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1983-07-08 第98回国会 衆議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年七月八日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 古屋  亨君    理事 近藤 元次君 理事 東家 嘉幸君    理事 中川 秀直君 理事 井上 一成君    理事 新村 勝雄君 理事 春田 重昭君    理事 神田  厚君       伊東 正義君    植竹 繁雄君       小坂徳三郎君    近岡理一郎君       森下 元晴君    高田 富之君       田中 昭二君    宮田 早苗君       三浦  久君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         建 設 大 臣 内海 英男君  委員外出席者         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         管理局長    服部 健三君         人事院事務総局         管理局研修審議         室長      藤野 典三君         人事院事務総局         任用局長    鹿児島重治君         人事院事務総局         職員局審議官  笹川 辰雄君         経済企画庁調整         局審議官    丸茂 明則君         大蔵省主計局司         計課長     加藤 剛一君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部施         設課長     廣田 良輔君         建設大臣官房長 豊蔵  一君         建設大臣官房総         務審議官    吉田 公二君         建設大臣官房会         計課長     牧野  徹君         建設省計画局長 台   健君         建設省部市局長 松原 青美君         建設省河川局長 井上 章平君         建設省道路局長 沓掛 哲男君         建設省住宅局長 松谷蒼一郎君         会計検査院事務         総局第一局長  西川 和行君         会計検査院事務         総局第三局長  秋本 勝彦君         日本国有鉄道旅         客局営業課長  白川 俊一君         日本国有鉄道建         設局停車場第二         課長      池田  本君         住宅金融公庫総         裁       大津留 温君         住宅金融公庫理         事       関口  洋君         参  考  人         (住宅都市整         備公団総裁)  志村 清一君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  救仁郷 斉君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  武田 晋治君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  久保田誠三君         決算委員会調査         室長      石川 健一君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十五年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十五年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十五年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十五年度政府関係機関決算書  昭和五十五年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和五十五年度国有財産無償貸付状況計算書  (建設省所管住宅金融公庫)      ────◇─────
  2. 古屋亨

    古屋委員長 これより会議を開きます。  昭和五十五年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、建設省所管及び住宅金融公庫について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として住宅都市整備公団総裁志村清一君、理事救仁郷斉君、理事武田晋治君、理事久保田誠三君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 古屋亨

    古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  4. 古屋亨

    古屋委員長 それでは、まず建設大臣から概要説明を求めます。内海建設大臣
  5. 内海英男

    内海国務大臣 建設省所管昭和五十五年度歳入歳出決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  まず、歳入につきましては、各会計別収納済み歳入額は、一般会計二百六十二億三千三百万円余、道路整備特別会計二兆二千五百十六億八千三百万円余、治水特別会計治水勘定九千二百八十五億二千六百万円余、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定一千九百十四億七千三百万円余、都市開発資金融通特別会計四百二十四億三千二百万円余等となっております。  次に、歳出につきましては、各会計別支出済み歳出額は、一般会計四兆三千五百四十一億六千百万円余、道路整備特別会計二兆二千三百四十三億三千二百万円余、治水特別会計治水勘定九千百八十七億五千五百万円余、同特別会計特定多目的ダム建設工事勘定一千七百五十五億九千八百万円余、都市開発資金融通特別会計四百二億三千二百万円余、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち建設省所掌分百五十四億一千三百万円余となっております。  以下、各事業について御説明申し上げます。  まず、治水事業につきましては、第五次治水事業五カ年計画の第四年度として、河川ダム及び砂防の各事業実施いたしました。  このうち、河川事業では、直轄河川改修事業百二十五河川中小河川改修事業七百三十九河川実施し、ダム事業では、直轄四十六ダム補助百十三ダム建設工事実施いたしました。また、砂防事業では、直轄四百十九カ所、補助三千八百七十七カ所の工事実施いたしました。  以上により、五カ年計画における進捗率は、約七八%となっております。  海岸事業では、第二次海岸事業五カ年計画最終年度として、直轄十一海岸補助九百二十カ所の工事実施いたしました。  また、急傾斜地崩壊対策事業は、二千二百五地区について補助事業実施いたしました。  次に、災害復旧事業につきましては、直轄では、五十四年災を完了し、五十五年災について復旧事業実施いたしました。  補助では、五十三年災を完了し、五十四年災及び五十五年災についてそれぞれ復旧事業実施いたしました。  次に、道路整備事業につきましては、第八次道路整備五カ年計画の第三年度として、一般国道等改良及び舗装等実施いたしました。  このうち、改良においては三千三百三十一キロメートル、舗装においては三千七百九十四キロメートルを完成させたほか、一般国道において、指定区間一万八千六百二十八キロメートルの維持修繕工事直轄実施いたしました。  有料道路事業関係では、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団及び本州四国連絡橋公団に対して出資等を行い、また、有料道路事業実施した地方公共団体等に対して資金貸し付けを行いました。  以上により、五カ年計画における進捗率は、約五六%となっております。  次に、都市計画事業につきまして御説明申し上げます。  公園事業につきましては、第二次都市公園等整備五カ年計画最終年度として事業実施し、国営公園として八カ所、補助事業として都市公園二千八百五十一カ所の施設整備等実施し、五カ年計画における進捗率は、約一〇四%となっております。  下水道事業につきましては、第四次下水道整備五カ年計画最終年度として事業実施し、管渠において一千九百六十六キロメートル、終末処理場において二百一万人分の施設を完成し、五カ年計画における進捗率は、約九七%となっております。  次に、住宅対策事業につきましては、第三期住宅建設五カ年計画最終年度として、公営住宅五万七千二百八十三戸、改良住宅四千六百四戸、住宅金融公庫及び旧日本住宅公団関係五十七万二千五百八十戸のほか、農地所有者等賃貸住宅特定賃貸住宅等事業を推進いたしました。  次に、官庁営繕事業につきましては、合同庁舎等三百十六カ所の工事実施し、このうち二百五十七カ所を完成いたしました。  最後に、都市開発資金貸付事業につきましては、工場移転跡地地区及び都市施設等用地四十三カ所の買い取りに対し資金貸し付けを行いました。  以上が、昭和五十五年度における建設省所管決算概要であります。  これら所管事業に係る予算執行に当たりましては、常にその厳正な執行を図ることはもちろんのこと、内部監察等を行い万全を期してまいりましたが、昭和五十五年度決算検査報告におきまして指摘を受ける事項がありましたことはまことに遺憾であります。  指摘を受けました事項につきましては、直ちに是正措置を講じておりますが、今後ともなお一層事業実施適正化に努めてまいる所存であります。  以上が、昭和五十五年度建設省所管決算概要並びに決算検査報告に関する建設省所管事項概要でありますが、何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  6. 古屋亨

  7. 秋本勝彦

    秋本会計検査院説明員 昭和五十五年度建設省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたのは、不当事項十九件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項一件であります。  まず、不当事項について説明いたします。  検査報告番号一三〇号は、跨線歩道橋工事の施行に当たり、橋台設計と相違して施工したものであります。  これは、一般国道十三号の湯沢市関口地内の歩道を新設する工事に関するものでありまして、このうち、奥羽本線と立体交差する個所に設置した跨線歩道橋橋台と基礎の鋼管ぐいとが剛結されていないため、地震時には橋台安定性が確保できないものとなっているという事態であります。  また、検査報告番号一三一号から一四八号までの十八件は、公共事業関係補助事業実施及び経理が不当と認められるもので、工事設計または工事費積算が適切でなかったり、工事の施工が設計と相違したりしている事態のものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について説明いたします。  これは、防雪さく設置工事費積算に関するものであります。  建設省では、積雪寒冷特別地域における道路交通を確保するため、当該地域道路を管理する地方公共団体が新たに防雪さくを設置した場合に、これに要する費用の三分の二を補助しております。  この防雪さく設置工事は、工場製作された防雪さくを現地で組み立てて道路沿いに設置するだけのものであり、かつ、その購入代価が直接工事費に占める割合も高いものとなっておりますのに、共通仮設費算出には、一般工事に使用する資材費と同様に購入代価の全額を直接工事費に含めております。  一方、本件防雪さくと類似する簡易組み立て式橋梁などの共通仮設費算出には、工事費に含めないこととしているのでありますから、本件工事につきましても、設置費についてのみ共通仮設費を計上すれば足りると認められましたので、当局見解をただしましたところ、建設省では、とりあえず、五十六年十一月に関係地方公共団体にあて、防雪さく購入費共通仮設費の算定の対象に含まないものとする旨の通達を発し、同月以降積算を行う工事から適用することとする処置を講じたものであります。  なお、以上のほか、昭和五十四年度決算検査報告に掲記しましたように、補助事業実施及び経理適正化について、及び除雪用機械購入費補助について、それぞれ処置を要求しましたが、これに対する建設省処置状況についても掲記いたしました。  以上が昭和五十五年度建設省決算につきまして検査いたしました結果の概要であります。次に、昭和五十五年度住宅金融公庫決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、意見を表示しまたは処置を要求した事項一件であります。  これは、貸付資金調達に関するものであります。  住宅金融公庫では、住宅建設等に必要な資金貸付業務金融機関に委託して行わせておりますが、この資金調達について検査いたしましたところ、多額の余裕金が生じていて適切でないものが見受けられました。  すなわち、公庫では、貸し付けは必要な資金受託金融機関からの報告に基づいて資金運用部資金等からの借入金調達しておりますが、受託金融機関からは報告期限制約もあり、見込み報告に基づき借入金調達手続をとっているため、実際の送金必要額との差額が相当過大に調達されて、次回の貸付時期まで公庫余裕金として保有される状況となっております。  また、貸付期間の終了後、貸付金として振りかえ使用されなかった回収金公庫に返納させ、これを次回の貸付金原資に充てることとしておりますが、受託金融機関から返納予定額報告を受けることなく、公庫の推計によっているため、実際の返納額との差額相当が過大に調達されて、余裕金として保有される状況となっております。  さらに、公庫では、借受者に対して割賦償還日を特定していないため、貸付期間中にも相当程度償還が行われておりますが、その分は時期的な制約から貸付金振りかえ使用できない状況で、次回の貸付時期まで余裕金として保有されることとなっております。  これらの結果、調達した資金及び回収金のうち相当額が常に手元余裕金として保有されることになって適切でなく、現行資金調達方法について所要の措置を講じ、借入金支払い利息節減等経営収支改善を図る要があると認められるものであります。  以上をもって概要説明を終わります。
  8. 古屋亨

  9. 大津留温

    大津留説明員 住宅金融公庫昭和五十五年度業務計画実績につきまして、御説明申し上げます。  貸付契約予定額は当初、住宅等資金貸し付け三兆十五億二千四百万円、関連公共施設等資金貸し付け八十億円、宅地造成等資金貸し付け二千四百七十八億七千三百万円、財形住宅資金貸し付け七百億円、合計三兆三千二百七十三億九千七百万円でありましたが、その後、資金需要の変動に伴い、貸付契約予定額を、住宅等資金貸し付け三兆十五億二千四百万円、関連公共施設等資金貸し付け六十六億三百万円、宅地造成等資金貸し付け一千三百四十六億三千百万円、財形住宅資金貸し付け七十二億二千五百万円、合計三兆一千四百九十九億八千三百万円に改定いたしたのでございます。  この貸付契約予定額に対しまして貸付契約実績は、住宅等資金貸し付け二兆九千百七十一億八千八百五万円、関連公共施設等資金貸し付け六十五億八千六百三十万円、宅地造成等資金貸し付け一千三百三十一億五千百万円、財形住宅資金貸し付け七十一億九千百六十万円、合計三兆六百四十一億一千六百九十五万円となったのでございます。  資金貸付予定額は当初、昭和五十五年度貸付契約に係る分一兆七千二百八十八億四千六百万円、前年度までの貸付契約に係る分一兆四千八百七十八億一千四百万円を合わせた計三兆二千百六十六億六千万円でありましたが、その後、前年度決算による改定等により、合計三兆一千九百三十四億一千四百十六万円余に改められたのでございます。  この原資は、資金運用部資金借入金三兆五百七十七億円、簡易生命保険及び郵便年金積立金借入金四百四十億円、財形住宅債券発行による収入四百十六億八千三百万円、宅地債券発行による収入二十億円のほか、貸付回収金等から四百八十億三千百十六万円余をもって、これに充てることといたしたのでございます。  この資金貸付予定額に対しまして実績は、前年度までの貸付契約に係る分を含めまして、住宅等資金貸し付け二兆九千二十億五千九百八十一万円余、関連公共施設等資金貸し付け六十四億五千二百七万円、宅地造成等資金貸し付け一千三百九十八億二千五百六万円、財形住宅資金貸し付け百十九億四千八百九十九万円、合計三兆六百二億八千五百九十三万円余となったのでございます。この実績は、前年度に比べますと、四百三十二億二千三百二十四万円余、率にいたしまして、一・四%増となっております。  また、年度間に回収いたした額は、六千二十一億七千四百四十八万百余でありまして、前年度に比べますと、五百二十三億二千七百五十一万円余、率にいたしまして、九・五%増となったのでございます。  この結果、年度貸付残高は、十三兆二千三百五十三億二千二百二十六万円余となりまして、前年度末に比較いたしますと、二兆四千五百九十三億八千六十万円余の増加となったのでございます。  貸付金延滞状況につきましては、昭和五十五年度末におきまして、弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は、三十億四千七百四十二万円余でありまして、このうち一年以上延滞のものは十七億七千七百十五万円余でございました。  次に、住宅融資保険業務につきましては、昭和五十五年度におきまして金融機関との間に保険関係が成立する保険価額の総額を二千六百億円と予定し、この額の百分の九十に相当する二千三百四十億円を保険金額といたしましたが、保険関係が成立いたしたものは一千十三億二千三百一万円余でございました。  収入支出について申し上げますと、収入済み額は、収入予算額八千六百四億五千百二十万円余に対し八千四百五十七億一千百八十七万円余となりました。支出済み額は、支出予算額八千七百四十四億三千六百四万円に対し八千六百十七億六千六百六十二万円余となり、収入より支出が百六十億五千四百七十五万円余多かったのでございます。  損益計算の結果につきましては、総利益九千三百五十六億五千七百六十万円余、総損失九千三百五十三億三千七百八十六万円余となり、差し引き三億一千九百七十三万円余の利益金を生じました。この利益金は、住宅融資保険特別勘定利益金でありますので、住宅金融公庫法第二十六条の二第三項の規定により同勘定積立金として積み立てることとし、国庫納付金は生じませんでした。  以上をもちまして、昭和五十五年度業務概況の御説明を終わらせていただきます。
  10. 古屋亨

    古屋委員長 これにて説明の聴取を終わります。    ─────────────
  11. 古屋亨

    古屋委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。
  12. 井上一成

    井上(一)委員 まず最初に私は、国道四百二十三号の延伸についてですが、この点については従前から建設省に強く要望いたしておるわけでありますけれども、百七十一号以北への延伸計画がどのようになっているのか、地方道整備とあわせて国道への昇格あるいは計画等について、まず一番最初に聞いておきたいと思います。
  13. 沓掛哲男

    沓掛説明員 お答えいたします。  一般国道四百二十三号は、大阪市を起点に京都府亀岡市に至る路線で、昭和五十七年四日一日に国道昇格したものであります。御指摘一般国道百七十一号以北延伸部道路としては、府道がありまして、現在主要地方道として国庫補助事業及び府の単独事業により整備を進めているところでございます。総延長が十六・八キロメートルございまして、改良率が九六%、舗装率が九六%となっております。この一般国道百七十一号以北府道国道昇格につきましては、現行一般国道四百二十三号と近接していることもありまして、なかなかむずかしい問題であるというふうに考えておりますが、次期の国道昇格の際に検討したいと思います。
  14. 井上一成

    井上(一)委員 この国道四百二十三号、これは前々から大阪北部新御堂、ニュータウンを通して、さらには能勢、亀岡へと連係をしながら地域住民交通体系を確立してほしい。その結果、新御堂については五十四年の四月一日、国道昇格をして十分な手配をしていただいた。せっかくそのように手配をしていただいたわけでありますから、現況新御堂の拡幅を含めた、いわゆる昇格をした四百二十三号の道路整備、さらにいま指摘をした地方道整備、これからもいろいろと難儀な問題があるかもわかりませんが、ひとつ私は格段の御努力を特にお願いをしておきたいと思います。恐縮ですが、ぜひ地方道整備とあわせて早期実現を図っていただきたいと思います。念を押して悪いのですが、もう一度取り組みの御見解を承っておきたいと思います。
  15. 沓掛哲男

    沓掛説明員 お答えいたします。  いま先生のお話のありましたそれぞれの路線については、公庫補助事業等によりまして整備の推進を図っていきたいというふうに考えております。  ただ、先生おっしゃられました百七十一号以北国道昇格につきましては、国道昇格は、近代的幹線道路網体系の確立を目途に、従来から道路網の再編成の一環として五年から七年ごとに行っておりまして、最近では昭和五十七年四月一日に実施したところであります。今後の国道昇格は、高規格幹線道路網計画との関連を見ながら、道路整備進捗状況土地利用状況変化等を総合的に勘案しながら検討してまいりたいと考えております。
  16. 井上一成

    井上(一)委員 さらに私は、昨日からの問題で人事院に幾つかの問題を提起してまいりました。もちろん、関連をして尋ねていきたいと思います。  朝日新聞報道ですでに指摘をされているわけでありますけれども、国家公務員休職扱いにして派遣するいわゆる設立援助休職制度、この運用がゆがめられて、実質的には定員の水増しになっている。さらには一定の公的機関としてもう役目を終えたんだと臨調答申指摘をされた団体にまで人事院休職扱いで派遣することを認めた。これは人事院に後でお聞きしますけれども、その設立援助休職制度の中で特に受け入れ人数の多い機関としては、日本下水道事業団報道によれば、受け入れ人数が六十人だというふうに指摘をされているわけです。本来は、臨時的必要に限定した制度運用でなければならない。にもかかわらず、このようないわば一本立ちのできる団体に引き続いて休職制度運用しているということには問題があるのではないか。下水道事業団の持つ技術的な特殊なその性格というものは、それなりに十二分に理解をしています。だから、むしろ下水道事業団職員として優秀なスタッフを充実をしていくということにはいささかも異論はないわけでありますけれども、現況の、この朝日新聞指摘をしている、六十名も建設省から下水道事業団に派遣をしている、このことはどうも全く、いま行政改革臨調答申等、さらには本当に制度それ自体の運用がゆがめられていると断定せざるを得ない、このように思うわけであります。  まず、建設省のこの実態についてのお考え、さらには今後どのように対処されるのか、聞いておきたいと思います。
  17. 松原青美

    松原説明員 お答え申し上げます。  先生指摘日本下水道事業団は、わが国の立ちおくれております下水道整備を促進するに当たりまして、当時地方公共団体における下水道専門技術者の不足ということが一つの大きな隘路になっておりました。この状況にかんがみまして、専門技術職員を確保いたしまして公共団体技術援助をする、こういう仕組みをつくる必要があるということで、昭和四十七年に下水道事業センターとして発足いたしまして、五十年に下水道事業団に拡充改組された経緯がございます。  事業団としましては、技術援助一つの大きなものは、下水道処理場等の根幹的な施設、特にこれは高度の技術的知識を必要といたします。特に、単一の技術知識のみならず、土木、建築、電気、機械、化学、そういう技術者が必要でございますので、これが特に公共団体隘路になっていたわけでございます。そこで下水道事業団にその経験のある専門技術者をプールいたしまして、特にその際、国とそれから下水道をすでに行っておる先進都市でございますが、その先進都市技術者が偏在しておりましたので、そこからいろいろ御融通願って、このセンターにプールいたしまして、この専門家を派遣する、公共団体の要請にこたえまして、公共団体にかわってそういう下水の処理場等の建設を行う、こういう業務を始めたわけでございます。いわば技術者の効率的な運用ということを目指したわけでございます。このような背景で、下水道事業団法等にも「国及び地方公共団体は、事業団業務の円滑な運営が図られるように、適当と認める人的及び技術的援助をする等必要な配慮を加えるもの」と規定されております。  ところで、そういう経験のある専門技術者を多数集めるためには、これを派遣する方にとってもなかなか大変なことでございますが、特にそこへ派遣される職員それぞれの本人にとっては、その身分保障というものが非常な関心事でございました。特に、当時下水道事業団公共団体の要請を受けて委託で行う、三年か四年たてば事業は完了する、こういう事情がありますものですから、その後どうなるのかというような本人たちの心配も非常に大きなものでございました。そういうことで、安心してこれらの職員が職務に専念できる仕組みを行う必要があると考えまして、人事院の御理解をいただいて、昭和四十七年の十一月に、休職により業務に従事することができる機関として御指定いただいたわけでございます。その後、事業団のプロパーの技術職員の養成も着実に進みました。それから事業団実績についての社会的な信頼も増しましたし、派遣した職員のその後の身分の問題につきましても、すでに慣行ができまして、派遣された職員も安心して行く、こういう状況がやっとできてきたわけでございます。そこで五十七年の四月一日以降は休職派遣はしないということを決めまして、現在休職派遣中の職員は五十九年度中にはその制度は解消するわけでございます。しかしながら、なお私どもの方から職員を派遣して地方公共団体に協力する、事業団業務を円滑に行わせるためには必要な場合もございます。それらにつきましては、国家公務員を退職して事業団職員として採用される、こういうことで派遣される本人たちも安心して行けるという信頼関係ができておりますので、そういうことで改善してまいりたい、かように存じております。
  18. 井上一成

    井上(一)委員 いまの局長の御答弁、私は了解します。五十九年、さらには今後はそのような人材については安心して事業団職員として受け入れられる、そういう体制、私は、まさにそうなければいけないし、そうあるべきだと思うのです。  それで私は、人事院は四十年から五十一年までに、たしか十三の特殊法人なり認可法人を指定して、これに設立援助休職制度を設けて水増し派遣をしている。これは御承知のように研究休職派遣もあるわけですけれども、人事院自身は一体どうなのか。建設省は、いま明らかに五十九年で打ち切る、もう五十七年からこれをやっていないのだと。人事院は、現在人事院から休職扱いで派遣をしている職員をどのようにするのか。あるいは休職の実態をいままでにつかんでいたのか。あるいは今後つかもうとするのか。人事院のみずからの姿勢とその実態を私はここで聞いておきたい、こういうふうに思います。
  19. 鹿児島重治

