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1983-03-22 第98回国会 衆議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月二十二日(火曜日)     午後零時五十七分開議  出席委員    委員長 古屋  亨君    理事 東家 嘉幸君 理事 中川 秀直君    理事 井上 一成君 理事 新村 勝雄君    理事 春田 重昭君 理事 神田  厚君       伊東 正義君    小坂徳三郎君       桜井  新君    近岡理一郎君       津島 雄二君    森下 元晴君       蓑輪 幸代君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      塩崎  潤君  出席政府委員         経済企画政務次         官       辻  英雄君         経済企画庁長官         官房長     西垣  昭君         経済企画庁長官         官房会計課長  遠山 仁人君         経済企画庁調整         局長      田中誠一郎君         経済企画庁国民         生活局長    大竹 宏繁君         経済企画庁物価         局長      赤羽 隆夫君         経済企画庁総合         計画局長    谷村 昭一君         経済企画庁調査         局長      廣江 運弘君  委員外出席者         大蔵省主計局司         計課長     加藤 剛一君         大蔵省国際金融         局国際機構課長 江沢 雄一君         大蔵省国際金融         局投資第一課長 朝比奈秀夫君         厚生省児童家庭         局母子福祉課長 佐野 利昭君         通商産業省通商         政策局経済協力         部経済協力企画         官       細田 博之君         通商産業省生活         産業局文化用品         課長      山浦 紘一君         資源エネルギー         庁石油部流通課         長       落田  実君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     黒田 直樹君         会計検査院長  鎌田 英夫君         会計検査院事務         総局第一局長  佐藤 雅信君         決算委員会調査         室長      石川 健一君     ───────────── 委員異動 二月十日  辞任         補欠選任   楢崎弥之助君     山口 敏夫君 三月十五日  辞任         補欠選任   三浦  久君     辻  第一君   山口 敏夫君     楢崎弥之助君 同日  辞任         補欠選任   辻  第一君     三浦  久君 同月二十二日  辞任         補欠選任   近藤 元次君     津島 雄二君   三浦  久君     蓑輪 幸代君 同日  辞任         補欠選任   蓑輪 幸代君     三浦  久君     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和五十五年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十五年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十五年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十五年度政府関係機関決算書  昭和五十五年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和五十五年度国有財産無償貸付状況計算書  (全所管)  昭和五十四年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十四年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十四年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十四年度政府関係機関決算書  昭和五十四年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和五十四年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和五十五年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十五年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十五年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十五年度政府関係機関決算書  昭和五十五年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和五十五年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管経済企画庁)〕      ────◇─────
  2. 古屋亨

    古屋委員長 これより会議を開きます。  昭和五十五年度一般会計歳入歳出決算昭和五十五年度特別会計歳入歳出決算昭和五十五年度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十五年度政府関係機関決算書並び昭和五十五年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和五十五年度国有財産無償貸付状況計算書の各件を一括して議題といたします。  大蔵大臣から各件について概要説明を求めます。竹下大蔵大臣
  3. 竹下登

    竹下国務大臣 昭和五十五年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書会計検査院検査報告とともに国会に提出し、また、昭和五十五年度の国の債権の現在額並びに物品増減及び現在額につきましても国会報告いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十五年度予算は、昭和五十五年四月四日に成立いたしました。  この予算は、公債発行額をできる限り圧縮して財政再建の第一歩を踏み出すとともに、国民生活の安定と経済の着実な発展に配意することとして編成されたものであります。  さらに、農業保険費災害復旧等事業費等について所要の措置を講ずるとともに租税収入増加等を見込むこととし、補正予算が編成され、昭和五十六年二月十三日その成立を見ました。  この補正によりまして、昭和五十五年度一般会計予算は、歳入歳出とも四十三兆六千八百十三億六千六百六十四万九千円となりました。  以下、昭和五十五年度決算につきましてその内容を御説明申し上げます。  まず、一般会計におきまして、歳入決算額は四十四兆四百六億六千七百二十四万円余、歳出決算額は四十三兆四千五十億二千五百五十九万円余でありまして、差し引き六千三百五十六億四千百六十五万円余の剰余を生じました。  この剰余金は、財政法第四十一条の規定によりまして、一般会計昭和五十六年度歳入繰り入れ済みであります。  なお、昭和五十五年度における財政法第六条の純剰余金は四百八十四億二千三百三十七万円余となりますが、この剰余金については、昭和五十五年度歳入歳出決算上の剰余金処理の特例に関する法律の規定により財政法第六条第一項の規定は適用されないこととなっております。  以上の決算額予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額四十三兆六千八百十三億六千六百六十四万円余に比べて三千五百九十三億五十九万円余の増加となるのでありますが、この増加額には、前年度剰余金受け入れ予算額に比べて増加した額六千四百十億三千三十一万円余が含まれておりますので、これを差し引きますと、昭和五十五年度歳入の純減少額は二千八百十七億二千九百七十一万円余となるのであります。その内訳は、租税及び印紙収入における減少額二千七百六十二億八千九百四十三万円余、専売納付金における増加額二百九十億八千四百三十一万円余、官業益金及び官業収入における減少額一億八千百九十四万円余、政府資産整理収入における増加額百五十八億五千七百七十三万円余、雑収入における増加額四百九十五億九千八百五十三万円余、公債金における減少額九百九十七億九千八百九十二万円余となっております。  一方、歳出につきましては、予算額四十三兆六千八百十三億六千六百六十四万円余に、昭和五十四年度からの繰越額六千三百四十二億千七百十九万円余を加えました歳出予算現額四十四兆三千百五十五億八千三百八十四万円余に対しまして、支出済み歳出額は四十三兆四千五十億二千五百五十九万円余でありまして、その差額九千百五億五千八百二十五万円余のうち、昭和五十六年度に繰り越しました額は五千三百九十一億五千五百五万円余となっており、不用となりました額は三千七百十四億三百二十万円余となっております。  次に、予備費でありますが、昭和五十五年度一般会計における予備費予算額は三千五百億円であります。その使用額は二千五百二十億六千五百四十四万円余でありまして、その使用につきましては、すでに国会において御承認をいただきましたので、説明を省略させていただきます。  次に、一般会計国庫債務負担行為につきまして申し上げます。  財政法第十五条第一項の規定に基づき国が債務負担することができる金額は一兆七千七百三十七億九千二百三十六万円余でありますが、実際に負担いたしました債務額は一兆七千四百五億五百三十七万円余でありますので、これに既往年度からの越繰債務額一兆七千百四十一億五千四百三万円余を加え、昭和五十五年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額一兆二千五百五億三千九百十三万円余を差し引きました額二兆二千四十一億二千二十七万円余が翌年度以降に繰り越された債務額となります。  財政法第十五条第二項の規定に基づき国が債務負担することができる金額は千億円でありますが、実際に負担いたしました債務額は百四十三億二千三百四十五万円余でありますので、これに既往年度からの繰越債務額百六十三億五千四十四万円余を加え、昭和五十五年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額百六十三億五千四十四万円余を差し引きました額百四十三億二千三百四十五万円余が翌年度以降に繰り越された債務額となります。  次に、昭和五十五年度特別会計決算でありますが、同年度における特別会計の数は三十八でありまして、これらの決算内容につきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承願いたいと存じます。  次に、昭和五十五年度における国税収納金整理資金受け入れ及び支払いでありますが、同資金への収納済み額は二十七兆七千二百四億二千三十九万円余でありまして、この資金からの一般会計等歳入への組み入れ額等は二十七兆六千八百二十億八百五十七万円余でありますので、差し引き三百八十四億千百八十二万円余が昭和五十五年度末の資金残額となります。これは、主として国税に係る還付金として支払い決定済みのもので、年度内に支払いを終わらなかったものであります。  次に、昭和五十五年度政府関係機関決算内容につきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと存じます。  次に、国の債権の現在額でありますが、昭和五十五年度末における国の債権総額は八十一兆四千九百五十五億百五万円余でありまして、前年度末現在額七十兆九千七百九億二千八十二万円余に比べて十兆五千二百四十五億八千二十三万円余の増加となります。  その内容の詳細につきましては、昭和五十五年度国の債権の現在額総報告によって御了承願いたいと存じます。  次に、物品増減及び現在額でありますが、昭和五十五年度中における純増加額は三千四百七十二億三千四百三十一万円余でありますので、これに前年度末現在額二兆千九百三十六億八千二百八十一万円余を加えますと、昭和五十五年度末における物品総額は二兆五千四百九億千七百十二万円余となります。その内訳の詳細につきましては、昭和五十五年度物品増減及び現在額総報告によって御了承願いたいと存じます。  以上が、昭和五十五年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書政府関係機関決算書等概要であります。  なお、昭和五十五年度予算執行につきましては、予算の効率的な使用経理の適正な運営に極力意を用いてまいったところでありますが、なお会計検査院から、百八十件に上る不当事項について指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。  予算執行につきましては、今後一層配慮をいたし、その適正な処理に努めてまいる所存であります。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。  次に、昭和五十五年度国有財産増減及び現在額総計算書並び昭和五十五年度国有財産無償貸付状況計算書を、会計検査院検査報告とともに第九十六回国会報告いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和五十五年度国有財産増減及び現在額総計算書概要について申し述べます。  昭和五十五年度中に増加しました国有財産は、行政財産四兆千九十一億二千三百五十一万円余、普通財産三兆三千八十四億六千百六十八万円余、総額七兆四千百七十五億八千五百十九万円余であり、また、同年度中に減少しました国有財産は、行政財産一兆五百四十六億五千七百七十三万円余、普通財産九千八百五十六億三千二百二万円余、総額二兆四百二億八千九百七十六万円余でありまして、差し引き五兆三千七百七十二億九千五百四十三万円余の純増加となっております。これを昭和五十四年度末現在額二十八兆三千五十三億四千七百十七万円余に加算いたしますと三十三兆六千八百二十六億四千二百六十一万円余となり、これが昭和五十五年度末現在における国有財産総額であります。  この総額内訳分類別に申し上げますと、行政財産二十兆二千八百二十九億九千三百八万円余、普通財産十三兆三千九百九十六億四千九百五十二万円余となっております。  なお、行政財産内訳種類別に申し上げますと、公用財産十二兆七千五百七十四億八千二百四十五万円余、公共用財産三千六百七十億四千六百八十二万円余、皇室用財産五千四百四十七億千五百十二万円余、企業用財産六兆六千百三十七億四千八百六十八万円余となっております。  また、国有財産総額内訳区分別に申し上げますと、土地十兆四千六百五十億七千百二十五万円余、立木竹四兆百二十一億五千四百二十万円余、建物四兆二千八百四十四億八百八万円余、工作物三兆四千六百億七千五百六十一万円余、機械器具八億八千六百六十万円余、船舶六千四百八十九億三百四十一万円余、航空機三千八百五十七億七千三百二十万円余、地上権等十四億八千五百三十一万円余、特許権等三十九億三千四百七十八万円余、政府出資等十兆四千百九十九億五千十三万円余となっております。  次に、国有財産増減内容について、その概要を申し上げます。  まず、昭和五十五年度中における増加額を申し上げますと、前述のとおりその総額は七兆四千百七十五億八千五百十九万円余であります。この内訳を申し上げますと、第一に、国と国以外の者との間の異動によって増加しました財産は三兆千六百六十五億七千八百六十五万円余、第二に、国の内部における異動によって増加しました財産は四兆二千五百十億六百五十四万円余であります。  次に、減少額について申し上げますと、その総額は二兆四百二億八千九百七十六万円余であります。この内訳を申し上げますと、第一に、国と国以外の者との間の異動によって減少しました財産は九千六百四億八千六百五十三万円余、第二に、国の内部における異動によって減少しました財産は一兆七百九十八億三百二十二万円余であります。  以上が昭和五十五年度国有財産増減及び現在額総計算書概要であります。  次に、昭和五十五年度国有財産無償貸付状況計算書概要について申し述べます。  昭和五十五年度中に増加しました無償貸付財産総額は二千八百十四億九千三百二十六万円余であり、また、同年度中に減少しました無償貸付財産総額は九百五億九千三百七十七万円余でありまして、差し引き千九百八億九千九百四十八万円余の純増加となっております。これを昭和五十四年度末現在額四千四十七億八千九百六十一万円余に加算いたしますと五千九百五十六億八千九百十万円余となり、これが昭和五十五年度末現在において無償貸付をしている国有財産総額であります。  以上が昭和五十五年度国有財産無償貸付状況計算書概要であります。  なお、これらの国有財産の各総計算書には、それぞれ説明書が添付してありますので、それによって細部を御了承願いたいと思います。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
  4. 古屋亨

    古屋委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後一時十四分休憩      ────◇─────     午後三時三十六分開議
  5. 古屋亨

