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1983-04-26 第98回国会 衆議院 環境委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月二十六日(火曜日)    午前十時三十分開議  出席委員    委員長代理理事 天野 公義君    理事 畑 英次郎君 理事 牧野 隆守君    理事 阿部喜男君 理事 串原 義直君    理事 有島 重武君 理事 中井  洽君       橋本龍太郎君    八田 貞義君       勝間田清一君    土井たか子君       水田  稔君    山本 政弘君       藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 梶木 又三君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       加藤 陸美君         環境庁長官官房         審議官     鈴木  健君         環境庁企画調整         局長      正田 泰央君         環境庁企画調整         局環境保健部長 大池 眞澄君         環境庁自然保護         局長      山崎  圭君         環境庁大気保全         局長      吉崎 正義君  委員外出席者         警察庁交通局交         通企画課長   広谷 干城君         環境庁長官官房         審議官     大塩 敏樹君         厚生省公衆衛生         局保健情報課長 河路 明夫君         通商産業省立地         公害局公害防止         企画課長    川口  融君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      蕨岡 達慈君         資源エネルギー         庁公益事業部火         力課長     向 準一郎君         運輸省航空局飛         行場部計画課関         西国際空港計画         室長      安田 善守君         環境委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ───────────── 委員の異動 四月二十六日  辞任         補欠選任   山本 政弘君     土井たか子君 同日  辞任         補欠選任   土井たか子君     山本 政弘君     ───────────── 四月十二日  環境保全推進等に関する請願外一件(大野潔君紹介)(第二三三四号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  公害防止並びに自然環境保護及び整備に関する件      ────◇─────
  2. 牧野隆守

    牧野委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長が所用のため出席できませんので、委員長の指名により私が委員長の職務を行います。  公害防止並びに自然環境保護及び整備に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜男君。
  3. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 環境庁長官、十九日にアメリカ連邦最高裁が、スリーマイルアイランド原発に対する判断を示していますが、これはどういうふうにお受けとめになっていますか。
  4. 梶木又三

    梶木国務大臣 見識のある判断だ、かように考えております。
  5. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 長官はこの内容をよく御存じですか。
  6. 梶木又三

    梶木国務大臣 余り詳しく存じておりません。
  7. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 長官、無責任な発言をしては困りますよ。あなたが、これは見識のある判断だなどと言われたら、日本環境行政は百八十度切りかわりますよ。あなたは本気で見識のある判断だと思っているのですか。日本環境行政に対して見て、アメリカ最高裁が下した判断をどうお感じになられますかと僕は聞いておるのです。
  8. 梶木又三

    梶木国務大臣 残念ながら余り十分勉強しておりませんので、よく勉強しまして、また御答弁させてもらいたいと思います。
  9. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 一言で言うならば、このスリーマイルアイランド原発に対するアメリカ最高裁判断は、高等裁判所判断をひっくり返しまして、いわゆる原発というものには危険性がつきまとうておるのだから、何も住民に配慮する必要はない、こういう判断なんですよ。住民意見などに配慮する必要はない。日本環境行政から言うなら、これはまるっきり逆の方向なんです。これを見識のある判断だなどと軽々に、第一、不謹慎ですよ。もう一遍検討し直して、答弁をし直していただきたい。
  10. 梶木又三

    梶木国務大臣 十分勉強しまして、また後ほど御答弁させていただきます。
  11. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 困るなあ、全く。大体、長官がそういうふうなことだから、私は環境行政について非常に心配をしておるのです。  たとえば、長年にわたって政府の方では環境アセスメント法案提案してきておりますね。これは、政党責任内閣なのですから、閣法として提案をされる以上は、十分与党皆さんの御了解もいただいて、政府責任を持って提案したものであるはずだと私は思うのです。しかし、新聞報道によりますと、与党の中にだけでなく、内閣の中にも十分なコンセンサスがないのだということが報道されておるのです。その辺は一体どういうことになっておるのですか。どうも私は、法案を提出して以降の政府全体のあり方について、何を考えておるのかわからないのですが、どうでしょうか。
  12. 梶木又三

    梶木国務大臣 ただいま委員指摘のとおり、正規の手続を経まして提案したものでございます。そういうことで、内閣ではいまのところ異論はない、私はかように考えております。
  13. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 形式的に言えば、すでに法案委員会に付託されておるわけですから、委員会がどう審議を進めるかは委員会責任ではないか、そうおっしゃられるだろうと思うのです。形式的にはそのとおりだと思います。しかし、なぜ審議が進まないのかという内容に立ち至って考えますと、閣法提案しておきながら政府内部意見が必ずしも統一されていない、推進するという気魄に欠けておる。同時に、政党責任内閣でありながら与党の中の意見もまとまってない。これは、この環境アセスメント法案が今日こういう状況になっておる一番大きな理由だと私は思うのです。したがって、閣僚の一人として、法案を提出しておきながら、その辺の十分な意思整合ができていないという点について、大臣はどうお考えになっておるのだろうかと思って、私は不思議でならないのです。  私ども委員会では、まあ通常、閣法の大体九〇%以上は、それぞれの与党推進力になって、話し合いを進めながら委員会審議をやっていくというのが常識的なあり方なんですけれども、このアセスメント法案に関する限り、われわれは内容が不十分だということで、対案まで出して議論をしてきたところですけれども、いま出ておる閣法そのものについて、内閣の中や与党の中に異論があって、そのために進まないというのは、いわば大変な意思の不統一であり、ぶざまなかっこうだと私は思うのですが、大臣、どう責任をお感じになりますか。
  14. 梶木又三

    梶木国務大臣 先ほども申し上げましたように、政府部内には異論はないもの、かように私は考えておるわけでございます。しかし、御指摘のとおり、各方面にいろいろな意見のあることも事実でございますし、承知いたしておりますが、いま御指摘のとおり、閣法でもございますし、長年懸案のものでございますから、私どもとしましては、どんなことがあってもこの国会中に成立いたしたい、こういうことで各方面にも十分の御理解を求めておりますし、この委員会にもお願いをいたしておる、こういうことでございます。
  15. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 新聞報道の中によれば、これは新聞ですからはっきり申し上げますが、花村さんから強い反対意見政府に述べられた、そこで政府トーンダウンをしてしまった、こういうことが新聞では報じられておるのですが、そういう事実があるのですか。
  16. 梶木又三

    梶木国務大臣 経団連からいろいろ意見があったということは私も聞いております。しかし、それによって政府トーンダウンをしたというようなことはあり得ない、私はかように考えておる次第でございます。
  17. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは、提案をされた立場から、このアセスメント法案審議が進まないという原因は、逆にあなたに聞きますが、どこにあるとお考えになりますか。
  18. 梶木又三

    梶木国務大臣 環境庁長官の力不足でございます。しかし、微力でございますけれども、その微力を最大限発揮しまして何とか成立させたい、かように考えておるところでございます。
  19. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 長官、率直に言って、環境庁の幹部の皆さんも非常に熱心に取り組んでおられるということを私は十分承知もしておるし、理解もしておるところなんです。にもかかわらず、本法案審議が進まない。閣法提案した内閣なり与党の中にむしろ意見の不一致がある。そのことが、われわれは、われわれの主張が全部通らないまでも、主張主張として述べながら、この法案については審議を尽くしたい、こう考えておるのですけれども、それが一向進んでいかない。環境庁長官が、私は微力だと言われれば、言いようがないので、長官が微力ということは、環境庁自体も微力ということになるのであって、日本環境行政のためにもう少しがんばってもらわなければならぬと思いますが、その辺の決意を改めて、まだ当分おやりになるでしょう、すぐおやめになるわけはないでしょう。どうですか。
  20. 梶木又三

    梶木国務大臣 いつまでやるかわかりませんが、アセスは在任中に何とか成立させたい、かように考えまして、先ほど申し上げましたように、微力でございますが、精いっぱいがんばっておるというところでございます。
  21. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 質問趣旨はほぼ同じなんですけれども、この国会が始まったときに、政府としては、湖沼水質保全特別措置法ですか、これは名称が途中で変わったようですけれども、これをこの国会提案をしたいという意見が述べられておったところなんですけれども、今日に至るもなおいわゆる湖沼法提案国会になされていないわけですが、これはどういういきさつになっていますか。
  22. 梶木又三

    梶木国務大臣 この国会が始まりまして、私の所信表明でも申し上げたところでございまして、大分会期末も迫ってまいりましたけれども、現在も気持ちは変わっていないということでございまして、これもいま鋭意政府部内の調整に努めておるところでございまして、何とか連休前までには出したい、こういう気持ちで最後の詰めをいま行っておるところでございます。
  23. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これも新聞報道ですからそうだとは言い切れないのですけれども政府の部内におけるいわゆる意見調整ができていない、特にその中で農林水産省なり建設省について、建設省は御承知のような経過があって周囲の問題がありましたから、これはのけて考えても、いま一番問題になっているのは通産との折衝だ、こう言われておりますが、これは間違いないですか。
  24. 梶木又三

    梶木国務大臣 大体各省と話を詰めておるところでございますが、一、二残っておるのは通産、自治、そういうところにあるわけでございます。
  25. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 どちらから聞いたらいいかわからぬが、通産省から先に聞きましょう。通産、お見えになっていますね。  通産はどういう点で環境庁意見整合ができないのか、その経過をひとつ説明してもらいたい。
  26. 川口融

    川口説明員 通産省の方といたしましては、湖沼対策について適切な措置を講ずる、これは必要なことであるということは十分認識をいたしております。  また、湖沼に関しまして総合的な施策を進めるというために立法措置が必要であるというお話に関しましては、立法措置自体反対するというようなことは従来から考えていないところでございます。  これまで、環境庁から御協議を受けまして精力的に検討してまいっているわけでございますけれども、その内容につきまして、湖沼の実際の水質保全のために、種々ございます汚濁原因、それらの実態を踏まえまして、その諸原因の間のバランスを的確にとって、有効な対策を講じていくという観点から、その内容について精力的な御相談を申し上げておる状況でございます。
  27. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうすると、環境庁の方は、通産の方の了解が得られないと総合的な対策が必ずしも十分でない。総合的な対策環境庁でお立てになって、その中の通産関係する部分は通産意見を聞くというのが常識だと私は思うのですけれども、いまの話は逆でしょう。通産の方が、環境庁の出したものは総合的な対策になっていない、こう言っているのですが、環境庁意見ありませんか。どうですか。これは総合的なものになっていないのですか。
  28. 大塩敏樹

    大塩説明員 お答えいたします。  湖沼法におきましては、湖沼水質保全に関する基本方針を示しまして、これに基づいて知事が計画立て、その計画を達成するために規制措置を導入するということで、総合的、計画的に湖沼水質保全対策を進めようというのがこの法案のねらいでございます。  ただいまお話しございましたのは、湖沼によって水質汚濁原因はさまざまでございます。たとえば農林業関係あるいは工場事業場関係あるいは水産関係、その汚濁寄与がさまざまな中で、対策の均衡をどうやってとるかというところで調整を行っているところでございます。  具体的に申しますと、私どもは、従来考えておりました許可制という考え方届け出制に変えまして、新増設工場事業場につきましては量の基準を取り入れるということで、関係方面の御理解を得るべく努力を続けておるところでございます。     〔牧野委員長代理退席天野(公)委員長代理着席
  29. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それがどうして理解が得られないのですか。私はどうもいまの話を聞いていますと、総合的な、具体的に言うならば工場排水だけではないではないか。漁業関係畜産関係あるいは生活排水、いろいろあるはずですが、それらを含めての総合的な対策が立っておるならば、その中の通産、たとえば中小の新設事業場、こういうものに対する規制通産と話し合えばいいのであって、そこのところだけをおたく通産と合議すべきであって、通産が全部のものを総合的にいいとか悪いとか言うことは主客逆転になりませんか。総合的な対策はおたくがお立てになる。その中の新設事業場に対する規制はこうですよとこの点について通産がいいか悪いかの意見を述べるのはあたりまえですけれども、おたく立て総合対策について通産の方が、いやこれは総合的になっちょらぬとか、なっちょると言うのは、おたく計画がずさんなのか、説得できるだけの材料がないのか、それとも通産が勘違いをして環境庁みたいな感じになっておるのか、これはどっちですか。これは長官、どうお考えになりますか。
  30. 大塩敏樹

    大塩説明員 お答えいたします。  規制の面から申し上げますと、現在、水質汚濁防止法規制基準特定施設については設けられているわけでございますが、その対策では必ずしも十分ではないということで、計画面につきましては、下水道整備であるとか、あるいは屎尿処理施設整備あるいはしゅんせつの実施などを盛り込んだ計画立て、それとあわせまして、水質汚濁防止法では規制対象になっていない施設を、この湖沼法案の中では、たとえば病院とか浄化槽を施設とみなして、そして規制をかける。また、水質汚濁防止法では規制になじみにくい畜舎であるとか養殖施設について管理などの基準を設けて、全体として水質保全が図られるようにしているわけでございます。  ただし、いまお話し申し上げました原因寄与率は、それぞれの湖沼によって変わってまいります。ですから、ある湖沼を見ますと、特定発生源について十分対策をとれば、そういうことで水質保全の目的が達せられるではないかという議論も当然起こってくるわけでございます。通産省の方で主として検討されておりますのは、新増設工場事業場規制が他の発生源計画的な事業実施あるいは規制バランスがとれているかどうか、こういう点で検討を進めておられるわけでございまして、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、工場事業場に対しては水質汚濁防止法の基本的な考えを踏襲しながら、工場事業場全般について新増設の特別の許容負荷に対する基準を導入するということについて御理解を願っているということでございまして、私どもとしましては、湖沼ごとには多少そういったバランスの面で御意見はあろうかと思いますが、総体としてはそういう考え方で御理解をいただきたい、こういうように申し上げている次第でございます。
  31. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 バランスをどうとるか、それはそれぞれの湖沼によって若干違うと私は思うし、ある湖沼については生活排水が七〇%の寄与率を持っているところもありましょうし、ある湖沼については事業場が七〇%の寄与率を持っているところもありましょう。したがって、そういうバランス環境庁考えておとりになるべきであって、それについていいか悪いかを通産省意見を述べればいいので、バランスがとれていないからおれのところはやらないという理屈になったら、これはどこもやらなくなると思うのですよ。いまは湖沼水質汚濁については焦眉の急なんですから、地元に行って聞いたらわかるように。しかも、どこの省の意見も、何とかやらなければならないということについては意見の一致を見ておるわけでしょう。ところが、生活排水寄与率が高いからおれのところもやらないんだと言ったら、これはできなくなってしまう。おっしゃったように、いまある水質汚濁防止法基礎に据えながら、できるところからやっていく、その話し合いを進めなければ、バランスがとれていなければおれのところはやらないなんという話をしておったら、これは百年河清を待たざるを得ぬということになるのです。そこで、通産バランスがとれなければやらないのですか、どうなんですか。
  32. 川口融

    川口説明員 私ども工場事業場につきまして、湖沼に関して必要な規制強化を行うということ自体反対をいたしているわけではございません。必要な対策については的確に講ずるということをまず出発点といたしまして、その際、工場事業場につきましてはすでにいろいろな規制もございます、それをさらに強化するということに関しましては、全体のバランスの中で適切にそれをとっていただきたい、こういう観点から御相談をしている次第でございます。
  33. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 だから、全体のバランスの中で考えるという、その主張は私はわからなくはないけれども、それができなければおれのところはいやだと言うのですか、それとも全体のバランスが、たとえば生活排水の場合なんかなかなか大変だと僕は思うのです。したがって、どういう浄化装置をつくっていくか、それは環境庁それなりの総合的な対策があると思うのですが、その中で通産関係の新増設事業場等について規制を強めることについて反対だとは言っていない、そのことについてはやっていいという基本的なお考えがある、いまこう述べておられます。それなら通産が提起したものに対してなぜ意見調整ができないのですか。どうも言葉の端々には、バランスがとれていないからおれのところはいやなんだというように私は感ずるのです。バランスがとれていようといまいと、それは環境庁に任して、まずやれるところからやっていくという限りにおいて、何も反対する理由はないんじゃないですか。それなら、どこのところが一番意見調整ができないところなのか、明確に両方でしてください。
  34. 川口融

    川口説明員 工場事業場に対します規制につきましては、いま申し上げましたように(阿部(未)委員反対ではない」と呼ぶ)でございます。  それで、実際にその内容についての検討ということになる次第でございますけれども、これにつきましては工場事業場に対しまする規制は恐らく罰則等を伴いますきわめて厳しい、したがって、強力な規制という方式になるかと思いますけれども、そういう際におきましては、全体の湖沼をきれいにするという観点から、それなり規制強化を受け入れるということにつきまして、十分に納得をしてもらった上で的確に守っていただくということを私どもはやっていきたいと思っておるわけでございます。  そういう観点から、実際にどのようなレベルをどういう形で、すなわち水質汚濁防止法との関連で、どういう形の規制を、どういうレベルでかけていくかという内容につきまして、鋭意御相談をいたしている次第でございます。
  35. 大塩敏樹

    大塩説明員 お答えいたします。  ただいまお話しございましたように、水質汚濁防止法が施行された当時につきましては、工場事業場等規制によりまして、公共用水域水質保全を図るということで、工場事業場汚濁の主体であったということは事実でございますが、その後工場事業場の方の改善措置が進みまして、その負荷割合が低下しているということにつきましては、私どももその成果を評価しているわけでございます。  そういうことは逆にどういうことかと申しますと、それ以外の生活雑排水であるとか、あるいは農林水産関係負荷割合が高まっているということが言えるわけでございまして、そこのバランスを、たとえば下水道整備の促進というところが、工場事業場の新増設許可とどういうようにバランスするかということでございまして、考え方そのものにつきましては、私どもは大きな差異はございませんが、今後計画的に実施する場合に、具体的にどのようにその計画事業実施判断するかという細部につきまして、現在そういった意見交換がなされていることは事実でございます。  私どもといたしましては、そういう観点から法案の仕組みをつくっており、その趣旨については御理解をいただいている、ただし、現実に今後法律ができました際に、ある年限内でその計画事業がどの程度達成されるのかという具体的な数字と、新増設基準の強さとの比較考量について、専門的な観点からの検討が行われているということでございます。
  36. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうすると、結論的に、環境庁の出した総合的な水質汚濁防止計画について、なお通産省バランスの面において納得しがたいものがある、こういうことになるわけですか。通産言い分は、環境庁が出した水質汚濁防止についての総合的な計画の中で、バランスを失しておる、こういうことになるわけですか、どうなんですか。
  37. 川口融

    川口説明員 工場事業場以外の汚濁原因に対します対策につきましては、私ども環境庁種々問い合わせもいたしまして、そういう観点から踏まえまして、工場事業場に対しまして考えられております規制強化が、バランスがとれたものかというふうなことについて検討しているわけでございまして、そもそもバランスがとれていないというふうな前提に立っているわけではございません。その内容につきましては私どもはいろいろ御相談もし、御質問もし、意見交換をいたしているわけでございます。
  38. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうすると、環境庁の提示しておる水質汚濁防止の総合的な計画が、通産に納得してもらえるだけのバランスのとれた内容ではない、こういうことになると思うのですが、環境庁の方はどうですか。当然そういう話は話し合いの中で出てくるでしょう。  それから、いまも通産言い分を聞けば、環境庁から出されておる規制基準について、必ずしもそのバランスがとれていないのではないか、だから納得しかねるという意見のように聞こえますが、私は、総合的なものは大体環境庁でちゃんとお考えになって、その中の新増設事業場等についても規制強化されていく、そこだけを了解してもらえれば、ほかはこうなりますということで了解はしてもらえるものだと思うのですけれども、ほかがどうなるかわからぬのに、おれのところだけはこうやったのではバランスがとれぬぞ、これが通産言い分だと受けとめるのですが、あなたの方はどう受けとめて、どう対応するつもりですか。
  39. 大塩敏樹

    大塩説明員 お答えいたします。  従来の説明の過程におきまして、私どもは現在承知しております湖沼水質実態から判断いたしまして、いま考えられております法案が成立した場合の効果につきましては、概略の御説明をしているわけでございます。  また、規制あり方につきましては、今後法律施行までの段階で詰めるべき問題ではございますが、基本的には、湖沼が存在する知事の判断基準を設けるという考え方でいかがなものかということで御相談申し上げているわけでございまして、国が画一的な基準で厳しい基準を設けるということではなくて、湖沼水質保全計画を策定する知事が、その汚濁負荷寄与度に応じて対策を進めると同時に、新増設基準を知事が実態に合わせて設けるということで御理解いただきたい、こういうように申し上げているわけでございまして、そういう考え方につきましては御理解いただけるものというように考えております。
  40. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 長官、話は非常によくわかってきたわけです。したがって、早く言えば、基本的な法律はここでつくって、実際の規制についてのバランスは知事に任せる、こういう話になるわけですね。そうすると、通産省はそれでどこが悪いのですか。
  41. 川口融

