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1983-04-12 第98回国会 衆議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十八年四月十二日(火曜日)     午前十一時五十四分開議  出席委員    委員長 原田  憲君    理事 三枝 三郎君 理事 三塚  博君    理事 宮崎 茂一君 理事 湯川  宏君    理事 福岡 義登君 理事 吉原 米治君    理事 西中  清君 理事 中村 正雄君       阿部 文男君    大村 襄治君       鹿野 道彦君    川崎 二郎君       久間 章生君    佐藤 文生君       志賀  節君    谷  洋一君       近岡理一郎君    津島 雄二君       浜野  剛君    原田昇左右君       井岡 大治君    小林 恒人君       沢田  広君    下平 正一君       浅井 美幸君    小渕 正義君       辻  第一君    四ッ谷光子君       中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 長谷川 峻君  出席政府委員         内閣審議官   林  淳司君         内閣法制局第一         部長      味村  治君         内閣法制局第四         部長      工藤 敦夫君         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         給与局長    斧 誠之助君         外務政務次官  石川 要三君         運輸政務次官  関谷 勝嗣君         運輸大臣官房長 犬井 圭介君         運輸省鉄道監督         局長      永光 洋一君         海上保安庁長官 永井  浩君  委員外出席者         警察庁長官官房         企画課長    関根 謙一君         外務省条約局法         規課長     河村 武和君         大蔵省理財局資         金第二課長   岡本 吉司君         自治省行政局振         興課長     濱田 一成君         会計検査院事務         総局第五局鉄道         検査第二課長  椎野 房雄君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     半谷 哲夫君         日本国有鉄道常         務理事     繩田 國武君         日本国有鉄道常         務理事     竹内 哲夫君         日本国有鉄道共         済事務局長   岩崎 雄一君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)   仁杉  巖君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   片山  充君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本国有鉄道経営する事業再建推進に関する臨時措置法案内閣提出、第九十七回国会閣法第三号)      ────◇─────
  2. 原田憲

    原田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出日本国有鉄道経営する事業再建推進に関する臨時措置法案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本鉄道建設公団総裁仁杉巖君及び理事片山充君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 原田憲

    原田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  4. 原田憲

    原田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林恒人君。
  5. 小林恒人

    小林(恒)委員 まず冒頭、大臣におかれましては病気療養中というお話を伺っておりましたけれども、非常に大切な議案の審議に当たりましてわざわざ本委員会に御出席を賜りました。何といっても体が一番資本でございますし、ぜひ一日も早く全快されますよう心から祈念を申し上げておきたいと思っております。  まず最初に、国鉄再建をめぐる議論、先年の国鉄再建法の際にもずいぶん多くの議論をいたしてまいりましたけれども、その後も引き続いて、特に特定地方交通線取り扱い問題等、本院ばかりではなしに、それぞれ関係をいたします自治体の中でも従来から勘案をいたしますとずいぶん多くの議論があったと思います。まさに国民的な関心を呼んできたものであり、特に大変大きな赤字を出しております国鉄経営が今後どうなっていくのか、そのこととあわせて、対象となっております約七十線区特定地方交通線取り扱いが今後どうなっていくのかというのは大きな国民的関心事、こう言ってよろしいのかと思うところでありますけれども、第一次選定特定地方交通線四十線中、三十八線はすでに地方における協議会に入りましたことについては本委員会の中でも御報告がありましたけれども議論となっておりました二線区、私の記憶に間違いがなければ本年四月一日以降から協議に入ると記憶しているのでありますけれども、この二線区取り扱いがどのようになっているのか、あわせて三十八線区は今日までどのような議論過程をたどってきたか、簡単に鉄監局長にお尋ねしておきたいと思います。
  6. 永光洋一

    永光政府委員 第一次特定地方交通線のまず三十八線の進捗状況、それからいわゆる四十線のうちの残り二線についてどうかというお話でございますが、五十六年九月に第一次特定地方交通線としまして承認しました四十線、七百三十キロのうち、三十八線につきましては対策協議会がつくられまして会議開催されております。三十八線のうち、白糠線など三線につきましては、バスの方に転換していこうということで具体的な話が進められておりますし、久慈線など四線につきましては、第三セクター化という方針のもとにそれぞれ具体的な転換計画が策定、調整されつつあるところであります。その他の線区につきましても転換に向けまして協議が進められているところでありまして、予定どおり円滑な転換ができますよう、地元の足を確保しながらということを前提に、今後とも協議推進に努めてまいりたいと考えております。  残りの、四月一日の協議開催予定日を若干延ばしました線としまして明知線信楽線の二線がございます。これも会議開始日が四月ということで地元の方とお話し合いを進めておりまして、早期に会議開催しようではないかということで日程等について折衝をいたしておるところでありますが、御案内のように明知線につきましてはダム工事によりますところの代替道路の問題、あるいは信楽線につきましてはいわゆる輸送需要等の問題がございまして、そのあたりも含めて早く協議会開催に応じていただきたいということで、現在折衝をいたしておるところでございます。
  7. 小林恒人

    小林(恒)委員 特定地方交通線関係についてもう一点お伺いをしておきたいと思いますが、たしか昨年十一月に第二次三十三線区の提案があり、手順でまいりますと、今日段階でもうすでに知事意見は集約を完了している時期のように考えまするけれども、その後どのような手順を経てきて、今後どのような作業手順を経ようとしているのか、日程を含めておおよそ運輸省の側の考え方を明らかにしてほしいと思います。
  8. 永光洋一

    永光政府委員 昨年の十一月に第二次の選定承認申請がなされまして、いまお話しのように、関係知事意見を照会中であります。三月十五日に岩手県知事意見が一件出ておりますが、今後残り線区につきまして、関係知事に対しましても早急に意見をいただきたいということで、地元で催促といいますか、お話し合いを進めておるところでありまして、知事意見が出ましたら、厳正に審査して結論を得たいと考えておるところでありますが、現時点におきましては地元それぞれの事情がございまして、若干御返事がおくれておるというふうにわれわれも考えております。したがいまして、第二次のローカル線選定作業が、われわれが考えておりましたところよりも、確かに御意見がまだ一件しか出ておりませんし、早急に御意見をいただくとしても若干おくれぎみと思いますが、早晩われわれとしても再度か再三にわたりまして、地元地方公共団体に対して、ぜひ御意見を賜りたいということでお願いをいたしたいというふうに現在考えております。
  9. 小林恒人

    小林(恒)委員 前回、当委員会の中でこの件について若干のやりとりをいたしました際に、運輸大臣の側からは、大切な統一地方選挙状況もあり、その推移等も十分見きわめる必要もあるだろうし、そこらは勘案対象一つであるといった趣旨のお話を伺いました。たまたま知事選が完了いたしまして、北海道九州、一部でいわゆる革新と呼ばれる知事が誕生いたしました。私ども考え方からすると、知事考え方というのは、県民、道民を代表するものでありまするから、必ずしも政党、日本社会党というところと一本で糸がつながって一切言動に左右がないものなどという認識は持っておりませんけれども、しかしそれにつけても住民の意向というのは、私は北海道九州福岡では非常に多く反映されてくるのではないだろうか、こういう認識をいたすわけです。  そこで大切なことは、この政令の中に、知事意見という問題が組み込まれていく段階で、法律もそうでありまするけれども地域住民意見を代表するものといった部分について、どれだけの重みを持ってこの知事意見書というものを重要視をしていくのか、大臣がやがて認可をする段階での基準一つとしてどのような比重を持つものなのか、大臣見解を賜っておきたいと思うのであります。
  10. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 とりあえず自席から御答弁をすることをお許しいただきまして、ありがとうございます。  地方交通線の問題は、小林先生がおっしゃるとおり、大変大事な国鉄再建の一要素であるという御発言、そのとおりだろうと私は思います。それだけにまた地方にとりましても、長い間利用しておったものが、モータリゼーションあるいはまた過疎、こういうことから、足は奪わないでバス転換するとか第三セクターというふうなもの、地方地方の知恵で新しい歩み方に移行するという気持ちが、第一次特定線の場合に三十八線に対してそれぞれ御協議が生まれた、こう思います。  おっしゃるとおり、地方責任者がそれぞれ個別的なことをお考えいただくことも大事でございますが、国鉄再建の大きな柱であるという認識の上に立って、足を奪わない転換意味でお考えいただくという大乗的な見地から意見書というものが出され、そしてそれをまたお互いが吟味する、こういう姿勢でなければならぬ、私はこう思っているわけであります。
  11. 小林恒人

    小林(恒)委員 考え方についてはある意味で理解をするわけですけれども、私はこの知事意見というのは、私の認識ですから、認識一致ができるのかどうなのかという、こういう質問になると思いますけれども、たとえば北海道の場合、五百六十万人の道民の総意を知事が一本の意見書にまとめ上げて提出をされてくるもの、このように考えるのです。その中で、廃止については反対だという意見が出る、こういうまとまりになるのか、あるいはより有効な提言が出てくるのか、あるいはやむを得ませんという意見になってくるのか、大きく分けて三つぐらいのことが考えられるだろうかと思うのです。  そこで、たとえば反対だという御意見が出てきた場合には、これは国の方針としてどうするのかという判断をした場合、大臣の決断というのが非常に重要になってくると思いまするけれども、たとえば新しい提言が出てきたとした場合、これを十二分に調査をし検討する時間が必要になってくると思うのです。こういったことがお考えの中にありましょうかというこの点について、できれば明確なお答えをいただきたいと思っているのです。
  12. 永光洋一

    永光政府委員 いま、要するに意見の出し方としまして、絶対反対という意見と、新しい提言と、やむを得ないというような三つの類型があるのではないかというようなお話でございましたが、再建法地方公共団体意見を聞くということは、われわれとしましてはいわゆる地方交通線選定基準というのが先生案内のように決まっておりまして、その基準に当てはめて、国鉄としてはこの基準に合致するということで承認申請をしてくるわけでございまして、これに対して地方公共団体都道府県知事が、その線はその基準に合致したものでないというような判断をされる場合に、その意見というのは、われわれとしては拝聴を十分にするわけでございますが、一般的にそのローカル線を廃止しては困るというようなこと自体は、一種の地元の要請なり陳情という点で一応含みはしますものの、どちらかといいますと、その意見自体再建法上の意見としてではなくて伺うということになると思います。提言をされるという中身がわれわれとしても具体的にちょっとわかりかねるのでありますが、仮に廃止しないで、こういうようなかっこうで線をつないだらいいではないかとか、こういうように活用したらいいではないかというような御意見かとも思いますが、こういうような御意見が出た場合、われわれとしては当該地方交通線基準に仮に合致しておるとすれば協議会開催いたしまして、その中でその線の改廃と関連してその提言についていろいろ御議論をするというような考え方をとりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  13. 小林恒人

    小林(恒)委員 知事意見基準に対するチェックであるという鉄監局長答弁は、私は必ずしも一〇〇%受けとめたくないのですよ。それならばなぜ四十線区のうち信楽線明知線期間留保をしてきたのか、こういった問題があるわけですよ。そういう答弁の仕方というのは不見識なんじゃないですか。知事意見書ということを前提にして私は運輸省側見解を求めているのですから、もう少し正確な答弁をしてもらわなければ困りますよ。
  14. 永光洋一

    永光政府委員 いま二線の話が出ましたが、信楽線明知線につきましてですけれども知事からの意見がありまして、その意見では、いわゆる地方交通線選定基準としての代替道路の問題とか、将来の輸送需要開発需要がどのくらいあるかという問題についての関連として、たとえば明知線につきましてはダム工事によって代替道路等に問題がある、工事期間中はというような問題があり、信楽線については周辺土地開発についての入居の問題等があって、そういう意味輸送需要等変動要因があったというようなことからでございまして、そういう意味都道府県知事意見を拝聴して、開始日を延ばした要因基準をめぐる関連知事の御意見があった、こういうことでございます。  それから、いまちょっと舌足らずでございましたが、基準以外につきましても都道府県知事の御意見というものをいただきまして、われわれとして精査しますときにはその地域実情等を十分に勘案いたしますが、やはりわれわれとしては基準に合致している場合は承認いたして協議会開催させていただき、その中で都道府県知事地域における実情を十分お伺いしながら協議を進めたい、かように考えておるところであります。
  15. 小林恒人

    小林(恒)委員 言っていることに大差はないと思いますけれども知事意見書の中に、たとえば都道府県あるいは市町村、こういったところで長年かかって都市計画というようなものが具体的に推し進められてきている経過というのはあるわけですね。信楽線明知線の場合もダム建設工事、こういった問題というのは、そのことをめぐってその線区周辺における将来計画がどのようになっていくのかという問題等もあったわけですね。これは知事意見書の中で明確になってきたから運輸大臣認可の際にこの二線区については慎重を期する必要がある、こういう考え方のもとに留保をされたと私は認識しているのですよ。それは違うのですか。
  16. 永光洋一

    永光政府委員 いまの二線につきましては、先ほど私が申しましたことで尽きるわけでございますが、広い意味で言いますと、その地域の将来といいますか、二、三年先に変動要因があるのではないかという要素があったのではないか。こういうことで、そういう知事の御意見を入れて協議会開催を延ばした、こういうことでございまして、当該地域に単に開発計画があるということだけでは、われわれとしてもその地方意見をそのまま受け入れるということはなかなかむずかしいわけです。  それから、ちょっと御参考までに述べさせていただきますと、先ほど申しましたように、三月には岩手県の知事意見提出されました。岩手県の岩泉線でございますが、これにつきましての岩手県の知事の御意見は、その沿線の代替道路幅員等についていろいろ問題があるということで、これに適合したバス輸送は問題があるのじゃない、こういうような御意見をいただいておりまして、こういう問題につきましては当然われわれとしても十分にその意見を拝聴し、そして必要があれば国鉄にヒヤリングをしあるいは現地で検証するというようなかっこう対応いたしたい、こういうふうに考えております。
  17. 小林恒人

    小林(恒)委員 鉄監局長が補足をされていることで結構だと私は思うのです。  そこで、たとえば北海道を例にとってみた場合、第二次の選定では十四線区、大変膨大な数、加えて大変長大な線区がこの十四線の中には含まれてきているわけです。そういう状況の中で、たとえば北海道開発計画でもうすでに進んでいるものがあったり、あるいは関係をいたします市町村の中で、北海道開発計画との関連で推し進められてきた将来計画でもうすでに手がついているものも相当数あるわけです。こういったものなどが意見書の中に組み込まれてきて明確になった場合にどのような対応をされるのか。これは想定問答ですから断定的な答弁をいただきたいということではないのです。常識的に、信楽線明知線を取り扱った経緯にかんがみて、運輸省はどのような対応をしているのかということについてお答えをいただきたいと思います。
  18. 永光洋一

    永光政府委員 北海道なり地方知事からその地域における開発計画等を含んだ御意見が出てきましたら、その場合十分にわれわれとしてもしんしゃくしたい、こう思いますが、そういう開発計画が出た場合に、それに基づきましてお客さんがどういうふうにふえるかというような具体的な数値を当てはめながらわれわれとしては配慮をいたしたい、かように考えております。  それから、明知線信楽線の話がありましたが、その場合に配慮したと同様の考え方で第二次選定に際しても当然当たるべきだと考えております。
  19. 小林恒人

    小林(恒)委員 国鉄総裁一つお尋ねをしておきたいのですが、再建法の中で、それぞれ国鉄再建を図っていく上で経営改善計画を組み立てる、このようなことになりました。経営改善計画の柱として、一つは三十五万人体制、こういったものが明確になりました。  さらに、再建法の中では、いま若干議論をいたしました特定地方交通線取り扱い地方交通線に対する特別運賃の問題、さらに長期債務取り扱い、こういったものが盛り込まれておったわけでありまするけれども、特に再建法における一連の取り組みの中で、最近国鉄を見ておりますると、特に貨物輸送体制をめぐる省力化政策、こういったものの中では三十五万人体制というものを大幅に、さらにそれを割り食っていくような計画が組み込まれているように思えてならないのです。前回委員会の中で議論をしたときには、輸送量が減になれば、それに伴って要員も減らさなければならない、こういう総裁お答えがありました。そういった考え方国鉄当局考え方として、私どもは一応そういう考え方があるのだなという認識はいたしますけれども、総体的に三本ないし四本の柱を持って再建法というものは組み立てられてきた。特に経営改善計画というものが昭和五十六年度に組み立てられた段階とその後とで、何を基準にして貨物のように大きく変化をしていっているのか、この点について経営陣最高責任者として、国鉄経営の実態を踏まえながら明確な答弁をお願いしたいと思うのです。
  20. 高木文雄

    高木説明員 経営改善計画中身と申しますか、組み立てと申しますか、あるいは目標と申しますか、いろいろあるわけでございますが、その中でも私ども非常に重点を置いて考えておりますのは、幹線地方交通線とを分けて考えたいということでございました。率直に申しまして地方交通線地方バスについては、いかに努力をしても、自己努力だけで収支が償うような経営は残念ながらできませんということでございます。それからもう一つ特定人件費と申しましょうか、この数年の間支払わなければなりませんところの異常な退職金の金額と、それから将来にわたりまして年々ふえてまいります年金の国鉄側負担額につきましても、これをコストと概念して、そして運賃の計算の基礎にして考えるということはちょっと無理だということで、この点については財政からの援助をお願いするという前提でございました。その二つの点を前提にしながら約一万一千キロないし一万二千キロの幹線につきましては、自力で収支が償うようにやっていくということを考えておるのでございます。  その場合にどのぐらいの輸送量前提とするかと申しますと、旅客につきましてはわずかながら、年率一%足らずの増加を見込む、貨物につきましては輸送量横ばいということで考える。それによって幹線については単年度収支均衡を図っていくという考え方であったわけでございますが、その後の経過で一番大きく変化してまいりましたのは、貨物輸送量が急激に減ってきたわけでございまして、ごく大づかみにいたしまして年率一割ぐらいの割合で、しかもどうも困りましたのはとどまるところなくお客さんが減っていくという現象でございます。そこで、この前お示しをいたしました計画では残念ながら六十年時点幹線収支均衡が保てない、計画との特に大きな食い違いが出ましたのは貨物収支でございます。そこで本年の一月末に国鉄といたしまして経営について判断をして、貨物のやり方を変えると申しますか、貨物抜本的改編を行うことによって、何とか幹線における貨物収支を償うように改めたいということでございました。  そこで、仕事量が減れば少ない人でやれますから、人手も少なくできるということでございます。まず、たとえば三十五万人という数がありという概念ではないわけでございまして、輸送量に見合った人手が必要だ、輸送量が減っていけば人手を減らし得るという前提で考えているわけでございますから、その意味貨物輸送計画を減らすということになれば、やはりそれに伴って人手も減らざるを得ないということで、その意味で三十五万人という仕組みにつきましてももう一度洗い直さなければならぬというふうに考えているわけでございまして、基本はあくまで仕事の量にあるというふうにお考えいただきたいと思います。
  21. 小林恒人

    小林(恒)委員 再建法議論した段階で、私ども昭和六十年度までの幹線における収支均衡というのはむずかしかろうということは、もうその当時提言しているのです。しかし、三十五万人体制にして、減量政策をして、経営体質そのものも抜本的に改革をしていけば何とかなると御主張されたのは政府であり、国鉄当局ですから、この段階経営状態というのはもう明確になっているわけですから、再建法を提示した段階でそれぞれ多角的に検討をし、法案提出した、再建法ができ上がった、しかしあの時点での判断は誤りであったということを国鉄総裁は認めますか。あなたは当時も総裁ですから。
  22. 高木文雄

    高木説明員 私どものもろもろの経営の予測を立てる場合の基本となるものはやはり何といっても輸送量でございます。その輸送量に応じてどういう輸送計画を立てるかということから収入も見込まれますし、経費も見込まれるわけでございまして、その一番肝心の輸送量の見込みについて、その当時は決して無理な見込みだとは考えていなかったわけでございます。旅客はほんのわずかの微増、貨物は微減といいますか、横ばいといいますか、そのくらいの感じでございましたが、そんな無理はしていなかったつもりでございますが、急激な経済の変革ということもありまして、基本となる輸送量そのものが減っていったということで、その見通しに結果として誤りがあったということは私の責任と申しますか、失敗と申しますか、見通し誤りということは私自身率直に認めるものでございます。
  23. 小林恒人

    小林(恒)委員 見通しに誤りがあったということはお認めになるわけですよね。そういう責任はひとり国鉄総裁だけではなしに、法案提出した政府の側もそれはお認めになると思うのですが、そういったことがあるから、加えて臨調の議論の中でも緊急十一項目を初めとして、国鉄のさらに大幅な改革を推し進めない限り大変な赤字を生み出す根源となっていくぞ、こういうことになっていったんだと判断をせざるを得ないのです。  私は、そういう議論過程を経てきたものだとすれば、たとえば当時提起をされていて、いまだに実施は一切されていない地方交通線に対する割り増し運賃という問題、これは主要な柱の一本であり、わが党としてはこういうやり方は絶対反対だ、こういう主張をしてきた課題なのでありますけれども、これはもう見直す時期に来ているんじゃないのかな、こういう気がするのですよ。やる意思はないのでしょう。鉄監局長、ここら辺どうなんですか。
  24. 永光洋一

    永光政府委員 この前の再建法でお願いいたしまして、地方交通線につきましては特別の運賃が取れる形にいたしたわけでございますが、やはり国鉄経営上の問題あるいは地方交通線に係る収支改善という問題、さらに、やはりある程度原価を反映した運賃を設定することが適当ではないかということもございまして、この特別運賃を導入するということはやはりわれわれとしては必要である、こういうふうに考えておりますが、具体的にどの程度の幅にするか、あるいはいつ導入するかにつきましては、やはり地方交通線の対策を進めておる現段階におきまして、その進捗状況などを勘案しながら、そういう特別運賃を導入することによるインパクトといいますか、それと国鉄収支なり、そういうプラスの面とのバランスというものを考えながらやっていかなければならぬと思いますが、いずれにしましてもわれわれとしてはそういうシステムを設けるということは必要であろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
  25. 小林恒人

    小林(恒)委員 ちょっとメンツにこだわり過ぎているのじゃないのかなという気がしてならないのは、たとえば貨物の問題でも運賃制度を変えるという考え方があるのでしょう。
  26. 高木文雄

    高木説明員 貨物運賃につきましては、かねて長い間三等級の等級別運賃ということでやってまいりましたが、これを数年前からやっと一本化をする、物の重さと大きさと距離等で同じ運賃にいたす、商品の価値は余り運賃には響かせないということに直しまして、約二年経過をいたしました。  今回、新しく輸送方を変えるということになりました場合には、従来の貨物運賃がどっちかといいますと車扱い運賃基準にして、それの応用問題というような形でコンテナ等の運賃を決めてきたわけでございますけれども、今後は車扱いというものをかなり大規模に縮小いたすことになりますので、そして今後の貨物輸送の中心は、専用貨物と、それからフレートライナーによるところのコンテナ輸送が中心になると思いますので、従来基本であった車扱いの縮小との関連で、貨物運賃の立て方は変えていかなければならないというふうに考えておりますが、まだわれわれの内部の検討の段階でございまして、運輸省にもまだ御説明をする段階に至っておりません。しかし、近々その問題について私ども考え方をまとめまして政府に御相談をし、また、御利用の方々の御批判を仰ぎたいというふうに考えております。
  27. 小林恒人

    小林(恒)委員 貨物運賃制度をどう変えていくかという議論というのは、やはり国鉄がどれだけの輸送量になっていくかという基本であり、そういった部分についてはもうすでに国鉄の内部では検討が始まっている、こういうことについては私どもも承知しているのです。しからば旅客はどうなのか、こういう問題が今日段階では全く検討の素材でございませんという議論になるのかどうなのかというのは私は疑問を感ずるのです。しかし、政府は、この臨調の考え方なんかも十分に参酌をしながら、当面国鉄運賃値上げについては見合わせをするという方針を立てられましたね。この点については、私はむしろ賢明な決断であっただろうと思うのですよ。  ただ、そこでもう一つ疑問視せざるを得ないのは、再建法という法律の中で、地方交通線に対する特別運賃の設定という問題については、法ができ上がってから今日まで、具体的にこの施策が実施に移されるような足跡というのはないではありませんか。そればかりではなしに、もっと別な角度から、まあこれは具体的に言えば、再建法のこの割り増し運賃という項目については一部改正をしても、もっと具体的な施策を編み出していくために一歩踏み出す時期がもう来ているのではないですかという質問をしているのですよ。こういったことが、私は単にサボ行為をしている、こういうことだけを言おうとしているのではないのです。国鉄総体の経営体制というものをもっと正確に検討していかないと、監理委員会法なるものが出てきても、またまたここでは手落ちがありました、三年か四年たったら、ああ、あのとき考えたのはこの部分が足りませんでしたという一遍の答弁で終わられたんでは、一体どうなっていくんだろうかと心配をしている地域住民の側にしてみれば、もうたまったものではない、こういう気持ちを持つものですから、その点ではいかがな考え方をお持ちでしょうかと伺っておるのです。
  28. 永光洋一

    永光政府委員 地方交通線特別運賃につきましてはほうってあるではないか、こういうお話でありますが、われわれとしては、いま申しましたようにその導入の時期等について、現在やはり地方交通線問題をいろいろ地元でやっておりますので、若干見ておるわけですけれども、実務的にどういう形で運賃の制度を立てたらいいかというようなことにつきましては、運輸省の中にもプロジェクトチームを設けまして、いろいろ、こういう形で割り増し運賃をとるとどうだろうか、こういうことで、やはりできるだけそういう制度を立てたときに利用者に納得をいただきあるいは実務的にも問題がないような形で、どういう形で割り増し運賃制度を確立したらいいかということは、いろいろ検討をしておるわけであります。  しかし、いま先生がおっしゃいましたように、全体的な問題としてもう少し考えたらどうか、こういうお含みのある言葉がございましたが、地方交通線だけにこういう特別運賃を課すことがいいのか、あるいはさらにもう少し線区別の原価を反映する他の方途があるのか、こういうものも含めて、現在われわれとしても検討をいたしておりますし、それは一つ考え方だと思っております。
  29. 小林恒人

    小林(恒)委員 答弁されている内容は大変きれいなんですけれども、すっきりしないのは、検討されているんならされているで結構なんです。ただ、地方交通線に対する特別運賃制度を設けますということは、法律の中で明確に示されている事柄なんですね。私はこの部分について、いままでこの実施に移すには至らなかったという経過そのものについて否定をしようとは思いませんけれども、どうせここまで検討に検討を重ねたんですから、いいですか、それならばこの全体的な運賃制度とあわせて向こう五年間なら五年間、十年間なら十年間の間にもっと新しいものを抜本的に考え直します、そのために必要ならば法律の中から削除するということだって考えてよいのではないか、こういう考え方なんですよ。正確な意味で明言を要求はいたしません。明言をせよと言っても、それは検討の時間が必要なんでしょうから。しかし、法の中に明記をされた割り増し運賃という問題について、大体いつぐらいまでに結論を求めようとしているのかだけは、もうそろそろ明らかにしなければならない時期なのではないかと判断をするのです。この点についてはいかがですか。
  30. 永光洋一

    永光政府委員 地方交通線の割り増し運賃につきまして、いまおっしゃいましたように、われわれとしてもどういう形で実施したらいいかというようなことは明らかにする方途を考えております。  それからさらに、全体的な、もう一歩踏み込んだような運賃制度の議論と申しますか、検討もわれわれとしてはやっていきたい、こういうふうに考えております。
  31. 小林恒人

    小林(恒)委員 再建法関係で、特定地方交通線問題について簡単な議論をしても、ずいぶん多くの課題がまだまだ山積をしているわけです。特に私は大臣にお願いをしておきたいのは、第二次の三十三線区取り扱いというのは、大臣がこれから、手順からいきますというと、承認という関門があるわけですから、この段階でどれだけそれぞれの知事さんの御意見を尊重されるのか、そこらを含めて再度大臣見解を求めておきたいと思います。
  32. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 地方交通路線というものは、それぞれの地方の開発にいままで大いに尽くしたことであります。しかし一方また、だれでも言いますけれども、モータリゼーションの発展によって風を列車が乗せて走るようなかっこうではどうにもこうにもならぬ。そこで財政再建一つの柱として、あなたからも重要視されたような形で従来協議会制度が各地方で設けられてきたわけであります。これが設けられるに当たって、それぞれの歴史的な意義と将来これが発展するかしないか、二千人以上乗るか乗らないかの場合に、国がどれだけ金を将来ともに負担していくかということが、私は純粋な意味で論ぜられてきているもの、こう思っております。ですから、そういう純粋な意味で論ぜられる姿というものをよく私たちも参酌しながら対処してまいりたい。いわんや、先生からそういう路線の特別運賃問題等々について話が出ただけでも私はすばらしいアイデアであり、すばらしい建設的な御意見だ、こういうふうに感じているものです。
  33. 小林恒人

    小林(恒)委員 慎重な今後の取り扱いを心から期待をして、次に移らしていただきたいと思います。  この問題も前回若干の議論をさせていただきましたが、青函トンネルの問題です。予算上の取り扱い等からすると、運輸省が現在予算措置をしながら、鉄道建設公団が建設を進めていっている。もうすでに十九年間もかけてトンネル工事が進められてきているわけですけれども、目下のところこの財産は、まだ財産とは言わないのかもしれませんけれども、投下をしてきた資本量およそ七千億、こう言われているわけですけれども、これは運輸省の責任に帰するところという認識をしてよろしゅうございますか。
  34. 永光洋一

    永光政府委員 ちょっと趣旨があれでございますが、少なくとも国の意思として、しかも運輸省も行政責任としてこのトンネルを現在つくっておるわけでございます。
  35. 小林恒人

    小林(恒)委員 前回、トンネルの利用方針について、お伺いをいたしましたけれども、より有効な利用をというこんな程度で、それ以上の具体的な施策が示されておりませんけれども、今日段階で利用方針についてさらに進んだ部分はありますか。
  36. 永光洋一

    永光政府委員 御案内のように、トンネルは現在国鉄の在来線として利用するということで当面考えておりますが、トンネルは国家的な財産であるという観点からも、広い見地から有効な活用を図りたいという考え方は前々から持っておりまして、去る三月二十四日には、各界の有識者の意見を聞くということで、運輸大臣の私的な懇談会を開きましていろいろ御意見も伺いました。その中では、交通以外に使用するということはどうしてもやはり補充的なものにすぎないのではないか。やはり鉄道として利用するということが本体ではないかというような御意見が非常に強うございました。ただ、自動車を鉄道に乗せたりあるいは鉄道で牽引したりという、いわゆる道路的な利用というようなものを考えるべきではないか、こういう御意見がわりによく出ておりました。  この懇談会を開きました後、もう少しそういう話を詰めてみようということで、その実現方策について研究会を設けまして、現実にその研究会で少しブレークダウンをしましたものをさらにまたこの懇談会に上げて、鉄道以外で有効に利用できる方途を早急にわれわれとしても考えたい、こういうふうに考えております。
  37. 小林恒人

    小林(恒)委員 鉄道以外という考え方もあるようですが、基本的には二本のレールを敷設をして鉄道輸送を行うという形でこのトンネルを活用していく、こういう基本はそんなに大きくずれないと思うのです。再建途上の国鉄が、資本費、借損料合わせますと年間およそ八百億円くらいずつのお金を払っていかなくてはいけないというこういった問題もあるわけでして、だとすると、今日現在でも国鉄経営というのは大変だ。そうなった場合の政府としての特別の取り扱い方、別な、従来とは変わったパターンでのトンネルの取り扱い方、国鉄に全部引き受けさせてしまう、こういったことではない進め方というのは検討されていますか。
  38. 永光洋一

