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1983-03-25 第98回国会 衆議院 議院運営委員会 第16号
公式Web版
会議録情報
0
昭和五十八年三月二十五日(金曜日) 午前十時三分
開議
出席委員
委員長
山村
新治郎君
理事
瓦 力君
理事
山崎 拓君
理事
北川 石松君
理事
鹿野 道彦君
理事
小里 貞利君
理事
広瀬
秀吉
君
理事
渡辺 三郎君
理事
山田 太郎君
理事
西田 八郎君
小澤
潔君 狩野 明男君 北口 博君 北村 義和君 古賀 誠君 桜井 新君 野上 徹君
平沼
赳夫
君 保利
耕輔君
井上
普方君
上坂
昇君 清水 勇君
中村
茂君 渡部 行雄君 東中 光雄君 甘利 正君
委員外
の
出席者
議 長 福田 一君 副 議 長 岡田 春夫君 事 務 総 長
弥富啓之助
君 参 考 人 (弁 護 士) (元
最高裁判所
判事)
松本
正雄
君 参 考 人 (
立正大学教授
)
星野安三郎
君 ─────────────
委員
の異動 三月二十五日
辞任
補欠選任
近藤
元次
君
小澤
潔君
高橋
辰夫
君
平沼
赳夫
君
川本
敏美
君
井上
普方君 同日
辞任
補欠選任
小澤
潔君
近藤
元次
君
平沼
赳夫
君
高橋
辰夫
君
井上
普方君
中村
茂君 同日
辞任
補欠選任
中村
茂君
上坂
昇君 同日
辞任
補欠選任
上坂
昇君
川本
敏美
君 ───────────── 本日の
会議
に付した案件
議員田中角榮
君の
議員辞職勧告
に関する
決議案
(
田邊誠
君外九名
提出
、
決議
第三号)
公共企業体等労働委員会委員任命
につき同意を求めるの件 本日の本
会議
の
議事等
に関する件 ────◇─────
山村新治郎
1
○
山村委員長
これより
会議
を開きます。
田邊誠
君外九名
提出
の
議員田中角榮
君の
議員辞職勧告
に関する
決議案
を
議題
とし、
審査
を進めます。 本日は、
参考人
として、
弁護士松本正雄
君及び
立正大学教授星野安三郎
君のお二人に御
出席
をいただいております。 この際、両
参考人
に一言ごあいさつ申し上げます。 両
参考人
には、本日は御多用中のところ当
委員会
に御
出席
いただきまして、まことにありがとうございます。 本日は、特に深い御見識をお持ちのお二人のそれぞれのお
立場
から忌憚のない御
意見
を承り、もって当
委員会
の
審査
の
参考
にいたしたいと存じます。何とぞ、よろしくお願い申し上げます。 次に、
議事
の
順序
について申し上げますが、初めに、
松本参考人
、
星野参考人
の
順序
で御
意見
をお一人十五分程度に取りまとめてお聞かせいただき、次に、
委員
の
質疑
に対してお答えいただきたいと存じます。 それでは、まず
松本参考人
からお願いいたします。
松本正雄
2
○
松本参考人
それでは申し上げます。
野党各党
から
提出
せられております
議員田中角榮
君の
議員辞職勧告
に関する
決議案
に対する
意見
を述べよとのことでありますから、これに対する
意見
を申し上げます。 まず、
結論
から先に申し上げますと、私は、このような
辞職勧告決議案
を
提出
せられることには
反対
であります。絶対に
反対
であります。 その
理由
を申し上げます。
提案理由
の要旨は、
田中議員
は
受託収賄罪
により
起訴
され、本年一月二十六日、
懲役
五年、追徴金五億円の
論告求刑
を受けた。この
事件
は、
田中議員
が
総理
の
要職
にあった時期の
汚職責任
を問われているもので、
国民
に与えた衝撃は甚大であり、
議会
の名誉と権威を著しく傷つけるとともに、
国民
の
政治不信
を増大させたから、その
政治的道義的責任
を明らかにするために、
議員
の職を辞すべきことを
勧告
するというのであります。
田中
元
総理
が検察庁で取り調べを受け、
逮捕
監禁せられ、本年一月に
検事
から
論告求刑
せられたことは公知の事実で、間違いはありませんが、人は、何人といえども、
検事
から
起訴
せられ、その結果
論告求刑
があったからといっても、それだけで
犯罪
人扱いされるものではありません。
近代法
は、人は
起訴
されても、
有罪
の
判決
があるまでは
無罪
の
推定
を受ける
権利
を有することを
原理原則
としております。これは、一九四八年の
国際連合総会
において
決議
せられた
世界人権宣言
の十一条一項において定めているところであります。すなわち、同条一項には、「
犯罪
の訴追を受けた者は、すべて、自己の弁護に必要なすべての
保障
を与えられた公開の裁判において
法律
に従って
有罪
の立証があるまでは、
無罪
と
推定
される
権利
を有する。」と
規定
されております。そして、
英米等
の
世界
の
文明国
はもとより、この
原則
によっております
わが国
においても、当然にこの
原理原則
が採用せられていることは、
法律家
である者はほとんど常識として心得ていることであります。 したがって、
田中
元
総理
も、
起訴
せられ、
検事
の
論告求刑
があっても、
判決
が確定するまでは、法的には
無罪
の
推定
を受ける
権利
があるのであります。現在は第一審の
判決
すらいまだない状態でありますから、
法律
的には、
田中議員
は
無罪
の
推定
を受ける
権利
があり、
無罪
の
立場
にあります。 このように
無罪
の
推定
を受けている人に対して、
犯罪
を犯したかのごとき取り扱いをして、
辞職勧告
をするがごときことは、はなはだしい
人権侵害
であります。このような
決議案
を出すこと自体、法治国の
国会
にあるまじき無謀な
行為
であると私は考えております。私は、このような点から、
本件決議案
は断じて
提出
すべきではないのではないかと考えております。 なお、引き続いて
国会議員
の
身分
について申し上げたいと思います。この点は、私がここで申し上げるのはそれこそ釈迦に説法で、
議員各位
の方々が十分心得ておられることでありますから、ちょうちょう述べることはいたしませんが、
国会議員
の
身分
は、
憲法
、
国会法等
で厳格な
規定
を設けられており、その
身分保障
は確固たるものがあります。それは
選挙
によって選ばれてその
身分
を取得しておられるので、これは
議会制民主制度
の
根幹
をなすもので、
国会議員
に対する
辞職勧告決議
などは、慎重の上にも慎重に考慮すべきことであります。
本件
は
勧告
でございますが、
勧告
といっても、
国会
の
決議
ともなれば、
当該議員
にとっては実質的には
強制力
を持つものと同様の効果があるものと考えるからであります。
議員
に
辞職
を迫ることは、ある意味では
刑罰
以上に厳しい
制裁
と考えられます。なぜならば、今後
判決
で一審か二審か、あるいは
最高裁判所等
において
無罪
ということになりましたならば、
議員辞職
というような
制裁
を受けたことに対する補償は一体だれが負うべきなのでしょうか。そういう点に考慮をいたせば、
会社等
でたとえば社員が解雇せられ、解雇無効の訴えが起きて、その解雇は無効だという
判決
があった場合に、そういう
判決
を受けた人はまたもとの職場に戻ることができるのですが、
国会議員
にはそういうことはできません。そういう償いは一体だれがするのでしょうか。こういう点において大きな人権問題だろう、こう考えております。
皆さん
御
承知
のように、「
法律
なければ
犯罪
なし、
法律
なければ
刑罰
なし」、これは
憲法
の
基本的人権
である
罪刑法定主義
をうたったものであります。御
承知
と思いますが、
憲法
三十一条は、「何人も、
法律
の定める
手續
によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の
刑罰
を科せられない。」ということを言っております。これは
近代的法治国家
の
原則原理
であることは
皆さん
篤と御
承知
のことでございます。こういう点から申しましても、こういう
辞職勧告決議案
というものは、
憲法
上も非常に疑義があるんじゃないかと私は考えております。 なお、時間があるようですから若干申し上げますと、本
決議案
は
田中議員
の
政治的道義的責任
を問題にしておられるようであります。私は
ロッキード事件
については何の
関係
もありませんし、詳しいことはほとんど知りませんが、新聞、
雑誌等
の報ずるところによりますと、
田中議員
は
起訴
事実をほとんど否認しておられるようであります。
収賄
の事実を否認し、
職務権限
についても争っておられるようであります。したがって、何が
道義的責任
なのか、何が
政治的責任
なのか、私には、この
決議案
だけを見たのでははっきりいたしません。もし
田中議員
が主張しておられるように、
検事
の
起訴
事実が間違っているとか虚構であったとすれば、
政治的責任
とか
道義的責任
とかの問題は発生する余地がないと考えられます。 さらにまた、元来
政治的責任
とか
道義的責任
とかの問題ははなはだむずかしい問題でありまして、人はその
社会生活
においてさまざまな
価値観
、
倫理観
を持っておりますから、
一つ
の基準というようなものがないのであります。結局は
当該個人
が判断すべき問題だと考えております。
政党
がこういう点について
個人
に
圧力
をかけてどうこうするということはいかがなものでありましょうか。 以上のような
理由
から、この
決議案
の御
提出
には
反対
でございます。 以上申し上げます。
山村新治郎
3
○
山村委員長
ありがとうございました。 次に、
星野参考人
にお願いいたします。
星野安三郎
4
○
星野参考人
御指名によりまして、
議題
であります
田中角榮議員
に対する
辞職勧告決議案
につきまして、
憲法研究者
の
立場
から、また
主権者国民
の
立場
から
意見
を申し上げたいと思います。
結論
と申しますか、基本的な
立場
でございますが、
日本国憲法前文
に示された
人類普遍
の
原理
としての
国民主権原理
、また
政治道徳
の法則は普遍的であるというような
原理
、その
具体化
としての、たとえば
憲法
十五条に示された
公務員
の
選定
、
罷免権
は
国民固有
の
権利
である、あるいは四十一条の
国会
は
国権
の
最高機関
である、あるいは四十三条の全
国民
を
代表
する
選挙
された
議員
、そういう
立場
からこの
決議案
に基本的に賛成するものでございます。 このような基本的な
立場
から、以下四点につきまして私の
意見
を申し上げたいと思います。 第一の点は、この
決議案
の
法的性質
の問題でございます。 これは形式的に見てあくまで
勧告
にすぎず、何ら
法的強制力
は持たないということでございます。また内容的に見ましても、
田中議員
の
刑事責任
を追及するのではなくて、
国民主権原理
に基づく
政治的道義的責任
を問うものであり、しかも
同僚
として、その
倫理観
