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1983-02-23 第98回国会 衆議院 外務委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十七年十二月二十八日) (火曜日)(午前零時現在)における本委員は、 次のとおりである。    委員長 中山 正暉君    理事 麻生 太郎君 理事 奥田 敬和君    理事 川田 正則君 理事 竹内 黎一君    理事 高沢 寅男君 理事 土井たか子君    理事 玉城 栄一君 理事 渡辺  朗君       石原慎太郎君    木村 俊夫君       北村 義和君    鯨岡 兵輔君       小坂善太郎君    佐藤 一郎君       玉沢徳一郎君    浜田卓二郎君       古井 喜實君    松本 十郎君       宮澤 喜一君    山下 元利君       井上  泉君    井上 普方君       河上 民雄君    小林  進君       大久保直彦君    林  保夫君       中路 雅弘君    野間 友一君       伊藤 公介君     ───────────── 昭和五十七年十二月二十八日  中山正暉委員長辞任につき、その補欠として  竹内黎一君が議院において、委員長に選任され  た。 ────────────────────── 昭和五十八年二月二十三日(水曜日)     午後三時四十七分開議  出席委員    委員長 竹内 黎一君    理事 奥田 敬和君 理事 川田 正則君    理事 浜田卓二郎君 理事 山下 元利君    理事 井上  泉君 理事 北山 愛郎君    理事 高沢 寅男君 理事 土井たか子君    理事 玉城 栄一君    木村 俊夫君       北村 義和君    鯨岡 兵輔君       小坂善太郎君    佐藤 一郎君       玉沢徳一郎君    中山 正暉君       松本 十郎君    八木  昇君       渡部 一郎君    林  保夫君       野間 友一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 安倍晋太郎君  出席政府委員         防衛庁防衛局長 夏目 晴雄君         外務大臣官房長 枝村 純郎君         外務大臣官房審         議官      田中 義具君         外務大臣官房外         務参事官    都甲 岳洋君         外務省アジア局         長       橋本  恕君         外務省北米局長 北村  汎君         外務省条約局長 栗山 尚一君         外務省国際連合         局長      門田 省三君  委員外出席者         外務委員会調査         室長      伊藤 政雄君     ───────────── 委員の異動 昭和五十七年十二月二十八日  辞任         補欠選任   井上 普方君     北山 愛郎君   小林  進君     八木  昇君   大久保直彦君     渡部 一郎昭和五十八年二月一日  辞任         補欠選任   中路 雅弘君     不破 哲三君   野間 友一君     金子 満広君 同日  辞任         補欠選任   金子 満広君     野間 友一君 同月十日  辞任         補欠選任   北村 義和君     正示啓次郎君   玉沢徳一郎君     澁谷 直藏君   林  保夫君     竹本 孫一君 同日  辞任         補欠選任   澁谷 直藏君     玉沢徳一郎君   正示啓次郎君     北村 義和君   竹本 孫一君     林  保夫君 同月二十三日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     中路 雅弘君 同日  理事竹内黎一君昭和五十七年十二月二十八日委  員長就任につき、その補欠として山下元利君が  理事に当選した。 同日  理事奥田敬和君、高沢寅男君及び土井たか子君  同日理事辞任につき、その補欠として浜田卓二  郎君、北山愛郎君及び井上泉君が理事に当選し  た。     ───────────── 一月二十七日  日米安全保障条約廃棄等に関する請願中路雅弘紹介)(第一二三号)  核兵器禁止全面軍縮等に関する請願枝村要作紹介)(第一五四号)  同(上原康助紹介)(第一五五号)  同(長谷川正三紹介)(第一五六号) 二月五日  核兵器禁止全面軍縮等に関する請願井岡大治紹介)(第二〇五号)  同(串原義直紹介)(第二〇六号)  同外二件(城地豊司紹介)(第二〇七号)  同(竹内猛紹介)(第二〇八号)  同(武藤山治紹介)(第二〇九号)  同(村山喜一紹介)(第二一〇号)  同(米田東吾紹介)(第二一一号)  同(井岡大治紹介)(第二六九号)  同(広瀬秀吉紹介)(第二七〇号)  世界連邦実現等に関する請願中西啓介紹介)(第三三四号) 同月九日  核戦争阻止核兵器全面禁止に関する請願(林百郎君紹介)(第三九三号)  日米安全保障条約廃棄等に関する請願中路雅弘紹介)(第三九四号)  核兵器禁止全面軍縮等に関する請願武部文紹介)(第四九八号) 同月十六日  核兵器禁止全面軍縮等に関する請願串原義直紹介)(第五三三号)  同(佐藤誼紹介)(第五三四号)  同(鈴木強紹介)(第五九五号)  同(井岡大治紹介)(第六五三号)  同(川本敏美紹介)(第六五四号)  同(串原義直紹介)(第六五五号)  核兵器全面禁止使用禁止国際協定締結促進等に関する請願安藤巖紹介)(第五九四号) 同月十八日  核兵器禁止全面軍縮等に関する請願井上一成紹介)(第八二三号) 同月二十一日  核兵器全面禁止使用禁止国際協定締結促進等に関する請願中路雅弘紹介)(第八五三号)  同(野間友一紹介)(第八五四号)  同(東中光雄紹介)(第八五五号)  同(三浦久紹介)(第八五六号)  同(村上弘紹介)(第八五七号) は本委員会に付託された。     ───────────── 二月十七日  朝鮮民主主義人民共和国へ帰還した日本人妻安否調査に関する陳情書外四件(第一九号)  核兵器の廃絶に関する陳情書外一件(第二〇号)  日朝民間漁業協定交渉再開促進に関する陳情書(第二一号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  国政調査承認要求に関する件  国際情勢に関する件      ────◇─────
  2. 竹内黎一

    竹内委員長 これより会議を開きます。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  このたび、はからずも再び私が外務委員長の重責を担うことになりました。  御承知のとおり、現下の国際情勢は、米ソを中心とする東西関係や南北問題、経済問題や資源エネルギー問題等々難問が山積いたしております。  こうした情勢の中で、きわめて重要な使命を有する本委員会委員長に選任されまして、その責任の重大さを痛感いたす次第であります。  幸い、委員各位におかれましては、外交について練達堪能な諸先生ばかりでございますので、皆様方の御指導、御鞭撻を賜りまして、その職責を全ういたしたいと考えております。  また、委員会運営に当たりましては、本委員会のよき慣行を守りまして、公正円満なる委員会運営に努める所存であります。  何とぞよろしく委員各位の御協力をお願い申し上げます。(拍手)      ────◇─────
  3. 竹内黎一

    竹内委員長 理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事奥田敬和君、高沢寅男君及び土井たか子君から、それぞれ理事辞任申し出があります。これをいずれも許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 竹内黎一

    竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任並びに去る十二月二十八日私の委員長就任に伴い、現在理事が四名欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 竹内黎一

    竹内委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事に       浜田卓二郎君    山下 元利君       井上  泉君 及び 北山 愛郎君 を指名いたします。      ────◇─────
  6. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  国際情勢に関する事項について研究調査し、わが国外交政策の樹立に資するため、関係方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中国政調査を行うため、議長に対し、承認を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 竹内黎一

    竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ────◇─────
  8. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。  まず、昭和五十八年度外務省関係予算について、その概要説明を聴取いたします。枝村官房長
  9. 枝村純郎

    枝村政府委員 昭和五十八年度外務省予算重点事項について御説明申し上げます。  昭和五十八年度一般会計予算において、外務省予算としては、三千五百九十一億三千八百万円が計上されております。これを前年度当初予算と比較いたしますと、六・九%の伸び率となっております。  次に内容について御説明申し上げます。  国際情勢は今日ますます厳しさを加えており、平和国家たるわが国がみずからの安全と繁栄を確保していくためには、従来にも増して積極的な外交を展開していくことが必要とされております。特に、自由世界第二位の経済規模を持つに至ったわが国世界の中の日本として、その国力にふさわしい国際的な役割りを果たしていかなくてはなりません。  こうした見地から、昭和五十八年度においては、外交実施体制整備強化政府開発援助及びその他の国際協力広報文化活動並びに海外子女教育充実の四点を最重点事項といたしました。まず、外交実施体制整備強化の面では、特に定員の増強を最も重要な施策といたしました。このほか機構整備在外職員勤務条件改善情報収集機能強化の諸施策を進めており、かくして、外交実施体制強化充実を一層推進し、もって外務省責務遂行に遺漏なきを期することといたしました。  外務省定員につきましては、本省及び在外公館新規増八十名、他省庁からの振りかえ増三十九名、計百十九名の増員となりますが、他方定員削減が四十二名ございますので、純増数は七十七名となるわけでございます。この結果、五十八年度末における外務省定員は合計三千七百十二名となる次第でございます。  在外公館機構整備につきましては、ジェッダ総領事館の設置が予定されております。  このほか、アンティグァ・バーブーダ国及びベリーズ国両国に兼轄の大使館を設けることといたしております。  不健康地勤務条件改善関係経費は、十五億一千三百万円であり、前年度当初予算と比較いたしますと、四億七千九百万円の増加となっております。  情報収集機能強化関係経費は、三十二億六千百万円であり、前年度当初予算と比較いたしますと、四千七百万円の増加でございます。  以上をもちまして、外交実施体制整備強化についての御説明を終わります。  次に、第二の重点事項でございます経済協力拡充強化に関連する予算内容を御説明申し上げます。  政府開発援助すなわち、ODA重要性は、経済協力を通じて世界の平和と安定に貢献するとの観点から、ますます高まっております。このため、政府は一九八〇年代前半五年間にわたる新中期目標のもとに、その拡充強化に努めてまいりました。ODA事業予算全体としては、五十八年度で二・八%増の九千六百七十八億円を計上し、その対GNP比は前年度を若干上回る〇・三四四%となっております。  なお、外務省に計上いたしました政府開発援助は、前年度当初予算比二百二十七億円、一〇・八%増の二千三百二十四億円となっております。  特に、二国間無償資金協力相手国国民に直接裨益するところの大きい基礎生活援助であり、また、外交の円滑なる推進に重要な役割りを果たすものでありますので、その予算として、前年度当初予算より七十億円増の九百九十億円を計上いたしております。  次に、技術協力拡充は、開発途上国における人づくりのための協力としてきわめて重要でございます。  このため国際協力事業団事業費として、前年度当初予算に比べて八・二%増の七百六十九億九千三百万円を計上いたしております。  なお、同事業団移住事業関係予算は、対前年度当初予算比二・四%増の三十四億四千二百万円となっております。  また、国連等国際機関を通じて援助等種々国際協力を行っておりますが、これらの機関活動に対し、引き続き積極的に協力いたすべく、前年度当初予算に比較して、六・六%増の八百三十九億三千百万円の分担金拠出金を計上いたしました。  第三の重点事項は、広報文化活動推進でございます。  海外広報活動拡充強化のための経費は十二億八千二百万円でございます。  国際文化交流事業の展開のための経費は三十億四千九百万円であります。このうち一般文化事業費は、前年度当初予算に比し五・一%増の九億七百万円となっております。これにより在外公館における文化活動等拡充を図っておる次第でございます。  また、国際交流基金に対しては、補助金として二十一億四千二百万円を計上しており、前年度当初予算と比較いたしますと八千九百万円の増加となっております。  また、わが国と諸外国との間の相互理解を一層促進するため人的交流計画拡充することとし、前年度当初予算比九千三百万円増の七億八千万円を計上いたしております。  重点事項の第四の柱は、日本人学校の新設を初めといたします海外子女教育充実強化でございます。  現在海外に在住する学齢子女は、およそ三万三千三百名に達しており、これらの子女教育はきわめて切実な問題でございます。  このための具体的施策として、ブラジルのマナオス、マレーシアのコタ・キナバルの二都市に全日制日本人学校を新設するとともに、既設日本人学校施設等充実に対する援助現地採用教員の手当に対する援助等のため十七億二千万円を計上いたしております。  以上が外務省昭和五十八年度予算重点事項概要でございます。  ありがとうございました。
  10. 竹内黎一

    竹内委員長 以上で説明は終わりました。     ─────────────
  11. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、国際情勢に関する件について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜田卓二郎君。
  12. 浜田卓二郎

    浜田委員 それでは、先般、中曽根総理二階堂幹事長総理特使として中国に派遣されたわけでありますが、これは、先般の中曽根総理訪米の際のレーガン大統領との一連会談内容に対して内外から示された反応を考慮して、そういうことであると聞いておりますが、中国対応等について若干の点についてお伺いをしたいと思います。  そこで、その中国対応を言う前に、わが国においても、わが国防衛政策に関する一連発言についてやや勢いがよ過ぎるとかあるいは調子が高過ぎるというようなことを危惧する向きもあるわけでありますが、こういう点につきまして外務大臣はどのように受けとめておられるか、御所見を伺いたいと思います。
  13. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 私も、実は中曽根総理に同行いたしまして韓国へ参りました。また、日米首脳会談にも同行したわけでございます。その結果につきましていろいろの批判もまた一部に出ておることは事実でございますが、しかし、私が直接同行した立場判断をいたしますと、中曽根総理のいわゆる日米首脳会談におけるわが国立場説明というものはあくまでもわが国の今日までの基本的な外交政策あるいはまた基本的な防衛政策、そうした大きな枠組みの中で説明をしてこられたわけでありまして、私は、これに対しては、あえて大きくわが国の方向が変わるというわけじゃないのですから批判をされることはないと思っておりますけれども、ただ、いまお話しのように、それは歴代総理大臣によって言葉の勢いも違いますし、あるいはニュアンスも違いますし、あるいは比喩等もそれぞれ違っておりますから、そういう面でのいろいろの批評というものがあるとは思いますけれども、しかし全体を通じて基本姿勢といいますか基本政策というものは変わっていない、こういうふうに考えております。
  14. 浜田卓二郎

