運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1982-12-25 第97回国会 参議院 公職選挙法改正に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年十二月二十五日(土曜日)    午前十一時三分開会     ─────────────    委員異動  十二月十日     辞任         補欠選任      赤桐  操君     小谷  守君      野田  哲君     小山 一平君  十二月二十日     辞任         補欠選任      前島英三郎君     宇都宮徳馬君  十二月二十一日     辞任         補欠選任      宇都宮徳馬君     野末 陳平君  十二月二十二日     辞任         補欠選任      山中 郁子君     近藤 忠孝君  十二月二十三日     辞任         補欠選任      近藤 忠孝君     山中 郁子君  十二月二十四日     辞任         補欠選任      山中 郁子君     近藤 忠孝君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         福岡日出麿君     理 事                 金丸 三郎君                 松浦  功君                 村上 正邦君                 小谷  守君                 多田 省吾君     委 員                 井上  孝君                 小澤 太郎君                 小林 国司君                 斎藤栄三郎君                 田沢 智治君                 名尾 良孝君                 中西 一郎君                 鳩山威一郎君                 降矢 敬義君                 小山 一平君                 福間 知之君                 宮之原貞光君                 大川 清幸君                 近藤 忠孝君                 栗林 卓司君                 野末 陳平君     国務大臣        自 治 大 臣  山本 幸雄君     政府委員        自治政務次官   佐野 嘉吉君        自治省行政局選        挙部長      岩田  脩君     事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○地方公共団体議会議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○衆議院議員定数即時是正に関する請願(第九〇六号外六件) ○継続審査要求に関する件     ─────────────
  2. 福岡日出麿

    委員長福岡日出麿君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 福岡日出麿

    委員長福岡日出麿君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事小谷守君を指名いたします。     ─────────────
  4. 福岡日出麿

    委員長福岡日出麿君) この際、自治大臣及び政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。山本自治大臣
  5. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) このたび自治大臣に就任いたしました山本幸雄でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。  選挙関係につきましては、平素から委員各位には格別の御高配にあずかり、厚く御礼を申し上げます。  申すまでもなく、選挙民主政治基盤をなすものであります。民主政治の健全な発展のためには、常に国民政治意識の涵養に努めますとともに、公正かつ明るい選挙の実現に積極的に努力をしてまいらなければならないと存じます。  私といたしましては、職務の重要さを認識いたしまして最大限の努力を傾注してまいる所存でございますので、何とぞ御指導、御協力のほどをお願い申し上げます。
  6. 福岡日出麿

  7. 佐野嘉吉

    政府委員佐野嘉吉君) このたび自治政務次官を命ぜられました佐野嘉吉でございます。  当委員会は、民主政治基盤である選挙制度について御審議をいただく大変重要な委員会でございますし、また委員先生方はその方面で高い識見をお持ちの方々ばかりでございます。皆様方の御指導をいただきながら、山本大臣のもとで議会制民主政治の規範でございます選挙制度の充実に努力をいたしてまいりたいと存じております。  何とぞよろしく御指導のほどお願い申し上げます。     ─────────────
  8. 福岡日出麿

    委員長福岡日出麿君) 次に、地方公共団体議会議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案及び公職選挙法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。山本自治大臣
  9. 山本幸雄

    国務大臣山本幸雄君) ただいま議題となりました地方公共団体議会議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  御承知のように、都道府県及び市区町村を通じて、全国多数の地方公共団体におきましては、議会議員または長の任期が明年三月、四月または五月中に満了することとなるのでありまして、現行法によりますと、その任期満了前三十日以内にこれらの地方選挙が集中して行われることになるのであります。  政府といたしましては、前例にもかんがみ、これらの選挙の円滑な執行執行経費節減を期するとともに、国民地方選挙に対する関心を高める意味において、これらの選挙期日統一する必要があると考えます。  以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。  次に、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、期日統一する選挙範囲につきましては、(一)明年三月から五月までの間に任期が満了することが予定されている地方公共団体議会議員または長について、その任期満了による選挙を三月以降に行う場合、(二)これらの議会議員または長について、任期満了による選挙以外の選挙を行うべき事由が発生し、三月から五月の間に選挙を行うこととなる場合及び(三)明年三月から五月までの間に任期が満了することが予定されていない地方公共団体議会議員または長について、選挙を行うべき事由が発生し、三月から五月の間にその選挙を行うこととなる場合について、これらの選挙期日統一することといたしております。  第二に、選挙期日につきましては、四月中に任期が満了するものが最も集中していること、年度末の地方議会の会期、選挙運動期間等の諸事情を考慮して、都道府県及び指定都市議会議員及び長の選挙についてはこれをまとめまして四月十日とし、指定都市以外の市、町村及び特別区の議会議員及び長の選挙についてはこれをまとめまして四月二十四日とし、いずれの期日も、選挙人便宜投票所施設の確保の必要性等を考慮して日曜日といたしております。  第三に、この法律規定により統一した期日に行われる各選挙は、同時選挙の手続によって行うものとして選挙管理事務簡素化を図るとともに、都道府県選挙候補者となった者は、関係地域において行われる市区町村選挙候補者となることができないこととして重複立候補による弊害を除くことといたしました。また、任期満了による選挙について、後援団体に関する寄附等禁止期間を各選挙期日前九十日から選挙期日までの期間とすることとしたほか、都道府県議会議員選挙に立候補するため昭和五十八年三月二十九日から同月末までに退職する市区町村議会議員について共済給付金の計算上不利がないようにいたしております。  なお、この法律規定の適用を受ける選挙が行われることに伴い必要とされる事項については、政令で必要な規定を設けることができるものとし、選挙の円滑な執行を図ることといたした次第であります。  以上、地方公共団体議会議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  続きまして、ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案について提案趣旨を御説明申し上げます。  この法律案は、最近における地方公共団体の長の選挙実態等にかんがみ、地方公共団体の長の選挙に係る当選人の繰り上げ補充については、同点者がある場合に限り、これを行うこととするよう所要の改正を図ろうとするものであります。  以上がこの法律案趣旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  10. 福岡日出麿