に刺激を与えるという
性質
のものだろうと思います。したがいまして、三権分立で、この
国会
の
決議案
は、たとえば
司法権
に
圧力
をかけるとか、
司法権
の独立を侵すとかいうものとは全く
関係
のないことだというふうに思うわけでございます。 ところで、
刑事的責任
と
政治的責任
について、実は
田中議員自身
が明確に述べておられると思います。これは第一回の公判における
被告人陳述
の際に次のように述べておられます。
起訴
事実の
有無
にかかわらず、いやしくも
総理大臣在職
中の
汚職
の容疑で
逮捕
、拘禁せられ、しかも
起訴
に至ったということは、それだけで
総理大臣
の栄誉を汚し、
日本国
の名誉を損なったこととなり、
万死
に値するものと考えました。 このように述べております。「
起訴
事実の
有無
にかかわらず、」という、これは要するに
政治的責任
の問題でございますが、その後
政治的責任
について「
万死
に値する」と述べている。 さらに、去る八三年一月二十六日に行われました第一審における
検察官
の
論告求刑
について申します。 そこでは、この
事件
としては
最高刑
の五年の
懲役
、しかも戦後の
汚職史上
最も極刑を論告しているわけでございますが、
情状論
の中では、
本件
は、国の
行政
の
最高責任者
である
内閣総理大臣
に係る
事件
であること、賄賂の額が現金五億円に上る巨額であること、国際的な
犯罪
であること、その
犯情
は悪質であること、
証拠隠滅工作
を行いとか、反省の色は全く見られないなどと厳しく指摘して、
刑事責任
について次のように述べております。 右の如き犯行の態様及び
犯情
をみると、
田中
が永年にわたり
国政
に参画し、その間、
内閣総理大臣
をはじめ、
大蔵大臣
、
通商産業大臣等
数々の
要職
を歴任し、
国家社会
のため少なからぬ功績を挙げたとしても、その
刑事責任
は極めて重かつ大であるといわなければならない。 というふうに述べております。 さらに重要と思われますのは、
田中議員
の
政治的道義的責任
について次のように指摘している点でございます。 しかして、
国政
の頂点に立つ者にかかる
本件
の如き
行為
は、職務の公正と廉潔を旨とすべき
公務員一般
の綱紀のみならず、
国民
全体の
道義
の維持に深刻な影響を及ぼし、
わが国
の
政治
・
行政
に対する
国民
の信頼を著しく低下させるものであり、この
種行為
に対する厳正な処断を欠くときは、ひいては、
民主政治
の
根幹
を揺がす虞があるといっても過言ではない。 このように述べております。 もちろんこの
論告求刑
は、
刑事事件
としては第一審の
論告求刑
にすぎませんし、まだ一審の
判決
も出ておりません。さらに最高裁で
無罪
という
判決
が出るかもしれません。それはわかりませんけれども、仮に出たことにおきまして
刑事的責任
は一切ないとしましても、先ほど
田中議員自身
が述べられたことや、
検察官
が指摘された
政治的道義的責任
というものは免れるものでは絶対ないと私は考えるわけでございます。 ましてや、いわばごく
下級公務員
の
汚職
というようなことでなしに、いやしくも一国の
総理大臣
の在職中の
事件
につきまして、
検察官
が
逮捕
、拘禁したり
起訴
するからにはそれだけの
——
これは国内問題だけではなくて、国際問題でございます。それだけの十分な自信がなければ、軽々にしなかったはずだと思います。またそれだからこそ、
田中議員
が一審の陳述でそのように述べたのだろうと私は思うわけでございます。 このことを
憲法
的に申しますと、先ほど申し上げましたような、
前文
に示された普遍の
原理
に違反するのではないか。すなわち
国民主権主義
とは
反対
に、
主権者国民
の厳粛な
信託
を裏切ったこと、あるいは
国民
の
代表
としての
資格
を欠いている。またその
福利
は
国民
が享受する、こう書いてありますが、それと
反対
に、どうも
田中
さん
自身
が
福利
を享受したということにおきまして、まさに
憲法前文
に示された「そもそも
國政
は、
國民
の嚴粛な
信託
によるものであって、」以下の
原理
に真っ向から違反する、それを否定するものだ。したがいまして、このような
道義的政治的責任
を痛感されまして、ちょうどこの問題の相手である
ニクソン大統領
は疑いで
辞職
されて、
政界
から引退をされましたが、それと同じように
田中
さん
自身
が
議員
を
辞職
し、
政界
から引退すべきが当然だったのではないかというふうに私は思います。 さらに
田中
さんが
総理大臣
になったのは、
自由民主党
の
総裁公選
でなったわけでございますから、
政権政党
である
自由民主党
の党員や
議員諸公
が、
同僚
としてそのような総裁を選んで
内閣総理大臣
に指名したという
責任
を感じて、
同僚
として
辞職
を
勧告
したり、あるいは
除名
というようなことをやるべきではなかったかと思いますし、そういうことは、当然
自由民主党党員
や
議員
さんにも支持されたのではないかというふうに私は思うわけでございます。 次に、第二の点でございます。私は、いま申しましたように、
国民主権
の
原理
からこの
決議案
に基本的に賛成すると申し上げましたが、それと全く逆に、
国民主権主義
の
原理
に違反するのではないかという御
意見
があることでございます。 これは、いわゆる
みそぎ論
とか
洗礼論
、そういうこともあったが
——
数次の
選挙
によって、
選挙民
から
洗礼
、みそぎを受けて当選しているではないかということと
関係
するわけでございますが、
田中議員
が
主権者
である
選挙民
から
選挙
によって選出された以上、
選挙
以外の方法によって
議席
を失わせるようなことは慎重でなければならぬ、これは
法的拘束力
はないけれども、実質的な
影響力
を与えるということにおいて問題だ、こういう消極的な御
意見
でございます。 しかし、このような御
意見
は、いわゆる
国民代表制
の
理論
、すなわち
国民代表
というのは、
命令委任関係
ではないという
理論
、あるいはそれの
具体化
としての
憲法
四十三条に
規定
する「全
國民
を
代表
する選擧された
議員
」についての誤った認識と解釈によるものと思われます。 御
承知
のように、「全
國民
を
代表
する」という
規定
は、ある
候補者
に投票した特定の
選挙
区の
選挙民
の
意思
を
代表
するという点で
命令委任
ではございません。それと全く逆に、選出された
議員
は、個別具体的な
選挙民
の
利害
や
意見
に拘束されることなく
国民
全体の
奉仕者
、
憲法
十五条に言う、
公務員
は
国民
全体の
奉仕者
として全
国民
を
代表
するものでなければならないということでございます。
命令委任
とか
国民代表
の
理論
というのは、もう古典的な
理論
でございますし、いまさらくどくど申し上げる必要はないと思いますけれども、仮に
命令委任
ではないという
意見——命令委任
だとした場合にさまざまな矛盾が出てくるわけでございます。たとえば
A候補
に投票し、
A候補
が当選したとしても、その投票した個々の
選挙民
は、あるいは私的な、あるいは地域的な
利害
を期待して投票したかもしれません。そうでございますから、投票した
人個々人
の間に
意見
や
利害
の対立だってずいぶんあるだろうと思います。それじゃ
A候補
に投票しなかった者は
代表
されないのか、あるいは棄権した者についてはどうなのかというような問題、さらには
選挙権
の
資格
について、古くは
財産
とか教育とか性別などによる制限がございました。今日でも
年齢制限
があるのでございますから、そうしたならば、
命令委任
ということになると、その人に投票した者だけしか
代表
しないということになる、あるいは一切
代表
されないということになる。それでは困るので、全
国民
を
代表
する、要するに
命令委任
ではないという学説が出てきたのだろうと思います。 さらに、
議会政治
の問題で、
議員
の
資格
とか
責任
というようなことで、
議員
は以前は
報酬
を当てにしない
名誉職
とされておりました。したがって、
政治家
というのは井戸塀、要するに
社会公共
のために、
報酬
を期待するどころか私財をなげうって奔走して井戸と塀しか残らなくなったということで、これは
名誉職
と考えられておった。あるいは
選挙権
について、たとえば
有産者
に限ったのは、
財産
や一定の
税金
を支出する者だけが
公共心
や愛国心を持つのであって、そのような
財産
や
税金
を払わない者は結局は
私的利益
で動くものだから、そういう者には
選挙権
を与えないという
考え方
、あるいは
選挙権
の
性質
につきまして、一面
権利
だけれども、それは
国民
全体の
利益
、
公共
の
利益
に奉仕することであって、一面公務であり義務だという
考え方
、あるいはまた、日本の歴史において、
地方政治
においては
公民
と
住民
を分けて、二十五歳以上の男子で、一戸を構え、直接国税を二円以上納める者を
公民
として、それに
選挙権
、被
選挙権
を与え、
住民
には一切
選挙権
を与えなかった、しかもその
理由
として、われわれは
無産無知
の小民が
地方政治
に口を出すことを欲しないというような
市制町村制理由
の問題とか、あるいは戦後では、御
承知
のように参
議院
の全国区制の問題、その中から選出された
議員
というのは、その選出をした
選挙民
の個々的な
利害
や
意思
を
代表
するのではなくて全
国民
を
代表
するということでございます。したがいまして、先ほどのような
洗礼論
というのは根拠がないだろうと思います。 その点で
一つ気
になっておりますのは、昨年の八月でしたか、
自由民主党
の
憲法調査会
が
中間報告
を出されましたが、四十三条の
規定
から「全
國民
を
代表
する」というのを削除するというのが出されていることは、私は
大変気
になるわけでございます。どうも
田中
さんを擁護する
意思
があったのではないか。これはげすの勘ぐりでございますが、要するに「全
國民
を
代表
する」ということは、単なる名目ではなしに、実は
国民代表制
、
議会民主制
の本質にかかわる問題だということで申し上げます。 さらに第三は、第二と
関係
するわけでございますが、この
決議案
は、
議員
の
議席
を失わせる際の
資格争訟
(五十五条)あるいは院内の秩序を乱した
議員
の
懲戒
、
除名
(五十八条)などの
議員
の
身分保障
に違反するのではないか、それに抵触するのではないかという
意見
についてでございます。 実は、これらの
規定
というのは、
議員
の不
逮捕特権
を定めた五十条とか、
議員
の発言、表決の無
責任
を定めた五十一条など、院外からする
議員
の
身分保障
とは
憲法
上の
性質
を異にしております。むしろこれは
議院
の
自律権
の
規定
と言ってよいと思います。言いかえますと、
特権
