきょうこれを取り上げるのを本旨とはしていません。本旨とはしていませんけれども、少なくとも国土庁長官の所管の内容について質問する際に、これを避けて入っていくわけにはいかぬ。私はとにかくあなたの述べていることも読んでいる。しかし、大体犯罪人とかなんとかというのは、最後の最後まで無罪を主張する性格を帯びていますよね、どの犯罪人を見ても。そうしてとことんのところでそうだと、こうなる。黒木知事のところの裁判にしても、発表されている内容を本人はあくまでもシロだと言う。また田中角栄にしたって、もらっていない、まだこう言っているのでしょう。もらっていなければ問題にならない。だがしかし、これが問題になっているところに問題があるわけなんです。私は、あなたに聞いているのは、あなたがその疑点を晴らすために、こう言われていることを晴らすためにとるべき手段というものは、やはりロッキード調査特別委員会の設置を、社会党はこれを設置しろと言っているのですから、当然あなたもそうすべきだと言うて、その場を得るようにしたらよろしいのじゃないだろうかと思っております。この点について、あとこれ以上の深入りをしての質問はいたしません。そういう点はよくよくお考えになっていただきたいということを申し上げておきます。  そこで、きょう私が質問したいのは、青森県におけるむつ小川原の開発の問題です。  青森県におけるむつ小川原の開発問題というのは、いまの青森県政の中で、昭和四十四年から今日まで十四年間、むつ小川原、むつ小川原と、カラスの鳴かない日はあってもむつ小川原の唱えられない日はないというほど問題の焦点とされてきた開発問題です。  そこで、このむつ小川原開発というのが、昭和四十七年における閣議の口頭了解あるいは昭和五十二年における閣議の口頭了解、こういう閣議の口頭了解というもので事を進めておるのですけれども、このむつ小川原開発計画というものは進むのですか。閣議口頭了解どおりに進めることができるのですか。そのことをひとつ長官にお尋ねいたします。
  69. 加藤六月

    加藤国務大臣 むつ小川原開発は、昭和四十四年五月決定しました新全総においてその構想が打ち出されたということはもう先生御存じのとおりでございます。その後、青森県が作成した第二次基本計画につきまして、昭和五十二年八月むつ小川原総合開発会議において、これを参酌しつつ、計画具体化のため所要の措置を講ずる旨の申し合わせが行われた。さらに、同趣旨の閣議口頭了解が行われたということは御存じのとおりだろうと思います。  事業の実施は、国、地方公共団体及び民間の緊密な協力のもとに推進されることになっております。国としましては、五十三年度から港湾整備事業、小川原湖総合開発事業を実施し、地方自治体等においても、道路その他関連施設整備環境保全、防災対策、住民対策等を進めているところであります。このほか国家石油備蓄基地の建設も進めておるところでございます。オイルショック後の経済情勢等を勘案しますと、計画で想定しておりました石油コンビナート建設を早期に実現することはむずかしい情勢にあることは御存じのとおりだと思います。しかし、長期的視点に立てば、むつ小川原地区は全国でも数少ない大規模工業基地でございまして、また地域振興にとっても重要なプロジェクトでございますので、今後とも経済社会情勢の推移を踏まえつつ、必要に応じて点検を行い、計画を進めていく必要がある、このように考えておる次第でございます。
  70. 関晴正

    ○関委員 形式的な御答弁はそうなるしかないだろうと思うのです。だが私の聞きたいのは、昭和四十四年に計画をされたいわゆる新全総。新全総というけれども、いまや新じゃなくなって旧全総もいいところですよね。そうして三全総に変わって、三全総が五十二年十二月から生きてきた。だがしかし、この三全総もいまや尾羽打ち枯らした状態で、わずか五カ年にして見直しが迫られ、この三全総の誤りが昨年の六月においてはこっぴどく批判されて、手直しをせざるを得まいというところにいまあるわけです。どう手直しをするのかということについては、時間があれば、また後で聞きますけれども、少なくとも青森県の政治の中で、開発をすると言うて、かつてはあのところに三十万人の都市をつくるのだと言った。三万ヘクタールの用地を取得して、そうして二百万バレルの石油精製だとみえを張ったわけですよ。当時、知らない青森県民やわれわれにしても、いや、これは物すごいでっかい大工業地帯ができるなあと思った。ところが、二百万バレルという話はだんだんと変わってきまして、百万バレルだ、いや五十万バレルだ、いや三十万バレルだ、二十万バレルだ。おしまいに至っては何もなくなっちゃった。うそバレルじゃないか、こう言っているわけですよ。巨大なうそがばれちゃったというのがこの話かと言っているのです。どうです。あなたはいまの答弁の中で、長期的視点に立ってここを見ると言うのですが、長期的視点に立ってどう見るのです。備蓄のタンクをふやそうということが開発だということなんですか。長期的視点に立てば、備蓄の量をいまの五百六十万キロリットルからまた同量ぐらいふやしてあげるということなんですか。それとも石油コンビナートとしての基地をこの場所に建設してあげますよ、こういうことなんでしょうか。長期的の長期というのは何年のことなんです。お答えください。
  71. 加藤六月

    加藤国務大臣 詳しいことは担当局長から御説明いたさせたいと思いますが、先ほど申し上げました中で、わが国の数少ない大規模工業基地としての機能を発揮させていただきたい、これが一つの大きな眼目であり、長期的というのは、これから二十一世紀を目指してわが国が活力ある経済社会を維持発展させていくための長期的な観点、視野という意味で申し上げた次第でございます。
  72. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 ただいま大臣お答えになりましたことに尽きるわけでございますけれども、ただ、先生から仰せのございましたように、第二次基本計画におきましては、石油精製の場合、全体計画で百万バレル・パー・デーという計画になっていることもそのとおりでございます。第二次基本計画は現在でも生きておるというふうに思っております。  ただ、先ほどもお答えがございましたように、現時点におきまして、早期にこの第二次基本計画を実現するということが非常に困難な情勢にあるということも御案内のとおりでございます。しかしながら、大規模工業基地としてきわめて重要な地域であるという認識を持っておりまして、今後とも、長期的にこれをどう生かしていくかということについて、関係者ともども検討をしてまいらなければならない、かように考えております。
  73. 関晴正

    ○関委員 政府役人というのは、これで答えていけば、次々とかわっていくわけだから何の責任もないわけですよ。だけれども政府というものは、人がかわっても責任がある。とにかくこうした開発計画を当時策定するときに、これを指導し、これを閣議口頭了解まで持っていくのに取り組んだ政府役人の諸君たちの労を私は多としております。  しかし、あのとき二百万バレルの石油精製なんて言ったけれども、それはとてもできなくなった。そういうことで、百万バレルに下げようじゃないか。しかもその百万バレルに下げるのも、一期五十万バレル、二期五十万バレル、合わせて百万バレル。石油化学に至っては、エチレン換算で一期八十万トン年、二期目は八十万トン年、それで百六十万トン年。それから火力発電に至っては、一期において百二十万キロワット、二期において二百万キロワット、合わせますと三百二十万キロワット。この工業開発計画というのが、五十年の十二月に出したものを五十二年八月三十日に閣議口頭了解ということで通ったわけです。閣議口頭了解なんて、私は政治的なものだと実は思っておるのです。このときの大臣は青森県から出ておる田澤君ですね。田澤君の立場も考えてやったと私は思うのです。  問題は、いまのわが国の石油精製の姿です。石油化学の姿です。長期的になれば、石油精製や石油化学はふえますか。いまの石油精製の姿はどうです。原油処理能力は約六百万バレル日でしょう。どのくらい動いているか。三百六十万バレル。というのは六割ですよ。だから、話には、二百万バレルくらい施設を撤去しろ、内実は百万バレル撤去しろ、こう言っていると聞いています。そういう方向にあるのです。あなたが、長期的に時間をかければ石油精製の能力はこの地域において生きてくると言うのなら、私はわかります。石油化学またしかりです。石油化学に至ったって、現在どうですか、石油化学の実態というものは。これも六百余万トンになっているけれども、六割程度でしょう。似たものです。まさに六割操業。したがって、政府は既設のものを切れと言っているでしょう。既設の能力のものを縮小しろと言っているでしょう。  そういうときに、このむつ小川原開発の第二次基本計画、あなた方政府が閣議口頭了解といってお墨つきをつけてやるといったものが、やれるのですか。やれなかったら計画を変更したらいいでしょう。計画だというのなら、日限を定めたものなんでしょう。二十一世紀を目指していずれの日にかなんというのは、これは計画ですか。これは構想というものでしょう。計画構想というのを混同して答えなければならない羽目に陥っているのではないですか。どうかひとつ明確にこの点はお答えいただきたいし、そういう点について三全総も幾多の誤りがある。誤りのうちの最大の誤りはこれになるだろう、こう私は思っておりますが、この点でひとつごまかしのない御答弁をいただきたいと思うのです。青森県で幾ら論じましても、閣議口頭了解というものがあるのだからというにしきの御旗で何もかも抑えてしまう。こういう抑えたような政治で県民や国民は信頼することはできません。ひとつ明確なお答えをいただきたい。  時間もありませんから、あわせて申し上げておきたいのですが、はなはだしい話は、この場所には備蓄のタンクにおいて重質油を多く入れることになるであろう、重質油になると、これを溶解するためのプラントの導入を図る必要があるだろう、こんな話が出ているわけであります。このむつ小川原の備蓄タンクに対して、重質油対策としてのプラント導入なんというのは考えられるのですか、考えられないのですか、この点もあわせてお答えいただきたいと思います。
  74. 加藤六月

    加藤国務大臣 先生がおっしゃいましたように、むつ小川原開発第一次基本計画とむつ小川原開発第二次基本計画の間においては、そういう開きがあるのは事実でございます。そしてまた、先ほどのわが国全体における石油精製、石油化学の現状分析、私も同感でございます。しかし私たちは、こういうときにこそ国民の将来の生活、経済状況というものを考えて、腰を据えた国際競争力のある大きいものをしっかりやっていくということは必要である、このように考えておるわけでございます。  なお、国備に関連して重質油云々等の問題につきましては、関係の局長からお答えいたさせたいと思います。
  75. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 重質油分解プラント誘致のお話がございましたが、私ども国土庁といたしましては、地元青森県で、むつ小川原地区にこのようなプラントを誘致することができるかどうか、情報収集に努めているということを聞いてはおりますが、具体的な話は私どものところには届いておりません。
  76. 関晴正

    ○関委員 私の聞いているのは、知事がそういうようなことをまことしやかに県議会で答えておるのです。しかし、このプラント導入というのは、進んでいるところの石油地帯においての、言うなれば中間留分をなお取れないかということで、高度のプラント導入ということで南北に一つずつやろうじゃないかというのは予算の中にもある。備蓄タンクに重質油のものが入ってくれば、そのための対策として、いまにでもこのプラントが生かされるような話がされているわけです。そういうことは間違いだろうと私は思うんだけれども、あなたのいまの答弁では、そういう話は聞いているけれども、こちらには来ていない、そんな程度のお答えじゃ困るんです。そういうようなことは、いまの話ではないんだ。やがてあの地帯がこの閣議口頭了解で言っているようなときになったならば、それは考えられるかもしれない話だ。ましてや、閣議口頭了解の内容がいま挫折しちゃっているわけなんだから。おぼれる者はわらをもつかむというたとえがあるけれども、何でもおぼれたふりをして、県民をごまかしてお答えしているような姿に見えてなりません。この点について、重質油対策のプラントの話は備蓄のタンクに当てはまるものではない。まして現状の青森県のむつ小川原の開発中身はそんなところまでいっているものではない、これをひとつ明確にお答えいただきたいと思います。
  77. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 重質油プラント誘致の話につきましては、先ほどお答えをいたしましたとおりでございまして、それ以上、このようなプラントをこの地区に誘致するための適地であるかどうかというようなことについては、私どもとして評価をする立場にないということでございます。
  78. 関晴正

    ○関委員 お答えのとおりですから、何もないということを裏書きしたようなものと理解しておきます。  その次に、備蓄タンクのことなんですが、備蓄タンクの量も、またいま五百六十万キロリットルから倍にふやそうじゃないか、こういう運動をしきりにしております。しかし今日、三千万キロリットルの備蓄計画の中の一千二百万キロリットルでいま終わっているわけです。ことし二百九十万ふやすということで約千五百万キロリットルにまでいくでしょう。これが完了するのが六十三年。これが完了しないうちにさらに五千万キロリットルの備蓄を考えれば、その際は考えられるかもしれないという話で、地元では何とかまた欲しい、こう言っているのです。こんなものをあそこにつくられて、青森県のむつ小川原開発というものは備蓄タンク場でございますということで終わることになるのであろうかと思うとまことにこれは残念。ましてやまたもう五百六十万キロリットルふやすような計画はこの地域にはないと私は思っているのです。そういう点について、何もないからまたあそこをタンク場にしようと思ってふやそうとお考えになっておるかどうかを加藤長官に私はお答えをいただきたい。  あわせて、あそこの水、むつ小川原の小川原湖の水を使おう、水利用にかかわる一つ計画があります。小川原湖総合開発。この総合開発だって、とにかく飲料水を供給するというのだけれども、飲料水の要求なんか住民にはない。あの地域は沼のあるところですから掘ればいい水が幾らでも出るところです。その幾らでもいい水の出るところに、上北鉱山の鉱毒汚水がたれ込んでいる小川原湖の汚い水を飲ませるために金をかけたり、そういうようなことのために予算をつくるなんということはとんでもないことだと思うのです。まして、こういう仕事に入ろうとすれば、淡水化事業のためにはあそこで漁業をやっておる諸君たちの漁業補償が先です。漁業補償については何の話もない。そうして淡水化事業でござるのやれ飲料水の供給でござるのと言って市町村の負担を考えるとかと言っておるのです。実際上この工事のために五十六年度の予算はどれだけ使われました。そうして五十七年度の予算はどれだけ消化されるところにありますか。その点についてお答えをいただきたいと思います。
  79. 川本正知

    ○川本政府委員 ただいま後段でお尋ねの総合開発事業のことについてお答えいたします。  いま先生おっしゃいましたように、小川原湖の総合開発事業は、用水の補給といったことだけではなくて、高瀬川水系の治水計画の一環といたしましての洪水対策、それとあわせまして小川原湖周辺の既得用水の補給などの流水の正常な機能の維持、そのほかに灌漑用水の補給、それからおっしゃいました水道用水あるいは工業用水の開発を目的としておりまして、その水道用水につきましては、現在もうすでに二市五町二村を構成体といたします小川原湖の広域水道企業団というものが設立されておりまして、そういったところの水の引き受けということは確定しておるわけでございます。それでお話がございました漁業補償の問題につきましても、すでにこの総合開発事業をスタートさせました時点からいろいろと接触を保っておりまして、小川原湖の漁業協同組合、これに関します調査につきましては五十五年に終わっておりますし、六ケ所村の漁業協同組合に関する調査につきましても、最近着手し始めたところでございます。漁業補償の内容につきまして、今後さらに調査を続けていかなければいけないと思っております。  それから、予算の点でございますが、五十六年度までには約四十七億円の予算を使っております。五十七年度におきましては、当初十七億円でございましたけれども、結果的には十一億四千万円という予算で湖岸堤に関します用地の補償あるいは湖岸堤の工事の一部の実施ということをやっておる次第でございます。
  80. 加藤六月

    加藤国務大臣 治にいて乱を忘れずということでございまして、油の国家備蓄ということは、われわれ真剣に平素より十分に考えておかなくてはならないところでございます。先生が先ほどおっしゃいました国家備蓄の数字は大体おっしゃるとおりでございます。それを当面は円滑に誠実に推進していくということが国民に対する政治の大きな原点であろう、このように考えておる次第でございます。したがいまして、関係省庁の間で熱心に議論いたしておるわけであります。特に最近OPECを中心とする石油の変動等があります。こういう点等も十分観点に入れながら今後進めていくという姿勢を政府は持っておる次第でございます。
  81. 香田忠維

    ○香田説明員 お答え申し上げます。  国家備蓄基地につきましては、技術的、経済的、いろいろな観点から検討しまして、幾つかの候補点がございますけれども、この実際の決定に当たりましては、全国的な適正な配置の観点も含めて勘案する必要がありまして、この観点から見ますと、むつ小川原地区についてはすでに五百七十万キロリットルというような大規模な基地建設を鋭意進めておるところでございまして、私どもは、備蓄計画というものが非常に緊急であるということもございまして、六十三年度末に三千万キロリットルの目標を達成するということを第一の重要課題と考えまして、それに鋭意努力しているところでございます。
  82. 関晴正

    ○関委員 私の言っているのは、その五百七十万キロリットルの倍増計画をあの地になお計画として考えているかどうかというのを聞いておるのだ。この点については、この計画がないならないとはっきり言っていただきたい。
  83. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 現在五百七十万キロリットルの備蓄基地建設に売り渡しましたむつ小川原開発株式会社の土地が総面積の九・四%程度に相なっております。全体的に大規模工業基地といたしましてこの地区を活用しなければならないわけでございますが、一方できるだけ早く土地を処分するということも必要なわけでございまして、そういう過程で県の方でいろいろ御検討になっておるということは聞いておりますが、私どもといたしましては、この点についてはいろいろ慎重に考える必要がある問題である、かように現時点では考えております。
  84. 関晴正

    ○関委員 何のお答えにもならないお答えをしてこの場を逃れているだけですよ。実際上六十三年までいま定められた方針にのっとって進むというのが担当の国の方針だと思う。三千万キロリットルを五千万キロリットルにするかしないかなんということは、とてもいまの段階で、考えたいかもしれないけれども、行えるという時点にないだろう、私はこう思います。でも、これはまたいずれ時間を見て論議を進めてみたい、こう思います。  最後に、むつ小川原開発株式会社というのがある。この株式会社に国が出資してますね。ところがこの会社というのは相当な赤字を抱えておる。一千億を超えているのじゃないだろうか、こう思います。そこで、この会社が現在抱えている赤字の金額はどのくらいになっているか。この三月の末をもっていよいよ発表するのかもしれませんが、十二月末でこの会社の会計はそれぞれ定められているようであります。したがって、現状における、十二月末現在で結構ですが、借金はどのくらいか。北東公庫が出資をしている。北東公庫はこの会社に、何ら見返りのない会社に毎年貸し付けを行っております。現在の貸付金額の総額は幾らになっているか。それからことしの貸付金額は幾らであったか。ことしというのは五十七年度です。そうして五十八年度にもまた貸し付けの計画があるのかどうか。また東北開発公庫は、この会社についてどのような見方、指導、意見というようなものを持っておるのかという点についてお答えをいただきたいと思います。  もう一つは、先ほどお答えないままに終わったのですが、水質の問題です。この沼の水を飲料水に供給する、住民の飲料水として持っていくのだ、こう言っておるのだが、ここの水がきれいな水であると思っておるのか思っていないのか。しかも、その調べについて生データを出せと私は言っておいたのですが、生データがやっとさっき届きました。しかし、この生データ一つでここの水はりっぱであるとは言いがたい。現実に水質をめぐって相当な偽造があったのではないか、こう言われております。もともとむつ小川原開発計画というものを進めるには、あの港湾をどうするかというときに、天を欺くほどの統計をもって偽造して、そうしてつくったという例がございます。われわれはよく人を欺くと言うのだが、この開発は天をも欺いてつくったと言って批判もしている。そういうようなことは今度は水においても出ている。これがまた現場における訴訟にもなっていますよね。そういう点において、厚生省なるものが、ここの水質はどういうものであるかということについて、現地の調査だけでよろしいとしているのでは困る。もっと綿密に調査をする必要があるのじゃないだろうか、こう思いますので、その点と、補償にかかわる話がちっともお答えの中に出ておりませんので、補償にかかわる件と、三つあわせてひとつ御答弁いただいて、私の質問は終わろうかと思います。
  85. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 五十七年十二月期の決算はまだ確定をいたしておりませんけれども、見込みとして、私どもが会社から聞いておりますところでは、累積欠損金の額が約十六億円になるだろうということであります。  それから、北東公庫の五十七年末残高でございますが、これも決算は確定しておりませんけれども、約四百十七億円程度になろうかというふうに聞いております。  また、毎年の貸出高についてのお尋ねでございますが、五十七年、これも見込みでございますが、約七十七億円になろうかということでございます。(関委員「会社の借入金の総額」と呼ぶ)会社の借入金でございますか。北東公庫でございますね。(関委員「むつ小川原開発株式会社の借金」と呼ぶ)ちょっといま調べて、すぐお答えいたします。
  86. 田中富也