    委員長福岡日出麿君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ただいま提案説明がありましたところの二つ法案を中心にして若干時間お聞きをいたしたいと思いますが、まず選挙期日等臨時特例に関する法律案でございますが、これは四年前に制定をされましたところの臨時特例法とは選挙期日以外にどこが違っているのか、あるいは同じなのか、そこをまず端的にお聞かせ願いたいと思います。
  12. 岩田脩

    政府委員岩田脩君) このいわゆる統一法案は、ただいま御指摘がございましたように、日にちが違うことと、それから多少表現が異なっている部分がございます。とりわけ現在の法律がこの前の全国区の法律で一部改正を受けておりますので、そういう形でいろいろ表現の違うところがございますが、内容的には前回のものと同じだというように御理解をいただきとうございます。
  13. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そう聞くのは、法案をいま手元にもらったばかりでわからぬので、やっぱり内容がまたたくさんあるというならいろいろとお尋ねしなきゃならぬけれども期日だけが違う点だということならまたそれでいろいろお聞きしたいと思いますが、そのように理解してよろしゅうございますね。  それでは関連してお聞きいたしますが、実は四年前の臨時特例法に関するところの施行令政令三百六十五号が出ておるわけなんです。この政令三百六十五号の第二条を拝見をいたしますと、これは「指定都市議会議員選挙及び指定都市の区域を包括する都道府県議会議員選挙については、公職選挙法第百四十四条の四、第百六十条の二及び第百七十二条の二の規定にかかわらず、これらの規定のうちいずれか一の規定に限り、適用する。」云々という条項があるわけなんです。これをただ、いま質問申し上げたように期日以外は変わらないんだということになりますと、じゃこの政令自体もそのままになるかどうかという一つの疑問を持つわけなんです。  しかしながら、御承知のように昨年の国会で、若干この問題についての公職選挙法母体自体の訂正がありましたね。特に、ポスター掲示の問題についても、百四十四条の二あるいはまた百四十四条の四等々から、政令都市の場合も、それは任意掲示にはなっておりますけれども、実際問題として来年の四月選挙するところの人々から見れば、このままの政令では非常に問題があるという声がきわめて高いのです。というのは、いままでたとえばそういうところでは大部分選挙公報はいずれかの一に沿ってやっておったわけなんです。けれども、これをこのままだとなりますと、じゃ掲示板は一体どうなるんだという一つの疑問がわいてくるんです。けれども政令都市ということになりますと、地域によっては県以上の大きいところがあるわけですから、それではやはりこれは困る。  こういうことから、当然この政令三百六十五号も、今度の場合には、昨年のやはり公選法改正によって掲示板という問題が具体的に、政令都市の場合は任意設置とはいえ具体的な問題としてすでに出てきておるわけなんだから、これだけではぐあいが悪い、こういう声が圧倒的に出ておるわけなんです。その点、私もこれを考えますと、この一の規定に限りということは非常に問題がある。少なくともやはりこの政令三百六十五号にありますところのポスター掲示場あるいはまた選挙公報等あたりは、最低二つはやっぱり認めてやるべきだし、当然政令改正してしかるべきだと考えておるわけなんですが、その点どのようにお考えですか。
  14. 岩田脩

    政府委員岩田脩君) 先ほど御答弁申し上げましたように、法律は同じでございますが、政令についてはまた考えなければならぬところもあるというように思っております。  ただいま御指摘がございましたように、従来から統一選挙の場合は、指定都市選挙期日とそれから都道府県選挙期日が重なりますものですから、指定都市のあるところでは非常に多くの選挙一緒にやらなければならないようなことになる。そこで、いわゆる任意制選挙公報、その地方公共団体の条例で定めるところによって行うことにする選挙公報につきましては、従来は指定都市議会議員選挙、それからその指定都市を包含する都道府県議会議員選挙につきましては、それぞれ一つだけになさいという限定を置いておったことは御指摘のとおりでございます。  このことにつきましては、ただいまお話がございましたように公営の種類もだんだんふえてきておりますし、またもともとがいわば多くの選挙一緒にやるというための便宜措置でございまして、選挙管理委員会の方も多少なりとも事務的にもなれてきておりますし、かつはまた国会でも御議論があったこともございますので、実は今回はその一つに限るというのを緩めまして、二以下で、二ないしは一でその地方公共団体議会が議決するものに限って適用することができる。完全にフリーにするにはちょっとまだ不安がございますので、いままで一つに限っておったものを今度は二つまでならその地方公共団体が選べばやれるというぐあいに拡大をしていこうというようにいま考えておるところでございます。
  15. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 その点よくわかりました。  それなら、やはり少なくとも前回政令の第二条の一に限るということは、一ないし二という形で選択権がそれぞれの自治体において広がっていくということは、これはもう政府の方針としては確かだというふうに理解してよろしゅうございますね。
  16. 岩田脩

