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1983-03-22 第98回国会 衆議院 環境委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月二十二日(火曜日)     午前十時十四分開議  出席委員    委員長 國場 幸昌君    理事 天野 公義君 理事 中村正三郎君    理事 畑 英次郎君 理事 牧野 隆守君    理事 阿部未喜男君 理事 串原 義直君    理事 有島 重武君 理事 中井  洽君       北村 義和君    高村 正彦君       桜井  新君    田名部匡省君       津島 雄二君    八田 貞義君       堀内 光雄君    勝間田清一君       土井たか子君    水田  稔君       山本 政弘君    大野  潔君       玉置 一弥君    藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 梶木 又三君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       加藤 陸美君         環境庁長官官房         審議官     鈴木  健君         環境庁企画調整         局長      正田 泰央君         環境庁企画調整         局環境保健部長 大池 眞澄君         環境庁自然保護         局長      山崎  圭君         環境庁大気保全         局長      吉崎 正義君         環境庁水質保全         局長      小野 重和君  委員外出席者         資源エネルギー         庁公益事業部火         力課長     向 準一郎君         環境委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ───────────── 委員の異動 三月二十二日  辞任         補欠選任   木村 武雄君     北村 義和君   園田  直君     田名部匡省君   田澤 吉郎君     堀内 光雄君   野呂 恭一君     高村 正彦君   橋本龍太郎君     桜井  新君   渡辺美智雄君     津島 雄二君   勝間田清一君     土井たか子君   永末 英一君     玉置 一弥君 同日  辞任         補欠選任   北村 義和君     木村 武雄君   高村 正彦君     野呂 恭一君   桜井  新君     橋本龍太郎君   田名部匡省君     園田  直君   津島 雄二君     渡辺美智雄君   堀内 光雄君     田澤 吉郎君   土井たか子君     勝間田清一君   玉置 一弥君     永末 英一君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  公害健康被害補償法の一部を改正する法律案内閣提出第一七号)      ────◇─────
  2. 國場幸昌

    國場委員長 これより会議を開きます。  公害健康被害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。牧野隆守君。
  3. 牧野隆守

    牧野委員 このたびの延長法案につきまして、環境庁長官並びに環境庁皆さんに御質問をいたしたいと存じます。  この法律は、すでに相当長期間施行されておりまして、関係者それぞれ大変な努力が今日までなされたわけでございますが、私ども、この法律運用を見ておりまして、今日まで相当効果が上がってきたもの、このように考える次第でございます。  確かに、この法律が制定された当時におきましては、SO2も非常に多うございまして、国民皆さんも、今後公害はどうなるのだろうかと大変な心配をいたしておりまして、そういう観点から、まず救済がなされるべきだ、まず救済を、こういう考え方が先に走りまして、どちらかと申しますと、まず救済ということで、相当割り切りをいたしまして、この法律が施行されたことは、関係皆さんよく御承知のとおりでございます。その間、公害防止という、国民の健康を守るという観点から、関係者大変な努力をいたしておりまして、今日見ますと、いわゆるSO2の発生も大幅に減少いたしておりますし、私ども見ますところ、患者さんの増加傾向等々を見ましても、相当効果が上がったもの、こういうように判断をいたしている次第でございます。  しかしながら、いま申しましたとおり、この発足当時に相当割り切りをいたしておる関係上、現実にこの法律の体系を見ますと、関係者の間から、相当見直しを行うべきじゃないかという議論が各方面から強く出されている次第でございます。したがいまして、そういう観点から諸般の質問をいたしたい、このように考える次第でございます。  何と申しましても、この法律基本は、いわゆる地域指定いたしまして、その指定に基づいて患者救済に当たる、こういうことでございますが、やはり基本的な地域指定につきまして、環境庁法施行責任者としての御意見を賜りたいと思うわけでございます。  この制度指定されております四疾病は、非特異的疾病と言われておりまして、全国どこにでも存在するものであるわけですが、本制度公害患者として認定されたものは、少なくともその地域におきましては大気汚染によって発病したもの、このようにみなされて救済がなされているわけでございます。この場合に、指定地域の間で大気汚染レベル相当の違いがあるわけでございますが、これらは公害患者発生率にどのようにあらわれているのであろうか。また、指定地域の内外ではどうであろうか。たとえば、この間も参考人の方にお伺いしたのですが、現在指定されております西淀川区と大淀区は隣接しているわけですが、大気汚染レベルはそれほど差異はないと思われるわけですが、認定患者発生率相当の格差がある、こういうことでございまして、これらの点について環境庁はどういうようにお考えになるか、担当者答弁を求めます。
  4. 大池眞澄

    大池政府委員 お答え申します。  ただいま先生御指摘のように、この制度の取り決めの中でも重要な柱になっております地域指定、現在四十一地域ございますが、それぞれの地域ごと認定患者発生している現断面におきます度合いを、たとえば人口比等で比べてみますと、それぞれ差異があるということは御指摘のとおりでございます。  これをどのように理解するかということにつきましては、各種の要因がございまして、理解がむずかしい面もございますが、その理由といたしましては、各地域ごと硫黄酸化物等で代表されます汚染の履歴が、それぞれの地域ごとに少しずつ違っておる点もございましょうし、また、地域ごとに、この制度発足以来、五十三年にかけまして逐次指定されたというような、制度がその地域にいつ適用されたかというような差異等もございます。いろいろそういうような要因がそれぞれの地域にあろうかと存ずるわけでございます。そのほか、医療機関の分布等々、社会的な要因地域によってはあろうかと存ずるわけでございます。
  5. 牧野隆守

    牧野委員 地域指定標準につきまして、中公審で一応の答申が出ているわけでございますが、少なくとも指定当初の状況から見ますと、現在の指定地域相当部分がその基準以内にある、こういうように考えるわけでございます。すなわちSO2につきましては、相当程度減少している、こういうことでございまして、これについて相変わらず指定されているわけですが、環境庁としましては、指定地域見直しと申しますか、そういう点についてはどういうようにお考えになっていらしゃいますか。
  6. 大池眞澄

    大池政府委員 地域指定要件につきましては、四十九年、中央公害対策審議会答申におきまして示されておりますが、その中でSO2、二酸化硫黄につきましては、ただいま御指摘がございましたように、汚染程度で申しますと、年平均値〇・〇四ppmというような状況中公審答申におきましては、これを汚染度一度としておるわけでございますが、この汚染状況は、昭和五十一年度以降、測定局のある全指定地域でこれを満足している、こういう状況にございます。  御設問にございましたが、このような改善を見ておる地域について、どのように今後措置を考えておるかという点でございます。これは、同じく先ほど触れました、中公審答申におきまして、大気汚染程度を判断していくに当たりまして、主要な指標として、硫黄酸化物以外にも、窒素酸化物浮遊粒子状物質を重要な汚染物質として挙げておるところでございます。硫黄酸化物につきましては、ただいま御指摘のような改善を見ておるわけでございますけれども、残余の窒素酸化物浮遊粒子状物質等につきましては、現在の指定地域につきまして、まだ必ずしも満足のいく状況にあるとは言いがたい、かように判断しておるわけでございます。
  7. 牧野隆守

    牧野委員 実はいろいろなデータを見ますと、指定地域と非指定地域指定地域近隣地域、これらの地域SO2、NOx等を見ますと、それほど変化がない。他方、それではその近隣地域と比較して、いわゆる認定患者の数が片方では非常に多いという、実質は同じような汚れであるにかかわらず、片方は多くて、片方は少ない、その辺が非常に不自然に思われるわけですが、指定地域指定と関連いたしまして、その辺はどういうように考えておりますか。
  8. 大池眞澄

    大池政府委員 現在指定されております地域は、主として実態上、過去の著しい汚染といったものを主体にいたしまして指定されたという経緯もございます。現断面でのそれぞれの地域汚染程度、これはその後の公害防除努力あるいはその後のいろいろな情勢の変化によりまして、その改善程度もいろいろ地域ごとに異なっておるかと存ずるわけでございます。  そのような過去の著しい汚染から、現在に至るそういう汚染状況の中におきまして、この制度対象としております疾病慢性疾病であるというようなことで、逐次発生し認定された患者さんは累積してくるわけでございまして、そのようなことでございますので、隣接する地域間で、いまの断面で比較をした場合に、いまの汚染状況と対比しまして、いろいろなばらつきが出てくるのではなかろうか、かように考えておるところでございます。
  9. 牧野隆守

    牧野委員 いまの答弁では私、十二分に納得できないわけですが、指定地域近隣地域、これは汚染程度はほとんど変わっていない。他方指定地域においては患者さんがより多く出てきている。しかし、全体から見ますとNOxはそれほど変わっていないようでございますが、SO2その他につきましては非常に改善されているわけなんですね。そこにどうしても運用の問題として不自然さを感ずるわけですが、そのように条件が、汚染度がきれいに改善されているにかかわらず、患者さんがどんどんふえるということ、本当に汚染度がよくなっているにかかわらず、改善されているにかかわらずなぜふえてくるのであろうか、その実態を、現実にどの程度ふえているか、なぜふえているかということについて、環境庁として十二分に調査されているかどうか、それについてお答えいただきたいと思うのです。
  10. 大池眞澄

    大池政府委員 直接のお答えになりますかどうか、全国患者数のことについてちょっと触れさせていただきたいと思うのでございます。  確かに御指摘のように、硫黄酸化物が急速に改善されてきておる状況の中で、患者数が依然としてふえていることはいかん、こういうことでお答えしたいと思いますが、一つには、地域指定が年を追って行われたという経緯もございまして、したがいまして、非常に早い時期に指定をされましたような地域では、確かに硫黄酸化物改善というようなものを反映いたしまして、その当該地域におきます患者数新規の増というものは非常に減ってきておるというような地域も認められるわけでございますが、反面、最近に指定したような地域におきましては、依然として患者新規増が認められる。この辺は制度を適用して日が浅いというような要因もあるのではなかろうか。この制度が、御承知のように申請主義ということで、本人が申請をされることからこの制度として受けとめる仕組みになっておるというようなことも御理解を賜りたいと思っております。
  11. 牧野隆守

    牧野委員 この地域指定の問題と患者さんの実態、あるいは先ほどお尋ねいたしました地域指定基準の問題、いろいろ十二分に納得できない、関係者から見ますと、どうも割り切り過ぎているのではないか、こういう意見が非常に多いわけでございまして、この地域指定について今後十二分に実態を把握して、解除すべきものは解除するのか、あるいは新たに指定すべきものは指定しなければならないわけでございますが、その辺の指定条件について、どういうようにお考えになっておりますか。
  12. 大池眞澄

    大池政府委員 ただいま御指摘地域指定をめぐる問題につきましては、かねて関係の各方面から御意見、御要望が寄せられておるところでございまして、私どもとしても、この地域指定をめぐる問題は、この制度を運営をしていくに当たりましてのきわめて重要な検討課題である、かように認識しているところでございます。  ちなみに、地域指定要件におきましても、あるいはまた、地域指定を解除する要件におきましても、著しい大気汚染があるのかないのか、それから、その影響による疾病が多発しているのか、していないのか、こういったことが主要な問題になるわけでございます。  まず、著しい大気汚染の有無の問題につきましては、先ほど来述べております硫黄酸化物のみならず、窒素酸化物等につきましても、あわせて考えていかなければならない。また、その影響による疾病の多発につきましても、その疾病地域におきまして現実的にどのように把握するかというような、手法上のいろいろな問題点もございます。  このような点につきましての科学的知見を確保するために、そういった知見を蓄積いたしまして、そういった基盤に立っていろんな事柄の整理が行われる、そうして、合理的な結論を導いていく。こういうようなことを目指しまして、現在環境庁におきまして、たとえば国内、国外の新しい文献の収集も鋭意努めておりますし、また、必要なフィールドの調査研究も現在継続中でございます。
  13. 牧野隆守

    牧野委員 この法律に基づきまして、患者救済のために関係者負担をするわけでございますが、四月一日以降、来年度この法律延長になるわけですが、これに基づく関係者負担金はどのような推移をするか、いまのところの見通しをお知らせいただきたいと思います。
  14. 大池眞澄

    大池政府委員 賦課金のことについての御質問かと思いますが、第一種地域に係る所要経費といたしまして、昭和五十七年度には制度全体で八百七十六億円、そのうち賦課金負担分が七百二億円となっております。昭和五十八年度におきましては、制度全体で九百二十七億円、そのうち賦課金負担分は七百四十三億円を見込んでおるところでございます。
  15. 牧野隆守

    牧野委員 昭和五十七年度と比較して何%ふえることになりますか。
  16. 大池眞澄

    大池政府委員 現在いろいろな統計をもとにしまして、賦課料率というものを計算いたしまして、関係方面の最後の詰めをしている段階でございますが、五十七年度から五十八年度へ向かいまして賦課料率は平均いたしまして三六ないし三七%の増になる、こういう状況にございます。
  17. 牧野隆守

    牧野委員 いまお答えいただきましたように関係者は大変な努力をいたしまして、公害がないように努力をいたしている、これはもう御承知のとおりでございまして、先ほどの答弁にもございましたように、SOxその他非常に減少いたしているわけでございますが、他方賦課金は、ただいまも答弁がありましたように、相当の上昇を示しているわけでございまして、患者救済のために支払うべきものは当然支払わなきゃならないわけですが、余りにも大きな増加額であるために、本当にこの制度は適正に運用されているのであろうかどうだろうか、こういう疑念をどうしても与える。今後さらにこれがどんどんふえていくのではなかろうか、とうていそういう負担にはたえられない、もう少し考えてくれないだろうか、適正に運用せらるべき分野があるのではないだろうか、こういう意見関係者の中から出てくるわけでございますが、この増加率、今後の見通しについては、環境庁はどういうように考えておられますか。
  18. 大池眞澄

    大池政府委員 ただいま御説明申し上げました賦課料率につきましては、分母分子というような関係がございます。分子の方には当然、この制度を維持し必要な補償給付等を支給していくための所要経費がくるわけでございますが、分母には、現在、負荷量賦課金をかける基礎としましては、硫黄酸化物排出量分母に持ってきておるわけでございます。したがいまして、所要経費の増が今後の賦課料率の増につながると同時に、分母へ参ります硫黄酸化物二酸化硫黄排出量の減というものも、賦課料率の増につながってくるわけでございます。  それで、所要経費の点につきましては、それぞれの県、市、区、ともどもに、適正実施についてはこれまでも努めてきているところでございますし、さらに一層、関係者の納得のいくような制度を維持していく必要がございますので、そういった適正化努力というものは一層行っていかなければならないと考えておりますし、分母に参ります硫黄酸化物、これが今後まだ減っていくというような推移をたどるとすれば、いろいろとそういった問題についても、長期的な観点に立って必要な検討を行っていかねばならないもの、かように考えておるわけでございます。
  19. 牧野隆守

    牧野委員 そういう観点から、この法律が適正に運用されているかどうか、当然そういう疑念は出てくるわけでございまして、したがって、高齢者取り扱いだとか、療養手当の支給のあり方だとか、こういうところに、果たして適正に行われているかどうかという関係者疑念が出てくるわけでございまして、そこでお伺いいたしたいわけですが、高齢者取り扱いについて、環境庁としてはどういうように考えておられますか。
  20. 大池眞澄

    大池政府委員 現在の制度におきます障害補償費におきましては、高年齢層につきましては、六十五歳以上を一つ年齢階層というようなことで定型化いたしまして、男女別それぞれの金額を定めて支給しております。遺族補償費等々その他の給付費も同様な扱いになるわけでございます。
  21. 牧野隆守

    牧野委員 高齢者取り扱いについては、ほかの制度との関係はどのように考えておられますか。
  22. 大池眞澄

    大池政府委員 この制度におきましては、御案内のとおり、四十九年の中公審答申での御論議を経まして、その答申によりまして男女別年齢階層別定型化をして、障害補償費その他の補償給付を行っておる、こういう仕組みをとっておるわけでございます。  その際に、性、年齢階層標準報酬月額を算出するに当たりましては、賃金構造基本統計調査報告というものを用いまして計算するわけでございますけれども労働者平均賃金というものが、六十五歳以上につきましては一本でその統計がとられておるということもございまして、他に適当な統計資料等も見られないというようなことから、この制度におきましては六十五歳以上が一本の定め方になっておる、こういうことでございます。
  23. 牧野隆守

    牧野委員 高齢者取り扱いにつきましても、たとえば八十歳以上とか九十歳以上と全部同じということでございますが、そういう答申が出たということでございますが、実際同じであるべきかどうか、公平の立場から見て、環境庁としてはどういうようにお考えになりますか。
  24. 大池眞澄

    大池政府委員 六十五歳以上の方々で働いていない人、働いている人、いろいろ形態があろうと思いますが、それ以下の年齢層におきましても同様な事情はあるわけでございます。やはり高齢者でありましても、労働能力等を喪失すれば、制度の性格上これを補償する必要があるわけでございまして、実際に働くか否かは別として、得ることが可能である収入、すなわち、現在働いている人の平均賃金基礎に、その損失を算定するというようなこととしているわけでございます。  これは先ほども触れましたように、六十五歳以上の方々が、もっと小刻みの年齢階層別に見てどのようになっているのか、いまの定型化して定めてある金額よりも高い人がいるのか低い人がいるのかという辺については、ちょっとデータを私どもとしては掌握しかねておる、こういう状況でございます。
  25. 牧野隆守

    牧野委員 ぜんそくその他この対象となっている病気につきまして、実は喫煙との関係が常に問題になるわけでございますが、これにつきまして、環境庁としてはどういうような関係を持つものと考え、また、分明であるとすれば、どのような研究を今日までしてこられたか、御答弁をいただきたいと思います。
  26. 大池眞澄

    大池政府委員 喫煙と健康の問題につきましては、国内のみならず、国際的にも逐年関心の高まっている分野でございまして、健康そのもの喫煙ということにつきましても、いろいろ論議もあり、また、その有害な側面というものもかなり明らかにされつつあるというふうに承知しております。  いろいろと議論があるわけでございますが、この制度とのかかわりにおきまして、指定されておるような慢性呼吸器疾病との関係におきましては、療養上好ましくないということはもう明らかになっておるわけでございまして、これは医学的に見ても疑いのない点でございます。  そのような観点で、私どもといたしましては、主として療養指導を通じまして、もし患者さん方に喫煙しておる者がおれば、そのようなことが疾病の回復にとっていかにまずいことであるかというような指導は徹底してもらうように考えておりますし、また、主治医自身が当然そういうふうに考え指導しておるというふうに考えております。  また、そのほか公害保健福祉事業におきまして、転地療養事業とか、あるいはリハビリテーション事業とか、家庭療養指導等ございまして、医師あるいは保健婦等がその事業に携わり、そういうような機会をとらえて禁煙指導ということを強く行っているところでございます。  また、私どもといたしましても、たばこ公害疾病との関係につきまして、一層療養指導が徹底されるようなこと等、幾つかの調査研究を並行して行っているところでございます。
  27. 牧野隆守

    牧野委員 喫煙による健康被害については、環境庁としては十二分に調査研究をいたしておりますか。もし、調査研究公害研究所その他で検討しておれば、その結果はどういうようになっているか、御報告をいただきたいと思います。
  28. 大池眞澄

    大池政府委員 私どもの手がけております研究といたしましては、慢性気管支炎の予後に関する研究でございますとか、あるいは禁煙指導に関する調査研究等でございます。慢性気管支炎患者さんにおきまして、禁煙をした場合に、症状の改善効果がどのくらい見られるかというようなことも研究しております。また、禁煙指導の面につきましては、いかに効果的に禁煙指導がなされるか、そのための指導指針なり研修教材なりの素材となり得るような基礎をつくるための研究に着手しているところでございます。  また、公害研におきましても、そこで行います基礎研究の中におきまして、人間あるいは動物の肺組織たばことの関係というものも、その研究の中に包んでやっておるというふうに承知しているところでございます。  私ども環境庁におきましては、たばこのすべてをという観点での研究でございませんで、この制度をより適正、円滑に実施していく、そういうために役立つ部分を受け持って研究をしているところでございます。
  29. 牧野隆守