    ○鹿児島説明員 お話しの設立休職の関係でございますが、御指摘のように、現在十三の機関を指定いたしております。そしてこの十三の機関に対しまして、五十七年の七月一日現在で二百二名の職員休職扱いになっております。数そのものは、五十四年の七月一日現在二百二十六名おりましたので、若干減少ぎみの傾向で推移しておるわけでございますが、設立休職の趣旨につきましては、御承知のように、人事院規則の十一—四の三条一項三号の規定によりまして、臨時的な必要に基づきまして休職を認めるという制度でございます。趣旨といたしますところは、先ほど都市局長からもお話がございましたように、一つは、新たに設立されました団体に対しまして人的援助を与えるという趣旨がございます。と同時に、その職務の内容につきましても、官庁が持っております技術的な知識経験というものを移転しなければならないという問題もございまして、そういう形で休職を認めてまいったわけでございますが、規則そのものの規定は、御指摘のように臨時的という形になっておりますので、やはり規則そのものの趣旨に基づきまして運営をしていただくよう関係各省庁にお願いをしてまいりたいというぐあいに考えております。
  20. 井上一成

    井上(一)委員 実は時間が余り……。本来人事院関連はもうきのうで終えようということで予定をしておったのですが、的確な答弁をしないわけね。私が尋ねていることに的確に答えてほしい。人事院が休職対象者、いわゆるこの法を運用した休職対象者の実態はどうなのか。建設省下水道事業団のことは私は理解したと言っている。逆に人事院はどうなんだ。そして建設省以外の各省庁の十三機関、これに対してどうするか。定期的な実態調査をしてきたのかしてこなかったのか。こなかったとしたら、今後するのかどうか。こういう点について答弁をしていただきたいと思う。
  21. 鹿児島重治

    ○鹿児島説明員 設立休職の実態につきましては、私ども毎年ではございませんが、隔年あるいは三年置きに調査をいたしております。そして先ほど申し上げましたとおり、設立休職の趣旨の徹底につきましては、今後とも十分に関係省庁とも協議をしながら指導してまいりたい、このように考えております。
  22. 井上一成

    井上(一)委員 人事院の対象者はどうなんですかと言っているのです。どういう状況なのか、そして今後どうするんだ。
  23. 服部健三

    ○服部説明員 お答えいたします。  人事院では研究休職につきまして、財団法人日本人事試験研究センターに休職者が二名、それから財団法人日本人事行政研究所に一名、以上三名が現在研究休職して出向しております。
  24. 井上一成

    井上(一)委員 私は、実数だとか実態、今後人事院はどうするのですか。続けていくのですか。いまの建設省の都市局長のお話のように、やはりこれはその法に照らしてきっちりと整理をしていく、そういうお考えを持っているのか。人事院みずから正さなければいけないのですよ。そういうことなんです。
  25. 服部健三

    ○服部説明員 研究休職の趣旨は、先ほど任用局長の方から御説明いたしましたようなことでございますが、私どもの日本人事試験研究センターは、主として地方自治体あるいはその他政府関係機関において採用者の試験をする際に、それを各都道府県ごとが個々にやることについては非常に問題があるということで、いろいろ地方自治団体等から御相談を受けておりますので、私どもといたしましては、そういったことは人事院の場合、国家公務員を対象としておりますので、そういった地方公務員なりあるいは政府関係機関等につきましては、そのような職員の試験について援助をするといたしますと、そういったことについての最も権威ある専門的な機関は、現在国の機関としては人事院でございますので、その人事院職員がそういった試験技法なり試験の開発等につきまして、やはり積極的に応援をしてやらないと、この場合には、その都道府県なり何なりの採用試験等についての技術水準あるいはその他時代に応じた試験の体制を整備することができない、そういった考え方から、この問題につきましては、今後とも必要に応じて続けてまいりたいと思っております。
  26. 井上一成

    井上(一)委員 人事院が地方公務員災害補償基金等に派遣をされておるわけですけれども、私は、人事院の実態は法また人事院規則に違反しているのではないか、こういうふうに思うのです。関連のある業務及び学術に関する研究指導の業務にのみ限っていると思うのです。これは時間がありませんから、それじゃ後ほど改めてお答えをいただきます。  人事行政研究所、試験研究センターの出版事業、試験問題のあっせん、庶務業務などは学術にかかわりがあるのかないのか、こういうことについて聞いておきます。いいですか。それはかかわりがあるかないか。答弁できますか。いまの問題については後ほどお答えをいただきます。  さらに、昨日私が指摘をした問題、その問題についてきょうの朝日新聞で、公研協の基本財産の六百万円を寄附したことになっている尾崎氏は実は寄附をしておらぬ、加除出版が五百万を寄附したことだ、こういうことが報道されているのです。人事院はこのことは御承知なんですか。
  27. 服部健三

    ○服部説明員 お答えいたします。  財団法人の設立につきましては、私どものところは主務官庁でございませんので、総理府が主務官庁になっております。したがいまして、私どもに主務官庁にこういった申請書を提出したという控えがございますので、それによりますと、内閣総理大臣中曽根康弘殿という形で、設立代表者尾崎朝夷から、実はその附属書類の中に「寄附書」とございまして、「財団法人公務研修協議会を設立するため、私の所有する下記の財産を寄附します。記一現金金六百万円ただし、基本財産とする。」ということで、それに伴いまして、残高証明として六百万円、富士銀行数寄屋橋支店の「残高証明書」が添付されておりましたので、私はそのように承知しているということを昨日御答弁申し上げました。
  28. 井上一成

    井上(一)委員 局長、うそを言ったらだめなんだね。あなた、私はもうきのうからもっとまじめに答弁をし、もっと真剣に真実を答えてくれると思った。「財団法人公務研修協議会設立発起人会議事録」を私はここに持っていますよ。この中に、「基本財産については、今後とも関係方面の協力により毎年度六百万円の増額を図り、最終的には六十一年度に二千四百万円にする予定である」「財団法人公務研修協議会設立のため尾崎朝夷氏より寄附された六百万円を、設立当初の基本財産」としたい。これは全員異議なく可決承認した。そして笹川さん、これは御承知のように人事院研修審議室長ですよ。室長が議事録の署名人。議長尾崎朝夷さん、これは人事院の顧問でしょう。私はこの人にも出席要求をしてきたわけ。きょうもなおかつ御世席をいただけない。連絡もとれない、辞表が提出された、それだけの答弁。そして設立者名簿に人事院研修審議室長笹川辰雄さんが名前を連ねているわけ。知りませんとか、いや総理府の所管ですとか、何を言っているんですか。そこまでしらを切るんですか。それじゃ笹川さんに答弁を願いましょう。
  29. 藤野典三

    ○藤野説明員 お答え申し上げます。  先生いまお話しありました件について、私も発起人会議事録として承知しておりますが、これ以上のことについては、少なくともそういう話は聞いておりません。
  30. 井上一成

    井上(一)委員 あなた笹川さんですか、藤野さん。あなた、笹川さんなの。
  31. 藤野典三

    ○藤野説明員 私は現在の審議室長藤野でございます。
  32. 井上一成

    井上(一)委員 私は笹川さんに聞いたんでしょう、笹川さんに。
  33. 藤野典三

    ○藤野説明員 ただいま笹川前審議室長出席しておりません。
  34. 井上一成

    井上(一)委員 総裁、後でまた総裁にはいろいろ伺いますが、私はこれは大変なことだと思うのですね。五百万円を公務研修協議会に寄附したというのは加除出版だと書いておるね。加除出版も認めているわけです。きのうから言っているように、財団法人公務研修協議会をつくって、基本財産六百万捻出やその接遇教材だとか国家公務員の倫理向上を図る研修材料を印刷した印刷会社です。この新聞報道にあるように、まことにもって疑惑を持たせるようなことですね。なぜこの議事録をこういうふうに作成したか。これは関係ないなどとさっき管理局長はあたかも他人事のように、総理府にはこういうふうに報告があります。何を言っているのですか。人事院審議室長が署名をしている。笹川辰雄さんが議事録にも署名し、設立者の名簿にもあるじゃないですか。これは徹底的に事実を明らかにすることが先決である、大変なことだ。国会において答弁をしてきたこと、きのうのきょうですよ。総裁、きのうもお聞きだ。いま私が指摘したこの報道、これは事実なんですね。尾崎さんがお見えになってもいいし、加除出版の尾中さんが見えてもいいのです。これはぜひ明らかにしてほしい。総裁の見解を聞いておきます。
  35. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 昨日も申し上げましたように、報道されております一連の問題については、私も大変重大な関心を持っておりまして、その点については、私自身も事務当局に厳命を発しまして、事実の真相、問題点というものを現在調べさせておりまして、その結果に基づいて措置すべき点があれば厳正に措置するということにいたしたいと思っております。
  36. 井上一成

    井上(一)委員 総裁、さらに突っ込んでお聞きするようでございますが、常識的に考えて、作為されたものである、擬装の感が強いということであります。そういうことも含めて、これは徹底究明をするということを約束してくれますね。
  37. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 事実ははっきりさせたいと思います。
  38. 井上一成

    井上(一)委員 さらにこの問題については——服部局長、総裁にこそこそ言わぬでも、ちゃんと答弁をあなたがしたらいいんだよ、あなたが全部知っておるのだから。この議事録だってあなたは知っているのでしょう。そういうことをこそこそ耳打ちする、そういう必要がいまありますか。  さらに総裁、過日の同じく朝日新聞報道ですけれども、見出しとしては「人事院がャミ割戻金」いわゆる編集費のバックリベート、割り戻し金ですね、一割。きのうはこれが明らかになったわけです。さらには国有施設に不法入居しておる。職員がやみ出向の疑いもあるという。一時的に貸したということであったとしても、公務研修協議会、私がいま問題がある、基本財産六百万が不自然だと言ったこの協議会、財団法人が国の国家公務員研修センターに不法入居している、こういう事実が明らかになったわけなんですね。これは事実なんです。事実だから、この報道があってあなたの方は急遽、六月二十九日にこの割り戻し金の報道があったがために、さらにその覚書に対する取り決めを七月一日にその項目だけを削除した、さらに不法入居についてはすぐに引き払った、こういう事実があるわけなんです。まだまだ限りない問題点をはらんでいるわけなんです。  そこで、私はひとつ会計検査院にお尋ねをしたいと思います。  いま私が指摘をしましたその中で、とりわけ人事院が当事者であり、行っていた割り戻し金、編集費とでも申し上げた方がいいのか、新聞では「ヤミ割戻金」と書かれていますけれども、私は、割り戻し金、たとえば編集費、このようなものはいろいろ問題があろうと思うのですけれども、この問題についてどのように検査院は考えていらっしゃるのか、そして今後この問題についてどのように対応をなさるおつもりなのか、このことについて聞いておきたいと思います。
  39. 西川和行

    ○西川会計検査説明員 御指摘の点につきましては、今後厳重に検査をいたす所在でございます。
  40. 井上一成

    井上(一)委員 総裁、私はきのうは、いわゆる管理協会から公務研修協議会に一千万円の支出をしているという予算上の問題点についても指摘をしました。時間がないので重複は避けますが、これはもう明らかに人事院のだれかが仕組んだ、意図した一連の問題だと私は思っています。人事院がどうしてこういうようなよろしくない金をときには要求をし、ときにはそれを正当化させるがためのいろいろな方法を講じてきたか。こんなことがどうして起こったのだろうか。その金は一体どうして何に使われたのか。これは今後明らかになっていくことだと思います。  さらに、きのうしきりと指摘をしましたけれども、財団法人公務研修協議会の前段での任意団体としての基本財産はどこへ隠れてどこへ流れたのか。そしていま指摘をした六百万の問題。まことにもって——私は決して犯人捜しに力を入れたりあるいはこういう問題を明らかにしたことを憎まずに、もっともっと正々堂々と問題点を明らかにして、むしろみずからの誤りを反省してほしい、そのことによって人事院の体質を変えてほしい、本来の人事院の体質を国民の皆さんの前に明らかにしてほしいと強調したわけです。きのう総裁は、報道されたことに遺憾だというような、真意であったのかどうかわかりませんけれども、ひょっとしたらそれが真意であったのじゃないだろうか。うがった考え方かもわかりませんけれども、報道されなかったらわからぬのや、そういうふうに思っていらっしゃったのかもわからぬですが、後で、全体の問題として業務全般にわたって総点検をする、事実を明らかにするという御見解を示されたわけでありますけれども、業務全般にわたって見直して総点検をする。そして制度の見直しも含めて、この際、人事院の規律、綱紀を粛正するという強い決意をお持ちだと思いますけれども、ここでもう一度改めて私は総裁の決意をお聞かせいただきたい、このように思います。
  41. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 この点は昨日も申し上げたとおりでございまして、私といたしましては、いろいろ問題になっておりますことについては、やはり徹底的に事実を明らかにしたい。事実を明らかにした上で、対処すべきことは断固として対処するという姿勢で臨んでまいりたいと思いますし、また将来の問題として制度的に考えていかなければならぬ点がございますれば、いまその点については見直しの作業をやっておりますので、その見直し作業の一環として、十分研究の上でいい案を出していきたい、かように考えております。
  42. 井上一成

    井上(一)委員 念を押すようで恐縮ですが、いままでに指摘された問題、そしてそれに素早く対応されたいわゆる割り戻し金の問題だとか不法占拠だとかということは事実として率直に改められた、こいうことですか。
  43. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 団体職員が入っておりましたのを、公務員の研修センターから出ていただいたことは、これは事実が明白でございましたので、すぐ措置をいたしました。  なお、いまの割り戻し金等の問題につきましては、これは私はまだ腹の中に入っておりませんので、その点は十分に検討いたしまして、事実を明らかにした上で対処をしたいというふうに現在のところ思っております。
  44. 井上一成

    井上(一)委員 あと三十分ほどしか持ち時間がありませんが、事実だから五月二十四日の覚書に対する取り決めを七月一日に訂正したわけです。これは私が指摘をしなくてもそちらの方でわかっているのですが、事実でなければそういう必要はないわけなんです。きのうちゃんと管理局長も一割の編集費の問題だとかいろいろなことを含めて答弁なさっているんで、総裁、まだのみ込んでないというのはどうなんですか。これだけ議論をしてあなたはのみ込めないのですか。いま問題を指摘した六百万の問題は、事実を徹底的に明らかにするということだから、私はそれを待ちたいと思って、いままで出ているものは休職制度の問題も含めて総点検をして手直しをするという受けとめ方をしたのですが、割り戻し金、編集費等どちらが適当な言葉かわかりませんけれども、この問題についてはどうなんですか。十分なのみ込みをしていらっしゃらないのですか。総裁に聞かしてもらいましょう。
  45. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 いわゆる割り戻し金というものについて人事院自体がこれを受け取ったということはございませんので、その点についてはそういう報告を受けております。ただ、一般の編集に携わりました職員が出版会社等から原稿料といいますか、そういうものを受けておることについては、いろいろ従来のいきさつ、税金の関係等もあって各省庁歩調を合わせてやっていくという取り扱いになったということは聞いておるのであります。  いまこちらの覚書等で改定というか修正をしたという点については、きのう服部君がお答えをいたしましたような線で要するに人事管理協会に対してやっていくというふうにすべきことであるということでこれを措置したということについては、これを私としても否定するつもりはございません。  それから、休職制度の問題等につきましては、制度の趣旨からいいまして少し逸脱しているという向きがなきにしもあらず、余りにも長期にわたってやっておるという問題につきましては、各省庁にそれぞれ団体との関係で事情はあるかとも思いますけれども、余りに趣旨を逸脱したような長期のことは、やはり適当ではないという観点から、それらの点についても制度見直しの点で善処をしたい、かように考えております。
  46. 井上一成

    井上(一)委員 総裁、個人の税金の関係があって各省庁云々なんて言われていますけれども、人事院は今回は審議室が絡んでいるわけなんですよ。個人の問題だという受けとめ方はできない。それぞれの個人が個人の問題として作用した、そういう問題だとは受けとめてない。おわかりですか。審議室がそこに一枚加わった中で三者の取り決めをしている。そこにやはり問題があって、そういうことは考え直してもらわないといけない。人事院が襟を正すべきではないだろうか。私は各省庁のことは聞いてないわけです。各省庁がやったら人事院もやったらいいのですか。そうでしょう。違うでしょう。総裁、その点について御認識をきっちり整理をしておかれた方がいいと思います。もう一度、くどいようですが、編集費の問題については人事院が襟を正すべきだ、私はこういうふうに思うのです。
  47. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 人事院でございますから、他の指弾を受けるようなことがあっては絶対にならない。やはり非常に清廉な態勢で臨まなければならぬというのは、私の常日ごろの職員に対する指導方針でございます。そういうような点から見まして、私の基本的な態度を基本として、今度の場合、実態を十分に調査をいたしまして、善処すべきことは善処する、是正すべきことは是正するという努力をいたしたいと思っております。
  48. 井上一成

    井上(一)委員 この問題についてはまだいろいろと私は指摘をしたいわけですけれども、きょうは建設省関係の質問を予定をしておりまして、限られた時間です。ただ、さっきの六百万の問題についてもう一度ここできっちりとはっきりして私に報告をいただく。さらには尾崎さんに対して徹底した真相究明に協力願う。これはぜひお願いをしておきたい。さらに、あと笹川さんがお見えになったら関連して答弁を受けます。——笹川さんがお見えになったようですから、笹川さん、「財団法人公務研修協議会設立発起人会議事録」にあなたは署名をされている。さらには設立者の名簿にもあなたの名前が入っているわけなんです。管理局長は総理府に提出した書類をさっき読まれただけなんです。この中には尾崎さんが六百万寄附した、こういうふうに書いてある。朝日新聞報道によると、尾崎さんは六百万寄附しておらぬ、加除出版が五百万ほど寄附した、こういうふうに書いておるわけです。総裁はきっちりこれを明らかにすると言う。笹川さんの御存じなこと、承知していらっしゃることをここでおっしゃってください。これは人事院が全く無関係でなく、あなたが署名して、発起人の中に入って、議事録にもちゃんと書いておるんだから、私は人事院は何も関係ありませんなんという涼しい顔して答弁をする管理局長の心理、全くもって不謹慎だし理解に苦しむのです。それであえてあなたに答弁をお願いをしたわけです。
  49. 笹川辰雄

    ○笹川説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、私は発起人会の署名人となっております。私、発起人会には出席いたしまして、その際、先生お尋ねのこの寄附金に関しまして、人事行政研究所の理事長の尾崎氏から、私が基金といたしまして六百万円寄附いたしますということをお聞きいたしまして、それでこのように議事録に記載いたしまして署名、押印したものでございます。
  50. 井上一成

    井上(一)委員 議事録には「寄附された六百万円」と書いてありますよ。寄附するじゃなく、「寄附された六百万円」です。あなたは設立発起人会のメンバー、協議会の設立者の名簿にも入っている。それではお尋ねをします。その六百万円はどういう形であなたは確認をしているのですか。どこの口座とかあるでしょうし、あるいは小切手なのか現金なのか。そこへ通帳を持ってこられたのか。「寄附された六百万円」という点についてちょっと。
  51. 笹川辰雄

    ○笹川説明員 お答えいたします。  発起人会議のこの段階で、どの口座とかいうようなことはお聞きいたしておりません。六百万円寄附いたしますということをお聞きいたしましたので、このようになっておるわけでございます。
  52. 井上一成

    井上(一)委員 それでは、ただ六百万円寄附したいという申し入れがあったわけですね。だから、寄附をした、寄附をされた六百万円をその基本財産として指定したいということで、その寄附されたことは確認しているのか、確認されていないのか。その点だけ聞いておきましょう。
  53. 笹川辰雄

    ○笹川説明員 その点寄附したいとおっしゃったか、寄附されたとおっしゃったか、正確な表現は私記憶しておりませんけれども、具体的なもので示されて寄附したというようなことをお聞きはしていなかったと記憶しております。
  54. 井上一成

    井上(一)委員 わかりました。確認をせずに署名をした、こういうことですね。ところがここでは「寄附された六百万円」となっている。もう一言再度確認しておきます。確認はされたのかされてないのか。寄附をした行為、それをあなたは通帳で見たのか現金で見たのか。あるいは何らかの形で受取で見たのか。尾崎さんが寄附をしたというその六百万円、それを基本財産にするということであって、運用財産にするか運用資金にするかそれは別だ。ところが、この議事録では基本財産にする。では寄附されたものは確認をしていない、こういうことですね。
  55. 笹川辰雄

    ○笹川説明員 お答え申し上げます。  先ほどとっさのことでちょっと記憶がはっきりいたしませんでしたけれども、いまこの議事録を見ますと、「寄附された」とございますので、私はそのときの記録を正確に書いたつもりでございますので、寄附したとおっしゃったはずでございます。記憶としましては正確ではございませんけれども、聞いたとおりのことを書いたはずでございますので、寄附したとおっしゃったかと思います。  なお、先生のお尋ねの具体的にその場で物的な証拠が出されたかどうかということに関しては、証拠は私の記憶では拝見していなかったかと思います。
  56. 井上一成

    井上(一)委員 わかりました。本人は寄附をしたというふうに言われたけれども、その物的証拠等については、自分は確認をしていない、そういうふうに受けとめたということですね。よろしいですね。
  57. 笹川辰雄

    ○笹川説明員 議事録のとおり、寄附したとおっしゃったはずでございますし、そのときにどのような証拠が出されたかということに関しましては、記憶は定かでございません。
  58. 井上一成

    井上(一)委員 この問題はさらに続けて今後追及していくということで、総裁にも私は徹底究明を強く申し上げておきたい。そして御報告をいただきたいと思います。  さて、建設省にかかわる問題ですが、きょうは住宅公団に御出席をいただいていますね。  公団住宅の家賃再値上げ問題に関しては、御承知のように国会でも論議の的になったわけでありまして、九十八通常国会において両院がそれぞれ要望事項あるいは決議に次ぐ要望決議をしているわけです。もちろん、その何点かについて前向きな取り組みがなされている部分もあるわけですけれども、大方は全くもってその誠意が酌み取れない、こういうことであります。  そこで、一つ公団にお聞きをしたいわけでありますけれども、公団は国会における集中審議等の中では、公団住宅に居住する人たちの意を踏まえて、必要な手続に基づいて基準、ルールをつくっていこう、こういうことであったわけでありますけれども、その後、通告された具体的な値上げ額については非常に不当性が見受けられるわけであります。とりわけ、新しい住宅家賃と古から居住される人たちの住宅家賃の不均衡、そのバランスを図っていこうということが値上げの一つの理由にもなっていたのですけれども、値上げ通告を見ますと、むしろ建設年度の古い住宅の家賃の方が新しい住宅の家賃よりも高額になっているケースなどが見受けられるように私は承知しているわけです。むしろこれは逆に、実質的には逆転不均衡ということを新しくつくり出した、不均衡是正が新しい誤った逆転不均衡を生み出した、こういうことになるのではないか。これは常識的にも全く考えられないことでありますけれども、その点について公団の対応の経緯なり考えをひとつ聞かせてもらいたいと思います。     〔委員長退席、中川委員長代理着席〕
  59. 武田晋治