は義務づける、ノーブレスオブリージという言葉がございますように、
議員
はさまざまな
特権
にあぐらをかいて甘んじてはならず、全
国民
の
代表者
としての
責任
を全うするため、自戒自粛するための
議院
の
自律権
と言っていいと思う。相互に
懲戒
とか
除名
とか、
資格争訟
の問題はそういうことだと思います。 大学で自治を認められた私には、
同僚
の
任免権——
私
自身
も
懲戒委員会
で
懲戒
したことがございます。あるいは
弁護士会
がやはり仲間を
懲戒
して
除名
というような、そういうことと本質的に同じだと思います。したがいまして、この
決議案
は
身分保障
に違反するのでは毫もないと思います。むしろ
憲法
十五条に定める
公務員
の
選定
、
罷免権
は
国民
の固有の
権利
であるとしたそのような
国民主権
を、今度の
議会
がいわば代行するものと言ってよろしいのではないかというふうに思うわけでございます。 次は第四の点でございますが、この
決議案
を採択されますことの
必要性
と
緊急性
についてでございます。
検察官
の
論告求刑
後の
世論調査
によりますと、
田中議員
の
辞職
を要求する者は七五%、
自由民主党
の
支持者
の六九%までがそのことを支持しておられます。また
週刊誌
などによりますと、小金井市とかその他の
地方議会
で
田中議員
の
辞職勧告
を支持する
決議
がなされてきている
状況
がございます。さらに
愛国党
など右翼の
人たち
もどうも
辞職
を要求しているようでございますし、また腐敗と
汚職政治
を打倒する自衛隊の
クーデター計画
など、こういうことも問題になっている
状況
でございます。 このような
状況
は、政権を担当する
自由民主党
や
中曽根内閣
の
政治倫理
の
確立
に対する消極的な態度、あるいは
ロッキード汚職
を覆い隠すような文部省の
教科書検定
の問題、あるいはまた
田中議員
が知事二十七人を支配しているという
週刊誌
の指摘など、そういうことに対する
国民
のいら立ちと反発を示すものと言ってよいのではないかと私は思います。そして
田中議員
の
選挙
区においても
選挙ごと
に
支持票
が少しずつ減少の傾向をたどっているのを見ますと、これはそのような
辞職
されることを当然とする
世論
の反映と見てよいのではないかというふうに思います。 いずれにいたしましても、このような
決議案
を支持する
国民
の
世論
は高まっていると思われます。私たちは、民の声は神の声として、この
決議案
を速やかに採択されるよう
——自由民主党
においても支持され得るものだというふうに私は思います。さらに
政治倫理
の
確立
のために、
国権
の
最高機関
としての
国会
が
国政調査権
を活用したり新しい立法を制定されて、本当に
国民
的な要望である
政治倫理
の
確立
の実を示していただければありがたいと思います。 私の
意見
を終わります。
山村新治郎
5
○
山村委員長
ありがとうございました。 以上で
参考人
からの御
意見
の開陳は終わりました。 ─────────────
山村新治郎
6
○
山村委員長
次に、
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。 なお、本日は時間も限られておりますので、
質疑
時間につきましては、
理事会
での申し合わせのとおり御協力をお願いいたします。
広瀬秀吉
君。
広瀬秀吉
7
○
広瀬委員
きょうは、
松本参考人
、
星野参考人
、どうもありがとうございます。 私は、この
決議案
を
提出
した
提出者
の一人であります。そういう
立場
で
松本参考人
にちょっと御質問をしたいのであります。 私どもがこの
決議案
を出しました
理由
は、先ほど
松本先生
も一部読み上げられたりいたしまして、よく御存じかと思うのでありますが、まさにこの問題についての
政治的道義的責任
を
国民
の前に明らかにさせたい、こういうところにねらいがあるわけであります。先生が、主として刑事法上の
有罪
が証明されるまで、確定
判決
で
有罪
ということにならない間は
無罪
の
推定
を受けるのだと言われる。そういうことも私ども、刑事法上の
原則
として、また被告人の人権の一部として
承知
をしないわけではありません。しかし、私どもの
田中角榮議員
に対する
辞職勧告
の
決議
というのは、そういう刑事法上の
立場
、あるいはまた一審段階ではないか、しかもその一審の中で
論告求刑
があった段階である、そういうことにかかわりなく、先ほど星野先生の御
意見
にもありましたように、この提案の趣旨にも明確にしておきましたように、
国民主権原理
といいますか、
政治家
、特に
国会議員
は、
国民
の厳粛なる
信託
によって
政治
を行うものである、そして全身全霊を挙げて
国政
に尽瘁をする、その
福利
は
国民
が享受をする、こういう
国民主権原理
に基づいて、きわめて重大な責務を
国民
の前に負っている。したがって、その厳粛なる負託にこたえていく姿勢が必要であるにもかかわらず、今回、先ほどの星野先生の言葉によれば、その
福利
を自分で受けてしまった、これは大変皮肉な、痛烈な言葉でありましたけれども、そういうことが果たして
政治家
として許され得るものであるかどうか。
法律
上、あるいは刑法上の論理として、
有罪
の
判決
が確定するまでは
無罪
の
推定
を受ける、これが人権であるということでありますが、
法律
上の
権利
だとかそういうもの以前に、私どもはやはり
国民主権原理
という、
憲法前文
でうたっているその原点に立って、
政治家
は、「李下に冠を正さず」という古来の言葉もあるように、おのずからそういう
立場
でおるべきである、身を慎むべきである。 しかるにもかかわらず、
総理大臣
としての現職時代に、その
職務権限
を行使をして賄賂を受け取ったということ。そういう疑いを持たれただけで、
田中
さん
自身
、この公判延の冒頭
陳述
の中でも、この事実があろうとなかろうと、一国の
総理大臣
であった者がそういうことで
逮捕
、拘禁をされることは、まさに
万死
に値する、罪とは言いませんでしたね、その辺があれかもしれませんが、
万死
に値するということであったならば、
逮捕
された段階あるいは
起訴
された段階において
辞職
されることが、
国民
の厳粛なる
信託
を受けて
国政
に携わる者として当然であったのではないかということであって、一定の裁判上の段階において三審制を無視しているとかなんとか、そういう
刑事事件
とは全く別個にわれわれは物を考えたいということであります。 特にロッキード問題が発生した場合に、長く続き過ぎた自民党
政権
の中で、金権腐敗の構造をもはやこれ以上放置してはならないという
国民
世論
の大変な高まりを受けて、
国会
では特別に、この
事件
の真相を解明すべきである、それと同時に、その徹底的な真相解明を通じて、その
政治的道義的責任
を明らかにすべきであるということをみずから
決議
をしたわけであります。 そしてまた、与野党の、その件での対立をめぐって数十日のブランクが生じ、議長裁定、党首会談というようなこともあって、
国会
が
国権
の
最高機関
であるだけに、そういう
国民
の厳粛な
信託
を受けているわれわれであるからというので、どこかからの
強制力
で
議員
の職を辞するというようなことは、
法律
上定められた一定のもの以外はほとんどないわけでありますが、それにもかかわらず、われわれはどうしてもそういう問題とは別に、
政治的道義的責任
を
国民
の前に明らかにする、こういう
立場
で
田中議員自身
が自発的に
辞職
されてしかるべし、こう思っておりましたけれども、一向にその気配もないし、反省も全くない。こういうことで、
議員辞職
を
国会
で
勧告
する。 これはやはり
国会
自身
が
最高機関
としてみずからを清くする以外にやりようがないことである。そういう
立場
で、私どもは
国会
の自浄作用の一環として、そういうことは当然許さるべきことであるし、また、なすべきことである、こう考えているのですが、いかがですか。
松本正雄
8
○
松本参考人
お答え申し上げます。 ただいまお話しになりました
国会議員
の
政治
的倫理の点、全く同感でございます。 ただ、先ほど私が申し上げたのは、主として法的見地からの話でございまして、私はもう五十年前に弁護士を登録して以来ずっと弁護士生活をやり、その間しばらく裁判官をやったこともございますが、やはり
基本的人権
というものが頭にしみついておりますので、私が申し上げたことはつい
基本的人権
に触れることが多かったのでございますが、いまお話しのように、
政治的道義的責任
についてどう対処するか、これも先ほどちょっと触れましたように、その人
個人
個人
の良心の問題であり、御
自身
がお決めになることで、こういうように
決議
として
国会議員
に突きつけることに、私は
反対
なのでございます。
山村新治郎
9
○
山村委員長
渡辺三郎君。
渡辺三郎
10
○渡辺(三)
委員
日本
社会党の渡辺でございます。 本日は、両先生、お忙しい中をありがとうございました。 関連して簡潔に御質問申し上げたいと思いますが、先ほど来両先生から、今回の問題について主として
法律
的な
立場
からいろいろ
参考
の御
意見
を承りました。いま
同僚
の
広瀬委員
も言いましたように、野党がこぞってこの
辞職勧告決議案
というものを
提出
した本来の趣旨は、あくまでも、このままでおっては、
日本
の
民主政治
が
国民
全体の大変な不信を買ってしまい、まさに
民主政治
の
根幹
を揺るがしてしまうのではないかという反省の上に立って、私どもはこの
決議案
を
提出
することにいたしたわけであります。 いまもお話がありましたように、昭和五十一年の二月二十三日、衆
議院
の本
会議
で、第七十七
国会
でありますけれども、これに対しての院の
決議
を行っております。これはまさに私がいま申し上げましたように、このまま推移するならば
日本
の
民主政治
というものは大変な危機に陥ってしまうのではないか、したがって、
国会
自体もこれを徹底的に、迅速に究明をする努力をしなければならない、こういう異例の特別の
決議
が行われたと思っておるわけであります。その上に立って、今日まで
国会
自体が自浄能力を持つように努力をしてまいりました。しかし残念ながら、今日まで長い期間
たち
ましたけれども、御本人の反省がきわめて不十分であるというふうなことから、
国民
全体のこれに対する批判がますます高まってきた、こういうふうに考えておるわけであります。 したがって、それぞれ
法律
的な専門的な
立場
から非常に
参考
になる御
意見
をいま承ったわけでありますけれども、
法律
的な観点でいえば、こういう問題、ああいう問題と、いろいろな疑点がおありかもしれません。しかし、問題の本質は、先ほど来いろいろ言われましたように、
国権
の
最高機関
たる
国会議員
としての、一般の
国民
には与えられておらない当然の
