運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1983-07-07 第98回国会 衆議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年七月七日(木曜日)     午前十時二十分開議  出席委員    委員長 古屋  亨君    理事 東家 嘉幸君 理事 中川 秀直君    理事 中村 弘海君 理事 井上 一成君    理事 新村 勝雄君 理事 春田 重昭君       伊東 正義君    植竹 繁雄君       小坂徳三郎君    桜井  新君       白浜 仁吉君    近岡理一郎君       森下 元晴君    高田 富之君       田中 昭二君    宮田 早苗君       三浦  久君  出席国務大臣         法 務 大 臣 秦野  章君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     山本 幸雄君  委員外出席者         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         管理局長    服部 健三君         人事院事務総局         管理局研修審議         室長      藤野 典三君         人事院事務総局         管理局研修審議         室参事官    野田 禎男君         内閣総理大臣官         房管理室長   菊池 貞二君         警察庁長官官房         長       太田 壽郎君         警察庁長官官房         会計課長    森田 雄二君         警察庁刑事局長 金澤 昭雄君         警察庁刑事局捜         査第一課長   三上 和幸君         警察庁刑事局保         安部長     大堀太千男君         警察庁警備局長 山田 英雄君         法務大臣官房長 根岸 重治君         法務大臣官房会         計課長     村田  恒君         法務大臣官房参         事官      土屋 眞一君         法務省民事局長 枇杷田泰助君         法務省刑事局長 前田  宏君         法務省矯正局長 鈴木 義男君         法務省人権擁護         局長      鈴木  弘君         法務省入国管理         局長      田中 常雄君         大蔵省主計局司         計課長     加藤 剛一君         大蔵省銀行局中         小金融課長   朝比奈秀夫君         文部省管理局企         画調整課長   福田 昭昌君         文化庁文化部宗         務課長     大家 重夫君         厚生省薬務局麻         薬課長     山本 晴彦君         厚生省児童家庭         局育成課長   蒲地 清弘君         自治大臣官房長 矢野浩一郎君         自治大臣官房会         計課長     大塚 金久君         自治省行政局公         務員部長    坂  弘二君         自治省行政局選         挙部長     岩田  脩君         自治省財政局長 石原 信雄君         自治省税務局長 関根 則之君         会計検査院事務         総局第一局長  西川 和行君         会計検査院事務         総局第二局長  竹尾  勉君         会計検査院事務         総局第五局長  中村  清君         最高裁判所事務         総長      勝見 嘉美君         最高裁判所事務         総局総務局長  山口  繁君         最高裁判所事務         総局経理局長  原田 直郎君         最高裁判所事務         総局刑事局長  小野 幹雄君         公営企業金融公         庫総裁     首藤  堯君         決算委員会調査         室長      石川 健一君     ───────────── 委員の異動 五月二十六日  辞任         補欠選任   楢崎弥之助君     山口 敏夫君 同日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     楢崎弥之助君     ───────────── 五月二十六日  一、昭和五十五年度一般会計歳入歳出決算    昭和五十五年度特別会計歳入歳出決算    昭和五十五年度国税収納金整理資金受払計算書    昭和五十五年度政府関係機関決算書  二、昭和五十五年度国有財産増減及び現在額総計算書  三、昭和五十五年度国有財産無償貸付状況計算書  四、昭和五十六年度一般会計歳入歳出決算    昭和五十六年度特別会計歳入歳出決算    昭和五十六年度国税収納金整理資金受払計算書    昭和五十六年度政府関係機関決算書  五、昭和五十六年度国有財産増減及び現在額総計算書  六、昭和五十六年度国有財産無償貸付状況計算書  七、昭和五十六年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)    昭和五十六年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)    昭和五十六年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)  (承諾を求めるの件)  八、昭和五十七年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)    昭和五十七年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)    昭和五十七年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その1)  (承諾を求めるの件)  九、昭和五十六年度決算調整資金からの歳入組入れに関する調書承諾を求めるの件)  一〇、昭和五十六年度一般会計国庫債務負担行為調書(その2)  一一、会計検査院法の一部を改正する法律案新村勝雄君外四名提出、第九十三回国会衆法第一二号)  一二、歳入歳出の実況に関する件  一三、国有財産増減及び現況に関する件  一四、政府関係機関経理に関する件  一五、国が資本金を出資している法人会計に 関する件  一六、国又は公社が直接又は間接に補助金奨励金助成金等交付し又は貸付金損失補償等財政援助を与えているものの会計に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和五十五年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十五年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十五年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十五年度政府関係機関決算書  昭和五十五年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和五十五年度国有財産無償貸付状況計算書  〔裁判所所管法務省所管総理府所管警察庁)、自治省所管公営企業金融公庫〕      ────◇─────
  2. 古屋亨

    古屋委員長 これより会議を開きます。  昭和五十五年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、まず裁判所所管及び法務省所管について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  裁判所所管審査に関し、国会法第七十二条第二項の規定による最高裁判所長官の指定する代理者から出席説明する旨の要求がありました場合は、これを承認することとし、その取り扱い委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 古屋亨

    古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  4. 古屋亨

    古屋委員長 それでは、順次概要説明を求めます。  まず、裁判所所管について概要説明を求めます。勝見最高裁判所事務総長
  5. 勝見嘉美

    勝見最高裁判所長官代理者 昭和五十五年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算概要を御説明申し上げます。  裁判所所管歳出につきましては、当初予算額は千八百一億二百二十万円余でありますが、これに、大蔵省所管からの移しかえ額七億百八十七万円余、昭和五十四年度からの繰越額十億一千四百七十四万円余、予備費使用額四百六十七万円余、予算補正追加額二十七億五百二十一万円余、予算補正修正減少額一億三千七百九十二万円余、差し引き四十二億八千八百五十七万円余が増加されましたので、歳出予算現額は千八百四十三億九千七十八万円余となっております。  これに対しまして、支出済み歳出額は千八百十五億二千八百三十六万円余であり、歳出予算現額との差額は二十八億六千二百四十二万円余であります。  この差額のうち、翌年度へ繰り越した額は十五億九千百二十五万円余であり、不用額は十二億七千百十六万円余であります。  不用額となった経費は、人件費六億六千四百二十七万円余と、その他の経費六億六百八十九万円余であります。  裁判所主管歳入につきましては、歳入予算額は十二億七千七百六十八万円余であります。  これに対しまして、収納済み歳入額は十六億九千五百五十九万円余であり、歳入予算額に対し四億一千七百九十万円余の増加となっております。  この増加は、相続財産相続人不存在のため国庫帰属となった収入金等増加によるものであります。  以上、昭和五十五年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算について御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  6. 古屋亨

  7. 竹尾勉

    竹尾会計検査院説明員 昭和五十五年度裁判所決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  8. 古屋亨

    古屋委員長 次に、法務省所管について概要説明を求めます。秦野法務大臣
  9. 秦野章

    秦野国務大臣 昭和五十五年度法務省所管一般会計歳入歳出決算の大要を御説明申し上げます。  法務省主管歳入につきましては、予算額は六百八十一億五百六十万円余であります。  これに対しまして、収納済み歳入額は七百二十四億十四万円余であり、歳入予算額に比べると、四十二億九千四百五十三万円余の増加となっております。  この増加しました要因は、罰金及び科料十五億八千二百二十五万円余、過料二億二千四十三万円余、刑務所作業収入十八億百五十二万円余が増加したことによるものであります。  次に、法務省所管歳出につきましては、当初予算額は三千三百二億三千六十五万円余であります。これに、予算補正追加額二十八億一千九百八十四万円余、予算補正修正減少額四億三千百七十五万円余、前年度からの繰越額二十七億二千九百十万円余、予備費使用額六億九千二十四万円余、差し引き五十八億七百四十三万円余の増加がありましたので、歳出予算現額は三千三百六十億三千八百八万円余となっております。  これに対しまして、支出済み歳出額は三千三百八億九千五百六万円余であり、その差額は五十一億四千三百二万円余となっております。  この差額のうち、翌年度へ繰り越した額は二十五億七千八十万円余であり、不用額は二十五億七千二百二十一万円余で、不用額の主なものは人件費であります。  支出済み歳出額のうち主なものは、人件費二千六百三十五億五百三十三万円余、外国人登録事務処理経費十五億一千百三十九万円余、登記事務等処理経費四十四億三千八百五万円余、検察事務処理経費二十五億七百九十八万円余、矯正施設における被収容者収容作業等に要する経費二百二十三億七千七百十六万円余、補導援護経費三十三億一千九百四十万円余、出入国審査及び被退去強制者収容送還等に要する経費六億五千三百五十八万円余、暴力主義的破壊活動団体等調査に要する経費二十億三千四百三十六万円余、施設費百四十一億五千二百三万円余となっております。  以上、昭和五十五年度法務省所管一般会計歳入歳出決算について、御説明を申し上げました。  よろしく御審議を賜りますようお願いを申し上げます。
  10. 古屋亨

  11. 竹尾勉

    竹尾会計検査院説明員 昭和五十五年度法務省決算につきまして検査をいたしました結果の概要説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは不当事項二件であります。  検査報告番号二号は、職員不正行為による損害を生じたものであります。  本件は、法務事務官島田某福井地方法務局国出張所ほか三部局登記等申請を受けた際、登記申請書等に張りつけてあった収入印紙や、張りつけることを依頼され受け取った収入印紙、張りつける収入印紙購入代として便宜預かった現金計八千二百六十万四千二百円を領得し、これを隠蔽するため、登記申請書等偽造した収入印紙を張りつけるなどしていたものであります。  なお、本件は、昭和五十六年十月末までに、二百八十二万円が、島田某が横領した収入印紙であることを知りながら、これを買い受けた部外者から回収されております。  また、検査報告番号三号は、刑務作業製品展示即売会における販売代金等歳入に組み入れないで、これを別途に経理していたものであります。  本件は、宮崎刑務所ほか四十カ所において五十三年度から五十五年度までの間に計三千四百六十三万円を別途経理したものでありますが、これを宮崎刑務所について見ますと、即売会において、展示品の一部につきその製品価格任意の額を加えた価格で販売し、この上乗せ額歳入に組み入れることなく資金を捻出したり、この資金を使用して材料を購入し製品に加工した上販売し、これらを別途に経理していたものであります。この別途経理金は五十三年度から五十五年度までの合計で二千四百十三万円となっておりますが、その使途につきましては、当局説明によりますと、材料購入費など製品製作に係る経費に千九百五十二万円を充当していたほか、製品運搬費等に二百七十八万円、交際費、会食の経費等に九十二万円、職員食事代等に五十万を充てており、四十万円は使途が不明であるとしているものであります。  また、宮崎刑務所を除く四十カ所におきましても、上乗せ額歳入に組み入れないで五十三年度から五十五年度までの合計で千四十九万円を捻出しており、これと協賛業者からの受入金七十四万円を合わせて別途に経理し、製品運搬費等に八百五万円、職員食事代等に二百三十万円、交際費等に十七万円を使用し、残余の七十万円を現金で保有していたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。
  12. 古屋亨

    古屋委員長 これにて説明の聴取を終わります。    ─────────────
  13. 古屋亨

    古屋委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。
  14. 井上一成

    井上(一)委員 私は、いま人権保障国際的水準が強調されている折であり、さらには国際人権規約等にうたわれている人権尊重、内外人平等の原則等に照らした中で、わが国に在留する外国人人権尊重することはもとよりでありますが、今回指紋を押すことを拒否して逮捕された、この件について、その経緯を承っておきたいと思います。
  15. 田中常雄

    田中説明員 お答えいたします。  経緯を御説明いたします。  現在問題になっています金氏は、京都精華短期大学非常勤講師をしている方でございまして、いまから二年前、昭和五十六年七月七日、所持している外国人登録証明書を紛失したということで京都左京区に再交付申請をいたしました。登録証明書の再交付を受けるに当たりましては証明書指紋押捺する義務がございますが、同氏は、指紋押捺犯罪人扱いに等しいものであるということで、指紋押捺を拒否いたしました。京都左京区は、同年七月九日、刑事訴訟法二百三十九条に基づいて同人を告発したわけでございます。その後、下鴨警察署は二年間にわたり十数回にわたって同氏に対し任意出頭を求めておりましたが、本人は出頭いたしませんで、一昨日適法に逮捕したものでございます。  以上が経緯でございます。
  16. 井上一成

    井上(一)委員 指紋押捺そのこと自体が、犯罪人扱いというのでしょうか、個人の人権侵害につながるのではないか、私はこういう認識に立つわけですけれども、法務省としての見解を聞かしていただきたいと思います。
  17. 田中常雄

    田中説明員 法務省は、外国人登録法におきまして指紋押捺制度を採用しております。指紋押捺制度は、外国人登録法上、在留外国人居住関係及び身分関係を明確にするという基本目的のために設けられた制度でございます。したがいまして、これは犯罪捜査等のその他の目的のために利用するものではございません。  指紋は、御存じのように万人不同という特殊な性格を持っておりますもので、この特質を利用いたしまして、登録する外国人の同一人性を確認する、言いかえると、その登録した人が確実に間違いなく本人であるということを確認するために採用しているわけでございます。それで、登録証明書偽造変造の防止のためには写真だけでは不十分でございまして、指紋を押させることによって偽造変造を防ぐことにしているわけでございます。  それでは、指紋以外に何か同一人性を確認する方法があるかという問題でございますけれども、判こというわけにはいかないわけでございます。それからサインという方法がございますが、これは東アジアにおいてはなじみがない制度でございます。また、サインがもう社会的に慣習化されている米国においても、外国人を管理するに当たりましては指紋制度を採用しているわけでございます。  その外国人登録法に定めます登録記録身分関係に関する事項は、本国政府の原簿に記載されていることを間接的に証明する旅券上の記載事項に依存しているわけでございますが、わが国に在留する外国人の大多数は旅券も所持しておりません。したがいまして、登録するに当たりましては、本人の陳述をベースにする以外には方法がないわけでございます。しかしながら、毎年訂正申告と申しますか、本人の氏名、生年月日等基本的事項に関することにつきまして二万ないし三万人の訂正申告があるわけでございます。そういたしますと、このような基本的事項も変更されるということを考えますと、本人の同一人性を確認するためにはどうしても指紋という方法に頼らざるを得ないということでございます。したがいまして、法務省といたしましては、指紋制度は今後とも法に基づき適確に運用したいと考えております。
  18. 井上一成

    井上(一)委員 現在、外国人指紋押捺を拒否している、このような件数は、逮捕は別にして、全国でどれぐらいの件数ですか。
  19. 田中常雄

    田中説明員 現在、日本国において外国人登録法に基づき指紋押捺している人は約五十八万名おりますが、そのほか指紋押捺を拒否している人は今日まで二十八名でございます。
  20. 井上一成

    井上(一)委員 法務大臣に伺いますが、先ほどから申し上げたように、国際的に人権保障の強く求められている今日、とりわけわが国国際人権規約を批准し、さらには基本的人権尊重を憲法の大きな柱の一つにしている、そういう中にあって指紋押捺さすというこの義務、いまの法律ではそれはそう決められているわけなんです。その法を守っていくといういまの局長の答弁、それはそれなりにいまの法の中ではやむを得ない事情であろう。しかし、これは検討を加えるべき問題ではないか。とりわけ人権問題として、他に利用されるおそれも含めてでありますけれども、指紋押捺さすということの義務、これは人権侵害だというふうに私自身は強く認識をするわけです。在日外国人基本的人権尊重するという立場に立って、むしろ進んでわが国外国人登録法改正するべく、今後の問題として取り組んでいくべきではないだろうかと思うのです。大臣としての所見を伺っておきたいと思います。
  21. 秦野章

    秦野国務大臣 いまのお尋ねでございますけれども、現行法上はおっしゃるようなことになっておるわけですね。  問題は、現在の扱いとしては要するにこういう事例について逮捕することがどうかという問題なんだけれども、これは刑事訴訟法の運用で、逮捕はなるべくしない方がいい、つまり任意捜査原則だ、この原則をこういった事犯についてはできるだけ貫くということが人権尊重のゆえんだと思うのです。  ただ、何遍呼び出しても出てこないというようなことになって、その辺のところに行き詰まりがあって、真にやむを得ないなという状況のもとにおいてやったのかどうか。全然出てこなくて、このことが実行できないということになってしまうと、現行法が守られないということになりますから、今回の問題については真にやむを得ないという状況で、任意捜査ができなかったということであるならば、これはやむを得ないなという感じを私は持っているのです。  しかし、さらに突っ込んで外国人登録法改正問題等といったような問題になってまいりますと、結局外国人と日本人識別ということはどうしても必要でございますから、これは外国人の便宜のためにも擁護のためにも必要な場面もありますから、したがって、その識別の手段をどうするかということで、そんな方向に行かないような手はないものであろうかという、思想というか、考え方は全く私も同じような思いを持っておるわけでございます。どうも外国等の例を見ましても、何らかの方法でやはり識別をしなければならぬ。大体普通の外国人なら旅券を持っておるわけですが、いま日本にいる韓国人の場合なんかはそういう旅券がないような場合なものだから、よけい複雑というか困難があるわけでございます。  いま外国人登録法をそのために改正するというようなところまで私はまだ考えがいっておりませんけれども、気持ちはよくわかるわけでございます。
  22. 井上一成

    井上(一)委員 今後、この改正を含めて人権尊重立場を強く貫いてほしい、こういうことを要望しておきます。  さらに、人権尊重の意識、認識それ自体が十二分に啓蒙されていないということの一つのあらわれとして、政府部局、とりわけ最も公務員の範とすべき人事院において差別発言がなされた。公務員対象である、あるいは民間人対象であるというその別はあったとしても、昨年人事院の幹部が大阪において差別発言をした、このことは非常に問題だと思うのです。ただ職を辞するとかそういう問題でなく、むしろ十分な認識がそこになかった。人事院の体質が、差別にかかわる十分な取り組みがなされていなかった。これはいま私は同和問題について指摘をしているわけでありますが、不十分、不徹底だということで済まされる問題ではないと思います。  所管法務省として、この問題も含めて、とりわけ人事院の同和問題に対するおくれた取り組み、不徹底な取り組みに対して何らかの指導をなされたのか、あるいはどのように受けとめていらっしゃるのか、この点についても聞いておきたいと思います。
  23. 鈴木弘

    鈴木(弘)説明員 お答え申し上げます。  お尋ねの件は、昨年五月十九日、大阪市の大阪科学技術センターで開催された社団法人日本経営者協会主催昭和五十七年度関西公務能率研究会議において、講師として出席した田代前公平局長が「行政改革公務員研修課題」と題した講演を行った際になされた発言についての件であろうと思うわけでございますが、そのとおり伺ってよろしゅうございましょうか。  そこで用いられました用語は、同和地区の人々の人権擁護という観点からも問題があると考えておりまして、同和問題の解消国民的課題とされ、政府としてもその早期解消を図るべく努力している時点で、このような発言が、民間団体の主催する研修会においてなされたものとはいえ、人事院の高官によってなされたことは、まことに遺憾であったと言わざるを得ないと思っております。  この件につきましては、現在大阪法務局において同和地区住民に対する人権侵犯の疑いありとして立件、調査中でございまして、近々結末をつける予定でございます。いずれ適切な処置をとりたいと考えております。  以上でございます。
  24. 井上一成

    井上(一)委員 人事院の体質が一つの事例としてここに出ている、こういうことで、さらに今後の取り組みを私は注目をしていきたいと思います。  人事院の体質の不明朗さについては一部すでに報道をされていることで明らかになっているわけでありますけれども、人事院の関係者に聞いておきたいと思います。  財団法人本人事行政研究所、さらには財団法人本人事試験研究センター、財団法人公務研修協議会、社団法人本人事管理協会、この四つの団体、これはいずれも人事院の関連する団体だと私は受けとめるわけです。それでよろしいでしょうか。さらに、これ以外に人事院に関連する団体があるのならお教えをいただきたい、こういうふうに思うのです。
  25. 服部健三

    ○服部説明員 お答えいたします。  ただいまの先生の御質問のとおりでございます。
  26. 井上一成

    井上(一)委員 それじゃ、これらの所管官庁は総理府だ、私はこういう認識を持っておるわけですが、それで間違いないでしょうか。
  27. 服部健三

    ○服部説明員 お答えいたします。  財団法人本人事行政研究所、財団法人公務研修協議会、この二団体は総理府の認可団体でございますけれども、社団法人本人事管理協会は総理府並びに労働省の共管の団体でございます。
  28. 井上一成

    井上(一)委員 それじゃ総理府にお聞きをします。  いま総理府が所管する日本人事管理協会、人事行政研究所、人事試験研究センター、この三団体の活動状況を十二分に把握しているのかどうか。私は、時間がありませんから、とりわけ収支報告を受けているかどうか、これを聞いておきたいと思います。
  29. 菊池貞二

    ○菊池説明員 先生のお話しの人事院の関係しております団体について、私どもでつかんでおります情報についてお話を申し上げたいと思いますが、いま収支の関係というお話ですので、それを中心にお話を申し上げたいと思います……
  30. 井上一成

    井上(一)委員 収支報告を受けて、そしてそういう実態を十二分に把握していますかということです。受けている、あるいは把握しているということならそれで結構です、続いて質問をいたしますから。
  31. 菊池貞二

    ○菊池説明員 先生のいまのお話のように、収支報告は受けております。公益法人会計基準等ございますが、それに基づきまして必要なことについてはもちろん指導をするということをやっております。
  32. 井上一成

    井上(一)委員 当然だと私は思います。  そこで、その中の一つ、人事管理協会を一例に出して伺っておきたいと思います。  いま総理府の方から私の方に提出された資料では、五十七年度予算、会費負担の支出は予算の中では計上されておりません。間違いありませんか。
  33. 菊池貞二

    ○菊池説明員 人事管理協会からは、五十七年度の収支予算案、それから五十六年度までの決算等をいただいております。
  34. 井上一成

    井上(一)委員 いや、あなたは収支報告を受けて十分認識をしているというさっきの答弁だから、私の質問は、五十七年度予算の支出の項目の中で会費負担という支出はありませんねということを聞いているのです。十分把握しているのですか。それは人事試験研究センターも含めてなんですけれども、いま管理協会を一例に指摘をして質問をしているのですが、おわかりなんですか、わからないのですか。実情を十分承知していないということなんですか。
  35. 菊池貞二

    ○菊池説明員 会議費のお尋ねでございますが、五十七年度予算額が三十八万円ということでございます。
  36. 井上一成

    井上(一)委員 何を言っているんですか。会費ですよ、会費。  私の調査によれば、会費負担は管理協会の五十七年度予算の中ではないわけなんです。決算の中ではこれは出てくると思うのですが、総理府、御承知でしょうか。
  37. 菊池貞二

    ○菊池説明員 失礼をいたしました。  会費という収入の項目がございまして、この会費の中には機関会員と個人会員がございますが、機関会員が五十七年度の予算では二百八十五万、それから個人会員が一万五千となっております。
  38. 井上一成

    井上(一)委員 何をとんまなことを言っているのですか。いまあなたは収入の中で、会費収入だと。出の中で、支出の中で会費として出の分が載っているんですかといったら載っていないわけだ。そして決算では会費として支出をしているでしょう。そういう実情を把握していますかということを聞いている。十二分に把握していないわけなんですよ。それを把握していますか。してないでしょう。
  39. 菊池貞二

    ○菊池説明員 収入は、入りますとそれぞれ必要な支出になりますので、この会費の分がどの支出になるか、それぞれあちこちに支出されますので、どの方に向いているのかということは確たるお答えはできません。
  40. 井上一成

    井上(一)委員 総理府は何も実情、実態を承知してないということをあなたは答弁の中で明らかにしているわけです。  人事院管理局長に聞きますが、人事関係法人協議会というのですか、いま私が申し上げた関連する団体が三者で連絡協議会のような組織をつくっていることは御存じでしょうか。
  41. 服部健三

    ○服部説明員 お答えいたします。  そのことについては十分承知しておりません。
  42. 井上一成

    井上(一)委員 十分承知しておりませんということは、不十分だけれども承知しているのですか。全く知らないのか知っているのか、どちらですか。
  43. 服部健三

    ○服部説明員 この席で不明確なお答えを申し上げまして御迷惑をおかけするといけませんと思いまして、調べた後、御報告させていただきたいと思います。
  44. 井上一成

    井上(一)委員 おかしいですよ。そういう三者が会費を出してつくっている団体をあなたは知っているのですかと私は聞いているのです。知らなければ知らないでいいのですよ。知っているなら知っている。どれだけかかわったか私はまだ聞いておりませんから、知っているのか知らないのか。
  45. 服部健三

    ○服部説明員 お答えいたします。  親睦団体的なものがあるのかどうかということについての御質問かと思いますが、それにつきましては、先ほども申し上げましたとおりのような事情でございますので、調べた上で御返答させていただきたいと思います。
  46. 井上一成

    井上(一)委員 いつ返事をくれるのですか。
  47. 服部健三

    ○服部説明員 できるだけ早く調べまして御報告させていただきたいと思っております。
  48. 井上一成

    井上(一)委員 管理協会も、さらには人事試験センターも研究所も、それぞれ会費を持ち寄ってこの団体をつくっているわけなんです、当初そういう予定はなかったわけですけれども。だから当初の予算にはない。  私の承知しているのでは、人事試験研究センターなり管理協会なり行政研究所なりが、一定の金額、試験研究センターが二十万、人事管理協会が十五万、人事行政研究所が十万、計四十五万、昨年の末から、十一月だったと記憶しますが会費支出をしているわけです。人事院は御存じないのでしょうか。
  49. 服部健三

    ○服部説明員 お答えいたします。  任意団体につきましては私どもの方に正式に連絡がございませんので、そのあたりにつきましては、先ほど来申し上げておりますように調べた上で御返事させていただきたいと思っております。
  50. 井上一成

    井上(一)委員 では、いますぐに調べてもらいたい。
  51. 服部健三

    ○服部説明員 お答えいたします。  それでは直ちに調べさせていただきます。
  52. 井上一成

    井上(一)委員 それでは、この協議会は、局長は親睦団体だということでございますから、いつ設立をされたのか、さらに、責任者はだれなのか、設立の趣旨、事務所はどこなのか、だれが提唱したのか、中心的な事務分担はどなたがやられているのか、私は、この点について同時にお調べを願いたいと思います。  その間、服部局長にさらに続いてお尋ねをします。  いま、不正確な答弁をすることはかえって迷惑だ、こういうふうにおっしゃられましたので、いまのことは正確に御調査をいただくと同時に、あなたはこの親睦団体の会議に顔を出されたこと、出席をされたことがあるのじゃないですか。
  53. 服部健三

    ○服部説明員 お答えいたします。  そういう、お話をされた場に私は同席したことはございます。ただし、そのことについて詳しく、その後どのように運営されているかは承知いたしませんので、先ほど、まだ設立される前の話でございますので、そのようにお答えいたしました。
  54. 井上一成

    井上(一)委員 初めて同席をされた、設立をされる前だと。そうでしょう、準備の段階であなたはこれにかかわったのですよ。  いつごろで、どこでの会議だと御記憶していらっしゃいますか。
  55. 服部健三

    ○服部説明員 お答えいたします。  その点につきましては、私、正確に記憶しておりませんので、これも後日返事をさせていただきたいと思います。
  56. 井上一成

    井上(一)委員 さらに、あなた以外に人事院職員が同席をされた、あるいはそこに居合わせた、そんなことはないでしょうか。
  57. 服部健三

    ○服部説明員 お答えいたします。  その点につきましては、私、ちょっと記憶が、だれが出ていたか、そのあたりについて調べてみないとわかりませんので、これも調べて御返事させていただきたいと思います。
  58. 井上一成

    井上(一)委員 野田参事官はお見えですか。  野田参事官お尋ねをしますが、あなたは、いま私が指摘をしたこの団体は御承知なのかどうか。さらには、そういう団体の会合に御出席をされた事実があるのかないのか、この点についてもここで聞いておきたいと思います。
  59. 野田禎男

    ○野田説明員 お答えいたします。  私自身、その先生の御質問、いまお伺いしていたのですが、ちょっと記憶をたどりましても、そんなことがあったのかどうか、先生の御質問ですと半年前くらいの話でございますね、ちょっと記憶にないのでございます。きょう、実は私、先生から来るようにという要請があったと伺って参ったわけですが、ちょっといま、そんなことが先生のおっしゃるときにあったのかなという感じで、はっきり思い出せないのでございますが、よろしゅうございますか。
  60. 井上一成

    井上(一)委員 それでは、ぜひ思い出していただくように、私の方から質問をしていきたいと思います。  五十七年の十一月ごろにこれは設立をされたということなんですが、あなたは当時広報室長さんであったのでしょうか。
  61. 野田禎男

    ○野田説明員 お答えいたします。  広報室長でございました。
  62. 井上一成

    井上(一)委員 それで、さっき私が申し上げた三団体から捻出をしているその会費の状況は御存じですね。
  63. 野田禎男

    ○野田説明員 お答えいたします。  会費の収支とおっしゃっていますけれども、何のことかそこのところは私存じません。広報室長としての私の職務ではございませんわけですから、外郭団体といま先生はおっしゃっているわけですけれども。
  64. 井上一成

    井上(一)委員 あなたも前審議官の服部局長と御一緒にこの団体とはかかわりのある場所に、あるいはかかわりのあることに、私の調べでは出てくるわけなんですよ。記憶がないと言われ、あるいは半年前だということであれば、まだ短い半年ぐらいのことですから、私は、十分記憶を思い出してほしい。そして、そういう事実があれば、設立の趣旨等も踏まえてできれば聞かせてもらおう、こういうふうに思っておったのです。局長
  65. 服部健三

    ○服部説明員 お答えいたします。  このことにつきましても、設立の趣意等につきましては、あくまで親睦団体だったと記憶しておりますので、そのあたりにつきましては、先ほどお答えいたしましたように、調べた上で御返事させていただきたいと思います。
  66. 井上一成

    井上(一)委員 これは近々の話なんですよ、局長。  あなたは、この親睦団体の会費、いわゆるそういうそれぞれの関係団体から出した会費、寄せ集めた会費を使う使い道についてまでかかわった、そういうことはないのですか。
  67. 服部健三

    ○服部説明員 お答えいたします。  はなはだそのことについては心外だと思っております。
  68. 井上一成

    井上(一)委員 あなたは、ごく最近、関係するそれらの団体に、役員を含めた幹部職員研修会場、研修場所利用をあなたから直接指示をなさった記憶はありませんか。
  69. 服部健三

    ○服部説明員 お答えいたします。  全くございません。
  70. 井上一成

    井上(一)委員 役員研修に、ある温泉の高級ホテルを借り上げて、そしてそこで研修をする、そういう費用にこの会費を充当するというのですか、福利向上ですか、職員の福利厚生に使うあるいは親睦を深めるために使う、そういうことに使うために、あなたが一定の活動、助言をなされたというふうに私は承知しているのです。  熱海の赤尾ホテルというのは、あなた御記憶ないですか。さらには、赤坂の一流料亭であなたが会議を持ったということも御記憶ないですか。
  71. 服部健三