    武田参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生から御質問のございました逆転現象とかあるいは矛盾の問題でございますが、現実の問題といたしまして、現行の空き家家賃の設定と、それから継続されておりますところの今回の一斉改定の家賃との間におきます逆転とかあるいはその矛盾の問題でお話しになっておられるのかというように理解するわけでございます。  この問題につきましては、各支社に実はこの家賃の改定をめぐりまして説明する窓口等を特に設置いたしまして、現在、居住者の皆さん方に説明をいたしておるところでございまして、その過程におきまして、そのような話も実は出てきているわけでございますが、その出てまいりましたところの誤解と申しましょうか、原因といたしましては、住宅の床面積とかあるいは階層等の違いを考慮しないで、単純に家賃の絶対額の比較の上でそのようなことをおっしゃっておるのではないだろうかというようなことで、居住者の皆様方にもできるだけ御理解いただくように御説明をしているところでございまして、私たちは、ただいま申し上げました同一団地内で型式、床面積、階層等条件を同じくする住宅相互間におきまして、継続賃料でございます一斉改定家賃が現行の空き家家賃よりも高くなることはないというように考えております。
  60. 井上一成

    井上(一)委員 お答えの中では、現行の家賃が空き家住宅の家賃よりも高くない。もし高いような場合には、これは是正をしますか。是正をするというのは、安い方を引き上げるのではなくして、高いものを下げますか。
  61. 武田晋治

    武田参考人 お答え申し上げます。  ただいま私が申し上げましたように、空き家家賃と継続賃料でございます一斉改定家賃との間におきまして、空き家家賃の方が高いということを実は申し上げたわけでございますが、万一にもそのような事実がございました場合には、直ちに是正したいというように考えております。
  62. 井上一成

    井上(一)委員 当然だと思いますね。社会常識で考えても、古くから入っている方より、ちゃんときれいに新しく改装し、修繕を施して整備をされた空き家募集の家賃が低いということになると、従前から入っていらっしゃった方に対しては納得がいただけないわけでありますから、いま私が指摘したように、下げるということで明確にお答えをいただいたわけです。上げるのじゃないのですよ。ぜひひとつ今後具体的にお調べをいただきたい。大阪の団地名では、新千里東町団地、片山公園団地、千里青山台団地、その他北大阪急行沿線における団地、阪急千里線沿線における団地、さらには大阪市内の団地も含めて私は究明をしてほしいと思います。  ただ、申し上げておきたいことは、単純に計数的に面積、たとえば同じように四十三平米だ、そういうことでないといけないとか、あるいは四十三と四十四とか、一平米の違いで七百円も千円も高いのだ。そのところには当然整備された状況、修理をされた状況、こちらはそのままの古い状況、修繕もされない状況、そういうものも加味されながら、ぜひいま指摘をしたように、入っていらっしゃる方が納得できる、さらには社会的にも、社会常識としてもっともである、そういうことにひとつ検討を加えていただく、私はこのことを強く申し上げておきます。これは理解していただけましたね。念を押すようで悪いのですけれども、さっきの答弁でもしそういうことがあれば是正するというお答えをいただいたのですけれども、わかりましたね。
  63. 武田晋治

    武田参考人 ある条件のもとで、先ほどお答えいたしましたような住宅等につきまして、逆転現象等が出てまいりました場合には是正するということをお答えいたします。  ただいま先生から御指摘がございました団地等につきましても、実は私たちは、すべてではござませんが、支社等で把握いたしております団地等につきましては、そういう検討もすでにいたしておりますが、なお、居住者の方々からのお話等がございましたならば、そういう点を検討いたしたいと思っております。
  64. 井上一成

    井上(一)委員 わかりました。  さらに私は、単純な面積等だけの条件ということでなく、いろいろな状況の条件も加味してほしいということを要望しておきました。  二点目に、こうした矛盾というのでしょうか、その原因がどこにあったのであろうか、こういうことなんです。むしろそのことは、公団家賃の算定方式というのですか、その基準というものがまだはっきりとつくられていない、公団がいわゆる公営限度額方式を準用して値上げをした結果ではないだろうか、こういうふうに私は受けとめるわけです。  まず、公団が今回の値上げについて準用されたのは公営限度額方式であるかどうか、この確認をここでしておきたいと思います。
  65. 武田晋治

    武田参考人 お答え申し上げます。  今回の家賃改正について申し上げますと、ただいま先生のお話ございました公営限度額方式に準じた方式ということでやったわけでございますが、これにつきましても、実は公団に新たに設置されましたところの基本問題懇談会の場におきまして、家賃の算定方法とかあるいは激変緩和措置とかあるいは老人、母子世帯等に対します特別措置等につきまして、居住者の方々を含めた各界各層の方々の御意見を聞きまして、その御意見を踏まえて建設大臣に承認申請したものでございます。
  66. 井上一成

    井上(一)委員 私は、公営限度額方式というものは、これは公団家賃に準用することは間違いである。そのことがさらに、先ほど申し上げた両院の公団の家賃値上げに関する要望事項の中の一つとして、三項ですけれども、「公団は、今後の家賃の改定について、適切な手続きに基づく必要なルール作りを行い、改定が公正かつ円滑に行われるよう配慮すること。」こういうことが国会決議にあるわけです。こういう意味から、早急にルールをつくって、いわゆる基準を定めて、それを示していくべきではないか、こういうふうに思います。算定方式がないからこういうアンバランスが生まれてくる。むしろそういう意味では、方式を早期に示すべきであると思いますが、この点について重ねてお聞きをしておきます。     〔中川委員長代理退席、委員長着席〕
  67. 武田晋治

    武田参考人 お答え申し上げます。  今回の家賃改定につきまして、先ほどお答え申し上げましたように、基本問題懇談会等の御意見を聞きながら算定方式等も定めまして、大臣に承認申請したわけでございます。それでその大臣承認申請をいたしました後で、先生からお話がございましたように、衆参両院の建設委員会におきまして集中審議が行われました。これに基づきまして出されました委員長要望事項建設大臣から御承認をいただいたということでございます。  その委員長要望事項の中で、先生がおっしゃいますところの三項のルールづくりということがございます。したがいまして、私たちは、今後の家賃改定に当たりましては、委員長要望事項の趣旨を踏まえまして、基本問題懇談会の場におきましていろいろの諸先生方の御意見をお伺いしながらより適切なルールづくりについて検討してまいる所存でございます。
  68. 井上一成

    井上(一)委員 さらに、その要望事項の中に四点目として、居住性の向上を図るために、入居者と日常的に意思の疎通を図って、基準を定めて、修繕、環境改善を促進する、値上げ増収分については極力修繕等の促進に使用する、こういうことがうたわれているわけです。このことについて、この基準をこれまた居住者に早急に示すべきである、私はこういうふうに思うのです。これはどのようになさるおつもりでしょうか。
  69. 武田晋治

    武田参考人 お答え申し上げます。  修繕等環境改善につきましては、公団といたしましては、現在団地の巡回点検等を綿密に行っております。また一方、居住者の方々からのクレームあるいは要望等につきましても絶えず受けとめておりまして、その緊要度に応じまして、予算の範囲内で適時適切に修繕等を行っているつもりでございます。今後とも居住者の御要望等を十分把握しながら修繕等を行っていきたいと考えております。今回の家賃改定をめぐりましての修繕実施項目あるいはまた内容、基準、あるいは環境改善に係りますところの環境整備実施項目、内容あるいは基準等につきましては、現在検討を進めておりまして、できるだけ早い機会に示してまいりたいと考えております。
  70. 井上一成

    井上(一)委員 五十三年度の家賃値上げから年間二百億円ぐらいの増収が見込まれていると承知しているのです。五年間で一千億。その一千億が居住者の環境整備、いわゆる修繕費にどれくらい充当されたのか、聞いておきたいと思います。
  71. 武田晋治

    武田参考人 お答え申し上げます。  五十三年度から五十七年度に至りますところの家賃の改定によります増収額は千八十五億でございまして、その中の七〇%余に当たります七百九十四億程度を維持修繕費等に使用いたしております。
  72. 井上一成

    井上(一)委員 後で見ていただきますけれども、私はここに修繕を施されていない劣悪な状態の中で住まいをされている古い居住者の写真を持っているわけなのです。いま修繕費に使われた額が示されたわけですけれども、基準が明確でないということが一つあったわけです。これは早急にということですからぜひ示していただきたいと私は思うのですけれども、たとえば三十一年度に建設された住宅にも修理を施していないという状況であるわけなのですね。具体的には後で申し上げますが、そういうことですから、それ以後は推して知るべしだ。だから、家賃値上げをされたその増収分については、すべてを住んでいらっしゃる方々の十分な居住環境をつくるために使ってもいいのではないか、私はこういうふうに思うのです。三十一年度の建設住宅でもまだ修理が施されていない。基準をつくって示して総点検をする、それぐらいの心構えは持ってほしいのですが、いかがですか。
  73. 武田晋治

    武田参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘の三十一年度に管理開始されました住宅につきまして、修繕の度合等につきまして十分になされていないというお話でございますが、その内容につきましては、直接詳しいものを拝見させていただかないと何ともお答えできない状況にあろうかと思います。私たちは、先ほども申し上げましたように、修繕の一つの基準というようなものを内部的には持っております。先ほど申し上げましたように、巡回点検等をいたしますし、あるいは居住者の方々のクレーム等も聞きながら、緊急度の高いものから修繕等を実施いたしておりまして、三十一年度住宅等につきましても、修繕等は相当に実施しているつもりでございます。  ただ、改めて申し上げるまでもないことかもわかりませんが、賃貸住宅に入居していただきます場合に、賃貸借契約書というのがございまして、公団が責任を持って修繕しなければならない修繕項目と、居住者の皆さん方が責任を持って修繕なさらなければならない項目とが分かれているわけでございます。契約書で申し上げますと十二条に、そういう居住者の方々の責任による修繕項目等が契約書の添付書類というような形で詳細に列記されているわけでございますが、そういうものにつきましては、現在の仕組みの中では、公団としては直接修繕することはできないというような意味におきまして、あるいはそこらあたりの問題があるのではないだろうかと理解をいたします。
  74. 井上一成

    井上(一)委員 内部基準というか内部だけで持っている基準、それは国会のこの要望から考えても十分でないわけなのですから、これは速やかに居住者と意思の疎通を図って十分な手当てをしていただきたいと私はむしろお願いをしておきます。
  75. 武田晋治

    武田参考人 お答え申し上げます。  先ほどから申し上げておりますように、私たちは、日常の団地管理の中におきまして、居住者の皆様方の意向を酌み取りながら修繕を実施していきたいと考えております。
  76. 井上一成

    井上(一)委員 さらに、いわゆる値上げに際しては激変緩和の措置を講ずる、特別措置を講じて特段の配慮を行いなさいということが一項目入っているわけなのです。これは現在の不況の中で国民の経済状況というのは、団地居住者の生活実態については、具体的に私が申し上げなくても、すでに公団の調査等で十分おわかりだと思います。あえて数字は申し上げませんが、その大半が低所得層にいらっしゃるわけであります。生活の状況が非常に厳しい、こういうことです。そういうことを考慮していくならば、公団居住世帯というものは、所得区分の第一分位が三一%ですね。第二分位の世帯が二六%。年収三百二十六万までの人が第一分位、三百二十六万から四百七万までが第二分位。合計したら五七%の方々がここに位置づけられるわけです。ところが、公団当局は公団居住者を第三分位、四百七万以上の所得層、そういう世帯だと想定しているわけです。これは実態と大きくかけ離れている、現状認識が少し不十分ではないだろうか、こういうふうに思うわけです。  さらには、高齢化社会への進行だとか、これは三十年代の入居団地の居住者が現在は高齢化の中に入りつつあるわけでありますから、非常に大幅値上げには苦しい状況にあるということなんです。そういうことはどんな結果をもたらしているかというと、これは滞納の人たちが非常にふえている。そういう現状をとらえても、やはりそこに苦しい生活の実態というものがあるのではないか。大阪の森之宮団地なり千島団地、ここの団地では非常に多くの居住者が苦しい状況である。もっともっと具体的な事例があるわけでありますけれども、ひとつそういう点を配慮して、この要望事項にもありますように、特別の措置を何としても拡大をするように御努力をいただきたい、こういうふうに私は思うわけであります。でなければ、むしろ家賃滞納者が現状以上にふえるのではないか、私はそれも含めて心配をするわけであります。居住者が払える状況に、やはり住まいできる状況にひとつ考えられるべきではないだろうか、こういうふうに思います。公団の特別措置の拡大をぜひ図りなさい、こういうことなんですけれども、公団のお考えを、そしてこれからの取り組みを聞かしていただきたい、こういうふうに思います。
  77. 武田晋治

    武田参考人 お答え申し上げます。  先ほど先生おっしゃられました第一分位の占める割合あるいは第二分位の占める割合の率でございますが、実は私たち公団で公団住宅居住者定期調査というのをある年度ごとに実施いたしているわけでございます。その調査等によりますと、たとえば第一分位の方のとらえ方にいたしましても、第一期から五期に入居された方々を対象にいたしまして、たとえば第一期でございますと昭和三十一年から三十四年に入居された方を対象にして調査してみますと、第一分位が一九%余でございます。第二分位は一二%余でございます。それから第二期と申しますと、次の五年になるわけでございますが、昭和三十五年から三十九年度にわたる期間でございまして、その第一分位が一五・三%、第二分位が一五・二%というようなことで、五年度ごとに入居者の方々の収入等につきましての調査を実はいたしておりまして、五〇%を超えているという調査になってないということも御了解いただけましたらと思って、まずお答えさせていただきます。  それから、そういう状況でございますが、今回の家賃改定に当たりまして、物価その他経済事情の変動に伴いまして、低額にして不相当になりましたところの家賃につきまして、先生も御承知のように、引き上げ額を二分の一にとどめるなどいたしまして、居住者の負担が急激に増加しないように十分配慮をいたしまして家賃改定のなにを決めたつもりでございます。そういうことでございますので、負担は十分にしていただけるのではないだろうかと考えております。  なお、生活保護世帯とかあるいは老人、母子、心身障害者世帯のうち生活に困窮する世帯等につきましては、前回の改定と同様に特別な措置を講ずることとするというようなことで対応してまいりたいと考えております。  なお、先生も御承知いただいているかと思いますけれども、今回の家賃改定に伴いまして、改定した後の家賃の平均額は実は二万三千九百五十円という額でございますので、ひとつその点も御了解いただけましたらと思います。
  78. 井上一成

    井上(一)委員 公団の調査の中では五〇%を超えていないということですけれども、実態は私が指摘したように五〇%をもう超えているのですよ。だから調べ方にもよるでしょう。五〇%を超えたから配慮する、いや超えないからそのままということでなく、居住者にとっては今回の家賃値上げ、非常に厳しい状況である、そういう意味でひとつ特別の措置を拡大をして配慮していただきたい。すぐに具体的にどうするということは、ここではお答えができないと思いますけれども、現状というものをもう少ししっかりと踏まえた中で、心ある対応をとってほしい、こういうことなんです。五〇%云々という物差し、これは一例として申し上げたわけで、お住まいになっている人が家賃を滞納せざるを得ない状況だ、それだけ苦しいのだ、それを一例に申し上げただけであって、そういうことを考えていくと、特別な配慮というか特別措置を拡大をしていく、ときにはそういう対象を拡大する、私はそれが行政だと思うのですね。今後そういう形で取り組んでいただきたい、私から強くお願いをしたいわけです。十分居住者の立場、ふところというものを知ってもらって、勘案してもらって、値上げについては格段の配慮をいただきたい、お願いをしたい、こういうことなんです。もう一度公団のお考えを聞いておきます。
  79. 武田晋治

    武田参考人 お答え申し上げます。  先生のおっしゃられますように、五〇%以上あるいは三〇%、そういう率をもちまして内容をどうこうということ、確かに公団といたしましても、実はそういうことは考えておりません。先ほどお答え申し上げましたように、居住者の方々の負担が急激に増加しないようにというような考え方に立ちまして、私たちは今回の改定も実施したつもりでございます。そういう気持ちは今後もなお続けてまいりたいというように考えております。
  80. 井上一成

    井上(一)委員 公団は十分配慮したつもりだということですけれども、さっきから言うように、逆転不均衡が生じているんですよということも指摘をしたわけです。これ以上私も時間がないので、公団には格段の、居住者の意思を尊重しながら、十分意思疎通を図りながら今後の取り組みをお願いしておきたいと思います。  なお、この折でございますので、大臣にお伺いをしておきたいと思います。  いま私との質疑の中身を十分御承知をいただいたわけでございますけれども、今後公団側が国会の要望に沿って居住者とのスムーズな関係をつくり出せるように、格段の努力を私はいまもお願いをしたわけでありますが、建設省として、公団側の取り組みを今後十分見守っていただき、あるいは指導をしてもらって、私の指摘した点、さらには国会、衆議院、参議院両院の要望事項の実現に向けて公団が努力すべきであると私は思うわけでありますけれども、そういうことを逐次報告を受けられて、公団側に適切な行政指導をしていただきたい、このように思うわけであります。大臣としてのお考えをここで聞いておきたいと思います。
  81. 内海英男

    内海国務大臣 ただいま先生からもいろいろと御意見を交えての御質疑を伺わせていただいたわけでございますが、公団の家賃の改定に当たりましては、衆参両院におきまして、特に集中審議という形で御議論を賜りました。しかも、関係方面の参考人の方々にもそれぞれ御意見を述べていただく、こういうような形から、委員長要望事項というものを衆参両院でお取りまとめをいただきまして、それを尊重するという形で決定をしたということでございますので、先生の御指摘のように、委員長要望の趣旨に沿うように、今後とも公団を指導して、その徹底を図ってまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  82. 井上一成

    井上(一)委員 大臣、ひとつ格段の御努力をお願いをしておきます。  さらに質問を続ける予定でありましたが、与えられた時間が参りましたので、私は一応これで質問を終えます。
  83. 古屋亨

    古屋委員長 この際、午後一時まで休憩いたします。     午後零時二十二分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  84. 古屋亨

    古屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。新村勝雄君。
  85. 新村勝雄

    ○新村委員 最初に、河川の改修についてお伺いしたいのですが、河川改修は一級河川、特に大河川についてはかなり改修が進んで、完全とはまだ言えないと思いますけれども、ほぼ普通の降雨あるいは洪水にはたえ得るということだと思いますが、中小河川、都市河川等については、大河川に比較をしてかなりおくれをとっておるというような実態があるようであります。  そこで、都市河川の改修の問題についてまず伺いたいわけですが、河川法に基づく準用河川については、これは工事をする場合には市町村が補助事業として行うというのが原則のようでございますが、市町村の財政負担が困難で、水害対策が遅遅として進まないという現状があるわけです。これについて建設省はどうこれから対処されようとするのか。
  86. 井上章平

    井上説明員 先生指摘のように、近年都市水害が非常に頻発しておりますことにかんがみまして、中小河川、都市河川の治水対策につきましては、昭和五十七年度を初年度とする現行の第六次五カ年計画におきましても重点的に事業実施することといたしておるわけでございます。特に小河川につきましては、準用河川に市町村が指定いたしまして、それにつきまして三分の一の国庫補助率をもちまして補助事業として積極的に対策を講じて事業を進めておるわけでございます。
  87. 新村勝雄

    ○新村委員 宅造が高度成長時代にかなり無計画に、主として東京近郊、千葉県北部等においては用地の取得が比較的たやすく、安く取得のできる水田を利用して、水田地帯を埋め立てて宅造しておるという例が非常に多いわけです。それと、十分な流出係数の計算であるとか、あるいは地形が変わることによってどういう自然の変化が起こるかというようなことの十分な科学的な研究をしないままにある意味では乱開発が行われたということの結果、流量の関係、それから集中豪雨等があった場合に、従来経験しなかったような急激な出水、これは部分的ですけれども、急激な出水や滞水がふえております。その結果、いまおっしゃったように、宅造地帯の浸水、水害が急速にふえておるのです。これは東京近郊、急速に人口増加があった、宅造が無計画に進められた地帯に多いわけです。  そこで、そういう事態に対してどう対処するかという問題が新しく出てきたわけです。それで準用河川改修事業については、従来枠が非常に狭いわけですけれども、準用河川改修事業の枠の拡大についてはどう考えておるのか、準用河川改修事業そのものをどう考えておるかということですね、これをひとつ伺いたいのです。
  88. 井上章平

    井上説明員 準用河川補助制度につきましては、比較的歴史が新しゅうございまして、ただいまその枠の拡大に努めておる段階でございます。しかしながら、特にいま先生から御指摘がありましたような宅地造成に関連する等による事業につきましては、積極的に採択いたしまして、地元の要望におこたえしておるところでございます。
  89. 新村勝雄

    ○新村委員 準用河川改修事業、五十八年度はどんなふうになっていますか、その概略を伺いたいのです。
  90. 井上章平

    井上説明員 ちょっと調べてお答えいたします。
  91. 新村勝雄

    ○新村委員 それでは後でお聞きします。  先に進めまして、国庫補助率ですが、これが三分の一ということで、現在の自治体の財政力は非常に弱体化しておりますから、この三分の一では自治体にとってはちょっとつらいわけなんですね。これをアップする考えは——まあ国の方の財政も大変ですけれども、この三分の一はどうなんでしょうかね。もっとアップすることはできないんでしょうかね。
  92. 井上章平

    井上説明員 ただいまお話し申し上げましたように、準用河川補助制度の歴史が新しゅうございまして、その補助率のかさ上げよりは、ただいまのところ事業規模の拡大の方に重点を向けておる段階でございまして、市町村にとりましても費用負担等大変でございますけれども、ただいまのところはそういう方針で臨んでおるところでございます。
  93. 新村勝雄

    ○新村委員 それから、事業の限度ですけれども、一事業の限度は五億円が限度ですね。そういうことになりますね。事業のこの限度についても、これはやはり三分の一の補助率と同時に引き上げる必要があるように考えるのですけれども、これについてもどうなんですか。
  94. 井上章平