権利
といいますか、そういうものがございますだけに、なおさらこの問題については、
国会
自身
が
国民
の
信託
にこたえるための措置をすることは、私は当然の
責任
だというふうに考えておるわけでありまして、時間がございませんから簡潔に締めますけれども、このような私どもの基本的な
考え方
についての両先生の御見解を、それぞれ
松本先生
、それから星野先生から承って、私の質問を終わりたいと思います。
松本正雄
11
○
松本参考人
御質問の趣旨がちょっとはっきりいたしませんが、どう答えたらいいでしょうか……。
渡辺三郎
12
○渡辺(三)
委員
本日の
参考人
から承りました
意見
は、
法律
的な観点でいろいろこの問題についての御見解を賜りました。しかし、私どもが出しておりますこの
辞職勧告決議案
というものは、先ほど来私申し上げましたように、
国権
の
最高機関
の
国会議員
であり、かつ、内閣の
最高責任者
である、重大な
責任
を持っておる
総理大臣
であった人の
在職
中に起きた
事件
であります。したがって、これに対して
国民
から、
国会議員
がこれでいいのか、
内閣総理大臣
がこういうことでいいのか、こういう意味での批判がほうはいとして起こって、それに対して
国会
自体が第七十七
国会
で、この問題についての真相究明を早急にやらなければならない、
責任
を明らかにしなければならないという
決議
もいたしたわけであります。それに従って今日まで、
国会
もそれなりの調査を行い、活動を行ってまいりました。こういう問題について先生は一体どういう
考え方
をお持ちですか、こういうふうにお伺いしているわけです。
松本正雄
13
○
松本参考人
お答えします。 結局問題は、
起訴
せられているような事実があるのかどうかということが前提になると思いますが、それがはっきりしないでは、こういうような
決議案
の御
提出
はいかがか、こう思うのです。 いま事実
関係
を究明したとおっしゃいましたけれども、事実
関係
の究明ではなかろうと思うのです。御
承知
のように、事実
関係
の究明、捜査をやるのは警察と検察庁で、ほかのものも調査することは自由でしょうけれども、法的機関としては警察と検察庁です。事実
関係
の何の究明か、
辞任
について本人にいろいろ言われたのか、しかし本人が
辞任
されないのでこういうふうになったのだがどうかというようなことかと思いますが、さっきも言いましたように、
辞任
はあくまで本人の良心の問題で、ほかから押しつけるべき問題じゃない、私はこう考えております。 お答えになりますかどうかはっきりしませんけれども……。(渡辺(三)
委員
「先生の見解をお聞きすればよろしいのですから」と呼ぶ)
星野安三郎
14
○
星野参考人
先ほど申し上げましたように、この
決議案
が刑事被告人の
刑事的責任
を追及する、そういう
責任
の問題であるならば、いま
松本先生
がるる述べましたように、
有罪
の
判決
があるまでは
無罪
の
推定
を受けるということで、刑事被告人の人権は絶対に
保障
されなければならないのでございますが、問題は、今度は法的といっても、
憲法
のたとえば
前文
の
人類普遍
の
原理
とか
政治道徳
の法則は
普遍
的であるとか、そういった
国民主権主義
とか民主主義とかいうのは、一定の
政治倫理
の上に成り立っていると思うのです。もちろん個々の
倫理観
というのは人によって違いますけれども、このような一定の
政治
哲学、
政治倫理
あるいは民主主義の倫理というものを、
憲法
とかさまざまの
法律
というものは前提にしているわけで、そこから
責任
があるだろうということでございますね。 しかもまた、いまこの
刑事的責任
、そういう容疑があったのかどうかということでございますが、先ほど申しましたように、きわめて小さな権限しかない
公務員
の
汚職
というのではなしに、
内閣総理大臣
在任中の容疑でございますね。しかも現在の
内閣総理大臣
は、明治
憲法
下の天皇に匹敵するほどの絶大な権限を持っておるわけであります。また御
承知
のように、たとえば法務大臣を通じて指揮権を発動して、検察のそういう捜査だってやめさせ得るだけの、そして
田中
さんは現在でも内外ともにやみ将軍と言われ、田
中曽根内閣
と言われるような、それだけの実力を持っておる方でございます。それをいわばその末端機関の検察が本当に
逮捕
、拘禁したり
起訴
するからには、それこそ冤罪になるようないいかげんなことは絶対にあり得ないだろう。これはまさに内外の、とりわけ
日本国
民とか
日本国
家の名誉を失墜する、いわば外国にも
影響
を与える
事件
でございます。私は捜査官でございませんし、
検察官
でございませんからわかりませんけれども、私がたとえば
論告求刑
、これまでのあれを読んだ限りにおいては、それはあったろうとしか
推定
できないわけでございます。 要するに、そういうことの
政治的責任
、
道義的責任
を
国民主権主義
の
立場
から
同僚
として追及するということであります。しかも拝見しますと、賛成されている方は二百人以上でございますね。そしてそれぞれの
政党
は、政策、
意見
についてはさまざまな対立がありながら、事この問題については野党のほとんど全員が一致したということは、それだけの
必要性
を感じているからではないだろうかと私は思うのです。 そしてまた、
緊急性
について申し上げましたが、きのうの毎日新聞の「記者の目」として、「スッキリせぬ
国会
審議」「注目の
田中
辞職勧告決議案
」というのがありました。これが正しいか正しくないかは別として、どうも党利党略の
立場
から、野党も与党もいいかげんになっているのではないか、もっとすっきりしてほしいというような要望がございますが、そういう点からすると、与野党一致してこれは
決議
できるものではないか。そうすることによって初めて
政治倫理
の
確立
について、また
国民
の厳粛な
信託
による
国政
に信頼と期待を回復することができるのだろうというふうに私は思うわけでございます。
山村新治郎
15
○
山村委員長
山崎拓君。
山崎拓
16
○山崎(拓)
委員
両
参考人
から大変貴重な御
意見
を承りまして、大変勉強させていただいたわけでございます。 そこで御質問を申し上げますが、実は本
国会
の再開劈頭におきまして各党の
代表
質問がございましたが、その中で某
政党
から、このような
代表
質問の中での
陳述
があったわけでございます。読み上げますと、「元
総理
田中
角榮君を中心とするこの
事件
で、わが党は、党独自の調査を系統的にやってまいりました。そして、
田中
君がアメリカのロッキード社から巨額の資金を受け取ったなどの事実とその
政治
的
犯罪
性は、裁判の結果を待つまでもなく明白である」重ねて読み上げますと、「裁判の結果を待つまでもなく明白であることを指摘してまいりました。一昨日の検察側が行った
論告求刑
は、わが党の調査と主張の正しさを裏づけたものである」という
陳述
でございます。 これは日ごろいわれなき検察ファッショについて常に論難をしている
立場
の
政党
の御発言でございまして、大変驚愕をもって聞いたのでございますが、もし今回のこの
決議案
が、このような
考え方
に基づいて
提出
されたものであるといたしますと、これは
考え方
によりましては、院が被告人の断罪を行うということ、そういう感もなきにしもあらず、こういうことになるわけでございまして、三権分立や
司法権
の独立を侵すことになるのではないか、このように懸念するわけでございます。この点につきまして、まず
松本参考人
の御
意見
を承りたいと存じます。
松本正雄
17
○
松本参考人
お答えいたします。 ただいまの質問を兼ねた御
意見
とも承れますが、御
意見
に関する部分は全面的に賛成でございます。 ただいまお話しのように、どこの
政党
か知りませんが、裁判の結果を待つまでもなく云々と、まるで予断をされるようなお言葉は、法治国家の
国民
として慎むべきことではないかと思います。
山崎拓
18
○山崎(拓)
委員
続いて
星野参考人
にお伺いいたしますが、
星野参考人
の御
意見
の中で、今回の
田中議員
逮捕
につきましては、元
総理
を
逮捕
せられたのでございますから、検察側が十分な自信があればこそ
逮捕
に踏み切ったのだということを二回にわたりまして述べられたわけでございます。そうなりますと、
星野参考人
の御
意見
も、いまの私が御紹介申し上げました
政党
と全く同じ
立場
に立って御
意見
を述べられたのではないか。裁判の結果を待つまでもなく明白である、こういう
考え方
を述べられた、このように思いますが、いかがですか。(発言する者あり)
山村新治郎
19
○
山村委員長
御静粛に願います。
星野安三郎
20
○
星野参考人
先ほど最初に申し上げましたように、私は
刑事事件
、しかも
収賄
というような
事件
については、刑事訴訟法やさまざまな点で、最高裁の最終
判決
で
無罪
という
判決
があるいは下るかもしれない、したがって
刑事的責任
はなくなったとしても、
政治的責任
は免れないということを申したわけでございまして、私は確実にそれをやった、したがって
有罪
にすべきであるというようなことを考えたこともございませんし、申したわけではございません。
山崎拓
21
○山崎(拓)
委員
星野参考人
が引用されたのでございますが、求刑公判での情状、これは
起訴
事実が真実であればという前提があるのではないか。
起訴
事実が真実でなければ、たとえば
政治的責任
あるいは
道義的責任
というのはない。逆に言えばそういう前提に立っているのではないか。
起訴
事実が真実であるがゆえにそういう
政治的責任
や
刑事的責任
が発生する、こういう
立場
に立っての
情状論
ではないかと思うのですが、いかがでございますか。
星野安三郎
22
○
星野参考人
ですから、その真実というのが、いわば刑事訴訟法やあるいは個々のそういう法的な真実、要するに法的にさまざまな手続と証拠によって証明される真実かどうか。私は刑事的な問題をここでは一切論じているわけではございません。そしてまた、この
決議案
もそういうことだと私は思いまして、先ほど言ったような事情から、とにかく
総理大臣
が現職中の
事件
についてそのようなことがあったからには、恐らくそれだけの、そしてこれは国際的な大きな問題にもなることですから、それだけの自信と確信を持ってやったのだろう。にもかかわらず、それが証拠法上とか刑事訴訟法上のさまざまな点で
無罪
になることは十分あり得るわけでございます。したがって、
刑事事件
としての
事件
の真実性とかなんとかということは一切私は問題にしていないわけであります。
山崎拓
23
○山崎(拓)
委員
そうであれば、
無罪
になることはあり得るということでございますれば、仮に
辞職勧告決議案
が成立をいたしまして、先生は
強制力
はないとおっしゃいましたが、
強制力
がございまして、事実上あってやめたとした場合、そしてまた
無罪