    ○服部説明員 熱海のホテルの名前はちょっと、先生のあれでございますが、熱海のホテルにつきましては、個人的にかつて数年前に使用したことはございます。  それから、その高級料亭でございますか、そのことにつきましては、私は、高級というのはどのようなものかちょっとわかりませんが、御指摘いただければお答えさせていただきたいと思います。
  72. 井上一成

    井上(一)委員 私は、本当は一つ一つそういう固有名詞を挙げてあなたに記憶を呼び起こさせようという気は毛頭なかったのですよ。あなたはよく御存じだし、事実をおっしゃっていただける、こう思ったから質問をさせていただいたのだけれども、どうもそれが高級とは、と言う。じゃ、認識の問題ですから、赤坂の料亭ということでもいいでしょうし、いま言う熱海のホテルというのも、個人的に云々ということが出ました。私はそういうことを、ホテルの名前まで出して、料亭の名前まで出してあなたに記憶をよみがえらせてもらおうというのではない。これは後であなたが確かな報告をしますといま言っているので、私は待ちます。赤坂の料亭、そこであなたはその準備の話を含めていろいろと懇親をなされたでしょう。
  73. 服部健三

    ○服部説明員 親睦団体の件につきましては、先ほど来申し上げておりますように、私は調べた上で御返事をさしていただきたいということでございます。
  74. 井上一成

    井上(一)委員 自分が出席したかしないかということまで調べなきゃわからないのか。  さらには、さっきから言っているように、人事関係法人協議会、正確な名前はもし一字や二字の間違いはあったとしても、関連三団体が寄って会費を出し合って、そしてそういう組織をつくっているということを知っているのかどうかということも聞いているのですよ。あなたは知っているのでしょう。
  75. 服部健三

    ○服部説明員 親睦団体というものがどのような形で運営されているのか、それを私はまだ承知しておりません。ただ、そういう団体を持ちたいという話があったことだけは事実でございます。したがって、調べて御返事をしたいと申し上げております。
  76. 井上一成

    井上(一)委員 持ちたいということがあったことは知っているのだから、団体の名前も知っているのですよ。あなたはそういうことを言うから、本当に疑惑を持ちたくなるのですよ。
  77. 服部健三

    ○服部説明員 お答えいたします。  私は調べた上で正確に先生にお答えさせていただきたいと思います。
  78. 井上一成

    井上(一)委員 それじゃ、私の方も正確な答弁を待って、続けて質問しましょう。だから、暫時私は質問を留保しましょう。すぐに調査をしてもらって、その上で質問を続けます。
  79. 古屋亨

  80. 新村勝雄

    新村委員 私は、前に本委員会質疑をいたしました東日本学園大学の件について、その後の経過をお伺いをしたいと思います。前回、捜査当局はこの事態の成り行きを見守る、こういう答弁をされたわけでありますが、その後の経過を伺いたいわけです。そこで、その要点を申し上げると、これは、この大学の設置そのものが、金もうけあるいは土地転がし、そういうことを意図して行われたのではないか、こういう疑いが持たれておるわけであります。そこで、その問題点は、新日本観光と佐々木真太郎氏が出した金の性格が問題であって、これが果たして寄附金なのかそれとも貸付金なのか、この金の性格をめぐってこの問題が論議をされていたわけです。これが寄附金か貸付金か、そのどちらかということが問題であって、その性格のいかんによっては刑事責任が発生するし、また同時に、脱税の問題もそこから起こってくる、こういう事件なわけです。そして、この問題は、佐々木真太郎氏に対する業務上横領の疑いで同大学の元理事が告訴をしておる、こういうことなんです。  前回は、この告訴の捜査の成り行きを見守っていきたい、こういうふうに捜査当局あるいは文部省は答弁をされておるわけですが、まず、その後の捜査の進展の状況を伺いたいと思います。
  81. 前田宏

    ○前田説明員 お尋ねの東日本学園大学の理事長等につきます事件でございますが、ただいま委員の御指摘のように、業務上横領ということで告発がなされておるわけでございます。これは五十七年九月三十日に北海道の警察の方に告発がなされておりまして、警察当局捜査をいたしまして、最近でございますが、本年の五月に警察の方から札幌の地検に事件の送付があったという状況でございまして、現在、札幌地検で捜査中ということになっているわけでございます。
  82. 新村勝雄

    新村委員 そこで、これは御承知だと思いますけれども、この金の性格の問題。この金の性格ですけれども、これを寄附金とお認めになっているのか、それとも貸付金と認定をされているのか、その点を伺います。
  83. 前田宏

    ○前田説明員 御指摘の点につきましては、まさしくその金の性格と申しますか、趣旨と申しますか、それが問題であるわけでございますが、その点が犯罪の成否にも関係するわけでございますので、その点を中心といたしまして捜査をしているということでございまして、まだ結論は出ていないわけでございます。
  84. 新村勝雄

    新村委員 それでは、この問題ではなくて一般論として伺います。  こういう場合に、仮にこの金が寄附金であった。そうして、その裏面においてその金が回収されておったという場合には、これは横領になるのかならないのか、これを伺います。一般論ですよ。
  85. 前田宏

    ○前田説明員 一般論としてのお尋ねでございますけれども、まさしくその点がいま問題になって捜査中の事件の一つの大きな争点と申しますか問題点になっているわけでございますので、直ちに明快な結論と申しますか、そういうことを申し上げますと、この事件そのものの成否を申し上げるようなことになるわけでございますので、そういう意味で、現段階ではまだはっきりいたしておりませんので、お答えを差し控えさせていただきたいわけでございます。
  86. 新村勝雄

    新村委員 いや、それはおかしいですよ。この東日本の問題として聞いておるのではなくて、一般論として、寄附をした、しかもその寄附の過程において免税もされておる、こういう場合に、その一方でその寄附金を回収した、こういうことですよ。東日本ではなくて、そういうことがあった場合にどうかということです。
  87. 前田宏

    ○前田説明員 一般論と申しましても、当該事件に非常に関係のあることでございますので、明快に申し上げかねるわけでございますけれども、一般論としてということになりますと、寄附金として入ったものが、何らか正当な理由もなくて回収されたということになりますと、御指摘のような問題が生ずるということはあり得ると思います。
  88. 新村勝雄

    新村委員 そこで、東日本学園の場合は四十八億九千万円の寄附金が学校法人認可の条件になっていた。これは文部省御承知のとおりです。そして、申請の段階で、これは銀行借り入れでは認可できないことを文部省は指導していた。ところが、この寄附金は借入金だったという結論が出ようとしている。いまの局長御答弁のようにまだ結論は出ていませんけれども、出ようとしているというふうにわれわれは考えております。こういう事態に対して文部省はどう考えるか。もしそうだとすれば、文部省は、財政的な実体が全くないにもかかわらず学校法人の認可を行ったということになるわけです。文部省の御見解を伺いたい。
  89. 福田昭昌

    ○福田説明員 東日本学園大学の設立及び学部増設に当たりまして、佐々木真太郎さんから総計五十六億円、新日本観光株式会社から総計二十八億九千万円、その他企業から総計六億円の寄附がなされておりまして、これらの寄附金につきましては、寄附の申込書、預貯金等証明書、入金伝票及び役員会の議事録等によりましてその実行を確認しているところでございます。
  90. 新村勝雄

    新村委員 実行を確認されたと言いますけれども、その後の経過が実は問題なわけです。その後、裏面でこの金が回収をされた。寄附者にバックされておるわけですね。そして、その後それをまた返したと言いますけれども、これは発覚をして追及されて返したわけですから、一回寄附をしながら裏面で回収をしたということは明らかなわけですね。文部省はそれを御承知なわけです。それに対して文部省はどうお考えでしょうか。それを伺っておるわけです。
  91. 福田昭昌

    ○福田説明員 いま先生から御指摘のように、その後学校法人としての運営の適正を欠く事実が明らかになったわけでございますが、その一つは、東日本学園大学の設立に際し寄附を行いました株式会社のために、昭和五十三年度に、同社が有しておりました負債二十八億二千九百万円余でございますが、それを肩がわり弁済したということがございます。また、同大学の設立及び学部増設に際し寄附を行いました、ただいま申し上げました個人に対しまして、昭和五十三年度及び昭和五十四年度に無利息で資金の貸与を行ったということがございます。  このことにつきまして、文部省といたしましては、速やかに大学に対して是正の措置を講ずるように指導したわけでございますが、指導の結果、現在まで措置されました内容は、以下申し述べるとおりでございます。  まず、債務肩がわり弁済額つきましては、今日まで全額回収をされております。なお、利息は未収となっております。また、個人に対する貸付金につきましては、全額これも回収をされております。なお、利息は未収となっておるわけでございます。
  92. 新村勝雄

    新村委員 いや、そういうことはこの前伺ったのですよ。そういうことを伺っているのではなくて、そういう事態に対して文部省はどう考えるのか、こういうことを伺っているわけです。  それで、これは最近の各方面での問題ですけれども、特に医科系の大学等では、実体のないいわゆる見せ金を積んで許可を受けて、後で多額の裏口入学金を徴収をしてそれで穴埋めをしている、こういう大学の運営の操作をしているということが言われております。これは広く事実として明らかになっておることですが、東日本学園についてもその例と思われるわけですよ。そうして、しかもこの認可についてはいろいろの問題があるわけでして、この認可について、あるいはその後の問題について、元閣僚あるいは数人の代議士が介在している、こういうことも言われておりますし、その点については私もその事実を証する資料を持っております。こういうきわめて不明朗な大学の運営がされておるということ。これは、東日本がいま問題になっておりますけれども、そのほかにも、愛知医大あるいは相模工大を初めとして、何件かのこういう大学の運営に関する不明朗な事件が指摘をされておる。こういう点について文部省はどう考えるのか、こういうことを伺っているわけです。  そこで、この問題についてもう一つ申し上げると、名前を挙げて失礼なのですけれども、佐々木真太郎氏は東日本学園との間に一つの協定書を取り交わしているわけなんです。ここに協定書がありますけれども、その協定書の要点は、佐々木氏あるいは佐々木氏の指名した者を会頭と定めてその意思に従う。会頭というのは定款にはないわけですね、大学の規定にはないのです。そういう会頭というものを任意に、ほしいままに決めて、会頭の指導には従え。そして、理事は佐々木氏が選んだ者を過半数選任すること。それから、経営方針、財産の運用、幹部の任免、人事等はすべて会頭の同意を得なければならない。こういうことを一つの陰の秘密協定で決めているわけですよ。そして佐々木氏は、貸した金の元金と利息を回収するだけではなくて、大学そのものを完全に私物化しているというのが実態なわけです。  文部省は、大学については、これは学問の自由という見地からして自主性を尊重しなければならない、こう言っています。確かにそのとおりであって、学問の自由、大学の自治は最大限に尊重しなければならないわけですけれども、同大学のように、教育の場が利潤追求、利益の対象にされているというようなことについては、これは放置できない問題だと思うのです。しかも、理事でも何でもない人物が、理事職員を完全に指揮、掌握をしている。こういう運営の組織上の問題も全く常識を逸しておる、こういうことなんですよ。  佐々木真太郎氏は実業家としてはきわめてすぐれているかもしれません。しかし、いわゆるらつ腕をもって鳴る人物ですよ。金貸しだと言われておる。多額の金を運用して利益を図っておる。これは実業家としては結構なわけですけれども、こういうことを大学を舞台にしてやられては困ると思うのですね。金貸しが大学を外部から指導している、リモコンしているという実態を文部省はどう考えているか。
  93. 福田昭昌

    ○福田説明員 文部省としましては、昭和五十四年度におきまして実地調査をいたしまして、先ほど御指摘のような点があったということが明らかになりまして、先ほど申し上げましたようなことを含めまして、学校法人の運営に対して理事長及びその他の役員の責任を明らかにするように指導いたしたわけでございます。  学校法人としましては、先ほど申し上げましたような改善の措置をその後今日までとってきておるわけでございますが、学校法人としてもこの点につきましては深く反省をして、今後二度と轍を踏まないということで回答してきておりまして、その後改善の措置をとって今日に至っておるわけでございます。
  94. 新村勝雄

    新村委員 これは再び言いますけれども、教育の場が利潤追求の場にされておる、こういうことについて文部省はどう考えるかということ。  それから、いまは東日本について申し上げておりますけれども、東日本だけではなくて、ほかにもたくさんこういう例があるわけですよ。しかも同一人物なんです。同一人物が三つも四つもの大学に関係をして、いわゆる大学の乗っ取りを策しておる、こういう事態をどう考えるのかということです。  これは所管ではありませんけれども、法務大臣、こういう事態についてどうお考えですか。所管ではないと思うのですけれども、これは大臣としてどうお考えですか。
  95. 秦野章

    秦野国務大臣 いまお聞きした範囲でおまえどう思うかと言われましても、私もちょっと何ともお答えしにくいので、これはひとつ所管の方でしっかりやってもらうほかないんじゃないですか。
  96. 新村勝雄

    新村委員 大臣もこの問題に御関心を持たれて、教育の場が利潤追求の対象にされるということはまずいですから、ひとつ御研究を願いたいと思う。  それから、文部省、もう一つは不動産の問題がございます。  去る五十四年十二月の三角局長通達で指摘された大学所有地の低廉売却の問題です。大学側は当初、この土地が転売された場合、六億円程度の譲渡益を大学に還元させるという方針を文部省へ報告していたわけですけれども、その履行が困難になった。とりあえず理事が一千万円だけ損害補てんをして、あとはその後可能な限り補てんを図るということですけれども、これは可能な限りですから、できればやる、できなければやらないということで、恐らくうやむやになるのではないかという心配があるわけですね。  ところで、一方、地元の音別町は、大学ができるということで坪十円で大学に売ったわけですから、約束違反ということで地元でも大変困っておると問題にしておるわけです。そして、十年以内に学園都市が実現しないときには売り渡し価格の坪十円で買い戻す、売買、貸与する場合には町と協議して意見を尊重する、こういう協定が前にある関係で、町では法律上の手続をとっても決着を図る、こう言っていますけれども、文部省はこれに対してどう指導されますか。
  97. 福田昭昌

    ○福田説明員 ただいま御指摘の、大学の運用財産でございます土地の開発を請け負った株式会社に対しまして、開発費の一部に充てる目的で、昭和五十三年度に、当該開発されたものを含め、運用財産である土地を著しく低廉と思われる価格で売却したということで、いわば帳簿上の損を与えた、こういうことにつきましては、まことに遺憾なことであるということでその改善の指導をしたわけでございますが、学校法人におきましては、ただいま先生お話しのように、譲渡を受けた株式会社から将来相当額を学校法人に支払うことにしていたということでございますが、事実上不可能になったのは御指摘のとおりでございます。  理事一同はその責任を痛感しまして、とりあえず理事長と他の四名の理事昭和五十七年度に一千万円の損害補てんをいたしまして、今後とも理事長の責任において可能な範囲での補てんがなされるように努力する旨の回答を受けたところでございます。なお、その後、五十八年度に入りまして、さらに理事長と四名の理事から一千万の損害補てんが行われたと承知しております。
  98. 新村勝雄

    新村委員 それから、文部省は私立の教育機関に補助金を出していますね。この問題については、土地の処分問題が未解決であり、土地処分だけではなくて、すべての点で未解決で、解決にほど遠い現状だと思います。私立学校振興助成法、私立大学等経常費補助金取扱要綱で、「経費その他事務処理が著しく適正を欠く場合、管理運営が著しく適正を欠いている場合、補助金を減額または返還させることができる。」とされているわけですが、東日本学園の場合、文部省から指摘された土地問題が未解決であり、その他大学の運営についても余り改善の実がない。そうですね。そういう中で大学側から補助金申請が行われた場合、これは「適正を欠く場合」ということになるのかどうか。補助金は、これから仮に申請がされた場合に出すのか出さないのか。
  99. 福田昭昌

    ○福田説明員 東日本学園大学に対する補助金の問題につきましては、一度五十三年度に二億二千七百万ばかりの補助金を出したわけでございますが、ただいまのような事態がわかったということで、その金額にさらに加算金二千七百八十万余を加えまして返還をさせました。その後は、法人の方からこの補助金申請はなされていないというふうに承知をいたしております。  仮に申請が出された場合はどうなるのかという御質問でございますが、この補助金の配付につきましては、私学振興財団というところでしかるべき機関に諮りながら審査をして適否を決めるということになっておりますので、出されましたならば、現在の状況を判断した上で御判断になろうかというふうに存じております。
  100. 新村勝雄

    新村委員 次に、利息ですけれども、昨年八月の当委員会で、佐々木氏あるいは新日本観光から東日本学園が問題の金を回収した際、債務の肩がわり、貸与していた間の利息の回収が行われていない、いまもそれはおっしゃっていますけれども、いないわけですね。それで、これは今後どうするのか。  また、これは運営の問題になりますけれども、仮にこの金が回収をされていたとしても、これは一つの仮定ですけれども、この金を大学が預金をして、その預金を見返りにして佐々木氏あるいは新日本観光が銀行から融資を受けるということだってできるわけですが、そういうところまで文部省は調査されているかどうか。  それから、先ほど刑事局長は、この問題についてはまだ決着がされていないということですけれども、仮に寄附金であったと認定された場合には、裏面でバックされていたわけですから、これは刑事責任の問題が起こる。一方、寄附金じゃなくて貸付金であった、だからこれは刑事責任がない、こういう認定であるとすれば、これは貸付金ですから佐々木さんは公然と大学に対して返還を迫ることができますよね。大学は、五十数億円の金を返せと佐々木さんから言われた場合には返さなくちゃならない。そういう事態が起こった場合に、文部省はどう指導されますか。
  101. 福田昭昌

    ○福田説明員 第一点のことでございますが、たとえば個人に対して無利息で資金を貸し付けたということでございますので、それにつきましては、当然、学校法人としては、不当な損害をこうむらないという意味で利息をつけるということで、そういう理事会の決議によって、その利息も含めて回収を図る、こういうことをしたわけでございます。元本につきましては、先ほど御説明しましたように、返還が行われておりますが、利息についてはまだ決めたとおり入ってきていないというのは問題として残っておるわけでございます。この問題については、引き続き学校法人に対して指導をいたしておるわけでございます。  なお、二番目の問題につきましては、いわば銀行の問題でございましょうが、そこまで文部省としては指導はいたしておりません。  それから、寄附金の問題につきましては、当初申し上げましたように、寄附金の申込書、残高証明、入金伝票等によりまして、寄附金として受け入れておるというふうに理解をいたしております。
  102. 新村勝雄

    新村委員 いや、私の質問に答えていないわけですよ。仮にこれが借入金だという認定になった場合には、佐々木さんの方から正式に返還要求が大学に対してあるでしょう。その場合には、大学は、実体のない、空の大学になってしまう、こういうことですよね、認可のときにこれは見せ金だけで認可をしたということになりますから。そういうことに対して文部省はどうお考えかということです。
  103. 福田昭昌

    ○福田説明員 正式に文部省に申請書として出された中で寄附金として提出されたわけでございますから、それに対して返還ということはあり得ないことだというふうに思っております。
  104. 新村勝雄

    新村委員 これは法務省にお願いですけれども、文部省さんはこれは明らかに寄附金だ、借入金ではない、こうおっしゃっておるわけだし、いままでの経過というか、認可の段階では、これは絶対に借入金ではない、寄附金だ、こういうことで文部省さんは認可をされたわけです。ですから、その事実を踏まえてひとつ刑事局長さんもこれからの結論を出してもらいたいのです。都合のいいときにはこれは寄附金だ、こっちの都合の悪いときには借入金だということで事件を処理されては大変困るわけですから、法務省さんが最終結論を下す場合にも、これは寄附金なんだ、文部省さんもそうおっしゃっているのですから、寄附金なんだということをまず念頭に置かれて、その寄附金が裏面でバックをされたんだという事実を踏まえてひとつ結論を出していただきたい、これをお願いしておきます。  それから、先ほども申し上げたように、東日本学園大学は、学校の規則に反して——会頭制なんというものはないのですよ、この規則には。ないのですけれども、会頭制なるものをつくって、学外の、大学とは関係のない人物が外部から完全な実権を握って指導している、こういう事態があるのですけれども、これに対して文部省はどうお考えですか。
  105. 福田昭昌

    ○福田説明員 学校法人において、どういう職をどういうふうに設けるかというのは、いろんな学校によっていろんな形態がございますが、東日本学園の寄附行為におきましては、会頭という職は定められておらないわけでございます。  なお、大学の説明によりますと、内部の規定で会頭を置く旨の定めを置いているそうでございますが、これは名誉職的なものであるということだそうでございます。いずれにしても寄附行為の上で置かれていないということ。それから、運営は理事会あるいは評議員会という寄附行為上の機関によって運営をされておるということで、直接的な執行という意味では、大学の運営は理事会を中心に行われているというふうに承知をいたしております。
  106. 新村勝雄

    新村委員 それは形式なんですよ。形式だということは文部省もよく御承知だと思うのです。形式であって、実態はそうではない。世の中のことを判断する場合には形式だけではだめなんですよ。実態がどうなっているかということもやはり同時に調査をされて、それに対する正確な認識とそれに基づく判断あるいは処理がなされなければこれは困るわけだ。この問題なんかは全く形式と実態とが違うわけなんですよ。形式では確かに理事会があって、理事会が大学をやっているということだろうと思いますけれども、大学の外部から佐々木真太郎氏という非常に有能な方が大学を完全に掌握をして支配をしているわけですから、それらをどうするかということ。  それからもう一つ、先ほどから何回も言っていますけれども、いま多くの大学でこういう問題が起こっていますね。大学を乗っ取る、教育の場を乗っ取るなんというのは、これはとんでもないことだと思うのです。教育というのは、申し上げるまでもなく最も崇高な社会的な活動であるし、社会的な機能もきわめて重要なわけですから、そういう教育が金もうけの対象になっていること、文部省はそういう事態に対して、学問の自由ということとは別の次元で、どうこれから対処をされるのか。大臣いらっしゃっていないから後でまた伺いますけれども、こういう事態を何回も起こしていますよ、日本では。大学乗っ取りという問題を。これをどういうふうにこれから指導されるのか、もしおわかりならば伺いたい。
  107. 福田昭昌

    ○福田説明員 大学の運営に対しての文部省の姿勢としては、基本的には、私学の自主性という立場がございますので、法令に基づいてその範囲の中で権限を行使するとともに、必要な指導助言をしていくということでやっておるわけでございます。  ただいま先生から御指摘のありました、私立大学におきまして最近いろいろな問題が生じて社会的な不信を招いておるということは、まことに遺憾に存じておるわけでございます。  文部省としましては、これはずいぶん前になりますが、昭和五十二年に私立医科、歯科大学に対しまして、入学に関する寄附金の収受等の禁止あるいは入学者選抜の公正確保、学生の負担軽減措置、そして経営の健全化、経理の適正処理といったものにつきまして指導を行ったところでございますが、一昨年再度いろいろな問題が生じたときに、関連いたしまして、学校法人経理の適正化を図るよう通知を出し、全国の学校に対しましてもその通知を配付をし、またいろいろな私立大学の事務局長会議等を通じまして、文部省としても重ねて注意を喚起しておるところでございます。すべての私立学校の関係者が、私立大学に負託されました社会的な責任の重大さというものを十分自覚して、適正な運営の確保に努めますように今後とも指導を続けてまいりたいというふうに存じております。
  108. 新村勝雄

    新村委員 いま日本の教育には多くの問題が提起をされておりますね。暴力の問題あるいは教科書問題、これは次元が別ですけれども、そういう中で、これは経済力によって教育を支配しようということですから、これは暴力の問題と同時に一つの重大な問題たるを失わないと思うのですよ。そういう点で、教育が利潤の対象にならない、あるいは経済の力に任せて大学を支配する、あるいは教育を支配するというようなことのないような十分の指導と配慮をひとつお願いしたいと思うのです。  それから法務大臣は、先ほど所管でないとおっしゃいましたけれども、これは内閣の一員として、こういう問題が教育の中にあるということをひとつ御認識をいただいて、金に任せて大学を乗っ取ったりあるいは金に任せて大学を支配するというようなことのないような、そういう教育にするように御努力を賜りたいと思います。これは要望しておきます。  終わります。
  109. 古屋亨

    古屋委員長 春田重昭君。
  110. 春田重昭

    ○春田委員 私は、いま大きな社会問題となっております戸塚ヨットスクールの問題についてお伺いしたいと思います。  去る七月五日、名古屋地検が戸塚ヨットスクールの戸塚校長及びコーチ六名を傷害致死罪で起訴したわけでございますが、この起訴に至る経緯を、時間がございませんのでひとつ簡潔に御説明いただきたいと思います。
  111. 前田宏

    ○前田説明員 御指摘のいわゆる戸塚ヨットスクールの関係の事件につきましては、ただいま委員の仰せのように、五十七年の十二月の十二日に発生いたしました小川真人君に対する事件があるわけでございまして、その点につきましては、現地の警察が努力をされましていろいろ捜査を遂げられました結果、名古屋地検に送致をされ、そしていま御指摘のように、七月五日に合計七名の者を傷害致死という罪で起訴している次第でございます。  その前と申しますか、捜査的には前でございますけれども、御案内のとおり本年の四月の二十四日に、いわゆる暴走族と言っていいのかどうかと思いますけれども、少年五名がスクールの周辺に来ました場合に、その少年たちを監禁をしてスクールの関係者が傷害を負わしたという事件がございまして、それから具体的な強制捜査が始まりまして、その事件につきましても、両方を処理しておるということでございます。  そのほかにも、同スクールの女子訓練生に対する強制わいせつという事件がございまして、その点につきましても、関係のコーチといいますか従業者、これにつきまして捜査をし、起訴をしているということでございます。
  112. 春田重昭

    ○春田委員 死亡事件は、この小川真人君のほかに、五十四年の二月に見学君、それから五十五年の十一月には吉川君の二件があります。見学君は不起訴、吉川君は捜査中となっておりますが、今回のこの小川真人君の起訴により、この過去の両事件というものは新たな展開が予想されると私は思いますけれども、どうでしょうか。
  113. 前田宏

    ○前田説明員 御指摘のように、吉川君という人に対する事件がございまして、これはまだ現在捜査中でございます。一方、見学君という人の死亡事件があるわけでございまして、これは、ただいま御指摘のようにすでに五十六年の暮れに不起訴処分になっているわけでございます。  ただいま捜査中の事件につきましては、当然のことながら、捜査を継続いたしまして事案の真相を解明し、事案に応じた処理がなされるものというふうに考えております。また、不起訴になっております事件につきましてもいろいろと問題があるという御指摘もあるわけでございますが、その点につきましては、一応不起訴になっておるわけでございまして、特段の事情があればまた別だというふうに御理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。  いずれにいたしましても、その他いろいろな事件が警察におきまして捜査をされておるわけでございまして、それらを通じまして事案の実態を解明して、その実態に応じた適切な処理がなされるものというふうに考えている次第でございます。
  114. 春田重昭

    ○春田委員 もうすでにこの補充捜査が開始されていると見ていいわけですか。
  115. 前田宏

    ○前田説明員 それぞれの事件につきましては、現に捜査中の事件が多いわけでございますので、その捜査の内容を、まだ途中の段階でどういうふうになっているかということを申し上げるのは事柄の性質上お許しをいただきたいわけでございますが、一般的に申しまして、先ほど申し上げましたように、それぞれ警察当局におきましてその事案に応じた扱いがなされているところでございまして、その結果それが検察庁に送られました場合には、やはり検察庁におきましても、その内容を十分解明いたしまして事案に応じた処理を行うというふうに御理解をいただきたいわけでございます。
  116. 春田重昭

    ○春田委員 警察の方にお伺いしますけれども、補充捜査を開始しているのかどうか。
  117. 三上和幸

    ○三上説明員 吉川君の事件につきましては、警察としてすでに送致した事案でありますので、今後検察庁の捜査によりましてあるいは補充捜査を必要とするという場合については、協力して捜査をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  118. 春田重昭

    ○春田委員 この戸塚ヨットスクールは、新聞や雑誌等を見る限り、社会通念上から考えられない事件や行為が行われているわけであります。先ほどの死亡事件の三件のほか、行方不明が二件、また木刀や角材、火あぶりによる暴力、女性に対するわいせつ行為、手錠や牢屋等に押し込めたりする監禁行為、脱走者に対する残虐な行為等、およそ大人が子供に対する行為ではないし、教育訓練とは名ばかりのしごき、リンチじゃないかと私は思うわけでございますが、大臣はこの戸塚ヨットスクールのスパルタ訓練といいますか、体罰でもって障害児を治すという方式をどう見ておられますか。
  119. 秦野章

    秦野国務大臣 われわれの方は、事件としての処理ということで、適正に今後対処していくという立場でございます。  教育の方法としてスパルタがいいかどうかというのは、いろいろ人によって意見があろうかと思います。私自身がどうかと言われれば、まあスパルタにも程度があるので、その辺のところは要するに健全な世間の常識というか、親の常識、先生の常識、社会の常識みたいなものがあるのだろうというふうに思います。
  120. 春田重昭

    ○春田委員 社会通念上から大きく逸脱しているのは間違いないと思いますし、程度と言いますけれども、死亡事件が出ているわけでございますから、限界をはるかに超えた行為じゃなかろうかと私は思うわけでございます。  ところで、この戸塚ヨットスクールというのは情緒障害児を治すという教育訓練としての宣伝をしているわけでございます。捜査の段階で、この戸塚ヨットスクールには現在何名訓練生がいるのか、おわかりになれば御答弁いただきたいと思うのです。
  121. 三上和幸

    ○三上説明員 そのときどきにおきましてかなり増減がございますが、今回の事件のありました十二月十三日の段階では、八十一名の訓練生がおったということでございます。
  122. 春田重昭

    ○春田委員 設立されまして今日までに卒業した人員は何名くらいか、つかんでおられますか。
  123. 三上和幸

    ○三上説明員 私どもでは正確な数字をつかんでおりません。
  124. 春田重昭

    ○春田委員 また、このスクールは情緒障害児を対象にということで、小学生以上を訓練生としているそうでございますが、いわゆる訓練生というのはすべて情緒障害児が対象なのかどうか。
  125. 三上和幸

    ○三上説明員 捜査を通じまして把握した状況では、いろいろな形態がございますので、必ずしも情緒障害児ということだけではないというふうに考えております。
  126. 春田重昭

    ○春田委員 先ほどの亡くなられた小川真人君はそうした生徒だったのかどうか。
  127. 三上和幸

    ○三上説明員 情緒障害があったというふうには把握をいたしておりません。
  128. 春田重昭

    ○春田委員 校長の戸塚宏は情緒障害児を四百名治したと豪語しているそうでございますけれども、捜査の段階で、そうした情緒障害児が治ったという形跡といいますか、また、今後治るであろうという形跡というものがあるのかどうか、どう認識されていますか。
  129. 三上和幸

