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1983-03-04 第98回国会 衆議院 環境委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年三月四日(金曜日)     午後零時三十三分開議  出席委員    委員長 國場 幸昌君    理事 天野 公義君 理事 中村正三郎君    理事 畑 英次郎君 理事 牧野 隆守君    理事 阿部喜男君 理事 串原 義直君    理事 有島 重武君 理事 中井  洽君       水田  稔君    大野  潔君       永末 英一君    藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 梶木 又三君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       加藤 陸美君         環境庁長官官房         審議官     鈴木  健君         環境庁企画調整         局長      正田 泰央君         環境庁企画調整         局環境保健部長 大池 眞澄君         環境庁自然保護         局長      山崎  圭君         環境庁大気保全         局長      吉崎 正義君         環境庁水質保全         局長      小野 重和君         通商産業大臣官         房審議官    村田 文男君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第一課長   滝島 義光君         文化庁文化財保         護部記念物課長 小埜寺直巳君         林野庁指導部森         林保全課長   古宮 英明君         林野庁指導部研         究普及課長   塚本 隆久君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      蕨岡 達慈君         運輸省自動車局         整備部公害防止         課長      藤野 團治君         建設省都市局都         市計画課長   城野 好樹君         建設省道路局企         画課道路防災対         策室長     松野 一博君         自治大臣官房地         域政策課長   鈴木 政徳君         環境委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ───────────── 委員の異動 三月二日  辞任         補欠選任   藤田 スミ君     金子 満広君 同月四日  辞任         補欠選任   水田  稔君     藤田 高敏君   金子 満広君     藤田 スミ君 同日  辞任         補欠選任   藤田 高敏君     水田  稔君   藤田 スミ君     金子 満広君     ───────────── 二月二十八日  環境保全推進等に関する請願池端清一紹介)(第一〇二七号)  同(勝間田清一紹介)(第一〇二八号)  同(久保等紹介)(第一〇二九号)  同(楯兼次郎君紹介)(第一〇六七号)  同(伊藤茂紹介)(第一一四一号)  同(矢山有作紹介)(第一一四二号)  同(小林進紹介)(第一一七一号)  同(武部文紹介)(第一一七二号) 三月三日  環境保全推進等に関する請願大出俊紹介)(第一一九七号)  同(横山利秋紹介)(第一一九八号)  同(五十嵐広三紹介)(第一三一三号)  同(高田富之紹介)(第一三一四号)  同(矢野絢也君紹介)(第一三一五号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  公害健康被害補償法の一部を改正する法律案内閣提出第一七号)  環境保全基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 國場幸昌

    國場委員長 これより会議を開きます。  環境保全基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜男君。
  3. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 先般、長官から環境政策について非常に次元の高い所信の表明を承りました。長官はこの所信の中で、環境汚染未然防止を第一義となさる、あるいは長期的視点に立った環境政策を総合的に講じていく、さらには、地球的規模環境問題についても対応を進める、そういう目標をお述べになりました。その目標達成の方策として、環境保全長期構想策定推進するというお話がございましたが、この長期構想とは一体どういう内容のものであり、また、いつごろまでに策定をされるおつもりなのか、まずお伺いをしたいと思います。
  4. 梶木又三

    梶木国務大臣 いまお話しの長期的な構想でございますが、環境庁では、指針といたしまして、五十二年に環境保全に関します長期計画策定いたしたわけでございます。これまで、この計画に示されました目標達成に向かいまして、各般の施策推進に鋭意努力をしてきたところでございます。  しかし、最近この環境問題は、経済社会情勢が御案内のとおり大分変化いたしておりますし、また、国民の方々の意識変化高度化、こういう問題もございまして、こういうことを受けまして、大変複雑多様化しておるというのが現状でございます。このため、環境庁としましては、現行の昭和五十二年に立てました長期計画の総点検をいま行っておるわけでございまして、これにかわりまして、新たな環境保全長期構想というようなものの策定をひとつ推進してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  5. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大体内容はわかりましたが、いつごろまでに大体それをおつくりになる予定ですか。
  6. 正田泰央

    正田政府委員 お答えいたします。  本年度中に全体のレビューをいたしまして、それから明年度以降、目標といたしましては五十九年度を目途に構想策定をしたいというふうに思っております。したがいまして、五十七年度中にレビューしまして、五十八、五十九、こういうことをめどにいたしております。
  7. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 わかりました。  次の質問に移りますが、長官所信で述べておられますように、高度経済成長の過程では、著しい公害と、公害による健康被害まで生じた苦い経験を持っております。幸い国を挙げて取り組んだ結果、一部にはかなりの改善が見られたという、この点については私も全く同感でございます。  しかし、環境庁が発足した当時、たとえば大石武一先生長官でございました。あるいは三木武夫先生長官でございました。このころ環境庁長官は、実に異常な決意を持って公害対策環境保全に取り組まれまして、国民もまた、環境庁こそは国民公害から守り、あるいは環境を守ってくれるお役所だ、そういう大きい期待信頼を寄せておったことも間違いがございません。いま公害に苦しむ健康被害者環境保全を願う多くの国民が、環境庁に対してあのころと同じような信頼期待を持っておるだろうか。そのことについて長官はどうお考えになっておるのか、承りたいと思います。
  8. 梶木又三

    梶木国務大臣 歴代長官に大変努力いただきまして、いま御指摘のように、大分改善された点が多々あるわけでございます。しかし、先ほども申し上げましたように、経済社会変化等ございましたし、また、国民ニーズとでも申しますか、意識変化、こういうようなものがございまして、最近は、もちろん健康被害の点におきましてもまだ十分とは言えない点もございますけれども、快適な環境づくり、こういうような方向国民ニーズが大変高まっておるのが現状でございまして、そういう方向、たとえば緑の問題だとか、あるいは今度国会でも超党派の鳥類保護議員懇談会ですか、ああいうのが巣箱をこしらえるわけでございますが、こういう問題も含めまして、そういう自然的なものとの親しみ、こういうようなことにも力を入れましてやってまいりたい、かように考えておるわけでございまして、総体的に決して環境行政後退いたしたとは私は思っておりません。  ただ、情勢変化がございますから、ぎくしゃくいたしました対立関係というのは少なくなっておりますから、何かぱっと見た目にはそういう感じをお受けになるかもわかりませんが、私どもも、いま申し上げたような点に向かって最大の努力を払っておる、こういう現状でございます。
  9. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 長官決意はわかりましたし、後退をさせてもらっては大変なんでございますから、後退をしないように一層の御努力を願いたいと思います。  それにつけても、実際に環境行政に当たる職員皆さんでございますけれども、最高の幹部の皆さんは別として、環境庁職員全体、かつては環境庁は、手足はないけれども省庁から寄せ集めた頭脳である、そう言われたし、恐らく職員皆さんもそういうお気持ちでお仕事に取り組んできただろうと思うのです。最近どうも少しそういう熱意が欠けてきて、おれは何々省から派遣をされておる職員だ、いわばこちらが出先で本国は別にある、したがって、本国縄張りを荒らしてはならない、そういうような考え方で仕事をおやりになっておる方もあるやに見受けられるのですけれども、これでは僕は環境行政は進みにくいと思いますが、もしそういうことがありとすれば、長官どうお考えになりますか。
  10. 梶木又三

    梶木国務大臣 私、就任いたしまして三カ月経過したわけでございますが、いま御指摘のようなことは、私つぶさに見てまいりまして、ございません。なかなか皆優秀な職員がそろっておりまして、いまお話しのように、頭脳のなかなかいい方が、私一回説明を聞いてもわからぬくらいむずかしいことを、二回、三回聞かなければ理解できないようなむずかしい問題にも一生懸命取り組んでおる。そんなに本籍のことばかり考えておるというようなことは絶対ない、私はかように確信をいたしております。
  11. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 何にもなければ私はわざわざこういうことを申し上げるつもりはないのです。私が見たところ、そういう感じで受けとられる向きもありますので、ひとつ長官に申し上げて、そういうことがないように、これからの行政に生かしていただきたいというつもりですから、いま、こういうことがありまして、こうでございますなどということをここで言うつもりはございませんけれども、そういう印象を受けたということについては、長官も腹に入れておいていただきたいと思います。  したがって、環境庁の任務というものは、官制上あるいは予算上他の主務大臣に属するものであろうとも、事国民環境公害対策上必要があると思われる場合には、大所高所に立って環境庁意見を述べ、行政全体を指導していく、そういう立場に立ってもらわなければ環境庁の存在する意義はないのではないか。あれは何々省の所管でございます、これは何々省の予算でございますから、環境庁は一切かかわりがありませんというようなことでは、もともとのすべての省庁に返してしまえばいいのでありまして、環境庁がここにつくられておる趣旨にのっとって、大所高所から公害環境の問題についての指導的な役割りを果たしていただきたい、この点についてはどうでしょうか。
  12. 梶木又三

    梶木国務大臣 環境保全関係予算案、これは先般もここで、私どもの方の企調局長から細かく説明をいたしたわけでございますが、環境庁を初めといたしまして、十五の役所関係いたしておることは事実でございます。しかし、予算の編成に当たりましては、環境庁設置法に基づきまして、当面いたしております環境問題を踏まえまして、見積もり方針などの調整を厳重にやっておるわけでございます。そういうことで、環境庁としましては、そういう見積もり方針調整などを通じまして、環境保全対策の総合的かつ効率的な推進努力をいたしておる、かよう御承知をいただきたいと存じます。
  13. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 おっしゃられるように、五十八年度環境保全経費等説明書をいただきましたけれども環境保全のための経費総額は一兆一千七百六十九億円と示されております。  しかし、その中で環境庁独自で計画をされる予算はわずかに四百四十八億円、総額の二十五分の一にすぎないわけでございます。二十五分の二十四は他の省庁予算になっておるわけでございますから、したがって、予算環境庁は非常にやりにくい状況にあるだろうと私は思います。だからといって、建設省下水道工事環境庁がやるわけにはまいらないと思いますから、それはそれで結構なんですけれども、いまおっしゃられたように、全体的な経費を総合的かつ効率的に使用されるようにするためには、積極的に環境庁が各省庁環境保全予算については、俗な言葉で言うならばくちばしを入れてもらいたい、積極的に意見を述べてもらいたい。さらにはまた、予算折衝復活要求、そういう段階でも積極的な取り組み姿勢を示してもらいたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  14. 梶木又三

    梶木国務大臣 私どもの方の予算、確かに少ないわけでございますが、頭脳集団でございますから、金はなくても色男ばかりそろっておりますから、一生懸命取り組んでおるわけでございまして、一兆何がしかの他省庁のやられる仕事につきまして、これが環境保全上うまくいかないというようなことがございましたら意見も申し上げ、積極的に取り組んでまいりたい、かように考えております。
  15. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 経済情勢が変わったからとか、そういうことで遠慮をされることなく、環境行政を担当する以上は積極的に働きかけて、環境庁としての目的を果たして、国民期待にこたえてもらいたいと思います。これは要望です。  少し具体的な内容に入りますが、法律案件等につきましてはまた別の機会質問いたしますので、一般論ですが、先般ロンドンで開かれました海洋投棄規制条約締約国会議で、低レベル放射性廃棄物海洋投棄を一時禁止するという決議が行われました。わが国も将来海洋投棄を行うという計画を進めておるというふうにわれわれ承知をいたしておりますが、いわゆる地球的規模環境問題に取り組むとおっしゃっておられる長官は、このロンドン会議決議について、わが国の場合はどういうふうにお取り組みになるお考えでしょうか。
  16. 梶木又三

    梶木国務大臣 放射性物質によります汚染につきましては、原子力基本法その他関係法律によるものとされておりまして、科学技術庁あるいは通産、運輸、こういうところが原子力行政の一環として所管しているところでございます。いずれにいたしましても、海洋環境保全は重要な問題でございまして、それ以外のものにつきましては、私どももいろいろ関心を持っておるわけでございます。いま御指摘放射性につきましては、いま申し上げましたとおり、一応科学技術庁が中心になってやっておるわけでございます。
  17. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私が環境庁姿勢について冒頭質問をいたしましたのは、そのことがあるからでございまして、おっしゃられるように、主務大臣科学技術庁かもわかりませんし、また原子力を取り扱うとなれば、あるいは通産なりそういうところが関与してくるかもわかりません。しかし、海洋汚染という大きな問題について、長官地球的規模環境問題に取り組んでいくとおっしゃった。さらに、私が質問を申し上げましたように、事環境汚染あるいは公害、そういうものに関係をする場合には、環境庁として大所高所から指導的な役割りを果たしてもらわなければならない、それについては長官も御異議がなかったはずです。  ならば、この海洋投棄の問題は、仮にエネルギーの主務大臣通産であろうとも、主務大臣が別におろうとも、海洋汚染という立場から考えるならば、これは当然環境庁大所高所からの指導的な役割りを果たしてもらわなければならない。意見を述べてもらわなければならない。その意見を述べるに当たってどういうお考えでしょうか。いまおっしゃるように、あれは科学技術庁だとか、あれは通産省だとか、そういうおっしゃり方が、僕が冒頭申し上げた縄張り争い職員の中にそういうのがおるから、長官に正しい意見の具申が行われていない、こうなってくると私は思うのですが、どうですか。もっと大所高所から環境公害の問題に取り組む姿勢がないのならば、もう環境庁を解散して各省庁にお返しなさい。どうです。
  18. 梶木又三

    梶木国務大臣 環境庁としましては、全然関心がないとは申し上げておるわけではございません。重大な関心は持っておるわけでございますが、先ほど申し上げましたのは、ただ、放射性物質については一応科学技術庁所管しておるということでございまして、それによりまして海洋汚染されるというようなことになりましたら、当然私ども意見は強硬に申し上げる、こういうことでございます。
  19. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 このロンドン会議決議が一時中止を決めたのは、海洋汚染されるかもわからないという危険があるから、その結論が出るまで中止をするというのが決議趣旨だと私は思うのです。したがって、それは原子力そのものについては科学技術庁所管であるかもわかりません。あるいは電力の関係そのものについては通産所管であるかもわかりません。しかし、それによって生ずる大気汚染公害あるいは環境破壊、そういうものは環境庁指導監督をしなければならぬ立場にある。あなたのおっしゃるように、それはこの省の所管であると言うならば、環境庁でやるものは何もなくなってしまうのですよ。それぞれ公害が起こったら、それからぼつぼつ対策を立てる、環境破壊をされたら、それからぼつぼつ環境庁が乗り出していく、そうしかならないのですよ。しかし、環境庁をつくった趣旨は、未然にこれを防ぐというのが基本でなければならぬはずなんですよ。  ならば、海洋投棄によって海洋汚染が行われるおそれがあるとして、国際会議がそういう決定をしたのならば、少なくとも海洋汚染についてどういうことが考えられるのか、その場合に、環境庁としてはこうあってもらいたいということを、科学技術庁に申し入れて処理をしていただかなければ、それは科学技術庁が決めることでございますから、そして科学技術庁海洋投棄をやると決めた、これは拘束力がないはずですから、やった、海洋汚染した、それからぼつぼつ環境庁様お出まし、こうなるのですか。
  20. 梶木又三

    梶木国務大臣 くどいようでございますが、決して野放しというわけじゃございません。私ども重大な関心を持ちまして、絶対汚染が起きないように、未然にそういうことを防ぐ、これはもう私どもの役目でございますから、これに限らず、いま御審議いただいておりますアセスにいたしましても、同じような趣旨未然にこれから防いでいこう、こういうことで努力をいたしておる、こういうことでございますので、御了解賜りたいと思います。
  21. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 具体的に、環境庁としては、いわゆる低レベル放射性廃棄物海洋投棄されたとしても、別に心配はないとお考えになっておるのか、あるいはこれは非常に危険だとお考えになるのか、それが環境庁のお仕事ですよ。そこで、これは危険だなと思えば、科学技術庁に対して、こういうことをやるべきではないのではないか、それをやるのが環境庁のお仕事じゃないのですか。海洋汚染されてから、それからぼつぼつ乗り出すというのでは全く意味がないのです。それじゃ実務者からでもいいですから……。
  22. 加藤陸美

    加藤(陸)政府委員 先生のおっしゃる基本的な姿勢は、おっしゃるとおりの問題であると存じます。  まず細かい点でございますので、私の方から申し上げますが、ロンドンでの例の御指摘お話にありました会議でございます。これにつきましても、環境庁関係職員を派遣いたしたりしておるところでございまして、その情報等も入手いたしておるわけでございます。したがいまして、大臣からも申し上げておりますように、全般的に海洋汚染の問題、これは広く言えば、まさに地球規模の問題でございまして、重大な関心を持っておるところでございます。  ただ、具体的な問題に入りますと、先生のたまたまいまおっしゃいました放射性廃棄物海洋投棄の問題でございますが、これはいろいろな態様がございますし、物のレベルの問題もございましょうし、もし投棄するといたしましても、国によりましては、現に投棄を試験的ないしある程度規模でやっておられる国があることも承知しておるわけでございますが、じゃ具体的に、どのレベルのものをどの程度廃棄方法ならばどの程度の影響が出るかというのは、非常に専門的、技術的な問題もございますので、これはその辺の検討も待っての話かと存じますけれども、全体として重大な関心も持っておりますし、また、関係省庁、これは直接的には科学技術庁が技術的な問題をやっておりますけれども関係省庁協力してこれの対処に当たらなければならない。  基本的には、海洋全体の汚染防止を図るという観点から、環境庁役割りを果たしていかなければならぬということはもともと考えておるところでございます。
  23. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 この段階ですから、環境庁に明確な見解がない、投棄すべきであるとか投棄すべきでないとかいうような明確な結論が出ていないというのなら、それはそれなりにわかります。しかし、やはり環境庁として、私が申し上げてまいりましたように、科学技術庁に対して、これは非常に危険がありそうだ、もうちょっと検討すべきであるとか、これは大丈夫なのではないかというふうな指導的な役割りを果たしてもらわなければ、何のために環境庁があるのか全く意味がない。  率直に言いますが、各省各省で、自分うんこをしたおしりがふけるなら環境庁をつくらぬでよかったのですよ。なかなか自分省庁だけできれいにおしりがふけないから、環境庁をつくっておしりをふいてもらわなければならぬようになっているし、また、うんこをする前から言うていかなければならぬようになっておるのです。だから、そこのところをよく考えておかないと、公害が起きてからというのでは困りますので、まだこの段階で十分な結論が出ていないというならそれで結構です。しかし、将来にわたって十分に検討しながら、行政全般について、事環境公害に関する問題は指導的な役割りを果たしていく、そういうふうに理解をいたしまして、次に移ります。  次に、長官臨調第三部会報告補助金関係のところですけれども、第二のその他の方ですが、どうも私は、この臨調報告がどういうことを言っているのか、わかりにくいのです。何を言おうとしておるのでしょうか。環境庁はこの点をどうお受けとめになっておりますか。
  24. 梶木又三

    梶木国務大臣 内容につきましては、政府委員の方からひとつ……。
  25. 大池眞澄

    大池政府委員 ただいま御指摘の、臨調の第三部会部会報告でございますが、これは御案内のとおり、まだ臨調の内部での部会報告という段階でございまして、公式的にそのものについてのコメントをする段階でないことは御理解賜りたいと思います。  ただ、事実上、その部会報告を読んでおるわけでございますが、そこで述べられております点は二つございまして、一つ地域指定要件、さらには地域指定解除要件の問題に触れておるのが一つ、それから第二は、いわゆる医療費適正化、こういうことを述べておるように了解しております。
  26. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私もわからないのですよ。これを読んだだけでは、何を臨調が求めておるのかわからないのですが、臨調がこういう報告を出すに当たっては、おたくの御意見もお聞きになったと思うのです。大体各省庁の御意見をお聞きになったはずですが、これについて何か特別意見の開陳を求められた経過がございますか。
  27. 大池眞澄

    大池政府委員 部会検討段階におきまして、各省と同様に私ども説明をする機会を得まして、この制度の基本的な性格等々、十分に説明したつもりでございます。
  28. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そのときのニュアンスですけれども、やはり補助金関係等は極力抑制をするというのが臨調趣旨ではないかという気が私はするのです。それでなければ臨調部会報告でこれを取り上げた意味がないので、補助金等は極力抑制をしなさいという趣旨にのっとって、この二つの項目が出てきたのではないか。そうであるとするならば、これはどうも、特に第二項の方は私はわかりいいのですけれども、「医療機関に対する指導監査の強化等により療養の給付の適正化を図る。」適正化を図れということは、なるべく抑制せよという言葉につながりそうに思われてならないのですが、どう受けとめておられますか。
  29. 大池眞澄

    大池政府委員 ただいまの御指摘でございますけれども部会報告に記載してある表現として私どもは受けとっておるわけでございます。医療費の問題につきましても、より一層の適正化を求めておるという趣旨の文章として理解しております。
  30. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 適正化という言葉はまさにおっしゃったとおりで、適正化と言われる以上われわれも物の言いようがないのです。適正にせよというんだとおっしゃられればそのとおりですが、そもそも臨調を設立された趣旨、特にこの第三部会報告補助金関係、その発想というものは、極力補助金を抑制しなさいというのが発想になっておるはずなんですよ。そういうことを前提に置いて考えると、医療機関に対する指導監査の強化ということは、極力抑制する方向でやりなさい、そう受けとられてしようがないのですけれども、適正という言葉を使われておりますから、これ以上議論してもしようがないでしょう。ただ、そういう意味ではないというふうに理解をし、今後機会があればまた議論をしたいと思いますが、少なくとも環境庁は、言葉どおり適正化であるということで理解をして進めていただいて、これが私が懸念するような抑制につながるものではないというふうに考えていただきたいと思います。これはまだ正式な報告でありませんから、答申を待ってまた議論をすることにいたしましょう。  次の問題に移ります。  いま環境庁長官主務大臣となっておる狩猟関係の団体に、二つ公益法人があるようですけれども、その一つであります大日本猟友会が発行しておる本に「狩猟読本」という本がございます。ここに「監修 環境庁自然保護局」こうなっておるのですが、環境庁がこういう出版に当たって監修をされるという、この監修というのはどの程度のことをされ、どれだけの責任を持つ内容のものなんでしょうか。
  31. 山崎圭

    ○山崎政府委員 その編集方針一般等に関していろいろと相談にあずかり、あるいはまた助言をしている、こういうふうに受けとめております。
  32. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは、方針さえ決まれば内容がどんなものであってもそれは構わない、環境庁が監修ということになるのですか。環境庁が監修に参加したということは、責任を持っておるんだ、監修が環境庁自然保護局であると言えば、この書籍の内容については環境庁が責任を持ってくれておるんだな、こう一般国民が思うのが常識だと思うのですが、方針だけでも監修ということになるのですか。
  33. 山崎圭

    ○山崎政府委員 内容の一言一句等までにわたってその責任を持っているかと言われますと、そこの点は多少問題があろうかと思いますが、全般的な意味での責任は、監修という意味において持つべきであるし持っている、かように考えます。
  34. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは長官どうでしょうか。この本を利用する——この本は大体狩猟免許を取るときのテキストになっておるのです、そうでしょう。どうでしょうか、間違いないですか。間違っておるといけませんからはっきり言ってください。
  35. 山崎圭

    ○山崎政府委員 さように了解しております。
  36. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 したがって、この本を基本にして勉強されて、狩猟免許をお取りになる方々は、ここに環境庁の監修であるという明らかな印刷があれば、この内容環境庁承知しておる内容だ、こう思うのが常識ではないでしょうか。したがって、もし、いまお話しのようなものであるならば、これはやはり監修というものに当たらないと思うのです。方針については参画したが内容までは知らない、そういう無責任な監修というものがあるでしょうか。監修という以上は、内容についても責任を持たなければ、この本を利用される皆さんが大変迷惑すると私は思うのです。この点は長官の責任です。どうお考えになりますか。
  37. 梶木又三

    梶木国務大臣 申しわけございませんが、私、まだその本の内容につきましてつぶさに勉強しておりませんので、具体的に答えられないと思いますが、監修している以上は責任を持たなければならぬ、これは当然だと思います。
  38. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 政府委員の方、いま長官もおっしゃいました、監修という以上は内容にまで当然責任を持つべきだ、こういうお言葉で、私もそう思いますし、国民もそう受け取っていますよ。それをいまあなたは、編集に当たっての方針等については参画をしておるけれども内容まではよくは知らないのだ、そういう監修ならおやめになるべきですし、やはり環境庁ですから、おやりになるのならば徹底的に内容までごらんになって、これなら間違いがありません、私の方が目を通した本でございます、こういうものでなければ監修などということを軽々に役所が使うべきではないと思うのですが、どうなさいますか。
  39. 山崎圭

    ○山崎政府委員 御指摘のとおりだと思います。そういう意味におきまして、また細部をよく詰めてみたい、かように思います。
  40. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 認めていただきましたから、余り多くを言うつもりはございませんけれども、私はこの本を読んで、これは日本語の本だろうかと思ってびっくりしたのです。これが昭和五十七年四月十日の印刷になっておるのですが、この本の中に「樺太」という地名と「サハリン」という地名が出てくるのです。これはもしも国際的な問題になったら大ごとじゃないですか。しかも、これは環境庁がちゃんと監修をしておる本の中に「樺太」という地名が片方で出てきて、次のページでは「サハリン」という地名が出てきています。あるいは「鳥が飛び立つ」の「立つ」という字は、普通ならばひらがなで「たつ」と書くかあるいは「立」という字を書いて「立つ」と読むか、これは別です。「翔んでる女」とかいうのの「翔」という字がございますね。「飛翔」という語の「翔」、「しょう」とも読むようでございますけれども、これを「飛び翔つ」というふうに「たつ」という字に当ててあるんですよ。これは一例です。これを「たつ」と読むのだろうか。ところが、ほかのところでは今度は「立つ」と書いてある。あるところではひらがなで「たつ」と書いてある。これは一例ですよ。これはもう枚挙にいとまないほどこの本の中にはそういうかな遣いが出てくる。  頭脳の集まりである環境庁が監修して、日本語が使えないのだろうか。しかも、この本が出回ってテキストになっているというに至っては、これはまさに環境庁の面汚し以外の何物でもない。幸いいま、これから検討されるということですから、私はこれ以上この本のことについては追及しませんけれども、監修という責任を持つ以上は、もう少し内容に立ち入って、しっかりしたものにしてもらいたい。これは環境庁頭脳を疑いますよ。  そこで次に移りますけれども、狩猟試験に合格しまして、免許を受けるわけですけれども、バッジか何かつけることになっておるようですが、たしかこれは全国どこでも通用するはずだと思うのですが、これは関係課長さんでいいです、そうなっていますかどうですか。
  41. 山崎圭