になった場合、これはその
議員
に対する救済について、あるいは補償についてどういうふうにお考えでございますか。
星野安三郎
24
○
星野参考人
倫理の問題というのは、本人の内心の問題でございますから、昔から、たとえば嫌がる馬を水を飲ませるために川ふちまで連れていくことはできる、けれども、嫌がる馬に水を飲ませることはできないと言われますように、人間の倫理の問題というのは、外的な強制に屈するものではございません。したがいまして、このような
決議案
が出されて
田中議員
がおやめになるかどうかはその方の自由といいますか、もし
責任
を感じているならばおやめになるでしょうし、感じていなければ、断固、千万人といえどもわれ行かんというその道を歩まれるかもしれません。したがって、まさに
同僚
議員
として
政治
責任
を感じていることを、その決意を促す、それが
勧告
の趣旨だろうと私は思うわけでございます。したがいまして、そのことによっておやめになって、最高裁で
無罪
の
判決
が出たからといって、別に本人はだれに損害賠償とか慰謝料を請求するものではないでしょう。私が仮に
田中
さんならばそれでよかったのだというふうに考えるのではないかと思います。
山崎拓
25
○山崎(拓)
委員
星野参考人
は、冒頭に
原理原則
的な問題として、
憲法
四十一条を引用されたわけでございます。
憲法
四十一条は
国会
は
国権
の
最高機関
であるということを定めてございます。その
国権
の
最高機関
における
決議
、今回の
決議
でございますが、そういう
決議
についてどういうふうにお考えでございますか。重大であるとお考えでございますか。それともそれほどでないというふうにお考えでございますか。
星野安三郎
26
○
星野参考人
大変重大でございます。重大でございますが、その重大なことをせざるを得ないのは、先ほど申しましたように、
田中議員
が第一回の公判での
陳述
のとおり、
政治
責任
を感じておやめになっておったならば、もうこんなことをする必要は全くなかったわけでございます。
山崎拓
27
○山崎(拓)
委員
重大であるにもかかわらず
強制力
はないのですか、重大であれば
強制力
があるはずでございますが……。
星野安三郎
28
○
星野参考人
したがって、言いかえますと人間の内面の問題ですから、これは
強制力
というものはないのでございます。要するに本人が
政治
責任
を、第一審で言われたことが本音だったならばまた改めてそのことを、
同僚
の
勧告
をそうだと言って受け入れるかどうか、こういうことだと思っております。
山崎拓
29
○山崎(拓)
委員
ただいまの論理で考えてまいりますと、院の
決議
は大変重い、重大であるということをお認めになりました。一方では、院の
決議
はございましても、従うかどうかは本人の自主判断だという趣旨のお話であったと思います。 そういたしますと、仮に院の
決議
がなされましてもこれは実行されないということになりますと、
決議
の意味はないではないかということがございます。(「そんなことはないよ」と呼ぶ者あり)それから院の権威を失墜することになりはしないか。院の
決議
につきまして国是ともいうべきほど重いという御
意見
の
政党
もあるわけでございまして、そういうことからいたしますと、実効を伴わないような
決議
をすることはいかがなものかというふうに考えるのですが、その点いかがですか。
星野安三郎
30
○
星野参考人
むしろこの
決議
をされたということだけで大きな
政治
的な意味があるということでございます。御
承知
のように
ロッキード事件
というのは、
日本
の
国会
で問題に発展したのじゃなくて、アメリカの
議会
で、そこから今度は
日本
の
国政調査権
の問題で、それでやはりそこでも十分に解明されずに、
国権
の
最高機関
としてどうなのかという
国民
の不信というかそういうものがあったわけです。そのときにおいてこのような
決議
がなされるということは、しかも、仮に与野党全会一致であるならば本当にその
責任
を感じているのだということであり、にもかかわらずそれに本人が服するか服さないか、それは本人の問題であって、
国会
の権威とは全く
関係
ないと思います。
山崎拓
31
○山崎(拓)
委員
ありがとうございました。
山村新治郎
32
○
山村委員長
山田太郎君。
山田太郎
33
○山田(太)
委員
本日は両
参考人
にはお忙しいところおいでいただきまして、貴重な
意見
を開陳いただきまして、まず冒頭に厚く御礼を申し上げておきたいと思います。 そこで二、三両
参考人
にお伺い申し上げたいわけでございますが、申すまでもなく、
ロッキード事件
は
日本
の
議会
制
民主政治
の
根幹
を揺るがすような
事件
であったことは、
国民
の多くが一致して見ているところでございます。また同時に、この
辞職勧告決議案
も野党一致して提案した、これも重大な意味があるものと思っています。 そこでまず一点お伺いいたしたいことは、
ロッキード事件
の
責任
の追及については、
意見
の御開陳の中にもあったかとも存じますけれども、二つの側面があると思います。
一つ
はいわゆる法的
責任
の追及、もう
一つ
は
政治的道義的責任
の追及であると思います。前者は裁判によって公正に行わなければならないということは当然のことですが、後者の
政治的道義的責任
の追及は
国会
の大きな役割りではないかと思うわけです。 ところが、先ほどの自民党
同僚
議員
の御質問の中にも、あるいは自民党サイドといいますか、
ロッキード事件
にかかわる
田中
元首相の
政治的道義的責任
については、裁判が係属中であるということで棚上げしようとする態度が見えるわけでございますが、三権分立の
原則
からいいましても、
国会
が
政治的道義的責任
を追及するのは当然ではなかろうか。 したがって、お伺いしたいことは、裁判係属中の
事件
であっても、
国会
は
国会
の
立場
で
政治的道義的責任
を追及すべきである、このことは
刑事的責任
の追及とは別次元、当然
司法権
の独立を侵すものではない、こう思うわけでございますが、まず第一点、両
参考人
にお伺いしておきたいと思います。
松本正雄
34
○
松本参考人
お答えします。
政治的道義的責任
と申しましても、その事実があったかどうかがやはりもとになると思うのでございます。いま裁判中なものですから、ここでそういう事実が存在したものとして、それを前提として
道義的政治的責任
を追及されるというのはどうか、私はこう考える次第でございます。
星野安三郎
35
○
星野参考人
その点は、
内閣総理大臣
は御
承知
のように
国会議員
の中から
国会
の議決に基づいて指名される、そこにおいて
国会議員
が
責任
を負うということだと思うのですが、そこでこの
決議
がなされても、まさに七十六条の
司法権
の独立の点から、裁判所はもちろんそのことによって
影響
されるものではないだろうというふうに思うわけでございます。したがいまして、
司法権
の独立を侵害するものでは絶対ないということでございます。
山田太郎
36
○山田(太)
委員
ついでにもう一点、
政治家
の、いわゆる
国会議員
の
政治的道義的責任
についてお伺いしたいわけでございますが、国家
公務員
法第七十九条には、
刑事事件
で
起訴
された場合、
公務員
は休職になるということが
規定
されておることは御存じのとおりでございます。ところが、特別職の
公務員
である
国会議員
にはこの
規定
がない。これは
選挙民
によって選出されたということと同時に、当然のことでございますが、選ばれた
議員
には高い
倫理観
が備わっているし、またその
責任
の重みをみずから認識しているということが前提にあると思います。それが前提であります。したがって、
国会議員
の場合、
起訴
段階であるならば大目に見ていいとか、そういうふうなことにはならないと思うのでございます。この点については両
参考人
いかがお考えでございましょうか。 先ほど
星野参考人
からは、よしんば刑事上裁判で
無罪
になったとしても、
政治的道義的責任
は免れないと言われたが、こういう場合はたくさんございます。ことにこの
事件
はその筆頭に位するようなものではなかろうか、こう思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
松本正雄
37
○
松本参考人
国会議員
のことについては、任免について非常に厳格な
規定
が設けられておるという点を先ほど申し述べましたが、ただいまの御質問は、その点については全く同感でございます。 ただ、最後の
結論
の御質問は、
起訴
されれば
国会議員
は良心的にやめるべきだということなんですか、ちょっとはっきりしませんが。
山田太郎
38
○山田(太)
委員
普通の国家
公務員
では、もう
起訴
の段階で休職しなければならぬことになっているわけですね。御存じのように、特別職の国家
公務員
である
国会議員
はこの
規定
がございません。なぜそれがないかというと、
選挙
で選ばれたということもさりながら、もうすでに前提として、
政治倫理
についても高い見識と重い
責任
感があるであろうからということでございます。ところが、いまのままでいきますと、
起訴
されても知らぬ顔の半兵衛でいっていたのでは、もう民主主義の
根幹
を揺るがすこの事態を起こしているわけですから、法的に
規定
がないから
国会議員
の場合は見逃してもいいではないか、大目に見てもいいではないかというわけにはいかないと思うのですが、この点はどうでしょうか。
松本正雄
39
○
松本参考人
まだ御質問が釈然としない点がございますけれども、大体わかりました。
国会議員
は、
起訴
せられれば、
道義的責任
を感じて
辞職
すべきだという御
意見
じゃないかと思うのですが、これはとんでもないことで、
検事
は御
承知
のように
行政
官でございます。間違いを起こすこともあります。あるいはまた、あるよくない
検事
が、特定の
政治家
をねらい撃ちして罪に陥れる、そして
逮捕
、監禁して
起訴
することもできます。現在の
検察官
は良識的な人が多いですから、そういう間違った人はいないと思いますが、もしあられもない無実の罪で、特定の意図を持ってねらい撃ちをするようなことがあったとすれば、ただいまの御質問のように、
起訴
されれば
国会議員
はやめなければならぬかということになると、これはとんでもないことで、私は、
国会議員
は
起訴
されただけでやめる必要はない、こう思います。 時間がありませんから詳しくは言いませんが、現在の刑事訴訟法は英米法によっておりまして、当事者主義で、原告が
検察官
、被告が本人あるいは弁護士という側で、原告の言い分だけを聞いて判断してやめる
——
国会議員
が
起訴
されただけで、どういうことで
起訴
されたか、どういう裁判を受けるかわからない、それでやめるようなことがあったらとんでもないことで、
起訴
されただけでやめる必要は絶対にないと思います。
星野安三郎
40
○