    古屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  会計検査院当局から各件の検査報告に関する概要説明並びに同検査報告中特に重要な事項について説明を求めます。鎌田会計検査院長
  6. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院長 昭和五十五年度決算検査報告につきまして、その概要説明いたします。  会計検査院は、五十六年十月十三日、内閣から昭和五十五年度歳入歳出決算の送付を受け、その検査を終えて、昭和五十五年度決算検査報告とともに五十六年十二月十五日内閣に回付いたしました。  昭和五十五年度一般会計決算額は、歳入四十四兆四百六億六千七百二十四万余円、歳出四十三兆四千五十億二千五百五十九万余円でありまして、前年度に比べますと、歳入において四兆二千六百十四億三千九百五万余円、歳出において四兆六千百五十一億九千四百四十一万余円の増加になっており、各特別会計決算額合計額は、歳入九十六兆八千八百九十六億千六百九十六万余円、歳出八十三兆九千四百六十四億五千九百四十万余円でありまして、前年度に比べますと、歳入において十三兆千八百十四億四百八十二万余円、歳出において十一兆七千五百五億二千四百二十八万余円の増加になっております。  また、国税収納金整理資金は、収納済み額二十七兆七千二百四億二千三十九万余円、歳入組み入れ額二十六兆八千三百七十五億千九百四十九万余円であります。  政府関係機関昭和五十五年度決算額の総計は、収入二十兆九千五百八十一億八千六十六万余円、支出二十兆七千五百三十五億四千三百七十九万余円でありまして、前年度に比べますと、収入において一兆四千七百六十億四千百四十三万余円、支出において一兆四千八百二十六億八千八百二十二万余円の増加になっております。  昭和五十五年度歳入歳出等に関し、会計検査院が、国、政府関係機関、国の出資団体等検査対象機関について検査した実績を申し上げますと、書面検査は、計算書二十三万九千余冊及び証拠書類六千九百二十六万余枚について行い、また、実地検査は、検査対象機関の官署、事務所等四万二千余カ所のうち、その八・〇%に当たる三千三百余カ所について実施いたしました。そして、検査の進行に伴い関係者に対して、約千三百事項質問を発しております。  このようにして検査いたしました結果、検査報告に掲記した不当事項等について、その概要説明いたします。  まず、不当事項について申し上げます。  不当事項として検査報告に掲記いたしましたものは、合計百八十件であります。  このうち、収入に関するものは、十一件、二十六億二千四百八万余円でありまして、その内訳は、租税徴収額過不足があったものが一件、十七億八千百万余円、保険料徴収額過不足があったものが三件、七億三百九十七万余円、職員不正行為による損害を生じたものが六件、一億四百四十七万余円、その他、刑務作業製品展示会における販売代金の一部を別途に経理していたものが一件、三千四百六十三万余円。  また、支出に関するものは、百四十二件、四十億六千四百二十三万余円でありまして、その内訳は、工事に関するものとして、計画設計が適切でなかったため不経済になったもの、予定価格積算が適切でなかったため契約額割り高になったもの、監督、検査が適切でなかったため設計と相違して施工したものが八件、六億九千三百九十九万余円、物件に関するものとして、物品購入計画が適切でなかったため不経済になったものが一件、千八百万円、役務に関するものとして、予定価格積算が適切でなかったため不経済になったもの、契約処置が適切でなかったため不経済になったものが三件、一億三千百二十万余円、保険に関するものとして、保険給付金支給が適正でなかったものが二件、一億九千四百十六万余円、補助金に関するものとして、補助事業実施及び経理が適切でなかったものが百十四件、二十五億八千六十四万余円、貸付金に関するものとして、貸付対象事業の全部または一部が実施されていなかったもの、貸付対象事業費より低額で事業実施されていたものなどが十一件、二億八千四百三十六万余円、職員不正行為による損害を生じたものが一件、三百八十七万余円、その他、遂道工事異常出水事故に伴う建設機械等損害額負担が過大であったもの、部品代を水増しして支払うなど真実な取引に基づかない処理を行っていたもの二件、一億五千八百万余円であります。  以上の収入支出に関するもののほか、郵便貯金の払戻金、簡易生命保険保険料等について職員不正行為による損害を生じたものが二十七件、二億五千百十八万余円ありまして、これらの合計は、百八十件、六十九億三千九百五十万余円となっております。これを前年度の百五十七件、二百三十億千四百四十三万余円と比べますと、件数において二十三件の増加金額において百六十億七千四百九十二万余円の減少となっております。  次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について説明いたします。  五十六年中におきまして、会計検査院法第三十四条の規定により是正改善処置を要求いたしましたものは六件、また、同法第三十六条の規定により改善処置を要求いたしましたものは一件であります。  このうち、会計検査院法第三十四条の規定により、是正改善処置を要求いたしましたものは、農林水産省の、自然休養整備事業等に関するもの、飼料用小麦売り渡し予定価格積算に関するもの、林道事業実施に関するもの、日本電信電話公社の、市内交換機設備設置及び利活用に関するもの、ステップバイステップ交換機の撤去スイッチ類売り払い予定価格積算に関するもの、住宅金融公庫の、貸付資金の調達に関するものであり、また、会計検査院法第三十六条の規定により改善処置を要求いたしましたものは、厚生省の、保育所措置費補助金に関するものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について説明いたします。  これは、検査の過程で会計検査院法第三十四条または第三十六条の規定により意見を表示しまたは処置を要求すべく質問を発遣するなど検討しておりましたところ、当局において、本院の指摘を契機として直ちに改善処置をとったものでありまして、検査報告に掲記しましたものは十六件であります。その内訳は、文部省の、下水道使用料等支払いに関するもの、農林水産省の、農業用構造物基礎工費等積算に関するもの、土地区画整理事業施行地区内で造成盛り土された水田等に係る水田利用再編奨励補助金の交付に関するもの、外国産小麦政府サイロから売り渡しまたは移送する際の搬出経費徴収に関するもの、通商産業省の、電気需給契約契約種別に関するもの、運輸省の、自動車検査登録出力用紙の仕様に関するもの、専用回線利活用に関するもの、郵政省の、外務職員の募集に係る定額郵便貯金契約に対する貯蓄奨励手当支給に関するもの、建設省の、防雪さく設置工事費積算に関するもの、日本国有鉄道の、駅舎等鉄骨現場建て方工事における高力ボルト締めつけ費積算に関するもの、車両基地等の構内における電気関係工事費積算に関するもの、特急寝台列車寝台用リネンの取り扱いに関するもの、日本電信電話公社の、ステップバイステップ交換機撤去工事における不用品搬出費積算に関するもの、日本住宅公団の、住宅建設工事前払い金支払いに関するもの、宅地等造成工事における地盤改良工費積算に関するもの、日本道路公団の、プレストレスト・コンクリート箱けたの架設におけるPC鋼棒緊張工費積算に関するものであります。  最後に、特に掲記を要すると認めた事項について説明いたします。  この事項は、事業効果等の見地から問題を提起して事態の進展を図るために掲記しているものでありまして、昭和五十五年度決算検査報告には、次の五件を掲げてございます。  すなわち、農林水産省の、国営干拓事業実施に関するもの、水田利用再編対策事業における管理転作奨励補助金の交付に関するもの、日本国有鉄道の、貨物営業に関するもの、日本住宅公団の、用地の利用及び住宅の供用の状況に関するもの、雇用促進事業団の、移転就職者用宿舎に関するものであります。  以上をもって概要説明を終わります。  会計検査院といたしましては、機会あるごとに関係各省庁などに対して、適正な会計経理執行について努力を求めてまいりましたが、なお、ただいま申し述べましたような事例がありますので、関係各省庁などにおいてもさらに特段の努力を払うよう、望んでいる次第であります。  昭和五十五年度国有財産検査報告につきまして、その概要説明いたします。  会計検査院は、五十六年十月二十三日、内閣から昭和五十五年度国有財産増減及び現在額総計三書及び昭和五十五年度国有財産無償貸付状況計算書の送付を受け、その検査を終えて、昭和五十五年度国有財産検査報告とともに五十六年十二月十五日内閣に回付いたしました。  五十四年度末の国有財産現在額は、二十八兆三千五十三億四千七百十七万余円でありましたが、五十五年度中の増が七兆四千百七十五億八千五百十九万余円、同年度中の減が二兆四百二億八千九百七十六万余円ありましたので、差し引き五十五年度末の現在額は三十三兆六千八百二十六億四千二百六十一万余円になり、前年度に比べますと五兆三千七百七十二億九千五百四十三万余円の増加になっております。  また、国有財産無償貸付状況につきましては、五十四年度末には、四千四十七億八千九百六十一万余円でありましたが、五十五年度中の増が二千八百十四億九千三百二十六万余円、同年度中の減が九百五億九千三百七十七万余円ありましたので、差し引き千九百八億九千九百四十八万余円の増加を見まして、五十五年度末の無償貸付財産総額は五千九百五十六億八千九百十万余円になっております。  検査の結果、昭和五十五年度国有財産増減及び現在額総計算書及び昭和五十五年度国有財産無償貸付状況計算書に掲載されている国有財産の管理及び処分に関しまして、昭和五十五年度決算検査報告不当事項等として掲記したものはありません。  以上をもって概要説明を終わります。  引き続きまして、昭和五十五年度決算検査報告に掲記いたしました主な指摘事例について説明いたします。  まず、不当事項のうち、収入に関する指摘は、十一件、二十六億二千四百万円で、前年度に比べて件数で六件、金額で八億四千四百万円それぞれ増加しております。指摘金額増加いたしましたのは、大蔵省の租税徴収に関する指摘が一事項二億円近いものが二事項あったことなどもありまして、前年度に比べ五億三千万円増加したことなどによるものであります。また、法務省の四十一刑務官署で、刑務作業製品展示即売会の販売代金の一部三千四百万円を歳入に組み入れないで別途に経理していた事態につきまして、経理紊乱として指摘しております。  次いで、支出に関する指摘は、百四十二件、四十億六千四百万円となっており、これは前年度に比べて件数で八件の増、金額で百七十億一千万円の減となっておりますが、指摘金額が大幅に減少いたしましたのは、前年度日本電信電話公社において超過勤務手当の経理に関し、百八十四億四千五百万円の多額の不当指摘があったことによるものであります。  ここで、主な指摘事例について説明いたします。  まず、工事に関する指摘が八件、六億九千三百万円に上りましたが、中でも近年著しく減少しておりました直轄工事における施工不良の事態が四件、三億二千三百万円と多額に上ったのが目立っております。  その主な事例について申し上げますと、日本国有鉄道が施行いたしました在来線のトンネル工事において、トンネルのコンクリートの厚さが設計に比べて四分の一程度不足していたり、中には二分の一以下になっていたりして、トンネルの強度が設計に比べて著しく不足していると認められたものが二件、二億二千五百万円見受けられました。これらは、いずれも業者の施工不良に基づくものでありますが、その瑕疵を監督、検査に当たる職員が見過ごしたことにより生じたものであります。  また、工事費の積算に関しても大型の指摘がありましたが、一例を申し上げますと、首都高速道路公団が施行いたしております高架橋新設工事でPC鋼より線を緊張する工事積算におきまして、より線は全部で二百六十二本、一本当たりの工費は七万円弱でありますから、全体でも一千八百万円程度見込めば足りるのに、二百六十二本の総延長三千八百二十メートルという数値を、施工本数と誤認し、これに単価を乗じましたため、緊張工費が二億六千万円となり、契約総額では二億八千四百万円も割り高になったというものであります。  不当事項について、最後に日本鉄道建設公団の事例を申し上げます。  日本鉄道建設公団が上越新幹線工事の一環として施行しておりました中山遂道工事におきまして、工事中の五十四年三月に異常出水事故が発生し、請負人の建設機械等が埋没したわけでありますが、その損害額の算定に当たりまして、請負人が公団に提出した埋没機械等の取得価格等を立証する書類が原資料ではなくその写しで、しかも作為されたものが半数以上もあったのに、公団では原資料と対査することなく損害額を算定したため、一億五千八百万円が過大に支払われていたものであります。  次に、会計検査院法第三十四条または第三十六条の規定により意見を表示しまたは処置を要求した事項七件のうち、その主な事例について申し上げます。  まず、農林水産省の国庫補助事業について、補助の効果が上がっていないという事例を二件指摘いたしました。  一つは、農山漁村の自然環境を活用し、観光農業を推進する目的で、国庫補助により実施している自然休養整備事業等におきまして、事業の成否についての十分な見通しのないまま事業実施したため、中途で観光施設に関する事業計画を大幅に縮小し、自然休養村としての実体がなくなっていたり、観光施設等は計画どおり設置したものの観光客が来なかったり、施設運営についての知識経験が乏しいため経営困難となり、施設等を無断で処分していたり、ほとんど利用されていなかったりしているものが多数見受けられました。  もう一件は、いわゆる行きどまり林道に関するものでありまして、林業の生産性の向上等を図る目的で国庫補助により実施している林道のうち、終点が地方道等に接続していないため林道以外の機能を有していない行きどまり林道百九十三路線について調査いたしましたところ、開設後五年ないし十年経過しておりますのに、利用実績が計画の五〇%以下の路線が過半数を占め、中には三〇%以下、一〇%以下といったように、林道開設の効果がほとんど発揮されていないと認められる不適切な事態も相当数ありました。  このような事態が発生している原因について検討してみましたところ、両事例とも主として計画段階に問題があるわけでありまして、事業主体では国庫補助事業としての採択を願う余り、事前に的確な調査検討を行わないまま地域の実情から遊離した計画を策定して補助事業として申請し、また、これを審査し指導する都道府県や農林水産省の側においてもその機能が十分発揮されていないことによると認められましたので、今後の事業実施に当たっては、適切な事業計画の策定等を確保するため抜本的な対策を講ずるなどして、補助の効果を上げるよう求めたものであります。  次に、日本電信電話公社において、電話交換機設備の設置及び利活用が適切でなかったという事例について申し上げます。  公社では、電信電話施設の整備拡張を図るため多額の設備投資を行ってまいりましたが、本院で、二千二百二十七局に設置されている交換機設備について検査いたしましたところ、百五十四局に設置された端子のうち、設置費にして百二億円に上る四十万端子は、少なくとも十年以上は使用されない過剰設備として遊休することが判明いたしました。しかも、加入者の回線が設備に分散して収容されているため、あいている端子を、端子が不足している他の局に転用しようとしてもそれができない状況にありました。これは、電話の普及率が高まり、加入電話の積滞が解消した五十二年度以降も、設置計画の見直しを行わず、従前の旺盛な需要予測に基づいて設備を設置したこと及び長期間空き設備が生ずることが判明した際にこれを撤去転用して利活用を図るべきところ、その配慮を欠いていたことなどによると認められましたので、早急に交換機設備の設置の適正化及び過大設備の利活用を図るための体制を整備し、建設投資の効率化を図るよう求めたものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項十六件のうち、その主な事例について申し上げます。  まず、農林水産省水田利用再編奨励補助金の交付に関するものでありますが、この補助金の要綱、要領の規定が適切でなかったため、建設省の補助事業である土地区画整理事業によって盛り土工事が施工され宅地化された旧水田等造成についても、かつて水田であったということだけで奨励補助金を交付しているものが三百七十九万平米分、一億九千五百万円ありましたので、適切でないと認め指摘いたしましたところ、農林水産省では、五十六年度以降このような水田等に対しては奨励補助金を交付しないよう改めたものであります。  次に、郵政省の定額郵便貯金契約に係る貯蓄奨励手当支給に関する指摘について申し上げます。  郵政省の定額郵便貯金は、預金者ごとの貯金総額が三百万円までに制限されており、この制限額の範囲内で郵便局の外務職員が募集した貯金契約に対しては、その金額に応じて貯蓄奨励手当支給されることになっております。ところが、本院で十七郵便局において外務職員が募集した定額郵便貯金のうちから九千件を抽出して、同一郵便局内での制限額超過の有無及びこれに対する手当支給の状況を調査いたしましたところ、制限額を超えていたり、架空の名義による預入など不適正な契約が五百四十件、七億九百万円あり、これに対して貯蓄奨励手当支給されておりました。  このような事態が生じた原因について見ますと、制限額超過の有無等をチェックする態勢が不十分であったことなどによると認められましたので、その旨を指摘いたしましたところ、郵政省では、外務職員が募集したものについても郵便局の責任者が精細に監査し、貯蓄奨励手当支給の適正化を図ることとしたものであります。なお、その後、郵政省においては自局監査を厳重に実施しており、本院はその結果についての報告を受けております。  以上説明いたしました事項のほか、事業効果または事業運営の効率化等の見地から問題を提起するため、特に掲記を要すると認めた事項として五件を掲記いたしておりますが、その主な事例について概略を申し上げます。  一つは、水田利用再編奨励補助金の一種類であります管理転作奨励補助金に関するものであります。この補助金は、労働力等の制約からみずから転作することができない農業者が、自己の水田を農協等に預託し、農協等はこれを第三者に転作させて、食糧自給力の向上と中核農家の規模拡大を図ることを主目的とした制度で、水田を預託した農業者に奨励補助金を交付するものでありますが、本院で五十三年度から五十五年度までに交付された同補助金のうち三万四千三百四十六ヘクタール分、百三十六億五千二百万円について調査いたしましたところ、九九・四%に当たる三万四千二百十六ヘクタール分、百三十五億八千七百万円については、第三者による転作に結びついておらず、単に農協等が保全管理しているにすぎない状況にあり、米の生産調整目的は達せられてはいるものの、この補助金のもう一つの目的である食糧自給力の向上や中核農家の規模拡大にはほとんど寄与していないと認められました。  次は、日本住宅公団の用地の利用及び住宅の供用に関するものであります。日本住宅公団が購入した土地が長期間利用されていなかったり、建設した住宅に多数の空き家があったりして、投下資金が効果を発揮していない事態につきましては、それぞれ五十年度、五十一年度検査報告にも特記事項として掲記いたしたところでありますが、その後も依然として事態の好転を見ていないと認められましたので、再度特記事項として掲記いたしました。  その内容をかいつまんで申し上げますと、五十五年度末で取得後五年以上未利用のまま保有している土地は二十一地区千三百二十八万平米、その取得価額は千三百九十五億円に上っており、また、新築住宅で、募集しても入居者がいないものや、応募者がいないだろうということで募集すらしていないものなど、空き家が全体で三万四千八百四十九戸、その建設費は四千二百二十八億円に上っておりまして、これらに係る管理経費として五十五年度に十一億円を要しているほか、募集しても入居者がいない空き家による減収額は五十九億円、未募集の空き家の建設費に係る五十五年度末までの金利は百九十八億円に達している状況でありました。  次に、雇用促進事業団の移転就職者用宿舎について申し上げます。雇用促進事業団が三十六年度から五十五年度までに建設した十一万四千二百九戸の移転就職者用宿舎の入居状況について調査いたしましたところ、移転就職者数が、多いときに比べて三分の一に減少したこともあって、五十五年度末における移転就職者の入居率は三二%と低く、さらにこれを五十年度以降運営を開始した二万六千三百九十一戸について見ますと、わずか四・八%にすぎない状況であり、しかも、長くても二年間と定められている入居期間を超えて入居させているものが六七%を占めているだけでなく、十年以上の長期入居者あるいは入居資格のない入居者も多数見受けられ、宿舎設置の本来的役割りが果たされていないと認められました。  最後に、日本国有鉄道における貨物営業に関する指摘についてごく簡単に申し上げます。国鉄の貨物営業に伴う赤字は五十五年度で六千四百七十五億円に上り、国鉄全体の赤字の六四%を占めているという事実につきましては、すでに御案内のとおりでありますが、この数字のもととなった貨物営業収入と、これに要した原価の内容につきましては、それまで余り詳細な分析が行われておりませんでした。  そこで、私どもは収入と原価の内容を詳細に分析するとともに、収入が伸び悩んでいる原因や原価を低減できない原因についても具体的事例に即して検討いたしてみたわけであります。その結果については検査報告に詳細に記述いたしておりますが、結論的に申し上げれば、他の輸送機関との競争下においてこれ以上の収入増を図ることはきわめて困難であり、貨物営業の収支を均衡させるためには経営規模を貨物輸送量に見合ったものにすることなどにより、原価の低減を図ることが緊要であるということであります。  以上申し上げました事例は、多額の国家資金を投じて実施された事業の効果が発現していなかったり、公企業の経営が非効率で巨額の損失を生じている事態を、検査結果に基づく計数をもってきわめて具体的に指摘しているものでありまして、事業を取り巻く諸般の情勢などから見て事態の打開は容易でないわけでありますが、この打開策について各方面においても十分御検討をいただきたいということで問題提起をいたした次第であります。  以上、概括的ではありますが、昭和五十五年度決算検査報告の主な事例について説明いたしました。
  7. 古屋亨

    古屋委員長 これにて昭和五十五年度決算外二件の概要説明聴取を終わります。     ─────────────
  8. 古屋亨

    古屋委員長 この際、資料要求の件についてお諮りいたします。  例年、大蔵省当局に対して提出を求めております決算検査報告に掲記された会計検査院指摘事項に対する関係責任者の処分状況調べについて、昭和五十五年度決算につきましてもその提出を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 古屋亨

    古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     ─────────────
  10. 古屋亨

    古屋委員長 次に、昭和五十四年度決算外二件及び昭和五十五年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管経済企画庁について審査を行います。  まず、経済企画庁長官から概要説明を求めます。塩崎経済企画庁長官
  11. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 昭和五十四年度における経済企画庁歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  経済企画庁歳出予算現額は九十七億一千四百五十八万円余でありまして、支出済み歳出額は九十四億九千三十七万円余であります。  この支出済み歳出額歳出予算現額に比べますと二億二千四百二十一万円余の差額を生じますが、これは不用となった額であります。  歳出予算現額につきましては、当初予算額が百二十二億一千四百五十一万円余でありましたが、関係各省所管へ移しかえた額二十四億四千百八十六万円余と予算補正修正減少額六千三百五十七万円余を差し引き、関係各省所管から移しかえられた額五百五十二万円を加えまして、九十七億一千四百五十八万円余が歳出予算現額となっております。  支出済み歳出額の主な内訳は、経済企画庁の一般経費八十三億四千七百十九万円余、国民生活安定対策等経済政策推進費五億三千八百六十五万円余、経済研究所の経費六億二十五万円余等であります。  次に、不用額は二億二千四百二十一万円余でありまして、その主なものは経済企画庁の一般経費でありますが、これは退職者が少なかったので、退職手当を要することが少なかったこと等によるものであります。  続きまして、昭和五十五年度における経済企画庁歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  経済企画庁歳出予算現額は九十三億二千二百十五万円余でありまして、支出済み歳出額は八十九億七百六十四万円余であります。  この支出済み歳出額歳出予算現額に比べますと四億一千四百五十一万円余の差額を生じますが、これは不用となった額であります。  歳出予算現額につきましては、当初予算額が百十八億三千四百五十万円余でありましたが、関係各省所管へ移しかえた額二十四億二千四百四十一万円余と予算補正修正減少額九千五百十万円余を差し引き、関係各省所管から移しかえられた額七百十六万円余を加えまして、九十三億二千二百十五万円余が歳出予算現額となっております。  支出済み歳出額の主な内訳は、経済企画庁の一般経費七十六億六千七百五十七万円余、国民生活安定対策等経済政策推進費五億六千九百六十四万円余、経済研究所の経費六億六千三百九十九万円余等であります。  次に、不用額は四億一千四百五十一万円余でありまして、その主なものは経済企画庁の一般経費でありますが、これは退職者が少なかったので、退職手当を要することが少なかったこと等によるものであります。  以上、昭和五十四年度及び昭和五十五年度経済企画庁歳出決算概要を御説明いたしました。  何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  12. 古屋亨

    古屋委員長 次に、会計検査院当局から検査概要説明を求めます。佐藤会計検査院第一局長
  13. 佐藤雅信

    ○佐藤会計検査院説明員 昭和五十四年度及び昭和五十五年度経済企画庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  14. 古屋亨