    ○山崎政府委員 申しわけありませんが、ちょっとバッジの点は私ちょっと承知しておりません。
  42. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 担当者でいいです。
  43. 山崎圭

    ○山崎政府委員 至急照会いたします。
  44. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 だれもいないの。わかりませんか。
  45. 梶木又三

    梶木国務大臣 いま呼んでおるようでございますので、しばらくひとつ……。
  46. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 じゃ、時間がありませんから、先に続けて質問をしておきますが、狩猟免許を持っておると、たしかバッジみたいなものか何かがつくはずなんです。あるいは腕章か何かかもしれません。全国どこでも大体通用する。たとえば東京都のお方が埼玉県に行ってカモを撃っても、これは通用しなきゃ意味がないわけなんですけれども、ある県ではそれ以外の記章といいますか、表示をさせるといいますか、そういう県があるのです。これは差別扱いになりませんか。  はっきり言いましょう。岩手県です。岩手県によその県の人が狩猟に行きますと、岩手県で狩猟免許を持っておられる方々とは別な表示をさせられる。これはどういうわけなんでしょうか。それがわからなくて環境庁に鳥獣保護課だとかあるのはおかしいので、これは主務大臣、あなたのところの仕事なんです。どうでしょうか。
  47. 山崎圭

    ○山崎政府委員 よく事情はわかりませんけれども、その県でそこに入って狩猟ができるという、場所の規制もありますので、あるいは識別のためかとも思っております。
  48. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大体この法律は、御承知のように従来は狩猟法というものがあったのですけれども、これは五十三年の法改正で、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律というふうに変えられているわけですから、環境庁が参画しておらぬとか言えぬはずなんですよ、この法改正をやっているわけですから。五十三年ですよ。したがって、環境庁が明らかに参画をしてつくった内容のはずです。いまは鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律と、こういうふうになっておるのですが、その中に記章を交付するのだというのがあります。  岩手県だけはほかの標識をさせるんですね。させたからどうなるのか私はわからないのですよ。なぜさせるのかわからないのです。言うならば、それは差別的な扱い、自分の県の狩猟者と、よその県の狩猟者を差別して扱っておるというふうに見受けられるわけなので、これは環境庁のいわゆる鳥獣保護の行政立場から、どうも私はおかしいのではないかという気がするのですが、後ほどいまのあれが出てくるでしょうが、そうであるならばどうなさいますか。
  49. 山崎圭

    ○山崎政府委員 いまの標識の点でございますが、狩猟免許とあわせて、場所の問題といたしまして、その場所を管轄する都道府県知事に登録をすることになっております。そして、登録をしたときは登録を受けたことを表示する記章を交付する、こういう関係での識別標ではないかと考えられるわけでございまして、いまの点は法律上のいわば義務規定になっておる、こういうことでございます。
  50. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 したがって、あれは知事が直接交付するのですが、その記章をつければ大体全国どこでも同じように狩猟ができるはずで、東京都のハンターが埼玉県に行くから何か特別な表示をしていかなければならないという理屈は、これは成り立たないはずです、私から考えると。ところが、岩手県だけは、自分の県の狩猟者とよそから来る人に違う表示をさせるわけなんですね。そういうことについてどういう目的があるのか。私は、聞きたいのは、納得できる目的ならいいですよ。問題は、環境庁が知らぬというところに問題があるのですよ。これはどうお考えになりますかということを聞いておるのですよ。もし、そういうことがあるならば、それはやめさせなければいかぬとか、いや、それはこういう目的でやっておるんだとか、いずれかの結論がはっきりしていれば、それでいいんですよ。どうもあいまいもことしてよくわからぬものですから聞いておるのです。
  51. 山崎圭

    ○山崎政府委員 確かに岩手県だけ別のものというところについては、いろいろな何かの事情があるのかもしれませんが、いま早速調べまして、また御返事をいたしたい、かように考えます。
  52. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは、それは調査をいただくことにいたしまして、どうも私は非常に疑問に思われてなりません。もし、そういうことがやられていいということになると、東京都などには、僕は絶対数からいけばハンターの数は非常に多いと思うのですけれども、そういう方が千葉に行くとか埼玉に行くとかというときに、特別な自分の県の狩猟免許者ではないというような表示をさせられたら、これは不愉快だと思いますし、また、いろいろなトラブルのもとにもなりかねない。あの人はうちの県の人だ、あれは違う県から来ているんだというようなことになりかねませんから、十分ひとつ調査をして、適切な措置をとってもらいたいと思います。  次に、もう一つの団体であります全日本猟友倶楽部、通称これは全猟と呼んでおるようですけれども、この公益法人であります全猟では、昭和五十四年の一月以来、ここで役員の改選を行って以来と言った方がわかりやすいと思うのですが、ずっと紛争が続き、裁判ざたになっておる。第一審では法人の方が完全に敗訴しておる。そういう内容があるようですが、環境庁としては十分把握をされておるのか、経過がおわかりならばお知らせを願いたいと思います。
  53. 山崎圭

    ○山崎政府委員 御指摘の法人は、私ども所管の社団法人でございまして、全日本狩猟倶楽部というものでございます。  五十四年一月の総会におきまして役員が選任されたわけでありますが、それに伴って、役員の選任のあり方につきまして無効確認の訴訟が提起されている、こういうことを承知しております。
  54. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 訴訟が提起されたことだけを承知しておるのですか。いまおっしゃったように、動機はわかりましたね、役員の改選をめぐってと。その後非常に長い期間たっておりますが、どういうことになっておるのか、その間の事情を説明願います。
  55. 山崎圭

    ○山崎政府委員 五十四年一月三十日に、ただいま申し上げましたように、総会が開かれまして、役員の選任が行われたわけでありますが、その際に、前役員が一部更迭といいますか除外をされておるわけであります。それをめぐりましての訴訟問題になっておりまして、それは議事の手続を理由に無効確認の訴訟が提起されている、こういうことでございます。  その後、訴訟外で当事者間の和解契約が成立を見たこともありますが、それも結局いろんな関係で和解契約も実るに至らなかった、解除された、こういうようなことも五十五年にございました。  その後、現在に至るまで二回にわたって通常総会、臨時総会等も開かれておりまして、いわばそのときの執行部がずっと選任されておる、こういうふうな状況であります。  その間、五十七年、昨年の三月でございますが、東京地裁の判決がございまして、つまり手続の違反によって無効だという判決が出ておるわけでございます。  その後、現会長派は、それを不服といたしまして、東京高裁に控訴している。そして、いまの段階ではまた和解の話し合いが進行中である、かように承知しておるところでございます。
  56. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は余り悪意にはとりたくないのですけれども、ことさらに避けて通っておるところがあるように思われます。監督官庁としては、その間何をなさいましたか。
  57. 山崎圭

    ○山崎政府委員 どうも基本的にこれは一つの人事紛争みたいな色彩でございます。そういうことで、いろいろと事情もあろうかと推察しておるのでございますが、事柄が特に裁判ざたになっておりますし、行政庁として、いずれの肩を持つという立場もなかなかとりにくい。ただ、私どもとしましては、その人事紛争が一刻も早く話し合いによって、あるいは何らかの形でスムーズに、円滑に片がつく、これを期待している、こういうことでございます。
  58. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 局長はいつ就任されたのですか。
  59. 山崎圭

    ○山崎政府委員 昨年の十一月三十日でございます。
  60. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 局長まで報告が行っていないのかもわかりませんけれども、私が漏れ聞いたところでは、環境庁の見解として、こういう人事の紛争が起こった基本は、一つには定款の不備にあるのではないか、そういう環境庁の見解から、定款を改めるべきではないかというような御指示といいますか、そういうものがあったやに聞いておりますが、あなたが最近局長になられて聞いてなきゃしようがないのですが、だれか知っておる人がおったら聞かせてください。
  61. 山崎圭

    ○山崎政府委員 五十四年当時だったと思うのでございますが、いまおっしゃいましたような趣旨で、確かに古い認可団体でございますので、いまの尺度から見ると、いろいろと手続上の欠缺もあるようでございます。そういうことで、ちょうど裁判ざたでもございますので、五十四年当時、裁判問題の決着がついたときには、現行の定款を全面的に検討したらどうか、こういう話を当該団体にしたことがある、かように聞いておるところでございます。
  62. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 定款ですから、われわれが立ち入ってとやかく言う筋ではないと思うのですけれども、監督官庁としては、定款に不備があるとすれば、その定款の不備を一日も早く直させるということの方が大事なのではないでしょうか。  あなた方が直接裁判に関与しないということと全く同じ次元で、定款そのものは監督官庁として一日も早く改めさせる、そういう必要があるのではないですか。そのことが何か裁判に関与するおそれがあるとするならば、逆に裁判に関与したくないというのもまたおかしなことになってくるので、定款に過ちがあるのなら、定款は裁判とは関係なく改めさせなければ、また次々にそういう問題をはらんでいく、生んでいくおそれがあるわけです。  その辺、裁判とおたくの行政指導は明確に区別されておるというのであれば、そういう配慮をする必要はない。どしどし定款の改定をやらせるのが行政指導の立場ではないのでしょうか。判決を待ってなどというのは、明らかに裁判に関係したことになってくるので、そういうことは判決とは無関係ですよ。行政指導としてやるべきことは当然やらなければならぬと思うのですが、見解はどうですか。
  63. 山崎圭

    ○山崎政府委員 恐らく当時、裁判の決着を見た後でそういうことをしたらどうかと言った趣旨は、ちょうど裁判ざたで定款上の不備が一つの理由となってといいますか、それとも絡んでいるのではなかったか、かように推測されるわけでございまして、そういう意味で、また同時に、裁判がかように長くなるとも思わなかったのかもしれません。いずれにしましても、そういうことで、その当時態度を表明したということはございましたが、おいおいその定款全体については、ただ不備だけではなくて、いろいろとこうした方がいいだろうということも含めまして、現在内部的には検討を進めている、こういうことでございます。
  64. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 内部的な検討は別として、少なくとも監督官庁としておたくが全猟に示した内容は、判決の後に定款の見直しをやるべきではないかというお示し方をなさった。それが生きておる限りは、裁判が続く限り定款の変更はあり得ない。極端に言うならば、環境庁行政指導によって定款の変更はあり得ない、こういうことになりませんか。まことにこれは不当な介入になってくるのではないですか。どうですか。
  65. 山崎圭

    ○山崎政府委員 いままではそういう態度でやってまいったわけでございますけれども、確かに先生指摘のような考え方は十分あることでございますし、尊重すべきことだと思いますので、なおこれは預からしていただいて、検討させていただきたい、かように思います。
  66. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 素直に、こうあるべきではないかという御意見ですから、これ以上私はそのことについて言うつもりはありませんし、ましてや、全猟の内部の紛争に立ち入ってとやかく言うつもりはありません。私が聞きたかったのは、あくまでも監督官庁として、行政的な立場から紛争を避けて、うまく法人が運営できるような行政指導が必要なのではないか、そういう立場からいままでるる申し上げてきたのです。  もう一つ、この法人と環境庁のかかわり合いですが、大体従来、狩猟の関係等については農林省が所管をしておられて、これは大臣が詳しいと思うのですけれども、これが環境庁に移ったのです。大日本猟友会ですか、この方は環境庁の法制の中で何か共済の指定団体というものになっておったと思うのですが、これはどうでしょうか。
  67. 山崎圭

    ○山崎政府委員 もう一つの団体、大日本猟友会という団体がございまして、大日本猟友会の方は共済制度といいますか、共済事業といいますか、事故の起こった場合の共済システムをやっているということでございます。
  68. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 環境庁の法制のしまいの方の枠の中に、大日本猟友会ですか、大日本猟友会を何条かによる共済の指定団体にするのだ、こう書いてあったと思うのですが、不勉強ですね、環境庁。ちょっと見てください。わからなければ僕が見てあげますから、持ってきてください。環境六法を持ってきてください。見てあげますよ。
  69. 山崎圭

    ○山崎政府委員 鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の施行規則、これに根拠を置いておりまして、狩猟に関しまして共済事業というものを定める、こういうことに基づきまして、その法人を指定しております。
  70. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 間違いないでしょう。その一つは大日本猟友会ですか、そちらが指定されておって、もう一つの方の全猟の方が指定されていないのですが、これはどういう理由か。二つも要らないということかどうかわかりませんけれども、その点が一つ。もう一つは、そういうふうに環境庁からの指定団体になった場合と、そうでない団体の場合に、行政官庁としての監督指導の権限に違いがあるかどうか、その辺はどうなりましょうか。
  71. 山崎圭

    ○山崎政府委員 一つは、大日本猟友会、いまの共済事業をやっております団体は、三十数万と非常に数が多い。もう一つの狩猟倶楽部の方は、これは数が一万程度の団体でございます。そういたしますと、共済事業として成立するのにふさわしいのは、やはり数の大きさが大きな決め手になる、こういうことでいま前者の団体を指定している、こういうことでございます。(阿部(未)委員「もう一点」と呼ぶ)いずれも環境庁認可の所管の社団法人でございます。そういう意味では、社団法人に対する監督、こういう意味では差はございません。
  72. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 僕は、もう一つ違うのは、この二つの法人の設立目的が少し違うのじゃないかという気がするのですよ。そういうことはございませんか。
  73. 山崎圭

    ○山崎政府委員 目的は狩猟道徳といいますか、正しい、適切な狩猟を目指すということで、大きな目的では同じかもしれませんが、実際にやっております活動を見ますると、たとえば特徴的なのは、大日本猟友会の場合、いまの共済事業なんかが一つの大きな事業として位置づけられておりますし、一方の全日本狩猟倶楽部の方は、猟犬の登録ということを大きな特色にしている、こういう違いがあろうかと思います。
  74. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は、そういう違いから、さっきの共済の関係もそういうことになったのではないかと思うのですけれども、おっしゃるように、たしか全猟の方は猟犬の愛好者のクラブから大体発足したのだと思っております。  私がこれに非常に深い関心を持っておるのは、猟犬のいろいろな動作をスポーツとして認めて、何と言うのですか、猟犬がキジを追いまして、キジを追い立てたところでぽっとかっこうをつくるのがあるんですね、足を上げて。ポイントとかなんとか言うんですが、これがスポーツであるかどうかということになりまして、文部省の方でスポーツということに認定をしまして、これを富士のすそ野でやったことがあるのですよ。これは全猟の方の企画でおやりになったわけで、そのときこれがNHKで広く全国に放映されまして、非常に興味を呼んだことがある。それで私がこの全猟という関係に非常に関心を持っていろいろ調べた経過がありましたので、かなり失礼にわたる質問の部分もあったかと思いますけれども、ひとつ大きい気持ちで私の質問について了解をしていただきまして、十分これから行政指導に意を配ってもらいたいと思います。  以上で質問を終わります。
  75. 國場幸昌

    國場委員長 串原義直君。
  76. 串原義直

    ○串原委員 私は、湖沼対策、湖沼法につきまして伺いたいと思います。  環境庁長官は、所信表明の中で「湖沼法案について、今国会への提出を目指してさらに政府部内調整に努めるなど、総合的な湖沼環境保全対策推進してまいります。」と、こう言っておられます。いま準備しておられるその法案の名称、それから骨子ですね、概要でよろしいですけれども、お示しを願いたい。
  77. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 いわゆる湖沼法案の名称でございますが、これはまだ政府の正式決定を経ているものではございませんで、いまは仮称でございますが、私ども湖沼水質保全特別措置法案と呼んでおります。  その概要でございますが、これはまず、国が湖沼の水質保全に関する基本方針を定めまして、それから政令で指定する湖沼につきましては、都道府県知事が湖沼水質保全計画策定する。そしてまた、その計画に基づいて各種の排水規制措置、また下水道、屎尿処理施設の整備、しゅんせつなどの事業、これらを総合的に計画的に実施しようとするのが、この法案の骨子でございます。
  78. 串原義直

    ○串原委員 そこで長官に伺いますけれども、報ずるところによりますと、中曽根総理大臣が一連のタカ派路線を修正するということでしょうか、内政重視に軌道を求めるという立場から、環境庁に対して湖沼対策を強化するように、二月二十八日に指示したと言われます。それにこたえる具体策をどのように進められるつもりでありますか。そして、いまお話しの、この法案はいつ国会に提出をいたしますか。
  79. 梶木又三

    梶木国務大臣 総理が二月二十八日に、いま御指摘のように湖沼対策、これを強化せよという指示を出されたことは事実でございます。これを受けたわけでございますが、その指示があるなしにかかわらず、私ども、現在の湖沼の汚濁の状態、これは大変ゆゆしい問題だと考えておるわけでございまして、これに対しまして、いま水質保全局長の方から答弁いたしましたように、仮称でございますが、湖沼法関係につきまして何とか成案を得たいということで、政府部内で調整をやっておるわけでございますが、過去の経緯を見まして困難な面もございますが、私ども環境庁としましては、総理の指示もございますから、この国会中に政府部内の意見調整を終わりまして、成案を得て提案をいたしたい、かように考えておるわけでございます。  なお、細部につきましては、また政府委員の方から説明させますが、富栄養化の問題につきましては、昨年の暮れに窒素、燐の環境基準を決めたわけでございまして、その排水基準等につきましては、審議会に諮りまして御検討をいただいておる。この答申を受けまして、湖沼法とは別に、そういう具体的な問題につきまして取り進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  80. 串原義直

    ○串原委員 長官、今国会中にということでございますが、今国会もまだずいぶん会期がありますね。終了直前ではこれは間に合わない。したがいまして、一刻も早く出さなければならぬと思う。急がなければならぬと思う。今国会中ということではいささか心もとない。少なくとも三月の下旬、四月の上旬とか、そういうめどがなければいかぬと思う。どうです。
  81. 梶木又三

    梶木国務大臣 いままでも折衝いたしまして、なかなかむずかしい部面もあったわけでございます。いまここで三月十四日ということを申し上げるわけにもまいりませんが、何とか今国会中に成案を得たい、かように努力をいたしておりますので、御了承賜りたいと存じます。
  82. 串原義直

    ○串原委員 いま一度確認をしておきますけれども、ともかく長官は、所信表明で触れられましたように、若干の日のずれはあっても今国会には出すと、こう考えています、こういうことですね。
  83. 梶木又三

    梶木国務大臣 所信表明で申し上げました気持ちは、いささかも現在変わっておりません。
  84. 串原義直

    ○串原委員 環境庁は中央公害対策審議会答申を受けまして、当初湖沼環境保全法なるものを考えていた、こういうふうに仄聞をするのですけれども、いま御説明によりますと、水質保全法に変わろうとしているわけですね。これはどういうことでこうなろうとしているのですか。  いま一つは、中公審の答申というのは昭和五十六年一月であった。いささか時間がかかっているのではないかという感じを私は持つ。これほどおくれた原因はどこにあったのですか、お答えください。
  85. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 五十六年一月に中公審の答申を受けまして、それに基づいて原案を作成し、各省折衝に入ったわけでございます。  まず第一点の、名称が変わったではないか、あるいはそれの名称のもとになる実態が変わったのではないかという御質問でございますが、中公審答申は、湖沼の環境保全の中に湖辺といいますか、それの自然環境保全のための制度、一定のゾーニングをしまして、その地域について工作物の設置等につきまして一定の許可制をとる、制限をする、そういうような内容のものも盛り込むことを検討すべしというふうに実はなっております。当時でも中公審自体でもいろいろ議論がありまして、既存のいろいろな制度、自然公園関係の制度とか、あるいは都市計画関係の都市緑地保全等の制度がございまして、そういうものとの関係がありますので、中公審自身でもいろいろ問題がありまして検討すべしということになったわけでございますが、私どもはそれを受けまして、いまのような点を入れた形の法案を原案として用意して、各省折衝に入ったということでございます。その段階では湖沼環境保全特別措置法案ということであったわけでございますが、これは一昨年の段階でございますが、関係省庁といろいろ折衝しましたが、やはり先ほどのような点が問題になりまして、これではなかなか調整がつかない。  一方、この湖沼の問題、湖沼の環境保全の問題の中にいろいろありますが、一番重要な問題で、しかも緊要な問題は、水質汚濁の問題であるということでございますので、先ほどの湖辺の自然環境保全のゾーニングの制度は、それ自体は原案から削除しまして、いままでの諸制度を活用するというような訓示規定ではありますけれども、それを盛り込んで名前も湖沼水質保全特別措置法案という形にしたというような経緯でございます。  それから、いずれにせよ延び延びになっているではないかという第二の御質問でございますが、一昨年の段階はいまのような点も問題になりましたが、さらに、この法案の中に工場、事業場を新増設する場合の規制のあり方、規制という内容があるわけでございますが、そのあり方をめぐりまして、一部関係省との間で調整がつかなかったという点がございまして、法案を提出するに至らなかった、こういう事情でございます。
  86. 串原義直

    ○串原委員 若干ですけれども、現在における問題点はここですというような説明をいま聞いたわけでございますが、いま答弁の中で三番目ですか、指摘をされた工場、事業場の規制のあり方については、また後ほど触れることにいたしますけれども長官も先ほどちょっと触れられたけれども、水質に関連して排水基準の問題ですね。これについて長官は、審議会に答申を求めている、こういうことでした。そこで伺うわけでございますけれども、その答申はいつまでに受ける予定で、いつまでに答申をくださいという予定で諮問したのですか。
  87. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 中公審でいろいろな議論がされるわけでございますから、しかもなかなかむずかしい問題でございますので、いつということを条件づけるわけにはいきませんけれども、私どもの希望としては、半年ぐらいかけて後には答申をいただきたいというふうに申し上げております。一月に諮問したわけでございますから、その半年後ぐらいには答申をいただきたいということを希望として申し上げてあります。
  88. 串原義直

    ○串原委員 そうしますと、長官に伺いましょう。一月諮問をして、私どもの希望としては半年ほどたって答申願いたいと考えている、そういうことであるならば、恐らく審議会もそういう期待にこたえて作業を進められるでございましょう。そういたしますならば、これは単純計算ですけれども、七月、八月ごろには答申が出る、こう予定をするといたしますならば、ことしの少なくとも秋には排水基準についての答申を受けて、環境庁としての決定、指示をしていく、こういうことになりますか。
  89. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 答申が得られますと、それに基づきまして排水規制措置を実施することになるわけでございますが、これは政令と府令の制定ということになります。答申が得られますと、できる限り早くその関係法令を公布、施行したいということでございますので、何月に出るかによりましてでございますが、その後そう時間をたたないで法令の公布、施行はしたいと思っております。
  90. 串原義直

    ○串原委員 明確なことをきょう申し上げられないといたしましても、私が申し上げますように、半年ぐらいを期待して審議会に諮問をした、期待にこたえて六カ月程度で答申があった場合には、それを受けてできるだけ早くということでありますから、少なくともことしの秋ごろまでには、環境庁として排水基準を設定し、公布する、こういうふうに理解していいかということです。いかがですか。
  91. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 審議会の答申が私どもの希望どおりの時期に得られるとすれば、いま先生のおっしゃったような時期には公布、施行できるものというふうに考えております。
  92. 串原義直

    ○串原委員 これは長官に伺っておきますけれども、まさかそんなことはないと思うけれども環境庁としてのいまの排水基準についての作業、これが進められているということは大変結構だと私は思うのですが、そのことによっていささかなりとも湖沼法提案設定に足踏みをするということになってはいけない。そんなことはないでしょうね。
  93. 梶木又三

    梶木国務大臣 御指摘のとおり、二本立てで湖沼の汚染が防止されるわけでございますから、私どもは、こちらがあるから湖沼法はゆっくりでいいとか、そういう気持ちは持っておりません。
  94. 串原義直

    ○串原委員 中公審答申にもありますように、湖沼法の必要性、重要性は、いま長官が答弁されたように、水質の問題のみでないところに大きな課題があるわけでありますから、そんなことのないようにということで、あえて確認をさせていただきました。  そこで、先ほど答弁がありましたように、湖沼法提案のおくれている原因、要因というものについて二、三触れられた中で、工場、事業場の規制のあり方という部分の答弁がありました。  そこでそのことに触れて伺っておきたいわけであります。つまり特定施設の許可制、総量規制の導入等々に関連してですけれども、対象の規模を全国画一的に、排水量だけで決めていこうとするのはどうかというふうにちょっと私も思うわけです。たとえば瀬戸内海は五十トン、Aという湖沼は三十トン、Bという湖沼は八十トンというように、それぞれの置かれている地域あるいは浄化能力など、その湖沼の持つ環境によりまして異なっていくものが存在するのではないか。したがいまして、この排水量は各県、湖沼ごとに審議、検討し、規制する何らかの機関を設けてはいかがかとも私は考えるわけであります。この考え方についていかがですか。
  95. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 先ほど、工場、事業場の新増設についての規制のあり方について調整できなかったというふうに申し上げましたが、若干砕いて申し上げますと、規制のあり方といいましても、規制の手法、具体的には許可制をとるかとらないかというような問題もございますし、また、いまその具体的な規制の内容の問題もございます。いずれにしましても、いま先生おっしゃいましたように、一律ではなくて、その実態に応じて規制の内容考えるという基本的な考え方は、私どもも参考にさせていただきまして、今後の調整に臨みたいと思うのでございますが、いま具体的に中身についてちょっと申し上げる段階にはございませんけれども、確かに一つのお考え方であると私ども考えております。
  96. 串原義直