    ○三上説明員 私どもの方でお答えをすべきかどうかあれですが、情緒障害が治ったかどうかということにつきましては、なかなかむずかしい問題があろうかと思いますので、校長はそういう発言をされておるように聞いておりますけれども、私どもの方で一々それが改善をされたかどうかという検証をいたしておりませんので、ちょっとお答えをしかねるというふうに思います。
  130. 春田重昭

    ○春田委員 大臣、こういう訓練のやり方に対して、人権上許されると思いますか。
  131. 秦野章

    秦野国務大臣 人権の問題はやはり無関心ではあり得ないということで、現地のわれわれの出先も関心を持って調査をしているはずでございます。
  132. 春田重昭

    ○春田委員 この戸塚ヨットスクールには、児童福祉法に当たる十八歳未満の訓練生が多いと聞いているわけです。この児童福祉法に照らして、児童虐待に当たる行為とならないのかどうか、この点、厚生省としてはどう見ておられますか。
  133. 蒲地清弘

    蒲地説明員 戸塚ヨットスクールは、ヨット訓練を通じまして精神力の強化を図るということで情緒障害児を治療する、こういうことで教育を行っておるわけでございますが、私ども児童福祉の立場といたしましては、体罰を含む行き過ぎた訓練方法については、まことに遺憾であるというふうに考えております。  入所児童の実態につきましては、これまで愛知県を通じましてその把握に努めてきたところでございますが、ヨットスクールが十分協力をしないというような実情がございまして成果が上がっておりません。ただ、現在把握したところによりますと、六月二十五日現在でございますが、三十五人ということになっておりまして、十八歳未満の児童が二十人、十八歳以上十五人、愛知県内の子供が七人、その他二十八人、こういうような状況に相なっております。
  134. 春田重昭

    ○春田委員 こうした情緒障害児の子を持つ親やそうした子供に対する適切な施設があればこういう問題が起こらないわけであって、そこら辺、厚生省としてはどうとらえているのですか。
  135. 蒲地清弘

    蒲地説明員 情緒障害児につきましては、児童福祉法にそういう施設が規定されております。  そこで、情緒障害児の子供さんの治療に当たりましては、まず児童相談所におきまして相談をお受けしまして、それから所要の調査、判定をした上におきまして、適切な、在宅の指導でありますとか、必要に応じて、情緒障害児短期治療施設というものがございますし、あるいは教護院、そういうところに入所措置をすることになっているわけでございます。  今後とも児童相談所の活動を強化いたしますとともに、情緒障害児短期治療施設等の整備の促進ということと同時に、情緒障害児が発生しないように、その発生予防という視点に立って対応策を推進することがまた大事だろうと思います。そういうことで、厚生省といたしましては、児童館の整備でありますとか母親クラブ等地域組織の拡充、そういう健全育成対策の推進に努力をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  136. 春田重昭

    ○春田委員 今回の事件で、預けた父兄の側にも責任があると一部言われているわけでありますけれども、全部が全部情緒障害児じゃないと思いますけれども、情緒障害児を持つ親として、家庭としては、わらをもつかむ思いでスクールに子供を託したと思うのです。そうした家庭状況も勘案して障害児対策というものを進めなかったならば、私は、こうした問題というのは、この戸塚ヨットスクールだけではなくして今後も出てくるだろう、こう危惧するわけでございます。  そういった面で、国としても、法務省や警察、そして文部省、また厚生省等、その辺の各省が連絡をとり合いながらこうした対策を進めていただきたい、こう要望するわけでございます。  最後に、閣僚の一人としての大臣の御意見をお伺いして、時間がございませんので次の問題に進めさせていただきたいと思います。
  137. 秦野章

    秦野国務大臣 御趣旨のところはよく了承して対処したいと思います。
  138. 春田重昭

    ○春田委員 何せ時間が三十分ということでございますので、もう一点だけやらせていただきます。  法務省に矯正医官修学資金というのがありますね。この目的について簡潔に御説明いただきたいと思うのです。     〔委員長退席、東家委員長代理着席〕
  139. 鈴木義男

    鈴木(義)説明員 矯正医官修学資金貸与制度と申しますのは、矯正施設には多数のお医者さんが必要でございますが、現実問題として矯正施設の医師になっていただく方が少ないために、将来そういう希望のおありの医学生に対しまして資金を貸与いたします。その貸与を受けた場合には一定年限勤めていただくという条件のもとで貸与をいたしまして、これによって矯正医官の数を確保する、こういう趣旨の制度でございます。
  140. 春田重昭

    ○春田委員 この制度が発足したのは昭和三十六年ですが、この修学資金を貸与した者は三十六年から現在まで何名くらいいるのか、そのうち医師国家試験に合格した者は何名いて、その後矯正施設の医師として勤務したのは何名か、そして現在施設に勤務しているのは何名なのか、数字であらわしていただきたいと思います。
  141. 鈴木義男

    鈴木(義)説明員 昭和三十六年の発足以来、貸与を終了いたしました者の数は百二十名でございます。その全部が医師国家試験に合格いたしております。それから、百二十名のうち矯正医官として任官いたしました者は合計三十七名でございますが、現在勤務しておりますのは三名でございます。
  142. 春田重昭

    ○春田委員 ただいま説明あったように、百二十名に貸与して医師国家試験には全員が合格した。そして矯正施設に勤務したのがそのうちの約三分の一弱に当たる三十七名、その後現在残っているのは三名ということでございますから、三十四名がもう退職しているわけですね。要するに、矯正医官になるということであった制度、そして晴れて医者になり、施設にいたのはそのうち三分の一、しかし現在残っているのはわずか三名。私は、この制度そのものが完全に名のみがあって実体がないという実情ではないかと思うのです。その理由は何ですか。     〔東家委員長代理退席、中川委員長代理 着席〕
  143. 鈴木義男

    鈴木(義)説明員 ただいま御指摘にありましたように、この制度、私どもが予期したほどの成果を上げていないということは残念でございますが、先ほど三十七名が任官したと申し上げましたけれども、この中で、退職した人も含めまして一人平均にいたしますと約三十八・六カ月、三年以上勤務しておるということでございますので、それだけのあれはあると思います。  それからもう一つは、こういう制度を設けることによりまして医学生の間に矯正施設というものに対する理解を増進するという面もあり得るかと思います。この点は、この制度を通じないで矯正医官になっていただく方に対する一つのPRということにもなるのではなかろうかというように思っております。  結局、一番私どもいま苦慮いたしておりますのは、矯正施設の医官のなり手が非常に限られておるということでございます。その原因といたしましてはいろいろ考えられますけれども、一つには、矯正施設というところがお医者さんの勤務環境として必ずしも快適でない。特に、医師と患者との間の信頼関係が成り立ちにくいということが一つございます。それからもう一つは、矯正施設に勤めますと、お医者さんの数が限られておりますので、一人でいろいろなことを診なければいけない。そういう意味で、専門的な技量を磨く機会に欠けるところがあるというようなことで医官の志望者が大変少ないわけでございます。そういうこともございまして、結局、修学資金を貸与いたしました場合でも、修学資金を返還することによって医官になるのをやめるという人がかなりいるわけでございます。
  144. 春田重昭

    ○春田委員 これは予期した成果が全くない、百二十名が受けてわずか三名しか残っていないわけですから、全くないと言ってもいいのじゃないですか。三十七名も勤めた中で三十四名が退職しておりますけれども、平均勤務年数はいま言ったように三年二カ月ということで非常に短い。  これは、この貸与資金を返還すればそれでいいという安易な考え方があるのではないか。要するに、四年間貸与を受けたとすれば 六年間勤めれば全額免除されるわけですね。その六年間もたないで三年二カ月でやめてしまうということは、月の奨学資金がわずか二万九千円だといっても、要するにこの制度を利用して、借りたものは返せばそれでもうおしまいだというような、安易というか甘い体質があるのではないか。やはりこの制度がある以上、実のあるものにするためには、ただ金を返せばそれでおしまいという現在の制度が残っている以上、やはり今後もこの制度は生かされない。そういった面で、いろいろな理由があろうと思いますけれども、そうしたわずか三名しか残っていないというこの制度そのものが欠陥の制度である。こういった面でもやはり抜本的な対策というか、考えをしていかなくてはいけないんじゃないか。たとえばちゃんと説明の合ったペナルティーを加えるとか、そうしたことも考えていかなかったならば、このままでは死んだ制度になる、私はこう思うわけです。  こういった面で、私はこの際、抜本的に矯正医官修学資金制度について見直す時期に来ているのではなかろうか、こう思っているわけでございます。どうでしょうか。
  145. 鈴木義男

    鈴木(義)説明員 この制度の効果という点につきましては、先ほど申しましたように、私どもも予期した効果が上がっていないのを残念に思っておるわけでございます。もっとこの制度の効果が上がるような方法はないかと模索しておるところでございまして、現在医学生について同様の貸与制度をとっております他の制度との権衡等も考えながら、効果が上がるような方策を見出してまいりたいと思っております。
  146. 春田重昭

    ○春田委員 矯正施設、たとえば刑務所、少年院や少年鑑別所、婦人補導院には必ず医師が必要になっているわけでございます。  定員に対する現員は九一%ということで、一〇%の欠員になっているわけでございます。特に少年院の静岡、新潟、奈良、沖縄、それから少年鑑別所の千葉、前橋、静岡、ここはもうお医者さんが全然いないという実態になっているわけですね。そういった面も含めて、近郊の大学病院ともよく連携をとりながら、そうした大学病院からの先生の派遣等も考えてみるべきじゃないか、私はこういう考え方もしているわけでございます。新聞等でも、無資格で医療行為が行われるということがあちこちで報道されているわけでございます。これも医師の充足が完全でないというのが原因でないかと思うのですね。  そういった面で、この矯正医官修学資金制度の見直しとともに、矯正施設の医師を充実させる案を鋭意考えるべきじゃないかと私は思うわけでございます。大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  147. 秦野章

    秦野国務大臣 行政改革の時期でもあるというお話で、私ども全般にわたって十分検討してまいりたいと思っています。
  148. 春田重昭

    ○春田委員 それでは、時間が参ったようでございますので、非常に走って質問いたしましたけれども、これで終わります。
  149. 中川秀直

    ○中川委員長代理 宮田早苗君。
  150. 宮田早苗

    ○宮田委員 本日は、質問時間の関係でごく短く四、五点のみ質問をしようと思っておりますので、答弁の方もよろしくひとつお願い申し上げたいと思います。  第一点は、複雑化いたします現代社会にあって、法の番人として社会正義を実現するため、裁判所の役割りが非常に重要となっておりますのは御存じのとおりであります。また、庶民の生活に密着してきておることも事実でございますし、ロッキード事件であるとか、また、あす判決のございます連続射殺事件とか、世間の注目を浴びる事件だけではなしに、ごくありふれた裁判の状況についても関心を持たなければならぬ、こう思っております。  そこで、現在、地方裁判所それから簡易裁判所の民事、刑事の訴訟事件数はどのくらいになっているか、そして近年どのように推移しているのかをお聞きをいたします。  もう一つは、家庭裁判所、簡易裁判所の調停事件、あるいは簡易裁判所の督促事件についてどうなっておるか、この辺をお伺いをいたします。
  151. 山口繁

    山口最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。  まず、民事訴訟事件について申しますと、近年地裁、簡裁を通じまして増加する傾向にございます。  地裁は、昭和五十一年に十万件を超えましたが、昭和五十七年には十三万七千件余りになっております。簡裁につきましては、昭和五十一年に六万件弱でございましたものが、五十六年には九万件になりまして、さらに五十七年には、御承知のように事物管轄の改正がございまして、その結果十二万八千件余りに達しております。  これに対しまして刑事訴訟の事件について見ますと、地裁では、昭和五十一年以降おおむね八万件台でほぼ横ばいの状況にございます。簡裁は、昭和五十一年が三万二千件ございましたのが漸減してまいりまして、昭和五十七年には二万八千件ということになっております。  それからお尋ねの簡裁の調停、督促でございますが、いずれも増加の傾向にございます。  調停事件は、昭和五十一年に五万二千件ございましたのが昭和五十七年には七万四千件余りと、比較的穏やかな伸びを示しておりますが、督促事件は、昭和五十一年の二十万件弱が五十七年になりますと約四十七万件余り、二倍以上に増加しております。  それから家裁の調停事件は、昭和五十一年が八万件弱でございましたが、その後微増いたしまして五十七年は八万八千件となっております。  以上が現在の状況でございます。
  152. 宮田早苗

    ○宮田委員 二点目に移りますが、訴訟事件についても、ただいま御説明がございましたように非常に増加しておるわけでございますが、訴訟事件の審理は平均的に見てどのくらいの日数を要しているのか、この辺をお尋ねしたいと思います。特に民事事件についてどうなっているかということであります。
  153. 山口繁

    山口最高裁判所長官代理者 審理期間は、事件によりましてもまた審級によりましても異なってまいりますが、地裁の第一審事件について見ますと、民事訴訟事件で平均いたしまして十二・一月を要しております。刑事訴訟事件は四・一月でございます。簡裁の民事訴訟事件は比較的短うございまして三・八月、刑事の訴訟事件は二・九月となっております。  テンポが速くなっております現在の時点で考えますと、あるいは時間がかかり過ぎるのではないかという御指摘もあろうかと存じますが、裁判につきましては、御承知のとおり適正ということが強く要求されるわけでございまして、その適正を追求していく場面において勢い時間がかかるという点もひとつ御理解賜りたいと考えております。
  154. 宮田早苗

    ○宮田委員 正義実現のためには審理に慎重にならざるを得ないということも理解はできるわけです、また、そうでなければならぬとは十分思うわけでございますが、一方では、できるだけ速やかに解決されることも要請されておるわけでございます。  そこで、わが国の訴訟は、裁判制度が異なるものの、欧米などと比較して時間がかかり過ぎなのではないかということでございます。また、審理の所要日数については、かつて問題になったことがあって、改善されたと聞いてはおりますが、最近また逆戻りをしているような傾向にあるのじゃないかと思いますが、その点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  155. 山口繁

    山口最高裁判所長官代理者 最初にお尋ねの外国の審理期間との比較でございますが、審理期間に関する統計のとり方がわが国と異なる場合が多いわけでございますし、それから訴訟手続の相違等がございますので単純な比較はできませんけれども、地裁レベルの裁判所につきましてわが国昭和五十六年度の審理期間と比較してみました場合、まずアメリカの連邦地裁でございますが、民事では半数の事件が八カ月以内に終結いたしております。この点、わが国でも六カ月以内に五五・四%が終了しておりますので、ほぼ似た状況ではないかと考えられます。それから、アメリカでは九割の事件が三十一月、二年七カ月以内に終結しておりますが、わが国では三年以内で九二・三%の事件が終了ということになっております。これもほぼ似たような状況かと思いますが、まあ平均審理期間という点から見ますと、若干アメリカの方が短いかもしれません。刑事につきましては、アメリカの場合半数の事件が三・二月以内に終結しておりますし、わが国でも三カ月以内に六七%の事件が終了しているわけでございます。これも大差はなかろうと思います。  比較的法律制度が似通っております西独の各州の通常裁判所について見ますと、民事では六カ月以内に既済となる事件の割合が七一・五%でございます。わが国ではそれが五五・四%にとどまっております。それから、西独では一年以内に終了いたしますのは九〇%、わが国では七一・六%でございますから、審理期間は、民事につきましては西独の方がわが国より短いということが言えようかと思います。反面、刑事について見ますと、西独では六カ月以内に既済となる事件の割合が七七・四%、わが国では九〇%でございます。それから、一年以内に終わりますのが西独では九一・一%でございますが、わが国では九六%。刑事につきましては平均審理期間はわが国の方が短いということになろうかと思います。  総じて見ますと、アメリカあるいは西ドイツと比較しました場合、民事は若干わが国の方が長うございますけれども、まあまあ大差がない状況ではないだろうかというように考えております。  それから、第二のお尋ねの審理所要日数が長過ぎるという点につきましては、御指摘のとおり、当委員会におかれましてもあるいは法務委員会におかれましても、これまで折に触れて取り上げられたところでございます。裁判所といたしましても、迅速な審理の実現のためにこれまで努力を重ねてきたわけでございます。その結果、審理期間につきましては、四十八年を境といたしまして年年短縮されてまいっております。  たとえば、地裁の民事通常訴訟は、四十八年には十七・四月平均審理期間がかかっております。それが先ほど申しましたように、五十六年には十二・一月というように短縮されております。簡裁につきましても、四十八年が五・三月でありましたのが、五十六年になってまいりますと三・八月というように短縮されております。刑事につきましては、地裁が六・六月でありましたのが四・一月、簡裁が三・七月でありましたのが二・九月というように、徐々にではございますが短縮されてまいっておりまして、全体として見ますと相当改善されてきているのではないかと考えております。  しかしながら、御承知のように、今日でも事件によりますと相当長期間を要しているケースがございますので、私どもといたしましては今後とも審理期間の短縮に一層努力してまいりたい、かように考えております。
  156. 宮田早苗

    ○宮田委員 ただいま聞いておりまして感じますことは、これは制度そのものということよりは取り扱う方々の問題ということじゃないか。  そこで、職員定員法がさきの国会で成立をして判事の増員がなされておるわけでございますが、事件数増加していることと比較して、判事補や、特に実際に事件の事務処理をなさっております書記官とか事務官の員数には問題はないのかどうか、この辺をお伺いいたします。
  157. 山口繁

    山口最高裁判所長官代理者 御指摘のように、近年、事件が増加しておりますことは先ほど御説明したとおりでございまして、昭和五十八年度におきましては、こうした事件増加状況に照らしまして判事七名の増員をお願いした次第でございますが、五十八年度を含めまして、近年は判事補の増員は行っていないわけでございます。  裁判官につきましては、たとえば判事について申しますと、その給源と申しますのは、判事補で十年たった者、あるいは弁護士さん、検事さんにつきましても十年の経験のある方というように、給源に限度がございますし、また、そのレベルをできる限り高いものに保つ必要がございますので、定員を増加いたしましても充員ができないというような状況になってはならないわけでございまして、現実的に可能な増員数にしぼってお願いするといる方針でこれまできていたわけでございます。  判事補につきましては、昭和四十五年以降五十三年までの間に、ほとんど毎年のように増員をお願いしてまいりまして、合計七十六名の増員を図っております。その結果、近年次第に判事の充員が可能になってきたわけでございます。判事補層が厚くなってきたために判事の充員が可能になってきた、こういうことでございまして、現在の状況で考えてみますと、たとえば公害、医療過誤等等によります非常に複雑、困難な特殊損害賠償事件というものが多数地裁に係属しております。そういう事件処理等をも考慮いたしまして、近年はもっぱら判事の定員増を図るいうことにいたしまして、判事補につきましては、判事への任官による欠員を補充する程度にとどめまして、定員増は差し控えてきたわけでございます。  書記官、事務官等につきましても、定員法上は増減はございませんが、今年度におきましても、実際には裁判事務処理のため、書記官、事務官合わせて三十九名の増をお願いいたしたわけでございます。他面、司法行政部門における定員削減が三十九名ございましたので、差し引き相殺いたしますと、定員法上の増加はゼロと相なった次第でございます。  私どもといたしましては、裁判事務処理に必要な要員の確保につきましては、これまでも努力してまいりましたし、今後も相当数の増員を図っていかなければならないと考えている次第でございます。もちろん、先ほど申しましたように司法行政部門で定員削減に協力していることの結果、裁判所全体といたしましてはこれらの一般職員増加していない状況にはございますが、そのことによって裁判部門での増員の意味合いが減殺されることのないように、たとえば司法行政事務の場面におきまして合理化、簡素化を図るとか、あるいは機械導入等によりまして能率化を図るというような努力を重ねているところでございます。  以上申しましたように、近年、判事及び書記官等の増員に努めてまいりますとともに、裁判官を初めとする職員の努力と相まちまして、一部の特殊な事件は別といたしまして、各審級を通じて全般的には審理期間の短縮の傾向が見えてきているわけでございます。  今後とも人的、物的充実に意を注ぎまして、事件処理に遺憾のないよう措置してまいりたいというように考えております。
  158. 宮田早苗

    ○宮田委員 事件処理に必要な人員については何としても確保して、遅滞のないようにひとつお願い申し上げたいということでございます。  最後でございますが、せっかく大臣お見えでございますので、基本的な考え方について一言お伺いしたいことがございます。  行政改革の推進は現在の厳しい財政状況の中ではきわめて重要でございまして、裁判所ももちろん例外ではないと思います。しかし、能率的、合理的に事務を行っても、裁判が国民生活に重要な関係があるという問題でございますだけに、やはり事件数増加するに従いまして、審理日数あるいはまた員数などの関係から相当に無理が高じてくるような傾向のようにもうかがえるわけでございます。そこで、こういう問題について大臣がいま考えておられますことを、抽象的で結構でございますから、おっしゃっていただきたいと思います。
  159. 秦野章

    秦野国務大臣 私の法務省の方も、ほとんどいまおっしゃっていただいたような考え方が妥当するような立場でございます。つまり、一般官庁とは違った、政策的なものじゃなくて、事件数のようなものはいまの世の中で急に減るとかそういうこともないのだし、むしろふえるという傾向でもあるわけだから、そういう点では、御質問の趣旨は私どもも全く同感でございまして、多分裁判所だってそうだと思いますが、行政改革行政改革なりに受けとめなければなりませんけれども、その中における私どもの立場というものについてはひとつ十分主張してまいりたい、こう思っております。
  160. 宮田早苗

    ○宮田委員 終わります。
  161. 中川秀直

    ○中川委員長代理 三浦久君。
  162. 三浦久

    ○三浦(久)委員 私は、まず再審問題についてお尋ねをいたしますが、最初に裁判所お尋ねをいたしたいと思います。  最近、財田川事件やまた免田事件等、死刑囚の再審決定が相次いで起きております。そしてまた、近くその第一審判決も出されようといたしております。  そのような状況を踏まえて、法曹界では、再審決定があった場合に、原確定有罪判決の効力がいつ失われるのかということが大いに議論をされております。特に死刑囚の場合は、身柄をいつ釈放するのかという問題と絡んで、人権上の問題としても真剣に議論が展開をされているというふうに思っておりますが、この問題についての学説、判例、これをお聞かせいただきたいというふうに思います。     〔中川委員長代理退席、委員長着席〕
  163. 小野幹雄

    ○小野最高裁判所長官代理者 死刑事件の再審開始決定確定後における身柄の取り扱いに関しましては、大別して三つの考え方があるように思われます。  その第一は、御承知のように、免田事件につきまして、昭和五十六年の六月五日に熊本地方裁判所八代支部が見解を表明しておりますし、また財田川事件につきましては、高松地裁が昭和五十六年九月五日に見解を表明しております。また、大阪高等裁判所が財田川事件に関します人身保護法事件につきまして、昭和五十六年八月四日に決定をいたしておりますが、この一連の裁判所の決定見解というものが第一の見解でございます。  その見解の内容でございますけれども、確定判決の効力は再審開始決定が確定しても失効しない、再審の判決が確定したときに失効するのだ、また死刑の執行というのは絞首の執行を意味するものであって、拘置というのは刑の執行そのものではない、独特の一つの拘禁であるというようなことから、刑事訴訟法の四百四十八条二項で決めております刑の執行停止の問題には、この拘置の方は入らないのだ、対象にはならないのだ、こういう考え方を表明しているわけでございます。  ただいまのが第一の見解でございますが、この確定判決の効力がいつ失効するかということにつきましては、ただいま申しました見解がこれまでの通説と申しますか、大多数の見解であったようでございます。また、この刑事訴訟法四百四十八条二項の執行停止の対象に拘置が含まれるかどうかという点につきましても、拘置は含まれないというのが、大体の表明されていた見解のように承知しております。  第二の見解は、このような見解に対しまして、身柄の処置が問題になり出しました大体両三年に主張されてきたように承知しておりますが、一つは、この確定判決の効力は再審開始決定が確定したときに失効するものであって、その後は拘置を継続できない、したがいまして、再審開始決定確定と同時に身柄は釈放されるべきであるという見解でございます。  その第三は、先ほど申しました四百四十八条二項の刑の執行停止の対象の問題でございますけれども、死刑の刑の執行停止ということ、この刑という中には絞首だけではなくて拘置も含まれる、したがいまして、裁判所刑事訴訟法四百四十八条二項の適用によって拘置の執行停止もできるのだという考え方、あるいは、少なくともこの刑事訴訟法四百四十八条二項の準用によって、拘置の執行停止ができるのだという見解でございます。  この第三番目の見解が、私どもの承知しておりますところでは、免田事件あるいは財田川事件等で弁護人から裁判所に対して主張されているところの見解であるように承知しております。
  164. 三浦久

    ○三浦(久)委員 まだ、たとえば再審の第一審判決が出された段階で原確定判決の効力は失われるのだ、そういう説もあるのじゃないですか。
  165. 小野幹雄

    ○小野最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘のような見解もございますが、その見解につきましては、この身柄の処置についてまでは云々しておらないところでございますので省略させていただきましたが、要するに、確定判決の効力はいつ消滅するのかということにつきまして、再審判決の言い渡し時であるという見解もございます。
  166. 三浦久

    ○三浦(久)委員 もう裁判所は結構でございます。  検察庁にお尋ねをいたしますけれども、いままで検察庁は、再審判決の確定によって原確定判決は効力を失う、そういう見解をとってきておられるわけであります。そういたしますと、死刑囚の場合は、刑の執行停止があっても、いまお話がありましたように再審判決が確定するまでかなり長い間刑法の第十一条第二項で拘置をされることになって、きわめて不合理だ、特に現在の国民感情に合わない、私はそういう事態になっていると思います。そういう状態を踏まえてかどうか知りませんけれども、法務省の内部におきましても、再審の一審判決が言い渡されたときに原確定判決は効力を失う、そういう説を唱えられている方もいらっしゃいますね。私は法務省として、いわゆる法務省としてですね、そういうようなお考えをとるつもりがないのかどうか、お尋ねをいたしたいというふうに思います。
  167. 前田宏

    ○前田説明員 再審事件におきますいわゆる原確定判決の効力がいつ失われるかという問題が基本にあるわけでございますけれども、その点につきましては、先ほど最高裁の方から御説明がありましたように、いろいろな見解もあり、いま委員の御指摘のような見解も現に存在するわけでございます。  いま法務省内部にとおっしゃいましたけれども、これは法務省としての見解という意味ではございませんで、法務省職員がいわば学者的な立場でといいますか、学説的な立場でそういう点を述べている場合があるわけでございますけれども、それはそれといたしまして、法務省としてというお尋ねでございますので申し上げるわけでございますが、私どもといたしましては、先ほどの最高裁の御説明にもありましたように、従来の学説の通説的な考え方、また、熊本地裁の八代支部の見解あるいは高松地裁の見解、さらに大阪高裁の決定というようなものがあるわけでございますので、原判決の失効時期につきましては、現在のところはやはり再審の判決の確定時期というふうに考えるのが相当ではないかというふうに考えている次第でございます。
  168. 三浦久

    ○三浦(久)委員 法務省職員といっても、かなり地位の高い人ですよね、特に名前を言いませんけれども。  私は、従来の法務省裁判所の見解、この矛盾が最も強くあらわれるのは、死刑囚の場合、死刑判決の場合だと思うのです。自由刑の場合は、執行停止になって身柄が釈放されますから問題はございません。死刑囚の場合は、そういう意味では、私は理論的にもまた実務的にも非常に大きく問題が顕在化しているというふうに思うのです。いま通説ということを言われましたね。再審判決が確定してから原判決の効力はなくなるのだ、これは通説だと言われましたけれども、最近ではそれが通説ではなくなってきている、通説の地位が揺らいできている、そういうことが言われていますね。それは私はそういう矛盾が顕在化していることが一つの理由になっているだろうと思うのです。  たとえば、刑の執行停止の決定があっても拘置の効力は存在するのだ、こういうことでしょう。しかし、実際にその拘置というのは死刑の執行を前提とするわけですね。ところが、再審が決定されて新しく再審の審理が始まりますと、原確定判決で死刑を執行するという可能性は全くないわけです。仮に、たとえば再審でもって同じく死刑判決が出たとしますよ。しかし、その場合であっても、その執行は原確定判決の執行ではなくて、再審判決の執行という形になるわけですね。ですから、そういう意味では、死刑囚の場合に、いわゆる原判決で死刑執行の可能性がないのにもかかわらず再審判決が確定するまでずっと身柄を拘束するということは、私は人権上のゆゆしき問題じゃないかというふうに考えております。  ただ、きょうは時間がありませんので、その問題について、通説とまた通説を覆そうという説との議論を闘わそうというふうに私は思っておりませんけれども、しかし、そういう意味ではいま人権上の問題として大きな問題になっているということが言えると思います。  死刑囚についての再審判決は今度初めてのケースなんですね。ですから、こういう初めてのケースを踏まえて、従来の見解に拘泥することなく、広く人権擁護という観点からこの見解を検討し直すことが必要ではないかというふうに思うのですけれども、法務省の御見解はいかがでございましょうか。
  169. 前田宏

    ○前田説明員 先ほど申しましたように、身柄の問題は、そのもとになる確定判決の失効時期という問題と非常に密接なかかわり合いを持つわけでございますけれども、その点につきましては、先ほど申しましたように、基本的には、現段階ではこれまでいろいろな機会に申し上げている見解が相当ではないかというふうに思っているわけでございますが、現に委員も御指摘のように、またその他いろいろな御意見もあるわけでございまして、私どもといたしましても、この問題を、真剣にといいますか深刻にといいますか、十分考えているつもりでございます。特に、そう遠くない機会に第一審判決が行われるということでございまして、余り時間もないわけでございますけれども、なお若干の時間もございますので、これまでも検討は続けておったわけでございますが、なお引き続いてあらゆる角度から検討いたしたいというふうに考えております。
  170. 三浦久

    ○三浦(久)委員 では、次に法務省の民事局にお尋ねをいたしたいと思います。  これは登記所の問題なのですけれども、登記事故の問題です。いままでも登記簿に関する事故というのはたくさんあります。この国会でもたびたび指摘されておりますけれども、またことしの五月にも事件が起きていますね。  東京法務局杉並出張所で、地面師が他人の土地の登記簿の原本を改ざんして自分の所有名義にしてしまって、その登記簿謄本を利用して金融を図ろうとした事件があります。何でこんなことが起こるのだろうかと思うのですよ。登記簿というのは登記所が厳重に管理しているはずでしょう。それが何で外部の人間が改ざんできるのか。一般の人が見たら大変不思議に思うのですけれども、どうしてこんな事故が起きるのか、ちょっと原因を明らかにしていただきたいと思います。
  171. 枇杷田泰助