    ○田中説明員 小川原湖について行いました原水の水質試験の結果からは、小川原湖を水道水の水源といたします水質につきましては、水道法の水質基準という基準がございますが、十分適合しているものと私どもは判断しております。  それから、重金属等の有害物質につきましても、小川原湖の現況の水質から見ましても、環境基準を満足しており、私どもとしては、特に問題はないものと判断しております。
  87. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 お答えいたします。  北東公庫からの借入金も含めまして、約一千百億円の借り入れとなっております。
  88. 川本正知

    ○川本政府委員 補償のことについてお答えをしたいと思いますが、湖面の漁業補償に関しましては、先ほど申し上げたとおりでございます。  それから、総合開発事業でいわゆる護岸堤をつくりますが、その護岸堤もすでに工事を実施しております。その実施しております部分については、当然のことながら補償を済ませておるわけでございますが、全体的な土地に関する補償につきましては、現在用地調査中でございまして、順次それに応じて必要な部分から用地交渉を、地元の方々との折衝に入りたいと思っておるところであります。
  89. 関晴正

    ○関委員 ちょっとお答えが間違って答えておるから……。  私の聞いておるのは、淡水化事業あるいはまた飲料水に供給するということで取り組んでいる仕事の中で、その小川原湖の漁業補償についてどんな折衝をしているか、この漁業補償が決まらないのに仕事に入るわけにはいかないだろうと言っているのです。そのお答え一つもありませんから……。  もう一つ、北東公庫の方から阿多理事が来ているはずです。こちらで聞いているのは、年々何らの見通しのないままの貸し出しをしている、これについて東北開発公庫はどう考えているかというこのお答えもありませんので、あわせていただきたいと思います。
  90. 川本正知

    ○川本政府委員 漁業補償のことにつきましては、先ほどお答えしたとおりでございますが、淡水化に伴います小川原湖の漁業、これにつきまして漁業協同組合が小川原湖の漁業協同組合と六ケ所村の漁業協同組合と二つございます。それにつきまして、それぞれ漁業調査をしておりまして、小川原湖につきましては漁業調査を終わっております。六カ所村の分につきましては、五十七年から調査に着手したというところでございまして、五十四年ごろから地元の漁業協同組合の方々とは十分折衝しながら、その上で調査を進めておるところでございます。
  91. 阿多忠明

    ○阿多説明員 北海道東北開発公庫におきましては、むつ小川原開発株式会社にここ十年来融資をいたしておるわけでございます。御承知のとおり、むつ小川原開発会社は、むつ小川原地区の大規模工業開発におきまして、その工業用地の取得、造成、分譲、そういった事業を主要な業務としてやっておるわけでございます。  この開発計画全体が、先ほど来御答弁ございましたように、国の閣議口頭了解を得たというプロジェクトでございまして、その実施を担っておるわけでございますが、そういう事業でございますので、私どもとしましても、その事業達成にできるだけの資金的な協力をするということで、従来から融資しておったわけでございます。  ただ、先ほど来もお話がございましたように、当面基本計画にありますようなプロジェクトの早急な実現はなかなかむずかしいという情勢にあることも御承知のとおりでございますが、こういう非常に意義のある、国家的にもまた地域開発のためにも非常に重要な地域でございますので、この事業につきまして必要な長期資金につきましては、関係の協調融資銀行団とも協力しながら、引き続き援助してまいりたいと考えている次第でございます。
  92. 松永光

    松永委員長 午後一時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十分休憩      ────◇─────     午後一時八分開議
  93. 松永光

    松永委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  建設行政国土行政基本施策に関する件調査のため、本日、参考人として住宅都市整備公団総裁志村清一君、理事名本公洲君、理事救仁郷斉君、理事武田晋治君、理事田辺昇学君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 松永光

    松永委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  95. 松永光

    松永委員長 質疑を続行いたします。薮仲義彦君。
  96. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、本日は建設国土大臣住宅の問題と地価、中でも宅地に関する問題について、さらには時間の許す限り公団の問題について質問をさせていただきたいと思います。  まず冒頭に、両大臣にお伺いしたいのは、両大臣は特に住宅、地価に対する担当大臣でございますので、先般総理府が五十七年八月の調査結果をまとめて、二月二十七日に「大都市地域住宅・地価に関する世論調査」という総理府の調査結果をまとめております。これについて両大臣は、当然この中における大都市圏における国民世論の動向というものを十分御認識いただいていると思うわけでございます。当然これをこれからの住宅、地価の政策の中で十分取り入れて誤りなきを期していかれると思うのでございますが、この世論調査を今後の施策の中で当然尊重されると思うのでございますが、その辺の御決意からきょうはお伺いしたいのです。
  97. 内海英男

    内海国務大臣 今回の総理府の調査は、住宅、宅地問題に対する国民の率直な要望にこたえたもの、こう思われます。したがいまして、この調査の結果を十分踏まえまして、今後政策の上に反映させてまいりたいと考えておるわけでございます。
  98. 加藤六月

    加藤国務大臣 三大都市圏の皆さん方が、地価の安定に対する御希望が非常に強いということを再認識いたしたわけであります。幸い最近地価はやや安定いたしておりますが、さらに精力的に努力しまして、地価の長期的安定というものを志向させていかなくてはならない、このように思っておる次第でございます。
  99. 薮仲義彦

    薮仲委員 それではまず土地の問題から何点かお伺いしてまいります。  この世論調査と離れまして、国土庁は国土庁みずから昨年の十一月五日「地価動向調査の概要」というのを発表していらっしゃいます。国土庁は国土庁独自でこういう地価の動向調査をおやりになっていらっしゃるわけでございますが、現在の地価の動向について、特に大都市圏の動向についてはどういう認識に立っていらっしゃるか、まずお伺いしたいのです。
  100. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 最近の地価動向につきましては、去る一月一日に調査をいたしまして四月一日に発表する地価公示というものがございますが、これについては目下集計整理中でございまして、まだ具体的に申し上げられる段階まで来ておりません。そうしますと、私どもが行いました一番新しい調査といいますのは、昨年十月に行いました地価動向調査ということでございまして、これによりますと、その前の四月との対比で発表いたしておるわけでありますが、全国平均、全用途平均で半年間の地価上昇率が二・三%、その前の半期の三・二%に比べますとさらに鈍化傾向を強めているわけでございます。この二・三%を単純に年率に換算いたしますと約四・七%ということでございまして、こういう傾向をさらに定着させていきますれば、土地の所有、その他かなり住民の意識も変わってくる面があるのではないかと思っておりまして、こういう傾向をさらに長期持続させるための努力を精力的に傾注してまいりたいと思っている次第でございます。
  101. 薮仲義彦

    薮仲委員 そうしますと、これは調査結果ということになるかと思いますけれども国土庁の認識は、いま局長御答弁のように、一応鎮静化しておるという御見解のようでございますが、それでは国土庁としては、このように土地が鎮静化している要因といいますか、なぜ土地が鎮静化していると判断なさっていらっしゃるのか、その鎮静化している理由は何でしょう。
  102. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 最近このように地価上昇率が鈍化傾向をたどっておりますのは、いろいろな要因があるかと思います。一つは、構造的要因でございまして、かつてに比べますと、人口の伸びあるいは世帯数の伸びというものがかなり鈍化をしてきております。あるいは移動人口地方から都市への人口の移動がかなり減少してまいりまして、ほとんど社会移動がなくなってきたということ。あるいは住宅が量的にはかなり充足度を高めている。こういったような要因の変化が一つはあるかと思っております。  それからもう一つは、最近一般の需要者、消費者が住宅に限らず、いわゆる物離れというふうに言われておりますが、そういったような傾向の中で住宅建設が低迷しておる、あるいはマンションの売れ行きが不振であるということで土地取引が低調に推移しておる。こういうような地価動向でありますと、無理をして急いで土地を手当てする必要が必ずしもなくなってきておるというようなことで、いわゆる投機あるいは投資的な取引が減っておりますし、経済情勢全般を見ますと、物価、金融、いろいろな経済情勢も安定的に推移してきているといったようなことが複合的に絡み合いまして、こういう鈍化傾向になりつつあるものというふうに認識をしております。
  103. 薮仲義彦

    薮仲委員 いまの局長の御説明を伺いまして、率直に言って感ずるのは、こういう言い方が果たして妥当であるかどうかはいかがかと思いながら言うわけでございますけれども建設省もしくは国土庁の具体的な政策によって、たとえばいま要因とおっしゃった人口、世帯あるいは世帯の移動、そういうようなもろもろの要因がというような実感がちょっとわいてこないのですね。経済動向で、ごく自然の国民の動向としてそうなってしまっているのではないか。むしろ簡単に言いますと、土地というものは安定しているというけれども、逆に高値安定ではないの、高いんじゃないの、ということは買えなくなったんではないの、われわれはこう感ずるわけですね。しかも、これはこれからの大きな国全体の政策課題になると思いますけれども、所得減税がない。可処分所得が年々減っている。所得水準はむしろそれだけの上昇を見てないんじゃないか。低迷しているんじゃないか。とても庶民は土地に手が届かなくなっちゃったよということで、国民が買えなくなったんじゃないか、こういうことが言われておりますけれども、その辺はいかがですか。高くなって買えなくなったんじゃないか、こういう素朴な質問に何とお答えになります。
  104. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 ここ二、三年、勤労者の所得の伸びがそれ以前ほどではなくなってきたということと、それからここ先数年を見越して、必ずしも昔のように勤労所得が伸びる期待といいますか、そういうものが薄れてきているということがかなり影響しているというふうに一つは思っております。  それからもう一つは、総理府の世論調査にもございましたように、かなり持ち家率が高まってきておりまして、いわゆる世論調査の中にもございますように、住宅に対する欲求というのは、たとえば四部屋を五部屋にしたい、あるいは予供部屋がどうしても欲しい、こういうことで需要の様相が少し違ってきたということも影響をしているものかと思っております。
  105. 薮仲義彦

    薮仲委員 いま土地局長そうおっしゃったのですけれども、それではここの中での地価に対する国民の世論はどうかな、こう開いてみますと、四十九ページにはこう書いてあるのです。これは五十二年十月から約五年たった五十七年八月の調査ですけれども、五十二年十月では「上昇傾向にある」という方が四二%、今回の調査では六二%、「安定している」という方は逆に三七%から二〇%に減っちゃっているわけですね。むしろ下がったんじゃないかという方はゼロです。国民の受けている感じというものは、いま局長が土地は鎮静化しつつありますよとおっしゃったことと違う。ここにあるほとんどの方は、パーセントでいくと約六〇%の方は完全に値上がりしていると感じている。国民の受けている実感といま国土庁のおっしゃったのと全然違う。生活感情と実態とは違うのじゃないかと思いますけれども、いかがでしょう。
  106. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 お答え申し上げます。  これは多少言いわけがましくなりますが、五十二年十月の調査ということになりますと、皆さんが念頭に置かれましたのは五十二年の地価公示であろうと思います。あの当時はオイルショック直後の大変な不況期でありまして、実は五十二年地価公示による全国の地価上昇率は一・五%、こういう事態でございます。昨年の八月の調査になりますと、昨年の地価公示を皆さん念頭に置いてお考えかと思っておりますが、一昨年の九・六%からやや鈍化しましたものの、まだ年間七・四%上昇という頭があったのではないかというふうに思っております。この調査、五十二年と五十七年ということでなくて、さらに今後とも経時的に、恐らくことしあるいは来年調査をしてまいりますれば、この辺の動向にしましても、また違った様相が出てくるのではないかと思っておりますし、またそういうふうにしたい、しなければならないというふうに私どもは認識しておる次第でございます。
  107. 薮仲義彦

    薮仲委員 いまの局長のその答弁に私は納得はしておらぬのですけれども、それでは国土庁としては、現在の地価鈍化の方向というのを定着させるために責任を持ってこういう施策を具体的に推進いたします、現在の鈍化傾向をこれからも定着させるという自信がおありなんですね。
  108. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほど局長お答え申し上げた中で、先生が厳しく御指摘されましたが、政府の政策その他で土地の値上がりを鈍化させた要素はないのかというようなお話もございましたが、まずその点について申し上げておきますと、投機的土地取引の抑制ということについては、国土庁土地局としては真剣に取り組んできまして、そこら辺の問題をやってきた。あるいは各省庁と相協力しまして、宅地供給の促進のための諸施策を総合的に講じてきた。こういうこと等が、先ほど局長が答弁した要素とは別の立場から見ても、地価の安定化につながってきておるということを冒頭申させていただきたいと思います。  そして引き続きこれから政策的に考えられる問題としては数点ございますが、先ほど申し上げました国土利用計画法の届け出勧告制度、土地取引の動向の監視制度、これを的確に運用していくというのが一つでございます。それから二つは、当委員会で御審議して通していただきましたのですが、農住組合制度、土地利用転換計画制度等の活用による市街化区域内の農地の宅地化の促進、それから三番目は線引きの見直しの適切な実施、それから四番目としましては、住宅宅地関連公共公益施設の重点的な整備及び宅地開発等に係る地方公共団体指導要綱の適正化、五番目は低未利用地の活用、都市開発の推進等既成市街地の中の土地高度利用ということ、あるいは六番目としまして、借地方式や等価交換方式等の活用等の施策を総合的に講じまして、今後とも引き続き地価の安定、そして国民の住環境をすばらしいものにしていく計画は推進していく覚悟でございます。
  109. 薮仲義彦

    薮仲委員 いま長官のおっしゃったのは、簡単に言えば、供給を確保いたします、もう一点は地代のかからないいわゆる住宅政策というものを側面から推進いたします、そういうことだと私は認識をしたわけでございます。  土地局長、これは重ねて言うのもいかがかなと思うのですけれども、お持ちですから、これの二十七ページを開いてください。いま住宅が充足しているとおっしゃった。確かに数の上では充足しているのです。しかし、四期五計の最低居住水準を満たしますよ、あるいは平均居住水準を二分の一にしますよということは何かというと不満なんですね。多くの方はまだ将来の住宅に対して、充足とは言うけれども、それは数の上なんだ、。充足というのは必ずしも数がそろえばいいということでは断じてないと思うのです。もしも数がそろえばいいというのならば、私は国土庁の施策は根本的に改めていただかなければならない。やはり質の向上を図っていただかなければならない。そうしますと、充足というふうにいま何回かおっしゃった。住宅はある程度充足しておりますとおっしゃった。そうであるならば、これはもう住宅政策は必要なくなってくる。なぜ必要かというと、いま国民の多くの方が住宅に対して将来こうしてほしいという希望を非常に持っています。この二十七ページにこう書いてある。「住宅の所有関係別に見ると、「計画がある」と答えた者は、借家の四割と、持家の三割を上回っている。」いろいろな統計、分析があるかもしれませんけれども、これに出ているように、やはり多くの方は家が充足とは思っていない。増改築しようあるいは新築の家へ、中古でもいいから買いかえよう、こう出ておるのですけれども、この辺の認識はいかがです。
  110. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 私も先ほどは量的には充足というふうにお答えをしたつもりでございますが、最近、こういう動向から見ましても、先ほど申し上げましたように、もう一部屋欲しいあるいはどうしてもりっぱな子供の勉強部屋が欲しい。こういう質的向上のための意欲というのは非常に強いものがございます。そういうことを実現するための努力を大いにやっていかなければいけないというふうに思っておる次第でございます。
  111. 薮仲義彦

    薮仲委員 いま長官がお答えになったこれからの具体的な施策について、私は次にいろいろな問題を聞いてまいりますが、確かに地価のかからない宅地の供給ということが大事だと思っております。  土地局長にお伺いしたいのは、このいわゆる世論の動向で一番将来の期待として一体何を願っておるのかというのがやはりここに出ておるわけです。ここで、今後土地が上がると思いますかというと、上がりそうだなと思っている人が七三%いるのですよ。では希望の方はどうかといいますと、上がらないでほしい、一定であってほしいという方が五二%、むしろ下がってほしいという人が二〇%、安定もしくは下がってくれという方が七十数%。上がるのじゃないかなと思っている人が七割いるわけですよ。すると、私は国土庁が地価を上げないというのは大変重要な、これからの国民のニーズにかなった最も大事な施策だと思うのですよ。国土庁が地価を絶対上げないように具体的におやりになることがどれほどいま国民経済あるいは国民のニーズに合致しておるか。もう最重要課題じゃないかと思うのですね。これについて長官お答えいただきましょうか。どうですか。
  112. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、土地というものを投機の対象としないという基本的認識と、先ほど申し上げた六点ほどの施策を総合的に強力に推進することによりまして、地価の安定的傾向を維持していきたい。ただ、日本国民の意識の底に、可住面積の狭い日本、小さい国土にたくさんの人間が住んでおる、そこら辺に地価に対する一つの神話というものがあるのではないだろうか。そこら辺を今後国土庁の行政を推進していくことによって、国民の皆さんにも幅広く理解してもらって、土地の安定的傾向を総合的に維持推進していきたい、このように思っておる次第でございます。  個々の具体的な政策につきましては、さらに先生方の御意見、各界各層の皆さんの意見を承りながらやっていきたい。この決意でございます。
  113. 薮仲義彦

