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1983-04-27 第98回国会 衆議院 運輸委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月二十七日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 原田  憲君    理事 三枝 三郎君 理事 三塚  博君    理事 宮崎 茂一君 理事 湯川  宏君    理事 福岡 義登君 理事 吉原 米治君    理事 西中  清君       小里 貞利君    小澤  潔君       川崎 二郎君    久間 章生君       佐藤 文生君    志賀  節君       谷  洋一君    玉沢徳一郎君       津島 雄二君    浜野  剛君       原田昇左右君    平沼 赳夫君       井岡 大治君    小林 恒人君       田邊  誠君    浅井 美幸君       小渕 正義君    辻  第一君       四ッ谷光子君    中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 長谷川 峻君  出席政府委員         運輸政務次官  関谷 勝嗣君         運輸大臣官房長 犬井 圭介君         運輸大臣官房総         務審議官    西村 康雄君         運輸省海運局長 石月 昭二君         運輸省船舶局長 野口  節君         運輸省船員局長 小野 維之君         運輸省港湾局長 松本 輝壽君         海上保安庁次長 山下 文利君  委員外出席者         外務省国際連合         局専門機関課長 佐藤 裕美君         水産庁研究部漁         場保全課長   山添 健一君         労働省職業安定         局雇用政策課長 稲葉  哲君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ───────────── 委員の異動 四月十五日  辞任         補欠選任   四ッ谷光子君     小林 政子君 同日  辞任         補欠選任   小林 政子君     四ッ谷光子君 同月二十六日  辞任         補欠選任   鹿野 道彦君     塩川正十郎君   津島 雄二君     笹山 登生君   沢田  広君     田邊  誠君 同日  辞任         補欠選任   笹山 登生君     津島 雄二君   塩川正十郎君     鹿野 道彦君 同月二十七日  辞任         補欠選任   阿部 文男君     小澤  潔君   鹿野 道彦君     玉沢徳一郎君   近岡理一郎君     平沼 赳夫君   原田昇左右君     小里 貞利君 同日  辞任         補欠選任   小里 貞利君     原田昇左右君   小澤  潔君     阿部 文男君   玉沢徳一郎君     鹿野 道彦君   平沼 赳夫君     近岡理一郎君     ───────────── 四月十五日  重度障害者に対する運輸行政改善に関する請願新村勝雄紹介)(第二四六五号)  同(山下徳夫紹介)(第二四六六号) 同月二十二日  国鉄分割民営化反対に関する請願外五件(井岡大治紹介)(第二五一二号)  同外四件(串原義直紹介)(第二五一三号)  同外三件(清水勇紹介)(第二五一四号)  同外三件(関晴正紹介)(第二五一五号)  同外三件(竹内猛紹介)(第二五一六号)  同(中西績介紹介)(第二五一七号)  同(中村重光紹介)(第二五一八号)  同(福岡義登紹介)(第二五一九号)  同(山花貞夫紹介)(第二五二〇号)  同外二件(井岡大治紹介)(第二五四二号)  同(沢田広紹介)(第二五四三号)  同外三件(土井たか子紹介)(第二五四四号)  同外三件(野口幸一紹介)(第二五四五号)  同(松沢俊昭紹介)(第二五四六号)  同(嶋崎譲紹介)(第二五六七号)  同(島田琢郎紹介)(第二五六八号)  同外二件(城地豊司紹介)(第二五六九号)  同外二件(竹内猛紹介)(第二五七〇号)  同(山花貞夫紹介)(第二五七一号)  同(高沢寅男紹介)(第二六一二号)  同外一件(戸田菊雄紹介)(第二六一三号)  同(永井孝信紹介)(第二六一四号)  同外二件(長谷川正三紹介)(第二六一五号)  同(藤田高敏紹介)(第二六一六号)  同(田中恒利紹介)(第二六三三号)  同(湯山勇紹介)(第二六三四号)  同(佐藤敬治紹介)(第二六五二号)  同(武部文紹介)(第二六五三号)  同外七件(塚田庄平紹介)(第二六五四号)  日本国有鉄道経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法案反対に関する請願勝間田清一紹介)(第二五二一号)  同外二件(川俣健二郎紹介)(第二五二二号)  同(八木昇紹介)(第二五二三号)  同(安藤巖紹介)(第二五七二号)  同(岩佐恵美紹介)(第二五七三号)  同(浦井洋紹介)(第二五七四号)  同(小沢和秋紹介)(第二五七五号)  同(金子満広紹介)(第二五七六号)  同(栗田翠紹介)(第二五七七号)  同(小林政子紹介)(第二五七八号)  同(榊利夫紹介)(第二五七九号)  同(瀬崎博義紹介)(第二五八〇号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第二五八一号)  同(辻第一君紹介)(第二五八二号)  同(寺前巖紹介)(第二五八三号)  同(中路雅弘紹介)(第二五八四号)  同(中島武敏紹介)(第二五八五号)  同(野間友一紹介)(第二五八六号)  同(林百郎君紹介)(第二五八七号)  同(東中光雄紹介)(第二五八八号)  同(不破哲三紹介)(第二五八九号)  同(藤田スミ紹介)(第二五九〇号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二五九一号)  同(正森成二君紹介)(第二五九二号)  同(松本善明紹介)(第二五九三号)  同(三浦久紹介)(第二五九四号)  同(三谷秀治紹介)(第二五九五号)  同(簑輪幸代紹介)(第二五九六号)  同(村上弘紹介)(第二五九七号)  同(山原健二郎紹介)(第二五九八号)  同(四ッ谷光子紹介)(第二五九九号)  同(渡辺貢紹介)(第二六〇〇号)  同(川本敏美紹介)(第二六一七号)  同(小林恒人紹介)(第二六一八号)  同(加藤万吉紹介)(第二六三五号)  総合公共交通体系確立国鉄分割民営化反対に関する請願沢田広紹介)(第二五二四 号)  同(八木昇紹介)(第二五二五号)  同(湯山勇紹介)(第二六一九号)  同外一件(湯山勇紹介)(第二六三六号)  同(武部文紹介)(第二六五五号)  北海道における国鉄線存置等に関する請願(辻第一君紹介)(第二五六三号)  同(四ッ谷光子紹介)(第二五六四号)  国鉄分割民営化反対民主的再建に関する請願(辻第一君紹介)(第二五六五号)  同(四ッ谷光子紹介)(第二五六六号) 同月二十五日  国鉄分割民営化反対に関する請願外一件(阿部喜男紹介)(第二七五三号)  同(小林進紹介)(第二七五四号)  同(鈴木強紹介)(第二七五五号)  同(田中恒利紹介)(第二七五六号)  同外二件(米田東吾紹介)(第二七五七号)  同(阿部哉君紹介)(第二七九六号)  同(楯兼次郎君紹介)(第二七九七号)  同(日野市朗紹介)(第二七九八号)  総合公共交通体系確立国鉄分割民営化反対に関する請願米田東吾紹介)(第二七五八号)  重度障害者に対する運輸行政改善に関する請願池端清一紹介)(第二七五九号)  同(石田博英紹介)(第二七六〇号)  同(熊川次男紹介)(第二七六一号) 同月二十七日  重度障害者に対する運輸行政改善に関する請願梶山静六紹介)(第二九〇三号)  同(草野威紹介)(第二九〇四号)  同(佐藤誼紹介)(第二九〇五号)  国鉄分割民営化反対に関する請願阿部喜男紹介)(第二九〇六号)  同外一件(飛鳥田一雄紹介)(第二九〇七号)  同(新村勝雄紹介)(第二九〇八号)  同(水田稔紹介)(第二九〇九号)  同外一件(森中守義紹介)(第二九一〇号)  同(堀昌雄紹介)(第二九一一号)  同(井岡大治紹介)(第二九五二号)  同(小林恒人紹介)(第二九五三号)  同(佐藤観樹紹介)(第二九五四号)  同(戸田菊雄紹介)(第二九五五号)  同(長谷川正三紹介)(第二九五六号)  総合公共交通体系確立国鉄分割民営化反対に関する請願森中守義紹介)(第二九一二号)  同(山本幸一紹介)(第二九一三号)  同(吉原米治紹介)(第二九一四号)  同(米田東吾紹介)(第二九一五号)  同(湯山勇紹介)(第二九五七号)  ハイヤー・タクシー等安全輸送確保に関する請願福岡義登紹介)(第二九五〇号)  同(松沢俊昭紹介)(第二九五一号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  船員雇用促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第四六号)  海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第四八号)      ────◇─────
  2. 原田憲

    原田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出船員雇用促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉原米治君。
  3. 吉原米治

    吉原委員 質問時間が三十分ということになっておりますので、お答え願う政府委員の皆さん、ひとつ簡潔に、要領よくお答え願いたいと思います。  私は、船員雇用促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案について、数点にわたって質問をいたします。  まず最初お尋ねをしておきたいのは、この法案の中の特定不況海上企業、この現状見通しについてお尋ねをしておきたいと思います。簡潔にお願いしたい。
  4. 石月昭二

    石月政府委員 この法案に関連いたします関係企業経営現況と今後の見通しについて、簡単に御説明させていただきます。  初めに、内航海運業でございますけれども、御案内のように、第二次の石油危機以降、国内景気の停滞が長引いております。加えまして、内航海運業の場合には主要荷主素材産業でございまして、鉄鋼でございますとか、セメントでございますとか、これらの企業が非常に不振である、そういうことで五十五年以降三年間連続いたしまして輸送量が減少している状況でございます。したがいまして、運賃水準も、コストが上昇しているわりには低迷をしているという形で、経営的には非常に苦しい状態が続いております。  今後の見通しでございますけれども一つは、当面の国内景気回復いかようになるかということでございますが、たとえ景気回復いたしましても、昨今の経済情勢を見ますと、産業構造の変化によりまして比較的重量の少ない、付加価値の高い品物がふえてきておりますので、いわゆる軽くて小さくて薄くて短いもの、軽薄短小と申しておりますが、こういう方向に物流の動向が変わりつつあります。したがいまして、今後国内景気回復したといたしましても、直ちに内航の輸送量が従来のように増加に転ずるということはないのではないか。かなりその点厳しい見通しを私ども持っておるところでございます。  次に、近海海運でございますが、近海海運大宗貨物は御案内のように南洋材でございます。南洋材につきましては、昨今の住宅建設需要低迷、また、これらの資源保有国でございますインドネシアでございますとか、マレーシアでございますとか、サバ、サラワクでございますとか、こういう資源保有国原木輸出規制によりまして輸送量が急激に減少しております。加えまして、日本船人件費が非常に高うございますので、国際競争力を失っておりまして、この面でも近海海運経営は非常に厳しい状況に直面しているところでございます。  今後の見通しといたしましても、これは世界的な景気動向にもとよりよるわけでございますが、資源保有国木材輸出規制日本船国際競争力等を考えた場合、今後の経営は引き続き非常に厳しい環境に置かれるであろうというぐあいに理解しております。     〔委員長退席三塚委員長代理着席〕  次に、はしけ運送業でございますが、御案内のように、港湾整備の進捗やコンテナ輸送といった輸送革新進展によりまして、はしけ輸送そのものが不要となりまして、いわゆる構造的な不況に陥っております。そのために、過剰はしけの買い上げという施策を、すでに四十八年度二十万積トン、五十二年度三十六万積トンを実施いたしましたが、依然として供給過剰の状態が続いている、そういうことで、実は五十七年度も第三次のはしけ買い上げということで、二十四万積トン買い上げを実施いたしたところでございます。しかし、今後につきましてもなおかなりの需給ギャップが存在するというのが実態でございますので、今後とも過剰船腹の処理というものを行っていかなければならない。したがいまして、これに関連して相当数離職者が出るということが予想されるところでございます。  最後に造船でございますが、造船及び修理業関係につきましても、第二次石油危機を契機とする世界経済低迷、省エネルギーの一層の進展等によりまして、造船市況は急速に冷え込んでおりまして、昭和五十七年度の新規受注量は四百三十五万総トンと、対前年度比四八%減ということになるなど、再び厳しい事態に直面しつつあります。このため、海運造船合理化審議会を開きまして、当面の不況対策一つとして適切な操業調整を実施する必要があるという御提言をいただいております。当省といたしましては、この審議会意見を踏まえまして、四月の十三日、造船法に基づき主要造船企業対象としての操業短縮の勧告を行ったところでございます。  以上でございます。
  5. 吉原米治