    古屋委員長 これにて説明聴取を終わります。    ─────────────
  15. 古屋亨

    古屋委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。
  16. 井上一成

    ○井上(一)委員 私は、最初に、今回、原油の基準価格一バレル当たり五ドル引き下げの二十九ドルに決定された、このことについては世界経済に与える影響は大であると思います。  まず経企庁長官に、今回の原油引き下げは世界経済にどのような影響を与えると認識をされていますか。
  17. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 私は、ここ十年間、第一次石油ショック、第二次石油ショックの影響を受けまして、世界経済は、何と申しますか、失業者の増大、インフレ的な物価騰貴、この二つの大きな悩みに直面してまいりましたが、今回の一バレル当たり五ドルの引き下げは、世界経済に、若干の金融的な困難はあるにいたしましても好影響をもたらすものと考えております。たとえば、その見積もりは、OECDによりますと、GNPに対しまして一年目には〇・四五%、二年目には〇・六%程度、そして先進工業国には、石油代金の節約によりますところの貿易収支の改善額が三百十億ドルとか、このような結果が見られるのではないかというふうに推測されているところであります。  なおいろいろの影響がございましょうが、それにつきましては、もしも御必要がございましたら政府委員から答弁させていただきたいと思います。
  18. 井上一成

    ○井上(一)委員 国際金融上の問題も大きくかかわっていくわけですけれども、そのかじのとり方いかんによっては非常に先行きに憂えを持つことも起こり得ると私は思うのです。それで、今回のいわば世界経済ひいてはわが国経済に対する大きなボーナス、これをいかに効率よく効果を出していくかということは、一に政策決定によると思うのです。  そこで、それじゃ具体的に今回の値下げがわが国の経済にどのような影響を与えるか、このことについて聞いておきたいと思います。
  19. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 この点につきましても、私は良好な結果がもたらされるのではないか、こういうふうに考えるところでございます。特に、非産油国でございますし、先進工業国の一つとして原油のほとんどが輸入でございます日本にとっては朗報である、このように考えているところでございますが、先ほど申し上げました数字的な点で御説明申し上げますと、たとえばGNPへの影響は一年目では〇・三五%増加、二年目では〇・九%増加、このような影響が生ずると見ているところでございます。  御案内のように、私どもは十年間、石油ショックによりまして、石油は三割ほど節約したところでございますが、大きな犠牲を受けました。物価が二・三倍に上がり、そして失業率が一・四%から二・四%に上がってきた。さらにまた、御案内のように、歳入は三倍にしかならなかったのですけれども、不況対策、経済の活性化を行わなければならないということで、歳出は四倍に増加せざるを得なかった。そのために国債の発行残高が十年間で大体十五倍ぐらいに上がって財政上の困難を来しているところでございますが、今度の輸入代金の節約で、たとえば六十五億ドル、円評価をいたしますれば一兆六千億円近くの金額が所得の移転として日本に産油国から移される。これを、いま申しました十年間の苦しみを逆に行くような方向で、日本経済に好影響をもたらす方向で、政策の上で、あるいはまた国民経済の市場原理の中で実現しなければならない、こんなふうに考えているところでございます。
  20. 井上一成

    ○井上(一)委員 さっきも申し上げたように、この原油の値下がりを景気浮揚、いわゆる景気拡大への足がかりにしていくべきだと私も思うわけです。  ところが、現実的には原油値下げの影響を受けて産油国側の外貨減が当然起こり得るわけです。すでにイラク政府はわが国の商社、プラントメーカー、建設会社に対して工事費の支払い猶予を求めてきたというような報道もされておりますし、さらにはサウジの二千億円の淡水化プラントが契約寸前にキャンセルされるという、そういう動きが出てきた。中東市場への依存率が高い鉄鋼製品相場などは泥沼化の様相を呈してきている、こういう現実もまた見過ごすわけにはいかない、こういうふうに思うのです。この点についてはどう受けとめていらっしゃるのか、お聞きをしておきましょう。
  21. 廣江運弘

    廣江政府委員 産油国は、御質問のとおり基準原油価格の引き下げによりまして輸出代金が減るわけでございます。それを、いま御質問にありましたように産油国側の輸入にいろいろ響かせるのではないかという御趣旨だろうと思いますが、産油国向けの輸出額にどのくらい響いてくるかというのはなかなかむずかしい計算もあろうかと思います。単純にOPEC、それからメキシコ等のOPECでない国も含めまして産油国の輸出額を一九八二年の実績見込みから試算をいたしますと、輸出額が二千三百七十億ドルのうち石油の輸出額が二千二百四十億ドルと大体推計されますので、これより試算して三百四十億ドル程度減るのではないか、こういうふうに考えております。
  22. 井上一成

    ○井上(一)委員 さっき企画庁長官に私は、積極的な景気拡大への足がかりを持つ反面、今後の原油の価格変動も考慮していかなければなりませんけれども、非常に逆オイルショックという懸念も予測されるわけです。だからこそ、そのようなことが起こり得ないような慎重な政策決定が必要である、こういうことを指摘しているわけなんです。  わが国経済にとっては、いまサウジとかイラクの問題、中東に起こっている問題を指摘したわけですが、とりわけこれは財政金融政策の問題に大いにかかわるわけですけれども、経済の先行きに大きなプラスになるという見方が強い反面、財政金融政策のかじのとり方次第では、先進国経済はむしろ悪化し、成長率は低下していくのではないだろうか、こういうことも案じられているわけです。そういう点についての政府としての受けとめ方なり、今後の対応をどのように考えていらっしゃるのか、その点を実は聞かせてほしいと思います。
  23. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 私は、全般的には、先ほども申し上げましたように先進国を含めての世界経済には良好な結果をもたらすと思うのでございますが、経過的、過渡的に、いま申されましたような一部の混乱が見られる面も考えて、私どももその対策を十分考えていかなければならないことは言うまでもございません。  まず第一は、産油国の中で債務累積で大変いま困っているような国があることは御案内のとおりでございます。メキシコあるいはベネズエラ、ナイジェリア等でございますが、これらについてどのように対処していくか。これは先進国が協調して、先般メキシコに対しましていろいろの方策を講じましたけれども、あのような世銀あるいはIMFが中心となっての対策が今後生ずることは十分考えていかなければならないかと思うのでございます。  さらに、先ほど廣江局長からも御説明申し上げましたように、非産油国に対しまして御案内のようにオイルダラーが貸されておる、このオイルダラーが開発計画の停とんによって引き揚げられる、これに対しての融資の問題が大変な困難に直面するのではないか、こんなことも言われているところでございます。  わが国の民間金融機関がこのような発展途上国に対しまして貸しておりますところの貸付金について、御案内のように有税ではございますけれども引当金を設ける、こんなようなことで将来に備えていくべきではなかろうかというようなことを考えておるようでございますが、こんな点を含めて、私どもは、一時的な混乱も当然予想されるところでございますので、いろいろの対策は講じなければならない必要性が出てくるかと思います。  しかし、全体としての効果は、ともかくも一兆六千億円近い所得が産油国から移されるわけでございますから、それによって十分対処できるものと、私はこういうふうに考えているところでございます。
  24. 井上一成

    ○井上(一)委員 メキシコを引き合いに出された産油国への救済融資の積極化、このことは大変大事なことであります。私は、さらに国際金融機関の増資などへの応分な負担をわが国がしていくということも大事だと思います。  それはまた後に質問をいたしますが、伝えられるところでは、ナイジェリアが日本の株式とか債券市場から資金を引き揚げ出しているとの情報があるわけなんですね。こういうことが事実なのかどうか。あるいはさらに、今後ユーロ市場などから運用資金をOPECが引き揚げていく可能性があるわけです。そういうことは世界経済に対する影響はどう出るのであろうか、そういう受けとめ方は、大臣どのようにお考えでしょうか。
  25. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 特定の国の名を挙げまして、これが資金を引き揚げたというふうなことになりますと与える影響が大きいものでございますので、このような名を挙げての、引き揚げがどの程度あったかというようなことは遠慮すべきではないかというふうに思っておるところでございますが、そのような事実も見られた。しかし、その金額はそんなに心配するような額でもないかと思うのでございますけれども、そんな事実があったように聞いておりますし、まだその懸念もあることは事実でございます。こんな点は十分着目していかなければならないと思っておるところでございます。
  26. 井上一成

    ○井上(一)委員 世界経済に対してどのような影響を与えるか、そういう認識はやはり正しくとらえていくということが、これは大臣、大事だと思います。  では、翻ってわが国に対して今回の原油値下げが、さっき数字を挙げて少しお答えになられましたが、もちろん、これだけの値下げで済むとは断定でき得ない不安定要因がまだあります。ペルーとの取引では、一バレルが二十五ドルですか六ドルですか、基準価格よりも低く契約がなされた。原油の単価引き下げは、見通しとしてはまだまだ下がるという見通しを持っておるわけです。そういう折に、そういう先行きも見通しながら、わが国経済を活性化さす、景気を浮揚さす、そのために国民に、この大きな一兆六千億円の先ほど私が言ったボーナス、日本経済に対するボーナスをどう配分をしていくかということが大事だと思うのです。  実は過日、参議院の予算委員会で山中通産大臣は、報じられるところによると、原油値下げの効果を一部の大企業の利益とするのではない、具体的には電気料金の引き下げもあり得るというような示唆をなされたわけですね。そういうことから私は、大企業の利益とするものではないというように受けとめているわけなんです。厳しい財政事情の中で、人事院勧告が凍結をされた、あるいは国民の強い願いである減税が見送られた、そういう国民大衆の厳しいふところ状況を考えるならば、素直に国民にこの大きなボーナスを還元さして、国民の実質所得を引き上げることによって日本経済を浮揚させていく、内需を拡大させていく、そういう政策をいろいろとっていくこともまた一つではないだろうか。ただ単に、当面、時期を先送りしていく、まだ一定の安定度が確かめられないから少し間を持っていく、こういうことでは政治としては非常に貧弱だと私は思うのです。  設備投資等も一部ささやかれていますが、設備投資をするだけの需要を引き起こしてこなければいけない、経済というものは。そういうことを考えると、まさに経企庁塩崎長官は、そういうことを先を見て、先の読みをきっちりと読んで現実的に政策を決めていくべきである。そういう意味でひとつ大臣、なかなか歯切れよくこれはどうすると答えにくいかもわかりません。しかし、姿勢だけはきっちりしておいてほしい。そういう点についてここで聞いておきたいと思うのです。
  27. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 井上委員指摘のように、私もまた、六十五億ドルのボーナスが産油国から日本にもたらされた、こういうふうに考えております。したがってまた、その六十五億ドルは過去十年間も苦しみました日本の国民に還元されるように使われるべきであって、山中大臣がおっしゃられましたように、大企業だけが受益する、こんなことがあっては許されない、私はこういうふうに考えているところでございます。  しかし、いま申しましたけれども、この石油の値下がりということは、単に、これから日本経済の中で値段を下げて石油の消費が進むということを望むものではないと思うのです。やはりまだまだ中東の情勢を考えますれば、いつまた石油について混乱があるかもしれない。こんなことを考えてみますと、単に五ドルの引き下げが、あるいは一割五分の引き下げが一割五分の消費増という形ではね返らないことが望ましいと思いますし、依然としてエネルギー政策は省エネ、代替エネルギーの方向で考えざるを得ない、考えるべきである、単に市場原理だけに任せておくのではいけない、こんなふうに私は考えるものでございます。しかし、市場原理に任されるような石油製品も相当ございますから、それは値段は下がっていくものがあると私は思います。  電力料金あるいはガス料金等につきまして、これをどのように持っていくか、これはこれからだと思います。どのように、電力会社が下がりました油を購入していき、これを他のエネルギー源でございますところの水力あるいは原子力発電と調和して使っていくか。こんなことも考えながら、しかも一方、電力会社が省エネ投資あるいは代替エネルギー開発投資をどのようにやっていくか。その需要がどのように動いていくか。これは御指摘のように、いま電力需要が落ちておりますから、これをどのように考えていくのか。これはもう一つのこれからの景気対策にも関連するところでございますが、こんな点をあわせて、電力会社の経理に及ぼす影響、それからこれからのエネルギーの消費の仕方、こんな点を見ながら決定することが必要であろう。私はそのような時期が近いうちに来る、こういうふうに考えているところでございます。つまり電力料金、ガス料金のような公共料金、政府が関与いたしますところに対する態度、それからまた自由な市場に任されておりますところのガソリン等の石油製品の値段、これらとの違いもございましょうが、いずれにいたしましても、一兆六千億円近いボーナスを国民経済の中に、あるいは料金、値段の低下、あるいは設備投資、そのような形を通じて還元されていくべきである、こういうふうに考えておるところでございます。
  28. 井上一成

    ○井上(一)委員 もとより、原油が値下げになっても代替エネルギーの開発や備蓄の手を緩めてはいけないと思います。あるいはまた省エネを続けていくこと、そのこともまた大事だと思うのです。  ただ、当面電力多消費の構造不況産業の電力料金をどうする、それだけにとどめるのではいけない。もちろんそのことも大きく配慮していかなければいけない問題であろう。しかし、少なくとも、先ほどから指摘をしたように、将来原油価格がさらに安値になっていく、いま以上に基準価格が引き下げられていくということも私は起こり得ると予想しています。そういう場合には、ただ単に、電力会社に巨額の利益が生じる、それを一時的な所得として課税をしていく、そのことで財源を確保するのだということだけでは、経済という歯車は順調には回っていかない、はずみがつかない。そういうことで、私は、さらに今後原油が安値になっていく、そういう将来の見通しの中で電気料金の下方修正をしていくのがいま考えられるべきことではないだろうか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  29. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 御指摘のように、一般には、まだまだ原油の価格は低下の傾向が来るかもしれない、こんなことが言われるところでございます。そのような意味で、私どもはやはり安定的な料金体系をつくって、経済に混乱を起こさない方がいい、こういう考え方を持つものでございます。  いずれにいたしましても、まだまだ安値の石油が使われていない電力会社でございます。この石油の価格がどのように電力会社の経理に影響していくか。そしてそれを、いまおっしゃったように、投資をしても国民が納得し得るような投資でなければ、単に利益がふえただけ。それもまた国民経済に、あるいは電力の消費者に還元されないような投資では、やはり料金の引き下げという声が当然起こってくるかと私は思います。納得できるような投資があるかどうか、そしてどの程度の利益であるかどうか、こんな点を十分見きわめて、私どもは、国民経済に本当にいい影響、そして長らく価格が引き上げられてしんぼうしてまいりました国民が歓迎する方向での料金政策を考えていくべきだ、こんなふうに考えているところでございます。
  30. 井上一成

    ○井上(一)委員 もう一点。時期的な問題としては少し外れているかもわかりませんけれども、灯油の小売価格が二月分で四カ月連続値下がりをして、昨年の十月からは七十五円安になった、こういうふうに通産省の調査結果が出ているわけです。しかし、まだまだ一時期に比べれば高い価格です。それで、もう灯油の需要時期は過ぎつつあるわけですけれども、今回の原油価格の値下げについて、今後の行政指導として、とりわけ生活必需品である灯油価格にまでやはり踏み込んでいくべきではないだろうか、私はこういうふうに思うのです。この点についてはいかがでしょうか。
  31. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 私からお答え申し上げます。  灯油の価格につきましては、昨年の十一月がピークでございましたけれども、それ以後値段が下がっております。総理府の消費者物価統計によりますと、十一月から二月までの間に七十円下がっております。通産省調査の七十五円にほぼ近い額が下がっております。今週の金曜日に発表になります三月の速報によりますとさらに大幅に下がる、こういうことが予想されてございます。  灯油の価格政策につきましては、私ども、所管の通産省と相談をいたしまして従来からとっておる政策がございます。この政策は、実は第一次の石油ショック、昭和四十八年から四十九年にかけてのときの経験に学んでそれ以後ずっと続けておる政策でございますけれども、それはまず、需要期が始まります九月末の在庫をたっぷりと確保させる、備蓄を持たせる、その上で、後は市場メカニズムに任せまして需給で価格を決定させる、こういう方法が一番いいのではないか、こういうことでやってまいったわけでございます。  五十七年度の需要期につきましても、六百七十万キロリットルの在庫を確保してもらう、実際にはこれが六百九十万キロを超えたわけでございますけれども、こういうことで今需要期の間の大体四割の在庫を確保してもらう、その上で需給で価格を決定させる、これがよろしいのではないか、こういうことを別の委員会でも繰り返し申し上げております。そういったような結果があらわれたもの、それが先ほど御報告いたしました値下がり、こういうことではないかと思っております。  私どもは、これからも供給の方を安定して確保する、その上で需給に任せる、これが一番いいのではないか。コストが上がります時点におきましては、これによって灯油の価格が上がるということはございますけれども、長い目で見ればやはりその方が消費者のためになる、こういうふうな理解のもとにただいま御説明申し上げましたような政策をとってきた、そしてその政策は所期の効果を上げてきた、こういうふうに理解をしておる次第でございます。
  32. 井上一成

    ○井上(一)委員 さらに私は、金融政策上の問題として、西ドイツは国内景気の刺激政策として三月十八日に公定歩合の引き下げを行ったわけです。わが国でもその公定歩合の引き下げが検討されているわけですが、円相場は、アメリカの目先の金利先高感などから、逆に円安傾向を示しておる。十八日には、一時的ではありますが二百四十円を下回った。公定歩合の引き下げを行った場合、この円安傾向は一層加速されていく。その動向によっては、せっかくの原油の値下げが効果を著しく減殺するおそれもある。こういうことについての経企庁としての受けとめ方、あるいは、国債の大量発行の後遺症とでもいうのでしょうか、長短金利の著しい乖離現象についてはどういうふうになさろうとしているのか、このことについてもひとつ聞いておきたいと思います。     〔委員長退席、中川委員長代理着席〕
  33. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 御指摘のように、私どもは、いま金利低下が景気対策の大きな柱として浮かんで、一刻も早く引き下げの方向に歩んでもらいたい、こんなふうに考えているところでございます。  ドイツの例を申されましたが、ドイツはいち早く一%の引き下げを行い、オランダやスイスもこれに追従したところでございます。  日本銀行は、いま御指摘のように、円安の傾向を恐れて、公定歩合、金利の引き下げがとれない、こういうふうなことで慎重な態度をとっているかと思うのでございますが、御案内のように、アメリカもインフレ対策は成功したと言われる。したがって、今後は財政再建と、同時にまた失業対策である。したがって、第八次の金利引き下げをいつやるか、これが最大問題になっているところでございます。  とにかく、貯蓄が投資と見合っていなくて不況をもたらしておる日本でございます。アメリカのように、GNPに対しまして財政赤字が六・七%で、そして個人貯蓄が四%程度で、財政赤字の方が貯蓄よりも大きい国と違って、日本は、御案内のように、GNPに対して個人貯蓄は一一%、しかしながら財政赤字は、わずかと言ってはいけませんが四・七%でございますから、貯蓄に対してまだ財政赤字が少ない。こんなようなことを考えますと、やはり貯蓄に見合った投資を起こさなければならぬ。それは金利が高過ぎるのじゃないか。貯蓄の少ないアメリカに引きずられて日本の金利が高いことは大変残念でございます。事情が違いますから、やはり一刻も早く金利を下げていただいて、収益に見合うような金利にし、中小企業を初めとして設備投資に向かう、そしてまた財政上の金利負担も軽くなる、私は、このことが一刻も早く望まれることだと考えております。
  34. 井上一成