    川口説明員 御承知のように、工場事業場につきましては、水質汚濁防止法におきます規制におきまして、国の基準にさらに加えまして、都道府県におきまして環境基準を維持、達成するに必要な、かつ十分な上乗せ基準を条例でおつくりいただくという制度になって、現に条例ができておるかと承知しております。その上に、より厳しい規制をいかにかけるかということでございますので、私どもも非常に真剣に検討しているわけでございます。  先生の御質問の中で、国の役割りと自治体の役割りにつきましてお話がございましたけれども、そういうフレームワークにつきましては、しかるべく国の考え方の中で、都道府県におきまして適切な対策を講ぜられるという枠組みにつきましては、私ども理解をしている次第でございます。
  42. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうすると、これはいつまでも法案が提出できない理由はないように思うのです、大体意見の一致を見ておるようですから。長官は、できれば連休前に法案の提出をしたい、さっきそうお話しになりました。きょうは、その実務担当の責任者が両方ともお見えになっておるわけですから、大体実務担当の段階では、連休前までに法案整備して提出できる運びになりますか。これは本当の実務者としてのあなた方お二人に聞くのです。長官はやると言うのですよ。両方とも答えてください。
  43. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 お答えいたします。  実務担当同士のお話は、役所内部の議論の過程でございますので、なかなか意を尽くさぬ部分もあるかと思いますし、あるいはちょっと場所柄適当かどうかという問題もあるかと思いますが、その辺はさておきまして、この湖沼法案をまとめて国会に御提出し、御審議いただくべく努力いたしておりますのは環境庁でございますので、環境庁として、特に官房の立場で取りまとめの節目の役をいたしております関係で一言お答え申し上げますが、先生たまたま御質問の中でもおっしゃいましたように、だんだん詰まってきておるのだな、どうして出せないのだ、まさにそういう状況でございます。  もちろん、法案を御提案申し上げるまでにはいろいろな手続がございますので、その手続を踏んで御提出申し上げるわけでございますが、いまちょうどそこの急な坂道に差しかかっておるというところでございまして、できる限り早くということで、大臣からお答え申し上げましたとおり、連休前にも、あと数日しかございませんけれども、最大の努力を尽くしておるところでございますので、御了承願いたいと思います。
  44. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これ以上聞きませんが、長官も何とか連休前とおっしゃっていますし、官房の方でも鋭意努力するということですから、それを期待して、一日も早く内閣の中の意見調整を図って、国民が期待しておる湖沼水質汚濁防止できるような法案提案してもらうことをお願いしておきます。  次に、きわめて一般論ですけれども、最近LNGの燃焼が大気汚染にかなりの影響を与えておるのではないかという意見が出されておりますし、先般参考人の先生方の御意見を聞いたときにも、これからはむしろNOxについて十分な警戒をすべきだという御意見もあったように思いますが、いまこの日本の、特に電源等の関係でのLNG燃焼が大気の汚染についてどういう影響を与えておるのか、検討中だとは思いますが、わかっておれば御説明いただきたいと思います。
  45. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 御承知のとおり、LNGは天然ガスを液化したものでございまして、産地によりましてかなり差はございます。たとえば、アラスカ産でございますとメタンが九九・八%、エタンが〇・一%、ほとんど全部を占めておるのでございまして、これの液化の過程において脱湿、脱硫、脱炭酸、脱じんなどの前処理を行っているわけでございます。そこで、一般的には、ほかの燃料と比べまして良質な燃料であると言うことができるかと存じます。  しかしながら、御指摘にございましたように、窒素酸化物の場合には、燃料由来のもののほかに、燃焼による高温のために空気中の窒素が酸化するということがあるわけでございまして、LNGにおきましても窒素酸化物は排出されるわけでございます。そのために必要な規制を行っておるのでございますけれども、お尋ねは、どれぐらいの割合であるかということでございまして、これは大変むずかしいのでございますが、供給量を調べてみますと、LNGの比率はだんだん高まっております。昭和五十二年には二・七%でございましたが、五十六年には五・九%となっております。  大気保全観点から申し上げますと、ほかの燃料よりか良質のわけでございますから、これがふえるということは望ましいわけなのでございます。今日、たとえば液体燃料のボイラーと比べてみますと、一番大きなところで五十万ノルマル立方メートル時間当たり以上のものでございますと、ガス専焼ボイラーは六〇PPmでございますけれども、液体燃焼は一三〇PPmの規制値になっております。実際上はこれよりか低いところで出しておりますが、規制値はそうなっておりますけれども、そういたしますと、LNGがふえますれば全体として空気はよくなっていく、このように考えておるところでございます。
  46. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 環境庁のお考えとしては、むしろエネルギーとしては好ましいものであるということになると思うのですが、しかし、先生方もおっしゃっておりましたように、やはり窒素酸化物について十分な配意をすべきであるということについては、これからもひとつ環境庁、十分LNGについて意を用いてもらいたいと思います。  少し具体的になりますが、このLNGが大分の新産都の方に立地をするように予定をされておりますが、たしか電調審の方も通ったのではないかと思いますが、通産の方でその経過がわかっておればちょっと教えていただけますか。
  47. 向準一郎

    ○向説明員 九州電力の新大分発電所につきましては、三月十八日に開かれました電源開発調整審議会で上程されまして、五十七年度の電源開発基本計画に組み入れられたところでございます。  それで、今後でございますが、建設計画が一号系列、二号系列とも着工が五十九年の四月ということになっておりまして、今後この着工に必要ないろいろな許認可を準備していくというような段階になっております。
  48. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それで、これは公害の方になるのかどうかわかりませんが、災害ですね。いままでこのLNGの燃焼に伴う災害というものは、アメリカでこの前何かあったような気がするのですが、日本でどういう経過があったか、わかっておればちょっと。
  49. 向準一郎

    ○向説明員 LNGの災害の件でございますが、現在わが国で稼働中のLNG発電所といたしましては、東京電力の袖ケ浦火力発電所、それから中部電力の知多火力発電所、それから九州電力の新小倉発電所等がございますが、これらにLNGを供給している基地で事故が発生したということはございません。
  50. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで、もしもということが考えられるとするならば、どういう災害が起こり得るのか、どういう公害が起こり得るのか、それを一体どういうふうに防止をしようとされるのか。これは大体通産が所管しておるものですから通産の方のあれになると思うのですが、いわゆる公害、災害の防止についてはどういう計画をお持ちなのか。
  51. 向準一郎

    ○向説明員 LNGの火力発電所の安全の確保の件でございますが、電気事業法の技術基準等によりまして、まず使用温度に適しました材料の使用、これはマイナス百六十二度というごく低い温度でございますので、それに適した材料が必要なわけでございますから、その材料の使用、それから構造上の強度、それから設備の保安距離の確保、それから保安設備の設置を義務づけしますなど、設計施工面で規制を行っております。これらのチェックは電気事業法の工事計画の認可の段階、それから溶接検査の段階、それから使用前検査の段階、こういう段階を通じて行っております。  それから、LNG火力を安全に維持管理することを担保しますために、定期検査、それから保安規程の作成あるいは主任技術者の選任ということを義務づけておりまして、こういうことを通じまして、LNG火力発電所の安全確保のために万全を期しているところでございます。
  52. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いわゆるより好ましいエネルギーだということで私も期待をしておるわけですけれども、災害あるいは公害、そういうものについて地元の住民の不安というものは間違いなく残っておるわけですので、十分安心ができるように対策立ててもらいたいと思います。  そこでもう一つ、先ほどちょっと話に出ましたが、窒素酸化物等による大気汚染、いわゆる公害と呼ばれる部分のものがもしも発生した場合、本来エネルギーの関係通産の方で所管をされておる、大気の汚染については環境庁の方で大体おやりになる、この場合はどういうことになるわけですか。どうもあそこのLNGの燃焼炉は窒素酸化物をちょっと出し過ぎるというような場合に、規制通産でやらなければならない、大気の汚染の測定その他は環境でおやりにならなければならない。その辺のいわゆる行政の分担の中でのやり方といいますか、規制の仕方なり措置のとり方、これはどういうふうになっていくわけですか。
  53. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 規制値を決めるに当たりましては、技術の程度あるいは環境の汚染の程度等を勘案いたしまして、適切なる規制値を決めるわけでございます。  なおまた、特定の地域におきましては総量規制等を実施いたしまして、環境基準の維持達成に向けて最大の努力を払っておるところでございますが、その規制につきましては環境庁の方で所管をいたしております。
  54. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 規制環境庁でやる。たとえば窒素酸化物が基準以上に排出をされたと仮定します。その場合に、それは規制をオーバーしておるということについては環境庁調査をなさるのですが、さらば、どう措置をするかということになると、これは通産でやらなければならぬじゃないですか。どうなるのですか。
  55. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 ちょっと舌足らずでございましたけれども、大気汚染防止法によりまして、都道府県が必要に応じまして立入検査等を実施いたしております。そうして、規制基準を超えております場合には改善命令等をかけましてこれを守らせておるところでございます。
  56. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 わかりました。  従来私は、災害、公害については最大限の注意を喚起すべきである、気をつけろ気をつけろと言って言い過ぎはないし、もしも公害や災害を起こせば、企業にとってもこれは大変大きい負担になるわけですから、したがって、もう公害、災害については注意しろということを口が酸っぱくなるほど言っても言い過ぎにはならない、こういうふうに考えておりますので、かなり厳しいことを申し上げましたが、最後に、これは長官が談話を発表されておりますから、まさか読んでおらぬということにはならぬし、私も冊子をいただいております。先般、中公審が交通公害防止策というものをお出しになりまして、私もいただいておりますけれども長官も談話を発表されておりましたが、これからどんなふうにお進めになるおつもりでございますか。
  57. 梶木又三

    梶木国務大臣 先般中公審から、物流対策あるいはまた都市周辺の土地対策という面にもさかのぼりまして、大変根本的と申し上げますか、広範な見地から非常に画期的な御答申をいただいた、かように高く評価といいますか、評価と言ったら失礼でございますが、そういう気持ちでおるわけでございます。  そこで、これからの私どもの取り組み方でございますが、いま申し上げましたように、広範な問題を含んでおりますし、各省庁にも関連する問題がございます。とりあえず私ども環境庁の中に研究チームを設けまして取り組んでいく、これはもう当然でございます。しかし、私どもだけでできる問題ではございませんので、それを踏み台にいたしまして、これから各省庁に連絡機関なんかを設けていただきたい、こういう気持ちでおります。これをひとつまず呼びかけてまいりたい。  何といいましても、これはやはり各省庁の御協力をいただかなければなりませんので、その点に重点を置いていく。そのために、役所だけでなく、これは国民の方々のお一人お一人の御協力といいますか、そういう国民の盛り上がった、これからどうしてもそういう方向でいかなければいかぬという気持ちが大事でございますから、これができれば政府一体となっての施策も非常にやりいい、私はこういう感じを持っておりますので、国民の御理解を得ることもこれは非常に大きな仕事だ、そういう啓蒙の方にも今後力を入れていきたい、かように考えておるわけでございます。
  58. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 長官のおっしゃるように、私もこれを見まして、これは画期的な答申だと思ったのです。しかし、これはまた環境庁は大変苦労するだろうなと思いました。まず道路のつけかえから始めれば、主管はむしろ建設省の方に移っていく。そこのところを環境庁建設省がどう合意を得ながら進めていくか。まさに国民的な合意がなければ進まない問題ではありますけれども、逆に画期的な答申でもありますので、ぜひひとつみんなが力を合わせて進めていただきますようにお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  59. 天野公義

    天野(公)委員長代理 土井たか子君。
  60. 土井たか子

    ○土井委員 まず、環境庁長官に承りたいのですが、自然公園法という法律がございますね。この法律の第一条、目的のところを見ますと、「この法律は、すぐれた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図り、もつて国民の保健、休養及び教化に資することを目的とする。」とございます。最近全国でいろいろな開発計画というのがございまして、ややもすれば、この自然公園法の立法趣旨からすると、自然公園法の方が後退していくというふうな風潮が非常にあるやに私たちは見ておりますが、環境庁長官とされては、まず第一に、この自然公園法に対してはこれは遵守なさるというのが当然のお立場であるはずでありますから、その辺の御決意なり御見解なりを真っ先に承りたいと思います。
  61. 梶木又三

    梶木国務大臣 私、ここで再々申し上げておるわけでございますが、国立公園だとか国定公園、こういう自然公園ですね、これは何といいましても私どものかけがえのない財産だ、これはどうしても守っていかなければならない、こういうことで、いま土井委員が御指摘になりました自然公園法、これはどんなことがあっても守っていく、こういう決意でおるわけでございます。そして、私どもの美しい自然を子や孫に残していきたい、こういう決意でおるわけでございます。
  62. 土井たか子

    ○土井委員 その御決意を承った上で、それではお尋ねを進めますが、鹿児島県の方の日南海岸国定公園志布志海岸地区、これは御承知のとおり風光まことに明媚な地域でございますが、これは国定公園として指定をされております。この志布志海岸地区の国定公園としての価値はどこにあるというふうにお考えでいらっしゃいますか。
  63. 山崎圭

    ○山崎政府委員 お答え申し上げます。  志布志湾を取り巻く湾の白砂青松といいますか、十六キロに及ぶ景観がすぐれている、こういう特質があります。  なお、枇榔島というところにも特定植物の群落がございまして、これも大変りっぱなものである、こういうことがあの公園の本質、主体をなしていると思います。
  64. 土井たか子

    ○土井委員 いまおっしゃったとおり、延長十六キロメートルに及ぶ白砂青松の景観が大きな特徴だという御認識をはっきりお持ちなんでありますが、鹿児島県は現在波見港の港湾計画のアセスメントを作成中だということを私たちは聞き知っております。そのうちの景観のアセスメントについて、環境庁は権現山の頂上と波見公園とを主たる展望点の中に入れるように県を指導しておられるということも聞いておるわけでありますが、これはそのとおりに考えてよろしゅうございますか。
  65. 山崎圭

    ○山崎政府委員 そのとおりでございます。
  66. 土井たか子

    ○土井委員 波見公園は、県の方ではすでに入れておられたわけですね。頂上については、県の方では当初入れておられなかったはずなんですが、それはどういうわけでございますか。
  67. 山崎圭

    ○山崎政府委員 その理由は私どもよくわかりません。ただ、私どもといたしましては、アセスメントに入る前に、自然公園法上の判断がある程度先行いたしますから、その問題として私ども検討の対象に加えておる。  なお、県において、いまおっしゃいました権現山の二カ地点について、県のアセスメントの対象にするように申し述べているわけであります。
  68. 土井たか子

    ○土井委員 それは、いまおっしゃったのは、私どもよくわかりませんとおっしゃるのは、県の方がアセスメントを行う場合に、この観測地点として、景観のアセスについて主なる展望点の中に権現山頂上が入っていなかったという理由がわからない、いまわからないとおっしゃる中身はそのように理解していいですか。
  69. 山崎圭

    ○山崎政府委員 お答え申し上げます。  県のアセスメントでどこの地点をどういうふうに選ぶかというようなことについての関連でございますけれども、要するにいまアセスメントをやっている最中でございます。そのアセスメントの前の判断資料として、県はそれが資料になかったことは事実でありますので、そこを追加させている、こういうことでございます。
  70. 土井たか子

    ○土井委員 アセスメントの前の資料を環境庁としてはごらんになって、これではいけない、権現山の頂上をこの主たる展望点の中に入れるようにということを指示された、こういうことなんですね。
  71. 山崎圭

    ○山崎政府委員 前の資料、後の資料ということではなくて、アセスメント実行中の過程においての問題でございます。
  72. 土井たか子

    ○土井委員 実行中の過程とおっしゃいますけれども、まず県の方の資料の中にそれがなかったために、環境庁としては実行中にこれを入れるようにという指導になっているわけですから、時間的な前後からすると、県の方に当初なかったことを環境庁としては指示されるということで、アセスメントが現在継続中、こういう関係でしょう。どうです。
  73. 山崎圭

    ○山崎政府委員 さようになります。
  74. 土井たか子

    ○土井委員 その景観アセスメントにおいては、いまおっしゃっている権現山頂上と波見公園、これを主たる展望点というふうに二カ所考えられるわけですが、そのほかにどこが主たる展望点に選ばれているわけでありますか。
  75. 山崎圭

    ○山崎政府委員 いろいろな地点が展望個所としてあるわけでございますが、考え方としましては、景観アセスメントにおける主要展望地点につきましては、五十四年にマニュアルとしてつくられた指導的なものがございまして、「環境影響評価に係る技術的事項について 案」というのがございますが、それの「景観」の項におきまして「不特定多数の人々により風景を観賞する展望地点として位置づけられている公共的な場所」を考えておるわけであります。したがいまして、県の策定いたしました公園の利用計画において、園池の計画がある権現山を初めといたしまして、ダグリ崎とか枇榔島、横瀬海岸等々を展望地点として検討しているわけであります。
  76. 土井たか子

    ○土井委員 いまおっしゃっているのは、いろいろな地点ということを認識しながらおっしゃっているわけでございまして、私がお尋ねをしているのは、主たる展望点というのはどこが選ばれているかということをお尋ねをしているのです。それで、ここからも見た、あそこからも見たという問題じゃないのですよ。主たる展望点ということで、その選ばれている地点というのはどこですかということをお尋ねしているわけですから、それについてのお答えをいただきたいと思うのです。いかがでございますか。
  77. 山崎圭

    ○山崎政府委員 主要な展望地点というのは、ただいまも例示で申し上げましたが、全体で、ダグリ崎、枇榔島、フェリー航路からの展望、あるいはくにの松原、横瀬海岸、柏原海岸、これも三カ所ありますが、それから肝属川の河口の右岸、硯石、権現山が二カ所、こういうことを主要展望地点として考えておるわけであります。
  78. 土井たか子

    ○土井委員 その主要展望点というのは一体どれぐらいあるのですか。
  79. 山崎圭

    ○山崎政府委員 いま申し上げました数で、十二カ所でございます。
  80. 土井たか子

    ○土井委員 それが主たる展望点なんですね。もう一度それをお答えしておいてください。
  81. 山崎圭

    ○山崎政府委員 そういう考え方でございます。
  82. 土井たか子

    ○土井委員 それはこの施設計画を、当初国定公園として地域を指定する場合に、つくられているそれぞれの展望所並びに展望点として、主なる展望点の中に入れなければならないと考えられる地点は、これは入っているというふうに環境庁としては御認識なんですね。これは基本的なことですよ。
  83. 山崎圭

    ○山崎政府委員 そのとおりでございます。
  84. 土井たか子

    ○土井委員 その中で、先ほど当初から問題にされております波見公園、それから権現山頂上を主たる展望点として選ばれた理由。特に権現山頂上を主たる展望点として選ばれた。これは先ほどおっしゃったとおり、県は当初選んでいなかったのに、環境庁の方でわざわざつけ加えられたという関係にあるのですが、その理由は何でございますか。
  85. 山崎圭

    ○山崎政府委員 先ほども申し上げましたが、私どもの一つの技術的な指導がございます。そういうことで、環境アセスメントについての技術的事項、これに主要展望地点の有無、その位置、利用状況、眺望の特徴等について調査をする、こういう考え方でございまして、その主要展望地点というのは、先ほどもお答えしましたように「不特定多数の人々により風景を観賞する展望地点として位置づけられている公共的な場所」これが権現山に当たるということでございます。
  86. 土井たか子

    ○土井委員 技術的事項というのは、何かを守らんがための技術的事項でしょう。それからすると、わざわざ権現山頂上を主たる展望点と選ばれて、環境庁の方でつけ加えられたということについては、環境庁なりのそれに対しての御認識がさらにあるはずであります。この技術的事項というものを考えた上で、いろいろやってみたらこうだという御説明は賜りましたけれども、その技術的事項を駆使してどういうことを認識されたからこの権現山頂上をつけ加えられたのですか。これはいままでの経緯がずっとあるはずです。当委員会においても、これについての審議を何回重ねているかわからない。どういうことですか。
  87. 山崎圭

    ○山崎政府委員 公園の景観を判断するといいますか、その公園を見る、こういう場合に、そこにもありますように、不特定多数の人が利用する、こういうところでいろいろな人が見ておる、そういう場所が最低限アセスメントの上においても、そういう主要な展望地点からの景観の評価というものをしてもらわなければならない、こういう考え方基礎にある、こういうことでございます。
  88. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、その中身はどういうことになりますか。具体的に言うと、白砂青松を眺めるのに適している場所である。白砂青松についてこれを守っていくということが大切であるという当初の御答弁もございましたが、それを眺めるのに適している地点である。さらに、いま問題にしている権現山の頂上は、公園計画上の展望所に指定してあるといういきさつもある、こういうことを抜きにしては考えられないように、いまの御答弁からすれば理解できますが、そのように理解してよろしいですね。
  89. 山崎圭

    ○山崎政府委員 基本的にはそのように私ども理解しております。
  90. 土井たか子

    ○土井委員 基本的ということをわざわざお断りになるのはどういう意味なんですか。これはわざわざそういうことをお断りする必要はさらさらないと思う。これは素直な話でありまして、これはそのとおりでございますという答弁に尽きると思うのですが、もう一度言い直してください。
  91. 山崎圭