    井上説明員 事業規模の最大限度でございましょうか。(新村委員「はい」と呼ぶ)それにつきましては、何度も申し上げておりますように、まだ河川数の拡大の方に重点が置かれておりますので、枠の拡大につきましてはちょっとまだ考えておりません。  ただ、一事業が完成いたしまして、なお改修を必要とする河川につきましては、引き続き新しくまた事業を興しまして、事業を続けておりますので、実質的にはそれほどの問題はなかろうかと思います。
  95. 新村勝雄

    ○新村委員 それと、やはり補助事業として雨水の貯留事業というのがありますね。都市型水害防止のために、これが相当大きな効果があるわけですけれども、これにつきましても、やはり同じような答弁になると思いますけれども、枠の拡大あるいは補助率のアップを検討願いたいというのが地方の希望ですが、それはどうであろうか。  それから、雨水の貯留池については、必要性はわかるのですけれども、枠の拡大、補助率のアップと同時に、都市部における用地の手当てが非常に困難なために、いいということがわかっていてもなかなか実施ができないというのが自治体側の事情なんですけれども、用地費については現在補助対象になっておりませんですよね。用地費を補助対象にするということ、これもやはり同じようなことで、だめだという答弁を簡単にされては同じことになってしまいますけれども、用地費の問題はどうなんでしょうか。
  96. 井上章平

    井上説明員 雨水貯留事業につきましては、市町村が所有する土地につきましてそういう制度を導入しようというところから始まりましたので、用地については補助対象になっておりません。したがいまして、そういった状況にありますところを選びまして、この事業化を積極的に進めておるという段階でございます。
  97. 新村勝雄

    ○新村委員 それから、一級河川に流れ込む閉鎖性水域の改修及びその排水の施設ですけれども、これは性質からすれば国がやるべきではないかと思うのですが、この閉鎖性水域の排水については、必ずしも整備されていない例が多いのですね。そこで内水排除のための排水施設、ポンプの設置、これらについては下流河川の管理者である国が考えるべきだという考え方があるわけですけれども、これらについてはいかがでしょうか。
  98. 井上章平

    井上説明員 大河川の沿岸につきましては、大河川の水位の上昇に伴いまして中小河川の排水が非常に困難になるわけでございますが、これらにつきましては、その出口の施設につきましては直轄事業で取り上げておるところでございます。それで、その上流につきましては、ただいま先生から御指摘ありましたような準用河川補助事業等を活用いたしまして改修を進めておりまして、この両々相まって排水対策を行っておるところでございます。
  99. 新村勝雄

    ○新村委員 水門等の設置、改修についても、やはり下流河川の管理者である国がやるべきだという考え方があるわけですが、これらについてはどうなんですか。
  100. 井上章平

    井上説明員 大河川に合流いたします中小河川の出口における対策につきましては、それぞれ検討いたしまして、必要なものにつきましては、水門の改造あるいは排水ポンプの設置等は行っておるところでございます。
  101. 新村勝雄

    ○新村委員 大臣に総括的にお伺いしたいのですが、人口急増地帯におきましては、先ほど申し上げたように、急速に宅造が、しかも科学的な将来の予測調査なしに行われておる例が多いのでありまして、そのために、せっかく造成された宅造地帯が集中豪雨等でそのたびに浸水を受けておるというのが実態なわけですね。それには、いままで国の考えとしても、大河川を重点に改修が行われてきたと思います。そして中小河川がどうしても改修がおくれた。それからまたその沿線が急速に開発をされて地形も変わってきた。いままで森林であったところが伐採をされて平地になった、あるいはたんぼであったところが埋め立てられてそこへ家が建つという、こういう全く旧態をとどめないような急激な変化が地理的に発生したということです。そのために関係住民が非常に苦しみを受けておるわけですけれども、こういうことで、大河川の改修はもちろん将来とも必要でありますけれども、こういう中小河川河川対策という点からすると見落とされがちな面についても、これからも大臣におかれても十分御注意いただきたい、配慮いただきたいということなんですが、その点についてひとつお伺いしたいと思います。
  102. 内海英男

    内海国務大臣 ただいま先生からお話がございましたとおり、最近の集中豪雨、こういった傾向から見まして、都市河川に対しての災害が非常に多くなっておる、これはもう事実でございます。先般鹿児島の加世田市におきましても、あの市だけが大災害を受けた。災害が起きますと、都市の急激な宅地開発、こういうようなことが原因になって災害を招くというような傾向が非常に多くなっておりますので、建設省といたしましても、都市河川の改修というものにつきましては、今後とも一生懸命努力をしていかなければいかぬ、こういうことで指導をいたしておるわけでございますが、何にいたしましても、災害が起きますと、ある意味においては大変御理解をいただいて御協力態勢ができるという事例もございますし、災害でも起きませんとなかなか用地取得が困難だというようなことで、河川の改修を進めなければならぬけれども、都市河川の場合は、そういう住民の方方の御理解もなかなか得にくいという、一面そういった矛盾もございまして、大変難儀をいたしておるわけでございますが、何にいたしましても、人口が集中しておる都市の河川の改修につきましては、急速に改修を図らなければいかぬ、こういった考え方で対処してまいっておるところでございます。
  103. 新村勝雄

    ○新村委員 ぜひ御努力を願いたいと思います。  それから、これは小さい問題なんですけれども、千葉県北部の北千葉導水路という工事がございますが、これと坂川の改修というのは一体をなす関係の深い事業ですけれども、北千葉導水路の仕事がちょっと予定どおりにいっていないということと、坂川の改修がおくれているために、松戸市あるいは流山市、あの一帯の人口にしますと六、七万から十万くらいの住民が、豪雨がありますと浸水をするということで困っているわけなんですけれども、北千葉導水路の今後の見込みあるいはまた坂川改修の今後の見通しについて、これは小さい問題ですけれども、ひとつ伺いたいのです。
  104. 井上章平

    井上説明員 坂川の改修の状況でございますが、上流におきましては、先生指摘の北千葉導水路の江戸川合流点におきまして松戸排水機場をつくっておりますが、これにつきましては五十七年度に完成したわけでございます。したがいまして、坂川の上流城につきましては、排水が非常によくなったわけでありますので、これからはそれから下流の河川改修につきまして事業を進めてまいっております。中小河川あるいは局部改良事業あるいは災害助成事業等によりまして鋭意改修の努力をいたしておるところでございます。  それから、先ほど先生から御質問のありました準用河川状況でございますが、五十八年度におきましては七百四河川につきまして百二十八億四千三十万円の予算事業実施いたしております。
  105. 新村勝雄

    ○新村委員 次に、都市計画法の問題、運用の問題について伺いたいのです。  都市計画法のいわゆる要点は、線引きをして市街化を抑制するところと許容するところを分けるということが現在の都市計画法の中心になっていると思いますけれども、この線引きをするということ、この政策自体がいろいろの無理や不合理を生じさせておるわけなんです。このやり方のメリットも、それは確かに認められるわけですけれども、その反面、個人の住居に関する自由あるいは財産権を極端に侵害というか制限をするということがありまして、せっかく勤労者が自分の将来の家を建てるためにということで宅地を持っていても、たまたまその後線引きをされたためにそれが使えなくなった。そうかといって坪何十万する宅地はなかなか買えない。こういうことでせっかく宅地用地を持っていながら自分の家が建たないというようなこともあります。また安く借用できるという事情があるにもかかわらず、やはり調整区域であるから家が建たないというようなことで、この法律はメリットがある反面、非常に国民の自由を束縛をするという面がありまして、こういう居住の自由を制限をするこの法律は、憲法二十二条の居住の自由の条項に触れないのかどうか、そういった疑問もあるわけです。それはある程度メリットもありまして、スプロールあるいは乱開発をある程度抑えているという点はあると思いますけれども、反面大変矛盾もあるわけです。こういう政策を今後いつまでも建設省としては続けられるのか。特に線引きということをいつまでも続けるのかどうか。最近若干緩和している面はあると思いますけれども、この基本的な面についてひとつ伺いたいと思います。
  106. 松原青美

    松原説明員 お答え申し上げます。  確かに先生指摘のように、市街化区域と市街化調整区域に区分いたしますいわゆる線引き制度、これが都市計画の根幹になっているわけでございます。ただいま先生も御指摘のとおり、これは都市への急激な人口増加によって、従来無秩序に拡大しておりました市街地のスプロールを抑え、計画的な市街地を整備するということで相当の効果があったわけでございます。しかしながら、一方で市街化区域内の都市基盤の整備が立ちおくれております。先生もお話がありました、住宅を建てたいという根強い要望に対して適切に対応していない面も見受けられる現在でございます。  このような現状認識を踏まえまして、都道府県において行われます第二回の線引きの見直しが適切に推進されるように、昨年九月線引きの運用方針の改善について私どもの方から各都道府県知事に指示したところでございます。昨年九月の通達は、実態に即した線引き制度運用を期さなければならないということで、市街化区域における市街地形成のための措置、市街化区域の規模の設定基準の改善等について方針を定めたものでございます。私どもとしましては、秩序ある市街地を整備し、そうしなければ都市における健康で文化的な生活は確保できない、あるいは特に国民の生命の安全という防災性を備えた市街地の形成が非常にむずかしくなりますので、運用につきまして、実情に即した運用ということで改善を図りながら、この線引き制度を続けてまいる所存でございますので、よろしく御了解願いたいと思います。
  107. 新村勝雄

    ○新村委員 健康で文化的な都市をつくるということは一つの目標であろうと思いますけれども、同時にまた、住宅を必要とする国民に住宅を保障してやる、確保するということもこれは必要なわけです。都市計画法はそういう面で前者の目的は若干達したけれども、同時にまたその反面、宅地の地価の高騰を招いた。それからまた国民の住居の自由もかなり制限しておるというデメリットもあるわけなんですね。ですから、現在のように画一的な、一律に線を引いて、こっちはいい、こっちは悪いということじゃなくて、家を建てる場合の建築確認の基準をもっと厳しくするなりあるいは健康で文化的な住環境を害さないような十分な条件をそこで確認をすれば、建ててもいいというような実質的な、もっときめの細かい政策をつくらないと、これは確かに反面メリットはあるけれども土地がない、あるいはあっても高いということでは国民のニーズにこたえることができないわけです。ですから、いつまでも線引きを続けるとおっしゃっていますけれども、いまのような形で単なる線を引いて、一方はいい、一方は悪いというようなふうに簡単に片づけてしまうことはどうかということなんです。もう少しきめの細かい政策なり指導はできないものかということです。
  108. 松原青美

    松原説明員 先生指摘は、市街化調整区域に指定されると、もう何もできなくなるではないか、こういう御指摘だろうと思いますが、線引きの見直しに当たりましても、市街化調整区域内で計画的な市街地をつくるという良好な計画がある場合には、これを市街化区域内に編入するということも含めて、昨年九月に指導の通達を出したわけでございます。ただいま作業中でございまして、ことしの秋以降いろいろ案が出てまいると御相談があるだろうと思いますので、個々の地域の実情に即したきめ細かい指導をしてまいりたいと思っております。なお、開発許可の適切な運用を図ることによっても相当程度対応できる問題ではないかと考えております。そういうことにつきまして十分地域の実情に合った行政を進めてまいりたいと存じております。
  109. 新村勝雄

    ○新村委員 先ほども言ったように、もう少し実情に即した確認の行政をやるべきではないかと思うのです。たとえば親から将来家を建てなさいということで宅地をもらった、ところがそこが調整区域であるために、せっかく土地を持っていながらできないというような例もあるわけですよ。業者が利潤のために開発をしようという場合と、いま申し上げたような事情にある人に対する場合とでは、これはやはり行政の気持ちとしては区別していかなければいけないのじゃないかと思うのです。ですから、許可を絶対にしないということではなくて、一定の条件のもとに、環境を害する心配もない、そこがスプロールの原因になる心配もないという場合で、しかもやむにやまれないそういう個人的な事情があるという場合には、やはり許可をする道を開くべきではないかと思うのですが、そういう点はどうなんでしょうか。
  110. 台健

    ○台説明員 調整区域におきますところの開発許可につきましては、大きく分けますと二つございまして、大規模な開発につきましては、二十ヘクタール以上の計画的な開発につきまして、都道府県知事が許可をすることによって開発ができるわけでございます。もう一つは、やむを得ない開発行為ということで、たとえば農家の次男が分家するような場合、あるいは調整区域のそこに立地しなければ仕事として成り立たないというふうな事業につきましては、特例の許可があるわけでございます。  前者の大規模開発につきましては、従来は、いま申し上げましたように、許される開発行為の規模は二十ヘクタール以上であったわけでございますが、これでは地域の事情に即しました中小規模の開発が抑制されているという御指摘もございましたので、先般一定の要件に該当いたします場合には、都道府県の規則でこれを五ヘクタールまで下げることができることといたしまして、都市計画法の施行令を改正いたしまして、七月一日から施行した次第でございます。  なお、小規模のやむを得ない開発行為の許可につきましても、大規模、小規模ともに従来許可権を持っておりますのは都道府県知事でございまして、地方公共団体の姿勢はともすると抑制的であったわけでございますが、建設省といたしましては、前から弾力的な対応をするように指導しているところでございますし、小規模の開発行為につきましても、さらに弾力的な運用を図るように通達し、指導しているところでございます。
  111. 新村勝雄

    ○新村委員 特例として農家の次男坊というお話がありましたけれども、いま農家の次男坊であっても農業はやらないですよね。農家の次男坊であっても三男坊であっても、みな勤労者ですよ。勤労者で、次男に対してはここをやるよ、三男に対しては、ここを将来の宅地に分けるというように分けてもらっても、家が建たないということですよ。そういう場合でもやはり絶対だめなのか。これではちょっと行政としては適当でないんで、全体の大局的な観点からして、スプロールあるいは地域の環境を害さない、そしてやむを得ないという場合には建てることができる道をもう少し開いていただきたいと思うのですけれども、この点については、いま答弁を願ってもいい答弁は出ないでしょうから、大臣ひとつその点についても、これは非常に細かいことですけれども、これはそういう願いを持っている人がかなりいるわけですよ。そういう点についてひとつ検討を願いたいと思います。  それから次は、交通の問題ですが、国鉄の方いらっしゃってますか。——常磐線の問題ですけれども、常磐線の問題についてはいままで何回も御質問しているわけですが、東京を中心として各方面に放射線の鉄道が出ておりますけれども、東北線、常磐線、中央線というふうに出ておりますが、そのうちで常磐線が一番整備がおくれている、輸送力も一番沿線の人口増加に対比をして劣っておるというふうに考えます。またそこへ回される車両等についても、冷房車の率が一番低い、冷房化率が一番低いというような事実もありまして、常磐線がきわめて重要なルートであるにもかかわらず、そしてまた多数の通勤者が毎日それによって通勤しているわけですが、ほかの線に比較をしてかなり冷遇をされている、こういう事実がありますね。そういう事情があるわけですけれども、何といっても一番問題なのは輸送力がもう限界に近いということなんですね。ラッシュ時には混雑の度合いが三〇〇%、定員の三倍に達する、こういうことなんですけれども、常磐線の輸送力の増強について、いままでもしばしばお伺いしておりますけれども、なかなか遅々として進んでいないわけです。これについてまず、将来増強の方策としてどういうものをお持ちになっているのか、具体的にはどういうふうにそれを実行していかれるのかを伺いたいと思います。
  112. 池田本

    ○池田説明員 ただいまお話ございました常磐線につきまして、複々線化ができたのは四十六年でございまして、それ以後できるだけ輸送力を増強いたしてきております。現在は常磐線の混雑緩和を図るために、中距離電車の十五両編成化ということで、これの工事を推進中でございまして、六十年には完成する予定でございます。  なお、引き続きましてお客さんの増加ということが当然あるわけでございますので、現在の設備で輸送力をさらに増強させるということでいろいろ方策を検討いたしておりますけれども、今後さらに沿線開発によります人口集中によって、従来の増加傾向のまま増加するといたしますと、在来線だけでは輸送力の限界に達するということも想定されるわけであります。その場合には、やはり抜本的な対策として、新しい複線を増設するということについても検討する必要があると考えられるものでございます。ただ、このためには多額の工事資金を要するものでございまして、資金の確保等々いろいろと多く検討すべき事項もございまして、各方面と調整を必要といたしますので、今後とも検討をいたしてまいりたいというふうに思っております。
  113. 新村勝雄

    ○新村委員 現状における増強の対策としては、増結ということが一つありますね。そのほかにダイヤの工夫があると思いますね。それから各駅でありますけれども、沿線の駅はどの駅をとっても大変な混雑で、いつ事故が発生するかわからない、こういう実態であるわけですが、ダイヤとかそれから駅の改修、こういうことについてはどういう計画がありますか。
  114. 白川俊一

    ○白川説明員 ただいまの先生の御質問でございますが、まずダイヤの考え方でございますけれども、御承知のように常磐線につきましては、中距離電車と快速電車とそれから緩行電車、三つの形で現在輸送しているわけでありますが、一つは人口が大変外縁化が進んでおりまして、特に遠隔の地からの通勤が大変急増しているという事情がございまして、中距離電車と快速電車の混雑率が非常に高いということで、私どもの対策もそこを優先に取り組んできております。そこにつきましては、先般も昨年の十一月にダイヤ改正をいたしましたが、我孫子—取手間の複々線化を完成させるとか、それから我孫子—土浦間を増発をするとか、そういうことで取り組んできたわけであります。今後できるだけそういうダイヤの見直し、整理等を行いまして、特に通勤の時間帯に輸送力をどう手当てするかということについて勉強してまいりたいと思いますが、国鉄は大変厳しい事情にございまして、車両の調達とかそういったことについてもいろいろ問題が多いというふうに考えております。  それから、駅の関係でございますが、現在までのところ、特に駅の改良計画等につきまして、これもまたいろいろと資金を要するものでございますから、御承知のように、全体として投資資金を圧縮するということが臨調の答申なりあるいは閣議の決定の中で方向づけられておりまして、そういう資金の確保ということにつきましてもなかなか問題が多うございまして、駅舎の改築等について具体的にどのように進めていくかということについてはなかなか問題が多いと考えております。  それから、先ほどのお話で冷房化が大変おくれているというお話がございましたが、さっき言いましたように、中距離電車と快速電車につきましては、ことしも若干改善いたしますし、逐次車両の取りかえに合わせて改良してきておりまして、六一%ぐらいの冷房化率までことしの夏で来ております。ただ問題は、緩行電車の冷房化が極端におくれているわけでございますが、これにつきましては、御承知のように営団と地下乗り入れを共通にやっておりまして、緩行電車につきましては 地下乗り入れとの関係がありまして、車両構造上、現在までのところ冷房化が進められないという状況にありますので、今後車両の取りかえ等の手順をいろいろ工夫をいたしまして、緩行についてもどのように進めていくかということについて取り組んでまいりたいと考えております。
  115. 新村勝雄

    ○新村委員 駅舎については、いま改築について触れられましたけれども、これは駅舎が古くなったから改築するというのじゃなくて、輸送力との関連における駅舎の改造なんですね。現在の駅舎は古いからとかということじゃなくて、すでにもう乗客を収容できない、物理的にも収容できない、こういう事態なんですね。特に柏駅等のごときは一日に十数万人もあそこから乗り降りをするということで、駅そのものがそれだけの乗客を収容できない、その余地がないということですね。朝なんかは全く動けない。したがって、駅がそういう状態ですから、突発的な事故に対して大変な事態も予想されるわけなんですね。そういった点での駅舎の改造あるいは拡張、こういうことなんですね。ですから、その点もひとつ十分現地は御承知だと思いますけれども、御配慮を願いたいわけです。  それから、先ほどもちょっと出ましたが、基本的には第二常磐線をつくることだというお話もありましたけれども、実はこの第二常磐線については地元では非常な期待を持っておりまして、沿線各地ですでにもう署名運動等が始まっておる、こういうことなんです。千葉県ではルートの選定をやっておる、こういうことなんですよ。県が県費でつくるわけにはいかないと思いますが、これは国鉄さんにつくってもらうわけですけれども、そのくらい地元では要望が強い。したがって、そういう事態が進んでおるわけです。県ではもうルートの選定に入っている、こういうことなんですけれども、そこらについて、国の段階ではどの程度まで進んでおるのか、検討されておるのか、これをお伺いしたい。
  116. 廣田良輔

    ○廣田説明員 お答えいたします。  第二常磐線の御要望が、先生おっしゃるように、沿線の住民の方々を初めとして、あるいは千葉県、茨城県の関係者等から強く要請されていることは、私ども運輸省として十分承知いたしております。この問題につきましては、何せ多額の工事資金を必要とするものでもありますし、一たんつくれば何十年、何百年とお使いいただく施設でありますから、将来の動向というものを十分把握しなければいけない。したがいまして、今後の首都圏の人口の増加状態等がどうなるのか、それに伴って生ずる鉄道の輸送需要というものがどうなるのかということを十分見きわめる必要があります。したがいまして、現在、これは常磐線だけではございませんけれども、東京圏全体の鉄道輸送網がおおむねここ十年ぐらいの間にどうあるべきかという見直しを運輸政策審議会という審議会で検討を行っていただいております。結論はあとしばらくかかりますが、来年度になりますが、そういった御答申をも十分参考にしながら、この第二常磐線問題については取り組んでいきたいと考えております。
  117. 新村勝雄

    ○新村委員 すでに現在の常磐線は、ダイヤの工夫や増結、駅舎の改造という程度のことでは、近い将来限度に達することはもう目に見えているわけですね。ですから、ぜひ第二常磐線の検討についても真剣にお取り組みを願いたいと思いますが、同時に第二常磐線を初めとして首都圏、特にいままでおくれていると言われる東京の東側の鉄道網の整備、私鉄を含めた鉄道網の整備について総合的に御検討を願いたいわけなんです。  もう一つ具体的な点をお伺いしたいのです。常磐線に関連をして、成田線という鉄道がございますが、この成田線のうちで、成田から佐倉の方面については計画があるようでありますけれども、成田から我孫子の間が現在単線なわけですが、この沿線が常磐沿線と同じように、いま急速な開発が進められております。それからこの線は、かつてはあの地帯の農産物を土地のお百姓さんが肩に背負って東京に運んできて、いわゆる野菜の行商ですね、これで全国的に有名なところなのです。そういう行商の人たちを運んできたという過去の歴史がありますけれども、現在は沿線の急速な開発によって通勤者の数が激増しております。しかし、鉄道の輸送力そのものは数十年前と同じだ、こういうことで、単線でございます。  それから、ダイヤについても、朝晩のラッシュ時でも間隔が一時間近い、こういう状態です。地域では複線化を強く望んでおります。そしてまた同時に、ダイヤの改正というようなことについて要望が強いわけですが、この点については何らかの対策をお持ちでしょうか。
  118. 池田本