    吉原委員 そうしますと、いま海運局長から、それぞれの特定不況と称される海上企業現状についてお話がございましたが、近海海運にしても内航海運にいたしましても貨物が主体になっている、貨物船だけが対象になっておるということなので、そういう意味では旅客船はどういう現状なのか。不況業種としての指定はする現状でないという御認識なのか。旅客船がなぜこの対象に入っていないのかという点が一つ。  それから、いま四業種見通しについてもお触れになっておりますが、本法案は五カ年間延長ということになっておるわけですが、五カ年間たてば不況業種から脱皮できる、そういう御認識でこの五カ年間延長ということを打ち出しておられるのか。この四業種の五年後の見通しといいますか、五年後には不況業種から脱皮できるんだ、だから本法案は五カ年間延長しておけば十分だ、こういう認識であるのかどうなのか、その点をひとつ。
  6. 小野維之

    小野(維)政府委員 最初旅客船に関する御質問でございますけれども不況業種指定をいたします技術的な基準を設けて従来運用してまいったわけでございますが、旅客船が現在決して好況であるという意味ではございませんけれども、その基準に合わないという点でまだ不況業種として旅客船業を加えるのには、時間というか、ちょっと隔たりがある、そういう意味で今回も検討の対象に上っておらないわけでございます。  それから五年間の延長ということでございますが、これは恒久的にやった方がいいのではないかという考え方も一方にあるわけでございます。しかし片一方で、こういう不況対策というのは、やはり努力目標目標期間というものを決めてやっていかないと実効が上がらない、ずるずるいってしまうという懸念もある、そういう意味から、たとえばこの船特法で申し上げますれば最初は二年、それから、その次は二年半、そして今回は政府で、不況対策立法すべて五年を一つの、これは五年でなくなるというのではなくて、五年でなくすことを努力目標としてやってみよう、そういう意味で五年という期間を決めた、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  7. 吉原米治

    吉原委員 そうしますと、五年間というのは余り根拠のない五年間のように聞こえますけれども、それはほかの関係法律との兼ね合いでも五年間というのがセットされたのだろうと私は思います。ただ、私がいま石月海運局長から特定不況にわざわざ指定してある海上企業現状なり見通しをまず最初に聞いたのは、五カ年間ぐらいたてば何とか不況業種から脱皮できるような見通しでもあって五カ年間という延長をされたのかな、そういう疑問が起きたのでわざわざ尋ねたのですが、石月さんの方も五カ年間たてば不況業種から脱皮できるという見通しはない、あるいはあるとおっしゃるのですか、どうですか。
  8. 石月昭二

    石月政府委員 内航海運業につきましては、私ども海運造船合理化審議会に諮問をいたしまして、今後五カ年間の適正船腹量というものを策定いたしております。これを昨年の十月に諮問いたしまして、十一月に適正船腹量を策定いただきましたが、その見通しによりますと、一般貨物船につきましては今後低成長で伸びが落ちるにいたしましても、六十年には大体の過剰船腹は解消するという見通しを持っております。それからタンカーにつきましては、若干疑問でございますけれども、ほぼ六十年を過ぎた段階で、六十年の辺で離陸できるという見通しを持っております。近海船につきましては、先ほども申し上げましたように、これは非常に市況産業でございますので、今後景気回復、それから国際海運全体といたしましての船腹需給バランスというようなものが影響いたしますので、現在のところ確たる見通しを申し上げられる段階ではございません。
  9. 吉原米治

    吉原委員 いずれも五カ年間で不況業種から脱皮できるというのは、部分的には六十年度の段階でやや好転をするようないまのお話でございましたが、どうも自信のないお話。そういう意味で、私はこの五カ年間延長というのが、後で触れますけれども、他の法案との兼ね合いでこうなったんだろうという想像はつけておるわけでございます。  そこで、今回、離職船員に対する救済措置が五カ年間延長して六十三年六月三十日まで、この間に離職する者に限って救済をするんだ、こういうことになっておりますけれども船員局長、いま御答弁の中で触れていらっしゃるように、わざわざ五十二年の十二月に制定をされた本法案、過去二回改正をされておりますね。何か場当たり的な感じがしてならぬ。ですから、当分の間は近海海運にしましても、内航海運にいたしましても、はしけ運送業にいたしましても、不況業種からの脱皮というのがなかなか簡単に見通しが立たない、そういう現況であるという御認識を持っていらっしゃると思いますから、これは単に今回三年、今回四年、今度は五年だ、そういう展望のないままの措置対策というのはきわめて場当たり的と思われるわけでございますから、これをひとつこの際恒常的な制度にしたらどうなのか。もちろん景気回復して好況業種になればこういった該当者が出なくて済むわけでございますから、だからもし構造的な不況で、そこからまた船員がたくさん離職せざるを得ないような状況が出た場合には、いつでもこの法律によって救済しますよ、業界の経営努力が足らぬというような問題で起きる問題ではないわけでございますから、そういう意味で、今回はやむを得ぬといたしましても、将来の課題としてこれはやはり恒常的な制度にすべきではないか、こういうふうに私は思うのですが、いかがでございますか。
  10. 小野維之

    小野(維)政府委員 先生のおっしゃいます御意見も大変もっともなお考えであると思います。次回の改正の際にそのときの状況と見合わせまして十分考えたいと考えております。
  11. 吉原米治

    吉原委員 そうしますと、三つ目お尋ねしたいのはきわめて事務的なことでございますが、求職手帳発給者数、これは昭和五十三年一月から五十七年の十二月までの数字で見ますと、手帳発給数が千五百六十三件、これは人と置きかえてもそう間違いがない数字だろうと思いますが、その間に逆に完全就職して手帳が失効したという件数が千三百四十六件、差し引きいたしますと二百十七名の離職船員がいまおるようにこの数字では受けとめられるわけでございますが、今回の五十八年度予算では予算措置が約千五百万ぐらいですか、この二百十七名の内訳は一体どうなっておるのか。もちろん五十八年度中の新規発生件数も見込まれての数字だろうと思うわけでございますが、いま端的に差し引きいたしますと二百十七名がいわば完全失業者であるかのように数字の上では受けとめられるのですが、その中身についてお答え願いたい。
  12. 小野維之

    小野(維)政府委員 お答えいたします。  先生がいまおっしゃいました数字は、私どもの方の御説明も悪かったかと思いますが、昨年の暮れの数字でございます。昨年度末で五十八年度にまたがりまして有効な手帳を持っておられる方は三十人ということになっておりまして、ことしの一月から三月末までの間に期間が経過した方、あるいは就職した方が残りの百八十名ほどの方になるわけでございます。
  13. 吉原米治

    吉原委員 ちょっとわかりにくかったのですが、現在有効な手帳を持っておるのが三十名ですか。ちょっとそこら辺わからなかった。
  14. 小野維之

    小野(維)政府委員 さようでございます。
  15. 吉原米治

    吉原委員 そうなりますと、現在有効な手帳所持者が三十名、そうすると私が最初に指摘した二百十七名から差し引きますと、約百八十名ばかりの人が五十八年度中に新たに手帳を給付される、そういう人数だ、こういうふうな理解ですか。
  16. 小野維之

    小野(維)政府委員 先生のおっしゃいました数字というのは、十二月末にまだ手帳を持っていた人が二百十七名でございますね。二百十七名が、現在五十八年度に入って有効な手帳を持っている人が三十名になっておる。その差はどうなったか、こういうことでございますね。これはことしの一月から三月までの間、昨年度でございますね、昨年度の間に就職をし、あるいは求職手帳有効期限が切れたということで、残っている方が三十人である、そういうことでございます。
  17. 吉原米治

    吉原委員 そうすると、五十八年度中に新たに手帳を給付されるような者はおらないということですか、これは意味がわからぬ。
  18. 小野維之

    小野(維)政府委員 大変失礼申し上げました。五十八年度で新たに手帳を給付する数というのは、これはちょっとまだ内航海運の方の数から責任を持ってお答えできる数字になっておりませんけれども就職促進給付金対象者としてお金を払わなければならない人、これは先ほどの三十人の方と、それから新しく三十八名ほど出てくるであろうということで、六十八人という方を対象として予算では考えております。
  19. 吉原米治

    吉原委員 これは事務的な話ですから、数字の問題ですからどうということはないのですけれども、結局は現在三十名と、五十八年度中に新たに発生するだろうというのが三十八名、都合六十八名ですね。六十八人ということになっておるけれども、依然として二百十七名の解明にはなっていない。二百十七名というのは、現在失業はしておるけれども手帳は失効しておる、つまり宙ぶらりんだね。六十名ですから約百五十人くらい、この方はいまどうなっているのですか。
  20. 小野維之

    小野(維)政府委員 どうも、正確に就職した方の数字がちょっときょう持ってきておりませんので、大変失礼でございますが、この二百十七名のうちの三十名は現在もまだ失業しておられるわけですね。その残りの百八十数名の方は結局手帳の三年の期限が切れて、先生のおっしゃる表現によれば、宙ぶらりんになっておられる方と、就職ができた方とに分かれておるわけでございます。ちょっと、その細かい数字を持ってきておりませんので内訳をお答えしかねるのでございますが……。
  21. 吉原米治

    吉原委員 ちょっと納得のいく数字説明を、事務的にできることだから、事前に通告しておいたのに、そのくらいのこときちっと答えられなければいけない。それは後ほどひとつきちっとわかるように数字を持ってきてください。  委員長、厳重に言っておいてください。
  22. 三塚博

    三塚委員長代理 きちっと持っていってください。
  23. 吉原米治

    吉原委員 次の質問に入ります。  この制度だけでなくて、離職船員に対する救済制度はたくさんあると思いますが、そのほかに一番大きいものは本四架橋に伴う船員救済、これは大きい課題だと思いますけれども離職船員に対する救済制度はその他にどういうものがあるのか、この際説明をしておいていただきたい。  それと同時に、時間の関係でもう一問一緒にやりますが、本四架橋に伴い事業規模を縮小する企業数、航路数、離職船員の数。この船特法では貨物が主体になっていますが、本四架橋の場合は当然旅客船員も含まれると思っておるんですよ。そういう理解に立っておりますが、そういう意味で、この本四架橋に伴い事業規模を縮小する企業数と航路数と離職船員の数、そしてそれらに対する対策救済策、これをひとつ、二つ一緒にお答え願いたい。
  24. 石月昭二

    石月政府委員 本四架橋の関係でございますが、御承知のように因島大橋が今年の十二月に一応完成が予定されております。同大橋の完成によりまして事業規模が縮小されると考えられるものは七航路、七事業者でございます。内訳を申し上げますと、全部廃止いたしますのが五航路、五事業者、一部廃止となりますものが一航路、一事業者、運航回数の減少が一航路、一事業者になる予定でございます。そういうことで、現在関係事業者が集まりまして実施計画を詰めているところでございます。これらの航路から離職を余儀なくされるであろう船員は約百名程度見込んでおります。しかしながら、これに対する対策といたしましては、事業転換を図る事業主が雇用船員雇用したままで別の仕事に転業するとか、また残存航路の維持あるいは新規航路の開設等によりまして、極力現在の雇用の維持が図られるように現地で協議会を設けて検討しておるところでございます。  また、事業者及び離職者に対します救済策といたしましては、本四法に基づきまして、まず架橋完成後、残存する輸送需要に対応して必要な航路をできるだけ維持する。それによりまして、住民の足の確保と相まちまして、こういう雇用問題等に対する影響もできるだけ軽減できる、さらには、事業を廃止するという場合におきましては、事業者に対しまして適切な補償を実施するために、運輸大臣は一般旅客定期航路事業の再編成についての基本方針というものを定め、それから、その基本方針に基づきまして規模縮小航路、規模拡大航路等を指定するようになっておることは先生御承知のとおりでございます。これにつきましては、昭和五十六年十二月十五日にこの両方の措置を完了いたしております。     〔三塚委員長代理退席、委員長着席〕 また、規模縮小航路に指定されました一般旅客定期航路事業者に対しましては、実施計画を作成して運輸大臣の認定を受けることができることとしております。実施計画の認定を受けました一般旅客定期航路事業者につきましては、事業規模の縮小を行った場合には、本四公団はこれらのものに対しまして、事業規模の縮小に伴い必要となる費用に相当する額の一般旅客定期航路事業廃止等交付金を交付することにいたしております。また、事業規模の縮小に伴い必要となる離職者の退職金に充てるための資金の確保を図るため、事業主と退職金の支払い確保契約というものを本四公団が結びまして、この業務も本四公団で行っております。  また、こういう縮小航路の認定を受けました実施計画にのっとりまして離職した者に対しましては、海運局長または公共職業安定所長が求職手帳というものを発給いたします。それによりまして必要な就職指導を行うとともに、また、その手帳を所持する方の能力に適合するような職業につくことを容易にし、また、それを促進するためにいろいろな就職促進給付金というものを支給することにいたしております。そのほか、船員保険及び雇用保険につきましても、失業保険の延長給付を行うことができるようなシステムになっているところでございます。
  25. 小野維之