    ○山崎政府委員 基本的にはと言ったのは、別に除外例を認めるとかなんとか、そういう意味で申したんじゃありませんで、主要展望地点の一つと考えております。
  92. 土井たか子

    ○土井委員 一つと考えております——それは初めからのいきさつとしたら、つけ加えてさらに繰り返しおっしゃる必要はないので、なぜそういう主要展望点として選ばれたかということをいま質問の中で聞いているのですから、先ほど私が申し上げましたように、白砂青松を眺めるのに適した地点であるということで、この権現山頂上については、さらに公園計画上の展望所に指定をされているという観点を抜きにしては考えられないという中身が、先ほどの御答弁の中にはあると理解してよろしいねと、こう聞いているのですから、原則的にはそうですとおっしゃった、その原則的は要らない。繰り返しになりますが、これは私が理解しているとおりでいいんでしょう、要は。
  93. 山崎圭

    ○山崎政府委員 考え方としてそのとおりであります。
  94. 土井たか子

    ○土井委員 そこで、この権現山頂上、それから波見公園、それ以外の、先ほどいろいろ十二カ所も地点の個所を挙げられたわけでありますけれども、それぞれ、他の主たる展望点というのは一体どこを展望するための展望点なんですか。どこを見るための展望点なんです。何を見るための展望点なんです。いかがでございますか。
  95. 山崎圭

    ○山崎政府委員 公園上の展望点というのはいろいろ性格があると思いますけれども、やはりこの公園の特徴的な本質といいますか、この公園は、冒頭申しましたように、十六キロメートルにわたる白砂青松というものが景観の傑出した部分でありますので、そこを見るということが中心であろう、こういうふうに思います。
  96. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、すべて白砂青松というものをその視点の中に置いて、それを展望するための展望点というふうに認識されて、十二カ所というのを環境庁としては特に主なる展望点として選ばれた、このような関係ですか。
  97. 山崎圭

    ○山崎政府委員 先ほど申しました十二カ所の問題は、私どもの指導もいたしまして、県が現在行っておる個所でございます。
  98. 土井たか子

    ○土井委員 指導されたんですからね、少なくとも。県がそれについていまアセスメントを実行中でありますけれども、指導されるに当たって、環境庁としては、これを主なる展望点だというふうに考えるべきだという、その理由があるんです、環境庁として。どこを展望するための主なる展望点であるかということも認識の中になければ、県に対してこうやってはどうかという指導も出てこない。いま十二カ所の中でわかっているのは波見公園、権現山頂上の問題なんです。先ほどこれは白砂青松を眺めるのに重要な地点であるというふうに理解してよろしいかと言ったら、そのとおりだとおっしゃっているわけですから、じゃあ、この二カ所以外の十二カ所、これを主なる展望点として考えられているそれぞれは、何を眺めるために、何を展望するために指定された主なる展望点になっているかということをお尋ねしているわけでありまして、それはどうですか、それぞれ違うと思うんですよ。
  99. 山崎圭

    ○山崎政府委員 細かく申し上げれば、それぞれに違いがあると思うわけであります。たとえばダグリ崎というところは、志布志湾の北側にある小岬でございまして、一般の利用が多うございまして、湾全体を眺望できるすぐれた地点というふうに考えておりまして、これも園地展望所ということで、実際に利用展望所ができているわけであります。  それから、二番目に枇榔島を申し上げましたが、湾の北側の志布志湾から約四キロメートルの沖合いに浮かぶ島でございまして、特に夏はここの利用が多うございます。そういうことで、ここからの湾の展望も大事なところでございまして、そういう意味で枇榔島も選んでおる等々、十二カ所それぞれについてそういう個別的な理由はございます。
  100. 土井たか子

    ○土井委員 その個別的な理由について、さらに十二カ所というのを主たる展望点としてお選びになったのですから、ここはどうだ、ここはどうだということを答えていただくのが、答弁の中では私の質問に対する中身になるはずなんですね。これはいまのような御答弁では何だか中途半端で、それもダグリ崎についてお答えになっているらしき答弁になっておりますが、それもまた中途半端な答弁のままなんです。よろしゅうございますか。恐らくダグリ崎から言うと枇榔島とか白砂青松というのは展望の対象になると思いますが、くにの松原とか柏原海岸というのを先ほどおっしゃったが、これは一体何を見るためなんですか、それ自身が白砂青松の中にあるのですから。
  101. 山崎圭

    ○山崎政府委員 たとえばくにの松原について申し上げれば、十六キロのほぼ中間地点にあるわけでございまして、要するに左右に伸びる白砂青松、海岸、こういうことを眺めるすぐれた地点だと私どもは思っております。また、ここは地域の人々の利用も大変多うございます。それから、柏原海岸は、要するに備蓄基地に一番近接したところでございます。長大な海岸の南端に近い地点ではございますが、基地との関係が距離的に一番短いわけですから、そこでの影響もやはり見る必要がある、こういう考え方でございます。
  102. 土井たか子

    ○土井委員 いま御答弁を聞いておりますと、自然というものを頭の中に置いてお考えになっていらっしゃるかどうかということに対して、大変疑問を持たざるを得ないのです。  いま基地、基地としきりにおっしゃいますけれども、それは石油備蓄基地のことですか。いまは、石油備蓄基地というものはまだないのです。それを見るためにいまの柏原海岸というのが考えられたということなのですか。ないものを見ようというのは、これは手品でもできない。おかしな御答弁ですね。これは何のために主たる観測点として設置されたのかというのは、ちょっと観点が違うのじゃないですか。これは自然公園法から始まっている問題ですよ。
  103. 山崎圭

    ○山崎政府委員 私ども景観、もちろんいまないわけですから、見えないことは当然でありますが、そのアセスメントの技術をいろいろ考えていきます場合に、そのでき上がるものを予想いたしまして、予想といいますか、たとえば現実にモンタージュ写真というような技術手法を駆使いたしまして、そして、備蓄基地が生まれたら、どこの地点からどういう状況でどのように見えるか、こういうことが影響の問題としてはアセスメントの対象になるわけです。そういうことで、従来から展望地点として利用されているようなところ、そういうところから見た、そういう姿を私どもはアセスメントの対象というふうにするわけであります。
  104. 土井たか子

    ○土井委員 モンタージュであるのか何なのか知りませんけれども、現実にないものについて想定をしながら、何に対してそれがどれだけの影響を与えるかということが問題なのでしょう。何に対してなのですか。これは景観でしょうが。景観でも、それぞれの展望点によって対象になる景観は違うと思うのです。先ほどから申し上げている、くにの松原とか柏原海岸というのは白砂青松の中にあるのです。したがって、見るのは眼前の海じゃないですか。そこから見るのは、海と白砂青松のコントラストというのは非常に問題になるかもしれないけれども、真っ正面に立って目前に見るのは海ですよ。これはとやかく言ったって、現実の問題としてはそのようになる。いかがですか。
  105. 山崎圭

    ○山崎政府委員 各展望地点には、先ほどもちょっと申しましたが、いろいろなそれぞれの特徴があるところでありまして、それは前の方だけ見ていれば海面しか見えないという関係になりますけれども、視野の範囲というのは各展望地点にそれぞれあるわけでありますから、そこで問題なのは、石油備蓄基地が建設される、そこが視野に入ってくる、それが影響、白砂青松と言ってもいいのですが、それへの影響がどうなるかということを調べる、予測する、これがアセスメントの私どもの課題だというふうに思っておるわけであります。
  106. 土井たか子

    ○土井委員 その御答弁はわかっているのです。だから、何に対しての影響かということからすれば、白砂青松そのものに対する影響もあれば、観測点、主たる展望点からすると、くにの松原とか柏原海岸からすれば海というものが眼前にある。この海に対する影響というのが認識をされている中に入っているということになるのじゃないですか。これは現実の問題として避けて通れないのですよ、いま何もないところに備蓄基地がつくられるわけですから。いまは何もない海に対して、非常に景勝の地であるということで見ている主たる展望点であるはずなのです。だから、海の中にできてくるこの基地というものが、どういうふうな影響を景観の上で与えるかという、与えられる対象ということになってくると、海じゃないですか、その点から見る場合に。これは否定できないのじゃないですか。いかがです。
  107. 山崎圭

    ○山崎政府委員 お答え申し上げますが、白砂青松がそこの地点の特徴的な本質であるということは、たびたび申し上げているところでありまして、それぞれの地点から視野に入るであろうものが白砂青松を中心としたものである。そこに石油備蓄基地が生まれるわけでありますから、遠くの地点からその石油備蓄基地の景観への影響はどうだ、近い地点からはどうだ、こういうふうにいろいろな個所で見ていく、これが私どもの態度であります。
  108. 土井たか子

    ○土井委員 そういう御答弁をされるのなら観点を変えて申しましょう。  いまおっしゃったように、志布志の国定公園の価値というのは、白砂青松の眺めにあるということなのであります。そうでしょう。そこで、そういう点から言ったら、主たる展望点のうちで、白砂青松を眺める展望点として最も適切なのはどこかという問題になってくるのじゃないですか。そうなんですね。そういうことから言うと、権現山頂上であるとか波見公園であるとかダグリ崎の価値が特に高いはずであるとわれわれ考えますけれども、この点どうお思いになりますか。くにの松原とか柏原海岸というのはその白砂青松のど真ん中にあるのです。むしろ外から白砂青松を見るということの方が主たる展望点としては大変意味がある。  富士山の山頂に上がって富士山を眺めるわけにいかぬです。富士山の山中から富士山を眺める、そういう方法もあるかもしれないけれども、やはり離れた場所から富士山の全容を見ることの方が、富士山を眺める展望点としては最適だ、こういうことでしょう。この場合、同じようなことが常識論として考えられますよ。だからそういうことからすれば、白砂青松を眺める主たる展望点である権現山頂上、波見公園、ダグリ崎の価値というのは特に高いはずだと思っても通用すると思います。どうですか。
  109. 山崎圭

    ○山崎政府委員 先ほど十二カ所申し上げたのは、私どもの指導も含めまして、県がやっておりますアセスの対象でございます。ですから、先生おっしゃるように、富士山を見るのに富士山の山頂では云々ということですが、たとえば中間地点のくにの松原では、百八十度の視野ということで、白砂青松も目に入るわけでありますから、そこを度外視するわけにはいかないというふうに私ども考えておるわけであります。
  110. 土井たか子

    ○土井委員 度外視しろとは申し上げておりません。いまの質問の中身は、白砂青松を眺める展望点である中で、権現山頂上であるとか波見公園であるとかダグリ崎というのが特に価値が高いというふうに考えても間違っていないでしょうということを言っているのです。この質問趣旨はどうか理解してください。先ほど来ずっと言っていることから、私はこういうことを聞いているのです。
  111. 山崎圭

    ○山崎政府委員 展望地点として調査なり予測をする問題と、その結果出てきましたものをどう評価するかという価値づけの問題とはちょっと違うような気がしまして、先生おっしゃいますのは、恐らく後者の価値づけの問題であろう、こういうふうに思います。そういうことで、権現山からの展望が主要な展望であることは当然であります。
  112. 土井たか子

    ○土井委員 そういった意味で、波見公園についてもダグリ崎についても、これは言えるということでしょう。
  113. 山崎圭

    ○山崎政府委員 それらを含めまして言えることだと思います。
  114. 土井たか子

    ○土井委員 そのうちのダグリ崎については、石油備蓄基地の予定の海域からすると、何とこれは二十キロメートルも離れているのですよ。二十キロメートル離れて海のかなたにある物体をごらんになったことがありますか。二十キロメートル離れてかの地に何があるかというのはわかりますか。これは非常にお天気の日でもぽつんと、しかも、かすんでいる程度に見えていい方ですよ。これは全く見えないと申し上げていいと思うのです。普通の条件からすると、二十キロメートル離れたかの地に……。  他方、権現山の頂上について言いますと、それからまた波見公園について言いますと、予定海域から一キロメートル程度しか離れていないのです。それで、しかも足元にタンクが見えるというかっこうになるのですね、これは予定のとおりに進みますと。したがって、白砂青松を眺める三カ所の展望点を取り上げて私は先ほど言ったのですが、ダグリ崎、それから波見公園、権現山頂上、この展望点のうちで、権現山頂上と波見公園とが、備蓄基地建設に係る景観のアセスメントを行う際に特に重要に考えられなければならないというふうに思われるのですが、この点どうですか。
  115. 山崎圭

    ○山崎政府委員 いま調査をやっているわけでありますから、その結果の評価をどうするかという問題は、これまた別問題でございまして、先生の御質問に直接お答えしていないのかもしれませんけれども、私ども、やはりあそこ全体を見て、利用する人、白砂青砂を展望する人がいろいろいるわけでありますし、いろいろな地点からいるわけでありますから、そういうものを総合的に見ていく、こういう態度でございます。
  116. 土井たか子

    ○土井委員 総合的、総合的とおっしゃいますけれども環境庁としても、これに対してはすでに環境影響評価に係る技術的な事項についての認識もいろいろおありになりますし、それから現実の問題として、一体そのタンクがどこから見た場合に一番気にかかる存在になるかという、だれでもがすぐに考える地点というのも浮かび出てくるのですよね、現にこの主なる展望点として考えていらっしゃる展望点の中で。  そうなってくると、アセスはいまなされている最中だから、その結果待ちということじゃないはずで、どこから見ることがアセスを行うについて、主たる展望点として考えられている中で重要地点であるかというのが、やはり環境庁としては認識の中になければ、アセスに対してそれをどうしろこうしろというふうな指導なんというのはできっこないと私は思うのです。  そういうことからすれば、これは白砂青松を眺める展望点のうちで、やはり権現山頂上と波見公園というのが、備蓄基地建設に係る景観ということを考える場合のアセスを行う際に、特に重要地点として考えられなければならない、そうなってまいりますが、どうですか。それは離れてないのですよ、目の前なんです。足の下なんですよ、できるタンクが。しかも、いま主たる展望点として考えていらっしゃる地点なんです、これは。ほかにもいろいろあるとおっしゃるのですが、それはほかにもいろいろあるでしょう、二十キロメートル離れた地点まであるのですから、いろいろあります。だけれども、足下にタンクがあるという地点は最重要として考えられなければいけないんじゃないですか。どうなんでしょう。これは常識ですよ。
  117. 山崎圭

    ○山崎政府委員 ですから、再三申し上げていますように、十二カ所をやっておるわけでありますけれども、どこからの地点の景観影響がどうかというような価値づけをこれから行うわけでありまして、そういう意味で、それぞれの地点からの景観影響というものを評価していく、こういう姿になるわけであります。  だから、重要な地点、主要な地点という意味では、いろいろなところがそれぞれに重要であり、主要な地点ではあります。先生のおっしゃっているのは、一番近いところが一番景観影響があるのじゃないか、こういう意味では、もちろん常識的にそういうことは申し上げられるというふうに思うわけです。
  118. 土井たか子

    ○土井委員 志布志港の改定計画がありましたね、五十三年の十月。そのときの景観のアセスメントでは、主たる展望点としてどこを選んでいらっしゃいましたかね。
  119. 山崎圭

    ○山崎政府委員 ちょっといま手元に資料がございませんので、至急調べさせていただきたいと思います。
  120. 土井たか子

    ○土井委員 その資料はすぐ見つかりますか。それじゃ、しょっちゅう後ろからごそごそおっしゃる方が探してください。大急ぎで探していただいて、いまそれを知らせていただきたい。それはすぐわかると思いますよ。
  121. 山崎圭

    ○山崎政府委員 申しわけありません。いま調べさせますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。
  122. 土井たか子

    ○土井委員 少なくとも、その五十三年の十月のときに問題にされたのは、先ほどお答えの中でもちょっとお出しになりましたけれども、「環境影響評価に係る技術的事項について」というものを環境庁としてはお考えになっていらした、その中身にある御認識というのを、そのときもお持ちになっていたはずだと思われます。これはそのように考えていいですか。
  123. 山崎圭

    ○山崎政府委員 しさいをいま調べておりますので、考え方としましては、やはり国定公園についての影響というふうに理解しております。
  124. 土井たか子

    ○土井委員 考え方としてはそうなんでしょうね。  それで、「環境影響評価に係る技術的事項について」というのを見てまいりますと、この中で「主要展望地点にかかる調査について」というところでどういうことをおっしゃっているかといいますと、「調査の地理的範囲は、主要展望地点にかかる調査については、開発地域の外周から十Kmの範囲とするが、」云々となっているのです。ダグリ崎は二十キロメートルですから、環境庁御自身がお考えになっていらっしゃる技術的事項から考えてまいりますと、明らかにウエートは低いというふうにまず考えてよろしゅうございますね。
  125. 山崎圭

    ○山崎政府委員 確かに「調査の地理的範囲は、」「開発地域の外周から十Kmの範囲とする」とありますが、しかし「地域の特性、開発規模により範囲を広げるものとする。」とございます。ダグリ崎は、私どものあれでは十四キロメートルの距離というふうに認識しております。
  126. 土井たか子

    ○土井委員 ダグリ崎が今度つくられるタンクの計画になっている地点から十四キロですか。そうすると、タンクを建設される地点というのは、また計画変更されて動かされたのですか。どういう地図によってそれははかっていらっしゃるのです。タンクを建設される計画地点というのは、われわれの全くあずかり知らぬ間にまた動いたのですか。
  127. 山崎圭

    ○山崎政府委員 直線距離で十四キロメートルというふうに理解しておるのですが、位置、形状を動かしてはおりません。
  128. 土井たか子

    ○土井委員 直線距離って、どこからどこまでをはかってそうなんですか。それは後で資料として出してください。それはもう大変おかしな話です。本来二十キロというのはちゃんと——それじゃ、県の方のアセスは十四キロということで考えていらっしゃるのですか。それはむちゃくちゃですよ。
  129. 山崎圭

    ○山崎政府委員 その点もう一回詳細に調査いたしますが、いずれにしてもダグリ崎ということを対象にしております。
  130. 土井たか子

    ○土井委員 対象にはされているのでしょうけれども、いま申し上げた主要展望地点に係る調査ということから考えていくと、「環境影響評価に係る技術的事項」ということについてお考えになった環境庁のお考えからすると、他の主なる展望点に比べて、ダグリ崎というのはウエートが高くないということをやはり言わざるを得ないと思いますが、この結論は間違っていますか。  十キロを超えているのです、いま十四キロとおっしゃるけれども。少なくとも十キロは超えている。あと、十四キロとおっしゃることの信憑性というのも問題になりますけれども、しかし、いずれにしろ十キロを超えていることは事実なんです。だから、そういうことからすると、正確にこの辺は考えていって、環境庁自身がお考えになっていらっしゃる技術的な事項からすると、ダグリ崎について本来ウエートがそう高くないというふうに言わざるを得ないと思いますが。
  131. 山崎圭

    ○山崎政府委員 先ほどもお答えしましたように、対象地点としてできるだけ数を多くとるということと、それから、その対象地点からの景観影響がどうかということ、これは二つに分けて考えなければいけませんから、その影響がどうかという問題については、距離が遠くなれば遠くなるほどそれが影響としては少なくなる。それはしかし、少ないという判断が一つの判断材料になっている、こういうことになると思います。
  132. 土井たか子

    ○土井委員 したがって、いまのお考えからすると、考え方を伸ばしていくに従って、ダグリ崎というのは主なる展望地点として、影響が大きいか小さいかという点から言えば、ウエートはそう高くないということになってくるはずなんです。そう言わざるを得ないと思いますが、この点はどうですか。
  133. 山崎圭

    ○山崎政府委員 常識的にはそういうことが言えると思います。それをいまやっているわけでございます。
  134. 土井たか子

    ○土井委員 ところで、話は戻りますが、昨年の二月二十五日に環境庁が鹿児島県に対して、持参した修正案についてアセスに取り組むことをお認めになった。そのときに判断の中身として出てきているのは、環境庁長官も経緯については御存じていてくださると私は思いますけれども、大きな問題が要約しますと二つあったと思うのです。  一つは、今回のこの備蓄基地の建設が景観に与える影響が少ないという問題ですね。二つ目は、国定公園の解除につながるおそれがないということをそのとき言われたのですが、どうして国定公園の解除につながるおそれがなくなったかということを、もう一度ここでしっかり聞かしておいていただきたいのです。
  135. 山崎圭