    ○池田説明員 成田線のことについてお答えをいたします。  成田線の成田から我孫子までにつきましては、先生指摘のとおり大変開発が進んできております。都心から三十キロから五十キロというところにございまして、今後も開発の進む可能性のある地区というふうに考えております。現在まで輸送量がふえてきてはおりますが、当面電車が走っておりますので、単線のままでしばらく対応が可能であるというふうに思われております。  複線化につきましては、今後沿線の開発によって輸送需要がどうなるかということにもよるわけでございますが、将来これは検討しなければいけない問題であるというふうには考えておりますけれども、今後十分検討させていただきたいというふうに思う次第でございます。  なお、ダイヤにつきましては、常磐線との接続等もあろうかと思いますので、今後も輸送需要を見ながら十分検討してまいりたいというふうに思っております。
  119. 新村勝雄

    ○新村委員 ダイヤについては輸送需要を見ながらとおっしゃいますけれども、現在すでに全く現在のダイヤでは困るということですよ。ダイヤについてはそんなに困難がないと思いますから、せめてこのダイヤについてだけでも至急に検討願いたいと思うのですが、どうでしょうか。
  120. 白川俊一

    ○白川説明員 現在、ラッシュ時間帯に三本の列車を運行しておりまして、それでも、私どもの調査によりますと、輸送の効率、要するに込みぐあいでございますけれども、平均しますと百数十%というデータでございます。現在、常磐線と首都圏の通勤時間帯の混雑度、これは決して望ましいことではございませんが、二百数十%というところで御利用いただいているような状況になっておりまして、そういうことで、三本のものをいま増発するということについては、そういういまの混雑度からするとちょっと問題があるかなと考えております。  ダイヤの配列等につきましては、もしそういうふぐあい、接続が悪いとかいうふぐあいがあったら、それは改善する余地はございますが、増発につきましては、現在のところ、混雑率からいきましてややまだ問題があるかなと考えております。
  121. 新村勝雄

    ○新村委員 十分御検討願いたいと思います。  それから、鉄道網ですが、これは東京が発展した歴史的な経過あるいは日本の国の中における東京の地位、関西との関係等がありまして、従来も東京の西側については鉄道網が非常に発達をし、国鉄のほかに私鉄もたくさんあるのですけれども、東京の東側が交通、特に鉄道網の整備という点で非常におくれているわけなんです。常磐沿線についても、常磐線は確かに一本ありますけれども、それを補助する都心に入る私鉄が全然ないということなんですね。私鉄は若干ありますけれども、それはすべて常磐線につながっているというだけであって、その乗客はすべて常磐線に集中的に入ってくるということですね。東京に直通する私鉄は一本もないわけです。東武線にしても京成にしても、あるいは常総にしても、全部常磐線に乗客を送り込むだけなんですね。ですから、常磐線がますます込んでくるということで、東京の東側には総合的な鉄道網の整備がこれからどうしても必要なわけです。ところが、従来そういう配慮がなかったということは、東京の東側はすべての点で、政治的にもあるいは経済的にも政策的にも冷遇されてきた、忘れられてきたという面が確かにあるのですね。こういう点をひとつ配慮をされて、今後の鉄道網の整備については私鉄をも含めて十分お考えをいただきたいわけです。  そういう中の東武野田線の複線化ですが、東武野田線は常磐線にクロスしておりまして、交通需要が非常に多いのですけれども、依然として単線であるということがありますね。それから北総開発鉄道にしてもまだ中途半端である。京葉線についてもまだ完成していないということなんですけれども、東武野田線、これは私鉄ですが、東武野田線の複線化、北総開発鉄道、また京葉線、これらが将来いつごろ完成するのか、この見通しがおわかりであれば伺いたいと思います。
  122. 廣田良輔

    ○廣田説明員 いま先生の御指摘になりました三線区につきましては、いずれも工事はやっておるわけでございますが、用地買収の問題ですとかあるいは地元との協議の関係で一部非常に難航しているものもございます。いまここでいつまでに何をということは明確に申し上げるわけにはまいりませんが、いずれにしましても、どの線区も非常に込んでおりますし、早晩行き詰まることは十分私どもも考えておりますので、できるだけ早く完成させるように指導しておるところでございます。  特に、京葉線につきましては、従来貨物線として建設が進められておったわけでございますけれども、最近旅客線化ということで、なおかつ東京まで乗り入れるという認可をしたばかりでございます。いずれこの線区につきましても、沿線の強い御期待のとおり東京駅まで入るということがここ数年のうちに可能になろうかと思われます。  その他線区につきましても、明確に完成時期を申し上げるわけにまいりませんけれども、運輸省としてはしっかり監督していきたいと考えております。
  123. 新村勝雄

    ○新村委員 ぜひお願いいたします。  時間がなくなりましたが、最後に公団住宅の家賃問題についてお伺いをしたいと思います。時間がありませんので、まとめてお伺いしますので、まとめて御答弁をいただきたいと思います。  お願いというか、問題点は四つあるわけですけれども、低所得の老人、母子、身障者家庭についてはぜひ現行家賃を凍結をしてもらいたい、これが入居者あるいはその組織の強い要望であります。  それから、上記の人たちについては、経済事情、家計の状況、これを年度ごとに見直しをしていただいて、この各項に該当する方が出た場合には、そこですぐに適用していただくように願いたいということです。  それから、低所得の方々あるいは母子、身障者あるいは生保の方々、こういう方々を公団は認定をされて適用されるわけですけれども、その認定については、地元に民生委員という制度があるわけですから、民生委員の方々の御意見も聞いて、あるいは協議をして決めていただきたい。その方が、この委員さんは地域の実情にも詳しいわけですから、その話を聞いてやった方が実情に即したきめの細かい対策ができるのではないかということです。  それから第四には、老人世帯については、現在は七十歳だと思いますけれども、六十五歳まで引き下げを願えないか。  この四つでありますけれども、この四点についてお伺いをしたいと思います。
  124. 武田晋治

    武田参考人 お答え申し上げます。  まず最初にお話のございました老人、母子世帯の生活に困窮する世帯に対しまして家賃値上げを凍結する考えはないかということでございますが、老人、母子、心身障害者世帯で生活に困窮する世帯に対しましては、生活保護基準によります住宅扶助限度額を改定後家賃が超えた場合には、その超えた部分につきまして公団が家賃を減額することといたしておりますので、特に家賃改定につきまして凍結する必要はないのではないかというように考えております。  次の、老人、母子、心身障害者世帯の認定に当たりましての、経済事情の変動もあるので毎年認定することにはできないかという御質問だと思いますが、五十三年に家賃の改定をいたしました場合に、特別措置を採用してまいったわけでございますが、その場合には、家賃改定の当初年度で実は対応してまいったと思います。そういうこととの整合性を保ってまいる必要がございますので、取り扱いといたしましてはなかなか困難な面もあろうかと思いますけれども、今後検討してみたい、こういうように考えております。  それから第三番目の、生活に困窮する世帯の判定に当たっての民生委員と相談するというような考え方についてはどうかという御質問だと思いますが、その点につきましては、生活保護基準に準じて、生活に困窮する世帯であるかどうかということにつきましては判定を公団がやることになっております。そこで民生委員の方を活用することにつきましては、この民生委員の方につきましては厚生省所管のこともございまして、五十三年度の際にいろいろ検討したこともあるわけでございますが、むずかしい問題等もございますので、その可能性につきましてどのような採択ができるかどうか、そういうことを含めてひとつ検討してみたいというように考えております。  それから四番目の、老人世帯を現在公団は五十三年の改定の際に七十歳以上というようにしているわけでございますが、これを六十五歳に引き下げる考えはないかという御質問かと思います。私たちが七十歳という考えをとっておりますのは、生活保護基準におきますところの老人加算が行えます年齢が七十歳以上ということになっておりますことなど、またあるいはその他の老人福祉制度というようなものをいろいろ勘案して七十歳ということを決めておりまして、現在のところは適正ではないかというように考えているわけでございます。なお、御承知かと思いますが、五十三年度にこの要件を決めます場合に、居住者のうちの一人が六十五歳以上で常時介護を必要とする者がおる世帯につきましては対象とするということでやっておりますことを申し上げておきます。  以上でございます。
  125. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、第一項の低所得の老人、母子、身障者、これについては実質的な家賃値上げがないような措置になる、こういうふうに受け取ってよろしいわけですね。  それから二項の、上記の人たちの年度ごとの見直し、これはぜひやっていただきたい。検討するとおっしゃいましたけれども、第二は検討の上ぜひやっていただきたいと思います。  それから、民生委員との協議についても、民生委員というような制度があるわけですし、ほかの省庁の施策を進める場合に民生委員に相談をしている例があるわけですから、公団の皆さんが民生委員に相談をされても少しもおかしくない、むしろその方が民生委員の精神にも合うと思いますので、この点もひとつ検討をされて、ぜひ実現をされるようにお願いをしたいと思います。  以上で終わります。
  126. 古屋亨

    古屋委員長 春田重昭君。
  127. 春田重昭

    ○春田委員 まず、経企庁にお尋ねしますけれども、わが国の景気の動向を最初に御説明をいただきたいと思います。
  128. 丸茂明則

    ○丸茂説明員 最近の景気の動向でございますが、去年大幅に減少いたしました輸出がことしの初めくらいから持ち直しぎみになっていることは御承知のとおりでございます。これはアメリカを中心とします景気の回復、それから一昨年くらいまでの輸出急増期に現地に積み上がっておりました日本の輸出品の在庫が調整が終わったというような両方の原因で持ち直し始めております。それから、昨年の春以来続いておりましたわが国におきます在庫調整でございますが、これも大体三月、四月、五月くらいでほぼ一巡をしたというふうに見られております。一方、個人消費につきましては、御案内のように、実質で見まして、物価の安定を背景としまして緩やかな増加傾向が続いております。他面、民間設備投資につきましては、このところやや伸び悩みの傾向がございますし、住宅建設も、一ころ、昨年後半からことしの初めにかけましてはかなりふえておりましたが、このところやや前年水準を下回るという状況になっております。  総じて見ますと、非常に景気がいいということはとても申し上げられませんが、停滞ぎみでございました生産活動が上向きに転じております。一—三月の鉱工業生産は前期比で〇・九%の増加でございますし、四、五月も、ならして見ますと一—三月の水準に比べてかなりの増加を示しております。  こういうような状況でございまして、企業の間にも底入れ感といいますか、将来、今後次第によくなっていくという期待感が生じてきているように感じております。私ども先月主要な業種の方々と御懇談をいたしましたが、そういう中でも、とても手放しで楽観ということではございませんけれども、昨年の秋に同じような懇談をしたときに比べますと、やや気分的に明るいという状況になっているように思われます。  なお、雇用情勢、大変厳しい状況が続いておりまして、完全失業率で大体二・六%台というような水準が続いておりますが、しかしここでも、たとえば新規求人の数が、前年同期に比べましてずっと減り続けておりましたのが、このところややふえ出している。それから時間外労働、これもずっと減っておりましたのが、ここのところややふえ始めているということでございまして、まだ楽観は許しませんけれども、やや明るさが見えてきているという状況だというふうに考えております。
  129. 春田重昭

    ○春田委員 今年度の経済成長率の見通しは三・四%だったと思いますけれども、この達成の見通しはどうでしょうか。
  130. 丸茂明則

    ○丸茂説明員 今年度の経済成長、年初につくりました政府見通しで御指摘のように三・四%でございます。GNP統計は一—三月期まで出ております。一—三月期のGNP統計の速報によりますと、一—三月期は必ずしも高い伸びを示しておりません。前期比で〇・二%でございました。  しかしながら、その中身を見てみますと、先ほども申し上げましたけれども、在庫の減少というのが大きく響いております。これはむしろ今後にとりましてはプラスの要因ではないかというふうに考えております。また、それ以外の需要項目につきましても、先ほどもちょっと申し上げましたのでやや重複いたしますが、個人消費は緩やかな回復が続いていくというふうに見ておりますし、輸出も最近はかなり急テンポでございます。この急テンポがこのまま続くとは考えておりませんが、やはり世界景気の回復に伴って緩やかに伸びていくだろうというようなことを考えますと、私どもとしましては、三・四%程度の今年度の経済成長率は達成可能であるというふうに考えております。  なお、申し落としましたが、石油価格が値下がりいたしまして、その影響というものも、入着価格にはあらわれておりますが、経済全体には現実にはまだなかなか出ていないと思いますが、これもやがて本年後半にはプラスの効果をあらわしてくるであろうというようなことを考えますと、三・四%程度の成長率は達成可能であると考えておりますが、なおその達成をより確実なものにしますために、去る四月五日に「今後の経済対策について」というものを決めまして、その後の動きを見ながら着実にフォローしているところでございます。
  131. 春田重昭

    ○春田委員 若干の明るさが見えてきたということでございますが、私はまだまだ景気低迷を脱したとは言えないと思うのですね。特に輸出の面がいま強調されました。四月、五月は対前年比で相当大きな伸びが見えているわけでございますけれども、この輸出のいわゆる伸びの兆しというものが一面また最近貿易摩擦の問題として非常に大きな問題になってきているわけでございますし、当然そういった面からは輸出の規制もされてくる、こう思うわけでございます。したがって、何といってもやはり景気対策のかなめは内需を喚起する以外にない、こうなってくるわけでございます。総理もサミットでは、わが国としては内需中心の経済運営によって回復を図ると国際的な約束もなさったみたいでございます。そういった面で、内需による景気対策が急務でございますけれども、この景気対策というのは私は非常に急務であると思うのですね。そういった面で、政府としてはいつごろいかなる具体的な内容をもって景気対策を発表するのか、そこら辺が固まっていれば、お話しいただきたいと思うのです。
  132. 丸茂明則

    ○丸茂説明員 御指摘のように、対外関係というものも大変重大な問題でございますし、私どももかねてより内需中心の経済成長を達成するということを目標に掲げて、そのための努力を続けてきているつもりでございます。  追加的な対策をいつごろ講じるつもりかという御質問でございますが、先般決定いたしました四月五日の対策の効果がどのくらい出てくるのかというようなこと、それから、もちろん民間部門での自律的な回復、先ほど御説明したような萌芽が見えると思いますが、これがどの程度になっていくかということ、GNP統計で申しますと、まだ一—三月しかわかっておりませんが、その他生産、出荷等々個別の指標は四月、五月とわかっておりますが、もう少し、景気の情勢がどうなるか、特に内需の動向がどうなるかということを慎重に見きわめながら、今後の対策についても検討してまいりたいというふうに考えております。
  133. 春田重昭

    ○春田委員 そこで、内需の柱でございます住宅政策といいますか、住宅建築の問題についてお伺いしたいと思います。  その前に、大臣にお伺いいたしますけれども、五十九年度予算は厳しい財政状況の中でマイナス一〇%のシーリングがいま打ち出されているやに聞いているわけでございます。となれば、公共事業の中心でございます建設省としては厳しい抑制が要求されると思うのです。そこで、景気対策としては内需、特に公共事業住宅建設等が建設省に当たるわけでございますけれども、そうした一方で非常に厳しい財政面の抑制もあるわけでございます。こういった点で、大臣としてはどのように今回のマイナス一〇%シーリングに対してお考えを持っておられますか、また、建設省としてどう対処なさろうとしているのか、お伺いしたいと思います。
  134. 内海英男

    内海国務大臣 御指摘のように、財政窮乏の中で五十九年度の概算要求という取りまとめの作業が始まるわけでございますが、来年度の公共事業問題についてのシーリング設定につきましては現在いろいろと折衝中でございます。したがいまして、まだ不確定な状態でございますが、公共事業は、先生も御指摘のとおり、社会資本の充実といった意味からいきましてもまだまだわが国としては立ちおくれておる。こういった現状から見まして、先生指摘のようなサミットの中で論議されました情勢も踏まえまして、内需の拡大ということに重点を置きますと、どうしても公共事業が最優先的に予算的にも配慮されなければならぬ、こういうように私どもは考えておるわけでございます。貿易をこれ以上振興して輸出を拡大してまいりますとまた貿易摩擦の問題も出てまいりますし、国の景気対策として、何といっても、内需の拡大ということを重点に施策を進めていくと公共事業の充実以外にないという判断で、私どもは、積極的に公共事業予算の確保につきまして現在全力を挙げて交渉をし、何とか社会資本の充実がより一層図れるように全力を挙げておるところでございます。     〔委員長退席、近藤(元)委員長代理着席〕
  135. 春田重昭

    ○春田委員 経企庁の方はもう結構です。  御案内のとおり、公共事業は五十五年からこの四年間予算的には据え置きということで、事業量としては一〇%ないし一五%ぐらい減っているわけでございます。そういった面で、何といっても、内需喚起のためには公共事業が必要であるわけでございますから、御努力いただきたいと思いますが、公共事業の内容にもよるわけでございまして、大企業べったりじゃなくして、やはり生活関連の公共事業、また土地等に余り食われない公共事業、こういったものを考えるべきであろう、このように一応意見は申しておきます。  そこで、住宅政策でございます。五十六年度、五十七年度、五十八年度の、五十八年度はわかっている程度で結構でございます、住宅建設の着工実績をまずお述べいただきたいと思います。
  136. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 お答え申し上げます。  新設住宅着工戸数は、昭和五十一年度以来年間百五十万戸前後でほぼ安定的に推移してきたわけでございますが、五十五年度に百二十一万戸と大幅に落ち込みました。それから、五十六年度も若干落ち込みまして百十四万戸ということになったわけでございます。五十七年度につきましては、住宅金融公庫を中心といたしました公的住宅金融の拡充等によりまして、百十六方戸、正確には百十五万七千戸ということで、前年度に比べまして一・三%の増、五年ぶりに増加に転じております。  ただ、今年度につきましては、これはまだ四月と五月しかわかっておりませんが、四月が十万二千戸、前年度対比で三・八%の減、五月が八万三千戸、前年度対比一 一・二%減、合計いたしまして十八万五千戸で、前年度に比べまして七・二%の減ということになっております。内訳を見てみますと、公的資金住宅が若干伸びが鈍化しておりますが、民間資金住宅が貸し家を中心に前年度水準を上回っておりますので、今後どういうような推移を見るか、慎重に見守っていきたいと考えておりますが、いろいろな住宅の施策を打ち出すことによりまして、今年度ほぼ五十七年度並みの水準になるのではないかというように考えております。
  137. 春田重昭

    ○春田委員 五十八年度は五十七年度並みになるのではなかろうかというお話がございましたけれども、五十七年度は百三十万戸に建設の目標を置かれて、結果的には百十五万七千戸になったわけでございますけれども、五十八年度の着工目標というのはお決めになっているのですか。
  138. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 着工の目標というものは決めておりませんが、ただいま申し上げましたように、見通しといたしましては、ほぼ前年度並み、大体百十六万戸程度ではないかというように考えております。
  139. 春田重昭

    ○春田委員 目標を立てないでいくと、いわゆる成り行き任せじゃないですけれども、要するに今回は民間の力をかろうという見通し、これはやはり大きな違いが出てくると私は思うのです。昨年度でも百三十万戸に目標を置いて力を入れていたわけでございますけれども、結果的には先ほど言ったように百十五万七千戸。ことしは何か民間の力もかりたいということでおっしゃっておりますけれども、そうした目標も立てないで昨年度並みということは、とてもじゃないがむずかしいだろうと私は思うのです。特に、御存じのとおり、ことしの三月から四月、五月の対前年度比は大きくマイナスになっているわけでございまして、率も非常に高いわけですよ。そういった面で、五十八年度を昨年並みにいくというのはちょっとむずかしいのじゃないですか。大臣どうですか。
  140. 内海英男

    内海国務大臣 御指摘のように、昨年度は百三十万戸という目標をつけまして、全力を挙げて税制の面であるとか貸付限度額の引き上げとかいろいろな改善措置をやりまして、住宅建設の促進を図ったわけでございます。目標には到達をしませんでしたけれども、ことしは、いろいろな制度を五十七年度改善措置をやってみて、それがようやく浸透してきたのではないかというところから判断をいたしまして、百三十万戸という目標をあらかじめつけておいて、またそれが達せられなかったということよりも、前年度並みに何とか促進策をいろいろ講じて、そこに確実な目標をつけていきたいというようなことで、特に百三十万とか百二十万とかという目標を設定しなかった、こういうことになっておると思うわけでございます。  しかも、景気の動向とも非常に関連がございまして、景気対策のために住宅建設を促進するということも言われておりますが、景気がよくなればまた住宅も建つのではないかということも一面言われておるということで、非常に不確定要素もございます。したがいまして、あらかじめ百三十万戸という目標を立てて努力することも結構なことだと思いますけれども、昨年の例から見まして、ことしは目標を立てずに、いろいろな施策を、昨年度やったことがようやく浸透をされて理解をされた上で、昨年度並みぐらいに到達をさせたいということで努力をしておる、こう御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  141. 春田重昭

    ○春田委員 ところで、大臣、第四期の住宅五カ年計画、五十六年度から六十年度七百七十万戸、これはまだ生きているのですか。
  142. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 第四期の住宅建設五カ年計画は、昭和五十六年度から昭和六十年度までの五年間に住宅を七百七十万戸建設しようということで計画されております。まだ計画自体は、二年度の分の着工状況がまとまった程度でございますので、今後の達成の率がどの程度いくかということはまだ十分に判断できない状況ではございますが、五十七年度までの二カ年間で公的資金による住宅だけで見ますと四〇・八%となっております。したがいまして、これを単純に計算いたしますと、二年間で四〇%いけばよろしいわけでございますから、そういう意味では、公的資金による住宅については計画で見込みました水準に達しているというように考えております。  しかしながら、民間住宅建設が落ち込んでおりまして、これにつきましては相当厳しい状況にあります。今後、中古住宅流通の促進でありますとか、住宅税制の拡充、あるいは公的住宅金融の拡充等々に努めることによりまして、住宅建設の促進を図り、計画を的確に実施するよう努めてまいりたいと考えております。
  143. 春田重昭

    ○春田委員 それは努力してもらわなければいけませんけれども、この七百七十万戸はまだ生きているということでございますが、この七百七十万戸、二年とちょっと過ぎているわけでございますが、達成可能、そう見ておられるのですか。
  144. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 ただいま申し上げましたように、全体の……(春田委員「簡単に、できるかできないか言ってください」と呼ぶ)五カ年計画の二年度までの実績見込みで申し上げますと、公的資金による住宅は四〇%を超えておりますが、民間が若干落ち込んでおる。したがいまして、合計いたしまして三一%程度。そういうことから言えば相当厳しい状況にありますが、過去の五カ年計画の達成状況を見ておりますと、当初二年度間の達成率が相当低いものでも、その後の三年間で相当回復をするという場合もありますので、今後の見通しといたしましては、大変厳しいと思いますが、いろいろ住宅施策の拡充に努めまして、計画の達成を図っていきたいと考えております。
  145. 春田重昭