    ○串原委員 御検討ください。私は許可制はとるべきだと考えますが、この点はどうですか。
  97. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 前例として、瀬戸内海の環境保全特別措置法の中に許可制というのがあるわけでございますが、これについても実はいろいろな議論がございまして、規制の手法としては、余りにもきつ過ぎるのではないかというような議論もございます。そのような、私どもも先ほど申し上げましたような湖沼環境保全特別措置法案、あるいはその後水質保全特別措置法案と変わっておりますが、許可制をとるべきであるという考え方でおるわけでございますが、それについてもいろいろな議論があるということを申し上げたわけでございます。
  98. 串原義直

    ○串原委員 意見が各種ございますでしょう。これは改めた機会にまた深める時間を持ちたいと思いますけれども、私は、許可制をとるべきであるということを強調させていただきまして、次に移ります。  通産省に伺いましょう。  いま私が伺いましたように、排水量規制を考える場合、工場、事業場の規制、こういうことで、通産関係は影響が少なくないということをよく理解できるわけです。しかしながら、あすの日本のためには越えなければならない坂でございます。環境庁とともに、湖沼法提案に向けて通産省も汗を流すべきだと思うが、いかがですか。これが一つ。  それから、続いてやりますが、私は、積極姿勢期待すると同時に、この法制定によって求められるであろう企業、工場の公害施設設備のため、長期低利資金融資などの施策について、十分検討さるべきものと考えているわけであります。通産省の今日考えている対応策についてお答え願いたい。
  99. 村田文男

    ○村田(文)政府委員 通産省といたしましても、湖沼の水質保全はきわめて重要であると考えております。そのために特別の措置を講ずるという趣旨は十分理解しておるつもりでございます。したがいまして、これまで湖沼の水質保全のためにいかなる方策が最も有効かつ適切であるかにつきまして、環境庁初め関係省庁検討してきているところでございます。今後とも誠意を持って検討に当たってまいりたいと考えております。  また、中小企業の対策でございますが、中小企業の公害防止対策のための助成につきましても、従来から融資制度あるいは税制等の助成措置を講じております。湖沼の関係につきましても、これらの措置を積極的に活用してまいりたいと考えております。
  100. 串原義直

    ○串原委員 重要課題の山積するいま、環境行政の中で最も厳しく急がなければならないのは湖沼対策だと私は思っております。一年おくれますならば、水質の回復に大変な努力と膨大な投資を要する。そして長い年月をも求められることは、環境庁が痛いほど承知のはずであります。各省庁との調整についての現況も承ったところでございますけれども、それも実らないまま今国会も通過するということになったら、環境庁のかなえの軽重を問われかねない。  中公審の答申はこう言っております。あえて触れさせていただきますけれども、「湖沼環境保全基本的な考え方」では、   湖沼は安定的な水資源、水産の場としての機能をはじめ、人間生活にとり多様な機能を営む水域として重要であるばかりでなく、それ自体が現在及び将来の世代に託された貴重な国民的資産であり、その水質と周辺の自然的環境を一体として保全することは緊急かつ重要な課題となっている。このような湖沼環境保全基本的理念に立って、治水、利水等それぞれの湖沼のもつ機能との調整を図りつつ、諸般の湖沼環境保全対策推進していく必要がある。 こう指摘をしているわけであります。  私は、この指摘はすばらしい指摘だというふうに評価をしています。実はここに環境庁の存在価値がある、存在意義がある。しかし、先ほどから御答弁を願っておりますし、伺っていて、どうも環境庁姿勢が、何か新しいものをつくってまいりますだけに、いささか立ちどまっている感は否めない。残念だ。もし、今国会で中公審答申を具体化するための湖沼法提案の執念と姿勢に欠けていたということになるならば、近い将来、環境庁だけではなくて、時の政治家はまことに好ましくない評価を受けることでございましょう。少し腹を据えて、中公審答申にあるよりも、前進するとも後退することのないような湖沼法提案を長官はすべきだ。今国会でやりますと先ほど言われていましたけれども、もう一度きちっとした信念、所信を伺いたい。どうでしょう。
  101. 梶木又三

    梶木国務大臣 再々申し上げておりますとおり、私ども決して後退したというような気持ちは持っていないわけでございます。  そこで、湖沼の汚濁、重要な問題でございますから、この国会中には何としてでも提案をいたしたい、こういうことで重ねて決意を申し上げる次第でございます。
  102. 串原義直

    ○串原委員 そこで伺いますが、昨年十月、当環境委員会が諏訪湖を視察されました。ところが、とても汚濁がひどいというので、いささか委員諸公も驚かれたようでございます。私も、湖水を見るたびにまことに遺憾に思っております。環境庁は当委員会の視察報告承知されていると思いますけれども、それをどのように受けとめていらっしゃいますか。
  103. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 私ども、本委員会の御調査の結果を拝読いたしております。私どもの認識も全く同様でございまして、あの報告にも触れられておりますように、諏訪湖につきましては特に富栄養化問題、アオコが大変な発生をしております。何としても、この富栄養化防止対策を中心に、強力な対策を講じていかなければならないということを痛感いたしておるわけでございます。
  104. 串原義直

    ○串原委員 昭和三十五年ごろまでは諏訪湖はとてもきれいだったというふうに先輩はよく言います。以来、ほんの十年ほどの間に今日の状態になってしまった。美しい湖沼は、一つの地方だけでなくて、中公審が指摘をするように、国民共有の貴重な財産でございます。したがって、こうなった要因、原因を具体的にどんなぐあいに環境庁はとらえていらっしゃるのか、御説明願いたい。
  105. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 諏訪湖がこのように汚れてきた最大の原因は、先ほども申し上げましたように、富栄養化の進行であると考えております。あの報告にも記されておりますように、あのアオコをろ過しますと、そのろ過した後の水は環境基準を達成しているというような、そういうことにもあらわれておるわけでございます。  そこで、なぜ富栄養化が進行したかということでございますが、これは申し上げるまでもなく、人口あるいは産業があの諏訪湖周辺に特に増加したということによることが一番大きな要因でございます。その中でも特に燐、窒素について汚濁負荷割合を見てみますと、これは報告の中にも記されておりますが、特に生活排水が大きなウエートを占めておりまして、次いで農畜産排水、また工場、事業場排水、こういう順序になっておるわけでございます。  そこで、このような富栄養化防止対策を講ずることが一つ、また、特に生活排水対策を講ずることが一つ、この辺のところが、これからの諏訪湖の汚濁防止対策のかなめであろうというふうに考えております。
  106. 串原義直

    ○串原委員 私もそう思います。  そこで、最もむずかしく、急がなければならぬのは生活排水ですね。家庭雑排水と言ったらいいのでしょうか。この対策についてきちっと具体的なものを出さなければならぬ時期に来ている。当委員会報告でも触れていますね。その方針はいかがですか。
  107. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 生活排水対策の中でも、特に生活雑排水対策が重要でございます。この生活雑排水対策基本は、やはり下水道整備にあるというふうに考えておらます。これを強力に進める必要があるわけでございますが、ただ下水道は、御案内のように大変金のかかる事業でございますし、したがって、時間もかかるということでございます。しかし、そういうような情勢の中でも、湖沼のような閉鎖性水域では、特に生活排水対策が重要でございますので、建設省ともよく協議して、限られた予算の中ではありましょうけれども、重点配分をしていただくという方向で、今後も建設省と協議してまいりたいと思っております。  ただ、下水道整備だけに頼るということは、未整備地域はそう急にいかないわけでございますから、そこでどうするかという問題になるわけでございます。これは一つは、屎尿浄化槽がございますが、これを生活雑排水も取り入れた形の合併浄化槽を進めていくというのが一つ方向でございます。  もう一 つは、雑排水単独でもやはり処理しなければいけない場合があるわけでございまして、これにつきましては、実は私ども、五十六年度から三カ年計画で雑排水対策について検討いたしております。いま途中の段階でございますが、それは、雑排水を主として単独処理する場合のいろいろな技術的検討と、それから、さらにこれを推進する場合の制度的な問題あるいは財政的な問題を含めまして、総合的な雑排水対策を進めていくことをねらいとしておりますが、五十八年度中には方針を打ち出したいということで、いま鋭意検討しているところでございます。
  108. 串原義直

    ○串原委員 いま家庭雑排水、生活排水についての御答弁を願ったわけでありますが、この検討結果を五十八年度中には出したい、これも自信を持って思い切って出さなければだめだ、私はきょうはそのことを強調させていただきます。  そこで、時間が来ましたから急ぎますが、専門家の話によりますと、諏訪湖浄化対策の中で重要な部分は、しゅんせつ作業であると言われていますね。これについては、もう少し技術的にも検討する中で、財政的にも手伝って投資をふやさなければだめだ、こう思うのですよ。そういう立場で対応するかどうか、ちょっと御答弁願いたい。
  109. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 諏訪湖の水質回復のために、富栄養化対策あるいは下水道の整備とともに、しゅんせつが非常に大事な事業であるということは、私どもも十分認識しております。これは直接的には建設省が担当でございますが、建設省ともよく相談して、このしゅんせつによる浄化を進めてまいりたいと存じております。
  110. 串原義直

    ○串原委員 長官にひとつ考え方を聞いておきたいわけですが、当初ちょっと触れましたように、総理も湖沼対策に力を入れたらどうかという指示があった。大変結構なことだと思う。したがいまして、それを受ける意味も含めて、いま御答弁を願いましたような方向で、具体的なこととして私は諏訪湖を取り上げたわけであります。  この諏訪湖浄化対策の中で下水道事業を急ぐということ、これは演説するには世話ないけれども、なかなかむずかしい、簡単じゃない。いま一つは、これも建設省仕事でしょうけれども、しゅんせつ作業も積極的に取り組んでいく。これも簡単じゃないです。演説するようなわけにはいかない。しかし、これはやらなければいかぬ。したがいまして、このお話しのあったことも、もっとほかにもあるでしょうけれども、この二つの柱等々を中心にして、この諏訪湖浄化対策に対して、改めてこの際、総理の指示もあったことでもございまするから、環境庁が中心になって連絡会議、必要によれば長野県も会議に参加してもらうときもあるでしょう、連絡会議等々を開催する中で、現状より一足前に出た立場での対策取り組み、こういうことをぜひやるべきだと思う。どうです長官
  111. 梶木又三

    梶木国務大臣 重要なことでございますので関係省、特に建設省でございますが、私の方からも強く意見を申し上げて進めてまいりたい、かように考えます。
  112. 串原義直

    ○串原委員 時間が参りましたから、これできょうの質問は終わらしていただきますけれども、重ねて申し上げますが、一日おくれれば湖沼対策は大変なことになる。表現は適当かどうかわからぬけれども、取り返しのつかないことになっていく、こういうふうに私は理解をしておりますだけに、まさに中公審答申を忠実に実行する、そういう立場に立って、積極的な取り組み長官の答弁のようにやってもらって、少なくともちょっと遅かったというようなことのないように、法案提案を今国会の中でぜひ実現をさしてもらいたい。  強く要望をいたしまして、私の質問をきょうは終わります。
  113. 國場幸昌

    國場委員長 水田稔君。
  114. 水田稔

    水田委員 長官所信に対する質問を行いたいと思います。  長官所信表明を聞きますと、大変高邁な理想が述べられております。たとえば、よりよい環境の創造に向け、長期的視点に立った環境政策を総合的に講じていく必要がある、あるいは地球的規模環境問題について、国際協力の観点に立って積極的に対応を進めていく必要があるなど、まさにそのとおりなわけであります。  しかし、現実のわが国環境行政というのは、環境保全目標達成というのはまだまだきわめて不十分なところにあるわけであります。しかも、そればかりではなくて、長期不況の中で公害投資の軽減を求める声と、たとえば公害健康被害補償法の地域指定を外せというような声なども起こってきておる。あるいはまた、環境アセスメントが、法案は出されておるけれども、なかなか進まない理由は、まさにあれでは事業者に免罪符を与えるではないかという疑念が国民の中にあることも事実でしょう。また、いま同僚の串原議員から質問のあった湖沼法にしても、これは現実に二月の十一日の閣議決定をしなければ、この国会はほとんどだめだろうということはすでに言われてきたことなんです。  長官の答弁を聞いておると、まだこれからもやりますと言うけれども、ことしは統一地方選挙で、実際にはもはやこの国会では出せないというような、ここにおるみんなが理解しているわけですね。それらも含めて、これはまさに縦割り行政の中での環境庁の今日置かれておる力関係といいますか、そういうものを如実に示しておると思うのであります。  ですから、環境庁長官所信できれいなことを言われたけれども、よほどの決意、しかも、調整機能というのは大変大きな役割りを果たす官庁でありますから、歴代長官のやってきたことをずっと見てみますと、長官決意と行動力というのは、環境行政を前に向けて進めるか後ろ向きに後ずさりするか、そういうことを際立って示しておるわけですね。そういう点で、環境行政というのはまさに官庁の中で、かつて国民の側に立った国民信頼される官庁、われわれは頼っていけば頼りになる、こう思われたのです。労働省と環境庁だけだ、こう言われたんですね。まさにいまそのPTAともいうべき人たちが横を向くような形で、長官だけひとりがんばってみても、とてもじゃないが壁は厚いと思うのですね。  そういう点では、やはり国民の自然を守る、環境を守っていこうという、そういう声をバックにして、そこに足を踏み締めた形で環境行政に取り組むという決意がなければ、幾らきれいなことを言われても、長官がきれいなことを文章として言われただけで、一つも進まぬのじゃないか、そういう心配を私はいたしますので、その点をどういう基盤に立って長官は、これからの環境行政を進められようとお考えになっておるのか、まずお伺いしたいと思います。
  115. 梶木又三

    梶木国務大臣 私は、環境行政というのは目に見えて直ちによくなるものじゃなく、やはりじわじわじわじわ改善に向かっていく行政じゃないか、かように考えておるわけでございまして、そのじわじわ改善していくにつきましても、相当強い決意を要求される仕事じゃないか、かように考えておるわけでございます。いま御指摘もございましたけれども、大分社会経済の変化がございまして、環境行政につきましても、四十年代と現在とを考えましても、国民意識あるいはニーズは相当変化をいたしておると思います。  そこで、健康被害につきましては、大分改善をされてきたんじゃないか、たとえばSOXなんかは大分状態がよくなっております。しかし、決してこれで十分だとは私は思っておりません。それから特に、快適な環境づくりというのは、いまの時点におきまして私どもに課せられた大きな課題じゃなかろうか、かように私は認識をいたしておるわけでございます。  それで、現在の持っております法律、たとえば公害基本法は、これは基本法でございますから当然でございますが、この公害対策基本法を中心といいますか、軸にいたしまして、自然環境の方では自然環境保全法あるいは自然公園法、こういう関連の、関連といいますか、こういうもろもろの法律がございますので、これの関連施策、これを適切な運用によりまして、予見的かつ総合的な環境保全対策を推し進めてまいらなければならない、かように考えるわけでございまして、冒頭申し上げましたように、際立っていますぐにどうということございませんが、着実に進めてまいらなければなりませんし、そのようになっておるのじゃないか、私かように考えておるような次第でございます。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕
  116. 水田稔

    水田委員 その程度決意では、いまの大変な厚い壁はなかなか破れないのじゃないか。公害健康被害補償法については改めて法案が出ますから、その中で論議をしようと思いますが、先ほどの長官のような、よくなったから——患者はふえておるわけですからね。目を向けるところは、私の申し上げたのは、国民に足を、根をおろした、そういう立場で取り組むという決意がなければ、壁の方が厚いわけですから。そのことを申し上げたのです。  たとえば、先ほど申し上げました湖沼法の問題についても、恐らく長官自身が、この国会にもう出せぬということはおわかりなんです。局長皆さんもそうだろうと思うのです。担当局長もそう思っておられる。ここに休んでおられる方もおられますけれども、おる人みんなそう思っていますね。なおかつここで、いやまだ出しますなんという、そんな所信では、本当の意味環境行政はできぬということだけ申し上げておきたいと思うのです。  そこで、いま言われましたが、どうなんですか。昭和四十年代というのは、まさに人間が生きていくことができないのではないかと思われるほど自然も壊され、人間以外の動植物が大変に被害を受け、人間も被害を受ける、そういう危機的な様相の中でできた法律というのが公害基本法であり、自然公園法ということになるわけですね。まさにこれは典型七公害であって、長官が言われるような、よりよい環境、いわば憲法二十五条に言う、健康にして文化的な生活を営む権利を有するという形でのよりよい環境というのは、まさにそういうことでありますね。そういうものへ向かっていく体系としては不十分、あるいは環境庁の権能というのは調整機能だけでいいのかどうかということ。  先ほど諏訪湖のしゅんせつということを言われたのですが、いまたとえば琵琶湖総合開発でも、しゅんせつについては補助によって特別の配慮がないわけですね。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕 そういう点まで含めて考えれば、まさに法体系そのもの考え直してみる、長官の言われる地球的規模とか、あるいはよりよい環境という、まさにいままでの危機的な様相をとにかく抑えていくだけという環境行政でないということならば、当然そういう考え方がなければならぬと思うのです。そのために長官環境庁がこれまで大変苦労しておるわけでしょう。湖沼法が決まらぬというのも、すばり言うて何々縦割りの行政の中から、そんなこと、要らぬことしてくれるな、こういうことでしょう。  それから、アセスについても、当初環境庁考えているところからいえば、相当後退せざるを得なかった。そういう中における環境庁調整権能というものが十分に果たされない、よりよい環境という点から後退せざるを得なかったということを考えれば、当然そういうことを考えなければならぬ。  前の原長官にもお伺いしたのですが、原長官は志布志を、鯨岡長官からかわったらぱっと認めただけで、こういう問題についてもいま考えておらぬ、こういうことを言われたわけです。しかし、長官の今度の所信表明からいくと、まさに私が言ったように、新しいよりよい環境を求めていくための法体系まで含めた、権能の問題を含めた体制をつくっていく、そういう決意の表明があれば、長官所信表明というのを私は信用したいと思うのですが、大変御無礼な質問かもしれませんけれども、その点について御答弁をいただきたいと思います。
  117. 梶木又三

    梶木国務大臣 先ほども申し上げましたように、四十年代には、いま委員からも御指摘ございましたように、公害問題は危機的な状況でございましたから、これは何としても人間の健康、生命、こういうようなものに直接関連するものでございますから、これはもう一刻も猶予できないということで直ちに取り組みますから、何か公害行政と申し上げますか、環境行政と申し上げるか、そういうようなものが際立って見えたような感じがするわけでございますが、おかげさまで国民各位の大変な御努力もいただきまして、そういう点については、私は危機的な段階というものは一応脱した感じがするわけでございます、先ほど申し上げましたように決して十分とは申しておりませんが。  だから、まあ感じが相対的なものでございまして、そういう状態なものですから、国民の目から見た場合に、何か際立ったものがないように受け取られがちでございますけれども、やはり着実にやっておるつもりでございまして、現在の法体系の中でこれをうまく推進をしていけば、私は、現在の法体系というものはいまのところ見直す必要はないのじゃないかという感じがいたしておるわけでございます。  特に、いま御指摘ございましたアセス、こういうことで、これを一日も早く御審議いただきまして、成立させていただいて、これからは未然に防止していく、こういうことが私どもに課せられた一番大切な仕事じゃなかろうか、かように考えておるような次第でございます。
  118. 水田稔

    水田委員 長官、よく御理解になっていないのじゃないかと思うのですね。というのは、いまの法律の中でもちろんやれることもあるのですが、たとえば私が申し上げたのは、アセス法案というのを閣議で決定したのですから、それは環境庁としてはいまとやかく言えないでしょう。しかし、もともと環境庁考えたアセス法案の原案というのはもっと厳しいものだった。それは国民のためにぜひこういうことで守りたい。あるいはまた、湖沼法についても、協議ができない、各省の協議が整わないというのは、環境庁は当初、先ほど串原委員も触れましたように、湖沼環境保全法という考え方。いまは水質だけに限定されている。それは何なのか。よりよい環境なら、まさにそういうところを踏み込んだ、環境庁がやれる条件をつくらなければならぬじゃないか。それは、危機的な様相の中でそれを防ぐため、緊急対策としていまの法体系ができた。よりよい環境というのは、もう一つ前へ進んだ法体系というのが必要ではないかということを私は申し上げておるのです。  それから、後でまた質問いたしますが、よくなったという。危機的な様相を一応防ぐことはできたけれども、まだ完全には守られていないところがたくさんあるわけですね。たとえば国道四十三号線にしても、二四六と環七の交差点あたりですね。これは環境庁が〇・〇二を〇・〇六に緩めてなおかつ、私はこの間行ってきました。先月の二十二日に行きました。阿部議員も行かれました。そこでは目の前でNOとNO2で〇・一出ておるわけですよ。そういう状態について、いまのままの法体系で一体やれるのかどうかという問題があるから、そういう点で、いますぐこの国会に出すとか、次の国会に出すじゃなくて、少なくとも長官は、所信表明で高邁なことを言われるくらいなら、そういう方向環境問題に取り組む決意くらいは示してほしいということを申し上げておるのです。もう一遍答弁願います。
  119. 梶木又三

    梶木国務大臣 相当強い決意を持ってやらなければ一も二もとれないというのが環境行政でございます。しかし、先ほども申し上げましたように、私どもだけでオールマイティーで進むわけにまいりませんが、一歩一歩着実に前進させていかなければなりませんし、そのように進んでおるのじゃないか、私はかように考えておるような次第でございます。
  120. 水田稔

    水田委員 一生懸命やるということは、言われておることはよくわかるのです。私が言っているのは違うわけですよ。いまの法体系の中ではなかなかやり切れない。だから、よりよい環境ということを求めて、憲法二十五条に言う健康にして文化的な生活を営む権利を有するという、そういう方向環境行政ならば、それに見合う法体系というもの、基本法を見直したり、環境庁の権能をもう少し強化する、そういうものがなければ、現実にどこでも頭を打っておるのじゃないですか。それはやはり政治家である長官が、そういうことで、環境庁の部、局、課全部がやりやすいような条件をつくる、そういうことをお考えにはなりませんかということを言っているのです。ですから、いまのことを一生懸命努力するとか、よくするとか、そんなことじゃないわけですから、もう一遍御答弁願いたいと思います。
  121. 梶木又三

    梶木国務大臣 現在の法体系を完全に運用できるような方向に持っていくことが大事じゃなかろうか。私、残念でございますし、申しわけなく思っておりますが、いまの法体系の中におきまして、まだ私どもが十分作用してない面もございますから、まずこれが第一義的なものじゃなかろうかという点を申し上げておるわけでございまして、ですから、いまのところでは、この法体系を見直すということよりは、法体系を十分運用できることへ努力すべきだ、かように考えておる次第でございます。
  122. 水田稔

    水田委員 何遍やっても同じことですから、もうこれ以上申し上げませんが、少なくとも環境庁は、私が言ったような決意なり立場でやらない限り、長官所信表明にあらわれたような、そういう環境行政はでき得ない、私はそう考えております。  先ほども言いましたように、湖沼法についてはまさに所信で述べられている。先ほどの答弁を含めて実現できない。しかし、答弁ではまだ法案を提出します、こう言っているわけですから、私は、そういう点では、この所信表明というのは美辞麗句を並べたにすぎぬ、そういう批判を受けてもやむを得ぬということだけ申し上げて、次へ進みたいと思います。  次は、昭和五十二年に策定されました環境保全長期計画というのがあります。  これは、実際にこれに基づいて努力されてきたのでありますけれども、きょう現在、目標達成されてないわけですね。これはどういうことで環境庁がこの計画を決めて、そして、なぜこれが達成されなかったのか。そうでなければ、次の計画を立てても、計画を立てて実行して、その反省というものの検討の上に次の計画をつくられるべきだと思うのですが、つくったいきさつと、達成されなかった内容について、御検討なさっておればお伺いしたい、こういうぐあいに思います。
  123. 正田泰央

    正田政府委員 御案内のように、五十二年の五月に環境庁が取りまとめたものでございますが、これの策定の経緯、なかんずく先生が御質問の当庁の問題でございますが、政府として環境基準の設定とか排出規制とか、そういった実態的あるいは規制的なものをずっと整備いたしましたが、公害問題とか、それから自然保護の問題がさらに非常に強くなっておることは間違いなかったわけです。また、広く環境問題が設定されている時期でございまして、なかんずく経済社会の動き、特にオイルショックを背景にした動き、さらにまた、国土利用の問題というようなものが背景にありまして、この際、トータルな意味環境行政、関連する行政を含めまして、そういったものの指針となるようなものをつくるべきではないかという考え方が内外にございましてできたものがこの計画でございます。やや草々の間にできたものでございますが、これはこれなりに、その後の指針となって相当の効果を上げている面もあろうかと思います。  最後に、先生が御指摘になりました、達成されなかった理由という点が、私どもも一番の問題を持っているわけでございますが、まず背景といたしましては、個々の汚染要因について、まだ一々完全に分析は終えておりませんが、抽象的に申し上げまするならば、プラスの要因といたしましては、いろいろなオイルショック後の背景のエネルギー消費の形態でございますとか、あるいはその間の規制の強化でございますとか、国民一般の努力でございますとか、そういったものが一つございます。  さらにまた、おくれている理由といたしましては、たとえばSOXなどの例を挙げますると、自動車の沿道におきますところの特別な地域の問題でございますとか、あるいはCODの面からみますると、湖沼あるいは閉鎖性水域あるいは湾の問題、そういったところに集中して問題が残っておるとか、そういった背景がいっぱいでございます。そういう点が計画がおくれている段階でございますが、それをさらに見直していこうというのが今回の趣旨でございます。
  124. 水田稔