    浜田委員 しかし、中国側からはかなりの反応があったというふうに聞いているわけでありますが、まず、わが国防衛力整備考え方について中国側が危惧の念を表明したとかあるいは同じ考え方近隣諸国に懸念を与えているのではないか、そういう指摘があったというふうにも伝えられております。また、訪米前に中曽根総理訪韓をされて、四十億ドルの対韓援助を決定してこられた、あるいは韓国防衛努力評価をされた、そういう点についても中国側から批判があったというようにも伝えられているわけでありますが、これらの点についても事実関係をちょっと説明していただきたいと思います。
  15. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 一応私から概括的に説明をさせていただきますが、二階堂特使が帰られましてから、総理とともに詳しい訪中内容をお聞きをいたしました。  特使は、中国に対しまして、中曽根内閣外交基本政策防衛政策歴代内閣のそれを踏襲するものである、及び対中国関係を発展強化するという強い決意を有しておるということを説明をいたしたわけです。これに対して中国は、かかる一連特使説明を非常に高く評価するとともに、中国日中関係を重視しており、日中友好関係をさらに発展強化させたい、こういうふうに述べました。他方防衛力整備については、中国側より、独立した主権国家としてどの国も一定の防衛力を持つ権利があると認識している、ただ、近隣の一部の国は不安を感じているようであり、かかる不安を招かないよう配慮する方がよいのではないか、こういうことも首脳が述べたわけであります。  なお、中曽根総理訪米の際の発言については、中国側からは何ら言及はなかったと聞いております。  また、特使より、朝鮮半島の平和と安定は日中共通の利益であるという旨述べ、さらに総理訪韓首脳レベル相互理解相互信頼を高めるものであった旨説明をいたしました。これに対し、中国側より、日本の対韓経済協力について御指摘のありましたように若干のコメントがあったわけでありますが、これは先方の立場からすると予想されたものであります。中国側朝鮮半島緊張緩和を目指しつつ日中間意見交換をすることは有意義という姿勢であったわけであります。  総じて今回の特使中国訪問は、日中間で非常に友好裏話し合いが進められて、日中関係が一番いま安定しておるという両方の認識が表現されたわけでございますが、さらにまた日本中曽根内閣ができましてからの一連日韓首脳会談とかあるいは日米首脳会談、そういう中において中曽根総理が述べた一連わが国基本政策説明についても中国側十分理解をした、全体的にはこういうふうに私は判断をしております。  確かに、一部のそうした不安が表明されたという面がありますが、全体の会談を通じて、私が聞いた範囲では、むしろ中国日本の現在の立場あるいはその政策というものを評価をした、全体的に理解をした、こういうふうに受けとめておりまして、そういう意味ではこの特使中国訪問は大成功であった、こういうふうに考えるわけであります。
  16. 浜田卓二郎

    浜田委員 中国についてのお話をいただいたわけでありますが、中国側指摘にも近隣諸国云々という点があったというお話であります。  今回の日米会談に関する東南アジア諸国反応もいろいろと伝えられているわけでありますけれども、どのような具体的な反応があるのか、お伺いをしたいと思います。
  17. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 ASEANの国は新聞なんかでは確かに反応も出てきているわけですが、ASEAN政府から公式な批判といったようなものは出ておらないというふうに承知しておりますし、また、私も訪米直後ASEAN大使外務省へ来ていただきまして、日韓首脳会談あるいは日米首脳会談、さらにまた日本外交政策あるいはまた防衛政策等について詳細に説明をいたしまして、ASEANの諸大使はこれを理解をしていただいた、こういうふうに考えております。したがって、一部新聞報道等には確かに批判もあると思いますが、ASEANのいわゆる政府としての日本に対するいまお話しのような批判はなかった、こういうふうに受けとめておるわけです。
  18. 浜田卓二郎

    浜田委員 新聞報道等では、中国からの対日円借款六十億ドルの要請がなされており、今回の訪中でその話もテーマになるのではないかというふうに伝えられておりましたが、どうやら今回はその点については触れられていないようであります。その間の事実関係とそれから今後のこの円借款要求に対する日本政府の取り組み方、そういう点について若干お聞かせいただきたいと思います。
  19. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 経済協力につきましては、二階堂特使が会われました各首脳から、日本中国に対する経済協力に対し、いままでの感謝の念とともに、特に、これは谷牧さんが言われたと記憶しておりますが、中国近代化、具体的にはエネルギー部門とそれから鉄道、港湾関係の、つまり交通運輸手段強化充実ということについて今後とも引き続きお願いしたい、こういうことでございまして、これは先生御案内のとおりに一九八四年度以降の長期計画協力するという問題でございまして、これは二階堂特使の方から改めて関係当局者間で話し合いをしましょう、こういうことでございます。
  20. 浜田卓二郎

    浜田委員 もう一点中国関係でお伺いしたいと思いますが、アメリカ国務長官シュルツさんが訪中をされたわけであります。帰国の途中で羽田で大臣お会いになったと承っておりますが、わが国としてこのシュルツ長官訪中をどのように位置づけあるいは評価をしておられるか、伺いたいと思います。
  21. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 中国アメリカとの間におきましては、御承知のように台湾に対する武器供与の問題をめぐりましていろいろと摩擦がありまして、最終的には共同コミュニケというようなことで決着はいたしたわけでございますが、どちらかというと少し冷たくなっておる、こういうふうな感じがあったわけでございますが、そういう状況の中でシュルツ長官訪中をされたわけでございます。  私もシュルツ長官訪中される前にお目にかかりまして、日中関係はいまきわめて安定している、同時にまた中国アメリカ関係もやはり今後世界の平和といいますか、そういうことを考えますとき、アメリカ中国との関係をより前進させるということは非常に大事であるということをシュルツ長官にも申し上げました。シュルツ長官も、そうした立場訪中をするのだということで訪中をされたわけでございますが、その結果をお聞きしますれば、中国側シュルツ長官を非常に温かく迎えまして、両国首脳会談というものが非常に友好的な雰囲気で行われた。ただ、もちろん意見の違う面もあったわけでありますが、全体的に見れば友好的な雰囲気で行われて、今後の米中関係を進める上においては非常に有意義なシュルツ長官訪問であったというふうに長官自身も述べておりますし、私も、今回の二階堂特使訪問された後で聞きましたその御説明からしても、このシュルツ長官訪中というのはこれからの米中関係を見る場合に有意義であった、こういうふうに聞いておるわけであります。
  22. 浜田卓二郎

    浜田委員 次に、中ソ関係でありますが、昨年の半ばごろから中ソ間においての関係改善の動きが見られるというふうに伝えられております。この点に関して、二階堂特使に対する中国側説明というのはどんなものであったのか、御報告いただきたいと思います。
  23. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 中ソ関係につきましても、二階堂特使中国首脳の間には率直な意見の交換が行われたということでございます。  二階堂特使の帰られてからの全体的な判断としては、中ソ間では確かに、外相会談であるとかあるいは次官級会談であるとかその他の文化交流、そういったものを通じまして雪解け的なムードはあるし、今後ともそうしたムードあるいは話し合いが続いていくことは間違いないと思うけれども、しかし、中ソ間に横たわる根本的な障害、たとえばアフガニスタンからの撤兵を中国が求めております。あるいはまた、中ソ国境にソ連が大軍を擁しておる、これの撤兵も求めております。あるいはまたカンボジアからのベトナムの撤兵、そういうものを中国がソ連に対して求めておるわけでございますが、そうした困難な障害というものは、これからの話し合いによって、そう簡単には片づかないだろう。ですから、中ソ関係が昔のような一枚岩に戻るというようなことはあり得ない、そうした急激な変化というものはあり得ないというのが、二階堂特使中国側首脳との話し合いで総合的に感じられました結論である、こういうことでございまして、私たちも、この特使の御判断は、中ソ関係については正しいのではないか、中ソ関係でこれから話し合いも行われるでしょうが、一挙に中ソ間が和解をして、そしてもとの一枚岩の関係に戻るというふうなことは、現実の情勢の中ではないだろう、こういうふうに見ております。
  24. 浜田卓二郎

    浜田委員 時間がありませんので、最後にもう一問だけお伺いします。  SS20の極東への追加配備の点について、中国側はどのような受けとめ方をしていたか、その点、御報告いただきたいと思います。
  25. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 SS20につきましては、中国側の要人の発言としてそのまま御紹介いたしますと、ソ連がSS20を欧州からウラル以東に移しても、欧州に対する脅威は減るものでないのみならず、アジアに対する脅威をふやすものである、削減されるSS20はすべて廃棄さるべきであり、他に移転さるべきではない、日本政府がこの問題について非常に関心を持っておられることを理解いたします、こういうことでございます。
  26. 浜田卓二郎

    浜田委員 それでは、時間が来ておりますので、以上で質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  27. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、北山愛郎君。
  28. 北山愛郎

    北山委員 私は、外務委員会に出ましたのは初めてでございます。どうぞよろしくお願いします。  時間が少ししかありませんので、内外、非常に問題が山積をしておりますが、その中の一つの問題についてお伺いしたいと思うのです。  先ほど来お話がありました、総理日韓会談あるいは日米首脳会談、その成果全体を見ますと、外交のバランスシートから言えばやはりマイナスじゃないか、私はこのように考えております。  それは、アメリカそのものについても、恐らく中曽根外交についての信頼というものはそうしっかりとしたものになっていないのじゃないか。というのは、たとえばマンスフィールド大使が解説をして、中曽根総理アメリカに行って、余りにも過大な期待をアメリカに与えている、その反動がこわいのだというようなことを言われたのです。現職の大使首脳会談についてこのような解説をするということ自体が、あるいはまた日本政府としてこういう解説をされること自体がおかしいのじゃないか、私はこう思うのですけれども、そういうことから考えましても、とにかくアメリカについても、必ずしも今後の日本の中曽根外交というものについては、この前の会談で、全幅的な信頼感を持ち得ない状態にあるのじゃないかと思うのです。  それから中ソは、ソ連についてはもちろん態度は硬化しておりますし、中国批判的である。あるいは朝鮮民主主義人民共和国もこれに批判的であります。韓国の世論なんかを見ましても、海峡問題については非常に批判的だ。その他のアジアの諸国、これはやはり警戒心を深めている、こういうふうに考えます。  しかも、西側陣営の団結を強化してソ連に対抗するというような基本線、これについては、ヨーロッパそのものが、われわれといまの日本政府考え方とは違う方向に行動している、むしろヨーロッパとしては、ヨーロッパを核戦場にさせないために、アメリカとソ連が話し合って、そして緊張緩和してもらいたい、妥協してもらいたいというのが、大体においてヨーロッパの空気だと思うのです。  そういう流れですから、この一連の今度の中曽根外交というものが、恐らくこういう状況の中で、状況に合致していないといいますか、そして、みずから国内においても支持率を急速に低下させている、これでは全体としてマイナスじゃないのか。  この一連の中曽根外交というものはマイナスじゃないのかというふうな評価を私はしているのですが、外務大臣、どのようにお考えですか。
  29. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 私は中曽根外交は、これまで一連日韓首脳会議日米首脳会議は成功であった、何でも一〇〇%ということはないわけですから、全体的に見れば成功であったと思います。  韓国について言えば、韓国との間がぎすぎすしておったわけでございますが、教科書問題も外交的に決着した、そういう中で経済協力の問題は残っておりまして、何となしに日韓関係というのはもやもやした空気が残っておりまして、いつまた悪化するかわからぬという状況にあったわけです。そういう中で経協問題を解決して、さらに総理大臣みずからが韓国に飛んで、そして全斗煥大統領との間で隔意のない意見の交換をしたということは、韓国に対しては非常にいい印象を与えていることは事実でありまして、これによりまして、日韓関係は、これまでと違って安定した関係に入った、こういうふうに見ておりますし、日米関係も、いわゆる日米間の同盟関係というものを再確認することが今回の訪米の大きな目的であったと思います。同時にまた、両国の最高首脳が個人的にも信頼感をお互いに確かめ合うということも目的であったと思いますが、その二つとも達成をしたわけでありますし、懸案の貿易摩擦のいわゆる関税引き下げ等の措置も決定をして訪米をしたわけであります。また、武器技術の問題も長い間の懸案でございますが、これも政府がこれを決定いたしまして相互交流という道を開いたわけであります。また、日韓のそうした関係が修復したということは、間接的にもアメリカにとっては非常にいい印象を与えたということで、全体的にはアメリカも中曽根訪米を非常に高く評価しておる。その空気というものは依然として今日に至るまでも変わってない。マンスフィールドさんが過剰な期待をすべきではないということを、これはむしろアメリカ、母国に対して言われたことであろうと思いますが、これは、アメリカにおいて非常に中曽根総理に対する期待が高まっておる、評価が高まっておる、その評価の高い中で余りアメリカとして日本に対して、中曽根内閣はこれほどやっているのだから、これ以上の無理な注文を言ってはならない、こういうふうな意味の発言ではなかったろうかと私は思うわけでありまして、先ほどから申し上げますように、全体的にはこの一連訪韓訪米等は非常に成功した、こういうふうに考えるわけでありますが、ただ、もちろんソ連からの厳しい批判が出ております。その他の国々においても一部危惧の念も出ておるわけでございますが、こういう点については相当な誤解もあるわけですから、これらに対して日本立場を十分説明すれば理解はしていただける、こういうふうに判断をいたしておるわけです。
  30. 北山愛郎

    北山委員 とにかく、アメリカ大使からあんな心安く解説をされるようじゃ困ると思うのですね。少し礼儀に外れているのじゃないかと私は思うのですが、しかし、アメリカの議会でも、日本の防衛費はGNPの一%じゃ足りないとか三%にしろとか、そんな議論をされるということは、日本が果たして本当に独立国であるのかあるいはアメリカの一州であるのかと疑わざるを得ないような状態で、要するに対米従属という傾向が非常にひどくなってきているということに私は非常な懸念と、疑いといいますかおかしいと思っているのです。ということは、経済力において日本世界の三番目ぐらいにのし上がった、それならば、それだけの自主性を持たなければならぬはずなんだ。それが、対米的に、外交的にはむしろ従属性が増しているのじゃないかというふうな気がするわけであります。  それからいまの、バランスシートの問題にしても、どだい中国特使を派遣して説明させなければならぬような外交、言いわけをする、あるいは特に解説をしなければならぬというような外交そのものがバランスシートをおのずから明らかにしていると思うのですね。恐らく東南アジアに対しても今度は回って理解を得るように努めるでしょうが、それじゃ何にもならないというふうに思います。  従属でありますが、それに関連して、私は、かつて昭和五十四年ですか、福田内閣のときの園田外交、あの当時に全方位外交ということを言われた。ところが、五十五年になって急速に百八十度外交方針が変わってしまいまして、何か自由民主を守るということが外交理念であるというふうないわゆるイデオロギー外交に変わってきた。ここら辺非常に不思議だというように思うのです。せっかく福田内閣、全方位外交、いわゆる体制を超えて友好親善を深めていくという、ちょうど中国日本のいまのような状態、こういうものは可能なんですから、体制が違っても友好関係を持つということは。それを体制の違いにこだわる、あるいはこちらの体制に対立するようなものとは敵対関係を持つというふうな外交では、平和憲法を持つ日本外交としてはふさわしくない、私はそのように思います。大臣はいわゆる福田さんの派に属すると言われておりますが、私はもう一遍全方位外交、これに返ってもらいたい、このように思いますが、その辺のことについて大臣の所見を伺いたいのであります。
  31. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 歴代内閣の、今日の中曽根内閣ももちろんでありますが、外交基本というのは変わってないと私は思いますし、また変わるべきでないというふうに確信をいたしております。わが国外交というのはもちろんあくまでも平和外交ということでなければならぬと思いますし、福田内閣のときにいわゆる全方位外交ということを言ったわけでありますが、これは日米関係というものを基軸にして、いわゆる等距離ということじゃなくて全方位外交、これはあくまでも平和外交がその基本であって、体制の違う国といえども友好親善関係を進めていくということでありまして、これは歴代内閣ずっと踏襲をいたしておりまして、私は今日といえどもこの基本的な外交姿勢あるいは外交の方針というものは変わっていないと思っております。今日におきましてももちろん日米関係というものは日本外交において最も大きな基軸でございますが、同時にまた日本が西側の一員であり、アジアの一員である、さらにまた体制の違う国とも友好関係を進めていく。ソ連との関係におきましてもいたずらに対立ということじゃなくて対話も進めていくということが日本外交のこれからも進むべき道である、私はそういうふうに考えるわけであります。
  32. 北山愛郎