    薮仲委員 いま大臣が土地神話とおっしゃったのです。全く私も土地神話をなくさない限りいけないと思うのです。これは最も重要な問題だと思います。これもやはりここに、五十七ページに出てくるのです。土地に対する考え方、なぜ土地を持つのですかというのを長官、ちょっと見てください。まず土地を持つ理由の第一位は、土地は財産であるからです。資産形成で最も有利だ。土地を持っていれば、土地が値上がりして、簡単なことを言えば、銀行やいろいろな資産形成の方途があるかもしれないけれども、土地を持っていれば一番もうかるんだということが、これは端的な国民の気持ちが数字の上に出てきている。一番目に、土地は財産であるから、二番目に初めて、生活の基盤となる家を建てるから、こうなっています。三番目には、精神的に安心だから、こうあるわけです。土地神話が一番根強く残っている。  そうしますと、土地が値上がりして、持っていれば最も適切な資産の運用になるのだという考えを、やはりいまおっしゃったような総合的な国土庁の施策の中で、簡単に言えば、土地を持ってももうかりませんよ、土地は手放しましょう、いまおっしゃったような限られた狭い日本国土です、それを資産運用に使うということはよろしくありません、もっと有効適切に使うように、そういうような国民の感情がこの次の世論調査の上で出てくれば、確かに長官は歴史に残る名長官になると思うのですね。そんなむちゃなことは言いませんが、私は、この世論の動向というのは非常に大事な点を示唆していると思いますので、この点十分御検討、お含みおきいただいて、今後の施策誤りなきを期していただきたいと思うのです。  そこで、いま長官もおっしゃいましたけれども、区画整理した跡があいていますとか、農住組合法によってやりますとかということがいろいろ出てまいります。今度、私はこういう公的な資金の運用等も含めた土地それから住宅の施策というのを絡めながら御質問させていただきますけれども、それでは要は何かというと、地価を安定させつつ住宅を質的にも十分満足させることが、簡単に言えば、これからのわれわれ建設委員会に課せられた一番重要な問題だと思うのです。  そこで、これは建設大臣に伺っておきたいのですが、最近、四期五計の第二年目に入りまして、新設着工戸数が、珍しくなんと言うとよくないのかもしれませんけれども、上向きになってきた。非常に好ましい傾向にあるわけでございまして、三月一日に発表されました五十八年一月の新設住宅戸数が七万九千八百九十六戸、五十七年四月から五十八年一月までの十カ月の合計が九十八万二千五百七戸、残りの二カ月も、単純にいっても、昨年の実績でいくと十七万七千戸できたわけでございますから、このとおりいけばなあとわれわれも期待しておりますが、これでいくと百十五万戸くらいいくのじゃないか。もしも達成すれば五年ぶりで前年度実績を初めて上回る見通しになってきたわけでございますけれども、まず大臣は、この昨年度より上回るという見通しに立っていらっしゃるかどうか。五十七年度百三十万戸ですが、四期五計の目標からいけば、本来は年間百五十万戸以上建てなければならないのですけれども、本年度は前年度を上回って百三十万戸まで何とかという自信をお持ちかどうか。その辺いかがでしょう。
  114. 内海英男

    内海国務大臣 五十七年度におきましては、百三十万戸ということを目標に置いたことは御指摘のとおりでございます。取得控除の引き上げであるとか、あるいは貸付限度額の引き上げであるとか、いろいろな施策を講じた結果、ようやく昨年度よりは幾らか上回るのではないかというかっこうでございます。百三十万戸には到達はできない、こう思っております。
  115. 薮仲義彦

    薮仲委員 非常に慎重な御発言でありますけれども、それでは長期に立った場合に、五十八年度は大臣としてはどの程度の新設戸数をお考えですか。
  116. 内海英男

    内海国務大臣 五十七年度と同じぐらいまでいくであろうと思っております。
  117. 薮仲義彦

    薮仲委員 それではこれはごく簡単にお伺いしたいと思うのでございますが、公庫の融資枠も三万戸減らしていらっしゃるし、公団住宅も減らしていらっしゃる。五十八年度予算では目標を全部ずっと減らしているわけでございますけれども、これは一番の大きな理由は何ですか。
  118. 内海英男

    内海国務大臣 国の御案内のとおりの財政事情もこれあり、いろいろ予算編成の中で折衝を重ねてきたわけでございますが、公庫につきましては、無抽せん制度を引き続き採用することによって、需要者が多ければ弾力的にその点は運用してまいりたい、必ずしも三万戸減ということにこだわるつもりはございません。
  119. 薮仲義彦

    薮仲委員 先ほど来、国土庁長官も、いろいろな意味で宅地の有効利用ということを言っていらっしゃるわけでございますので、これは確認の意味でお伺いしたいのでございます。  これは新聞でございますが、建設省がいわゆる都市住宅の高層化という方針をお出しになられた。線引きによる宅地の供給あるいは都市の再開発等もあるわけでございますけれども、さらに今度は土地の有効利用のあり方として、都心部においては、今後は高層化の方向を目指す、こういうことが言われておりますけれども大臣、これは具体的にはどういうことでしょう。
  120. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 お答え申し上げます。  先生がいまお話しになりましたように、これからの都市住宅政策といたしましては、大都市の都心部にできるだけ市街地住宅を供給していくことによりまして、住宅政策全般の円滑な推進をやっていきたいと考えております。  このため、従来から住宅供給を伴います市街地再開発事業、それからまた必要な用途地域の見直し、総合設計制度等々の活用を行ってきたわけでございますが、いまお話にございましたように、三大都市圏の既成市街地におきまして、特に土地の高度利用と良好な市街地住宅の供給を図りますために、昨年建築基準法の施行令を改正いたしまして、また本年の二月に容積率の割り増しを大幅に認めまして、住宅の供給を容易にするような市街地住宅総合設計制度を創設したところでございます。  また、これに関連しまして、この制度一体となって市街地住宅の供給事業を行うために、その事業費の一部を補助する市街地住宅等共同整備事業制度を来年度より創設をしていきまして、総合的に市街地住宅の供給を大都市の都心部に対して行うよう考えております。
  121. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう少し具体的にお伺いしますけれども、いまのは既存の手法を用いてやるということですけれども、われわれが簡単に言えば、東京都の場合、都心部においては高層住宅というものが抑えられているわけです。これは御承知のように、十メートル以上の建物を建てちゃいけませんよという第一種住居専用地域東京都心部にあるわけです。これを取っ払わない限り高層化はまずできないわけです。幾ら建設省がおやりになろうとしても、これは進まない。逆にもっと突っ込んで言えば、こういうことをおっしゃるのだったら、都心部においては低層住宅は建てちゃだめですよというところまで踏み込まないと、空題目といいますか、のろしは上げたけれども、とてもとても具体的には進まない。あるいはまた、逆に低いのは建てさせませんよというぐらい厳しくおやりにならなければ、高層化といっても具体的には何ら――従来の手法で再開発事業にちょっと前進した程度のことしか進まないのじゃないか。もしも本格的におやりになるのでしたら、そういう第一種住居専用地域の指定は、都心部においては見直さなければならない、外さなければならない。ところが、これはそこに住んでいらっしゃる、特に文教――文教というのじゃないですけれども、学園都市のような形で残しておきたいというようなそういう住民の方のお気持ちや何かあったり、住居地域を荒らしたくないというようなことで、この第一種住居専用地域を外すということが都民の方から非常に抵抗があるのではないか。これはやはりその辺の建物の制限をはっきりしないと、具体的には、低いのはだめというのか、あるいはその第一種住居専用地域を外すか、どちらかを具体的に進めなければならないのじゃないかと私は思うのですが、その辺のお考えはいかがですか。    〔委員長退席、鴨田委員長代理着席〕
  122. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 先生の御指摘のように、第一種住居専用地域におきましては十メートルの高さ制限があります。したがいまして、この地区におきましては、高層住宅建設というのは非常にむずかしい。せいぜい三階建てまででございます。  東京都におきましては、確かに従来から空地地区が指定されていた関係もありまして、第一種住居専用地域の指定がかなり大きいわけでございますが、これにつきましては、先生の御指摘のような御意見に沿いまして、逐次見直しを図っておりまして、五十五年の三月三十一日現在で、従来からございました第一種住居専用地域につきまして、一千八百二十ヘクタールにつきまして、東京都全域でございますが、高さが緩和できるその他の地域へ変更をしております。比率といたしましては三・七%ということでございます。  なおまた、さきに申し上げました市街地住宅総合設計制度は、こういった用途地域に活用ができまして、この市街地住宅総合設計制度を活用いたしますと、高さあるいは容積率等も緩和ができるようになっておりますので、こういった制度も活用していきたいと考えております。
  123. 薮仲義彦

    薮仲委員 国土庁長官、これは国土庁にとっても今後の地価安定のための非常に有効な手法の一つなんです。大都市圏においていわゆる逆の高度制限、これは国土庁としても、当然土地の有効利用ということであれば検討の課題だと思うのでございますが、いかがでございますか。
  124. 加藤六月

    加藤国務大臣 先般発表しました首都圏改造構想素案の中におきましても、そういう問題を議論して、今後幅広く皆さん方の意見を承りながら推進したいといたしておるものの中に、いま先生がおっしゃった問題がございます。  特に、都心部が逆に空洞化してきておる。それから余り大きくなり過ぎて通勤、土地、水問題が大変な問題になってきておる。職住を接近さすという立場からも、都心部におけるそういった計画に踏み切らないといけない時期に来ておるのではないか、そのように考えております。
  125. 薮仲義彦

    薮仲委員 この総理府の世論調査の中にも、いまおっしゃったように、職住接近で、希望する通勤距離はとの問いに、四十五分から一時間と書いてあるのです。ですからどうかこれは両大臣にかかるところでございますので、この都心部における高度利用ということは非常に重要な課題でございますから、御検討をさらに進めていただきたい、こう思います。  次の問題ですが、やはりこれも地価を安定させながら住宅を供給するにはどうするかということですが、この中に建てかえの問題が出てくるわけでございますけれども、中古住宅でも構いませんよというのがこれの四十二ページに出てくるのです。「中古住宅に対する考え方」というところに、いわゆる新築できなくても、新しい住宅を購入しようとしても、それが無理な場合は、中古住宅でもよい、中古住宅でも構いませんというのが五九%あるのです。ということは、私は何を言いたいかというと、これだけ国民は中古住宅の買いかえということを認めているのです。ならば、中古住宅の流通対策といいますか、それをもっと促進しなければならないのですね。これは非常に大事なこれからの施策だと私は思うのです。アメリカなどは、この中古住宅の市場というものは完備されている。日本の場合は非常にそれが立ちおくれているのじゃないか。    〔鴨田委員長代理退席、委員長着席〕 いわゆる新規住宅百万戸に対して大体二、三十万戸ぐらいしか中古住宅というのは流通しておらぬ。しかし、この中古住宅というのは、新築住宅と同じように、流通の市場というものを確立する必要がある。では、何が大事かといいますと、一つは金融面、それから税制面、それからルールですね。どういうルールでこれをやるか、このことを私は具体的に聞いてまいりますけれども建設大臣、この中古住宅に対する建設省のお考えはいかがですか。
  126. 永田良雄

    ○永田政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、中古住宅はこれから大変重要な問題になってくるだろうと思います。したがいまして、庶民が適切な価格で不安なく中古住宅を取得できるようにするシステムをできるだけ早く確立することが大変大事だというふうに思っております。  私どもは、先年来、中古住宅の流通のための情報を統一的に処理するための流通機構の整備を図ってまいっております。ほぼ全国的に業者団体等による流通機構は確立されました。ただ、それの利用の仕方、運用方法で、まだまだ不十分な面がございますので、これにつきましては、今後とも十分指導して、庶民の要望にこたえていくように努力してまいりたい、かように考えております。
  127. 薮仲義彦

    薮仲委員 これはどなたがお答えになるのですか、住宅局長の方ですか。金融面で、中古住宅の買いかえも融資対象として本年度から入ったと思うのでございますけれども、金額と金利、どのくらいですか。
  128. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 中古住宅の融資につきましては、従来から住宅金融公庫の融資でマンションに対して実施をしておりましたが、いま御指摘のように、一戸建て住宅等につきましても、来年度よりその融資を行うということで考えております。金利につきましては、六・五%でございます。貸付限度額につきましては、マンションは七百五十万円でございますが、大体それの八掛け程度になろうかと思います。現在、そのための条件について種々検討しているところでございます。
  129. 薮仲義彦

    薮仲委員 八掛けというのは、大体五百万から上ということですか。
  130. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 正確に八掛けということではございませんが、大体六百九十万ぐらいになろうかと思います。
  131. 薮仲義彦

    薮仲委員 これはまた論議を呼ぶところでございますけれども、これは大臣に私は要望しておきます。  いまの局長の御答弁のように、確かに来年度から一戸建ても融資対象にいたします。金額はいろいろ論議のあるところでございますけれども、金利が六・五と高いのですよ。いま新築は五・五、段階金利が導入されておりますから、十一年後から変わってまいりますけれども、この金利の差ですね。この中古市場というのは、いまの世論調査もお話ししましたように、非常に大きくなってくると思いますので、この金利については上げておく理由はないと私は思うのです。むしろ新築並みに下げて当然じゃないかという感覚を私は持っておるのでございまして、この辺については大臣、よく検討をいただきたいのです。  その次に、いま計画局長がシステム化とおっしゃった。問題は、新築の住宅の場合は、いわゆるこの金額査定ですね。不動産評価あるいは担保評価というのはだれでもできるというか、従来やっているわけです。しかし、中古住宅に対するそういう評価というのが非常に大事だと思うのです。やはり建設省がきちんと、この程度の住宅は幾らぐらいですという、中古住宅の価格が国民の信頼を得ませんと、高い物を買ったあるいは損した得したという問題になってまいりますので、この中古住宅というものをシステム化する一番重要なのは査定のシステムといいますか、全国規模で権威ある査定、これをやってあげないと中古住宅というのは進まないと思うのですが、その辺、何かお考えありますか。
  132. 永田良雄

    ○永田政府委員 御指摘のとおり、中古住宅を流通させるための最大のポイントは、庶民が信用してその取引をできるということでございます。そのために、客観的に、いま御指摘のとおり、全国的に信用のおける査定機構なり機関なりあるいはシステムを早くつくっていきたいというふうに思っております。  ただ、中古の場合はいろいろ条件がいっぱいございますので、いろいろむずかしい問題はございますが、極力努力してまいりたい、かように考えております。
  133. 薮仲義彦

    薮仲委員 いま局長の御答弁にもありましたように、これは非常に困難な問題が数多くあると思うのでございますけれども国民の中に中古住宅でやむを得ないという方が数多くいらっしゃる。ここで五九%、六割近い方がそう言っていらっしゃるのです。これはそのシステムを検討していただきたいと思います。  次に、三番目の税制の問題ですね。税制の問題でも非常に問題があると思うのです。中古住宅を購入する場合、税制の恩典を受けられる場合と受けられない場合があるのです。不動産業者から買いますと税制の恩典はありません。私が一定の要件を備えていて売りますと、買った方は税制の恩典がある。こういう税制上の不平等、具体的には後で申し上げますけれども、これについては建設省、どうお考えですか。
  134. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 お答えします。  中古住宅について、税制上、不動産業者が買い取り仲介を行うという場合につきましては、登録免許税、不動産取得税等々につきまして課税軽減の特例の適用がなかったということは事実でございます。  そこで、これをやはり平等に行い、中古住宅の流通を促進するために、昭和五十八年度の税制改正におきまして、中古住宅購入者の税負担の公平化といった観点から、こういった不動産業者が買い取り仲介を行う場合につきましても、個人消費者から購入する場合と同様に課税の特例が受けられるように措置をするということにしております。  なお、先ほどちょっと中古住宅の融資につきまして若干数値を間違って申し上げましたので、訂正いたします。  戸建て住宅につきましては、来年度貸付限度額六百二十万円を限度とするということで考えております。
  135. 薮仲義彦

    薮仲委員 いまの件は、大臣も先刻御承知のとおり、いま局長がおっしゃったように、たとえば私が中古住宅を買おうとしますと、いままで一定の要件がはめられておった。いわゆる新築後十年以内、床面積が四十平米から百六十平米以内、それから取得以前一年以内は自己の持ち家に住んでいたことがない。それから不動産業者から買った中古住宅はだめよ。では今度だれから税制の恩典を受けられるかといいますと、まためんどうくさい条件がある。売り主が譲渡する日まで三年以上所有し、譲渡の日の二年以内住んでいた住宅。これだけがちがちにたががはまっておる。これは全部取っ払ってくださるのですね。
  136. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 御指摘のように、従来、持ち家所有者でないことでありますとか、あるいは不動産業者が一時的に保有したものでないこと、あるいは三年以上保有、二年以内居住というような要件がございましたが、これらにつきましては、すべて要件を廃止するということで考えております。
  137. 薮仲義彦

    薮仲委員 それは大変に結構でございますので、そのとおり実施を大いに期待しております。  それでは時間がだんだん迫ってまいりましたので、次にまとめて二つお伺いをしましょう。  その次に重要なのは増改築だと思うのです。増改築というのは、ここにも出てくるのですが、部屋が少ない、建物が狭いということで、増改築の要望というのは非常に多いわけです。そこで、増改築の潜在的な要望というのは、既存住宅は三千五百万戸と言われておりますけれども、六割以上の方が増改築をしてほしい。これは建設業界にとっては非常に大きな事業だと思うのですが、先ほども申しましたように、最低居住水準を満たしていない方が一七・七%、それから平均居住水準を満たしていない方が千九百二十八万世帯、これは約五九・五%。この統計は昭和五十三年の住宅統計ですから、古いといえば古いのですが、これは四期五計で最低居住水準は完全に満たします、あるいは平均居住水準は二分の一にいたしますということになっておるわけでありますので、この増改築という問題は、これからの住宅産業の中では非常に大事だと思うのです。  ここで大臣に十分御検討いただきたいのは、たとえば私がいまの家を増改築したいというときに、簡単に相談してノーハウを教えてもらって、このぐらいの予算でできますよ、しかもそれがある程度適正で、安くて、こういう形の家がこうできます、こういう家がこうできますという具体的な例が国民の間に広く浸透すれば、これはいま増改築は公営、公団、公社、あらゆる住宅にも非常に出ておるわけでございますので、これは建設省のこれからの重大な政策として、増改築について国民が安心して増改築に踏み切れる。これは金融面では五十万おふやしになって三百五十万ですか、来年度からはなりますけれども、いわゆる増改築について十分な具体的な施策を建設省でぜひ打ち出していただきたい。特にこれから高齢化社会になってまいりますと、子供さんも大きくなってきたときに、増改築が簡単にできるような方途というものを国民に教えてあげることが私は非常に大事だと思うのです。この点、建設大臣のお考えをお伺いしたい。  それから、時間がないのでもう一つ聞きますが、大臣にどうしてもやっていただきたいのは、借地借家法というのが、これは改めろとは言いません。これは法律の改正ということになりますと、弱者に対してどうのこうのの問題になりますから、そういうことではなくて、現在の借地法の中で、土地を持っておる人が安心して、では住宅のために土地を提供しましょう、こういうような体制になされば、さっき国土庁がいろいろお話しになった中でもあるように、宅地の供給には非常に好ましい結果が得られると思うのです。一たん貸すと、もう自分のものにならないという不安がありますので、この借地法を現行の法体系の中で、地主の方が安心して、たとえば何年間の契約内容、地代はこの程度だとか、そしてその契約が過ぎたときに所有権はどうなるのかというようなことを、ああそんなら大丈夫だ、安心して宅地のために出しましょう。公的にあるいは公団の場合もあるでしょうし、個人的にも大丈夫ですよということをはっきり確立してあげれば、これはまた非常に役に立つのじゃないか。こういう意味で、いまの増改築と借地法の範囲内で建設省としてうまい方法をどうしても考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか、この二つ。
  138. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 増改築につきましては、先生の御指摘のように、これからの住宅政策、特にストック政策を考える場合に非常に有効な方策であり、重視しなければならない政策であると考えております。そのためにいろいろなことをやっておりますが、現在までに住宅金融公庫の融資につきまして、御指摘のように、従来三百万円の貸付限度額でございましたが、これを三百五十万円に引き上げるというようなことをやっております。  ただ、しかしながら増改築につきましては、やはり消費者に対する適正な情報提供が必要であるということと、増改築工事を依頼できる体制の確立、それから増改築工事というものがどうしても高くつきます。したがいまして、これを技術開発によってコストダウンしていくということ、さらにまた金融、税制制度の拡充ということを今後とも重点的に検討をし促進をしていきたいと考えております。  それから、借地の問題でございますが、借地方式によりまして住宅建設を促進していくということが、土地事情のむずかしいわが国で今後非常に有効な住宅政策の一つであろうと考えております。ただ、借地につきましては、地代その他いろいろむずかしい問題がありますので、適正なルールを、標準的なルールをつくりまして、これによって借地方式を今後推進していきたいと考えておる次第でございます。
  139. 薮仲義彦