    水田委員 この計画が十分目標達成できなかったというのは、これは閣議決定というようなことをやってない計画なんですね。そうですね、五十二年のこの計画は。
  125. 正田泰央

    正田政府委員 閣議決定は行っておりません。
  126. 水田稔

    水田委員 そういうことですから、もちろん環境庁にはそれぞれの権能もあるわけでありますけれども、閣議決定しておれば、各省庁の協力等についてももっと違った形になっておったのじゃないか、もう少し達成について環境庁の発言というものがとれたのではないかという気がするわけですね。したがって、当然この後の計画というのは、八〇年代の環境政策検討課題というのを出されておるわけですが、それを土台にして新しい環境保全長期計画というのをつくるべきじゃないか、当然、つくる場合には五十二年の反省に基づいて閣議決定をする、そして、各省庁が協力できるというような保証をきちっとさせるべきではないか、そういう措置が必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  127. 正田泰央

    正田政府委員 閣議決定をしてないからという御意見もあろうかと思いますが、やはり私どもが認識しております一番大きな問題は、私ども役所なり政府の予見のこの当時におけるレベルの問題も反省しなけりゃいけないと思いますが、いろいろな汚染要因の背景が予想以上であったというところに大きな原因があろうかと思います。  ただ、いま先生が御指摘になった閣議決定の問題につきましては、私どもいま中公審の企画部会でこれのフォローアップと、さらに新しい構想についての作業をお願いいたしているわけでございますが、そういう過程において、閣議決定などを含めてどういう形式がいいか、そういうものも含めまして先生方に御議論を願っているところでございます。
  128. 水田稔

    水田委員 この点については、次の計画を立てるのであれば、実際それが達成できる、そういうような計画にしてほしいということを要望として申し上げておきたいと思うのです。  関連いたしまして、先ほど長官決意だけは言われたのですが、これまでの環境庁の持っておる権能というのがあるわけですね。そういう点が逆に言えば十分生かされてない。そういう点から、計画達成なり、あるいは長官は何回となく、いまの法律の中で最大限やる、こう言うのですが、これはどういうぐあいにお考えになっているか聞きたいのですが、環境庁設置法の第四条二号、これは総合調整、それから第六条、これは資料提出勧告権、こういう権限が環境庁長官に与えられておる。これまで十分にこれらを駆使して対応してきたかどうか、そういう点について環境庁としてはどういうぐあいにお考えになっているか、まず聞きたいと思うのです。
  129. 梶木又三

    梶木国務大臣 環境行政に関しましては、いまお話しのとおり総合調整機能を有しておりまして、今後とも、公害防止あるいは自然環境保全、こういうようなものを図りまして、よりよい環境をつくっていく、また、国民皆さん方が健康で文化的な生活ができるという場を確保していく、こういう原点に立ちまして、いま申し上げました調整機能の働きと申し上げますか、これをフルに活用しながら推進に努めてまいりたい、かように考えているわけでございます。  なお、勧告権の問題でございますが、いままででも、航空機騒音対策あるいは新幹線の鉄道騒音対策、また、同じ新幹線でございますが振動対策、それらにつきまして運輸大臣に勧告いたしたところでございますし、この勧告権は、特に必要があると認めるときには発動いたします私どものいわば伝家の宝刀でございますので、勧告いたしました以上は、実効が上がりませんと何にもなりませんので、発動につきましては慎重を期しておりますが、いずれにいたしましても、いま申し上げました調整機能あるいは勧告権、こういうようなものは十分実効あるように今後ともやっていきたい、かように考えている次第でございます。
  130. 水田稔

    水田委員 長官から、実効あるようにやっていきたいと言うので、もうこれ以上言いませんが、勧告については航空機一件と新幹線二件で、環境庁設置以来十年を経過して三件ということですから、もう少し機能的に使っていただきたい、こういうぐあいに申し上げておきます。  それから関連してもう一つは、環境庁設置法の第四条三号の経費の見積もりの方針の調整について、それから下水道整備計画、道路計画等の計画及び実施段階で、これは経費の見積もりの方針について調整できるわけですから、これらが実際に機能しておれば、いま道路構造についてもそういう基準が入りましたけれども、ないところの方が多いわけですね。ですから、それは道路の予算をつける、下水の予算をつける、そういうときに環境庁が物を言う権限があるわけですから、そこらあたりはどういうぐあいにこれまでやられたのか、これからどうされるのか、お伺いしておきたいと思う。
  131. 正田泰央

    正田政府委員 環境保全経費の見積もり調整でございますが、これはもう環境庁ができましてから毎年行っておりまして、まず予算編成、概算要求の時期に、環境庁といたしまして、環境保全のあり方、そういったテーマにおきまして、相当広い範囲に言及いたしましたビジョンなり計画考えまして、それを各省庁にお示しして、予算の組み方についてお願いいたしておるわけでございます。それに基づきまして、予算編成の段階におきまして、私ども財政当局に対して、各省のヒヤリングを経た後、これの実現方について働きかけ、さらに予算編成の最終の段階で、それぞれのすり合わせを行って遺憾なきを期しているわけでございます。特に、予算編成の最終の段階におきまして、ただいま先生が御指摘なさいましたような、下水道整備等につきましては、かつて数回にわたりまして大臣折衝事項まで持ち込みまして、これは先ほど阿部先生から御指摘ありました、環境庁予算ではございませんが、環境保全経費の最重点項目といたしまして、長官から大蔵大臣に折衝いたす事項になったこともございます。  さらにまた、執行の段階におきましても、先生案内のように、最近は財政上の問題から、各省予算が毎年節約というような形の実施がございますが、私ども、財政当局にいろいろ従来からも働きかけておりまして、この環境保全予算に入っているものにつきましては、節約の措置から免れると申しますか、除外してもらうような形にして実施いたしているわけでございます。
  132. 水田稔

    水田委員 建設省がやる場合には、一番考えるのは道路構造ということなんですね。ですから、その点では、環境予算の見積もりについては、計画段階環境庁がよほど強い態度で臨まなければ、いま局長も御答弁ありましたように、予算を削られるわけですから、そういう中で一番どこがメッコを入れられるかというと、環境ということになりかねない。そういう点で、ぜひこの点については、これまで以上に十分な調整を図っていただくように要望しておきたいと思います。  それから次に、長官決意を何回も言われるし、所信の中でも、環境行政推進に最大限の努力をする、こう言われておるわけです。ところが、実際に環境予算というのは減っておるわけです。環境行政に金が要らなくなってきたのか。長官は大分よくなったと言うのですが、よくはなっていないのです。たとえば、公害防止計画で今年度期限が来る第一次の地域、四日市、水島、それから第四次の地域、富士、播磨南部等でも、これは金は要るはずです。あるいは公害防止事業団のいろいろな事業、あるいは水質総量規制の実施に伴うテレメーターシステムの設置補助等、公害防止のための費用負担というのはまだまだふえこそすれ減ることがあってはならぬ、こういう予算だと思うのです。  ところが、細かい点は言いませんが、五十八年度予算で、一般会計では前年度当初に比べて四十一億円、特別会計で百十三億円、合計百五十五億円減っておるわけですね。一・三%の減になっている。それから、公害防止関係の財投も、貸付規模において前年度当初に比べて九百五十九億円減少になっている。これは最大限の努力をするということ、それから、いまの環境行政の実態からして、言っておることと実際これをやる裏づけの予算というのは反対になっておるのです。まさに、そういう点では環境行政が停滞もしくは後退予算の面から見ればそういうことになるのではないか。その点についてはいかがお考えか、伺いたいと思います。
  133. 正田泰央

    正田政府委員 便宜私から、私の範囲内でちょっと申し上げさせていただきます。  一般会計につきましては、申し上げるまでもなく、先生案内のようにマイナスシーリングということで、天井が決まった形で概算要求をいたしておるわけであります。もちろん政府の一般会計予算として、他にマイナスシーリングでない予算もございますが、従来の経緯から見て、環境関係の一般会計についてもそのようなことがございました。  それからさらに、先ほど先生が御指摘になった環境保全経費の方なども、そういうような観点でなく、あくまで実績をベースにいたしてやっているわけでございます。その中で特に下水道その他そういった重点のものは、従来に増して増額の編成をいたしております。また、公害防止事業団でございますが、これは財投機関でございますから、よく御案内と思いますが、前年度の実績、そういったものが基本的な基礎になっておりますので、それの積算の上でやっているというような形でございまして、現在の財政下においては精いっぱいのことはやっているつもりでございますし、また、内訳を見ていただければ、重点的にやっている。さらに、三十項目ぐらいにわたってほとんどの新規要求が認められているというような現状でございまして、その予算の執行に当たって最大限の効率を上げるようにいたしたいと思っておりますので、ひとつ御理解いただけたらありがたいと思っているわけでございます。
  134. 水田稔

    水田委員 ゼロシーリング、私もよく知っておるわけですね。だけれども、六・五%ふえた予算もあれば、全部の省庁がマイナスじゃないわけですね。環境庁ともう一つぐらいでしょう。ですから、長官所信で最大限の努力をするということが、ことしはゼロシーリングで大変厳しいけれども、その枠内で一生懸命努力しますということなら私は受けとめるわけですね。事実はそうなんですね。局長の答弁がそういうことでしょう。だから、大変高造な理想を掲げ、そして最大限の努力‐をすると言いながら、実際の事業をやる上では金を削られているわけですよ。その枠内でやらざるを得ぬようになりましたと言うならわかるのですよ。長官、どうですか、それは。だから私は、環境庁基本的な法律なり権限なりをもっと強化しなければ、本当にプロパーで育った人もいまたくさん出てきておるわけですから、意欲を持ってやれるようなことにはならぬですよと冒頭申し上げたのです。予算でも減った省庁というのは、環境庁をのけてもう一つぐらいじゃないですか。
  135. 加藤陸美

    加藤(陸)政府委員 基本的な意味合いで御激励といいますか、御叱正いただいて非常にありがたいと思っているわけでございますが、数字の上におきましては、環境庁予算全体は若干の減額になっております。それは確かでございます。これを政府全体の中で見ました場合に、もちろんプラスのところもございますけれども、マイナスのところも相当ございます。残念ながら一つ二つではございません。決してマイナスの仲間がいるからいいという意味で申し上げるわけではございませんけれども、私ども微力ではございますが、大いにがんばりまして、三角省庁の中では真ん中ぐらい。その数が幾つだからどうこうということを申し上げるつもりはございませんが、ただ一つ御理解賜りたいのは、環境庁予算は、予算額をごらんいただきましても御理解いただけますように、四百億台の数字でございます。  これは、いわゆる事業官庁と異なりますので、大臣も申し上げましたが、いささか手前みそめきますけれども、知識集約的にいかなきゃいかぬというところでございますので、いわゆる調査ないし研究すべき事項、これらにつきましては、もう十分御承知だと思いますが、新規項目が次々と出てくるわけでございます。重要な新規項目については確実にこれを確保いたしておりますので、もちろんその振りかえ等は、こういう時期でございますから、あれもこれもとは申し上げられませんけれども、新規項目としてこれはというものは、大臣の御尽力によりまして確実に把握いたしております。そういうものをフルに活用いたしまして、お金だけでなしに、努力と知恵を注いでまいりたいと思っておりますので、今後とも御激励賜りたいと思います。
  136. 水田稔

    水田委員 逆だと思うのです。総額予算が少ないから、それなら削りようがないじゃないかというがんばりようがないのか。長官、一生懸命努力をするということはわかります。ただ、中曽根内閣としては、ウエートとして環境行政は少し軽く見た、そういう理解でこの質問はもうやめます。  次の問題に移りたいと思います。  道路交通公害対策について、これはまだ正式には中公審からの答申はないわけですが、専門委員会からの報告が出ておるわけです。これをよく読んでみると、いろいろ書いていますけれども、言いたいことは最後にちょろっと一、二行ということになって、私もこんなことでいいのだろうかと思うのです。しかし、これをやるとしたら大変な金が要る仕事だと思うのですね。  この点について、中公審からいつごろ出てくるのか。それから、これを本当にやるのだったら大変な金が要るということ。一体どういう決意で取り組むのか。それから環境庁としては、専門委員会の中間報告のような報告ですが、それなりにごらんになっていると思うのですが、どういうぐあいに評価しておるのか。この三点をまとめて御答弁いただきたいと思います。
  137. 梶木又三

    梶木国務大臣 ただいま交通公害部会におきまして、昨年末に物流、土地利用両専門委員会から報告書をいただきまして、これを踏まえて審議をいただいておるわけでございます。  私は、考え方としては、今回いただきました報告は非常に画期的なものだと思っておるわけでございます。ただいま御指摘のように、このとおり実施するとなれば、なるほど莫大な金も要るわけでございますが、しかし、大変大事な、示唆に富んだ報告でもございますから、私、これを受けましたら、関係省庁とも連絡の上、これも一つ一つでございますが、一歩一歩前向きで取り組んでいかねばならない、かように考えておるわけでございます。その答申は、私はできれば今年度中にいただきたいという希望は持っておるわけでございます。  細かい点につきましては、また政府委員の方から答弁をさせていただきたいと思います。
  138. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 ただいまお話しの三点につきましては、大臣のお答えで大体尽きておろうかと思うのでございますけれども、ただ一点、大変なお金がかかるということでございます。これは専門委員会報告にもございますように、何といったって問題が公害でございますから、汚染者負担の原則を適正に適用いたすべきであると書いてありますが、私どももそのようであると思っております。
  139. 水田稔

    水田委員 いま大変いい答弁なんですが、PPPの原則、たとえばいま自動車排ガスの与える影響というのは、大型と普通車で大変な違いがある。そういう点をきちっと含めての御答弁と理解してよろしいですか、PPP原則を適用して……。
  140. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 お話しのとおりに理解をいたしております。
  141. 水田稔

    水田委員 では、次の質問を行いたいと思います。  環境基準の設定なり、あるいは現状達成のためにどうするかということについてお伺いしたいと思うのです。  先ほど長官は、大分よくなった、いまの基準達成のためにいろいろ努力する、努力するという言葉だけなんですが、たとえば浮遊粒子状物質は環境基準の三一・八%しか達成していない。光化学オキシダントはほとんどの測定局において基準をオーバーしておる。なお、SOXは一番手を打ったわけですが、それも一部地域ではまだ未達成のところがある。水の問題は、健康項目では一応環境基準をクリアしているけれども、生活環境項目の多くは未達成の状況にある。大体横ばいかと思ったら、最近また悪くなった水域もあるということです。騒音にしても、悪臭、振動にしても、まだまだ大変な苦情の多い公害であります。こういう状態について、先ほど来努力すると言うだけではなくて、具体的にはまずどういう形で基準達成をされようとしているのか、これは局長で結構ですが、お答えいただきたいと思います。
  142. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 これは大変広範なる範囲の問題でございますので、なかなか一気には申し上げかねるわけでありますが、お話の中にございました、たとえば硫黄酸化物でございます。確かにいっときに比べまして大いに改善をしているのでございますけれども、残念ながらまだ一〇〇%に至っておらない。これにつきましては私ども、何とか一〇〇%にいたしたいと考えまして、現に達成しておらないところの状況をさらにしさいに調査をいたしまして、その原因をきちんと突きとめて、そろそろ個別の対策を講ずる必要があるのではないか、このように考えて、その方向で取りかかっておるわけでございます。  また、窒素酸化物でございますが、これは煙突それから自動車とも、欧米諸国に比べまして決して遜色のない規制をやっておるのでありますけれども、残念ながらおよそ横ばいの状況でございます。少し下がりかけてきたかなということで、将来に大きい希望を持っておるのであります。それぞれもっと規制を検討している部面もございますけれども、たとえば自動車につきましては、先ほど御指摘のございましたように、個々の自動車規制だけではなくて、物流とか土地利用にまでさかのぼった総合的な対策を講ずるということを中央公害対策審議会にお諮りをしておるわけでありますが、そういう総合的な対策を講ずる、その他諸般の対策を講じまして、何とかこの環境基準の達成に向けて努力をいたしたいと考えているところでございます。
  143. 水田稔

    水田委員 時間の関係がありますから、あと再質問いたしませんが、関連して複合汚染の問題なんです。  大気汚染というのは単体だけの被害ではなくて、受ける側は複合で受けておるわけです。いわゆる複合的な被害の実態というのは、なかなか調査しにくいわけでありますけれども、受ける側というのは自然環境であり、動植物、人間を含めた生き物、全部が被害を受けるわけです。ですから、そういう点では対応をやる場合には、複合で出た場合どうなるかということを明確にしなければ、たとえばPPPの原則といいましても、本当は複合で出る場合には汚染負荷それぞれ発生源が違ってくるわけです。そういう単体だけでそれを足して見るということでは、本来正確な原因者負担ということにはならない場合もあるわけです。そういう点から言えば、被害を防止するという立場からの複合汚染の実態の解明というのは急いでやらなければならぬ。私もずっとこの委員会に出てきていますけれども、何年来言ってもなかなか、赤潮とこれとはむずかしいと言うのです。ですからその点は、予算も減らされておるわけですが、本当を言えば原因者負担ということ、あるいは被害を防いでいくという両方の面からも、この解明は急がなければならぬと思うのですが、その点についてはどういう取り組みをされるお考えですか。
  144. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 御指摘のように、現実の大気汚染は複合汚染であるわけでございまして、この複合汚染に対処することはきわめて重大なことであると考えております。  私ども、いま二つの接近をしておるところでありますけれども一つは、大気保全行政目標といたします環境基準の設定に当たりましては、動物実験あるいは篤志家による人体実験、疫学調査などを総合的に勘案をいたしまして決めておるわけでございますけれども、動物実験におきましても、疫学調査はもとよりでありますが、その複合的な汚染のもとにおいて、たとえば二酸化窒素の指標として定めておるわけでございますので、それぞれの個別の汚染物質ごとに規制をいたしておりますけれども、複合大気汚染のもとでの良好なる状況の実現を目指しておるわけでございます。  もう一つは、明年度ぐらいから本格的な検討に入りたいと思っておるのでございますが、先ほど先生からもちょっとお話がありましたが、ある汚染物質の排出を抑制いたしますと他のものがふえたり、あるいはあるものを抑制いたしますと他のものも一緒に抑制されたりという、いろいろな態様がございます。そこで、総合的な大気というものをどういうふうに考えて、合理的にどういうふうな規制をやっておったらいいか、そのようなことも検討に着手しておるところでございます。
  145. 水田稔

    水田委員 時間がありませんから、ぜひこの点は早急な解明をお願いしたいと思うのです。  たとえばSOXを検知しても、SO2なのか、SO8なのか、一緒になって出てくるわけですね。SO3の場合だったら、これは大気の中でそういう変化をして、たとえば断熱膨張なんかやると、その中で浮遊粉じんが触媒になるかどうかわかりませんけれども。たとえばSO2とSO3だったら、被害の実態というのは百倍違うわけですね。SOXで見ても、その比率がどうかということ、極端に言えば大変な違いが出てくるというようなことなど含めて、私ははっきりしていない点が多いと思うのですね。そういうことを含めた調査をやっていただきたい、こういうぐあいに要望しておきます。  それから水質ですが、いま湖沼の富栄養化防止については、窒素と燐については環境基準を設定されたわけですね。排出基準がまだ設定がおくれておる。実効を上げるためにも排出基準の早急な設定が必要だと思うわけです。  それからもう一つは、いわゆるこれまでの類型の当てはめというのは、それぞれの水の利水目的でAとかBとか、Aの一とか二とか、こう指定されているわけですね。けれども長官が言われるような、よりよい環境ということであれば、もとの自然環境に返す、それが一番いいわけですから。まあそこまでいかないにしても、もう少し類型の当てはめを、利水目的からよりよい環境という考え方を導入した形での当てはめに変えていく、厳しいものにする、そういうお考えはないかどうか、この二点をお伺いしたいと思います。
  146. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 湖沼につきましての排水基準の問題でございますが、環境基準設定の後を受けまして、排水基準の設定に取りかかっておるところでございます。去る一月に中央公害対策審議会に諮問したところでございますが、私どもとしては、希望でございますが、半年後ぐらいには御答申をいただいて、答申を得次第、排水基準の設定をいたしたい、かように存じております。  それから、水質の環境基準について、利水目的というより、むしろ快適性という点を考慮すべきではないかという御質問でございます。  これは現在の姿は御案内のことでございますが、自然環境保全という、一番きれいであるべきものの基準、それから最低これだけは環境保全上必要であるという基準、二つが設けられておるわけでございますが、それよりさらに、快適性という観点から設けるという御指摘かと思いますが、この快適性自体にさらに詳しいランキングをつけるというのが、事柄の性質上大変むずかしいという問題もございますし、それから御案内のように、いま水道とか水浴、水産、こういう点からのタイプ分けをいたしておりますが、これ自体についても、単なる利水だけではなくて、快適性という観点も含まれておる。魚であれば、やはりマスがすめる湖というのがきれいなんでありまして、それは快適性という観点も含まれているというふうに考えておるわけでございます。
  147. 水田稔

    水田委員 時間がありませんので、あと二つですが、一つは、お伺いしようと思ったこと、先輩の阿部議員から聞かれたものですから、公害健康被害補償制度の問題について、臨調報告については質問いたしません。  一つだけお伺いしておきたいのは、熊本県の水俣病患者の検診拒否が一昨年の五月からずっと続いておるわけです。一向に解決のめどがないようであります。この水俣病認定業務の促進に関する法律が成立した際に、附帯決議として第五項及び第八項があります。「認定業務の不作為違法状態を速やかに解消する措置を講ずるとともに、認定業務について、患者との信頼回復に努めること。」大事なことは「信頼回復に努めること。」ということであります。ここの五と八であります。実際にこの決議が尊重されていないから、長期にわたって解決のめどが立たない、こういうことになっておるのではないかと思うわけです。この点についてどのようにお考えになっておるか、伺いたいと思います。これは長官、本当に大事な問題ですから、ひとつ。
  148. 梶木又三

    梶木国務大臣 私も信頼関係が一番大事だと思うわけでございますが、申請者が水俣病であるかどうか、これを判断するためには、やはり所定の検診を受けていただくことが大事じゃなかろうかと私は考えるわけでございます。そこで、国と県は認定業務の促進のためできる限りの措置を講じてきておるわけでございまして、それなりの効果が上がっておると私は思うわけでございます。そういう中で検診拒否運動が行われておるわけでございまして、私はまことに残念だと思っておるわけでございます。しかし、認定業務の促進のためには、この委員会におきましても附帯決議をいただいておるわけでございますから、その附帯決議にもございますとおり、申請者との信頼関係を維持することが重要であると考えておりますので、熊本県あるいはこういう関係県と十分相談をいたしまして、検診拒否を行わないよう、申請者に認定制度を十分理解していただくように、今後とも一層の努力を払ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  149. 水田稔

    水田委員 いま長官も言われましたように、一番大事なことは、この法の運用というのは患者との信頼回復に努めること、これが一番大事であります。長官もそういうぐあいに言われましたが、その点は、国としてもあるいは県としても、そういう立場で認定業務を促進していただくよう、ぜひお願いしておきたいと思います。  最後に、これは私が質問しようと思ったら、きょうの同じ日になったのですが、予算委員会の中で岩垂さんの方からも聞かれておると思うのですが、例の、本会議長官が緑の地球防衛基金に対して、これは総理大臣長官もともに、協力する、こう言われたわけです。この点について、じゃ、具体的にどういう——予算を見てもいまないわけですね。口だけの協力ではいけませんね。具体的な協力というのは、一体長官はどういうことをお考えで協力すると言われたのか、内容についてひとつお伺いしたいと思うのです。
  150. 梶木又三

    梶木国務大臣 細かい内容につきましては、また政府委員の方から必要がございましたら答弁させますが、私の方に金はございませんけれども、再々申し上げておるように、頭脳を持っておりますので、ひとつこの専門的な頭脳を極力その御援助に向けたい、かように考えておるわけでございます。
  151. 水田稔

    水田委員 それは一番困るわけです。世界のみんなが見ておるわけです。その中で、たとえばODAの経済援助にしても、国際的に見たら〇・七をいこうと言いながら、日本は〇・三、世界の二十二番ということなんですね。では、緑の防衛基金についても具体的にどうだ。ことしは予算がついていない。その中での質問に対する答弁ですけれども、少なくとも物心の心だけでやるのですということでは、これは国際的に信頼されないと思いますね。やはり今後物心の努力をしていくということに努力をしていきたい、そういう答弁をぜひいただきたいと思うのですね。物も考えてもらわないと、技術か心だけではこれはいけませんので、その点を最後にお伺いして終わりたいと思います。
  152. 梶木又三

    梶木国務大臣 こういう問題は、しかし、この頭脳は一朝一夕にできた頭脳でございませんので、頭脳の涵養までには相当な金がかかっておるわけでございます。それで、基金の方でシンポジウム等を開いていただきましていろいろやっていただいておることは、私どもも本当に高く評価をいたしておるわけでございますが、今後それらの具体的な推移等を見させていただきまして、また私どもも、むずかしい面も伴うかもわかりませんが、物の方も検討課題にさせていただきたい、かように考えております。
  153. 水田稔

    水田委員 終わります。
  154. 國場幸昌

    國場委員長 有島重武君。
  155. 有島重武

    ○有島委員 第九十八回国会の環境庁長官所信につきまして、せんだって拝聴をいたしました。国民の健康と生活を守って、そして自然を保護して、よりよい環境をつくり出していくということにつきましては、すべての国民が本当に期待をしておるところでございまして、長官を初め、責任を持ってひとつ取り組んでいただきたいと心から願うものでございます。つきましては、時間の許す限り二、三の質問をしてまいります。  初めに、環境保全環境の利用ということについての調整といいますか、こういうことについてしばしば議論が繰り返されてきたことと思いますし、それから、特に昭和四十五年に、経済との調和条項というのを削除したというような経緯もございます。石原長官は、非公式にこうした御発言のことから物議を醸した経緯もございました。長官、このことについての御所感を先に承っておきたいと思います。
  156. 梶木又三