    政府委員岩田脩君) そのような方向で作業をいたしております。
  17. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 次に、お尋ねをいたしますが、ことしの二月から三月にかけまして、これは自民党の選挙制度調査会検討しておることとして報ぜられておるところの統一地方選挙に関連する問題がありましたですね。たとえばこの法案じゃなくて、三月—五月じゃなくて、一月、二月もこれに含めてやるんだということを検討しておるという問題だとか、あるいはそれを一回やめて、毎年一回いわゆる統一地方選挙の日と定めて統一選挙をするんだということが成案が得られつつある云々と、こう新聞には報ぜられておったのですが、僕はこれはそれぞれの政党検討課題でございますからあれなんですけれども、そういうことに対して自治省もそういう動きに対しては反応を示す必要があると思うのです。  そこでお尋ねいたしますが、こういう物の考え方について、一体自治省としてはどういうお考えを持っておられるのか、どっちでもよろしいというお考えなのかどうか。私からこれは見ますれば、この問題は議員及び首長任期短縮あるいは任期を延長するということにもなりかねない。言うならば、これは公選法任期満了前三十日以内に選挙をするとか、あるいはまた地方自治法任期は四年だと決められておること自体にも影響するところの問題だと思って、非常にこれは問題だと思っています。いろいろ表面上はきれいごとを言われておりますけれども、若干やっぱりこれは党利党略的なにおいもせぬでもないと見ておるのですが、自治省としてはこの問題についてどういうお考えですか。
  18. 岩田脩

    政府委員岩田脩君) ただいまお話がございましたように、昨年でございますか、地方統一選挙あり方についていろいろな形の議論がありましたことは御指摘のとおりでございます。また、その挙げられました新聞報道等に限りませんで、すでに参加団体が四〇%台にまで下がった統一選挙がいまのままでいいのかという御議論は有識者の間にもございますし、かつまたかつて私どもの省の地方制度調査会で、そういった自治の日といった統一考えたらいいではないかという御意見があったことも承知しております。  ただ問題は、何しろいまお話がございましたように、どの範囲統一をするのか、かつまたそれを毎年というように考えるのか、それに伴ってその任期の延長ないし短縮、いわばせっかくそういう統一をやった場合にそれを維持するための措置をどう考えるのかといったきわめて大きな問題を含んでおりますので、なお十分御議論をしていただく余地があるだろうと考えております。私ども省としてのというお尋ねでございましたけれども、そういう広がりの広い問題でございますので、まだ省としての立場を決めてはおりません。もう少し御議論の推移を待って考えたいというふうに思っております。
  19. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そういう答えしか出てこないでしょうが、少なくともやはり現行法に基づくところの任期満了前の三十日云々とか、あるいは任期は四年だと、こう決められておるという、この世の中で常識的に考えられておることをこれは動かすということですからね。どうしてもやっぱり考えられるのは、戦前の勝手に任期をばっと延ばしたりしたみたいなそういうことにもなりかねない要素を持っておるし、法律上私は非常に疑義があると考えておるわけでございますが、法律上の問題としてはいま私が指摘をしたところの問題だけですか、それ以外にはございませんか、この検討課題に対して。
  20. 岩田脩

    政府委員岩田脩君) どういう形でまとめるかによって変わってこようかと思いますけれども、ただいま御質問に出ましたように、この問題は、一年に一回とかいうような形でまとめていきます場合には、ただ単に選挙の仕方のテクニックの問題だけではなくて、いまお話にあるように任期をどうやってそろえていくかという問題を含みます。地方自治法にも及ぶ問題だという認識は持っておるつもりでございます。
  21. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 特に私はこの点指摘しておきたいと思うのですが、地方選挙を一年一回やるという問題ですね。これは私も新聞を見る限りでわかりませんけれども、そのメリットの点としてよく報ぜられておりますところのこのために全国規模啓発活動自治意識が非常に高揚する、あるいは投票率引き上げに役立つとか、あるいは選挙経費節減になると、こういうことが一番の理由になっておると報ぜられておるんですがね。選挙経費節減と、こうなりますと、それは行革の中で受けるかもしれませんけれども、中曽根さんが一番好きそうなことなんでしょうけれども、私はここで非常に問題があるのは、一体投票率引き上げ云々ということをこういう便法を講ずることによってやろうとするところに一つ問題点があるんじゃないかと思うのです。  なぜ投票率が低いかと、こう言うと、やっぱり一般住民の、地域住民のそれぞれの地方行政政治に対するところの不信感、あるいは関心度が薄いというところが一つの問題なんだ。同時に、最近の傾向としては、いわゆる首長相乗り選挙というのがありますね。それはわが党もやはりそういう部類の中に場合によってはあるわけですけれども、非常に首長選挙は安易にもう考えてみんな乗りたがっておる。こういうことが地域住民に非常に白け選挙だという気風をつくっておる。こういうことがむしろ、投票率引き上げ云々の問題は、問題の原因であって、それを一年のうちの一回の日を決めてやれば投票率が上がるんだという物の考え方は非常に安易であるし、便宜的な私は考え方じゃないだろうかと、こう思います。  同時にまた、先ほど来言っておりますところの任期の四年制という問題が地方自治あり方の問題として崩れるところの可能性も出てくる。これは一時期だと、こう言いますけれども、じゃこの法案つくって首長が今度これを実施された後に死んだりあるいは議会解散があったら一体どうなるのか、死んでも議会解散があってもそこまで待たなければならぬかと、こういう論理も出てくるのですよ。こうなりますと、いやそれはそのときでいいのだということになれば、これはまただんだんそういうものがふえていけばもとのもくあみになってくることは必至なんですよ。現に今日の地方選挙の実際の選挙の状況にありましても、いろいろな事情からこの統一地方選挙方式がずっとばらまかれていったところの要素があるわけでしょう。こういうところの点から言っても私は非常に問題があるのではないかと思う。  同時に、いま一つは、これは私ども考えなければならないのは、全国規模一括選挙をやれば一体自治意識の確かに高揚になるかどうかということなんです。私はむしろ逆になっちゃうんじゃないだろうかと思うのです。というのは、統一地方選挙になりますと、しかも全国一斉の、また政党表面に出ていく、言うならば全国的ないろいろな地方自治の問題でなく、国政選挙におけるところの問題点争点というものだけが浮き彫りになって、肝心なそれぞれの地域皆さん方地域住民の切実な問題の争点というのはむしろ薄れてきてしまうところの危険性があるのではないだろうか。こういうようなことを考えますと、端的に言わせてもらいますけれども、この一括方式というものは角を矯めて牛を殺す結果になりやせぬだろうか、こういう危惧さえ持つものです。  その点、何かの機会があって、また与党皆さんといろいろ議論する機会があれば結構だと思いますけれども、こういうやはり要素も絡んでおるだけに、私はやはりこの問題については、自治省与党皆さんが言ってきたからそれにつじつまを合わすというような安易な気持ちでこの問題に対処しないでいただきたい。十分いろいろな角度から検討をして問題点問題点として強く指摘をしていただきたい。この点を強くこの機会の申し上げておきたいと思いますが、その点どうお考えになりますか。
  22. 岩田脩