    小野(維)政府委員 離職船員に対する他の救済制度でございますが、いま先生がおっしゃいましたように、漁業再建整備特別措置法、これは漁業に従事している方々に対するものでございます。それから先生のおっしゃいました本州四国連絡橋の建設に伴う一般旅客定期航路事業等に関する特別措置法というのがございます。また、今国会に同じく五年の期限延長をお願い申し上げております国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法というのがございます。それから特定不況業種特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法、この四本が特別な援護制度として用意されております。  そのほかに、船員保険に加入しておられまして一定期間たっておられる方は、これらの法律が動いてくる前に船員保険から失業保険が支払われる、こういう仕掛けになっております。さらに延長給付ということになります。  それからもう一つ、本四関係では、離職船員として対象になりますのはもちろん旅客船の乗組員でございます。
  26. 吉原米治

    吉原委員 短時間でございましたのでちょっとわからない点がございましたが、あと資料を提出するようにお願いをしておきましたからよろしくお願いをして、私の持ち時間は終わりましたから、終わります。
  27. 原田憲

    原田委員長 それでは小林恒人君。
  28. 小林恒人

    小林(恒)委員 まず最初に、海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案、これはすでに明らかにされておりますとおり、国際条約に基づく国内法の整備ということになりますが、六十四国会にほぼ内容的には類似をする海洋汚染防止法が提案をされ、審議をされた経過がございますけれども、今回の法改正との特徴的な相違点はどんなところに置かれているのか、ちょっとお示しをいただきたいと思うのです。
  29. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 海洋汚染防止に関しましてはいろいろな条約がございます。そして、海洋汚染防止に関します条約の体系といたしましては船から排出するものが中心でございますが、船から排出する海洋汚染防止につきましても、船自身の運航に伴うことから生じますやむを得ないいろいろな排出と、陸上から生じたものを船に積み込みましてこれを海に捨てるというものがございます。それで、先般の国会で条約を批准し、また、法律改正をお願いしましたのは、同じ海洋の汚染でございますが、陸上からいろいろな廃棄物を積み込みまして海洋に排出することを防止するための条約の批准及びその国内法の整備でございました。今回は、船の通常の活動に伴いまして生じます船内のいろいろな排出を必要とする廃棄物、これの排出を適正にすることによって海洋汚染防止をしようということの条約及びその国内法の整備でございます。
  30. 小林恒人

    小林(恒)委員 そこで、本議定書への加入とこれに伴う国内法の整備を行う意義そのものについて、ちょっと抽象的なんですね。特に海洋汚染の定義というのは非常に幅が広いように思うのです。過般、若干の調査をいたしました範囲内では、たとえば海上保安庁が調査をしているのはごく近海に限る海洋汚染調査、こういったところが中心になっておりまして、予算なんかも、五十八年度の予算で見ますとせいぜい八千七百万円程度、前年対比でもって一千百万円ぐらいですか、予算が削減されているという状況なんですけれども海洋汚染そのもののいま政府として考えられている範囲と、あわせてこの議定書へ加入となった場合、具体的な施策が大きく変更するということが考えられるのかどうなのか、ここらについてちょっとお答えをいただきたいと思うのです。
  31. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 海洋汚染というのはそもそも何であろうかということは、海洋汚染防止対策を実施してまいります第一歩でございますが、これはなかなかわかっているようでむずかしいことでございます。非常に一般的、抽象的に申しますと、私ども海洋汚染とは、海洋の自然状態あるいは海洋生物なり海洋資源が賦存されている状態、そういったものを含めました海洋環境に対しまして、人間が何らかの行為をすることによりまして海洋に物理的、化学的、生物学的な影響を与える、そういうことによりまして人と生物、資源に対しまして有害な結果をもたらすといった行為を一応海洋汚染の定義として言ったらよろしいかと思います。  それで、いまお話がございましたように、たとえば海洋汚染防止法の四十五条によりまして、海上保安庁長官は、本邦の沿岸海域における海洋の汚染状況について必要な監視をしろということを申しております。また、同じく海洋汚染防止法の四十六条では、海上保安庁長官と気象庁長官は、水路業務または気象業務による成果及び資料を海洋の汚染の防止と海洋環境の保全に活用しろということ、そしてこれらの業務に関連する海洋の汚染防止のための科学的調査を実施しろ、こういうようなことを言っておるわけでございますが、こういった場合の海洋の汚染の状況は、通常は、第一義的には油による海洋の汚染、これがまず監視の対象でございますが、その他の調査は、実際には海水の収集をいたしまして、日本近海随所の海水を調査しまして、その海水の成分あるいは海洋生物の中の状況等を調べまして、それで海洋汚染が進んでいるかどうかということを常時監視しているということでございます。
  32. 小林恒人

    小林(恒)委員 そこで、この法律案ですけれども、こういう言い方をするのはどうかと思いますけれども、大変複雑怪奇な、簡単に言えば、一つ法律で施行期日が五段階に分かれることになりますね。附属書I、II、III、IV、V、それぞれの発効に基づいて法律そのものの施行日が五段階に分かれて開始をしていきますぞ、こういうことになると思うのでありますけれども、まあ俗に五段式ロケットとかそんな表現があるようですけれども、過去にこういう形の法律というのは例を見るのでしょうか。
  33. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 今回の法律改正は、一条から五条まで、それぞれが皆海洋汚染防止法の一部を次のように改正するということで五回改正をしておりまして、それは一条で改正したものを後の条で再び改正するということの結果こういう形になっているわけでございますが、それは各条の施行期日がそれぞれ違う、また、各条の中でも違う部分を持っているということで、全体としては七つの部分から成っていると言っていいかと思います。そういったことは、条約本文及び附属書がそれぞれ施行期日を別々に決めている、つまり発効要件をそれぞれに備えているということから、法律の方もそのような体制をとらざるを得なかったわけでございますが、こういった形にすることは、同じ法律を再び一つ法律の中で改正するという形はきわめて異例でございます。こういうような複雑なものはこれまでございませんが、比較的単純に次の条でもう一度改正するということをやりましたのは、昭和四十四年の道路運送車両法の一部改正でございます。これは一条、二条でやはり施行期日が違っておりまして、一条で新しい自動車登録ファイルというものの制度をつくりまして、その他の改正を二条ということでしたことがございます。
  34. 小林恒人

    小林(恒)委員 この法律が通りますというと、当面、本年の十月二日から油の関係については法律が施行されることになるわけですけれども、今回の改正による特に内航海運業への影響あるいは漁業活動への影響というのはどの程度に見込まれておりましょうか。
  35. 石月昭二

    石月政府委員 内航海運業に対する影響を申し上げますが、今回の法改正に伴いまして、内外航を問わず、日本の船舶はこれまでより一層厳しい排出規制、構造設備規制を受けることとなるわけでございますが、私どもといたしましては、条約採択時から随時海運業界に対しまして必要な情報の提供及び指導を行ってきております。したがいまして、現実には外航タンカーの場合にはほとんどの構造設備が議定書の規制内容に適合しておりまして、運航上支障を生ずるような可能性はないと考えられます。  また、内航の問題でございますけれども、一番金のかかりますSBTというようなものにつきましては二万トン以上でございますので、二万トン以上の内航タンカーはございません。その他、細かいいろいろのビルジの関係とかの設備規定、若干の費用を要するものはございますけれども、一般的に外航船に比較しまして内航船に対する設備要件は緩和されておりますし、また、私どもといたしましても内航海運業界が円滑に対応できるようにということで、船舶整備公団の融資制度の活用等によりまして、資金の確保の問題、それから法規制に対する技術的な助言というようなことを行ってきておりますので、これによりまして内航海運業が非常に困るというような事態はないというぐあいに確信しておるところでございます。
  36. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 漁業に対します影響でございますが、今回の法律改正は、一般的に申しますと海洋の汚染を防止する結果になりますので、水産資源の保護という点からは非常に好ましい結果になりまして、漁業の円滑な活動を促進するということにはなろうかと思います。しかし、漁業活動そのものについての規制もまた一方でないわけではございませんが、それは、一つは、漁船内における作業に伴い生ずる廃棄物の問題、これはごく一部のものを除きまして、一般的には汚染の問題がないというので、規制対象にしておりません。ただ、ビルジ等の排出という問題がございますが、これは国際航海に従事する漁船につきましては、ビルジ排出防止設備というのが義務づけられておりますが、これはほとんど現行法と同様でございます。ただ、ふん尿等の排出防止設備というものが新たに義務づけられます。これにつきましては、施行後十年間は新船のみに適用になるということで、さしあたりは問題がない。  それから、これらの設備の検査の制度でございますが、漁船につきましては船舶安全法による検査が義務づけられておりますが、これと同時に実施するということで、実際には、海外で活動する漁船につきましては、適宜船舶安全法の検査の受検の際にあわせてやっていくということにしておりますので、漁業活動に対して特別な支障はないと考えております。
  37. 小林恒人

    小林(恒)委員 そこで、今回の法律の公布から施行までの期間が、本年十月二日ということですから、非常に短いことになると思うのであります。これに伴って、政省令等すでに条約との関連で具体化をされている部分は相当あるのかと思いまするけれども、全く支障がないものだろうか。それからもう一つは、特に油の港における受け入れ施設、あるいはその他のものも含まれますけれども、整備状況はどのように進もうとしているのか。これは状況把握をされているとすれば物資別にお知らせをいただきたいと思います。
  38. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 条約が十月二日から発効することに伴いまして、国内法も十月二日から施行さしていただきたいと思っているわけでございますが、この最初に施行される部分は、お話のように船舶の検査関係の問題が最初にあるわけでございまして、このための政省令の準備というのはかなりの量になるわけでございます。そのために、この法律がもし成立いたしましたら、早速にその作業に取りかかることにいたしておりますが、何せ大変膨大な作業になりますので、できる限り早期に公布いたしまして、実施が円滑にできるように努力したいと考えております。
  39. 松本輝壽

    松本政府委員 受け入れ施設の整備状況について御説明申し上げます。  まず廃油につきましては、現在、全国で約百四十カ所の廃油処理施設が整備されております。重質油につきましては、これらの施設で十分な処理能力の余裕がございます。今後ともこれらの施設によりまして処理を行っていく予定でございます。また、軽質油につきましても、法律が施行された場合には年間約百六十万トン、この程度の発生量が推計されておりますが、これも既存の廃油処理施設を活用することにより十分対応が可能と考えております。  次に、廃有害液体物質でございますが、これの処理可能な施設は、現在、全国で約百三十カ所ございます。その能力的な余裕は約三百万トンございます。法律が施行された場合には、廃有害液体物質の陸揚げ量は年間約七万トン程度でございますので、これも化学工場とか産業廃棄物処理業者、廃油処理業者、これらの既存施設を活用することによりまして十分対応が可能と考えております。  次に、汚水、廃棄物の処理施設につきましては、沿岸部の市町村に整備されているところでございます。法律が施行された場合には、発生量は、汚水につきましては約二十万トン、廃棄物につきましては約二十五万トンと推計されておりますが、これも基本的には既存の処理施設を活用していけば十分に対応可能と考えております。
  40. 小林恒人

    小林(恒)委員 今回の法改正に伴って検査制度が過般明らかにされておりましたけれども、定期検査のほかに臨時検査等ございまして、さらに立入検査、こういう形で検査を実施していくということになりますと、対象船舶は大変多いわけですね。対象船舶が、第一条関係で約八千六百隻くらいという御報告をいただいております。そのほかに四条関連あるいは五条関連で船舶数が随時ふえていくことになるわけですけれども、添付されております資料を見ますと、現行地方海運局における船舶検査官の配置定員表を見ますと、全国に二百四十五名、加えて日本海事協会の専共有する船舶についての協会としての検査員が百九十六人という御報告をいただいているわけですけれども、こういった検査要員体制で十分賄っていかれるという御判断なのでしょうか。この点について明らかにしていただきたいと思います。
  41. 野口節