    北山委員 大臣、そのように言われますけれども、外交青書なんか見てもはっきりと違うのですね。五十四年の外交青書というのは完全な体制の相違を乗り越えて友好関係を結ぶということをはっきり言っているのです。その次の大平内閣ですか、なってからは、完全に自由民主という一つの理念を守るということを外交基本に据えているわけです。外交なんというのはそんな体制の相違というのは本当は別なんです、防衛の問題も。だから、体制を守るための防衛ということになってくる。いわゆる西側陣営、資本主義の体制を守る、社会主義とは敵対する、場合によれば核戦争も辞さないといった、そういう方向へ行くのじゃないでしょうか。ですから、私は納得しませんけれども、しかしともかく全方位の外交、いわゆる日中が可能であると同様に、将来いろいろな障害はあるにしても、日ソにしても体制の相違を乗り越えた友好が結べないわけはないと思うのです。そういう方向へ日本としては外交基本を据えていくべきではないか、こう思います。  そこで、問題は、対米従属が深まっている点なのですが、それが最も端的にあらわれているのが、国連の中での核とか軍縮の問題についての諸決議に対する政府の態度でございます。私の聞いたところで、去年の十二月の国連総会での諸決議ですね、たくさんございますけれども、その中で、いわゆる唯一の被爆国として、しかも非核三原則を持つ日本としてはどうかと思われるような態度をそういう決議に対してとっているということであります。  たとえば、核兵器凍結に関する決議に対して反対している。核の不配備の決議に対しても反対をしている。核兵器の先制不使用の決議に対しても反対をしている。中性子兵器禁止の決議に対しても反対している。それから、包括的核軍縮に対する決議に対しても反対している。それから、去年の国会で問題になりました核不使用の条約については、今回は棄権しているということでありますが、その他のたくさんの決議に対しては今度は棄権だということでございまして、これは納得できないですね。国内では核廃絶をうたって、そして再び広島、長崎のような惨禍は繰り返さない、こういうようなことを言っておきながら、国際政治の舞台で政府のとっていることはそれと逆なような方向ですね。そして、それは常にアメリカ政策に追随している少数派なんです。  たとえば、中性子爆弾の兵器の禁止に対して反対しているというのはどういうことですか。中性子の兵器に対して賛成するということなんです。おかしいじゃないですかね。あるいは非核三原則を持っていますから、いまの核兵器が拡散されることに対しては日本基本方針としては反対するのがあたりまえ。それを、核を不配備、いわゆる核兵器のない国に核兵器を配備しないようにするという決議に対して、反対しているというのはどういうことですかね。こういうことについての理由も、実は外務省から書いてもらったのですが、ちょっとこの理由がわけがわからないですね。もしも理由がどうであるかということについて二、三説明があれば、たとえば核先制不使用の決議、核を先に使わない、この決議、しかもそれには中国とかソ連とかそういう国が入っていないならいいのですが、入っておって賛成しておるんですね。ですから、先制不使用の決議というものは絶対的なものじゃないにしても、そういう相手の国もまた入って一緒に決議をするというのがやはり一種の抑制力になるのだと私は思うんですね。そういう決議を積み重ねていって核軍縮の方向に行くのじゃないでしょうか。これに反対するというのは何事ですか。  ですから、こういう点について要求したいことは、去年の国連総会における諸決議に対する態度、これを全部国民に報告すべきなんですね。最近の外務省の情報を見ましても、詳しくは書いてないんですね。新聞も書いてない。たくさんの決議でありますから、賛成国はどこで、反対はどこで、棄権はどこで、わが国はどのような態度をとったか、どういう理由でそういう態度をとったか、これを国民に明らかにする義務があると思うのです。国内では体裁のいいことを言っておいて、国際政治の中では日本アメリカと一緒になって、そして核兵器をむしろ是認するような態度をとっている。これは国会の決議にも反することなので、私はひとつこのことを資料としてはっきり出してもらいたい。国会にも出し、あるいは国民に対しても知らせる必要があると思うのです。どうですか。
  33. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 私からまず基本的にわが国立場を申し上げますが、わが国は御承知のように広島、長崎で核の惨禍を受けたわけでございます。これはわが国だけでありまして、こういう惨禍を二度と繰り返すことがあってはならないと心から願っておりますし、核に対して一番敏感なのはわが国あるいはわが国民である、こういうふうに考えております。そのため、核に対して実効のある措置というものがとられなければならない、こういうふうに考えておりまして、従来から政府としましては、核不使用決議が述べている核不使用という約束については、核兵器の削減といった具体的軍縮措置のない限り実効性を確保し得ず、このような実効性を欠いた約束をするということは、国際的な安全保障という立場から問題があるという基本的な立場をとってきておるわけでありまして、このような考え方には何ら変更はない次第であります。  しかし、昨年の核不使用決議は、軍縮委員会に対して核不使用条約の交渉を行うよう求める手続的な内容のものでありまして、核不使用条約の是非についての判断が問われているものではなく、また軍縮委員会は専門的、技術的な側面から軍縮に関する条約の交渉を行う場として適しており、政府としては、同委員会において、ただいま申し上げましたようなわが国立場を十分に主張することができるという点等も配慮いたしまして、棄権をすることとしたわけです。  わが国が国連における決議に対していかなる態度をとるかは、すでに申し上げましたような核不使用問題についてのわが国基本的な立場を踏まえて、決議案そのものの内容、提案国の意図、その時点における国際情勢との関連で決議案の持つ意味合い等、種々の要素を総合的に判断してその都度決められるべきものである。したがって、今後提出されます決議に関しましても、その時点においてこのような立場から判断をしていく考えでございます。  なお、中性子爆弾の禁止決議その他につきましての具体的な点につきましては、政府委員から答弁をいたさせます。
  34. 門田省三

    ○門田(省)政府委員 お答え申し上げます。  わが国の核軍縮についての基本考え方、態度につきましては、ただいま大臣から御説明がございましたとおりでございます。委員から特にお尋ねのございました具体的な決議案についてのわが国の投票理由の説明について、事務的に補足説明させていただきます。  中性子爆弾に対するわが方の投票態度の理由いかんというお尋ねにつきましては、安全保障の点、あわせまして実効性の点、この二点を十分念頭に置く必要がございます。中性子爆弾も核兵器体系の一つを占めるものでございます。この一つのみを取り出してこれを禁止するというのは、実効性の点あるいは安全保障の点、問題を投げかけるということで、このような核軍縮の問題は全体的な角度から考えなければならない、こういうことで反対をいたしておるのでございます。  なお、お尋ねのございましたわが国の核軍縮関連の投票態度について公表するようにという点でございますが、国連におきます投票がございますその都度、現地におきまして報道関係皆様方に結果を御報告申し上げております。それが国内にも報道をされております。ただし、ただいま北山委員からお話のございましたような程度に詳しく報道されているかどうか、これは十分でないと思います。  この機会を拝借しまして一言申し上げさせていただきたいのは、昨年の総会におきましては核関係の決議が二十三本ございました。そのうち五本につきましてはわが国は反対をいたしております。九本につきましては棄権、九本につきましては賛成をいたしております。さらにわが国は、二つの決議案につきましてみずから共同提案国となって積極的に核軍縮の推進に努めているという事実もございます。この点を御報告申し上げさしていただきます。
  35. 北山愛郎

    北山委員 時間がもう来ましたので、いまのは資料で。資料は、これは私から言わなくても、現地で新聞記者に発表したぐらいじゃほんの一部しか出ていないのですよ。だから国民あるいは国会に対して報告を具体的に、そして理由をちゃんと述べてやる必要がある。これはやってくれますか。やってください。
  36. 門田省三

    ○門田(省)政府委員 資料を準備してお届けするようにいたしたいと存じます。
  37. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、土井たか子君。
  38. 土井たか子

    ○土井委員 安倍外務大臣は、一月十七日から中曽根総理と一緒にアメリカに赴かれているわけであります。私は外務省に、このアメリカにおける日米間の話し合いの中で武器技術輸出の問題に対しての話し合いの部分を具体的にメモとして出していただきたいと要求したのです。持ってこられたのが、五十八年二月十四日付の北米局北米第一課作成になる「中曽根総理大臣訪米」というこの文書なんでございます。さあ、これを読んでみて私はあきれ果てたんですがね。この武器技術輸出の問題について触れてある場所は、突然出てくるのは、「大統領より、武器技術供与の問題についても努力を多としたい。」これだけが突然出てくるのです。「首脳のみの差しの会談」という項目で出てくる。  さらに、この場所には外務大臣御自身もいらっしゃったはずでありますが、「ワインバーガー国防長官から」、これも突然出てくるのです。「防衛費の問題についても軍事技術の供与の問題についても中曽根政権のとられた措置には非常に敬意を表している。」感謝されたり敬意を表されたり、この部分だけが出てくるわけでありますが、ここに行き着くまでのお話し合いはどういうことだったのですか。
  39. 北村汎

    北村(汎)政府委員 武器技術の問題につきましての政府の決定は、これは一月の十四日の閣議に報告して、そこで了承を受けまして、その後で官房長官から官房長官談話として発表されました。そうして、その政府の決定を一月十八日の首脳会談におきまして総理はさしの会談で大統領に言われたということで、大統領から、いま土井委員がおっしゃいましたように、高く評価するという発言がございまして、また、ワインバーガー長官も高く評価している。こういうことで、この武器技術の問題について首脳会談でやりとりがあったとかあるいは交渉があったとかそういうことではございませんで、日本政府が自主的に一月十四日に決定をいたしましたことをアメリカ側ももう知っておりまして、それを総理首脳会談で、武器技術は決定したということを言われまして、向こう側からそれを高く評価するという発言があったというふうに承知しております。
  40. 土井たか子

    ○土井委員 さあ、二点申し上げましょう。  いまこの文書ではそういういきさつは何ら書いてないのです。これは作為的ですか。説明をしたといま言われておりますが、総理大臣アメリカ側に対して説明をされているという一幕は何にもないのですよ。いま私は、突然というところを大声で言いましたが、本当に突然出てくる。大統領の謝意であるとかワインバーガー長官の感激の言葉というのは突然出てくるのですよ。これが一点。もし説明されたのなら、その文書を改めて出してください。  もう一点は、すでにアメリカ側は知っていた、こうおっしゃいました。すでにというのは、いつアメリカ側が知ることになったのですか。いつ、どこで、だれが、だれに対して、どんな内容アメリカ側に対して提示しているのですか。これをはっきりしていただきましょう。
  41. 北村汎

    北村(汎)政府委員 アメリカ側にこの日本側の決定を伝えましたのは、一月十四日に政府が公表をいたしました後、ここの大使館の公使に対して私から、それからまたワシントンのわれわれの大使館から国務省及び国防省の担当官に、今回日本政府は武器技術の供与というものができるようにいたします、いままで一方通行であった武器技術の供与というものを今後は日本からも、いろいろ条件はありますけれども、それを可能にしますという決定を伝えたわけでございます。
  42. 土井たか子

    ○土井委員 これは非常に大事な決定を伝えたというかっこうなんですよ。よろしゅうございますか。十四日といま言われましたね。日本においてもアメリカにおいても、そういう措置を外務省としては即刻政府の閣議了解後おとりになっているというただいまは中身です。その中身を少なくとも口頭で言われたんですか、文書ではっきりお出しになっていらっしゃいますか。これは大事な問題ですから、中身についてもよもやいいかげんなことをアバウトでおっしゃっているはずはないと思うので、そこのところをひとつはっきりさしてください。
  43. 北村汎

    北村(汎)政府委員 私が在京米国大使館のクラーク公使を呼びまして伝えましたのは、これは口頭でございます。そうして彼は日本語がよくできますから、ここでの官房長官談話を見せまして、そして彼はそれを持って帰ってワシントンに報告したということだと思います。
  44. 土井たか子

    ○土井委員 官房長官談話をすなわち日本からアメリカに通告した、こういうかっこうですね、いまのは言えば。
  45. 北村汎

    北村(汎)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  46. 土井たか子

    ○土井委員 さて、この武器輸出の問題については、日本では、もう申し上げるまでもなくこれを取り仕切る取り決めが大きく言って日本国憲法を頂点にして三つございます。  その一つは、武器輸出三原則、その二つは、五十一年二月二十七日の政府の方針、そうして三つ目には、言うまでもなく国会決議でございます。ただ、三つ目のこの国会決議というのは、われわれがこれに対してどう対応するかという問題でございまして、政府からとやかく言われる筋合いのものでは断じてございません。これはもう安倍外務大臣も御承知のとおりだと思います。これはそのとおりでよろしゅうございますね。首振らないで、ちょっと声にして出してください。
  47. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 国会の決議でございますから、最終的な御判断はもちろん国会にあるものだ、こういうふうに考えております。
  48. 土井たか子