    政府委員岩田脩君) 私どもも決してこの件を安易な問題として考えておるわけではございません。投票率の向上、それから自治意識の問題というものにはそれぞれのお考えがあるとは思いますけれども、根の深い大きな問題というように考えております。
  23. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ひとつ十分あなた方も慎重な対応をしてもらいたいと思いますし、また与党皆さんも、それぞれの関係者も、この問題については十分いろいろな角度から検討しておいていただきたいということをこの機会に申し上げておきたいと思います。  次に、公選法の一部改正に関するところの法案ですが、これは主文はきわめて短くて、私ども頭の悪いやつはこれはどういう意味だろうかと、こう思うんですが、少なくともこの九十七条問題、これは昨年の十二月ですか、奈良県の香芝町の町長選挙騒動に関連をして私はやはり問題点として提起をされたのがそもそもの発端だと、こう思いますが、これはどういうことになるわけですか。結局、同点者の場合以外はいかなる場合も繰り上げはだめだと、みんな再選挙だと、こういうものがこれの趣旨なんだと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  24. 岩田脩

    政府委員岩田脩君) 仰せのとおりでございまして、首長選挙——地方公共団体の長の選挙につきましては同点者の繰り上げ以外の繰り上げはしないということでございます。実はいままででも、その地方公共団体の長について申し上げますと、選挙当選した人がその当選によってその長の身分を取得するまでの間は同点者以外の次点者も繰り上げがあったわけですが、いままでの制度でも、そこから先、つまり選挙による当選者がその当選による身分を取得した後は、その長が欠けましても同点者以外は繰り上げをしないというシステムになっておりました。その当選者が職についたという時点を境にして取り扱いが違うということは当初それなりの理由はあったのでしょうけれども、今日の時点から見れば一般の御支持もいただけませんし、この前香芝のケースがありましたときもいろいろ混乱の原因にもなりましたので、この際ある意味で全部を通して同点者でなければ繰り上げないというシステムに改めたというように御理解をいただきとうございます。
  25. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私の知っておるのはその香芝町の例ですけれども、これ以外に過去に何件かあったんですか。あといろいろな、どういう支障があったわけでございますか。
  26. 岩田脩

    政府委員岩田脩君) 実は明確な記録はとられておりませんけれども、私どもの聞いております限りでは過去一件、町村ですか、の選挙で一件あったというように聞いております。ただ、そのときはかなり昔のこと、二十年代であったこともあったのか、別にそのときはああいったトラブルの原因にはならなかったというように聞いております。
  27. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それはそれでいいでしょう。  次に、これは直接本議案とは関係をいたしませんが、前国会から今次国会の中で、この委員会で最大の争点になりました比例代表区制の問題ですが、これは法律が実施をされますと当然政令が出されなきゃならぬところの問題なんですが、これも端的にお聞きしますが、いま政令は出ておるんですか、まだ検討中ですか、そこだけまずはっきりお聞きしたい。
  28. 岩田脩

    政府委員岩田脩君) おくれておりますが、なお検討中であります。
  29. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 その検討中ということは、法律が通ってから大分長くなるわけですが、それだけやはり問題点があるということですか。どういう政令にすべきかということでさまざまの意見があるということになりましょうか。言うならば、具体的なこういう問題、こういう問題等がまだ結論が出ておりませんということをお聞かせいただければありがたいと思うのです。たとえば私がこう常識的に考えますと、例の八十六条に伴うところの名簿を提出する場合の具体的な条件のいろいろな項目が政令事項にとなっておるわけですね。あるいは政党その他の政治団体の名称の届け出のあり方も問題になりましょうし、あるいは政見放送とか公報の出し方、経歴放送の出し方というのもこれは政令で具体的にどうしようということになりましょうしね、あるいは比例代表区制の選挙の運動の問題点というのも常識的にあるだろうと思えるわけですけれども、いままでこの政令の問題についていろいろ検討されておるということ自体で、たとえばどういう問題点がまだ結論が出ておらないのか、お聞かせをいただきたいと思うのです。
  30. 岩田脩