    ○春田委員 これは大臣に聞いたらいいと思うのですけれども、七百七十万戸を五カ年で割ったら、単年度は百五十四万戸になるのですよ。五十六年、五十七年で百十四万と百十五万、恐らく五十八年はもっと下回ると思うのですよ。五十九年度、六十年度で残りをカバーできるかといったら、これはだれが考えても不可能だと思うのです。局長は努力するとおっしゃっておりますけれども、大臣どうですか。私はそろそろ見直す時期に来ているのではないかと思うのですよ。
  146. 内海英男

    内海国務大臣 公的住宅につきましては、国が計画することでございますから、大体局長が答弁いたしましたように達成できる可能性はあると思うのです。ただ、民間の方につきまして相当な違いが出てくるというふうに私としてはいまのところ判断をせざるを得ない、こう思っております。
  147. 春田重昭

    ○春田委員 内需中心の柱といいながら、住宅の建設というのが非常に厳しくなってきているわけですよ。そういった面で、一面財政的な面もありますけれども、本当に建設省住宅に力を入れているのかどうか疑う面があるわけでございます。  そこで、住宅金融公庫の問題について質問を移していきたいと思いますが、住宅建設着工は、三月、四月、五月の中では、局長がおっしゃったように、民間の場合は若干伸びているわけです。これは貸し家の建設が伸びているということであろうと思いますが、いわゆる公的資金による住宅建設が非常に伸び悩んでいるわけですね。そうした中で、公的資金の中で住宅金融公庫住宅の着工状況はどんなものか、ちょっと時間がございませんから、簡単に説明をいただきたいと思います。
  148. 関口洋

    関口説明員 先生お話しのとおりに、この四月、五月につきましては、私どもの御融資しました住宅の着工率と申しますか、それは対前年同月比では落ちております。その理由は、五十七年度に、先生御案内と思いますが、当初五十四万戸、その後三万戸の追加をいただきまして、それの完全達成に向かって非常な努力をした。そのために、五十七年度は非常に住宅金融公庫の融資住宅の着工状況は対前年同月比で高まったわけでございますが、五十八年度は総融資戸数が五十一万戸ということになっております。これはいろいろな情勢から考えて、これで十分私どもはまた達成できると思いますが、そういう状況もございますので、数字の上では、対前年同月比の着工戸数は減少しておる、こういう背景に相なっておるわけでございます。
  149. 春田重昭

    ○春田委員 そういうことで、この公的資金住宅金融公庫の建設が非常に問題になっているわけでございます。持ち家、マンション、分譲とも落ち込んでいるわけでございます。  そこで、大臣、昨年度予算的には五十四万戸で、二万戸が追加されて、五十七万戸の実績があるわけですね。今年度予算的には五十一万戸になっているわけでございますけれども、先ほどから何回も言うように、住宅建設を内需の柱とするならば、さらに追加していかねばならないのではないか、こういう考え方も持っているわけでございますけれども、今年度については、この追加ということについてはどうお考えになっておりますか。     〔近藤(元)委員長代理退席、委員長着席〕
  150. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 お答え申し上げます。  今年度第一回の募集を四月に行いました。大体平常年度並みの十万戸を予定いたしまして募集をしたわけでございます。これに対しまして十万六千戸の応募がございました。大体募集の枠とほぼ同様の申し込みがあったということでございます。  第二回の募集をことしの夏に例年同様行うべく現在準備をしておりますが、その募集の状況によりまして、非常に応募が多いということになれば、また今後のいろいろな融資の枠と見合わせまして、場合によりましては追加ということもあるかもしれませんが、現在のところはそういうことで、予定戸数五十一万戸内で大体消化できるのではないかというように考えております。
  151. 春田重昭

    ○春田委員 そこで、いわゆる一戸建ての中古住宅公庫の融資対象に五十八年度からなったわけでございますけれども、その内容について概略御説明いただきたいと思います。
  152. 関口洋

    関口説明員 先生も御案内と思いますが、中古住宅全体から御説明させていただきます。  まず初めに、五十一年度にいわゆる共同住宅、これを俗称中古マンションと呼んでおりますが、これに対する融資制度として発足したものでございます。五十八年度におきまして、ただいま先生指摘のとおり、この十月一日以降戸建て住宅等をこの融資対象に加えるということで、いま鋭意準備を進めておるわけでございますが、戸建て住宅につきましての考え方を主として御説明をさせていただきたいと思います。  融資対象の住宅、非常に技術的なことで恐縮でございますが、三年以上七年以内の経過年数を持つ住宅を対象とする、さらに敷地につきましては一戸建ての住宅は百平米以上のものを、また一戸当たりの面積は五十平米以上のものを対象としてまいりたい、かように考えております。そのほか融資額等につきましては、木造としての特色から共同住宅に比べますと若干低く相なっております。そのほかの要件としましては、これはいわゆる中古マンションと同じでございまして、木造戸建ての場合も融資対象の地域は三大都市圏及びおおむね人口五十万以上の都市の通勤圏、さらに譲渡価格につきましても一定の限度以内のものを対象とする、こういう考え方で進んでおります。  以上でございます。
  153. 春田重昭

    ○春田委員 私は、せっかくの中古住宅の融資制度が生かされない面があるのではなかろうか、こう思っておるのです。たとえば、融資対象地域が三大都市圏プラス五十万の都市であるという面、また、金利も一般公庫融資と比べて、一般融資は五・五%でございますが、この場合は六・五%ということで利子が高いわけです。さらに、敷地面積が百平米以上という制約もあるわけでございまして、本当に中古住宅を望んでいる方についてはかなり厳しい制約があるわけですよ。そういった面で、せっかくのこの中古住宅公庫融資を打ち出しても、これが生かされない面があるのではなかろうかと私は思うのです。そういった面で、これは要望でございますけれども、金利はやはり五・五%、融資対象地域も全国的に広げるべきである、このように要望しておきます。  さらに敷地面積の面でございますが、大臣、私大阪なんですけれども、大阪の場合は市町村の開発条件というのは従来は大体七十平米ないし八十平米でも許可しているわけですね。したがって、いわゆる新築の場合の融資対象は、公庫もこの一月一日からは百平米以上でなければならないということになっていますけれども、それ以前はつけていたわけですよ。この一月一日からは、新築の場合には百平米以上でなかったならば公庫融資の対象にならないということで、厳しい制約ができたわけでございますけれども、それはミニ開発等の問題があったからやむを得ないとしても、中古住宅の場合にはもう建っているわけですから、したがって、この七十平米ないし八十平米でほとんど、私は全体の八〇%はこれで建てられていると思うのですよ。それが今回の融資対象にならないわけですね。そういった面で、中古住宅については、いわゆる特例措置といいますか、特別な考え方を持っていただいて、新築と分けて考えていただきたい。そうしなかったら、敷地百平米以上でなければならないという点で中古住宅の融資対象の枠が非常に狭められるわけですね。そういった点で私は考えていただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。
  154. 関口洋

    関口説明員 先生いま敷地要件のことにつきまして主として御議論なさりましたので、この点についてお答えをさせていただきたいと思います。  これも御案内と思いますが、五十三年にまず建て売り住宅につきましてこの敷地要件を導入して百平米以上とし、それから一般的に一戸建てにつきまして五十七年の一月一日から敷地要件百平米を導入いたしております。私どもとしましては、それらとの整合性を持たすということが一つございますが、もう一つ、実態的に調べてみますと、これははなはだお言葉を返すようで申しわけないのでございますけれども、百平米以下の住宅をお買いになられた方は、どうも長くそこにおられるということがなくて比較的短期間に手放しておられるようでございます。それらの方の御意見等をお伺いしますと、やはり敷地が狭いと、せっかくの庭つき木造の特性であるたとえば増改築、こういうものができない、お子様がふえて子供の勉強部屋が欲しいと思ってももう建築基準法上そういうものの建て増しはできない、そういうことから非常に使い勝手が悪いということでまたほかのところを探される方が多いというふうに、実は私ども実態的にそういうこともお伺いしておるわけでございます。そういういろいろな問題、さらには、先ほど御指摘ございましたように、ミニ開発をめぐるいろいろな弊害等も考えまして、やはり中古住宅につきましても新築と同様の敷地要件でスタートしたい、かように考えておるような次第でございます。
  155. 春田重昭

    ○春田委員 まあ中古住宅の中では過去融資対象になってこういう新制度でつかないという面があるわけですから、整合性という面はわかりますけれども、特例措置として考えるべきじゃなかろうか。中古住宅制度というのをせっかく設けるのだったらその辺も勘案してほしい、こういうことです。大臣、よく覚えておいていただきたいと思います。  時間がございませんので、次へ進んでいきたいと思いますが、五十六年度検査報告指摘されております民営の賃貸用特定分譲住宅検査院から報告がされておりますけれども、概要について簡単に御説明いただきたいと思います。  公庫の方は結構でございます。公庫融資の返済問題、焦げつきの問題でちょっと質問する予定だったのですけれども、きょうは時間がございませんから、これは次の機会にやりますので、もうきょうは結構です。
  156. 秋本勝彦

    秋本会計検査院説明員 それでは、簡単に御説明いたします。  民営賃貸住宅は、昭和四十九年度制度創設以来、連年建設、譲渡の数が増加しております。私ども、その徴収状況に着目して検査してまいりましたが、その滞納が年々増加しておりまして、昭和五十六年度に至りましてはその額が六十七億円に上り、調定額に対する割合も一七%という高率に上っております。しかも、その中には一契約分につきまして十二回分以上も滞納している者が全体の八〇%、五十一億円にもなっている状況でありました。  そこで、その原因につき検討いたしましたところ、譲り受け申し込みについての審査に当たりまして、調査が不徹底であったり、経営収支の見込みが甘かったりしているなど、審査が必ずしも十分であるとは言えない点がありました。また、支払い催告が緩慢であるなど、滞納発生後の対応措置に適切とは認められない点があることも判明いたしました。  そこで、これらの諸点につきまして適切な基準や指針を整備いたしまして、それが厳正に励行されるよう指導監督を徹底し、これによりまして業務の適切な運営を図る要がある、かように認めまして、改善処置の要求をした次第でございます。
  157. 春田重昭

    ○春田委員 この民賃制度というのは、昭和四十九年の四月から施行されまして、五十六年度までの実績は二千八十八件、五万六千二百四十六戸、建設費の総額が三百八十億三千四百二万円となっております。そして、そのうち滞納額が、いま検査院から御報告あったように、六十七億六千八百九十四万円、全体の約一八%になっているわけです。なぜこのように滞納額が多いのか、その辺の理由を、これは公団おいでになっていると思いますけれども、公団の方から説明してください。
  158. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 民営賃貸住宅は、先生御承知と思いますが、地主さんの協力を得て、大都市で不足しております賃貸住宅を供給しようという制度でございますが、これにつきまして会計検査院から御指摘いただきましたような事態になりましたこと、まことに遺憾に存じ、おわび申し上げたいと思っております。  その原因は何かということでございますが、これはいま会計検査院からも御指摘がございましたように二つございます。  一つは、申し込みを受けまして、いろいろ住宅の家賃がどれぐらい取れるか、あるいは下のお店の家賃はどれぐらい取れるだろうか、そういったことに関しまして調査が必ずしも十分でなかったというような点。それから、最近賃貸住宅の市場というものが一、二年ごとに非常にくるくる変わっております。そういった見通しについて的確性に欠けていたというようなそういった面が第一点でございます。  それから第二点は、これも御指摘を受けましたが、滞納が発生しましたときに、それに対して迅速にたとえば催告をやるとか、あるいはそういった原因は何か、家賃が高過ぎるのじゃないかというような、そういった指導と申しますか、そういったものを適確に迅速にやっていなかったということが原因だというように深く反省しております。
  159. 春田重昭

    ○春田委員 この検査院の報告書を読んでみますれば、公団側の、甘いといいますか、その辺の事前事後のいわゆる審査体制が非常に甘かったんじゃないかという面がうかがえるわけですね。当然返還すべき金を他に流用したり、返還するだけのお金がありながら返さないといった、何といいますか、そうした非常に問題にならないような点が指摘されているわけですね。こういった面で、公団としてのそうした事前事後の調査が厳格でないといいますか、かえって甘かったという点が浮き彫りになっているわけでございます。  そういった点で、公団側はこれらを改めていま鋭意対応なさっていると思いますけれども、この点は建設省にも言わしていただけば、直接的原因はそういう原因かもしれませんけれども、これは根本的に、やはり住宅建設計画がある、したがって七百七十万戸目標を持っているので、まあことしはこれだけやらなければいかぬという目標を立てているから、やれ建て、それ行けという形の建設省のハッパも公団側としてはかなり背景にあるのではないかと私は思うわけですね。そういった面で、やはりこの中身が検討されないままに、建てさせたらいい、ノルマだけやったらいいというような形のこうしたものができてきているんじゃないかと思うのです。そういった面も、私は建設省としては十分配慮してやるべきである、事前事後の検査を厳しくやるべきである、こう思うわけでございますけれども、建設省から見てこれはどうお考えになりますか。
  160. 内海英男

    内海国務大臣 民営の賃貸用特定分譲住宅の割賦金の滞納問題につきましては、ただいま公団側の方からも御答弁がございましたように、譲受人に対する審査、こういった面で公団の審査に多少ずさんなところがあった、甘かったという点も指摘されておるところでございまして、そういった点で適切を欠いておったということはまことに遺憾であった、こう私どもも考えておるわけでございます。  しかしながら、一面この制度は遊休地等を活用して良質で低廉な民間賃貸住宅を供給しようとする趣旨のものでございまして、民間エネルギーを活用する方法として有効だというふうに私どもも判断をいたしておりますので、業務方法の内容の改善、こういったところをさらに厳しく検討いたしまして、この制度の適切な運用を図って、その実効が上がるように今後指導してまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  161. 春田重昭

    ○春田委員 時間がなくなってきましたので、最後に民間の都市の再開発の問題と宅地の開発の要綱の問題について二点お伺いしたいと思います。  建設省は、都市対策推進委員会を設けて、その中で、都市の再開発の問題、宅地開発の要綱の問題等、いかに民間の建設、住宅投資の促進を図ることができるかということで、鋭意検討されているやに伺っておるわけでございます。去る七月六日には、民間再開発推進方策研究会の中間報告ですか、これも出されておるわけでございますけれども、建設省としてはこれを受けていま検討されているやに聞いておるわけでございますが、大体いつごろこうしたものが明確に出てくるのか、その内容というものはどういうものであるか、時間があと五分しかございませんので、ひとつ簡単に御説明いただきたいと思います。
  162. 吉田公二

    ○吉田説明員 お答え申し上げます。  去る四月の経済対策閣僚会議の結論もございまして、建設省といたしましては、民間の活力を活用いたしまして、都市の再開発あるいは宅地供給、こういうものを進める制約をなるべく除去していくということを検討しておりますが、民間の方でも、これはそれよりも早い時期でございますが、民間の再開発関係の仕事を担当されていらっしゃる方々が、主として等価交換方式というものを中心としました再開発事業というものの実態を分析し、またその隘路打開ということで研究会をつくるということで、建設省職員も若干これに賛同して協力をしてやってまいりました。その結論が先日出たわけでございます。  それはそれといたしまして、建設省といたしましては、別途、経済対策閣僚会議の線を受けまして、都市対策推進委員会、こういうものを設けて検討しておりますので、この結論は参考にはさせていただくわけでございますが、別途いま鋭意詰めておるところでございます。大体今月中にはその結論を出したいということで鋭意詰めておるところでございます。  内容的には、都市計画でございますとか、建築基準行政でございますとか、こういうものの中で、現在の社会の実態等に即しまして改善し得るものについてできるだけ幅広く改善いたしたいということで、ゾーニングでございますとか、あるいは優良な計画についての対応でございますとか、そういう面について現在取り組んでいるところでございます。
  163. 春田重昭

    ○春田委員 いま鋭意検討して取りまとめ中ということでございますけれども、この開発区域内の区画道路の幅員の問題ですね、一部報道では六メートルを限度とするよう地方自治体に指導方針を出されるように固められた。現在この土地区画整理法の施行規則では、区画道路住宅地内では幅員が六メートル以上でなければならないとなっておるわけですね。それが六メートルを限度とするとなれば、相当、何といいますか、従来は六メートル以上、今回の方針が六メートル限度となれば、建設省が心配しているミニ開発の方向になっていく面もあるし、また、防火、交通安全面でも非常に支障を来すのじゃないかと思うのです。その辺のところはどういう形で検討されているのですか。
  164. 吉田公二

    ○吉田説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げました都市対策推進委員会におきまして、一つの課題といたしましていわゆる指導要綱という問題についての検討をいたしているわけでございます。指導要綱はそれなりの意義があるわけでございますが、中には基準等についていかがかというような若干行き過ぎの面もあるわけでございまして、そうしたもののガイドラインについて現在検討しているところでございます。  それで、六メーターという問題でございますが、都市計画法によります開発許可の基準でございますとか、先生指摘の区画整理法の設計標準、こういうものにつきましても六メーター以上というのが大体線でございます。六メーターが確保されていれば通常の市街地として区画街路の機能は十分ではないかという判断があるわけでございますが、中にはかなり大きなものを指導要綱として指導しているというものもございます。そこら辺、実態に即しましていま鋭意検討を続けているところでございます。
  165. 春田重昭

    ○春田委員 私の資料では、六メーター以上が全体の自治体の中で一〇%ぐらいあると聞いているわけでございます。そういった面が要するに業者に大きな負担になるということで、宅地開発の促進に支障を来すということでこういう形になったのだろうと思いますけれども、その一方、そうした面が地方自治体のいわゆる負担増になることも考えられるわけでございますし、また、先ほど言ったように、消防車や救急車の活動等に支障を来すという面もあるわけでございますから、その辺も十分しんしゃくしながら慎重に対処してほしい。  最後に、大臣に、この問題につきましての御所見をお伺いして終わりたいと思います。
  166. 内海英男

    内海国務大臣 総務審議官の方から大体答えておるわけでございますが、今月中に取りまとめをやりまして、できるだけ早い機会に都市再開発というものをいかに推進していくかという具体的な方策を見出していきたい、こう考えておるわけでございます。
  167. 春田重昭

    ○春田委員 終わります。
  168. 古屋亨

    古屋委員長 宮田早苗君。
  169. 宮田早苗

    ○宮田委員 私も土地政策の問題について最初に御質問するわけでございますが、まず住宅、土地政策について数点お伺いすることにいたします。  このところ住宅建設は、いままでも答弁で聞いておりましたように低い水準で推移しておるわけでございますが、国民の居住水準の向上を図る上でも、また内需を中心とした経済の安定的発展を確保する上でも、住宅建設の回復が必要であるということは十分に考えられるわけでございます。  そこで、最近でございますが、新聞報道によりますと、住宅需要のてこ入れのために住宅減税を実施する構想を建設省は持っていると聞いておるわけでございますが、その内容をまずお伺いいたします。
  170. 内海英男

    内海国務大臣 国民の住宅に対する要望は大変強いものがございます。また一面、内需の拡大に資するためにも住宅建設の促進ということがきわめて重要であるということで、われわれもその施策に沿って努力をいたしておるわけでありますが、何にいたしましても、財政事情が御案内のとおり大変厳しい状況にあるわけでございます。したがいまして、建設者といたしましては、あらゆる知恵をしぼって有効な対策がないものかということでいま努力をいたしておるところでございます。そのような中で、その施策の一つとして、従来の住宅税制の改善、こういったものも一つの方策ではないかということで、住宅取得のための生前贈与に係る贈与税の特別措置、こういったものも一つの検討の対象になるのではないかということで、われわれはいま努力をして検討しておるところでございます。  以上でございます。
  171. 宮田早苗

    ○宮田委員 大臣がおっしゃいました構想について私どもも大いに歓迎するところでございますが、さきの質疑を聞いておりましても、五カ年間に立てました目標が達成しにくいその最大の欠点といいますのは、個人が住宅を建てる、買うための資金計画がなかなか立てにくい状況にある。その資金計画を立てやすくするためにはどうしても金が入りやすくする、こういうことにしなければならぬと思います。  そこで、贈与税云々ということについてはぜひやっていただかなければならぬと思いますが、これだけではまだまだ不足の面があると思います。この贈与税というほかにまだ個人が手っ取り早く取りかかりやすい金融的な方法ということをお考えならば、当局の方で出していただきたいと思います。
  172. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 いま大臣から御説明がありましたように、住宅の税制につきまして、一つの考え方といたしまして生前贈与に係る贈与税の特例措置等を検討しているわけでございます。  そのほか、住宅金融面で住宅金融公庫の融資制度改善を十分に図っていく、そのため、まだこれは検討中でございますので、来年度予算要求等と絡んでまいりますが、たとえば、融資の限度額につきましてこれを引き上げるかどうか、あるいはまた、再開発のための住宅融資につきまして特段の措置を図るかどうか、あるいはまた、再び税制に関連いたしますが、再開発に係る買いかえ特例措置というようなものの創設ができるかどうか、そういうようなこと全般につきまして検討を重ねているところでございます。
  173. 宮田早苗

    ○宮田委員 もう一つ関連してお問いいたしますのは、時期の問題についてでございます。タイミングといいますか、せっかく所得税を減税することによって景気の浮揚を図ろうという意図が与野党とも合意されておるわけでございますから、そういうものと関連させて考えなければ、別々に考えても効果がちょっと出にくくなると思いますが、その辺の考え方は大臣どうですか。
  174. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 お答え申し上げます。  ただいま申し上げました税制の改善措置等につきましては、現在のスケジュール等から申しまして、来年度税制に係るものでございまして、ただいまいろいろ政府等で検討していると聞いております所得税減税等との関係では、それと同時に行うことはなかなかむずかしかろうと思います。私どもとしては、いま来年度の税制改正として検討しているところでございます。
  175. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に、政府は四月五日の経済対策閣僚会議の中で、第一種住居専用地域の見直し、都市再開発の推進、市街化調整区域の見直し、借地方式によります宅地供給などを検討する方針を決定されたわけでありますが、具体的な検討はどうなっておるか、これもお伺いいたします。
  176. 吉田公二