    永光政府委員 先ほど申しました懇談会におきましても、国鉄の財政とどういう関係があるかという御議論がありまして、その意見の中で、これは国家的財産だから、国民全体のものであって長期的な目で見る必要があるのではないかとか、国鉄財政という関連関係づけないで考えたらどうかというような御意見もありましたし、いま先生がおっしゃいますような考え方もあるかと思いますが、われわれといたしましても、このトンネルは主として鉄道で利用するにいたしましても、北海道と本島を結ぶというような国家的資産でもありますので、いまどうするということは今後監理委員会等で十分御議論されることだと思いますので、差し控えたいと思いますが、やはり国鉄経営再建という問題と関連しながら、このトンネルの処理につきまして考えていかなければならない、こういうふうに考えております。
  39. 小林恒人

    小林(恒)委員 そういう状況の中では、トンネル利用に伴う安全問題、こういったことについては余り進んでいないという認識をしてよろしゅうございますか。
  40. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 ただいま青函トンネルの安全対策についてのお尋ねでございますので、私から御答弁申し上げますが、これは、建設は御承知のように鉄道建設公団でございますが、運転に伴います、営業に伴います安全対策につきましては、国鉄側とも常に連絡を密にいたしまして現在対策を進めております。  一つには列車火災対策でございまして、五十キロ以上にわたるトンネルでありますので、いままでに例のない長大トンネルとなるわけでございますけれども、これにつきましても鉄道建設公団の方で部外の学識経験者、専門家の御意見も聞きながら対策を練ってまいりまして、たしか昨年だったと思いますが、一応の結論を得まして、私どもの方との打ち合わせも済ませまして、開業までにはその対策を進めるということでございます。簡単に申し上げますと、五十キロのトンネル、海底部を含めまして逃げ道というのは非常にむずかしいわけでございますから、ちょうど海底部と陸上部との境、これが二十三キロになりますが、そこに列車火災が起きた場合の消火設備、避難設備といったようなものを完備いたしまして、そこで乗客は避難ができる、また、火災は消しとめられるということにいたしますと、長大トンネルではありますけれども、トンネルの中に二カ所そういう設備をつくることによりましてトンネルの延長というものがその部分で切られるわけでございますから、そういったような対策をとっているということでございます。  また、あと出水対策とか地震対策というのがございます。これは掘っております地質の条件とか、地震が起きた場合の震度等によって地質がどう影響されるかというようなことでございまして、これは建設公団の方は現に逐一掘進をしてきて、ことしの一月に試掘坑といいますか、導坑が貫通したという状況でございますが、一応の全体の地質条件をつかんでおりまして、これらに対しましてもまず心配がないという対策を進めることにいたしているわけでございます。したがいまして、物理的に考えられます安全対策というものは、現在すべてがまだ実施されておりませんけれども、開業までの間にはこれを実施するということになっているわけでございます。
  41. 小林恒人

    小林(恒)委員 トンネルの安全問題についてもう一点だけお伺いしておきたいと思います。  そこまで研究が進み、対策が検討されてきているということですから、たとえばトンネル内二カ所の火災対策あるいは出水対策、地震対策、こういったものというのは、仮に営業した、国鉄の列車が走り始めたという想定の上に立って進められていると思うのです。だとすると、年間およそどの程度の安全対策費が考えられるのか、概数で結構でございますから、もし出されているとすれば試算数字をお示しいただきたいと思うのです。
  42. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 現在、設備を決めましていろいろな対策をすることにいたしておりますが、いまのお尋ねは年間の維持、経常費ということかと思いますが、これらについてはまだ検討段階でございますので、現在数字を持ち合わせておりませんので御容赦いただきたいと思います。
  43. 小林恒人

    小林(恒)委員 国策として、大プロジェクトとして組み立てられてきたトンネルでございますので、できるだけ有効な活用を推し進めていく、この前提条件として安全でなおかつ有効なトンネルに完成後はしていくことが非常に大事だと思いますから、できるだけ早い時期にそういった数字も示されるように御尽力を賜りたいと思っております。  そこで、本案が本会議で趣旨説明をされた際に、わが党の同僚議員がずいぶん多くの質問をしました。その中でトンネルも質問の一つに入っているわけですけれども、津軽海峡、国際海峡という位置づけの中では、国際法に基づいて三海里、三海里、こういう議論の中から、残された部分というのは公海である、だとすればこの公海下に主権が及ぶのかという質問に対して、中曽根総理大臣は管轄権が及ぶものと判断をされています。これは正確に質問の趣旨に答えていないわけですけれども、主権が及ぶと判断をされているのかどうか、外務省の見解を求めたいと思います。
  44. 石川要三

    ○石川(要)政府委員 お答えいたします。  一国の主権というものの及ぶ範囲でございますが、これは領海の地下及び上空、これを含む全範囲に対してであることは先生御高承のとおりであります。青函トンネルの場合には、いまお話がございましたように公海部分があるわけでありまして、この公海であるところに主権が及ぶかということに対しましては、公海に対して主権が及ぶと言うのは適当ではなかろう、こういうふうに思います。ただ、公海でありますので主権は及びませんけれども、立法、司法、行政にかかわる諸権限は、これは管轄権が及ぶ、こういう意味がきわめて適当であろう、こういうふうに解釈をされるわけであります。  しからば、管轄権が及んでいるか否か、こういうお尋ねでございますが、私どもは管轄権が及ぶ、管轄権が執行できるという解釈に立っております。そのよって立つ理論といたしましては、この海底トンネルの構築によりましてもその公海の自由というものは侵されていないという理由が一つ。それから、いわゆるこれを禁ずる国際法上の規制というものが現在存在しない、こういうのが第二点目の理由であります。三点目といたしましては、学説上も異論なく認められている。この三つの理由からして、私どもはこの青函トンネルの公海下の部分においての管轄権は行使することができる、こういう解釈に立っているわけであります。
  45. 小林恒人

    小林(恒)委員 昭和五十六年の参議院決算委員会の際に、丸谷議員の質問に、当時、国務大臣宮澤喜一さんが次のような答弁をしているのです。「トンネルの、公海下の部分ということでありましても、わが国の管轄権が領土におけると同様に全面的に及ぶと考えられます」、このように答えられていることは御承知だと思うのです。さらに、今回の法案の本会議における趣旨説明の質疑の中で中曽根総理は、「もちろんわが国の領土と同様に管轄権を行使することができるというのが国際法上の解釈でございます。」こう答えているわけです。こういう若干のニュアンスの違いがあるのでありますけれども、さらに五十六年段階では、「内閣法制局が中心になりまして、関係各省とよく検討いたしまして、将来これにつきまして御疑念のないようにいたしてまいりたいと存じます。」こういう答弁がなされているわけですけれども、公海条約の二条の中では、公海のいずれの部分においても主権のもとに置くことはできない、こういう縛りがありまするから、いま答弁をされたような中身になると思います。  ただ、領海と公海の違いというのは私は微差だとは思わないのです。大変大きな違いがあると思うのです。こういった公海条約の解釈あるいは領海条約二条に伴う解釈、こういった中で、それでは管轄権については及ぶという解釈が外務省の段階ではなされているというのであれば、内閣法制局としてはこの法解釈をどのように具体的に検討されたのか、検討過程を含めて御答弁を賜りたいと思います。
  46. 味村治

    ○味村政府委員 青函トンネルの公海下の部分の管轄権の問題につきましては、先ほど御指摘のように当時の宮澤官房長官の御答弁もございまして、私ども外務省、自治省等と御相談を申し上げました。主としてこれは警察の管轄をどうするかとかあるいは裁判管轄がどうなるといったような国内的な問題、これにつきましては、地方自治法上どの地方自治団体に属するかということが中心になるわけでございますので、地方自治法上の問題を中心に検討いたしたわけでございます。  この青函トンネルの公海下の部分につきましてわが国の管轄権が及ぶということは、これはもう先ほど外務政務次官から御答弁のあったとおりでございまして、あと国内的にその地域がと申しますか、トンネルというその空間でございますね、それがどの地方公共団体の管轄に属するのかという問題につきまして検討いたしまして、結局、現在のところはどこの地方公共団体にも属していない、したがって地方自治法の七条の二によりまして、内閣がどの地方公共団体に所属するかを決めるというのが適当であろうというように、検討の結果相なっております。
  47. 小林恒人

    小林(恒)委員 主権と管轄権の問題というのは私は大変重要な課題だと判断をするだけに、もう少し質問をさせていただきたいと思うのでありますけれども、少なくとも公海下についてはいずれの部分においても、海の上も水中も海底下も含めて主権のもとに置くことはできないということが明確になっているわけですね。主権の定義そのものについては公海条約二条の中で大変はっきりしているんだと私は思うのです。こういうところに、言葉が変わって管轄権という議論になってきているわけですけれども、広い意味で司法権または裁判権、立法権、行政権を含んだ国家の一般的な権力というものが管轄権という中でも適用されるという判断をされたのか。もし判断をされてそういう御答弁なのだとすれば、法的根拠をお示しをいただきたいと思うのです。
  48. 河村武和

    ○河村説明員 お答え申し上げます。  国際法的な側面から申し上げますけれども、先ほど政務次官が申しましたとおり、管轄権の行使ということにつきましては、まず第一点は、先生いま御指摘がございましたような公海条約の諸規定がございますけれども、そういう公海条約の諸規定に照らしましても、公海の自由というものを侵すというような体制にはなっておりません。それからかつ、もう一つ政務次官が申しましたけれども、そういう形で管轄権を行使するということが国際法上明示的に禁じられているという点もございませんので、国際法的な側面から申します限り、わが国がかかる領海部分を越えて公海部分の海底下にトンネルを掘削するという場合に、その部分において管轄権を行使するということが国際法上問題になることはないかと存じます。
  49. 小林恒人

    小林(恒)委員 それでは、続けてもう一点お伺いをいたしますけれども、トンネルが工事中といえどもここには国の資金が投入されているわけですね。完成をすれば一つの財産として認知をされることになると思うのです。公海下に日本の財産権が主張できるという法的根拠をお示しをいただきたいと思います。
  50. 河村武和

    ○河村説明員 お答え申し上げます。  財産権を国際法的に主張できる根拠、まあトンネル自体がそもそも財産権の対象になるかどうかにつきまして、私は外務省の者でございますので、いま民法的になりいかなる権利の対象になるかということについてはつまびらかにはいたしませんけれども、繰り返しになりますけれども、国際法上そういう形で管轄権を及ぼすことについて問題があるということはございませんので、別途、今度そのトンネルというものをどういうぐあいに考えるかという問題は国内的に残るかということだと思います。
  51. 小林恒人

    小林(恒)委員 答えが明確でないので、そんな答弁じゃ困るのですけれども、少なくともこのトンネルに要した費用というのはもう大変膨大な金額になるわけです。それで、たとえば公海における不慮の事故でトンネルが破損をした、破壊をされた、これは目的意識的なものでないにしても、不慮の事故ですよ。こういった場合にはどこの国にも、どなたにも財産権を主張しての損害賠償の対象はないということになりますね、そうすると、どうなんですか、ここら辺は。
  52. 河村武和

    ○河村説明員 お答え申し上げます。  先ほど私が申しましたこととの関連で、管轄権が及んでいるようなトンネルに対して何らかの不法行為がなされた場合に、どういう国家責任が生ずるかという点は、別の問題として残っているわけでございます。すなわち、トンネルに対する管轄権というものを日本が有しているということは国際法上問題がない以上、これは公海においてたとえば日本の船舶が何らかの形で不法行為を行われたという場合に、そういう不法行為を行った国に対して国家責任を問うというのと同様のことは当然できると考えます。
  53. 小林恒人

    小林(恒)委員 将来的な海洋法条約の改定、こういった課題が今日段階で現存しておりますから、将来的にどうなのかという議論は棚上げをしたとしても、現段階でもう間もなくトンネルはできようとしている。できようとしているトンネルという膨大な財産、そこについて、一部分公海下については、主権は及ばないけれども管轄権は及ぶ、こうおっしゃっているわけです。しかし、管轄権が及び、この管轄権の内容としては裁判権も行政権も及ぶのだ、こういうことになるのだとすれば、たとえば不慮の事故でトンネルが破壊をされた、財産が消滅とは言いませんけれども、一部欠損をされた、こういった問題が仮に発生をした場合、これは財産というものを保全をしていくという立場に立ってそれなりの措置をとる。これは国内的にも国際的にもとっていかなければならないということになるわけですけれども、公海条約の二条からすると主権は及ばない。主権が及ばないところに管轄権が及ぶと称してでき上がった財産、こういう定義の中で、これは後々問題になりませんか。いまのお答えではどうも不明瞭ですよ。
  54. 味村治

    ○味村政府委員 国際法上、青函トンネルの公海下の部分につきましては、わが国が管轄権を有するということは、ただいま外務省の方から答弁のあったとおりでございます。その管轄権と申しますのは、立法権、司法権、行政権すべてをひっくるめて言っているわけでございます。したがいまして、このトンネルの公海下の部分につきましては、わが国の法律が適用になるわけでございます。したがいまして、たとえば不法行為というようなことがこのトンネルの公海下の部分につきまして行われますと、わが国の民法なりそういった法律が適用になるということになるわけでございます。先生が御例示になりました不慮の事故というのが、不可抗力というようなことによりまして起こったというような場合には、わが国の民法におきましてはそれは不法行為にならないというようなことになるわけでございますので、そういう場合には民法七百九条の適用はないということになるわけでございますが、仮にだれかの故意なり過失なりによりましてトンネルを損壊したというようなことがございますれば、これは民法七百九条によりまして損害賠償を求めることができる、こういうことになるわけでございます。
  55. 小林恒人

    小林(恒)委員 自治省おいでですね。そういった大変問題の多いトンネルについて、自治省は公海下、青森側からあるいは函館側から、まあ吉岡側から何キロ地点まで自治省のそれぞれの区域割りになるのか、この点について御検討されたのかされてないのか、質問しておきます。
  56. 濱田一成

    ○濱田説明員 お答えいたします。  青函トンネルの公海下部分につきましては、去る三月二十二日の衆議院本会議におきまして、総理大臣も、わが国の領土と同様に管轄権が及ぶものと解されるという答弁がありましたし、また、ただいまも法制局から答弁があったところでございます。したがいまして、地方公共団体も権能を及ぼし得るものと考えているわけでございます。地方公共団体が権能を及ぼし得るものでありますから、これを行政区域に含めることができると解釈をいたしているわけでございます。  それで、従来地方公共団体の区域に属してない区域が新たに出てくるわけでございますので、特定の地方公共団体に編入するということが必要になるわけでございます。これは地方自治法の七条の二によりまして内閣が行うことになっているわけでございます。現在トンネルは工事中でございますので、今後の推移を見守りながら、私どもはどの地方公共団体に編入するかということについて検討を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  57. 小林恒人

    小林(恒)委員 完成までまだ間があるわけですけれども、公海下のトンネル工事中に作業員相互間の事件が発生をした、こういった場合、警察権は及びますか。
  58. 関根謙一

    ○関根説明員 お答え申し上げます。  先ほど法制局の第一部長から御答弁がありましたように、青函トンネルの公海下の部分につきましては、行政権、司法権等すべての権限が及ぶ、こういう解釈を前提といたしまして、わが国の法律が全面的に適用になるという考えでございます。でございますので、警察上の権限はこの区域について及ぼし得るという解釈でございます。
  59. 小林恒人

    小林(恒)委員 同じ質問を海上保安庁にしたいと思うのです。  海上保安庁の場合、前回質問の際に、津軽海峡を原子力潜水艦が航行した経過があるのかという質問に対して、年間およそ六十隻ぐらいのソビエトの原子力潜水艦が航行したということを確認しているという御答弁をいただいております。これは、国際的に海上の場合は領土内というものとは全く認識の違う見地から御質問をしなければなりませんけれども、この点について、そこらの経過があることをも含めて、海上保安庁としてはどのような認識をされているのか、御答弁を賜りたいと思います。
  60. 永井浩

    ○永井政府委員 津軽海峡の公海部分を外国の艦船が航行する場合、これは潜水艦がたとえば浮上して航行する場合、あるいは海中を航行する場合も、公海条約によって自由が認められております。そういった意味では、直接トンネルの上であっても問題はない、このように考えております。
  61. 小林恒人

    小林(恒)委員 もう一点だけお伺いをしておきますけれども、いまちょっと触れていますけれども、トンネルの上にどこかの国の原子力潜水艦が停止をした、こういった状況があっても干渉することはできませんね。
  62. 永井浩

    ○永井政府委員 公海上で原子力潜水艦が海中に停止しても、これは公海条約によって認められている、このように思います。
  63. 小林恒人

    小林(恒)委員 これは青函トンネルという大プロジェクトを国策でもって行ってきて、すでにもう七千億円もお金を投入したという大変な工事であるだけに、正確を期する必要があると思うのです。内容的に言いまするというと、公海条約あるいは領海条約、こういったものとの兼ね合わせで主権が及ぶのかどうなのか、あるいは管轄権が及ぶのかどうなのかという議論は、正確な意味ではまだ疑問符を打たざるを得ない部分が数多くあります。公海下における財産という問題についても、国際的な正確さを期する必要があるように思えてならないのです。こういった数多くの問題とあわせて、財産権が主張できるのかどうなのかというこのことは、将来にわたって利用方針に万一限定をされるようなことが危惧をされるだけに、多角的に実は質問をしたわけでありますし、安全の定義というものについても、私は、そういった意味では正確さを期する必要がある、こういう考え方を持っているわけです。  前回の質問の場合にも利用方針については明確にならなかった。きょうの段階でも、どのように利用するということについては明確になっておりません。その意味では、おおよそいつの時期にどんな形でもって国民に利用方針について明らかにしようとされているのか、大臣の所見を最後にお伺いをしておきたいと思います。
  64. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 敗戦の後の、日本が非常に貧困なときにあの海峡の調査を始めた。そして、それが十九年間にわたって、世界最長の海底トンネルが生まれて、日本の技術陣のすばらしさというものを改めて国民が認識し、諸外国がまた敬意を払っている。津軽側であろうと北海道側であろうと、いずれも本州と北海道が直接結ぶという重大な経済的、人物交流的な意味がそこに生まれている、私はこう思うのです。そうしたときに、いろいろな疑問を出して将来にわたっての御研究も大事でございますが、いずれにしましても、これをいかにして国民の利益のために活用していくかというところを私たちはいま各界にお願いして御研究をいただき、また、皆さん方の御議論の中からそういうものを探り当ててやりたい、こう思っておりますので、国際的な面から疑問の生じないようなことをやって、自信を持って進みたい、こう思っております。
  65. 小林恒人

    小林(恒)委員 次に、貨物の問題に質問を移したいと思うのですが、その前に、国鉄側に対して、過去十年間に旅客列車及び貨物列車が、一つの事故によって五十本以上運転休止となった事故例を挙げていただきたいという資料要求をいたしましたけれども、残念ながら、昭和五十三年からしか私の手元には届きませんでした。五十三年度以降毎年のように大変大きな事故が相次いでおります。これはいわゆる責任運転事故と称せられるもの、あるいは他動的に発生をした事故、こういったものがそれぞれにあるわけですけれども、たとえば昭和五十三年の列車妨害事故、これは昭和五十三年六月に中央線で発生をしている事故ですけれども、列車妨害によって三百十一本の列車が運転休止のやむなきに至った。こういった問題が発生をしても、ここでは賠償請求事務が一切行われていない。こればかりではなしに、損害賠償請求を行った件数というのは、事故例からいたしまするというと、圧倒的に少ないわけです。たとえば、本年に入ってからも山手線の有楽町付近で事故が発生をいたしておりますけれども、これなんかは、帝国ホテルの工事過程で、工事用のワイヤーロープが飛来をしてきて二百五十三本の旅客列車が運転休止となった、こういった事故で、これなどについては若干の損害賠償請求が行われておりまするけれども、損害賠償請求を行わなかった事故例の中で、なぜそういう行為が行われなかったのか、幾つかの例を挙げて国鉄当局見解を賜っておきたいと思います。
  66. 原田憲

    原田委員長 小林君に申し上げておきますが、約束の時間でございますから要約して御質問願います。
  67. 高木文雄

    高木説明員 損害賠償の問題は、いろいろ問題がございます。私どもとしては、損害額を回復すべく賠償請求をしなければならないわけでございますが、加害者側の負担能力という問題にも限界があるわけでございますので、なかなか賠償額をフルに請求するということができないという問題がございます。  それからもう一つは、わが職員が重過失等によって大きな事故を起こしたという場合の賠償責任の問題があるわけでございますけれども、これはまた、刑事罰による訴追との関係で、すべての場合に賠償請求すべきかどうかということについてかねがね問題がございました。いまのところうちの職員に対する賠償請求というのはほとんど行われておりません。  そうした問題、いろいろございますけれども、それなりに法律家に御相談をし、また、政府部内のもろもろの損害賠償に関して権威を持っている方々に御相談しながら進めておるわけでございまして、いまのお尋ねですと、何か国鉄がそうした問題を放置しておるようなお尋ねでございますけれども、われわれとしては、全力を挙げ、一生懸命勉強の上でやっておるつもりでございます。
  68. 小林恒人

    小林(恒)委員 質問途中でありまするけれども、ちょっと私ども打ち合わせが悪かったものですから、実は二時間だと思ってやっておりましたので……。終わります。
  69. 原田憲

    原田委員長 午後二時より再開することとし、休憩いたします。     午後一時二十九分休憩      ────◇─────     午後二時七分開議
  70. 原田憲

    原田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。沢田広君。
  71. 沢田広

    ○沢田委員 ただいま同僚の議員が質問いたしましたが、私たちの内部では、理事会の経過として、一時間半という基準ではあるけれども、若干の延長は許されるということでわれわれ理解をして登壇しているものでありまして、途中で打ち切られるということでは、これは質問している者の名誉にも関することでありますから、念のため申し添えて私は質問に入りたいと思いますので、委員長、そういうふうに考えて質問に入りますが、よろしゅうございますか。
  72. 原田憲

    原田委員長 一時間半という約束になっておりますので、十分考慮されながら御質問を願いたいと思います。
  73. 沢田広

    ○沢田委員 第一に、大臣御苦労さまです。  順不同になりまして大変恐縮でありますが、よそから来ておられる方もおりますので、法案とは当然若干関係しておりますけれども、付随した事項を先に質問してまいります。  人事院総裁をお呼びしておりますが、要するに国鉄の賃金は民間賃金に準拠するし、同時にまた、それを適用するということで、仲裁裁定が適用しているわけであります。しかし、一般的に通常言われておりますラスパイレス方式については、私は通常から疑念を持っているものでありまして、このラスパイレス方式の採用ということが果たして賃金決定の上に妥当なものなのであるかどうかということは一つ問題があるということで、前二回総裁に聞いてまいりました。きょうは三回目になるのでありますが、このラスパイレス方式に学歴を一生加えていくということについては問題があるのじゃないか。初任給で当然差がついているのだから、三割三分という比率を常時賃金の上に加えていくという考え方については問題がある。もちろん若干の、一割程度のものをつけるとか、あるいはその他考えられれば理解をするわけでありますが、その点は総裁としてどうなのか、それが第一点。  それから、人事院の勧告で四・五八%を今年度凍結したわけであります。今年度というより、いまなら前年度ですね。これは凍結ですから、解ける日がなければならぬのであります。解ける日は、五十八年度においてはこの四・五%は人事院についてははね返ってくるというふうに理解をしてよろしいのかどうか。  この二点をまず総裁からお伺いをいたしたいと思います。
  74. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 お答えいたします。  第一点の、民間の給与を調査いたして、それと公務員との給与の比較をいたします場合に、いま御指摘になりましたようにラスパイレス方式というものを長年採用して今日まで来ておるわけでございます。いままで二回にわたって沢田先生から御質問もございまして、その際にも私からもお答えをいたしましたが、このラスパイレス方式というものが、これ以上のものはない完璧な制度であるというふうには私も思っておりません。時々刻々変化をする面もございますので、さらによき制度がございますればそういうものをだんだん取り入れていくということについては、無論積極的に取り組んでいく姿勢はとってまいりたいというふうに考えておるわけであります。ただ、いままでのところ大体において妥当な方式ではないかという結果が出ておりますので、それを踏襲いたしております。特にいまお話しになりました学歴の問題等について問題はあると思います。特に高学歴化社会ということで、大学進学者というものも非常に多くなってきたというような点を考えてまいりますれば、そういう実態についていろいろ考え直さなければならぬ面がだんだん出てくると思うのでありますが、現在のところは、御承知のように民間でも賃金決定の要素としては年齢なり勤続年数なり学歴というようなものが中心になっておりまして、労働省の諸統計等を見ましてもそういうものを中心に統計が作成されておるという現実の姿がございます。そういうものを踏まえてやっておるわけでございますが、いままでも二回にわたって御指摘があり、私もお答えをいたしましたように、そういう情勢の変化というものに対応しつつ、現実に合った制度を取り入れていくということについてはさらに引き続いて積極的に取り組みたいというふうに考えております。  それから第二点の現実の給与勧告の問題でございますが、昨年は格差ありとして、埋めていただきたいということで勧告を出しました。これは御承知のように四・五八ということでございましたが、これは遺憾ながら現在のところ、要するに凍結あるいは見合わせということで、五十七年度は実施されないということに相なっておるわけでございます。といたしますと、人事院といたしましては当然本年も従来と同じ方式にのっとりまして給与の調査の作業に入っております。すでに一月十五日現在で国家公務員の悉皆調査をやっておりますし、四月時点において支払われる民間給与の実態について、五月から六月にかけて詳細な調査を行います。その結果格差が出ますればその時点において勧告を出すということに相なるわけでございますが、五十七年度の分が見合わせになっておるといたしますれば、それに相当する分はこの四月の実績を調査いたします場合に当然持ち込まれるということになって、結果としては出てまいるというふうになると思います。したがいまして、それを踏まえて精細な集計を行いました結果、具体的な格差が出れば、これを埋めていただくために勧告をお願いするという手順に相なると思います。
  75. 沢田広

    ○沢田委員 国鉄総裁来ておりますが、国鉄の中には部内の教育機関があります。部内の教育機関は文部省の設置法に基づいてできたものではないのでありますが、その場合の学歴の評価は、いま言われているラスパイレス方式の場合に、国鉄として計算する場合には、鉄道学園であれ、大学卒業あるいは専門学校卒業というふうな評価の上で計算はしているのですか、していないのですか。それはどちらか、イエスかノーかでいいですから返事してください。
  76. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 学園の場合にはいまのようなことはやっておりません。
  77. 沢田広

    ○沢田委員 だからそこに言わんとしていることがあるので、結局文部省の部分だけしか認めていないという、計算の根拠のときには文部省の設置法に基づく大学、こういうことで計算の根拠を置いて、部内の教育機関の分を総体的な平均賃金を出す場合の計算根拠に入れていない、こういう返事なのですか、そういうことでよろしいですか。
  78. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 国鉄の場合には学校の経歴あるいは部内の学園の経歴、これらが昇職等の基準となるわけでございますけれども、それらが一般的に給与にはね返ってくるということはございますが、それを前提としてすべて給与が決定されているものではないということでございます。
  79. 沢田広

    ○沢田委員 そのラスパイレスの方式の調査のときに、これはきょうの主要な問題ではありませんが、これからまた引き続いてやりますけれども、そういう部内教育の分野についての適正な評価あるいは大学を卒業して初級試験を受けている者の取り扱い、こういうものについて今後これは加えていかなければならぬと思います。  次の問題に入りますが、鉄建公団においでいただいておりますから、これは国鉄関係してくることですから、鉄建公団にお伺いするわけです。  会計検査院の報告によりますと、上越新幹線の用地買収の際に、「併設道路用地については、国鉄への貸付対象とならないので、関係市町村に有償譲渡されない限り、公団において保有せざるを得ないこととなる。」云々と書いてありまして、これは契約をしてあるものの先買いである、こういうことで不適当である、こういうふうに会計検査院から指摘をされているわけであります。それで、五十八年度の財政法第二十八条による参考書類によりますと、その費用は仮勘定に入っておる、こういうことなのでありますが、最初の質問として、四メートルの道路を市町村の要請によってつくった、それではこれは新幹線構造規則にあるのかといったらないのですね。まずそれから答えてください。新幹線構造規則にはないですね。
  80. 仁杉巖

    仁杉参考人 一般に側道と申しておりますが、それには工事用道路と併設道路、工事用道路は原則として四メートル、それから併設道路は二メートルということで工事を実施しているというのが実態でございます。
  81. 沢田広

    ○沢田委員 私は実態を聞いたのではなくて、構造規則にあるかないかということを言っておるわけで、それだけ答えてもらえればいいのであります。
  82. 仁杉巖

    仁杉参考人 構造規則にはございません。
  83. 沢田広

    ○沢田委員 この会計検査院からの指摘によれば、構造規則にないけれども市町村の要請、工事用の道路という名目か、あるいはいま言った構造規則にないものを四メートル先買いをした、さらに加えて二メートル先買いをした、これは市町村との契約になっているというふうになっておりますが、そのとおりですか。
  84. 仁杉巖

    仁杉参考人 四メートルの工事用道路につきましては、大体原則として必要なところにはつくる、二メートルの併設道路につきましては市町村の御要望のあるところでつくるということで、これは有償でお買い上げを願うという前提市町村と契約をしているというのが現状でございます。
  85. 沢田広

    ○沢田委員 最初の四メートルも有償じゃないのですか。あとの二メートルだけじゃないのでしょう。
  86. 仁杉巖

    仁杉参考人 これは確かに有償でという前提ではございますが、工事にどうしても必要なものでございますので、地方市町村に買い取っていただくという前提ではございますけれども、実際には協議が調いませんと無償で使用しているというのが現状だと思います。
  87. 沢田広

    ○沢田委員 これによれば、これは市町村に買い取ってもらう約束で買ったというふうになっておりますが、そういう話の上でこれをつくったものではないのですか。二メートルでもいいです。四メートルは自分で買ったと仮定しましても、二メートルは市町村との契約で買ったということになるのじゃないですか。
  88. 仁杉巖

    仁杉参考人 お説のとおりでございます。
  89. 沢田広

    ○沢田委員 そうなれば当然市町村では予算外の義務負担の議決をしなければ、要すればその市町村の首長の単なる個人の契約にはならない、当然議会として予算外の義務負担の議決が伴っていると思うのでありますが、その点は確認してありますか。
  90. 仁杉巖

    仁杉参考人 この契約に当たりましては、市町村と、将来有償で買うというようなかなり漠然とした契約が多うございまして、これは議決は経ていないと思います。
  91. 沢田広

    ○沢田委員 だから未収金に上がらないで仮勘定に入れてあるのかもわかりません。それは善意の意味ではそういうふうに評価、考え方はしますけれども、この書類によれば仮勘定に入っておるということで、契約がしてあって二メートル買ったものであるのか、契約がしてなくて二メートル買ったものであるのかということは、職務上のいわゆる権利権限から言うと問題があるんじゃないですか。将来買ってもらえるかもらえないかわからぬものを買うということ自身に問題があるんじゃないですか、いかがですか。
  92. 仁杉巖

    仁杉参考人 上越新幹線の場合を例にとりますと、関係市町村が三十四ございますが、六市町村工事用道路はございますが、併設道路はございません。あとの残りは一応有償で買っていただくという前提に立っておりますが、一つ、高崎市だけはこの点がはっきりしてない、あとははっきりしております。
  93. 沢田広

    ○沢田委員 いや、公団に不当な損害を与えた行為ということにならないかどうかということを聞いているわけです。  たとえばこれは買ってもらえるということで会計検査院の前では述べた。しかし実際には買ってもらえなかった。そして、しかも口約束である、その先はわかりません、そういう不安定な要素で投資をした金がもとに戻らなくなった場合に、それは不当に公団に損害を与えた行為ということになりませんか。商法ではこれは完全なる過失ですね。役員は首ですよ、会社では。そんな不明確な交渉で、明確な契約もないのに金を払うということ自体それは不当行為じゃないですか。会計法上も問題があるんじゃないですか、いかがですか。
  94. 仁杉巖