    政府委員岩田脩君) 実際には今度の政令の中で書かしていただきますことは、一つにはただいまお話がございました政党の要件、とりわけその中で国会議員——国会に五人以上の議席を有することというのがあるわけですけれども、その数え方の問題がございます。端的に申し上げれば、たとえば国会解散があった場合、それでは解散で職を失われた衆議院議員の方はその選挙までの間は計算するのかしないのかといったたぐいのことがございますが、それを決めさしていただくことが一つございます。  それからもう一つは、いろいろな書式や添付書類のたぐいのものを決めさしていただくわけでして、それから最後にもう一つ選挙運動、ことに選挙公営の運び方についての内容を決めなければなりません。これは実は厳密に申し上げると、政令で決めるというよりは、政令とそれに付随してつくられますいろいろな規定、告示、省の規則そういったもので決まるのでして、厳密に言えば政令で決まるとはちょっと申し上げかねるのですけれども、広い意味でそれを決めなければなりません。  その中には、たとえば政見放送のあり方についての放送当局との打ち合わせとか、それから選挙公報の書き方について一体どのような——いままではお一人お一人のスペースでございましたので、個々に名前を書きなさい、写真も入りませんよ、字以外は一切使っていけませんよというように言ってきましたけれども、これが政党の手による選挙公報ということになりますと、いままでみたいに字だけというわけにはまいらぬでございましょうから、それを一体どこまで私どもが書き分けることができるのかとか、そういった細かい技術的な問題がございまして、その詰めに多少時間がかかっておるということでございます。
  31. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 大体いつごろをめどに検討を経てまとめたいというお考えですか。
  32. 岩田脩

    政府委員岩田脩君) できるだけ早くと思っておりますけれども、年内こういう状態でございますので、来年に入りましてなるべく早くまとめ上げたいと思っております。
  33. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 この問題は私はきわめて重要な問題だと思うのです。だから、何でもかんでも政令に流し込んでおるところの要素がありますけれども、御承知のようにこの法案審議したところの本委員会は大変な荒れ方なんですけれども法律としてやはり歩み出した以上は、一体政党要件ああいうものはどうするんだろうということは、それは私だけじゃなくて恐らく各党にとっても最大の関心事の一つだと思うのですよ。  それで私は思うのですが、実は参議院の本委員会ではそういう具体的な問題は全然話が出なかった、言うならば憲法論議とか参議院のあり方という問題が非常に議論になって、論議はそこまでまだ全然進まないうちに衆議院に送り込まれた。衆議院のいろいろな話を聞きますと、衆議院の理事会あたりでは、この問題について、自治省が出す場合にはわれわれの意見も聞くべきだという意見が出されて合意を得たというふうにも聞いているのです。  私は、衆議院の意見もさることながら、もう法律執行されるわけですからね、反対されたところの政党にとってはこれはこのままもう皆さんに白紙一任というのもいかがかと、いういろいろな意見もやはりあると思うので、要すればこの問題について最後の決定権は行政府の責任でしょうけれども、やはり少なくともこういう問題について理事会あたりの意見交換をして、いま出されたところの問題についても、皆さんから問題を出されて意見を聞くというぐらいのやはり配慮があってしかるべきじゃないだろうかと、この法律の運用をより完全ならしめるためには。こうも思うんですが、担当の自治省皆さんとしてはそのことについてどうお考えですか。
  34. 岩田脩

    政府委員岩田脩君) ただいまの御指摘の件につきましては、衆議院での御審議の間でも、各党から選挙公営の枠取りとかそういったものについての意見、相談、各党の意見も聞けよというようなお話もございまして、適当な機会を持ちたいというような御答弁もあった経緯もありますので、ただいまお話しのように適切な機会に私どもの方の考えていることの御説明もし、御意見も伺わせていただきたいというように思っております。
  35. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これは委員長にお願いしたいことになると思いますが、一月早々に政令を出すかもしれないということですが、実はここまでくれば年末から年始にかけてそういう機会なかなかつくれないわけですから、一月の自然休会中でも、私はこの問題についてはやはり理事懇あたりの中で少し意見交換をし、各党がより理解を得る中でこの法が執行されていくと、こういうやっぱり配慮というのがあってしかるべきじゃないだろうかと思うのです。実際それは衆議院の理事会でも議論になったようでございますけれども選挙するのはわれわれ参議院が主体ですからね、何と言っても。肝心かなめの参議院の本委員会の中でそういう機会が全然ないということは僕は運営上いかがかとも思うんです。また、あれだけぎしぎしやったところの本委員会の将来の運営を考えても、私はやっぱり政治的に考えなきゃならないところの一つの課題じゃないだろうかと、こう思いますので、その点委員長ひとつ十分踏まえていただいて、理事会あたりで少しその可否について相談をしていただき、可能な限りそういう処置をしていただきたいと思うのです。いかがでしょう。
  36. 福岡日出麿