    ○土井委員 当委員会で昨年の十二月十八日、安倍外務大臣に対して、しつこく私はこの武器輸出三原則並びに政府の見解、そうして何よりも国会決議について質問したことを覚えていらっしゃるだろうと思います。国会決議については終始一貫安倍外務大臣とされましてはこれを尊重する、遵守するという姿勢で御答弁をされたことも覚えていらっしゃると思います。そうしてそのときに私が質問をいたしましたことにお答えになりまして、「国会で議論をしていただくといいますか」それからなんです。「国会に御報告をするのは、何といっても国会は最高の機関ですから、当然のことである、こういうふうに考えております」、こうお答えになっていらっしゃいます。  さて、この問題をアメリカに通告するのに先立って、これは日本のことなんですから、日本の国会に対してどういう手順といいますか手続といいますか手だてをお講じになりましたか、これをお聞かせいただきたいと思います。いかがですか。
  49. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 国会の決議は尊重すべきであるということは、これはもう何回も申したことでありますし、それから武器技術についての、いわゆる武器技術供与についての決定を政府がすればこれはもちろん国会に御報告をしなければならぬ、こういうことも申し上げたわけであります。  これについては、実は決定したのが十四日ですから国会の休会中であったので、その決定に基づきまして、外務大臣といたしましては、まず衆参の外務委員長に報告しなければなりません。したがって、決定した段階におきまして、竹内外務委員長及び、昭和五十六年十一月十一日当時の、これは園田外務大臣が、当時、御希望の趣旨は承った、これは政府の見解がまとまった段階で直ちに外務委員会に報告するよう土井議員が要望されたのに対して、御希望の趣旨は承ったと、こういうことを答弁しておりますから、それに従って、当時の奥田外務委員長に対して御連絡を申し上げました。竹内委員長に御報告申し上げたわけであります。  政府全体としては、国会との関係におきましては、これは後で統一方針といいますか、国会決議との関係、その他についての、予算委員会の質疑等も踏まえまして、統一方針が出されることになっておるわけでございまして、いまここでその統一方針について私が申し上げることはどうかと思いますが、基本的には、国会に対しましても、議長その他に対しましても、中曽根総理からも連絡があったわけでございます。しかし、十分なことではなかったということについての反省はしておるということを基本的には政府として思っておるわけでございまして、これは後で出される政府の統一方針の中で政府立場を明らかにすることになっております。
  50. 土井たか子

    ○土井委員 政府の統一方針とおっしゃいますが、これは中身と手順と申しますか、手続と申しますか、二面あるのですよ。中身の問題についていまちょっと横に置いておきましょう。  手続、手順の点について十分とは言えなかったということをいまおっしゃっておりますが、これはひとつ具体的に言っていただきたい。どういう点を不十分だといまお考えなんですか。
  51. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 私としますれば、武器技術の供与を決定した段階におきまして、竹内外務委員長外務省を通じまして、その経過、結果等について詳細に報告をいたしたわけでございます。その段階におきましては、私が国会で述べました、報告をしますということについて委員長に報告をしたということで、一つの責任は果たした、こういうふうに考えております。しかし、問題の決定は、外務省だけの決定ではありませんで、その他関係省庁等もありますし、政府全体の決定でございますから、政府としての国会との関係につきましては、先ほど申し上げましたように、多少国会の休会中ということもあって十分な手続を踏んでなかったということについては、政府としても反省はいたしておる、こういうことでございます。
  52. 土井たか子

    ○土井委員 休会中であっても国会は消えてなくなるわけではないのです。非常に言いわけがましい御答弁ですよ。そして、外務大臣が当外務委員長初め外務委員会に御報告なさる、これは当然のことでありますけれども、外務大臣日本の国の外務大臣なんです。よろしゅうございますか。国会に対してどういう責任をおとりになるかということは、憲法の六十六条という条文を引き合いに出すまでもなく、内閣は連帯して国会に対して責任をとっていただかなければならぬ。外務委員会外務委員長に報告すればそれで私の役割りや任務は終わりですと言わんばかりな御答弁は、これはいただけない。それからいたしますと、国会を代表するのは、言うまでもなく衆参両院の正副議長でございます。この正副議長に対しまして、どういうふうな御報告や、また御了承を得られる手だてをおとりになりましたか。これを聞かせていただきましょう。
  53. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは中曽根総理大臣から正副議長に対しまして、武器技術の供与を政府が決定をしたということについての報告をされた、こういうふうに承っております。
  54. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、中曽根総理は、安倍外務大臣に対しては余り重視なすっていらっしゃらないのですかね。そういう御報告だったですか。そういう御報告を外務大臣としては中曽根総理から受けていらっしゃいますか。もう一度そこのところを、お聞きになったとおりをここでお述べをいただきたいと思うのです。
  55. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これはもちろん、総理大臣外務大臣より偉いわけですから、総理大臣が武器技術供与を決定した段階におきまして、国会に対しても要所、要所には連絡をしなければならぬ。そこで、正副議長等については自分の方から報告をしておく、こういうふうに承ったわけですから、総理大臣があれになるわけですから、外務大臣としてはまずやはり外務委員長に報告しなければならぬ、こういうことで外務委員長に報告をしたわけです。
  56. 土井たか子

    ○土井委員 外務大臣、改めて申し上げるまでもなく、武器輸出問題は外交問題なんです。外交の担当大臣外務大臣なんです。このことについて、国会決議に対する外務大臣姿勢が問われているのですよ。国会に対する御答弁でも、当外務委員会において尊重しますということを終始一貫言い続けていらっしゃるという責任もある。国会を通じて国民に対する約束をされているというふうに言わなければならない。外務大臣とされては、言われるまでもなく、総理大臣内閣の首班でございます、その内閣総理大臣が報告しますと言われたら、ああ、そうですかで終わっているのですか。中身はどういうふうなかっこうで報告をされ、国会決議を尊重されるのだから、国会を代表する、少なくとも衆参の正副議長が了承されぬとだめなんじゃないですか、この問題について。そういう手順、手続は全くないままに、アメリカに先におっしゃっているじゃないですか。これを言っても外務大臣は言いづらいであろうと思いますから、私は具体的に申し上げます。  私は、直接、副議長にお尋ねをしたのです。岡田副議長がおっしゃるには、一月十五日、突然中曽根総理から北海道の美唄へ電話がかかってまいりまして、アメリカへ近々参りますというごあいさつでございます、訪米のごあいさつなのでございます。そうして、そのごあいさつを終わられてから、行くについては武器輸出、武器技術輸出問題について閣議の決定をしましたので、御報告いたしますと言われた。中身はどんなことかさっぱりわからないのです。閣議の決定をしましたから、御報告いたします。ただこれだけですよ。どういう閣議の決定の中身かというのは、一切何もないのです。岡田副議長は、新聞を通じてどういうことであるかということをごらんになって御存じですから、したがって、私個人としてはこれには反対です、認めるわけにはまいりませんとおっしゃったそうであります。そうしたら、副議長に対しまして、訪米のごあいさつをいたしているのでございますと言って、電話は切れたそうであります。  さて、参議院の方の秋山副議長には夜十一時ごろ、これまた電話がかかってまいりまして、訪米のごあいさつだけがあって、この閣議決定をしたので御報告いたしますも何もなかったそうでありますよ。こういうことで御報告になるのですか。中身については何の説明もないのですよ。そうして、いまアメリカ局長に御質問をした限りにおいては、いかがです、アメリカには十四日にすでに通報しているじゃないですか。国会の正副議長には十五日ですよ。こんな逆立ちをしたばかな話が、こんなことをやる国がどこにありますか。外務大臣、どうお思いになりますか。措置がまずかったとか不十分だったという問題じゃないのです。基本から間違っているんだ。いかがですか。これは手続からいいますと――条約だってそうです。内容に瑕疵がある場合、これは条約無効ですよ、憲法に違反している場合は。手続の上でも、憲法から考えて間違っている場合は、これも無効です。今回の場合だって、内容はこっちに置いておきましょうと、だから私は申し上げている、手順の上からいって、これは国会無視どころじゃないですよ。てんで相手にしていないんだ。このような手続では、これは瑕疵がある。憲法上、厳密に言ったら、九十八条によって無効です。これも国務に関する行為ですからね。外務大臣、これをお聞きになってどうお思いになりますか。
  57. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 武器技術の供与につきましては、これは長い間かかりまして政府部内で検討したわけです。私が責任を転嫁するわけじゃありませんけれども、武器三原則については、もちろん外務省アメリカとの関係外務省が関連しておりますし、また通産省、あるいは防衛庁、そういう役所も関連をしております。そういう関係の省庁で論議を長い間続けまして、その結果として、武器技術の供与は三原則によらないことにするという決定をいたしたわけでございますが、その際に、国会決議との関係につきましてもいろいろな角度から、実は法制局も交えまして研究をしたことも事実であります。国会の決議はこれは尊重しなければならぬということは当然のことでありますから、国会決議との関係がどうなるかということについていろいろと検討したことも事実でございます。これは後で、この国会決議との関係につきましては政府の統一見解が出ますから、いまここでその統一解釈をそのまま申し上げるということは、国会との約束でございますから差し控えさせていただきますが、基本とするところは、われわれは検討した結果、少なくともあの決議は安保条約の効果的運用、そういうものまでも妨げるものではない、実はこういうふうな判断に達しまして、国会の決議を尊重をすることにするという趣旨にもとるものではない、政府としてはそういう判断になりまして、最終的な決断をいたしたわけであります。そういう状況の中で、いま申し上げましたように、総理が衆参の両院議長、あるいはまた私が外務委員長、そういう関係者に、あるいはもちろんアメリカ当局に対しても、当然でありますが、それぞれ連絡をした、こういうことでございます。
  58. 土井たか子

    ○土井委員 その中身についてどういうふうに御判断なさるかとか、いままでの外務大臣御自身のその中での御苦労などを私はお伺いしているわけじゃないのですよ。アメリカに知らせるよりも先に、これはもう、どう考えてもイロハでございますけれども、国会決議に対して違反するか違反しないかが問われ続けた問題なんですから、衆参両院の正副議長に対して報告をし、さらに説明をするというのは、なさねばならない手順のまず問われるべきABCじゃないですか。それを全くいいかげんにして、アメリカに先に通報をやってしまっているんです。外務大臣、これについては何らお考えになるところはありませんか。私のあずかり知る問題じゃないというふうに振り切っていいとお考えですか。外務大臣の責任は重いですよ、これは外交問題の中での問題ですから。
  59. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 いまの武器技術の供与は国会の決議に違反したものではない、こういうふうに政府としては判断をいたしておるわけでございまして、それは統一見解においても明らかにするわけでございます。そうしたわれわれの決断につきまして、国会との関係におきまして、国会に対しましていろいろと報告等もいたしたわけでございますが、その手順等につきましてやはり多少の反省はすべきところはあった、こういうふうに思っております。しかし、基本的に申し上げますが、この武器技術供与の決定は、私たちとしては国会の決議には違反をしていない、こういうふうに判断をいたしておるわけであります。
  60. 土井たか子

    ○土井委員 いまここでお伺いしているのは、その判断の中身とか、きょう統一見解が出るからとおっしゃっているそんな問題じゃないのです。統一見解が出る出ないは、きょうの問題じゃないですか。この問題の出発点に当たってとるべき措置をとらずして今日にまで至っているということが、そもそも出発点において瑕疵があったということですよ。どうして、日本の国会よりもアメリカの方を大事にされるのです。日本の国民よりもアメリカレーガン大統領が大事なんです。だから外務省の中では、いまは外務省じゃない、アメリカ省じゃという声がありますよ。全部アメリカ局がこの問題について取り仕切りをやって、国会なんてどうあったっていい、やってしまえばいいという姿勢で事を進めていらっしゃるんじゃないですか。目に余るのです。外務大臣は、手続の上で少々反省をしなければならない点があったというふうなことをおっしゃっておりますが、単なる反省をやってこの問題の瑕疵というものが補われる問題じゃなかろうと私は思います。正副議長に一回聞いてください。すべてこの問題については、国会軽視ということからすると、大変不快に思っていらっしゃるはずでありますから。こんなことを一たんやってしまいますと、後に引き戻せないですよ。外務大臣は、外務委員長に報告しましたの、外務委員会に報告しましたの、私が質問したときに要求をしたから私に説明しましたのとおっしゃいますけれども、その説明もいいかげんなものだったのです。しかし、国会決議があることを尊重するということからしたら、国会に対してとるべきまずABCの問題があろうということを私はいま言っている。それがなされていなかったのですよ。よろしゅうございますか。単なる反省では済まないのであります。外務大臣としては総理大臣にどうおっしゃいますか、それを聞かせていただきましょう。
  61. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 基本的には、武器技術の供与が国会決議に――国会決議の最終的なこの解釈というものはもちろん国会にあると私は思いますが、政府判断として、いろいろな角度から検討した結果として、われわれとしては国会決議には反するものでない、こういう考えなんです。そういう考えに基づいて、しかし国会には報告はそれぞれしておかなければいかぬということを十四日に決定した段階で話し合いまして、総理は、それじゃ衆参の両院議長に自分から説明しよう、報告しよう、こういうことを言われたわけでございますから、総理大臣としても、それなりの衆参両院議長に対する報告はされた、こういうふうに思っております。
  62. 土井たか子

    ○土井委員 いま私が申し上げたような経緯から考えて、外務大臣とされては、総理大臣は正副議長に対して衆参ともに説明をし、報告をされたというふうに認識できるとお考えですか、こういう実情で。
  63. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 その後予算委員会でいろいろとその間の質疑が行われまして、先ほどもお話しのように、参議院の秋山副議長に対しては総理はこの武器技術をたしか言ったというふうに思っておりましたけれども、それは秋山副議長が聞いていないと言われればあるいはそのとおりかもしれぬし、失念をしたのかもしれぬということで認めておられました。ですから、そういう点について総理大臣が衆参両院議長に対して確かに報告はされたわけですけれども、秋山副議長に対して武器技術の点についてこの報告が触れられなかったということは事実じゃないだろうか。私も秋山副議長をよく知っておりますから、秋山副議長のお話でありましょうからそれはそうじゃないか、こういうふうに思うわけであります。その限りにおいては多少反省はしなければならない、こういうふうに思っておるわけなんです。しかし、この武器技術の供与が国会決議に政府としても違反しておる、こういうことになれば、これはわれわれとしても国会に対して十分な、決議の変更とかそういうものを求めなければならぬ。もちろん、そういう意味での了承がなければできないわけですけれども、私たちの判断ではこれは国会決議の違反にはならない、こういうふうに解釈しておるわけです。
  64. 土井たか子