    仁杉参考人 これは買っていただくという前提に立っておりまして、その事務といたしまして、昨年の十一月に新幹線ができましたが、それで現在残務整理をしておりますが、そこで二メートル分の地積がどれだけであるかとか、道路のつけかえがどうであるというような事務整理をいまいたしておりまして、それと並行いたしまして各市町村といま有償で買っていただく交渉を続けているところでございます。したがいまして、私どもといたしましては買っていただくという方向で努力を重ねているということでございます。
  95. 沢田広

    ○沢田委員 そこで、国鉄の問題に入るのですが、この問題はまだ残っているのですが、たとえば交渉が不成立に終わって、もうすでに供用開始をしているわけでしょう、供用開始をしている部分もあるわけです。そうなれば市町村としては恐らく交渉の成立はきわめて困難だと私は推定します。そうした場合に、問題は国鉄に賃貸をする場合の総額の経費の中に、このかかった経費は、結果的にあなたの方は損はしない。これにかかった何百億の金は国鉄に貸すときには総経費の中に含まれて、国鉄の賃貸料の算出根拠になっていく、こういう仕組みでしょう。いかがですか。
  96. 片山充

    片山参考人 後の経費の処理でございますけれども、先ほど総裁が説明いたしましたような事情、その他がございまして、いずれにいたしましても上越新幹線を建設するのに必要な経費であったわけでございまして、われわれといたしましては国鉄との間の貸付料として回収したいというふうに思っておりますが、御案内のように貸付料は毎年度運輸大臣認可を得て決めるということになっております関係もございまして、関係の方々と十分御相談をして処理をしたいというふうに思っております。
  97. 沢田広

    ○沢田委員 これは日本鉄道建設公団法及び日本鉄道建設公団法施行令第八条等から見ると、「当該鉄道施設の建設に要した費用」、しかも、これから協議が十年たつか何年たつかわからぬが、その間の利息も全部加えて、そしてその元利均等の半年賦支払いの方法によって償還するという立場に立って、三十年を期間として国鉄に賃貸をする、こういう形をとるわけでしょう。いかがですか。その点だけまず確認しておきましょう。
  98. 片山充

    片山参考人 大体仰せのとおりでございまして、上越新幹線に関して申し上げますと四十年ということになっておりますが、四十年の元利均等半年賦償還というベースにいたしました金額と、それからもう一つ、借入金にかかわらない、出資金その他で建設した部分がございまして、その部分につきましては減価償却費に相当する金額、その合計額を貸付料としていただくということになっております。
  99. 沢田広

    ○沢田委員 じゃそれについてお答えください。国鉄はそのとおりに解釈して賃貸料を払う、こういうことですか。
  100. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 そのように理解しております。
  101. 沢田広

    ○沢田委員 そういうことになると、結果的には総経費はかかってしまったものですから仮勘定に入れている。未収金は五百六十億ぐらいありますが、仮勘定に入っているものの総合計で、これから国鉄に貸し出すときにはその用地買収費も含めていく、公団は全然損はしない、結果的には国鉄からは三十年の分割で取っていく、こういう仕組みでいまされているわけです。  会計検査院においでをいただいておりますが、会計検査院としては、こういうトンネルみたいなことで、公団は全然損しないから交渉は進まなくてもいいや、市町村がだだをこねればそのままくれてもいいや、あるいは新聞の報道によれば、十分の一の価格で払い下げてもいいや、こういう安易な姿勢で公団はいるわけでありますが、国鉄は血が出るような状況でいまびしびしやられているわけです。そしてこういう状態の賃貸料をまともに払うと片っ方は言っているんだ。これもまたばかな話だと思うのです。冗談じゃない、それは公団の責任じゃないか、国鉄が払う義務はないというのが国鉄の主張でしょう。それは自分の金じゃないからなんです。みんなから集めた適当な金だからそう安易に払えるのです。もしこれが民事の契約のような状態だったらだれが払うものですか。そんな、人は全然損はしない。自分の不手際は不手際として、そのしりぬぐいだけ国鉄がやる、こういうばかな話が通るということは、それは当局の管理能力がない、そういうことになるんじゃないかと思うのでありますが、その点はどういうふうにお考えになっておられますか。
  102. 椎野房雄

    ○椎野会計検査院説明員 お答えいたします。  会計検査院といたしましては、検査報告に掲記いたしましたとおり、取得価額のほかに建設利息も含めた投下資本について一〇〇%回収されるべきものと指摘しているところでございます。この点、鉄建公団におきましても、関係市町村に提示いたしました概算譲渡価額には、取得価額等のほかに利子も含めておりますので、これをもとに公団は関係市町村折衝を続けていると思うのでございます。  そういう点で、私ども会計検査院としては、投下資本は一〇〇%回収していただくという立場に立っておるのでございますので、今後ともこの問題の解決につきましては大きな関心を持って事態を見守っていきたい、こう思っております。
  103. 沢田広

    ○沢田委員 いまの話の中で、会計検査院は、四メートルは工事用の道路として買った、これもうそがあるかもしれませんが、とにかく買った。だからこれは公団が――しかし、新幹線建設の規則によればそういう必要性はないんですよね。この新幹線建設の規則によればどこにも書いてない。しかし、まあそれはそういうふうになっておる。それに加えて、市町村から二メートルの要請があったから六メートルにした。いいですか。会計検査院としては、二メートルの分についてだけ回収の義務があるという言い方をした、これが一つ。これはAです。それからBとしては四メートルプラス二メートルの分全額が回収すべきものと考えた。この考え方の差。それからもう一つは、この六メートルについての全額回収の義務とは、従来の慣例によれば一割か二割の価格でしか払い下げていない、こういう事実に対して、その全額と称するものは一割、二割を言うのか、いわゆる買収価格相当額を言うのか、この三点について検査院からお答えをいただきたい。
  104. 椎野房雄

    ○椎野会計検査院説明員 お答えいたします。  私どもが検査報告で指摘しております併設道路と申しますのは、工事用道路四メートルの外側の二メートルでございまして、側道としての工事用道路、これは工事を施行する上の仮設的な道路として認められております。これについては、一部、工事の仮設でございますので、工事経費的な性格が非常に強いということで、この点につきまして外しまして、市町村から特に要請があったもの、外側の二メートル、併設道路といっておりますが、これについて指摘したものでございます。
  105. 沢田広

    ○沢田委員 いや、全額の分。
  106. 椎野房雄

    ○椎野会計検査院説明員 その全額といいますのは、取得価額と、ただいま申し上げました利子、事務費等でございます。
  107. 沢田広

    ○沢田委員 公団はそれでいいですか。そういうことが会計検査院の見解です。
  108. 片山充

    片山参考人 側道問題は東海道新幹線以来の経緯がございまして、先ほどちょっと総裁からも申し上げましたけれども工事用通路は四メートルで取得をして、将来これは有償譲渡を前提にして、現在は無償使用の協定を結びまして無償使用をされておるというのが現状であろうかと思うわけであります。  そのほかに、併設道路と称します、公団の場合ですと二メートルの部分があるわけでございますが、この部分につきましても、四十六、七年から八、九年ごろにかけての問題でございますけれども、公団が用地買収をいたしますにつきまして、地元からの、まあ六メートルから八メートルぐらいな道路をぜひつくれという御要望が非常に強うございまして、その要望にこたえるために東海道新幹線あるいは山陽新幹線の前例、あるいは並行的にやっておりました東北新幹線の例も考慮いたしまして、四メートルの工事用通路と、御要望がある場合には二メートルの併設道路とを取得したわけでございます。ただしかし、非常に工事を急がれておりました関係もございまして、四メートルの工事用道路のほかに、二メートルの道路につきましても現実に工事期間中は工事用通路として使ったわけでございます。現在、先ほど総裁からも申し上げましたように、残務整理をやっておりまして、道水路のつけかえから工事用通路、併設道路の部分を確定をいたしまして、それから請求をするという交渉をやっておるわけでございます。  もちろんわれわれといたしましても、特に併設道路の部分につきましては、これにかけました経費は全額回収するという方向で鋭意努力をやっておりますし、これからもその方向で努力をいたしたいというふうに思っております。
  109. 沢田広

    ○沢田委員 私はそういうことは全然聞いていないのですよ。僕の言っていることを聞いてくださいよ。会計検査院はさっき言ったような解釈をしていますよ、解釈どおり実行すると理解してよろしいですかどうですか、こう聞いているのですから、その間の問題は別問題で、イエスかノーかで答えてください。そのとおりでやるのか、そうでないのか、どっちなんですか。
  110. 片山充

    片山参考人 イエス・ノーと言われましてもちょっと困る面もございますけれども、先ほど来申し上げておりましたように、われわれといたしましても、併設道路の部分につきましては、かけました経費を全額回収する方向で努力をいたしたいと思っております。
  111. 沢田広

    ○沢田委員 そうなると従来のやり方とは今度は変わってくるということになって、それ相当額の、いわゆる公団の損金に入って、国鉄の方の賃貸料の中に含めてしまうということにはならない、全額経費として回収するから、その分は国鉄への賃貸料からはマイナスされてゼロになる、こういうことに私は常識的にその分は解釈できると思うのですね。そのとおり解釈していいですね。その総経費の中には、回収するんですから、その間は公団の損金の中で計上されて、そして全額回収されれば当然それは、回収されないにしても国鉄の方の賃貸料には含まれない、こういう措置を講ずるようになる、こういうふうになりますが、いかがですか。
  112. 片山充

    片山参考人 先生から冒頭に御指摘いただきましたように、現在は建設仮勘定の中に入っておるわけでございますから、建設仮勘定の処理として、全額を回収いたしますれば鉄道施設としては本勘定の方へ計上すべきものはゼロでございますから、おっしゃるとおり将来の貸付料の中には含まれないということになろうかと思います。
  113. 沢田広

    ○沢田委員 じゃここで、実は三者三様の見解があったわけでありますが、少なくとも併設道路に関する処置の方針としては、これは運輸大臣もお聞き及びをいただきたいのでありますが、いままでの会計検査院の見解、公団の見解、それから国鉄見解、まあ結論的に言えば必要以上の負担が国鉄にかかることは、私はそれぞれの責任の分野で解決すべきである、こういう考えに立って述べたわけなんであります。ですから、これは大臣お答えはいただかなくても結構ですが、三者三様の答弁がここで一致したわけでありますから、結果的には国鉄への貸し付けの賃貸料の中には、回収すべき責任は公団にあるから、そこでツーペイになるという状態において、含まれない、こういうふうに一致した見解になった、こういうことで理解が一致したわけでありますから、これは大臣も一応記憶にとどめていただきたいと思いますし、鉄監の方の局長、一応大臣にかわってその点ちょっと、ただ首を縦に振ったんじゃ速記録に残らないから、大臣にかわってきちんと答えておいてください。
  114. 永光洋一

    永光政府委員 いま三者の話を聞きましたので、その方向でわれわれ運輸省対応したい、こういうように考えております。
  115. 沢田広

    ○沢田委員 ちょっと念のためでありますが、一月二十六日の報道に、「赤字線廃止交渉を促進 国鉄、払い下げ基準」となっておるわけでありますが、「道路転用、時価の1/10」、「廃線敷、不用車庫用地の払い下げは、道路敷として使用する場合は時価の十分の一までの価格とし、その他の目的で使用する場合は原則として時価とする」、「市町村営による代替バスの運行にも運営費を補助する」、それから、「代替輸送に対する補助は五年となっているが、安定的な経営を確保するため、五年経過後の助成措置も検討する――など。」そして大蔵省との折衝が続いている、こういうふうに書いてあるのでありますが、これで赤字線廃止のためにはなりふり構わず、損しても大安売りをやろうという、倒産会社みたいな安売りをやろうということで考えているんではないんだろうと思うのでありますが、これは運輸省の杉浦事務次官、こういう本部長が言っているように書いてありますが、ひとつ杉浦さんからこの点の、まさかこういう倒産会社の安売りをやるつもりではないだろうと思うのでありますが、その見解だけ承っておきたいと思います。
  116. 永光洋一

    永光政府委員 本部長は杉浦次官でございますが、緊急対策の推進本部を運輸省の中で設けておりまして、緊急項目につきましてそれぞれ具体的な詰めを中でもやっております。  ローカル線の廃線敷につきまして、この跡地を道路敷として利用したいということで地元地方公共団体が要望される場合は、時価の十分の一程度で払い下げに対応してもいいんではないかということをわれわれとして言っているわけであります。いまこれが投げ売り、切り売り、安売りのような感じを持たれたようでございますけれども、廃線敷を国鉄が所有しますと、その維持とか保存あるいはまた撤去の費用が非常にかかりますし、線路敷そのものが非常に曲がりくねったり、いろいろな地形の観点から見ても余り利用価値がないというところから、近傍の地価と同等という処分もなかなかむずかしい、あるいは特定地方交通線の円滑な転換あるいは地方公共団体の御要望等もあるわけでありまして、道路敷として限定して払い下げる場合は十分の一程度で払い下げよ、こうういうことでありますが、これは不当に安く払い下げるということではないわけでありまして、現実に国鉄の廃線敷を道路敷として使いたいという場合には、過去においてもほぼそういう形でその払い下げをした事例もありますし、それから、国鉄のいわゆるそういう財産処分の払い下げの内規と申しますか、そういうものでも道路敷として廃線敷を払い下げるような場合には、これは一割なり二割程度で差し支えないという取り決めもございまして、したがって今回について、特にローカル線対策を推進するために安く払い下げていこう、こういうことではないんで、そういう従来の方針を明らかにして、地方公共団体にはこの程度で道路敷なら売れますよと、こういうことを明らかにしたということでございます。
  117. 沢田広

    ○沢田委員 公団、大変長い間……。これで公団の方は終わりますから、どうも、結構です。人事院総裁ももうお帰りいただいたと思いますが、どうも御苦労さまです。  続いて、いまの十分の一の問題は若干時間の関係がありますから、これからもやっていきますが、これはいわゆる国有財産あるいは行政財産の処分の法律があるわけでありますから、その処分の法律に準拠して取り扱ってもらうというのが原則でありまして、その原則が守られればと思いますが、ちなみに、これはあなたはどういうふうに理解をしているかわかりませんが、ちょっとお伺いしておくのですが、道路における交通事故の死亡者数を四十年から五十七年まで調べてみました。道路による死亡者数の合計は二十一万八千七百五十八人なんです。それから軌道による死亡者は一万二千八百六十九人なんであります。これも四十年から五十七年までの総人数であります。実に、二十万人の死亡者がここにふえてくる。それで、ローカル線がもしなくなれば、廃線敷にしようとしまいと道路なりになっていくでありましょう。そうなれば、そのことによって、現状では、傾向としては四十年のときには十・七倍だった、それが五十七年には二十七・九倍に道路死亡者数がふえているわけであります。それを二千万円の損害金に仮定をしてもべらぼうな金額――二千万円を上限として考えてもし損害補償を払ったと仮定いたしましても、これは実に二十一倍になる。人命は地球より重しという言葉もありますが、こういう状況が想定されるのに、これは全線で起きた事故でありますけれども、さらにそれが激化をすることは間違いないのであります。  その辺に対して人命尊重の立場から、これもなりふり構わず採算の方が優先する、こういう考え方で、何人死のうが少しはしようがない、それは国民の犠牲のうちに入るんだというふうに解釈をされて地方ローカル線を見詰めていくつもりなんですか。それとも、こういう事実は認識してなかったということなんですか。あるいはこういうことによって死亡者がより激化するということに対する認識というものはなかったのですか。ひとつこれは大臣から、これは前の国鉄再建特別措置法でありますけれども、この法案を提案をされた立場から、人命尊重と国鉄再建特別措置法との比較においてどのような認識におられるのか、その点お答えをいただきたいと思います。
  118. 永光洋一

    永光政府委員 ちょっと前に御答弁さしていただきますが、事故防止の観点から地方ローカル線をどう考えたか、こういうお話でありますが、絶対件数として自動車の事故件数と鉄道の事故件数は確かに相当の隔たりがあると思いますが、比較の仕方でございまして、それぞれの交通機関の走行キロというような問題等とらえますと、一走行キロ当たりの事故件数というのはさほど変わりはないのではないかとわれわれは考えておりますし、われわれ地方ローカル線推進いたしましてバス転換した場合に、いま利用されていた方がバスに乗ると考えた場合に、バスの事故はどうだということはあると思いますが、われわれとしては、バスの事故を含めて、自動車の事故対策等につきましてはそれぞれその責任の官庁におきまして推進していくということを前提に、そういう安全問題について特段支障があるというふうに考えたわけではございません。
  119. 沢田広

    ○沢田委員 現在、四十年でも、四十五年の高度成長のピークのころからでも結構ですが、いまどのくらい交通警察官がいるとあなたは認識しておられますか。交通警察官は、モータリゼーションの必然的な発生物として、犯人逮捕とかその他は別ですよ、交通関係の警察官というものはどの程度いて、どの程度の費用がかかっているか、あなたの感覚でいいです、私が言うよりも。あなたどの程度の認識を持っているか、お答えください。
  120. 永光洋一

    永光政府委員 そうですね、何万人かではないかと思いますし、一人当たり三百万とか五百万といたしますと、相当の額に人件費はなると思います。
  121. 沢田広

    ○沢田委員 その程度の認識でこのローカル線と道路を、それはいま言ったなりふり構わず、倒産会社のバーゲンセールになるんですよ。要すれば、現在の社会情勢の中において何に一番ウエートを高く置くか、第二にウエートを置くものは何か、第三にウエートを置くものは何かという選択がそこにないからなんですよ。それは結果的にはどうあっても構わない、いま何とか国鉄のことだけ片づければいいや、後で被害が起きようとあるいはどんな災害が起きようと知っちゃいない、それがいま答弁にあらわれている内容なんですね。なぜそこの比較が行われないのか。もしそういう状態になった場合にどういう現象が起きるかということを検討してないんですか。もしそれを地方公共団体が受けると、バスなりほかの自動車も通るようになる。専用なら話は別かもわかりませんが、専用でなくてほかの自動車も通るようになるということになれば、道路があれば必然的にバイパスができたということになるわけですから、そういう比較をしないで、再建法案もそうですし、こっちの法律もそうなんでありますが、全然運輸省としてあなたは比較を、しかも道路はあなたの方の所管に入っているわけだ。事情聴取もしていない。大臣、これで地方ローカル線の廃止とか廃止しないとか、そういう議論をする資格があると思いますか。人命についても考えてない。環境についても考えてない。そしてそこに今度はどの程度の交通の経費がかかるか。これは自治体の負担になるかもしれませんけれども、いま十兆円ですよ。そのぐらいの費用がかかっていくということを考えた場合に、マイナスの千二百億や二千五百億の金額に目くじらを立てて、そして失うべき人命は二十倍にもなっていくということを考えた価値判断を政治家というものはしなければいけないのじゃないか。あなた方は自分の地位を守れればいいのだから人の命なんて関係ないというような答弁だったけれども大臣はまさかそうは答弁しないだろうと思うのです。やはり政治家の一人です。どれにウエートを置くか。国鉄再建、もちろん私も必要だと思っていますよ。国鉄再建しなければいけないと思っていますから、私はその立場においては再建するために私なりの知恵は言うつもりでありますが、そういうばかげた――ばかげたと言っちゃ悪いですが、こういう比較が全然なされてないで提案するというのは私はいささか疑問だと思うのですが、いかがでしょう。
  122. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 先生のいろいろな比較の中に物の発見をしようとする御努力、私は感心します。  私たちがいま国鉄再建法案、ほかに自動車事故等々の交通事故で一体人間が何人死ぬか、これをいかにして少なくするかということが各市町村、各県で交通対策作戦というふうなもので呼ばれているわけでして、若い諸君が交通事故で、自動車事故で亡くなることがないことを本当に願っておるわけです。その法案との関係で私は比較したことはない。これは残念ながらそこまで気がつきませんでした。
  123. 沢田広

    ○沢田委員 いまからでも遅くはないという名文句があります。どうかその人命尊重、二十一万人と一万二千人ですね。ですから、これだけの人命を失ってもなおかつ実行しなければならないかどうかということの判断、その点については最善の努力をしていただかなければならないと思いますので、強くこれは要請しておきます。  そこで、時間がなくなりかけてきますので本論に入りますが、臨調答申を尊重する、こうなっているのですが、臨調答申を尊重する中身は何ですか。
  124. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 臨調答申は、その基本的な考え方といたしまして、国鉄経営形態について分割、民営化という方向を提言いたしております。したがいまして、それを中心として臨調答申はその他それに関連する諸問題、国鉄経営の全般的な改革という問題について提言をいたしておりますので、そういう臨調答申の考え方というものを踏まえながら、最大限その方向に沿いながら検討を進めていくということでございます。
  125. 沢田広

    ○沢田委員 そうすると、臨調答申の趣旨を尊重するという意味と解釈していいのですか。
  126. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 言葉遣いとしまして趣旨を尊重するということではございませんで、この法律案では臨調答申を「尊重して」ということでございますので、「尊重して」という言葉の意味でございますけれども、これは特段の合理的事由があれば別でございますが、そうでない限りは臨調答申の考え方に最大限沿って対処をしていく、こういう意味でございます。
  127. 沢田広

    ○沢田委員 考え方、これは一字一句重要な意味を持っているのです。御承知でしょうが、法律というのはひとり歩きをしていくわけです。ここでいまあなたが幾ら弱い発言をして、たとえば臨調答申なんというのは別に何でもないです、ただ名目上臨調の土光さんの顔を立ててこれは書いたのです、こう言ったとしても、法律ができればこれは臨調の答申を尊重するという文字どおり、その解釈の基盤に立って監理委員会は動かなければならない義務を負っていくわけです。いま考え方なんというごまかしを言ってみても、法律はそうなっていかないのです。だから、あなたがもしそういうことだったら、これは法制局来てもらっているから、適切な言葉があるかどうかわからぬが、いわゆる臨調答申の趣旨を尊重してとか、大筋に理解を示してとか、そういうような言葉で表現しなければ、いまあなたの言った表現には該当しないのですね。いかがですか。
  128. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 法律上の言葉遣いは、趣旨に沿ってとか趣旨を尊重してとか、あるいはもっと強く書く場合には基づいてとか従ってとか、いろいろな使い方があるわけでございますが、この法律案では臨調答申を「尊重して」という言葉を使っているわけでございまして、先ほど申しましたように、これは特段の合理的な事由がない限りはその臨調答申の指し示す方向というもの、その考え方というものに沿って最大限対処をしていく、このような意味に私どもとしては理解をいたしております。
  129. 沢田広

    ○沢田委員 大臣もこの前の答弁で、必ずしも臨調答申のとおりという意味ではない、あるいは労使が協力して再建できれば必ずしも民営、分割をするものではないとまでは言わなかったけれども、するということにいかないことを期待するというようなことですね、趣旨は。これこそ趣旨ですね。そう大臣お答えになられましたが、それは御記憶ありますね、いかがですか。
  130. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 臨調答申を尊重してというその趣旨は、分割、民営ということがうたわれておりまして、それを中心に監理委員会が生まれた場合に、その原則をもって御討議を願う、そして国鉄再建できるように、しかし、どんな理由かは別といたしまして、どうしてもまたそれ以上の効果的なものがあった場合には、ときにまた考える余地もあり得るのじゃないか。問題は、ここまで国民的な世論になった分割、民営の臨調の答申というものをまず監理委員会で御審議願って、その結果、それ以上活性化なり、それ以上国鉄経営をしっかりやれるものがあるというふうな場合にはまた別な方法もあり得るのじゃないか。問題は、分割、民営を中心にそこで御議論を願うということでございます。
  131. 沢田広

    ○沢田委員 そうすると、さっきの考え方とか方向とか、いろいろ出ていますね。それともまた違ってくるのですが、ここで臨調の答申を尊重してとこう法律できちっと書いてありますから、そうしますとほかの項目も皆入ってくるのかどうかということになるわけなんですが、非常にこれは強い権力を持っている委員会ですね。ことによれば運輸大臣以上の権限を持っている委員会なんですから、いま大臣が答えた趣旨とは違った方向に歩むかもわからないのですね。その点はどういうふうにお考えになっていますか。
  132. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 この法律の仕組みといたしまして、第一条に基本的な方針というものが示してございます。すなわち、臨調の答申を尊重して国鉄再建推進しその体制整備を図る、これが基本的な方針でございまして、さらに、監理委員会はその第一条の基本方針に従って所掌事務を遂行する、こういうふうに明記してございます。したがいまして、監理委員会としては臨調答申を尊重してというその方針に従って検討を進めていく、こういうことでございます。  先ほど大臣から御答弁申し上げました点でございますが、臨調答申を尊重して最大限対処するということを先ほど私申し上げたわけでございますけれども、監理委員会としてはそういう位置づけでございますので、臨調答申の分割、民営化という考え方、この方向でまずは検討を進めていくということになるわけでございます。ただしかし、これについてはこれから検討することでございますので、検討した結果どうしてもそれによりがたいという場合もこれはあり得るわけでございまして、そういう場合には、それが特段の合理的な事由に当たるということであるならば別の選択をする余地もあり得る、こういうことになるわけでございます。
  133. 沢田広

    ○沢田委員 大臣は原則としてという言葉を使って、あなたはあり得るという言葉。あなたがやっているわけじゃないのだよ。監理委員会がやるのだよ。いまは法律の最初の文章の中身を討議するので、あり得るというのはだれが決めるのですか、もう一回ちょっと答えてください。あり得るというのは。
  134. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 だれが決めるということではなくて、この法律の組み立て方と申しますか、考え方、解釈といたしまして、臨調答申を尊重して監理委員会は検討するということは、これから検討することである以上は現段階で分割、民営、こういう経営形態というものを決めるわけにはまいりませんので、したがってこれから検討して、結論を出す過程においてどうしてもそれによりがたいという合理的な事由があり、かつそれが臨調答申が指し示しておりますいわゆる組織の活性化、効率化というふうなものに沿うものであれば、別の選択というものが出てくる可能性もあり得る。これは先ほど大臣がおっしゃった原則としてということと何ら変わらないわけでございます。
  135. 沢田広

    ○沢田委員 そうすると、年金の問題とかそれから整備五線の問題とか、これも臨調答申の中には入っている項目ですね。(発言する者あり)それで、まああちらの方でやじで、だから原則だと逃げを言っていますが、これもまた後で詰めていきたいのですが、だから、これは臨調の答申を尊重するという文字どおり法律用語でいくと、これは法制局の方へ聞いた方がいいと思うのですね。あなた方ど素人と言っては悪いけれども、素人に聞くよりも法制局の方が専門家なんだから、専門家の立場で、法制局でこの臨調の答申を尊重するということは、たとえば共済年金の問題をいま提案してきている。それから整備五線の問題には調査費として百二十億ですか、つけた。見送ると片方では書いてある。そういうこととの関連性で答申を尊重するという解釈はどのように理解をされておりますか。(発言する者あり)その辺うるさいよ。お答えをいただきたいと思います。
  136. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 臨調答申尊重ということでございますので、先ほど申しましたように、これは経営形態だけではなくて、臨調答申には長期債務の問題でありますとかあるいは年金の問題であるとかいろいろ述べております。今回の法律におきましてもその趣旨を踏まえまして、その方向でこの法律を立案したわけでございまして、したがいまして、第二条の「国の施策」というところにも、国が講ずべき施策といたしまして……(沢田委員「あなたに聞いているんじゃない、法制局へいま聞いているんだよ。」と呼ぶ)経営形態の問題と、それと並んで重要な柱として長期債務等の問題を規定してあるわけでございます。
  137. 工藤敦夫

    ○工藤政府委員 お答え申し上げます。  ただいま答弁ございましたように、私の方といたしましても、この行政調査会の答申を尊重してということで一条が書かれておりますし、これに基づきまして五条におきましても、委員会はこの基本方針に従ってこれを行うものとするということになっております。そういう意味での方向づけは一応あろうと思います。ただ、当然のことながら、この委員会が検討してまいります過程におきまして、種々の議論あるいは種々の判断が出ることはあろうかと思います。そういうことまでも禁じているものでは決してないだろう、かように思っております。
  138. 沢田広

    ○沢田委員 そこで、だからさっき言ったように、そのことを前提とすれば、まあ年金の問題は出してもらう時期だと、私はその意味において個人的にはそう判断いたしていますがね。しかし臨調答申を考えていくということになれば、それも監理委員会を待って出す、あるいは整備五線についても予算をつけることを閣議決定するということは、若干及び腰というそしりを受けるのではないのか。法律との比較ですよ、考え方の比較じゃありませんよ。法律で、一方では政府はこう提案をしてくる。これから臨調の答申を尊重して監理委員会でやってください、こう頼みながら、一方ではつかみ取りに幾らか食ってしまいますという形は、政府の姿勢として果たしていいのかどうか、その点疑問なしとしないのですね。もし全部任せるのだったらば、それはやはり手をつけずに任せるのが筋じゃないかと思うのですね。それはいかがですか。
  139. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 その点についてお答え申し上げますが、共済年金の問題につきましては、臨調答申では四共済の統合ということで提言しているわけでございます。これについて政府部内としてどう対処するかということでございますけれども、四つの共済、すなわち国家公務員とかあるいは電電公社、こういうものを含めた共済の問題については、これは別の場で検討をする、それで案をつくって国会に法案を出す、それに対して……
  140. 沢田広

    ○沢田委員 はい、わかりました。  時間がないからどんどん進めますが、それはあなたの勝手な解釈なんです。年金の問題は別にやるとはどこにも書いてないじゃないですか。政府では監理委員会に任せますと言っているけれども、臨調答申を尊重すれば、この全文が入ってくるでしょう。別にやるというのはあなたの解釈でしょう。だから、尊重するという言葉の中身は何ですかというのが一番最初の私の質問の要点なんですよ。つまみ食いは許されないと思うのですよ。整備五線だって、閣議がこれが必要だと思うから決めたのでしょう。閣議がやはりこれは国民生活に必要であると思ったから、臨調答申に相反するけれども決めたのでしょう。われわれは問題があると思っていますが、一応そうしたのでしょう。年金も同じように、これが先行しなければならない状況にある、猶予しがたい状況にあると判断したから提案をしたのでしょう。あなたが決めることでないでしょう、それは。だから、この法律でいう臨調の答申を尊重するという中身は何ですかと私は質問しているわけですよ、何を監理委員会がやるのかと。その使命の内容は全部なのか、部分的にはじき出された部分は除いてなのか、それも含めるのか、そういう点がはっきりしてないということで、大分時間をこれで食ってしまったのですが、もし何なら後で結構ですよ、どの条文の何項と、どこからどこまでをこの臨調の答申の中に該当させたんだか、だけれどもこれが決まらぬければ、そこがあいまいじゃ委員会審議できないのですね。この監理委員会がどこと何を審議するのかということが不明確じゃ、これは委員会を進められないですよ。いま言ったように、年金の部分は別に決めたのです。整備五線の方は別に決めたのです。じゃ、それ以外何かあるのですか、言ってみてください。
  141. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 この法律におきまして、監理委員会が検討して企画、審議、決定する事項というのが第五条に書いてあるわけでございますけれども、第五条で、その第一号に「効率的な経営形態の確立」、これに関連する諸問題、それから第二号の方におきまして長期債務等の問題、これは「長期の資金に係る債務の償還等に関する事項その他前号に掲げる事項の実施の円滑化のために必要な重要事項に関すること。」ということで書いてございまして、ここに書いてあることでいろいろの問題がすべてこれ含まれておる。その中にはいわゆる整備五線の問題あるいは青函トンネルあるいは本四架橋の問題、長期債務の問題、それから年金の、統合は別でございますけれども、年金にかかわる経営上の負担の問題、そういうふうな臨調答申が指摘しておる問題はすべて含まれておる、こういうことでございます。
  142. 沢田広