    ○吉田説明員 お答え申し上げます。  四月五日の経済対策閣僚会議におきまして、今後の経済対策といたしまして、規制の緩和等によります民間投資の促進ということで、先生指摘のように、いろいろな点について決定があったわけでございます。  これらの中身でございますが、第一種住居専用地域の見直し等、こういった都市再開発の推進に係ります条件整備というようなもの、あるいはまた、宅地開発指導要綱の行き過ぎ是正というものの指導等につきましては、省内に都市対策推進委員会というものを設けまして、七月中を目途に検討を進めているところでございまして、目下鋭意詰めているところでございます。  それから、この中で国公有地の活用というテーマもあったわけでございますが、これにつきましては、先般政府関係機関の中で、国鉄用地について一応の結論を出したところでございます。その具体化について現在検討を進めているところでございます。  それから、線引きの見直しという問題につきましては、昨年の九月に指導通達を出しておるわけでございますが、その促進についてさらに協力を要請しているところでございます。  また、この中にございます開発許可の規模要件の引き下げというテーマにつきましては、本年五月に政令改正を行いまして、七月一日施行で、従来二十ヘクタール以上でございましたものを、都市機能の維持または増進に寄与する開発行為につきましては五ヘクタール以上であっても開発許可を行うことができるように措置をいたしたところでございます。  さらに、借地方式、こういった方式によります宅地供給の方策につきましては、借地契約の明確化というような問題等につきまして、現在、研究会を設けて検討いたしているところでございます。
  177. 宮田早苗

    ○宮田委員 住宅にとって宅地供給が基本であるということは当然のことでございましょうが、ただいまおっしゃったことをさらに具体化を早くしていただくようにお願いをいたします。  次にお問いいたしますのは、住宅ローン控除の改善ですね。そして、住宅金融公庫公庫貸し付けの充実、財形持家融資の普及活用などについては、住宅建設促進のため積極的に推進してほしいわけでございますが、公庫融資の場合、会社倒産、失業などによりまして一時的に返済不能となった者に対します住宅ローン債務者の救済措置についてはどうなっておるか、お伺いをするわけです。また、財形持家融資について制度の一層の普及活用を図るべきだ、こう思うわけでございますが、この点についてもどうなっておるか、お伺いをいたします。
  178. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 住宅金融公庫の融資の場合に、一時的に返済がむずかしくなったという者に対します救済措置といたしましては、従来から元金や利息の一部を繰り延べる等の救済措置を講じてきております。今後ともその適確な運用を図るよう公庫を指導してまいりたいというように考えているところでございます。  それから、財形持家制度につきましても、これまで、昨年でございましたか、利子補給制によりその資金の効果的な活用を図るよう措置をしておりますが、今後ともその活用を図ってまいりたいと考えております。
  179. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に、住宅都市整備公団の未入居住宅や保守管理住宅の問題については、まだ解消に至っていないと思いますが、この厳しい財政状況また住宅事情から見て看過できない問題であると考えておるところなんです。こうした未利用住宅を早期解消するためどのような対策を打っておいでになるか、お伺いをするわけです。また、保有土地についても早期利活用を図ることが重要であると考えますが、その対策についてもお聞きをいたします。  次に、公営住宅の適正な管理のためには、収入超過者への割り増し賃貸料ですか、高額所得者の明け渡し請求、それから目的外利用などについては厳正な措置をとるべきでございますし、また、夜逃げという言葉はおかしいのですが、無断で出ていく、そうした者に対しますところの適切な取り扱いも当然必要というふうに思いますが、こういう一連の問題についての措置についてお聞かせ願いたいと思います。
  180. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 まず御質問の、公団住宅の未入居住宅あるいは保守管理住宅の早期解消のための方策でございますが、これにつきましては、昭和五十六年三月、建設省の中に公団住宅事業促進対策委員会を設置いたしまして、傾斜家賃の据え置きでありますとか、二戸一改造等による住宅の大型化、住宅種別の変更等の対策を取りまとめまして、昭和五十八年度末までに未入居住宅等のおおむねの解消を図るよう公団に指示しているところでございます。  また、長期保有土地の問題でございますが、これにつきましても、本委員会におきまして、個別地区ごとに市街化区域への編入、関連公共施設整備の促進等の対策を講ずることといたしまして、これも同じく公団に指示しているところでございます。  公団では、こうした指示を受けまして対策の実施に努力をいたしておりますが、まず第一の未入居住宅等につきましては、昭和五十二年度末に約四万戸でございましたが、それが五十七年度末には約一万五千戸に減少をしております。また第二の長期保有土地関係でございますが、これも二十一地区のうち二地区につきましては、すでに事業が進捗し処分しておりますし、十一地区につきましても事業が進捗をしておるという状況でございまして、逐次成果を上げつつあるわけでございます。建設省におきましても、引き続き対策の推進につきまして鋭意公団を指導してまいりたいと考えております。  次に御質問の、公営住宅の適正管理の関係でございますが、公営住宅は御案内のとおり、住宅に困窮する低額所得者に対しまして低廉な家賃で住宅を賃貸するということによりまして、国民生活の安定、社会福祉の増進に寄与するものでございます。そのため、こういった目的に沿いまして、収入超過者及び高額所得者に対する措置、さらに御指摘がございました入居者の保管義務違反に対する措置につきましては、これらを適時適切に行うよう、従来から事業主体であります地方公共団体を指導しているわけでございます。本年の四月五日にも住宅局長通達によりましてこの趣旨の徹底を図ったところでございます。今後とも、こういった対策を適切に実施することによりまして、遺憾のないように措置をしていきたいと考えております。  以上でございます。
  181. 宮田早苗

    ○宮田委員 関連してお聞きいたしますと、五十八年末までに一万五千戸分が解消できるという見通しでございますね。もう一つ、それに関連しまして、公営住宅の賃貸料の未払い額というのが現在どの程度になっておりますか、わかっておりまますならばちょっとお知らせ願いたいと思います。
  182. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 ちょっといま手元に資料がございませんので、後ほどお届けいたします。
  183. 宮田早苗

    ○宮田委員 いずれにいたしましても、住宅政策の重要性というのは大臣初め当局の皆さん一番御存じと思いますので、できる限りの御努力をお願いをいたしまして、次の質問に移らせていただきます。  次は、高速自動車国道建設に関する問題でございます。  最近、道路審議会が第九次道路整備五カ年計画を答申をして閣議決定を見たわけでございますが、その中には幾つかの目標が掲げられておりまして、そのいずれもが日本経済並びに国民生活にとって重要な課題であると思っております。中でも高速自動車国道などの幹線道路は、多額の投資を要するものだけに、着工後はできるだけ早期、重点的に完成させることが投資効率という面から見ても非常に大切であると思います。そこで、列島縦貫高速道路でございますが、一部に未開通部分がありまして経済効果を著しく損ねているわけでございます。たとえば九州縦貫道も、中国自動車道が本年三月全面開通をしたことによりまして、九州と関西、東京が直接結ばれております。しかし、九州の産業、経済活動に大きな寄与をすることになったとはいいましても、九州内におきましては、起点の門司から八幡の三十一・三キロメートルが未開通でございまして、さらには八代—人吉、人吉からえびのの間の早期完成も重要であるということはもちろんでございますが、こうした寸断状態を早くなくすことが肝要であると考えるわけでございますが、まず、門司—八幡間の用地買収、それと工事整備状況、それから開通時期、この問題についてお聞きをいたします。
  184. 沓掛哲男

    沓掛説明員 最初に、第九次道路整備五カ年計画における高速自動車国道整備目標を御説明さしていただきまして、続いて、門司—八幡間の高速道路整備状況説明したいと思います。  最初の点でございますが、高速自動車国道は国土の均衡ある発展と国民生活の向上を図るために不可欠な社会資本であり、二十一世紀初頭までに法定予定路線約七千六百キロメートルを完成させることを目途に建設を推進いたしており、昭和五十七年度末の供用延長は三千二百三十二キロメートルに達しております。第九次道路整備五カ年計画では、計画期間中、昭和五十八年度から六十二年度までの五年間でございますが、この期間中に約千百キロメートルの区間を新たに供用し、昭和六十二年度末の供用延長を約四千三百キロメートルとすることを目標としており、国土の背骨となる縦貫道の早期完成を図るとともに、関越、常磐、近畿、山陽など縦貫道に準ずる各道や、国土の肋骨となり地方の生活と産業を支えるための基盤となる横断道等の整備計画的、効率的に推進していきたいと考えております。  第二番目の門司—八幡間の高速道路整備状況等でございますが、いま先生お話のありました九州縦貫自動車道は、門司—鹿児島間を結ぶ鹿児島線と、えびので分岐して宮崎に至る宮崎線の二路線から成る延長約四百三十キロメートルの高速自動車国道で、九州の各都市と関西、東京など全国各地をつなぐ上で重要な路線であります。  このうち、八幅—八代間百八十三キロメートル、えびの—鹿児島北間六十五キロメートル及びえびの—宮崎間八十三キロメートルの計三百三十一キロメートルがすでに供用開始されております。残りは、門司—八幡間の三十一キロメートル、八代—人吉間四十三キロメートル及び鹿児島北から鹿児島間の五キロメートルにつきましては、現在用地買収及び工事等を鋭意推進しているところでございます。  御指摘の門司—八幡間三十一キロメートルのうち、門司—小倉東間十三キロメートルにつきましては、今年度末の供用を目途に現在全線にわたって工事を展開いたしておるところであります。さらに、小倉東から八幡間の十八キロメートルにつきましては、用地買収の進捗率は七七%、この五十八年七月一日現在でございますが、さらに、工事につきましては全線の一二%の区間で着手しており、昭和六十二年度までに供用開始できるよう地元関係者の御理解を得て整備の促進を図ってまいりたいと考えております。
  185. 宮田早苗

    ○宮田委員 ただいま御説明をしていただきましたが、特に小倉東から八幡にかけての用地買収が五十八年の七月一日現在で七七%、これの買収はいつごろ完了される予定でございますか。
  186. 沓掛哲男

    沓掛説明員 用地買収につきましては、これは相手方のある話でございますので、御協力を得ながら進めていかなければならない問題でございます。事務的には、昭和六十二年度までに供用したいというふうに考えておりますので、そのためにも用地買収は六十年度までに終えたいというふうに思っております。
  187. 宮田早苗

    ○宮田委員 もう一度念のためにお聞きしますが、五カ年計画最終年度の六十二年、それまでに完成ということで目標を立てて実行されるということでよろしいですね。
  188. 沓掛哲男

    沓掛説明員 先生いまおっしゃられたとおりでございます。
  189. 宮田早苗

    ○宮田委員 よろしくひとつお願いをいたします。  次に移らせていただきますのは、災害復旧の問題についてでございます。  先日の日本海沖地震災害において大きな被害が出たわけでございまして、人命も失われたわけでございまして、これの早期対策が特に望まれておることは当然なことと思います。それとともに、昨年度の台風、集中豪雨によります長崎などの災害復旧についても早急に作業を進めるべきであると思いますが、これらの復旧状況はどうなっておるか、まずお伺いをする次第です。
  190. 井上章平

    井上説明員 昭和五十七年に発生いたしました建設省所管公共土木施設の被害額は、直轄補助事業を合わせまして八千二十三億ということで、これは金額では史上最高を記録する非常に激甚なものでございました。これらの被害に対する災害復旧事業といたしましては、直轄災害は二カ年、補助災害は三カ年で完了する方針のもとに進めております。ただ、昭和五十七年発生災害につきましては、五十七年度において災害の早期復旧を図るため、予備費及び補正予算によって、直轄災害は標準進度五〇%に対しまして七五%、補助災害は標準進度三〇%に対しまして七〇%の進度アップの措置がとられております。さらに引き続きまして、五十八年度予算におきましても、直轄災害は累計一〇〇%、補助災害は同じく八五%までの復旧が図られるのに要する予算措置が講じられております。現在、この予算措置に基づきまして、災害復旧事業を鋭意進めておるところでございます。
  191. 宮田早苗

    ○宮田委員 さらに引き続いてでございますが、最近の災害といいますのは非常に大きくなっておりまして、しかも、予算規模も二、三倍ということにふくらんでおるわけでございますし、また、国民生活に非常に大きな影響を与えるわけでございますので、生活に万遺漏なきような措置をぜひひとつとってほしいということでございます。  さらに、最も重要なことは、災害を未然に防ぐことであろう。これはもう当然御存じのとおりでありますが、そのためには治水事業の推進が重要だと考えておりますが、建設大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  192. 内海英男

    内海国務大臣 御案内のとおり、わが国は、地形、気候等の自然条件から見ましても、災害を大変受けやすい国である、こう思っておるわけでございます。しかも、急傾斜の河川、急流の河川でございますので、はんらんする危険性がある区域、そこには膨大な人口、資産が集中しておる、こういったわが国の状況でございますので、このためにも従来から治水事業を精力的に進めてまいったわけでございます。しかしながら依然として全国各地に水害が頻発をいたしておる現状でございます。  治水事業は、国民の生命と財産を水害から守ることにより国民の生活の安定と向上を図る、こういった政治の基本をなすものでございまして、わが国の社会経済の発展のために、また、国土の基盤整備の根幹となる事業である、こう私どもは認識をいたしておるわけでございます。したがいまして、長期的視野に立ちまして計画的に進めていく必要がある、こういった観点から、現在、昭和五十七年度を初年度とする第六次治水事業五カ年計画実施中であるわけでございます。しかしながら、御案内のとおり最近は大変厳しい財政状況にもございますので、なかなか目標どおりにはまいりませんけれども、治水事業の目的を踏まえまして、今後とも最善の努力をして、災害を未然に防止するといった目標に向かって全力を挙げて努力をしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  193. 宮田早苗

    ○宮田委員 最後でございますが、住宅問題につきましても、道路建設問題につきましても、災害を未然に防ぐ治水事業にいたしましても、最近、国際的な貿易問題で日本経済の前途大変むずかしい立場に立たされておるということは御承知のとおりであります。これをどう解決するかという最大の要点というのは国内需要の喚起以外にない、国内需要を旺盛にする以外にないというその基本的なもとを握っておいでになるのが、建設省所管住宅であり、道路建設であり、あるいは治水治山であるわけでございますから、私は非常に重要な立場と思っておるところであります。大臣のいままでの答弁を聞きまして、私も大変気を強くしたわけでございますが、さらに今後のいろいろな問題については、ひとつ格段の御努力をしていただきますように、大変恐縮でございますが、もう一度決意のほどをお示し願いたいと思っております。
  194. 内海英男

    内海国務大臣 大変力強い御理解と御鞭撻をいただきまして、私も大変うれしく思っておるわけでございます。  先生の御指摘のとおりの内需の喚起によりまして、景気の回復を図り、日本の経済を立ち直らせたい、こういった趣旨で今後とも全力を挙げる決意でございます。超党派でひとつ御支援のほどをこの機会にお願いを申し上げる次第でございます。
  195. 古屋亨

    古屋委員長 三浦久君。
  196. 三浦久

    ○三浦(久)委員 まず、住宅都市整備公団に対してお尋ねをいたしたいと思います。  家賃の値上げの問題ですけれども、公団は十月一日から一斉に家賃の値上げをしようとしておりますが、全国の公団入居者、これは大変怒っております。できるだけ低廉な家賃で住宅を提供する、これが公的住宅の趣旨だと思いますけれども、居住者もこれを期待して入居しているわけですね。それを五千円から一万円ぽんと一遍に値上げをする。とんでもないことだといって怒っているわけであります。特に、政府自身がことしは人事院勧告の凍結をやる、公務員の貸金が上がっていないから民間の賃金も据え置くのだ、こういうようなことで労働者一般の賃金が非常に低く抑えられているというのが現状でございます。そのために大変生活が苦しくなっているわけですね。それが端的にあらわれているのは、もう指摘がありましたように、家賃の滞納者、これが非常に急増しておるということであります。八一年度で見ましても十万件もある。これは全居住者の一五・三%にも及んでいる、こういう報告がなされているわけですね。値上げの理由は、たとえば赤字だからという理由ではない。結局、新旧家賃の格差の是正ということが理由になっているのですけれども、それなら、格差是正というのなら低い方に合わせればいいじゃないかという理屈だって出るわけでございまして、これだけではなかなか居住者を納得させるということはできないと私は思うのです。そういう意味で、家賃の値上げを再検討するという気持ちはないのかどうか、まず最初にお尋ねいたしたいと思います。——大臣でもいいですよ。
  197. 内海英男

    内海国務大臣 私から答えろということでございますから、私からお答えいたします。  住宅家賃の値上げの申請がございまして、私もいろいろと配慮をして相談をしてまいったわけでございまして、先生から御指摘を待つまでもなく、上げない方がいいに決まっておるわけでございます。しかしながら、情勢やむを得ないというような事態であるという判断に基づきまして、しかも国会において十分御審議をいただいて論議を尽くした上で判断を下したい、こういった考え方に基づきまして、衆参両院において委員会で集中審議をしていただいたわけでございます。その中で、先生方の御審議を通じてまとまった見解といいますか、御要望といいますか、委員長見解ということでお取りまとめをいただいた御意見があるわけでございます。それを踏まえて判断をいたしまして、不均衡を是正する、しかも、要望事項の中にありましたとおり、値上げをしたものについてはできる限り修理方面にその費用を使うのだ、こういうような、あの項目の中に幾つもございますが、その趣旨を踏まえて今後公団は努力をしていくという判断のもとに値上げに踏み切った、こういうわけでございます。したがいまして、入居者、非常に数の多いことでございますから、その方々にとりましてある意味においては御不満のところもあるかと思いますが、そういった点につきましても、公団側では十分対応しながら、御理解いただくような努力をして御納得をいただくように努力をしなさい、こういう指導をして、御理解をいただくように、御協力をいただけるようにいま運んでおる、こういう状況でございます。
  198. 三浦久

    ○三浦(久)委員 格差是正というものを理由としながら、今回一斉に値上げの通知がなされておる。それを見ますと、逆の格差が出ているということが報告されております。これはかなり全国的にそういう状況が出ておるわけですね。古い家の方が高くなっておるというようなことがちょいちょい言われるわけですね。これはかなり広範囲に発生をしている問題ではないかと私は思うので、この問題についてやはり調査をして是正するということが必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょう。
  199. 内海英男

    内海国務大臣 先ほども申し上げましたように、数の多いことでございますから多少そういった点があるかもしれません。したがいまして、そういう点については今後公団側で調査をされるものと思います。先ほどの前の前の先生あたりの御質問にもございましたが、そういった点につきましては、今後公団側で十分実態を調査した上で具体的に対処されるものと私どもは判断をいたしておるわけでございます。
  200. 三浦久

    ○三浦(久)委員 まあいいですよ。家賃値上げについては居住者のかなり強い反対がありますけれども、これを押し切って値上げに踏み切っているわけなんですね。  ところが、一方では、公団の土地の買収問題、この問題では非常に大きな疑惑を生んでいると私は思います。不正な方法で不当に高く買っている、こういう事例がたくさんあると思います。  私の九州の場合にも、林兼商会の土地の売買の問題があるわけです。この林兼商会の土地の売買をめぐる問題につきましては、参議院の建設委員会でも、また衆議院の地方行政委員会でもずっと議論がされてきておるわけでありますけれども、これは調べれば調べるほど疑惑が深くなっているんですね。きょうもまたこの問題を取り上げて私は質問をいたしたいと思いますが、大臣にもお聞きいただきたいのです。  この事件は、昨年四月二十二日に大洋漁業グループの林兼商会、これは社長は中部一次郎で、安倍外務大臣の後援会長もいたしておりますけれども、この林兼商会が福岡県の筑紫野市の杉塚・塔原地区に所有している約十三万坪の土地でありますけれども、これを公団に三十七億円で売却をいたしたわけであります。その売却に当たって、林兼商会が平川芳延、それから大関剛夫、そういうフィクサー、これは表面には出ないで裏工作をする人たちでありますけれども、この二人にこの土地の公団への売却、これを依頼するわけですね。そして、成功したら五億円の報酬を支払う、こういう契約を結ぶわけであります。そして、そういう契約に基づいて平川、大関という両フィクサーが公団に対する売却でもっていろいろな暗躍をいたします。そういう暗躍の中で、売り込みについてもまた値段の交渉についても、政治家その他の有力者が動き回るわけであります。そしてその結果、昨年の四月二十二日に三十七億円という値段で売買が成功するわけでありますけれども、林兼商会は売買が成功した途端にフィクサーに対する五億円の報酬を支払うのが惜しくなりまして、これも報酬契約書がございますけれども、暴力団を四千五百万円で雇う。そして平川、大関らをピストルでおどかす。そして報酬請求権を放棄させた、こういうおまけまでついています。これは警察庁が現在捜査中だということを言明しております。こういう事件なんですが、その一つ一つの局面でいろいろな疑惑が出ております。  そこで、順を追って私は若干説明をいたしたいと思います。  最初のころは志村総裁が就任する前の話になるのですね。公団も認めておりますように、五十五年の十月六日に福岡県庁の今井一広という係長、彼がこの土地の売却問題の話を公団の九州支社に持ち込むわけであります。それから、五十五年の十一月に筑紫野市から開発の要請があった。五十五年の十二月に林兼商会から正式に譲渡の申し入れがあった。こういうことを公団は認めておるわけですね。  ところが、当時の九州支社長の秋山実氏、この方はこの土地の売買についてはきわめて消極的でありました。秋山氏は私どもに直接、当時の自分の心境をお話しになっておられます。  ちょっと話が変わりますが、公団はこの前の参議院建設委員会での上田質問がありました後、この上田質問の議事録を大阪にいる秋山氏に送付いたしておりませんか。
  201. 久保田誠三

    ○久保田参考人 お答えいたします。  秋山氏の支社長当時のことが国会で審議されておりましたので、その事実を知らせるために議事録を秋山氏に送ったものでありまして、別段他意はございません。
  202. 三浦久

    ○三浦(久)委員 私どもはことしの六月一日に秋山さんと会ってお話を聞いておりますが、秋山さんは議事録を読んだ感想をいろいろ言われております。これは必要があればまた後で述べますけれども。議事録を読んだ感想を言われた後にこう言っているのです。私は五十六年二月十七日に林兼商会の小山専務と支社長室で会った、こういうふうに言っておるわけです。五十六年二月十七日、そんなことをよく覚えていますね、と聞きますと、議事録を送られてから自分で調べてみたと言っております。そうすると、間違いなく五十六年二月十七日に会っているんだ。一時間ぐらい会った。その場には讃井君がいた、こう言っております。讃井君というのはどういう人か知りませんけれども、恐らく公団の人でしょう。小山専務は、そのときこういう話をしたと言うのですね。塔原杉塚地区の十三万坪のこの土地を自社開発しようとしていたら、公団が開発するという話があったのでよろしくお願いしたいと、恩着せがましくそういうことを言ったらしい。それで秋山支社長は、それは話が違うぞ、公団としてはあの土地について全然開発の計画もないし、購入するということをまだ決めてもいないのだ、そう言ったらしいのですね。ですから、話がスタートから食い違っておった、彼はこういうふうに言っております。そして、自分は、林兼商会や大洋漁業は赤字だ、こういう赤字会社の土地に手を出したら大変なことになる、そういうふうに思ったというのですね。そして、赤字会社の赤字を補てんするような気は公団には毛頭ない、そういうふうにはっきり言って私は断りました、こういうふうに言っておるわけであります。  本件土地について、秋山支社長が購入に対しては消極的であったことは事実だったのかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
  203. 久保田誠三