星野参考人
公務員
の場合には
起訴
された場合に休職になる、
国会議員
の場合にはそういう
規定
がないということについては、二つに分けて考える必要があると思うのです。
一つ
は、
国会議員
はとにかく倫理的な
責任
感というものは持っているはずで、みずから判断して処すべきであって、法的に規制する必要はない、その点は同感でございます。
起訴
された
国会議員
はやめるべきだということについては絶対
反対
。その点は
松本先生
と全く同感でございます。
国会議員
の不
逮捕特権
とか、あるいは院内の発言や表決について院外で
責任
を問われないということは、まさにそういう
特権
——
たとえばこれは御
承知
だと思いますが、イギリスのピューリタン革命でしたか、チャールス一世が反王党派の
議員
を
逮捕
するために、軍隊を議場に入れたことがあるわけでございます。結局ハンプデン、ピムらが逃げたわけですが、それ以来、イギリスの
国会
では、開院式は貴族院でするわけでございますが、貴族院の使者が衆
議院
に来ますと、大戸を閉めて、守衛がのぞき窓から見て確認してからあげる。のぞき窓から何を見るかというと、その使者が軍隊を連れてきていないかどうかを確認するというのであります。 そういう意味で、今日は
議会
制民主主義、
政党
内閣があれしましたから、たとえば多数党あるいは
政権
を持っている
政党
が、少数党に対して
政治
的
圧力
をかける場合に、そういった
起訴
というようなことがあり得ることも考えられる。そういうことにおいて、
起訴
されたからやめるべきだということについては、私も絶対
反対
でございます。
起訴
ということについて、私、いまの検察庁がそうだと言っているわけではございませんけれども、権力
政治
の
世界
ではそういうことも起こり得るわけで、その点では、
起訴
された者はやめるべきだということについては、私は絶対
反対
だということだけ申し上げておきます。要するに、分けて考えたいと思います。
山田太郎
41
○山田(太)
委員
実は両
参考人
の方は一般論的な
立場
でお答えがあったと思います。私が敷衍して聞きたいことは、このたびの
ロッキード事件
に関連して
辞職勧告決議案
が出されたわけですが、これは、そういう
規定
がなくて、本来ならばみずから
辞職
すべきところを、もう数年にわたって今日に至って、いわゆる
議会
制
民主政治
の信頼を損なうような
日本
全体の空気になっていることは事実でございますから、
国会
の役割りとして、この
ロッキード事件
に対してこのような
辞職勧告決議案
を出すことは、それを補完する意味もあり、またこれは当然のことじゃなかろうか、こう思うわけですが、
星野参考人
どうお考えですか。
星野安三郎
42
○
星野参考人
それは先ほど申しましたように、
田中議員自身
の、第一回公判のそのことに尽きると思います。それが本心でありましたならば、当然みずから
辞職
しておったのではないかというふうに思うわけでございます。したがって、それをしなくて、むしろいま一般には、たとえば今度の中曽根さんの内閣の成立について田
中曽根内閣
ということが言われているように、もしそれを許しておくと、今度はまた新しい
田中
内閣ができるのではないかという不安も持っているわけでございます。 要するに、何の反省もないどころか、むしろ巻き返している。外国では、実力者
——
田中
さんは自民党を離れているわけでございますか、その方が実際自民党を動かしているというようなことは、外国では考えられないようですね。たとえばイギリスで、だれは実力者だと言ったら、相撲取りかと……。そういうのは、まだ
日本
の
議会
制民主主義あるいはまた
議会
制民主主義を支える
政治倫理
とか
政治
道義
が未発達なのじゃないだろうかというふうに思います。 そういうものを徐々に
確立
する上でも、この
決議案
は私は大変重要な意味を持っていると思います。
山田太郎
43
○山田(太)
委員
どうもありがとうございました。
山村新治郎
44
○
山村委員長
西田八郎君。
西田八郎
45
○西田
委員
民社党・
国民
連合の西田八郎でございます。 本日は、両
参考人
の先生方、御苦労さまでございます。 私は、
基本的人権
を守るために、現在裁判制度が三審制をとられており、かつ、最終
判決
が出るまで
無罪
の
推定
を受ける、そういうことについては
反対
するものでもありませんし、否定するものでもありません。 ただし、この問題はそれとは別だということが言えるのではないか。少なくとも一国の
行政
の長である
内閣総理大臣
が疑われたこと自体が問題になっておるわけであります。刑事的な訴追を受けて、その
結論
が出るまでにこれを云々するということは、
法律
上はさすがにそうであるかもしれない。しかし、
政治
的
道義
的
立場
から、
総理
たる者がその
責任
をとるということについては、当然のことではないか。 したがって、私どもは、本人が自発的に
辞職
されることを期待をいたしておりました。ところが、この
事件
発覚以来もうすでに数年を経過しておるにもかかわらず、いまなおそうした反省が見られないということで、われわれが
辞職勧告決議案
を出したということでありまして、たまたまその時期が
検事
の
論告求刑
があったときに一致したということである。そのことを私は強調しておきたいと思います。したがって、私どもは
検事
の
論告求刑
があったから出したのではありません。私どもは、少なくともこういう問題は
政治家
の倫理を
確立
する上からも、
道義的責任
を感じてやめるべきであるという主張のもとに
辞職勧告決議案
を出しておるということをひとつ御理解をいただきたいと思うわけであります。 そこで、
松本先生
にお伺いするわけでありますが、先生はいま弁護士をしておられる。一時最高裁の判事もおやりになったことがあるわけでありますけれども、この
事件
が発覚したとき、
国民
の一人としてどうお受けとめになられたでしょう。それをまずお伺いしたいと思います。
松本正雄
46
○
松本参考人
前の発覚した当時の心境ですか。こういうことがあったらとんでもないことだ、こう思いました。
西田八郎
47
○西田
委員
続いてお伺いします。 先生は弁護士をしておられるので、われわれが
法律
的にこんなことを言うのはおかしいのですけれども、先ほど山田先生の質問にありましたように、少なくとも
公務員
法七十九条では、
刑事事件
が発覚したとき、すでに
起訴
されたところで休職になるということになっております。続いて
公務員
法第二款、
懲戒
のところでは、第八十二条に「
国民
全体の
奉仕者
たるにふさわしくない非行のあつた場合」、一般
公務員
は罷免されることもある。「免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。」これは厳正に定めてあります。 それでは
国会議員
は、先ほどのお話のように、
事件
で
起訴
されたらすぐやめなければならぬかというと、私はあながちそうではないと思います。最近の訴訟においても、検察が自信を持って
起訴
したものも、自供の強迫であるということで
無罪
になっておるものがたくさんあるわけであります。そういう点から言いますと、必ずしも
起訴
されたからやめなければならぬというわけではありませんが、少なくとも国家
公務員
の上に立つ内閣であります。
憲法
六十五条から七十五条の長きにわたって、内閣の
職務権限
その他が定められております。その中で特に第七十二条におきましては「
行政
各部を指揮監督する。」、こうなっております。
公務員
の一番上に立って
行政
を指揮監督する
内閣総理大臣
の地位にある人が、少なくとも疑いをかけられたということについての
責任
は問われて当然のことだと私は思うのですけれども、その点についてどうお考えになるか。両先生にお伺いいたしたいと存じます。
松本正雄
48
○
松本参考人
疑いをかけられたということで、
総理
の
要職
にあった方がどうされるべきかという御趣旨のように思いますが、疑いをかけられた事実が真実であるかどうか、やはり御本人以外にはわからないと思うのですが、御本人の判断次第だと思います。
星野安三郎
49
○
星野参考人
起訴
された場合の問題ですが、今度の問題は、
田中
さんが
個人
として、普通の人間が犯すかもしれないような、たとえば交通事故でひき逃げしたとかそういうことではなしに、
内閣総理大臣
として、
公務員
として
汚職
、しかもこれは重大な
職務権限
と
関係
しているということで問題になっているわけでございますね。したがいまして、私が先ほども言った、冤罪といったことでいわば
政治
的につぶされることがあっても、むしろ
総理大臣
の指揮監督を受ける下級機関である検察庁が
逮捕
、拘禁し、
起訴
したということの中には、よほどの事情があったろうということにおいてそう思っているわけです。
西田八郎
50
○西田
委員
松本先生
の御
意見
がはっきりわからなかったわけでありますけれども、少なくとも
ロッキード事件
に関連する他の被告に対しては、すでに
有罪
の
判決
が出されておる。そういう中における
田中
さんの
立場
からすれば、当然それに連座するものあるいは関連するものとして受けとめなければならないのではないかというふうに考えますので、その点についてもう一度
松本先生
の御
意見
を聞かしていただきたい。
松本正雄
51
○
松本参考人
疑いをかけられた事実があったかどうか、結局本人の考え次第だと先ほど申しましたが、疑われているようなことが無実のことであったとすれば、本人としてはそれを晴らすために努力するでしょうし、もしそういう疑われているようなことが事実に近いとしたならば、それは本人としては
責任
を感ずるのが当然じゃないか、こう思います。
西田八郎
52
○西田
委員
最後に、
松本先生
にお伺いするわけですが、
倫理観
はそれぞれ
個人
個人
によって違うというふうにおっしゃいました。しかし、およそ近代国家、しかも法治国家におきましては、いずれが悪であるのか、いずれが善であるのかということをいわゆる法定をしておるわけであります。したがって、刑法が存在するのだと思うのであります。したがって、一般の
国民
の方々の倫理というものとわれわれ
政治家
の持つ
政治倫理
というものはおのずから違いがあると思う。われわれは
国権
の
最高機関
である
国会
を構成する
代表者
である。かつまたそれがためにいろいろな
特権
が与えられ、特典が与えられておるのだと思います。そういう
政治
に携わる者は、野党であれ与党であれ、
内閣総理大臣
であれ平の
議員
であれ、これはいわゆる陣がさと言われますが、私はそんな言葉を使いたくない。
議員
はお互いに平等だと考えておるわけでありますけれども、おのずからそれぞれ
議員
の立つ
立場
も違います。
政治
理念的に違うし、信条的、イデオロギー的に違う。したがって
政党
を組織しておるわけでありますが、その
政党
を縦断する共通の
倫理観