    牧野委員 これまで質問いたしましたように、この制度それ自身相当割り切りを持って施行されたものですから、ただいまお伺いしたように、地域指定要件の問題、あるいは解除する場合にどうしたらいいか、さらに、運用関係におきましても、喫煙との関係、あるいは高齢者取り扱いの問題あるいは療養手当等いろいろ問題があり、片方費用負担者立場から見ますと、当初五十億くらいから年々増加いたしまして、もうすでに七百億、八百億という高額な費用負担が要請される、こういうことで、当然この法律の適正な運用が望まれるわけでございますが、これらの問題について、環境庁としては具体的にどのように適正化していくか、現在検討しておられるかどうか、ひとつ御意見を賜りたいと思います。
  30. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 ただいま牧野委員指摘のとおり、いろいろ問題があるわけでございます。また、この制度に関しまして、指定を解除しろとか、あるいはまた逆にNOx指定要件に入れろとか、いろいろな御意見が各方面からあるわけでございまして、これを見直さなければならないということは、私どもも認識をいたしておるわけでございますが、それについては科学的な知見、どうしてもこれに基づいてやらなければならないわけでございます。この科学的な知見に基づいて、私どもは冷静に判断いたしまして、だれもが納得できる合理的な判断、結論、こういうものを求めていかなければならない、かように考えまして、先ほど来保健部長から御答弁申し上げておりますように、いまその科学的な知見の集積に鋭意努めておる、こういう段階でございますので、御理解を賜りたいと思います。
  31. 牧野隆守

    牧野委員 もう時間が参りましたので、最後に一つだけ質問いたしたいと存じます。  環境庁においては、いろいろな調査研究をいたしているわけでございますが、実は関係者立場から見ますと、具体的にどういう研究をしているのか、あるいは環境条件変化その他についても、どういうように変化しているか、そういう調査をタイムリーに公表していただきたい。  それによって環境庁が適正に行政を行っているという、いわゆる行政に対する安心感、これが非常に大切でございまして、必ずしもいままで調査なさったことは十二分に公表されていない、このように聞いているわけですが、環境行政の適正化を期するために、調査研究の内容は、まとまらなければ公表できない、こういうことではなくて、積極的に、今度調査した結果はこうである、この次はこうである、そういう中において次々と実態が明らかにされ、そして、適正化について関係者の衆知を集めることができる、こういうことでございますので、これからは環境庁で調査されたものはぜひ公表していただきたい。  利害関係者は非常に多いわけでございますから、すべての方々の納得がいく、そういう前提でこの法律が適正に運用される、これを心からお願いするわけでございます。  以上、私の最後の要請を申し述べまして、質問を終わりたいと思います。
  32. 國場幸昌

    國場委員長 阿部未喜男君。
  33. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 長官、先般の委員会で、私は、臨調の部会報告について長官はどういうふうな受けとめ方をしておるかということを質問いたしましたら、まだ結論ではない、作業中だから意見は差し控えたい、そういう御答弁をいただいたのですが、いわゆる第二臨調の方でも答申が行われたわけでございますので、特にこの公害健康被害補償協会への交付金の問題についての臨調の答申を、私はどうもわかりにくいのですが、長官としてはどう受けとめておられるのか、その辺をまずお聞かせ願いたいのです。
  34. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 前回は、阿部委員おっしゃいますとおり、部会の報告でございましたので、コメントを差し控えさせていただいたわけでございますが、今回答申が出たわけでございます。この制度につきまして、健康被害者の迅速かつ公正な保護を図るという観点、これは大事なことでございまして、これに対しまして適正な運営に私どもは努めておるわけでございます。  今般臨調から、この制度につきまして指摘があったわけでございますが、一応政府全体としまして、この臨調の答申は最大限に尊重するという基本的な方針を、先般閣議で決定いたしたわけでございますので、私どもも、この臨調の答申は尊重いたしまして、今後とも、この制度の趣旨に即しまして、一層厳正な運営に努めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  35. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 政府全体が答申を尊重するとか、そういうことを私は聞いておるのじゃないのです。この答申の内容が私は理解ができないのです。どういうことをおっしゃっておるのだろうか。長官はそれをどう受けとめておるのですか。どういうことをせよとおっしゃっておるのでしょうか。
  36. 大池眞澄

    大池政府委員 お答え申し上げます。  私どもも、この答申を受けまして、よく読んだわけでございますが、まさに答申に記されておりますように、二つの事柄を言っておるというふうに理解されるわけでございまして、その一つは、「大気汚染の原因者が公害発生の防除に一層努めるべきことはもちろんであるが、今後とも制度を維持しつつ科学的見地からの検討を進め、地域指定及び解除の要件の明確化を図る」ということが一つでございます。それから第二は、「レセプト審査の強化等により療養の給付の適正化を進める。」この二点がこの答申指摘していることであるというふうに理解しているところでございます。
  37. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 たとえばSOxについては低下しておる、しかし、NOxは横ばいになっておる。そういう状況の中で見直しをせよということは、逆に言えば、よくなっておるのだからもっと厳格にやれ、こういう趣旨なのか、どうも私はそこがわからない。その次の二項にしてもそうでしょう。レセプト審査等の強化、医療機関に対する指導監査の強化等により適正化を図れ。適正化という言葉は適正化ですが、どういう方向で適正化を図れと言おうとしておるのか。少なくとも現行が適正でないから適正化を図れ、こういう趣旨なのか、何を求めておるのか。あなたはどうお考えになりますか。
  38. 大池眞澄

    大池政府委員 御設問の点でございますけれども硫黄酸化物が急速に低下、改善を見た、それから残余の窒素酸化物浮遊粒子状物質が横ばいの状況にある、これは実態上そのとおりでございますが、これをどのように評価するかということが、私ども制度といたしましては、非常に重要なかかわりを持ってくるわけでございまして、まさにその点につきましては医学的、科学的な知見に立って、こういった汚染の態様が変化したことをどのように評価し、それにどう対応したらよいかということを考えなければならぬ段階に来ている、このように指摘されていると理解しております。  それから第二点のことは、文字どおりの適正化でございますが、私どもといたしましては、現状、関係者一同一生懸命適正な運営に努めているわけでございますけれども、御承知のとおり、医療をめぐっての昨今の国民的関心というのはきわめて高まっておるわけでございまして、一般に医療全体について適正化ということが求められている、その流れの中で、もろもろの医療の一環として、この公害医療についても、なお一層の適正化努力指摘しておるのじゃないか、このように理解しておるわけでございます。
  39. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 環境庁としては、少なくともこの答申の趣旨は、公害健康被害補償協会に対する交付金を抑制せよ、そういう趣旨ではないのだ、見直しという言葉はそういう趣旨ではないのだ、そう理解していいですか。
  40. 大池眞澄

    大池政府委員 ただいまお話しのございましたような、どのような真意であるかということについては、私どもちょっと判断しかねるわけでございまして、その部分は臨調の判断であろうかと存ずるわけでございます。
  41. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 すでに臨調の手を離れて、行政府に対して答申がなされておるわけなんですから、私は、これから行政府はこれをどう受けとめたか、そのことが非常に重要だと思うのですけれども、余り議論しておる時間はありませんが、少なくともいまお答えがあったように、これは決して交付金を減らせとか、そういう趣旨ではなくて、あくまでも適正にやれという趣旨だというふうにあなたの方が理解しておるならば――ただ私、一言ここで申し添えておきますが、仮にSOxの濃度が落ちたからといって、健康被害というものは、長い期間にわたってそういう状況に置かれたことが発病の原因になるのであって、きょうSOxが落ちたから、きょうNOxがどうなったから、あしたから病人がこうなる、被害者がこうなる、そういうものではない。長い経過の中で出てきておる被害者の皆さんでございますから、今日SOxが少し少なくなった、だから見直せ、そういう理論は成り立たないということだけは特に申し上げておきたいと思います。  二点目ですけれども、今日までこの委員会でたくさんの附帯決議を行ってまいっております。附帯決議も、これは明らかに国会の意思でございます。その国会の意思をどう受けとめ、どう措置をしてこられたのか。  二、三点具体的な例を引用いたしますと、たとえばわれわれはかねてから、都市型の複合汚染、いわゆる窒素酸化物等健康被害に及ぼす因果関係等について、十分に究明をしてやってくれということを国会の意思として決議をしておりますし、あるいは転地療養の問題、公害保健福祉事業の充実等の問題、さらには騒音、振動による健康被害、財産被害に対する実態の把握、そういうものを調査をし、対策を立てるように、ずっと国会の意思として要請をし続けてきておる。一向、これの結論が出てこないし、前進をした兆しが見られない。まず私は、附帯決議というものを行政当局はどう受けとめて、どう措置をしておられたのか、その姿勢を承りたいのです。
  42. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 具体的なことにつきましては、後ほど政府委員から答弁をさせますが、私どもはあくまでも国会の附帯決議、これは尊重して忠実に実行しなければならない、かように考えております。
  43. 大池眞澄

    大池政府委員 私どもとしましては、附帯決議を尊重し、できるだけの努力を行ってきたところでございますが、窒素酸化物等の問題につきましては、あくまでも私どもとしては調査研究の推進、データの集積ということに相努めているわけでございます。  それから、公害保健福祉事業につきましては、それぞれの実施主体でございます県、市、区に格段の御努力をいただき、また私どもとしましても、できるだけの援助を行いまして、逐年内客の充実、運営面の改善を図ってきているところでございます。リハビリテーション事業転地療養事業療養用具の支給事業、家庭療養指導事業、それぞれにつきまして、年々その事業実績というものは伸びを示しているところでございます。専門的な医師等いろいろなチームにこの事業に加わってもらいます関係上、地域によりまして、そういった要員の確保もなかなかむずかしいというような面もございまして、当初は事業の伸び悩みがございましたけれども、昨今におきましては、予算面の八割ないし九割方の実行というようなところまで水準が上ってきている実情にございます。  それから、先ほど三番目の例として挙げられました騒音、振動等の問題についてのことでございますけれども、私どもといたしましては、騒音、振動は、これは主として良好な生活環境の障害というような角度で理解しておるわけでございまして、まだ、この制度大気汚染系、水素汚濁系について取り上げておるような、そういう意味の健康被害というようなものに相当する健康被害がどのような形であるのかないのか、その辺の因果関係としてとらえるものがあり得るのかというようなことについては、それぞれの関係の部門においていろいろ調査研究等も行われておるわけでございますが、そういった推移等を見ておるところでございます。
  44. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それからの問題について調査研究を行うのは、それは本来の環境庁の任務で、ことさらにここで誇張する問題ではないのですよ。その調査研究も行わないような環境庁なら、初めから要らないのです。そうでしょう。調査研究して、こうしなさいということを国会の意思として決議をしておる以上は、かくかくの方法でここまで調査が進みました、こういう対策を立てていきたい――きのうきょう決議したものじゃないのですよ。ずっとこの委員会で決議をしてきておる内容なんです。それをただ、調査研究しております、それで済むものなら、何もここで、国会で決議する必要はないのです。もう少し具体的に、たとえばいまの転地療養とリハビリの問題等は、これは若干前進があったことについて私も認めます。認めますけれども、そのほかの、特に問題になっておる都市型の複合汚染対策の問題、あるいは騒音、振動、そういう問題はもうぽつぽつ具体的な結論が出てきていい時期だと私は思うのですけれども、単に調査研究ではお答えにならないのじゃないのでしょうか。どうお考えですか。
  45. 大池眞澄

    大池政府委員 御承知のとおり、私どもの手がけております調査研究につきましては、単年度ごとに完結しておるものにつきましては、その都度発表いたしておるところでございますし、また、継続的な研究につきましても、それが取りまとまった段階で明らかにしてきておるところでございます。  それで、現在行っております制度をめぐる諸問題にかかわりの深い研究のことについて御指摘があったかと思うわけでございますけれども、その点につきましては、何年かにまたがって継続して行う研究でございまして、単年度だけ部分的に抜き出しても、それ自体が意味がはっきりしないというような性格の研究でございまして、これにつきましては、一連の研究がある程度まとまるめどがついて、その段階で専門家の検討を経て結果を明らかにしていきたい、また、そのようにするのが適当であるというふうに考えておるところでございます。
  46. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 先般、この委員会に学者、先生方や経験者の皆さん参考人として御出席をいただきまして、いろいろ御意見を伺ってみました。特に、学者、先生方の御意見は、今日非常に重要なのは、いわゆるNOxである、こういう意見を述べておられます。この決議が一番新しい決議でも昭和五十五年三月ですよ。もう三年たっておるのです。しかも私は、明らかに相当多くの方々窒素酸化物等の複合の汚染によって健康を害されておるであろうということが想像ができます。患者の身にとっては三年という月日は短いものじゃないですよ。毎日毎日、この健康被害皆さんは、いつそういう法律ができるのだろうか、いつ認めてもらえるのだろうか、そのことを首を長くして待っておられると私は思います。  単年度ごとに簡単にできぬ問題であるとおっしゃいますけれども、逆に私は、三年間もかけてまだ手がかりさえもないのか、こう言いたい気がします。しかし、きょうここでこのことを問い詰めてみてもどうしようもないでしょうから、国会の意思であるというこの厳粛な事実を踏まえて、なるべく早い時期に、もう学者の多くの方々がおっしゃっておる、この窒素酸化物等を中心にする複合汚染についての対策を、結論を出すように御努力を願いたいと思います。  最後に、もう一点お伺いしておきたいのですが、環境庁の予算ほどわかりにくい予算はないのですけれども、この前いただきましたものに「昭和五十八年度環境保全経費主要補助金調」という冊子があります。この中で、いまの一種の地域における健康被害の補助金、あるいは交付金という言葉も使っていますけれども、いわゆる自動車重量税から支出をする分になると思うのですけれども、総額の二〇%、これはこの中のどこの項目に挙がっておるのですか。
  47. 正田泰央

    ○正田政府委員 先生の御指摘の点でございますが、先般御説明申し上げました資料をごらんいただきますと、現在補償法の改正案の御審議をお願いしておる関係上、引き当て分の交付金が計上されていないということでして、よくお気持ちはわかるのでございますが、私どもの資料は、各省集めまして、純粋な補助金だけを整理して十年前からやっておりますので、あしからず御了解いただきたい、こういうふうに思っております。  厳密な意味の補助金だけを整理したものを、各省から集計いたしまして掲げたものでございまして、いまおっしゃった交付金といいますか、補償費の性格を持った交付金とか、その他の委託費とか、そういうものは計上いたしておりませんので、あしからずお願いします。
  48. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 しかし、この「環境庁予算主要事項調」の中では、第三項に挙がっておるようでございます。百七十九億三千六百六十五万六千円ですか、これに挙がっておるようでございますが、これは違いますか。「昭和五十八年度環境庁予算主要事項調」、これに挙がっておるようですが、どうですか。
  49. 正田泰央

    ○正田政府委員 お答え申し上げます。  先生の御指摘のとおりでございますが、予算ということで交付金、補助金はもとより、委託費、交付金など全部含めて、いま先生がお示しになった資料には書いてございますが、各省の保全経費一覧の方は補助金だけになっておりますので、そういう御懸念をいただいたのだろうと思っております。あしからず御了承ください。
  50. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 不勉強で申しわけないのですが、補助金と交付金というのはどう違うのですか。
  51. 正田泰央

    ○正田政府委員 交付金の中には、たとえばここで御審議いただいているような補償金などもございますし、いま手元に資料がないので明確には申し上げられませんが、その他各省にいろいろな交付金という名のつくものが多々ございます。そういうものを厳密な意味で交付金と言っているわけでございますが、いま先生がおっしゃった補助金につきましては、たとえば補助金適正化法に掲げております補助金、委託費など以外の補助金、そういったものが厳密な意味で、狭い意味の補助金というふうに私ども整理いたしておるわけでございます。
  52. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 どうも私は読んでいて、補助率が何ぼとか、いろいろ出てくるのですけれども、補助金と交付金というのは率直に言って非常に分けにくいような書き方になっています。これは交付金だろうか、これは補助金だろうか、いろいろ性格を考えてみながら判断をしなければわからない内容になっておるのですけれども、全くわかりにくい。しかも、私はあれは補助金だと思っておったから、環境保全の補助金の中のどこかの頃にあるだろうと思ったら、各省庁が所管していない。一体これはどこから出ていくのだろうか、どこの所管を通って協会に交付されておるのだろうか、これは環境庁が知っておるわけでしょう。大蔵省が直接払うわけですか。どうなるのですか。
  53. 大池眞澄

    大池政府委員 お答えいたします。  公害健康被害補償協会に対する財源交付は、環境庁の予算に一たん計上されまして、環境庁から協会の方に流れていくわけでございます。
  54. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 多分そうだろうと思ったのです。そうしますと、環境庁を通じて協会に交付をする、私は補助と言いましたけれども、五十八年度の予算は大体百八十四億四千六百万、こういうことになっておるはずでございます。ところが、実際に交付する金は百五十四億八千百万円、こうなるわけです。予算でこれだけありながら交付する金が落ち込んでくる、一体これはどういう事情ですか。
  55. 大池眞澄

    大池政府委員 五十八年度の健康被害補償協会交付金につきまして、百八十四億四千万という数字につきましては、補償給付費等の総額の二割に相当する金額のことを御指摘かと思いますが、それが実際に予算に計上してある額は百五十四億八千万円余となっている、この落差は何によるか、こういう御指摘であろうかと思います。この差額につきましては、五十七年度までに公害健康被害補償協会に交付されました額で、実際に支出されずに協会に留保される、その見込み額のうちに、債務の発生が今後とも見込まれないと思われる額、すなわち五十八年度の支出に充当可能な額が二十九億六千万円ございます。それを今回の予算の調整の段階におきまして引き当てる結果、百八十四億円余は百五十四億円余、こういうふうになったわけでございます。
  56. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで、昭和五十七年度に実際に引き当てた額は百五十九億五千二百万円、こうなっています。昭和五十八年度に引き当てられる額は百五十四億八千百万円と、五十七年度よりも実際に引き当てる額は少なくなっています。二〇%分が減るということは、固定発生源である八〇%分も減るという理屈になりませんか。
  57. 大池眞澄

    大池政府委員 所要額の二割分につきましての、ただいまのことが直ちに連動して、八割の方がそうなるということでは必ずしもないわけでございますが、固定発生源分としての、すなわち汚染負荷量賦課金負担額につきましても、五十八年度実所要額に対しまして百七億程度が充当可能ということで、実際に必要な額につきましては六百三十五億円余、こういうような仕組みになるわけでございます。
  58. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私がこれを聞いているのは、固定発生源の負担が年々ふえて、たとえば三十何%もふえておるという、先ほどのあなたのお話があったから、おかしいな、二〇%分が少なくなっていっておるのに、固定発生源の方の負担がふえていくという理屈は成り立たない、こっちが減れば八〇%分も減るはずだ、全体の交付額が少なくなったから二〇%分も少なくなってきたんだ、それで八〇%分も少なくなってくるはずだ、私はそういう理解に立って、固定発生源の方の負担額はそんなにふえる理屈がないのではないか、そういう気がしたわけですが、何しろここには政府が交付する金の内容しか出ていないのです。したがって、おたくに責任があるのならば、協会の収支の、各都道府県あるいは特定市に対する交付の内容を資料として全部提出してもらうことができるならば、これで質問を終わりたいと思います。
  59. 大池眞澄

    大池政府委員 委員会の手続を経て、そちらの方と相談してみたいと思っております。
  60. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 歯切れが悪いですが、協会にこれだけの交付金を出しておるわけですから、協会の経理内容が国会の場で公表できない、そんなばかなことがあるならば、われわれが二〇%だけを一生懸命議論してみても何も意味がないのです。長官の責任で、当然あなたのところは監督官庁として協会を監督しているわけですから、出しますと約束してください。
  61. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 承知いたしました。
  62. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 終わります。
  63. 國場幸昌

  64. 土井たか子

    ○土井委員 ただいまの阿部委員に続きまして、健康被害補償法に関する質問を続行させていただきたいと思います。  私はきょうここに、環境庁の大気保全局自動車公害課が昭和五十七年十二月に出されました五十六年度の「自動車排出ガス測定結果報告」というのを持ってまいりました。これを見まして、まず、どうしても質問せざるを得ない問題がございます。  五十年度以降の高濃度汚染地域を見てまいりますと、SO汚染濃度はいささか改善されているのですが、これはもう幾度となくこの場所でも取り上げられておりますとおりでございまして、NO2、浮遊粉じんは横ばいないしむしろ悪化傾向の地域があるわけです。二酸化窒素の年間九八%値の経年変化などを見てまいりましても、これはもう問題になる地域は漏れなく悪化の一途をたどっていると申し上げなければならない。公害病の第一種指定地域患者さんの数というのは、減るどころか、依然として増加傾向をたどっているわけでございます。  そこで、まずお尋ねをしたいのは、沿道のNO2というのは悪化傾向をたどっている、横ばいないし悪化傾向である。理由はなぜだというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  65. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 自動車排出ガス測定局におけるNO2の状況でございますけれども、ただいまお話のございました各地域ごとのもの、いまちょっと手元に持っておりませんですが、日本全国で見ますと、継続二十六測定局におきましては、この数年、五十三、五十四、五十五、五十六を見ますと、御指摘のございましたように、横ばいであると言ってよろしいかと存じます。五十三まではやや増加傾向でございましたけれども、五十三から五十六にかけましては、横ばいではございますが、やや下がりぎみでございます。  その原因はどこにあるか、こういうことでございますが、世界でも最も厳しい自動車の排出ガス規制をやっておりますけれども、まだ十分規制車が行き渡っておりませんで、五十三年規制車が前年度末でまだ半分ちょっと欠けるような状況でございます。これから逐次規制車が走り出しますならば、改善されてくるであろうと考えておるところでございます。
  66. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、自動車の排ガスにその原因がある、まだ排ガス規制については十分な効果を得られていない、こういう結果であるというふうに認識をされているわけですね。  そうしますと、このNO2、浮遊粉じん濃度の横ばい、悪化傾向と、公害病の患者さんの増大の関連性というので、どういうふうに考えていらっしゃいますか。まず端的にお伺いします。
  67. 大池眞澄