    ○枇杷田説明員 ただいま御指摘の件は、東京法務局杉並出張所で起こった事件のお話だと思いますが、それが、どういう状況のもとにどういう手口で改ざんを行ったかという具体的なことにつきましては、まだその被疑者を捜査中でございまして、つまびらかではございませんが、やった結果から推測いたしますと、恐らくその登記簿の閲覧申請をして、登記所で閲覧中にその登記用紙を抜き取って、そして外部でほしいままに登記文言を記入をしてまたもとへ戻したというやり方で行ったのではないかというふうに想像されます。  そのようなことがあってはならないわけでございますが、仮にいま申し上げましたような事実関係だといたしますと、閲覧の監視が十分でないという間隙をねらってしたことだろうということに相なりますが、杉並の出張所におきましても、毎日相当数の閲覧者が詰めかけておりまして、込んでいるときには次の順番を待つ人がどんどん出てくるというふうな状況でございます。それに対しまして、職員の方は閲覧に一応目は光らしておりますけれども、何分、本来閲覧監視のための専業の職員を置く余裕がございませんので、当時それぞれほかの仕事をしながら閲覧の監視をするという状況でございましたので、そのようなことから、その間隙をねらって偽造の犯行が行われたのではないかというふうに想像いたしております。
  172. 三浦久

    ○三浦(久)委員 こんな事件がもしか相次いで起きるということになると、これは国民の財産の安全上大変重要な問題だと私は思うのです。  いま、職員は仕事をしながら閲覧監視のために目を光らしておったとか言われますけれども、そういう状況じゃないでしょう。私も登記所に何遍も行っておりますけれども、込んでいるときは物すごい込み方で、とてもとても閲覧者を監視するなんという余裕はありませんよ。みんなほかの仕事をしているのですからね。何か一部屋の真ん中に閲覧席を置いているでしょう。その周りにぐるっと職員がおってそれぞれ別の仕事をしているのです。その別の仕事だって、もうとてもとてもよそに目をやるような時間的余裕のないような忙しい仕事をしている。ですから、あれは閲覧者に対しての心理的な影響を与えるというだけの話であって、物理的に、目を光らして、何か悪いことをしないかとか、ファイルから原簿を抜き取らないかとか、そんなところまで監視できるような態勢じゃありませんですね。  こういう問題というのは今回初めて起きているのじゃなくて、この数年間に何回も起きているのですよ。ですから、民事局としてはどういうような態勢をとろうとしているのか、また現にとりつつあるのか、これをちょっとお知らせいただきたい。
  173. 枇杷田泰助

    ○枇杷田説明員 まず第一番目には、職員が十分に配置をされて、閲覧についての専門的な監視並びに指導といいますか、そういう職員が生ずるような状況にすることが考えられるわけでございます。しかしながら、現在一般事件の方もかなり激増いたしておりますのに対しまして、定員抑制の措置がとられておりますので、なかなか増員というわけにはまいらないわけでございます。したがいまして、その次に、庁舎の状況をよくいたしまして、お客さんの数は多くても、非常に込み合った状態というものを幾らかでも解消することによって解決する余地はないかということで、営繕関係の予算についてもかなり努力をすることによって一面を解決したい。それからもう一つは、監視ミラーと言っておりますけれども、これも心理的な効果になろうかと思いますけれども、鏡を取りつけることによって、不正をしようという者の心理的な抑制を幾らか果たしたいとか、あるいは抜き取って持っていくという場合には、何かかばんとか週刊誌の間に挟むとか、そういう隠すものを持って入るということが一つ手がかりになりますので、したがって、そういうものを持って入らないようにするために、登記所の入り口にロッカーを設置するとか、その他いろいろきめの細かいことも配慮いたしまして措置を考えております。  具体的に申しますと、杉並の出張所におきましては、早速、庁舎状況も必ずしも十分ではございませんが、閲覧席の配置を変えまして、その周囲を職員が幾らかでも取り囲むようにして、ちょこちょこでも目が届くような措置をすると同時に、先ほど申し上げましたミラーの取りつけなども現在検討中でございます。できる限り職場の工夫も加えて改善をしてまいるほかはないというふうに考えております。
  174. 三浦久

    ○三浦(久)委員 閲覧監視員なんというのを配置するようにしていますが、その状況はどうなっておるのですか。
  175. 枇杷田泰助

    ○枇杷田説明員 繁忙の登記所におきましては、閲覧監視というとちょっと強過ぎるかもしれませんが、閲覧人の整理といいますか、そういう関係の職員を配置する措置も講じております。ただ、それが限度がございまして、まだ全庁にまでは行き渡っていないという状況でございますが、これも予算の許す限りふやして、そして相談、指導を含めまして、監視の実も上げてまいりたいと考えております。
  176. 三浦久

    ○三浦(久)委員 監視員のことをちょっと聞いたのですけれども、何か年間に十人くらいだというのでしょう。そうすると、いわゆる登記所、そういう登記事務を扱っている庁ですね、これがいま千二百から千三百くらいあるというのですよ。まあ一人庁もあるから、全部に配置ということにはならないだろうけれども、十人だったら、一庁に一人ずつ配置しても百年かかるという勘定になりますわね。こんなテンポの遅いことで果たして国民の財産をしっかり守れるのだろうかという疑いが私は非常にしているのです。  少ない予算の中で、監視員だけではなくて、営繕の関係、さらにまたミラーの問題、ロッカーの問題、いろいろ総合的なことをおやりになっていらっしゃるようですけれども、しかし、ミラーとかロッカーとか、これも余り役に立たぬのじゃないかなという気がするのですよ。特に、さっきあなたがおっしゃったたとえばファイルですね、登記原簿が入ったファイル、これから抜いたのじゃないかというようなことになりますと、そのファイルを閲覧させたときに、果たしてもとのとおり戻っているかどうか、抜いていないかどうか、それをやはり点検するというようなこともやらないと、本当の話がおっかなくてしようがないですわね。ですから、そうなるとやはりかなりの人員を配置しないと無理なんじゃないかというふうに私は思っておるのです。  特に登記所は、もう時間がありませんからお話ししませんけれども、物すごい事務量の増大でしょう。それに対して人員というのはほんのわずかしかふえていないというのが現状で、本当に登記所に行ったら戦争のような状態ですね。本当にそうです。こんな緊張した労働が二時間、三時間続いて体がもつのだろうかと思うようなそういう事務、特に乙号事務なんかは機械を相手にしてやっていますよね。ですから、もっと人員を配置しなければだめだと私は思うのです。  最近行管で、各官庁の窓口サービスについて国民からアンケートをとっています。ここに持ってきていますけれども、まず、一番感じが悪いのは国鉄だというのです。それから次は登記所なんです。その次が警察。警察よりも登記所の方が感じが悪いというのです。これは余り褒めたことではありませんね。警察というのは、しょっちゅう交通違反取り締まりをして反則金を取ったりなんかするから、人ににらまれていますから、大体これは印象が悪い。それはわかりますよ。しかし、その警察よりも登記所の方が窓口業務としては悪い印象を与えているというのです。これは行管の報告にもありますけれどもね。たとえば、申請人が来てがちゃがちゃ言う。そうすると、もう司法書士のところへ行って相談してきてくれと言うらしいのです。それはそうでしょう。後から後からどんどん来るわけですから、一人にばかり構っておれないわけです。ところが、閲覧申請に来るのは素人が多いでしょう。そうすると、素人ですと専門的なことはちょっとしたこともわかりませんわね。それで、一人にばかり時間がとれないから、そういうふうにやってしまう。忙しいからついつっけんどんにもなるでしょう。  ですから、それほどサービス業務が停滞しているといいますか、サービス業務が停滞しているだけではなくて、国民の財産に対してもそういう大きな不安を与えておるということですね。そしてまた、いまの職員の労働強化によって辛うじて何とか業務がさばけておるという、そういう状況なんです。ですから、こういう状況というのは一日も早くなくさなければいけない。  国会でも三年連続して増員問題についての請願が採択されていますよね。それで内閣にちゃんと報告されているでしょう。それにもかかわらず、どの程度の人員増かというと、この三年間は、たとえば五十六年は四十八名でしょう。それから五十七年が三十二名、五十八年が三十五名です。かつては、四十八年とか四十九年というのは三けたいっているのですよ。四十八年、四十九年、五十年、これは百二十四名、百六十八名、百六十五名という増員です。今度物すごく少ないですね。  その中でも、部門間配転に伴う増員措置というのが半分ぐらい入っているでしょう。半分から三分の一ぐらい入っていますね、この四十八名、三十二名、三十五名というのは。部門間配転というのは何だと聞いたら、何しろ全然ずぶの素人が他の省庁から来るっていうんですね、営林署から来たりとか。そんな何も使い物に——そんなこと言っては失礼ですけれども、実際、登記官と名ばかりついたって、全然別の仕事をしていた人ですから、それも定年間近な人で、二、三年おったらみんなやめちゃう、そういうことなんでしょう。そうすると、もうほとんど仕事らしい仕事を覚えないでみんなやめていっちゃう。ですから、本当のことを言うと〇・五人分もないんじゃないか、〇・三くらいの働きしかしていないんじゃないかということも言われていますね。それは、いろいろ総定員法でもって公務員全体のあれが抑えられていますから、こういう中でいわゆる部門間配転をやって何とか苦労しながら増員措置をとろうという、その御苦労はわかりますよ。しかし、そういう範囲の中だけでやっておったのでは、私は百年河清を待つようなものだと思うのです。あなたたちが、たとえば現在三千名か四千名くらい人員が足りないと言っているのでしょう。それをこんなので補充しようといったら、やはりまた百年かかりますよ。  各歴代の大臣も、増員には努力します、こう言っているし、民事局長もそう言っているのです。ところが実際はちっとも増員になってない。それで職員にばかり苦労をかける、国民に不安感を与える、こういうことですから、この点私は、年度計画なら年度計画をぴしっと立てて、そしてこういうふうな増員計画を持ってこういう措置をとりますということを職員全体に知らせる、職員にもやはり、ああそうか、あと五年たったらこのぐらいふえるかとか、こういう希望を持って仕事をさせる必要があるんじゃないかと思うのですけれども、どういう御計画をお持ちなのかお尋ねいたしたい、こういうふうに思います。
  177. 枇杷田泰助

    ○枇杷田説明員 御指摘のとおり、登記所におきましては人員が不足しているためにいろいろな問題が生じておりますので、それに対処するためにまず増員ということを考えなければならないわけでございますが、いまお話がございましたように、定員抑制措置の方針もございますので、その中でつついっぱいの増員を獲得したいということで考えております。現在のところ、まだ何年計画でどうというふうな案が煮詰まってはおりませんけれども、できるだけの増員は獲得する方向で進みたいと思います。  なお、それとあわせまして、能率器具の整備であるとか、あるいは事務の簡素化とか、あるいは謄抄本の作製について、コピー焼きの一部機械的な作業を外部に委託するとかというふうな措置も総合的に考えて、幾らかでも前進するように対処してまいりたいと思っております。
  178. 三浦久

    ○三浦(久)委員 終わります。     ─────────────
  179. 古屋亨

    古屋委員長 次に、総理府所管警察庁自治省所管及び公営企業金融公庫について審査を行います。  まず、総理府所管警察庁及び自治省所管について概要説明を求めます。山本国務大臣
  180. 山本幸雄

    山本国務大臣 昭和五十五年度警察庁関係の歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十五年度歳出予算現額は千五百十六億七千九百七十二万円余でありまして、支出済み歳出額は千五百七億二千百二十一万円余であります。  この差額九億五千八百五十一万円余のうち、翌年度へ繰り越した額は四億四千五百十八万円余でありまして、これは、岡山県警察官待機宿舎の施設新築の際に地中に岩盤が発見されて設計変更したこと等のために年度内に支出を完了することができなかったものであります。  また、不用となった額は五億一千三百三十三万円余であります。これは、退職者が少なかったので、退職手当を要することが少なかったこと等のためであります。  次に、支出済み歳出額の主な費途についてその大略を御説明申し上げますと、第一に、警察庁経費として八百六十七億八千百六十七万円余を支出いたしました。これは、警察庁自体経費及び都道府県警察に要する経費のうち警察法の規定に基づき国庫が支弁する経費として支出したものであります。  第二に、千葉県警察新東京国際空港警備隊費の経費として四十八億二千八百三十七万円余を支出いたしました。これは、千葉県警察新東京国際空港警備隊が新東京国際空港に係る警備活動を実施するために要する経費として支出したものであります。  第三に、船舶建造費の経費として三億八千七百四十四万円余を支出いたしました。これは、警察活動に必要な警察用船舶の建造に要する経費として支出したものであります。  第四に、科学警察研究所の経費として七億三千三百九十六万円余を支出いたしました。これは、科学捜査、防犯及び交通についての研究、調査等のための経費として支出したものであります。  第五に、皇宮警察本部の経費として四十三億六千四百七十九万円余を支出いたしました。これは、皇宮警察の職員の給与、皇居の警備、行幸啓の警衛等のための経費として支出したものであります。  第六に、警察庁施設費経費として三十六億一千百九十七万円余を支出いたしました。これは、警察庁関係の施設を整備するための経費として支出したものであります。  第七に、都道府県警察費補助の経費として四百九十九億四千百八十六万円余を支出いたしました。これは、警察法に定めるところにより、都道府県警察に要する経費の一部を補助する経費として支出したものであります。  第八に、他省庁からの予算の移しかえを受けた経費は、総理本府からの生活基盤充実問題調査研究費として二百三十万円余、科学技術庁からの国立機関原子力試験研究費として九百四十六万円余、環境庁からの国立機関公害防止等試験研究費として千二百八十三万円余、国土庁からの災害対策総合推進調整費として二千二百六十二万円余、同じく、定住構想推進調査費として六百四十三万円、同じく、国土総合開発事業調整費として千七百四十四万円余をそれぞれ支出したものであります。  以上、警察庁関係の歳出決算について御説明申し上げました。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。  次に、昭和五十五年度における自治省所管決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  一般会計歳出決算につきましては、歳出予算現額は、当初予算額七兆五千四百九十五億八千七百二十六万円余、予算補正追加額四千四百十一億七千四百六十八万円、予算補正修正減少額十一億二千七百四十二万円余、総理府所管から移しかえを受けた額三千四百六十九万円余、前年度繰越額五億六千六百八十四万円、予備費使用額二百二十四億六千九百五十一万円余、合計八兆百二十七億五百十七万円余でありまして、これに対し、支出済み歳出額は八兆九十億三千百六十万円余で、差額三十六億七千三百九十六万円余を生じましたが、この差額のうち、翌年度繰越額は二億六千三百万円、不用額は三十四億一千九十六万円余であります。  以下、支出済み歳出額の主なものにつきまして、御説明を申し上げます。  まず、地方交付交付金でありますが、歳出予算現額は六兆九千五百二十一億二千六十五万円余、支出済み歳出額は六兆九千五百二十一億二千六十五万円余でありまして、全額支出済みであります。この経費は、交付税及び譲与税配付金特別会計法に基づき、昭和五十五年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額の合算額に昭和五十四年度の地方交付交付金の精算額及び過年度特例措置による調整額を加算した額を、交付税及び譲与税州付金特別会計へ繰り入れたものであります。  次に、臨時地方特例交付金でありますが、歳出予算現額は三千七百九十五億円、支出済み歳出額は三千七百九十五億円でありまして、全額支出済みであります。この経費は、昭和五十五年度の地方財政の状況を考慮し、その健全な運営に資するための特例措置として、地方交付税法の一部を改正する法律に基づき、交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れたものであります。  次に、交付税及び譲与税配付金特別会計借入金等利子財源繰り入れでありますが、歳出予算現額は四千九百七十一億九千万円、支出済み歳出額は四千九百七十一億四千二十二万円余、不用額は四千九百七十七万円余となっておりまして、この経費は、交付税及び譲与税配付金特別会計法に基づき、借入金及び一時借入金の利子の支払いに充てるために必要な金額を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れたものであります。  不用額を生じましたのは、一時借入金の借り入れが少なかったことに伴い、一時借入金の利子の支払いが少なかったことによるものであります。  次に、交通安全対策特別交付金でありますが、歳出予算現額は四百九十一億五千二百七十四万円余、支出済み歳出額は四百九十一億五千二百七十四万円余でありまして、全額支出済みであります。この経費は、交通安全対策の一環として、反則金に係る収入額に相当する金額を、道路交通安全施設の設置に要する費用に充てさせるため、都道府県及び市町村に対し、交通安全対策特別交付金として交付したものであります。  次に 地方債元利助成費でありますが、歳出予算現額は百十三億四千八百九十六万円余、支出済み歳出額は百十三億九百三十二万円余、不用額は三千九百六十三万円余となっておりまして、この経費は、新産業都市の建設及び工業整備特別地域等の整備に係る地方債の特別調整分に対する利子補給金として、道府県に対し交付したもの等であります。  次に、地方公営企業助成費でありますが、歳出予算現額は三百二億三千八百八十六万円余、支出済み歳出額は三百二億三千二百八十五万円余、不用額は六百一万円となっておりまして、この経費は、公営地下鉄事業特例債の利子に係る助成金として、地方公共団体に対し交付したもの等であります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金でありますが、歳出予算現額は百八十八億円、支出済み歳出額は百八十八億円でありまして、全額支出済みであります。  次に、施設等所在市町村調整交付金でありますが、歳出予算現額は五十億円、支出済み歳出額は五十億円でありまして、全額支出済みであります。前述の経費及びこの経費は、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し交付したものであります。  次に、衆議院議員総選挙費でありますが、歳出予算現額は二百十一億六百四十万円余、支出済み歳出額は百九十二億三百九十九万円余、不用額は十九億二百四十万円余となっておりまして、この経費は、衆議院議員総選挙の執行に要したもので予備費を使用したものであります。  次に、消防施設等整備費補助でありますが、歳出予算現額は百四十七億六千五百四十三万円余、支出済み歳出額は百四十四億七千百二十九万円余、不用額は二億九千四百十四万円余となっておりまして、この経費は、消防施設等の整備に要する経費の一部を関係地方公共団体に対し補助するために要したものであります。  以上が一般会計歳出決算概要であります。  次に、交付税及び譲与税配付金特別会計決算につきましては、歳入予算額は、当初予算額十五兆五千三百三十四億四千九百三十二万円余、予算補正追加額四千四百三十億二千八百三十三万円、予算補正修正減少額七十六億円、合計十五兆九千六百八十八億七千七百六十五万円余でありまして、これに対し、収納済み歳入額は十六兆五千九百五十六億三千三百二十万円余となっております。  また、歳出予算現額は、当初予算額十五兆五千三百三十四億四千九百三十二万円余、予算補正追加額四千四百三十四億二千三百三十一万円余、予算補正修正減少額七十九億九千四百九十八万円余、前年度繰越額六千百九十七億三千二百四十七万円余、合計十六兆五千八百八十六億一千十二万円余でありまして、これに対し、支出済み歳出額は十六兆二千百五十二億三百二十万円余、翌年度繰越額は三千七百四億七千七百二十四万円、不用額は二十九億二千九百六十八万円余であります。  翌年度繰越額につきましては、昭和五十五年度国税三税の補正増等に伴う地方交付税の増加額の一部を、昭和五十五年度の財政事情等を総合的に勘案して繰り越したものであります。  また、不用額を生じましたのは、特別とん税の収入が少なかったので、特別とん譲与税譲与金を要することが少なかったこと及び一時借入金の借り入れが少なかったことに伴い、一時借入金の利子の支払いが少なかったこと等によるものであります。  支出済み歳出額の主なものは、第一に、地方交付交付金八兆一千百三十九億七千百十二万円余でありまして、これは、地方団体の基準財政需要額が基準財政収入額を超える場合にその財源不足額に応じて必要な財源を、また災害その他特別な財政需要等に対し必要な財源を、それぞれ地方団体に交付したものであります。  第二に、地方譲与税譲与金四千四百億五千百八十四万円余でありますが、これは、地方道路譲与税譲与金、石油ガス譲与税譲与金、航空機燃料譲与税譲与金、自動車重量譲与税譲与金及び特別とん譲与税譲与金として、関係地方公共団体に譲与したものであります。  以上、昭和五十五年度自治省所管決算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  181. 古屋亨

  182. 竹尾勉

    竹尾会計検査院説明員 昭和五十五年度警察庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  183. 古屋亨

    古屋委員長 次に、西川会計検査院第一局長
  184. 西川和行

    ○西川会計検査説明員 昭和五十五年度自治省の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  185. 古屋亨

    古屋委員長 次に、中村会計検査院第五局長
  186. 中村清

    中村会計検査説明員 昭和五十五年度公営企業金融公庫決算につきまして検査をいたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  187. 古屋亨

    古屋委員長 次に、公営企業金融公庫当局から、資金計画、事業計画等について説明を求めます。首藤公営企業金融公庫総裁。
  188. 首藤堯

    ○首藤説明員 公営企業金融公庫昭和五十五年度の業務概況について御説明申し上げます。  昭和五十五年度における貸付計画額は当初一兆千四百億円でありました。  これに対し貸付実行額は一兆百六十三億六千九百二十万円であり、前年度と比較して九%の減になっております。  一方、この原資としては、産業投資特別会計からの出資金七億円、公営企業債券の発行による収入等一兆百五十六億六千九百二十万円を充てたのでございます。  なお、当年度における元利金の回収額は三千九百八十億七千五百五十四万円余でありまして、延滞となっているものはございません。  貸付実行額の内訳は、地方公共団体の営む上水道事業、下水道事業等に対するもの六千三百八億三千三十万円、公営住宅事業及び臨時地方道整備事業等に対するもの三千七百五十三億四千四百四十万円、地方道路公社及び土地開発公社に対するもの百一億九千四百五十万円となっております。  以上により、当年度末における貸付残高は四兆六千九百二十三億六千一万円余になり、前年度末残高と比較して二四%の増になったのでございます。  以上のほか、短期貸し付けとして三百十八億二千二百五十万円の貸し付けを行いました。  また、農林漁業金融公庫から委託を受けて、公有林整備事業及び草地開発事業に対し二百二十七億八千三百五十万円の貸し付けを実行しました。このため、受託貸し付けの当年度末における貸付残高は千七百六十五億九千八百七十六万円余になっております。  次に、当年度における公営企業債券の発行額は一兆千百十二億八千万円でありまして、このうち公募債が九千三百七十一億二千万円、縁故債が千七百四十一億六千万円であります。  なお、縁故債のうち三百四十八億六千万円は低利の債券を発行いたしました。  次に、公営企業健全化基金について申し上げますと、当年度における公営競技納付金の収入額三百六十一億五千四百九十一万円余を基金に充てました。一方、当年度における地方債の利子の軽減に要する費用を基金の運用益によって補てんし、なお不足する額八十三億四千九十九万円余に相当する基金を取り崩しました。  この結果、当年度末における基金総額は二千七十三億七千百九十一万円余になりました。  次に、収入、支出の状況について申し上げますと、収入済み額は、収入予算額三千百五十六億九千九十二万円余に対し三千百六十一億五千九百四十二万円余、支出済み額は、支出予算額三千三百六億八百六十二万円余に対し三千三百億九千九百十五万円余でありました。  また、損益の状況でございますが、貸付金利息等の利益金総額三千四百三十三億二千八百四十五万円余に対し、債券利息及び事務費等の損失金総額三千三百六十四億八千三百四十八万円余でありまして、差し引き六十八億四千四百九十七万円余を債券発行差金等の償却に充当いたしましたので、利益金は生じておりません。  以上、昭和五十五年度公営企業金融公庫の業務の概況について御説明申し上げました。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  189. 古屋亨

    古屋委員長 これにて説明の聴取を終わります。    ─────────────
  190. 古屋亨

    古屋委員長 これより質疑に入ります。中川秀直君。
  191. 中川秀直

    ○中川委員 私は、古屋委員長ほか先輩、同僚委員の強い御希望と勧めにより、かつて本院議員であり、農林水産大臣、国務大臣科学技術庁長官を歴任され、本年一月突如逝かれました故中川一郎代議士の死について、若干の質疑を行いたいと存じます。  故中川一郎代議士がお亡くなりになられてからすでに半年を経過し、いまさら取り上げなくてもという声もなくもありませんが、同代議士は、かつてわが国政界の第一級の実力者であり、また政治家としての信念、見識、行動、そして貢献、またその大衆性、信頼において、その急逝は惜しみても余りあるものがあり、われら同僚議員のみならず、各界に衝撃を与えたわけであります。  そこで、改めて国会の場において、同代議士の急逝につき事実関係の幾つかを確認し、同代議士の名誉を守りたいというのが委員長初め私どもの気持ちであります。  そこで、お尋ねでありますが、故中川一郎代議士の生前の行動で、昭和五十八年一月八日、お亡くなりになられた札幌パークホテル到着以降の急逝されるまでの状況と経過について、改めて御当局から御説明を願いたいと存じます。
  192. 金澤昭雄

    ○金澤説明員 お答えをいたします。  故中川一郎代議士の一月八日の行動でございますが、一月八日午後六時ちょっと前ごろに札幌パークホテルに到着をいたしまして、同ホテルで催されました後援会主催の新年恒例の会に出席をされました後、午後七時半ごろに同ホテル十階の自分の部屋に帰りまして、同部屋で夫人らと懇談をした後、八時半ごろに寝室に入ったというのが状況でございます。その後たびたび寝室から起きてこられまして、ウイスキー、睡眠薬などを飲まれたようであります。夫人は隣の応接室のソファーで就寝をされておるようですが、次の日の午前七時十五分ごろ、中川代議士が縊死をしているのを発見されたものであります。  以上が一月八日の夜から一月九日の朝にかけての状況でございます。
  193. 中川秀直

    ○中川委員 故中川一郎代議士が縊死、しかも自殺による縊死であると発表されたわけでありますが、それに間違いがないのかどうか、改めてお伺いをいたします。
  194. 金澤昭雄

    ○金澤説明員 故中川一郎代議士の死因につきましては、北海道警察におきまして、死体及び現場の見分並びに関係者からの事情聴取によりまして、縊死による自殺であると判断をいたしております。
  195. 中川秀直

    ○中川委員 発表によれば、中川一郎代議士は、お亡くなりになった当日の午前四時半過ぎから同七時十五分までの間に亡くなられた、このようになっておるわけでありますが、この間、夫人など関係者以外の者が、関係者というのは秘書であるとかあるいは後援者であるとかいう方以外の者がこのホテルの部屋に入った形跡はないのかどうか、お伺いをしたいと存じます。
  196. 金澤昭雄

    ○金澤説明員 関係者及びホテルの従業員、当日の客、そういった人々からの話から判断をいたしますと、その時刻ごろに中川一郎代議士の宿泊しておりました部屋、ここに入った外部からの客、これを把握いたしておりません。
  197. 中川秀直

    ○中川委員 お亡くなりになった、その発見をされた前後に部屋のかぎがあいていたというような話も、報道等で指摘をされたり伝えられたような記憶が私にもあります。その点がどうなのかということ。  それから、第一発見者は御夫人となっておるわけであります。しかし、一部の報道によれば、当夜は札幌市内の親戚の家に泊まっていたのではないか、こういうことも言われているのでありますが、事実はいかがでありましょうか。
  198. 金澤昭雄

    ○金澤説明員 まず、夫人の関係でございますが、夫人は、同夜は中川代議士と御一緒に宿泊をしておりまして、外出をしておったという事実は把握をしておりません。  また、部屋のかぎの問題でございますが、これは、あいておったという事実につきましては、警察としては把握をしておりません。
  199. 中川秀直

    ○中川委員 縊死という亡くなられ方につきましては、通常の例としては自殺というのが多いわけであります。しかし、時として奇禍、つまり偶然によるものという場合もあるそうであります。あるいはまた他殺によるもの、つまり何らかの方法で殺害をしてから縊死を偽装させる、こういう例もないわけではない、このように言われております。  専門家等の著書によりますと、自殺によるものかあるいは他殺によるものかは、首に残りました索溝、つまり縄目を入念に調べることによって断定ができる、また懸垂をしている方法を慎重に観察すると、大体自殺か他殺か奇禍か、こういう区別ができる、このようにも言われておるのであります。しかし、その判別がきわめて困難な場合は、解剖または他の証拠が上がるまでは死因について断定を避けるというふうにこの専門書には書いてあるわけであります。また、縊死や窒息死の場合には、往々にして脱ぷんしたり尿を失禁したりすることもある、このように言われています。  さて、そこでお尋ねですが、警察当局が来る前に遺体はべッドに運ばれていたわけでありまして、当局は懸垂状態の観察ができなかったわけでありますが、夫人等から聞いた結果、この自殺、他殺等を判断する何らかの手がかりが得られた、このように推測をするわけでありますが、その何らかの手がかりというのは得られたのかどうか、どういうことであったのか、その辺をいま一度お尋ねをしたいと存じます。
  200. 金澤昭雄

    ○金澤説明員 縊死の場合に自他殺を判断する材料としましては、いま御質問がありましたようなことを総合的に検討いたしまして自他殺を判断しておるわけでございますが、当日の故中川代議士の縊死の状況につきましては、先ほどお答えをいたしましたように、まず死体の状況一つございます。それから現場の状況がございます。それと関係者等の証言がございます。そういった三つの点を総合的に勘案をいたしまして、この場合には縊死による自殺というふうに判断をしたわけでございますが、お話がありましたように、奇禍によるといいますか、事故による縊死ということもまれにはないわけではございません。たとえて申しますと、首つりのまねをしておってたまたま首が絞まってしまったというようなケースもありましょうし、縄が張ってあるところにたまたま首をひっかけて首が絞まったという場合も考えられないわけではありません。現実にそういった例も、若干でありますけれどもあるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、現場の状況、死体の状況、それから関係者の話というものを総合して判断すれば、わりと自他殺の判断は容易につくものと、こういうふうに私どもは考えております。  当日の状況は、いま言いましたことを判断しまして、自殺であるというふうに断定をしたわけでございます。
  201. 中川秀直

    ○中川委員 同じお尋ねになるかもしれませんが、そうした現場の状況とかあるいは遺体の状況、関係者の証言、こうした諸条件を総合的に勘案をして、いま申し述べられました結論に達したと、こういうことでありますが、要するに間違いなく自殺であると、このように判断をされた。つまり、解剖をするまでもなく、自信を持って自殺であると断定できたのかどうかということでありますが、いま一度詳しく、調査の内容及び結論を得るに至るまでの経緯について御説明をいただけたらと存じます。
  202. 金澤昭雄