    ○沢田委員 そうすると全文が含まれて、先食いをした分はどういう解釈をしているわけですか。先に、この臨調の監理委員会が決定する以前に決めた問題というものはどういうふうに位置づけておるのですか。
  143. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 年金の問題につきましては、政府として答申をどう実現していくかという調整の段階におきまして、これは国鉄だけの問題ではない、国家公務員あるいは電電公社、こういう別の経営主体なりその他にかかわる問題でございますので、これは監理委員会の場で統合問題についての検討をしていくというのは必ずしも適当ではないのじゃなかろうか、したがって、政府としてのこれの実施のやり方として、別の場においてこれを遂行していくということの方がより適当であろう、こういうことで仕分けをしたわけでございます。
  144. 沢田広

    ○沢田委員 ちょっと時間がないので残念なんですが、しかし、どこの部分とどこの部分がかかるのかというのが明確にされないと、これは後でやはり問題が起きると思いますから、これはひとつ後の同僚議員に譲って後を詰めてもらうようにしながら、次に進めていきたいと思います。  次に、国鉄再建特別措置法との関係ですが、国鉄再建の特別措置法は措置法なりに進めるということになっておりますが、そのとおり解釈してよろしゅうございますか。
  145. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 今回御提案申し上げております法律は、これからの国鉄再建の方策について検討していく仕組みを定める法律でございます。したがって、一定期間後にこれが結論を出されるものである。したがって、それまでの間は現行の国鉄という公社制度、現行の経営形態はそのまま存続するわけでございますので、それを前提としてつくられております特別措置法は、それまでの間はこれを生かしていく、その特別措置法の枠組みのもとで経営改善を進めていく、こういう関係になるわけでございます。
  146. 沢田広

    ○沢田委員 その間という言葉を使われましたが、これはいわゆる任期がありますから、任期いっぱいまで再建委員会はありますね。法律は期限がないのでありますからずっと続くわけです。あなたは、国鉄再建特別措置法というのは、監理委員会が始動し始めたときにおいて法律は死滅をする、死滅をするという言葉は悪いけれども、そのまま動かなくなる、それは監理委員会に委譲されるものである、こういう解釈ですか。
  147. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 そうではございませんで、この法律によりまして監理委員会が発足をいたしまして、監理委員会経営形態等についての全般的な結論がある一定期間後に出される。その意見を受けまして、政府が立法措置その他必要な措置を講じてこれを実施に移していく、こういうことでございまして、それが完了して初めて国鉄再建体制が整備されるわけでございます。したがって、そういう国鉄再建体制が整備されるまでの間は現行の経営形態というものは変更されませんので、いわゆるこの法律の十五条に書いてございます昭和六十二年という時点までは少なくとも現行の特別措置法はそのまま機能をしていく、こういうことでございます。
  148. 沢田広

    ○沢田委員 附則の第一条の二に「運輸大臣は、第四条第五項の変更の承認又は第七条の経営改善計画の変更の指示をしようとするときは、日本国有鉄道再建監理委員会意見を聴かなければならない。」とあるわけです。この趣旨というものは、国鉄再建特別措置法に基づく法律が動いていっていますよ、しかし動いていっている間に、特に経営改善計画関係する部分については再建委員会意見を聞く。いまの答弁と違うのですよ。主客が転倒するわけです。再建特別措置法は動いていきますよ、しかも監理委員会も後から出発します、だから特別措置法で動いていく中で、もしこの第四条第五項の承認、いろいろ経営改善計画の変更、三十五万ですか、この体制をもし変更するような場合があれば、それを再建委員会にかけなければいけませんよ、後から来る列車にそれを乗せて意見を聞いてください。これは意見を聞くのですね。再建委員会は御承知のとおり内閣総理大臣はちゃんと尊重するという条項があるくらいです。その権限を持っているのだが、国鉄再建特別措置法の関係においてはきわめてこれは弱い立場と言っては悪いですけれども、弱い立場にあって、意見を聞くという程度にとどまっているのですね。その点のずれはどう解釈されているのか、お答えいただきたい。
  149. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 附則の条項でございますけれども、これは先ほど申しましたように、現行の特別措置法というものは生きていくわけでございますので、その特別措置法の中の経営改善計画というもの、これについても変更手続が法律に規定してございますが、その変更手続に従って国鉄が作成し、運輸大臣承認するに当たって再建監理委員会の方に意見を聞いてください。これはどういう趣旨かと申しますと、再建監理委員会は本来の所掌といたしましては効率的な経営形態の確立あるいはこれに関連する長期債務等の諸問題の解決、これが主たる任務でございますけれども、そういう主たる任務を円滑に遂行するためには、経営改善というものがどのように行われていくかということについて無関心ではあり得ない。したがって、再建監理委員会といたしましても、そういう緊急措置についての基本的な実施方針というものについては、これはみずから意見を述べることができることにしてございますので、それとの関連において具体的な特別措置法に基づく経営改善計画についての措置、行政処分というものに当たりましても監理委員会意見を反映させたい、こういうことで附則の条項が置いてあるわけでございます。
  150. 沢田広

    ○沢田委員 これが四カ月以内に施行されますね。それで国会がどういうふうなことになるかわかりませんが、七、八月ごろ、常識的に言えば九月ですか、委員の任命が行われるという筋書きに、もし通ればの話ですが、そういうことになると思う。それから四カ月以内というと十二月か一月ぐらい、これから予定を立てていけば結果的にはまあ十月ごろになるのでしょうね。そして片一方、再建特別措置法はどんどん進んで先へ行っているわけですから、その後でこういう形になって、しかも意見を聞くということになって、監理委員会の方はそのウエートは高い、こういうことになると、再建特別措置法で進めていった意図もひっくり返される、こういう危険性はないですか。
  151. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 監理委員会の発足時期でございますが、これについて私ども考え方としましては、この法律を通過さしていただきましたら可及的速やかに監理委員会は設立をしたいということでございます。これはこの法律にも規定がございますけれども、国会同意人事でございますから国会の同意が必要でございますが、国会が閉会中の場合は、これを任命いたしまして後、その次の国会で追認を受けるということが可能な規定がございますので、そのようなことで、もし今国会で人事案件が無理な場合におきましても、できるだけ早く監理委員会を発足させたい、このように考えております。
  152. 沢田広

    ○沢田委員 それはますます危なかしくてかなわないですね。ちょうどいまの時期からいくと、選挙になるかならぬか別として、いずれにしても国会が終わった後あたりに勝手に政府が決めていくという気配が濃厚だ、こういうことになるわけであって、これは委員長もよほどしっかりして無視されないように、運輸委員会の名委員長なんですから、権威ある運営を切に要望してやまない次第です。  国鉄再建特別措置法の関係では、長期債務について無利子の貸し付けあるいは利子補給というようなことがちゃんと規定されております。長期債務の問題は再建委員会でやるのだということでいままで答弁には当たってこられました。しかし再建特別措置法の方でもその長期債務についての処理の権限がある程度与えられている。この点はどういうふうに調整されていくつもりですか。
  153. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 現行の再建特別措置法におきましては、五兆を若干超える金額についてこれを棚上げするという具体的な措置が規定してあるわけでございますが、その後また長期債務が累増しております。それで、今回は国鉄経営について抜本的な改革を監理委員会の検討を経て行おうというわけでございますので、その際に既存のものも含めて、全体についてどうするかということを監理委員会で具体的に細かく検討し、政府としてそれを決定していくということになろうかと思います。
  154. 沢田広

    ○沢田委員 国鉄長期債務の問題で若干お伺いしますが、これは大蔵にもお伺いをしたいのですが、いま九・四%ぐらいで借りている、これは鉄道債券だと思うのですが、現状でどの程度の金額があるのでありますか。これは何年ごろの借金ですか。
  155. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 一番高いのは九・二%かと思いますけれども、九・二%のものが二千五百七十億程度ございます。それから九・一%が五百七十億、九%が二千二百二十五億、大体こんな程度のものがございます。
  156. 沢田広

    ○沢田委員 こういう高い金利をだらだらと持っているということは、経営上どういう認識で持っておられるのですか。九・四なんという高利貸しみたいな金を。
  157. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 国鉄の借入金につきましては、そのときどきの市中の金利の状況によって変わってくるわけでございまして、大変に幅があるものでございます。これは、その時期におきましては、これだけの金利を払いませんと借りることができないということで、やむを得ず私どもが借りておるものでございます。
  158. 沢田広

    ○沢田委員 これは私の方で暗記で物を言ったのですから、訂正しておきます。九・二が二千七百七十六億ですね。九・一が六百二十三億です。これの管理をやっているのは、大蔵省と杉浦さんのところだな。こういう九・二というようなものは借りかえをするなり何かの措置をして、いまで言えば、また公定歩合が下がるという話もあるくらいなんですが、これでせめて八%か七・五、財投程度の七・三ぐらいに調整をすることはできなかったのかどうか。これは運輸大臣――まあいいですわ、ぐあいが悪いのだから勘弁して、ひとつ局長と大蔵の方で答えてください。
  159. 永光洋一

    永光政府委員 一応債券、そういう条件で、そのときの金融市場で借りておりますものですから、しかも、資金運用部資金等と違いまして、他と肩がわりするとかというとなかなかむずかしい問題がございまして、現実においてそういう高い金利を払っておるのでございます。
  160. 沢田広

    ○沢田委員 大蔵省、来ていますか。答えてください。
  161. 岡本吉司

    ○岡本説明員 国鉄の方でお借りになっているのは、いま御答弁がございましたように、そのときどきの金利というものがございまして、やはり貸す方もそのときのかなり高い調達をしているわけでございますので、そういうことを考えますと、現在、全体的に金利が下がったからといって、それを先生のおっしゃるような率に下げる、書きかえるというようなことは困難ではなかろうかというように考えております。
  162. 沢田広

    ○沢田委員 これは誤解があるといけない。私はその人に損害を与えろと言っているのじゃないのです。大蔵省の方で金を別に都合して、二千七百七十六億を早期償還をして、そして七・三程度の金に、商売をやっている者だったら当然そうしますよ。九・二なんて、一般の、あなた方の家をつくったって、こんな金利では金利を払うのに火を吹くでしょう。それだったら、ほかに借りられるところがあれば借りて、早く九・二を返して、そして幾らかでも肩の荷を軽くするというのが商売の常道でしょう。そうじゃないですか。それは、借りたときの条件はそのとおりだけれども、早期に現金で返してやることはちっとも悪いことじゃないでしょう。そのことができない、融通がきかないというところに問題があると思うのですが、それはいかがですか。
  163. 岡本吉司

    ○岡本説明員 いま先生のような方法でやりますと、やはりその分だけ国鉄の借入金がふえることになると思います。われわれといたしましては、いま一番大事なのは、やはり国鉄の借入金をいかにして総額として少なくするかということでございます。したがいまして、そのような借りかえの余裕があるならば、新規に借りずに借入金総額を少なくしていただきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  164. 沢田広

    ○沢田委員 そんなことを言っているようでは大蔵省にいる資格ないよ。とにかく九・二で、二千七百七十六億の九%とすれば二百七十億ぐらいの金利を払っていかなくちゃならないわけですよ。いま六千億以上の金利をどうやって下げていくかということがやはり財政再建の一歩だろうと思うから、そのために何か知恵を出さなければいかぬでしょう、そのためには九・二なんかをいつまでも借りてないで、ほかの六・三なり七・三なりの金利で借りて九・二を軽くする、そのことによって金利の差額だけは財政再建に寄与されるじゃないかという意味でこちらは言っているわけで、借金がふえるわけでも何でもないでしょう。借金がふえるわけでも何でもなくて、金利の負担が軽くなるということになるのじゃないですか。だから、そういう意味においての配慮は鉄監としてはやっているのかいないのかということを聞きたいわけです。全然いじらないでいこうというのか。これは何も鉄道債券だけじゃありませんよ。長期の借入金についても同じですよ。やはりそういう金利の高いものを安いものにかえていくという努力をなぜしなかったのかということを聞いているわけです。お答えください。
  165. 永光洋一

    永光政府委員 たとえば、この前棚上げをいたしました累積赤字相当額の債務の棚上げという場合の債務の中では、やはりそういうような形の努力をいたしましたし、できる範囲でそういう形では従来やってきた、こういうふうに考えておりますが、いま申しますように、そういう債券は、金融市場で高い金利で借りたものを借りかえることが非常にむずかしいものですから、現実にはなかなか問題があるところだと思います。
  166. 沢田広

    ○沢田委員 続いて、国鉄理事会の記録を二年間いただいて見ましたが、この中には、業務に関する重要な規則は理事会で決める、それ以外は皆総裁に一任されている、こういうことになっていますね、総裁。その点はまず確認をしておきたいと思うのですが、総裁、そのとおりですか。
  167. 高木文雄

    高木説明員 そのとおりでございます。
  168. 沢田広

    ○沢田委員 そうすると、業務に関する重要な規則の内容についてはどういう解釈、いまあなたの考えておられる頭の中のイメージは何なんですか。
  169. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 業務に関する重要な規則という中には、一つは、国鉄側の公示といたしまして、官報に掲載する旅客営業規則あるいは貨物営業規則、こういうようなものと、部内規定の基本的なもの、こういうものが国鉄の規則類の主なものとしてはあるわけでございますが、理事会では、これらの中で、一般的には、約款のようにやはり公示を必要とするようなもの、したがって、国鉄運賃あるいは料金その他の営業に関する諸条件、これが理事会のものでございます。
  170. 沢田広

    ○沢田委員 あなたに答える資格はないのだよ、この規則でいくと。理事は単なる理事であって、私は総裁の権限に属する事項について聞いているわけなんで、あなたが総裁になったらそう答えてくださいよ。そうでない限りは、総裁にゆだねられている権限に属する事項について私はいま総裁に聞いているのだから。あなたにはその資格はないのだから。  それで、質問を続けますけれども、労使関係についてはだれが最高の責任者なんですか。
  171. 高木文雄

    高木説明員 私でございます。
  172. 沢田広

    ○沢田委員 今日、労使関係が不正常であったり、団体交渉ができないという苦情が来たりあるいはそういう話を聞いたりしていることは、総裁として、この労使の関係が少なくとも正常な状態、それぞれの主張の差はもちろんあっても結構ですよ。正常な関係を維持する努力というのは、総裁としてはなされているのですか。
  173. 高木文雄

    高木説明員 いたしております。
  174. 沢田広

    ○沢田委員 言葉では言えるけれども、実行が伴っているかどうかということ。  私は具体的に提案しますが、いま言ったこの規則に基づけば、理事の連中を集めて審議する事項は、こんな、どこそこへ金を貸してやるとか投資をするとかということだけなんですね、この理事会の議事録を見れば。一番長いのを見ると、東北新幹線東京―盛岡間の工事実施計画の変更について、苫小牧ステーションビル株式会社に対する投資、郡山ステーションビル株式会社に対する投資、土浦ステーション開発株式会社に対する投資、静岡ターミナルホテル株式会社に対する投資、株式会社別府ステーションセンターに対する投資、博多ターミナルビル株式会社に対する重要な財産の貸し付け、五十六年一月分の営業成績、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法に基づく特定地方交通線選定について、これは五十六年三月二日、ちょっと一番最初のページを開いたのですが、こういうことで、労使関係の問題を一回も理事会で諮ったことがないのですね。まさに総裁の独断専行ということに形式的にはなるわけですね。そういうふうに位置づけてよろしいですか。
  175. 高木文雄

    高木説明員 そうした問題については、別途、随時役員会を開いて協議をいたしております。それは理事会というような組織で決めるべき事項というよりは、労使問題といったようなことは最終責任は私がとるということでございまして、その前提として役員の事実上の相談はいろいろいたしておりますけれども理事会決定というような形式ではなくて、私自身の責任ということで処理をいたしております。
  176. 沢田広

    ○沢田委員 会社の経営でも労使問題というものは、いままでの国鉄も同じですが、少なくとも平均で最小限度三割ぐらいのウエートを持っている要素だと思うのですよ。強いところでは六割ぐらいが労使問題に配慮しなければならぬという企業も多いわけですね。それが、総裁が一人で独断専行でやっていくというシステムということは、少なくとも理事会に諮ってこれでいいのか、あるいは役員会に諮れば――役員会というのはこれに監査委員が入ってくるだけでしょう、そうでしょう。ともかくその点は……。
  177. 高木文雄

    高木説明員 役員会には監査委員は入っておられません。
  178. 沢田広

    ○沢田委員 法律では監査委員を役員の中に含めると書いてありますね。それなのにうその役員会を開いているということですね。役員会というのは、日本国有鉄道法によれば、役員とは理事及び監査委員をもって役員と称すと書いてありますよ。いかがですか。
  179. 高木文雄

    高木説明員 いま私が申しております役員会というのは、事実上社内で役員会と呼んでおりますが、そこでは監査委員関係しておりません。
  180. 沢田広

    ○沢田委員 だから、これは法律上の役員会と私は言ったので、それは内部の申し合わせ会、打ち合わせ会、こういうことなんですね、法律的にはそうなるわけですから。そこで議論しているとすれば、正常な労使の慣行を速やかに回復すべきである。これの指示権は運輸大臣にあるわけですか。運輸大臣がいまの状態がよくないと思われたならば、公共企業体等労働関係法に関する件というのは、永光さん、あなたのところにも権限があるわけだから、当然あなたの方で、状態がよくなければ、これは社会に対しても、あるいはあなたの職権においても正常化するように努力、指導監督をするという義務を持っていますね。どういう指導監督をしましたか。
  181. 永光洋一

    永光政府委員 五十四条で二項の規定がございまして、運輸省としまして監督権限が一般的にございます。具体的にどういうことをやったかというとはなかなかあれなんでございますが、たとえば今回の緊急対策実施事項というようなものにつきましては、具体的にそれぞれその実施すべき改善事項につきまして指示あるいは監督をいたしております。
  182. 沢田広

    ○沢田委員 言葉で言っているのじゃなくて、だから、いまは正常と思っているのですか、いまの状態は不正常と思っていますか。こういう表現がいいかどうか、ぎくしゃくしていると思っていますか、それとも滑らかにいっていると思っていますか。
  183. 永光洋一

    永光政府委員 国鉄再建問題についての基盤として、労使関係の正常化というのはやはり大前提だと思いますし、現在におきましてなお一部において、表現的にはぎすぎすしているというか、若干円滑にいってないという点は実はあると思います。
  184. 沢田広

    ○沢田委員 この問題に関する時間の関係もありますから、総裁に、国会にばかり来ておるから忙しくているだろうと思いますが、今後精力的に労使の交渉というもの、話し合いといいますか、あえてよく会うことだと思うのですね。これは会わぬとか何とかでやっていたんじゃすれ違いばかり起こってくるわけですから、まず会うということの原則を、中身はどうあろうと、懇談するのでもいいのですが、とにかく会うということを前提として、相手側の意見を十分聞く耳を持つという姿勢は管理者としては必要だと思うのです。それがどういうことであれ、相手側の意見をよく聞いていく、その姿勢だけは管理者として必要欠くべからざる要件だと私は思います。その形がどういう形であるにせよ、その意見を聞くということを特に申し上げておきたいと思うのです。ぜひそれを実行していただきたいと思いますが、あるいは総裁でなくとも、命ずる理事であっても結構ですが、とにかく実行を心から願いますが、いかがですか。
  185. 高木文雄

    高木説明員 私は、ぜひいま先生のおっしゃるように、意見が違いましても、また、意見の一致し得る事項でありましても、双方が何度も会っていろいろ話をして、物事を詰めてまいりたいというのが基本的な今日までの考え方でございます。  ただ、私の経験によりますと、会いまして意見の交換をしたことと違うことが、あたかも私の言として報道される事実が何回か繰り返されてまいりましたので、現在のところはむしろその辺を相当慎重にいたさざるを得ない状況にございます。
  186. 沢田広

    ○沢田委員 慎重にということで避けたのではいかぬのでね。相手が誤解しようがしまいが、それは誤解があったら誤解を解くように努力することが経営者なんですから。要すれば、職員に安全にして健康で働いてもらうということがまず経営者の最大の任務でしょう。病気をしないこと、けがをしないこと、そういうことで、健康でしかもよく働いてもらうというためには、そういう総裁の意気込みが必要なんですよ。そういう思いやりを持たないで労使の関係がよくなるはずはないですよ。ですから、少しぐらいの誤解があったからといって、みみっちく会わないとかそんなことではなくて、誤解があったら誤解があったでなおさら会って、そして誤解を解いていくという努力をすることが経営者の任務だと私は思う。いまのところは避けて通っておるようなことだからよけい問題が起きてしまう。これは総裁自身に言っておることじゃなくて、総裁の部下全員に対する私の一つの苦言なんです。そういうことで、まず総裁に実行してもらうこと。  特に念のために言っておきますが、大分ありますが、総裁が八時半に出勤すれば皆八時半に出勤しますよ、理事も。九時ごろ行ったってだれもいないじゃないですか。上がそんなことをやって、やみ休だなんだかんだ言ったってこれはだめですよ。もし必要だったら、総裁が、幾ら夜遅くともとにかく八時半に出ていくようにすれば、必ず職員は八時半に出るようになりますよ。それは、民間企業ではそういう努力がなされておるところに、今日問題が問われておるゆえんがあると私は思うのです。ですから、そういう意味において、労使の慣行というものはあなた方の努力次第で何とかなるのだというふうに思いますので、この点はぜひ御配慮をいただいて、労使の慣行をよく話し合って中身を詰めてもらいたい、このように思いますが、いかがですか。
  187. 高木文雄

    高木説明員 そのように実現できるようぜひお願いいたしたいと思うわけでございまして「皆様も私どもに御教示をたれますと御同様に、うちの職員にも御訓示を賜りたいとお願いをいたします。
  188. 沢田広

    ○沢田委員 あとちょっと、申しわけないのですが、整備五線の問題で、これは法律では収支の見通しと、それから需要その他の点を考えて決めなければならない、そのための調査費にしてはでか過ぎると思うのでありますが、整備五線の収支の見通しというものの計画はあるのですか、ないのですか。いま何に金は使っておるのですか。
  189. 永光洋一

    永光政府委員 整備五線につきましては、現在の調査費は、主としてルートあるいは駅等予定地につきましての環境アセスメントの調査に使っておる、こういうことでございます。
  190. 沢田広

    ○沢田委員 収支前提になるんじゃないですか。そこもどうも官僚主義だと思うのですね。まず、その線を使ってもうかるかもうからないか、それが前提になって金を投資するものじゃないですか。発想が逆じゃないですか。
  191. 永光洋一

    永光政府委員 整備五線につきましては、基本計画は決まっておりまして、そして整備計画が定められておりますので、国の目的としましては整備をするということが一応決まっておるわけでございます。したがって、そのルートにつきましていろいろハードな調査をやっておるということでございますが、実際上これを建設するに当たりましては、当然財源の問題あるいは採算の問題、需要の問題等を精査してそして建設に着手する、こういうことになると思います。
  192. 沢田広

    ○沢田委員 どこの商売でも、もうかるかもうからないか考えずに投資をするばかはいないのですよ。ただやれと言われたからやるんだというのが、だからお役人主義だと言われるゆえんなんですよ。それをやったならばどれだけ損が出るか、どれだけ得が出るか、そのことを審査しないで、ただやれと言ったからといって、そんなことだったら中学生だってできるんだよ。そうじゃなくて、投資する金額と見合って、どの程度で償還ができ、そしてどの程度の乗客があってどうなんだろうということの見通しが立たないで投資するという人がいますか。これは大臣に答えてもらいましょう。こんな答弁じゃ話にならないですよ。
  193. 原田憲

    原田委員長 永光君、簡単に、明快に。
  194. 永光洋一

    永光政府委員 投資はまだしておりませんで、事前の段階のそういう環境調査をしておる、こういうことでございます。
  195. 沢田広

    ○沢田委員 事前の段階の百二十億を投資でないなんという認識、これだって税金から出ているのですよ。あなたのふところから出してやっているものなら私も文句は言いませんよ。しかし、国から出ている金だから、これだって投資の一部ですよ。それを投資じゃないなんて認識不足じゃないですか。それじゃ、その百二十億というのは何だと思っているのですか。投資でないんだったら何ですか。交際費ですか、飲み食いですか。言ってみなさい。
  196. 永光洋一

    永光政府委員 どうも失礼しました。ちょっと言葉が足りませんでしたが、建設に投資をしているのではなくて、事前のそういう調査のために投資をしておるということでございます。実際上、地質の調査とかあるいは環境に関連する調査等を現在やって、そしてそういうフィージビリティーで可能であるということであれば、採算なりあるいは需要なりをはじいて建設をするしないを決める、こういうことになると思います。
  197. 沢田広

    ○沢田委員 逆だと私は思いますけれども、これも言っておきますが、やはり金を使う以上、国民に還元するものですから、やはり血税ですから、そのことに成算がなければ見合わせるということもあり得るのですから、それはやはり当然収支前提にならなければならぬ、こういうふうに思います。  最後に、委員長も気を使っているようですから、その意味であと二つだけ続けますが、イギリスなりドイツなりフランスなりが、なぜ国鉄がこれだけ赤字であっても補助をしていっているかということに対する認識なんです。これは時間の関係で細かい数字は資料を差し上げてもいいですけれども、補助金が、これは日本円に直してありますが、イギリスでも二千百六億、ドイツが八千七百五億、それからフランスが三千八百六十九億、こういうふうな形で、三四%程度になる負担もしてやっております。イギリスは島ですから日本と似ておるのですけれども、フランスとかドイツなんというのはつながっておりますけれども、なぜこういうEC諸国が、国鉄にこれだけ赤字があろうとなかろうと営々として持続をしていく努力を払っているか、その意味というものをどういうふうに解釈されておりますか。これは大臣の見識をお伺いしたいと思いますね。
  198. 高木文雄

    高木説明員 やはり国々によりましていろいろ鉄道輸送の持つ意味というのは大変違っておると思うわけでございます。フランスなりドイツの場合には、内陸輸送というのが非常にウエートが高いわけでございまして、日本のようにバルキーカーゴーは海運で運ぶという方法がございませんものですから、今後とも相当程度鉄道を使わなければならない。特に石炭輸送に貨物を使わなければならぬという条件があるわけでございまして、旅客輸送については断然日本がウエートが高いわけでございますが、ヨーロッパの国々は貨物輸送について日本と比較にならない条件になっておるわけでございます。わが国におきましても、石炭とか石油とかセメントとかというボリュームの大きい貨物は、内陸であればやはり自動車よりも鉄道を使っていただけると思いますけれども、最近は工業立地が臨海に集まってまいりましたから、ウエートが変わってきたということでございまして、ちょっと一概に比較はできないということではないかと存じております。
  199. 沢田広

    ○沢田委員 見解は大分違いますけれども、なぜイギリスなりドイツ、フランスが相当な赤字であっても国鉄を維持するために努力をしているか、これは御検討を願いたい。しかも、フランスにしてもドイツにしても大赤字の国ですが、それでもなおかつその努力をやっているゆえんというものの根拠についてはひとつさらに御検討をいただきたいと思います。  最後になりますが、鉄道営業法との関係とあわせてエネルギーの問題、三つになりますからあわせちゃいます、将来の国鉄というものをどう位置づけるかということでお伺いをいたしておきます。  いわゆる鉄道営業法というものに対する認識は、ひとつ総裁、どういうふうに認識されておりますか。営業法をごらんになったことがありますか。
  200. 高木文雄

    高木説明員 余り勉強しておりません。
  201. 原田憲

    原田委員長 運輸大臣答弁なさいますか。――じゃ沢田君、もう最後ですから、最後とおっしゃったから、もう一問だけ、要約して……。
  202. 沢田広

    ○沢田委員 いまの答え――はい、わかりました。見たというだけの話ですね。  鉄道営業法は、いわゆる官吏服務規程というような状態においての状況からつくられた営業法ですね。ですから、もし近代的な国鉄を考えるならば、営業法自身が変わっていかなければならない。たとえば、構内に入った者は十円の科料に処すなんということになっている法律なんで、それをもっともらしく、しかし、その精神は精神として酌み取らなければならぬと思いますけれども、改めて営業法を変えなければやはり発想の転換はできないんじゃないかと思うのですね。だから、これはそういう意味において鉄道営業法というものを変えなければならないだろうというふうに私は考えます。いまのような鉄道営業法であったのでは職員もかわいそうだし、それからお客さんもかわいそうだ、こういうふうに思いますから、その点は要請をしながら、もう一つ最後の問題に入ります。  新幹線鉄道整備法では、毎時二百キロ以上の高速度をもって走るというふうに法律で規定をされております。それはそのとおりですね。ところが、二百キロで走れない個所があった場合は新幹線とは言わないと思うのですが、その分は運賃の払い戻しをすべきではないかというふうに思います。詐欺ですからね、法律に違反するのですから。法律に違反するのですから当然そういうふうに思いますが、何カ所ぐらいあって、ただ、「主たる区間」、こうなってはいますがね。しかし二百キロ以上をもって新幹線と言うのですから、二百キロ以下は法律的に新幹線とは言わないということですよね。これが十六カ所ぐらいあるのですか。細かいことにはいきませんが、法律的には当然その分は新幹線の料金を払い戻さなければいかぬと思います。  その点見解を聞いて、大分急いでおられるようですから、そういうことで私の質問を終わりますけれども再建法案は、これができても結果的には何にもならない、むだである、こういうふうに思います。だから、こういうものは速やかに撤回をすることが望ましい。ただ混乱を招くだけである。そして国鉄自身も、運輸大臣の上に監理委員会あり、運輸審議会呼んだけれども質問できなかったのですが、審議会もありますね。勧告権限もあります。そういうものもありながら、こんなにいっぱいタケノコのようにつくっても、結果的には船頭多くして船進まずということになることが必至であるというふうに私は思います。国鉄をかえってねじ曲げてしまう。線路を曲げれば脱線するのですから、これは国鉄の危機であると私は思っておりますから、再建法案が通らないことを私は期待をして、いまの点にお答えをいただきたい。この再建法案でいったら国鉄はどうにもならなくなってしまうだろう、そういう危惧が非常に多いわけであります。大臣病気中でありますが、われわれとは意見が違うでしょう、提案者なんだから。違うでしょうけれども、こういう物の見方をしている者もいるんだということを十分配慮していかないととんでもないことになる。おごりや傲慢さがまかり通る世の中はそう長く続かぬ、こういうふうに思いますから、その点を配慮して対処していただきたい、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  203. 永光洋一

    永光政府委員 先に新幹線のことでございますが、全国新幹線鉄道整備法で、もう先生御存じと思いますが、「その主たる区間を列車が二百キロメートル毎時以上の高速度で走行できる幹線鉄道をいう。」ということでございまして、確かに先生おっしゃいますように、地形上等のやむを得ない理由から減速をしなければならない部分が若干ございますけれども、主たる区間において二百キロメートルで走れる施設であり、二百キロメートルで走っておりまして、表定速度も東京―博多間百六十キロ程度ということで、特急よりも約倍ぐらい表定速度が遠うございます。そういう面で高速、良質のサービスを提供しておるというところから、それについて独自の料金を取ることは差し支えない、われわれはこういうふうに考えております。
  204. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 このたびの国鉄再建法案は期待している国民が非常に多いと私は思います。そして労使の運営というものをこの際に正常化し、りっぱな国鉄にしようという意欲がそちこちにあろうと思いますから、沢田先生の御意見は御意見として、どうぞ御賛成いただきたい、こう思います。
  205. 沢田広