    薮仲委員 いまの借地法の問題は非常に大事な問題ですから、これは両大臣のお考えを聞いておきたいのです。  その前に、ちょっと公団のことで二つだけ総裁にお伺いしておきます。  私は公団家賃にルールをつくりなさいということを前々から言っておるわけでございますが、原価方式でいけば、当初低い家賃で入られた方、昭和三十一年時代に建てられたところに安い家賃で入られた。しかし、それはその法律の中で減価償却していけば、当然理論的にはよろしいのじゃないか、安い家賃でいいのじゃないか。格差の是正ということを言いますけれども、むしろこれから公営、公社、公団住宅というのは古く入った方が、たとえば二十年なり三十年なり入ると新しく入る方よりも安い家賃で入れるのですよというのが大きな魅力であっていいと私は思うのです。公的資金を導入して国民の税金あるいは財投資金等でやっているわけでございますので、いずれにせよ、公的な住宅に入った場合には、三十年なら三十年あるいは四十年、五十年、長い期間入れば家賃というのはある程度安定してくる方向で、公団住宅に入るといいなというような喜びというか、そういうものであっていいように私は思うのでございますが、これが一つ。なぜ格差是正ということやあるいは新しい住宅の家賃を下げるためという言い方をなさるか。この辺のところを十分御配慮いただきたい。  もう一点は、最近は長期不況といいますか、非常に所得が伸び悩んでいる。公団の方では、家賃というものを所得水準の大体一五%程度というようなことをよくおっしゃっているわけでございますけれども、所得減税等も、また本年度も大変だ、見送られてしまった。こうなってまいりますと、物価上昇の中で、やはり公共料金、公的なそういうものは抑えてほしいなというのがわれわれの気持ちであり、当然公団に入居していらっしゃる多くの方のお気持ちだろうと思うのです。ことしの春闘もそんなに大幅な賃上げも望めない。人勧も凍結されてしまった。こう暗いニュースばかりですね。教育費も上がるのじゃないか。そこへまた公団も上がるということになると、またまた非常に負担になってまいりますので、公団家賃の値上げというものについては、適正という言葉がまかり通るわけでございますけれども国民の生活実感といいますか、そういう実態に合わせて十分配慮をしていただけないかな。と同時に、公団の場合、いろいろなところでいろいろな指摘をされるわけです。きょうは時間がありませんから言いません。遊休地がどうのこうの。私も建設委員として非常に心が痛むわけです。やはり国民の方が、公団よくがんばっている、本当に経営努力もやっている、このくらいは当然だなと言われるような、認めていただけるような中で家賃が論議されないものか。私は非常に残念なんですね。いろいろな省庁から公団が指摘される。私は野党ですけれども、やはり胸が痛んでいるわけです。もっとしっかりやってくれ、何とかならないか。そういう気持ちに対して十分踏まえて、値上げについては慎重であっていただきたいし、私はむしろ抑えられるものなら抑えてほしい、ずっと先に送っていただきたいという気持ちを持っております。  このことを総裁にお答えいただき、最後に大臣、私が申し上げた、きょうはちょっと時間がなくて荒っぽい質問で恐縮でございますけれども、土地神話をなくすために、いま言ったのは、土地代のかからないいろいろな方途をまとめて質問させていただきました。特に借地法とか増改築とか、いろいろな方途を指摘させていただきましたけれども、それに対する大臣の御決意を最後にお伺いしたいと思います。
  140. 志村清一

    ○志村参考人 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘にございましたように、公的賃貸住宅、私どもの公団住宅でございますが、安いのにこしたことはない、かように存じます。従来からも、先生指摘ございましたように、中堅世帯の一五、六%程度の家賃でとどめるように政府から相当の援助も賜ったり、われわれとしてもいろいろの努力をしてまいったわけでございます。しかしながら、管理開始の古い住宅につきましては、古いあるいは規模が小さい、あるいは設備が悪いというようないろいろなハンディがございますが、そういったものを考えましても、まだ相当低い水準にございまして、中堅階層の方の収入のほぼ三%程度という住宅もあるわけでございます。先ほど申し上げましたように、安いにこしたことはございませんが、政府からいろいろ援助を受けているだけに、余りバランスを失したのは問題ではなかろうか。さような意味におきまして、バランスの是正を考えたい。しかし、最近提供しております平均家賃が五万七千七百円くらいでございますから、これに持っていこう、これと同じだ、これが中堅階層の一五、六%だからこの値段にしろ、こういうことではございませんで、私ども考え方としては、公団の古い住宅について適正家賃がどんなものか、公的住宅としての適正家賃がどんなものかというふうなことを検討した上で、さらに居住者の負担が急激にならないように十分配慮いたしまして、激変緩和措置を講ずる。さらには収入の非常に低い、生活保護を受けなければならぬという方々も中にはいらっしゃるかもしれませんが、そういう方々に対しては、相当の措置を講ずる、こういうふうなことで考えてまいりたい、かように存じておるわけでございます。  また、先生指摘のように、多くの空き家の問題あるいは未利用地の問題、御指摘を受けております。これらにつきましては、私どもなりに一生懸命努力いたしまして、まだまだ十分とは申しませんが、たとえば未入居保守管理、多いときには四万戸を超えておりましたが、ただいま、五十七年の三月では一万九千戸台になっております。これらにつきましても、さらに努力をいたしまして、皆さんから、公団も一生懸命やっているじゃないかというふうなお声がかかるように、これからも努力をいたしたい、かように存じておる次第でございます。よろしくお願いいたします。
  141. 内海英男

    内海国務大臣 先ほど来の借地の問題につきましては、建設省としても貴重な御意見として、前向きに検討、研究させていただきます。  それから、増改築の問題は、おっしゃるとおり今後の住宅建設の大きな目玉になっていくのではないか。土地の取得難というような状況から見ますと、今後の住宅建設という大きな枠の中で増改築が大きな仕事になっていくだろう。御意見ごもっともだと思います。その趣旨に沿って住宅金融公庫等も指導してまいりたい、こう思っております。  それから、家賃の値上げの問題でございますが、いずれ公団の方から家賃の値上げの申請が出てくると思っております。出てきた時点で、五年前の委員会審議の経過等もございますので、十分先生方の御議論を踏まえまして、よくよく検討させていただいて、適正な改定をしたい、こう考えておるわけでございます。
  142. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  143. 松永光

    松永委員長 小沢貞孝君。
  144. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私は、民社党の予算委員会の最初の質問者塚本書記長の質問の中で、行政改革、それから政治倫理、それから役人の天下り問題、それから役人の天下り立候補――天下り立候補という言葉がいいかどうか、天下り立候補、それに対する役所の応援、こういうことを通じて公共事業が私物化されているのではないか、こういう大変抽象的でありますが、質問をしたわけでありまして、それに対して総理の答弁は、大変抽象的な答弁で、後で時間があったら読み上げますが、答弁があったわけで、私はよりそういう問題について具体的にひとつ質問をいたしたい、こういうように考えます。  私も調査が十分でありませんから、ひとつ調査のできていない、答弁のできないものは資料で後で出していただくように、その都度委員長にお願いをいたしますので、よろしくお願いします。  最初に、これも質問にありませんでしたが、いま官公庁職員抄録、ここで住宅都市整備公団、これを抜き刷りを私してまいりましたが、この中で建設省及び国土庁から天下った者、OB、それからほかの省庁からの者、これをちょっと悪いけれども、ひとつ建設省国土庁の者は赤丸、ほかの省庁からの者は三角、これをちょっと持っていって、総裁かだれかから、私の質問中になるべく早くそれは印をつけて返していただきたい、こういうように考えます。  建設省所管の公益法人は幾つあるでしょうか。これは担当はどこですか。関係の局長からどうぞ。
  145. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 お答えいたします。  建設省所管の公益法人は、昭和五十七年四月一日現在でございますが、その時点におきましては、二百二十三法人ございます。
  146. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 その建設省所管の公益法人に建設省出身者が何人役職についているか。これもわかりませんか。
  147. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 同じく昭和五十七年四月一日現在で、建設省を退職いたしまして、これらの公益法人の役員として就職いたした者は五十五名となっております。
  148. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それは公益法人に役員……。一般職員にはいませんか。
  149. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 職員につきましては、それぞれの公益法人の職員の数も相当の人数に上っておりますので、詳細は私どもの方で承知いたしておりません。
  150. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 最近五年間に建設省から建設省所管の公益法人に天下ったOBは何人であったか。
  151. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 同じく昭和五十七年四月一日現在で、それ以前の五カ年間におきまして所管の公益法人の役員に建設省をやめまして就職したという者は三十六人となっております。
  152. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そうするとこういうことになりますか。先ほど建設省の出身者が役員に何人いるかと言ったら五十五人、こういうことですが、最近五年間に三十六人ということは、最近五年間に大部分の者が役員となって行っている、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  153. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 それぞれの公益法人におきます、いわば人事のローテーションの中で、最近五年間にかなりの方が役員として就職されたというふうに理解をいたしております。
  154. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 どこの法人にだれが天下ったか、その職歴とか、前に建設省にいて、最後はどういう役職をしていたか、そして氏名、それから天下り先の地位、これはわかりますか。わからないでしょうか。時間もかかるでしょうから、これは委員長、資料として提出をしていただくようにお願いをしていただきたいと思います。  続いて、建設省関係の特殊法人についても、いまの公益法人と同じように、要するに特殊法人建設省役人はどういうように天下っていったか、建設省の最後の地位及び天下っていった先の役職、これは資料で出していただくように、委員長からお願いをいたします。
  155. 松永光

    松永委員長 ただいまのは理事会で諮って、出してくださるそうですから、後で出してもらうことにいたします。
  156. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私はここで、公益法人の中で、冒頭の番号一番、都市計画協会会長前田光嘉、それから二番が国土計画協会、三番が日本造園修景協会、これは会長は佐藤昌さんというのでしょうか、こういうのと、住宅都市整備公団、それからその関係の建設省役人、こういう者が、悪い言葉で言うとぐるになって、どうも冒頭私が申し上げたように公共事業を私物化している、こういうぐあいにどう分析してみても見えて仕方がないわけであります。  具体的な例を挙げますと、たとえば昭和五十年に、私の付近ですから私はわかったわけですが、池田町、松川村と都市計画協会が業務委託契約を結んで、都市計画協会に幾ら金を納めろ、こういうことをやっているわけであります。たとえば委託契約書、池田町高山町長、松川村高田村長、これと財団法人都市計画協会飯沼一省を丙として、次のとおり契約を締結する、こういうぐあいで、委託業務に関する費用は二百万。これは契約書を現場から見せてもらいましたから、こうなっているわけです。  それから次は、たとえばその隣に大町市がありますが、大町市と都市計画協会との委託契約、こういうものがあります。二、三の例だけであります。  それからその後に、やはり隣でありますが、明科町、これは都市計画協会と受託契約を結んだわけでありますが、それは昭和五十一年六月でありました。二百万円で受託契約を結んでおります。ところが、同じ町が昭和五十五年十二月、今度は日本造園修景協会と四百九十五万で業務受託契約を結んでおります。  私は、この付近の二、三のところだけを具体的に取り上げてみたわけであります。  そこで問題は、ちゃんと都市計画協会からその契約に基づくきちっとりっぱな成果品が来ているか、こういうことを調べたわけであります。そうしたら、ほんの一例でありますが、契約書に基づくきちっとした成果品が来ているところもありますし、たとえばいま申し上げました大町市については、契約した都市計画協会から成果品の報告が来ていないのじゃないか。どう調べても、私の調べている範囲においては、これも誤っていたらまた訂正を願いたいが、「創」という設計事務所から来ているようなのです。ちゃんと受託契約をした相手から正規のレポートが来ていない。  明科町の方については、都市計画協会からは正規のレポート、中身は問題があるでしょうが、とにかく来ておりました。  ところが池田町は、これ定かには私わかりませんけれども、こういうような書類が来ているわけであります。個人から個人にあてて書類が来ているわけであります。恒村則之という人が昔都市計画協会かあるいは建設省か、どこか関係のところにおりましたか、昭和五十三年八月十五日付恒村則之、これはどういう人か私もよくわからないが、相馬様、これは池田町の平職員ですが、この人に私文を出しているわけです。「前略報告書の修正遅れまして誠に申し訳ありませんでした。一応修正完了しましたので取りあえず送付致します。草々昭和五十三年八月十五日恒村則之相馬様」この相馬様というのは契約をした池田町の平職員だそうであります。これは先ほど申し上げた昭和五十年七月十七日に池田町、松川村が財団法人都市計画協会と二百万円で委託契約を結んだ成果品の修正なり一部である。  お尋ねをいたしますが、こういうものをたとえば都市計画協会あるいは日本造園修景協会、こういうところと契約を結んで、そこへ委託をしなさい、こういうようなことを本省課長や関係課長課長補佐がそそのかして歩いているわけです。そそのかして歩いて、そして出てきた成果品は、いま言ったような状態であるわけです。私は現場でよく説明を受けました。ある課の課長補佐だか何かが役場へ参りまして、町長や村役場の人を集めて、あるいは議員を集めて、黒板へ書いて、こういうようなぐあいにやるから、どうぞ都市計画協会だか日本造園修景協会へ行って委託をしなさい、こういうことまでやっているわけであります。しかし、その成果品は、さっき言ったように、大町市においてはどうも都市計画協会の正規なものではないように私には受け取れますし、いま具体的に池田町のは、恒村則之なる個人が個人、平職員に対して報告書等を出しているわけであります。私は、これは一体どこへ質問していいのか、局とか課はわからないのだが、都市局ですか、都市局長にそこらのいきさつと、一体どういうことでこういうことになっているか、その説明を承りたい。
  157. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 まず、都市計画協会でございますが、都市計画協会は都市計画に関する調査研究とか事業の促進、あるいは各種機関への建議等国際協力、あるいは都市計画に関する啓発、宣伝、調査計画、設計の指導その他の業務を行っておりまして、当然でございますが、この中に地方団体からの受託調査も含まれているわけでございます。  ちなみに、昭和五十六年度では都市計画協会は五億三千五百万円、百六件の受託調査を行っております。こういった調査は、いま各市町村で町づくりについての御関心が非常に高い、一方、必ずしも町づくりについてのノウハウについて専門知識を有しない場合もあるわけでございます。そういった場合に、都市計画協会に委託をいたしまして、自分の町のこれからのあるべき姿というものについての検討をしてもらうという形での委託を行うわけでございますが、普通のやり方としましては、県の方あるいは市町村の方、それから学識経験者、さらには専門のコンサル、そういったところの方がメンバーになって、それぞれ委員会を設けて、成果品を一年ないし二年かかって物にする、こういう形の作業が行われるわけでございます。  いま先生指摘の池田町あるいは松川村の場合につきましても、この都市計画協会の受託調査の一環でございます。したがいまして、都市計画協会からは間違いなく協会の名前で当該町または村に成果品は渡っていると私どもは理解しております。いまおっしゃいました恒村某という人は、私が申し上げました分類の中では、都市計画のコンサルタントの専門家でございます。この人が成果品の説明を当該町に参りまして、恐らくその町で説明している段階で修正個所があったのかと思いますが、その修正について、本来公文書で出せばいいものを私的なレターで相手に御通知申し上げたというようなことではなかろうかと思います。なお詳細は調べてみます。
  158. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 少なくとも役場が都市計画協会と正規な契約を結んだ、その修正なり何なりの公文書がコンサルタントである一職員から出されるというようなことで、この都市計画協会の役目を果たして果たしているだろうか。  これは現地の町長が私に見せて、こういうことだからこれは詐欺ではございませんかと口をきわめて言うわけなんです。もう一回どうですか。
  159. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 文書の往復の詳細については、私はいまのところ承知しておりませんので調べてみたいと思いますが、恐らく私が申し上げましたように、本来協会名で仮に訂正文なら訂正文を出すべきところを自分の名前で出したのかと思いますが、適当でないと言えばおっしゃるとおりかもしれませんが、協会は決していいかげんな詐欺まがいの調査をやるようなことはありませんので、その点は御信頼いただきたいと思います。
  160. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それでは明科町の例をとりますが、先ほど読み上げましたように、昭和五十一年六月、都市計画協会と二百万の契約を結んでいるわけであります。それから報告書が出たのが何年だったか、たった一、二年後に、今度五十五年の十二月に日本造園修景協会、これは業務委託で四百九十五万円、こういうわけです。同じようなところへ、これは恐らく建設省の担当の職員か何かが行って、同じように勧めて契約を結ばしたものである、こういうふうに考えます。これは明らかに、前の契約というものの成果品というものがさっぱり役に立たない、後は今度はまた造園修景協会に頼む、こういうようにしかわれわれには受け取れないわけで、これらの経過はどういうわけですか。
  161. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 明科の場合は、昭和五十一年の六月に総合都市基本計画ということで契約をしております。それは委託の目的といたしましては、明科町の健全な発展と秩序ある整備を図るために、将来都市の土地利用計画を樹立するとともに、都市施設等の総合的な整備計画について検討する、こういう中身でございます。  それから、五十五年の十二月に、今度は緑のマスタープランということで調査の委託をしております。これは前の基本計画で恐らく土地の利用についての用途地域の指定等が行われるあるいは行われたかと思いますが、その基本計画の成果を踏まえまして、今度明科町の都市全体をどういうふうに緑化していくかということについての緑のマスタープランをつくるための調査ということでの委託でございまして、これは内容が違うものと理解しております。
  162. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 局長にお尋ねしますが、たとえば本省のあなたの配下、そういうものが都市へ出かけていって、町村へ出かけていって、マスタープランをやるためには造園修景協会かあるいは都市計画協会にどうぞ頼みなさい、こういうように慫慂、勧めてはいませんか。
  163. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 市町村レベルで都市計画協会のノーハウについてはかなり皆さん御存じでございますので、市町村側からあるいは都市計画協会にこういうものを委託した方がいいんじゃないかという御提案はあるかもしれませんが、私どもの職員が出かけていって慫慂するということはあんまりないんじゃないかというふうに思っております。
  164. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 局長、それがあって、一生懸命で勧めて、都市計画協会と契約を結べあるいは日本造園修景協会と契約を結べと言って慫慂したというのです。  そこで、私は局長にお尋ねをしますが、二つだけでよろしい、日本造園修景協会は、過去五年ぐらいでよろしい、あるいは都市計画協会は、過去五年でよろしい、いかなる団体と契約を結んで、どれだけの収人で、そして両協会はどういう収支でやってきたか。これも委員長、資料でひとつ提出をしていただくようにお願いをいたしたいと思います。  私は、そういうことを言うのは、これは公益法人でしょう。公益法人だから公益のためにやろう、こういうのが公益法人の設立の目的。そうじゃない。後で質科を出していただきますが、OBがそこで食っていかなければならない、OBがそこで給料をもらっていかなければならないので、本省課長、当該課長課長補佐が各団体へ出ていって、そそのかして二百万の契約、四百四十五万の契約、そういうようにして仕事を要するに見つけてやって、OBたちがそこで巣くってなんという言葉ははなはだ不穏当だと思いますが、そういう形をなしているわけです。  だから、いまの資料を明確にどういう団体から――私のところに一部資料がありますけれども、そういう委託契約が大部分の収入によって賄っているようですから、その資料を出していただくように。いいですか。
  165. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 後刻資料として提出したいと思います。
  166. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 ここで大臣、ちょっと途中ですが質問をしておきますが、そういうような問題について中曽根総理もいろいろと予算委員会で答弁しているようでありますが、その『法人の業務の監督」、「法人ノ業務ハ主務官庁ノ監督ニ属ス」、または第三十四条においては、「主務官庁ノ許可ヲ得テ之ヲ法人ト為スコトヲ得」、こういうようになっていて、それらの監督は全部建設大臣の所管であるわけで、われわれいまのようないきさつを見ていると、あたかも自治体をそそのかして、営利とまではいかないけれども、そういうことをやっているようにしか見えないわけです。これは監督はどうしますか。
  167. 内海英男