    ○山崎政府委員 お尋ねのFS案については解除のおそれがあるとしまして、代案については解除のおそれがなく検討に値すると申し上げましたが、一般的に申し上げまして、公園の指定の解除というのは、公園の実体的な要件であります、すぐれた自然の風景地が、直接間接的な影響によりまして、全体的に損なわれた場合に、その公園を解除するということになると思います。  この日南海岸国定公園志布志湾地区の自然景観の特徴というのは、たびたび申し上げております、十六キロメートルに及ぶ弓状の白砂青松の海岸、それから枇榔島の亜熱帯植物群落ということでありまして、これらが公園の核心部として特別地域に指定されているわけであります。この石油備蓄基地の景観上の判断に当たりまして、これらの景観特性が全体的に損なわれるかどうかについて、総合的に検討したというわけでありまして、その結果を申し上げれば、FS案につきましては、備蓄基地の面積が二百四十ヘクタール、そのうち七割が公園の普通地域の中にあった。それから海岸線沿いの埋め立て延長が二千百メートルと長かった。それから海岸から沖合いに二百メートルしか離れていなかった。そういうことで、白砂青松の海岸景観に重大な影響が予想されたわけであります。  ところが、代案につきましては、備蓄基地の面積が二百十ヘクタールに縮小された。そのうち公園の普通地域にかかっている面積が七十ヘクタールと約三割に小さくなっている。海岸線沿いの埋め立て延長が千五百メートルと縮小している。また、海岸から沖合いに五百メートル離れているということで、つまりFS案が公園内を立地の主体としていましたことから、公園の景観に重大な影響が予想されたのに対しまして、代案は公園の外を立地の主体としている。こういうことから、景観上備蓄基地は近景から中景へとなり、圧迫感、威圧感が軽減される。また、備蓄基地と白砂青松の海岸が景観的に分離される。FS案では水路のように見えた海岸と備蓄基地の間の海面が、代案では海峡的に見えるようになる。こういうことで、公園の景観に与える影響は軽減された。こういうことでございまして、代案であれば解除につながるおそれはないと判断しまして、アセスメントを行うことについて検討に値する、こういう結論を出したわけであります。
  136. 土井たか子

    ○土井委員 まことに主観的なことをおっしゃいますね。その水路か海峡かというばかげた論議はやめましょう。個人がそこに行って、これを水路と見るかと言ったら、それは見えますね、海峡と見えるか、それは見えますねと、以前の案であろうと今度の案であろうと、その点においては変わりはないと思いますよ。わざわざこじつけがましい理由にそれを持ち出すというのはいかがかと私は思います。それは主観の問題ですわ。そういう価値判断というものを恣意的に判断材料に使われるということになってまいりますと、とどまるところを知らないです。環境庁というのはそういう問題に対してオールマイティーですか。いいかげんにしてもらいたいと思いますね。  そういうことからすると、いまの御答弁の中で大事な問題は、ただ一点に尽きるのじゃないですか。代案というのか修正案というのか知りませんけれども、それは以前の原案に比べると景観に与える影響が少ないというところが問題だったのじゃないですか。いまいろいろおっしゃいますけれども、簡単に言うとそういうことでしょう。どうです、もう一回言ってください。
  137. 山崎圭

    ○山崎政府委員 FS案と代案と比較しまして、景観に与える影響が少ない、こういうことでございます。
  138. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、国定公園の解除につながるおそれがないということを認識の中に置いて、アセスについて環境庁が取り組むことをお認めになったその理由としては、景観に与える影響が少ないということが根拠になっている、こう認めていいわけですね。  ところで、この景観に与える影響が少ないという判断環境庁がお下しになる際に、環境庁はどこを主たる展望点に選んで景観の検討を行われたのですか。それがはっきりしてないと、景観に与える影響が少ないのか多いのかさっぱりわかりません。景観に与える影響が少ないという判断の上に立って、いまこのアセスに対して国定公園の解除につながるおそれがないということでゴーサインをお出しになったのですから、どういうところを主たる展望点として選んで景観の検討を行われたのかというのは当時から大変問題なんです。どこを主たる展望点にお考えになっているのですか。
  139. 山崎圭

    ○山崎政府委員 先ほど申し上げましたような個所も含めて、総合的に検討したわけであります。ただ、これはいろいろな段階において、それぞれ熟度の違いはありますけれども、いずれにいたしましても、いろいろな地点から見て総合的に考えた、こういうことであります。
  140. 土井たか子

    ○土井委員 その点を言われると非常に苦しいんじゃないですか。総合的にとか、いろんな地点からとか、無数に選んだと、中には非常にふざけた答弁までいままでされているのです。どんどんこの点は変遷しているのです。しかし、非常にはっきりしている点は、それはどういうことかといったら、当初からこの主なる展望点、この主なるというところをよく聞いていただきたいと思うのですが、主なる展望点の中に、権現山の頂上と波見公園というのが入ってなかったという問題です。これは環境庁質問を当初からしているのに、入れていらっしゃらなかったのだから。だから、そういうことからすると、備蓄基地に係る景観のアセスを行う際には、権現山の頂上と波見公園が最も大事な展望だという考え方をきょう私が出しましたら、それに対して否定はされていない。しかも、頂上は公園計画上の展望所に指定をされているわけですから、この二点を環境庁は当初入れなかったというのは、もうどこまで行ったって問題なんです。後に県には入れるような指導をしながら、どうしてみずからは入れなかったのかという点を、ここでもう一回明らかにしておいていただきたい。どういうわけですか。
  141. 山崎圭

    ○山崎政府委員 権現山を展望地点から外したということはございませんで、見ておるわけであります。
  142. 土井たか子

    ○土井委員 権現山を外したということはないとおっしゃいますが、それなら、もう一回議事録をひっくり返して見ていただきたい。初めに、権現山の頂上、それから波見公園というのは認識の外だったですよ。したがって、私は質問を展開し始めたのでありまして、これはあなた自身御存じのはずなんです。局長御存じであって、わざと答弁そういうことをなさるのだったら非常にずるいし、もし御存じでなかったのだったら、もう一度認識を新たにしてもらいたい。  これはおかしな答弁ですね。当初、考えておられなかったですよ。これは明確に申します。何年何月の答弁をそれでは言えと言われたら、こういう答弁が出ている、これは一体どういうことかというのは、はっきり申し上げますよ。日時を言いましょうか。八二年の二月二十七日。これはもうゴーサインをなすった直後の質問に対する答弁。いま申し上げた権現山の頂上、波見公園というのは全く認識の外です。いまさら、当初からそれは入れて考えていたなんてごまかし答弁はやめてください。いかにこの問題に対して環境庁が認識していないかということを問題にして質問を私は始めた当人なんですから、私にそういうことをおっしゃったって通用しませんよ。  なぜ、当初環境庁は入れておられなかったのを後には県に入れるように指導をされたのか。しかしながら、どうしてみずからは初めに入れておられなかったのかということをもう一度明らかにしてもらいたいのです。どうですか。
  143. 山崎圭

    ○山崎政府委員 たとえば権現山につきましては、同じ年の四月十三日には、水田委員の御質問に対しまして、権現山から見ているという御答弁をしております。
  144. 土井たか子

    ○土井委員 見ている、ね。これはどこからでも見れるのです。しかし、その時点でも、主なる展望点として認識はされていないのですよ。よろしゅうございますか。いろいろな場所から見ておりますとか、そうしてさらには、お尋ねを進めていったら、まあ本当にふざけた話ですよ。展望点は権現山を含めて無数に選んだとか、とんでもない話なんです。展望点というのは無数にある。主なる展望点として認識をしているかどうかの問題なんです。これが当初環境庁にないのですよ。どういうわけですか。その点を明らかにしておいていただきたい。
  145. 山崎圭

    ○山崎政府委員 公園の景観への影響というものを考える場合に、いろいろな地点が考えられるわけでありまして、ただ、実際上、いろいろなアセスメントにおける技術というものがありまするから、それについてはある一定地点からの、固定した地点からのモンタージュ写真、その他は当然行われるわけであります。  ただ、私どもは、その前段階として、公園法上の問題ということで、全体的、総合的にいろいろな数多くのところから見た、そういう判断を下したわけであります。
  146. 土井たか子

    ○土井委員 したがって、そういう判断の中からすれば、主なる展望地点ということからは当初は外されていた、こういうかっこうになるのですね、主なる展望地点でなかったのですから。これを私は当委員会で口酸っぱく聞いているのですよ。局長だって、その場所にいらしたことがあるのです。いらっしゃらなかったこともある。これは口酸っぱく聞いた当人の私が言うのだから。何なら議事録全部出しましょうか。  そうすると、総合的に判断をされている、そのお立場からすると、このいまの権現山頂上と波見公園というのを主なる展望点から外されるという理由に対しては、いまその御答弁の限りでは、もうちょっとはっきりしません。これは幾ら聞いたってお答えが非常にむずかしいのでしょう。つらいところであろうと思いますから、それでは、ひとつ観点を変えて、またこれも申し上げます。  国定公園区域に係る備蓄基地建設、これは単に志布志だけじゃありません。これからだって、いろいろ出てくるでしょう。石油の備蓄以外のいろいろの大型開発という問題も、低成長だから余り考える必要がないというわけにはいかないだろうと思います。やはり考えておかなければいけない問題だろうと思いますが、その国定公園区域に係る備蓄基地建設について、自然公園法上のチェックというのは、いつ、どのように環境庁としては行われたのですか。特にこの場所について、自然公園法上のチェックはどのように行われたのです。
  147. 山崎圭

    ○山崎政府委員 自然公園法上のチェック、この場合は届け出対象行為でありますから、そのチェックの意味は違いますが、一般論として申し上げれば、自然公園法上の特別地域内における許可というようなもの、こういう行為がありまして、それは長官が行使するものもあれば、国立公園では長官が行使しますし、国定公園では都道府県知事にそれが委任されている、こういう関係に相なるわけであります。  それはアセスメントとの絡みがあるわけでございまして、最終的には、自然公園法上の許認可等の処分というのは、形式的にはずっと後の時点になるわけでありまするけれども、一方でアセスメントをやらせる必要があるわけでありまするから、アセスメントのためには、その地点、つまりここでは、石油備蓄基地がどこにどのような規模で、どのような形でつくられるかということを前提にしないとアセスメントも行えない、こういう関係があるわけでありまして、そういう意味で実体的な判断を先行させるといいますか、そういう前後関係に相なるわけであります。そういう意味では、昨年の二月二十五日に、検討に値すると申しましたのは、そういう自然公園法上の判断を先行させましての結論であった。検討に値するというのは、これからアセスメントをやるということについて検討に値する、こういうことであったわけでございます。
  148. 土井たか子

    ○土井委員 さて、環境庁長官にそこでお尋ねしたいのです。  自然公園法上のチェックというのは、だから最初に環境庁長官にお尋ねしたとおりで、「自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図り、」云々なんですね。その「自然の風景地を保護する」という点からすると、この自然公園法で問題にされている、指定をする場合の計画があるのです。利用施設計画ですね。その計画からすると、展望所として考えられ、しかも、この風景地を守っていくために、主なる展望点として考えていかなければならなかったはずの、この権現山頂上と波見公園というのが当初は考えられていなかったのです、環境庁考えの中には。先ほどの質問の中でも、もうお読み取りをいただいていると思いますけれども、これはほかの地点と違いまして、いまの計画のままで進めば足の下にタンクができるのです。もう足下にできるのです。それで、これは十メーターと離れてないのですよ。非常に近いところに遮るものが出てくるというかっこうなんですね、そこから見る景観について。それが当初外されていた。しかも、それで自然公園法上のチェックというものはやったと言えるのでしょうか、どうなんでしょうか。  つまり、私が言わんとしているのは、そのときのアセスのゴーサインの中身として、だから、さっきそこを押さえたとおりなんです。景観に与える影響が少ないということで、国定公園の解除につながるおそれがないという認識で、どうぞアセスをおやりくださいと、こうなったわけですよね。一体、その景観に与える影響が少ないのか多いのかという問題は、やはり自然公園法上のチェックが必要なんです、景観に与える影響というのはどういうことかということで。どこから見て景観がどのように変わるかということの地点、主たるその展望点というものを環境庁としてはどのように認識なされるかというのは、自然公園法上のチェックの点では非常に大事なポイントだったのです。最も第一に考えられなければならない地点、だから、いまは大急ぎで県に対して指導されておりますけれども、当初、その指導をされている地点についての認識がなかったのですよ。そういうことで自然公園法上のチェックができているというふうにお考えになりますか。これは長官からお答え願います。  これはもう普通の常識で考えてみていただきたい。私はむずかしいことを言っているのじゃない。いま私のやりとりをお聞きになっていて、長官としてどうお思いになりますか。これは当初から長官の行政責任の問題も絡んできているのですから、引き継がれて、原長官時代のいきさつであるからといって、私には全く関係がないとおっしゃることはできなかろうと思うのです、いまもう現にアセスが継続して行われつつあるのですからね。どうでございますか。当初、そういうことだったのですよ。
  149. 梶木又三

    梶木国務大臣 志布志の問題につきまして、私は前長官からも申し送りを受けまして、その基本的な線に沿ってやっておるわけでございます。いま権現山あるいは波見公園が入っておったかどうか、その点につきましては私、残念ながら詳しく承知いたしておりませんので、何ともお答えできませんが、全般的に、あらゆる地点から見まして、前の案よりは景観を損なうことは大変少なくなった、こういう観点に立ってアセスをやっていくに値するということになったので、あと、そういう線で進めていただきたいというか、その線で進めていこう、こういうことで現在まで来ておるわけでございます。  だから、私としまして、その後いろいろ検討をやりましたが、代案があれば、先ほども局長から答弁いたしましたように、景観を損なうことが大変少ないから、これは埋め立ての認可等が出てきましたらアセスをひとつやっていこう、こういうことでおるわけでございます。
  150. 土井たか子

    ○土井委員 さて、もう時間が来ておりますけれども長官、困りましたね、そういう御認識では。  長官自身は鹿児島の志布志にいらっしゃいましたか。兵庫県御出身でおありになるけれども、全国区選出の大臣でいらっしゃいますから、当然鹿児島の問題、特に環境庁長官におなりになって、大事な問題がいまこのように動いていっている地点に対しては、大変な関心、最も強い関心をお持ちになって当然だと思うのですが、鹿児島にいらしたことがありますか、志布志に。視点がどういうことになっているか御存じの上でいまお答えですか。これは恐らく理屈と机上でのいろいろな説明をお聞きになった上での御答弁で、しかも、その説明は、いろいろ実情に対しての経過というものを十分なる説明としてあった説明じゃなかろうと私は思うのですよ。  したがって、もう一度最後に申し上げます。一回は必ず志布志のあの地点に行って、ああ、私が言っていたのはこういうことなのかと、初めてお気づきになるかもしれないなと私は思うのです。  どういうことかと言いますと、このアセスメントに対してゴーサインをお決めになった環境庁のその中身について、その直後の二月二十七日に社会党の岩垂委員質問をいたしております。そのときに環境庁としてお答えになったのは、大体どこから展望するか、これについてどういうことをおっしゃっているかというと、「理立地から見ましておよそ二十キロ離れた、志布志町よりも北にございますところのダグリ崎、」ここでは二十キロとおっしゃっているのです。局長、よろしゅうございますね。さっきの十四キロというのは、ここでは環境庁は二十キロと言われておるのですよ。「これが本来の展望点、それから弓の中間にございますところの中間の点が一つございます。それが本来の展望点でございます。さらに、当該地が柏原海岸でございますので、柏原海岸からの展望ということに相なろうかと思っております。」と三点を指摘されておるのです。  長官、よく聞いてくださいよ。この三点は最も大切な、最も肝心な展望点を抜かした判断なんです。足元で、嫌でも目の前にタンクを見ずして展望できない地点を抜かしておるのですよ。そして、景観について大した影響がないとか、大きな影響がないとか、これは言えますか。最も大事な地点を抜かして環境庁としては判断をしているというのは、二月二十七日の答弁ではっきりしているのです。こんな地点の設定の仕方で自然公園法上のチェックができていると言えますか。長官、この点について御答弁ください。  これは行政上の責任の問題だから、局長はいいのですよ。大臣について聞いておいていただきたいのです。大臣の問題。この問題だって、最後は、大臣、どうですかになるのですから。だから、こういうことについて、大臣、どうです。私は大きな声で聞きますけれども、大事なことだから、ひとつ大臣から答えておいていただきたい。こんなチェックの仕方で、それは自然公園法上のチェックをやったと、環境庁としては責任を持ってこれに対してお答えになることができますかと聞いているのです。当初から一番大事な地点を抜かしているのですよ。どうでございますか。
  151. 梶木又三

    梶木国務大臣 私の聞き及んでおる範囲では、あらゆる地点から検討して、先ほど申し上げましたように、景観を損なわない、こういう判断に立っておる、かように承知いたしておるわけでございます。  なお、私は、残念ながら、長官に就任いたしてからはまだ鹿児島には参っておりません。しかし、それ以前に鹿児島県は行っておりますが、これまた残念ながら、余り土地改良はありませんから、志布志の方には行っておりません。鹿児島は再々行っております。暇を見て一遍、余裕ができましたらぜひ参りたい、かように考えております。
  152. 土井たか子

    ○土井委員 暇を見てじゃないの。それで、まだ行っていらっしゃらないというのは残念至極。志布志の問題は、いまこれだけ非常に大事な時期に、長官が志布志のあの現状について御存じないまま、ごらんになっていらっしゃらないまま事がどんどん進んでいくというのは、取り返しがつかないと思う。一度ぜひ現地をごらんになったら、認識がお変わりになりますよ。何を私が言っておるかも、そのときに初めておわかりになるんじゃないかなと思ったりします。  そして、いろいろな地点から眺めたからという、そんな説明大臣もお聞きになっていらっしゃるのですか。それなら間違い。なぜかと言ったら、もうゴーサインを、アセスに対してやってよろしいと言われるまでに、景観に対して大きな影響がないからという認識でゴーサインなんでしょう。それじゃ、景観に対して大きな影響がないという、その認識をお持ちになった観測地点はどこでしたかという質問に対して、いま申し上げたとおりに、ダグリ崎と、それから柏原海岸と、それから弓の中間にあるところの中間点、この三点が指されておるのです。  一番大事な、先ほどから口を酸っぱくして言っおるところの、権現山の頂上と波見公園はすっぽり抜けておるのですよ、一番大事な点が。そして、景観に影響がないということをおっしゃってゴーサインになった、その地点が大事なんです。それからあと、アセスの中であらゆる地点から見ますの、やれこうやっております、ああやっておりますという問題は別問題です。わかりますか、私の言っておること。  アセスに対してゴーサインをお出しになる、それまでに環境庁としては、これをつくっても景観に大きな影響がないと判断をされておる、それが問題なんですよ。そこで一番大事な点がすっぽり抜けておる、そういうことなんです。もうすでに進んでしまっておるから、そんなことをいまさら言ったってしようがないという認識じゃ困りますよ。一番大事な点で、環境庁は、故意か作為か過失か知りませんけれども、一番大事なその地点を抜かしてきたということが、取り返しのつかない問題なんです、問題からすれば。しかし、遅くはない。もう一度取り返しをつけましょうよ。長官、よろしゅうございますか。  そこで、私は申し上げたい。自然公園法上のチェックを環境庁としてやり直していただきたいのです。国定公園区域に係る備蓄基地建設についての自然公園法上のチェック、これを恐らくおやりになっていらっしゃらないと思う。だから、こういうことで進んだんだと思う。長官、これについて最後にお答えをいただいて、私は終えたいと思う。どうですか。これは大事な問題だから、局長は要らないの。政治的判断ですよ、問題は。技術上の問題じゃないですもの、本当に。長官、どうぞ。
  153. 梶木又三

    梶木国務大臣 判断を下す前に、いま土井委員と私どもの方の局長との話を聞いておりまして、判断をやった地点、何かちょっと食い違いがあるように思いまして、まず一遍局長の方から答弁してから、また……。
  154. 土井たか子

    ○土井委員 おかしいですね、それも。
  155. 山崎圭

    ○山崎政府委員 それは、私ども権現山を見てないということは全くないわけで、見た上での判断であります。
  156. 土井たか子

    ○土井委員 主なる展望点としてはごらんになっていらっしゃらない。それじゃ、うその答弁をなすったのですか。国会での答弁というのがうその答弁であるか、いまおっしゃったことがごまかしであるか、二つに一つですよ、そうなってくると。
  157. 山崎圭

    ○山崎政府委員 確かに岩垂先生に対しましては、冒頭三点を挙げたということもあります。それは、恐らく代表的な意味で挙げたということでございまして、その後、たとえばくにの松原というものも挙げておりますし、要するに展望地点はいろいろなところから見ているということでございまして、権現山を含むあそこの地帯からこの展望をやったということであります。
  158. 土井たか子

    ○土井委員 もう私は時間を超過しているのですが、これはそういうまやかしの答弁を幾らやったってだめ。よろしょうございますか。いろいろな場所からごらんになるでしょう。当然のことであります。主なる展望点であるかどうかということが一つ。主なる展望点の中でも、きょうの質問ではっきりしたのですが、権現山山頂と、それから披見公園というのがその中でも最も大事な地点である。それがすっぽり、初めには主なる展望点でもなければ、ましてやその中でも最も重要な地点なんというのは認識の外なんですもの。これはゴーサインをなすった直後の質問ですから、そういうことから言えば最も新しいのですよ。環境庁の最も率直な見解がここで出ているのですよ。なぜどういうふうな地点から景観に影響がないと判断されたのですか、だからゴーサインをされたのですかという、直後の質問なんですからね。そのうちいろいろつじつま合わせをなすったって、それは後々追及されて出てきた、それに対する答弁です。環境庁の姿勢としたら、これなんですよ。当初抜けていたんです。それでどうして自然公園法上のチェックがされたと言えますか。そういうことなんですよ。  大臣、お聞き取りのとおりでございます。最後に大臣から一言おっしゃってください。そうしたら私はきょうは終えますよ。
  159. 梶木又三