    野口政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、今度の法改正によりましてたくさんの船舶の検査を行うことになるわけでございます。また、いまお話がございましたように、全国にいま六十カ所ほど海運局及び支局がございますが、ここに約二百五十名近い船舶検査官を配置しまして、船舶検査を行っておるわけでございます。今回の法改正に基づく検査につきましては、これらの船舶検査官を活用してやっていきたい、こういうふうに思っております。  それに加えまして、いま先生からお話のございましたように、日本海事協会という組織がございます。これは船舶の保険という観点から検査を行っている組織でございますが、この組織をあわせて活用することによってそういうものを総合し、また、体制を一層強化していくということで、この新しい法改正に基づく検査を円滑に実施していくということに考えております。
  42. 小林恒人

    小林(恒)委員 地方海運局の統合、廃止というような課題も臨調関連で出てきているさなかでもあり、そこら辺の取り組み体制というのがどういう形で進んでいくのかということについては、私どもも若干危惧の念を抱かずにおられないわけです。ぜひ慎重な対応をしていただきますことを特に要望申し上げておきたいと思います。  それから条文関連で、新たに分離バラストタンクを設置することによってタンカーの貨物量がおよそ何%程度減少することになるのか。減少量によっても異なってくるかと思いますが、輸送コストにはね返っていくようなものになるのかならないのか、試算されているものがあればお示しをいただきたいと思います。
  43. 石月昭二

    石月政府委員 今回の改正によりましてSBTの設置が義務づけられますと、輸送量は、船型によって異なりますけれども、おおむね約一五%程度減少するのではないかというぐあいに想定しております。したがいまして、輸送量が減りますので、これにより約一八%程度のコストの上昇になるのではないかというぐあいに考えております。一八%でございます。減少は一五%ということでございます。
  44. 小林恒人

    小林(恒)委員 いずれにいたしましても、国際的にも脚光を浴びた大変重要な課題であります海洋汚染防止、こういった課題が中心となって取り結ばれました国際条約に基づく国内法の制定でございますので、ぜひ慎重な対応をしていただきますことを心から期待すると同時に、最後にお話が出てまいりました一五%程度の貨物積載量の減少、こういうことになって一八%のコスト上昇というのはちょっと理解ができない部分なしといたしませんけれども、コストとの関連も、このことによって余り大きく生ずることのないような指導体制、こういったものも含め、あわせて今後の適切な御指導をぜひいただきますように心からお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  45. 原田憲

    原田委員長 西中清君。
  46. 西中清

    ○西中委員 海洋汚染の問題はいわば地球的規模の環境問題、このように言われております。したがって、その防止ということは国際的な次元からの理解と協力が必要であり、海に囲まれました日本としてはこの問題に積極的に取り組み、海洋環境の保全というものに十分留意をしていかなければならない、そのように思う次第でございます。  そこで、こうした問題に対するわが国の取り組み、こういったことを私は包括的にひとつお伺いをしておきたいと思うのです。ということは、昭和五十七年度運輸白書には、海洋汚染防止については「国際協力を積極的に推進する必要があることが早くから認識されていた。」このようにも述べられておりますし、さらに本法案の提案理由の説明でも、「海洋汚染防止につきましては、各国が協調して取り組むことによって初めて十分な効果が期待できる」、国際社会におけるわが国の責任、これに積極的に取り組んでいくということがうたわれておるわけでございます。しかし、千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約、五四年条約ですが、まずこれが締結後わが国の国内法として整備されたのは十三年後で昭和四十二年、さらに七二年に作成されました廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染防止に関する条約、ダンピング条約につきましては八年後、五十五年に国内法が整備されております。結局、関係団体とか企業その他各省庁、いろいろと調整をしなければならぬことはよくわかるわけでございますけれども、非常に期間が長くかかっておる、こういう点がどうも残念な思いをするわけでございます。  今回の法案の提出の根拠となっております国際条約につきましても、千九百七十三年の船舶による汚染の防止のための国際条約という名称でございますが、これは十年たっておる、こういう形ですね。これに関連する議定書を見ましても五年前に決められておる、こういう経過がございまして、当然これは条約と一体のものでございますから、国内法の整備というものは、条約がそれなりに批准する、こういう形にならなければならないわけでありますけれども、条約におきましてもこれは同じようなことが言えると思います。いずれにしてもきわめて緩慢という印象は免れないわけでございますけれども、これについてどのようなお考えなのか、また、背景はどういうことであったのか、お伺いしたいと思います。
  47. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 わが国は海洋国家でございますし、また、世界有数の海運国であります以上、海洋の汚染の防止につきましては、これは各国と協調しあるいは各国以上に熱心に取り組むべき課題だと思います。しかし、いま御指摘のように、まず最初の千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約につきましては、御指摘のとおり採択されてから十三年、そして発効されてから九年後の昭和四十二年にようやく条約を締結し、そして国内法の整備をしたわけでございますが、この国内法の整備につきましては、実際には国内法令をどのようにつくるか、あるいは廃油処理施設というものをどのように整備するか等、具体的な諸問題を検討するのに時間がかかった、あるいは処理施設を実際に整備していくのに時間がかかったということが言えるわけでございますが、正直のところ、戦後復興してわが国が海洋国家としてあるいは海運国として乗り出していったその過程では、十分にまだ海洋汚染防止という意識が形成されていなかったということも言えようかと思います。  しかし、このような国内法の体制が悪かったということは、その後徐々に改められておりまして、たとえば昭和四十五年には海洋汚染防止法が制定されたわけでございますが、この海洋汚染防止法は、それまでの油による海水の汚濁の防止のための国際条約がその後改正されておりますが、それらの改正条約の内容を受けております。これは条約の採択直後に、締結に先立ってその内容を国内法化したことと、その当時は世界的に、陸上からの廃棄物を積み込んでこれを海へ捨てるという行為についてはまだ国際的に取り上げられておらず、そのような条約がなかったけれども、わが国は世界に先駆けて、海洋汚染防止のためにはそのような廃棄物の規制をしなければいかぬということで、わが国独自の法制として海洋汚染防止をやったわけでございます。  その後、いま御指摘のような廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染防止条約、いわゆるダンピング条約ができたわけでございますが、わが国の現行法制と多少考え方のずれがございましたし、新たな義務の点をどう受け入れるかということで多少手間取りました。そういうことが条約ができてから八年後、そして発効されてから五年後というような形になったわけでございますが、それでもこの場合につきましては、実質的にはかなりの規制をしていた。前回の場合は、航空機による汚染とか、いろいろなものが加えられましたので、なかなかこれを国内法化するいろいろな問題もございましたので、おくれたわけでございます。  今回また、条約がようやくことしの十月二日に発効するという段階を前にしていまお願いしているわけでございますが、これは可能ならば昨年の通常国会にもお願いしたいと思っていたわけでございますが、国内の受け入れ施設、特に新しいケミカル、有害液体物質等の問題も出てまいりました。あるいは軽質油の問題も出てまいりました。そのようなものが、わが国がまた世界有数の海運国であるために、非常に各地各港でそのような問題が生ずるわけでございます。全海域ほとんどのところでそういう問題があるわけで、体制の整備に非常に時間を要したという事情もございまして、心ならずも今国会にお願いするというような次第になったわけでございますが、海洋汚染防止に取り組む政府の姿勢としましては、決してこれをなおざりにするということではなくて、今後誠実に、そして重要な課題としてこれに取り組んでまいりたいと考えております。
  48. 西中清

    ○西中委員 それなりの御努力はよくわかるのですけれども、事はやはり地球全体の環境というきわめて重要なことでございますから、国内の整備、いろいろな調整、こういうものは当然時間がかかりますけれども、わが国がこの条約を批准するという点について早いか遅いかということは、やはり世界有数の海運国でございますから、それなりに国際的に影響も非常に大きいわけですね。ですから、こういう点はどこの国よりも積極的にやっているのだということを具体的行動において示す必要があると思うのですね。  同じような質問でございますけれども、外務省に来ていただいておりますので伺っておきたいと思いますけれども、この条約の発効要件は、世界十五カ国、それからその船腹量の合計が、世界の商船船腹量の五〇%以上となる国が締結した日の十二カ月後からと規定しておる、こういうことですね。わが国が、この点については他の国がもう批准したから後追いをするのだというような印象よりも、本来としては積極的にこの点はやっていくということが非常に重要だと私は思うのです。外務省としてはどういう御見解をお持ちか、伺っておきたいと思います。
  49. 佐藤裕美

    佐藤説明員 先生御指摘のように、わが国といたしましても、主要海運国、大体世界の商船の船腹量の約一割を保有してございますので、日本が積極的に早期にこの議定書に入って、汚染から海洋環境を守って保全に尽くすということは非常に重要なことだと考えております。それで、先ほど運輸省の総務審議官から御説明がありましたように、国内法制の調整等準備が整いまして、今回この国会に議定書を上程いたしまして、昨日参議院の外務委員会で採択され、本日本会議を通る、こういうことになっております。
  50. 西中清

    ○西中委員 大臣、そういった点でそれなりの努力はわかりますけれども、事は日本の海域なり海洋環境というものを守るという点で重要であるばかりではなくて、いわゆる国際的な日本の評価ということにもつながる問題でございますから、こういう問題は一刻も早く政府としては処理するという強い姿勢がやはりなければならぬと思うのです。今後の対応について大臣の決意を伺っておきたいと思います。
  51. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 おっしゃるとおり日本は有数な海運国であります。この議定書にサインをして国際的に登録されておりませんと、その船はよその国に入った場合に入港を拒否されることもあるわけです。そうした重要性も考えて国内法も整備いたしましたし、皆さん方にこの御審議をお願いして、とかく不況であるところの海運を何とかみんなで生かそうと思っておるやさきでございますから、それらもあわせて御賛成を得たい、こう思っております。
  52. 西中清

    ○西中委員 昨年十一月に、わが党は沖縄県を中心といたしまして南西諸島の廃油ボール等の油汚染の実態調査を行いました。詳細は避けますけれども、相当広範囲にわたりまして汚染が広がり、やはり深刻な状況と言わねばならぬと私たちは判断をいたしておるところでございます。海上保安庁の発表でも、海洋汚染の発生確認件数昭和五十五年で千五百八十一件、五十六年で千二百四十四件、そのうち油による汚染が八割近くを占めておる、しかもそのうちの約七割が船舶によって引き起こされているという事実が指摘されております。こういう傾向は五十七年度はどうであったのか。状況的にはいい方向に向かっているのかどうか、その辺のところを御説明いただきたいと思うのです。
  53. 山下文利

    山下(文)政府委員 五十七年におきます油の排出は八百十一件、それから油以外は百三十八件、赤潮が百十五件でございます。合計が千六十四件でございますので、先生御指摘の千二百四十四件の昨年に比べますと減っておる状況でございます。
  54. 西中清

    ○西中委員 いずれにしましても、こういう問題はたとえば一日では事態は余りよくならない、こういうことになるわけでございますので、今後の対応をきちっと推進をしていただくよう要望しておきたいと思います。  それから、これに関連しましてソ連、東欧諸国はこの条約についてはどのような動きになっておるのか、お伺いをしておきたいと思うのです。これが発効した場合、それら批准をしておらない国々はどういう立場になるのか、伺っておきたいと思います。
  55. 佐藤裕美

    佐藤説明員 この七八年の議定書の批准に当たりまして、わが国としてほかの主要海運国がどのような動きにあるかということを実は調査いたしましたが、この四月十九日でございますが、ソ連につきましてわが国のモスクワにあります大使館を通じて調査いたしまして、先方当局の答えによりますと、目下部内で検討中であるという返事を受け取っております。ただ、いつになるかという見通しにつきましては一切申し上げられないという返事でございました。  それから、そのほかの東欧諸国につきましては、いまのところはっきりした情報は持ち合わせてはおりませんけれども、調査は実はいたしておりません。ただ、この七八年の議定書の採択会議のときの様子を見てみますと、これらソ連を初め東欧諸国も反対はいたしておりませんし、むしろ賛成をしている国がほとんどでございまして、またさらに、五四年の条約、海洋汚染防止条約でございますけれども、ソ連等もこれの締約国になっておりますし、その後の改正等についても受諾しております。そのような事情を考えますと、いずれはこれらの国も入ってくるんじゃないか、こう思われます。  それから、非締約国がこういうふうな状態で幾つかまだある、主要国を含めまして十五カ国が批准と締結はいたしておりまして、日本がこれで入りますと十六番目になろうかと思いますが、そのほかの国につきましてどうなるかという御質問でございますけれども、これは議定書の第一条に、まずその七三年の条約を修正等を施した形で実施するということがございまして、したがいまして、七三年の条約の方について見ますと、五条で非締約国につきましても締約国は議定書の規定に従った規制等の措置をとることができる、要するに非締約国のみが優遇されるようなことがあってはならないという趣旨で規定がございますので、わが国といたしましても、締約国、非締約国を問わず、その規制対象と考えておりますので、特段の問題はなかろうか、このように考えております。
  56. 西中清