    大池政府委員 公害の第一種指定地域におきましてのこれまでの観察について申し上げますと、ただいま御指摘のような問題との関連性というのは、必ずしもまだ明らかにされていないというふうに理解しておるわけでございます。  これまでにも一、二の調査を実施したわけでございますけれども、いろいろ手法上の問題等もございまして、その調査によっては必ずしも明らかにされませんでした。そのようなことも契機といたしまして、五十五年度以降、手法開発をねらいました、新しい手法を導入した調査等も現在調査研究を実施しているところでございます。
  68. 土井たか子

    ○土井委員 何だかこの種の質問をすればするほど心もとない、頼りない答弁ばかりで、NO2と有症率の関連性というのを、いかにして時間稼ぎで、研究している、研究していると言って引っ張り続けようかという姿勢がありありと見えてならないのです。口先だけで、国会決議というのは守らなければならぬとか、守るために努力しますだけ言ったのではしょうがないのですよ。実際問題、それに対してどのようにやっていらっしゃるかをやはり問題にしていかなければならないわけですから、ただいまはまだ何にも手つかずという段階だということにならざるを得ないのじゃないかなと私は思いながら、環境庁は一体何をしておられるのか。  先ほど大臣は、だれしもが、みんなが納得できるようなことに対して研究中とおっしゃいますが、環境庁のお仕事というのは、本来環境庁設置法がちゃんと決めているのでしょう。どういう立場に立っておやりになるのです。だれが一番納得することが肝心なんですか。だれの立場に立って、だれのために環境行政をやるということが肝心なんですか。これは国民と言ってしまえばそれまでかもしれませんけれども、もうすでに大気汚染の被害に苦しんで、病気になって、毎日毎日あえぎつつ生活してやっていらっしゃる方々がある、この問題を無視して環境庁の行政なんてあり得ないと私たちは思っているのですよ。それからすると、ちょっとこれ怠慢過ぎやしませんか。  そこで、新しい手法もとおっしゃっておりましたから、その新しい手法というのは何かというのをちょっと聞かしておいてください。何なのですか。
  69. 大池眞澄

    大池政府委員 お答えいたします。  これまで大気汚染と健康との関連性についての調査を行うに当たりましては、かなり有名になりましたけれども、BMRC方式と称される方式が主軸で行われてまいりました経緯がございます。この制度におきましても、地域指定等の調査におきまして、このBMRC方式というものを使ってきております。ただ、この調査にはそれなりの制約もいろいろあるわけでございまして、これにかわる何か新しい方式はないか、こういう観点から、現在アメリカで開発されましたATSという手法を、手法確立のための調査研究の一環として取り上げているところでございます。  これは五十五年にパイロットの調査をいたしまして、五十六年度、五十七年度とずっと継続しているわけでございますが、対象としましては、主として学童年齢層対象としまして、それも年間二万人ないし三万人という、この種の調査としてはかなりな規模の調査であろうかと考えております。これが疫学調査の新しい手法の開発という観点での私どものアプローチでございます。
  70. 土井たか子

    ○土井委員 疫学調査について、BMRCとかATSなんというのを聞かされたって、これはさっぱりわからぬです。どういう方式で何をおやりになろうとしているのかということはさっぱりわからぬ。  一つだけ、私はまず指摘をしておきたい点があります。それは、車について、どういうふうに排ガスについての調査をされているかというと、いまのテンモードという規制方式というのにどうも大変問題があるようですね。このテンモード方式については、もうお耳にも入っていると思いますけれども、排出ガス規制強化の基準としてテンモードによる方法が採用されているけれども、高速運転条件下ではその効果が薄れているということがはっきり東京都あたりでも確認されているのです。  私は兵庫県なんですが、兵庫県でも、下に国道四十三号線が走り、上に高速道路が走っている地点というのでは、これは上の高速というのは、やはり高速であるがゆえに意味がございまして、この排ガスの問題というのは、高速道路がつくられればつくられるほど、ずいぶん悪化しているという傾向があるのです。要するに、簡単に言うと、テンモードの規制では排出ガス規制に対して効果を上げないのではないかということが問題になってきているわけなんですね。  高速運転地域においては、特にNOx排出量を低減するために、テンモード法の見直しか、高速域での排出基準を設定する必要があるということが指摘されて久しいのですが、これは御承知おきくださっているでしょうね。特に、NO2の激甚地域というのは大都市地域です。したがって、こういう問題について、沿道周辺に対する対策というのは、発生源対策から始めなければならぬというのは、環境庁としてはもとより基本姿勢としてお持ちのはずでございますから、こういうことにも目をつぶっていらっしゃるはずはないと私は思うのですが、この点はいかがですか。テンモード規制というのは、これはおかしいのです。実情に合わない。どうですか。
  71. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 自動車排出ガスの規制方式でございますけれども、御指摘のございましたように、走り方によりまして違うわけでございます。わが国では、わが国の都市内での走行状況を勘案いたしまして、現在テンモードでやっておるわけでございます。これにつきましては、いまのところ、都市内においてはこれでよろしいかと考えておりますけれども、高速と都市内と、あるいはこの走り方が違うということもあろうかと思います。先ほども申し上げましたけれども、自動車排出ガス測定局汚染状況等をいま見きわめておるところでございますが、その結果を見て適切な措置を講じてまいりたいと考えておるところでございます。
  72. 土井たか子

    ○土井委員 これは質問していてむなしいですね。何を聞いても、研究をいたしまして、研究した結果適切な方法を講じてみたいと思いますと、一体だれのための、何のための研究であり、その結果何をどうしようとしているのか、さっぱり雲をつかむような話ばかりなんです、きょうは始まって以後ずっと、ただいまに至るまで。これはどうしようもないですよ。  それでは、せめて聞かせてください。先ほど申し上げたとおりで、テンモードに対しての取り扱いというのを、今後少なくとも、法の見直しか高速域での排出基準というのを設定するか、そういうことが必要であるという声に対して、どういうふうに考えて調査を進められますか。
  73. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 お話にございますように、確かに代表的な走り方で規制する必要があることは御指摘のとおりでございますので、環境、大気の状況などをよく見きわめて対処してまいりたいと考えております。    〔委員長退席、天野(公)委員長代理着席〕
  74. 土井たか子

    ○土井委員 いま私が言ったことに対しては、何のお答えにもなっていないのですよ。  これは委員長、これ以上こういうやりとりをやっていたって、実際、時間のむだというのはこういうときに言うべきだと思うのです。少しはっきり答弁をするように督促をお願いします。
  75. 天野公義

    ○天野(公)委員長代理 政府から答弁はありませんか。
  76. 土井たか子

    ○土井委員 もたもたとそちらで相談をされておりますから、私は、本来はもうこれでこの委員会は打ち切って、本日は審議はこれにて終わって、散会ということにしなければならぬと思うのですが、わが方の理事に万事任せます。(「休憩だ」と呼ぶ者あり)
  77. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 いま向こうでちょっと勉強しておりますので、しばらく御猶予をお願いします。
  78. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 都市内の自動車の走行と高速道路の走行と、寄与率その他いろいろな問題があろうかと存じます。しかしながら、御指摘の点は私どもとしてもよく理解できますし、適切なるモードでやらなければいかぬと考えておりますので、そういう点を含めまして検討させていただきたいと考えております。
  79. 土井たか子

    ○土井委員 その検討とおっしゃるのは、いつごろまでに結論を出していただけますか。これはもう言われ続けて久しいのです。
  80. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 この点につきましては、実は私ども、予算措置その他いまいたしておりませんので、いつまでということはちょっといま申し上げかねるところでございます。
  81. 土井たか子

    ○土井委員 これはもうひどいと思うのですよ。こういう問題は、発生源対策として、いかにNOxに対して規制していくかという問題、NO2について、環境基準も六十年までに守らなければいかぬというのでしょう。総量規制を何のためにやっているのですか。発生源対策なくして総量規制なんてありゃしませんよ。少なくとも、移動発生源に対してどう取り扱うかということは、当時から非常に大事な至上命題だった。いま予算もつけてないというのではしょうがないです。私は、以後質問する気持ちも失うくらいですよ。どうですか。(「休憩」と呼ぶ者あり)
  82. 天野公義

    ○天野(公)委員長代理 では、暫時休憩いたします。     午前十一時三十九分休憩      ────◇─────     午前十一時五十三分開議
  83. 國場幸昌

    國場委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。土井たか子君。
  84. 土井たか子

    ○土井委員 休憩前に私が質問をいたしましたことについて、その後、環境庁内で、長官を中心にされまして御協議されたはずでありますから、ひとつその点についての御答弁をまずいただいて、先に質問をいたします。
  85. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 ただいまの問題は大変むずかしい問題でございますので、やみくもに五十九年度予算に予算要求いたしましても、要求が困難な面もございますから、予算要求時点までに私の方で内部的に十分勉強いたしまして、いろいろなことを財政当局にもはっきり説明できるだけの根拠を、要求時点までにつくりまして、予算化できるような方向で努めてまいりたい、努力してまいりたい、かように考える次第でございます。
  86. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、ことしは調査費が予算化されていないので、内部でいろいろ調整をするということに当てざるを得ない、来年度はその調査についても予算化をきちっとして、この問題に正式に正面切って取り組む、こういうかっこうだというふうに理解をさせていただいてよろしゅうございますね。
  87. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 そのとおりでございます。
  88. 土井たか子

    ○土井委員 そう言っております間にも、刻々と大気汚染というのは深刻な問題でございますが、さて、テンモードの問題についても、いま質問を申し上げた中身からいたしますと、御答弁の限りでは、調査が非常に不十分だったというのがわかったのですが、BMRCとかATSという中身がよくわからない。特にアメリカの、年間二万人から三万人を対象に健康健診というものを中心に置いたATS方式というものを取り上げて問題にしていきたいというような御発言も先ほど御答弁にございましたが、この中身について具体的にちょっと説明を賜りませんか。ATSとはどんなものなんですか。そしてBMRCのどういうところが欠点だったということを認識して、そういうATSを調査の方式としてお取り入れになることになったのか、その点はいかがなんですか。
  89. 大池眞澄

    大池政府委員 大変専門的な中身でもございますが、お求めでございますので、できるだけ簡潔にお答えしたいと思います。  従前用いておりましたBMRC方式、これは英国の方式でございます。最初、一九六〇年ごろに開発されまして、世界的にも広く疫学の分野で愛用されてきた調査でございます。これは中身的には四十歳代、五十歳代というような大人を相手にいたしましてのインタビュアといいますか、訓練を受けました調査員が、一定の定められた項目について質問、聞き取りをしまして調査をする方式でございます。そして、主として着目をいたしますのは、せき、たんというような慢性気管支炎にかかわりの深い症状、これを調査していく方式でございます。  それに対しましてATSというのは、アメリカで開発された比較的新しい方法でございます。そして対象としては、これは大人に限らず学童、子供について実施できるような工夫が行われておりまして、かつ質問も、そういう調査員というような方式でなくてもできるような仕組みになっております。項目数はBMRCよりもはるかに多いわけでございますが、ここで取り上げておりますのは、気管支ぜんそくとか、ぜんそく性気管支炎とか、そういったようなことにかかわりの深い症状についても調査がしっかりできる、こういう点が若干ニュアンスとして違うかと存じております。  それで、BMRCの方は、慢性気管支炎に縁の深い症状に着目をするわけでございますので、過去から蓄積されてきている病気とのかかわり合いを見るのには非常に好都合でございますが、新しい発生というものをとらえることについてはATSの方がよろしいのではないか、すなわちATSの方式によりますれば、比較的学童層というのは、最近の大気の状況とのかかわり合いにおいて現在の健康状態が成り立っておりますので、新しい発生状況というものがそれから推定できてくるのではないか、こういうような差がございます。
  90. 土井たか子

    ○土井委員 いま御説明のようなことで、まさか新しく認定のあり方をつくりかえていくということじゃないでしょうね。  実は、いま私、手元に持っております「公害健康被害補償制度考える」という経団連が作成したパンフの中に「BMRC方式の調査は、せきやたんの訴えを調査するものなので、回答者の意識により偏りが生じやすいことなどの問題があり、」「判定指標とするには信頼性に乏しいとの批判が出ています。」云々で、いまおっしゃったのと同じように、過去にBMRCでやってきたけれども、これでは十分ではないのでというふうな意味も含めて、新しいアメリカの方式であるATSに調査の重点を移すというふうな意味も含めての御発言でございますから、そういうことによって、認定については従来からきちっと決められた条件がございましたが、条件を変えていくということにまさかならないと私たちは思っておりますけれども、そういうことじゃないのでしょう。条件を変えることではないのでしょう。
  91. 大池眞澄

    大池政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、私どもが行っております調査研究は、あくまでも医学的、科学的な基盤をより強固なものにする、この制度を支えていくための科学的な基盤を強固にするという趣旨に尽きるわけでございまして、その調査研究自体で制度が直ちにこうなる、ああなるというような性格のものではなかろうと思います。この基盤に立って、また専門的な検討を経て、必要に応じた制度上の論議があろうかと思います。それで、現在、三つの要件で認定されている仕組みそのもの自体は、この調査研究とは別次元の議論かと思います。
  92. 土井たか子

    ○土井委員 認定の要件と、この調査研究とは別次元と言われておりますから、そこのところははっきりしておかないと、混同されて、要件自身がこのことによって、経団連などが考えていらっしゃる仕組みの方向に持っていかれるようなことがあったのでは、環境庁は一体いままで何をなすっていたかということにもなるわけでありますから、この点はしっかりはっきりさせておいていただかなければならないと思います。そのとおりに理解しておいてよろしいですね、いまおっしゃったとおり、関係ないと。
  93. 大池眞澄

    大池政府委員 そのように理解しております。
  94. 土井たか子

    ○土井委員 さて、大臣にちょっとお尋ねしたいのですが、SO2よりもNO2、浮遊粉じんが大気汚染に寄与しているということが言えるわけですから、それから考えてまいりますと、公害病の患者さんがふえていっているというのも、この激甚地域において顕著なんです。この辺はNO2や浮遊粉じんが大気汚染に寄与しているということがはっきり言えると思いますけれども、この点はもう申し上げるまでもない話だと思いますが、大臣のお考えをちょっと聞かしておいていただきたいと思います。
  95. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 どのぐらいこれが影響するかというところは、先ほど来保健部長が御答弁申し上げておりますとおり、まだいまのところはっきり数量的に申し上げる段階でもございませんので、いまのところでは科学的な知見の集積をやりまして判断をいたしたい、かように考えておるわけであります。
  96. 土井たか子

    ○土井委員 科学的な知見の集積とおっしゃいますが、これは関係がないとは言えないわけでしょう。関係がどの程度あるかということに対しての知見の集積をなすっているわけであって、関係がないものなら初めからそういう作業は無意味なのでございます。関係があるという認識に基づいて知見の集積をいまなすっていらっしゃる、こういう段階だろうと思われますが、大臣、そのとおりですね。
  97. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 関係ないとは私も考えておりません。関係があるだろうということも予想されますので、勉強いたしておる、こういうことでございます。
  98. 土井たか子

    ○土井委員 少なくとも高濃度汚染地域公害病の患者さんの数の推移には、相当程度の因果関係が、そういう意味であるということが言われているがゆえに、いまその知見に対して、集積される作業も意味があるというふうに理解をいたしておりますが、この点もそのとおりでございますね。
  99. 大池眞澄

    大池政府委員 この制度を組み立てたころの硫黄酸化物濃度が、現在に比べまして異常に高かった、そういう時期におきます硫黄酸化物窒素酸化物等のそれぞれ混合された汚染、これによっていろいろな疾病の多発が社会的にも問題になった、その中で慢性呼吸器疾患として四疾病指定された。ここまではよろしいわけですが、硫黄酸化物改善された今日において、かつ窒素酸化物が横ばいの状態において、すなわち、全体としてとらえた大気汚染の態様というものが変化した中で、これをどう評価するということがまさに問題なわけでございますので、この評価に資するための足固めの研究調査、こういうことで私ども一生懸命取り組んでいるところでございます。
  100. 土井たか子

    ○土井委員 環境庁の方がお出しになっていらっしゃるこの測定のいろいろな結果を見ましても、いまおっしゃったとおり、SOxは大体横ばいからもう低くなっていっているのに、NOx、さらにNO2というのが依然として横ばいか、それともふえつつある状況の中で、実は、患者さんの数がふえていっているという実情があるわけですから、ほかにも浮遊粉じん等々の問題もありましょうが、やはりNO2についての知見なくして、これに対する対応策というのは、いろいろほかにもあるかもしれませんが、考えられないということが一応は言えるかと思うのですね。この点は首を振っていらっしゃるから、そのとおり認識をしていただけていると思うのですが、そうなってまいりますと、こういう地域にとっての環境行政の最優先対策というのは、断じて指定地域の解除に手をかすのじゃなくて、汚染物質の削減に全力を傾けなければならないというのが、理の当然だと思われますけれども、この点はそのとおりにお考えでしょうね。
  101. 大池眞澄

    大池政府委員 当然のことと考えております。
  102. 土井たか子

    ○土井委員 ところが、ここ数年の傾向をずっと見てまいりますと、環境行政としてはSOx、NOxの総量規制、この総量規制にも私は問題があると思っているのですが、それから排出規制の強化にはある程度努力をしておりますというふうに、いつも御答弁でお答えになります。しかし、それらの規制効果を帳消しをするのに等しいような問題がここにある。何かと言ったら、開発計画への安易な容認の姿なんです。これはどうも基本的な問題として私は避けて通れないなと思って、きょう、これをひとつただしてみたいなと思っています。  その具体例を挙げてくださいと言われたら、幾らだって挙げますが、一つは新小倉の火力発電所のLNG火力増設計画、六十万キロワットです。立地点は北九州市の公害病の指定地域そのものでございます。また、別に中部電力の知多第二火力の新設、LNG火力百四十万キロワット。これは先ほど申し上げた新小倉火力発電所と同様に、五十五年十月の電調審で政府は了承したということになっているのですが、立地点は高濃度汚染地域の名古屋市、東海市の隣接でございまして、いずれも公害指定地域に当たっております。同じく中部電力の四日市火力の増設、五十六万キロワットと川越一、二号の百四十万キロワット、これは五十五年に比べますと、少しこちらに近い五十七年三月の電調審で政府が了承いたしておりますけれども、立地点は、何のことはない、かつての四日市裁判で指弾を受けた、現在も公害指定地域のど真ん中及びその隣接ということになっているのですね。これ、いかがなんですか。ほかにまだありますよ。水島もある。東扇島の問題もある。公害指定地域における大規模な火力発電所の新増設計画ですね。立地地域によっては、NO2や浮遊粉じんの環境基準を大幅に超えているところもあるわけです。  そこで、私はきょうはわざわざ通産省にも御出席をお願いしたのですが、通産省の方にまずお伺いしたいのです。  これらの開発計画につきまして、公害病の患者さんへの影響という点から、どういうふうな配慮や、どういうアセスをおやりになりましたか。
  103. 向準一郎

    ○向説明員 お答え申し上げます。  通産省といたしましては、発電所の立地に際しまして、環境保全に万全を期すということが重要であるというような観点から、昭和五十二年七月の省議決定に基づきまして、環境保全に関しまして電気事業者等に対する指導、環境審査等を実施してきているわけでございます。  それで、いま先生の御指摘のあった地点で東扇島一、二号機、これはつい最近の電源開発調整審議会で審議があった地点でございますが、これにつきましては、五十七年の十二月に、通産省に環境影響調査書というのが事業者から出てまいりまして、通産省におきまして、環境顧問の意見も聞きまして、環境審査を実施したわけでございます。この計画でございますと、燃料はLNGを使用するということでございまして、硫黄酸化物、ばいじんは排出しない計画でございます。それから、いま御指摘のあった窒素酸化物対策といたしましては、二段燃焼等の制硝燃焼対策の実施、それから排煙脱硝装置の設置などをなされる計画になっておりまして、環境保全に十分配慮した計画というふうに考えております。  なお、この計画によりますと、近傍の既設火力発電所につきましても、鶴見火力発電所の廃止とか、川崎火力発電所のLNGへの転換あるいは脱硝対策の導入というようなことで、今回の東扇島一、二号機を含めましても、将来の窒素酸化物の合計排出量といいますのは、大気汚染防止法あるいは神奈川県の公害防止条例、川崎市の公害防止条例に定めます既設両火力発電所に対します現在の合計許容値を下回る計画になっておるものでございます。  以上でございます。
  104. 土井たか子