    梶木国務大臣 その答弁をやった当時、私はよく存じませんが、いま局長も申し上げましたように、権現山を含めまして、あらゆる地点から検討をいたした、こういうことでございますので、それに沿って私ども検討を今後加えていきたい、かように考えております。
  160. 土井たか子

    ○土井委員 それでは、最後に一言大臣に申し上げて私は終わりますが、いろいろな地点から観測する中に、権現山を入れたというふうに聞いておりますのでと大臣おっしゃいますが、もうちょっと勉強していただきたい。よろしゅうございますか。  これは自然公園法の中では、単なる地点と主たる観測点というのは違うのです。主たる展望点というのは違うのです。これを主たる展望点として認識していたかどうかという問題は非常に大事なポイントになってくるのです。環境庁は当初、権現山山頂、波見公園、これを主たる展望点としては認めていらっしゃらなかったのですから。すっぽり抜けているのですよ、一番大事な地点が。いろいろ見ていたと思いますので、そんなことじゃないのです。  もう一度そこのところを見直していただきたい。これは長官、見直していただけますね。これを約束願って、私はきょう終わりたいと思います。どうですか、その点は。私が言っているのは非常に大事なことなんです。私の言っていることを御理解いただけると思います。その辺はもう一度見直していただけますね。どういうことを私が言っているかということも含めて、いかがですか。
  161. 梶木又三

    梶木国務大臣 過去の経緯等、よく検討さしていただきたいと思います。
  162. 土井たか子

    ○土井委員 過去の経緯だけではなしに、もう一度自然公園法を守ると。最初は大変な決意で御答弁なさったのですからね。そこでそれが生きてくるのですよ。自然公園法をどうか本当にお約束どおりに、御答弁どおりに、どういうことなのかということを、きょう私が申し上げた主なる観測点について、展望点について、それは見ていただくということでお約束願えますね、もう一度。そうでないと、自然公園法についてはこれは守り通していく、大事な問題だという最初の御答弁が生きてこない。本当よ。どうぞ。
  163. 梶木又三

    梶木国務大臣 最初申し上げました基本的な考えは、これは変わっておりません。その線に沿いまして、ひとつよく検討をさせていただきます。
  164. 土井たか子

    ○土井委員 終わります。どういう検討をなさいますか、それは、私はまたこれをやります。
  165. 天野公義

    天野(公)委員長代理 この際、休憩いたします。  本会議散会後、直ちに再開いたします。     午後零時三十四分休憩      ────◇─────     午後一時三十八分開議
  166. 天野公義

    天野(公)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。水田稔君。
  167. 水田稔

    ○水田委員 私は、志布志の問題でこれまでの行き違いをちょっと環境庁と詰めてみたい、そういうことで準備をしたのですが、午前の土井議員の質問で大半をやったようであります。何か一部残っておるようですが、後でその点は詰めてほしいという要請がありましたので、二十分ですから、全然別の問題で御質問をしたいと思うのです。  私がお伺いしたいのは、先般、商工委員会でいわゆる俗称テクノポリス法案というのがありました。これはいま全国で十九カ所ということで、一つのところが相当広い面積なんですね。たとえば私の地元で言いますと、千八百ヘクタールというのですから、大変な広さです。しかも、自然環境が非常にいいところです、全部が全部そうじゃありませんけれども。まさに高度技術の工業集積地として開発促進を進めていこう。  それを見ますと、環境庁というのは出てこないわけです。主管庁が四つありまして、中を見ますと、その指針をつくるときに、いわゆる環境問題についての検討事項というのがあるわけですね。それだけなわけです。これは環境庁が、いままでとは違って、危機的な様相からそれを防ぐということから、応急対策からむしろ積極的によりよき環境をつくっていく、そういうことを大臣も言われるし、環境庁もそういう姿勢だとわれわれ思っておったわけです。  この法案はまだ参議院へ行っておって成立はしてないのですが、環境庁というのは、これだけの二十一世紀を目指す新しい開発事業について、どういう立場でこの法案が内部でまとまるまでに取り組んでこられたのか、その点をまずお伺いしたいと思うのです。
  168. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 お答え申し上げます。  官房の立場で全般的な問題としてお答え申し上げますが、立場と先生おっしゃいます意味合いにうまく合っているかどうか、心配がございますけれども、俗にテクノポリス、高度技術に関する工業開発地域というような意味合いで使われておるようでございますが、これにつきましては、やはり工業地域であることは間違いございませんので、基本的には従来から諸立法例もございますとおり、環境問題への配慮というのは欠かせないという基本線で折衝に当たってまいったわけでございます。基本的な姿勢としてはそういうことでございますが、さらに敷衍すべきことがございましたら、後ほど私なり関係者から御答弁申し上げます。
  169. 水田稔

    ○水田委員 具体的にはどういうことなんですか。この法律の中で具体的に環境庁はどうかかわり合いを持つのか。これからの開発という点でいけば、一つの目玉になっている開発なんですね。それに対して環境庁はどういうかかわり合いを持っていくのかということです。
  170. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 これは若干細かくなりますが、法案の中に入っております事項を申し上げながら御説明申し上げるべきだと思います。  この俗称テクノポリス法案では、まず主務大臣が開発指針を定めることになっております。その内容といたしまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、環境保全についての配慮に関する事項を盛り込むことが義務づけられております。この開発指針の作成に際しましては、主務大臣、これは四大臣ございます。環境庁長官は主務大臣には入ってございません。主務大臣より関係行政機関の長としての環境庁長官に対して協議が行われることになります。法文で言えば第四条第四項でございます。  また、開発指針に基づきまして、これは都道府県が開発計画を作成するわけでございますけれども、この開発計画におきましても、環境の保全に関する事項が盛り込まれることになるわけでございますが、この開発計画の承認の際にも、やはり主務大臣より協議が行われることになっております。第五条第六項でございます。したがいまして、環境庁長官に協議が行われることになるわけでございます。したがって、当庁といたしましては、これらの機会に主務大臣に対して言うべきことは申し上げ、環境の保全上支障を生じることのないよう、十分留意してまいりたいと考えております。
  171. 水田稔

    ○水田委員 これは四条には、確かに指針をつくるときには、二項四号に環境の保全に関することは書いてある。五条には環境関係が全く書いてない。五条の六項は環境問題については書いてないわけです。五条の二項一から六まで、この中に環境問題というのは全く触れてないわけです。具体的な開発計画についてはないわけですね。これは商工委員会で聞きましたら、官房長おられたですね。お答えにならずに、通産大臣の方が初代環境庁長官という立場かどうか知りませんが、環境庁の勧告権によってやってもらうんだ、こう言って答弁されたのですね。ということは、この問題について、本当にこれからの大きな開発として、環境庁は、環境問題ではわりに自然環境が守られている地域にこれから新しい高度技術を集積する自治体をつくろうということで、安易に考えておったのじゃないかということは想像できるわけですね。だから、これくらいのことでいいのかどうかということが問題です。  時間がありませんから、その点では法律の解釈からいっても、四条、五条で関与するんだと言うが、五条は、環境庁恐らくお呼びでないですよ。五条二項の一から六までのことについて、これが具体的な開発計画、その中に環境問題は入ってない。この計画をつくるについては、「承認をしようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。」この開発計画にも、この指針と同じように環境問題に配慮というのが二項の一から六に入っておって、そしてこれがというのなら読み切れるわけです。そこらあたりは詰めてないのじゃないですか。それは環境庁の姿勢として私はどうもうなずけない。  じゃあ、別のことでお伺いします。(加藤(陸)政府委員委員長」と呼ぶ)いいです、後で言いますから。その中でまた返って質問するかもしれませんから。  十九カ所というのはほとんどが内陸です。臨海というのはないですね。高速道路、空港を中心にしたあれですから、内陸ということ、全部じゃありませんけれども。この間も私は地下水の汚染ということを聞いたわけです。これは一番心配しなければならぬのは地下水の汚染ということなんです。そうすると、官房長は商工委員会では地盤沈下、地盤沈下と言うから、違うと言ったのです。だから地下水の汚染について、こういう計画が進む中で、環境庁としては計画が出てきたら検討しますというのか、あるいは、これだけの大きな開発をされるとすると、事前に環境庁は何らかの措置をとられたのかどうか、その点、伺いたいと思うのです。
  172. 大塩敏樹

    大塩説明員 お答えいたします。  指針の作成の段階で環境保全に関する事項が詰められるということになろうかと存じますが、地下水の汚染については、現行の法体系では、人の健康に影響を及ぼすような物質については、特定施設からの環境への流出の防止についての配慮規定はございますが、地下水そのものの汚染について規定した制度は現在ございません。しかしながら、こういった開発計画を進める場合、そうした水が伏流水あるいは地下水を通じ、あるいはそれが河川に流出することによって水質汚濁原因になるという場合も想定されますので、今後そうした問題については、私どもも具体的に検討していきたいと考えております。
  173. 水田稔

    ○水田委員 テクノポリスに指定してもらいたいと言っておる地域は、何にもない海を埋めてこれから臨海工業地帯をつくるというのじゃないのです。すでにそれぞれの地域がある程度の取り組みをしておるところが四十数カ所手を挙げて、いまのところ十九カ所にしぼったわけですね。すでに開発は進みつつあるのです。それからもう一つは、地下水だけでなくて、生態系の問題も問題になるような地域なんですね。たとえば地下水で言えば、浜松の地域というのは大変な豊富な地下水の存在しておるところ、それをどうするのか。  片一方では、法案の前から具体的に作業はどんどん進んでおる。事業は進んでおる。そして、それへ新しい法案をかぶせてくるというときに、環境庁が、指針の相談があったときに検討しますということでは、単に基準が守られればいいという問題じゃないのです。汚染が極度に進んだところを、何としてもここまでは守りたいということでやるのとは違うわけです。生態系も自然のまま非常に守られておる。地下水もいい水で非常に豊富なものが存在しておる。そこで、そういうものを持ってくるときに、環境庁は、指針をつくるときに相談があれば御相談に応じますということでいいのですか。私は、その姿勢の問題を言っておるわけです。テクノポリスの問題を商工でやっておって、環境庁の姿勢がそういう点でどうも余りよくないのじゃないか。だから、長官、基本的な物の考え方なのです。  テクノポリスというのは、二十一世紀を目指すといってみんなが全国で新産・工特みたいに——それほど補助はないのですよ。わずかな補助ですけれども、とにかくお墨つきをもらってそこでやっていこう。それは面積が少々のものじゃないのですよ。大変な広いところを持っておる。いまお聞きのように、指針の相談があったときに物を言いますということで、長官が就任の所信表明で言われている、よりいい環境をつくっていくのだということに全くならぬのです。そうじゃないですか。長官、ひとつ基本的な心構えの問題だけ聞きたいのです。時間がないもので、わずかな時間で質問させていただいたのですが、長官、ひとつ答えてください。水だけじゃないですから、これは。
  174. 梶木又三

    梶木国務大臣 この法案ができまして、テクノポリスの計画、これをこれから二十一世紀に向かって立てていくわけでございます。このときに一番大きなのは指針でございますから、その指針で私ども相談を受けまして、言うべきことは言っていく、それを守っていただく、こういう基本的な姿勢に立っておるわけでございます。
  175. 水田稔

    ○水田委員 長官、この間も参考人の御意見を聞いたわけですね。環境を守るためには、開発がその地域で行われる場合には、まず現状の把握が一番大事です。それがわからずに、悪くなったのか悪くならぬのかというのは判断つかぬわけです。そして、そこから予測する、その指針をいま言われておるわけですね。ですから、これだけの開発がされるなら、環境庁としては、この法案検討されておる段階で、この地域の現状の把握だけでもやりたい、予算でも出せ、それだけのことを四省庁が主管官庁としてやるのなら。それがないわけです。この環境委員会では、予算説明でも何でも全く出てきていないわけですね。私はその点を言いたい。環境庁の姿勢としてはそうあるべきではないのですか。  片一方では、二十一世紀を目指して大変な開発をやろう、こう言う。どんどん片一方ではやっておるわけです。環境庁は、いよいよ具体的な計画が出てきましたら指針、しかし、それは白紙のところをいまやっておるのじゃないのです。もうすでに敷地ができ、工場も一部持っていきながら、あるいは施設を持っていきながら、それを指定してくれと言っていまやっておるわけでしょう。開発は進んでおるわけです。それに対して、指針の相談があったときに御意見を言いますという姿勢でいいのかどうか。
  176. 正田泰央

    ○正田政府委員 基本的には先生の御見識のとおりだと私ども思っておりますが、私どもの役所が通産省から法案の合議を受けました際、私、先ほどの官房長の御説明を補足する形で実務の方から申し上げますが、従来の開発立法につきましては、開発の指針、それから開発計画というものが込みになっている立法もございますし、また、このように分かれている立法もございます。したがいまして、開発指針や開発計画のいずれかに環境庁長官というものが顔を出しているという姿になっているわけでありまして、今回も開発指針というところに顔を出したわけであります。  ただ、開発指針というところに顔を出すことによりまして、非常に軽いじゃないかと先生御指摘なのでございますが、私どもも、当初からずいぶんこういう問題について詰めておりまして、まず制度的に若干申し上げますと、先ほど申し上げました指針の協議ももちろんございますが、特に五条の開発計画の立案の段階におきまして、先生ちょっとお飛ばしになったようでございますが、五項で主務大臣が開発計画を承認いたすわけでございますが、その承認いたす場合に、開発指針に適合しているかとうかということが大きなポイントになるわけでございます。それを受けて、また主務大臣関係行政機関、つまり開発指針の協議にあずかった環境庁長官に協議をするということになるわけでございます。  そういう一連のものがありまして、さらに七項で、都道府県が開発計画を公表いたしますので、これはアセスメントの制度なんかの公表と似たようなもので、いわば住民的なチェック効果といいますか、そういうものを期待するということが一つでございます。さらに、くどいようでございますが、各種立法につきましてもそういうような扱いをしております。  また、主務大臣につきましては、今回の法律につきましては、私ども当初から、開発立法と同じように、農地は農林大臣、建設は建設大臣、それから地域振興という意味で国土大臣、四大臣について主務大臣、われわれは調整官庁としての協議等の大臣というふうに一応整理されている。  それから御案内の、事前のいろいろなチェック、これはもちろんこの法律以前の、あるいは環境庁として当然やらなければならない分野でございますが、この地域指定に関連して、国土庁なり各省庁の持っている主務大臣の諸調査もございます。そういうものは当然われわれの方に参るわけでございますので、そういうものをベースにして、私どもの役所の各局がいろいろ検討する、こういうようなアウトラインでございます。
  177. 水田稔

    ○水田委員 時間がありませんからまた改めてやりますけれども、いずれにいたしましても、たとえば浜松のあれだけの豊富な優良な地下水のあるところに開発が進められる。環境庁はその実態を把握してという取り組みがない限り、テクノポリスに関しては環境庁は実際には全くお呼びでない。いま四条、五条の関係を言われましたが、第五条をどう読んでみても、開発計画が出て、指針にもとるかもとらぬかというのは主務官庁が判断してもいけるわけですよ。四条のところは確かに関係行政機関の長との協議というのがありますけれども、そこだけしかかましてもらえない。  では、私がいま申し上げたように、大変広大な面積の開発がされようとしているその地域の、たとえば北海道でエコロジーマップですか、環境庁が予算をつけてやられていますね。ああいうものを環境庁独自でやられるお考えはないですか。十九カ所の地域のいまの自然生態系の状態、地下水の状態、大気の状態を含めてやっておくということは、今後環境庁が物申すときに一番必要なことなんですよ。これは長官、金はかかっても、テクノポリス指定を要求しておる十九カ所の地域についてはやられるか、やられないか。この問題に関しては、そこだけで終わりますから、それだけ最後に御答弁願いたいと思います。  金がかかってもやるべきなんです。それもやらないで、法律の解釈だけ言われるなら、環境庁は本気でこのテクノポリスの環境問題を考えてないと、われわれはこれから全国に声を大にして言うていかなければいかぬことになりますので。
  178. 正田泰央

    ○正田政府委員 いま先生のおっしゃった点は、私ども考えていることと全く同じでございまして、いま御指摘のエコロジーマップというものはもともとそういうものでございます。ただマップ全体が、相当な金と期間をかけておりますが、まだでき上がっておりません。ただし、御案内のように、自然保護局のいわば植生を中心にした自然環境のものは相当でき上がっております。そういったものが当面の、いずれかの指定のところに、全部が間に合うかどうかわかりませんが、私どもの方の協議を受けたりするチェックの段階では、当然そういうものを活用しなければいけないというふうに考えております。
  179. 水田稔

    ○水田委員 いまできておるのはわずかでしょう。一地方とか、そのぐらいのものでしょう。ですから私は、全部が順次できて利用できることはないと思うのです。いま急ぐのは、現実に十九カ所はすでにもう開発が進んでおるわけですから、いまの段階で全県、一つの地方というのではなしに、その指定される地域だけでもやる。これならそれほど莫大な金は要らぬと思うのですね。それはぜひやってもらいたいと思う。そういうことで、ぜひ長官の決意を聞かせてください。やられるお気持ちはあるのでしょうが、金の関係が絡みますから、長官がその決意でやってもらわぬとできませんから、ひとつ長官、お答えいただきたいと思います。
  180. 梶木又三

    梶木国務大臣 ことしの予算はもう済んでしまいましたので、ひとつ来年度以降の予算につきまして努力をしたいと思います。
  181. 水田稔

    ○水田委員 それは追加を取ってでもやるという決意を表明してもらわぬと、私の質問に対してやはりだめですよ。それじゃ、それを実行するということを強く期待して、この質問は終わります。  時間がちょっと一分オーバーしましたが、恐れ入りますが、先ほどの土井議員の質問のあれで、答弁よりは資料要求をしておきます。  一つは、先ほど私、おりませんでしたが、十二カ所あると答弁された志布志海岸の主たる展望点はどことどこなのか、これは一覧表を後で結構ですから資料でいただきたいと思うのです。  二つ目は、八二年の二月にアセスメントに取り組むことを認めた鹿児島県提出の修正案に、景観に与える影響が少ないという認識を持つまでの環境庁の、展望地点を含め自然公園法上のチェック内容を文書で提出していただきたい。  それから三つ目は、志布志港改定計画の景観アセスメントの内容を出してもらいたい、これは資料要求です。  最後が、先ほどの質問の中で、主たる展望点はどこであったかという質問をしたけれども答弁がされていない。この四番目の点だけ御答弁をいただきたい。
  182. 山崎圭

    ○山崎政府委員 先ほどもお答えしましたように、自然公園法上の事前の検討に値するという結論が導かれる前の作業といたしまして、あの志布志湾の各地点においての展望をいたしました。その結果がああいう結論に結びついたわけでございます。主要である、主要でないという問題はその後の評価に絡む問題でございますので、そういうふうに御理解を賜ればありがたいことだと思います。
  183. 水田稔

    ○水田委員 いまの三つの資料要求、それは出していただけますか。
  184. 山崎圭

    ○山崎政府委員 お出しいたします。
  185. 水田稔

    ○水田委員 終わります。
  186. 天野公義

    天野(公)委員長代理 有島重武君。
  187. 有島重武

    ○有島委員 先日、三月四日の当委員会で、私はスパイクタイヤの問題で質問をさせていただきました。そのときに、健康に与える影響について、そこのところは何か非常にあいまいなようでありましたので、どんな調査をいましていらっしゃるのか、環境庁の方でも把握をしていらっしゃるのかどうか、その点をまず承りたい。
  188. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 スパイクタイヤによりますところの粉じんの問題は重要であると考えまして、昨年の七月でございましたか、環境庁内に検討委員会を設置いたしまして、いろいろとやっておるところでございます。  主な内容は、問題になっておる地域、昨年は北海道札幌地域を対象にいたしておりますけれども、粉じん、降下ばいじん、浮遊粒子状物質がどれくらいあるか、それから、その成分分析をいたしまして、重金属その他がどれくらい含まれておるかということを主としてやっております。そのほかに、いろいろな内外の知見の集積をやっておるところでございます。
  189. 有島重武

    ○有島委員 厚生省の方、来ていらっしゃいますか。——いまの問題についてどういったことをやっていらっしゃるのか、厚生省の方からもお願いしましょうか。
  190. 河路明夫

    河路説明員 厚生省としては、現在までのところ特段の調査を行ってはおりません。
  191. 有島重武

    ○有島委員 どうしてやらないのですか。
  192. 河路明夫

    河路説明員 スパイクタイヤの粉じんをめぐる問題につきましては、私どもも、国民の健康という立場からかねてより関心を持っているところでございます。しかし、この問題は基本的には環境問題として処理されていく性質のものかと従来理解をいたしております。そういった意味で、必要とありますならば、環境庁等と御相談申し上げた上で必要な対応をしてまいりたい、こういった段階でございます。
  193. 有島重武