    委員長福岡日出麿君) ただいまの御意見は理事会に諮って十分検討いたしたいと思います。
  37. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ぜひともひとつ、私はそういうことが実現できるように委員長の積極的なやはり取りまとめをしていただくことを心から御期待を申し上げまして、与えられた時間はまだあるんですけれども、これぐらいで終わりたいと思います。
  38. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は初めに地方公共団体議会議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案につきまして若干質問したいと思います。  奈良県の香芝町の繰り上げ町長に対するリコールは不成立になったわけです。この法律が成立しましても、町長の在任は法律的に問題はないにしましても、政治的には不安定なものになりがちです。もともと公職選挙法の九十七条の一項とそれから三項の選挙犯罪による当選無効の問題とでは、御存じのように繰り上げ理由は、その性格は全く異なるものでございます。しかも一項は選挙直後に限られた問題でございます。また、独任制の公職といっても、繰り上げで全く問題のない場合もありましょうし、政治的に対立していて住民の支持が多数でなく繰り上げに問題がある場合でも、議会側で問題は調整されるとも考えられるわけです。香芝町の現町長はとにかく在任しているのでありますので、これが行政の実際との関連から今回の改正に踏み切った理由というものを聞いておきたいと思います。たとえこれがやむを得ない措置だったとしても、二、三やはり疑問点が残るわけです。  その点もあわせてただしておきたいのでございますが、たとえば法定得票有効投票の四分の一以上を得ている次点者というものはそれだけ住民意思を獲得しているのであって、これを直ちに切り捨てるという理由はどうなのか。やむを得ず禁止するなら、この場合法定得票を同点または有効投票の三分の一以上とすることで解決できなかったのかどうか。それから繰り上げを禁止しなくても、今回行われたようにリコール等の方法があるわけです。また、地方自治政治的空白が長期にわたることになるとか、あるいは今回の事例は昭和二十年代にも一件あったそうですが、昨年十二月の奈良県の一件しかない。しかもリコールは不成立に終わっていると、一般的に禁止する根拠に乏しいのではないかというような若干の疑問点が残るわけでございますが、あわせて今回の措置に踏み切った理由をお聞かせいただきたいと思います。
  39. 岩田脩

    政府委員岩田脩君) 今回の措置に踏み切りました理由は、先ほどの提案理由でもちょっと触れたところでございますけれども、やはりこういった事例が実際に起こってみると、それが素直にそのまま有権者に受け入れられず、そのことをきっかけにしていろいろトラブルがあったということでございます。そういう実情に立って振り返って考えてみると、やはり首長選挙においての落選者といいますか、次点者の繰り上げというのはおかしいのではないか。確かにただいまお話のように、一定数以上の有効得票がなければ次点者であっても繰り上げないわけですから、その意味では確かに一定の得票を得た方であるということは言えるでありましょうけれども、しかし単独の独任制の機関である首長をめぐりまして、特定の政策を掲げ、お互いの候補者が争ったというような場合に、片一方の方が不幸にしてお亡くなりになったからと言って、その対立候補の方をそのまま住民の意思であるとして繰り上げてよいものかという問題はやはり残るのではないかというように考えるのでございます。  まあ議会のコントロールとか、それからリコールとかいったいろんな方法もあるではないかという御指摘はございましたけれども、やはり独任制の機関である首長の性格から見て、端的に同点者以外の場合は繰り上げないということにすることが現在の選挙の実際に合うのではないか、そういうように考えた次第でございます。
  40. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、統一地方選挙について投票率の問題で一点だけお尋ねしておきたいと思います。  統一地方選挙投票率は毎回低下しております。知事選挙では昭和五十年の統一地方選挙におきましては七三%の投票率でございましたが、昭和五十四年には六五%とかなり低下しております。それから道府県議会におきましても昭和五十年は七四%、それから昭和五十四年は六九%とかなり低下しております。また、極端なのは統一地方選挙でございますが、知事選の千葉が二五%、神戸市長選二〇%の投票しかなかったわけです。また、昭和五十六年七月の都議選も五六%の投票率で過去最低であった。理由はいろいろありましょうけれども、私はやはり一つは戸別訪問等の条件づき自由化等をやって、自由濶達な選挙をやられればこういった弊害はなくなるという感じがいたしますが、その点自治省ではどのように考えておられますか。
  41. 岩田脩

    政府委員岩田脩君) 投票率の推移につきましてはいろいろの理由が絡み合ってまいります。たとえば多少負け惜しみじみますけれども前回統一選挙のときの都道府県段階の選挙は、確かに西日本一帯荒れまして大雨が降ったのを記憶しております。まあいろんなことがございますが、確かに投票率が必ずしもわれわれの理想とする線までいってないのは御指摘のとおりでございます。そのことについて、いっそのこともっと自由濶達な選挙をやらしたらいいではないかという御指摘、とりわけ戸別訪問を挙げての御指摘でございます。選挙運動が本来は自由なものでなければならないという基本は確かにそのとおりでございますけれども、何しろ個人を中心とした選挙運動の長い歴史の中で、戸別訪問という問題を一つ取り上げましても、あるいは一時部分的に解除しかけてみて結局弊害の方が表に立ってやめたり、いろんな長い経過がございます。その中でやむを得ずいまのような必要最小限度の規制が残っているという形であろうかと思います。選挙運動のあり方自身については、たとえばこれから先の選挙全体のあり方の動きに合わせて検討していかなければならないことだとは思っておりますけれども、そういうやむを得ない制約が残っておるのだというふうに考えております。
  42. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は最後に、先ほども御質問がありましたが、参議院比例代表の政令に関する問題で御質問しておきたいと思います。  改正法は伴う政令の公布というものが、私は当初十一月ごろを予定されていたのではないかと思われますが、十二月はなってもなお公布されておりません。いまの御答弁を聞きますと来年なるべく早くというお話でございますが、大変遅いわけですね。特に、百五十条の政党等のテレビ政見放送、あるいは八十六条の二、十二項の立候補の届け出条件の適用関係、こういったものは準備の関係からも早急に公布されなければならないと思いますが、どう考えますか。それからこれまた先ほども御答弁がありましたが、今後こういった問題を各政党とも相談なさるのかどうか。まずその辺お答えいただきたい。
  43. 岩田脩