    ○井上(一)委員 さらに私は、為替の問題について。  一九七三年の三月に、御承知のように主要国の通貨が変動相場制に移ったわけです。ちょうど十年になるわけですが、いま変動相場制見直しの論議が世界的に強まっているわけです。オーバーシュートなどの弊害をなくすためにも、日本だとかアメリカ、欧州で目標相場圏をつくり、共同介入基金を設けるなど、新しい固定制を実施すべきだとする有力な議論もあるわけであります。そういう状況の中で、今後の為替相場のあり方を含めて、政府の考え方を聞いておきたいと思います。
  35. 江沢雄一

    ○江沢説明員 お答え申し上げます。  変動相場制になりまして為替相場の乱高下や行き過ぎが生じます場合には、先生御指摘のとおり、国内経済あるいは貿易関係にいろいろ攪乱的な影響を及ぼすおそれがございます。したがいまして、円滑な経済活動を図っていくために、為替相場の乱高下を防ぎ、相場の安定化を実現していくことが、日本のみならず世界各国の強い関心であることは当然でございます。  為替相場は、長期的には物価とか購買力、それから、中期的には経常収支の動向、短期的には金利等の影響を強く受けると言われております。したがいまして、相場の安定のためには、各国経済のいわゆるファンダメンタルズ、物価とか国際収支、成長率等が改善をいたしまして経済パフォーマンスの差が縮まっていくということが基本であると思っております。  しかしながら、これまで各国間のインフレ率とか経済成長率等格差は縮小はしてきておりますけれども、なお開きがございます。したがいまして、こういう情勢のもとで、変動相場制にかえて新たな相場制度を採用するということは困難であるというふうに私どもは考えております。  相場を安定いたしますために、まず、中長期的な観点から、各国がインフレのない持続的な成長を目指して経済政策を調和させていく、あるいは為替市場への介入につきまして各国間の協調を図るというような形で努力をして実際の相場を安定させていくというのが先決ではないか、そういうことでなければ、固定的な相場制度を採用しても実際にはうまく機能しないのではないかというふうに考えておる次第でございます。     〔中川委員長代理退席、委員長着席〕
  36. 井上一成

    ○井上(一)委員 さらに私はここで大臣に、政府は五十八年度については一定の所得税減税を約束しながら、政府税調では五十九年度にも大型増税の実施を検討していることが明らかにされている。これは常に私どもが指摘をしているように、一貫性を欠いている。増税なき財政再建、こういうことが臨調答申でも明らかにされているわけですけれども、経企庁長官としては、もちろん増税なき財政再建の御認識を持っていらっしゃると思うのですが、念のためにちょっと聞いておきたいと思います。
  37. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 臨調答申にありますように、増税なき財政再建は、政府の大きな目標と申しますか一つの義務と申しますか、これに従ってやるべき大きな基本的な方針だと私は考えております。
  38. 井上一成

    ○井上(一)委員 ぜひそうあるべきだし、そのために御努力をいただきたいと思います。  さっきも指摘しましたが、いわゆる海外経済協力の位置づけ、非常に大切だと思います。まず、政府が一九八一年から一九八五年までの五年間におけるODAを、一九七六年から一九八〇年までの五年間におけるODA総額の百七億ドルの倍額、つまり二百十四億ドル以上とするというODA倍増計画を立てているわけですが、これは国際的な公約と受けとめてよろしいですね。
  39. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 私どもは国際的な、しかもまた政府の大きな公約だと考えております。
  40. 井上一成

    ○井上(一)委員 もしこれが実現できなかったということになると日本の立場はどうなるのでしょうか。
  41. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 私どもはこのODAは日本が国際社会に貢献する大きな責務だと考えておりますので、この責務が果たせないといろいろと国際社会で批判が出、また、私どもはこれに対して大きな責任を感ぜざるを得ないようなことになりはしないかと思っております。
  42. 井上一成

    ○井上(一)委員 いま大臣は、この計画をどうしても達成しなければならない、義務だという強い決意を示されたわけです。  それじゃお尋ねをします。ことし八三年は三年目に当たるわけですが、初年度の八一年のODA実績は幾らであったか、あるいは二年目の八二年度の見通しはどうなっているのか。
  43. 田中誠一郎

    ○田中(誠)政府委員 五十六暦年のODAの支出ベースでございますが、三十一億七千万ドルでございます。
  44. 井上一成

    ○井上(一)委員 前年度の八〇年度は幾らだったのでしょうか。
  45. 田中誠一郎

    ○田中(誠)政府委員 ただいま五十六暦年の数字を申し上げましたが、五十六暦年の前年比はマイナス四・一%でございます。
  46. 井上一成

    ○井上(一)委員 初年度の八一年度の実績は三十一億七千万ドルですね。前年度の八〇年度、私の調べでは三十三億四百万ドルということになっているわけです。八一年は四・一%減になっているわけです。さらに、対GNP比も八〇年度の〇・三二%に対して八一年度は〇・二八%となり、初年度から倍増計画にはつまずいているという数字をいま私の方から申し上げたのです。これに間違いないですか。
  47. 田中誠一郎

    ○田中(誠)政府委員 御指摘のとおり、八〇年度は三十三億ドルでございますし、八一年度は三十一億七千万ドルでございまして、御指摘のような数字でございます。
  48. 井上一成

    ○井上(一)委員 大臣、こんな状況で、倍増なんて強い決意をお持ちですけれども、実態はこういう数字だ。どうお考えになるのですか。八二年度の見通しについても具体的には答弁がないのですけれども、こういう状況でいけば、五十九年度予算、六十年度予算で幾らの伸び率が必要になるのですか、聞かしてください。大臣はその伸び率で達成することができると考えているのか。
  49. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 今後必要となる率は一三・六%でございます。  そこで、井上委員、この海外経済協力基金のODA予算について大変御心配していただいて、本当に感激でございますが、これは、悪くなりましたのは、財政が悪くなった、もうこのことの一言に尽きると思います。かつて五十四年は二三・六%、五十五年は一七・五%、五十六年は一一・二%、五十七年は一〇・八%と、こんな伸びで進んでまいりまして、いずれも、いつも突出と言われますところの防衛費よりも伸びが多かったわけでございますが、五十八年度は七・〇%、それでも最高の伸び率を示していることから見ますれば、私は、協力費がその他の項目に比べて軽視されたことじゃなくして、ただ財政が悪いからこの程度になった。しかし、いま一兆六千億円に近いボーナスが来ることからだんだんと財政にいい影響を来すことになりますれば、何としても一三・六%どおりの目標は達成するように努力しなければならないと思いますし、またでき得る可能性がある、私もこんなふうに考えているところでございます。
  50. 井上一成

    ○井上(一)委員 塩崎長官、財政的状況が悪いからということは、国際的公約で、これはそういう言い逃れ、言いわけはできないのですよ。私は、具体的にいま答えられた一三・六%ずつ五十九年、六十年とふやしていかなければいけない、実際にそういうことができるのかどうか、できなかった場合、国際的な公約をどう言い逃れ、言いわけをするのか、そこが問題なんだ。日本政府の一番悪いのはそこなんですよ。そういうところをきっちりとしないから世界での孤立を招くわけなんです。  先日、たしか二月二十五日、DACのポーツ議長に対して安倍外務大臣は、国際的な公約だ、努力はしたが力が及ばなかったのだということでは国際的に通らないと思う、こうはっきり言っているのですよ。そういうふうに答えていると報道されているわけです。私はやはりそういう意味で、この計画達成のめどはちゃんと立っているのだという答えがきょうここでなければ、何のわが国の国際的公約なんて胸を張って偉そうなこと言えますか、大臣。
  51. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 おっしゃるように、確かに私どもは公約と考えておりますし、いま申しましたように、これまででも予算の上において最大限の努力を払ってきたところでございます。  確かにおっしゃるように、国内の財政事情だけで公約が達成できなかった理由にならないことは、私も十分わかるところでございます。しかも、財政と申しますか、経済が世界的に見ましてまだまだファンダメンタルズがいいとか言われておることを考えますと、最大限の努力をしてこの達成に努むべきである。そして、やり方いかんによりましては、困難でございまするけれども達成の可能性は十分ある、こういうふうに私はいまのところ言うしかない。最大限の努力を、これは皆様方と一緒にさせていただきたいと思います。
  52. 井上一成

    ○井上(一)委員 決意は非常にりっぱだと思うのですよ。しかし、大臣おやめになって次の大臣がまた来られる。そして、いや、がんばりましたが……。だから私は、そういうことが反省をしなければいけないいまの政府の姿勢だと思うのです。むしろ先進国に先駆けてわが国がこういう国際的公約をきっちりと守っていく、そのことが世界における先進国であるわが国の役割りだと私は思っているわけです。そのことが大事だ。  さっきメキシコの経済協力の話も出されました。いろいろな意味で私は、いまの政府の言っていることと、していることの違い、これを指摘をしている。それは塩崎長官も大臣になっているから答えられないと思うが、やっていることには、むしろ私と同じ気持ち、現状に対しては本当は強い怒りを持っていらっしゃると思う。これは外務省、大蔵省等も十分強く国際的公約を理解しておかなければいけないと思います。  念のために、私の調べでは、わが国の八一年におけるODAは対GNP比〇・二八%で、DAC十七カ国中第十四位です。援助条件では第十六位。まあ他のDAC諸国と比べて非常に見劣りがする。そういうことで、かねてから国力に見合った援助負担を行うべきであるという批判を受けてきたわけです。強くこの国際的公約を実現すること、そして世界の非難を受けることのないように努力をすべきだ。  そこで、実は具体的に、去年の軍縮特別総会において鈴木総理が発言をされた中で、一つは「人類の生存にとって最大の脅威である核兵器の軍縮が何にもまして追求されるべきでありましょう。」さらに第二点目に、「軍縮により創出された人的・物的余力を効率的に活用し、平和を阻害する社会不安や貧困を除去することであります。」これは、私の受けとめ方は、開発途上国に対する援助、南北問題という経済的な援助協力を指していると思うのです。このことからとらえても、前総理である鈴木総理が軍縮特別総会において発言をされているし、塩崎長官は鈴木総理とは同志でもあるのですから、よく御指導いただいたと私にあなたは話された機会があったと思うのですが、こういう意味を十分踏まえて、いま原油の値下がりがあったからその分だけでというようなことではとうていこれはおぼつきませんよ。だから私は、先ほどあなたにこのコピーを差し上げました。私はそう受けとめている。この鈴木さんのおっしゃった第二番目のことは、あなたはどう受けとめているのか。そしてそのためには、さっき指摘をしたことは国際的公約として果たすべきである、こういうことなんです。どうなんですか。
  53. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 ただいま御引用されました鈴木前総理の主張は大変有名な主張で、世界各国の方々が大変感銘したところでございます。私もIPUその他でこの話を伺ったことがございます。確かに軍縮の効果、その余った人的、物的余力を平和利用に活用する、社会的不安を除去する、こういうことは貴重なことだと思います。  私が原油の値下がりによりますところの六十五億ドルを活用すると申しましたのは、単にそれだけでございません。一つの考え方と申しますか、このような考え方で進んだらどうか。つまり六十五億ドルの輸入代金の節約ができた。これを単に輸入の節約に使って日本国民の生活の向上を図ることも大事なことでございましょうが、それと並んで大事なことは、いま井上委員が御指摘のODA、経済協力でございます。現在でも経常収支が黒字で、世界各国から輸出ばかりして輸入はしない、こんなことを言われている傾向があることを考えますれば、輸入代金の節約はむしろ経済援助に使うような気持ちで政策運営ができないか、私はこんなような気持ちで申し上げたわけでございまして、その金額をどうするとか、直接これを結びつける意味じゃございません。つまり国際収支の天井と申しますか、外貨がないとか経常収支が赤で海外協力ができない、発展途上国の経済の向上に寄与できないというような制約がないのだから、そんなような意味でこれを使おうではないか、こんなような気持ちで申し上げたわけでございまして、金額そのものを直ちに結びつける気持ちではございません。
  54. 井上一成

    ○井上(一)委員 さらに私はもう一つ指摘をしておきます。  九十六国会においても第二回国際連合軍縮特別総会に関する決議がなされているわけなんです。軍縮によって削減されたその余力を「開発援助を含め広く世界の経済的社会的発展に活用するよう強く訴える」、そういう国会の決議もあるわけなんです。  そこで、中曽根さんは鈴木さんの後を受けて総理になられて、三月十八日の本会議において質問に答えられた。その中に、防衛力の優先発言が見受けられるわけです。私がいま指摘をした鈴木総理の国連での見解表明なり国会決議等とも非常に食い違った見解を本会議で中曽根総理が示された。そういうことで、今度は塩崎長官は、いまの答弁はそれなりに私も受けとめておきますが、中曽根さんの防衛力優先発言、前段は軍縮によっての余力を開発途上国への協力ということで、鈴木さんと国会決議を指摘しました。十分理解してくれた塩崎長官、中曽根総理の発言については、全くこれはもう逆なことなんですが、前鈴木総理の国連演説の意思とはどう受けとめられますか。
  55. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 私は時折中曽根総理の軍縮に関する御意見を承っておりますが、中曽根総理も、軍縮は大変重要な、またいまの世界にとって必要なことである。しかしそれは有効的な軍縮をやるべきである。世界各国が特に力を入れるべきでございますし、しかもその中で超大国が最も力を入れてやることが有効的な軍縮である。そしてまた、有効的な軍縮を行って、それによって生じました経済的な余力は平和的な利用、そして発展途上国の生活の向上等に使われるべきことはもう当然のことである、こういうふうに言っておられますことを私はたびたび聞いたことがございます。したがいまして、鈴木前総理の言われたことと決して相反するようなことではない、こんなふうに私は理解しております。
  56. 井上一成

    ○井上(一)委員 いや、それは長官おかしいですよ。この間、十八日の国会会議での答弁で中曽根さんは、軍縮よりも防衛努力を優先させるという趣旨の答弁をしているんですよ。だから私はあえてここであなたに、中曽根さんはそういう見解を国会で表明された。鈴木前総理は軍縮の余力を開発途上国に、軍縮を進めてそれを開発途上国に協力をしていくんだ、えらい違いですわな、防衛予算を優先さすんだということと。だから、そういうことで私は、現総理と前総理との二人の考えを対比して、大臣はどう受けとめられますか、こういうふうに聞いているわけなんです。
  57. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 私は、総理の施政方針演説を見ましても、さらにまた、予算委員会のたび重なる答弁の中にもございましたことから、いま申しましたような考え方を述べたわけでございます。  総理の施政方針演説の中には、核兵器の廃絶を目指し、軍縮を推進して、その余力を開発途上国の発展のために振り向けることは、世界の人々のだれもが抱く願いであり、私の強い念願でもあります。」こういうふうに書いておりますし、いま申しましたように、そんなに鈴木総理との間に矛盾があるようなお考え方ではない、こういうふうに理解しております。
  58. 井上一成

    ○井上(一)委員 中曽根総理は所信表明、施政方針——私は、いま十八日の発言を指摘しているんですよ。それでだんだんあの方は、中曽根総理は本音が出てきて、私は、恐らくいま内閣も非常に困っている部分があろうと推察をしているわけです。だから、塩崎長官にしたら、それは施政方針では核兵器廃絶、それは鈴木さんもおっしゃっているわけです。私は、いま海外協力援助の、開発途上国に対する海外経済援助の問題について、軍縮をしてでも開発援助を推進していこうという、こういう鈴木さんのお考え、中曽根さんはそういう考えは持っていらっしゃらない、防衛優先だ、防衛努力をしていくんだということを国会で言われましたので、大臣、これはどう受けとめられるんですか、こんなことでいいんでしょうかと。少なくとも中曽根さんは鈴木さんの意思にまで戻してほしいな、戻すべきだと僕は思うのです。もう一度塩崎長官の見解を聞いておきましょう。
  59. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 私は十八日の答弁もまた、中曽根総理の全体的な考え方の中から理解されるべきであって、その全体的な考えの中でやはり軍縮は必要である、しかも有効的な軍縮をやるべきであるというお考え方、そして、軍縮ができればこれを発展途上国のために振り向けることが必要であるという考え方はその中に隠れて答弁が少なかったかもしれませんけれども、全体的な考え方は変わらない、こういうふうに私は理解しております。
  60. 井上一成

    ○井上(一)委員 私はここで何を指摘したいかというと、防衛予算が余りにも突出し過ぎて財政事情が悪化している。財政事情が悪い状況の中でも防衛予算だけは突出させる。そして財政状況がよろしくないということで経済援助は、国際的公約と言いながら、その達成にほど遠い現状を私は指摘しているわけなんです。  中曽根さんではもうだめだということはよくわかっているわけです。少なくとも経企庁長官として、防衛予算をうんと削減してでも国際的公約を私はぜひ守るべきである、こういうことなんです。防衛予算の方に金を使って、国際的公約は、アメリカとの二国間の公約が大事である、そういうことであればそう答弁してくださいよ。そう答弁してください。世界でのわが国の立場を明確にした国際的な公約、わが国が世界に対する役割りを示すべきその公約を達成しなければいけないし、それは、軍備、防衛予算を削減してでも達成すべきである、こういうことなんです。
  61. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 大変ありがたい御激励でございまして、私は今後とも防衛予算と比べてわが経済協力予算が常に上回るような政策をとっていきたいと思うところでございます。  幸いに、本年度におきましても最高の伸びを示しましたのは経済協力費の七%でございます。防衛関係費は六・五%、このようなことで、先ほど申し上げましたように、ここしばらくずっと経済協力予算の方が防衛関係費を上回ってきているところでございます。今後ともこの趨勢を維持する努力は、企画庁長官として全力をふるいたいと思います。
  62. 井上一成