    ○西中委員 最後にお伺いしておきたいのですが、ペルシャ湾の海洋が大変汚濁されておるということが連日伝えられておるわけですが、運輸省なり外務省として現状を把握しておられるのかどうか、タンカーその他の船舶の航行に支障がないのかどうなのか、それから今後この海洋の汚染に対してこれを浄化するというか、こういった点について政府として何らかのお考えがあるのか、国際協力をするお考えがあるのかどうか、この点を伺って私の質問を終わりたいと思います。
  57. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 ペルシャ湾におきます油の流出に伴う汚染でございますが、その状況につきましてはかねてからいろいろ新聞等でも報道されておりますが、政府としましては調査団を四月の上旬に派遣いたしまして、先般これが帰国してきたわけでございますが、その報告によりますと、イランの対岸の諸国に対しましては、流出した油はときどき見かけることがあるという程度で、現実にはかなり心配されました取水施設あるいは発電プラントというようなものに対する影響はいまのところないという実態でございます。  そういうことでございますので、これらの諸国に対しますわが国の取り組みといたしまして、今後その汚染が長期化しまして、ペルシャ湾の海洋汚染を除去するというような問題が生じてまいりましたときに、わが国がどのような協力ができるか、専門家の派遣が必要かどうかというようなことにつきまして、政府の方では準備をしておりますが、湾岸諸国の方はまだそういう状態でないということで、そのような要望をしてまいっておりません。いずれそのような要望があるような事態になりましたら、政府としてはできる限りの協力をしていきたいというふうに考えております。
  58. 西中清

    ○西中委員 終わります。
  59. 原田憲

    原田委員長 午後一時より再開することとし、休憩いたします。     午前十一時五十分休憩      ────◇─────     午後一時三分開議
  60. 原田憲

    原田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小渕正義君。
  61. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 船員雇用促進特別措置法関係についてまずお尋ねいたしますが、午前中の質疑の中で、特にわが国の内航海運現状についてのお話があり、陸上の構造不況業種といいますか、素材産業不況等の影響を受けて内航海運産業が非常に不況の中にあるということで、四月十三日ですか、運輸省としては勧告を行ったというようなお話が先ほどされておりましたが、その具体的な状況についてもう少し御説明いただきたい、かようにお願いいたします。
  62. 石月昭二

    石月政府委員 内航海運につきましては、先般、三月十八日に海運造船合理化審議会内航部会を開催していただきまして、私どもといたしましては、同審議会の答申を受けまして最高限度量というものの設定を行ったわけでございます。  最高限度量の内容を申し上げますと、貨物船につきましては、これは一般貨物船でございまして、セメント専用船、自動車専用船、油送船及び特殊タンク船というようなものを除きます。四百五万三千デッドウエート、告示の日から一年間、油送船につきましては二百十八万五千立米、告示の日から一年間、これらの数値は、貨物船及び油送船ともそれぞれ現在の船腹量より七万デッドウエート、七万立米低い水準に設定されております。  この最高限度量を決めましたのは、内航海運業法に基づきまして、現有船腹量というのが毎年告示される適正船腹量に照らしまして非常に過大になるおそれがあるときには、運輸大臣は海運造船合理化審議会意見を聞いて最高限度量というものを決めることができるようになっております。この効果といたしましては、最高限度量が設定されておりますときには、その船腹量の増加を伴うような建造というものを抑制するということの効果がございます。今回最高限度量を設定していただきましたのは、内航海運業が非常に深刻な不況状態にございますので、官民協力して不況対策を推進をする、そのときの柱としてこれを設定したものでございます。
  63. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 ただいまお話がありましたが、最高限度量を設定して、それによって指導されるということでありますが、その結果、現在の状態で大体どの程度の船腹過剰という形になるのか。また、あわせて、雇用問題から考えました場合に、どの程度の人たちがそういった影響を受けるであろうというふうに大体見ておられるのか、そこらあたりの数字について御説明いただきたいと思います。
  64. 石月昭二

    石月政府委員 昨年の十一月に、私ども海運造船合理化審議会から、今後五カ年間の適正船腹量というものを策定していただきました。それによりますと、五十七年度の適正船腹量は、一般貨物船につきましては三百七十四万デッドウエートでございます。これに対して現有船腹量が四百十二万デッドウエートでございまして、約三十八万デッドウエートほど過剰船腹になっております。油送船につきましては、適正船腹量が百八十八万七千立米でございましたが、これに対して現有の船腹量が二百二十五万五千立米で、三十六万八千立米過剰になっておる状況でございます。今回は、これを私どもの腹づもりといたしましては、三カ年程度かけてこの需給ギャップを解消していきたいという形で、とりあえず先ほど申し上げましたように一年間の目標といたしまして三万三千グロストン、七万立米というものを出したわけでございますが、これを減らした場合にどれぐらい船員雇用に影響するかということでございますが、一応この船腹量から具体的な船員数を出しますと、ほぼ千名程度ではないかというぐあいに予想しております。しかしながら、減らされる船舶というものはほとんど一杯船主、生業的なオーナーの船が減らされる率が非常に多いだろうと思いますので、現実には千名の中で雇用船員が減る量というのは余り多くないのではないかというぐあいに想定しているところでございます。
  65. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 ただいま説明をお伺いしたのですが、労働省の方にお尋ねいたしますが、結局陸上関係で今回労働省から新しく二本の臨時措置法を一本化して、五カ年延長という形で衆議院を通過して、現在参議院で審議中の新しい離職者措置法の中では、不況業種不況地域という形の中で、何と言うのですか、内航海運業については対象指定業種の中に入っておるわけですが、タンカー関係は除かれておる、こういうふうに理解しておるわけであります。しかし、ただいま運輸省のお話がありましたように、今回そういった非常指置を講じられるということの中では、内航関係の一般貨物とあわせて内航、近海のタンカーも対象になっているわけでありますから、当然今回のこういった新しい業種指定の中では、政令の中でこれらのタンカー関係も含まれて考えられるというふうに理解するわけでありますが、その点についての労働省の見解はいかがでしょうか。
  66. 稲葉哲

    ○稲葉説明員 内航タンカーにつきましては、産業界の省エネあるいは省石油が進んでいることに伴いまして、輸送量が減少いたしまして相当に厳しい状況になっているということは私どもも承知しているところでございます。  いま御指摘のございましたいわゆる新法、特定不況業種特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法案というのを現在参議院で御審議いただいておりますけれども、この法案は新法という形で提案いたしておりますので、この法律に基づきます特定不況業種指定は、すべての業種につきまして新法の制定後、中央職業安定審議会の議を経まして指定基準等を定め、それにのっとって行うということにいたしているわけでございます。したがいまして、内航タンカーにつきましてもその基準が作成されました暁に、それを踏まえまして具体的に検討するということにいたしております。  いずれにいたしましても内航タンカーの問題につきましては、所管官庁であり、また船員問題の所管官庁でもございます運輸省と十分連絡を取り合いまして対応してまいりたいというように考えておるところでございます。
  67. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 ただいまお話がありましたように、確かに新法の中で基準が設けられ、その基準に該当するということの中で、政令の中でもちろん審議会を通じて指定されていくということは承知いたしております。したがいまして、いまお話がありましたように、そういった内航関係のタンカー部分についてもかなりそういう深刻な状態が発生するということが今日予想されている状況でありますので、そういった新法の運用の中ではこの点を十分加味されて、御配慮いただきたくお願いしておきたいと思います。その点、ただいまの御答弁を十分理解しながら、ぜひひとつよろしくその点の配慮をお願いしておきたい。これは要望ですが、お願いしておきます。  この点について運輸省としての何か御見解がございましたらお聞きしたいのでありますが、運輸省、何かございますか。
  68. 小野維之

    小野(維)政府委員 内航、近海のタンカーについて大変深刻な状況にあることは認識しております。したがいまして、そういう不況対策が必要であろうと考えておりますので、労働省と十分御連絡をしながら、おっしゃっておりますような方向で検討を進めたいと思っております。
  69. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 ひとつその点よろしくお願いしておきます。  次に、特に船員関係特別措置法の中で、もちろん船員というのは陸上部分とは若干異なる要素はありますけれども、こういうふうな離職者特別措置法については陸も海も、少なくとも基本になる流れといいますか、考え方は一本でなければいかぬというように思うわけです。そういう意味で考えますならば、先ほど御説明ありました新法の中でも、俗に雇用四事業といいますか、雇用の安定確保、または技能開発その他いろいろと陸上関係においてはそういった雇用四事業というものが対策として推進される、こういうふうになっておるわけでありますが、残念ながら船員関係のこの中ではそこまでまだ行ってないという状況にありますね。だからひとつぜひこれからはそういった離職者の諸対策という面では、陸上部分でも取り入れられているような雇用四事業等に類するものを船員関係においても取り入れられて、雇用対策を推進していただきたい、かように思うわけでありますが、この点に対する御見解をお伺いしたいと思います。
  70. 小野維之

    小野(維)政府委員 先生のおっしゃいましたいわゆる雇用四事業でございますが、船員につきましては現在のところ船員雇用促進センター、いまお願いをしておりますこの法律でできているセンターでございますが、そこで雇用の安定事業と能力開発のための事業を行っているという状態でございます。しかし、最近船員雇用環境が大変に変化してまいっております。船舶の技術革新というものが大変に進んできたということから、中高年齢層は求職難であるけれども、若い人は逆に人不足で船主さんの方が困っておるというような現象が生じております。こういった面に対する対策の充実も必要であろうかというふうに考えておるわけでございますが、こういうものと、また、雇用保険法によって実施されております雇用四事業との均衡を考えながら新しい対策を講じていこうではないかということで、船員保険の関係をつかさどっておられます厚生省の方といま鋭意検討を進めておるところでございます。
  71. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 その点はひとつ前向きに積極的に取り組んでいただくことをお願いしておきます。  それから、マルシップ関係についてちょっとお尋ねいたしますが、前回改正されました船舶職員法に伴いまして、いよいよ今月三十日以降ですか、あらゆるマルシップにもこれを適用させるということでスタートすると思いますが、この場合に特例的に船舶職員をこのマルシップ関係の船にどのように配置されるのか。新しい法律の施行に伴いましてマルシップ関係の船主に当局としてはどのような指導をなされてきたのか、そこらあたり、主要な点だけで結構ですから御説明いただきたいと思います。
  72. 小野維之

