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福岡委員 運輸大臣は健康がすぐれないようでお見舞いを申し上げたいと思います。
私
どもは人道的な立場に立ちまして、
運輸大臣がすっかり元気になられてから思う存分
意見を交わしたかったのですが、与党の方でどうしてもやるとおっしゃるので、苦しい立場に立たしておるのは私
どもの責任じゃないということをまず御了解をいただきたいと思うのであります。
私は、本
会議の趣旨説明に対する質問でも申し上げたのでありますが、
国鉄を何とか
再建をしなければならぬ、そういう
認識については人後に落ちないつもりでおります。ただ、その前に、どうして
国鉄がこうなったのかということを明らかにする必要がある。病気でもお医者さんが診察をいたしまして病気の
中身を確かめて適切な治療をする、こういうことになるわけであります。残念ながら本
会議の私の限られた時間でございますのでできなかった点もあると思うのですが、
運輸大臣も総理
大臣も社会情勢の変化というように集約的に、しかも抽象的に御説明をされておるわけであります。そうじゃなくて具体的に幾つかの明らかな原因がある。これをまずお互いに確認をして対策を立てようじゃないかということを私は提唱しておるわけであります。
時間がありませんから要約をしてその五つを申し上げますと、
一つは車社会がどんどん発達をしたわけであります。したがって、乗降客が減ったことが
国鉄のピンチを招いた最大の原因であります。ところが、考えてみますともう少し
対応の仕方があったのではないか。といいますのは、自動車の場合で言いますと、どんどん道路は整備される、あるいはバイパスもどんどんやられる、空港も港湾も整備される。こういうものに比べまして
国鉄に対するそういう設備投資の面が非常におくれていた。しかも一兆余りの投資をずっと続けてきたのでありますが、新
幹線が重点となりまして、在来線、特に
地方における車との競争
関係に立つ在来線の整備が非常におくれた。そういうことが
一つの理由であろうと私は思うのであります。それから
特定人件費であります。内容はもう説明するまでもないことなんでありまして、これが大きな
国鉄の赤字の
要因になっている。これも
国鉄が営業政策上やったことに原因があるわけじゃないので、国策上、終戦後ああやって外地からの引き揚げ者を受け入れた、あるいは軍の工廠の引き継ぎを
国鉄がやったというようになっておるわけであります。これも早くからわかっておることでありまして、対策を立てなきゃならない、しかし、いまだに対策が立ってない。それから第三は借金政策、こういうものに走りましたために支払い利息が大きな赤字
要因になっている。これも否定することのできない事実なんであります。それから四番目には赤字路線が建設をされた。たしか現在開業しておりますのは三十七
線区か八線あるはずであります。根岸線を除いてあとは全部赤字である。この新線建設の営業係数は二〇〇を超している、こういう状態。それから第五番目に、国会もある
意味では責任があると思うのでありますが、
政府が統制し過ぎた。予算の面からもその他の権限問題も、ほとんど
国鉄総裁に権限は与えていない。歴代の
総裁を見ますと、現在の
高木総裁を初め日本の国内では屈指の能力のある優秀な人が
総裁になっておられる。しかも
政府のめがねにかなった人を
総裁として国会に同意を求められておるわけであります。ですから、もうちょっと権限を付与されておれば対策の立てようもあったのではないかというようなことが複合的に作用いたしまして、
国鉄がどうにもならなくなった。
これをまとめて言いますと、
国鉄当局のあるいは
国鉄労使の責任もこれは否定できませんけれ
ども、しかし、いま申し上げました五つの事項から考えますと、やはり
政府なりある
意味では国会に大半の責任があるのじゃないかということがはっきりしないと、ただ
国鉄の
経営者は能力がない、
国鉄の職員は怠け者である、だからこうなったのであるというだけでは問題の解決にならぬのじゃないかということをまず明らかにしていただきたいと思います。