    政府委員岩田脩君) 確かに御指摘のとおり、次の選挙に向かってのいろいろな準備もあるわけでございまして、まあ私どもとしても政令の準備を急ぎたいと考えております。  それから各政党との相談の件でございますけれども、これについては先ほどもお答えを申し上げましたように、適切な機会を得てわれわれの考えていることも申し上げたいし、また御意見も承りたいというふうに考えております。
  44. 多田省吾

    ○多田省吾君 特にテレビ政見放送関係では、放送するもの、あるいは時間数、あるいは候補者紹介の方法、それから政党が作成したフィルムの録画の可否等、いろいろな問題があるわけです。現在はこういった問題どのように検討しておられますか。
  45. 岩田脩

    政府委員岩田脩君) まさにこの部分が実施に当たりますNHKとの間にいろいろ調整を要する部分でございまして、まだきちんと詰まったものはでき上がっておりません。  なお、御指摘のありましたことの中に、政党が作成をしたフィルムを放映するという御指摘がございましたけれども、実はこのことは考えておりません。このことについては、一度提案者の方がそういうように述べられたこともございますし、それぞれの政党の条件や、それから、まあどう申しますか、恐らくそういう形でつくるということになればかなり多額な経費を要することにもなりましょうし、そういったこともありまして考えておりません。むしろ現在のスタジオ録画の形、あの形の発展をどう考えるかという形の筋で考えておることを申し上げておきたいと思います。
  46. 多田省吾

    ○多田省吾君 私は、政党が作成したフィルムの録画等の要件は、提案自体もいまおっしゃったように考えたいというような御答弁もあったわけですから、考えていないと言われればこれは非常に不満でございまして、こういった点もやはり各政党とも今後も相談いただきたい、このように思うわけです。これは要望です。  それから、立候補の届け出要件につきましても、私は本委員会におきましても質問したかった。しかし、第一点の法案の手続や政党化の問題とか、第二点の憲法問題とかが一応済んで、第三点の内容の問題に入ったらもう質問できないような状況にされてしまったわけで、大変遺憾に思っているわけでございますが、たとえば新政治団体結成の場合の得票率の算定なんかも法案だけでは大変いろいろ問題があるわけです。直近の選挙の四%となっておりますが、その団体としては四%にいっていないけれども、新しい政治団体の構成員の合計が四%の得票率がある場合はどうなのか、そんなものも一切考えないで切り捨てるのかどうか。あるいは、これも大変疑問なんですが、通常選挙の直近の選挙は三年前だけであると、こういう自治省はお考えのようでございますが、御本人にとってはやっぱり六年前も含めるのが筋ではないかとも思われます。その辺も、三年前だけに限るのはいかがかと思うし、こういった点はいまどのように考えておられるか。
  47. 岩田脩

    政府委員岩田脩君) 成案を得ておりませんと申し上げたのですから、余り何かこう当てずっぽうみたいなことを申し上げるのはかえって申しわけないかもしれませんが、まあ私どもとしましては、あそこの条文の上からすればやっぱり直近の参議院議員——かくかくの選挙と書いてありますから、六年前というわけにはいかないんではないか、やはり政党を中心に考えるよりほかに仕方があるまい。それから得票率の場合も、その政党の得票と書いてありますので、まあその途中で構成員が変わったからその個人の得票を足すとかいうわけにはちょっとまいらぬのではないか。とりわけこれが比例代表選挙を何回か経た後のことを考えますと、なかなかそうもいかぬのではないかというように思っておりますけれども、先ほども申し上げましたとおり、なお成案を得ているという意味で申し上げているわけではございません。
  48. 多田省吾

    ○多田省吾君 しかし、選挙部長の先ほどの答弁では、政党の要件の中に国会議員五人以上という場合、その数え方の問題があると、衆議院が解散になったような場合は衆議院議員を計算に入れるのか入れないのか、こういった点もまだこれから成案を得るんだってなことをおっしゃっていますけども、われわれからすれば、法案自体を見た問題では、衆議院が解散になったんなら衆議院譲員はいないんですから数え方の対象になるはずはないと、法案の上からそう思えるわけじゃありませんか。そういった点は何か考えるんだってなことを言って、いま私が述べたような点は法案上からは考えられないこと。これは一方的じゃありませんか。
  49. 岩田脩

    政府委員岩田脩君) ただいまの人数の数え方を挙げてのお話でございますけれども、まあ実際、たとえば参議院議員任期満了後に選挙があった場合とか、それから衆議院の解散とかいうことを考えてみると、これは政党そのものの実態に何らの変動もない事件でございます。その中でまあ特に人数の数え方については政令で定めるというように授権をいただいており、かつまた国会審議の中でもそういったことについては政令で決めるんだというお話もございましたので、これについては決めざるを得ない、決めなければかえってその実態とそぐわなくなるのではないかというように思っておりますが、まあいずれにせよそういった問題につきましても御議論をいただきたいというように思っております。
  50. 多田省吾