    内海国務大臣 地方市町村等におきましては、いわゆる専門的な調査とか設計とか成案をつくるだけの技術者あるいはそういった体制ができていないというような市町村全国には相当あるわけでございます。したがいまして、そういう計画を立てるときに、そういった機関に委託をして、そういう計画を立ててもらうというような形で行われてきておるものだと私は解釈をいたしておるわけでございます。(小沢(貞)委員「いや、監督はしっかりやるかと質問をしているわけです」と呼ぶ)もちろんそれは当然のことでございます。
  168. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 やはり私たちの地元で、長野県岡谷市で鳥居平やまびこ公園の入札が行われて、これは信濃毎日新聞に出ておりましたので、私これに興味を持って見たわけですが、岡谷市が五十七年度か五十六年度から始まった大規模の公園整備事業について、一つは岡谷市から依頼を受けてマスタープラン等をつくったのはどこか。都市計画協会か、日本造園修景協会か、あるいはどこかでやっておりますか。これがわかったら第一にそれをひとつ。
  169. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 お尋ねの公園につきましては、基本設計を財団法人日本公園緑地協会が岡谷市から昭和五十五年四月十五日に受託して作成しております。
  170. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 幾らですか、金額は。
  171. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 受託の契約金額は千三百五十万円でございます。
  172. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そういうものができ上がって、その成果品に基づいてかと思いますが、岡谷市はその工事をやるのに住宅都市整備公団に事業を委託したわけですか。
  173. 田辺昇学

    ○田辺参考人 岡谷市からの要請によりまして、同公園の建設工事は、昭和五十六年度工事につきましては昭和五十六年十二月十七日付で、また昭和五十七年度工事につきましては昭和五十七年八月十二日付で、それぞれ委託協定を公団と結びまして、私どもが施工しておるものでございます。
  174. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それは、市町村がそういう機能を――住宅都市整備公団は持っていると思いますが、市町村が契約をして、契約に基づいて住宅都市整備公団がやるわけですね。これは全部そうやらなければならないようになっているか。それはその市町村の希望に応じて受託契約を結んで工事を実施してやる、こうなっていますか。
  175. 田辺昇学

    ○田辺参考人 住宅都市整備公団におきます公園事業につきましては、内容的には二つございまして、一つは国営公園におきます特定公園施設の建設整備、管理でございますが、もう一つが、技術者が大変不足しております現状にかんがみまして、地方公共団体で技術者が不足しております場合には、その都市におきます根幹的な都市公園の整備を公団に委託してくるケースがあるわけでございます。
  176. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 この新聞に出た理由は何かと言うと、予算が、事業費が、昭和五十六年度の工事分でしょうかね。約一億九千万円の指名入札の結果、県外の者が大部分で、地元業者が入っていない。こういうことから問題を醸し出したようでありますが、三割も予算を余らしてしまった。そこで議会で問題になったのは、積算基礎がずさんじゃないか、一体これはどういうことだろうか、これでもってしっかりした工事ができるだろうか、こういうことが岡谷市議会で問題になった、こういうわけです。  そこで、その一億九千万の昭和五十六年度の事業計画の積算というか予算は、一体だれがどこでつくるわけですか。
  177. 田辺昇学

    ○田辺参考人 当該年度の岡谷市の公園事業予算は市の予算決定でございまして、その範囲で私どもに委託すべき額を市が決めております。
  178. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 さっき聞くと、市には技術者がいないしよくわからないので、どこかへマスタープランなり何なりを受託契約を結んでやる、やったわけでしょう。そして工事も、技術者がいないということで、あなたのところへ委託をするわけでしょう。そうすると、その予算の積算という一番大事な、最高の技術者がいなければわからない、それを市が予算の積算をするわけですか。
  179. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 積算につきましては、恐らくこれは私の推測でございますが、さきに申し上げましたように、公園緑地協会にマスタープランの作成をさきに委託しております。恐らくそのマスタープランに基づきまして、これは当該協会がやったのかあるいはどこかに積算を頼めば大筋の金額が出ると思います。この積算の根拠としては、私の承知しているところでは、岡谷市の場合には県の積算と同じ数字を使っていると聞いております。したがいまして、県と同じような積算で当該公園に係ります予定価格が積算されているというふうに理解しております。
  180. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私どうしてこんな質問をするかというと、たとえばマスタープランや何かやる日本造園修景協会の役員には建設省のOBが入っていらっしゃるわけです。いま御答弁があった田辺昇学さんも、五十六年九月十五日に財団法人日本造園修景協会へ公園緑地課長から要は天下っていって、そこの役員をやっているわけです。その年から、今度は逆に委託を受けて工事をやる方は、住宅都市整備公団で緑地の担当の理事として田辺さんはいらっしゃるわけです。そうしてその岡谷市なり何なりに、ぜひ造園修景協会だか都市計画協会へ頼んでやれ、こういう仕組みになっているわけだ。それでこれを入札した箱根植木。いわくは大臣はわかっているでしょうけれども、そういうところが入札をした。第一回はうんと余らした。第二回目からもまたスムーズに入札をしている、こういう仕組みになっているんだ。これはOBが公益法人あるいは特殊法人に天下っていって、現役の後輩を使って、修景協会だか都市計画協会に仕事を持っていって、設計なり何なりマスタープランやってくれやと持っていく。そしてまた頼むところの市とか町に対しては、工事は住宅都市整備公団と契約をしている。これは建設省役人から勧められれば、地元の市町村というものは弱いもので、はあそうです、はあそうです、こう言うわけです。そしていま聞いてみると、この積算は、まるで素人だとおっしゃる素人にやらしている。工事は住宅都市整備公団でやっている。あの仕組みがそうなっているんです。ここに問題を起こす温床があり、私は現にここから問題が起こっていることを承知しているから、いま言っているわけです。  大臣、どうでしょうかね。私は具体的に問題を起こしていることについても追及しようとすれば幾らでもできるが、これはここで大臣から、明確にこの仕組みを改めなければ、大体公益法人の監督は大臣だよ。建設省のOBが行って実質的にやっている。具体的には、いまの田辺さんが日本造園修景協会の理事にこの間なっていったばかりだ。そしてまた、その岡谷で仕事を頼むよ、こう言うのは住宅都市整備公団だ。ここへまた田辺さんが緑地関係の理事として行っている。この仕組みだ。これは大臣、こういう仕組みを断ち切らなければならない、私はこう思う。大臣の方針を伺います。
  181. 内海英男

    内海国務大臣 御指摘のような疑惑の起こらないように今後指導していきたい、こう思います。
  182. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それではさらに具体的に私進めてまいりたい、こう思います。  大臣、新聞を。――お手元に差し上げた新聞は、建設省のある公園緑地の課長さんが現役のときに出された新聞であることは、下の一問一答を見ればおわかりだと思います。見出しは「地元に土産?国営公園 総選挙出馬含みの建設省課長」。問題は「誘致へ省令改正も」、こうあるわけです。私も詳しくは知りませんが、国営公園は関東地建の管内では茨城にすでに行っているので、同じ地建の中では二つできない、そういう省令になっているそうです。最初から四行目に、「この課長は「省令改正に努力する」と言っているが、地元でも「現行省令を変えてまで強引に大公園を長野県に持ってこようというのは、建設官僚が公共事業費を私物化し、選挙を自分に有利にしようというねらいではないか」という疑惑が高まっている。」  さて、いまの都市局長は、この時分の都市局長であったのでしょうね。それで、この新聞を見て、御本人に注意をしたか、あるいはこういうことをやろうと考えたか。
  183. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 いまの記事の一部についての御指摘でございますが、当然こういう記事が出れば大問題でございますので、私は本人に意向をただしました。本人は、当然でございますが、こういうことは言っておらないと言っております。  なお、ブロック一カ所という原則がその記事にもございますように省令で書かれておりますが、これにつきましては、五十五年八月に都市計画中央審議会の答申で、国営公園を全国で二十カ所ほどつくれ、つくった方がいいという構想が出されております。現在、省令に従って広域公園は九カ所までできるようになっておりますが、御承知のように、四国とか北陸とかには広域公園がまだできておりません。そういう段階でございますので、四国なり北陸なりにでき、あるいは関東ブロックの場合には、人口とか面積との兼ね合いでもう一つ二つあってもいいのじゃないかという議論が出れば、省令の改正というのはまじめな意味で当然日程に上ってくるわけであります。  そういうことで、いずれ省令改正が日程に上ってくる可能性はございますが、いわば長野県に云々ということでそういうことを言ったという事実は決してないというふうに本人から聞いております。
  184. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それではこういうように確認していいわけですね。この記事に言われているように本人は言ってない、そういうことを局長は当時確認をしてあるわけですね。それで、全国一回りした後の話としては可能性なきにしもあらず、こういうように理解していいわけですね。  そこで、昨年八月だと思いましたが、この人は建設省をやめました。そしたら、やめた後かくもすばらしく早くこういうことができるなと私はしみじみ思っておりましたが、十月二十七日に都市緑化・都市公園整備推進大会を長野県でやろう、こういう呼びかけがありました。文書が私たちのところへもあったわけです。そうしたら、ざっくばらんに私は申し上げますが、あああの人は選挙に出るな。前からこういうものが新聞に出ているものだから。ほかの代議士もみんな神経をとがらしておって、これはあれじゃないか、都市緑化・都市公園整備推進長野県大会というようなものを初めてやるのだけれども、選挙の事前運動ではないか。私の選挙区のある代議士からも電話がかかってくる。こっちの代議士の方からもかかってくる。ほかの地区の者からも、これは選挙の事前運動ではなかろうか。これは事実なんだ。  それで、私その案内状を見たならば、来賓祝辞や都市緑化に関する報告、それから講演、大会決議、こういう式次第があるのだけれども、その講演をする人のところが案内状は空白になっているので、私もそんなことにえらい神経使わぬでいいと思ったが問い合わせてみたわけです。そうしたら、きょうもいらっしゃるでしょうか、あなたの部下の都市緑地対策室長坂本新太郎さんの講演がある。ああそうか、それは全くそのとおりだな、こう私たちは理解しておったわけであります。  これはわれわれもとても出席はできないから、みんなやめておった。「五十七年十月二十七日長野市犀北館二階ホール」こう書いてある。「第一回都市緑化・都市公園整備推進長野県大会」。そうしたら当日配られた議案書には、「都市緑化に関する報告長野県の都市公園の現況について長野県土木部都市・下水道課長小林正一」それからだれかその下にある。「講演長野県における緑の都市づくり前建設省都市局公園緑地課長」何々。そしてその次には「緑と健康(公園緑地事業の将来)建設省都市都市緑地対策室長坂本新太郎」。これは坂本さんもおいでになり、建設省都市局の鴨澤康夫参事官も来賓として御出席であります。これは最初私たちが問い合わせたときには、その坂本さんしか講師じゃないと言うものだから、これは事前運動じゃないな、こう思っておった。ところが、当日配られたのには、建設省をやめてこれから選挙に出ようという人がちゃんと講演の講師になって入っているわけです。名前は私は申し上げないが、皆さんおわかりだと思う。  ここに唐沢先生もいらっしゃる。同じ選挙区だ。社会党の下平先生も私と同じだ。さあえらい問題だというので、三人で知事にこういう事前運動に役人が手をかしてはならないという抗議を申し入れました。十一月八日だと思います。そうしたら知事もそれに出て、おれもびっくりしてしまったぞ、こう言うわけであります。この一連の動きは、あなた方が手をかして事前運動をやっている証拠ではないか。どうでしょう。
  185. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 先ほどちょっと答弁漏れがございました。初めに追加させていただきたいと思います。  先ほどの御指摘の新聞記事の中で、一億三千万円の調査費というのがございますが、これは当該年度の公園事業の全体の調査費でございまして、ある県の分ではないということをちょっと申し上げておきたいと思います。  それから、本人に対しましては、こういった記事が出たことについては、こういうことが書かれる以上は本人の言動に問題がなきにしもあらずだぞということで、厳重に注意してございます。  それから、ただいまの御質問でございますが、昨年の御指摘の日に、これは長野県の行事として、おっしゃるような都市緑化・都市公園整備推進長野県大会というものが行われております。これは私どもで数年前から毎年十月に都市緑化月間というものをしておりまして、この都市緑化月間の行事として各県でこういう大会を催しております。この大会には、なるべく本省からもあいさつに行ったり、ためになる話をしに行ったりということで、お手伝いに行くことにしておりまして、その長野県の分が、おっしゃいますように、あいさつは私どもの参事官、それから講演を室長がしておるのは事実でございます。時節柄おっしゃるような御理解をされる向きもあったとすれば、私どもの不徳のいたすところで、大変申しわけないのでございますが、決してそういう意味ではなく、まじめな緑化啓蒙思想の普及のために県が行事を行われる、そういったものに対するお手伝いとして私ども行っておるわけでございます。
  186. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 坂本室長は、私、みんなで調べてみたら、前の日に行くとわかっていた。これはいま局長の答弁のとおりです。それしか講師はないかと言えば、ない。ただ、当日にはもうすでに印刷してこういうものが出ていた。なぜ隠しておいて、その日に突然としてその人の名前を出さなければならなかったかということは、すでにこれは事前運動だということはみんな理解しているから、わざわざ隠しておいてやったものだ、だれだって客観的にそう見るのではないですか。
  187. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 参事官あるいは室長が出かけることについて、私ども当然知っておりましたし、当日の大会でどのような資料が配られたのか私は知りませんが、運営に誤解を受けるような向きがあったとすれば、まことに遺憾でございまして、調べた上で、厳重に注意しておきます。
  188. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 大臣、いまの一問一答でもよくおわかりだと思いますが、公益法人、それから特殊法人、あるいは建設省の現役の役人、そういうものと、さらにもう少し私は追及したいが、造園建設業者、こういうものがぐるになって選挙運動を現実に推進をしているわけだ。私は岡谷のことしの入札から何から全部調べてみてあるけれども、そういうものが進められているわけです。これはことしの予算委員会の冒頭に塚本書記長が発言したそれを具体的に私は申しているわけです。調べてみると、こういうお話のようですが、調べてみて、本当に建設省役人――この長野県の第一回の緑化大会には、造園修景協会長野県支部、そういうような人までみんな主催者に入っているわけです。だから、そういうことで選挙運動を進めている、こうしか見えないわけです。これは結果については報告があろうと思うが、これに対して大臣はどういうような措置を講じようとするか。
  189. 内海英男

    内海国務大臣 具体的なお話はきょう承ったばかりでございまして、よく調べた上で検討しなければいかぬ、こう思っております。  また、公務員につきましては、国家公務員法あるいは公職選挙法によって厳しい制約を受けておるわけでございますから、それを厳守するように、今後とも指導してまいりたい、こう考えております。
  190. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 最後に、時間がありませんから、私は資料の要求だけをしておきます。  都市緑化基金、こういうものが数年前に創設されました。私もこれについていろいろ調べてみましたが、その緑化基金を扱う代理店五社を指定しているけれども、これは基金が指定をしているようであります。そこで、これは大変な調査になると思いますが、その代理店五社、指定しておる五社の――五社の名前を申し上げます。県営サービス、道営サービス、三貢商事、大日本相互株式会社、地域サービス株式会社、この五社が都市緑化基金の代理店、こういうことになっております。  そこで、この五社の役員名簿、それからその五社の損益計算書、これは緑化基金の発足した数年前からのものでいいと思います。この五社は何も緑化基金ばかりではなくて、官庁の関係その他いろいろ官庁と特別関係のある事業をやっているようでありますが、この会社はどの省庁や公団、その他政府機関のものを主に扱っているか、その扱い高の占める割合。大変な資料だと思いますが、その資料を御提出いただきたい。
  191. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 先生の御質問で若干誤解があるといけませんので、明確にしておきたいと思います。  都市緑化基金がその業務一つである植樹保険というのをやっております。植樹保険というのは、たとえば公園事業などの受注をする業者が、異常天候等で枯損等によりまして樹木がだめになってしまうというような場合に、その損害をてん補する意味での保険がございますが、その保険についての、保険会社の代理店でございます、基金の代理店ではなくて。  それから、念のため五十六年度の保険料が保険総額で九千万円、うち代理店収入四百五十万円ぐらいです。たとえばそのうち七割のシェアを持っている県営サービスという会社でも三百万ほどの手数料収入がございまして、御質問の中の、この緑化基金との絡みで、緑化基金ができてから損益計算がどうなったかということについては、恐らく影響は皆無だろうと思います。  したがいまして、これは私どもが直接お願いしている会社でもございませんし、保険会社なり当該会社の意向も確かめた上で、御返事したいと思います。
  192. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私、それは承知しているわけで、基金ができて、損害保険の会社の幹事は安田火災でしょう、五社が指定されておる。それから代理店としての、いまの県営サービス、道営サービス、地域サービス、三貢商事、大日本相互株式会社、この五つがあるわけです。その五つの会社は中央官庁のいろいろのことをやっていらっしやると思うから、緑化基金のその損害保険の扱いは少なくとも、これは中央省庁、政府機関と結びついてどういう業務をやっているか、その内容を知りたい。役員を知りたい。緑化基金から若干離れているかもしれませんが、これはしかるべき機関で御調査をいただいて、御報告いただきたい、こういうことです。
  193. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 先ほど申しましたように、年間わずか四百五十万円の手数料を払って、これも損害保険会社が払っているわけでございます。私どもとしては、本当にかかわり合いが少ないと感じておりますので、当該会社にこの緑化基金との絡みを理由に資料を整えさせることについては、当該会社の意向も聞いてみないと御返事できない問題だと思いますので、保留させていただきたいと思います。
  194. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それはその後で結構です。  この問題については、さらに資料等いろいろ要求してありますし、よく調査をしてというような答弁もありました。それで、私はまたしかるべき機会に資料その他が提出されたならば、さらに追求をいたしたいと思います。  冒頭申し上げたように、たとえば建設大臣が認可する公益法人、そこへOBが行っている。それから特殊法人にも行っている。それから建設省役人がそれをうまく利用するようにそそのかしている。こういう一連の仕組みの中で、公共事業というものを私物化しているのではないか、こういうようにわれわれには見えるわけで、そういうことのないように、たとえば公益法人も休眠になっているのが二百幾つもある中で、ただOBが巣くっているだけの休眠の公益法人もあります。そういうものを一つ一つチェックしていただきたい。それからOB同士が絡み合いになっているそれにメスを本当に加えていただく。その結果については、後日また大臣から報告をいただくようにしたいと思います。これを不退転の決意で私もやらんと思っております。大臣だって体を張ってやらなければ、この問題はなかなか実現できない問題でありますので、最後にそれを要望して、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  195. 松永光