    ○久保田参考人 その点につきましては、私どもといたしましては特に存知いたしません。
  204. 三浦久

    ○三浦(久)委員 私どもは直接本人から話を聞いておるわけですよ。ですから、こういうふうに秋山氏がこの土地の購入に対して消極的であったということは、なかなか話が進まないということでしょう。それで、この前も指摘いたしましたように、五十六年の四月八日、料亭満佐での筑紫野松田市長、滝井部長、小山専務、これらとの会合に秋山さんが全然出席していない、そういう理由もはっきりするわけですね。もう支社長の頭越しでやっているわけです。ですから、秋山さんは、料亭満佐の件は一切知らなかった、こうわれわれに言っております。ましてや、自分の部下である滝井部長が支社長に断りもなく議事録をつくって判こを押した、そんなことは全く知らなかった、これは越権行為だ、こう言っていますね。そしてかんかんに怒っておられるわけであります。  結局、いま私がお話ししましたように、料亭満佐での筑紫野市長と林兼商会と公団との話し合い、非常に重要な話し合いですよ、これが支社長の頭越しに行われているということですね。これは私は大変な疑惑だと思うのです。とても滝井氏一存でこんなことができるわけはないのであります。ということは、本社に対してもさまざまな工作が並行して行われたということを意味しているだろうと私は思います。  それで、余り詳しいことは述べられませんけれども、五十五年の十月二十九日、公団本社の当時の平田盛孚さんという次長さんがおられますね、この平田盛孚さんという次長さんと林兼商会の小山専務が東京で会ったという事実はございませんか。
  205. 久保田誠三

    ○久保田参考人 ございます。
  206. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そのときに平田次長は、福岡には連絡をとりました、よい土地のようですね、こういうふうに述べているらしいのですけれども、そういう事実はありましたか。
  207. 久保田誠三

    ○久保田参考人 その辺のところははっきりいたしません。
  208. 三浦久

    ○三浦(久)委員 その後、五十五年十一月の五日、林兼の大束副社長、小山専務が平田次長に会って、これは公団の本社で会っておりますけれども、正式に売買の要請をした、そういう事実はありますか。
  209. 久保田誠三

    ○久保田参考人 お答えします。  日付につきましては、第一回の小山さんがおいでになったときと、今回その次のいま先生がおっしゃった日付と、その辺のところはちょっと本人に聞いてみましてもはっきりしないところがありますので、しかしいずれにしても二度ほどお見えになったということで、同じような土地のことについて話があったということは聞いております。
  210. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、小山専務がお見えになった、その後しばらくたってから小山専務が大束副社長と一緒に平田次長に会った。そういうことは認められるわけですね。——わかりました。  そういうことで、両方のパイプを使って話が進められておったと思うのですね。そういう中で、結局五十六年四月八日の支社長を除いた料亭満佐での会談が行われた、こういうことになるわけですね。  私は、ちょっと気になるので聞いておきますが、料亭でこういう仕事の話をするということはいいことなんでしょうか、どうなんでしょうか、総裁にちょっとお尋ねします。
  211. 志村清一

    志村参考人 お答えいたします。  用地交渉というのはなかなかむずかしいものであることは先生御承知のとおりだと思いますが、たまには一緒に飯を食うということもあり得ると思いますが、りっぱな料亭で飯を食ったりなにかするというふうなことは望ましくない、かように思います。
  212. 三浦久

    ○三浦(久)委員 これは料亭満佐というのは一流の料亭でしてね、このとき昼間から料亭で話しているわけですね。費用幾らだと思いますか、三十四万円ですよ。これは林兼商会が払っているのです。仕事の内容については、議事録を見ても、まあまともな話をしていますね。しかし、まともな話をしたからといっても、まともな職務の執行だといっても、それをやることによって便宜供与を受ける、賄賂を受けるというようなことは、これは涜職罪になりますね。贈収賄罪になりますね。ですから、これは非常に贈収賄の疑いが濃い問題ですよ。三十四万円払っているのですから。  それはまた警察の方で捜査しているそうですから素通りしますけれども、好ましいことではないということですから次に進ましていただきますけれども、その料亭会談のあった後、五十六年の九月、秋山実氏は九州の支社長をやめますね。どうですか。
  213. 久保田誠三

    ○久保田参考人 さようでございます。
  214. 三浦久

    ○三浦(久)委員 結局、邪魔者はもう追放されているという、そういうかっこうになっているわけであります。  それで、資料の一ですが、五十六年の五月二十九日、東京のホテルグランドパレスで平田次長と小山専務が会談をしている、そういう事実はありますか。
  215. 久保田誠三

    ○久保田参考人 日付は正確かどうかわかりませんが、その日付は別といたしまして、当時平田は非常に忙しい仕事に従事していまして、何か電話は小山さんからいただいたそうですけれども、そういう忙しい仕事のために、会うことができないと申して、会わなかったそうでございます。
  216. 三浦久

    ○三浦(久)委員 これは会談の主な内容というので、小山専務の直筆のメモがあるのです。これはホテルグランドパレスの便せんです、三枚。  この中に、こういうのがあるのです。最初は平田次長の言ったことが十項目について書かれている。そしてその次は、小山専務が公団に要望したこと、そのことが四項目にわたって書かれている。そして、今後どうするのかという、まあ対策ですね、それが四項目にわたって書かれているわけですね。そういうのがわれわれ手に入っている。  これによりますと、「大佐野地区が不調になったのでこの物件が浮上した。」こういうことを平田次長が言っておりますね。「支社長はこのプロゼクトには消極的であった。大佐野不調以来多少変って来た。併し今度の人事で移動する公算大である。」こういうようなことを平田次長がしゃべっているわけですね。これはきわめて不明朗だというふうに私は思っております。  その後、五十六年の十月に新公団が発足をして、志村さん、あなたが総裁に就任をされるわけでありますが、それで今度は、総裁がかわりましたので、新たに志村総裁に対してどういう働きかけをするのか、どういうふうに影響力を行使するのか、そういうことを平川氏とか大関氏は考えているのです。そこで登場するのが小松康彦なんです。  総裁は、参議院の三月二十三日の建設委員会で、小松康彦を知っているというふうに言われておりますね。小松康彦とはいつごろからどういう関係で知っているのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  217. 志村清一

    志村参考人 参議院でもお答えしたように、小松氏は私の近所に住んでおりましたので、いわば近所づき合いという程度のことでございます。
  218. 三浦久

    ○三浦(久)委員 いつごろからでしょうか。
  219. 志村清一

    志村参考人 どうもはっきりしておりませんけれども、小松君の奥さんが昔、私の隣におった人のお嬢さんで、そのお嬢さんにうちの坊主が小さい時分にかわいがられたものですから、たまたま小松氏とそのお嬢さんが結婚したという関係で、近所でもあるし、お知り合いになったということでございまして、ただ、いま小松さんは離婚をしてその方とお別れになったもので、私どももつき合いがなくなっておる。いまどこにおられるか、よく知りません。
  220. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、家族ぐるみのおつき合いだったということが言えるのじゃないかと思うのです。私らもちょっと調べてみましたら、総裁が世田谷区の上用賀のマンションにいらっしゃいますね。五〇九号が総裁の部屋で小松康彦は五〇三号、同じ階におる。小松康彦というのは総裁を大変慕っている人じゃありませんか。どうですか。大変尊敬しているのじゃありませんか。
  221. 志村清一

    志村参考人 相手がどう思っているか、私はよく存じませんけれども、近所づき合いはいたしておりました。
  222. 三浦久

    ○三浦(久)委員 つき合っていれば、相手がどう思うかわかるでしょう。この小松康彦の商売は何ですか。
  223. 志村清一

    志村参考人 不動産屋だそうで、ただ、自分でやっていた不動産屋がつぶれてしまって、何か別なことをやって、また不動産屋をつくったとかいう話は聞きましたが、詳しいことはわかりません。
  224. 三浦久

    ○三浦(久)委員 総裁は、大関剛天という太った人を知りませんか。
  225. 志村清一

    志村参考人 存じません。
  226. 三浦久

    ○三浦(久)委員 大関剛夫氏は小松氏の友達なんですけれども、志村総裁の自宅にも伺ったことがあると言っております。それから、総裁に就任される直前の五十六年の八月、総裁は軽井沢に別荘をお持ちですね、レイクニュータウンにある総裁の別荘なんですけれども、そこに小松、大関が訪ねていった。総裁には、大きい、当時学生さんだったのでしょうか、子供さんがいらっしゃるようですね。総裁とその子供さんが一緒におられて、そこへ小松と大関が訪ねていった。そして、これはちょっとあれですが、そこでおみやげに大関が肉を三キロ持っていってみんなですき焼きをして食べた、そういうことを言っておるのですが、そういう記憶はございませんか。
  227. 志村清一

    志村参考人 私はいまのところはそういうことは記憶しておりません。
  228. 三浦久

    ○三浦(久)委員 もう記憶がないと言われればやむを得ないのですけれども、この大関とか平川芳延、さっき私はフィクサーと言いましたけれども、この二人は小松が総裁と非常に親しいということから、小松を自分たちの仲間に抱き込むわけです。そして、この土地が売れたら最低二千万円の報酬をおまえにやる、こういうことを約束するわけですね。そして、小松がその土地の売り込みのためにいろいろ動くわけですけれども、小松が大関や平川らと一緒にこの塔原・杉塚地区の土地の売買についていろいろ行動したということは総裁御承知ですか。
  229. 志村清一

    志村参考人 いまお挙げになった方々がどういうことをしたか私は存じませんけれども、私どもはかねてから、用地買収ということは非常に誤解を招くことだ、だから非常に慎重にやらなければいかぬ、特に大企業の持っているような土地は、途中だれかを仲介しないで直接公団と会社で相談をするようにという指示はいたしております。
  230. 三浦久

    ○三浦(久)委員 この平川と大関というのは全然表面に出ないのですよ。いろいろ人を使って交渉させるといいますか、そういう人なのです。ですから、総裁は平川は知らないでしょう。小松が当時——当時というのは五十六年十月ごろ、総裁が就任された後、五十六年十月以降この売買が成立する五十七年四月ごろまで芝の日興マンションに単身で居住しておった、いわゆる小松事務所と言われていますけれども、そこにずっと住み込んでおった、そういうことは知っておりますか。
  231. 志村清一

    志村参考人 先ほどから申し上げているとおり、近所づき合いの程度でございますから、彼がどこにどうやっていたかということは知りません。
  232. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、小松マンション、いわゆる日興マンションの小松事務所に電話をしたというようなことはありませんか。
  233. 志村清一

    志村参考人 私は記憶にございません。
  234. 三浦久

    ○三浦(久)委員 日興マンションは大関の事務所があるところなんですね。そして、その大関がマンションの一室を小松に借り与えるわけです。その電話は四五二局の五一九二です。これは小松の専用電話です。秘密の電話で公表していないのです。どこかとホットラインをつくるための電話であります。この電話番号のところに総裁は電話をしたことは一度もないのですか。
  235. 志村清一

    志村参考人 ございません。記憶にもございません。
  236. 三浦久

    ○三浦(久)委員 ではお尋ねしますが、総裁はこの小松氏から杉塚・塔原地区の土地の資料を直接受け取ったことはございませんか。
  237. 志村清一

    志村参考人 私はしかと記憶はないのでございますけれども、何かと私のところに来たことは事実でございますが、先ほど申し上げましたように、私ども塔原地区等の土地買収に関しましては、公団が直接公団の支社と会社と交渉するのだというふうなことは私のかねてからの持論でございますので、仲介に入る者については一切排除いたしております。
  238. 三浦久

    ○三浦(久)委員 五十六年十二月に、小松氏はこの塔原・杉塚の土地を見に行っております。そして帰りに、例の料亭満佐、ここで林兼の小山専務から接待を受けているのですよ。そのときに林兼商会から資料をもらっておるのです。その資料はちょっと古い資料だったらしいですね。しかしそれをそのまま帰京してから総裁に渡した、こういうふうに言っておりますけれども、そういう事実はありませんでしたか。
  239. 志村清一

    志村参考人 私はいまのところ記憶にはございません。
  240. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それでは、さらにお尋ねします。  五十七年二月十二日、公団本社で総裁が本件の土地の売買を検討しよう、こういうふうに口火を切りまして、そして議題にのせたということがあったのではありませんか。
  241. 志村清一

    志村参考人 ございません。
  242. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それではお尋ねしますが、五十七年の二月十二日に公団本社で全国的な支社長部長会議が開かれておりませんか。
  243. 志村清一

    志村参考人 そのころ開かれたようであります。
  244. 三浦久

    ○三浦(久)委員 その日、その支社長部長会議が終わった後、総裁が九州支社の方は残ってください、こう言って、同じ日の五時から会議を開いた。その会議出席者志村総裁、小林副総裁、そして本社からは平田次長、竹内部長、竹内さんというのは私今度初めて聞いたのですが、こういう方がいらっしゃるのではないかと思いますが、それに九州支社からは細井支社長に福井部長、これらの方が出席をされて会議を持ったということがあるんじゃありませんか。
  245. 志村清一

    志村参考人 私はいま記憶にはございません。
  246. 三浦久

    ○三浦(久)委員 都合の悪いことは記憶にないというのがはやっているようですけれども、これはもう証拠はあるんですよ。  それで、その二月十二日の午後五時から開かれた会議で、志村総裁が古い資料、小松から直接もらった資料を持ち出してきて、そして九州の土地の売買の問題について検討しよう、そういうふうにおっしゃっておられるんですね。これは記憶にあると思うのですよ。  それじゃ、通常のやり方と違って、総裁が何で自分から直接こういう問題を持ち出すのかということですね。不思議なことですね。しかし、新しい公団になりましてから、九州支社は廃止しろとか、それから業務についてもその重点は首都圏とか近畿圏にしぼるべきだとか、そういうような外野からの、いわゆる行管、臨調、こういうところからの声がどんどん出てきましたね。そういう中で宝塚以西の土地はもう買わないというような方針が、まあ正式に決定したかどうかわかりませんが、理事会の中でそういう話がずっと出てきておった、私らはそういうふうに聞いておるんですね。それで、もう大分値段の点まで交渉もして、この土地が大分煮詰まってきたけれども、そういう新しい理事会内部での空気というものから話がとまっておった。ですから、九州支社からは正式に話が上がってこない。そういうことから総裁が、支社長部長会議を開いた後、九州関係の人だけ残ってくれということで、さっき言った人たちと会議を開いて、それでみずから議題にした、そういうことをわれわれは聞いておるのです。そういう事実はありませんか。
  247. 久保田誠三

    ○久保田参考人 先ほどから二月十幾日とか、その支社長会議があったような気がしますが、そのころの総裁についてのお話がございますが、私その辺について担当の責任者である理事であります。それで、それについて私も存じておりません。  それで、この前、三月二十三日の上田先生の御質問のときに、私その理事会の、われわれA審と言っておりますが、土地取得交渉承認をやったのは三月二日ですけれども、その前の、その前年の五十六年の秋からそのころに至ります状況を申し上げたことがございます。そのとき私は、九州支社から、五十六年十月に新公団発足後この塔原の話がありました。つきましては、私この前も申し上げましたけれども、やはり九州で宅地需要、住宅需要、そういう点について厳しい事情があるので、そういう点、東京の首都圏地区とかあるいは関西地区と異なりまして、やはり慎重にいろいろ資料を調べて対処すべきものであるという認識に立ちました。これは先ほど先生が申されましたような、別に本社としてだれがどこをやらないといったことも何も話はありません。ありませんけれども、われわれの常識としてそういうことに関する認識を持って慎重に対処するという認識に立ちまして、私この前の三月二十三日も申しましたが、九州支社に対しまして福岡都市圏の各セクター、四つぐらいありますけれども、各セクター別の人口動態、それはまた宅地需要等に影響しますし、それから宅地の需要と供給の民デべも含めました……(三浦(久)委員「時間がないから簡単にして」と呼ぶ)そういうことについての資料を持ってこいと言っておりまして、それに数カ月かかりております。  そういうこともございましたけれども、そういうものは私納得いたしましたので総裁に上げまして、それで三月の理事会へといったわけです。  そういうことでございますから、そういうようなことが、西の方を、やるところをやめたとか、そういった方針は絶対ございませんでした。
  248. 三浦久

    ○三浦(久)委員 あなた、いま三月の理事会と言ったけれども、二月の十二日というのはその前なんですよ。それで二月十二日のときに、まさにあなたの頭越しだよね、あなたが担当だったのだから。そうでしょう、いまあなた担当だと言ったじゃない。それなのにあなたの頭越しに総裁がやったというので、あなたも大分怒ったという情報がわれわれに入ってきているのですよ。それで、その後三月の理事会の話になっておるわけなんです。あなた余り長くしゃべるから時間がなくなっちゃったのだけれども、あと二、三分超過させてください。  また、同じ五十七年の二月十二日の日ですけれども、小松事務所、さっき私が電話番号を申し述べました芝の日興マンションですけれども、総裁が午後九時過ぎに総裁みずからそこに電話をして、そして、あの計画ではだめだと怒り飛ばしたよ、それでゴーサインを出したよ、そういうふうに電話をされているらしいのです。小松がそう言うのです。そういうことはありませんでしたか。
  249. 志村清一

    志村参考人 いろいろなお話を聞いて私はびっくりしているのでございますけれども、そういうことは私は覚えておりません。
  250. 三浦久

    ○三浦(久)委員 これは総裁に直接関係ないのですけれども、この二月十二日から二日たった二月十四日の日ですが、午後五時からの会議出席をした九州支社の福井部長が小山専務と九州支社で会っているのです。総裁が提案者になって決めてくれた、こういうふうに報告をしているのですね。そういう事実がある。それはあなたは知らないとおっしゃるかもしれないけれども、われわれはそういう情報を聞いている。  ですから、あなたがこの二月十二日午後五時からの九州支社と本社との会議でそういう提案をしたということは、いろんな情報としてわれわれに入ってきておるのです。それはまた後で、記憶がないとおっしゃるので、まるっきり否定されているわけではありませんので、記憶をまた喚起していただいて、次の質問にまたやらしていただきたいと思います。  それで、そのほかにもまだ値段の点とかいろいろ疑惑があるのですけれども、では、もう一問だけ総裁にしましょう。  総裁、総裁は小松が大関とか平川と一緒になっていろいろ働いているということは知っておったのじゃないですか、もう一回聞きます。
  251. 志村清一

    志村参考人 小松君がいろいろやったことかどうかは私は知りませんけれども、先ほどから申し上げておりますように、私は、用地買収とか新しい宅地即発というのは非常に重大な問題でございますから、慎重の上にも慎重を期するように、この塔原地区につきましても慎重の上にも慎重を期してやるようにという指示はいたしたことがございます。
  252. 三浦久

    ○三浦(久)委員 こういうことですよ。小松は、昨年の四月に売買契約が成立した後、林兼商会から二千万円直接もらっているんです。何で二千万円もらったかといいますと、林兼が五億円の報酬を平川、大関というフィクサーに払ってないんです。払わないんです。それでもめているわけです。そのために小松も大関から二千万円もらえないんです。それで、この土地が売れたのはだれのおかげだと思うかと言って、林兼商会の大束副社長のところへねじ込んでいって、大束副社長が二千万円支払っているのです。これはわれわれは電話で確認しています。大束副社長から聞いておるのです。ですから、小松が何にもしないのに何で二千万円も林兼商会が支払うかという問題がありますよ。  それからまた、これは資料でも出しておりますけれども、あなたは小松に対して、大関と手を切れ、こういうことを言っておられませんか。たとえば、林兼商会の大束が九州支社に行きまして、それで、小松が平川、大関という極悪な右翼と組んで林兼をゆすろうとしている、そういうことがあなたの耳に入る。そうすると、小松に対してあなたは、大関からもらう二千万円をあきらめろ、平川、大関と手を切るか私と線を切るか、それは君が決めろ、こういうふうに忠告をしているのですね。これもわれわれは聞いておるのです。そういうことはありましたか。
  253. 志村清一

    志村参考人 小松氏が林兼さんから二千万円もらったというお話については、私もなぜかさっぱりわかりません。  それから、小松君が、いつでしたか忘れましたが、大分後になって参りましていろいろな話をしたのを、話がどうも私もよくわかりませんので、妙な連中とつき合わぬ方がいいよという話はしたことがございます。
  254. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それじゃ、もう一問だけ、済みません。  五十七年の、先ほどの二月十二日の日のちょっと前の二月八日に、小松が総裁の自宅を訪ねて、この土地の件よろしくというふうに頼んだことはありませんでしたか。そのとき初めて小松は総裁に、そういう土地をよろしくと言って頼んだと、こう合うのですけれどもね。
  255. 志村清一

    志村参考人 先ほど来申し上げているように、この土地に関しては、公団の支社と林兼さんが直接交渉する問題でございますから、だれも中に入る必要はございません。
  256. 三浦久

    ○三浦(久)委員 いや、入る必要がある、ないじゃなくて、そういう事実があったかなかったかということを捌いているのです。
  257. 志村清一

    志村参考人 ただいま申し上げたようなことでございますから、そんな話は、私も余り覚えてないのですけれども、あったとしても問題にならぬと思います。
  258. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それじゃ、また次の楽しみにいたしまして、きょうはこれでやめますが、最後に、会計検査院が来ておりますね。——会計検査院は、いままでの本委員会での質疑だけではなくて、参議院の質疑また地行の質疑等々、全部お聞きになっていらっしゃると思うのですけれども、私は、この取得に対しては大変大きな疑惑があると思います。会計検査院でもぜひ調査をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  259. 秋本勝彦

    秋本会計検査院説明員 お答えいたします。  私どもといたしましても、念入りに土地価格についての調査はやってみたいというふうに思っております。
  260. 三浦久

    ○三浦(久)委員 終わります。
  261. 古屋亨

    古屋委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後四時十四分散会