    ○井上(一)委員 私は、とりわけ世界的な同時不況が進んでいる中で、発展途上国における、いわゆるただ単なる南北格差だけにとどまらず、南南格差、産油国と非産油国との間においてもやっぱり一定の格差があるのが現状であり、いま絶対的な貧困にあえぐ人々が世界に八億人を上回るという、そういう状況の中で、資源に乏しい日本がこの南側諸国との相互依存関係を抜きにして、少なくとも私は日本の平和、安全なんというものは考えられないと思うのですよ。アメリカとの二国間だけで平和、安全を考える、そういうことは大きな誤り、過ちであります。だから、アメリカの世界戦略の一環として軍事力を増強していく、それだけでいいんだというそういう誤った考えでなく、南北問題解決のために一層の努力をすることがわが国の選択すべき道である、こういうことを私は指摘をしたいわけです。さらに、そのために防衛予算を削減して援助予算に回すべきである、こういうことを申し上げたわけです。これについて大臣の決意を聞いておきたいと思います。
  63. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 私も井上委員の御指摘に全く共感を覚えるものでございます。  貿易摩擦とかあるいは市場開放問題、このような問題がやかましく言われ、そして経常収支が非常に好調な今日でございます。しかもまた、経済協力は各国との良好な関係をつくり上げることを考えますれば、防衛予算にまさるとも劣らない、まさしく最も良好な、何と申しますか、平和な、一種の日本の経済を守っていくところの予算だと考えますので、いま御指摘の方向でひとつ最大限の努力を払いたいと思います。
  64. 井上一成

    ○井上(一)委員 それでは最後に、各論というのでしょうか、具体的に、海外経済協力基金の実態がいまどうなのか、この点について私は指摘をして、答弁を求めます。  五十四年、五十五年、五十六年、海外経済協力基金の実態が決算上出てまいりました。このままでいくと、この海外経済協力基金が非常に財政危機に陥っている。今後の見通しの中で、恐らく昭和七十五年度の欠損金は一兆二千六百七十八億円だ、五十八年度予算で二百九十億円と赤字が見込まれているわけです。これは、原資自身が財投資金にほとんどゆだねられているという事実なんですね。一般会計からの出資金、いわゆる国の一般会計からの出資をゼロにして、ほとんどすべて資金運用部からの借入金で賄っていく。これは平均資金調達金利が上がるわけでありますから、金利の逆ざやで、だれが考えても赤字が出るのは当然です。そして政府は、便法上非常に安易な方法で制度改正、いわゆる法律を改正して、いままでは、財投資金、いわゆる資金運用部からの借入金については出資金と同額までという法律があったのですが、それを簡単に三倍までということに改正をして、援助をふやすその反面、一般会計支出を抑制をしている。このことも、防衛予算には金は出すけれども、こういう経済協力基金には金を出さないといういわば一つの証左だと私は思うのです。  さっきからたびたび指摘をするように、軍事大国を目指さないという日本が世界に貢献する有力な一つの方法として、途上国の開発援助があるわけです。五十四年、五十五年、この決算上にあらわれた数字、さらには、積立金を崩してまでその赤字八十七億五千八百三十一万円余りを補てんしなければいけないという五十六年、海外経済協力基金の財政がこういう実情である。こういうことについて大臣はどういうふうに受けとめられ、どのように今後手だてをなさろうとお考えでしょうか。
  65. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 御指摘のように、私も全く利子の支払いの要らない出資金増加することが最も望ましい協力基金の資金調達のあり方だと考え、今後ともその点について努力をいたしたいと思うのでございます。支払い金利コストが高くなってきて、一方、貸付金の利率は下がる傾向でございます。これが本当の援助だと思いますが、何としても、資金コストが安くなるような方向で努力をさしていただきたい。  しかし、それは何といっても国の財政事情いかんによるのでございます。財政の再建も早く願い、六兆一千億の税収の減を来さないような、税収も早く正常な状態に返るような姿の財政再建を私は期待して、何としても防衛費を上回るだけの伸び率を確保するような経済協力基金でありたい、こういうふうに考えております。
  66. 井上一成

    ○井上(一)委員 努力をなさるということですから、それに期待をしたいと思います。塩崎長官だから必ずやってくれるとは思いますよ。しかし、防衛予算を抑えてでも途上国援助には力を入れるべきである。そして、日本の誤った軍事大国への道を阻止していかなければならない、歯どめをかけていかなければならない。その歯どめをかけることが、この援助の約束を守る、こういうことだと思うのです。  時間が参りましたから、これで私は質問を終わりますけれども、ひとつ経企庁長官としての格段の御努力を希望して、終わります。
  67. 古屋亨

    古屋委員長 新村勝雄君。
  68. 新村勝雄

    ○新村委員 私は、最初に大臣から、日本経済の現状をどう認識をされておるかということ、マクロの立場から、日本経済の現状認識について、まず伺いたいと思います。
  69. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 新村委員御案内のように、日本経済は大変厳しい状況でございます。昭和五十五年の春ごろから、世界経済の影響を受けまして、経済は成長率の低下、そして輸出の減退、さらにまた、昨今は個人消費支出の伸び悩み等の状態があることは御案内のとおりでございます。五十五年になりましてからは、成長率が五%台を割りまして四・五%、五十六年は三・三%、五十七年は三・一%と、私ども見ておるところでございます。五十八年度は三・四%になるのではないか。いずれにいたしましても、昨今は、三・四%という成長率が示しておりますように、高度成長の夢はもちろんでございますけれども、なかなか厳しい成長の状態でございます。  しかしながら、昨今は、御案内のように明るい要素が出てまいりました。一つは、昨年、長期金利の低下であらわれましたような金利低下の傾向でございます。第二には、また円高の傾向が定着しつつある。昨年の十一月には二百七十八円まで参りました円レートが、いま二百三十円台で動いておりますことは、昨年と変わった大きな明るい要素ではないかと私は思っております。第三には、先ほど井上委員からお話がございましたように、昨今一バレル五ドルの原油価格の低下があって、これまで十年間、第一次石油ショック、第二次石油ショックの影響を受けた日本経済が、今度は低下という明るい要素の影響を受ける、こういう方向に進むということでございます。いま在庫調整も順調に進んでいるようでございまして、日本経済は世界経済の回復と歩調を一にしましてだんだんと上昇してくる、こういうふうに見ているところでございます。
  70. 新村勝雄

    ○新村委員 大臣、大変努力をされておりますけれども、依然として、一般の業界、特に中小企業の方面の不況感が非常に強いわけです。ところが長期的に見て、これは日本の資本主義が勃興期にあった明治三十年代から現在までのきわめて長期でありますけれども、この長期の成長率の平均は二・六七だということを言われています。そうしますと、その長期的な経済成長の水準には達しておる、あるいはそれを若干上回っておるというのが現状だと思いますけれども、それに引きかえて非常に不況感が強いというのはどこにあるのか。それは高度成長期の感覚で見ておるということがありましょうけれども、そうではなくて、やはりそれ以外に不況感が強い何らかの原因がそこにあるのではないかというふうな気がするわけでありますが、それについてはどういうふうにお考えですか。
  71. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 大変むずかしい御質問でございますが、高度成長時代の成長率から見ての感じだけではないというお話がいまございました。確かにそれだけではないと私は思うのでございますけれども、やはり長い間不況が続いておる、つまり、いままでの不況は大体一年から一年半ぐらいで戦後は切り抜けたと思うのでございますが、それが今回は五十五年の春から約三年続いておりますことが、私は不況感を強めている大きな原因ではないかと思うのでございます。その他、日本だけではない世界経済の要素の影響を受けておる。たとえば、金利が高いというようなことがまた影響があるかとも思うわけでございますが、私はもう一つ、いま申しましたように、長いということが不況感を強めている原因ではないかと思っております。
  72. 新村勝雄

    ○新村委員 どちらかといえば、中小企業に不況のしわ寄せがいっておるということがあると思うのです。それから、そういう面で政府の施策が不況を甘く見ているという傾向があるのではないか。その一つは、毎年政府が経済見通しを発表なさるわけですけれども、その経済見通しがここ数年間当たったことがないわけですね。最終の段階で下方修正せざるを得ないという事態にいつもなるわけです。そういう点で、予算編成の時点あるいは年度の初めにおける経済見通しが甘い——甘いというか、そのときの見通しが達成できない、逐年そういう事態になっておるようですが、そこにやはり、真剣に景気対策に取り組んでいらっしゃるのでしょうけれども、見方が甘いということがあるのじゃないかと思いますが、どうでしょうか。     〔委員長退席、東家委員長代理着席〕
  73. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 経済見通しと実績との関係から、政府の立てる経済見通し、政策が甘いのではないかというお尋ねでございます。  昭和四十七年ぐらいまでは、いま新村委員が言われましたことと逆で、見通しよりも実績の方が高かったことは御案内のとおりでございます。これは高度成長時代だと言えば終わりでございますが、確かに、第一次石油ショック後は、御案内のように見通しの方が実績よりも高かった傾向が多い、この点は率直に言わざるを得ないかと思うのでございます。  しかしながら、私どもは、見通しが甘かったというよりも、やはり一つの前提と申しますか、私どもの知り得る範囲の情報を集め、また情報を整理し、しかしまた好ましい政策という方向を打ち出して、それに基づいての一つの評価をして、一つの努力目標、達成目標ということをつくってきているわけでございまして、これが甘かったとかあるいは意識的に高くしたとか、こういうふうに考えるべきではないと私どもは考えて、これは政府の立場としては当然達成可能な努力目標である、こういうふうに考えていただきたいと思います。
  74. 新村勝雄

    ○新村委員 最近の第三・四半期の実績が発表されましたけれども、これは年率にすると一・八というように発表されておりますね。そうしますと、五十七年度は、第一は前倒し等の影響があったのでしょうけれども、大分よかった。ところが二、三、特に三は一・八ぐらいということで、五十七年度目標が三・一ですが、果たして三・一が可能であるのかどうか、これはちょっと微妙なところだと思いますが、これはどうなんですか。     〔東家委員長代理退席、委員長着席〕
  75. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 先般企画庁から発表いたしました国民所得統計速報では、いまおっしゃいますように昨年の十月—十二月では年率で一・八%の成長率の高さである、こういうふうになっております。しかしながら、幸いなことに昨年の四月から六月まで、つまり五十七年度の始まりますところの第一・四半期では実質で一・九%、それから第二・四半期、つまり七月から九月まででは〇・九%、そして第三・四半期では、残念でございますが〇・四%、こういうふうに下がって、いま四分の三たったわけでございます。しかしながら、幸いなことに第一・四半期、第二・四半期が一・九、〇・九でございますので、よく言われておりますように、仮に第四・四半期の五十八年一月から三月までが横ばいであったとしても三・二%程度の成長率は達成できるのではないか、こういうふうに言われておるわけでございます。それが横ばいになるかどうかが問題でございますが、私は、三・一%の見込みは達成可能、また達成すべきだ、こういうふうに考えております。
  76. 新村勝雄

    ○新村委員 そうありたいわけです。そうあるようにひとつ努力願いたいのです。  それと、五十八年度の見通しですが、五十八年度は実質三・四ということでありますけれども、一方、経団連あたりでは、五十八年の実質成長は二・六だろう、こういうふうに見ておるわけですね。いままでの毎年の推移を見ますと、政府が高くて、いわゆる政高民低だというふうに言われておりまして、民間の見通しの方が実は当たっているわけです。それでまた、五十八年度についても政府の方が高い、経団連の方が二・六に見ておるということですけれども、五十八年度の三・四ということについてはどうですか、自信がおありですか。
  77. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 いま政高民低というお話が出ましたが、今度の五十八年度の三・四%という成長率は、政府としまして三%以下で当初見通しを策定いたしましたのは、昭和三十年成長率の見通しをつくりましてから三度目くらいで、きわめて低目でございます。三十三年と五十年でございましたか、それに次いで三度目で、この程度の低さでいいのかという御指摘があるくらいでございます。この程度の低さといいますか、この程度の高さといった方がいいかもわかりません。それともう一つは、民間の中にも四・一%という見通しがあるくらいで、今回は政府としては相当慎重な低目の見通しを立てたように言われているところでございます。それから第三番目には、その民間の見通しの中にも、御案内のように原油の引き下げが発表されるや、これを加算して成長率を高めたところがあるようでございます。  このようなことを考えてみますと、さらにまた経済の現況から見まして、三・四%の見通しは達成は可能、また三・四%くらいの成長では、雇用の面においてもさらにまた財政再建の面においても、本当は足りないような気持ちをどの方も持っておるように見受けられてならないのでございます。私はどうしても三・四%程度は最小限度達成しなければならないと考えております。
  78. 新村勝雄

    ○新村委員 この見通しが発表されてから、その後原油の値下げというようなことがあったわけでしょうけれども、原油の値下げによって成長率がどのくらい伸びるか、それはどうお見込みですか。
  79. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 これは先ほど井上委員の御質問にもお答えいたしましたが、一バレル五ドル下がりますと、一年目で〇・一二五、二年目で〇・九三、こんなような数字を申し上げましたが、これは一九七八年の当時の世界経済モデルで計算したものでございまして、昨今のモデルで計算いたしますと幾らになるかということとは違います。しかしながら、第二次石油ショック後のモデルから計算いたしましたときとは違っておるにいたしましても、六十五億ドルの所得の移転が産油国から日本にあるだけに、成長率にプラスの寄与が確かにある、私はこういうふうに考えております。
  80. 新村勝雄

    ○新村委員 そこで、景気対策に御苦労なさっておるわけですが、政府は十九日、五十八年度予算成立後の景気対策へ向けて初の経済関係閣僚懇談会を開いたというように報ぜられておりますが、この懇談会において具体的にどういうことが論議をされましたか。
  81. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 いま御指摘のいわゆる景気対策につきましては、まだまだ正式な決定をしておりませんし、まだまだ模索中でございます。先般会合いたしましたのは非公式な会合でございまして、その方向といたしましては、まず第一に、毎年行われておりますところの御案内の公共事業の前倒しの問題、さらにまた金利を含めての弾力的な金融政策の問題、さらにまた原油の値下がりをどのように政策の上で活用していくかといった問題、それからまた雇用対策、中小企業の問題をどのように取り上げていくかといった問題、これらの問題を論じ、さらに国会で、政府が宿題として考えておりますところの所得税減税の問題についてもこれから真剣に検討していかなければならないではないか、こんなような問題を論議してまいったところでございますが、先ほど申し上げましたように論議はこれからの問題でございまして、まだ項目が取り上げられたところでございます。これはいずれも三・四%という五十八年度経済成長の見通しをより確実に達成させるための一つの政策手段、こういうふうに考えているところでございます。
  82. 新村勝雄

    ○新村委員 いまのお話の中で、真っ先に公共事業の前倒しというお話がございました。これについては五十七年度にもおやりになったわけですね。それで相当の成果を上げられたということは認められておりますが、やはりこれは現下の急務ではないかと思います。この公共事業の前倒しについて五十八年度はどの程度おやりになるのか。
  83. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 お答えする前に、大きな項目を二つばかり落としました。各種の規制の緩和を行う、これは非常にむずかしい問題もございますけれども、たとえば住宅の建設に当たっていろいろの制限がございますけれども、これらの規制を緩和することによって投資を活発にしていくことに、景気対策として大いに力を入れるべきではないか、この問題が大きく論議されたわけであります。どの範囲にいたしますか、これはこれから大きく検討されるべきでございます。さらにまた、市場開放、対外経済協力の問題も一つの経済対策として、つまりわが国が国際社会の中で本当に溶け込んでいくこと、輸出が円滑に進んでいくためにはこの問題も景気対策の一つとして取り上げる値打ちがあるのではなかろうか、こんなようなことでいま検討されているところでございまして、二つの点について追加させていただいて、その次は、公共投資の前倒しの程度の問題についてお答え申し上げたいと思います。  昨年は七七・三%でございましたか前倒しをしたと言われております。今回はどの程度にするか、これはまだ未定でございます。しかし、御案内のように昨年の十二月二十四日には二兆七百億円の補正予算の成立に伴いますところの公共投資のいわば追加があったわけでございます。性格的には五十八年度予算の前取り的なところもございますので、その影響等を十分見ながら、さらにまた最近の経済状況を見ながらこの率については検討すべきではないかというようなことが言われまして、これもまだまだ議論不足でございます。これからの検討課題であると思っております。
  84. 新村勝雄

    ○新村委員 公共事業の前倒しについては、五十七年度は七七・三といま大臣おっしゃいましたが、私の調べでは七七・二のようですが、いずれにしても実績があるわけですが、そうしますと、この率を下ることはございませんか、大まかに言って。
  85. 田中誠一郎

    ○田中(誠)政府委員 ただいま御答弁申し上げましたとおり、来年度につきましてはこれから関係省庁で検討してまいりたい、かように考えております。
  86. 新村勝雄

    ○新村委員 これは自治省さんは見えておりませんので詳しい御答弁はいただけないと思いますが、中央政府と同時に自治体においてももちろんこれをおやりになるのだと思うのです。その場合に、地方自治体とすると年度の初めは資金が一番枯渇する時期なんですね、第一、第二・四半期あたりが税金の入りが少ないわけですから。その場合に自治省あるいは大蔵の特別の御配慮がないと、自治体が資金の面で非常に困るという面があるわけです。それから、起債の場合なんかはほとんど全部が年度末に入るというようなこともありますから、大臣の方からひとつ地方自治体の資金の手当てを、自治省、大蔵と相談をされて、年度初めに執行できるように御配慮を特にいただきたいと思うのです。
  87. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 自治大臣もその点を大変心配されておりました。きょう私も自治省の官房長ともその話を若干いたしましたところでございますが、自治省も、大変心配な点はあるけれども、幸いなことに金融が大変緩んでおるからひとつ努力しなければなりません。方向さえ決まれば公共投資の前倒しの消化の方向で努力をせざるを得ない、また努力したい、努力すべきである、こんなことを申しておったことをここで御報告させていただきたいと思います。
  88. 新村勝雄