というものは当然存在すると思う。だから、おれは悪いことをしていないからといっても、世間一般の人があれでは困るということになったとすれば、仮にその
選挙
区で選択されたとしても、星野先生のおっしゃるように、
国民
を
代表
する
資格
ということになってくると問題になってくるのじゃないかというふうに私は思うわけであります。したがって、そういういわゆる
政治家
の
政治倫理
というものについて、個々に違うから、少々くらいの賄賂をもらったってそんなものはあたりまえだ、構わぬのだということが存在するとすれば、私はゆゆしき問題だと思う。そういう点についてどのようにお考えになるのかお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
松本正雄
53
○
松本参考人
政治家
の倫理については、私よりも
国会議員
各位の方が日ごろよく心得ておられると思います。それはわれわれ尊敬しておりますので、何と申し上げていいか、
皆さん
の御判断に任せるよりしょうがないと思います。
山村新治郎
54
○
山村委員長
東中光雄君。
東中光雄
55
○東中
委員
共産党の東中でございます。 両
参考人
、御苦労さまでございます。 最初に
松本参考人
にお伺いしたいのですが、
田中
元首相が、
ロッキード事件
の裁判で冒頭に、
総理大臣
であった者が
在職
中の
汚職
の容疑で
逮捕
され、
起訴
されるに至ったことは、それだけで
総理大臣
の栄誉を汚し、
日本国
の名誉を損なったこととなり、
万死
に値するというふうに述べられました。これは
刑事事件
の手続の中での発言でありますが、
刑事責任
の問題ではなくて、
政治倫理
の問題についての発言だと思うのです。
参考人
の御
意見
は
罪刑法定主義
とか、
世界人権宣言
の
無罪
推定
とかいうことを言われましたけれども、そのこととは別に、こういう
田中
元
総理
の公判廷における発言そのものについて全く同感だとお考えになっておるのか、いやそれはつまらぬことを言うておるとお考えになっておるのか、あるいはつまらぬことじゃないけれども、ええかっこうしておるというふうにお考えになっておるのか。
田中
被告人の第一回公判における発言についてどういうふうに
松本参考人
は受けとめられておるのでしょうか、お伺いしたいと思います。
松本正雄
56
○
松本参考人
田中
さんがそういう発言をなすったかどうか私存じませんが、もし
田中
さんがそういう発言をされたとすれば、いやしくも
総理
の
要職
にあった者が、
検察官
の取り調べを受けるということだけで非常に本人としては名誉を傷つけられた、それで、
総理
という
要職
に対する、また
国会議員
としての
立場
から御迷惑をかけた、
責任
は重い、
万死
に値する、そう言われたのではないかと思いますが、これは想像ですからわかりません。 私がどう受けとめたか、私はもしそういうことがあったのなら当然だろうと思いますし、なかったならばそういうことは言われないのではないか。よくわかりません。
東中光雄
57
○東中
委員
この点は、そういうことがあったかなかったかということにかかわらず、
起訴
されたということ自体が
日本国
の栄誉を傷つけた、
万死
に値する、こういうふうに言っているのです。
政治倫理
というものは、そういうものでなければいかぬと私
たち
は思っておるのです。ところが、あなたがいまおっしゃったのは、自分が名誉を傷つけられた、迷惑したというふうに言うたのかなという趣旨のこともいま言われましたけれども、そういうのではないのです。いまわれわれが問題にしているのは、そういう次元の
政治倫理
の問題を問題にしているのであって、
刑事責任
の問題を問題にしているのではないのだということを問題意識としてぜひつかんでいただきたいと思うのです。 私も弁護士を、まだ三十数年でありますけれども、やってまいりました。あなたの言われる、弁護士としての刑事裁判における人権擁護という問題は、いま問題になっているのではないのであります。その点を私は特に
参考人
に考えていただきたいということを要望するわけであります。 そういう点で、
国会
としては、このロッキード問題について
決議
をいたしました。そこでは、
提案理由
の説明の中でも書いていますけれども、
ロッキード事件
発生以来、
国会
として事実の徹底的真相解明を行い、
政治的道義的責任
を明らかにする、これは
国会
としてやらなければいけないのだということを、衆
議院
も参
議院
も決めた、刑事裁判とは別に
政治的道義的責任
を明らかにすることを決めたわけです。そういう
決議
自体について、
参考人
はどういうふうに思っていらっしゃいますか。当然やるべきことだとお考えになるのか、その
決議
はおかしいぞというふうにお考えになっているのか、どうでしょうか。
松本正雄
58
○
松本参考人
真相を究明されるということは当然おやりになってもよいことじゃないか、こう思います。
東中光雄
59
○東中
委員
政治的道義的責任
について……。
松本正雄
60
○
松本参考人
政治的道義的責任
を調べるというのですか。
東中光雄
61
○東中
委員
私の言っているのは、
国会
決議
は二つのことを言っているわけです。事実の徹底的解明と
政治的道義的責任
の解明ということを言っているのです。それを
国会
として裁判とは別にやるんだぞということを
国会
の
意思
として決めたことについてあなたの御
意見
はどうでしょうか。前半についてはやってもよろしいとおっしゃった。後半についてはどうなんですかとお聞きしているのです。
松本正雄
62
○
松本参考人
お答えします。
政治的道義的責任
を追及される、それもおやりになっても結構だと思いますが、しかし非常にむずかしい問題でやり通せるかどうか。(笑声)たとえば自民党さんの方と共産党さんの方とは思想がまるで違う、
価値観
も違う、こういうような場合に、お互いにどっちが
道義的責任
があるかなかなかむずかしいことになると思うのですがね。 したがって、真相を追及してどうするか、
決議案
までされるということについて私は
反対
なんです。
東中光雄
63
○東中
委員
参考人
の
考え方
がわかればそれで結構なんです。 私
たち
は
国会
の
意思
として、自民党も含めてそういう
決議
をしたのですよということについて言っているのでありますが、あなたは自民党とほかの党と必ずしも一致しないのじゃないかということでできないのじゃないかと言われている。これは全然
国会
の
立場
というものについての正当な御理解を得ていないというふうに私は感ずるわけであります。 それで、先ほどの自民党からの質問に対しましてあなたの言われたことですが、裁判所の
結論
が出る前に云々というのはけしからぬ、こうあなたは
意見
を述べられたのですけれども、何をすることがいかぬというのでしょうか。裁判の
結論
が出るまでは云々というのはどういうことなのでしょうか。いま言われたことについて聞いているのです。
松本正雄
64
○
松本参考人
裁判の判断について予断するようなことはけしからぬ、こう言ったのです。つまり、裁判所に外部からいろいろ
影響
を与えるようなことは私は差し控えるべきだと思います。私も、
最高裁判所
の判事のときにいろいろな
事件
がありまして、外部からいろいろなことがありましたけれども、なるべく耳をふさいでおりまして、きわめて冷静に落ちついて判断すべきで、外部から余りぎゃあぎゃあ、があがあ裁判に
影響
を与えるようなことを言うことは差し控えるべきだと基本的には考えております。
東中光雄
65
○東中
委員
全然話が違うので、いま
同僚
議員
が質問されたのは、
政治
的
犯罪
性は、裁判の
結論
を待つまでもなしに明らかになったということをわが党の
代表
質問で発言をしておるわけです。問題は、
政治
的
犯罪
性、
政治
責任
がきわめて重いということについて、裁判の
結論
とは別にいまや明らかになっておるというのがわが党の
——
ある党と言われましたけれども、実はわが党の
代表
質問の中にあったのです。あくまでも問題にしているのは
政治的道義的責任
、
政治
的
犯罪
性ということについて
田中
氏
自身
が
万死
に値すると言うたこと、そのことについて言っているのであって、裁判に
影響
を与えようとか、そんなけちなことを言っているのではないのだということだけははっきりしておきたいのですが、そういう意味で、
星野参考人
も裁判のことについて言っているような発言をされたように思いますので、先ほど紹介された中にも、主語は
政治
的
犯罪
性ということがはっきり出ていますので、その点についての両
参考人
の御
意見
をお伺いして質問を終わりたいと思います。
星野安三郎
66
○
星野参考人
ちょっとどういうことなのかわからないのですけれども。(笑声)
東中光雄
67
○東中
委員
わからなければいいです。
山村新治郎
68
○
山村委員長
甘利正君。
甘利正
69
○甘利
委員
両先生、新自由クラブ・民主連合の甘利正でございます。 最初に、
松本先生
の御
意見
を伺います。
議員
の
身分
が
憲法
で
保障
されている重要なものであることはよく
承知
いたしております。と同時に、この
決議案
が場合によっては両刃の剣になるという危惧も理解いたしております。しかし、現在の
政治
状況
の中で
田中議員
の問題がどう処理されるかということは、
わが国
の
議会政治
の健全性を占うものと考えます。そういう観点から考えた場合、この
辞職勧告決議案
を審議し、採決し、本
会議
に上程していくということは必要なことだと思いますが、もしこれができないというならば、特別にいかなる支障があるのでしょうか、御
意見
がありましたならばどうぞお願いいたします。
松本正雄
70
○
松本参考人
先ほど私の
意見
開陳で申し上げましたように、こういう
辞職勧告決議案
を出すこと自体が不当だ、こう考えておるのでございまして、
人権侵害
になるのじゃないかと思います。
甘利正
71
○甘利
委員
次に、星野先生にお尋ねをいたします。 裁判係属中であり、検察側の論告という段階で
辞職勧告決議案
を
提出
することは、通常の法論理から言えば異例なことであるかもしれない。しかし、この異例な措置を行わしめる背景をいまひとつ考えなければならない。
議会政治
に倫理性がなくなった場合、司法の独立も
議員
の
身分
も形骸化するものであります。そこで、
政治
と法というものはこのような問題でしばしば緊張を醸し出し、より高い次元で
憲法
の
原理
を生かすものでございます、こう申し上げたいわけでございます。この
決議案
は、このような意義を持っていると思いますが、いかがでしょうか。
星野安三郎
72
○
星野参考人
先ほどるる述べたとおり、全くそのとおりでございます。
政治
的倫理の問題というのは個々によって違う、あるいはまた党によって違う
——
もう一度言いますと、たとえば
憲法
の
前文
には、
国民主権
の
原理
は
人類普遍
の
原則