    松永委員長 瀬崎博義君。
  196. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 まず最初に、住宅都市整備公団の問題について伺いたいと思うのです。  この問題は去る二月二十三日の予算委員会でも質問をいたしましたが、行管庁もその調査報告書の中で、最近の経済情勢や勤労国民の収入が伸び悩んでいるという実態から、公団住宅並びに公営住宅必要性がとみに増している、こういう指摘を行っているし、また現に昨年の公団住宅の応募率等を見ても、この間挙げた例ですが、板橋区にある光が丘パークタウンでは二十・九倍とか東大島駅前ハイツでは十二・三倍等々新規募集で非常に高い応募率を示している。また空き家に至っては、荻窪とか中野桃園町では三千六百五十四倍、その他二千倍を超している空き家応募率も多々あることも紹介いたしました。改めて今日この公団、公営の特に賃貸住宅に対する需要の大きいことを証明していることを申し上げた。もちろん、こういうずば抜けた数字のみを取り上げたのではなくて、年平均の応募率で見ても、五十四年が一・三倍、五十五年が一・六倍、五十六年一・五倍、五十七年は十二月までだけれども一・六倍。どこからどう見ても公団住宅の、とりわけ賃貸住宅必要性は増大している。このことは政府、公団ともに確認をされたところであります。  ところが、公団住宅について見ますと、昭和四十一年から四十五年までの第一期五カ年では、計画三十五万戸に対してほぼ達成率もよかったのですが、第三期、昭和五十一年から五十五年になりますと、計画を三十一万戸に引き下げた上、その達成率はわずかに五二・五%、半分にしかすぎなかった。現在進行中の第四期五カ年計画はどうかといいますと、さらに計画そのものが二十万戸に大幅に下がった。当然これを完遂しようと思えば、単年度計画では五分の一ずつ組んであたりまえでしょう。一年で四万戸になるんですね。ところが五十六年度は三万八千戸、五十七年度は三万五千戸、そしてただいま提案されております五十八年度予算案では三万戸ですね。これではどう算術計算しても、この計画が一〇〇%いったとしても二十万戸には達しないわけでしょう。公営住宅の方もほぼ同じような傾向になっているわけですね。こうなってきますと、何のために第四期五カ年計画を立てたのか、一体その責任はどうなったのか、こう問わざるを得ないのであります。せめて政府みずからが法律に基づいて出した第四期五カ年計画、これは完遂するという責任感がはっきりあらわれてしかるべきではないかと思うのですね。現在のこの単年度ごとの計画は無責任もはなはだしいと思うのですが、大臣、いかがですか。
  197. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 第四期の住宅建設五カ年計画は、五十三年の住宅統計調査をもとといたしまして、その需要実態状況を勘案いたしまして計画を立てたものでございます。御指摘のように、公的住宅につきまして、特に公営住宅、公団住宅につきましては、その用地の取得難でありますとかあるいは住宅宅地関連公共施設の整備が厳しい状況にあるとかいうようなことで、現在のところはその達成率について厳しい状況にあることは事実でございますが、今後種々の施策を整備しながら何とか達成をしていきたい、努力をしていきたいというように考えております。
  198. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は、計画は立てたのだけれども用地取得難等で建たなかった、この責任を追及しているのじゃないのですよ。まず計画を立てる段階から、五カ年計画では五年間に二十万戸建てますということをちゃんと公約しておきながら、五十六年も三万八千戸、五十七年三万五千戸、五十八年に至っては三万戸、計画そのものがおよそ五年間やってみたって二十万戸にならないようなものになっている。これは政府として責任放棄に等しいじゃないか、そんなことで住宅に責任を持っている大臣と言えるのか、こう聞いているのですよ。大臣、どうです。あなたの答弁はもういいよ。大臣
  199. 内海英男

    内海国務大臣 目標に向かって全力を挙げる以外にないと思います。(瀬崎委員目標が下がっているということはどう思う」と呼ぶ)それはいろいろな経済事情等もあってのことだと思いますから、今後目標に向かって全力を挙げる以外にないと思います。
  200. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 まことに無責任なんですよ。建設大臣自身がそういう構えだから、これは初めから計画放棄なんですね。そういう状況ですから、今日公団住宅の社会的に果たす役割り、国民的に果たすべき役割りはきわめて大きくなっているのですね。われわれはあのいまわしい戦争によって最も大きな被害を受けた国民住宅を今日まで回復するに当たって、再建するに当たって、当時の日本住宅公団の果たした歴史的役割りは非常に大きいと高く評価しているし、今日でもその使命は非常に重いと重視しております。  そこで、この間、世の批判を厳しく浴びているいわゆる未利用地問題、未入居住宅の問題あるいは保守管理住宅の問題について、本当に世間の批判にこたえるためには、その真の原因と責任を明確にする必要がある、こう言って、恐らく公団住宅の職員からと思われる一通の手紙の一節を御紹介申し上げた。大体、土地は買ったけれども、利用もできない、転売しようにも売ることもかなわない。無理して建ててみたら高、遠、狭で入ってくれない。こういう土地がなぜ公団の手に入っていくのか、この不思議なんですよ。いろいろ調べてみれば、この間も申し上げましたように、ちゃんと公団には用地取得事務取扱規程というものがあるし、本当に読むのが煩わしいほどの膨大な細則もちゃんとつくってある。しかも、買おうとする用地については、必ず、公団単独の価格評価ではいけません、専門の独立した不動産鑑定機関の評価をつけて、総裁あて、買ってよろしいかという申請をするんだ。いよいよ購入を決めるときには、改めて購入を決定してよろしいか申請せよということです。それだけのことをしてあれば、普通はこんな膨大な、不良な資産を抱きかかえるわけがない。その不思議に答えたのが一通の手紙であったわけであります。この間、その全容は御紹介しておりますから繰り返しませんが、要は、特に大企業などが調整区域などに抱えた土地、利用できない、これを何とか公団に売り込んでやろう。あるいは土地転がしのなれの果てを公団が引き取らされるような場合、適正な鑑定評価が出たら買えなくなってしまう。だから、高目の鑑定評価に出ることを期待する。そこであらかじめ鑑定機関にサウンドする。つまり当たりをつけて、できるだけ高目の鑑定をしてくれぬか、そしてそういう粉飾した鑑定評価を鑑定機関に出してもらう、これをメーキングと言っている。これは一通の手紙ですから、私どももやはり真偽は確認してでないととても質問できないというので、複数の職員の方々にただしたところ、これは事実だ、最近ではこの取扱規程等も改正されて非常に厳格になっていらっしゃると聞きましたが、かつては、サウンド、メーキングはもう幹部の指示であたりまえのように行われておった、こういうことを聞く。それが今日の不良な資産だ。この点について、先般総裁は、ありようはずはないと思うが調査してみる、こうお答えになりましたね。調査すると言われていますが、どういう内容の調査を行おうとしていらっしゃるのですか、伺っておきたいと思います。
  201. 志村清一

    ○志村参考人 過日、予算委員会お答えいたしましたように、鑑定評価というのは公正、妥当のものでなければ、その存在価値がないのでありまして、本当に正しい鑑定をしない限り、鑑定士である資格が疑われるわけでございます。そのために、鑑定士相互で倫理規程と申しますか、そういうものについても厳しい自制をしているように私は承知いたしております。また公団は三社にお願いしておりますので、一社が妙なことをするとすれば、それが直ちにわかるかっこうになっておりまして、過日も申し上げましたように、御指摘のようなことはないと確認しておりますが、せっかくの御指摘でございますので、調査につきましては、当公団の監査室に担当させ、鑑定依頼手続とか鑑定額、取得価格等の調査の項目や調査方法について調べさせたい、かように思っております。  私は昭和五十年から宅地開発公団の責任者としてやっておりましたが、私の承知している限りにおいては、さようなことはございませんし、相当厳しい価格づけをしたのでございます。
  202. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 厳格な調査を実施して、同時に、はっきりすればその責任もきちっとしてもらいたい、こう思うのです。あわせて、今後その教訓も大いに生かしてもらいたいと思いますが、これは行管庁がその調査指摘していることですね。保守管理住宅の五十五年度末までに要した累積利息百九十一億一千八百万円、一戸当たりに直して百万円だ。これは結局、入居時点で家賃あるいは分譲価格に算入することになる。これを率にしたらどのくらい家賃を押し上げることになるのかという質問に対して、賃貸の場合で言えば五・一%、分譲の場合で言えば四・七%、そういうお答えでしたね。行管、間違いありませんね。
  203. 上谷勝徳

    ○上谷説明員 御説明申し上げます。  繰り返しになりますけれども、家賃につきましては約五・一%、それから分譲価格につきましては約四・七%というようないわばはね返りになるといいます点は、先生ただいまおっしゃたとおりでございます。  ただ、先日もたしか推計というふうに申し上げたように私は記憶しておりますけれども、これはあくまでも一つの試算でございまして、実際に家賃を算定いたします場合には、より正確な原価計算の上に立ちまして、その他いろいろな事情を勘案しまして決定をするというふうに承知をいたしております。
  204. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 推計にしろ何にしろ、結局、住宅を建てたはよいが人が入ってくれないために余分の金利がかかって、それが入居する人に少なくとも五%前後家賃値上げになってはね返る、これはゆゆしき事態であることには間違いないと思うのです。  次に、同じく行管庁の報告によれば、未入居住宅及び長期空き家による収入減相当額が五十九億三千百万、管理経費は九億六千百万、こう言われておりますね。これもこの間、質問を一応してあるのですが、では、人は入ってくれなくても、収入はなくても、減価償却は当然必要になってくるわけですが、この減価償却費相当額は経理上どうなっているのかという質問をしたら、これは各種引当金を充当している、こうお答えでしたね。この各種引当金とはどういう種類の引当金なのか。同時に、この引当金の出所は一体何なのか。どこから出てくるのか。もっと専門的に言えば、相手方勘定科目は一体何なのか、お答えをいただきたいと思います。
  205. 上谷勝徳

    ○上谷説明員 これも補足のようなことになりますけれども、先日はたしか各種引当金等というふうにお話を申し上げていると思います。引当金の出所でございますが、まず種類でございます。いろいろなものがございますが、たとえばその例を申しますと、貸し倒れ引当金であるとか、いろいろなものがございます。(瀬崎委員「いろいろなものというのは、言ってください」と呼ぶ)損害保険の引当金であるとかその他ございますが、いずれにしましても、その出所は、たしか家賃であるように承知をいたしております。  ただ、この収入減相当額、これを経理いたします場合には、この引当金だけではございませんで、たとえば一般管理費の節減であるとかあるいは償還期間の繰り延べであるとか、そういうようなことをもあわせて行いながら経理をいたしていくというふうに聞いております。
  206. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういう複雑な話をすれば、結局実態がわかりにくくなるのですよ。たとえ募集しても入居者がなかった、そういう期間が二年になろうが、三年になろうが、五年になろうが、建てたものは変わらないわけですから、五年たてば五年間の減価償却は当然必要ですよ。それだけ建物は古くなるし、傷むのですよ。これが一体どういうふうに経理されているかということでしょう。これについて、いま言われた、各種引当金とは貸し倒れ引当金とか損害保険ですか、こういうものの引当金とおっしゃったのですが、では、こういう未入居住宅が生まれたときの減価償却のための引当金というような科目は特別にあるのですか。
  207. 上谷勝徳

    ○上谷説明員 御説明申し上げます。  そういう科目は多分ないのではないかというふうに承知しております。
  208. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 本来ですと、家賃の滞納等が起こって、それがもらえなくなったときのために備えてある引当金なんですよ。それを空き家のために生じた収入減、収入がない。しかし減価償却はやっていかなければいかぬ。これをほかの引当金で落としていけば、当然それだけ引当金を余分に取っていかなければいかぬということになるでしょう。これがまた結局家賃を押し上げる要素の一つにならざるを得なくなるんじゃないですか。これは公団の方に聞きたいと思います。
  209. 志村清一

    ○志村参考人 家賃の中には百分の一、一%の予備費的な分が計上されております。さような分につきまして、家賃が入らなかった場合カバーする。これはいわば空き家補償みたいなものでございますけれども、そういうものもございますし、われわれとしては、勘定を繰り延べながら不足分をカバーしていく。経営上のいろいろな節約も図っていくというふうなことで考えておるわけでございます。
  210. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 先延ばしというのは、結局しわの先送りだけなんですね。百分の一の空き家が出たときの一種の予備費的な収入補てん的な引当金を取っているとおっしゃいましたが、それはあくまで現在入居していただいている人からいただいた家賃から取っているわけでしょう。いま問題の未入居というのは、人が入っていないわけですよ。だから、その人の入っていない空の住宅の減価償却を現在家賃を払っていらっしゃる方の家賃の中から引当金として取って、それで空き家の方の減価償却をやっている、こういうことになるわけですから、結果的には空き家の減価償却は現在公団住宅に住んでいらっしゃる家賃に負担がかかっている、こういう奇妙なことになるのじゃないですか。結果的には、空き家の分の減価償却は現在住んでいる人の家賃にしわ寄せがいっている、そういうことじゃないですか。はっきりとしてください。
  211. 志村清一

    ○志村参考人 ただいまの百分の一と申しましたのは、全住宅の賃貸住宅の家賃の中に含まれているわけでございまして、一種の保険金みたいなものでございます。先生の御議論、私もよく理解していないのかもしれませんが、生命保険料の料金を掛けて死んだらば、その方に支払うというのは、これは事故保険の場合も同様でございます。それは、みんなが保険料を納めてその中から出す、こういうような理屈でございます。
  212. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それがいわゆる次々募集しても、それは切れ目なく人が入るということはないでしょう。だから、そのつなぎの間空き家になる、そういうものをカバーするために一種の保険料的なものを家賃からいただいている、この理屈はわかります。しかし、まるまる一団地空き家になる、そしてそれが何カ月も何年も続く、こういうものまでそういう保険料で賄おうとすれば、その保険料はずいぶん高くしなければいかぬということにいやでもなるのですね。そしてその保険料は、空き家というのは、そこから家賃は生まれてこないのですから、現在人の入っていらっしゃるその住宅の家賃から生み出さなければ仕方がないと思う。どう弁解されてもそういう論理になります。したがって、現在の家賃を押し上げる要因の一つに、やはりこの未入居とか長期空き家、これの収入のない部分の減価償却、こういうものが当然現在公団に入っていらっしゃる方の肩にかかっている、こう言わざるを得ないと思うのですよ。  それから、これもこの前申し上げましたが、長期保有土地、一応行管が対象にした、六十三地区あるのですが、問題なのは十九地区と言われているけれども、これだけでも千百億円、この十九地区にかかってくる年々の利息が一体どの程度なのか。こういう利息は結局最終的には何にはね返ってくるのか。これは行管から伺っておきたい。
  213. 上谷勝徳

    ○上谷説明員 御説明申し上げます。  十九地区にかかる分でございますが、支払い利息を含めました用地費が報告書にございますように一千八百二億円でございます。このうち累積の支払い利息でございますが、五年経過後分の累積利息が百二億円というぐあいになっております。これのはね返りでございますけれども、これらは建設仮勘定の中で経理をされておりますので、当然建設原価というものの中に入ってくることになると思います。
  214. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 先ほどから申し上げております保守管理住宅にむだな利息がかかって、これが大体賃貸、分譲で五%前後、現状で家賃を押し上げる要因になっておる。それから未入居住宅とか長期空き家、これは収入はないにもかかわらず、減価償却はどんどんかかっていく。こういうものが現在の既入居者の家賃から引当金をいただいて、それで充当していく。さらに先ほど言った長期保有土地、これにも百二億円程度の利息が年々かかっていく。こういうものもまた原価を押し上げていく。こういう事態が果たして公団の入居者の責任によって起こったことなのかどうか。この点をどう考えておるのか、総裁に伺っておきたいと思います。
  215. 志村清一

    ○志村参考人 私どもとしても、未入居の住宅とか保守管理の住宅とか未利用地というようなものが相当数あるという御指摘を受けまして、まことに遺憾であると考えておることは同様でございまして、これにつきまして、われわれとしては一刻も早くこういうものを少なくするというふうな努力をいたしております。  また、現実に未入居、保守管理につきましては、多いときには四万戸を超えておりましたが、五十七年三月の段階では一万九千戸台になっておりますし、さらにこれを大いに減らしていこうということでキャンペーン等も進めておる状況でございます。  未利用地に関しましても、相当の会計検査院からも御指摘等がございましたが、これらにつきましても、相当部分のめどをつけまして、処分すべきものは処分する、あるいは土地利用の転換を図る、さらには工事に着工するというふうなことで、会計検査院からたしか二十一地区の指摘がございましたが、十二、三地区についてはそういうめどをつけて進めております。残っておる八カ所ぐらいにつきましても、四カ所ぐらいは公共団体と協議を重ねまして進展を見ておる、こういう状況でございます。  しかし、これらにつきましても、私ども満足しておるわけじゃございません。一日も早くそういうものがなくなるように努力をいたしたい、かように考えております。
  216. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私の質問には答えていないのですよ。いま問題は公団家賃が大幅に上げられようとしている。それも五年前に上げたところなのにまたであります。二倍近くに上がるようなところも出てくるんじゃないかと考えられるのでしょう。だから、いま起こっている未入居とかあるいはまた未利用地、こういうものが果たして入居者の責任で起こったのだろうか、こういう疑問を呈したわけなんです。  同じような疑問は、やはり行管庁の報告にも出ておると思うのですよ。行管庁の指摘はこう言っておるでしょう。なお家賃、分譲価格が高額化し、中堅勤労階層の負担を重いものにしているので、回収資金のコスト低減の努力とあわせて家賃、分譲価格の抑制を図るために、次の事項を実施しなさいとして、第一に、用地取得方法の改善、第二に、建設工法等の改善、第三に、関連公共施設等の負担の軽減、第四に、事業の早期施工、第五に、家賃の低減努力を払うこと。家賃を上げなさいという話はどこにも出てないのですね。これはやはり政府と公団の責任で実行すべきことばかりが指摘されているのじゃないかと思うのです。  これは公団総裁並びに建設省からそれぞれお答えいただきたいと思うのです。
  217. 志村清一