    ○新村委員 確かに金融も緩んでおりますし、金融が緩んでおるということは縁故債に頼れというお話だと思いますけれども、しかし、縁故債はどうしても質というか、金利が高いわけですよ。ですから、そういう点からしても良質な資金として国の資金が欲しいわけですね、自治体としては。ところが、そういう国の資金はどうしても年度の終わりでないと回ってこない、資金化しない、そういう心配があるわけなんです。これはずっと自治体の一つの悩みになっておるわけです。ですから、そういう点でひとつ、良質な資金年度の初めに資金化できるような御配慮を特に大臣の方からもいただきたいと思います。
  89. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 新村委員の御指摘はごもっともでございますので、前倒しの問題を決定するまでに、このような問題は詳細に検討してまいりたいと思います。  なお、きょういろいろと自治省の方々と論議をいたしますと、確かに金利水準が高いということを心配されて、ドイツやスイスに盛んに外債募集の形で駆け込んでおる。日本よりもはるかに低い水準のヨーロッパで起債をする方が、はるかに資金コストが安いので、こんな努力もしておるというようなことを聞きました。しかし、なるべくさらに安い金を国内で調達する方がこれはもちろん適当でございますので、いまおっしゃった方向は十分に努力してまいりたいと思います。
  90. 新村勝雄

    ○新村委員 外債というようなお話もありましたけれども、弱小団体ではとてもそういうことはできません。これは都道府県あるいは政令都市というようなところではできるかもしれませんが、小さい団体ではとてもそういうことはできませんので、ぜひひとつ国の資金を回していただくように、しかもそれを早期に回していただくようにお願いをしたいと思います。  それから、先ほど大臣、規制の緩和というお話がございましたが、その中で特に必要なのは、やはり土地の規制ですね。この緩和のことをおっしゃったのではないかと思いますけれども、特に住宅建設については、五十六、七、八といずれも、八年はまだこれからですけれども、きわめて不振ですね。五十七年なんかは、もう一・九くらいしか伸びない。これは政府の見通しを大幅に下回っておるわけです。これについては、大都市圏あるいは大都市近郊の土地が非常に上がっておる、そのためにサラリーマンがとても手が出ないという事情もあると思います。そういうことで、土地の規制を緩和するということをもう考慮してもいい段階ではないか。  都市計画法が施行された当時は、資金の効率的な使用、それから都市的な施設が間に合わないというようなことで、地域を決めて、いわゆる市街化区域を決めて、そして公共資金を重点的に投下をして都市的な施設の整備を図る、こういうことが趣旨であの規制はできたのだと思いますけれども、現在はもう一応、その使命は終わったとは言いませんけれども、当時とはかなり事情も違っておりますし、もうそろそろ土地の規制の緩和を図ってもいいのではないかという気がするわけであります。それから、特に市街化区域と調整区域を区別しておる関係で、一つの見方ですけれども、財産権の大きな制約になっておるというようなこと、それから法のもとの平等という点からいっても疑問があるのではないか、ある意味では、憲法に違反とまでは言わないにしても、憲法の精神からするとあの規制は問題があるのではないかというような疑問すらもあるわけです。そういったこともありますし、一方、土地の供給を大きく制約をしておるというような事実もあるわけです。ですから、建設省ではこの制約を緩和しようという検討がされておるようでありますけれども、経済企画庁におかれましてもそこらをひとつ検討されて、都市計画法の規制、あれはきわめて厳しい規制ですし、あの規制はもう現在の情勢からしますと一応その使命を半ば終わった、根本的に再検討する時期ではないかというふうな気がするわけですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  91. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 各種規制の緩和は、大変広範な、しかも政策目的を別に持った複雑な問題でございますけれども、いま新村委員指摘のように、その政策目的と現状を十分に分析してみれば、これは緩和あるいは廃止した方がいいのではないかというような制度あるいは規制が相当あるかと思います。こんな点をひとつ根本的に検討しろということが臨調からも出されておるわけでございまして、これがまた景気対策に役立つといたしますれば、これは一石二鳥、三鳥の効果がある、こんなことで中曽根総理を初め大変力を入れようということになっておる、政策の課題と考えております。  その中で、何といっても住宅対策は景気に最も好影響をもたらすものでございますし、それを規制いたしておりますところの新都市計画法、いわゆる線引きは最も密接な関係のあるものでございます。線引きの見直し、それはまた農業との関係でどうとか、いろいろ問題はございますけれども、建設省も大変乗り気になって、たとえば二十ヘクタールといいますところの調整区域の開発の基準、これを下げるというようなことがいま真剣に検討されているということを私も伺っておりますし、これはひとつ企画庁といたしましても、財政が苦しくなかなか金によっての景気対策がむずかしい今日でございますから、規制の緩和によって投資が起こるならばこれぐらいありがたいことはない景気対策でございますので、大きく推進してまいりたいと考えております。
  92. 新村勝雄

    ○新村委員 この問題については、ひとつ建設省とも相談をされて、ぜひ早期に実現をするように御努力をいただきたいと思います。  それから、これは事務的な問題ですけれども、決算書の中で国民生活安定対策等経済政策推進費という項がありますね。この中で消費構造実態調査委託費という目があります。それから消費者啓発費補助金という目があるのですけれども、これが五十四年度はあったのですが五十五年度で二つなくなっておりますが、これはどういうことなんですか。
  93. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 お尋ねの件でございますけれども、消費者啓発関係の経費というのはこのところずっと立てておりまして、目の方に——ちょっと手元に資料がございませんので目の項目までお答えできませんけれども、経費としては続けて支出されております。これはずっと変わっておりません。  詳しく調べまして、後ほどまたお答え申し上げます。
  94. 新村勝雄

    ○新村委員 変わっておりませんと言っても、五十五年度に表の中から目がなくなっておるわけですよ。  それから、その中に、金額だけが書いてあって目未定と書いてあるのはどういうことですか。決算書の中で、金額だけがあるけれども目未定なんですね。そうすると、これは何に使ったのですか。
  95. 遠山仁人

    ○遠山政府委員 御質問国民生活安定対策等経済政策推進費につきましては、項を定めまして、目は当初の段階では定めておらないのでございますが、その支出計画をつくりまして、目を定めてから支出をする、こういうことでございます。実際に支出されている経費につきましては、目を定めて支出をいたしております。
  96. 新村勝雄

    ○新村委員 これは予算ではないですから、決算なんですから、この金は何に使ったということがわからないと、これはもう決算の意味がないのですね。決算書の中に目未定というのはちょっとおかしいのですがね。
  97. 遠山仁人

    ○遠山政府委員 詳しく御説明するのにはちょっと調べますけれども、不用額に立っているものにつきましては、目未定のままに不用額になっております。
  98. 新村勝雄

    ○新村委員 違うのですよ。不用額じゃなくて、項目の下にいろいろな項の名前、目の名前が列記してありますね。そしてそこに目未定となっているわけですよ。決算書をごらんになったらわかります。そう書いてありますよ。だから、決算でもって目未定というのはおかしいじゃないですか。
  99. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 ちょっと調べさせておりますので、後ほどお答え申し上げます。
  100. 新村勝雄

    ○新村委員 それから、やはり同じようなことなんですが、生活基盤充実問題調査研究費という項がありますね。その中に委員等旅費がなくなって、そのかわりに生活基盤充実問題調査研究委託費というのが加わっていますね。これはどういうことですか。  時間が来たそうですから、いまのことは目未定という問題とあわせて、後で何かで知らせてください。
  101. 古屋亨

    古屋委員長 春田重昭君。
  102. 春田重昭

    ○春田委員 まず景気の問題についてお伺いします。若干同僚議員と重複する点があると思いますけれども、御理解いただきたいと思います。  今日のわが国の景気というものは、景気動向指数によりますと、昭和五十五年の二月以来三十六カ月の景気低迷と言われているわけでございまして、その意味では、わが国におきましてはいわゆる不況の最長の記録と言えるのではなかろうかと思うのです。こうした景気が低迷している原因をどう見ておられますか、この問題から入っていきたいと思います。
  103. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 景気の低迷している原因は、とにかく高度成長から低成長時代に移りましたが、昭和五十五年つまり一九八〇年代になりましてから、特に世界経済の悪化の影響を受けまして、輸出の減退それから設備投資の減退等から景気の低迷が生じて、最も長く三年間ばかり、戦後といたしましてはこんなに長い低迷はないかと思います。三年間ばかり続いているところでございます。  しかしながら、先ほども申し上げましたように在庫調整もだんだん進んでまいりました。さらにまた、世界経済の状況も、アメリカが七回にわたって金利の引き下げがありましたことから示されておりますように金利の低下があり、さらにまた第八次金利引き下げがアメリカで言われております今日でございます。そしてまた、ドイツが一%の公定歩合を引き下げたというようなことから考えますと、世界経済も金利の低下が示すような明るい要素が出てきた。さらにまた日本には円高の傾向が、アメリカの金利の低下に並んで、こっちの金利の低下に応じながら円高の定着の傾向も見られるようでございます。このことは物価の安定並びにコストの低下、このような現象をもたらすと思います。第三には、原油一バレル五ドルの引き下げがございました。  明るい要素がこれまでになく見られてきたことを考えてみますと、世界経済の回復に応じてだんだんと日本経済も回復の過程をたどっていく、こんなふうに見ておるところでございます。     〔委員長退席、東家委員長代理着席〕
  104. 春田重昭

    ○春田委員 不況の原因といいますか、景気低迷の原因というものは何かと聞けば、長官初め経企庁の皆さん方は第一番に海外要因を挙げられるわけでございます。それもあるでありましょうけれども、私は内需の問題に、その対策に大きな問題があったのではなかろうかと思っているわけでございます。そうしたいわゆる景気低迷の原因を正確につかめなかったということ、それからそれに機動的な対応がなされなかったという、この責任というものは経企庁に非常に大きいと私は思うのです。  この問題は後で論議するとしまして、五十七年度経済成長率、これは何%ぐらいになるとお見通しになっていますか。また、大体いつごろ正確に数字として出てくるのですか。
  105. 田中誠一郎

    ○田中(誠)政府委員 五十七年度経済見通しは三・一%の見通しでございますし、実績の数字は六月の初旬にわかるかと思います。
  106. 春田重昭

    ○春田委員 下方修正をやられまして三・一%の見通しを立てられたわけでございますけれども、その達成はほぼ間違いない、こう見ていいわけですか。
  107. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 私はそのように考えております。  先般発表いたしました昭和五十七年十月から十二月までの国民所得統計速報によりますと、実質で第三・四半期は〇・四%でございましたが、幸いなことに第一・四半期が一・九、第二・四半期が〇・九でございます。そのように年度当初が高かったことによって、あの報道の中にマスコミが注釈をいたしておりましたように、仮に第三・四半期と同じような成長率が第四・四半期に達成されたとしても三・一%の成長率は達成される、三・二になるという報道がありましたが、私はその報道をもって根拠とするわけじゃありません。ありませんけれども、三・一%程度の成長率は現況では達成可能と考えております。
  108. 春田重昭

    ○春田委員 いまでこそ長官三・一%は達成できると胸を張っておられるわけでございますけれども、経企庁の当初の見通しは五・二%なんです。昨年の十月になりますと三・四%に修正されまして、さらに十二月の時点で三・一と二度修正なさっているわけですね。したがって、いわゆる当初見通しは五・二だったわけです。寄与度でいきますと、内需で四・一、外的要因で一・一、こういう見通しだったわけでございますけれども、これが大幅に狂ったわけでございまして、三・一できましたからと自慢げに言えないと私は思うのです。  先ほども同僚議員から同じような意味の質問がなされておりましたけれども、経済企画庁の当初の見通しと実績というものが私の手元にございますけれども、特に五十六年度、五十七年度の当初見通しと実績は非常に大きな乖離がある。たとえば、昭和五十年からずっと見ますれば、当初見通しが四・三で実績が三・六、五十一年が五・六に対して五・一、五十二年が六・七に対して五・三、ずっとこのように来まして、五十六年度になりますと五・三が三・三と二%落ちているわけです。五十七年度は五・二が三・一、こういうようにこの両年度に限って二%の落差があるわけです。五十年代の当初の見通しと実績は、ずっと大体一%前後で来ているわけです。そういう点から言ったら、両年度の乖離といいますか落差というものは非常に大きな問題がある。これは御案内のとおり、結果的に経済見通しの過ちというものはいわゆる税収の欠陥となり、さらに政府・自民党が立てた財政再建計画が絵にかいたもちになってしまって今日の大きな問題となっているわけです。したがって、経企庁は、要するに経済見通しを立てればいい、結果的にはこうなってもやむを得ないじゃないか、いろいろな海外要因もあるじゃないかということでは済まされない問題ではなかろうかと私は思うのですね。だからといって、これは正確には出ません。また、低目に見てもならない、ある程度高目に見なければならないと思いますけれども、五十六年、五十七年に限っては非常に大きい。この責任は、塩崎長官はこの当時は違いますから、私は関係ないと言えばそれまででございますけれども、いわゆる経企庁としてはそういう景気見通し、それに近づく努力、こういう問題はやはり一貫性がなかったらならないと私は思うのです。  こういう点で、昨年十一月御就任になりました長官に対しまして言うのはなんでございますけれども、経企庁の今後のこういう経済見通しの立て方といいますかあり方といいますか、こういう問題につきまして、この両年度を通しまして、今後どうそれを反省し、教訓としてやっていくか、お伺いしたいと思うのです。
  109. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 春田委員指摘のように、経済成長の見通し、経済見通しは大変重要な、そしてまた国民経済あるいは企業に大きな指標として活用されるものでございますから、私は大変責任重大なものだと考えております。したがって、過大であってもいけませんし過小であってもいけない、こういうふうに考えておりますし、いま御指摘の五・二%から三・一%に修正になったことは大変遺憾なことだと思います。それが世界経済の影響だとか、あるいはアメリカの利子が安定したとかいうようなことは、大変弁解がましく聞こえるだけで、私はここで申し上げる気持ちもありませんけれども、やはり実情に即し、しかもまた将来の一つの達成可能な努力目標というものを見通しとしてつくらなければならないと思うのでございます。私も長らく大蔵省におりまして税収の見積もりをいたしておりましたが、税収はもう少し現実的な問題でございまして、単にマクロ的な見積もりだけで立てるわけじゃございません。しかし、これが影響があったことも大変残念なことだと私も思いますが、経済成長の見通しはやはり適正に、しかも、いま春田委員もちょっとお漏らしになりましたが、ひとつ努力目標としての達成可能な、目標は高目と言われましたが、高目というと誤解を起こしますけれども、に立てた方が——立てるべきである。経済企画庁は、天気予報的な気象庁よりもやはりもう少しビジョンを持った政策官庁であろうかと思いますので、そんな観点から適正な目標をつくるべきだ、こういうふうに考えております。
  110. 春田重昭

    ○春田委員 五十七年度の景気対策の中に、いろいろな項目がございますけれども、たとえば民間住宅を政府当初方針では対前年度一〇・四と見られたわけでございますけれども、結果的には〇・五、民間の企業設備投資は当初七・七が二・〇ということで、決していわゆる海外要因だけの結果として経済成長が下回ったというわけじゃないわけで、そうした要因というものが非常に大きいわけですね。そういう面で、その辺の的確な把握を見誤った経企庁の五十七年度の当初方針ではなかったかと思うわけでございまして、私は、経済見通しというものはただ単なる政策目標であってはならない、やはりそれに近づくだけの、いわゆる実現可能な見通しといいますか、成長率を今後立てるべきである、このように主張しておきたいと思うのです。  五十八年度経済成長の見通しは三・四%ということでお立てになっておりますけれども、これは昨年の十二月ということで、この時点の計画策定で三・四%出されたわけでございますけれども、その後御案内のとおり原油が大幅に下がってきたということ、そして経済環境も若干変化してきておるわけでございますけれども、この政府見通しといいますか目標の三・四%を今後どう見ていくのか、長官の率直な御所見をいただきたいと思うのです。
  111. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 春田委員指摘のように、経済成長の見通しはやはり達成可能な努力目標だと思います。三・四%は五十八年の四月一日からの目標でございまして、しかし、これはいまもうすでにその方向に向かって進んでいる経済的な諸現象から見て私は可能である。つまり、在庫調整もだんだん進んでまいりました。そして、聞くところによりますと、十四カ月輸出信用状は低下の傾向ばかりたどってまいりましたが、昨今では、アメリカの景気の回復に応じて在庫が減って、アメリカ側の在庫補充の意味で機械やあるいは半導体製品等について新しく引き合いがふえてきた、こんなような話も聞きますし、マスコミも報道しかかっているように見受けるのでございます。  しかし、輸出に頼ってまた市場開放問題が深刻な問題になっては大変でございます。私どもはやはり内需拡大でいくべきだと思いますが、そこに一つの新しい事実としての原油の五ドル低下の問題もある、こんなことを考えてみますと、総体として経済はだんだん回復過程に乗ってくるということは断言できるのではないか、こういうふうに見ております。
  112. 春田重昭

    ○春田委員 そこで、五十八年度の景気対策でございますけれども、同僚議員からもいろいろな角度から質問がございましたけれども、この景気対策というのは、新聞であちこち、ちらほら出てきておりますけれども、まだ正確ないわゆる政府としての景気対策を発表なさってないわけですね。  新聞報道によりますと、予算の成立した時点で出したいということらしいですけれども、すでに、ちまたには、民間には、もうこれ以上待てないんだ、早急に出してほしいという声なき声も上がっているわけでございまして、いわゆる経済の専門官であるといいますか、エキスパートの長官が就任されてもう三カ月ないし四カ月たちながら、そんな悠長なことを言っていていいのか。予算は四月五日には間違いなく自然成立するわけです。これは何も予算の成立が危ないわけじゃないですから、そういった面から、いわゆる心理的な作用から景気を促進する上においても、私はもう早く出すべきである。あちこちで何かちらほらアングラ的な放送もございますし、何か引っ張ったような報道もございますし、明確な、正確な景気対策をもう長官が、まして長官は専門官ですから、そういう面から早急に出すべきである、私はこう思っておりますけれども、どうですか。
  113. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 春田委員指摘のように、国民の間には、いま早く景気対策をやってくれという声が私も強いように思います。  私は、このように景気対策をまだ検討して正式に世間に発表いたしておりませんのには、二つばかり理由があると思います。  一つは、やはり、いま春田委員指摘のように、自然成立は確実であると言われましても、予算が成立しないと、その施行について言うこと自体また不謹慎なことでもあるということが議会の慣習として厳然としてあるということも、私は政府として従わなきゃならぬ大きな要素であるということが一つでございます。  第二は、御案内のように、昨年の十二月二十四日、二兆七百億円の公共投資を中心といたしますところの補正予算が成立して追加されたわけでございます。この影響等がありますと、私は、公共投資の前倒し等には関連せしめて考えるべきであるという考え方、そしてできる限り持続的に景気を安定していく。上期前倒しすることによって下期が財政難のために空白になるというようなことは避けるべきである。  こんなようなことからいま私どもが正式の景気対策を外に出してない、こういうふうに考えていただければいいかと思いますが、私は、春田委員の御指摘のように、だれしも早くやってくれ、もう三年間長雨が降り続いてどうも憂うつでたまらないという声は十分わかるような気がいたしておりますので、御要望の方向で考えてまいりたいと思っております。
  114. 春田重昭