    ○金澤説明員 重ねての御質問でございますからお答えをいたしますが、警察が故中川代議士の遺体の見分を行いましたのは、これは札幌中央病院の部屋でございます。したがいまして、現場で縊死をしておったという状況について直接警察が見分をしておるわけではございませんが、病院での、これは医師立ち会いでの死体の見分、それから、ホテルの部屋に戻りまして、これは関係者立ち会いでのホテルの部屋の中の現場の見分、それから関係者、これはもちろん夫人を初めとする関係者の証言、こういったものを集めて判断をしたわけでございまして、その判断からいたしますと解剖をするという必要性はない。と申しますのは、解剖に付するということは、これは犯罪の疑いがあるという場合でございます。この場合でいきますと、たとえば殺人の疑いがあるというようなことでもあれば解剖に付すということにもなるわけでございますが、いま言いましたいろいろな状況を勘案いたしまして、これは縊死による自殺であるということが明らかというふうに認めたわけでございますので、解剖に付する必要性といいますか、解剖に付する要因というものはないと、解剖に付する状況には該当しないと、こういうふうに判断をしたわけでございます。
  203. 中川秀直

    ○中川委員 わかりました。  最後のお尋ねでありますが、先ほども御答弁の中にございましたが、いわゆる奇禍、つまり偶然による縊死でありますが、これには、一般的にはなかなか想像もつきませんが、ある種の精神的に大変な状態にあった方が、自分の頸部をひもで縛って、その緊迫感から満足を得ようとする場合、このような体位のときにたまたま足を滑らしたとかあるいは思いがけなく失神をしたとか、そういう形の中で窒息死に至る場合があるそうであります。これは全くの事故死ということになるわけでありますが、この断定には慎重な調査が必要とされると、こう言われております。  故中川一郎代議士の場合は、先ほどの御答弁にもございましたけれども、ホテルへ入られて、部屋へ入られてからどうしても眠れずに、都合五回もウイスキー及び睡眠薬を御夫人に、朝四時半まで御注文になって飲んでおられるわけであります。このような状態のもとで、しかも当時、いろいろ精神的な苦痛、悩みというようなものも重なっていたように伺っておるわけでありますが、故中川一郎代議士が何らかの幻覚を起こして、そうした奇禍による事故死に至ったということは考えられないのかどうか、改めてお尋ねをしたいと存じます。
  204. 金澤昭雄

    ○金澤説明員 重ねて御答弁をいたしますが、中川代議士の縊死の状況につきましては、私どもが先ほど申しましたような状況を勘案いたしまして判断いたしますと、事故死とはとうてい考えられない、こういうことで自殺と断定をしておるわけでございます。  また、睡眠薬というお話もありましたが、これは私どもの調べました結果では、幻覚症状を伴うといいますか、そう大量の睡眠薬を服用したというような状況は認められないところでございます。したがいまして、この中川一郎代議士の精神状態がどうであったかという点につきましては、睡眠薬の服用がそういうことに影響をしたというふうには認められないということでございまして、それ以外のいろいろな精神的な悩みとかその他のことにつきましては、私ども警察といたしましては、ちょっと判断をいたしかねるという状況でございます。
  205. 中川秀直

    ○中川委員 終わります。     〔委員長退席、中川委員長代理着席〕
  206. 中川秀直

    ○中川委員長代理 井上一成君。
  207. 井上一成

    井上(一)委員 午前中の私の質問に対する答弁は後で受けたいと思います。  まず、自治省にお尋ねをいたします。  本来、地方自治の本旨についてはいろいろな解釈があることは事実なのです。私は、地方自治の根本は、国と地方の機能分担の問題はあるにしても、基本的に、地域の問題については地域の住民が相談して決めていく、そしてよかれあしかれ、その決めたことについては主権者である地域の住民が責任を持つということである、この基本理念に基づいて分権と自治とを推し進めていく、そのことが憲法に言う地方自治の本旨を貫徹することになる、こういうふうに考えるわけであります。  学者の説によると、地方自治には五つの機能がある。すなわち、きめ細かい身近な住民サービスを提供する、これが一つの機能ですね。二つ目には、新しい住民サービスを地域において実験してみる、そしてその効果があれば国全体に広げていく。これは具体的には、老人医療の公費負担などはその一つのよい例だと思います。さらに三番目の機能として、草の根政治への住民の参加を促進していく。さらに四番目には、その学者は、住民に政治的な教育と訓練の場を提供する。そして五番目に、国の権力の乱用を防止する役割りを果たす。これらの五つの機能を考えると、地方自治においては、誤りを犯す権利とそれを是正する義務があるとさえ言われているわけであります。     〔中川委員長代理退席、委員長着席〕  私は、そういう意味では、主権者である住民が、場合によっては誤りを犯す、そしてその誤りに気づき、みずからの判断で誤りを是正していく、それが地方自治の政治的機能の一つであるということであると思います。  そういう意味で、憲法に地方自治が強く打ち出されて根づいてから三十六年がたつ今日、地方のことは地方に任せるという方針をもっと大胆に打ち出してもよい時期に来ているのではないかと思うのですが、自治省の見解を承っておきたいと思います。
  208. 山本幸雄

    山本国務大臣 ただいま、地方自治の基本的なあり方という問題につきましてお話がございましたが、いまの憲法は、地方自治ということにつきまして新しい一章を設けて、これは民主主義の原点であるという考え方を明らかにしたものだと思うのです。いまお話しのように、地方自治の根本は、地方公共団体がそれぞれの創意工夫のもとで住民の身近な問題を処理していくということが最も望ましい姿であるということでありまして、地方自治の本旨に従って地方公共団体が自主性、自律性を発揮しながら地方自治を行うべきものであると思うのでございます。  自治省としましても、そのような考え方にのっとりまして、地方団体自体が本来の自律機能を発揮し、地域住民の御要望に十分にこたえながら地方行財政の運用に当たっていくように今後とも心がけていきたい、こう思っておるところであります。
  209. 井上一成

    井上(一)委員 ひとつ格段の御努力をいただいて、地方自治がきっちりと根づいていくように、今後ともの自治省の取り組みを私は心から期待をしていきたいと思います。  とりわけその中で問題になってくるのは、超過負担の解消の問題だと思うわけであります。これは古くて、かつ新しい問題である。もうすでに行政関係者の間では、昭和四十二、三年ごろからこの問題が具体的に取り上げられて、毎年若干ずつではありますが解消の努力が重ねられてきた。このことは、特に私が保育所の建設費の超過負担の解消を、いわゆる摂津訴訟の形で提起した市長時代、それ以後の四十八、四十九、五十年のこの三年間ではかなり大幅な改善措置が講じられたことは事実であります。そのときに各省庁に自治省から、この超過負担解消の問題を強く働きかけられたことは、私は心から敬意を表しておきたいと思うわけです。しかし、それにもかかわらず五十一年度以降の推移を見てまいりますと、改善のテンポはかなり大きく落ち込んでいる。超過負担の解消が進んだために毎年のその改善の規模が小さくなっていった、そういうことならそれなりに理解ができるわけでありますけれども、その実態を見ると必ずしもそうではないということであります。  大阪府が、大阪市を除く府下市町村について、義務教育施設の建設事業など、その十一事業の超過負担の実態を調査した集計結果によると、五十六年度の超過負担の総額は実に四百十三億三千万円に、前年度の三百九十二億三千六百万円に比べて二十億九千四百万円の増加ということになっているわけです。超過負担の総額は、これら市町村の標準財政規模の七・七%、それだけ自治体財政を圧迫しているということになるわけでありますが、超過負担には、国の言う狭い意味と、あるいは地方自治体が言う広い範囲での意味合いがあり、お互いの考え方にはときには大きなずれがある。しかし、この大阪府の実態調査でもおわかりのように、まだまだ超過負担の自治体における財政負担、財政圧迫が厳しい、きつい。そういう意味では、さらに各省庁に対しての超過負担解消の実態の掌握、そういうことが十分になされていないのではないだろうかという、一つは危惧の念を私は持っているわけなんです。  それで自治省は、補助単価の積算の基礎となる標準設計なり標準仕様の設定を申し入れているにもかかわらず、いま申し上げたように超過負担は一向に解消していかない。そういう意味では、こういう現状をどのように打開をしていくのか。どういうお考えを持っていらっしゃるのか。さらには、その改善措置の結果は公表されますけれども、私の知る範囲内では、実態調査の結果は各省庁、いままでに一切公表がなされていない。こういう点についても、少し対応のなまぬるさと言えば非常に厳しい言葉であるかもわかりませんけれども、ひとつ十分な配慮をしていただきたい。  当然、そこには義務教育施設整備事業等にかかわった過去の問題もあるわけであります。いろいろな地方自治体の大きな運動の中で、政府は五十二年度以降は義務教育施設整備債については全額政府資金を充てる、そのような改善策を講じられました。先ほども申し上げましたように、その御苦労に対して私は敬意を表していきたい。  しかしながら、五十一年以前のもの、たとえば人口急増都市として大変厳しい財政状況の中にあって市民の行政需要にこたえてきた、義務教育施設整備に力を入れてきた大阪府の高槻市の場合を例にとると、学校建設のほとんどがその五十一年度以前である。五十六年度以降は人口急増都市から外れて、いわゆる交付税等についてもいろいろな制約があるわけでありますけれども、そういう場合に、とりわけ義務教育施設整備事業に充当した資金は縁故債であった。政府資金への借りかえあるいは高利率縁故債の利子補給など、人口急増後の都市基盤整備のための財政措置に、当然この超過負担解消と並行して取り組んでいただかなければいけないのではないだろうか。そういうことについての自治省の御見解並びに御対応をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  210. 矢野浩一郎

    ○矢野説明員 超過負担問題に関する御質問でございますが、ただいまるる御指摘のように、超過負担の問題につきましては、地方財政上その解消について大変重要な問題と認識をしてまいりまして、その解消の促進に努めておるところでございます。  先ほど御質問の中でも御指摘のように、いわゆる広い意味での超過負担、それから狭い意味での超過負担、いろいろ考え方に違いがございますが、その辺は関係省が十分お互いに認識を共通にして行いませんと現実上の措置が困難でございますので、従前から大蔵省、自治省、それから当該関係省、この三者による共同の実態調査を行うことによりまして、その結果によりまして所要の是正措置を講じてきたところでございます。そういった意味での超過負担の解消、ずいぶん進んでまいったと思っております。昭和五十八年度予算におきましても、事業費ベースで百十億円の改善措置を講じておるところでございます。  昨今、国の財政事情は大変厳しくなってまいりました。予算の上でも、従来のような増加というものが見られないどころか、あべこべにむしろ縮減をしていくというような状況にもあるわけでございますが、そういった状況の中で、超過負担、せっかく解消してまいりましたものがさらに後戻りすることがないよう、さらにまた、現実に超過負担と認められるものがあればこれを積極的に解消していくことは、国と地方の財政秩序の確立のためにゆるがせにできないということでございますので、今後とも関係省庁と連携して、こういった状況の中でさらに新たな超過負担が生じないよう、さらに十分に注意をしてまいりたいと思います。  それから、そういった問題と関連をいたしまして、過去における問題、特に義務教育の問題をお取り上げになられての御質問でございますが、義務教育につきましても、これは最も大事な施設でございますので、自治省といたしましても、超過負担の解消とあわせて、地方負担分については御指摘のように政府資金を充当するという仕組みをとってきたわけでございます。  従前、五十一年以前に借り入れたものにつきまして、非常に高い金利の民間資金等が充てられたものについてどう考えるかということでございますが、御指摘のように、その資金政府資金に切りかえるということ、借りかえという措置は、現在の政府資金状況から申しまして、余裕があれば新しいものに振り向けていかなければならないということでもありますので、これは現実問題としては困難であろうと考えております。  ただ、そういった義務教育施設のように地方団体としてどうしても必要なもの、こういったものに対する過去の高い利率による起債がその団体の財政を圧迫しておるということ、これは御指摘のように事実であろうかと考えます。現在、交付税上でもそういった点につきまして元利償還に対する措置を講じておりますが、そういった措置をさらによく検討いたしまして、そういった地方自治体に対する財政措置の改善充実という問題を十分今後とも検討をしてまいりたい。そういった団体が過去の起債で非常に苦しんでおるということであれば、そういう実態をよく調べた上で適切な措置を講ずることもあわせて検討してまいりたい。このように考えておるところでございます。
  211. 井上一成

    井上(一)委員 さらに私は、これは要望にとどめておきたいと思うのですが、具体的な事例として、同じく大阪の豊中市の場合でございますけれども、市全域を見れば、指定要件、いわゆる人口急増市町村の指定要件に外れるわけなんです。しかし、市内を南と北に分けて考えれば、一方では減少に近づくが一方では急増していく、こういう状況であるわけであります。いわゆる南北問題ですね。南でふえる、北で減少する。そういう中での自治体に対する取り組みに対しても、各省で十分御協議をいただいて十分な対応を、これは文部省、自治省ともに御配慮をいただけるように特にお願いをしておきたいと思います。  さらに私は、地方自治の本旨、さらには地方自治を守っていく、育てていくという中にあって、ぜひひとつここで自治省のお考えを聞いておきたいと思うわけであります。このことは従前から何回か、私は決算委員会等でお尋ねをしてきたわけであります。  具体的には、五十六年八月四日の委員会においても、国がみずからの負担の軽減を図るため地方へその負担を転嫁するのは国と地方の財政秩序に悪影響を及ぼす、それのみならず、地方自治の本旨にも反する措置であるとして問題を指摘いたしました。その際、自治省の御担当からは、国と地方の事務の分担のあり方、機能負担のあり方を踏まえて検討されていくべきものであり、簡単に負担割合を変えることについては十分慎重でなければならないと考えているという答弁をいただいたわけであります。もちろん、このお答えは当然のお考えだと私は思うわけでありますが、実は、国と地方の機能分担の原則にも反するような臨調答申あるいはそういう政府方針が打ち出されてきたわけであります。  とりわけ、私は、ここで児童扶養手当及び特別児童扶養手当問題についてお尋ねをしたいわけでありますが、今回、第五次答申においては、「不正受給を防止するため、認定申請の支給事由の確認及び受給者の受給資格継続の有無の確認につき適正化措置を強化するとともに、これらの事務の監査指導を強化する。」二番目には、「離婚の増加、女性の職場進出の進展等の変化を踏まえ、児童扶養手当の社会保障政策上の位置付けを明確にし、手当支給に要する費用の一部についての都道府県負担導入問題について、早急に結論を得る。」との方針を示されたわけであります。  私がここで詳しく申し上げる必要もないと思いますけれども、この児童扶養手当に関する経費は、もっぱら国の利害に関係のある事務を行うための経費として地方自治体は負担する義務を負わないことが地方財政法第十条の四で明確に規定されておる。社会保障政策上も、国が定める基準に基づいて一元的に運営することが必要であるとの判断からこのような制度が設けられたものであり、国と地方の機能分担の観点からも、地財法の規定により明確に国の事務とされているところであります。  ところが、大蔵省は五十九年度予算編成で、全額国庫負担になっている児童扶養手当、特別児童扶養手当予算の二割を都道府県が肩がわりするような制度改正をする方針を固めたと言われております。別に防衛費を私はここで云々したくはないわけでありますけれども、防衛費に対しては三・七%増を認めていこう、限りない聖域化をしながら、このような地方自治の本旨にも反し、かつ社会問題としてこれは自治体が大きな反対をするであろうこういう考え方、このようなことは非常に問題だ。むしろ国の負担を地方へしわ寄せするものと私は強く反対をしたい。これが五十九年度予算の社会福祉費をめぐる最大の争点になるのではないだろうか。私は、自治省の見解をここで聞いておきたい。私にお答えをいただいた基本的な理念はお変わりはないと思いますが、念のために聞いておきます。  さらには、大蔵省の来年度予算編成に対する取り組みに対して自治省としてはどういう御認識を持っていらっしゃるのか、このことについてもお尋ねをしておきたいと思います。
  212. 石原信雄

    ○石原説明員 お答えいたします。  先生も御指摘なされましたように、現在の児童扶養手当、特別児童扶養手当、これは内容的には、福祉年金でありますところの母子福祉年金あるいは障害者年金との均衡を図るということでできた制度でありまして、給付の条件とか給付の内容とか、すべてこれらの年金と全く同一であります。したがいまして、そういう実態にかんがみまして地方の負担はない、全額国庫負担として今日までこの制度は実行されてきたもの、このように理解しております。したがいまして、この制度の実態が全く変わらないままに、単に財政上の理由その他で地方の負担を導入するということは、われわれとしてはどうしても納得できない、こういう考え方でおります。  なお、この問題とも関連いたしまして、児童福祉行政全体につきまして、現在厚生大臣の諮問機関として児童問題懇談会というようなものが設けられて、児童福祉施策全般について論議されているようでありますけれども、こういった論議を見守りながら対応していきたいと思います。  いずれにしても、基本的には、現行制度の実態が変わらないままに単に財政上の理由その他で地方に負担を求めるということは、私どもとしては賛成いたしかねるという考えには変わりはございません。
  213. 井上一成

    井上(一)委員 さらにもう一点、けさの報道で、自治省が自治体と協議を開始して地域経済の活性化計画を策定した、私は非常にいいことだと思うわけです。大いにこういう新しい発想で、どんどんと地域経済の活性化に自治省が乗り出してもらうこと、そしてよりよい実の実ることを期待するわけであります。  そういう中にあって、大都市圏を初めとして人口だとか企業の集中によって都市施設の急激な整備を迫られている都市、そういう都市について必要な財源をさらに生み出していかなければいけない、そういうことから五十年代になって設けられた事業所税。この課税団体は指定都市等とされ、その中には首都圏整備法の既成市街地または近畿圏整備法の既成都市区域を有するもの、さらに三番目に三十万人以上の都市が含まれることになっている。本来、事業所税は、大都市及びその圏域に属する都市における集積の利益に着目し、そして都市環境の整備及び改善に要する費用に充てるために設けられたものである。この事業所税の目的及び性格から言えば、大都市圏に属する都市については、単純な人口規模による区分ではなくて、その圏域の母都市からの距離や集積の密度などを基準として課税団体とすべきかどうかを決めていくべきではなかろうか。そのことが集積課税をされる事業所の側から見ても、集積の利益を受ける度合いの大きい大都市圏の中心部に近い事業所が課税をされないで、遠い事業所が課税をされるという不均衡が生じないことになるわけです。  たとえば、具体的に大阪都市圏を例にとると、母都市である大阪市を中心に十キロ圏あるいは十五キロ圏まで市街地がほとんど連檐しておるわけであって、周辺の衛星都市の区域を明確な地形や地物で区別することは困難な現状にあるわけです。これは、自治省では地方交付税の算定において母都市からの距離が一つの基準として使われている、自治省はそういう取り組みをしているわけです。にもかかわらず、現行の規定では人口三十万人以上という基準があるために、三十万人以下の都市については、たとえば大阪市に隣接する衛星都市であったとしても課税団体から外されてしまう、あるいはもっと距離が遠い衛星都市であっても三十万人以上の都市であれば課税団体になる。これはさっき言ったように、課税をされる自業所の側から見ても非常に不公平になる。そういう意味で、きょうの地域経済活性化計画と同時に、このような事業所税の見直しも含めて検討をすべきではないだろうか、私はこういうふうに思うのですが、自治省の見解を聞かしていただきたいと思います。
  214. 矢野浩一郎

    ○矢野説明員 地域経済の活性化対策、これから自治省として進めようとしておるところでございますが、自治省が経済問題に特に手を染めてまいりましたのは、昭和五十三年度当時の構造不況の問題が生じた時期でございました。その後構造不況対策、特定地域不況対策ということで、三年間ほど対症療法的なことをやってまいりました。さらにその後、五十六年度からは、今度は本格的な地域経済対策に乗り出したわけでございますけれども、さらに今回これを一歩進めまして、いままでのものは各市町村単位を原則としておりましたものを、より広域的な観点から広く民間の力、活力をも引き入れて新たな活性化対策を長期的な観点から打ち出していこう、こういうことでございます。この方向に従って今後努力をしてまいりたいと考えております。  なお、これとあわせまして、しからばいわゆる大都市圏における都市の施設の増加その他、もろもろの需要に対応するものとしての事業所税の問題をお取り上げになられて御質問でございますが、これはいかにも先年、先生御自身御質問をいただいたところでございまして、私もよく記憶をいたしておるところでございます。御指摘のように、昭和五十一年度に事業所税の課税団体の範囲が人口三十万人以上の都市にまで広げられたわけでございますけれども、これは、こういった都市におきましては、五十万人以上の大きな都市と同様に、人口、企業の集中に伴う各種施設の整備が特に緊急に迫られているという実態があると考えられたということによるものでございます。  その後、五十一年から数えまして七年をすでに経過いたしまして、社会経済情勢の推移に伴いまして、人口三十万人未満の都市の中でも人口三十万人以上の都市と同じように、こういった都市施設の整備を必要とするところも生じてきておる、これは御指摘のとおり事実であろうかと思います。そういう意味で、都市税源充実の観点から、これらの都市に事業所税の課税団体の範囲を広げるということの検討を行ってきたわけでございます。  ただ、昭和五十八年度におきましては、御承知のように「増税なき財政再建」、こういった方針を堅持するという観点から、税制の基本的な見直しはしないという方針で税制改正に臨んだということもございますし、さらに、基本的に事業所税の性格をどう考えるのか、あるいは都市計画税などのように目的を同じくするようなほかの税目との関係をどう考えるのか、具体的にどれくらいまで拡大をするのか、あるいは現在の課税方式のままでいいのか、こういったいろいろ検討を続ける必要があるという意見がやはり数多く出てまいりまして、検討は行ったけれども実現を見るには至らなかったわけでございます。  課税団体の範囲の拡大につきましては、税制調査会の答申においても述べられているような現在の課税団体以外の都市であっても、人口、企業の集中状況及び都市環境の整備の緊要性が現行の課税団体とほぼ同様であると認められるものもある、こういう御指摘のような現状認識を踏まえながら今後ともさらに引き続き検討してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  215. 井上一成

    井上(一)委員 それじゃ、あとの自治省に対する質問は留保して、午前中の私の質問に対する人事院の答弁をここで受けて、さらに質問を続けていきたいと思います。
  216. 服部健三

    ○服部説明員 お答えいたします。  先ほどは、私の答弁が適切を欠いて御迷惑をおかけいたしました。  先生の御質問については、言われれば、そのように思い当たる節もあります。実は昨年、各団体が仲よくせいという趣旨のことを申し上げましたことはありますが、結果とすれば、そのようなものができたと言われれば、そのようになるかと思います。  それからまた、幹部研修のことにつきましては、積極的にやるようにと言っておりましたのが、結果的に先ほど先生の御指摘のようなことになったのではなかろうかと思います。  以上でございます。
  217. 井上一成

    井上(一)委員 それは朝にあなたははっきりと答弁をしなかった。結果的にかかわったことになり、結果的にその準備に参画したことになり、私が朝指摘したような事実がそこに明らかになったわけなんですね。  さらに、私が総理府に質問をしたその中で、私が申し上げておったように、会費、会議費ですね。いわゆる負担金として日本人事管理協会から月十五万、十一月から三月まですでに七十五万が人事関係法人連絡協議会、あなたがいまのような答弁を留保したこの関係法人連絡協議会にすでに支出をされて、ここに入っているわけなんです。あとは、行政研究所は担当者が不在で現在調査中だということをいま持ってこられたので……。  管理協会はこのように会費を支払って、あなたが仲よくしなさい、親睦を深めなさいと言われた、そういう趣旨でつくられた法人連絡協議会に金を納めているわけなんです。この人事管理協会の会長はどなたなんですか。
  218. 服部健三

    ○服部説明員 お答えいたします。  尾崎朝夷という方でございます。
  219. 井上一成

    井上(一)委員 尾崎朝夷さんというのは、これは人事院のたしか顧問ではなかったのでしょうか。
  220. 服部健三

    ○服部説明員 お答えいたします。  先ほど承りましたところによりますれば、六月二十九日付で、今回一連の報道の関係等のことで何かおやめになったやに聞いております。
  221. 井上一成

    井上(一)委員 それは、いま私が指摘した管理協会の会長も含めてですか。人事院の顧問、さらには尾崎さんが担当する役職すべてを、関連四団体の財団法人等も含めて役員を辞任されたのでしょうか。
  222. 服部健三

    ○服部説明員 お答えいたします。  ちょっと先ほどの私の答えを訂正させていただきます。それ付で辞表をまとめてお預かりしているということだそうでございます。これは私、ただいま総裁から……。
  223. 井上一成

    井上(一)委員 総裁に伺いますが、これはまあ国家公務員、顧問ね。国家公務員が関連の団体の長をしている。そしてその団体から、金額は七十五万ではありますけれども、そういう朝指摘した団体に吸い上げをしている。二十九日に一連の報道を見て、二十九日に辞表を提出した。総裁としてこのことだけで、後でまた総裁の見解を聞きますが、このことについて総裁はどう受けとめ、どう考えていらっしゃいますか。
  224. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 顧問としての尾崎氏から辞表の提出がございました。私は、これについてまだ御本人とはお会いしておりませんので、ほかならずわれわれ人事院の方の顧問という役職でございますので、どういう事情で、どういう心境でこういうことをやるのかという点は、私、直接にひとつ十分承りまして善処をしたい、かように考えております。
  225. 井上一成

    井上(一)委員 それでは、さらに私はお伺いをしていきます。  すでに報道等で、人事管理協会と人事院とが覚書を交わし、いわゆる教材売り上げ総額の一割を割り戻していく、そういういわばバックリベート、さらには幽霊的な架空の団体で、実質的には人事院職員がそこで大方仕事をしている、そういうことが事実明らかになってきたわけであります。その責任者も尾崎さんなのであります。  私は、さらにここで公務研修協議会、これはことし財団法人に切りかわったわけなんですね。従前は任意の団体として公務研修協議会というのが公務員研修の窓口としてあって、約三十年間、さらにはその運営については人事管理協会が携わってきたわけです。今回財団法人に切りかわったわけですが、どのような経緯でこれが設立されたのか、ちょっとここで参考に聞いておきたいと思います。
  226. 服部健三

    ○服部説明員 お答えいたします。  公務研修協議会というのは、国家公務員あるいは地方公務員あるいはその他政府関係機関の皆さんの研修関係の方々がお互いに寄り集まりまして、そしていろいろと研修技法の開発等をしていくというような目的でつくられていた団体でございますが、これは昭和二十何年か、年数は定かではございませんが、それ以来任意法人として、社団法人人事管理協会の中に事務局を置いて運営をされてきたわけでございますが、それが昭和五十八年の四月一日付で新しく財団法人公務研修協議会として発足したわけでございます。
  227. 井上一成

    井上(一)委員 その会長は、責任者はどなたなんですか。
  228. 服部健三

    ○服部説明員 尾崎朝夷でございます。——失礼しました。ただいま会長は欠で、常任理事の小野武朗という方が代表をしております。
  229. 井上一成

    井上(一)委員 尾崎さんは、朝指摘をした四つの団体のどの団体の会長、管理協会だけですか。
  230. 服部健三

    ○服部説明員 尾崎さんは社団法人人事管理協会の会長、会長はそこだけでございます。(井上(一)委員理事長は」と呼ぶ)理事長は日本人事行政研究所の理事長でございます。
  231. 井上一成

    井上(一)委員 会長か理事長の違いであって、最高責任者として二つの団体の長であり、人事院の顧問であるわけなんです。  それで、これは従前三十年近く続けてきた任意団体の公務研修協議会から、これは管理協会が実質的に運営をしてきたわけですけれども、その仕事を新しく財団法人公務研修協議会が引き継いでいく、そういう理解をしてよろしいでしょうか。
  232. 服部健三

    ○服部説明員 そういった仕事を引き継ぐと同時に、新しくまたその他の事業を今後やっていきたいというようなことを計画しているようでございます。
  233. 井上一成

    井上(一)委員 管理協会がやられてきた仕事を引き継ぎ、さらに新しい分野へ仕事を探していく。ということは、従前の任意団体の仕事を引き継いでいくということは、それと並行してその任意団体の資産あるいは負債、いわゆる基本財産は当然引き継いでいくということに理解していいのでしょうか。
  234. 服部健三

    ○服部説明員 お答えいたします。  基本財産は引き継いでいなくて、新しく財団法人の設立と同時に寄附がなされたと聞いております。
  235. 井上一成

    井上(一)委員 それでは、前の任意団体の基本財産は引き継がなかった、こういうことですね。
  236. 服部健三

    ○服部説明員 ちょっとその点につきまして補足説明をさせていただきますと、日本人事管理協会というのは社団法人でございまして、その事務局の中にもう一つ任意法人である公務研修協議会の事務局があったわけでございます。したがいまして、公務研修協議会は日本人事管理協会の中において、その事務局の職員がその一部事務を行っていたのでございます。したがいまして、それが分離したことによって全く新しい団体が生まれた、つまり社団法人本人事管理協会と財団法人公務研修協議会ができたということでございます。したがいまして、新しい団体として設立されたのでございますから、そのような手続によって行われました。したがいまして、社団法人本人事管理協会との関係において、基本財産というのは財団法人しかございませんので、そのように考えております。
  237. 井上一成

    井上(一)委員 私は、ここに「KET」というのを持っているのです。これは管理局長、あなた御存じですね。これはいままでどこが出していたのですか。そして、これは何のために出されたのですか。
  238. 服部健三

    ○服部説明員 「KET」につきましては、公務研修協議会において発行していたと聞いております。
  239. 井上一成

    井上(一)委員 聞いておりますとかそういうことじゃ——あなたはよく知っているんだから、だからいまあなたの言われた公務研修協議会というのは任意の、ことし、八三年の四月に発足した財団法人でない公務研修協議会が、たしか五十六年の秋だと私は思うのですが、これをつくって、いわゆる公務員の倫理研修、職員の倫理観の向上を図っていく、あるいは新たに別に接遇教材、公務員としてどのように接していくか、そういう教材、これはすべて人事管理協会が、いまあなたがおっしゃるように、その中の仕事として任意団体で公務研修協議会がやってきたわけなんです。これは間違いないわけなんですね。
  240. 服部健三

    ○服部説明員 公務研修協議会の業務は、先ほど申しましたように、社団法人本人事管理協会の中に任意団体としてございましたので、その職員が同時に公務研修協議会の職員でもございますので、したがいまして公務研修協議会としてやっていたわけでございます。それはもちろん、先生の御指摘のように任意法人でございます。
  241. 井上一成

    井上(一)委員 私は、ことしの三月までは任意団体の協議会でつくっていたのでしょうと言うのです。それは御存じなんですね。
  242. 服部健三

    ○服部説明員 そのように承っております。
  243. 井上一成

    井上(一)委員 いま、財団法人公務研修協議会がつくられた後は、この仕事はその財団法人がやることになったのですね。
  244. 服部健三

    ○服部説明員 財団法人公務研修協議会がやることになったと承っております。
  245. 井上一成

    井上(一)委員 さらに、財団法人公務研修協議会の予算書の中で一千万の特別会計繰入金収入が計上されているのですが、これは御存じですか。当然だと思いますね、私は人事院からの要求資料で発見をしているのですから。どうなんですか。
  246. 服部健三