    ○有島委員 健康問題じゃなくて環境問題だ、こうおっしゃるのですか。
  194. 河路明夫

    河路説明員 環境問題に関連する健康問題である、こういうふうに理解をいたしております。
  195. 有島重武

    ○有島委員 そうすると、環境庁の方でいまやっていらっしゃるのは、粉の中に重金属がどのくらい入っているか、そういう物理的なことを検査していらっしゃるわけですな。環境庁の吉崎さんですか。
  196. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 当面、実態をよく把握いたしますために、そういう健康に影響のあると思われるような重金属、その他、粉じんの中に含まれておりますスパイクタイヤによると思われるものの割合等を現地では調べておりますけれども、環境問題の一番大きな問題は健康問題でございますので、その点等に関しまして、総括的にも内外の知見の集積にもあわせて努めておるところでございます。
  197. 有島重武

    ○有島委員 何か余り素人わかりができぬようなお話だな。健康問題ということになりますと、ネズミに食べさせてみたり、犬の肺の中にこういうふうにたまった、こういう話ですよね。いま環境庁がやっていらっしゃるのは、外の砂の中に金属がどのくらいあるのかという物理的な話なんだね。また厚生省の方は、これは環境にかかわっている健康問題だからといって、人間とのかかわりについてはどうなんですかな、別にだれも手をつけていない、こういうことになっているようにいま聞こえるのですけれども、それでよろしいか。
  198. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 まず、実態の把握に主として努めておるところでございますけれども、先ほども申し上げましたように、環境問題の最大の問題は健康問題でございますので、それに関します内外の知見の集積にもあわせて努めておるところでございます。ですから、全く何もやっておらないということではございませんで、まだその実験までには至っておりませんけれども、どのような知見があるか、集積に努めておるところでございます。
  199. 有島重武

    ○有島委員 具体的にどういうことをしていらっしゃるのですか。人体にかかわってはどういうことを具体的にしているわけですか。何かあわせて何とかを行うというようなことをおっしゃったけれども、何をやっていますか。
  200. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 直接人体に関しますことにつきましては、いま特に行っていることはございませんけれども、たとえば犬の肺にじんが集まっておる、そうすると直ちにそういう研究者に接触をいたしまして、そのデータについてよく研究をしている、そういうふうに情報の収集に努めておる、こういう段階でございます。
  201. 有島重武

    ○有島委員 スパイクタイヤについて取り締まって、雪のないところで乗っかっているのを皆とめて、それをくり出すようなことがテレビでもってこの間出ていましたね。スパイクタイヤの効能と、それから弊害について、警察の方ではそれをどのように把握していらっしゃって、どのように規制していらっしゃるか。
  202. 広谷干城

    ○広谷説明員 お答えをいたします。  警察といたしましては、やはり積雪地帯におきます交通事故防止という観点から、滑りどめ装置というのは必ずしもスパイクタイヤだけに限られるものではございませんし、スパイクタイヤをつけなければならないという形での規制をいたしておるわけではございません。ただ、チェーンをつける、あるいはスノータイヤを履く等、滑りどめ装置を施しなさいという形で規制をいたしまして、積雪地帯におきます交通安全を図っておるわけでございます。  ただ実情といたしましては、チェーンを一々つけかえるのが大変だ、あるいはスノータイヤだけでは滑りどめとして必ずしも有効に働かないような場合もあるということで、現在スパイクタイヤが滑りどめ装置として一般的に使われておるということは実態になっておるわけでございます。  したがいまして、警察といたしましては、このスパイクタイヤによります粉じんの問題と、それから交通事故を起こさせないという、この問題というのは、安全と公害の問題をどういうふうに調和させるかということであろうかというふうな認識をいたしまして、現在やっておりますことといたしましては、積雪地帯における事故の実態、それがどういうふうになっておるかということにつきまして、その実態把握に努めておる。これが警察の現在行っております調査と申しますか、実態把握の現状でございます。
  203. 有島重武

    ○有島委員 だから、安全のために、具体的にはスリップが防げるということでございますね。どのくらいのスピードでもってどういうふうに曲がったときにどういう効果であるとか、どのタイヤだったらどういうふうになったとか、そういうようなことをいま調べていらっしゃるのですか。
  204. 広谷干城

    ○広谷説明員 実はタイヤの性能によってスリップの状態がどういうふうになるかということにつきましては、これは雪の量にも関係がございますし、また氷の状態についてもいろいろと複雑な問題がございますので、どういう雪質のときはどういう滑りどめ装置でなければならぬというところまで、必ずしも確実に私たちの方で申し上げられるほどのデータを持っておるわけでもございませんし、また、そういうふうなことをやるのに専門的な知識を必要とするわけでございまして、そういうふうな知見につきましては、それぞれ大学そのほかの研究をなさっておる方々から御意見を聞く等の勉強はいたしておりますけれども、むしろわれわれとしては、発生をした事故の中から、これはスノータイヤだけだったために起こった事故であるとか、あるいは夏タイヤを履いておったために起こった事故であるとか、そういうふうな事故の実態を通じまして、交通警察としてどういうふうに対応をすればよろしいのかという辺を勉強をさせていただいておるというのが実態でございます。
  205. 有島重武

    ○有島委員 御勉強のその中間報告のようなものはいただけますか。いつごろからなさっていて、いつには中間報告がまとまるのか、すでに出ておるのですか。
  206. 広谷干城

    ○広谷説明員 いずれその成果等をまとめて御報告申し上げるような機会があろうかと思いますけれども、現在の段階ではまだまとまった資料として私たちの方は持っておりませんので、御了承いただきたいと思います。
  207. 有島重武

    ○有島委員 いつからやっていらっしゃるのですか。
  208. 広谷干城

    ○広谷説明員 これにつきましては、この問題が出てまいりましてから、特に滑りどめ装置と事故の実態について、それぞれ積雪地帯においてはそういうふうなデータをとるように各県に対しても指示をいたしましてやっておるわけでございますけれども、大変申しわけないことでございますけれども、まだ御報告申し上げられるようなデータとしてまとまっておらないという状況でございます。
  209. 有島重武

    ○有島委員 では、いつできるかわからないというお話ですね。
  210. 広谷干城

    ○広谷説明員 ただいまここで、そのまとめがいつでき上がりますというふうなことが申し上げられない状況でございますので、御了承いただきたいと思います。
  211. 有島重武

    ○有島委員 環境庁長官、いまのお話を聞いていてどうですか、警察の方でもいろいろ調べていらっしゃる、こういうわけですが、いつごろまてにまとめてもらいたい、こういう要望をすることは環境庁長官の方からできますか。
  212. 梶木又三

    梶木国務大臣 いろいろ科学的な問題を含んでおりますので、その点につきまして具体的に政府委員の方から答弁させていただきたいと思います。
  213. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 御指摘のございましたように、この問題は早期に解決を要すると思っておるわけでございます。  そこで、私どもの方といたしましては、昨年の七月に自動車用タイヤによる粉じん等対策調査検討会を北海道大学の菅原教授に座長をお願いいたしまして発足させたわけてありますけれども、この問題は関係する分野が非常に多うございますので、全部の答えを出すまでには五年ぐらいかかるのではないかと思っておるのでございますが、早急に講ずる必要がある分につきましては、ひとつ二年程度で答えを出していただきたいとお願いをしておるところでございます。  また、ただいま御指摘もございましたけれども、各省庁がそれぞれいろいろな角度で関与をしておりますために、各省庁間の連絡調整を行うことが非常に大事だ、早い答えを出すにはそれが大切だと考えまして、各省庁にお諮りいたしましたところ、各省庁も御賛同くださいまして、去る三月二十八日にスパイクタイヤ問題関係省庁連絡会議を発足させたわけでございます。こういう場を通じまして、お互いに調査の結果を出すことを急ぎながら、連絡調整を図って、早い答えを出していきたいと考えておるところでございます。
  214. 有島重武

    ○有島委員 では伺うけれども、いま警察の方からお答えがございました、たとえば、ある条件、雪の条件のもとでもってスリップの仕方がどういうふうに違ってくるのだとか、あるいはいま警察でやっていらっしゃるのは、いろいろな事故を追跡して、それがタイヤのスリップの状況によるものではないか、どうであろうか、そういうことの分析を手始めになさった、これだけの話ですわな、いまのところは。積極的に何か実験をしてやっていこうというお話ではないようですね。  それで、いま吉崎さんがおっしゃいましたのは、そういうスリップ状況をどういうふうに調べる、そんなことはやらないわけでしょう。そういう話とは別ですね。だから、いまのお話は、そこの連絡会議では扱わぬ話ですね。
  215. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 ただいまお話しの件につきましては、それを所管する省庁がその場へその調査結果を持ち寄りまして、その他いろいろな調査結果を持ち寄りまして、総合的な検討を進めよう、こういうことでございますので、その連絡会議の場では扱うことになろうかと存じます。
  216. 有島重武

    ○有島委員 運輸省の担当の方、いらっしゃいますか。いまの問題で、どういうふうになるか。交通事故の問題とは別に、どのぐらいの効き目があるかというようなエフェクトの問題、そういったことをどこかで調べている人がいるかどうか。  あるいは通産省の方、来ていらっしゃいますか。では、通産省の方はいかがですか。
  217. 蕨岡達慈

    ○蕨岡説明員 ただいまの件につきましては、通産省独自という形での調査は特別には行っておりません。
  218. 有島重武

    ○有島委員 それでは、だれもやらないということになっているのだな。運輸省でスパイクタイヤについてやっているという話は、吉崎さん聞いていらっしゃいますか。一番物知りらしいから……。
  219. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 運輸省では五十八年度から検討会を設けられるように承知をいたしております。  なお、いまお話しの件でございますが、私どもの方でもいろいろと情報を集めておりまして、たとえばアイススケート場のようなつるつるのところでございますと、スノータイヤとスパイクタイヤでは、スパイクタイヤの方が六七%ぐらいでもってとまるとか、あるいは北海道開発局の土木試験場でも実験を行っておられまして、これは普通の道でございますけれども、雪の積もったところではどうも余り差かないけれども、普通の道でも氷結路面上ではスパイクの方が若干いいとか、幾つかのそういうデータは出ておるのでございます。ですけれども、いろいろな地域によって差がございますので、いま各省庁でそれぞれ所管する部面について御調査をいただいておる、こういうところでございます。
  220. 有島重武

    ○有島委員 大臣、いまのスパイクタイヤのメリットの話です。環境行政ということとはちょっと外れるのかどうか知りませんけれども、こういったことをほっておけば、新製品をどんどん売りましょう、こういうことでおしまいですよね。本当にそれを使わなければ危険だというような、あるいはよほどそれは効能があるとかというようなことを環境庁が相当身を乗り出して調べる、ないしは調べさせるということがやはり一つあってよろしいのじゃないかというふうに思いますけれどもね。  それからもう一つは、いま、何かその粉の中に重金属がどのくらい入っているのかとかいうお話もございましたね。確かに物理的にそうだ。ところが、一雨降って流れてしまうと、そういうようなことはずいぶんまたコンディションは変わりますでしょうね。確かにそれは環境には違いないけれども……。  それで、環境行政環境行政たるところは、建設省とちょっと違うところは、人間の健康とのかかわり合いがどうなっていくのかということが大変大切なんじゃないでしょうかね。厚生省の方にはまだ全然声がかかってないから、私たちはうっかり出しゃばることはいたしませんと言わんばかりのお口ぶりでいらっしゃいましたね。それでもってよろしいのかどうか。これはスパイクタイヤという大変限定された問題でございますけれども、ほかのことでも同じようなことはたくさんあるように私は思いますので、これにこだわって言うのだけれども大臣の御所感をちょっと承っておきたい。
  221. 梶木又三

    梶木国務大臣 私も札幌へ参りまして、あの粉じんの状態を見まして、これは大変だなあという感じを率直に持ったわけでございます。帰りまして早速局長に、これは大変な汚れ方だから何とかしなければならぬじゃないかということを申しまして、いま有島委員指摘のとおり、これに基づきます健康被害等の問題、これも含めまして、厚生省からはああいう答弁がございましたが、私の方にも専門家の医者もおりますので、私の方でも勉強いたしまして、真剣に取り組んでまいらなければならない、かように考えておるわけでございます。  しかし、先ほど来政府の方から答弁がございましたように、これをやめまして、また人身事故とかが多発いたしましても、これまた問題になりますので、そういう点も含めて、しかし、このスパイクタイヤによりますところの粉じんといいますか、これは私どもの問題でございますから、環境庁があくまでも軸になりまして、各省庁と御相談して、できるだけ早く、先ほども局長が申しましたような五年とかいうのじゃなくて、もっと早く、できるだけ縮めていただきまして、結論を出していきたい、かように考える次第でございます。
  222. 有島重武

    ○有島委員 環境庁としては、一つのプロジェクトを組ませていろいろ多方面にわたっていく。その出発点のところで、体の方のつながりのところが何かあいまいである。これはやはり問題だと思うのですね。そういったことを長官に目を通していただいて、一番のかなめはここにあるのじゃないか、これはだれが聞いてもそういう気がするわけですから。お役人さんたちもそれぞれ御専門ですからね。御自分の分野の中に閉じこもられて、余り人のところには手を出さぬようにする。これもまたお役人さんたちに大切なことなのかもしれませんけれども、それはひとつ本腰でもってやっていただかないと、幾ら二年たっても五年たっても、ついによくわからぬということになると思いますよ。だから、いまのお答えに尽きるのかどうか知らないけれども出発点のところで、もう一遍検討し直してみなければならないのじゃないかという気がしているのですが、いかがでしょうか。
  223. 梶木又三

    梶木国務大臣 委員の御指摘、十分理解できるわけでございますから、うちが中心になりまして、早速真剣に取り組んでまいりたい、かように考えております。
  224. 有島重武

    ○有島委員 それじゃ、またその中間報告をいつかチャンスがありましたら承らしていただきたいと思います。  それから、もう時間がないのですけれども環境アセスメントのことについて、きょうも読売新聞には社説が出て、早くやれというふうな促進方も出ておりました。それから毎日新聞にも、きょう四月二十六日で、何か大変トーンダウンしておる。それから、せんだって参考人の御意見を承るチャンスがございましたけれども、特に経団連の方ですね。何か早くお帰りになってしまって、僕たちも十分お話を聞けなかったのだけれども、要するにそういうことがございました。本当のところは一体どうなんでしょうか。これは本気でもってお進めになるというふうな印象を、いまのところ正直に申し上げて、僕たちは受けないのです。どうなんですか、その辺のところは。
  225. 梶木又三

    梶木国務大臣 政府といいますか、私ども、これはもう本気も本気でございます。この委員会等におきましても何とか御協力いただきまして、ひとつ早急に御審議を進めていただいて、今国会中に何としてでも成立させていただきたい、こういう気持ちでおるわけでございます。
  226. 有島重武

    ○有島委員 審議が進まないから、だからなかなか先に進まぬ、こういうことですか。それはわれわれ立法府の方の話ですけれども、どうですか。そういうふうに思っていらっしゃるのですか。
  227. 梶木又三

    梶木国務大臣 審議を進めていただけない理由には、まあいろいろあろうかと思いますが、私どもは各方面に、何としてでも早く審議ができるようにということで、いま精いっぱいお願いもし、努力もいたしておる、こういうところでございます。
  228. 有島重武

    ○有島委員 いま私は、いろいろお手伝いもしたいと思っておる。そっちが一番何に困っていらっしゃるか、それを承っておけばお手伝いができる。どういう点が、どういうふうになっているのですか。そちらがそれほど困っていらっしゃるという、こっちは何を手伝ってあげたらいいのかよくわからぬ。大体その内容については、もう数年前から委員の方々も皆さん精通していらっしゃる様子でございますね。それで、みんな各党それぞれ意見が、それもかなり鮮明になっておるかと思いますけれども大臣としては、そのなかなか進まぬ理由の中の二つ三つ、大きなベストスリーくらい、どういうことだと思っていらっしゃいますか。
  229. 梶木又三

    梶木国務大臣 私も、何でこんなに紛糾するのかと本当は疑問を持っておるわけでございますが、しかし、現実はいま委員指摘のとおり、なかなか審議に入っていただけない。これは決して委員会だとか理事さん方とか申し上げるわけではございません。そういうことで正規の手続を経てきておるわけでございますし、何とかうまく御審議を一日も早く進めていただきたい、こういうことで各方面にいろいろ説明もし、お願いもいたしておる、こういうところでございます。
  230. 有島重武

    ○有島委員 それじゃ、こういった点で一番まずいんじゃなかろうかということを僕は伺っておるのですよ、それを大臣はどういうふうに考えていらっしゃるのかなと思ってね。そのお答えはないのですけれども、何かお答えいただけますか。そういうのは答えられないわけですか。
  231. 梶木又三

    梶木国務大臣 ここでいま、先ほど申し上げましたように、正規の手続を経ておりますので、具体的にどうのこうのということは御勘弁いただきたいと思いますが、とにかく私も、おかしなことだな、こう思いまして、そのおかしなことの打開にいま一生懸命がんばっておる、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
  232. 有島重武

    ○有島委員 僕の方は一言で申し上げれば、これはつくっても本当に効果があるのかしらという気がするのですね。それはこの前も申し上げた。効果あらしめます、こうおっしゃるわけだが、効果あらしめるための条件づくりというのは一体どういうことであろうか、そういう趣旨のことをこの前少し申し上げたのですね。  それで、関西新空港のことを例に挙げて、ちょっと申し上げたことがありました。それから、この間、参考人をお呼びして意見を承ったときに、環境庁が、仕事を施行する人たち、ないしはそれを企画しておる人たちにアセスをさせるのはいいけれども、その前に、自分の手持ちのデータをしっかり持っているべきじゃないだろうか、そういった話が出てまいりました。私どもも、環境政策の中で一番主体になっているのは、これからどういうことをしでかすのだということとは別に、大体大阪湾なら大阪湾についての、あるいは大阪湾周辺についてのエコロジカルマップそういうようなものを環境庁としては持っているべきじゃないのだろうか、そういうようなことをこの前も、この前そういうふうに申し上げたか、その趣旨のことを言ったつもりだったのですけれどもね。  この関西新空港なんかのことについて、運輸省が主になって、これは五十七年度が三十二億円ですか、今度また四十億円ですか、相当いろいろ詳しい調査をしておる、こういうことになっておる。環境庁独自では、この関西新空港の建設については何事もやらない、やってない、そういうことですか。環境庁独自のものは何にもやってないわけですね。
  233. 正田泰央

    ○正田政府委員 空港の前に、先生のエコロジーマップですが、これは全く同じような発想で、私どももう大分前からエコロジーマップの作製に取り組んでおりますが、いかんせん、日本全国にわたる精密な地図でございますので、相当時間と金がかかると思っております。  関西空港につきましては、先般もたしか先生にお答え申し上げたと思うのでございますが、現在、運輸省の方でいわゆる三点セットと申します中に環境影響評価がございます。従来の公共事業等の扱いから言って、アセスメントの審査をやりたい、それをやらせる、私どもでいろいろ審査する、こういう形になっておりまして、もうずいぶん長い懸案のプロジェクトでございますが、関西全般にわたりますあらゆる地域の想定、そういったものについては、当該空港を所管する運輸省が、その機能、権限、財政その他の全能力を挙げて調査をしたものを私どもの方が見せていただいて、その上でよく検討する、こういう形でございます。環境庁にはそういった調整官庁固有の権限等はございますが、機構、権限、人的、物的、財政的能力、そういったものが、当然実施官庁でございませんから、ないものですから、そういう調査ができないものがいっぱいございまして、空港の関係も、そういう事業所管官庁の年月と人的、物的能力をかけた調査の上に立って審査をするという、基本的な考え方の上に立ってやっているわけでございます。その点はぜひ御理解いただきたいと思っております。
  234. 有島重武

    ○有島委員 運輸省のこの担当の方いらっしゃいますね。  これは調査をこれだけ、四十億円かなさるわけだ。その中で、いわゆる環境問題にかかわる事項というようなものを別に仕分けされるわけでしょう。されておりませんか、されるのですか。それで、されていれば、それは大体どういう項目になって、そのためにはどのくらいお金がかかるかというようなことは、何か表になっているのがあるかどうかですな。
  235. 安田善守

    ○安田説明員 お答え申し上げます。  関西国際空港につきましては、先生御案内のように、昭和四十九年に航空審議会から泉州沖が最もよろしいという御答申をいただきまして、その後、現地に観測塔を建てる、あるいは公害関係の諸般の調査を現地においてやるというようなことで、諸般の調査を進めてまいったわけでございます。  それで、調査の結果があらかたまとまりました五十六年の五月に、御案内のように、環境アセスメント、それから空港計画案、それから地域整備考え方という、三点セットと通称申されているわけでございますが、こういう資料に基づきまして、関係府県と意見交換を図ってきたということでございます。  それでいまお尋ねの、環境関係にどの程度の予算をかけておるかということでございますが、私ども実は四十三年から、このプロジェクトについては諸般の調査を進めてまいっておりますが、いま申し上げましたように、航空審議会で御答申をいただいたのが四十九年八月でございますから、それ以降は泉州沖についてしぼった調査を行ってきておるということでございまして、五十一年以降の調査で申し上げますと、五十一年以降五十五年度までで八十二億ございます。このうち環境関係に関する経費というのは約八割、六十七億という、非常に大きなウエートを占めた調査ということに相なっておるわけでございます。その後、五十六年、五十七年度につきましても、環境関係の現況把握、その他補足的な調査実施しておりまして、自然条件関係調査では、五十六年、五十七年度二カ年で約二十九億、それから環境関係の補足調査が約三億五千万という数字になっておるわけでございます。
  236. 有島重武