    梶木国務大臣 いまお話しのとおり、調和条項は欠如させたわけでございますから、私どもはやはり健康を守ること、あるいは自然環境、これを保全いたしまして子孫に伝えていく、かけがえのない美しい自然を子孫に伝えていく、こういうことの方が開発よりも優先的に取り扱うべきだ、こういう考えでおるわけでございます。
  157. 有島重武

    ○有島委員 たてまえは結構です。そのとおりです。今後いろいろな場面が起こってくると思うのですね。昭和四十六年ころの状況、それから石油ショック以後の状況、また最近になってからの状況、多少変化があろうかと思うのですね。そういうことについて、長官として何か考えていらっしゃることがおありになれば、たてまえ論はわかりましたからもう結構でございますが、承っておくことがあれば、おっしゃってください。
  158. 梶木又三

    梶木国務大臣 特別に考えておるということはございませんが、やはり先ほど申し上げたような基本的な認識を持っておるわけでございます。さりとて、日本の国で何もかも経済活動がだめかというわけにもまいりませんので、その点は御相談しながらやるべきだと思っておりますが、どうしても最も大事な健康を守ること、これはもう第一義的に考えてまいらなければならない、こういう考えで、特別ほかにどうのこうのという考えは持ちません。こういう基本的な考えに立ちまして、これから出てくるいろいろなプロジェクトに私どもとして対応してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  159. 有島重武

    ○有島委員 先ほども他の委員の方からの御質問でちょっと出ましたけれども環境保全長期構想策定推進なさるそうでありますね。これを六十年度にはつくってしまいたい、こういうことでございましたね。それで、以前に出ておりました環境保全長期計画との関係がどうなるのか。これも大変りっぱなものでございまして、六十年をめどとしての十カ年計画であったかと思いますけれども、何か新しい視点というようなものを特別にお考えになっていらっしゃるのかどうか。その点、どうでしょうか。
  160. 正田泰央

    正田政府委員 六十年度までが現在の長期計画、いまお話しになったような長期計画でございますので、六十年度が終えまして、六十一年度以降適用できるようなものを考えたいということで、いま中央公害対策審議会の方に御意見を承っているわけでございます。  その中では、十年前からのああいった公害及び自然環境破壊的状況あるいはオイルショック直後の状況、そういったものを踏まえてつくりました長期計画の時期と大分与件が変わりましたので、たとえて申し上げれば、国民ニーズから見ましても、環境の質の向上でございますとか、一例を挙げますとそういった面がずいぶんございますので、多角的に、かつまた重層的にいろいろな政策をアプローチする必要があるだろうということで考えているわけでございますが、まだ私どもの方でこれこれといったようなきちんとした目標がございません。学識経験者の御意見を承りながら考えていきたい、こういうことでございます。
  161. 有島重武

    ○有島委員 いま御説明になった、とりたてて環境庁としての意見といいますか、注文はなしにして、中公審の方にお願いをしておる、こういうことでよろしいのでしょうか。長官、ここにもございますように、環境政策をさらに総合的に講じていかなければならないというようなことを痛感なさっておるところだと思いますけれども、関連施策としてはいままでも挙げられているところでございます。経済成長あるいは産業構造の変化というようなことがありましょうし、これからのエネルギーを一体どういうふうにしていくかということもありますし、それから交通体系の問題もあるし、地域そのものが今後いろいろに変化をしていく、こういうようなことの総合施策の中での環境の政策というようなことが非常にいままでよりも、もっとこれからは重要になってくるのじゃないかというようなことを私なんかは感じておる。大臣の御所感はいかがでしょうか。  今度のこの新しい構想をつくらせておることについて、大体構想ということになりますと、政治家がまず構想を立てて、そしてその審議もさせる、それでお役所にも仕事をさせる、こういうことになるのじゃないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  162. 梶木又三

    梶木国務大臣 いまお話しになりましたとおり、私ども同じ考えで進んでおるわけでございます。御意見どおりでございます。
  163. 有島重武

    ○有島委員 同じ意見というのは、先ほどの局長意見と同じというのですか、私どもの……。と申しますと、新たな視点として、こういったことについてはひとついまこれを入れ込んでやっていこうと思っているというような何かお考えをお持ちだ、こういうことですか。私はそのことを言ったのだけれども……。
  164. 正田泰央

    正田政府委員 私の方からちょっと敷衍させていただきます。  先ほどの、私が先生にお答え申し上げましたのは、非常に単純に、現在の審議の状況を踏まえて申し上げたわけでございますが、ただいま大臣が、先生の御意見のとおりとお答え申し上げたゆえんのものは、基本的に現在の環境庁考えている問題意識なり、あるいはどうすべきかという考え方なりを踏まえてやりたい、特に大臣が先般先生方にお話し申し上げた所信、そういったものを十分に踏まえた上で御議論願いたい、こういうことでございます。  ちなみに、私どもがこの中公審の部会にいろいろお願いしている中身は、現在までの環境行政現状の分析、それから講ずべき対策、さらに、これまでの環境保全長期計画の歩み、さらに、これが達成できなかった事情、その背景、そういったものをつぶさに御検討いただいて、その折々に私ども考え方なりビジョンなりを酌み取っていただいて、そして学識経験者としての御意見をまとめていただく、こういうことを申し上げているわけでございまして、ただお任せというわけでは決してございませんので、よろしく。
  165. 有島重武

    ○有島委員 では多少具体論に入ります。  緑の問題でございますけれども、東京の緑被率というのが、昭和三十九年に三二%であったものが、五十年には一〇%に減ってしまった。これはもう御承知のとおり、報道されていることでございます。それで、この緑の消滅ということは何と何とにつながっていくのか、どういうことにつながって影響を及ぼしていくのか、これについてはいかがでございましょうか。
  166. 山崎圭

    ○山崎政府委員 逆に緑の効用というものを考えるならば、緑という言葉であらわされる、たとえば森林というような問題がございますが、森林がそれ自身経済的な価値を持つだけではなくて、まず自然環境の非常に大きな柱になっている。そのほか、たとえば水源地の水源の培養でありますとか、あるいはまた、別の次元でありますが、私どもがそこに親しんで、健全な野外レクリエーションの場、こういうようなものも形成される、こういうふうに私ども考えております。そういう意味合いからいえば、関東周辺で相当部分の緑が喪失されてきた。たとえば関東周辺でも都会地周辺でも、緑の喪失がいろいろ言われておりますが、そのことは逆に、そういった機能が失われている、こういうふうに考えられると思います。
  167. 有島重武

    ○有島委員 「地球的規模」というようなことが後から出てまいりますね。これは、地球的規模においても緑というものがどんどん減っておるということがございます。日本全体としてもそれがあるわけですね。いま一番足元のところを言ったわけですけれども、それがどのような危機意識でもって語られるかということ、これがまず基本になろうかと思うのですが、長官、もし何かつけ加えられることがあったらば言ってください。
  168. 梶木又三

    梶木国務大臣 確かに現在は、もう自分の国だけで環境問題を考えられない、地球的規模の広がりを持っておるわけでございますが、具体的には熱帯雨林の減少なんかが一番大きな問題になるのじゃないか、私はかように考えるわけでございまして、熱帯雨林が減少いたしますと、どうしても大気中の二酸化炭素の増加、こういうような問題が出てくるわけでございます。そこで、私どもといたしましても、これはUNEP等が中心になっておるわけでございますが、そういう関係の国連の専門機関と一緒になりまして、地球環境のモニタリングシステムにおいて、いろいろな調査研究をやっておるわけでございます。これに私どもも積極的に参加いたしまして、いろいろな各国の情報等の収集をいたしまして、今後とも対処してまいらなければならない、かように考えておるわけでございます。
  169. 有島重武

    ○有島委員 大きな位置づけの中での東京の話、日本の話であるということを御承知の上でお聞きいただきたいと思うのです。  それで、緑の減退ということがどういう効果を及ぼすのだということは、これもさらにいろいろ専門的にもっと見直さなければならない、ここで議論し切れないことであろうかと思います。それが相当恐ろしいことであるということがわかって、初めて今度は緑を保全していこう、あるいは取り返していこうという運動につながっていくかと思うのですね。  それで、今度全国的に木を植えていくということになりますと、これはまた、それじゃ政府ベースでどうしようかということもあるけれども国民意識の中に、もっと木をたくさん植えていかなければいけないのだということを教えていく、これは心の問題ですけれども。それで、じゃ、今度はそういうふうに思っている国民の行動について、木を植える、木を植えていくことについて、政府もこれを奨励していく、これは当然やらなければならないことですね。奨励の形を何かお考えになってはいかがか。いかがでしょうか。
  170. 梶木又三

    梶木国務大臣 先ほどもお答えいたしましたとおり、国際的ないろいろな機関がございますが、これに私ども積極的に参加をいたしまして、問題の処理に当たらねばならないわけでございますが、特にいま申し上げた熱帯雨林なんかの減少につきましては、私どもだけでなく、たとえば林野庁なんかの問題もございますので、あるいは外務省等とも緊密な連絡をとりまして、技術援助というようなかっこうで、やはり森林の保護、これなんかをやっていかにゃならぬ、かように考えるわけでございますし、それから、この熱帯雨林の減少の大きな原因に、木材の伐採ということよりも、やはり焼き畑にしまして食糧を確保する、開発途上国の方々の食糧問題から焼き畑というような問題も起きてくるわけでございますので、ただ林業という姿だけでなく、やはりFAOなんかとも連絡いたしまして、食糧問題としても考えていかにゃならないのじゃないか、このように私考えておるわけでございます。
  171. 有島重武

    ○有島委員 いま世界的な規模の話をなすったのですね。私いま申し上げているのは、日本の国内のことでもって少しお考えを伺いたいと思っているわけであります。  日本国においても、世界的に見ればまだ緑の国だということを言えるけれども、その日本人がさらにやはり緑を確保しなければならない、あるいは、東京周辺だけいま申しましたけれども、緑被率が本当に一〇%に減ってしまっておる、こういったことが一つあるわけでございますね。これを取り返さなきゃならない。それは世界に向かって言うのもいいけれども、日本人みずからが取り返すことを目に見せて、そして、それはまたいろいろなところでもって技術指導もやっていくということにつながるかもしれませんけれども、これは専門家に任していくということだけではなしに、日本の場合には国民一人一人がもっと緑を大切に、緑をふやしていく、そういうことについて政府が何かそれを奨励していく、援助していく、補助していくというような施策をお立てになるべきではないか、こう申し上げたわけでございます。
  172. 梶木又三

    梶木国務大臣 緑の問題、これはわが国はほかの国に比べたら恵まれておるとは思いますけれども、それでも逐次緑がなくなってまいりまして、いろいろな問題を起こしておるわけでございますから、いま中曽根総理も、この緑の問題を大きく取り上げられたわけでございまして、先般総理府に緑化推進連絡会議が置かれたことも御存じと思うわけでございますが、これらを軸にいたしまして、いま各省庁で積極的に緑の問題に取り組んでおるわけでございます。  もちろん私どもも重要なメンバーといいますか、それに参画いたしまして、いろいろな問題の検討をいたしておるわけでございますが、私ども立場とすれば、植樹だとかいろいろなことをやって、緑を創出することも大事でございますが、まず、できるだけりっぱな緑の地帯をつぶさないということも、保全と申し上げますか、これも大事だ。だから保全、それから育成、育て上げる、それからまた創出、この三つをうまく総合的にやっていくことが本当の緑の対策になるのじゃないか、こういう考えでおるわけでございまして、こういう点も連絡会議で私どもの担当官が強く主張をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  173. 有島重武

    ○有島委員 わが党も、特に地方議会なんかでもしばしば緑の日を制定しようじゃないかということをずっと十年ほどあちらこちらでもって言っているわけですね。国の方にもそれを申し上げたことがあったかと思いますけれども一つには、やっぱり緑の日を制定なすったらどうかと私は思います。それからもう一つ、緑化に関して支払われた費用に対して、所得税の控除の対象にするようなことまで、そういったことも少し御検討になったらいかがか、こういうことをいま考えておるのですが、いかがでしょうか。二点です。
  174. 滝島義光

    ○滝島説明員 お答えいたします。  緑の保全あるいは緑化の推進の重要性につきましては、先ほど来御議論を承っておりましたが、私も有島委員の御指摘になったとおりだと思います。ただ、この点につきまして、税金をまけろという話になってまいりますと、厳しい財政事情のもとに置かれております私どもとしては、いささか逃げ腰にならざるを得ないわけでございます。  私がいま住まわせていただいております官舎の周りにも空き地がございまして、日曜日に家内や娘が植木を植えたりなんかしておりますけれども、大多数の日本国民の方は、税金がまかるという前提、そういうことを期待しないで緑を愛しておられるわけであります。御指摘のような措置をとった場合に、それでは木を植えようかという人が追加的に出てくると思いますけれども、税制はもともと、私の家内のように趣味で木を植えている者と、それからそういう税制ができたために木を植える人と区別することができませんから、一律にすべての人の税金を安くせざるを得ない。つまり効果に比べて大変大きな費用を伴います。  それから、このような制度ができますと、毎年二月十五日から三月十五日に税務署に申告をしていただいて、還付事務というものが行われることになりますけれども、いま税務署員の数が長らくふえませんで、非常に増大する事務の処理に困っているわけでございます。そういった点も考えますと、緑化の推進というのは大事ではございますけれども、そのためにとるべき政策手段としては、別のもう少し費用に比べて効果の高い方策というものを考えるべきではないかなと考える次第でございます。
  175. 有島重武

    ○有島委員 長官、御承知だろうけれども、イギリスにもナショナルトラストという制度がずっと長くあるわけでございますね。いまお答えがございましたのは、あれが大蔵省ないしは国税庁の主張でございます。そして、じゃ、環境庁においてはどうしようとするかというのはこれは別でございますね。その調整機能といいますか、それが国民環境庁に御期待申し上げているところであろうと思うのですね。確かにいま大蔵省の方から言われたのも一つもっともです。その物の軽重をどのくらい深刻に受けとめて、どうやってそれを反映していくのか、またそのタイミングを図っていくのがわれわれの仕事じゃないかと思いますけれども、ここでもってまた議論をして、あるいはさせてという時間もございませんから、これでとどめますけれども、ひとつぜひともお考えをいただきたい。いまの緑化の二点ですね。緑の日制定とそれから緑減税というようなことですね。これは一声かかっただけでもって大変な宣伝力といいますか、大きなドライブの力を持つことは間違いありません。その実効がどう出るかということは、これまた細かく考えなければならないことでございますけれども、ひとつこれは検討課題にしていただきたい。いかがでしょうか。
  176. 梶木又三

    梶木国務大臣 緑の問題は、もちろん政府が一体となって力を入れるべき課題でございますが、効果が上がるためには、国民お一人お一人がそういう認識を持っていただくことが一番効果を上げる方法じゃなかろうかと考えるわけでございます。ナショナルトラストにつきましても、こういう方式は私は大いに歓迎するわけでございまして、こういう運動がさらに普及していくことにつきましては、環境庁としましても支援を申し上げたい、かように考えるわけでございます。  いずれにいたしましても、税の問題とか、そういう点につきましては、いま大蔵省の方から答弁があったとおりでございますが、冒頭申し上げましたように、みんな一人一人がその気持ちになってやることが本当に効果を上げていくのじゃないか、それの啓蒙、普及といいますか、音頭をとると申し上げますか、これが私ども役割りじゃないか、かように考えておるわけでございます。
  177. 有島重武

    ○有島委員 検討課題に加えておいてください。  その次に、アセスメント法案、環境影響評価法について、これはずっとここで継続して審議の対象にされておるところでございますし、これが大臣所信表明の中では、具体案の第一に挙げられているわけでございます。これは率直に申しまして、どうしてこんなに時間がかかっているのだろうか、素朴に私はそう思います。法案の内容のこともあるけれども、むしろ与党さんの方の党内の事情にもよるのじゃないのだろうかというふうなこともいろいろ言われております。大臣が今度この国会において、本当にこれを成立させていこうという御決意であるならば、それなりのいろいろなアクションの起こし方があるのじゃないかと思います。確かにこの委員会で審査をしていくわけでございますけれども、聞けば内々環境庁の方から総理の方に働きかけがあったかに報道されておりますけれども、その感触はどうであったのか、いまの御決意はどうであるのか。その辺のことをお聞かせいただきたいと思います。
  178. 梶木又三

    梶木国務大臣 先般の所信表明でも申し上げましたとおり、環境庁といたしまして当面する最大課題は、いま御審議をいただいておりますアセス法案の成立だ、かように私は決意をいたしておるような次第でございまして、いま励ましのお言葉をいただいたと解釈をいたしておるわけでございます。何とぞ一日も早く御審議をいだきまして、衆議院の方で可決していただきまして参議院の方に送り込んでいただきたい、かように念願をいたしておる次第でございます。
  179. 有島重武

    ○有島委員 これをめぐりまして、関西の新国際空港の建設に対する環境庁の対応について伺います。  まず、関西新空港の建設について、これはずいぶん前から言われておりますけれども、場所については泉州沖であるというふうに僕は大ざっぱに認識をいたしておったわけでありますけれども、それだけでもないらしい。場所がいまだに未決定であるというふうにも聞いておりますけれども、この点はどういうふうになっておるのでしょうか。ここには運輸省の方も来ていらっしゃると思いますけれども、まずその点から承っておきましよう。
  180. 藤野團治

    ○藤野説明員 こちら自動車局でございまして、ちょっと所管外でございます。
  181. 正田泰央

    正田政府委員 便宜環境庁の方からお答えさせていただきます。  経過についての基本的な問題は先生御存じだと思いますが、先般の予算編成におきまして、関西国際空港につきまして、従来の設計の段階から、工事の準備というようなことも含めた予算が新しく認められたようでございまして、その結果、運輸省におかれましても、将来の政府内の意思決定に向けていろいろな準備をしているというのが、私ども承知している事情でございます。
  182. 有島重武

    ○有島委員 場所についてはどうなんでしょうか。
  183. 正田泰央

    正田政府委員 場所につきましては、先ほどの予算編成の中身が、泉州沖というようなことを重点に置いた準備、設計あるいは調査、こういうふうに聞いておりますが、政府の意思として場所が決定しているというふうにはまだ聞いてないわけでございます。
  184. 有島重武

    ○有島委員 そうすると、環境アセスメントはもうすでに始めておるわけでございますね。泉州沖あるいは神戸沖、播磨灘、この三つについてのアセスをやっておる、こういうことでございますか。
  185. 正田泰央

    正田政府委員 従来の経緯及び先ほど申し上げました予算編成の内容からいいまして、特に泉州沖の計画を中心といたしました技術的あるいは調査の準備が進んでおりますので、それを重点に置いたアセスメントが現在運輸省において行われておるということでございます。
  186. 有島重武

    ○有島委員 じゃ、仮に泉州沖に定まったとして、埋め立てをしなければならないことになりますね。埋め立てをするにはどこかから泥を持ってくるわけでありますね。そうすると、土砂を持っていかれた跡は一体どうなるのかという、このアセスメントも当然なされているわけですね。含まってこなければなりませんね。
  187. 正田泰央

    正田政府委員 御見解のとおりでございますが、土取りの場所はもちろんまだ決まっておりませんし、あながち土取りだけではございませんけれども、特に土取りにつきまして、土取りを行う実施主体、どういうような法人、機関と申しますか、そういうものがまだ未決定でございますので、それが決まりませんと、いつ、どこで、どういうふうに物を取るかという計画が行われません。したがいまして、先生案内のような、私どもが日常使っている意味のアセスメントという段階にはまだ至っておりません。ただ、おっしゃるとおり環境保全の重要問題でございますから、そういう面のチェックはいたさなければならないというように考えております。
  188. 有島重武

    ○有島委員 長官、ここら辺のところでアセスメント法案とのかかわりがだんだん出てくるわけですけれども、いまの、泥を取ってくる、これは、どこかから取ってくるということが決まったら、それを取ったら、どういう影響が出るのかというのをじゃ、ひとつ調べましょう、いままではこういう行き方なんですね。今後もその行き方だけでよろしいのかということを私は問題としたいわけなんです。ということは、もし泥を取ってくるならば、ここのところは無理だろう、この辺とこの辺ならば大丈夫でしょうというようなことは、やはり環境庁が率先して事前調査をすべきことなんじゃないでしょうか。この辺のお考えはいかがでしょうか。
  189. 正田泰央

    正田政府委員 大臣がお答えになる前に、ちょっと事務的なことを申し上げます。  先生おっしゃる面もよく理解いたすわけでございますが、アセスメントという点にしぼってみますと、私どもが伝統的に、また実体的に、従来のアセスメントと申しますのは、やはり事業を実施する前ということでございまして、まさに土取りなどと申しますと、たとえば近畿地方何百万ヘクタールの中で一体どこかというようなことを頭に置いてアセスメントを私の方で審査するというわけにはまいりませんし、アセスメントの方もむずかしいのだろう、こう思っております。やや一歩進めまして、おおむねどこどこということも考えられるのじゃないかと思いますが、従来の技術的、伝統的にやっておりますアセスメントは、ある主体が決まり、ある場所でどのように、どのくらい、こういうような方法と申しますか、計画と申しますか、そういうことが決まることによって私どもも技術的なアセスメントの審査ができる、こういうふうに思っております。若干事務的なことでございますけれども、申し上げておきます。
  190. 有島重武

    ○有島委員 私は長官に承っているので、事務的にはいつでもそうなんですね。  そうなりますと、土取りの業者の方に、これは差し支えがありません、ほかに影響を及ぼすことはありませんというようなことを報告するところまでさせるということで、あちらはあちら、こちらはこちら。それから、持ってくるときに、どのくらいのトラックで何日間くらいかかるのか、それは沿道にどのくらい迷惑を及ぼすのか、雨が降ったらどうなのか、こういうようなことも起こってくるわけですね。これもまたアセスの対象になり得るものか、それとも、空港というもののアセスではそこのところまでは世話は見切れませんよということになるのか。  工事中のことはいま一つございましたから、では、工事ができ上がってその空港を用いることになった。そうすると、そこに、今度はアセスではなくてアクセスと言うのですか、どうやってどこのルートから入り込むか、今度道をつくるときには、どこの道を選べばどの町は非常に損害を受けるとか、受けないとかいうことがこれまた起こってくるわけでございますね。こういったことも総合的に空港のアセスの項目の中に入るべきじゃないかと私は思いますけれども大臣、いかがでしょうか、いまの工事の点と、それから交通の点。
  191. 梶木又三

    梶木国務大臣 私も、いま御指摘のとおり、本体計画とともに、あるいは本体計画に関連しておるアクセス、交通であり土取り場であるわけですから、当面、当然一体のものとしてのアセスを考えるべきだと思います。  ただ先ほど、土取り場の選定時点からわれわれに関与せいと言われても、これはやはり困難で、これはあくまでも事業者が、用地の問題だとか土質の問題だとかいろいろございますから、これは私どもの関与すべきではなくて、決めましたら、決めたところでどういう影響が出てくるか、それでだめなら、われわれ、それじゃだめだという意見は申し上げますけれども、選定はあくまでも事業者がやるべきだ、かように考えておるわけでございます。
  192. 有島重武

    ○有島委員 それでは、ひとつ総合的なアセスということについてぜひお願いをしたい。そうでありませんと、空港というところに限って、ここはもう大丈夫だ、その周辺ないしはそれに関連のあるところが非常に迷惑するけれども、それはそれということになっては、国がやる仕事としては大変手落ちになることです。  それから、これも運輸省の航空局の方かもしれませんが、騒音の試験をすでにやったというふうに聞いておりますけれども、おやりになったのでしょうか。だれか答えられる人来ていらっしゃいますか。おりませんか。
  193. 正田泰央

    正田政府委員 便宜私の方から……。  やっていると聞いておりますが、細かいことはわかりません。
  194. 有島重武

    ○有島委員 では、細かいことは後で調べてください。  長官、私はこういったことを聞いているわけです。確かに大きな飛行機でもってその騒音の度をはかったそうです。それが、荷物を積んで人がいっぱい乗っかっているときの音と、空荷でもっているときの音というのは、飛行機もずいぶん違うのだそうです。車だってそうですよね。人がいっぱいに乗って、あるいは満杯のトラックの音と、特に発着でございますからパワーがまるきり違うわけですね。それを、そのときのテストは空荷でやっておったということを私は近所の方から聞いているわけです。それは後で調べていただければいいです。  アセスメントのどういった項目についてやらなければいけないのかという点、それからそれをどの密度でもってやらなければならないのか、こういったことについては、確かにみんなそれぞれの技術者ないしは関係省庁がやるわけでございますけれども、やはりここで、本当に国民の健康と生活を守っていくのだ、自然を保護するのだ、よりよい環境をむしろ積極的につくるのだ、こう言われているわけでございますから、こういった視点から、いわばもっと身を乗り出してそういったところに関与していってもらいたい、そういう姿勢があらわれていれば、われわれに納得できれば、いま問題になっておりますアセスメント法案ですね、これも役に立つだろうという希望を持てるわけですね。  これが一つの手続法として、ここでもっていま誕生しようとしているといいますか、問題にされているといいますか、それがのるかそるかの一つのかなめは、アセス法案はないけれども、そのときの環境庁姿勢がどうであるかということに大きくかかわってくると思いますね。その辺をもうひとつしっかりやってもらいたい。現在この法案はなくても、現在のアセスをしっかりとやってもらいたい。いかがでしょう。
  195. 梶木又三

    梶木国務大臣 いま委員指摘のような姿勢で今後とも取り組んでまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  196. 有島重武