    ○土井委員 それは勝手至極というものです。一年有半このことに対して、先ほど外務大臣言われるとおり、各省庁関係のところは全部このためにいろいろな詰めをやり、いろいろな論議をやり、国会決議に違反するかしないかということが問題の焦点の一つでもあったんでしょう。そうすると、勝手に違反しないと決めてかかって、そして報告も、ただいまも電話で不十分な――これは報告といえるかどうかもわかりません。ましてや説明なんて何もないのです。しかも、電話ですよ。こんなやり方でもって国会に報告したということにはならないと思いますよ。よろしゅうございますか、正副議長に対して。この点は外務大臣も同感でいらっしゃるはずだと思いますが、いかがですか。
  65. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 私がおまえやれと言われたら衆参両院議長にそれはそれなりの報告をしたと思いますけれども、総理大臣がおやりになるわけですから、総理大臣がどういう形でおやりになったたか、私はそこまで聞くわけにいきませんし、後で聞いてみますと、確かに秋山副議長に対して武器技術の点は電話であったそうですが触れられなかった、秋山副議長は聞かれなかったということでございますので、その点は十分でなかった、こういうふうに私も思います。
  66. 土井たか子

    ○土井委員 もう一点、アメリカの通告が先で、単なる電話にしかすぎないけれども、それでもって内容説明もない報告だけをしかも不十分に国会の衆参両院の正副議長にするというこの手順はいかがなんですか。どのように思われますか。アメリカの通報が先なんですよ、十四日にすでになすっているのだから。この問題は私は先ほど十五日と申し上げたとおり十五日の出来事なんです、衆参両院の正副議長に対しての電話での通報は。それも不十分。受けていらっしゃらない方もあるわけですから。中身の説明はゼロであります。どう思われますか。
  67. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは確かにその点は手落ちの点もあるだろうと私は思います。しかし、いろいろと聞いてみますと、これは弁解じゃないのですけれども、総理の方も議長さん方をいろいろとお探しになったことも事実でありまして、ちょうど連休であったためにそれぞれ郷里にお帰りになってなかなか連絡のとれない点もあったというふうに聞いております。しかし、いずれにしても十四日に決定をして、その辺は私ははっきり確認をしておりませんけれども、十五日ということになったら十四日の明くる日ですから、それなりに両院議長さんに対する報告がおくれたということは言えるのじゃないか、こういうふうに思います。
  68. 土井たか子

    ○土井委員 種々言いわけめいたことばかりおっしゃるわけでありますが、これはもう手続上不十分な点があったとか反省すべき点があったで済む問題じゃないと思っています。よろしゅうございますか。大変重大な瑕疵ですよ。外務省姿勢がこういうものであるということも今回の一連の動きを見た場合に裏書きされているとすら私は思います。  もう時間が来ておりますから、私はあと一点だけお伺いしますが、今回アメリカ外務大臣が赴かれまして、アメリカでワインバーガー長官ともお会いになっているわけでありますが、国民の多くが関心を持っております三沢へのF16の配備、このF16には核を塔載すること、核を持ち込むことは一切認められないということをアメリカ側にお話しになりましたか、いかがですか。
  69. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これはもう当然のことでございまして話すまでもないことだ。日本には非核三原則があるわけでございますし、アメリカは核を持ち込むとすれば事前協議の対象になる、その際は日本は一切ノーでありますから、いまの日米関係においてそういうことは全くあり得ないことであります。
  70. 土井たか子

    ○土井委員 同じような答弁を昨年の十月十二日に決算委員会外務省の方が御答弁になって、そういう答弁では納得できない、相手方であるアメリカに対してそのことをきっぱり言わずして約束を国民に対してしているという姿勢こそ間違いだという質問が社会党の井上一成議員からございまして、そうして外務省はそれに答えて、「適当な時期、機会に、」「事前協議制度を遵守し、わが国の意思に反する行動はとらないとの従来からの確約を念のため再確認する」と約束されているのです。適当な時期、機会というと今回などは絶好の機会であり時期だということをだれしもこれは認識していたのです。このことを外務省は国会に対して約束されているのですから、したがってこれを必ず外務大臣が実行なさるであろうと見ているのですが、いまの御答弁からすると何もおっしゃらなかったんですね。国会答弁はその場しのぎで言っておけば済むとお思いですか。
  71. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 先ほど申し上げましたように、アメリカとの間はかたい信頼関係で結ばれた同盟の関係であります。安保条約で事前協議条項、その事前協議の中で核の持ち込みについては一切ノーだということはアメリカ政府も十分知っておるわけでございますから、アメリカ政府日本の意思に反してそういうことをやるはずは毛頭ないということは確信をいたしておるわけでございますが、いまのお話もございます。核の持ち込みに対する日本の態度、核の持ち込みは一切ノーだということについてアメリカに対して近くはっきりと申し入れをすることにいたしております。
  72. 土井たか子

    ○土井委員 本当に国会に対しての答弁といい国会に対する対応といい、ただいまの中曽根内閣そのものは一体独断専行を大きく通り越して議会制民主主義に対してのABCすら念頭にはおありにならない、このような気がしてなりませんよ、外務大臣。きょう統一見解が出ましても、その統一見解というのを見まして、私どもはそれで納得できるかというと、きょう申し上げたとおり、まず第一、手順が最初から狂っているのですから、これに対して政府としてはもう一度問題を後に引き戻して、初めから出発し直す姿勢でお取り組みにならない限りはこれに対する解決は全くないということを最後に申し上げて終わりにしたいと思います。
  73. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、玉城栄一君。     〔委員長退席、川田委員長代理着席〕
  74. 玉城栄一

    玉城委員 私も最初に外務大臣外交に対する基本的な考え方につきまして伺っておきたいと思うわけであります。  わが国は平和憲法、平和理念に基づく平和国家として当然平和外交に徹するというその責任ある立場大臣はいらっしゃるわけであります。わが国外交に対する大変な不安が内外にいま起きているわけですが、いわゆる中曽根総理の中曽根外交に対して外務大臣は全体的には成功であった、一部誤解の面もあったかもしれないと大変擁護していらっしゃるわけです。しかし、これはそういう簡単なものでは済まされないと思うのですね。やれ不沈空母である、やれ運命共同体である、やれ盾でありやりであるとか海峡封鎖であるとか等々、いままさに国民の間にわが国外交は今後どうなるのかという不安感が非常に高まっておりますね。そのことは毎日の新聞の世論調査のデータによってもはっきりしているわけです。そういうことから考えますときに、外務大臣とされて、わが国外交に対する内外の大変な不安感に対してどのような考え方を持っていらっしゃるのか、その点をまず最初に伺っておきたいと思います。
  75. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 先ほどからしばしば申し上げておりますように、わが国外交方針あるいは防衛の基本政策等につきましては、これまでの歴代内閣の方針と変わっておらないわけであります。わが国外交が大前提として平和外交推進するということは、これは当然のことでございまして、そういう中で、多少誤解等もありますから、そういう誤解についてはこれを解いて、理解をしていただくようにこれは努力すべきはしなければならぬ、こういうふうに考えております。
  76. 玉城栄一

    玉城委員 外務大臣、いま予算委員会を含めて、総理発言に対して、安倍外務大臣はいまおっしゃるように大変後ろの方からいろいろとつくろっていらしゃる、そのことははっきりしているわけですね。いわゆるポスト中曽根、有力な次の総理・総裁、そのニューリーダーのお一人として、私はそういうタカ派の政治家ではない、きわめて平和的であり良識的な政治家である、ましてやその責任者の外務大臣であるという立場から、やはりその点はきちっとしておかなくては、安倍外務大臣の将来にとっても悔いを残す。非常に大事なときであると私は思うのですね。もう一回ひとつお伺いいたします。
  77. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 いま申し上げましたように、中曽根内閣外交政策あるいは防衛政策については、これまでの基本方針と基本的には変わってない、私はこういうふうに確信をいたしておりますし、また、変わってはならない、そういうふうに思っております。
  78. 玉城栄一

    玉城委員 幾らおっしゃっても、国民の中曽根内閣に対する支持というものは日に日に低下しているということは、大臣も認めていらっしゃると思うわけであります。そこで、そういう判断があって、大臣が何か、衆議院の早期解散なんかやるべきではないと報道にあったのは、それは真意はどういうことでしょう。
  79. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 解散権というのは、これは総理大臣の専権事項でありますが、しかし、われわれは議員として四年の任期を与えられておりますし、先進国そのほかの議会の情勢を見ましても、大体任期いっぱいやっておるということですから、日本のようにしょっちゅう解散をするということはとるべきじゃないのじゃないか。まだ任期が十分ありますから、そしてまた問題もいろいろと山積しておりますから、解散なんというのは考えないで、十分腰を据えて懸案の解決に努力すべきだというのが私の考えであります。
  80. 玉城栄一

    玉城委員 そこで、日米安保条約を運用する責任の立場にいらっしゃる外務省に伺っておきたいわけですが、非常に具体的な問題に入っていきますけれども、五三%の基地を抱えておる沖縄の場合、沖縄に基地があるのではなくて、基地の中に沖縄がある、そう言われておるわけです。そこで、沖縄の場合、今後もやはりこういう基地というものは整理縮小の方向に行くべきであり、強化拡大の方向に行くべきではないと思いますが、大臣基本的な考え方を伺っておきたいと思います。
  81. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 沖縄県におきまして、米軍の施設、区域の密度が特に高く、その整理統合についてかねてより強い要望があることは十分承知をいたしております。これまでも、現地における要望、開発計画、民生の安定等に配慮するとともに、日米安保条約の目的達成との調和を図りつつ、安保協議委員会等で米側との協議を通じまして、その整理統合の推進に努めてきたところでございます。昨年一月八日の第十八回安保協議委員会においてもその一層の推進方意向を表明した次第でございまして、今後もさらに安保協議委員会で了承された整理縮小計画のうち残余のプロジェクトの早期実現に努力をしてまいりたいと考えております。
  82. 玉城栄一

    玉城委員 そこで、そういう整理縮小の方向に行くべきであるという基本的な立場からいきまして、実は一九七四年一月第十五回日米安保協議でいわゆる全面返還された基地があるわけです。これは那覇軍港なんですけれども、以来九年になるのですが、そのままこれはほったらかされているのですが、その理由を伺っておきたいと思います。
  83. 北村汎

    北村(汎)政府委員 ただいま先生指摘の那覇港湾施設の返還の問題は、先生指摘のように、十五回の日米安保協議委員会で、これは移設が実現すれば返還される施設、区域の一つとして了承されたものでございます。目下関係当局におきまして、その移設先を非常に一生懸命検討中であるわけでございます。本件を担当しております施設庁と私ども外務省は、日ごろから密接に連絡をいたしまして、いずれにせよ本件施設、区域の返還につきまして、今後とも地元の御理解を得て慎重に早く移転先を見つけてこの港湾の施設が返還されるように努力していきたいと存じております。
  84. 玉城栄一

    玉城委員 北村さん、それはいまおっしゃるとおり、言葉としてはそうなんですが、九年間それが実現してないわけでしょう。密接に施設庁と連携をとりながらと、いろいろ早くとおっしゃいますけれども、九年も……。それで一つ伺っておきたいのですが、この移設に要する費用はどのぐらいかかるのでしょうか。
  85. 北村汎

    北村(汎)政府委員 ただいまここに施設庁のあれが来ておりませんので……。私はその予算のことを存じておりません。
  86. 玉城栄一

    玉城委員 ですから、これは外務省としての一つの大きな怠慢です。その要する費用がどのぐらいかかるということを、九年もこういう状態で、怠慢と言われても返す言葉がないのじゃないでしょうか。いかがですか、北村さん。
  87. 北村汎

    北村(汎)政府委員 先ほども申し上げましたように外務省も鋭意この返還というものには努力いたしておりますけれども、おっしゃいますように予算の点までも十分これから点検をいたしまして、常に承知いたしておるように努力いたします。
  88. 玉城栄一

    玉城委員 それじゃ、いまこの那覇軍港がどういう状況にあるかということを御存じでしょうか。これは、御存じのとおり那覇の飛行場からおりてすぐわかりますけれども、まさに戦車とかトラックとかジープだとか水陸両用の迷彩色の、いわゆる砂漠用の、これがいまもうところ狭しと、戦場のような異様な感じがします。これはどうしてそういう状況なんでしょうか。
  89. 北村汎

    北村(汎)政府委員 那覇の港湾施設は、主として沖縄に駐在しております陸軍、海軍、空軍、それから海兵隊のための補給物資等の積みおろしなどのために使用されておりまして、わが国の安全と極東の平和と安全に寄与しておる沖縄の米軍にとりましては、この那覇の港湾施設というものは不可欠の施設となっておると承知いたしております。そういうことで、ベトナム戦争終了後はかなりこの使用頻度というものは減少しているように思いますけれども、しかし、その機能と申しますものは、沖縄において在日米軍の使用しております港湾の中ではやはり一番使用の頻度が高いということであると承知いたしております。
  90. 玉城栄一

    玉城委員 といいますことは、例の緊急展開部隊ですか、RDFのいわゆる事前集積船というものがありますね。これは実質的にはその母港と化しているということをいまおっしゃらんとしているわけですか。
  91. 北村汎

    北村(汎)政府委員 ただいま御指摘の事前集積船は、これは第七艦隊に属しておりますけれども、第七艦隊は先生承知のように西太平洋のみならずインド洋その他の海域をその分担海域として持っておるわけでございまして、この事前集積船はインド洋の方に行っておることが多うございますけれども、しかしながら、これは問題があるときにはいつでも極東の方の防備に当たるわけでございまして、現に過去においてチームスピリットその他の演習にも参加をしておるわけでございます。したがいまして、沖縄に根拠をおいて、そして中東の方に行っておる、そういうことではございません。
  92. 玉城栄一

    玉城委員 いずれにしましても、一九七四年一月に移設を条件として全面返還するという合意がされましたね。九年経過した現在はそういう状況で、おっしゃいましたように頻度が高く米軍に使用されている。いわゆる返還合意された時点と現在では相当状況が違っていますね。ですから、皆さん方が、この軍港移設に要する費用すらわからない、しかし早くやりたいということは、これは本当に皆さんやる気があるのかどうか、そこを私は疑いたいわけであります。
  93. 北村汎

    北村(汎)政府委員 施設庁から私どもが伺っておるところでは、この問題はもう一にかかって移転先の問題のようでございます。何分とも、いろいろ場所、そういうことから移設先がなかなか適当なところが見つからないというのが、この返還がおくれておる原因と私どもは施設庁から聞いております。
  94. 玉城栄一