    ○土井委員 るる何だかおっしゃっておりますけれども、もっともっと基本的なことを申し上げましょう。  通産省が行政指導要綱によって自前で確立した環境アセス実施要綱というのがあるはずなんですが、アセスはこれに従っておやりになるのでしょう。どうなんです。
  105. 向準一郎

    ○向説明員 お答え申し上げます。  五十二年七月の省議決定に基づきまして、環境審査を実施しております。
  106. 土井たか子

    ○土井委員 したがって、いまの御答弁では、私の聞いていることに対してイエスかノーかで答えられる答弁だと思うんだけれども、環境アセス実施要綱でやっていらっしゃるということだと思うのです。それはそのとおりでしょう。
  107. 向準一郎

    ○向説明員 五十二年七月の省議決定に基づきまして、いろいろな要綱類を決めております。それに基づいてやっております。
  108. 土井たか子

    ○土井委員 ところが、それを見てきますと、その中には、地域の住民の方の健康に与える影響の項目は何もないのです。全くない。だから、その地域の住民の方々の健康に与える影響というのを度外視した形でアセスがなされると申し上げても過言じゃない。通産省といえども、項目としてこの問題を追加して、具体的にそれを実施すべきではないかという声が従来から非常に強いわけでありますが、それをどのように受けとめていらっしゃいますか。
  109. 向準一郎

    ○向説明員 お答え申し上げます。  通産省といたしましては、発電所を建設いたします場合に、LNGの火力発電所でございますと、NOx対策というのが重要でございます。そういうことでNOxの排出基準あるいは排出量というのをアセスするわけでございますが、そのときに、その地点地点のバックグラウンドというのを配慮してやっておるわけでございます。
  110. 土井たか子

    ○土井委員 バックグラウンドの配慮以前のことを申し上げましょう。  その地域公害病多発地域なんです。高濃度の汚染地域なんですよ。そこで大規模な電源立地をやれば、従来よりも悪くなることはあっても、よくなるはずはないというのは常識じゃありませんか。それで、いま問題はppm方式じゃないのです。そこには生きた人間が住んでいるという認識が何らないのだ。そして、すでに公害病にあえいで苦しんでおられる方々があるということに対しての配慮が何もないのです。こういうことをやるから、日本の通産省というのはあこぎであって、人を殺してでも、もうかりさえすればいいという姿勢しかないと言われるんですよ。これは通産省どうですか。この点は項目として追加すべきだと思われます。このことに対しては真摯な姿勢で取り組まなければうそだと思いますが、どうですか。
  111. 向準一郎

    ○向説明員 お答え申し上げます。  先ほど、例として東京電力の東扇島一、二号機について御説明申し上げましたが、この場合もやはりそういう既説のバックグラウンドというのを配慮いたしまして、この東扇島一、二号機を増設いたしましても、その地域全体としてのNOx排出量を全体的に低減するというような計画になっておりまして、いわゆる全体で総量の規制に合うよう、総量規制を下回るようにということで指導しているわけでございます。
  112. 土井たか子

    ○土井委員 これもまやかしでありまして、総量規制、総量規制と言われても、いままでにない煙突が新増設されるということは、状況を悪くすることはあっても、よくすることにはならないというのは鉄則じゃないですか。したがって、バックグラウンドと言われるけれども、その中に現にもう公害認定患者さんがある、指定地域になっているという認識がどの程度あるのです。いままでの通産省のこれに対する措置、やり方を見ておりますと、全くその辺の認識が皆無なんですね。環境庁はこうした新増設計画に対してどういうふうな対応をしていらっしゃるのですか。環境庁の方はいかがなんでしょう。
  113. 正田泰央

    ○正田政府委員 案件についていま伺いまして、手元に具体的な資料がなくて大変恐縮でございますが、私ども、先生のお話しのような案件に際しまして、特に川崎の場合激甚地でございまするし、環境基準達成に向けての国とか地方公共団体の方針がございますので、それに影響を及ぼさないように、慎重を期するという第一義的な考え方に立っていることは申すまでもないところでございますが、私どもの役所及び通産省との技術的な意見の交換に基づきまして、ただいま通産省からお話がございましたけれども、私どもといたしましても、窒素酸化物排出量が、総体としては川崎、鶴見の両火力発電所と一体となれば減るという考え方、さらに、NOx排出量の低減技術の開発に努めるようにということを強く電調審の場において主張いたしているわけでございます。  一般的な御意見ということでございますが、ただいまの川崎市の例を含めまして、私ども、特に患者多発地域においては慎重を期して、アセスメントの中身についてチェックをさせていただいております。またさらに、繰り返すようでございますが、電調審におきましても積極的にかつ遺憾のないような注文と申しますか、そういった発言をさせているところでございます。
  114. 土井たか子

    ○土井委員 るる御説明賜りましたが、局長、それでは端的に聞きましょう。  公害病が指定されている地域において、大規模な新増設計画というのは、患者さんの健康回復という観点から見て好ましいのですか、好ましくないのですか、いかがでございますか。
  115. 正田泰央

    ○正田政府委員 基本的には、健康被害の補償等をつかさどっている環境庁といたしまして、一層のそういった汚染要因発生することは好ましいとは思っておりません。
  116. 土井たか子

    ○土井委員 確かに、新増設計画に際しては、先ほど通産省の方は、一生懸命そこに力こぶを入れて御答弁されているのですが、公害の少ないLNGを燃料に使うとか、排煙脱硫や脱硝装置、防止技術を駆使して備えるとか、ほかの地域の立地に比べれば高いレベルの対策をそれなりにとっているという説明をされるでしょう。しかし、たとえ高いレベルの技術対策をとり、それぞれの従前の排出量を下回る対策をとったとしても、新たに汚染物質が増大するということは明らかなんです。これはいままでの川越であるとか東扇島などを見ていくと、はっきりそれは言えるわけでありまして、そういうことからすると、新たな汚染物質が増大するということは、どんなに対策を講じてもこれははっきり言える。新増設をして、地域への汚染排出量を全体として従来よりも減らすということよりも、新増設をしないで、地域汚染物質排出量を減らす方が、当該地域の環境改善に資することは明らかだということは、これはもうはっきり言えるのじゃないですか。  こういうことからしますと、NO2について調査研究中だ、調査研究中だとしきりに言われるのです。有症率とどういう関係があるかという因果関係についても、調査研究中だ、これも言われるのです。そういう調査研究をやっていらっしゃる途次に、現状を従来よりも悪い方向に追いやるようなかっこうを環境庁としては認めつつ、何のための調査研究なんです。そういうことになりますよ。したがって、こういうことからすると、先ほど申し上げた通産省にしてみまして、新増設についてはいろいろな取り扱い上の配慮がある、当然のことでありますけれども、項目としてやはり、従来ございませんでした、地域住民の方々に対する健康に与える影響というのを調査対象にするということを加えて当然であると思われますけれども、この点すらもまだ言を左右にして、余り積極的な御答弁をなさらないわけですか。いかがです。これは当然のことですよ。これはやらなければならないはずだと思いますが、いかがです。
  117. 向準一郎

    ○向説明員 お答え申し上げます。  われわれ、環境審査の省議決定に基づきまして審査をやっているわけでございますが、その際、事業者から環境影響調査書というのが出されるわけでございますが、これを地元に縦覧をさせまして、それから、それの縦覧を通じまして得られた地元の住民の御意見というのも踏まえまして、環境審査を実施しているというところでございます。
  118. 土井たか子

    ○土井委員 それは事実上そういう行為をやっていらっしゃるか、やっていらっしゃらないか、はっきりさせられないのです。なぜかと言ったら、この行政指導要綱の中にある実施要綱に、それがないからですよ。それをはっきりさせなさいと私は言っている。どうなんですか。
  119. 向準一郎

    ○向説明員 環境影響調査書の縦覧を通じまして地元の御意見をお聞きするということは、われわれ要綱で決めております。
  120. 土井たか子

    ○土井委員 それは、型だけとればそれで要綱を充足するというかっこうだとお思いになっていらっしゃるのかもしれませんけれども、そうじゃない。周辺住民の方々の健康に対してどういう影響があるかということをつぶさにこれはやはり調査をしないとならないということですから、いま、その周辺の方々にお聞きすればそれで十分みたいな御答弁をされておりますけれども、そんな感覚じゃこれは間違っています。どうですか。そういう項目を新たに起こすというふうな努力をされる御用意がおありになりますか、どうですか。
  121. 向準一郎

    ○向説明員 環境影響調査及び審査に伴います地元住民等への周知等の措置要綱というのを五十四年六月に決めておりまして、これで地元の皆様方にその計画を周知させまして、御意見を賜って、それを踏まえてわれわれ審査をするということでございまして、われわれといたしましては、この要綱に基づきまして環境審査をやっていきたいというふうに考えております。
  122. 土井たか子

    ○土井委員 特に激甚地域公害病の患者さんの住んでおられる地域というのに対しては、新増設は見合わせるという意味も含めての中身でなければならないと思うのです。いまのは一般的な問題ですよ。後で申し上げたのは特定的な問題ですよ。この特定的な問題に対する取り扱いが全然欠如しているじゃないですか。いかがですか。その点をしっかり取り組んでもらわなければ全然意味がないですよ。周辺に対しての健康影響というのをしんしゃくしておられるという意味がなくなる。どうですか。
  123. 向準一郎

    ○向説明員 お答え申し上げます。  東京電力の東扇島を例にとりますと、これは先ほど申し上げましたように、既設火力発電所につきましても廃止あるいはLNGへの転換あるいは脱硝対策を導入するということになっておりますが、これらの排出量について、大気汚染防止法あるいは神奈川県の公害防止条例あるいは川崎市の公害防止条例、これらの地方自治体で決めておられます条例につきましても、それを踏まえて、その許容基準を下回るように、われわれ指導しているというところでございます。
  124. 土井たか子

    ○土井委員 私の言っていることが一向におわかりにならないようであります。いま、わざわざ東扇島のことを取り上げられましたから、ならば、私はこれを取り上げましょう。  かつて、東電の東扇島の火力の新設計画について、政府の関係省庁が寄って、東京湾地域の過密度、深刻な環境汚染観点から問題視して、行政として一つの方針をお決めになったことがあるはずでございます。たとえば四十年代後半に、東京湾地域整備連絡会議、俗称は六省庁会議というふうに呼ばれているのがございまして、そこで東扇島の火力の計画についていろいろと見解をおまとめになったことがあるはずでございます。それは通産省も環境庁もその中のメンバーでございますから、まさか、そんなことはございませんとはおっしゃるまいと思いますけれども、いかがでございますか。そういうことがあったでしょう。
  125. 向準一郎

    ○向説明員 いま先生のおっしゃいました六省庁の会議の資料というのは、いまちょっと手持ちをしておりませんが、今回の東扇島につきましても、やはり関係省庁の出席いたします電源開発調整審議会という場で議論をされて、基本計画に組み入れるということが了承されたということでございますので、関係省庁の御意向というのは十分配慮されているというふうにわれわれ考えております。
  126. 土井たか子

    ○土井委員 とんでもない話ですね。私はここにそれの計画案を持っています。計画案じゃなくて、意見を取りまとめた結果を持っています。昭和四十七年九月二十九日に、東京湾地域整備連絡会議が「川崎港扇島東埠頭における火力発電所の立地計画について」ということで出しておられる。  そこで、環境庁にお尋ねしますけれども、その中にはっきり「環境保全等を勘案して総合的な立地計画を策定し」とあるのですが、これは策定されましたか、どうですか。私の調べた限りにおいては、いまだに策定されていないのですが、これは策定されましたか、どうですか。通産省、いかがです。これは両方に聞きたいと思います。
  127. 正田泰央

    ○正田政府委員 ただいまの、連絡各省庁の取り決めの中身について、具体的に承知いたしておりませんが、案件については、私ども聞き及んでおります。  御指摘の策定でございますが、これは当初の四十七年のとき、それから扇島のいろいろな問題を処理するときに、具体的な時期にそういうものを検討すると申しますか、おっしゃるとおり、きちんとした全体計画の策定ということには相ならないかもしれませんが、そのようなふうに私ども承っておりましたので、そういうふうに理解をいたしていたわけでございます。
  128. 向準一郎

    ○向説明員 われわれ環境審査をやっておりますが、その環境審査に当たりまして、たとえばいま御議論が出ておりますNOxの場合でございますと、環境基準を達成するように、その中で総量規制を位置づけられておりまして、それを下回るよう所要の対策をとるということでございます。
  129. 土井たか子

    ○土井委員 勝手なことをあなたはおっしゃっていますが、四十七年、当時の立地計画について六省庁が合意をされた結果、ここに問題になっている「環境保全等を勘案して総合的な立地計画を策定」するということがなされなかったのじゃないですか。これは今日に至るまでないのですよ、現に私が調べた関係では。まやかし答弁はちょっと困りますね。そういうとんでもない、何だかわけのわからぬようなまやかし答弁というのはやめてください。こういう立地計画に対して総合的な策定というのがあったのですか、なかったのですか。どうなんです。これはないのでしょう。やらなかったのでしょう。
  130. 向準一郎

    ○向説明員 いま先生がおっしゃっておる立地計画につきましては、私、ちょっと存じません。
  131. 土井たか子

    ○土井委員 知らなければ知らないと言うべきです。さっきは何だかわけのわからぬ答弁をなさるのです。そういう答弁の姿勢はいけませんよ。  さらに、この中で見ると、「一、窒素酸化物に係る環境基準の設定後、その維持達成のための具体策が地域ごとに策定されることとなるが、その結果により現計画の変更または中止がありうること。」とちゃんと書いてあるのです。にもかかわらず、環境庁は安易にこれを容認してしまわれたといういきさつがあるんじゃないですか。そうしてまた、このことについては「関係各機関の了解が得られた場合」と書いてあるにもかかわらず、環境庁が安易に容認されたといういきさつがあるのじゃないですか。  私がわざわざこれを取り上げて問題にしているのは、NO2についての有症率との因果関係とか、NO2が大気汚染にどういうふうな関連性を持っておるかということに対して、鋭意検討中だ、検討中だとおっしゃるものだから、片や検討を重ねながら、片一方では、こういうことが安易になされるという姿勢自身が間違っておると申し上げたくて私は言っているのですよ。大臣、こういうのをお聞きになって、どうお思いになります。
  132. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 具体的に承知いたしておりませんので、的確にお答えできませんが、NOx研究しておる最中でございますので、できるだけ通産とよく打ち合わせをしまして、現在の状況よりは悪くなるというようなことがないように、ひとつわが方といたしましては十分協議を進めてまいりたい、かように考えます。
  133. 土井たか子

    ○土井委員 どうも、しかし、行きがかりからいたしますと、環境庁自身はそういう御答弁をいつもなさるのですが、関連する運輸省とか、ただいまの通産省とか建設省とか、こういう省との兼ね合いの中で、いつも環境庁は通産省の下請みたいなかっこうになる、運輸省の下請みたいなかっこうになるのです。建設省の下請みたいなかっこうにおなりになるのですよ。それで、いま御答弁になったことが全部水の泡になって消えちゃう。どれだけ環境庁がそこでしっかりと踏ん張ってがんばられるかということが、いま問われている大変大切なポイントだと私は思うのです。  それからいたしますと、従来環境庁は、四日市の公害のあの判決に対しまして、公害激甚地域における企業の立地計画については立地の過失を認めて、行政に対して厳しい指摘を是認されたわけであります。この指摘が、ここ数年の環境行政の後退を見てまいりますと、空洞化されつつあるのです。しかも、当の四日市ですら、その周辺も含めて大規模な開発計画が容認された中には、環境庁自身もこれを是認されたということがあるわけです。  こういうことを考えてまいりますと、環境庁の責任は大きいのですよ。基本的には、公害指定地域、しかも、激甚地域については、まず公害病へ少なくとも悪影響をもたらすような開発計画は容認すべきでない、抑制させるという原則をきちっと立てなければいけないと思います。長官、これはやっていただけるでしょうね。激甚地域に対して新増設は認めない、公害病の認定患者さんの地域に対しては新増設は認めない、これは何と言ったってイロハのイの字だと私は思うのですが、長官、いかがでございますか。
  134. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 先ほど申し上げましたように、現在の環境状況よりは悪くさせない、こういう方針で進めてまいりたい、かように考えます。
  135. 土井たか子

    ○土井委員 長官、ちょっと聞いてください。現状でも公害病の患者さんはふえてきているのです。よろしゅうございますか。この公害病の患者さんに対して、補償したり転地療養したり検診をやったり、そんなことは事後対策なんです。これを手をこまねくということは断じて許されないと同時に、また、予防対策が必要なんですよ、予防措置が。そういうことからすれば、現状よりも悪くないと言われる長官の御答弁というのは、聞いていて一見なるほどと思われるかもしれないけれども、でも私は、基本的にその姿勢が問題だと思っておるのです。現状を保ちさえすればいいんじゃない。現状の中で公害病の患者さんがふえていっているという現実を、もっとシビアに見ていただきたい、もっと責任を持ってそれに対処していただきたい、こういうことだと思いますが、長官、再度御答弁をお願いします。
  136. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 ただいま土井委員指摘のような姿勢で、十分環境の目的が達せられるように、最大の努力を払ってまいりたい、かように考えます。
  137. 土井たか子

    ○土井委員 時間がもう参りまして、大臣は何か三十分過ぎに御用がおありになるようでございますから、ここで本会議前の午前中の質問は私は打ち切りたいと思います。  あと、車の問題について少し質問をさせていただくことが残っておりますから、これをあと、もしきょう時間が許していただけるならば、わずかの時間続行させていただくことをここでお願い申し上げて、午前中の審議をこれで終えさせていただきたいと思いますが、委員長、よろしゅうございますか。
  138. 國場幸昌

    國場委員長 では、ただいまの件は、後刻理事会にて協議いたすことといたしまして、暫時休憩をいたします。     午後零時四十分休憩      ────◇─────     午後三時四十七分開議
  139. 國場幸昌

    國場委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  公害健康被害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑を続行いたします。有島重武君。
  140. 有島重武

    ○有島委員 公害健康被害補償法の一部を改正する法律案、先ほどからの審査をあらあらと聞いておりまして、どうも環境庁当局がやや頼りないような印象を払拭できない、そういった印象をいま受けております。  まず、公害健康被害の究明ということについては、これは環境庁が責任を持っていらっしゃる。いろいろなところでそれはやっているのだろうけれども、それの主責任は環境庁である、そのように考えてよろしゅうございますか。大臣、ひとつお答えをいただきたい。
  141. 大池眞澄

    大池政府委員 大臣にかわって、実務的なことについて御説明申し上げたいと思います。  ただいま御指摘のとおり、健康被害、その中でも環境汚染大気汚染とか水質汚濁でございますとか、こういった公害影響によると思われる健康被害について環境庁で取り組んでいるわけでございます。
  142. 有島重武

    ○有島委員 私が聞いているのは、公害による健康被害、このことについて、いま法案を審議しているこの主管庁は環境庁である、それで公害被害の究明ということについては環境庁が責任を持ってやっていらっしゃる、そう思ってよろしいですか。
  143. 大池眞澄

    大池政府委員 お答えいたします。  公害に係る健康被害の究明は私どものところで担当いたしております。
  144. 有島重武

    ○有島委員 重ねてお聞きしますけれども、それが大学でやられようが、あるいはいろいろな研究所でもって、あるいは厚生省で、あるいは運輸省で、いろいろな活動があるでしょう。そういうようなことはいろいろあるけれども、それを束ねていく、その主責任は環境庁長官にある、こういうふうに考えてよろしいですか。
  145. 大池眞澄

    大池政府委員 ただいまお話ございました、その絡みの研究はすべて環境庁かという御設問でございますれば、これは大学の立場からいたします基礎的な研究というようなアプローチもございますし、それから、環境庁を初めといたします、公害対策に直接かかわりのある、その他の省庁の取り組みもございます。この辺につきましては、研究に関しまして大学の研究、あるいは科学技術庁で調整をいたします研究、それから、環境庁の方で環境汚染絡みの問題に関する研究調整というような、それぞれの部門、分野の色彩に応じた調整を、いま申し上げましたような官庁がそれぞれ担当してやっておるところでございます。
  146. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 いま保健部長お答え申し上げましたとおり、行政的な部面、結局、公害に関します健康被害、これに関する行政的な部面につきましては、私どもが直接担当してやっておる、こういうことでございます。
  147. 有島重武