    ○沢田委員 以上で終わります。
  206. 原田憲

    原田委員長 福岡義登君。
  207. 福岡義登

    福岡委員 運輸大臣は健康がすぐれないようでお見舞いを申し上げたいと思います。  私どもは人道的な立場に立ちまして、運輸大臣がすっかり元気になられてから思う存分意見を交わしたかったのですが、与党の方でどうしてもやるとおっしゃるので、苦しい立場に立たしておるのは私どもの責任じゃないということをまず御了解をいただきたいと思うのであります。  私は、本会議の趣旨説明に対する質問でも申し上げたのでありますが、国鉄を何とか再建をしなければならぬ、そういう認識については人後に落ちないつもりでおります。ただ、その前に、どうして国鉄がこうなったのかということを明らかにする必要がある。病気でもお医者さんが診察をいたしまして病気の中身を確かめて適切な治療をする、こういうことになるわけであります。残念ながら本会議の私の限られた時間でございますのでできなかった点もあると思うのですが、運輸大臣も総理大臣も社会情勢の変化というように集約的に、しかも抽象的に御説明をされておるわけであります。そうじゃなくて具体的に幾つかの明らかな原因がある。これをまずお互いに確認をして対策を立てようじゃないかということを私は提唱しておるわけであります。  時間がありませんから要約をしてその五つを申し上げますと、一つは車社会がどんどん発達をしたわけであります。したがって、乗降客が減ったことが国鉄のピンチを招いた最大の原因であります。ところが、考えてみますともう少し対応の仕方があったのではないか。といいますのは、自動車の場合で言いますと、どんどん道路は整備される、あるいはバイパスもどんどんやられる、空港も港湾も整備される。こういうものに比べまして国鉄に対するそういう設備投資の面が非常におくれていた。しかも一兆余りの投資をずっと続けてきたのでありますが、新幹線が重点となりまして、在来線、特に地方における車との競争関係に立つ在来線の整備が非常におくれた。そういうことが一つの理由であろうと私は思うのであります。それから特定人件費であります。内容はもう説明するまでもないことなんでありまして、これが大きな国鉄の赤字の要因になっている。これも国鉄が営業政策上やったことに原因があるわけじゃないので、国策上、終戦後ああやって外地からの引き揚げ者を受け入れた、あるいは軍の工廠の引き継ぎを国鉄がやったというようになっておるわけであります。これも早くからわかっておることでありまして、対策を立てなきゃならない、しかし、いまだに対策が立ってない。それから第三は借金政策、こういうものに走りましたために支払い利息が大きな赤字要因になっている。これも否定することのできない事実なんであります。それから四番目には赤字路線が建設をされた。たしか現在開業しておりますのは三十七線区か八線あるはずであります。根岸線を除いてあとは全部赤字である。この新線建設の営業係数は二〇〇を超している、こういう状態。それから第五番目に、国会もある意味では責任があると思うのでありますが、政府が統制し過ぎた。予算の面からもその他の権限問題も、ほとんど国鉄総裁に権限は与えていない。歴代の総裁を見ますと、現在の高木総裁を初め日本の国内では屈指の能力のある優秀な人が総裁になっておられる。しかも政府のめがねにかなった人を総裁として国会に同意を求められておるわけであります。ですから、もうちょっと権限を付与されておれば対策の立てようもあったのではないかというようなことが複合的に作用いたしまして、国鉄がどうにもならなくなった。  これをまとめて言いますと、国鉄当局のあるいは国鉄労使の責任もこれは否定できませんけれども、しかし、いま申し上げました五つの事項から考えますと、やはり政府なりある意味では国会に大半の責任があるのじゃないかということがはっきりしないと、ただ国鉄経営者は能力がない、国鉄の職員は怠け者である、だからこうなったのであるというだけでは問題の解決にならぬのじゃないかということをまず明らかにしていただきたいと思います。
  208. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 いまおっしゃったことは一つ一つ私たちも胸に響くものがあります。いまから十数年前までは国鉄は黒字であったし、そしてまた勢いがよかった。しかし、車社会の異常な発展というもので、大量輸送機関を使わないで自分で運転できるということから需要が少ない。貨物の方も、日本全体の貨物は低成長でありながらも年々ふえているけれども国鉄が扱う貨物は少なくなっていくというふうな事情の変化、これに応じていく企業精神というか、マッチしていくところの努力というものがやはり足りなかったのじゃないか。もちろんあなたがおっしゃるとおり、国会も時折それはセーブする面もありました。しかし国鉄をりっぱにしようということで、足を縛る、手を縛るということから、運賃統制というものを軽くすることによって自分で運賃を上げられるようにということで、これは解いたわけです。その結果は、四回、五回上げて、その上げた結果毎年毎年お客さんが減る。減ったところにはよその方のニーズが入っていく、こういう悪循環もあれば、もう一つは、いろいろ組合運動のことも言われますが、大ぜいの組合員の中には、本当によく国鉄をわかってもらった姿の人ばかりではないところに、社会的にときに批判を受ける者がある。それはほかの者も見ていますから、これでは一体どういうことだろうか、その中に年間一兆円以上の国民の税金をお互いが国鉄にお出し申し上げておる、そしてなおかつ一兆円以上の赤字が出てくる、これは一体どこまでふえるか。私は、やはり自分の職場を守るためにも、しっかりした問題をこの際積み上げていかなければならぬということで、臨調がテーマとしてとった民営、分割、こういう線でフリーにやっていった方がいいんじゃないかというテーマがお互いに投げかけられて、いまそれぞれの立場からそれを吟味しておる、こんな形だろうと思います。ですから、あなたの挙げられた五つ、六つの問題は、私たちは全部罪がないとは申しません。しかし、それらを受けながらも、なおかつ経営していく人々の機動性というのか、瞬発力というのか、適応性というものが、どうも日本の働く諸君の中では少しおくれているのじゃないか、こんなこともあわせて、金のかからないことですから考えてやっていくべきじゃないかという感じを持っています。
  209. 福岡義登

    福岡委員 私の指摘した点を大臣もお認めだろうと思うのですが、もうちょっと政府の取り組みを早めていただきたかった。たとえば、問題提起がなかったわけじゃないのですね。昭和三十九年の九月二日に、国鉄の監査委員会から運輸大臣、当時は松浦周太郎先生だったのですが、意見書が出ておるわけであります。これは大変なことだ、早く何とかしなさいという意味なんですが、短いからちょっと読んでみますと、「従来の五箇年計画がいずれも国鉄のみの計画として取り扱われ、計画途次において切り換えざるを得なかった実情にかんがみ、国鉄が、わが国の基幹的な輸送機関として、道路、港湾とともに、産業経済発展の基盤となりうるために、この新たな計画はもはや国鉄のみの施策として解決すべきものでなく、閣議決定等により国の計画として承認されるべきであると考える。」以下ここへ持っていますけれども、三十九年から国鉄は赤字に転落したわけであります。そのときに、すでに監査委員会は問題を指摘いたしまして、政府の善処を求めておるわけであります。ところが、今日まで結果としてこれというものはなされていない、こう思うわけであります。そこで、国鉄労使に努力を促す、あるいは正すべきは正さなければならぬ、これは私も否定しないのでありますが、やはりそれの前に、政府なりあるいは国鉄があるべき方向に施策を打ち出していくということが必要である、こういうことを申し上げて次へ進みたいと思うわけであります。  さっき運輸大臣は、一兆を超す赤字だ、こういうことをおっしゃいました。確かにそうなんでありますが、しばらく聞いておってもらいたい。事実関係国鉄からまず明らかにさせて、後で御見解を聞きたいと思うのであります。  昭和五十六年度決算についてまずお伺いをしたいと思うのですが、五十六年度決算の一般勘定だけ、工事勘定とか特定勘定は時間の関係で省くのですが、一般勘定における損益、最終的な赤字は幾らとなっていますか。
  210. 繩田國武

    ○繩田説明員 お答えいたします。  五十六年度、最終的な決算は、損失額一兆八百五十九億円でございます。
  211. 福岡義登

    福岡委員 その中にこういうものがどれだけあるかということを明らかにしてもらいたいと思うのであります。いわゆる特定人件費、これは退職手当と年金であります。これは幾らになっていますか。
  212. 繩田國武

    ○繩田説明員 特定人件費は退職手当で二千六百三十八億円でございます。それから特定年金は千八百四十八億でございます。
  213. 福岡義登

    福岡委員 合計をいたしますと四千四百八十六億になるはずであります。これが大臣特定人件費なんです。  それから支払い利息、それと運賃の公共割引、これは幾らになっていますか。
  214. 繩田國武

    ○繩田説明員 五十六年度決算で、長期債務に対します支払い利子は、国からいただいております助成金等全部入れまして、差し引きしませんで一兆九百七十二億円でございます。それから、いまお話しの公共割引は六百二十八億円でございます。
  215. 福岡義登

    福岡委員 トータルで一兆何ぼになっておると思うのですが、一般勘定から負担をしておるのは六千三十億じゃないですか。
  216. 繩田國武

    ○繩田説明員 損益ではそのとおりでございます。
  217. 福岡義登

    福岡委員 いま大臣お聞きいただきましたように、五十六年度の一般勘定決算は一兆八百五十九億円赤字になっておる。その赤字の中に含まれておる、私はこれは構造的欠損だ、こう思うのですが、いわゆる特定人件費が四千四百八十六億であります。これは四〇%を超します。それから支払い利息は六千三十億であります。公共割引は六百二十八億であります。お聞きのとおりであります。これを合計いたしますと一兆一千百四十四億円であります。政府の方から助成として出ておりますのが三千四百二十八億であります。ですから、構造的欠損の一兆一千百四十四億に対して、政府助成は三千四百二十八億ということになるわけであります。差し引き残る構造的欠損額は七千七百十六億であります。これを赤字総額一兆八百五十九億円から引きますと、残るのは三千百四十三億円であります。これが構造的欠損を除いた残りの赤字額である。これが国鉄が、さっきおっしゃいました労使が努力をしなければならぬ、企業努力で改善すべき分野であると私は心得ます。  前段の一兆一千百四十四億円、助成金を引けば七千七百十六億円というものは構造的欠損である。したがって、何らかの対策を立てなければならない。この構造的欠損を国鉄で負担をするということは適当でないし能力もない、こういうことになるわけであります。  ついでに五十八年度予算はどうなっておるかということも、同様な意味でもうちょっと大臣聞いていただきたいと思うのです。五十八年度予算の収入と経費の関係はどうなっておりますか。
  218. 繩田國武

    ○繩田説明員 損益勘定で総収入は四兆七千五十三億でございますが、これには資本勘定より受け入れがございまして、それを引きますと約三兆五千、正確には運輸収入と雑収入、助成金だけで三兆四千四百四十六億でございます。
  219. 福岡義登

    福岡委員 収入、助成の三千三百九十三億を含めて三兆四千四百四十六億、こういうことですね。これに対する経費は幾らで、差し引き赤字はどうなりますか。
  220. 繩田國武

    ○繩田説明員 経費は四兆七千五十三億でございまして、差し引き一兆二千六百七億でございます。
  221. 福岡義登

    福岡委員 わかりました。その赤字見込み一兆二千六百七億、このうちさっき言いました特定人件費、支払い利息、公共割引というものは五十八年度はどうなっているか。
  222. 繩田國武

    ○繩田説明員 特定人件費でございますが、退職手当の方が二千六百九十八億でございます。それから、年金の関係が二千七百五億円でございます。それから、利息は五十六年度の実績で六千三十億に匹敵しますのが一兆十二億円でございます。それから、公共割引は五百六十二億円でございます。
  223. 福岡義登

    福岡委員 収支の赤が一兆二千六百七億、そのうちで特定人件費が合計いたしますと五千四百三億であります。支払い利息がお聞きのとおり一兆十二億であります。公共割引が五百六十二億であります。この合計は一兆五千九百七十七億円になります。この一兆五千九百七十七億円が、五十六年度決算のときにも申し上げましたように、構造的欠損額である。政府の助成が三千三百九十三億でありますから、これを差し引きますと、残る構造的欠損額は一兆二千五百八十四億円であります。これを収支の赤字総額から差し引きますと、つまり一兆二千六百七億が収支の赤字なんですが、構造的欠損額の残りのもの、いわゆる助成を差し引いたものの一兆二千五百八十四億円を差し引きますと二十三億円であります。これがいわゆる企業として改善努力をするものに相当しておる、こういう理解なのでございます。前段は構造的欠損である。国鉄が背負うべき責めはないあるいは能力もない。五十八年度予算で言えば二十三億円が企業努力をする金額である、こう理解しておるのでありますが、大臣、どうでしょうか。五十六年度決算と五十八年度予算について私の認識が間違っているかどうか。
  224. 永光洋一

    永光政府委員 お答えいたします。  先生国鉄のいわゆる損益状況につきましてこういう分析をいたされましたことにつきまして、ある意味で非常に問題点を的確に御指摘になったと思います。  ただ、五十六年と五十八年の対比をいまお伺いいたしておりまして、五十六年の場合の欠損というのも減価償却が入っているとか資本勘定からの繰り入れが入っている、プラス・マイナスの問題がございまして、五十六年の方式で比べるのか、あるいは五十八年のいま先生がおっしゃいましたものと同じレベルで比べたときに、先生がおっしゃいました三千億の赤字が二十三億という赤字に減るということになるのかどうか、ちょっとまだ確信がございません。いずれにしましても、先生のおっしゃるようないわゆる構造的な費目というものを引きますと、その残りはきわめて少ないということは確かであると思います。  ただ、問題があるのではないかと思いますのは、いま申されましたそれぞれの費目、いわゆる利子の負担等につきましても、なお国鉄自身の努力なり利用者の負担等によって吸収すべきものというのがかなりあるのではないかという考え方があると思いますので、完全にこれを国鉄経営努力等から関係のないコストでやるかどうかということについては、まだなお検討を要するところがあると思いますが、先生がおっしゃいますような形で計算をいたしますと、それ以外の損というのは非常に少ないということは確かでございます。
  225. 福岡義登

    福岡委員 原則的には私の指摘をお認めになったと思うのですが、これは減価償却前の数字だと思いますので、これは減価償却を加えれば相当ふえることは間違いございません。しかし、それはそれといたしましても、赤字額の相当部分は構造的欠損に相当するものである。特定人件費は、申し上げましたように、国策によって外地鉄道からの引き揚げ者を国鉄が引き継いだものである、あるいは軍工厰などから引き継いだものである。平均を超えておるものが特定人件費と言われておるのですから、正常な普通のものは国鉄が一般的に負担をしていく計算になっておるわけですからね。特定人件費については国鉄が普通の営業から負担をするべきではないし、する能力もない、これは明瞭に言える点だと思うのであります。ところが、現在この特定人件費、特に年金についてどうなっておるかということなのでありますが、ようやく国会には出されましたけれども、当初政府が考えられておったものよりも相当大幅に後退している、まことに遺憾と言わざるを得ないのであります。しかも、それがこの国会で成立する見通しがあるかといいますと非常に不安である。当初われわれが理事会などで議論をしておりましたのは、国鉄再建はこの法案審議と年金法案とが車の両輪であって、並行的に審議するべきであるというふうにある段階では意思統一をしておるわけであります。しかし、こっちの方の審議が先行して片一方が非常におくれている、まことに遺憾であります。  それから、支払い利息の関係も、これは過去をたどればいろいろ議論の余地のあることは認めます。しかし、投資のあり方、たとえば道路の場合は八〇%ぐらいが税金で賄われる、国鉄の場合は四%ぐらいしか助成はない、そういうようなことで投資のあり方にもいろいろ問題がある。何よりも政府が出資を増額しなかったあるいはその他の適切な対策を講じなかった、これが累積赤字の主な原因なのであります。ですから、いま政府の出資は八百億か幾らかじゃないかと思う。そんなに大した出資額になっていない。これだけの事業をやるのに八百億や一千億の出資では非常に少ない。もう少し対策の仕方があったように思うのです。  いずれにしても、申し上げたい一つの点は、構造的欠損をどうするかということが国鉄再建の最たる課題である。経営形態をどうするかというのは議論しなければならない大切な問題かもしれませんが、経営形態がどうなるにいたしましても、この構造的欠損を処理しなければ国鉄再建はないと言っても過言でない。大臣、どうお考えでしょうか。
  226. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 近代工業国家というものは働く諸君を安心させ、その生活を維持し、そしてその中から子孫を繁栄させる、これが大事なことだと私は観念しております。そんなことからしますというと、構造的欠損ということは、私のように国鉄に勤めたことのない者、政治家として委員会に入った者というものからすると、なかなかその辺のことがわかりませんですから、それだけに関係のある皆さん方がそういうものに一点集中して、ことに、総裁を目の前に置いて悪うございますけれども総裁は大蔵省御出身だし、本当に説得力がありはせぬかということで、工事関係かれこれではわれわれが一生懸命やる、そしていまのような大事な内部の問題についてはぜひひとつ御努力願いたいという気持ちは私は持っているわけであります。ですから、今度の再建法案と並び称せられて従来年金問題が片づかなかった、しかし、それは国鉄のパンクしそうな年金、それに失望しそうな諸君、そしてまた一方年金を高く掛けることになりはせぬかというほかの方の組合員、こういう人たちにも私たちの立場から労働者の連帯を叫び、また、組合自体も、こういうときに来たからぜひひとつ御協力を頼む、こんな姿勢などもお出しいただきながら、一歩でも二歩でも進むのがいいんじゃないか。権力ではなかなかできません。相手は一人一人金を出すことですから、その説得はお互いいたしますが、そういう感じ方を私は持っています。  もう一つは、おっしゃるとおり三十数万もおりますが、卒業の時期に見ますと、すばらしい国鉄の技術陣に参加したいと言って、いい大学を出た諸君が、安い給料かどうか知らぬけれども国鉄技術陣に入りたいという姿、それが今度の青函トンネルにもなったろうし、あるいは新幹線にもなったろうし、それがまた、今日事故も起こしていないというふうなイメージアップとエンカレッジする姿を、私はどうしてもお手伝いしなければならぬ。国鉄というものは永遠のものですから、あす皆だめになってレールを外すなんて、そんな乱暴な話ではありませんから、そんな意味で私は実はお願いを申し上げているわけでして、先生のように詳しく内部にわたって御説明いただいたことは私も非常に参考にしたいと思っております。
  227. 福岡義登

    福岡委員 さっきもちょっと触れましたように、大臣、もし御気分でも悪ければ、りっぱな政務次官がおられるのですから、政務次官でも結構ですし、いいのですが、話の筋は続けさせていただきたいと思います。  さっきから私が申し上げたかったもう一つの点は、監理委員会を設置して、たとえば長期債務の処理をどうすればいいのか、あるいは構造的欠損をどうすればいいのかということを専門的に御議論になるならこれは意味があると思うのです。しかしそれは余りやらないで、経営形態はいきなり分割、民営、臨調の答申を尊重してやるんだ、これが前面に出ちゃっているのですよ。経営形態がどうなるにしても解決をしなければならない構造的欠損というものがある、これが先決じゃないですか、その取り組みはどこでどうなるのか、これを通り越して国鉄再建はございませんよということを言いたいのですよ。それは監理委員会で全部やってもらうんだというお考えなのかどうか、その辺をはっきりしてもらいたいと思う。
  228. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 今日国鉄経営者あるいは従業員ともどもに、運営についての反省なり疑問なり持っていると私は思うのです。そうした勢いの中から、臨調から国鉄を私鉄的な運営でやろうというふうなテーマが出てきたと思うのです。しかし、それをやる場合にいろいろなデータが出てきますが、やはり経営者的にも識見的にもりっぱな人をお願いしたい、こう思っておりますが、一つ一つ分断して、これはこうこうじゃなくて、総合的な議論というものが出てくるのではないか、私はこう思います。それを期待して、それをまた説明していくことが私たちの仕事じゃないか。こういう国会での建設的な御議論も恐らくそういうところに反映される。  いずれにしても、とにかくお客さんの減る民鉄が懸命に飯を食おうとするときに、何か借金しても甘えがあって、金は幾らでも出てくるんじゃないかというふうな雰囲気の中には、なかなか国の力とかみんなの応援というのは生まれてきやせぬのじゃないかという感じを私は持っているのです。
  229. 福岡義登

    福岡委員 おっしゃる意味はよくわかります。それならば、その角度から議論すれば、国鉄を民鉄並みに経営させてもらいたい。もうからぬところはやらない、線路を外すかどうかということは次の議論にして、たとえば国鉄が私鉄に比べて違う点は、夜行列車がある。あるいは早朝始発も一時間ぐらい早い。終便も私鉄に比べて一時間ぐらい遅い。私鉄ならばそんなもうからぬところはやりはしない。現にもうからぬから朝の始発を国鉄よりも一時間おくらしておる。あるいは経営範囲がそうでありますからでしょうが、夜行列車もない。終便も国鉄が早くやめようとすれば沿線から何とかしてくれと言われる。これは利用者は少数なんですね。また、デパートの、動物園の、レジャーランドのあるいはニュータウンのというものをいままで私鉄は思う存分やってきた。ところが国鉄はそんなことはいままでできなかった。ですから、国鉄が民鉄、私鉄ほど生産性、効率性を上げるというお話はそのとおりわれわれもわかるのですが、それをやろうとしてもさせなかったいままでの仕組みはどうするのか。りっぱな総裁が歴代の総裁に就任されている。政府のめがねにかなった総裁がずっと歴代就任されているのですよ。そういう優秀な総裁でも権限がないのですから、逆に権限がないというよりも、足を縛り手を縛り、やろうとしてもできなかった。だから現行経営形態を若干手直しをすれば、分割しなくても、民営にしなくても、私鉄と同じような権限を極端に言うと総裁に与える、それなら私は方法はあると思いますよ。ところが、それはなかなか政権与党としては簡単にやられない。一方では効率性、生産性を私鉄並みにとおっしゃる、一方では権限を与えないでやれやれと言うのですから、こんな矛盾な話はない。その辺に国鉄の労使から言うと、使の方は別にいたしましても、従業員の関係から言いますと政府に対する不信感がある。おやじ日の丸というのは国鉄労使にもあることは否定できないと思うのです。しかしそれだけではなくて、沿線の市町村、農協あるいは住民、ある意味では政治家もそうでありますし、政府もそうだと思うのですが、何も労使だけがおやじ日の丸という考えじゃない。ですから、私鉄並みに生産性を上げるためには上げられるような仕組みにしなければならない。それは分割、民営じゃない、私はこう申し上げておきたいと思うのであります。  時間もありませんから先へ移りますが、この点の締めくくりとして再度申し上げたいのは、構造欠損対策というものを真剣に考えてもらいたい。それは大臣お話によると、国鉄の労使が一生懸命やるという姿が出たときに国民の皆さんも理解してくれるであろう、こうおっしゃるのですが、それはそれなりに私も了解をいたします。しかし、政府国鉄の職員に一つの生きがいというか、仕事のやりがいといいましょうか、そういうものを持たせるためには、問題点の解明について方向を早急に明らかにしていただく必要があろう。また、議論する場もありましょうから、きょうはこの程度にこの問題はとどめたいと思うのですが、国鉄の職員が怠けて、だからこうなったんだというように一般的に受け取られやすいので、その点を申し上げたわけであります。  次に、これもしばらく大臣に事実関係を聞いていただいて、後で御見解を賜りたいと思うのですが、昭和五十六年度決算によりますと、北海道全域の赤字額は二千五百七十九億であります。四国は四百六十三億であります。九州は二千百六十一億円であります。これに間違いありませんか、国鉄
  230. 繩田國武

    ○繩田説明員 いまおっしゃいました数字のとおりでございます。
  231. 福岡義登

    福岡委員 間違いないですね。大臣、もうちょっとでちょっと休憩してもらいますから。  この赤字が、経営改善計画が完全に実施されたとするならば、たとえば特定地方交通線議論があります。あるいは午前中議論になりました地方交通線の割り増し運賃の問題があります。あるいはまた三十五万人体制の問題があります。いろいろ経営改善計画中身はあるのですが、これが完全に実施されたとするならば、これらの三つの島の赤字はどのぐらいに減少するのか、お答えいただきたいと思います。
  232. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 島別に六十年度でどういう収支になるのかということについて厳密に計算したものはないのでございますけれども、五十五年度の収支試算で見ますと、結果として一兆三百八十九億の赤字が全体として出ているわけでございます。それから六十年度の経営改善計画ではこれを九千九百億と考えております。ただし、この九千九百億には東北・上越新幹線の資本費を四千億外しておりますので、これを加えますと赤字額は約一兆四千億になるわけでございます。     〔委員長退席、三塚委員長代理着席〕 そういたしてみますと、五十五年度の姿から見ましても、六十年度の各島別の収支が根本的に改善されて、これが解消されるというようなことではないというふうに考えられますが、ただ、島別にどうなるのかという点については、まだそこまで計算をしてございませんのでお許しいただきたいと思います。
  233. 福岡義登

    福岡委員 少し議論になる点もありますが、もしなんでしたら、大臣、ちょっとぐらい休憩されても、政務次官もおられますし、やりますから。大丈夫ですか。――いや、福岡の質問の途中で問題があったということになりますと私も困りますので、もし気分が悪ければ適当にお休みいただいて結構であります。  そこでいまのお話ですが、経営改善計画が完全に実施されたとき、昭和六十年度の赤字額は相当残る、こういうお話なんです。計算はしておらぬとおっしゃるのですが、これはもしそうだとすれば怠慢だと思うのですよ。あれだけ臨調が島別分割、民営ということを主張しておられるわけです。長い間審議も続いたわけであります。ですから、島別に分割したときに一体どういう状態になるかということは、これは臨調も当然検討されなければならなかった問題だと思いますし、当事者である国鉄が、もし島別分割になったときにはどうなるのか。北海道で言うと、たしか三十六本の線で二十二本は特定地方交通線として外すという計画になっておるでしょう、一次、二次で。それが完全にできたとするならば赤字が幾ら減少する、要員がこうなる、そういうようなことは、細かいところまできちっとできると私は思いませんけれども、おおむねの方向は検討されておってしかるべきじゃないかと思うのですが、どうですか。
  234. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 正確なものがあれば申し上げるのでございますけれども、持ち合わせておりません。ただ、大体感じから言えますことは、北海道という一つの島をとってみた場合に、いま二千五百億、五十六年度で赤字が出ておるわけでございますけれども、この経営改善計画全体の数値から言いましても赤字が九千九百億でございます。本州は東北・上越新幹線分の資本費をかぶりますので、ウエートとしては本州の方が若干高くなるというようなことかと思いますが、北海道をとってみた場合に、地方交通線の除外というものがあるわけでございますけれども、これによって確かに改善される部分がございます。あると思いますけれども、しかしトータルとして見ますと、非常に大きな幅で改善をされるかどうかという点については、かなり問題があるのではなかろうかというふうに見ております。
  235. 福岡義登

    福岡委員 お聞きのとおり、経営改善計画が完全に実施されたとしても、二千五百億何がしの北海道における赤字というのは、そう大幅に縮まらないだろう、こうおっしゃっているのですよ。     〔三塚委員長代理退席、委員長着席〕 これを裏から言えば、二十二本の特定地方交通線を外してみても、そんなに経費的にはメリットがない。金額を知らぬのでありますが、それは百億でも二百億でも赤字が減少することはいいことだからという議論は、これは否定をいたしません。しかし、少なくともそんなに大きく赤字幅が減少することはないだろうという見解なんですね。であるのに、住民反対を押し切って特定地方交通線を強行されようとしておる。これはもう再考を促していかなければならぬ。  それはさておくといたしまして、島別に分割をするという臨調のこの答申、これを監理委員会は最大限に尊重するということを言われているのです。しかし、お聞きのように大合理化をやってみても二千五百億何がしの赤字はそんなに減少しないだろう。それならば分割したときに赤字を承知で民営化できるのか。そんなばかなことはない。そういたしますと、北海道の場合三十六本のうち十四本を継続して営業するというんですから、これは幹線系の線として営業するというわけなんですから、ここから生ずる、これは二千億になるかあるいは千八百億になるかわかりませんが、そこのところは何とかどこかで負担をしていかなければならぬと思うのですね。その検討がないままに分割、民営ということを言っても、それはできない相談だし、絵にかいたもちじゃないか、そういうことを私は申し上げたいのですが、これだけ大臣の考えを言っていただいて、事務局や皆さんが心配しておるようでありますから、しばし休憩をしてもらいたいと思います。
  236. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 ありがとうございます。  概括的に言って、日本の二万一千キロ走っている鉄道の中で、たしか七線くらいが黒字だろうと思うのですが、山手線初め新幹線あるいは高崎線、そんなことだろうと思うのです。そういう仕組みの中で二万一千キロも走っている。だから一つ一つの線を取り上げれば、いろいろないまのような問題も出てくるだろうと思うのです。だから臨調の幹部諸君が、ときに島一つで何か考えてみようという話なども出ておりますが、そういう考え方参考にはなることがあっても、しかしいずれにしても、こういう機会に少したくましい経営体質をお互いでつくらなければならぬのじゃないかというところに肝心な問題がある、こう思って御意見を拝聴して、ちょっと休ませてもらいます。
  237. 福岡義登

    福岡委員 国鉄総裁にお願いします。  この点は、今後国鉄再建審議するに当たって重要な一つのポイントなんであります。したがって、私はできるだけ早い機会に経営改善計画が――経営改善計画のことは後で聞きますけれども、完全に実施された場合に島別損益収支はどうなるのかということを、幾つかの仮定を置かざるを得ないと思いますけれども、一定のものはやはり出してもらいたい。約束いただけますか。
  238. 高木文雄

    高木説明員 民営というのはちょっと別にして、分割といったことを考えました場合に、幾つかの分割したものの経営成績はどうなるかということは、民営形態とかということはちょっと別にいたしまして、現在の公社の形態のままで経営のいわば分散化といいますか、分権化といいますか、そういうことを図る上にも必要でございます。したがいまして、いま御指摘の点については鋭意そういう作業をやってみる必要があると思うのでございますが、また、やりつつあったのですけれども、実は最近貨物輸送のやり方を全部変えるということになってまいりましたものですから、せっかく作業をするのであれば、その辺も織り込んだ上でやらなければならぬということもありまして、一時進めかけておりました作業をちょっとおくらせておるような状態でございます。監理委員会が発足されました場合には、ぜひそういったようなことを御説明をして、そのことについての正しい理解の上での御判断を求める必要がありますので、われわれとしてもただいま御指摘ありました点を鋭意作業してまいりたいというふうに思います。
  239. 福岡義登

    福岡委員 いつごろまでに、試算になるでしょうが、やってもらえますか。
  240. 高木文雄

    高木説明員 先般の他の委員のお尋ねにもお答え申し上げたのでございますけれども、現行経営改善計画というものは、いずれにしてもこのままではもたないということでございます。ひどく収入が減ったということでございますので、そういう新しい事態に応じて経営改善計画の手直し、修正をしなければならぬことになっております。それをいつまでにまとめるかということでございますが、なるべく早い時期と思っておりますけれども、大変作業は難渋をいたしておるわけでございます。一つの時期としては、来年度の予算絡みではどうしてもある程度見当をつけなければならぬと思っておりますが、それ以上、どの程度早めて作業ができますか、その時期を明確に申し上げるのは、別に言いたくないとか隠しているというわけではございませんが、作業がきわめて困難でございますので、もうちょっとお許しいただきたいと思います。
  241. 福岡義登

    福岡委員 五十九年度の予算編成までにはと、こういうお気持ちのようですが、そうすると八月ごろまでということになろうと思います。ぜひ経営改善計画の改定をなされるならなされて、その上に立って島別に計算をしたらこうなるというものをできるだけ早くお示しをいただきたい、こう思います。その点はよろしゅうございますか。委員長ひとつ……。
  242. 高木文雄

    高木説明員 御趣旨に沿って作業してまいりたいと存じます。
  243. 福岡義登

    福岡委員 そこで、経営改善計画の話が出ましたから、二、三お伺いしておきたいと思います。  五十六年の五月に策定された経営改善計画によりますと、昭和六十年度には幹線系においては百億の黒字になるという試算がなされておるわけであります。要員は三十五万人であるということが言われておるわけであります。輸送量は、貨物がこれこれ、旅客がこれこれということになっておるのですが、いま検討されようとしている経営改善計画の一番問題点はどういうところでありますか。一番というよりも、どういうことが問題になっているのか。
  244. 高木文雄