    ○志村参考人 私どもといたしましても、公団のお入りいただく階層が中堅勤労階層と考えておりますので、その方々の月割り額の所得の一五、六%程度の家賃になるように努力をいたしております。現実に公団設立以来、平均としましては大体その線でずっときております。最近におきましても、利子補給金の増額をお願いしたり、われわれ自身の経営努力もいたしたりしまして、中堅所得階層の一五、六%の家賃に平均的にはとどめているわけでございまして、その努力はいたしておりますが、片や古い住宅につきましては、建設年度が古いとか規模が小さいとか、設備の問題について新しいものとの比較はできませんが、その当時建った住宅の家賃は、当時の中堅所得者層の一五、六%の家賃でございましたが、その後所得もずんずん上がってまいると、少ないものではただいまの中堅所得階層の所得の三%程度、一万円台の家賃の住宅が二十数万戸あるという状況でございます。公的住宅でございますから安いのにこしたことはございませんが、やはりバランスがある。これにつきましては是正すべきであろう。しかし、これにつきましても、そんなに高い、現在供給されているような家賃にまでしようというのじゃなくて、激変緩和措置等を考え、またお支払いのむずかしいような生活保護を受けなければならないような方々に対する特別措置も考えていく、かような次第でございます。
  218. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いま公団総裁は、結局むしろ家賃は安いんだ式の話をされている。公団総裁自身がそういう構えであるから、居住者の間でもいろいろと対立、矛盾も起こってくるんじゃないかと思うのです。先ほど私が言ったことは、行管庁が数項目の、家賃とか分譲価格の低減に努めるために次のことを実施しろと言っている内容について、これは本来公団や政府が責任を持たねばならないことじゃないか、こういう質問をしたのですよ。それについてあなたは全然お答えになっていないのですね。全然公団の責任というものを感じていないのですか。行管庁の言ったことについては勝手に言っておれ、こういう考え方なんですか。その点をはっきりさせてください。
  219. 志村清一

    ○志村参考人 行管庁の御指摘は、われわれも常日ごろ心がけておることでございまして、建築費もなるべく安くていいものができるように、土地もできるだけ借地あるいはげた履き住宅等によって空中権を取得するというような方法を考えるとか各般の施策は講じております。
  220. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 弁解ばかりしているのですが、行管庁に聞きますが、行管庁の指摘の中には、先ほど来挙げました不良資産ですね。こういうものに係る「用地費、建設費及び建設期間中の支払利息等は、公団の財務諸表では建設仮勘定に資産計上され、営業損益に関係のないものとなっており、これらの資産が公団の経営に与える影響は把握し難いものとなっている。」「未入居住宅及び長期空家に係る収入減相当額は、一般の会計制度においても当該年度の損益計算書には計上されないものとなっており、年度の経営成績として把握し難いものとなっている。」こういう指摘がありますね。私は何も国の機関が民間企業並みに扱えなどとは毛頭考えておりませんが、しかし、いまのような総裁の答えが出てくると、行管庁にどうしても答えていただかなくてはならないのですが、いろいろとお調べになったそういう不良資産にかかっているむだな金利、むだな管理経費、総額で見当どのくらいあるとお考えですか。
  221. 上谷勝徳

    ○上谷説明員 御説明します。  総額につきましては試算もいたしておりませんので、ちょっと御説明申し上げかねます。
  222. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 公団としてはつかんでいますか。あるいは建設省としては、行管が指摘しているようなああいう不良資産に係る経費がどのくらいかかっているかつかんでいますか。
  223. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 総額については把握しておりませんが、たとえば先ほど来お話のありました保守管理住宅にかかる利息相当額が五十六年度末で百五十二億あるというような個々の項目について把握しております。
  224. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 大臣、これから家賃を上げようとか、大臣が早々とそれを認めるとかなんとかいうような話が出ているのですが、現在の公団の全体の姿、いろいろと指摘されているこの未利用地あるいは人の入っていない住宅、これにはむだな費用がついて回っているのですよ。金融会社だけをもうけさせているような費用もあるのです。しかし、その実態全体を行管庁もつかんでなければ建設省もつかんでない。こういう状況のもとで家賃を上げるのどうするのと言えますか。考え直していただきたいと思いますね。
  225. 内海英男

    内海国務大臣 私はまだ上げるとも下げるとも申し上げておりません。申請が出た時点において、委員会皆さん方の御議論を十分踏まえて検討したい、こういうことでございます。
  226. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ではいまのような公団の実態がまず明らかになることが先決問題。それから、先ほどサウンドとかメイキングとかいろいろ指摘が来ているでしょう。調査すると言っていますね。そういうようなこともちゃんと結果が出て、こういうずさん経営の原因と責任が明確になる、そういうことがまず家賃問題を考える前提条件だ、このことは約束できますね。
  227. 内海英男

    内海国務大臣 私は就任以来、公団に先ほど来御指摘のことを早く解決するようにと強く指示をいたしております。
  228. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この間建設大臣の考えを伺いました。開き直りの答弁でした。そこで総裁の方に伺っておきたいと思うのですが、実はこういうずさん経営のいわゆる幹部の責任、特にあの手紙には、現在団地サービス社長をしている南部さんの名前まで指摘して、建設省から公団に天下って公団の総裁をやって、こういう不良資産をたくさん買い込んで、それで今度は団地サービスの社長だ、こんなことが許されるのか、職員が一生懸命苦労しているときに。こういう天下り人事は正すべきだという指摘があった。いろいろ調べてみたら、行革だといって日本住宅公団と宅開公団を合併して、現在の住宅都市整備公団にした。ところが、その結果は逆に天下り役員が圧倒的にふえてしまった。きょうはもう数は繰り返しません。その上、今度は公団から団地サービスに対する天下りも大きくふえて、団地サービスの役員の約八割が公団からの天下りでしたね。同時に、公団が発注している大口建設会社、そこへも大量に天下っている。過去三年間の受注上位十社、これが十六社あるのですが、そのうち公団からも建設省からも天下りの入っていない会社は三つしかなかった。この事実も指摘しました。公団総裁として、公団の幹部が団地サービス――事実上団地サービスは公団幹部の天下りポストをつくっているような会社にいまなっていますが、こういう実態、あるいはそういう取引先へ公団幹部が天下っていく、こういうことについて社会的、道義的に見てどのようにお考えですか。
  229. 志村清一

    ○志村参考人 民間等におきまして住宅問題とか都市開発の問題というのは大変大きな課題になっておりまして、それぞれにつきまして非常な能力を持っている、知識を持っている者をぜひ欲しいといった場合には、公団を退職した者もそこに参るのはやむを得ぬではないか、かように考えます。
  230. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 問題は、私が言っているのは、そういう責任問題を起こした公団の役員が団地サービスの社長でのうのうとしている。いろいろ批判がある。こういうことが許されるのかと聞いているのに、全然それに答えないですね。こういう状態だから、きょう後ろに傍聴にきていらっしゃる方々も相当怒りに燃えていらっしゃると思いますし、私どもはそういう状況のもとで生まれたいろいろなずさん経営のしわ寄せを家賃にかぶせることは絶対許せない、こういうことを明言しておきたいと思いますし、いま申し上げましたように、この問題には今後本委員会としても検討しなければならないことが非常に多いと思います。ですから、いずれ適切な時期に、公団住宅の問題については、公団住宅に住まわっていらっしゃる方々の代表を招いて集中審議をやる、そういう配慮を委員長にお願いを申し上げておきたいと思います。
  231. 松永光

    松永委員長 審議の仕方についてまでは約束できませんが、出た場合において、委員会で議論をするということは、理事会で申し合わせがなされております。
  232. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 公団の問題を以上で終わりまして、次に建設業の許可制度の見直し問題について伺いたいと思います。  建設業許可基準の見直し問題については、昨年三月、中建審に諮問されました。そのときに行管庁から規制行政の簡素合理化に関する総合調査結果報告書の建設業許可制度に関する部分が添付されております。一応の確認でありますが、現行の建設業許可制度というのは、原則、建設業を営む者は許可をとらなければならないのだ。ただし例外として、軽微な工事のみ、たとえば建築一式の場合は、六百万以下の場合は許可をとらなくてもよい。許可をとらなくてもよいが、許可をとりたいというならあえてそれは拒まない。条件さえ整っておれば、たとえ軽微な工事しかしない人にでも許可を与えますよ、こういう制度になっていますね。
  233. 永田良雄

    ○永田政府委員 御指摘のとおりでございます。
  234. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 では行管庁に伺いますが、行管庁は、いわゆる将来的には登録制を導入すること、それから当面は無許可の範囲の拡大、こういうことを改善意見として出しました。ということは、将来的には結局大きい業者は許可、中ぐらいの業者は登録、そして小さい業者は無許可、こういう状態を想定しているのではないですか。
  235. 塩路耕次

    ○塩路説明員 お答え申し上げます。  先生指摘の、私ども調査、規制行政の簡素合理化に関する調査の中での建設業に関するものでございますが、私ども調査によりますと、現時点では五十万を超える業者が一律に規制されている。これをいまお話ございましたように、登録制を導入する等の規制の緩和を図ることにしてはどうか、検討してはどうかということを指摘いたしておりまして、もしそういった登録制ということを仮に導入するといたしますれば、確かに二つの区分に現在のはあると思います。  それで、いまの御質問の点でございますが、現在の許可制のもとにおきましても、一定水準以下の業者は許可を要しないということになっておりますが、その点につきまして、私ども自身は特にこの調査結果におきまして変えるとかどうとかというようなことは申しておらないつもりでございます。
  236. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ところが、おたくの調査報告書の中にはこういうことも書いてあるのですね。「「軽微な建設工事のみを行う業者は、許可の適用除外とされているが、これらの業者が許可を受けることまでも排除するものではないから、本来許可を要しないとされている小規模零細業者も……許可を取得している場合が多い」とか、「現行制度では、軽微な建設工事のみを請け負う小規模業者であつても、許可申請を却下することはできず、現行の許可制のままでは、いくら軽微な建設工事の範囲を引き上げても許可業者の減少につながらない」」つまり許可が要らぬ業者でも、許可をくれと役所へ言ってきたら、役所の側は断れない、だからなんぼでも許可がふえるのだ、こういうことをちゃんとあなた方は書いてあるのですね。ということは、裏返せば、では法律でこの線以下の軽微な工事しか実績を持っていない人は、あなたは許可はとれませんよ、許可を申請してもこれを断れるようにしろ、法律上きちっと線を引け、こういうことを意味しているのではないかととれるのですが、いかがですか。
  237. 塩路耕次

    ○塩路説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のような記述があることは事実でございます。私ども報告書におきましては、いま御指摘の点につきましては、一つは実態というものの一部として記述いたしてございます。  それからもう一つは、都道府県の方の意見の記述の一部として記述しておる次第でございまして、先生指摘のような誤解と申しましょうか、そういうような読み方をされるような面が記述の仕方にあったという点は、私どもの記述の不十分な点であるということで御理解をいただきたいと思います。  私ども自身といたしまして、この部分につきましては、軽微な建設工事の基準が昭和五十二年以来据え置かれておりまして、建設費等の実情から見て、むしろ許可を受けずに建設業を営み得るような範囲が、建設費の値上がり等の結果として事実上縮小されている。こういった実態を見まして、かえって逆に規制強化になっているんではないかということから基準の引き上げという点を指摘しているわけでございます。したがいまして、先生御心配のような軽微な工事のみの実績しか持たない業者につきまして、許可の取得を法的に規制しようというようなつもりは全くございません。
  238. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 規制を強化するという気持ちは毛頭ないと言うんなら、大体零細な業者が別に無許可でできる工事の基準を引き上げてくれとも何とも言ってないのですよ。現行の方がよいと言っているのだから、そういうよけいなおせっかいをしない方がいいと私は思うのです。  そこで、これまでも私は何回かこの問題を指摘しているのですが、問題点をまとめておきたいと思うのです。  まず第一は、建設省もいろいろこれについては改正を目指している。行管庁もいま言った改善意見を出している。その根拠にされている調査そのものに問題があるということなんですよ。  それで、いま委員長の方に了解を得てお手元にお配りしている資料をごらんいただきますとわかるのですが、左側が行管庁が行った調査、右側が私が行った調査なんです。A県というのは宮城県なんです。ここは五十四年と五十六年の違いはありますが、これは比較の場合大きな相違の要素ではありません。これは許可の審査に当たっている職員数が、行管の調査も私の調査も四人ずつで合っているのです。一人の職員が一日当たりに処理しております件数は、右端にありますように、行管庁で言えば二・三件、私の調査では一・九件、これは二年間のずれのために扱い件数が減ったためと思われまして、本質的な違いはないです。次のB県というのは東京都ですが、これについても同じようであります。次、埼玉県ですね。これなどは、行管調査では一人の職員が一日四・七件処理していることになっているのだけれども、私の調査では二・八件であった。それから富山県の場合とかE県、京都府、F県、山口県、こういう場合は、それぞれ出先機関、つまり土木事務所等でちゃんと受け付けて実質審査をやっているのに、行管庁の調査では、それを全然職員数に入れてないわけです。したがって、本庁の職員だけで一人が一日にどれだけ件数を処理しているか出したからべらぼうに高い数字が出てきて、もういかにもせわしくて、忙しくてまともな審査なんかしてないような、そんな表が出てきたのですね。ところが、私が調査したのをごらんいただきましておわかりのように、富山県の場合ですと、行管調査は二人の職員となっていますが、実際には十人の職員が、京都府の場合、行管庁は三人の職員が、こんなことはないはずなんですが、私の調査では十人が、それから山口県の場合、行管庁の調査では四人となっていますが、私の調査では十八人がそれぞれ審査に当たっている。こういう根本的な相違というか、行管庁の方が明らかにこれは間違いだと思うのです。だから、こういう間違った調査結果をもとにして、まともな審査が忙しくてできないから、行政簡素化の立場から、事務量を簡素化するために登録制を導入するだの無許可の範囲を拡大するだの、これは間違った結論になってしまうわけですね。われわれのこういう指摘によって、建設省も昨年調査をされたようなんですが、建設省調査は業界紙等でわれわれは知っただけなんです。全国平均して十三・四人の職員が許可の事務に当たっている。それに臨時が二・四人かかっている。合わせまして十五・八人。ですから、この建設省調査からいっても行管庁の調査とは大きく違いますね。行管の調査ですと、六県調査して四十一人ですから、一県当たり七人弱というわけですから、半分以下になっているわけです。この建設省調査というのはどういう方法で行われたのか、それから建設省は行管庁の調査結果をどう見ているのか、答弁願います。
  239. 永田良雄

    ○永田政府委員 お答えいたします。  私どものところが調べたのは、事務担当者が事務連絡として各都道府県に、この事項以外いろいろちょっと参考までに聞きたいことがあったので、事務連絡として文書で出してとった調査でございます。  それから、行管の調査についてどう思っているかという話でございますが、御指摘のように、行管の調査は全数の調査ではありません。ただ、行管の意見として、せっかく改正についてこうこうしたらどうか、こういう意見がございますので、私どもは十分参考にさせていただく、こういうつもりでございます。
  240. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その建設省のやった調査というものについてわれわれは事前に内容の説明を求めたのですが、これは公表しない、こう言われたのですね。なぜですか。
  241. 永田良雄

    ○永田政府委員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、事務担当者が、一応上の方もよく審査せずにとった話でございますので、余り責任が持てない面もあるのじゃなかろうかということで、それが表へ出て全く正しいものとして受け取られるのは困るという見地から差し控えさせてもらっているわけでございます。
  242. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 大臣建設に非常にお詳しいからよく御存じだと思うのですが、われわれはこういう全面許可制がいいとはちっとも思ってなかったのです。だけれども、十年前に当時の中建審が二年がかりで審査した結果、現在の全面許可制をしいたわけですね。十年たってようやくこれは社会に浸透して、建設業者と言えば大も小も全部許可を持っているものなりと、こういうことが非常に常識化されてしまいましたね。これは行管庁の報告指摘しているように、まず入札資格を取ろうと思ったら許可業者でなきゃならない。それから第二に、金融機関でお金を借りようと思ったら許可を持ってないと有利に借りられない。それから第三に、建設省自身の元請に対する行政指導が、下請はできるだけ許可を持っている業者を使いなさい、こういうことをやってきたから、いやでもおうでも許可を取らざるを得なくなった。こういうときに、いかに経済情勢が変わっているからという理屈をつけてみても、改めていま許可の業者が登録になったり無許可になったりしますと、お施主さんから見れば、ああ格下げされたな、そういう認識を持たれるに決まっておって、だから、これは皆大変だと心配するわけなんです。そういうときに、いろいろ改善意見なり改正意見が出るのはいいけれども、そのもとになっている調査が、行管庁の調査は実態を反映していない。間違いがあった。建設省調査調査で、いま局長が話されたように、必ずしも責任を持てるものではないから公表はしかねるという内容でしょう。こんなもので議論しているとしたら、これはまた土台がないわけなんです。そういう意味で、こういう問題については、自治体の側も十分調査する。業者側、零細業者の意見もよく聞く。そういうこともしながら慎重の上にも慎重に検討すべき問題だと思いますので、その点を大臣に御答弁いただきたいと思うのです。
  243. 内海英男

    内海国務大臣 御指摘のように、業者自体の死活の問題にも関係の深いものでございますから、慎重の上にも慎重に取り扱いたいと思っております。
  244. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 まだちょっとこの許可の問題では聞きたいことがあったのですが、時間の関係がありますので、もう一つの問題、これは滋賀県の琵琶湖文化公園都市構想に基づく開発事業、その中で起こっている問題について質問いたしたいと思います。  この琵琶湖文化公園都市構想の舞台になっているところは、かつて本委員会でも私が何回か取り上げた、当時上田金脈とよく言われておったのですが、上田建設グループが、田中金脈にならったのかどうか知りませんけれども、土地転がしをやったその舞台になったところなんです。いわゆる上田建設グループの中で土地転がしを行い、それをさらに飛島建設グループが引き取って、その中で転がした上、滋賀県土地開発公社に高い値段で売りつけた。しかし、大きな社会問題になり、国会の追及等もあり、また建設省も当時としては適切な行政指導も入れられたと思いますが、契約は解除されて、結局飛島グループがその土地を抱えることになった。その飛島が現在この地域住宅団地の開発に乗り出している、こういうふうな次第になっているのですね。これは当時の仮谷建設大臣もこういう答弁をされたことがあるのです。「そういう疑いを持たれることはまことに遺憾なことであって、今後そういった問題を絶滅するために努力しなければならぬことは必要であるし、そのために必要な行政措置をとることは必要だ」こう言つて、いろいろ建設省も手を尽くされたといういわくがあります。  現在、昨年の十二月十七日、滋賀県議会では「琵琶湖文化公園都市基本計画について」というものを決めているわけですね。その一環として、大津湖南都市計画事業湖南丘陵岡本土地区画整理事業というのが飛島建設グループによって進められております。事業主体は飛島都市開発株式会社、元請が飛島建設でありまして、全体で百九十二万平米、人口二万の宅地開発であります。第一期工事が現在進められているのですが、これは三十二万八千平米で、七百八十戸を予定しているのです。計画人口三千百二十人で、小、中、それから保育園、幼稚園、市民センター、集会所、派出所等々の公共施設も張りつく予定になっているのです。この中に現在、樹木を伐採してしまうものですから、そのかわりの調整池がつくられていますが、これに住宅宅地関連公共施設整備促進事業費が投入をされております。総額十億円なのですが、五十五、五十六、五十七年の三カ年にわたりまして、そのうちの四割、四億円がこの関連公共の補助金なんですね。実は、この調整費を含めて、今日までこの五十五、五十六、五十七の三年間で、その飛島関係のこの開発に対して、関連公共の補助が十六億も投入をされているのです。この五十五、五十六、五十七、三年間の滋賀県に割り当てられた関連公共の総額は幾らでしょうか。
  245. 永田良雄

    ○永田政府委員 お答えいたします。  五十五年度は十五億百五十万でございます。五十六年度は十八億九千七十万でございます。五十七年度は十五億六千五百五十万円でございます。
  246. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 つまり三年間に滋賀県に割り当てられた関連公共の補助総額が四十九億で、そのうちの約三分の一、十六億がこの飛島関係一カ所に集中されて、そのうち調整池だけでも四億円の補助がつく、こういう状況なんですね。こういう調整池などに関連公共の補助がつくというのは、一般的にはあり得ることなんですか。
  247. 永田良雄