    小野(維)政府委員 御質問のございましたいわゆるマルシップと言われる船でございますが、おっしゃいましたように船舶職員法の改正が適用されますと、外国人の船主が配乗をする船であっても日本籍の船であると日本の船舶職員法が適用されるということになります。そこで、マルシップの現在の急激な状況の変化を避ける、また、日本の海運の国際競争力を急激に変化させないというような観点から若干の特例措置が必要であろうということで、運輸大臣の諮問機関でございます海上安全船員教育審議会の中に二十条問題小委員会という小委員会を設けまして、公益、労働、使用者に参加をしていただきまして、どういう措置をするかという検討をしてまいりまして、四月十三日に答申をいただいたところでございます。  そこで、マルシップ関係の業者に対する指導をどうしているかというお尋ねでございますけれども、四月十三日からでございますので、いま現在主要な地区での業者に対する説明会を一応終えたところでございます。それから、各海運局の窓口にこの内容を徹底してございまして、窓口に雇い入れの公認その他でやってくるマルシップ関係者に周知をするようにということで、その措置を講じてございます。  なお四月三十日から職員法が適用されるわけでございますので、二十条による特例許可をとらない船は、法理論から言えば四月三十日以降一日たりといえども職員法の適用を受けてぱしっと走らなければいけないということになるわけでございますけれども、どういう取り扱いをするかということが比較的おくれたということもございますので、結局数十日程度の余裕期間は見込みながら、しかるべき特例許可をして、この方針に乗っかった配乗がきちっと行われるようにしていきたい、そういうふうに考えております。
  73. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 その点ひとつ遺憾なく指導していただくようにお願いをしておきます。  次に、海洋汚染関係についてお尋ねいたします。  今回新しく重油以外に軽質油まで対象にしていよいよスタートすることになるわけですが、具体的には汚染防止の設備またはそういった問題の技術基準等については、今後政令または省令で定めるということになっているようでありますが、この場合の考え方についてお尋ねいたします。  従来こういった問題の中では、わが国の置かれている特殊状況かどうかわかりませんが、国際条約基準よりもなお独自性を持った、厳しいような内容を盛り込んだ政令、省令等が出されている面が一部にあるようであります。したがって、そういったことから考えまして、今回これらの法律をいよいよ実施する、スタートするに当たりまして、それらの基準設定については国際基準以上になお独自性を持ったような考え方で臨むのか、国際基準という形の中に合わせてやっていこうとしておられるのか、その考え方についてひとつお尋ねをいたします。  それから二番目に、時間が余りありませんのでまとめて質問いたしますが、午前中の御質問の中でも出ておりましたが、今回SBT方式その他いろいろのものを採用することによりまして、積み荷が先ほどの御説明では一五%程度減少する、コストが一八%程度上昇するというようなお話がされておりましたが、そういう意味では従来の船からいきますと、船主側から言いますならば不経済船ということになるわけです。したがって、そういう点から、船主としては経済性を追求する余り、ややもするとますます船員費の安い、第三国というか、外国船員をよく雇い入れるような傾向に走りがちになりはしないかということを非常に懸念するわけであります。したがいまして、そういった点から考えますならば、これはまた船員雇用問題にも非常に影響なしとしない、こういうことにも非常に危惧があるわけであります。したがいまして、こういった新しい方式をもって建造されるような船腹については、政府が何らかの、助成と言うと言葉は悪いですが、何らかの便宜を図って、開銀融資その他でも低利その他の便宜を図って、船主がそういった新しい船をつくりながら、少なくともいま私が申し上げましたような方向にいかないで済むような、そういう措置というものが私は必要じゃないか、かように思うわけでありますが、その点に対する当局のお考えをひとつお尋ねしたい、かように思います。
  74. 野口節

    野口政府委員 初めの方の技術基準の点についてまずお答えいたします。  先生の御指摘のように、今回の法の改正によりまして分離バラストタンクとかあるいは原油洗浄装置、そういう新しい基準が強制されることになるわけでございますけれども、これらの基準の設定に当たりましては、当然のことでありますけれども、条約の基準に準拠して定めるという考えでおりますので、これ以上、さらに新しい条約の基準以上にそれを上積みして強化する考えはいまのところ持っておりません。
  75. 石月昭二

    石月政府委員 今回の法規制改正によりまして、日本船国際競争力がどうなるかという御心配でございますが、一般論といたしまして、世界各国の船が全部この規制をかぶるわけでございますので、競争力の面では一応は変わりがない、こうお考えいただいていいのじゃないか。  それから、御承知のように現在タンカーは非常に過剰でございまして、いろいろの説がございますが、昨年末で大体世界全体で三億デッドウエートのタンカーがございます。そのうち約六千万デッドウエートぐらいが今年の二月で係船されております。その他、積み荷が部分的であるとかスピードダウンしておるとか、私どもパートカーゴーと言っておりますけれども、それを入れますと約一億トンぐらい過剰な状態になっておりますので、むしろこの規制が導入されることによって需給関係が改善するということを待望している向きがございます。しかし、先生御心配の、日本の海運というのは先進国としての船員費が高いというような問題から、国際競争力が弱いと言われております。したがいまして、この件につきましてはわれわれかねがねから腐心しているところでございまして、本件につきましても現在の船、規制前につくった船でございますね、こういう船につきましては、その改造のための費用を五十四年、五十五年の両年にわたりまして開銀から低利資金を融資いたしまして改造を行っております。その結果、約二十八隻の船が改造されておりますし、これからつくる船につきましても、当然計画造船によりまして安い金利の船をつくって国際競争力の面で遺憾なきを期したい、このように考えておる次第でございます。
  76. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 わかりました。その点はひとつよろしくお願いしておきます。  次に、先ほどもこの点は余り問題ないようなお話でありましたが、いよいよ今回、水バラストとか、そういった排出海域をどこにするか、排出方法等についてはそれぞれ政令で定められるということになっているようでありますが、この考え方の主なものをひとつお示しいただきたい。  それから、陸上で処理する場合においても、受け入れ体制は大体現状状況の中で何とかいけるような先ほどの御説明のようでありましたが、今回は毒性のあるようなそういったものもいろいろとABCランクの中で処理されるようになるわけでありますが、そういう意味での陸上における受け入れ施設というものは問題ないのかどうか、この二つについてお尋ねいたします。
  77. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 油と有害液体物質の排出の基準につきまして、政令で定めることにさせていただいておりますが、その考え方はいずれも条約が附属書で詳しく決めておりますが、その考え方に従って国内法化していく予定でございます。  具体的に申しますと、まずどの船でも問題が生じますビルジでございますが、ビルジにつきましては従来から一応規制されておりましたが、これは今回、油タンカーとすべての総トン数四百トン以上の油タンカー以外のもの、これらにつきましては従前の基準を若干強化いたしまして、必ず距岸十二海里を超えて排出するということなり、捨てる場合には油排出監視制御システムというようなものを作動させているというようなこと等が新たに付加されてまいります。そういうことのほか、希釈しない場合には、これは十五PPM以下のものである場合に捨てていいというような基準が入ってまいります。  それで、総トン数四百トン未満の船舶につきましては、条約上は各国に任せられておりますが、これにつきましては従来の基準を若干強化して、油水分離装置を作動させるというようなことなり、海岸からできる限り離れて捨てるというようなことを具体的には決めていこう。なお、条約では特別海域としまして、地中海、バルト海、黒海、紅海、ペルシャ湾というような海域につきましては特に規制を厳しくすることになっております。したがいまして、わが国の政令以下の基準におきましてもそのような特別規制をしていく予定でございます。  それから水バラストにつきましては、条約では従前のバラストの捨て方に比べまして強化されておりまして、たとえば油の総排出量は貨物総量の三万分の一以下にするということ、現在は一万五千分の一ということでございますが、そのような強化をする、あるいは油排出の監視制御システム、あるいはスロップタンクというのを作動させるというようなことを決めておりますし、また、油を捨てたことがすぐわかるように、その油分がどうだということがわかりますように、喫水線より上で排出するというようなことを決める予定でございます。  それから有害液体物質につきましては、これは物質をA類からD類まで四種類に分類いたしまして、それぞれ排出の仕方を決めるということでございますが、たとえば一番厳しいA類物質などでは、まず残存濃度が許容値以下になるまで洗浄する、そして空になるまで他の受け入れ施設に出す、そしてタンク内の残留物をタンクの全容量の五%以上の水を加えてまず希釈する、そしてさらに航行中距岸十二海里以遠のところで、今度は喫水線の下で排出するというような基準が設けられておりますが、これがA類の場合。その他特別海域ではこれをさらに加重しておりますし、そんなことを決めるわけでございますが、これはいずれも条約の考え方に従ってやる予定でございます。
  78. 松本輝壽

    松本政府委員 受け入れ施設につきましては、それぞれの発生物の種別ごとに現在の施設を有効利用することによって十分に対応可能でございます。  ただいま先生のおっしゃられました廃有害液体物質につきましては、これは化学工場の所在する港湾三十八港で発生いたしますが、これらの港で発生する廃有害液体物質の処理につきましては、これまでも関係方面といろいろと調整をしてまいりましたが、基本的には現在の化学工場の排水処理施設、また、産業廃棄物の専門の処理業者、これらを有効に活用することによって安全に十分に対応できるであろうということを考えております。
  79. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 いまの御答弁に関連するわけですが、今回、貨物船の有害物質の毒性値をA、B、C、Dの四ランクに分類して排出基準を決めましたが、こういう基準に適応するような洗浄技術が果たして可能なのかどうなのかという一部関係者の間からのそういう疑念なしとしないのですが、いまの御答弁を聞いておりますと、そういったものはすべて専門的な、そういった化学工場等で処理するようになるので大体いけるということになるのかどうか。やはりこれは船の中でいろいろ洗浄するようになると思うのですけれども、いまの洗浄技術の中でそこまで分類できるようなことになるのかどうかということについては、そういう疑問がちょっとあるわけですが、その点、いかがでしょうか。
  80. 西村康雄

    ○西村(康)政府委員 排出基準は、先ほど申し上げましたとおり、有害物質の毒性に応じて決めましたA、B、C、Dの分類ごとに排出基準を決めてまいるということでございます。  それで、先ほどちょっと御説明申し上げましたように、タンク内をよく洗うということを手始めに、いろいろと操作をしてやるわけでございますが、現在まだIMO、国際機関の方で具体的な基準の策定作業をやっているところでございます。それらの作業では、現在ありますケミカルタンカーがすでに持っている、あるいはすでに開発されているという技術を前提にいたしまして、実際の船に適用しまして、実行可能な形で基準をつくりたいということで作業しているわけでございます。具体的には、今度やりますのはスロップタンクなりあるいはホモジナイザー、均質化装置というようなものもつけます。あるいはよく洗浄するためにはストリッピング装置とかタンク洗浄装置とか換気洗浄装置とかいうようなものをつけるわけでございますが、これらはいずれも現在開発あるいは開発済みあるいは開発の可能性があるものについて検討しておりますので、具体的にはそのようなことを前提に可能な形で条約の具体化がされるということでございます。いずれにせよ、これは三年後というのが一応の実施の予定期日でございますので、それまでの間に実行可能なものができるということが期待されているわけでございます。
  81. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 次に、いままでは海上汚染という問題で、これだけシビアにひとつやろうと言っているわけでありますが、あと一つ、この海上汚染には直接的でないのですが、海上の浮遊ごみ対策といいますか、現在いろいろな港関係においてこれらの浮遊ごみ、これの対策関係者、特に船に関係する人たちは非常に頭を悩まされているわけでありますが、こういった海上の浮遊ごみ対策については、関係官庁、行政当局としてはどのような諸施策を講じられておるのか。非常に最近は港の管理者の関係その他いろいろ関係ございまして、必ずしも機敏に統一的にこういうものが行われていないような感じもいたしますが、そこらあたりに対するお考えをお聞きしたいと思います。
  82. 山下文利

    山下(文)政府委員 ただいま御指摘のございました海上の浮遊物、流木等は、海上の交通安全とかあるいは環境保全から大変問題のある点でございます。これにつきましては、海上保安庁といたしましては法令に基づきまして不法投棄の防止の指導を行ったり、あるいは監視、取り締まりを強化しておるところでございます。  投棄されましたごみにつきましては港湾管理者が除去する場合以外に、全国に公益法人として十二カ所、それからそれ以外の類似団体として三十五カ所の清港会あるいはそれに類する団体がございますので、それらを通じまして除去を進めておるところでございます。また、港ごとには関係者が必要に応じて連絡をして、そういった対策を推進しておるところでございます。
  83. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 いまのお話では、海上保安庁が中心になってとり行われておるようでありますが、何ですか、いまお話のありましたそれぞれのそういう任意団体または一つの特定の団体がこの問題に当たっているということでありますが、これはどうなんですか、全港湾といいますか、船の出入りする港にすべてこういうものを強力に指導しながら設置して、もっとこの対策を充実させる、こういうことでの積極的なそういった面はないのかどうか、その点をお尋ねいたします。
  84. 山下文利

    山下(文)政府委員 先生ただいま御指摘のような件に関しましては、一部団体からの要望もございますので、その線に沿って努力してみたいと思っております。
  85. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 特に海上汚染防止条約等で、油汚染その他については非常に進められるが、問題は、足元の海上浮遊ごみ対策、特にこれは港、船の関係者が非常に頭を悩ましている問題ですから、海上汚染に負けず劣らず積極的に今後の諸施策に取り組んでいただくようにお願いいたしておきます。時間がございませんので要望する程度にしておきます。  最後になりましたが、一つ、実は長崎県の対馬の西海岸に三月八日から一週間ぐらい、油濁被害といいますか、大きな油のかたまりがどんどん流れてきて漁場が大変な被害を受けたというような事実があります。したがって、漁民の皆さん方はこのために数日を費やしてそれぞれ処理しているわけでありますが、なかなか思うに任せないし、問題はそういう処理よりも、結果的にはアワビその他いろんな沿岸漁場が荒らされてしまっておるということであります。したがいまして、関係当局は今回のこういった問題について現状認識されているのかどうかということと、それに対しての対策はどういうことをとられたのか。あわせて、こういった問題の監視体制というものは一体どういうふうになっておるのか。それから次に、こういった沿岸漁場が非常に荒らされたことに対する復旧等について、政府としての所要の施策というものが講ぜられるものかどうか。この三点について御質問をいたしまして、私の質問を終わります。
  86. 山下文利