    高木説明員 最も問題になりましたのは、あの計画前提となる輸送力が必要ないといいますか、輸送量が期待できない、こういう状態であります。大別して、旅客の方は、五十四年基準で微増と見ておりましたが、微増はちょっとむずかしくて、横ばいくらいで六十年度は考えた方がよろしいのではないか。貨物は横ばいと考えておりましたが、五十五、五十六、五十七と三年間、年率一〇%くらいずつ減りまして、つい数日前に締め切りになりました五十七年度の輸送量が一億トンを切る状態になってまいりましたので、したがって、五十六年度計画もよほど縮小しなければならぬと思います。したがいまして、輸送量が減るということは収入が減るということでございまして、その点が一番大きく計画を変えなければならない点でございます。そこで、そういうふうに仕事の量が減るとしますれば、当然経費を落とさなければならぬということになるわけでございまして、それに対応して、どのようにして、どの程度経費を落とすかということを中心にいま作業が進められているところでございます。
  245. 福岡義登

    福岡委員 輸送量お話がありましたが、いただきました資料によりますと、旅客の関係は、昭和五十六年度実績は千九百二十億人キロになっていますね。これは計画に対して九九%、こういうことですね。五十七年度はどういう見込みなのか。五十八年度予算における旅客の輸送見込みあるいは貨物の輸送見込みはどうなっていますか。五十七年度の見込みと五十八年度の予算における輸送量、わかっておればお示し願いたいと思います。
  246. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 五十七年度の旅客人キロでございますけれども、現在の見込み実績からいたしますと、千九百四十億人キロくらいと見込んでおります。ただどうも、最終の時期でこれよりは若干下がるのではなかろうか、これは計画に対しましては大体九七%ということでございます。それから五十八年度は、これは横ばいと見ておりまして、したがって、計画に対しましても九七%ぐらいということでございます。  それから、貨物につきましては、五十七年度は計画に対しまして七九%という見込みでございますが、これも昨今の状況から言うともうちょっと下がりそうだというふうに考えております。五十八年度は、一応計画に対しまして現在のところでは七六%くらいということで見込んでございます。
  247. 福岡義登

    福岡委員 輸送量関係で、もう少し工夫したらふえるのではないか。たとえば一つの例でありますけれども、今度広島鉄道管理局が岩国―広島間を十五分間隔でシティ電車というのを運転することにいたしました。これはこの間現地に行っていろいろ聞いてみますと、相当お客さんがふえた。十五分間隔になった、たとえばそういう工夫がある。いままではダイヤの間隔が広過ぎる、長過ぎるので、待合時間が長いからついバスを利用する、あるいはその他の交通機関に走るということがあったわけですが、このシティ電車を運転し始めましたら相当お客がふえたという例をこの間現地で聞いたり見たりいたしました。たとえばそういう工夫がある。あるいはまた、貨物にいたしましてもやめてしまうということはとうていできないのでありまして、そういう議論をする向きもあるやに聞きますけれども、この大量輸送機関である国鉄から貨物を全廃するなんということは暴論だと思うのであります。拠点間直行輸送、いろいろ工夫されておるようでありますけれども、この工夫をすることによって輸送量を増すことはできる、そう思うのでありますが、その辺についての検討をされておる現在の状態があれば御説明をいただきたいと思います。
  248. 高木文雄

    高木説明員 御指摘のように、いま広島の例で見られますように、一部の大都市圏におきまして輸送サービスを改善することによってもっとお客さんに御利用いただくということは、まだまだ工夫の余地があると考えております。  ただ、残念ながら、一方におきましてどうしてもお客さんが減る地域があるわけでございます。数日前に中国の縦貫道が全部貫通をいたしたというようなこともありますし、また、南九州地区におきましても道路の整備が進みましたことに伴いまして、どうも一生懸命がんばってもお客が減るのをなかなか防ぎ切れないという状況もあるわけでございます。多少弱気かもしれませんが、先ほど申しました旅客の輸送人員が横ばいということを前提とするに当たりましても、いまお示しのようないろいろな工夫を織り込んだ上でないと、そこまでなかなかいけないというようなことではないかと思うわけでございます。前回のときに、つまり五十六年時点で旅客が年率一%弱ふえるのじゃないかという前提を立てましたのが、どうも思うようにいかなかったという苦い経験から、あらゆる努力をしました上でなおかつせいぜい横ばいというぐらいにいま計画をつくり直したらどうかというふうに考えているわけでございまして、貨物についてもほぼ同様の事情でございます。何とか収入をふやすようにということがこの際きわめて大事でございますので、そういうことに全力を尽くしますように叱咜督励をいたしておりますが、計画上は、それを片方で行いながら、かなりの程度かたく見ておかなければいけないのかなというのがいま私が考えておるところでございます。
  249. 福岡義登

    福岡委員 輸送量確保について特段の工夫をしていただきたいということを申し上げて、次に移りたいと思います。  同じ経営改善計画で、昭和六十年三十五万人ということになっておる。当初は自然減耗といいましょうか、定年退職といいましょうか、それの補充は最小限度は行う、そうして六十年度三十五万人に持っていくという計画だったように思うのですが、最近新規採用を全面ストップされた。これでいきますと六十年の三十五万人というのは一体どうなるのかということなんですが、五十七年度末、つまり五十八年度予算では予算人員は二万二千六百名減になっておるわけであります。これはちょうど自然減耗というか、定年退職といいましょうか、そういうものがその数字なんで、事実上は新幹線開業に三千名くらい在来線から人が回っておりますから、二万五千六百名の人が国鉄からは要員合理化されたということになっておるのであります。  それはさておくといたしまして、五十八年度以降自然減耗の数がどうなって、そのままずっと新規採用を全面ストップすれば六十年における予算人員は幾らになるのか。つまり五十八年度の自然減耗、五十九年度の自然減耗幾らになるか。このいただきました資料によりますと、五十七年度末に二万二千六百名減になりまして五十八年の予算人員は三十七万三千九百人、こうなっておるようでありますが、これから出発をいたしまして五十八年度末の自然減耗、五十九年度末の自然減耗幾ら幾らあって、したがって六十年度の人員はどうなのか、御説明いただきたいと思います。
  250. 高木文雄

    高木説明員 まことに恐縮でございますけれども、なかなかその数字が出にくいわけでございます。と申しますのは、いま何歳の人が幾らいるかということはわかっておるのでございますけれども、五十五歳でやめる人あるいは五十八歳までおる人というようなことがありまして、さらにごく異例でございますけれども五十五歳未満でやめる人もあるということで、率直に申しまして、いま職員から見ました場合にやや先行き心配な雰囲気がいろいろある。年金の問題、退職金の問題、いろいろ先行き心配なことがあるということで、多少職員の間に動揺といいますか、生活設計面についていろいろ考え方が変わってくるというようなことがありまして、どのくらい自然減耗があるかということがなかなかちょっと見当がつきにくい状態で、私ども仕事をする上においても非常に困っておるわけでございます。また、全体として要員減を伴います場合には当然にある程度の転勤といったような問題が必然的に伴ってくる。新規採用をしないでやっていくということになりますと、転勤が相当伴ってくるということがありまして、年配の職員にとっては転勤が大変負担に感じられるというようなことから、率直に言って全然新規採用がないといった状態、そしてそれは当然に転勤を相当伴うといったような状態のときに、いわば生首といったようなことに関連がなくてどの程度に移行できるかというのは、われわれの計画上どうしても正確に把握し、見当つけたいのですけれども、ちょっとまだそれがつきかねております。  そうは申しましても、その見当がつきませんと今後のいろいろな計画が立ちませんので、これまたこの夏ぐらいまでには、今度、この三月三十一日にやめた人の動向といったようなものをもうちょっと調べまして、把握いたすべくいま調査を始めたところでございますので、ここでいろいろ申し上げますことはちょっと避けておきたい。作業がまとまりました上で、また、方針がまとまりました上で御説明させていただきたい、そういうふうに考えます。
  251. 福岡義登

    福岡委員 わかりました。できるだけ早く作業をしていただきたいと思います。  確かに、幾つかの仮定を置いて試算をする以外にないと思うのであります。たとえば五十五歳以上の人が何人いる、全員やめた場合はこうなる、あるいは五十三歳、四歳で退職する人もいままでの実績から踏めば一つの見込みは立つわけでありますから、逆に五十五歳を過ぎて残られる人もいままでの実績から考えればどの程度だということも、一定の仮定を置けば見込みは立つと思うのであります。そういう上に立って一つの見通しというものは立てていただかなければならぬ。先ほどの経営改善計画と同じように、早く作業をしていただくようにお願いをして、次に移りたいと思うのであります。  それから、東北・上越新幹線収支について少し聞きたいと思います。  総裁もこの委員会その他でお答えになっている、あるいは運輸大臣も総理大臣もそうでありますが、二十年ぐらいすれば東北・上越は黒字になるんだ、こう説明されているわけでありますが、私はそうはならぬだろうと思うのです。それはさておくとして、具体的に一、二、ずっと順番を追ってお伺いしていきたいと思うのであります。  東北・上越に関した建設費は幾らになっていますか。
  252. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 東北新幹線の建設費でございますが、東京―盛岡間、現在時点二兆八千十億というのが総工事費でございます。  それから上越新幹線、大宮―新潟間でございますが、これは御承知のように鉄道建設公団において実施したものでありますが、工事費が一兆六千八百六十億となっております。
  253. 福岡義登

    福岡委員 その合計は四兆四千八百七十億になりますね。東北・上越の総工事費といいましょうか、総投資額といいましょうか、合計すると四兆四千八百七十億になるはずですね。これに新幹線開業用の車両費があるはずであります。それは幾らかかつていますか。
  254. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 車両費につきましては、昨年十一月に大宮起終点で開業いたしましたその時点における車両費、それに要する車両ということでありますが、東北・上越含めまして千三百九十八億円ということになっております。
  255. 福岡義登

    福岡委員 その後のものはわかっていないですか。ことしの三月末でもらった資料によりますと、千九百二十九億ということになっておるのですが、これはどうですか。
  256. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 ただいま私大宮開業時点の車両費を申し上げましたのは、これは最終的に東京起終点が大臣認可区間でございますが、その時点における車両数というのはまだ確定いたしておりませんので大宮時点で申し上げたわけでございますが、この三月時点で上野開業の一部車両を見込むというような感じで増額をいたしておりまして、その場合には千九百二十九億ということになっております。
  257. 福岡義登

    福岡委員 車両費の問題は少し幅が動くようでありますが、いずれにいたしましても四兆数千億円、千九百二十九億という車両費を見込めば四兆六千七百九十九億円かかるわけであります。  これはどういう条件で償還をしていくのですか。たとえば二十五年間償還、これは資本費あるいは借損料という形で予算計上されると思うのでありますが、一般的に何年間でどういう条件で償還をしていくのか。
  258. 繩田國武

    ○繩田説明員 いろいろ償還条件がございまして、まとめて何年ぐらいでどういう条件ということをはっきり御返事いたしかねる内容でございますが、上越新幹線は御高承のとおり、四十年で公団の方に借料をお払いするように決めております。そのほかの借金につきましてはいろいろな条件がございまして、ちょっとまとめて御返事いたしかねる内容でございます。
  259. 福岡義登

    福岡委員 昭和五十八年度予算でいきますと、資本費、借損料は幾らになっていますか。
  260. 繩田國武

    ○繩田説明員 資本関係経費は、東北新幹線で二千四百二十億でございます。それから上越新幹線は千二百億でございます。上越新幹線の借料は千九億でございます。
  261. 福岡義登

    福岡委員 ちょっと私、予算書を持ってきていないのですが、昭和五十八年度予算で、資本費は三千二百六十億か三千六百二十億か、三千億オーダーでしたね。
  262. 繩田國武

    ○繩田説明員 三千六百二十億でございます。
  263. 福岡義登

    福岡委員 まあ少なくとも黒字になるまで二十年間とおっしゃるのですから、私は二十年間で黒字にならぬと思うけれども、なるといたしましても六兆円から七、八兆円になるかもわからぬ、それがずっと赤字として累積していくわけであります。これをどうするのかということをお聞かせいただきたいのですが、その前に、二十年間で黒字になるというその根拠をお示し願いたい。
  264. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 大変いろいろな条件が加わるものですから、非常に不確定要素は多いのでございますけれども、一応輸送量が毎年一%程度伸びるということを一つの仮定といたしまして、運賃改定で毎年五%ぐらいの増収が出る、一方、経費につきましては、人件費が大体五%ぐらい、物件費が四・五%ぐらい、利子率が七%、こういうようなこと、これに助成金が十年間にわたりまして約七百億円、工事費補助という形で国鉄に入るということになってまいります。これらを加味いたしまして計算をいたしますと、大体二十年で単年度の黒字が出るという状況になるわけでございます。
  265. 福岡義登

    福岡委員 それじゃ、もうちょっとお伺いしますが、毎年一%ぐらい輸送量がふえる、こうおっしゃるのですが、そして運賃値上げが五%程度だ、こうおっしゃいましたね。一%の根拠になるというか、現在の乗降客が幾らで、まあ二万人か二万五千人、それの一%ずつというその基礎になる現在の乗降人員は何ぼですか。
  266. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 私ども、これはそれぞれの区間別の断面平均交通量というのでとらえておりまして、これは沿線のいろいろ消費支出だとかそういうものとの関連のモデル式から出してきているわけでございます。ただいま大宮開業でございます。大宮開業の場合には、輸送量は上野開業と比べましてかなり段差がございます。大宮開業になりますと、平均断面輸送量が東北で四万人ぐらい、それから上越で二万六、七千ぐらいということではないかと思います。それから一%程度ということでございまして、これはいままでの新幹線の開業事例等から見て決して過大ではないのではないかというふうに、かなり低く見積もったつもりでございます。
  267. 福岡義登

    福岡委員 私はそうならぬと思うのですが、ここで論争いたしましても水かけ論になりますからそれはさておくといたしまして、おっしゃるように二十年間で単年度黒字になると仮定をいたしましても、二十年間は毎年三千億なり四千億の資本費なり借損料を払わなければならない。これは全額が累積赤字になるかどうかは別といたしましても、相当部分が赤字になることは間違いない。申し上げましたように毎年三千億だと仮定いたしましても、二十年なら六兆円というものが残るわけであります。これはどっちみち借金をしなければならないでしょうから利子もかさむということになると思う。この間の資本費なり借損料というものは六、七兆円と大ざっぱに考えてそう見るといたしまして、これをどう処理されようとしているのか。十六兆なり十八兆の長期債務を何とか解消しても、すぐ後で六兆なり七兆が待ち受けている。けさほど小林君が言いましたように、青函トンネルは八百億ぐらいある。それから、政務次官の島に行く本四架橋の鉄道も六十二年ぐらいには開通する。そうするとこれは年間五百億ぐらいの借損料が必要である、こうなってくるのです。そうしますと、これらを入れると毎年五千億を超える累積赤字というか、資本費、借損料が必要になってくるのです。ですから、その対策を立てなければならない、こういうわけであります。  大臣、いま御出席いただいたのですが、いま質問を展開しておりますのは、東北・上越新幹線が二十年で単年度黒字になるとおっしゃる。それはそうなるといたしましても、その二十年間に毎年払わなければならぬ資本費なり借損料がある。仮に一年に三千億といたしますと二十年なら六兆になる。これは残る債務なんです。この処理はどうするのか。国鉄総裁は、あるいは運輸大臣も、東北・上越新幹線国鉄事業の中心だから責任を持って経営をしていかなければならぬし、いけるだろう、こうおっしゃるのだけれども、おっしゃるとおりにしても二十年間は赤字なんですね。そうすると、この二十年間の資本費、借損料の合計は六兆ないし七兆、利子を入れればもうちょっとになるかもしれません、これは一体どのようにして払うのですか。
  268. 高木文雄

    高木説明員 非常に大きな問題なんでございますが、多少、いま福岡委員御指摘の点でもう少し明るく見てもいいんじゃないかという点が一つ二つございます。それは、ああいう物すごい構造物を三十年とか四十年とかということで償却を、まあ経理上はそういうことは必要なんでございましょうけれども、そういう償却を見なければいかぬかどうか。非常に長い寿命のものと考えられますのを三十年、四十年ということで償却しなければならぬかどうか。これは中で経理会計の御専門の方にも学者の方にも折々相談しながら、いま勉強しておるわけでございますが、その問題が一つと、それから、それを変えませんでも借入金の利子は払わなければならないわけでございますけれども、償却は償却不足ということで損益上は出てまいりますけれども、資金繰り上は出てこないわけでございますので、償却に見合う分は金を借りなくてもよろしいということでございますから、いまおっしゃいますほどには大きくはなってこないということでございます。  率直に申しまして、それは大変大きな問題ではございますけれども、それよりも何よりも私ども心配しておりますのは、最近四、五年間に発生いたしました過去債務の問題が一つと、それから年金の問題でございまして、これはもう際限なくどんどん負担金がふえるわけでございますので、東北・上越新幹線の資本費負担といったような問題よりも、われわれの経理への負担ではさらに重圧の大きいものとしてかかってくるわけでございます。  それから、もう一つ大きいのが青函トンネルと本四架橋の負担でございまして、東北・上越の場合は、まあ非常に疑問を持つと福岡委員はおっしゃいましたが、私どもは二十年ぐらいの間には何とかいけるんじゃないかという、多少希望的観測を含めて見ておるわけでございますけれども、青函と本四架橋の場合には初めから全く採算に乗らないという状況でございますので、これをどうするかというような問題があるわけでございまして、先般の臨調の御討議の中でも、それらの問題についても研究しなければならないという御指摘はいただいております。ある部分は文言に残っておりますし、ある部分は御答申の結論には文言になっていませんけれども、いろいろ御心配をいただいております。われわれとしましては、それらの計数を詰めまして、監理委員会の御議論のときに過去債務、年金の問題とあわせて御議論をいただきたい。いますぐ政府あるいは財政側にその何らかの助成についての申し入れをしましても、なかなかお認めいただけるような環境にありませんので、まずそれらを全部並べまして、監理委員会で御専門家の間で御議論を賜りたいというふうに考えております。
  269. 福岡義登

    福岡委員 総裁は楽観的なお考えなり見通しを持っておられるようですが、そういけばそれにこしたことはない。しかし、そうはいかぬと私は思うのであります。利子だけは払わなければならぬというようにおっしゃるのですが、四兆五千億、四兆六千億の投資総額でありますが、これに三%の利子を払うとしても年間千五、六百億の利子は要るわけであります。二十年間とすると三兆円であります。その三兆円、毎年千五百億ぐらいの利子が払えるかどうか。そう考えてみますと、総裁がおっしゃるようなそう簡単なものじゃない、こう思うのであります。  きょうはこれで終わりますが、国鉄再建は、当面の問題を仮に処理したといたしましても、次から次へ新たな材料が発生してきたのでは元も子もないわけでありまして、慎重に対処されるように強く要望いたしまして終わりたいと思います。
  270. 原田憲

  271. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 大臣、お体のぐあいはいかがでございますか。  政府も与党もずいぶん人でなしだと私は思います。私の方がもし与党でございましたら、途中で血圧をおはかりになるような御心配のある大臣をこのようなところに引っ張り出して質疑をするなどというふうな非人道的なことはしないのにと、私は先ほどからそのように思っているのでございますけれども大臣がいまお出ましいただきましたので、私は時間の許す限り質問をさしていただきます。他の先生方がいろいろとお気を配っておられるようですが、事が事でございます。対決法案でございますし、私の方はきちんと反対をいたしておりますので、どこまで気配りができるかどうかわかりませんので、その点はよろしくお願いをしたいと思います。  それでは、本法案は、臨調基本答申を尊重するとその「基本方針」で述べておりますけれども、いままでの大臣並びに総裁等の答弁を伺っておりますと、監理委員会は、臨調答申にある分割、民営の方向で検討するという方向を示しながら、分割、民営が困難という特段の理由、合理的理由があれば他の方向もあり得る、こういうふうに御答弁がございましたが、そういうふうに了解してよろしゅうございますか。もう一度確認をしたいと思います。
  272. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 分割、民営を原則に監理委員会では御審議をいただきます。しかし、人間がたくさん集まった知恵ですから、それ以上の効果的な国鉄再建の方法があり得るということでありますと、特にまた事情も変わってくるのじゃなかろうか、こういうふうに感じております。
  273. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 そういたしますと、監理委員会にはその分割、民営化の可否判断をゆだねる、こういうふうになるのでしょうか。
  274. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 分割、民営化の方向でまずは検討いたします。検討した結果、特段の合理的事由があれば、それ以外の経営形態を選択することも全くあり得ないことではない、こういうことでございますので、分割、民営化というものが実施困難であるかどうかということについても、その検討の段階で監理委員会としては判断をしていく、こういうことになろうかと思います。
  275. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 それでは、監理委員会の方から分割、民営化の可否、可能か不可能か、どちらかの判断が出ますとすれば、政府は、監理委員会判断どおり従われるつもりですか。いかがです。
  276. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 監理委員会意見につきましては、内閣総理大臣はこれを尊重するということを法律上規定してございますので、監理委員会のその意見に最大限沿って政府としては措置を講じていくということになろうかと思います。
  277. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 それでは、分割、民営化をしていく一つの条件にはなると思うのですけれども、青函トンネルだとか本四橋の大型プロジェクト、こういうふうなものについて、政府の方は、続けて運営をしていかれるおつもりなのかどうか、野ざらしにされるおつもりなのか、引き続いて運営していかれるつもりなのか、ちょっとその辺聞きたいのですが。
  278. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 青函トンネルの利用方法については、目下運輸省の方が中心になりまして、その利用方法等について、外部の意見も伺いながらいま検討中ということでございます。  それで、これがどういうふうに使われるかということは、これは多角的な利用、いろいろございましょうが、いずれにしても、現在、在来線は少なくともこれを通すということは一つ前提でございましょうから、国鉄再建とかかわりが全くないということはないのだろうと思います。そういう観点から、今度の再建監理委員会法案でも、効率的な経営形態の確立というものと並びまして長期債務等の諸問題、こういうものについても十分検討して結論を出していく。その「等」の中には青函トンネルあるいは本四架橋、こういうものについての資本費負担の問題、これについても監理委員会として十分検討を加えていく、こういうことになるわけでございます。
  279. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 監理委員会じゃなくて、政府の立場としては、ほかの問題はまだ言わなくていいです。青函トンネルと本四橋です。この二つ、運営をされるのかどうか。監理委員会のことを言っているのじゃないのですよ。政府はどうするのかと言っているのです。それについて御答弁
  280. 永光洋一

    永光政府委員 現在建設中であります両プロジェクトにつきましては、鉄道の交通の施設としてさらに広範に有効な活用方法があれば、それを含めて活用いたしたい、かように考えております。
  281. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 では、政府はこれは活用していきたい、こう考えていらっしゃるわけですね。  そうしますと、先ほど監理委員会の方の結論がもし出れば、総理大臣はこれを尊重するということになっているので、監理委員会の結論については尊重していきたい、こういうことだったと思うのですが、そういたしますと、もし、もしですよ、監理委員会が、青函トンネルとか本四橋、こういうふうなものは運営しないで、もう野ざらしにした方がいいんだというふうな結論をもし仮に出されたら、政府はその方にお従いになりますか、いかがですか。
  282. 永光洋一

    永光政府委員 先のことでございますのであれでございますが、監理委員会が、もし仮にという、そういう結論を出したその過程、その他中の議論等々、いろいろ理由があると思いますので、そのあたりのプロセスも含めて、その結論をわれわれとしても十分踏まえて対応することになると思います。
  283. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 プロセスを踏まえて検討したいということですけれども、私は端的に聞いているのですよ。もし、監理委員会で野ざらしにしなさい、そういうふうな意見が出たときに、政府はどうするのかと言っているのですよ。  といいますのは、なぜこういう質問をするかといいますと、分割、民営、これを可否判断をするときにやはり物差しが要ると思うのですね。その物差しをいま政府が何もお持ちになっていないのかどうなのか、その辺も私は大変心配をしておりますので、仮に野ざらしという結論が出たときに、さっきの、尊重するということであれば尊重しなくちゃいけないわけでしょう。ところがさっき政府の方は、何か活用していきたいと言いましたね、どうですか、その辺は。
  284. 永光洋一

    永光政府委員 まあ余りそういうことを考えたことございませんのであれでございますが、分割、民営と野ざらしと同じような御議論でございますけれども、臨調の答申においても、経営形態については民営、分割をするということを一応決定しており、それを尊重して監理委員会でその方向なりでいろいろ議論がある、こういうことはわれわれも予想はするわけでございますけれども、臨調の答申においても、その当該プロジェクトについてそれをやめるというような話にはなっておりませんで、むしろ今後、そういうものの財政負担はどうするかということについて検討すべきだという御提言をいただいておるわけでありますので、われわれとしては、監理委員会においては、そういうプロジェクトについてどういうふうな適切な対応がとられるかということを考えておるわけでございます。
  285. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 それでは、たとえば分割、民営化を進めていくその前提一つとして、こうした大型プロジェクト、これは続けていくということが一つの物差しになる、こう考えてもいいわけですね。
  286. 永光洋一

    永光政府委員 まあ実際上は、そのプロジェクト自体はその地域を結ぶという一つの国家的な考え方もあるわけでございますので、それとの兼ね合いもあると思いますけれども、いずれにいたしましても、監理委員会の答申を踏まえながら、われわれとしては対応していきたいと考えております。
  287. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 そういたしますと、臨調の基本答申の中に、これらの大型プロジェクトについては、「完成時点において、分割会社の経営を圧迫しないよう国は措置する。」こういうふうになっておりますね。その「国は措置する。」とあるのは財源措置のことであろうと私は思いますが、いかがですか。それでよろしいですか。
  288. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 「国は措置する。」というのは財源措置も含んでおりますけれども、それだけではなくて、国としてこれをどのように処理といいますか、どのようにこれを使っていくなり活用していくなり、そういうことについて国はこれをどのようにしていくかについて臨調答申は述べているのだというふうに理解しております。
  289. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 活用の方法も含めて、財源措置のことも含んでいると思うのですけれども、活用の方は、先ほどおっしゃったように、青函トンネルなどは何か特別の委員会をつくっていま検討していらっしゃるようですね。では、財源措置の方ですね。これは活用方法も大事だけれども、先ほどもいろいろ総裁の方からも、青函トンネルの問題は頭が痛い、こういうふうにおっしゃっていましたが、政府としてはこの財源措置、どのように措置をするのか、考えておられますか。
  290. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 これについては、現段階では私どもとしては何とも申し上げられないわけでございまして、まさに監理委員会で、これをこれからどういうふうにしていくかという検討をする過程におきまして、必要に応じて財源措置の問題も含めて検討が行われる、こういうことになろうかと思っております。
  291. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 そうすると、その財源措置はどうするかということまで監理委員会が検討をされる、こういうふうに政府はいま思っているのですか、そういうふうになっているのですか、どっちですか。
  292. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 臨調答申におきまして、青函と本四については財源措置も含めて国として措置をしろということになっておりまして、それを受けて今度の法律案ができておる。それで、国の措置、国の施策というものに資するために監理委員会としていろいろな問題を検討していくということでございますので、この監理委員会においてそういう問題を含めて検討がなされていくというふうに理解しております。
  293. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 その辺の監理委員会の任務の問題については後でまとめてお聞きします。  それでは、先ほども大変大きな問題だということで、国鉄の共済年金のことが出ておりましたね。国鉄年金救済のための統合法案、これはつるされているようですけれども、それによります国鉄側の負担増がどういうふうになるのか。また、国鉄共済年金と厚生年金の負担の相違について、ちょっと御報告願いたいのです。
  294. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 今回の統合法案に基づきます財調案で、国鉄本体が共済組合に繰り入れます年金負担金、これは一年平均で約千五百億増加する、こういう試算になっております。
  295. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 もう一つ質問があったのです。厚生年金との違いですね。
  296. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 厚生年金とは大分仕組みが違っておりまして、負担ということで比較しますと、たとえば掛金で申し上げますと、国鉄の場合には基本給に対して七・四%という掛金でございますが、厚生年金の場合には五・三%ということになっております。ただ、厚生年金の場合には手当も含めた収入に対する比率でございますので、これは共済風に直しますと大体六・五%ぐらいではないか、このように考えております。
  297. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 いま共済年金と厚生年金の掛金の相違はお聞きしましたが、いわゆる厚生年金の企業負担と、それから国鉄の共済年金の国の負担分がありますが、それの相違をちょっと教えていただけませんか。
  298. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 現在の姿で申し上げますと、厚生年金は年金給付額に対して二〇%を国が負担しておりますが、国鉄の場合には、現在は年金額ではなくて、年間保険料、つまり基本給総額に財源率を掛けて出てくる額、それの一五・八五%を国が負担するということになっておりますが、これは現実には国鉄が肩がわりをして出しておる……。
  299. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 これは具体的な数字を挙げて比較をしていただくといいのですけれども、臨調の答申によりますと、分割、民営化をしていくについても国鉄共済年金制度は当分の間継続する、こういうふうになっていますね。統合法案をお出しになるということであれば、国鉄共済の存続ですね、これはどういう経営形態になろうとも年金はずっと続けていかれるおつもりでしょうか。いかがですか。
  300. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 今回の法案を第一段階にして、全体的な公的年金の統合を図るという検討が進められておるわけでありまして、先般、政府基本的な考え方が閣僚懇で決定をしております。そういうものに基づきまして、公的年金というものは将来恐らく統合一元化されるわけでありますから、臨調答申に基づきまして、仮に分割、民営ということになった場合も、行き着く先は結局一本になるということでありますから、その間の過ごし方の問題でありますので、現在の厚生年金と共済年金との制度の違い等を勘案いたしますと、そうなりましても、将来の一元化をにらみつつ、当面は共済制度を引き続き適用していくというのが現実的な対応ではないかというように考えております。
  301. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 共済年金を当分続けていく、こういうことだと思うのですが、そうしますと、分割、民営化いたしましたらその企業は国鉄ではなくなるわけですから、現行の厚生年金並みの企業負担程度をすることになるのではないかと思いますが、追加費用だとか国庫負担相当分を初め、厚生年金を超える負担分は一体だれが負担をすることになるのでしょうか。
  302. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 そこまで十分にまだ検討しておりませんが、大体こうなるであろうということを申し上げますと、引き続き共済制度を適用するわけでございますから、これはあくまでも仮定のお話でございますけれども、恐らく分割された会社の共済組合が連合会のようなものを形成して、そして共済法の規定に基づく掛金を払い、事業主負担をする、そういうことになろうかと思います。
  303. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 連合組織のようなものをつくって負担分を負担されるということですけれども、現行の厚生年金並みの企業負担しかなさらないわけでしょう。超えておる分は一体どうするのですか。この分は、どんな国鉄改革を進められるにしても、追加負担だとか国庫負担相当分、こういうものは一体どうするのだというようなことがはっきりしていないと、いま国鉄の共済年金の統合法案が出ておりますけれども、これは別に分割、民営を前提にしてやっておられるだけじゃなくて、いまもう国鉄の年金がパンクしそうだ、だから何とかしなければということでいま法案が出てきておると思うのですけれども、分割、民営をされた場合に普通の私企業になるわけですよ。厚生年金程度の負担になるのですよ。勤めている人は身分が変わりますよ。そうなったときに、その超える分というのは一体だれが負担するのか、それははっきりしてないのですか。そういうことはお考えになっていない、もういまのことだけしか考えていないのですか、どうなんですか。
  304. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 共済年金の問題につきましては、制度の統合の問題、これは先ほども申しましたように、いろいろな企業体とかなんとか絡んでおりますので、別の場において検討し、対策が講ぜられる。それに対して、その制度は統合いたしましても、おっしゃるように追加費用とかその他の負担そのものは国鉄経営残ります。それについてどうするかということについては、経営形態をどうしていくのか、それに関連して長期債務とかあるいは先ほどの資本費の問題とか、そういう一連の財政上の過重負担をどうしていくか、それらを総合的に監理委員会において検討して、そして適切な結論を出していく、結局は監理委員会で検討していく事項の一つに含まれてくる、こういうふうに考えております。
  305. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 そういたしますと、年金は継続させていく、しかし追加費用だとか国庫負担相当分、こうしたものについてはこれも監理委員会任せだ、いまのところは政府は何にも具体的な考え方や対策は持っていない、こういうふうに受け取らせていただいてよろしゅうございますか。
  306. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 結局、ほかの負担も含めて国鉄経営全体をどうするかということでございますので、やはり監理委員会において総合的に検討していかざるを得ない、こういうふうに考えております。
  307. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 それでは、それも含めて監理委員会の任務とこの法案関係は後でお聞きするといたしまして、もう一つの非常に大きな問題、これはどなたもおっしゃっているわけですけれども、問題の長期債務についてお聞きをしたいと思います。  総裁にお聞きしたいのですけれども、この法案で、もう膨大な国鉄長期債務の処理が解決される仕組みが保証されている、このようにお考えでしょうか。いかがですか。
  308. 高木文雄