    ○多田省吾君 私はまだ選挙部長の御答弁には納得できないわけです。まあ衆議院段階でも論議されましたけれども国会議員の数え方の問題で政令で決めるなんていうのは大変おかしい問題でございますし、なおいろいろ疑問がありますけれども、まあ今回はこの程度にとどめておきます。
  51. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 私は選挙期日等臨時特例に関する法律案の第七条「政令への委任」の問題にしぼりまして質問をいたします。  まず、先ほど宮之原委員が質問、指摘した選挙公営の指定都市における問題であります。答弁によりますと、前回は三者択一だったのが、今回は択一または択二になるということでありますけれども。まず確認したいのは、その選択はあくまでも当該自治体が自主的に決定することだと、こう思いますが、どうでしょうか。
  52. 岩田脩

    政府委員岩田脩君) そのとおりでございます。
  53. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 問題は、義務制ポスター掲示場、要するに公営掲示板のみに限定される候補者ポスターのこれは事実上の枚数制限になるんですね。京都市とそれから名古屋市で調べてみますと、京都市の場合には一番多い場合でも、これは左京区で、投票所の数が四十一で掲示場の数が三百十四。少ないところは東山区で百ですね、掲示場が。ということは、いままで千二百枚張れたポスターが最高でも三百十四、最低の場合には百と。平均で大体百八十枚弱です。それから名古屋市の場合ですと、最高でも中川区の二百十七枚、熱田区の八十枚。百枚を割ってしまうわけですが、大体そのような状況になると思いますが、実情はどうでしょうか。
  54. 岩田脩

    政府委員岩田脩君) きちんとした統計は持っておりませんけれども、あの形のポスター掲示場以外に張れない制度に移行した場合、現在のポスター掲示場の枚数よりは相当減少はあるということは、この前あの法案審議の中でもおっしゃられたことだと思っております。
  55. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 一つは名古屋市選挙管理委員会からもらった資料ですから間違いないと思いますし、片方は地元の党の選対に問い合わせて入手した資料ですから間違いないと思うので、要するに一けた枚数が減ってしまうんですね。となりますと、だれが立候補しているかということを選挙民に知ってもらうというのは、これはやっぱり選挙の重要な要素国民の側からは知る権利ですし、候補者の側からは知ってもらう、一つ候補者のこれは権利だと思うんですね。それが大変に制限される。  まあポスターの問題についてはいろんな意見はあります。しかし、基本的には、これは都議選に対する東京都選挙管理委員会の調査があります。それによりますと、ポスターなどこれが掲示場だけに限定されたわけですが、町の中は静かになったが選挙のムードは上がらなかったと思うというのが二一・三%。町の美観は保てたが選挙に関する情報の量は少なくなったと思うというのが一一%。選挙に関する情報の量が少なくなり選挙のムードも上がらなかったと思うというのが一三・一%。要するに、半分近い四五・四%がポスターの数が減ったことで選挙権の行使に決して十分じゃなかったという、こういう意見が実際出ておるわけですね。この辺については自治省としてはどうお考えですか。
  56. 岩田脩

    政府委員岩田脩君) それぞれの自治体の性格にもよることでございましょうけれども、もともとこのポスター掲示場を設けましたときには、その施設能力や施設場所の関係で、枚数の減少と、それから片方では同じ場所に行けば全部のあれが見られるという一覧性の問題、それから町の美観の問題とか、そういったようないろいろな問題がてんびんにかかっている問題だという認識は持っております。
  57. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 私は選挙におけるポスターを大体美観などの問題ということで矮小化するのは、これはやっぱり民主主義の根幹に関する否定的な考えだと思うんですね。やはり近代社会における国民は、選挙権行使といえば一番主権の行使ですから、それに対してはそれを管理する自治省はもっと自信を持ってもらいたい、こう思います。私は、この問題はやはり議会制民主主義の根幹にかかわる問題で主権の行使に関する問題だということで、これは制限的に理解すべきじゃない、このように思います。  そこで、政令との関係でこれは念のためにお聞きしますけれでも、これから政令をつくっていく場合に、自治省が進んで義務制ポスター掲示場を選択するように指導するというようなことはないと思いますけれども、その点どうでしょうか。
  58. 岩田脩

    政府委員岩田脩君) 先ほどもお答えしましたとおり、任意制の条例のうちのどれを選ぶかというのはその議会が決めるところでございまして、私どもの方からこれとこれを選べとか、これは選ぶなとかといったような指導をする筋合いではないと考えております。
  59. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 では、ぜひひとつそのようにしてほしいと思います。  最後に、これはもういまも二人の委員から指摘がありました、比例代表選挙の実施に伴う政令については、これは各党の意見を十分に聞いていくべきだということを申し上げまして、質問を終わります。
  60. 福岡日出麿

    委員長福岡日出麿君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 福岡日出麿

    委員長福岡日出麿君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、直ちに採決に入ります。  まず、地方公共団体議会議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  62. 福岡日出麿

    委員長福岡日出麿君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、公職選挙法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  63. 福岡日出麿

    委員長福岡日出麿君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 福岡日出麿

    委員長福岡日出麿君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  65. 福岡日出麿

    委員長福岡日出麿君) 次に、請願の審査を行います。  第九〇六号衆議院議員定数即時是正に関する請願外六件を議題といたします。  請願の願意につきましては、お手元に配付いたしました資料のとおりでございます。  これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、七件全部を保留とすることに意見が一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 福岡日出麿

    委員長福岡日出麿君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  67. 福岡日出麿

    委員長福岡日出麿君) 次に、継続審査要求に関する件についてお諮りいたします。  公職選挙法の一部を改正する法律案(衆第一号)の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 福岡日出麿

    委員長福岡日出麿君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 福岡日出麿

    委員長福岡日出麿君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会をいたします。    午後零時十一分散会