    ○有島委員 そういたしますと、そういう究明、それから、いまさつきから話題になっておりますのが窒素酸化物の問題など、ずっとあったわけですね。こういう問題についてあっちこっちでもってやっている。だけど、いまそういったものを研究していく、究明していく、その推進主体といいますか、責任主体といいますか、それはいまの政府の機構の中では環境庁にまず集中しているんだ、こう考えてよろしいものかどうか。
  148. 大池眞澄

    大池政府委員 お答えいたします。  公害対策に関係するものにつきましては、環境庁が中心になって諸施策の調整に当たっておると理解しております。
  149. 有島重武

    ○有島委員 公害健康被害補償制度に要する費用ということについては、これは、すなわち汚染負担の原則を基本とする、それから、汚染原因の物質の排出者が共同で負担すること、こういうことがあるわけですね。それで、第一種の地域にかかわる補償給付費用負担については、ばい煙発生施設等の固定発生源と自動車とに分けて費用負担をさせることだ。それで、その負担割合は八対二としておる。固定発生源の負担分については、一時間当たり最大排出ガス量が指定地域では五千ノルマル立米ですか、その他の地域では一万ノルマル立米である、こういうようなことになっているようでございますけれども、これが、その他の地域の賦課料というのは、ノルマル立米当たり百九円七十五銭ということになっていますね。この、その他の地域の賦課料というのはどういう計算で決められているのか。これはその他の地域指定地域とが一対九になっておるのですけれども、これが、その他の地域にも、北海道の山の中の場合と、それから指定地域にすぐ隣接のところとあるわけですね。こういう計算の決められている根拠は一体どういうところにあるのですか。
  150. 大池眞澄

    大池政府委員 負荷量賦課金を定めるに当たりまして、その他の地域指定地域とが九対一の比率で料率が設けられているけれども、その料率の定め方はどのようになっているかというふうに御質問理解したわけでございますが、まず、その他の地域の料率がどのように決まるかを先に御説明申し上げますと、年度に補償給付費等必要な経費所要額というものが出てまいります。それが分子へ参りまして、分母の方に全国SOxの排出量が来るわけでございます。ただ、その場合に、この計算の仕方としましては、四十九年の中央公害対策審議会答申におきまして、全国一本の制度としてこの問題を取り上げるという前提を置きまして、それからまた、この第一種地域として取り上げる疾病が、個々の原因者の排出行為と、指定されております疾病との因果関係を個別に証明するということが不可能に近いということを勘案しまして、汚染原因物質の総排出量に対する個々の排出量をもって健康被害に対する寄与度というふうに、制度的な割り切りをしているわけでございます。  その場合、指定地域とその他地域との賦課料率に、汚染の寄与度に応じて格差を設けるべきである。制度を組み立てましたときに、大気汚染状況の格差に着目しまして、一定の比率があるわけでございますが、他方全国一本の制度としてこれを維持していく上で、一種のいわゆる原因者集団として、先ほど御指摘の、北海道から沖縄までのばい煙発生施設等の事業者を全部プールしまして、共同責任というふうな形で割り切る。その場合に、指定地域とその他地域とで、少なくとも指定地域が二分の一程度以上を受け持つような目安を設ける。これによって一定の料金の格差というものが計算できるわけでございますが、それのちょうど両方をにらんで、間をとって九対一というようなふうに、指定地域とその他地域とを取り決めたわけでございます。それでその九対一の格差ができるように、指定地域で排出されるSOxの量、これを九倍いたしまして、それからその他の地域の量とを足し合わせまして、先ほど冒頭申し上げました、所要額を分子に置きまして割り算をいたしますと、その他地域の料率が出る、こういう大変複雑な計算方式になっているわけでございます。これが、その他地域の料率がそのようにして決まるということの説明でございます。  それから、指定地域につきましては、制度発足のときには単純に九倍ということでございましたけれども、その後五十二年から三年にかけましての論議がございまして、それぞれの指定地域地域的な収支バランスということが注目されたわけでございます。すなわち、それぞれの地域ごとに、そこで支出される額と、それから、その地域内から費用を徴収する額とを比較しましての、いわゆる黒字地域、赤字地域という問題が生じてまいったわけでございまして、これの地域収支の調整を行うというようなことで、指定地域内にさらにそういった地域収支に着目しました調整を行うということを行っております。これによりまして、二分の一調整ということで、二分の一そういう地域収支差に着目した調整を行って、指定地域の料率というものが定められておるわけでございます。  したがいまして、指定地域全体で平均いたしますと、その他地域に比べますと、料率が九対一という平均的な額になりますけれども、個別の地域につきましては、それぞれブロックごとに、いま申し上げましたような二分一調整が加わっておりますので、一番高いところで申し上げますと、九対一の平均に対して一・九五倍のところもあれば、〇・六五倍のところもある、こんな仕組みでございます。これは五十七年度の料率のことについて御説明申し上げたわけでございます。
  151. 有島重武

    ○有島委員 私が聞いているのは、大きく見て九対一ということですけれども、その九対一の根拠がどの辺からあるのか、科学的な根拠があるのか、経済的な根拠がきちんとあるのか、それが非常にあいまいな感じがするわけだ。あとの計算は非常にいいのですよ。根元のところの九対一というところが何でそうなんだかということが、いまのお話を聞いても釈然としません。  それから、各企業におきまして、省エネであるとか操短というのか、それで排出量が減ってくる。そうすると、減ってくるのだけれども、それに伴って今度は、必要な経費を捻出するためには賦課料率を上げなければならぬということにいまはなっておりますね。業者としては一生懸命改善をするわけですが、努力すればするほどまた率が上がってくるというのじゃ、どうもこれはやる気がしないということになるのじゃないか。被害者の立場から見れば、総量として減らさなければいかぬわけです。それで、業者の方は、減らせば減らすほど料率が上がっていく、ばかばかしいというような現状がある。これは一体このままでよろしいのか。どうなんですか。
  152. 大池眞澄

    大池政府委員 確かに、現在の大気汚染全国状況変化から見ますと、硫黄酸化物公害防除努力の結果非常に減ってきた。そういたしますと、さっきるる御説明いたしました料率計算の方式からいたしますと、分母が小さくなる、したがいまして、料率はいやおうなしに上がっていく、こういう制度上の仕組みといいますか、取り決め、計算になっておるわけでございます。  きめ細かく見ますと、それぞれが公害防除努力を競い合って、いい方向へ向かっていくという働きもないわけではございませんが、みんな同じ足並みで公害防除努力を遂げれば、せっかく努力をしても徴収金額にははね返ってこないということは、確かに御指摘のようなことはあり得ると思います。このような制度上の仕組みから見た基本的な問題もございます。  それで、一方で全国的にSOxが著しく減ってきているというような趨勢にもございますので、これはこの費用負担の今後のあり方の問題として、長期的観点でいろいろと検討していかなければならない諸問題の一環として、私どもとしては取り組んでいきたいと思っております。
  153. 有島重武

    ○有島委員 大臣、局長がおっしゃるように、長期的観点考えていくということなんですけれども、その長期的というのは五年なのか、二十年なのか、どうなんでしょう、これはかなり長期にわたっているようにわれわれは思うわけです。一、二年のうちにこれはひとつちゃんと再検討するということがおありになるのか、どうですか。
  154. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 午前中の御質問にもお答えしたわけでございますが、企業の方にも大変努力願いまして、SOxは改善を見たわけでございます。しかし、NOxはまだ横ばいというような状態でございまして、いま委員の御指摘のような問題もあるわけでございます。  そこで、私ども、午前も申し上げましたように、あるいはまた、臨調からもそういう答申をいただいているわけでございますが、何せ科学的知見に基づきませんと判断がしかねるという問題もございますので、いま、その集積を一生懸命やっておるところでございます。こういうことで、長期と申し上げても、十年とか二十年とか、そんなに先ではございません。何とかこの法案で二年間延長を願っているわけでございますが、この間にはひとついろいろな勉強をいたしまして、結論を出してみたい、かように考えております。
  155. 有島重武

    ○有島委員 それでは、二年間のうちに再検討をして、そして一つの結論を御発表いただく、そのつもりでよろしゅうございますか。いまのお話をそう承っていいですか。
  156. 大池眞澄

    大池政府委員 現在、気持ちとしては、大臣が申し上げたお気持ちによってがんばっておるところでございますが、いま、いつと申し上げるめどの立つほどに、材料が整っている段階ではございませんで、いろいろと科学的知見基礎に置きまして、この事柄には臨んでいきたい。いろいろ問題提起を受けておりますので、できるだけそういった御意向も踏まえながら、検討を進めてまいりたいと考えております。
  157. 有島重武

    ○有島委員 大臣、問題が二つございまして、SOxの問題とNOxの問題が絡んでいるから、いろいろ事情がむずかしい、これもございますよ。いまのNOxのことは別にしても、脱硫装置もいろいろ一生懸命つけて、努力もした。努力もしたのだけれども、それが経済的に評価されない。企業というものは人助けのためにあるのじゃなくて、銭もうけのための目的でやっているところですから、それに相矛盾するようなことを押しつけているということは、余り長続きしないと思うのですよ。その行き方そのものについて、これはずいぶんいままで時間がたっていることでございますけれども、この点だけでもどうなんですか。
  158. 大池眞澄

    大池政府委員 先生御指摘のように、基本的には、現在、硫黄酸化物に着目しての汚染負荷量賦課金という、この仕組み自体の問題でございますので、このSO2だけに着目するのか、そのほかのファクターを考慮するのかという基本問題については、これから鋭意取り組んでいかなければならぬ問題ではあろうと思っております。  ただ、先ほど分母の話だけ申し上げたわけでございますが、これは料率につきましては、分母分子両方あるわけでございます。長期的と申しましたのは、やはり長期的視野に立てば、汚染を排除し、汚染改善されていけば、そういう長期間の間には、新規患者発生というものも当然減少が期待できるのではないかということを含めての、長期的な観点に立って事態の推移を見、汚染の対応の変化を見ながら検討を進めていきたい、こういうことでございます。
  159. 有島重武

    ○有島委員 そういうことを言い出すと、これは果てしないことになるのです。病気そのものはいろいろ個人的な、あるいは複合的な問題が出てくるわけですよね。その話はいまやめにしておいて、この算定方式そのものについて、もう一遍考え直さなければいけないのじゃないだろうかというふうに私は思うわけですが、大臣はどうですかね。大臣のお考えをお聞きしたいのだよ。大臣のお考えはどうだろうか。大臣のお考えに従ってお役人さんたちは一生懸命仕事をなさるわけですから。これはどうでしょう、常識的な話だと思うから。専門的な話じゃないから。
  160. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 常識的と申し上げても、やはりなかなかむずかしい要素が入っておりますし、制度発足したときのいろいろ経緯もございまして、いま委員おっしゃるやつは理解できるわけでございますが、制度仕組みといいますか、それに関係するものでございますので、十分勉強を事務当局にやらせますから、ひとつ御理解をいただきたいと思います。できるだけ早く何とか結論を得るように、勉強はどんどんやらせるようにいたしたい、かように思います。
  161. 有島重武

    ○有島委員 二つ問題があるのは、一つは、純科学的な、医学的な問題がございますよ。それとは別に、経済原則のようなものでございますね。それの問題は分離してひとつお考えになった方がいいのじゃないかと申し上げている。この趣旨は御理解いただけますね。どうですか。
  162. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 先ほども申し上げましたように、委員の御発言になっておることは、十分私は理解はできるわけでございます。ただ、なかなか仕組みがむずかしいから、ひとつ勉強したい、こういうことでございます。
  163. 有島重武

    ○有島委員 それでは次に、NOxの問題でございますけれども、「ここ一、二年のうちにはNOx制度に乗せるということができるのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。」ということが四十八年の九月十九日の参議院の公害対策及び環境保全特別委員会において言われたわけです。こういうふうになっておりますね。それで十年たっておるわけです。この間に一体何をしていたのだろうとだれでも思うわけですね。それで、これについては国のお金を使って研究をさしているわけですね。いろいろなところで研究をしているのでしょう。それをちゃんと統括して、あるいは推進していく責任は環境庁におありになるわけですね。  そこで、この問題についてここまでは進んだんだ、この研究所でこういうことをやっているんだ、ここまでは進んでいるんだけれども、ここから先はわからないんだという中間報告は、当然これはお出しになるべきだと思うのですけれども、毎年度毎年度これは御提出いただいているのでしょうか。
  164. 大池眞澄

    大池政府委員 各種のルーチンに行われております調査データにつきましては、その都度発表がなされているわけでございますが、ただいま御指摘のような趣旨の調査研究につきましては、何年間かの継続的な研究を進めている最中ということで、まだ中間的な取りまとめという段階に至っておらない状況でございます。
  165. 有島重武

    ○有島委員 大臣、これは率直に申し上げまして、無責任ということになりませんか。どうでしょうか。
  166. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 おくれておることに対するおしかりはわかりますが、一生懸命やっておりますので、無責任というわけにはいかぬと思います。一生懸命とにかく馬力をかけてやっておるわけでございます。
  167. 有島重武

    ○有島委員 それは、一生懸命やっていらっしゃるということの報告はなされなければいけないのじゃないですか。一生懸命やった、ここまではできた、ここから先はまだわからぬということでも結構ですよ。十年間、鋭意検討中だ、そのままで、お金だけつぎ込んで、これは無責任ということになるのじゃないでしょうか。ですから、もう十年もたったことでございますから、ここまでは研究が進んでおるんだということは、中間発表をこれはもう早急になさるべきだと私は思いますけれども、いかがでしょうか。報告もなしでもって、検討中でございます、しばらく待ってください。しばらくが、何年だかわからぬ。こんなようなことでもってよろしいのかどうかだな。
  168. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 いろんなことを私の方で勉強もし、検討いたしておりますが、結論の出たものは報告さしていただいております。いまの問題につきましては、有島委員の御指摘理解はできるわけでございます。中間報告で出してもいいわけでございますが、また、それによりましてかえって誤解を招いたりしましても、いろいろ波紋も大きくなりますから、私どもはやはり最終的に結論を出してから、ちゃんとさしていただきたい。結論のはっきり出たものは、いままででもたくさん発表したものもございますから、その点はひとつ御理解いただきたいと思います。
  169. 有島重武

    ○有島委員 では、中間報告を出しませんか。波紋が大きくなるからという話もありますけれども、波紋を大きくして、それで予算をまた取って、そして研究も進めていくということもあるじゃないですか。何かほおかぶりして一生懸命逃げ回っているみたいな姿が、これはもう見るに見かねるという感じを私たちは受けるわけですね。ここまでは鋭意努力してやりました、ここから先は現代科学でわかっておりません、そうすれば、若い研究者は功を競ってその先をやろう、あるいはいろいろな研究費を出してくれ、こういうようなことだって起こってくるわけじゃないですか。それはまた学問を進めることになるじゃないですか。これはお役人さんたちのお仕事よりか、やはり政治家の判断だと思うのですね、促進しなければいけないという責任を持てばですよ。その辺はいかがでございましょう。率直な感じをひとつ言っていただき、そして、できるなら、今年でちょうど十年たったのですから、中間報告はお出しになるべきであると私は思うのですけれども、いかがでございましょうか。
  170. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 十分検討いたしまして、中間報告を出した方が今後環境行政を進めていく上に非常に効果があるという判断に立ちましたら、中間報告を出すことにやぶさかではございません。
  171. 有島重武

    ○有島委員 こんなことでもって時間が来てしまいましたから、私はこれでもってやめますけれども、何かあいまいで逃げ回っているような印象だけは払拭していただきたい。そして、まだ複合汚染の問題、特に粉じんの問題等新しいことがたくさん出てきているわけですから、そういうものを究明していかなければならない。これはすぐ世界的な問題になってくるわけですね。  それで、大臣が平素おっしゃっているように、日本がパイロットとなって、そういった面で次の世界にも貢献していかなければならぬというような立場にあるわけでございましょう。確かにイギリスの方式、アメリカの方式、いろいろあるけれども、そういうものよりも、むしろ積極的に日本が創出していかなければならない。そういった時代だという時代認識は、党派を離れて、政治に携わる者はみんな持っているのじゃないかと思うのですね。どうかひとつがんばっていただきたい。  以上です。
  172. 國場幸昌

    國場委員長 中井洽君。
  173. 中井洽

    ○中井委員 最初に、大臣にお尋ねいたします。  他の委員皆さんからも御質疑があったわけでありますが、過般、臨調の答申が出されました。その中で、「公害健康被害補償協会交付金」という項目で答申が出されているわけでございます。私の所属いたしております民社党は、臨調の最大与党だなんということをひそかなプライドにしながら、増税なき財政再建が実現するためには、思い切った行財政の改革が必要だ、こういうことで精いっぱい声援をしてまいったわけであります。しかし、補償協会交付金という形で項目が起こされ、そして中身を読むとき、どうして臨調がここまで、こういうことを唐突に答申をしなければならないのか、私はどう考えてもわからない。部会報告等とずいぶん文言等が変わったようであります。何を言おうとしているのかわからない。そして、こういうものは必要ではないのじゃないか、このことを強く思うわけでありますが、大臣自身がこれをお読みになってどのようにお考えになっておるのか。そして、環境庁はこれをどう解釈して、臨調の答申に対応しようとしていらっしゃるのか、お聞かせを願います。
  174. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 いま御指摘の、臨調からの答申でございますが、制度の内容につきまして指摘があったわけでございますが、これは臨調自身の御判断でございまして、私ども意見がもちろん入ったわけではございません。しかし、この趣旨をよく読みまして、制度に基づきましていままで私どもがやっておること、いわゆる健康被害を受けられた被害者の方々を迅速かつ公正に保護を図っていくという観点に立ちまして運営しておること、この趣旨に今回の答申は外れておると私は思いません。ですから、この趣旨を尊重しつつ今後とも一層適正な運営を図っていきたい、私どもかように考えておる次第でございます。
  175. 中井洽

    ○中井委員 大臣は、外れていらっしゃらない、このように御答弁をいただいたわけでありますが、それじゃ、この中のどの項目が行政改革あるいは行財政の改革につながるとお考えでございますか。この答申公害健康被害補償協会交付金の中身がつながるとお考えですか。――いや、大臣に聞いているのです。あなたには後で聞くよ。
  176. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 これは民事責任を受けたものでございまして、私どもは当初から、補助金とは性格が異なるものだという認識は持っておるわけでございますが、臨調の方では、一応交付金だということで一括してああいう答申になったと思うわけでございます。先ほど申し上げましたように、制度的にはいまの制度をやれというような答申になっておりますから、この制度を踏まえて今後ともさらに一層適正にやっていきたい、かように考えておるわけでございます。
  177. 大池眞澄

    大池政府委員 ただいま大臣が答弁したとおりでございます。
  178. 中井洽

    ○中井委員 それじゃ、大臣の方がお詳しそうでありますから、大臣にお尋ねいたします。  「第一種指定地域地域指定及び解除の要件の明確化を図るとともに」、こう書いてある。ということは、大臣自身も明確になっていない、このようにお考えですか。現在明確になっていないと御判断をなさっているわけですか。
  179. 大池眞澄

    大池政府委員 具体的な問題として私からお答え申し上げさせていただきます。  地域指定要件及び指定の解除の要件につきましては、この制度創設の際に中央公害対策審議会で精力的に御検討なさいまして、その結果受けました答申の中に明文の規定がございます。ただ、当時の科学的な知識として最大限のものを取り込んでなお、硫黄酸化物については明確な尺度が提示されたわけでございますが、他の重要な汚染物質でございます窒素酸化物等につきましては、その段階では具体的に数量的に表現するまでには至らなかった、そういうような経緯がございます。  同様に、いま指定要件のところのSO2の具体的な尺度のことを申し上げたわけでございますが、解除の要件につきましても、考え方は明確に明示しておりますけれども、これの数量的な表現、手法についての具体性というような問題につきまして、なお一層の明確化が必要であろう、こういう指摘であると理解しております。
  180. 中井洽

    ○中井委員 大臣、そんなことはたびたびこの委員会で議論になっているのですよ。環境庁がちっともやらぬだけの話です。たとえば窒素酸化物の問題を含めてるる質疑に出てきた、複合的な汚染による地域指定、科学知識の集積を待って、集積を待って――私なんかこの委員会に六年おりますが、その六年間毎年同じことを聞いている。やらないから言っているだけの話で、僕が先ほどから、臨調がお取り上げになることじゃない、こういうことを申し上げたのは、これは環境庁の怠慢のことであって、これをやるから、やらないから、行政がさらに臨調がお考えになっているように進むとか進まぬとか、そういう問題じゃないだろう、こんなふうに思っているわけでございます。臨調は応援をしながらも、この項について私自身考えを強く申し上げて、次に移りたいと思います。  こういう問題が出ること、あるいは委員会でたびたび議論がなされるということは、この法律をつくるときに、患者さんを救済しなければならない、それがまず第一である、こういうことでいろいろな割り切りをして法案をつくった。それが、その後八年間もたつのに、今日まで何ら見直さずにずっと続けてきた。そして、今日いろいろ大きな矛盾が出てきて、つつかれると、その矛盾に対して、はっきり言って答えようがない。そこに私は問題があると思うのです。  大臣は、この法案をつくった当時割り切られたこと、どういうものが割り切られて、後に問題として残されてきたと御認識でありましょうか。あるいはまた、現在、その割り切りをしたことによってどういう矛盾が起こっておる、このように御認識でありますか、お聞かせいただきます。
  181. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 SOxとNOxとの複合したものを、いろいろ数量的に把握が大変困難だったものでございますから、いま仰せのように、SOxだけで割り切って出発したというところにむずかしい問題がずっと引き続き出ておる、このように理解いたしております。
  182. 中井洽