    玉城委員 先ほど早急に返還に努力するというお話がありましたから、しっかりやっていただきたいと思うのです。  もう一つは、一月十七日に、沖縄の与那原町にP3Cから対潜探知装置といいますかいわゆるソノブイというのが落下しました。これは公園なのですね。突如としてそういう物騒なものが落ちた。そのとき不幸中の幸いに子供なんかがいなかったからけが人が出なかったわけですが、これは大きな問題になりまして、地上の演習の時点においてすら多くの被害があって地域住民が非常に不安がっているのにかかわらず、飛行機から突如としてそんなものが落ちてくると大変不安に思うわけですね。外務省の方に何回もその件について抗議もあったと思うのです。それで、私二十四日におたくの方にお伺いして、こんなことが二度とあったら困る、厳重に米軍には注意してもらいたいということを申し入れた。そうしたら、幸いに二十七日に合同委員会があるから、そこで厳重に申し入れる、その結果は私に、ちゃんとお知らせしますというお話だったのですね。しかし、そういう話も何もないですね。これはどういうことでしょうか。
  95. 北村汎

    北村(汎)政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたように、この事故につきましてはアメリカに対して注意を喚起いたしました。先ほどおっしゃいました合同委員会の席上、私どもから、こういうことが二度と起こらないように厳重に注意するようにと注意を喚起いたしました。
  96. 玉城栄一

    玉城委員 ですから、いつもそういうことだけで、二度とそういう事故が起きないようにどうどうどうする、どうするという具体的なものがないわけですね。注意を喚起する、二度と起こすな、そういうことの連続なのですね。そういうおざなりでは非常に困るということなのです。しかも、その内容を知らせると言っておいて、皆さんは知らしてくれない。それが先ほどから指摘のあるとおり、いまの外務省基本的な姿勢だと思うのですね。  そこで、もう一点伺っておきたいのは、この一月二十七日の日米合同委員会でもう一つ、日米共同で使用する施設の件が合意になっていると思いますが、それはどういう機能を持った施設であり、その目的はどうなのか、そしてそれは幾つぐらいわが国にあるのか、なぜ沖縄に今回建設されるようになったのか、その辺を御説明いただきたいと思います。
  97. 北村汎

    北村(汎)政府委員 いま先生がおっしゃいました施設は沖縄海洋環境観測施設のことであると思います。これは、海上自衛隊がホワイト・ビーチ地区の土地の一部を米軍と共同使用いたしまして、地位協定上二4(a)に当たりますが、近海の潮流等の海洋環境の調査研究を目的に建設を予定しているものと承知いたしております。この共同使用につきましては、去る一月二十七日に日米の合同委員会で合意されております。  この観測施設につきましては、海中の温度とか潮流とかあるいは塩分などを分析して海中での音の伝播状況を調査することもその目的の一つであるというふうに聞いております。  以上でございます。     〔川田委員長代理退席、委員長着席〕
  98. 玉城栄一

    玉城委員 海中でのいわゆる伝播、音を探知する目的、どういう目的でそういうことが必要になっているのか、わが国にはそういう施設がどれぐらいあるのか、なぜ今回ホワイト・ビーチに米軍と共同でそういう施設をつくるようにしたのか。
  99. 北村汎

    北村(汎)政府委員 私どもがいま承知いたしておりますことは、艦船の所在を探知する、そういうものではないというふうに聞いておりますけれども、とにかく海中での温度、潮流、塩分などを分析して音の伝播状況を調査するのだという説明を受けております。(玉城委員「何のため」と呼ぶ)私どもの受けております説明では、海洋の環境条件の調査である、こういうふうに施設庁から伺っております。
  100. 玉城栄一

    玉城委員 これは、はっきり言いまして、いわゆるシーレーン防衛に関係していないのですかいるのですか、どうなのですか、外務省はどう見ているのですか。
  101. 北村汎

    北村(汎)政府委員 これは、私どもが承知いたします限り、一般的な海洋の調査であるというふうに承知しております。
  102. 玉城栄一

    玉城委員 わが国にこういう施設は何カ所ありますか、どこどこにありますか。
  103. 北村汎

    北村(汎)政府委員 防衛庁に聞きませんと、いま私どもは詳細なデータは持っておりません。
  104. 玉城栄一

    玉城委員 外務省、これは去る一月二十七日の日米合同委員会日米間で合意された事項ですね。しかも、地位協定二4(a)とおっしゃいましたね。これは重要な外交問題でしょう。しかし、その合意された内容について外務省が知らないというのはどういうことなのですか。これはまさに大きな怠慢でしょう。それとも、知っていてもおっしゃらないのか。
  105. 北村汎

    北村(汎)政府委員 先ほども申し上げましたように、この共同使用は近海の潮流等の海洋環境の調査研究というものを目的としておるわけでございまして、それを目的とした共同使用ということが日米の合同委員会で合意された次第でございます。
  106. 玉城栄一

    玉城委員 それでは最後に。もう時間が来ましたのでね。この施設はシーレーン防衛、いわゆる対潜用のデータ収集というのとは全く関係ない、そのことをはっきりおっしゃるわけですね。それだけ伺って、この質問は終わります。
  107. 北村汎

    北村(汎)政府委員 これは、先ほども申し上げましたようにあくまでも一般的な海洋の調査であるというふうに承知いたしております。
  108. 玉城栄一

    玉城委員 以上です。
  109. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、林保夫君。
  110. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣御就任以来の御苦労を多としながらきょうは率直に中曽根外交というよりも安倍外交をひとつお聞きしたい、このように考えております。特に、大臣ももうすでに御承知のように、比喩で言ったとかという言葉、それらをめぐって国会あるいは海外にまでいろいろな波紋が出ております。国民の立場からするととてもわからぬ、こういうふうにみんな言っております。しかし大臣は、ここにもありますように、わかりやすい外交というのを特に強調されて、言うべきことははっきり言う、約束したことはあくまでも実行する、こういうふうに言っておられます。そういった点で、最近の特に日韓日米会談以後のいわゆる日米間の運命共同体、それから不沈空母、さらには海峡封鎖など一連の中曽根発言でございますが、これらは実は二十一日夜のNHKの「総理にきく「中曽根政権は何をめざすか」」という中で、大臣お聞きになったかどうか知りませんけれども、中曽根総理はいろいろな案件を決して独善でやっているのではないというような意味のことを大変強く言っておられまして、それぞれの案件について事務的な検討を詰めに詰めて、それを自分はとってやっているのだ、こういうことでございました。  三つぐらいで結構です。対米技術輸出、これは一年半もかかった検討の結果だ、こう理解しておりますし、それはそれで御答弁いただいて結構ですが、不沈空母発言、四海峡封鎖、これらは決して防衛庁だけの問題じゃないと思うのです。外務省の事務段階あるいは首脳部段階で詰められて総理が言われたのかどうか、この辺のところをまずはっきりさせていただきたいと思います。
  111. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 外交とか防衛の基本的な政策総理大臣一存できるものではない、私はこういうふうに思っております。武器技術につきましても、私ももちろんその責任者の一人でありますが、長い間検討いたしました結果、総理大臣も交えまして最終的なああした決断になったわけでございます。  ただ、発言については、実はワシントン・ポストでの発言が中心になっているわけですが、ワシントン・ポスト紙との朝食会に私も出席をいたしておりました。中曽根総理が不沈空母とかあるいは四海峡、後で三海峡と改められたわけですが、そういう発言をされたことも事実でありますし、あるいはまた日米首脳会談日米が運命共同体である、こういうことも発言はされたわけでございますが、これはまあ総理大臣の独特のいわばボキャブラリーといいますか言葉でああいうふうに言われたのでありまして、後からこの不沈空母というのは比喩だ、こういうことを言っておられるわけであります。  その後の予算委員会の審議等もずっと続いて中曽根総理外交、防衛に対する基本的な考え方というのが明らかになっておるわけでありますが、私はそれをじっと聞いておりまして、決して大枠はこれまでのわが国のとってまいりました外交、防衛の大枠を出るものではない。言葉については、中曽根総理の独特な言葉でありますから。そしてそれがまた海外、国内においていろいろと比判されていることも事実であります。しかしわれわれは、そうした批判とか危惧といったものについては、日本政府のとっておる方策、政策、それ以上に伝わるということになれば大変なことでございますから、そうした誤解とか批判というものは解いていくように努めなければならない、こういうふうに考えております。  今回の二階堂特使中国への派遣、それによって日中間について詳細に話し合いが持たれたわけでございますが、日本立場については中国二階堂特使の派遣によっても十分理解が進んだのじゃないか、私はそういうふうに報告を受けまして判断をしておるわけであります。さらに、東南アジアその他の諸外国に対しましても日本立場理解せしめるように今後努力を続けていかなければならない、そして無用な混乱とか誤解を招かないように努力をしていく必要がある、こういうふうに考えています。
  112. 林保夫

    ○林(保)委員 そういう意味でむしろ外交問題はこれから大臣が手綱を締めていってもらわなければならぬのじゃないかな、このようにも考えるわけですが、御承知のように不沈空母発言についての国民的な疑問は、できもしないことを言ってよその国を刺激せぬでもいいじゃないか、こういうことでございます。できもしないことといって、私も一体どれくらい金がかかるかわかりませんが、大臣、不沈空母になるにはどのくらいお金をかけたらできるとお考えでしょうか。総理が言ったんですから、こういう問題を一遍ぐらいは事務的にも検討をしていいと思うのですが、大臣、お答えください。
  113. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは中曽根総理が国会でも言っておりますように、自分の国は自分で守る、こういう意気込みを不沈空母という比喩で表現をしたということでありまして、歴代総理大臣それぞれ比喩を使っております。ハリネズミ論とかいろいろ使っておるわけでありますが、そういう比喩の一つであって、それが決定的に日本防衛政策を象徴するものであるというふうには私は全然思っておりません。
  114. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣はそういうふうに防衛政策を象徴するものでないと思っても、御承知のようにソ連の反響一つ見ましても、西欧でのSS20を極東に回すというところまでもアンドロポフ書記長、グロムイコ外務大臣、両方とも公式の場で発言しておるというような反響すら出ております。外務省でそろばんが立たぬのでしたら、きょう防衛庁、夏目さん御苦労願っておりますけれども、ひとつどれくらいお金がかかるものなのか、どういう受けとめ方をしておられるのか承りたいと思います。
  115. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 ただいま日本を不沈空母化するのに幾らかかるか、こういうふうな御質問の御趣旨だと思いますが、非常にむずかしい御質問でございまして、総理のこの不沈空母の発言は、ただいまも外務大臣からお話がありましたとおり、わが国がみずからの国はみずから自分で守るんだという気概を持った上で必要な防衛力整備しなければならない、こういう御趣旨で言われたというふうに予算委員会でも再三答弁されておるわけでございまして、そのための金と申し上げれば、すなわち私どもが現在防衛費としてお願いをしている金あるいは五六中業で予定している金がそういう総理の言っておられる趣旨に合う金額になろうかというふうに思いますし、不沈空母のための金は何かを防衛費の中から選んで指摘をせよということになりますとなかなかむずかしいのですが、念のため、五十八年度の防衛予算が二兆七千五百四十二億円、この中のいわゆる防空のためということで一番関係の深い航空自衛隊の予算を申し上げれば六千九百九十四億円、これがそれに近いお答えになるのかどうか。さらには五六中業の四兆四千億という金がございますが、このうちの航空自衛隊の金は一兆四千二百億から一兆四千九百億ということがただいま私どもでお答えできるぎりぎりのお答えではないかというふうに思っております。
  116. 林保夫

    ○林(保)委員 防衛庁の御答弁は、それはそれなりに評価はいたしますけれども、国民的な立場から言いますと、もう核を持たなくて何で不沈空母にできるのかという議論から、私、聞いてみましたら本当にピンからキリまでありますね。そうしてみますと、国家予算五十兆使ってもなおできぬのじゃないか、そういうことをどうして政治の責任者、しかも一億一千万人のトップに立って国民の安全を一番考えなければならぬ総理が言うのだ、こういうことでございます。安倍外務大臣、この辺はひとつしっかりと聞いておいていただきまして、これからむしろ抑えるところは抑えていただかなければならぬと思います。  いろいろ議論している時間がありませんので、次に入ります。  四海峡封鎖につきまして、今日防衛庁はどれくらいの予算を持っておられるか、五十八年度予算で結構ですが、実額を示していただきたいと思います。
  117. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 この四海峡封鎖――三海峡の封鎖に要する経費、こういう御質問でございます。  実は海峡封鎖ということ、私どもとしては、いわゆる海峡防備、もしくは、必要な場合にはわが国に対して武力攻撃を加えるところの相手方の艦船の通峡を阻止するというふうに理解をしておりますが、そういうための金というのは、たとえば海上自衛隊にあっては艦艇がその中に入りますし、また航空機もその中に入りますし、あるいはまた通峡阻止のための機雷というふうなものが入ってきます。あるいはそのための必要な整備費、修理費そういったことも含めますと、これまた先ほどの御答弁と同じようになりますけれども、にわかにこの中から海峡封鎖のための金だけをピックアップすることはなかなか至難のことであるということでございます。  ただ、そのためにいま私どもはどういうふうな防衛力整備をしているかということを端的に申し上げますと、まず第一の前提としましては、海峡防備というのはわが国の本土に対する着上陸阻止をするためにも必要なことでございますが、一方、見方を変えますと、わが国のシーレーン防衛、すなわち海上交通の安全を守るという意味合いからも、この通峡阻止、海峡防備というのは非常に重要な問題でございます。  そういうためにどういう防衛力整備をしているかといいますと、具体的に言いますと、たとえば現在艦艇が五十三隻でございますが、これを五六中業では六十隻に持っていきたいということでございまして、これがそのうちの一つ。それから潜水艦につきましては、大綱の線で十六隻でございますが、これを五六中業で現在の十四隻から十五隻にはしたい。それから、固定翼対潜機のP3Cが現在八機しかございませんが、これを五六中業で七十二機という形に持っていきたい。さらには、回転翼の対潜機、いわゆるヘリコプターでございますが、これも現在七十三機しかございませんものを百三機に持っていくというふうないろいろの要素を重ねたものが、通峡阻止、海峡防備ののために総合的に役立ってくるということでございまして、これを金額で申し上げると、先ほどのように五十八年度の予算で申し上げれば六千五百四十億、五六中業の四兆四千億の中身で申し上げれば、一兆七千四百億から一兆八千二百億が海上防衛力整備強化のための費用であるというふうにお答えいたします。
  118. 林保夫

