○中村(正雄)
委員 私は、
運輸大臣に御
質問いたします前に、本
法案、特に
法案の中心は
監理委員会の
設置でございますので、
監理委員会について、私の意見といいますか、民社党の態度を
最初に表明しておきたいと思います。
御承知のように、
国鉄の
再建の問題が政治
課題となり、世論の注目を受け出しましてからすでにもう十数年たっております。
長谷川さんがそのときからの
運輸大臣ではありませんけれ
ども、しかし、たびたび
再建の方策が講ぜられましたが、ことごとく失敗して今日に至っておる。このことは、
長谷川さんが
運輸大臣ではありませんけれ
ども、自民党
内閣であったことは間違いないわけなんです。したがって、
国鉄が国有の企業である、
政府の監督下にある企業であるとすれば、自民党
内閣は、今日まで
国鉄の
再建について何らの知恵も能力もなかったということだけはひとつ責任を感じてもらいたいと思います。またもう
一つ、
国鉄を直接監督する
運輸省自体も、今日まで
国鉄を
再建する能力がなかった、
国鉄自身も、
国鉄をこのような事態に追い込んだことについて十分責任を感じてもらいたいと私は思います。
したがって、そういう
意味から、責任政治というたてまえからいいますと、やはり
内閣が責任を持って
国鉄の
再建と取り組まなければならないわけです。けれ
ども、歴代の自民党
内閣が
国鉄を
再建する知恵も能力もなかった、
国鉄自身もその筋力がなかった、
運輸省という官僚機構もその能力がなかった、そうなってくれば、別な
機関をつくって、その
機関によって
国鉄の
再建の方針を決める以外に道がないのじゃないか、そういう
意味で私は
監理委員会を
設置して、
監理委員会によって、世論の動向をにらみながら
国鉄を
再建する
方向を決めるということについてはやむを得ない
措置だと考えて、私は賛成いたします。ただ、これについて
運輸大臣に特に要望しておきたいのは、この
法案の五条において、
監理委員会がいろいろな調査をし、意見を集約して方策を決定して
総理大臣に意見を述べることになっております。これを受けて六条には
総理大臣はそれを尊重しなければならない。これはいまの
行政機構のたてまえからいってこういう
表現はやむを得ないと思いますが、いま申し上げましたように、
政府も
国鉄も
運輸省も
国鉄を
再建する能力がないわけですから、したがって、新たな
機関としてこれを
設置した以上は、
監理委員会の意見に対しましては、自民党の党利党略や議員の選挙地盤の
関係でいろいろこれを修正したり文句をつけずに、
監理委員会の意見を、尊重という言葉で法文には示しておりますけれ
ども、これを実行するように、ひとつ
運輸大臣に冒頭賛成する条件として申し上げておきたいと思います。
私はこの
法案について、総論的な
立場から二、三
運輸大臣にお尋ねしたいと思います。
実は、今日
国鉄がこういう事態になったということについてはそれぞれの理由なり根拠があると思います。しかし、これから
国鉄を
再建するとすれば、いままでの経過を十分見て、どこに
国鉄がこのような事態に至った根本の原因があるかということをはっきりと認識して、それを変えなければ
再建できないと私は思います。第二
臨調がいろいろとしさいに
検討し、
答申いたしておりますけれ
ども、私は、現象としては第二
臨調の
答申どおりの
国鉄の状態であり、この状態を改めなければならないと考えますけれ
ども、大体
国鉄が赤字に転落しましてから約二十年になります。その間、第一次、第二次、第三次とたびたび
再建計画をつくられました。そうして
最初の
再建計画をつくるときに、
国鉄の
再建は国と利用者とそれから
国鉄自身、三者の努力によって
再建しようということで、
政府は補助についても最大限の努力をする、利用者も運賃の値上げにひとつ御同意願いたい、
国鉄は
国鉄で最大限の努力をします、これが第一次の
再建計画の基礎であり、それがずっと続いて
再建計画がなされてまいったわけでございます。運賃はどんどん上がって、利用者には利用者なりの負担をお願いし、いまやもう限度となって、もうこれ以上運賃を値上げしたら利用者はほとんどなくなるだろう。並行線においては
国鉄の運賃と私鉄の運賃が、
国鉄が倍に近いような運賃になっている。これではますます
国鉄の利用者は減るに決まっております。また、
政府が補助いたしまする金額も年々増加いたしておりまして、相当な金額になっております。ただ、
国鉄の努力だけが取り残されて今日の状態になっておる、こういうわけでございます。しかもその間、言いわけとしては経済情勢が変わったのだ、社会環境の変化だ、いろいろ言われますけれ
ども、経済や社会情勢の変化というものは、ひとり
国鉄だけではございません、私鉄もすべて受けているわけでございます。他の産業、企業もみんな社会の情勢の変化、経済事情の変化に対応して生き延びるためのいろいろな努力をやってきた、
国鉄だけが社会の変化だからこうなったのだという言いわけは通用しない、私はこう考えているわけでございます。
根本的に、
国鉄がなぜこのような事態になったかというのは、人事機構の問題が中心だと私は考えております。
臨調がいろいろと
答申いたしております現象はあのとおりでありますけれ
ども、
国鉄が今日の事態に立ち至った根本の問題については
臨調は触れておりません。御承知のように、
昭和二十四年にいわゆる官庁機構から鉄道の現業部門だけを切り離して、
日本国有鉄道という企業体をつくりましたときに、官庁機構そのままの人事で移行したわけでございます。しかもそれ以後、
国鉄の人事の運営というものが官庁機構そのままの人事運営をなしてきた。したがって、
国鉄の幹部諸君も、企業体の職員と企業体の役員ということでなくして、お役人だという根性が抜け切っておらなかった。それが私は今日の事態を生んだ根本の原因だと思います。たとえば、いままで見てまいりましても、第一次から第五次まで
再建計画をやりました。その
再建計画の中で、
計画を立てた初年度の半ばにおいてすでにその
再建計画が挫折いたしておる、こういう事態もたびたびあったわけでございますが、そのときに
国鉄の役員が、
皆さん方の御了承をいただき、国会の承認をいただきました
再建計画が間違っておりました、挫折いたしましたといって
辞任した
総裁が一人でもおりますか。また、国民の税金とも言うべき多額な金を出資して新しい施設をつくったり、新しい機械を購入したり、新しい車両を購入したりいたしました。それが全然むだなものになった、無益なものになったということで
国鉄に大きな損害を与えたような事態、これは枚挙にいとまがございません。しかし、それを立案し、
計画し、やった責任者はそのときにはすでに他の部局にかわっておろし、責任を感じてもおらなければ責任をとろうといたしておりません。この根性自体、これが
国鉄を今日に至らしめた根本の原因だと私は思うわけであります。言いかえれば、
総裁以下すべての職員が公務員だという感覚で
国鉄の業務に携わっておる。言いかえれば、
事業家としての役員の責任、
事業家として
国鉄を運営しなくてはいけないというそういう感覚に欠けておるということが根本の原因じゃないか。したがって、これから
国鉄を
再建しようと思うのであれば、この発想の転換ということが基盤でなければ
国鉄の
再建はできない。言いかえれば、
国鉄の役員は、この企業を自分は責任を持って運営するのだという企業家的な認識に立って企業の運営をしなくてはなりませんし、
国鉄の職員は、この職場で自分の生活が成り立っているのだ、この
国鉄の業績いかんに自分の生活がかかっているのだ、こういう企業の従業員、職員だという認識に立たなければ
国鉄の
再建はできない。これが基盤だと思いますが、
運輸大臣、どうお考えですか。