    高木説明員 私の理解は、再建監理委員会のお取り組みいただく問題が三つあると考えております。その一つが、経営形態の問題であると思います。それから第二は、われわれのいわゆる緊急十項目と言われております自助努力についてのいわば進行状況の監視といいますか、トレースといいますか、そういうことだと思います。三番目が、長期債務、年金負担といったような、現在国鉄が持っております負担の処理の問題だと思っております。  その三つは相互に密接に絡み合った問題だ、そのいずれの解決策がうまくできなくてもなかなか物事が進行しないということであろうかと思っております。したがって、経営形態の問題の論議のときには、他の二つの問題が相絡んで論議していただけましょうし、国鉄の減量化といいますか、そういう問題も他の二つと絡んでいろいろ議論がありましょうし、年金あるいは過去債務負担の問題も、今度は経営形態問題とそれから私どもの日々の経営のあり方の問題と絡んでいくと思いますので、この三つが相互に常に絡み合いながら御論議が進んでいくのではないかということを予測をいたしておるわけでございます。
  309. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 どうも総裁の御答弁ははっきりしませんね。長期債務はこの法案で処理ができると考えているのですかと聞いているのですよ。その三つが絡み合っているとおっしゃるのはわかりますけれども長期債務は解決する保証があるのですかというふうに聞いておりますので、端的にお答え願いたいのです。
  310. 高木文雄

    高木説明員 それはばらばらには解決できないのではないかと思っております。
  311. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 それでは、臨調の基本答申によりますと、「分割会社が承継する長期債務は、分割会社があらゆる合理化手段をとることを前提として、その元金及び利息を支払い得る範囲内のものとする。」こういうふうに書いておりますけれども、仮に分割会社が発足をしたとすると、この分割会社が元利を支払い得る範囲内、こういうふうな基準政府も同じように考えていらっしゃるのでしょうか、どうでしょうか。
  312. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 その辺のところは、これはまさにこの法案を通していただきまして、監理委員会を発足させていただいて、監理委員会で十分検討して決めていく問題であろうというふうに考えております。
  313. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 ちょっと重ねて伺いますが、それでは国鉄に残された債務の財源措置の検討はだれがするのかと言えば、監理委員会がする、必ず実行が可能という財源のことまで監理委員会が検討をする、こういうことなんですか。
  314. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 財源の問題、これは大変むずかしい問題であることは事実でございます。ただ、実効性のある再建対策というものをつくろうとすれば、やはりこの財源の問題まで踏み込んで検討せざるを得ないだろう、こう考えておるわけです。ただ、財源の問題については、これは国の財政全般との関連も非常にございますので、その辺のところのことも十分勘案しながら、やはり監理委員会において必要な検討はしていかざるを得ない、こういうふうに考えております。
  315. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 そうすると、監理委員会が財源問題についてまでお考えになる。しかも、それがいまの国全体の財政問題全般を勘案してということになりますと、監理委員会がそんな国全体の財政の問題まで全部お考えになってできるような権限をお持ちなのかどうかということも含めてですが、監理委員会が財源についてされる提案、意見、これは本法律案にある監理委員会の、総理が尊重義務を負っている決定に当たるのでしょうかね。たとえば国全体の問題ということになりますと、その財源として、さらに赤字国債を発行しろだとか増税を提案されたなら、それは総理大臣が尊重義務を負っているということで、そのままずばっと賛成されるおつもりですか。その辺ですよ。監理委員会が財源まで検討するというように、さっきから全部、どの問題もそうですね。初めの大型プロジェクト、これは活用方法は、いま一つ委員会をつくって検討している。だけれども、それは財源が大事だから財源はどうするかと言うと、これも監理委員会が検討する、こう言った。それから共済年金も、追加負担分だとか超えている分についてはどうするんだと言えば、いま考えを持っているかと言えば、これも監理委員会に検討してもらうんだ。いま高木総裁は、三つが絡まぬとうまいこといかぬとおっしゃっているけれども、このいわゆる一番大きな問題になっている長期債務、これは分割、民営の形をするしないはともかくとして、この長期債務をどうするかというのは、この監理委員会を置く置かぬの問題じゃなくて、解決をしなければならない政府も重大な責任を負っている問題なんだけれども、それすらも監理委員会で検討してもらうんだ。しかも、その監理委員会は国全体の財政の問題も考えてもらわなければいかぬ。こういうふうな権限までこの監理委員会が持っているのかどうかということも含めて、私がいま言った、総理が尊重義務を負っている決定に当たるのかどうか、その辺をはっきりと御答弁を願いたいと思います。
  316. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 この財源の問題は、これは非常にむずかしい大変な問題だと思いますが、先ほど申しましたように、実効性のある計画をこの監理委員会はつくらなければならぬわけでございますので、結局は財源問題まで立ち入らざるを得ないだろう、こう考えておるわけでございます。  結局、この法律にはじゃそんな権限が果たしてあるのかということでございますけれども国鉄再建に関しまして、長期債務の処理というふうな問題については、これは国として必要な施策を講じなさいということが第二条に書いてある。その円滑な実施に資するために監理委員会を置きまして、やはり長期債務の問題について監理委員会で十分検討するということがその所掌事務として書いてあるわけでございまして、したがって、長期債務の問題の処理というものの一つの内容といたしまして財源の問題も含まれる、こう考えておるわけでございます。ただ、監理委員会が勝手に何か決めてもしようがないじゃないかということは、これはもうおっしゃるとおりでございまして、この法律におきましても、第十二条におきまして関係行政機関に対して資料提出あるいは意見開陳というふうなことを求める権限もございますし、結局は関係する所管省庁と十分密接に連携をとりながらその辺の検討を進めていくということになろうかと思います。
  317. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 全然答えになっていませんよ。財源についての提案、意見は、本法律案による監理委員会の、総理が尊重義務を負っている決定に当たるのかと言って聞いているのですよ。法律の話をしているのですから、いま政府が何となく漠然と希望を持っていらっしゃるようなことを私は聞いているわけではありません。その尊重義務を負っている決定に当たるのかどうかということを、当たらないのだったら当たらないとか、当たるのだったら当たるとか、はっきり言っていただきたいのです。当たるのだったら法律的に考えてどういうふうにして当たっているのか、その辺をきっちり言っていただきたいのです。
  318. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 御質問に対して一部答弁が漏れましたけれども、第五条で企画、審議、決定するということが書いてありまして、その決定の中身として一号、二号というのがございまして、第二号の方で長期債務の問題が書いてあるわけでございます。したがって、長期債務の問題については、これを監理委員会が企画、審議、決定する。その長期債務の問題を検討する中には財源の問題も含まれてくる、こういうことでございます。
  319. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 再度質問します。  では、その財源として先ほど言ったような赤字国債、増税、こういうものを提案されたら政府はそのとおり従われますか。
  320. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 その辺は先ほども申しましたように、この法律におきましても関係行政機関の意見開陳というふうなものを求めることになっております。そういう規定もございますし、関係行政機関とその辺は十分密接に連携をとりながら必要な検討を進めていくということになろうかと思います。
  321. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 関係省庁と連絡をとりながら十分意見の調整を図っていきたいということになれば、監理委員会意見には従わないということもあり得る、こういうふうに判断できますか。いかがです。
  322. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 それは別のことでございまして、監理委員会関係行政機関と密接に連携をとりながら結論を取りまとめていくということでありまして、その取りまとめた結論は総理大臣意見として申し述べる、総理大臣はそれを尊重していく、こういう関係になるわけでございます。
  323. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 それじゃ大臣にお聞きしますが、これはきわめて政治的な問題です。最後に決定されるのは政府が決定されるわけですからね。こういうふうな財源に至る問題まで監理委員会が提案をされる。私が言いましたように赤字国債だとか増税を提案されたら、政府としてはそれに一体どういうふうに従われるつもりなのか。仮定の問題のようですけれども、現実にあり得ることですから大臣の御答弁を願いたいと思います。
  324. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 だんだん御議論のあるように、国鉄再建というのはとても並み大抵なことじゃないわけです。ですから再建委員会をつくり、そしてまた総理大臣がその長になり、各役所十五省庁が閣僚会議を開いて共同責任をとってやるということですから、いま巷間伝えられるような、いろいろな問題ですぐに国民に直接御迷惑をかけるというふうなことのないように、内部でしっかりと調整していくことが必要だろう、私はこう思っております。
  325. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 そういたしますと、繰り返すようになりますが、大型プロジェクトの財源措置にしても、年金、これも適切な配慮というふうに臨調の答申には書いてあります。長期債務の財源措置、こういうふうなものが分割、民営会社にはなるべく経営に負担をかけないようにというのが臨調答申に書いてありますでしょう。だから、こういうものはきちんと政府の方で財源措置ができる、こういうふうな具体的な保証がない限り、いわば分割、民営化の実現性の条件は存在しないというふうに私は思うのですけれども、そういう点はいかがなんですか。こういう点がはっきりしないことには、幾ら監理委員会が結論をお出しになって従うといいましても、この三つの点は、臨調の分割、民営にかかわりなく国鉄再建のために不可欠の条件であるということもさっき言いましたけれども、仮に分割、民営をするにしても、この三つのことがきちんといま政府の方でこういう具体的な案を持っている、そういうことが示されなかったら分割、民営の物差しにも何にもならないじゃありませんか。これは全くフリーハンドで監理委員会に全部任せちゃう、それを聞いて、その上でまた検討しそうな話でしょう、よく聞いてみたら。尊重するように言っているけれども、どうもその上でまた検討しそうな話ですから、この辺は非常にはっきりしないわけです。だから、本当に政府が分割、民営をするかしないかの前提条件として、この三つの問題の財源措置は、いまのこんな法律案を出してくる時点でこういうふうにするんですという解決策、具体策を示さないで、全部監理委員会に任せるんですよ、そういうふうなきわめて無責任な法案の出し方というのは、国民が見ても非常にわかりにくいんですよ。何か監理委員会ができたら何もかもうまいこといきそうに幻想を振りまいているのですよ、皆さん方の答弁を聞いていると。だけれども一つ一つ聞いていくと全部監理委員会任せだ。政府はその結果を聞いてからこうします、いまの国鉄はそんなことを言っている場合じゃないのでしょう。なのに具体的に何も示さないというのはどういうことなんですか。その辺をはっきりしてください。これほど臨調からも言われており、これほど国民が赤字問題というのは非常に大きなものだと考えている。それから年金問題は、皆さん方よく労使の問題とおっしゃるけれども、働いている人から見れば年金がどうなるかわからぬなどという、そんな頼りないことで働けという方が無理なんですよ、はっきり言いますと。そういうふうなことも含めて、具体案も政府考え方もはっきり示さないでこんな法律を出してくるなんて無責任じゃありませんか。一体財源等についてはどうするんですか。はっきりおっしゃっていただきたい、いまこういうふうに考えていますと言っていただきたいと思うのです。
  326. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 いまの国鉄経営の現状から見まして、国鉄経営内容全般にわたりまして抜本的な検討を加える必要があるのだろうと思っております。そういう前提に立って考えました場合に、いま三つということで御指摘ありましたけれども、そういう財政上の諸問題のほかに、いわゆる経営の自主性とかあるいは営業の自由度とかいうふうな経営形態にも絡む諸問題、その他いろいろな問題があろうかと思います。そういう相互に絡み合っている問題を総合的に検討して解決を図っていかなければ、部分的な解決はなかなかむずかしいのだろう、こういうことでいわゆる経営形態の問題も含めて全般的な検討を本格的にやろうということでこの法案を提案しているわけでございますので、その中において総合的な検討がなされていく、こういうことだというふうに考えております。
  327. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 いままたそういうふうな御答弁がありましたけれども、私が言っているのはそういうことじゃなくて、仮に監理委員会にいろいろ検討してもらうにしても、いまの国鉄の赤字、長期債務、こういうふうなものは、これはいろいろの責任論があるようですけれども、やはりこういうふうな事態に持ってきたのは政府並びに国鉄の責任、これは重大と言わなければなりませんので、そういうふうな赤字を出した、法案の中でこのようなことを監理委員会に検討していただく、それはいいでしょう。しかしその前に、監理委員会設置前の問題として、財源措置をどうするのかというはっきりとした見通し、こうしたいのですというふうなことを、国民に、いま法案を審査するこの段階で、いや国民だけじゃない、いまここにおられる同僚議員の先生だってこの財源をどうするんだとおっしゃっているけれども、皆さんはおかしな返答ばかりする、監理委員会にしてもらうのだ。政府は一体どうするんだ、そういうふうな根本的なことを何も示さないで法案審議審議といったってそれはだめなんですよ。具体策を示していただきたいと思いますが、いかがですか。
  328. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 結局長期債務にしてもあるいは人件費の面での超過負担の問題にしてもあるいはその他の資本費の問題にしても、こういう問題については、具体的にじゃどの範囲のものをどういう方法でどういうふうに処理するか、また、必要があればその財源措置はどうなんだというふうなことについては、これはそれ単独ではなかなか決められないわけでございまして、やはり経営全体がどういうふうになっていくかという、その総合的な経営全体の中で解決を図っていくということが必要なわけでございます。そういう意味で、決して私どもはそれをサボっているとかなんとかということではございませんで、やはり監理委員会をつくって、その中で全体的に解決するのが一番適切である、こういうふうに考えておるわけでございます。
  329. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 まだ疑問は残りますが、ちょっと先に進みまして、また後でまとめてお伺いします。  仮に、いまの大型プロジェクト、年金、長期債務が解決をしたとしても、国民にとって本当に気になることは一体どうなのかということがもう一つ残っているわけですが、ちょっと国鉄に伺いたいのですけれども、現在でも、北海道、東北、四国、九州は黒字の路線は一線もありませんね。そういたしますと、たとえば北海道を例にとりましてちょっと計算をしていただきたいのですけれども、臨調答申にある緊急措置を実行した、それから分割、民営の移行までに措置すべき事項も処置した、これも仮定ですけれども、こういうふうにする。そして、いわば現在の民鉄経営の姿に北海道線区を考えた場合に、こんなことは実際にやってもらっては困りますが、地方交通線、これは一応赤字だと言っておられますから、これは計算から除きます。それから特定人件費、これも大変赤字の原因になっておりますから、これも除く。それから資本費、こういうふうなものも除いていただく。そして、貨物もまだ全廃はしておられませんけれども貨物も赤字の要因になっておりますからこれも全廃と仮定する。そういうふうにして五十六年度の決算で幹線系五線、これは残ると思うのですけれども、その場合に収支状況は一体どのようになるでしょうか、お答え願いたいのです。
  330. 繩田國武