    ○中井委員 ここにいろいろな資料があるわけであります。五十六年、全国で第一種の認定を受けた患者さんが八千九百九十六人いらっしゃるわけであります。昭和四十九年、初年度に認定を受けられた人は一万四千三百五十五人、こういうことであります。まあまあ半分ということであります。しかし、この間八年、十年、公害問題が騒がれてからのSOxの減少というものは物すごいものがある。しかし、患者さんというのはどんどんふえている。あるいはまた、私自身の郷里であります四日市なんかは、SOxの量等からいくとずいぶん減っておる。しかし、その割り当てから出されるお金というものは莫大な金額である。実は四日市は、たとえば五十六年度十八億三千九百万割り当てられて賦課金として出しておる。それじゃ、その年四日市の患者さんに使われたお金は幾らだ。十億円。これは自動車重量税からのやつはまだ来ているわけでありますが、ずっとそういう形である。逆にとらまえれば、大田区なんというところは、地域SOxを出されているところが五千万割り当てでお払いになっていらっしゃる。しかし、大田区の患者さんに使われている金は十四億円。大阪はどうだ。大阪の患者さんに使われているお金は、五十六年二百二十億。それじゃ、大阪市でSOxの割り当てで出しているお金は幾らだ。十二億円だ。こういう形なんですね。  そうすると、幾ら割り切ったといっても、科学的にこういうものをやらなければ信用されない、だれも納得しないというのは、あたりまえだと思うのです。そうすると、たとえばSOxの量が減ったから次の年から患者さんが出ないということではない。この間の先生方のお話にもありましたように、暴露時間の問題等がある。しかし、五年も六年も七年も八年も減り続けておるのに、全国では患者さんはふえ続けておる。制度の矛盾はめちゃくちゃに出てくる。患者さんの健康が一遍でぽろっと治ってしまうのなら、一回きりの賠償金を払ってそれで済むわけです。お治りにならない。ずっとお苦しみである。そうすると、これからもまだまだ矛盾というものが出ていく。  大体、犯人というのは、こういう複合汚染あるいは窒素酸化物、いろいろなものがあるじゃないか、こう言われておる。しかも、八年前ぐらいの、この制度ができた当時のような科学的知見の集積で、いまも一万人ぐらい出る患者さんを救えということになれば、私は、当然NOxででもこの賦課金というものが割り当てられて対策が立てられると思うのです。科学技術が進んで、そしてはっきりと、逆に複合汚染あるいはNOxが原因だと言い切れないがゆえに、昔の割り切った制度のままでいまだにやっておる。これは早く何とかしないと、患者さんも大変なら、全国でこの賦課金を払っておる業界も大変だ。環境庁も大変じゃないか、このように思うのであります。  社会党さんも公明党さんも、早くしろと、こう言っているわけであります。この制度をいまの矛盾の多いまま継続、継続で、一体いつやりかえる、こう考えたらいいのでしょう。いつになったらその科学的知見の集積というものは終わるのか、ここのところをお聞かせをいただきたいと思います。
  183. 大池眞澄

    大池政府委員 御理解賜りたいわけでございますが、対象としております指定疾病は、非常に長い経過をたどる疾病でございますし、また、その影響を受ける期間も、相当な期間を経てそういう疾病が成立してくるというような病気でございまして、いわゆる慢性疾病でございます。したがいまして、いろいろな影響が出た、汚染改善されて、すぐそれじゃその病気が治るということであれば、いろいろな論議の整理ができるわけでございますけれども、仮に汚染改善された地域があったとしても、患者さんがそのまますぐ新規発生がなくなるということでもないという、その辺がいろいろと問題点があるわけでございます。そのようなことで、決して私どもは、できることを何か別の意図で先延ばしにしているということではございませんで、文字どおり、るる御説明申し上げておりますように、そういう慢性疾患に対する慢性的な長期影響という観点で、これまでのいろいろな国内、国外のデータも十分収集し、参考にしながら、また、みずからでなければできないような部分の手法開発等の研究もここ三年来取り組んでおる、こういう状況でございまして、決して、できることを先延ばしにという意図のない点は御理解をお願いいたしたいと思っております。
  184. 中井洽

    ○中井委員 私は、SOxでやっているこの制度を、別になくせとも何とも言ってないのです。しかし、SOxだけを犯人にして、これだけが犯人だという形でやっているいまの制度では、とうてい患者さんのあっちこっちでふえているのは説明つかないでしょうと、こう言っているわけです。そして、SOxでやりました一番最初のときでも一万数千、次の段階でも三万ぐらいの患者さん、いまは九万に近いでしょう。そういう数になっている。これに従ってどんどんSOxの量というものは減ってきているのでしょう、排出量は。あなたは一年や二年で減ったと、こう言うけれども、もう減り続けでずっとですよ。十年減り続けているのじゃないですか。ふえ続けて十年、減り続けて十年じゃないですか、大体。そうすると、これだけが犯人でという、いまの制度の矛盾が余りにも多過ぎるじゃないか。大体科学的な知見の集積はもう大分できておるのだから、その集積の範囲で割り切って、またプラスした制度をつくったらどうですかと、こう申しているのです。  それでも、いまから八年前に割り切ったよりも、うんと科学的に集積された合理的な制度になるじゃないかと言っているのです。あなた方は、前のときにはずばっと割り切ってやって、今度はぴたっと科学知識的にもわかるまでは待つのだと。おかしいじゃないですか、そんなことは。前のときに割り切って、いまも割り切った制度を続けるなら、もう少し合理的な制度にかえる、やっていけばいいじゃないですか。どうですか、大臣。
  185. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 ゼロから出発しますときはわりあいに割り切りが楽なんですが、一遍できた制度を改変といいますか、いろいろ改めるのにはやはり若干の時日も要しますし、それで、いま保健部長が申しましたように、私ども決してじんぜんと延ばしておるわけじゃございません。いろいろな意見が出ておることは委員もよく御承知のとおりでございまして、解除のことだとか、あるいはNOxを入れろとか、いろいろ各方面から意見が出ておりますので、これを受けまして、やはりこれは私が政治的に割り切ってどうのこうのという性格のものじゃございませんので、私としては、ただ事務当局に、一刻も早く合理的な結論を出せ、こういう指示は強くいたしております。
  186. 中井洽

    ○中井委員 お話はよくわかります。しかし、申し上げたいのは、たとえばいまから十年前あるいはもう少し、その前後ですね、公害問題がいろいろと議論されたときには、もっといろいろな諸説が飛び交ったのです。本当に諸説が飛び交った。今日、大体この第一種の地域の、いわゆる犯人はこれとこれくらいじゃないか。大体皆さんや学者のいろいろな議論も集約されているわけです。だから私は、ある意味でいま割り切ってやってもおかしくない、このように考えます。そういったことも踏まえて、環境庁、ぜひお考えをいただきたいと思います。  と同時に、それでは違う形で聞きますが、科学的知見、知識の集約をやっておる、やっておる、こういうことを言われる。毎年毎年予算の中で公害研の予算、人員がふえておる。これは私ども、大変うれしいことだ、こう考えておりますが、環境庁予算の中で、大気汚染SOx以外の犯人と言うとおかしいですが、影響を調べるための年間の予算というのはどのくらい使われているのか、お知らせください。
  187. 大池眞澄

    大池政府委員 いろいろな調査研究関係があると申し上げますと相当幅広くなってまいりますが、私どもの環境保健部におきまして取り組んでおります主要な調査研究について申し上げますと、一つ窒素酸化物浮遊粒子状物質等の健康影響に対する文献学的なレビュー、解析というようなことを主軸にする調査研究がございます。(中井委員「それは金額幾らですか」と呼ぶ)これはちょっといま個別の金額を出しておりませんけれども……(中井委員「それじゃトータルの金額を言ってください」と呼ぶ)もう一つ申し上げまして、それと合わせまして、五十八年度に一億円の、これはいま御審議いただいておるのですが、五十七年度一億円をちょっと上回る額でございますが、その中でこういった研究を実施しておるわけでございます。そのもう一つと申しましたのが、ATS方式による呼吸器疾患調査でございます。
  188. 中井洽

    ○中井委員 研究をしておる、あるいは科学知識の集積を急いでおる、こうおっしゃるが、大臣、肝心の窒素酸化物あるいは粉じん、そういうことに対する研究が、文献等も合わせて一億円くらいの研究費なんです。そうすると、たとえば専売公社はどうしているんだ、こう考えて聞きますと、喫煙による健康影響についての調査研究費というのは、五十七年度で二億円出ているのですね。そうして、発がんということに関して見ているのがそのうち七千万ぐらい。そうすると、一億三千万くらい、たばこの健康ですから、大体呼吸器系の問題に使われているわけであります。たばこは専売公社で、たくさん金があるというのかもしれません。たばこですから一億数千万のお金を使っておるのです。これだけ八万数千人の人が健康を害して、そうしてSOxだけが犯人じゃないじゃないか、ほかもみんなあるじゃないかという形でどんどん言われ、SOxが幾ら減っても患者さんがふえ続けている中で、わずか一億円にも足りないお金を環境庁が出すだけで、ほかのものを研究しています、一生懸命やっていますと言えるのですか、どうですか。
  189. 大池眞澄

    大池政府委員 ただいま御審議いただいております事柄に直接関係の深い調査研究費が、先ほど申し上げましたような金額の中で実行されているということを御説明申し上げたわけでございますが、ちょっと私の立場を越えての答弁になって恐縮でございますが、環境庁全体としましては、それぞれの局ごとに必要な調査研究費というものを持って動かしております。  この中には、基準設定等に必要な健康問題と絡みの深い調査研究もやっております。それからまた、各省庁の国立の試験研究機関の公害防止絡みの研究費は環境庁が一括計上をするというようなことで、数十億、たしか三十億ぐらいだったかと思いますけれども、私が所管しておりませんので、ちょっと数字ははっきりいたしませんが……(中井委員「その三十億というのはどんなお金ですか」と呼ぶ)研究費でございます。そういった研究費を環境庁としては持っておりまして、相当な規模で公害対策を推進するための基盤づくりという研究は推進しているところでございます。  便宜上、お答えいたしました。
  190. 中井洽

    ○中井委員 私、いまの答弁納得いたしません。本当にそうですか。その三十数億のお金は公害患者の大気の汚染問題に使われているのですか。僕は大気汚染で聞いているのですよ。
  191. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 お答え申し上げます。  三十億といいますのは、全部が大気汚染の分ではございません。
  192. 中井洽

    ○中井委員 大気汚染は幾らですか。大気汚染研究に使っているお金は幾らですか。調べてください。
  193. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 ちょっといま内訳は、後で調べてみます。
  194. 中井洽

    ○中井委員 さっきからそれを聞いているんだ。SOxの関係を引いてください。環境庁が直接研究に使っているお金。それはさっき答えた二つじゃないですか。一億幾らでしょう。後で知らしてください。  要するに、僕らの言っている窒素酸化物と、それから粉じんの問題については一億円少々のお金だ、こういうことでしょう。僕は何も、専売公社のたばこだって、そんな気管支で全部一億数千万使うていると言いません。しかし、たばこの健康というと大体そういうところに主に使われているわけです。それなら、逆に言えば専売公社ともっと協力してやるとか、いろいろなやり方がいっぱいあると思うのです。とにかく急がなければだめですよ。  本当にこんな矛盾がますます拡大するような法案、しかも、これを直すとか、いじるとか、なくすとかいうたら、これは患者さんにとったら大変なことですから、いじれない、直せない、そのままずるずるといくということは、たとえば産業界、環境庁を全然信用しない大きな理由になっています。私は、環境庁の信頼問題だと思う。環境庁というのはやはり患者さんからも信頼をされなければいけない。しかし、逆に、公害を出した責任のある方からも、環境庁の言うことは科学的で納得がいく、こういう形での信頼がなければ行政はやれないと私は思うのです。そういう両方の信頼をなくする。患者さんだって、SOxが減った減った、こう言うけれども患者はふえ続けているのはどういう原因だとおっしゃるけれども、だれも答えられない。  研究を急いでいますと言い続けて八年じゃないですか。両方の信頼を失うような形での法案、それを私どももわかりながら、これは全党賛成で法案を通さなければならない。大変おかしなことだと思うのです。だから、一刻も早く環境庁が中心になって、ありとあらゆる知識を集約し、そして早期に、新しい、だれもがもう少し納得のいく法案、救済制度、こういったものをつくり上げるべきだと私は思います。大臣、もう一度御答弁をお願いいたします。
  195. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 中井委員の御指摘の、全く私も同感でございます。いまお話しのように、患者さんからも信頼をいただき、また、公害を出してお金を出していただく方からも信頼をされて、初めてこの制度がうまく動くわけでございます。たくさんの金も出していただいておるわけでございますから、それだけに、私ども、再々同じことを繰り返して恐縮でございますが、双方に信頼をいただくような合理的な結論を得たい。  研究費の多い少ないにつきましては、先生が御指摘のように、いろいろあるかもわかりませんが、私どもとしては、あれだけの金で頭脳を使いまして最大限やっていく、こういう決意でおりますので、御理解を賜りたいと思います。
  196. 中井洽

    ○中井委員 終わります。
  197. 國場幸昌

    國場委員長 藤田スミ君。
  198. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ずいぶん朝から同じような質問が続いておりますが、私も最初に、臨調答申に関連して一言お尋ねをしておきたいと思います。  せんだって参考人皆さんからの御意見を聞かせていただいて、私も改めて大変勉強させてもらったわけですが、その中で、国立公衆衛生院の院長鈴木武夫先生は、大気汚染はすなわち硫黄酸化物ではない、こういうふうに指摘をされて、窒素酸化物や粉じんなどによる住民の健康への悪影響、そういうことを指摘され、仮に大気汚染改善された場合であっても、数年あるいは十年から二十年後に発症する遅発性影響などについても示唆されました。そして、補償法を検討するなら、強化及び内容を充実する方向で進めるべきであって、企業の開発などの面でああいうふうにさせてはならないのだという意味のことをおっしゃいました。中公審の三重大の吉田克己先生は、指定地域の解除要件についても、いますぐ科学的に決められる状況にはないということを断言されまして、補償法の見直しはあくまでも科学的事実に即して考え、冷静な判断を加えるべきである、硫黄酸化物だけではなく、窒素酸化物や粉じんなどについても考慮に入れる必要があるということを強調されたわけであります。  私は、この間、臨調の問題についてはずいぶん時間をとって長官の御意見もお伺いしましたが、最後に大臣は、臨調答申を冷静に受けとめて対処していきたい、こういうふうに御答弁されたわけですが、こういう学者の御意見、私は、やはりそういう指定地域の解除要件についても、もっと冷静な科学的な事実に即して考えて、いま取り残されている窒素酸化物だとか浮遊粉じん、粒子状物質だとか、そういうものを加えて考慮をしていかなければならない、そういう必要があると、同様の立場を主張いたしますが、冷静な対処というのは、そういうふうに受けとめてよろしゅうございますでしょうか。
  199. 大池眞澄

    大池政府委員 ただいま述べられました参考人の御意見、私も出席いたしまして承ったわけでございます。それぞれ豊富な知識と経験に基づいての御発言として受けとめておる次第でございます。  いずれも共通して御指摘されておりますことは、これまでの医学的、科学的なデータというものを基盤にして、冷静な論議で合理的な結論を導くべきであるというふうな点については、そのように述べられておったと私は理解しております。
  200. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 いや、理解しているはいいのですが、長官、私が言ったことは間違いでないということを証明されるような御答弁であったのですが、長官はそれじゃ、そういう私が言ったことが同様の内容のものであったということの御答弁を受けて、冷静に対処と、長官がおっしゃったその中身ですね、それは私が先ほど申し上げたようなものでいいというふうに解釈していいのか、そこをお尋ねしたいわけです。
  201. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 藤田委員のお考えの分も入っておりますし、それ以上のものもございますし、いろいろ含みまして、私は以前から申し上げておるように、いろんな意見を踏まえまして、冷静に判断をしていきたい、こういうことでございます。
  202. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それでは次に、本論に入っていきたいと思います。  今回のこの延長は四度目になるわけですね。そして、その期限が切れる五十九年度になりましたら、制度発足してから十一年にわたって、この暫定措置というものが続いていくわけです。これではもうとても暫定措置とは言えなくて、要するに制度が続く限りこういう措置を続けていくのだというふうに考えざるを得ないわけなんですが、いかがでしょうか。
  203. 大池眞澄

    大池政府委員 今回の措置の適用期限につきましては、五十九年度までの二年間とすることとしておるわけでございます。これは、財源に引き当てるべき自動車重量税の現行税率の特例措置が、租税特別措置法の改正によりまして、二年間の延長となる見込みであること、これが一つ、それから、自動車に係る費用負担のあり方につきまして、今後の大気汚染の動向等の推移を見きわめつつ検討する必要があることから、二年間の暫定措置としたものでございます。
  204. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 これは同じ御答弁がずっとこの間続いてきているわけです。昭和四十九年にこの制度発足されまして、暫定措置だと決めるときに、自動車重量税から引き当てることの難点だとか、あるいは利点、そのほかの方法も検討されたわけですね。その後、今回の延長を含めて、全く議論が進展していないというのはどういうことなんでしょうかね。これでは結局暫定措置ではなく、もう事実上の恒久措置というふうに思わざるを得ないわけです。  私ども、この暫定措置については当初から、これは事実上企業が支払うべき公害補償費を、税金によって肩がわりさせているものではないかということを指摘しまして、そうして、自動車公害の本当の原因者である自動車メーカーに負担させるべきであるということを主張してまいりました。もう一度ここで改めて聞きますが、なぜ自動車メーカーにこれを負担させるのがぐあいが悪いのでしょうか。
  205. 大池眞澄

    大池政府委員 今回も中央公害対策審議会関係の部会にいろいろ御討議をいただきまして、その検討結果を踏まえて、私どもとしては今回の延長措置についてお願いをしておるところでございます。  そこで、御設問の点でございますが、自動車に係る費用負担方法につきましては、もし、これをメーカーに賦課するといたしますと、新車が一応対象にできるわけでございますが、汚染に対する寄与度が相対的に高い使用過程車に負担を求めることができないということで、自動車全体に係る費用新規の販売車のみ負担させるというような結果に相なる、この点で公正な運用にならないのではないか、こういう問題がございまして、今回も適当でないというような部会の検討結果というふうに承っております。
  206. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 使用過程車の問題にこだわっていくのなら、車の全保有台数というのはわかるわけですから、初めの年は全保有台数に対する新車の出荷台数分、それを自動車メーカーが負担して、残りは重量税で引き当てていく、翌年は二カ年分の台数に乗じて残りを重量税で充てる、こういうふうに順々にしていったら、一遍に変えなくても、使用過程車の問題というのは解消できるのじゃないでしょうか。  この自動車メーカーに負担させる方法というのは、まだほかに、低公害車には安く、排出ガスの規制を厳しくしている車には安く、そして、まだそれに至っていないディーゼル車などは高くしていくとか、そういうふうにしてメーカーに低公害車の開発努力を同時に促していくというような点でも、重量税よりもはるかにすぐれた方法だと考えるわけです。なぜそういう方法も検討されないのか、あるいはされたのでしょうか。
  207. 大池眞澄

    大池政府委員 御指摘のような自動車の製造者、あるいは輸入者に対する賦課方式も含めまして、種々の方式を検討いたしました結果、重量税を引き当てることが最も現実的であり、合理的である、かような検討結果をちょうだいしているわけでございます。
  208. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 全く十年同じ議論をこういうふうに繰り返して一歩も進んでない。簡単なことからでも、一歩ずつでも進めていくという努力さえ見えないというのは本当に納得できないわけなんです。  この重量税が、こういうことなんですか、財界に迷惑をかけない税金だから、だからのんきなんじゃないんですか。すなわちこの方式は、補償費の二割は税金で見ますよというところに意味があるのじゃないでしょうか。そういうふうに考える方が筋がある、そこが肝心なんだ、だから政府はこの方式を変えようとはしない。そうしておきながら、交付金を口実に、いま患者に対して公害の補償の縮小が、さまざまな形で周辺にあらわれてきているでしょう。臨調の答申なんかもそういうことなんでしょう。全く言語道断だと思うのです。もし、本当にこの交付金を減らそうというのなら、これを自動車メーカーの負担とさせるべきであって、それこそ原因者負担という、公害規制の対策の原則に応じたやり方じゃないでしょうか。
  209. 大池眞澄