    ○服部説明員 この細かい内容につきましては研修審議室の方が担当しておりますので、研修審議室長の笹川に、現在は職員審議官になっておりますが、当時の経緯を存じておると思いますので、それから答弁をさせていただきたいと思います。(井上(一)委員「現在の審議室長を言えよ」と呼ぶ)現在の審議室長は藤野典三でございます。(井上(一)委員「現在の担当から言わせろ」と呼ぶ)
  247. 藤野典三

    ○藤野説明員 お答え申し上げます。  繰入金収入として一千万が計上されております。
  248. 井上一成

    井上(一)委員 いやいや、だから室長、その一千万はどこの特別会計なんですか。どこの特別会計から一千万が繰り出されているのですか。
  249. 藤野典三

    ○藤野説明員 人事管理協会と承知しております。
  250. 井上一成

    井上(一)委員 人事管理協会は、これも人事院の外郭団体ですから、この一千万はどの項目で支出を立てていますか。——いや、室長だよ。室長に答弁を……。
  251. 藤野典三

    ○藤野説明員 まことに申しわけありませんが、ただいまちょっと資料がございませんので、直ちに調べましてお答えさせていただきます。
  252. 井上一成

    井上(一)委員 じゃ委員長、待つわ。そんなもの質問続けられぬ。——
  253. 服部健三

    ○服部説明員 そのことにつきましては、もし間違っておりましたら後ほど訂正させていただきたいと思っておりますが、実は公務研修協議会が人事管理協会においてその事務をいたしておりましたので、したがいまして人事管理協会時代に、つまり公務研修協議会が任意団体時代に「KET」であるとかあるいは接遇研修等のテキスト等の売り上げがそのぐらいあったのではなかろうか、したがいまして、それをそのまま人事管理協会が公務研修協議会に、その教材等が移るわけでございますから、したがいまして、それを移すことによって、従来負担していた分がそのまま単に公務研修協議会の方へ移ることになったと理解しております。  ただし、この発言につきましては、もし間違っておりましたら後日訂正させていただきたいと思います。
  254. 井上一成

    井上(一)委員 局長、これは大変な問題なんですよ、後で間違いだから訂正しますという。だから朝から私はいままでいろいろと待ったわけなんです、あなたも慎重を期すということだから。これはやはりきょう委員会を終えなければいけないんだから。さっきから言うその笹川さんというのはいま違うのですよ、担当は。いま現在の室長は何も知らないわけ。あなたと笹川さんとは知っているでしょう。何もかも知っているでしょう。そんなことで人事院が回っておるのかということですよ。  さらにつけ加えて質問をします。  この一千万は、中身は、まあいまお答えがあって、間違いであれば訂正するということでございますが、人事管理協会から公務研修協議会に繰り出しをしている、こういうことですね。
  255. 服部健三

    ○服部説明員 お答えいたします。  公務研修協議会は本年発足ということでございますから、したがいまして、予算計画でございますから、私は、その計画書の内容としてそのように計上されているのではなかろうかと思っております。
  256. 井上一成

    井上(一)委員 何を言っているのですか、あなた。人事院とそれから財団法人公務研修協議会と人事管理協会と覚書を交わしているでしょう、四半期にこれこれ渡すとか、補助金についてはどうするということは。
  257. 服部健三

    ○服部説明員 先ほども先生から御指摘がございましたように、実は深くかかわり合いを持っていないものですから、私どもとしてはその公務研修協議会は、実はこの設立は、その設立発起人が総理府の方へ申請書を出す、したがいまして私どもの立場といたしましては、そういったことについて指導助言を求めてきた場合にわれわれがお話をするということでございますから、したがいまして、私どもは設立発起事務に直接従事しておりませんので、そういった設立時における予算書等について私どもがチェックしておる、あるいは相談を受けておれば詳しくわかるわけでございますが、そういったことを受けておりませんので、細部につきましてはそれぞれその担当者がやっておりますので、いまのような答弁になったのでございます。
  258. 井上一成

    井上(一)委員 「社団法人本人事管理協会と財団法人公務研修協議会の連携協力に関する覚書」、これは局長、御存じないんですか。いや、知っているのかどうか。
  259. 服部健三

    ○服部説明員 私の名前になっておりますから、知っております。
  260. 井上一成

    井上(一)委員 あなた、知っておりますってね、当然、あなたの名前が出ておるんじゃないか。そしてその中にちゃんと、この協会は公研協に対しての資金援助云々と、「特別会計に計上される助成金及び補助金合計額に相当する額」と、ちゃんとあなたの名前で書いておるんじゃないの。決めているんでしょう、あなた。そしてさらに覚書に基づく取り決めは、藤野室長、公務研修協議会の常任理事の小野さん、さらにはこれは片平さんですか、等でちゃんと三者協定して……。あなた、何が知らぬのですか。
  261. 服部健三

    ○服部説明員 この件につきましては資金援助ということではなくして、公研協、先ほど私が御説明申し上げましたように、公務研修協議会が社団法人本人事管理協会から分離をしたということで、分離に当たりまして従来の経緯を踏まえて、それらについては仲よくやっていきなさい、そして分離した際における、たとえばここにございますような教材等につきましては、これはそちらにやりなさいとか、そういったことの確認を——人事院としては業務についての指導、つまり研修業務の指導という形でそれにかかわっているだけでございます。
  262. 井上一成

    井上(一)委員 この一千万については金として渡してないんでしょう。
  263. 服部健三

    ○服部説明員 渡してないと思います。
  264. 井上一成

    井上(一)委員 そうなんですよ。金として渡すんじゃなく、鬼山車事局長及び小野理事長代行の給料にこれは充当するというのですか、人事管理協会の特別会計職員として雇用しているような非常に不自然なかっこうでこれは特別会計繰り出しというような、これは予算書——いわば公務研修協議会は幽霊的な実体の伴わない団体、機能できない団体、実質的には人事管理協会が引き続いてやっておる、そういう実態なんです。あなたはよく知っているんだ。知っているんだけれども、ここで答えることが非常にしんどいからちゅうちょされている。  私はもう時間がないから指摘をせざるを得ないから、これで間違っているのかどうか、金で出しているのかどうか、私の指摘のとおりならそのとおりだと……。
  265. 服部健三

    ○服部説明員 お答えいたします。  本年度は、いまただいま先生御指摘のは事業計画でございますから、昨年までは人事管理協会に公研協特別会計というのがございまして、その公研協特別会計というのにおいて処理されていたと承っております。したがいまして、今回新しく公務研修協議会ができました場合には、先ほど先生御指摘の「KET」であるとか接遇等の売り上げによってその給与を支給するという形の計上ではなかろうかと思いますが、これにつきましてももう一度確かめてまいります。
  266. 井上一成

    井上(一)委員 一千万の現金での繰り出しなのか、いま私が指摘したのが実情なのか、私の質問が終えるまでに実態を人事管理協会に尋ねてもらって、あるいは人事院はこういうものは全部承知していると私は思っているのですが、念のために尋ねてもらって結構です。  さらに、さっき指摘をした財団法人に切りかわるときにその基本財産はどのようにしてつくられたのか、だれが出したのか、その点について聞いておきたいと思います。
  267. 服部健三

    ○服部説明員 お答えいたします。  設立申請書を見ました段階では、その基本財産につきましては尾崎朝夷から六百万寄附されているということになっております。
  268. 井上一成

    井上(一)委員 さらに公研協、いわゆる財団法人公務研修協議会が、人事管理協会が行っておったいわゆる倫理確立のそういう研修ですね、接遇研修等も含めてそれを引き継いだわけでありますけれども、このシート集あるいはその他の、いままで人事管理協会が行っていた手順、もっと極端なことを言えば、これはどこで印刷をしたのか。
  269. 服部健三

    ○服部説明員 お答えいたします。  私どもと公務研修協議会との関係は、あくまで事業の内容、決算等のことについてでございまして、したがいまして、印刷をどこでするかとかどうするかということについては協議会独自が行う問題でございますので、私の方からお答えするわけにはまいりません。ただ、私どもの方の指導としては、常に入札等をして適正な価格においてその印刷等をするようにという指導は行っております。
  270. 井上一成

    井上(一)委員 私は、尾崎さんの出席要求をしておったのです。ところが、きょう尾崎さんがお見えにならない。いまお聞きすれば辞表を提出された、こういうことであります。これは日本加除出版が印刷をしたということを私の方は承知しております。この代表者は、指摘した四つの団体の中の理事をなさっているというふうにも聞いております。尾崎さんが本当にその基本財産を出されたのかどうか、私はぜひここで聞いておきたかったわけでありますが、これは総裁、ひとつはっきりとしていただきたい。基本財産の六百万をだれが出したか。議事録では確かに尾崎さんが出したという議事録になっておるわけであります。  それからもう一つ、いろいろな覚書をたくさんあなた方はしているわけですけれども、人事院の「審議室が指定する者」に、言葉は割り戻し金というのですか負担金というのですかバックリベートというのですか、そういうことは別にして、その「者」に部数に応じて渡しなさいという取り決めがあるわけですが、この「者」はだれなんですか。審議室長、だれなんですか。
  271. 服部健三

    ○服部説明員 お答えいたします。  それは、財団法人公務研修協議会ということに予定をしていたということでございます。  なお、先ほど総裁への御質問ということにつきましては、私にお答えさせていただきたいと思います……
  272. 井上一成

    井上(一)委員 それならなぜ協議会と書かないのですか、「審議室が指定する者」という。その覚書に対する取り決めを読んでいただけませんか。
  273. 服部健三

    ○服部説明員 先生の御指摘のは、公務研修協議会との覚書ではなくして人事管理協会と、それから「人事管理協会の運営に関する覚書」の六項だと承知いたしますが、それのメモでよろしゅうございますか。  それでは、まず覚書について申しますと、もとになる覚書は「社団法人本人事管理協会の運営に関する覚書 社団法人本人事管理協会の運営に関し、下記のとおり覚書を協定する。 記一、協会は本覚書に従い、人事院事務総局(以下「事務総局」という。」編集にかかるJST標準課程シート集、指導の手引、指導者参考シート集、」……(井上(一)委員「私の質問していることだけ言ってください」と呼ぶ)はい、わかりました。これはその覚書に基づくメモでございましたものですから、それではそこの部分だけ読ましていただきます……
  274. 井上一成

    井上(一)委員 時間がないから……。  私はさっき、「審議室が指定する者」とはだれなのかと言ったら、あなたは公研協だと言ったのです。あなたはメモだと言っているけれども、「覚書に基づく取決め」、これは人事院事務総局管理局研修審議室長藤野さんの捺印されたりっぱな取り決めだと思うのです。メモじゃない。だから私はあなたに聞いているんじゃなく室長に、藤野さんに、この「者」とはだれなのか、それを聞いているのですよ。
  275. 服部健三

    ○服部説明員 これにつきましては、先ほど私が申しました「覚書に基づく取決め」という中で、先生御指摘のように六項に「協会は、事務総局管理局研修審議室が指定する者に対し、JST標準課程シート集等の発行の都度、各種類ごとに発行価格の一割」——「を越えない範囲で事務総局が協会と協議して定める割合)に相当する金額に発行部数(事務総局が協会から直接購入し、又は寄附を受けるものを除く。)を乗じて得た金額を編集費として支払うものとする。」という覚書でございます。(井上(一 )委員「この「者」はだれなのか」と呼ぶ)はい、これは人事院管理局研修審議室長藤野典三と社団法人本人事管理協会専務理事片平成章でございます。  なお、これにつきましては……
  276. 井上一成

    井上(一)委員 全然答えになってない。私は、取り決めをされた藤野室長、この「者」ですね、あなたが、審議室が指定する人はだれなんですか、こう言っておるのです。
  277. 藤野典三

    ○藤野説明員 お答え申し上げます。  私どもといたしましては、この「指定する者」につきましては、従前の経緯からいいまして、公務研修協議会というふうに考えております。
  278. 井上一成

    井上(一)委員 それは従前ということは、任意のときのいわゆるこういう仕事をしていた人、代表者、こういうことですか。「者」というのは法人ですか、個人ですか。
  279. 藤野典三

    ○藤野説明員 お答え申し上げます。  財団法人となりました公務研修協議会というふうに考えております。
  280. 井上一成

    井上(一)委員 私は、人事院が非常に公平な国家公務員の範とすべき省であり、公務員の綱紀粛正はもとより、倫理向上に努力をしていらっしゃるというふうに、むしろ深い理解の上に敬意を表してきたわけでありますが、指摘をする一連のこの問題もどうも疑惑を持たざるを得ない。  これはもうまとめて総裁に聞きましょう。  すでに一連の報道がなされて、部分的には御承知だと思います。私はきょう、新しい問題として指摘をしてきました。さっきも申し上げたように、外郭四団体が、局長の答弁としては、私は、意図がある、ないは別にして、局長がかかわって親睦団体ができたと思うのでございますけれども、結果的に、指導した連絡協議会に各団体から会費を、悪い言葉で言えば上納させていた。管理協会は去年だけですでに七十五万も入れているわけです。ことしも入れる。そして、その金は何に使ったんだ、あるいは使うんだということも、朝、幹部研修に某高級ホテルを使って云々と言ったのですが、幹部研修を指導したけれども、さっきの答弁では具体的な活動報告はないわけです。いわゆる経理報告もない。一体この金はだれが吸い上げたのか、このことも非常に大きい問題であります。  さらに、いままで管理協会の中で行ってきた一連の公務員研修のこのテキスト「KET」、さらには接遇教材、そういうものも財団法人をつくって今度はそこでやっていくんだ。そこの人材はだれなのか、正式な職員はだれなのか、あるいはその仕事はどうしているのかということになると、もう疑問だらけ。会長の尾崎さんはやめてしまう。 さらに、基本財産としての六百万を尾崎さんが寄附をした。私は、これはどこの口座へ寄附をしたのか、私の調査人事院の答弁をこの委員会を終えるまでに一度突き合わせてみたい、こういうふうに思うのです。その六百万、さらには一千万円の繰り入れの不明朗さ。この一千万は管理協会がどのようにして捻出をした金なのか、そして現金授受のないところでの経理操作、まことにもって——さらにもっともっとあるわけですよ。  きょうは時間がありませんから、私は総裁に、こういうことを許してきた人事院の体質、背景は何なのか、なぜこんなことを要求し、あるいはこんなことをしなければならなかったのか、さらには、総裁としての一連のこの問題に対する対応をどのようにするのか。まだまだ具体的な問題は逐次出していきますけれども、ここで一度総裁のお考え、現在の心境、さらにはこれからの問題としての取り組み、そういう点について聞かせてもらいたいと思います。
  281. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 私の率直な心境を述べさせていただきたいと思います。  先日来某紙上で報道されております一連の問題がございます。これにつきましては、私は、実は大変なショックを受けたわけであります。その後厳重に申しまして、事実はどうなっているかということの確認をいま求めつつあります。調査をさせております。  ただ、先生が午前中からお述べになりましたことの中には、私が初めて聞いたようなこともございます。大変残念だという感じを持たざるを得ません。私は、意図的な不正があったということは思いませんけれども、しかし、とにもかくにも、いまお述べになりましたように、人事院というものは、各省の国家公務員の服務の厳正を確保していかなければならないかなめであります。そういう大変重要な使命を持っておるものでございますので、この人事院というものは、やはりあくまでも人に指をさされるようなことがあってはならない、清潔で清廉なものでなければならぬということは、私は、従来口を酸っぱくするほど言ってまいっております。ところが、ともかくこういうような報道がなされたということ自体、私は、もう大変残念至極という感懐を持っております。  つきましては、やはり、ただ単に報道されたことが全くの事実無根であるかどうかというような受け取り方をすべきことではないのであって、これは本当に厳粛に問題として受けとめて、これに対応する方策を考えていかなければならぬというふうに、深刻に受け取っております。  したがいまして、いま問題になっております問題点を初め、直接に人事院の関係あるいは人事院を取り巻くそういう団体の問題その他の制度的な問題等につきましても、目下六十年を目途に検討を加えておるようなこともございまして、そういうような中でひとつ真剣に取り組んで、改善を要するものがあれば改善をして、やはり世の疑いを招くようなことは一切排除するような、そういう正々堂々の、各省に対して大みえ切って言える、そういう消潔な人事院を建設するために邁をする決意でございます。  以上申し上げます。
  282. 井上一成

    井上(一)委員 総裁、いまの、報道がなされたことが残念だ、こういうことがある、事実無根であるかどうか云々という、あなたの考えは間違いだと私は思いますよ。報道がされたからよかったんじゃないか。報道がされなかったら、指摘をされなかったら、こういうことはわからないでしょう。私がここで指摘をしても、まだ明らかにしようとしないわけなんです。  これは時間がないからやめるだけなんです。さっき指摘をしたことについては、後で報告を聞きますよ。むしろ事実を明らかにしていくという態勢をあなたがここで明確に示さなければ、この問題は、それこそ各省庁に対して人事院は顔を向けられませんよ。事実を明らかにしていく、そしてその中で問題点をくっきりと浮き彫りにさせて、制度的なものがあるなら制度改正も踏まえてこれは明らかに直していく、それがあなたの責務ではないか。  もちろん尾崎さんも、堂々と真実を明らかにして、そして責任をとってやめられるか、あるいは引き続いて綱紀粛正に力を入れられるか、それは御本人の御判断ですよ。  総裁、ちょっとあなたは考え方が間違っているんじゃないですか。逆じゃないですか。報道がされたから事実無根かどうか調べる。事実を明らかにする、それができなければ、私はこの質問は一時中断してでも、明らかな一点だけについてでもいま明らかにしましょう。だからもう一度——私がけさから指摘した問題は報道されていない問題ですね。報道されていない部分。報道されている部分も事実なんです。だから、報道されていない部分も含めてさらにこの事実をより明確にしていく、そういうことにあなたが全力を挙げていく、そのことにおいて人事院の信頼を回復していく、それがあなたのとるべき道ではないか、人事院の体質はそのときになって初めて変わる、こういうふうに私は思うのです。
  283. 藤井貞夫

    ○藤井説明員 さっき私申し上げましたことが多少誤解を招いたかもしれませんが、私の気持ちとしては、いまおっしゃいましたように、事実を明らかにして、そして対処すべきは敢然と対処する、そういう決意でございます。
  284. 井上一成

    井上(一)委員 さらに管理局長、あなたはこの一連の問題には一番深くかかわりを持っていると私は思っています。だから、いままで指摘した問題についてあなたのいまの心境、これからの取り組み、所見、ちょっと聞いておきましょう。
  285. 服部健三

    ○服部説明員 私は、一連の問題につきましては、管理局長として人事院の全体の職員の服務管理並びにその他もろもろの問題を所掌していると同時に、こういった外郭団体につきましても、総理府が主務官庁ではございますが、それにかわって指導監督する立場にあるわけでございますから、したがいまして、そういったものについて姿勢を正すべくいろいろ覚書を交わしたというのは、これはいろいろこういった問題については十分指導監督するようにということがございましてこういった覚書を交わしたわけでございますが、その点が逆に誤解を生んだとすれば、それらについては改めさしていただきたいと思っております。また、そのほか私自身は、これらにつきましては十分指導監督をしていきたいというつもりでいたことがかえって誤解を招くとすれば、そういった問題につきましては、今後是正すべき点は是正するということで臨みたいと思っております。  なお、私自身としましては、本来人事院は、先ほど総裁も述べられましたように、国家公務員の模範となるべき役所でありますので、そういったところにおきまして服務が厳正に行われ、かつ、職員自身の人事管理も十分適正に行われているということが必要であると思いますので、そういった点についても自戒をいたしまして今後勤務してまいりたいと思っております。
  286. 井上一成

    井上(一)委員 残余の答弁並びに関連した私の質問は、後刻委員長に御相談をし、その上で引き続いて質問を続行したい。とりあえず留保して、ここで一応終えておきたいと思います。
  287. 古屋亨

  288. 新村勝雄

    新村委員 私は、いまいろいろと問題になっておりますサラリーマン金庫、いわゆるサラ金の融資についてお伺いをしたいと思います。  いまサラ金融資がいろいろの面で社会問題になっているわけであります。警察庁の調べでは、サラ金等の借金を苦にした家出人が五十七年中に七千三百十六人になっておる。さらにまた、負債等経済問題が原因で自殺をした者は五十六年中に二千十九人ある。この中にはサラ金の借金苦によるものが多いと推定されるわけであります。  こういうような実態でありますけれども、警察庁立場からこの問題をどういうふうにお考えになっているか、まず伺います。
  289. 大堀太千男

    ○大堀説明員 お答えいたします。  いわゆるサラ金をめぐりまして、サラ金の借金苦によると思われるような家出あるいは自殺、いま先生御指摘のとおりでございます。  またさらに、凶悪な事件等も発生をしておるというような実態にかんがみまして、サラ金をめぐるいろいろな事犯につきまして鋭意取り締まりをしておるところでございまして、特に貸金業者についての出資法違反等の取り締まり等を重点的に行い、またさらに、それをめぐるいろんな事犯につきましても取り締まりを行っているところでございます。
  290. 新村勝雄

    新村委員 サラ金金融業は法的には認められておることでありますから、そのこと自体は別に違法な問題ではないわけです。合法でありますけれども、この問題からいろいろと社会問題が発生をしておる。個人の生活に多くの問題を惹起し、また社会的にもしたがって大きな問題になっているということは事実であります。  そこで、いまそれをお認めになった、あるいはその事実を言われたわけでありますけれども、この冊趣について警察としては今後どういう方針で臨まれるかということですね。
  291. 大堀太千男

    ○大堀説明員 先国会でいわゆるサラ金二法案の成立も見たところでございまして、その法律自体におきましては、貸金業自体が大蔵大臣への届け出制から登録制というようなことになったり、あるいはいろいろと取り立ての規制に関しても義務づけが行われたり、あるいは開業に関しての義務づけ等もあるわけでございまして、それらの諸法令が施行になりました暁には、これらの諸法令も、現在までのいろんな諸法令の活用とあわせて、貸金業をめぐるいろんな社会的な事犯、特に犯罪行為について取り締まりをしてまいりたい、かように考えております。
  292. 新村勝雄

    新村委員 大蔵省に伺いますけれども、サラ金の資金源が最近問題である、この問題についてそういう観点から大蔵省としてはいろいろ調査をされておる、あるいは指導をされておるというふうに聞いておりますけれども、大蔵省としてはどういう調査をされたのか、あるいはどういう方針でこれから指導をされようとしているのか。
  293. 朝比奈秀夫

    ○朝比奈説明員 私ども、今回成立いたしました関係二法によりまして、一応の所管ということになってございますが、主として金融的側面を所管いたしております関係上、金融機関のサラ金業者に対します融資について、かねてより金融機関の公共性という性格にかんがみまして、その社会的信頼を損なうということがないように配慮するべく指導していたところでございます。  さらに、最近、金融機関につきましての実態の調査を行いまして、サラ金の経営姿勢、こうしたものに対する社会的批判が再び高まっているという判断のもとに、金融機関のサラ金に対する融資、その点につきまして、特に高金利の貸し付けとか過剰貸し付け、そういったような問題を助長するおそれがある場合には厳に抑制するよう要請する、そういう通達を改めて発した次第でございます。
  294. 新村勝雄

    新村委員 そこで、サラ金業者の資金源ですね。資金がどういう方面から調達をされているかということについてはいろいろ調査をされておると思いますけれども、資金源についての調査あるいはその公共性という点から見たお考え、これはどうですか。
  295. 朝比奈秀夫

    ○朝比奈説明員 ただいま先生御質問のサラ金業者の資金源という観点からは、現在、いわゆる貸金業関係の二法が成立しておりますが、まだこれが施行されていない関係もございまして、また、サラ金業者の数がきわめて多いというような実態も反映いたしまして、そちらの側からの実態調査というものはまだ行えない、行っていない状態にございます。
  296. 新村勝雄

    新村委員 資金源についての大蔵省としての見解は何かありませんか。
  297. 朝比奈秀夫

    ○朝比奈説明員 資金源につきまして、私ども、把握するすべがいまのところ完全にはございませんので、先ほど申し上げましたように金融機関側からの資金供給、こういった面につきましては金融機関を指導するということが可能なんでございますが、それ以外につきましてはなかなか指導ということがむずかしいのでございます。一般論といたしましては、私ども、経済金融情勢を反映して相当な資金がサラ金に流れ込んでいるということが実情だろうと思いまして、この問題につきましては、将来、体制整備を待って徐々に実態を調査してまいりたい、かように考えております。
  298. 新村勝雄

    新村委員 次に、文部省にお伺いするのですが、サラ金の資金源の問題で、宗教団体からサラ金の大手に資金が流れておるということが言われておるわけです。  具体的には、PL教団という宗教法人がございますが、このPL教団が全額出資をしてできておる天羽という会社がレイクというサラ金大手の株式を取得している。したがって、これは天羽という会社を通じてPL教団の宗教法人資金がサラ金の大手に流れておる、こういう事実があるわけなんですね。こういうことについて、宗教法人を指導監督する立場にある文部省としてはどういうお考えであるのか、こういう事実についてどうお考えになっているか、これを伺いたいと思います。
  299. 大家重夫

    ○大家説明員 先ほどのお話のパーフェクトリバティー教団は、文部大臣所轄の宗教法人でございます。この法人についてそのような報道がなされておるということは承知しておりますけれども、実態については把握しておりません。  宗教法人は、その本来の目的である宗教活動を通じて国民の精神文化の向上を図るという社会的使命に即した行動をとるということが望まれるところであろうか、かように考えております。
  300. 新村勝雄

    新村委員 宗教の目的は、教義はいろいろありますけれども、基本的にはやはり世道人心を教化して人間生活、精神生活の純化向上を図っていく、そういうところにあると思うのですね。ところが、サラ金というのは、これは一定の社会的な要請があると言えば言えますけれども、そこからいろいろ社会悪が派生をしておる。そして、それが問題になっておるというようなときに、神聖なるべき宗教師体の資金がそういうところに流れていくということについて文部省はどうお考えであるのか。
  301. 大家重夫

    ○大家説明員 先ほど述べましたように、宗教法人は事信仰という人間の最も崇高な面でのいわゆる教化育成をする、宗教団体の定義によりますと、「宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする」団体でございますから、まあ好ましくないというふうなことは言えるかと思います。
  302. 新村勝雄

    新村委員 大蔵省に伺いますが、宗教法人は税制面でも課説の対象になっていないわけですね。したがって、宗教法人というのはもっぱら宗教活動に従事をする、あるいは資金についても本来の宗教活動のために使われるべき金であるわけですよ。ところが、こういう方面にその資金を流している、利殖を図っているということについて、大蔵省の見解ではどうですか。
  303. 朝比奈秀夫

    ○朝比奈説明員 私ども、宗教法人は直接所管しておりませんが、先ほど文化庁から御答弁のあったとおり、御意見に賛成でございます。
  304. 新村勝雄

    新村委員 文部省は遺憾であるとおっしゃいましたね。そうしますと、この事実、これはそういう事実があるわけなんですけれども、これについてどう対処されるのか、それから、これからどういうふうに指導されますか。
  305. 大家重夫

    ○大家説明員 先ほど申し上げましたように、雑誌といいますか、そういう報道がなされたことを承知している段階でございまして、事態の推移を見守っていきたい、かように考えております。
  306. 新村勝雄

    新村委員 事態の推移だけではなくて、調査をされ、あるいは報告を徴されるお考えはありますか。
  307. 大家重夫

    ○大家説明員 宗教法人の財産運営といいますか財務運営と申しますか、そういう事柄について宗教法人が自主的、自律的に行われるということをたてまえとしております。具体的に個別的な調査権限はないわけでございますけれども、その事柄につきましては、ただいまの御質問の趣旨を十分に踏まえまして事情を聴取してみたい、かように思っております。
  308. 新村勝雄

    新村委員 聴取をするということと、そういう事実があった場合にどういう指導をされるのか、どういうお考えで対処をされるのか、それを伺いたい。
  309. 大家重夫

    ○大家説明員 とりあえずは、本日の御質問の趣旨を十分踏まえまして、事情を聴取してからいろいろ考えていきたい、かように考えております。
  310. 新村勝雄

    新村委員 それでは、その調査を待って、その段階でまた御見解を伺いたい、そういうことにしておきます。    〔委員長退席、春田委員長代理着席〕  次に、選挙法について伺いたいと思います。  先般の参議院選挙で初めて比例代表制が導入され、実施をされたわけでありますけれども、その直後に大臣は、この新しい選挙制度はいろいろと欠陥が多い、これについての検討あるいは改正についても研究をしたいというような発言をされたというふうに伝えられておりますけれども、この比例代表選挙について大臣はどういうお考えですか。
  311. 山本幸雄

    山本国務大臣 今回行われました参議院普通選挙は、わが国として初めての比例代表選挙を含めて行われたものでございますが、何せわが国としては初めての経験でございます。私ども選挙管理事務を担当する立場から申せば、おおむね支障なく行われた、こう思っております。  しかしながら、初めて行われたことでございますだけに、実施管理面におきましても、将来に向かってやはりいろいろ検討すべきものがないかということについては、これは実際に選挙管理事務をやった地方の選管の意見も私ども聞いていきたい、こう思っております。  ただ、この比例代表制は、御存じのとおり議員立法で行われたものであります。また、この制度は皆様方各党の御意見もいろいろ踏まえてでき上がった制度でございます。したがいまして、私どもとしましては、実施管理上の実務的な面の検討をこれから少し時間をかけてもやっていきたいと思っておりますが、各党も当然に、今度の経験にかんがみていろいろ論議を交わされるものと私は思い、それが望ましいことであり、それらのいろいろ御相談を願いたいことだ、こう思っているところであります。    〔春田委員長代理退席、委員長着席〕
  312. 新村勝雄

    新村委員 確かに成立の経過は議員立法というか、各党の話し合いによってできたものですけれども、選挙を管理する所管大臣として、これはどういう点に問題があるのか、またどういう方向に向かって検討するのかということは、これはお考えあると思いますが、そのお考えを伺いたいのです。
  313. 山本幸雄

    山本国務大臣 比例代表制度の根本、制度そのものにつきましては、これはいろいろ各党で御意見があることでございましょうから、私どもはそういうことではなくて、やはり実施管理面上の問題についていま検討をしたい、こういうつもりで現在のところはおるのであります。
  314. 新村勝雄

    新村委員 実施管理面というと、見体的にはどういうことですか。
  315. 岩田脩

    ○岩田説明員 ただいま大臣から申し上げましたように、現在の比例代表制——比例代表制を含むわけでございますが、その比例代表制部分につきましては、現在の制度が存在をするということを前提にして、その上で、いわばそれを実際に運営していく上での工夫と申しましょうか、ここのところはこうやっておいた方がより問題がないのではないか、そういったような点を拾ってみたいと思っております。事務的なことでございますからかなり広範に、あちらに飛んだりこちらに飛んだりというようなものかもしれませんし、また私どもも、まだいまの段階でそれを完全に把握しているというわけではございませんけれども、そういった管理上の工夫と申しますか、そういう問題に目をつけて検討してまいりたいと思っておるところでございます。
  316. 新村勝雄