    ○繩田説明員 いま御質問の五十六年度の決算でいたしますと、幹線五線で収入が七百九十一億でございます。経費が二千三百四十二億円。千五百五十一億の損でございます。いまお話しのございます資本費と特定人件費を合計いたしますと六百十二億でございます。これを除きますと損益は九百三十九億の赤という結果でございますが、いまお話しのように貨物の固有経費は、大変申しわけございませんが、貨物の収入は二百五十六億とわかっておるのでございますが、私ども貨物の個別経費は全体として整理はいたしておりますが、線区別には整理しておりませんので、いま申し上げました数字は貨物要素は除いてございます。したがいまして営業係数は、除きますと二一九ということに相なります。
  331. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 いまお答えいただきましたように、収入が七百九十一億、経費が二千三百四十二億、損益が千五百五十一億の赤字、資本費六百十二億、営業係数が二一九、こういうことになりますと、臨調答申で出しておられるいわゆる赤字の要因をすべて除きましても、北海道で、いわゆる幹線五線、五十六年度ですけれども、これだけで計算をしていただいても営業係数が二一九ということになりますと、収入に対して経費の方が二・一九倍ということで、これは、北海道では臨調答申やいろいろと御努力をなさったとしても、幹線でもこのように赤字経営になる。こういうふうなことになりますと、北海道でいま計算をしていただきましたが、東北にしろ、四国にしろ、九州にしろ、大体同じようなことになるのではないかと思うのです。そういうふうに赤字になるとわかっておるということになりますと、分割、民営をされた場合に、これは分割、民営の会社の経営が成り立つかどうかというのが一つあると思うのですよね。と申しますのは、東急の五島社長もたしか新聞紙上でそういうお話があったと思います。たとえば、北海道なら北海道のある地域で、ホテルをつくったりあるいは観光地のようなものを融資してやれば黒字になるところはあるけれども、そのかわり要らぬところは全部切らぬとだめだとか、それからそういう会社にお金を出そうと思えば、借金だとかそういうものは全部身ぎれいにしておってもらわなければお金は出せない、こういうお話もございますので、分割、民営会社の経営が成り立つかどうかというのは一つ大きな問題です。  そうしますと、分割、民営会社の経営が成り立つかどうかということになりますと、ある特別の観光地だとか中小の都市で、そこは比較的黒字になる、こういうふうなところだけを分割会社がおとりになって、あとのところは、もうからぬところは捨てて、えり好みをされる、こういうふうなことになりますと、地域としては鉄道網が守られないということになりますので、分割、民営会社の経営が成り立つかどうかということの中に、もう一つ、すべての路線を分割、民営会社が引き受けられるのかどうか、こういう問題があると思います。  もう一つは、これは最大の問題になりますが、そういうふうなところで分割、民営会社の経営が成り立つということのために、できるだけ合理化を図るというふうに臨調答申は言っておりますけれども、その場合に労働者の雇用が守れるのかどうか。労働者の生首を切るというふうなことがあるのかないのか。この辺は分割、民営の問題について、先ほどの財源の問題もあわせて、これは地域住民の人が、もし分割、民営になったら一体われわれの地域はどうなるのだろう、本当にちゃんと路線が守られて、われわれの交通の足が守られるのかどうか、そういうふうなことで非常に関心を寄せられる問題ではないかと思うのです。  だから、この三つの問題について、分割、民営会社の経営が成り立つようなのが物差しなのか、それから全部の路線がその上で守られるようになるのが分割、民営会社の物差しになるのか、労働者の雇用は守られるのかどうか、この辺についてお聞きをしたいと思います。
  332. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 分割、民営の具体的なおっしゃるような物差し、基準というふうなことについては、いまこの段階で私どもとしてこれであるというふうなことを明確に申し上げるのは非常にむずかしいことだと思います。  一つは、おっしゃるように、分割会社というのは、仮に分割会社をつくるならば、それはある程度採算というものは考えなければいかぬと思いますが、ただその場合に、その採算というのは、それじゃ現在の国鉄経営というものを前提として収支を考えていくのか。それではちょっと問題があるのではなかろうか。場合によったらほかの経営形態にすることによって、いろいろな経営の自主性とか、先ほど申し上げました営業の自由だとかいうのが生まれてくるわけですから、そういうふうな諸問題の要素というものをどう考えていくかというふうなこともいろいろございましょうし、いろいろな諸条件のもとでその会社が成り立つかどうか。さらには、臨調答申は民営とは言っておりませんで、民営化と言っておるわけでありまして、直ちに民営会社にするとは必ずしも言っていない。いろいろな公的な関与というものもあり得るでしょうし、公的な助成というものも仕組みとしては場合によったら考える必要も出てくるでしょう。そういうふうな諸条件というものをいろいろ総合的に考えて会社が成り立つかどうか、採算というのもそういう面から見る必要があろうかと思います。  それから二つ目と申しますか、それじゃすべての路線を守るのかどうかというふうな点でございますけれども、これについては、私どもとしては前々から申し上げておりますように、国鉄というものの、鉄道の特性ある分野における国鉄というものの役割り、公共的な使命というものは十分認識した上で考えておるわけでございまして、当然監理委員会においてもそういうベースで物事は考えられるだろう、こういうふうに考えております。  それから労働者の雇用の問題、この辺のところは、これも監理委員会で十分検討される問題だと思いますが、当然企業体である以上、労使関係というもの、これも重要な要素でございますので、そういう点を考慮しながら検討が進められていくであろう、こういうふうに考えております。
  333. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 いまの御答弁を聞いておりますと、分割した会社、新しい経営体、これの経営が成り立つということは確かに保証されるような考えをお持ちのようですけれども、一番国民の皆さん方が心配をしておられる、地域鉄道網が守られるかどうかということは監理委員会に聞いてみないとわからないとか、労働者の雇用の問題も、労使の関係がいろいろあるからということで、雇用は完全に守るとか、生首は切りませんというふうなはっきりとした御答弁が出ないのがきわめて問題だと私は思うのですけれども、その辺はいかがですか。もう一度お答え願いたいと思います。
  334. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 先ほどの先生の御指摘の三つのケースについて、私は第一番目とそのあとの二つとを軽重をつけたつもりではございませんで、それらいずれの場合におきましてもいろいろな条件というものを考えていかなければなりませんので、監理委員会が発足いたしましたら、監理委員会において十分慎重なかつ良識ある御検討がなされるであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
  335. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 監理委員会はそういうふうに検討される。では、政府の方は同じように考えておられる、こういうふうに解釈していいですか。監理委員会というのはまだ生まれていませんから、監理委員会がどうされるかなんということはいまから林さんが想像して言われたってわかりませんでしょう。だけれどもいま運輸省はちゃんといらっしゃるわけですから、いまの問題を政府としてはどのようにお考えですか。
  336. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 いまの政府の立場として、具体的な基準について明確なお答えを申し上げるのははなはだむずかしいことだと思います。やはり先ほど申しましたように、この法律はまさにそういう問題を総合的に解決するために、この仕組みをつくりたいということで御提案申し上げておるわけでございますので、監理委員会の場において十分な御検討をいただくというのが私どものいまの立場でございます。
  337. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 それではちょっと角度を変えましてお聞きしたいと思います。  先ほども私が質問の一番初めに、大臣に今度の法案の性格についてお聞きをいたしましたが、前回委員会のときにも大臣は臨調の基本答申を最大限に尊重する、こういうふうにおっしゃりながら、効率化、活性化、そして国鉄再建の意欲等が進み、分割、民営化でなくても、それ以上の効果が生まれるなら別の考えもありはせぬかと考えていると御答弁されたと思います。  それでは大臣がお考えになっています分割、民営化よりも国鉄経営を活性化、効率化する手だてというのはどんなものなんでしょうね。前回の二十五日のわが党の辻議員の質問に対しましても、大臣が「何とかひとつ合理的な形において国鉄をどうしてか効率的に伸ばしていこう、残していこう、こういう考えも私たちは持っております」、こういうふうにお考えになっておりますので、その辺何か効率化する手だてというふうなものをお持ちなのだろうと思うのですが、どんなものでしょうか、お聞きしたいのです。
  338. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 国鉄が破産するのをだれも望んでいないと思うのです。私も所管大臣になりまして、あしたから国鉄のレールが全部外されるような雰囲気があったら大変だ。そして問題は、いまの時代に、需要も少ないかもしらぬが、それを先取りしながら一生懸命働いてお得意さんをとって経営の合理化をやる、こういうふうな雰囲気があったときに初めて分割もないだろうし、ある場合には、長期債務問題等々があっても、あんなふうにみんな一生懸命やっているじゃないか、こういう気持ちもわくのじゃなかろうか。たくさん組合がありますけれども、いまの国鉄はいろいろなマイナス面もあるでしょう。しかし、新聞の上で、マスコミの上でたたかれているところの国鉄労働組合というのを私は気の毒だと思うのです、まじめな諸君もいますから。ですから、いたずらなる紛争、いたずらなる問題を起こさないで、大事なときに自分たちの雇用を守って、しかも大事な経済動脈を本当にやっていくんだという姿をぜひ出してもらえば、あなたのように守る人、またほかの方々も国鉄を何とかしてみたいという気持ちが油然とわくのじゃなかろうかと私は思う。こういうことで、五人の監理委員会の諸君によくその辺の事情を、感情的なデータじゃなくして、説明して考えてもらいたい、私はこう思っております。
  339. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 大臣の御答弁、どうも私の質問に答えていらっしゃらないと思うのですが、それではちょっと先に進めましてもう一度確かめさせていただきますけれども、臨調の答申は、国鉄の改革は「単なる現行公社制度の手直しとか、個別の合理化計画では実現できない。」こういうふうにはっきりときめっけていますね。それからさらに、「経営形態の変更」のところでは「国鉄事業を分割し、各分割体を、基本的には民営化する。」そして「分割は、地域分割」をする、こういうふうに臨調答申は明記をしています。  そして、政府はこの臨調の基本答申を最大限に尊重する、こういうふうな方針を決めていらっしゃると思うのですね。本法案でも臨調答申を尊重して国鉄の効率的な経営形態を確立すると条文に明記しておられますね。この法案を見ますと、「基本方針」の第一条に、「国は、日本国有鉄道経営の現状にかんがみ、」「臨時行政調査会の答申を尊重して日本国有鉄道経営する事業の適切かつ健全な運営を実現するための体制を整備することにより、」と、こういうふうにちゃんと法律にも明記をしていますけれども政府のこれまでの御答弁では、分割、民営は絶対なものではない、こういうふうにおっしゃっているわけでしょう。答申は尊重する、こういうふうにおっしゃっているけれども、何か特段の理由だとか合理的な理由があればというふうなのがつきますので、分割、民営化は絶対なものでない、このようにおっしゃっておりますし、高木国鉄総裁前回委員会では分割には賛成できかねるというふうな御答弁もあったと思うのですが、私はこれをとがめているわけではないのです。それ自体悪いことだ、こういうふうには思っていないのです。だから、分割、民営化などははっきりと政府の方も否定をされたらいいのじゃないですか。この間からの答弁を聞いておりますと、その方向でその方向でとおっしゃるけれども、何かいい方法はないか何かいい方法はないか、そればかりが耳につく答弁が返ってくるわけです。だけれども大臣はやはり答弁に責任を持っていただかなければなりませんので、もし分割、民営化以上の効率化、活性化する手だてがあるなら、どういうふうなことを本当にお考えになっているのか。ほかの可能性もあるのじゃないか、こういうふうなことをおっしゃっておりますので、そこまでおっしゃるのでしたら、そのより以上の方法とは何か、その基本点だけでもおっしゃっていただきたいと思うのです。長谷川運輸大臣の前任の小坂運輸大臣国鉄の機能分割案というふうなものをお出しになりました。これは私案ですね。この内容の是非は現大臣でありませんからもう論外ですけれども長谷川大臣がいま頭の中に想定しておられる、臨調答申の分割、民営化より以上のものとは何を考えていらっしゃるのか。全くアウトラインもないのに、より以上のものもあり得るというふうなことを願望だけでおっしゃっていただいているのか、答弁をされているのか。根拠のある発言だという証拠は何かあるのでしょうか。私たちは分割、民営に反対でございますから、遠慮なしに大臣が思っていらっしゃること、こんな形があるのですよ、私はこんなことを考えているのですという具体的なお考えがあればぜひ示していただきたいのです。
  340. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 気の強い先生からほめられて恐縮ですけれども、今日の国鉄の運営形態というものはどこから見ても、世論的にも専門家が見てもそれは分割、民営、それを最大に、現に答申を受けてそして今度の委員会に上げていく、しかもその間に何かまた別な、人間の社会ですから別な方法があればそういうことも考えられるというところが本心です。それ以外にいまの国鉄に対する処方せん、そしてまたこれだけの長期債務、いろいろな問題等々に御加勢願う、そういう気持ちの余裕はないわけであります。
  341. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 そういたしますと、大臣を先頭にして運輸省国鉄も願望だけでそういう御答弁をなさっている、こういうふうに解釈をさせていただきますが、よろしゅうございますか。
  342. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 若干いまの点補足をさせていただきたいと思うのです。  先ほど先生おっしゃったように、臨調答申は明確に分割、民営化ということを提言しております。それを尊重して体制整備を図るということでございますので、監理委員会としてはまずは分割、民営化の方向で検討を進めていくということはもう間違いない事実でございます。ただしかし、この臨調答申というのはまだ基本的な考え方を示している段階でございまして、ではその分割、民営化の具体的な内容はどうなんだということについては何ら示しておりません。それからさらに、それが果たして実行可能なものであるかどうかということについての検証もなされていないというのが臨調答申の段階でございます。したがって、これを政府として実施に移していくためには、やはり監理委員会における検討はその辺の実施可能性も含めた具体的な検討が必要なわけでございまして、それはこれから検討をなされる段階になるわけでございます。  したがいまして、いまの段階で分割、民営化ということを政府として明確に決めるわけにはまいりませんので、その方向で検討はするということしか決められない。したがって、これから検討するものである以上は、その検討していく段階において場合によってそれは不可能である、非常にむずかしいというデッドロックに乗り上げることがないとは言えないわけでございます。したがって、その法律の仕組みとしましては、そういうふうなデッドロックに乗り上げた場合には別の経営形態を選択する余地もあり得る、そういう余地も否定されるものではない、こういう仕組みにこの法律はしてある、なっておる、これはこれから検討するものである以上、当然論理的にそういう仕組みにならざるを得ない、こういうことでございます。
  343. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 そういたしますと、確かにどんなものでも検討してみたが実行が不可能、それはまあそういうことはあるでしょう。しかし国鉄の分割、民営化が実行不可能、こういうふうに監理委員会判断をされた場合にはその後をどうするのか、次はこれこれの基本方針で進めるというふうな規定が本法案のどこかにありますでしょうか、いかがですか。
  344. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 それはこの監理委員会で「効率的な経営形態の確立」ということについて検討する過程で生ずる問題でございますから、それは実施不可能なことになるかもしれないしあるいはならないかもしれないということで、なった場合には同じ「効率的な経営形態の確立」というものについての次の検討をやっていくということでございまして、おっしゃるようなそういうフォローアップというふうなことについての規定は特に必要ないわけでございます。
  345. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 そういうふうにいたしますと、本法案国鉄の改革に当たって白紙の状態から絵をかくというふうにはなっていないと私は思うのですよ。臨調の基本答申は、一言で言うならば、それは大臣運輸省の皆さん方が好むと好まざるにかかわらず国鉄を分割、民営化するということなんですよ。これを尊重して国鉄の新体制を確立する、こういうふうに臨調の基本答申も明記しているし、そして法案の方も第一条、先ほど読みましたように、臨調の基本答申を尊重して「日本国有鉄道経営する事業の適切かつ健全な運営を実現するための体制を整備する」、そしてそれを受けて第二条、「国は、前条に規定する体制整備を図るため、次に掲げる事項に関し必要な施策を講ずるものとする。」こういうふうに明記しているのですけれども、ここまでのところで「効率的な経営形態の確立」に関して、分割、民営以外の方策が検討対象になってくる余地がこの法案の中にあるのかどうかということなんですよ。本法案の条文に、分割、民営化が実行不可能であるという場合を想定したその後の措置がどこかに規定されているのでしょうか。すなわち、本法案は、分割、民営化が円滑に実行されるか、それとも実行不可能という結論が出されると国鉄改革は中止ということになるか、そのいずれか。不可能とわかったら「基本方針」を改正するのかどうか、この辺なんですよ。  先ほどから基本答申は尊重するというふうに皆さんおっしゃるけれども、この法律をきちんと読めば、尊重してどうこうすると書いてあるのです。主語をどこに持ってくるかの問題ですよ、本当に。「答申を尊重して」、第一条です。で、第二条は、尊重して体制を整備する、それを図るために次項に関してですから、あくまでも臨調の基本答申、これの分割、民営、こういうふうなものがもしできないということであれば、その方針を変えるということはどこかできちんと出さなければならないことになると思うのですよ。そうすると、「基本方針」を改正するのかどうか、その辺は政府の統一した見解をお示しいただきたい。この間からも皆さん方の御答弁は、とにかく基本答申は尊重する尊重すると言いながらそうじゃないようなことをおっしゃっておりますが、そういうことは本法案にはどこにも書かれていないと思うのですよ。だからそういうふうなことじゃなくて、法律の解釈として政府の統一見解というのをはっきり示していただきたい、このように思います。
  346. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 条文について、おっしゃるように臨調答申を尊重してということでございますので、臨調答申に提言しております分割、民営化の方向、この方向でまずは検討を始めるということは、先ほども申しましたとおり、これは間違いないことでございます。したがって、監理委員会は白紙で経営形態の議論を始めるのではなくて、まずは分割、民営化の方向についての検討を始めるということになるわけでございます。  ただ、先ほどから申し上げておりますのは、この法律の仕組みでございまして、すなわち、分割、民営というものをいま実施する法律じゃございませんで、分割、民営化について検討をこれからしていく法律でございます。いわば検討の仕組みを定めた法律でございます。したがって、そういう仕組みを定めた法律である以上、検討した結果、違う結論を出さざるを得ない場合もあり得るわけでございますので、そういう場合には別の選択をしても、これは答申を尊重してやっていくという本来の趣旨に外れるものではない、こういう解釈であるということを申し上げておるわけでございまして、あくまで理屈の上でこの法律はそういう仕組みになっておるということを申し上げているわけでございます。
  347. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 そういたしますと、臨調答申以外の方策による国鉄の新体制を検討してみて、分割、民営化ができないというふうなことを監理委員会が結論をお出しになった、そうしたときに国鉄の新体制を監理委員会が企画し、審議し、決定すること、臨調答申以外の方策による新体制を決定することができるのでしょうか。できるとすれば、法律上の根拠は一体何なんでしょうね。その監理委員会は分割、民営化可能の結論を出すか、それとも特段の合理的な理由がある場合はその実行が不可能という結論を出すだけか、このどっちか二つですよ。可能だという結論か不可能ですという結論を出す、本法案によって与えられている責務と権限はこの二つのうち一つだ。どちらかの結論を出す、それ以外はないと思うのですよ、臨調の基本答申を尊重するということになれば。臨調の基本答申で言う分割、民営化以外の方策が出るということになると、一体この法律のどこにそれが書いてあるのか。それはこの法律でできるなどというふうなことにはならないと私は思いますよ。そういうふうな解釈は一体どこに存在しているのですか。これをちょっとはっきりしていただきたいと思います。
  348. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 この法律上、分割、民営以外の可能性というものも先ほど申し上げたとおりあるわけでございますけれども、それはどこで読むのかというのは、この「所掌事務」にきちっと書いてありますように、「効率的な経営形態の確立」という表現でございます。これは特定の民営とかあるいは公団とか公社とか、そういう特定の経営形態を指しておるのではなくて、組織形態として活性化された効率性の高い、そういう組織形態というものを効率的な経営形態、こういうふうに私どもは解釈しておるわけでございまして、したがって、この「所掌事務」の中に、そういう仮に分割、民営によりがたい場合にはそういうものを選択する余地もあり得るということは、これは仮にそういう選択をしたとしても、それは所掌上十分に読めるということでございます。  それから、臨調答申を尊重するということは、先ほど申しましたように、特段の合理的事由がなければその方向で対処をするということでございますので、特段の合理的事由があってどうしてもだめだという場合には、それ以外の選択をせざるを得ない場合も当然含まれておるわけでございまして、それを含めて、特段の合理的事由があったから、別の選択をしたから、したがってそれは尊重しなかったということにはならないわけでございます。私どもは解釈上そういうふうに考えております。
  349. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 効率的な経営形態の上には臨調の基本答申を尊重するというのがつくのですよ。これを切り離して効率的な経営形態なんて考えているのと違いますか。政府が、またこの法案が尊重するとしているいわゆる臨調答申ですね、その臨調答申は、効率的な経営形態なら何でもいい、そんなふうには言ってないでしょう。その一つが分割、民営化だなどと言っているわけじゃないのですよ。あなた方が尊重すると言っておられる臨調の基本答申は、効率的な経営形態は分割、民営だ、これしかないんだというふうに言っているのですよ。あなた勝手に解釈しているんじゃないですか。いまのは本当におかしいと思いますよ。この臨調の基本答申以外に政府が尊重すべき内容がどこかに書いてありますか。あるなら原文を読んでいただきたいのです。どうです。どこに書いてあります。原文を読んでくださいよ。あなたの言葉だけじゃだめよ。原文を読んでいただきたいのですよ、それは。
  350. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 ちょっと御説明をさせていただきたいのですけれども、先ほど私申し上げたその前後関係が前後になりましたけれども、臨調答申を尊重して効率的な経営形態についての検討を行う。答申を尊重してというのは、その本来の、たとえばいまの臨調答申の分割、民営化、こういうことと異なる結論を出すことも特段の合理的事由があればあり得る。したがって、答申の尊重ということはそういうことでございますから、分割、民営しかないということでは必ずしもない。  次に、それじゃそういう結論を監理委員会が出すことについて、所掌上どこに書いてあるんだということについては、ただいま申し上げましたように、「効率的な経営形態」というのはそういうものも含めて幅広い表現である、こういうことを申し上げたわけでございます。
  351. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 それは、幅広いものだなどとおっしゃるのは勝手に解釈しているんじゃないですか。まず初めに、臨調の基本答申は公社制度を諸悪の根源として全面的に否定していますよ。臨調の基本答申はお持ちでしょうね、審議官。まず全面的に否定していますでしょう。それから国鉄は分割、民営化しかあり得ないと断定していますね。そして、その移行までの間に緊急にとるべき措置や、分割、民営化のやり方、分割、民営化する際に解決すべき諸問題はこれこれだ、最後に分割、民営化の推進体制手順を打ち出している、これが臨調の基本答申のすべてですね。このすべてを政府、また皆さん方はこの法律案の中ではこれを尊重する、こういうふうにおっしゃっているのでしょう。これ以外に、私が言ったのは、尊重すべき内容というのはどこかに書いてあるものがあるのかということ。あなたがおっしゃるような効率的な経営形態なら何でもよろしいというふうなことが、あなた方が尊重するとおっしゃっている臨調の基本答申の中にどこかに書いてありますか。あればそれを読んでください。
  352. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 私はさっきからそういうことを申し上げておるのではございませんで、確かにおっしゃるように臨調答申は明確に分割、民営化を提言しております。それ以外のことは提言しておりません。しかし、それを尊重してやるということについての意味合いを先ほどから私は申し上げておるわけでございまして、臨調答申を尊重する、尊重して検討するわけでございますから、先ほど申し上げましたように、分割、民営化の方向で検討するわけでございます。白紙で検討すると言っているわけではございませんで、分割、民営化の方向で検討する。しかし、検討するけれども、これから検討するものである以上は、それができないような場合もこれはあり得るわけでございますから、そういう不可能な場合には、やはり対処できないんじゃ困るわけで、不可能な場合にも対処できるようにこの法律はつくってある、こういうことを申し上げておるわけであります。
  353. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 先ほどからの審議官の御答弁は私の質問にきっちりと答えていないんですよ。私が先ほど申しました、臨調の基本答申を政府が尊重するとおっしゃっているんだけれども、どうも政府の方はそれ以外にも尊重するものがあるように聞こえてしようがないんですね。私が言っているのは、政府が尊重すべき内容が臨調の基本答申以外のどこかにあるんだったら、それを示してくれ、こう言っているのですが、一向に審議官の方もどなたもお示しいただきませんのですけれども委員長、ちょっとこの辺はっきりと示していただけるかどうか、委員長の方からこれははっきりさせていただきたいのですよ。こういうふうなことは、この間からの同僚議員の御質問等を聞いておりましても、全部あなた方はそこで逃げてしまうわけですよ。臨調の基本答申を尊重する尊重すると言いながら、本当は何も尊重しようともしていない、こういうふうにしか聞こえないような答弁をされているのです。法律というものは文章に書いてある以外のことは出てきませんからね。ですから、私はその辺は一体どこにあるのかはっきりしていただかないとこんなのは審議できませんよ。いかがです。
  354. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 それはただいま申し上げましたように、臨調答申は確かに分割、民営化ということだけを提言しておりまして、それ以外の提言はしていません。そのことは先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。だからあとは臨調答申を尊重するという、その尊重するという言葉の意味でございます。
  355. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 まるで日本語の解釈をお聞きしているような気がしておかしいのですけれどもね。それじゃもうはっきりこうおっしゃったらいかがなんですか。私はこの間からの答弁を聞いておりまして、結局法律案をそのままずばっといきますと、分割、民営化以外は条文上も何もこれは想定していないのですよ。もうどなたが読んだって、臨調の基本方針、ここに書いてある臨調の基本答申を尊重して経営形態をどうするということを書いてあるのが法律ですからね。条文上何も想定していないのです。ところが一連の御答弁は、現内閣の考え方とか立場ですね、臨調答申、分割、民営化は最善のもの、絶対なものでないということを表明していらっしゃるのです、これは幾ら審議官がおっしゃっても。それだったら、わが党がこういうふうな法案はきわめて無責任な法案だ、先ほど言ったように財源問題も何も明らかにしないで、すべて監理委員会にお任せしますよ、そしてその監理委員会も臨調の基本答申を尊重する尊重すると言いながら、本当は願望だけで御答弁になっている。だからこういうふうな無責任な法案は撤回をなさったらいい、私はこういうふうに思っておるのですけれども政府は初めからボタンをかけ違えているのですよ。もうはっきりと、そういうふうなことをおっしゃらずに、臨調の基本答申、こんなものを尊重するなんて書かなければいいのに、書くからそういうことになるのですよ。そんな気も何も持っていないくせにね。  さらに重大なことは、臨調答申を尊重して国鉄の新体制を整備する、分割、民営化するという本法案基本方針の実行が不可能になったときには、分割、民営化という答申と異なる方策を打ち出されるときは、本法案基本方針に、さっき言ったように逸脱することになりますよ。そうするときに、一体臨調の基本答申どおりにはいかないよというふうな結論が出たときには、第一条の基本方針政府としては改正されるおつもりですか。それとも本法案基本方針とおよそお構いなく第三の方策をこれは打ち出すことができるのですか、どちらでしょうか。
  356. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 それは先ほどから申し上げているとおり、臨調答申を尊重してというのは、特段の合理的事由がない限りはその方向で対処するということでございますから、特段の合理的事由があれば、それによらないこともあり得る、それも含んだ表現が「尊重」という表現でございます。
  357. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 それはおかしいですよ。そんなのあなた日本語として通ずると思っているの。私はそんなことを聞いていないでしょう。第一条の基本方針を改正するのか、それとも第一条には臨調の基本答申を尊重しと書いてあるのに、これと違う方向が出たときに、この基本方針を何も変えないでそのままやってしまうのか。おかしいんじゃないの、法律から言って。それとも本法案基本方針とお構いなく、第三の方策を打ち出すことはできるのですかと聞いているのですよ。
  358. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 結局、いま申し上げたとおり、「答申を尊重して」という「尊重」という言葉の意味は先ほど申し上げたとおりでございますので、第一条の改正は必要ございません。
  359. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 それで、先ほどからの御答弁を聞いておりますと、わが党が、本法案国鉄再建対策を何も示していない、こういうふうに言っているでしょう。こういうふうな根拠があって言っているのですよ。ここからついたっておかしなことばかり出てくるのですから。しかも政府は、分割、民営化の実行が不可能ということを想定していますよ。だから今日の時点で、国鉄の赤字対策だとか借金対策をきちんとお示しになるのは当然の義務じゃないかと私は思うわけですけれども、大分時間がたちましたので、次へ、ちょっと質問を進めさせていただきたいと思います。  先ほど、社会党の方の御質問の中で、東北・上越新幹線収支見通しの御質問がございましたが、たとえば上越新幹線、これは国鉄は二十年程度で収支が均衡する、このようにおっしゃいましたし、それからこの間、これは二月二十三日、私が大臣所信に対して御質問したときに、最後に大臣の方から、「十五年、二十年に完全にペイするという話があったこともあなたも御理解をいただきたい。」こういうふうにおっしゃっておりますので、私は理解をするためにちょっと質問をさせていただきたいのですけれども、二十年で収支が均衡するとおっしゃっている、その収支の計算の根拠、先ほど御説明がありましたが、もう一度この問題、済みませんが、御説明を願いたいと思います。なぜ収支均衡するように計算をされたのか。
  360. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 先ほど申し上げたとおりでございますが、まず輸送量は大体一%程度伸びるであろうという予想でございます。それから、運賃水準につきましては毎年五%程度の伸びということで想定をいたしております。それからなお、人件費、物件費につきましては、それぞれ四・五ないし五%程度の伸びということでございます。それから助成金につきましては、工事費補助金を三・五%以上ということで、これは年間にして約七百億程度の助成金がございます。利子率は一応七%ということで計算をいたしたわけでございます。こうしたことで計算をしてまいりますと、二十年前後というところで、単年度収支では黒字になるという結果が出てまいるわけでございます。
  361. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 現在、五十八年度の収入は上越新幹線の場合、五百億円ですね。輸送量が一%ずつ増加をいたしますと、二十年後には大体輸送量はどのくらいになりますか。それから、運賃が五%ずつアップしたといたしますと、収入は一体どのくらいになりますでしょうか。
  362. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 輸送量につきましては、人キロということになるわけでございますが、これは平均した営業キロで割ってまいりますと、六十年の上野開業ということを前提といたしまして、東北新幹線では、一日平均の区間の断面輸送量が約四万人、それから上越におきましては三万三千人ということでございます。それが二十年後の八十年ということで計算をいたしますと、東北が四万七千人、それから上越が四万一千人くらいという計算になります。  それから、収入につきましては、先ほど申し上げました伸び率でいきますと、十年後の七十年という時点でとってみますと、約三千五百億くらい、それから八十年代になりますと、六千七、八百億くらい、これが東北でございます。それから上越につきましては、十年後の七十年では約千七百億、それから八十年では三千三百億くらい、こういうような数字になってまいるわけでございまして、これを前提にいたしますと、先ほど申し上げたような結果になるわけでございます。
  363. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 ちょっとお伺いしますけれども、上越新幹線の方で、五十八年度で年間収入五百億円でしょう。そしてその輸送量の変化が一%ずつ増加するとして、私が計算すると収入は三倍くらいじゃないかと思いますが、いまの御報告では、輸送量は上越新幹線二倍くらいですか、そうですね。いま二万何千人でしょう。二十年後には四万一千人くらいになるとおっしゃいましたね。それで運賃が五%ずつアップしてそんなふうになりますか。
  364. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 いまのお話は大宮開業でおっしゃっておられると思います。私申し上げましたのは、上野開業の時点でかなり大幅に輸送量の増がございますので、そこのところから伸ばしておりますので……。
  365. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 そうすると、いま大宮ですね。上野開業ということで一%ずつの増加ということになるのですか。どうもその辺がはっきりしないのだけれども、上野からで急に輸送量がふえて一%ずつ増加ということになるのか、大宮を起点にして計算をして一%ずつ増加、一体どっちなんです。
  366. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 大宮開業から上野開業の段階では、たとえば東北新幹線をとりますと、一万二千人くらいぱっとここで上がるわけでございます。(四ッ谷委員「上越だけでいいんですよ」と呼ぶ)上越は約一万人ふえるということになります。したがって、現在の大宮開業時点から伸ばしたのでは、私が先ほど申し上げたような数字にはなりません。上野開業のところで非常に大きな段差がそこに生ずるわけでございますので、そこから伸ばしております。
  367. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 そういたしますと、この質問に先立ちまして、東北・上越新幹線収支見通しについて、二十年後に収支均衡すると言っているが、計算根拠を具体的に明らかにしてほしいということでお願いいたしましたら、大宮開業や上野開業なんて書いてないんですよ。「毎年度一%程度の伸びを見込むとともに、人件費、物件費の伸びとほぼ同程度の運賃改定による増収を見込んで試算すれば」おおむね二十年間に収支均衡するもの、こういうふうな資料をいただいております。それで私が計算いたしますと、あなたのいまの御説明とおかしくなってくるのです。上越新幹線、五十八年度収入五百億円でしょう。輸送量を一%ずつ増加さしていく、それが上野からというのだったら、私が資料を要求したときに、ちゃんと上野からというふうにするとか、上野からになったらどれだけ輸送量がふえるんだということをはっきりしていただかないと、私がいただきましたこの資料で計算をしますと、どう考えても成り立たないんですよ、二十年で収支が償うなんて言ったって。というのは、輸送量が一%ずつ増加して収入が約三倍ですわ。これは上野なんて書いてないから、私が計算したのは大宮からですよ。それから、運賃が五%ずつアップして二十年後に大体千六百億円の収入になります。経費の方は現在千五百億円ですけれども、公団の借料千億円というのは変わりませんね。ランニングコストが五百億ですが、これは少なく見積もって四%ずつふえるとして約二倍、約千億になる。そうすると、新幹線のみで二十年後に経費が二千億だと、収入が千五百億円から千六百億円では四、五百億円赤字が出るのですよ。それできのうこの資料を持ってきていただいたときに、これが収支均衡なんてどうしても計算が出ないから、私が納得いくような資料を出してくださいと言っているのに、これがまだ質問の始まる前に出てこない。いまの御説明でも、これはどう数字を見てもはっきりときちんとした数字が出てこなくちゃ、上越新幹線で幾ら変わりますよと言われたって、私たちの方もこれは変わるか変わらぬかそんなの納得がいかないのです。しかも、これで計算すれば現在の収支構造が基本的に変わらないと思うのです。これに在来線の赤字が加わったらさらに赤字になるのです。もっとすっきりと計算をして、ああなるほど、二十年たったら収支が償うのだな。この間、大臣が私によく理解してほしいとおっしゃったので、理解するために資料を求めておるのであります。だから、委員長、済みませんけれども、私はちょっと委員長にお願いしたいのです。私が納得いくような資料を国鉄がきちんとお出しになるように委員長の方でお取り計らいを願いたいのです。これは私は質問をちょっと保留したいと思います。
  368. 高木文雄

    高木説明員 東北新幹線の採算なり上越新幹線の採算なりがどうなるかということは、御質問をいただくまでもなく私ども日夜苦慮をいたしておるところでございます。その場合に、どの程度お客様に御利用いただけるかという見通しが大変つかないわけでございます。過去におきます東海道新幹線の場合においては見通しが大変狂ったわけでございまして、狂ったことによって早く黒字になったという形での見通しの狂いがございました。これは当時の経済の成長といった問題とか、まだ飛行機や道路が整備されていなかったというような問題を前提として、そういうわれわれにとってうれしい方に計算が違ったわけでございます。今後、上越につきましては、いま関越国道が時々刻々工事が進んでおりまして、したがって、この工事完成後に道路と鉄道関係がどうなるかといったような問題について、大変予測困難なものがございます。  そこで、そのときそのときの前提となる予測数値に基づいて一応の御説明はしなければ、国会に対して失礼になりますから説明をさせていただきますが、はなはだ見通しがむずかしいという状態にあることもお含み願いたいわけでございます。ことしの十一月になりますれば一年間の成績も出てまいりますが、まだわずか四カ月か五カ月というところでもございますし、そういうデータがだんだん集まってまいります過程を通じまして時々計算をし、御報告申し上げたいと思うわけでございます。厳密なる資料を求められましても、それにはなかなか責任を持ったお答えができにくい。そして、後でそれのどこがどう違ったかということで、確定値を出しますとまた御批判をいただくことになりますので、その辺ある程度の幅を持った見方での予測値ということで御理解をいただきたいと思います。われわれも非常に心配をしておりますので、決して計算をしていないわけでもありませんが、いかにも予測値の出し方がむずかしいということをお含みの上、御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  369. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 いまの総裁の御答弁でございますけれども、それは二十年後に完全に収支が償うというふうなことを不完全な計算の中でおっしゃって、国民を納得させようなどというふうなことをなさるから私たちがおかしいと言うのですよ。不完全なことであればはっきりと、それは収支償うかどうか、何年たつかわかりませんとおっしゃった方がまだいいのじゃないかと思うぐらいですよ。だって、資料を出しなさいと言っても、いま私たちが計算をするにしたってごく大ざっぱな計算にしかならないけれども、しかしその大ざっぱな計算から見てもどうしても収支が償いそうにないのに、なぜ二十年たって収支が償うということをおっしゃるのか。その辺がおかしいのです。私が資料を要求したときには、せめて私に理解をさせるだけの資料をなぜお出しにならないのか。きのうも持ってこられたから、これでは理解できませんよと再度言っているのに、まだ質問のここまで持ってこないのだから、それはもうあなた方の方が怠慢ですよ。  私は委員長に申し上げたいと思うのだけれども委員長はその点どうお考えになります。ちゃんとした資料も出さないでこの重要な法案審議しろとおっしゃるのですか。これは大事な問題ですよ。
  370. 高木文雄

    高木説明員 いま私どもが持っておりますそういう経営上のいろいろな問題がございまして、何度も申し上げておりますとおり、青森のトンネルの問題と本四架橋の問題とはどうも償わないということは申し上げておるわけでございます。それでは今度は上越新幹線は償わないということが言えるかというと、それもわからないわけでございます。でありますから、二十年ぐらいのところでいまのところは何とか収支償うことになりましょうかと、多少とも希望的な気持ちを持ちながらそう申し上げておるわけでございまして、断定的に申し上げてはいないわけでございますので、そこらを御理解賜りたいと存じます。
  371. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 それではもう一、二問聞かしてください。非常に大事なところなんで、これはいまここで切るわけにはまいりません。聞かせていただきます。  東北・上越・成田新幹線は、新幹線整備法に基づく収支見通しを出したときは一体どのような前提条件を立てて計算されたのか。需要予測は変わるといまおっしゃった。だからいいでしょう。需要予測や建設費、その見込みと全くかけ離れたものになっていることはこれまでに何遍も聞いておりまして、それはもういいですけれども、もう一つの重要要素である資金コストの問題についてお聞きしておきたいと思います。  建設費のうち、東北・上越・成田新幹線で初めに収支見通しを計算されたとき、有償資金の割合はどれだけを前提として計算をされたのでしょうか。
  372. 永光洋一

    永光政府委員 基本計画決定のときの前提としましての資金コストについてのお尋ねでございますが、当時試算をいたしましたときの資金コストは二分の一がいわゆる無償の出資でございまして、残り二分の一が長期借入金。長期借入金の条件は年利率六・五%ということで計算をいたしております。
  373. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 それでは、当時運輸省が半額政府出資にするというふうにお決めになりました。それは一体何に基づいて半分は有償で半分は利息のかからないお金というふうになすったのですか。その根拠です。
  374. 永光洋一

    永光政府委員 いま前提と申しましたが、どういう根拠かと。これは私もつまびらかにできませんが、半分程度はひとつ無償で国家資金を入れてはどうか、恐らくこういうことではなかったかと思います。そういうことで前提に入ったと思います。
  375. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 では、何で半分にしたのですか。全額ではいけなかったのですか。どうですか。その辺は何かあったのでしょう。だって、半分は無償にすると言った以上は何か根拠があって、三分の二とか三分の一とかなんとかあったと思うのだけれども、半分と言った根拠は何かあったはずですよ。大事な国のお金を使うのに、そんないいかげんなことはないでしょうが。
  376. 永光洋一

    永光政府委員 基本計画を算定したときに、いろいろな要素の中での資金コストはそういう形で算定をいたした、こういうことでございます。
  377. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 いろいろコストを計算するときにそういうふうに算定したのだとおっしゃるけれども、半額を無償にするという以上は、その背景に、こうしたら成り立つとか成り立たぬとか、そういうふうなことがあったのじゃないですか。何ですか、ただ半分だけならまあ何とかそろばんでいける、そういうふうないいかげんなことでおやりになったの。私はここのところを聞きたいのですよ。いまの国鉄の赤字の原因というのはとにかく借金に次ぐ借金で、高木総裁が頭を悩ましていらっしゃるのはそこにあるわけでしょう。その借金に次ぐ借金、一体なぜこういうふうになったのかという問題だけれども、事の起こりに、新幹線整備法でやるときに半額無利子で貸すということを決めた、そこのところの理由はなぜだったのか。なぜ半額にしたのか。三分の一じゃぐあい悪かったのか。あるでしょう。そんないいかげんに、もう半分でいいから半分にしましたなんて、そんなのは理由にならないですよ。国民が聞いているんだと思って答えてくださいよ。
  378. 永光洋一

    永光政府委員 四十六年、基本計画を策定いたしますときに、一定の輸送需要と建設費を想定し、償却その他を含み、さらにある一定のところで採算がとれるということを一応目標に置いて、その前提の中で、恐らくその当時の国の財政状況等も加味しながら二分の一無償ということで収支試算を行い、そしてその結果、開業後東北では大体六年、上越では大体八年程度に償却後の収支が償うのではないか、こういうような形の収支計算を出したわけでございます。
  379. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 そうしますと、初めに計画は五〇%、それで収支償う、そしていまおっしゃった東北・上越はこのくらいで収支が償う、こういうことで計算をされた。それはいいです。ところが、昭和四十八年の十カ年再建計画のときに政府出資が一五%程度に下がっていますね。なぜそうなってしまったのでしょうか、その辺がおかしいなと思うのですけれども
  380. 永光洋一

    永光政府委員 その出資はたしか四十五年ごろから始めましたが、そのときの財政状況等がありましてその出資の比率が変化しておりますが、五十一年に据え置きの措置をとりましたときに出資を利子補給に切りかえております。
  381. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 鉄建審の議事録がありますね、これは第五十五回です。中曽根総理が会長をしておられますが、ここのところで、(発言する者あり)もう終わりますけれどもこれだけ聞かせていただきたいと思いますが、「半額政府出資を受けるという前提によりまして試算をいたしております。」こういうふうに運輸省からの御報告がありまして、「現在線の収支ともからめて相当早い時期に黒字になるということが明らかになっております。」こういうふうに言っているのですけれども、なぜ鉄建審ではうその収支見通しを出して答申を出させたのでしょうかね。この最後の方を見ましても、委員の皆さん方には政府の出資というのが非常に大事なんでというふうなことも述べておりますけれども、この政府出資について当時の政府・与党はどのような主張をしておられたのか。長谷川運輸大臣も当時新幹線整備法の審議に参加しておられますから、どういうふうな主張の中で五〇%にし、それが一五%になってしまったか、その辺のことは御存じだと思うのですけれども、どうなんでしょう。
  382. 永光洋一

    永光政府委員 再三申しておりますように、二分の一の出資あるいは無償というのは、四十五年に基本計画の策定の際につくりました一つ収支前提でございます。  じゃ、現実にどういう助成をしてきたかということでございますが、これはたとえば四十六年、四十七年あるいは四十八年には出資の比率が変わっておりますけれども、逆に申しますと、その後のいわゆる利子の補給方式につきましては非常に厚くなっておりまして、そういうように総体的な新幹線に対する助成というのが変わってはおりますけれども、出資が補助金に変わり、そういう形で現実には新幹線助成をいたしております。確かに四十五年当時に試算をしたときの資金コストあるいは資金の考え方とは変わってはおりますけれども、出資が補助金に変わるというような形での変化でございまして、あくまでも四十五年当時の二分の一の出資というのが収支の算定の一つの想定であったというふうに御理解願いたいと思います。
  383. 原田憲

    原田委員長 もう終わりだと言っておりますからね。四ッ谷君。
  384. 四ツ谷光子

    ○四ッ谷委員 もう終わらせていただきますけれども、初め五〇%でしょう。それが一五%、最後には、五十一年には一五%の政府出資もやめてしまったわけですよ。こうなりますと、国鉄としたら、輸送量見込みというのが極端に落ち込みますと運輸収入が減少する、まあこれはそうですわね。ところが一方で建設費が三倍以上にもはね上がる、これはすべて有償資金、つまり借金でやらせたらこれはどうなるかというのは子供でもわかるのです。三%という利子負担は、割合は三%でも金額は三倍以上にはね上がってまいりますでしょう。だから、収入が五百億円しかない上越新幹線が、ランニングコストを別にしても、借料だけで収入の二倍の千億円を支払わなければならないということになってしまうわけですよ。それはもう上越新幹線収支構造が端的に、いまの国鉄の赤字がなぜこんなになってしまったかということをそのものずばりあらわしていると思うのです。だから、私たちに言わせていただきますと、運輸省ですか政府・自民党ですか、これはちょっとわかりませんけれども国鉄を二階に上げてしまって、そしてはしごを外したのですわ、これは。そんなひどいことをする方もする方だけれども、二階に上げられた方が、わざと上がったのかもわからない、わざとはしごを外してもらったのかもわからない。その辺はどうかわかりませんけれども、これまでの政府答弁でも、この二階に上げてはしごを外してしまった責任をどなたもはっきりしようとなさらないわけですよ。こういうふうな、初めは金のかからぬお金を半分貸す、その次は一五%、しまいにはもう全部切ってしまうなんというようなことをやったら、国鉄経営がどうなるかということはもうはっきりしている。この辺がやはりきちんとされないことには、幾らこんな再建法だとか監理委員会法案を出しても、本当の赤字をなくすような国鉄再建にはならない、このように私は思うわけですね。こんな問題に自民党政府運輸省が全く関係ないのか、どうですか。これをはっきりさせない限り、国鉄の赤字対策はだれの責任でどう処理したらよいかというのがわからないと思うのですよ。赤字たれ流しを当面塗り隠してしまうというふうなことが何にも保証できないのですよ。  だから、運輸大臣はこの二階に上げてはしごを外してしまった責任、それから高木総裁の方も、それはだまされて二階に上がられたのかわからないけれども、私はわざと上がったのと違うかなと思うくらいなんですよね。その両方の責任を、労使の関係だとかいろいろおっしゃるけれども、その前に、ここまでに国鉄経営を追い込んだ政府の御責任、それから二階にお上がりになった国鉄の御責任、両方からお聞きをいたしたい、このように思います。
  385. 原田憲

    原田委員長 それじゃ、これで終わりにしますから。
  386. 高木文雄

    高木説明員 まさに問題点の御指摘だと思うわけでございまして、さればこそ速やかに再建監理委員会を設置していただいて、そこで今度は一遍外されたお言葉によるはしごをまたかけていただくということをお願いする次第でございます。ぜひとも早く再建監理委員会でそれらのことも議論をしていただきたいと心からお願いをいたしております。
  387. 長谷川峻

    長谷川国務大臣 私がはしごを外した、御批判をいただきましたが、そこまで有力ではございません。私は、今度の新幹線でも大宮から乗りかえるというふうなことでは欠陥電車だ、やはりこれが上野につながることによって営業係数はさらに下がるし、お客さんも喜ぶ、こういうふうな積極的な物の見方をしておりますが、皆さんのように国鉄の問題に対して積極的に前向きでお話しいただくことに非常に敬意を払います。
  388. 原田憲

    原田委員長 次回は、明十三日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十一分散会