    山下(文)政府委員 去る三月八日、長崎の対馬の西海岸におきまして、全長約九キロにわたりまして最大径十センチ、厚さ一・五ミリのタール状の油塊が流れ着きまして、その後、前後六回到達しているようでございます。  これらの汚染対策につきましては、多発海域に航空機、巡視船艇を絶えず派遣して重点監視を行っておりますが、現に対馬周辺につきましては巡視船艇三隻で常時パトロールをしております。また、夜間監視装置を積載した航空機を飛ばすなり、あるいは大型ヘリ巡を投入するとか、いろいろ対策を考えておるわけでございます。
  87. 山添健一

    ○山添説明員 御説明申し上げます。  先生御承知かと思いますが、原因者不明の油濁による漁業被害につきましては、昭和五十年から財団法人漁場油濁被害救済基金というところで被害の救済をやっておりまして、この中には漂着した油等の防除の費用の支弁も入っているわけでございますが、本件につきましても、原因者がはっきりしてないというために、一応財団法人油濁被害救済基金でもって救済するように準備を進めているところでございます。  また、漁場の復旧につきましては、大体過去の例におきましても油を除去しますとそれで何とか形がつく、復旧ができるという経験がございますので、現在、多数の漁業者等が漂着油の防除作業をやっておりまして、大体五月中には終了する見通しでございます。この防除費用の支出につきましても、早急に支弁されるように油濁被害救済基金を指導していきたいと考えております。
  88. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 質問をこれで終わりにしたいと思ったのですが、いまの海上保安庁の方の答弁ではちょっと納得しかねるのです。ただ対策をやっていますということだけではなしに、確かにそういう飛行機またはいろいろなことで監視体制その他やられているのでしょうけれども、現実にこういう問題が発生しておるわけですから、今回の事例でも、潮流関係その他ありましょうけれども、大体どこらあたりでたれ流しされたのがこういう形で来たのか、そういったことについての原因調査その他についての追及も、それらの立場からやっておられるのかどうか。ただ監視をやっていますということだけではそれはあたりまえのことですから、そういう中でこういう問題が発生しておるわけですから、少しそこらあたりは実際に合った御答弁が欲しいわけですが、いかがでしょうか。
  89. 山下文利

    山下(文)政府委員 ただいまの問題につきましては、現在油種の分析調査、それから海潮流の調査、そういったことをいたしまして原因者の探求その他現在調査中でございます。
  90. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 余り言ってもなんでしょうから、こういうことが頻発しないような監視体制というものについて、もう一度再検討していただくようにひとつお願いしておきます。  以上で終わります。
  91. 原田憲

    原田委員長 辻第一君。
  92. 辻第一

    ○辻(第)委員 いま船特法を五年間延長する法案が審議をされているのでございますが、現在の船員雇用事情はどのようになっているのか、説明をいただきたいと思います。
  93. 小野維之

    小野(維)政府委員 まず一般的に雇用船員、これは漁船員も全部入っておるわけでございますが、その状況を御説明いたしますと、昭和五十年から五十一年ぐらいにかけまして雇用されておる船員の数は二十七万人程度でございました。それが現在は二十三万人ぐらいに下がっております。  それで、毎年私ども船員職業安定所の方へ求職に見える方があるわけでございますが、年間にお見えになる方が九千人から一万人程度で、この船特法ができました当時の一万一千人程度より若干減ってきておるというような状態になっております。それで、有効求人倍率と申しますか、仕事が欲しいという方に対して仕事の方が幾つかあるかという倍率が、この法律をつくっていただきましたころはほぼ〇・三のちょっと下でございました。その後に船員雇用情勢がだんだん回復してまいりまして、現在では〇・八程度になっております。ただ、これは総体を通じましての有効求人倍率の話でございまして、業種別に見ますと、外航海運業では二・一、一人に対して二・一カ所の仕事がある。それから内航では〇・八一、漁業は〇・一五、旅客船は〇・二五、こういうふうに業種間に非常に大きな格差がございます。それから年齢の問題では、もちろんでございますが、二十歳代が二・五三と非常に高いのに対しまして、三十歳代では〇・七三、四十歳代では〇・一八、五十歳代になりますと〇・〇〇四、こんなように下がってまいります。さらに海技資格の免状の方から見てまいりますと、甲種船長免状であるとか甲種一等航海士、機関士免状、こういう高い免状に対しては大変に求人が多いのですが、低い方の、下級の免状に対しては求人が少ない。こういうように中身が大変に複雑化しております。  そこで、実際の就職あっせん率というのが、実はこういうふうに有効求人倍率が上昇したのではありますけれども、成立数がかえって減少するというような傾向を示しておりますので、これからはそういった求職する方に対して新しい技術を身につけていただいて、求人側の希望に合うような、まあ年齢の問題はどうしようもないわけですけれども、それ以外の点において合うような対策を講じていかなければいけないのではないか、そんなふうに考えながら、いろいろな施策を検討しておるところでございます。
  94. 辻第一

    ○辻(第)委員 船員雇用事情が大変厳しいということがよくわかりました。本法の対象は近海等でありますが、外航についても同じような状況だと私は思うわけでございます。雇用の拡大ということが非常に重要な問題になろうと思うわけであります。いま、少し技術を云々というようなことを含めて対策を進めておる、このようにおっしゃったわけですが、もう少し具体的な雇用拡大の対策というものを説明いただきたいと思うのです。
  95. 小野維之

    小野(維)政府委員 具体的と申しますか、従来は船員職業安定所を中心とした職業紹介ということをメーンにして仕事を行ってきたわけでございますが、この雇用あっせん事業に加えまして、船員雇用促進センターを従来より積極的に活用していこうということで、企業の抱えております余剰船員をほかの船に乗せることのあっせんをここにやらせる。さらに、たとえば乙種免状の人に甲種免状を取ってもらう、四月三十日からは名前が変わりますけれども、そういうような高度の免状をとってもらうための研修をやってもらいまして、そういう能力を開発して需要に合わせるようにするということをやっていく。  それから、片側では、労使双方の協力を得て船員制度の近代化というのを進めておりまして、今度、四月三十日から施行されます法律もその第一歩になるわけでございますけれども船員制度の近代化を促進するということから日本海運の国際競争力の活性化を図っていく、そういうことで、これは行政面といいますか、外航海運の体質面といいますか、そういう面から有効需要の拡大を図ろう、こういう考えで進めております。
  96. 辻第一

    ○辻(第)委員 昨年の国会で改正された船員二法がいよいよこの四月三十日から施行されるわけでありますが、それに関連をしてお伺いをいたします。  STCW条約に関連をして改正された船舶職員法によって旗国主義がとられました。このことによって、いわゆるマルシップが原則として認められないということになったわけでありますが、現在どの程度のマルシップがあるのか。それから、全体の外航船舶の数はどれくらいあるのか、お尋ねをいたします。
  97. 小野維之

    小野(維)政府委員 日本籍の外航船は、二千トン以上の船で千百隻余りと承知しております。  それで、このいわゆるマルシップというものの定義は非常にむずかしゅうございますが、ことしの三月三十一日現在で外国の法人に貸し渡されております日本船舶の中で、向こうで借りっ放しのものもありますし、船員法で、日本の方で雇い入れの公認を出してきている船というのがございます。借りっ放しになっている方はわからないのですけれども、こちらの雇い入れ公認を受けている船が三百三十六隻ございます。ですから、約千百隻から千二百隻の中の三百三、四十隻、こんな感じかなという把握でおります。
  98. 辻第一

    ○辻(第)委員 いわゆるマルシップに対する船舶職員法の経過措置、特例措置を決められたということですが、その具体的な内容について説明をいただきたいと思います。
  99. 小野維之

    小野(維)政府委員 マルシップというものについて、従来旗国主義がとられていなかったものが、職員に関して旗国主義がとられるようになる。しかし、先ほど先生の御質問にもございましたように、日本の外航海運船隊の構成上はかなり大きなウエートを持っておるというところから、このマルシップに急激にそういう条件の変化を起こさせて、いわば壊滅させるというか、そういうことがあっては日本海運全体の将来にも影響があらわれるだろう。ところが、一方で、たとえば便宜置籍船というようなことが言われておりますが、そういったものについての後進国からの批判も強くなっておる。したがって、これから先の数年間というものは日本海運のそういった船隊構成が変化をしないのか、それとも変化をしていくのか、きわめて微妙な時期にあるというふうな認識に立っております。  そこで、とりあえず五年間ということにいたしまして、船舶職員については規定の配乗表よりそれぞれ一名ないし二名減らした定員の配乗でよろしい。それから、冒頭にお答え申し上げましたように、外航海運についての有効求人倍率は二・一倍というふうに大変高うございます。特に資格の高い人を雇い入れるということは大変にいまむずかしい。職員に関してはそういう状況がございますので、おおむねワンランク程度下げた人、こういう人を乗せてよろしい。大体そんなところが骨子となっております。
  100. 辻第一

    ○辻(第)委員 職員では大体一、二名とおっしゃったのですが、二、三名ではないですか。
  101. 小野維之

    小野(維)政府委員 間違いました。二、三名でございます。
  102. 辻第一

    ○辻(第)委員 経過措置は、要するに職員の数を減らし、かつ資格でランクを下げるということですね。適用期間が五年。適用年限については労使の間に主張の食い違いが相当大きかった、このように聞くのですが、それぞれの主張はどの程度だったのか、お尋ねをいたします。
  103. 小野維之

    小野(維)政府委員 船主側の要望は、これを制度化してほしい、つまり永久ということでございました。それから組合側は、暫定的な措置でなければならぬ、三年程度でどうか、こういう話であったように聞いております。
  104. 辻第一

    ○辻(第)委員 船主側の主張というのは、いま制度化とおっしゃったのですが、年限で言えば大体どれぐらい、そういうことはなかったのですか、いま組合側は大体三年と言われたのですが。
  105. 小野維之

    小野(維)政府委員 制度化するということは、年限の主張はなかったわけでございます。
  106. 辻第一

    ○辻(第)委員 それじゃ相当な主張の差があったというふうなことですね。  それから、この日本人船員雇用の拡大にとって、この経過措置の内容は非常に重大な問題だと思うわけであります。船員雇用事情が非常に悪い、このような状況の中で、五年間、約三百三十ないしは三百四十隻の船が二、三人の日本船員の配乗を少なくしていくということになりますと、言うならば雇用の拡大がそれだけおくれるということにもなるわけだと思うのです。しかも、五年と言いましても、すでにもう一年たっているわけでありますから、合わせますと六年、組合の主張しております三年ということから見ますと倍の期間というふうになるわけであります。私どもから見ますと、この組合の三年という主張から見まして、六年というのは、そういうことも含めて余りにも経過期間が長いのではないか、どうしてこんなに長い期間が要るのかということについてお答えをいただきたいと思います。
  107. 小野維之

    小野(維)政府委員 組合と船主側との話というのも、論議が尽くされて一応五年というふうに最終的には了解をされたものと考えております。  なお、なぜ五年かということでございますけれども、先ほども申し上げましたように、日本の外航海運船隊の編成がこれからどうなるのか大変に考えにくい時期にあるということで、とりあえず五年ということでございまして、もしかすればまた何か考えなければいけないかもしれないし、あるいはもっと早く解消するかもしれない問題でございます。
  108. 辻第一

    ○辻(第)委員 運輸省はいま微妙な発言をされたわけでありますが、この法の特例措置のように、五年後に本来の配乗をすればよいと考えておられるのか、それとも法の趣旨に沿ってその期間内でもできるだけ早く本来の配乗を達成すべきである、このように考えておられるのか、いかがですか。
  109. 小野維之