    ○有島委員 もう時間がございませんけれども、次にスパイクタイヤについて御質問申し上げます。  大臣もよく報道で御承知のとおりだと思うのですけれども、北海道、東北、北陸など雪の降るところでもって、ここ二、三年車の粉の公害がございますね。これは急激に社会問題となっておるわけでございます。それで、スパイクタイヤによる道路損傷というのはどのくらいになっておるのかというようなこと、これを建設省から聞いていきましょうか。それから粉じん被害、健康被害ですな、これはどのくらい予測しているのか。それからスパイクタイヤの改善について、いまどういうふうにやっておるのか。それから自治省におかれましては、この対策をどういうようにしておられるのか。こういうことをずっと聞いていきたいと思っておったわけであります。時間の許す限り聞いていきましょう。  一番最初に、まず、環境庁がこの健康被害をどのくらい深刻に受けとめていらっしゃるか、この辺から聞きましょう。
  197. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 私どもの方では、お話にございましたように、スパイクタイヤによる粉じんが問題であると考えまして、昨年の七月から「自動車用タイヤによる粉じん等対策調査検討会」を発足させまして、本格的な検討をしておるところでございます。その中で、健康被害をどの程度予想しておるかという項目がございましたが、いまのところ、健康被害は予想しておりません。しかしながら、健康被害のおそれもございますので、一体粉じんがどのぐらい出るのであるか、浮遊粉じんの中の重金属というのは一体どんなものがどのぐらいあるのか、こういうことをまず調査をしておるところでございます。
  198. 有島重武

    ○有島委員 大臣所信によりますと、いろいろおっしゃった一番の結論が「私は、国民の健康と生活を守り」と、こういうふうになっているわけなんですね。いまのお答えというのはちょっとそこからピントが外れているように思うのですね。粉が飛んでいることはわかっていますけれども、健康にはどういう影響を与えているかということについては余り関心を持っていない、ないしは、大丈夫だ、こう言っているんですね。
  199. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 いささか舌足らずでありましたが、関心を持っておらないということでは全くございませんで、大いなる関心を持っておるのであります。ですけれども、いまの予測ではまず大丈夫であろう、こう思うのであります。しかし、念のために、重金属でありますとか粉じんの全体の量でありますとか、そのようなことを詳しく調査に取りかかったわけでございます。
  200. 有島重武

    ○有島委員 その調査結果はいつごろ発表されますか。
  201. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 いろんな要素がございますので、全体的には一応五カ年計画でよく調べようと思っておるのでございますけれども、しかし、現在、地域におきましては大きな問題になっておりますので、応急を要する対策につきましては、およそ二年ほどでひとつお答えをいただきたいと、この委員会にお願いをしておるところでございます。
  202. 有島重武

    ○有島委員 いまの問答を覚えておいてくださいませ。大臣は、ずっと長く大臣をやってもらいたいけれども、あるいはおかわりになることもあるかもしれない。水俣病にしても、一番最初の問答はこんなふうなんですよ。多分影響はないと思います、これですよ。まあ、調べれば、調べましょう、こうです。その影響が年を追うごとにそれで大きく広がってきた。それはあのせいじゃない、このせいじゃない、裁判になる、ならない、こういうふうになるわけです。  これも新しい一つ公害のタイプでございまして、まあ、時間があればいろいろなところから報告してもらいたいけれども、相当な量が飛んでいるわけですね。そこには、合成ゴムみたいなものとか鉄ですね、粉じんがまじっているわけです。それで、これはその道路に沿って非常に大量にまかれてしまうわけですね。というようないろいろな特徴があります。これはひとつ、もっと督励をしていただいて、しっかりと調査をしていただきたい。それで、わが党の宮城県本部におきまして、これの運転者の意識調査というのをいたしました。これも結果の概要だけ言いますと、スパイクタイヤの装備率というのが全体でもって八〇%を超えている。それから雪の多いところでは九一%を超えているところがある。それでスパイクタイヤの装備期間はどうであるかとか、一年間でスパイクタイヤが役に立ったと考えられる日が一体何日あるのかというようなこととか、それからスパイクタイヤの公害に対する認識というのが、いまのところ道路の摩耗だとか粉じんだとか、そっちの方向にまだ向いていて、物理的な損害に向いているのじゃないだろうかということを言っていますね。ほかにもいろいろなことがあるわけですけれども。それで、その被害というか、これは道路被害と、それから体の被害と二つあるわけですけれども、これははっきりしていかないと、改善策というのが進んでいかないわけですね。  それで、通産、来ていらっしゃいますか。通産の方ではこれをどんなふうに考えていますか。
  203. 蕨岡達慈

    ○蕨岡説明員 ただいまの御質問でございますけれども一つは、より道路を傷めないようなスパイクレスタイヤの開発という要素がございます。こうしたものにつきまして、現在タイヤ業界でもそうした開発を進めておりますが、これを一層促進させたい、こんなふうに考えております。  もう一点は、現在使っておりますスパイクタイヤのスパイクの本数、それから飛び出しているスパイクの高さ、こういったものを制限いたしまして、より道路を傷めにくいようにする、これは業界の規格改定でございますが、こういったものが五月から行われる、こんなふうな状況でございます。
  204. 有島重武

    ○有島委員 自治省では積極的に対策をつくろうとしているという話も聞いておりますけれども、自治省の方、来ていらっしゃいますか。
  205. 鈴木政徳

    鈴木説明員 スパイクタイヤの問題につきましては、地域の環境保全上きわめて重要な問題であるという認識に基づきまして、御指摘のように、地方公共団体におきまして、現在真剣な取り組みがなされているところでございます。自治省といたしましても、そうした地方公共団体の動きに対しまして大いに関心を寄せているところでございます。  今後の対策でございますけれども関係省庁関係地方公共団体とが当然密接な連絡のもとに今後対策考えていかなければいけない、そういうふうに考えまして、私どもも今後関係省庁関係地方公共団体と連絡を密にしてまいりたいと存じております。
  206. 有島重武

    ○有島委員 警察の交通安全関係の方、来ていらっしゃいますか。それでは総理府の交通安全、お願いしてあったと思うのですけれども
  207. 國場幸昌

    國場委員長 建設省道路防災対策室長というのが来ておるでしょう。一番関係あるから、あなた……。
  208. 有島重武

    ○有島委員 これは環境庁長官にひとつ宿題にしておきたいと思いますけれども、このスパイクタイヤを使うのは、業者としては安全のためである、こう言うわけですね。雪で滑らないというのですから。それで、警察もこれを認めているわけであります。ある場合にはこれを推奨しているわけであります。  では、それがどの程度本当に安全なのかということは、チェーンの場合と、それから普通のラジアルの場合、普通のスノータイヤの場合とどのくらいの差があるのかというようなことですね。それからもう一つは、確かにスパイクタイヤの方がいいかもしれないのだけれども、必ずしもそれでなければならない状況というのは、雪がどのぐらい積もってどんなコンディションであった場合には確かにこれは有効である、そうでない場合にはほとんど同じである、そういうようなことが大体警察ではわかっているはずでありますし、それから、これはわかっていることを公表しなければならない段階であろうと思うのです。  きょうは私ども、答弁者側の指定が、私の方にも多少手落ちがあったかと思いますから、なおこれは次のチャンスにまたやらせていただきたいと思いますけれども環境庁におかれましても、ひとつ調査を進めてもらいたい。宿題にさせていただきたい。お願いをします。いかがですか。
  209. 梶木又三

    梶木国務大臣 重大な関心を持っておりますので、しかし、それぞれ各省庁からも話がございましたように、関係するところがたくさんございますから、その辺ともよく打ち合わせまして、検討しまして、十分勉強させていただきたいと思います。私、残念ながら南国生まれなものですから、どうもスパイクタイヤがぴんとこないのです。今後ひとつ一生懸命勉強させていただきたい、かように考えます。
  210. 有島重武

    ○有島委員 この種のことこそ、やはりだれかが音頭をとらないと、みんな嫌がるわけなんですね。  それで、これも大ぜいの方々の被害というよりか、沿道の方々の限られた方の被害になりますから、またほっておけば話が極端になる場合も起こるかもしれない。早目に音頭をとるように、ひとつ環境庁が責任を持ってやっていただきたい、こうお願いを申し上げまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。
  211. 國場幸昌

    國場委員長 中井洽君。
  212. 中井洽

    ○中井委員 大臣所信表明に対して幾つか考えることをお尋ねをしたいと思います。  読ましていただきまして、なかなか質問をするところのない所信表明だなという感じを実は持っております。先ど大臣から淡々と、じみちに現在の法体系の中でもってやれることがあるのだから、こういうお話がございました。私は、ある意味ではそのとおりだと思うのです。この委員会にもう六年ほど所属させていただいておりまして、いろいろな議論を聞かしていただいておりますが、かつてと違いまして、こういう公害問題があるじゃないか、これがあるじゃないかというようなことはめったに出てこない。いろいろな形で対応をとられておる。いま有島先生がおやりになったスパイクタイヤの問題というのは、私久しぶりに、これは一つの新しい公害として考えたらどうだという御提起であった、こんなふうに聞かしていただいたわけであります。こういうことは珍しいわけであります。そういった意味では大臣のおっしゃるとおりであろう、じみちにやっていくというのはそのとおりであろう、こんなふうに思うわけであります。しかし、この所信表明、大臣がお書きになったかどうかは別にいたしまして、特徴のない中で、幾つかいままでと違うなというところがあると思うのです。そんなところからお尋ねをしていきたいと考えております。  七ページですか、対策二つ目に、特に交通公害対策というのが大きく取り上げられているわけであります。交通公害対策というのがこんな形で前面に取り上げられるといいますか、認識をされるようになったのはどういうことか、このことについて大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。
  213. 梶木又三

    梶木国務大臣 物流と土地利用の両専門委員会の方から報告をいただいておるわけでございますが、発生源対策だけではなかなか徹底したものがいけないということで、新しい考え方がそういう専門家の方々の委員会で出てきたんじゃなかろうかと私思うわけでございまして、あの物流、土地利用の両委員会報告を見せていただきまして、いままでにないこれは画期的な御意見ではなかろうかと考えておるわけでございます。  しかし、先ほどもお答え申し上げましたように、また御指摘もございましたように、あのとおりやるとなればこれは相当な金も要るわけでございますから、いっときに全部できるとは私も思わないわけでございますけれども、しかし、ああいう考え方が出てまいりまして、それに向かって関係省庁が一歩でも取り組んでいけば、効果が少しでも出てくるのじゃなかろうか、かように考えるわけでございまして、まだ正式な答申はいただいておりませんけれども、答申がいただけましたら、そういう気持ちでございますから、環境庁としましても、関係省庁と積極的に話し合いを進めていきたい、かように考えておるわけでございます。
  214. 中井洽

    ○中井委員 私もかつて、大気汚染の問題あるいは自動車の排ガス規制の問題、そういったときに、最終的には都市交通網のところまで環境庁が口を入れていかなければなかなかできない、こういったことを申し上げたことがありますから、総合的な交通公害に取り組まれる、これは大変結構なことだ、このように思うわけであります。また、幅広くあるいは科学的な知識にのっとって、いい対応策をお考えいただきたい、こう思うわけであります。  しかし、これまた先ほどからるる御議論がありましたように、各省庁間のいろいろな縄張りがございまして、なかなか環境庁はいろいろな点で悪戦苦闘いたしておるわけであります。交通、道路網に関して言えば、大臣は御存じだと思いますが、たとえば交差点のつくり方とか、位置の仕方というものについて、各地の警察が建設省に対してちゃんと発言権を持っているのですね。そして、建設省がこういう道路をつくったら、その交差点は危ないとか、交通事故が多いから角度を変えたり、広さを変えさせたりしているわけであります。たとえば環境で言えば、こういう道路をつくる、しかし、そんなところへ信号をつくって、この交通量なら排ガス対策はとうていできない、したがって、そこは立体交差にすべきだとか、そういったところまで言える力あるいは口出しをできる環境庁の権限、そういったものがなければだめだと私は思うわけであります。現実に、先ほども言いましたように、環境行政でいまいろいろと苦労なさっておる湖沼法から、いろいろなものが全部そういう関係にあるわけであります。  大臣はそういったことについてどのように御認識をされ、あるいはこれから、任期中どういう形でそれらの省庁間の縦割り行政に対して、環境庁の存在というものを十分示せるような手腕をおふるいになろうとお考えになっておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  215. 梶木又三

    梶木国務大臣 私どもがオールマイティーになって何もかもできるというわけにはとてもいかないと思います。しかし、再々申し上げておりますとおり、いろいろな事業をやっていく上におきまして基本になりますのは、何といっても人間の健康問題が第一義的になるべきだ、こういう考えがございます。私ども、なるほど力はないかもわかりませんが、先ほど来、努力する努力するということでおしかりを受けておりますけれども、ギブアップしてしまったらアウトになりますから、粘り強く努力を積み重ねていくことによりまして少しでも前進するのじゃないか、それで少しでもその前進を積み上げていくことによりまして、だんだん目的に近づけていけるのじゃなかろうか、かように考えまして、私ども全庁を挙げてそういう気持ちで粘り強く取り組んでいきたい、かように考えておるわけでございます。
  216. 中井洽

    ○中井委員 それではほかのところに移ります。  その前に、第二の交通公害の前に、「環境影響評価法制度の確立であります。」という形で出ております。長年のあれでアセスメント法提出をされて、なかなか審議が進まずにこの委員会にかかっているわけであります。私どもも大変対応に苦しんでいるところでございますが、この法案を出すについてはずいぶん時間がかかったわけで、それと同じくこの湖沼法についても、環境影響評価ほど時間がかかるのじゃないかと私どもは心配をいたしているわけであります。アセスメントの審議は別といたしまして、大臣は湖沼法について本当に国会への提案というものができる、このようにお考えであるかどうか、もう一度確認の意味でお答えをいただきたいと思います。
  217. 梶木又三

    梶木国務大臣 湖沼の汚濁、汚染、これはいまゆるがせにできない大変大事な問題になっておりますし、先般御指示を総理からいただいたわけでございます。ありきたりの先ほど来の努力で御満足いただけないかもわかりませんが、この努力に涙ぐましいという言葉がつくことはひとつ御理解をいただきたいと思うのです。アセスにいたしましても、大分長い間かかりましたけれども、やっとここまで来た。一歩一歩前進、その間には本当にわれわれ涙ぐましい努力をいたしておりますから、湖沼法につきましても、その涙ぐましい努力でひとつ今国会中に何とか提案いたしたい、かように考えておりますので、御理解を賜りたいと思います。
  218. 中井洽

    ○中井委員 環境庁の涙ぐましい御努力というのは、私どもも漏れ承ってよくわかるわけであります。しかし、それらがなかなか実現をしない最大の理由は政府内部にあり、あるいは政府・与党内部にあるわけでございます。ひとつそういったこともお含みをいただき、御努力を賜るようにお願いいたします。  これと同じく、数年前から出します、努力をいたしますと言い、連絡会議等もつくられたのじゃないかと私ども聞いているわけでありますが、地盤沈下防止法というのがございます。去年ぐらいまでは、これもつくりますとか、対策をしますというのが各大臣所信表明に載っておったのでありますが、いまやもう全然載りもしないという状態でございます。この法案について現在どうなっているのか、お答えをいただきます。
  219. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 地盤沈下の総合的な法制度につきましては、ただいま御指摘ありましたように、昭和四十九年に中央公害対策審議会の答申がございまして、それに基づいて環境庁は法案を用意したわけでございますが、この地盤沈下あるいは地下水採取の問題にもなるわけでございますが、関係各省いろいろ意見がありまして、また別の法案を各省が用意するというようなことで、これが対立的関係にありまして、その調整にずっと努力はしましたけれども、実現に至らなかったということでございます。最近では内閣審議室を中心に、さらに調整をいたしたのでございますが、これでもなかなかうまくいかないということで、やむを得ずというか、もう地盤沈下のゆるがせにできない状況にございますので、それではということで、一昨年だと思いますが閣僚会議を設置しまして、その下に連絡会議のようなものをつくりまして、広域的に地盤沈下の生じている三地域ございますが、これについて具体的な対策各省協議してつくろうじゃないかということを決めたわけでございます。  それに基づきまして準備、検討を続けておりまして、現在濃尾平野と佐賀平野、この二地域について具体的な対策要綱というのをつくろうということでいま鋭意努力しております。近く結論を得られるものと期待しておりますが、それはそれとして、総合法制の問題も決してあきらめたわけではございませんで、そういう具体的ないろいろな検討をしておりますが、そういうものの実績も踏まえまして、やはり総合法制の問題も粘り強く実現に向かって努力したい、かように存じております。
  220. 中井洽

    ○中井委員 大臣、お聞き及びのとおりでございまして、地盤沈下防止法なんかもたびたび私どもは御質問申し上げ、要請も申し上げ、各大臣は、出します、こういうことばかり言われたけれども、結局出せずに、対策を一生懸命やっているからということで終わってしまう、これが現状であります。いまの地盤沈下防止法なんかでむずかしかったのは、建設省と農林省と環境庁との調整がつかなかったわけであります。そういったところもよく大臣は、大臣自身もこれらの省とは深い御関係でございますから、御認識をいただきまして、湖沼法等も大変大事な法案であります、ぜひこれが同じような経過をたどらないように御努力をいただきたい、このように要請を申し上げておきます。  次に、公害健康被害補償法の問題で、臨調の第三部会報告の中で述べられている点がございます。私もかねてからこの問題に関心がございまして、四、五年前に当委員会質問をしたのを実は覚えているわけでございます。私自身は、臨調の御努力に大変敬意を表するものでありますし、行政改革はやっていかなきゃならぬ、このようにも考えておりますが、臨調がどうしてこんなことにまで口を出したのか、ちょっと実は奇異な感じを抱いているものであります。十八日に日切れ法案の問題で参考人を呼んでくれ、その中に臨調を呼んでくれというお願いをいたしましたところ、臨調はもうそのときにはなくなっているということでございます。僕はそんなことを知りませんで、きょうお呼びすればよかったのですけれども、したがって、これから呼ぶチャンスがないものですから。  環境庁の方で臨調といろいろな議論があったのではないか、このように思います。そういう議論が内部に出るのがいいのか悪いのかは別にいたしまして、部会報告の中にこの公害健康被害補償協会の交付金の項で、二つの点で、地域指定の問題とレセプト審査の強化の問題が出ているのだが、これの経過を少しお知らせをいただきたい、このように思います。
  221. 大池眞澄

    大池政府委員 お答えいたします。  臨調の第三部会に対しましては、お求めがございましたので、公害健康被害補償協会交付金に関連いたしまして、制度の基本的な性格でございますとか、その施行状況等について説明を十分に行ったところでございます。ただ、御設問の、なぜ取り上げるに至ったかという点は、これは臨調の御判断によるというふうに私ども理解しているわけでございまして、私ども立場で推測はできないわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  222. 中井洽

    ○中井委員 一つだけ聞かせてください。この制度をめぐって環境庁臨調と激しい議論があったとか、そういうことではないですか。説明をしただけで、臨調からぽこっとこういうのが出てきたわけですか。
  223. 大池眞澄

    大池政府委員 私どもといたしましては、十分に説明申し上げたというその中には、そういう論議というような観点の要素ももちろん入っておると理解しております。
  224. 中井洽

    ○中井委員 部会報告段階ですからあれでしょうが、こういうことが言われたことについて、大臣はどのようにお考えですか。
  225. 梶木又三

    梶木国務大臣 ただいま保健部長が答弁いたしましたように、いまの段階ではこれは部会報告でございまして、答申としてはまだいただいておりませんので、この段階では、申しわけございませんが、御返答することはひとつ差し控えさせていただきたい、かように考えるわけでございます。
  226. 中井洽

    ○中井委員 それでは、またこの次の法案審査の中でお尋ねをしたい、このように思いますが、私自身、五十二年ですか質問いたしましたときに、こういう地域指定の解除というのはあり得るのか、こういうことを聞いたときに、こういうことであればあり得るのだというお答えをいただいたような、それは条件だ、こういうように聞いているわけであります。  それからまた、レセプト審査の強化というのはどういうことかちょっとわからないものですから、たとえば患者さんのたばこの吸っているのを調べてくれ、どのくらいたばこをお吸いになるのだというようなことを一遍調査して出してくれと僕が言ったら、断られたことがあるのですね。どうして断られるのか全然わからないのですけれども環境庁に聞いたら、それはさせてもらえないのだ。こういうことも含んでいるのかな、こんなふうに受け取っているわけでありますが、そういうことでいいですか。
  227. 大池眞澄

    大池政府委員 お答えいたします。  第一点でございますが、地域指定あるいは地域指定の解除の問題につきましては、この制度の仕組みといたしましては、制度発足当初の中央公害対策審議会の基本的な答申に示されているとおりでございます。ただ、その中で硫黄酸化物が大気汚染を代表する指標として位置づけられているということでございますが、残余の窒素酸化物等についてこの指標が具体的なものとして明示されてない、そういったような点をめぐりまして、その後の大気汚染の様相が大分変わってきておることにかんがみまして、地域指定あるいは地域指定の解除の要件の明確化を図るということがいま求められておる、こういうふうに理解しているところでございます。  それから第二点でございますが、医療費の問題につきましては、一般的な医療全般についての世論の動きというものもあろうかと思うわけでございますが、医療費の文字どおり適正な運営ということについてのことだと私どもは理解しております。  なお、たばこ云々の、いま先生の最後のお話でございますけれども、これは医療費そのものの論議とはまた別の論議であろうかと私は承っております。なお、その調査云々でございますけれども、たばけを吸っている、吸っていないということを客観的に把握するということがなかなかむずかしいというような点もございまして、御理解賜りたいと思います。
  228. 中井洽

    ○中井委員 それじゃ後日に譲りまして、次に進みます。  過般、一日ですか、政府に緑化推進連絡会議というのが設置をされた。唐突だったものですから、何をやるのか。緑化運動といって中曽根さんみずからが指揮をとられて、強い要望でつくられたということであります。悪いたとえで失礼ですけれども、私もそうですけれども、総理大臣自分の髪の毛がさびしくなってきたのでそういうことでも思いつかれたのかなと思ったり、某紙が盛んにやっておられますから人気政策でやられたのかな、こんなふうに思ったりしているわけであります。  余談でありますが、これは新聞のキャンペーンなんかも私は見ておりまして、あんなキャンペーンをする前に、新聞の紙面を減らせばずいぶん緑化に役立つじゃないか、こんなふうに考えたりもするわけであります。先ほど有島先生お話にもございましたけれども、緑化運動なんというのをムードだけでやってもらっては困るのです、こんなふうに考えるわけであります。  林野庁は林野庁で、木と水と空気を守るために一生懸命おやりになっておる環境庁だって、よりよい環境を守るために前々から緑化保全、こういうことをやっておられると思うのであります。十ぐらいの省庁が寄ってどういうことをなさるのかわかりません。環境庁がその中でどういう対応を推進連絡会議になさろうとするのか、基本的なお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  229. 山崎圭

    ○山崎政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、総理府が中心になりまして緑化推進連絡会議というものが設置を見ました。これは、国土全体の緑化を推進していく、こういうことでございまして、その際関係省庁、いままでも御指摘のように林野庁もやっておりますし、また建設省もいろいろやっておる。私どもも私どもなりにいろいろ呼びかけをしておる、こういう中でいろいろ総合的にやっていこう、こういうことだというふうに趣旨は理解しておりまして、その限りにおきましては私どもは協力をしていく、こういう考えであります。  ただ、自然環境の問題といたしましては、確かに植樹は植樹で大変りっぱなことでありますが、それ以前に緑を守るという、それが私ども行政を進める基本的なあり方であろう、かように考えておるわけでありまして、そういうことは失わない姿として堅持したい、かように考えております。
  230. 中井洽

    ○中井委員 大臣ちょっと外されておる間に一人で申し上げておったのですが、緑化推進をおやりになる、これはこれで結構なんですが、ムードやらイメージだけでおやりになることではないと僕は思うのです。たとえば、いま山一つ、林業一つ守っていこうと言ったって、なかなか人はおりませんし、先ほど大臣保全育成と言われましたが、この育成に携わる人なんというのは、もう山奥に行きますとほとんどいないですし、大変なことなのです。後でまた松くい虫のことも言いますけれども、ただ単に、国民全部で木を植えましょうなんということだけでできるものではないと思うのです。  いま局長からお答えがありましたように、悪いことではありませんが、環境庁もこの連絡会議にお入りになってやるのなら、特に大臣は、先ほども申し上げましたように、農林関係については御専門でもあります。本当の意味での緑というものを、二十年、三十年かかって日本に守り育てられるような会議、そういったものにしていっていただきたいし、また、るる御議論のありました地球的規模での環境、そのときにもこの緑化の問題が出てきているようでありますが、それも一年や二年の思いつきのことでできるわけでもありません。日本人だけでがんばったってできることでもありません。そういう基本的、根本的なことの方針を立てての推進会議になるように、大臣も御努力をいただきたい、こんなふうに思うのですが、いかがですか。
  231. 梶木又三

    梶木国務大臣 私、農林出身でございますが、農の方で、林の方は余り強くございません。しかし、いまお話しのとおり、緑の問題、本当に大事な問題だ。御指摘のとおり、ムードだけでうまく効果の上がる問題でもございません。さりとて、これは政府だけでもできる問題じゃない。やはり国民一人一人がそういう認識を持つことが大事だと思うわけでございます。  また、特にいま御指摘の林野関係、私は余り詳しくはございませんけれども、確かに林野を守っていく人々が、生活問題等もございまして、里におりてしまったら、これは口だけに終わってしまうということでございますから、広範な施策が必要ではなかろうかと思うわけでございます。ただ単に緑を守るというだけでなく、いま局長からも答弁いたしましたように、連絡会議に林野の方も入っておられますし、各関係の方々、皆入っておられますので、私どもは私ども立場として緑を守る、こういう観点に立って、先ほども申し上げましたが、守ることと、育てることと、つくり出していくことと、この三つを原則といいますか、基本的な考えにいたしてやってまいりたい、かように考えるわけでございます。
  232. 中井洽