    ○有島委員 大臣、そんなふうだから環境庁独自の調査というのはできない、これは仕方がない、こういうことでもっていつまでもよろしいものかどうかですね。運輸省でもってデータをそろえて持ってくる。そうすると、向こうの方がはるかに専門家なわけですね。環境庁調整はすると言うが、調整というのはどういうことなんだか、ジャッジするわけではないんですね。判定を下すんですか。いまの空港のことを一つ例に挙げても、何か非常に頼りない印象を私は受けているんですね。  もう時間が来たから、これでもって、少し中途半端だけれども、終わりますけれども環境庁独自の調査をやるということは、将来とも余りできない、そういうことですか。やりたいと思っていらっしゃるのか。やればできるというのか。そこら辺のところは、長官、どうなんでしょうかね。
  237. 梶木又三

    梶木国務大臣 見方といいますか観点が、実施官庁あるいは事業主体のやられることが、公害なり、あるいは自然環境にどのように影響を及ぼすか、私どもはこういう観点から見るわけでございますから、資料は私どもが直接集めなくても、事業官庁からいろいろな資料をもらいまして、それでもっていろいろなことを判定する能力はうちの役所は持っておる、私はかように考えておるわけでございまして、直接独自に、各省から出てくる資料を判定するための調査、これはやらなければならないと思いますが、いろんな資料集めは私どもは必ずしもやらなくてもいいのではないか、二重になりますから。それよりも、事業主体に、こんな資料が足らぬじゃないかということで、私の方から注文をするだけの能力は私どもは持っておる、このように確信いたしておる次第でございます。
  238. 有島重武

    ○有島委員 済みません。時間が来たので、終わります。
  239. 天野公義

    天野(公)委員長代理 中井治君。
  240. 中井洽

    ○中井委員 私、三時から他の委員会理事懇に出ることになっておりますので、四十分いただいておるのですが、できるだけ短く簡単に質問したいと思います。  湖沼法を今国会に出される、こういうことでいま取りまとめに入られておるというニュースが私どもに伝わっておるわけでありますが、本当に今国会にお出しになれるのか、あるいはこの短い残り期間の中で出されて、うまく審議日程等に乗るのか、そういったことも含めて、大臣にお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  241. 梶木又三

    梶木国務大臣 午前中も御答弁申し上げましたが、いま本当の最後の詰めの段階に入っておるわけでございまして、環境庁といたしましては、もうすぐに政府原案を作成いたしまして、この国会提案いたしまして御審議をいただき、そして、この国会には成立させていただきたい、このようにいまでも強く念願いたしておるような次第でございます。
  242. 中井洽

    ○中井委員 まとめておられる、法案作成に当たっておられる事務当局、大体各省間の内部の合意を得た、こういうふうに私どもは聞いておりますが、それは間違いありませんか。
  243. 大塩敏樹

    大塩説明員 お答えいたします。  私ども検討しております法案につきましての大筋の枠については合意がなされているというように考えておりますが、これが法律として成立し、施行される段階での具体的な基準等につきまして、その細部につきまして現在調整が行われているということでございます。
  244. 中井洽

    ○中井委員 大臣、私どももアセスメントの法案をとめたくてとめているわけでもないのですが、湖沼法につきましては、アセスメント法ほどの問題もなかろうか、こんなふうに思います。もし今国会中に御提案をなさるということであるならば、私どもも、審議日程を含めて協力して、これを成立をさせていくということ、他の政党も大体異議なかろうか、こう思うのであります。  したがいまして、間に合うということであるならば、急いでいただくと同時に、逆にアセスメントのときのように拙速をやられて、できてきた法案を見て、野党がまた怒ってしまうというようなつまらぬ形のないように、また御説明等十分にいただいて、御努力をいただきますように重ねて御要望を申し上げておきます。  それから、もう一 つ他の面で承ります。  先ほどからも御議論に出ておりました環境地図というのですか、エコロジーマップですか、これは現在どういう考え方を基本につくられ、どのぐらいのところまで進んでおるのか、そういったことの経過報告を承りたいと思います。
  245. 正田泰央

    ○正田政府委員 環境マップ、エコロジカルマップと申しますのは、簡単に言えば、環境の面から土地利用についてどういうことを考えたらいいか、どういう制約条件があるか、どういうふうに利用できるか、こういう発想で考え調査でございまして、現在環境庁で委託調査を行っているわけでございます。  あわせまして、研究の会を設けてやっております。先生御存じと思いますが、前に環境庁におられました橋本道夫さんがこれのキャップになってやっていただいておるわけでございまして、特に国土保全機能というものを明らかにして、環境関係の情報を全部地図の上に載っける、こういう手法でございまして、そこで総合的に検討するということでございます。特に五十七年度及び今年度に集中的に委託調査をしていただいておりますので、五十八年度いっぱいで大体のところができるのじゃないかと思っておるわけでございますが、具体的な進渉状況をよく見てみないとわからないと思っております。
  246. 中井洽

    ○中井委員 それは五十八年度中で基本的な考えがつくられるとか、こういうふうにつくるのだということができるのだということでなしに、地図全体ができると理解していいわけですか。
  247. 正田泰央

    ○正田政府委員 地図につきましても、そういうふうなものを作成したいと思っておりますが、やはり基本的な考え方が中心でございまして、これ自体がすごく技術的に複雑でございますので、地図におろしてものをつくるとなりますと、これまた相当時間がかかるという感じがいたしております。ある程度のものはできるのじゃないか、こう思っております。
  248. 中井洽

    ○中井委員 それはどこか特定の地域で実験的、モデル的に地図をつくりながら考えをまとめているということですか。それとも地図というのはつくらずに、基本的な考えだけについて諮問をしておるということですか。そこのところを……。
  249. 正田泰央

    ○正田政府委員 どうやったら地図ができるかということを研究してもらっておるのですが、その材料として、御指摘のような具体的な場所について検討して、普遍的なものをつくる、こういうことでございます。
  250. 中井洽

    ○中井委員 できる限り予算面等も配慮いただいて、基本的な、しかも共通の知識としてお互いが利用できるようなものを早くつくり上げていただきたい、このことを強く要望いたしておきます。  次に、四月二十一日に中公審から出されました「今後の交通公害対策あり方についてしの答申、これについて環境庁どのようにお考えになっておるか、簡単に幾つかの点でお尋ねをしたい、このように思います。  ざっと見させていただいただけなんですが、大臣、答申を受け取られて、全体としてどのようにお考えになられますか、まずお聞かせを願います。
  251. 梶木又三

    梶木国務大臣 これにつきましても、午前中阿部委員のお尋ねにお答えしたわけでございますが、今回いただきました答申、物流対策あるいは周辺の土地対策、これまで含めて、含めてと申しますか、さかのぼって広い範囲で交通公害対策をやらなければ抜本的な対策はできない、こういう答申でございまして、私ども、これは画期的な答申だというふうに受けとめておるわけでございます。ただ、なかなか大きな問題でございますから、私はすぐにこれが目に見えてできるとはもちろん思っておりませんが、しかし、この答申を受けまして、着実に一歩一歩やっていく必要がある、こういう考えでおるわけでございます。
  252. 中井洽

    ○中井委員 全体に目を通させていただきますと、まず目につきますのは、いま大臣からお話のございましたように、道路だとかあるいは交通網体系だとか、そういったことに圧倒的に中身が割かれておりまして、発生源対策については、いままでのように何年度にどうするとか、あるいはどれぐらい排気ガスをどうしていくのだとか、そういったことについてはほとんど触れられていないわけでございます。文章の中に「自動車の騒音及び排出ガス規制のように国際的にも最高レベルのものがあることは事実である」こういう言葉があるわけでありますが、私どもは、自動車の騒音あるいは排出ガス対策、こういったものは、日本規制というもの、あるいは実施されておる現在の状態というものはもう世界レベルにあって、個々の対策をしばらくこのぐらいの水準でやっておいて、あとは道路をどう通していくか、あるいは物流をどう考えるか、そういった都市政策みたいな、あるいは建設省がやるような政策の中で考えていって、公害というものを減らしていくのがこれからの交通公害対策じゃないか、こういうふうに受け取っていいんでしょうか。その点環境庁どのようにお考えでしょうか。
  253. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 先ほど大臣からもお話がございましたように、この答申は、総合的な対策を講じて、根本的な解決を図るようにというのが一つの特徴でございます。ですけれども、物流と土地利用の両専門委員会の報告書におきましては、御指摘のございました発生源対策にはほとんど言及しておりませんけれども、答申の中におきましては、特に一項目設けまして、交通公害の最も基本的なものはやはり発生源対策である、もっとしっかりせよ、こう述べられております。たとえば、今日のわが国の自動車の単体規制は現に世界の最高水準にある。関係方面の大変な努力によりまして、そういう水準にあるのは事実だと存じます。ですけれども、技術は日進月歩でございますから、さらに技術開発に努めるべきであると私どもとしては考えております。答申も、そういう趣旨でさらに努めよと書いてあるのだろうと思います。  答申には数字は書いてございませんけれども、たとえば排ガスについて申し上げますならば、中公審の二段階規制が完了いたしました時点で、新たにディーゼル乗用車に目標を設定いたしまして、目下その技術評価を進めておる次第でございます。さらに技術の進歩を図るべきである、こういう趣旨であると理解しております。
  254. 中井洽

    ○中井委員 これはなかなかむずかしいことだなと私ども思っておるわけであります。ここに書かれておることはそのとおりだし、これをやらなければ交通公害というのは減っていかない、こう思うのですが、予算あるいは省庁の縄張り、発想の転換、こういったことを一つ一つやっていこうと思ったら、環境庁が手をつけていけるものというのはほとんどないと思うのです。そうすると、どうしても個々の発生源対策という形になっていかざるを得ない。ところが、個々の発生源については、かつては、アメリカに追いついたらいいじゃないか、アメリカより狭いのだから、上に行けばいいじゃないかということで、基準値が不正確だとは言いませんが、アメリカ目標でつくってきた数値を超えてやってしまっておる。ところが、アメリカなんか逆に、それはこのごろもう言わなくなっておる、不景気もありまして。そういう中でそれをさらにやっていこうとしたら、大変な抵抗も出てくるのではないか、こんなことを考えるのですね。そうすると、確かに大気汚染一つとりましても、固定発生源から出るものについてはある程度直してきつつある。そうすると、どうしても移動発生源。そうすると、やることがなくなるじゃないか、やれないじゃないか、こうやればいい、ああやればいいという議論ばかりいっぱい出てくるけれども、本当にむずかしいな、こんなことを率直に感じるわけでございます。  たとえば、航空機の問題なんかも出ているわけであります。それでは本当に航空機の個々の、あれは排出ガスになるのですか、これの基準なんか日本だけでつくれるのかどうか。つくったところで、よその国はそんなことは全然関係がなければ、日本に飛行機が入らないというかっこうが出てくる。そういったことを含めて環境庁、これはまだ日にちが短いわけであります。どんなところから一体手をつけて対策を進められようとしておるのか、その点ちょっとお聞かせをいただけますか。
  255. 梶木又三

    梶木国務大臣 この答申を受けまして、中公審の委員長さんもお話しになっておったのですが、これは来年だとか再来年だとかいう短期のものじゃないのだ、これは二十一世紀に向かっての長期的視点に立った答申だということは、はっきり申されておったわけでございます。私どももいますぐに、先ほど申し上げましたが、これに向かっていろいろなことが取り組めるとは思っておりませんが、しかし、こういう方向がこれからの、どうしても総合的な交通公害対策を打ち立てるために、先ほども局長から説明申し上げましたように、発生源対策もやらなければなりませんが、これにも私は限界があると思いますので、とりあえず、いま私どもの方でこれを受けまして、研究チームをつくりました。  問題は、いま御指摘のとおり、うちは実施官庁じゃございませんから、あくまでも建設省だとか運輸省だとか、こういう関係になるわけでございますので、そういう関係の省庁に、われわれは黙っているのではなくて、こういう答申を受けましたので積極的にこれから、たとえばことしから五カ年の道路計画というのは済みましたけれども、その次の道路五カ年計画立てられるときには、この考え方を十分取り入れてくれ、こういう要望をいたしまして、着実に前進していかねばならぬ、このように考えておるわけでございまして、各省庁との連絡会議も早々に持ちたい、かように考えておるわけでございます。
  256. 中井洽

    ○中井委員 本当にそういう連絡会議をお持ちいただく中で、御努力をいただかなければならないのは、各省庁の頭の切りかえだと思うのですね。道路をつくる場合にも、初めから排気ガス対策というものを考えていく、あるいはいろいろな公共事業をやるときも、初めからそういう対策考えていく、そういう発想をやらない限り、この実施というのはなかなかできない。たとえば、この中にもトラックの物流専門の道をつくるなどということが書いてありますが、そんなものはできやせぬですよ。本当にできないと私は思うのです。物すごい莫大な金が要る。新しくこれからつくっていく道路について、どう自動車が渋滞せずに、排気ガスが一カ所に停滞しないようにするかとか、そういった方法、あるいはグリーンベルトをどうつくるかといったような考え、そういったことをきちっと明確にしていって、交通公害対策が初めからなされるのはあたりまえだという発想でいろいろな行政がやられないと、これは一つ一つとってやっていくのはなかなか大変だ、答申だけに終わってしまうのではないか、こんなことを心配いたします。ひとつ御努力をお願いをいたします。  それと同時に、この中にはずいぶん財源対策の問題が書かれているわけでございます。この財源対策の中で、原因者負担をさすのが当然だ、こういう発想のもとに、重量税の問題あるいは石油あるいは軽油引取税、いろいろな形の財源を主張されているわけでございます。原因者負担について私どもは何ら申し上げる気はございません。  こういう財源を真剣にお考えをいただくのであれば、私はいつも公害健康被害補償法のときに思うのでありますが、あの制度そのものは割り切ってあるわけでありますから、別にまた二年間継続ということで、この間通過をいたしまして結構でありますが、重量税という形で大気汚染を負担をさすというのはおかしいのではないかといつも思うわけであります。あれはガソリンをたいて走って、その量で負担をしていく、これが筋じゃないか。たとえば、道路を傷めるというのは重量であろう。しかし、大気を汚すというのはガソリンの消費量じゃないか、こんなことを考えたりするわけであります。  そういったことを含めて、発想の転換と税制、あるいは環境庁公害対策として、これらの発生源から確保できる財源、こういったものをまず手をつけるべきだ、こんなふうに思うのですが、環境庁いかがでございますか。
  257. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 お話にございましたように、この答申の趣旨に沿いまして、答申の言葉を借りますならば、国民の英知を結集して、真に豊かな国民生活を実現する。二十一世紀と言うとちょっと遠いようでございますが、それでも十七年ぐらいしかございません。  確かに経費が大きな問題でございます。いろいろな問題がございますので、先ほど大臣からも答弁がございましたけれども、まず庁内に研究チームを設けまして、二十一世紀に向けてどういう段取りでどういう長期計画でやっていったらいいのか、そういう研究に取りかかりたい考えでございます。いずれにいたしましても、公害防止のために必要な経費につきましては、汚染者負担の原則というのは国際的なルールでございますから、この原則に沿いまして調達すべきものであろうと考えておるところでございます。  なお、ちょっと敷衍いたしますならば、答申におきましては、汚染者負担の原則を的確に適用することによりまして、望ましい物流体系、各機関相互の関係でありますとか、そういうものを経済的に誘導するのが適切である、こう述べられておりますけれども、それが適切であろうかと考えております。  なお、財源につきましては、答申の中で、公害防止を図ると同時に、地域の発展にも資するものにつきましては、一般財源の充実も図るべきであると述べておるところでございます。
  258. 中井洽

    ○中井委員 大変恐縮ですが、他の委員会の時間がございますので、二十一世紀と軽々しくおっしゃる、まあ理想的でいいのですが、私どもは二十一世紀も国会議員をやらせていただこうと思ってがんばっておるわけでございますが、理想をひょっと言われるのと、ここへ向かって一歩一歩どういう順番で行くのかを決めていただくというのは別だと思うのです。だから、環境庁は何からできるのだ、こういうのを十分御研究をいただいて、また私どもお手伝いできるなら幾らでもさせていただきたいと思います。ひとつ一歩一歩本当によい環境ができるように手をつけ始めていただきたい、このことを要望いたしまして、終わります。
  259. 天野公義

    天野(公)委員長代理 藤田スミ君。
  260. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、前回の質問で残しておりました公害健康被害補償制度の公害保健福祉事業の問題についてまずお伺いをしたいと思うのです。  この問題は、しばしばこれまでも取り上げられてきておりますけれども、一向に改善されていっていないのではないか、こういうふうに思います。  そこで、まず予算の問題なんですが、もう一度改めてここで四十九年度、それから五十二年度、五十六年度の予算額と決算額を示してください。五十七年度はまだ決算額出ていませんね。
  261. 大池眞澄

    ○大池政府委員 公害保健福祉事業の予算額と決算額についてでございますが、いまちょっと手元の資料には四十九年度がございませんので、五十二年度と五十六年度についてお答え申し上げたいと思います。  五十二年度の予算額は九億七千万でございました。決算額は二億五千万でございます。それに対しまして、五十六年度におきましては、予算額の五億二千五百万に対しまして、決算額は四億一千四百万でございます。なお、五十七年度の予算額は四億八千四百万でございまして、決算額は出ておりませんが、見込み額としては四億四千九百万程度を見込んでおります。
  262. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 制度が発足して四年目に九億七千万、当初の四十九年度の四億円というのがここまでふやされて、現在はその半分ぐらいに落ちておりますですね。それに引きかえて認定患者の方はどんどんふえていっておりますから、私は、ちょっと患者一人当たりで計算をし直してみたのです。予算額では五十二年度は一人当たり一万八千百六十円であったのが、五十六年度は一人当たり六千五百六十七円というふうに、これは三分の一ぐらいに低下いたしました。その背景にはもちろん予算が十分消化されていかないという問題があったと思うのですが、予算を使うように努力をしていく。なぜ使われないのかという点では、それを使うように努力をしていくということじゃなしに、その推移を見てましたら、予算額を落として、そうして予算そのものを減らしていって、何となく話が合っていくような、そういう現状になっているのじゃないかというふうに思うわけです。話が全く逆ではないですか。そうではないでしょうか。
  263. 大池眞澄

    ○大池政府委員 ただいま御指摘の点についてでございますが、この制度を創設いたしました際に、医療費、障害補償費のほかに、健康被害者の福祉の増進という趣旨でこの公害保健福祉事業を設定したわけでございますが、何分にも新しい着想による新しい事業ということでございまして、当初、制度を発足させた数年間というものは、これに従事していただくための体制の整備あるいは医師、保健婦等の確保等、実態上いろいろ困難な点がございました。そのようなことで予算に対しての実績というのはかなり低いパーセントでスタートを切らざるを得なかった、こういう事情があった点は御指摘のとおりでございます。  その後逐次この制度が地域におきまして定着をいたしまして、それぞれの実施主体でございます県、市、区におきましてそれぞれ相当の努力をしていただき、先ほど決算額でも申し上げましたように、徐々にではございますけれども、着実に事業は伸びつつある、こういうことで現在もなお努力を継続中であるということで御理解を賜りたいと思います。
  264. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そういうふうに評価されると私は妙だなと思うのですね。さっき言いましたように、初めの予算額からどんと予算額を落として、そうして消化率で言いましたら、それを実績と言うのでしょうか、確かに予算額に対して決算額で見ますと、ひどいときには一〇%ぐらいしか予算を消化できなかった年もありましたけれども、しかし、それが確かに五十六年度の予算の額に対する決算額というのは八〇%ぐらいまでなってますから、これは消化していったということになると思うのです。しかし、もともとそういうふうに予算を減らして、そして、しかも要求する患者の方はふえてきているということから考えますと、決算額そのものが少しずつ順次ふえていくというのも、これもまた患者の数のふえ方から見たら当然ですし、それから一人当たりの額で見ますと、五十二年度の四千六百八十円に対して五十六年度は五千百八十円ということで、これは物価の上昇率から考えてもほとんど伸びていないと言っていいのじゃないかと思うのですね。そういうような状態なのに、大体もうこれで定着してきて、少しずつふえていっているのだというような評価をしておられるという御見解で見ておられるということになると、私はずいぶんこれはのんきだなというふうに思わざるを得ないのですが、その点はどうなんでしょうか。一人当たりではほとんど伸びてないでしょう。
  265. 大池眞澄