    大池政府委員 直接のお答えになりますかどうか、自動車重量税が創設されましたときの趣旨、目的、これは社会的な費用負担するという観点がございますし、四十九年あるいは五十一年に、重量税に関する税率の大幅の引き上げがございましたときに、その引き上げの趣旨の中には、環境保全の経費を含むというふうに、より明確になった、そういう経緯がございます。  したがって、重量税をこれに引き当てるということが、そういった環境保全の経費を含むという重量税の趣旨に照らしまして妥当なものではなかろうか。また、自動車の走行に応じまして、直接重量税が排出ガス量をそのまま表現しているわけではないとは思いますけれども、ある程度の相関も認められるというようなこともございます。自動車全体として寄与をしているという観点から、この重量税を引き当てるということの合理性というものは十分説明されるのではないか、かように理解しております。
  210. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 いまの御答弁は、原因者負担という公害対策の根底のところの姿勢が間違っていると私は思います。  それでは次に聞きますが、この交付金と汚染負荷量賦課金との負担割合はいま二対八ですね。つまり、この交付金は補償費の二割を負担することになっているのですが、この二割という数字を決めるに当たって、考慮の対象になった汚染物質は何なんでしょうか。
  211. 大池眞澄

  212. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 四十九年の中公審答申には「寄与度を定めるのには、技術的に可能かつ現実的な方法として、環境汚染すなわち被害発生に対して寄与度の大きいSOx及びNOxを寄与度算定のための対象物質としてとりあげ、全国におけるそれぞれの物質の総排出量をもとに算出するのが現実的かつ適当な方法であろう。」こういうふうに書いてありますね。本来は、すべての汚染物質を取り上げて自動車重量税引当金分の負担割合を定めるべきなんだけれども、技術的に可能かつ現実的な方法としてSOxとNOxを寄与度算定の対象物質とした。そうしたら、次に問題になるのは、SOxとNOxの被害発生に対する寄与度は一体何%ずつで、そして自動車排ガスがそのSOxとNOxの何%を占めるかということになるわけですが、この二割という数字を出すに当たって、SOxとNOxの被害発生に対する寄与度はそれぞれ何%ずつというふうになっているのか、明確に御答弁を願いたいと思います。
  213. 大池眞澄

    大池政府委員 これまでその比率は八対二ということで取り仕切っておりますし、今回の検討に当りまして算定いたしまして、その八対二を変える特段の事情にないという判断をしているわけでございまして、したがって八対二という比率でございます。
  214. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そのことはOECDへ環境庁が提出した「日本の環境政策」の中にも確かに書いてありますね。そして、自動車排ガスが、全国的に見ると、SOxとNOxと合わせてSOx、NOx全体の二割を占めるから、重量税引き当て分は二割ということになったわけですね。そういう御答弁でしたね。違いますか。
  215. 大池眞澄

    大池政府委員 SOxにつきましてはかなり数量的に、寄与との関係が明白になっておるわけでございますが、相対的な意味では、NOxについてそういう細かい数量化ということについて、いろいろとまだ技術的に解明されなければならぬ点も残されているというような観点から、窒素酸化物硫黄酸化物とが、その総量において寄与度が等しいというような前提を置きまして、いろいろ比率を組み合せまして八対二、細かく申しますと二二・何がしというような数字もございますけれども、これは近年二〇にますます近づくような趨勢で動いております。
  216. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そういうことで費用を集めておられる、そういうことですね。汚染負荷量賦課金というのは、そういうことで徴収の基準にしていっておられる、大きく二対八という数字をとって進められている。そして、そのときのSOx、NOxの責任割合は、いまおっしゃったように半分ずつだというふうに割り切って進められてきた。そうなりましたら、地域指定要件NOxを加えていくというのは当然の理屈になっていくのではないですか。そうじゃないでしょうか。
  217. 大池眞澄

    大池政府委員 現在の地域指定要件について御説明いたしますと、四十九年の基本的な答申で、地域指定要件について具体的にいろいろな説明が書いてございますけれども、その中で、現在の大気汚染を考慮するに当たって硫黄酸化物窒素酸化物浮遊粒子状物質が主要な指標としてとらえられるべきである。ただNOxにつきましては、まだそれの科学的知見の集積が十分でない点もありまして、具体的に数量化したものは硫黄酸化物でございます。したがって、硫黄酸化物をいま申しました主要な汚染物質の代表的な指標という形でとらえておるわけでございまして、これまでの地域指定に当たりましても、硫黄酸化物を単体としてといいますか、単独物質としてとらえて、それのみで判断したということでは決してございません。
  218. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 何かいろいろ言われるけれども、もうちょっとはっきりしたいのですね。NOxは被害発生の責任が半分あるということで、補償費の二割を負担させているわけなんです。そのことは、自動車の立場から言うならば、そういうことで負担をしているわけですね。そうでしょう。そうしたら、地域指定の方から言えば、これは当然受け入れていって理屈が通るわけなんです。ところが、NOxによる被害発生がまだ明確ではないんだというようなことを繰り返してやっているということは、これは大きな矛盾じゃないか、そういうことを私は指摘しているわけなんです。  私の言うていること、わかるでしょう。NOxは被害発生の責任が半分あるということで、自動車の方に負担をさせながら、何で地域指定の中にはNOxは入ってこないのですか。被害がまだ明確でない、もう十年もたっていて、片方からはそれでお金を取りながら、なぜ指定地域の中に加えていこうとしないのかというところがはっきりしないわけです。
  219. 大池眞澄

    大池政府委員 繰り返しで恐縮でございますけれども、現在の地域指定要件の中には、いま御指摘のような問題は全部包まれておるというふうに御理解をお願いしたいと思います。
  220. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 包まれているなんて言うたらおかしくなってきますよ。それはおかしいですよ。  現実NOxの非常に濃度の高いところなんか、全く指定地域に入っていないところでもたくさんありますよ。だから問題になっているわけなんです。そういうふうな言葉のごまかしをして言われても、それで納得のできるような話ではありません。  結局、自動車重量税引当金つまり公費負担分を何とかして多くして、そして、企業の負担を減らしていくために、NOxに半分の責任がありということで、公費負担を二割としながら、地域指定の方はNOxの責任を否定し、あるいはあいまいにして、地域指定を不当に狭くしているというようなことに解釈せざるを得ないんじゃないですか。  NOxについてさらに言えば、制度発足時の中公審答申は、「大気の汚染の様相は年々変化しており、」そして「時代の流れと共に変化していくであろう主要汚染物質に着目し、」「必要に応じて地域指定要件見直しを行い、より合理的に地域指定を行う必要がある。」と、こういうふうに言っているわけです。どうなんでしょう。
  221. 大池眞澄

    大池政府委員 表現が不正確であったとすれば、硫黄酸化物が主要な汚染物質の代表的な指標として用いられたというふうに御理解をお願いしたいと思います。それで残余の指標については、その後の知見の集積に努めて、これの指標化に努力をするというのが制度創設のときからの課題になっていることは事実でございます。
  222. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そうなりますと、結局、NOxを今日この時点まで地域指定要件に加えないということになると、これは大変なことになると思うのですね。これは結局、自動車重量税の二割負担というのが、その根拠がだんだん危のうなってくるのですよ。私は、はっきり言うて、完全に失ってしまうと思うのです、こんなの。地域指定の方にはNOxを入れてないのです。被害発生の責任では入れているのです。こんなことをいつまでも続けていたら、この制度、完全に根拠がなくなってしまうじゃありませんか。  大臣、先ほどからやりとりを聞いていて、大体わかっていただいたと思いますが、どうなんでしょう。
  223. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 NOx健康被害との因果関係、これはあるわけですが、これを定量的に把握ができてない、明らかでない、こういうことなものですから、これを地域指定の具体的な指標化ということになりますと、なかなかそうはいかない、こういうことでございます。  ですから、いま御指摘の、NOx地域指定要件にどう評価するか、こういうことは、この制度全体の重要な問題でございますから、再々繰り返しておりますように、むずかしい問題でございますから、十分科学的な知見を集めてやらなければいかぬ、こういうことでございます。
  224. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 もう少しはっきりしてください、担当の方から。  これは、こんなのばっかり提案されているうちに、だんだん怪しくなってくるから言っているのです。この制度の根元から腐ってくるから言っているのです。だから、言ってください。それじゃ、いつごろをめどに地域指定要件に加えようということを検討しておられるのか。
  225. 大池眞澄

    大池政府委員 硫黄酸化物と対比しまして、窒素酸化物も無視できない重要な汚染物質であることは、つとに指摘されているところでございます。ただ、具体的な定量化された形で物差しがまだできていないというだけでございまして、影響がないということを申し上げているわけではございません。したがって、従来は、硫黄酸化物で代表させますと、そういう窒素酸化物浮遊粒子状物質等もあわせもった汚染の状態というものをよく代表できたということも事実でございまして、その時期にこういう制度が組み立てられたということでございます。  現在、汚染の態様が変わったために、その変わった状態におきますところの大気汚染をどう評価したらいいかというときに、従前とはまた一層強い意味で、窒素酸化物の数量化、定量化ということが期待されている、こういう現状でございますので、決して入ってないというのではなくて、従前にも判断の考慮の中には、単に硫黄酸化物だけではなくて、窒素酸化物もあわせて判断をしておった、こういうふうに申し上げてよろしいかと思います。
  226. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 地域指定の中に入ってないでしょう。どっちなんですか、入ってないのでしょう。入っている言うたり、入ってへん言うたりするからややこしゅうなる。地域指定要件の中にNOxが入っているかどうかということを聞きたいわけです。入ってないのでしょう。だから、いつ入れるんかということを聞いているのです。
  227. 大池眞澄

    大池政府委員 硫黄酸化物で具体的な数字をあらわした、一度とか二度とか、そういう判断の中には、これが代表的な指標ということでとらえている意味において、残余の物質の汚染も包まれているというふうに説明したのは、そういう趣旨でございます。
  228. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、これは大変大きな矛盾を環境庁が持っているからだというふうに思うわけです。NOxをいまだに地域指定要件に入れようとしていかない。入っていると言うたり入ってないと言うたりするけれども、実際には入ってないのです。それは考慮の基礎の中に含んでいるというような言い方というのはごまかしでして、地域指定要件の中には入ってない。そこのところがあいまいのままでいかなければならないというのは、そもそもNOxの環境基準を緩めたことに原因するのと違うのですか。あの新基準で満足されている多くの指定地域の中で、なお公害認定患者がふえ続けているという事実を無視して、あのとき、これで人の健康は守れるのだと環境庁は主張されたでしょう。  ところが、実際にはそうではないわけです。実際には患者はふえてきているのです。これは厳然たる事実なんです。しかし、環境庁はそのNOxの被害を隠蔽しようとした、そのことが今日こういう姿勢の矛盾をつくり出しているのじゃないでしょうか。  経団連の方は、SOxの基準ははるかに達成した、空がきれいになった、空気がきれいになったのに公害患者がふえるのはおかしい、こう言うのです。そして、この制度に攻撃をかけているわけです。臨調の答申の部会の第一案を見てください。そこには、SOxによる大気汚染改善されている状況にかんがみ、こういう言葉をつけていて、解除要件の明確化を挙げているのです。私は、その点では臨調の答申というのは経団連の主張と同一のものである、こういうふうに言わざるを得ないわけなんです。  SOxが汚染の指標とされている状況で、凍結されているもとで、公害は終わったという声がささやかれ、NOxの被害を隠蔽する新基準が出てから、その声が一層大きくなって、いま制度まで揺さぶりをかけられてきている。だから、早くNOx地域指定要件に明確に加えていって、そして大臣が、本当に冷静に対処する、あるいは所信の表明の中で、公害患者救済のために努力をする、充実させていきたいという大変結構な表明がございました。そういう立場に立つなら、私は、速やかにこのNOx地域指定要件の中に加えていくべきだ、もっと言えば、NOx基準をもとに戻すべきだ、こういうことを申し上げたいわけです。  大臣、最後にどうぞ。
  229. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 何回も申し上げておるように、NOxを取り入れる、定量的に把握ができていないものですから、これを直ちに指定基準に入れろ、こうおっしゃっても、これはいますぐにはなかなか困難だと申し上げておるわけでございます。  経団連等の、NOxは横ばいでSOxが減ってきた、それなのになおかつ費用がたくさん要るじゃないかという意見も、また、向こう側から見れば一つ意見だと私は思うのです。しかし、われわれは決してそれだけを取り上げておるわけじゃございません。だから、再々申し上げておるように、そういう問題もある、それから、NOxを定量化してどうするか、これを明確化するかどうかという問題もあるから、一切合財含めて冷静に判断を進めていく、こういうことを申し上げておるわけでございます。(「わかりました」と呼ぶ者あり)
  230. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 わかりませんよ。  最後に、それでは大臣もう一つ、私は、公害患者皆さんがきょうもたくさん傍聴にお見えですけれども、あのNOxの新基準を決めたときのように、公害患者がいまもなおふえ続けているという、この現実だけはしっかり見詰めて対処していただきたい、冷静な対処の基本はまずそこにある、そこからあらゆるものの出発があるということ、この点についてだけは明確に御答弁をいただきたいわけです。
  231. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 その、いま御指摘のことも、私ども一つの大きな重要な要素ということで考えていきたい、このように思っておるわけでございます。
  232. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 終わります。
  233. 國場幸昌

    國場委員長 水田稔君。
  234. 水田稔

    ○水田委員 限られた時間ですから、端的に一点だけお伺いをしたいのです。  先般の参考人にもお伺いしたのですが、現行法制度のもとではということで、明確なお答えをいただけなかったのですが、東京都の二十三区における状況の中で、国が指定しておる区と指定してない区における患者の数、これは人口比等で見なければなりませんけれども、端的に人数だけ、絶対数だけで比べてみますと、ほぼ同じくらいの患者が、これは国の認定と都の認定ということで出ておるわけです。これは当然汚染程度も違うだろうと思うのです。過去の汚染程度も違うけれども、そういう状況データというのはあるわけですね。あるはずなんです。そうすると、SOxを指標として使って地域指定したけれども、十年間近く実際運営してきて、その中での患者の動向ですね、人の健康に被害を与えておる状況というのは、やはり相当程度知見というのはとり得たはずなんです。そういう点では、これは参考人とは論争するあれがなかったものですから、意見を聞かしていただいただけで、申し上げませんでしたが、環境庁としては、いまの指定要件が正しいのかどうか。  もう一つ言えば、たとえば指定地域で、いわゆる賦課金を納める地域によっての額と給付が非常にアンバランスになっている。これは二分の一ずつカットして修正していくということになっている。あるいは無指定地域指定地域が一対九の比率で徴収しておるという問題、あるいはいわゆる移動発生源と固定発生源との間で二対八という比率になっておる。この十年近い運用の中で、それだけ見ても、いわゆるSOxだけを指標にして地域指定したことがどうもおかしいのではないか、だれが考えてもおかしい。それに何かの指標が、先ほど来論議があるように、なかなか認められぬけれども、それをやらなければこの制度そのものが、金を取られる側からも、いわゆる給付を受ける側からも信用されない、法律としてのコンセンサスが失われることになるのではないかという心配がある。例として申し上げたのですが、東京都の新宿なり渋谷に対する世田谷、杉並とか中野、こういうところの関係を一体どういうぐあいに考えるのか、お伺いしたいと思うのです。
  235. 大池眞澄

    大池政府委員 確かに硫黄酸化物の著しい減少と、一方で窒素酸化物浮遊粒子状物質の横ばいというような、大気汚染の態様の大きな変化がございましたので、それぞれの地域汚染の状態と、そこで認定申請が行われておる状態、これをいまの断面だけで論議し、比較するということは、きわめて困難であろうかと思います。  御設問の中でも御指摘のように、その地域の過去の汚染の状態、いつ指定されたかというようなこと、並びに現在の認定申請が本人の申請主義というようなこともございますし、いろいろ地域の事情もございまして、なかなかその点で、いまの断面を明快に説明するということは困難でございます。  ただ、基本的に申し上げますと、硫黄酸化物が減ってNOxが横ばいという状況に対しての現断面での評価というものについては、これをできるだけ早い機会に、きちっとした論議を整理しなければ、この制度に関して関係方面から寄せられておりますいろいろな意見に対して、説得性を高めることはむずかしいであろう、御指摘のとおり、私どももこういう観点で、その基盤整備について一生懸命調査研究をやっている、こういうことでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  236. 水田稔

    ○水田委員 例を東京都の二十三区の中で申し上げたのですが、制度ができて二、三年というなら、まだ様子を見ながらと言えるのです。これは今度で五回目ですから八年はたっておる。環境庁が持っておるいろいろな知見というのは、たとえば四日市が持っておるのは昭和四十年代から持っておるわけですね。ですから、四十二、三年ごろから全国どの地域でも相当な蓄積されたデータというものを持っておるわけですね。指定地域外で同じような疾患がどの程度出ておるかというのは、調べようと思えばできるわけですね。今日、まだこれからというようなことでは、だれもが納得しない。そして、いま論議になるのは、地域がふえて、患者がふえれば負担が大きくなるということだけに目を向けたような、環境庁というのはそうではなくて、本当に被害を与えてないなら、そこから取る必要はない、与えておるんなら、それが幾らになろうと負担してもらう、いわゆる損害賠償というたてりで制度が成り立っておるのですから、もっと自信を持ってやるべきだと私は思うのです。  そこで、NOxについては環境庁が〇・〇六に基準を緩和したわけですね。これはどう考えてみても、SOxだけの指標であるところにいろいろな問題が起こっておる。複合汚染で被害を受ける側というのは必ず複合で受けておるわけですから、その点についての指標に使うべきものが使われてないところに問題があるというのは明らかに示しておるわけです。  ですから、環境庁基準を引き下げる前に、こういうあれが出ていますね。中公審から環境庁長官に「二酸化窒素の人の健康影響に係る判定条件等について」の答申があるわけです。複合で被害を与えるものについてはこう書いていますね。「本専門委員会は実験室的研究により二酸化窒素単独の影響及び他の汚染物質との共存効果を評価するとともに疫学的研究の結果を評価し、環境大気の二酸化窒素による汚染と健康影響との関係をは握することを試みた。」それは具体的には「短期暴露については一時間暴露として〇・一~〇・二PPM、長期暴露については、種々の汚染物質を含む大気汚染条件下において、二酸化窒素を大気汚染の指標として着目した場合、年平均値として〇・〇二~〇・〇三PPM」というものが報告されておるわけです。  東京のたとえば世田谷を見ますと、これは四十年からずっとありまして、大変高いわけですが、五十六年度、NOxについて言うと、世田谷〇・〇四八PPM、それからNO2で見ても〇・〇三〇PPMということなんですね。これは指定されてない。しかし、現実環境庁長官答申された中公審は、疫学的な調査も含めて、いままででもこれだけのものは持っているわけですね。それから何年たっておるわけですか。五十三年からでも五年間。そういうものを疑問に思って、本当にこれが損害賠償制度として、徴収側からも患者側からも納得のできる、環境庁がそういう運営をする制度としてやろうとするなら、もっとできたはずだと思うのです。どうなんですか。こんなことはまだ、知見としてこの制度運用の中に生かすには不十分だ、こんなものはデータとして信用するに足らない、そういうふうなお考えなんですか。
  237. 大池眞澄

    大池政府委員 環境基準そのものにつきましては、また別の部門から答弁があるかもしれませんけれども、私の理解しております環境基準というのは、それを超えたからすぐ病気が発生するということではないというふうに考えております。少なくとも健康からの偏りが起こらぬような、あるいは半健康人をつくらぬような安全な観点も含めて維持、達成することが望ましい基準である、かように理解しておりますので、それを超えているからすぐ病気だということではないというふうに御理解賜りたいと思います。
  238. 水田稔