    ○中井委員 これは環境委員会で言うことでもありませんが、政府が緑化推進運動というものをおやりになるのだったら、私ども立場からすれば、林野庁の労働問題なんというのを、わが党の書記長がこの間予算委員会でも取り上げておりました。そんなムードをあおるよりも、そういうものをきちっと片づけてもらった方が、日本の緑を守る、育てることに大いに役に立つと考えているわけであります。社会党さんなんかと立場が違いますが、これはまた他の委員会に譲るといたしまして、ムード倒れに終わらない形での長期的な運動になるように、環境庁もぜひとも御努力をいただきたい、このことを再度要請いたしておきます。  それで、この緑化問題に対応いたしまして、松くい虫の問題、松枯れの問題についてお尋ねをしたいと思います。  毎年のように空中散布が行われておるわけでありますが、環境庁に前にも一度、これの効果はどうだ、こういうことをお尋ねいたしました。顕著な効果がある、こういう御返事で信用しておるわけでありますが、このごろまた、地方を歩きますと、空中散布というのはなかなかむずかしい、またその効果もどうだろう、こういう声が非常にあるわけでございます。現在の空中散布の状況、そしてそれの効果、あるいは松くい虫の被害、日本全体の状況、そういったことについてお聞かせをいただきたいと思います。
  233. 古宮英明

    ○古宮説明員 お答えをいたします。  まず、松くい虫の全国的な被害の状況を御説明させていただきますが、五年前の昭和五十二年に、全国で約八十万立方メートルの被害量でございました。ところが、昭和五十三年、五十四年と、夏に異常気象といいますか、雨が少ない、気温が非常に高いということもございまして、五十三年には全国で約二百万立方メートルの被害量、それから五十四年に二百四十万立方メートルの被害量というふうに一挙に拡大をした、被害も激化したという状態でございました。五十五年、五十六年は約二百万あるいは二百十万立方程度ということで、五十三年、五十四年に比べますと、若干減少しているという状況でございます。今年度は、まだ一月から三月に若干被害が出てまいりますので、統計的な数字の把握はしてございませんが、ほとんどが秋口までに被害が出てまいりますので、九月末現在ということで、関係する都府県から、被害量がどういう動向であるかということを事情聴取しておるのですが、それによりますと、昨年の九月末現在の数字に比べて約六五%程度ということで、おかげさまで、このまままいりますと、昨年が約二百十万立方メートルでございましたけれども、ことしは百五十万立方程度まで下がるのではないかというふうに実は期待をしているところでございます。  そういう中で、先ほど先生お話がございましたように、私ども昭和五十二年の松くい虫防除特別措置法という法律で、予防散布あるいは被害が出た後は伐倒駆除という形で対策を講じてきたわけでございますが、二百万立方を超える被害があるということで、昨年、松くい虫被害対策特別措置法という法律を改正をさせていただきまして、時別伐倒駆除という新たな手法、それから、被害が非常にひどくなっている場所につきましては、松の林にしておくより、むしろ杉とかヒノキに植えかえていただくというような措置も入れまして、総合的な対策仕事を進めるということでこれまでやってきておるわけでございます。  現在、被害の区域面積が約六十五万ヘクタール程度ございます。そのうち先生指摘の特別防除、予防散布でございますが約十二万ヘクタール実施をしておる、その他の区域につきましては、申し上げましたように特別伐倒駆除あるいは伐倒駆除、あるいはひどいところは樹種転換をしていただく、こういう形で仕事を進めさせていただいておる。  そういうことで対策を総合的に実施しながら来ておるわけでございますが、特別防除を実施している個所そのものにつきまして、効果があったかどうかという判定を、私ども、三十二の府県で特別防除を実施している個所の中で標準値をとりまして、ずっと経年的にその効果がどうだったかということを調査してきているわけでございますが、調査結果によりますと、明らかに特別防除を実施した松林では被害が急減しているということで、特別防除そのものの効果はあるということでございます。  以上でございます。
  234. 中井洽

    ○中井委員 すみませんがちょっと教えてください。広さで言われるとなかなかわからないのですが、松枯れが騒がれてから、日本じゅうでどのぐらいの本数の松が犠牲になったのか。大体でいいですが、本数を教えてください。
  235. 古宮英明

    ○古宮説明員 お答えいたします。  私どもも本数で数字を把握したことは実はないのでございまして、しかとしたことは申し上げられませんが、たとえば一立方の被害量と申しますと、平均的には〇・二立方メーターぐらいが一本に相当いたしますので、一立方おおよそ五本、二百万立方メーターの被害があったとすれば、一千万本という形に相なるということでございます。
  236. 中井洽

    ○中井委員 いままで全国でどのぐらい被害があったか、トータルの被害面積は。
  237. 古宮英明

    ○古宮説明員 お答えいたします。  マツノザイセンチュウが原因であるという形での松くい虫被害は、古くは実は明治三十八年からございます。それからずっと消長を繰り返してきているという形でございますので、それまでの間の被害量をトータルいたしまして、被害量トータルを出すというのはなかなかできないことでございます。
  238. 中井洽

    ○中井委員 ありがとうございました。  そういう形で大変な数が被害に遭っておる。一生懸命対策をおやりいただいているのはよくわかりました。なかなかむずかしゅうございまして、伐倒伐倒と言いますけれども、奥へ行けばそんなに切る人はおりませんし、焼いてくれる人はおりません。それから植えかえと言ったって、それこそ先ほどの話じゃないけれども、なかなか切って植えかえるという人もおりません。杉、ヒノキを植えるのを奨励する、こうおっしゃるが、よけいごとで恐縮ですが、私の郷里の三重県なんかは去年災害が出まして、ある村でがけ崩れが集中的にあちこち起こった。それはみんな雑木林を杉、ヒノキに植えかえたからだ。したがって、その分地盤が緩くなって崩れたのだなんという話がございまして、いま林野庁でも研究していただいているようでございますが、なかなかむずかしい問題がございます。できるだけ幅を広げて実効ある対策をお立てをいただきたい、こんなふうに思うのですが、その中で幾つか、朝日新聞ですか、二回にわたって、原因は線虫じゃないのではないか、こういう説が出ております。私は素人ですから全然わかりません。これについて林野庁はどのようにお考えか、お聞かせをください。
  239. 塚本隆久

    ○塚本説明員 お答えいたします。  今日問題となっております、広い範囲で被害が発生をいたします激害型の松の枯損は、マツノマダラカミキリが媒介するマツノザイセンチュウによるものであるとされておるわけでございます。  このような結論に至りましたのは、これまで国の林業試験場におきまして、松の枯損防止に関する特別研究を実施いたしまして、その中で、ただいまお話にあった、新聞に書かれてございます、松につきます青変菌の幾つかについての接種試験でございますとか、あるいは松の根に付着する病源菌の接種試験といったものをいろいろと行いまして、その中から松の激害型の被害に関係がないと思われるものを一つ一つ消していきまして、最後に、このマツノザイセンチュウが激害型の被害の原因であるというふうに判断いたしたわけでございます。  最近新聞に報道されました、いわゆる青変菌と言われるものでございますが、これにつきましては、いまだ正式な発表がなされておりません。近く学会でこれが発表されるということを伺っておりますので、林野庁といたしましては、この発表を聞いた上で必要な対応をしてまいりたいと考えております。  ただ、これまでの試験の中で、そうした菌を全く持たないマツノザイセンチュウを松に接種試験を行いまして松が枯れておるということもございますので、現段階では私どもは、こうした激害型の被害を発生させるのはマツノザイセンチュウであるというふうに考えているところでございます。
  240. 中井洽

    ○中井委員 私どもは、さっき言いましたように科学的なことはわかりませんから、お任せをするわけでありますが、前々からいろいろな説もあったわけであります。対応もなかなかむずかしいわけであります。しかし、それでもどんどん松は枯れていっているわけでありますから、学会で発表されるのを待ってとかなんとか言わずに、いろいろな観点から柔軟に対応される、御研究いただく、あるいはまた対策も幅広くいろいろなことをお取り組みをいただく、そういうことでお考えを賜りたい、このことを要請しておきます。ありがとうございました。  それから、所信表明にまた戻ります。  大臣、最後の十二ページから十三ページにわたって「環境行政の基盤の充実」こういうことがございます。その中に「広報活動や環境教育にも力を入れてまいりたい」、こういうお言葉がございます。環境庁における広報活動、どういうことを言われるのか、あるいはどういうことを大臣はお考えになっておられるのか。それから、「環境教育」という言葉は、たしか鯨岡さんのときにお使いになったのではないかなという気がするわけでありますが、大臣のお考えになっておる環境教育というのはどういうことであるのか、そういったことについてお聞かせをください。
  241. 梶木又三

    梶木国務大臣 環境教育でございますが、国民皆さん方に環境問題に関しまして正しい情報、知識を提供すること、こういうことによりまして、正しい理解と認識を広めてまいりまして、究極的には国民の方々が環境問題の解決あるいは改善に積極的に参加していただくことを期待をいたしておるわけでございます。  こういった観点に立ちまして、これまで環境教育の教材資料の作成をいたしました。また、それを各方面に配付をいたしております。それから、これは毎年何本かつくっておりますが、環境関係の教育映画の制作、普及、こういうことをやっておるわけでございます。こういうことで、自然公園等にはまた指導員、あるいは鳥獣保護関係には保護員、こういうような者を置きまして、自然保護の思想の普及に私ども努めておる、こういうことでございます。  五十八年度の具体的なことにつきましては、政府委員の方からひとつ答えさせていただきたいと思います。
  242. 加藤陸美

    加藤(陸)政府委員 大臣のお答えに補足させていただきます。  五十八年度予算の、乏しい中ではございますけれども、特に子供さんといいますか、十歳前後までの小さい子供さんにこそ理解していただくことが必要ではないか、社会教育ももちろん必要でございますけれども、そういうところに特に力点を置きまして、都道府県の自然環境保全地域等、いろいろ地域がございますが、これの自然観察とか学習の場として使っていただこうということで、これは文部省の方とももちろん連携をとりながら進めていこうということで、その活用方法の研究、それから先ほど大臣から御答弁申し上げましたが、いままで作成し、配布しております。これは今後も続けていくわけでございますけれども、これの配布とあわせて強化してまいりたい、こんなふうに考えております。
  243. 中井洽

    ○中井委員 私は、もう少し違うお答えになるのかなというふうな気がして実は聞いたのでありますが、それだったら、あたりまえでございます。別にこんなところへ仰々しく書くこともないなという気がするわけであります。環境行政というのは、環境庁昭和四十七年ですか、できて、いろいろな法律をつくったころには、本当に公害対策というのが何もなされていなかった。そして、余りの人命に及ぼす影響の大きさ、これにびっくりして国民世論が全部バックアップをして、そしてどんどん、どんどんとしりをたたいて環境行政をやらしてきた。十年たってまあまあ、先ほどからお答えがありますように、いろいろな施策はやってこられたし、一部環境の改善もできてきた。このごろ、環境庁は実際新しく法案をつくって何かやるというようなことではなしに、じみちなことに取り組んでいかなければいかぬ。  たとえば隣近所の騒音であるとか、あるいは空き缶公害だとか、こういうふうなことについて取り組んでいかなければならぬという状況の中で、しかも、なかなか各省庁間の縄張りがある中でむずかしい事態がある。それを突破する意味で、国民のまた違った意味での協力を得るための広報活動というものをやっているのか。たとえば空き缶公害なんかの問題でも、一人一人が捨てないようにしようというようなキャンペーンをうんとしていくんだとか、あるいは公園というものを環境庁が何もきれいにするというのじゃなしに、みんながきれいにするということでやっていけばきれいになっていくんだとか、そういう活動をするということにお金を使われるのかな、そんな感じがしたものですから聞いたわけです。  大臣行政としてやっていく環境対策、これはもちろん必要であります。大いにやっていただきたいと思うのですが、国民一人一人が、みんなの環境であるという認識のもとに日常から気をつけていく。いまちょっと官房長からお話がありましたように、小さい子供さんなんかが、これからの日本の環境ということを小さいうちから自然に教わっていく、そういったことは非常に大事なことだ、そういったことをもっともっと広げていく環境政策というのもあると私は思うのです。そういったことについて、大臣、どのようにお考えになりますか、お聞かせください。
  244. 梶木又三

    梶木国務大臣 自然を愛し、あるいは自然に親しむと申し上げますか、こういうようなことは、子供さんのときから親しむ習慣、慣習、これが大変大事だと私は思いますので、小学生の児童さん方にこういう教育がやはり必要じゃないかと私も考えておるわけでございます。緑のそういうふうに設けられました対策協議会でも、恐らくそういう問題が出てくると思うわけでございますが、文部省なんかとも十分検討し合いまして、まずそういう学校教育の面でも、環境問題だとかあるいは自然の問題、こういうような問題になじむように努めてまいらなければならない、かように考えるわけでございます。  私、率直に申し上げまして、環境庁に参りますまでは環境行政に疎かったわけでございますが、行きまして、なかなかいいものを出しておりますよ。おもしろいものもたくさんございます。いろいろな動植物の分布、これはまず基礎になると思うのですね、基礎的な資料を調査いたしまして、それを全部成果案に仕上げておりまして、そういうようなものがまとまりましたら、大分いろいろな点で役立つのじゃないかと思っておるわけでございまして、今後ともそういう方向にさらに一層の力をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  245. 中井洽

    ○中井委員 大臣、それはいいものを出しておられますよというのは、みんな知っておるわけでございます。大臣だけ御存じなかったのかもしれない。たとえば、私が言いますのは、西表島の猫ですね、ああいうやつがニュースとして出てくる、あるいはこの間から環境庁が南硫黄島ですか、一年ぐらい調査をやる、ああいうことがニュースとして出ていくこと自体が、国民環境を守っていこう、いい環境を残していこうということに大変役立つと思うのです。公害問題として起こってきたことに一つ一つ対応されていくというのも大事な仕事、あるいは患者さんのめんどうを見ていくということ、これも一つ仕事。しかし、それと同時に、よりよい環境を守っていくためにいろいろなこういうPRというのも、環境庁仕事として大事だと思うのです。そういった意味でお聞きをしているわけでございます。  私ども、子供も小さいわけでありますが、この間びっくりしたのは、カブトムシをとったことがないというわけですね、田舎にいるくせに。びっくりして、友達に頼んで連れていったわけであります。そういう、時代時代で環境も大きく変わりますし、非常に激しい科学技術の中に私どもは生きているわけでありますが、どういう環境を残すのかという選択は非常にむずかしいものがあるわけであります。  しかし、そういったことをやはり世間全体が考えていく、それの世論のトップに環境庁が立っていく、このことが大事だ、こんなふうに思います。また同時に、そういうことが去年の委員会でも議論したと思うのですが、国民がいろんな環境保全にボランティアとして参加をしていただく。先ほど大臣は、金はないけれども知恵があるんだ、こういうお話がございました。本当にお金をかけずにやっていける教育だとか宣伝、そういったことにもう少し柔軟にお取り組みをいただけたらと、こんなふうに思うのです。その点もう一度お答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。
  246. 梶木又三

    梶木国務大臣 大変有益なお話を承ったわけでございまして、大変な問題がございます。その趣旨にのっとって、教育、普及、いろんな問題に私ども取り組んでいきたい、かように考えるわけでございまして、私は、さらにつけ加えさせていただきますと、鳥を愛したり緑を愛するというような気持ちが小学生、中学生全員に出てまいりましたら、いま問題になっております校内暴力なんかも本当に少なくなるのではないか。そういう意味からも非常に大切な問題だ、かように考えておる次第でございます。
  247. 中井洽

    ○中井委員 ありがとうございました。
  248. 國場幸昌

  249. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 せんだって大臣所信を聞かせていただきました。私は特にあの中で、大臣がこれから幾つかの柱を挙げて取り組んでいきたいという中に、公害健康被害者の救済対策を充実させていきたいとおっしゃておられることには大変共感を覚えます。ぜひ患者の救済対策を充実させる立場でがんばっていただきたいものだということを切にお願いをしたいわけです。  ところで、きょうも委員会で取り上げられておりますけれども、本年の一月に臨調の第三部会が大変重大な報告を出しているわけです。この問題につきましては、すでにもう参議院の決算委員会で、わが党の安武議員も質問をしておりますけれども、この質問に対して大臣は、この公害健康被害補償協会交付金は、ほかの一般の財政援助的な補助金とは異なる性格を持っているんだと答弁されましたけれども、私、きょうここに環境庁が編集した補償法の解説書を持っておりますが、この中でも、裁判で損害賠償が求められても、この制度に基づく補償がされている場合にはその分だけ差し引かれるということを述べているわけです。つまり、端的にその言葉に示されているように、この補償交付金というのは、まさに損害賠償としての性格を持った制度の交付金だというふうに考えるわけですが、もう一度私は大臣の明確な御意見をお伺いしたいわけです。
  250. 梶木又三

    梶木国務大臣 いまお話し公害健康被害補償制度でございますが、これは民事責任を踏まえました損害補償制度でございますから、そういう意味で、公害健康被害補償協会交付金というものは、私は、一般の財政援助的な補助金とは異なる性格を持っておるということは認識いたしておる、こういうことを御答弁申し上げた次第でございます。
  251. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 第三部会報告を見ますと、「ここに取り上げたのは、約二千八百件ある補助金等を始めとする保護助成策の一部である。」こういうふうに書いているわけです。いま大臣がはっきりおっしゃられましたように、一般の財政援助的な補助金とは違う。つまり、保護助成策ではないということを言っておられるわけですけれども、当然の結果として、この交付金は保護助成策であるというふうにする臨調部会の認識というのは間違っていると言わざるを得ないのじゃないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  252. 梶木又三

    梶木国務大臣 間違っておるとか間違ってないとか、いま私がここで論ずるべき問題じゃないと思います。臨調の御判断でああいう報告を出されておるわけでございますので、それ以上のコメントはいまの段階では差し控えさせていただきたい、かように考えます。
  253. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 いまの段階では差し控えたいとおっしゃりながら、しかし、先ほどの御答弁は、事実上その入り口の議論からして間違っているという私の認識と、長官の認識とはそんなに変わったものではないというふうに受けとめておきたいと私は思うのです。  私は、そもそもこの交付金の整理合理化が問題になること自体大変唐突で、どう考えてもわかりにくいなと思うのですが、これまで交付金を減らせというような議論をだれか言ってきたことがあるでしょうか。こういう交付金を自動車重量税から支出するとか、あるいはまた、自動車メーカーに負担させようとか、ガソリンメーカーに負担させる方がいいのだとか、こういう負担方法については確かにいろいろな議論がございました。しかし、自動車重量税から支出するということを前提にして、そうしてこれを減らせという議論は一度もなかったのじゃないか。むしろ全く正反対に、自然有症や、いわゆるすそ切りですね、大きな煙突じゃなしに小さな中小企業の煙突、そういうものをとらえて、すそ切り分を公費で負担せい、補償費の中へ導入せいという主張はありました。  それはかつて経団連も、政府に対してそういう要望を出しているわけですね。ずいぶん古いですが、七六年の六月に経団連の月報では、公費負担の範囲を可能な限り拡大する、こういう主張をしておられたわけです。ところが、今回臨調の主張では全く反対で、交付金の削減ということで言われ出したことを私は大変理解に苦しんでいるわけですが、大臣は苦しんでおられませんか。その点どういうふうに考えられますか。
  254. 大池眞澄

    大池政府委員 ただいま先生お話に触れられました種々の御意見、論議というのは、この制度を創設する際あるいはその後におきましても、関係者の間でいろいろと表明がされている点でございます。私どもとしましても、中央公害対策審議会の部会におきまして、折あるごとにそういったようなことは御討議いただいているところでございますし、また、それを踏まえまして、今回の補償法の一部改正等におきましても御審議をお願いしておるということでございます。これまでそういう交付金を減らすような論議があったかということでございますけれども、そういうような観点からの論議というのは私ども経験しておりません。
  255. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 交付金の削減ということは一体どういうことになるのでしょうね。私はそのことを思うわけです。交付金の削減、だけれども、この提言でいくと、これは企業側の削減、つまり汚染負荷量賦課金の削減ということにつながっていくのじゃないか、私はそういうふうに考えていくと何かわかったような気がするわけです。今回の第三部会の提言では、交付金そのものの削減ではなく、補償費全体の削減を中身では提言しております。それを抑制するんだ。そうすると、いまの費用負担のシステムから見ますと、八割は企業が負担しているわけですから、結局企業が負担する汚染負荷量賦課金の削減ということにつながっていくわけですね。たとえば補償費が百億円ある、それを抑えて八十億円にするとしましょう。そうすると、なるほど交付金も減りますよ。しかし、汚染負荷量賦課金、企業の負担する部分も減る。こういうことになりますと、私は、この交付金の削減というのは企業側の負担軽減のために、まさにそこに結びついて言われているものではないかと、こういうふうに考えますが、どうでしょうか。
  256. 大池眞澄

    大池政府委員 御指摘のとおり、この制度の仕組み上は、確かにいま先生がおっしゃったように、八割が固定発生源、二割が移動発生源、こういう仕組みでございますので、削減があればそのようになりますし、また増大があればそのようにはね返ってくる、これは御指摘のとおりでございます。ただ、これはまだ臨調の内部での部会報告という段階でございまして、いま先生の御指摘のような趣旨であるかどうかということについては、私どもとしてはまだコメントをいたしかねる段階でございます。
  257. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私の言うことを認めてくだすったわけですが、今度の第三部会の提言というのは、そういうふうに議論の入り口のところから全くおかしいじゃないかというふうに思うわけですが、議論の出口と言ったらいいのでしょうか、その中身ですね、一つは地域指定及び解除の要件の明確化と、もう一つは療養給付の適正化、こういうふうに提言の内容が出されているわけですけれども、まず第一に「指定地域及び解除の要件の明確化」ということなんですが、この交付金の整理合理化、そういう観点からこの解除の要件の明確化、こういう問題は議論すべきことなんでしょうか。これはまさに汚染と被害の有無との関係から見ていく問題じゃなかろうか、これが第一点です。  第二は、内容的にいっても、窒素酸化物やあるいはばいじんを指定要件とするかどうかについての結論がまだ出ていないのに解除要件を検討するというのは、論理上不可能だと私は思うわけです。この点は、昨年この委員会で、私の質問に対しても当時の環境保健部長や原長官も、この点では認めておられるわけなんですが、この点についてお伺いをしたいと思います。
  258. 大池眞澄

    大池政府委員 繰り返しで恐縮でございますが、部会報告それ自体については、まだコメント申し上げる段階ではございません。しかし、窒素酸化物等を地域指定の要件に置いてどのように評価するか、あるいは解除要件をどのように明確化する等、こういった公害健康被害補償制度におきます地域指定をめぐる諸問題につきましては、環境庁に対しまして、かねてから関係各方面から御要望なり、御意見なりが寄せられてきたところでございます。これらの問題点はいずれも医学、科学の領域に非常に深くかかわる問題でございますので、科学的な知見を基盤といたしましての冷静な論議のもとに、合理的な結論を導き出すということが重要である点は、御指摘のとおりでございます。このため、私どもとしましては、いま調査研究に鋭意取り組んでいる、そういう段階でございますので、御理解を賜りたいと思います。
  259. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 それじゃ、もう一つお伺いいたします。  「療養の給付の適正化」というふうに提言があるわけですが、当然臨調側は、現在この療養の給付が適正でないという、そういうお立場からこういうふうな認識を持っているということになってくるわけですが、環境庁の方は、療養の給付というのは適正に行われていないというふうにお考えですか。
  260. 大池眞澄

    大池政府委員 公害医療におきますところの診療報酬の点でございますが、そのチェック体制といたしましては、学識経験を有する者によって構成されます公害診療報酬審査委員会におきまして審査を行いました上で、個別の医療機関に対して支払っておるところでございます。これは、各実施主体となります県、市あるいは特別区ごとに設置されて行われておるわけでございます。  こういった実施主体におきまして、適正な運営を行うための努力というものを一生懸命やっておるところでございますし、また、環境庁といたしましても、県、市、区に対します指導等を通じて、その適正な執行の確保に努めてきているところでございますが、私どもとしては、こういった適正化努力というものについては一層の努力を行っていきたい、こういう考えでございます。
  261. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 要するに適正にいま行われていないとは言えないと。もちろん今後一層適正に行われるようにというのは、お役所立場から不適正であればよいということじゃないわけですから、そういう点ではそうなんですが、これまで適正に行われてきてはいないとは言えないと、そういうことははっきりおっしゃっていただいたというふうに理解していいですね。
  262. 大池眞澄

    大池政府委員 いま申し上げました、適正、不適正というふうに二分できる事柄ではございませんで、一層の適正ということで、現在も適正化努力を行っているというふうに御説明申し上げたわけでございます。
  263. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私は今後のことを言っているのと違うのです。これまで不適正なそういう医療給付が行われていたのかということを聞いているのです。そうじゃないのか、あるのか、それをはっきりさせてください。
  264. 大池眞澄

    大池政府委員 これまでの段階で、不適正な事例を把握するというような観点での不適正な運用というふうには考えておりません。
  265. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 結構です。  大臣、聞いていただいたと思うのです。最初の大臣のこの交付金に対する認識と私の意見と一致しました。中身について、先ほどからおっしゃったように、これも私と環境庁意見とは一致しております。まさに、おっしゃるように適正に行われてきたし、それから科学的知見に立って冷静に、これからやはり指標として取り入れていくべきかどうかという問題については、これは十分検討を深めていってもらわなければならないのが指定地域及び解除の要件、私は、むしろ解除の要件というのは、そういうものをもっとちゃんとはっきりさせて、救うべきところを救ってから言ってもらいたいものだと思いますが、そういうことなんです。そうしますと、入り口も出口も全くつじつまの合わないのがこの臨調第三部会報告ということになってまいりますが、私は、この点についてはどうして環境庁長官臨調に物を申さないのだろう。郵政大臣はあの郵便貯金の利子の問題が出ましたときにすぐに発言されました。どうして大臣は申し入れをされないのでしょうか、ぜひこれはやるべきだと思いますが。
  266. 梶木又三