    ○大池政府委員 ただいまの御指摘の点でございますけれども公害保健福祉事業の中身といたしましては、リハビリテーション事業、転地療養事業等それぞれ事業が分かれますが、リハビリテーション事業につきましては、いま手元の資料では五十三年度でございますが、事業量として一万一千二百人余の事業量でございましたが、五十七年度、これは県の方からの協議が来ておる数字でございますので、見込みの数字でございますが、約四万名というような非常な伸びを示しておる事業もございます。  それから転地療養事業につきましては、五十三年度が二万四千五百人余でございましたが、五十七年度の見込みは二万八千四百ということで、これも数字は伸びてきておる、このような現状にございます。
  266. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 リハビリテーション事業なんというのは、人数からいうと確かに四倍にふえていますからね。しかし、転地療養事業なんというのは、二万五千人から二万八千四百人にふえたといっても、この間の患者のふえ方とかいろいろ検討しましたら、私は、もっと努力をしていってもらわなければならないというふうに思うわけです。この福祉事業の問題は本当にいろいろと問題があると思うのですね。  まず、対象としている事業そのものが実態に合っているのかどうかという点では、合っていないということが言えるのじゃないか。また、対象としている事業がきわめて限られているということ、さらには、本来全額原因者が負担すべき費用を自治体に負担させていっているというような問題など、いろいろあると思うのですが、きょうは時間がありませんし、ぜひ御検討いただきたいという問題だけにしぼって御見解をお伺いしたいのです。  患者団体だとか医療機関が自主的に行っている子供たちへのサマーキャンプというのがあるのですね。これは非常に効果があるということで、この問題では助成をぜひやってほしいという要望もたくさん聞いております。こうした自主的なサマーキャンプの取り組みというのは、御承知だと思いますが、大阪だとか名古屋、そういう認定地域で取り組まれるようになっているのですが、私の住んでおります堺市でも五十一年から取り組まれておりまして、大変大きな成果を上げているわけです。また、実際その成果があるから、医療機関も次の年、また次の年と、もう七年連続して、お医者さんや看護婦さん、その医療機関がボランティアになってサマーキャンプをやっているわけです。  こうした試みは私のところだけではなしに、日本アレルギー協会だとか、あるいは国立小児病院、あるいは各大学病院でも行われていて、もう本当に試され済みの方法だというふうに私は思います。専門家の方も、このような集団鍛練療法というのを通じて、患者の積極性が、また、ぜんそく症状もきわめてよい傾向を示す例がかなり見られるというふうな報告を出しておられますし、それからお医者さんの立場からも、外来の診療だとか入院と異なって、患者と生活をともにするということによって、必要十分な観察ができる利点があって、以後の治療に役立つことが多い。こうした点からも、ぜひかかりつけの医療機関と患者が一体になって、このサマーキャンプもずっとこれまで大きな成果を上げてきたわけですから、こういう取り組みに対して、公害健康被害補償制度で助成をしていくべきではないかというふうに考えるわけなんですが、この点についてはどういう御見解をお持ちでしょうか。
  267. 大池眞澄

    ○大池政府委員 ただいまお話のございました公害保健福祉事業内容の改善の点でございますが、この制度を創設いたしまして、初めて公害保健福祉事業実施する段階では、専門家の間でも、その効果についてのいろいろな論議があったと承知しておるわけでございます。  しかし、その後各県、市関係者、専門家の御協力によりまして、この事業が逐次実績を上げるに従ってその効果があるという点は認められてきたということは同感でございます。その後、年々私どもも、そういった関係の専門家の方に研究等もお願いしまして、その研究成果を踏まえまして、必要な項目の新しい取り入れ等も行ってきております。たとえば水泳訓練等、比較的早い時期から取り入れておりますし、最近では、音楽療法とか心理療法等もその効果があるのではないかというようなことについては取り込んでいるというような実情にございます。  今後の研究課題として、いろいろな方法についての、そういった考え方については、そういった私どものお願いしております研究班の中で、今後もいろいろ検討を進めていきたいと考えております。
  268. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 効果があるということを認めておられるわけですね。そうでしたね。こういうサマーキャンプやなんかは効果がある、さらに、水泳だとか、あるいは音楽とか、そういうことは積極的に取り入れていきたい、そういうことは認めておられるわけですね。しかしながら、この助成の問題についてはどういうことなんですか。その効果については研究班でいろいろもっと研究を深めていきたいというふうに解釈したんですがね。助成の問題についてはどうなんですか。  いま、もう現にボランティアで——長官、私の言うことわかっていただけますか。民間の医療機関や何かが、積極的に自分の持っている患者の子供を連れて、お医者さんや看護婦さんがボランティアで、そのサマーキャンプに行って、そして、そこでもうお医者さん自身が、治療上でも大変有効だな、治療の上でも接触がもう二十四時間、二日行けば四十八時間接触するわけですから、そういう点でも患者の様子をよく観察できていいな、それから、子供たちにしてみても、集団の中で主治医の、しょっちゅう接触している先生に見守られながら、しかも、こんなふうに発作を起こすのは自分だけじゃない、あら、みんなだというところ辺から、何となく安心感が生まれて、そうして、それがかえって効果を生んで、非常によい効果を発揮しているというんです。  ところが、いませっかくあるこの公害補償制度の中では、その福祉事業の中では、こういうものに対して助成が全くされていないわけなんですね。それで、もう七年も実績を上げている。そこは医療機関が一生懸命ボランティアでやられている。あるいはアレルギー協会なんかがやっている。そういうふうなところに対して、私は、もういいかげんに、予算も組んではみたものの、うまく使いこなせていないという経緯を経て、絶対額を減らしていきながら、何とか話だけは合うようになってきているけれども、しかし、全体のこの執行状況から見ると、決して患者の要求にマッチしたものになっていない中で、こういうところからでも、もう少し柔軟に助成を始めていって、もっと効果を高めていくというんですかね、特に私は、サマーキャンプなんていうのは、子供ですから、早く治しておいたら、大人に引き継いで、成長していって、その病気をそのまま持って大きくならないんですね。つまり回復して、それがその子にとっても大変いいことですから、だから、特に私は、子供のこういうものに対して考えるわけなんですがね。何でもかんでもやれということじゃないですが、一つでもやはり門戸を開いて取り組んでいくべきじゃないか、そういうことを、助成することを認めるべきじゃないか、そういうふうに思うのですが。
  269. 大池眞澄

    ○大池政府委員 ただいま御設問の助成に関することについてお答え申し上げます。  この公害健康被害補償法に基づく公害保健福祉事業といたしましては、その実施主体でございます地方公共団体が直接実施をするというものに対してこの制度は対象としておるわけでございます。したがいまして、一部の医療機関あるいは団体等で実施なさる分については、この制度は及ばないということで御了解いただきたいと思います。
  270. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それがわかっているから質問しているのです。そうしたら、いまの法律では、私もここに持っていますが、一生懸命これを読み返してみたのですが、公害保健福祉事業ということが書いてある四十六条では、そういう助成はしてはあかぬ、そういうふうに書いてあるのですか。
  271. 大池眞澄

    ○大池政府委員 法律上の明文の規定から申し上げているわけではございませんで、この法に基づく適正な、円滑な運用という観点から申したわけでございます。
  272. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 適正円滑な運用の観点から申し上げているのです。だから言っているわけです。大臣、どうでしょうか。この点、一遍十分検討してもらいたいと思うのですよ。いまここでなかなか即答していただけないでしょうけれども。しかし私は、もっと本当に効果があるもの、それによって患者が回復できるのだったら、そういうものにもっと力を入れていくべきだと思うのです。それをいろいろ制約をしている。法律上では、文章上では少なくともそういうことを禁ずるとも何とも書いてない。だけれども、適正円滑にやるために、市町村が直接やるものだけを福祉事業として見ていくんだという言い方じゃなしに、そこは別に法改正をしなければならないわけじゃないのですから、ひとつ運用上の問題として、それこそ適正円滑に進めるために積極的に、よく民間の活力なんて言われますが、民間のそういう積極的なところをむしろ応援して、そして、積極的にこういうもので子供を治していこうというような姿勢が要るのではないかと私は考えるわけです。大臣いかがでしょうか、検討していただけませんか。大臣にお伺いします。
  273. 大池眞澄

    ○大池政府委員 先ほどの説明にちょっと補足してお答え申し上げたいと思いますが、私どもは、効果的と認められる方法を積極的に取り込むことについて努力をすることはやぶさかでございません。ただ、その実施主体が、県、市、特別区等の地方公共団体の責任において実施されるものについてこの制度の対象とするということを申し上げたわけでございます。  これは一つには、この事業が、ただいま申しましたように、制度発足当初からいろいろと論議のある中身であったわけでございまして、その効果等をめぐる論議等もございます。  また、中身としましては、相当医療の要素も含んだ中身になっておりまして、こういった事業実施していく責任というものは、やはりしっかりと踏んまえて実施をせねばならぬというふうに考えております。  また、この実施に当たりましては、その地域におきますところの被認定者に対しての、全体の問題として、これを効率的に有効に実施していくということも含めての責任でございますので、私どもとしましては、地方公共団体の実施分について事業の充実に努めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  274. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 納得できないわけです。効果等をめぐる問題という点では、効果があるというふうに認めておられた。そして、医療上の問題については、現に主治医がそういうふうにボランティアで七年も実績を積んでいるようなところがたくさん出てきている。そして、市町村もそこからいろいろな報告を受けて、私の堺でも、あそこの病院はようやってくれているんです、大変ありがたいと思います、こう言いながら、なかなかそこに助成ができないという、その制約の中で、そのまま横目でそれを見てしまっている。医療機関がもうやめておこうと言ったらそれでしまいですよ。そうしたら、子供はそういう福祉事業を受けることができなくなるわけです。それでは困るから、やはり子供たちのために市が責任を持って、ここは過去の実績から見てようやってくれている、そういうところに対しては、少なくとも助成を考えていこうじゃないかぐらいの、少し柔軟な態度をとっていかないと、この福祉事業責任を持って患者の健康を回復するという、この法律に書かれたような内容を本当に消化していくことはできないというふうに私は考えるわけです。  大臣、私の言っていることはわかっていただけると思いますので、もう一度大臣から、この点についてぜひ検討をお約束してくださいませんか。
  275. 梶木又三

    梶木国務大臣 私の考えも、先ほど保健部長が述べたとおりでございまして、この公害補償に限らず、どんな問題でも助成となりますと、これは地方自治体等が全体的に考えまして、これは効果があるのだとか、いろいろなそういう観点に立って、責任を持ってやるときに助成という制度が生まれるわけでございまして、いまおっしゃることはわかりますが、これはもう大いに自発的にやっていただくことには、私ども大変結構なことだと考えておりますが、民間のやられることに政府が助成というようなことは、いまの段階ではちょっと考えられない、かように思うわけでございます。
  276. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大臣政府が助成といっても、これは結局市町村の判断になるわけですから、何も政府の助成にこだわることはないわけです。市町村が判断をして、そして、そういう積極的な運動、それこそ緑の運動じゃないですが、運動を触発していくような効果もねらってやっていくというようなことは決してできない話じゃない。ほかの厚生省関係事業だって、全部助成というのはそういうことでやっているじゃありませんか。委託じゃないのです。だから、そんなことぐらい考えないと、これから患者がふえてきても、相変わらず予算は余りふやさぬようにして、決算のときは余り追及されぬようにしてという、そんなふうにしか思えない気分になるわけです。そんな消極的なことでは本当に困ると思うのです。  私は、大臣の午前中の御答弁を聞いていても、本当にもう少し積極的に物を言ってくださればいいのになと思いながら聞いていたのですが、もう一度どうでしょうか。この福祉事業をもっと推進させていって、そうでしょう、薬で治すよりもリハビリテーションだとか鍛練だとか、そういうことで治す方がずっといいわけですから。いわんや子供なんてそうなんですよ。薬で治すよりも、子供の心理だとか、そういう訓練だとかいうもので健康回復を図ってやる方が私は本当にいいと思うのです。余りたくなにおっしゃらないで、もうちょっと真剣に子供の立場に立って考えてやってほしいと思うのです。  市だって、この事業をやるについては、転地療養やサマーキャンプなんて市がやるといったら、はっきり言って、それこそ責任の問題で非常に消極的なんです。だのに、民間の方は七年も続けてやっているのです。それは民間の方は主治医だから、それこそ医療的にも責任を持ってやれるという、そういう関係の中では、非常に積極的にやっていこうという意欲がそこにはあるわけです。市の方はどうですか、いきなり預かった子供を連れていったわ、どないかなったら大変だというので、それこそ責任の問題で回避するというのが本当の姿じゃないかと、私は自分の町の話を聞いてきて、そのことを痛切に思いました。  だから、全部その事業をすりかえろとか、全部助成にせいとか、そんなことを言っているのじゃないのです。いまできるところからでも、そういうふうに効果的にやっているところに幾らかでも——その子供たちは、市から行けば全額負担ですが、その病院から行けば、少なくともお医者さんの費用は払う必要はありません、病院が払っているのですが、その子供の宿泊費だとか交通費は、当然のこと全額負担ですから、経済的な問題も絡んでくるわけです。そういう点では、せっかく研究するグループもあるんだったら、そこでよくそういうことも一度検討してみるというぐらいのことは、大臣、一回考えてみてください。
  277. 梶木又三

    梶木国務大臣 現行で動いております制度といいますか、運用をやっておりますが、これを十分活用して充実を図っていきたい、かように考えております。
  278. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 時間が大変中途半端になってあれなんですが、私はここに「緑化推進運動の実施方針」というのを持っております。この「緑化推進運動の実施方針」の中の「緑化運動の内容」の(2)というところに「環境庁が主唱する「小鳥がさえずる森」づくり」、こういうのがあるのですが、これは一体どういうものなんでしょうか。
  279. 山崎圭

    ○山崎政府委員 お答えいたします。  いま御指摘ございました「緑化推進運動の実施方針」、これは四月十四日に、緑化推進連絡会議と申します関係省庁が寄り集まって策定したものでございまして、その中で「緑化運動の内容」としまして、林野庁が実施するもの、建設省実施するものとあわせまして、「環境庁が主唱する「小鳥がさえずる森」づくり」という名前のものを記載してございます。  これは、趣旨としては、野鳥というものが生活環境を構成する上で大変かけがえのないものでございますし、私たちの心に潤いを与えるものである。しかも、野鳥の集うような森、そのこと自身が緑地の造成に直接的な効果を持つ、こういうことでもあるわけでございまして、野鳥の集う環境づくりをやってまいりたい。いままでもその種の関連事業は私ども事業として、野鳥の森づくりというような事業としてやってまいってきたわけでありますが、これから緑化運動を推進するに当たりましても、単に植樹するだけではなくて、できるだけ実のなる樹木を植えれば、そこに野鳥が集まり、さえずっていく、そういう生き生きとした緑が創出される、こういう基本的な考え方でございます。  具体的に申し上げれば、これまで施策としてやってまいりました野鳥の森というようなものをモデルにいたしまして、都道府県の指導のもとに、市町村が中心となり、地域住民の協力を得ながら、身近にある森や林、あるいは草地、池、沼、こういったところで実のなる木を中心とした植樹等の生息環境の整備をやる。あわせて、巣箱なり観察舎、こういった施設整備していく。そこは地域住民が野鳥と親しめる場となるであろう、こういう考え方でございます。
  280. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 端的にお伺いしますが、国は何をするのでしょうか。財政的な援助をされるおつもりなのか。もちろん、そういうものも大いに必要になってくると思うのですね。何ぼ市町村で大いにやってくださいと言っても、かけ声だけじゃ、それこそ鳥のさえずりじゃないですが、さえずりに終わってしまいますから、そういう点で端的に、どういうふうな援助をしようというのでしょうか。
  281. 山崎圭

    ○山崎政府委員 現在考えております中身につきましては、直接的な財政的な援助は考えておりません。いままで野鳥の森づくりというようなことで、一部補助金を出したケースもございますが、いろいろな事情からそれはいま行われていないわけでございまして、当面は、国の役割りといたしましては、いろいろこういう思想の普及、これが積極的に市町村で行えるような助言等を行ってまいりたいと思っております。
  282. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私の家の前も小鳥の森なんです。大阪の堺で、そんな田舎じゃなしに、ニュータウンなんですが、前がたまたま小鳥の森なんです。大変気持ちがいいです。こういうのは本当に大いにやってもらいたいとは思うのです。しかし、私の家の前の小鳥の森をつくるについては、大阪府が相当予算をかけて、具体的にそういうことの中でこれが成功いたしまして、いま小鳥が定着しまして、ありがたいことに、町の中にいながらウグイスの声を聞かしてもらえるというような環境になったのです。大変喜んでおるのです。  このことはとてもいいことだ、子供の情操教育にも本当にすばらしいことだと私は思うのですが、いま聞いたら、財政的には、初めはあったけれども、いまはもうなくなった。しかも、この計画でさえも、せっかく言っておる運動でも、そういうものはないのだということでは、本当に実現可能かなと思う。その点では、全体にこの「緑化推進運動の実施方針」を見まして、ほんまにこれで緑が守れるのかな、緑がふえるのかなということでつくづく首をかしげたくなるわけです。おまけに、緑の保護の問題というのが、この中を見ましたらどこにもないのです。木を植えるとか何とかとありますけれども保護するということは全然ないのです。これは、この方針の中にはないのですか。
  283. 山崎圭

    ○山崎政府委員 お答え申し上げます。  これは直接、緑化という問題についての実施方針でございますから、保全の問題は言葉と表現上の上ではありませんけれども、私ども基本方針は、緑化を進めること、大変結構でございますが、当委員会でもたびたび申し上げておりますように、それとあわせて、あるいはそれ以上に、従来ある緑の保全ということが大事な事柄である、かような認識を持っております。
  284. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そうです。私も、緑の保全はある意味では植樹以上に本当に大事にしていかなければいけない。インスタント時代と言われますが、木なんというものはインスタントででき上がるものじゃないわけですから、こつこつと一つずつ年を経なければ、大きくもならないし、太くもならないわけですから、そういう点では、緑の保全策というものを抜本的に強化していくべきだというふうに私は思うわけです。  ところが、この「緑化推進運動の実施方針」が出ました四月十四日の前の四月五日に、経済対策閣僚会議というのが開かれておりまして、そこで決めた経済対策は、緑化推進の方針がそういう点では非常にあいまいな内容であるのに比べて、こっちの経済対策の方はきわめて具体的に、緑の破壊に直接つながる内容を含んでいるのに私は大変驚いたわけです。だから、結局、緑化推進運動というのは、中曽根さんが人気取りに言うてはるのかなというふうに思わざるを得ないのです。しかし、それはともかくとしても、とにかく私たち緑にかつえている都市の人間にしてみましたら、この経済対策に書かれている内容は、大変重要な問題だというふうに思わざるを得ないですね。  それはいろいろありますが、市街化調整区域を市街化区域に編入して、開発をもっと自由にしていこう。いままでだったら開発面積基準が二十ヘクタール以上ということになっていたけれども、それを五ヘクタール以上に規模を落として、もっと開発しやすいようにしようとか、あるいは地方公共団体の宅地開発指導要綱を骨抜きにしていこうというような内容のものまで入っておりまして、これはもう政府の緑化推進という考え環境庁がおっしゃる緑の保全にも真っ向から反するものだというふうに言わざるを得ないわけです。  この点について、もう時間が超過いたしましたので、多くは申し上げませんが、環境庁長官として都市の緑の保全に真っ向から反するような内容を持つ、こういう二つの相矛盾したものが出てくる中で、緑の保全という立場で私はぜひ物申していただきたい。御見解をお伺いしておきたいと思います。
  285. 梶木又三

    梶木国務大臣 緑の問題を政府で取り上げておる、そのことと、同じくいまの経済対策で取り上げております住宅問題、これはいま藤田委員おっしゃるように、真っ向から相反する、かようには私は考えていないわけでございます。もちろん矛盾するような点もございますが、どちらも国民の大変なニーズでございます。だから中曽根総理が、緑をただ人気取りにやった、そんなものじゃございません。国民の欲求にこたえて緑をふやさなければいかぬ、守らなければいかぬ、こういうことでやっておるわけでございます。  また、いま国民はだんだん質の高い家を——共産党の先生方も、住宅問題だったら、もっと安い家をうまくつくれ、こうおっしゃる場合もあるわけでございます。だから、調整区域を市街化区域に編入すること自体が必ずしも緑を破壊するとは私は思いません。ですから、編入するとか、あるいは一つの計画立てたときに、ここはひとつ緑を残しておかなければだめだとか、計画の問題に帰するのじゃないか。どちらもそれぞれ国民の方々のニーズにこたえてうまくやっていく。だから兼ね合いが一番問題になる、こういうことでございまして、決して真っ向から二つが対立しておるとは私は考えていないわけでございまして、うまくやっていくということが一番大事だと考えております。むさんこに住宅をどんどんやっていきますと、御指摘のような緑を破壊するという面もございますが、家も建てる、建てたところには、緑を残さなければいかぬところには残していく、こういう計画が一番大事じゃなかろうか、かように考えるわけでございます。
  286. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 時間が参りましたので、これで終わります。この議論の続きはまた後ほどに譲りたいと思います。  ありがとうございました。
  287. 天野公義

    天野(公)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十三分散会