    ○春田委員 そこで、公共事業の問題でございます。  先ほども前倒しの問題が質問ございました。昨年は七七・二、三%の前倒しをやった、今年度はどうなんだということで、先ほどの答弁では、まだ決まっておりません、こういうことでございます。自民党の部会では八〇%前後の前倒しをやるべきだという話もございますが、大蔵省としては後半が心配だからそこまでやる必要ないのじゃないかという意見もございますし、長官もいま御答弁ではそういう意味のことをおっしゃっておりましたけれども、この七七・二、三%の昨年の実績に対して、今年度は、長官個人としては、どうなんですか。もっとやるべきである、あるいは、昨年の秋にもうそういう前倒し的なことはやっているのだから必要ないのじゃないかという御意見なのかどうか、その点、御答弁いただきたい。
  115. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 ケインズ流の公共投資政策はいろいろ批判がございまするけれども、やはり、雇用の面において、さらにまた景気刺激の点において、最も速効性のあるのは私は公共投資だと思います。したがいまして、できる限り、いまの現況では三・四%の成長率を早目に達成していただくために、公共投資の前倒しは好ましいと個人的に考えております。     〔東家委員長代理退席、委員長着席〕  それはどの程度かと申しますと、私も三・四%の成長率を早目に確実に達成するためには大きければ大きいほどいいと思うのでございます。しかし、そのためには、やはり下期以降の財源についてある程度の見通しをつくっていく必要がある、その点を考えながらやっていく必要がある、こんなふうに考えております。
  116. 春田重昭

    ○春田委員 公共事業執行に当たりましては、これは私の党は前々から主張しておりますし、せんだっての日曜日のNHKの景気問題でも、長官御出席なさって、うちの政審会長正木の話を聞いておられると思いますが、要するに、中身の問題でやはり改善する必要があるのではないか。たとえば、公共事業を数兆円やるといっても、土地に食われるお金が相当多かったらその波及効果はないわけですから、そういった面では、土地代に食われない公共事業執行、たとえば校舎の改築とか河川の改修とか、また老朽住宅の改築とか、そうしたものにやはり改善する必要が今日あるのではないか。  こういう点は、時間がございませんので、主張しておきますので、よろしくお願いしたいと思います。  さらに、公定歩合の引き下げの問題も先ほど質問に出ましたけれども、要するに、財政が非常にゆとりがない今日、やはり金融面でいまこそこの景気を引っ張るべきである。長官も、この公定歩合の引き下げというのは当然必要であるということをおっしゃっております。ただ、円安の問題がございますので日銀等もうろうろしているみたいでございますけれども、経済閣僚の中心である経企庁長官が先頭に立って、この公定歩合の引き下げの問題、私はもういまがチャンスである、こう思っておりますので、簡単に長官の御意見をいただきたいと思います。
  117. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 春田委員の御指摘のように、金利の引き下げは私は何よりも重要な景気対策の柱だと思います。単に景気対策と申しますか、財政再建を達成するためにもやはり金利引き下げが必要な大きな政策ではないか、こんなふうに考えているわけでございます。  アメリカの金利に引きずられて日本の金利がなかなか下がらないこと、これはいま御指摘のように円安を恐れた結果でございますけれども、どう考えてみても貯蓄不足のアメリカ、貯蓄が多くて投資と見合わない日本、それは金利が高くて貯蓄と投資が見合わない、投資しようにも金利が高過ぎるというようなことを考えますと、やはり何としても金利を引き下げて景気回復の方向に大きく歩まなければならないと思うわけでございます。それから財政再建でも、金利負担租税の自然増収率よりも高い。とにかく八%の利子を払いながら、租税の自然増収率は中期試算で示しておりますように六・六しかで、八%の利子が払っていけないような気がするわけでございます。さらにまた、中小企業の設備投資が不振である。いまのような収益状況で先行きが不安なときに、どうして高い金利で借金までして投資をするかということになろうかと思います。私は、何としても金利の引き下げが景気対策の最大の眼目にならなければならない、こういうふうに考えております。
  118. 春田重昭

    ○春田委員 さらに、減税の問題でございます。  これは、共産党を除く与野党で大幅な減税ということが合意されているわけでございます。私たちは、所得税で一兆円、住民税で四千億、一兆四千億ぐらいの大幅な減税でなかったら景気浮揚に役立つ減税ではないのだ、こういうことを主張しているわけでございますけれども、景気浮揚に役立つ減税ということは、長官はどれぐらいを予想されているか、また、これに対していかが御努力なさっているのか、この問題についてもひとつ簡単にお答えいただきたい。
  119. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 所得税減税は、与野党の合意に基づきますところの国会の大きな申し合わせでございますし、政府としましては最大限の努力を払わなければならない問題だと考えております。そして所得税減税は、消費ともう一つは貯蓄にプラスの影響を及ぼすことはもちろんでございます。景気浮揚の点は、消費刺激が私は有効な方向だと思いますので、政府の一員、閣僚の一員として、所得税減税につきましては景気対策の目玉商品として——目玉商品と言えば失礼かもしれませんが、大きな支える手段として推進すべきだ、こういうふうに考えております。
  120. 春田重昭

    ○春田委員 さらに、原油の引き下げによる差益の還元の問題ですが、ある試算によりますと、一バレル当たり一ドル下がるということは約一千億円浮くのだということをうたっておりますけれども、五ドルの値下げでございますから五千億は浮くわけでございます。  中でも、石油依存の高い電気料金ですね。これは当然差益を還元しなくてはいけないと思うのでございますが、電力業界としては、要するに、今後の設備投資とか長期的な安定料金のためには差益還元なんかは考えておりませんという強硬な答えも返ってきておりますが、その点、長官はどうお考えになっておりますか。
  121. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 これはこれからの問題でございまするけれども、一バレル一ドルならば千億円の利益が生ずる、五千億生ずる。それがどのように電力会社によって活用されるかということを見れば、この問題はおのずから決すると思います。利益となって会社の留保になればこれは投資に向かわざるを得ない。いかなる投資になるか。これが国民が支持し期待する投資ならば、たとえば省エネ投資とかあるいは代替エネルギー開発投資ということならば私は納得されると思いますが、電力需要の下がっておる今日でございますので、そのような投資に結びついた方がいいのか、余りにも過大な投資ができないとすれば国民に還元する方がいいのか、これらの問題は、これからどのように油を調達していくかということと関連して、いずれ答えを出さざるを得ないような問題だ、私はこういうように考えております。
  122. 春田重昭

    ○春田委員 確かに電力業界の設備投資意欲は統計的には非常に低くなっておりますので、浮いた分だけ投資に回すというのはわからないわけじゃないですけれども、要するに、円安になっていけば大変だから値上げしてくれということで、そういう原油引き上げ、円安ということになれば、すぐ上げてくれと言うわけです。円高や原油引き下げになったらそっちの方へ回す、これは国民感情からもなかなか合わないわけですよ。そういった面は、この電力料金だけではなくして、ガソリン、灯油の問題にもございます。すでにガソリン等は一部値崩れしているみたいでございますけれども、こうした問題も含めながら、ベールに隠さないで国民の前に明らかにして、やはり返すべきものは返していく、こういう強い姿勢を政府でも持っていただきたい、このように要望して、この問題については終わりたいと思います。  時間がございませんので、この景気問題ははしょって質問しましたけれども、どうか私の意のあるところを酌み取っていただいて早急な景気対策を組んでいただきたい、こう思っているわけでございます。  続いて、海外経済協力の問題についてお尋ねします。  政府開発援助、ODAでございますが、この事業は八一年から八五年の五年間で七〇年代後半の倍増計画を打ち出しているわけでございます。中曽根総理も一月の日米首脳会談でその約束の実行を表明しております。しかし、今日の厳しい財政の中、必ずしも一〇〇%その約束どおり実行できかねるのではないかという声も出ているわけです。  長官は、先ほどの同僚議員の質問に対しましては、大変厳しいけれども国際公約だから努力していくのだとおっしゃいました。決意はわかるわけでございますが、たとえばODAの事業は、一般会計からと財投からによって原資ができておるわけでございます。一般会計予算だけ見ますれば、八三年度四千八百十三億円の資本金が出ているわけでございます。伸び率にして対前年の八・九%出ているわけでございますが、五十九年、六十年度、いわゆる八四年度、八五年度につきましては、五千四百六十八億円、六千二百十一億円と、先ほど長官もおっしゃったように一三・六%の伸びがなかったらできないわけです。これは今日の非常に厳しい財政の中、一般会計のいわゆる無利子の出資金といいますか資本金は非常に厳しいのではないか、こういう見方が客観的に言われているわけでございますけれども、達成実現はもう間違いないですか。
  123. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 春田委員に大変な御激励を賜っておると考えるのでございます。国際的な公約でございますし、私はこれが貿易摩擦、このような問題を解消する最大の手段、こんなふうにも考えておりますし、ぜひとも努力していきたいと考えております。
  124. 春田重昭

    ○春田委員 この問題は金を出す大蔵省に聞いたらいいと思うのですが、大蔵省はどうですか。
  125. 朝比奈秀夫

    ○朝比奈説明員 御答弁をいたします。  一昨年一月に設定いたしましたODAの新中期目標は、すでに二年を経過しておりますが、私どもはそのもとで開発途上国に対します経済、技術面での協力に全力を注いできている次第でございます。このようなODAの充実を図ることは重要な政策課題でございますし、今後とも努力していきたいと考えております。  しかしながら、このODAの中身を見ますと、経済協力基金を通じます円借款、それから国際開発金融機関を通じます出資、拠出、そういったものがございます。そのうち特に国際開発金融機関の出資につきましては、増資交渉といったものを通じまして金額が決まっていくという状況になっております。  また、もう一つ御留意いただきたいのは、このODAがドル建てで目標が設定されております。先ほど先生も御指摘がありましたが、非常な円安の時代になっておりまして、非常に状況が悪いわけでございます。たとえば円では仮に一割増加したといたしましても、日本の円が二〇%ぐらいの円安になりますと差し引き一〇%ぐらいの減少になってしまう、こういう状況になるわけでございます。これらの問題がございまして、その点は十分御理解いただきたいと思います。  なお、ODAに関します予算につきましては、先生御指摘のように、非常に厳しい財政事情のもとでございますが、先ほど春田先生のおっしゃいました数字でございます八・九%増は相当の努力をした数字ではなかろうかと私どもは考えている次第でございます。
  126. 春田重昭

    ○春田委員 聞き方によっては、八三年度八・九%もやっと伸ばしたんだ、八四年、八五年はむずかしいようなとり方にもなるわけでございます。  時間がございませんから、長官、最後にまとめて申し上げますと、この海外経済協力基金の原資は、一般会計からのものと財投からの資金運用部資金、これによって成っているわけでございます。当初一対一から最近は一対一・一二、五十八年度では一対一・三六という形で、財投資金、いわゆる七・三%の利子のついたものが相当入ってくるわけですよ。五十六年度決算でも資金コストは三・六%、ところが途上国に対する貸付利子は三%ですから、コンマ六%の逆ざやが出てきているわけです。そういう点で基金財政も相当赤字になってきているということで、今後大変な状況になるのではないかということになっているわけでございますけれども、こうした財投資金の繰り入れ、また新聞報道等を見れば、途上国からも何か返済期間の猶予の問題とか、経済協力の問題についてはかなりいろいろなむずかしい問題が出てきているやに聞いているわけでございます。そういう点で、この逆ざやの問題を解消するにはどうしていくのか。これはどう考えているのですか。
  127. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 逆ざやの問題を解決するには、言うまでもなく、一般会計からの利子を支払わなくて済む金を入れていただきますれば一番簡単な解決方法になるわけでございます。それがむずかしいので大蔵省も大変苦労されているところでございます。  私どもは、財政再建が早く実現できることを期待するとともに、いま春田委員申されましたように金利が逆ざやの原因の一部であることは言うまでもない。金利の低下もお願いすれば、七・三%の支払い金利が下がることも期待しますれば、また逆ざやも減るかもしれない。それよりも一般会計が一番楽でございますが、これはよく財政当局にお願いし、財政再建、財政の充実を期待して、一生懸命一三・六%の努力を払っていきたいと思います。
  128. 春田重昭

    ○春田委員 基金には交付金制度というものがあるみたいでございますので、赤字になった分は、この基金からいわゆる交付金でも出して処理していくという御計画みたいでございますけれども、そうした後処理でやるよりも、最初から一般会計でつぎ込んで赤字が出ないようにしていったらいいんじゃないかと私は思うわけでございます。  いずれにいたしましても、現実のそうした諸問題と、国際公約であります倍増計画は矛盾する点がたくさんあるわけでございますけれども、GNP世界第二位の経済大国の日本としてはその実行をやるべきである、こう主張しておきます。  時間が来たみたいでございますけれども、きょうは基金の関係で通産省にIJPCの問題で若干質問する予定でございましたけれども、ちょうど持ち時間が過ぎましたし、もう遅くなっておりますので、本当に申しわけありませんが次の機会にIJPCの問題については質問させていただきますので、通産省の役人の方、御了解いただきたいと思います。  質問を終わります。
  129. 古屋亨

  130. 簑輪幸代

    蓑輪委員 まず最初に、原油値下げに伴う電気料金等の問題についてお尋ねしたいと思います。  すでに多くの方が質問されております問題ですけれども、特に家計を預かる主婦にとってはきわめて関心の高い問題でございますし、私どもの地元でもこの問題について大きな期待が広がっております。それで、原油値下げに伴う電気、ガス、石油等の価格問題について、経企庁並びに関係の通産省にお伺いをしたいと思います。  十年前には狂乱物価ということで大変な事態も起こりましたし、この十年間の動きを見てみますと、原油の値上げがその都度口実になりましてあらゆる物価が上がってきたという経過があります。同時に便乗値上げもそこで行われて、大変私どもの暮らしを圧迫してきたわけです。灯油やガソリン等の石油製品に至っては、この十年間で実に二十二回も値上げが行われている、値下げも二回あったそうですけれども、そういう中で、原価の構成等が非常に不明確なままでとにかく値上げがどんどん認められていく、消費者にとってはきわめて納得できない状態です。OPECの原油値下げは一バレル五ドルで、結局二十九ドルということでございますけれども、それが電気料金やガス、石油等関連製品の値下げに当然反映されるというのは国民の常識だと思うのです。それがされない方がきわめておかしいわけで、そういう国民の期待のもとでの国会審議等をいろいろ見ておりますと、納得できないこともいろいろあります。  通産省では、報道によりますと、一部産業用を先行値下げしていく、そして家庭用電気料金については推移を見守るというような不明確な態度でおられるようです。値上げのときというのはきわめて簡単に値上げが認められて、値下げというときはいろいろ理屈をつけてこれが行われない。その上、原価の内容も、石油がどれだけとか、電気料金体系の中でどんな仕組みになっているのかということが国民にとっては全くわかりにくい。経理がガラス張りにされておりませんので、電力会社がいかに不当なことをしているのか、どれだけ巨額な利益がもたらされているのかということも私どもにとってはきわめてわかりにくいことです。  そういうような問題について、われわれは電力会社当局にも厳しく申し入れを行ってまいりました。先ごろ私どもの地元の方でも中部電力に対しまして申し入れを行ったわけですが、その内容は、「今回の原油価格値下げにともなう差益を一人占めすることなく、一般家庭の電気料金引き下げなどにより、消費者に還元すること。」二番目に、「電力事業の公共的性格から、貴社の事業経理内容、電力コストの実態を詳しく公表し、消費者の納得できるものとする。」こういうのが入っているわけです。そういう内容の問題について、通産省が指導の所管に当たられるというふうに思いますけれども、その点での通産省の御見解を求めたいと思います。
  131. 黒田直樹

    ○黒田説明員 お答え申し上げます。  今回の五ドルの原油価格の引き下げに伴いまして、御承知のように電力会社の燃料費のコストは減少すると見込まれておりますけれども、この原油価格引き下げの状況が今後どのように推移していくかということにつきましては、まだ引き下げが行われたばかりでございますし、非常に不明確な点があるのではないかというふうに考えております。ただ、いずれにいたしましても、五ドル引き下げられれば燃料費のコストが減少することは事実であろうかと思います。  他方で、電力会社の経営面での燃料費以外のコストの上昇、これはいろいろと見込まれるわけでございまして、たとえば人件費でありますとか修繕費関係でありますとか、あるいは設備投資に要する費用であるとか、いろいろなコスト上昇が見込まれるわけでございますし、それから、今後為替の状況がどういうふうに推移していくかとか、あるいは電力事業の場合には依然としてまだ水力に依存しているところが二割くらいございまして、その辺の出水率と申しますか、豊渇水の状況がどういうふうに推移していくか、いろいろな不確定要因があるわけでございます。  したがいまして、こういう状況が今後どのように推移していくかということを見ませんと、五ドルの値下がりの影響が直ちに電力会社の収支の好転に結びつくかどうかという点については判断し得ないわけでございまして、こういう意味におきまして、通産大臣も何度も国会で御答弁申し上げておるところでございますが、今後の事態の推移を見ながらそういういろいろな要因を十分見きわめまして、電力料金の取り扱いについては慎重に判断していく必要がある、こういうふうに考えているところでございます。
  132. 簑輪幸代

    蓑輪委員 そんな答弁をされるものですからよけいおかしなことになるわけですね。結局、私が申し上げているのは値下げは当然のことだと思いますけれども、本当にいまの答弁が合理的なものなのかどうか、国民にとって納得できるものかどうかということは、会社の経理内容というものを見てみないとわからないわけです。電力会社の方がごまかして言われているかもしれないし、いつでも値下げのときはぐずぐずと、値上げのときはさっとという、こういうことが体験的に国民の中にはあるわけですから、そういう意味で、私がいまお尋ねしたのは、値下げをしない のもやむなしと国民が納得できるように、経理をガラス張りにするというふうに通産省の指導を求めているわけですが、その点でのお答えを簡単にお願いします。
  133. 黒田直樹