である、あるいは第三番にはこういう
規定
がございますね、今度は国家
関係
で、「われらは、いづれの國家も、自國のことのみに專念して他國を無視してはならないのであって、
政治道徳
の法則は、
普遍
的なものであり、この法則に從ふことは、自國の主權を維持し、他國と對等關係に立たうとする各國の責務であると信ずる。」という。要するに、近代の
民主政治
、国内
政治
あるいは国際
政治
において、そのような
人類普遍
の
原理
とか
普遍
的な
政治
道義
というものがだんだん
確立
されてきた。あるいは国連憲章の
前文
に、人間の尊厳と
基本的人権
、男女の同権と大小諸国の同権の承認こそが平和の基礎であるとか、そういうふうに
民主政治
というのは、国内
政治
も国際
政治
も、いわば人権に基づく、民主主義とか平和あるいは暴力の不行使とか平和的解決とか差別の禁止とか、そういう形において徐々に
政治
道義
が高められてきている。そういうときに、先ほど
緊急性
と
必要性
については申し上げましたが、まさに時宜を得たものであり、こういうことを
決議
されることは大変大事だ。 しかも私は、
汚職
というのは最も悪い
政治
的非行だろうと思うのです。このごろ子供の非行と暴力の問題が問題になってきておりますが、一国の
総理大臣
が、
汚職
というのは破廉恥罪ですよ、そのことでされたことについて、それをどうすることもできないというのは、子供
たち
自身
われわれを信頼するでしょうか、一体
国政
を本当に信頼するでしょうか。 そういう点で私は、
政治
道義
を
確立
し高めていく上にこれは大変いい機会であり、また
国会
の
責任
を果たすゆえんだということで御賛成申し上げたわけでございます。
甘利正
73
○甘利
委員
質問を終わります。
松本正雄
74
○
松本参考人
ちょっと、ただいまの答えに追加して一言だけ。 私の聞いておるところによりますと、長い
国会
の歴史のうちで、佐藤孝行
議員
に対する
辞職勧告決議
がなされたようですが、それ以前長い長い間こういうような
決議案
が出されて審議せられたということはないようであります。これをもってみても、こういうような
決議案
は本当に慎重に扱われてやらないと将来に悪例を残すことになりますので、その点十分お考えいただきたい、釈迦に説法ですが。
山村新治郎
75
○
山村委員長
これにて両
参考人
に対する
質疑
は終了いたしました。 両
参考人
には、長時間にわたり貴重な御
意見
をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。
委員会
を
代表
いたしまして厚く御礼申し上げます。どうぞ御退席いただいて結構でございます。 ─────────────
山村新治郎
76
○
山村委員長
この際、
広瀬秀吉
君から発言を求められておりますので、これを許します。
広瀬秀吉
君。
広瀬秀吉
77
○
広瀬委員
前回、この問題につきましては趣旨の説明をいたしまして、これに対して実質的には
反対
討論にも等しい与党の
意見
表明もございました。本日は
参考人
の御
意見
も聴取をいたし、それぞれ各党から質問も行われました。したがいまして、そういう点から言えば、この
委員会
を一たん休憩して、後刻改めて再開をして、与党から
提出者
に対する
質疑
があるならば
質疑
も受ける用意はありますが、その申し出も目下のところないようでありますし、その
意思
もないのではないかとも思いますので、この問題は早急に決着をつけていきたい。したがって、再開
委員会
においてこの問題の採決をすべきであろう、このように思いますので、そのように
議事
進行について動議を
提出
いたしたいと思います。
山村新治郎
78
○
山村委員長
次に、山崎拓君から発言を求められておりますので、これを許します。山崎拓君。
山崎拓
79
○山崎(拓)
委員
ただいま
広瀬
理事
からせっかくの御発言がございましたが、ただいま両
参考人
の御
意見
を拝聴いたしまして、この問題につきましては、本
決議案
に関しましては実にさまざまの問題点が存在するということを改めて認識させられた次第でございます。 きょうは大変時間が不十分でございまして、私もまだ数限りなく御質問申し上げたいことがあったのでございますが、時間の制約でやむを得ずしんぼういたしたわけでございますが、今後新しい
参考人
をお呼びするとか、あるいは提案者に対する
質疑
を行うとか等々、さらに審議を重ねてまいりたい、かように考えておりますので、何とぞ
委員長
におかれまして、与野党間でさらに
本件
に関しまして取り扱いの協議を続けるようにお取り計らいを願いたいと存じます。(「異議なし」「採決」と呼び、その他発言する者あり)
山村新治郎
80
○
山村委員長
それでは、本
決議案
の今後の取り扱い等につきましては、
理事会
において各党間で協議してまいりたいと思います。 この際、暫時休憩いたします。 正午休憩 ────◇───── 午後二時三十一分
開議
山村新治郎
81
○
山村委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。 まず、
公共企業体等労働委員会委員任命
につき同意を求めるの件についてでありますが、同
委員
に、お手元の印刷物にあります諸君をそれぞれ任命するについて、内閣から本院の同意を求めてまいっております。 ───────────── 一、
公共企業体等労働委員会委員任命
につき同意を求めるの件 青木勇之助君 中西實君五八、四、九任期満了につきその後任 石川吉衛門君 原田運治君五八、四、九任期満了につきその後任 市原昌三郎君 五八、四、九任期満了につき再任 氏原正治郎君 隅谷三喜男君五八、四、九任期満了につきその後任 神代 和俊君 金子美雄君五八、四、九任期満了につきその後任 舟橋 尚道君 山口 俊夫君 五八、四、九任期満了につき再任 ─────────────
山村新治郎
82
○
山村委員長
本件
は、本日の本
会議
において
議題
とするに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山村新治郎
83
○
山村委員長
御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 ─────────────
山村新治郎
84
○
山村委員長
次に、本日外務
委員会
の
審査
を終了した所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための
日本国
とスウェーデンとの間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避のための
日本国
とドイツ連邦共和国との間の協定を修正補足する第二議定書の締結について承認を求めるの件、文教
委員会
の
審査
を終了した義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する
法律
案の各案件について、それぞれ
委員長
から緊急上程の申し出があります。 右各案件は、本日の本
会議
において緊急上程するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山村新治郎
85
○
山村委員長
御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 ─────────────
山村新治郎
86
○
山村委員長
次に、本日の本
会議
の
議事
の
順序
について、事務総長の説明を求めます。
弥富啓之助
87
○弥富事務総長 まず最初に、
公共企業体等労働委員会委員任命
につき同意を求めるの件をお諮りいたします。全会一致であります。 次に、日程第一につきまして、永田科学技術
委員長
の報告がございます。共産党が
反対
であります。 次に、日程第二につきまして、山崎農林水産
委員長
の報告がございます。全会一致であります。 次に、日程第三につきまして、稲村社会労働
委員長
の報告がございます。全会一致であります。 次に、日程第四につきまして、北側交通安全対策特別
委員長
の報告がございます。全会一致であります。 次に、日程第五につきまして、左藤逓信
委員長
の報告がございます。全会一致であります。 次に、日程第六につきまして、橋口内閣
委員長
の報告がございます。共産党が
反対
であります。 次に、日程第七につきまして、田村地方
行政
委員長
の報告がございます。社会党、公明党、民社党、共産党及び新自連が
反対
であります。 次に、動議によりまして、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための
日本国
とスウェーデンとの間の条約の締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避のための
日本国
とドイツ連邦共和国との間の協定を修正補足する第二議定書の締結について承認を求めるの件の両件を一括して緊急上程いたします。竹内外務
委員長
の報告がございます。両件を一括して採決いたします。共産党が
反対
であります。 次に、動議によりまして、義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する
法律
案を緊急上程いたします。葉梨文教
委員長
の報告がございます。共産党が
反対
であります。 以上でございます。 ─────────────
議事
日程 第十号 昭和五十八年三月二十五日 午後一時
開議
第一 技術士法案(内閣
提出
) 第二 北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する
法律
案(内閣
提出
、参
議院
送付) 第三 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する
法律
案(内閣
提出
) 第四 海上衝突予防法の一部を改正する
法律
案(内閣
提出
) 第五 放送法第三十七条第二項の
規定
に基づき、承認を求めるの件 第六 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務
公務員
の給与に関する
法律
の一部を改正する
法律
案(内閣
提出
) 第七 地方税法等の一部を改正する
法律
案(内閣
提出
) ─────────────
山村新治郎
88
○
山村委員長
それでは、本日の本
会議
は、午後二時五十分予鈴、午後三時から開会いたします。 ─────────────
山村新治郎
89
○
山村委員長
次に、次回の本
会議
の件についてでありますが、次回の本
会議
は、来る三十一日木曜日午後一時から開会することといたします。 また、同日午前十一時
理事会
、正午から
委員会
を開会いたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後二時三十五分散会