    ○林(保)委員 局長、もう一点。  五六中業をやったら、三海峡でも四海峡でも封鎖できるわけですか。
  119. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 私ども、海峡防備、通峡阻止の重要性というものに着目いたしまして逐年整備を進めておりますが、もともと海峡防備、特に通峡を阻止するということは非常にむずかしい問題でございまして、これはそのときの態様にもよりますが、たとえば相手の潜水艦を一隻も通過させないなんということは望むべくもありませんし、またできる話ではないと思います。ただ、そういうふうな機能を私どもが持つということがいざというときの抑止効果につながるものであるという見地から防衛力整備しているわけでございまして、いま私どもが計画をしております五六中業が完成すれば、現在不十分なものが相当向上するのであろうというふうに見ております。ただ、これを具体的な定量的なものとしてお示しするのはなかなかむずかしいであろうというふうに思っております。
  120. 林保夫

    ○林(保)委員 そういうことで、結局は、はっきりとしてでき得ないことを言うものですから、先ほどもお話がありましたように、例のマンスフィールド駐日大使などは、非現実的な、そしてまた過大な期待を抱かせるものだということで、大臣はそれを、先ほどのお話を聞きますと、アメリカ国内に対する警告というふうに言っておられましたけれども、私自身はむしろ、日本に対する警告でもある、このようにも考えたわけでございます。それをしてなお対米トップ交渉は成功であった、このように私はどうしても理解できないのでございますけれども、大臣はこれからの対米外交を進められるに当たりまして――たとえば、八三年の国防報告に出ておりますが、大臣も長年言論界におられまして、いろいろと戦後のいきさつを知っておられると思いますが、私も二十二年からやっておりましたものですから、よけいに言葉にこだわるようですが、今度この国防報告の中でびっくりしたのは、戦略上の位置づけとして、日本はアジア・太平洋のコーナーストーン、角の石というのですか、地域の核というのですか、そういうふうに言っております。  これは思い起こせば、例の沖縄の返還のころに、キーストーンという言葉が盛んに使われて、それなりに私どもは理解して沖縄返還を喜んだわけですけれども、何か、キーストーン、かなめ石から飛び飛びの石になってしまった、こういうふうな感じがするのでございます。コーナーストーンについて条約局長はどのような解釈をしておられますか、まずそれを伺いたいと思います。
  121. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 法律的な用語で用いられたものではないというふうに承知しておりますので、単純な英語の問題として、私、別に条約局長ということではなくて申し上げれば、コーナーストーンと申してもキーストーンと申しましても、ニュアンスは多少の違いがあるかと思いますが、英語の問題とすれば、基本的には、非常に大事なもの、かなめ石と言おうと礎石と言おうと同じようなものではないかというふうに私は理解しております。
  122. 林保夫

    ○林(保)委員 条約局長は余り重視しておられない言葉のようですけれども、そういうことでございますと、たとえば戦後の日米間の外交史をたどりましても、日米新時代と言ったり、パートナーと言ってみたり、あるいはイコールパリティと言ってみたり、あるいは同盟関係、その前に共甘共苦といいますか、共存共苦という言葉もございましたし、また、その同盟の中に軍事的な意味があるかないかというようなことなども――今日は、中曽根さんの演説を見ましても、それから外務大臣の演説を見ましても、日米関係を基軸としてというのをぴっしりやっておりますが、本当にたわいのないものであるとすれば、日本は不沈空母だと言う、向こうは比喩的に路傍の石だ、こういうふうに持ってきているとしか思われませんので、これはレーガン政権にとりましても、中曽根政権にとってみましても、本当にこれでいいのだろうか、こういう反省が私どもはございますが、大臣、その点はどのようにお考えになりますか。
  123. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 八四年度の国防報告におきましては、いまお話しのようなコーナーストーンといった表現は見られないのですが、八三年度の国防報告あるいはそれ以前の国防報告において、コーナーストーンであるとかあるいはキーストーン等の表現が用いられていることは御指摘のとおりであります。  アメリカ日米安保体制のもとで、わが国及び極東における平和及び安全という、米国と共通の安全保障上の価値観というものを有しておるわが国が、経済的にも、また自衛力の面でもこの地域の平和と安定に貢献している点を評価するとともに、今後ともわが国及び極東の平和と安全の維持のためのわが国の努力についての期待を有しておるわけであります。  そこで、御指摘のコーナーストーン、キーストーン等の表現はいずれも、基本的には、わが国及び極東の平和と安全を維持する上で、わが国の重要な位置づけについての米国の認識というものを表明したものではないか、こういうふうにとっております。
  124. 林保夫

    ○林(保)委員 それで、だから、しっかり実務的な詰めをやはり日米間でやっていただかなきゃ、言葉のあやで比喩だ何だと言っていたのでは厳しい国際情勢下に対応できるような体制には私はならぬ、このように特に思うわけですが、大臣、言葉の解釈ばかり聞いて恐縮ですけれども、運命共同体と一蓮托生についてどのような解釈をされ、また、これを日米外交上どう生かされるか、ひとつはっきり承りたいと思います。
  125. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これも、運命共同体というのは総理大臣日米首脳会談で使った言葉でありますが、国会でこれに対して質問がありまして、日米関係というのは、同じ価値観を持った国である、同時にまた安保条約というものによって非常に強く結ばれておる、さらにまた経済的にも膨大な交流がある、そうした切っても切れない関係といいますか、そういうことを運命共同体という言葉で表現したということでありまして、その限りにおいて私は日本アメリカ関係は二国間の関係としては最も深い関係にあると思うわけでありますけれども、しかし、そうした関係にあっても、日本日本立場、原則というものがあるわけでありますし、アメリカアメリカ立場、原則があるわけでございますし、そういうものを踏まえて日本日本なりの道を歩んでいかなきやならぬと思うわけであります。  私は、日米関係は、今度の中曽根訪米によりまして一つの同盟関係の再確認といいますか、そういう面については一歩両国の信頼関係が高まった、こういうふうに思っておるわけでありますが、しかし、こうした日米関係というものは一朝一夕にしてでき上がるものではありませんし、これまでの長い努力の結果でありますし、また、今回の成果があったからといって、これはいつ崩れぬとも限らぬわけでございますから、今後も長いこれからの歴史の中にあってお互いに努力をして積み上げていかなきゃならない関係じゃないだろうか、私はそういうふうに思っておるわけでございます。
  126. 林保夫

    ○林(保)委員 中曽根さんが一緒にがんばろうというような意味での運命共同体、一蓮托生、それはわかるのですけれども、言葉がきわめて不適切ですね。たとえば、一蓮托生というのは、大臣、辞書でも引いてみられましたか。これは多くの年配の人が指摘する点でございます。広辞苑をひとつ読んでみましょう。二番目を先に読みます。「善くても悪くても行動・運命をともにすること。」しかし、これについても、大臣、反対があるのですね。アメリカと一緒に進むような日本にしてもらったら困る、総理、やめてもらわなきゃいかぬ、こういう意見まで出ておりますよ。本当の意味は一番でございます。よく聞いてください。「死後、ともに極楽に往生して、同一の蓮華に身を託すること。」これが一蓮托生です。大臣もおわかりでしょう。ハスの葉の上にロンとヤスさんが乗って、それで死後の世界でお茶でも楽しむようなことでは困るのです、現実の国際社会のやりとりで。一億一千万人本当に困るのです、そういうことじゃ。そんなことを期待して総理をやってもらっているのじゃないわけですから、そこら辺も、国の命運を預かっておられる総理でございますし、これから外交を進めていかれる大臣にはぜひぜひ御留意いただきたい、このことを申し上げておきたいのですが、ゆっくりできませんので一つだけ最後の質問をさせていただきたいと思います。  先ほどの武器技術供与の問題につきまして、大臣は、先ほどいろいろございました、衆議院議長、参議院議長、そしてそこにいらっしゃいます外務委員長らはそれで了解されたと通報しただけなのかあるいはそこでイエス、ノーをとったのか、私は現場におりませんから知りませんのですが、しかし了解されたものとお感じになったのかどうかという点が一つと、もう一つは、これは間違っていたらお許しいただきたいのですが、私も外務の委員会にたびたびおりまして、あの問題については通産省がなかなかうんといわぬのだ、その大将が実は安倍通産大臣だという話を聞いたこともございます。それは誤解であったかもしれません。しかし、なおそれを踏み越えてこれに踏み切られた理由、この二つをひとつ承りたいと思うのです。
  127. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 十四日に決定をいたしまして、総理大臣は衆参両院議長に報告するというお話がございまして、私は外務省を通じまして竹内委員長に報告をいたしたわけでございますが、報告をしてそれでもって果たして了解を得られるかどうかということについて、確かな自信といいますか、そういうものがあったわけではございません。これはそれぞれのお立場がございましょうし、政府としてはいずれにしても国会で説明をして了解を求めなければなりませんから、とにかく議長、副議長のところには報告だけはしておく、こういうことで報告をしたわけでございます。  また、この武器技術の供与の決定につきましては、これは一年数カ月にわたりまして私も通産大臣の時代からいろいろの角度から検討に検討を実は重ねてまいりました。その結果として、今日の日米安保体制の効果的な運用を図っていくためには、この技術については三原則によらないという方向、それ以外にないということで最終的な決定となったわけでございまして、国会決議との関係ももちろんいろいろな角度から検討がされたわけでございますが、国会決議についてはもちろんこれは尊重しなければなりませんが、いまの武器技術の供与の決定は国会決議の違反につながるものではない、政府としてはこういう判断に基づいてああいう措置をとったわけでございます。
  128. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣、もう一つだけ。  通産行政の面から言いまして、産業界は非常に大変だろうと私思うのですけれども、この点については、大臣は、外務大臣になられたから変わられたと言ってしまえばそれまでですけれども、どのようにいまお考えですか、簡単で結構ですから一つだけ。
  129. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 もちろんいわゆるこの武器技術の供与についてはMDAを通じてやるわけであります。いわゆる政府政府関係でありまして、民間の武器技術の交流といったものはもちろん三原則の対象になるということははっきりいたしておるわけでございますから、同時にまたMDA等によりましてさらに細目協定等をこれから結ぶわけですが、その段階においていろいろと歯どめをいたすわけでございますから、その限りにおいては、私は、わが国平和国家としての理念であるとかあるいはまた紛争の助長といったものにこの措置がつながるものではない、こういうふうに判断をいたしております。
  130. 林保夫

    ○林(保)委員 時間が来ましたので終わります。御健闘をお祈りいたします。ありがとうございました。
  131. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、野間友一君。
  132. 野間友一

    野間委員 私は日韓首脳会談について主としてお伺いをしたいと思いますが、まず最初にお伺いしたいのは、日本にとって韓国あるいは朝鮮半島、これに対してどう認識し、どう見るか。特に南北間の問題であります。これについて全斗煥大統領が、ちょうど一九八一年の日米首脳会談、この直後、これは五月十五日ですが、日本の時事通信社の韓国訪問団との会見の中でいろいろと言っております。これは世界週報に全文が出ておりますが、それを読んでみますと「東南アジア、とくに韓半島は戦略的要衝で、これが一つのキー(鍵)を握っている。日米共同声明でもこの問題が取り上げられ、満足に思っている。韓国に政治的、軍事的な不安が生じた場合、日本はもちろんASEAN世界の平和をも脅かす。日韓首脳会談では、韓半島の戦略的重要性を認識していただいて話し合いたい。」こういうふうに全斗煥大統領がみずから韓国ないしは朝鮮半島を位置づけております。  そこで、まずお伺いしたいのは、外務大臣、こういう朝鮮半島の位置づけあるいは認識は全斗煥大統領と同じ考えなのか違うのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
  133. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 韓国は一衣帯水の隣の国でありますから、わが国としては、何としても韓国が安定をして、そして繁栄するということが望ましいわけでありますし、特にまた朝鮮半島自体が緊張関係が続いていくということは好ましくない、緊張関係がさらに激しくなるということは日本の安全と平和にとりましても非常に好ましくないことでございます。そういう意味において、日本韓国緊張緩和のための環境づくりに努力をする、あるいはまた韓国の安定と繁栄のために協力をするということは、私は日本のあり方としては当然である、こういうふうに考えておりますが、戦略的とか、そういうふうな立場韓国あるいは朝鮮半島というものを考えておるわけではないわけであります。
  134. 野間友一

    野間委員 そうしますと、全斗煥大統領のこういう認識なり位置づけ、この中には問題がある、安倍さんはそのままそのとおり同じ意見じゃないということでしょうか。
  135. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 全斗煥大統領は、韓国の大統領としての韓国の平和と安全についての責任を持った立場でそれなりの戦略的な判断もあると思いますし、またお考えもあると思いますが、しかし、日本日本としての立場があるわけでございます。それぞれのお互いの独立国家としての立場を踏まえながら協力をしていく。お互いに一致しているところだけではないわけであります。それはそれなりに理解しながらつき合っていく、そして協力を進めるということが筋じゃないか、そういう立場日本はやっておるわけでございます。
  136. 野間友一

    野間委員 いま大臣も「戦略的」という表現について問題だというふうに言われましたけれども、こういう認識は確かに「戦略的要衝」とかあるいは「韓国に政治的、軍事的な不安が生じた場合、日本はもちろん」日本をまず挙げておりますけれども、「平和をも脅かす。」つまり、全体の流れの中では、日本にとりまして韓国がとりであるいは防波堤、こういう役割りを持っておるのだということがいま申し上げたこの表現の中に貫かれておると私に思うわけであります。  そこでお伺いしたいのは、日韓共同声明の第四項、これは種々論議がされておりますけれども、いま申し上げました全斗煥大統領の認識なり主張が四項の中にそのまま入っておるというふうに理解していいのかどうか、その点いかがです。
  137. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 共同声明第四項は、朝鮮半島における平和と安定の維持が東アジアの平和と安定に深いかかわり合いを持つこと、日韓両国はそれぞれの国際的立場、憲法上の制約等を踏まえつつおのおのの立場から努力していくべきこと、朝鮮半島の平和維持のためには韓国による防衛努力と南北対話への努力の双方が重要であることを述べたものでありまして、韓国側もこうした解釈をとっておる、こういうふうに考えておりまして、先ほどからお話を聞いておりますと、いわば日韓安保ということがこの背景にあるのじゃないかというふうな御指摘のようにも見えないわけではないわけですが、この共同声明、さらに今回の日米首脳会談に関する限りにおいては、そうしたことは全くないわけでありまして、日本としても日韓協力と親善、そして経済協力についてあくまでも純経済的な協力という立場を貫いておるわけです。
  138. 野間友一

    野間委員 それじゃ少し分けてお伺いしたいと思いますが、まず共同声明の四項に関してですが、情勢の認識の問題で、実は例の佐藤・ニクソン会談のときの共同声明の中に、「韓国の安全は日本自身の安全にとつて緊要である」、こういう中身がありまして、これが再三論議されたわけでありますけれども、今回のこの共同声明の中に「韓国の安全は日本自身の安全にとつて緊要である」、この佐藤・ニクソン会談の表現、文句がそのまま入っておるというように理解していいのかどうか。
  139. 栗山尚一