    小野(維)政府委員 現在の船員雇用状態をいっときも早く改善したいという見地からだけ見ますと、できるだけマルシップに日本人の船員をたくさん乗せていただきたいわけです。しかし、その結果として、日本商船隊の全体の総合戦力が落ちてしまうということになれば、日本人船員のもっと大きな失業問題を起こすというその兼ね合いが大変むずかしいというふうに考えております。  それで、マルシップの船主さんに、船舶職員法の二十条による許可を出すわけでございますけれども、私どもの気持ちとしては、その船主さんたちの体力が要るし、事情がそういうふうになるのであるならば、なるべく早くできるだけ多くの日本人を乗せてほしいということであります。したがって、この許可の申請に対しては各船主さんから配乗改善計画、国際的に見た場合、日本人だけをたくさん乗せることが改善かどうかというのは、よその国から言わせるとどうかとは思うのでありますけれども、要するに、どのくらいたったらどのくらい日本人を乗せて動かせるようになりますかという計画をちょうだいする、そういうことでまず持っている人にも努力をしてもらう。それから、例の船員雇用促進センターを活用したり、海技大学校で特別講習会を開きまして、甲種一等航海士、機関士免状、こういうものを乙免の人が取るための講習をやるというようなことをやりまして、国側もいわば正規の配乗ができるような職員の数を確保するための努力をする、こういうようなことで両方で努力をし合って、できるだけ早く正規の配乗ができるようにしたい、そういう気持ちでやっております。
  110. 辻第一

    ○辻(第)委員 できるだけ早く正規の配乗ができるような対策をとっていただきたい、重ねて要望をしておきます。  次に、特例措置対象船舶について、(ii)というところでは、「海難その他の特別の事情」、このようにあるわけですね。この「その他の特別の事情」とは何を指すのか。それからウのところの「船舶所有者が同一であること」とは具体的にどういうことなのか。それから4の「許可申請の際の添付書類」のiiのところで言っております「必要な措置」というのは具体的に何か、この三点、お尋ねをいたします。
  111. 小野維之

    小野(維)政府委員 いわゆるリプレースと言われておりますが、代替船を認める条件、この「その他の特別の事情」ということにつきましては、二十条問題小委員会において、たとえばその船が船舶安全法に基づく船舶検査に合格しない船になってしまったというようなこと、または海事関係法令の改正に対応できない、いま一緒に御審議を願っております法律その他の関係でだめになる、そういったことで船舶が解撤される、あるいは外国に譲渡される、こういう場合がそれに該当すると各委員の間で理解をされております。  それから「船舶所有者が同一であること」といいますのは、マルシップの現在動いてやっている船を一応救うということで特例を認めよう、こういう考えなわけでございますが、関係者の中で、何かそういうマルシップをつくる権利を売買するというような事態が起こるのじゃないか、そういうことを心配する方があるわけであります。そこで、そういう売買はだめです、同一の所有者である場合でないとだめですよ、こういうことを二十条問題小委員会で決めたわけでございます。  それから、三番目が許可申請の添付書類の問題でございます。この「必要な措置がとられていることが確認できる書面」でございますが、その「必要な措置」というのは、同様にこの問題を審議していただきました二十条問題小委員会で、次の四つのうちの少なくとも一つは必要であるという理解になってございます。一つは、船員労働安全衛生規則その他船員の安全に関する法令の遵守を内容として服務就業規則、規約、労働協約等が決まっていること。二つ目に、船員災害防止活動の促進に関する法律、これに定められている安全衛生委員会またはこれに準ずる組織をつくっているか、あるいは団体安全衛生委員会に参画していること。三つ目に、船員災害防止協会に会員として参画していること。それから四つ目に、その他ということで船員の安全に関する法令の遵守について、いま申し上げました三つの事項に相当する同様な効果があると認められる措置を講じていること、というふうな四つのことのどれかをやっておればいいんだ、こういう理解になってございます。
  112. 辻第一

    ○辻(第)委員 こうした特例措置は日本人船員の配乗をおくらせるものであるというふうに考えるわけですが、あわせて外航海運の組合員配乗隻数削減という動きがますます雇用不安を増大しておるというのが今日の現状だと思うのです。具体的に外航六社のこの動きはどのようになっているのか。何隻中何隻の削減の動きなのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  113. 小野維之

    小野(維)政府委員 大変不勉強で、勉強してまいりませんでしたけれども、昨年、昭和五十七年の十月一日現在で約七百隻ほどございました。六社はちょっとわかりません。外労協というのと外航中小二団体という船主の組合との交渉三団体があるわけですが、その支配下にございました船が、ことしの正月、五十八年一月一日で六百六十六隻というふうに減ってございます。現在かなり速いテンポで減ったことは事実でございますが、そのまま減るのか、あるいは数カ月後に新しい船が出てくるのか、この辺のところは私まだちょっときょうは不勉強で確認をしてまいりませんでした。
  114. 辻第一

    ○辻(第)委員 やはりこの問題は非常に重要な問題だと思いますので、よく勉強しておいてほしい、要望しておきます。  次に近代化船の問題について質問をいたします。  これまで実証船、B船、それぞれ何隻になっているのか、お尋ねをいたします。
  115. 小野維之

    小野(維)政府委員 現在実証船ということで走っております船が三十隻、それからB実験船という第二段階の実験をやっております船が六隻、こういうことでございますが、近く実証船の方が二十隻、実験船の方が九隻ふえる、こういうような計画になっております。
  116. 辻第一

    ○辻(第)委員 船員法、船舶職員法に基づく近代化船の指定等と、近代化委員会における実証船またはB船との関係について具体的な説明をいただきたいと思うのです。
  117. 小野維之

    小野(維)政府委員 この改正されました法律で、船員法で甲機両用部員を乗せるべき船として、ある一定の要件に適合した船が近代化船として指定をされるということになってございます。それから、運航士というものをそろえて、そのほかにさらに一定の要件を備えたもの、これが職員法の方で近代化船として認定を受ける、法律としてはこういう二つの流れになってございます。それを認めるための要件というのは別々に決めてはございますけれども、両方同じ要件でございます。実証船ということで従来から続いております船も、B実験船ということでこれから新しい段階の実験を進めていきます船も、船員法の近代化船の指定を受ける船であり、職員法の近代化船の認定を受ける船である。そういう意味では両方同じことになります。
  118. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは法に基づく指定、それと近代化委員会における実証船またはB船との関係は官労使合意のあるものですか、いかがですか。
  119. 小野維之

    小野(維)政府委員 ちょっと御質問意味がよくわからなかったのですが、近代化委員会で実験船に決めるということは官労使の合意があるのか、そういう意味でございましたら、官公労使四者で協議をして、この船をB実験船にしようということを近代化委員会の方で決めるということでございます。
  120. 辻第一

    ○辻(第)委員 これまで近代化船の指定については近代化委員会指定をされてこられたわけですね。今後とも同様に近代化委員会指定を行われるのかどうか。それとも法ができたということで、いわゆる実証船については法に基づく指定等を受けた船舶は実証船としての地位を与えられる、いまおっしゃったようにB船については近代化委員会の決定によりB船の地位を与えられる、こういうことなのかどうか。いかがですか。
  121. 小野維之

    小野(維)政府委員 この船員制度の近代化につきましては、もう先生御承知だと思いますけれども、近代化委員会が長い時間かかって実験を進めてまいりました。その結果法律改正を国会にお願いして先国会で通ったわけでございます。法律が通りましたから、近代化船の指定であれ近代化船としての認定であれ、この仕事は私どもの仕事になります。したがって、その指定をするわけでございますけれども、実験が終わりましたとは言っても、指定を行いますと当然後から数を拡大してまいります。そこで、アフターケアといいますか、実験のフォローといいますか、これは私どもの方から近代化委員会に、ちょっと私ども自身の手でフォローがしかねる面があるものでございますから、近代化船の要件として決めた要件に従ったものとして指定された船の、その後の運営状況がどうであるかということを従前どおりひとつフォローをして、調査をしていただきたいというお願いをいたしまして、近代化委員会の方でも、それでは官が近代化船として指定をした船は実証船ということで今後も取り扱おう。つまり近代化委員会指定するわけではない、官が指定をしたものは実証船として取り扱おう。しかし、その中でB実験船として適当なものがあれば、それはB実験として新しい実験段階の方の実験をやらせることにする、こういうふうに決めていただいたところでございます。そういうことがございますので、私どもの方もただ役所の権限であるからといって黙って指定をしてしまうということではなくて、この認定基準とか指定基準を諮問申し上げました船員中央労働委員会あるいは海上安全船員教育審議会、こういうところでも近代化委員会との連携はよく保って、関係公労使の意見を聞きながら指定を進めてほしいという旨が答申についております。したがって、委員会意見を聞きながら指定の事務をやっていこう、そういうつもりでおります。
  122. 辻第一

    ○辻(第)委員 もう一度お尋ねをするわけですが、いわゆる官側は近代化委員会において実証船の指定等を行う場合に、公労使の意見を聞くだけなのか、それとも官公労使の入っている近代化委員会ですね、四者が入っているわけですが、この近代化委員会会議で一件ずつ協議をし、その合意の上で決定し、指定をするのか。先ほどちょっとお答えいただいたのですが、もう一度こういう観点からお尋ねをしたいと思うのですが、いかがですか。
  123. 小野維之

    小野(維)政府委員 意見を伺うということでございます。
  124. 辻第一

    ○辻(第)委員 昨年の十月二十日の「船員近代化ニュース」、そういう新聞が出ているのですが、そこでは実証船の指定手続は、「前回委員会で事務局に一任されている」、こういうふうに船員局は主張され、組合側の主張は、「実証実験の実施方案が決まり、労働条件等の労使問題が解決したうえで本委員会にはかり最終的に指定する、」このように認識をしている、こういうふうに両者の意見が食い違ったというような報道がされているわけであります。そういう点からもやはり私は官側のお考え、労働者側の一部の考え方に食い違いがある、そのようにも思うわけであります。少なくとも官側と労働者側の意見に食い違いがないという状況指定の手続をされることが本当は望ましい。意見の一致が図られるべきである。図られていないように私は思います。また、現場が見ている実証船の労働条件の問題についても、非常に疑問や不安というのがまだまだ充満をしているというのが今日の事態だと思うわけであります。こうした中で、官や使の一方的な押しつけというのですか、そういうものでなしに、本当に労働者の意見を十分聞いて対処をされるべきである、このように強調をしたいわけでありますが、その点についての所見を伺いたいと思います。
  125. 小野維之

    小野(維)政府委員 官とか使とかがその意思を勝手に押し通すという気持ちは毛頭ないわけでありますが、いま先生がお挙げになりました話というのはちょっと正確に思い出せないのですが、従来の近代化委員会というのは法律上の指定はございませんですから、まず何隻という募集をするということを委員会として決め、次に候補船というものの船の名前を委員会として決め、そして最後にA丸、B丸、C丸が実際の実験に入るときに、これが実験船だと指定するのは近代化委員会の事務局、これは役所ではないのですけれども、そこがやるというやり方をしておったわけでございます。ちょっといま課長と相談したのですが、多分そのお話ではないだろうかと思います。  これからの近代化船の問題でございますが、甲機両用の部員の方々、あるいは運航士、こういうものをつくり、陸上支援体制をつくる、これは労使の完全な一体の中で行われているわけでございまして、近代化船の指定というのが、その中で一方的に使用者側から出てくるということはほとんど考えられない状態でございます。さらにもし出たとしても、いわゆる近代化船としての指定要件、ここでほとんどそれをクリアできないだろうと私どもは考えておるわけでございます。したがって、これでこういうふうに私どもの方は全部の条件がこの船については整っていると思うけれども、なお何か御意見がありますかという意味で近代化委員会意見をお伺いする、こういうことでございます。
  126. 辻第一

    ○辻(第)委員 最後に労働者の意見が十分聞かれるような、そのような対応といいますか、努力をしていただきたいということを重ねて要望して、私の質問を終わります。
  127. 原田憲

    原田委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  128. 原田憲

    原田委員長 討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、内閣提出船員雇用促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  129. 原田憲

    原田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、内閣提出海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  130. 原田憲

    原田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 原田憲

    原田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  132. 原田憲

    原田委員長 この際、運輸大臣長谷川峻君から発言を求められておりますので、これを許します。長谷川運輸大臣。
  133. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 ただいま船員雇用促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、慎重御審議の結果、御可決をいただきましたこと、まことにありがとうございました。(拍手)
  134. 原田憲

    原田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後二時二十五分散会