    新村委員 そんなに具体的な話をしてないのですけれども、選挙が終わって直ちに、この新しい制度は問題があるという大臣発言まであった、記者会見もしたということであるのに、何の具体的な考えもないということはあり得ないと思うのですよ。だから、どういう点が問題なのかということについての具体的な点を伺いたいのです。
  317. 岩田脩

    ○岩田説明員 たとえば一例を挙げて申しますと、御承知のとおり、任期満了前九十日の時点で、既存政党と言うと言葉が悪うございますが、名簿提出要件の第一号または第二号を満たしている団体から名称及び略称の届け出を受ける制度がございます。あの届け出を受ける期間が一週間あるわけでございます。一週間というのはごく自然な期間だなと思っておりましたけれども、実際に九十日前にやってみますと、一週間というものはいかにも長うございます。それなんかはしかるべき期間、たとえば立候補の期間も二日なんでございますし、しかもいきなりできてくる団体を相手にするのではなくて、すでに一号、二号要件、いわゆる既存の団体を相手にしての届け出でございますから、そこらはもっと短くてもいいのではないかなということ、たとえばそのことについてはそう思っております。  このことを私が申し上げるのは、いま申し上げましたように、結局九十日前の届け出というのを中央選管が自分の手でやったから、その中からそういうことに気がついておるわけでございます。  そのほかに、実際に現地で投開票に携わった市町村の選挙管理委員会とか、それからまた選挙運動その他に関して問い合わせを現地で受けた都道府県選管とか、さらにはNHKとかというところには、それぞれ自分の経験に基づいての御意見もあろう。いまはまだ形をとっていない散発的なものであるかもしれないけれども、恐らくそのうちにまとまってくるだろうと思っております。そういったようなものをまとめ、吸い上げるという形で研究をしてみたいと思っておるところでございます。
  318. 新村勝雄

    新村委員 それから、これは議員立法で成立はしたのですけれども、政党要件等についてもいろいろ問題が指摘されておりますね。たとえば、十人そろえなければいかぬ。十人をそろえるために、 一部では無断で名前を借りたというような問題も、事実かどうかわかりませんけれども、言われておるということで、政党要件をこういうふうに厳しくするということになると、名前をそろえて政党の体裁を整えるということが行われるわけですから、ある意味ではいわば虚構の前提の上に立って選挙が行われる、こういうことも言えるわけです、資格を得るために名前をかき集めてくるということですから。そういうことは非常にまずいのですよ。政党要件の緩和等については、当然検討されなければならないわけですね。  それから、憲法の四十三条では「兩議院は、全國民を代表する選擧された議員でこれを組織する。」とありますけれども、「選擧された議員」というのですから議員を選挙する。議員というのはこれは自然人ですよね。法人とか団体ではない。自然人を選挙民が選挙するというふうに憲法では書いてあるのですけれども、そこらの疑問はどうなのかということもありますね。  それから、党名選挙になると、有権者と選挙、有権者と政治というものが縁が遠くなるという、どうしてもそういう欠点があらわれてくるわけですけれども、これらについてはどうお考えですか。
  319. 岩田脩

    ○岩田説明員 いまお挙げになりました中で、政党要件というのをこれからどう考えていくかということでございますが、御承知のとおり、政党の三つの要件には、いわば外形的な標準を立てて四%とか十人とかいうことで臨んでいるわけでございます。それに対して、とにもかくにもその条件を満たせばいいのではないかというかっこうで、いろいろ御批判もあるというのは承知しておりますが、やはり政党要件の問題というのは結局どのような政党を参加させるかという話でございますので、これは先ほどの大臣からのお話にもございましたように、まず各党の間で、いわば制度の基本の問題としての御意見をいただくのがいいのではないか。私どもは、いまのところ、政党要件そのものの問題というよりは、たとえば今度の選挙に候補者が何人出てくるかをもう少し早く知る方法はないだろうかとか、そういう実施上の工夫の方へ移しかえて物を考えるように、いま努めているところでございます。  後段お話のありました「選擧された議員」ということにつきましても、これは前回の法案審議の途中におきまして、確かに政党名を書いての投票であるけれども、有権者は名簿を点検し、それにだれが載っているかということを点検して投票するのだから、その点、憲法上の問題はないのではないかという御返事があったと承知しております。
  320. 新村勝雄

    新村委員 もう一つ、定数の是正の問題です。  これは議会の問題だと言われるかもしれませんけれども、やはり選挙を管理する自治大臣として、定数のはなはだしい不均衡についてどうするのかという問題があると思うのですね。衆議院の場合、一対四・五くらいの格差があるわけですよ。それで、これについては前に最高裁の判例もあるわけなんですけれども、これは議会の問題だということで自治省の問題ではないとおっしゃらずに、やはりこれは国民の基本的な権利に関する問題ですから、もちろん議会と十分相談をするわけでしょうけれども、自治大臣としても、ひとつこの問題についてはイニシアをとっていただいて、こういう不合理を一日も早く解決をする行動を起こしていただかなければいけないと思いますけれども、そこらはどうお考えですか。
  321. 山本幸雄

    山本国務大臣 定数是正というのは、いろいろこれは論議をされておる問題であり、また裁判所の判例にもたびたび出てきた問題でございまして、この問題に対しては選挙制度上、これはきわめて重要な問題であるという認識はわれわれも持っておるところでございます。  過去に定数是正が選挙区別に行われたことがあるわけでございますが、これらはやはり定数をふやすという方向で行われた。しかし、定数是正をするときに、一体基本的に全体としての定数をどうするかという問題、私は、これがまずその考え方の基本になるであろう。現在の状況から見て定数を増加させるということについては、なかなか私は慎重を要する課題ではないかという考えでおるわけであります。  また、その定数是正の問題になってまいりますと、これはいろいろ選挙制度の根幹に触れたいろんな問題も出てくることでございましょう。したがいまして、私どもも、これについては重要な問題であるという問題意識は十分持っておるつもりでございますが、何せ選挙制度の根本にかかわる問題だけに、各党の御認識も私は非常に深いものがあろうと思われます。したがって、やはり各党間でひとつ十分論議を尽くしていただくことがまず先決であろう、その合意に基づいて実施をしていくというのが現実的で、しかも民主的なやり方ではないか、こう考えておるところでございます。
  322. 新村勝雄

    新村委員 千葉県四区の有権者から、現在の定数は違憲であるという訴訟が出されているはずですよね。この審理状況は、いまどうなっておりますか。
  323. 岩田脩

    ○岩田説明員 御指摘の訴訟は目下最高裁に係属中でございまして、近く口頭弁論が行われる予定でございます。
  324. 新村勝雄

    新村委員 そうしますと、判断はいつごろ——これは見込みですけれども、いつごろ判断が出される見込みですか。
  325. 岩田脩

    ○岩田説明員 これはまだ通告を受けておりませんので、その点はちょっと判断がつきませんので、お許しをいただきとうございます。
  326. 新村勝雄

    新村委員 これは違憲の判断が出ることは間違いないですね、前に判例がございますので。  もし違憲の判断が出た場合、大臣はどうなさいますか。
  327. 岩田脩

    ○岩田説明員 違憲の判決が出るのは間違いないという御指摘ではございますが、御承知のとおり、これは本件をめぐりまして争われている問題でございます。どういう判決が出るかは最高裁の御判断にかかるものと存じております。  判決が出た後どうなるかというのは、判決を見た後でありませんと何ともお答えをいたしかねるので、お許しをいただきとう存じます。
  328. 新村勝雄

    新村委員 違憲の判決が出れば、これは大臣としても何らかの行動を起こされると思いますね。定数是正については、これは基本的な国民の権利に関する問題ですから、ひとつ十分御研究を願い、御努力をいただきたいと思います。  終わります。
  329. 古屋亨

    古屋委員長 春田重昭君。
  330. 春田重昭

    ○春田委員 私も、公職選挙法の一部改正法律の中での比例区の問題と定数是正の問題について、若干重複する点があるかと思いますけれども、質問させていただきたいと思います。  今回の参議院選挙から初めて導入されました比例代表区の選挙については、見直し説があちらこちらから出ているわけでございます。また、大臣も去る閣議後の記者会見で、実施面での手直しといいますか、そうしたものの発言があるやに聞いているわけでございますけれども、大臣の御所見をまずお伺いしたいと思います。
  331. 山本幸雄

    山本国務大臣 初めて行われた選挙でございますし、一つ制度としてやはり実施した後でいろいろ検討をしてみるというのは、私ども行政のサイドとしても当然のことであろうと思います。したがいまして、実施した後についていろいろ検討を、特に私が先ほど申し上げたとおり、制度そのものの根幹は別といたしまして、さしあたり実施管理面の諸問題があるとするならば、それらについてひとつ検討を加えていきたい、こういうのが私どものただいまのところの考え方でございます。そういう考え方で、先日、私は選挙が済んだ直後の記者会見でさようなことを申し上げたのでありますが、内容につきまして具体的なことについては、私は申し上げていなかったつもりでございます。
  332. 春田重昭

    ○春田委員 わが党としても、この比例代表区選挙につきましては、メリットな部分もあるけれどもデメリットの部分が大きいということで、終始反対をしてきたわけでございます。  そこで、何点かにわたりまして御意見を伺いたいと思いますが、まず第一点は、今回の参議院選は史上最低の投票率、五七%であったと聞いているわけです。実に二人に一人が投票しなかったわけでございますけれども、これに対していかなる御所見をお持ちなのか、また、この責任をどう考えているのか。
  333. 岩田脩

    ○岩田説明員 せっかくの第一回の比例代表選挙でありながら五七%であったということは、大変残念に思っております。  その理由が一体どこにあったのかというのは、われわれなかなかよくわかりません。よく言われておりますように、統一地方選挙と重なった年の参議院議員選挙は投票率が低いというような考え方もございます。さらにまた、新しい制度を導入した場合、ことにいままでは候補者の名前を書いておりましたのを政党の名前を書くことに切りかえたわけでありますから、やはり有権者の中に一種の不調和といいますか、いままでとは勝手の違ったものが残ったのはこれまたやむを得ないことで、そういったようなことが抵抗になったかというような御意見もあったように思います。比較的天候に恵まれながら五七%に終わったということでございます。  ただ、これも世上言われておりますように無効投票率が比較的低うございましたから、その意味では、投票に来られた方はある程度この制度の御理解はいただいたのではないかと思っておりますけれども、出足が五七%にとどまりましたことは大変残念に存じておる次第でございます。
  334. 春田重昭

    ○春田委員 まさに今回の投票率が低かったのは、いま選挙部長がおっしゃったように、今回の制度というものが非常に国民になじまなかったからだと私も思う。なじまなかった最大の理由は、政党への投票という問題ですね。やはり、この政党への投票という問題が、私たちもいろいろな政治活動、選挙運動をやる中で一番大きかった声でございます。特に候補者個人の選挙運動が抑制といいますか禁止された今回の選挙は、憲法違反の疑いもあるわけでありまして、参議院本来のあり方になじまないという点で国民が拒否反応を示したのではなかろうかと私は思っておるわけでございますので、こういった点も一つの教訓とし、反省として見直しの中で考えていただきたいと思うわけでございます。  次に、先ほども質問が出ましたけれども、政党要件として比例区、選挙区を合わせて十名以上の候補者が必要ということになります。ところが、比例区の場合は供託金が四百万、選挙区の場合は二百万ということで、比例区のいわゆる名簿掲載者の一名というのが政党で四つか五つあったと聞いておりますし、そのほか、全部選挙区へ行って掲示板を急にふやした、ところが結果的にはポスターが全然張られなかったという現象もあらわれているわけでございます。こうしたいわゆる政党要件十名ということについては今後考えるべきではないかと私は思いますけれども、御所見をお伺いしたいと思います。
  335. 岩田脩

    ○岩田説明員 御指摘のございました十名要件、いわゆる三号要件でございますけれども、これにつきましては本来、全国区に相当広く、相当多数の候補者を立てるだけの基礎を築いた政党ということを選ぶ意味で十名という数を定めたというように承っております。ただ、それが十名という候補者の数にかかっておりますために、全国区には一名だけ、地方区には九名という政党が幾つかあったということは、御指摘のとおりでございます。  ただ、これをどうするかということになりますと、これは先ほどちょっとお答えしたところでございますけれども、とりもなおさず、どのような団体に参加させ、参加させないかという問題になりますので、先ほど大臣が申しました実施上の問題点を探るという意味ではちょっとはみ出しているかな、やはりここは各党の御意見をいろいろ承らなれけば、ちょっと急には先ほどの線には近づきにくいのではないか。私どもとしては、むしろ、そういうことがありましたために、立候補締め切り直前になりまして御指摘のとおり九名飛び込んでくるぞという話になり、ポスター掲示場を継ぎ足し継ぎ足ししたということがございます。実施上の工夫という点からは、せめてあれだけでも解決できないか。政党要件の面からの御議論が進めばそれはまたそれでいいわけでございますが、自分の方からは、せめて立候補受付に入る何日か前に候補者数の予測が立つような仕組みがとれないものであろうか、そういう工夫はないだろうかということを考えているところでございます。
  336. 春田重昭

    ○春田委員 次に、議席配分のドント方式でございますけれども、このドント方式というのは少数政党には非常に不利でございまして、大政党に有利な方式であると、やる前から言われていたわけでございますけれども、結果的にもそうなっているわけです。  各党の得票数を、そのときの単純な一議席当たりの必要得票数で割った計算上の獲得議席というものは、自民党の場合では十七・二議席なんです。それにとどまるところであるけれども、実際は十九議席あった。社会党さんも計算上は七・九議席であったのが九議席で、上回っているわけでございます。ところが、ミニ政党はこういう形でそれが生かされてない。こういうことで、各政党に公平な方式とは言えない。こういう点で、公平な配分方法を検討すべきこととして、これも今後の課題としていただきたいと私は思うわけでございますが、どうでしょうか。
  337. 岩田脩

    ○岩田説明員 前回の法案の御審議に当たりまして、ドント式というのは最もわかりやすく、かつ単純な方法であるというような御説明があったというように存じております。ただいま御指摘のあったような単純比例計算というのを実はやっておりませんけれども、恐らくそういう計算をなさいますと、四捨五入の関係であるとか、そういういろいろなぶれが出てくるのであろうと思っております。御指摘ではございますが、私ども、ドント式が特に不公平な制度であるというようには考えておりません。  なお、そういう配分方式をめぐって前回審議のときに、いろいろな方式を挙げての御議論があったのは承知しておりますけれども、いずれもいわば比例代表制の方式を決める問題でございますので、これも御議論があるとすれば、まず各党の中での御議論を先行させていただければありがたいというように存じております。
  338. 春田重昭

    ○春田委員 結果的には不公平になっているじゃないですか。そういうような自治省の認識では困りますよ。各党の話し合いになると思いますけれども、結果的には不公平になっているじゃないですか。金がかからないと言いながら、テレビスポットやまた新聞への広告等で、結果は非常に金がかかっているということも指摘されているわけです。こうしたことも十分考慮して、あくまでも国民といいますか、有権者の立場に立った参議院本来の姿となるように選挙制度を変えるべきである、私はこう主張しておきます。  そこで大臣、こうしたことで手直しということが言われておりますけれども、この次の選挙は昭和六十一年に行われるわけでございますけれども、六十一年にはこうしたものも十分検討されたものが改正案として出て施行されるかどうか、その点どうお考えになっておりますか。
  339. 山本幸雄

    山本国務大臣 これは済んだばかりでございまして、いろいろ御意見はあるとは思いますけれども、まだ十分論議が各方面で出ていない段階でございますから、まだまだ相当時間をかけて各方面の御論議を願わなければならないことであろう。私どももこれは時間をかけて、ひとつ今後とも勉強をさしていただきたい、こう思っておるところでございます。
  340. 春田重昭

    ○春田委員 もう一点だけ確認しておきますけれども、大臣は自民党員でございます。自民党の方針は、参議院は比例代表制をとり、衆議院は将来小選挙区制を頭に置いているやに伺っているわけでございますけれども、大臣は小選挙区制導入に対してどう思っておられますか。
  341. 山本幸雄

    山本国務大臣 これは、とてもここで私がどうこうするなどと申すような小さい問題ではございません。これは選挙制度としては最大の問題でございますから、私はここでさようなことについてかれこれ申す立場ではありません。
  342. 春田重昭

    ○春田委員 かれこれ言うのはおかしい、それはどうなんですか、大臣として小選挙区の導入を自分の自治大臣の間には全く考えていない、また、個人的にはどう思っておられるかわかりませんけれども、大臣の間ではどう思っておられるのか、それくらい御答弁してくださいよ。
  343. 山本幸雄

    山本国務大臣 はっきり申せば、小選挙区制のことなど、いまわれわれの念頭にはございませんということでございます。
  344. 春田重昭

    ○春田委員 続きまして、同じく公職選挙法で定められております衆参両院の議員定数の問題でございます。  衆議院、参議院の国政選挙のたびごとに、有権者数と議員定数のアンバランスの問題が各地で問題となっているわけでございます。大臣としての御所見をお伺いしたいと思います。
  345. 山本幸雄

    山本国務大臣 定数是正という問題は古くて新しい問題で、常に論議をしていかなければならぬ問題だと思います。ただ、これは先ほども申し上げましたが、確かに問題としてはわれわれも考えていかなければならぬことであるとは思っております。しかし、定数是正の際に総定数というものをどう考えるかというのがまず問題であろうと私は思います。  そこで、過去二回は衆議院の定数是正が行われておりますが、しかし、これはやはり定数をふやすという方向で解決をされたと思うのです。しかし、現在の世論その他環境は、果たしてそういう増員をしていくという方向でやれるものかどうかということは、十分考えていかなければならぬ点であろう。そうしますと、これは非常にむずかしい問題であります。まず、そういう点からひとつ各党にも御議論をいただいて、その上で結論を出していただいて実施の方向に移していただきたい。そういう手続を踏むことが最も現実的である、また民主的なやり方であろう、こう思います。
  346. 春田重昭

    ○春田委員 大臣がおっしゃったように、公職選挙法は昭和二十五年に制定されまして、衆議院では昭和三十九年と昭和五十年の二回、一部改正されているわけです。参議院では全くされていないわけです。そこで、衆議院、参議院両院の一票の格差は現在どうなっているのかということです。  まず、参議院の実情について、一番新しい時点——一番新しいというのは、この前選挙をやった時点ですね、それと三年前と六年前、この実情はどうなのか、数字でもってあらわしていただきたいと思います。
  347. 岩田脩

    ○岩田説明員 有権者の票のいわゆるアンバランスでございますか、有権者と定数のアンバランスを考えます場合、私どもは国勢調査人口との対比で物を考えておりますので、ただいま御指摘のありましたこの前の選挙のときの有権者数といったものを実はいま手元に持っておりませんので、その点はお許しをいただきとうございます。  ただ、参議院につきまして国勢調査で申し上げますと、五十五年国勢調査の結果では、議員一人当たり人口が最高であるものが神奈川地方区の百七十三万一千人余、それから一番小さいのが鳥取地方区の三十万二千人余、その間の格差は一対五・七三になっています。その五年前、いわゆる五十年国調のときには、同じく神奈川、鳥取間でその差一対五・五〇、その五年前、四十五年国調のときには、東京、鳥取間でその差が一対五・〇一、こういう状態でございまして、四十五年に五倍を超えまして、以下少しずつふえてきているという状態にございます。
  348. 春田重昭

    ○春田委員 この一票の格差は確実に拡大しているわけです。  そこで、また衆議院の場合でございます。衆議院の場合は昭和五十年に改正しておりますけれども、昭和五十一年時と、そして前回の選挙の五十五年、一番新しい時点ですね、この辺の実情はどうなっておりますか。
  349. 岩田脩

    ○岩田説明員 昭和五十年国勢調査によります五十年改正後の数は、議員一人当たり人口が一番大きいのが千葉四区で四十一万一千八百四十五人、それに対しまして議員一人当たり人口が最も少ない選挙区が兵庫五区で十一万七百四十八人、その差が一対三・七二になっております。五十五年国調によりますと、千葉四区は四十九万九千七百六十三人、兵庫五区が十一万五十一人、その間の差は一対四・五四ということに相なります。
  350. 春田重昭

    ○春田委員 衆議院の方でも同じ現象が出ているわけです。  このように衆議院、参議院、ともに一票の重みの格差というのは拡大する一方でございます。その結果、今回の参議院選でも、低い得票での当選者十人のうち九人までが自民党さんで占められている。高い得票で落選している十人のうち八人までが野党である。衆議院でも、選挙をやれば恐らく同じような現象が出てくるのではないかと私は思うわけです。これは選挙を通して正しく民意が政治に反映されないことを証明したことになると私は思うわけでございます。この選挙制度の根幹になる議員定数のアンバランスをこのまま放置することは許されない実情になっているんじゃないか。自治省としても、それは各党とか国会とか言うのじゃなくして、積極的にイニシアチブをとりながらその改正を進めるべきである、こう私は主張するわけでございます。  ところで、憲法第十四条には法のもとの平等が規定されております。選挙の際の投票価値の平等原則がこの第十四条で保障されているわけです。しかし、現行の議員定数というのは憲法第十四条も保障してないということになるわけです。こういった面で、法律の上に憲法があるのであって、その憲法を侵害している現行法は早急に改正すべきである、こう私は主張するわけでございますが、いま一歩自治省の積極的な御答弁をいただきたいと思うわけでございます。
  351. 岩田脩

    ○岩田説明員 選挙区の間の議員一人当たりの数に差があり、その差が拡大していくということは、先生からの御指摘のとおり、また先ほど大臣から御返事を申し上げましたとおり、われわれもきわめて大事な問題であると考えておりますけれども、先ほど来大臣から申し上げましたように、やはりこの問題をやるためには総定数の問題とか、それから現在の中選挙区制を維持するかどうかという問題とか、さらには参議院におきましては各都道府県のいわば地域代表的な性格というものをどう考えていくのかといったような問題が残っておりまして、単純に事務的に処理ができる問題ではございませんので、これは選挙制度そのものの、ただいま御質問の中にもありましたように、基本的な問題として、まずは各党の間で十分に御議論をいただき、御方針を示していただいて、それに沿ってやるのが一番現実的であり、実際的であろうというように考えておるところでございまして、その点でお許しないただきとう存じます。
  352. 春田重昭

    ○春田委員 そういうことで自治省はすぐ逃げるわけです。先ほども話があったように、こうした現象に各地の有権者の間で司法の判断を求める訴訟等が提起されているわけです。衆議院では、五十一年の四月から五十六年の十月まで五度の違憲判決が出ております。現在係争中のものは、衆議院で十六件、参議院で一件、最高裁で争われている。また五十五年十二月の東京高裁では、一対二以内に格差はとどめるべきであるという、初めて明確に許容範囲も判決に出ているわけですよ。こうした司法の判断に行政が手をこまねいていてはならないと私は思うのです。  そこで、先ほどからお話があったように、選挙制度の根幹の問題であるし、各党間で話し合っていただきたいということでございますが、何せ議員間の話し合いというのは、ある面においては自分の首を切るようなものでございますから、相当むずかしい問題であるわけです。各党の話し合いもなかなかできがたい要件がいろいろあるわけですよ。そういった面で、かつて選挙制度審議会というものがございました。この審議会が現在休眠状態であると聞いておるわけです。昭和四十七年以降、メンバーが出てきていない、こういう状態だと聞いておるわけでございますが、こうした議員同士の生臭い問題についてはなかなか決めがたい面があるので、こうした民間の第三者機関にゆだねて、そして土台をつくっていただいて、その上で検討していくということで、そうした選挙制度審議会の答申を得るためにはこの休眠状態を復活させるべきである、こう私は思うわけでございますけれども、自治省としてどうお考えになっておりますか。
  353. 岩田脩

    ○岩田説明員 第三者機関にゆだねるべきであるという御意見も一つのお考えとしてわかるのではございますけれども、ただ、いままでの経験を通じて見ますと、やはりこの種のものは最後には法律でお決めをいただかなければならないことでありますし、各党のお話し合いがある程度調いませんと、しょせんそう物事が進行しないというのが実情であったように思います。むしろ、こういったような問題につきましては第三者機関に任せ切りにするわけにもしかぬわけでございますので、やはり各党でお話し合いをいただくのが一番現実的な方法ではないかというように考えておる次第でございます。
  354. 春田重昭

    ○春田委員 そうした現実の面がなかなかできないから、第三者機関にゆだねた方がいいと私は思うのです。  地方議会では、五年ごとの国勢調査によってその都度定数是正をしておるわけですよ。したがって、裁判等の問題も地方議会では全然ない。地方を指導していくべき国が、そういう司法で判断がされているのを、国会もまた政党も行政も手をこまねいて放置しているのは、これは問題ですよ。そういった面で、そんな国会とか政党とかいう形で逃げないで、もうちょっと自治省として積極的にこの問題に挑戦してください。大臣、どうですか。
  355. 山本幸雄

    山本国務大臣 この問題はやはり各党にとっても、選挙制度の問題というのは各党の消長にもかかわるという重大な問題でありますから、くどいようでございますけれども、各党のお話し合いというのがまず第一であろう、こう思っておるのです。何といいましても法律として国会で通していただかなければ実施はできないわけでございますから、それだけに私は各党の御意見をひとつ論議を尽くしていただくということが何より大切なことであろうと思っております。しかし、もとより行政のサイドといたしまして、政府立場も、この問題についてはこれからの選挙制度のあり方の問題としては非常に大きな問題である、そういう問題意識だけは十分に持っておるつもりでございますから、私どももこの問題は今後とも真剣に検討もし、勉強もしていきたい、こう思っております。
  356. 春田重昭

    ○春田委員 時間がなくなってまいりましたけれども、もう一点だけ覚せい剤の問題について、走ってお伺いしたいと思います。  いわゆる覚せい剤に汚染された事件というものは、あちらこちらに大きな社会問題となっておるわけでございますけれども、厚生大臣の諮問機関でございます公衆衛生審議会が覚せい剤取締法の強化改正の意見を昨年十一月提言しておるわけでございますけれども、この提言を受けて、厚生省としてはどういう検討をしているのか。覚せい剤取締法は非常に甘いのではないか、もっと麻薬取締法並みに強化すべきであるという意見だったやに伺っておるわけでございますけれども、厚生省としてどう検討しているのか、簡単に御答弁いただきたいと思います。
  357. 山本晴彦

    山本説明員 ただいま先生の方から御指摘のございました昨年十一月の公衆衛生審議会の方からの意見では、現在専門的に検討を要する問題といたしまして、医療保護対象者の範囲の明確化であるとか、あるいは依存除去の医療上の問題、さらには看護、施設面の充実等受け入れ体制の問題、さらにアフターケア制度のあり方について検討する必要がある、こういう指摘があったわけでございます。さらにこの審議会の意見といたしまして、これらの検討結果を踏まえ、受け入れ体制の整備状況を勘案しつつ、取り締まりと医療保護、アフターケアを一体化していくような方向で覚せい剤取締法を改正することを検討してはどうか、こういう意見具申があったところでございます。  私どもの方では、早速省内にプロジェクトチームを設けまして、この問題につきましてすでに数回の検討を行っておるところでございます。今後さらに専門技術的な問題について、専門家による検討会を進めることといたしておるところでございます。
  358. 春田重昭

    ○春田委員 時間がオーバーしましたけれども、最後にもう一点だけ法務省にお伺いします。  覚せい剤中毒者に対する医療充実は、各界各層から意見が出されているところでございます。  ところで、法務省は、覚せい剤中毒患者に対し現行刑法では十分な対処ができないとして、刑法を改正し、保安処分の対象に覚せい剤患者を入れる考えあるやに伺っておりますけれども、法務省の御見解を伺いたいと思います。
  359. 土屋眞一

    ○土屋説明員 法務省では、御指摘のように、昭和四十九年に法制審議会から法務大臣に対しまして、刑法全面改正をする必要があるという答申がありまして、その答申のありました改正刑法草案の中に、保安処分制度の新設が提案されているわけでございます。これは最近、若干その内容をさらに限定する案を検討中でございまして、結局、精神病あるいは覚せい剤その他の薬物の中毒によりまして精神の障害に陥り、そして重大な、たとえば殺人、放火、傷害、強盗、強姦等の重大犯罪を犯しまして、そして再び同じような犯罪を犯すおそれがあるような人につきましては、現行の刑法では、刑罰だけでは対処できない場合あるいは対処が困難な場合がありますので、そういった場合に裁判所の判断で治療のための施設に収容いたしまして、医学上その他の治療を行いまして、そして再犯を防止いたしまして社会の安全の保護と本人の一日も早い社会復帰、そういう制度を設ける必要があると思いまして現在検討中でございまして、各界の意見を聞き、また関係省庁とも協議を遂げた上で、できるだけ早く改正法案を国会に提出すべく現在準備作業を行っているところでございます。
  360. 春田重昭

    ○春田委員 それは次の臨時国会に出す予定なんですか。
  361. 土屋眞一

    ○土屋説明員 これは作業の進捗状況、それから関係省庁の協議等もございますけれども、できるだけ早く国会に改正法案を出すために現在準備作業を行っております。
  362. 春田重昭

    ○春田委員 日弁連等もいろいろ反対しているみたいですが、その辺もよく話し合いしながら慎重に対応していただきたい。  時間超過しましたけれども、以上で質問を終わります。
  363. 古屋亨

    古屋委員長 宮田早苗君。
  364. 宮田早苗

    ○宮田委員 本日の質問時間が二十七分間でございますので、その範囲の中で数点質問いたしますので、答弁の方もよろしくお願いをいたします。  まず最初に、過日の参議院選挙を通じましてもおわかりと思いますように、国民の中には税金についての不満が大変大きいところから、地方税の減税についてまずお伺いをいたします。  先国会開会中にも減税について与野党の合意がなされ、五十八年度中での実施が約束されておるわけでございます。われわれといたしましては、その中に四千億程度の地方税減税が含まれていると主張しておるところでございますが、自治省としてはどういう見解を持っておられるか、特に大臣御出席でございますから、後から大臣、よろしくお願いいたします。
  365. 関根則之

    ○関根説明員 住民税の減税問題につきましては、所得税と同様に、先国会におきまして与野党間で各種折衝が行われまして、その結果、与野党代表者会議におきまして、所得税及び住民税の減税についての法律案を五十八年中に国会に提出するという確約があったということは、私どもも承知をいたしているところでございます。ただ、その具体的内容につきましては、今後政府の税制調査会等における御審議を煩わしながら決めていくということになっておるわけでございまして、具体的に地方税の住民税の減税をどの程度にするということにつきましては、現時点ではまだ決まっていない、こういうふうに理解をしているところでございます。
  366. 宮田早苗