    ○栗山政府委員 ちょっと野間委員の御質問のポイントを十分理解いたさなかったかと思いますが、昭和四十四年のいわゆる佐藤・ニクソン共同声明におきまして、佐藤総理が「韓国の安全は日本自身の安全にとつて緊要であると述べた。」ということが書いてあることはそのとおりでございまして、この基本的な認識はその後も変わってないということは歴代総理から申し上げているとおりだろうと思います。  日韓共同声明の四項……
  140. 野間友一

    野間委員 それはいいです。後で聞きます。  いま条約局長の答弁にもありましたけれども、この日米共同声明の中の「韓国の安全は日本自身の安全にとつて緊要である」これはいまもその立場においては変わりはないし、共同声明の中にもそういう趣旨のものは入っておるということだけ確認しておきたいと思います。  続いて外務大臣にお聞きしたいのは、先ほども若干触れましたけれども、韓国日本にとってとりでであるとかあるいは防波堤である、これは韓国では全斗煥大統領も言っておりますし、さまざまな報道の中でも随所に出てくるわけですが、こういう論、こういう考え方外務大臣はこれを認めるのかどうか。いかがでしょうか。
  141. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 私たちも韓国へこれまで何回か参りましたが、韓国の人たちは、韓国日本のとりでであるとか、韓国が侵略を受けたら日本がそのまま侵略をされるのだ、こういうふうなことを盛んに言われるわけでございますが、これはもちろん韓国自体の判断といいますか韓国の方の判断であって、日本はあくまでも日本でありますから、日韓関係というものは親善協力を進めていかなければなりませんし、また朝鮮半島の平和と安定の維持というのが東アジアの平和と安定にとって緊要であるということについてはわれわれも深く認識をいたしておるわけでございますが、それがわれわれの見解であります。
  142. 野間友一

    野間委員 いや、端的にお聞きしたことにお答えいただきたい。  そうすると、外務大臣は、日本にとって韓国が防波堤であるとか、あるいはとりでであるというような立場には立っていないということですか。否定されるわけですか。
  143. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 防波堤であるとかとりでであるということは、これはちょっとわれわれから言いますと、それはおかしいんじゃないか。朝鮮半島の平和と安全というのが東アジア、日本の平和にとってきわめて緊要であるということはわれわれは認識しておりますが、とりでとか防波堤ということはわれわれとしてはとらざるところでございます。
  144. 野間友一

    野間委員 そうお聞きしておきます。  これは韓半島、朝鮮半島に対する認識が、いまの外務大臣とは全然違うということなんですが、ただ問題は、今回の日韓間の共同声明の四項ですけれども、これは大変苦労した官僚の作文でありますけれども、しかし要するに、これは全体を通して、全体の趣旨を私が読む限り、これはやはり韓国日本にとってとりでであり、防波堤であり、韓国の安全即日本の安全ということに、これをぼやぼやとぼやかした表現にしておるというふうに言わざるを得ないと思うのですね。つまり、韓国防衛努力が対話努力と相まって朝鮮半島の平和維持に寄与している、その朝鮮半島の平和と安定の維持が日本を含む東アジアの平和と安定にとって緊要である、こういう流れになっておるわけで、ですから、この三つの命題をつなぎますと、韓国防衛努力、これが即日本の平和と安定にとって緊要である、こういう流れにならざるを得ない。防衛努力の項をわざと四項の一番最後に分けて巧妙に書かれておりますけれども、そういう点からして、とりで論とかあるいは防波堤論、あるいは先ほど条約局長が認めましたけれども、韓国の安全即日本自身の安全ということはきっちりこの四項の中に組み込まれておる。したがって、韓国が、この共同声明の四項がすなわちいま言いましたような防波堤とかあるいはとりでということを認識させたんだというように言っても、これは無理からざるものがあるのではないかというふうにも思うのですけれども、その点について外務大臣の認識はいかがでしょうか。
  145. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは、共同声明は素直に読んでいただいたらいいのじゃないかと思いますけれどもね。とにかく「朝鮮半島における平和と安定の維持が日本を含む東アジアの平和と安定にとって緊要である」、ですから、朝鮮半島の緊張がやはり緩和するということが日本にとって望ましいことであるし、朝鮮半島に混乱の事態が起これば、日本にとっても、日本の平和にとっても非常にむずかしい状況が生まれるという意味においては、これは確かに日本朝鮮半島情勢というものは深くつながっておるということは一面においては言えるわけでございますが、同時にまた、韓国防衛努力韓国の安定を図るための韓国防衛努力というものについては一面において評価をするわけですが、同時にまた、南北の対話というもの、一面においては防衛努力、一面においては南北対話というものがあわせて朝鮮半島の平和維持に寄与していくんだということで、一方的に防衛努力朝鮮半島の平和維持に寄与していくということをこれは言っているわけじゃなくて、あわせて対話ですね、対話努力、これがあわせて朝鮮半島の平和維持に大きく寄与するんだ、こういうことをわれわれは評価しているわけであります。
  146. 野間友一

    野間委員 時間がありませんので、次に進みますが、そうするとあれですか、外務大臣のいまの御答弁では、この四項では決して韓国日本にとってとりでであるとか防波堤であるということを含めてはいないということでよろしいですか。そういうことですか。
  147. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 とりでとか防波堤とか、日本がそういう議論をするというのはおかしいわけでありまして、われわれとしてはあくまでも朝鮮半島の平和と安定が東アジアの安定、日本の平和と安定に大きく関係があるということは述べておるわけであります。
  148. 野間友一

    野間委員 「互いに努力」するというのがありますね。これはまさに行動表明になるわけで、これはよく言われておりますように、いままでの朝鮮半島に関する情勢認識――これは幾つか日米間の共同声明にはありましたけれども、韓国との関係で、情勢認識からさらに進んで、この共同声明の中では直接的な役割りの分担に踏み切ったものではないかというふうに非常に危険視、あるいは危惧をするわけでありますけれども、この「互いに努力」についてそれでは次にお聞きしますが、まず、その努力するという意味、これは、日本はこの共同声明の中にこれを盛り込むことによって責務を負ったことになる、あるいは約束をしたというふうになると私は思うのですけれども、これはいかがですか。
  149. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 ここの「今後とも互いに努力していく」の「互いに」という意味は、韓国韓国立場で、日本日本の置かれた立場、特に日本の場合は平和憲法というものがございますから、そういう立場でお互いに努力していこう、努力の目標はあくまでもこの地域の平和と安定及び繁栄ということでございます。
  150. 野間友一

    野間委員 いや、私が聞いているのは、努力するということの意味――共同声明というのは非常に重要な文書でしょう。だから、政府が努力するという以上、ここの表現で言いましたら「地域の平和と安定及び繁栄」のために努力するというわけですから、努力する責務あるいは約束をした、こういうふうになるのじゃないですか。
  151. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 先生の御質問の趣旨をあるいは私は取り違えておるかもしれませんが、先ほど申し上げましたとおりに、「この地域の平和と安定及び繁栄」という目標のためにそれぞれの立場で努力しましょう、こういうことでございます。
  152. 野間友一

    野間委員 だから、努力をするということをここにうたう以上、日本政府日本の国はこれに向かって、この趣旨に即してやらなければならぬという責任があるわけでしょう。違うのですか。何遍も同じことを言わせないでください。
  153. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 共同声明にうたっていることについては、両国が努力をしてその実現に努めるということは当然のことだと思います。
  154. 野間友一

    野間委員 そうするとこの中には、先ほどからの経過の中からも出てくると思うのですが、軍事的な支援とか協力、こういうものは一切含まれていない、こういうふうに理解していいのですか。
  155. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これはもうそのとおりであります。
  156. 野間友一

    野間委員 いろいろ言われておりますが、たとえば韓国がこの四項の努力するということを根拠ににして、たとえば朝鮮半島有事、韓国有事の際の便宜の供与であるとか、あるいは海空域の防衛分担など、こういうことの要求が韓国から、これを根拠にして要求するということがないと断言できるのか。もしあった場合には、これに対しては断固として拒否するという姿勢でいらっしゃるのかどうか、その点はいかがですか。
  157. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 日本の場合は、御承知のように憲法がありますし、そのもとにおける防衛の基本政策というものがあるわけでございまして、それに従って日本は行動しなければならぬというのはプリンシプルでございます。そういう立場に立ってこの共同声明も合意されたわけでございますから、共同声明に基づいて韓国日本に対して軍事援助とか軍事協力を求めるということはあり得ないし、共同声明の趣旨から見てそういうことはもちろんとうてい考えられないわけであります。
  158. 野間友一

    野間委員 ただ、先ほど引きました世界週報での会見記録の中で、全斗煥大統領が日本の軍事力と半島の安保について、「とりわけ、日本の海軍力強化と対空警戒の強化は、韓国軍と駐韓米軍の地域安保体制を補完するものになろう。」こう言っておるわけですね。これが全斗煥大統領の日本の軍事力と朝鮮半島の安保についての認識、考え方なんですね。したがって、いまいろいろ言われますけれども、完全な日米韓の安保、三角安保とよく言われますけれども、こういうものに組み込まれたというふうに考えるのは、私は無理からぬものがあろうと思いますし、また韓国もそういうふうに理解しているかもわからない。しかし、いまの外務大臣の見解とは違うわけであります。  そこで、関連して聞きたいのは、佐藤・ニクソン共同声明の中で、先ほど引きました「韓国の安全は日本自身の安全にとって緊要」、この後プレス・クラブで佐藤総理が、韓国有事の際、在日米軍の出撃の事前協議に関して、事前協議の問題ですね、「前向きにかつすみやかに態度を決定する」、こう言われて、これがまた国会で大論議になりまして、後で「前向き」というものを訂正されました。これは、日本がオールイエスを約束したのではないかということが問題になったわけでしょう。今度この日韓の共同声明で、韓国有事があった場合に、たとえば在日米軍の朝鮮出撃の事前協議、こういうものがあったときにはオールイエスの態度をとらざるを得ないというような危惧を私はするわけでありますけれども、韓国側はいま申し上げました全斗煥大統領の認識からして、当然そのことを約束されたものと考えてもやむを得ないのじゃないか、こうまで思うわけですけれども、この点について、この共同声明ができたいまにおいても、韓国が有事の際に、いま申し上げた在日米軍の出撃の事前協議についてはイエスもノーもある、こういう見解には変わりはないのかどうか、この点お伺いしたいと思います。
  159. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これはそのとおりであります。変わりはございません。
  160. 野間友一

    野間委員 次にお聞きしたいのは、「互いに努力」の中に経済協力が入るのかどうか。この四十億ドルの問題に関連してお伺いするわけですけれども、この点についても首脳会談終了直後の夜、金埈成、これは副首相ですか、この人がテレビに出まして、経済協力問題の妥結は北東アジア安保に対する日本の新しい認識によるものである、こう述べておるわけですね。これはテレビでやったそうであります。この金副首相の受けとめ方、これは全く誤りだ、こういうのではないというふうに理解していいのでしょうか、どうでしょうか。
  161. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 韓国に対します経済協力につきましては、先生すでに御案内のとおりに、共同声明の第八項に出てまいります。ここでかなり明確に述べておりますし、また御質問に対して端的にお答えいたしますと、今回の日韓首脳会談におきまして、日韓双方が合意したただ一つのものがこの共同声明でございまして、この共同声明以外のものにつきましては、韓国側は韓国側、日本側は日本側の考え方を述べたことはございましても、合意したものはこれだけでございます。
  162. 野間友一

    野間委員 いや、ずばりお伺いしたいのは、この四項の「互いに努力」の「努力」の中に経済協力、これが入るのか、入らないのか。これに対して、いま申し上げた韓国の副首相が、この四十億ドル経済協力は安保の認識の反映だ、北東アジア安保に対する日本の新しい認識によるものである、つまり経済協力は安保絡みだということを言っておるわけですね。これはテレビでの座談会であります。ですから、こういう韓国側の副首相の認識、こういう理解、これは誤りであるのですか、どうですか。その点、ひとつ。
  163. 橋本恕

    橋本(恕)政府委員 私の説明が多少回りくどかったと存じますので、簡単に明確にお答えいたしますが、先生指摘の第四項の「互いに努力」というところの中には経済協力は入りません。
  164. 野間友一

    野間委員 ですから、韓国側がこの共同声明ができた直後のテレビで副首相がいま言ったようなことを言っていますけれども、安保経協、こういうことは一切ない、そうではないということですか。
  165. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは、日韓関係において安保絡みの協力ということはあり得ないわけであります。共同声明も、それについて安保絡みというふうな趣旨のものは一切含まれていないということははっきり言えます。
  166. 野間友一

    野間委員 そうすると、これは重大ですね。相当大きな食い違いが出てきますね、韓国側と。これはどうされましょうか。
  167. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 先ほどアジア局長が申しましたように、共同声明が日韓首脳会談で合意された唯一の文書でありまして、それ以外には何もないわけです。お互いの主張を言いっ放しという点もありましたけれども、何もないわけでございます。そしてこの共同声明に関する限りにおいては、先ほどから申し上げているようにあくまでもここに書いてあるとおりであって、安保絡みというふうなことはあり得ないわけです。また日本の憲法の趣旨から見てもそういうことがあり得るはずはないわけでございますから、そのとおりに御認識をいただければ結構だと私は思っています。
  168. 野間友一

    野間委員 ですから、韓国の副首相がもしそういう認識をしておるとするならば、それは誤りである、こうですね。
  169. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 私は韓国政府の方のそういう認識とか発言とかいうものは承知しておりませんが、この共同声明に関する限りにおいては、安保絡みとかそういうことはもう絶対にあり得ないわけであるということは明確に、はっきり申し上げられるわけです。
  170. 野間友一

    野間委員 時間が参りましたのでこれ以上はできませんけれども、いろいろ言われますが、冒頭に申し上げたように、この四項というのは非常に怪しい。官僚はうまいぐあいに作文をして、オブラートにいろいろ包みながらこの三角安保を隠しておる。こういうふうに言わざるを得ないと私は思うのです。そういう考え方については先ほどから外務大臣は否定的な答弁をされましたけれども、えらい中途半端ですけれども、やむを得ません、この点についてさらに突っ込んでまた別の機会に論議をしたい、こう思います。  以上です。
  171. 竹内黎一

    竹内委員長 次回は、来る二十五日午後四時三十分理事会、午後四時四十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十八分散会