○
松浦政府委員 確かに
岡田委員御指摘のように、対米
関係の
漁業につきましては非常に複雑になっておりまして、むずかしい事態を迎えていることは事実でござい
ます。特に四月の米国による対日
漁獲割り当て量は、わが国がIWCの決定に対して行った異議の申し立てを理由にいたしまして、年間割り当て予定量の約九%、約十万トンでござい
ますが、これが留保されているという
状況になっており
ます。ただ、私
どもといたしましては、このような捕鯨問題と絡めて割り当てを留保するということはいかにも納得ができない点でございまして、本来、捕鯨問題というのは
漁獲割り当てと別個の問題であると
考えますし、また今回
日本政府が行いました異議の申し立てば、わが国の立場を留保したということでございまして、
現実に何もIWCの
条約に
違反したようなことはやっていないし、異議の申し立ては当然の権利でござい
ます。それからまた、日米間でいろいろと将来の問題を打開すべく
話し合いを続行している最中にこういうことをやっているということはまことに納得できないということで、実は速やかに留保分を割り当てるように、
外務省にも大変な御
協力をいただきまして、外交ルートを初めとしてあらゆる機会をとらえまして米側に申し入れているところでござい
ます。私自身も四月八日に在日の米大使館のピース公使に来ていただきまして、
日本の立場を
説明して、ぜひこれは本国
政府にも伝達してほしいということを話をいたしておるところでござい
ます。私
どもといたしましては、捕鯨問題についてぜひとも米国側の
理解を求めていくということに最大限の
努力を傾注して、留保分が速やかに放出されるように最大の
努力をいたしたいと思っており
ます。
それからなお、お触れになりましたいわゆるスチーブンス法案でござい
ますが、これは本年の三月十日に米国大統領が排他的な経済
水域設定に関する宣言を行いまして、これによって同日付でスチーブンス上院議員が排他的経済
水域法案というものを上院に提出しまして、審議がされるということでござい
ますが、まだ具体的な審議が行われたということは聞いておりません。
このスチーブンス法案の中で、先生も御指摘のように、いわゆる一定の期間をもってフェードアウトするということがあるわけでござい
ますが、この点につきましては、やはりスチーブンス法案の背景として、入漁国からの水産加工を含む
漁業面での一層の
協力を得ることができるために、またそういうことをやって早く米国
漁民が未利用の底魚
資源の開発をしたいということで、これをある
意味ではてこに使っているのじゃないかという
感じがいたすわけでござい
ます。
そこで、私
どもとしましては
外務省とも十分
協議をいたしまして、米国の議会においての本法案の審議
状況を十分に把握いたし
ますと同時に、米国の
水産業界に対しましても、機械的に五年間でわが国の
漁船が米国
水域から締め出されるということになったら日米の
協力関係は決してうまくいかない、アメリカにとっても決してプラスのことではないということを十分
説明いたしまして、今後このようなことが実現されないように最大の
努力を払ってまいりたいと思い
ます。