    ○永田政府委員 お答えいたします。  もともと関連公共事業費と申しますのは、通常の公共事業予算でやっていてはなかなかうまくいかないというものを、この関連公共事業を充てることによって早急に宅地開発に資するという目的でやられたわけでございまして、その上に、この場合は特に一カ所にかなり集中的に投資し得るというメリットを持っておるわけでございます。したがいまして、滋賀県全体の関連公共事業にしては割りが大きいのじゃないかという御指摘は当たらないと思うわけでございます。
  248. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 しかし問題は、全国で一千億しか枠のないこの貴重な関連公共の補助をとにもかくにも額としては相当大きく張りつけられていることは事実なんですね。私はきょうはそのことの是非を論じようというのではないのです。そういう一定の公共性もあるという、そういう性格のものであることをこれは裏づけているというわけですね。  実は、問題はここから先なんです。いま第一期工事が行われているのですが、元請はさっき言ったように飛島建設。その一工区、三工区については山善建設が第一次下請なんですが、二次下請を湖南土木という本当に小さな零細企業がやっているのです。宅地造成の附帯工事、それから調整池の一部の工事をやっておりますが、一億二千万の出来高に対して、まだ私は精査中でありますが、約一千万ちょっとの大きな赤字を出したわけなんです。山善に対していろいろと救済措置を求めたのだけれども、一次下請の山善は、飛島から非常に安く単価を抑えられているので、ないそでは振れないということになる。そのために、事実上二次下請業者は経営が行き詰まってきて三次以下に対して実質不払いが生じてくる、こういうふうな残念な事態になってきているのです。  きょうは時間が来ておりますので、詳しいことは、また別途建設省の方に資料とともに提出いたしますが、工事開始に当たって請負契約書がつくられていないという問題がまずあるのですが、これはたとえば側溝工事とかガレージ工事、まさに附帯工事の寄せ集めなんですね。したがって、たとえばU型側溝三百の三百、これはメーター一万三千九百円、こういうふうな単価計算が行われる。あるいは側溝集水ますU三百、これが材料、工事費込みで二万九百八十円と計算されている。あるいはのり面保護工事の場合でも、これはブロック積みなんですけれども一M青の場合ですと、材料、工賃含めて一万三千六百円、二C青の場合ですと一万四千百円、こういう計算がされるのです。私も現場へは二回ほど行っているのですが、もともと小さな池といいますか、沼地みたいなところを地上げして、その後そういう附帯工事をやっているわけですから、大変な難工事で、やり直しもたくさんしなければならない。材料も一たん積み上げたブロックがまた割れてしまう、手戻り工事も多い。しかも材料は、全部飛島及び山善の支給で、清算のときにみんな代金は差し引かれるわけなのです。だから、予定以上にブロックが割れたりいろいろつぎ込めば、そういうものも全部差し引かれてしまうわけですから、全部工賃の方へしわ寄せがいくというふうなことがこういう大きな赤字と不払いが起こってきた原因なのですね。  一方で、先ほどのように、国もいろいろな補助金を投入して援助しているような公共事業である。その中でこういうふうな下請に猛烈なしわ寄せがいく。なぜか。それは先ほど言いましたもともと上田・飛島グループの転がし地であったということが尾を引いていると思うのですよ。  といいますのも、大体ここは当時の鑑定価格で三・三平米二万円ないし二万四千円程度の土地だったのですが、これを飛島グループが上田グループから買い取ったのが三・三平米当たり五万六千円前後。これを今度公社に飛島グループが六万円弱で売っているわけですね。それで利ざやを稼ごうと思ったのだけれども、それが世論のいろいろな批判でうまくいかなくなって契約が解除になって飛島が全部引き取らざるを得なくなった。何せ飛島は当時の公示価格二万円ないし二万四千円程度の土地を少なくとも五万円以上で引き取らざるを得なくなったと思うのですね。そういうところから、いろいろと国にも無理を頼んで、そういう補助金をつけてもらう、同時に一方、下請にもしわ寄せをしてというふうな感じになってきていると私は思うのです。  建設省に要請したい点は、私はいま具体的に一つの社の名前しか出しませんでしたが、他にも二、三社二次下請段階で同じような運命に遭遇しつつあるわけなんです。このままこの大規模な工事が行われますと、泣かされるのは全部下請になりそうです。それでとりあえず、建設業法では、不当に低い請負代金も禁止しているし、またいわゆる発注者の地位を利用して使用資材の購入強制の禁止ということもあるし、そういうことにもひっかかる可能性もある。あるいは建設省が下請負人の保護についてという通達を出していますけれども、ああいうのは、当然行き詰まって不払い等が生じないようにいろいろと元請は援助すべきだ。ところが逆に援助を拒否しているというような問題もあるのですね。  そういう点で、やはり建設業法に基づく救済措置を建設省はちゃんと指導してもらいたい。これが一点と、それからそういう土地転がしのしわ寄せを下請業者に持ってくるのはもってのほかで、もし飛島がやっていけないというのなら、土地転がしをやったグループの中で話し合いをしてそれは解決すべき問題だ、こう思うので、こういう全体についても今後下請へのしわ寄せが起こらないような行政指導調査してきちっとお願いしたい。  この答弁を求めて終わりたいと思います。
  249. 永田良雄

    ○永田政府委員 ただいま初めてお聞きする話でございます。調べてみますが、元請、下請の関係というのは商売上の取引の話でございますので、よくよく実態を調査した上で対処いたします。
  250. 松永光

    松永委員長 甘利正君。
  251. 甘利正

    ○甘利委員 今回の不況は大変長引いておるわけでございます。昨今になりまして、原油の値下がり等の情報もあるわけでございますが、これを織り込みましても、急速に景気が回復するわけにはまいらないのではないか、このように私は考えるわけでございます。そこで、建設省は、昨年に引き続き財政投融資の活用により所要の事業費の確保に努められたのでございます。  私はここで申し上げたいわけでございますが、財政投融資の資金、これもなかなか厳しくなるのではないか、このように思うわけでございます。この場合、将来にわたりましては、民間資金の導入ということについて考えておられるかどうか、この点をお尋ねするわけでございます。
  252. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 御指摘のとおり、五十八年度の予算におきましては、財政の非常に厳しい折から、公庫公団の事業等につきまして財政投融資を重点配分をいたしまして、その事業量の確保を図っておるところでございますが、その公庫公団の事業におきましても、縁故債等民間資金も活用いたしまして事業費の確保を図っておるところでございます。今後これらの事業を推進してまいります場合には、財投資金の状況等も見ながら、民間資金の活用も図ってまいりたいというふうに考えております。
  253. 甘利正

    ○甘利委員 次に、国土計画の推進についてお尋ねをいたします。  建設省は定住構想田園都市構想等々の幾多の構想をお持ちになっておることはよく存じておるわけでございます。これは所管は国土でございますか。――そこで、定住計画が実施の段階に入っておるとのことでございますが、その段階はどの程度でございますか。簡明にお教え願いたいと思います。
  254. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 モデル定住圏計画の進捗状況につきましてのお尋ねでございますが、モデル定住圏計画昭和五十四年度で四十圏域、五十五年度で二圏域、五十六年度でさらに二圏域、合わせて四十四圏域において計画が策定されております。これらのモデル定住圏計画の柱になります特別事業、これを強力に推進いたしますために、各省庁の積極的、優先的な措置をお願いするという立場で関係十七省庁で構成する定住構想推進連絡会議というものを開きまして、関係省庁におきましてその趣旨を十分御理解いただき、特別事業がスムーズに進行するように配慮しておるということでございます。  それぞれの定住圏におきます特別事業の進捗状況でございますが、五十七年度までに予定されております事業量の約九割が実施されておるということでございまして、今後とも関係省庁の協力を得ながら、モデル定住圏整備に一層努力をしてまいりたい、かように考えております。
  255. 甘利正

    ○甘利委員 次に、土地対策の推進についてお尋ねいたすわけでございますが、農住組合制度はその後活用されておるかどうか。特に南関東の状況はどんな状況でございましょうか。もし進んでいないとするならば、条件緩和が必要ではないでしょうか。面積要件あるいは農地の割合の要件あるいは農地の連担の要件等の緩和が必要ではないでしょうか。これをお尋ねすると同時に、調整区域の開発について五ヘクタール以上の開発等には農住組合制度の手法をお使いになったらどうなのかと私は思いますが、いかにお考えでしょうか。
  256. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 お答え申し上げます。  農住組合につきましては、昨年首都圏と近畿圏にそれぞれ一つずつモデル組合ができたわけでありまして、首都圏について申し上げますと、第一号が埼玉県の上尾にできた組合でございますが、これが区画整理事業の認可を終わりまして、最近区画整理の造成工事に着手をしたというところでございます。このほか五十八年度に東京都の稲城市、三鷹市、町田市あるいは足立区、それから横浜市の緑区などにおきまして数カ所設立を目指して種々検討が進んでおります。  この制度は、御案内のとおり、まずその農地所有者が関係者全員の合意を得て土地利用計画住宅建設計画を決める、それから組合の設立をして事業に着手するという制度になっているわけでありまして、若干おくれているところ、いろいろ事情がございますが、たとえばたった一人が反対をしておる、これの説得に時間を要しておる、それではその一人の分を除いたらどういう土地利用計画になるかというようなことで、種々検討を深めているところがございますし、それからもう一つは、ぜひやりたいのだけれども、せっかくやってもここは一種住専だ、したがってもう少し高さの高い賃貸マンションをつくりたいので何とか二種住車に早くしてもらえないだろうかというようなことでおくれているところが若干ございます。  それからもう一つは、農住組合の制度の特色といたしまして、土地の区画整理等、下の条件を整備するだけではなくて、住宅等上物を必ずつくるということが必須条件になっておりますが、この住宅につきまして、かつてのようにつくれば何でも分譲できるあるいは賃貸希望者が出てくるということではございません時代で、需要者、消費者の選択の目が大変厳しくなってまいりました。既存の農住賃貸住宅などを見てみますと、たとえば間取りが必ずしもよくないあるいは玄関をあけるとすぐ洗濯機が見える、そういうことでは困るということで、最近の需要者の要請に合ったような住宅をつくるために関係者でコンペをやってひとついいものをつくろうというような計画があるというようなことで若干おくれておりますが、先ほど申し上げましたようなところで本年度はかなり出てくるのではないかというふうに思っております。したがいまして、面積要件ですとかその他のいまの必要な要件が設立が若干おくれぎみであることのネックになっているものでは必ずしもないというふうに考えておりまして、この辺は当面現行制度を維持して大いに普及、推進を図ってまいりたいというふうに思っております。  それから、これらの制度は元来市街化区域の中の農地についての制度でございまして、お説のとおり市街化調整区域等の開発のために、こういう農地を必要に応じてまとめて残しながら良好な住宅地を供給するという思想は大いに尊重すべき思想でありますし、そういう方向で調整区域の開発をすべきではないかというふうに思っておりますが、それが直ちにいまの制度を調整区域に拡大をすべしということには必ずしもならないのではないか、開発許可制度運用の方で対応すべきものではなかろうかというふうに思っている次第であります。
  257. 甘利正

    ○甘利委員 次に、水資源対策の推進についてでございますが、長期的な水需給の見通し、総合的な水資源対策の推進、こういうことになりますと、まずダムが考えられるわけでございます。ダムの建設はコストの枠を超えてもやるべきではなかろうかと私は思うわけでございますが、この点についての御見解をひとつお尋ねいたします。
  258. 川本正知

    ○川本政府委員 全国的な近年の水需要の動向でございますが、最近安定経済成長へ移ってまいったこと、水使用の合理化等が進んでまいったこと、そういったことなどによりまして、水需要の伸びは鈍化はしておりますものの、今後生活水準の向上等によりまして、依然として増大するものと私どもは考えております。このために、水資源開発というものは長期的な展望に立ちまして、計画的にまた重点的に強力に推進していかなければならぬ、そう思っております。  いま先生おっしゃいましたダムなどの水資源開発におきましては、わが国土は地形的にもあるいは地質的な条件、そういったことからダムの適地が制約をされてきておりまして、水資源開発が進むにつれまして、水の開発コストが高くなることは、これはやむを得ない傾向であろうかと思っております。しかし、ダムによります水資源開発が、たとえば他の手段といいますか、海水の淡水化であるとか下水処理水の再利用、そういった水資源開発手法と比較いたしまして開発水量も多くなりますし、維持管理費が低廉でもございますし、エネルギーの消費量も少ない、そういったことなどの理由によりまして、まだまだ有利なものであると考えております。  また、農業用水の合理化といったようなことを考えていくことも必要でございます。上水道への転用、こういったことも重要な課題であるとは思っておりますけれども、これにいたしましても、水路網の再編成、合理化事業にもコストがかかる。また干害期だけではなくて、水道になりますと、冬季にも水源の手当てが必要になるというふうな問題点がございます。  いずれにいたしましても、増大いたします水需要に対しましては、いま申し上げた下水処理水の再利用あるいは水利用の合理化等もさらに積極的に進めるべきであるとは思いますけれども先生指摘のとおり、ダムなどによります水資源開発の推進を基本として、今後とも対処していくべきである、そういうふうに思っておりますので、さらに推進してまいりたいと思います。
  259. 甘利正

    ○甘利委員 次に、住宅宅地対策についてでございますが、この対策の第一は地価対策であり、地価対策の第一は、将来にわたる宅地の大量供給である、このように思うわけでございますが、これに関連をいたしまして御質問するわけでございます。  線引きの見直しをしましても、宅地の供給が思うようにふえない、こういう現実があるわけでございますが、これは当然何かに欠陥があるわけでございますから、この欠陥の排除をしなければならないと思うわけでございます。そこで第二には、市街化地域の線引きの見直しと開発とを結びつけることはできないのか。つまり見直しイコール宅地供給、大変むずかしいけれども、こういうことはできないだろうかということでございます。御承知のように、線引きの計画決定は知事が行います。原案はいままでは県がつくりました。ところが、今回からは原案は市町村がつくることになっておるわけでございますが、前にも原則として県がつくると、原則が入っているわけです。今度もまた原則として市町村がと、原則というのが入っておるのですが、思い切ってこの原則を取ることはできないのでしょうかということをここでお尋ねをするわけでございますが、いかがでしょうか。
  260. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 お尋ねの点、三点あったかと思います。まず第一点は、線引きの見直しを行っても宅地供給がそのまま出てこない、何か欠陥があるのじゃないかという点でございます。それから二番目の、市街化区域に編入した地域は、開発と連動させた方がいいのじゃないか、この二つについて一緒にお答え申し上げたいと思います。  欠陥があるのではないかということにつきましては、市街化区域が大き過ぎるのじゃないかとか、将来の思惑を考えて、開発の意図がないのに市街化区域に編入して、区画整理をすると言いながらしないで食い逃げがあるのじゃないかとか、こういう御指摘があるのは事実でございます。ただ、線引き制度自身は、都市への急激な人口等の集中に対応しまして、無秩序な市街化の防止に大きく寄与したわけでございますが、他方で、市街化区域におきます都市基盤の整備の立ちおくれ等によりまして、計画的な市街化が進展しないために農地等の未利用地が残存しまして、根強い住宅宅地需要に適応していかない、こういう面も見受けられるわけでございます。こういった関係から線引きの運用方針を改めまして、市街化区域の農地等について土地区画整理事業等の面整備を積極的に推進していただく、あるいは開発の見込みがないものは逆に調整区域に逆線引きする、まずこういったようなことを含めまして、さらにこの場合、農地が逆線引きで穴抜きになる場合にも、どちらかというと、いままでのように余りへジテートしないで、五ヘクタール以上あれば運用できるように措置しているわけでございます。  さらに、今後の市街化区域への編入につきましても、着実に都市的な土地利用に供給されるということが確実になった段階で編入するように指導しております。今後は編入区域におきまして宅地供給が促進されるように、さらに指導してまいりたいと思っております。そして現在、各都道府県、市町村でこの方針のもとに作業中でございます。秋以降に逐次宅地化の方向で御期待に沿えるような形が実現してくるのではないかというふうに考えております。  それから、第三点の御質問でございますが、なぜ原則として市町村長が策定するというふうに原則としてを加えたか、こういうことでございます。これはきわめて役人的な答弁になるかもしれませんが、仮に市町村長が全然やる気を起こさない場合には、やはり都道府県知事が原案をつくる余地を残しておかないと困るわけでございまして、私どもとしてはなるべく市町村長が原案をつくってくださることが好ましいと考えておるわけでございます。
  261. 甘利正

    ○甘利委員 次には、都市対策についてお尋ねするわけでございますが、都市対策の柱が再開発と区画整理、このように言っておられるわけでございますが、このいずれの手法も公共分が少し多過ぎるのじゃないか、このように考えますが、これについての御見解。
  262. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 土地区画整理事業は、減歩あるいは換地という手法によりまして公共施設の整備改善と宅地の利用増進を図る事業でございます。公共施設用地を生み出すためあるいは事業費に充てるために保留地が要るわけでございますが、このために宅地の利用増進の範囲内で減歩を受けるのは地権者の受忍の範囲だろうというふうに私どもは考えております。最近の平均的な減歩率を見てみますと、おおむね三〇%ということでございまして、そのうち公共減歩が二〇%ということでございますが、この程度であれば、土地の利用増進の範囲内におさまると考えられますので、一概に高過ぎるとは言えないのではないかというふうに考えております。  それから、市街地再開発事業でございますが、土地の高度利用を図ることによりまして、街路、駅前広場等の公共施設と建築物を一体的に整備する事業でございまして、既成市街地の環境改善に寄与するものと考えております。この場合におきまして、公共施設の管理者から負担金を導入するとともに、権利者は従前資産に見合うその事業後の資産を得るわけでございまして、こういった事業のあり方は、必ずしも権利者に高い負担を課して公共施設を整備しているというわけでもないのではないかというふうに考えております。
  263. 甘利正

    ○甘利委員 質問を終わります。      ────◇─────
  264. 松永光

    松永委員長 次に、内閣提出道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。内海建設大臣。     ─────────────  道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  265. 内海英男

    内海国務大臣 ただいま議題となりました道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案について、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。  現行の第八次道路整備五カ年計画昭和五十七年度をもって終了することとなりますが、わが国の道路整備水準は、なお著しく立ちおくれた状態にあり、また、交通安全対策、防災、震災対策の強化、道路環境の保全、日常生活の基盤となる道路整備道路整備に対する社会的要請は、ますます増大し、多様化しているところであります。  このような状況にかんがみ、政府といたしましては、昭和五十八年度を初年度とする道路整備五カ年計画を策定して、道路を緊急かつ計画的に整備することとし、このため、道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案を提出することとした次第であります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、昭和五十八年度を初年度とする新たな道路整備五カ年計画を策定することといたしました。  第二に、道路整備五カ年計画にあわせて、昭和五十八年度を初年度とする奥地等産業開発道路整備計画を策定するため、奥地等産業開発道路整備臨時措置法の有効期限を昭和六十三年三月三十一日まで延長することといたしました。  その他これらに関連いたしまして関係規定の整備を行うこととしております。  以上が、この法律案の提案の理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
  266. 松永光

    松永委員長 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。  次回は、明後四日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十二分散会