    梶木国務大臣 説明はいたしておりますが、向こうの判断でああいうことをやられたことに対しまして、いま私がどうのこうのコメントする段階じゃございません。
  267. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 向こうの判断でとおっしゃいますが、臨調のあの部会報告を見ますと、最後にこう結んでいるのですよ。「提言の実行について、立法府及び行政府の勇断」を「期待したい。」期待したいですから、やらぬでもいいと言ったらそれまででしょうが、勇断を求めているわけです。だから環境庁にも勇断を求められているわけです。であるとしたら環境庁としては、このような勇断はとってもお門違いだということを臨調に言うのは当然じゃないかと、私はそういうふうに考えますが。
  268. 梶木又三

    梶木国務大臣 私ども臨調にどうのこうの申し上げるよりも、先ほど保健部長も説明しましたように、やはりいろいろ情勢は変わっておりますので、どうのこうのする前に、いろいろな調査を科学的、医学的な調査をやりまして、そういう知見が集まったところで、これは冷静に判断すべき問題だ、このように考えておるわけでございます。
  269. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 そうすると、この問題に関しては、今度最終答申が出てまいりまして、そこで盛られていたとしても、それは全く環境庁としては、もう何ぼそこに書いてあっても、お受けすることはできないのだ、そういうふうなお立場で、まさに公害被害患者の救済のために努力し、そして本当に公害をなくしていくために、だれが何と言っても国民立場というのでしょうか、環境庁本来の立場としてがんばっていきます、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  270. 梶木又三

    梶木国務大臣 冷静に判断していきたい、かように考えております。
  271. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 冷静に判断していきたいというお言葉を、私は素直にこの際受けとめておきたいと思います。そして、まさに所信表明でおっしゃったように、その患者の救済のために、そのためにこそ、環境をよくしていくためにこそ環境庁はあるのだということでがんばっていってもらう、そういうふうに受けとめておきたいと思うのです。だけれども、あえて言うなら、本当に郵政大臣のような、そういう立場をとってもらいたいものだ、いまなおその気持ちを抑えて次の質問に移りたいと思います。  きょうもずいぶん緑の問題が出てまいりました。最近各地で起きている緑と自然を守る住民運動、自然保護の問題について私も聞いておきたいと思うのです。  この自然保護の意義については、言うまでもありませんが、この日本の自然環境をめぐる状態はきわめて深刻なものがあると思います。この点は私だけではなしに、昭和四十八年に閣議で決定しました自然環境保全基本方針でも「現に自然環境破壊は容赦なく進んでおり、その規模において、多様性において、国土のいたるところで深刻な問題を提起している」こういうふうに述べております。この原因については、何といってもいまのこの大企業優先の政治に最大の問題がある、最大の責任があるというふうに言わざるを得ません。  特に高度経済成長時代には猛烈な勢いで自然破壊が進行しまして、たとえば東京湾、伊勢湾、大阪湾などでは自然海岸は一〇%以下という状態になりました。一方、過密と過疎が進行しまして、都市では緑が失われ、また過疎地でも、林道に過疎の打開の期待をかけて、つまり自然を破壊していくというような状態が出てまいりました。石油ショックによって高度経済成長政策にストップはかかりましたけれども、こうした自然環境破壊の進行はブレーキがかかっただろうか、私はかかっていないというふうに思うわけです。瀬戸内海では依然として埋め立てが進行しています。先ほどの新空港の問題なんかも、大阪湾、もうわずか一〇%以下に残された自然海岸も、これによっていよいよなくされようとしております。また志布志などのように、石油備蓄や発電所などのエネルギー立地を進めていくという中で奪われていっております。  都市及びその周辺における緑の破壊も、こういう状態の中で一層進む一方ですが、昭和五十三年から五十四年の第二回自然環境保全基礎調査でも、野生動物の減少だとかあるいは照葉樹林や湿原の減少が報告されているわけです。総理府が一昨年世論調査をやっておりますが、この中でも政府の自然保護行政を評価するのは、国民のわずか二〇%しか評価しておりません。五七%の人々が政府の行政を消極的だというふうに評価をしております。こういう国民の声をどう受けとめておられるでしょうか。
  272. 梶木又三

    梶木国務大臣 企業活動なり大規模の開発事業、これはいまおっしゃるような悪い面ばかりじゃないと私は思います。功罪両面あるわけでございまして、自然保護あるいは環境保全、こういう面から見れば若干マイナス面もあったかもわかりませんが、わが国がこのように豊かになった大きな力はそこにもあったわけでございます。だから、今後は環境保全、これにもちろん留意をしなければなりませんし、それが一番大事な問題でございますが、四十五、六年から、皆さん方に大変お力を尽くしていただいたおかげで、大分環境も改善されまして、公害関係も漸次少なくなってきつつある現状でございます。まだ十分とは私決して申し上げませんが、そういう状態でございますから、ただ悪い面ばかりを御指摘になりまして、これはだめだ、あれらだめだとおっしゃってもなかなかそのようにはまいらない、かように考えるわけでございます。
  273. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私は企業活動全部をけしからぬなんて言っていませんし、あれもこれもだめだ、そういうことで言っているのじゃないです。現状をいま大臣に聞いていただいたわけです。それにしても、いまのこの自然保護の体制の仕組みにはやはり大きな欠陥がある、私はそういうふうに思うわけです。  いろいろな問題があると思いますが、一つの問題は、自然の保護、緑の保護についての総合的な計画や基準がないというところに一つの問題があると思うのです。なるほど、この自然保護に関する基本法とも言われるような自然環境保全法、四十七年につくられておりますが、これも自然保護全体の問題をとらえた法律なんですが、しかし非常に抽象的なんですね。そして、自然環境保全基本方針と、それから、いわゆる緑の国勢調査というのを決めているわけです。これでは自然保護の基本法とはまだ十分言い切れないような弱さを持っております。また昭和五十二年には環境保全長期計画、今度はそれを、先ほどのお話では、環境保全長期計画をまた新たに見直していくというお話でしたけれども、これももともと法的な根拠を持っているというようなものではないですね。だから、国立公園の拡大というようなことを除いてしまえば、長期計画をつくったけれどもつくりっ放し、緑の国勢調査も、調査をするのなら何かもっと積極的な行政施策と結びついていかなければならないけれども、そうはいっていない。そして、都市部は建設省、それ以外は農水省ということで縦割りになって、緑を保護するためにここらでもやっていると言うのですが、総合的な計画になっていないわけです。本当に環境庁は、こういう点ではもっと権威を持ってもらいたいものだ。そのためにもっと抜本的に改善をする必要があるのじゃないか。先ほど大臣は、環境庁は金はないけれども頭脳があるとおっしゃいました。私も職員皆さん頭脳信頼しております。しかし、幾らすぐれた頭脳があっても、そういうものがあっても、環境庁がもっと権限を発揮して仕事をやっていけるようなものがなければ、頭脳は宝の持ちぐされになるわけですから、そういう観点からもっと抜本的に改善する必要があるのじゃないかというふうに思いますが、どうでしょう。
  274. 梶木又三

    梶木国務大臣 いま私ども役所で持っております頭脳、決して持ちぐされになっていないと私は思います。  それで、緑を守ること、これはいまお話しのとおり大変大切なことでございますが、やはりそれぞれ専門といいますか、たとえば私どもは、自然環境保全法あるいは自然公園法、こういう法律をもちまして、それに基づいて自然の保護、緑の保護と申し上げますか、それをやっておりますし、また都市関係では、緑地保全法というようなものは建設省でやっておられますし、山林関係になりますと森林法ということで、林野庁がそれぞれの専門的立場で育成、植樹、いろいろなことをやっておられる。ですから、それぞれ持ち分を十分生かしてやることが大事でございますから、今回も総理府に連絡会議を設けた、こういう経緯でございまして、みんなが寄り合いまして知恵を出し合って、一番いい方法で日本の国の緑を育成し、守っていく、こういうことじゃなかろうかと思うわけでございます。
  275. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 それでは、私はここで一つの提案をしておきたいと思うのです。  いま、緑、緑と一番叫んでいるのは都市部なんですね。この都市部の中の市街化区域内の農地、これは現在では大都市圏の中の非常に重要な緑地としての役割りを果たしている、これはわかっていただけますね。ところが、住宅サイドやあるいは自治省では、宅地並み課税ということでこういうものをなくしてしまおうという。一方、環境庁環境保全長期計画を見ますと、市街化区域面積の三〇%以上の緑地が必要だ、こういうふうに書いてあるわけですね。これは大変いいことですが、しかし実際には、その間に何の連絡もないわけです。だから、都市の緑というのがどんどん失われていく、一番緑を叫んでいるのは都市の人たち、こういうことになっていくわけなんです。  一昨年環境庁が発行しました「自然保護行政のあゆみ」というのを見ますと、自然環境保全法の法案の作成の際に、新たに全国土を大まかな土地利用区分による地域に分けて、自然度あるいは緑被度を設定し、その範囲内で開発を許容していく、こういうふうなことを検討されていたようにうかがえるわけなんですが、私は、これはいわば地域ごとの緑の環境基準とも言えるものじゃないか、大変いいことだというふうに思うのです。一定の基準を設定して、政府と自治体が一体になって基準の達成に向けて取り組んでいく、そういうことがいま求められているのではないかというふうに考えますが、大臣はいかがでしょう。
  276. 山崎圭

    ○山崎政府委員 御指摘のように、たとえば緑被度を物差しとしました緑の環境基準というようなものをつくったらどうか、そしてまた、経過的にはそういう考え方も自然環境保全法の原案といいますか、立案段階で内部的に議論が行われたことは事実であります。しかし、結局のところ、いまのような姿、ある保護すべき地域を定め、そこの地域において特に重要な地域を指定いたしまして、ある特定の行為を規制していく、こういう手法をとったわけでございます。それといいますのも、そういう環境基準的なもの、こういう物差しが自然というものについてはなかなかなじみにくい、こういう技術的な理由があったということであります。  つまり、自然というものはきわめて多様でございまして、複合された姿でわれわれを取り巻いておるわけでありますから、そういうものの中で、そういう緑被度というようなことでいいのかどうかということで、とてもそこまで踏み切れなかったというわけであります。  ただ、そういう一つ考え方があり得るということは私どもも認めておりますので、困難ではあります、しかし、せっかく勉強は続けていきたい、こういうふうに考えておるところであります。
  277. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 もう一つ、緑の国勢調査で、同じような観点から聞いておきたいと思うのです。  この第二回の緑の国勢調査では、特定植物群落の調査が行われまして、そしてその中で、日本の代表的な森林である照葉樹林というのが非常に減少してきた、もう全森林面積のわずか〇・〇六%しか残っていない、しかも、残っているのは、開発不可能なところだとか、あるいは鎮守の森など特殊なところだけになってしまっているということが明らかになったというふうに言われているわけです。  環境庁はこういう調査の結果、「群落の存続を脅かすような事態は、事前に把握し、適切に対処することが望まれる。」こういうふうに調査報告書の中で言われているわけですが、「望まれる。」ということだけでははなはだ心もとないわけですね。こういうことになるから、なかなか現実に、環境庁がせっかくいろいろ分析された、国勢調査というのは大変な調査だと私は思うのです。大臣の言われるように、すぐれた頭脳を駆使してあれだけの膨大な資料をまとめ、そして、そういう結論を出しながら、「望まれる。」という言葉でしか言えない。だから私は、さっきそういうことを言ったわけです。だけれども、具体的に何か考えておられるとしたら、私は、ここで明らかにしていただきたいと思うわけです。
  278. 山崎圭

    ○山崎政府委員 御指摘のように、五十三年度、五十四年度で行いました第二回の緑の国勢調査結果で、照葉樹林というものが減ってきている、こういう調査結果になっておるわけでありますが、これは、照葉樹林というのは、先生案内のように、歴史的に見て、非常に長く日本の西南地区を覆っていた。しかし、古くから西南地区を中心に人間の活動が非常に盛んでありまして、薪炭用に伐採されましたり、その跡地はヒノキの人工林やあるいは水田、畑地に変わっていった、こういうような歴史的な経過があるわけであります。  現在時点における主要な照葉樹林というのは、全国で九百三カ所、総面積が一万六千ヘクタール余、一カ所当たりの面積が平均十七・八ヘクタール、こういう結果になっておりますが、そのうちの半分以上が社寺林、いわゆる鎮守の森、こういう形で保存されているわけであります。  この報告書のまとめで、「群落の存続を脅かすような事態は、事前に把握し、適切に対処することが望まれる。」と確かに記述しておるわけでありますが、これは本来、調査の結果をそのまま、ありのまま公表する、これが私どものねらいでございまして、対策は次の課題になろう、こういうふうに考えるわけであります。  いまのそういう照葉樹林を含め植物群落があるわけでありますが、私どもの自然公園法あるいは自然環境保全法で保全に努めてまいりたい、こういうふうに思っておりますが、そういう選定基準に基づき選ばれた群落というのは、面積で約九割以上が自然公園あるいは自然環境保全地域に含まれております。その残余の部分についてあるいは保護が必要になる、こういうことになろうかと思いますが、これは、私どもの持っております法律のみならず、他省庁の法律による対応、あるいは小規模のものであれば自治体の条例による保護、こういうようなことであろうかと考えているわけであります。また、そういうことのための地域住民の理解あるいは認識を深めるためにもこういうものを公表している、こういう関係になっておるわけであります。
  279. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 それでは、具体的にお伺いをしていきたいと思うのです。  照葉樹林が激減している中で、先ほどおっしゃったように全国九百三カ所、一万六千ヘクタールある中で、大阪なんというのは全くひどいのですね。個所数は二十四カ所ですからなるほどと思うのですが、三十三ヘクタールで〇・二%にしか当たらない。そういう本当に限られたところです。したがって、まさに鎮守の森というようなところ、特殊なところだけが残っているわけです。いまその中の一つ破壊されようとしてきているわけです。これは大阪府和泉市の聖神社という社寺林で、ここは照葉樹林の中でも特に貴重なシリブカガシという林があります。いま道路計画でこの林が破壊されようとしているわけです。  まず、そこでお伺いしますが、和泉市の聖神社にあるシリブカガシ林は環境庁調査でも取り上げられていると思うのですが、どういうふうに評価しておられるか、その点をお伺いします。  御答弁いただく前に、委員長、お許しを願ってそのシリブカガシの実、つまりドングリ、これは非常に珍しいといいますので拾ってきましたから、長官に差し上げたいと思います。
  280. 山崎圭

    ○山崎政府委員 大阪府和泉市の信太山聖神社におけるシリブカガシ林、これは私どもの通称緑の国勢調査で、特定植物群落として選定されております。
  281. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 特定植物群落というのはどういうことなんですか、もう少し丁寧に。
  282. 山崎圭

    ○山崎政府委員 私ども調査でございますが、当然のことながら、すべての植物群落を挙げるわけではございませんで、ある一定の基準を設けまして、その基準にはまったものを挙げている、こういうことでございますが、当然特定植物群落の選定基準にはいろいろなランクがあるわけでございまして、A、B、C、DからHまでのランクづけをしまして、Aというのは最も価値の上で高いもの、「原生林もしくはそれに近い自然林」、こういうようなことから、たとえばFでは、「過去において人工的に植栽されたことが明らかな森林であっても、長期にわたって伐採等の手が入っていないもの」、こういうような例を申し上げればおわかりいただけるかと思いますが、そういうような選定基準で選定をした群落でございます。
  283. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私はここに「大阪府動植物分布図」というものを持っておりますが、これが自然環境保全基礎調査になっております。ここで見ますと、おっしゃったようにA、B、C、D、E、F、G、Hまでございまして、ここはHに属するわけです。そして、「その他、学術上重要な植物群落または個体群」ということで指定されているというふうに読みましたけれども、そういうことでよろしゅうございますね。
  284. 山崎圭

    ○山崎政府委員 そのとおりでございます。
  285. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 ここのシリブカガシ林は、発見されたのはむしろ最近というのでしょうか、余り以前じゃなかったわけです。昭和四十五年の文化庁が行った天然記念物緊急調査では、ここではなくて、現在大阪府が天然記念物に指定しております堺市の美多弥神社のシリブカガシ林が府下唯一のものであるということでされていたわけです。ところが住民団体であるいずみの自然と歴史を学ぶ友の会の調査で、だんだんその全容が明らかになってきたのですが、その規模は大阪府の天然記念物である美多弥神社のシリブカガシ林と比べまして、木の本数で言えば五倍、その面積も合計一万二千平米ということで、シリブカガシというのは大阪近辺が北限になりますから、これだけの規模のものはまず全国的にいっても貴重な存在だというふうに言われ、専門家も、大阪の原植生を知る上でもかけがえのない重要な貴重な資料だというふうに言っております。  そういうことで、環境庁調査でも、環境庁の方も学術上重要というところを評価しておられるわけなんですけれども、きょうは文化庁にもお願いをしておりますが、ここを国の天然記念物にするかどうかというようなことは、きょうはもう全然別にしましても、天然記念物緊急調査趣旨からしまして、このシリブカガシはぜひ保護されるべきものではないかというふうに考えますが、どうでしょうか。
  286. 小埜寺直巳

    ○小埜寺説明員 お答え申し上げます。  ただいま話題になっております社叢などのうちで、学術上大変貴重なものにつきましては、文化財保護行政のサイドからも、国あるいは都道府県、市町村の段階におきまして天然記念物ということで指定をし、保護に入っております。  先ほどから話題になっております大阪府下のシリブカガシ林につきましても、先ほど先生お話がありましたとおり、私どもの四十五年の調査で、堺市の美多弥神社の社叢が発見されましたので、四十八年に大阪府の教育委員会はこれを指定し、保護をしてございます。いま問題になっております聖神社のシリブカガシ林につきましては、大阪府の教育委員会からの報告によりますと、先般地元の保護団体の方から、天然記念物にしてほしいという要望が出されておりまして、現在大阪府の教育委員会において検討中であるという報告を承っております。文化庁といたしましても、今後大阪府の教育委員会と密接な連絡をとりながら、この問題に対処してまいりたいと思っております。
  287. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 聞いていただいたように、ここは学術上貴重だということはわかっていただいたと思うのですが、もちろん周辺はもうどんどん開発されて、住宅に変わっていっておりまして、大きな団地が横にあります。この辺の子供たちはわずかにここにだけしか、先ほど差し上げたドングリを拾いに行くこともできないわけです。こんな町の子供が、自分の住んでいるちょっと横でドングリがあるなんということは、このごろ本当に珍しいのです。その珍しい中でも、ここはそういうことで、子供たちが写生に行ったり、あるいはそこで授業を受けたりという、自然を学ぶ上で本当に貴重な存在になっているわけです。  それで、きょうは建設省にもお願いをしておりますが、一・二ヘクタールという面積を持っておりますから、こうなりますと、都市緑地保全制度の活用も可能ではないかと私は思うのです。もちろん緑地保全地区として指定するかどうかということになりますと、ほかのいろいろな要素が出てきて、それを考えていかなければいかぬと思うのですが、少なくともこの法律に列挙されている要件で見ていくと、これは明らかに該当するのではないか。特に聖神社は国の重要文化財に指定されている大事な神社ですので、そういう点からもそういうふうに考えますが、建設省の見解をお伺いしたいと思います。
  288. 城野好樹

    ○城野説明員 御説明申し上げます。  都市緑地保全地区というのは、先ほどお話がございましたように、樹林地、草地、水辺というようなところで、一定の要件を満たす土地の区域につきまして、その自然的な条件、土地の利用の動向を勘案しまして、都市に緑地を保全する地区として都道府県知事が定める都市計画でございます。したがいまして、その指定の可否ということにつきましては、都道府県知事、この場合には大阪府知事が、当該土地がこれらの要件を満たすかどうか検討の上、行うということになるのではないかと考えております。
  289. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 都道府県知事がそういうことを行うということはよくわかっているのですが、しかし、少なくとも法律に列挙されている要件には該当するのではないかということを聞いているのです。そういうことはよくわかっての上で建設省に御意見を求めているわけです。
  290. 城野好樹

    ○城野説明員 御説明をいたします。  都市緑地保全法では、無秩序な市街化の防止、公害、災害の防止等のための遮断地帯、緩衝地帯、避難地帯としてのもの、それから、神社、仏寺等の建造物、遺跡と一体となって、もしくは伝承、風俗慣習と結びついて伝統的または文化的な意義があるもの、それから、風致または景観がすぐれており、当該地域の住民の健全な生活環境を確保するために必要なものということで、非常に即地的な判断ということになっております。  したがいまして、その土地について一番よく事情を御存じの市町村長、それから都道府県知事というのが全体的にそれらの土地を、たとえば緑地保全地区にするとか、公園として整備するとか、そういうような判断をいたしました上で、都市計画上の位置づけとして決める、こういうことでございますので、即地的な判断はあくまでこの場合は大阪府の知事にお願いをするということでございます。
  291. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 いずれにしても、挙げられた三つの要件は、この法律に列挙されている要件に該当していっている。あとの問題は即地的な問題ですから、これは当然市長や知事によって判断していくものだ、そういうことはよくわかりました。  大臣、こういうことなんです。都市の緑が破壊されるというのは、まさにこういうような形で、周りが非常に大事だと言い、そして残してくれと言い、こうしながら、にもかかわらずやはり道路が通って、やがて木が枯れていく。鎮守の森だってそうなんですよ。都市にある鎮守の森というのは、鎮守の森であってほとんど鎮守の森でないものになった。周りがずっと削られていって、本当にこそっとした残り方なんです。そうすると、そこにある木はそれで生きていけなくなって枯れていく。鎮守の森は、鎮守さんは残っているけれども森の方はなくなる、こういう形になっているわけです。  しかし、ここのシリブカガシというのは、環境庁調査でも文化庁でもいま非常に位置づけをはっきりしてくださいました。私は、現在の自然保護の体制上、権限は環境庁にはないと思いますが、しかし、残り少なくなった照葉樹林の、大阪府にいまたった一つしか指定されていない、それの五倍もある大きなシリブカガシ林が見つかったということで、非常に大事な存在だということになれば、先ほどの、存続を脅かすような事態を把握し、適切に対処することが望まれるという、その御意見を大いに発揮していただいて、何とかこの緑の調査を生かしていくためにも、調査のしっ放しにしないためにも、ここでひとつ大事なこのシリブカガシ林を残していこうじゃないかという立場で、環境庁も何とかそこで動けるものはないかということを検討していただきたい、あるいは大阪府だとか当該市に対しても働きかけて、事情聴取をするとか、必要があれば建設省とも連絡をとっていくとかいうことで、そういう具体的な、単にその地域のちょっとした緑がつぶれるということじゃなしに、まさに学術上位層づけられた、そこがなくなる可能性もある道路の建設になるわけですから、道路といっても小さいですが、しかし、そこに建設されるということになるのですから、その点で、庁としてここでその具体的な動きを見せてほしいなと思うのですが、いかがでしょうか。
  292. 梶木又三

    梶木国務大臣 私ども、緑の国勢調査、ただ調査して、それを成果品にまとめてそのままにしておきっ放しだとかいう気持ちは毛頭持っておりません。やはりこれを何らかの形で利用するために国勢調査をやったわけでございます。ただ、都市近辺におきまして、住宅地というのもこれは庶民のいま切実な要求でございますから、大阪のいまお話しの実態、私はいまお話を承っただけで実態がよくわかりませんので、どのようになっておるかはわかりませんけれども、住宅地を開くことも大事でございますが、私なんか子供のとき、いまいただいたようなドングリを拾って遊んだものでございますから、やはり住宅地の子供さんたちにもそういうところを残しておく、これは大切なことだと思いますので、建設省だとかいろいろな関係省庁と打ち合わせまして、できるだけそういう貴重な照葉樹林は残していただきたい、こういう意見は申し上げたいと思います。
  293. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 どうもありがとうございました。  終わります。
  294. 國場幸昌

    國場委員長 これにて大臣所信に対する質疑は終了いたしました。      ────◇─────
  295. 國場幸昌

    國場委員長 次に、内閣提出公害健康被害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨説明を聴取いたします。梶木環境庁長官。     ─────────────  公害健康被害補償法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  296. 梶木又三

    梶木国務大臣 ただいま議題となりました公害健康被害補償法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  公害健康被害補償法は、相当範囲にわたる著しい大気汚染または水質の汚濁の影響により健康が損なわれた人々に対して、その迅速かつ公正な保護を図るため、各種補償給付の支給等を実施することとしております。これらの実施に必要な費用のうち慢性気管支炎等の非特異的疾患に係るものにつきましては、大気汚染防止法に規定するばい煙発生施設等を設置する事業者から徴収する汚染負荷量賦課金を充てるほか、自動車に係る分として、昭和四十九年度から昭和五十七年度までの間におきましては、自動車重量税の収入見込み額の一部に相当する金額を充てることとされてまいりましたが、今回、昭和五十八年度及び昭和五十九年度の措置を定めるため、この法律案を提案した次第であります。  次に、この法律案内容について御説明申し上げます。  今回の法律案は、昭和五十八年度及び昭和五十九年度において、政府は、引き続き、大気汚染の原因である物質を排出する自動車に係る費用負担分として自動車重量税の収入見込み額の一部に相当する金額を公害健康被害補償協会に対して交付することとするものであります。  以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  297. 國場幸昌

    國場委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  298. 國場幸昌

    國場委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  公害健康被害補償法の一部を改正する法律案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  299. 國場幸昌

    國場委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人出頭の日時、人選、手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  300. 國場幸昌

    國場委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十三分散会