    ○黒田説明員 電力会社の経理の状況につきましては、ただいままでのところは、最新の決算状況は昨年十一月末に五十七年度の上期の決算状況が公表されているところでございまして、これによりますと、五十六年の上期に比べまして経常利益あるいは当期利益ベースで約四割前後の減益ということになっているところでございます。
  134. 簑輪幸代

    蓑輪委員 いまのような御答弁じゃとうてい納得できません。私は、やはりその辺のところがもっと会社の経理内容がはっきりしないことには、おっしゃることの合理性を証明することはできないというふうに思うのです。  いろいろな見解がありますけれども、電気料金の値下げよりもむしろこの際設備投資に回せ、資本の充実に回せというような意見もあるようです。電力業界では、現状の電力需要から見て設備投資に回すのは逆にコスト高を招くという消極姿勢も見せているような状況なんですね。電気料金の徴収問題でも、どんどんどんどん集金人員を合理化していって銀行振り込みを半強制的にやらせているというようなサービス面の低下というのもありますし、主婦から厳しい批判の声も上がっております。  やはりそういう実態から見て、国民自身に直接還元される確かな方法で、直接家計簿にぱっと反映できるような、そういうことが起こってこない限り、内需を高めるという点でもプラスにならないというふうに私は思うわけです。国民の要求を無視して、業界寄りというか、そういう考え方は選挙対策見え見えであるというような批判も一部にはありますし、政府の対応が厳しく問われている。国民はそれを非常に厳しく見詰めていると思うのです。ですから、家庭用電気料金の値下げ、それが現実に国民の手につかむことができるのかどうかまさに注目されておりますので、その点について経企庁長官はどのような御見解をお持ちでしょうか。
  135. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 これまでたびたびお答え申し上げましたが、原油の値下げによりますところの電力料金の取り扱いは、いま通産省の方が申しましたとおり、ともかくも石油の価格が電力会社の経理にどのような影響を及ぼすか、さらにまた設備投資で国民が納得されるような投資になるかどうか、こんな点を勘案して近いうちに決められる。いまの電力料金が単に下がることが石油の輸入増加につながるものとは私は考えないのでございますけれども、依然として省エネ投資あるいは代替開発投資は継続していく必要があると思うのであります。そのような観点を加味して、電力会社の利益状況がどうなるか、こういう点を見て慎重に決定さるべきである、こんなふうに考えております。
  136. 簑輪幸代

    蓑輪委員 こういう事態は国民にとってなかなかないチャンスですので、そういう点では、どういうふうに政府が措置されるのか、それで国民は判断しなければならない。そういう意味で、一日も早く値下げをすべしということを重ねて申し上げて、次に灯油の問題をちょっとお尋ねします。  灯油やガソリン関係ですけれども、灯油では、二月の通産省のモニター調査で、値崩れが始まっていて昨年十月の比較で七十五円ダウン。生活協同組合なんかいろいろみんなの運動によって百四十円もダウンさせているところもあるわけです。同じ時期でも地域格差が非常に激しくて、札幌では千五百七十六円パー十八リットル、最も高い福岡では千七百九円パー十八リットルです。市場メカニズムにずっと任せているというふうな状況のようですけれども、そのままほったらかしておいていいものだろうか。どんどんと灯油やガソリンが暴落をしていって末端の小売業で共倒れの心配もあるやに伺っておりますし、一方、経団連の会長の方はバンカーオイルの値下がり分も含めるとすごくメリットがあるというようなことを言っておられますし、基本的には元売業界に対する適切な指導が行われないと非常な混乱を招くのではないかというふうに思います。その点での具体的施策が何かとられるのか、準備されているのかお伺いしたいと思います。
  137. 赤羽隆夫

    ○赤羽(隆)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど井上委員からも御質問ございましたときにお答え申し上げましたとおり、私どもは石油製品の価格は自由価格、こういうふうに理解したいと思っております。自由な市場におきますところの需要と供給との間のバランスによって価格が決まることが望ましい、こういうことでございます。  ただし、そう申しましても、供給がしぼられている、供給が制限されましてその上でマーケットで成立する価格、こういうことでは消費者にとって不利益になるだろう。このために、私ども灯油を初めといたしまして石油製品についての考え方の基本は、需要期の直前にたっぷりとした在庫を持つ、これを指導する、そうすれば後は市場におきますところの需給メカニズムによりまして適正な価格が決まる、こういうことだと思います。こういったようなお答えというのを別の委員会でもこれまで何回もしてまいりましたけれども、五十七年度の経過もまたこうした考え方が正しかった、こういうふうに認識をしている次第でございます。
  138. 簑輪幸代

    蓑輪委員 そういうふうではいろいろ混乱が起こるのではないかという、新しい事態のもとでの問題提起をして具体的施策を求めているわけですけれども、相変わらず、とにかく供給を確保し、後は需給関係に一切お任せ、混乱が起きたらまたそのとき考えようということのようですけれども、私はこの場でちょっと警告をしておきたいと思うのです。早目にちゃんと十分な手だてをとらないとまた国民の鋭い批判を浴びることになりかねないと申し上げておきたいと思います。  それから、原油の値下げに伴いガソリンの値下げ競争の激化が報道されておりますが、関連して日曜輪番体制というのが問題になっています。通産省では、選挙運動への支障もあるので二十日から一時緩和する措置をとったそうですけれども、業界に対する需給調整契約料金や産業用特別料金制度について手直しを決めているところから見ても、輪番制度そのものがこのままでいいのかどうか、そのものの見直しの必要があるのではないかと思われます。都内だけで見ても四百店が日曜開業を行っている実態にあると言われておりますし、全国的には三千店に上るとも言われております。日曜に開店しているからといって不必要な燃料を買い込んでいるわけではないし、開いている店を探しに走り回ったり、国民に不便を強いているだけだと言えます。特に、町に一軒しかないような地域ではこの制度で非常に困るわけで、農繁期になれば日曜も休日もなく働かなければならない、零細業者だってやはり日曜、祭日なしということですから、小規模の小売業者にとっては死活問題にもなっているのではないか。この点についての批判も強くなっておりますし、ぜひ見直しをすべき時期ではなかろうかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
  139. 落田実

    ○落田説明員 お答え申し上げます。  ガソリンスタンドの日曜休業につきましては、五十六年の揮発油販売業法の改正に基づきまして、従来行政指導で行いました休日休業につきまして、今後法律でやるということで昨年の十月から実施をしているわけでございます。この趣旨は、一つは従来行政指導で行ってきました日曜休業体制につきましてきちっとしたやり方をやるということで、いまおっしゃいましたように輪番制という制度をとったわけでございます。  この件につきまして、最近需給が緩和しているからもうそろそろ緩めてはどうかという御意見かと思いますが、最近OPECの価格などが変動はしておりますが、中長期的な需給体制につきましては、日本の石油をめぐる脆弱な体質から見ますと余り状況は変わっていないのではないか、今後とも省エネルギーを十分進めていかなければいけないという点は全く変わりがないのではないかという気がいたしておるわけでございます。  それから先ほど、違反店が東京だけで四百店、全国では三千店あるというふうなお話がございましたが、私どもの調査では非常に小さい数字になっております。  それから、輪番につきまして、一軒しかないところは非常に困るではないかというお話がございました。その点についても私どもは配慮をいたしておりまして、すでに特例措置を講じております。たとえば、一軒しかないような非常に過疎的な地域、あるいは離島のようなところあるいは山の中のスタンドといったようなところについては日曜日休む必要はないというような特例もやっている次第でございます。
  140. 簑輪幸代

    蓑輪委員 こういう日曜輪番体制によって省エネを促進するという考え方のようですけれども、省エネはもちろんのことでございますが、直接的にそれに大きな役割りを果たしているというふうには言えない状況ではないかと私どもは考えているわけです。それで一部地域では例外措置を設けているというくらいですから、必要なところでは特にその緩和が認められているというところから考えてみましても、逆に、町の中にたくさんある中で一軒だけを特定するということになれば、その店を探しに走り回るということも出てくるわけで、省エネに逆行するのじゃないかというふうにも思います。これも一度また検討していただきたいと思いますが、時間がありませんので次に進みます。  三月十四日発表された読売新聞の調査によりますと、政府は比較的物価は安定していると言っていますけれども、物価は上がっているというふうに実感している人が七三%もいるのです。景気は悪いと答えている人が八三%に上っておりまして過去最高でございます。一方、経企庁では、十七日に発表した国民所得統計速報によりますと、昨年十月から十二月の実質成長率〇・四%は民間消費支出や民間住宅など内需の伸びによるというふうな見方を示しております。個人消費が成長率全体を支えるという結果は経企庁でもそのように見ておられるようですが、民需が景気回復に大きな役割りを果たしたというふうには、まあ一方で言えると思いますけれども、そのことだけで個人消費回復と簡単に言えるのかどうか一つ問題があろうかと思うのです。  総理府統計局の発表では、五年続きの所得減税見送りによって、収入に占める税金や社会保険料等の非消費支出が昨年は一四・六%にも達している。逆に貯蓄率で見ると、七四年の狂乱物価のときには一六・一%だったものが昨年は一一・四%に下がってしまっているわけです。これは貯蓄に回す分を減らして消費水準を維持する、あるいは貯蓄を取り崩して消費水準を維持するという実態にまで来ている。可処分所得に占める消費支出の割合が上がってきて、生活の苦しさを証明しているのじゃないかと思うのです。  統計というのはいろいろ問題があって、特に定期収入の伸び率で見ると、五十六年四月から六月期は前年比六%、七月から九月期は四・二%に急降下している。一方、労働省の毎月勤労統計では、五十六年四月から六月期の定期給与の伸び率は五・〇、七月から九月期は五・一とほぼ横ばいである。家計調査のように急降下するのはきわめておかしいというふうに言われているわけです。異常に低い五十六年の数字をもとにして五十七年を見ると消費支出が伸びているように統計結果ではなるけれども、そんなふうに言えないのではないか。  国民生活センターがまとめた国民生活動向調査、婦人の就労ということで調査をしておりますけれども、主婦の就労率というのは四八・六%、五十年に比較して一一・八%も伸びています。働く理由は、生計を維持するためというのが六三・一%もあるのですね。使い道は、生活費が五四・七%、子供の教育費が二四・三%と圧倒的に、家計を助ける、生計を維持するということが理由になっております。非常に深刻な事態だと思います。  消費者金融業、御存じのようなサラ金というのがいま非常に急激な成長を遂げていると言われます。私どももいろいろ聞くのですけれども、関係者指摘によりますと、生活費の一部をサラ金に求めるという層がだんだんふえている。消費者金融を受ける理由の一番大きいのが生活費だというふうに言われています。非常に金利が高いわけですから、本当に悲劇的な実態になります。このサラ金の取り立てによる悲劇は、一家離散、心中と枚挙にいとまがありません。新聞をしょっちゅうにぎわしているという実態です。  一月の完全失業率が二・七二%で百六十二万人、雇用情勢は非常に悪化しております。千三百三十五件に上る企業倒産、そういう深刻な実情、いろいろな統計を見ても、国民の実感とあわせましてこのままでは大変な事態である、どうしても景気を回復させるために特別な手だてを思い切ってとらなければならない。その最大なものとして、私どもも要求をし、期待しておりますのが所得減税の実施であり、あわせて電気料金の値下げ、そして中小零細業者への特別の施策というものが必要だと思います。  国民の消費拡大、景気回復を図るというためのこれらの減税、電気料金の値下げ、それから業者への施策等々、景気回復に対する施策について経企庁長官の御所見を承りたいと思います。
  141. 塩崎潤

    ○塩崎国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、景気対策は予算成立後直ちにとり行いたい最大の眼目でございます。私どもは、確実に三・四%の成長率を達成したい、こういうふうに考えているところでございます。  その方策といたしまして、いま申されました原油の一バレル五ドルの引き下げに伴いますところの六十五億ドルの所得の移転、これは国民経済に全般的に浸透するように図りたい。その中に電気料金、さらにまた石油製品の問題が含まれているわけでございまして、これを最も有効な方策として考えていきたい。さらにまた、所得税減税は与野党一致しました国会の申し合わせでございますので、政府としては最大限の尊重の義務を負っていると思って努力したいと考え、景気対策の眼目にしたいと考えているところでございますので、そういった点からまた御鞭撻のほどをお願いしたいと思います。
  142. 簑輪幸代

    蓑輪委員 減税問題については、財源が予算上何ら措置されていないということもございますので、どんな成り行きになるのか大変不安を感ぜざるを得ません。御存じのとおり、減税のにおいだけかがせてもらって、あげくの果てに大増税がくるのではないかという不安もいろいろと取りざたされておりますし、ぜひとも減税ということが実質的に国民の家計の潤いになるような、そういう方向で進めていただきたいと思います。  残り時間が少なくなりましたので、あと一点お伺いしたいと思います。  昨年十月に国民生活センターの危害情報室から発表された「乳幼児の歩行器事故解析委員報告書」というのがございますけれども、これについてお伺いします。  報告書によりますと、五十年から五十七年九月までに国民生活センターに寄せられた歩行器の事故は六十三件、またSGマークつきの歩行器でも五件の事故が起きています。通産省ではすでに昨年五月、耐久性や強度について改善をしたというふうに聞いてもおりますけれども、報告書によりますと、製品の安全性を高めることはもちろん、歩行器そのものが赤ちゃんの心身の発達を妨げるもので不要という結論になっております。私も、この問題の指摘は非常に重大だと思います。身を守るすべのない、全面的に大人に依拠している乳児の使用するものであり、これに対する関連省庁の真剣な検討が求められていると思うのです。  特に医学的見地から、満一歳未満の乳児に使用することは危険度も高く、発育を阻害するとの指摘があります。消費生活用製品安全法に基づく認定基準に使用禁止とその理由を明記するよう、また一歳を超えて遊具とする場合でも使用時間を明記するようここで要請しておりますけれども、認定を受けない商品にも、当然同様の措置がとられなければならないと思います。  国民生活センターが行った五十六年十二月の保育園を通じての調査では、百八十五人中百四十三人が歩行器を使用しておりますが、その目的は、遊ばせる、この遊ばせるということの中に家事等をする間というのも含んでおりますけれども、この遊ばせるためが六三・六%、九十一人です。上手に歩かせるためというのが一七・五%、二十五人という状況です。上手に歩かせることに期待をかけている母親が一七・五%もありますけれども、ほとんどが一歳未満の乳児に使用されております。大体五カ月から八カ月に使用しているようです。使用上の正しい知識の普及がないままこれがかなり広がっていることを思うと、きわめて問題で、この歩行器の基準の見直しというのが必要であろうと思います。  その点での通産省の見解をお伺いし、あわせて、児童福祉施設最低基準第五十条の四号「乳児室又はほふく室には、室内滑台、椅子ぶらんこ、歩行器及び手押車を備えること。」というふうになっておりますけれども、報告書では十二カ月未満の乳児には使用させないこととするという要望になっていることを見ても、大半が十二カ月未満の乳児によって使われており、発育の妨げを指摘されている歩行器を児童福祉施設の最低基準とするというのはきわめておかしいのではないか。これは発育の妨げあるいは危険の両面から考えてどうしても削除すべきだと思いますが、厚生省の御見解、この二つをお聞きしたいと思います。
  143. 山浦紘一

    ○山浦説明員 お答え申し上げます。  昨年十月に国民生活センターは乳幼児の歩行器事故につきまして報告書を作成いたしたわけでございます。その報告書に基づきまして、消費生活用製品安全法で設置されました製品安全協会に、その作成している基準の改定を私ども要望しているところでございます。この点は先生御指摘のとおりでございますが、その報告書の内容につきましては、歩行器が乳児の正常な発達を阻害し、むしろ有害無益であるという論理を進めまして、健康上の問題に重点を置いたものであるわけでございます。  通産省といたしましては、その中に歩行器の危険の問題点も取り上げてございますし、歩行器につきましては消費生活用製品安全法に基づきまして製品安全協会のSGマークを定めているということもございますし、また、当方で歩行器を所管しているという観点から、製品安全協会、学識経験者、消費者等から成る委員会を設けまして、本件報告書の論理の進め方及びその内容につきまして検討をしているところでございます。  しかしながら、当然、この報告書をまつまでもなく、通産省といたしましては、歩行器の危険の問題につきましては、五十五年七月から五十七年三月まで歩行器専門部会を開催いたしまして、昨年五月に歩行器のSG基準を改定したところでございます。  現在、そういうところでございますので、国民生活センターの報告書は今後とも委員会でも検討していきたいと思っておるところでございますけれども、その報告書でもって直ちに特段の措置をとるというようなことはいまのところ考えてないところでございます。
  144. 佐野利昭

    ○佐野説明員 お答えいたします。  最低基準に記載されておりますのは事実でございますが、まず、乳児室といいましても、二歳以下の子供が入る部屋でございます。そこで主として利用されるのは、おもちゃとして、遊ぶ用具として利用される形態だろうと思うわけでございますけれども、現在の最低基準は一台でも置いてあればいいという形で記載されておりますものですから、これをいまいただきました資料に基づいてすぐ削除すべきかどうか、そこまでいくかどうかということにつきましては、私ども内容を十分検討しなければいけないと思っております。  いただきました報告書をよく内容を見させていただきますと、安全性の問題とかあるいは発育上の問題とかいうのは、事故の上に、あるいはデータ的に明確な形で出てきておりません。私どもの方で感じますところでは、事故の態様を見ましても、それから御報告いただいたアンケート調査の結果を見ましても、どうも要は使い方の問題ではなかろうか、ここに一番ポイントがあるのではなかろうか、そういう観点でございますので、いますぐに最低基準を改正するというところまではいく必要はないのではないか、それよりも実際に現場でその仕事に従事している職員の方々に再度その使用方法につきまして注意を喚起する、そちらの方がより実益があるのではなかろうかということで、先般開かれました全国の保育指導職員の専門会議等で、こういう報告が出ているから使用上は十分配慮するようにと、こういうことで、十分各保育所への指導徹底を図ってほしいということを口頭で指示をいたしております。  以上でございます。
  145. 簑輪幸代

    蓑輪委員 ちょっと答弁は納得できませんけれども、また引き続きいろいろお願いすることとして、きょうは大変遅くなりましたので、終わります。ありがとうございました。
  146. 古屋亨

    古屋委員長 次回は、明二十三日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時二十一分散会