    ○水田委員 環境庁がそういう姿勢だから信用されなくなるんですよ。たとえば杉並の大原交差点、二四六と環七の交差点へ私が二月の二十一日に行きました。そのときに私が現にメーターを見たのでは、NOxですね、NOとNO2を足したものですが、〇・一ppmを目の前で指しておるわけですね。いいですか。これはいま申し上げましたように、データが全部杉並なり世田谷であるわけです。現在も横ばいの数字を先ほど申し上げたのですが、その以前はもっと高い状態なんですね。だからNOxというのを指標に使わないこと。しかも、患者の数はどう思われるのですか。指定地域指定されてない地域も全く同じ。もちろんその条件は若干違うのかもしれませんよ、片一方は都が認定し、片一方は国がやるわけですからね。しかも、同じような患者発生しておる。そして、SOxについてみれば、確かに差があったから指定された、指定されないということが出ておる。しかし、NOxについては恐らくほとんど変わらないですね。しかも、中公審答申した複合でかかわる、これが否定されるデータが出ておるのならともかく、出てないとするならば、その状態に今日世田谷なり杉並の住民は置かれておる。患者は出ておる。国が制度としては救済しようとしない状態が続いておることを環境庁はどう思うのですか。それに対して答えることをしないと、この制度は単に二年ずつの延長をやっておったのでは、制度としてお互い両方の側から信頼されなくなりますよ。環境庁が信用を回復するためには、その点をきちっとしたらどうですか、こう言っておるんですよ。  たとえば、さっきの土井さんの質問に対しては、ことし事務的、来年は予算を取る努力をする。この問題については、産業界からの負担が大きいから、何とかしてくれということだけに耳をかすのではなくて、それは実際に負担しなくてもいいものを負担しておるのなら、それはのけたらいいですよ。そういう点はだれからも信頼される制度にすべきではないか。そして二年ごとに、財源についても八、二の二割は自動車重量税で不安定な形でやるのがいいのか。八年も十年もずっと来たわけですから、恒久的に財源の問題についても考えていく、そういうことぐらい、ことしの改正では出してくるべきではないですか。これは長官、もうこれ以上私は申し上げません。  時間の関係で、後は関連質問で、NOxの問題は土井議員からさらに詰めた質問をしていただきますから、いまの私の意見に対して、長官からひとつ御見解を伺って、私は終わりたいと思います。
  239. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 いま水田委員のお話を聞いておりまして、私ども、先ほど申し上げましたが、患者からも、また費用負担する側からも信頼されることが何といっても大前提でございます。そういうことで、いままで若干おくれました点でいろいろおしかりを受けておりますが、いま申し上げたような、両方から信頼されるということを一番基礎に置きまして、科学的知見を早急に集積いたしまして、くどいようでございますが、冷静に議論を進めてまいりたい、かように考えております。
  240. 水田稔

    ○水田委員 それでは、土井委員が関連質問で立ちますのでよろしく。
  241. 國場幸昌

    國場委員長 関連質疑の申し出がありますので、これを許します。土井たか子君。
  242. 土井たか子

    ○土井委員 私、いまりっぱな本を持ってまいりました。昨年の二月十五日に環境庁が発行されました「環境庁十年史」という本でございます。この二百四十四ページのところを開きますと、四日市公害裁判の判決を契機として、このように、それから書いある部分はちょっと大事な部分でございますから、短い文章なので読んでみます。「環境庁は、大気汚染防止及び公害被害者救済に関して、①環境基準は人の健康に影響の生じないレベルに設定強化すること、②既汚染地域については、この環境基準達成のための総合対策を年次計画により段階的に実施すること、③環境汚染に起因する健康被害については、新たな救済措置制度を創設して、これを救済すること、④未汚染地域については、開発のいかなる段階においても環境基準を上回らないことを条件とし、科学的なチェックを行うこととすること等の基本構想を発表した。」とございます。  これは環境庁基本構想なんです。この基本構想はいまに至るも無効にはなっていないはずなんです。引き継がれてきていると思いますが、特にこの中で問題になります既汚染地域について、環境基準達成のための総合対策を年次計画によって実施することとございます。環境汚染に起因する健康被害について、新たな救済措置制度を創設するということがございます。どのようにこれをいままで環境庁としては具体的にやっていらっしゃいましたか、この計画に従って。これは計画倒れになっているんじゃないかなと私は思うのです。りっぱな本と、りっぱな計画なんだけれども、中身はどのようでございますか。
  243. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 当時の四日市の状況は大変なことでありまして、私も現地に参ったことがありますが、そのころの主要な汚染物質硫黄酸化物でございました。これにつきましてはK値規制を逐次強化いたしますほか、昭和四十九年以降現在まで、三次にわたりまして東京、大阪等の二十四地域につきまして総量規制を導入したところでございます。その結果、二酸化硫黄につきましては今日のような改善を見た、このように考えておるところであります。
  244. 土井たか子

    ○土井委員 SOxだけのことについてお答えになったのですが、ここにSOxだけのことについて書いてあるわけじゃないのです。これは、お出しになった環境庁としてはよく御存じの上で、いまのような御答弁をなすっているに違いないと思うのです。NOxをどうしてわざと外して御答弁なさるのですか。SOxだけを限定して書いてあるのじゃ断じてないのですよ。汚染物質と書いてあるのです。
  245. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 失礼をいたしました。  当時の代表的な汚染物質でありますのが硫黄酸化物でございましたので、それについて申し上げたわけでありますけれども窒素酸化物につきましては、固定発生源対策といたしまして、四次にわたる排出規制の強化をやってまいりましたし、また、総量規制の導入を行ったところでございます。移動発生源対策といたしましては、乗用車に対する五十三年規制など、どこの国と比べましても遜色のない排出規制を逐次実施しているところでございます。  残念ながら、窒素酸化物の濃度につきましては、おおむね横ばいで推移をしておりますけれども、先刻も申し上げましたように、自動車の保有台数、走行距離の増加等を考えますと、移動発生源の規制は着実に効果を上げておるものと考えておるところでございます。今後、規制車の普及に伴いまして、一層効果を上げてくるものと考えるものであります。
  246. 土井たか子

    ○土井委員 効果というのは、現実公害患者さんがなくなったときに言っていただきたい。そういう患者さんが発生をしない状況になったときに言っていただきたいわけでありまして、それが、そういうことを逐次効果を上げつつあるとかなんとかというのはおこがましい限りだと私は思うのです。  さて、それで時間の方が気になりますから、端的に申し上げますが、午前中に私が取り上げました東京湾地域整備連絡会議の中で、「総合的な立地計画を策定し」というのは、いまだに策定されていない。何のための総合立地計画かというと、環境保全を勘案しなければならない立地計画だったのですが、これの窓口は、大臣、これはどうも六省庁が寄って御協議の結果、このような計画をお決めになった窓口は通産省であろうと私は思うのですが、いかがでございますか。
  247. 向準一郎

    ○向説明員 お答え申し上げます。  当時の計画でございますが、これは「川崎港扇島東埠頭における火力発電所の立地計画について」ということで、関係省庁が連絡会議を設けまして、いろいろ議論したということで、そのときにいろいろな考え方あるいは条件というのをおまとめになったということでございます。ですから、川崎港扇島東埠頭の関係機関が集まって協議をしたものでございます。
  248. 土井たか子

    ○土井委員 質問に対してお答えをいただきたい。そんなことは私は聞いておりません。こういう「環境保全等を勘案して総合的な立地計画を策定し」という、この計画策定の窓口は通産省でありますね、と私は言っているのです。これは常識の問題ですよ。もうよろしい。通産省であることは言うまでもない話だと思う。そうですね。長官、そうですよ、こういう問題は、立地計画の問題なんだから。いかがですか、ちょっと長宮、それを言っておいてください。
  249. 向準一郎

    ○向説明員 お答え申し上げます。  発電所の立地計画でございますので、通産省でございます。
  250. 土井たか子

    ○土井委員 通産省であって、やはり環境庁も中には入っていらっしゃるけれども、直接に計画の立案をする窓口ということにはなっていないというところが、そもそも私は一つの問題だと思うのですね。  そこで一つここで新たなことを申し上げましょう。それはどういうことかというと、昭和五十四年の電源開発計画によりまして、原町の火力の一、二号地点、東北電力の火力発電所の立地計画がございます。  もう一つ申し上げます。片方昭和五十六年の電源開発基本計画について、四日市の火力四号の火力立地計画がございます。  ところが、これを見てみますと、先ほど申し上げた原町の方はNOxの濃度が八〇ppmとなっておるのです。いろいろこれに対して装置も整えておやりになるのでしょうが、計画からするとそうなっておるのです。四日市の方を見ますと、NOxの濃度が一〇PPmになっているのです。八分の一ですよ。原町の方が四日市の八倍なんです。  これは端的に申し上げると、うるさいあたりはちょっと手を加える、静かなあたりはいいかげんなことをやる。端的な表現で言うとこういうかっこうだと思うのです。これは通産省のやっておる計画そのものなんです。こういうふうなことをあたりで認めていって、NOxに対する対策は研究をしていく意味があるとお思いですか。環境庁が黙っておられれば、こういうことがどんどん世の中でまかり通るのですよ。これはどうにもならないと思うのです。  そこで私は、もうきょうは残念ながら時間の方が大変気になるわけでして、提案をしつつ、環境庁としてはこういう点での努力を必要最小限度していただかなければならないという点を一つ申し上げます。  一つは、総量規制で沿道の環境基準というのを六十年には達成すると言われているのですが、どんな方式で達成しようとなすっておるのか、いまだによくわからないのです。中には、元環境庁の高官の人に承りますと、とてもむずかしい、大変むずかしいという話もありますが、まず、先ほどから排ガス規制などの効果も期待をなすっております局長も含めまして、一つ申し上げたいことがあるのです。  発生源というのは、固定発生源、移動発生源、両様に対して問題にしなければいけませんが、車の問題について、つまり移動発生源についてまず申し上げたいと思うのです。  これは走行量を抑えるのがポイントじゃないでしょうかね。複合激甚汚染地域に参りまして、どれくらいの走行量があるかというのは、これはあらましおわかりだと思うのです。環境庁長官も兵庫県の御出身でいらっしゃいますから、兵庫県の四十三号線かいわいというのが、もう目に余る激甚地域だというのもよく御承知で、環境行政についても鋭意努力をなすっていただいているであろうと私は思うのですが、そういうことからいたしますと、これは排ガスの中身をどのように考えていったらいいかというのは、走行量をにらみ合わせたらおのずとわかるのです。規制をしつつあるということをおっしゃいますけれども、わかるのです。しかし、わかってそれを抑えるのにはどうしたらいいかといったら、物流に対する適正化を図らなければなりません。何としても車両の走行量を抑えていかなければなりません。現在では車両運送法ではそれはなしおおせないのです。恐らく建設省とか運輸省からいろいろ物言いが出るでしょう。  環境庁として、ひとつ責任を持って、そういう問題に対してやはり存在意義を発揮してもらわなければならぬと思うのですね。仮称自動車公害防止法とでもいいますか、そういうものをお考えいただいて、これは激甚地域に対する年次計画の中で具体的に自動車の走行量をチェックする、抑えるということを中身に盛った法制度がどうしても私は必要だと思います。  いままで、前環境庁長官までの間に、現地にも視察をされて、帰ってこられて各省庁で討議をして、この激甚地域に対しての、車公害に対処するための窓口を整備しようということを何度かおっしゃったのですが、これは行政措置ではなかなかうまくいかない。法制度の上での不備というのはいつもかま首をもたげるのですね。いま申し上げたことについて、お考えいただけないかどうかという点を、ひとつお答えくださいませんか。
  251. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 私も土井委員と同じ兵庫県でございますから、四十三号線の状態は十分知っておるつもりでございます。そういうことで現在の交通公害、これはもう大変深刻なものだという受けとめ方はいたしておるわけでございます。  そこで、いま私ども、昨年専門委員の方でいろいろこの問題について、特に交通関係の物流あるいは周辺土地対策、こういう二面からいろいろ御検討いただきまして、それを中公審に現在かけまして、審議をいただいておるところでございます。この審議をいただいておる最中でございますので、いまの時点におきまして、いま土井委員が仰せになりました自動車公害防止法ですか、これをここで法制化するかどうかというお答えはちょっといたしかねますが、答申をいただきました後、大変貴重な御提言でもございますから、検討させていただきたい、かように考えます。
  252. 土井たか子

    ○土井委員 先ほど私が申し上げました、この火力発電所の立地の中身で、NOxに対する取り扱いというのは、全部NO2の環境基準が五十三年七月に緩和されて後の問題でございますから、幾ら力んで環境庁NOx対策に対しては排出基準をどうこうするとか、やれ自動車の排ガス規制をどうこうするとかおっしゃっても、ほかの省庁の姿勢自身が大変問題なんです。だから、そういうことからすると、よほどこの節環境庁ががんばっていただかなければならぬのです。  大気汚染の現状というのは、全般的によくなっているなんというふうなことをよく耳にするのですが、しかし、私もきょうは取り上げる時間がついにございませんで、資料だけを持ってきて、ここにこういうふうに置いておりますが、一都三県で、東京都が中心になって、関東地方の公害対策推進本部大気汚染部会というのが出された「植物からみた関東地方の光化学スモッグ被害の実態」というのを見てまいりますと、被害地域がどんどん広がっているのです。これは長官もよく御承知だと思いますが、アサガオなどの被害を見ると、光化学スモッグ警報が発令されている地域のみならず、汚染地域というのは大変に広がっているということが一目瞭然、よくわかります。それと同時に、SOxは以前に比べると汚染状況が落ちついて、どんどんよくなっていっても、公害病の患者さんはふえるという実態からすると、まず一つ申し上げたいのは、現状、指定地域について、いままで指定地域として指定をされているところに対しての削減をやらない、これはひとつはっきりさせていただきたいと思うのです。  それから、指定地域に当然なるべきところが外れている部分については、精力的にこれを指定地域指定するための努力をする、これが二つ目、考えていただきたいと思うのです。  それから三つ目には、これはさらに発がん問題について、これも分厚い資料を私は持ってまいりましたけれども、被害は年々深刻な問題です。複合汚染地域について増加してきているのです、特に肺がんなんかについて言うと。たばこの害だけではこれは理解がなしおおせない問題であるということははっきりいたしておるわけであります。  だから、そういうことからすると、ここで一つまた申し上げたいのは、いま複合激甚地域では、申請した方々についての補償なり救済措置というのが問題にされているのですが、この激甚地域に対して国が乗り出して、公的な立場で健康総合調査というものを実施していただきたいと思うのです。これは個別の問題を申し上げたらいとまがありませんから、私はきょうは差し控えますけれども、長官でも親身になってお考えになっているはずの兵庫県の例なんかは、全国的に見たらとても考えられないような例がございます。  尼崎では、四十三号線のすぐ近辺にあります城内小学校の児童の四分の一が公害認定患者さんだというかっこうです。百八名中の二五%、四人に一人の児童が認定されているというかっこうなんですね。深刻だと思うのです。お年寄りと小さな子供さんに多いのだけれども実態は、自分から診察を受けるという方でないと、申請するということには相なりませんので、地域からするとやはり総合的に、こういう健康に対しての調査を公的にやっていただくということが非常に大切だと思います。こういう地域に対しては、健康回復計画というものをつくっていただいて、環境庁として、こういうことに対してしっかり乗り込んでいただけるように、ここで申し上げたいと思いますが、いかがでございますか。
  253. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 後段の調査の件につきましては、政府委員の方から答弁させますが、前段の指定の問題でございます。これは再々申し上げてまことに恐縮でございますが、いま土井委員のような御意見もございますし、われわれはそれは十分熟知いたしております。各方面からいろいろ意見が出ておりますので、今後ともいろいろな知見を集積いたしまして、合理的な結論を得たい、このように考えておる次第でございます。  後の点は、政府委員の方から答弁させます。
  254. 大池眞澄

    大池政府委員 調査研究等の件でございますけれども、この制度の説得性を高めるというような趣旨に沿っての調査研究が当面急務でございまして、そちらに全力を尽くしてまいりたいと思っております。  なお、第一種地域で対応しております指定疾病非特異的疾病ということで、これは全国共通に存在する疾病でもございまして、地域の住民福祉のきわめて重要な問題でもあろうかと思います。その辺は、それぞれの地域におきます地方公共団体あるいは衛生部門のそれぞれが対応していくべき事柄かと思っております。
  255. 土井たか子

    ○土井委員 ありがとうございました。終わります。
  256. 國場幸昌

    國場委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  257. 國場幸昌

    國場委員長 委員長の手元に、藤田スミ君より本案に対する修正案が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。藤田スミ君。    ─────────────  公害健康被害補償法の一部を改正する法律案に   対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  258. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、日本共産党を代表いたしまして、公害健康被害補償法の一部を改正する法律案に対する日本共産党の修正案の提案理由を説明申し上げます。  原案は、自動車重量税の税収見込み額の一部を、第一種地域における公害被害者への補償費等の一部に充てるという、制度創設以来の暫定措置を、昭和五十五年に続き四たび延長しようとするものであります。  日本共産党は、当初から、この暫定措置は自動車排ガスによる大気汚染の真の原因者である自動車メーカーの責任を免罪するとともに、公害健康被害補償費の公費による肩がわりであることを指摘し、これに反対してまいりました。にもかかわらず、政府が本委員会でのたび重なる附帯決議すら無視し、今回、四たびこれを延長しようとするのは、もはやこの暫定措置の完全な固定化を意味するものであり、断じて容認するものではありません。  さらに、今回重要なことは、この暫定措置による公害健康被害補償協会交付金が臨調行革の対象とされ、公害患者切り捨ての口実として利用されていることであります。去る三月十四日発表された臨調最終答申は、この交付金の整理合理化を理由に、地域指定の解除、すなわち公害患者の切り捨て促進を政府に求めておりますが、こうした公害行政に対する臨調の不当な干渉を許さないためにも、いまこそこの暫定措置を是正すべきなのであります。  以上の理由により、わが党は原案に反対するとともに、本制度発足当初から問題を指摘してきたとおり、公害保健福祉事業等にある公費負担の解消を含め、自動車メーカーの被害補償責任を明確にし、窒素酸化物地域指定要件に加える修正案を提出するものであります。  次に、その修正案の概要について説明させていただきます。  第一は、補償費等の一部に充てるため、輸入業者を含む自動車メーカーから賦課金を徴収することとし、その賦課金の額は、自動車の種別、総排気量、汚染物質排出量等を勘案して政令で定める金額に出荷台数を乗じて算定するという点であります。  第二は、ばい煙発生施設等設置者に対する汚染賦課対象物質に硫黄酸化物とともに窒素酸化物を法定することにより、窒素酸化物が被害発生の原因物質であることを明確にし、これを地域指定要件に加えるという点であります。  第三は、公害保健福祉事業費、自治体の補償給付費及び公害健康被害補償協会の事務費にある公費負担を全廃し、これを企業負担にするという点であります。  以上でありますが、委員各位の御賛同を心からお願い申し上げまして、提案理由の説明といたします。
  259. 國場幸昌

    國場委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。     ─────────────
  260. 國場幸昌

    國場委員長 これより本案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  公害健康被害補償法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、藤田スミ君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  261. 國場幸昌

    國場委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  262. 國場幸昌

    國場委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  263. 國場幸昌

    國場委員長 次に、ただいま議決いたしました本案に対し、牧野隆守君、阿部未喜男君、有島重武君及び中井洽君より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者から趣旨の説明を求めます。牧野隆守君。
  264. 牧野隆守

    牧野委員 私は、ただいま議決されました公害健康被害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につき、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     公害健康被害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たって、次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。  一 昭和六十年度以降における費用徴収方法については、汚染の原因者負担の原則にのつとるとともに、発生源の公害防除の努力が十分反映されることを重点においた方策の確立に努めること。  二 幹線道路周辺における環境の改善を図るため、バス・トラック等の自動車に係る騒音、排出ガス等の規制を含め、総合的な交通公害対策を推進すること。  三 最近における都市型複合汚染に対処するため、窒素酸化物等についても健康被害との因果関係を究明し、その結果に基づいて地域指定見直しを行うこと。  四 補償給付改善を行うとともに、転地療養事業等の公害保健福祉事業の充実、強化を図ること。  五 国立水俣病研究センターについては、なお一層体制の整備に努めるとともに、研究成果をふまえて水俣病の治療体制の充実についても検討すること。  六 公害健康被害に関する調査・研究については、その結果を公表し、本制度適正化に資すること。  七 本制度対象となっていない騒音、振動等による健康被害及び財産被害についても、その実態の把握に努め、被害者の補償措置を早急に確立するよう検討すること。 以上でありますが、その趣旨につきましては、案文中に尽くされておりますので、説明を省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。  以上であります。(拍手)
  265. 國場幸昌

    國場委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  266. 國場幸昌

    國場委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、梶木環境庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。梶木環境庁長官
  267. 梶木又三

    ○梶木国務大臣 ただいまの決議に対しましては、その趣旨を体して、最大限の努力をいたします。    ─────────────
  268. 國場幸昌

    國場委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  269. 國場幸昌

    國場委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  270. 國場幸昌

    國場委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  第九十四回国会土井たか子君外二名提出の環境影響事前評価による開発事業の規制に関する法律案及び第九十四回国会内閣提出の環境影響評価法案の審査のため、参考人の出頭を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  271. 國場幸昌

    國場委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選及び出頭日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  272. 國場幸昌

    國場委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時八分散会