    ○宮田委員 せっかく大臣お見えでございますので、大臣、御見解ありましたら……。
  367. 山本幸雄

    山本国務大臣 ただいま税務局長が答えたとおりでございますが、この問題は、先ごろの通常国会において各党間で合意を見ているところでもありますし、私どももその時期、その規模、また地方税としての特殊性というものも考えながら、われわれとしてもその実施をするつもりでおるのでございます。
  368. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に御質問いたしますのは、武蔵野市を初めといたします地方自治体における高額退職金問額が問題になっておりますが、最近の一部マスコミの調査によりますと、特殊手当と称します民間では考えられないような妙な手当、言いますと、誕生日休暇とか授業参観日休暇などという変な休暇が大盤振る舞いということで報道されておるわけでございます。民間労働者の実態などと比較をいたしまして、タックスペイヤーとしてこれを許しがたいという雰囲気が盛り上がっておるところでございます。自治省はこの実態を把握しておいでになると思いますので、その辺の見解と、また今後この問題についてはどういう御指導をなさっておりますか、まず御質問いたします。
  369. 坂弘二

    ○坂説明員 お答え申し上げます。  地方公共団体におきます特殊勤務手当の問題でございますが、特殊勤務手当は御案内のとおり、著しく危険、不快、不健康または困難な勤務、そういうものに従事する職員に対して支給される手当でございます。  そこで、地方公務員の特殊勤務手当につきましては、第一番目には、地方公共団体においては国にない勤務もあるわけでございますのと、それからまた給料表の種類などにも相違がございますので、地方公務員の特殊勤務手当が必ずしも国のものと同一とはならないものではございますけれども、しかしながら、ただいま御指摘のございましたように、その中にはその必要性あるいは妥当性についてきわめて疑問のあるものも見受けられるところでございます。  われわれといたしましては、いろいろ問題になっております団体につきましては、現在県の地方課を通じてその実態を調べているところでございますが、従来からも特殊勤務手当につきましては、制度の趣旨にのっとってその適正な運用を図るよう指導してきたところでございますけれども、このようなこともございますので、今後ともさらに厳しく指導をしてまいるつもりでございます。
  370. 宮田早苗

    ○宮田委員 ただいまの答弁に関連をいたしましてさらにお聞きしておきたいことがございますのは、通常勤務の形態ですね。通常勤務が厳正に守られておるかどうかということと関連いたしまして、残業の問題があるわけでございます。この残業そのものが果たして規定どおり守られておるかどうかということですね。といいますのは、その自治体におきますところのチェックあるいは認定といいますか、上司のいないまま、そこに勤務しておりますのが居残りをしてそのまま帰り、何時間かの残業がつけられておるということ、果たしてこれが厳正にそのままの形で守られておるかどうかということ、それと同時に、出勤時間は八時半なら八時半ということを定めておりながら九時出勤ということ、それから退庁時間は五時なら五時というふうに定められておりながら四時半に退庁する、こういう自治体というのが非常に多いのじゃないかと私思いますので、この辺はやはり掌握をしておく必要が当然にあると思いますが、その辺はどうですか。
  371. 坂弘二

    ○坂説明員 各地方公共団体におきます職員の服務規律と申しますか、勤務の規律の問題、残業もその一つであろうと思いますが、これはその地方団体におきます実際の日常のことでございますので、三千三百ございます地方団体の個々につきまして自治省といたしましてその実態を掌握するということは、これはちょっと技術的にも非常にむずかしゅうございます。しかし、少なくともその勤務条件のあり方あるいは勤務条件の実態ということにつきましては、毎年、県の地方課を通じてその調査をいたしておりますので、今後とも特にそういう点に配意して指導してまいりたいと思います。
  372. 宮田早苗

    ○宮田委員 そういうことで、ひとつ厳しく御指導していただきたいということです。  もう一つの問題として、さっきの答弁にもございました諸休暇の問題について、間接的な賃金を含んだ諸休暇、さっき言いましたように授業参観日休暇とか銀婚式休暇とか、清掃休暇とか祭礼休暇、これは新聞報道なんでございますけれども、事実これを有給で休んでおるということが一つですね。  もう一つの問題は、直接の手当を払っております諸手当ですね。受付嬢が受付手当をもらう。受付嬢だけでなしに、受付をしていない人も受付手当という名目で、大分あるのじゃないですか。あるいはまた危険手当。これは当然出さなければなりませんけれども、危険の度合いの範囲というのが非常にばらばらなんでございますから、やはりこういう問題についても基準はつくるべきじゃないかと思います。  これは二、三十年前の話で大変恐縮でございますけれども、一体全体この諸手当というものがどのくらいついておるかということを、ほぼ私は計算したことがありますよ。二けたじゃないです、三けたある。最近は二けた台におさまっておるようですけれども、これはやはり考えなければならぬことです。すべてのものにすべての手当がついているということですね。極端に言いますと、いわゆる時間内居残りなんというものがある。これは珍しい言い方ですけれども、時間内居残りなんです。時間中に日課をもらって、その日課を果たします。臨時の仕事が来まして臨時のその仕事をすると、それは居残りをつけなければやらないということになる。堂々と時間内居残りということがまかり通っておるということ。もしこういうことがいまでもあるとするならば、これは大変なことではないかと思います。  ほんの一例でございますけれども、いま答弁でおっしゃいましたように、とにもかくにも行政改革をやらなければならぬということなんでございますけれども、それ以前に、まずそのことについてひとつ厳しくやっていただかなければならぬと思いますが、大臣どうですか。
  373. 山本幸雄

    山本国務大臣 手当にもいろいろありますが、先ほど来いろいろ問題になったというのは特殊勤務手当でございますが、特殊勤務手当というものにはそれぞれ目的があって、その目的に従って、それぞれの勤務に応じて支給されるものであろうと思うのです。国の方の特殊勤務手当と地方の特殊勤務手当と、私は若干違っていいと思うのです。業務の内容が、地方というのはやはり住民に直結した仕事を持っておりますから、国の方にないものが地方公共団体にあっても、それは当然のことであろうと思うのです。しかし、その内容につきましては、特殊勤務手当というものの性質にかんがみて、そして住民の信頼にこたえられるような形でその特殊勤務手当を条例でつくり、またそれを支給してほしい、そういうふうに私どもも指導をしていきたい、こう思っております。
  374. 宮田早苗

    ○宮田委員 非常にむずかしい問題とは思いますけれども、行政改革をやらなければならぬという非常に大きな目的がございますだけに、自治省といたしましてはその辺を強力に指導していただきたいということをまず申し述べて、次の質問に移らせていただきます。  現在、国、地方とも大変厳しい財政状況にございますことは御存じのとおりであります。地方財政は昭和五十年度以降引き続き財源不足となっておりまして、昭和五十六年度決算においては、財源不足一兆三百億円のうち、地方交付会計の借り入れが三千四百億、建設地方債が六千九百億円の発行で対処しておりますけれども、五十七年度決算ではどうなっておるかということ。そしてもう一つは、五十八年度現在の地方財政状況はどうなっておるか、ひとつお聞かせを願いたいということと、今後の見通しと地方財政対策をどのように講ずるおつもりか、その辺もお答え願いたいと思います。
  375. 石原信雄

    ○石原説明員 お答えいたします。  五十七年度でございますが、当初予算の段階では地方財政収支が均衡するもの、このように考えられておったのでありますけれども、御案内のように、補正予算の段階に至りまして地方税の大幅な減収と地方交付税の減額、この二つが主因となりまして、おおむね二兆七千億円余りの財源不足になりました。この財源不足につきましては 地方税の減収につきましては減収補てん債の発行で対処する、地方交付税の減額につきましては、当面不用となる額を除きまして一兆五千四百三十三億円を交付税特別会計の借り入れによって補てんする、こういう形で必要な財政措置がなされております。  それから五十八年度でございますが、国と同様に地方財政におきましても歳出を極力抑制するという前提に立ちましても、なおかつ地方交付税が五十六年度分の精算減額八千五百億円余りがある。さらに、五十八年度の国税三税が前年度当初対比でまいりますと三兆数千億円も減ってしまう。こういうような事情が重なりまして、前年度当初対比で地方交付税が七兆一千億円余り減る。こういうような事情がありまして、地方財源の不足は二兆九千九百億円になった次第でございます。この二兆九千九百億円につきましては、交付税特別会計の借り入れ、それから五十七年度で当初の段階で減額留保した地方交付税の繰り上げ加算、こういった措置で、全体として交付税の特例措置として一兆六千六百五十四億円を増額しております。それから投資的経費の一部を地方債に振りかえるということで、一兆三千二百四十六億円の建設地方債の増発を行う、こういう形で必要な補てん措置を講じたところでございます。  いずれにいたしましても、五十七年度の場合も、五十八年度の場合も、その財政措置の主力は地方債の増発あるいは交付税特別会計の借り入れと、いずれも将来に問題を残す措置であったわけであります。  五十九年度以降の地方財政がどうなるかにつきましては、今後の経済の動きあるいは国の財政政策のあり方、こういったこととの関連で現段階では正確な見通しは申し上げにくいのでありますが、ただ、いろいろな要素を勘案いたしますと、五十八年度で三兆円近い財源不足となったこの地方財政が、五十九年度以降も大幅に収支が改善されるということはなかなか期待しにくいのではないか、このように見ております。  そこで、その場合、その財源不足につきましてどういった対応をするかということでありますが、従来のように交付税特別会計の借り入れあるいは地方債の増発という形でこれを続けてまいりますと、その累積債務というものは大変なことになります。将来の地方財政の安定した運営が不可能になるということを心配しております。したがいまして、歳出の全面的な見直しあるいは国と地方を通ずる税制の見直しあるいは財源配分の見直し、あらゆる角度からこの財政措置のあり方につきましても再検討を加えていかなきゃならぬのじゃないか、このような問題意識を持っております。
  376. 宮田早苗

    ○宮田委員 ただいまの答弁に非常に関係がある問題でございますが、現在行われております行政改革の推進、非常に厳しい財政状況の中できわめて重要な課題ではございますが、しかしながら、日本経済が疲弊しております現在、厳しい財政事情にあるとはいえ、景気浮揚に大きな効果を発揮する大型プロジェクトの実現も強く望まれているところでございます。にもかかわらず、たとえば関西新空港とかあるいは整備新幹線建設、これは最近明らかになったことでございますが、東北新幹線の地方駅建設ですね、これは特定地方交通線の第三セクターへの参加ということとか、地方団体がこういう問題で大きな負担を強いられるということになると考えられますが、この点、自治省としての御見解をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  377. 石原信雄

    ○石原説明員 関西新空港の建設の問題あるいは新幹線の整備の問題等に関連しまして、地方公共団体の負担が云々されておりますが、私どもは基本的に申しまして、国際空港の建設は従来から国の責任で行われてきたものでありまして、地方負担というものには本来的になじまないのではないか、このように考えております。また新幹線の整備も、これは国土の交通体系の基幹をなすものでありますから、そういったものについて従来から地方負担というのはなかったわけでございます。したがいまして、制度のあり方として、地方負担を前提にする、予定するということは、現在の地方財政の現況からいたしましても、また、そもそも国と地方の機能分担あるいは財源配分からいたしましても、これは軽々に論ぜられるべき問題ではないんじゃないか、このように考えております。
  378. 宮田早苗

    ○宮田委員 関連をいたしまして、今度東北新幹線花巻、水沢ですね、この民衆駅といいますか、名のりを上げておるわけでございますが、当局によりますと地元負担ということなんでございますね。そうすると、この市の財政事情からいたしますと年間の財政の四七%程度、その駅についでいかにゃいかぬということになるわけでございます。残った財政でその市を賄わなければならぬということになりますと、これは全く破綻をするんじゃないかという危惧も出てくるわけでございますけれども、こういう問題がもし実行されるということになった場合の自治省としての見解はどうですか。
  379. 石原信雄

    ○石原説明員 水沢、花巻等において、東北新幹線の既存の個所に新駅を地元の負担で建設するというようなことが報道されております。  御案内のように、現行法制のもとでは、既存の国鉄新幹線の駅の建設のために関係地方公共団体が負担をするということは法的にはできないわけでございます。ただ、現在、この既存の新幹線につきましても地方負担の道を開くという趣旨の改正法案が国会において継続審議中でございます。ですから、もしこの法律案が成立いたしますと、法的には負担の道が可能になる、違法ではなくなるということであります。  ただ、違法でなくなるということと、じゃ具体的にそれが関係団体にとって財政上妥当な措置かどうか、あるいは財政的に問題がないのかどうか、これは全く別の問題であります。     〔委員長退席、中川委員長代理着席〕  私どもは、現在の府県市町村の財政状況からいたしますと、伝えられるような巨額の財政負担を関係団体ができるんだろうかという点、非常に心配しております。それから、そもそもこの国鉄の駅の設置につきまして巨額の財政支出が行われるといたしましても、現在の地方財政制度のもとではこれに対して財源措置ということはあり得ませんので、やはりこれは自己の責任において判断していただかなければいけない。そういう意味で、この駅の設置については十分な備えというか、十分な検討の上において結論を出していただきたいものだ、このように考えております。  いずれにいたしましても、現時点では法的には不可能な問題でございますけれども、将来法律改正が仮にあったという前提のもとにおいても、やはりこの問題は慎重に考えていただきたいものである、このように思っております。
  380. 宮田早苗

    ○宮田委員 最後でございますが、せっかく大臣お見えでございますので見解をお聞きしたいわけでございます。  最近の地方自治体は、御存じのように非常に窮屈な財政事情でございまして、もちろん行政改革を実行することによってこれの展望がおのずから切り開かれるというふうに思いますが、それを待つということはまだまだ先のことだというふうに思います。やっぱりこの際、それ以前の問題としてやるべき改革というものが数限りなくあるんじゃないかと私は思っておるところでございますが、そういうときに大臣の御指導というものが非常に大きな影響力を持つ、こういうふうに思いますので、その辺の決意のほどをお伺いをいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  381. 山本幸雄

    山本国務大臣 ただいまのところは国の財政も大変厳しゅうございますが、地方財政も同じように厳しい現状にあるということは御承知のとおりでございます。ただ、いまもお話がございましたような点につきまして、私どもは、地方に財政上の転嫁をするようなことはこれは御免こうむりたい、こういう基本線は守っていきたいと思っております。財政というのは、やはり仕事によってそれぞれ区分し、配分すべきものであろうと思いますが、一つの財政上の秩序がいまあるわけでございますから、そういう財政秩序は、私どもとしては維持をしながら地方財政の今後をひとつ考えていきたい、こう思っておるところでございます。  ただ、地方財政も事情厳しい中でございます、また行政改革もやらなければならないというところでございますだけに、地方といたしましても、それだけのやはり覚悟で今後の地方行財政の運用にぜひひとつ当たってほしいという希望を私は強く持ち、そういうふうに今後とも指導をしていきたい、こう思っております。
  382. 宮田早苗

    ○宮田委員 ありがとうございました。
  383. 中川秀直

    ○中川委員長代理 三浦久君。
  384. 三浦久

    ○三浦(久)委員 私は、福岡県知事奥田八二氏に対する右翼の襲撃事件についてお尋ねをいたしたいと思います。     〔中川委員長代理退席、委員長着席〕  五月二十日の地方行政委員会で、私は、五月十日に奥田八二県知事が県議会の一階のロビーで右翼に襲撃をされた、その問題についてお伺いをいたしております。そのときに山田警備局長は、犯人石橋の行動を見失ってしまったんだ、これが制止をできなかった原因だから今後の警備、警護上の教訓にしたい、こういうことを述べておられるわけですね。  ところが、それから一月もたたない六月の八日午前十時過ぎに、再び奥田県知事が右翼に襲われておるわけであります。場所は田川市内の石炭資料館の前であります。犯人は大日本晃友社という暴力団十五、六人、この石炭資料館の前に集まっておったわけですね。騒いでおるわけです。ですから、警察は事前に十分知っておるわけです。そして、警備態勢もとっておったわけですね。それにもかかわらず、資料館から奥田県知事が出てきて乗用車に乗り込むそのときに襲われているわけです。幸い乗用車の中に知事は入り込んだ、そのために知事には直接暴行は加えられておりませんけれども、右翼の一人が木刀で、ちょうど入り込んだその乗用車を二、三回たたいた、それでボデーがへこむ、そういうような事件が起きておりますね。  県民から選挙で選ばれた県知事です。これが一月もたたないうちに二回も右翼に襲撃をされる。これはきわめて異常なことである。そしてまた、政治的な民主主義、議会制民主主義、こういう観点からいっても絶対に放置できない問題だというふうに私は思うわけなのですね。いま県民は、何と警察というのは右翼に甘いのだろうか、騒いでいるのがわかっているのだから、ちゃんと警備態勢をしいたらいいじゃないか、未然にそれを防止する態勢ができたはずだという怒りの声を上げていると私は思っております。  一月の間に二度も、それも警察の目の前で県知事が右翼に襲撃されるというような事態について、警察庁はどういうようにお考えになっていらっしゃるのか、まず最初にお聞きしたいと思います。
  385. 山田英雄

    ○山田説明員 警察がこれまで右翼の違法行為につきまして厳正な取り締まりを実施してきたことは、検挙件数から見ても御理解いただけると思います。ちなみに、昨年は四百五十九件、六百八十三人を検挙しております。本年も五月末現在で百六十三件、二百二十八人を検挙いたしまして、厳正な取り締まりを行っておるわけでございます。  奥田知事につきましては、確かにいま御指摘のように二回にわたって暴行事件が発生しておるわけですが、そのいずれの場合にも所要の警戒員を配置して警戒をいたしておったわけでございます。ただいま御指摘の石炭資料館前におきましても、右翼のグループを資料館の入口から四十メートル離れた一般の駐車場に隔離しまして、三十七人の警戒員で警戒しておったわけでございますが、一般車両も出入りする駐車場でございますので、車両が通行でるきだけの幅をあげておったところ、急発進して、ただいまお尋ねにございましたような事案が発生してしまったわけでございます。所要の警戒をしていたとはいいながら、結果的にそうした暴行事案が発生しましたことはまことに残念なことと思っております。こうした教訓、現場は千変万化するわけでございますが、二度にわたった暴行事件の教訓というものを十分に踏まえまして、今後右翼の動向に対しまして厳重な視察を徹底する、同時に要人等に対します警備警戒をより徹底してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  386. 三浦久

    ○三浦(久)委員 この二回とも、結局右翼の陽動作戦にやられているのですね。そうでしょう。二回ともそうなのです。これは、確かに右翼は悪いと思いますよ。しかし、私は、警察にも警備上の責任があると思うのです。いまあなたは、検挙をずっとしておる、厳正、公平、中立にやっておるのだ、こう言いますけれども、私は検挙のことを言っているのじゃないのです。警察というのは、あらかじめ右翼が騒いでおったら暴行を未然に防止する義務があるにもかかわらず、一月の間に二回も襲撃をされる、そこは警察にも責任があると思います。確かにああいう状況の中での警備の困難性というのは、われわれもある程度は理解できますよ。しかし、十五、六人の右翼が騒いでおる、それにわずか三十七名くらいで対処しようというところに問題があるのじゃないでしょうか。ですから、ふっと陽動作戦やられると、片一方に目がいけば片っ方はもう手薄になる、そういう状況なんです。やはり警察というのは不偏不党、公正中立、政治的には中立でなければならない。ですから奥田知事の身辺をぴちっと警護し、そしてこういう事件が発生しないようにぴしっと警護態勢をとるという義務はあると私は思うのですね。いまも万全の措置をとられる、こういうふうにおっしゃるのですけれども、いままで万全の措置をとると言いながら、二回にわたって同じような事件が起きている。そうすると、ただ万全の措置をとると言われても抽象的で、何かまた二度あることは三度あるみたいな感じを私は受けざるを得ないのですね。そうすると、いままでと違ってどういうような警備態勢をとって、そして未然に右翼の襲撃を防ぐのか、その点をちょっとお考えをお教えいただけませんか。
  387. 山田英雄

    ○山田説明員 奥田知事の身辺警戒につきましては、福岡県警察におきましても、ただいま申し上げた二回の事件の教訓にかんがみまして大変な増強をいたしております。身辺警戒員、これを身辺に配置しております。それから、県庁、私邸、行き先地、それぞれの知事の所在される場所につきまして警察官を事前配置するなど厳重な警戒警備措置を講じておるところでございます。  具体的に申し上げますれば、たとえば県下を知事が視察される場合、六月二十四日には北九州地区に行かれたわけですが、総勢四百八十四名の警察官を身辺警戒、警護等のために動員いたしております。筑後地区に六月十日に行かれましたときには三百十八名、ただいま議会開会中でございますが、議会周辺の警戒を含めまして常時百五十七名の警察官を配置いたしております。四月二十三日の知事初登庁から右翼の動向がございますので、現在まで総数四千八百名の警察官を知事の身辺の警戒警護のために動員しておるところでございます。  今後、情勢の動きを見ながら、福岡県警察においては所要の警察力を投入して警戒警備の万全を期する考えであると承知しております。
  388. 三浦久

    ○三浦(久)委員 次に、私は林兼商会の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。これはなかなか複雑なんですけれども、私、この前も地方行政委員会で質問いたしております。  大洋漁業グループの林兼商会が、去年の四月二十二日に福岡県の筑紫野市塔原地区にある林兼商会所有の十三万坪の土地を住宅・都市整備公団に三十七億円で売却をしております。この土地の売却をめぐりまして、公団側にもまた林兼商会側にも、さまざまな疑惑が発生しております。私はこの前の地方行政委員会で、明白に刑事事件になる問題について六つ指摘をいたしております。これはしかし、まだまだあるのです。私どもこれから事件全体の解明に取りかかろうとしておりますけれども、まだまだ後から後から幾らでも出てきますので、関係委員会でずっと追及していきたいと思っております。  この前、私はピストル事件を初めとして六つの事件について、証拠を示しながら質問をいたしましたけれども、その後捜査はどうなっておりましょうか。全然音が聞こえてこない。たとえばガサが入ったとか逮捕されたとか、そういうことは全然私は聞いてないのですけれども、果たして捜査しているのか、していないのか、その辺も含めて少し御説明をいただきたいというふうに思います。
  389. 金澤昭雄

    ○金澤説明員 林兼商会の関係につきましては、現在福岡県警察で捜査中でございます。前の地方行政委員会でも具体的にいろいろお尋ねがございましたが、現在捜査中ということで、その詳細の内容につきましては、現在のところ答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
  390. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それでは、事件に対する考え方をちょっとお尋ねしておきたいと思うのですけれども、林兼商会がこの塔原の土地十三万坪を売却するに当たって、平川芳延というフィクサーですね、これは表面に出ない男なんですが、それと大関剛夫、こういうフィクサーに依頼をしているわけですよ。そして、成功報酬五億円の支払いを約束するわけであります。しかし、その売却が成功したとたんにその五億円の報酬を値切ろう、というよりも、むしろもう報酬請求権を放棄させようということで、結局暴力団を雇って、その暴力団には四千五百万円の報酬を払って、その五億円の成功報酬を放棄させようとした事件でしょう。その暴力団がピストルを持って、その大関とか平川をおどかしたという事件なんですよね。私は、その四千五百万円の暴力団と林兼商会との契約書までちゃんとあなたの方にやって、それで質問をしているわけですよね。これは大洋漁業という天下の大企業です。その一グループである林兼商会ですね。中部一次即が社長をやっているわけですよ。そして、その中部一次郎というのは安倍外務大臣の後援会の会長もやっている人ですよね。こういう大きな企業が、暴力団を四千五百万円で雇って五億円の成功報酬を放棄させようなんて、まあ私もこの事件を調べてちょっとびっくりしましたね、こんなことが行われているんだろうか。私は、こんなことは絶対正義の名において許しちゃならぬと思うのですよ。その点についてはどういうようにお考えになっていらっしゃいますか。本当に事件の解明を社会正義上やらなければならぬというふうに刑事局長はお考えになっていらっしゃるのかどうか、その点ひとつお聞きしたい。
  391. 金澤昭雄

    ○金澤説明員 この問題につきましては、もちろん事実を集めまして刑事責任を問い得るような事実があれば、これはもう当然のこととしましてその理非をはっきりさせる、こういうつもりで現在福岡県警もやっております。私もそういうふうに考えております。
  392. 三浦久

    ○三浦(久)委員 ところが、私たちの耳には余りいい情報が入ってこないのですね。たとえば県警の幹部が、共産党が取り上げた事件の後追いなんかできるかとか、そんなことを新聞記者に言ったというので、その新聞記者から私たちの方にそういう情報が入ってくるんですよね。私は、これではだめだと思うのですよ。共産党だって好きこのんで取り上げているんじゃない、だれも取り上げないから取り上げているだけの話であって、こんなことが放置されていたのじゃ正義という名前が泣くと私は思うのですよね。まさか共産党が取り上げた事件だから手かげんするとか、中部一次郎が安倍外務大臣の後援会の会長だから手かげんするとか、そういうようなことはないでしょうね。はっきりこの場で御答弁いただきたいと思うのです。
  393. 金澤昭雄

    ○金澤説明員 警察といたしましては、別にこのケースに限ったわけでございませんが、悪いものは悪い、いいものはいい、こういうことで物事を判断しております。
  394. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすれば、私もこの前具体的に事実を指摘しましたけれども、料亭満佐の問題ですよね。五十六年の四月八日に福岡市の料亭満佐、これは一流の料亭であります。ここで筑紫野市長の松田とかそれから公団の九州支社の開発部長である滝井氏、それから林兼商会の小山専務、こういう人たちが会合して、土地の売買の話をしているんですね。これは議事録まであるんです。それで、その料亭のお金三十四万円を林兼商会が支払っているわけですね。一晩で三十四万円ですよ。私は、これは賄賂になると思うのですよ。こんな問題は調べれば簡単に調べのつく問題なんですけれども、これはどうなっておりますか。
  395. 金澤昭雄

    ○金澤説明員 ただいまお尋ねの点につきましては、前回もお答えをしておりますが、事実をはっきり把握した上でその問題についての法的判断ということをやるのが私どもの立場でございますので、事実をはっきりつかんで捜査を遂げた段階で公の席では申し上げたい、こういう立場でございます。
  396. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、満佐だけの問題じゃなくて——満佐の事件というのは簡単ですよね。非常に簡単な事件です。しかし、これに関連する事件の全容をやはり把握した上でやりたい、こういうことですね。  それなら、ついでにお話し申し上げておきますけれども、この満佐の事件自身は簡単ですよ。しかし、滝井というのはそのほかにもいろいろ問題のある人物です。たとえば、これは当時の秋山支社長なんですが、秋山支社長はこの土地を買うのに反対しておったのです。それをさしおいて滝井が、こういう料亭満佐での会談に出席し、そして秋山支社長にはこのことは内緒にしておるのです。そして、秋山支社長には全く言わないで議事録までつくっています。判こを押していますね。これはもうあなたたち警察もちゃんと手に入れていると思いますけれども。そういう越権的な行動をやっているということ。  そして同時に、林兼商会からいろいろの便宜供与を受けているということです。これはちょっとまだ具体的には言わぬでくれと言っていますので、私言いませんけれども、しかし、滝井の問題はこの料亭満佐の問題だけではありませんよ。そのほかにももっといろいろ林兼商会からたくさんの便宜供与を受けているということを、ひとつ刑事局長は頭の中へ入れておっていただきたいというふうに思います。  それで私は、この前地行で質問したときに、もう一つの林兼商会の土地の問題ですが、これは宅地造成の問題ですね。粕屋郡宇美町の観音浦の宅地造成。いま、ひばりが丘団地とかいって、いい名前をつけて売買しているようですけれども、この宅地造成に絡んで、国土利用計画法との関連で政界に金が流れた。この前もちゃんと証拠をお見せしまして、六千五百万円の金が流れているじゃないかということを言い、そしてその六千五百万円の金がどういうふうに政界に渡ったのか調べてくれということを申し上げましたね。それはどういうふうになりましたでしょうか。
  397. 金澤昭雄

    ○金澤説明員 ただいまのお話も前回お伺いをしたわけでありまして、福岡県警の方で現在いろいろと事案の解明中でございます。
  398. 三浦久

    ○三浦(久)委員 ここに領収証があるのです。これは六千五百万円のうちの一部であります。平川芳延の仲間である大関剛夫、同じフィクサーです。この大関が、県庁の今井一廣という人物がおります。県庁の職員であります。これは、五十五年当時は福岡県労働部の労働福祉課の係長だというふうにわれわれは聞いております。しかし、この領収証、名刺の裏に書いているのですが、その名刺は福岡労政事務所企画主査となっているのですね。ですから、恐らく労働福祉課係長になる前のときの名刺だと思います。古い名刺を使ったのかもしれません。この人の領収証がありますが、一つは、昭和五十六年二月二十日、三百五十万円「右金額正に領収致しました」と自筆で書いています。これは名刺じゃありません。五十六年のときには名刺じゃなくて、西鉄グランドホテルの便せんに書いております。  それから、その前になりますが、昭和五十五年の十二月四日「金四百万円也」、これは名刺の裏ですが、「右金額江口氏他分として正に受領致しました 大関剛夫様」これがありますね。この「江口氏他分として」というのは、江口というのは御承知のとおり県会議員ですよ、江口氏のほかの分として四百万円という意味であります。江口氏には一丁方円をやる、そういう約束をいたしております。現実に江川比に一千万円渡ったかどうか、わかりません。それは、この今井が中でカットしちゃうかもしれませんからね。しかし、そういう意味なんです。  それから、その少し前、昭和五十五年十一月二十六日「金五百万円也 右金額正に預りました大関剛夫様」、これは名刺の裏ですよ。  そうすると、局長、今井一廣というのはたかだか県庁の係長ですよ。この人が総額千二百五十万円のお金を一年の間もらっているわけですね。これは、先ほど言いました五十五年十二月四日の「江口氏他分として」という四百万円の領収証がありますけれども、このことからしてももう完全に県議会工作なんですよね。国土利用計画法に基づく開発許可の問題、さらにまた、土地を造成した場合には再販価格の承認の問題がありますね。そういう問題をめぐっての政界工作資金なんです。ですから私は、六千五百万円についての金の流れをよく捜査してほしいというふうに申し上げました。いま捜査中だと、こう言われますから、私は参考までにいま具体的に領収証を示して御質問いたしましたけれども、これはなかなか底の深い問題ですから、ひとつ真剣に捜査をしていただくように要望いたしたいと思います。  また、自治大臣も、ひとつこの問題について真剣に取り組む、そういう御決意をお伺いさせていただきたい。それで私の質問を終わります。
  399. 山本幸雄

    山本国務大臣 この前の地方行政委員会でも御質問がありました。ただいま刑事局長は、警察もやっているということをお答えしているわけでございますから、それで御承知を願います。
  400. 古屋亨

    古屋委員長 次回は、明八日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十二分散会