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北山委員 大臣、そのように言われますけれども、
外交青書なんか見てもはっきりと違うのですね。五十四年の
外交青書というのは完全な体制の相違を乗り越えて友好
関係を結ぶということをはっきり言っているのです。その次の大平
内閣ですか、なってからは、完全に自由民主という一つの理念を守るということを
外交の
基本に据えているわけです。
外交なんというのはそんな体制の相違というのは本当は別なんです、防衛の問題も。だから、体制を守るための防衛ということになってくる。いわゆる西側陣営、資本主義の体制を守る、社会主義とは敵対する、場合によれば核戦争も辞さないといった、そういう方向へ行くのじゃないでしょうか。ですから、私は納得しませんけれども、しかしともかく全方位の
外交、いわゆる日中が可能であると同様に、将来いろいろな障害はあるにしても、日ソにしても体制の相違を乗り越えた友好が結べないわけはないと思うのです。そういう方向へ
日本としては
外交の
基本を据えていくべきではないか、こう思います。
そこで、問題は、対米従属が深まっている点なのですが、それが最も端的にあらわれているのが、国連の中での核とか軍縮の問題についての諸決議に対する
政府の態度でございます。私の聞いたところで、去年の十二月の国連総会での諸決議ですね、たくさんございますけれども、その中で、いわゆる唯一の被爆国として、しかも非核三原則を持つ
日本としてはどうかと思われるような態度をそういう決議に対してとっているということであります。
たとえば、
核兵器凍結に関する決議に対して反対している。核の不配備の決議に対しても反対をしている。
核兵器の先制不使用の決議に対しても反対をしている。中性子兵器禁止の決議に対しても反対している。それから、包括的核軍縮に対する決議に対しても反対している。それから、去年の国会で問題になりました核不使用の条約については、今回は棄権しているということでありますが、その他のたくさんの決議に対しては今度は棄権だということでございまして、これは納得できないですね。国内では核廃絶をうたって、そして再び広島、長崎のような惨禍は繰り返さない、こういうようなことを言っておきながら、国際政治の舞台で
政府のとっていることはそれと逆なような方向ですね。そして、それは常に
アメリカの
政策に追随している少数派なんです。
たとえば、中性子爆弾の兵器の禁止に対して反対しているというのはどういうことですか。中性子の兵器に対して賛成するということなんです。おかしいじゃないですかね。あるいは非核三原則を持っていますから、いまの
核兵器が拡散されることに対しては
日本の
基本方針としては反対するのがあたりまえ。それを、核を不配備、いわゆる
核兵器のない国に
核兵器を配備しないようにするという決議に対して、反対しているというのはどういうことですかね。こういうことについての理由も、実は
外務省から書いてもらったのですが、ちょっとこの理由がわけがわからないですね。もしも理由がどうであるかということについて二、三
説明があれば、たとえば核先制不使用の決議、核を先に使わない、この決議、しかもそれには
中国とかソ連とかそういう国が入っていないならいいのですが、入っておって賛成しておるんですね。ですから、先制不使用の決議というものは絶対的なものじゃないにしても、そういう相手の国もまた入って一緒に決議をするというのがやはり一種の抑制力になるのだと私は思うんですね。そういう決議を積み重ねていって核軍縮の方向に行くのじゃないでしょうか。これに反対するというのは何事ですか。
ですから、こういう点について要求したいことは、去年の国連総会における諸決議に対する態度、これを全部国民に報告すべきなんですね。最近の
外務省の情報を見ましても、詳しくは書いてないんですね。
新聞も書いてない。たくさんの決議でありますから、賛成国はどこで、反対はどこで、棄権はどこで、
わが国はどのような態度をとったか、どういう理由でそういう態度をとったか、これを国民に明らかにする義務があると思うのです。国内では体裁のいいことを言っておいて、国際政治の中では
日本は
アメリカと一緒になって、そして
核兵器をむしろ是認するような態度をとっている。これは国会の決議にも反することなので、私はひとつこのことを資料としてはっきり出してもらいたい。国会にも出し、あるいは国民に対しても知らせる必要があると思うのです。どうですか。